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デブリ宙域から逃げるな

#スペースシップワールド #猟書家の侵攻 #猟書家 #ドクトル・アメジスト #電脳魔術士

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●猟兵の活躍はゲームにもなるのかもしれない
 スペースシップワールドでは、猟兵達の活躍を元にした、とあるゲームが流行していた。
「……おー、随分戦力整ってんじゃん。いつの間に揃えた?」
「へへー、推し猟兵が実装されたから回しちゃったや」
 とある宇宙船の管制を担当する電脳魔術師達はお互いに嵌っているゲームの話に華を咲かせる。

「最近は色んな猟兵が増えてきてたのしーんだよね。その分ガチャの見極めも大変だけど」
 わかりみがある――そんな面をしながらもうひとりの電脳魔術師は、ブラウザからゲームのアプリを開く。だが、見慣れぬ一つのバーナーがそこにはあった。
「……あれ? あのイベント今日からだったか?」
 うっかり興味本位でバーナーをクリックした彼が見たのは――

 ……もっと、最悪な、地獄だった。

●ここが噂の(ry
「……ああ、なんつーか慣れてくると放置回しでも余裕なんだよなぁ……っと、すまねぇ。もう集まってたのか」
 自分のスマートフォンをぽちぽちしていた機嶋・連城(機械仕掛けの理論・f23907)は、はよ説明を始めろとばかりに集まっていた猟兵達を見回し、改めて説明に入る。

「猟書家の侵略ってのは殊の外難儀でな、今回はとある船がまるごと『ドクトル・アメジスト』の呪いのオンラインゲームに乗っ取られちまったんだ。今回はそのゲームを『クリア』してきて貰いてぇ訳で」
 そう語る連城はとあるアプリゲームを見せる。
 宙域の果て、父親を探して旅するスペースノイドと仲間達の物語――

「……まぁ、これ、ちょっと俺らの活躍を元にしたゲームで、『本物』もちゃんとSSWで流行ってるんだが、問題は『ドクトル・アメジスト』がこのゲームの中の苦行コンテンツをよりによって理不尽なゲームに仕立て上げてるってことなんだよな」
 彼いわく。その『元』のコンテンツは、強いボスを何度も倒して競い合う競争系コンテンツなのだが――
「その『強いボス』を出現させる為に必要なアイテムの泥率が酷いぐらいにしょっぱく設定されてやがる。しかも、そのアイテムを泥するボスも『理不尽』に強くなってんだ。俺だったら運営ぶん殴ってる」
 つまり、正攻法でやっていると心が摩耗して、逃げたくなってくるというのだ。だが、このゲームは『呪いのオンラインゲーム』。そのままでは囚われた船員達が死んでしまうのだと。

「だもんで、お前らにはソッコーでゲーム内で『電脳魔術師』の連中と合流してくれ。そいつらのチートコードを使えば、なんとか『元』のコンテンツ並の難易度には下げれる」
 だが、ゲーム内では猟兵達も、そのままではゲームの『プレイアブルキャラ』程度の戦力しか持たないらしい。
 なので必要なことは電脳魔術師を護り、チートコードによってユーベルコードを使えるようにしなければ、どうしようもないのだとか。

「……まぁ、元のコンテンツを考えたらその『強いボス』を出現させる為の素材を一定数集めたら、親玉が『強いボス』として出てくるだろうさ。ちゃっちゃと頼むぜ」
 適当に説明を終えた連城がグリモアの転送術式を始める。
 ……まさか自分自身が逃げれなくなるとは、と一部の猟兵が思ったとか、思わなかったとか。


逢坂灰斗
 逃げるなって言われるけど逃げたい。逢坂灰斗です。
 今回は理不尽に難易度が釣り上がった古戦……げふん。レイドボス討伐ゲーに挑戦してきて頂きます。

【MSより】
・こちらは『猟書家の侵略』における幹部シナリオです。全2章構成です。
 以下のプレイングボーナスが設定されてますのでご検討下さい。
「チートコードを打ち込み続ける電脳魔術士を守る」

・第1章のクリア条件は『ボスの落とす特定のドロップアイテムを一定数集める』です。
 ゲーム上では、この特定のドロップアイテムを一定数集めることで強大なボス『ドクトル・アメジスト』に挑める――ということになっていますが、今の所誰一人挑めていません。
・このシナリオのゲームでは猟兵達はそれぞれが『プレイアブルキャラ』扱いされます。
(※電脳魔術師達に事情を説明すれば、『本物』だと理解はしてくれます)
 逢坂がそれっぽいデータをプレイングからでっち上げますが、希望があれば断章記載通りにお書き頂ければ幸いです。
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第1章 冒険 『呪いのオンラインゲームをクリアせよ』

POW   :    困難な状況に対して正面から挑戦し、その困難を打ち砕きゲームをクリアに導く

SPD   :    裏技や抜け道を駆使する事で、ゲームの最速クリアを目指す

WIZ   :    多くのデータを検証して、ゲーム攻略の必勝法を編み出す

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


【MSより】
・第一章のクリア条件は『クエーサービースト』の落とす特殊なアイテム『旧帝国文書の断片』の一定数の収集です。
(※ゲーム内設定なのでこれを集めてゲームから持ち帰ることは出来ません)
・自分の『プレイアブルキャラ』としての性能は完結で構いません。
 「支援とデバフで仲間を支えるサポーター」とか、
 「各種ダメージ軽減やカバーなどで仲間を護るディフェンダー」とか、
 「強烈な自己バフと火力で殲滅するアタッカー」とか、
 「必殺技を何度も撃って素早く打点を叩き出すアタッカー」とか。そんな感じです。
・ただし、どれだけ強いキャラでも、敵がそのままでは理不尽な程強いので、何も考えずに行くと苦戦するでしょう。困ったら現地(ゲーム内)で『電脳魔術師』と合流して下さい。
・ユーベルコードは『回数が限られていますが』、チートコードの入力回数によって使用可能となっていきます。


●逃げたいけど逃げたら死んでしまう
 此処は、ゲーム内のデブリ宙域。
 本来なら、此処は壮絶なくらいにレイドボスが時速数十体以上単位で張り倒され、スコア競争を繰り広げる場所であった筈だ。
 だが……プレイヤー達の目は死んでいた。

「……な、なぁ、これで漸く10体目だよな……『旧帝国文書の断片』、落ちたか?」
 最早顔面蒼白となりつつある一人の電脳魔術師が、仲間に問いかける。
 首を虚しく横に振る光景は、最早何度めか。
 この敵、『クエーサービースト』は本来なら『アイテムを集めた上で呼ぶ』側の戦力だろう。それぐらいに理不尽な強さをしていた。
 なのに、なのに――だ。一切報われないのだ。

「泥率強化も天井までかけたし準備は万端にしたのに落ちないとか……なんだ今回のイベント……絶対悪意がある……こんなのいつもの運営じゃねぇ……」
 全員は顔を見合わせる。普段は『逃げるな』を合言葉にしている筈の彼らだが、もう既に全員が逃げたくなる程の塩加減で戦意を喪失しかけていたのだ。

「……だけど、逃げたら死ぬ……俺達の頑張ったデータも、集めた推し猟兵もパーになる……!!」
 全員は、最早覚悟を決めていた。本来ならば、絶対に手を出さないと決めていた筈の不文律に手を掛けたのだ。
「――俺は、泥率の修正を試みてみる。お前は敵の特殊行動の弱体化とかそっちから仕掛けてみてくれ。……絶対に、負けて、たまるかよ……!!」

 そんな最中のゲーム内へ、猟兵達は侵入する。
 理不尽を跳ね返すのに必要なのは自分達自身という『キャラ』なのだから――!!
木々水・サライ
燦斗(f29268)と

親父、コレあれだよな。
逃げるなってよく言われるヤツ。親父やってなかった?
あ、俺? ゆるソロ団なんでセーフ。

まずは電脳魔術士探しだして、と。
……いや、なんで俺がSRで親父がSSRなの!?解せぬ!!
おい電脳魔術士!! チートコード入力して今すぐ俺をSSRに上げてイベント専用に変えろ!!!
親父は新キャラとしてイベント専用をつけてやれ!!
あとついでに、通常ドロ率UP以外にも特攻猟兵参加で更に攻撃力・ドロ率UPにでもしときな!!

よし、UC回復したなら【無謀な千本刃の白黒人形】で殴り込みにいくか。
俺自身はこのゲームではアタッカータイプのようだ。そりゃそうだ。
特攻入るおかげで周回が楽。


金宮・燦斗
サライ(f28416)と。

ええ、そうですね。
コレは間違いなく、逃げるなと称されるアレです。
え、私もゆるソロ団ですよ?ちょっとハイレベルを単身で殴れるだけの。

おや、サライがRで私がSSR。このままではイベント特攻がつかないのですね。
サライの言うように特攻をつけてもらいましょう。
ついでに確定箱演出もつけていいんじゃないんですか?
だって、集まらないんでしょう? そのぐらいはしないとねぇ?

私はアサシンタイプみたいですね。味方の支援をしつつ、即死系が得意のようです。
もし危険が迫れば、1回消費ですがUC【命削る影の槍】で気づかれぬうちに敵を殺しましょうか。
アタッカーなサライにある程度を任せつつ、ね。



●そう、アレですよアレ
「――親父、コレあれだよな。逃げるなってよく言われるヤツ。親父やってなかった?」
 そう言いながらゲーム内の仮想デブリ宙域に降り立ったのは木々水・サライ(《白黒人形》[モノクローム・ドール]・f28416)の姿。
 その傍らには――親父もとい、金宮・燦斗(《奈落を好む医者》[Dr.アビス]・f29268)の姿が。
「ええ、そうですね。コレは間違いなく、逃げるなと称されるアレです」

 UDCアースにも類似ゲームが存在するのか――このSSWのゲームは一部猟兵にも知名度があるのだろうか。というかシステムが近いのか。
 ゆるふわソロ団だからセーフとかお二方言ってますが、ハイレベルをソロれるって時点でPLが全然ゆるふわしてないのでダウト判定付けますね。

 そんなことはさておいて、ちらり――と自分のステータスを確認する親子であるが、まずそれぞれに気づいた事がある。
「……あー、特攻もねぇのか。そりゃあクソボス殴り続けてクソ泥と戦えって言われたら萎えるよな」
「そうですね、合流したら真っ先にイベント特攻でも付けてもらいましょう。まぁそれぐらいなら出来るでしょうし」
 初期の頃は実はそういうの存在したらし……げふん、というのもさておいて。合流手前でサライは突然叫び声を上げた。
「……いや、なんで俺がSRで親父がSSRなの!?解せぬ!!」
「ははははは、仕方ないみたいですね。どうやらサライのSSRの方は実装前――おや今そちらのSの文字が消えましたね?」
「な ん で 降 格 し た」
 それは親父さんの側だとRって書いてあったから落とすに決まってるよなぁ……とゲスい顔をした誰かが居たそうだが。
 そんな事はお構いなしに悲しみのままにサライはダッシュし、近場にいた格闘家っぽい格好になっていた電脳魔術師の胸ぐらを引っ掴んで脅は……懇願する。

「早く!!!! 俺をSSRにしろ!!!! ついでに特攻つけろ!!! 親父はイベント専用補正つけろ!!!」
「本物がやってきていきなり何言い出したと思ったらなんか猛烈な無茶振りしてき、あ、やめてゆすらないで量子キーボードうてなくなあああああ」
 ぐわんぐわんと揺らされている愉快な光景を見ながら、燦斗が貼り付けたような笑顔のままにそれを制し、追加注文を付ける。
「それに、元を考えたら確定箱演出も付けて良いんじゃないでしょうか? 一個も集まらないレベルで落ちないんですよねぇ……?」
 類似ゲームを知っているものならご存知だろうが、こういった『自発アイテム』は、基本確定1つか複数個落ちる仕様となっている。
 正しく難易度を修正するコードを撃ち込めば、その程度の確率には戻せるだろう……とは、恐らく経験者の算段なのか。……いや煽り含んでるけど。

 そうして少しだけ冷静になった彼は、改めて親子に向き直り、コード展開の準備を始める。
「……おっけ、ちょっとギルメンの仲間にも早めに声かけてそこら辺の修正頼んでみるから――」
 そうして手早くコード入力作業に移った彼だったが、段々と3人に影がかかり、それとともに彼の目に涙が――
「こいつ、なんとかして」
 ……捕まえた電脳魔術師は、全滅一歩手前だったのだ。

「まったく、私達がいなかったらどうするつもりだったんでしょうね??? あ、基本的な矢面は任せましたよ」
「あったり前だ、俺がアタッカー設定されてなくてどうすんだよ親父!!」
 奇怪なほどのサイズ、機械のような装甲に覆われた敵クエーサービーストを、サライはスキルを素早く重ねて追撃の『数』を確保する。
(――で、親父は味方含めて高速回転させて試行回数稼いだ必殺で突然即死狙いするタイプと。変なとこでシナジー作ってんな運営……)
 七色の刃は、数多の数値を表示し、最早数字一つ一つを読むのがめんどくさい程だ。これだから追撃型は!!
「ええ、良い調子ですねサライ。此方も上手く回っていますし……あとは」
 ちらりと、彼が後ろを向けば、せわしなくコードを打ち続けていた電脳魔術師はそれに応える。
「と、間に合った! 1発ならいける筈!!」

 その瞬間、七色の刃が真の姿を解き放つ――そう、これはUCが『キャラクター』として制限されていたが故の効果。ならばUCになったのなら?
 数多の斬撃が装甲を引き剥がし、外部から入力されているコードと合わせ怒涛の勢いでクエーサービーストを削っていく。
「……親父、まだ足りねぇか!?」
「ええ、構いません、此処まで削れたのであれば『影』は溜まっていますから」
 その言葉と同時、クエーサービーストに表示されていた『影』が7LVとなり――
「――チェックメイト、という奴です」
 今までどれ程格闘してもサクサクと倒せぬ相手が突如撃破エフェクトに飲まれ……数個の断片をドロップする。つまり、『即死』だった。
「とは言え。まだ、数は足りないようです。次の個体もさっくりと殺してしまいましょうか」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アイ・リスパー
「ふっふっふ。攻撃も補助も万能な電脳魔術士であるこの私がキャラになったら、もうチートクラスのSSRキャラに違いないですよね!」

と、ゲームにログインしてみたところ。

「なんで、全体的に微妙な性能なんですかっ!?
それに、このスキル運動音痴とドジっ娘って!?」

運動音痴(移動速度と回避力にペナルティ)に、ドジっ娘(あらゆる判定にペナルティ)……
こんな性能では、クエーサービーストに勝てるわけがありません!

「ですが……電脳魔術さえ使えれば!」

現地の電脳魔術士に事情を話し、協力を仰ぎます。
そして【並列計算】でプレイヤーの皆さんに語りかけ、弱キャラ好きゲーマーやドジっ娘萌えゲーマーのキャラとなって戦います!



●いやあ貴方が来たときからガチ支援キャラだとは思ってたんですが
 アイ・リスパー(電脳の天使・f07909)は上機嫌であった。
 なにせ自分を再現したようなキャラが居るゲームである。
 電脳魔術による支援性能で味方を八面六臂の活躍をさせるのは無論、その延長線で攻撃能力もちゃんと確保しているという神キャラであることは想像に難くないと(勝手に)自負していたからだ。
 ……ログインするまでは。

 ……電脳魔術師と運良く合流できていた彼女は悲鳴を上げていた。
「なんで、全体的に微妙な性能なんですかっ!? それに、このスキル運動音痴とドジっ娘って!?」
 アイは自分の『今』のステータス画面と向き合う。

 『運動音痴』→自分に強化が掛かっていない間、連続行動&回避率大幅ダウン
 『ドジっ娘』→弱体が付与された時、一定確率で自分の強化を全て消去

 ……フレーバーが本気で練り込まれているゲームのようだが、いくら何でも酷い。
 額面上はSSRなのだが『本人が』支援役なのに『強化を維持する為の』介護がいるという本末転倒さばかりが際立っているではないか。
「どどど、どういうことなんですかマイナス面ばかり際立ってこれじゃあ支援能力が……」
「そう、ここのアイちゃんのデータ、調整アプデ前のっぽいんだよ」
「アップデート前!?」

 すっと、魔術師っぽい姿の電脳魔術師の娘さんが手元の画像データを見せる。
 どうやらコンセプト自体は『支援能力と引き換えに本人の素の能力がかなりドジっている』という物らしい。
「愛好家の子はいっぱいいるんだけどね、SSRでこれはねーだろって声もあって効果調整されて、現環境に至る――って話だったんだけど」
 アイが『今』自分の手元に表示されているデータと、彼女が見せてくれた現行データを見比べる。
「アビリティが確かにデメリットを示してるのは一緒ですけど、スキルの支援がデメリットを補ってる時間とか色々『今』の私より上……」
 わなわなとしながら『この場所』の運営の悪意を感じ取るアイだが、まだ希望は残されていた。

「でも、さっきも言ったけどファンは多いんだよ、ほらキャラ人気あるし。そして『この支援能力がちゃんと発揮されたら?』」
「……! じゃあ、少しご協力お願いできますか!!」
 アイの耳打ちにガッテンだ! みたいな顔した魔術師姿の娘はアイの環境をばばばと作り上げる。
 そう、ドジっ娘電脳魔術師の真価が『ドジ要素(デメリット)と引き換えとした強力な支援能力なのだとしたら』。

 宙域に存在するプレーヤーの前にアイ(※本人が実際に入っている1人分含め)が数多出現する。さながらバーチャルライブかのように。
「――皆さん、諦めないで下さい! 私が皆さんの力になります!!」

 そこからの戦場の討伐速度は圧倒的であった。
 一プレイヤーに一人づつアイ(調整後性能)が配布され、しかも本人のUCの効果で強化、そこにアイちゃん同好会の皆様の推しへの愛が乗算されたらどうなる???
 知らんのか。

 ……クエーサービーストの屍の山が数多築かれるに決まってんだよなぁ!!!

大成功 🔵​🔵​🔵​

死之宮・謡
アドリブ歓迎

…………如何いう状況なんだ一体…取り敢えず、泥率極低は赦されんな…
泥率…必要数…効率厨…ウッ、頭が…(怪電波受信中)

あー取り敢えず折角だし、ゲームっぽい状況を楽しむか…制限された状態と言うのも愉しそうだ

・呪いに拠る防御低下デバフと二刀の連撃による攻撃偏重型



取り敢えず、電脳魔術師共を探して合流
後はよく解らんから現地の連中に話を聞きながら戦闘
(呪詛・怪力・2回攻撃・なぎ払い・鎧砕き)
【黒絶斬禍】は様子を見ながら適当に



●実際こういうゲームだと人気出そうな手合だと思って
 ゲーム内の現在の状況を眺めた死之宮・謡(存在悪:狂魔王・f13193)は頭を抱えていた。
「……如何いう状況なんだ一体…取り敢えず、泥率極低は赦されんな……」
 泥率……必要数……効率厨……数多の怪奇なる電波が彼女の脳内を揺さぶる。
 ……ゲーマーだとなんか頭が痛そうな話ばかりではあるが。

 このゲームにおける彼女は純粋なアタッカーだ。
 敵を呪いにより防御を下限値まで自前で引き下げ、本人は連続行動を重ねることで素早く確実に打点を確保する、ある意味で非常に『王道』なキャラである。
 それに加え、本人の歩む覇道、纏うミステリアスな空気が一部で熱狂的なキャラ人気を得ている(ようだ)。

 そんな彼女の『本物』がログインしてきたのだから。
「……おお、本物の謡様がいる……って事はこのゲーム、かなり不味い奴ですか?」
 若干おどおど仕掛けている医者のような姿の電脳魔術師の青年は、推しの前で不敬なことをしてはいけないと思いつつも、やっぱり喜びが勝ったのか声をかけてくる。
「よく分からんが、オブリビオンが『侵略』の為に捩じ込んだ呪いのオンラインゲームらしいぞ?」
「やっぱりいいいいいいいい!?」
 どうやら電脳魔術師達は勘付き始めたらしい。そりゃそうだ。これだけ『本物』が介入し始めたこのクソみたいな運営のゲーム。頭の片隅に最悪の可能性は常に考慮されるだろう。

「それにしてもだ。取り敢えず……折角だし、ゲームっぽい状況を楽しむか」
 ……制限された状態と言うのも愉しそうだ、と語る彼女にとってはUC使用制限なども『ハンデ』としか良い様が無い。
 戦いの中に恭悦を見出し、鮮やかに死の舞踏を繰り広げる姿こそ、このゲームの彼女のファン達が望んだもの。
 ……彼らは「オールハイル(ry」みたいなことを言いながら只管コードを打ち込んでいたと言う。

「――まだこの速度では足りんか?」
「いえ十分です、後は此方でスペックに干渉してみます……ッ!!」
 後はほぼ『いつもどおり』にやれば良いのだから案外気楽なものだ。
 力が戻ってくる感触さえあればそれを理不尽なデータに叩き込んでやれば良いだけの話。

 あれだけの理不尽を強いたクエーサービーストが、告死を纏った魔剣の一閃にて沈んでゆく。
 それだけでも――彼らが『推す』理由を後押ししたのは想像に難くない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

終夜・日明
【アドリブ連携歓迎】
キャラ性能:クリティカルする度に累積自己バフする連撃アタッカー/レアリティお任せ

僕も電脳魔術士のはしくれ、及ばずながらお手伝いします。
これに似たゲームでさんざんにk……こほん。レイドアイテムを高速周回してきましたからね、この明らかな泥率改竄は許せません、いえ許されません。団がますますブラックになってしまいます。
【情報収集】と【ハッキング】で改竄のお手伝いをするついでにフレンドサポートが常時全表示されるようにしましょう。
そして【指定UC】で最速1ポチワンパン周回をこれでもかと繰り返してやります。
目指すは最短効率、人の生命がかかっているならこちらも相応のものを懸けて戦いますよ。



●おのれも『わかってる』やつじゃな
 もう少しで後詰めと言わんばかりのデブリ宙域。
 土壇場で統一された意志は某大御所芸人がテニス対決で言い放った宣戦布告のような状態にまで到達していた。
 だが、そんな最中でも解決されぬ問題が一つ。

 ――『フレンドサポート』である。

 マシになったとはいえ、それでも一定回数特定のサポートを酷使しつづければそのサポートが選択肢から消えるのは自明の理でもあったし、半ばそればっかりはしゃーないと各電脳のシグルイ達が気が狂ったように殴り始めていた頃の話だった。
 そんな彼らの背後に、2人目の本職がやってきたのである。

「……僕も電脳魔術士のはしくれ、及ばずながらお手伝いします」
 そう自称する終夜・日明(終わりの夜明けの先導者・f28722)はなんか推しを極めた結果ソロ討伐コンテンツを極めちゃったかのような玄人感を放っていた。
 いやプレイング見る限りお主も『わかっとる』な??? ダウトする準備は出来てるからな????
「改善されたとは言え。泥率改竄は許せません、……いえ許されません。団がますますブラックになってしまいます」
 冒頭を考える限りブラックを通り越して場末のSEみたいなことになってたんだよなぁ、この戦場……

 みたいな感想はさておいて。
 日明は早速、まだ改善されていない致命的な問題にメスを入れる。
 早い話、普段の自分がワンポチ肉あ……でなくワンポチ断片拾いをしてる側の人間であるから故に、その修正に至るのは当然だった。
 『戦場全体の討伐速度』が露骨に加速し始めたのも、無理はない。

「……本家もこれぐらい気前が良かったら断片拾いとか楽なのになぁ……」
「気持ちは分かりますがむせび泣いている余裕は無いようですよ」
 常にフレンドが表示から途切れない感動に打ち震えていた弓持ち義賊のような電脳魔術師の少年を横目に、日明は立ち向かう――
「……目指すは最短効率、人の生命がかかっているならこちらも相応のものを懸けて戦いますよ」

 視界に収めたのは『最小限の手数で撃破できる』クエーサービーストの群れ。
 己の身体から解き放たんとするのは――《蠱毒》の呪い(しゅくふく)。
 最短で最速で真っ直ぐにぶち抜かれていくクエーサービーストは最早『ゆかいじゃのう』という感想しか出てこないが。
 ……人命という理由が掛かっているのは分かるんだけどこういうとこでそれ使って良いのかな日明さん――とか思ったとか思わなかったとか。

 だが、かくてデブリ宙域での一先ずの死闘は乗り越えた。
 数多積み上がった断片があれば『いくら向こうが一時的に逃げても』ゲーム的に呼び出せるだろう。つまりは。
 ……ゲームとして『合法的』に殴り放題なのである!!

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ドクトル・アメジスト』

POW   :    アメジストバインド
【アメジストの結晶】から【電脳魔術】を放ち、【精神干渉】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD   :    サイキックアームズ
召喚したレベル×1体の【機械兵器】に【サイキックエナジーを籠めたアメジスト結晶】を生やす事で、あらゆる環境での飛翔能力と戦闘能力を与える。
WIZ   :    ラボラトリービルダー
【電脳魔術】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を自身の「工房」と定義し】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠メイスン・ドットハックです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


【MSより】
・電脳魔術師を護りながらチートコードを撃ってもらうとボーナスが入ります。
・護れた時間が長ければ長いほどユーベルコードを打ち込む猶予が出来ます
・ゲーム設定上、毎回撃破演出が入りますが、成功数がたまるまでは既に溜まっているもう一度断片を集めて襲撃を仕掛ける――みたいな流れでリプレイが進行していきます。
・失敗になってしまった場合は、断片のストックが切れたみたいな感じです。

●運営がラスボスとはよく言ったものですが
「あーあ、辿り着いてしまったか。ずっと断片集めに死ぬまで興じてればよかっただろうにね」
 断片を集めた果て、そうして(ゲーム的に)浮かび上がった手がかりは、宙域に潜んでいた『ドクトル・アメジスト』本人の居場所を突き止めたのである。
「ほら、今のあたしが『運営』ならば。やることは簡単だろう? プレイヤー諸君」
 今更何を言うつもりだ、とプレイヤー電脳魔術師の顔ぶれは真っ直ぐに見つめ返しているが。彼らも回答は『想像出来ていた』だろう。

「――垢BANさ」
 ……つまり、プレイヤー達の命を引き換えにした物理垢BANの時間とでも言うのだ。
 猟兵達のやる事は唯一つ――
 悪徳運営たる『ドクトル・アメジスト』を物理的に成敗することだ!!!
木々水・サライ
燦斗(f29268)と

あー!物理的垢BANはおやめください!おやめください運営様ーー!!!!

……とでも言うと思ったかクソアマ!
ようやく尻尾を出してくれたんだ、たっぷり殴ってやらァ!!

UCが使えるようになったら【複数の白黒人形達】で複製義体を15人呼ぶぞ!
……なんかコイツら、レアリティばらばらだな……? まあいいか、
レアリティの高い奴に黒以外の刀シリーズ持たせて、残りは電脳魔術士をサポート!
俺自身は親父の援護を受けながら、黒鉄刀で殴り込みだ!!

っていうかこのオウムくっそうるせぇ
誰に似た……って、親父以外にいねぇよな、そりゃ。
人を煽ることなら親父の上を行くやつが浮かばねぇよ。
褒め言葉だよ、バカ親父


金宮・燦斗
サライ(f28416)と

あーー!!物理的垢BANとかいう特権使ってくるクソアマ降臨ーー!!
優越感に浸りたいがゆえに運営特権を使って来るクソ雑魚ナメクジーー!!

ふう、スッキリした。煽るのやっぱ楽しいですねぇ。

UC【強欲オウムのすり抜け術】を用いてサライ本人を隠してあげます。
私自身も隠れますが、私は魔術士さんの側にいます。サライの複製義体もいますしね。
あ、私は機械に疎いので本当に護衛しか出来ませーん。

ひどいなぁ、サライ。
私は煽ることでキレる相手が見れるのが好きなだけであって、煽り自体が好きなわけじゃないぞ?
まあ、煽りが楽しいのは認めますけどね。実際。
あー、もっと煽ってあげましょうか、クソアマをね。



●口撃手段の確保って大事
 宙域は有る種愉快なことになっていた。
 運営の手先どころか運営そのものと、猟兵達の一騎打ちである。
 なおさっきから運営が詫び石そっくりなアメジスト結晶をばかすか配布(攻撃しているだけ)だったり、
 一部の電脳魔術師がフェス限定猟兵による地獄のような爆死の幻覚を見始めたり、
 ……一部の猟兵による阿鼻叫喚が聞こえ始めたり。

「あー!物理的垢BANはおやめください!おやめください運営様ーー!!!!」
 木々水・サライ(《白黒人形》[モノクローム・ドール]・f28416)の絶対本心ではないがなにか心からの叫びに近いものがこだまする。
 そうだもんね、UC使えないと普通に考えたらあくまでゲーム内って土俵だけど運営が直接ぶん殴ってくるんだもんね。
 時間稼ぎでもしないとやってられ――あ、なんか結晶の攻撃が直撃した? してない?? どっち? とにかく行で姿が居なくなったんですが??

「あーー!! 物理的垢BANとかいう特権使ってくるクソアマ降臨ーー!!」
 一方で金宮・燦斗(《奈落を好む医者》[Dr.アビス]・f29268)は只管に煽り倒しながら此方も走り回っていた。
 だって、UC使えるようになるまではただ只管に約1名の衆目集めなきゃならないんだもん。
「垢BANと永久ログアウト不可、特別にどちらか希望だけはアタシが聞いてあげようじゃないか」
 そんな燦斗に対応するドクトルも、キレてるのか平静に笑いながらケツを追いかけ回してるのか理解が追いつかない。
「優越感に浸りたいがゆえに運営特権を使って来るクソ雑魚ナメクジーー!!」

((……運営にある意味喧嘩売りまくってるけどいいのかなこの人ら、いや推しだからやりそうだけど))
 この親子を推す電脳魔術師はまるで川のせせらぎでも見つめるかのような顔で、只管に巻き込まれないように必死で打ち込み続けている。
 ……ちなみに、進捗状況を示す量子モニターにはUCの使用可能回数が表示されていて、既に使用済み回数に2回って表示が――

 ――えっ、2回?????

「運営とか言いながらよくみたらなんにも配布も通知ログもしない無能運営ー!!」
「ふふふ、まだまだ元気なようだね、いっぱい詫び(させる)石を進呈した方がいいようだ」
 なんか詫び石の詫びる側が全然違うように聞こえてきた辺りから異変が起きた。
 ドクトル・アメジストを囲うように――突然バリエーションの豊か過ぎるサライの群れが強襲を仕掛けてきたのだ!!

「――とでも言うと思ったかクソアマ! ようやく尻尾を出してくれたんだ、たっぷり殴ってやらァ!!」
『サライーっ!!!』
「このオウムうるせぇ!!! つーかなんだ外伝おまけマンガ時空に俺を引き摺り込もうと、って俺のレアリティ……ありすぎ……!?」
 なんだか爆発する平田声っぽい人の波動を感じながらも、サライは殴り掛かる。
『成程、毎年イベントガチャがあるたびに自爆芸季節レアが実装されているのですかね!!!』
「親父みたいな喋りで突如変な真理に辿り着くんじゃねぇ!!! あああ煩い!!!!!」
 このオウム本当に煩い、まじで誰に似たんだ、そういえば提供元『金宮・燦斗』って書いてある。

 そんなすったもんだで15人のサライが運営の第一波をばきぼこに殴り倒し、第一波を捌き切った親子ではあるが、オウムは余りの煩さに秒で返還された。
「このくっそうるせぇオウム誰に似た……って、親父以外にいねぇよな、そりゃ。人を煽ることなら親父の上を行くやつが浮かばねぇよ」
「ひどいなぁ、サライ。私は煽ることでキレる相手が見れるのが好きなだけであって、煽り自体が好きなわけじゃないぞ?」
 そんな事言いながら煽りもいれるし、オウムでサライを透明化させてるわでこの親父も随分な策士なわけだが。
 というか恐らく煽りが楽しくて煽ってるだけで絶対傷ついている訳じゃないのは明白だった。
「褒め言葉だよ、バカ親父。さて次の分を『出現』させに行こうじゃねぇか」
「あー、では次はもっと煽ってあげましょうか、クソアマをね」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

終夜・日明
【アドリブ連携歓迎】
こんな理不尽な泥率修正など行えば炎上沙汰待ったなし。
むしろ僕たちがいてよかったな?喜べよ、炎上回避できたぞ。
その礼に貴様の命を頂いていくがな?貴様は僕たちプレイヤーを怒らせた。

あ、そうだ電脳魔術士の皆さん。
最近僕関係のイベントがあったそうですね?闘貨ガチャで出る召喚石が4凸で僕に専用バフかかる効果が追加されているそうですがお持ちです?
ではすみませんがお願いします。

【指定UC】を発動、【ハッキング】でかかるバフ効果を消去不可に変更。オルトロスを電脳魔術士たちの護りに。
敵の攻撃を【見切り・なぎ払い・切断】しながら【砲撃・レーザー射撃・制圧射撃・誘導弾】を一気に見舞います。



●イベシナを詳細に書こうとすると明らかにダイレクトアタック
「こんな理不尽な泥率修正など行えば炎上沙汰待ったなし――」
 割とガチなゲーマーの部類である終夜・日明(終わりの夜明けの先導者・f28722)は背中になんか鬼の文様が浮き出そうなぐらいの覇気を背負っていた。
 そらそうだ、先日終わった元ネタだってこんなに酷くはない。精々高難易度ボスが理不尽なくらいだ。……苦行なのは一緒だが。
 むしろ猟兵達が来たお陰で炎上回避できたという見方もあるだろう。だが、このゲーム炎上させるつもりのコンセプトで組まれてそうなのでそんなの一切度外視だろう。というか取り込まれたらクリア出来るまで出れないし。
「――その礼に貴様の命を頂いていくがな?貴様は僕たちプレイヤーを怒らせた」
「怒ったところで、君はアタシに何か策があるとでも? 本命はまだ『平等』に使えない筈だからね」

 怒りを讃えたままにドクトルと激しい撃ち合いを繰り広げながら、終夜は電脳魔術師達にとあるオーダーをしていた。
 それはチートの中でもまだ片手間に適用可能な『強化解除無効』バフである。
 いくら理不尽に強かろうとも、十全に重ねたバフを以てすればクリティカル毎に強化されていく彼には『長期戦』程有利になる。
 徐々に、徐々に――彼の有利は広がりつつある。

 そして、これは思い返したようにした提案だったのだが――
 思わぬ自体を引き起こすことになることを、発言した当時の彼は知る由もなかった。

「あ、そうだ電脳魔術士の皆さん。最近僕関係のイベントがあったそうですね?」
「確かにあったけど」
「闘貨ガチャで出る召喚石が4凸で僕に専用バフかかる効果が追加されているそうですがお持ちです?」
「ああ、隠し効果――」

 しかし電脳魔術師達は顔を見合わせる。
 公式よ、何故彼にあのような地獄を敷いたのか。目の前の彼の史実とか全くそんなことはなく、二次創作であって欲しいし、イベ内容を脳裏に思い返す度にPL達にダイレクトアタックが走る。
「……うっ、母っすんが……」
「父っすんまで……どうして……」
 イベント内容に関しては恐らく全くの未調査であるだろう当人には困惑せざると得ない程に、電脳魔術師達は全員涙を流す。本当に(本物の)運営何を彼らに叩き込んだんや!!!
「いったい何があったんですかそのイベント! とにかく撃って下さい!!!!」

 数多の電脳魔術師達の涙と引き換えに撃たれた召喚石。
 その涙を背負い、オルトロスが飛翔する。
 イベント石4凸バフによりおかしな強化が投入された《蠱毒》は、デメリットを鼻で笑える程の極悪性能にまで到達していた。

 ――なんだよ、毎ターンHP減少&ステータス大幅アップ&背水付与&敵弱点属性追撃&通常攻撃時高確率で毒付与&クリティカル発生時衰弱付与って。

「……よっすんイベを延々とやらされるタイプのゲームだったら心が砕かれてたかもしれない」
「そんなにですか!?」
 運営の攻撃の第二波を退け、見事にドクトルを一時撃退した終夜に待っていたのは、電脳魔術師達の滝のような涙であったとか。

大成功 🔵​🔵​🔵​

死之宮・謡
アドリブ歓迎

ヤレヤレ…面倒な輩だ…迂遠な真似をしやがって…抑、何故直接的に何故来んのだ…こんなところに隠れ潜んで…
抑、プレイヤーを維持する気も無い馬鹿を運営と呼べるのか…?
何方でも良いが貴様は此処で死ね


能力低下の呪術(呪詛)をばら撒きながら電脳術師共に飛んできた攻撃を呪詛を纏わせたストライフで弾いてかき消す
闇呪宝玉を変形させた剣とストライフに呪術を併用しながらアメジストに接敵して最後は【一閃】を叩き込んでフィニッシュ



●そのコードは呪いのように
 第三波は強襲にも近かった。
 死之宮・謡(存在悪:狂魔王・f13193)が待機していた戦場に突如降り注いだのは――
 電脳魔術師を『直接』狙う、電脳魔術の雨あられ。
「謡様!? ちょっと今露骨に俺達狙いが増えてるんですが大丈夫ですか!?」
「……構わんさ、それにお前達のコードが何より『効いている』証左じゃないか」
 謡は眼前の猟書家からは目を逸らさない。
 味方の誰かがうっかり『手を止めれば』、この鉄火場に置いては全滅に直結することを、謡自身も分かっていたし、なにより『電脳魔術師』達が一番理解していた。
 眼前で撃ち落とされ続ける電脳魔術に恐怖しながらも、推しの鮮烈な戦舞を目に焼き付けるが如く。彼らの手は『誰一人』止まらない。

「ヤレヤレ……面倒な輩だ……迂遠な真似をしやがって……抑、何故直接的に何故来んのだ……こんなところに隠れ潜んで……」
「アタシは『拠点型』。アグレッシブに来るのがドクトルだと思わないでくれるかな?」
 呪われし二刀流に対し、電脳魔術の連続構成が即応し続けるが、それは『土俵が通常』であれば、の拮抗だったろう。
 コードが謡の呪詛に『現実的な』意味を含ませ。能力低下はデータ外でも保証されるようになり始めたのならば、彼女にとって眼前のインドアなど恐るるに足りなかった。

 刹那――鉱石の肉体を斬り裂くが如き一閃。
「おおよそ、私の見る限りでもこれが『限界』、なのだろう?」
 電脳空間でありながら、その手応えは間違いなく現実の『それ』だったことから、強者たる彼女は悟る――
 ドクトル自身も、直接干渉するには『同じ土俵に立たねばならなかった』のだと。
「ふふ、仕方がないね、このゲームは君達の勝利という事にしてあげよう」
「――文字通り終の一閃、というわけだ」

 断ち切ったその瞬間。電脳魔術師と、猟兵達が急激なノイズに身を晒され――
 気づけば彼らの宇宙船の中に、皆はそこにいた。
 アレだけの苦行に長時間身を晒されて居たのだ。管制担当が直様自動航行モードに切り替えたかと思うと、全員がその場に脱力するかのように崩れ落ちた。

 だが――一つだけ奇妙な表示が、宇宙船のディスプレイに残されていたと言う。
『――Look forward to the next game』
 その表示に気づいた『誰か』は言った。
「……誰が期待するものかよ」と。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年11月27日
宿敵 『ドクトル・アメジスト』 を撃破!


挿絵イラスト