臆病者はやめにする
●銀河の希望育む
宇宙船『騎士教練艦』。
それは次代のフォースナイトを育て上げるために作られた船だ。その船では一人の教師と大勢の子供らがフォースナイトとしての才能を認められ日夜訓練に明け暮れていた。
しかし、その『騎士教練艦』は今、猟書家『ミニスター・ブラック』が率いる『帝国継承軍』の大艦隊に補足されていた。
展開された『大型標的砲撃用銀河帝国製ウォーマシン』が、その砲口を『騎士教練艦』へと向けている。
「つまらぬ」
短く吐き捨てるように猟書家『ミニスター・ブラック』は呟く。
彼は言うまでもなくオブリビオンである。
過去の化身であり、かつて彼が刃を交えた好敵手たちの末裔とも言うべきフォースナイトたちの零落を嘆くようでもあった。
「……やはり彼奴らは、嘗ての好敵手たちの清廉さしか受け継いでいないか。ここまで宇宙の騎士(フォースナイト)は衰えたか。だが、彼奴らは未だ銀河の希望。そして多くの猟兵を輩出している」
ならば、ここで彼等の命脈を断ち、『闇の騎士』として蘇生させる。
それこそが猟書家『ミニスター・ブラック』の目的であった。ここまで歯ごたえのない存在へと堕したフォースナイトであれど、オブリビオン化すれば『帝国継承軍』の一軍に加えるには十分すぎる戦力となることは疑うまでもない。
だが、そんな『ミニスター・ブラック』の大艦隊と狙われた『騎士教練艦』の間に一人のフォースナイトが立ちふさがる。
それは幼きフォースナイトであった。
「――……ッ!」
音場を発することも難しいほどに体は震えている。
歯の根も合わぬほどにガチガチと打ち鳴らされている。けれど、それでも幼きフォースナイト、カワードは宇宙空間にとびだしていた。
いつも臆病者と言われていた。
自分でもわかっている。怖いものは怖い。どれだけ修行したとしても拭われることのない恐れは、これまでだって何度も彼の体を震わせてきた。
教練艦の教師は『ミニスター・ブラック』の艦隊に補足された時に生徒たちを真っ先に逃した。
逃げろと、生きろと言ってくれた。
「けどさぁ! あんたはどうするんだよ! ここで時間稼ぎにもならない戦いをして犬死するっていうのか!」
脱出する小型の宇宙船から飛び出した幼きフォースナイト、カワードは叫ぶ。
いつだって助けてくれた。
慣れない船外戦闘の訓練のときも、重力下での訓練のときだって。どんなときだって落ちこぼれでフォースナイトの才能もどん底な自分を見捨てないでくれた。
だからこそ、人を導くことのできる先生は生き残るべきだ。
「犬死するんなら、俺みたいなのでいいんだ。せめて生きている意味が在ったんだと、そんな風に思って死にたい」
震えはまだ止まらない。
けれど、それでも意味はある。誰かもっと価値の在るもののために、それを護るために戦って死ねるのなら、くだらない人生しか送れないと思っていた臆病者の自分の生命だって意味があったのだと思えるのだから――。
●希望を摘み取らせぬ
グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(フラスコチャイルドのゴッドハンド・f25860)であった。
「お集まり頂きありがとうございます。今回はスペースシップワールドに現れた猟書家『ミニスター・ブラック』が引き起こす事件を解決して頂きたいのです」
頭を下げたナイアルテが猟兵達へと告げる。
猟書家たちの世界への侵攻はすでに聞き及んでいる者たちも多いだろう。猟書家と呼ばれるオブリビオンたちは、彼等の首魁であるオウガ・フォーミュラの野望を成就するために行動を開始している。
今回彼女が予知したのはスペースシップワールド。
居住可能惑星を探して銀河を征く宇宙船の中でしか人の生きていけぬ世界である。その世界においてフォースナイトとは人々の希望であり、才能ある者しか力を振るうことができない。
サイキックエナジーを具現化し戦う超能力者であるが、一方で精神修養をも必要とする厳しい訓練が課せられる。
そのための『騎士教練艦』が猟書家『ミニスター・ブラック』の標的になったのだ。
「はい。その『騎士教練艦』だけでは、猟書家『ミニスター・ブラック』の率いる大艦隊に敵うことはできません。現に『騎士教練艦』を統率していた教師としてのフォースナイトは多くの子どもたちを載せた脱出艇をすでに逃しています」
しかし、その中から一人の幼いフォースナイトが飛び出してしまっているのだという。
彼は落第寸前の落ちこぼれであり、臆病者と呼ばれていたカワードという少年のフォースナイトである。
彼は己の生命よりもこれからも才能ある者たちを導く教師のフォースナイトを逃がそうと単身、『ミニスター・ブラック』の率いるオブリビオンたちと戦おうとしているのだという。
「彼は彼が思う以上に立派なフォースナイトです。戦力としては問題ないのですが、皆さんほどの戦力はありません。未来ある若者をみすみす見殺しにするわけにはいきません」
誰かのために戦うことを決意した彼はすでに臆病者と呼ばれることはないだろう。
だが、そんな生命でさえも『ミニスター・ブラック』は殺し、闇の騎士――オブリビオンとして蘇生しようとしているのだという。
「『騎士教練艦』を取り囲んでいるのは、『大型標的砲撃用銀河帝国製ウォーマシン』 と呼ばれるオブリビオンです。砲撃戦の特異なウォーマシンであり、その砲撃の威力は言うまでもなく宇宙船を破壊してしまうでしょう」
これらを撃破し、大艦隊率いる『ミニスター・ブラック』の旗艦へと乗り込み、これを討ち取らなければならない。
「ですが、『ミニスター・ブラック』は言うまでもなく強敵です。その見た目に反し、強大かつ狡猾な魔術士でもあります。実力は凄まじいの一言に尽きるでしょう。そして、何よりも勝利を得るために取れる手段は全て取る、講じる……あらゆるものを選択するだけの度量をも兼ね備えた本物の戦士です」
ナイアルテの言葉に猟兵たちは、『ミニスター・ブラック』が強大な力だけではなく、非常に賢明な存在であることを知る。
それはただ徒に力を振るうだけではなく、敵を追い詰め確実に倒すための手段を有している存在であるということを裏付けていた。
ただ力押しにして勝てる相手ではなく、同時に搦手であっても尽く打ち破ってくる相手でもあるということだ。
「ですが、皆さんならばできると信じています。幼きフォースナイト、カワードさんと協力し、猟書家の世界侵攻を食い止めてください」
どうかお願いしますとナイアルテは猟兵達を送り出す。
それはこれまでにない厳しい戦いの幕開けであった――。
海鶴
マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
今回はスペースシップワールドにおける猟書家との戦いになります。舞台は『騎士教練艦』と猟書家『ミニスター・ブラック』の艦隊の間……宇宙空間での戦闘になります。
これらを撃破し、『ミニスター・ブラック』を打倒するシナリオになっております。
※このシナリオは二章構成のシナリオです。
●第一章
集団戦です。
猟書家『ミニスター・ブラック』の大艦隊から展開された『大型標的砲撃用銀河帝国製ウォーマシン』 の軍勢と宇宙空間での戦いになります。
その名の通り、砲撃戦を特異とするオブリビオンであり、宇宙船『騎士教練艦』に攻撃が及べば、護るべきであり、幼いフォースナイト、カワードの帰る船も、護りたかった教師のフォースナイトも喪われてしまうことでしょう。
これらを護りつつ、オブリビオンを打倒します。
●第二章
ボス戦です。
猟書家『ミニスター・ブラック』の旗艦へと突入し、決戦となります。
ボスである『ミニスター・ブラック』は言うまでもなく強敵です。強大な力を振るうことはもちろんでありますが、狡猾に猟兵の裏をかく、猟兵の張り巡らせた罠や策を食い破るだけの度量があると思っていただいて結構です。
膨大な魔力にかまけることもなく、慢心も油断もない、敵を倒すこと、勝利することのみに重きをおいた実利極めし敵であると言わざるを得ないでしょう。
※プレイングボーナス(全章共通)……教練艦のフォースナイト達と共闘する。
それでは猟書家との戦いがはじまったスペースシップワールドで、若きフォースナイトを護る戦いでもあり、帝国継承軍の野望を打ち砕く戦いの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
第1章 集団戦
『大型標的砲撃用銀河帝国製ウォーマシン』
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POW : 極大エネルギーチャージキャノン「ホウセンカ」
【数と充填時間次第で惑星すら破壊可能な大砲】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【一秒の充填時間で消滅に必要十分以上な出力】で攻撃する。
SPD : 報復の砲華
レベル分の1秒で【対象の攻撃を剣で凌ぎ反撃の「ホウセンカ」】を発射できる。
WIZ : その真紅に触れてはいけない
自身に【装備された背中の頑丈な放熱板に超高温】をまとい、高速移動と【すれ違いざまの溶断、追撃の「ホウセンカ」】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
イラスト:エンシロウ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
『騎士教練艦』を包囲する真紅の装甲に包まれたウォーマシンの軍勢。
『大型標的砲撃用銀河帝国製ウォーマシン』は構えた極大エネルギーチャージキャノンへと出力を集中させていく。
巨大な宇宙船である『騎士教練艦』と言えど、あの砲撃にさらされてしまえば沈んでしまうのは時間の問題であった。
「こっちだ! のろまども!」
幼きフォースナイト、カワードが叫び注意を惹きつける。
少しの時間でもいい、なんとしてでもオブリビオンの砲撃をこちらに集中させなければならない。
そうしなければ自分が震える体を奮い立たせた意味がない。
少しでも永く、少しでも遠くにあのウォーマシンの軍勢を惹きつけなければ。
「ほう。殿を務めるか。若き宇宙の騎士。だが、何もかもが足りていないな」
猟書家『ミニスター・ブラック』は冷静であった。
幼きフォースナイトが殿を務める。死ぬと分かっての覚悟も侮ることなどしない。油断もなければ慢心もない。
ただ正しく戦局を見定め、勝利という二文字に向かって邁進していくのみ。
「貴様の行いは正しいのだろう。だが、その正しさを貫くだけの力もなければ、技量もない。知恵もない。ただの自棄に付き合う道理などない」
静かに、ただ静かに。
猟書家『ミニスター・ブラック』は配下のオブリビオン、ウォーマシンたちに告げる。
標的は、『騎士教練艦』であると。
幼きフォースナイトの決死の覚悟も何もかも無意味に帰すようにウォーマシンたちの構えた極大エネルギーチャージキャノンの砲口に光が収束していく――。
ユーリー・ザルティア
へえ、勇気ある子じゃない。
嫌いじゃないし死なせた良くない子ね。
教官さんたちもカッコいいし。
ここはボク達が一肌脱ぐ場面ね。
―レスヴァント。ユーリー・ザルティアでるッ!!
パールバーティにはARICAを搭載し無人運用。
教練艦とパールとの『集団戦術』で行くわよ。
前衛がボク。パールは後衛で『援護射撃』で教練艦のサポートよろしく。
攻撃力も判断力もよし。
強敵ね。ボクが囮になるよ。
UC発動して身軽に、アストライアの『制圧射撃』『範囲攻撃』で複数の敵に攻撃してつつ、反撃を『瞬間思考力』で一瞬の判断で『操縦』テクで回避行動。
機体を高速で動かしつつ敵の注意を引き付ける。
パール、教練さん今ッ!!
幼きフォースナイト、カワードは歯噛みした。
いつもこうだ。自分が何か事をなそうとするといつだってきまってこんなことになる。無駄になってしまう。
どれだけの決死の覚悟で宇宙空間に飛び出し、敵の注意を引こうとしても失敗してしまう。失敗続きの人生であった。
結局、自分は何も守れないのか。
「くそ……っ! くそっ! なんでこんな! 俺はまだなにもできちゃいないのに!」
宇宙を駆ける。
どれだけ速度を出しても、『大型標的砲撃用銀河帝国製ウォーマシン』の砲口がこちらを向くことはない。
間に合わない。
あれだけ迷惑をかけてきた恩師に報いることもできない。
「へえ、勇気ある子じゃない」
その声はこの宙域全域に響く声であった。
「――レスヴァント。ユーリー・ザルティア(自称“撃墜女王”(エース)・f29915)でるッ!!」
その銀河の闇色の中にひときわか輝く光があった。
二つの流れ星の如き光が宇宙を駆け抜け、『騎士教練艦』の砲口を向けるウォーマシンへと襲いかかる。
それはキャバリアと呼ばれる機動兵器。鋼鉄の巨人であった。
「嫌いじゃないし、死なせたくない子ね」
そう言ってユーリーのキャバリアの持つアサルトライフルが火を噴く。
放たれた弾丸がウォーマシンたちの機体を穿つ。爆発するウォーマシンたちの火球を尻目にユーリーの駆るキャバリア、レスヴァントと学習型AIを搭載した無人機『パールバーティ』が『騎士教練艦』を護るようにウォーマシンたちとの間に割り込む。
「き、貴君らは一体……」
『騎士教練艦』から通信が入るが、のんびりと話し込んでいる時間はない。
ユーリーは手短に伝える。
自分たちは味方であり、『帝国継承軍』との戦いに馳せ参じた者であると。アサルトライフルを放っても、敵ウォーマシンは装備した剣でこちらの攻撃を凌いでいる。
「前衛はボクが務める! 一緒に戦おう!」
突如として乱入した猟兵にも猟書家『ミニスター・ブラック』の指揮に乱れはない。むしろ、乱入すらも見越したかのような用兵は見事の一言に尽きることだろう。
「攻撃力も判断力も良し……強敵ね。ボクを囮に使って! ジャケットアーマーパージ。高機動モードへ移行。ぶっとべー!!ボクのレスヴァントッ!!」
レスヴァントの外部装甲が排除され、高機動モードへと移行し、宇宙を駆け抜ける。その速度は凄まじい加速で持って、ウォーマシンたちの目標を絞らせない。
アサルトライフルの射撃が面で彼等の行動を阻害し、剣による応戦も瞬間思考によって一瞬の間隙すらも縫うようにレスヴァントの超絶機動が駆け抜けていく。
「当たらないッ! 砲撃戦用の機体で、こっちをミドルレンジで捉えようなんて甘いよッ!」
そう、敵は砲撃戦の機体。
装備もそれなりに潤沢であるのだろう。だが、『騎士教練艦』を撃破しようと砲撃体制に入っていたのが、ユーリーの駆るレスヴァントによる撹乱に対応できない原因であった。
「『騎士教練艦』を狙おうとすれば、あの巨大機動兵器に阻まれるか。かといってあの機動兵器に狙いを絞ればこちらの目的は達成できぬ……なるほど。敵の狙いは各欄からの――」
猟書家『ミニスター・ブラック』は即座にユーリーの目的を看破した。
だが、それは僅かに遅い。
「すぐにこっちの狙いを見破ってきたッ……もう遅い! パール、教練さん、今ッ!!」
そう、ユーリーはレスヴァントでただむやみに狙いを縛らせないように撹乱していたのではない。
ワルツ・オブ・キャバリアのごとく円舞のようにウォーマシンを一箇所に追い込んでいたのだ。
「――……了解した!」
『騎士教練艦』に装備された砲撃と無人機『パールバーティ』の放つ援護射撃が一斉に一箇所に追い込まれた敵ウォーマシンたちへと降り注ぐ。
それは見事な戦術であった。
爆発し、火球が次々と生まれていく宇宙空間の中をユーリーはレスヴァントのモニター越しに見やる。
未だ『ミニスター・ブラック』の大軍勢は勢いを衰えさせない。けれど、敵の機先を制することはできたのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ファランス・ゲヘナ
【心境】
「ひゃっは~イ。久しぶりの宇宙の海ダ。」
オレ様が来たからにはメアリーセレスト号に乗ったつもりで安心したマエ(アレ)
【行動】
こちらファランス・ゲヘナ…ダ。
貴艦を援護すル。
GO龍星号!!
最近はキャバリアなんて玩具が流行ってるみたいだガ…世の中最後はおのれの力なんだゼ…何アレカッコ羨ましイ(0.2秒でんp手のひらクルクル)
『早業』『ダッシュ』で『残像』を残しつつ宇宙を駆けル。
当たらなければどうということはなイ。
コロニーレーザー“シュバルツェスマーケン”を起動。
『魔力溜め』+『力溜め』で充電は十分ダ…文明破壊砲で『レーザー射撃』
なぎ払エイ!!
「なんだ? なんだっていうんだ?」
若きフォースナイト、カワードは目の前で起こったことを理解できていなかったのかもしれない。
決死の覚悟で宇宙空間に飛び出した彼が目の当たりにしたのは、『大型標的砲撃用銀河帝国製ウォーマシン』を追い詰める猟兵の機動兵器。
スペースシップワールドには存在しない鋼鉄の巨人、キャバリアであった。
「ひゃっは~イ。久しぶりの宇宙の海ダ」
そこへさらなる闖入者が現れる。
それはファランス・ゲヘナ( ・f03011)のブラックタールのくおろいろであった。
「こちらファランス・ゲヘナ……ダ。貴艦を援護すル」
『騎士教練艦』へと通信を入れファランスは彼専用に改造を施された宇宙バイクを駆り、銀河を疾駆する。
それはまるで星が流れるように素早い機動で戦闘宙域を横断する。
すでに猟兵が駆けつけてくれているが、ファランスにとっては少し面白くない。
「オレ様が来たからにはメアリーセレスト号に乗ったつもりで安心したマエ――それにして最近はキャバリアなんて玩具が流行ってるみたいだガ……世の中最後はおのれの力なんだゼ……」
ふ、と格好良く決めてみたものの、鋼鉄の巨人たるキャバリアの活躍を見て、目を見開く。
凄まじい戦闘機動、柔軟な戦術。
鋼鉄の装甲が星星の光に反射する姿さえ、勇姿としてファランスの瞳に映るのだ。
「何アレカッコ羨ましイ!」
この間まさに0.2秒である。掌クルックルッである。
しかし、さりとて相対するウォーマシンの構える極大エネルギーチャージキャノンの威力は凄まじいものである。
数と出力さえ用意できるのであれば惑星すらも破壊せしめると言われていることはある。
それが宇宙船である『騎士教練艦』へと向けられれば、轟沈されてしまうことは明白だ。
だが、何も心配することはない。
「 こちらファランス・ゲヘナ!A2火力支援を要請すル。オーバー」
それはファランスがスペースシップワールドで所有するコロニーレーザーへと入れられた通信であった。
旧大戦時代に小型コロニーを改造されて作られたコロニーレーザー『シュバルツェスマーケン』。
それは旧式であったが、その一撃が現行兵器に通用しないという理由などどこにもない。
「すでに充電は十分ダ……文明破壊砲(シヴィライゼーション・デストロイヤー)! 薙ぎ払エイ!!」
すでに龍星号とファランスによってレーザー照射の座標は着けられている。充填されたエネルギーと敵ウォーマシンが放つ極大エネルギーチャージカノンとの出力の差は雲泥の差である。
放たれたコロニーレーザーの照射がウォーマシンと猟書家『ミニスター・ブラック』の艦隊を飲み込んでいく。
凄まじい火球が次々と生まれ、その威力を物語る。
「フン! どうだ。旧式であっても我がシュバルツェスマーケンの威力は絶大ダ!」
しかし、敵猟書家『ミニスター・ブラック』もさるものである。
その用兵さばきによって艦隊の半数はコロニーレーザーによって飲み込まれたが、未だ旗艦も健在である。
まだまだ戦いは長引きそうであったが、それこそファランスにとっては望むものである。
何せ久方ぶりのスペースシップワールドでの戦いであるのだから――!
成功
🔵🔵🔴
月夜・玲
まーいちおー故郷だし、また荒らされるのも嫌だし?
けど、古臭い過去のウォーマシンは、趣味じゃないんだよね
設計思想からして古くさーい
宇宙での砲撃なんて、対処は簡単簡単
ちょっとズレたら見当違いに飛んでくもんねー
さあ、えっと…何かこう悲劇の主人公ぶってる君!
後悔してないで、身体を動かす動かす
●
Blue Bird、空の記憶を抜刀
【Code:L.M】を起動
形状指定、球状迷宮で敵を包む
私は内部に侵入して、動き辛そうにしてる敵を『2回攻撃』で斬撃して斬り捨てよ
何て事はないさ、迷宮でまともな砲撃体勢を取らせなきゃ良いだけ
あ、そのうち迷宮撃ち抜いて脱出しようとするだろうから、出てきた所を狙い撃ちにしといてねー
極大のコロニーレーザーの一撃が猟書家『ミニスター・ブラック』の艦隊の半数を薙ぎ払う。
本来であれば、この一撃で敵との戦いの雌雄は決するものであったことだろう。だが、優れた用兵家でもある『ミニスター・ブラック』は即座に艦隊を立て直し、再び『大型標的砲撃用銀河帝国製ウォーマシン』を再編成し、『騎士教練艦』と未だ若いフォースナイトたちが乗る脱出艇を狙う。
「くそっ! 行かせるかよっ!」
若きフォースナイト、カナードが叫ぶ。
落ちこぼれであった己であっても、猟兵が乱入してくれたおかげで最低限の役割だけは果たせそうであった。
未熟、底辺と言われようとも、抗うと決めたのだ。
「まーいちおー故郷だし、また荒らされるのも嫌だし? けど、古臭い過去のウォーマシンは趣味じゃないんだよね」
月夜・玲(頂の探究者・f01605)は、その手に模造神器の二振りを抜き払い、宇宙空間に展開しているウォーマシンの設計思想を瞬時に見抜いていた。
彼女にとって技術とは進化し続けるものである。
だからこそ、過去の遺物であるとも言える過去の化身となったウォーマシンにはあまり興味が沸かないのだ。
「設計思想からして古くさーい。宇宙で砲撃なんて対処は簡単簡単。ちょっとズレたら見当違いに飛んでいくもんねー」
そう、宇宙での戦闘において長距離射撃ほど射線をずらすだけで当たらなくなるものはない。
大気がないこと、遮蔽物がないこと。それは射撃をする側からすれば好都合なことであったが、逆を取れば、それさえさせなければ当たらないのだ。
故に敵ウォーマシンを封殺するには射線を遮ればいいのだ。
「鋼の迷宮よ、世界を包め」
二振りの模造神器の力がユーベルコードの輝きとなって戦闘宙域を覆っていく。
それは鋼鉄で出来た迷宮。
Code:L.M(コード・ラビリンスメイカー)。偽りとは言え、神の力を再現するユーベルコードによって生み出された鋼鉄の迷宮は即座に敵ウォーマシンを飲み込んでいく。
「迷宮……!? なんで、こんなものが急に……!」
幼きフォースナイト、カワードが目を剥く。
これほどまでに強大な力を見せつけられれば、動揺してしまうのも無理なからぬことであった。
「さあ、えっと……何かこう悲劇の主人公ぶって君! 後悔してないで、身体を動かす動かす」
玲が先導するように鋼鉄の迷宮の中へ飛び込んでいく。
「後悔なんてするかよ!」
続けてカワードも迷宮の中に入り込む。
そんな彼が見た光景は、即座に玲によって四分割に切り払われた敵ウォーマシンの残骸の数々であった。
遅れて迷宮に入ったとは言え、そう時間が経っていないはずだ。
だというのに、既に迷宮の中に浮かぶ残骸は10を越えている。
「――……うそ、だろ……?」
「なんてことはないさ、迷宮でまともな砲撃態勢を取らせなきゃ良いだけ」
玲はなんてことのないように言い放ち、カワードの肩を叩く。いつの間に、という声を上げる前に玲言う。
「そのうち迷宮を撃ち抜いて脱出しようとすうrだろうから、出てきたところを狙い撃ちにしといてねー。後よろしくー」
そう言って再び玲は迷宮内で態勢の整わないウォーマシンを切り裂いていく。
「マジかよ……ほんとに俺必要か……?」
だが、玲の実力を前にして彼女の言葉を疑う気にはなれず、迷宮の外で待ち構えるカワードの前で迷宮を撃ち抜いて飛び出すウォーマシンの姿があった。
まるで予言のようでもあり、同時にカワードの最大出力ではなったサイキックの一撃がウォーマシンを貫き爆散させる。
自分にも出来たという思いと、凄まじき援軍――猟兵の力を心強く思う。
「さ、ここまでくればなんとかなるでしょー。後は、あの艦隊の旗艦にカチコミと行こう!」
玲は迷宮を解除し、猟書家「ミニスター・ブラック』の旗艦へと模造神器の切っ先を突きつけるのであった――!
大成功
🔵🔵🔵
杓原・潤
うるう、艦隊戦なんてスケール大きすぎてよく分かんない!
でもとりあえずあの子と艦を守ればいいんだよね、そっちを頑張ろう!
まず艦を狙ってる敵に流星の魔法を【乱れ撃ち】!
どこからの攻撃かも分かる様に撃って【挑発】しよう。
こっちに高速移動してきたらユーベルコード発動!
雷の【属性攻撃】を籠めた泡をばらまきながら、【逃げ足】で【時間稼ぎ】して艦を守るぞ!
泡の【結界術】に引っかかればダメージか【目潰し】にはなると思うから、敵の足を止めた所をフォースナイトさんに攻撃して貰おうかな。
抜けてきた相手とは【オーラ防御】で身を守りながら【空中戦】しちゃおう。
そこの子も頑張って!
帰ったらジュース奢ってあげるから!
次々と宙域に展開された『大型標的砲撃用銀河帝国製ウォーマシン』が猟兵達によって撃破されていく。
それは先程まで幼きフォースナイト、カワードが殿を務めなければならなかった光景からすれば、嘘のような現状であったに違いない。
だが、未だ猟書家『ミニスター・ブラック』の旗艦は健在であり、艦隊の半分は残存していた。
その戦力だけでも『騎士教練艦』の破壊は可能であり、若きフォースナイトたちを抹殺し、闇の騎士――オブリビオンとして蘇らせようとする『ミニスター・ブラック』の策動は止まらなかった。
「うるう、艦隊戦なんてスケール大きすぎてよくわかんない! でもとりあえず、あの子と艦を守ればいいんだよね!」
そっちをがんばろう! と杓原・潤(人間の鮫魔術士・f28476)はスペースシップワールドのあまりのスケールの大きな戦いに理解が追いついていなかった。
けれど、自分がなせることを為そうとする心は、何をするべきかを正しく理解していた。
幼きフォースナイト、カワードは潤とほぼ同じ年代であろう。
あの年で殿として大切な者たちを逃がそうとする気概は潤にとっては好ましいものであったのかも知れない。
「まずは、流星の魔法で!」
星型のアクセサリーから乱れ撃たれる流星の魔力。
それは自身の存在をアピールしながら、敵の注意をこちらに向けさせるためであった。わざと自身の位置を明確にし、攻撃を集中させようというのだ。
「あ、おい! そんなにやたらめったらに撃ったら!」
フォースナイトのカワードが止めに入ろうとするが、潤にとって敵ウォーマシンが向かってくるのは計算通りであった。
敵ウォーマシンの背中に負った放熱板が、その機動性を上げ一気に闖入者である潤を排除せんと迫るのだ。
しかし、潤も負けてはいない。
「うるうは魔法使い!星の魔法使いなんだから! だから心配なんてしなくっても大丈夫!」
星の魔法使いへと変身した潤は魔法の箒にまたがって銀河の海を駆け抜ける。
ばらまかれる雷の力が籠められた泡をばらまきながら、自身を追いかけ、追いすがろうとする敵ウォーマシンを次々と撃ち落としていく。
雷の力が籠められた泡は結界術である。
その泡に囚われれば、雷の力でウォーマシンの機体の中の電気系統を焼き切るし、泡は目くらましになってこちらを見失ってしまう。
「今よ! フォースナイトさん!」
潤の合図と共にカワードがサイキックエナジーによる攻撃で敵ウォーマシンを爆散させる。
「頑張って! 帰ったらジュース奢ってあげるから!」
にっこりと笑い、潤は魔法の箒にまたがったまま泡の魔法を撒き散らし、フォースナイトであるカワードと連携して敵ウォーマシンを駆逐していく。
同じ年代故か、すぐに連携が取れてくる。
「それはこっちのセリフだって!」
頼もしい援軍、絶望しなくてもいいという事実。まだまだ戦いは続くけれど、それでも潤の齎したものは若きフォースナイトにとっては得難いものであったことだろう。
「抜けてきた――! なら、ウィザーズ・マニューバ!」
泡の魔法を抜け出てきた敵ウォーマシンと高速移動に寄るドッグファイトが始まる。三次元の機動を描きながら、潤の跨る箒が凄まじい速度で銀河の海を駆け抜ける。
彼女の箒が撒き散らす星のような輝きは、次々と雷の魔力を伴って敵ウォーマシンを貫いていく。
「じゃあ、競争ね! どっちがたくさん敵を倒せたか! それならいいでしょう?」
こんなときでも潤は笑顔を忘れない。
こんあ時だからこそ、忘れてはならないものがある。
どれだけ戦いが過酷であっても、潤は魔法使いなのだ。
誰かを笑顔にするのが本物の魔法使いなのだから――!
成功
🔵🔵🔴
フォルク・リア
敵を観察
(機械は苦手だけど。どう壊せばいいのか位は
学んできたつもりだ。)
ディメンションカリバーを発動
魔石を呪装銃「カオスエンペラー」に搭載
砲口に狙いを定め死霊を放つ。
「先ず一手。主砲がなければ計画も崩れるだろう。
あの教練艦も様子を見て合わせてくれる事を願うか。」
そして砲撃を防がれた兵がは向かうのは、此方か。
カワードに
「準備は良いかい。出来てなくとも
待ってくれそうにないが。」
月光のローブに魔石を付替え
敵の動きを【見切り】
放熱板にディメンションカリバーの斬撃を放つ。
「強度が高くとも熱を纏えば脆くなる。
そこを狙い砕けば行き場のなくなった熱は…。」
内部で暴走し自壊する。
カワードにそこを狙えと言う様に。
世界とは一つではない。
それは猟兵であれば誰しもが知る事実である。この世界とは違う世界が存在し、違う文化が存在する。
技術体系も違えば、存在するものも違う。種族すらも越えて世界を渡り歩く猟兵であればこそ、己の知る世界との違いを如実に知る事だろう。
フォルク・リア(黄泉への導・f05375)にとって研究とは魔術の研鑽と追求であった。
つまるところ、猟兵として戦いに参加すればするほどにフォルクの求める研究は練磨されていき、その力を増していく。
例え、空の彼方に在る宇宙、星々の海を征く銀河渡る宇宙船が往来する世界であるスペースシップワールドであっても変わることはない。
「先ずは一手。主砲がなければ計画も崩れるだろう――広大なる大空の力を内包せし魔なる欠片。この手に宿りてその力を示し。聖も魔も、絹も鋼も等しく断ち切れ」
フォルクは魔石を呪装銃を搭載し、距離を無視し空間すら断つ斬撃を打ち出す。
それはディメンションカリバーと呼ばれ、『騎士教練艦』を狙う猟書家『ミニスター・ブラック』の配下である『大型標的砲撃用銀河帝国製ウォーマシン』の持つ極大エネルギーカノンの砲口へと死霊を載せて斬撃を打ち出す。
「あの教練艦も様子を見て合わせてくれることを願うか」
魔術、呪術を研究対象とするフォルクにとって機械は苦手分野と言えるものであったが、どう壊せばいいかは学んできたつもりであった。
放たれた斬撃が敵ウォーマシンの構える砲口へと突き刺さり、その砲身を弾けさせる。
「砲撃はさせない。そして、砲撃を防がれた兵が向かうは――此方だろうな」
銀河の海、宇宙空間に浮かびながら敵機がこちらを見据えるのを確認する。
純白のローブに魔石を付け替え、こちらへと迫る敵ウォーマシンの超高温を纏う放熱板を躱す。
すれ違いざまにエネルギーカノンを放ってくるが、それを空間を断絶させるように純白のローブを翻す。
「あんた! 囲まれるぞ!」
幼きフォースナイト、カワードがフォルクが敵ウォーマシンに囲まれていると思ったのだろう、駆けつけてくれる。
しかし、フォルクは短くうなずく。
慌てた様子もないことにカワードは訝しげな顔になってしまうが、フォルクは構わず告げる。
「準備は良いかい。出来てなくとも待ってくれそうにないが……」
「あんた、何を……」
高熱を伴った放熱板。それを纏いフォルクとカワードを取り囲むように飛ぶ敵ウォーマシンへと放たれるディメンションカリバーの斬撃。
それは放熱板へと放たれ、その機能を奪う。
これほどの高速機動を行うためには相当な熱量……即ちエネルギーを消費するだろう。とするならば、あの放熱板がなくなればどうなるか。
「強度が高くとも熱を纏えばもろくなる。そこを狙い砕けば行き場のなくなった熱は……」
敵ウォーマシンの内部ジェネレーターが冷却する間もなく機体の中で暴走し、次々と自壊していく。
それはともすれば自滅を誘ったように見えたことだろう。どれだけの数が居ても敵観察し、どう破壊すればいいのか。
その知恵を授けるようにフォルクはカワードと共に敵ウォーマシンの放熱板を次々と破壊していく。
「なるほどな。宇宙の騎士……言わずとも見て覚えるか。砂地に水を染み込ませるのと同じ様に……余程師に恵まれたと見える」
フォルクは言わずとも戦うカワードの姿にうなずく。
どれだけ猟書家『ミニスター・ブラック』が彼等を殺そうと画策しても、彼等は墜ちることはないだろう。
清廉さしか受け継いでいないと言ったが、それが弱さに為るわけではないのだと今、カワードの戦いぶりは、それを照明しているようにフォルクには思えたからだ――。
大成功
🔵🔵🔵
アリッセ・トードゥ
フォースナイト、か。良い称号だな。
「助力する。任せろ、私もフォースナイトだ。」
作り物だけどね。
スラスター全開、【推力移動】で突入。同士討ちの可能性で砲撃し難くする。
近接攻撃も出来る様だが、どんな世界だろうと万能の兵器なんてものは無い。砲戦型である以上、無理をしている筈。
「フィジカルジャマー」で【ジャミング】しながら「フォースチェーン」で纏めて【なぎ払い】【切断】する。
レーダーで全体の動きを【索敵】【情報収集】、AIとの並列思考による【瞬間思考力】で攻撃や追撃をかわし【カウンター】で切り裂く。
目的は殲滅じゃなく撹乱だ。だが対応しない訳にもいくまい?
今のうちだ、本家フォースナイト。援護射撃を頼む。
『宇宙の騎士』――フォースナイト。
それはサイキックエナジーをたぐり、悪を砕く騎士の名である。
スペースシップワールドにおいては、多数の猟兵を輩出する者達であり、才能ある者は幼き頃から修練を欠かさない。
そのための『騎士教練艦』である。
それを狙うのは猟書家『ミニスター・ブラック』。彼はフォースナイトたちを殺し、組成させることによって闇の騎士――オブリビオンへと変えることを目論んだのだ。
だが、その目論見も達成することはできないだろう。
オブリビオンの策動は常に猟兵の予知によって嗅ぎつけられる。行動を起こした瞬間に捉えられるようなものであった。
「フォースナイト、か。良い称号だな……」
アリッセ・トードゥ(BE-MADER・f30023)は白きキャバリア、『CZ-X』を駆り、スペースシップワールドの宇宙を進む。
スラスターを全開にし、推力移動で戦場となった『騎士教練艦』と猟書家『ミニスター・ブラック』の大艦隊の間へと割り込む。
すでに猟兵達との闘いが始まっており、『ミニスター・ブラック』の大艦隊も半数が撃滅されている。
それでもまだまだ『大型標的砲撃用銀河帝国製ウォーマシン』の数は健在である。無数に散らばるように展開された敵ウォーマシンは幼きフォースナイト、カワードを取り囲むようにして戦いを繰り広げている。
猟兵達による助言によって、徐々に本来の力を引き出しつつ在る彼であったが、多勢に無勢である。
「助力する。任せろ、私もフォースナイトだ」
白いキャバリアと共に駆けつけ、敵ウォーマシンの機体を寄せ付けぬようにとカワードと背中合わせになる。
己の体はレプリカントであるがゆえに、彼等の言うフォースナイトとは純正という意味では違うのかも知れない。
けれど、その体に流れる宇宙の騎士としてのサイキックは脈々と紡がれているのだ。
「あんたも? 心強い。背中を頼めるか?」
「任せておけ。敵は近接攻撃もできるようだが、どんな世界だろうと万能の兵器なんてものは無い。砲撃型である以上、無理をしているはず」
機体からサイキックエナジーが噴出し、疑似質量を持った幻影が投射され、圧倒的な機動によって、キャバリアの姿を銀河に舞い踊らせる。
放たれたフォースチェーンがサイキックエナジーを吸い上げて、敵ウォーマシンの機体装甲を薙ぎ払っていく。
絡め取り、切断する姿はまさに一機当千(サウザンドキル)。
「数を揃えれば勝てると思うな!」
そう、アリッセにとって闘いとは常に無数の敵とを意味する。
ならばこそ、彼女の戦いぶりはまさに並ぶべきものの無きものであるが、同一存在であるAI『ALICE』との並列思考による瞬間思考によって彼女を狙う砲撃や斬撃を即座に回避さしめる。
そこに作りものであるという意味は一切ない。
純然たる戦うという意志があればこそ、彼女の戦闘機動は舞い踊るようにキャバリアを駆るのだ。
「目的は殲滅じゃなく撹乱だ。だが対応しない訳にもいくまい? 今のうちだ、本家フォースナイト」
その言葉にカワードと『騎士教練艦』からサイキックエナジーの砲撃が敵ウォーマシンに降り注ぐ。
「見事な援護射撃だ。さすがだな……」
戦いはまだ終わらない。
けれど、それでもアリッセは己の力の一端の源流とも言うべき宇宙の騎士たちとの共闘に誇らしげでもあったのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
リューイン・ランサード
カワードさんには何か親近感を覚えます。
僕も頑張ります…怖いけど<汗>。
弩羅轟えもんを遠隔操縦。
空中戦・推力移動で機敏に動き、敵攻撃は第六感・見切りで読んで躱すか、ビームシールド盾受けで弾く。
スナイパーでダブルビームライフルとハイパー・バスターキャノンの照準合わせ、一斉発射・砲撃・貫通攻撃・範囲攻撃で剣を貫き、複数纏めて撃破。
近接戦では流水剣の光の属性攻撃・2回攻撃で斬る。
リューインはカワードさんと共に行動。
結界術で二人分の隠密結界を形成。
空中戦・推力移動で接近し、光の属性攻撃が籠ったエーテルソードの2回攻撃・怪力・鎧無視攻撃で敵機を断ち斬る。
敵攻撃は第六感・見切りで躱したり、オーラ防御で防ぐ。
戦いを恐れぬ者ばかりが戦うものではない。
戦いを強いられる者もいれば、戦いを恐れる者もいる。それは猟兵であっても変わることはない。
戦いを恐れ、けれど立ち向かう心があるからこそ宇宙の騎士は清廉であるのだ。己を臆病者と言う幼きフォースナイト、カワードの姿にリューイン・ランサード(竜の雛・f13950)は親近感を覚えていた。
「僕もがんばまります……怖いけど」
恐ろしいという感情を吐露することは、ともすれば他者からの非難を浴びることもあるだろう。
けれど、それでも己の感情から目を背け、向き合うことをせぬ者に戦う力は宿らない。
ドラゴニアン型スーパーロボットがスペースシップワールドの宇宙に舞い降りる。青と白を基調とした静観なフォルム。
名を『弩羅轟えもん』。リューインによって遠隔操作され、『大型標的砲撃用銀河帝国製ウォーマシン』と渡り合う。
「弩羅轟えもん、オブリビオンが僕達をいじめるんだよう。お願いだから助けてよ!」
思わずそんな風に叫んでしまう。
助けて~弩羅轟えもん!(オブリビオンシュクセイノハジマリ・・・)とは、まさに言葉通りのユーベルコードであった。
脳波コントロールによって操られるドラゴニアン型スーパーロボットは戦場である宇宙においても、その力を最大に発揮する。
しょうがいないなぁ君はと呆れる弩羅轟えもんの声が聞こえてくるようであったが、それも戦場に飛び交う砲撃と剣戟にかき消されていく。
「カワードさん! 結界術の範囲の中へ!」
リューインが生み出した隠密結界の中へとカワードを招き入れる。これならば敵の砲撃の標的に為ること無く誓うづくことができる。
「助かる……! あのでかい龍の機動兵器が敵を惹きつけてくれているから、その隙を付いて敵ウォーマシンを撃とう!」
漲るサイキックエナジーはフォースナイトとして彼が今まで培ってきた力であろう。
どれだけ恐れを抱いていたとしても、その心根にある戦いへの怒りは変わることはない。
穏やかに過ごせるのならば、こんなにも幸せなことなど無いはずなのにオブリビオンは戦乱を撒き散らす。
それに対する怒りはリューインもまた同じであった。
ドラゴニアン型スーパーロボットの放つダブルビームライフルとハイパー・バスターキャノンの光条が戦闘宙域を切り裂くように敵ウォーマシンたちを火球へと変えていく。
「そううしましょう! 今です!」
隠密結界から飛び出し、リューインとカワードが撃ち漏らされた敵ウォーマシンの背後からそれぞれのエーテルソードとサイキックエナジーをぶつけ、赤き装甲を破壊し、霧散させていく。
戦いの趨勢は猟兵たちとフォースナイトたちへと傾きつつあった。
未だ猟書家『ミニスター・ブラック』の旗艦は無事であるが、敵軍勢を蹴散らしてしまえばその道もまた自ずと開かれることだろう。
どれだけ恐ろしいと戦いを忌避したとしても戦いは己の前の前にやってくる。
ならば、その時立ち向かうか、逃げるかは、その時でなければわからない。
リューインもまたそうだ。
怖いと思いながらもこの戦いに馳せ参じた意味。
それは彼の中にある一欠片であったとしても輝く勇気であったのだ。それがカワードとリューインに共通するものであり、彼等の心の光が暗澹たるスペースシップワールドに灯す希望の光でもあったのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
護堂・結城
臆病で結構。誰かを押しのけ生き延びる勇気より
誰も見捨てられない臆病の方が助け甲斐がある
まぁせっかくだ、しっかり手貸してくれや
【POW】
高速充填に長射程、数もいる…なるほど、脅威だ
「視認できたら、な」
【迷彩】の【結界術】を使い宇宙の【闇に紛れる】
それでも大砲を構えるなら【魔力溜め・多重詠唱】で威力を上げた雷の【属性攻撃・誘導弾】で【先制・貫通攻撃】だ
「見つかるのが先か、斬るのが先か」
「元気な奴は叩くから抜けたのは頼むぜ、フォースナイト」
UCを発動、闇属性の鎧を纏って【空中戦】開始だ
氷牙を斬馬刀に変化させ、武装を構えた奴から優先して狙う
高速飛翔のすれ違いざまに【怪力】任せの【切断】を仕掛ける
人の心はいつだって強いものではない。
最初から強い者など存在しない。どれだけの存在がいようとも、それは変わらない。生まれてきたからこそ生命は庇護されるものであったり、また逆に護る存在へと変わることだってあるのだ。
「臆病で結構。誰かを押しのけ生き延びる勇気より、誰も見捨てられない臆病の方が助け甲斐がある」
それは、護堂・結城(雪見九尾・f00944)にとって当然のことであった。
幼きフォースナイト、カワードが決死の思いで殿を努めたのも、その心に宿った清廉なるものがあるからであろう。
『騎士教練艦』で彼が学んだこと、師から得たことは何も間違っては居ない。
猟書家『ミニスター・ブラック』は嘗ての宇宙の騎士たちから、今のフォースナイトは大きく衰えたと言う。
その言葉はすべて誤りであると言わざるを得ない。
たった一人の幼きフォースナイトの決意が、多くの猟兵達をこの戦場へと招いたのだから。
「まぁせっかくだ、しっかり手貸してくれや」
戦闘宙域を駆け抜ける結城。
展開された『大型標的砲撃用銀河帝国製ウォーマシン』の軍勢を見やればなるほどという思いが湧き上がる。
それは猟書家『ミニスター・ブラック』の勝利への執着だ。
慢心もなければ油断もない。
猟兵達の攻撃によって大艦隊は削がれているものの、それでもなお壊走することなく陣形を維持しているのは『ミニスター・ブラック』の類まれなる用兵故であろう。
「高速充填に長射程、数もいる……そしてそれを用いる将に慢心なしと」
ならば、それは結城にとっては打破すべきものである。
幼きフォースナイト、カワードは猟兵に助けられながらも、今まで学んできたことを遺憾無く発揮している。
「なら、こっちはやるべきことをやるぜ」
彼は迷彩の結界術にて宇宙の闇に紛れていく。
だが、敵ウォーマシンのセンサーは結界術が生み出す宙域の空白から彼の位置を割り出す。それは敵ウォーマシンが考えたことではなく、勝利へと至るための手段を熟知している『ミニスター・ブラック』の指示であろう。
構えた極大エネルギーカノンを前に結城が魔力を練り上げ多重詠唱によって放った雷の攻撃で機先を制する。
「案外早く見つけられたな。『ミニスター・ブラック』……油断も慢心もないっていう将は手強いが!」
結城の瞳がユーベルコードに輝く。
彼の全身を竜を模す巨大兵装で覆ってく。
それは理不尽に反逆する意志の強さに応えるように、結城に凄まじき戦闘力を付与していく。
闇色の鎧を纏い、氷牙と名付けられたドラゴンアームズを斬馬刀の巨大なる刀身に変え、戦場を駆け抜ける。
それは雪見九尾の夢幻竜奏(ハンギャクノウタヲカナデヨ)。
奏でられるは斬馬刀が極大エネルギーカノンを切り裂く破壊の音。高速で飛翔し、怪力に寄る力任せの切断。
その威力は凄まじい。
「元気なやつは叩くから抜けたのは頼むぜ、フォースナイト」
結城の呼びかけに『騎士教練艦』からサイキックエナジーの砲撃が飛ぶ。幼いフォースナイトであるカワードもそれに応えるようにサイキックエナジーを噴出させ、武装を喪った敵ウォーマシンを撃破していく。
「これで戦況は五分。後は親玉の猟書家のみ……ああ、まだ納得いかねぇ!! 俺はまだ何一つこんな戦いに納得なんかしていねぇ!!」
それは『ミニスター・ブラック』への宣戦布告であった。
未だ旗艦は健在。
必ずやあの旗艦へと乗り込み、猟書家を、理不尽の権化を打ち倒さねばならぬと、闘志を結城は燃やすのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
アレクサンドル・バジル
おーやってるな。黒大臣閣下を殺る前に赤い集団か。
『戦闘モードⅠ』を発動して黄金の魔力を纏って戦場へ。
敵powuc対策
超音速で接近。魔力により複数の残像をデコイとして出現させる。
視認頼りの照準を合わせさせず、仮にあっても一秒もの充填時間があれば懐に入り込める。すれ違いざまに魔力を宿した拳で「ホウセンカ」と放熱板を破壊。ウォーマシンの破壊に拘らず、ucに必要な武装を壊して回る。
ある程度、掻き乱した然るのちに『騎士教練艦』の騎士達に呼びかけ。
「トドメよろしく! 油断すんなよ」
その後は騎士達の戦いを見守りつつ、まずければフォローをいれつつ戦います。
さあて、体もあったまってきた。そろそろ本番かね。
「おーやってるな。黒大臣閣下を殺る前に赤い集団か」
黄金の魔力がスペースシップワールドの銀河の闇色の中でひときわ強く輝いていた。
そのオーラは銀河の海を征く者たちにとっても目映い光であったことだろう。アレクサンドル・バジル(黒炎・f28861)は戦場となった宙域を見下ろす。
未だ猟書家『ミニスター・ブラック』の大艦隊は半分を猟兵達によって消耗されているとは言え、旗艦は健在である。
フォースナイト育成のための宇宙船『騎士教練艦』も無事であることが幸いであったし、殿を務めようとした幼きフォースナイト、カワードも猟兵たちと共に、これまで学んできたことを十全に発揮できている。
戦闘宙域に展開する『大型標的砲撃用銀河帝国製ウォーマシン』の軍勢は未だ数を残している。
装備された極大エネルギーカノンの砲口は未だ『騎士教練艦』を狙っているのであれば、それを阻まなければならない。
「魔力解放――……行くぜ!」
高速でエネルギーチャージを終えてしまうのであれば、それを超える超音速で飛び込み、無数の魔力に寄る残像を囮として宙域にばらまくように駆け抜ける。
どれだけ機械かされたウォーマシンと言えど、そのセンサーによって照準を合わせているのだとすれば魔力を残滓として残すアレクサンドルの残像の前には容易に照準を彼自身に合わせることは難しいだろう。
「遅い!」
飛び込んだ懐から放たれる拳が敵ウォーマシンの極大エネルギーカノンの砲身をひしゃげさせ、へし折る。
さらに回り込んで放熱板を拳の連打が砕く。それはまぐれ当たりでも流れ弾が『騎士教練艦』へと飛来することを避けるために必要なことであった。
万が一などあってはならない。
猟書家『ミニスター・ブラック』が狙うのは宇宙の騎士たるフォースナイトたちである。彼等を殺し、蘇生させることによって闇の騎士即ちオブリビオンとして復活させようとしているのだ。
だが、アレクサンドルは彼等を護られるだけの者たちではないことを知っている。彼等は彼等自身の力で己の身を守ることのできる者たちである。
「トドメよろしく! 油断すんなよ!」
撹乱するように敵ウォーマシンの群れを分断して、『騎士教練艦』に存在する騎士たちへと呼びかける。
敵ウォーマシンのユーベルコードの要である極大エネルギーカノンと放熱板さえ排除できれば、彼等とて遅れを取ることはないだろう。
戦闘モード Ⅰ(ディアボルス・ウーヌム)の放つユーベルコード、その黄金の輝きを眩く明滅させアレクサンドルは宙域を駆け抜ける。
「さあて、体も温まってきた」
戦いながら、己の肉体が徐々に強敵との戦いに備えている事をしる。
優れた用兵家にして猟書家。そして戦士でもある『ミニスター・ブラック』。その力の強大さは説明されるまでもない。
その旗艦を見据え、アレクサンドルは真正面から突撃するように飛翔する。
黄金の魔力は次々と敵ウォーマシンを穿ち、砕いていく。
彼を阻むものはなにもなく、その真摯を止めることなどできようはずもない。見据える先には大艦隊の旗艦。
そこに座す猟書家『ミニスター・ブラック』の打倒を持って、この事件はほんとうの意味での終焉を迎える。
「救うだけではなく、その大本を断ち切らなければならない……そろそろ本番かね。そうだろう、『ミニスター・ブラック』。相手してやるよ――」
そう不敵に笑ってアレクサンドルは旗艦へと突入していくのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
アルトリウス・セレスタイト
さて、働くか
戦況は『天光』で常時把握
自身への攻撃は『絶理』『刻真』で触れた瞬間終わらせ影響を回避
必要魔力は『超克』で“世界の外”から供給
天楼で捕獲
対象は戦域のオブリビオン及びその全行動
原理を編み「迷宮に囚われた」概念で縛る論理の牢獄に閉じ込める
高速詠唱を幾重にも重ね『刻真』『再帰』で無限に加速・循環
無数に重複展開し強度と自壊速度を最大化
見えず触れ得ぬとも既に虜囚
迷宮を解かねば何も出来ず破壊手段も自壊対象
万一破れても即座に次を展開するのみ
何にせよ急がねば存在が消えるぞ
迷宮の内から外へは何も出来ず味方は対象外ゆえ逆は自由
精々憤れ
出口は自身に設定
万一辿り着くなら『討滅』を乗せ打撃で始末
※アドリブ歓迎
戦いの趨勢はすでに猟兵達と『騎士教練艦』へと傾いていた。
だが未だ猟書家『ミニスター・ブラック』の大艦隊の半数は残っている。旗艦に座す『ミニスター・ブラック』を仕留めなければ、この戦いはまた宇宙の騎士であるフォースナイトをオブリビオンへと蘇生させようとする目論見を打ち砕くことは敵わない。
それを宙域に漂う淡青の光が全てアルトリウス・セレスタイト(忘却者・f01410)に伝える。
「さて、働くか」
短く告げる。その手に編まれる魔力は膨大なものであったが、世界の外より汲み上げるという力は、彼以外に理解は及ばないものであったことだろう。
だが、その力の強大さは言うまでもない。
強大さ故に読まれることもある。それは優れた用兵家である『ミニスター・ブラック』にとってすれば当然の行動で在ったのかも知れない。
宙域を覆う帯びた正しい魔力。
それはユーベルコードの輝きによって発せられる天楼(テンロウ)。アルトリウスが指定したオブリビオン――『大型標的砲撃用銀河帝国製ウォーマシン』に大して原理を編みあげる。
「惑え」
淡く輝く青色の光が敵敵ウォーマシンを迷宮の中に堕とす。それは捉えた存在を消去する自壊の原理によって生み出された迷路である。
そのユーベルコードを維持するには膨大な魔力が必要であったが、高速詠唱を幾重にも重ねたアルトリウスのユーベルコード、そして世界の外より汲み上げる魔力によって維持された迷路は堅牢そのものである。
惑星すらも破壊できると言われた無数の極大エネルギーカノンの砲撃が放たれるも、その端からエネルギーが霧散し消えていく。
「見えず触れ得ぬとも既に虜囚。迷宮を解かねば何も出来ず、破壊手段も自壊対象。万一敗れても即座に次を展開するのみ」
編まれていく迷宮は幾重にも張り巡らされている。
仮にエネルギーカノンによって破壊されたとしても現れるのは次なる迷宮でしかない。
唯一の出口はアルトリウス本人である。
「出口にして最後の門番と言ったところだろう。どちらにせよ、捕らわれた時点でお前たちの運命は決している」
相対した時点での消滅は決定しているようなものであった。
だが、それでも『ミニスター・ブラック』の旗艦は難を逃れていた。如何なる原理を用いたのかはわからない。
けれど、その旗艦の力によってか、それとも猟書家『ミニスター・ブラック』の力に寄るものか、どちらにせよ己の原理で捕らえられぬ者が居たという事実はすでに淡青の光によって観測済みである。
「事前に見たか。それとも理解したか。どちらにせよ、骸の海に還るほかないのだから、それもまた無意味。精々憤れ。衰えたと侮った宇宙の騎士が見せ、呼び寄せた猟兵という力の前に屈するがいい」
アルトリウスは迷宮内に取り込まれたオブリビオンたちを自壊させ淡青の光りに包まれながら、その全てを骸の海へと還すのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
設計思想が古臭いのは否めませんね(苦笑)
古代銀河帝国時代
同じ設計者の手で彼らや私達は生み出されたのですから
(記憶無くとも世界知識で把握)
あれは人間大の標的は不得手
カワード様、臆することはありません
いえ、騎士ならば臆してはなりません
あれの仮想敵は戦艦、拠点、居住船…大量虐殺が目的なのですから
人々へ撃たせぬ為の敵陣突入…手本を示します
私に続いて下さい
サイキックを研ぎ澄まし熱感知
発射タイミングを見切って回避!
(己はセンサー)
念動力併用し急速方向転換!
三次元を常に意識!
(機械馬騎乗し推力移動ランス攻撃)
帝国の遺物たる私達に遅れを取ってはなりません!
経験を積み、勇気は既に胸中に
ええ、貴方は立派な騎士です
『大型標的砲撃用銀河帝国製ウォーマシン』。
それは嘗て生み出された居住可能惑星を破壊せしめたとの疑いをも持つウォーマシン群である。
その装備した『ホウセンカ』と呼ばれる極大エネルギーカノンの一撃は群で放てば確かに巨大な宇宙船と言えどひとたまりもない威力を持っていたことだろう。
ただ標的を破壊するためだけに存在するウォーマシンという設計思想は、たしかに古臭いと言わしめられたのは頷けるものであったのかもしれない。
「それは――否めませんね」
苦笑のような雰囲気を言葉に滲ませながら、トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)は、己と同じ設計者の手で産み落とされた『大型標的砲撃用銀河帝国製ウォーマシン』の赤い装甲の破片を見やる。
トリテレイアの電脳に記憶はなくとも、圧縮パッケージされた世界知識の中には確かに存在している。
あの敵ウォーマシンの設計者は己の機体と同じ存在であると知れる。
「あれは人間大の標的は不得手……カワード様、臆することはありません」
「だけど、あの火力は厄介だぜ……でかいデブリだって溶かすみたいに……」
多くの猟兵たちに励まされ、戦いの中で今まで培ってきたものを開花させた幼きフォースナイト、カワードをしても未だ完全に戦いに対する恐れを払拭はできていない。
それはトリテレイアにとっては好ましものであった。
己が護らなければならない者たちでもあるとい証でも在ったのだ。だが、宇宙の騎士――フォースナイトとして才能を持つが故に果たさねばならぬ責務がある。
だからこそ、トリテレイアは言う。同じく騎士道精神を炉心に燃やす者として、彼は言わなければならない。
「いえ、騎士ならば臆してはなりません。あれの仮想敵は戦艦、拠点、居住戦……大量虐殺が目的なのですから」
その言葉はカワードにとって、最も恐れるものであったことだろう。
ともすれば、己の生命が失われることよりも恐れるものであった。己以外の誰かの生命が脅かされる。
それに対する怒りこそが、カワードを無謀なる決死の戦いに駆り立てたのだから。
その瞳を見れば分かる。
戦うものであると。恐れをいだきつつも、否定せず飲み込むことのできる若者であるとトリテレイアは知る。
「人々を撃たせぬ為の敵陣突入……手本を示します。私に続いて下さい」
それは堂々たる機械騎士の突撃(マシンナイツ・チャージ)であった。
スラスターを突撃モードへと移行し、一瞬で間合いを詰める。敵ウォーマシンはすでに群れとしての体制を保てなくなるほどに猟兵達によって食い破られている。
なればこそ、己の技術、戦術を後に託すための手本が見せられる。
敵の注目を集める。まずはそれが第一段階である。
「サイキックを研ぎ澄まし、熱感知。発射タイミングを見切って回避!」
トリテレイアのセンサーは人間たちとは違う。
人間の感覚とは違うが、カワードたちフォースナイトはサイキックを扱うことができる。それは機械から劣っているであるとか、勝っているとかではない。
ただ言葉が違うだけの話だ。
センサーが熱源を捕らえ、放たれた極大エネルギーカノンを躱す。
「念動力併用し、急速方向転換! 三次元を常に意識!」
機械馬ロシナンテⅡを駆り、構えた馬上槍に備えられたスラスターと共にトリテレイアは敵ウォーマシンを貫き、破壊する。
装甲の破片がばらまかれ、それらがむさんし消えていく。
例え、己の機体の設計に関わった設計者が、これらの大量虐殺を目的とした機体を作り上げたのだとしても、トリテレイアの中にある誇りは一片も欠けることはなかった。
なぜならば。
彼のアイセンサーには彼の言葉を受けてサイキックエナジーを研ぎ澄まし、放出させ戦うフォースナイト……宇宙の騎士の姿があったからだ。
帝国の遺物である己。
その払拭できぬ過去を持つ己であったとしても、正しき者を導くことはできる。
「できる――……! 俺だって、できるんだ!」
彼に足りなかったのは自信だけでしかなかったのだ。
己の中にあり、積み上げられた経験、そして勇気はすでに彼の中に在る。だからこそ、トリテレイアは惜しみない賞賛を送るのだ。
「ええ、貴方は立派な騎士です」
互いの視線が交錯する。
宇宙の騎士と機械騎士。そのどちらも胸に抱くは騎士道精神である。なればこそ、その志は種族の垣根を超えて、時代すらも、所属すらも超えて紡がれていくのだと、トリテレイアは知るのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『ミニスター・ブラック』
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POW : マジックブロウ
【魔力を籠めた拳】で攻撃する。[魔力を籠めた拳]に施された【魔力制御】の封印を解除する毎に威力が増加するが、解除度に応じた寿命を削る。
SPD : 追加装甲
自身に【漆黒の機械装甲】をまとい、高速移動と【自律行動するビット】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ : ボミングレイド
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【着弾地点で爆発する魔法弾】で包囲攻撃する。
イラスト:純志
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠ムルヘルベル・アーキロギア」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「……我が艦隊の全てが打ち破られたか。なるほど」
猟書家『ミニスター・ブラック』は己の旗艦の中に座していた。
率いた大艦隊は全て猟兵達によって破壊され、本来の標的であった『騎士教練艦』を撃沈することは叶わなかった。
脱出艇も追いすがることは出来ず、殿に残った幼きフォースナイト一人すら殺すことはできなかったのだ。
用兵家としての敗北は覆ることはない。
だが、それでも『ミニスター・ブラック』の心のうちは凪いでいた。
「猟兵。侮っていたわけではないが……それでも尚、勝利は揺るがぬ。そも、誰一人として個としてのオブリビオンに匹敵する者はいない。故に為すべきは旗艦に突入してくる猟兵達をひとりひとり打倒するまで」
圧倒的な不利。
その状況下にあってなお、『ミニスター・ブラック』は笑っていた。
心が踊っていた。
強者との戦い。
猟兵たちは嘗ての好敵手達と同じである。
清廉さを兼ね備えた戦いの申し子である。勝利することを絶対として、己に立ち向かってくる。
個々の実力は猟書家を凌駕しない。それは今までの戦いを見ても明らかであった。だが、それでも勝ち取ろうとするのだ。
「己の未来ではなく他者のための未来を勝ち取るためにあらゆる力を使うか。だが、己のために戦えぬ者に、私は倒せぬよ」
笑う。
これより相まみえる強者たちを食い破り、即ち己が最強であると、勝利をもぎ取らんとする闘志が『ミニスター・ブラック』の中からこみ上げてくる。
それは相対する猟兵達をして、圧倒的な重圧となって伸し掛かることだろう――。
サージェ・ライト
お呼びとあらば参じましょう
私はクノイチ、世に潜み…胸が目立ちすぎて潜めないとかそんなことないもん!!(お約束
ちょっと出遅れましたが本番には間に合いました!
ここから巻き返しますよー!
クリスタリアン、宝石である以上は
どれだけ重厚でも砕けない道理はありません!
そして私のカタールは突くことに関しては誰にも引けは取りません!
というわけで、いっきまーす!
ダッシュで接近、マジックブロウの一撃は
身を低くしてかわしましょう!
ついでに地面に手をついて足払いで態勢を崩して、からの!
「この一撃に勝敗をかけて、いざ勝負!参ります!」
両手突き【乾坤一擲】で決めに行きますよ!
※アドリブ連携
猟兵と幼きフォースナイト、カワードの活躍によって猟書家『ミニスター・ブラック』の大艦隊は大打撃を受け、残るは彼の旗艦のみであった。
しかし、旗艦は未だ健在。
そして、そこに座す『ミニスター・ブラック』もまた同様である。
本来であれば、これだけの艦隊に打撃を与えたことこそ誇ることであったが、ここで撤退させてしまえば『ミニスター・ブラック』はまた別の場所で別の『騎士教練艦』を狙うだろう。
そうなってしまえば、徒に銀河に被害を齎すことでしかない。
今此処で倒さなければならないのだ。
旗艦の中に突入したサージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)が名乗りを上げる。
「お呼びとあらば参じましょう。私はクノイチ、世に潜み……胸が目立ちすぎて潜めないとかそんなことないもん!!」
それはお約束とも言っていい彼女の名乗りであったが、今回に限っては相手が悪かったと言わざるを得ない。
他のオブリビオンであるのならば、彼女の名乗りはある意味で虚を突くことが出来ただろう。
しかし、『ミニスター・ブラック』に限っては違う。
慢心なく。
油断なく。
ただ求める勝利のために最善最速を目指す者であるからこそ、彼は己が取れる選択を見誤らない。
今回はちょっと出遅れたけれど、猟書家と戦う本番には間に合ったと巻き返しを図ろうとしていた彼女の横合いから魔力を籠めた拳が打ち付けられる。
「くっ――! せっかく名乗りを上げているのにっ! もうっ!」
しかし、その一撃は手に装備したカタールによって受け止められる。
それでも彼女の体には凄まじい衝撃が駆け巡る。それだけ強大なオブリビオンである猟書家を相手にしているのだ。
宇宙戦艦の中とは言え、屋内であったことが幸いした。もしも此処が宇宙空間であったのならば、彼女は有り余る魔力の拳によって盛大に吹き飛ばされていたであろうから。
「不意を打ったつもりではあったが、防がれたか。だが」
放たれる連打をカタールで受け止め続けるサージェ。
交錯する拳と短剣の切っ先がぶつかりあい、クリスタリアンである『ミニスター・ブラック』の体を削らんとする。
「その程度でこの体が傷つけられると思うてか。クリスタリアンであるからといって脆いとは限らない」
魔力制御の封印が解かれ、次々と連打される魔力のこもった拳は凄まじいラッシュとなってサージェを襲う。
身を低くして拳を躱しながらも、それでも時間が経つにつれて調子が上がるように連打の速度が上がっていく。
「それもそうですね! ですけど、だからといって勝てないわけでもないでしょうっ! というわけで、いっきまーす!」
ついには両手を地面に尽き、足払いを放つ。
その一撃は『ミニスター・ブラック』の体をぐらつかせるも転倒させるには足りない。
「女だてらにとは言わないが――!」
「いいえ、これで十分なのです! この一撃に勝敗を賭けて、いざ勝負! 参ります!」
カタールを両腕に構え、放たれる打突の一撃。
それは乾坤一擲(ヒッサツノイチゲキ)たる一撃であり、魔力の拳と真っ向から激突し、ユーベルコードの輝きと魔力の奔流が戦艦内に吹き荒れる。
周囲の壁面にヒビが入り、その衝撃の凄まじさを語るであろう。
「くろすっ! いんぱくとーっ!!」
一気に押し込むサージェのカタールの切っ先が、『ミニスター・ブラック』の拳に罅を入れる。
「くっ! この重み……!」
ぎしりと軋む『ミニスター・ブラック』の拳。
渾身の一撃を籠めたサージェのユーベルコードの輝きが、闇色に輝くクリスタリアン、『ミニスター・ブラック』を僅かにだが、確実に上回った瞬間だった――!
大成功
🔵🔵🔵
アレクサンドル・バジル
うーん、おっさんが強いのは認めるが……
オブリビオンって現状認識が甘いのが多いな。
個として能力が上?
そんなものが殺し合いの決定打になると本気で思ってるのか?
オド(オーラ防御)を活性化して戦闘態勢へ。
ゴッドハンドの技術の粋を尽くして肉弾戦を。敵の物理、魔法攻撃は見極めて魔力を宿した拳や脚で捌きます。(見切り)
敵powucが発動した際はこちらも『一撃必殺』の一撃を放って拳を貫きます。(貫通攻撃×部位破壊)
敵の大技を潰したタイミングで多分、いるであろう騎士達に声をかけて集中攻撃を促し、敵が反撃に移る前にスイッチ。
あーあと、何か勘違いしているよーだが自分以外の為に戦ってる奴なんていねーぜ?
罅割れた拳を前にして猟書家『ミニスター・ブラック』はうめいた。
それは己の鍛え上げられた肉体に対する不信感ではなく、己が見定めた猟兵の実力を見誤ったことに対する怒りにも似た感情であった。
「――……いや、違うな。見誤ってなど居ない。些かも実力差は変わっていない。だというのに己の身体が傷ついたのはどういう絡繰だ?」
理解できない。
だが、それでも己の感情を制御し、現状を見定める。
すでに旗艦の中に入り込んだ猟兵たちはこちらへと向かっているだろう。一人二人では聞かぬ数が侵入し、己を打倒せんと迫っている。
「個としての我等と個としての猟兵。力量差は歴然であれど、此処まで覆されるものなのか」
その問に応える者が静かに『ミニスター・ブラック』の旗艦の艦橋へと歩み寄る。
「うーん、おっさんが強いのは認めるが……オブリビオンって現状認識が甘いのが多いな。個としての能力が上?」
アレクサンドル・バジル(黒炎・f28861)は快活に笑いながら『ミニスター・ブラック』と対峙する。
互いの視線は片時も外さない。
何者かも問わない。
もうわかっていることだ。対峙した瞬間から、互いが滅ぼし合う関係にあるものであるということがわかる。
猟兵とオブリビオン。
それはどんな境遇に置かれようとも、互いを滅ぼさずにはいられないのだから。
「そんなものが殺し合いの決定打に成ると本気で思っているのか?」
それは一瞬であった。
互いの視線は外さずに彼我の距離が縮まる。
一瞬の明滅にもにた拳の応酬。どちらも魔力を伴った拳が放たれる。共に神速の拳。激突し合う拳は互いのオーラと魔力を削り取っていく。
拮抗していると第三者からは見えたことだろう。
だが、実際は違う。
「それ以外に何が決定打になるというのだ猟兵よ。それが覆ることなどないのだから。弱き者を装う者であったとしても、その本質は変わらぬ。わかるか、偽装し不意を打つ。ただそれだけのためにたゆまぬ練磨を重ねて得る勝利と、圧倒的な力で踏み砕く勝利の何処に違いがあるというのだ」
アレクサンドルはまた笑った。
不敵に笑った。何をいまさらと笑ったのだ。
「あるともさ。結局の所己のために戦うんだよ。生命なんてのはな――! 己のために戦うという言葉を理解していない者にはな!」
交錯する拳。
弾かれる拳足。互いに間合いは懐にはいったままだ。『ミニスター・ブラック』の拳がアレクサンドルの胴に打ち込まれる。
ぎしりと肉体が軋む。
だが、それでもアレクサンドルはまっていた。必殺の一撃を。
「わからぬか! 己のために戦うということは己の勝利のために邁進することである! 他者のための戦いなぞ、戦いにおける不純物にすぎぬと知れ――!」
『ミニスター・ブラック』の魔力制御が外れていく。
それは強大な魔力を有するクリスタリアンの圧倒的な魔力が開放された瞬間であった。
アレクサンドルはそれを待っていたのだ。
金色の魔力が吹き荒れ、闇色に輝く魔力と激突する。放たれた拳と拳がぶつかる。そこに何の違いがあったのかと言えば、目的の差であった。
『ミニスター・ブラック』はアレクサンドルを殺すためだけに放っていた。
だが、アレクサンドルは違う。
その拳を。
「大ぶりしたな――! 見え透いてるんだよ!」
金色の魔力が『ミニスター・ブラック』の拳を真っ向から貫く。
それはその拳を打ち砕くための、一撃必殺であった。輝くユーベルコードの一撃が、『ミニスター・ブラック』の右腕をひび割れ、粉々に砕く。
「――な、に!?」
「今だ、騎士さんたちよ!」
アレクサンドルが一瞬で後退する。次の瞬間吹き荒れるのはサイキックエナジーの嵐であった。
『騎士教練艦』から逃された脱出艇から戻ってきたフォースナイトたちがカワードに引き連れられて、旗艦の中に入り込んでいたのだ。
アレクサンドルの指示によって放たれたサイキックエナジーの奔流は『ミニスター・ブラック』の体をしたたかに打ち据える。
「ぐっ――!」
「あーあと、何か勘違いしているよーだが、自分以外のために戦ってるやつなんていねーぜ?」
誰かのために戦うということさえも、己がなしたいと思う戦いであるからこそ、自分の為の戦いである。
少なくともアレクサンドルはそう思っていた。
そして、どんな戦いも、どんな生命も、アレクサンドルにとっては何もかもが無関係ではいられない。
なぜなら、アレクサンドル自ら関係していくのだから、そこから逃げる術など何処にもないのだ――!
大成功
🔵🔵🔵
ユーリー・ザルティア
はぁ、はぁ、はぁ…結構疲れるね正直。
さて、フォースナイトのみんなまだ頑張れる?
じゃあ一緒に頑張ろう。
艦内じゃあキャバリアは動かしづらいだろうから、ドッグ部分をぶち抜いて中に侵入したら置いて行くことになるか…う~ん。生身の白兵戦苦手だけどしょうがない。
パールは外部の武装やバーニアの破壊や制圧して二次『援護射撃』おねがい。
UC発動。これはこー言うときのために発注したんだからね。
ジャケットキャバリアを『瞬間思考力』で脳波コントロールでの『操縦』でビットを回避しつつ、右手のアームハンマーの『重量攻撃』でいっぱーつ。
いま、みんな撃って!!
そしてボクは離脱。普段のキャバリアと感覚違うけど、まだまだいける。
吐き出す息すらも辛いと思う。
それは思った以上に戦いよる消耗が激しいことを物語っていた。いつだって戦うということは消耗することであった。
ユーリー・ザルティア(自称“撃墜女王”(エース)・f29915)は戦うことを止めない。キャバリアで戦うこともまた消耗することだ。
エネルギーインゴットだってタダではない。アサルトライフルの弾薬だってそうだ。使えば消耗していく。
「はぁ、はぁ、はぁ……結構疲れるね正直。けど」
そう、だけど戦わなければならない。
戦わなければ失うばかりだ。それをユーリーは知っている。
そうしなければならない騒乱ばかりの世界を彼女は見てきているのだ。
だからこそ、猟書家『ミニスター・ブラック』の旗艦のドッグ部分をキャバリアでぶち抜いてフォースナイトたちを引き連れて突入したユーリーは脱出艇で『騎士教練艦』から逃された彼等を引き入れた。
彼等もまた殿を勤めようとした幼きフォースナイト、カナードの姿に勇気づけられたのだろう。
「みんなまだ頑張れるよね。一緒に頑張ろう」
生きるために必要なことは、いつだって生きるという意思だ。旗艦の外では無人機の『パールバーティ』が武装やバーニアなどを破壊している。
その振動が此処まで伝わってきていることは、状況が猟兵に傾いていることを示していた。
先行した猟兵たちが『ミニスター・ブラック』の右腕を砕いた。
フォースナイトたちのサイキックエナジーの奔流が嵐のように、かの闇色のクリスタリアンの体を打つ。
そこへユーリーは駆け出す。
その身に纏うのは、装着型キャバリア試作陸号機(ジャケットキャバリア・テスターロクゴウ)である。
キャバリアとは搭乗し駆るものである。
だが、これは違う。ダウンサイジングされた装着型強化外骨格。そう、キャバリアを駆る戦闘を前提としていたユーリーにとって、今回のような戦いとはキャバリアなしで戦わねばならない状況を打開する術を見つけ出さねければならなかった。
「ボクはキャバリアが無いと戦えない。でもキャバリアが大きくて侵入できない。なら答えは一つ。そう小さくすればいいのです」
そう、単純にして明快であった。
しかし、同時にサイキックエナジーの奔流に打たれた『ミニスター・ブラック』の体を漆黒の機械装甲が覆う。
さらに高速機動するビットが周囲に飛び交う。
「考えることは同じであるか、猟兵!」
放たれるビットがフォースナイトたちを蹴散らさんとする。だが、その尽くをユーリーは外骨格が握りしめたアームハンマーの一撃で叩き落とす。
「そうはさせないって! ビットって言っても自律行動! なら、同じ無人機を操るボクにはわかるよ! 貴様の考えることくらいはね!」
それは猟兵が弱き者を守るという行動理念を重きにおいているからこそ、ビットに命じたことであろう。
フォースナイトを狙えば猟兵はかばうであろうと『ミニスター・ブラック』は正しく理解していた。
「―――なに……?」
彼は正しく猟兵を理解していたからこそ、己の思考を理解する者がいるという事実を見落としていたのだ。
同じ装備、同じ戦法。無人機を操るユーリーとビットを操る『ミニスター・ブラック』。
その更に上を行く者がいるかもしれないという危惧、可能性を持たない過去の化身に今を生きる者が超えられないわけがない。
「それが命取りってね!」
ジャケットキャバリアを脳波コントロールで完全に己の瞬間思考をトレースさせ、次々とビットを躱し、打ち砕いていくユーリー。
その光景は『ミニスター・ブラック』にとっては悪夢であったのかもしれない。
それが決定的な隙となった。
放たれるアームハンマーの一撃が機械装甲によってかばわれた右腕をさらに砕く。
「いま、みんな撃って!」
再び放たれるサイキックエナジーの嵐は、再び『ミニスター・ブラック』の漆黒の機械装甲を砕く。
そのままユーリーは離脱する。普段のキャバリアとの感覚は違うが、ユーリーは確かな手応えを感じたのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ファランス・ゲヘナ
【心境】
後の残りは旗艦残すのみ…カ。略奪の時間ダ…って嘘(フォースナイトに気が付いて慌てて海賊旗を仕舞う元宇宙海賊の黒玉)
【行動】
ヒャッハー!オレのついてこいフォースナイト。
オレの『集団戦術』を魅せてやル。
艦内を龍星号で『早業』『ダッシュ』で全力疾走で爆走ダ。
ん、なにか轢いたカ?(当逃班)
見つけたぜミニスター・ブラック。
何故か顔にタイヤ痕があるが、その真っ黒な容姿…オレのファンカ?(注:全く違う)
迷刀鬼切りで『切り込み』、『傷口をえぐる』ように本体を『素潜り』
敵の体内を『捕食』『生命力吸収』し『蹂躙』する。
さあ、希望溢れる未来の守護者フォースナイトたちヨ。今のうちに攻撃するのダ!!
帝国継承軍、猟書家『ミニスター・ブラック』の大艦隊は猟兵達の活躍によって撃滅された。
すでに大艦隊の名残はなく、宙域に残るのは『ミニスター・ブラック』の旗艦だけであった。しかし、その旗艦に座す猟書家『ミニスター・ブラック』を打倒しないことには戦いは終わらない。
此処で逃してしまえば、再び大艦隊を率いて『騎士教練艦』を襲うだろう。
宇宙の平穏を守るためには必ず『ミニスター・ブラック』を討たなければならない。
「後は残りは旗艦残すのみ……カ。略奪の時間ダ……って嘘」
ファランス・ゲヘナ( ・f03011)は不自然な笑顔のまま龍星号にはためいていた海賊旗を慌ててしまい込む。
宇宙の騎士たるフォースナイトにとって、略奪とはあってはならぬものである。平穏乱す行為である略奪行為を目の前にして彼等がファランスをどう思うのかはファランス自身がよくわかっていた。
下手をすればお縄になるというか、とても具合の悪いことになりそうなのは目に見えていた。
そんなことは細かいことであると言わんばかりにファランスは己が駆る宇宙バイクをフルスロットルで猟書家『ミニスター・ブラック』の旗艦へと突っ込む。
「ヒャッハー! オレについてこいフォースナイト。オレの鮮やかな戦いを魅せてやル」
勢いよく艦内を爆走し一瞬何かを退いた様な気がしたけれど、まあなんか気のせいだろうとファランスは猟書家『ミニスター・ブラック』を探し回る。
「ん、何か轢いたカ?」
当逃犯(タチサルモノ)である。
今まさにファランスの宇宙バイク『龍星号』が轢いたものこそが猟書家『ミニスター・ブラック』である。
それに気がつくこと無くファランスは盛大にひき逃げにして艦内を爆走。
さらに一周と半分を回ってようやく、立ち直った『ミニスター・ブラック』と対峙を果たすのだ。
「見つけたぜミニスター・ブラック。何故か顔にタイヤ痕があるが、その真っ黒な容姿……オレのファンカ?」
注釈しておくと全く違う。
「戯言を。猟兵とはこのようなモノまでいるのか」
ひき逃げにした時に龍星号のタイヤの痕が残っているのが、言い逃れの出来ないファランスの罪状を示しているのだが、もはや誰も突っ込めない。
ここまで開き直っていると言うより無自覚なのであれば、ほんとうにひき逃げにしたのはファランスではないのでは……? とそれこそフォースナイトたちも半ば勢いに呑まれてしまっているのかも知れない。
「おうヨ! 猟兵とは不定不確定有象無象にして千差万別」
迷刀鬼切りを構え、ファランスが『ミニスター・ブラック』の他の猟兵によって砕かれた右腕へと切り込み、己のブラックタールとしての流体としての体を潜り込ませ、生命力をすすっていく。
「自慢の拳もこれでは奮えまイ! さあ、希望溢れる未来の守護者フォースナイトたちヨ。今の内に攻撃するのダ!!」
その合図を一斉に『ミニスター・ブラック』へと放たれるフォースナイトたちのサイキックエナジーによる嵐のような奔流が、『ミニスター・ブラック』の体ごとファランスを撃ってしまうのだが、それは不可抗力というものであろう。
しかし、それでも『ミニスター・ブラック』を消耗させるように追い込んだことには違いなく。
ファランスは元より真っ黒な体を焦げ焦げにしながら、『ミニスター・ブラック』の体から飛び出すのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
アルトリウス・セレスタイト
どちらが上でも構わん
俺のやる事は同じだ
破界で掃討
対象は召喚物含むオブリビオン、及びその全行動
それ以外は「障害」故に無視され影響皆無
高速詠唱を幾重にも重ね『刻真』『再帰』で無限に加速・循環
瞬刻で天を覆う数の魔弾を生成、上下含む周囲全方向へ斉射
更に射出の瞬間を『再帰』で無限循環、間断なく継続
戦域を魔弾の軌跡にて埋め尽くす
向けられる全て魔弾で飲み込み圧殺する
万象一切に終わりを刻む破壊の原理に例外はない
対象外へは作用せぬ故、味方へは無害
骸の海も埋め尽くして余るだけあるぞ
遠慮なく持っていけ
自身への攻撃は『絶理』『刻真』で触れた瞬間終わらせ影響を回避
必要魔力は『超克』で“世界の外”から供給
※アドリブ歓迎
右腕を喪った猟書家『ミニスター・ブラック』は、猟兵とフォースナイトたちとの連携によってさらなる消耗を強いられていた。
だが、それでも今だ健在であるのは、その力の強大さ故であろう。
「個としての力の劣る猟兵に追い詰められるなど……計算違いであったとは言わないが、此処まで食い下がるか」
その黒いクリスタリアンとしての肉体に魔力が膨れ上がっていく。
巨躯であること、それは第三者から見れば肉体を誇る戦い方をするであろうという視覚情報からわかることでもあったが、同時にそれは『ミニスター・ブラック』とっては錯誤の一瞬、その隙を得るための鍛錬の積み重ねに寄るものであった。
「どちらが腕も構わん。俺のやる事は同じだ」
アルトリウス・セレスタイト(忘却者・f01410)のユーベルコードが淡青に輝き、破界(ハカイ)の障害を無視し万象を根源から消去する影響を受けぬ創世の根源が顕す蒼光の魔弾が放たれる。
同時に『ミニスター・ブラック』からも幾何学模様を描き飛翔する魔法弾が放たれる。
数では圧倒的に『ミニスター・ブラック』の放つ魔法弾が上である。
だが、互いの光がぶつかり合う瞬間に魔法弾が弾け、爆風を巻き上げる。それは『ミニスター・ブラック』の放った魔法弾がただ敵を打ち貫くだけではなく、周囲を巻き込み回避する暇すらも塗りつぶしていくものであった。
「どれだけ高速詠唱を重ねようとも! どれだけ己を守る障壁を生み出そうとも! 回避する場所を塗りつぶせば如何な猟兵と言えど消耗するだろう」
だが、その言葉に応える者はいない。
アルトリウスはその重ね続けた詠唱を無限に加速循環し、天を覆う魔弾を生成し続ける。
しかし、それは『ミニスター・ブラック』の魔法弾を上回ることはなかった。
絶え間なく降り注ぎ放たれ、爆風を巻き上げ続ける艦内において、『ミニスター・ブラック』は勝利を確信していた。
己の放った魔弾は着弾と同時に爆風を広げる。
ならば、アルトリウスの放つ蒼光の魔弾と相殺されようが爆風だけは彼を焼き続けるだろう。
それでもなお止まぬ爆風に『ミニスター・ブラック』は怪訝な表情をする。
「……これだけ放っても尚、なぜまだ爆風が止まぬ……?」
そう、すでに勝負は決して居るはずだ。
だが、放たれた魔法弾は今だ止まず。爆風は艦内に吹きすさび続けている。
「骸の海も埋め尽くして余るだけあるぞ。遠慮なく持っていけ」
爆風の中から現れたアルトリウスの手には今だ明滅し続ける蒼光の魔弾。
回転し、循環していることを示していた。
あれだけの爆風が起こって尚無傷。
その姿は対峙したときより変わることはなく、原理の内側と外側に居るものの差を示すようでもあった。
「行き止まりだ。万象一切に終わりを刻む破壊の原理に例外はない」
その言葉に偽りがないのだとすれば、彼の放つ蒼光の魔弾は尽きることがない。
骸の海に蓄積した過去がどれほどのものであるのかを知る者はいないだろう。
世界が開闢していらいどれだけの時間が流れているというのか。
それを埋め尽くして余るという言葉は、にわかに信じられないものであった。
だが、現実にはどうだ。
目の前で吹き荒れる爆風を打ち消し、届かず。されど、圧倒的な魔力の奔流を持ってしても御しきれない蒼光が埋め尽くしていく光景は、誰の目にも明らかであった。
「勝負にこだわった時点で負けだ。そんなことに意味はない。こんなことにも意味はない。破戒する。ただとそれだけだ――」
大成功
🔵🔵🔵
アリッセ・トードゥ
キャバリアはAI「ALICE」の自律行動に任せ外で警戒態勢。単身旗艦内に乗り込む。
『一人で大丈夫?危なかったら何時でも呼んでね?』
問題ない。本物のフォースナイト達の行動と信念を目の当たりにして、明確な自己認識が出来た。今の私なら、より強力なフォースを想像し創造出来る。
【真理力】発動。敵の拳を「無敵の騎士の盾」のイメージのサイコバリアでの【オーラ防御】て受け止め、「最強の騎士の剣」のイメージのフォースセイバーで敵を【切断】する。
世界の全てを理解し最適解を見出だしたつもりか?だが、理論や確率を超越し、望む未来を掴み取るのが私達だ。
自己完結したお前には私の言葉は理解出来ないだろう?それが敗因だ。
白いキャバリア『CZ-X』が猟書家『ミニスター・ブラック』の旗艦の撃ち抜かれたドッグ部分で待機モードへと移行する。
搭載されているAI兼OSの『ALICE』にまかせておけば、艦の外で何か不測の事態が起こったとしても対処することができるであろう。何せ『ALICE』とアリッセ・トードゥ(BE-MADER・f30023)は同一人格の裏と表である。
何も心配することはないのだが、それでも『ALICE』の言葉は僅かに心配そうであったように思えたのは気のせいであっただろうか。
『一人で大丈夫? 危なかったら何時でも呼んでね?』
それは隔壁などをぶち破ってでもアリッセを助けに来るという意志の現れであったが、アリッセ自身は心配することはないとかぶりを振った。
「問題ない。本物のフォースナイト達の行動と信念を目の当たりにして、明確な自己認識が出来た」
それは彼等の、自身が作りものであったとしても、個としての自分を確かに見つめ直す良い機会であったのかも知れない。
同じ力を操る清廉なる宇宙の騎士、フォースナイト。
彼等の信念はたしかにアリッセの中に伝播し、その心ともいうべき不定形のなにかの中に一滴が落ちる様に波紋を広げていた。
それは信じるということだ。
己を信じ、己の中にあるものを具現化する。
それこそがサイキックの力であると彼女は確信していた。旗艦の中を駆け抜けるアリッセ。単身であっても関係ない。
今の彼女のとって、己の身一つでオブリビオンと対峙することは恐ろしいことでもなんでもなかった。
「ぐっ――……!」
猟兵との闘いで猟書家『ミニスター・ブラック』は追い詰められいていた。
追い詰められいていたと言っても、今だ健在であることは間違いない。しかし、確実に消耗させられていることは失われた右腕とひび割れた身体が示していた。
迫るアリッセを視認した瞬間、『ミニスター・ブラック』の体の中に渦巻く魔力が急上昇するのをアリッセは感じる。
いや、知覚できる。
「貴様もフォースナイト……! だが、その気配……!」
瞬間、放たれる魔力の籠もった『ミニスター・ブラック』の拳をアリッセは掌を突き出して応える。
いや、違う。
アリッセの頭の中にある明確なイメージ。
それは『無敵の騎士の盾』。そのイメージは今までとは比べ物にならないほどに強固なイメージとなってオーラの防壁となって展開される。
凄まじい轟音を立ててオーラと魔力籠もった拳がぶつかり合う音が響き渡る。
「――!? なんだ、この強固な防壁は!」
「『信じる想いが力になる』……」
アリッセが静かに言葉を紡ぐ。
それは『ミニスター・ブラック』にとっては理解のできない言葉であったことだろう。世迷い言のように聞こえたかも知れない。
闘いとは常に己の力だけで為すものである。そこに己以外の力が介在する余地などあろうはずもないのだ。
「戯言を! ならば」
一撃で持って砕けぬというのであれば、連撃で持って。放たれる拳の連打がアリッセの展開したオーラを打つ。
しかし、その拳は衝撃音だけを響かせるだけで一向に砕けることはなかった。
「……戯言じゃない。世界の真理だ」
今やアリッセを闘いに駆り立てるのは、己に一人の想いだけではない。
「世界のすべてを理解し、最適解を見出したつもりか? だが、理論や確率を超越し、望む未来を掴み取るのが私達だ」
掲げる。
その手に在るのは、真理力(トゥルーフォース)。アリッセが導き出した答えである。
想像から創造する力。
もはや疑念などあるわけもない。輝くのはユーベルコード。アリッセの手に在るのは『最強の騎士の剣』。
イメージが投影されたフォースセイバーは極大の光を放ち、そのひとふりで持って『ミニスター・ブラック』を打つ。
飲み込まれる光の奔流の中で『ミニスター・ブラック』は聞いただろう。
あれこそが最古の宇宙の騎士の理念を受け継ぐ、最新のフォースナイトの姿。そのアリッセが紡ぐ言葉を。
「自己完結したお前には私の言葉は理解できないだろう? それが敗因だ」
己の限界を、己の枠を囲うのは常に己自身である。
その枷を、囲いを作らぬことこそが想像から創造する力の根源である。その力の意味をアリッセは、過去の化身へと叩きつけるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
杓原・潤
よーし、後はあの艦の中の親玉を倒せば終わり!
強そうだなぁ……でも競争って言っちゃったし、頑張らなきゃ!
まずは艦内の【情報収集】。
外から影の追跡者でボスの居場所を探して様子を伺おう。
どこにいるかが分かったらフォースナイトさんと情報共有して、少し離れた所に待機してもらって……それからテルビューチェの出番!
艦の外から【貫通攻撃】で壁に穴開けて、そのまま殴ってやるもんね!
相手がこっちだけを敵だと思ってくれてればフォースナイトさんは魔法弾に狙われないはず。
【継戦能力】や【オーラ防御】で耐えてる隙に攻撃して!ってフォースナイトさんにスマホか何かで連絡して、その攻撃に合わせてこっちも【重量攻撃】で成敗!だ!
「よーし、後はあの艦の中の親玉を倒せば終わり!」
でも、強そうだなぁ……と僅かに尻込みしてしまいそうになっていたのは、杓原・潤(星と鮫の魔法使い・f28476)であった。
だが、幼きフォースナイトであるカワードと言葉をかわしたことを思い出す。競争だと言ったのだ。
自分と同世代であろう少年があれだけ奮起してるのだ、自分も頑張らなきゃ! と心を奮わせて潤は跨った魔法の箒と共に猟書家『ミニスター・ブラック』の旗艦の中へと飛び込み、駆け抜ける。
「うるうは魔法使い! 本物の魔法使いなんだから! だからできるもん!」
影の追跡者の召喚によって影が延びていき、艦内の情報を探り出す。
すでに外から情報を得ていた潤が艦内に突入したフォースナイトたちと情報を共有していく。
「俺達は何をすればいい? 何も出来ないままだなんて嫌なんだ」
「少し離れた所に待機していて……必ず連絡するから、合図をしたら一斉に攻撃しよう!」
互いに合図を決め、行動を開始する。
影の追跡者が極大の光の中に猟書家『ミニスター・ブラック』が飲み込まれ吹き飛ばされる光景を見た。
それは他の猟兵たちによって消耗を強いられていることにほかならず、潤にとっては絶好のポイントであった。
「よしっ、テルビューチェの出番!」
旗艦の外に召喚された魔法のキャバリア『テルビューチェ』が、潤の求めに応じて何処からともなく一瞬で転移してくる。
その拳が壁面ごと打ち砕くようにして『ミニスター・ブラック』を殴打する。それはまさに『ミニスター・ブラック』にとってはあまりにも不意打ちであったことだろう。
誰が予想できようか。
艦の壁面ごと殴りかかってくる敵がいるだなんて。潤にとっては簡単なことであっても、それを実行に移そうと考える者は『ミニスター・ブラック』を含めてもいるわけがなかった。
「あたり! さあ、あなたの相手はうるうだよ! こっちこっち!」
自身の存在を示すように魔法の箒に跨って『ミニスター・ブラック』の放つ魔法弾を躱す。
旗艦の周りに浮かぶ艦隊の残骸に魔法弾がぶつかり、次々と爆風を巻き起こしていくけれど、それでも潤は止まらない。
呼び出したキャバリア『テルビューチェ』が『ミニスター・ブラック』と格闘戦を繰り広げている。
「この様な出鱈目をするのが猟兵であるか! ならば!」
『テルビューチェ』と『ミニスター・ブラック』が互角に戦う姿は驚愕するべき光景であったが、潤にとっては好都合であった。
『ミニスター・ブラック』はこちらだけが敵であると注視している。
あれだけ用心深く、周到で狡猾である『ミニスター・ブラック』の意識をこちらにつなぎとめておくためには、こちらも本気で相対しなければならない。
「ほら、こっちこっち! そんなのうるうには当たらないんだから!」
とは言え、自身に追いすがる魔法弾の爆風だけでも宇宙空間を飛ぶ潤を吹き飛ばすほどの威力だ。
体制を整えながら、十分に注意をひきつけ続ける。
「此処まで暮れば……! お願い――『テルビューチェ』!!」
それはキャバリアである『テルビューチェ』の名を呼んだのではない。予めフォースナイトと打ち合わせていた合図だった。
スマホで言葉を告げる。
それは一瞬であったけれど、『ミニスター・ブラック』の虚を突くには十分であった。
フォースナイト達の放つサイキックエナジーの奔流が『ミニスター・ブラック』を穿つ。
「がっ――! 不意を突くだと!? だが、この程度――!」
しかし、それで終わらない。
振りかぶった機体の全重量を載せ、さらに潤の魔法の力の籠められた『テルビューチェ』の拳が『ミニスター・ブラック』へと放たれ、躱す暇もなく打撃を受けて艦内の床をぶち抜いて吹き飛ばす。
それを確認し潤は得意満面でフォースナイトたちに勝利のVサインを送るのだ――!
大成功
🔵🔵🔵
護堂・結城
心も力も全て含めて強さだろ、そこに純も不純もあるか
負けた後に『個では自分の方が』なんて情けない事言うなよ
終わったモノが今を生きる者に干渉する、そんな外道を納得なんぞしてやらん
だが、近接距離の殴り合いには付き合ってやろう。怪力で殴って鎧を砕き、生命力を吸収しながら戦闘続行だ
マジックブロウだけ魔力の強さで発動を見切り、受け流しで体勢を崩してやる
隙が出来たら足払い、そのまま踏みつけと共に【幻潰獣奏】を発動して衝撃波を伴う重量攻撃だ
距離を取ろうとするなら氷牙を無敵斬艦刀に変化させ、刺突による貫通攻撃で追い打ちを仕掛ける
あまり頭がよくないんでね、ごり押しを超えたごり押しで失礼するわ
鋼鉄の巨人のはなった拳の一撃が猟書家『ミニスター・ブラック』の体を旗艦の床を撃ち抜いて叩きつけられる。
沈むように『ミニスター・ブラック』の身体が旗艦の深部へと落ち込む。その肉体はクリスタリアンのものであるが、身に宿した魔力は未だ健在である。
ひび割れた身体、砕かれた右腕。
そのどれもが猟兵達によって尽く追い詰められ、消耗した結果であることは言うまでもない。
「くっ……ここまで押されるとは……猟兵、侮りがたし。しかし――」
その言葉が不意に途切れる。
それは『ミニスター・ブラック』が新たなる猟兵の存在を感知したからである。
「心も力も全て含めての強さだろ。そこに純も不純もあるか」
護堂・結城(雪見九尾・f00944)がゆっくりと歩みを進める。
戦いの結果だけでいえば、艦隊戦を制された『ミニスター・ブラック』にとって敗北の事実は覆らない。
だが、それでも、ことオブリビオンと猟兵の戦いにおいては違う。
互いを滅ぼし合う関係に在って、勝敗が決するのはどちらかが滅んだ時だけである。
「敗けた後に『個では自分のほうが』なんて情けない事言うなよ」
結城が駆け出す。
それはある意味で真向勝負であった。
握りしめた拳が軋む。それだけの力が籠められている。
「それは違うな。ただの事実だ。それを情けないと取るかは、貴様らの観念次第であろうが」
拳が打ち合う。
対する『ミニスター・ブラック』の拳はすでに右腕が砕かれている。
だがそれでも結城と対峙し、拳を打ち合う姿は圧倒されていない。未だ身に宿る魔力が拳の一撃の凄まじさを物語っている。打ち合う度に己の骨が砕けていく。
「終わったモノが今を生きる者に干渉する、そんな外道を納得なんぞしてやらん。だが、殴り合いには付き合ってやろう」
互いに怪力。
しかし、肉体の強度は違う。
対する『ミニスター・ブラック』の肉体はクリスタリアンのものであるが、それでも結城と打ち合う拳は彼のほうが打ち負けてしまう。
それほどまでに強大な『個』。
だが、それでも結城は笑う。笑って拳を打ち付ける。本来であれば一撃、二撃で拳が使い物にならなくなっていたことだろう。
それでも拳を叩きつけることができるのは何故か。
「生命吸収か……! だが、それでも決定だにはなるまい!」
拳の応酬が加熱する。
しかし、それでも結城を仕留めきれない。肝心の魔力を籠めた拳は打ち合うのではなく躱されているのだ。
そう、魔力を籠めた拳とそうでない拳をランダムに入れ替えて放っているというのに、結城はそれを見切っている。
魔力籠めた拳であれば、結城の拳は砕けるだけには留まらない。
だからこそ、見極めているのだ。
「此よりは我が領域、絶望を踏み砕く幻影の一撃」
彼の瞳がユーベルコードの輝きに包まれる。
放たれる輝きは、その雪見九尾の幻潰獣奏(ブレイキングスタンパー)をもって勝負を決するように。
大ぶりの一撃。
それを予見した『ミニスター・ブラック』が距離を取ろうとした瞬間、結城の体制が低くなり足を払おうとする。
「甘いわ! その程度の小手先で――!」
だが、それはただの一手である。
本命は無敵斬艦刀に変化された氷牙による刺突。放たれた長大なる斬艦刀の一撃が『ミニスター・ブラック』の後退した身体を貫く。
「あんまり頭がよくないんでね。ごり押しを越えたごり押しで失礼するわ」
放たれるは巨大なる巨像の幻影。
その拳から放たれる一撃が、『ミニスター・ブラック』の体を捉える。
どれだけ相手が対処しようとも、関係がない。
押して、押して、押して。
押し続けた先に見える勝利があるのであれば、其処に向かって走る続ける。脇目も振らず、一心不乱に。
放たれた巨像の拳の一撃は、まさしく彼の言う通りごり押しを越えたごり押しの異一撃となって『ミニスター・ブラック』の体を打ち上げ、天上を突き破って再び艦橋まで押し戻すのであった――!
大成功
🔵🔵🔵
月夜・玲
おうおう、人のシマずけずけと荒らしやがって
なにさらしとるんじゃい!
…なんてね
さて、死合おうか?
●
Blue Bird、空の記憶を再度抜刀
【Code:S.S】を起動
自立稼働ならある程度癖はよめる筈
ビットの軌道を観測してパターンを解析
解析情報はフォースナイトとも共有
予測に従って回避
『第六感』にも従って予測外にも対応
そして『カウンター』体勢を取ってミニスター・ブラックの攻撃を待つ
敵の攻撃を『武器受け』して返す刃で『2回攻撃』
初撃で敵の弱点をスキャンし、追撃でそこを突いてダメージを与える
さあ、打ち込んできなよ
初手は取らせてあげる
そっちが自分の力に自信があるように
私もそれなりに、剣士としての自信はあるよ?
打ち放たれた巨像の一撃が猟書家『ミニスター・ブラック』の体を打ち上げ、旗艦の底まで叩きつけられた体をさらに再び艦橋まで吹き飛ばす。
その一撃の凄まじさは言うまでもない。
すでにクリスタリアンとしての肉体はひび割れ、右腕は失われている。
消耗に消耗を重ねた体。
だが、それでも敗北を是とはしない。敗けていない。敗北していない。己が求めるものが勝利であるのだとすれば、それを認めることなどできようはずもない。
「がはっ―――……!」
吐血するように『ミニスター・ブラック』の口腔から溜め込んだ魔力が溢れ出す。
すでに体の中に溜め込んだ魔力を留めておけぬほどに消耗していることが見て取れることだろう。
そんな満身創痍にして艦橋へと後戻りした『ミニスター・ブラック』を待ち受けていたのは――。
「おうおう、人のシマずけずけと荒らしやがって、なにさらしとるんじゃい! ……なんてね」
てへぺろ。
そんな擬音が聞こえてきそうなほどに飄々とした態度で艦橋の、本来『ミニスター・ブラック』が座すべき椅子に座っていたのは、月夜・玲(頂の探究者・f01605)であった。
「冗談冗談。ま、それはいいよ。さて、死合おうか?」
抜き放った模造神器の二振りの刀身が淡く光を放つ。
その態度、その風貌はどれも戦士と呼ぶにはふさわしくないものであったように『ミニスター・ブラック』は感じていた。
だが、同時に彼は玲が油断ならぬ相手であることも見抜いていた。
漆黒の機械装甲が体を覆う。
周囲に展開された自律行動するビットを前にしても玲の瞳に揺らぎはなかった。ただ、静かな瞳が此方を見据えている。
それはまるで何かを解析しているような……事実、彼女の瞳は見ていた。Code:S.S(コード・スキャニング・スラッシュ)。未だ発動条件の揃わぬユーベルコードの輝きが彼女の瞳の中で輝く。
底しれぬ輝きの前に『ミニスター・ブラック』は己の足が後退しようとしていることに気がつくが、それでも前に進む。
勝機がないわけではないのだ。
まずは相手の初撃を防ぎ……。
「さあ、打ち込んできなよ。初手は取らせてあげる。そっちが自分の力に自信があるように、私もそれなりに、剣士としての自信はあるよ?」
それは侮辱も同然であったことだろう。
怒り心頭に達する瞬間に冷静さを取り戻した『ミニスター・ブラック』の魔力が流れ、ビットが玲を襲う。
「ぬかしたな!」
そのビットの攻撃は一瞬で人体を切り刻む。だが、玲の瞳は見据えていた。自立行動するビット。
当然彼女のメカニックとしての知識が冴え渡る。癖があるのだ。どれだけ自立行動していたとしても、その行動は全て使役者である『ミニスター・ブラック』の行動に付随した者。
彼が行動しやすいように動くは道理である。
「見えてるってば。わかりやすいんだからなぁ、もう!」
ビットの軌道を躱す。
どれだけ優秀な自律行動の原理を組んでいても、自身が標的になっているのであれば躱すことは容易い。
ビットの乱舞、その嵐のような攻撃の中から玲は飛び出し、剣を振るう。『ミニスター・ブラック』へと振るわれる軌道。
だが、それは全てビットを一振りで切り裂く軌道でもあった。
「ばかな――!? 斬撃でビットを堕とす!」
「計算すればわかることでしょ! さてと、君の弱点は何処かな?」
放たれた斬撃が『ミニスター・ブラック』の体を切り裂く。
瞬間、彼女の模造神器から情報がダウンロードされる。『ミニスター・ブラック』の肉体。
その構造、魔力を溜め込んでいる場所、その力の発現のさせ方……即ち弱点を。
「ああ、やっぱり。丹田。人体で言う其処に魔力を溜め込んでいるんだね」
場違いなほどの笑顔のまま玲が振るった模造神器の二撃目が『ミニスター・ブラック』の魔力の源、溜め込んでいる場所、丹田を深々と切り裂く。
「情報共有……フォースナイトのみんな、次の一撃は其処、だよ」
玲は即座にフォースナイトへと己の解析した情報を共有すべく、送り出す。
自身が止めを差さなくてもいい。
この戦いの発端は最古のフォースナイトたちと今を紡ぐフォースナイトたち。そして、その敵対する闇の騎士との戦いであるのだから――。
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
(記憶、人格、稼働目的、帝国という寄る辺すら失った戦機
御伽の騎士を標とし、騎士でありたいと剣を執り続け…
ある意味で徹頭徹尾、私は己の為に戦う者かもしれません。ですが…)
他者の為の未来を勝ち取る為に剣を執った故に、嘗ての貴方の好敵手達は今日まで敬意と共に謳われるのです
その志引き継ぐが故の騎士
次代の騎士達の勝利を持って貴方の持論への反証といたしましょう!
皆様、端末は起動しましたね?
エナジーで牽制!
背後から斬り込み!
拳が来ます、退避!
脚を狙って離脱支援!
※騎士達が持つそれぞれの通信機から異なる音声指示が同時に流れ
彼らの隙をかばい攻撃を加えながら戦術指揮
格納銃器の不意打ちで体勢崩し
カナード様、今です!
何もかもをも喪った先にあるものがなんであるのかを知ることができるものは幸せであると言えるのかも知れない。
喪ってしまったとしても得るものがあると知る者の心には損なうことの出来ぬ何かが宿っているであろうから。
トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)はまさしくそういった猟兵であったのかも知れない。
記憶、人格、稼働目的、帝国という寄る辺を喪った戦機である彼に取って、最後にのこったのが騎士道物語である。
だからこそ、トリテレイアは御伽の騎士を標とし、騎士でありたいと剣を取り続けたのだ。
それは騎士道になぞらえた行動であったとしても徹頭徹尾、トリテレイアは己のために戦うものであったのかもしれない。
「ですが……他者の為の未来を勝ち取る為に剣を執った故に、嘗ての貴方の好敵手たちは今まで敬意と共に謳われるのです」
トリテレイアの言葉に砕けた右腕、ひび割れた体……そして傷口から溢れ出す魔力を抑えきれぬ猟書家『ミニスター・ブラック』は咆哮する。
「名が何に成る。実を取らずして花を愛でるとは笑止! 彼奴らは違っていた。誰も彼もがそうではなかった。勝つための手段を選ばず、清廉さを残しながらもそれ以外は要らぬと戦い続けていたのだ!」
溢れる魔力をつなぎとめるように『ミニスター・ブラック』の拳に魔力が収束していく。
その一撃を受ければ、己の機体をも打ち砕くことは容易に想像できていた。
だが、トリテレイアにとって機体とは破損してしまうのは当然のものであり、損なわれれば現地であっても修復すればいいだけのものであった。
「その志を引き継ぐが故の騎士。あなたのいう騎士観とは相違いたしますが……次代の騎士達の勝利をもって貴方の持論への半鐘といたしましょう!」
機械騎士の臨時前線指揮(マシンナイツ・コンダクター)が始まる。
それは指揮棒を握るが如く。
小型通信機を手渡した若きフォースナイトたちが飛び出す。
その顔に未だ恐れはある。だが、やらなければならないことはわかっていた。なぜなら、一人の幼きフォースナイトが既に示していたのだ。
「怖がってばかりでなんていられない! 護られているばかりでは! 役に立たなければ! 俺たちの才能は、そのために授けられたものであるはずだ!」
カナードを筆頭に幼きフォースナイトたちが『ミニスター・ブラック』へと斬りかかる。
すでにトリテレイアからの伝わる指示が的確に『ミニスター・ブラック』の拳をサイキックエナジーによる牽制によって軌道をそらし、ギリギリのところで躱していく。
「常に敵の背後を意識! 拳が来ます、退避! 機動力を削ぐために足を!」
その動きはトリテレイアに支持されていたものであったが、すべて彼等がこれまでに培ってきたものであった。
的確な指示と己達の肉体を支える練磨の結晶が今、芽吹いている。
トリテレイアはフォースナイトたちと連携し、彼等の剣戟をサポートする。小型通信機へと伝える情報は、他の猟兵たちから伝えられ、共有した弱点――つまりは、人体で言うところの丹田……そこが『ミニスター・ブラック』の尋常ならざる魔力量と力の根源であると知る。
「我が弱点を見きったからなんだというのだ! 弱点を狙うということがわかれば!」
噴出する魔力が圧倒的な風圧を伴って周囲に吹き荒れる。
それは『ミニスター・ブラック』を囲い、逃さぬと戦っていたフォースナイトたちを吹き飛ばす。
「焦れましたね! 膠着した状況に! それが隙であり命取りです!」
トリテレイアの格納銃器から放たれた弾丸が『ミニスター・ブラック』の体制を崩す。不意打ちであったが、致命傷にはならない。
砕かれた右腕はすでに使い物にならない。
だからこそ、銃撃を防ぐのは魔力を集約している左腕。そこへ弾丸を打ち込めば、ガードのために腕を上げざるを得ない。
「カナード様、今です!」
「おおおお―――ッ!!」
トリテレイアの声とカナードの咆哮が重なる。放たれるサイキックエナジーの一撃が『ミニスター・ブラック』の胴を貫く。
その一撃はひび割れた『ミニスター・ブラック』の肉体をさらなる崩壊へと導いていく致命の一撃であり、最古の騎士との戦いにおける終焉を手繰り寄せる一撃であった――!
大成功
🔵🔵🔵
メンカル・プルモーサ
…ふむ…もう大詰めと言ったところか…
(フォースナイト達に)まだ動ける?
かなり無茶な作戦があるのだけど…と声を掛けて参加者を募ろう…
…そして、まずはミニスター・ブラックに対してフォースナイト達の幻覚を【面影映す虚構の宴】で作成……フォースナイト達には幻覚と連携して攪乱して貰おう…
時間を稼いでる間にビットにハッキングを敢行…掌握を試みる…
…ビットを掌握したならばフォースナイトと共に総攻撃…この時、敵がこちらの連携をみて幻覚を見破ることを信じて
「幻覚の方をビットや私でフォロー、今までとは逆に実体が危険を冒す」事で誤認を狙うとしよう…
…仲間を、そして敵を信じる作戦はの感想は…どうかな…?
幼きフォースナイト、カナードの一撃が猟書家『ミニスター・ブラック』の胴を撃ち抜く。
サイキックエナジーの一撃は『ミニスター・ブラック』の肉体、その魔力の根源である丹田――弱点を見事に貫いていた。
すでにかの猟書家『ミニスター・ブラック』の肉体に宿る魔力は底を尽きかけていた。度重なる猟兵による攻撃。その消耗だけでなく、幼きフォースナイトたちの決死の思いで放った攻撃の数々が、衰えたと侮ったが故の結末として『ミニスター・ブラック』に訪れようとしていた。
「ぐ、だが……まだ、だ滅びぬ。どれだけの魔力を消費しようとも――!」
漆黒の機械装甲が『ミニスター・ブラック』の体を覆っていく。
ビットが展開され、消耗激しい己へと何人たりとて近づかせぬと嵐のように渦巻くのだ。
「……ふむ……もう大詰めといったところか……まだ動ける?」
若きフォースないとたちは連続した戦いに消耗しきっていた。だが、それでも彼等はメンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)の問いかけに力強く頷いた。
彼等はもう侮られるだけの存在ではなかった。
一人の幼きフォースナイトの決死の覚悟が、彼等の心を此処まで引き上げたのだ。それに報いるために死力を惜しむ者などいなかった。
「かなり無茶な作戦があるのだけど……」
その言葉はたしかに無茶なものであった。
あの暴風のように吹き荒れるビットの数、機械装甲に覆われた『ミニスター・ブラック』に威容を見れば、尻込みしてしまうだろうとメンカルは思っていたが、同時に信じてもいた。
彼等ならば頷いてくれると。
「我が記憶よ、戯れ、演じよ。汝は役者、汝は舞台。魔女が望むは想いより出でし虚ろ影」
ユーベルコードによって、フォースナイトたちを模した偽物を生み出していく。
それは面影映す虚構の宴(ハートレス・メモリー)。
偽物と本物が連携するように『ミニスター・ブラック』の放つビットの嵐の中へと飛び込んでいく。
それは撹乱を目的としたものであるが、撹乱を意図したものであるのならば、偽物だけでよかったはずなのだ。
その方が犠牲も少ない。例えビットに倒されたとしても偽物であるわけであるから安全であった。
「今更この様な小手先で! 尽く消え失せろ!」
ビットが次々と偽物のフォースナイトたちを切り裂いていく。
その様子を見て『ミニスター・ブラック』は得心が行く。時間稼ぎであると。これは撹乱なのだ。
何か別の目的があるはず、そう思った瞬間己の放った自律行動するビットが不可思議な動きを見せる。
それは己の敵であるフォースナイトをフォローするように動き始めたのだ。
「馬鹿な……! この短時間でビットをハッキングしたのか!? 掌握されたの何割だ……!」
『ミニスター・ブラック』の表情が漸くにしてこわばる。
それは己の放ったビットの全てがメンカルによって掌握され、逆に操られているのだ。
しかも幻影であると見破ったフォースナイトたちをフォローするように動いている。
それはあまりにもおかしい挙動であった。
フォローするのならば、本物のフォースナイトであるはずだ。
「あれが、本物だというのか……!? いや、違う。あれは幻影のはずだ! 何を見ているのだ、私は!」
混乱する。
まさに混沌そのものであった。戦場の中に入り乱れる幻影と本物のフォースナイトたち。
「貴方ならそうすると思っていた。幻影を見破ると、私のユーベルコードを見破るだろうと……だからこそ生み出す錯誤。たったそれだけのために己のリソースを割く猟兵がいるとは思わなかった……?」
メンカルの瞳が輝く。
それはユーベルコードの輝きであり、目の前で果敢に戦うフォースナイトたちの放つサイキックエナジーの光でもあった。
「馬鹿な! そんな……! こんな作戦があっていいはずが……! リスクを取るなど……!」
「……仲間を、そして敵を信じる作戦の感想は……どうかな……?」
もはや聞くまでもない。
今まで自分がしてきたことだ。やり返されるとも思いもしなかったことが、『ミニスター・ブラック』の敗因だ。
溢れるようにして放たれたサイキックエナジーの奔流。
その中心に巻き上げられた『ミニスター・ブラック』の弱点、魔力集中する核である丹田をメンカルの手にした術式装填銃『アヌエヌエ』が放った弾丸が打ち抜き、砕く。
その瞬間、膨大な魔力が暴発し、『ミニスター・ブラック』の体を完全に破砕し、霧散させる。
こうして最古の騎士、『ミニスター・ブラック』は、宇宙の騎士を闇の騎士へと変貌させる野望を次代のフォースナイトたちと猟兵によって打ち砕かれ、骸の海へと還るほかなかったのだった――!
大成功
🔵🔵🔵