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挑戦!巨大樹の頂上、座するは【狂獣】!!

#アックス&ウィザーズ

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#アックス&ウィザーズ


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 ――その巨大樹には、獣が居る。
 心技体、それぞれを持ち得し獣が居る。
 恵みの大樹を根城とし。
 弱者諸共踏みつけ、散らし。
 其のケダモノは……強者を待つ。
 己の欲を満たす為だけに。
 自然の連鎖を妨げながら―――。

●巨大樹と獣
「アックス&ウィザーズで事件が発生したよ……とある巨大樹を、オブリビオンが占領しているらしい。」
 手元の簡易資料を繰る音はする。
 彼女なりまとめ可視化した、情報源を元に作り上げた疑似ARにより……詳細をを表示させながらフロッシュ・フェローチェス(疾咬の神速者・f04767)は集まった猟兵達へ説明を開始する。
「これが今回の討伐対象が根城としている、『巨大樹』だよ」
 ホロデバイスからの投射映像に現れた巨大樹。
 それはもはや、【塔】。張り巡らされ地表へ顔を出す根っこも、周りの地形と合わせてまるで【迷路】の様相だ。
「以前まではこんな馬鹿デカい樹木じゃあなかったんだけど、一体のオブリビオンが占領して――1か月で此処までにしてしまった……前々から呪術の準備をしてたのかもね」
 何が目的化は分からない。
 だが肉となる動物に、薬にもなる野草に、嗜好品の果物にと、様々な資源を齎してくれる森が今では立ち入り禁止の魔境と化しているのだ。
 回り道するにも相当時間がかかる為、車など無いアックス&ウィザーズでは致命的な遅れが発生してもいるらしい。
 ……このままでは多方に餓死者や、失業者が出てしまう。
「そこで猟兵の出番ってわけ――奴は樹の頂上に陣取っている様子だから、寝床に帰ったときがチャンスかな」
 とはいっても夜ではなく、昼に寝床に帰るらしい。寝てる訳じゃないみたいだ、妙だね……とフロッシュは呟くも直ぐに先の続きを口にする。
「チャンスは昼間、根城に座している時間を狙って。大樹の根の迷宮を踏破し、また大樹そのものを登って――1つの『大地』と化している巨大樹頂上で決戦に持ち込む」
 ホロデバイスを操作して映像を閉じながらに、彼女は〆の言葉を告げた。
「周りの村や街に攻め入らない事から、他に何らかの目的があると思う。けれどそんなの関係ない、相手はオブリビオンだ……遠慮なく叩き潰してきて。健闘を祈るよ」


青空
 世界樹って聞くと、皆さんは何を思い浮かべますか?
 ……そんなわけで今回は斧と魔法の世界での、探索&ボス戦依頼です!
 第一章は自然迷路の踏破。難易度自体は高くありませんが、迷う事は有り得ます。
 第二章は迷路を抜けた先にある巨大樹を登って行きます。
 途中には枝の足場もあり、この章では飛行するのも一つの手段かもしれません。ただし『根城』への入口は上にはないので、下から見つける必要があります。
 第三章はいよいよボスとの戦闘! 足場は割と確りしており、周りは植物だらけです。

 ――さあ、冒険に出かけましょう!!
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第1章 冒険 『大樹の迷路を突破せよ!』

POW   :    俺が道だ!壁を破壊して進攻する。

SPD   :    トライ&エラー。速さを活かして総当たり作戦。

WIZ   :    己の直感を信じろ!勘の告げる方へ。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

マリィ・ブラキウム
作戦は「道は後ろにできるもの」
巨大なランドマークもあるし幹まで一直線で行けそうだよねー。壊せない物じゃないみたいだし、根と地形は整地してしまおう。
「号砲一発! フルバーストォ、マキシマーム!」
あとは、壁に当たる度に発砲。回数を重ねるたびに掛け声も適当に。

うーん。簡単で楽だけど自然破壊かぁ。ちょっとお腹が痛くなりそう。
まぁ、気にしない方向で。自己矛盾自己矛盾。あははは。うーん。


ドリスコ・エボニス
POW

迷路ってアレだろ?目的地までの壊した壁の枚数を競うやつだろ(真顔)
違ったっけ?まぁいいか

目的地までの根っこの壁はグラウンドクラッシャーで壊して進行していくぜ
デカイ樹が目印だ一直線に壊していけばたどり着くかな
迷いそうになったら【地形の利用】で周辺を調べながら【野性の勘】に頼って進む
さて何枚ぶち壊せばたどり着けるかね



 何十と入り組み、また何重にも連なり、呪術により湾曲する――この巨大樹迷路。
 任務に向かった猟兵達のとる対応はまた様々だ。
 情報戦こそ尊ぶべしと下調べをする。
 己のみ1つで挑むべく、入念に装備を点検する。
 遠目に広く眺め、亀裂を見極める。
 ……それら準備を進める中で、とある猟兵二人の行動は実直だった。
 簡単な「一つの答え」故に――もう既に迷路の南側と、西側前までそれぞれたどり着いているのだから。

「いやー、それにしてもでっかいね!」
 1人はふわりと宙に浮く、身長24㎝強の少女。
 最早『ランドマーク』とすらいえる巨大樹を眺め、琥珀目のフェアリー、マリィ・ブラキウムはそう感想を漏らした。
 専用のアームドフォートと熱線銃、【ズベン・エル・ゲヌビ】【ズベン・エス・カマリ】をそれぞれ構えて目の前を塞ぐ『大樹の根の壁』を見やる。
「迷路ってのは、なんだったかな……」
 1人は赤と銀の瞳を鋭く細める、190㎝近い大男。
 三つ角を持ちし太古の竜の流れを宿したドラゴニアン、ドリスコ・エボニスだ。
 そびえる大樹には目もくれず、目の前の『樹木達の壁』をコンコンと叩いている。
 獣の毛皮を縫い合わせて作り上げた、【ビーストスキンマント】を風に翻しつつ、愛用する大戦斧を地に突き立て何やら吟味をしている様子。
 ……反応は当然ながら二者ともに違い。
 性別も違う、身長も異なれば種族も別で――武器にも共通点は無い。
 だが、たった一つの【ある事柄】を入れれば、今この場での二人は似た者同士と言っても過言ではなかった。
 そして時間が限られている事もあってか、付いてからの行動は速かった。
「よし、今回の作戦は1つ、“道は後ろにできるもの”!」
 マリィは【ズベン・エル・ゲヌビ】と【ズベン・エス・カマリ】を根っこにピタリとくっつける。
「ああ、思い出した迷路ってアレだろ。要は……」
 ソレと奇しくもほぼ同じタイミングで、ドリスコも鈍く光る肉厚な大戦斧を、ゆらり上段に構えてみせる。
 どちらも目の前の壁目掛け、溜め込まれた力を解き放たんとしていた。……もうこの二人の共通点が、彼らが打ち出した作戦がお分かりだろう。
 すなわち――

「号砲一発! フルバーストォ……マキシマーム!」
「目的地に着くまでの壁の破壊枚数競うやつだろ!」

 ――【力業でぶち抜いていく】――
 パワーオブパワーの文字通りな力業での強引な突破、それが二人のとった迷宮攻略法であった。
 確かにゴールまでつながる道を探すのも良いが、こうやって諸共にぶち壊して進むのも『明確なルールなどない』のだから、当然とれる札の一つの中にある。
 まして目の前に巨大な目印がどんと鎮座しているのだ。
 何を迷うことがあるのだろうか。
 ……まあ惜しむらくは明確な自然破壊そのものという事だが、状況が状況だ。おまけにオブリビオンの呪術影響下とくれば、やはり致し方あるまい。
「フルバーストマキシマームっ!!」
 手中にあるアームドフォートより多数の弾薬をコレでもかと撃ち放ちまくるマリィは、お代わり追加とばかりに熱線銃にもバンバン火を吹かせていく。
 鳴りやまぬ鉄火の轟音が、久方ぶりにこの森林へと音響を取り戻させていた。
「もいっぱつ……おらあああぁっ!!」
 それは己の筋力を活かし、グランドクラッシャーで地形諸共木っ端へ変える、ドリスコの方もまた同じ。
 叩き付けてもまだやまぬ崩壊の波は、追加で周辺の壁をも豪快に突き崩す。
「なんか本物の破壊者みたいに……うん気にしちゃだめだね――ファイヤー!!」
「あんだけデカいならまだまだぶっ壊さないといけないだろう――なぁっ!!」
 砕いて歩み、崩して走り、壊して進めばそれでよい。
 森林ではあり得ぬ光量が幾たびももたらされ、途轍もない頻度で微震が発生させられ、そのたびに二人は確実に進んでいく。
「てーっ!!」
 段々と手抜きな号令になりながら、しかして勢い落とさずマリィは乱れ撃つ。
「まだまだぁ!! …………ん?」
 成果も知らぬのにまるで競うが如く重斧の一撃が止まることなく続く。
 ―――と、そこでドリスコの方は違和感に気が付いた。
「……おかしいな。木々の位置は目測通りだってのに――あの大樹、最初みたい力【ちょっとズレて】無いか?」
 遠くで響く大規模な鉄量投下の音を耳に入れつつ、それも地形の一種だと利用して――ドリスコは再度一心不乱に斧を振るい続けた。
 そこで、己に眠る野生の勘が正しいことを確信する。
「やっぱりか……ずれてるな、しかも同じ位置に。だが――前後の距離的にはちゃんと近づいてるのか」
 そうなると破壊行為自体は別段無意味でもあるまい。ドリスコはそう確信し、斧を再び構えなおした。

 ……そこでマリィもとある違和感に気が付く。
 状況を確認すべく振り返った、その矢先に。
「あれ?――おかしいな、壊した壁の枚数とか、地形の形状が記憶と合わない気が……?」
 刻まれた傷は残る物は残り、されど明らかに【不自然に消えた】ものがあるのだ。
 破壊跡自体は前述の通り、ちゃんと残り続けている個所もあるので、此処から迷う事は流石にあるまい。
 しかし。
「――これ、他の人にも伝えた方が良い?」
 かすかな違和感を覚えた彼女もまた、先までの感情の勢いに陰りを見せ始めた。


 ……大樹の迷路の各所では、【怪しげな文様】が光っていたという。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

フォルク・リア
事前に地図を入手し、または探索中に地図を作成し
自分の現在位置を見失わないように進む。
また。方位磁石、ロープ、明かり、ピッケル等
も準備移動や高所へ上る際に使う。
木や岩に目印を刻み、堂々巡りにならない様に注意。
道が分からなくなったら高所に上って目的地の
位置を確認するか、
分るところまで戻って仕切りなおす。
目立つ地形や分かり易い木々や植物などは目印として
覚えておく。
「道に迷うのは好きじゃないんだよね。
面倒だけど、しっかり確認しながら進むとしようか。」

話しにあった「呪術」の痕跡(魔法陣や刻まれた呪文
魔法用の術具や明らかに自然物ではないもの)
にも注意しそういったものがあったら
近づいたと考える。


木目・一葉
では仕事だ
大樹の迷路と聞くと、不謹慎だがやはり興味が湧く
「それに何故、これを用意したか」
きっと何か意味がある筈だ

【WIZ】
まず周辺の村、行商人に 丁寧な【礼儀作法】と【コミュ力】で【情報収集】
致命的な問題だから、大樹に途中まで挑んだ者や行方不明者もいる筈だ
迷宮に挑む際はその情報と、自身の【第六感 】が頼りだ
道中は【地形を利用】し、足が疲れにくい経路を選ぼう
メモには辿った経路を書き込み続けて目印も残す、別れ道にも勿論残す
自分が迷っては無意味だから
道中、すでに迷宮に挑んだ者の遺体があれば『操り糸の影』で、残されてる意思を読み取って情報を得る
生きている人がいた場合は【コミュ力 】で更に【情報収集】だ



 力業で突破しようと試みるものが居れば、その逆が居るのもまたしかり。
 周囲の街から、村々から情報を募り、また道具を集め。
 挑もうとしている2人の猟兵もまた……迷宮近くで纏めながらに準備を進めていた。

「何度も挑んで、何度も思うな――やっぱりこういう類は興味をそそられる」
 少し不謹慎かもしれなくともね……誰にともなく呟きながら、メモ帳を覗き込むのは木目一葉。生真面目さ漂う金髪の少女だ。
 森林の中でも変わらぬ、そのロングコートスタイルを貫き、付いたフードは確りと目深にかぶっている。
 メモ帳を何度か繰る中で一葉は目当ての情報を幾つか口に出していた。
「やはり挑んだ者はいたみたいだね……しかしそのほとんどが行方不明……けど、奇跡的に帰ってきた人もやっぱり居る、か」
 そして彼らに共通する情報は【不可思議な文様を見た】の、たった一つしかなかったが、それでも0よりは有力だと言えよう。
 ――そして迷宮の道筋は覚えていないものの『一応地図は通用する』との他、彼らの中の一人が『迷路に逆らうな』との一言を残していた。
「逆らって回り込もうとしたものや、近道を取ろうとした者は行方不明……」
 そこで無意識にか一拍置き。
「しかし弱い箇所のみだったが、それでも壊して進んでいたら戻ってこれたとの意見もあり、と……つまり破壊することは逆らう事ではないんだな」
 ――随分と大雑把なだね――と考えつつ、ルールが無いのだからコレが当たり前かもしれないと、一葉はそう思ってもいた。
 兎も角己の第六感が頼りになろう……足場を選び披露を減らすなどの地形の利用も忘れずに念頭に置いて、一葉は迷宮内へと踏み入っていく。

「……よかった。地図そのものだけじゃ難しいけれど、情報込みなら行ける」
 そして彼女より先に情報を集め終え、迷路へと踏み入っている猟兵も居た。
 白い衣装に身を包み、また先の一葉よろしくフードを目深にかぶっている彼は、フォルク・リア――ダンピールの青年だ。
 方位磁針やロ-プなど道具を沢山持ち込んで、もしもに備えてから来た形らしい。
「そして方位磁針も狂って無いと。けれどそれでも惑うな……迷うのは好きじゃないって、目印付けながらゆっくり歩を進めたのは正解だったか」
 確実に近づいていけるよう、フォルクが選んだ方法はマーキング。
 そのおかげで数度ほど堂々巡りになりかけたのを、何とか阻止し巻き返している。
 また……呪術の影響か、奇妙な植物があるのも目印代わりの助けとなっていた。
 ――しかし同時に『ある違和感』も湧き出て来る。
「……話には呪術がよく出てきていた……詰まる所、やはりそれがキーになっていると見るべきだ」
 敵のオブリビオンが用意したソレは実感してなお感じる、大規模かつ強烈な物であったが、逆に言えば此処までデカいと何らかの証拠が残るはずなのだ。
 それが【近づいた】証拠になるかもしれない。
「そうじゃ無いと 何時まで経ってもズレ続ける大樹を追う羽目になるだろうしね」
 彼もまた違和感に気が付いているらしい。
 言いながらに目印を再びつけ、フォルクは歩み続けていく。
 ――しかしここで大きな分かれ道が現れた。どこに進むべきだろうか……。
「……上から確認しよう」
 此処は広く見渡した方が良かろうと、フォルクはロープを使って高所へ登り、上から覗き込んでみる。……それが一つの光明をもたらした。
「ん? ――アレは、なんだ。光っている?」
 気のせいか、遠間に響く破壊音と連動してなにやら明滅している個所が見えたのだ。すぐさま位置をかき込み、方位磁針を確認し、一旦定めた目的地まで向かう。
 そこでフォルクは、予想通りのものを発見した。
「やはり。これは―――」

「―――呪術の文様か」
 獣が残した一つの証を。
 そして、一葉の方もまた同じように目印を付けながら歩んでいた折、コレを見つけたらしく呟きを漏らした。
 手元にあるメモには、通って来たらしい経路が確りと記されている。
 そうして迷わないように進んでいたら、コレを半分は勘たよりに、半分は運よく発見したという所だろう。
 一つ目の証拠にはたどり着いた一葉……しかし、此処から如何進むべきだろうか。
「む、あれは……っ!」
 と、其処で1つの人影が見え、近寄ってみる。
 ――だが生者にあらぬ、骨をさらす屍でしかなかった。
「…………」
 手の付く仕様などあるはずもなく、彼女は、静かに魂安らぐことを祈るしかない。
 やがて静かに立ち上がると……徐に右掌を骸へと掲げる。
「その体、借り受ける――『僕のトモダチ、その心の影をかして』」
 発動したのはユーベルコード、その名も『操り糸の影』。
 気絶した者、あるいは……死亡した者を思念宿す陰へと変えて操る技だ。
(意志を読み取ろう、何か残されているはずだ……)
 しかし彼女が手を伸ばす前に、その立ち上がった【影】が辺りを見回し、次いでゆっくりと歩いてゆく。
 訝しみ行こうとする一葉は、いきなり止まった【影】に驚いて止まる。
「ここに何かあるのか……いやコレも、文様?」
 【影】の意思を読み取り、また立ち止まった場所を見やれば、導くかの如く文様がまばらに続いている。
 『強者の呼び声を求めている』と謎の言の葉をも【影】は響かせ続ける。
 ……そして件の大樹は少し向こうに鎮座しているが、どうもそこへと続いているように思えた。
「――どうやら繋がっているらしい」
「わ……!」
 そこで角の向こうからなんとフォルクまでもが姿を現す。
 同じ猟兵だと分かり、武器へ伸ばしかけた手を引っ込める一葉は、次いで彼に問いを投げた。
「あなたもまた呪術の文様を?」
「ああ。自分で辿り、調べていたらこうなっていた。そして――」
 彼の見やる先には彼女もまた先に目にしている導きの文様が続いている。
 アギトへ誘い込まれているかのような、怖気をも感じる。
 一筋縄ではいかなそうだ。
「罠が出るか、それとも【近づいて】いるからそう思うのか」
「何れにせよ……僕達が行かないとな」
 決心して踏み出した二人を――されど嘲笑うかのように、罠など無くするりと進んで行ける。これ自体が罠ではないか? とそう思ってしまうぐらいに。

 そしてそれは当たっていた。
「――! 伏せろ!!」
「おっと……!」
 何処からともなく樹木が水平に通り過ぎていく。
 自然界ではまずあり得ない、異常現象。
 それを合図に、堰切ったが如く次々襲い掛かって来る罠たち――だが。
「遅いな……普通に避けられる」
「ああ。これなら問題なさそうだ」
 どうもトロかった。猟兵達なら苦戦することはない、とそう思えるぐらいに。
 またも罠なのだろうか?
 そう思わざるを得ず、互いが集めたモノを共有しながら、その『文様の道』で一歩、また一歩踏み出す2人。
「まだ幾つか分かれ道がありそうだ――他の猟兵とも共有すべきだな」
「……同感だね」
 出来るだけ進路を絞る事に集中しつつ、二人は罠の洗礼に合いながらも着々と有益な情報を蓄えていく。
 後から続く者達のために、新たな『道』を作ろうと。

 苦心の後。
 自分たちの進んでいる道よりも、さらに早くたどり着ける最適解を算出して……。
 ――道は開けた。駆け抜ける時だ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

立花・桜華
オブリビオンが何を目的としているか不明だけど先ずはこの迷路を突破しないとね

【迷路への挑戦】
あまり時間もかけられないし先ずは全速力で挑戦してみよう。私のスピード見せてあげる!
【ダッシュ】を用いて高速移動を行う
更にシーブズ・ギャンビットを使用、必要最低限の防具以外を外し身軽になることで更なる加速を行う
障害物は持ち前の【怪力】と【ジャンプ】で乗り越えるか【吹き飛ばし】ちゃうよ!

分かれ道などを選択する際は己の【野生の感】を信じ、正解であろうモノを選択する
「ん~、たぶんこっちだね!わたしの勘が囁いている!」
あとは前に誰かが通った跡がないかも確認する
【聞き耳】と【視力】を駆使して手ががりがないか調べるよ


ティル・ライハ
へぇ、すっげぇな。地元世界だけど、こんなデケェ木は見たことねぇや。ここを陣取ってるヤツもデカいのか?? 見てみてぇな…!
っと、ちゃんと森の平和の為にも頑張っから大丈夫大丈夫。

最初は迷路か! あの世界とドッチが大変なんだろ。
まぁ、こういうのは壁伝いに走ってれば、いつかは抜けれるもんだしな。深く考えたら頭パンクしそ。。。
でも、一応「第六感」は研ぎ澄ましとく。……あんま先に体力使い果たすのもアレじゃん?

『SPD 感覚を頼りに速さを活かした行動』


ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎

何を企んでるかはあたしの知ったことじゃないけど…ま、ロクでもないことよねぇ、どう考えても。
もう被害も出始めてるし、さっさと解決しちゃいましょ。

とりあえず巨大樹の方向に向かって…正直アテもないし、足で稼ぐしかないかしらねぇ。
〇第六感でおおざっぱに方向決めて、〇地形の利用しながら〇ダッシュで入り口を探して回るわねぇ。
こんだけ大きな樹なら下は薄暗いだろうし、〇暗視での〇情報収集も並行するわぁ。
よっぽど邪魔な障害物は●滅殺で吹っ飛ばしてもいいかしらねぇ。

昼…帰る…寝てるわけじゃない…
何か育ててる、とか…?
ダメねぇ、情報がなんにもないし、あてずっぽうにしかならないわねぇ。



 力により突き進み、そこで理解する不可思議な現象、また迷宮の改変。
 次いで情報を手繰り、また突入し、発見するは呪術の痕跡らしき【文様】。……それが齎す一つの導きとアギトへの誘い。
 どれも軽度ではあったが、同時に少しずつのズレあるからこそ、危ういものだと言えただろう。
 しかし。
 その降りかかる罠とパターン、通るべきだろう順路、それらを先んじて猟兵達が解析したことにより、攻略スピードは格段に上がる
 これで……取るべき大まかな手段は残り『1つ』となった。
 ――その速さと判断力を持ち、ゴールまで駆け抜けるのだ。
 
「まずは此処を突破しないとね……オブリビオンが何を目的としているか不明だけど、さっ!」
 張り出た大樹の根を蹴って跳び、銀髪を靡かせ黒角を閃かせる羅刹の少女、立花桜華は誰にともなくそう告げる。
 羅刹の筋力から生み出される速度はそのまま風を巻き起こし、周囲の草花を激しく揺らす……同じ猟兵でなければたたらでも踏みそうだ。
 そんな中でどうも疑問らしく、自然と口に出たらしきその言葉。
「……そうね」
 それに対し、少し後方からついて行く黒髪の女性、ティオレンシア・シーディアがその目を更に細め、答えるかの様に呟いた。
「ま、ロクでもないことよねぇ、どう考えても……」
 何かを育てているのか、この事件を基盤とした別の狙いの為なのか、それとも此処まで準備しただけで単純に夜行性なのか。
 だが現状ではどうもあてずっぽうにし必ず、ティオレンシアはため息1つ付き、装甲に集中する。
 いずれにせよ既に被害が出始めている状況もあり、手早く解決するのが先決……そのやり方に異論はないだろう。
「しっかし改めて間近に見ると本当にデッケェよなぁ……! 此処にいる主もでっかいのかもな!」
 そして桜華と並走するは、桃色の髪を風でばたつかせながら興味津々で大樹を見やる少年、ティル・ライハ。
 迷路、と聞いてとある世界を思い浮かべた彼は、どちらが大変なのかと想像する。
 どう踏破するべきかとも考えてはみたが、いっそシンプルに行った方が良いと結論を下した。
 ……確かに、未知すぎる物に対しあまり考えすぎればパンクする、かえって良く無いだろう。
 そうして三つの影が齎された情報と己の第六感を、そして野生の勘を信じて突き進む中――とうとう指定された『文様の道』のポイントまでたどり着いた。
「確か絞り込まれた道は、幾つかあったらしいけれど……」
「そうなると全員で行っても埒開かないわねぇ」
「だな。じゃあ順当に、このまま三手に分かれて進むか!」
 そのままそれぞれ己の勘が示す場所を選択し散開、高いスピードを活かし迷わず走り、突き進んでゆく。

「割と多いね……!」
 ダッシュを用いた純粋な速力を見せるのは、桜華。
 時間短縮のため只管に駆け抜けてゆく……だが行く手には罠や障害物があると、教えられずとも見てわかる。
 音で、理解できる。
「でもまぁ止まる必要はないかな」
 振り子の如く迫りくる下段狙いの樹木には、止まらず己の怪力を活かしそのまま飛び越してしまう。
 そこへ……狙ったかのように、叩き落さんと丸太の様な大槌が迫りくる。
「せぃっ!!」
 だが彼女は羅刹、剛力の種族。空にいるまま蹴りの一撃で吹き飛ばしてしまった。
 ――しかしそれに続いて、縦横無尽に振子が飛び交うトンデモないエリアが姿を現す。
 これは1つ1つ吹き飛ばしていてもキリがない。寧ろその隙に打たれてしまう。
「なら……!」
 まずは1つをドロップキックで吹っ飛ばし、わずかな隙間を作ってみせた。
 そしてそのまま宙返りし着地しざまに――ユーベルコード『シーブス・ギャンビット』を発動。
 持ってきていた必要大抵減の防具を投げ外し、わずかに罠の作動を遅らせることで……桁違いに上がったスピードそのまま一気に駆け抜けてみせた。
「よーし次!」

「ここは壁伝いに行ってみるか!」
 軽やかな足取りで進むティルが選んだ道には、そう罠は用意されていなかった。
 しかし油断は禁物。
 此処を選べたのはラッキーだったと、第六感はより研ぎ澄まされてゆく。
「割とグニグニ曲がってるな……こりゃ、ぶつからないよう気を付けねえと」
 偶然こうなったのかもしれない、何も無い代わりかもしれない湾曲多い通路を、ぶつからないように曲がってゆく。
 されど、段々と勢いがついてきた矢先――段差になっている部分を飛び越えた際に、カーブが連続しているのが見えてしまう。
 これはスピードを落とさざるを得ないか。
「いいや、このまま行くぜ!」
 臆することなく逆に壁へと突っ込んでいくティルは、そのまま激突……する勢いで壁に脚を付き瞬時に跳んで地で転がり、目的の方向へダッシュする。
 阻む様にまた壁が立ちふさがるが、少し滑るような体勢で壁に向かった後、数瞬ばかり壁を走ってまたも方向転換。
 結果――ほとんどスピードを落とすことなく突っ切って見せた。
「ははっ、どうだ!!」

「そこそこ……ってところかしらねぇ」
 するりと、また静寂と共に駆け抜けるのはティオレンシア。
 二人の様なスピードと派手さはないが、確りと歩を進めている様子。
 彼女が勘で選んだルートは、本人の言通り罠とカーブが半々に混じっていた。
 他にも自分の持ち得る、暗視能力を活かして陰に潜むスイッチなどを見分けている。……第六感の告げる物含めれば、『見えぬもの』はまだ多いと見た方が良い。
 されど。
(けど罠って本当に妨げる物だけかしらぁ……?)
 告げる警鐘の妙な噛み合わなさに、彼女は走りながらも指向を巡らせる。
 どうしても、視界の端にずれ行く巨大樹へたどり着くには、走り抜ける以外の手段も必要そうだったからだ。
 聞いている情報よりもずれが激しいという事は、逆に恐らく『近い』のだという事も分かり……『文様の道』を発見したのは何よりの戦果と言えよう。
 理解しティオレンシアは――微笑する。
「なら……もっと近づかないと、ねぇ?」
 そして徐に罠のスイッチらしき部分を踏み込んで、更に一歩駆けた。
 待ってましたとばかりに、突如として罠が重なるように発動、ティオレンシアへ襲い来る。
 分かっていただろうに、何故……。
「残念賞」
 ――刹那、ユーベルコード『滅殺(ブラスト)』が火を噴く。
 クロスレンジに持ち込むや否や、弾倉内の弾丸の雷管を「直接ブッ叩く」ことにより派手に打ち込む至近距離用の戦闘技。
 彼女の勘が弱所を見切り、寧ろ重なったそれを、ある望んだ分のみ吹き飛ばして見せる。
「ビンゴ……あったわねぇ」
 残りを寸で回避しつつ、見つけたその【脇道】へとティオレンシアは飛び込んだ。
 勘が告げていたのはどうもこれだったらしい。
 そうして再び、歩を進める……!


「「ついた!!」」
「お疲れさまねぇ」
 そうしてなんとか桜華とティルが迷路を乗り越え、ティオレンシアの背を見たとき。
 ――ついに現れたのだ。
「って……で」
「で、で……でっか……」
 登れるほどの大きな窪みと、そこで寝られるの枝を持つ――件の巨大樹が。
 ……ここからが【本番】である。

 情報を受け取っただろう猟兵達は、そして三人もまた、気を引き締めなおした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『雲海を越えて』

POW   :    木登りの要領で駆け登っていく

SPD   :    空を飛んだり太い枝を足場にして飛び登っていく

WIZ   :    自然や動物の力を借りたりして登っていく

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

マリィ・ブラキウム
◆SPD 空を飛んだり太い枝を足場にして飛び登っていく

よし、飛んでいこう。
さぁて、頂上まではどれぐらいあるのかなぁ。

地上でも惑わされたし此処も妖しげな文様による妨害があるかも
よし、枝葉や幹の表面に気を付けながら飛ぶよ。

【世界知識】と【第六感】【地形の利用】併用して違和感を探して【空中戦】【範囲攻撃】【誘導弾】のせたクイックドロウで文様を削っていくよ。



 目の前にそびえる巨大な樹木。
 最早、他世界の建造物が如きその様相には、誰もが気圧されてしまうだろう。
 ……しかしたどり着いたのは猟兵達。
 「生命体の埒外」にいるとも言われる、十人十色の実力者たちだ。
 タイミングこそ違えど、皆がすぐさまどうやって上へ行くかを考え始めている。

 そんな中、最も手早い手段を取れる一人の猟兵が、すぐさま「宙に浮かび」上へ上へと飛んでいく。
 靡かせるその髪は赤茶色――フェアリーの、マリィ。
「取りあえずは飛んでいくけど……まあこんなに大きいんだし、頂上まではそこそこ掛かりそうかも……」
 此処まで巨大な物相手だと、元々の体調を加味せずとも、そこまで早く上がれるわけではないだろう……が、しかし。障害物を避けつつもストレートに上昇して行けるのは何よりの強みと言えた。
 それを見たほかの猟兵達も、各々の手段で昇っていく。
 先に彼女が情報を仕入れるのを下で待つより、ある程度昇りながらの方が良いと考えたからだ。

 一方、飛翔しているマリィ本人はと言うと。
「そう言えば【文様】が近づくのを邪魔してきてたよね。そうなると……」
 十中八九この大樹登りでも少なからず妨害があるだろう。
 直に目にしたからこそ、彼女は避けた枝葉や、触れぬまま通り過ぎる樹の幹にもしっかり目を凝らす。
 どうやら……今の所は何も無いらしい。
 だからこそか――見落とさないようにと、マリィは蛇行しつつ更に上へと登って行く。本来ならばぐるっと旋回しつつ上るのがベターだろうが、それプラスで細かく見て言っては時間切れになってしまう。
「この世界の樹木と基本は変わってないなら……どこか、おかしなところがあればわかる筈……!」
 地形利用すべく戦闘の際に用いる知識、アックス&ウィザーズにおける基礎知識、何より猟兵としての第六感を出来るだけ働かせながら目を凝らすマリィ。
 その間にもぐんぐん登って行き――等々そのまま頂上が近づいてきた……。

「あっ……!?」
 しかしその直前で【壁にぶつかった】が如く弾かれた。
 危いところで体勢を立て直すも……どうやらこのまま上に行くのは、余り良い判断じゃない彼女は解す。
「ちょっと回り込んでみようかな」
 大袈裟なまでに距離を取りつつ巨大樹の上に行こうとすれば――今度は成功した。
 が、やはり問題がある。
「入口って……何処?」
 上からでは根城へ入るべき隙間が全く見当たらないのだ。
 不気味なまでに影が多い、内部が覗けぬため、このまま突っ込むのは愚策に等しい。
 何より先ほどの壁も、うっすら陰間に見える【文様】も、下にあった妨害の罠と同種だと徐に告げてきてる。
「――って事は、下から探すべきだね」
 そんな感じしてたけど……と、第六感の働きで勘づいていたらしいマリィが呟く。

 ともあれもう一度【文様】を探さねばなるまい。
 一度妨害されたことと……一層注意したおかげか、下に下に戻っていくなかで中腹辺りに偶然、うっすらと輝くそれを見つけた。
 されど、またもや――。
「……近づけない? ってことは……道があるんだ」
 弾かれなかったおかげか一瞬のパニックも無く、すぐ答えを出せた。
 中腹だろうとも【チェックポイント】を見つけられたのは大きい。
 ここから入り口と、更なるポイントを見つけられるのか――それは猟兵達次第であろう。

 ともあれマリィは情報を広めようと、他の猟兵達の元へ向かうのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

立花・桜華
迷路の次は木登りだね
すっごく高い大樹だけど、体力には自信があるんだよ。ドンドン登って行っちゃうよ!

【大樹への挑戦】
わたしも空を飛べたら楽なんだろうけどねー。ちょうど良い鍛練と思って【クライミング】に挑戦だね
先ずは持ち前の【視力】を使って枝の位置や形状を把握していくことで【地形の利用】をする
スタート地点となる枝を決めたら、【ジャンプ】力を生かしてドンドン枝を跳び登っていく
途中、ちょうど良い足場となる枝が見つからなければ、ナイフを【怪力】を駆使した【投擲】で大樹へと突き刺して足場代わりにする
また、ナイフが突き刺さらないほど堅い場合はサムライブレイドによる剣刃一閃で斬り裂き、突き刺す事で足場とする


ドリスコ・エボニス
POW

おーおーでっけーかなでっけーかな
迷路で壁壊してきたから、いい感じに体が暖まってきたな
いっちょ登りますか
壊した壁の枚数?呪術的なもんが働いてんだからノーカン

さて【クライミング】と【怪力】で樹をのしのし登っていくぜ
あーでもあれか、根城の入り口は下にあるんだっけか
【地形の利用】で【野性の勘】を駆使しながら怪しい場所がないか【情報収集】してみるかね



 先行した物より齎された手早い第一報と、素早い情報伝達により、猟兵達の最初に目
指す場所が決まった。
 しかし一口に【文様】と言っても、いくつか種類があったため、似たものを探すという意識を念頭に置かねばならないだろう。

 この事態に必要なのは早さか、力か。
 大まかに考えられる二つの手の内、まずは『力』の策を選んだ者達がずんずんと幹を引っ掴んでパワフルに登っていく。
「にしても……おーおー、ほんとでっけーかなでっけーかな……どんな術使えばこうなるのかね――っと」
 嘴の様な口からそう呟き、枝葉の少ない方を選んだのは、三角を持つドラゴニアン・ドリスコだ。
 壊した壁の枚数を競っていただけあって、体もすでにトップギアに近く、ぎこちない動きは見られない。
 ――ちなみに何枚壊したのかは、恐らく競っていた本人も、良く分かっていないかもしれないだろう――。
 兎も角。
 見た目通りの力強さを発揮して、且つクライミング技術を持ち得るという思わぬ多芸っぷりを発揮し、ガシガシ進んでいる。
 下をあえて見て、関節の仕組みを活かし腕のリーチを若干伸ばす荒業や、僅かな凹凸を瞬時見極め、その怪力で落ちぬようガッチリ掴む。
 そして彼もまた……地形利用のノウハウを持ち込み『異なる箇所』を見極めんと情報を集めていた。
 時折、妙な圧力に止められながら、辺りを見回す。
「確か下にしか無さげ、だったか。根城への入り口ってやつは」
 先にもたらされた物を頭の中で反芻しつつ……窪みも無い幹を、強引に砕き握った。

「よっ、ほっ……!」
 そして彼と同じく木登りの要領で駆けあがっていくのが、銀髪光る羅刹の桜華。
 最初にずーっと上を見渡し、その優れた視力で遠く上まで地形を把握したおかげもあって、スイスイと猿宜しく止めどない勢いで飛び上がっていた。
 幾つかの幹と枝を往復した後……ガシッ! と1つ枝を掴んで、幹に足を当てて固定しながら口を開く。
「いやー……こんな時、飛べる人達がうらやましいね」
 体力に自信があり、鍛錬にもなると気力すら十分だった彼女だが、流石にその気持ちだけは拭えなかった様子。
 確かに道を探さねばならないのだから、一直線に上がってはいけないだろうが、それでも飛行のアドバンテージは大きかった。
 ――落ちたら真っ逆さまは流石に怖いのだから。
「あ」
 と、何のフラグかそこで危機が訪れる。……足場がないのだ。
 どうやら少し見間違えた箇所があったらしい。
 しかしそこで諦めるような彼女ではない、この手への対策ぐらい考えてきている。
「これでどうか――なっ!」
 ナイフを投擲し、羅刹の持ち得る金剛力により見事突き刺したのだ。
 これで即席の足場に出来る。
 このような事を何度か繰り返してはいたが……今度は、ナイフが刺さらない場所が出てきてしまう。
「でも甘いんだよね!――せぇい!」
 二ッと笑うとそのまま躊躇う事なく、ユーベルコード『剣刃一閃』を繰り出してバター宜しく幹へと切り込みを入れた。
 これでナイフも刺さるだろう……と。
「ん? 今光った?」

「……光ったな」
 その斬撃は、奇しくも別箇所と連動していたらしく、何やら光ったらしき場所へクライミングの心得にあるのか否か――飛び移るような形でドリスコが手早く移動する。
 なるほど、とそこで彼は頷いた。
 あったのだ……件のものであろう、禍々しき【文様】が。
「他の奴らは、もう上か? ――いや大丈夫か」
 なにせ情報自体は皆が共有しているのだから、一定の高さまでと見ても良いだろう。
 そしてその期待通り。
 色彩違う両の目が、他の猟兵達が近くまで来ている姿を捉えていた。
 光の他、何人か勘づいてくれたのかもしれない。
「―――っとぉ! 此処だね」
 少し回り込んでいたらしく、真上から来た桜華も合流。
 そのまま文様と、うっすら見える光の線をたどれば……なる程、圧力で昇れなかった圏内を易々突破できている。
「この調子だな、っしどんどん行くか!」
 ドリスコの気炎に押され、猟兵達の探査ペースは上がっていく。
 次は何処にあるのだろうか。
 攻撃か、罠の作動か、圧力の近場か。
 そんな事を考えながら……探索は、進んで行く――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フォルク・リア
登り始める前に出来るだけ巨大樹の全景を
見て枝の茂り具合や傾斜の緩やかさ等から
登るルートを決める。
出来るだけ身軽になって挑む。
「命綱の一つでもつけたいところだけど。
これだけ枝はがあるとかえって邪魔になりそうだしな。」

なるべく太い幹に近い所を登り、
進む時は二歩、三歩先を読み
進んでから進退できない状況にならない様にする。

安全第一で進むが
次の枝まで距離があるなど
致し方のない時は、枝をしならせ勢いをつけて飛び移る。
「そうのんびりしていられない。
どこかで賭けにでないといけないなら
今がその時か。」

辿り着いたら
「随分高い所だな。
こんなことでもない限り来ないんだろうが。
景色を楽しむ余裕もないのが惜しい処か。」


ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎

さぁて、ここからが本番ねぇ。木登りなんていつぶりかしらぁ?
足場はそれなりにしっかりしてるみたいだけど…
足滑らせて真っ逆さま、地面と早めにご対面…なんてのは御免だもの。ちょっと慎重にいかないとねぇ。

〇地形の利用しながら〇ダッシュと〇ジャンプで登っていくわぁ。
〇暗視で〇情報収集したら危ないところを〇見切りやすいかしらねぇ。
〇第六感も使うけど…アテにしすぎても危ないわよねぇ。
…変なもの飛んできたりしないわよねぇ?一応〇クイックドロウの準備だけはしておくわぁ。

こういう時は飛べる人たちが羨ましいわねぇ。
むこうはむこうで普段大変だったりとかあるんだろうけど。



 一つ目の道が開かれ、順調に歩を進めていく猟兵達。
 しかしてその歩みは慎重。
 ……何が起こるか分からないのだから、むしろこれこそ当たり前、と言えたが。
「よし……この辺りの傾斜は見立て通りらしいな。助かった」
 とりわけ、フォルクは昇り始める前に世界樹の全景をすべて見やり、更に記してから昇る用意周到さを見せている。……もっと言えば【文様】を通過してからも、一度入念のルートを確認する徹底ぶりだった。
 だが反面、命綱などは付けていない。
 相手が単純に巨大すぎるというものある。しかし一番はその枝葉の多さ。細かいのならばまだ融通も利くが、今回の樹木は言わずもがな――これでは却って邪魔になりかねない。
 だから彼は“敢えて”いらぬ装備を捨て、軽くなったその身でクライミングを行っている。
(結果的には良かったか……流石に重いと、飛び移れない場所もあったしな)
 後ろを見やり、太い枝を見極め、進退不可の最悪な状況だけは回避しようと慎重に動く。
 先を読むことを忘れずに、ペースを上げていくフォルク。

 ――その少し後方、また斜めにずれた位置に……安全とは真反対にも思える挙動で昇っている猟兵も居た。
 引っ掛けられる凹凸を探しつつダッシュの勢いでジャンプし、優れた暗視能力を信じて敢えて暗い箇所へ瞳を向け身を置く。
 それは黒髪の女性、ティオレンシアだ。
「樹登りなんて何時ぶりかしらねぇ……」
 刹那、刹那で足場にすべき箇所の“優先度”を見切り、またもや的中させすいすいと上へ歩を進めていく。樹が巨大なだけあって割としっかりした足場を各所に形成しているが、油断は禁物だ。
 下手しなくても、足を滑らせれば大地と強烈なハグをする羽目となるのだから。
「そういえば……また変なもの飛んできたりしないわよねぇ……?」
 先の【文様の道】では罠から自然物から、多方面より正に飛んできていたのだし、彼女がそう考えるのも至極当然。
 ――故に彼女は武装から意識を外し切らず、木登りを続けていた。
 手足を使い、足場の選定を忘れず……と順調には行くが、如何せん蛇行しつつなのは否めない。
「……こういう時、空飛べる人が羨ましくなるわぁ」
 ふと見える内心。まあ自由に行かないこの状況では、愚痴が出たって仕方ないだろう。
 しかし世の中上手くはいなないもので。
 まずどれだけ願ったって羽は生えないし、先に飛行可能な猟兵が居た事で分かったが「樹から離れすぎた外側からでは根城に行けない」上に「文様の光に沿ってからでないと怪しい場所を見つける」しかない。
 だから二度手間にもなる。巨大樹から離れれば圧力圏からも逃れられ、ぐんぐん上昇して行けるその代わりに――なのだろう。
(まるで「ズルはゆるさん」って感じ……こだわりが強いのかしらぁ?)
 そんな事を考えつつ、もう一度ティオテレイアは超短距離走から跳躍して見せた。

 ――どれぐらい上っただろうか。
 全体的な把握と安全策が良い方向へ傾き、フォルクは中々早めに第二の『壁』へと接触していた。
「圧力圏にぶつかったな、先ほど。つまり、この近くに【文様】があるはずだが……」
 ならば何か怪しい場所がないかと集中して周囲に視線を巡らせ……ふと見えた、眼下に臨む広大な景色に、自然と呟きが漏れる。
「景色を楽しむ余裕もないのがな……」
 こんな事件でも無ければ来ない場所だからこそ、時間が無いのが惜しいと、フォルクはそう思っているらしかった。
 そして、そう思い耽り目線を外したのが『幸い』。
「あれか?」
 視線を振り戻すその途中で、わずかな差異ではあったものの、しかし確かに妙な個所を見つけたのだ。
 同時に、そこが罠であるかのせいも考え、ウィザードロッドより軽く火弾を放つ。
 狙い違わず命中した…………瞬間。
「っ!」
 此処にきて致命的なタイプの罠が作動。
 なんと、近くにあった『枝葉の位置が変わり』……フォルクは足を踏み外してしまったではないか。
「……まだだ!」
 しかし彼は慌てなかった。落ちる、と悟った際に跳んでいたか幹を足で削りながら、方向転換し枝葉に見事しがみつく。
 これも事前に情報収集をしていたおかげだろう。
「……な、に……?」
 が――彼に第二の試練として、すっぽ抜けた枝が襲い掛かる……!
「おっと」
 そこで少し間延びしたような口調と共に、正反対の鋭い銃撃が命中。22分の1秒という僅かな時間は、命運を良き方へ傾ける。
 ハッ、としてフォルクも杖を振るい、その枝をあらぬ方へ叩き落してみせた。
 外側へと広がっていった為、他の猟兵にぶつかる事もない。
「すまない……助かった」
「ふふ、困ったときはお互い様よぉ」
 銃撃の主は、ティオレンシア。どうも落ちたのと合わせて、同じ位置まで来ていたらしい。
「それにしても枝がねぇ……何かほかに合ったりするのかしらぁ?」
「―――あるらしいぞ」
 ティオレンシアの発言に続ける形で、フォルクが言い放ち指さす先。
 まだ少し上のあたりだが、確かにそこには【文様】が輝いている。
 が、下のと比べ少し輝きが足りないのは何故か? ――そうフォルクが悩む暇を追い超しティオレンシアは再び発砲。
 あらぬ方へ命中したがソレが布石となり再度場が動く。
 近辺の枝葉の変動に、また天然の大槌も一度見えたが、落ちてくると分かっているなら対処はたやすい。
 更に大きく外が派へ2人がかりで弾き出し……漸く【文様】へと真の輝きを宿させた。
「……良く分かったな。もう一度撃つことは解せても、場所の違いは中々すぐには無理だぞ?」
「一つはちらっと見えたからかしぁ? もう一つは……勘よ、勘」
 一見すれば適当に思え、されども説得力のある発言。
 フォルクは第六感の類かと頷きながらに思いつつ、もう一度礼を述べて【文様】及びそれに続く薄ら光る道を辿る。
 ティオレンシアも続き、更に上を目指していく。

 もう雲も近い。

 根城まであともう少しだ……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

木目・一葉
ここからは木登りというか、ロッククライミングか
「落ちたら真っ逆さまに地獄いきか」
正直怖いが、行くしかない
それに文様も気になるしな
「強者の呼び声を求める、か」

【SPD】太い枝を足場にして飛び登っていく

【地形の利用】でより足場にしやすい太い枝を選びつつ、フック付きワイヤーも使用して安全に飛び登っていこう
そうしながら【失せ物探し】で、迷宮と同様に文様の道がないかどうか、その道の先に根城の入口がないかを探る
もしかしたら文様の道は、挑戦者が強者かどうかをはかる試練の道なのかもしれない
それに敵は、寝ないのに昼に寝床へ戻ってくるという
「誘っている
戦いを望んでるのか」
もしそうなら、他の入口も探したほうがいいな



「……高いな」
 埒外なまでの大樹故に、もはや『ロッククライミング』と言ってよい所業ともなりながら、猟兵達はひた進む。
 あれほど先が見えなかった巨大樹登りも、もう既に頂上近くまで来ていた。
 これも飛行可能な者がその都度廻って場所を特定し、また直に登る猟兵達が謎を解いたお陰であろう。
 ――だからこそたどり着けた震えるほどの高度、その箇所のとある太い枝の上で、一葉は思わず呟いていた。月並みな感想が漏れてしまう程に、眼下の景色や樹木群は小さく……また遠く上空にあった白雲が近いのだ。
 気温もやや下がり、この周辺は陽射しで暖かかった筈なのだが、既にもう肌寒い。
 無論、其の事は知識として一葉も持っているし、何よりコート姿の為そう害はない様子だが。
(落ちたら一巻の終わりだな……)
 正直彼女としては割と怖くもあったのだが、猟兵として、何より周辺被害の状況的にも行くしかない。
 そしてそれ以上に、彼女が得た最大の疑問。……影より発せられた【強者の呼び声を求めている】という謎の叫び。
「まさか――っと!」
 フック付きワイヤーを引っ掛けてロープの様に使い、斜め上の枝に着地しては、そのまま別の方へとクライミングの要領でよじ登り場所を移す。
 上る様に遠慮がないのは、恐らくまず何処が圧力圏となるのかを定めないと、効率も悪いと思ったからかもしれない。
 甲斐あって圧力圏にはすぐ到達した――あとは、見落としが無いかを探るのみ。
 迷宮宜しく文様の道があったのだから、その先に根城がある可能性は高い。また罠などに隠れているのだから“有るが見え無い”類を探す訳であり……いわば『失せ物探し』に近いだろう。
「罠があると思ったなら、其処をあえて叩くのも手か……」
 そう考えた一葉は光の道が途絶えた地点から、「繋がっているであろう可能性」の高い幾つかのルートを割り出し、絞り込む。
 此処まで発見してくれた猟兵達のお陰で、手早く思いつき実行できた様子だ。
「こう、して――からだな」
 刃物を構え、またフック付きワイヤーを別箇所に引っ掛け、何時でも退避できるよう準備する。
 そこから片っ端から攻撃を加えたりする……のだが、妙に硬い場所こそあったものの、何も起こらない。
「おかしいな……?」
 一番違和感のあった部分を、思わず繁々見詰め返す一葉。今まで通りならばなんとかなる筈なのに、急に止まったのだからこの反応も当たり前かもしれない。
 暫く素手で叩いたりして見たが……やはり、一向に反応は見られない。
「このっ……!」
 余りに反応が無いからか。
 一葉は場所を移すその前に、ついムキになって思いっ切り引っ張ってしまう。
 そして、何をやっているのだろうかと自重し―――た、次の瞬間。
「うわあっ!?」
 なんと四方八方から刃のように尖った枝葉が伸びて来るではないか。
 フック付きワイヤーの仕込みをしていたおかげでその場からすぐ飛び退れ、されどまだ追ってくる枝槍は小太刀ですっぱり斬り落として見せる。
「やはりそこか……っ!」
 もう一度ワイヤーを飛ばして、振り子運動の活かし蹴り一発、再び飛んでくる槍を一閃して叩き落せば――どういう訳か、しがみついた勢いで引っ張ったその影響で文様があらわれた。
 ……なんという偶然であろうか。
「わからないモノだな……」
 ボヤキながらも続く光の道を通って行き――上り続けたその苦労が実ったことを告げる様に、等々その根城の入り口を発見した。
 圧力圏をも超えた先にある、巨大な緑葉の中にぽっかりと開いた【黒の穴】。
 喜び勇んで其処へ飛び込む―――ことを、一葉はしなかった。
 1つの『推測』が脳裏に浮かんでいたからだ。
(この文様の道……もしや、挑戦者が強者かどうかをはかる試練の道なのか?)
 先の【強者の呼び声】云々もそうだが、何より敵は寝ないのに昼に寝床へ戻ってくるという
 誘っているのか。戦いを望んでるのか。
 誘いのまんまと乗って、更なる予想外を積み重ねる可能性を踏まえるなら……。
(他の入口も探した方が良いな)
 呪術に取り巻かれた大樹に他の道を探すという無謀な試み。それは――疑惑の感情からの行動が、『吉』と出てくれた。
「あった!」
 大樹の最後の抵抗。
 それを思わせる『人が通れるだけの隙間』。
 少し笑みながらに、一葉は跳べるものへとこの情報を伝えてから……内部へといよいよ乗り込んでいく。


「これ、は……!」
 その中は――あまりに広く、また美しかった。
 下の大地はガッチリした樹の幹と同じ材質で覆われ、上部は木漏れ日美しい緑のドームと化している。
 各所に見られる呪術の文様も合わせ、ボスの根城にふさわしいと言えるだろう。
 その中央に……件の怪物が闘気を纏って佇んでいる。
 恰も己へと挑む無謀な、それでいて果敢な『挑戦者』達を、待っているかの如く。
 その姿を瞳に捉えた一葉は自分の推測が、決して外れてはいないことを悟った。
 ――望んでいるのだ、勇気ある者達との勝負を――
 ――つまりそれこそが、かの獣の狙い―――
 そして確信した一葉が小太刀の柄を強く握った、その瞬間。
 怪物もまた驚いたように、それでいて何故か、何処か嬉し気に……振り向いた。

 ……戦いの時、来たれり……!

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『呪飾獣カツィカ』

POW   :    呪獣の一撃
単純で重い【呪詛を纏った爪 】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    呪飾解放
自身に【金山羊の呪詛 】をまとい、高速移動と【呪いの咆哮】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    カツィカ・カタラ
【両掌 】から【呪詛】を放ち、【呪縛】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はナミル・タグイールです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


呪術の獣が、獰猛に笑う。
挑戦者たちを出迎える。
世紀に入り口を使わなかったことを、寧ろ喜ばしいと湛える様に。
その悍ましき腕を、準備運動かその場で猛然と振るう。
次いで周囲に手をかざせば、剣が、斧が、姿を現し……獣自身は静かに向き直る。

吠えた言葉は知れずとも、伝わる意思が教えてくれる
―――よく来たな……ならば、戦え―――
何れの歴史に散りゆき英雄、其の御霊を感じさせながら。
放つ闘気を受ける猟兵達が、ただ静かに戦意をみなぎらせるのを、眺めながら。

恰も拳法が如く構え、刹那の拍を置き突撃。
もう言葉はいらぬと、戦を求め……迷うことなく大爪を振るった。
いざ、戦いの時……。
フォルク・リア
「呪いを解する獣。
どんな呪詛を扱うか興味があるけど。
話が聞ける相手じゃないな。」
「なら、戦いの中で見せて貰おう。」

真の姿を開放
ローブを纏う事もあり姿の変化は見られないが。
血の様な赤いオーラを纏う。

リザレクト・オブリビオンを使用、
自分は敵と距離を取り
死霊騎士は接近戦を行わせ。
死霊蛇竜は護衛を兼ね
敵との直線上の中距離に配置し支援を行う。
呪獣の一撃等で同時に攻撃を受けない様に
2体の距離をある程度離し
一体が呪縛を受けたらもう一体がフォローし追撃を防ぐ。

「迷路の後は山の様な木に登って
最後は強敵との戦い。
全く重労働だけど。
これが人の助けになるなら安いものってとこかな。」
最初のフロッシュの言葉を思い出し。



 真正面に呪術の獣を見据えながら、まず動いたのはフォルクだった。

 木々の迷路を踏破し、塔の如き大樹を登り、その果てに強敵と戦う。これでもかと重労働を重ねられてきているのは言うまでもない。
 ――だが、だからこそ彼は思うのだ。最初集められた際に聞いた情報のうち一つ『餓死者や失業者が出てしまう』……そんな最悪の事態を回避できるのなら。
「この苦労が幾人もの助けになるのなら、安い物ってとこかな」
 そう一つ呟くと、此方へまっすぐに突進してくる獣を見やり、張り詰めたような鋭い空気を放つ。
 対する獣は嬉しげに口元をゆがめると、そのまま大爪を振るってきた。
 間一髪……杖を使ってなんとか受け流しつつ退避。
 だが、獣は何時の間にか手にしていた剣を振るいフォルクを狙ってくる。
「おっと……!」
 軽い焔弾で僅かにずらしながら、飛び込む様に転がって回避。尚もやり過ごす。
 まだ終わらず、獣は掌を向けて……恐らく呪術を行使しようと身構えた。
 咄嗟に放った一撃が、またも敵の思惑を外し、素早い動きでフォルクは回り込む様にして距離を取った。
 この大樹関連等、彼はかの獣がどんな呪詛を扱うか興味があった。……されど、話が聞ける相手じゃあなかろう。
「――今度は遠距離か」
 思考する間にも、呪獣はナイフの様な刃物を生み出しては周囲の猟兵達へ、無論フォルクへも投げつけてくる。
 宛ら弾丸みたく吹き飛んでくるその刃を、杖を伸ばして側面を叩いては反らす。
 しゃがむ様にして頭部狙いを回避した後、後方へ杖を打ち下ろしナイフの軌道を変える。
 上手く捌き、他の猟兵が引き付けようとしたその隙を狙い距離を取った。
 されど。まだ、少しだけ足りないとも彼は感じていた。
「……今のままじゃあキツいな。アレを、普通に使っても綻びが出る可能性は否めない。なら――」
 そう小さくフォルクが呟くのと同時。
 手の内で杖を回した勢いで、樹木造りの地へとカッと杖を縦に打ち付け、僅かながらにうつむいた。―――それが【始まり】。
「戦いの中で見せて貰おう。お前の扱う、その呪詛を――!」

 新緑の空間に……刹那、噴き出した血臭が漂う。
 否、そう錯覚しただけだ。
 ――何の変化も見られぬ彼の、唯一解せる大きな変化……体の周りに纏う鮮烈なまでに赤いオーラが、濃密な血を思い起こさせたのだ。
 これがフォルクの、【真の姿】……。
「出番だ」
 次いで杖を振るえば、解放されるユーベルコード『リザレクト・オブリビオン』により、魔術的な光源を剣に込めた【死霊騎士】と、同じく魔的な焔を吹く【死霊蛇竜】が虚空より現れる。
 存在の維持で彼自身は戦えなくなるが……反面、己と同じ強さを持つ死霊二体が相手取るのだから、リスクに対するリターンは十分。
 まして今の彼は【真の姿】、抑えていた力が解放され、常時よりも格段に強くなっている。
「……行け」
 故――決定的な隙など、無い。
『オオォォオオ……!』
 【死霊騎士】が振るう剣に、呪獣も片手斧で対抗。
 重い一撃は側面から円を描いて勢いを流し、下から反抗して跳ね上げる勢いに乗り切り上げ。
 のけぞって回避した獣へ唐竹割の追撃をかますも、それは掌より放った謎の術ではじかれた。そしてそのまま斧を投げ上げたかと思えば――鋭い奇声を上げ両掌より呪縛する【呪詛】が放たれる。
 回避できず【死霊騎士】は捕えられてしまい、呪獣は落ちてきた斧をそのままキャッチして逆に唐竹割を食らわせる態勢に入って……。
「甘い」
 されど後方に待機していた【死霊蛇竜】が火を噴き、また鞭の如く撓りを入れて体を叩き付けて来た。
 追い払おうと、大振りに斧を振るった獣は……しかし不利だと判断したかトマホーク宜しくフォルクへ投げながら、その勢いで逆立ちし蛇竜を蹴ったくって来た。
「……!」
 僅かに体を揺らして避けるも蛇竜はすぐに反撃へ入れない。両腕を広げた呪獣が護衛を失ったフォルクへと迫る――直前。
 ザクリ、と【死霊騎士】による斬撃が獣の背を抉った。予想以上に呪縛からの解放が速かったのだろう……獣はみて分かるほど驚いている。
 そして追撃に、怯みから戻った【死霊蛇竜】が擦れ違い様の体当たりから、離れて更に火炎を吹く。避けようと剣を構えたが、それも騎士により救い上げられ不発。
 モロに食らいごろごろ転がっていく。

「――まだか」
 だが敵は強さを求めて此処までの事件を起こした化物。そう簡単にくたばってはくれない。
 それでも、確かなダメージを刻んだ証は、フォルクの目に確りと映っていた。
(休ませるものか)
 脳裏でそう呟くと……再びフォルクは二体の死霊を操り、蛇竜を待機させ、騎士を獣へと向かわせていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

木目・一葉
ならば応えよう、お見せしよう、僕達の力を
だが勘違いをするな
この『僕達』には、この迷宮で倒れた人達も含まれている
彼らの無念も晴らす

・戦闘
敵の遠距離攻撃には『妖刀解放』の衝撃波で応じ、近接攻撃には斧で【武器浮け】する
敵が呪獣の一撃を仕掛けてきたら、フック付ワイヤーで自身の体を天井に釣りあげさせて回避し、【カウンター】で『グラウンドクラッシャー』を敵の頭上めがけて放つ
このUCの地形破壊に紛れさせるように『影の追跡者の召喚』も放つ
あとは敵に隙ができた時、影の追跡者から『影人の罪過』を放って動きを封じる

此度の敵は、これを繰り返すことでいずれ自らが倒れると分かった筈だ
「自らの滅びを願ってでもいたのか……」



 楽しげに戦う呪術の獣を見やり、ロングコートを翻しながら一葉が小太刀を、斧を構えて迫る。
 ――強者の呼び声を求む――
 その影の言葉と、そして挑戦者達に対する嬉々とした対応。
 戦えと、力を見せてくれと、隠す事なく獣はそう叫んでいる。
 故に一葉はこう返す。
 ――ならば応えよう――
 猟兵である自分達の力を、この獣へ存分に見せてやろうと。
「はっ!」
 獣の繰り出す爪の一薙ぎに【妖の小太刀】を傾けて合わせ、受け流しざまに一回転しながら手斧【グリューアンクル】を連動して繰り出す。
 腹を引っ込めて避けられそのまま両手の爪が襲い掛かるも……敢えて手斧を顔スレスレに投げて一瞬だけ呪獣の動きをストップ。そのまま貫くようにして小太刀で斬り裂き、背後に抜ける。
「まだまだ!」
 落ちて来た斧を振り返り、剣を手にした獣と数号打ち合えば、次いでいきなり体勢を崩し――突き刺さっていた手斧を振り上げた。
「チ……コレも防ぐか!」
 慌てて呪術を纏った腕によりガードして同時に弾き飛ばして見せる獣。
 大きく距離を取らされながらも、一葉は油断なく構えなおす。
 だが獣は近づいてこず――大きく息を吸った後、呪力の乗った指向性の『大声』を不意打ちで放ってきた。
「なるほど。けれど……!」
 しかし一葉の方が一枚上手だった。勘が働いたかユーベルコード『妖刀解放』を既に行使しており、斬撃に沿い放たれた衝撃波が大声の勢いを見る間に殺す。
 止まるのを待たずに走りだして、声の砲弾を潜り抜けるとそのまままた斬撃を複数放つ。
 ――受け手に回った獣はまたも『大声』を一発、そして呪術光る両の腕を振り回して対処してみせた。……そして前方を向いていたその瞳が唐突に下を向く。
「しまっ……!」
 そこには潜り込んだ一葉がおり、既に攻撃態勢に入っていた。隙をつくつもりだったのだろうが逆に隙を作られてしまう。もはや回避は、不可能だ。
 ――普通ならば
「っと!危ない……!」
 フック付きワイヤー【ラルマニテケ】を予め天井目掛けて放っていたことが功をそうした。その重撃の余波で思い切り揺さぶられ吹っ飛ぶも、引き上げられたお陰でダメージらしいダメージは負っていない。
 これならば行ける……そう、判断した一葉は手斧を思い切り振り被った。
 今度はこちらの番だと言わんばかりに、力いっぱい、叩き付ける為に……!
「はぁああぁっ!!」
 炸裂するユーベルコード『グラウンドクラッシャー』の威力で、歪な煙と木片が吹き上がり視界を覆う。
 が……その煙をどういう訳かすぐさま斬り裂き、一葉は正面から突撃。
「うぐ……!?」
 何らかの策があったのかもしれないが、堂々姿を現したせいで敵の呪縛を避けるのに精一杯……呪獣が大きな剣を構えるチャンスになってしまった。
『舐めるな』と、獣の瞳が怒りに揺らぎ、その意気を意のまま振り下ろされてくる。
「フ」
 だがその剣は全く動かなくなった。呪縛をかけるつもりが、己に跳ね返って来たかのごとく、追撃を許される事なくぴったり止められていた。
「――そっくりそのままお返しするよ」
 その金縛りの正体は【影の鎖】。
 実は一葉、あの時はただ煙を起こしただけでなく、ソレに紛れ【影の追跡者】を放っていた。だから策の成功率を上げるべく、煙を斬り裂き自ら突貫したのだ。
 動きを封じるユーベルコード……【影人の罪過】を確実にヒットさせるために。
「喰らえっ!!」
 振りかぶった【妖の小太刀】でまず素早く一撃、【グリューアンクル】で二度目の剛力を一撃。
 そこで動作封じが解け、確実なもう一刀こそ逃したが、代わりに思い切り蹴り飛ばしてやる。
「……どうした?まだまだこれからだ」
 挑発ともとれる発言を交え、腕をクロスさせるようにして両の武器をかちゃりと鳴らし、構えを変える。
 その最中……一葉の脳裏には1つだけ、戦意とは違う別の感情があった。
 騒ぎを大きくしてしまえば、自分達のような存在が現れるのは必定。生き残れたとしても、こういった事を繰り返していれば何れ朽ちてしまうだろう。
 過剰なまでの自信を、持ち得る気質でもない様子。故、もしかすると――。
(自らの滅びを願ってでもいるのか……?)
 もし仮にそうならば。願いをくみ取り、下すのは自分たちの役目だ。
 そう一瞬だけ考えたは一葉は、飛んできた遠距離攻撃を避けるのを合図に、気合を入れ直し……再び突撃して行った。

成功 🔵​🔵​🔴​

ティオレンシア・シーディア
ふぅん…いざ尋常に、ってとこかしらぁ?
それじゃ、お望み通り。骸の海に還してあげるわぁ。
あたしの早撃ち、見切れるもんなら見切ってごらんなさいな。

〇クイックドロウからの●封殺を〇先制攻撃の〇鎧無視攻撃で撃ち込むわぁ。
急所っぽいとこに〇スナイパーの〇一斉発射。
〇早業でリロードからの〇2回攻撃を叩き込むわぁ。
近接攻撃を仕掛けてくるなら攻撃の軌道を〇見切って〇カウンター。
〇零距離射撃で●滅殺を叩き込むわぁ。
〇援護射撃で〇武器落としを狙ってもいいわねぇ。


月島・彩希
強敵との戦いを求めますか
猟兵の力を見せてやりましょう!
他の猟兵と可能なら協力

【ダッシュ】力と雷迅槍(ユーベルコード)を用いて高速移動を行い、全身に雷の魔力を纏うことで加速
十分な加速によるスピードと【怪力】を手にしている槍に乗せつつ【野生の勘】で感じ取った最適のタイミングで敵を【串刺し】にするべく槍を敵へ【投擲】し、【槍投げ】で攻撃
槍に纏わせた雷【属性攻撃】で内部から焼き尽くす
敵の攻撃を【学習力】で【見切り】、【フェイント】を交ぜて行動を読ませないようにしつつ回避重視、敵の一撃の重さとUC効果に注意
戦闘知識として蓄積した敵の行動パターンから、最適のタイミングで旋風刃(ユーベルコード)を叩き込む



「強敵との戦いを求めますか……」
 呪獣が雄たけびを上げ、周囲へと敵を排斥する圧力を発生させた――そのタイミングで飛び退いた人狼の猟兵が、蒼眼鋭くにらみつける。
 冷気により青く染まる得物【灰狼の槍】を携えて、黒騎士の少女・月島彩希は呟いた。
 此処へ招いた理由も、そして漂う獣の感情も、全てが戦一色に染まっている。
 ただそれだけだ。
 それだけのためだからこそ、他者の未来を直に害する気など無く。されども結果的に食い潰してまでも、戦闘を欲している。
「ふぅん……なら、“いざ尋常に”ってところかしらぁ?」
 此方もまた鋭く感じ取り、間延びした独特な声音でティオレンシアが続く。
 ちらり彩希の方を――そして槍を見やり、獣の方を見たまま6連装式リボルバー銃【オブシディアン】へ手をやる。
 その意図を彩希もくみ取って……【灰狼の槍】の掴尻を上に掲げ、突進間際の構えを見せる。
「ええ……受けて立ち、猟兵の力を見せてやりましょう!」
「その後はお望み通り……骸の海に還してあげるわぁ」
 高まる彼女等の闘志を、呪獣もまた察知したらしく、黒紫の眼光を向けニヤリと笑った。
「猛れ――雷電!」
 瞬間。
 自慢の脚力を存分に活かしたダッシュと、ユーベルコード『雷迅槍』を彩希が解放。突発的な加速により円状の煙が発生し、彼女諸共一本の“雷槍”と化して飛び込んでゆく。
 が、呪獣は掌底を打つように右腕を突き出し、見えぬ力場の壁で一瞬彼女を押し留めた。それだけあれば充分――何時の間にか持っていた戟の凶刃を肩口目掛けて振り下ろす……!
「――させると思う?」
 肩口に迫ったその刃はしかし、ティオレンシアが銃声すら遅れるほどの早撃ち『封殺(シールド)』で阻む。対処も敵わずものの見事に呪獣の脳天へ命中した。
「攻撃に移る瞬間ってね、一番隙ができるのよぉ?」
 好機を作り出すべく、その決定的な瞬間を逃さなかったティオレンシア。
 ……起こりを潰す形で打ち込まれた弾丸は、獣が攻撃に出た勢いをも利用して吹っ飛ばしたのだ。
 よろめく獣は尚も槍を風車宜しく振り回し、貫撃の雷光を散らさんとする。
 地を蹴り飛び退る中、追加で呪術により急成長した樹木が壁を生成し遮ってきた。
「その程度で――狼の牙から、逃れられると思わないで」
 されど意味はない。加速状態の彩希に、苦し紛れの障壁など通じはしない。
 尾を引きつながる鋭角な軌跡が、彼女へ追い付くその前に、獣の防御をすり抜け今度こそ穂先を打ち込んだ。
 ……浸透する衝撃から短く吠え、されど槍を手放さぬまま獣は笑んで見せる。

「ただの一撃では効果がありませんね。ならば……」
 再び全身に雷の魔力を纏わせ、姑息戦闘の構えに入るや否や駆ける彩希。
 それへ応えるかの如く、獣も全身を呪力で覆い、彼女の速度に追随する。
 獣の薙ぎ払いを屈んで避け、加速させて槍を投擲――弾かれるもそれは囮であり、瞬時に近づいて槍をキャッチ。
「やっ!」
 一拍もなくすぐ顔面目掛けて突き込むが、獣は意趣返しと屈みこんでそのまま左拳を叩き付けてくる。
「懲りないわねぇ」
 否、叩き付けようとした。……その時をティオレンシアに狙われ、スナイパーもかくやの正確さをもって【オブシディアン】より六発の弾丸が一斉掃射される。
 顔の急所を防ごうとするも――その動作が裏目に出て彩希の一突きをかわし切れない。腹部に掠り、焼き切られる。
「もっと正確に……!」
 ズバチッ!という破裂音を残し、彩希が後方へ回り込こんで繰り出した足払いは、前を向いたまま後ろに槍を突きさされて防御される。
「甘いっ!」
 しかしそれは織り込み済み。流れる様にやりを手前へ引き、呪獣へ二連突きが撃ち込まれた。一発はまともに喰らい、されど二発目を食らう前に獣が身をひるがえす。
 おまけに振り向きざま、ティオレンシアの援護射撃を叩き落した……その返す刀で柄打ちから薙ぎ払いが彩希へ迫った。
「――それ、取り上げさせてもらうわぁ」
 そこでハタと獣が“脅威”に気が付くも、時すでに遅し。恐るべき早業でリロードし終えたティオレンシアが、再び銃火を光らせたのだ。
 腕狙いの二発、頭部狙いの一発、武器狙いの三発――計六発が全て当たり、必中の結果を持って呪獣の槍を叩き落す。
 獣は怒り、ティオレンシアへと咆哮。呪力の乗った猛撃の壁が彼女へと迫る。
 悠々と回避動作を取った、彼女が避けたかどうかの確認も待たず、獣が肉薄戦と飛び出し……ティオレンシアがそこで彩希へ目配せする。
(――行きます……!)
 目線に込められたその自信に信頼を置き、彩希は全霊のバックダッシュ……から、間髪おかずに前方へ飛び出した。
 比喩なく『雷の弾丸』となった彼女は、内に秘める怪力を目一杯高めて【雷迅槍】発動と共に疾走し、獣の爪をティオレンシアが避けたそのタイミングで――思い切りぶん投げる。
「せえぇっ!」
 見事、雷槍は呪獣を串刺しにして見せ、槍に込められた雷属性の膨大な力が内から焼き尽くしてゆく。振り上げかけた2撃目の爪も哀れに止まる。

 いや……止まったその位置を、体勢を利用して、呪詛により食い止めた雷を乗せつつ右爪が振り下ろされる。
 クロスレンジならば対応しようがないだろうと、考えるが故の思い切りの良さ。
「――ちょぉっと甘いんじゃないかしらねぇ?」
 それがまたもや獣にとっての命取り。ピタリ、獣へ向けられたティオレンシアの手が……派手な轟音と共に三度火を噴く。
 高い破壊力を持ち、近距離ならばと侮る相手を木っ端微塵に吹き飛ばす、ユーベルコード『滅殺(ブラスト)』が炸裂したのだ。
 甲高い悲鳴を上げて、獣が腕ごと弾かれ、後方へたたらを踏む。
「ほら……ねぇ?」
 弾倉内にある弾の雷管を、それも直接叩いて爆発させるかの様に打ち込むこれは、至近距離でしか使えない代わり威力も抜群。印象を逆手に取ったまさかの業だ。
 なればこそ、先に仕留めるべきはティオレンシアだと呪獣が牙を向け。
 ……背中の槍が一度、強く押し込まれた。
「こちらを、忘れてもらっては困りますよ……!」
 押した者の正体は、追い付いて来ていた彩希。獣が慌てて前方に跳ぼうとするのを利用し槍を引っこ抜いた彼女は、その勢いで回転しざま――追い打ちのユーベルコードを重ねる。
 荒れ狂う風を一点に集わせ、纏った旋風の大刃が、閃く……!
「吹き飛べっ!」
 刺突により間隙を生み出し、即座に薙ぎ払うユーベルコード『旋風刃』は余すことなくその威力を獣へと伝えてみせた。
 証拠に、放物線どころか一直線に呪獣が宙を“飛翔”している。
「な……!」
「あら」
 そのまま壁にぶつかる――寸前、力場で体勢を立て直してくるあたり存外しぶとい。
 しかも何らかの呪術を発動済みか、串刺し跡などは小さくなっていた。

 ……だがそれだけだ。ダメージは大きく、段々と息が荒くなっている。
「攻め込みましょう……此方に、勝機が見え始めました」
「勿論。直し切れないほど、撃ち込まないとねぇ」
 構えを変えた獣に対し、彩希もティオレンシアも最初の構えを崩さない。
 優位の空気を背負ったままに――再び二人は分かれて駆けだした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

立花・桜華
迷路と木登りの後はバトルかぁ
わたしの全力で相手をしてあげるよ!

『呪飾獣を蹴り飛ばせ!』
【先制攻撃】としてナイフを敵へ【投擲】して攻撃、隙を窺うよ
攻撃中は【残像】による【フェイント】を交えつつ【ダッシュ】を用いて高速移動を行う
【第六感】で敵の行動を予測し回避または攻撃が当たる瞬間に闘気を用いた【オーラ防御】でのダメージの軽減を狙う
【呪詛耐性】はしっかりしないとね
敵の懐まで進むことができたら戦鬼顕現(UC)で攻撃力を上昇させ、22秒間の全身全霊を込めた攻撃を行う
燐火裂蹴(UC)で攻撃を仕掛け、炎【属性攻撃】を叩き込み、直ぐ様サムライブレイドを手に取り、雷華(UC)での雷【属性攻撃】で斬り刻む!


アレクシア・アークライト
(OK)
 タイプが私と似ているわね。
 あいつの呪詛と私の念動力、どっちが強いかしら。

・まずは敵が用いた武器を念動力で操作し遠隔攻撃
・力場を障壁として展開して一気に接近 [空中戦]
・力場の形を常時変え、間合いが読めないようにして攻撃重視で近接戦 [グラップル][捨て身の一撃]
・近接戦が膠着しそうな時は、念動力で攻撃 [2回攻撃]

 強い相手と戦うためにこれだけのことをしたっていうのなら……未練なんか残らないぐらい、全力を出させてやるわ。

・受けたダメージは【心霊治療】で回復

 第2ラウンド、行くわよ。

(もし、まだやり足りなかったら、最初から私達を呼びなさい。次はもっと早く殺してあげるわ。)



 傷を負って尚高々と吠える呪術の獣を目の前にして。
 ズン! と幹造りの大地をへこませながら……桜華は掌と拳を打ち合わせつつ独り言ちる。
「迷路だ木登りだって物が続いた後に――バトルかぁ」
 そこ表情は、どこか嬉しそうな感情を帯びて見える。
 だが無理もあるまい。
 彼女は兎に角元気をつぎ込み、全力で動くのが好きな質だ。なればこそ、煩雑な作業が続いた後でのバトルなのだから……より戦意が湧いてきてもおかしくはない。
「よぉし! アタシの全力を、見せてあげるよ!!」
 言うが早いか思い切りナイフを投擲し、先制攻撃。
 獣は咄嗟に反応して弾くが、その隙に彼女は近距離まで飛び込んでいる。
 だが、反射的に動いていたか呪術を纏いリーチが伸びた、長腕の大爪が振り下ろされて――。
「おっとと!」
 ――断ち切った。
 ――そう思った獣は、しかし既に桜華が飛び退いていた事に驚き……次いで喜ぶように牙を見せる。
 調子が上がったお陰で第六感が上手く働いていることを感じつつ、回避と同時に再度ステップ。
 獣も獣で野生の勘を持っているらしく、彼女の行く先を読んで何時の間にか握っていた斧を振り下ろす。
 当たった……様に見えたそれは、残像をすり抜けるのみ。
「せいりゃっ!」
 隙と見た桜華の手が瞬間的にブレ、握られ士サムライブレイドが閃いて獣へ迫る。
 されど傷を負い感覚が鋭敏になっているようで、大小の二刀流となっていた獣により素早く防御され、続けて流れる様に攻撃が振り掛かる。
「ふんっ……!」
 見事な連携だが桜華もまた一人の猟兵。
 それで終わる訳もなく、彼女も彼女で確り張られた第六感で【危険】を察し、事前に溜め込んでいた闘気を解放。オーラを纏い押すようにして受け流す。
「まだまだ!」
 弾かれたように数歩分遠ざかると、次いで緩急をつけしながら猛然とダッシュ始めた。――その脚力と巧みな制動により残像が幾重にも生まれ、呪獣へと恰も“数人に増えたような”錯覚を覚えさせる。
 ならば……両の指の間に短剣を挟み構えてから間髪置かず、呪獣が腕を薙ぎ払い無差別に投擲。
「甘い――って消え……上か!!」
 これ位ならば余裕だと走行速度を緩めないままに躱して見せた桜華だったが、次の瞬間獣が轟音とともに視界から失せる。
 それが“跳躍したから”だと気が付いた頃には遅く、呪詛を纏った骨肉の鉄槌が根城の床諸共に桜華を砕かんと振り下ろされてきた。
「っとぉ!」
 間一髪。彼女も羅刹の脚力で思い切り跳んで、十分な距離を取り回避してみせた。

 ――刹那、第六感が警鐘を鳴らす――
 息を詰まらせ思い切りのけぞった鼻先数センチの所を、投擲槍が不気味な焔を上げて通り過ぎてゆく。
(まだくる……!)
 やり過ごしたはずの凶器が宙で弧を描きUターン。更に、数を増やし上から正面から迫る。明らかに操作されている動きだ。
 力業で跳ねのけるしかないと桜華が構えた……その時だった。
 ――半数が唐突に動きを止め、呪獣の体を傷つけんと猛烈な速度で再びUターンしたのは。
「やっぱり、良く似た力を使うみたいね」
 振り向いた桜華の視線の先。
 そこには……獣の方へと手をかざす、赤い瞳に赤い髪そして白いの肌を持つ一人の女性がいる。
 UDC組織のエージェントでもある彼女の名は、アレクシア・アーライト。
 ……彼女もまた、大樹を登り戦場へ至った猟兵の一人だ。
「あいつの呪詛と私の念動力、どっちが強いかしら?」
「そりゃ試してみないと分からないかも!」
 念動力を用いて呪獣の武器とかち合わせ、遠距離攻撃を阻害し始めたアレクシアの呟きに、桜華が元気よく何かを期待するように口走る。
 彼女の言葉に、アレクシアは少しだけ笑み……。
「そうね……じゃあ――」
 【フォースフィールド】と呼ばれる力場を変化・展開させたかと思うと――空を飛ぶような勢いで一気に距離を詰めていた。
「――思い切り、試させて貰おうかしら!」
 彼女の突貫に反応した呪獣は躊躇う事なく拳を突き出すものの、障壁として張られた【フォースフィールド】で威力が軽減。そのままアレクシアの手により別方向に反らされてしまう。
 生まれた僅かなチャンスに、彼女は更なる攻勢に出る。
「くらいなさい!」
 格闘用に調整、そして研磨された弾物だろう念動力【フォースアーツ】纏う拳が唸り、獣が繰り出しかけていた蹴りの起こりを潰した。
 それのみならず、遠ざかりながら打ち出された拳に合わせて“力場が変形”、予想外のリーチより頭部を打ち据えてくる。
 ――呪術で出来た陰が幾重にも積まれ、複腕のように振り下ろされてくるそれにもアレクシアは動じず対処。似たような『線状の力場』で迎撃して飛び退くと……そのまま念動力で出来た“うねる鉄槌”を突き出して打ち据えた。

「くっ……!」
 しかして、ただ戦いたいというだけでここまでの事を起こした呪獣相手だ。
 そう簡単には攻め込めず、向こうもまた予想よりも範囲の広い噛みつきで地面ごと抉ろうとしてくる。
 ――力場の形状を変えながら惑わしているとはいえ、これでは硬直状態にも等しい。
「……でも手はあるのよね……!」
 踏み込みと共に跳ね上がって来た斧を避け、もう一度肉薄して拳を伸ばす。
 ギリギリの所で避けた獣は笑み――次の瞬間、二発目として飛んできた念動力にのけぞらされる。
 再び生まれる好機……!
「――ッ!」
 ……その反動すら利用して、呪詛纏う骨肉の腕槌が来るとは流石に予想できなかっただろう。
 威力は先に彼女も見ている。
 地を砕くシンプルでいて強力な一撃は、避けてもおつりがくるだけのダメージを乗せてくるのは必定。
 そしてもう選択肢など、残されていない。
(なら、前に出るっ……!!)
 漸く相手が全力を出してきたのだ。未練なく使い果たせるほどの力を行使してきたのだ。
 ならばここで失速させるわけにはいかない。
 アレクシアはほんの一瞬だけ拍を置くと――飛び込みざま捨て身もかくやの一撃を突き出す。
「どう……!?」
 先に届き、内部を砕かれ、上がる血風に獣が呻くも……勢いは止まらない。そのままアレクシアはダメージ覚悟で、呪詛の鉄槌を見据えた。
「……漸くここまでこれたよ!」
 響くのは重苦しき殴打の音――ではなく。
 二人の対決の隙間を伺い、準備を進めていた……獣の懐に潜り込んでいた桜華の声。
 ――彼女に何かを感じ取ったらしい。
 呪獣は振り向き、体勢の所為で威力の落ちた腕を尚も叩き下ろしてきた。
「行くよ……羅刹の本気、見せてやるっ!」
 だが彼女の方が一歩速い。
 内より迸る闘気が倍以上に膨れ上がったかと思うと、拳一発振るい上げる。
 インパクトの音が強烈にあがり……何という恐るべき怪力か、素手の一撃にもかかわらず呪獣を吹っ飛ばしていくではないか。
「どうだっ!」
 これが彼女のユーベルコード『戦鬼顕現(センキケンゲン)』。
 潜在能力の強制開放で“爆発的な強化”を施す術技で、かつ破格の上昇率を誇る絶技でもあるのだ。
「おりゃああぁぁっ!!」
 サムライブレイドがしなる程に振るい、空を破裂させるような衝撃で蹴り、拳が砲弾もかくやの爆音を上げた。
 獣が吹き上げる、呪術の本流によるダメージも意に介さない。止めるもの無しと只攻め行く。
「まだまだぁっ!!」
 焦燥したような攻め手だが……それもその筈。強力な反面、このユーベルコードは僅か22秒しか効力を発揮しないのだから。
 それを誰よりも分かっているからこその猛攻だろう。
 ――だがそれがいけなかった。
 獣にすぐさま見抜かれ、呆れるほど強力な咆哮で桜華を遠ざけにかかったのだ。
 しかも何やらぶん殴られながら準備していたのか、ダメージよりも斥力の方がはるかに強い。
 それでも……桜華は、笑っている。

「そこっ――!!」
 意識を外されていた、アレクシアの的確な援護が咆哮を止めてくれると、ス信じていたから。
 そのまま三度肉薄した桜花は全霊を叩き込むべく――残る数秒に全てを込める。
「焼きつくせぇ!!」
 蒼々と燃え盛る鬼火が脚より一気に吹き上がり、サマーソルトの様な蹴り上げから、体を捻っての蹴りおろしが炸裂。
 ユーベルコード『燐火裂蹴(リンカレッシュウ)』による炎攻撃だ。
 降魔の炎とも呼ばれるそれは簡単に消えず、獣はそちらに対処しようと炎を抑える。
「唸れ………」
 桜華の攻撃は、まだ終わっていない。炎の熱に充てられたかの如く、手にしたサムライブレイドが焦熱の雷を帯びる。
「『雷華』ァ!」
 彼女の叫びに呼応して激しくなった雷の刃が、目にも止まらぬ速度で乱射され――切り刻んではもう一度吹き飛ばして見せた。
「……やるじゃない」
 少なからず受けていたらしいダメージを、動けぬ代わりに完全回復が可能となる『心霊治療(ヒーリング)』で癒していたアレクシアが賞賛を投げかける。
「ちょっと疲れたけどね! ……でも」
 素直に受け取り笑って見せた桜華だったが、傾けた視線の先には今だ呪獣が立ち上がって来ている。ダメージが大きいのかふら付いているが、不屈の闘志で此方を睨みつけ、笑っている。
 ……まだ、戦う気でいるのだ。
「こうなったら最後の最後まで相手してやらないと!」
「ええ。さあ第2ラウンドへ、行くわよ」
 桜華は、アレクシアは、猟兵達は……奇しくも獣の意思へ応える様に、三度挑んでゆく。

 ――終幕は近い。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フォルク・リア
今までの敵の戦いを見て
「なるほど、強力な呪詛だ。
そして、その呪詛の力の源は災いを願う思いか。
その思いの先は俺達。いや、それともこの世界。
或いは自分自身か。」

真の姿を開放したまま。
「次は俺の術を見せてやろう。」
生命を喰らう漆黒の息吹を発動。
花びらを周辺に展開し、その場で待ちの姿勢を取って
カウンターを狙い花びらに近づく敵の生命を喰らわせる。

呪縛を放たれたら花びらだけでも動かして次に来るであろう
攻撃を防御。
「体は動かなくても、死を纏う花は止まらない。
お前にとっは忌わし呪いの花になるかもな。」

敵に隙が見られたら花びらを一点に集め
接近しそのまま花びらの塊を叩き付ける。
「喰らえ、その漆黒の花嵐を以って。」


マリィ・ブラキウム
よし、チョット出遅れましたが行くか。

相手は正面からの戦いをご希望みたいだしお望み道理に行ってやろうじゃない。

と、言う訳で【戦闘知識】【第六感】【地形の利用】で大体の相手の動きを予測して
【一斉発射】、【範囲攻撃】、【零距離射撃】、【2回攻撃】、【スナイパー】、【誘導弾】、【クイックドロウ】と乗せれる技能を全部乗せた『フルバースト・マキシマム』で戦うわ。

体格差(と好み)の関係で【空中戦】でのインファイトでの戦いになるけど
さぁ、楽しく死力を尽くして戦いましょうか。勝つのは私たちだ。



 あと一押しなのを感じた猟兵達は、しかして一気呵成には攻められない。
 迷路での探索、大樹登りでの謎解き、そして呪獣との接戦。
 
 ……此処までで溜まった疲労が響いて、膠着状態の手前まで陥っている。
 
 だからこそ。
「―――」
 遅れて到達し後方に構えていたフェアリーの女性が。
 赤茶の髪を靡かせ、小さくも力強く空を行く、マリィが。
 降り注ぐ呪炎の雨を潜り抜け、前線までどんどん上がって行く。
「ちょっと出遅れましたが……」
 その腕に備える青光輝く鋼色のアームドフォート【ズベン・エル・ゲヌビ】を構え、その手に握る同色の青を持ちし熱線銃【ズベン・エス・カマリ】を携え。
「……今だからこそ、行くか」
 最後の一押しを担うべく、呪獣の前へと躍り出た。
 彼女の瞳に漲る戦意へ、ほぼ重症でしかない筈の獣はしかし、苦痛ではなく歓喜に叫ぶ。
 こうなっても尚相手は戦いを、真正面からの戦闘をご所望なのだ。
 たとえ不意をつかれようとも。数的不利であろうとも。
 ただただ、闘争を求めてやまない。――それだけは決して偽らない。
「なら、お望み通りに行ってやろうじゃない?」
 口を開き、また【ズベン・エル・ゲヌビ】の砲塔を突きつけ、マリィは“応える”事を言葉と行動で示して見せる。
 ――対し。
 もう武器を握る力も余裕も無いのか、ただ濃く漂わせた呪詛をその手に宿し、マリィ目掛けて獣が突っ込んでゆく。
「さぁ、楽しく死力を尽くして戦いましょうか……!」

 中空に佇みつつ、マリィは敢えてインファイトの姿勢で待ち構えた。
 体格差の所為もあるが、一番は単純に彼女が“好んでいる”から。
 高い火力そのままに叩き込み合うのも、また良いと思っているからだ。
 その姿勢に呪獣は喜び勇み……思い切り拳を握って叩き付けてくる。
「もう読めているの、悪いけどね」
 破壊力の塊と言っても良い一撃はしかし、先までの戦いで確り情報を取り入れて予測したマリィには当たらない。
 まだまだ、と獣の背中から力場が襲い来るも、他の猟兵達よろしく彼女もまた第六感を持つ者。危険を察知しその衝撃波を眼下に身を翻す。
 更に……獣の動きで変わる樹木の差異を見抜き、察するのに一つ加えてもいる。
「長引いたからこそ、って事よ」
 アームドフォートから砲弾を一射、懐に構えた熱線銃から続けて一射。間断なく放つそれら銃撃も、正確かつ的確に……スナイパーのように頭部へ命中させた。
 諦めぬ呪獣が今度は、霧状になった呪術の力場を叩き付けて来る。
「それも、想定済みだわ」
 対しマリィは、一斉掃射による範囲攻撃で威力を軽減。
 刹那のクイックドロウで誘導弾を放ち、獲物へ喰らい付く猛禽が如く飛び交い、逃がさぬと確実にダメージを積み重ねていく。
 いっそ面白いように当たっていく。
 だがそれは当然の事――命中することも厭わず、獣が突っ込んできているのだから。
「まだ来るのね。でも……」
 手負いでいても衰えぬ迫力が乗った爪が、呪力によりリーチを伸ばし槍の様に迫りくる。
「近距離だって、苦手じゃないのよ!」
 戦闘機のようなアクロバット飛行で呪爪槍を躱したマリィが、接射にも近い零距離に到達。
 ――武器が蒼くも鮮やかに光る。
 小さき体を超えて噴き出す、鮮烈なまでに巨大な闘志が武装へ集まるかのようだ。
 撃ち込まれるはユーベルコード。彼女一番の大技……。
「『フルバースト・マキシマム』ッ!!」
 ……もてる技能をすべて注ぎ込んだ、武装開放による一斉掃射だ――! 
 熱き流星が刹那を駆け、撃滅の弾丸が僅かを轟き、呪獣の至近で赤く、青く、白く爆ぜてゆく。
 強烈な衝撃を、また威力感じる大音響を、暴れるが如ぐ殴りつけるが如く……全武装より放たれし猛然なる砲撃が空間を震わせ伝えてくる。
正しく、呪詛のような悲鳴を上げ、獣は叫びの尾を引きつつ派手に吹き飛んだ。

 ――それでも、尚。
「な……!?」
 最早砕けたその腕で、獣は握れなかったはずの武器を己の肉に食い込ませてでもつかみ、マリィ目掛けてぶん投げてくる。
 尾を引かせた無様な悲鳴でさえも、呪縛の弾丸として撃ち放つ。
 何という根性。なんという執念。なんという戦意。
 ……オマケとばかりに己の足を爆裂させ、豪速で近づき破壊の一撃を叩き付けすらしてくる。
「危なかったわ……」
 マリィも直撃こそ受けずに済んだが、衝撃で吹き飛ばされインファイトの域から外れてしまう。
 だがそれで終わるものかと、まだ飛び交う弾丸をすべて叩き落し、お返しに砲撃で呪詛の獣を撃ち抜いた。まき散らされる呪詛で、近付けないことを悟ったが故に。
「……最後の一手が必要、ね」
 そう呟き、彼女が後方を見やる。
 まだ【あの状態】であろう彼の方へ、目線を傾ける。
「もう一度援護するわ……残りをお願いできる?」

「……ああ、承知した」
 血色のオーラを漂わせ、降り放たれる呪術をかき消す、鮮血の術理をその身で体現したような、恐ろしくも美しき【真の姿】。
 それを己の手で、自ら暴き出した……死霊術死・フォルクの方へ。
「その言葉、信頼に……応えてみせよう」
 純白のローブすら力ではためかせ、刈り取るモノを封じた【闇薙ぎ】を手に、佇む彼へと。
 ……まだ、まだまだ暴れ行くかの獣へと冷徹な視線を向けて、フォルクは冷静に感想を抱く。
 ――なるほど。もはや行き過ぎた領域で、強力な呪詛である。
 ――そして、その呪詛の力の源は何だ。災いを願う根底の思いなのか……。
 ――その思いの先は猟兵達か、それともこの世界なのか?
 ――或いは、……“自分自身”か。
 分からない。分からないが、なればこそ彼は即断した……自分がとるべき行動は、“これ”ただ1つ。
「その呪術を見せてくれた礼だ。俺の術を、見せてやろう」
 オブリビオンたる獣を、己が力で撃滅する、それ一つだけだ。
 フォルクの武装が夜色に染まったかと思えば、周りへと風に乗りバラけてほどけ、新緑の根城内へ暗黒の風を吹き荒ぶ。
 間違いなくこれは、ユーベルコードによる埒外の所業だ。
「――よく見ておけ。これが、お前の命を刈り取る手向けの花……」
 未だ意志は折れることも無く、三度自身の体を触媒に使ってまで突撃し、咆哮響かせる獣へと、対照的な静かさでフォルクは告げる。
 光を吸い込む冥界の花、華鮮とも遠き闇の鳳仙花を、静かに螺旋を描かせ纏って。
「……終幕を告げる黒の息吹だ」
 ただ一言冷徹に、呟く。
 ――マダダ!!――
 そんな声が聞こえそうなほど掌へ呪縛の根源を滴らせた獣が、フォルク諸共に花びらの動きを止めんと突き出す。
 後部より割り込むマリィの射撃により、フォルクのみしか止めきれない。
 それでも嬉しそうに、歓喜のまま美しき黒の吹雪を超えて、呪縛の爪がひた迫る。
「悪いが、例え体が動かなくとも」
 その一撃は隠されたフォルクの顔へと突きつけられ……そこで止まった。
「死を纏う花は止まらない。お前にとっは忌わしいだろう、この呪いの花はな」
 意思により動く冥府の艶花が生命力を喰らっているのだ。
 防がれ、弾かれた獣は、もう隙以外見当たらない。
 静かに此方からうかがえぬ目を閉じた、フォルクはただ一言――告げる。
「その漆黒の花嵐を以って――散れ」
 数歩、歩いたその後に、黒空の権化ともなった渦描く花弁の塊が……獣へと叩き付けられた。
 逃げようとせず振り上げた腕に、もう一度マリィの弾丸が命中。
 それでも最後の、最後の、最後まで……その塊を“超えて”まで、獣は好笑高らかに呪詛を伸ばす――。

「…………」
 ――そこで、終わり。
 ピクリとも動かず眼前で止まった爪を……否、その奥にある顔をフォルク見やる。
 獣の顔面を、ただ見つめた。
 ――満たされた笑みのまま硬直して居る彼の顔を。
「さらばだ。呪詛を巻き、戦を求めた……豪の獣」
 その言葉を最後にフォルクは、そして控えていたマリィも、猟兵達も背を向けて去り始める。
 呪獣の体がもう既に塵と消え始め、何より樹木が鳴動し、急激な変化を起こしていたからだ。
 ……余韻に浸るその間も無く、ぐんぐん樹木は縮んでゆく。
 破壊の跡を残したまま、森へ張り巡らせた根も消えて行く。
 余りに呆気ないぐらいに、彼のいた証が失せていく。
 そのまま数分と経たぬ内にその痕跡は無くなった。
 ――森の迷宮はも大樹も無くなり、傷跡はあれども嘗ての森が姿を現し……主だろうただの大樹の枝に猟兵達は腰かけている。
 日の沈み始めた、茜色の空に照らされて、それを見つめる者や呆ける者、飛び降りる者に分かれる光景が……戦の終わりを教えている。
「…………」
 マリィはもう一度空を飛んでは上より見おろし。
 フォルクは赤の空をただ眺めていた。


 ただ戦のみを追い求めた獣。過去より出しオブリビオン。
 彼を構成したその古の記憶の元が、何だったのかは既に分からない。
 それでも、満たされていたことは事実だろう。
 ――そしてその数日後。
 森の資源が手に入るようになったことで猟兵達は感謝され、街や村々は元気を取り戻していく。先以上に盛り上がり、活気づいていく。
 数か月後も衰えぬ様は、奇しくも“彼”の戦気に充てられたが如く。
 されどそれを知らぬままに。

 こうして……結果として犠牲を出さぬまま、此度の事件は終息を見たのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月13日


挿絵イラスト