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光の道標

#スペースシップワールド #猟書家の侵攻 #猟書家 #ミニスター・ブラック #フォースナイト

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「――はっ!!」
『ガッ――』
 緑光一閃。首を飛ばされた『バトルドロイド』が膝から崩れ落ちる。
 着流しにも似たアースカラーの衣服を靡かせ、練達した一撃を放ったのは、年端も行かぬ少年だ。
 騎士教練艦『アークトゥルス』。
 この船の内部に、接舷した敵艦から戦闘ロボが雪崩れ込み始めてから、果たしてどのくらい経っただろうか。
『小隊全滅――応援要請――』
「これじゃキリが無いよ!」
「脱出艇への道を完全に塞がれたわ! 助けが来るまで持ち堪えましょう!」
 通路から少年と同じ出で立ちの少女が飛び出し、蒼い刃から放した左手を前方に翳せば、ドロイドの集団は突如として壁に向かって飛び、衝突。そのまま物言わぬ鉄塊と化した。
 目前の小さな勝利に勇気付く二人を嘲笑うかのように、戦艦のゲートからは増援のドロイドが次々吐き出され、数の力で強引に包囲へと持ち込む。
 困憊した二人が最期に見たのは、押し寄せる敵の主力部隊と、彼等が驟雨の如く浴びせかける、赤い無数の光条だった。


「スペースシップワールドの船団が、敵艦隊の襲撃を受けているとの事」
 グリモアベースでそう報告したのは、四宮・かごめ(たけのこ忍者・f12455)だ。
 一度は平和を取り戻したスペースシップワールドだが、猟書家の一人『プリンセス・エメラルド』の手により、銀河帝国の残党オブリビオンは「帝国継承軍」として再編成されようとしている。
 今や、宇宙に残存するオブリビオン達が、彼女の命令の下、軍事行動を開始している。今回の襲撃も、その一環と見て良いだろう。

 大艦隊は表向き船団と交戦しているが、実は乗員は僅かなドロイドの操縦士のみ。
 ほとんどのドロイド兵は、真の狙いである宇宙船『アークトゥルス』に振り向けられている。
「これは騎士教練艦と言って、才能ある子供達をフォースナイトに育て上げる為に、建造された宇宙船でござる」
 多くの猟兵を輩出し続ける光の騎士、フォースナイト。彼らを育て上げる船は、スペースシップワールドの人々にとって希望だ。それ故に『アークトゥルス』の居場所は秘匿されていた。
 だが遂にその場所が「猟書家」の幹部『ミニスター・ブラック』に捕捉されてしまった。
 教練艦内のフォースナイト達は奮戦しているが、敵艦から押し寄せるドロイドの数に押され気味だ。
「ミニスター・ブラックは殺害したフォースナイトを、『闇の騎士』として蘇生させるつもりでござる」
 このままではオブリビオン側に強力な手駒が転がり込む事になる。だが、そう言った事情は抜きにせよ、まだ子供である彼等が殺される状況を、みすみす見逃すわけにはいかない。

「まずはドロイド部隊の掃討をお願いするでござる」
 この戦いには船内のフォースナイトも参戦してくれる。実力は猟兵には及ばないが、経験の少なさをフォローしてやれば、十分な戦力になるだろう。
「周到極まりないミニスター・ブラックの事。配下が全滅すれば、目的を達する為に自身が出陣して来る筈」
 敵は屈強な巨漢だが、その本質は強大かつ狡猾な魔術士だ。膨大な魔力に支えられた彼の実力は、策を弄するまでもなく船内のフォースナイトを全滅させる事も可能な程に高い。猟兵の力を以てしても、五分に持ち込むのがやっとかも知れない。
 だがこの戦いにもフォースナイト達は参戦してくれる。猟書家に敵わない彼等も、猟兵の援護としては力になれる。猟兵とフォースナイト、双方の連携が求められる戦いとなるだろう。

「現在、猟書家達は「骸の月」によってこの世界の月を侵食し、オウガ・フォーミュラを新たなオブリビオン・フォーミュラへと進化させる儀式を遂行中でござる」
 ミニスター・ブラックの企みを挫く事は、月の浸食を押し返して儀式を食い止め、ひいてはオウガ・フォーミュラに最終決戦を挑む事にも繋がる。
「世界に再び平和を取り戻す為、今一度力をお貸し下さいますよう」
 そう言うとかごめは掌にグリモアを浮かべ、戦場への道を開くのだった。


白妙
 白妙と申します。
 今回の舞台はスペースシップワールド。
 騎士教練艦内部に侵入したドロイド部隊と、猟書家幹部『ミニスター・ブラック』を倒すのが目的です。

●幹部シナリオについて
 これは幹部シナリオです。全2章で完結するシナリオとなります。
 また、第2章は必ず幹部との戦いになります。

●第1章【集団戦】
 『バトルドロイド』と交戦します。
 敵がドロイド部隊の主力を投入した瞬間に割り込めます。
 戦場は幅の広い通路。そこから狭い通路が伸びています。

●第2章【集団戦】
 幹部『ミニスター・ブラック』との決戦を行います。

●フォースナイト
 少年少女が10名程。教員が1名。
 猟兵程ではないものの、フォースナイトとしての戦闘力はひととおり備えており、協力してくれます。

●プレイングボーナス(全章)
 『教練艦のフォースナイト達と共闘する』

 1章のプレイング受付開始はシナリオ公開直後。
 2章は断章投下後となります。宜しくお願いします。
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第1章 集団戦 『バトルドロイド』

POW   :    バトルスイッチオン
【超戦闘モード】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD   :    精密射撃
【狙撃用プログラム】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【熱線銃(ブラスター)】で攻撃する。
WIZ   :    シュートダウン
対象のユーベルコードに対し【正確にタイミングを合わせた射撃】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

空桐・清導
POWで挑む
協力も大歓迎だ

迫りくるドロイドの軍団を殴り壊してから登場。
「待たせたな、フォースナイト達!助けに来たぜ!」
[オーラ防御]でドロイドの攻撃を防ぎながら、
距離を取りながら作戦を伝える。

「基本的には狭い通路に潜んで周囲を確認してくれ。
俺が広い通路であいつ等の[鎧を砕き]、武器をぶっ壊す。
その瞬間、あいつらを切り裂いてくれ。
オレの攻撃は[誘導弾]だから、当たることはねえから敵だけ見てくれ。
それと、仲間の背中はみんなで守るんだ。
大丈夫。キミ達は今まで十分努力してきた。
後は全力でぶつかるだけだ!絶対に生きて帰るぞ!」

UCを発動し、重武装の全砲門を解放。
「遠慮は無しだ!いくらでも持ってけぇ!!」


カタリナ・エスペランサ
騎士様の力になるのは昔からの夢でね
世界が違おうと助けない理由も無い。ギアを一つ上げていくとしようか!

《高速詠唱+先制攻撃》で【暁と共に歌う者】発動、92の不死鳥と共に響かせる《歌唱》は《祈り+拠点防御》の領域を形成する《結界術+多重詠唱》でもある
味方には《鼓舞+ドーピング》の加護を、敵には《ハッキング+ジャミング+マヒ攻撃》の呪縛を与え戦いの流れを一気に引き寄せるよ

騎士たちを《庇う》等の援護は不死鳥に任せてアタシは《空中戦》を展開し敵陣に《切り込み》攪乱。
敵の動きを《見切り》先読み、《武器改造》でダガーを再錬成した騎士剣を《早業+怪力》で振るうと共に炎纏う羽の《属性攻撃+弾幕》で《蹂躙》しよう



「も、もう駄目、突破されちゃう……!」
 青と緑の光を閃かせ、奮戦するフォースナイトの少年と少女。
 だが彼等を取り囲みつつあるドロイド主力部隊は、猟書家『ミニスター・ブラック』が周到に用意した存在だ。
 数の力を前に包囲された二人に、ドロイド達がブラスターを向けた……その時。
「させるか!」
 二人とドロイド達の間に割り込むように、光焔を纏った何者かが飛び出し、ドロイド達を真正面から殴打した。
 幾度も振るわれる拳は敵の最前列を吹き飛ばし、後続すらも将棋倒しにする。その膂力は、超人的とすら言えるものであった。
「待たせたな、フォースナイト達! 助けに来たぜ!」
「! ありがとうございます!」
 混乱に陥った敵を背に、紅い鎧に身を包んだ空桐・清導(ブレイザイン・f28542)の凛とした声が辺りに響き渡った。
『標的変更――捕捉――』
 突然現れた援軍に対して、ドロイド達は反撃に移ろうとする。
 だが今度はそれを、澄み渡る歌声が遮った。
『――ガガッ――』
 幾体かのドロイド兵達の頭部で、バチリ、稲妻が迸ったかと思えば、そのまま黒煙を上げて倒れる。
 驚きの表情を浮かべるフォースナイト達の傷付いた体を炎の温かさが包み込み、加護にも似た力がその手に力を取り戻していく。
「閃風の舞手、ただいま参上! みんな、大丈夫?」
 船内に重なり響くその歌声は、フォースナイト達の頭上に舞い降りた、カタリナ・エスペランサ(閃風の舞手(ナフティ・フェザー)・f21100)と、彼女が従える不死鳥達による、攻防の一手であった。
「……はい、なんとか! 助けが来たよ、みんな!」
 歌声を聞き付け、狭い通路で戦っていたフォースナイトと思しき二人の少年が顔を出す。
「俺達が来ればもう安心だ! 一度下がってくれ!」
 清導がそう声を掛けた時、ようやく戦列を整え終えたドロイド達が、フォースナイト達に向けて射撃を開始した。
『斉射、開始――』
 無機質な宣言と共に銃器から放たれる紅い光は、その一つ一つが獲物を焼き焦がす熱線だ。
「させないよ!」
 そして弾幕の密度もまた凄まじい。だがそれらも、カタリナの92もの不死鳥を掻い潜るには至らず、全て空中で阻まれた。
 あちこちで衝突する赤光と劫火。ややあって、反撃のプラズマ刃がドロイド達に向けて飛び始めた。
「はぁっ!」
 たちまち展開される猛烈な射撃戦。その中で清導もまたオーラを纏ったガントレットでドロイドのブラスターを防ぎ止めつつ、カタリナの展開した領域に集合したフォースナイト達に首を向ける。
「キミ達は狭い通路に潜んで周囲を確認してくれ! その間に俺が広い通路であいつ等の鎧を砕き、武器をぶっ壊す!」
「は、はい!」
 はっきりと判り易い言い方で、清導は自身の作戦を伝える。
「俺の攻撃はキミ達に当たることはねえから、敵だけ見てくれ。それと、仲間の背中はみんなで守るんだ」
 その言葉を前に、フォースナイト達は自身等もまた作戦の一翼を担う事を自覚する。彼等の僅かに不安を滲ませた視線は、しかし、すぐに清導の強く真っ直ぐな瞳にぶつかった。
「大丈夫。キミ達は今まで十分努力してきた。後は全力でぶつかるだけだ!絶対に生きて帰るぞ!」
「!! はい!」
 頼もしい清導の存在は、まさに少年少女達の精神的支柱そのものだ。
 次々と側面の隘路に姿を消すフォースナイト達を援護するように、清導自身もまたその身を挺してドロイドの弾幕に身を晒し、飛来する熱線を弾き返す。
 紅いマントを靡かせる清導を前に敵の戦列が後退する。
 だが――混戦の中、一体のドロイドが、今にも姿を消そうとしていたフォースナイトに向けて、狙撃用プログラムを作動させていた。
 音も無く放たれた、精密射撃。
 しかしそれを寸前で防ぎ止めたのは、カタリナの不死鳥だった。
「あ、ありがとう、お姉ちゃん」
 物陰から消え入りそうな声で礼を言う少女に向けて、カタリナは屈託無い笑顔を向ける。
「いいよいいよ。それに、騎士様の力になるのは昔からの夢でね」
「え……?」
 騎士の物語に対する憧れは、彼女が武芸の道に踏み込む切欠でもあったのだ。
「さ、行って!」
 声に弾かれるように姿を消した少女を背に、カタリナはダガーに手を掛ける。
 鞘鳴りの音。しかしそれは抜かれると同時に僅かな光を零し、重厚な刀身を持つ騎士の剣と化した。
「世界が違おうと助けない理由も無い。ギアを一つ上げていくとしようか!」
 その身をふわりと羽毛のように軽く舞い上がらせたかと思えば、次には翼に炎を纏わせ、敵の頭上に急降下。
 そのまま風を切って翔け回り、ブラスターの射線を見切り、紙一重の回避を繰り返す。
 隙を突いて、カタリナは長剣を思い切り横に薙いだ。
「――ふっ!!」
 凄まじい早業と膂力が、進路上に居たドロイド兵の首を纏めて刎ね飛ばした。
「清導さん!」
「おう!」
 清導の纏う装甲が音を立てて重装甲へと変形を遂げる。
「遠慮は無しだ! いくらでも持ってけぇ!!」
 刹那、轟音。続いて、敵の中央で爆炎が炸裂した。
 深紅の炎が潰走寸前の敵部隊を包み込み、高熱が彼等が手に持つ熱線銃を機能不全に陥れる。
「今だ! みんな、行くよ!」
 なおも降り注ぐ砲撃の中でカタリナが炎の翼を羽搏かせてドロイドを蹂躙し、四人のフォースナイト達もまた横合いから斬り込む。
 炎の中で蒼と緑の光刃を自在に振るう彼等と共に、清導とカタリナは先陣を切った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シュバルツ・ウルリヒ
騎士教練艦。……そんな船があったのか。そういえば前に奴(マスター)がそんな事を言っていたか?……まあいい、僕はやるべき事をやる。それだけだ。

船に到着と同時に地縛鎖で船の内部を把握。収集後、船のダクトから後輩(フォースナイト)の元へ移動する。(情報収集、足場習熟、地形の利用)

そして目的地に到着したら、ドロイド達と後輩達の間に割って入るように降り、ドロイド達にUCを発動し、ドロイドをドロイドの群れの方へと投げ飛ばす(衝撃波、咄嗟の一撃、吹き飛ばし)

……僕は光の騎士ではなく、どちらかと言えば闇だが。…奴は光だった。ゆえに加勢させて貰うぞ

フォースセイバーを構えて突貫する(なぎ払い、武器受け、鎧砕き)



 静か。
 シュバルツ・ウルリヒ(黒剣・f14572)が転送された、宇宙船の片隅にある小部屋には、戦闘の音は疎か、如何なる音も聞こえて来ない。
 そんな部屋のさらに物陰で屈み込むシュバルツの体からは、無数の鎖が垂れ下がっていた。
 触れたモノの情報を吸い上げるUDCアースの産物、地縛鎖である。
「騎士教練艦。……そんな船があったのか」
 力あるフォースナイトであるシュバルツだが、そのルーツは複雑だ。
 出身も今の居場所もこの世界ではない彼にとって、教練艦の名は馴染みのないものであった。
 だが一方で、シュバルツは既にその存在を聞き及んでいた事を思い出す。
「そういえば前に……奴がそんな事を言っていたか?」
 話の出所はシュバルツがマスターと呼ぶ存在であった。
 そしてシュバルツは今この船を訪れ、近辺の調査を行っているのだった。
「……まあいい、僕はやるべき事をやる。それだけだ」
 ちゃり、と鎖の音を立て、立ち上がるシュバルツ。
 彼が仰ぎ見たのは、船内ダクトの入り口だった。

 地縛鎖で吸い上げた情報を頼りに、暗いダクト内を這い進むシュバルツの腹の下から、声が響いてきた。
「包囲されたわ……もう駄目」
「最後まで諦めちゃ駄目よ!」
 シュバルツの調査通り、そこには二人の生徒と。
『ターゲット、捕捉――』
 彼等を囲い込む、少なからぬ数のドロイド達が居た。
「……」
 だん! と、天井の蓋を蹴破り、シュバルツはフォースナイトとドロイド兵の間に割り込むように落下。
 廊下へ降り立つと同時に左手を翳せば、大量のドロイドがその細い体をふわりと浮かせた。
 次の瞬間、ドロイド兵達は凄まじい勢いで吹き飛ばされ、後方の味方に衝突。そのまま機能を停止する。
「……」
 鮮やかな手並みで敵の小隊を半壊させたシュバルツ。
 だが、助けられた二人のフォースナイトは、彼の右手から目を離せずにいた。
 自分達が手に持つ白とは違う、あたかも刀身そのものが血を流したかのような、禍々しい紅の光。
「……察しのとおり、僕はどちらかと言えば闇だが」
 ようやく口を開くシュバルツ。その表情は仮面に覆われて見えない。
「奴は光だった。故に加勢させて貰うぞ」
「……」
 言うやシュバルツはフォースセイバーを構えて突貫。
 踏み込みと共に力強い横薙ぎを繰り出し、立ち塞がるドロイドの細い腰目がけて一閃。上と下へと両断する。
『簡易バトルモード、起動――』
 ようやく反応を示した残存兵が反撃のブラスターを乱射する。
 対するシュバルツは片手でフォースセイバーをくるりと回し、二人のフォースナイトもまた彼の両脇で受けるような構えを取った。
 次の瞬間、三人の目前で立て続けに発生した光の円弧は、全てのブラスターを正確に反射し、ドロイド兵の頭部を撃ち抜いたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オニキス・リーゼンガング
心情)生徒の念動力でたやすく吹き飛びますか。
たいした重さと硬さではないですね。となれば脅威は数だけ。
この状況、人の子の施設で見かけたあれに似ていますね。
行動)《氷晶》によって通路一杯の巨大な氷球をつくりますので、
こちら、フォースナイトの方々で転がして下さい。
重たく冷たいですが、念動力を束ねれば可能でしょう。
ボウリングのように《過去》らを潰しておしまいなさい。
熱線ですが、わたくしの氷は溶けませんし、転がっているので貫通も難しいでしょう。
残りは狭い通路に逃れた者たち。わたくしの牙で仕留めてあげましょう。



 猟兵達の参戦でその数を減らしたドロイド部隊だが、その多くが未だ健在だ。
 あるいはゲートから。あるいは狭い通路から。散発的に姿を現してはブラスターを撃ち込んで来る。
「ここも、じき危ない、ですね……」
 紫の光刃を手にした二人のフォースナイトが、側面通路から顔を出して大通路の様子を窺うも、すぐさま敵艦から飛来するブラスターを避けて引っ込んだ。
 そして彼等を救出したオニキス・リーゼンガング(月虹に焦がれ・f28022)の目線は――道端に向いていた。
 そこには、予知の段階で破壊されたと思われる、ドロイドの残骸があった。
(「生徒の念動力でたやすく吹き飛びますか」)
 量産を前提としたと思われる黒い機体は、未熟な筈の生徒のサイコキネシスを食らい、歪な姿勢で壁に寄りかかっていた。
(「この状況――」)
 津波のように押し寄せる、脆弱な存在。それは、オニキスが過去に訪れた、とある施設での戦いを思い起こさせるものだった。
 飛び交うブラスターを意に介さず、オニキスが通路の中央に歩み出る。
「あ、あの……」
「たいした重さと硬さではないですね。となれば脅威は数だけ」
 突然、オニキスの周囲に冷気が漂い始めた。
 立ち込める白い靄の中央で、何やら丸いものがビキビキと音を立て、形を取り始める。
「こ、これは……!」
 果たしてオニキスが生成したのは、通路の横幅一杯はあろうかと言う、巨大な氷の球だった。
 さぁ、どうぞ。そんなオニキスの柔らかな物腰に誘われるかのように、フォースナイト達もまた通路の中央に進み、両手を翳す。
 ぐらり、と音を立てて、氷壁が僅かに動く。
「……はぁっ!!」
 フォースナイト達が念動力を発動した瞬間……遂に巨大な氷の玉は、前方にゴロゴロと転がり始めた
 フォースナイト達の耳には、徐々に遠ざかっていく氷球の向こうから、時折狂ったように連射されるブラスターの発砲音と、それに続く硬いものを轢き潰すような音だけが聞こえる。
 目視は行えなくとも、それらの物音は何が起こっているかを雄弁に物語ってくれる。もっともオニキスには全て見えているのだが。
 通路上の敵を駆逐した氷玉は船外にまで転がり、接舷した敵戦艦のゲートに大きな音を立ててぶち当たり、後続のドロイドを宇宙空間に放り出して、ようやく止まった。
 戦果を確認したオニキスは狭い通路の奥へと踵を返す。
「……残りは狭い通路へと逃れた者たち」
 続いて生み出したのは、透き通った無数の氷の刃だ。
 それは獣の顎の如く、散り散りになった獲物を引き裂いてしまうだろう。
「わ、私達も助力します」
 追撃に向かうオニキスを、二人のフォースナイトが追う。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヤニ・デミトリ
限られた人数でよく持ち堪えたっスね。
さあて、ここから反撃タイムと行くっス

やるこたあフォースナイト達を守りつつ敵の制圧っス
姿を四つ足の獣に変え、素早く駆けて敵集団の頭上へ跳ぶ

正確無慈悲な機械の敵、銀河帝国らしくていいっスねえ
だけど理性は簡単に手放さない方が良いっスよ
肝心な時に利用されちまうかもしれないっスから…こんな風に?

素早く動く事で狙いを集め、攻撃の瞬間にUCを発動
放たれた分を全部お返しするっスよ
危ない訓練生がいりゃあ敵との間に割り込んで、同様にUCで囮と防御と反撃を兼用
超がついてるくらいの攻撃力っスから、自分で自分の装甲を破るのも訳ないっスよね
フォースナイトさん、とどめは頼んだっスよ


星野・祐一
数の暴力で来るんなら質の暴力ってのを見せてやるよ

[SPD]
おっと急に出てきてごめんよ
突然で悪いんだが力を貸してくれねーか?一緒に連中をぶっ叩こうぜ(コミュ力

BRTで機先を制し(先制攻撃
熱線銃による射撃戦を展開するぜ(2回攻撃、援護射撃、UC
流星の【マヒ攻撃で体勢を崩す】
雷鳴の【力溜め、貫通攻撃】で射線上の敵を【なぎ払い】
Esの【ハッキング、ジャミング】で撹乱する等
フォースナイト達が動きやすい状況を作りだすぞ(集団戦術
【誘導弾や瞬間思考力】で誤射の心配も殆どない…後ろは任せて思う存分やっちまえ!

防御はピアース持たせたEsに何とかして貰う(かばう
『了解、後ろは私に任せて攻撃に専念を』

アドリブ等歓迎


馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。
出身は戦国時代な世界。

第三『侵す者』武の天才
一人称:わし/わしら 豪快古風
使用武器:黒燭炎&灰遠雷

何ともまあ、『正しい戦』をする猟書家よ。
が、だからこそ止める。惨劇なぞ、起こさせてたまるか。

視界に入りしだい、早業にて灰遠雷での【四天境地・雷】を使用。
すぐさま黒燭炎に持ち替えて、2回攻撃。このとき、一緒に攻撃するよう協力を仰ごう。
その矢からは逃げられぬ。射ぬくまで追尾する…機械の天敵である雷矢である。

おそらく、雷で止められるであろうが。フォースナイトへの攻撃は、オーラ防御活用してかばう。
やらせはしない。わしらは、生きる命を守る者である。


レオンハルト・アウストラリス
待たせたな!さぁ反撃の時間だ!
皆殺しの指令(オーダー)は取り消しにさせて貰うぞ!

黒鉄の魔剣を携えてドロイドから自分やフォースナイト達に放たれる光条を剣で弾き、時にはドロイド向けて逆に跳ね返します。
身体能力ではなく研ぎ澄ませた感覚で光条を弾き飛ばしています。

怒り、憎しみ…強い負の感情は心を暗黒面に落とす…
もっとも心の無い戦闘兵器には関係はないだろうけどな!

敵の全滅、そして脱出艇への道を切り開くためドロイドを片端から切り倒します。
危ない攻撃は受け持ち、未来の猟兵の少年少女たちには援護して貰います。
教官にも少年少女を護るよう呼びかけます。

グリモアの導きがあらんことを!……なんてね?

※アドリブ歓迎



 船内では六人のフォースナイト達がドロイドの包囲攻撃を受けていた。
 徐々に狭まる包囲網と蓄積する疲労を前に、彼等の手にある色鮮やかな光刃の動きは精彩を欠いていた。
「もう駄目っ!! 手一杯よ!!」
「最後まで諦めちゃ駄目だ!!」
 その時、包囲の外から力強い声が響く。
「ああ、そうさ!!」
「諦めちゃ駄目っス」
 同時に振り抜かれた大剣がドロイドを纏めて吹き飛ばし、生じた隙間に黒い影がするりと入り込む。
「限られた人数でよく持ち堪えたっスね。さあて、ここから反撃タイムと行くっス」
「待たせたな! さぁ反撃の時間だ!」
 そこには『魔剣シャクイス』を担いで生徒達に微笑みかけるレオンハルト・アウストラリス(金色の焔・f20419)と、四つ足の獣の形を取ったヤニ・デミトリ(笑う泥・f13124)の姿があった。
 出現した猟兵に対し、ドロイド達は各々が無感動に銃口を向ける。だが、その腕に突き立つ黒矢。続いて、爆ぜるような衝撃。
 動きを止めたドロイド達との距離を一瞬で詰め、黒いスピアを静かに撃ち出したのは、馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)だ。
 そして彼に呼応するように、物陰から二人のフォースナイトまでもが現れ、敵の首を刎ね飛ばしていく。
 大穴の開いた包囲をさらに拡げるように――今度は、極太の熱線が敵軍を薙ぎ払った。
「おっと、急に出てきてごめんよ」
「ひゃっ!?」
 唖然とするフォースナイトの横からひょっこりと顔を出したのは、星野・祐一(スペースノイドのブラスターガンナー・f17856)だ。
「突然で悪いんだが、力を貸してくれねーか? 一緒に連中をぶっ叩こうぜ」
 頷くフォースナイトに、祐一は笑顔を返すのだった。


 包囲を破りイニシアチブを握った猟兵達と、それに合わせて動いたフォースナイト達は、ドロイドと正面から対峙する形となった。
『バトルモード、発動――』
 前衛のドロイド達が動きを変えた。
 判断能力を犠牲に凄まじい攻撃性能を得る、戦闘モードを発動したのだ。
 威力と速度を上げたブラスターの弾幕は、前線で灰色の光刃を振るって立ち回る二人のフォースナイトを容赦なく撃ち抜く……筈が。
「正確無慈悲な機械の敵、銀河帝国らしくていいっスねえ」
 頭上で飛び交う何かを狙い、闇雲に乱射されていた。
 それは、ヤニだった。黒いタールの体を小さな獣に姿を変えた彼は、ドロイドの頭上を身軽に跳ね回り、攪乱していたのだ。
 高速で動くヤニはドロイド達には格好の標的だ。たちまち彼等の狙いはフォースナイト達からヤニの方へと移っていく。
「だけど理性は簡単に手放さない方が良いっスよ」
 頃合いを見て、ぽん、とヤニは高く跳躍。
「肝心な時に利用されちまうかもしれないっスから」
 彼がそう言い終えるのと、八方から放たれたブラスターがヤニを打ち据えたのが、同時。
 バチィ!! という音と共に、中空に赤い華が咲いた。
「……こんな風に?」
 反射された無数の熱線は、地上のドロイド達を纏めて地に伏せた。

 ブラスターを放った最前列のドロイドが次々倒れていく。
 大人数のドロイドによる無差別射撃を、レオンハルトは規格外の得物を最小限の動きで操り、反射神経を極限まで研ぎ澄ます事で反応していた。
 超人的な先読みと機敏な剣舞を思わせるその動きは、飛来する赤い光弾を矢継ぎ早に跳ね返す。
 あたかもレオンハルトの刃に向けてブラスターが飛んで来るようですらあった。
 彼の両脇では二人のフォースナイトが蒼と緑の光刃を振るって同じ動作をしているが、その精度はレオンハルトには及ばない。
 二人の先頭でレオンハルトが一際強くシャクイスを振り落とせば、力強く弾かれ威力を増したブラスターが、ドロイドの胴体を直撃した。
「怒り、憎しみ……強い負の感情は心を暗黒面に落とす……」
 敵が自身の間合いに入った瞬間、レオンハルトは突撃。
「……もっとも心の無い戦闘兵器には関係はないだろうけどな!」
 真横に引き絞られた大剣を、真一文字に大薙ぎする。
 ドロイドの戦列は吹き飛んだ。


 後衛からは義透と祐一が射撃を行っている。
 扱いの難しい筈の強弓をいとも容易く引き絞るのは、義透だ。
 纏めて放たれる霊力の矢は、戦場で最も危険な動きを見せた敵を追尾して飛び、突き刺さると共にショートさせる。
 機械の天敵である雷の力が、あちらこちらで炸裂する。
 それにしても、と義透は独り言つ。
「何ともまあ、『正しい戦』をする猟書家よ」
 奇襲からの集中突破。敵の動きは、今の所全てがまともである。
 戦における最適解であるそれを、義透達武人は詭道と呼び習わす。
「……だからこそ止める。惨劇なぞ、起こさせてたまるか」
 彼の目の前には、自身に呼応して動いた、蒼と緑の刃を振るう二人のフォースナイトがいる。
 今まさに彼等を狙撃しようとしたドロイドに向けて、義透は静かに矢を番えた。

「へへっ、難しい事はわかんねーけど」
 義透の隣では祐一がリボルバー型の熱線銃による射撃を行っていた。
 彼の横ではサポートドローン「Eins」が、敵のドロイドに向けてハッキングを仕掛けている。
 動きを鈍らせた敵の戦列に、先程彼が声を掛けた二人のフォースナイトが突貫し、黒と緑のフォースセイバーを振るって戦列を突き崩す。
「質の暴力ってのを見せてやるよ!」
 祐一は敵を俯瞰するような視点を活かし、二人を援護するような動きを見せていた。
 的確な撹乱と援護射撃は、味方のフォースナイト達が動きやすいように戦況を作り替えていく。
 フォースナイト達もまた祐一の働きに応えるように、確実に戦線を押し上げていた。
「こいつは誘導弾だ! 気にせず思う存分やっちまえ!」
 祐一が二丁のリボルバーを向ければ、そこから二条の熱線が迸る。
 追尾する光弾は敵の戦列を搔き乱して飛び、密集したドロイドを青白い光弾が纏めて薙ぎ払うのだった。


『緊急プログラム、起動――』
 いよいよ数を減らしたドロイド部隊が、最後の動きを見せた。
 戦場に残存した全ドロイドが、フォースナイト抹殺の指令に従い、猟兵を無視した一斉攻撃を開始したのだ。
 くるりと捻られる上体。その手に持つ銃口から放たれる、凄まじい数のブラスター光。
 だが、この場に居る猟兵全員が、それを予期していた。
 全員が、動いていた。
 ブラスターの射線に割り込むのは、頑丈な装甲板を構えた祐一のサポートドローンだ。
『防衛は私に任せて攻撃に専念を』
「よっしゃあ!」
 たちまち祐一の熱線銃に撃ち抜かれるドロイド達。その真横から、レオンハルトが迫っていた。
「――ふっ!!」
 風音と共に振り抜かれた巨大な剣が、ドロイドを纏めて薙ぎ倒す。
「各自ブラスターを反射! 教官は生徒の無事を最優先して下さい!」
 反撃のブラスターをシャクイスで受け止めつつもレオンハルトは後方のフォースナイト達に指示を送る。
 その言葉に頷いた教官が、青いフォースセイバーを翻して生徒達の前に立つ。
 ヤニもまた生徒達の側を機敏に駆け回り、反則的な勢いでブラスターを反射していく。ドロイド側の犠牲は増えるばかりだ。
「へへ、何に見えるっスか?」
「……」
 た、と一人の生徒の足元に着地し、そんな事を問うヤニ。
 その不思議な形もさることながら、四つ足のヤニの身体は、何処か遠い宇宙から飛来した隕鉄を思わせる、何とも形容し難い色と質感を湛えていた。
「自分でもよく知らないっス。なんなんスかねこれ」
 お道化るような言葉を残し、しゅん、と駆け出すヤニだった。
 そして、義透の放つ雷矢が、閃光と共に敵を一撃で沈めていく。
「やらせはしない。わしらは、生きる命を守る者である」
 高い火力を持つ義透の矢は終始敵の脅威であり続けた。
 フォースナイト達に攻撃が及ぶ一歩手前で、確実に射抜いていく。
 激しく駆け回る前衛と、それを支援する後衛。猟兵達の連携を前に、ドロイド達の捨て身の特攻は完全に阻まれた。
 数を減らしたドロイド兵達を猟兵達は逆に包囲。八人のフォースナイトがそれに加わる。
「瞬いてる暇なんてねえぞ!」
「グリモアの導きがあらんことを! ……なんてね?」
 やがて義透が弓弦の音と共に一矢を放った時、最後の閃光が迸った。
 騎士殲滅の為に猟書家『ミニスター・ブラック』が周到に用立てた尖兵、バトルドロイドの大部隊が全滅した瞬間だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ミニスター・ブラック』

POW   :    マジックブロウ
【魔力を籠めた拳】で攻撃する。[魔力を籠めた拳]に施された【魔力制御】の封印を解除する毎に威力が増加するが、解除度に応じた寿命を削る。
SPD   :    追加装甲
自身に【漆黒の機械装甲】をまとい、高速移動と【自律行動するビット】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    ボミングレイド
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【着弾地点で爆発する魔法弾】で包囲攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ムルヘルベル・アーキロギアです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 ドロイド部隊を制圧し、フォースナイト達が敵の戦艦へと乗り込む。
 船の最深部にある大門を潜ろうとした時――先頭に居た一人の猟兵が制止の声を掛けた。
 幾何学的な文様の描かれた太い柱が立ち並ぶ、暗く広大な広間。
 その部屋の最奥から、僅かな気配と魔力を察知したからだ。
「我が巨躯を見て、刀間合いにて力技を振るう狂戦士と錯誤するとでも思ったが」
 重く沈んだ声が響いて来る。
「とんだ邪魔が入ったものよ。猟兵共」
 果たして其処に居たのは、玉座から腰を上げた、猟書家『ミニスター・ブラック』その人であった。

 一言で言えば、巨漢だった。
 それでいて、本質は強大な魔術士であるという。
 屈強な体から溢れ出る膨大な魔力が、その実力を否応なく証明していた。
「だが我の力と狡猾さはお前達を遥かに凌いでいる」
 フォースナイト達の間に割り込むように転送されて来る他の猟兵達を、ミニスター・ブラックは泰然と見据える。
「若きフォースナイト達よ、貴様らも先程の戦いで疲弊している筈。力を十全には振るえまい。
 故に、お前達の人生は今ここに終わりを告げる。
 お前達の救い主、猟兵達と共に!」
 だが、その重々しい宣言を振り払うかのように、猟兵達は動きを見せていた。
シュバルツ・ウルリヒ
人生の終わりか。

終わってる奴が言う言葉ではないな。

確かにこの後輩達はまだ力は弱く、そして披露している。

だが、こいつ等は強くなる。何故かだと?理由?簡単な事だ。

こいつ等は生きて、そして経験を得て成長するからだ。

ゆえにお前に告げる言葉は一つ。

お前はこいつ等の成長の踏み台となれ

後輩達、少し勉強させてやる。過去の戦士の戦闘技術というものを

UCを発動、おっさんに魔斧、そして魔剣の元所有者を呼ばせる

呼んだ後は二人には敵の攻撃を防ぎ捌いたりして敵の注意を惹かせる(おびき寄せ、存在感)

そして僕は奴の攻撃を掻い潜り、奴へ直接仕掛ける

なんて事はせず不意討ちだ。

ローブに命令し影武者にする

僕は奴の隙を見つけ、攻撃する


オニキス・リーゼンガング
心情)また自信家な方ですね。心を折りたくなる。
安心なさってくださいね、フォースナイトの皆様。
死んでも案外チャンスはあります。わたくしのように。
ええ、まず殺させませんとも。
ですので、予備動作の観察など。ご支援よろしくお願いいたします。
行動)頭がよろしくていらっしゃるようですから、後手に回ることは避けますか。
オーラで戦場を読み取り、相反する契約を活性化させて一時的に能力を全盛期にまで持っていきます。
魔法陣には《氷晶》を飛ばして相殺しながら《枝》で殴りかかります。
地形を破壊する程度のチカラは込めますが、防がれた場合は瞬時に《枝》を手放し素手で殴ります。
ああ、楽しい。制限時間いっぱい戦いましょうね!


馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。
引き続き『侵す者』
使用武器:黒燭炎&灰遠雷

基本は共闘。
さて、どこまでも『正しく戦う』猟書家よな。己が身も利用するとはな。

灰遠雷でのUCで対応。
この雷矢は追尾するゆえに、どれだけ早く動こうが追いかけ回す。
それに、ビットといったか。雷に弱いのでは?

クリスタリアンだとして、ほとんど人と同じならば、ある場所は明確に弱くなる。
フォースナイトたちよ、関節部分を狙え。そこだけは、どうしても脆くなる。

フォースナイトたちに攻撃がいきそうになれば、かばう。
また、近接された場合は黒燭炎でのなぎ払いで対応する。
騙して悪いが、わし、本来は前衛で動き回る役目でな?近接はもっとも得意とするものよ。


空桐・清導
POWで挑む
チーム:【神焔】

アンタがどんだけ強くてもオレ達には仲間がいる!
1人じゃ無理でも、力を合わせればどんな壁でも超えられる!
カタリナ!フォースナイトのみんな!行くぜ!

フォースナイト達にはヒットアンドアウェイで戦ってもらう
カバーはカタリナに任せ、オレは全力で畳みかける
UCを発動させて黄金のオーラを全身に、
アンリミテッド ウィルを拳に纏って真正面からぶち当たる
相手が強大なら、[気合い]を入れて[限界突破]し続ける

カタリナのハッキングが成功した瞬間、[力を溜める]
「神焔必殺!フルフォース・ストライク!!」
UCのオーラも拳に収束した全力パンチを叩き込む!
オレ達がいる限り、誰にも未来は奪わせねえ!


カタリナ・エスペランサ
【神焔】
勘違いも甚だしいねオブリビオン。騎士たちの未来、彼らの物語に終わりなんて無いのさ!

【架空神権】発動、物理法則の《ハッキング》に特化した黒風を《範囲攻撃》の要領で広域展開
敵の攻撃は《戦闘知識+第六感》、理論と直感の組み合わせで《見切り》ベクトルを改変し受け流す事で清導さんや騎士たちを守ると同時に敵の高速移動を阻害しよう
前線を支えるのは清導さんたちに任せ黒風の接触から《目立たない》よう進めるのは《情報収集+学習力》による敵の魔力制御封印の解析。
勝負に出る瞬間を見極め《属性攻撃+マヒ攻撃+破壊工作+カウンター》、敵の封印解除を一気に反転させ隙を作るよ
未来を切り拓く力、存分に刻み付けるといい!


レオンハルト・アウストラリス
疲弊に策略、そんなの関係ない!
どれだけの暗黒が飲み込もうとしても、新たな光は消えない!
彼らの目の中の光はまだ消えてないんだ!

1回で駄目なら100回、100回で駄目なら勝機が見えるまで切るだけだ!第8の魔剣・八艘!

相手が高速で動くならば、こちらも魔剣の力で同じく高速化。
若きフォースナイトたちを勇気で奮い立たせ、共に勝機を見出すべく戦う。
そして迫りくる巨躯から放たれる攻撃とビット兵器を潜り抜けてミニスター・ブラックへと迫る

お前の言う"刀間合い"だ…地の利を得たぞ!ミニスター・ブラック!
ビット、魔法弾等の放射が一瞬でも無効化された瞬間に勝機を見出し
身軽になった身体で懐に飛び込み高速の抜刀で切り裂く。


星野・祐一
さてそれはどうかな?
一人で敵わないのなら力を合わせるまでさ!

[SPD]
柱を蹴って上に跳んだら(ジャンプ、地形の利用
跳ぶように動き回りつつ熱線銃で【弾幕】を張る(2回攻撃、空中戦
それを目障りに思ってくれれば
フォースナイト達も攻撃し易くなるって寸法さ(集団戦術、戦闘知識
仮に無視するのであれば雷鳴で痛い目に遭って貰おうか(UC、不意打ち、貫通攻撃

味方が危なかったらEKの【武器受けでかばう】
当然力の差で押し込まれるがピンチはチャンスだ
俺が【受け流す】のと同時にEsに持たせたBRTを叩き込むぜ(迷彩、遊撃、カウンター

囲んで棒で叩くのがどれだけ強いかは知ってんだろ?
おら、観念して往生しやがれ!

アドリブ歓迎



 ズン、と重々しく足を踏み鳴らし、猟兵達の前に影が聳え立つ。
 幾重もの輝く刺々しい水晶で覆われた巨躯。その姿だけを見れば、まるで戦場を暴れ回る狂戦士を思わせる力強さだ。
 だが、それは対峙する者から、一瞬の錯誤を引き出す為の罠に過ぎない。
 今や強大かつ狡猾な魔術士としての本性を現した『ミニスター・ブラック』は、その身に宿す膨大な魔力を解き放ち始めた。
 細い双眸でその様子を観察するのは、馬県・義透。
「さて、どこまでも『正しく戦う』猟書家よな。己が身も利用するとはな」
 手段はともあれ、ミニスター・ブラックの行動は目的の達成に向かって真っ直ぐだ。本質を射抜くように、義透は呟く。
『目的の為ならば手段は選ばぬ。知っての通りだ』
(「また自信家な方ですね。……心を折りたくなる」)
 オニキス・リーゼンガングも、ミニスター・ブラックが周到に準備を整えていたのは、先刻承知だ。
 だが、騎士抹殺が失敗に終わり、追い詰められた今も、ミニスター・ブラックは余裕を崩していない。己の力に余程自信があるのだろう。
 最期を迎える時、どのような反応を見せるのか。オニキスは一人そのような思いを燻らせる。
「人生の終わりか。終わってる奴が言う言葉ではないな」
 静かに佇んでいた黒衣の影が胸の前に片手を翳せば、そこから真一文字の閃光が迸り、棍にも似た武器を形作る。
 シュバルツ・ウルリヒが、手元のフォースセイバーを起動させたのだ。
『ほう……』
 その赤い煌きは紛れも無く、一度は闇に染まった騎士の証。
 だが、それでもシュバルツは人々を守る側に立っている。そこに至るまでの過程がどうあれ、ミニスター・ブラックの目的が受け入れ難い事を示すように、彼は戦闘態勢を取る。
『だが、どのみち貴様らに私は倒せぬ』
「さてそれはどうかな? 一人で敵わないのなら力を合わせるまでさ!」
 半ば嘲笑するように言うミニスター・ブラックに対し、両手の熱線銃を向け、毅然とした態度で答えたのは、星野・祐一。彼の隣を固めるのは、サポートドローン「Eins」だ。
「勘違いも甚だしいね、オブリビオン」
 コツリ、と硬い床を踏む靴音。続いて、凛とした声が向けられる。
 純白の翼を悠々と揺らす、カタリナ・エスペランサだ。
「ああ! アンタがどんだけ強くても、オレ達には仲間がいる!」
 彼女の隣に、ザ、と音を立てて一歩踏み出し、空桐・清導もまた力強い声を響かせる。
「1人じゃ無理でも、力を合わせればどんな壁でも超えられる!」
「騎士たちの未来、彼らの物語に終わりなんて無いのさ!」
 畳みかけられるカタリナと清導の宣言は、暗い大広間に幾度も反響し、辺りの淀んだ空気を振り払う。
 猟兵達の頼もしい姿に勇気づけられたフォースナイト達は、一人ずつ門を潜り、手元のフォースセイバーを起動し始めた。
 彼等を背に、レオンハルト・アウストラリスもまた、目の前の巨躯に対し、心底からの思いをぶつける。
「疲弊に策略、そんなの関係ない! どれだけの暗黒が飲み込もうとしても、新たな光は消えない!」
 レオンハルトは魔剣シャクイスを振り落とし、ミニスター・ブラックに切先を向けると、はっきりとそう宣言した。
「彼らの目の中の光は、まだ消えてないんだ!」
 その一言は、16名のフォースナイト達の心を、再び燃え立たせるのに充分なものであった。


「よし、行くぜ!」
 最初に動いたのは祐一だ。ジャンプキットを使い、点在する柱を足場に跳躍を繰り返せば、その姿は上空の闇へと消える。
 続いて闇の中から、曲線を描いて飛ぶ光の弾が、驟雨の如く降り注ぎ始めた。
(「目障りに思ってくれれば……!」)
 撹乱を目的とした祐一の弾幕は次々に地面へと着弾し、光条と白煙でミニスター・ブラックの気を逸らす事に成功する。
「よし、今だ! カタリナ! フォースナイトのみんな! 行くぜ!」
「はい!」
 清導の声にフォースナイト達が応じると同時に、その身を宙に舞い上がらせたカタリナの周囲に、突如として黒い風が発生した。
 たちまち戦場全体に広がる黒風を抜けて、清導が飛び出す。彼の体を煌く黄金の光が包み込み、大きく振りかぶった右腕には、彼の強靭な意志を示すかのような鮮やかな光焔が収束する。
「真っ向勝負だ!!」
『良かろう。小手調べだ』
 金色の矢と化した清導は宙を翔けて一気に肉薄。真正面から拳を叩き込めば、それに応じるようにミニスター・ブラックも大きく腕を引き、次の瞬間、巨大な拳を交錯させる。
「くっ!!」
 凄まじい衝撃。拳を突き合わせた二人の周囲を仄暗い魔力と紅い焔の輝きが迸るも、ミニスター・ブラックの巨体は微動だにせず、僅かな水晶の破片だけが辺りに舞う。
 そのまま清導を押し返そうとするミニスター・ブラックの足元で、バチィ! と、青と緑の閃光が閃いた。
 隙を突いて攻撃を決めたのは、カタリナと清導の指示を受けた、四人のフォースナイト達だ。
 ヒットアンドアウェイに移ろうとする彼等を振り払おうと、ミニスター・ブラックが巨腕を振るおうとする。だが。
「はぁっ!!」
 横合いからレオンハルトが、巨大な魔剣を両手に斬りかかった。
 厚い鉄の塊が風を巻き込み、舞い散る火花と共にミニスター・ブラックの巨腕を地に撃ち落とす。その大剣捌きは粗いものではあったが、纏う勢いは十分だ。
「図体が大きい分、隙だらけじゃな」
 重ねるように義透が強弓『灰遠雷』を放てば、敵の射程外へ逃れ去ろうとするフォースナイト達を支援する絶妙のタイミングで、無数の黒い矢が降り注ぎ、巨体のあちこちで雷光が迸る。
 大きく体勢が崩れ、がら空きになった身体に向けて、もう一撃を入れるべくレオンハルトがシャクイスを後方へと引く。だが。
『――ふん』
 それよりも一瞬早く、ミニスター・ブラックが身体を反転させた。
 繰り出された豪速の裏拳が、前衛を襲う。
 が、紅い光が奔り、硬質の巨腕はあらぬ方向へと振り切られた。
 フォースセイバーを翻すシュバルツと、その両脇で白い光刃を構えた二人のフォースナイトによる受け流しが決まったのだ。
 だがよく見れば、即座に次の攻撃への対応を済ませたシュバルツに比べ、二人の訓練生は手の痺れに耐えているのか、眉根を寄せ、表情を歪めている。
『実に脆弱なものよ。今のフォースナイト共は』
「……確かにこの後輩達はまだ力は弱く、そして疲労している。だが、こいつ等は強くなる」
『ほう、強くなるというのか。幾星霜を経てここまで衰えた者達が』
 己を鍛え上げたのは自身も同じだとばかりに反問するミニスター・ブラック。だがシュバルツは言葉を続ける。
「そうだ。何故なら、こいつ等は生きて、そして経験を得て成長するからだ」
 オブリビオンとして世界に顕在化した時点で、その存在は世界を破滅に導くものとなる。
 だが生きてさえいれば成長も出来る。その結果、オブリビオンとは真逆の存在となる事すらも出来るのだ。
「故に、お前に告げる言葉は一つ――こいつ等の成長の踏み台となれ」
『きつい冗談だな。ならば持って行くがいい』
 なおも炸裂する義透の灰遠雷を正面から受け切り、ミニスター・ブラックはその身体から、大量の光弾を上空に向けて撃ち出した。
 思わず見惚れてしまいそうな幾何学模様を描いて頭上を旋回するのは、膨大な魔力を用いて生み出された魔法弾だ。
 緩やかな軌道を描いて――落下。
「回避しろ!」
 上空から降って来た祐一の警告。同時に、爆心地に最も近いフォースナイト達の元へ、前衛の猟兵が駆け出し、その身を盾とする。
 少し遅れて、空気の揺らぎと閃光が辺りを覆った。
 撒き散らされた魔法弾は戦場全体で魔力爆発を巻き起こし、清導とレオンハルト、シュバルツ、そして前衛のフォースナイト達全員を飲み込んだ。
 閃光が収まると同時に広がる爆風。だが、この場に居る全員を吹き飛ばしていてもおかしくない爆発を前にして、一人として脱落者は居ない。
 着弾の寸前でカタリナが動いていた。爆発により発生する力を一瞬で見切り、黒い風を介して、物理法則の方向性を即座に書き換えたのだ。
「カタリナ、サンキュー!」
「どういたしまして!」
 爆風の中で翼をはためかせ、カタリナは清導とウインクを交わす。
「おっと」
 威力を減じた爆風は魔力の燐光と共に後衛まで波及し、義透もまた身を挺してフォースナイト達を庇う。
 その隣では、オニキスが紫の光刃を持ったフォースナイト達に指示を出していた。
「安心なさってくださいね、フォースナイトの皆様。死んでも案外チャンスはあります」
「は、はい……」
 わたくしのように、というオニキスの呟きは、果たして二人には聞こえただろうか。
「ええ、まず殺させませんとも。ですので、ご支援よろしくお願い致します」
 敵の攻撃は強力だが、その分大きな予備動作を伴う筈だ。
 二人のフォースナイトが敵の動きを観察し始める横で、オニキスは氣を奔らせ、辺りを探る。
(「頭がよろしくていらっしゃるようですから、後手に回ることは避けますか」)
 敵の本質は策略家。時間が経つ程に勝ち目は薄くなっていく。ならば速攻だ。
 オニキスの姿に、もう一人の誰かが重なった。


 上方から襲うレオンハルトの振り下ろしと祐一の弾幕を、払われた剛腕が一度に弾き返す。
 猟兵達が戦艦に乗り込んで数分も経っていないが、戦いは既に激戦の様相を呈している。
 前線ではシュバルツとレオンハルト、清導が味方のフォースナイトと連携しつつ、敵の攻撃を防ぎ止めていた。
 後方から彼等をアシストするのはカタリナ。祐一の牽制もまた幾度となくフォースナイトの危機を救い、義透の灰遠雷も絶えず唸りを上げている。
 だがミニスター・ブラックもさるもの。その身体に宿す膨大な魔力は勿論、真に恐るべきは魔術士としての実力である。
 魔法弾による範囲攻撃と、時間と共に威力を増す近接攻撃の拳。この二つを軸に、猟兵達と対等以上に渡り合う。
「――い、今です!」
 その均衡が僅かに猟兵側に傾いたのは、魔法弾発射の前兆を捉えたフォースナイトの叫びと、彼女達に呼応してオニキスが戦線に加わった瞬間だろうか。
 近場に飛来する魔法弾を凍らせて無力化すると同時に、オニキスは距離を食らい尽くす。
『むっ』
 手元の《枝》を、ひゅん、と鳴らす。
 凄まじい重さの一撃。翳された巨腕を覆う装甲に大きな罅が走る。
 防がれたと見るやオニキスは瞬時に得物から手を離し、敵の胸元を殴りつける。素手にも拘らず、その威力は敵の巨体を大きく揺らす程に凄まじい。
 長い髪を激しく靡かせ戦う姿は、龍神としての全盛期もかくやと思わせるものだった。
「ああ、楽しい――」
 強力な反面、この術には反動もある。制限時間を迎えた瞬間、オニキスは相反する契約により引き裂かれ、戦闘不能に陥ってしまうのだ。
 だが彼がこのカードを切ったのは、短期決戦を想定していたのは自分だけでは無いと、戦況から判断したからでもあった。
「これでも食らえ!!」
 後退したミニスター・ブラックを横から殴りつけたのは、ひたすらに愚直に、真正面から焔の拳を振るい、食らいついていた清導だ。
 直撃と共に紅と黄金の燐光が大気を染め、敵の肩装甲に大きなへこみが形成される。
 気合としか言いようがない。敵の拳の威力は確実に増している筈だが、清導の動きはそれに対応しているのだ
 彼の勇敢な戦いぶりを前に、フォースナイト達が再び陣形を整え、ミニスター・ブラックの鎧に傷を刻む。
 その後方においてカタリナはフォースナイト達を中心に敵の攻撃を逸らしていた。理論と直感を併用した受け流しは、試行を重ねる事でその精度を徐々に上げてはいるが、同時に味方もまた疲弊していく上に、敵の拳の威力も上がっていく。
(「――あと、少し」)
 絶え間なく流れ出る黒い奔流の中で、カタリナは己の身を隠すようにそっと翼を閉じ、もう一つの術を編み続けた。
「こいつでどうだ!」
 時折途切れる攻撃の間を繋ぐように、祐一が『雷鳴』を向け咆哮させれば、超高出力の照射ビームはまともにミニスター・ブラックの巨体を捉え、その上体を僅かに揺らす。
 ミニスター・ブラックからすれば、陽動の弾幕に馴れ、反応を示さなくなった事が仇となった形である。
『弱者が束になろうと、我が計画は揺るがぬ』
 怒りか、それとも僅かに焦りを覚えたか、一気に状況を打開すべく、さらに威力を増した拳が清導とフォースナイトに向けて振り被られた――瞬間。シュバルツが割り込んだ。
「後輩達、少し勉強させてやる。過去の戦士の戦闘技術というものを」
 そう言ってシュバルツがもう一つの武器、魔剣を抜いた。
 黒い刀身の先端に赤い魔法陣が形成され、そこから召喚されたのは……中年の男性だった。
 一見どこにでも居そうなその雰囲気は、おっさん、という表現が丁度しっくり来るかも知れない。
 だがシュバルツに魔剣を手渡された時、おっさんはたちまち悪魔としての本性を現した。
 魔剣からもう一人、謎の男を召喚したのだ。
 両刃の斧と魔剣を持った二人の男が、フォースナイト達の戦線に加わり、ミニスター・ブラックに肉薄する。
『壁にするだけか。まとも過ぎる攻撃よ』
 ミニスター・ブラックが二人の攻撃を、正面から受け止めようとした、その時。
 ヴンッ! という音と共に、旋回する紅い閃光。
「不意打ちだ」
 シュバルツが背後に回り込み、一撃を決めていた。
 ミニスター・ブラックの目の前に居たシュバルツは、只の外套と化し、ばさりと崩れ落ちる。
『――愚か者共め』
 初めて受けた痛撃を耐えるように、一際大きく足踏みすると同時に、ミニスター・ブラックの体を纏う鎧の如き水晶の装甲が、メキメキと音を立てて変貌していく。
 気付けば彼の体は、推進機のようなものを備えた、漆黒の機械装甲へと覆われていた


 大気を切り裂いて、円状の機関を備えた不気味なピットが飛び交い始める中、ミニスター・ブラックもまたフォースナイト達を振り切り、高速移動を開始した。
 だが、それが第二の転機となった。
「させないよ!」
 カタリナが一際強く展開した黒い暴風がミニスター・ブラックとピットを捉え、その動きを可視化出来る程度にまで鈍らせる。
 同時に地面を蹴ったのは、一瞬前まで騎士たちと肩を並べ、ミニスター・ブラックと対峙していたレオンハルトだ。
「……1回で駄目なら100回、100回で駄目なら勝機が見えるまで斬るだけだ!!」
 不退転の決意と共に駆けるレオンハルトの手には、無骨な大剣ではなく、長大な鞘に納まった、日本刀があった。
「風渡り、八艘彼方へ跳び往いて、悪鬼羅刹を打ちのめし、何時か誉を遺しけり――」
 あたかも東方の歌の如き詠唱を紡いだ時……レオンハルトの体は疾風と化した。
 ――第8の魔剣・八艘。
 太刀と化した魔剣シャクイスの力を借りて身体強化を施し、一気に距離を詰める。彼を撃ち抜こうと飛来したピットにエネルギーが収束すると同時に――爆ぜた。
 破壊したのは、義透の雷矢だ。
「ビットといったか。雷に弱いのでは?」
 もっとも、幾ら早くても追い掛け回すのだが。墜落するピットを前に義透はそう溢し、二の矢、三の矢を撃ち込んでいく。
 自動追尾付きとはいえ、強弓を手に楽々と手数を稼ぎ、撃墜していくその手腕は、ある種の天才性を窺わせるに十分であった。
 低空を翔けるミニスター・ブラックと、地面を蹴ってそれを追うレオンハルト。敵の巨大な背中に開いていたのは、シュバルツの断ち割った水晶の割れ目だ。
「お前の言う"刀間合い"だ…地の利を得たぞ!ミニスター・ブラック!」
 自らの必殺の間合いに踏み込んだ瞬間、レオンハルトは仲間が刻んだ傷跡に沿うように、シャクイスを鞘から迸らせた。
 叩き込まれる、高速の抜刀術。
『ぬう……』
 鋭利な斬線は敵の傷口をさらに拡げ、そこから魔力の奔流が吹き出す。
 それでも止まらないミニスター・ブラックの進路を塞ぐように、頭上からひらりと降り立ったのは、祐一だ。
 エネルギーの刀身を構えた祐一は猛スピードで飛来する敵の進路を掠めるように駆ける。
「くっ……!」
 当然、力負け。吹き飛ばされるが、進路を逸れたミニスター・ブラックを待ち受けていたのは、地上で控えていたサポートドローンから照射された、極太の熱線であった。
 体表を焼き焦がされ、たまらず着地と同時に膝を付くミニスター・ブラック。
 その目の前には、義透が居た。
『一瞬の錯誤による隙』を生み出す為に自身を鍛え上げたミニスター・ブラックからすれば、後衛に肉薄したのは、体に染みついた動きだったかも知れない。
 だが、すり抜けざまに『黒燭炎』が振り抜かれ、脇腹にも斬線が走る。
『貴様……』
「騙して悪いが、わし、本来は前衛で動き回る役目でな?」
 咄嗟に振り抜かれた巨腕を避け、義透は易々と後退する。
 激しい高速移動がミニスター・ブラック自身にも多大な負荷を与えていたのだろう。細かなヒビの入った鎧と、背中から勢い良く噴き出す魔力が、それを物語っていた。
「もうすぐ、お別れですね」
 その時、ゆらり、と。後方に気配。
 張り付くような冷気と共に迫っていたのはオニキスだ。石突に当たる部分を静かに撃ち出せば、咄嗟に腕を構えたミニスター・ブラックの体は凄まじい音と共に大きく後退する。
 本来は地面を抉り抜き、形を変えてしまう程の破壊力が、硬質の身体を内側から揺らす。
 遂にミニスター・ブラックが、ぐらり、と体勢を崩した。
「フォースナイト達よ。関節を狙え」
 戦いも半ばより義透の指示に従い、刃を抜き連ねたフォースナイト達が積極的に狙っていたのは、人間もクリスタリアンも等しく持つ、構造的な身体の弱点。
 それでも重厚な水晶を即座に貫通するという訳にはいかなかったが、ここに来て強度を大きく落とした今、フォースナイトの連撃は、敵の膝と肘に大きなダメージを刻んだ。
「囲んで棒で叩くのがどれだけ強いかは知ってんだろ? おら、観念して往生しやがれ!」
 起き上がった祐一もまた二丁拳銃を放ち、フォースナイト達の援護に回る。魔力弾の連射が、敵の反撃を阻む。
 関節をやられ、牽制を前に足を止めたミニスター・ブラックに向けて、レオンハルトとシュバルツが同時に疾駆した。
「……これで」
「終わりだ!!」
 散開するフォースナイトと入れ替わる形でシュバルツの回転する赤い閃光が敵の防御を削り取り、生じた隙に向けてレオンハルトが居合を叩き込む。
 体表を大きく破壊され、満身創痍のミニスター・ブラックに、さらに金色の光を纏った清導が突っ込んで来た。
 しぶとく食らい付く彼を落とさねば勝機が見えないと踏んだか、ミニスター・ブラックは、乾坤一擲の博打に出た。
 握り込んだ拳に持てる魔力全てを収束し、最大威力のパンチを編み出そうとする。
 自身の命を削った一撃は清導を撃ち抜く、筈が。
『……?』
 威力が、上がらない。
「――ハッキング完了! だいぶ時間をかけてしまったね」
 大きな一息と共に呟いたのは、カタリナだった。
 彼女が虚実織り交ぜ密かに進めていた、敵の魔力制御封印の解析。それが今、完了したのだ。
『馬鹿な……我が魔拳が敗れる筈が無い』
 隙を逃さず握り込んだ清導の拳に、身に纏う金色のオーラと熱い焔が融合し、赤熱したかのような輝きを宿す。
「神焔必殺! フルフォース・ストライク!!!!」
「未来を切り拓く力、存分に刻み付けるといい!」
 次の瞬間、限界を突破して放たれた全力の一撃は、分厚い胸の装甲を砕き、その中枢を撃ち抜いた。
『ば、馬鹿な……うぐおおぉぉぉぉぉ……!!』
「オレ達がいる限り、誰にも未来は奪わせねえ!」
 力強く為された宣言と共に、遂に猟書家ミニスター・ブラックは、遂に音を立ててその巨体を地に伏せる。
 それを見届けたフォースナイト達が、猟兵達と共に歓声を上げる。
 長いようで短かった騎士教導艦『アークトゥルス』での戦いは、ここに終結を迎えたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年11月30日


挿絵イラスト