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マシン怪人、交通トリオ現る!

#キマイラフューチャー #猟書家の侵攻 #猟書家 #プレステル・ピスティ #テレビウム #システム・フラワーズ

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●改造・マシン怪人
 ここは機械軍プレステルの研究所。
 無影灯が光る実験室内では、今まさに「マシン怪人化」が行われようとしていた。
「塵も積もれば何とやら。このような怪人でもマシン怪人に改造してしまえば、相応の働きはしてくれるでしょう」
 首領、プレステル・ピスティは手にはめたぬいぐるみ越しに小型の機械を手にした。
 目の前の手術台に横たわるのはタイヤ、一方通行の標識、三角コーンをモチーフにした小型の怪人だ。その体へ、ぬいぐるみは機械をぐりぐりぃっ、と遠慮なく強引に捻じ込んだ。
 びくん、と怪人の体が跳ねる。埋め込まれた機械が作動し怪人を侵食していく様を、プレステル・ピスティは黙って見届ける。
 そうして、世にも恐ろしいマシン怪人が完成した。

●狙われたテレビウム
「うわあー! たーすけてー!」
「来ないでー!」
「キヒ、キヒ、キヒャアア!!」
 マシン怪人がキマイラフューチャーの街に放たれていた。怪電波を発しながらテレビウム達に襲い掛かっている。
 怪電波を受けたテレビウムは顔に一瞬ザザッと砂嵐が走ったかと思うと、パッと鍵が現れた。
 それはメンテナンスゲートの鍵だ。鍵の浮かんだテレビウムを大量に集めれば、キマイラフューチャーの中枢、システム・フラワーズへの道が開かれる。
 この世界の根幹。それを掌握しようというのがプレステル・ピスティの狙いだ。マシン怪人と化した配下はそこら中へ怪電波を乱れ撃ち、テレビウム達をその鍵へ変えていく。
「この調子でいけば、システム・フラワーズへの侵入も時間の問題……さぁ怪人達、さらに多くのテレビウムを集めるのです」
 プレステル・ピスティは近くの建物の上から、静かに成り行きを見守っていた。

●キマイラフューチャー・1stラウンド
 ロザリア・ムーンドロップ(薔薇十字と月夜の雫・f00270)は今日もまたグリモアベースに顔を出す。
「皆さん、事件です!」
 このような文句を何度叫んだことか。しかし端的に危機を伝えるならばこれくらいが丁度よくもある。
「『キマイラフューチャー』で猟書家の一人、プレステル・ピスティが動き出しました! 彼女は配下をマシン怪人に改造して、街にいるテレビウムを襲わせようとしているようです!」
 ロザリアが視た予知は非常に鮮明だった。それはつまり、視た光景がもう間もなく現実となることを示していた。
 言葉も無意識のうちに早くなる。
「テレビウムと言えばシステム・フラワーズですね! プレステル・ピスティはそこへ侵入するために、たくさんのテレビウム達に鍵を映し出そうとしているんです! 皆さんには今から現場へ向かっていただきますが、おそらくもう何人か、鍵が映ったテレビウムがいるかと思います!」
 怪人が放つ怪電波の影響を完全に防ぐことはできないようだが、幸い連れ去られるタイミングには間に合いそうとのことで、テレビウム達を救出し素早い怪人の撃破が求められる。
「テレビウムを襲っている怪人は『交通トリオ』と呼ばれるものですが、見た目がちょっと機械っぽいようです! ただ、攻撃手段は大して変わっていないので、冷静に対処すれば大丈夫かと思います! プレステル・ピスティは怪人達の動きをどこかから観察しているでしょうから、怪人達を倒し続けていけばきっと出てくるはずです! 皆で悪の組織の陰謀を打ち砕きましょう!」
 ロザリアはぎゅっと握った手を高く突き出して、集まった猟兵達を鼓舞するのだった。


沙雪海都
 沙雪海都(さゆきかいと)です。
 今回はキマイラフューチャーでやっていきたいと思います。

●フラグメント詳細
 第1章:集団戦『交通トリオ』
 うじゃうじゃいてテレビウムを攫おうか、というところで猟兵の登場です。
 びしばしっとやっつけましょう。
 カッコいいファーストアタックを決めるとテレビウムが応援してくれるかもしれません。

 第2章:ボス戦『プレステル・ピスティ』
 さすがに怪人が全部倒されたら出てくるのではないでしょうか。それまで居場所はわからないです。
 ボス戦としては普通な感じになるかと思います。

●MSのキャパシティ
 合わせプレイングはお受けできません。申し訳ないです。
 ゆったりペースで進行予定です。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『交通トリオ』

POW   :    一方通行怪人・ウェポン
【一方通行兵器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    タイヤ怪人・ジェノサイド
【タイヤ攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ   :    三角コーン怪人・リフレクション
対象のユーベルコードに対し【三角コーン】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ニコリネ・ユーリカ
交通トリオ……敵も良い素材を見つけたようね
私も走り屋として気になっていたの
心を無くした貴方達に熱く滾る魂をぶつけてあげるわ

営業車『Floral Fallal』をドリフト走行させて戦場へ
鋭いスキール音で先ずは敵の耳を惹き付ける
テレビウムを轢かないよう停車し、窓から顔を出してご挨拶

皆様ごきげんよう!
良い子のテレビウムは道端で応援をよろしくね
悪い子の交通トリオは道の真ん中で待ってなさい
DJポリスよろしくマイクを手に敵と観客を分けます

地形や諸々の位置を確認したらUC発動!
中古車と思ったら大間違い
3.8L、V8ツインターボエンジンを搭載した改造車は爆速の鐵塊
ワイルドにも精確なドラテクで弾き飛ばしちゃえ!



●ドライビング・ヒーロー
「いやー! 助けてー!」
 逃げ惑うテレビウム達に交通トリオの魔の手が迫ろうかというその時だ。現場にニコリネ・ユーリカ(花売り娘・f02123)の営業車『Floral Fallal』がドリフト走行で突っ込んできた。
 鋭いスキール音が轟き、交通トリオは一斉に飛び退く。テレビウムと交通トリオの間に割って入るような形で営業車は停止した。
「皆様ごきげんよう!」
 ニコリネは開けた窓から肩まで乗り出し、鍵が顔に浮かんだテレビウム達へにこやかに声を掛ける。テレビウム達は鍵のせいで表情こそ読み取れないが、
「わぁ! ヒーローさん!」
「ドリフトかっこいい! やっぱり来てくれた!」
 と大はしゃぎ。
「良い子のテレビウムは道端で応援をよろしくね」
「わかったー!」
「はーいっ!」
 パチリとウインクでテレビウム達と会話するニコリネはヒーローショーの案内役のお姉さんのようでもあり――そして颯爽と登場したヒーローそのものでもある。
 テレビウム達は素直に現場の端っこへと避難し、大きく手を振りながら声援を送る。
 声援を車体いっぱいに受けて、ニコリネは運転席からフロントガラス越しに交通トリオを睨みつけた。
 この世界が割れるのは二度と御免だ。声援は力となり、ニコリネを奮い立たせた。
「悪い子の交通トリオは道の真ん中で待ってなさい!」
 手にしたマイクで車外へと声を拡散する。ヒーローには決め台詞がつきもの。ニコリネの宣戦布告に、テレビウム達はさらに沸き立った。
「キシシシシッ」
 交通トリオは揃ってニコリネをあざ笑うかのような声を上げる。
「上等よ……!」
 ニコリネはハンドルを強く握る。同時に見える範囲の地形や物の配置を確認した。
 頭の中に描くのは未来の車体の残像だ。これからこの車がどう走るのか。どこでハンドルを切れば、どうドリフトしていくのか――それに交通トリオの動きが噛み合った時、ニコリネはアクセルを踏んだ。
 タイヤが地面に噛みつき、営業車はぐんと加速する。交通トリオの姿は正面からやや左方向に捉えていた。
 交通トリオはメタリックに改造された体を武器にする。タイヤ怪人がその頭を接地させて逆立ちし、両手を伸ばして残りの一方通行標識怪人と三角コーン怪人を乗せていた。
 そうして多数の交通トリオが三体一組を構成すると、一輪車のように走行して続々と突っ込んできた。まるでイカれた暴走族だ。
「マシン怪人化した体ならぶつかり合いで勝てるとでも言う気!? この子をただの中古車と思ったら大間違いよ!」
 排気量3.8LのV8ツインターボエンジンが唸る。オブリビオンとの戦闘に耐えうるだけの改造が施された営業車が加速する様はまさに爆速の鐵塊だ。
「旋回方向と逆にステアリングを切って、オーバーステアを意図的に誘発するの。そしたら――」
 ニコリネはギャッとハンドルを捌く。車体は後輪が遠心力で外側へ振り出され、楕円のような弧を描きながら交通トリオへの正面に向かっていく。
「ノーズがインに向かってキスするわ!」
 一つ間違えればスピンしてそのまま横転だ。それを絶妙なバランスで保ちドリフト走行に繋げていた。
 前傾していた交通トリオは合体突撃による直撃を目論んでいたに違いない。しかしオーバーステアによる巻き込みの分だけ車体が離れていくことは計算できていなかった。故に紙一重、衝突の前にドリフト走行の衝撃波が割り込み交通トリオを弾き飛ばす。
 舞い上がりながら三体一組の交通トリオは次々に合体が解ける。彼らの体に空中での制御機構などありはしない。飛ばされた体は放物線を描いて落下していく。
 とばっちりの鉄の隕石。また新たに組み上がろうとしていた交通トリオを、衝撃波で弾かれた交通トリオの体がブレイクする。
 ワイルドかつ精確なドライビングテクニックを披露するニコリネは、ビリヤードの名手にもなっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エルヴィン・シュミット
[アドリブ歓迎]
あー…うん、まず最初に一ついいか?
ダセえんだよ、テメェら!何だその頭は!もっとやる気を感じさせるデザインとかなかったのか!
もういいや、さっさと片付けてやる!

【霊刀「菖蒲橋」】の【早業】と【切断】、そしてUCでその頭を落としてその辺に並べてやるよ!
タイヤはともかく、標識や三角コーンは道路で大人しくしてるのがお似合いだぜ!
敵の攻撃は【第六感】と【見切り】で対処だ!
「一方通行兵器」なんて言うくらいだ、一度避けちまえば行ったっきりで終わりと見た。

『さあ、お遊びの時間はもう終わりだ!さっさと道路の端っこにでも帰りな!』



●刀技一閃、悪を斬る
「あー……うん、まず最初に一ついいか?」
 エルヴィン・シュミット(竜の聖騎士・f25530)は物申す。このもやもやを抱えたまま戦いに臨みたくはなかった。
「ダセえんだよ、テメェら! 何だその頭は! もっとやる気を感じさせるデザインとかなかったのか!」
「キヒャ?」
 タイヤ、一方通行標識、三角コーンに人形の胴体をくっつけたような、何とも力の入らない姿だ。マシン怪人化でいくらかマシになったような気もするが……やはり焼け石に水という感じは否めない。
「キヒャ、キシシィ」
「あーわっけわかんねぇ! もういいや、さっさと片付けてやる!」
 ここまでまともな言葉を発したのを見ていない。これ以上の会話は余計に頭がこんがらがる、とエルヴィンは諦めた。
「コイツで……決めるぜ!」
 霊刀「菖蒲橋」の柄に手を掛ける、と同時に、と言うべき早業で刀を抜き閃かせた。鏡のように綺麗な断面と共に、タイヤと一方通行標識と三角コーンがぽーんと飛んだ。
「キシィ!!」
 今度はエルヴィンでもわかった。明確な敵意だ。頭を飛ばされた交通トリオの仲間達が我先にと仇を取りに向かってきた。
 タイヤ怪人と三角コーン怪人が一方通行標識怪人の胴体を持ち、突っ込んでくる。まるで討ち入りでもしようというのか――そんなことを思わせる一方通行兵器攻撃だ。
 ずおっ、と一方通行標識の頭が伸びてきた。エルヴィンは刀を合わせて受け流すと、そのまま持ち手のタイヤ怪人と三角コーン怪人を斬りつける。頭と体の接合部を狙い、一太刀の元に倒していく。
 持ち手のいなくなった一方通行標識怪人がべたんと地面に落下する。その始末も忘れずに。
「タイヤはともかく、標識や三角コーンは道路で大人しくしてるのがお似合いだぜ!」
 怪人達の動きも見えてきた。威力は大きそうだが速度は無い。軽く身を翻して対処すると、またズバッと斬り伏せた。
 勢い余って戻れない、一方通行の攻撃など恐れるに足らず。
 エルヴィンの進撃に合わせて、その後ろにタイヤやら一方通行標識やら三角コーンやらが寝かされた道ができあがる。
「かっこいー!!」
「凄いね! あれ、一の技! 一の技!」
 エルヴィンの鮮やかな立ち回りにテレビウム達も盛り上がった。刀を持つ様を真似するテレビウムもいたが、なかなか様になっている。何かそういうのが流行っているのだろう。
「さあ、お遊びの時間はもう終わりだ! さっさと道路の端っこにでも帰りな!」
 また一つ、エルヴィンはつまらぬタイヤ怪人を斬り捨てる。ぼんと地面で跳ねたタイヤはそのままゴロゴロと転がり建物の陰へと消えていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レパル・リオン(サポート)
こんにちは!あたしはレパル!またの名を『魔法猟兵イェーガー・レパル』よ!よろしくね!

お祭りとかイベントとか友達と遊んだりとか、とにかく楽しい事大好き!

あたしが戦うのは、怪人(オブリビオン)から人々と平和を守るため!そのためなら、ケガをしたってかまわないわ!
(強敵相手だと少し怯えるが、表には出さないように努める)

得意なのは肉弾戦!ダッシュで切り込んだり、ジャンプやオーラ防御でよけたり、激痛耐性でガマンしたり、怪力パンチ&キックでぶっ飛ばしたりするわ!
ユーベルコードに怪人の弱点属性を組み合わせてパワーアップさせたりもするわよ!

頭を使うのは苦手かな。でも、パワーとスピードでなんとかするわ!



●魔法猟兵イェーガー・レパル
「たあっ!」
 戦場に爽やかな声が響いた。空中でピンクの毛玉がくるくる回り、しゅたっと綺麗な着地を見せる。
「魔法猟兵イェーガー・レパル、ただいま参上よ! みんな、よろしくね!」
「わぁ! 新しいヒーローだ!」
 レパル・リオン(魔法猟兵イェーガー・レパル・f15574)がテレビウム達にピースサインを送ると、新たなヒーローの登場にまた盛り上がりを見せる。
「がんばれー!」
「負けるなー!」
「えぇ、怪人から人々と平和を守るため、あたしは負けないわ!」
 未だ多く群がる交通トリオへとレパルは果敢に飛びこんだ。
「キシシッ!」
 交通トリオはまたも三位一体の一方通行兵器攻撃だ。一方通行標識怪人の体を抱え、鋭い突きを繰り出してくる。
「風よ、お願い!」
 レパルは風を纏いながら野生の勘とダッシュで一方通行標識を回避していく。突き攻撃だが標識なので横に長く通常の感覚とは異なるところ、野生の勘が良く働いてレパルは間合いをうまく保っていた。
「はあっ!」
 気合い一発。突きをかわされて前のめりになった怪人達へ、怪力に任せた回し蹴りをお見舞いした。持ち手となっていたタイヤ怪人と三角コーン怪人が纏めて薙ぎ払われ、一方通行標識怪人も合わせて三体、建物の壁まで吹っ飛び叩きつけられて動かなくなる。
 三体の怪人の質量を丸ごと蹴り飛ばす威力は見応えがあった。
「すごーい!」
「もっとやっちゃえー!」
 テレビウム達の声援が届く。応援されながら戦うことはそうあるものでもない。不思議と力が湧いてきた。
「キシィ!」
「やっ!」
 今度は怪人達の突き攻撃を跳んでかわした。そのまま面の広い一方通行標識怪人の頭を思い切り踏みつけ、さらに跳んで残りの怪人を軽やかに蹴り飛ばす空中戦を見せた。
 レパルの着地と同時に、また交通トリオはバタリと倒れる。
「やったー!」
「まだまだ、こんなものじゃないわ! どんどんかかってらっしゃい!」
 威勢よく叫び、レパルは突っ込んでくる怪人達を迎え撃つのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

飛屋・そら
アドリブ歓迎
ヒーローショー風がいいのかな?。
まちなさい!誘拐する様な悪い子はフラワーズに代わって、おしおきよ!(傍らには月の美少女戦士の漫画が)
タイヤ攻撃を受け流し、レガリアスシューズによる補助で空や建物を蹴ってアクロバティックにパフォーマンス。
テレビニウム達の注目を集めたら、跳躍スピードに緩急つけて、残像型の【スカイステッパー】、殺人技巧「跳魚」。
残像で攪乱し、隙をついて敵の腱や急所になりそうなところを部位破壊。敵の動きを封じつつ、あたしの殺戮刃物で蹴り刻んでいくよ。
ま、あたしのユーベルコードはそう多くはないけど。跳び方一つでも変わるものよ。一尾飛ぶと下に千尾ってね。(意味は理解してない)



●セーラー服は着ていない美少女戦士
 猟兵達が大立ち回りを見せる中、数においてはどうにかまだ有利を保つ交通トリオは隙を見て戦場を抜け出しテレビウム達に襲い掛かろうとしていた。
 しかし、そんな小狡いやつも見逃さないのがヒーローだ。
「待ちなさい!」
「キシッ!?」
 空から降り注ぐ怒声に怪人達は思わず天を仰いだ。建物の屋上、縁に立つ一つの影。
「誘拐する様な悪い子は――」
 その人物はビシッと人差し指を怪人に突きつけて、
「フラワーズに代わって、おしおきよ!」
 決め台詞をビシッと決めて、飛屋・そら(深海人のスカイダンサー・f30908)の登場だ。
 その傍らには月の美少女戦士が活躍する漫画が積まれている。参考文献、ということなのだろう。
 地上の怪人達目掛けて、そらは宙に飛び出した。同時に交通トリオはタイヤ怪人をリフトアップし、ぶぅん、とミサイルの如く投げ飛ばしてきた。
 怪人の体そのものを武器にしたタイヤ攻撃。いくつものタイヤがぎゅるぎゅると回転しながら迫ってくる。早くも始まる空中の攻防に、
「負けないでー!」
「やっちゃえー!」
 テレビウム達の声援が飛んだ。
 そらはレガリアスシューズの補助を受けながら文字通り空を駆けた。タイヤ攻撃の隙間を縫い、また建物の壁や張り出したパイプなどを足場に自由に跳躍しタイヤ攻撃を受け流していく。
 パフォーマンスとして十分に成立する戦闘スタイルにはテレビウム達も、
「何あれ! 超カッコいい!」
 子供ながらに魅了され、さらに大きく声援を送る。
 そらも気分が盛り上がってくる。それに伴い動きにもキレが増してきた。跳躍に緩急がつき、空中を素早く蹴る動きには残像が生じる。
 タイヤ怪人はただ投げ飛ばされているだけだ。宙を自在に駆け巡るそらの動きに対応できるはずもない。地上にいる発射役の怪人達も残像に翻弄され、当たればラッキー程度のやけっぱちな考えで次々とタイヤ怪人を飛ばしてくる。
 相手を見ていない単調な動きだ。そらは隙を突いて地上に降りると、発射役の怪人達を低い姿勢から藍色の脚で薙ぎ払った。狙いは半機械化した足首近く。アキレス腱をばっさりと断つと、怪人達は雷に打たれたように両手を上げて倒れていく。
 地面に転がせば後は蹴り刻んでいくだけだ。シュシュシュ、と百裂の蹴りを見舞い、ズタズタと切り裂いた。
 放り投げられたタイヤ怪人は受け止め役がいなくなり、次々に質量のある頭から地面に墜落していた。衝撃を吸収しきれず頭と体の接合部がぐきりと曲がり、それきり動かなくなってしまう。
 そのうちの1体が丁度、そらの頭上に落ちてこようとしていた。そらは影に気づいて見上げると、フットワーク軽く後ろに跳んで、
「よっ……と!」
 体を勢いよく回転させた上段回し蹴りを放った。落下するタイヤ怪人の頭にクリーンヒット。蹴りを受けて横に吹き飛ばされたタイヤ怪人はまた別の怪人に直撃し、ぐしゃりと纏めて潰れてしまった。


 しばし立ち回った後、そらはふぅぅ、と長く息を吐く。辺りにはタイヤ怪人、そして腱を切られズタボロにされた一方通行標識怪人、三角コーン怪人が乱雑に倒れていた。
 奇妙な叫び声も聞こえなくなった。一つの戦いに終止符が打たれようとしていた。
「すごかったー!」
「びゅーって! とんでた!」
 テレビウム達は歓喜の声を上げていた。そらのアクロバティックな立ち回りが一際目を引いたようだ。
「ま、あたしのユーベルコードはそう多くはないけど。跳び方一つでも変わるものよ。一尾飛ぶと下に千尾ってね」
「そうなんだー!」
 テレビウム達はそらの説得力ありそうな諺に感心する。ヒーローとは何を言ってもカッコよく聞こえる。そういうものらしい。
 そら自身も言葉の意味は理解していないようだが、不思議と場は綺麗に収まっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『プレステル・ピスティ』

POW   :    強制忠義ビーム
【キング・ブレインへの忠誠心】を籠めた【パペットからのビーム】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【敵対心】のみを攻撃する。
SPD   :    パペットビーム乱射
自身の【左胸のキング・ブレイン・バッジ】が輝く間、【パペットからのビーム】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ   :    「キングの覇道を阻む奴ぶっ殺す!!」
【パペット】を向けた対象に、【破壊光線もしくは罵詈雑言】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠テュティエティス・イルニスティアです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●プレステル・ピスティは笑わない
「全て……倒してしまいましたか」
 静けさを取り戻したかに見えた街に、再び悪の手が伸びる。交通トリオをマシン怪人化した張本人、プレステル・ピスティが姿を現した。
 近くの建物の上から成り行きを静観していたが、交通トリオが全て倒されてしまったことには、所詮この程度と割り切り自ら出向く。
 黒い軍服、左手には鞭。美麗な外見だが悪の頭領としての貫禄も十分。猟兵達の前へと飛び降りてくると、右手にはめたぬいぐるみの両前足をパタと動かして、
「ここからは私がお相手しましょう」
 猟兵達を睨みつけるのだった。
火土金水・明
「覇道ですか。再び大きな戦争を起こそうとする存在は許す訳にはいきませんね。」
【WIZ】で攻撃です。
攻撃方法は、【高速詠唱】で【破魔】と【継続ダメージ】と【鎧無視攻撃】を付け【フェイント】を絡めた【全力魔法】の【コキュートス・ブリザード】で、『プレステル・ピスティ』を【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【残像】【オーラ防御】【見切り】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでもダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等は、お任せします。


飛屋・そら
アドリブ歓迎
……ブレブレ団!あんたの計画はお見通しよ!。
パフォーマンス代わりに名乗りを。鳶飛魚躍、跳魚座を守護に持つ、あたしは跳躍の戦士。
今度は別の跳び方でいくよ。レガリアスシューズの補助で空中を蹴りながら、全身を使った回転。
あたしの殺戮刃物と円の動きで敵のビームを受け流し、敵の攻撃を吸収する様にその勢いを回転力に変えて。あたしが空中を蹴るジャンプも全身で回転力に加えて、廻る、廻る。
回転する程に切断力が増す回転蹴り、両断型の【スカイステッパー】、殺人技巧「藍輪」。――斬る。
……ちょっと浅かったかな?。あとはまかせたよ、猟兵。



●戦士と騎士、二人は――
「……ブレブレ団! あんたの計画はお見通しよ!」
 そらが振りかぶって勢いよく指を突きつけると、プレステル・ピスティは垂れる前髪の裏で眉間に皺を寄せた。
「……あなたは」
「鳶飛魚躍――跳魚座を守護に持つ、あたしは跳躍の戦士! 飛屋そら!」
 台詞に合わせて見得を切り名乗りを上げる。最後をビシッと締めるとテレビウム達がわっと湧いた。
「そうですか……ブレブレ団、我らがキング・ブレインの名を弄ぶとはいい度胸です。覚悟を――」
 右手の犬――もといパペットをそらへ向けようとした時だった。ひゅっと冷たい風が通り抜けたかと思うと鋭い氷雨が降り注いだ。
 敵襲を察知しプレステル・ピスティが飛び退いたところへ氷の粒が叩きつける。
「誰!?」
 声を上げたのはそらだった。プレステル・ピスティを襲ったのは敵か味方か。氷雨の出所を見上げると、そこには黒いマントをはためかせる影。
「ふふ……あなたが跳躍の戦士と言うなら、私は氷の騎士、とでも名乗っておきますね」
 建物の角を足場に軽やかに宙を舞い、戦場に降り立ったのは火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)。もちろん猟兵、そらの味方だ。
「再び大きな戦争を起こそうとする存在は許す訳にはいきません。手を貸しますよ」
「……! ありがとう!」
 相手は一つの軍を率いる強敵だ。一人でも多く味方がいるのは心強い。
 二人揃ってプレステル・ピスティに目を移す。敵となる猟兵は増えたが、プレステル・ピスティは険しい表情を崩さない。
「何人居ても……同じことです!」
 カッ、とプレステル・ピスティの左胸が光った。キング・ブレインの権威を示すキング・ブレイン・バッジが輝く、と同時にプレステル・ピスティの右手のパペットが口からビームを吐き出した。
 空間を切り裂く光の刃。そらと明は分かれるように左右へ跳ぶ。そらは自分達が居た場所をビームが突き抜けていくのを見ていたが、次のビームが即座に充填されていることに気がつき空中を蹴った。
 間一髪、今度は足下にビームの線を見る。
「攻撃が速い……気を付けて!」
 注意を促す明も再び狙われる。足元を狙ったビームに着地の反動を利用した方向転換で、こちらも際どいタイミングながらビームを逃れる。
「あたしは跳躍の戦士……だからあれも利用して!」
 近づこうとすれば際限なく飛んでくるビームを如何に攻略するか。そらはレガリアスシューズの補助を受けて更に高く跳び上がった。
 宙を蹴る力を回転力へと変換しそらはスピンした。腕を引きつければより急激な回転を生む。
 着地点とするのはプレステル・ピスティだ。
「そのような攻撃など……!」
 プレステル・ピスティはキング・ブレイン・バッジの輝きを受けて増幅された攻撃回数を武器にビームを乱射。光の奔流がそらを呑み込む。
 だが回転とは凄まじい。藍色の円がバリアとなってビームを弾き逸らしていた。更にはビームの破壊力まで、まるで紐に打たれて回る独楽のように吸収し加速する。高速回転に巻かれた藍色の髪までも刃物のようだ。
 プレステル・ピスティはそらを止められないと見るや、身を引いて回避を試みる。今や全ての力を回転に注ぎ込むそらだ。推進力は最初に蹴り出した勢いのみ。逃げるプレステル・ピスティに、追跡は難しいか――。
『我、求めるは、冷たき力』
 プレステル・ピスティの動きを見ての機転。明が放つ氷の矢がそらの進路に現れた。矢を足場にツ、ツ、ツッと勢いを殺すことなく、まさに宙を滑って跳んだ。
 氷の破魔矢はプレステル・ピスティの退路もまた塞ぐように降り注ぐ。
『てめぇ!! キングの覇道を阻む奴ぶっ殺す!!』
 突如ドスの利いた声が飛び、プレステル・ピスティの持つパペットが暴れ出した。おそらくは腹話術――だがそれを確認する余裕などない。退路を塞ぐ明へ向けられたパペットから、これまでのビームを纏めて束ねたような破壊光線が発射された。
 プレステル・ピスティを囲むように突き立てられた矢の一画を吹き飛ばして明の姿をかき消す。威力など言わずもがな。これでは灰も残らないか――。
「覇道……とは大きく出ましたね。ですが」
 黒いマントが翻る。
「残念、それは残像です」
 明は健在だった。パペットを向けられた瞬間に軌道を見切り、残像を生じる瞬足移動で破壊光線の圏外へ。
「……っ!」
 明を始末した後に矢の檻から脱出。プレステル・ピスティのプランが崩れていく。
「はああっ!!」
 そらが極限まで高めた回転力の中で右足を前に出す。回転からの蹴りで対象を断つ、殺人技巧「藍輪」。
 その周りを明が生み出す氷の破魔矢が取り囲む。再び放たれる矢の標的はもちろん、プレステル・ピスティ。
「――斬る!」
「射抜きますよ」
 蹴りと矢が一斉にプレステル・ピスティへと集中した。直撃を受けまいとマントを盾にしようとしたプレステル・ピスティだったが、鋭利な蹴りと密集する矢がズタボロに引き裂き、穿って本体へと直撃する。
「きゃぅっ!!」
 初めて聞く甲高い悲鳴。そらの蹴りのエネルギーを受けて、矢が突き刺さったプレステル・ピスティの体が逆回転で吹っ飛んでいく。
 一瞬にして回転から無となったそらはプレステル・ピスティから背を向けるように着地した。
「……ちょっと浅かったかな?」
「……いえ、そうでもないようですよ?」
 プレステル・ピスティはパペットの顔が歪むのも気にせず右手を地面に押し付けて体を起こそうとする。しかしうまく力が入らないのか、その体は震えていた。
「これで少しでも他の方が楽になれば」
「うん、そうだね……戦いはまだ、終わりじゃない」
 そらはようやく立ち上がってくるプレステル・ピスティを見据えながら、ずれたキャップを直していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ニコリネ・ユーリカ
みんな聞いて!
あの女の子は可愛いけど悪者なの
胸のキラキラバッジも素敵だけど
あれこそ悪玉の親分
光った瞬間にビームが出るから近付いちゃダメよ
良い子のテレビウムのお約束
皆は拍手と応援で一緒に戦ってね!

正義の花屋は正々堂々ビームの前に立つわ
そして9倍攻撃を【Mappa】で受け止めて倍々にして返しちゃう!
エプロンをヒラヒラ翻して92秒間休みなくビームを撃ち続け
92秒後には味方のパペットを回数分攻撃!
お人形遊びはお終いよ!

この惑星をそう何度もパカパカ割らせないわ
純粋なテレビウムたちを怖がらせた罪を償いなさい
でもあんまり酷いお仕置きは教育上宜しくないから
シャッター棒でべんべん叩いちゃう
さぁお尻を出しなさい!


レパル・リオン
こんにちは!あたしはレパル!またの名を『魔法猟兵イェーガー・レパル』よ!よろしくね!

お祭りとかイベントとか友達と遊んだりとか、とにかく楽しい事大好き!

あたしが戦うのは、怪人(オブリビオン)から人々と平和を守るため!そのためなら、ケガをしたってかまわないわ!
(強敵相手だと少し怯えるが、表には出さないように努める)

得意なのは肉弾戦!ダッシュで切り込んだり、ジャンプやオーラ防御でよけたり、激痛耐性でガマンしたり、怪力パンチ&キックでぶっ飛ばしたりするわ!
ユーベルコードに怪人の弱点属性を組み合わせてパワーアップさせたりもするわよ!

頭を使うのは苦手かな。でも、パワーとスピードでなんとかするわ!


エルヴィン・シュミット
おっと、幹部様のお出ましか。
美的センスの方はイマイチだったようだが、喧嘩の方はどれくらいの物か見せて貰おうか!

よーし、剣の次は銃で相手してやろうか。
まず敵の攻撃は【BLADE RUNNER】の【ダッシュ】で動き続けて、光線の直撃は【第六感】と【見切り】で避けるか。
ちょっと危険だが、相手が相手だけに贅沢は言ってられないな。

あしらうのも程々にして…UC、行くぜ!
空は【ROYAL HEART】、地は【TEMPEST】!
この無数の弾幕の嵐、避けられるかな!

『さあ…ド派手にキメようじゃねえか!』



●テレビウムを襲った末路は
「ようやっと幹部様のお出ましか。ふぅん……美的センスの方はイマイチだったようだが」
 エルヴィンは品定めするようにプレステル・ピスティを見遣る。
 配下のセンスも軍を持つトップの能力の一つ。エルヴィンに言わせれば、プレステル・ピスティは落第点のようだ。
 しかし外見的なことを言えば、プレステル・ピスティは猟兵達とそう変わらない。
「みんな聞いて! あの女の子は可愛いけど悪者なの。胸のキラキラバッジも素敵だけど、あれこそ悪玉の親分よ!」
 ニコリネは営業車から降りてテレビウム達に説いていた。
「そうそう! ヘンテコな怪人を使って皆を襲わせてたのはアイツなのよ!」
 レパルも調子を合わせてテレビウム達へ説明する。
「光った瞬間にビームが出るから近付いちゃダメよ。良い子のテレビウムのお約束。皆は拍手と応援で一緒に戦ってね!」
「はーいっ!」
 テレビウム達は揃って手を上げ、とことこ隅っこに避難する。素直で元気で、こんな状況でもパニックにならないのは猟兵というヒーローの存在があるからだ。
 ニコリネとレパルは戦場へと舞い戻り、エルヴィンと並んだ。
 するとエルヴィンは、役者は揃ったとばかりに、
「さぁて……喧嘩の方はどれくらいの物か見せて貰おうか!」
 啖呵を切った。プレステル・ピスティとの大戦争第二幕だ。
「喧嘩などと……いいでしょう……!」
 傷を負った体ながらプレステル・ピスティが先に仕掛けた。再びキング・ブレイン・バッジが輝きを放つ。パペットから放たれるビームは放射状に広がり猟兵達へと襲い掛かっていた。
「はっ、飛び道具か!」
 エルヴィンはインラインスケート『BLADE RUNNER』の加速に乗りビームの嵐を潜り抜ける。体を傾けて転回しながらの疾走。動体視力の限界を第六感と見切り能力で補って突き進む。エルヴィンの動きに大きく振られた後ろ髪にビームが掠めてわずかに散った。それほどに限界を突き詰めた動きだった。
 一つ間違えれば直撃――そんな危険など百も承知だ。そのリスクを取って攻めねば活路は見いだせない。
 レパルは自慢の脚、ダッシュで切り込む。元々小柄な体だ。自身の俊敏性を生かせば押し寄せるビームもなんのその。
「私は正義の花屋……あの子達の笑顔を守るのが私の務め!」
 ニコリネは二人とは異なり、エプロンの両端を持ち大きく広げて仁王立ちの姿勢だった。
『どーんときて頂戴。ぜんぶ受け止めてあげる!』
 一人ビームを受け止める体勢のニコリネへビームは容赦なく降り注ぐ。
「がんばれぇ~!」
「まけないでー!」
 テレビウム達は手を目一杯に振りながら声援を送っていた。ニコリネの背を見るテレビウム達からすれば、ニコリネはプレステル・ピスティの攻撃をただひたすら受け続けている。
 ヒーローのピンチ。テレビウム達の声援に力が入るのも頷ける。
「えぇ……負けないわ! お人形遊びは……お終いよ!」
 びん、と力強くエプロンを張った。すると、ぽんっとエプロンからパペットが飛び出て、さらにビームが流れ星のように弾けて飛んだ。
 ユーベルコードを受け止めれば、同じものを何度でも発射できる。そのエプロンはまるで魔法のようだった。今のニコリネの力ならそれは92秒持続する。
 空に飛び交うビームは耐久戦。どちらが先に音を上げるか。
「くっ、ここは――」
「おっと、逃がさねぇぜ!」
 全て受け止めるニコリネに対し、プレステル・ピスティは攻撃を受け切る術に乏しい。退避を試みるがエルヴィンが大口径ブラスター『TEMPEST』を乱射して抑え込んだ。
 プレステル・ピスティの軍服にブラスターの光線がチリチリと掠めて脱出を阻む。そこへ撃ち込まれる回数制限なしのビーム弾幕。
「あぅ……ぐぅっ」
 急所を庇おうとするプレステル・ピスティ。両腕を組んでガードするが、その上から削るようにビームが降り注ぎ確実に体力を奪っていく。
 ひらひらと翻るエプロンは時間ある限り無限の水源。捕まれば逃れるのは容易ではない。
「さあ……ド派手にキメようじゃねえか!」
「オッケー! 虹色ソウルが燃え上がり、真の姿に大変身!」
 プレステル・ピスティのビームを縫ってジグザグ走行だったレパルが一転、被弾も顧みず一直線にプレステル・ピスティへと向かっていく。疾駆する毛並みがふわりと立ち上がり、燃える魂がその体を最強フォーム『レインボーライオン』へと変身させた。
「うわぁ!! かっこいー!!」
 変身とは子供のロマン。レパルの変身を目の当たりにしたテレビウム達はパチパチ手を叩きながら喜んだ。
「プレステル・ピスティ、覚悟ぉ!!」
「……っ!!」
 レパルは駆ける。地から空へ。変身と共に飛翔能力を得たレパルの接近に危機を感じたプレステル・ピスティはニコリネのビームに晒される中、決死の表情でパペットを振りかざした。真の姿のレパルから感じる力は尋常ではない。
 止めなければ殺られる――。一点集中、パペットに溜めたビームを放つ。
 それはこれまでのものとは異なる性質、キング・ブレインへの忠誠心を籠めたもの。相手の敵対心を破壊し戦意を削ぐのだ。ぎゅんと空に弧を描くレパルへ渾身のビームが命中した。
 ふにゅん、と意識が萎んでいくのを感じた。何のためにプレステル・ピスティ目掛けて飛んでいるのか――。
「あーっ!!」
「おねがーい、かみさまー!!」
 テレビウム達の悲しげな声がレパルの耳に届いていた。ヒーローがやられるかもしれない――そんな時、子供達は祈るのだ。願うのだ。
 ヒーローは絶対に負けない。必ず復活して、悪者をやっつけてくれると。
「こ、ん、な、の……っぁぁああっっ!!」
 レパルの魂が爆発した。ああそうだった。こんなにも頑張って自分達に声を届けてくれる子供達のために戦っているのだ。プレステル・ピスティという悪を倒さなければならないのだ。
 不死鳥の如く復活したレパルはプレステル・ピスティを見下ろし、手に全身から絞り出せる全ての力をつぎ込んだ。
「潰れちゃえぇぇっっ!」
 ズドン! ハンマーのように重い一撃がプレステル・ピスティのガードを粉砕した。レパルの腕と地面に挟み込まれる格好となったプレステル・ピスティの体が弾けるように宙へ飛んだ。
「ひゃぅ――がっ!!」
 ゴン、とオブジェに激突し、跳ね返ってなお宙に上がるプレステル・ピスティへ、
『これぞ天より降り注ぐ流星雨の如し! 今こそ全てを焼き尽くさん!』
 ROYAL HEART――エルヴィンが飛ばしたハートのエースが魔法弾の流星雨を辺り一面に降らせた。体勢を失ったプレステル・ピスティの全身に直撃して小爆発を無数に起こし、強引に雨の中で踊らせる。
 そこへ地上からスポットライトのように放たれるブラスター光線。狙いの確かな射撃がさらにプレステル・ピスティの体をぎゅるりと回転させながら焼いていた。
「その状態じゃ避けられねぇだろ!」
「つぁっ……こ、の……」
 天地を探すにも上から撃ち落とされれば下から撃ち上げられ、体が一定の姿勢を保てず焼かれるばかり。パペットまで黒焦げだ。
「かぅっ!」
 ついには手にした鞭まで弾かれた。銃撃、砲撃、余すところなく受け続けて、気づけばその体はニコリネの真上にあった。
 ようやく止んだ弾幕。プレステル・ピスティの体が力を失い落下していく。地面に激突すればオブリビオンと言えどダメージを受ける。消耗した体ではギリギリ体力が残せるかどうか――霞む瞳で地上を視界の端に見ると、
「この惑星をそう何度もパカパカ割らせないわ」
 力の反動を回避するためにエプロンから出てきていたパペットをビーム攻撃し終えたニコリネがひゅっと取り出したのはシャッター棒。
「純粋なテレビウムたちを怖がらせた罪を償いなさい」
 慣れた手つきで振りかぶる。このままでは地面に激突の前にシャッター棒の餌食になるが、回避、防御、迎撃の余力などこれまでの猟兵達の攻撃で疾うに尽きていた。
 黒く煤けた端正な顔が歯噛みして歪む。食いしばろうが自由落下は止まらない。
「でもあんまり酷いお仕置きは教育上宜しくないから……お尻べんべんよ!」
「ひっ!」
 気迫、いや『鬼』迫。プレステル・ピスティが目にしたニコリネは、子供の失態に角を生やす母親のように映った。
 べんべんっ! シャッター棒の高速の往復が、哀れ、スカートに隠された小さなお尻を強か打った。
「ひぃん!!」
 その悲鳴は外見相応な小娘っぷりで、強烈な一発をお仕置きにもらったプレステル・ピスティは空の彼方で過去の海へと溶け還っていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年11月26日


挿絵イラスト