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地底都市での血戦〜アインソード黒騎士団の暴虐〜

#ダークセイヴァー #辺境伯の紋章 #番犬の紋章 #地底都市

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●ダークセイヴァー・地底都市への門
「弱い! 弱すぎるぞ! 貴様、それでもヴァンパイアか!」
 そう言って頭を掴んで同族を殺し続けた狂ったヴァンパイアを滅ぼす漆黒の鎧を着たオブリビオン。彼の名は、アインソード。この地底空洞の門番の役割を請け負ったヴァンパイアである。
 強者のみを求める異色のヴァンパイアながら、ことこの地底都市へと続く空洞に立ち塞がる目的はただ一つ。吸血鬼を滅ぼすハンターを、同族を殺す狂ったヴァンパイアを、地底都市へ向かおうとする強者と対峙する為だ。
「番犬の紋章、悪くはない。これでさらなる強者と戦えると言うものよ」
 アインソード自体も強力なオブリビオンだが、さらなる強化を施しているが首に刻まれた「番犬の紋章」だ。寄生虫型オブリビオンと呼ばれるもので、地上で吸血鬼世界をかき乱している同族殺しすら寄せつけない強さを引き出す代物だ。
 この強さに比べれば、番犬の役割も隷属も些末なこと。アインソードは感謝すら覚えつつ、次なる獲物に想いを馳せていた。そう、オブリビオンを狩る猟兵のことだ。
「猟兵か。かの者達は弱者を助けると言うな。ならば……」
 そう言ってアインソードは自身の配下たる黒騎士達を呼び寄せる。機動力・突破力を兼ね備えた精鋭達ではあるが、任務は地底空洞から人々を逃がさない為の警邏の為だ。
 だがアインソードはそんな黒騎士達に無慈悲なる号令をかける。
「私に従う黒騎士達よ! 地底都市の弱者を狩れ! 弱き者は一切要らぬ、容赦はするな!」
 支配するべき者達を殺す非道。弱者を虐げることに興味がないアインソードではあるが、強者をおびき寄せる為の残虐であるならば迷わず実行する。
 そう、それを行うのには意味がある。つまりは猟兵達をおびき寄せる為の餌だ。

「ハハハハッ、予知で見ているだろう! 私を倒さねば黒騎士団は追えぬぞ! さあ、来るがいい、猟兵!」
 グリモア猟兵の予知を見ているぞ、と言わんばかりに虚空に宣言するアインソード。その瞳はまだ見ぬ強者達の到来を夢想しているように愉悦に歪んでいた。

●グリモアベース・ブリーフィングルーム
「まったくこういう挑発で来るとは気に入らんのー」
 そう言って予知を予測された物言いにグリモア猟兵メイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)の顔が歪む。鮮血に染まったアインソードの姿を電脳ウインドウに映し出しつつ、説明へと入る。
「アインソードは番犬の紋章を呼ばれる、寄生虫型オブリビオンを宿しておるからのー。前に戦った辺境伯の紋章と似たようなものじゃが、陣地防衛に力を発揮するものじゃのー」
 曰く、ダークセイヴァー各地に存在する隠された地底都市、世界各地に存在するその地底都市に続く地底空洞には、その支配者から与えられた番犬の紋章を宿したオブリビオンが配置されている。そしてその門番の役割を果たす者に絶大なる力を与える効果があるという。
 その力はあらゆる攻撃に対して耐性を持ち、あの同族殺しすらも一撃で屠るほどの力を与えるという。だが紋章を宿した箇所は弱点であり、それを完全破壊することで門番を打倒できるという。
「今回のアインソードは首に紋章が刻まれておるけー、紋章を完全破壊するまで首を狩り続けることじゃのー」
 そしてアインソードを打倒したならば、次は地底都市に乗り込み、人々を虐殺しようとする黒騎士団の撃破である。それが叶ったならば、地上の人類砦に誘導して欲しいとメイスンは依頼する。

「幸いと先日の辺境伯イラースの襲撃を退けた人類砦が受け入れてくれるけー、心配せずにアインソードを倒して、無辜の人々を救ってくれのー」
 そう言ってメイスンは転移術式を発動させ、地底空洞の門番のところまで移動させる。強力なる門番を倒し、無慈悲な黒騎士から人々を救い出せるか。それは猟兵達の手腕にかかっている。


ライラ.hack
 久々のダークセイヴァー、そして強敵です。
 どうも皆様こんにちわ、ライラ.hackです。

 今回は新たに発見された地底都市へと繋がる道にて立ち塞がる「番犬の紋章」を宿した吸血鬼アインソードを撃破し、地底都市にして奴隷にように生存している人々を地上の人類砦へと導くのが目的となります。
 「番犬の紋章」を宿したアインソードは首元にある紋章以外は碌にダメージを与えられません。再生不可能になるまで首を斬り落とし、倒してください。その後はアインソード麾下の黒騎士団を倒して人々を蹂躙から救う手筈となります。
 地底都市の人々はかなり憔悴していますが、人類砦の話をすればきっと地上へと向かってくれるはずです。前回の辺境伯イラースの襲撃を退けた人類砦が受け入れを表明していますので、そちらに導いてください。

 以上となります。強者を望む門番を打倒し、絶望の人々を救済しましょう。
 それでは皆様の素晴らしいプレイングをお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『鮮血の骸騎士アインソード』

POW   :    鮮血剣ダインスレイヴ
【血液で作り出した血を吸収する長剣】が命中した対象を切断する。
SPD   :    鮮血の外套
【自由自在に形を変える血液で出来たマント】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ   :    悠久の時が流れても
戦闘用の、自身と同じ強さの【血液で出来た巨大コウモリ】と【かつて愛した人間の女性を模した血液人形】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠アーデルハイド・ルナアーラです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ダークセイヴァー・地底空洞の入り口
 鮮血の骸騎士アインソード。弱者を虐げることに興味はなく、強者たる者と戦うことのみ執着する異色のヴァンパイア。その戦士は番人の紋章という、門番として戦うことを強制する代わりに莫大な力を得る首輪とも呼べるものに、何のデメリットも感じていなかった。
 むしろ地底都市へと足を踏み入れようとする人間達、地底都市を支配する上位吸血鬼を殺そうとする同族殺しと相手に事足りない状況で退屈は全くしない。アインソードは殊の外に満足した生活を送っている。
 だがまだ足りない。地底都市の支配者から与えられた配下の黒騎士を動かして地底の人々を殺そうとするのは、今やダークセイヴァーでも名を知られるようになった猟兵をおびき寄せる為だ。このオブリビオンの支配する世界に強靭な抵抗を続ける者こそ、アインソードが戦うに相応しい。

「さあ、猟兵! 私の首はここだ。刎ねてみせよ!」
 弱点たる番犬の紋章の位置を隠すことなど一切しない。アインソードは驕りもなく殺し合いを望む。至高の戦いこそが己が望むものであり、渇望する欲求はその果てにこそ満たされるのだから。
フォルク・リア
罪のない人々を惨殺するとは
「望み通りに来てやったが。
自ら死の種を招いた事、分って居るのか?
分らずともその首、此処で落とさせてもらう。」
静かな怒りを湛え。

ディメンションカリバーを発動
レッドシューターに魔石を搭載。
炎を目眩ましを兼ねてコウモリと血液人形
を含んだ【範囲攻撃】を行い
二体の血液を凝固か蒸発させる。
その隙にアインソードの紋章を狙った炎の斬撃を放つ。
炎で攻撃しながら【残像】を発生させて移動し攻撃を回避。

敵に気づかれない様に魔石をスカイロッドに付替え
敵が炎に気を取られた隙に視認され難い風弾の斬撃を
紋章めがけて放ち。
敵に炎か風、どちらの斬撃かの二択を迫る。
「その首を落すといった筈だ。何度でも。」


肆陸・ミサキ
※絡みアドリブ怪我苦戦ok

クズだな、早急にこの世界から永劫に消えるべきだよお前

WIZで行こうか
コウモリと人形が相手になるわけだね、同じ強さが増えるっていうのはしんどいけど、やるしかないよね
その二体は別に首じゃないと傷つかないなんてことはないだろうから狙いは雑に、でもUCを事前に知られるのは嫌だから攻撃は技能と装備を活用で
黒剣の変態機能に、怪力、捨て身、範囲攻撃の焦熱だね

仲間が居るなら二体は僕が請け負うか、その逆で分担しようかな

誘われて飛び込むなんて腹立たしいけど、奴の紋章を狙って、なんでもいいから一撃を狙うよ

一撃だ

僕のUCが発動する条件を満たせれば、ダメージを与えやすくなるはずだからね


ルルティア・サーゲイト
「良かろう、ならば望み通りその首を置いて行け」
 初手で凶鳥の翼を牽制で投擲し、もう一本を引き抜いて接近。翼なので二本出せる。
 【残影舞踏陣】を主体に(はいてないのは自明)隙あらば首を狩りに行くが、正面からどうにか出来るならば苦労はするまい。妾は囮である。最初に投擲した凶鳥の翼を操作して背後から首を狩る一人時間差攻撃じゃ。
 ま、これで勝てるなら良いがもう一手。背後からの奇襲を防がれたら僅かに隙を見せて鮮血剣で真っ二つにされる。
「勝った、と思った時が最大の隙じゃ」
 ここでレイブン化。斬られたのではなく自ら分離したのである。後は上半身だけ実体化して背後から首を狩るだけじゃな。



 より上級吸血鬼が支配すると言われる地底都市。その入口たる地底空洞には外敵を排除する為に、寄生虫型オブリビオン「番犬の紋章」を宿したオブリビオンを配置しているのが常だ。
 この番犬の紋章のデメリットに比べてメリットが大幅に上回る。身体能力の向上、防御面の無敵化など超人とも呼べる能力上昇が見込まれる。その分、紋章を宿した箇所の弱点化や紋章主への従属化は強力であるが、それも些細なことである。
 だからこそアインソードは門番とも番犬とも呼べる普通の吸血鬼であるならば屈辱とも取れる役割にも涼しい顔で受け入れる。その力こそすべて、強者との戦いこそが生き甲斐と断じる姿勢はまさしく異色の吸血鬼たらん由縁だろう。
「来たな、猟兵! 待ち侘びたぞ!」
「望み通りに来てやったが。自ら死の種を招いた事、分って居るのか? 分らずともその首、此処で落とさせてもらう」
 そう言ってフォルク・リア(黄泉への導・f05375)は静かなる怒りと共にアインソードの前に立つ。その素顔はフードで隠されているものの、携えたオーラが怒気を雄弁に語っている。
 猟兵をおびき寄せる為だけに自身の配下を虐殺へと駆り立てる悪逆無道に遠慮は無用。罪のない人々を惨殺しようと指示したこの男をフォルクは許す気などない。
「その意気だ! ならばこの首、落としてみせよ!」
 だがその怒りすらも心地よいと言わんばかりにアインソードは血液で出来た巨大コウモリと人間の女性を模した血液人形を呼び出して、フォルクへと仕向ける。その強さはアインソードに迫るその二体がフォルクへと襲い掛かろうとする。
 距離のある内に手を打たねば手詰まりになると感じたフォルクは能力「ディメンションカリバー」を発動させる。レッドシューターに魔石を搭載させ、巨大コウモリと血液人形に向けて炎の一閃を放つ。
 その炎は特殊な効果を兼ね備えた斬撃を兼ね備え、血液を断つと共に一気に傷口を蒸発させるに至る。そしてその炎の斬撃は一機にアインソードの首へと向かっていく。
「ほほう、面白い斬撃だ!」
 だがその炎を振り払うように手で振り払うアインソード。空間すら断つフォルクのディメンションカリバーの一撃を腕で受け止めてダメージすらもない。やはり番犬の紋章の箇所を狙わなければ効果はないらしい。
 そんな思考をしながら、傷を再生しながら襲い掛かってくる巨大コウモリを残像でいなしながら再び攻撃の一手を打とうとするフォルク。炎の斬撃を放ちながらも、魔石をスカイロッドに付替える。
「その首を落すといった筈だ。何度でも」
 その狙いは当たるまで行うという強い意志。アインソードが正面の炎の斬撃に気に取られている隙に視認され難い風弾の斬撃を番犬の紋章めがけて放つ。
 派手な炎の斬撃に加えて、隠れて高速に迫る風の斬撃。魔力を宿した風の斬撃はアインソードが視認する前にその首を刎ね落としていた。
「なんと……ハハハハッ、首を刎ねられのは久しぶりだぞ!」
 そう首が落ちながら愉悦するアインソード。番犬の紋章が健在なのか、首が身体の半分まで落ちそうになった瞬間、血液と血液が繋がり、再び首が繋がっていく。再生能力も化け物級というわけかと、舌打ちするフォルク。

 だがそんな中でも果敢に突撃するのは肆陸・ミサキ(SolitusVamp・f00415)だ。フォルクに巨大コウモリと血液人形の注意がいっている間に、巧みに距離を詰める。
「クズだな、早急にこの世界から永劫に消えるべきだよお前」
 アインソードが行おうとする非道にミサキも凍り付くような怒りを向ける。自身の血で変形していく黒剣にも知らずに力が入る。
 だがアインソードも首から出た血で巨大コウモリをもう一体生み出してミサキへと向ける。その呆れた戦法にミサキもため息をつかざるを得ない。
「同じ強さが増えるっていうのはしんどいけど、やるしかないよね」
 番犬の紋章で性能が上がったアインソードと同等の強さの巨大コウモリ。とはいえ、こちらは番犬の紋章の加護は受けていないので攻撃しても斬り裂けるのは、さきほどのフォルクの斬撃で見ている。
 ならばと黒剣を大きく振るってその牙が身体に突き立てられる前に払い、さらに魔力を帯びた焦熱で血液を蒸発させる。その身から放たたれる豪腕の一撃にアインソードも唸る。
「なんという一撃よ! 少女よ、ならばもっと来い!」
 だが何の問題もないと言わんばかりに女性の血液人形を生み出して、ミサキに攻撃を向けるアインソード。自身も振りかぶり攻撃をせんとする二段構えの一撃。
 フォルクもまた血液人形を相手している故に分担し請け負うこともできない。ミサキは出鱈目な力というものに嘆息しながらも、その首になんとしても一撃を与えんと一足飛びに距離を縮める。
「一撃だ」
 血液人形を打ち払い、アインソードの攻撃に身体を抉られながらもその首に刃が当たる。だが切断するほどの一撃ではない。だがミサキはそれでよかった。
 その瞬間、能力「全生命に注がれる陽光(バーンアウト・ロストライブ)」が発動し、発光する印が番犬の紋章の上に宿る。そして次の瞬間、生み出した二つの巨大熱球がアインソードの首で炸裂する。
「ハハハハハッ! これはしてやられたぞ!」
「これでも余裕か。ダメージを与え続けているはずだけどね」
 そう言いながら巨大熱球で首を焼き払って切断したアインソードの首が高速再生で戻っていく様を見てミサキも苦笑する。ご自慢の血液も蒸発させたはずだが、それすらも番犬の紋章が生み出しているのか。

 だが攻撃を続ける他、この強大な力を宿した敵を打倒する方法はない。間髪入れずに攻撃を加えようとするのはルルティア・サーゲイト(はかなき凶殲姫・f03155)の大鎌だ。
「良かろう、ならば望み通りその首を置いて行け」
 今だミサキの巨大熱球が首を焼く中でその大鎌「凶鳥の翼」を投擲し、もう一本を自身の翼から引き抜いて大鎌に変化させ突撃するルルティア。自身の身体を武器にできるのはキマイラの強みというべきか。
 鋭い斬撃はまさしく神速の一手ではあるが、それを自身の血液で生み出した鮮血剣ダインスレイヴで受け止めるアインソード。やはり一筋縄ではいかない相手ではある。
「この程度ではこの首は刎ねてやられんぞ?」
「やはり正面から馬鹿正直でどうにかできねば、苦労はするまい」
 だがそんなことはルルティアも承知の上であった。そう自身は囮であった。初手で投げた凶鳥の翼は自分自身も同然、それを空を舞い、再び自身の元に戻ってくるように操作してアインソードの背後から首を狙うような時間差攻撃を仕掛ける。
 狙うは今もミサキの熱球で首を焼いている脆い箇所だ。だがそれを戦場全体を俯瞰しているアインソードは見えてもいない死角からの大鎌の投擲をダインスレイヴで弾き飛ばす。
「その程度か? つまらん!」
 そして万策尽きたという顔のルルティアを凶鳥の翼で受け止めようとする刃ごと真っ二つにする。強者ではなかったかという落胆顔をするアインソードであったが、それは間違いであったとすぐに気づく。
 その攻撃を受けるのは猟兵にしては隙がありすぎた。だがその程度の敵だと見せることもルルティアの狙いであったことも気づかずに、他の二人に意識を向けてしまったのは最大の誤算であったと言える。
「勝った、と思った時が最大の隙じゃ」
 そう、すでにルルティアは能力「ルル・レイヴン・シフト」を発動しておいたのだ。その肉体は多数の鴉へと変貌を遂げて、バラバラへと分離していく。ルルティアはダインスレイヴによって切断されたのではない、自ら分離したのである。
 その攻撃方法はまさしく吸血鬼そのもの。同族の真似事なれど、猟兵にそれを行えるとは思わずアインソードの虚をつく。そして一瞬の隙を突き、ルルティアは上半身だけ実体化して背後から首を狩りとる大鎌の一撃をお見舞いする。
「フハッ! まさかそう来るとはな! やはり猟兵、やるではないか!」
 熱球で血が燃える臭いを放ちながら、その脆くなった部分を刈り取るルルティア。それでもアインソードは愉悦の姿勢を崩さない。そして首を斬り取っても、再び血液と血液が結合して元に戻っていく化け物っぷりを発揮する。
 だが強大なる番犬の紋章も無限に力を与えるわけではない。事実、最初にフォルクが首を狩った時よりも再生速度が遅くなっているように感じる。ならば間髪入れずに首を狩り続け、この門番を倒す他ないだろう。
 そう思いながら、猟兵達は戦いを続ける。攻撃を与え続ける意志は、後続に続く仲間がきっとやってくれる信じ、三人はまずは傷を抑えながらアインソードから距離を取るのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

西院鬼・織久
敵を狩る強さ、我等が怨念を満たす狩り
俺は似た欲求を持っているようです

なれば我等が怨念を以て死合うべし
強者であれば尚の事、我等が怨念の良き糧となろう

【行動】POW
五感と第六感+野生の勘を働かせ敵行動を把握し予測

先制攻撃+ダッシュ+串刺しで接近し攻撃、槍伝いにUCを流し込み傷口を抉ると同時に怨念の炎(呪詛+焼却+生命吸収)の継続ダメージ付与

繋がっている影を怪力で振り回して周囲の地形を利用して叩きつける
敵が影から逃れる直前ダッシュ+残像。敵反撃を残像に引き寄せ回避、回り込んで膝裏を蹴って体勢を崩し、意識を足元に向けた所紋章を狙いなぎ払い

負傷は各種耐性と精神系技能で無視、敵を倒すまで攻撃を止めない


御剣・刀也
へぇ。俺と似たような奴がいたか
俺も強い奴と闘いたい大馬鹿者さ。だったら、言葉での語らいは不要だな
さぁ、存分に剣で語ろう

鮮血剣ダインスレイヴでの攻撃は第六感、見切り、残像で避けるか、武器受けで受けていなし、崩れたところにグラップルで拳打や蹴りを交えつつ、相手が焦れたら勇気で反撃を恐れず、捨て身の一撃で斬り捨てる
「ははは。見事だ。俺の中の鬼も起きてきた。お前は強いよ。俺は臆病者だ。怖いからこそ、何度も奥義にすがる。が、だからこそ言える。天武古砕流の歴史に、敗北の二字はない」



 鮮血の骸騎士アインソードは番犬の紋章を得て以来、最も高揚したひと時を味わっていた。強大な力は時に大いなる退屈の時を生み出す。同族殺しすらも屠る己の力であれば、早々求める強者というものには出会えるものではない。
 それでも強大な力と共に地底空洞を守るという責務が発する番犬の紋章の縛りと共に戦いに明け暮れてきたアインソードに悔いや迷いはない。戦いこそが己がすべて、そして強者との戦いを望んだのも自身の願いであった。
 そしてそれは今、この瞬間叶え続けられている。吸血鬼すら簡単に屠るアインソードの攻撃を掻い潜り、番犬の紋章を消滅させんと首を狩り続ける者達がいるのだから。
「敵を狩る強さ、我等が怨念を満たす狩り。俺は似た欲求を持っているようです」
 そう言って百の異形の血肉で鍛えた赤黒い槍「百貌」を手にもって静かに佇む西院鬼・織久(西院鬼一門・f10350)。静かな闘志と共に、アインソードと対峙するその心は常に冷静でありながらも獲物を狩るという衝動は常に湧き出している。
 そんな激情を飲み込み、喰らうことこそ西院鬼の業。笑みすらも浮かべずに、そうすることこそが能えり前と言わんばかりに織久は戦端を切る。
「なれば我等が怨念を以て死合うべし。強者であれば尚の事、我等が怨念の良き糧となろう」
「へぇ。俺と似たような奴がいたか。俺も強い奴と闘いたい大馬鹿者さ」
 そしてそんな織久と共に並び立つ男こそ、御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)。天武古砕流という戦国時代に火縄銃に対抗する為に作られたとされる剣術を受け継ぐ一族の正統後継者。
 戦の中にこそ生き甲斐を見出すその男は強者の戦いでこそ光輝く。それは刀也も自覚しており、今も対峙するアインソードの力を前に歓喜の感情すらわいている。
「だったら、言葉での語らいは不要だな。さぁ、存分に剣で語ろう」
「そうか、素晴らしき同類達よ! ならば思う存分死合おうではないか!」
 そしてアインソードは両手から鮮血剣ダインスレイヴを生み出し、二人の修羅と対峙する。斬撃を喰らえば血を啜る魔剣を相手に織久も刀也も躊躇なく間合いを詰めてその首を狙い殺到する。
 身体に傷を付けられれば甚大な被害を及ぼすダインスレイヴを素直に受けるわけにもいかない。織久は天性の勘と研ぎ澄まされた動きから、刀也もまた体捌きから発生させた残像を駆使して相手の斬撃を見切りながら回避していく。
「まずは俺から行かせて頂きます」
 先手を繰り出したのは織久だ。手に持った赤黒の槍をアインソードの鎧に突き立てて能力「影面(カゲツラ)」の黒い影を流し込んでいくと同時に怨念の炎を付与していく。
 だがそれだけでは番犬の紋章によって強化されたアインソードの身体にダメージは与えられない。傷口を抉られればよかったが、能力強化で皮膚すらも槍を弾くほどの硬さであった。
「何人たりとも死の影より逃れる事能わず」
 それでも織久は攻撃の手を緩めることはない。帰す刀で振るわれたダインスレイヴで受けた傷も、血を吸われる痛みも強靭な精神力でねじ伏せて前へと出る。そして繋がっている影を怪力で振り回して周囲の地形を利用して吹き飛ばす。
 さすがのアインソードもこれには驚愕の表情を浮かべて、壁へと叩きつけられる。その崩した態勢の隙に一気に距離を縮め、大鎌「闇焔」を振るおうとする織久。アインソードがダインスレイヴを振るって真っ二つにするものの、それは織久が生み出した残像であった。
 そして回り込んで膝裏を蹴って体勢を崩し、アインソードの首を視界へと捉える。そして振るわれるは黒い影を伴った斬撃。紋章を狙った薙ぎ払いは首を切り落とし、さらに黒い影が爆裂して血と肉片をまき散らす。
「これはしてやられたぞ! 黒き戦士よ!」
 そう言ってアインソードは高速再生する首を支えながら、織久の身体を蹴り飛ばす。一端距離を取ろうとする行動であったが、もう一人の刀也に関してはノーマークであった。
 すかさずグラップルによる拳打を再生しようとする顔面に叩き込んで、態勢を整わせない。織久が作ったアドバンテージを最大限に生かそうとする作戦であった。
「ははは。見事だ。俺の中の鬼も起きてきた。お前は強いよ」
 そして相手の焦りを突くようにダインスレイヴの斬撃を恐れずに、自身も能力「雲耀の太刀(ウンヨウノタチ)」の乾坤一擲の斬撃を首に向けて繰り出す。番犬の紋章の首を一気に断ち切る斬撃。
 ダインスレイヴの刃が当たり血を吸われようとも首を狙うことをやめないその斬撃。再生しようとする首をさらに雲耀の太刀の持てる力を振り絞った斬撃が炸裂し続ける。
「俺は臆病者だ。怖いからこそ、何度も奥義にすがる。が、だからこそ言える。天武古砕流の歴史に、敗北の二字はない」
 首が接続する前に何度でも紋章部分を狙った執拗な斬撃にさすがのアインソードも感嘆する。再生させまいとする上段からの振り下ろしは正確にとらえ続けてダメージを与え続けている。こちらもダインスレイヴで斬り付けているものの、やめる気配はない。
 だが失い続けている血の中でさすがの刀也も限界が来る。精細を欠いた斬撃の隙を突いてアインソードが間合いの外へと抜ける。だが捨て身の攻撃によって、番犬の紋章にも相応のダメージを与えることに成功していた。
「ハハハッ、これほどの戦士達と死合えるとは。やはり猟兵とは素晴らしき相手よ!」
 だが織久の妄執染みた攻撃も、刀也の猛攻も、アインソードからすれば愛おしい強敵からの攻撃である。それを受け止めて吟味する余裕すら感じられる。
 だが限界はいずれ訪れる。その二人の猛攻は着実にアインソードの命脈を縮め、番犬の紋章破壊へと大きく歩を進める猛攻となりえたのだった。それは次の猟兵の猛攻にて大きく影響を与えるのを、アインソードはすぐに実感することになる。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

リーヴァルディ・カーライル
…そうね。悠長に喋っている時間も惜しい

…望み通り、その首を刎ねてあげるわ、吸血鬼

…血統覚醒、全魔解放。この一撃、止められると思うな

吸血鬼化した自身の生命力を吸収してUCを発動
大鎌の刃に限界突破した闇属性攻撃の魔力を溜め、
第六感が捉えた殺気を戦闘知識に加えて攻撃を先読みして見切り、
敵のカウンターを最小限の動作で受け流して切り込み、
紋章を狙い呪詛を纏う大鎌を怪力任せになぎ払い、
同時に血の斬擊のオーラで防御ごと首を切断する2回攻撃を放つ

…こうしてお前と対峙するのは初めてじゃないもの

…紋章の恩恵でどれほど力や素早さが増していたとしても、
使ってくる技が同じな以上、動作を読むのは造作も無い事よ


シーザー・ゴールドマン
辺境伯の次は番犬か。寄生型オブリビオンの作り手のセンスもなかなかのもののようだね。さて、アインソード君だったね。
強者との戦いを望んでいるとか。喜びたまえ、君の願いは叶う。

オド(オーラ防御)を活性化して戦闘態勢へ。
剛柔自在、千変万化にオーラセイバーを振るって『番犬の紋章』を宿した首を何度でも斬り落とします。
敵POWUC、鮮血剣はオーラセイバーに浄化の灼熱を纏わせて切り払い。
(属性攻撃:超高温×浄化)

堪能したかね?
ではそろそろお開きだ。実のところ君にあまり興味はないのでね。

光速の巨大魔力弾で紋章ごと消し飛ばします。
(アララトの流星×範囲攻撃)

弱き者が己に異物を寄生させてでも力を得る。健気なことだ。


黒影・兵庫
こいつ...!何てことしやがる!
(「冷静に。焦りは油断を生むわ」と頭の中の教導虫が宥める)
はい!でも!ぐっ...!
(「作戦は?」)
俺が囮になって敵を惹きつけて、その隙に強襲兵の皆さんで首を噛み千切る、これでいきます...
(UC【蠢く霊】を発動し召喚した羽虫の霊を目視不可の霊体状態に変化させ『目立たない』ように敵の背後に回り込ませる)
俺は囮...!囮...!
(冷静になるよう自分に言い聞かせながら『念動力』と『衝撃波』による迎撃と『オーラ防御』での致命打の回避を行いながら『催眠術』で自分への視線誘導を仕掛ける)
せんせー、せめて一撃、駄目でしょうか?
(「囮なら耐えなさい。黒影」)
はい...


シン・コーエン
(アインソードに礼儀正しく問う)貴公は強者との戦いを欲すると聞いた。ならば何故、地底都市の支配者に戦いを挑まない?
回答が曖昧だったり、つまらない内容なら「つまりお前は自分が勝てる程度の強敵と戦いたいだけか、それなら正直に言えよ」と嘲笑。

戦闘ではUCにて左手をブラックホールに変換し、相手が血で作り出す全ての攻撃手段を吸い込んで無効化。
それ以外の攻撃は第六感と見切りで読んで回避し、最悪、灼星剣の武器受けとオーラ防御で防ぐ。

灼星剣に光の属性攻撃を宿して2回攻撃の1回目を振るい、相手に防がせる。次の瞬間、2回攻撃の2回目で、念動力で操った村正が死角から精神攻撃+衝撃波を籠めて首を刎ね、精神を斬り裂く!



 アインソードはこうして首を刎ねられる度にこの地底都市に来たことを思い出していた。その時はこの地底を支配する上位の吸血鬼に挑み、倒そうと挑んだものだった。
 だが結果は惨敗。身体は消滅させられて首だけになった時は、あまりの強者っぷりに大いに笑ったものだった。それほどの圧倒的な強さであった。
 その態度を気になったのかどうかはわからないが、首に番犬の紋章を宿らされて生かされたのは気まぐれというものだろう。そのおかげでアインソードは目の前の強敵たる、猟兵達の戦いに恵まれている。
「貴公は強者との戦いを欲すると聞いた。ならば何故、地底都市の支配者に戦いを挑まない?」
 猟兵の一人、シン・コーエン(灼閃・f13886)に丁寧に問われた時、アインソードはそのことを思い出し、愉悦気味に答えた。その答えにはさすがのシンも苦笑気味だった。
 回答が曖昧だったり、つまらない内容なら「つまりお前は自分が勝てる程度の強敵と戦いたいだけか、それなら正直に言えよ」と嘲笑してやるつもりだったが、まさか首だけにされていたとは。それほどのバトルジャンキーということが判明しただけでも儲けものかとシンは判断する。
「辺境伯の次は番犬か。寄生型オブリビオンの作り手のセンスもなかなかのもののようだね」
 そしてシーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)は首の番犬の紋章を隠さずに見せて挑発してくるアインソードを見て不敵に笑う。その埋め込んだ主たる上位吸血鬼に興味が湧いた、ともいえる発言であろう。
 だがそれを探求するのは目の前のアインソードを下さなければならない。ならばやることは一つと、オドを活性化させ防御のオーラを展開させる。
「さて、アインソード君だったね。強者との戦いを望んでいるとか。喜びたまえ、君の願いは叶う」
「それは僥倖だ。さあ、死合おうではないか!」
 アインソードの愉悦と共に前に出たシーザーとシンとの切り結びが始まる。シーザーが灼熱の魔力を籠めたオーラセイバーを、シンは灼星剣を振るい、二刀流と化した鮮血剣ダインスレイヴの連撃を受け止めていく。
 血液が無尽蔵に生み出されているかの如き、血の魔剣。それをシーザーは剛柔自在、千変万化に対応し番犬の紋章を常に狙う。それをさせまいと大いにダインスレイヴを発生させて振るうアインソード。シンもまたその剣撃をついていく。
「堪能したかね? ではそろそろお開きだ。実のところ君にあまり興味はないのでね」
 剣撃だけでは首に届かないことを察したシーザーは奥の手を発動する。出力を上げたオーラセイバーでダインスレイヴを蒸発させた瞬間、能力「アララトの流星(デウス・ルークス)」を発動させる。
 光速の巨大魔力弾は問答無用で首にある番犬の紋章に向かい、消し飛ばす。文字通り首を消滅した形になりアインソードは驚きと愉悦に顔を歪ませる。シーザーはその姿に嘲笑を隠さない。
「弱き者が己に異物を寄生させてでも力を得る。健気なことだ」
「ハハハッ、言うではないか!」
 だがまだ番犬の紋章は健在であり、アインソードの首は再生する。そしてお返しと言わんばかりに自由自在に形を変える血液で出来たマントを周囲に放って薙ぎ払おうとするアインソード。
 圧倒的な攻撃範囲で一気に決めようとするが、それをさせないのがシンだ。能力「漆黒の門(シッコクノモン)」を発動させ、左手をブラックホールに転換させる。
「全てを引滅する究極の門よ、我が元に来れ」
 すべてを消滅させようとする鮮血の外套を、すべてを吸い込む虚無の空洞が吸い込み消滅させる。その圧倒的な吸引力にはアインソードも舌を巻く。
 そしてシンは灼星剣を振るって首を狙っていくが、咄嗟にダインスレイブを発生させて防ぐアインソード。だがその攻撃の受けは想定済みの行動で、本命は後ろから首を貫く村正の念動力で操った斬撃だ。
「その精神ごと斬り裂く!」
 念動力で精神に干渉する衝撃波を籠めて一気に番犬の紋章ごと首を断つシン。シーザーに強烈な魔力弾の後に、この精神を断とうとするシンの斬撃。さすがのアインソードの顔からも愉悦が止まる。
 首は血と共に再生しようとするが、お返しとばかりに血のマントを周囲に放って距離を取ろうとするアインソード。シンはブラックホールで、シーザーはオーラセイバーで回避するが、それでもアインソードが離脱するには十分な隙だった。

「こいつ……! 何てことしやがる!」
(「冷静に。焦りは油断を生むわ」)
 そんなアインソードに、地底都市に非情なる命令を下したことによる義憤に燃える黒影・兵庫(不惑の尖兵・f17150)が背後から襲い掛かる。その心情を慮ってか、教導虫たるせんせーが必死に冷静になるように宥めているが。
 その感情を抑えようとするが兵庫の気持ちは燃え滾っている。これ以上の追撃は許さないとばかりにアインソードは自身の分身たる巨大コウモリと血液人形を生み出して相手をさせようと試みる。
(「作戦は?」)
 そんな強大な敵が迫る中で、兵庫の作戦はすでに決まっていた。己が身を囮にして敵の攻撃を引きつけ、能力「蠢く霊(ウゴメクレイ)」を発動させる。
 強襲兵として戦った羽虫の霊を目視不可の霊体状態に変化させ、目立たない状態にしてアインソードの背後に回り込ませる。その能力を隠したまま、二体の血液操術体を迎え撃つ。
「ハハハッ、そんなに怒っているならこの首に殺到するがいい!」
「ぐっ……! 俺は囮……囮……!」
 そう言い聞かせながら、念動力による強烈な衝撃波で空から飛翔する血液コウモリを吹き飛ばし、血液人形の変幻自在の攻撃を紙一重で躱していく兵庫。オーラで身を覆っているとはいえ、まとも喰らえば危険のはわかっている故だ。
 そして回り込んだ強襲兵の霊が一気にアインソードの首へ突撃する。その牙は鋼鉄をも噛砕し、呪詛や霊的なものすらにも噛み砕く。なればこそ、アインソードの番犬の紋章ごとその身体と血液にも多大なるダメージを与える。
「せんせー、せめて一撃、駄目でしょうか?」
(「囮なら耐えなさい。黒影」)
 アインソードの首が落ちるのを見て提案する兵庫ではあるが、教導虫に諭されて素直に肯定の返事をする。自身は迫り来る二体の血液操術体の相手に精一杯だ。そして首を跳ねれてもなお再生し、強襲兵の霊を吹き飛ばすアインソードのタフネスっぷりにも驚くばかりだ。
 だが力の衰えはその再生速度から見ても一目瞭然だ。そしてその猟兵の猛攻の締めを飾るように、アインソードの死神たらんとグリムリーパーを構えたリーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)が襲い掛かる。
「悠長に喋っている時間も惜しい……望み通り、その首を刎ねてあげるわ、吸血鬼」
「なんと、それは素敵な提案だ。猟兵!」
 その漆黒の殺意にアインソードは追い詰められながらも喜悦の笑顔を浮かべる。放つは鮮血の外套、血が蜘蛛の巣のように複雑に入り交じり、周囲の敵をすべて薙ぎ払わんとする圧倒的範囲攻撃。
 今だ己の首を狙おうとする兵庫の強襲兵の霊を吹き飛ばす意味も兼ねているが、リーヴァルディは焦ることはない。冷静に能力「限定解放・血の寵児(リミテッド・ブラッドアニマ)」を発動させ、鮮血の仮面を宿す。
「…血統覚醒、全魔解放。この一撃、止められると思うな」
 その仮面はリーヴァルディの一時的な吸血鬼化を促して身体能力を大幅に向上させる。そして人ならざる身になりながら、己の生命力すらも吸い上げてその血のマントの攻撃を圧倒的スピードで潜り抜ける。
 アインソードの血に込められた殺気を感じ取り、自身の戦闘知識を総動員して軌道を先読みして回避する。このような芸当が可能なのも、まさしく吸血鬼である由縁のものであろう。
「素晴らしい! ここまで完璧に対応するとは!」
「…こうしてお前と対峙するのは初めてじゃないもの」
 そう言って血のマントを潜り抜けたリーヴァルディは大鎌の刃に闇の魔力を籠めていた。そして間合いに入った瞬間、首を狩る鮮やかな一撃を強力な腕力で炸裂させる。
 その細腕からは想像できない力でアインソードの首を切り取るリーヴァルディ。そして番犬の紋章に、吸血鬼の魔力を籠めた血色の斬撃が幾重にも刻み込まれる。
「…紋章の恩恵でどれほど力や素早さが増していたとしても、使ってくる技が同じな以上、動作を読むのは造作も無い事よ」
 その吸血鬼との飽くなき戦いを積み上げてきた自信と経験。それを総動員したリーヴァルディの強さは、アインソードは輝かしいとさえ感じていた。
 そして血の斬撃と籠められた呪詛によって、番犬の紋章の寄生虫型オブリビオンがついに消滅を迎え、アインソードの首が地面に落ちる。そう、無敵の再生能力は終焉の時を迎えたのだった。
「フハハハハハハハハハッ! 貴様達の勝ちだ、猟兵! 素晴らしき戦いであった!」
 すでに首と共に切り離された胴体も消滅の時を迎えようとしているアインソード。だがその表情は勝者を讃える笑顔で満ちていた。
 上位吸血鬼に敗れていた為に、寄生虫型オブリビオンの消滅は自身の消滅も同義。ならば強者に敗れたことに満足して消えるのみとアインソードは思っていた。
「では行くがいい。早く行かねば、我が黒騎士達が弱者を潰し尽くしているかもしれんがな、ハハハッ……!」
 そして高笑いと共にアインソードは残った首と共に消滅していく。その笑顔の顔を兵庫が潰そうとするが間に合わずに塵となって消えていった。
 
 強敵たる番犬の紋章を宿したアインソードは打倒した。だがこの先にいる配下の黒騎士は今も住民たちを虐殺している。
 急がなくてはならない。そう思いながら猟兵達は地底空洞から広大なる地底都市へと足を踏み入れるのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『闇に誓いし騎士』

POW   :    生ける破城鎚
単純で重い【怪物じみた馬の脚力を載せたランスチャージ】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    屠殺旋風
自身の【兜の奥の邪悪なる瞳】が輝く間、【鈍器として振るわれる巨大な突撃槍】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ   :    闇の恩寵
全身を【漆黒の霞】で覆い、自身が敵から受けた【負傷】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 寄生虫型オブリビオン「番犬の紋章」を宿した鮮血の骸騎士アインソードを滅した猟兵達。その守護していた地底空洞を抜けて、ついに広大に広がる地底都市へと出るとその世界に圧倒される。
 とても地下とは思えない明るさは、苔類や魔法のガスによって薄ぼんやりと光っている為だ。その不思議な地底都市は確かに人の営みが感じられる場所に思えた。
 だがそれより今は、血の臭いが鼻につく。そして聞こえるのは人々の泣き叫ぶ悲鳴だった。
「ギャアアアアアアアア!」
「た、助け……! ガハッ!」
 すでに地底都市はアインソードが放った黒騎士団による屠殺の場と化していた。抵抗することもできずに黒騎士の馬に踏みつぶされる老人。その突撃槍に貫かれる若者。首をへし折られる子供。
 すでに主は死んでいるにも関わらず、その黒騎士達は指示されたことを遂行しようと動き続ける。そしてその仄暗い視線は猟兵達を映し込む。
 一刻も早くこの黒騎士達を倒し、人々の殺戮を止めなくてはならない。無道を正す戦いが始まろうとしていた。
御剣・刀也
騎士が虐殺か
いや、あいつらはすでに騎士じゃなかったか
来いよ雑魚ども。お前らに格の違いって奴を教えてやる

生ける破城鎚で、馬ごと突撃してきたら、焦ることなく、第六感、見切り、残像で槍を持っていない左側の死角に移動し、すれ違い様に捨て身の一撃で斬って捨てる
馬上では槍を持たない方が死角になるので、冷静にそれを見極め、馬上の騎士でも勇気で恐れず斬り込む
「馬に乗ってるからどうした?お前らは所詮雑魚。入り口のあいつほど強くもない。つまらん闘いだ。本当に」


黒影・兵庫
畜生!間に合わなかった!
(「生存者の救助、治療を最優先に!悔やむのは全部終わってからよ!」と頭の中の教導虫が叱りつける)
ぎぃぃぃ!
(悔しそうに顔をゆがませながら)
衛生兵の皆さん!救助と治療をお願いします!
敵は此方で引き受けます!
(UC【正道虫】を発動後、{皇糸虫}と{錨虫}を『念動力』で操作し、敵を『捕縛』しつつ『オーラ防御』を身に纏って『ダッシュ』で接敵し、{誘導灯型合金破砕警棒}で『衝撃波』を叩きこむ)
雑魚ども!お前らの相手は俺だ!
一匹残らず骸の海へ叩き落してやる!
(大声で敵を挑発し『催眠術』による視線誘導で自分に攻撃が集中するように仕向ける)
(「来るわよ!黒影!」)
はい!せんせー!


シン・コーエン
(真の姿たる修羅の形相で怒りと共に)貴様らは一騎たりとも残さぬ!全て此処で滅びろ。

速攻でUC発動。
十倍サイズの灼星剣の複製90本が空を自在に舞い、頭上や背後より黒騎士達に降り注ぎ騎馬諸共に鎧無視攻撃。
例え弾いて防ごうが、すぐさま反転して死角より襲い掛かり、止めを刺す。

シン自身は空中浮遊で地上からの攻撃が届かぬ場所に位置。
頭上から灼星剣の複製を把握して操作する。

敵も精鋭なれば、ジャンプするか槍を投げるかして一矢報いようとするだろうから、第六感と見切りで敵行動を把握し、自身への念動力で素早く動き、空中戦能力とばら撒いた残像で幻惑して躱す。
そして次の瞬間には灼星剣の複製による鎧無視攻撃で斬り捨てる!



 上位吸血鬼が支配すると言われる地底都市。その広大な空間はとても地底にあるとは思えないほどので、光源も困るほどでもないほど明るい。
 しかしその地底都市は今、凄惨な血で血を洗う惨劇の場と化している。番犬の紋章を宿した吸血鬼アインソードが放った黒騎士達が地底都市の人々を屠殺しているからだ。
 あくまで猟兵を釣り出す為の命令であったが、主に忠実である黒騎士達には全く関係のないこと。命令は確実に遂行せんと今もその騎馬と槍は無抵抗な人々へと向けられている。
「畜生! 間に合わなかった!」
 その惨劇の光景を見た黒影・兵庫は歯軋りをして悔しがる。アインソードを倒す速度は決して遅くはなかったが、それでも黒騎士達の仕事が速かったとも言えるだろう。
 罪なき幼子が踏みつぶされて息絶え絶えになっている姿を見て頭が沸騰するほどの怒りを宿す兵庫。だがその冷静さを無くしそうになるのを叱るのが頭の中の教導虫「せんせー」であった。
(「生存者の救助、治療を最優先に! 悔やむのは全部終わってからよ!」)
「ぎぃぃぃ!」
 怒髪天を突く憤怒を抱きながら顔を歪ませ悔しさに身を焼かれようとも、動かなくてはならない。兵庫は教導虫の言う通りに能力「正道虫(セイドウムシ)」を発動させる。
 その呼び出した天道虫達に触れたものを、ユーベルコード製の医療機器と医療従事者が完備された病院へと運ぶ能力。まさしく兵庫が扱う虫の中でも治癒に特化したものだ。
「衛生兵の皆さん!救助と治療をお願いします! 敵は此方で引き受けます!」
 そういって天道虫を怪我をしている人々の元へと向けさせ自身は「皇糸虫」と「錨虫」を念動力で操作しながら、その動きを拘束する。漆黒の霞を放って虫達を払おうとするも、その前に兵庫が急速にその距離を詰める。
 その手には誘導灯型合金破砕警棒が握られており、ダッシュした勢いのまま黒騎士の頭を殴りつける。その怒りのパワーで兜を粉砕し、敵の頭ごと砕く。
「雑魚ども!お前らの相手は俺だ! 一匹残らず骸の海へ叩き落してやる!」
 一体の黒騎士を倒した後に馬上で大声で挑発する兵庫。その声は透き通り、敵を引き付けるものであった。その視線が朧げに兵庫の方へと向く。
 その殺意に晒されながらも兵庫の怒りが静まることはない。自身が倒す間に人々を救助できればいいと全力で戦い尽くす所存だ。
(「来るわよ!黒影!」)
「はい! せんせー!」
 教導虫の指摘は正しかった。黒騎士達が突撃し、兵庫を屠らんと集結してくる。派手な催眠効果のある挑発は、指示に従い続ける黒騎士には効果は抜群であったであろう。

 その数は多くとても兵庫一人でさばけるものではない。だが兵庫の他にも頼もしい仲間達は存在している。
「騎士が虐殺か。いや、あいつらはすでに騎士じゃなかったか」
「貴様らは一騎たりとも残さぬ! 全て此処で滅びろ!」
 兵庫の援軍に颯爽と現れたのは冷静に敵を見据えている御剣・刀也と、すでに真の姿たる修羅の形相で黒騎士に怒りの視線を向けるシン・コーエンだった。特にシンの殺意は非道なる黒騎士達を前にすでに臨界点に達していた。
 速攻で能力「灼星凄雨(シャクセイセイウ)」を発動させ、十倍サイズの灼星剣の複製90本が空を自在に舞う。その剣一本一本が黒騎士達の鎧を容易く貫くほどの威力を籠めた滅びの剣である。
「我が剣よ、全てを滅ぼす凄雨と化し、天空を駆け、大地に降り注げ!」
 それを頭上や背後より黒騎士達に降り注がせ、騎馬諸共に攻撃を開始するシン。例え弾いて防ごうが、すぐさま反転して死角より襲い掛かり、止めをささんとする。
 シン自身はフォースの力で地上からの攻撃が届かぬ場所に浮遊している。そこから灼星剣の複製を把握して操作しているが、それでも黒騎士が倒された屍を足場にしてシンの元へと飛んでくる。
「来るか。だが無駄なことだ!」
 その動きは空中故に制限された動きとなる。その動きはシンにとっては予測されたものであり、見切れるものであった。優雅突撃槍の連続攻撃を躱すシン。
 そしてそこから自身への念動力で素早く動き、背後へと回る。視線がこちらへと向いた瞬間、灼星剣の複製による斬撃が背後から襲い掛かり敵を真っ二つにする。
「制空権は万事大丈夫、と。来いよ雑魚ども。お前らに格の違いって奴を教えてやる」
 シンの暴れっぷりを確かめた刀也は暴れる兵庫を援護すべく、突撃してくる黒騎士の相手をする。怪物じみた馬の脚力を載せた集団ランスチャージは巨大なる圧力を発している。
 だがそれでも刀也は臆することなく、敵の槍の死角へと身体を滑り込ませ左側へと回避する。そしてそこから放たれる能力「剣刃一閃」によって胴体を真っ二つに斬り裂き、黒騎士の馬上へと移動する。
「馬に乗ってるからどうした?お前らは所詮雑魚。入り口のあいつほど強くもない」
 馬上で挑発する刀也を馬上槍で攻撃しようとする黒騎士。だが突撃に比べれば威力は欠ける上に、軌道が読みやすい一直線の攻撃。それを誘発させることで回避を容易くする。
 間をすり抜けるように馬上槍の死角を見極めて、冷静に懐へと入り込み、再び強烈な斬撃で両断していく。この一瞬で黒騎士を4騎斬り伏せた刀也は嘆息する。
「つまらん闘いだ。本当に」
 あのアインソードに比べれば強者とは程遠い相手。だが義憤に燃える兵庫とシンを放ってはおけないと刀也は戦いへと集中する。
 この戦いにより黒騎士も民衆を屠るという意識を猟兵に向けざるを得なくなったと言えるだろう。そして負傷した人々は次々と兵庫の能力によって治療できる場所へと搬送されていく。
 まだまだ油断できるものではないが、黒騎士達の戦闘は始まったばかり。罪なき人々を救えるかは、これからの猟兵達の奮戦次第と言えるが、まずは襲われている人々を助けることができたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フォルク・リア
真の姿を解放。血煙の様なオーラを纏った姿となり。
「既にこれだけの被害が出ているとは。
しかし、これ以上は一人の命を奪わせはしない。」
戦闘中も人々の安全を第一に行動。

龍翼の翔靴を使い跳躍。
高所に立ち状況を確認し拘束する闇の黒鎖を発動。
十指から影の鎖を【範囲攻撃】で伸ばし
鎖を張り巡らし見える範囲の敵全てを拘束。

フレイムテイルから炎を放ち
影の鎖を伝わせて敵に炎で攻撃。
攻撃しながらも拘束の手を緩めず
敵が人々を攻撃しない様に注意して
鎖を操りながら炎のラミアを召喚。
自分は拘束に集中しラミアにその敵を攻撃させると共に
人々を守らせる。
自分を攻撃しようとする敵は念動力で操った
デモニックロッドの闇の魔弾を放ち迎撃。


ルルティア・サーゲイト
 一か所に固まっているなら範囲技の出番じゃが、広範囲の連戦と転戦であればコレの出番か。
「騎兵突撃ならば、頭上は見ておらぬよなぁ!」
 大鴉形態で素早く敵に到達。空中で大狼形態を取り飛行の勢いのまま死閃永断衝で馬ごと両断。一太刀で十分であろう。
「怪我はないかの? うむ、治す類は持ってないので他を当たれ。では、急ぐのでのう!」
 花魁形態でちょっとだけサービスしてから大鴉に転じて次の標的へ向かう。
「大鴉、大狼、花魁。三役あれば大体何とかなるのう!」
 花魁は要るのかって? 要るに決まっておろう。



 アインソードの黒騎士は猟兵達を認識した。今までの無抵抗で殺されるしか能がなかった地底都市の人々とは違う、こちらを滅ぼす力を持った戦闘者達。それは主たるアインソードが待ち望んだ者であるのだろう。
 それがここに来たこということはすでにアインソードの消滅を意味していた。その黒騎士達は止まることはない。命令を忠実に実行し、邪魔する者は殺すのみ。
 そんな精鋭たる黒騎士達は猟兵を相手にしつつ、人々を殺戮することをやめない。むしろ同時進行で行おうとする辺り、もはや狂気の沙汰と言っても過言ではないだろう。
「既にこれだけの被害が出ているとは。しかし、これ以上は一人の命を奪わせはしない」
 そんな凄惨な現場を見つつ、フォルク・リアは己の真の姿を解放していた。血煙の様なオーラを纏ったその姿は多大なる魔力を宿している。
 その決意に満ちた表情はこれ以上の殺戮を許さないと言わんばかり。人々の安全を第一に気遣いつつも、龍翼の翔靴を使い空中へと跳躍する。
 風の力で空を翔け飛ぶ様に走り、敵の頭上を取るフォルク。そして発動するは能力「拘束する闇の黒鎖(コウソクスルヤミノコクサ)」だ。
「影より現れし漆黒の鎖よ。その魂を闇へと堕とせ」
 短い詠唱と共に十指から影の鎖を大きく展開し、黒騎士達を広範囲で縛り上げていく。張り巡らされた鎖がフォルクが見える範囲すべてを縛り上げているのを確認する。
 そしてすぐさまフレイムテイルから炎を放ち影の鎖を伝わせて焼き尽くしていく。燃えていく同胞達を尻目に民衆へと向かっていく黒騎士をフォルクは見逃したりはしない。
「炎のラミア!」
 そう言ってフォルクは炎を形どったラミアのような炎蛇を使役し、攻撃をこちらに向けさせる。黒騎士に巻き付きながらもその鎧を燃やしていくラミア。
 さらに空中に飛ぶフォルクに狙いを定め攻撃しようとしてくる黒騎士をデモニックロッドの闇の魔弾を放ち迎撃する。その戦いっぷりは人々を逃す時間を作るのには十分であった。

「一か所に固まっているなら範囲技の出番じゃが、広範囲の連戦と転戦であればコレの出番か」
 そういってフォルクの奮戦を見ながらも、避難誘導に徹していたルルティア・サーゲイト。だが攻撃に転ずる番だと、能力「ルル・トリプル・シフト」を発動させる。
 その身体が飛翔能力が高い大鴉形態で変形すると、素早く黒騎士の頭上に到達。ランスチャージをする敵の死角の裏を取るようにルルティアは凶悪に笑う。
「騎兵突撃ならば、頭上は見ておらぬよなぁ!」
 そして空中で大狼形態を取り飛行の勢いのまま、その牙で喉元を食い千切り、牙で斬り裂く。その光景はまさしく戦闘能力特化した変化といったところか。
 素早く食い千切った死体を別の黒騎士に覆い被すことで死角を作り、そこから大狼の爪で黒騎士の鎧を斬り裂いていくルルティア。血に染まっていてもその瞳は人々には優しい。
「怪我はないかの? うむ、治す類は持ってないので他を当たれ。では、急ぐのでのう!」
「は、はい! ありがとうございます!」
 助けられた人々はルルティアにお礼を述べる。そして黒騎士に向かう際も花魁形態でちょっとだけチラリズムのサービスをしながらするのも忘れないルルティアである。
 花魁は要るのかという疑問もあるが、ルルティアにとっては外せない部分だ。人々に安心と希望を与えることも、また必要なことなのである。
「大鴉、大狼、花魁。三役あれば大体何とかなるのう!」
 そしてさらに黒騎士がランスチャージをして人々を蹂躙しようとする集団を大鴉形態で再び空中から襲おうとするルルティア。空中奇襲、強襲、お色気サービスを使い分け、惨劇の戦場を駆けまわる。

 そうすることによって人々に希望を与えていくフォルクとルルティア。その派手な戦いっぷりは良くも悪くも黒騎士を引き寄せ、人々にも希望を与えていく。
 この人達に任せておけば助かるかもしれないという淡い期待を抱かせる戦いっぷり。そしてその想いに応えるように猟兵は戦いを優位に進めて行く。アインソードが放った黒騎士達との戦いも佳境に入りつつあったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

西院鬼・織久
断末魔に溢れる血の臭い、これは俺も餓えてしまいます

喰らい尽くさば多少は満ちよう
今よりは我等が狩場、我等が殺戮の場よ

【行動】POW
五感と第六感+野生の勘で周囲の状況を把握、都市民と敵の位置と動きを予測し攻撃を遮られないよう動く

先制攻撃+夜砥で一体を捕縛、自身を敵まで引き寄せ串刺し。そのまま怪力で振り回して周囲の前列をなぎ倒し障害物にする
後列が来て塊になった所をまとめてなぎ払い+範囲攻撃
次の敵が来る前に周囲の建物に夜砥で即席の罠を作り、後続の敵をひっかけUCの範囲攻撃、二回攻撃+なぎ払いで生き残りを始末

敵攻撃は罠に使った夜砥や建物を足場に残像+空中戦で回避、頭上や背後など刺客に回り込みカウンター


シーザー・ゴールドマン
さて、まだ番犬君の後始末が残っていたね。
相手をする価値もない者達だが放置する訳にもいかないか。

地底都市内部に入り、他の猟兵の動きを把握して、敵を殲滅するのに効率的な進路を選択。
闊歩しながら『ソドムの終焉』の破滅の光で敵を滅ぼし歩きます。
敵POWUC
ランスチャージの兆しを見切り、オーラセイバーを一閃。
衝撃波を飛ばして馬の脚を切断します。
その後、ソドムの終焉でとどめ。
(住民に対しては)
すぐに終わる。どこかに隠れていたまえ。
アドリブ歓迎。



 アインソード黒騎士団は精鋭吸血鬼で混成された軍団である。その忠誠度は高く、並大抵の軍隊を凌駕する練度と突撃力と突破力を発揮する力を持った強力な集団である。
 ともいえば破壊槌と呼ばれるほどの威力を発揮する突撃ではあるが、それは数がいてこそのものである。その個体数も猟兵が着実に削りつつあり、徐々に集団としての戦闘能力が機能しなくなっているのも事実である。
 そんな中でも最後の反抗を企てようと生き残りが突撃体制を組んで猟兵と地底都市の人々を蹂躙せんとする。主からの命令を果たさんとする、その赤い瞳はもはや機械というより狂気そのものであったと言えよう。
「さて、まだ番犬君の後始末が残っていたね」
 そんな最後の黒騎士達の足掻きを一笑するのはシーザー・ゴールドマン。赤き公爵はアインソードより劣る黒騎士に対してはさほど興味を持っていなかった。
 人々を殺すことにも大して興味はなさそうな感じはある。だがその暴虐を見逃すかといえばそうではないと言える。瞳は獰猛なる光を宿し、狙いを定めている。
「相手をする価値もない者達だが放置する訳にもいかないか」
 そう言ってシーザーは黒騎士達の動きに的確に対応する動きを見せる。集団のランスチャージを予測して回避するような立ち回りは、予め準備していたものだ。
 この地底都市に入り、他の猟兵の動きを把握して、敵を殲滅するのに効率的な進路を導き出して選択した行動であった。シーザーは優雅に闊歩しながら、能力「ソドムの終焉(デウス・ラディウス)」を発動する。
「邪魔だな」
 複数の魔力の閃光が黒き甲冑を貫く。生命を終わらせる光が黒騎士の魂を的確に刈り取っていく。それをシーザーは歩きながら行っているのだ。
 それに対して黒騎士も怒涛のランスチャージで対抗しようとするものの、その僅かな兆しを見切ってオーラセイバーで一閃して馬の脚を切断するシーザー。隊列が崩れたところを再びの魔力の閃光で一掃していく。
「すぐに終わる。どこかに隠れていたまえ」
「わ、わかりました!」
 その圧倒的な力を見せつけるシーザーに住民も素直に従うのみである。それほど頼もしくあり、シーザーの強者っぷりはある意味恐怖も与える戦模様でもあった。
 そして敵に恐怖をまき散らすのはシーザーだけではない。血肉と魂を求めて戦うは、漆黒の戦士である西院鬼・織久もまたそうであった。
「断末魔に溢れる血の臭い、これは俺も餓えてしまいます」
 血こそが己の糧。断末魔こそが己が子守唄。そんな戦にこそ織久が身を置くに相応しい場所ではあるが、それは敵によって彩られるものである。
 決して罪のない民衆によって酔うものではない。故に織久はそれを顕現する為に力を振るう。敵をこの手で屠り、血を求めてこその西院鬼の戦士。
「喰らい尽くさば多少は満ちよう。今よりは我等が狩場、我等が殺戮の場よ」
 すでにシーザーや他の猟兵が戦いを繰り広げたことにより、黒騎士の行動パターンの情報は把握している。後は織久の戦闘センスと勘による立ち回りをするのみと的確な動きを見せる織久。
 それをランスチャージにて捉えようとするも、直線的な動きでは変則に動く織久に当てることはできない。逆に織久は地底都市の人々に当たらないように立ち回る余裕すらある。
「さあ、狩りの時間です」
 そして挨拶替わりの一閃を食らわせ、無念の死を遂げた者の髪と血を撚り合わせて加工し砥上げた超極細の糸「夜砥」を絡ませて敵を捕縛する織久。そのまま敵を引き寄せて百貌の槍にて串刺しにして絶命させる。
 さらに死体はそれに終わらずに怪力で振り回して周囲の前列をなぎ倒し障害物にする。そうすることによってランスチャージで隊列を組んだ黒騎士はバランスを崩し、たちまちに塊となって織久の前に現れる。
「我等が怨念尽きる事なし」
 そして能力「殺意の炎(サツイノホノオ)」を発動させその怨念と殺意の炎を宿した闇焔を大きく薙ぎ払う織久。敵前方を両断すると共に、その殺意の炎が燃え盛り後続の黒騎士も焼いていくという延焼効果も加えた攻撃を炸裂させる。
 その燃え盛る同胞を踏み台にして乗り越えてくる黒騎士もいたものの、すでに夜砥を張り巡らせて即席の罠を仕掛けていた織久。その罠によって馬の脚を両断して転倒させた矢先から、殺意の炎を宿した刃によって首を狩っていき、胴体も残らず焼き尽くしていく。
「すべて我等の糧よ。残らず喰らい尽くしてやろうぞ」
 そうして悪鬼羅刹と化した織久の進撃は止まらない。その様子を見ていたシーザーはその織久の進撃に挟撃するように突き進み、黒騎士の最後の集団をすり潰していく。

 こうして二人の猟兵の強烈なる挟撃によって、ついにアインソード黒騎士団は全滅という結果を迎えることになった。残されたのは黒騎士の無残なる死体と、同胞を殺されて嘆き悲しむ地底都市の人々であった。
 すべてを助けることはできなかったが、それでも多くの人々を救えたことは誇るべきことである。あとはこの地底都市の人々を人類砦へと導くのみ。猟兵達は最後の仕事に取り掛かるべく、地底都市の人々に話を持ち掛けるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『忘れ去られた墓で』

POW   :    墓石を修理する

SPD   :    墓石に花を添える

WIZ   :    周辺を掃除する

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 地底都市の人々を殺戮していた黒騎士達は一掃され、周辺には一時の平和を象徴する静寂が訪れる。上位吸血鬼に支配されている人々の表情は明るくないが、それでも先程の状況よりかはマシだった。
 そして猟兵達はここに来た経緯を説明する。ここではない地上世界のこと、地上にある吸血鬼に支配されない人類砦の存在、そしてそれを塞ぐ番人であったアインソードはすでにこの世にはいないことを。
 一通り話を聞き終えた人々は驚きと戸惑いが混じった表情をしていた。無理もない。今までこの世界こそが彼等のすべてであり、諦めて享受する現実であったのだから。
「……わかった。俺達はあなた達に従う。その人類砦に連れて行ってくれ」
 助けて貰った恩義があるものの住み慣れた土地への愛着からか難色を示す者もいる中で、この民衆を率いるリーダーらしき男が声を上げる。虫ケラのように蹂躙された状況からもはやこの地に安住は望まないと悟ったのだろう、その顔は決意に満ちていた。
 そしてそのリーダーの声から同意の波が伝播する。人々も薄々と感じていたのだ。ここから離れなくてはならない、さもなくば生命の保証などないことに。
「ただここに亡くなった者を弔わせてくれ。後、お別れをしたい者もいるだろうからな」
 黒騎士によって殺された者の埋葬。死体は足手纏いなるから連れて行けないと、この地に弔う時間が欲しいと言う。また、この地へのお別れやこれまで亡くなった者への祈りも必要になるだろう。
 悲愴な決意を抱く人々の願いに猟兵達も頷く。埋葬の手伝いもするもよし、また邪魔にならないように地底都市を調査するもよし。それぞれ自由時間を手に入れた猟兵は埋葬までの時間を、この地底都市の集落で過ごすことになった。
西院鬼・織久
埋葬するなら荼毘に伏しましょう
我等とて無用の怨念を望む訳ではありません
死後の安寧を捨て我等と同じ物になる必要などないのです

【行動】POW
遺体を集めUCで荼毘に伏し病害の防止、獣避けを行う
敵に対する物とは逆に怨念の炎(殺意+呪詛等)によって怨念に繋がるものを焼き払う
希望があれば周囲から素材を拝借して骨の一部を骨壺に入れるか、UCで更に熱して麗石を作り道具で整えて別の場所の埋葬や形見にできるようにする

作業が一段落したら念のため周囲を探索し見落としを確認
迷う魂があれば無念を焼き払って送る。死後の安寧を捨て怨念と成り果てても西院鬼と共に敵を狩る事を望む強烈な魂なら禍魂に取り込む


シーザー・ゴールドマン
区切りというのは必要だろうね。
心行くまで弔いなりお別れなりをするといい。

住民達の準備が整うまで地底都市を散策し、調べてその歴史的変遷を考察します。
吸血鬼達が蘇ったという百年前。それ以前からこの地底都市は存在するのか。地上の文明との関係は。
まあ、ここだけで結論は出ないだろうが、いくつか気になるものがあれば持って帰ろうか。

住民達の準備ができた後、彼等が望むのであれば、その家財ごと『ラガシュの静謐』でUC製の小世界に一時招待。
人類砦にスムーズに送り届けます。
アドリブ歓迎。



 地底都市にある墓地の一か所。その場所は悲しみに包まれていた。アインソードの黒騎士団によって蹂躙という名の殺戮の嵐が吹き荒れ、集落の半分が殺されるという事態に陥ったからだ。
 ある家族は子供を庇った父親が突撃槍の盾となって貫かれた。ある家族は逃げ遅れた祖父母が馬の蹄によって蹂躙されて血の花を咲かせた。ある家族の子供は首を掴まれて骨を折られて死んだ。
 そんな無慈悲な死を叩きつけられた者達が悲しみにくれる。だがこうやって亡くなった者達を弔えるだけ彼等は幸せとも言える。上位吸血鬼が支配するこの地底都市では、死を悼む時間すら与えられないこともままあるのだから。、
「埋葬するなら荼毘に伏しましょう」
 そう言って埋葬の手伝いをする西院鬼・織久は住民達に優しく手を差し伸べていた。その姿はアインソードや黒騎士を相手した時とはうって変わって優しい雰囲気を醸し出している。
「我等とて無用の怨念を望む訳ではありません。死後の安寧を捨て我等と同じ物になる必要などないのです」
 それは織久の中にいる者達の総意でもあった。怨念が昇華し、新たなる戦士を生み出すのは織久とて本意ではないのだから。
 オブリビオンを狩る鬼は一人だけで十分。織久が血を啜り、怨敵の肉を喰らう。そんな業を背負うのは自分だけでいいと言い聞かせながら、住民達と一緒になって埋葬を行っていく。
「怨念はここで燃やし尽くしましょう。全員離れてください」
 そう言って能力「殺意の炎(サツイノホノオ)」の黒い炎によって集められた遺体は荼毘に伏していく。それは死者を弔うだけではなく、病害の防止、獣避けにも繋がる。
 さらに死者の怨念や無念はその黒い炎が喰らうことで焼却され、これ以上の怨念が蔓延るのを防ぐ。遺体が持つ負の感情は織久がすべて喰らい、祓っていく。
「……ありがとうございます。これであの人も静かに眠れます」
 そう言って地底都市の住人が織久が周囲から素材を拝借して骨の一部を入れた骨壺を渡される。その骨はとても綺麗に焼かれており、この地に埋めるにも、持っていくのも十分であった。
 さらに織久は炎による麗石の加熱加工や道具を作り出し、別の場所の埋葬や形見にできるようにもしていく。希望者がいれば、そう言った手伝いをするのも躊躇わなかった。
「……さて、それでは見落としがないか見回りましょう」
 そう言って織久は作業が一段落した後に集落を見て回る。死者が眠る場所に不備があってはならないと気を張って周囲を探索する。
 案の定、彷徨う魂を発見した時は黒い炎にて無念を焼き払って葬送する。また死後の安寧を捨て怨念と成り果てても西院鬼と共に敵を狩る事を望む強烈な魂にならば、手に持った柘榴石「禍魂」に取り込む。
「いいでしょう。我等と共にいきましょう」
 織久の表情は変わらずとも、決意を新たにする。敵であるオブリビオンには一切の迷いなく、その炎にて焼き尽くさんとすることを。

「区切りというのは必要だろうね。心行くまで弔いなりお別れなりをするといい」
 一方のシーザー・ゴールドマンは死者とのお別れをする住民達を手伝うことをせずに、そっとしていおいた。助けてくれた恩人とはいえ、弔う者にとっては赤の他人。家族だけで別れを済ませたいと言う者もいるだろう。
 シーザーもそれを感じていたはいたし、無理をすべきではない。だからこそ住民達の準備が整うまで地底都市を散策し、調査をしていた。
「これほどの文明が存在し、そして地底に広がっているとはね……」
 シーザーの思考が地底都市の歴史的変遷へと向けられる。吸血鬼達が蘇ったという百年前。それ以前からこの地底都市は存在するのか。地上の文明との関係は。
 考えているだけでも無数の仮設が浮かんでは消える。だがここで結論は出るものではないと思い、嘆息をしたシーザーは気を取り直して地底都市の散策を再開する。
「まあ、ここだけで結論は出ないだろうが、いくつか気になるものがあれば持って帰ろうか」
 そう言ってもはや住民がいなくなるであろう地底都市の遺物をいくつか拝借することになるだろう。好奇心に支配された公爵の行動を止める者など誰もいないのだから。

 そして住民達の準備ができたのを確認すると、シーザーはその意志を確認する。そして地底都市からの脱出を狙う住民達の狙いを聞くと、能力「ラガシュの静謐(デウス・ウルブス)」を発動させる。
「そうか。それが君達の選択ならば尊重しよう」
 空中に描かれた赤く輝く魔法陣はシーザーが作り出したユーベルコード製の近未来風都市へと繋がっている。そこに家財を送り込んで、地上の人類砦へと輸送しようという計画だ。
 これから苦難の旅路を想像していた住民達は招待された空間に戸惑いつつも、これくらいできなくては吸血鬼に対抗できないとばかりに納得する。そしてシーザーもその住民達を受け入れる。
「では人類の希望の地へと行くとしよう」
 そう言って優雅に身体を翻し、地底都市を後にするシーザー。その空間にはシーザーが受け持てるだけの住民が運び込まれ、人類砦にて歓迎されることになる。
 戦いだけがすべてではない。人の心を救ってこそ、英雄ともいえる。織久が、シーザーが人心を救ったことが人類砦にてどのような反撃を生み出していくのか。今はその未来はわからないが、それでも楽しみは出来たと二人は笑うことだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

御剣・刀也
POW行動

次ここに帰ってこれるのは何時になるかわからん
帰ってこない可能性もあるし、しっかり挨拶すると良い

適当な大きさの石を持ってきて墓が壊れたり、無くなったり、今回の騎士たちに殺された人を埋葬し、その上に石を置く
「墓の善し悪しなんて関係ないのさ。生き残った連中が忘れない限り、殺された連中も死なない」
子供にそういう人いるの?と聞かれたら苦笑いしつつ
「いるよ。沢山の朋友たちが。俺の中に生きてる」
真剣勝負の果て、友となったもの、敗れ死んだものを思い出しながら


シン・コーエン
俺も手伝いましょう。
人類砦への移動が円滑に行えるよう、UCで医療関係者を召喚し、怪我人の治療や病人の手当てをお願いする。

亡くなられた方の埋葬については、怪力で土を掘ったり、死体を運んだり、念動力で重い墓石などを運搬したりと、出来る事を行います。
黒騎士の残した武器で、(呪い等の変な効果や損傷も無く)使えそうなものは洗って人々に渡す。
「あいつらの武器など使いたくもないだろうが、地上でも戦いは有るし、武装は貴重品です。生き抜くために使える物は使おう。」

埋葬の儀式が行われる時には都市の人々と共に黙祷します。


フォルク・リア
次にいつ来られるか分らない。
それどころか戻ってこられるかすら保証できない、
だからこそ心残りのない様に弔いを済ませて欲しい。

手を合わせつつ人々と共に亡骸を埋葬していく。
此処での葬儀の作法もあると思うので人々の作法に従い
埋葬する為の穴掘りや墓石の準備も行う。
最後には、亡くなった人々が霊となり
迷って出ない様に一人一人にまじないを施していく。
「現世を去り上天に昇りし高潔なる魂。
その清らかさは死してなお変わる事無く。
君の知る。君を知る全てのものの生くる道の先を
天の光の中から見守らん事を願う。」
救えなかった人々に対する悔恨の念を少しでも
晴らす様に祈り。

人々ができるだけやり残す事が無い様にしてから出発する。



 今回犠牲になった死者はアインソードが担当した地底空洞に通じる地底都市にとっては最大のものになった。それだけ配下の黒騎士が与えた打撃というのは大きいものだった。
 制御役のアインソードが死んだことも災いしたのだろうが、支配者たる上位吸血鬼もまた地底都市の人間を軽く見ている証拠でもある。所詮、人類など吸血鬼たるオブリビオンの奴隷。財産、モノであり生かすも殺すも自由というわけだ。
 そんな扱いに人々の心は死ななければ生きていけなかっただろう。身近な者が死んでも悲しんでも、絶望しても、憎むことはなかっただろう。そうしなければ生きていけない状況だったのだから。
「次ここに帰ってこれるのは何時になるかわからん。帰ってこない可能性もあるし、しっかり挨拶すると良い」
 そんな状況だからこそ、心を奮い立たせて人類砦へと旅立とうする人々を御剣・刀也は歓迎の言葉にて迎える。そしてその別れの時間が長くなっても構わないとも思っていた。
 これから地上の人類砦に保護されるとなれば、おそらくここへは戻ってこれないだろう。いつ番犬の紋章を宿す吸血鬼が再配置されるかもしれない。ならばここは死者との今生の別れになるだろう。
「俺はそういう奴の味方さ。さ、手伝うぜ」
 そう言って刀也は適当な大きさの石を持ってくる。その上で墓が壊れたり、無くなったり、今回の騎士たちに殺された人を埋葬し、その上に石を置く。
 立派な墓もある中で貧相に見えるかもしれない。そんな子供の純粋な視線に刀也は頭に手を乗せて微笑みかける。
「墓の善し悪しなんて関係ないのさ。生き残った連中が忘れない限り、殺された連中も死なない」
「……そういう人いるの?」
 子供は純粋だ。故に人の感情の機微には敏感になる。刀也のそんな情緒を読み取った幼子に苦笑しつつ答える。
「いるよ。沢山の朋友たちが。俺の中に生きてる」
 今も刀也の胸には宿っている。真剣勝負の果て、友となったもの、敗れ死んだもの達が。それを思い出しながら、地底都市の上を見上げる。
 空すら見えない閉鎖された空間。子供達もここを出れば変われるだろうか、と刀也はまずは夜空を見せてやろうと思うのだった。

 一方、死者の埋葬だけではなく、黒騎士達に傷を負わされた者も多くいた。そんな医療現場にシン・コーエンが駆けつける。
「俺も手伝いましょう」
 そう言って能力「コンバット・メディック」を発動させ、熟練した軍医・看護兵・その他医療関係者達を召喚していく。そして傷が深い者から順番に治療活動に従事していく。、
 その手際は見事といってもいいものだった。人類砦への移動が円滑に行えるよう、怪我人の治療だけではなく、病人の手当てもスムーズに行っていく。
「さて、それじゃ俺は亡くなられた方の埋葬を手伝いましょう」
 シンは医療班の仕事を一通り確認した後に、持前の念動力を使って死者の埋葬を手伝っていく。怪力で土を掘ったり、死体を運んだり、念動力で重い墓石などを運搬したりと住民だけでは補えない力仕事を担当していく。
 その中でシンは黒騎士の武器を拾い上げていく。呪い等の変な効果や損傷も無いことを確認した後に、使えそうなものは洗って人々へと配っていく。
「あいつらの武器など使いたくもないだろうが、地上でも戦いは有るし、武装は貴重品です。生き抜くために使える物は使おう」
 恐らくは自分達の家族を奪った者達の武器など捨ててしまいたい気持ちはあるだろう。だがこれから猟兵達がずっと守ってくれるはずもない。
 シンはそんな現実を突きつける為にも武器を手渡す。彼等が生き残って死んだ者達の分まで生きていけるように、力を付けさせる為に行動をする。
「とはいえ、今は祈ろう。別れはきちんとするべきです」
 シンはその間にも準備を整え、死者を弔う墓所を作り上げていた。そしてその前で静かに黙祷し、死者の哀悼を捧げる。
 埋葬の儀式が行われる時、住民達も祈りを捧げていた。これから旅立つ者達からの別れと、これからを生きていく者達の決意がその墓の前で抱かれていたことだろう。

「次にいつ来られるか分らない。それどころか戻ってこられるかすら保証できない」
 別所で亡骸を埋葬していたフォルク・リアは、手伝っている住民達に声をかける。その表情は同じく曇っていたはいたが、悲しみを見せることはなかった。
 そして埋葬した先で手を合わせつつも、次の作業へと向かっていく。死者への祈りは家族を亡くした者達が行うべきだと思って、手を動かす。
「だからこそ心残りのない様に弔いを済ませて欲しい」
 だからこそ、フォルクが率先して身体を動かす。此処での葬儀の作法もあると思うので人々の作法に従い、埋葬する為の穴掘りや墓石の準備も行っていく。
 そんなフォルクの献身的な姿に、住民達も感謝の意を示さずにはいられない。そして埋葬もスムーズも行っていき、それぞれが亡くした者の墓前にて涙を流す。
「現世を去り上天に昇りし高潔なる魂。その清らかさは死してなお変わる事無く。君の知る。君を知る全てのものの生くる道の先を。天の光の中から見守らん事を願う」
 最後にフォルクは亡くなった人々が霊となり、迷って出ない様に一人一人にまじないを施していく。これほど想われている人達が死霊となってはあまりにも不憫だと思ったからだ。
 本当ならばすべて救ってあげたかった。それは叶わない願いではあったが、救えなかった人々に対する悔恨の念を少しでも晴らす様に祈る。
「さあ、行こう。亡くなった人達の命が無駄にならないように」
 すべての埋葬を終えたフォルクが祈りを捧げていた皆に呼びかける。献身的に埋葬を行ってくれた彼の言葉に人々は素直に頷く。
 これだけ手厚い葬送を行ってくれたことで、人々はもうやり残した事はない。悲しみは胸にしまい、地上にある人類砦へと出発していく地底都市の人々。それをフォルクは導いていく。

 こうしてアインソードや黒騎士が支配していた地底都市の人々は地底空洞から、一度も出たことがなかった地上へと出る。空すら知らなかった彼等は驚きと共に人類砦へと向かう。
 それは吸血鬼の支配を抗う、人類の希望の場所。これから困難な戦いの日々が彼等を待ち受けることになるだろう。だが猟兵達の戦いが地底都市の人々の心に火を灯し、それが希望となって燃え盛る。
 やがてそれが吸血鬼という絶対支配者を穿つと信じて猟兵達は新たなる戦いの地へと旅立つ。亡くなった者達の無念を無駄にしない為にも、彼等は戦い続ける。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年12月08日


挿絵イラスト