14
流るる血は誰が為の

#ダークセイヴァー

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#ダークセイヴァー


0




●揺らぎ
「……ご苦労、下がりなさい」
「はっ」
 白装束を身に纏った兵は、女のその言葉を受けると、ついていた膝を離し、踵を返す。
 その様をただ見届ける女の眼に宿る感情が果たして何なのか、それを瞬時に判断することは難しく思えた。
「闇の救済者……そしてそれに与する猟兵。最近、特に活発に動いているようですね」
「えぇ。家畜の分際で、よくやるものだわ」
 豪奢な椅子に腰かけ頬杖をつく女は、傍に控える女剣士の言葉に、視線もくれることなく応じる。
「しかし、我らの支配圏を脅かしつつあるのは事実ですよ、魔術師殿」
「……」
 なおも続ける女剣士の言葉に、魔術師と呼ばれた女はようやく彼女の方を向いた。
 魔術師はこの地の領主である。
 言われなくともそんなことは承知している。愚かしくも人間どもが、我等オブリビオンに反抗し、あまつさえ生存圏を拡大しつつあると言う事実は、確かに面白いものではない。
 面白いものではないが、それでも魔術師はこの状況に一つの可能性を見出していた。
 だからこそ、その表情は女剣士にも感情が読みづらいものになっている、というわけなのだが。
「……ねぇ、ジェシカ。彼らは人々の危機に参上するそうね?」
「必ずというわけではないでしょうが、報告を聞く限りは」
「……希望が強いほど、その後に待つ絶望も大きくなる。そうは思わない?」
「……魔術師殿、それは」
 領主の言葉の意図を察したのだろう。息を呑む女剣士に対し、魔術師はこれ見よがしに口角を釣り上げてみせた。
「血のストックがそろそろ切れそうなの。上質のものを求めるにはいい頃合いだと思わなくて?」
「領民を餌にするおつもりですか……?」
 席を立つ魔術師に向ける女剣士の瞳には、少々の苦いものが感じられるように思えた。
 そんな彼女に、魔術師はもう一度、見せつけるような笑みを作る。
「優しさは美徳でしょうけれど、家畜に情をかけすぎるのも考えものよ。……それとも、あちら側が恋しいかしら、ジェシカ?」
「……まさか。我が身、我が剣は我等が同胞のために。この誓いに揺らぎはありません。であるならば、民の犠牲など躊躇う理由が何処にありましょうか」
 ならば結構、と。魔術師は立掛けてあった杖を手に取った。
「お供します、魔術師殿」
「結構よ。あなたが普段よく働いてくれるおかげで、一度私自身の格というものを見せつける必要があるもの。たまには休暇を楽しみなさいな」
「…………」
 ――人というものを侮るものではありませんよ、魔術師殿。
 その呟きは、きっと当の領主には届かなかったであろう。

●血の宴
「イェーガー、ご指名がかかっているわ」
 グリモアベースで、不意にそんな声がした。
 声の先を見やれば、手元にグリモアの光を湛える火を灯した、黒ずくめの魔女――フラン・ザラマンドリア(火蜥蜴の娘/火の観察者・f29261)が、行き交う猟兵達を見つめていた。
「予知があったわ。場所はダークセイヴァーの辺境地帯」
 呼び止められた猟兵が聞く耳を持ったのを知れば、フランは淡々と説明を開始する。
「その地を統治している吸血鬼が、支配下の村落に赴いて人々の虐殺を始めるようね。
 ……それが、どうも『闇の救済者』……というよりも、貴方達ね。要は『オブリビオンに仇為す者』を誘い出すための、見せつけるための行いみたいなの」
 領主自らが、その吸血鬼の圧倒的な力を以て領民をいとも容易く……まるで、脆い玩具を乱暴に扱うかのように殺戮して回る。
 猟兵の介入が無ければ、待つのはそんな未来に違いない。
「その誘いに乗るか乗らないかは、貴方達次第。……乗るのであれば、近くまで送るわ」
 相手にどのような理由、思惑があるにせよ、そのような未来を認めぬのであれば、その為の足はここにある。
 が、ただ一点。そう言って、彼女は真紅の瞳を猟兵達へと向けた。
「領主自身はともかく、その側近……かどうかは知らないけれど。もう一人強力なオブリビオンがいるようね。この虐殺自体には参加していないようだけれど、貴方達の介入に傍観を続ける保証はないわ」
 無論、最大の目的は領主による虐殺の阻止である。
 それでも、行くのなら心の片隅に留めておいて――そう彼女は締めくくって、手元の火を放る。
 燃え上がり揺らめく白炎の向こうに、闇に包まれた世界が映り込んだ。


ふねこ
 ダークセイヴァー書いてると帰ってきた感じがする。
 どうも、夜型のふねこです。猟書家なんていなかった。
 ダクセです。バトルです。
 例によって、更新タイミング等の大雑把な目安はマスター自己紹介にも随時書いていこうと思いますので、そちらもよろしければご確認くださいませ。
 以下、補足情報になります。

 第一章でいきなり領主が暴れています。
 すでに数人の村民が犠牲になっているようですが、猟兵が介入するのはまだ虐殺が始まったばかり。
 大半の住民は無事で、突然の凶行に慌てふためき、逃げまどっている状況です。
 なお、村民の生死はシナリオの成否に何も影響を及ぼしません。

 各章とも、冒頭に断章を用意してからのご案内となりますのでご容赦くださいませ。
 それでは、皆様のご参加お待ちしております!
128




第1章 ボス戦 『朱殷の魔術師』

POW   :    その技、興味深いわ
対象のユーベルコードを防御すると、それを【鮮血の石が煌く杖に記録し】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
SPD   :    美しく踊って頂戴?
自身が装備する【硝子瓶から追尾能力を持つ鮮血の刃】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    朱く赤く紅く咲きましょう
全身を【薔薇が香る瘴気】で覆い、自身が敵から受けた【喜怒哀楽の感情の強さ】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は玖・珂です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●来客来たりて
 ぶしゅり。
 皮と肉の裂ける音と共に、紅が舞う。
 領主の突然の訪問に頭を下げた村人たち、その先頭で跪いていた男の首が、ごとりと落ちた。
 領主も、村人も、誰も言葉を発することはない。
 ただ、流れ出る血が地面を染めていく様が、確かに時間の流れを証明していた。
 最初に我に返ったのは誰だったか。
 動揺と、恐怖。湧き出たそれは瞬く間に伝搬し、大きな混乱のうねりを巻き起こす。
 悲鳴が上がる。蜘蛛の子を散らすように、人々が逃げ惑い始める。
 嗚呼、これだ。
 領主の女はほくそ笑む。
 この絶望。理不尽に喘ぐ悲憤。
 さぁ、それを由としないならば、この首を獲りに来るがいい。
 絶望に差した一縷の希望。それを掻き消してこそ、絶望はより深く、甘美になるのだから。
 手にした小瓶から流れ出た紅い刃が、脚のもつれたらしい老婆の背を貫く。
 その踊る紅の向こうに、朧に揺れる灯が見えた。
肆陸・ミサキ
※絡みアドリブ怪我苦戦ok

心情:
なんだか、蜜に誘われてまんまと捕られる虫の気分だ
腹立たしいけれど、むざむざ人が殺されるのを眺めているわけにはいかないからね
特にこの世界では、僕が許さない

戦闘:
戦闘に関する才能は皆無な僕だ
UCの回数は9回……寿命なんてどうでもいいとして、その回数で敵の刃をどれくらい凌げるか、だね
真正面から行って、全力でぶちのめすしか能がないから、突撃していくよ
この身の痛みなんて些事でしかないって奴がいることも、覚えておくといいさ

攻撃方法は黒剣を状況次第で剣・斧・槍に変化させて叩き込む

使う技能は怪力、範囲攻撃、焦熱、捨て身の一撃


羽堤・夏
アドリブ絡み歓迎

ざけんなぶち殺す
初手から全速力で突っ込む
あたしの目の前で殺しやがったな…!
人を餌にしか見ないあんたらがいるから!
あたしの太陽は、いつまでたっても燃え滾るんだ!!

村人に飛びかねない攻撃に対しては即座に割り込み【かばう】
【殺気】を放ち矛先をこちらに向け
痛いのは耐える
耐えてコード発動
攻撃を受けた部位を爆破して【カウンター】による、太陽の灼熱で反撃
使えるか、太陽が齎すこの力
使えるものなら使ってみやがれ…!
【激痛耐性】【火炎耐性】…一種の興奮状態だな、もう
そのまま灼熱で接近し殴りかかる
受け止めるか?コード発動、あたしの拳ごと吹き飛ばす
使わないか?なら怪力で叩き潰す
我慢比べだ、吸血鬼…!


春乃・結希
本当は、誰かを助けたいわけやないんです
私が、絶望が嫌いだから、海に還す
この大嫌いな世界に、大好きな希望を結ぶために

領民を盾にしようとしても、そんな隙は与えない
傷は焔がふさいでくれる。死なない限り、戦える【激痛耐性】
攻撃を防ぐことは考えず、前へ前へと踏み込み、
『with』の斬撃、『wanderer』の蹴撃で攻め続け、引き付ける【覚悟】
希望の光、もう、ひとつだって消させたりしない

複写される『恋人』
だけど『with』は、私だけのものだから
…私がどれだけ、この剣を信じて、愛しているか、あなたにわかりますか…?
借り物の力に、私の想いが負けるなんて、絶対にありえない
偽りの大剣を、領主ごと叩き潰す



 それは、時間にしては一瞬の事だっただろう。
 なにせ、まだ二人『しか』殺っていない。
 待ち人が来るまでの時間に何人が犠牲になるのか数えるのも一興だと思っていたが、どうもそうするまでも無いようだった。
 嗚呼、であるならば。
 貴方達も待ちきれないと言うのであれば、盛大に始めましょう。祝うための材料は、此処に一杯あるのだから!
 瓶から溢れ出た、紅い刃が踊り狂う。
 その先で、一つ二つと、また鮮血が舞った。
「……あら」
 確かに斬った。肉も抉った。
 己が操る魔の血刃だ。直接手に持たずとも、手ごたえと言うのは感じられる。
 だと言うのに、断末魔の叫びの一つも無い、とは。
 答えはすぐに知れた。
 本来抉る筈だった『餌』の、その眼前に、庇うように……いや実際庇ったのだろう。
 鮮血を散らしながらも、なおも立つ三人の猟兵の姿があった。
「……ざけんなよ……!」
 絞り出すような声。次の瞬間、その場に火の粉をちろりと残して、うちの一人が肉薄した。
「あたしの目の前で殺しやがったな……!」
「気に入って頂けたかしら?」
「ぶち殺す!」
 健康的に焼けた肌に走った傷が開くのにも構うことなく、羽堤・夏(防人たる向日葵娘・f19610)が殴りかかる。
 全力、全霊を込めて、怒りのままであるがゆえに、その一撃は重い。
 オブリビオンである吸血鬼の膂力はそれに決して劣るものではないとはいえ、単純な質量はそれを受けきることは叶わず、物理的な後退を余儀なくされた女領主に、さらに二人分の人影が躍りかかった。
 翳された領主の長杖、二つ分の剣戟音が同時に鳴り響く。
「この様子だと、招待状は無事に受け取って頂けたようね?」
「おかげさまでね」
 隠そうともしない不機嫌さは、一撃を防がれたことに対してか、それともその言いように対してか。
 肆陸・ミサキ(SolitusVamp・f00415)が歯噛みする。
 気分としては、蜜に誘われてまんまと捕られる虫……と言った所か。
 誘われるまま、向こうの思うように出撃『させられる』のは、正直なところ気分のいいものではない。
 だが、それでもこの場に敢えて引きずり出されたのは、ひとえに……。
「腹立たしいけれど、むざむざ人が殺されるのを眺めているわけにはいかないからね」
「献身的だこと。それほどまでに見ず知らずの他人が大事かしら」
「誰かを助けたいわけやないんです」
「ほう?」
 その否定の言葉は、残る一人から発せられた。
 なら何のために、と。領主が目を細め、彼女を……春乃・結希(withと歩む旅人・f24164)を向く。
 彼女もまた、己の身を盾にして村民を庇っていた。その傷は、他の二人と同様に、決して浅いものではない。
「私が、絶望が嫌いだから」
 だが、踏み出す一歩に揺らぎはない。腕を通って滴り落ちた血が、小さな炎となって、そして消える。
「この大嫌いな世界に、大好きな希望を結ぶために」
 ――あなたを、海に還す。
 もう一歩、今度は力強く、地面を蹴った。
 大剣を手に、最短距離を、真っ直ぐに。
 反撃など微塵も気にしない、愚直なまでの突撃を刈り取らんと、再び夥しい数の血の刃が飛ぶ。
 だがそれは、結希の身体に届くことはない。
 ミサキの放った無数の熱線が、過たずにそれらをひとつ残らず貫いたからだ。
「……よくやること」
「これしか能がない。それに、この程度の事なら些事さ」
 熱線の後を追うように斬りかかったミサキの刃と、領主の杖が再びぶつかり合う。
 本来ならば無差別に襲い掛かる筈の高熱の光条。それを正確にコントロールせしめ、その上で自身の負傷を省みない近接戦をも同時に行う。
 身体への負担は決して軽いものではない。おそらく、そのこと自体も見抜かれているのであろう。
 だから、領主には不吉な輝きを灯す瞳を逸らすこともせず、不敵な笑みで応じてやる。
「そんな事より、よそ見してていいのかい?」
「!」
 そう、ミサキによって血刃が防がれたと言う事は、結希の接近を許した、という事でもある。
 領主がミサキを払い除けると、入れ替わるように振り下ろされる大剣。
 それを受け止めたのは杖ではなく、まったく同じ見目の刃であった。
「貴方には過ぎたもののように思えるけれど」
 領主の杖は、結希の持つそれと同じ大剣に姿を変え、それを領主は片手一本で軽々と振るって見せる。
 ――だが、それがどうした。
「借り物の力に、私の想いが負けるなんて、絶対にありえない」
 複製したのは、あくまで形だけ。
 領主が知るわけがない。結希がどれほどその剣を信じて、愛しているか。
 その剣の銘は『with』。彼女と共に在る、そうあるべき刃を別の誰かが振るったところでどうなると言うのか。
 再びの剣戟。嗚呼、ほらこの通り。領主の握る借り物の刃は、その打ち合いで粉々に打ち砕かれ、元の杖の姿に戻っていく。
 ぐらりとふらつく領主の身体。
 結希もミサキも、すぐには動けない。だが動けるのはまだ一人、いる。
 夏だ。
 決定的な今ならば、拳の間合いであろうと飛び込める。逃がしは、しない。
 突き出される拳。
 だが、領主の身体に突き刺さらんと迫った拳は、女の手に掴み取られた。
 細腕ではあれど、オブリビオンの手だ。その腕力、握力は常人の比ではない。
 退避は不可能であっても、空いた手を割り込ませる事は叶っていた。
 さぁ、このまま握りつぶしてくれようかと、領主の口元が歪む。
 そして同時に、夏の口元にも笑みが浮かんでいた。
「人を餌にしか見ないあんたらがいるから……」
 熱が篭る。
 人肌と、激しい動きが齎す体温の上昇で片付く話ではない。
 まるで内側に炉があるかのように、夏の拳が熱を帯び始める。
「あたしの太陽は、いつまでたっても燃え滾るんだ!!」
 そう、事実、彼女の拳は『燃え滾って』いた。
 己の肉をも焼かんばかりに。
 内に秘めた、仇為すものを焼き尽くす炎を溢れさせる。
 ……轟音。
 爆発と呼んで差し支えない、あまりにも激しい炎が、女領主の身体を宙に舞わせた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
脚部スラスターでの●推力移動で急速接近
魔術師へ●怪力シールドバッシュ
一旦下がらせ、逃げる領民●かばうよう立ち塞がり

周囲にUCの杭射出
防御障壁で自分と敵を閉じ込める『檻』を構築

さあ、今の内に!

さて、猟兵をご所望と耳にし、無辜の民を守護する騎士として参上いたしました
その所業の対価、命でお支払い願いましょう

檻の中で剣と盾での近接攻撃

人々の避難と味方の合流の為…
このまま釘付けにさせて頂きます

杖で写し取られ射出された杭を格納銃器の●不意打ちスナイパー乱れ撃ちと剣の武器受けで迎撃し●武器落とし

致命打を狙いすぎましたね
その武装は補助として使うのです

UC杭を複数●投擲
ドレスの裾を●串刺し放電
動きを封じ剣で追撃


荒谷・つかさ
飛んで火に入る何とやら、って感じね。
ああ、私達の事じゃないわ。
わざわざ目立つことして狩られにに来たお前の事よ、吸血鬼。

領民の被害は目もくれず、【超★筋肉黙示録】発動して真っ直ぐに敵へ殴りかかる
私の場合だといちいち守るより攻め続けて引き付けた方が結果的に被害が減るはず
持ち前の「怪力」と合わせ、圧倒的パワーを活かした徒手格闘で殴り、蹴り、叩き潰す

コードをコピーされても気にしない
何故ならば、【超★筋肉黙示録】で重要なのは「己の筋肉への自信と信頼」
この一点において、私が負けるなどあり得ない
使いこなせもしないような劣化コピー程度、恐れるに足りないわ



 吹き飛ばされた魔術師が、空中でひらりと一回転し、地に降り立つ。
 焼かれ、焦げ付いた左腕を忌々し気に一瞥したその時、周囲を取り囲むような電光が走った。
 地面には、深々と金属質の杭のようなものが突き立っている。光の発信源がそれだと言うのはすぐに知れた。
 放出される電流が、まるで籠……あるいは檻のように、彼女の周囲を覆っていた。
 そして、その中には、魔術師の他にもう二人。
「猟兵をご所望と耳にし、無辜の民を守護する騎士として参上いたしました」
 3m近い、鋼鉄の機械騎士。
 トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)が、名乗りを上げる。
 突き立った杭と、彼の装甲(或いは甲冑と呼んで然るべきか)の色合いから、それが彼の手によるものであるのは明白であった。
 強大な吸血鬼を外に出さないための、雷電の檻。出力を考えれば、そう長時間は維持することは不可能だろう。
 だがそれでも、人々が逃げるためには決して少なくない時間を稼ぐことができる。
 ただ一点、こちらに不利に働く要素を強いて挙げるとするなら……。
「貴方達は逃げる事ができないわけだけれど」
 飛んで火に入るなんとやら。
 服についた煤を払えば、吸血鬼の顔には再び余裕の色が灯っているようにも見えたが、それに否を唱える者がもう一人。
「飛んで火に入る、って言うのはそちらでしょう、吸血鬼」
 跳びかかる小柄な人影。
 巫女服の袖をはためかせ、荒谷・つかさ(逸鬼闘閃・f02032)の拳が一撃、二撃と飛んだ。
 魔術師の杖が拳を受け止めるたびに、衝撃波が空気を震わせ、体重で支えきれない圧が体を浮かせる。
「わざわざ目立つことして狩られに来たんだから」
 回し蹴りが、吸血鬼の身体を吹き飛ばす。
 衝撃をうまく殺されたか、受け身を取るまでも無く着地した吸血鬼にさしたるダメージは見受けられない。
 仮にもオブリビオン、強大な力を持つ吸血鬼である。やろうと思えば、せっかく張り巡らせた檻も破ることは可能ではあろう。
 この状況下、攻勢が無駄にならぬのであれば、やるべきことは決まっている。
「人々の避難と味方の合流の為……このまま釘付けにさせて頂きます」
 『破る』という行為をさせないこと。即ち、このまま攻め続けてこちらに意識を向けさせることだ。
 トリテレイアの脚甲が地面を抉る。
 距離を詰める。檻の中であれば、そうそう後退という手段は取れまい。
 振り下ろされる儀礼剣と、翳された魔術師の杖がカチ合い、耳障りな金属音を響かせる。
 体躯相応か、あるいはそれ以上のパワーを誇るトリテレイアの一撃を以てしても、それを打ち破るには至れない。
 これが吸血鬼の身体能力……否、それだけではないことを彼は看破していた。
 ユーベルコードのコピー。つかさの怪力の源泉を借用して渡り合い、圧倒してみせたのだ。
 トリテレイアの巨体を杖の一振りで振り払い、そこに放たれるのは、他ならぬ彼の放電杭。
 狙うは関節部、装甲の隙間に撃ち込まれれば致命傷は免れない、正確で容赦のない照準。
「正確な狙いではありますが……」
 トリテレイアのフェイスガードが、まるで牙を剥くかのように展開される。
 内蔵機銃が、放たれた杭をひとつ残らず撃墜せしめる。狙いはわかっている。読めるのであれば、後は顔を向けるだけでいい。
「致命打を狙いすぎましたね」
 返礼に、残った杭を投げ返してみせる。
 姿勢の崩れた状態から投げたそれは、一見すると彼女の体には届きそうもない破れかぶれの攻撃に見えたであろう。
 だが、そうではない。ウォーマシンたる彼がそんな無駄な攻撃をするはずもない。
 確かに魔術師が防ぐまでも無く体に届きはしなかった杭はしかし、そのドレスの裾を貫き、一瞬とは言え彼女をその場に縫い付けてみせたのだ。
 そう、結局のところ、ユーベルコードと言うのは使いようなのだ。
 いくら力を借用したところで『それを用いる事』に関しては本人の意思、技量に委ねられる。
 最もユーベルコードを使いこなせるのが『本来の使い手』である事は、疑う余地も無い。
 ……故に。
「『己の筋肉への自信と信頼』、この一点において、私が負けるなどあり得ない。……使いこなせもしないような劣化コピー程度、恐れるに足りないわ」
 縫い付けられた魔術師の頬を、つかさの鉄拳が強かに殴り抜いた結果は、当然の帰結と言えただろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フィーナ・ステラガーデン
【PPP】
逃げ惑う人々に逆らうように敵のいる方へ歩き
近づいたら間髪入れずに無言で杖を向けて【属性攻撃】爆発させるわ!

何ふざけたことやって悦に浸ってんのよ?
私達を呼びたいなら茶菓子でも添えて丁寧に手紙でも寄越しなさいよこのクズ!
絶望を与える?笑わせんじゃないわ!
今から絶望を与えられんのはあんたよ!
その無駄に膨らんだ胸がへしゃげるくらい地べたに這いつくばって命乞いさせてやるって言ってんのよ!

逃げ惑う人々にはあんま興味ないわ!アリシアに任せて
引き続き【属性攻撃】で爆破させつつ牽制して仲間と立ち回って
UCの大爆発はここぞという時に放つとするわ!
(アレンジアドリブ大歓迎!)


アリシア・マクリントック
【PPP】
みなさんが気兼ねなく戦えるように私たちは村人たちの避難誘導を行いましょう。
「私達が来たからにはもう大丈夫です!この子……マリアについていってください。安全なところへ連れて行ってくれます。私はここで後方を守ります!」
流れ弾や攻撃の余波から身を挺して村人を守ります。手が足りなければティターニアアーマーを呼び出して壁代わりに。
仲間の方を無視して村人を攻撃しようとするのであれば、挑発してこちらに攻撃を引きつけましょう。
「無抵抗の相手は殺せても、立ち向かうものからは逃げることしかできませんか?見下げ果てた領主ですね。」
狙い通りこちらに攻撃が向いたら五の太刀・蛇目菊で反撃です!


イデアール・モラクス
【PPP】
笑止!笑止笑止笑止ぃ!
強大な魔術師と聞いて来てみればまさか雑魚相手に魔力を消費する愚か者とはなぁ!
フィーナ、あの程度で魔術師気取りの阿呆に真の魔術とは何かを教えてやらねばなるまいぞ。

・魔術戦
「魔法は、こう使う!」
『高速詠唱』にて炎や氷の『属性攻撃』魔法を『乱れ撃ち』して『弾幕』を張り『範囲攻撃』しながら敵の攻撃を相殺『武器受け』し『多重詠唱』を用いて『魔力溜め』を行う。
「血の流れより紅き螺旋、我が前に立ち塞がる全てに滅びを与えんーー!」
そして放つ【紅ノ螺旋】による『全力魔法』の『暴力』的な一撃で敵魔術師を『薙ぎ払う』!

※アドリブ大歓迎


アイ・リスパー
【PPP】
「オブリビオンを倒すこと、それが私の使命です」

私はそのために、電脳魔術を操る能力を与えられたのです。
どんな相手だろうと、とにかく倒すのみです。

「向けられた喜怒哀楽の感情によって強化される能力ですか……
ですが、私はあなたに対して向ける感情など持っていません。
ただ、与えられた使命に従い倒すまでです」

感情を動かさず、表情も変えずに敵に向かって淡々と言い放ちます。

電脳魔術【バタフライ効果】を発動し、大気中の空気分子をコントロール。
竜巻を生み出して敵を攻撃です。

「この風で薔薇の瘴気も吹き飛ばしてあげましょう」

瘴気を吹き飛ばすことで仲間のサポートをしつつ、竜巻によって敵を切り裂きます。



 押さない、走らない、喋らない。
 UDCアース辺りでは初等教育でも習うであろう避難の鉄則であるが、全員が全員まともな教育を受けられるとは限らないダークセイヴァーにおいてはそうもいかない。
 よしんばそれを知っていようとも、このような突然の事態の中でそれを正しく履行できるか……と言われれば、難しいと言うのもわかる話ではある。
 要するに、猟兵の介入により、矛先がそちらに行くこと自体は今のところ避けられてはいるものの、人々の混乱はそう簡単には収まってくれてはいない、という事である。
 寂れた寒村ではあるが、一カ所に集められてしまえば住人は相応の数にはなる。
 それが一斉に、我先にと逃げ出そうとすれば、濁流にもなろうもの。
 その中を、流れに逆らって進む者達がいた。
「笑止!笑止笑止笑止ぃ!」
 悲鳴と怒号が響く中でも、その声はよく通る。
「フィーナ、あの程度で魔術師気取りの阿呆に真の魔術とは何かを教えてやらねばなるまいぞ!」
「わーってるわよ!」
 共に大柄とは言えない女性が二人。
 だがその足取りは、流れに逆らいながらも揺らぐことはなく。
「アリシア!そっち任すわよ!」
「はい!私とマリアにお任せください!」
 人波をかき分けたフィーナ・ステラガーデン(月をも焦がす・f03500)がちらりと後方に視線をやれば、狼の吼え声と凛とした女性の声が応じる。
「私達が来たからにはもう大丈夫です!この子……マリアについていってください!安全なところへ連れて行ってくれます。私はここで後方を守ります!」
 アリシア・マクリントック(旅するお嬢様・f01607)の懸命な呼びかけが響く。
 個人がそれぞれ思うように逃げようなどとすれば、混乱も必至。
 冷静に物事を推し進められる先導者の存在は、このような急を要する場面でこそ必要になってくる。
 任せろと言わんばかりに一吼えする灰色の狼……マリアに先頭を行かせ、村人たちの集団の最後尾に陣取り、油断なく領主や彼女の元に向かった仲間たちを見据えるアリシア。
 敵の撃破は皆に任せればいい。
 アリシアは己の役目を、村人たちの護衛に定めた。
 仲間が安心して暴れられるような状況を作り、そして何よりこれ以上の犠牲者を出さないために。
 それが自らに課された重要な役割なのだ。
 村人たちを背にしたアリシアの瞳に、こちらは引き受けたと言わんばかりの爆炎が映り込む。

「何ふざけたことやって悦に浸ってんのよ?私達を呼びたいなら茶菓子でも添えて丁寧に手紙でも寄越しなさいよこのクズ!」
「あらあら、こんな演出は気に入らなかったかしら」
 出会いがしらの魔術一撃。
 立ち上る煙の向こうで、服についた埃を手で払う魔術師へ向けて、フィーナが己の杖を突きつける。
 その言いようは未だに余裕があるように見えたが、度重なる猟兵の猛攻によって、その声色に苛立ちが滲んでいることを隠すことには失敗していた。
「笑わせんじゃないわ!今から絶望を与えられんのはあんたよ!」
「はっ、そう言ってやるな。強大な魔術師と聞いて来てみれば、まさか雑魚相手に魔力を消費する愚か者とは私も思いもしなかったが」
「……なんですって?」
 怒りのままにまくしたてるフィーナあいてには平静を保っていた魔術師も、もう一人……イデアール・モラクス(暴虐の魔女・f04845)の言には、聞き捨てならぬと眉根を動かす。
 吸血鬼が、あろうことか支配されるべき側に、明確に『劣等』と称されるのは我慢ならなかったのであろう。
「魔法は、こう使う!」
 その様に気を良くしたか。
 イデアールは不機嫌そうに目を細めた魔術師目掛けて、流れるように魔術を叩き込む。
 火炎と水塊。二極の魔法弾が雨あられと降り注ぎ、地面を抉り、土埃を巻き上げる。
 ……その奥で、殺意に満ちた色で猟兵を睨めつける、紅の双眸があった。
「魔法とは……何ですって?」
 土の臭いに、香しい薔薇の芳香が紛れ込む。
 立ち昇る紅のオーラが魔術師の身体を覆い、その身に傷がつくのを阻んでいた。
 それは向けられた憤怒と侮蔑の感情に対して、また彼女自身が感じる怒りの強さを表しているようにも思えた。
「良いわ、そうまでして私を怒らせたいのなら、相応の返礼をしてあげましょう」
「……生憎ですが」
 それを阻む声は、まったくの別方向から。
 風が舞う。
 埃も紅も、薔薇の芳香もすべて吹き散らす竜巻が巻き起こる。
「オブリビオンを倒すこと、それが私の使命です」
 そこに感情が介在する余地はない。
 魔術師を冷ややかな視線で見据えながら、アイ・リスパー(電脳の天使・f07909)が宣告する。
 魔術師は、身に受けた感情に比例してその力を増す。
 だからというわけではないが、淡々と、ただ己の役割を遂行してみせようと。
 電脳魔術を行使し、オブリビオンを駆逐する。
 それが猟兵の……アイと言う存在に課せられた使命なのだから。
 怒りも侮蔑も無い、ただオブリビオンを屠るためだけに生まれた風が、魔術師の護りを引き剥がす。
「ナイスよアイ!普段ボケたり脱げたりしてるだけじゃないってことね!」
「うるさいです」
 これが本来あるべき姿なんだってば。たぶん。
 ともあれ、魔術師の忌々しげな視線もフィーナからの余計な一言もスルーして、アイが護りを霧散させてしまえば、人々の守りをアリシアが引き受けている以上、懸念すべきことは何もない。
「だったら、後はその無駄に膨らんだ胸がへしゃげるくらい地べたに這いつくばって命乞いさせてやるだけよ!」
 爆裂。
 フィーナお得意の、数と火力に任せた火炎魔法が次々と降り注ぎ、魔術師を縫い付ければ。
「血の流れより紅き螺旋、我が前に立ち塞がる全てに滅びを与えんーー!」
 イデアールの放つ、血色の光芒を阻むものはない。
 回避も防御も許されぬ。圧倒的な暴力が、魔術師を過たず撃ち抜いた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

フォルク・リア
既に犠牲者が出ている事を確認すると。
「間に合った、と言って良いのか
それとも間に合わなかったのか。」
悔いる気持ちと戦う決意が入り混じり。


周囲を良く確認し、村人が巻き込まれそうなら庇いながら戦う。
生命を喰らう漆黒の息吹を発動。
鳳仙花に敵の生命力を喰らわせる。
「俺たちを誘い出すのが目的の様だが
望みが叶った気分はどうだ?」
とさして興味がなさそうに。

花びらが命中したらそれを足掛かりに
花びらを集中させて生命力を奪い
冥界の力を使い瘴気をも削っていく。
「お前が選んだ未来だ。
このまま冥府に落ちても自業自得と諦める事だ。」
【念動力】【範囲攻撃】も合わせて使い
花びらの竜巻を発生させ
その風の【衝撃波】も利用し攻撃。


セルマ・エンフィールド
常々思っていることですが……やはりこの世界で人が暮らすのに、あなた達の存在は邪魔です。
あなたは、ここで殺す。お覚悟を。

受けることも難しい不定形の血の刃、一つや二つであれば軌道を『見切り』回避することは難しくありませんが、これだけの数がこちらを追尾してくるとなれば回避し続けるのは難しいですね。

ならば、全て撃ち抜くだけです。
フィンブルヴェトを手に【絶対零度の射手】を使用、氷の弾丸の高速連射と『スナイパー』の技術で血の刃を狙い、凍てつかせ砕きます。

氷の刃を撃ち砕き吸血鬼への射線が空いたならそのまま吸血鬼に銃を向け氷の弾丸の高速連射を撃ち込みます。

吸血鬼と踊る趣味はありません。


リーヴァルディ・カーライル
…間に合わなかった?いいえ、まだよ

…まだ終わっていない。これ以上、悪戯に生命を奪わせはしないわ

両眼に魔力を溜め襲われた人達や老婆の怪我の具合を暗視して見切り、
まだ息があるようならばUCを発動
限界を突破して吸血鬼化した自身の生命力を吸収し治療を施す

…生き残りたい人は私の後ろに来なさい!
…落ち着いて。必ず助けてみせるから…!

後は怪我人や猟兵の傷をUCで同様に治癒していき、
第六感が殺気を感じたら大鎌をなぎ払い攻撃を武器で受けたり、
銃を乱れ撃ち一般人に向かう攻撃を撃ち落とす早業で迎撃するわ

…無駄よ。お前のような吸血鬼の相手は初めてじゃないもの

…もうこれ以上、お前の刃が私の後ろに届く事はないと知れ


ユナ・アンダーソン
村人達が……・!
まだ間に合う人も居るはず
一刻も早く助けないと!

とりあえず戦闘は他の人に任せて村人達を助けにいきます
ごめんなさい、敵の足止めは頼みました!
オーラ防御、かばうで守りながらUCを発動し傷を負った人の治療
奪った傷の痛みは激痛耐性で耐えます
治療が終ったら村民の避難を支援しつつ
エトワル・ボワ・ジュスティスを振り回し敵をなぎ払い断頭します
傷ついた味方がいたらUCを発動して回復



「間に合った、と言って良いのか、それとも間に合わなかったのか……」
 刃が舞い、魔術が飛び交う戦場。
 騒乱の渦中に叩き込まれた寒村を見やるフォルク・リア(黄泉への導・f05375)の表情は固い。
「……間に合わなかった?いいえ、まだよ」
 背を抉り取られ、倒れ伏した老婆。
 完全に脈も鼓動も止まり、物言わぬ肉塊へと変わり果ててしまった『それ』に目を伏せていたリーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)が、明確に否を唱えた。
「まだ終わっていない」
 確かに犠牲者は出てしまった。
 それは努力で何とかなったことではない、防ぎようのない犠牲ではあっただろう。
 だが、まだ生存者は残っているのだ。
 これ以上、いたずらに犠牲者を出すことを許したときこそが本当の終わりである、と。
 そう、まだ間に合う。最悪の結末を防ぐことは可能なのだ。
「ごめんなさい、敵の足止めは頼みました!」
 猟兵の猛攻によって、決して少なくない時間、魔術師の足止めは成立しているし、避難の誘導を行う猟兵もいた。
 それでも、この混乱の中で怪我をする村民は一人や二人ではない。混乱は要らぬ怪我を生み、怪我は避難をより困難なものへと変える。
 その中で、ユナ・アンダーソン(星骸のスティグマテイカ―・f02647)がそんな村民たちの治療へと駆けるのを、魔術師が見逃すはずもなく、そしてそれを猟兵達が見逃すことも無かった。
 元より、今この場の魔術師にとって村民は『餌』であり、あくまで目的は猟兵だ。
 この状況下においてあえて村民に狙いを定めたのも、猟兵が身を挺す事を見越しての物で、事実その読み自体は正確であった。
 ただ一点、それがほぼ完全に受けきられた事だけが、彼女の誤算と言えただろう。
 放たれた薔薇の瘴気はリーヴァルディの鎌の一振りで大きく勢いを減じさせ、身を挺して護ってみせたユナの身体には傷こそあれど、それこそリーヴァルディの治療で帳消しできる範囲だ。
「あなたは治療と避難に集中を。大丈夫、後ろには届かせない」
「えぇ……!さぁ、早く!」
 治療を受けたユナが、村人たちの傷を『奪い』、治した傍から促していく。
 大丈夫。このくらいなら耐えるのは難しくない。肩代わりできる痛みなら、喜んで身に受けよう。
 嗚呼、そうだと、フォルクはそれを見やる。
 犠牲を出してしまったことを悔いる気持ちは確かにある。だが、今己がやるべきことは、犠牲を悔いる事よりも、此処でこの魔術師を仕留め、これ以上の悲劇から人々を守り抜くことだ。
 決意のこもった瞳を目深に被ったフードの奥に隠し、フォルクは魔術師に顔を向ける。
「俺たちを誘い出すのが目的の様だが、望みが叶った気分はどうだ?」
「叶ってみると、存外思っていたものとは違うものね」
「驚いた。まだそんな言いようが出来るとは」
「言っていなさい」
 お互いに感情の篭らぬ言葉の応酬を交わす中、吸血鬼が血の刃を解き放つ。
 瓶に詰めた血、零れ出た犠牲者の血……そして不本意ながら、己が流さざるを得なかった血。
 材料には事欠かない。
 いくつもの紅い刃が鎌首を擡げ、まるで獲物に襲い掛かる蛇のようにしなり、飛ぶ。
 その矛先はフォルクではなく、再び逃げる村民へと向いていた。
 リーヴァルディが銃を構え、撃つ。
 だが、単純な面の攻撃よりも、複雑に弧を描き追尾する血の刃は、狙うには相応の集中を要する。
 その上で数が数だ。すべてを迎撃するには、手が足りない。
 ただそれは、リーヴァルディの手と、ユナの身では護りきることは叶わない、というだけの話であって。
 銃声が響く。
 それはリーヴァルディの手に握られた連装銃とは全く別の位置から轟いた。
 二発。三発、四発、五六七八九十。
 鳴りやまない、連続した発砲音が響くたび、血蛇の刃が砕け散り、凍り付いた血は血だまりになることすら許されずに地に墜ちる。
 うっすらと、弾道を示すような水蒸気が夜風にたなびいた。
「やはりこの世界で人が暮らすのに、あなた達の存在は邪魔です」
 もっとも、常々思っていることではあるのだが。
 全弾撃墜。確かな戦果を手に、セルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)は愛銃のスコープから目を離す。
 不定形の血の刃。
 複雑な軌道を描くそれは安易な防御を決して許さず、一発二発なら歴戦の猟兵であれば捌けるやも知れないが、あの数ではそれも難しかろう。
 だからこそ氷の狙撃手は、最初からそれを撃ち落とすつもりで構えていた。
 わざわざ吸血鬼と踊ってやるような趣味も、必要性もありはしない。
 標的と定めたものを撃ち落とせずして、何が狙撃手と言えようか。
「お前が選んだ未来だ」
 驚愕に目を見開く吸血鬼へと、フォルクが宣告する。
 猟兵をこのような手段で誘い出し、殺意を煽ってしまった己の行動の結果なのだと。
「このまま冥府に落ちても自業自得と諦める事だ」
「おのれ……!」
 花弁が嵐となって、魔術師を包む。
 それは、魔術師の持つ紅の瘴気のそれではなく、フォルクが放った鳳仙花の嵐だった。
 血も瘴気も解き放ち、そして打ち払われた魔術師に、今それを払いのける手段は残されていない。
 冥府の花が、魔術師の生命力を容赦なく奪っていく。
「よく見ておけ。これが、お前の命を刈り取る手向けの花だ」
 魔術師の瞳が見開かれたのは、フォルクの言葉が届いていたからか。
 あるいはその瞬間、その心臓を幾発もの銃弾が貫いていたからか。
 凍り付いた弾痕からは一滴の血も流れ出ることはなく、その中で他者の血を求めた領主は、ただ静かに倒れ伏した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『信仰し進軍する人の群れ』

POW   :    人の群れが飲み込み、蹂躙する
【槍を持ち一斉突撃を行うこと】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    全てを焼き払い、踏みつけ進軍する
【持ち帰られた弓から放たれる斉射】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【火矢】で攻撃する。
WIZ   :    守るべき信仰の為に
対象のユーベルコードに対し【集団による防御結界】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●彼らは信仰にその血肉を捧げた
「間に合わなかった、か……」
 領主である魔術師が倒れ伏したのを遠目に認め、その女騎士は重苦しい溜息をついた。
 万全を期して可能な限りの軍勢を、と思ったのが仇になったか。
 この身一つですぐにでも参じていれば、或いは。……否、今言ってもどうしようもないことである。
「総員、配置完了いたしました」
「領民たちが逃亡しているようですが、いかがしましょう?」
「放っておきなさい。私たちの敵は猟兵なんだから」
 猟兵を誘い出すという役割はすでに終えているのだ。ただ巻き込まれるのならまだしも、わざわざ人手を割く理由も、そんな余裕も無い。
 故に、逃げる領民は無視し、早急に救援に入ることも無く、こうして包囲することに注力していたのだ。
 総ては、ここで猟兵を確実に屠るために。
 失った代償に釣り合う結果を出さなければ、申し訳が立たない。
「……全軍、矢を放て!突撃開始!!」

 ……領民を餌に猟兵を招き入れた吸血鬼。
 彼女の死、戦いの勝利の余韻に浸る間もなく、猟兵達の頭上に夥しい数の火矢が降り注ぐ。
 木々を、家を、村を瞬く間に炎が包み、宵闇の世界を煌々と照らし出す。
 火の粉が激しく散る音に紛れ、怒号と足音が近づくのが聞こえた。
 その先には、黒鎧の女剣士に率いられた、白装束のオブリビオンの大群。
 ――猟兵を討て。我等に害為すものを討ち払え。
 ――我等が主に、忌まわしき彼奴等の血と首を捧げよ。
 口々に叫ぶ白装束が、槍と弓を手に、波濤の如く迫りくる。
フォルク・リア
「村人を襲う気配はないか。
それでも火をかけてくるなら
対応しなくちゃならない。」
そして。此方に集中し統率された軍隊は警戒すべきか。

攻撃は【残像】使い回避。
牽制を兼ね呪装銃「カオスエンペラー」での銃撃を行い
真羅天掌を発動。鎮静属性の雨を発生させ
火を消し止め。
此方が消火に集中していると思わせて油断させると同時に
無害と思って雨を浴びさせ
敵の精神、肉体能力を鎮静化させて動きを鈍らせる。

敵の動きが緩慢になってきたら本格的な攻撃に移り
雨を降らせながらデモニックロッドの闇の魔弾を
多数撃ち込み攻撃。
その隙を逃さず防御結界を張る暇を与えずに
【早業】【ダッシュ】で接近。
近接距離で闇の魔弾を撃ち込み
一体づつ仕留める。


肆陸・ミサキ
※絡みアドリブ怪我苦戦ok

なりふり構って来なくなったね、余裕が無くなったのか仇討ちか解らないけど
火の手が回りきってしまうと、火傷よりは呼吸のしにくさがキツそうだし、早いとこ包囲を突破したいな
数の暴力は怖いからね、ここでしっかり潰しておかないと行けないか

POWでいくよ
UCを使って、黒剣を斧に
突撃してくるっていうんだから、真正面から叩き潰すだけさ
数がいるなら狙いを付けるより、多くを巻き込む様な動きを取ろう
戦いの中であれこれ考える器用さも無いしね

他の人と連携が取れれば少しは楽に減らせるかもしれない


羽堤・夏
アドリブ絡み歓迎
初手コード発動
ありったけの氷の矢を村の上空に連射
上空で矢を衝突させ氷を拡散することで火事の消化を試みる
足りなきゃ…ちょっと家が壊れちまうが火元に直接撃ち込む
名付けて夏姉ちゃんフリーザー…
さてこいつらはなんでこうあたしのトラウマを次々と…!
人の命を理不尽に奪うやつも
人の生きた証を壊す奴も
全部をあたしは許さねぇ!

羽を広げ飛翔、火矢を空中の自分に向けさせ【空中戦】を挑む
空中を飛び回り火矢を当たる直前に【早業】を見せ掴み取る
熱かろうが【火炎耐性】で我慢し、聖なる太陽で更に火力を増大
【怪力】で【投擲】する【カウンター】で反撃だ

一本でも多くの火矢を確保し、撃ち返す
これ以上、燃やさせねぇ…!



「クソッタレぇぇぇぇぇ!!!」
 夏が吼えた。
 幾重にも降り注ぐ火矢の雨に対して、夏が生成した氷の矢が迎え撃つ。
 空中でぶつかり合い、砕け散った氷礫がまた別の火矢を撃ち落とす。
 圧倒的な物量を前に、可能な限りの速度での迎撃を試みる。これ以上は一発たりとも着弾させるものか。
「村人を襲う気配はないか。こちらに狙いを絞ってきたようだな」
「けど、なりふり構って来なくなったね全く……」
 降り注ぐ矢と、押し寄せてくる白装束を見やるフォルクとミサキの頬を熱気が撫でる。
 夏の奮闘でこれ以上の被害の拡大は何とか押し留めているものの、既に燃え移った火まで手を回す余裕はない。
 一度ついた火は、容赦なく村を焼き、酸素を奪っていく。
 直接的な脅威はもちろんだが、呼吸への影響も無視はできない。
 こちらに狙いを絞ってきた以上、油断できる相手でもない。可能な限り、早めに対処したいところではあるが……。
「火をかけてくるようなら、対応しなくちゃならないな」
「それじゃ、こっちは仕掛けるよ」
「整いさえすれば、こちらに回しても構わん。警戒しろよ」
「努力はする」
 息を吸い、吐く。
 ミサキが手にするのは、巨大な戦斧。
 向こうが数の暴力で来るなら、こちらも暴力で抗おう。
 的はいくらでもいる、狙いをつける必要も無い。
 警戒しろとは言われたが、戦いの中であれこれ考える器用さも無い、ならばただひたすら暴れ回るだけである。
 人の身には有り余る『力』だけを武器に、身を削って荒れ狂う様は、まるで台風だ。
 身体にかかる負荷も、返す槍の一撃もお構いなし。血が飛び散り、斧が薙がれるたびに、幾人もの白装束が弾き飛ばされ、骸の海へと還っていく。
 何撃ぶちかましただろうか。
 ミサキの頬を、血とは違う何かが濡らす。
 ……雨だ。
「大海の渦。天空の槌。琥珀の轟き。平原の騒響。宵闇の灯――」
 ――人の世に在りし万象尽く、十指に集いて道行きを拓く一杖となれ。
 フォルクが天に手を掲げ、言葉を紡ぐたびに、雨足は少しずつ強まっていく。
 それこそ、村を焼く火を消さんばかりに、雨粒が降り注いでいく。
 その雨を彼が呼んでいるのは、誰が見ても明白だった。
 白装束たちは、即座に狙いをフォルクへと変える。
 暴れ回るミサキは確かに脅威ではあれど、ただ矢鱈に斧を振り回す分には、全員は無理でも少なくない人数を回り込ませることは難しくない。
「嗚呼、その判断は正しいだろうさ」
 それが只の雨であり、フォルクがそれ『だけ』に注力していたのならば。
 無論、フォルクとて警戒はしている。だからこそ『こちらに回していい』と言ったのだ。
 彼の身体が霞の如く掻き消え、一斉に突き出された槍が空を切る。
 いや、厳密には違う。感覚の鈍りが、そう認識させたのだ。
 突撃の勢いとは似ても似つかぬ、精彩の欠いた緩慢な動き。それは、その雨が持つ鎮静作用にあった。
 その中心に立つフォルクを狙った以上、それを一身に浴びることになれば、影響は避けられない。
 慌てて防護結界を張ろうとする白装束たちだが、勿論それを許す筈も無く、フォルクの魔弾が一発、また一発と脳天を撃ち抜いて行った。
「こいつら、人のトラウマを次々と抉りやがって……」
 一方、その様を眼下に夏は飛翔する。
 猟兵の反撃が始まり、彼女にも若干の余裕が出来た。
 地上に広がる村の様は、惨状と言って良い。村人の犠牲者こそ数える程度で済んだ――数える程度と言えど、『ある』という時点で決して喜ばしいことではないのだが――が、鎮火され煙を吹く家々は、最早人の生活に耐えられるものではなく、田畑も街路も、無残に踏み荒らされている。
 そして、今もなお押し寄せる白装束の軍勢から、夏を狙ってまたも無数の火矢が飛ぶ。
「人の命を理不尽に奪うやつも、人の生きた証を壊す奴も……」
 撃ち合う二種の矢。その中で、一本の火矢がその弾幕を潜り抜け、夏の元に届く。
 その心臓を貫く前に、夏の手がそれを掴み取った。
 火を放つ鏃が身体を舐める。構うか、この程度の痛みが何だ。
「全部を!あたしは許さねぇ!!」
 逆に、己の火をくれてやる。
 轟と燃え盛る『炎』を、地上に向けて投げ返す。
 理不尽を赦さぬ、太陽の怒りへとその有り様を大きく変えた一本の火矢は、過たず白装束の身体を貫いていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

セルマ・エンフィールド
……村の人たちを追いはしないようですね。ならばちょうどよかった。
領主一人を打倒し、その配下は放っておく……そんなつもりはもとよりありませんでしたから。

鳥の形に作成した「氷晶ゴーレム」に乗り、【ブリザード・マニューバ・ブースト】を使用します。
ただの鳥ならば撃ち落とせるのかもしれませんが……追いつかせはしません。
空中で敵集団の周囲を旋回、9000km/hを超える最高速度を活かして敵の弓の狙いを振り切ったところで接近、上空から「フィンブルヴェト」からの氷の弾丸の連射で仕留めていきます。

もう一人強力なオブリビオンがいるとのことでしたね。後顧の憂いを絶つためにも、一人も逃しません。


トリテレイア・ゼロナイン
過去には何処かの信徒達だったのでしょうが、今となっては過去の先兵…
今を生きる人々の為、殲滅する他ありませんね

UCの妖精ロボ達を出撃させ●操縦
数機を直掩に残し他は村内●情報収集
逃げ遅れたり逃げる方向が不味い村民を誘導

さあ、貴方達の相手はこちらです!

(●瞬間思考力によるマルチタスク)同時並行で軍勢に脚部スラスターの●推力移動滑走で突撃
妖精ロボのレーザー●スナイパー射撃で手を撃ち抜く武器落としや●目潰しで槍衾の突撃の勢い削ぎ

大盾と剣にワイヤーアンカー接続
鉄球と鞭宜しく●怪力とロープワークで操り●なぎ払い殲滅
自身や村に降り注ぐ火矢も全身の格納銃器の●乱れ撃ちで撃ち落とし

少々乱暴ではありますが…ご容赦を



 猟兵に死を。
 我等が主に勝利を。
 口々に、高らかに叫びながら、白装束の兵士たちは進軍する。
 一人、また一人と猟兵に討ち取られ、骸の海へと散っていく同胞の姿を目の当たりにしても、彼らの勢いは止まることはない。
 きっと、己が散るまで、己一人になったところで、彼らは止まることはないのだろう。
 信仰に身を捧げた者達。
 もはや狂信の域に達した彼らが、過去に堕ちたことでそうなってしまったのか、あるいは元からであったのかは今となっては定かではないが。
 それが、過去からの先兵となって『今』を脅かすのであれば。
「今を生きる人々の為、殲滅する他ありませんね……」
 騎士兜を思わせるバイザーの奥で、トリテレイアの単眼に灯が点る。
 周囲に飛ばした偵察機からの情報を見る限り、村人たちは今のところ順調に退避しているように思える。
 少なくとも、主戦場となる側へ飛び込むようなルートを採っている者はいない。
 彼らの狙いはあくまで猟兵。こちらから離れていくのであれば、後はやるべきことは一つである。
「さあ、貴方達の相手はこちらです!」
 存分に戦い、こちらに注意を引きつけてやることだ。
 お前たちが望む相手はここにいると、知らしめてやることだ。
 白い波濤に、白銀の騎士が挑む。

「……村の人たちを追いはしないようですね」
 ――ならばちょうどよかった。
 上空。村の中へと雪崩れ込んでくる白を眼下に収めながら、セルマは独りごちる。
 氷晶の鳥――所謂ゴーレムの一種であるが――にて上空を旋回していても、狙撃手の眼には戦場の様子がはっきりと映る。
 猟兵側が村人たちとの間に立ちはだかるように戦っている、というのもあるだろうが、敵の動きには意図的に避けるような素振りこそ無くとも、逃げる領民には一切目もくれず、猟兵のみを包囲して撃滅せんとする明確な意思が見て取れた。
 それならそれで丁度いいと、セルマは思う。
 領主は確かに倒した。
 だが、領主一人を打倒し、その配下は放っておくなどという選択肢は、最初から彼女には存在しない。
 志を同じくした者が同じ暴虐を繰り返すと言う可能性は大いにある。芽を摘まぬ道理はない。
「……と、流石に気づかれますか……」
 眼下から迫る火。即座にセルマは氷鳥に回避を命じる。横を掠めて行った火矢を、身を捩って銃口を合わせ撃ち落とす。
 自身には命中せずとも、いずれ落ちて地を焼くのはあまり喜ばしいことではない故に。
 流石はオブリビオンと言うべきか、その狙いは制圧射撃にしては正確だ。
 ただの鳥であれば、撃墜はいとも簡単に成っていたに違いない。
 だが、セルマが操る氷鳥はもちろんただの鳥ではない。そう簡単には追いつけない。
 ……そして、彼らにそもそも上を悠長に狙う時間など、元より存在しないのだ。
 白銀の巨大な騎士が、剣と盾とを振り回す。
 ただ腕を振り回しているわけではない。強靭なワイヤーを喰いつかせ、さながらフレイルのように薙ぎ払っているのだ。
 元より、巨体に合わせた大型、重量の武具。その質量と、それに耐えるワイヤーの強度は折り紙付きである。
 トリテレイア本人曰く『少々乱暴』な手ではあるが、十二分に遠心力の乗ったそれらは、威力もリーチも並外れたものがある。対多数への攻撃手段としてはかなり有効なことには違いないだろう。
 その圧倒的な威力に負けじと、群れを成した白装束が槍を構え、突撃する。
 トリテレイアの偵察機がレーザー砲での迎撃に回るが、いかんせん数が数だ。その突撃の手を鈍らせるには、それらだけでは数が足りぬ。
 そしてそれを見逃さないのが、狙撃手と言うものだ。上空から降り注ぐセルマの氷の弾丸が、足りぬ手を補い、そして鈍った敵陣を、弓兵ごとトリテレイアがなぎ払うのである。
「良い腕をしていらっしゃる。援護には働きで報いるとしましょう」
「後顧の憂いを絶つためにも、一人も逃しません」
 騎士と銃士の表情に揺らぎはなく。
 ただ勝利のために、刃と銃が吼える。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アリシア・マクリントック
【PPP】
先程は裏方に徹していましたが……ここからは私達も攻撃に参加させてもらいます!
守るべき民へと刃を向ける愚か者たちよ!この迅狼爪牙の錆に変えて差し上げます!マリアも行きますよ!
刀一本で軍勢を相手にするのは無理だと思っているのではないですか?その油断が命取りです……ブシドー奥義、二の太刀・紫陽花!
マリアはマリアクロス・ナイトモードで突撃を!
内側へ切り込めば周りの仲間を巻き込まぬようにたった一人のこちらを狙うのは難しいはず。数が多ければその分有利ではありますが……多すぎれば動きにくくもなるのです!

……時間は稼ぎましたよ。フィーナさん、イデアールさん、あとはおまかせします!


アイ・リスパー
【PPP】
「オブリビオンの集団ですか……
容赦はしませんよ」

凍てつくような視線で敵を睥睨し、電脳魔術【ラプラスの悪魔】を発動します。
氷の弾丸を生成し、敵の放つ火矢を撃ち落としていきましょう。
アリシアさんと協力し、敵を迎撃です。

「さあ、フィーナさん、イデアールさん、とどめはお任せします!
……あ」

近付いてきた敵集団から離れようとしたところ、運動音痴が祟って転んでしまい……
そこに、イデアールさんが召喚した触手が!?

「きゃ、きゃあああー、へるぷみー!」

色欲の触手に絡みつかれて服の中に入り込まれ、全身を陵辱され尽くしてしまい……

「いやっ、そんなところに入っちゃ……」

快楽に溺れさせられてしまうのでした。


フィーナ・ステラガーデン
【PPP】
徒党組んできたわね!アイ!アリシア!守りは任せたわ!(矢を炎で消し炭に変えつつ)
イデアール!魔力を預けるから
なんかこー空から隕石とか何でもいいから出して一気に蹴散らすわよ!
有象無象が集まった所で無駄だと知らしめてやるのよ!(同時詠唱しつつUC)

詠唱完了してUCを放つ準備が出来れば後はイデアールに任せるとするわ!
さあーっ!暴虐のかぎりをつくしてやるのよーー!
ってあんた何つーもん呼び出してんよ!?暴虐のかぎりを尽くしすぎでしょ!?
あ、あの絡まれてるのアイじゃない!?アイーー!アイイーーーー!!
いい子だったわ・・!(敬礼)
(アレンジアドリブ大歓迎!)


イデアール・モラクス
【PPP】
アーハッハッハ!愚か、愚か愚かぁ!
わざわざオブリビオンとして蘇り使役される阿保どもめ!
我らが最大の魔術で蹂躙してくれるわ!

・合体魔法
「今こそアレをやる時か!」
フィーナとの合体魔法UCで敵勢を蹂躙してやる。
まずは『多重詠唱』によりUCの『魔力溜め』と詠唱を行いつつ牽制『属性攻撃』魔法を放ちアリシア達を援護、フィーナのUCにより強化後、【色欲の触手】を『全力魔法』で数を無数に増やした上で放ち『範囲攻撃』で同時に多数の対象(なぜかアイも)を絡めて快楽漬けにする。
「暴虐と言えばコレであろう!」
拘束したら触手で『蹂躙』し尽くす。
「あ…フィーナの力で強くなってたから出し過ぎたか」

※アドリブ歓迎



「ったく、徒党組んできやがったわね!」
 降り注ぐ矢の雨を、フィーナの炎がたちまち消し炭へと変える。
 制圧射撃だろうが構うものか。その爆炎の規模は、フィーナの怒りの強さを表しているようにも見えた。
「アーハッハッハ!愚か、愚か愚かぁ!わざわざオブリビオンとして蘇り使役される阿保どもめ!」
 それに怯むことなく、なおも愚直に突撃をやめようとしない白装束たちは、イデアールの目には余程滑稽に映ったのだろう。
 彼女にとって彼らは、わざわざ蹂躙されに来たカモにしか映っていないのかもしれない。
 そんな二人の思惑はともあれ、目的は一緒である。
「今こそアレをやる時か、フィーナ!」
「一気に蹴散らすわよイデアール!アイ、アリシア!」
「わかっています」
「間に合ったようですね……ここからは私達も攻撃に参加させてもらいます!」
 魔力を練り上げる二人の魔女と、彼女らを庇うように立つ二人と一匹。
「守るべき民へと刃を向ける愚か者たちよ!この迅狼爪牙の錆に変えて差し上げます!」
「……容赦はしませんよ」
 片や凛とした瞳を、片や氷の如く冷たい視線を敵陣へとくれてやり。
「矢の迎撃は私が。アリシアさん」
「承知しました。マリア、行きますよ!」
 騎士鎧を思わせる装甲を纏った愛狼を伴い、アリシアが地面を蹴り、突撃する。
 抜刀、肉薄。
 一見集団相手には無謀な突撃であるが、その実敵陣の中央に切り込むと言うのは、一概に悪手とは言い切れない。
 ことリーチの長い槍による接近戦では、密集した集団の中で一人をピンポイントで狙うのは、ともすれば同士討ちを招きかねないのだ。
 狂信の域に至った兵士たち。決しておのれの命惜しさに槍が鈍るようなものではないであろうが、己の命はそうであっても同志の命ともなれば僅かであれど躊躇いは生まれようもの。
 そのわずかな隙を衝くのは造作もない。何せ周囲はすべて敵なのだ。強いて言うならば相棒もいるが、お互いの太刀筋など、意識せずとも避けられる。
 前衛はアリシアとマリアが抑える。
 そして後衛から降り注ぐ火矢は、フィーナからバトンを繋いだアイが受け持つ。
「パラメータ入力。シミュレート……軌道予測完了。撃ち落とします」
 魔力収束、弾頭生成。
 達人の振るう剣術であればともかく、飛来する矢などは、放たれてしまえばあとは慣性と風に乗るだけ。
 『寸分の狂いも無く計算できるのであれば』、軌道予測は近接戦と比較して各段に容易。
 アイの演算能力をもってすれば、アリシアの突撃で勢いの減じた矢の斉射など、迎撃は容易い。
 そして、二人の迎撃により、二人の魔女は容易に準備を終える。
「我らが最大の魔術で蹂躙してくれるわ!」
「二人とも、退きなさい!イデアール、暴虐のかぎりをつくしてやるのよ!!」
「わかりました!マリア、アイさん!」
「トドメはお任せしましtあっ」
 足止めに回っていた二人の声が聞こえるが早いか、イデアールが二人分の魔力を解き放つ。
 空中に描き出される巨大な魔方陣。
 内から這い出てくるのは、夥しい数の、悍ましい触手の群れ。
「……ってアンタ何つーもん呼び出してんよ!?」
「ほら、暴虐と言えばコレであろう」
「暴虐のかぎりを尽くしすぎでしょ!?」
 まぁ確かに蹂躙と呼ぶにはふさわしいかもしれないが。
 でもこう、隕石とか強烈な魔力弾とか、そう言うのあったじゃないとフィーナは訴える。
 コンセンサス取れていない故の悲劇。
 二人の元に戻ってきたアリシアも、触手の群れに蹂躙されていく白装束集団には微妙な表情。
「……ところで、みんな無事か?点呼するか?1」
「2」
「3」
「ワン」
「よしちゃんと4人全員いるな」
「待ってくださいへるぷみーーーー!!!!」
 触手の中からアイの叫び声が聞こえた。
 なんなら返事した時点ですでに巻き込まれていた。
「アイーー!アイイーーーー!!」
 気付いたフィーナが叫ぶも、時すでに遅し。
 もはや好き勝手に蠢きまわる触手に敵共々すっかり捕らわれてしまった彼女を救いだすのは難しい。
 何せ二人分の魔力を贅沢に使用して喚び出した触手の群れは量も勢いもかなりのものだ。それこそ敵集団を一網打尽にすべくして喚んだのだから当然と言えば当然なのだが。
 それに何よりアレだ。
 近づきたくない。
「…………」
 悩んだ結果、フィーナが導き出した結論は。
「アイ……良い子だったわ……」
 『すてーたすしーと』と書かれた木板を触手君に引っ掛けてUターンする事だった。
 みせられないよ。
「……助けなくていいんですか……?」
「えぇ、彼女も本懐でしょうし、今はああしておいてあげましょう……」
「うむ、恐らくこの後は流石にボケている余裕はないであろうからな」
「意味が解らないですよー!?」
 ステシの向こうから聞こえてくるアイの悲鳴は3人そろって聞こえないふりをした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

荒谷・つかさ
やれやれ、ヌシを釣り上げたと思ったら……今度は羽虫の群れが集ってくるとは。
上等よ、一匹残さず潰してあげる。

向かってくる敵群へ向け【破界拳】発動。
槍の間合いに入られる前に敵方へ向け全力で拳を撃ち込み「世界を砕く余波」に巻き込んで殲滅。
衝撃波なんていう甘っちょろいものでは済まない……いいえ、済まさない。
瞬間的とはいえ、空間そのものの崩壊に巻き込まれて原型留めていられると思わない事ね。
(怒ってるので明らかにオーバーキルでも容赦ない)

……ダメね、この程度じゃ。
村一つの代償には、お前達程度じゃ山になっても到底足りないわ。
大将首、もう一つ寄こしなさい。
居るんでしょう?


春乃・結希
みんなはもう逃げられたんですね?良かった…
家なんて、また建てればいい
誰かに支配なんてされない場所
みんなで、作り直せばいいんです

UCに巻き込む数を増やすため
敵陣の奥を目指して突き進む
この程度の火で、地獄の焔と共にある私を
止められると思わないで【火炎耐性】

…火は良いですよね、私も好きです
身体を温めてくれる暖かい火も、ゆらゆら揺れる蝋燭の優しい火も

でも、私の焔に優しさなんてない
私の嫌いなものを焼き尽くすためのもの
火を使うなら、自分が焼かれる覚悟も、出来てますよね
…みんなみんな、灰にしてあげます【焼却】
UC発動

焔の向こうに見える騎士
あの人は、さっきの領主とは少し違う気がする
少し、お話ししてみたいな


ユナ・アンダーソン
共闘、アレンジ歓迎

む、増援ですか?
それにしては遅すぎるような……
なんにせよ、向かってくるというのなら倒すだけです!

なるべく囲まれないように立ち回りつつ
UCを発動しエトワル・ボワ・ジュスティスを振り回し敵をなぎ払い断頭します
UCを相殺されてもそのまま重量任せに大鎌で叩き切ります

ユーベルコードを相殺する結界ですか
ですが、武器そのものを止めることは出来ないはず
力尽くで押し通ります!



「みんなはもう逃げられたんでしょうか?」
「そうみたいです。今ここにいるのは私たち猟兵と……」
 迫りくるオブリビオンの二勢力のみ。
 その状況に、結希は小さく安堵の吐息をついた。
 周囲の景色は惨状と言って良い。
 猟兵の対応が早かったおかげで一面焼け野原と言う事態だけは避けられたものの、多くの家や木々は燃え崩れ、石畳は削れ地面は抉れ、破壊の痕跡は数え切れず。
 だが、それでも多くの命が失われるのは避けることはできた。
 家は、また建てればいい。
 今度こそ、誰かに脅かされることのないような、温かい家を、みんなの力で建てればいい。
 命があれば、そういう事もできるのだから。
 ……だが、だからと言って相手を赦すことができるか?と言われれば、それは断じてNOであろう。
 建て直すことができるとは言え、今までの人々の営みが踏みにじられたと言う事実は変わらない。
 それも、猟兵を誘い出すと言う、ただそれだけの目的のために。
 で、あるのならば。
「……上等よ」
 なおも迫る敵陣を睨みつけるつかさの拳に力が籠る。
 そしてそれは、大剣を携えた結希も、大鎌を構えるユナもまた同様に。
 その中で、先陣を切ったのはつかさだった。
 拳が唸る。
 彼我の距離はまだ遠い。
 拳は元より、敵の槍の穂先すらまだ届かぬ位置。だがその拳は、確かに叩き割った。
 空間そのものが、まるでガラスに罅が入ったかのような錯覚と共に震える。
 衝撃波……などと言う生易しいものではない。空間の崩壊とも呼ぶべき激震が、真っ直ぐに迸る。
 鍛え抜かれ、敵を打ち倒すと言うただ一念の下に放たれた拳。
 ファランクスの如き敵の集団に大穴を穿つには、その威力は十分すぎる。
 その穴は、いわば導火線だ。
 道が出来れば、炎は走る。
 奥へ奥へとその身を躍らせ……そして、内側から焼き尽くすのだ。
「……火は良いですよね、私も好きです」
 篝火を掲げ、火矢を番え、槍を構える者達の中心で、結希は呟く。
 身体を温めてくれる暖かい火も、ゆらゆら揺れる蝋燭の優しい火も。それをいとおしく思うのは、なんの不思議もないことであろう。
 ……ただ、ここにある火は違う。
 侵略し、相容れぬものを焼き尽くす炎。
 それは彼らの火だけでなく、己の……ともすれば、つかさ達が宿した怒りの火も、或いは同質なのだろう。
 だから、そのような火を使うのであれば。
「自分が焼かれる覚悟も、出来てますよね」
 結希の背から、炎が噴き出る。
 まるで翼を広げるかのように、彼女を中心に燃え広がるそれは、彼女が嫌うものを拒絶する炎。
 その嫌悪は、間違いなく彼らに向けて放たれる。暖かい灯を焼き尽さんとした悪意の火に向けて。
「……!」
 だがそれは、彼ら総てを灰に変えるには至らない。
 ――対ユーベルコード結界。
 確かに彼らの掲げる信仰の火は同質だ。
 だからこそ、その信仰に相いれないものを拒絶する手段もある、という事なのだろうか。
 数を大きく減じながらも、結界により焼失を免れた白装束たちが再び槍を構え――。
「――御免なさいね!」
 その首が、刎ねられた。
 ユーベルコードが防がれても、武器そのものを阻むことはできない。
 ただ重量と遠心力のままに薙ぎ払われたユナの大鎌が、その首を刈り取ったのだ。
 文字通り燃え盛る炎のように猛るつかさや結希の戦い方は、端的に言って『派手』だ。
 目に見えてわかりやすく、事実危険極まりない脅威は自然と注目を集め、対処を迫らせる。
 それ故に、囲まれぬような位置取りを選んでいたユナは自然と注目を外れ、だからこそユナ自身も結界と言う防御手段を見逃さないことに成功していた。
「それにしても、増援としては遅すぎるような……」
 ユナの怪訝な声を聞き取ることができるほどに、戦いの趨勢は傾いていた。
 これが或いは、かの領主と同時に彼らがなだれ込んでいれば、このように戦況を見切る余裕も無かったであろう。ともすれば、猟兵にも誰かしらの犠牲が出ていたかもしれないと言うのに。
「……恐らく、彼らも一枚岩ではないのでしょう」
 ちらちらとくすぶる火の向こうに、一人の女剣士の姿を見た。
 人々を嬲り、猟兵を自らに差し向けるという、自らが上位種であることを誇示するかのような(それは結果的に油断となって帰ったわけだが)領主の立ち居振る舞い。
 それと比べて、ただ猟兵を倒すために戦力を叩きつけてきたこの戦い。
 それを指揮したのであろうあの女剣士の姿に、結希にはどこか領主とは違う雰囲気を感じ取っていた。
 ……いずれにせよ。
「足りないわ」
 つかさが言う。
 この地に生きる人々を蹂躙した代償には、有象無象の山などでは到底足りぬと。
「出てきなさい、大将首」
 残り火が、前に歩み出た女剣士の黒鎧を照らし出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『翻転せし抵抗者『鏡剣のジェシカ』』

POW   :    闇染の正義
【鋭い踏み込みを伴う長剣】による素早い一撃を放つ。また、【敵対者への情を捨てる】等で身軽になれば、更に加速する。
SPD   :    叛逆の刃
【洗練された剣術】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【戦い方と、それに対抗するための戦術】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
WIZ   :    砕堕の日輪
自身の【人々のために戦った生前の微かな記憶】を代償に、【己の正義と理想に殉じる覚悟】を籠めた一撃を放つ。自分にとって人々のために戦った生前の微かな記憶を失う代償が大きい程、威力は上昇する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠シャルロット・クリスティアです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●落日は二度昇らず
 その女は、かつて吸血鬼の支配に反旗を翻した人間だったという。
 犠牲を悲しみ、生誕を喜び、時には領民のため、自ら剣を取り魔獣を狩ることすらあったという彼女が見せる笑顔は、しかし同属に対して向けられるべきそれでは無かった。
 まるで牧場主が家畜を丹精込めて育てるように。それこそが、彼女がもはや人ではなくなってしまったことの何よりの証左であったのだろう。
「……また、負け戦か。甘く見たつもりはなかったんだけどなぁ」
 だからこそ、領民の犠牲も許容した。
 相容れぬ仇敵の打倒の為であるならば、必要な対価であると。
 その結果が、これだ。
「これだけの犠牲を出しながら、碌な成果も得られないなんて。指導者失格だね、これじゃ」
 村一つを焼き払うほどの乱暴な手段を採ったにもかかわらず、配下の兵は悉く滅され、果ては領主すらも討ち取られた。
 勝敗は既に決したと言って良い。
 それでも、一人残った女剣士は退くと言う事はしなかった。
「確かにこの戦いは私達の負けだけど……私達だって、黙って過去に追いやられるのを受け入れたくはないんだ。君達がオブリビオンの進出を認められないように」
 女が細身の黒剣を抜く。放り棄てられた鞘が、骸の海へと還っていく。
 最早、この鞘に刃が収まることはないだろうが故に。
「この戦いで散った多くの犠牲と、今なお海の底で眠る幾多の同胞たちのため。せめて、この戦いが無駄でなかったと証明するため……」
 漆黒の脚甲が、踏み荒らされた地面を踏みしめる。
 焦げ臭い風が、髪と外套を撫で、揺らす。
「『鏡剣』ジェシカ、死に土産の一つは持って行かせてもらうからね!」
 過去に呑まれた叛逆者が、翻転して牙を剥く。
フォルク・リア
「いいや、お前たちの戦いの全て。
無駄とさせて貰う。
それが死した者の為、それ以上に。
これからを生きる者の為に必要だからだ。」

砕堕の日輪は【残像】で攪乱しながら直撃を躱し
【オーラ防御】やファントムレギオンの
死霊で攻撃を阻みダメージを軽減。
また、技の性質を【読心術】を使い【見切り】
「その技の威力の大きさは代償の大きさそのもの
大層な事を言って戦いに臨むのは
己にとって本当に価値のある物を捨て。
それを見ない様にしている為か?」
まあ、そんな推測はそれこそ戦いには関わりない事。

真の姿を解放。血煙の様なオーラを纏った姿となり
闇討ちの法陣を発動。
次々に武器を召喚して攻撃
「これが最後に渡してやれる冥土の土産だ。」


トリテレイア・ゼロナイン
(全格納銃器の乱れ撃ちで接近牽制)

勝利が目的ならば高慢な領主を全力で説き伏せ傍に侍る事も、逃げる領民を積極的に狙い守護に追われる私達に消耗強いることも出来た筈
領民を使ったもっと悪辣な陥穽もご提示しましょうか


(戦機と騎士の間に揺れる私と同じく)
…貴女の為す事は全て中途半端
見えぬ枷にでも縛られているのですか

反論は…剣でお示しください
(背負った剣盾構え)

UCの待ちの構えで迎撃

言い忘れておりました
無力な領民を追わせぬ指令に
騎士として心からの感謝を

瞬間思考力で剣閃見切り怪力武器受け武器落とし
返す剣で一閃

何故、見切れたのか
それは『嘗て』の貴女のお陰なのでしょう
その不合理さは…騎士として好ましく思えます



「いいや、お前たちの戦いの全て。無駄とさせて貰う」
 女剣士――ジェシカの周囲を、夥しい数の死霊が取り囲む。
 この戦いが、彼女たちにとって意味のあるものとなってはならない。
 それが、死した者たちのため……それ以上に、これからを生きる者の為に必要なことであるからと、フォルクは告げる。
 死した者のためと彼女は嘯くが、果たしてそれを、取り囲む彼らが望んでいるのか……それは、彼らがどちらに与しているのかが、答えなのかもしれない。
 だが、それでもジェシカは剣を引かない。
 あるいはもう、引くことが出来ないのか。
 いずれにせよ、殺到する死霊の群れを掻い潜り、黒衣の剣士は肉薄する。
 その駆ける先には、白銀の巨躯……トリテレイアの姿があった。
「(大柄な私の懐に飛び込めば遮蔽になり、打ち合いでも優位になると踏みましたか。成程、判断が素早い)」
 そうはさせじと、トリテレイアの内蔵火器が火を噴いた。
 咄嗟に盾を構え守勢に入るジェシカを見やる。あのまま突っ込んでいたら蜂の巣になっていたであろう彼女、動きは確かに的確だ。
 だが。
「……解せませんね」
「……何が?」
 聞こえよがしの疑問。ジェシカの手は止まりつつも、その瞳に隙は無い。
「勝利が目的ならば高慢な領主を全力で説き伏せ傍に侍る事も、逃げる領民を積極的に狙い守護に追われる私達に消耗を強いることも出来た筈」
「……」
「領民を使ったもっと悪辣な陥穽もご提示しましょうか?」
「……何が言いたいの」
「中途半端なのですよ、貴女の為す事は」
 領主の先行に間に合わなかった、と言うのはあるのかもしれないが。だとしても、その前の段階で強く引き留めることはできたはずだ。
 そして、包囲からの火力集中と言う策は採れても、それこそかの悪辣な領主がやったように『領民を餌にする』と言う事はしなかった。
 物事を合理的に考えようとする思考はあっても、非情になり切れていない。それがトリテレイアの彼女に対する見解だった。
 それはある種、戦闘兵器の身でありながら騎士道を往こうとする、己の在り様にもどこか似ていた。
「……見えぬ枷にでも、縛られているのですか」
 問いはしても、返事は求めない。
 代わりにトリテレイアは、背負った騎士剣を引き抜き、盾を構える。
 問いかけへの答えは剣で示せと。否であると言うなら、あらゆる手段を以て己を打ち倒してみせろと。
 彼女もまた、剣を持つ手に力を込める。
 細身の黒剣が、昏い光を湛えたような気がした。
 その様を見やったフォルクの眉根が、目深のフードの奥でピクリと動く。
「(あれは……)」
 剣の性質か、あるいはオブリビオンと化した『彼女自身』の力なのか。
 いずれにせよ、剣に吸い上げられ、力へと変じているのは、彼女の『意思』だとフォルクは見抜いていた。
 意思を力に変える、と言うのは聞こえこそいいが、目の前で起こっているのは、それを『代償』にするという事だ。
「大層な事を言って戦いに臨むのは……己にとって本当に価値のある物を捨て。それを見ない様にしている為か?」
 彼女がかつて、どういった想いで剣を取り、そしてオブリビオンと化したかはわからない。
 だが、勝利と引き換えとは言え、決して軽々しく捨てられるものではあるまいと、思いもする。
 独り言に近い問いに返事はなかった。いや、とフォルクは首を振る。
 こんな推測は、それこそ戦いには関わりない事だと。
 今は、勝利のために、その時のためにこの力を振るうのみだ。
 ……ジェシカの脚が地を蹴った。
 距離が詰まるのは一瞬。闇色に染まった刃が、目にも留まらぬ速度でトリテレイアに向けて振るわれる。
 乾いた音が夜空に響き渡る。
 黒と銀の刃が、正面からぶつかり合っていた。
 ひたすらに重い一撃。余りの威力に、受け止めたトリテレイアの足が地面にめり込んでいる。
 ……それでも、止めた。そして、止まったからには。
「受け取れ。これが最後に渡してやれる冥土の土産だ」
 血煙を纏ったフォルクの言葉は、夥しい数の武具の雨音に掻き消された。
 銀の弾丸、血を喰らう釘、白銀の刃。
 本来は吸血鬼を討つための破魔の力。詠唱はとうに終えていた。後は動きが止まったところに叩き込むだけ。
「……言い忘れておりました」
 吸血鬼でなくとも……あるいは、吸血鬼と同じところに堕ちてしまったが故に、刃の雨に飲み込まれていく女剣士を見やり、トリテレイアは呟く。
「無力な領民を追わせぬ指令に、騎士として心からの感謝を」
 腕部パーツが悲鳴を上げている。それほどまでに速く、重い一撃だった。
 もしも、彼女が愚直なまでに真っ直ぐに踏み込んで来ずに、フェイントの一つでも絡ませてきていたら、見切ることは困難を極めていたに違いない。
 だがそれでも見切ることが出来たのは……彼女が捨てようと、目を逸らそうとして、それでもなお捨てきれなかった『不合理な甘さ』の為だったのかもしれない。
 そんな事を思った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

荒谷・つかさ
ああそう。じゃあ私からも言わせて貰おうかしら。
「お前の心情なんか知るかバカ」
そういうのは海底でさっきの馬鹿領主にでも零してなさい。

引き続き徒手で対峙
間合いを慎重に測りつつ、盾側に回り込むようにしてステップしつつ接近
この装備だと、盾側に回られると剣での攻撃は「突き」以外しずらいはず
そして如何に速くとも、モーションが読めていれば目線の位置から狙う場所はわかる
故にそのタイミングを狙いカウンターで仕掛ける
回避できたなら突きで開いた身体の内側へ踏み込んで
避けられなかったなら敢えて深く貫かせ、力を込めて長剣を固定し捕まえて
至近距離に捉えて頭部狙いで【鬼神爆炎掌】発動
その綺麗な顔、吹き飛ばしてあげるわ


セルマ・エンフィールド
私はこの世界で生きる人間の平均程度には、吸血鬼が嫌いです。
が、仮にあれらを嫌っていなかったとして。それでも私は戦いはやめないでしょう。
あなたの言うようにこれは生存競争。善も悪もありません。人が生きるために……あなたは、ここで殺す。

【氷炎嵐舞】を使用、炎と冷気を纏う真の姿に変化し戦闘を。
「フィンブルヴェト」ともう片手にも予備のマスケット銃を持ち、それぞれ炎と氷の弾丸の『乱れ撃ち』で『弾幕』を張るようにして接近されないように戦います。

理性を失い判断力が鈍る技ですし、接近されるかもしれませんが、致命傷だけは避けるように回避、超耐久と『激痛耐性』で耐えて氷と炎の弾丸の『カウンター』を撃ち込みます。



 犠牲者と、同胞たちのため。
 先に言った女剣士の言葉を、つかさは己の心の内で反芻する。
 成程、大層なお題目なことだ。であるならば。
「じゃあ私からも言わせて貰おうかしら」
 ――お前の心情なんか知るかバカ。
 結局のところ、敵同士なのだ。
 いくらきれいごとを並べ立てたところで、目の前に立つこの女と、その勢力が、村を焼き、人々の生活を蹂躙したと言う事実は変わらない。
「そういうのは、海底でさっきの馬鹿領主にでも零してなさい」
「つれないなぁ」
 それは、ジェシカの側も理解はしているのだろう。
 土埃の中から姿を見せた彼女の顔は残念そうでこそあっても、怒りや侮蔑の色は無い。
 彼女たちの間で交わす言葉は、それが最後だった。
 ジェシカが一気に間合いを詰め、袈裟に剣を振り抜くのを、つかさが横合いに……は跳べず、後退を余儀なくされる。
 つかさは徒手だ。剣を手にするジェシカと比べて、どうしてもリーチは劣る。
 剣閃を凌ぎ、懐に飛び込むのは簡単なことではない。
 故に、彼女の『左側』を取らんとする。
 盾と剣のスタイルである以上、盾を持つ手の側はどうしても剣を振るいにくい。
 その判断は正しい。が、それは彼女も承知している。
 相手に自身の左側を譲るのは、守るには易いが攻めるには難い。それをわかっているが故に、ジェシカはつかさの『右側』を陣取るように攻め立てる。
 攻めあぐねるつかさに再び踏み込もうとするジェシカ目掛けて、銃弾が飛んだ。
「あなたの言うようにこれは生存競争。善も悪もありません」
 冷ややかな声。
 そこには愛銃フィンブルヴェトの銃口を向け、もう片手にもう一挺のマスケットを携えたセルマの姿があった。
 ……セルマは、この世界の出身だ。
 吸血鬼に支配されたこの世界、生きていれば無縁で過ごすことなど有り得なく、彼女もまた、吸血鬼はこの世界の人並みには嫌いだ。
 だが、仮に己がこの世界の者でなかったとしたら。
 吸血鬼と言う存在そのものを嫌ってなかったとしたら、この戦いに自身は身を投じていなかったのかと問われれば、それは否と答えるだろう。
 結局のところ、オブリビオンは人が住む世界を侵し、人はオブリビオンを骸の海へと押し戻す。
 そして、セルマもつかさも人の側だった。それだけの話なのだ。だから。
「人が生きるために……あなたは、ここで殺す」
 セルマの身体から、力が溢れだす。猟兵の真の力を解放する。
 氷を右に、炎を左に。
 相反する二極の属性を双銃に込め、嵐の如く浴びせかける。
 策も何もない、ただ力をぶつけるだけの単純な弾丸の嵐。それ故に純粋な暴力を、余すことなくぶつけていく。
 それでも、単純な力比べではオブリビオンに勝つのは簡単なことではない。
 ただそれだけであったら、ジェシカはその盾で氷炎の弾幕を防ぎ、攻め込むくらいの事はしてくる。
 ……だが、今回に関しては、それで充分だった。
 彼女に『盾を使わせた』のだから。
 弾幕を防ぐには、盾をそちらに向ける必要がある。向きを固定させられる。
 であるならば。
「獲った」
「……!」
 左後方。今度こそ、最良の位置から、つかさが踏み込む。
 接近に合わせて弾幕が止むも、迎撃の剣は、振り抜けない。
 懐。逃がさない。
「その綺麗な顔……」
 つかさの手が高熱を放つ。焼き尽くさんばかりの炎を掌に宿し。
「吹き飛ばしてあげるわ!」
 爆炎が、女剣士を呑み込んだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アイ・リスパー
【PPP】
「あなたにはもう人の心は残っていないのですね……
ならば、オブリビオンとして大人しく骸の海に還ってもらいます!」(触手の中から這い出しつつ)

敵は運動音痴……もとい電脳魔術士である私にとって天敵な完全近接型。
ならば、対処法は一つです!

【演算加速】で演算能力を極限まで向上。
ほんの数秒しか持続しない超高速演算を実現し【ラプラスの悪魔】で敵の行動をシミュレートします。

「剣筋は予測済みですっ!」

剣の軌道上に【マックスウェルの悪魔】による氷の盾を生成。
攻撃を逸らし炎の矢で焼き尽くします!

「どうですか!私の全力の電脳魔術は!」

って倒しきれませんでした!?
私、もう電脳魔術使えないんですがーっ!(ピンチ


イデアール・モラクス
【PPP】
アーハッハッハ!何とも健気じゃないか、その熱量が過去では無く未来に向けばまるで勇者の物言いだ。
良かろう、ならば我らがお前の全てを否定し無に帰してやる!

・悪役魔女ズ
UC【魔導覚醒】を『高速詠唱』で行使。
本気モードになり、魔導防壁を纏いながら空を縦横無尽に飛翔し、両手から次々と『全力魔法』の力で威力を増した『属性攻撃』魔法を無詠唱『乱れ撃ち』、『暴力』的なまでの『弾幕』で『範囲攻撃』と成して『一斉発射・制圧射撃』の飽和攻撃を仕掛け、相手の攻撃を相殺『武器受け』しながら『地形破壊』するほどの魔導『爆撃』で敵を『なぎ払い』『蹂躙』する。
「我が魔力に屈せよ!アーハッハッハ!」

※アドリブ歓迎


アリシア・マクリントック
【PPP】
もはや勝敗は決しました。己の志にて剣を取りし者よ。たかが現実のために願いを諦め、志を失いし哀れなる者よ。その輝きを失った刃など恐れる理由はありません。
導く者とは、貴族とは見果てぬ夢を見る者。民がそこへたどり着くために自ら前に立ち、現実と戦う者。その姿、目に焼き付けなさい!

想いを込めた一撃ということなのでしょうが……片手落ちですね。貴女はとうに理想を捨てている。
やむを得ない、と考えたことは?仕方のないことだ、と思ったことは?……それでも、と言うのをやめたときに貴女の理想は失われたのです。
今の私の剣では全てを救うのは無理でしょう。「それでも」!私はそこへ向かい、剣を振るい続けます!


フィーナ・ステラガーデン
【PPP】
むふー!見なさいあんたが指示した結果、配下達は何の手柄も無く朽ち落ちたわ!あんたのせいで無駄死にだったわね!!
オブリビオンの進出?そんなの認められるわけがないわ!
あんた達はここで消え去る運命なのよ!
かかってくるがいいわ!死に土産にあんたの無様な敗北をプレゼントしてやるわ!

というわけで仁王立ちでのたまった後で戦闘開始よ!
普通に仲間と連携を組んで戦うとするわ!
最初に挑発しといたし狙われることを想定して
長剣による攻撃に合わせて、アイテム【ブラックオニキス】による盾を展開して防いだ後、さらに攻撃が来るようならUCで隙を作り出すわ!
後は仲間が何とかやってくれるわよ!
(アレンジアドリブ大歓迎!)



「大丈夫ですか、アイさん?」
「な、なんとか……」
 ステータスシート(板)の向こうから、よろよろとアイが這い出てくる。
 まったく酷い目に遭った。
 シナリオがシナリオであれば克明に描写されて読者諸氏に大恥をさらす所であった。この間に相手がこっちを狙ってこなくてよかった。
 ……もしかすると、いくらオブリビオンでも、積極的に関わりたくなかったのかもしれないけど。
「それにしても……」
「えぇ……哀れなものです」
 ヨレた服を整えながら、アイとアリシアが『敵』を見やる。
 視線の先には、一度片膝をつきながらも剣を杖代わりに立ち上がる女剣士の姿。
 そこにいるのはオブリビオンだ。
 過去に呑まれた思想はねじ曲がり、もはや人に害をなすもの以外の何物でもない。
「はーっはっはっは!見なさい、配下達は何の手柄も無く朽ち落ちたわ!あんたのせいで無駄死にだったわね!!」
「その熱量が過去では無く未来に向けばまるで勇者の物言いだったが、その様ではなァ!!」
 口調が妙に悪役じみている魔女二人は……まぁ、気にしないことにする。
 オブリビオンも言動自体は正義面(と言うより、彼女なりの正義感は実際にあるのだろうが)なせいで、どちらが悪役なのだかわかったもんじゃない。
 ……いや、実際のところ、『どちらが正義』と言う話でもないのかもしれない。
 互いの思想が交わらないのであれば、争うほかない。
 女剣士の足が地面を蹴る。向かう先にはアイ。
 4対1。個々の実力は別としても、手数と連携は純粋な脅威となる。
 何よりも数を減らすことを先決とした場合、最も動きの鈍い相手を狙うのは常であり、その点で4人の中で運動能力に劣るアイが真っ先に狙われるのは、事実合理的であった。
 当然、アイとて己の力は理解している。だからこそ最初から回避は捨てる。
 高速での接近戦の応酬では無理であろうとも、初手の一撃くらいなら軌道予測は間に合わせられる。ならば。
「予測完了!マクスウェル!!」
 寸分の狂いも無く、剣筋の先に生成された氷の盾。
 粉々に砕け散り、それでもその一撃を止めてみせた煌めきの向こう側に、対極の炎の槍が揺らめく。
「私の全力の電脳魔術……受けなさいっ!!」
 至近距離での、全リソースを注ぎ込んだ一撃。
 女剣士の眼が驚愕に見開かれるのを確かに見た。
 ……が。
「……って倒しきれませんでした!?」
 咄嗟に身を翻す女剣士。超高熱の炎の槍は、その脇腹を抉ったに留まった。
 決して浅い傷ではないのは確かだが、それでも戦いを終わらせるには浅い。
 オーバーヒート上等なまでリソースを酷使した代償は、少なくないクールタイム。
 完全に無防備そのもののアイを狙う横薙ぎの一撃は、しかし彼女の体には届かない。
「……片手落ちですね」
「……何ですって?」
 アリシアの刃が、女剣士の黒剣を正面から受け止める。
「やむを得ない、と考えたことは?仕方のないことだ、と思ったことは?……それでも、と言うのをやめたときに貴女の理想は失われたのです」
 怪訝そうに眉を顰める女剣士に、アリシアは真っ直ぐに瞳を向けて。
「もはや勝敗は決しました。己の志にて剣を取りし者よ。たかが現実のために願いを諦め、志を失いし哀れなる者よ。その輝きを失った刃など恐れる理由はありません!」
「……ッ!!」
 ぎり、と。女剣士の歯が鳴る音が嫌に大きく聞こえた。
 瞬間、鍔ぜり合う黒い刃に今までにない力が籠る。
「わかったような口を叩くなぁぁぁぁぁっ!!!」
 絶叫。
 黒剣が振り抜かれ、アリシアの身体を吹き飛ばす。
 脇腹から血を流し、肩で息をする女剣士はしかし、ぎらりと敵意の篭った瞳で猟兵を見る。
「まだ終わっちゃいない……!何度負けたって、何度死んだって、やめるもんか……!
 お前たちを駆逐して、世界を私たちの手に取り戻す!そうすれば、骸の海に放り込まれたみんなとも、また……!」
「そんなものぉ!認められるわけがないでしょうがぁ!!」
 再び肉薄せんと構えた女剣士目掛けて、地面を焼き焦がすほどの巨大な熱線が走る。
 フィーナだ。
 回避が叶わぬと見るや即座に構えた盾が、熱線を正面から受けて表面を融解させていき、それでも殺しきれぬ『圧』が、女剣士の足を地面に食い込ませる。
「死に土産にあんたの無様な敗北をプレゼントしてやるわ!イデアール!」
「いいだろう!」
 見上げた先にいたのは、紅く輝く魔法陣を身に纏い空を舞う暴虐の魔女。
 向こうがあくまでもおのれの正義を貫こうとするのであれば、こちらはそれを阻む悪として、無に帰そう。
 幾重にも連なる魔法陣が、ひとつ残らず女剣士に照準を向ける。
 フィーナの熱線を傷ついた身体で正面から受け止め、なおも立ち向かおうとする者へ、毒牙が無慈悲に突き立てられる。
「我が魔力に屈せよ!アーハッハッハ!!」
 高笑いと共に解き放たれる魔力。
 地面すら容易に抉る暴力の豪雨が、女剣士目掛けて降り注ぎ。
 その瞬間、轟音と煙、そして蹂躙とも呼ぶべき暴力が一帯を支配したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

春乃・結希
もう勝てないと分かってても退かない覚悟、凄くかっこいいです
それに応えられるように、全力で叩き潰します

私には作戦とか立てる頭がなくて、正面から飛び込む単純な戦い方しか出来ないから、対策も立てやすいかも知れない
だけどそれなら、もっと疾く、もっと強く、『with』を振ればいいだけ
『with』との絆は、共に過ごす程強くなる
だから、一秒前の私より、今この瞬間の私の方が、絶対強いんだから
あなたの剣を私の想いで、超えてみせます【勇気】

この戦いは、無駄では無かったと思います
少なくとも私は、あなたの強さも、覚悟も
私の大切な思い出として、絶対に忘れないから

あなたが猟兵だったら
きっと、もっと強くなれたのに、ね


ユナ・アンダーソン
仇討ち、とはちょっと違うのかな
ヤケクソ感が漂ってるし
なんにせよ、あなたがオブリビオンなら戦うしかないわね

大鎌のリーチを活かし振り回し切り結びながら敵のUCを警戒
敵のUCの一撃をオーラ防御と激痛耐性で耐えながらUCを発動
UCで地形を骸の海に変え自身を強化しつつ敵を沈める

哀しいわね
過去の化身であるあなた達オブリビオンが自分の記憶(過去)を失ったら何が残るの?
正義も理想も過去があればこそでしょう
骸の海に還りなさい
そこにあなたの失った全てがあるわ



 もはや、大勢は既に決していた。
 領主の気まぐれから始まるこの戦いの行方は元より、この女剣士の戦いも、着実に終わりへと向かっていた。
 鎧にはあちこちに亀裂が入り、左腕に備えた盾は既に中ほどから欠け落ち、止まることのない出血が、ぽたぽたと滴り落ちては地を濡らす。
 常人であればとても戦えるような状態ではない。それがオブリビオンであっても、限界が近いのは傍から見ても明らかだ。
「……それでも、退かないんですね」
「今更、やめられるわけないでしょう?」
 結希の声に、掠れた返答が返る。
 最後の瞬間まで退く気はない意地を張る女剣士を前に、それぞれが己の得物を強く握りなおした。
「(仇討ち……とは、ちょっと違うのかな)」
 どことなく、自棄と取ることもできる彼女の在り様を、ユナは完全に理解しきることは出来ないが。
 それでも、少し哀しいとは思う。
 黒剣、大剣、大鎌。
 幾重にもぶつかり合う剣戟の音が鳴り響く。
 決して浅くない傷を負ってもなお、女剣士の剣術は衰えを見せない。
 大振りの結希の大剣を紙一重で受け流し、リーチの独特なユナの大鎌の懐に飛び込まんと巧みに切り込む。
 鋭く研ぎ澄まされた攻撃的な剣術は、生前培ってきた賜物だったのだろう。
 ……だが、それでも過去の化身であるオブリビオンと、今を生きる猟兵とでは、明確な違いがあった。
 それは、『未来』がある事。
 今この瞬間を一歩一歩進む猟兵は、ほんのわずかでも、一瞬前よりも成長している。
 相手が対応してくると言っても、それは手持ちの引き出しから適したものを選び取っていると言うだけ。
 瞬間瞬間に新しいものを手に入れている猟兵とは、根本的に違うのだ。
 一秒前よりも強く。その一秒後にはもっと強く。
 もっと、もっとより強い炎を。
 そしてついに、結希の大剣が、女剣士の黒剣を弾き飛ばす。
 くるくると回りながら宙を舞う刃零れだらけの細剣を、見開かれた紅の瞳が追った。
「……あなた達オブリビオンが自分の記憶を失ったら、何が残るの?」
 己の身すら擲って猟兵に挑んだ女剣士に、ユナが問う。
 かつて人々のため、自らも吸血鬼に挑んであろうに、それでもこうして戦ったことに、何の意味があったのだろうか、と。
「私は、ただ……みんなと、あの時みたいに……」
 剣を弾き飛ばされ、よろめく女剣士の瞳が、困惑げに揺れた。
 ――あの時?あの時って――何だ?
「正義も理想も、過去があればこそでしょう」
 オブリビオン達の未来のためと嘯いた彼女も、結局のところ目指していた姿は過去の理想の再現だったのかもしれない。
 いつから壊れ、歪んでしまったのか定かではないが……過去を棄てて振るう刃では、最初から届かないものだったのかもしれない。
「骸の海に還りなさい。……そこにあなたの失った全てがあるわ」
 ユナの放った聖者の光が、女剣士を取り囲む。
 その光は、瞬く星の海のにも似て。
「……この戦いは、無駄では無かったと思います」
 確かに、彼女達……オブリビオンからすれば、得るもののない無意味な戦いだったのかもしれない。
 それでも、今この瞬間を経験し、未来へと進む猟兵にとっては、そうではないのだと結希は思う。
「少なくとも私は、あなたの強さも、覚悟も……私の大切な思い出として、絶対に忘れないから」
 この経験を糧として、また、強く前へ、未来へ。
 ――だから、あなたは。
 振り下ろされる炎の刃。
 照らし出された女剣士……かつて未来を望み、抗ったジェシカと言う女の顔。
 炎に飲み込まれ、骸の海へと消えていくその瞬間、彼女の瞳が眩しそうに細められたのを見た。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年12月13日


挿絵イラスト