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War of Eraser

#ヒーローズアース #猟書家の侵攻 #猟書家 #ラグネ・ザ・ダーカー #ヴィジランテ

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●不屈の抹消者
 饐えた臭いの漂う裏通り。壁に大きく落書きされた古いアパートの一階に通じる扉を開けると、その先にあるのは胡散臭い人間達の住む掃溜めだ。
 そんな場所にある小さな店を、この辺りでは見慣れぬ男が訪れていた。身の丈が2mに迫る程の屈強な身体つき。眼光は鋭く、数多の地獄を経験して来たであろうことは、素人目にも想像に難くない。総重量5kgは下らない防弾用のコートを身に纏い、その中にもぎっしりと武器が隠されているようだ。
「さあ、これで注文の品は全部だぜ。昔のよしみで安くしておいたが……」
 同じく筋肉質な身体つきをした色黒の男が、コートの男から金を受け取って言った。どうやら、彼らは顔見知りらしいが、一緒にお茶を飲みに来たというわけではなさそうだ。
「すまんな、ナット。この借りは、俺の復讐が終わったら、改めて返させてもらうことにする」
 そう言って、コートの男は武器商人のナットから、最後の武器を受け取った。84mm無反動砲。歩兵が携行できる火器としては最大級の威力を誇り、米軍でも正式採用されているロケット砲だ。
「けどよ、本当にいいのか? 相手はヴィランじゃなくてヒーローなんだろう?」
「……あいつはヒーローなんかじゃない。俺の勘が……戦場で培った『死神』の勘が、そう告げている」
 ロケット砲をケースに納め、コートの男が言った。その瞳に映る決意は固く、同時に見た者を震え上がらせる程の、圧倒的な殺意が込められていた。
「どうやら、冗談じゃなくてマジのようだな。だったら、もう何も言わねぇ。……死ぬなよ、ブランク」
「ああ……俺も、やつを殺すまでは死ぬつもりはない。それと、一つだけ言っておく」
 去り際に、コートの男は武器商人の方を振り返る。そして、重々しく口を開くと、改めて彼に告げるのだった。
「お前の知っているブランク・ラッセルは、もういない。今の俺は……抹消者(イレイザー)だ」

●全てを失った男
「猟書家の侵略活動は、相変わらず続いているみたいね。モグラ叩き状態で対処しなきゃいけないから、マジで厄介だわ……」
 どうせなら、一気に纏めてバーッと片付けてしまいたいところだが、そうも言っていられない。そんなわけで、今回もヒーローズアースに向かって欲しいと、パトリシア・パープル(スカンクガール・f03038)はグリモアベースに集まった猟兵達に告げた。
「ヒーローズアースで、ヒーローに化けて侵略活動してる猟書家がいるのは知ってるわよね? ラグネ・ザ・ダーカーって言って、ヒーロー活動のドサクサに紛れて、一般人を事故に見せかけて殺している最低の女よ」
 ラグネ・ザ・ダーカーの目的は、事故を装った一般人の殺害を続けることで、人々の間に不和と疑念を植え付けること。それによって、いずれは人々が怪物『スナーク』の存在を信じる根拠を生み出そうとしているのだが……その企みに気付いた一般人がいるらしい。
「まあ、気付いたって言っても、ラグネ・ザ・ダーカーが化けたヒーローが、本物のヒーローじゃないって直感で気付いただけなんだけどね。なんか、元アメリカ軍のエリートらしくて、どんなヤバい戦場でも、必ず生き残って帰って来た人なんだって」
 男の名前はブランク・ラッセル。元アメリカ軍海兵隊所属のエリートで、重火器と爆発物のエキスパート。更に、市街戦やトラップに関する知識にも長けている、正に戦うために産まれて来たような男である。
「ブランクさんは、ラグネ・ザ・ダーカーの変身したヒーローと、マフィアとの戦いに家族が巻き込まれて殺されたらしいの。その復讐をするために……知り合いの武器商人から武器をメチャ大量に買い込んで、パチもんヒーロー相手に戦争おっ始めるつもりよ」
 今のブランクは、全てを失った復讐鬼。彼は自らの名前さえ捨て、抹消者(イレイザー)と名乗っている。その名の通り、敵対する者をこの世から抹消するためには手段を選ばない、非情のヴィジランテになったのだ。
 そんなブランクが次に現れるであろう場所は、大通りに面したイベント会場。そこではラグネ・ザ・ダーカーの扮したキャプテン・ジャスティスというヒーローが、テレビ番組のインタヴューを受けることになっており……それを聞き付けたマフィアの残党が、お礼参りに現れることが予想されている。
 このまま何もしなければ、ラグネ・ザ・ダーカーはマフィアの残党を叩くのに紛れて、新たなる犠牲者を出し兼ねない。だが、それよりも先に猟兵達でマフィアを叩いてしまえば、計画をブチ壊しにされたラグネ・ザ・ダーカーも、本性を現すことだろう。もしくは、戦いに巻き込まれた人々の救助活動に回ったり、敢えてインタビューに同行することで、ラグネ・ザ・ダーカーの足を止めたりといった作戦も有効だ。
 なお、イレイザーことブランク・ラッセルは、マフィアとの戦いにも乱入して来る。彼にとっては、マフィアの連中も家族を奪った憎き仇。彼と一緒に戦い、マフィアの連中を懲らしめることで、こちらを信頼してもらえるかもしれない。
「グリモアの予知でも見破れなかったパチもんの正体に気付いたのは凄いけど、街中で戦争始められちゃ、やってられないわよ。だから、ブランクさんと一緒にパチもん女をやっつけて、これ以上の被害が出ないようにして欲しいってわけ」
 いくらブランクが強いとはいえ、ユーベルコードも持たない人間では、猟書家相手には分が悪い。最悪の場合、街が破壊されてブランクも無駄死にという結果になり兼ねないので、それだけは避けたいところである。
 そう言って、パトリシアは猟兵達を、ヒーローズアースへと転送した。


雷紋寺音弥
 こんにちは、マスターの雷紋寺音弥です。

 猟書家ラグネ・ザ・ダーカー、再び登場です。
 彼女の扮したヒーローの正体に気付いたヴィジランテと共に、偽物ヒーローの正体を暴き、成敗しましょう。

●大通りのインタビュー会場
 ラグネ・ザ・ダーカーの扮したヒーローが、TV番組のインタビューを受けています。
 また、そこを狙って以前に彼女にやられたマフィアの残党も行動を起こそうとしています。
 事態が大きくなる前にマフィアを倒す、戦闘の余波で生じる被害から市民を守る、インタビューに同行してラグネ・ザ・ダーカーの足止めをするといった行動を通して、ヴィジランテの信頼を勝ち取ってください。

●ブランク・ラッセル(イレイザー)
 元アメリカ軍海兵隊に所属していた屈強な男。
 重火器、爆発物、トラップ、市街戦のエキスパートで、自分の家族を殺した者達への復讐を果たそうとしています。
 黒いコートに武器ケースを所持した目立つ格好をしているので、彼と接触するのは容易です。

●ラグネ・ザ・ダーカー
 その類稀なる変身能力を利用し、ヒーローに扮して殺戮を繰り返す猟書家です。
 今回はキャプテン・ジャスティスというヒーローに扮し、マフィアと街中で激しい抗争を繰り広げた結果、多数の死傷者(大半はマフィアの構成員でしたが、不幸にもブランクの家族はラグネ・ザ・ダーカーの手により事故に見せかけて殺されました)を出しました。
 なお、キャプテン・ジャスティスというヒーローは本来は存在せず、全てがラグネ・ザ・ダーカーの捏造です。

●その他
 ヴィジランテと共に戦う、もしくは猟兵組織「秘密結社スナーク」の一員であると名乗ると、プレイングボーナスが得られます。
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第1章 日常 『ヒーローの活躍』

POW   :    ヴィラン退治に参加します。戦闘自体は楽勝ですが、丁々発止のやり取り等、参考になることもあるでしょう。

SPD   :    ヴィラン退治でない、交通事故や遭難者の救助など、ヒーローの日常の事件解決に協力します。

WIZ   :    市民が主催するイベントに参加したり、ジャーナリストのインタビューを受けるヒーローに同行します。

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

相良・正太郎
紛争地域なら兎も角、市民が大勢いる場所でドンパチは感心しねえな
昔取った杵柄だ
やるか

フランクに協力を持ちかける

よう、お前さん死神フランクだろ?昔部隊で聞いたことあるぜ
今からここは戦場になる
良かったら鎮圧を手伝ってくれねえか
勿論タダとは言わねえ
見返りにアンタの目的に協力するぜ
俺か?通りすがりのコック見習いだよ

こういう時は司令官を潰すのが定石だ
命令を出している奴を見極めて鎮圧するぜ
似非ヒーローは他の奴に任せる

常に戦場全体が見えるように位置取りし、一般人に被害が出そうなら可能な限り止める
俺の仕事は場のコントロールだ
安全を確保しつつ戦闘を続けるぜ

死神フランク、確かに噂通りの腕前だ
俺も負けちゃいられねえな



●Contact
 その日、街はTVの中継車が集まり、にわかに騒がしくなっていた。
 広場でインタビューを受けるスーパーヒーロー。ここ最近、ヒーローとしてめざましい活躍をしているキャプテン・ジャスティスが取材に答えてくれるとあって、各局がこぞって街に繰り出して来たからだ。
 当然、その周りには大勢の野次馬も集まっている。だが、そんな雑踏に紛れる形で、少しばかり場違いな雰囲気の男もまた様子を窺っていた。
 いかにも重そうな黒いコートに、背中には巨大なケースを背負っている。楽器を入れるものとは違う、もっと無骨で大きなものだ。おまけに、手にもアタッシュケースのようなものを持っており、単なる野次馬ではなさそうだった。
 眼光鋭く、男はヒーローの様子を窺っていた。そして、同時に周囲の人々に対しても、油断なく睨みを利かせている。
 そんな男へ、相良・正太郎(戦う見習いコック・f00263)は近づきながら声を掛けた。彼がグリモア猟兵からの情報にあった、ブランク・ラッセルだと気付いたからだ。
「紛争地域なら兎も角、市民が大勢いる場所でドンパチは感心しねえな」
「……っ! 誰だ?」
 正太郎の問い掛けに、ブランクが静かに振り向き答える。少しでもこちらが妙な動きをしたら、その瞬間に拳銃を抜いて来そうな勢いだ。
「お前さん死神フランクだろ? 昔部隊で聞いたことあるぜ」
「だったらどうした? お前には、関係のないことだ」
 それだけ言って立ち去ろうとするブランクに、正太郎は追いすがった。
 今から、ここは戦場になる。キャプテン・ジャスティスにやられたマフィアの生き残りが、お礼参りに現れるからだ。
 その鎮圧を手伝ってくれないかと、正太郎は持ちかけた。すると、先の態度から打って変わって、ブランクは苦笑しながら足を止めた。
「お前も気付いていたか。ならば、少し場所を変えよう」
 そう言ってブランクが指差したのは、ゴミ箱の転がる薄汚い路地裏。ニューヨークを始め、アメリカの街は道を一本違えると、一気に治安が悪くなる。それこそ、観光客でごった返す通りの裏が、ギャングの支配する無法地帯などということもザラにある。
 ブランクが指差したのは、そういったヤバい通りの一つだった。周囲に誰もいないことを確認すると、正太郎はブランクに言われるままに、薄汚い路地裏に歩を進めた。
「さて……まず、お前は何者だ? 見たところ、警察やヒーローではなさそうだが……」
「俺か? 通りすがりのコック見習いだよ」
 ブランクの問いに、正太郎は包み隠すことなく答えた。当然、そこに嘘はない。が、しかし、海兵隊で幾度となく地獄のような戦場を経験して来たブランクは、正太郎もまた同様の経験をしていることを、兵士の直感から感じ取っていた。
「ふっ……それにしちゃ、随分と修羅場をくぐって来た顔をしているな。バラしたのは豚肉よりも、人間の方が多いんじゃないのか?」
(「この男……!? やはり、一筋縄ではいかない相手だな」)
 図星を突かれ、正太郎は押し黙った。下手な嘘は、この男の前では却って事態をややこしくする。ならば、ここは彼の動きに合わせ、自分はフォローに回ろうと考えた。
「俺は今から、この建物の上に回る。連中は、そこからヒーローを狙撃するつもりらしいからな」
 当然、そうなれば一般市民も巻き込まれる。その前にマフィアを鎮圧し、騒ぎに乗じてヒーローが現れれば、その時が自分の目的を果たす時だ。そう告げて、ブランクは赤錆びた螺旋階段を駆け上がっていった。

●War begins
 薄汚れた壁の建物を横目に螺旋階段を上ると、そこは建物の屋上に繋がっていた。
 無造作に室外機が置かれた殺風景な場所。そこに集まっているのは、スラムの空気には少しばかり場違いな、高そうな黒服に身を包んだ男達。
 間違いない。この連中が、キャプテン・ジャスティスに成敗された、マフィアの残党なのだろう。
「げっ! な、なんだ、テメェらは!?」
「スラムのガキや浮浪者じゃねぇな。さては……サツの回しもんか!」
 こちらに気付いたマフィア達が、一斉に拳銃を抜いて来た。その中にリーダー格の人間がいないかと、正太郎は眼を凝らしたが。
(「こういう時は、司令官を潰すのが定石だが……」)
 既にリーダーは逮捕され、ここにいるのは末端のチンピラばかりなのか、司令塔らしき人物は見当たらない。単に、生き残りの有象無象が集まって、場当たり的な復讐をしようとしているだけなのだろうか。
 どちらにせよ、これを放っておくわけにもいかないと、正太郎もまた銃を抜いた。が、彼が狙いを定めるよりも早く、先に動いたのはブランクだった。
「ぎゃぁっ! い、痛ぇっ!」
「……っ! この野郎、ふざけやが……ぐぇっ!?」
 室外機を巧みに盾に使いつつ、ブランクは的確に拳銃で敵の足を狙い撃って行く。続けて、バランスを崩したところを狙い、今度は腹や腕を撃つ。急所を敢えて外しているのは、下手に狙い難い個所を狙って身を晒すリスクを減らすためだろう。
「クソ野郎……舐めんな!」
 仲間を立て続けにやられたマフィアの一人が、懐から手榴弾を取り出した。あんな武器を、いったいどこから手に入れたのだろう。それを考える暇もなく、手榴弾を投げようとするマフィアだったが。
「……あぐっ!?」
 懐から取り出す際に、モタモタしていたのが運の尽き。あっという間にブランクに距離を詰められ、その腕を捻り上げられてしまった。
「ガキの玩具にしては、随分と物騒な物を持っているな。身の程知らずのクソガキには、お仕置きが必要だ」
 マフィアの男の腕を捻り上げたまま、ブランクは取り上げた手榴弾を、男の口の中に押し込んだ。強引に押し込まれたことで歯が砕け、口から血が溢れ出したが、そんなことは関係ない。続けて、男の首から下げていた金のネックレスを引き千切ると、それを手榴弾のピンに絡める形で、ブランクは男の顔に縛りつけた。
「あ……がが……」
「しばらく、そうしているんだな。言っておくが……下手に鎖を外そうとしたら、その瞬間にお前の頭はミンチになるぜ」
 そう言いながら、ブランクは男の腹に強烈な蹴りを食らわせた。思わず吐きそうになる男だったが、吐いた拍子にピンが外れると即死するため、なんとか思い留まったようだった。
(「死神ブランク、確かに噂通りの腕前だ。俺も負けちゃいられねえな」)
 そんな様子を眺めつつ、正太郎は心の中で思わず唸った。
 ブランク・ラッセル。確かに、猟兵やスーパーヒーローと比べた場合、彼の強さはあくまで常人の範疇内だ。
 しかし、そんな彼が死神と恐れられるのは、数多の戦場を経験して生き延びたことに加え、その情け容赦のなさもあるのだろう。
 今は鎮圧を優先して急所を狙っていなかったが、殺そうと思えば、この男はマフィアの連中をいつでも殺せた。否、目的のためとあれば、本当に殺すことにも何ら躊躇いを持たないだろう。
 まったくもって、恐ろしい男だ。彼が敵でなかったことを喜びつつ、正太郎もまた銃を構えて狙いを定め。
「この弾丸は特別だ。味わってみな!」
 残りのマフィア達を、次々と正面から撃ち抜いて行く。マフィア達も応戦しようと銃を構えるが、しかし何故か身体に力が入らない。
「な、なんだ、こりゃ……」
「くそっ! 掠めただけなのに……銃が、重てぇ……」
 まるで、糸を切られた操り人形の如く、その場に崩れ落ちて行くマフィア達。当然だ。正太郎の放った弾丸は、ユーベルコードによって精製された特別製。瞬間冷凍魔法を纏った銃弾は、ほんの少し掠めただけでも、肉体を傷つけることなく体力だけを奪ってしまうのだから。
「俺の拳は料理をするためのもんだ。だが……」
 マフィア達の前に立ち、正太郎は拳銃を降ろす。拳は元より、刃物で命を奪うつもりもない。そう言いながら、しかし振り被ったのは強靭な脚。
「悪いが、こっちは料理に使わないんでな。しばらく、そこで眠っていろ」
「……ひゅでぶっ!?」
 真正面から顔面に足の裏を叩き込まれ、マフィアの男が吹っ飛んで行った。

成功 🔵​🔵​🔴​

月待・楪
この感じあれだ
戦争の時の連中を思い出す
潰しても涌いてくる辺り虫と一緒だろ

復讐っつーのには大いに賛成
奪われたなら奪い返せ
手は貸してやるイレイザー
どうやら覚悟は出来てるみたいだし
血煙と硝煙のパレードなんて最高だからな

マフィアとの戦闘に参加
生まれたことを後悔させてやる

Hey、Guys!
全員まとめて覚悟はいいか?

マフィア達の頭ん中を【念動力】でシェイクして、脳震盪に
手足を狙って【クイックドロウ】【部位破壊】
こっちを攻撃してくるなら【カウンター】
素手だろうが弾丸だろうが、俺の【念動力】でねじ曲げてやる
倒れた連中から【Cat'stail】で戦場から叩き出す

相手が悪かったなァ?
無様に呻いて這いつくばってろ!



●Party time
 屋上で繰り広げられるマフィアとの銃撃戦。そこに漂う硝煙の臭いに、月待・楪(Villan・Twilight・f16731)は覚えがあった。
「この感じあれだ。戦争の時の連中を思い出す。潰しても涌いてくる辺り虫と一緒だろ?」
 なるほど、それは言い得て妙だ。現にマフィアの連中は、やられてもやられても、次から次へと湧いて現れる。どうやら、この建物全てが彼らの管理下にあるらしく、中の住人もまた全てマフィアの構成員なのかもしれなかった。
「くそったれ! こんなところで、俺達の計画を邪魔されて堪るか!」
「ヒーローもサツも関係ねぇ! 纏めてブッ殺しゃ、全部一緒だぜ!」
 ブランク達の攻撃に押されているのか、マフィア達は既に形振り構わなくなっているようだ。拳銃だけでなく、中にはサブマシンガンのような火器を持ち出し、堂々とブッ放して来るので迂闊に近づけない。
 だが、それこそが戦場であり、そして彼らに対して情けも容赦も捨てて構わないという理由付けには十分だった。
「よぉ、少しばかり手間取ってるか?」
 室外機の裏に隠れているブランクに近づき、楪は声を掛けた。咄嗟に振り返ったブランクは、拳銃の照準を楪に合わせつつも、いきなり引き金を引くことはしなかった。
「お前は俺の敵か? それとも、味方か?」
「一応、味方ってことにしておいてくれ。復讐っつーのには大いに賛成。奪われたなら奪い返せ。手は貸してやるイレイザー」
 そう言いながら、楪もまた二丁の銃を抜いて構える。正義だなんだと御託をこねるヒーローよりも、こういった男の方が話は早い。なによりも、血煙と硝煙のパレードは、楪にとっては最高の催し物だ。
「Hey、Guys! 全員まとめて覚悟はいいか?」
 敢えて無防備に身を晒し、楪はマフィア達を挑発した。途端に、無数の銃弾が楪を襲うが、しかしそれらは全て彼を貫くことなく、軌道を逸らされて明後日の方へ飛んで行った。
「な、なんだ、こいつは!?」
「弾を避けて……いや、弾の方が勝手に逸れてやがる!!」
 強力な念の力を使い、楪は弾を逸らしつつ、ゆっくりとマフィア達に近づいて行く。そして、彼らの頭を念で掴める距離まで歩を進めると、念力で情け容赦なく脳内をシェイクし始めた。
「おぱっ!? おぶぶぶぶっ!!」
「あばばっ! あぼぼぉぉぉっ!!」
 突然、白目を剥いて頭を左右に振るマフィア達。無理もない。脳みそを直に掴まれて、前後左右に振り回されているのと同じなのだ。
 その衝撃は、車酔いなど比べ物にならない。意識があれば良い方で、脳震盪で気絶する者が大半であり。
「相手が悪かったなァ? 無様に呻いて這いつくばってろ!」
 意識を失った者から順に、楪は屋上の上から放り投げて行く。運が良ければ、落下しても全身打撲か骨折程度で済むだろう。幸い、裏路地には木箱やゴミ箱が散乱しているため、それらの上に落下できれば。
「……あぎゃっ!!」
 案の定、ゴミ捨て場に落下したマフィアが、妙な悲鳴を上げて動かなくなった。続けて、その上に新しいマフィアが飛んで来る。やがて、ゴミ捨て場は投げ捨てられたマフィアの連中が降り重なり、文字通りゴミ人間の掃溜めと化した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リカルド・マスケラス
身体をUCで分身を

メインはマフィア退治及びブランクとの接触っすけど、それより前にできることとして【コミュ力】で『マフィアがインタビューに乗じて襲撃してくる』『会場が戦場になれば、巻添えになって死者がまた出る』など噂を流して一般人がインタビューに近寄りがたい雰囲気は作っておく

マフィア退治は基本的には鎖鎌の【ロープワーク】で武器を斬り落としたり、拘束したりで無力化。その後ブランクに話しかける
「相手はライフル弾よりも速いスピードで動ける化け物っすよ。勝つ算段はあるっすか?」
答えがどうであろうと、協力は持ちかける
「どんな手を使ってでも倒したいのであれば、協力するっすよ」
そういって本体(お面)を渡したい



●Masquerade
 猟兵達とブランクの活躍によって、屋上に集まって来たマフィア達は制圧された。
 時間にして、実に数分といったところか。圧倒的な数の差を物ともしない制圧劇だったが、しかし残ったマフィアの男は、ブランクに首元を掴まれながらも笑っていた。
「へ……へへ……。こ、これで勝ったと思うんじゃねぇぞ……。今頃、俺達のボスが、あのクソッたれヒーローを直々にブッ殺しに向かってるはずだぜ……」
 そのためには、街の人間がいくら犠牲になろうと知ったことか。所詮、自分達はヒーローの注意を逸らすための人員に過ぎない。それだけ言ってマフィアの男が気を失ったところで、ブランクは苦々しげに舌打ちをして立ち上がった。
「ちっ……こいつらは陽動か」
 急がなければ、街は再び戦場と化し、自分と家族に降り掛かった悲劇が繰り返される。マフィアの連中は勿論、キャプテン・ジャスティスを名乗る似非ヒーローもまた、周囲の被害を省みない戦いを行い一般人に犠牲を出すはずだから。
 螺旋階段を駆け下り、ブランク達は再び広場に戻ってきた。が、しかし、少しばかり遅かったのか、広場では中継をしていた車が、突如として大爆発を起こしパニックになっていた。
「グレネードランチャーだと!? どうやら、連中もそれなりの武器は用意して来たらしいな」
 黒塗りの車の中から大砲を構えている男がいるのを見つけ、ブランクは唇を噛んだ。この場に一般人がいなければ、それこそ車諸共にロケットランチャーで吹っ飛ばしてやるところだが、こう人が多くてはそれもできない。
 そうこうしている内に、パニックに乗じて車から降りて来るマフィア達。彼らの手に握られているのは、大口径の拳銃や自動小銃など、人込みで乱射したら最後、周囲に被害が出そうな武器ばかり。
「きゃぁぁぁっ!」
「うわぁぁぁっ! た、助けてくれぇぇぇっ!」
 途端にパニックが起こり、逃げ惑う待ちの人々。TV番組のスタッフも、これでは撮影どころではない。中には果敢に中継を続ける者もいるが、それでもいつまで保つだろうか。
 このままでは拙いと、ブランクは仕方なく人込みを掻き分けて騒動の中心に突撃することにした。が、しかし、いざ飛び出してみると、思った以上に人が少なく、人の流れに押し返されるような事態にはなっていなかった。
 いったい、これはどういうことだ。怪訝そうな顔をしていると、今度はマフィア達が次々に鎖で縛り上げられ、あるいは武器を切断されて、戦う力を奪われて行く。その騒動の中心にいるのはリカルド・マスケラス(ちょこっとチャラいお助けヒーロー・f12160)。狐面を被った、妙に軽薄そうな青年だった。
 まあ、実際は青年の方ではなく、仮面の方が本体なのだが、それはそれ。なお、周囲に人が少なかったのは、彼が予め『マフィアがインタビューに乗じて襲撃してくる』という噂を流しておいたからである。それでも、中には『ヒーローが守ってくれるから大丈夫』だと、楽観的に構えている者が多数いたのもまた事実だったが。
 一通りマフィアを制圧すると、リカルドはブランクの前に自分の分身と共に降り立った。
「なんだ、お前達は? 猟兵……それも、双子か?」
「いやぁ、そういうわけじゃなく、こっちは分身で……って、そんなことは、どうでもいいっす」
 自分もまた猟兵であり、そして似非ヒーローの悪事を暴くべくやって来たのだと、リカルドは簡単に説明した。要するに、自分もブランクの味方であると。その上で、改めて彼に、今回の戦いにおける勝算を尋ねた。
「相手はライフル弾よりも速いスピードで動ける化け物っすよ。勝つ算段はあるっすか?」
「当然だ。そうでなければ、最初から戦いを仕掛けようとは思わん」
 戦争とは、確実に勝てる状況で宣戦布告をするものだ。それは国家と国家の戦いにおいても、個々人の戦闘でも変わらない。
 方法は未だ不明だったが、ブランクには身体能力で上回るキャプテン・ジャスティスを、確実に仕留める策があるようだった。恐らく、キャプテンが一般のヒーローやヴィランであったならば、戦いはブランクの勝利に終わるのかもしれない。
 不幸なのは、キャプテン・ジャスティスに化けているラグネ・ザ・ダーカーの力が、一般人では到底届かぬ高みにあること。いくらブランクの技量が優れているとはいえど、1対1で勝てるような相手ではない。
「どんな手を使ってでも倒したいのであれば、協力するっすよ」
 ここでブランクを死なせるわけにはいかないと、リカルドは自らの本体である仮面を手渡した。片方を渡しても、分身の方が残っているため、彼自身もまたある程度は自由に動けるのだが。
「……お守りのつもりか? まあ、一応は受け取っておこう」
 仮面の力を知らないまま、ブランクはそれを受け取った。その瞬間、再び起こる大爆発。ボスを含めたマフィアの本体は、未だ生き残りがいるようだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

アリス・フォーサイス
あまり美味しい話にはならなそうだね。介入しようか。

「その大きな荷物は何かな?」

そんなのを撃ったら、一般人も巻き込まれるかもしれないよ。キミもキャプテンくんみたいになりたいわけではないでしょ?

まあ、猟兵の仕事を見ててよ。

ヴィランの近くに音もなく近寄って、ユーベルコードで武器を砂糖菓子に変えるよ。

さらにキャプテンくんに接近。
「砂糖菓子を持った一般市民に何をしようとしたのかな?」



●Sweet girl
 マフィアの大半は裏路地で片付けたものの、彼らの本体はついに街中で無差別な銃撃戦を開始した。
 鎮圧に向かう猟兵達とブランクだったが、なにしろ周りに一般人がいる以上、下手に攻撃することもできない。おまけに、ラグネ・ザ・ダーカー扮するキャプテン・ジャスティスに鎮圧を任せれば、むしろ被害が増すことは確実だ。
 こうなったら、多少の無茶は承知の上で、荒っぽいやり方をする他にないか。覚悟を決め、ブランクは背負っていた武器ケースを降ろし、中の物を取り出そうとした。が、彼がケースを開けるよりも先に、一人の少女がブランクに近づいて声を掛けた。
「その大きな荷物は何かな?」
「なんだっていいだろう。それより、ここは危険だぜ。さっさと逃げな、お嬢ちゃん」
 面倒臭そうに追い払う仕草をしつつ、ブランクは少女に言った。だが、その少女、アリス・フォーサイス(好奇心豊かな情報妖精・f01022)は、それでも引き下がることなくブランクに尋ねた。
「そんなのを撃ったら、一般人も巻き込まれるかもしれないよ。キミもキャプテンくんみたいになりたいわけではないでしょ?」
「いきなり出て来て、人をトリガーハッピーみたいに言うんじゃねぇよ。こう見えても、俺は市街戦のプロだぞ? それとも、俺の腕は信用できないか?」
 目の前の少女もまた猟兵であることを知り、しかし自分の出足を挫かれたことで、ブランクは明らかに不機嫌な様子で尋ね返した。果たして、この状況をどうにかした上で、キャプテン・ジャスティスの正体を暴く術があるのか。どうにも怪訝そうな表情のブランクだったが、しかしアリスもまた引き下がらず。
「まあ、猟兵の仕事を見ててよ」
「ふん……お手並み拝見と行かせてもらうか」
 不満げな表情のまま、ブランクは銃を納めてアリスに全てを任せることにした。相変わらず、広場ではヴィランが無差別な攻撃を続けている。車が吹っ飛び、屋台が銃撃で粉々になり、人々の絶叫が響き渡る。
 そんなパニック状態の中、アリスはこっそりとマフィア達の後ろに回り込むと、密かにユーベルコードを発動させた。彼らを殺すためでなく、あくまで力を奪うために。
「ぼくにかかれば、なんでも作れるよ」
「ん? な、なんだ、こりゃぁ!?」
 手にしていた重火器が砂糖菓子に変わっていたことで、目を丸くするマフィア達。いったい、これはどういうことだ。状況も理解できないまま狼狽する彼らを余所に、アリスは続けてキャプテン・ジャスティスの側へ駆け寄って。
「砂糖菓子を持った一般市民に何をしようとしたのかな?」
 マフィアを強引に鎮圧しようとしていた彼に声を掛けるも、しかしキャプテンはとぼけた顔で、アリスに正論で返して来た。
「一般市民? 彼らはこの場を襲ったテロリストではないか。私はただ、ヒーローとしての務めを果たそうとしただけだぞ」
 そう言って、マフィア達を次々に手刀で昏倒させて行くキャプテン・ジャスティス。武器を奪われたマフィア達は、もはや抵抗する術などない。
「さて……とりあえず、これで少しは片付いたようだな。協力に感謝しよう、お嬢さん」
 目ぼしい敵を片付けたところで、キャプテンは改めてアリスに笑顔を向けた。騒動こそ鎮められたものの、これではラグネ・ザ・ダーカーの扮したヒーローが、正義の味方であると逆に印象付けてしまったようなものだ。
「ちっ……だから言わんこっちゃない」
 その様子を物陰から窺いつつ、苦々しい表情を浮かべるブランク。アリスの機転で被害こそ最小限に押さえつつマフィア達を鎮圧できたものの、キャプテン・ジャスティスの正体を暴く機会を、みすみす失うことになってしまった。

成功 🔵​🔵​🔴​

フォルク・リア
これ程狡猾で悪質なオブリビオンも中々いない。
どう始末をつけるか。

先ずインタビューに同行。
何も知らないふりをして
ラグネ・ザ・ダーカーの話を聞き感心したりして油断させる。

事が起きたらラグネと行動を共にし
「暴れている奴らよりも
今は救助を優先すべきだ。一緒に人々を助けよう。」
等と言ってイレイザーの元に向かわせない。

救助の間もラグネを見張り、
グラビティテンペストを発動。
重力を操り救助を行うと同時に
事故に見せかけた被害からも守る。
その間もラグネはヒーローとして扱うが。
逆に此方も事故に見せかけ
ラグネの頭上に鉄骨を落下させる
重力操作を誤ったふりをして
イレイザーの攻撃の方向に吹き飛ばす等で
プレッシャーをかける。


美波・蜜香
【WIZ】
このヒーローズアースではヒーローはみんなの希望
だから、それを利用するなんて絶対に許せないんだから!

キャプテン・ジャスティスのファンに扮してインタビューに同行して、ラグネ・ザ・ダーカーの足止めします
マフィアが現れたら
「あたしも一緒に戦います!」
とヒロインスタイルに変身してマフィアを迎え撃つ
でもキャプテンが一般人を巻き込もうとしたらシュテンペランツェの花弁を開いて【盾受け】+【オーラ防御】+【かばう】で一般人をカバー
そしてわざとらしく
「どうしたんですかキャプテン?危なく他の人まで巻き込むところでしたよ?」
と大声で驚く演技をして他の人にもキャプテンへの違和感に気付かせる


アマリア・ヴァシレスク
一般人がヒーローの皆さんを尊敬しているのを利用するなんて極悪人、ですっ!
ですので、ここはブランクさんとも協力して偽物ヒーローの正体を暴きましょう、ですっ!

…とは言いましたけど、何だか別のお客様もいらしたみたい、です。とりあえずはそちらの対処が先決みたい、ですっ!
[軍用ライフル・銃剣]を使った【スナイパー・援護射撃】でブランクさんや他の猟兵の方を援護しつつ、近くに来られたお客様には白兵戦で対応、ですっ!一応私もサイボーグですから、オブリビオンでないのなら【怪力】で制圧、ですっ!

それと、合間に偽物ヒーローも【視力】を活かして見張っておきます、です。
変な様子を見せたら、そこが狙い目…ですっ!



●Break the fake
 ヒーローに扮して自らヒーロー活動を行い、その結果として一般市民を巻き込み殺害するラグネ・ザ・ダーカー。
 普段の彼女は、自ら積極的に人々を手に掛けない。あくまで事故を装って、密やかに人々の間に不和の種を撒き散らす。
(「これ程狡猾で悪質なオブリビオンも中々いない。さて、どう始末をつけるか……」)
 これまでの戦いの様子から、フォルク・リア(黄泉への導・f05375)は考えた。目の前ではキャプテン・ジャスティスが、再び報道陣の取材を受けている。インタビュー中の襲撃を、猟兵と共に華麗に解決したスーパーヒーロー。今の市民達からは、キャプテンのことがそのように映っているはずだ。だからこそ、迂闊に彼に攻撃を仕掛ければ、こちらが悪者になってしまう。
 だが、それでもここでキャプテンの正体を暴かねば、彼は再びどこかで『不慮の事故』を起こし、一般人を殺害することだろう。
 そんなことは、絶対にさせない。未だ解決の目途は立たなかったが、それでも美波・蜜香(ブルーメンリッター・f20221)とアマリア・ヴァシレスク(バイオニックサイボーグ・f27486)の二人は、キャプテンの正体を暴くべく気合いを入れ直し。
「このヒーローズアースではヒーローはみんなの希望! だから、それを利用するなんて絶対に許せないんだから!」
「一般人がヒーローの皆さんを尊敬しているのを利用するなんて極悪人、ですっ!
ですので、ここはブランクさんとも協力して偽物ヒーローの正体を暴きましょう、ですっ!」
 そういうわけで、そちらに協力させて欲しい。そう、ブランクに申し出たところで、なにやら再び不穏な集団が目の前に。
「……とは言いましたけど、何だか別のお客様もいらしたみたい、です。とりあえずはそちらの対処が先決みたい、ですっ!」
「ああ、そうだな。まったく……懲りない連中だぜ」
 アマリアの言葉に、ブランクが頷いた。見れば、傷だらけになりながらも立ちあがったマフィア達が、その手にナイフを持ってキャプテンを刺殺するべく突撃して来ていた。
「行くぜ、お嬢ちゃん達」
「はい! あたしも一緒に戦います!」
 ブランクと共に駆け出す蜜香。疾走しながらヒロインスタイルに変身し、近づくマフィアにキック一閃! その隣ではブランクが、これまた軍隊仕込みの格闘術で、情け容赦なくマフィア達を叩きのめして行く。
「野郎……こうなりゃ、もうヤケだ! こいつで轢き殺してやる!」
 そんな中、マフィアの一人が何を考えたのか、自分達の乗って来た車に乗り込むと、蜜香達を轢き殺さんと発進させた。が、しかし、その程度で怯む彼女達ではない。それになにより、彼女とブランクの後ろには、心強い味方が控えているのだから。
「攻撃準備完了っ! 行きますよ〜!」
 黒塗りの車に向かい、軍用ライフルで応戦するアマリア。ガラスが割れ、タイヤがパンクし、車はコントロールを失って電柱に激突した。エアバックが作動したことを見ると、中のマフィアは死んでいないようだが、これではもう戦うどころではないだろう。
「むぅ……これはいかんな。私も彼らと共に戦わねば!」
 猟兵達が次々とマフィアの残党を倒して行く中、痺れを切らした様子でキャプテンが前に出た。だが、そんな彼を、フォルクが止める。ここでキャプテンに戦われたら、余計な犠牲が出るのは目に見えている。
「いや、暴れている奴らよりも、今は救助を優先すべきだ。一緒に人々を助けよう」
 マフィアを鎮圧する戦力は十分なのだから、ヒーローとしてすべきことは、被害の拡大を食い止めることのはず。そんな正論を前にしては、さすがにキャプテンも従わざるを得ない。本心では不本意なのだろうが、ここで迂闊な行動に出れば、正体がバレることくらいは理解しているらしい。
「そ、そうだな。では、君も協力してくれたまえ」
 何事もなかったかのように取り繕い、キャプテンは人々の救助に回った。無論、それで安心できるはずもなく、フォルクは彼の動向に、常に注意を払っており。
(「押し潰せ、引き千切れ、黒砂の陣風を以て。其の凄絶なる狂嵐の前には何者も逃れる事能わず。ただ屍を晒すのみ。吹き荒れよ、滅びの衝撃……」)
 重力操作で瓦礫を除去しつつ、うっかり鉄骨をキャプテンの頭に落としてやった。いきなり頭に鉄骨を叩きつけられ、さすがのキャプテンも憤慨したが、フォルクは「手が滑った」と言って適当に誤魔化し。
「おっと、すまない。また、手が滑ったようだ」
 口ではそんなことを言いながら、わざとキャプテンを吹き飛ばす。その方向は、正に今、拳銃を抜いた相手を鎮圧すべく、同じく拳銃を抜いて構えるブランクの姿があり。
「……っ!!」
 咄嗟に両手を突き出して、キャプテンはブランクの放った弾を掴み取った。が、その一方でマフィアの撃った弾は軽々と弾き、その軌道の先には逃げ遅れた少女が泣きながら座っているではないか!
「危ない!!」
 咄嗟に飛び出し、蜜香が盾で銃弾を弾いたことで、少女は辛うじて無事だった。が、しかし、これはまたとないチャンスでもある。吹き飛ばされながらもブランクの銃弾を受け止められる程の力を持ったヒーローが、その一方でマフィアの撃った銃弾を受け止められない道理はないからだ。
「どうしたんですかキャプテン? 危なく他の人まで巻き込むところでしたよ?」
「え……いや、そ、それは……」
 蜜香に詰め寄られ、キャプテン・ジャスティスは言葉に詰まり口を噤んだ。弾を受け止められないのであれば、せめてその身を盾にして自ら攻撃を受けることが、ヒーローとしての正しい姿のはず。
 それにも関わらず、彼は自らの身を守るために、敢えて危険な跳弾を招くような行動に出た。ましてや、ブランクの撃った弾を受け止められたのだから、そもそも跳弾を招くような行為をしなければならない程、危機的状況だったのかも疑問である。
「いい加減に、観念したらどうですか? ヒーローのふりも、そこまでですよ」
 もはや、そちらに退路はない。他の猟兵達と共にキャプテンの周りを取り囲み、アマリアは彼……否、ラグネ・ザ・ダーカーに問い掛ける。
「ふ……ふふふ……どうやら、遊びもここまでのようだな。ならば、お望み通り、ここから先は本気で相手をしてやろう」
 途端に、キャプテンの力強い声が、狡猾な女の声に変わった。見れば、いつの間にか屈強な肉体を持った男のヒーローは、豊満な肢体をヒーロー風のコスチュームに包んだ、悪の女科学者へと変わっていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『ラグネ・ザ・ダーカー』

POW   :    ダーカー・インジャスティス
全身を【鮮血の如きオーラ】で覆い、自身の【悪意】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD   :    侵略蔵書「キル・ジ・アース」
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【侵略蔵書「キル・ジ・アース」】から【具現化された「死のイメージ」】を放つ。
WIZ   :    マッド・デッド・ブラザーズ
【死せるヴィラン】の霊を召喚する。これは【強化された身体能力】や【悪辣な罠】で攻撃する能力を持つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠鏡繰・くるるです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●Time of revenge
 偽りの殻を捨て、ついに正体を現したラグネ・ザ・ダーカー。そんな彼女にコートのポケットから大型の拳銃を取り出しつつ、ブランク・ラッセルは静かに告げた。
「正体を現しやがったな。それにしても、まさか女だったとはな。だが、女だろうとなんだろうと、俺は貴様をこの世から抹消するだけだ」
 これでもう、遠慮する必要はなにもない。家族の仇、今までに殺されて来た罪も無き人々の仇、その全てを晴らさせてもらおうと。
「なるほど、威勢だけはいいな。だが、君は所詮、何の力も持たない一般人だ。少しばかり強力な火器を手にしたところで、私に勝てると思わないことだな」
 そんなブランクを、ラグネ・ザ・ダーカーは余裕の表情で嘲笑する。確かに、彼女の言う通り、正面からの戦いではブランクには万に一つも勝ち目はない。
「ふん……だったら、試してみるか? 死神ブランクの……『イレイザー』の戦い方が、どんなものかってやつをな!」
 確かに、自分には空も飛べなければ、岩をも砕く超怪力も、天候を操作するような超能力もない。だが、それでも退けないものがあると、ブランクは真っ向からラグネ・ザ・ダーカーと対峙する。
 これ以上、罪もない人々が殺されるような世界にしないために。数多の戦場を潜り抜けた男は、再び死神になることを決意した。その決意を無駄にしないためにも、彼と協力して力を合わせ、ラグネ・ザ・ダーカーを撃破せよ!
フォルク・リア
ブランクには
「ブランクいや、イレイザーだったか。
お前は下がっていろ。マフィア相手にはやれたとしても
奴には歯が立たない。それは奴の言う通りだ。」
態と敵に聞こえる様に告げるが
近づいた時小声で
「俺が奴の相手をして隙を作る。そこを狙え。」

ヴィランの霊を見て
「霊の召喚か。俺の前でその技を使うとは、
俺も死霊術には一家言あるんでね。」
アンノウンブレスを使用し敵と霊を囲む様に棺群を召喚。
先ずは【呪詛】で攻撃し念動力で拘束。
自分と幽霊の動きを囮に敵の思考からブランクを外す。
幽霊の超感覚で敵とブランクの位置を捉え
テレパシーでブランクに戦況を伝える。

ブランクの攻撃を待つ間もファントムレギオンの死霊で攻撃
防御を行う。


アリス・フォーサイス
ついに正体を現したね、ラグネ・ザ・ダーカー!これぞ、猟兵組織「秘密結社スナーク」の計画だったんだよ。

ブランクくんが心置きなく戦えるように、一般人を守るようにアナロジーメタモルフォーゼで壁を作りながら戦うよ。

ヴィランの霊か。邪魔だよ。全力魔法で浄化しちゃうんだから。

さあ、見せてもらうよ、猟兵ではない、ヴィジランテの復讐戦のお話をね。



●Vigilante's stage
 猟兵達の巧みな戦術によって、ついに正体を暴かれたラグネ・ザ・ダーカー。マフィア達の襲撃にも怯まず中継を続けた勇敢な記者達も周りを囲んでいる今、もう言い逃れはできないぞ!
「ついに正体を現したね、ラグネ・ザ・ダーカー! これぞ、猟兵組織『秘密結社スナーク』の計画だったんだよ」
 ここぞとばかりに言い放つアリス・フォーサイス(好奇心豊かな情報妖精・f01022)。これでもう、猟書家達が人々の間に広めようとしている『スナーク』の存在は、猟兵組織として認知されてしまったも同然である。
「つくづく、こちらの邪魔をしてくれるな、君達は。……いいだろう。ならば、ここで私が君達を倒し、猟兵こそが世界の平和を乱す『スナーク』であると証明してやろう」
 上書きされた事実を、更に上書きせんと、ラグネ・ザ・ダーカーも拳を構えた。あくまで、真実を湾曲し、人々の間に不和の種をばら撒くつもりか。
「御託はいい。俺は今から貴様を抹消する……それだけだ」
 大口径の銃を取り出し、構えるブランク・ラッセル。しかし、そんな彼を制するように、今度はフォルク・リア(黄泉への導・f05375)が前に出た。
「ブランクいや、イレイザーだったか。お前は下がっていろ。マフィア相手にはやれたとしても、奴には歯が立たない。それは奴の言う通りだ」
 ここは猟兵に任せて見物していろ。口ではそう言いながらも、フォルクは擦れ違い様に、小声でブランクの耳元に囁いた。
(「俺が奴の相手をして隙を作る。そこを狙え」)
 ブランクからの返事はない。だが、何も言って来なかったということは、少なくとも否定はされていないということだ。
「敵を前にして内輪揉めとは、随分な御身分だな。ならば、君達にはしばらく、彼らと遊んでいてもらおうか」
 こちらの戦力を見極めたのか、ラグネ・ザ・ダーカーが蔵書を開き、死せるヴィランの霊を召喚する。彼らを使って猟兵達の足を止め、その間にブランクを始末しようというのだろうが。
「霊の召喚か。俺の前でその技を使うとは……俺も死霊術には一家言あるんでね」
 残念ながら、今回ばかりは相手が悪かった。何を隠そう、フォルクもまた死霊を操る術を持っている者。しかも、偽ヒーローや悪の科学者稼業の傍らに身に着けたものではなく、彼は正真正銘、死霊術の専門家だ。
「地の底に眠る不明なる霊。呪われたる棺の蓋を開きて、その異能を存分に振るい。我に仇なすものを退け、我と共に歩む者を助ける力となれ」
 詠唱と共に、続々と召喚される死霊の群れ。それは、ある時は人の姿になったかと思えば、直ぐに形を変えて異形の怪物へと変化する。おまけに、数も凄まじく、400体は下らない。
「おいおい、冗談じゃねぇぞ!」
「あっちの方が、数だけは多いじゃねぇか!」
 ラグネ・ザ・ダーカーの呼び出した霊は、せいぜい2体。個々の実力ではフォルクの死霊よりも彼らの方が上なのだろうが、如何せん数が違い過ぎる。
(「これで準備は整った。さあ、次はどうする?」)
(「……そうだな。俺の指定した場所へ、あの女を誘導してくれ」)
 念で頭の中に直接語り掛けられたブランクが、直ぐに状況を察してフォルクに返した。いったい、彼が何を考えているのかは不明だが、少なくとも無策というわけではないようだ。
「ちっ! 鬱陶しい真似をしてくれる」
 死霊の群れを弾きつつ、時折飛んでくるブランクからの銃撃を避けながら、ラグネ・ザ・ダーカーは戦場を駆けた。本当なら、一気に近づいて誰かを仕留めたいところなのだろうが、死霊の数が多過ぎるため、なかなか前に進めないらしい。
「えぇい、もう遠慮はしないぞ。誰も彼も、まとめて地獄へ送ってやろう」
 こうなったら、無差別に攻撃してやろうと、ついにラグネ・ザ・ダーカーは形振り構わない行動に出始めた。舗装道路を蹴り砕いたり、周囲に停まっている車を持ち上げてブン投げたり。
 さすがに、これでは周囲の一般人に被害が出る。中継もここまでかと思われたが、そこはアリスがさせはしない。
「ぼくにかかれば、なんでも作れるよ」
 舗装道路を素材に壁を作り、ラグネ・ザ・ダーカーの無差別攻撃から市民を守る。こうして、壁で戦場を囲ってしまえば、後は好きに暴れることができる。
「さあ、見せてもらうよ、猟兵ではない、ヴィジランテの復讐戦のお話をね」
「言われるまでもない。俺にとってもバッドエンドなストーリーだったが……やつにとっては、デッドエンドだ!」
 拳銃の弾を込め直し、ブランクがアリスに言った。フォルクの死霊と連携する形で攻撃を繰り返しつつ、徐々にラグネ・ザ・ダーカーを、特定の場所へと誘導して行く。拳銃弾を余裕で弾くラグネ・ザ・ダーカーではあったものの、それも含めて、全てはブランクの作戦通り。
「……っ! な、なんだと! 何故、こんな場所に罠が!?」
「あ、すんません、姉御! そいつは、俺の仕掛けた罠でさぁ」
 突然、足をトラバサミに挟まれて叫ぶラグネ・ザ・ダーカーに、呼び出されたヴィランの霊が答えた。
 そう、ブランクの狙いは、最初からこれだ。ヴィランの霊が罠を張ったことを瞬時に見抜き、そこへラグネ・ザ・ダーカーを誘導することで、見事に同士討ちを図ったのだ。
「この、間抜けめ! 私を罠に嵌めてどうするのだ!」
「ひ、ひぇぇ! 今すぐ解除し……ぐぁぁぁっ!!」
 慌てて罠を解除しようとするヴィランの霊だったが、その身体が悲鳴と共に薄くなって行く。
「邪魔だよ。ボクの魔法で、浄化してあげるね」
 罠を解除する暇もなく、ヴィランの霊はアリスによって消滅させられた。これでもう、邪魔をする者はなにもない。力任せに罠を破壊しようとするラグネ・ザ・ダーカーだったが、そこへ殺到するのはフォルクの操る死霊達。
「悪いが、動きは止めさせてもらう。両手と両足、全てに絡みつく不定形な死霊達には、さしものラグネ・ザ・ダーカーも、しばし身動きが取れなかった。そして、そんな彼女に狙いを定めたブランクは……武器ケースから取り出したロケット砲を構えると、躊躇いなくラグネ・ザ・ダーカーへと向かって発射した。
「知識はあっても、指揮官としてはヘッポコか。アホな部下を持った自分の不幸を呪うんだな」
「なっ……ぎゃぁぁぁっ!!」
 戦車をも破壊する砲弾が炸裂し、盛大に吹っ飛ぶラグネ・ザ・ダーカー。アリスの作った壁のお陰で、周囲への被害も最小限。だが、それはすなわち爆風が拡散しないことを意味しており、それだけラグネ・ザ・ダーカーへのダメージも深刻であり。
「う……ぐぐぅ……」
 黒焦げの中、それでも立ち上がるラグネ・ザ・ダーカーだったが、既に彼女の眼鏡は跡形もなく吹き飛び、侵略蔵書も表紙が丸焦げになっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

美波・蜜香
ブランクさんは自分の家族だけじゃなく今まで殺されてきた罪もない人々の仇も取ろうとしている
だから
「あたしは正義の味方です。あなたの「正義」に「味方」します!」
ブランクさんと協力してラグネ・ザ・ダーカーを倒します

むんっ、と【気合い】を入れて【スーパー・ジャスティス】で空を飛び、ラグネに立ち向かう
能力は同種だけど力量はたぶんあたしよりも上
でも、【勇気】と【気合い】で少しでも力量差を埋めて【怪力】での【なぎ払い】で挑みかかり、その注意をあたしに引き付ける
そしてアリスランスの花弁を傘の様に開き【盾受け】で攻撃を受け流すと同時にブランクさんの姿を隠し、攻撃で生じた隙にブランクさんの一撃をお見舞いしてもらう



●Hero of justice
 自分の家族を殺された復讐に、似非ヒーローへと果敢に挑む。超常の力など持たずとも、卓越した技量と経験で。
 武力を用い、徹底的に敵対する者を排除するブランク・ラッセルは、一歩間違えればヴィランと同じ存在だ。しかし、それでも美波・蜜香(ブルーメンリッター・f20221)にとっては、今のブランクは紛れもなくヒーローだった。
(「ブランクさんは自分の家族だけじゃなく、今まで殺されてきた罪もない人々の仇も取ろうとしている……」)
 誰かの正義が挫かれそうになった時、その者に代わり、傷つくことを恐れず戦う。それこそが、『正義』に『味方』するという行動だ。多少過激ではあるものの、ブランクのそれも本質的には変わらないはず。ならば、蜜香の取る行動は、ただ一つ。
「あたしは正義の味方です。あなたの『正義』に『味方』します!」
 気合を入れて全身を黄金のオーラで覆い、蜜香はラグネ・ザ・ダーカーの前に立ちはだかった。対するラグネ・ザ・ダーカーもまた、その全身を紅いオーラで覆って飛翔する。
 対峙する二人の超人。高速で舞い上がったかと思うと、次に突入するのは空中での激しい攻防戦。
「君はスーパーヒーローか。だが、私のスピードに追い付けるかな?」
「負けません! あなたのような人には、絶対に!!」
 力の性質は共に同じ。しかし、実力ではラグネ・ザ・ダーカーの方が蜜香より少しばかり上である。激突を繰り返す二人だが、蜜香の攻撃は度々捌かれているのに対し、ラグネ・ザ・ダーカーのカウンターは、的確に蜜香の身体を捉えてくるのだ。
「……くっ!!」
 顔面に向かって繰り出された拳を、蜜香は辛うじて受け止めた。そのまま反撃とばかりに薙ぎ払うものの、ラグネ・ザ・ダーカーはそれを軽々とスウェイで避け。
「悪いが、君と私では実力が違い過ぎるのだよ」
 そのまま身体を回転させて、鋭い爪先を蜜香の腹に食らわせて来た。闘気で全身を覆っているにも関わらず、内臓の奥まで衝撃が響き、蜜香は一瞬だけ視界が真っ白になり。
「……ふんっ!!」
 腹を押さえて悶絶する蜜香に、ラグネ・ザ・ダーカーのハンマーパンチが情け容赦なく襲い掛かる。後頭部に振り下ろされた痛烈な一撃によって、蜜香はそのまま真下に落下し、車の上に叩きつけられた。
「う……うぅ……」
 スクラップになった車を押し退け、立ち上がる蜜香。こんなところで負けられない。突撃槍を構え、花弁を盾の様に広げることで、続く追撃を辛うじて受け止め。
「……今です、ブランクさん!」
 攻撃を受け止めたまま、蜜香は叫んだ。その言葉に合わせ、彼女の背後から姿を現したのは……大口径のショットガンを構え、それをラグネ・ザ・ダーカの額に突き付けているブランクだった。
「上出来だ、お嬢ちゃん。あんたが痛めつけられた分、ここで返してやろうぜ」
「な、なにっ!?」
 ラグネ・ザ・ダーカが驚いたのも束の間。彼女が防御の構えを取るよりも速く、火を噴くブランクのショットガン。いかに高速で動けるとはいえ、この至近距離で散弾など使われれば、逃げ場は存在しないに等しい。
「おのれ……味な真似を!」
 それでもオーラの防御で直撃を避けるラグネ・ザ・ダーカーだったが、目潰しとしては、これで十分だった。
「本命はこっちですよ! はぁぁぁっ!!」
 相手の怯んだ隙を狙い、槍を構えて突進して行く蜜香。超パワーの一撃が炸裂し、ラグネ・ザ・ダーカーは盛大に吹き飛ばされて、近くのビル壁に直撃した。

成功 🔵​🔵​🔴​

相良・正太郎
このヒリつく感じ、昔を思い出すぜ

ブランク、いやイレイザー
あんた程の奴が無策で挑むとは考えられねえ
何か必勝の策があるんだろ?
俺がバックアップに回る
指示があるなら出してくれ
無ければ臨機応変に合わせるぜ

敵は飛翔能力と速度に長けているみたいだな
なら、こいつでご自慢の速度を落とすまでさ

先読みで撃って飛ぶ軌道を限定させる
直接当てるだけが支援じゃねえ
動きを制限するのも重要だ
勿論、甘い動きをするなら容赦無く当てるがな

戦場にヒーローはいねえ
何時だって勝者と敗者がいるだけさ
そして、それは力の有無で決まるもんでもねえ

いいかい似非ヒーロー?
戦場じゃ、生き残った奴が勝者なんだよ

勝利の女神が微笑むのはお前じゃないのさ


リカルド・マスケラス
「少しばかり……どころじゃなく強力な火器を持っていたらどうなんすかね?と言っても、自分は火器じゃないっすけど」
スッとブランクに憑依。と言っても、猟兵の力を貸すだけで、肉体の主導権は向こうのままだが
ブランクの戦闘スタイルや彼の策に自分の技能を足してゆく。火器の威力向上に炎、弾速向上に風の【属性攻撃】を入れ、【念動力】で複数の火器を同時に操って【一斉射撃】、足りなければ宇宙バイクを自動【操縦】で呼んでビーム砲やミサイルも使う。
それらの攻撃で敵のUCによる飛行をある程度止めたり制限できれば、ブランクのここ一番の攻撃に【正義代行】の力を込めて発射
「力なき人々の想い、今ここでくらうがいいっすよ!」


アマリア・ヴァシレスク
(真の姿:フルアーマー化)

正体表しましたね、です!ここからはもう手加減は無用、ですっ!
【追加武装プラットフォーム】と武装一式、それに【シールドガントレット】を装備して準備万端、ですっ!

これで【対空戦闘】を…と思いましたけど、さすがに相手の動きが速すぎる、です…
ここはブランクさんにもう一度手伝ってもらって、こちらの【弾幕】と【砲撃】の【一斉発射】によるキルゾーンに誘導してもらう、です

もし私が敵なら…【範囲攻撃】から逃れるために最短ルートでキルゾーンから離脱した後、反撃に移ろうとする…そこが狙い、ですっ!
【2回攻撃】として、飛行ルートを【見切り】、【スナイパー】【軍用ライフル】で狙い撃つ、ですっ!



●Kill zone
 あらゆるヒーローに変身し、人々の間に不破の種を撒かんとするラグネ・ザ・ダーカー。
 彼女の強さは、その悪辣な性格に加え、純粋なヴィランとしてのそれもあった。なにしろ、身体能力的には弾よりも速く飛び回り、超怪力で大岩をも砕くスーパーヒーローと変わりないのだ。
 現に、これまでの戦いでダメージを受けているにも関わらず、彼女は未だ健在だった。普通の人間であれば、既に身体が粉々になっていてもおかしくない状況。それでも立ち上がり、戦えるのは、彼女が強力なオブリビオンである証でもある。
「正体表しましたね、です! ここからはもう手加減は無用、ですっ!」
 だが、それでも怯まず、アマリア・ヴァシレスク(バイオニックサイボーグ・f27486)は全身に武器を装備した重装形態で対峙した。
 正直、あの敵にどこまで自分の攻撃が通用するかは分からない。それでも、ブランクを始めとした仲間達と協力すれば、必ず活路を見出せると信じて。
「ほう、大した装備だな。だが、少しばかり火力を盛った程度で、私に勝てると思わないことだ」
 空中からアマリアを見下すラグネ・ザ・ダーカー。確かに、彼女の言う通り、並の火器では彼女を倒すことはできそうにないが。
「少しばかり……どころじゃなく、強力な火器を持っていたらどうなんすかね? と言っても、自分は火器じゃないっすけど」
 空中を浮遊する狐の仮面が、ニヤリと笑う。リカルド・マスケラス(ちょこっとチャラいお助けヒーロー・f12160)の本体は、そのままブランクの顔に重なると、自らの力を彼に分け与え。
(「このヒリつく感じ、昔を思い出すぜ……」)
 そんな中、相良・正太郎(戦う見習いコック・f00263)は久方ぶりに、戦場の空気を思い出していた。
「ブランク、いやイレイザー。あんた程の奴が無策で挑むとは考えられねえ。何か必勝の策があるんだろ?」
 自分がバックアップに回るので、指示があるなら出して欲しい。そう告げる正太郎に、ブランクは一言だけ呟くようにして返す。
「死中に活を見出す……それが策だ」
 何も知らない者か聞いたら、何のことか分からなかっただろう。だが、数多の戦場を駆けたこともある正太郎には理解できた。死神と呼ばれ、どんな地獄の如き戦場からも帰還して来た屈強な兵士が、格上の相手を倒すために取らんとする手段を。
 それは、例えば生身で武装ヘリや戦車を倒そうとする者が行う戦い方だ。こちらも無傷では済まず、下手をすれば死ぬかもしれない。しかし、彼がそこに活路を見出すというのであれば、こちらはその支援をするだけである。
「敵は飛翔能力と速度に長けているみたいだな。なら、こいつでご自慢の速度を落とすまでさ」
「で、でも……さすがに相手の動きが速すぎる、です……」
 それぞれ、持てる全ての武器を使い、正太郎とアマリアがラグネ・ザ・ダーカーの逃げ場を奪うべく弾幕を張る。銃弾、砲弾、ビームに散弾。あらゆる砲撃がラグネ・ザ・ダーカーに襲い掛かるが、彼女はそれを持ち前のパワーとスピードで、軽々といなして無効化して行く。
「や、やっぱり、速さが違い過ぎる、です……」
 あらゆる武器を使っても掠めることさえできない状況に、アマリアの顔に焦りが浮かんだ。しかし、そんな彼女の横で銃を構えるブランク……否、彼の肉体に憑依しているリカルドは、まだ奥の手を隠し持っていた。
「それじゃ、火力と手数を増やすっすよ。……こんなところで、どうっすかね」
 そう言うが早いか、彼はブランクの武器ケースから全ての武器を取り出して、念で操り空中へ飛ばした。それだけでなく、自分の宇宙バイクに搭載された火器も使い、更に敵の逃げ場を奪って行く。
「ちっ……さすがに、面倒になってきたか」
 これ以上、避け続けることは敵わないと察し、正太郎の放った弾丸を手で払い除けながらラグネ・ザ・ダーカーが舌打ちした。
 このまま戦っていても埒が明かないのは互いに同じ。ならば、一気に接近して殲滅してやろうと、ラグネ・ザ・ダーカーは急降下からの急接近で、まずは最も火力の高いアマリアへと向かって行くが。
「捉え、ました……そこが狙い、ですっ!」
「なにっ!?」
 その動きを読んでいたかのように、炸裂するスナイパーライフルの狙撃。先程から無意味に弾を消耗していたように見えるアマリアだったが、その裏ではしっかりと相手の軌道を先読みしていた。
 面を制圧する攻撃から逃れるためには、最短ルートでキルゾーンから離脱するのが最も効率的だ。そして、再び面制圧をされる前に、火力の大元を叩くのがセオリー。
 だからこそ、アマリアは敢えて無駄に弾薬を消費しているように見せかけて、相手を自分の方へと誘った。弾幕に穴を開けておくことで、そこへ敵を誘導し、絶対に避けられないタイミングで狙撃をお見舞いしてやったのである。
「や、やりました……です?」
「いや、どうだろうな?」
 スナイパーライフルの直撃を食らって吹き飛ばされたラグネ・ザ・ダーカー。ビルの壁に衝突し、周囲には土煙が待っているが、これで彼女を倒せたという保証はどこにもない。
 果たして、そんな正太郎の懸念は正しく、次の瞬間に煙を突き破って現れたラグネ・ザ・ダーカーは、強烈なパンチをブランクの腹にお見舞いしたのだ。
「あぁっ! ブ、ブランクさんが……」
 盛大に吹き飛ばされ、電話ボックスに直撃したブランクの姿を見て、アマリアが叫んだ。
 ガラスが砕け散り、支柱も紛った電話ボックス。あれでは、ブランクも重傷で再起不能ではなかろうか。そして、そんなブランクに追い打ちをかけるかの如く、ラグネ・ザ・ダーカーは彼の首筋を掴んで宙に持ち上げ。
「私の正体に気付き、復讐を決意した度量は褒めてやろう。しかし、残念ながら、君はここでおしまいだ」
 鉄柱をも圧し折る怪力で、ブランクの首を締め上げる。いくらリカルドが憑依しているとはいえ、このままではブランクが殺されてしまうと……誰もが、そう考えた時だった。
「ふっ……そいつは、俺の台詞だぜ。この距離なら、外すことはねぇからな」
 完全に追い詰められているにも関わらず、口元から血を流しながらも、不敵な笑みを浮かべるブランク。ラグネ・ザ・ダーカーが気付いた時には、彼の手にはコートのポケットから取り出した、二丁の大型拳銃が握られており。
「……Go to hell」
 ラグネ・ザ・ダーカーに放り投げられるよりも速く、ブランクの手にした拳銃が火を噴いた。その銃弾が炸裂した先は、よりにもよって彼女の眼球。
「ぎゃぁぁぁっ! 目、目が! 目がぁぁぁっ!!」
 凄まじい炸裂音と共に、ブランクの顔が血飛沫で染まった。コンクリート塊を粉砕し、戦車の装甲さえ場合によっては貫通し、人間が食らったら紅い霧になって着弾部位が消し飛ぶ威力の銃だ。そんなものを、この至近距離で放たれれば、いかに全身を闘気で覆っていようとも、完全に防げるようなものではない。
(「デザートイーグルにレイジングブルか……。あんな化け物銃を、それぞれ片手で……しかも、至近距離で目ん玉にブチかますとはな……」)
 銃の種類が分かるからこそ、正太郎は改めて戦慄した。
 ゾンビ映画ではあるまいし、マグナム弾を人の頭に、しかも至近距離から二丁拳銃で叩き込むとは。
 何が何でも、確実に殺す。そんなブランクの覚悟を、ここに来て再確認させられた気がした。そして、当然のことながらブランクの攻撃は、それだけでは終わることもなく。
「力なき人々の想い、今ここでくらうがいいっすよ!」
 ここに来て、主導権を握ったリカルドが、ラグネ・ザ・ダーカーの胸元に何かを突っ込んで蹴り飛ばしたのだ。
「うぐっ!? い、いったい何を……ぐばぁっ!?」
 瞬間、巻き起こる凄まじい大爆発。コートを翻し、ブランクは爆風から身を守る。どうやら、悶絶している隙を狙って、彼女の胸の谷間に手榴弾を捻じ込んだ上で蹴り飛ばしたらしい。
 まったくもって、情け容赦のない男だ。確かに、これならば条件次第では、超常の力を持ったヒーローやヴィランでさえ殺せるのかもしれない。
「だ、大丈夫です、か?」
 それでも、先のダメージは大きいだろうと、アマリアがブランクに駆け寄った。しかし、そんな彼女にブランクは、コートの下から覗くプレートを見せながら説明した。
「俺のコートはライフル弾でも貫通しない防弾仕様だ。そして、こいつはクラス3A+の防弾プレート。ロシア製のトカレフでも、こいつの前には豆鉄砲さ」
 多少の誇張があるものの、それは事実だった。強力な耐衝撃性能を持つ装備を二重に着込むことで、ブランクはラグネ・ザ・ダーカーの攻撃に、なんとか一発だけ耐えたのだ。
 勿論、実際には一部の骨に亀裂が走っていたようだが、その程度で動けなくなるような、柔な男ではないことだけは明白であり。
「う……ぁぁ……。お、おのれ……おのれぇぇぇっ!」
 爆風が収まった中、光を失ったラグネ・ザ・ダーカーが虚しく叫ぶ。見れば、既に紅いオーラは失われており、ヒーロースーツもズタボロだ。なんとか力を入れ直そうとするラグネ・ザ・ダーカーだったが、今までの戦いでのダメージが蓄積しているのか、どうしても力が入らない。
「おや、ガス欠っすか? 万事休すってやつっすね」
「な、なにを……! こんなもの……はぁ……この程度……ふぅ……す、すぐに……」
 もはや力の大半を失ったラグネ・ザ・ダーカーを、リカルドが煽った。その言葉に、更にムキになるラグネ・ザ・ダーカーではあったが、やはり力が入らない。
「な、なぜだ! なぜ、力が……」
「何故だって? そいつは当然だろう? なんたって、さっき俺の銃弾を手で弾いた……要するに、銃弾に触れたんだからな」
 困惑するラグネ・ザ・ダーカーに正太郎が告げる。彼の放った銃弾は、相手の体力だけを奪うという代物。それを知らず、迂闊に手で弾いてしまったラグネ・ザ・ダーカーの体力は、気が付けば完全にレッドゾーンだったのである。
「戦場にヒーローはいねえ。何時だって勝者と敗者がいるだけさ。そして、それは力の有無で決まるもんでもねえ」
 勝敗を分けるのは戦術と戦略、そして何より覚悟の違い。やろうと思えば、武装した歩兵の一団を、ナイフだけで全滅させることも可能であると正太郎はラグネ・ザ・ダーカーに淡々と語り。
「いいかい似非ヒーロー? 戦場じゃ、生き残った奴が勝者なんだよ。勝利の女神が微笑むのはお前じゃないのさ」
 それだけ言って、銃を構える。今度は体力を奪うだけ等という生易しいものではない。正真正銘、敵を殺すための銃弾だ。
「及ばずながら、自分も手を貸すっすよ」
「私も、援護します。火力で押し切ります……ですっ!!」
 操れるだけの火器を操るリカルドと、アマリアによる一斉射撃がそこに加わる。人間はおろか、装甲車さえ完膚なきまでに粉砕するだけの圧倒的火力。そんなものを真正面から食らっては、いかにラグネ・ザ・ダーカーとはいえ、肉の欠片も残らない。
「あ……がぁぁぁぁぁっ!!」
 ハチの巣と呼ぶのが可愛く思えるほどの弾幕を浴びせられ、人々の間に不破を撒く似非ヒーローは、気が付けば地面の紅い染みを残すだけになっていた。
 その染みもまた、ゆっくりと吸い込まれるようにして消滅し、骸の海へと還って行く。これで、本当に終わったのだ。イレイザーことブランク・ラッセルの復讐も。
「どうやら、片付いたみたいっすね。で、今後はどうするつもりっすか?」
 このまま隠居して、静かに余生を過ごすのかと、最後にリカルドがブランクに尋ねた。それをすることは可能であったが、しかしブランクは静かに首を横に振り、武器ケースを拾い上げて歩き出した。
「悪いが、俺の戦いはまだ終わってはいない。この世界から『法で裁けぬ悪』を抹消すること。それが俺の……イレイザーの戦いだからな」
 ヴィランやオブリビオンを負っていれば、また会うこともあるかもしれない。その時は、再び共に戦うのも悪くはない。
 それだけ言って、死神ブランクは街の裏路地に消えた。これからは、戦場の死神ではなく犯罪者にとっての死神になる。それこそが自分の……抹消者(イレイザー)としての戦いなのだと最後に告げて。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年11月30日


挿絵イラスト