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沈む宝石と洞窟王国

#アックス&ウィザーズ #猟書家の侵攻 #猟書家 #激流のリヴェンタ #ドワーフ

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●とあるドワーフ洞窟王国にて
 ドワーフ達の朝は早い――。
 太陽の光が届かぬ坑道の中に作られたドワーフ王国だが、そこに住む彼らは種族特有の陽に頼らない体内リズムを有していた。昨夜も宴を繰り広げた大酒飲みの彼らがむくりと寝床から出てくると、掘り当てた地下水脈より生まれた地底湖より汲み取った水で顔を洗い、顔の下半部をおおう豊かな髭を整える。そして昨夜に残しておいた料理で腹を満たすと、彼らは各々の場所へ向かう。ある者は掘り進めている坑道に、ある者は精錬所に、ある者は加工所に。ここは所謂巨大な住み込み式工房と言える程度の規模で、陽の光が降り注ぎ地上で栄華を誇る人間の王国と比べればお粗末なものだ。とは言え、小規模であるがこそ国民ひとりひとりが家族のようなものであって、その結束の固さは人間の王国と同じかそれ以上の物でもあった。そして時折やってくる人間や他の種族の行商人がこのドワーフ洞窟王国にやってくると、食料品や地上由来の品といった生活物資をここで作られるドワーフ工芸品との物々交換する事により、生活には事困ることはなかった。

「親方、おはようございます!」
「ああ、おはよう。今日はこの坑道を掘り進めて行くぞ」
 親方と呼ばれたドワーフはこの国の王であった。しかし、誰として王様とは呼んでいない。この洞窟王国では主に宝石の採掘と貴金属の精錬、並びに加工を行っている。割合とすれば、ここの鉱脈は宝石が主な採掘品で、後は金銀プラチナが僅かと言ったところだ。その総監督が王であり、王が親方と呼ばれる所以である。
 いつものように起床して、いつものように働き、いつものように労働後の宴を繰り広げ、いつものようにいびきを立てながら寝る。何百年も続いてきた変わらぬ生活に異変が置きたのは昼過ぎの事であった。

「親方、親方! 大変だ!!」
「どうした、そんなに慌てて。昼飯の火加減を間違えて焦がしたか?」
「違う、水だ! 水が流れてきた!!」
 地下で鉱脈を掘り進めるドワーフ達にとって、誤って地下水脈を掘り当てる事はよくある事だ。そして彼らはそれを巧みに利用している。飲水に使えれば生活用水に、地熱で温められた熱水であれば風呂にとだ。もし制御できない程に溢れ出れば、水を機械的にねじ上げる排水ポンプで地上に排出させれば良いだけだ。しかし、そのドワーフの様子を見る限りだとそうでもなさそうであった。

「違う! 坑道からじゃない。王国から突然水が溢れ出てきたんだ!」
「なんだと!?」
 王…いや、親方が驚くのも無理はなかった。王国を作り出す大空洞はどんな地震が来ようがびくともしない強固な地層内に作られている。とてもそこで地下水が吹き出るという事は考えられない。
 彼らは急いで坑道から王国に戻ると、既に見事な彫刻が施された石の家の大半が浸水し始めている。水は地上からの入り口から濁流となって侵入しているようだが、入り口は山の中腹ぐらいにあり近くには巨大な河川など存在しない。だが、水が浸水している事実は変わらない。親方は家臣たちに何としてでも浸水を止めろと命を下すとある事に気づく。
 水の中で何者かが泳ぎ回り、それは何かを探しているようであった事を……。

●グリモアベースにて
「ドワーフの洞窟王国を狙った新たな猟書家が現れました。どうやら彼らの目的は、ドワーフ達が秘蔵する宝物『ヴァルギリオス碑文』を手に入れる事のようです」
 緊急事態との知らせを受け集まった猟兵達を前に、シグルド・ヴォルフガング(人狼の聖騎士・f06428)が説明を続ける。ヴァルギリオス碑文……それはかつて猟兵達の来訪より遥かな昔に数千人の勇者が生前の『帝竜ヴァルギリオス』と戦い、そして群竜大陸の『勇者の墓標』で相打ちになるまでの戦いを綴った碑(いしぶみ)である。ドワーフの洞窟王国に点在するヴァルギリオス碑文に天上界へ到る手掛かりがあると考えた幹部猟書家『激流のリヴェンタ』が、水攻めによるドワーフの駆逐と共にその奪取に向けて活動を始めたのだ。

「幸いにも予知が早かったお陰で、ドワーフの洞窟王国はまだ水没しておりません。ですが、それも時間の問題です」
 浸水自体は『激流のリヴェンタ』の洞窟王国全体に洪水をもたらすUCに起因するもので、彼女を倒せば浸水は止まる。だが、『激流のリヴェンタ』は大洪水の中でも活動できるよう改造を施したオブリビオンの軍団を王国内に放っている。まずはオブリビオンの群れを駆逐しながら『激流のリヴェンタ』を捜索することになるだろうと、シグルドは猟兵達に伝える。

「ドワーフの洞窟王国は水没していない篝火によりまだ明るい状態ですが、不慣れな土地柄故に迷い、時には水により行く手が遮られてしまうかもしれません。ここの住人であり誰よりもここを熟知しているドワーフの助力を得られれば、戦闘や移動を有利に運べるかもしれません。彼らの救出も忘れずにお願いします」
 シグルドが会釈すると瞳を閉じて念じ、解放されたフォースによりゲートを形成していく。そして、猟兵達をドワーフの洞窟王国内に転送するのであった。


ノーマッド
 ドーモ、ノーマッドです。
 連日に渡り、新幹部がどんどん追加されて来ました。
 今月も折り返しとなりましたが、二本目となる幹部猟書家シナリオをよろしくお願いします。

●シナリオ解説
 第一章は【集団戦】フラグメントです。
 水没しつつあるドワーフの洞窟王国内に侵入した『魅惑のマーメイド』との集団戦です。マーメイドタイプののオブリビオンで、宝石類が好きなせいもあって碑文の捜索がてらにドワーフが作り出した宝石細工の略奪中です。しかし、猟兵達を見つければ容赦なく襲いかかってきます。
 ドワーフ達と協力し、彼らを倒しながら碑文を守りましょう。

 第二章は【ボス】フラグメントです。
 洞窟内の洪水を引き起こした張本人『激流のリヴェンタ』との戦闘になります。
 この戦闘でもドワーフは戦闘に参加しますので、彼らと協力して倒す事となります。

●プレイングボーナス
 プレイングボーナスは、第一章と二章共通で『ドワーフ職人達の洞窟知識を借りる、あるいは勇猛なドワーフ戦士達と共に戦う』です。
 ドワーフ職人は王国内の構造に関する知識の提供を、勇敢なドワーフ戦士は鉱物の採掘で鍛え上げた肉体で果敢に戦闘してくれます。

 それでは、皆様の熱いプレイングをお待ちしています。
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第1章 集団戦 『魅惑のマーメイド』

POW   :    人魚の槍
【トライデント 】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    水を得た魚
【水の中に入る。または大量の水を召還し 】【自由自在に泳ぎまわり奇襲をかける。】【水の中で活性化されること】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    魅了する歌声
【同士討ちを誘発させる歌声 】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

舞莽・歳三
随分と派手に押しかけるじゃねーか、盗みってのはもっとスマートにやるもんだぜ

前線にいるドワーフ戦士を【地形の利用】を巧にしつつナイフの【投擲】で中距離なら援護するぜ、接戦になれば押し負けるかもしんねーしここは【忍び足】で【目立たない】ように【暗殺】に専念するかな



 滝のように轟音を立てながらとめどなく地上に通じる出入り口の穴から流れ落ちてくる濁流により、水かさは背丈が小さいドワーフの腰の高さ程度まで増している。そして、まるで生きているかのようにうねる水の流れの中で、魚影と思わせる黒い影が松明の灯りに照らされながら水の中を走る。

「ぐぬぬ……儂らが作った宝石細工を奪う盗人めがぁ!」
 血管を浮かび上がらせながら怒りを露わにしたドワーフ戦士がウォーハンマーを振るうと、狙った場所から水しぶきが激しく舞い上がる。

『バカでのろまなモグラのドワーフには、私達に当てられないわ』
 この濁流の中で水中に漂うドワーフが作った宝石細工を奪い、挑発するようにそれらを身に着けた『魅惑のマーメイド』が彼の血を更に頭へと上らせる。がむしゃらにウォーハンマーを振るうが、すでにここは魅惑のマーメイドのフィールド。水を得た魚は水流で身体を鈍らせているドワーフを弄ぶように遊び、そろそろお遊びはおしまいと宝石でデコらせた三叉槍で奇襲する。が、突如頭上から投げられたナイフが彼女の機先を制させ、この好機を逃さなかったドワーフは、ウォーハンマーでマーメイドの成端な顔を潰しながら遠くへと吹き飛ばした。
 
「随分と派手に押しかけるじゃねーか、盗みってのはもっとスマートにやるもんだぜ」
 声の主、隻眼のシーフである舞莽・歳三(とし・f30567)は、ケラケラとドワーフの一撃がクリーンヒットして吹き飛んだ魅惑のマーメイドの最期を嗤った。しかし、うっかりと言葉に出した『盗み』という単語が、脳筋ドワーフ戦士の琴線に触れてしまう。

「ぬぅわんだとぉ!! さては貴様も儂らの財宝を奪いに来た賊じゃな!?」
 火事場の馬鹿力というべきか。水に取られて動きがままならなかったドワーフが外壁の手すりになりそうな場所に手をかけると、勢いよく歳三が居る建屋の屋上へと上がってきた。

「待てよ、まず話を聞け。あんたらが丹精込めて作った宝石細工の略奪は囮だ。揺動なんだよ。彼奴等の本当の目的は、ヴァルギリオス碑文で……」
 魅惑のマーメイドから散々挑発され続け、収まらない怒りで話を聞く耳を持たないドワーフ戦士の攻撃を躱しながら、彼女は事の真相を説明する。だが、懐疑心の強いドワーフは見え透いた嘘をとウォーハンマーを振るうと、勢いよく屋上に大穴を開けてしまう。

「ちっ。とんだ石頭だ。なら、言葉でなく身体で分からせるしかねぇな」
 ナイフを抜くと、それをドワーフに投擲する。しかし、ドワーフには当たらなかった。当たったのは…彼が開けた大穴から姿を現して奇襲を仕掛けようと、水の中から飛び出た魅惑のマーメイドの眉間にだ。

「これで少しは信用して貰えるか?」
 ナイフの行き先が己ではなくオブリビオンであった事で、ドワーフ戦士は大きく深呼吸して冷静さを取り戻す。

「……分かった。お主を信じよう」
「ご協力感謝するぜ。ところで、ヴァルギリオス碑文のありかは何処だ?」
「ああ、それはじゃな……」
 ドワーフ戦士が顔を向けた先にあるのはここよりも一際高く、まだ水が届かない場所にある岩盤をくり抜いたかのような建物。そこは彼らの宝物殿であった。

成功 🔵​🔵​🔴​

パルピ・ペルポル
器用なドワーフの職人の作る宝石細工はそれは見事なものよ。
それを持って行くとは許しがたいことこの上ないわね。
まぁ交渉は諸々片付けてからね。

まずはこの(巨大)折り紙で船を折ってと。耐水性だから一時使う程度なら十分持つわ。
これで逃げ遅れたドワーフたちを回収して高い所に避難させて、一部戦える人には碑文まで案内してもらうわ。

奇襲対策に念動力で雨紡ぎの風糸を自らの周囲に張り巡らせて、敵の行動を阻害兼盾として使用するわ。

で、適当なサイズに切った折り紙で作ったサメとピラニアをUCで増やして大量に水の中に放つわ。
折り紙魚たちに攻撃させると同時、水中に網を作ってそこに敵を追い込ませて引き上げてトドメを刺しましょ。



 洞窟王国内の水かさはどんどんと増えていき、何時しか住居の屋上にまで到達しようとしている。日常的な鉱山仕事で頑強頑健なドワーフも、流石には水が持つ重さの威力の前には無力であった。そして何より……。

「た、助けてくれぇ! 儂は泳げんのじゃあ!!」
 水とはほぼ無縁な地下生活の為に、その殆どがカナヅチであった。オブリビオンが行った洞窟空間への水攻めは、ドワーフの特性に対して理にかなっていただろう。だが、今そこで溺れようとしている一人のドワーフの元に、パルピ・ペルポル(見た目詐欺が否定できない・f06499)が耐水性を持つ巨大な折り紙で作ったバイキング船さながらの救難艇で、助けを求める彼の元へ船を近づけさせた。

「助けに来たわ。さ、乗って!」
「皆の衆、一気に引き上げるぞ。せーの!」
 彼女に救助され船に乗っているドワーフ達が協力し合いながら漂流者を引き上げている中、パルピは船の四周を飛び回りながら黒くうねる濁流に警戒する。もし彼女がオブリビオンの立場であれば、救助活動に意識を専念しているこのタイミングが襲撃を仕掛ける絶好のチャンスである。そして、その懸念は的中した。

『死ねぇ!』
 突如魚が水面から飛び跳ねるかのように、魅惑のマーメイドが船の上で救助中のドワーフの背後を狙う奇襲攻撃を行った。三又槍が無防備なドワーフの背中を突き刺そうとするが、見えない壁のようなもの遮られて槍は後もうちょっとの所で止まった。

「む、また掛かりおったな!」
 ドワーフ戦士が魅惑のマーメイドの襲撃に気づくと、宙で藻掻く彼女にウォーハンマーでかち上げ水面へと叩き返した。まだ残っている松明の炎が灯りが折り紙バイキング船を照らすと、薄っすらと蜘蛛の糸のような物が船の上に張り巡らされているのが見える。パルピの念動力を持って、蜘蛛の糸より細く柔軟性と強度を兼ね備えた透明な糸である雨紡ぎの風糸を防御用に仕掛けていたのであった。
 勿論、船底の周りにも網のように張り巡らされており、水の中では彼女が折り紙の端材で作りUCで操作しているサメやピラニアの折り紙がオブリビオンを駆逐している。先程ドワーフから叩き戻された魅惑のマーメイドも、今頃は血の匂いを嗅ぎつけた彼らの餌食になっていることだろう。

「そろそろ船も満員になってきたわね。何処か宝物殿に近くて高い場所はない?」
「それなら食料庫じゃろ。ほれ、あそこじゃ」
 パルピがドワーフが指を指した場所に視線を向けると、水面からせり出す台場のような物が見える。恐らくは塔のような建物だったのだろう。船を近づけると、ここの上には既に何人ものドワーフが避難しており、船で救助されたドワーフの姿を確認すると手を振りながらこっちだと手を振りながら呼びかけ、備え付けられていた縄梯子を降ろした。

「急いで。船はそろそろ水に耐えきれなくて沈むわ」
 彼女の言葉通り、折り紙船に乗っていたドワーフが屋上に避難すると同時に次第にふにゃけ、濁流の中に飲み込まれて行った。

「危機一髪じゃったわい…。じゃが、こうして命拾いしたのも、この妖精の嬢ちゃんのお陰じゃ」
「ああ。全くじゃ」
「じゃがなぁ、儂らをこんな目に合わせた奴に一発見舞ってやらんと気が済まんわい」
「じゃあ、橋を作るからちょっと待ってね」
 その言葉に目を点にさせているドワーフを尻目に、フェアリーランドに通じる小壺から1辺15メートルの折り紙を数枚取り出すと、それを念力で繋ぎ合わせながら折り上げて宝物殿まで繋がる折り紙橋を作りだした。

「出来たわ。さぁ、戦いたいドワーフも一緒に行きましょ」
「これは儂らが乗っても大丈夫……なのかの?」
「大丈夫、大丈夫。百人乗っても大丈夫な折り紙なんだから。えっへん!」
 恐る恐るドワーフが折り紙橋の上に乗って少しずつ進んでみるが、確かにドワーフの重さで折り曲がる気配はない。まだ戦意を喪失していないドワーフ戦士が次々と橋を進んでいき、残ったのは宝石細工や金属加工などの職人ドワーフと彼らを守るために残った数人のドワーフ戦士のみである。

「器用なドワーフの職人の作る宝石細工はそれは見事なものよ。それを持って行くとは許しがたいことこの上ないわね」
 まぁ交渉は諸々片付けてからね、とパルピは宝物殿まで続く折り紙橋の上を進むドワーフ達を追うのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィゼア・パズル
依頼を聞きつけ馳せ参じました。助太刀させていただきます。

【空中戦・空中浮遊】を常時展開
この水が邪魔であるなら…水路を定め足場としてしまいましょう
「水の湧き出る場所と水を流す排水場所を教えて頂けますか?」
【属性攻撃・2回攻撃・範囲攻撃・全力魔法】で大地属性、床や壁面に干渉。水路の壁を隆起させます。
「限定的な水路の一本道を作る。勇猛な戦士達には縁から魚を狩って頂きたい。」出てきて頂けるのならしめた物。
「水中へは、戻しませんよ。」
一体でも多く狩れる様に戦士の援護を主軸として、風の刃で切り裂き攻撃を加えます。



 一方その頃、ドワーフ洞窟王国の上に存在する入り口から吹き出す水が以前衰えることなく瀑布同然となっているのを、ケットシーのヴィゼア・パズル(風詠う猟犬・f00024)は宙を浮遊しながらどうしたものかと顎に手を当てながら思索していた。

「再度お尋ねしますが、この洞窟王国の入り口はあそこしかないのですね?」
「ああ、そうじゃ。ここから上が外界に通じる道、下は掘り上げた無数の坑道しかない一本道じゃ」
 傍にはヴィゼアが洞窟王国の外壁の岩盤を螺旋通路のように隆起させて難を逃れたドワーフ戦士達が迫りくる水に怯えながら控えている。

「では、水を排水する設備もあの中に?」
「……うむ。地下から湧き出る地下水を組み上げるポンプがの。あれでは組み上げるどころか無事なのかも怪しいわい」
 なるほどなるほどと、ヴィゼアはのんびりとした口調のまま頷く。暫く沈黙が続き、彼はある事を尋ねた。

「それでは…この洞窟内で山肌と最も近い場所は何処です?」
「それなら、あそこじゃ」
 ドワーフが指を指した場所は、ここの対岸と言うべき洞窟の反対側だ。

「情報をありがとうございます。ですが…このまま岩壁沿いに向かうと時間がかかりますね。なので、失礼ながらこうさせて頂きます」
 ヴィゼアが肉球と肉球を合わせるようポンッと両手を叩くと、地面が隆起して対岸に続く浅瀬が作り出される。一時的な物なので時間が経てば元通りに戻りますとドワーフに説明すると、向こうへ辿り着くまでの同行とある事を彼らに申し告げた。

「それならお安い御用じゃわい。なぁ?」
「ああ、儂らにとっては朝飯前じゃ。ガハハハ!」
「ご協力感謝します。では、ここも水で満たされる前に急ぎましょう」
 ヴォゼアに続き、ドワーフ戦士達が浅瀬の岩場を駆ける。その水音を聞き取った魅惑のマーメイド達が水中から姿を現すと、岩まで透き通るような声で唄った。
 それは同士討ちを誘発させる魅了の歌。何も音を遮るものがないドワーフ達を同士討ちにさせるという算段だ。だが、ドワーフ達は魅了される気配を見せず、暴れ牛さながらの勢いのまま突撃してくる。何故ならば、ドワーフ達も唄っていた。数千人の勇者が生前の『帝竜ヴァルギリオス』と戦った過去より脈々と受け継がれて来たドワーフ族に伝わる戦歌(ウォークライ)を。腹の底から歌われるそれは、洞窟内を揺るがすように反響して魅惑のマーメイドの声をかき消すまでであった。

「(予想通りに成功しましたか。しかし…)」
 戦歌で戦意が高揚したドワーフを前に、魅惑のマーメイドらは尽く打ちのめされていくのをヴィゼルは薄っすらと目を開きながら進む中、言葉に出さずこう思った。

「(……物凄く音痴ですね)」
 魅惑のマーメイドの歌声に果たして音量で勝ったのか、それとも音痴だから彼女らの歌の音程が狂ったのか。真偽は定かではないが、彼らの協力の元にこうして反対側に辿り着けたのは確かである。

「ふむ……。なるほど。ここが一番薄そうですね」
 ヴィゼルが肉球でぷにぷにさせながら岩肌を触って確かめると、思念を集中させての全力魔法を岩盤へと送る。

 ――ピシピシ。
 徐々に岩盤に亀裂が生じてくる。そして水の圧力に耐えきれなくなると、そこが一気に崩れて大きな排水口となり、外界へとダムのように水が放出されたではないか。

「これでこれ以上、洞窟内が水で満たされる危険はなくなりましたが…水中へは戻しませんよ」
 ドワーフを相手にせずヴィゼルを追ってきた魅惑のマーメイドに向き直り、彼は風の刃で切り裂きオブリビオンを塵に還させていく。開けられた穴よりもより深く潜ろうとする魅惑のマーメイドも、風の精が具現化したフクロウのようなモノが尽く狩っていく。

「ここはもう大丈夫ですね。では、私も宝物殿へと急ぎしょう……おっと、忘れていました」
 再び掌の肉球をポンと叩くと、こちらの岩盤にも宝物殿に続く足場が壁沿いにせり出されていく。そして、ヴィゼルもドワーフ戦士達と共に宝物殿へと向かうのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

祝聖嬢・ティファーナ
WIZで判定を
※アドリブ歓迎

『フェアリーランド』の壺の中から風/水精霊・聖霊・月霊・戦乙女を呼んでドワーフにも協力して、風精霊と水精霊に守って貰いながら『エレメンタル・ピクシィーズ』で属性攻撃を『神罰の星矢』で聖攻撃を仕掛けます♪
『聖精月天飛翔』でWIZを強化して『月世界の英霊』で敵の攻撃を避けて敵のUCを『月霊覚醒』で封印/弱体化させます☆
敵が手強いなら『叡智富める精霊』+『神聖天罰刺突』で苛烈な猛攻を仕掛けます!
精霊・聖霊・月霊・戦乙女と猟兵に“七色こんぺいとう”を配って猟兵の怪我人を『祝聖嬢なる光輝精』で治し『シンフォニック・メディカルヒール』で状態異常を癒やします☆

「ミンナ頑張ろう!」


シグ・ビョルソン
【パンドラ】戦いの前にはUCを使用するか。さぁ、ヴァイキング(協力者のドワーフ達の事)共!詩人に歌われるような戦いを始めようじゃないか!高き戦神が俺達の戦を見下ろしている。そして戦いの名誉を得たものは永遠の戦いと宴にありつけるぞ!戦神には奴らの魂を!俺達には勝利の美酒を得るのだ!戦闘が始まったら大声を上げて、最寄りの敵に斬りつけてやる!トライデントは神木のラウンドシールドで盾受けし、絡めとる。そして怪力によって盾で殴りつけてやるぜ。はっはー!半端者どもが!お前らも俺の詩に加えてやるぜ!戦神よ見よ!この俺の戦いを!俺達の戦いを!はぁーっ、熱い戦いだったぜ。ヴァイキングじゃなくてドワーフだったか?


ジーク・エヴァン
【パンドラ】
ガンドルの仲間達が危ない!
このままじゃ秘宝も、皆の命も危険だ!
早く行こう!
奴らを誘き寄せる交渉はガンドルに任せて、俺はドワーフ達に聞いて奴らを閉じ込めるのに最適な袋小路がないか聞いて、そこで待ち伏せしよう。
奴らが宝石に誘われて来た!
袋小路に入った瞬間、奴らの周りを【巨竜退ける砦盾】を合体させて囲い込み、奴らの逃げ道を塞ぐ!
これで奴らは生け簀の中の魚も同然だ
この国を滅茶苦茶にした罪を、購ってもらう
氷結ナイフの氷の属性攻撃を中心に奴らを追い詰めよう
飛びかかってきたら鱗裂きでなます斬りにしてやる

ガンドルは俺にとってのもう一人の親なんだ
そのガンドルの仲間に手を出す奴は、絶対に許さない…!


ガンドル・ドルバ
【パンドラ】
昔この国に寄ったことはあったが、何とも無粋な連中が来たもんじゃわい

久し振りじゃの、親方、同胞(はらから)達よ
お主らには世話になったこともある
他ならぬお主らのためじゃ
一肌脱ぐとするかの

同胞よ、すまんが奴らを誘き寄せるために幾ばくか宝石を貸してくれぬか?
なに、漁をするだけじゃよ

宝石に誘き寄せられたな人魚ども
今じゃジーク!
ジークが奴らを閉じ込めた!
同胞達よ、鬨の声をあげて奴らの歌を潰すのじゃ!(大声、衝撃)

奴らはもはや生け簀の中の魚よ
鉄をも穿つそれがしの弓で、人魚の串刺しにしてやろう(乱れ撃ち、串刺し、衝撃波)
更に【闇女神の旋風】で奴らの尾びれの筋と神経を断ち切り二度と泳げなくしてやろう


フィーネ・ルーファリア
【パンドラ】

この世界は戦争が終わってようやく落ち着いてきたっていうのに、今度は猟書家ですって?
しかもドワーフ達の国が狙われてるっていうのなら放ってはおけないわね
ガンドルさんのためにも、私もやれるだけのことはやるわよ

宝石が好きな相手を宝石で釣るっていう作戦はいいと思うわ
ドワーフ達にもぜひとも協力してもらいましょう
この国のことは彼らのほうが詳しいものね

ガンドルさん達がマーメイド連れてきてくれたら、選択UCの羽刃を敵に向かって飛ばすわ
マーメイドたちが逃げようとしたら「ここから逃げるな」とルールを宣告
ドワーフ達のためにも、盗人はここで懲らしめておかないとね



「今じゃあぁッ! 進めぇい!!」
 洞窟内を循環しながら満たさんとばかりだった濁流が、洞窟内に開けられた穴により水の流れがそこへ流れ出るように変わる。そして今まで沈んでいた住居の屋根が潮が引いて現れた浅瀬のように姿を現した。女子供達を高台にまで避難させていたドワーフ洞窟王国の王でありドワーフ宝石工房の主である親方が、ドワーフの戦士達へ攻勢に出る為の号を下した。
 親方と戦士達は数名の護衛を残すと、坑道を支える支保坑に使われる坑木や板材などを組合わせた簡易的な足場を掛けて、それを渡りながら一気に雪崩込んだ。

『バカなドワーフ。モグラらしく、このまま怯え続けていれば良いものを!』
「散々モグラ呼ばりしおって。水の中から出ては隠れるお主らこそ、モグラじゃあ!」
 ドワーフの斧や戦槌と魅惑のマーメイの槍らが織りなす剣戟が、戦場と化した洞窟内を反響する。だが、結論的に言えばドワーフ達が不利であった。魅惑のマーメイド達は水中に潜り合い、反撃に転じれば防御が脆弱な場所からの奇襲が襲いかかる。よって、自然と防戦を強いられることとなっていた。

「くっ……まるでモグラ叩きじゃ」
「それなら、モグラさんの頭を水面から出さないようにすれば良いんだよね? ボクにお任せあれー☆」
 突如何処から声が聞こえた。ドワーフ達は周囲を見渡すと、水の上に小さな壺が浮かんでいる。それはフェアーランドに通じる小壺で、その中から持ち主である祝聖嬢・ティファーナ(フェアリーの聖者×精霊術士【聖霊術士】・f02580)が飛び出てくると、共に出てきた風の精霊が水面に風の刃を巻き起こさせた。

「久し振りじゃの、親方、同胞(はらから)達よ!」
 突如吹き抜けた風に乗った聞き覚えのある声に親方が振り向いた。そこには見知った顔の同族であるドワーフ、ガンドル・ドルバ(死に場所を求める老兵・f27129)が武骨な巨大斧を肩に掛けながらゲートより転送していた。

「おお、ガンドルではないか! 随分と久しいのぅ、息災であったか!?」
「まだまだこの通り、ピンピンしておるわい。昔この国に寄ったことはあったが、何とも無粋な連中が来たもんじゃわい。お主らには世話になったこともある。他ならぬお主らのためじゃ、一肌脱ぐとするかの」
 両者ともに再会の喜びを分かち合いたいところであるが、今はそれどころではないとばかりに、その後ろを全身を覆うフルプレートの板金鎧を鳴らしながら追いかけてきたジーク・エヴァン(竜に故郷を滅ぼされた少年・f27128)は慌てる様子でガンドルに急ぐよう叫んだ。

「このままじゃ秘宝も、皆の命も危険だ! 早く行こう!」
「まぁ待て。物事には順番というものがある。同胞よ、すまんが奴らを誘き寄せるために幾ばくか宝石を貸してくれぬか?」
 ジークが喋った秘宝という言葉に親方は、やはりそれが目的か、と豊かな髭の中に隠れている顎を触った。

「他ならぬお主の頼みだ。それに、宝石なんぞ水が引けば幾らでも鉱床から掘り当れば良いだけじゃ。コイツを持っていけ」
 そう言うと、親方は掘り当てたばかりの宝石の原石が入った革袋と様々な宝石があしらわれた腕輪を外してガンドルへと投げ渡す。その腕輪は落盤やガスによる中毒などから身を守ってくれると云われている、この洞窟王国ならではのドワーフ宝石細工である。そして親方に続き、ドワーフ戦士達も護石飾りを外せばガンドルに投げ渡した。

「お主らにとって、先祖代々に受け継いでいく貴重な物を…。かたじけない、暫しの間借りるぞ」
「なぁに、構わん。それでこの洞窟王国を守れるなら安いもんよ。ところで、それで一体何をするつもりじゃ?」
「なに、漁をするだけじゃよ」
 老兵のドワーフはにやりと笑い、それらをジークに渡した。
 作戦はこうだ。宝石に目のない魅惑のマーメイド達を、これでおびき寄せて一網打尽にするというものだ。そして、その場所へ共にゲートから転送された冒険仲間のシグ・ビョルソン(ヴァイキングス・ウォーロード・f29414)とフィーネ・ルーファリア(森の守護者・f27328)が、ジークがドワーフ戦士達から聞き出した彼女らを追い込むのに適した袋小路状になっている場所で待ち伏せをしていた。

「宝石が好きな相手を宝石で釣るっていう作戦はいいと思うわ。けど、この世界は戦争が終わってようやく落ち着いてきたっていうのに、今度は猟書家ですって? しかもドワーフ達の国が狙われてるっていうのなら放ってはおけないわね。ガンドルさんのためにも、私もやれるだけのことはやるわよ」
 今だティファーナが起こした風は止まず、魅惑のマーメイドの頭を出さないようにしている。確かめるすべを押さえているこの様子だと、彼女らはこの待ち伏せに気づいてはいないだろう。今や今やと待ち構えるシグの背後に控えるドワーフ戦士、先端にエメラルドがあしらわれた短杖を手に持つフィーネ、そしてジークが発案した作戦のおびき寄せが成功するのを祈るガンドルと親方が固唾を飲んで身構える。幾ばくかして、ティファーナがフェアリーランドから呼び出した精霊が釣り糸さながら宝石類が結ばれたロープを水中に垂らしつつ引かせながら、それを二人が追いかけてくるのが見える。

「到着だよ☆ ミンナ頑張ろう!」
 ティファーナは精霊をポイントまで誘導させ停止させる。そこから少し待つと、ロープが引かれるように水を切りながら走る。それをガンドルは見逃さなかった。

「宝石に誘き寄せられたな人魚ども…今じゃジーク!」
「来たれ! 竜の一撃を受け止めし鉄壁の軍勢よ! 我と共に、集いて竜の進撃を弾き返せ!」
 彼の合図にジークは自身のUCを発動させる。彼の詠唱と共にティファーナは風の精霊を壺の中に戻して風を止ませた。巨竜退ける砦盾が水中で合体しながら、建物の路地を塞いでいく。そして、その底も狭めるようにすると、横と下から突然追い立てられた魅惑のマーメイド達が水面から姿を現した。

「同胞達よ、鬨の声をあげて奴らの歌を潰すのじゃ!」
「さぁ、ヴァイキング共! 聞け! 俺達の物語をもう1度! そしてこの物語をもう1度紡ぐのだ! 未来永劫に語られる物語を! 詩人に歌われるような戦いを始めようじゃないか! 高き戦神が俺達の戦を見下ろしている。そして戦いの名誉を得たものは永遠の戦いと宴にありつけるぞ! 戦神には奴らの魂を! 俺達には勝利の美酒を得るのだ!」
 シグは古めかしい片手剣を掲げながら、高らかにドワーフ達を煽動する。その言葉にドワーフ達は洞窟を揺るがすほどの雄叫びで応えた。

「これで奴らは生け簀の中の魚も同然だ。この国を滅茶苦茶にした罪を、購ってもらう」
「そうね。ドワーフ達のためにも、盗人はここで懲らしめておかないとね」
 フィーネがエメラルドワンドを振るうと、再び風を舞い起こる。風は刃のついた羽根となり、これが罠であると気づいてこの生け簀から逃れようとする魅惑のマーメイドに襲いかかる。

「ここから逃げるな。……私の言ったことをちゃんと守れば痛くないわよ?」
 それはふたつの意味を成した誓約であった。ひとつはこの生け簀から抜け出ること。もうひとつは、水の中に潜ること。それを破ればどうなるのか?
 その答えは、刃のついた羽根が風となって魅惑のマーメイドの身体をズタズタに切り裂くというものだ。フィーネの誓約を破った仲間の末路を前にし、たじろぐ彼女達に残された道はたったひとつだ。水面から身を曝け出しながら、猟兵とドワーフを相手にすると言うもの。とは言え、彼女らが本領を発揮できるのは水の中。今まで潜ることでドワーフを翻弄し続けてきたが、それは今や呪いとなって封じられている。

「はっはー! 半端者どもが! お前らも俺の詩に加えてやるぜ! 戦神よ見よ! この俺の戦いを! 俺達の戦いを!」
 トライデントの一撃をラウンドシールドの曲面で受け流すと、シグは銛を掴み上げる。無防備となった魅惑のマーメイドを力任せに盾で殴りつけると、その勢いのまま彼女の身体を水面に叩きつけるかのように斬り落とす。ドワーフ戦士達も彼に負けんじと、高揚した士気の元で叩きつける。

「怪我、大丈夫? この七色こんぺいとうを持って」
 お互いに守りをかなぐり捨てた魅惑のマーメイドとの応酬を繰り広げ、傷つき倒れ込むドワーフにティファーナは七色こんぺいとうを配り回る。それを手にすると不思議なことに見る見ると傷は癒えていくではないか。そうして戦線へ復帰するドワーフの穴を埋めるかのように、ガンドルは鉄をも穿つ弓で魅惑のマーメイドを射抜く。外したとしても、死者の国を統べる女神への信仰を籠めた剛弓が放つ矢の衝撃波、闇女神の旋風が人魚の尾びれの筋と神経を断ち切らせる。

『このぉ!!』
 だが、魅惑のマーメイドも無残にやられるだけではなかった。せめて一矢報いる攻撃だけでもと、破れかぶれに投げられでトライデントがガンドルに向けられ投げられた。

「危ない、ガンドル!」
 しかし、それは誰よりもいち早く気づいたジークが盾を構えながらガンドルを庇うことで失敗に終わることになる。盾で三又槍を弾くと、今度は別の個体が誓約を破ったことでズタズタになりながらも飛びかかってくる。ジークは氷結ナイフを抜くと裂かれた鱗の傷に刃を突き立て、その傷に沿って魚をなますにするよう斬り裂いた。

「ガンドルは俺にとってのもう一人の親なんだ。そのガンドルの仲間に手を出す奴は、絶対に許さない…!」
 行き倒れていた縁で自らが保護したジークの思いがけない言葉に、老兵は思わず口元を緩めてしまう。だが、それを聞かなかった素振りのまま、ガンドルは再び弓を引いて敵を射抜いた。

「はぁーっ、熱い戦いだったぜ。ヴァイキングじゃなくてドワーフだったか?」
「いいえ、まだ終わってないわよ。ここを襲った張本人を倒さなきゃね?」
 そうしてこの戦いは、猟兵とドワーフの勝利で終わった。満足げなシグに向けたフィーネの言葉に一同が笑いあう。
 そうだ、まだ終わっていない。この惨劇を引き起こした張本人は魅惑のマーメイドではない。彼女らを使役していた者は、この騒ぎに乗じて目の前にある宝物殿の中に居るはずだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『激流のリヴェンタ』

POW   :    ウォーターハザード
【何もかもを押し流す破壊的な激流】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    わたくしのアクムにようこそ
【幻術の霧】を降らせる事で、戦場全体が【激しく渦巻く水流の中】と同じ環境に変化する。[激しく渦巻く水流の中]に適応した者の行動成功率が上昇する。
WIZ   :    フリージングレイン
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【身に纏っている水属性のオーラ】から【最大数レベル×10発】の【氷晶の弾丸】を放つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠一郷・亞衿です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 浸水した洞窟王国の街並みを進み、猟兵とドワーフは『ヴァルギリオス碑文』が収められているという宝物殿へと踏み込んだ。内部は岩の中をくり抜いたかのような空間で、蓄積された魔力が自然放出することで発光する夜光玉と呼ばれる珍しい宝石の一種が松明の代わりとして内部を明るく照らしていた。
 中は酷く荒らされており、大きさが人一人分もあろうかという見事な宝石の原石。光が屈折することで虹色に輝く巨大な巻き貝の化石が生み出した有機宝石。一見するとただの岩に見えるが、その正体はたった一欠片だけでも金貨数袋も惜しまないとされる香木。古代ドワーフが使っていたと云われる斧や鎧……それらが乱雑に、まるで何かを探していたかのように倒されていたり無残にも倒されている。だが、不思議なことにそれらは水に濡れていた。ここには水は届かず、魅惑のマーメイドが荒らしたとは到底考えられない。と、すれば……。

 突如、宝物殿内部のジメッとした空気が渦巻いて風が吹き抜ける。周囲の水分を吸い上げるかのように、風の渦は水となりそれは姿を現した。

『来ましたね。浅ましきドワーフよ……ヴァルギリオス碑文は何処に隠した!?』
 このドワーフ洞窟王国を濁流で襲った『激流のリヴェンタ』は、猟兵と共に宝物殿にやってきた親方へ苛立ちをぶつける。

「ふん! 賊が盗みに入ろうが、ここで砕かれたりせんよう、先祖代々に渡って厳重に隠しておるわ。その様子では、儂らが作った仕掛けが分からんようじゃったみたいじゃのぉ?」
 売り言葉に買い言葉。親方の言葉に激流のリヴェンタは怒りを通して呆れる。

『やはり、ドワーフという種族はずる賢いにも程があるわね。いいでしょう。それなら、赦しを請うまでその身体に聞くだけよ。その前に、他のドワーフと邪魔立てをするイェーガー共々を私の激流で、体ごと打ち砕きましょう」
 風は何時しか強風となり、激流のリヴェンタの身体を渦巻く水流の勢いが増していく。そうはさせんと、ドワーフ戦士達もこれ以上の狼藉を阻止するために立ち向かう。
 憎む者と憎まれる者との戦いの火蓋が、今切られたのだった。
祝聖嬢・ティファーナ
WIZで判定を
*アドリブ歓迎

「ドワーフさん、地形や地質を教えてください♪ 戦乙女も戦います!」
『フェsリーランド』の壺の中ら風/水精霊・聖霊・月霊・戦乙女を呼んで風のバリアで守護されながら水を調整して貰います☆
聖霊・戦乙女と『エレメンタル・ピクシィーズ』で属性攻撃を『神罰の聖矢』で聖攻撃を仕掛けます!
『聖精月天飛翔』でWIZを強化して『月世界の英霊』で敵の攻撃を空間飛翔して避けて敵のUCを『月霊覚醒』で封印/弱体化させます♪
状況を見て『叡智富める精霊』+『神聖天罰刺突』で苛烈な猛攻を仕掛けます!
猟兵とドワーフを『祝聖嬢なる光輝精』で治し『シンフォニック・メディカルヒール』で状態異常を癒します☆



『何もかもすべて、濁流に飲み込ませてあげるわ』
 激流のリヴェンタの怒りにより、ついに宝物殿の内部にも浸水が始まる。収蔵された宝物の数々は水の中に沈み、それらが濁流の勢いで流れ狂う凶器となり猟兵とドワーフに襲いかかる。

「人の宝物をぞんざいに扱いおって!」
「ドワーフさん、戦乙女も戦います!」
 ドワーフ達はそれらを盾で防いで防戦一方の中、ティファーナは宙を舞いながらフェアリーランドから戦乙女を召喚させた。戦乙女らは水上を飛び、激流のリヴェンタに向かうが、それを迎撃するよう身に纏う水のオーラが凝結されて作り出された無数の水晶の弾丸が一斉に放たれた。
 
「歌唱う、我らが精霊・聖霊・月霊よ♪ 歌い、踊り、唄い、舞踏れ♪ 素ノ源ヨリ来タレリ…光りを怯える闇と悪よ、悔い改めなさい…」
 戦乙女達の援護をするべく、両手の聖痕を輝かせティファーナは舞いながらその指先を激流のリヴェンタへと向けると、虚から呼び出した精霊が現れる。それらは光の矢となり放たれ、激流のリヴェンタが放った水晶の弾丸を打ち砕いていく。

「ぐぅ、やられおったわい…」
 だが、打ち漏らした水晶の弾丸がドワーフの胸を貫き、流れ落ちる血で濁流を鮮血に染める。その様子を激流のリヴェンタが高笑いするが、ティファーナは戦女神達に盾で再び放たれた水晶の弾丸を防いでもらうと、そのドワーフの周辺で再び踊り唄う。

「精霊、聖霊、英霊、月霊よ、癒し慈しみ輩を治癒し蘇生を…☆」
 彼女が祈ると、溢れ出た内なる光輝がドワーフを包み込み、傷を癒やしていく。その様子を激流のリヴェンタが苦々しく舌打ちをしたが、ふとあることに気づく。それは一方に水かさが増えないことだ。今頃はドワーフの胸元付近にまで浸かる程の水量であるはずなのに、何故まだ足首程度であるのか?

「それはね、排水しているからだよ☆」
 厳密に言えば、濁流の上でどんぶらこどんぶらこと漂うティファーナの小壺に通じるフェアリーランドへと吸い込まれていた。今頃フェアリーランドでは流れ落ちる滝できれいな虹がかかっている筈であろう。そんなデタラメが、と激流のリヴェンタが叫んだその隙を付き、盾で身を防いでいた戦乙女がランスを手に突撃する。
 蝶のように舞い、蜂のように刺す。勢いが落ちた水晶の弾丸を掻い潜った戦乙女の風のオーラを纏った連携攻撃により、激流のリヴェンタの周囲を纏うバリア状の水のオーラが破壊されたのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

パルピ・ペルポル
あーあ、もったいないわねぇ。
見るからに価値のあるものを大事にしないなんて。
それよりもドワーフの仕掛けも見抜けないで碑文を読み解けるのかしら?
個人的にはわたしも見てみたいけど。

「迷いの森へようこそ」を発動するわ。
繁った森の中ではその機動力は活かせないし狙いをつけるのも難しいでしょ。
わたしがアイツを誘い込むから、ドワーフの皆には隠れててもらって。
雨紡ぎの風糸で罠を張ったポイントにきて罠にかかったらタコ殴りにしてもらいましょ。

万羽鶴を展開して攻撃させつつ、森の木々も利用して身を隠しつつ誘い込むわ。
敵の攻撃は古竜の骨のマン・ゴーシュと何回も折り畳んだだけの分厚い折り紙を盾にして防ぐわ。


ジーク・エヴァン
【パンドラ】
どこまでも身勝手な奴だな
盗人猛々しいって奴かな?
それにヴァルギリオス…奴の遺物にお前は触れようとしているな?
…お前を倒さなきゃいけない理由が増えたな
完膚なきまでに葬ってやる!

俺達とドワーフ達を守るように結界術を多重詠唱しよう
壁ではなく、球形に展開して幻の水流の中でも溺れず、壁にぶつかっても毬のように弾くように設定してこの環境にも対応しよう
固いだけが結界だと思うなよ
あのスピードに付いていくためにも、【滅竜戦装】を発動して奴を追撃しよう
氷の弾丸をグラムで打ち払い、生命力吸収と呪詛を乗せた攻撃を繰り出す
俺に気を取られたな?
お陰で皆が攻撃する隙が出来た
俺からも目を反らすなよ!(二回攻撃)


ガンドル・ドルバ
【パンドラ】
ピーピーと五月蝿い盗人よの
それがしらドワーフの仕掛けが分からんのは貴様の脳みそと目が小魚と同じと言うだけじゃよ
我が同胞と祖先達が集め、未来へと残した秘宝の価値も分からぬ下郎が
その身に罪の重さを刻んでやろう

オーラ防御を纏い、奴の放つ氷の弾丸を大斧でなぎ払って仲間や同胞達を守ろう

ジークの結界もあるから溺れんし、奴のを観察しながら火酒を火炎瓶にして、杭の矢にくくりつける(武器改造)
お主こそ遅れるなよ若造
【千里眼射ち】を構え、ジークが奴を釘付けにする瞬間を待つ
…そこ!(スナイパー、怪力、衝撃波、串刺し、焼却)

身体が燃えるような酒じゃろ?
貴様には過ぎたドワーフの名酒じゃ
今生最期の贅沢を楽しめ


シグ・ビョルソン
【パンドラ】何もかもを押し流す激流か、おもしれえ。俺が踏ん張りきってやるぜ。腰を落とし、正面に盾を構えてUCを行うぜ!なにせ、踏ん張りすぎて全く動けねえからな!奴がスキを見せたらダガーを投擲してやるぜ。合わせろやガンドルゥ!おらぁ、ダメ押しにグラディウスも投擲してくれるわ!かぁー、さっさと酒飲んで休みてぇってもんだぜ。


フィーネ・ルーファリア
【パンドラ】

ドワーフ達がずる賢いって、盗人が何を言ってるのかしらね
魅惑のマーメイド達が坑道を荒らしている最中に碑文を探そうとしているそちらのほうがよほどずる賢いように思うわ
結局見つからなかったっていうのはざまあみろって感じよね

ジークさんが敵を惹き付けてくれてるっていうなら、私も援護するわ
選択UCの羽刃を周囲にばらまいて、敵の動きを阻害するわよ
あとはガンドルさんとシグさんの攻撃に合わせて、私も弓と魔法の乱れ撃ちよ!

残念だけど、この世界をあなた達の好きにさせるわけにはいかないの
お呼びじゃない盗人さんはさっさと骸の海に帰ってしまいなさい



「あーあ、もったいないわねぇ。見るからに価値のあるものを大事にしないなんて」
 パルピは激流で有象無象に流れ転がる宝石原石の山を見て、深くため息を付く。見ようによってはただの石くれだろうが、宝石は原石を磨いてこそ輝く物。しかし、宝石原石はおろか配下であった魅惑のマーメメイドをも熱狂させたドワーフの手によって磨き上げられた宝石も、激流のリヴェンタにとっては探し求める『ヴァルギリオス碑文』には足元にも及ばない存在なのだろう。

「どこまでも身勝手な奴だな。盗人猛々しいって奴かな?」
「ドワーフ達がずる賢いって、盗人が何を言ってるのかしらね。魅惑のマーメイド達が坑道を荒らしている最中に碑文を探そうとしているそちらのほうがよほどずる賢いように思うわ」
 とは言え、彼女の邪な目的のためにひとつのドワーフ地下王国が滅亡の危機に晒されたのは確かである。魅惑のマーメイドの性質を利用した略奪という名の陽動が何よりの証拠だ。ドワーフをここまで忌み嫌うのであれば、彼女にとってドワーフが創り出す物全てを憎悪していると言っても過言ではないのだろう。
 それを指摘したジークとフィーネの言葉を受けながら、激流のリヴェンタは再び水のバリアを身に纏っていく。

『私は部下が欲すると思う物を賜らせただけ。それで汚らわしいドワーフを効率よく根絶やそうとしただけですのに、盗人呼ばわりとは心外ね』
「ピーピーと五月蝿い盗人よの。それがしらドワーフの仕掛けが分からんのは貴様の脳みそと目が小魚と同じと言うだけじゃよ」
「それよりもドワーフの仕掛けも見抜けないで碑文を読み解けるのかしら? 個人的にはわたしも見てみたいけど」
 ここまで大掛かりな陽動をしておいて『ヴァルギリオス碑文』を探し出せれない怒りをドワーフにぶつけているだけであるとガンドルが指摘する中、フィーネは激流のリヴェンタに挑発の言葉をぶつけつつ疑問を呈する。岩盤をくり抜いただけの野趣溢れる宝物殿を一望しても、内部に碑文を隠す仕掛けらしい仕掛けが見当たらないのは確かだ。猟兵までもドワーフが施した碑文を隠す仕掛けが見破られていないのに、親方はガハハと誇らしく笑った。

「他の洞窟王国では分からんが、ここは儂らならではの仕掛けを施しておっての。宝石をただの石ころと見ておるお主には一生涯賭けても見つかりはせんじゃろうのぅ」
「我が同胞と祖先達が集め、未来へと残した秘宝の価値も分からぬ下郎が。その身に罪の重さを刻んでやろう」
 痴れ事をぬかしてと、激流のリヴェンタが再び大波を巻き上げさせた。猟兵のUCで排水されたとすれば、その量よりも遥かに多い水量を流すだけ。単純な力押しに他ないが確かな手段であり、みるみるうちに再び宝物殿内部の水かさが増え、激流が水の壁となり猟兵とドワーフに牙を向いた。

「何もかもを押し流す激流か、おもしれえ。俺が踏ん張りきってやるぜ。さぁ、来いよ。受け止めてやるぜ!」
 水が持つ圧倒的な質量を前にシグが仲間たちの前に出ると、神木でできたラウンドシールドを掲げ防ごうとする。だが、その円盾は人一人分の身を守るのが精一杯のものだったが、彼は意に還さず深く腰を落とすとUC『ガードスタンス』を発動させた。
 木盾が光りに包まれると、それが広がり巨大な盾と化する。押し寄せる濁流を光の大盾が防ぎ、流れを変えさせる。しかし、波が壁に当たれば押し返されて後方から襲いかかるのは必定だ。シグのUCに合わせパルピもUCを発動させると、陽の光が差さない洞窟内の陽光が急に差し込んで、激流のリヴェンタは思わず腕で目を隠した。そして眼前に広がっていたのは…鬱蒼とした緑に溢れる森であった。

「迷いの森へようこそ。繁った森の中ではその機動力は活かせないし、狙いをつけるのも難しいでしょ? その濁流も迷わせてあげるわ」
 それはUCで作り出した群竜大陸の迷いの森の一部であった。水は行き場を失い、まるで森に吸い込まれるよう流れ散っていく。激流のリヴェンタがギリッと歯噛みすると、今度は氷の弾丸を四方八方に打ち散らす。その猛攻に猟兵とドワーフはシグの後ろに隠れる他なかった。

「好転したかと思えば、再び防戦か。ここは多少の損害を覚悟して打って出るか」
「待って、ガンドル。その役目は俺に任せてくれないか? ヴァルギリオス…奴の遺物に触れようとしているのなら、倒さなきゃいけない理由が増えたんだ」
 竜に故郷を滅ぼされた過去を持ち、討ったはずである邪竜の脅威をこの手で決着を付けようとする決意を秘めたジークの眼差しに根負けし、死地を求める老兵は未来ある若人にその役割を譲った。ただし生きて戻ってこい、とだけ言うと、分かったとジークは頷き魔剣を抜いて静かに念じる。

「来たれ。怒りを剣に、決意を鎧に、希望を盾とし、我は滅竜の英雄とならん……! 人剣一体! ジークフリートッ!」
 人剣一体・滅竜戦装(ジンケンイッタイ・ジークフリート)。UCの詠唱を終えると、ジークは漆黒の鎧、白銀の長髪と金眼の黒竜の翼を生やした滅竜騎士と化する。その援護をとパルピは万羽鶴を展開させて水晶の礫を迎撃すると、飛び交う水晶の弾丸が少なくなったタイミングで彼は翼を広げて飛翔した。
 突如大盾の陰から姿を現した滅竜騎士に、激流のリヴェンタは攻撃を集中させた。水晶の礫は牽制する分だけを残しジークへと向けられたが、彼は彼女を翻弄するかのように飛翔して魔剣を振るう。剣圧が水晶の弾丸を切り裂きながら、激流のリヴェンタの身体を護る水のバリアを破壊すべく襲いかかる。

「今じゃ!」
「ええ、相手の注意は今ジークに向けられている。この程度なら全部撃ち落としてみせるわ。残念だけど、この世界をあなた達の好きにさせるわけにはいかないの。お呼びじゃない盗人さんはさっさと骸の海に帰ってしまいなさい」
 ガンドルの合図と共に、フィーネが弓を引き絞りながらUCを発動させた。シグの盾から身を乗り出して矢が放たれ、それが風の刃となって激流のリヴェンタへと向けられる。こちらに放たれた水晶弾が迎撃すると、ドワーフ戦士達が雄叫びを上げながら突撃する。その鬨の声に激流のリヴェンタが気付き、ドワーフ達を薙ぎ流すべく水の大波を作ろうとしたその時、彼女の視界が突如炎に包まれた。

「身体が燃えるような酒じゃろ? 貴様には過ぎたドワーフの名酒じゃ。今生最期の贅沢を楽しめ」
 それはガンドルが持つ火酒を杭の矢の先端に括り付けた、即席火炎瓶の火矢だった。高純度のアルコールが水の上で燃え盛り振り払おうとする中、何かが激流のリヴェンタの身体に巻き付かれていく。

「これで身動きは封じたね」
 この隙にパルピが念じて放った雨紡ぎの風糸が、激流のリヴェンタと木々を結びけた。仲間たちが作り出してくれたチェックメイト。すべての決着をつけるべく、ジークは急降下しながら魔剣グラムに滅びの呪詛を籠める。

「仲間に気を取られたな? だが、俺からも目を反らすなよ!」
 禍々しく黒いオーラに包まれた黒炎を纏った刃が激流のリヴェンタに振り下ろされた。魔剣は水のバリアごと彼女を袈裟斬りし、黒炎が身体を貪るよう広がって包まれる中、彼女は無念そうに叫んだ。

『私の、私の野望が!? 口惜しや…口惜しやッ!!』
 断末魔を最期に、黒炎がすべてを呑み込むと虚となって消え去る。同時にUCが解除されてジークは元のフルプレートの板金鎧に戻ると、擬似空間である迷いの森も解除されて水が幾ばくか滴る宝物殿へと戻ったのだった。

「かぁー、さっさと酒飲んで休みてぇってもんだぜ」
 シグが盾を戻しながら腰を上げると、大きく背伸びをして身体をポキポキと鳴らす。

「心配せんでも良い。儂らとご先代様が遺した碑文を守ってくれた礼に、いくらでも秘蔵のドワーフ酒を呑ませてやるわい」
「そう言えば、碑文はどこに隠していたの? オブリビオンを倒したんだし教えてよ」
「おお、そうじゃったな。なぁに、灯台下暗しじゃよ。ほれ、お主らの目の前にあるコイツじゃ」
 パルピは当初から抱いていた疑問を投げかけると、親方があるものに指を指した。それは古めかしい水晶の柱飾りであった。他の水晶と違って透明ではなく気泡のようなものが内部に無数に走っており、濁った結晶体のそれは美術品としての価値は無いと言っても良いほどの物だ。

「このままでは分からんが、夜光石の照明を落として暗くしてやれば全てが分かるはずじゃ。ほれ、見えたじゃろ?」
 親方がドワーフに命じて夜光石に覆いを被せて宝物殿の内部を暗くすると、親方は壁にかけられた指向性のカンデラの中に夜光石を入れて、水晶柱を照らし出す。

「これは……すごい」
「えぇ、こういう事だったの!?」
「なるほどのぅ。正に、灯台下暗しじゃ」
 光が水晶柱の結晶を通過して壁に映し出される影は、古代ドワーフ文字によって綴られた帝竜ヴァルギリオスに挑んだ数千人の勇者達の壮絶なる戦いの様子を克明に著した碑の『ヴァルギリオス碑文』に他ならなかった。

「宝石剣、宝石鎧、宝石盾。英雄達にそんなもんを作っておった儂らのご先代様が作った遊び心ある仕掛けじゃ。奴が宝石に感心があれば見破っていたかもしれんが、そうだったとしても値打ちがないただのガラクタとして見向きもせんじゃったじゃろうの。ガハハハハハ!!」
 猟兵達が宝石の碑が照らし出す『ヴァルギリオス碑文』に息を呑む中、親方は豪快に笑った。それに釣られドワーフ戦士達も大声で笑い合う。それは洞窟内を反響しあい、今日もドワーフ洞窟王国中に響き渡るのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年11月30日
宿敵 『激流のリヴェンタ』 を撃破!


挿絵イラスト