●サムライエンパイア・某所
夕暮れ、逢魔が時とも言われる時分に、静けさの中で蠢く無数の影。
それは小高い丘から町を見下ろし、皿一杯の生餌を好き勝手に食い荒らす時を待っている、餓鬼の群れだった。
その様子を見ていた神父姿の猟書家、ブラザー・アポストロスは、柔和な笑みを讃え満足げに頷く。
「素晴らしい……祝福されし命が、新たな喜びを、救いを他者に分け与えんと祈っている……」
生とは悪であり、死こそが救い。そう嘯くアポストロスには、目の前のオブリビオンが救いの使者たちのように見えているのだろう。
無論、満たされぬ空腹に喘ぐ餓鬼たちにそのような思考はない。むしろ“超・魔軍転生”によって憑装させられたコルテスの力に中てられ、餓鬼たちの欲望と空腹は想像を絶するほどに高まっている。アポストロスの目を盗み、共食いを行う者までいる始末だ。
「じきに日が落ち、救いの夜が訪れます。そしてこの町の子らにも祝福がもたらされる」
そんな餓鬼たちの状況を知ってか知らずか、アポストロスは笑う、静かに、ただ静かに。そして彼はこの町を救うだろう。自らによって救われた、理性無き配下たちと同じように。
●グリモアベース
「緊急の契約だ、話も巻きで進めさせてもらうぞ」
グリモアベースに設けられた会議用のスペースで、グリモア猟兵のエレクトゥス・レヴィンは捲し立てる。
「サムライエンパイアの破戒僧から、猟書家らしき敵による町への侵攻が報告された」
そう言うとエレクトゥスは、備え付けのテーブルに簡易の地図を広げる。
「侵入経路は町の南東にある丘から。敵は小鬼のような強化されているであろうオブリビオンの大軍勢と、猟書家であろう神父風の人型が一体確認されてる」
とん、とん、と地図に敵の群れと猟書家を示す赤いマークを付ける。
「もうだいぶ町に近い、押し返せればいいが、まず間違いなく町中での戦闘になるもんだと思っておいてくれ」
町中での戦闘――となれば、一部の猟兵の脳裏に懸念事項が浮上してくる。
「ああ、町の住民だな。まず、今は住民のほぼ全てが敵の洗脳の影響で抵抗力を削がれてる。パニックになる心配はないが、家から出るのも一苦労な状態だそうだ」
つまり自力での避難は難しい状況である、ということだ。
「被害を防ぐためにも、一刻も早く敵の数を減らす必要がある。何か気を引く手段があればいいが、今は準備してる時間もない、現地でうまくやってくれ」
悪いな、と。ばつの悪そうに俯くエレクトゥスは、そのまま話し続ける。
「現地に詳しい破戒僧も参戦するそうだ、地形なんかを利用するなら協力するのもいいかも知れん」
とん、と地図に味方を示す青のマークを追加し、エレクトゥスは顔を上げる。
「大将の猟書家を倒せば敵も勢いを無くすだろう。毎度毎度見送るだけで悪いが、健闘を祈らせてくれ」
頼んだ。と締めくくるエレクトゥスの声を背に、猟兵たちは戦場へと送り出されていく。
救われぬものを、救うために。
グール・シック
はい、どうも大変お久しぶりとなります。救いを求める、グール・シックです。
時事ネタ、というのでしょうか、ともかく猟書家幹部戦です。
内容は強化雑魚の撃破と、猟書家幹部の撃退ですね。
一章で町中の餓鬼を蹴散らし、二章では猟書家幹部本人と相対することとなります。
餓鬼たちは超・魔軍転生によってコルテスの力やら何やらで強化されているので、雑魚の群れというよりは集団系中ボスって感じの趣きとなります。厄介です。
猟書家幹部であるブラザー・アポストロスは強化こそされていないものの、幹部として相応の戦闘力で対処してくるでしょう。
なお、町の住民はブラザー・アポストロスの洗脳により自主的に家屋から出たり、パニックを起こすことはありません。
放っておけば餓鬼に襲われる可能性もありますが、餓鬼は基本的に猟兵を優先して狙ってきますので、ちょっとはご安心ください。
また、現地の破戒僧も戦闘に参加しています。猟兵ほど強くはありませんが、現地人であるため地理に詳しく、猟兵の指示にも素直に従うでしょう。
引き続き、執筆のスタンス関してはお手数ですがマスターの自己紹介ページをご確認ください。
では、皆様のプレイングが町を救いに来られる時を、涎を垂らしてお待ちしております。奮ってご参加ください。
第1章 集団戦
『餓鬼』
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POW : 共喰い
戦闘中に食べた【弱った仲間の身体の一部】の量と質に応じて【自身の傷が癒え】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD : 飢餓の極地
【究極の飢餓状態】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
WIZ : 満たされぬ満腹感
予め【腹を空かせておく】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
イラスト:猫背
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
水鏡・怜悧
詠唱:改変、省略可
人格:ロキ
ふむ、まずは少しでも町から引き離しましょう。破戒僧の方に、町に近い林の場所を聞きます。敵に対して風上が取れると良いですね。
「町はお任せしますが、無理はなさらないで下さいね」
到着したら毒属性の触手で香料を生成し風属性の触手で散布します。お肉の焼ける香りなら良い挑発になるでしょうか。
敵が寄ってきたら目立たないように立ち回りつつ林の奥へと誘い込みます。土属性の触手で落とし穴をつくり、敢えて攻撃を誘って落とします。ある程度集まったら雷属性の触手で取り囲んで一網打尽にしましょう。撃ち漏らしてもマヒするので逃さないよう1体ずつ仕留めます。
「町はお任せしますが、無理はなさらないで下さいね」
応、と返事をして町へ駆けていく破戒僧を見送り、水鏡・怜悧(ヒトを目指す者・f21278)……その一人格であるロキもまた移動を始める。
目的地は町はずれの林。ロキは破戒僧の住まいに程近いという位置にあるそこに、敵を誘い込む腹積もりだった。
やがて、そう時間もかからずに到着したロキは、素早く周囲の確認を終えるとユーベルコードを発動する。
「風向きよし……それじゃあ触手ちゃん、よろしく」
“触手式魔導兵器-シンフォニア”――呼び出される触手に付与する属性は毒、風、そして土、雷。
その途端、辺りを肉の焼けるような香りが包む。毒と風の触手が敵を誘引するために作り出し振り撒いた香料によるものだ。
空腹に喘ぐ餓鬼には効果覿面だ、そのうち、敵は香りに釣られ大挙して林へ飛び込んでくることだろう。
「よし、次は……」
呟き、触手を引き連れて林の奥へ入り込むロキ。
背後からぎゃあぎゃあと敵が押し寄せる気配を感じながら、ある程度奥まった位置へと身を隠すと、付き従っていた触手の幾ばくかが地面に潜り込み姿を消す。
やがて、勇み足で林へ踏み込んできた餓鬼の群れがロキを発見し、その身にまとう香りと生の肉の姿に耐えきれず襲い掛かる。
「そこ、危ないですよ」
その直後、突如足元に出現した落とし穴に餓鬼の大半が落ち、地中で罠を張りながら待ち構えていた土属性の触手が、周囲に残る餓鬼ごとまとめて拘束をかける。
「これで、一丁上がりです」
罠にかかりながらも強化された膂力で暴れ、拘束を振りほどく餓鬼たちの耳に、ロキの確信めいた一言が届く。
それと同時に、餓鬼たちを取り囲むように姿を現した第二の罠、雷属性のほとばしる触手が、餓鬼たちを一網打尽に灰燼に帰すのだった。
成功
🔵🔵🔴
テラ・ウィンディア
破戒僧と協力
あんたら此処の地形に詳しいんだよな
このままじゃ此処の人達が襲われちまう
詳しく教えてくれ
【戦闘知識】
破戒僧からの情報も含めて餓鬼の位置から襲撃を受けやすい家屋について把握
更に効率的に敵の進軍を妨害しやすい位置と破戒僧が問題なく生存しつつ護衛できる位置の捕捉
…おれ…知ってるぞ
極度の空腹はこんな風になるって
嘗て豊臣秀吉が兵糧攻めをして…それでご飯を食べても…悲しいよなぁ
だから…その苦しみから解放してやる(突撃
【見切り・第六感・残像・空中戦】で飛び回りながら
【二回攻撃・重量攻撃・早業・串刺し】
二刀で切り裂き槍に切り替えては突き刺して暴れ
周囲に餓鬼が集まれば
今楽にしてやる!
UC発動!殲滅!!
餓鬼の襲撃の中、町へと急ぐ破戒僧に並走する人影が一人。
「このままじゃ此処の人達が襲われちまう、地形とかについて、もっと詳しく教えてくれ」
そう語るテラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)に対し、破戒僧は一も二もなく頷き、知る限りの情報を答える。
そうして破戒僧の話を聞き終える頃に、テラは町で最も賑わい、最も家屋の多い大通りに到着した。
この場所で迎撃を行う場合、敵の侵攻方向に対して正面から向き直る形になるが、広い空間を活かすためには致し方ないとテラは割り切る。
破戒僧は撃ち漏らしから住民を護るために、少し離れた位置で戦場を見渡している。後は、押し寄せてくる軍勢を何とかするだけだ。と、テラは気合を入れなおした。
そして大通りの向こう側から、餓鬼がの群れが現れる。
「ニク……生キテル……ニク……!」
身の丈に合わない強化の影響か、覚束ない足取りで迫りながらテラを睨みつける。敵を見る目ではない、餌を、肉の塊を見る狂気の瞳であった。
「……おれ……知ってるぞ、極度の空腹はこんな風になるって。嘗て豊臣秀吉が兵糧攻めをして……それでご飯を食べても……悲しいよなぁ」
その様子を、テラは憐憫の目で見つめ返す。二刀を構え、槍を携え、竜騎士は征く。
「だから……その苦しみから解放してやる」
吼えるでも、呟くでもない、ただ宣言し、テラは跳んだ。残像が餓鬼を翻弄し、二刀が一度に六体の首を切り飛ばした。
行き場を失って倒れる躯を足場に再度跳躍したテラは、武器を槍へと切り替え、戦場を跳ね回りながら血飛沫を振り撒く。
平和だった町に漂う血と躯の異臭に、周辺の餓鬼さえも次々と集結してくるが、広々とした地形を縦横無尽に跳び回るテラにかすり傷一つ追わせることはできない。
そして、機が訪れた。自らを完全に包囲した餓鬼を見るや、空中に居るままのテラは叫ぶ。
「今楽にしてやる!!グラビティ・ブラスト……往けぇ!!」
直後、町中に響く轟音。ユーベルコードによって放たれた重力波砲が集い集る餓鬼たちを轢き潰していく。
苦しみも、飢えも、何もかも。全て。
大成功
🔵🔵🔵
死之宮・謡
アドリブ歓迎
ふむふむ…市街戦か…どさくさに紛れて愚民共も消しちゃダメか?……そうか、駄目か…なら仕方ない…いざと言う時は事故と言うことに…何?それも駄目なのか…
仕方ない、まじめにやるか…
破戒僧君に良い感じの広場が無いか聞いて移動
自身を中心に衰弱結界(呪詛・全力魔法・占星術)を張り、頭上に誘引の為の光球を上げておく(誘引・属性攻撃)
その後は【殺戮感染】を発動して寄ってきた奴を片っ端からレ・フィドラで始末する(呪詛・怪力・なぎ払い)
「さて……市街戦か……どさくさに紛れて愚民共も消しちゃダメか?」
「いかんに決まっておろう」
「……そうか、駄目か……なら仕方ない……いざと言う時は事故と言うことに……」
「だからいかんと言っておろうに」
「何?それも駄目なのか……仕方ない、まじめにやるか……」
こ奴、味方として扱ってよいのだろうか……。と、逡巡する破戒僧をよそに、死之宮・謡(存在悪:狂魔王・f13193)は気怠そうな態度で辺りを見回す。
現在地は、道中で確保した破戒僧に案内させた広場。その中央に立つ謡が一帯を覆う仄暗い呪詛を手繰ると、星座のように結ばれた力が、禍々しい結界の形を取って顕現した。
「これは……?」
「衰弱結界。あと、死にたくないなら移動したほうがいい。別に私はどうでもいいがね?」
問いの返事を聞くや否や、破戒僧は血相を変えて結界から離れていく。その背中を見送りながら、前言通り謡は至極どうでもよさそうに次の手を打つ。
「祭りには、提灯がないとねえ……?」
謡の呟きとともに空へ上がる光球が、筆舌に尽くしがたい誘惑とともに光を放つ。そして数分もしないうちに、静かだった広場は餓鬼の呻き喚く声に埋め尽くされていった。
「来た来た……。ようこそ、で、サヨナラ」
しばらくして、十分引き付けた、そう判断した謡が傍らに突き立てていた大槍を引き抜き、振るう。
さらに謡は血煙となって消し潰れていく餓鬼たちを逆に餌にし、ユーベルコード“殺戮感染”を発動。
光に誘き寄せられ、知らずのうちに結界によって衰弱した餓鬼たちに、反対に強化されていく謡の膂力で振るわれる暴虐の嵐を止めるすべはない。
故に、愚かな餓鬼の群れがいとも容易く蹴散らされ、無残な躯を晒していくのは必然であったと言えよう。
成功
🔵🔵🔴
ヨナルデ・パズトーリ
餓鬼と言えば飢餓に苛まれる死者、じゃったか?
ならばまあ、食べ物で惹き付けるのも一つの手じゃな
妾と同一視されるボロン・ザカブは穀物の神でもある故、其の権能を活かすと致そう
破戒僧の御仁に風上になり易い街に匂いが漂い易い場を聞きUCを発動して穀物の神の権能使用
トウモロコシを生み出し其れをスープ『料理』に
ボロンザカブとして司る煙、テスカトリポカとしての夜風の権能を用い料理から漂う湯煙を町中に漂わせて敵を誘き寄せる
敵が来たら『先制攻撃』で『高速詠唱』による『破魔』の『神罰』の雷『属性攻撃』『全力魔法』『乱れ撃ち』
近付いてきたら『怪力』による『破魔』の斧の『薙ぎ払い』
攻撃は『野生の勘』で『見切り』回避
町を覆う不気味な静けさと、その帳を切り裂いて耳を打つ戦闘音。その合間を縫い、風が町の一角を芳しい香りで包み込んでいた。
「妾と同一視されるボロン・ザカブは穀物の神でもある故、其の権能を活かせば、ほれこの通り」
そう呟くヨナルデ・パズトーリ(テスカトリポカにしてケツァルペトラトル・f16451)の手元には、ユーベルコード“源神回帰”によって得た権能をもとに作られた、温かな湯気を放つコーンスープが一鍋。
上り立つ湯気からはほのかに塩気を感じる香りが迸り、空腹であればあるほど、その誘惑には抗い難いだろう。死してなお空腹に苦しむ餓鬼であれば、なおのことである。
必然的に、風上より流れる香りに誘われ、既にヨナルデの周囲は餓鬼の群れに埋め尽くされようとしていた。
「然もありなん。飢餓に苛まれる死者となれば、この誘惑には抗えまい」
包囲の中にありながら、ヨナルデは余裕のある態度を崩さない。
ここまで敵が集えば、効果は重畳と言ったところか。これ見よがしにスープの味見をしながら、ヨナルデは鍋に蓋をし、火を弱める。
次いで、とうに我慢の限界を迎えていた餓鬼たちがヨナルデと鍋目掛けて押し寄せ、飛び掛かろうとし――。
そのほぼ全てが、降り注ぐ雷霆によって撃ち焼かれていった。
「神罰、覿面なり」
飢餓で薄れた理性は、さらなる誘惑により消え失せている。そうしてもはや傀儡以下と化した餓鬼では、いくら強化を受けていようと、続いて乱射される神の雷に抗うこともできずに消滅してゆくほかない。
やがて雷は止み、積み重なる灰だけが舞う戦場跡にて。ヨナルデは胡坐をかき鍋の蓋を取る。
「うむ、良い出来だ」
そうして、ヨナルデは灰の一粒も入り込まない不可思議な風の陣に巻かれながら、一人満足げに舌鼓を打つのだった。
大成功
🔵🔵🔵
月舘・夜彦
【華禱】
此処もアポストロスによって町の人々が洗脳されてしまっているのですね
幸いなのは彼等はまだ助けられるということでしょうか
しかしながら時間の問題、早急に対応致しましょう
現地の破戒僧の方に広い場所を聞く
敵は私達猟兵を優先して狙うならば、その場所で誘導しましょう
倫太郎の術の発動を合図に駆け出して敵へ接近
視力にて敵が集中している所にて早業の抜刀術『陣風』
2回攻撃で手数を増やし、なぎ払い併せ、より広い範囲で仕掛けて敵を一掃
その後は共喰いさせないように弱っている敵を優先して狙う
敵からの攻撃は見切りにて動きを読み、残像で回避
複数同時に襲ってきた際には衝撃波を込めたなぎ払いにて対処
篝・倫太郎
【華禱】
出来るだけ町まで距離がある状態の場所で迎撃
見晴らしが良い場所がありゃいいけどな
ま、無くても何とかするしかねぇか
天地繋鎖使用
視認出来た総ての敵を
指先でなぞるように示して対象指定し鎖で攻撃
繋鎖を抜けて接近する敵は夜彦と手分けして片付ける
吹き飛ばしと鎧無視攻撃を乗せた華焔刀でなぎ払い
刃先返して2回攻撃の範囲攻撃
範囲攻撃の後、状況をみながら再度天地繋鎖使用
また、町に侵入しようとする敵には部位破壊で四肢を狙って攻撃
敵の移動手段を潰してく
敵の攻撃は見切りや残像で回避
回避不能な場合はオーラ防御で防いで凌ぎ
負傷は激痛耐性で耐える
念の為、夜彦の死角もフォロー
必要に応じて天地繋鎖で敵の排除
これで仕舞いだ!
各所の戦闘による騒ぎが町の一部に広がり始めたころ。月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)と篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)の二人は、連携を取りながらの戦闘に適している位置へと移動していた。
餓鬼の軍勢が入り込んでいる状況であるにも関わらず静けさを保つ道沿いの家屋を横目に、二人は日の落ちた町を駆けていく。
「此処もアポストロスによって町の人々が洗脳されてしまっているのですね」
物憂げな夜彦の呟きに対して、倫太郎もまた緊張感を滲ませた声色で返す。
「みてぇだな、町中修羅場だってのに、静かなもんだぜ」
「ええ……此方にとって幸いなのは、彼等はまだ助けられるということでしょうか」
「だな。間に合ってなかったら、今頃静かだなんて言ってられねえだろうよ」
そう言う倫太郎の言葉に、夜彦は神妙に頷き。しかし、と続ける。
「その予想が現実となるのも時間の問題、早急に対応致しましょう」
応よ、と倫太郎が答えると二人は目的地に到着する。程々に広く、見通しも良い。新たに侵入を図る敵の群れをもっとも迎撃しやすい位置だ。
そして言うまでもなく、二人の眼前では丘を越えて町への侵入を図る餓鬼が、徒党を組んで押し寄せてきていた。
「さて、狙えますか?」
「目ぇ瞑ってても当たるっつうの」
敵の群れを遠目に見ながら問う夜彦に、倫太郎が当然といった風に言葉を返し――。
『其処に天地を繋ぐ鎖を穿て』
倫太郎のユーベルコード“天地繋鎖”が最前列の餓鬼を次々と、まるで線をなぞるように拘束していく。そして術の発動を合図に、夜彦が敵陣目掛けて切り込んだ。
「全て、斬り捨てるのみ」
白刃の如き鋭さの声が夜彦の口から零れ、ユーベルコード“抜刀術『陣風』”によって放たれる無数の剣戟が、束縛されている餓鬼たちが最も集中している一角を文字通り薙ぎ払っていく。
束縛を免れた餓鬼たちも負けじと死角から夜彦に襲い掛かるが、その横合いから振るわれた倫太郎の華焔刀によって薙ぎ払われた。
「油断すんなよ?」
「無論です」
倫太郎が束縛し、夜彦が切り込み、その隙を倫太郎が補う。そしてその合間にも夜彦の斬撃が一つ二つと煌めき、敵陣を切り崩していく。
敵の数多いためか掠り傷を負うこともあったが、致命傷には程遠く、二人の戦闘演舞を止めることはできなかった。
そうして一匹、また一匹と数を減らし、最後の一塊となった餓鬼たちに、二振りの終わりがもたらされる。
「これで――」
「――仕舞いだ!」
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第2章 ボス戦
『ブラザー・アポストロス』
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POW : 悔悟せよ、汝罪深き者
対象への質問と共に、【自身の侵略蔵書】から【野心の獣】を召喚する。満足な答えを得るまで、野心の獣は対象を【引き裂く爪と牙】で攻撃する。
SPD : 報いを受けよ、愚かなる者
【侵略蔵書の表紙】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、侵略蔵書の表紙から何度でも発動できる。
WIZ : 来たれ我らが同胞よ
【火縄銃】で武装した【聖戦士】の幽霊をレベル×5体乗せた【ガレオン船】を召喚する。
イラスト:いもーす
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠枢囹院・帷」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「なんと嘆かわしい……救いを与えんとする使者たちを、こうも無残に退けてしまうとは」
ブラザー・アポストロスは嘆く、微笑みを絶やさぬままに。
「致し方ありません。少々順序が前後することになりますが、先に猟兵の方々を救わねばならないようです」
微笑んだまま、一歩踏み出す。そして両腕を大きく広げ、アポストロスは宣う。
「すべての世界、すべての子らに、救済と祝福を――」
水鏡・怜悧
詠唱:改変・省略可
戦場に近づく前にUC発動。ロキは20cmほどの妖精人形に意識を移す。
人格:アノン
「救いだか何だか知らねェが邪魔すんじゃねェよ。オレはてめェが喰いたいんだ」
UDCを纏って黒い狼の姿になる。相手の攻撃を勘で躱しつつ、爪や牙で攻撃。
人格:ロキ
見つからないように町中を移動し、破戒僧の方に会います。戦場の位置を伝え、不意打ちできそうな経路を聞き出します。
「危険ですから、近づかないでくださいね」
言い含めて、教わった経路で敵の背後へ。アノンの変化をUCと見紛えば、書で攻撃を防いだ瞬間に隙ができるはず。液体金属の羽を変化させたナイフで突き刺します。
月明かりに照らされた町で、黒狼の爪牙が夜の帳を引き裂く。
「おお……いけません、そのように荒ぶっては。何故救いに抗うのです?」
自身に迫る脅威に対しても微笑みを崩さず、見た目とはかけ離れた機敏な動きでそれを躱すブラザー・アポストロス。対して黒狼、水鏡・怜悧(ヒトを目指す者・f21278)の一人格、アノンが吼える。
「救いだか何だか知らねェが邪魔すんじゃねェよ。オレはてめェが喰いたいんだ」
「その欲求もまた、麗しき死の先でこそ満たされるのです。故に――」
「ごちゃごちゃうるせえ1!」
問答無用。アポストロスの言葉に暴力で答え、その喉元に食らいつかんとアノンは駆ける。
聞く耳持たずといった様子に、アポストロスは心底残念そうな様子でその手に持つ“侵略蔵書”を構えた。
「求めざる子らにも罰と救いを与えるは我が天命、“報いを受けよ、愚かなる者”」
アポストロスの発動したユーベルコードは、その手の“侵略蔵書”の表紙で受け止めた相手のユーベルコードをコピーする。
故に、人から黒狼に変じたアノンの牙を受け止めれば、アポストロスはその手に新たな武器を得る。……はずだった。
「バァ--カ」
「――っ!」
“侵略蔵書”は反応せず、何も起こらない。黒狼の牙は何に防がれることもなく表紙を弾いてアポストロスの腕に食らい付き、その動きを妨げる。
「(コピーできない?ユーベルコードではないのか?もしや、これは陽動――)」
その困惑によって生じた隙が、この場での勝敗を決定付ける。
「遅いですよ」
声に反応し、アポストロスが背後から忍び寄る妖精人形に気付き振り向いた瞬間、煌めく妖刃がその無防備な背中を突き刺した。
それは怜悧の人格の一つ、ロキを宿したユーベルコード、“機械仕掛けの妖精”。
予め破戒僧からアポストロスの背後に回るルートを聞き出したロキは、直接戦闘をアノンに任せ、ユーベルコード不発の瞬間を狙った不意打ちによってアポストロスに痛手を与えたのだ。
「なるほど……本命はあなたでしたか……」
「そういうことです、観念してもらいましょうか」
「大人しく喰われろってんだ」
背中を突き刺されてなお微笑みを崩さないアポストロスだが、夥しい出血がその身に受けたダメージ何よりも雄弁に物語っている。
「いいえ、いいえ。私はまだ動ける……ならば、より多くを救わねば……」
組み付く二人を振り払った後にアポストロスの取った選択肢は、戦いの仕切り直しだった。生き残っていた餓鬼をアノン、ロキ両名にけしかけると、アポストロスは町の暗がりに消える。
「まだです、まだ、救いは齎されていません……」
大成功
🔵🔵🔵
月舘・夜彦
【華禱】
私には言葉と行動が一致しているようには思えません
餓鬼が喰い合い、空腹に苦しむ様子を見て救われると
本当に思っているのならば……正気の沙汰とは思えませんね
倫太郎の拘束術を合図に接近
召喚された獣には破魔の力を付与した刃の2回攻撃にて斬り祓う
倫太郎へ放たれた獣も居るのならば、なぎ払いにて一掃
獣への対処を終えたら速やかにアポストロスへと駆け出す
倫太郎が攻撃を仕掛けた後、続いて早業の火華咲鬼剣舞にて攻撃
敵からの攻撃は残像にて回避
回避が困難であれば武器受けにて防御
負傷は激痛耐性で耐え、継戦能力にて攻撃する手は止めない
誰かに縋らなければ救われないような私達ではない
己が往く道も、安らぐものも、己で決める
篝・倫太郎
【華禱】
救済も祝福も……与えられることをただ待つものじゃねぇし
それこそ、生きてる奴の数だけあっていいモンだ
押し付けの救済と祝福は持って還りな
てめぇからのそれらは『要らねぇ』よ
拘束術使用
召喚された獣が射程に入ると同時に鎖での先制攻撃と拘束
夜彦の分の獣も可能なら同時に拘束
拘束が無理でも動きを阻害出来りゃ良い
戦況を見つつ、神父も拘束出来りゃなお良しってな
ダッシュで接近して吹き飛ばしと鎧砕きを乗せた華焔刀でなぎ払い
フェイントを混ぜた返した刃先で2回攻撃
攻撃は見切りと残像で回避
回避が間に合わない場合はオーラ防御で凌ぐ
負傷は激痛耐性で耐え、以降の攻撃には生命力吸収も乗せてく
拘束術が剥がされた場合は再度使用
「罪を重ね……救いを否定する子らよ……汝らに罰を、救いを……」
ブツブツと呟き、血の跡を残しながら町中を進むアポストロス。その眼前に、二つの影が立ちふさがる。
「そこまでです」
「こっから先は通行止めだぜ?」
月明かりを背に立つ月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)と篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)は、立ち昇る闘気を隠さずに言った。
「……何故です?何故、救われることを拒むのですか?祝福を、否定するのですか?」
「救済も祝福も……与えられることをただ待つものじゃねぇし。それこそ、生きてる奴の数だけあっていいモンだ」
「ならば、私の与える救いもまた肯定されるべき――」
「押し付けの救済と祝福は持って還りな。てめぇからのそれらは『要らねぇ』よ」
何故、と問うアポストロスに対し、倫太郎はぶっきらぼうに、しかし真っ直ぐに答えを返す。
「何という傲慢、何という不遜!自らが罪深きことを自覚出来ずにいる!無自覚に苦しむ哀れな子らよ、故に救いが、祝福が必要なのです!」
「私にはその言葉と行動が一致しているようには思えませんがね」
「――私の行動が矛盾していると?」
「その通りです。餓鬼が喰い合い、空腹に苦しむ様子を見て救われると、本当に思っているのならば……正気の沙汰とは思えません」
微笑むまま喚くアポストロスに、夜彦は吐き捨てる。そして理解も共感も納得も出来ない論理を前に、もはや問答は時間の無駄と刃を構えた。
「ならば答えよ!そして“悔悟せよ、汝罪深き者”!汝らの救済は、祝福とは何か!?他ならぬ私がソレを与えよう!」
罪深き二つの否定に対し、なおもアポストロスは問い、ユーベルコードを放つ。
それは“侵略蔵書”から放たれる“野心の獣”の召喚。書から飛び出るように現れた二体の獣が夜彦と倫太郎に牙を剥く。
「はっ!結局、暴力に訴えるんじゃねえか!」
出現直後にそのまま射程圏内に飛び込んできた獣に対して、倫太郎がすかさず不可視の鎖を放つ。
「縛めをくれてやる!」
出鼻をくじかれる形で鎖の直撃を受けた二体の獣は、倫太郎のユーベルコード“拘束術”によって動きを封じられた。
倫太郎はそのまま追加の鎖をアポストロスに放つも、そちらは危なげなく躱されてしまう。
「ちっ、そう簡単にはいかねぇか」
「そのようです。まずは前衛を断ちましょう」
呟く倫太郎と、それに答える夜彦は短いやり取りの後、揃って前へと踏み込む。
確りと当てたはずの獣への拘束も、そう長くは続かない。だが、二人にとってはそれだけで十分だった。
「おらぁっ!」
気合を乗せた華焔刀の二連薙ぎ払いが、拘束の解けた二体の獣の前脚を切り飛ばし、その勢いで宙へと浮かばせる。そこに――。
「はぁっ!」
流れるように躍りかかる夜彦の連撃が加えられ、破魔の刃が獣の頸を切り落とした。
瞬く間に野心の獣を突破した二人に、アポストロスは目を見開く。そして綻んだ微笑みを結び直すと、突破の勢いをそのままに肉薄してくる二人に問う。
「その刃で、その力で救いを断ち切って、何になるというのです。その先に救いはなく、ただ罪と苦しみだけがあるのだというのに……何故?」
「誰かに縋らなければ救われないような私達ではない。己が往く道も、安らぐものも、己で決める!」
刃を遮る問いを切り捨て、夜彦の刃が迫る。それを先の鎖のように躱すアポストロスだったが、さらに夜彦の陰から現れた倫太郎の刃がその脚を切り付け、動きを鈍らせた。
「今だ!」
叫ぶ倫太郎に応じ、側面に回っていた夜彦が頷き、詠う。
「舞いて咲くは、炎の華」
ユーベルコード“火華咲鬼剣舞”発動。
瑠璃色の炎に包まれた剣舞がアポストロスだの肩から胸にかけて、幾重もの傷を与え、焼き焦がしていく。
「ぐ、おおおおお!」
咄嗟に新たな獣を呼び出すアポストロスだったが、問いを介さない不完全な召喚はその爪と牙を呼び起こすだけに止まり、それらも舞い続ける夜彦と、それをカバーする倫太郎に防がれる。
「わ、私は、まだ……救いを……!使命を……!」
咲き誇る花の如き劫火に焼かれながら、アポストロスは逃走を図る。
「逃がすか!」
トドメの機会を逃さんと追撃を始めようとする二人だったが、その時、二人のいる通りからほど近い場所から悲鳴が聞こえてくる。
アポストロスの力が弱まり、洗脳が解け始めたことで、町の住民が事態に気付き始めたようだ。
このまま放っておけば、騒ぎに気付いた餓鬼の生き残りに襲われる可能性がある。
「マジかよ、こんなタイミングで……!」
「致し方ありません、住民の安全が最優先です」
「あいつはどうすんだよ」
「逃げた先に、猟兵の気配を感じます。それにあの負傷ではそう遠くまでは逃げられません」
「信じるしかねえってことか……」
「ええ、私たちも急ぎましょう」
ややあって、二人は悲鳴の方へと駆け出していく。守るべきもの、救うべきものを、決して違えるわけにはいかないのだから。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
テラ・ウィンディア
なぁ
救いってなんだ?
おれには判らないよ
あいつらは苦しそうだったし
死が救いになるって事も分からないでもないよ
おれらにはそれしかできないって事もな
だからまぁ何が言いたいかっていうと
あんたも救ってやるよ
【戦闘知識】
敵の戦い方と動きの癖の把握
【見切り・第六感・残像・空中戦・武器受け】
接近戦をしかけ彼の攻撃は可能な限り回避
厳しい場合は武器受けで致命を避け
距離をとられれば
ガンドライドによる【遊撃・レーザー射撃】
剣と太刀の二刀で【二回攻撃】
【早業・串刺し】で槍に切り替えての一撃
上空を制すれば
メテオブラストぉ!
【重量攻撃】で破壊力増強
…死が救いか
でもさ
それは追い込まれた末の結論だよ
そうならないほうがきっといい
ヨナルデ・パズトーリ
望まぬ救済等只の押し付けに過ぎぬ
そも貴様の言う救済は生者にとっては只の加害よ
其の辺りほんに妾の世界のコルテスに似て居るな
此の地の者を妾の民の様にさせぬ為に……貴様は此処で家滅ぼそうぞ!
UC即発動
魔法は原則『高速詠唱』且つ『範囲攻撃』
『先制攻撃』で『目潰し』の『呪詛』入り闇の『属性攻撃』『全力魔法』
其の侭『存在感』を薄れさせ『目立たない』様にし『闇に紛れる』
同時に『存在感』と『殺気』を持たせた『残像』を用意し攪乱
UC対策に『破魔』の力が籠った『神罰』の雷『属性攻撃』『全力魔法』の『乱れ撃ち』
其の侭高速飛行の『空中戦』で敵に肉薄
斧に『神罰』の雷鳴を込め『怪力』の『鎧無視攻撃』『属性攻撃』をぶち込む
“野心の獣”の音の無い咆哮と共に繰り出される爪を、テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)の剣が受け止め、反撃にと振るわれた刀を、獣の牙が噛み止める。
鍔迫り合うような形で獣を抑え込みながら、テラは獣の先に立つ敵。敗走し、新手に捕捉されたアポストロスに、静かに問う。
「なぁ、救いってなんなんだ?何度聞いても、おまえの言う救いってのがおれには判らないよ」
死は救い、オブリビオンは祝福された命。そう宣うアポストロスの言葉をテラは飲み込み切れずにいる。
飢えに苦しむ餓鬼や、命を狩り取られようとしている住民たち、その姿を確と目に焼き付けてきたが故の問いだった。
「何度でも答えましょう。救いとは、麗しき死。その先にある祝福です。わからずともよいのです……ただ受け入れなさい」
幾度となく繰り返されるその言葉に、テラは表情を歪ませ、その隙を突くように側面から別の獣が襲い掛かる。
その瞬間、奇襲を掛けた獣の死角である上空から、ユーベルコード“第一之太陽再臨”によって鎧と翼を得たヨナルデ・パズトーリ(テスカトリポカにしてケツァルペトラトル・f16451)が黒曜石の斧を振り下ろし、その顔面を粉砕した。
「望まぬ救済等只の押し付けに過ぎぬ」
組み付いていた獣から一度距離を取るテラを横目で見つつ、ヨナルデは言う。
「そも貴様の言う救済は生者にとっては只の加害よ」
其の辺りほんに妾の世界のコルテスに似て居るな。と、うんざりした様子で先の餓鬼たちから感じた気配を思い出して吐き捨てる。
故に――。
「此の地の者を妾の民の様にさせぬ為に……貴様は此処で滅ぼそうぞ!」
「おう!」
敵から距離を取り、息を合わせて二人が疾駆する。テラは地上を、ヨナルデは空を。
「そうはいきません……私は救いを与え、使命を、果たさねばならないのですから。“来たれ我らが同胞よ”」
対するアポストロスは“侵略蔵書”を掲げ、ユーベルコードを発動する。
町の地面が揺らぎ、水面から飛び出すように巨大なガレオン船が召喚された。
「うおっまじか!?」
「狼狽えるでない!お主は本体を狙え!」
「わ、わかった!」
町中に船が出現するという状況に面食らうテラに声を掛けると、ヨナルデはさらに高度を上げてガレオン船を俯瞰する位置へと移動する。
それを狙い、船と共に現れた聖戦士の幽霊たちが火縄銃を構え、即座に打ち放ち弾幕を張る。
「甘いわ!」
ヨナルデは自身目掛けて飛翔する幾多の弾丸を事も無げに躱し、残像を残しながら文字通り闇に紛れる。
第一射が外れた後も、幽霊たちはヨナルデを撃ち落とさんと射撃を続けるが、その弾丸は残像を掠めるばかりで効果がない。
その隙にヨナルデは目にもとまらぬ高速飛行によって船へと肉薄し、船上の幽霊全てを射程に捉えた。
「真なる神罰を、受けるがいい!」
その身から放たれるは破魔の神罰、神の雷霆。嵐の如く乱れ撃たれる雷撃が船の巨体を焼き焦がし、破壊してゆく。そしてそれは船上に立つ聖戦士の幽霊たちも例外ではなかった。
「これで、終いだ!!」
そして抵抗力を失ったガレオン船に、ヨナルデは落下の勢いを乗せ神雷を籠めた斧を叩き込む。
乗員のほとんどを失った船にはその一撃を防ぐ術などあるはずもなく、斧の直撃を受けた船は轟音と共に崩壊し、霧散していった。
一方、テラは残り一体になった野心の獣の攻撃を掻い潜り、アポストロスとの距離を確実に縮めていた。
爪を二刀で弾き返し、素早く持ち替えた槍で牙を受け流す。一通り攻勢を凌いだら、テラの周囲を飛び回る自走砲台が反撃を行う。
テラも無傷とはいかなかったが、それ以上の傷を獣に与え、そしてすれ違いざまの追撃によって獣を切り伏せた。
「あとはお前だけだ……!」
二刀の切っ先を突きつけ言い放ち、テラは突撃する。
「ずっと考えてた、さっきのあいつらは苦しそうだったし」
剣戟を躱したアポストロスが、反撃にと繰り出した不完全な獣を叩き切る。
「死が救いになるって事も分からないでもないよ」
書の力で拘束を試みる腕をしゃがみ込んで躱し、逆に切り付ける。
「おれらにはそれしかできないって事もな」
なおも抵抗するアポストロスの背後で、召喚したガレオン船が崩壊し、気を取られて動きが止まる。
「だからまぁ何が言いたいかっていうと――」
船を粉砕したヨナルデの雷斧の余波で体勢を崩したアポストロスに、テラのユーベルコード“メテオ・ブラスト”が放たれ。
「――あんたも救ってやるよ」
超重力を纏った踵落としによる衝撃が、咄嗟に構えた“侵略蔵書”ごと、アポストロスを町の外縁まで弾き飛ばした。
「私は――まだ――救いを――使命を――祝福を――!」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
死之宮・謡
アドリブ歓迎
なぁに、その使者とやらや貴様にも救いを与えてやろうと思ってな?
拒否権は無いので受け入れてくれ。貴様の思想にも一部賛同しないことも無いが…抑、救いだのなんだのと言ってウロチョロしている輩は理解出来んのでな?
・
破戒僧諸君らは離れていたまえよ?一緒に死にたくなければな
【外世界よりの呪い】を発動
絶死の黒霧(呪詛)を辺り一面に立ち込めさせて、獣を告死の鎌で抹殺し
ふよふよと飛んで近寄りながら衰弱の呪術を飛ばして
最後はアポストルも告死の鎌で一閃
「まだです、まだ、終わっていない……!」
町の外縁にあった塀の瓦礫の中から、アポストロスが再び姿を現す。
二足で立ってこそいるものの、その姿は満身創痍そのもので、“侵略蔵書”を持つ手は、今にもそれを取り落としてしまいそうに震えていた。
そして、そこに降り立つ新たな影が一つ。
「ふ、ふふ……トドメを刺しに来ましたか……ですが、私はまだ――」
「ああウン、そういうのいいから」
「――何と?」
息も絶え絶えに言うアポストロスに対して、ひどく軽薄な言葉が投げかけられた。
「別に、ほっといても他の連中が殺ったろうけど……なぁに、その使者とやらや貴様にも救いを与えてやろうと思ってな?」
今まで相対した猟兵とは打って変わり、まるで、気が向いたから。と言わんばかりの態度で死之宮・謡(存在悪:狂魔王・f13193)は一方的に話し続ける。
「あ、拒否権は無いので受け入れてくれ。貴様の思想にも一部賛同しないことも無いが……」
「ならば、何故……!救いとは――」
「抑、救いだのなんだのと言ってウロチョロしている輩は理解出来んのでな?」
遮り、言い捨て、謡は粛々と“救い”の準備を始める。
「命に呪いを、想いに呪いを。血の祝福を、絶望と共に喝采を謳え。鏖殺の堕天使」
ユーベルコード“外世界よりの呪い”が、謡の身を包んでいく。
「く……!?何という悍ましさ!“悔悟せよ、汝罪深き者”!自らの罪を理解できてないのですか!?」
眼前に在り、ふよふよとこちらへ近づく呪詛の塊を前に、恐怖による問いとユーベルコードの獣を放つアポストロス。
「知らんよ、知る気もない」
だがそれを前にしても、謡は大した反応を示さずにその手に持つ告死の鎌を振るうと、呼び出されたばかりの獣が次々と無に還っていく。
「無駄、たとえ貴様が無傷だったとしても、全部無駄」
「ば、馬鹿な……!」
やがて、無限にも一瞬にも思える時間が経ち、謡はアポストロスの傍らにたどり着くと、その頸に告死の鎌の刃を添える。
そのまま謡は鎌を振りかぶり、アポストロスは抗えぬ恐怖に喚く。
「私は、救いを!祝福を!光を――!!」
「無駄だよ、光は届かない……」
何にも、誰にも――。
そうしてアポストロスの意識は一閃の後に闇に呑まれ、長き夜の戦いに終焉が訪れるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
最終結果:成功
完成日:2020年11月23日
宿敵
『ブラザー・アポストロス』
を撃破!
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