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師弟の絆

#クロムキャバリア

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#クロムキャバリア


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「総員配置につけ! 国境線を守るんだ。バル国の侵攻は絶対に阻止する!」
 バル国によるアスワンへの侵攻作戦は白昼堂々行われた。両国の国境線沿いにずらりと並ぶひとつ目のキャバリアが一斉に砲撃を開始したのである。
 アスワン側も擁するキャバリアを総動員して迎撃に当たるが、根本的な戦力が違い過ぎる。
 さらに、ある一報がアスワン側の士気を大きく下げる原因となった。
「子ども?」
 愕然として、アスワン指揮官が繰り返す。
「あれに乗っているのは少年兵なのか?」
 指揮官は呆然とした後、帽子をむしり取って指揮卓を殴りつけた。
「バル国の悪魔め、勝つためには手段を選ばないということか!」

 ――オブリビオンマシンに洗脳された軍部高官が、両国の協定を破って突然の侵攻行為に出た。
「どうやら、問題のオブリビオンマシンは他のキャバリアをオブリビオンマシン化する謎のユーベルコードを使えるらしい。それで少年兵を乗せた量産型の機動砲台兵器を配下にくわえ、隣国のアスワンへと攻め込んだ。アスワン側は寝耳に水の事態なのと、元々の国力に差があり過ぎてこのままでは全滅を免れない」
 麒・嵐(東方妖怪の冒険商人・f29276)によれば、この少年兵たちは第一波に過ぎず、次の第二波を倒してようやく首謀者のオブリビオンマシンを引きずり出すことができるだろうという話だった。
「攻め込まれている方のアスワン軍については、猟兵の存在は既知であるから助けに来たと言えばすんなり通るはず。問題はバル国側の軍隊だな。首謀者は第二波に第一波の関係者を用意している。もし第一波の兵士に死人が出れば、第二波の関係者はよりオブリビオンマシンの狂気に飲まれ、パワーアップするという目論見だ」

 おそらく、この事件は後に『軍部過激派の暴走行為』として解釈され、両国の政治状況に何らかの影響を及ぼすだろう。しかし、それは猟兵達の関与することではない。猟兵はただ、オブリビオンマシンの破壊行為を食い止めるのみ、だ。
 嵐は肩をそびやかし、クロムキャバリアへの道を繋げて言った。
「さて、どうなることやら。見境を失った連中は怖いからね。それこそ、何をしでかすかわかったもんじゃない。どうなるかは皆のやり方次第だ。それじゃあ、気を付けて。いってらっしゃい」


ツヅキ
 プレイング受付期間:11/19 8:30~常時受付。

 2~3人ごとにまとめてリプレイを執筆します(タイミングやプレイングの内容によっては個別のお返しになります)。
 共同プレイングをかけられる場合はお相手の呼び名とID、もしくは団体名をプレイング冒頭にご記載ください。

 バル国…神政国家。『神使』と呼ばれる法学者が最高権力を持ち、直属の軍隊を使役できる。軍部内で力のある将軍・ファイザーバードがオブリビオンマシンに洗脳されたことで長年友好関係にあった隣国・アスワンに攻撃を仕掛けた。

 アスワン…バル国と国境を接する小国。軍事の大部分をバル国に頼っており、長年協定を結ぶ友好国にあったが、将軍・ファイザーバードの裏切りによって突然の侵攻を受け、混乱状態に。

 将軍・ファイザーバード…戦場での武勲をあげて将軍にまでなった智将。部下の信頼厚く、キャバリアの操縦技能も卓抜していたが、そこをオブリビオンマシンに狙われ、利用されてしまった。

●第1章
 バル国側の一斉砲撃が始まった直後から始まります。マシンだけを倒せば兵士達は正気に返るので、第二波が来る前にかくまったり逃がしてあげると安全です。数は多いですが(数十体ほど)、まだ戦いに不慣れな少年兵のために戦術的な対応力はあまりありません。

●第2章
 第一波で戦った少年兵の教官によって編成された小部隊です。戦いのベテランであるため第一波で戦ったオブリビオンマシンよりも強く、また第1章において死亡した少年兵がいる場合、彼らはオブリビオンの狂気に飲まれてパワーアップします。あるいは逆に助けている場合、その言葉や思いを伝えることができれば弱体化させることができます。

●第3章
 今回の事件の首謀者であるバル国将軍・ファイザーバードとの決戦です。

 第2章以降の受付は前章完結の翌日が目安です。雑記にてご案内しますので、ご確認をお願いします。
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第1章 集団戦 『HT908T『ファイアー・ワーカー』』

POW   :    デンジャー・アイ
【一時的に出力を過剰供給すること】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【頭部搭載型追尾式レーザーキャノン砲】で攻撃する。
SPD   :    スクラム・ブラスト・プロトコル
【敵に飽和砲撃戦を仕掛ける同型機】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[敵に飽和砲撃戦を仕掛ける同型機]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
WIZ   :    ダガーミサイル
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【飛翔剣型炸裂弾頭弾】で包囲攻撃する。
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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

神崎・柊一
同行:楊・宵雪(f05725)
「数は多いが動きは悪い…これなら、救助はできなくはないか

宵雪のジャミングに併せ突貫
手近な敵の脚部を斬艦刀で切り払い突っ込む
こういう時は飛び込ん乱戦に持ち込むことで誤射の危険で相手の動きを鈍らせ、鎖で敵機体を掴んでぶつける等でコクピットを潰さず機体を破壊していく
敵の数があまりにも多い場合はUC
翻弄しつつすれ違いざまに脚部や駆動系を切り刻む
宵雪機の射線を塞がないように立ち位置には気を付ける
撃破後、パイロットはコクピット周りの装甲を引っぺがし確保
保護は宵雪に任せて流れ弾から守る

保護は美女のほうがすんなりいくだろうしね
その分こっちは…身体使いますか…!


楊・宵雪
同行
柊一f27721

「かわいそうな子供たち。助けてあげないと

ジャミングしつつ突撃
部位破壊使いコックピットを避けて攻撃
レーザー射撃使用
「柊一、掩護するわ
乱戦のため死角からの不意討ち警戒
同行者の背中守る

撃破した機体は結界術とかばうで保護
「気がついたなら早く脱出なさい。怪我したお友達は手を貸してあげて

UCに多重詠唱、範囲攻撃、弾幕重ねて相殺
抜けた弾はオーラ防御で耐える

第一派鎮圧後
機体を調べて要救助者がいないか確認
いたら適宜応急手当のち後方へ避難指示



 一触即発状態の国境線を目指し、二機のキャバリアが並走する。目的の場所はすぐに見えてきた。砲台のようにずらりと並んだ長い首の頭に砲台となる特殊武装が埋め込んである――HT908T『ファイアー・ワーカー』』 である。
「かわいそうな子供たち。助けてあげないと」
 楊・宵雪(狐狸精(フーリーチン)・f05725)はジャミングを開始。味方間の連携が取れないように小細工しながら先陣をきって突っ込んだ。
「余計な動きをしないで!」
 絶対に、コックピットに当てたりはない。
 宵雪の正確無比な射撃は敵機の四肢を撃ち抜き、戦闘能力を奪ってゆく。突然の横槍に驚いた少年兵たちは明らかに混乱していた。
「数は多いが動きは悪い……これなら、救助はできなくはないか」
 神崎・柊一(自分探し中・f27721)は冷静に判断し、敵機の密集地帯へと突貫。手近にいた敵機から斬り払い、脚部から破壊する。
 ただでさえ、第三者の介入に浮足立ってしまった少年兵は柊一の目論見通りに統率を失っていった。
「あっ!」
 乱入者を狙ったはずが味方を誤って打ってしまい、慌てて銃口を逸らす。だが、背後から味方がぶつかってきたので驚いて振り返った。
「一体何が――」
「いいから、大人しくしとけ。後で綺麗なお姉さんが助けに来てくれるぞ? その分こっちは……身体使いますか……!」
 柊一は敵機体を投げつけた張本人であるビームアンカーの鎖を引き抜き、次の標的を掴んでは別の機体へとぶつけることで撃破数を稼いだ。
「柊一、掩護するわ。背中はわたくしが守るから、前だけに集中してちょうだい」
「了解。助かるよ」
 宵雪は微笑して頷くと、すぐに表情を引き締めて死角からの不意討ちに備えた。柊一はエアロフォームを起動、一気に勝負を決めにかかる。
「では、遠慮なくいかせてもらおうかな。数の差は手数で埋めるとしよう」
 追加武装のブースターが火を噴き、加速。敵の主力は砲撃であり、機動力に劣るという弱点をついた攪乱戦法だ。
「邪魔を――しないで!」
 敵機の頭より撃ち出される追尾式のレーザーキャノン弾と狐火が中空で衝突し、相殺し合う。
「柊一、そっちはどう?」
「問題ない、すぐに済ませる」
 柊一は器用にコックピット周りの装甲を剥がし、後を宵雪に譲った。彼女は柊一が器用に避けた射線をついてレーザーによる弾幕を張りつつ、戦闘不能になった少年兵たちに投降を促す。
「気がついたなら早く脱出なさい。怪我したお友達は手を貸してあげて」
「は……はい!」
 正気を取り戻して呆けていた少年兵は叱咤を受けてようやく動き始める。宵雪は自らの機体と結界を使い、彼らが避難するまでの時間を稼いだ。
「しかし、よくこれだけの数を揃えたな。オブリビオンマシンにも準備のいい奴がいたもんだ」
 流れ弾を特殊装甲で弾きつつ、宵雪に連絡を取る。
「あまり無理はするなよ」
「わかってるわ。要救助者が逃げ遅れていないか確認するのは第一波鎮圧後にする。もしも怪我人がいれば応急手当も必要よね」
「キミは本当に頼りになるよ」
「今ごろ気付いた?」
 宵雪は軽口で応じ、装甲を更に気膜で覆って防御力を上げる。馬鹿の一つ覚えのようなその砲撃、唯の一つとして柊一や子どもたちの元へと抜かせるものか。
「全員、助けてみせるわ」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アイオライト・セプテンバー
※アドリブ大歓迎

戦場に駆り出される子供たち……人のことを言える歳でないのは自覚しているわ
子供なれど信念も、戦う理由も、各々にあるでしょう
それでも、司令部にオブリビオンが関わっているとなれば話は別
大人たちが子供と戦うのに躊躇うなら、子供である私が剣にならないとね

自機キャバリア【ブルーテイル】は機動性を活かし、ユーベルコード、【ハイスピード・アサルト】にて、プラズマブレードでの格闘戦を挑みます
群れてくる敵なら、敵機の残骸を障害物にするよう切り崩す戦術を取り、連携を妨害しましょう

少年兵に傷を負わせぬよう、【操縦】技量を発揮して無力化
脱出した兵士は避難を促しつつ、自機を盾としながら避難経路を確保するわ


エル・クーゴー
●SPD



躯体番号L-95
当機はオブリビオンマシン影響下対象への非致死性制圧戦に高い適性を発揮します


・自キャバリア【アルテミス】を【操縦】しエントリー

・ユーベルコード【蒼い彗星】発動、自キャバリア機体から全搭載武装までフルに強化
・『殲禍炎剣』の照準を受けないギリの高度を伝い、敵密集地帯へカッ飛ばしていく(推力移動+空中戦)

・敵群の非致死での制圧の一助を担うことを目的に、機体のスペックと操縦技量で真っ向勝負

・敵砲撃の間隙を縫って飛びながら火器を操り、ファイア・ワーカーらの動作停止を狙った【誘導弾】群による脚部/動力部等のピンポイント破壊や、敵強化の阻害の為に合流を阻む目的での【威嚇射撃】を展開する



 アイオライト・セプテンバー(〝ブルーテイル〟・f29954)の自機キャバリア【ブルーテイル】は軽量、高機動をコンセプトに開発されたクロムキャバリアである。
 故にその超高速起動は他機の追随を許さず、プラズマブレードによる格闘戦においては無類の強さを誇る――その戦いぶりはまさに、青き尾を引くが如き勇ましさ。
「大人たちが子供と戦うのに躊躇うなら、子供である私が剣にならないとね」
 アイオライトは明るく呟き、戦場に馳せ参じる。敵の大群に恐れることなく斬り込み、こちらが捕捉される前にプラズマブレードで両断していった。
「はッ……早い!」
「ごめんね。少し衝撃が来ると思うから、しっかり掴まっていてくれる?」
 操縦桿を操作する指先の、ほんの微妙な力加減によって敵機に与える損傷率を調整。既に避難の済んだ残骸の背後に回り込み、敵の照準から外れた一瞬をついて死角から切り崩す。
「アルテミス、起動。エントリーを行います」
 エル・クーゴー(躯体番号L-95・f04770)の命令に応じて専用武装に搭載されたプログラムが高速でアップデートを開始。
「自キャバリア機体から全搭載武装まで最大強化完了。目標地点、敵密集地帯上空。オールクリア、推力全開」
 超低空を高速で突っ切るエルの電脳ゴーグルに表示される無数の弾幕。やれるものならとロールで躱しつつ、管制下にある火器を全開にして誘導弾を解き放った。
 戦場の各所で小規模の爆発が相次いで発生、被弾した機体の搭乗者たちから悲鳴が上がる。
「駄目だわ、脚をやられた!」
「まだだ、上から来る――あッ……!」
 ファイア・ワーカーの強みは連携した時の相乗強化である。ならば、それを崩してやれば? エルはゴーグルを上げ、アイオライトに連絡を繋いだ。
「こちらアルテミス。これより威嚇射撃を行います」
「こちらブルーテイル、了解したわ。脱出した兵士には避難を促し、避難経路の確保に移る」
 通信を切り、アイオライトは自機を敵の前に割り込ませて流れ弾から少年兵を守るように立ち塞がる。
「あ……」
 正気を取り戻したらしき少年兵が、コックピットから這い出しながらごくりと喉を鳴らした。アイオライトは一瞬だけコックピットから顔を見せ、「早く」と親指で後方を示す。
「逃げなさい。あなた達にも各々の信念、戦う理由があるでしょう。今回の侵攻はオブリビオンマシンが企んだことだけれど、ここから生きて帰れるかはあなた達自身の責任よ。自分の命は自分で守りなさい」
 それほど年の変わらない少女――いや、少年か? ――の言葉に少年兵ははっとした顔になって頷いた。
「あ……ありがとう!」
 アイオライトは親指を立てて応え、再び戦闘に戻った。人のことを言える歳でないのは承知しているが、それでも役に立ったことは嬉しい。
「こちらは避難完了したわ」
 報告を受けたエルは「こちらもあと少しで片づきます」と応答。目的はあくまでも非致死での制圧の一助である。連携を崩された敵機はもはや、抵抗する能力を奪われてまばらに弾を撃ち放すことしかできなくなっていた。
 エルはそれらを一体ずつ動けなくしつつ、彼らに投降を呼びかける。
「撃破された者は速やかに投降し、機体を捨てて避難してください」
 まるで蜘蛛の子を散らすように、戦場からは生きた者の気配がなくなった。エルの視界に『残存戦力0』の文字が表示される。
「……躯体番号L-95。第一波に対するオブリビオンマシン影響下対象への非致死性制圧戦の成功を報告します」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『ドッグ』

POW   :    突撃
【盾を利用した加速】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【斜面や狭所など地形】の協力があれば威力が倍増する。
SPD   :    D2エンジン起動
自身に【動力炉のオーバーロードによる熱気】をまとい、高速移動と【エネルギー屑】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    マイナーチェンジ
【更なる装備を重ねたキャノンモード】に変形し、自身の【移動能力】を代償に、自身の【攻撃力と射程距離】を強化する。
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
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 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「……第一波の全滅を確認。パイロットの生死は確認されていない。これより、我々も侵攻に参加する。もしも、教え子たちの死体を発見した場合――この戦いは弔い合戦となる。各員、承知の上で配置につけ」
 どこか機械的に戦況を伝え、命令を下す指揮官による通信。兵士学校の教官たちで構成された第二波の役割はできるだけ敵の情報を集め、戦力を削っておくこと。そのために彼らに与えられた機体の名を通称『ドッグ』という。

「『ドッグ』――正式名称をCT009-DASH。高い安定性を持つものの、歩行が困難で足裏の履帯で移動する平地用のキャバリアだ。可動式武装盾による防御性の高さが“売り”の、バル国防衛部隊における主戦力機となっている」
 猟兵たちの助力を受けたアスワン側の司令官は即座に通信回線を開き、持っている情報の開示を行った。
「あの履帯は斜面や狭い所で特に性能を発揮する。現在、戦場には君たちが倒してくれたファイアー・ワーカーの残骸が転がっているな。おそらくはあれらを利用し、最大加速して襲いかかるつもりだろう」
「――さらに、射程距離が強化されたキャノンモードと動力炉のオーバーロードを転用したD2エンジンの効果も侮れません」
 上司の話に割り込んだ士官のひとりが口早に伝えた。
「こら、まだ私の話が終わっとらん――」
「バル国はあの機体をもって周辺地域の支配を強めてきました。長い運用実績を持つ安定した機体です。強敵ですが、お願いです。彼らを止めてやってください。オブリビオンマシンに洗脳さえされなければ忠誠心厚い有能な教官たちなんです。どうか、お願いします……!」
アイオライト・セプテンバー
※アドリブ歓迎

CT009――固い機体ね
履帯を用いた走破性も厄介だけれど……何よりもD2エンジン
あれはパイロットへの負荷を与える代物と見える
なるべく早く止めてあげたい

ドッグのパイロットたち、聞こえる?
少年兵たちは無事よ。彼らも、アスワンの兵たちも、こんな戦いを望んではいない

【オーバーブースト・マキシマイザー】を起動
【推力移動】で敵機の高速移動に対抗、搭載火力を叩き込む
コックピットは外し、敵機動力炉を止めることに注力するわ

……「止めてやってくれ」と、そう頼まれたの
アスワンの人々も、少年兵たちも、貴方たちの帰りを待っている

誇り高き軍人ならば……オブリビオンの意思よりも、本当に守るべきものを思い出せ!


エル・クーゴー
●WIZ



ネクスト・ターゲットを目視で捕捉しました

敵影多数
狙撃モードに移行


・引き続き自キャバリア【アルテミス】を【操縦】しエントリー

・距離を挟んで遠方に陣取る
・アームドフォートよりアンチマテリアルライフルを展開、敵群相手に長距離射撃戦を挑む構え(スナイパー)

・サーチドローンの『マネギ』をその辺に射出
・敵布陣状況や狙撃時に弾道へ影響する要素を収集(偵察・索敵・撮影・情報収集)させデータリンクし【瞬間思考力】で処理、狙撃成功率の上昇を期す

・コード発動、魔弾を装填(誘導弾+呪殺弾)
・狙うは「ドッグがこちらへキャノンを撃つ瞬間」
・砲弾が砲身から射出されるその瞬間「砲身内で」その砲弾を狙い撃ち暴発させん!


清水寺・大牙
【アドリブ・絡み歓迎】
【POWで対抗】

「骨のありそうなのが出てきたじゃないか…そうでなくては、な。だろう、『雪風』」

なるほど、装甲と速度には自信がありそうだが、それが時に弱点ともなる
重い機体では取り回しが効かんだろうから、そこを利用させて貰う

敵機の残骸を盾にしながら小刻みな動きと瞬発力で間合いを詰め(ダッシュ・推力移動・残像)、懐に飛び込んだらUCで攻撃回数を減らし、攻撃力を上げた『零閃』の斬撃を浴びせる
パイロットに恨みは無い、胴体への直撃は避けて狙いは脚と武装だな

「見ろ、どの機体もパイロットは脱出している。お前達が後を追う必要は無い」



 CT009――該当機体のスペック情報の分析結果がアイオライト・セプテンバー(〝ブルーテイル〟・f29954)のモニターに表示。
「固い機体ね。履帯を用いた走破性も厄介だけれど……特筆して警戒すべきは、このD2エンジンシステム」
 オブリビオンマシンがパイロットの身の安全を考えてくれるとは到底思えない。一刻も早く止めなければ――アイオライトは決意を定め、オーバーブースト・マキシマイザー解除の手続きを実行。同時に通信回路を開き、敵機への説得を試みる。
「ドッグのパイロットたち、聞こえる?」
「! 隊長、敵からの通信です」
 色めきだつ敵軍へと、アイオライトは少年兵とアスワン兵士の無事を伝えた。
「彼らはこんな戦いを望んではいない。アスワンの人々も、少年兵たちも、貴方たちの帰りを待っている」
「隊長――」
「構うな、攻撃しろ。敵の戯言に惑わされるな」
 無情なる命令に従い、教官たちは自ずから動力炉の限界を突破。逆巻く熱気を纏いつつ突撃してくるさまは特攻としか言いようがない。
「分からずや……!」
「なッ――」
 決して、彼らに慢心があったわけではない。だが、命と引き換えにしたオーバーロード戦法を上回る速度の機体が目の前に現れるなど想定してはいなかったのだ。
「こいつ、速い!」
 ブルーテイルはオーバーブーストを用いて飛翔する。同時にあらゆる搭載火力を解放、圧倒的な弾数を叩き込まれた敵陣から立て続けに爆炎が上がった。
「動力炉停止、2機が活動限界です!」
「報告します、遠方に別の敵性機体を確認。周辺に動物型のサーチドローンを展開、情報収集を行っている模様」
 戦場から距離を挟んだ遠方、白と水色のツートーンカラーの機体・アルテミスに搭乗したエル・クーゴー(躯体番号L-95・f04770)はネクスト・ターゲットを目視にて捕捉。ただちに狙撃モードへと移行する。
 アームドフォートよりアンチマテリアルライフルを展開、サーチドローン『マネギ』とデータリンク完了。
「敵布陣状況……2時の方向より波状となって接近中」
 モニターにはデータが幾重にも蓄積されてゆく。障害物となる敵機残骸の立体データにドッグの行動予測を重ね合わせ、その砲身がこちらを捉えるまさにコンマ数秒前の出来事だった。
 コマンド実行、『CALL>_“ザミエル”』。砲弾を放出するため足を止めたドッグのパイロットはその名の通り、“悪魔”を視た。
「ひッ……」
 黒い火の玉のように宙を迸った魔弾は砲撃のために足を止めたドッグの、いままさに砲弾を発射しようとしていた砲身の中へと飛び込んだのである。
「うわ!!」
 暴発した砲身の余波でドッグは大破。エルは立て続けに魔弾を放ち、数体のドッグを戦闘不能にしていった。
「派手にやってるじゃないか」
 なるほど、と清水寺・大牙(人食い虎・f06778)は敵の特徴からその弱点を推測する。軍部の主力機が相手とあらば腕が鳴るというもの。
「骨のありそうなのが出てきたじゃないか……そうでなくては、な。だろう、『雪風』」
 赤威の武者鎧を思わせるキャバリアは戦場へ躍り出るなり、敵機の残骸を掴んでドッグの突進を受け止めた。
「なに――!?」
 脆いファイアー・ワーカーの残骸が衝撃に爆ぜ、互いの視線がモニター越しに交錯する。
「邪魔をするな!」
「と、言われて大人しく退くとでも? 装甲と速度には自信がありそうだが……その重い機体では取り回しが効かんだろう」
 当意即妙、出会い頭の交戦で態勢を整えるのに遅れをとったドッグの間合いへと雪風を速やかに割り込ませる。
「獲った、な」
 鋭い剣閃――ただ一刀に通常の5倍にも及ぶ攻撃力を増したそれが迸った瞬間、武装と脚部を切り離されたドッグの胴体が地響きを上げて倒れ込んだ。
「隊長、こいつら本物です――ああッ!」
 指揮官を護衛する機体のうちの一機を撃ち払い、アイオライトが着地する。
「……『止めてやってくれ』と、そう頼まれたの」
 指揮官機を前にしたアイオライトは、真っすぐに告げた。
「誇り高き軍人ならば……オブリビオンの意思よりも、本当に守るべきものを思い出せ!」
 ふた回り近くも年下の少年に喝破されたバル国側のパイロットは誰も言葉を発することができない。
 やがて、指揮官だけが掠れた声を絞り出した。
「な、なにを……年端もいかぬ子どもたちを殺した分際で綺麗ごとを抜かしおって! 総員、突」
「――その前に自分たちの足元をよく見てみたらどうだ? 見ろ、どの機体もパイロットは脱出している。お前達が後を追う必要は無い」」
 大牙の指摘に攻撃の手を休め、辺りを見回した者たちの間でざわめきが広がった。確かに――ない。死体どころか、ほとんど血の跡すら残っていない。
 その様子を撮影していた『マネギ』が眠そうに顔を洗いながら分析結果を報告する。エルはそれを他の猟兵たちにも伝えた。
「オブリビオンマシンの不活性化を観測しました。全ての数値において戦闘開始時点よりも弱体化、脅威度の低下が確認されています」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

楊・宵雪
同行
柊一(f27721)
「新手ね。敵とは言え教え子をあんなに心配するなんて、いい先生達だわ

今回は囮役
餌となり、敵の攻撃する時にできる隙を同行者についてもらう

わざと複数の道の合流する狙いやすいところで静止し軽く弾幕
継戦能力で耐え
受け時はオーラ防御使用

その後、同行者の左足に着目し
飛ぶ前兆に合わせてレーザー射撃+部位破壊で脚部を攻撃し動き止める
周囲の敵が複数なら弾幕も使用
「パートナーのすることなんて言われなくてもちゃんとわかるのよ

さらに抵抗の兆しあればUC発動
「またあの子達に会いたくないの?しっかりしなさい
狂気から目覚めさせるように叱咤


神崎・柊一
楊・宵雪(f05725)と同行

「第二波…ねぇ。戦力の質から第一波よりは大分いい
さっきみたいにはいかないか…!

生徒たちに頼み第二波のパイロットへの停戦を要請
不可であっても生存を知らせる事で揺さぶりたい
「身柄は保護してる。戦う意味なんてないだろう、なんでそれが解らない!

囮は宵雪に任せ、その隙をついて一気に飛び込む
乱戦で敵の機体を盾にしつつ引っ掻き回す
特に盾受けしている機体や反撃動作に移った機体を標的に
足を切断、砲身を破壊し無効化を狙う

注意が集まった所でUC
飛ぶ際に左足で踏み切りバーニア―を吹かす癖がある
飛んだ後の相方の追撃に乗じてこちらも突貫し決める

「シャオならうまくやる。もしだめなら…僕が悪い!



「敵の動きが悪くなった……! 攻めるなら今ね。柊一、準備はいい?」
 楊・宵雪(狐狸精(フーリーチン)・f05725)の真っ白なキャバリアがファイアー・ワーカーの残骸を器用に避けつつ囮となる。
「いつでもいけるさ……なぁ?」
「はい!」
 神崎・柊一(自分探し中・f27721)に頼まれた少年兵たちはアスワンに借りた通信機器を使ってドッグに停戦を呼びかけた。
「教官、僕たちは無傷です。こんな戦いは間違っています!」
 この通信はドッグ側の士気を大いに下げることとなった。なにしろ弔い合戦という大義名分が失われてしまったのだから。
「隊長……!!」
 悲鳴のような教官たちの戸惑いもオブリビオンマシンの前には空しく響くばかりだ。戦いたくない、けれど戦わなければならない。己の意思とは裏腹に操縦桿を握る手は敵を倒そうと動き続ける。
「身柄は保護してる。戦う意味なんてないだろう、なんでそれが解らない!」
 柊一の説得をかき消すように教官たちの叫びが重なった。
「く……くそぉおおおッ!!」
 大量に射出されるキャノン砲が宵雪の弾幕と相殺され、空中で激しく爆ぜる。余波をオーラ防御で弾き、宵雪はわざと彼らが狙いやすい合流地点に陣取って戦いを継続した。
「あの人たち……教え子のことをとても心配していた。きっといい先生達だったんだわ。大丈夫、必ずあの子たちの元へ帰してみせるから」
 ――来た。
 敵の死角をついた柊一の駆るキャバリアが戦場を一気に引っ掻き回す。
「くッ……!」
 腕を取られ、砲撃の盾にされた機体のパイロットが叫んだ。
「砲身が!?」
「悪いけど、こいつは破壊させてもらうな」
 柊一の振るった大太刀が敵の武装を潰し、足を切断。自軍が次々と行動不能に追いやられる有り様は焦りを生み、判断力を奪ってゆく。
「何をもたもたしている! そいつを倒せ、倒すのだ!!」
 隊長機は盾を構え、一直線に柊一へと迫った。
「戦力の質から第一波よりは大分いい。さっきみたいにはいかないか…!」
 一方、柊一は次元強化フォームを承認。宵雪との打ち合わせ通り、勝負に出るならここだろう。
「シャオならうまくやる。もしだめなら……僕が悪い!」
 外付けのバーニアーが激しく火を噴いた瞬間、宵雪は確かに彼の左足が踏み切るのを見た。
「くらいなさい!」
 レーザーによる一斉射撃だ。周囲にいた敵機は脚部を集中的に狙われ、その動きを停止する。
「パートナーのすることなんて言われなくてもちゃんとわかるのよ」
 宵雪が信じていた通りに柊一の追撃が勝負を決めた。かろうじて行動可能だった機体もその突貫を受けて沈黙。
「やったわね」
「ほっとしたよ」
 柊一に頷き、宵雪は最後に残った隊長機の抵抗を得意の符術によって封じ込めた。これが最後通牒である。
 胸いっぱいに息を吸い込み、心底からの叱咤を浴びせかける。
「またあの子達に会いたくないの? いい加減、しっかりして自分を取り戻しなさい!」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『機動殲龍『裁断』』

POW   :    大陸溶断機構『裁断』
【超広域レーダーで戦場をスキャンし頭部】から【戦場の全対象に大口径高出力レーザー】を放ち、【戦場を裁断する。外れても大地を割る事】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD   :    超広域探査機構『天眼』
【周囲にバリアを展開。探査波を飛ばし何らか】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【LV個の大陸溶断機構『裁断』】から、高命中力の【地形を変える程の大口径高出力レーザー】を飛ばす。
WIZ   :    戦場一掃機構『地均』
レベル分の1秒で【LV回放射状に広がる質量を持ったバリア壁】を発射できる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はビードット・ワイワイです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「そうか、我々はオブリビオンマシンに洗脳されてこのような事態を引き起こしてしまったというのか……くそッ……!!」
 猟兵たちの活躍によってオブリビオンマシンは破壊され、正気を取り戻した教官たちは大破した機体へと悔しそうに拳を打ち付けた。
「これは重大な国際問題になるだろうな……いや、今はそれを気にしても仕方がない。問題はファイザーバード将軍だ。彼を止めなければ、アスワンへの侵攻は終わらない」
 彼らはやるせない視線を地平線の彼方へと差し向けた。
 ――来る。
 一歩ごとに大地を揺るがせる巨体。かつてこの大地の覇者であった最大最強の古代生物をモデルにした試作機。

「機動殲龍『裁断』……だと……!?」
 その存在を認めたアスワン側の指令本部もまた、動揺を隠せない。
「あれはまだ実用段階には至っておらんはずではないか。あんなものまでオブリビオンマシン化するというのか?」

「逃げた方がいいと思いますがね」
 教官は諦めたような顔で猟兵たちに告げた。
「あれを抑えるのは無理です。超広域探査機構との連携によって、どこにいようと大口径高出力レーザーの餌食となる……それだけじゃありません。バリア壁による防御機構も逸品です。規格外の化け物ですよ」
 神よ、と彼は呟く。
 首謀者である将軍を乗せたオブリビオンマシンは高々と頭をもたげ、こちらを睥睨するようにゆったりと蠢いてみせる。それこそ、生殺与奪の全権を握る神の如き所作であった。
楊・宵雪
同行
柊一(f27721)
「化け物だろうがやるしかないわ。外交問題になるというのならなおさら、被害は小さくとどめないと

あれはパイロットが乗るものなのかまず問う
コックピットの場所がわかれば聞き出しておく
その後は守りながら戦うのは難しいためNPCに避難を指示

敵レーダーにジャミングで対抗
敵の対地攻撃は空中浮遊にて対応
「地面がボロボロに…なんて威力なの

「ありがとう柊一。あとは任せて
『地均』は同行者の背後に隠れやりすごし
バリア切り抜けた先でUCで敵を攻撃


神崎・柊一
同行:楊・宵雪(f05725)
「ものは考えよう、でしょ
オブリビオンの脅威が露呈して、それを僕らが証言すれば軍事同盟にも発展できる
…ま、こいつを攻略できれば、の話だけどね

敵のレーダーをジャオがジャミングで対抗している間に突貫
対地攻撃は空中浮遊で回避
敵の高命中、高威力レーザーの”正面”から接近

「こいつには最低限の武装しかない
それはこれだけあればどうにでもなる、ってことなんだよね…!」

敵の攻撃に併せUC発動
光線を、バリアを切断し道を切り開く
バリア内部まで到達後、シャオのUCに併せコクピットを避け機体を大きく切断
「一機倒千、がコンセプトのこいつに斬れないものはあんまりないんでね。」
パイロットは救出する



「あれ、ね……」
 我が物顔でやってくる巨大オブリビオンマシン――機動殲龍『裁断』。楊・宵雪(狐狸精(フーリーチン)・f05725)はコックピット越しにその存在を認め、呟いた。
「化け物だろうがなんだろうが、やるしかないわ。外交問題になるというのならなおさら、被害は小さくとどめないと」
 純白の九尾が空気を孕み、ふっくらと逆立ってゆく。宵雪は軽く身を乗り出すように前屈みの姿勢をとった。
「アスワンの通信兵、応えて。あれはパイロットが乗るものなの?」
「はい。有人の機体であったはずです」
「コックピットの場所は?」
「少々お待ちください………………申し訳ございません、バル国の教官たちに問い合わせましたが機密事項のため知らされていないとのことでした」
「なるほどね、ガチってやつだわ」
 宵雪は声を低め、彼らに避難を要請した。
「さっき助けたあっちの国の人達も全員、戦場から出来る限り遠くに離脱しろと伝えてちょうだい。話を聞いた感じだと、あれの攻撃は辺り一帯全てが射程に含まれてしまう。とても守りながらは戦えないわ」
「承知しました。『裁断』の戦場到着までになんとしても避難を間に合わせます」
 通信が切られるのと同時に宵雪は敵レーダーに対抗するためのジャミングを開始。
「柊一、聞いてた?」
「ああ、強敵だがやるしかないね。それにものは考えよう、でしょ。オブリビオンの脅威が露呈して、それを僕らが証言すれば軍事同盟にも発展できる……ま、こいつを攻略できれば、の話だけどね」
 神崎・柊一(自分探し中・f27721)の眼前にまで迫った『裁断』はキャバリアに騎乗した状態でさえも見上げるほどに巨大だ。
「敵レーダーがスキャンを始めたわ。ジャミングの妨害率は58%、高出力レーザーの約半分はそのまま射出されてくるわよ!」
「やってやるさ……!」
 ジャミングによって狙いを逸らされたレーザーが大地を砕き、足場を破壊する。
「地面がボロボロに……なんて威力なの――?」
 宵雪と柊一は機体を浮かし、亀裂の入った大地から逃れる。
「シャオ、僕の背後へ」
「ええ、何があってもついていくわ!」
 絶え間ない流星雨のように降り注ぐレーザー群。だが、柊一は怯むことなく“正面”から突っ込んだ。襲撃を察知した『裁断』がバリアを張り巡らせるまでの時間が刹那のうちに過ぎてゆく。
「こいつには最低限の武装しかない。それはこれだけあればどうにでもなる、ってことなんだよね……!」
 ただ一刀、携えた刀が敵の展開するバリアごと光線を切断。一瞬の間隙に身を滑り込ませた『礎刃耶』の背後より飛び出した『蚩尤』と『裁断』を遮るものはもはや何もありはしない。
「ありがとう柊一。あとは任せて」
 無数の狐火が『裁断』を囲い込み、最後はひとつとなって巨大な炎の中に閉じ込める。
 そこへ更に、駄目押しの斬撃が閃いた。
「一機倒千、がコンセプトのこいつに斬れないものはあんまりないんでね」
 コックピットがある可能性の高い中心部を避け、斬艦刀を振り抜いた柊一の視界を引きちぎられたキャバリアの外装が乱れ飛んでいった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アイオライト・セプテンバー
※アドリブ歓迎

いよいよ大ボスのお出ましかしら
大火力かつ堅牢なバリア……こういうのを相手するのは骨が折れるわね
でもせっかく助けられた人たちがいるんだもの
泣き言を言っている場合じゃない……そうでしょう?

本機の火力ではあのバリアは破れないし、探査波も防げる保証はない
高機動で砲撃を躱しても味方へ流れ弾が飛ぶかもしれない……

なら、もうこれしかないわね

【推力移動】を全開にして、裁断上空を高速飛行
ホーリーグレイルの射線を誘導し、あのデカブツを撃たせる

本機自体は攻撃を行わず、【見切り】に集中
ホーリーグレイルと敵の高出力レーザーの回避を最大限重視

危ない橋だけど……上空が一番広く回避行動を行える
この作戦に賭けるわ


エル・クーゴー
●POW



最終撃破目標を目視で捕捉しました
これより、敵性の完全沈黙まで――ワイルドハントを開始します


・自キャバリア【アルテミス】を【操縦】し『裁断』へ最大戦速/低空飛行で接近を敢行(推力移動+空中戦)

・【狩猟の魔眼(状態異常力重視)】発動、コクピット内で電脳魔術を全力運営(リミッター解除)
・敵レーダーを【瞬間思考力】で逆算処理、自機の位置を敵に対して欺瞞するジャミングを展開(暗号作成)、回避率向上を期す

・飛行していれば「割れる大地」に直接移動力を阻害されまい
・ならば一瞬、レーザーの回避さえ成ればいい

・敵へ最接近ざま搭載爆装を『裁断』へありったけ投下、速度を維持したまま戦場離脱を図る(爆撃+蹂躙)


清水寺・大牙
【アドリブ・絡み歓迎】
【POWで対抗】

「最後にドラゴン退治…良いじゃないか、締めくくりに丁度いい相手だ」

雲霞の如き敵を薙ぎ払うのも悪くないが、やはり大物狩りは血が滾る…この義体に血が流れていなくとも、な
小手先の技が通用する相手じゃない、全力で真っ向勝負と行こう
『金剛』と『寿光』の能力全開で間合いを詰め(ダッシュ・推力移動・オーラ防御・残像)
UCの『斬鉄』で攻撃回数を減らす代わりに攻撃力を上げて切り伏せる

「その首…貰い受けるぞ…」



「逃げる? いいえ、立ち向かうのよ」
 アイオライト・セプテンバー(〝ブルーテイル〟・f29954)の眼前で嘶いた『裁断』の周囲に薄っすらと発光するバリアのようなものが展開……こういうのを相手にするのは骨が折れることを、アイオライトはこれまでの経験で知っている。
「でもせっかく助けられた人たちがいるんだもの。泣き言を言っている場合じゃない……そうでしょう?」
「同感だ。大物狩りは血が滾る……この義体に血が流れていなくとも、な」
 清水寺・大牙(人食い虎・f06778)はサングラスを指で押し上げ、装備の設定を切り換えた。白兵戦用から斬撃特化へ。今必要なのは小手先の技ではなく、全力での真っ向勝負だ。
「最後にドラゴン退治……良いじゃないか、締めくくりに丁度いい相手だ」
 『金剛』と『寿光』の両装置を最大出力で稼働する。戦場を真っ二つに砕くほどの高出力レーザーを弾き返しながら加速、残像を描いて戦場を馳せる。
「最終撃破目標を目視で捕捉しました。これより、敵性の完全沈黙まで――ワイルドハントを開始します」
 エル・クーゴー(躯体番号L-95・f04770)の操縦するアルテミスも敵への接近を果たすために低空を超高速で突き抜ける。
「敵レーダー軌道……逆算処理完了、ジャミングを展開。目標の命中率44%にまで低下を確認。このまま最接近します」
「了解! 『天眼』はこちらで引き付けるわ」
 アイオライトは応答と同時に推力機構を全開、瞬時に飛び立つと『裁断』の上空を旋回して激しい火戦のなかに機体を晒した。ブルーテイルの火力であのバリアを破るのは不可能だと判断した捨て身の作戦である。
「高軌道で砲撃を躱しても味方が巻き込まれる危険を考えたら……もう、これしかないわね。いくわよブルーテイル。私の覚悟に応えて!」
 一瞬、視界が空の青一色に染まった。戦場全てを射程に捉える敵機の攻撃から逃れるには、この広い空が最もやりやすい。
「当たるものですか……!」
 まんまと作戦に嵌った『裁断』の複製たちはブルーテイルを狙ったつもりで、本機に当たる『裁断』に無数のレーザーを降り注ぐはめになった。
「敵性機体の損傷率68%を突破」
 割れた大地の上空をアルテミスはまるで北を目指す渡り鳥のように飛び続ける。翼を掠めたレーザーが地平線の彼方で山肌に当たり爆発した。
「目標真上まで5、4、3、――搭載爆装を全投下」
 エルの命令はすぐさま承認された。残弾の全てがアルテミスから放たれ、子機のレーザーによって足止めを食らっていた『裁断』はその全てを被ることになった。
 そのまま最大速で戦場離脱するエルの後方で大破した『裁断』の外装が吹き飛び、露わになった駆動部が熱でひしゃげる。足を一本失ってなお頭部を大きくもたげ、戦場を破壊する姿は殺戮兵器そのものであった。
「その首……貰い受けるぞ……」
 大牙が狙うはライトグリーンに輝く攻撃の要――頭部そのもの。攻撃の回数は捨て、ただ一撃に全神経を漲らせる。まるで太古の竜狩りを思わせる動きで跳躍し、その首を一刀両断にて叩き落した。
 『裁断』が爆発する直前、コックピットから操縦者が脱出するのが見えた。ぐったりとしているがどうやら生きてはいるようだ。
「操縦者の生存を確認。以上、任務遂行しました」
 エルの報告を受け、アイオライトはほっと胸を撫でおろす。
「なんとかなったわね。……皆、お疲れさま」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年12月02日


挿絵イラスト