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導かれし果て

#アリスラビリンス #猟書家の侵攻 #猟書家 #マーダー・ラビット #時計ウサギ

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#時計ウサギ


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「は〜い、こっちですよ「アリス御一行様」! はぐれない様についてきてくださいね! ……おっと、そこに凸凹があるので躓かないようお気を付けを!」
 とあるウサギ穴の中、そこにはアリスの少女とオウガブラッドの少年、愉快な仲間、そして一行を先導する男の時計ウサギの姿。
「ちょ、ちょっと待って……いつも思うけど貴方足が早いわ」
「おやっ、そうでしたか? それは失礼。とはいえこう言うではありませんか。『違う場所に行くには今より早く動かないといけない』と!」
「言わねぇよ」
 バッサリとオウガブラッドの少年に斬られた時計ウサギはあらら~と残念そうに肩を竦めた。
「いや~それにしてもこれまで色んな冒険がありましたですね。アリスさんの迷路には、危ない所を何度も助けられました!」
「そうね、でも私だけではないわ」
「ああ、ここまで無事に来れたのも皆のおかげだよ」
 時計ウサギの口から紡がれるは慌ただしく危険でも楽しかった冒険譚。
 アリス達は時計ウサギの言葉に素直に賛同した。アリスが一人、二人であろうとここまで来れる事は無かっただろう。
 クリケットで勝たなければ処刑される事になった時だって今少女の腕の中で寝ている子犬の人脈が無ければそもそもチームが成立しなかった。
 少年の帽子の中にいるネズミには偵察してもらった事が何回あった。
 目の前で先導する時計ウサギの男にもこうしてウサギ穴で移動する以外にも危機から救ってもらった事もあった。

 様々な冒険を思い起こしどの位の時間が過ぎた頃か。一同の前を歩いていた時計ウサギはくるり後ろに振り返り、アリス達に向き直る。
「ーーはいっ、残念ですがそろそろ皆様とお別れの時間となりました!」
「……えっ?」
 明るく飄々とした口調で残酷な宣言をされたアリスたちは一瞬、何のことを言っているか分からなかった。
「えっ、意味がわからない? いやいや、僕って時計ウサギじゃないですか? ウサギ穴って、僕らが先導しないと通れないんですよ。じゃあ逆に、今みたいなウサギ穴のど真ん中で、時計ウサギが居なくなったら、一体どうなると思います? ……はいはいシンキングタイム……1、2、終了!」
「考えさせる気ゼロだろ!」
 少年が抗議を入れるも時計ウサギはまるで聞こえてないかのように次の言葉を紡ぐ。
「正解は「骸の海の藻屑と化す」でした〜! てなわけでばいばい! でもいちおう穴の出口で待ってるから、出てこれたらご褒美に殺してあげるね〜!」
 そう言い切ると時計ウサギーーマーダー・ラビットの足元に穴が空きそのまま穴の中へと姿を消した。
「な、なんだってんだよ……!」
「早く脱出しないと……!? ちょっと見て!」
 マーダー・ラビットがいなくなった瞬間。先ほどまで何も無かった空間が歪み始め――歪みが収まるとそこは木のタイルが貼られた床、そして棒状に建つ何か。
「こ、ここは……?」
 突然変わった空間に驚きを隠せない一行。
――ウウウウウウウウウッ―――――イッッ!
 突如、上空から聞こえてきた大音量に咄嗟に耳を塞ぎ声の発生源を見やる。
「……はっ?」
 素っ頓狂な声を上げるオウガブラッドの少年。彼の目線の先には二本足で立つ生き物の姿があった。
 姿かたちは自分らとさほど変わらない。ただそのサイズが有り得ない程大きい事以外は。
「はぁ~~なるほど~」
「これはヤバいですな」
 少女の腕の中と少年の頭の上にいた愉快な仲間たちがその様を見て納得したように頷く。
「えっ、どういう事!?」
「何がやばいんだ!」
「先ほどの咆哮は『むーしぃー!』っと言ってました」
「僕たち巨人のおうちに迷い込んじゃって虫と思われてるみたい~」
「……って事は……」
 アリスは冷や汗をかきながら再び上を見る。
 そこには何かをこちらに叩きつけようとする巨人の姿。
「に、逃げろぉぉぉ!」
 それは誰の声か。アリス一行は散り散りとなって家具の隙間へと逃げ込んでいった。


「ウサギ穴で移動する途中で時計ウサギがいなくなると中にいる者はどうなるか。貴様らは知っているか?」
 クマのぬいぐるみ、もといエドワード・ベアトリクス(運命の王子様(くま)・f28411)はグリモアベースに集まった猟兵に声をかける。
「曰く、骸の海の藻屑となるそうだ。そしてウサギ穴のこの性質を利用してアリス達を殺そうとする者が現れた。『マーダー・ラビット』と言う猟書家だ」
 彼はアリスと愉快な仲間たちと行動を共にし国と国を渡るウサギ穴の中で彼だけ離脱。そこで全員死ねば終わり、もし何かしらの手段で出て来れても出口で待ち伏せして殺そうとするという。
「殺すだけならこんな面倒くさい方法をとる必要はないが、あるとしても碌な理由では無いだろうな。とにかくお前たちはこの猟書家と対峙前にウサギ穴に取り残されたアリスと愉快な仲間たちを助けに行ってもらいたい」

 ウサギ穴の中は時計ウサギがいなくなった時点で不安定な時空の異世界と化するという。その影響でアリス一行がいるウサギ穴の中は今は巨人が住まう家の空間を模っている。
「自分たち以外の物――空間、家具、人間が巨大な家だ。家の間取りは平屋の一軒家で部屋数は5,6個あるがすべての部屋に窓があるからそこから飛び出して逃げるのも良いが、どんな方法でも家の中から出る事ができればウサギ穴の空間から脱出できる」
 そうして脱出できたウサギ穴の出口には『マーダー・ラビット』がアリス達が出てこないかと待ちわびているという。
「『マーダー・ラビット』はヘラヘラとした奴だが殺人鬼と言われるだけあって油断はできない。鋏や糸といった様々な物を獲物として戦うが、特に近距離での攻撃は強力でな。下手に奴の間合いで戦えば貴様らの体がバラバラにされる可能性もあるから気を付けろ」
 エドワードは説明を終えると改めて猟兵達を見上げる様に真っすぐみやる。
「不安定なウサギ穴の中でアリス達の救助、そして強敵との戦闘。両方をこなす事は難しかろう。では貴様らは猟兵、困難を乗り越えてくれると信じているぞ」
 まぁ無理はしないようにな。
 そういいながらエドワードは猟兵達を見送るのだった。
 


遭去

 遭去です、今回は猟書家依頼をお送りします。どうぞよろしくお願いします。
 以下、補足です。

●依頼形態
 この依頼は2章構成です。1章は冒険、2章はマーダー・ラビットとの戦闘となります。

●アリス一行
 アリス適合者の少女、とオウガブラッドの少年。そして愉快な仲間たちで構成されています。時計ウサギはいません。
 なお彼らはそこそこの戦力を有していますので2章では要望があれば皆様の戦闘のサポートを行わせれます。

●1章
 巨人の住まう家に取り残されたアリス御一行様。皆さんはアリスと猟兵達を虫と勘違いしている巨人の目を掻い潜って彼らと共にこの家から脱出、もしくは脱出の手助けをしてください。
 脱出は家の外へ出れば達成できますので、どうにか窓へと辿りついて飛び降りる、壁を壊して外に出たり、穴を掘って家から出る等で脱出してください。
 なお、猟兵達がこの家に来た時点ではアリス達は散り散りになってどこかの部屋にいます。

●2章
 マーダー・ラビットとの戦闘です。大きなギミックはありませんが、先述した通り1章で助けたアリス達が皆様の戦闘をサポートしてくれます
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第1章 冒険 『小さな小さな大冒険!』

POW   :    物陰に隠れながら、素早く通り抜ける

SPD   :    何かに擬態しながら、気付かれないように進む

WIZ   :    愉快な仲間達を探して情報収集。協力を求める

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 アリスラビリンスの某国……いや、ここは国と言っていいのだろうか。先導役がいなくなった不安定なウサギ穴の見せた刹那の夢といった方が正しいだろうか。
ーーーーおおおおいいいいっっっああああああああああああああああ――――
 部屋に響き渡る咆哮。此処の主である巨人は侵入した『虫』を排除しようとスリッパをもって部屋を徘徊する。
水鏡・怜悧
詠唱:改変、省略可
人格:ロキ
巨人、ですか。敵でないなら、あまり傷つけたくはありませんね。
物陰からUCを発動し、光属性の触手でアリスさんたちに光学迷彩を施します。風属性の触手で足音を拾い巨人の位置を特定し、こちらへ向かってくる場合は土属性の触手で岩を飛ばして巨人の気を逸らします。
「とりあえずこちらへ。怪我した方は居ませんか?」
必要そうであれば医術で手当てします。
裏切られたばかりであれば、警戒されるかもしれませんね。
「信用する必要はありませんよ。私は悪人ですし。ですが、共闘するにしろ敵対するにしろ、ここを出なくては儘ならないでしょう?」
理解が得られたら、脱出が楽そうな壁際へ誘導します。




「どうしよう……」
 キャビネットの下から聞こえる小さな声。その埃っぽい床に一人の少女が座り込んでいる。
 先ほどの巨人の一撃のせいで仲間とはぐれ今は彼女と腕の中の子犬の様な愉快な仲間のみ。
「うーん、まずだっしゅつするのが良いと思うな~」
 腕の中で丸くなっている愉快な仲間が少女の方をみやる。
「それは分かるけど」
 愉快な仲間の提案にため息をつきながら少女は先ほどまでいた場所を見やる。
 先ほどの襲われた場所には潰れた何か(何かとは言わないが)は無い事から他のメンバーは無事であろうことは幸いだが、どう脱出すべきか。腕の中の彼は広い人脈を持ち巨人の言葉は分かれど、脱出はおろか他の皆と合流するに便利そうな力は持っていない。別れたメンバーの事を心配しながらも少女は途方に暮れる。
 そんな時、突如目の前に音もなく何かが現れた。
「何これ……」
「なにこれ~!」
 何か――それは白、緑、茶色のうねうねした触手。いきなりの登場に少女は触手に興味を持って近寄ろうとする愉快な仲間を抑え込みながら後退る。
「とりえあずこちらへ」
 突如隣のベッドの下から声が聞こえた。
 隣とは言え棚との間には何も隠れる物が無い。巨人が徘徊する中無策に移動することはかなりのリスク。
 しかも声の主が何者かもわからない中、動いていいのか。
 考えていると衝撃が近づいてきた。
 緑色の触手がグニャグニャと動く。それを見た茶色い触手が岩……巨人たちからすれば小石サイズのそれを吐き出し、自分たちのいるキャビネットの反対側へと投擲。
――???――
 投擲された岩に気を取られキャビネットの下から離れる巨人。
 そのタイミングで触手たちは少女の腕を引っ張り、ベッドの下へと誘導していく。
 幸いにして見つかる事なく、少女と触手は先ほどの声が聞こえたベッドの下へと辿りつく。先ほどとあまり変わらない埃っぽい場所には応急箱を持った緑の瞳の少年、水鏡・怜悧(ヒトを目指す者・f21278)の姿。
「お怪我はありませんか。あるようなら応急手当いたします」
「手当、手当ほしい~包帯ぐるぐるでおねがいします~」
「いやあなたどこも怪我してないでしょう……。それよりあなたは誰? 何の目的で助けたの?」
 突然助けてくれた怜悧に少女は警戒しながら半歩後退りする。
「私たちは猟兵、貴方たちを助けに来たものです。……こういえば信用して頂けますか?」
「猟兵……。ええ、猟兵は信用できるわ。ただあなたが猟兵を騙る何かじゃない可能性もあるわけだけど」
 猟兵の名は少女も他のアリスから聞いたことがある。曰く、オウガに襲われたところを助けてくれる集団だと。
 だが、彼女は警戒を緩めない。
(「まぁあんな仕打ち受ければそうなりますよね」)
 怜悧は心の中で小さくため息をつく。
 信頼していた相手に土壇場の所で裏切られ不安定なウサギ穴に放置され、今は仲間と散り散りになって心細い中、突然現れた人間を信用しろと言う方が難しい。むしろ信じられたら底抜けに良い人か馬鹿であろう。
「信用する必要はありませんよ。私は悪人ですし。ですが、共闘するにしろ敵対するにしろ、ここを出なくては儘ならないでしょう?」
 だが、それは怜悧――ロキの人格にとって、想定内。
「それに私が誘導するまで動く事は無かった事からどう動くべきか悩んでいた。もしくは移動手段を思いつかなかったとも取れます」
「うっ……」
 図星を突かれて固まる少女。
「私ならこの巨人のいる空間から元の世界へと戻る術も知っていますし、ここを潜り抜ける方法もあります。じっとして事態が悪化するのを待つより、裏切られる前提事態を変えていった方が良いと思いますが」
 怜悧から投げられた提案に悩む少女。
「ねぇねぇ、どうせどこかにいこって話してたし良いんじゃないかな~。それにこの人、嘘言ってる様には見えないし」
「わ、分かったわ……とりあえず脱出までよろしくお願いするわ……でも不審な動きしたら離れるから」
 自身でもこのままでは駄目だと思っていたのだろう。少女は怜悧に頭を下げる。
「ええ、承知しました……それじゃあ触手ちゃん、お願いします」
 ロキの声に応じる様に白い触手が飛び上がるとロキと少女、彼女の腕の中の愉快な仲間へと白い粉を浴びせた。
 白い粉は体にくっつくと瞬く間に透明になっていく。
「わっ、な、なに……!?」
「小麦粉~?」
「これを浴びれば光学迷彩、つまりは周囲に溶け込む効果を持つことができるので堂々と動いても巨人には見つかりにくくなります。あとは風属性の触手ちゃんで動きを察知して土属性の触手ちゃんで適時巨人の視点を誘導してやれば問題ないでしょう」
 茶色と緑色の触手が声に反応して動く様を少女はまじまじと見やる。
「触手ってそんなことできるの?」
「普通の触手は無理でしょう。ですが私の触手ちゃんは優秀ですから。……それでは行きましょうか」
 そういうとベッドの下から出ていくロキ。しばらくしても巨人に見つかったことは無い様で定期的に響く巨人が歩く音に変化は無かった。
 少しの間戸惑うも、覚悟を決めた少女は怜悧の後をついていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カグラ・ルーラー
どいつもこいつも俺らアリスを虫ケラ扱いか。
いいぜ。『一寸の虫にも何たら』、見せてやる。

ユーベルコード「トリーズナーズ・スーパー・ジャスティス」で光って飛び回る虫を演じてやりてェところだが、発動で光るからな。
だからタコヤキ(ジャイアントオクトパス)の口ン中に潜り込んで、タコヤキごと飛翔だ。
巨人に見上げさせる高さぐらいで俺は口の外に出て、巨人の周りをブンブン飛び回ってやるぜ。
おいタコヤキ、お前も虫を演んだよコラ。メガリス喰ったタコがこの程度で目ェ回すな。
二匹も虫が飛び回ってりゃ、足元になんて注意も行かねェだろ。
窓でも壁でも叩き壊しながら、アリス達を巨人から引き離すように飛んでいくぜ。




「……っ、みんなは、無事だろうか」
 巨人が歩くたびに振動が、轟音が響き渡る部屋の中、オウガブラッドの少年が机の下で呟く。
 先ほどの奇襲で混乱していたとはいえ随分と隠れにくい場所を選んでしまったことに少年はそっとため息をつく。
 しかし灯台下暗し、とは言ったもので巨人はベッドなどの足の短い家具の下は見るが、足が長いこの机の下は意外にも見なかった。しかし、見つかるのも時間の問題だろう。
「おう、あんた」
「ひっ!?」
 突如後ろから声をかけられた少年は驚いて振り返る。
 そこには少年よりも小さな少女、カグラ・ルーラー(バスバリス・f21754)の姿が腕を組んで少年を見上げていた。
「あんた、アリスだろ? 助かりたいよな?」
「えっ、あ」
「助かりたいよな?」
「も、もちろんだ!!」
 カグラの問いに少しビビりながら少年が力強く答えると、カグラは口角を上げる。
「んじゃあ、俺があのデカブツどうにかすっからあんたはその隙に逃げろ」
「どうにかするって……君がかい!? 危ないだろう、俺と一緒に……」
「ばーかっ。アタシを舐めんじゃねぇぞ……おいっ、タコヤキ! やるぞ!」
 カグラの横に控えていたタコヤキと呼ばれたジャイアントオクトパスが、彼女を頭からバグっと丸呑みにする。
 目の前で丸呑みされて驚いていたオウガブラッドの少年を尻目に、カグラを飲み込んだタコヤキは飛翔する。
 その高度はどんどんと上がっていき――遂には巨人の目線より高いところまで到達する。
「いくぜおらぁぁぁぁ!」
 そのタイミングでカグラはタコヤキの口から飛び出し、黄金のオーラを纏い始めた!
『――――アアアアアアンンンンナアアアアアアア!?』
 突然飛び出してきたカグラ(巨人からすれば虫だと思っているが……)に驚きながら、巨人は自身の頭の上でぶんぶん飛び回る彼女をスリッパで叩き落とそうとする。
「あたるわけねーだろうがよぉ!……おいタコヤキ、お前も虫を演んだよコラ」
 彼女から少し距離を置いたところでホバリングしていたタコヤキを叱責する。タコヤキは『ええっ……いや、目が回るから嫌なんだけど』と言わんばかりに顔の間で二本を腕でばってんを作り、もう一本の腕は宙をぐるぐると渦巻かせた。
「メガリス喰ったタコがこの程度で目ェ回すな!」
 カグラの言葉に渋々といった形で従うタコヤキはそのまま彼女が飛ぶ方向と真逆の位置で飛び回り始めた。
『アアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!????』
 一人と一体は飛翔範囲を徐々に広げ、やがて家具や窓、壁を壊しながら天衣無縫に部屋中を駆ける。
 これはたまらんと巨人は顔を手で覆いながら扉から逃げ出していく。
「っしゃあ、こんなもんか?」
 ひとしきり飛び回ったころには部屋はかなりボロボロで。先ほどアリスがいた場所を覗くと誰もいない。
 ふと窓のほうを見やると、そこには窓際にどうにか上ったオウガブラッドの少年が手を振っていた。
「おう、そこから飛び降りれば外に出れっから、すぐに行くから先行ってろ」
 その声に頷くと彼は少しだけ躊躇いながらも窓の外へと飛び込んでいった。

「……どいつもこいつも俺らアリスを虫ケラ扱いか」
 自身も脱出すべく助けたアリスが抜け出した窓ガラスを向かいながら、カグラは誰にも聞こえない音量でつぶやく。
 アリスとしてこの世界に来て今どのくらいの時間がたったのだろう。記憶がない中、何度理不尽な目にあってきただろうか。
「いいぜ。『一寸の虫にも何たら』、見せてやる」
 だが、彼女の目に灯がともされ続ける限り、オウガの蹂躙で絶望することはないだろう。

 

大成功 🔵​🔵​🔵​

リグ・アシュリーズ
もう、意地の悪いウサギさん!
大丈夫。私たちがとっちめるわ。
まずはここから脱出しましょ!

見つけたご一行さんを宥めて説き伏せ、おうちの外へと導くわ!
疑り深くなってそうだし、私が先行して体を張る形で。
巨人さんの見てない時に、家具の影から影へ飛び込むよう手招き。
人手はほしいし、他の猟兵さんがいたら協力を仰ぎたいところね!

もし見つかったら、逃げ込む方向をハンドサインで伝え、
大声で私が注意を惹くわ。
ばりりと家具を黒剣で砕いて木片を振りまき、
巨人さんに目つぶし食らわせちゃう!

外壁までたどり着いたら、剣で脱出口を開くわ!
さ、今度こそ一緒にいきましょ!
皆の命を軽んじた報い、思いっきり痛い目見せてあげるんだから!




 猟兵達の行動のおかげで、巨人の家に閉じ込められていたアリスはほぼ救出できた。
 だが、まだ取り残されている者がいる。
「うーむ、出て大丈夫ですかねぇ……」
 棚の後ろに隠れているのは大人っぽい口調でしゃべるネズミ型の愉快な仲間。
 先ほどの巨人の襲撃で仲間たち――オウガブラッドの少年の頭からも落ちてしまって完全にひとりぼっち。
 先ほどから大きな物音が聞こえてきてちょっと動くのは慎重にならざる得ない。
「あっ、やっと出会えたわ!」
 突如聞こえてきた明るい少女の声。ネズミが声が聞こえてきた上を見やると少女――リグ・アシュリーズ(風舞う道行き・f10093)は縮こまる愉快な仲間の棚の上から軽やかに降り立った。
「先ほどの時計ウサギの仲間ですかね……? と、トドメを刺しに?」
「違う、違うわ! トドメ刺しに来たっていうなら声をかけないわ」
 少し後ずさりしたネズミにリグは優しく宥める。
「信用してくれないかもしれないけど彼の仲間ではないわ。大丈夫。意地の悪いウサギさんは私たちがとっちめるわ。まずはここから脱出しましょ! 今ならここの住人さんもいないし、出やすいはずよ。追いて来てくれる?」
 私が先に歩くから、というとネズミは少し距離を置きながらも後を追いかけてきた。
 追いて来てくれたことに心の中で安堵すると、彼女は穴が開いた出口となる窓へと歩を進めていく。
 部屋の主は不在だがそれでもいつ戻ってくるか分からない。そのため慎重に家具の後ろを、影になる部分を探して先に進み、安全が確保できたら手招きをしていく。
 そして、最後の難関。出口なる窓はかなり高い場所にある。普通なら飛行状態でもなければ到達できない高さでも、カーテンがだらんと床までぶら下がっている。
「ここからは障害物がないから一気に行くわね」
「では落ちないように掴まっておりますゆえ」
「ふふっ、乗ってくれるの? それじゃあ行くわね」
 リグの頭の上に乗った愉快な仲間がしっかり掴まったことを確認すると、彼女は息を整えると窓際まで走り始める。あと50M、40M――あと少しで窓際の壁まで到着する、そう思った瞬間。
 突如、巨人が轟音を響かせながら部屋に戻ってきた。
「っ、ネズミさん! 先に行ってちょうだい!」
「ですがあなたが……!」
「大丈夫、すぐに追いつく!」
 リグの声に推されて愉快な仲間は彼女の頭から飛び降り一目散に壁際へと走り出した。
 目で二方に分かれた彼らを追っていたが彼女の思惑通り、巨人は自身に近いリグの方へと照準を定めたようだ。手にした棒状の鈍器をリグに向けて叩きつけてくる。
 リグは横に跳んでギリギリのところで回避。巨人はたたいた勢いそのままに鈍器が横なぎに振るわれるもそれも棒状のそれの上に飛び乗り、また跳んで回避。
 巨人と目線が合った――そこで彼女は背中の黒剣を抜刀する。
「目も開けられなくしてあげる!」
 そのままリグは巨人に攻撃――はせずに木製の床を叩き壊した。
 ドォンッ! 大きな音を立てて壊れた床は大小さまざまな礫を飛ばし、巻き上がる。
 その煙はリグを潰すべく膝をついて顔の位置が低かった巨人の顔にも当然当たり――。
『――!』
 巨人は巻き上がった煙と同時に砕かれた木片や礫が目に入り、苦しみだす。
「今のうちに……!」
 リグは剣を鞘に戻すと全力で愉快な仲間の元へと向かった。

 リグが壁際の近くまで行くと愉快な仲間はカーテンを登ろうとしていたところだった。
「ささ、お早く!」
「ダメ、間に合わない!」
 カーテンを登りきる前に巨人に見つかる可能性がある。そう判断したリグは再び剣を抜いた。
「ネズミさん、そのカーテンに掴まっててね!」
 全力で走る勢いそのまま剣を外壁へと振り下ろす!
 耳をつんざく破砕音とともに壁は粉々になってぽっかりと穴をあける。
「さ、今度こそ一緒にいきましょ! あなたと皆の命を軽んじた報い、思いっきり痛い目見せてあげるんだから!」

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『マーダー・ラビット』

POW   :    きす・おぶ・ざ・です
【なんとなく選んだ武器】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    ふぁんとむ・きらー
【糸や鋏、ナイフ等】による素早い一撃を放つ。また、【使わない武器を捨てる】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    まさくーる・ぱーてぃ
自身の【殺戮への喜びによって瞳】が輝く間、【自身の全て】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠終夜・嵐吾です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 巨人が住まう空間から脱出した先にあったのは森だった。
 木々が立ち並び、木の根元にはおしゃべりな花や大きな大きなキノコが生えている――アリスラビリンスの世界では見慣れた風景だ。
「みんな無事だったか! よかった……!」
 オウガブラッドの少年がほかの仲間たちの姿を認め、安堵の声を上げる。が、その顔はすぐに緊張を纏うことになる。
「――ッ!」
 ハッと何かに気づいたオウガブラッドの少年が立ち上がり自身の体に鎧を纏わせる。次の瞬間、彼の鎧が飛来するハサミを弾いた!
「っ、あなたは!」
「はぁい皆さんお疲れ様です! 『わたくしプロデュースのウサギ穴のビックリドッキリ虚無虚無ツアー』、お楽しみいただけたでしょうか!?」 
 弾かれ弧を描くハサミを空中で掴んだ男はアリス一行と猟兵たちをにやにやと気味の悪い笑みを向ける。
「ふざけんな、何がお楽しみいただけただ!」
「よく私たちの前に出てこれたものね……!」
「ううっ、ちょっと前であんなに僕を慕ってくれていたのに寂しい!」
 アリス一行から向けられた怒りに男はよよよと悲しむそぶりをしたがそれもすぐにケロッと立ち直る。
「ま、いいか。全員お揃いのあげく猟兵の皆様もお揃いとは思っていませんでしたがそこはそれ。僕の楽しみが増えるというもの!」
 ではでは楽しみましょう!綺麗で歪な弧を顔に描いた兎――マーダー・ラビットと呼ばれる猟書家が大きく飛び跳ねた。
水鏡・怜悧
詠唱:改変、省略可
人格:アノン
何だよ、随分面白そうなヤツが出てきたな。あァ、楽しもうぜ。
手伝い?邪魔だ引っ込んでろ。喰い殺すぞ。
UDCを纏って狼耳と尻尾を象る。武装は獣の手足。冷気を纏う氷属性の爪だ。

高速の一撃を紙一重で躱す。掠めた刃で傷ができるが気にしねェ。こんなに楽しいんだ、痛いからって止まってられねェよなァ。
加速に従い押され始める。それでも笑って殺し合うぜ。
更に時間が過ぎれば兎の動きは遅くなる。
どうしたよ、もうバテたのか?冷えれば動きもマヒしてくンだろ。卑怯だなんて言わねェよな?これもオレの身体で武器だぜ。
大きな隙ができたら噛みつき、怪力で喰い千切る。
怯むなよ、まだまだこれからだぜ?



「何だよ、随分面白そうなヤツが出てきたな。あァ、楽しもうぜ」
 少女は声のした方を振り向く。そこには先ほど一緒にいた少年がいたはずだが、巨人の家にいた時に見えた知的な雰囲気は成りを潜め、今は頭に狼耳と腰にしっぽをつけ、手足が獣のようになった粗野な雰囲気の少年となっていた。
「ろき、さん………? いえ、あなただけじゃ無理よ! 私も……」
「手伝い? 邪魔だ引っ込んでろ。喰い殺すぞ」
 怜悧――アノンと呼ばれる彼の一人格はサポートを申し出た少女を後ろへ強く押す。少女がしりもちをついた瞬間、彼女が今しがたいた場所へナイフが飛来する!
『う~んっ、惜しい! でもなんだかんだ助けちゃうなんて、もしかしてつんでれという奴ですかね?』
「うるせぇ、そのにやけ顔ぶっ飛ばしてやるよ!」
 アノンが咆哮と共に男へと駆ける。
 嬉しそうに目を細めながらマーダー・ラビットは武器を構えた。

 武器を投げて行く毎に殺人鬼の攻撃の速度が加速していく。男が木の枝を投げつけてきたのを打ち払えば間髪入れずナイフが顔面へと迫った。刃先を避けた先ではいつの間にか張られた糸が彼の首筋を落とさんと待ち構えている。
『おやおや~随分バテてしまっているではありませんか?』
 男の猛攻をすべて受け止めることはできず、アノンの体の至る所から血を吹き出し服を赤く染める。
 しかしそんなことは命のやり取りを止める理由にはならない。アノンは笑みを深くすると獣のような手をマーダー・ラビットへ振りかぶる。
 ――幾ばくかの力と技の応酬が続いたか。最初に変化があったのはウサギの方だった。
『おっと……』
 マーダー・ラビットが足元の氷を踏み滑りそうになるのを堪える。殺すタイミングをずらされたウサギは数歩後ろへ下がるとタイミングをうかがい始めた。
 だが先ほどまでこの場所は地面が凍り付くほど寒くなかったはず。マーダーラビットが思案するとアノンがにっと笑みを浮かべる。
「どうしたよ、もうバテたのか?冷えれば動きもマヒしてくンだろ」
 アノンの纏う獣の手足。流動性のあるUDC金属でできたそれは様々な属性つきな武器を形成でき、今回は冷気を纏うものとなっている。
『ああ、なるほど冷気で……ですがウサギはほら、恒温動物ですので! 変温動物に比べるとそこまでは影響ないんですよね!』
 ウサギはヘラヘラとした笑みを浮かべると一瞬にして姿を消し、アノンの後方へと回る。
 狙いは首。ウサギはハサミの刀身を逆手に持ちアノンの首へと突き立てた!
「はっ、頭イカれて気づいてないみてーだが、お前思ってるより動き鈍ってるんだよ!」
 突き立てる瞬間にアノンは振り向き男のハサミを持つ腕を掴むと自身の方へ引き寄せ、そのまま二の腕へと食らいつく!
『――っ!』
 肉が千切れるのも構わずにマーダー・ラビットが空いている腕でアノンを強く殴り飛ばす。
 ぶちりぶちり嫌な音がするのはどちらの方からか。ウサギは腕を抑えながら距離を取る。
「怯むなよ、まだまだこれからだぜ?」
 口から血を垂らしながら、アノンは獲物を追い詰める目でウサギを見やった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リグ・アシュリーズ
ああいう手合いはまともに相手しない!
後ろに下がって、とネズミさんに言い聞かせ、
黒剣を手にして前に出るわ!

猟奇的な彼のこと。
庇えば逆に、アリスさんを狙ってきそうなものだけど。
ご執心になるほど、足元への意識は疎かになるはず!

ネズミさんにこっそり、小さな愉快な仲間たちを
呼び出すよう頼んでみるわ!
戦う力がなくても、気取られにくさは強みになるはず。
深追いせず、隙を作る事だけ考えて!

足を滑らせたりして隙ができたら、
敵の攻撃を弾き、ここぞとばかり踏み込むわ!
カウンターからの連続斬り、
ハサミを拾えないよう弾き飛ばしちゃう!
不思議の国にあっていいのは楽しいドッキリだけ。
これに懲りたら、本の中でじっとしてなさい!



「しかしあなたが裏切るとは……」
『おやおやあなたはいまだ私を信じてくださってる? 嬉しいなぁ! まぁ信じても信じなくてもここで永遠のお別れですが!』
「なんと……!」
 ネズミのような愉快な仲間がプンプンと怒りだす。
「ネズミさん、ああいう手合いはまともに相手しない、後ろに下がって!」
『今度の相手はお姉さんですか? いいですよ僕は二人で来てもらっても!』
 愉快な仲間を諫めるとリグは愉快な仲間の前とウサギの前に割り込む。
「ですが……」
 裏切られたことか、それとも煽られた事か、怒りが収まらない様子の愉快な仲間。
「そうね、何もさせれないっていうのも酷い話ね……。それじゃあネズミさん。私があなたの思いも込めて必ず傷を与えてみせる。その代わりといっては何だけど……あなたはお友達と一緒に彼に隙を作ってくれる?」
「わかりました。必ずや」
 愉快な仲間にだけ聞こえる声量でお願いをすると、リグは背中に背負う無骨な黒剣を抜刀、刃先を目の前のウサギへと向ける。
「……いいえ、私が相手するわ!」
『あら、お姉さんだけですか。それじゃあどうぞよろしくお願いしますねー!』
 ニヤニヤと笑みを崩さず男がハサミを構え刃先を振り下ろしてきたのをリグは上段で受け止め、弾き返す。お返しばかりに剣先を突きを繰り出せば、へらへらしながらハサミで軌道をずらす。
 刀身が何度か交差し火花を散らしただろうか。マーダー・ラビットは一度距離を取ると、突如ハサミを投げつけてきた!
 飛んできたハサミをリグは難なく弾くも、目の前にいたウサギの姿は見えない。

 あと2歩。両の足を動かせばこの手に持つハサミを女の首へ突き立てる。
 突き立てた時の感触に胸を高鳴らせながらウサギは足を一歩踏み出した――ところで視線が地面へとずれた。
『おっと!?』
 またしても滑ったか。ウサギが足元の後方を見れば、自身の靴ひもを引っ張る小さな愉快な仲間たちの姿。

 今だ。バランスを崩した男へとリグは踏み込んだ。
「ありがとう、ネズミさん!」
 ネズミの姿をした愉快な仲間へと礼を言うと、彼はドヤっとした顔で親指を向けた。
『横からクリティカルヒットを出そうとしたのですが、失敗失敗☆……ですが、簡単にいきませんよ!』
 ハサミの刃先がリグの首元を襲う。が、黒い刃を横なぎに振るえばきぃんと軽い音を響かせて弾き返した。
「不思議の国にあっていいのは楽しいドッキリだけ。これに懲りたら、本の中でじっとしてなさい!」
 そのまま剣を下段に構え、斬り上げる。
 一瞬の間をおいて男の体から赤い血が噴き出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

サンディ・ノックス
※アドリブ、連携歓迎

なかなか素早い相手みたいだね
アリス達には君達は自分の身を守ってくれないか
それが一番助かると頼む
俺もできる限り頑張るけれど、早い相手にはちょっと分が悪いんだよね

黒剣を抜き、UC伴星・怠惰の黒盾を発動して生み出した盾を左手に装備
怪力を活かし力いっぱいに黒剣で斬りかかり、敵からの攻撃は盾で防御したり剣で受け流す
出来る限りアリス達に攻撃がいかないよう立ち回る(かばう)

防戦一方に見せかけて、敵が俺の相手は余裕だと慢心したところで騙し討ち
UCの盾から黒水晶を大量に発射してやる

敵の人を食った態度はひたすら無視
俺に騙されたとき仮に逆上したとしても無視
こういう手合いは無視が一番なんだよ


火土金水・明
「あなたにアリスさん達一行を殺させる訳にはいきません。確実に邪魔をさせてもらいます。」(可能であれば、アリスさん達に攻撃する素振りをしてほしいのですが、危険が伴うのでしたら中止をしてもらって構いません。)
【SPD】で攻撃です。
攻撃方法は、【継続ダメージ】と【鎧無視攻撃】と【貫通攻撃】を付け【フェイント】を絡めた【銀色の旋風】で、『マーダー・ラビット』を【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【残像】【オーラ防御】【見切り】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでもダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等は、お任せします。



 腕を食いちぎられ、袈裟斬りを仕掛けられ、数多の攻撃を受けたマーダー・ラビット。
 損傷は酷く動くのも難しいはずなのに彼の笑顔は相も変わらず……否、さらに笑みが深くなっているのは気のせいではない。
『さぁて楽しくなってきたのですがそろそろお別れです! 猟兵の皆さんを倒すのは難しそうなのでここはせめてアリスご一行様だけでもどうにかしていきましょうか。弱いですし!』
「なんだと……!?」
 男の声にオウガブラッドの少年が反応する。
「こういう手合いは無視が一番だよ」
 サンディ・ノックス(調和する白と黒・f03274)が煽られられ前に出ようとするアリスを落ち着かせる。
「ええ、感情のまま動けば自然と動きは隙が生まれやすい。相手の思うツボです」
 火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)も同意しアリスたちの前へ。
『おやおやあなた方は乗ってくれないのですね。寂しい。まぁいいです、皆さん仲良く死んでくださいね!』
  

 笑みを崩さないマーダー・ラビットの大鉈による横なぎの一撃がサンディへと振るわれた。
「――ふっ」
 サンディが手にした黒剣と衝突するとギィンと鈍い音を立て、お互いが弾かれる。
『ほらほらもう終わりですかぁ?』
 斜め上に弾かれた大鉈を男は今度は上段から振り落とす形で攻撃を仕掛けられると、サンディは自身から生成した盾で一撃を受け止める。
「くっ……」
 上段からの攻撃を下から受け止めれば、そのままウサギの体重も乗った一撃の衝撃がサンディの腕を襲う。
「……炎よ!」
 明が呪文を唱え、マーダー・ラビットに向け炎を放つ。
 対して男はサンディを抑え込んだまま空いた片方の手でハサミを打ち出す。ハサミは火球を貫き、まっずぐに明の元へ。 
 言葉を紡ぐ暇もなく明の頭をハサミが貫く。
『はぁい、まずはおひとり様ご案内!』
「っ、猟兵さん!」
 倒れる明に駆け寄ろうとするアリスナイトの少女。
『そして――もう一人!』
 隙を見せた少女に再びハサミが襲い掛かる。ハッとした少女はとっさに腕を交差するが――
「残念、それは残像です」
 そんな少女を後ろから引き寄せ、ハサミの攻撃を回避させたのは先ほど倒れたはずの明。
「えっ、さっき……」
 倒れたはず。混乱した少女が明が先ほどまでいた場所を見ればそこにはハサミが落ちている以外何も無くなっている。
「魔王の落とし子はいろいろと秘密が詰まっているのですよ」
「は、はぁ……」
 明は口に人差し指を当て、悪戯っ子な笑みを浮かべる。
 実際は魔法を使い自分そっくりの残像を生み出したことはあえて言わず。
『おや、ご健在でしたか。うーん、テンション下がってしまいますね』
「おい、いい加減に……!」
『あ、すいません。あなたあんまり強くないので! どこかのご一行を思い出しちゃいますね!』
 先ほどの姿勢のまま攻撃を受け止め続けるサンディが抗議の声を上げるとにっこにこ顔でマーダーラビットが言葉を返す。
「誰が弱いだこの野郎!」
「でも戦闘になると彼が大半の敵を瞬殺してたし~」
 オウガブラッドの少年の抗議に子犬型の愉快な仲間が冷静に突っ込みを入れる。
「く……ふふっ。あははは!!!」
 防戦を強いられながらサンディは噴き出す。それを見てマーダー・ラビットは怪訝そうな表情を浮かべた。
『随分余裕ですね。もうここで潰れてぐちゃぐちゃになるというのに』
「それはこっちのセリフだよ。追い詰められているのはどっちかっていうね」
 苦戦しているように見せるのにはある程度の実力がなければ難しいことに、男は気づいていなかった。そして今組み敷いている少年は男が同行していたアリス一行と同じ年恰好であるが、数多のオブリビオンを屠ってきた存在だと、知らなかった。
 サンディがにやりと笑みを浮かべた瞬間。漆黒の盾から黒い水晶が現れる。一個だけではない、針山のように細く、鋭利なその水晶の群れがサンディの上で大鉈を振るうウサギを刺し貫く! 
『――は?』
 一瞬。マーダーラビットは一拍遅れてやってきた痛みに耐えながらバックステップで自身を貫く攻撃を水晶の群れからよりを取る。
「俺を侮ったのも、盾を防具と思ったのもお前の過ちだよ」
 乾山のように針が突き出た盾が形を変え、今度はボール状の黒水晶へと変化。マーダー・ラビットへと襲い掛かる。
 マーダー・ラビットは何処にしまっていたのか、のこぎりを取り出すと迫りくる黒水晶を打ち落とす。
 一個二個、撃ち落とすもそれを上回る水晶が男の体を掠め、貫いていく。
『ははっ、楽しいですね……!』
 斬られ、穿たれ――数多の傷を受けたマーダー・ラビット。そのとても晴れやかでニコニコした顔とは裏腹に膝をついた。
「いまだ、明さん!」
 その好機を逃す猟兵は居ない。サンディはすぐさま後方に控える明の名を呼ぶ。
 マーダーラビットの背後へと回った明。その手には銀色に輝く剣が握られる
「――銀の剣は敵を討つ剣なり」
 白銀のそれが男へと振るわれる。
 白い剣筋が流星のように煌めくと、男の首がごろりと地面へと落ちていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年02月20日
宿敵 『マーダー・ラビット』 を撃破!


挿絵イラスト