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目覚めよ、無敵の修羅場力

#アリスラビリンス #猟書家の侵攻 #猟書家 #機甲戦乙女ロスヴァイセ #アリスナイト

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●脚本家アリス
 アリスラビリンスは、花と緑の国。
 かつて、猟兵たちの手によって、豊かな果樹林や森、先の尖った丸太を束ねたような見た目の木のお城、色とりどりの花が咲き乱れる花畑などが創られた、まだまだ歴史の浅い——いわば新しい不思議の国だ。
 そこへ、最近新たな住人が加わった。
 黒く長い髪とつぶらな瞳、白い肌が美しいその華奢な少女は、どうやらアリスナイトらしいのだが、やはり召喚された異世界人の常で自分の名前すら覚えていない。
 それでも愉快な仲間たちとすぐに仲良くなった彼女へ、人間が一番暮らしやすく広い住居として丸太のお城をあてがわれた。
 わらの妖精は、少女を『ブラン』と名づけた。
「ねぇブラン、お願いできないかな?」
「劇の台本……わたしに書けるかしら」
「きっとブランならできるよ! ぼくたち、またみんなで楽しい人形劇をやりたいんだ!」
「……」
 ブランは今、困っていた。
 ぬいぐるみの妖精から劇の台本を頼まれているのだが、うまく筋書きが思いつかないのだ。
「この国のみんなが喜んでくれそうなお話……小姑にいびられるお嫁さん? それともストーカー女に悩まされる若夫婦? それとも愛人に喧嘩を売られて全身全霊で受けて立つ本妻??」
 草の妖精が漉いてくれた紙へ色々書きつけてみるも、
「ああダメ、知っているはずなのにうまく纏まらない! 修羅場なシチュエーションはぶわっといっぱい浮かぶのに、どうやって起承転結にすれば良いのかわかんないわ!」
 どうやらブランは『想像力』をうまく制御できないらしく苦悩している。

●求むド修羅場
「花と緑の国にお住まいのアリスナイト、ブラン様が、猟書家幹部の『機甲戦乙女ロスヴァイセ』にお命を狙われていると判明いたしましたわ」
 椀種・クルトン(憂き実・f00365)が、皆の目線の高さに飛びつつ説明を始める。
「ブラン様の想像力が不安定なのは、実は膨大な想像力をご自身で制御しきれていないからですの。その膨大すぎる想像力へロスヴァイゼが目をつけたのですわ」
 ロスヴァイゼはブランを一度殺して蘇らせ、強大なオウガを生み出すつもりのようだ。
「ロスヴァイゼは、たとえ猟兵の皆様が現れようとも完全に無視して、ブラン様だけを殺そうとしますの」
 厄介なのは、ロスヴァイゼの使う超高速狙撃ユーベルコード『死天使の弩弓』である。
「『死天使の弩弓』は常にブラン様を狙撃し続けますから、彼女が強い想像力の鎧を纏わなければ、すぐに射殺されてしまいます……」
 いかに歴戦の猟兵でも庇いきれないので、まずはブランの想像力を上手く引き出させて、彼女の『アリスナイト・イマジネイション』を盤石にしなければならない。
「ブラン様ご自身に射撃を防いでもらわなければ、彼女の生き残る術はありません。そこで、まずは劇の台本作りを手伝って差し上げてくださいませ」
 花と緑の国名物である修羅場泥沼愛憎劇に相応しいやりとりをブランの目の前で演じれば、きっと彼女へ良いインスピレーションを与えるに違いない。
「ブラン様の想像力の鎧がしっかりと無敵になりましたら、後は心おきなくロスヴァイゼを皆様の手で倒してくださいませね♪」
 クルトンはそう説明を締め括って、皆を不思議の国へ送り出した。


雨都瑣枝
 ご覧くださりありがとうございます、雨都です。
 花と緑の国の勃興の経緯はこちら、
『https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=11069』
 をご参照ください。
(もちろんご覧にならなくても、当オープニングの情報だけでご参加可能です)

 ちなみにブランの名前の由来は麦ふすまや米糠です。

●第1章について
 ブランの膨大な想像力を制御すべく、修羅場を演じてあげましょう。
 どんなシチュエーションでも構いませんが、ロスヴァイゼが命を狙っていることを利用して、ロスヴァイゼ自身へ悪役を担わせるような手紙や嫌がらせを捏造すると、アリスナイト・イマジネイションの強化に手っ取り早いかもしれません。
(例えばロスヴァイゼが酷いストーカー女でブランへいかなる嫉妬や恨み辛みを抱いているか……などなど)
 ブランの命を守るため、色んな修羅場を演じたりガンガン捏造しちゃいましょう。
 採用基準は面白さです。

●第2章について
 『機甲戦乙女ロスヴァイセ』が1体出てきます。
 相手の使うユーベルコード をよくお確かめの上で対策を立てて撃破なさってください。
 ちなみに『死天使の弩弓』はブランに対してしか使いません。そしてそれを防げるのもブランのみなので、皆様が戦う際の立ち回りに影響はありません。

●第2章のプレイング受付開始について
 冒頭に事態の変転やボス敵登場シーンの文章を挟みます。
 それが載ったらプレイング受付開始となります。
(シナリオ進行のペース次第では、都合により受付開始を数日遅らせる可能性があります)

 皆様のプレイング、楽しみにお待ちいたしております。
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第1章 日常 『幻想パレード』

POW   :    パレードに飛び入り参加して、楽しく練り歩く

SPD   :    歌や踊り、曲芸を披露してパレードに華を添える

WIZ   :    提供されるお茶やお菓子を楽しみつつ、パレードを見物する

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

リカルド・マスケラス
ここはリカルド劇団の出番っすね

そんな訳でUCで人員を増やして修羅場劇を演じるっすよ。分身は他の人のプレイングに使ってもOK
脚本としては、愛し合う二人にロスヴァイゼが襲い掛かるというもの
コージ(彼氏)が実家から送られた大量の果物を消費するためご近所に配っていたのを、自分に気が合ってプレゼントしてくれたと勘違いするロスヴァイゼ。
コージと麦子(彼女)が別れるように嫌がらせや誹謗中傷をし、最後には業を煮やしてコージを撃ち殺す。ロスヴァイゼが捕まった後、コージは息を吹き返す。なんと胸には彼女へプロポーズするための婚約指輪が!
こういうお約束なアイテムが最終的に命を守るイメージとか与えたいっす



●新生穀物劇団
 花と緑の国。
「ここはリカルド劇団の出番っすね」
 リカルド・マスケラス(ちょこっとチャラいお助けヒーロー・f12160)は、意気揚々と忍法・霧影分身術を発動。
「ブランのスランプ脱出の糸口にするためにも、劇の練習を始めるっすよ!」
 分身を何人も増やして修羅場劇を演じる人員に充てる。
「わ~い!」
「楽しみ~!」
 妖精たちは——もちろん修羅場と理解した上で——大喜びの大はしゃぎ。
「ありがとうございます」
 ブランも興味津々の様子で観客席へ着いた。
 リカルドが書いた脚本は、愛し合う二人にロスヴァイゼが襲い掛かるという愛憎劇。
「ごめんくださーい」
「はーい」
「実家から梨が届いたんですけど、うちだけでは食べきれなくて。よろしければどうぞ」
「あら嬉しい。ありがとうございますー」
 きっかけはカップルの男、コージが隣家のロスヴァイゼへ梨をお裾分けしたという些細なこと。
「知らなかったわ。隣にあんなかっこいい人が住んでいたなんて。しかもご近所にも愛想が良いし、きっと優しい人なのね!」
 これが、ロスヴァイゼの妄想スイッチに火をつけた。
「彼は私に気があるに違いないわ。でも彼女の目があるから、お裾分けという建前でしか私に会いに来られなかったのよ」
 そう思い込んだロスヴァイゼは、コージと彼女の麦子を別れさせようと、嫌がらせや誹謗中傷に走ってしまう。
「麦子さんは何人もの男と同時進行で関係を持っています」
 とコージへ正体を伏せて密告したり。
「コージさんは私の方が好きなんだから身を引いて」
 その一方で麦子へは恋人気取りで懇願のつもりの脅迫をしたり。
「コージさんの誕生日。手作りケーキとディナーでお祝い」
 しまいには麦子になりきってブログを更新したりとやりたい放題。
「お願い信じてコージさん、私はあなた以外に付き合ってる人なんていないわ!」
「あなた……まさか隣の人と浮気なんてしてないわよね?」
「誰かが私になりすましてる……怖い!!」
 そんなロスヴァイゼに振り回されて、日に日に憔悴していく麦子。
「良い加減、迷惑電話や彼女へ付き纏うのはやめてください!」
 コージの怒りも頂点に達して、ロスヴァイゼへ怒鳴り込みにいくのだった。
「コージさん酷い……いいえ可哀想、その女の言いなりになって、そんな酷いことを言うのね」
 当然ながらロスヴァイゼに話は通じず、こちらはこちらで一方的に麦子への怨みを募らせるばかり。
「違います!」
 コージの後ろから麦子が叫ぶ。ただ抗議しに行くだけとはいえ、恋人を横恋慕する女と2人きりにするのは心配でついてきたのだ。
 だが、それがいけなかった。
「アンタさえいなければコージさんは私と幸せになれるのに!」
 ロスヴァイゼが逆上して麦子へボウガンを向ける。
 どすっ!
「きゃあああ!」
 響くのは麦子の悲鳴。胸を矢で射られたのは、麦子を庇ったコージであった。
 かくて、ロスヴァイゼは御用となり、最愛の人を犠牲に麦子は平穏を取り戻すという、何ともやるせない幕切れ——にはならなかった。
「ごほっ」
「コージさん!?」
 なんと、撃たれたはずのコージが息を吹き返したのだ。
 実は、彼の胸ポケットには麦子へプロポーズするための婚約指輪の箱が収まっていて、それが奇跡的にボウガンの矢を食い止めてくれていた。
(「こういうお約束なアイテムが最終的に命を守るイメージとか与えたいっすね」)
 これぞ、自ら身を守るしかないブランの身を案じたリカルドの演出である。
 そんなわけで、劇は大団円で終幕。
「とっても面白かったー!」
「ロスヴァイゼこわいー!」
「ロスヴァイゼの歪んだ嫉妬がよかったわ。コージさんが助かるのも後味がよくて……物語の筋道の立て方、参考にします」
 リカルドと分身たちの名演や怪演に、妖精もブランも大喝采を贈った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

涼風・穹
今更ながら妖精達を妙な具合に染めているような…
だけど以前の人形劇のネタを利用するのは得策だろうし…
そんな訳で魔王再臨
ハーレムを作るべく再び世界征服に動き出します
武力と権力と財力を背景に力尽くで美少女や美女を召し上げるのです
……ついでに"何故か"善王だと思われたりカリスマだか気紛れな優しさだかのせいでハーレム人員が勝手に増えていたりしますが…

姫を返せ?
愚かで無能な勇(憂)者の戯言だな
まあ特別に我と姫との目合いを拝ませてやろう
精々楽しむが良い

何故か姫は献身的に勇者から魔王を庇おうとしたり、魔王の言葉に嬉しそうにしていたりして、そのせいで更に憂者が怒り狂ったりしていましたが、気付かない魔王でしたとさ



●魔王再び
 続いて。
「今更ながら妖精達を妙な具合に染めているような……」
 久しぶりにこの国へ足を踏み入れた涼風・穹(人間の探索者・f02404)は、ぬいぐるみを始めとした妖精たちの嗜好へ多大な影響を与えたものだと責任を感じていた。
「だけど以前の人形劇のネタを利用するのは得策だろうし……」
 と、穹が小道具箱から取り出したるは魔王のぬいぐるみ。
 ハーレム魔王再臨である。
「ふん、根が善人の元姫騎士勇者なんぞに魔王が務まるわけもなかったか」
 自分とて勇者にやられたことは棚に上げて新魔王から実権を奪い取ると、やっぱり自力でハーレムを作るべく、再び世界征服に動き出すのだった。
「旧魔王様、今宵の貢ぎ物でございます」
「いやっ、お願い助けて、殺さないでっ!」
 リカルドの分身たちも、それぞれぬいぐるみを操って魔王の臣下だったり囚われの美女だったり多彩な役をこなしている。
「ご苦労だったな。褒美に魔王城の果樹園を開放してやろう」
 そしてこの旧魔王、武力と権力と財力を楯に力尽くで美少女や美女を召し上げる——のは良いのだが、とにかく女にしか興味がない。
「ははっ、ありがたき幸せ!」
 女を献上した家臣には惜しみなく褒美を与えるために、自然と外界では善政が敷かれて。
「魔王様が食糧を援助してくださったおかげで
私の村は救われました! 飢えずに済んだ御恩をお返ししたく、お側にお仕えしとうございます!」
 次第にこんな、自ら身を捧げる娘たちも増えていくのだった。
「旧魔王様、曲者を捕らえました」
「姫を返せ!」
 その一方で、魔王に手篭めにされた姫や貴人の娘を助けにくる勇者も、決して少なくはない。
「愚かで無能な憂者の戯言だな」
 勇者の『勇』のイントネーションに悪意が滲んでいるのは気のせいか。
「やめて! 私はここで楽しく暮らしているの。もう放っておいて!」
 そして魔王の毒牙にかかってしまった女たちは、皆一様に彼を庇うのだった。
「姫、何を仰るのです!」
「お城になんか帰らない! もう魔王様無しでは生きていけない体にされてしまったの……」
 恥ずかしそうに吐露する姫。
 男女の仲は得てして余人にはわからぬものである。奥も深ければ闇も深い。
「貴様には特別に我と姫との目合い(まぐわい)を拝ませてやろう。精々楽しむが良い」
 そして、いくら人形劇とはいえ、こんな外道なセリフを吐く旧魔王もとい穹の業も、かなり深いといえよう。
「ああっ、やめて魔王様、衆目が恥ずかしいわ、せめてお閨で……!」
 面ファスナーのついたぬいぐるみの両手とフェルトの衣装が、ぺりぺりと間の抜けた音を立てて、濡れ場の淫蕩さを幾分か紛らわせてはいるが。
「さっきのロスヴァイゼの狂いっぷりも面白かったけど、男同士の鞘当てというか、女を巡っての争いというのも、面白いのね」
「ねー、面白かったねー!」
「魔王様は相変わらずだねー」
 観客席にいるブランは大満足で、妖精たちと一緒に拍手している。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『機甲戦乙女ロスヴァイセ』

POW   :    モード・ラグナロク
【リミッターを解除して鏖殺形態】に変形し、自身の【寿命】を代償に、自身の【攻撃力・射程距離・反応速度】を強化する。
SPD   :    ヴァルキュリアバラージ
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【装備武器】から【全方位への絶え間ない射撃】を放つ。
WIZ   :    死天使の騎行
レベル×1体の、【翼部】に1と刻印された戦闘用【少女型支援機】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ギージスレーヴ・メーベルナッハです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●養殖ブラン
 花と緑の国。
「敵性存在を捕捉。排除を開始します」
 猟書家『機甲戦乙女ロスヴァイセ』は、すぐにブランへ向かって銀のボウガンを構えた。
「ターゲット、アリスナイト1体。最期に、記録に残したい言葉はありますか?」
 猟兵たちがブランや愉快な仲間たちを背中で庇う中、あらかじめロスヴァイゼのことを聞かされていたブラン当人は、
「記録に残すですって?! 怖いわ、この人きっと受任した弁護士さんに言われて小型の録音機器を準備してるのね」
 一体猟兵たちに何を吹き込まれたのか、すっかり修羅場脳と化してズレた返答をかましていた。
「でもお生憎様、私はなんら疾しいところはありませんから、そう簡単にボロは出しませんよ。あなたの方が勝手に私へ付き纏ってるんじゃない! このストーカー女!!」
 だが、いかにブランの挑発が斜め上であろうとも、猟兵たちの尽力によって彼女が膨大な想像力を制御できるようになったのも事実。
「……記録完了。絶対狙撃モード始動。発動カウントダウン180、179……」
 カウントダウン、ゼロ。
 銀のボウガンより放たれし薔薇色の光彩が、ブランへ吸い込まれるように迫ったが。
「負けないっ!!」
 ——バチィッ!
 ブランは自ら生み出して装着した無敵鎧で、見事に光の矢を弾いてみせた。
「私、わかったの……偏愛がどれだけ人を狂わせて嫉妬に駆り立てるか……歪な思い込みの強さも……でも」
 溢れ出る修羅場妄想を劇として構成できるようになったブランが言い放つ。
「思い込みにはそれより強い思い込みで対抗よ! 私は皆さんよりも面白い修羅場劇をこれからどんどん作りたいの! だから、今負けるわけにはいかないっ!!」
 せっかくのアリスナイトとしての想像力が完全に修羅場へ振り切れてしまっているが、ともあれ。
 これでブランの身の安全は確保できたので、猟兵たちも心置きなくロスヴァイゼとの戦いに集中できることだろう。
リカルド・マスケラス
「第二幕がスタートっすね」
弁護士って言ってたし、『麦子の裁判逆転地獄変』ってところっすかね
今回はちょこんとブランの頭に乗って力を貸す
「どうやらロスヴァイゼは実は警察署長の娘。その権力を利用して、自分の罪をもみ消すどころか麦子に濡れ衣を着せようとするみたいっす。絶対的にこちらは不利。麦子は……どうするっすか?」
敵の出す支援機を警官やら彼女の手下、こちらの分身を麦子の協力者(敏腕弁護士や汚職を告発する刑事)に見立て、あわよくば彼女のイマジネイションが分身の衣装とかに影響出たらありがたいなーとか
ブランに相手を裁判の内外でやりこめるイメージを想像してもらいながら、分身の炎【属性攻撃】で倒しにかかる



●妄想裁判
 花と緑の国。
「第二幕がスタートっすね」
 リカルド・マスケラスは、宿主から分離して本体だけになると、ちょこんとブランの頭上へ飛び乗った。
(「さっき弁護士って言ってたし、『麦子の裁判逆転地獄変』ってところっすかね」)
 ブランがロスヴァイゼから確実に身を守れるよう、戦闘の傍ら助言をするつもりらしい。
「どうやらロスヴァイゼは実は警察署長の娘。その権力を利用して、自分の罪をもみ消すどころか麦子に濡れ衣を着せようとするみたいっす。絶対的にこちらは不利。麦子は……どうするっすか?」
 ぬいぐるみ劇という下地があるからか、すらすらと滑らかに作り話を披露するリカルド。
「私がコージさんを撃っただなんて、嘘でも酷い話だわ。そんな卑劣な犯人には、絶対に屈したくないわね……」
 ブランはブランで、ノリノリで麦子を演じて想像力を全開、無敵鎧の強度を高めている。
 そんなアリスナイト・イマジネイションの余波かどうか定かではないが、リカルドが自分の代わりに戦わせる分身たちも、いかにも敏腕弁護士だったり刑事っぽい格好をしていた。
 リカルド曰く、ロスヴァイゼの罪状を揉み消そうとしている警察上層部の汚職を告発する、組織に呑まれない正義の刑事だそうな。
 一方、ロスヴァイゼも戦闘用少女型支援機を大量に召喚。
「任務遂行を阻害する障害の排除を開始してください」
 彼女らを合体させて十数人になるまで強化すると、ブランの頭の上にいるリカルドや周りを固める分身たちだけを攻撃するよう指示を出した。
「いくら上からの命令で動いているとは言っても、もし全容が世間に知れたら、上は守ってくれないっすよ。トカゲの尻尾切りっす!」
 リカルドは支援機をロスヴァイゼの父の命で動く警察や法廷関係者に見立てつつ、分身たちに炎属性で反撃させた。
「……そう思うと、ロスヴァイゼ有利に事を運ぼうとしてる検事さんや弁護士さんも、職や社会的地位を懸けているのに、リスクばかり大きくて可哀想……いえ、同情したって足を掬われるでしょうけど、ロスヴァイゼへの怒りがますます湧いてきたわ」
 ブランもリカルドのセリフから敵方を裁判の内外でやりこめるイメージを抱き、無敵鎧の堅牢さをさらに高めている。

大成功 🔵​🔵​🔵​

涼風・穹
……本当にこれで良かった、のか…?
……考えないようにしよう…

『イグニッションカード』を掲げて《起動》を使用
我が覇道を阻むものは全て蹴散らすのみ!
出でよ、ズィルバーンヤークトフント!
事前に《起動》で『イグニッションカード』へ封じておいたキャバリアを取り出し乗り込みます

……ところで、俺のキャバリアはまだ武器は得ていない筈なのに何故にやたらと禍々しい形状の武器を持っていたり、白銀の装甲が漆黒に染まっていたりするのかね…?

一瞬ブランの方へ視線を向けますが、これも自業自得と魔王役を全うします
ブランは魔王ハーレムの一員、ロスヴァイゼは勇者、俺は女勇者を返り討ちにして手篭にしようとする魔王という体で戦います



●愛と欲望の共闘
 一方。
「……本当にこれで良かった、のか……?」
 涼風・穹は、ノリノリで汚辱まみれの裁判劇を演じるリカルドたちとブランを眺めて、果たして自分たちの教育は正しかったのかと遠い目になった。
「……考えないようにしよう……」
 とはいえ、ロスヴァイセが生きている以上現実から目を背けてばかりもいられないので気を取り直す穹。
「我が覇道を阻むものは全て蹴散らすのみ! 出でよ、ズィルバーンヤークトフント!」
 イグニッションカードを掲げて『起動』させると、予め中へ封じておいた彼専用キャバリア、ズィルバーンヤークトフントを解放した。
 ちなみに、ズィルバーンとはドイツ語で銀を指す。
 即ち、穹の新しい愛機の装甲色はピカピカの銀色なはずなのだが、
「……ところで、俺のキャバリアはまだ武器は得ていない筈なのだが何故にやたらと禍々しい形状の武器を持っていたり、白銀の装甲が漆黒に染まっていたりするのかね……?」
 本当に何故だか原理は不明ながら、穹が乗り込むなりズィルバーンヤークトフントはまるで闇堕ちしたかのようにドス黒く変色を始めたのだった。
「まさか……」
 穹は一瞬ブランの方へ視線を向けるも、これもハーレム魔王役を買って出た自業自得と、魔王役を全うすべく覚悟を決める。
「魔王様ってば、私だけでは飽き足らずにまだ新しい女が欲しいのね? でも良いわ……私は優しいから許してあげる」
 ブランはブランで、心得顔で魔王ハーレムの一員を演じていた。セリフと威圧感漂う能面のギャップが役者である。
 どうやら2人の中では、ロスヴァイセは女勇者、穹は女勇者を返り討ちにして手篭めを目論む魔王という設定らしい。
「心配しなくても全員を呼ばない夜は無い。ズィルバーンヤークトフント、発進!」
 穹はろくでもないセリフをのたまいつつ、射撃の手を緩めないロスヴァイセへ、キャバリアで一撃を見舞う。
 いつのまにか右腕に握られていた禍々しい両刃剣が、ロスヴァイセの胸を鎧ごと深々と斬り裂いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ギャレット・ディマージオ(サポート)
●設定等
ダークセイヴァー出身の冷静沈着な黒騎士です。
オブリビオンに滅ぼされた都市で自分だけが生き残った過去を悔い、人々を守ることを重視して行動します。

●戦闘において
「及ばずながら、手助けさせて貰おう」
「貴様の相手は、この私だ!」
「なんと強力なユーベルコードだ……! (解説) 直撃すれば一たまりも無いぞ!」

・牽制攻撃
・敵の攻撃から他の猟兵や一般人を守る
・敵の攻撃を回避してカウンター
・ついでに敵の強さを解説する
など、防御的・補助的な行動を得意とします。

メイン武器は「黒剣」です。

他は全てお任せします。
別の猟兵との交流や連携等も自由に行ってください。
どうぞよろしくお願いします。



●黒騎士の選択
「及ばずながら、手助けさせて貰おう」
 ギャレット・ディマージオ(人間の黒騎士・f02429)は、宣言通り加勢に来たものの、迷っていた。
 ダークセイヴァー出身の彼は、かつてオブリビオンに故郷を滅ぼされた際に自分だけ生き残った苦い過去がある。
 その深い後悔が彼の生き方を変え、人々を守ることを何より重んじるようになったのだ。
 だから、今も一般人でなおかつ命を狙われているブランを、必ず守り抜きたいと思うギャレットだが。
(「彼女の想像力を補完するとは言うものの」)
 ブランの命を守る手段があまりに独特過ぎて、多少の困惑を禁じ得ない。
 それでも、修羅場やら愛憎劇やらが彼女の力——アリスナイト・イマジネイションの土台になるのは事実。
 ギャレットは悲壮な覚悟を決めて黒剣を構えると、カオスな戦場へ躍り出た。
 現在並行して行われている即興劇は、ストーカー裁判と魔王ハーレムの2つ。
 麦子を演じるブランの恋人役など恥ずかしいし晴れがまし過ぎる。
 女勇者ロスヴァイセを力づくで連れ戻しに来た仲間というのも思いついたが、かと言ってあの淫靡なノリについていくのは……。
 だとすれば、自分にぴったりな役どころとは。
「ロスヴァイセ、接見禁止命令を破って彼女に会うなんざ言語道断。警察生命を懸けてまで娘を守ろうとした私の気持ちをも無にするとは嘆かわしい」
 静かな声ながら立て板に水の如くすらすらとセリフを紡いで、ロスヴァイセへ斬りかかるギャレット。
「全方位に向けて迷惑な娘など、もう野放しにはしておけん。親の責任を果たさせて貰おう」
 ギャレットが選んだのは、ロスヴァイセの父親である警察署長の役だった。
「任務遂行に支障あり……支援機の援護を要請する」
 変わらずブランだけを狙って自動弩を連射していたロスヴァイセは、身体中から血を流しつつも無表情のまま呟いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

涼風・穹
我のものになれ勇者よ
さすれば世界の半分をやろう
そう、性欲に溺れし悦楽の世界をな
戯言をほざきつつロスヴァイセを攻撃します

そして戦闘後はブランに刺されて…
刃物は《贋作者》謹製で刃は付いていないかブランの想像力の産物で何か細工されていたのかは兎も角、ハーレム魔王は最後まで反省も後悔もせずに魔王らしい末路を辿ります

かくして魔王も侵略者も消えて世界の平和は護られたのでした
しかし魔王は本当に滅んだのでしょうか?
いいえ、愛と嫉妬は表裏一体であるように光がある限り闇もまた消える事は無いのは世の常というものでしょう
……それでは皆様、魔王様の次なる物語をお楽しみに
(登場人物一同で優雅に一礼をすると幕が下りてくる)



●世界の全て
 ロスヴァイセとの戦闘をも演出に組み込んだ修羅場劇はまだ続く。
「我のものになれ勇者よ。さすれば世界の半分をやろう」
 涼風・穹は風牙でロスヴァイセを斬りつける傍ら、ハーレム魔王として戯れ言をほざくのも忘れなかった。
「そう、性欲に溺れし悦楽の世界をな」
 当然、ブランの抹殺しか頭にないロスヴァイセがそんな欲に塗れたセリフへ反応をするはずがない——とはいえ、世の大多数の女性のように、むきつけな性の話題へ恐怖や嫌悪感すら示さず無反応なのはある意味異様であるが。
 一方。
「……良いんでしょうか、ハーレム魔王様、あんなこと仰って」
 変わらず無敵鎧で死天使の弩弓を防いでいるブランが、どことなく心配そうに首を傾げた。
「何がっすか?」
 とは、穹やギャレットと連携して攻撃の手を緩めないリカルドの声。
「だって、ロスヴァイセに悦楽の世界をあげてしまったら、魔王様ご自身は残り半分の世界に追いやられて、欲求不満になりませんか?」
「なーに、きっと大丈夫っすよ。魔王本人もロスヴァイセと一緒に悦楽の世界に溺れるつもりっすよ」
「なら良いのですが……あっ」
 ブランは納得しかけるも、はっとした表情で新たな懸念を口にする。
「だったら私もそっちの世界に行きたい……私だけじゃなくて魔王様のハーレムを構成する女性全員そう思いますよね。だったら……」
「だったら?」
「魔王様の支配した世界で魔王様を慕う人が皆悦楽の世界へついていったら、そこはもはや『世界の半分』じゃなくて『世界の全て』ですよね」
 ブランがそんな謎の悟りを開いたとほぼ同時に、機甲戦乙女ロスヴァイセはリカルドと分身たち、穹、ギャレットの手によってついに撃破されたのだった。
「……元は世界の半分だったのが100%の世界になる……面白くて想像力を刺激されるけど、今は劇に集中しないといけませんね」
 と、ブランは気を取り直して懐から刃物を取り出す。
 それは穹の贋作者で模造された小道具ゆえに本物の刃こそついていないが、やはり修羅場劇に相応しく、やたらと禍々しい形状をしていた。
「その女に世界の半分をやるだなんて許せない……! 新参ばかりお可愛がりになって、この新しもの好きの浮気男が……!!」
 どすっ。
 嫉妬に狂ったブランの凶行。次いで正気に戻っての半狂乱。
「あ……いやああああっ、私、私……なんてことを!」
 穹やリカルドにも負けないなかなかの演技力である。
「……魔王の命まで欲するとは、我以上に強欲な女よ……」
「嫌よ魔王様死なないで……」
「だが、それでこそ我の……」
 ハーレム魔王は最後まで反省も後悔もせず、傲岸不遜な態度のまま、ブランの腕の中で息絶えた。
「魔王様ーーーー!!!」
 ずっと女を需め、女からも需められ続けた性欲魔王らしい末路といえよう。
「かくして魔王も侵略者も消えて世界の平和は護られたのでした」
 ナレーションは様々な端役を代わる代わる演じてきたリカルドの分身たち。
「しかし魔王は本当に滅んだのでしょうか?」
「いいえ、愛と嫉妬が表裏一体であるように、光ある限り闇もまた消えることが無いのは世の常というものでしょう」
「……それでは皆様、魔王様の次なる物語をお楽しみに……!」
 最後は登場人物一同で優雅に一礼。
 リカルド本体が皆の頭上から即席の緞帳を下ろして、猟兵とオブリビオンの入り乱れた修羅場劇は終幕を迎えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年12月08日
宿敵 『機甲戦乙女ロスヴァイセ』 を撃破!


挿絵イラスト