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希望を絶望に染める者~挫けぬ心を求むが故に

#ダークセイヴァー #人類砦 #闇の救済者

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「我が主、先遣した者達は倒されましたが」
「それが何か問題でも? むしろ望んだ展開だと思わない?」
 闇の中、言葉を交わす吸血鬼たち。
 一人は従者、もう一人は主であろう。しかし両者の会話には大きな隔たり、温度差が感じられるのも事実。
 従者は淡々と情報を伝え、主は同胞が猟兵に倒されたというのに逆に喜びを表す始末。
 もっとも、これは手を結んだ理由が理由、倒されてしまった方が自分にとって都合が良かったからに過ぎないのだが。
「如何します? 狙う村は立ち直りつつありますが」
「予定通りに進行しなさい、少しは希望を持って立ち上がろうとする姿が見たかったから願ったりよ。
 あのまま、連中が滅ぼしちゃったらせっかくの輝かしい、抵抗する姿が見れなかったからね」
 吸血鬼が狙った村、傷病人を流入させることで内部から崩壊させようと試みた村が立ち直りつつある、狙い通り滅ぼすならば追加で何か手を打つべき。
 そう言いたげに言葉を発した従者であるが、むしろ自分の求めるものだと言わんばかりに主は予定通りに攻め立てろと指示を出す。
 その言葉を聞き、頭を下げて退室する従者。
 だがその中には主と違う思惑があるのであろう。
「状況が変わっても自分の望むままに振舞う、ですか。
 潮時ですね、まあいいでしょう、うまくいけばよし、いかなくとも私にはもう関係ないことです。
 最後のお勤め、果たさせていただきますよ」
 小さく呟き、用意していた数多の戦力を召集。
 主が求む破壊と絶望、そこから立ち上がる輝かしき人間の姿を作り出すという目的の為。
 狙い定めた村へと狂気を伴う軍勢を解き放つ。
 それは軍馬の嘶き、そして兵士の怒号を伴って、恐怖と死を与える存在。
 圧倒的な恐怖を持って、主が望み、絶望から立ち上がる人々という姿を演出する道具として扱われる者たちであった。


「怪我人や病人の受け入れはぎりぎりだが、なんとかなりそうだな」
「はい、少し皆さんには不自由を強いてしまいますが……働ける方も来てくださって、冬を乗り越える準備にも手が回せます」
 ここ最近、急に怪我人や病人が流れ込み生活苦に陥りつつあったとある村。
 吸血鬼がらみの事件で中心となり、強い意志を示したりこれまでの経緯から村の中心として運営に意見を述べていた青年のニック、少女のリマ。
 相変わらず村の状況は苦しいものの、限界を超えかけていた怪我人、病人の流入は停止。
 猟兵がオブリビオンの悪辣な策を阻止した事で村の機能不全か、はたまた受け入れ拒否による人々の不和の発生は防がれており、結果として増えた労働力も相まって何とか村の立て直しが進み始めていたのである。
 だがしかし、その復興を阻止しようと迫る数多の影。
 村の遠方より来るその集団は軍馬に引かれたチャリオット、御者はもう理性も無くし、終わらぬ戦争を続ける者達。
 一同の目に映るものは全てが倒すべき敵、終わらぬ戦争で自分たちが滅ぼすべき存在。
 力なき者達も、立ちふさがり抵抗する者も等しく襲い、殺し、蹂躙するだけである。
 そんな招かれざる来客の襲来は、ニックやリマ、そして村の年配者や流入者の代表が今後について話し合う一軒家に飛び込んできた村人により告げられていた。
「たっ、大変だ! きゅ、吸血鬼の、吸血鬼の軍勢がっ!
 村に向かってきてるんだ! は、はやく逃げないと殺されるぞ!」
 不測の事態に備えて見回りをしていた男性が、物見として作られた櫓の上で見つけた遠方からの来訪者。
 集団で陣をつくり、多量の砂埃を巻き上げながら進軍する屍者のチャリオット、それを見つけすぐさま報告に戻ってきたのである。
 復興を始めた村に到来した緊急事態、迅速な判断と行動が求められる中で皆がうろたえ、何を言おうか逡巡する中。
 動揺していた一同の中、ハッとしたような表情になったリマが最初に言葉を発していた。
「……ッ! わかりました。動ける人は怪我人と病人を連れて、頑丈な建物に避難して下さい。
 私は……誘導できないか試してみます」
「おい、リマ、本気か!? 殺されにいくような……」
 村人たちに避難を託し、自分は囮となる。いわば自殺行為に等しい提案をしたリマを諌めるようにニックが口を挟んでいくが。
「大丈夫です、きっと、助けがきますから……私達を信じてくれた人達を、私達が信じないでどうするんですか?
 助ける、と言ってくれたのに、逃げる……なんて、出来ま、せん」
 口では覚悟を示していたが、やはり恐怖は隠せずに。
 なんとか気丈に振舞うものの、最後は声も震えつつ自分が囮になって、少しでも時間を稼ぐと告げるリマ。
 どよめく一同ではあったが、その意思は固くまた時間を無駄に出来ないとニックが口を開いていた。
「……わかった、こっちは何とかする。だから、お前も無理はするな、危なくなったらすぐに逃げるって約束しろよ」
「はい、わかりました。よろしくお願いします」
 押し問答をしている暇はない、なら今は出された案を迅速に行うのみとニックが無理矢理話を纏め意見を統一。
 傷病人は動ける村人が比較的頑丈な建物に分かれて避難を行って、決死の覚悟を決めたリマが一人、村はずれに向かうのであった。


「急ぎの事態です。ケーレスが予知した事件、裏で糸を引いていた吸血鬼が動きました。
 村が襲われていますので、急ぎ救援に向かってください」
 集まった猟兵を前にしてクアド・ペントヘキシウム(バーチャルキャラクターの人形遣い・f09688)が状況を説明する。
 端的に纏めれば、吸血鬼達がとある村を巡り各々の目的を達成するために手を結び、事件を起こしていた。
 そして今回はそのひとつ、村を直接攻め立てて己が欲望を満たそうとする吸血鬼が軍勢を率い、村へと向かっているのでそれを撃退するのが目的という事である。
「今回、村を襲撃した吸血鬼は絶望に打ちひしがれた人々が立ち上がる、そんな姿『だけ』を愛する吸血鬼です。
 まあつまりは、何度も襲撃され、その都度抵抗している村はさぞ魅力的、という事なのでしょうね」
 淡々と状況を説明し、村を狙う吸血鬼の趣向をも語るクアド。
 だが、事態は一刻を争う状況に変わりはなく。
「今はまだ、村に敵集団が向かっている状況。
 そして村の中心を担う者によって避難誘導が始まっており、敵が到着する頃には一応の避難は完了するでしょう。
 ただ、それは村はずれで囮を担う少女の働きあっての物、そのままでは立ち向かった姿勢を賞賛され、そして吸血鬼の趣向を満たす為に殺され、村も蹂躙されて終わりを迎える物語。
 ですが、皆様の力があれば悲劇という物語を書き換えることも可能となります」
 村の行く末がどうなるかを語り、阻止するには猟兵の力が必要と彼女は伝え説明を終了。
 一刻を争う状況の中、如何なる戦いを行うか。
 選択を猟兵に委ねつつ、グリモアを起動し戦場へと送り出すのであった。


紅葉茉莉
 こんにちは、紅葉茉莉です。
 今回は前作、希望を絶望に染める者~悪意は苦役に形を変える の続編。
 猟兵の方々の活躍により、なんとか持ちこたえていた村を蹂躙しようと迫り来る吸血鬼を撃退する、そんなお話になります。

 状況はオープニングに示しているとおりですが、以下に詳細をば。

 傷病人含め、村人の避難は到着時では途中。ただし猟兵の手助けがあればより素早く完了する。
 村はずれでは少女、リマが囮として立ち回り時間を稼ぐ、ただし長くは持たず吸血鬼は命を奪う事を厭わない。
 村はずれに遮蔽物、障害物になるものはほぼ無く、数本の木々が立つ程度。
 村の中では住居が視線を遮り、障害物にもなるが強度は期待できずユーベルコードや武器の使用で破壊される。
 住居が破壊されれば、中に避難民が居た場合巻き込まれる可能性がある。

 以上となっております。
 敵集団は囮となったリマをどうにかすれば、速やかに村の中へと進軍、蹂躙を開始します。
 また、集団を駆逐すればこの事件を引き起こし、主導した吸血鬼が直接、手を下そうと出現しますのでそれを撃退してください。

 一章、二章の戦いが終われば村の復興を手助けしたり、この人類砦となった村に辿り着いた人々が明るい未来を信じられるような。
 そんな、日常をお過ごしください。
 村人たちと交流してもよし、復興に尽力してもよし、何かのパフォーマンスを行ってもかまいません。
 必要があれば、プレイングに記載ありましたらクアド、前編からの流れでケーレスがお手伝いを行います。
 何も無ければ見えない場所で、何か復興のお手伝いをしているかと思います。

 情報としては以上となります。

 では、ここまで長文を読んでいただきありがとうございます。
 連作シナリオの第二作、人類砦となった村を直接襲い、自らの欲望を満たそうとする吸血鬼との決戦シナリオ、ご縁がありましたらよろしくお願いします。
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第1章 集団戦 『死地を駆け抜けるチャリオット』

POW   :    駆け抜け、弾き、轢き倒す戦車
単純で重い【チャリオットによる突撃】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    馭者による巧みな鞭
【絡めとる鞭】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    全力による特攻
自身が操縦する【ゾンビホース2頭】の【身体を鞭で強く打ちスピード】と【突撃による破壊力】を増強する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

四季乃・瑠璃
緋瑪「全く無茶するねー」
瑠璃「だからこそ、守ってあげないとね。あの子を死なせるわけにはいかないよ」
翡翠「村は私が回るよ。二人はあの子を」

【破壊の姫君】+シスターズ


瑠璃と緋瑪がリマ、翡翠が避難誘導の支援へ。
3人で飛翔翼で急行。

緋瑪が大量の感知式、時限式ボムで空爆して敵集団最前列を吹き飛ばし、瑠璃がリマを抱える様にして拾い上げ、救出。
二人でデュアル・ジェミニオンを召喚・搭乗。リマをコクピットに匿いつつ、オプションのマシンガンやミサイルポッド、反映させたボム等で殲滅していくよ。

翡翠は避難を手伝いつつ、アイゼンを起動。アーマー形態で避難民のいる家屋に続く道に陣取り、機銃と戦車砲で一歩も通さない様防衛。


肆陸・ミサキ
※絡みアドリブ怪我苦戦ok

死ぬ気は無いだろうけど、結局、自己犠牲ってことかな
長くは保たないといってもまだ猶予はあるだろう
なら、なんとかなるかもしれないし、僕も少し無理をしてみようか
僕も十分、吸血鬼側だから、怖がらせない様にもしないとね

UCの飛翔力で村外れへ向かおう
住居とか壊さないように、女の子は傷つけない様に気を付けつつ、かつ、最速で

間に合えば集団の敵を焦熱の範囲攻撃で注意を引くよ
各個撃破狙いで黒剣を斧に変えて、機動力である馬を潰していこう
他の仲間の助けになるかもしれないし

使う技能は怪力、範囲攻撃、焦熱、捨て身の一撃


馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。

第四『不動なる者』盾&まとめ役武士
一人称:わし 質実剛健で古風
対応武器:黒曜山(今回は盾)

前回は黙っておったわしだが。やはり放っておけぬのよな。
…この企みに共謀し、『疾き者』が無茶をした原因も叩けておらぬし。
本来、守る戦はわしの分野であるし。
一番の理由は、誰ぞの故郷を滅ぼしてたまるか。

村はずれに向かい、リマ殿へ協力しよう。
【四天境地・『鏡』】。どれだけ破壊力を増そうとも、それは全て跳ね返る。
自滅の速度をあげるだけだの。

わし自身は出口に布陣しつつ。リマ殿に攻撃行くようならば、盾受けとオーラ防御でかばう。
攻撃は四天霊障でおこなうかの。



 蹄が地面を蹴り上げ、回転する車輪の駆動音と将兵の怒号が響く。
 それも一つ二つではなく、膨大な数の軍馬が、チャリオットが戦場へと赴くがごとき喧騒を見せていた。
 進路の先には小さな村、膨大な数の軍勢が狙うには不釣合いなものではあるが目的は強大な悪意に、力に虐げられてもなお立ち上がろうとする人々の姿を見ること。
 主である吸血鬼の願いを成就すべく、死地を駆け抜けるチャリオットの大軍勢は戦うに似つかわしくない村でも容赦なく蹂躙すべくその足を速めていた。
 狙われし村、その村はずれには一人の少女、リマが立ち、迫る軍勢を凝視して。
 震える足を無理矢理に押さえつけ、如何にしてこの大軍勢を引き付け、時間を稼ぐか思案する姿があった。
「全く無茶するねー」
「だからこそ、守ってあげないとね。あの子を死なせるわけにはいかないよ」
 そんな少女、リマの上空から声が聞こえたのは声を上げて飛び出して、村の周囲を走ろうかとリマが思った瞬間で。
 思わず反応、上空を見上げれば背中に機械仕掛けの翼をつけて彼女を見下ろす瓜二つの存在……分身体である緋瑪と、彼女の本体でもある四季乃・瑠璃("2人で1人"の殺人姫・f09675)の姿があった。
「あ、あなた達は!」
 普通の人間には出来ぬ芸当、天駆ける姿を見て助けが来たと分かったか。
 恐怖に引きつっていたリマの表情がほんの少し和らぐも迫る敵の数は膨大、そして最前線を走っていたチャリオットが今まさに畑を乗り越え村を蹂躙せんと突っ込んできたのである。
 だが、その突撃が成功する事はない。
「反射し隔てよ」
「ヒヒィイイン!? ブヒュウウ!」
 迫るチャリオットの鼻先に突如出現したもの、それはまるで鏡のように磨き上げられた黒曜石にて出来た壁。
 そしてその壁は突撃したチャリオットを防いだ一枚だけではなく……戦場となる村はずれ、そこから村へ向かおうとする者達を誘い込む、巨大な黒曜石にて出来た迷宮が出現し、迫るチャリオットたちの進路を完全に塞いでいたのである。
「前回は黙っておったわしだが。やはり放っておけぬのよな」
 黒曜石の迷宮、それが生み出す影の中からスッと姿を見せたのは馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)
 そして今、彼の中に存在する人格……彼を構成している悪霊の中で主として動いていたのは『不動なる者』と呼ばれし武士の悪霊。
 突然の迷宮、防壁として機能するそれの出現に目を白黒させるリマに振り向いて、自分の仕業と分かるように不動なる者は語りかけていた。
「守る戦はわしの分野、安心するとよい。お主の心意気はわしらが引き継ごう」
 これ以上、自分を危険に晒す事はないと言い聞かせるよう言葉を紡げば守りの意思を示す様に不動なる者は黒き大盾を掲げ、これで守るとばかりに宣言し。
 彼の生み出した迷宮に次々とチャリオットたちが突入し、その速度を落としきれず壁に激突、急減速した者も後続が衝突しての玉突き事故を発生させて、第一波を防ぎきっていたのである。
 だが、緒戦のぶつかり合いを凌いだとて相手の数は膨大、迷宮を走り回って突破を狙う者が次々と現れれば出口への道筋が見ぬかれ、突破を許すのも時間の問題。
 一時の足止めだけでは足りないがそれを補うのもまた猟兵の仕事であろう。
「もしこれを抜け出す者がおれば、わしが潰そう。他は……」
 そう言いつつ不動なる者が空を見上げれば最初に到着した二人、緋瑪と瑠璃ではなくもう一つの人影。
 白く輝く灼光が飛来して、それはよく見れば光ではなく輝くドレスを身に纏い、日輪を背負い飛来した肆陸・ミサキ(SolitusVamp・f00415)
 光輝と呼ぶに相応しきその姿は見る者によって、畏怖を、尊敬を、羨望を。
 様々な感情を抱かせるであろうが、今彼女がもたらす者は敵対するチャリオット達に与える恐怖のみ。
「死ぬ気は無いだろうけど、結局、自己犠牲ってことかな」
 ふっと呟く彼女が神々しくも降り立つは、生み出された黒曜石の迷宮へと突入せんと加速するチャリオットたちの眼前。
 リマに恐怖を与えぬように、されど敵には恐怖と共に破滅を与えるべく。
 手にした黒き剣を一振りすれば、それは瞬時に長柄の大斧、俗に言うバトルアックスへと姿を変えれば振られた勢いそのままに、無尽蔵に上昇する彼女の体温を宿した熱風を吹き付けて。
 その強烈な熱風に反応、悲鳴を上げてチャリオットを牽引する軍馬がのけぞれば好機到来。
「悪いね、少し無理をするからさ。馬の足は折らせてもらうよ」
 軽やかに一歩踏み出し、手にした斧を振り上げて。
 怪力任せに一薙ぎすれば、それは軍馬の前足を容易くへし折り横転させれば軍馬に引かれる車両も倒れ、その機能を失っていた。
 熱波伴うミサキの猛攻、軍馬の動きを制限しつつその機動力を奪う攻撃は進軍を十分に阻み、耳目を引き寄せるには十分すぎる効果を発揮。
 だがそれ故に、仲間の屍を盾として強行するものも現れて。
「ヒィィィヒヒン!」
 けたたましい嘶きと共に突撃した軍馬がミサキを前に急旋回、チャリオットの車輪が地表を擦り、砂を巻き上げドリフトしながらその質量を叩き付けんとミサキに迫る。
 その強行を視認、ならばこちらも力で応じるとばかりにミサキは斧を振り上げ迫る車両に叩きつければ激しい衝突音が鳴り響く。
「甘い甘い、僕も吸血鬼側、力なら負けはしないさ。ま、こうも砕けるのは予想外だけどさ」
 質量に対してぶつけた強烈な衝撃、両者のぶつかり合いは圧倒的な膂力、怪力を見せたミサキが敵車両と断ち切り、そして衝突の衝撃で車両が切断されながら崩壊するという結末を見せ。
 砕け散った破片が飛び散り、一撃入れたミサキの体にもぶつかって小さな傷を刻みながら残骸が地表をすべり、そして停止するという結末を迎えていたのだ。
「まだくる? どれだけ来ても、そう簡単に通しはしないよ」
 一撃粉砕、車両の残骸を踏みつけながら宣言し、敵集団を威圧するミサキ。
 その圧倒的な力と共に放たれる光を前に、チャリオットの集団は無謀な突撃を再度開始していた。

「ふむ、ある程度はひきつけてもらっているが……突破してきたか」
 ミサキの攻撃にて迷宮に突入するチャリオットが減少、されど出口を見つけた小集団がいたのであろう、出口に陣取る不動なる者を排除しリマを、そして村を蹂躙せんと疾駆するチャリオット。
 だがその突破も想定済み、真正面から黒き大盾にて突撃してきたチャリオットの衝突を受け止め、その突撃を逸らしていけば狙われた少女、リマの体が急に浮かんで上空へ。
「わわっ、な、何がっ!?」
 猟兵の戦いを見守っていた身に、唐突に起こった異変。
 理解できずに思わず言葉を発して首を回せば、自分を抱え上空へ連れ出した存在、瑠璃が敵迫る場所から安全圏である上空に引き上げたことに気がついて。
「あのまま、地上にいれば危なかったからね、これであいつらの攻撃は届かないからさ」
「あ、はい、ありがとうございます……で、でも、村に向かうのが!」
 安心させるように語り掛ける瑠璃、礼を言いつつも高度を得て周辺を確認できたのだろう、生成された迷宮を避けるように迂回して村を狙う集団を見つけたリマが叫ぶが問題ないとばかりに瑠璃が言う。
「大丈夫、私たちだけじゃない、村は守るよ」
 リマを抱えて方向転換、村へと彼女の視線を向ければこの世界には不釣合いな戦車が迂回するチャリオット目掛けて進撃を。
 そしてそのまま人型に変形、機関銃や戦車砲をもってして、迫る敵集団へと容赦ない砲撃を開始していたのだ。
「あ、あれは……」
「私の仲間、かな」
 別人格を宿した人形、翡翠が操る可変型重戦車。
 その火力でもってして、迫る敵を足止めし、更には別の猟兵も加わるだろうと伝えてリマを安心させれば迷宮内部で大爆発が巻き起こる。
「瑠璃ー、とりあえず出口を見つけたっぽい連中は爆破しといたよ」
 その声の主は瑠璃の分身、別人格である緋瑪。
 不動なる者が生み出した迷宮上空を旋回していた彼女は出口を知った集団を認め、その集団へと急降下。
 そして手にしたありったけの爆弾をもってして爆撃、その進軍を阻止することで迷宮突破を続けるチャリオットの数を減らす事に成功していたのだ。
「ほう、やはり空を飛べるのは便利だのう。まあ、わしは守るが役割だが」
 飛行能力を駆使した仲間の活躍、それを地表から見上げつつ。
 突破してきた集団を前にして一歩も引かぬ不動なる者。
 やられた同胞の恨みを乗せて、激しい足音と共に駆け出す軍馬の集団、そして引かれ、けたたましく鳴り響くチャリオットの車輪が奏でる回転音。
 このまま強行突破、村へと向かい破壊の限りを尽くさんとする軍勢だがそれを許す不動なる者ではない。
「お主らの様な者に、誰ぞの故郷を滅ぼさせてたまるか」
 大盾の後ろで呟きながらそっと左手を持ち上げて。
 渦巻くどす黒いナニカが噴出せば、それは不動なる者を初めとして義透を構成する4人の悪霊、それぞれの無念が形を成した霊障そのもの。
 迫るチャリオットの集団に飛来すれば瞬く間にその身を蝕み、軍馬が苦しみ横転すれば牽引される車両は引かれる勢いそのままに、倒れた軍馬と衝突して横転。
 馭者が手にした鞭を振り回し抵抗するも、盾にて受け止めた不動なる者が近づいて。
 容赦なく大盾の質量生かした叩きつけ。
 グシャリと嫌な音を立てつつ馭者が潰されて、ここに強行狙った小集団は殲滅される事となっていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

メリー・スペルティナ
首と目玉を手引きした輩の登場……でも、誰が来ようと討ち滅ぼすだけですわ

じゃあ村はずれの助太刀ですわね
……別に救援活動できないとかじゃないですわよ?ほんとですわよ?
囮は多い方がいいからですわ!

まずは【装・死の先を往く者よ】を彼女や味方へと使用
あの村に縁あれば村人たちが託した想いが
そうでなくとも誰かが貴方に寄せる想いが
苦難を破り乗り越える刃となる
さあ、高みの見物の吸血鬼に、目にもの見せてやりましょうですわ!

後は周辺に使い捨て血晶石の罠を。
不用意に踏み込んだ敵に炸裂した血を介し呪詛を浴びせ、更にブルートヴァッフェを大鎌に変形(武器改造)、広範囲なぎ払いで脚を狩ってしまいますわ!

※アドリブ他歓迎です


紬雁・紅葉
【風雷剣】
村はずれに直行

リマに
その覚悟、見事!
なれど犬死には無用!

リィフさん、守備を…
私が打って出ます!


羅刹紋を顕わに戦笑み
クイックドロウにて羅刹紋から都牟刈を抜剣

残像忍び足で正面からゆるゆると接敵
射程に入り次第天罰破魔雷属性衝撃波UCを以て回数に任せ範囲を薙ぎ払う

敵の攻撃は躱せるか見切り
躱せるなら残像などで躱し
さもなくば破魔衝撃波オーラ防御武器受け等で防ぐ
何れもカウンター破魔天罰雷属性衝撃波UCを以て範囲ごと薙ぎ払う

窮地の仲間は積極的にかばい援護射撃

襲うばかりの亡者の群れ
最早鎮めるに能わず
八雷神の雄叫びにて
比良坂へと突き落とさん!

去り罷りませ!

※アドリブ、緊急連携、とっさの絡み、大歓迎です※


麻海・リィフ
【風雷剣】
アドリブ、即興連携歓迎

村はずれへ急行

姉君!承知!
ここは通さん!

先制UC発動
拠点防御の知識を駆使して布陣
盾受けからのカウンター念動衝撃波シールドバッシュで範囲ごと吹き飛ばす

接近して来た敵に剣を回し念動衝撃波串刺しで一気に貫通攻撃
二回攻撃も駆使し範囲ごと吹き飛ばす

敵の攻撃は基本三種の盾で受け
念動衝撃波オーラ防御等を乗せて防ぐ
カウンター念動衝撃波シールドバッシュで範囲ごと吹き飛ばす

窮地の仲間(特にリマ)は積極的にかばう

その勇気と覚悟、尊敬に値する…
恐怖に立ち向かう気高さが我等を呼んだ!
我等猟兵!過去を討ち砕き未来を切り拓く者!

骸亡者共!押し通ると言うのなら…
無敵の盾と最強の矛が相手だ…!


霧島・絶奈
◆心情
さて、無事に辿り着きましたか
探求卿との『逢瀬』をふいにして迄護衛した甲斐もあったというものです

◆行動
とはいえ、易々とは行きませんか…
避難誘導よりは時間稼ぎを優先した方が確実そうです
私は囮を務めた村人の助力に回るとしましょう

『暗キ獣』を使用
屍者の槍衾の迎撃と屍獣の遊撃による鉄床戦術を基本としますが…
敵チャリオットの突撃は敢えて進路を開ける事で誘い込み包囲殲滅
兵科は違えど『ザマの戦い』と同じ理屈です

私は【罠使い】の技を活かし「魔法で敵を識別する指向性散弾」を複数設置

加えて【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】し追撃

負傷は【各種耐性】と【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復


宮落・ライア
うーん………避難を促すとかは性に合わないんだよねぇ。
扇動ならともかくね?
だったらダンスの方がいいのはもちろんだよねー。
村はずれへごー。

遮蔽も障害も少ないのはこっちにとっていい事さぁね。
だって真っ直ぐ突っ込んでくる相手を狙いたい放題じゃないか。

UCの黒杭をまずは半分ほどで高速射出。まーとりあえず牽制というか目くらましと言うか……まぁなんかノリ?
次に一騎につき黒杭4本を操作しながら飛ばして戦車の車輪の隙間に突っ込んで車輪の破壊かバランスを崩させる。
で、動きが鈍くなるか止まったところに残りの黒杭で蹂躙。

リマ―?リマ―?リマ―りまーりまー?リマリーマー?
あっはっは。飴ちゃん食べるかい?



 主戦場となる村はずれ、そこで猟兵が敵を迎撃すれば。
 真正面からぶつかり戦力を消耗し続けるのではなく、大きく迂回し別方向から村を攻め落とそうとする集団が多数出るのも自然流れ。
 前線が進めぬ中に小部隊としての単位ではなく、多数の軍勢として後方の戦力が迂回を始め進軍速度を速めるがその進軍を阻む猟兵が待ち構えていた。
「さて、先の戦いで守り抜いた流民達は無事に辿り着きました。
 探求卿との『逢瀬』をふいにして迄護衛した甲斐もあったというものです」
 迂回した集団を迎え撃つは霧島・絶奈(暗き獣・f20096)であり、彼女はこの襲撃前、別地点で発生した戦いで猟兵達が守った流民をこの村へ無事に送り届けるべく護衛。
 傷病人ではなく労働力としての流民を得て持ち直し始めるまでを見届けて、次なる襲撃が如何なる形で成されるかを警戒し、そして此度の迎撃となったのだ。
「広域への展開、真正面だけの防衛をすれば良いわけでなく、易々とは行きませんか……。
 なら避難誘導よりは時間稼ぎを優先した方が確実そうです」
 敵軍の大きな広がり、村はずれに戦力が集中してはいるものの足止めされ遊兵になるぐらいならと速度を生かし迂回した軍勢。
 此方を食い止めねば命がけの少女の覚悟が水泡に帰してしまう、ならば自身はその助力になろうと絶奈はこの軍勢に相対していたのである。
 重なり合う蹄の音、けたたましく回る車軸の喧騒が近づくも焦る様子はひとつもなく。
 スッと絶奈が右手を上げれば次の瞬間、彼女は青白き燐光伴う霧に包まれ肉体が変異、それと同時に屍者の軍勢が迫るチャリオット達を迎撃するように出現し、手にした長槍を掲げ槍衾を形成。
 人間ならば迫る軍馬の軍勢に恐れを抱き、その場に留める事が困難ではあるが彼女の生み出した軍勢は既に命を落とし、恐怖という感情が欠落した存在。
 馭者が振るう鞭を受け、速度を上げた集団が急接近。
 その衝突力を一度は受け止め、槍衾にて軍馬を突き刺し先鋒を仕留めるが続けて迫る第二波、第三波の衝撃力は凄まじく、屍者の軍勢は大きく陣を崩し広がり、分断される形でチャリオットの進路が開けていく。
 如何に感情なき軍勢、自在に操れるとはいえ勝負あったかのように見えたが指揮官たる絶奈は何の命令も出さず、陣を大きく広げチャリオット達を望むがままに前進させる。
 速度を乗せた勢いのまま、邪魔する屍者の軍勢を分断し突き進むチャリオット、だが防衛に当たる軍勢の抵抗が弱すぎることに頭の回る指揮官がいれば不自然さに気付いただろう。
 居並ぶ軍勢が大きく広がり、今まさに完全突破を成し遂げようとした瞬間、異変は起こる。
 最前線を走るチャリオット、その足元が爆発して多量の散弾が放出、被弾し転倒した所へ後続の者が躓き、連鎖的に転倒が発生。
 何とか衝突を回避し、倒れた仲間を迂回した者も居たがそれを逃さず地面切り裂き、礫巻き上げ飛来する衝撃波。
 無理な姿勢で仲間を避けたチャリオットにその衝撃波を受け止めきって、進軍を続ける余力は無く被弾、脆き車体が砕け散り馭者が放り出されれば。
 鞭を振っての抵抗も許さぬとばかりに次なる衝撃波が襲い、そのまま体を引き裂いて馭者の命を奪っていた。
 何が起こったのか?
 それは軍勢に紛れ、混乱に乗じて軍勢の最後尾に数多の爆発物を仕掛けていた絶奈の計略。
 敵の突撃を真正面から受け止めず、一当てした後速やかに敵軍の進路を空けるように広げた事で敵はそのまま突撃を。
 そのまま自陣へ誘い込み、逃げ場を無くす場所にて絶奈が爆発と同時に散弾を放ち最前線の者を引き倒し。
 動きを止めた所へ追撃の衝撃波を放っていたのだ。
「屍者の槍衾の迎撃と屍獣の遊撃による鉄床戦術、が基本ですが……真正面から衝突を受け止める必要はありません。
 衝突力を真正面から受ければ此方の被害も相当ですが、受け流して引き込めば包囲の形は作れますよ」
 敵陣を分断、勝利を目前とした状況から一転し、屍者の軍勢に前方、左右を囲まれた状況に追い込まれたチャリオットたち。
 後方には機動力を生かした屍獣が回り込み、唸り声とともに迫りくる完全な包囲状況。
 圧倒的な衝撃力をもち、正面でのぶつかり合いなら重装歩兵の集団ですら蹴散らせる戦象の突撃をかわされ、散兵によるかく乱から各個撃破されたカルタゴ、ザマの会戦が如くその衝撃力は受け流され。
 そして、圧倒的な戦力を持って敵軍を分断、突破を目前として知らぬ間に死地へと誘い込まれたカンナエの戦いのローマ軍が如く。
 攻撃を受け流され、そして死地へと誘い込まれたチャリオット達は全周囲から繰り出される攻撃に加え、最前線が転倒したことでその突進速度が失われ速力も生かせずに。
「逃げ場は何処にもありません、包囲を破る以外には……ですが、何処を狙います?」
 既に全周に罠を仕掛け終わったのであろう、絶奈が包囲を狭めつつ言葉を紡ぎ……外周から薄皮を剥くようにチャリオットの集団は数を減らし、全ての車両が完全に沈黙するまで然程時間は掛かることがなかった。

「うーん………避難を促すとかは性に合わないんだよねぇ。
 扇動ならともかくね?」
 絶奈が軍勢同士の戦いを制した頃、別働の集団を見つけていたのは宮落・ライア(ノゾム者・f05053)
 村はずれでの正面衝突を狙いつつも迂回した軍勢がいるのならば、ここで気を引くことも十分な戦果である。
「主力じゃないけど、これだけいればダンスの方がいいのはもちろんだよねー」
 派手にドンパチ、ぶつかり合うには十分すぎる戦力が迂回しているならばこそ。
 ここで盛大に、ダンスという名の戦闘を行うべく彼女は迫る集団目掛け駆け出していた。
「ヒィィィヒヒヒン!」
 迂回しての行軍、その進路を阻む存在を認識したチャリオット。
 振るわれた鞭を受け、嘶きとともに加速して、ライアを狙い軍馬が地面を蹴り上げる。
 跳ね上げられた泥が宙を舞い、障害物なき戦場を思うがままに掛ける軍馬が突進の勢いで蹴散らそうと試みるが、それをそのまま受けるライアではない。
「あっは。踊れ踊れ踊り子さん。踊れなければ磔にしてしまうよ?」
 肩をすくめて見下すような笑いを浮かべ、迫るチャリオットに言葉を紡げばライアの周囲に多量の黒き杭が出現、そして迎撃とばかりに射出され、進撃する集団に襲い掛かる。
 遮蔽物なし、障害物なし、速度を乗せての突撃が最大限に効果を発揮するのと同じく遠距離攻撃もまた、敵を見失い、壁に阻まれる事無く最大限に効果を発揮するのがこの戦場。
 真っ直ぐ突っ込んでくる相手を狙いたい放題じゃないか、なんて嘯いたライアの放つ黒杭は最前列の軍馬を穿ち、数匹を転倒させれば後続はその攻撃を避ける様に突進の軌道を逸らす。
 だが、真正面に進んでいたチャリオットが攻撃を避けるために向ける方向は斜め前方のみであり、故に無防備な車両の側面が晒されて。
「あはは、車輪が丸見え、そこの強度はどんなものかなぁ?」
 笑いながら追加の杭をライアが放てば、それは車輪を構成するスポークの間に突き刺さり。
 回転するが故に杭とスポークが衝突、バキバキと木材がへし折れる音と共にスポークが一気に砕け、片側の車輪、その機能を失ったチャリオットが転倒すれば馭者が地面に投げ出される。
 牽引していた軍馬もまた、車両が転倒したことによる衝撃を受け姿勢を崩し、思わず足を止めてしまうがそれが完全な命取り。
「あーあ、踊れなくなっちゃったかなぁ? 踊れない踊り子さんはもう出番が無いんだよねぇ」
 動きを止めた刹那を逃さず、残りの杭を放つライア。
 反応できず貫かれ、鮮血を撒き散らし絶叫しながら倒れる軍馬と鞭を振り回し、払いのけようと必死の抵抗を見せるも額に杭受け、そのまま伏せた馭者。
 次々と放たれる杭により、ライアは迂回した集団を容赦なく蹂躙していた。

 迂回した集団に別の猟兵が対応に向かう中、村はずれにて衝突していた敵の主力はどうなっていたのか?
 別働隊が出現するほどに戦力が存在するならば、その数に対応するように猟兵の攻め手は増えるのが道理である。
 猟兵によってチャリオットの集団から離れ、戦況を見守れる場所に運ばれていたリマの後方から二つの影が接近、その脇を通り抜けながら彼女に声をかけていた。
「その覚悟、見事! なれど犬死には無用!」
 一人は紬雁・紅葉(剣樹の貴女・f03588)であり、何かあれば動きだしてしまいそうなリマを勇めるかのように声をかけ。
「リィフさん、守備を……私が打って出ます!」
 共に戦場に挑むもう一つの影、麻海・リィフ(晴嵐騎士・f23910)に声をかければその呼びかけに応じるのがリィフである。
「姉君! 承知! ここは通さん!」
 二人並んで突撃、先に生み出された迷宮を数の力で突破してきた集団をこれ以上好きにさせぬと駆け出せば、更なる援兵も姿を見せる。
 それはこの戦いの前哨戦、傷つき病んだ人々をこの村へと送り込む策謀をめぐらせた吸血鬼を討ち果たした猟兵の一人、メリー・スペルティナ(暗澹たる慈雨の淑女(自称)・f26478)である。
「お待たせしましたわ、助太刀に参りました!」
 駆けた二人に一手遅れて参戦したメリーは黒き剣を一振り、戦場に立つ仲間を鼓舞するように声を発する。
 先の戦いで人々を苦しめた吸血鬼、メリーにとっては首と目玉、としか記憶されていない存在を手引きした輩を完全に撃ち滅ぼすという強い意志を秘め。
 人々を守る……ならば避難活動も手段ではあるが、彼女は積極的に敵を倒す事を選択しこの戦場に駆けつけたのだ。
「……別に救援活動できないとかじゃないですわよ? ほんとですわよ?
 囮は多い方がいいからですわ!」
 自分の戦い方、その得手不得手をしっかりと知るメリー。
 誰に対してかはわからぬが、こっそり言い訳をしながら最前線で受け止める、囮として戦う者は多いほど敵を足止めできるから、と言いながら地面を蹴って駆け出して。
「皆さん! 村に縁あれば村人たちが託した想いが。
 そうでなくとも誰かが貴方に寄せる想いが力となりますわ! そしてそれが苦難を破り乗り越える刃となる!」
 駆け出し、最前線に向かった紅葉とリィフに。
 そして戦場で戦う仲間に、一人囮となって食い止め、猟兵が来るまでの時間を稼ぐ覚悟を決めていたリマに。
 想いが力となり、武器へと変わる演説を行えば、それぞれの武具が持つ力が高まり、また武器持たぬ者にはその手に刃が生み出され、メリーの言葉を聴いた者たち全ての力が高まっていた。
「その言葉、大変励みになります。なら私は想いに応えましょう」
「姉君、守る事は考えず、存分に!」
 メリーの力、その恩恵を受けた紅葉とリフィが言葉を発する。
「さあ、高みの見物の吸血鬼に、目にもの見せてやりましょうですわ!」
 その二人を、そして戦場の仲間全員を更に後押しするようにメリーがこの騒乱を見物している吸血鬼への宣言を行えば、戦う者たちの力は高まる。
 そして、迷宮を突破したチャリオットとの衝突が始まっていた。
 最前線にてぶつかるは紅葉、迫る敵との距離を見て足を止め、ゆらりと定まらぬ足取りで歩を進め。
 羅刹紋を虚空に浮かばせその中より引き抜くは魂の具現とも言える黒き拵えの天叢雲剣"都牟刈"である。
「襲うばかりの亡者の群れ、最早鎮めるに能わず」
 ただひたすら、死を撒き散らし騒乱を、戦争を求むチャリオット。
 そうなってしまった戦士の末路を思いつつ、既に鎮める手立ては無いと言葉を紡ぎ。
「八雷神の雄叫びにて、比良坂へと突き落とさん!」
 逝くべき場所、黄泉比良坂に向かうべしと一喝すれば雷光煌き、手にした都牟刈とまったく同じ姿の剣が虚空に膨大な数浮かび。
「御佩刀欠きし太刀八重八千重に並べ連ね……斬り祓い給う討ち清め賜う!!」
 紅葉が手にした一太刀振るえば、その動きに呼応。
 浮かぶ剣が幾何学模様を空中に描きつつ、雷光纏って飛び去れば、多方向から迫るチャリオットへと飛来。
 次々と突き刺さり、切り裂き、断ち切り。
 軍馬を、馭者を、そして車両の区別無く、容赦なく駆逐し始めていたのである。
 倒された馬が絶叫、砕け散った車両が轟音と共に地表を滑れば、乗り込む馭者を逃さぬとばかりに別の剣が一閃、雷光と共に衝撃波を放ち立ち上がる暇与えず討ち滅ぼし。
 鳴り響く雷鳴が収まれば、紅葉を引き倒すべく突撃したチャリオットの集団は殆どが殲滅されていたのである。
 だが、猟兵の猛攻は彼女の一手だけではない。
「迂回したとて無駄ですわよ! あの雷光に討たれるか、わたくしに狩られるか。
 突破できても、あの方に阻まれるかのどれかですわ!」
 真正面から突っ込んだ者とは別、紅葉を避けて突撃した集団が走り出したその瞬間、地表から噴き出す赤き霧。
 それは呪われしメリーの血液混ぜ込んだ血晶石、そして広がる霧は呪詛を孕んだものであり、真正面から受けた軍馬の脚力は目に見えて衰えて。
 速度低下を見逃さず急接近、メリーの振り上げた黒き剣が彼女の血液吸い上げて、赤黒き大鎌へと姿を変えれば躊躇い無く一振り。
 長柄武器の長所を生かし、立ったままの体勢で地表スレスレ、即ち馬の脚部を狙っての薙ぎ払いは多くの軍馬、その足を切断し、立つこともままならなくなった軍馬が転倒。
 そして牽引された車両も動力を失い停止、そこへ飛来するは紅葉の放つ雷光纏いし剣たち。
「足止め、感謝致します。では……去り罷りませ!」
 呼吸を整え、在るべき場所へと向かうように声を出せば剣が動けぬチャリオットを突き刺し、魔を打ち払う力を流し込めば大きく痙攣、そして軍馬と馭者は動きを止めて。
 別働した一隊は、この攻撃にて殆どが殲滅されていたのであった。
「姉君、流石です! 討ち漏らしはわたしが!」
 多くの敵を広範囲で殲滅した二人の活躍、その戦いに負けず劣らず仕上げとばかりに奮戦していたのはリィフ。
 物量で攻め、そして仲間の犠牲すら厭わず強引に突撃するが故にどうしても少数が突破をするならば、それを一兵たりともと押さぬと立ち回り。
「雲か霞か、攻めるも受けるも……!」
 強行突破を成功させた少数のチャリオット、その再突撃が成される前に自らが持つ機動浮遊攻防盾「雲霞」を大量複製、敵の突破をさせぬようにと広域に展開させていたリィフ。
 後ろは仲間を殲滅した紅葉やメリーの攻撃が、前方には包み込む様に広がる防壁の群れという絶望的な状況ながら、感情も持たずただ戦争を求むチャリオットの小集団は強引な突撃を再開。
 しかし、如何に速度を速め、衝撃力を持った突撃とはいえ少数で、そして考えなしに欲望のみによる突撃で猟兵の守りを打ち砕く事は不可能。
「骸亡者共! 押し通ると言うのなら……無敵の盾と最強の矛が相手だ……!」
 迫るチャリオットを前にして回転剣ストヲムルゥラァを右手に、そして左手に盾を持つリィフが迎え撃つように前進。
 ストヲムルゥラァの先端がドリルの切っ先の様に回転すれば、それは堅牢な装甲ですら容易く穿つものとなる。
 急接近する両者、そしてぶつかり合う軍馬と盾。
 凄まじい衝撃が走るがリィフは怯まずそのまま右手の剣を突き出し、軍馬ごと車両を、そして馭者を貫いて。
「そのような突進で、ここを抜けるのは……不可能!」
 衝撃を受け止めた左腕、雲霞に力を込めて打ち払い、衝撃波と共にチャリオットを弾き飛ばせば後続のチャリオットを巻き込みながら派手に転倒。
 砕け散る車両から木片が飛び散って、ふわりと浮かんだその瞬間。
 周囲に浮遊、如何なる方向に向かおうとも阻止する様に展開していた防壁の雲霞が次々と飛来、木片を弾き飛ばして残存するチャリオットにぶつかり、前後左右からの衝撃で突進の為の加速を阻害。
 進む事も引く事も出来ず、揺さぶられる少数のチャリオットに最早リィフの攻撃を凌ぐ事は不可能で。
 一両、また一両と強引な突破を成功させたチャリオット達は次々と打ち倒されていったのであった。

「す、すごい……あれだけいたのが、もうこんなに」
「君の勇気と覚悟、尊敬に値する……。
 恐怖に立ち向かう気高さが我等を呼んだ!」
 村はずれより襲撃を行ったチャリオット、その多くが倒されて、また迂回戦力をも猟兵が食い止める状況。
 自分ひとりでどこまで粘れるか、そして村が助かるか、一か八かの賭けに出たリマが感嘆の声を上げれば敵を今まさに、強引な突破を仕掛けたチャリオットを仕留めたリィフが如何なる襲撃からも守るとばかりに戻り、リマに声をかけていた。
「は、はい! ありがとうございます!」
「礼には及ばぬ、我等猟兵! 過去を討ち砕き未来を切り拓く者!」
 ペコリと頭を下げるリマ、そんな彼女に自分たちの役割を高らかに宣言するリィフ。
 一応の安全が確保された戦場の最後尾、故にやり取りができるからか、別の猟兵も姿を見せて。
「リマ―? リマ―? リマ―りまーりまー? リマリーマー?」
「わひゃっ!?」
 リマの後方、そしてまるで影から這い出したかのように。
 村はずれに到着したライアが腰を深く曲げ、そして首を傾け見上げるような体勢で声をかけていたのである。
 あまりに不自然な格好で、そして突然に声をかけてきた黒髪の少女、そして引きつったような、それでいて心底楽しそうな笑顔を見せるライアを見て、思わず悲鳴をあげたリマ。
「あっはっは。飴ちゃん食べるかい?」
 その反応を見て、満足だったか笑いつつポケットから飴を出し。
「え、あ、はい? あ、ありがとうございます……?」
 意表をついた出現に唐突な差し入れ、二つが重なり疑問符まみれで返答するリマの姿があった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

黒沼・藍亜
首目玉コンビもそうだったっすけど、この手の吸血鬼って自殺志願者かなんかなんすかね?
ま、黙って傍観する理由もないっすね

さて、いつもの戦法だと陣地作る方が向いてるので村はずれより少し離れて、連中が通りそうな場所に予め陣取って待ち伏せっすよ

もちろんいつものように足元にはUDC、そして触腕。
出来る限り広げておいて、遠目から御者に銃でのマヒ攻撃付き拘束ワイヤーや目潰し催眠フラッシュで制御妨害を仕掛け、
寄る奴は触腕で捕縛し生命力吸収から沼の中に引き込み……そして【実り絶え、果てに孕め】
UDCがその一部を変形、沼に沈め「食った」奴の姿を模倣し、そのまま同じ戦車突撃のUCでお返しっすよ

※アドリブ歓迎っすよー


エウトティア・ナトゥア
アドリブ・連携歓迎

やれやれ、ひと息ついた所だというのにまたぞろ襲撃してきたのか、面倒くさいのう。
構わずお昼寝していたい所じゃが、降りかかる火の粉は払わねばなるまい。
さて、村の方は…避難中か。リマ殿はお味方が守ってくれるじゃろう、わしは避難の為の時間を稼ぐとするかの。
【秘伝の篠笛】を吹き鳴らし狼の群れを召喚、【巨狼マニトゥ】に【騎乗】してチャリオットの方へ突撃するのじゃ。
戦車は馬が走らなければただの箱よ、【氷の鎖】で馬の脚と御者の鞭を絡めとり凍結させて束縛してやるわい。
戦車の動きが止まったら狼達に命じて、御者を引きずり下ろすのじゃ。
狼達よ、その骨はおやつ代わりじゃ、思う存分齧っておくがよいぞ。



 主戦場である村はずれ、その戦局が決定的になりつつある中。
 正面戦力にて余剰戦力となり、迂回した戦力の命運も尽きようとしていた。
「やれやれ、ひと息ついた所だというのにまたぞろ襲撃してきたのか、面倒くさいのう」
「そうっすね、けど前の首目玉コンビもそうだったっすけど、この手の吸血鬼って自殺志願者かなんかなんすかね?」
 迂回して村を狙うチャリオットに対応すべく動いていたエウトティア・ナトゥア(緋色線条の巫女姫・f04161)と黒沼・藍亜(人間のUDCエージェント・f26067)が言葉を交わし、遠方に迂回し走るチャリオットの影を見る。
 数が少ないとはいえ村人にとっては脅威となる存在、そして避難が完了していない状況なら尚更。
「こ奴らに構わずお昼寝していたい所じゃが」
「いやー、お昼寝って……アレをそのままにしてると寝てる間なんて無いっすよ?」
「わかっておる、降りかかる火の粉は払わねばなるまい。リマ殿はお味方が守ってくれるじゃろうし、わしは避難の為の時間を稼ぐとするかの」
 一刻を争う状況、そんな中でもマイペースにお昼寝なんて言ってるエウトティアにそんな余裕は無いと真面目に返す藍亜。
 即席のボケツッコミを披露しつつもお互い何度か様々な戦場で顔を合わせた関係、そういう言動だと互いに分かっているからこそ。
「それじゃ、ボクは村に到着する前に待ち伏せから不意打ちするんで」
「うむ、後詰は任せるのじゃ。取り逃がしが出てもわしらが始末しようぞ」
 迂回した集団、それらが村へと到達する前の先制攻撃は自分がと藍亜が言えば、万一の取りこぼしへの対応は任せろとエウトティア。
 二段構えの作戦にて、迂回したチャリオットの集団を迎え撃つのであった。

 そんな二人の思惑など知らず、また多くの同胞が主戦場でも迂回先でも蹴散らされていたチャリオット達。
 自分たちは無事であり、また細かな情報伝達もされていないので先の方針そのままに、怒涛の勢いで村へと迫る迂回軍。
 されど悲しいかな、既に大局は決しており、この集団に残された結末も変わることは無い。
「はーい、そこまでっすよ? これ以上は行かせないっす」
 家々が立ち並ぶ地点へと迫るチャリオット、その進路上、今まさに破壊せんとする住居の影から不意に姿を見せた藍亜。
 邪魔をする者は全て引き潰す、そう命令されていたのだろう。
 躊躇せず、より強く軍馬に鞭打ち速度を上げて、激しい嘶きと共にチャリオットが速度を上げて突撃する。
 だが、藍亜は様々な仕掛け、罠にて相手の勢いを削ぐ事を得意とする猟兵、即ち無為無策に敵と真正面からぶつかることなどありえない。
「そんな急がなくても、全員行き着く場所は同じっす。まあまあ、慌てずに」
 迫るチャリオットを狙い、手にした拳銃の引き金を引く藍亜。
 撃鉄が動き、轟音と共に放たれる銃弾ではあるが突進するチャリオットを止めるにはパワー不足、だが攻撃はそれだけでなく。
「ヒィヒヒン!?」 
 軍馬の纏った甲冑が銃弾を弾き、そのまま突き進んでいたはずのチャリオット。
 しかし突如、自身に纏わりついた極細のワイヤーに絡め取られ、流れる電流に驚いた軍馬が悲鳴をあげて足がもつれる。
 そのワイヤーは、藍亜の手にした改造記憶消去銃に仕込まれた特殊な鋼糸。
 発砲はあくまで敵の目を引くための物、それを凌いで勢い付いて、一気に迫るその時に。
 速度を奪い、衝撃を与えるワイヤーにて最前線の車両を止めれば後続が巻き込まれるのは当然で。
「ヒヒィン!」
 激突、そして複数が衝突する中、軌道を変えて避けたチャリオットが報復とばかりに藍亜目掛けて速度を増すも、その攻撃が届くことは無い。
「おっと、突破したっすね。けど、そう来るなら」
 突如、藍亜の周囲、その地表が黒く染まればそこから伸びるはまるでタールのような粘性の黒き液体。
 不定形の液体はやがて触手の如き腕となり、突破を果たしたチャリオットの軍馬に巻きつき、そのまま車両にまで組み付いて。
 もがく軍馬、鞭を振る馭者もやがて黒き液体の中へと沈んでいく。
「んー、微妙においしくないっすねー。食べ残しもいっぱいっす」
 チャリオットを飲み込んだ、足元広がる黒き沼を眺めつつ藍亜が言葉を紡いでいく。
 その言葉の意味を理解できない軍勢は、仲間の転倒から立ち直り動けるものが再度、突撃しようと走り出したが立て直しの出鼻を挫くのが最良とばかりに藍亜が指をパチンと鳴らす。
 すると黒きタールの沼から先ほど飲み込んだチャリオット、その姿を模した黒きナニカが姿を現し、同胞だったチャリオット目掛け突撃を敢行。
 同等の力が、衝撃がぶつかり合って、片や軍馬が倒され車両が砕け。
 片や黒き液体が弾け飛び、そして最初から何も無かったかのようにその液体は地面に染み込み、姿を無くすのであった。
「足止め、見事じゃ。取りこぼしも無いようじゃし、後の封じ込めは任せてもらおうかの」
 藍亜によるチャリオットの封じ込め、その様子を認めたエウトティア。
 混乱からの足止め、突破した敵を取り込み模倣し、立て直しを図る軍勢へとぶつけ行動を阻害。
 このまま集団で突撃を続けては全滅、ならば散開しようと別々の方向を向いたチャリオットの動きを見逃さず、後詰として控えていたエウトティアが篠笛を吹き鳴らせばその音色に呼応して。
 いつの間にか周囲に潜んでいた、エウトティアが使役する狼達が姿を見せて、唸り声と共に突撃を。
「行くぞ、マニトゥ。突撃はお主も得意じゃという事を見せてやるのじゃ!」
 その突撃と同時、エウトティアは相棒である巨狼マニトゥに跨り声を上げれば、マニトゥが一鳴き。
 全身に滾る膂力を四肢へと込めて、力強く地面を蹴って駆け出していた。
「さあさあ、早う走らねば食いつかれるぞ? まあわしが許すわけないのじゃが。
 水の精霊よ。咎人を搦め捕るのじゃ!」
 駆けるマニトゥに騎乗したエウトティア、相手を焦らすように言葉を紡ぎ虚空で印を結んで行けば立て直した軍勢の周囲に満ちるは冷たい空気。
 嫌な気配に、逃げようと鞭が振るわれ軍馬を打ち据え、チャリオットが走り出そうとしたが既に手遅れ。
 取り囲むように広がった冷気漂う空間から、氷の鎖が次々と放たれて軍馬の足を、馭者の鞭を絡めとり、そのまま凍らせ移動を、反撃を防いでしまえば最早勝負は決まったもの。
「戦車は馬が走らなければただの箱よ、お主ら、御者を引きずり下ろすのじゃ!」
 動きの取れぬチャリオット達、そこへ下されたエウトティアの非情な命令。
 こうするんだと同胞の狼達に見本を示すかのように、エウトティアを乗せたマニトゥが一番手でチャリオットに飛び掛り、軍馬の喉笛に噛み付き絶命させて引き倒し。
 唸り声と共に跳躍、馭者の頭上からその前足で押さえ込み、骨の体を打ち砕く。
 圧倒的な力を見せつけ、そして敵は恐れるに足りずと狼達に示せばあとはもう、一方的な蹂躙で。
 攻守を封じられたチャリオット達に次々と飛び掛る狼は、まず軍馬を仕留め移動を完全に封じ込め、そして馭者に飛び掛り。
 数の暴力、前後左右から飛び掛る狼に成す術なく引き摺り下ろされた馭者に待つは惨き結末。
「狼達よ、その骨はおやつ代わりじゃ、思う存分齧っておくがよいぞ」
 無力化させられた直後、エウトティアが狼達に告げれば丁度いい骨だとばかりに馭者の体に食いつく狼。
 その骨の体はバラバラに引き離されて、この戦場には最後、骨を齧る音色だけが響いていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

シホ・エーデルワイス
≪華組≫

リマ…
私の祈りは届いたみたいね
リマが作った流れ
絶対に活かします!


燦と手を繋いで飛行速度を共有
第六感と視力と暗視でリマの元へ急行

お待たせリマ
よく耐えて待ってくれました


燦に似ていると言われ

そうかしら?

リマとハモる


リマをかばう様にオーラ防御の結界を張りつつ
【迷社】で曲角の多いい迷路を展開し敵の機動を削ぐ

騎馬の強みは機動力
特に直線を移動できる距離が長い程
速度と破壊力は増す
逆に曲角では速度を落とさなければならず
騎馬の利点は活かせない

村へ向かうにも迷路を抜ける必要がある


リマが怪我をしていたら『聖剣』を持たせて癒す


跳弾属性攻撃の目潰し誘導弾で馬の肢をスナイパーで部位破壊


戦後
村の防備を固め敵襲に備える


四王天・燦
《華組》

そいじゃ急いでリマを助けに向かうぜ
真威解放し飛翔・上昇
視力・暗視でリマの居そうな場所を特定する
シホと手を繋ぎ牽引、速度を共有してリマのもとに飛んで行くぜ

ついでに、早いけどお歳暮DEATH
飛んでいく最中に爆撃目当てのカウントダウンや、車軸に絡ませ機能不全を起こすべくデストラップを投下

よーっすリマ子
無茶しやがるぜ
と言いつつリマとシホを見比べる
あは、似たとこあるわな

アタシらが来ること前提の作戦立てたんだ
お礼は出世払いでたんまりしてもらうぜ

そんじゃシホ、戦車の足止めよろしく
ちと襲撃してくるわ
コンビニに行くようなノリで再び飛翔

迷社を壊そうとする突撃戦車に上空から強襲だ
危険運転は躯の海送りなんだぜ


リーヴァルディ・カーライル
…独りで囮になるとは無茶をするものね
だけどそのおかげで敵を引き付ける事ができた

…此処ならば周囲の被害も、人目も気にする必要はない

…これ以上、お前達の好きにはさせない
この一撃で骸の海に還るがいい、死霊共

空中戦を行う"血の翼"を広げ敵の攻撃が届かない上空に飛翔して、
吸血鬼化した自身の生命力を吸収してUCを二重発動(2回攻撃)

…来たれ。この世界を覆う大いなる力よ
我が手に昏き星を宿すがいい…!

両掌に闇属性攻撃の魔力を溜め"闇の重力"球を形成し、
怪力任せに両手を繋いで重力を圧縮して限界突破
超重力のオーラで防御ごと敵陣をなぎ払う"闇の流星"を放つ

…さあ。出てきなさい吸血鬼。今度はお前が絶望する番よ



 村はずれの戦い、その大局は決していた。
 しかし最後の一兵に。それこそ全ての者が倒れ動けなくなるまで戦争を終えぬチャリオット達に撤退の文字は無く、ただひたすらに地を駆け下された命令、村の蹂躙を目指し走り続けていた。
 猟兵の攻撃に晒され兵力を失ってなお、恐れを知らずに突き進む集団を完膚なきまで叩き潰し、そして一兵たりとも通さぬ為に。
 残存戦力を駆逐すべく、最後の攻撃が始まろうとしていた。

「まだ諦めてないな、あいつら」
「ええ、けれど一両たりとも村には入っていない」
 抵抗続けるチャリオットの集団を下方に望み、天駆けるは四王天・燦(月夜の翼・f04448)と彼女が手を取り、引き上げ共に飛ぶシホ・エーデルワイス(捧げるもの・f03442)の二人である。
「リマが作った流れ、止めるわけにはいけません。絶対に活かします!」
「ああ、他の皆が繋いでくれたんだ、ここでキッチリ仕上げようぜ」
 無謀とも思える一人での囮、それによって生じた僅かな時間とそれを生かし真正面の、そして迂回した戦力を食い止め殲滅した仲間の猟兵たち。
 紡いだ流れを最良の形へ織り上げるべく、シホと燦は村はずれへと急行。
 そこは既に多くの戦力を失いつつも、進軍を阻む迷宮を突破した残存するチャリオットが誰か一人でも殺してやろうと戦意滾らせ、最後の突撃を始めていたところであった。
「お待たせリマ。よく耐えて待ってくれました」
「あ、シホさ……ううん、シホ! 来てくれたんですね」
 少数であろうと抵抗を止めぬ敵、それを望む場所にて猟兵に保護されていたリマにシホが声をかければ気付いたリマも言葉を返す。
「よーっすリマ子。無茶しやがるぜ」
 そこに加わる燦ではあったが、並んだシホとリマを見比べ。
 キョロキョロと左右に顔を動かしながら。
「あは、似たとこあるわな」
 自らの犠牲を厭わない、そんな戦いをするシホと。
 同じく自己犠牲、自らを危険に晒し猟兵が救援に来る可能性に賭けたリマ。
 両者が似たもの同士なんて感想を笑いながら告げるのならば、言われた二人はというと。
「そうかしら?」
「そうですか?」
 なんて同じような感想を口から出して、思わず噴出しそうになる二人であった。
 だがいまはまだ戦闘中、気持ちを切り替え燦が真面目な表情に。
「アタシらが来ること前提の作戦立てたんだ、お礼は出世払いでたんまりしてもらうぜ。
 そんじゃシホ、戦車の足止めよろしく」
 表情は真面目、されど軽口言いながら今度は一人で飛翔。
 そんな燦を見上げつつ。
「ええ、こちらは任せてください。敵の機動は私が奪います」
 誰一人突破はさせぬ、そんな強き意志と共にオーラを滾らせ魔力が高まる。
 次の瞬間、折角黒曜石の迷宮、更には他の猟兵の猛攻から逃れ脱出できたチャリオット達を取り込むように姿を見せるは邪気を浄化す光の壁にて作り上げられた迷宮が。
 複雑怪奇に入り組んだ迷宮はチャリオット、つまりは軍馬を用いた騎兵戦力の利点である機動力をたちどころに奪い取り、上空より攻撃を仕掛けられる猟兵側に圧倒的な優位性をもたらすもの。
「流石だぜ、シホ。んじゃ今からちと襲撃してくるわ」
 並ぶ二人にウインク飛ばし、天駆ける燦は光の壁に阻まれし軍勢の上空へ急行。
 武器振るい、また軍馬を急旋回からの急停止、遠心力を乗せて車両を壁に打ち付け迷宮破壊を試みる軍勢を撃破すべく投げ込まれるはいくつもの箱であった。
「ちょっと早いけどお歳暮DEATH」
 隣近所にお届けものでもするような気軽さで投げ込まれたその箱は、時限装置つきの爆弾。
 そしてその箱に軽く巻きつけられたのは鋼糸、時間が来れば爆弾は爆発し……その爆風にて巻きついていた鋼糸が周囲に伸びる。
 爆発、そして広がる鋼糸。破片を受けて軍馬が倒れ、車両に鋼糸が巻き付けば車輪の動きが制限されて、ギシギシ鈍い音が鳴り響き。
 動きが完全に止まった好機逃さず上空より燦が妖刀、神鳴振り上げ急降下。
 必死で操作し、立て直しを図る馭者との距離が縮まり、気付いた時には既に手遅れ。
 落下速度に腕の振り、二つの速度が加わって打ち込まれた刀身は瞬きする間に馭者の体を真っ二つに両断し、刹那真横に跳躍した燦が残す痕跡はなびく天女の羽衣が残した紫電の煌き。
 残り少ない同胞を討ち果たされて、復讐に燃える馭者が鞭振るい、軍馬を操り突撃を敢行するもその第一歩は直後、軍馬の足を穿つ銃弾によって阻まれて。
 一歩を踏み出すこともできずに崩れ落ちる軍馬と、車両より投げ出される馭者の姿。
「……これは。サンキュー、シホ。助かったぜ」
「ええ、突撃は……させません」
 自身を狙った反撃、それが未然に防がれた現実。
 軍馬の足を穿った銃弾の出所を瞬時に把握した燦が言葉を紡いでいけば、それに答えるようにして。
 迷宮の外にて待つシホが、聞こえずともわかるといった風で虚空へ言葉を告げていた。
 だが、残り戦力が少なくとも最後の一兵になるまで戦うチャリオットも反撃を。
 振り回される鞭が燦のなびかす羽衣に巻きついて、そのまま地表に打ち倒さんと力が加わる。
 苛立ち交じりに飛翔しようとした燦ではあったがそれより早く虚空に走る赤き閃光。
 そして次の瞬間には羽衣に巻きつく鞭が切り裂かれ、彼女を引き倒そうとする力は失われていた。
「……一体ずつ相手にしてたら、残り少ないとはいえキリがないわよ」
 赤き光、それは血の翼を広げ飛翔、そして漆黒の大鎌を構えたリーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)
 鮮血の翼をもって飛翔した彼女は接近の勢いそのままに鎌を一閃、燦を狙う馭者の企みを瞬時に断ち切っていたのである。
「……此処ならば周囲の被害も、人目も気にする必要はない。迷宮ごと潰すけどいいわね?」
 ふわりと浮かび燦に告げればそれに応じるように頷いて、燦も迷宮上空へ飛翔。
 シホと合流、万一殲滅できなかった場合の追撃準備に向かう様子を一瞥しつつ、地表から自身を見上げるリマの姿を望んだリーヴァルディ。
「……独りで囮になるとは無茶をするものね。だけどそのおかげで敵を引き付ける事ができた」
 無謀ともいえる行動、されどその行動が此度の結果を産んだ事を呟いて。
 その覚悟に報いるように、全力でもって吸血鬼を、その眷属を駆逐するべく彼女が魔力を高めていく。
「……来たれ。この世界を覆う大いなる力よ。我が手に昏き星を宿すがいい……!」
 詠唱始めたリーヴァルディ、その両掌に生み出されるは漆黒の球体、そしてそれを操るリーヴァルディの姿は吸血鬼と見紛えるほどに禍々しく。
 事実、既に彼女の体は吸血鬼化を始めており、その膨大な生命力と魔力を糧に彼女が生み出した漆黒の球体は、闇の力を宿した重力球。
 ひとつだけでも着弾地点に強力な重力をもたらし、耐えれぬ者を押し潰し消滅させる危険な代物であるのだが。
「……さあ。出てきなさい吸血鬼。今度はお前が絶望する番よ」
 この戦いを、チャリオットの蹂躙とそれに立ち向かおうとする村人の様子を見ているであろう吸血鬼。
 高みの見物と決め込んだ存在、その何者かに宣言すればリーヴァルディは両手を合わせ、左右の手に浮かぶ重力球を吸血鬼としての膂力でもって強引に圧縮。
 強力、されど不安定なその重力球は不規則に表面をうごめかせ、今すぐにでも崩壊を始めそうなほど。
「……この一撃で骸の海に還るがいい、死霊共」
 そんな危険な代物を躊躇せず、迷宮の中心点へとリーヴァルディが投げ込めば。
 着弾地点を中心に黒き球体がまるでドームのように広がって、内部では光の壁が、そして壁に阻まれ速度生かせず、無為に走り回っていたチャリオット達が押し倒され。
 地面に押し付けられ、悲鳴をあげる間もなくひしゃげ押し潰されて。
 圧倒的な重力が地面をえぐり、クレーターを形成。
 やがて広がる黒き球体が薄れて消失すれば、そこに残るは抉り取られた地面のみ。
 村を蹂躙せんと迫っていたチャリオットの集団は一兵残らずこの世界より消滅する事となっていた。

「……これで終わり、じゃないわね。次が来るわ」
 一撃、残存戦力を言葉通り一撃で完全消滅させたリーヴァルディが言葉を告げる。
 チャリオットの襲撃はあくまで絶望に立ち向かう、そんな心を持つ者を炙りだす為のものでしかない。
 ならば後詰としてか、はたまた別の目的か、裏で糸引く黒幕が動くのは明白。
「ええ、急ぎ村の防備を固めて次に備えましょう」
「そうだな、時間の余裕もなさそうだし」
 追加の敵襲を警戒、シホが守りを固めるように言葉を紡げば燦も応じ、速やかに村へ戻って村人の安全確保を考えるが。
「その必要は無いわよ。だってもう、ここに居るんだから」
 突如、村はずれに響き渡った透き通るような声。
 それは、この襲撃を企てた吸血鬼のものであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『『絶望卿』アルマ・アークナイツ』

POW   :    死が貴方を連れ去るまで
【ユーベルコードを強制停止する血鎖の鞭】が命中した対象を爆破し、更に互いを【自身の負傷の全てを相手に転写する呪いの鎖】で繋ぐ。
SPD   :    “とかく一目惚れとは暴力の如く”
自身の【行動時間をレベル倍速化する巨大魔方陣】が輝く間、【超怪力を用いて操る重量レベルtの魔剣】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ   :    鮮血の恋歌
【殺意を戦闘力そのものに変える無数の殺戮剣】を降らせる事で、戦場全体が【全ての者に一時的な不死を与える悪鬼の地獄】と同じ環境に変化する。[全ての者に一時的な不死を与える悪鬼の地獄]に適応した者の行動成功率が上昇する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はレナ・ヴァレンタインです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「あーあ、せっかく用意させたのに全部壊れちゃったわ。結構便利で気に入ってたのに」
 チャリオットの軍勢が壊滅、最後に残ったクレーターを覗き込むように見下ろす一人の少女。
 しかし、その存在が普通ではない事に誰もが気付いていた。
「あなた達が戦っちゃったら、あの村の連中が立ち上がろう、って事をしないじゃない。
 立ち向かう意思を無くさせた貴方達も酷いわよね、そんな連中なんかじゃ私も愛せないし」
 一方的に猟兵が悪い、自分の愛情を注ぐことも出来ないと自分勝手な理屈を述べて。
 くるくると回りつつ言葉を続ける。
「でも一人で囮になった子ならまだ愛せる、むしろとっても愛おしいわ。
 あなた達を殺して村を襲えば、同じように誰かを逃がそうと立ち上がる人間が出るかも知れないわ」
 ポンと手を打ち、ニコリと笑っていい事を思いついた、といった風に振舞う吸血鬼、『絶望卿』アルマ・アークナイツ。
 だがその笑顔も瞬時に何か、不味い事があるとばかりに曇りつき。
「あ、けど村の連中は駄目かもね、だってほら、その子一人を囮にして逃げる連中だし。
 自分の身だけが大事、そんな腐った連中なら全員死んじゃってもいいわよね、その子だけ絶望に叩き込んで、それでもなお、他の人の為に立ち上がるならそれはそれでとっても愛おしいし、素敵じゃない?
 そうね、そうしましょう、村の連中を皆殺しにしちゃってもいいわよね。
 情けなく逃げるだけ、あなた達に全て託しちゃうような連中だし、そんな連中にしちゃったあなた達も悪いし」
 コロコロと表情変えて、リマのみを生かし。
 村人は全員が自己保身だけの連中で、他人任せで。
 そんな他力本願にさせた猟兵の行動も悪だった、なんて勝手な理論で攻め立てて。
 自分が見たい、絶望に挫けても力強く立ち上がれる、そんな一人を作り出すために猟兵を、そして村人を殺戮すると宣言し。
 手にした魔剣を振り上げた絶望卿が不敵に笑う。
 だが、そんな一方的な決め付けを認めることも、そして人々の虐殺も許されることではない。
 自らが愛したい、絶望に挫けず立ち上がり、戦う人間を求める吸血鬼の暴挙を止めるべく、猟兵たちは己が武器に力を込めてこの凶悪な吸血鬼と相対するのであった。
肆陸・ミサキ
※絡みアドリブ怪我苦戦ok

頭の中がお花畑かなコイツ
どう思うかは自由だけど、それを押し付ける辺り、害悪だよね
会話の真似事をするのもめんどくさいし、やることやってやろう

戦闘はPOWで
UCは装備した銃に込めた銀の弾丸を放つモノ
敵の鞭が当たるとこちらの技は中断されてしまうみたいだし、当たらない様に気を付けないとだ
とはいえ、僕はそこまで強く無いから当たるかもしれないし、そうなったら仕方ない
繋がれた鎖を握って、全力で振り回したり叩き付けたりして動きの邪魔をしてやろう
傷付くのにはなれてるんだ、我慢比べといこうか
その隙に他の仲間が攻撃してくれるかもしれないから、僕を気にせず存分にぶちのめしてほしいね


メリー・スペルティナ
出ましたわね!その自分勝手で(用意させたのは他人という意味で)他力本願な目論見、ここでお終いにしてあげますわ!

んー、敵UCは「鎖にはUCを防ぐ効果はないし、鞭にも命中時のUCを止めてもそれ以降のUC使用を封印する効果はない」ですの?
なら……受けないに越したことはないですが、多少の無茶は効きますわね

基本、黒剣シュバルツシュテルンで敵攻撃を受け、攻撃時には傷口を抉りつつ吸血/生命力吸収を

そして敵UCを受けたり、傷が増えてきたら負傷で流した血を媒介としてUC【偽・死の先を往く者よ】!この血を媒介、そして器として無念や心残りある死者達に一時の体と呪詛の力を与え、総員で攻撃ですわ!

※アドリブ他歓迎ですわ


馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。
引き続き『不動なる者』
武器持ち替え:灰遠雷

勝手なことをいう。貴殿の好きにはさせぬよ。早業で射かけよう。
一時的に不死になろうと、【連鎖する呪い】を弾くことは叶わぬ。
不死になるだけで、傷つかぬわけではないからな。
負傷は蓄積するうえに、癒せぬのだから。
わしは…『我ら』は悪霊なれば、対応するのも道理であろう?

攻撃は四天霊障のオーラ防御+結界術にて防ぐ。わしは一人にあらず。常に我らは側にいる。
知った口を聞くなよ?

ところで、酸吐くナメクジをけしかけたのは、貴殿であろうか?
…そうであれば、まこと悪趣味よな。


エウトティア・ナトゥア
アドリブ・連携歓迎

やれやれ、絶望から這い上がる様子を愛でるのはちと趣味が悪過ぎぬかの?
まあ、オブリビオンに言うても仕方のないことじゃな。
所詮、存在が害悪なのじゃ、はよう骸の海へ帰してしまうか。
【巨狼マニトゥ】に【騎乗】し、マニトゥに近接戦闘を任せつつ【追跡】する矢の騎乗射撃で攻め立てるのじゃ。
(鮮血の恋歌に対して)
この気配は…あまりよくない物のようじゃな。
剣自体は祓えるか分らぬが【【全ての者に一時的な不死を与える悪鬼の地獄】と同じ環境に変化】の効果だけでも祓っておくかのう。
(風の精霊に願い、UC【浄化の風】を発動)
【浄化】の力のある風じゃ、精霊よ悪しき気配を吹き払うのじゃ!


宮落・ライア
真の姿解放:黒色金目

行動時間…体感時間か行動速度と言う事かな?
まぁどちらにせよだね。
泥の復活神話の対象を自身に。
自身を泥と化して9倍行動を吹き散らされながらスルー。
ああ、相手が寿命を削るだけだな?
何度だって再構成と泥化を繰り返してもいいよ?
君は嫌いだろう? こんな余裕綽々な顔の人は。
まるで高みの見物をしているような態度が。
嫌いだろう? 遣り甲斐もないだろう? つまらないだろう?
土人形の相手程意味の無い事も無いものなぁ?

ああ、嫌がらせは楽しいよね。

副次効果の肉体改造戦闘力増強で足止め嫌がらせ。
一方的な足の引っ張り合いしよーぜー?



 猟兵を、そして村人の決断も全てを笑い、都合よく解釈する絶望卿、アルマ・アークナイツ。
 すでに彼女の中には村人を虐殺し、あわよくば立ち向かう姿を見せる者が出ればそれをも愛し、そして愛するに値すると評したリマを殺して欲望を満たす事しか頭にないが。
 その考えが間違いであったと刻み込むべく猟兵が動き出す。
「勝手なことをいう。貴殿の好きにはさせぬよ」
 戯言に付き合い続ける必要は無いとばかりに義透の中にある人格、不動なる者が強弓である灰遠雷を取り出せば、霊力にて練り上げし矢を番える。
 その動きに呼応して、同じく弓を取り出したるは巫女でもあるエウトティア。
「ほう、同じく弓使いとは奇遇じゃな、わしも弓が得意なんじゃ。
 しかしあやつの絶望から這い上がる様子を愛でるのはちと趣味が悪過ぎぬかの?」
「それには同意するのう、ならばここで」
「はよう骸の海へ帰してしまうか」
 古風な話し方、用いる武器も弓で共通。
 似通った者を感じあった不動なる者とエウトティアが頷きあって、片や霊力の矢を、片や風を纏った矢を番え。
 共に絶望卿へと射掛けつつ、不動なる者は次々と生み出す霊力の矢を射掛ければ、エウトティアは騎乗したマニトゥをけしかけ絶望卿との距離を詰める。
「あらあら、否定するのは結構だけど。そう簡単に私は倒せないわよ?」
 自身を射抜かんとする二人の矢、実体持たぬものと物質に魔力を、風を纏った二種の矢が飛来。
 されどそのような物では自分を倒せぬとばかりにふわりと飛びのき、霊力の矢は外れるも風に乗って追跡する矢は絶望卿を追い立て軌道を変える。
「へえ、そういう仕掛けね、少しは楽しめそうじゃない?」
 直線的な軌道から相手を追う曲線へ、動きを変えた矢を手にした魔剣でなぎ払い。
 攻撃凌いだ絶望卿から膨大な殺気が噴出、それと同時に次々と上空から殺戮剣が落下して放たれた矢とぶつかり、打ち落としつつ不死性を与える悪鬼の地獄が生み出されていく。
 この空間ならば、傷を受けても死ねず延々と責め苦が続く。
 今まで愛した存在を、この空間で満足いくまで愛でていたのだろうか、そんな事を感じさせる空間ではあったのだが。
「この気配は……あまりよくない物のようじゃな」
 絶望卿だけでなく、猟兵の肉体にも影響を与える空間。
 能力強化の空間ではあるのだが、そこより感じるモノに不快感を隠さずエウトティアが呟けば、マニトゥの背に乗ったまま矢を射掛ける手を止めて。
 自身の胸元で手を組めば、森羅万象を司りし精霊たち、その中で風を操る精霊へ祈りを捧げ願うはひとつ。
「精霊よ、悪しき気配を吹き払うのじゃ!」
 エウトティアの叫び、それと同時に彼女の体から清らかな風が巻き起こり、周囲に満ちた血なまぐさい空気を吹き飛ばす。
 残存する数多の剣、それらは物質として形が残るもこの空間の特性、即ち悪鬼の地獄を感じる気配はその風にて消し飛ばされて、絶望卿が行う不死性持った存在への苦役は不可能に。
「なん、ですって……!?」
 自らの空間、その優位性を高めるものが消し去られ、驚愕する絶望卿。
 だが猟兵の攻勢は始まったばかりである。
「ほほう、お見事。不死になろうと呪いを重ねるつもりであったが、より効果が出そうよな」
 エウトティアによる空間破壊、それに便乗するように霊力の矢を放っていた不動なる者。
 彼が放った矢、それは絶望卿の空間が消え去るよりもほんの僅か、早く放たれた一矢。
 能力を高める空間、その効果はエウトティアとの距離が近いもの程、早く失われる。そして、彼女はマニトゥの背に乗り絶望卿へと急接近していたならば。
 遠方から矢を射掛けていた不動なる者が、ほんの一瞬遅れて能力強化の効果が失われる、となれば。
「……しまっ!?」
 見えていた、そして腕は動いていた。しかしそれでも、速度が間に合わず。
 光り輝く霊力の矢が絶望卿の左腕に突き刺さり、輝き増してその体に溶け込む様に消え去れば。
「信じられん、というような顔じゃな。だがわしは……『我ら』は悪霊なれば、対応するのも道理であろう?」
 悪霊である自分たちの生い立ち、それを語り悪鬼の地獄に適応するのも当然とばかりに不動なる者が語り、挑発するように振舞って。
「黙りなさい! まぐれ当たり程度でいい気になって!」
 自分が傷つけられたこと、それがよほど気に入らなかったか、激昂して地面に突き刺さっていた殺戮剣を引き抜いて、不動なる者目掛けて投げる絶望卿。
 されど魔力伴わぬ投擲では無理があったか、虚空に印が浮かぶと同時に不動なる者の周囲に広がる結界が障壁となり、投げられた殺戮剣を跳ね飛ばしていた。
「わしは一人にあらず。常に我らは側にいる」
 ざりっと小石を踏みしめて、一歩踏み出す不動なる者。
 一人ではなく、複合した悪霊である同胞たちの存在を見せ付けながら次なる一矢を矢に番え。
「ところで、酸吐くナメクジをけしかけたのは、貴殿であろうか?
 ……そうであれば、まこと悪趣味よな」
「はぁ? あれは私の従者に任せたものよ、ちょうど良いのを適当につかっておくように、ってね。
 だから趣味が悪いならそいつのせいよ」
 ふと思うことを問いかけた不動なる者、それに対し自分ではないとあっさり否定、従者がやったと責任を押し付ける絶望卿。
「……そうか、ああ、言い忘れたが。先ほど刺さった矢は不運を呼び込む物じゃ、お主は呪いから逃れられるかの?」
 問いかけへの返答、それを聞き遂げた不動なる者は次なる矢を放ちつつ、先の一矢がこれより何を起こすかを説明し、更なる挑発。
 いぶかしげに目を細めた絶望卿であったが、その不運はすぐ近くに存在していた。
「わしの事を忘れておらぬか? 不運、不慮の事故ならば流れ矢でも貰うのではなかろうかのう」
 マニトゥの背に乗り急接近、気をとられた絶望卿に矢を射掛けていたエウトティア。
 その矢を手にした魔剣で払い、飛び掛るマニトゥの牙と爪をも防ぎきり、怪力任せに跳ね飛ばした絶望卿であったのだが……迫る不運は彼女ではなかった。
「アハ、不運ってのはこういう事をいうんじゃないかな?」
 絶望卿をあざ笑うように、その下方から声がする。
 その声の主はライア、しかしその体は既に人のモノからかけ離れた泥で出来た代物になっており、地表から這い出すように絶望卿の下方から迫っていたのであった。
「チッ、なんなのよ、あなたたちは!」
 怒りを隠さず、手にした魔剣を振るってライアを切り裂く絶望卿。
 されど相手は体を泥に変えた存在、何か軟らかいものを貫通するだけの感触と、そして一瞬形を崩すもすぐに元の形に戻り、余裕の表情を見せる泥人間となったライアの顔。
 ぐにゃりと動くその体で、余裕綽々とばかりに笑い続ければ絶望卿の怒りも高まって。
「ああ、そうね、そんな切り刻まれたいなら、お望みどおりやってあげるわよ!」
 ギリッと歯軋りする音が響くと同時に虚空に生まれる魔法陣、そして目にも止まらぬ速さにて振るわれた絶望卿の魔剣による斬撃。
 剣戟の勢い凄まじく、泥となったライアの体が形を残せず吹き飛ぶが……もとよりそうなる事も織り込み済み。
 飛び散った泥が周囲の土を取り込みながら巨大化、そして再集結を行って、ライアの形を取り戻し。
「今のは攻撃かい? あの程度なら何度だって再構成と泥化を繰り返してもいいよ?」
 絶望卿の猛攻、そんなものはなかったとばかりに口元を三日月のように歪めつつ。
 攻撃など自分には通用しない、無駄な努力だったなとばかりに笑うライア。
「君は嫌いだろう? こんな余裕綽々な顔の人は。まるで高みの見物をしているような態度が」
 相手の心を読んだかのように、煽りの言葉を紡ぎつつ。
「嫌いだろう? 遣り甲斐もないだろう? つまらないだろう?
 土人形の相手程意味の無い事も無いものなぁ?」
 早口で捲くし立てて、怒りを引き出し冷静さを奪っていくライア。
 そこへ繰り出される絶望卿の魔剣の一撃、それは泥となったライアの頭部を打ち砕き、それ以上の言葉を紡げぬようにするには十分な衝撃を持ってはいたが……泥で出来た体はすぐに復元。
 ケタケタと笑いつつ、本心から嫌がらせを楽しんでいるライアの姿を見てこれ以上相手をしていられないと飛びのく絶望卿ではあったが、次なる猟兵が攻め立てる。
「挑発されて、言い返せないからご自分が逃げますの? 自分に不利な事には言及しない、自分勝手で他力本願な目論見、ここでお終いにしてあげますわ!」
 少し冷静になろうとした絶望卿、だがそれを許さぬとばかりにメリーが黒き剣を翳し、絶望卿を挑発しながら急接近。
 振り下ろされた黒剣、シュバルツシュテルンと絶望卿の剣がぶつかり合って、甲高い金属音と共に飛び散る火花。
 膂力では負傷少なく、もとよりこのような醜悪な催しを主催できる程の吸血鬼、絶望卿が大きく勝り、メリーを跳ね飛ばすように力任せに武器を振るって跳ね飛ばすもメリーは空中で一回転。
 姿勢を整え、深く膝を曲げながら華麗に着地。だが全力でやりあうならば逃げれぬようにと絶望卿が追撃に血鎖の鞭を生み出し振り回すが、その先端が飛来するより早く両者の間に割り込む小さな輝き。
 その煌きは白銀の光を放つ一発の銃弾、その銃弾が鎖とぶつかると同時に砕け散り、小さな破片となって蛇のようにうねる鎖を跳ね上げて。
 コントロールを失った鎖は大地を叩いて多数の小石を巻き上げるのみの結末となっていた。
「ついてないわね、これも不運の連鎖ってやつかしら?」
 撃ち込まれた銃弾、それによって攻撃が防がれた現実。
 初手で受けた矢傷が残る左腕をさすりつつ絶望卿が視線を移せば、そこには大きく、重く、そして3発分しか銃弾込められぬ回転式の弾倉持った猟銃、Nihili est qui nihil amat.を構えたミサキの姿。
「うふふ、銀の弾丸を撃つ銃弾、ね。狩人気分というやつかしら?」
 ミサキを見つけ、挑発されっぱなしも癪に障ると思ったか、絶望卿が逆に挑発を返していく。
 されどその言葉を聴いて眉根一つ動かさず、ミサキは無言で銃の狙いを定めていた。
「あら、図星だったから無言なの?」
 無言は肯定、そう自分勝手に解釈し、なら叩き潰すまでと再び鎖を振りまわす絶望卿。
 その動きを見て、ようやくミサキが口を開くがそこからこぼれた言葉は絶望卿が望むようなものではなかった。
「頭の中がお花畑か、お前。会話の真似事をするのもめんどくさい」
 絶望卿の思考ルーチン、それをお花畑と揶揄しつつ。
 会話にならぬ、真似事に付き合うのも面倒だと拒絶するミサキ。
 どう思うかは自由、されどその思いを押し付けるのは害悪だと断じた彼女は躊躇なく引き金引いて、二発目の銃弾が放たれていたのである。
 虚空にてぶつかる銃弾と鎖、撒き散らされた銀色の破片、衝突の衝撃で砕かれ、先端が虚空に舞い踊る血液の鎖。
 両者の威力はほぼ互角、されど絶望卿は即座に新たな鎖を生み出し振り下ろせば、それは第三の弾丸を放とうと構えていたミサキの銃に絡みつき、爆発を巻き起こすと同時にその攻撃を阻止していた。
「頭の中がお花畑って、言ってくれるわね。私はただ、好きなものを愛しているだけよ?」
「それが、その考えが。お花畑っていうんだよ」
 鎖で繋がった二人、自分の考えを語る絶望卿に再度お花畑と返すはミサキ。
 そのまま、銃と右腕に繋がるように巻きついた血の鎖を左手で握り締め、力任せに振り回す。
 なんだ、鎖を掴んで振り回す程度か。
 普通の吸血鬼がこの状況を見ていれば、そう侮っただろうし事実、絶望卿も自身の能力が猟兵に勝ることを知っており、侮りがあったのは事実。
 だがミサキの怪力はそういった吸血鬼の、そしてこの戦場における当事者の絶望卿の予想を上回るものであり……力負けした絶望卿の体がふわりと虚空に浮かべば急に反転、地表目掛けて急降下。
「なっ……私が力負けをっ!?」
 驚愕に目を見開き、慌てて鎖を切り離すが既に手遅れ。
 地面に打ち付けられる前、咄嗟に受身を取るまでは出来たが追い立てる様に近づくメリーに対応できる暇は無く。
「すごい力ですわね、あの吸血鬼が驚いてますわよ!」
 ミサキの力を賞賛しつつ、切り込むメリー。
 振り上げられた黒き剣が容赦なく絶望卿の体を切り裂き、右肩から鮮血が迸るも相手は強力な力を持った吸血鬼。
 そのまま一方的にやられてはなるものか、しかし大振りな魔剣では分が悪いと悟ったか、武器を手放し両手の指先に魔力を宿せばそれは即席の手刀へと変化して。
 続けざまに斬撃を振るうメリーと同時に繰り出せば、共に攻撃が命中。
 絶望卿は左わき腹を切られ、メリーはその両腕に深き傷を受けつつ絶望卿に蹴り飛ばされるも姿勢を整え受身を取って着地する。
「やってくれるわね、人間風情が」
「あの状況で反撃した、あなたも実力だけは流石ですわよ。けど」
 お互い被弾、そして賞賛しあう二人であったが優位性を持つは猟兵、その事実を途中まで伝えて口を閉ざしたメリー。
 一瞬目を細めた絶望卿に飛来したのはミサキの銃に込められた最後の一発、三発目の銃弾であったのだ。
「我慢比べをするつもりだったんだけど、すぐに逃げたね。
 本当はお前が一番、いろいろな事から逃げ出してる存在じゃないのか?」
 鎖で繋がり、自分を気にせず仲間に攻撃させることも想定していたミサキにとっては拍子抜けな絶望卿の行動。
 ならば追撃するまでと放たれた銃弾が虚空で砕け、数多の破片が突き刺さればそれに続けてメリーが動く。
「この血を糧に、その遺志を遂げるための刃を与えます。その想い、果たして見せなさい!!」
 叫びを上げれば彼女の流した血液を媒介に、この地で果てた数多の戦士、そう、絶望卿が使役したチャリオットたちの無念が形を成して赤き軍馬と車両の集団へと変化して。
 村を蹂躙せんとして放たれた軍勢が、此度は絶望卿を戦争の標的としての大行進。
 蹄の音が鳴り響き、かつての主である存在へ反逆とばかりに突撃を敢行するのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

四季乃・瑠璃
翡翠「好き勝手言ってくれるね…」
瑠璃「人間は貴女の玩具じゃない。貴女の愛なんていらないよ」
緋瑪「だから、貴女は殺すよ♪」

UCで分身&超強化

3人で飛行し、放出する破壊の力で敵の血鎖の鞭や殺戮剣を崩壊。
翡翠が空中からK100二丁による連射で【弾幕】を浴びせつつ、瑠璃が空中から接触式・感知式・時限式の3種のボムを使い分けて大量に放ち【爆撃・蹂躙】。
緋瑪が二人の援護を受け、爆煙に紛れて一気に接近し、機巧大鎌の機巧と飛翔翼による加速を利用した高速斬撃で一閃。
そこに更に瑠璃・翡翠の追撃と緋瑪が離脱する際の土産のボムを叩き込み、3人の魔力と破壊の力を集中【力溜め、限界突破】ジェノサイドノヴァで吹き飛ばすよ!


霧島・絶奈
◆心情
勇気と蛮勇は似て非なるモノです
彼らは彼らなりに、冷徹なまでに生存戦略を駆使したに過ぎません

◆行動
ですが、折角素晴らしい環境を整えてくれるのですから「我々は」愉しまなければ損ですね

死なないのはお互い様です
であれば、存分にこの『逢瀬』を愉しみましょう

<真の姿を開放>し『暗キ獣』を使用

軍勢と共に【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】
死ねないが故の【恐怖を与える】としましょう

負傷は【各種耐性】と【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復

戦闘をしつつ【目立たない】様に【罠使い】の技を活用
「時間差で起爆するサーモバリック爆薬」を設置
不死が解けた瞬間、此処は貴女にとっての死地となります


リーヴァルディ・カーライル
…生憎だけど此処に私達がいる以上、
お前の望み通りの展開にはならないわ

…再びこの世界に迷い出ても決して忘れないように、
絶望の味と共にしかとその魂に刻みつけてあげる

…私の姿と、吸血鬼より恐ろしい吸血鬼狩りの業を

第六感が捉えた殺気を暗視して自身の戦闘知識に組み込み、
敵の剣群の乱れ撃ちを見切り最小限の動作の早業で受け流し、
怪力の踏み込みから残像を残して超高速で切り込みUCを発動

…無駄よ。どれだけ数を増やしても当たりはしない
…私には、はっきりと見えているもの。お前の殺気がね

大鎌の刃に限界突破した陽光の魔力を溜めてなぎ払い、
吸血鬼の傷口を抉る太陽のオーラで防御を無視し浄化する光属性攻撃を放つ



 一点、即ち絶望卿を目指し突き進んだチャリオットたち。
 その猛攻撃を受けつつも中心点にて立つ絶望卿は手にした魔剣を力任せに振り回し、何とか突撃を押し返していた。
「やってくれるわね、まったく!」
 軍勢の突撃を凌ぎきり、これより猟兵へと反撃しようと魔剣を振りかざす絶望卿。
 しかし、軍勢の攻撃は猟兵が用いたチャリオットだけではなかったのだ。
「おや、中々に良い催し物でしたが、お気に召しませんでしたか。ではこれならどうです?」
 その時、響いた声の主は絶奈。
 だが今の彼女は人の姿にあらず、異端の神の似姿となっており周囲に漂う青白き霧の中より出現するは、長槍構えて前進する屍者の軍勢、そして軍勢をかわし、自由自在に走り回るは屍獣の群れであった。
「またぞろぞろと……いいわ、まとめて始末してあげる」
 第二の集団出現、それに辟易しながら絶望卿が再び殺気を噴出すれば、上空より降り注ぐは数多の殺戮剣。
 その剣にて屍者が、屍獣の一部が刺し貫かれ地面に縫いとめられてはいたが、それでも軍勢全てを止めるには数が足りない。
「ふふ、やはりその技、素晴らしいです。折角、「我々は」愉しめる環境を整えてくれたのですから、存分に満喫させて頂きますよ」
 屍者の軍勢、その中から聞こえるは絶奈の声。
 悪鬼の地獄に適応した異端の神、そして使役される屍の軍勢故に絶望卿だけでなく、此方も戦闘力が上がっていたのだろう。
 絶望卿を包囲する様に展開し、徐々にその包囲を狭める屍者の槍衾。
 苛立ち交じりに飛び上がった絶望卿が手にした魔剣を一閃、長槍ごと屍者を数体斬り伏せるもこの環境は不死性を全ての者に与える空間、そして倒した相手は痛みも恐怖も感じぬ屍。
 倒れても動く部位を用いて立ち上がり、切り落とされた槍を構え、棒切れとして用いて打撃を見舞おうと振りかざす。
「ああもう、面倒ねこの連中は! なんとか……っ!?」
 その攻撃を受け流し、次なる一手を模索していた絶望卿。
 だがその一手を許さぬとばかりに軍勢の合間を縫って飛来した衝撃波、その一撃を魔剣で受け止め一歩後退、目を細めて奥を見れば軍勢に紛れ動く青白き霧、即ち絶奈の姿が見えて。
 軍勢振り切り、接近戦に持ち込める距離、ならば術者を倒すのみと判断したのか絶望卿は地を駆け急接近、魔剣を大きく振り上げて一太刀で打ち倒さんとするが……その攻撃を防ぐかのように、突如絶望卿の左側の空間が爆発。
 炎が走り、その衣服を炎上させ。そして絶奈が振るう槍から伸びる衝撃波が、絶望卿を跳ね飛ばしていた。
「しまっ……罠が!?」
「そういうことです、しかし貴女も運が無い。屍者を押しのけたせいで、時間差起爆の爆薬の信管に触れて爆発させてしまうなんて」
 不運の連鎖、それがここに繋がったか。
 絶奈が仕掛けた多数の罠、その起爆装置が屍者を吹き飛ばしたが故に起動させてしまっていたのだ。
 強行突破も凌がれて、軍勢包囲の中へと押し戻された絶望卿。
「ふふ、中々に良い逢瀬ですね。しかし、不死が解けた瞬間、ここは貴女にとっての死地となる」
「なっ、ふざけた事を……」
 余裕を見せる絶奈、その声に苛立ち歯軋りする絶望卿。
 だが状況が悪いことは変わらずに、更に上空から聞こえた声が悪化する戦況を告げていた。
「……生憎だけど此処に私達がいる以上、お前の望み通りの展開にはならないわ」
 まずは一人目、血液の翼で空を飛ぶリーヴァルディが望みは適わぬと冷徹に。
「好き勝手言ってくれるね……」
「人間は貴女の玩具じゃない。貴女の愛なんていらないよ」
「だから、貴女は殺すよ♪」
 続けて三人、皆が似通った容姿を持ち、機械仕掛けの翼で空飛ぶ中、翡翠が嫌悪感を隠さず言葉を紡げば瑠璃、緋瑪が絶望卿への死刑宣告。
 四つの影が動き出せば、それは作り出された地獄の崩壊、そして絶望卿が絶望する、そんな未来を紡ぐ一手となる。
「ふざけ、ないでよね! 私の愛を、否定するなぁああ!」
 咆哮、そして再び放出された膨大な殺気と降り注ぐ殺戮剣。
 更には血鎖をも生成し、上空の相手を叩き落そうと振り回す、剣の飛来と鎖鞭による二段攻撃。
 だがその攻撃の発動を見越していたか、四つの影は四方に分散、初手を避けてそれぞれが絶望卿を始末すべく、己が得意とする攻めを繰り出していたのである。
「……攻撃がワンパターンよ。それじゃあ。
 ……再びこの世界に迷い出ても決して忘れないように、絶望の味と共にしかとその魂に刻みつけてあげる」
 先ず挑発的に動いて見せたのはリーヴァルディ、地表に降りて鎖鞭を回避して、半身を逸らして降下してきた殺戮剣を避け。
 そんな攻撃など当たらない、全て見切っているとばかりの態度で持って言葉を続ける。
「……私の姿と、吸血鬼より恐ろしい吸血鬼狩りの業を」
 そう、吸血鬼狩りという恐るべき存在を、記憶に刻み付けるという宣言を。
「な、なによ、吸血鬼狩りなんて偶々、あの連中を殺したからったいい気になって!」
 苛立ち、血鎖を振り上げ打ち据えようとする絶望卿。
 この村を襲う前、倒された二人の吸血鬼の事を下に見るが故の発言ではあったのだが今ではもう虚勢にしか見えなくて。
「そっちばかりみていていいの……?」
 リーヴァルディに注意が向いたその時、再び上空から聞こえるは翡翠の声。
 ハッとし上を見上げれば、両手に構えた自動拳銃を引き金引いて、次々と銃弾を撃ち出し拳銃弾の弾幕を生み出す翡翠。
 そんな攻撃、当たってなるものかと飛びのきかわした絶望卿、しかし攻撃は銃撃だけに止まらない。
「おっと、初手は避けれたね。じゃあこれはどうかな?」
 続けて動くは瑠璃、彼女が用いるは多数の爆弾、それも接触式、感知式、時限式と起爆条件の異なる様々な爆弾で。
 地表に触れた瞬間に広がる爆風、その爆風に紛れて周囲に設置されていく感知、時限式の爆弾は不用意に動けば爆発を引き起こし、そして動かずともいずれは爆発に巻き込まれる死地を生む。
 抵抗とばかりに上空に伸びる血鎖、されど爆風で視界が遮られたが故に鎖は虚空を進むのみ、そして三人目の刺客である緋瑪が地表スレスレを高速で飛び、爆風から伸びる鎖から相手の位置を逆算して急接近。
「これで終わりにする? それともまだ続ける?」
 不敵に笑い、首筋狙って繰り出されたのは大鎌の刃。
 命を刈り取るその刃を何とか魔剣で受け止めて、上空へ逃れる緋瑪に忌々しげに言葉を紡ぐは絶望卿。
「ふざけ、るな! 私を侮辱するのは許さないわ!」
 絶叫、そして再び殺気と共に降り注ぐ殺戮剣。
 されどその飛来より早く、投げ込まれた爆弾が視界を再び遮って。
「ふざけてないよ、ふざけているのはそっち」
「うんうん、自分勝手な言い分で」
「皆を苦しめた事、許さない……」
 聞こえてきたのは瑠璃、緋瑪、翡翠の言葉。
 それと同時に輝く何か、が絶望卿の眼前に落ちてくれば、それは急激に光を増して、やがて強烈な魔力と共に大爆発。
 三人の魔力を集結させ放った強烈な爆弾の一撃、盾代わりに構えた魔剣によってダメージは抑えたものの衝撃は凄まじく、絶望卿は大きく吹き飛ばされていたのである。
「ぐっ、は……わ、私が、こうも追い込まれ……」
 片膝ついて、魔剣を杖にし立ち上がった絶望卿、しかし猟兵の攻勢はまだ続く。
 周囲を囲む軍勢により離脱は困難、その状況で前方に見えるは降り注ぐ剣をほんの僅か、一歩動くだけで避けながら此方に近づくリーヴァルディの姿であったのだ。
「……無駄よ。どれだけ数を増やしても当たりはしない。
 ……私には、はっきりと見えているもの。お前の殺気がね」
 これまでの戦い、そして瑠璃、緋瑪、翡翠の三人目掛け用いた殺戮剣の放出。
 その全てを戦闘知識として取り込み、降り注ぐ剣の軌道を、放出される殺気そのものを感知して。
 数を増やし、密度を上げたとて出所、到達点を見切っていれば問題なし、最小限の動きにて避けるは容易と告げつつリーヴァルディは一歩、また一歩と絶望卿に近づいていた。
「ハッ、だったら、見切っても避けられない速さで切り裂いてやるわよ! 吸血鬼狩りが吸血鬼に狩られる、ってのも面白そうだわね」
 追い込まれた自分を鼓舞するように言葉を発し、絶望卿が魔剣振り上げ急接近。
 その突撃を待っていたかのように、リーヴァルディが黒き大鎌を構えて迎撃体制。
 だがその刃には、吸血鬼にとっての、そして半ば吸血鬼と同質の体を持つリーヴァルディ自身にも劇毒となる擬似太陽の陽光が宿されて。
 両者の距離が近づけば近づくほど、その光は輝き増して真昼の如き明るさに。
 そして互いの得物が振るわれて、甲高き金属音が鳴り響き。
 やがて光が収まれば、左肩から血を流しながら直立不動のリーヴァルディ。
 そして、両膝を地面について、胸元押さえ苦しげに、肩で息する絶望卿の姿がそこには在った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

シホ・エーデルワイス
≪華組≫

立ち向かう意思が無い?
恐怖に抗う事は戦うだけではありません

村人が散り散りに逃げず秩序だって避難できているのは
恐怖に抗い役割を果しているからだと思います

それに…リマ
囮になると宣言した時
村人はどんな反応をしていましたか?

もう生贄を出して生き延びようとしていた頃とは違います


オーラ防御の結界術でリマを庇いつつ
第六感と聞き耳で味方に当たりそうな殺戮剣を見切り
【華霞】の花弁による追跡誘導弾で迎撃スナイパー
同時に燦の華を隠すよう敵周囲に舞わせて目潰し属性攻撃を仕掛け
味方の援護射撃

華組らしい連携UC攻撃ね


絶望卿に質問

貴女の知り合いにジークフリートの名を持つ方はいますか?

読心術と第六感で反応を情報収集


黒沼・藍亜
あこれ知ってる。相手されてないだけなのを「逃げた」とか言いだす、
直接殴り合うだけが戦いだと思ってる面倒な奴だこれ

生憎こっちは肉体的には埒外と言い切れないしがないエージェントっすからね
足元にUDCを展開、いつものように触腕を攻撃への盾、捕縛拘束要員にして、記憶消去銃の「記憶操作目潰しフラッシュ」で邪魔に徹するっす

で、隙を見て触腕なり足元の沼なりを接触させたら【簒奪者の揺り籠】
生命吸収の効果が薄いならもう一つの効果、能力や異能の吸収・弱化狙い。

さて、力を失くしただの“ニンゲン”に近付いていくのってどんな気分?
……ボクは肉体よりも信仰等の拠り所や精神を殺す方が慣れてるんすよ

※アドリブ連携歓迎っすよ


四王天・燦
《華組》

ニックも苦渋の決断だろ
自分だけ大事とは酷い言われようだ
リマの尊さ・村の決断・己が力量…何一つ見えてない

神鳴で剣士として斬り合う
武器受けで受け流し電撃属性とマヒ攻撃を載せた斬撃で反撃

重い一撃といい見た目と一致せんやつだ
腐った性格じゃなきゃ愉しく殺し合えるんだろうね

殺戮剣が降り始めたら大理石の剣に持ち替え真威解放
シホの華霞に合わせて石の華を咲かせる
酔いな、これぞ華組二重葬だぜ
良いセンスだろとシホ&リマにドヤ顔

卿や戦車が蘇ろうと石化で生かさず殺さずさ

華霞の目潰しの中、大剣を見切り、黒曜石の杖を持って懐に飛び込む
石化呪詛の煙を浴びせカウントダウンで爆破だ

とんだ変態に目ェ付けられてリマも大変だね


祓戸・多喜
もー勝手なこと言ってるんじゃないわよ!
あなたに愛されるかどうかなんて関係なし!むしろ邪魔!
余計なちょっかい出してくるならとことん戦ってやるわよ!

基本は支援、援護射撃と遠距離攻撃中心に行動。
念動力で通連浮かせ弓構えUC発動。
大体同じ系統みたいだけどそっちは速度と重量が、こっちは武器の数での手数が上。
思いっきりやり合おうじゃないの!と攻撃開始。
魔剣の軌跡をすり抜けるように通連を、動きを制限するように矢をサイズ色々変えつつ取り出し放ち動きを妨害。
巨大魔法陣が視認できるなら攻撃の合間に破魔の力乗せた矢で其方を狙い陣を破壊、倍速化を妨害できないか試みる。
歪んだ愛はお断り!

※アドリブ絡み等お任せ🐘



 肩で息する絶望卿、その終わりが今まさに告げられようとしていた。
「相手にされてないだけなのを「逃げた」とか言いだす、直接殴り合うだけが戦いだと思ってる面倒な奴っすけど。
 本気で「逃げる」しか助かる方法が無くなったら、どうするんっすかねぇ」
 逃走、それしか生存の目が無いとなった相手に対し、逃げるしかできないと相手が蔑んだ村人と同じ。
 そういう状況だがどうするのか、と挑発的に言葉を発した藍亜。
 怒りの表情を隠さずに、その方向を睨みつけた絶望卿は魔剣を杖にし立ち上がる。
「あはは、言ってくれるわね。けど……!
 最初から逃げた連中と、戦って生きる為に逃げる私じゃ、そもそもの前提条件がちがわないかしら?
 あ、となればやっぱり、私が愛したかったその子と同じだし惹かれあうのも運命だわ、つまりあなた達はそれを邪魔する障害よ」
 あくまで村人は最初から逃げた臆病者、戦ってその上で逃げる自分は別物。
 つまりは自分が囮になって立ち向かい、機を見て逃げる予定だったリマと似たもの同士である、なんて事まで言って。
 ある種の詭弁を弄したが、それを打ち砕くかのように怒声が響いた。
「もー勝手なこと言ってるんじゃないわよ!
 あなたに愛されるかどうかなんて関係なし! むしろ邪魔! 余計なちょっかい出してくるならとことん戦ってやるわよ!」
 絶望卿の勝手な言い分、それを真正面から否定したのは祓戸・多喜(白象の射手・f21878)
 愛する価値があるとした少女にしか目を向けず、惹かれあうだの戯言言って。
 ならば障害と称した自分たちが徹底的に叩き潰してやるとばかりに剛弓構え、いつでも射抜いてやるとばかりに宣言していたのである。
「ええ、貴女は表面だけ見て、勝手な解釈をしているだけ。
 立ち向かう意思が無い? 恐怖に抗う事は戦うだけではありません」
「まったくだ。ニックも苦渋の決断だろ、自分だけ大事とは酷い言われようだ。
 リマの尊さ・村の決断・己が力量……何一つ見えてない」
 そこへ畳み掛ける様に、見たい部分だけしか見ず、そして都合良い解釈しかしていない。
 本質が何も見えていないとばかりにシホと燦が言葉を紡ぐ。
「村人が散り散りに逃げず秩序だって避難できているのは、恐怖に抗い役割を果しているからだと思います。
 自分の命だけが大切、自分だけが助かれば、なんて思っていれば、協力もせず逃げ出しています」
 共に助け合い、苦境を乗り切ろうとする村人たち。
 本質を見ようとしない絶望卿にはわかる事が無いだろうとシホは言葉を続け、その証拠を聞かせるとばかりにリマに問いかけ始めていた。
「リマ、囮になると宣言した時、村人はどんな反応をしていましたか?」
「えっ? あ、はい。申し訳なさそうな、けど私に任せてくれて。だから、怪我をした人や、病人を逃がすのは任せてくれ、ってニックが言ってくれて、他の人もすぐに動いてくれました」
 囮を買って出たリマ、その提案に対し村人がどう応じたか。
 互いに役割を請け負い、成すべき事を共に成そうと協力しあったという現実。
 それは誰か一人を生贄にささげ、自分たちの生存だけを考えていたあの頃とは違い、皆でそれぞれ、出来る事は違えども。
 協力しあい、脅威に立ち向かっている事の証左であるとシホは示していたのである。
「ああ、もう、綺麗ごとはうんざりよ! 結局、その子一人に任せたのは一緒じゃない!?
 何だかんだと理由をつけて、私の邪魔をするなら全員まとめて、今度こそ殺してあげるわよ!」
 単なる押し付けではない、人々の協力のカタチ。
 それを示された絶望卿は、綺麗ごとだと突っぱねて、否定するように魔剣を振り上げ咆哮し。
 猟兵を始末し、自分の意見が正しいのだと証明しようと地面を蹴って飛び出していた。
「口で勝てないから、力づくで黙らせるってわけね、望むところだわよ!」
 そんな絶望卿を見て、多喜が半ば呆れつつ応戦開始。
 三振りの日本刀、通連を周囲に浮かべれば、自身は剛弓へと矢を番え絶望卿を狙い弦を引き絞る。
「弓兵風情が、私の速さを止められると思わないことね!」
「言うわね、そっちは速度と重量、こっちは武器の数での手数が上。
 思いっきりやり合おうじゃないの!」
 多喜の武装を視認、それと同時に魔方陣を展開して更に加速した絶望卿。
 対する多喜は弓矢が、そして浮遊する刀が光り輝いて。
 共に多数の攻撃を同時に繰り出す能力同士のぶつかり合い、一気に間合いへ切り込もうとした絶望卿の進軍阻むかのように太矢が唸りを上げて放たれて。
 その一矢を魔剣の振り下ろしで叩き落し、飛び掛る日本刀を防ぐように振り上げ一合目。
 金属音が鳴り響き、続けて別の日本刀が側面から真一文字に一閃。
 繰り出された斬撃、されど手首をひねって魔剣を返し、盾のようにして二合目の打ち合いが。
 その後も次々に放たれる、細矢と太矢、速度も軌道も微妙に変えた多喜の矢を絶望卿は受け流し、打ち払って速度を生かし優位を保つが流石に刀による三方向からの攻撃に、遠方から飛来する矢を完全に防ぎながら突き進むは不可能で。
「ええい、面倒ね、いいかげんにしなさいよ!」
「そっちこそ、歪んだ愛情パワーなんてさっさと尽きて倒れなさいよ!」
 口喧嘩まで始まって、二人で言い争いをする最中、ふと虚空の魔方陣へと魔を打ち払う力を込めた矢を放ってみた多喜。
 かき消すまでの力は無いが、魔方陣に矢が触れたその瞬間、文様が一部歪んでほんの少し、絶望卿の速度が落ちる。
「なっ、しまっ!?」
 力の源泉、そこを攻撃された瞬間に飛来した日本刀。
 振り下ろしによる縦の、なぎ払いによる横の、そして突きによる点の攻撃。
 それら全てを受け止めるにはほんの僅かな速度低下は致命傷、振り下ろしと突きは防ぎ、避けるもなぎ払いまでは防げずに、衣服を裂かれ絶望卿の鮮血が周囲に飛び散る。
「ははっ、面白い攻撃だな、そんじゃ次は剣士としてアタシの出番さ!」
 一撃受けて魔方陣が消滅した絶望卿、そこへ続けて切り込むは雷光纏った日本刀、神鳴掲げて走る燦。
 振るう武器の形状違えど、近接武器、刃を持つ物を得物とする者同士。
 力強く踏鞴を踏んで、小石跳ね上げ振り下ろされた燦の神鳴。
 その一撃を翳した魔剣で受け止めて、そのまま膂力に任せて押し上げて。
「言ってくれるわね、なら最初に貴女を真っ二つにしてあげようかしら?」
 力任せに刀を跳ね上げ、反撃とばかりに魔剣を振るう絶望卿。
 しかし燦も即座に対応、手首を返して刀の刃を正面に。
 振るわれた魔剣の刃を受け止めつつも力に押されて一歩後退、されどそのまま押し込まれまいとサイドステップ。
 体を横へと動かしながら、刀を寝かせて魔剣の勢いを受け流し自身は絶望卿の側面へと回りこむ様に体を運ぶ。
「重い一撃といいこの馬鹿力といい、見た目と一致せんやつだ。
 腐った性格じゃなきゃ愉しく殺し合えるんだろうね」
「あら、殺されるのは貴女だけでいいのよ?」
 最前線にて斬り合う二人、軽口を言い合いながら、パワーを生かした攻撃を繰り出す絶望卿と、刀という取り回しやすい武器の特性生かし、受けながらの反撃狙う燦。
 対照的な二人の攻撃であったが早期に勝負を決めるとばかりに絶望卿が殺気を噴出、すると再び戦場へ数多の殺戮剣が降り注ぐ。
 だが、この攻撃こそ燦が、そしてシホが待ち望んだもの。
「見えました……咲き誇って! 私のエーデルワイス!」
 戦況を見守っていたシホが叫ぶと同時に、彼女が手にした二丁の拳銃が無数の白銀に輝くエーデルワイスの花弁へと変化。
 風に舞い上がるかの様な動きを見せればその花弁は降り注ぐ殺戮剣とぶつかり合って軌道を逸らし、そしてまるで意思持つ巨大な生き物のようにして。
 絶望卿めざし、うねりを上げて風に泳いで迫っていた。
「なっ、あれは?」
「よそ見してる暇はないぜ? こっちもあるさ」
 降り注ぐ殺戮剣を打ち払い、自身を狙い迫る花弁を前にして目を見開いた絶望卿、しかし攻撃はそれだけでないと燦が武器を刀から大理石にて出来た剣に持ち替えて。
 一振りすればそれはバラバラに分散、石で出来た花弁へと変化して絶望卿を狙うエーデルワイスの花弁に混ざりこみ、白銀と灰色、二色の花弁が絶望卿を包み込む。
 身を切り裂く白銀の花弁、そして触れると同時にその部位を石化させる石の花弁。
 二種の攻撃に晒されて、体の自由が奪われつつある絶望卿に更なる非情の通告を。
「酔いな、これぞ華組二重葬だぜ」
「ふふ、華組らしい連携UC攻撃ね」
 不敵に笑い、後方で戦況見守るシホとリマにここぞとばかりにドヤ顔決めて振り向きながら絶望卿へと急接近する燦。
 それを見送るシホの言葉を背に受けて、続けざまに取り出した黒曜石にて出来た黒光りする杖を動き鈍った絶望卿の腹部へと深々と突き刺していたのであった。
「ぐああああ、よ、よくもぉ!」
 深手を負いつつ、されどこのまま倒されてなるものかとばかりに手の届く距離まで近づいた燦を逃がさぬとばかりに絶望卿が左手伸ばす。
 ここで掴み、そして魔剣を手放しながら右手の手刀で刺し貫いてやると考えていた絶望卿ではあったのだが、掴んだはずの燦の体は思った以上に軟らかく。
 ぐにょり、とまるで液体のような感触を絶望卿に与えていた。
「なっ、これは……!?」
「へっへーん、ずーっとそっちばっかり見てたっすからね、足元に仕込むのは簡単っすよ」
 燦を狙って繰り出した左手、それが掴んでいたのは彼女の体ではなくて、地表から伸びた黒く粘る、タール状の触腕で。
 それを操る藍亜が勝ち誇ったかのように笑いつつ、右手の攻撃が出る前にとばかりに構えた記憶消去銃のフラッシュで視界を奪う。
「っと、助かったぜ。じゃ、これは追加のプレゼント、置き土産ともいうかな?」
 その刹那、後退する時間を得た燦は時限式の爆弾を絶望卿の足元へと投げ込みながら大きくバックステップを。
 距離を取った瞬間に呪詛を撒き散らす爆風が絶望卿を包み込み、足元からその体をさらに石化させていく。
「くっ、よくも、よくも……! でも、この程度でっ!」
 石化の呪詛、だがそれだけで倒されてなるものかと魔力を高め、呪詛を吹き飛ばす絶望卿。
 膨大な殺気と共に体を蝕む呪詛が噴出し、石化していた体の自由が戻り始めるも、それ以上の回復は許さぬと地表に黒き液体が沼の様に広がって。
「おっとぉ、そうやって回復されると都合が悪いっすからね、ちょーっとその能力、食べさせて貰うっすよ?」
 絶望卿の足元に広がった黒き沼、そこより延びる数多の触腕。
 足首、太もも、両腕を拘束したそれは呪詛を祓う能力を阻害して、再び絶望卿の体を石へと変じさせていく。
 深手を負い、更には回復手段までもを封じられた絶望卿には最早抵抗の手段は無く、苦々しげに顔を歪めて石になりつつ膝を付く。
「さて、力を失くしただの“ニンゲン”に近付いていくのってどんな気分?
 ……ボクは肉体よりも信仰等の拠り所や精神を殺す方が慣れてるんすよ」
 蔑んだはずの存在、ニンゲン、に近づく相手を見下ろしながら藍亜が言葉を紡いでいく。
 他者とは違う、その考えの拠り所であった絶対的な力を奪われた相手に対し、心を蝕むような言葉をかけて、より深く追い込む藍亜。
 彼女が言うに『肉体的には埒外と言い切れないしがないエージェント』が出来る行動、その本領発揮といったところであろう。
「ふふっ、私の負け、かしら……あーあ、せっかく久々に愛せる相手を見つけたのにね」
 既に下半身が完全に石化、両肩も固まったが為に絡みつく触腕を振り払うことも出来なくなった絶望卿が投げやりに言葉を紡ぐ。
 そんな絶望卿に近づいたのはシホであった。
「ひとつだけ、聞きたいことがあります。
 貴女の知り合いにジークフリートの名を持つ方はいますか?」
 自身に縁深き存在、その者へと辿り着くための手がかり求めての質問であった。
 その問いかけに首をかしげて思案して、だが問いかけなど無意味だったと言う様に笑いつつ。
「ジークフリート、ねぇ。居たかもしれないし、居ないかもしれないわ。
 だってそうでしょ、私は絶望に立ち向かう人間、が好きで好きで仕方ないのよ、だから。
 だから、愛した者たちと。私の逢瀬を手助けしてくれた、これからも手助けに使える奴以外なんて覚えてるわけないじゃない」
 絶望卿にとって有益に、利用できる相手か愛した者か、愛する者か。
 自分本位な考えで過ごしてきたのだろう、極端すぎる記憶の偏りから、そんな相手は知らぬ、もし出会っていても記憶に無いと笑いながら言い放っていたのである。
 虚偽が無いか、注意深く様子を伺っていたシホではあるが自己中心的に生きてきた相手、全て本心であろう、そしてこれ以上、絶望卿から情報は引き出せないとため息混じりに下を向く。
「はー、こりゃとんだ変態だわ。こんな奴に目ェ付けられてリマも大変だね」
 そんな二人のやり取りを見ていた燦が頭を掻きつつリマに声をかけていれば、その間に絶望卿の体は完全に石化して。
 やがて末端から、砂のように崩れ落ち、そして最後には何も残らず完全に消滅。

 ここに、ひとつの村を狙い複数の吸血鬼が手を結び、悪辣な手段にて不和誘う。
 そして命を狙った企みは、完全に阻止されたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『暖かな日』

POW   :    村人や周囲の手伝いをする。冒険談を話す

SPD   :    料理や芸などを見せ、振る舞い、周りを楽しませる

WIZ   :    人との交流を楽しむ

👑5
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 村を襲った脅威は排され、ようやく安堵の息つく人々。
 だが、命を脅かす存在は何もオブリビオンの襲撃だけではない。
 厳しき冬が訪れれば、傷病人には厳しいものとなろう、そして何より、傷病人を意図的に送り込んだ吸血鬼たちの策略による村の疲弊はかなりのもの。
 これらを癒し、何らかの手段で人々を励まし、また冬に備えての手助けも必要であろう。

 各々の能力や持ち物を活かしての支援をしてもよし。
 再びオブリビオンに襲われ、恐怖によって疲弊した人々の心のケアや、癒しの力による傷病人への対処をしても良し。
 また、村人との交流を行うことも、再度の危機があろうとも猟兵の助けがあると身近に感じ、また自分たちでも立ち向かおうとする心を育てる事にもなるだろう。

 出来ることは多岐に渡り、また案内を行ったグリモア猟兵の助力も願うことは可能である。
 如何なる事を行うかは猟兵たちの手に委ねられているのだ。
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。出身が内陸部豪雪地帯。
引き続き『不動なる者』

…あやつの言うておった従者が気になるが、考えても仕方なし。
備えへの手助けには人手がいるであろうから、オルタナティブ・ダブルを使用。
…今は無理する手合いもなかろ。全く貴殿は!
とり尽くさぬ程度に、茸や木の実を探しにいこうと思うのだが。


第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私

私、そんなに無理しますかねー?(わりと無自覚)
で、何しましょうかねー。
ああ、そうですねー。ここも人が増えてますしー…怪我治すにしても栄養要りますからねー。
ええ、お手伝いしましょう。
あ、途中で動物見つけたら、そちらも狩りましょうかー。


エウトティア・ナトゥア
アドリブ・連携歓迎

やれやれ、ようやく終わったのじゃ。
じゃが先の見通しは厳しいようじゃな。
準備不足で冬が来るとなれば食料と薪を用意してやるのがよかろう。
という事でクアド殿、わしが故郷でコンコンコンして大量に入手してきた穀物や木炭の搬入を頼むのじゃ。
狼達もつけておくし何かグリモア的なパワーでやれるじゃろう。(適当)
わしは傷病者を治療してくるから、その間に全部やっておくのじゃよ。
さて、この辺りが村の中心かの?
【精霊石】の力を借りて精霊を呼び出し、自慢の【歌唱】力で【水精霊の唄】を村中に届けるのじゃ。
これまで大変だったのじゃ、傷病者だけでなく村人達の慰めになれればよいのう。


四季乃・瑠璃
翡翠「傷病者がいるから、薬や包帯が必要…」
緋瑪「動けない人もいるし、食糧確保も大変そうだよねー」(村の子供達とボマーズ煎餅ぱりぱり)
瑠璃「デスソースも用意しないと…」
二人「「それはいらないんじゃないかな」」
瑠璃「ぇー」

UCで分身

瑠璃、緋瑪、翡翠で3人で分担行動。

クアドさんやケーレスさんに依頼して、一旦UDCアースに帰還。
薬品や医療器具、毛布、当面の食糧や衣類等の生活用品を買い揃えてアクセスリングに納めて戻って来て提供するよ。

後は薪や建築資材の確保に森から木を(大鎌で)切って来たり、安全確保と食糧調達がてら周囲の魔獸や危険性の高い動物を狩ってきたりで村を支援するよ。


黒沼・藍亜
ああいうタイプって到達目標さえ満たせば途中の細かい事気にせず、自分は手助けされて当たり前に思ってるから助力の裏を疑わない、要は利用しやすいんすよね

三馬鹿卿揃って誰かの計画の一部だった、なんてありえそうで嫌っすね……


ま、嵐が去ったのは事実
来るかさえわからない次の嵐の心配よりも、今は別の事っすね

さーて「もえみちゃん」出番っすよ
前回は不評だったけど、「異端の豊穣神×植物操る邪神×幼女UDC」という出自的にはこの子の本領はこっちっす
冬が近いそうだし「周辺の植物活性化」で食糧やら薬草やら薪やらの確保手伝いっすよ

……手が足りないとかなら一応、生命賦活での治癒力強化もするっすよ?

※アドリブ他歓迎っすよ



 オブリビオンの襲撃を退けるも、これまで傷病人を多数送り込まれ冬支度が進んでいなかった村。
 急ぎ準備を進めるべく、猟兵たちが村人に協力し、事を進め始めていた。
「傷病者がいるから、薬や包帯が必要……」
「動けない人もいるし、食糧確保も大変そうだよねー」
 村の状況を確認していたのは人形に人格の宿った存在である翡翠に、分身な体で行動している緋瑪。
 翡翠は普通に状況を、緋瑪は何処からか持ち込んだ爆発でもしそうな危ない気配のする煎餅を村の子供たちと齧っていた。そんな危険物を広めないで頂きたいッ。
 だが、それより危険な物を用意しようとする影が。
「デスソースも用意しないと……」
 使命感に突き動かされ、キリッとした表情で決意表明する主人格の瑠璃であった。
 だが、それは流石にやばいとばかりに翡翠が、緋瑪が口をそろえて。
「それはいらないんじゃないかな」
 とハモって阻止していたので大丈夫だと思いたい。
 そんな三人が見ていたのは、転送能力を持つグリモア猟兵であり今回の事件と直前、傷病人を生み出していた吸血鬼たちとの戦いに猟兵を送り出した、クアドとケーレス。
 つまりはまあ、別世界から必要物資の輸送をしたいという事だろう。
 もっとも、同じ事を考えた猟兵は他にもいるわけで。
「準備不足で冬が来るとなれば食料と薪を用意してやるのがよかろう。
 という事でクアド殿、わしが故郷でコンコンコンして大量に入手してきた穀物や木炭の搬入を頼むのじゃ」
 物資は準備する、搬入は任せたと大量の狼を呼び寄せてクアドに近づいていたのはエウトティア。
 準備不足な冬、見通しが悪いのを改善するとってもありがたい申し出なんですがその狼の群れはなんですか。
「狼達もつけておくし何かグリモア的なパワーでやれるじゃろう。
 わしは傷病者を治療してくるから、その間に全部やっておくのじゃよ」
 物資搬送の輸送力、完全に他力本願である。
 キマイラフューチャーではコンコンコンと叩くだけで欲しい物が出てくるからって、多量に出したけど運び込みは出来ないからって丸投げとは恐ろしい人である。
 そんなこんなで2グループ、ちょうど輸送というか転送できる者も二人なので別れて輸送するのだろうが……。
「ケーレス、私はご指名ありましたので、あちらに」
「クアド姉さん!? ちょ、それはずる……」
 激辛な食料品とか爆発物っぽいものが混じりそうな分身三姉妹、取り扱い注意で危険を感じるグリモア猟兵二人だが、姉なクアドはご指名あったから、と早々に狼を引き連れて離脱。
 残されたケーレスはきっと大丈夫、言っていただけだからそんな危ないデスソースとかはない筈と自分に言い聞かせながら、一時UDCアースに移動して物資搬入の手伝いに向かっていた。


 グリモア猟兵の力を生かして物資の輸送を行っている間、村の周囲では。
「……あやつの言うておった従者が気になるが、考えても仕方なし」
「そうっすねー、まあああいうタイプって到達目標さえ満たせば途中の細かい事気にせず、自分は手助けされて当たり前に思ってるから助力の裏を疑わない、要は利用しやすいんすよね」
 義透の中にある人格、不動なる者が絶望卿の言っていた準備を任せた従者、という存在を思い出し。
 同じく、その従者が利用していただけではないか、と推理していた藍亜も同意を示し、別の黒幕が居るんじゃないか、と思案していた。
 もっとも、今その存在に対して考えた所で手がかりなし、警戒する以上のことは出来ないのだが。
「ま、嵐が去ったのは事実。
 来るかさえわからない次の嵐の心配よりも、今は別の事っすね」
 先に流民を襲撃していた二人の吸血鬼、そして今回の絶望卿、三人が利用されていた三馬鹿卿、なんじゃないかと思いつつ。
 藍亜はすべきことがあると言葉を発せば、不動なる者も頷き二人は揃って森の中へと向かっていく。
 ある程度進んだ先で、食料としての木の実や茸などの収集を始めようと義透が分身、別人格としての疾き者を生み出して採取に入ろうとした瞬間。
「あ、ちょっと待って欲しいっす、こういう時のユーベルコードがっすね……。
 さーて「もえみちゃん」出番っすよ」
 二人を制止し、藍亜が呼び出すは髪の毛が植物の蔦になっている少女の霊、もっと詳しく言えば「異端の豊穣神×植物操る邪神×幼女UDC」という三種を組み合わせたような存在。
 つまりはもえみちゃん、が力を発揮すれば周囲の植物や菌糸類の活動が活発になり、木々の再生が捗ったり、現在成長途中の茸類が大きく、見事なものになり、発見もしやすくなる。
 森林資源の再生と成長を促す事で、今回採集しても後日、追加採集が出来るであろう環境を作り出していたのである。
 もっとも、藍亜としては襲われた流民を助けた後、傷を癒す為に呼び出したもえみちゃん、が割と不評だったので名誉挽回、本領発揮させようという意図があったのだが。
「おや、これは便利ですねー」
 再生始め、また枯れ始めていた木々が倒木へと変化して、薪に適した状況へ。
 森の新陳代謝が進む様子を眺めていた疾き者が頷いて、不動なる者と共に採取に向かう中、残った藍亜は遅れてきた村人達と獣が徘徊せぬ安全な場所から採取を開始していたのであった。

 こうして、森の資源が増加する中、奥へと進んだ疾き者と不動なる者。
 誰も居なくなったので心置きなく説教が出来ると思ったのか、不動なる者が表情を険しくして。
「……あのような無理する手合いもなかろ。全く貴殿は!」
「私、そんなに無理しますかねー?」
 無茶な戦い方をした事に苦言を呈すも、言われた人格、疾き者は無自覚で。
 これぞ暖簾に腕押し、豆腐に鎹というものである。
 あまり効果が無い様子にため息ついた不動なる者、これ以上言っても効果が薄いと思ったか。
「もうよい、とり尽くさぬ程度に、茸や木の実を探すぞ」
「ああ、そうですねー。ここも人が増えてますしー……怪我治すにしても栄養要りますからねー」
 諦めた不動なる者が促せば、小言から開放された疾き者がニコニコと。
 活性化して大きくなった茸や落下してきた木の実などを見つけ、手早く集めていくのだが。
 そんな中、森の奥に進んだ二人が行うのは単なる採取だけではない。
「もうひとつ、仕事があるのう」
「ええ、放っておくと危ないですからねー」
 顔を合わせて、森の奥を見遣っていけばそこに居るは雑食性の獣、猪で。
 一般人なら襲われれば危険な獣、放置すれば村に出て食料を荒らす可能性もある。
 もっとも、獣の肉は栄養価の高い素材、これを狩れば危険性の排除と支援になるとばかりに二人は頷き跳躍を。
 警戒していた猪であったが猟兵の身体能力にはかなわずに、自身に何が起こったかを把握するより早く意識を失い、苦痛を受けぬままに命を落としていたのであった。


 森での採取が進む中、村の中では輸送をグリモア猟兵任せにしていたエウトティアが広場に居た。
 肉体労働を任せていったい何を、サボりではなかろうかと疑われるがそういう時に限ってしっかり仕事をするのも彼女の魅力。
「精霊よ、安寧の歌を……」
 周囲に漂う水の精霊を呼び出して、重なり合う歌声は心と体、双方を癒す力を宿した水精霊と奏でる歌声。
 村中に響き渡る歌声は、傷病人の体を活性化させ病の、傷の癒える速度を底上げし。
 無理な生活によって疲れ果てていた村人の疲労感を和らげて、今までの苦労を、そしてこれからの生活を送る上での励ましとなるであろう。
 そうこうしている内にグリモアの輝きが見えれば転送されてきた多量の狼……と一同の背中にくくりつけられた穀物や木炭。
 疲れきった表情で、妙に何匹かの狼に懐かれて過剰なスキンシップを受けていたクアドの疲労も癒える……であろう、恐らくは。
「たっだいまー、色々持ってきたよ」
 同じ頃、別の場所でもグリモアの転送光が。
 揺れる炎が浮かび上がれば、そこから出てきたのは緋瑪、そして彼女に遅れて瑠璃と翡翠、ケーレスが姿を見せて。
 色々持ってきた、というが手ぶら、いぶかしげな表情の村人を前にして自身ありげに頷く緋瑪、瑠璃、翡翠の三人。
 揃って同じ動作、ピンと手にした小さなリングを弾けば次々と飛び出してきた毛布や衣類、消毒薬などの医療品。
 UDCアースから持ち込んだそれらは、冬を前にした村にとっては大きな力。
 村そのものが衣類、医療に関しての力をつけるのが最良だが、それまでの繋ぎとしては十分すぎる支援であろう。
 いい仕事をした、とやりきった表情の三人とは対照的、少し離れた場所に居た転送担当だったケーレス。
 目に涙を浮かべている彼女だが、その涙の理由は「危険物、爆破物や激辛デスソース運搬じゃなくてよかった」というものであった……。
「さーて、持ってくるのは終わったし」
「村の周りの安全は」
「……私たちが」
 感涙しているケーレスを放置して、次の仕事とばかりに動き始めた緋瑪、瑠璃、翡翠。
 森に向かった三人が行うのは、斧……ではなく大鎌を用いての木々の伐採で薪の確保、徘徊している危険な獣や魔獣の探索、駆除であり。
 先に猪を倒した不動なる者、疾き者とも合流し、追加で多数の危険な獣を狩り立てていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

四王天・燦
《華組》

シホと一緒に村人の不安を慰め鼓舞するよ
大丈夫だ
何時でも駆け付けるしリマやニック―頼れる連中もいる
最後に傷人集めて弐式の炎を焚くぜ
暖かいし傷も癒えるし良い夢見れるっしょ

さてニックを呼ぶ
苦渋の決断や村の発展を褒めるよ
もう町だわな
町を護る為にも爆薬の作成管理や罠の作り方を教える
安全に戦えるように、ね
シホとの仲を聞かれたら告白中と答える
はぐらかすようにリマとの仲を聞くぜ

落ち着いたらアルマの剣を町外れに突き立てる
リマを気に入ってたし…墓標くらい残しておくさ

シホ…師匠―親父さんのこと考えてるのかな
一度手合わせしたが剣が曇っていた
闇を祓い、曇りなき剣と斬り合いたい…親父さんを越えてシホを戴く為にもね


シホ・エーデルワイス
≪華組≫


病人や身体欠損者を【祝音】や【復世】で治療

流民も含め人数は多いでしょう
医術で診察し
私は重症(傷)を優先で仲間と手分けする
『聖薬』も味方と共同使用


一段落したら
村人で医術に興味があり適正がありそうな人を見極め
私の医術を時間が許す限り教える

村を支えるリマの力になる人が増えれば幸い


リマと近況等を話して交流
村の運営で困っている事等で私の世界知識が役に立ちそうな事があれば教える

燦との仲を聞かれたら
親友
と答えつつ
女の子同士のカップルについてどう思うか
さり気なく聞く


燦と一緒に絶望卿の墓へ祈りを捧げながら思案

絶望から立ち上がる人々を愛する…
その嗜好に師匠の影を感じたけど…

再会できるのは
まだ先になりそうね



 村の近辺での採集が進み、魔獣や害獣が易々と村へ近づかないように手が回される中。
 多くの流民、それも傷病人を多く受け入れたが為に疲弊している村の医療現場を助ける様にシホが動いていた。
「この症状なら……この薬草ですね、大丈夫、すぐに良くなりますよ」
 建物の一つを特設の病院とし、村人の協力も得ての治療活動。
 徐々に冷え込み、体の不調を訴える者も増えてくる冬の季節に多量に送り込まれた傷病人、故に手が回っていなかった医療現場にとって、先に転送で持ち込まれた医療物資に、それを使いこなせる医術知識を持つ存在はとても大きい。
 次々とやってくる村人や流民をまずは症状に応じて振り分けるトリアージ、早急に処置する必要のある傷病人を優先して治療して。
「こういう患部の腫れ、炎症には、この薬で。もし、数日たって収まらないなら別の症状を疑って……」
「な、なるほど、じゃあその場合はこっち?」
「そうですね。ですが、何でも薬に頼らずに本人の体が治す力を高める方法もありますね」
 即席の病院を作成、また治療に協力してくれる村人に対し、診察に立ち会ってもらい症状や対処法について説明するシホ。
 医療知識を持つ者は一人でも多く増えれば、それだけ村の発展にとって大きな力となる。
 故にシホは限られた時間の中ではあるものの、自分の持つ知識と技術を現場で見せる事により、この村の医療レベルの引き上げに尽力していたのであった。
 同刻、トリアージにて軽症と診断された者たちはというと。
「ま、待ち時間何も無いってのも味気ないだろ。暖まっておきなって」
 建物に入りきれぬ傷病人達が凍えぬようにと燦が笑えば、治療待ちの面々を囲うように生み出される多数の狐火。
 ゆらゆらと生きているかのように動く炎は、傷病人と程よい距離を保ちながら暖を与え、眠気を誘う。
「暖かいし傷も癒えるし良い夢見れるっしょ、終わった面子もここで休んでいきなよ」
 順番待ちの者が眠気に負けて一人、また一人と眠り、自然治癒力が高まる中。
 治療を終えた傷病人が建物から出てくれば声かけ、用意された椅子に座らせ休ませて。
 病や傷の癒しが必要な者たちは、待つ間も治療が終わった後も、常に安らぎを得れる空間にて休息するのであった。


 だが流石に、協力してくれた村人たちも延々と治療を行っていれば疲労の色は出てくる物で。
 一時休憩として現場から離れ、燦はニックを村はずれに、シホはリマを伴って村の中を歩いていた。
「よーっす、いい具合に発展してるな、これはもう町だわな」
「いえ、これじゃまだそうは……」
「謙遜すんなって、まあでも。守れる人間は多い方がいいよな?」
 村はずれで言葉を交わすは燦とニック。
 発展を続け、傷病人とはいえ多数の人口が増え、傷と病が癒えれば十分な労働力となる。
 人口の増加が発展に繋がる上、吸血鬼の策略とはいえ流入した傷病人を受け入れ踏ん張りきった村の力、これまでの発展を素直に褒めていたのである。
 だが村の、もとい町の防衛に農具程度では不足だろうと燦が伝授するのは罠、そして各種爆薬の作成管理方法である。
 燦が褒めたりニックが謙遜したり、なんやかんやとやり取りしながら作成方法を教える中で話題は互いの恋愛事情なるものに及んでいき。
「そういえば……ずいぶんと仲がいいようですけど、シホさんとはどういう」
「あ? あー、うん、告白中、だから返事まち、かな?
 そういうニックはどうなんだよ、リマとは」
「ええ? いやー、頭が上がらないというか、言ったら曲げないんで困ってるというか?」
 燦は告白中だなんて言ってしまって、そこから言葉を続けられずに急ぎニックに話題を投げ返し。
 ニックはニックで、最初に吸血鬼に選ばれ傲慢に振舞っていた事の負い目と村での中心的な役割を果たしている様子から、何だかんだで意見を言っても最後は折れてフォローしている、そんな様子が見て取れて。
 お互い、ままならないなぁ、なんて空気が流れる中で不自然に、硬い笑顔で笑いあいつつ。
 粗方の知識、技術、管理方法を教えた後に燦は用事があるからとニックを先に村へと返し、自身は戦場となった場所に戻っていた。

 同刻、村の中を進んでいたシホとリマ。
「リマ、大丈夫だった?」
「はい、おかげさまで。ちょっと怪我人や病人が増えて苦しかったですけど、シホ達が来てくれて本当に助かりました」
 お互い、どんな風に過ごしていたのかと近況を語り合う二人。
 人々を救う為に数々の世界で活動したシホと、村という狭い範囲ではあるが助けを求める人々に手を差し伸べてきたリマ。
 出来る事に違いはあれど、共に人々を助けるという点では共通していたのである。
 仲良さげに語り合う二人、もしも世界がダークセイヴァーでなく、出会った場所が平和な世界で。
 そして、異能の力を持たないならば、何気ない日常の中で、互いに見つけた楽しいこと、を語り合っているような雰囲気で二人は村を進み、会話が続く。
 そんな中、両者の会話は燦の事へと向かっていて。
「あ、そういえば、燦さんとはすごく仲が良さそうですね」
「ええ、燦とは親友ですから」
「なるほど、親友、ですか……そう言える人がいる、とても素敵だと思いますし羨ましいですね」
 友達、というには少々過剰な関係性を見たリマがふと疑問を口にすれば、親友だ、と答えるシホ。
 そんな関係を持った相手がいることを素敵だと、それでいて少し羨むようにリマが言葉を紡いでいって。
「……まあ、少しべったりしすぎというか、女の子同士のカップルに見えるかも知れませんが。
 リマは、そういうのは有り、だと思う?」
「え? あー、そうですね。お互いがとっても幸せなら、それでいいと思いますよ」
 近すぎる関係性、それを見せたシホがどう思うか、と尋ねれば。
 恐らく、表層というか、カップルと見紛うほどの仲の良さ、一緒にいて幸せな関係という部分を見たリマがありだと返答し。
 認識にズレがあるかはともかくも、お互いに肯定的な意見であることを確認し。
 シホは村はずれに、そしてリマは村の中央へと別れ、戻ることとなっていた。


 燦とシホ、二人がニックとリマと別れ落ち合う場所とした村はずれ、先に到着したのは燦であり。 
「歪んだ形だったが……リマを気に入ってたし……墓標くらい残しておくさ」
 手にした物は、倒された絶望卿が用いた魔剣、その残骸。
 刀身の一部しか残らぬそれを目立たぬ場所に突き立てて、ふとシホの様子を思い出す。
「シホ……師匠―親父さんのこと考えてるのかな。一度手合わせしたが剣が曇っていた」
 以前行ったであろう手合わせ、その際に動きが、剣筋が迷うかのように。
 進むべき道を決めかねている、そう感じたのだろうか。ならばこそ。
「闇を祓い、曇りなき剣と斬り合いたい…親父さんを越えてシホを戴く為にもね」
 なんて一人、小さく呟くと後ろから聞きなれた声がした。
「遅くなりました、燦。それは……絶望卿のもの、ですね」
 不意に聞こえたシホの声、自分の宣言を聞かれたんじゃないかとびくっと肩を震わせながら振り向いて。
 どうしたのだろう、と小首を傾げるシホの様子に、聞かれていないと確信する燦。
「や、な、なんでもないさ。急に声が聞こえてびっくりしただけさ、それとうん、絶望卿の。
 墓標くらい残しておこうと思ってね」
 なんでもないと平静装い、質問に答える燦。
 少し不思議そうにしながらも、シホはすっと刀身で作られた墓標に近づいて祈りをささげ、思いを馳せる。
(「絶望から立ち上がる人々を愛する……その嗜好に師匠の影を感じたけど…」)
 絶望卿が此度、他の吸血鬼と手を結び行った行為。
 人々を絶望する状況に追い込みながら、その中で立ち上がろうとする者を見出し、その者を愛する、という行為。
 そこへ自分に縁深き存在を感じたが、至る道は細く遠く。
「再会できるのはまだ先になりそうね」
 手繰り寄せる細き糸、その先端を掴んだような感覚と共に、それでもまだ、届くには遠いと感じ。
 だが一人で歩む道のりではなく、自分がいるとばかりに無言で燦がシホの肩に手を乗せて、共に歩むという意思を示していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

メリー・スペルティナ
むむむ……この場だとゼーレ(死霊騎士)やケルパー(死霊蛇竜)達を呼び出すわけにも
後は死者や残留思念を呼び出せる『交霊陣』を使うぐらいしか
でも今回の件ではこういうのってそんなに需要なさそうですわね……

それでも死者の声を聴く死霊術師であり、
想いを宿しその器と成す「血」を持つスペルティナの者として、
精一杯頑張らせてもらいますわ!

……いくら無念やら残留思念だからって、
まさかさっきのチャリオットとか三卿の残留思念とか出てきませんわよね?

もし出てきたら強い未練や無念の感情に反応するUC【死の先を往く者よ】で捕まえ、この血から創った無害な「仮の器」(形状自由)にでもぶち込んでおきますわ。

※アドリブ他歓迎です


宮落・ライア
相変わらずの真姿:黒髪黒衣装の奴

はーい傷病者のみなさーん。一人ずーつこの宝石に触ってねー。
UC【眠りに誘う夜の帳】の悪用。
危篤者とか体の一部欠損しちゃったような人を優先してきてもらおうかー。

自分も中に入って1対1。相手にはすんやり眠ってもらってから
【泥の復活神話】を使用。
病気だろうと欠損だろうと五体満足健康体で再生しようか。
大丈夫大丈夫。副作用なんてないから。
傷つけば赤い血の出る寿命で死ぬ当たり前の人だから。

わざわざ人の目につかないようにナンデするのかって?
あはは僕様ってイイ人だから。


祓戸・多喜
これは大変ね!
こんな状態で冬迎えたら大変なことになっちゃう!
傷の手当とかは苦手だけど力仕事ならそれなりに頑張っちゃうわよ!

そういう訳で建物修理や家や壁の新築中心にお手伝い。
人が増えたなら住める場所をもっと増やさないと!
資材がないなら伐って運んできてもいいし、一番アタシの力が必要そうな所を手伝うわね。
頑丈に寒さをしのげるように…
あと壊れた防具とかあったら修理がてら改造して生存率上げれるようにしてみるわね。

辛い顔してる人いたら出来るだけ明るく励ますように。
生きているんだから前向きに、今できる事をやってかないと!
大丈夫大丈夫、助け合いなんだから迷惑かけてるなんて思わないの!

※アドリブ絡み等お任せ🐘



 村の各所で支援が行われる中、ちょっとしたアクシデントのような物が起こるのもひとつのお約束、というものだろう。
 子供たちがこのお姉さんは何をするんだろうか、と先に別の猟兵から貰った煎餅をバリバリと齧りつつ見つめる先には、腕組みうーむ、と難しそうな顔をして思案するメリーの姿。
「この場だとゼーレやケルパー達を呼び出すわけにも……後は死者や残留思念を呼び出せる『交霊陣』を使うぐらいしか」
 どうやら復興支援で扱う労働力として、死霊騎士や死霊蛇竜を呼び出すか否か。
 しかしその面々は見た目もそうだし、似つかわしくないので却下、となれば別の手段は何かあるかと考えても彼女は死者の声聞く死霊術師、死者に残留思念にと、そういった類の者を呼び出す能力。
 明らかに需要がなさそうだと考えつつも、キラキラとした目で見つめる子供たちを前にして何もしない、というわけにもいかず。
「なーに悩んでるのよ、手を貸すって決めたならバシッとやっちゃいなさいな」
 どうしたものか、と考えるメリーの後ろから声をかけるは多喜。
 その体躯から溢れる力でもって、多種多様な木材を運搬し、住居の補修や建築の手伝いをしている中で悩むメリーを見つけ、声をかけていたのであった。
「そ、そうですわね! 想いを宿しその器と成す「血」を持つスペルティナの者として、精一杯頑張らせてもらいますわ!」
 子供の視線、そして仲間からの激励を受け、出来る事を全力で。
 パンッと両手を打ち合わせ、パリンと血晶石を砕けば周囲に広がる赤き霧。
 無念や残留思念、それを形にする能力でこの地に存在する霊を呼び出し協力させるつもりのメリーだが、ほんの少し。
(「……いくら無念やら残留思念だからって、まさかさっきのチャリオットとか三卿の残留思念とか出てきませんわよね?」)
 なんて不安があったのだが、きっと普通に死者の霊が出てくる、はず。
 そう思って霧が何者の形を取るか、注意深く見ていたメリー。
 しかし悲しいかな、村で強すぎる思念を残して亡くなった人間はそうそう居らず、三卿の内、二人は別の場所で討たれ、絶望卿も自分勝手な色恋で活動していたので無念や何かが残るわけでもなく。
 となれば、消去法で残されるのは、最後の一人になろうとも、世界の終わりまで戦い続けようとするチャリオットとなってしまうは仕方ない事であろう。
「オオオオオオオ!」
 再び形を得れた幸福、そして戦い続ける喜びを雄叫び出して表現し。
 軍馬が呼応し、嘶いて。再び駆け出そうとする赤き血液にて形を成したチャリオット。
「ちょ、なんて奴らを呼び出してるのよ!?」
「ええええ、またあなた達ですの!? こ、こうなったら!」
 戦いを求める集団を見て思わず叫んだ多喜、そして不安的中なメリー。
 こんな戦闘狂がいても支援には邪魔にしかならぬと紅の魔方陣を展開、そこから伸びる鎖が強烈な戦闘欲求を持つチャリオット達を縛り上げ。
 暴れる相手を押さえ込んだメリーが取り出したのは掌に収まる小さな器、そしてそれも血液で出来た赤きもの。
 内部が異空間にでも繋がっているのか、容積を無視して次々とチャリオット達を吸い込んで戦闘狂の集団は全員回収。
「…………こ、これで復活しようとした悪霊は全て封印しましたわ! もう、あの連中が暴れることはありませんわよ!」
 このお姉ちゃん、失敗したっぽいって空気な子供を前に、自分は悪霊の封印をしていたんだ、とアピールするメリー。
 本当かなぁ、なんて顔の子供たちだが意図を察したのだろう。
「そ、そうね、あんな奴らがまた出てきたら大変だから、このお姉ちゃんは危なくないようにやっつけてくれたのよ!」
 多喜がすかさずフォローして、なんとかそれっぽくしていたのである。
 そんなこんなでハプニングがありながらも強い思念の封印が成される中、別の場所でも特殊な医療行為がされていた。

「はーい傷病者のみなさーん。一人ずーつこの宝石に触ってねー」
 体の一部を失うほどの怪我を負わされ送り込まれた流民たちを中心に、人気少なき場所に集めていたのはライア。
 黒髪揺らして、胡散臭い笑み浮かべ取り出したのは暗色の宝石で、触れた者を吸い込むユーベルコード。
 一人ずつの治療と称して送り込み、自分も内部に乗り込むライア。
 その空間は夜の帳に覆われた、眠気を誘い安らぎ与える空間で。
 彼女の黒き衣装が、そして黒髪が同化するように闇へと紛れ、睡魔に襲われ意識が遠のく流民を寝かせてからが本領発揮。
「本物か偽物か。正しいか正しくないか。受け入れられるか受け入れられないか。そんな事は君達の選択じゃないか」
 薄れゆく意識の中、かけられた言葉。
 治療行為と聞かされてはいるが、何をされるか分からぬままにかけられた言葉。
 不安を感じても空間より生じた安らぎが、そして眠気には抗えず、起きたときには全てが変わっているなんて言葉も聞こえれば。
 やがて感覚無くし、完全に眠りに落ちた流民の体が泥のように変化して。
「病気だろうと欠損だろうと五体満足健康体で再生しようか。
 大丈夫大丈夫。副作用なんてないから、傷つけば赤い血の出る寿命で死ぬ当たり前の人だから」
 聞こえているかどうかは分からぬが、何も不安はない、健康な時と変わらない。
 失った体が戻るだけだから、と声をかけつつその体を再構成。
 ドロドロに崩れた体が再び流民の形に戻る際、無くしていた腕が元からあったように形を成せば欠損部位の修復は完了。
 ライアがふっと息を吹きかければ表面の泥は剥がれ落ち、中からこの空間に取り込まれ、眠りに落ちた流民が完全に再生された体で姿を見せ穏やかな表情で寝息を上げていたのである。
 満足げに微笑むライア、その流民を抱えながら空間から村へと戻れば、欠損部位の再生と安らかな寝顔を見てどよめく多くの流民。
 眠る仲間の再生した体を触り、偽物ではない事を確認したりする者や。
「あ、あの、どうして一人ずつ、しかも見えない場所で」
 なんて、隠れてどんな事をして再生したのか尋ねる者が出たりする。
 その質問を聞きながら、何でそんな事を聞くのかとはぐらかすようにライアが笑い。
「わざわざ人の目につかないようにナンデするのかって? あはは僕様ってイイ人だから。
 ちょっとショッキングな治療法かもしれないし、見なくてすむように、なんて言っておけばいいかな?」
 秘密は秘密のままがいい、神秘は秘匿され、暴くものでは無いと意味深に語りつつ、泥の治療行為は続けられるのであった。


「あの時はちょっと驚いたけど、まあ何とかなったわね」
「それは言わない約束ですわよ」
 怪しげに見える治療行為が進む中、村の中心に目を戻せば。
 建材を運ぶ多喜に、子供の相手をしながら手伝うメリー。
 村人とも協力し、多喜が行うは人口増加に伴って悪化しつつあった住宅事情の改善であった。
 破損した家屋の修復に運び込んだ材木を加工する村人。
 そして、新しく家を作る土台、基礎工事をする地ならしに力が必要なのだろう、象のバイモンスターという身体的特徴と、常人を遥かに凌駕する膂力を持って地面を掘り、岩をどけ、土地を整えていく多喜。
 複数人で、数日はかかるであろう重労働を砂場で子供が遊ぶかのように、軽々と続ける多喜の姿に感嘆の声が聞こえるが。
「なーに、気にしない気にしない、こういうのは助け合いなんだから迷惑かけてるなんて思わないの!」
「そうですわよ、だからそんな顔はしないでくださいませ」
 申し訳なさそうにする村人、だがそんな顔は似合わないと多喜が声をかければ後押しするようにメリーも続く。
 尤も、メリーも助け合いである種、助けられた側でもあるのだがそれは言わないお約束という事で。
「生きているんだから前向きに、今できる事をやってかないと!」
 やる気を出して、時間が限られているのならやれることを全力で。
 そう促す多喜に触発されて、動ける村人が集まって役割分担、材木の採寸から切り出しを行ったり、組み立てと手際よく作業は進み、猟兵が帰還しても住居の建築ラッシュが続く、その土壌はしっかりと作られていたのである。
 それらは基礎からしっかりと準備をした、頑丈さを高めた住居。
 オブリビオンを相手にすれば流石に無理はあろうが、獣の襲撃程度ならば十分に防げる強度を持つ家屋になるのである。


 こうして、他世界からの物資搬入、現地環境の改善に猟兵による助力が加わることにて村の環境は大幅に改善を。
 衣食住、すべてにおいて冬を前にし備えが足りぬ状況から、余裕を持って迎えることができるまでになり、また傷病人として吸血鬼の策略で送り込まれた流民たちも治療を受けることで労働力としての人口に数えられる事になる。
 それは即ち、村の発展に大きな力となる人口増加であり、吸血鬼の謀略が逆に人々の復興を助ける結果を生んでいたのである。

 だが、村が発展するもこの世界はまだ闇に覆われ、吸血鬼の暴虐が吹き荒れる世界。
 一所の安寧は、吸血鬼たちからすれば吹き飛ばせるようなものかもしれない。
 だが、そんな小さな篝火も数を増し、そして集まれば消せぬ大きな火へと変化するもの。
 その為の火を消さぬよう、猟兵と人々は力を尽くすのであろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年12月09日


挿絵イラスト