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RISING SUNSPOT

#クロムキャバリア #日出国

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#クロムキャバリア
#日出国


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●大陸より海を越えた先にある極東の島国にて
 傭兵小国家『ヘキサ』、その隣国の海洋商業小国家『トリアイナ』から東へ東へと長い航海を経てあるという島国『日出国(ひのでこく)』。海という巨大な堀で護られた島国という環境故に、大陸とは一風異なる独自の文化を育んだ国へキャバリア技術がもたらされたのはかれこれ百数十年前まで遡る。
 当時の日出国は世情の不安定化により中央集権政権の権威が低下したのに伴い、各地を治めている諸侯による領国支配体制が崩壊していた。急変する時代の流れを機と見て、家臣が盟主を追放や下剋上により地位を手に入れた者、諸侯に代わり武力により地域支配を成し遂げた地方領主らが台頭して世は正に戦国時代となった時、とある離島に三叉槍の紋章が描かれた一隻の貿易船……かつては単なる貿易会社に過ぎなかったトリアイナの前身であるトリアイナ商会の商船が嵐により漂着したのが始まりだった。幸いにも島民とその島を治めていた領主からの救助と船の修理が完了するまでの間滞在することを許されるなど暖かく迎え入れられ、船員と船長はお礼にと彼らの島に積荷であったキャバリア、そして食料や鉱物資源のみを生産する簡易的なプラント設備を彼らに提供したのだった。ここまではよくある美談だが、簡易プラントの試運転をした時に船員達はある事に気づいたのだ。本来であれば正規規格のプラントでも精製は極々稀な金銀が多く排出されていることを。
 無事に帰国したトリアイナ貿易船から伝えられた話は、瞬く間に大陸列強国に知れ渡ることになる。――黄金の国、ジパングは存在したと。
 そこからは各国がこぞって日出国へと船を出したのは言うまでもないだろう。離島で作られたプラント、そしてこれまでの戦を根本的に変えてしまうキャバリアの伝来を知った本島の国主達はこぞって迎え入れた。大陸側としてはプラントを製造してしまえばこちらの物であり、未開の島国をキャバリアで制圧して植民地としてしまうのは造作でもなかった。
 だが、彼らには大きな誤算が生じた。何故ならば、本来であれば稀にプラントから製造されるジャイアントキャバリアが当たり前のように製造されたからだ。その姿から日出国の人々は『鬼』と畏れ、神をも恐れぬ武将達はこぞって鬼達にその大きさに見合う鎧兜を作らせ、彼らはそれを兵器として扱ってみせたのだ。かくして騎兵ならぬ鬼兵の誕生により、大陸の人々の野望は潰えたが、トリアイナ商会はそれを商機と見てジャイアントキャバリア用の兵器を大量に売り込んで巨額な財を成し遂げ、それを足がかりに現在の小国家建国に至るのであった。
 一方日出国では、ジャイアントキャバリアの急速な普及により戦国の世は更に混迷を極めた。何故ならば、日出国成人男性の平均身長で四人分弱もあるジャイアントキャバリアが田畑を蹂躙すれば後は何も残らない。町も容易に焼き払えると言った始末だ。奇しくもその頃には、高速飛翔体を無差別砲撃する暴走衛星「殲禍炎剣ホーリー・グレイル」によってプラント製造技術は大陸でも遺失技術となっていて、これ以上の建設は見込めず困窮を極めた人々は現存するプラントに救済を求め、プラントを奪う奪い返すの応酬が続くこととなる。
 そして、時は現在。日出国を大きく二分割するセキガラインを線切りとして、国々は東軍と西軍に分断されていた。

「これが大陸より新たに伝来した伽伴罹阿でございますか…?」
「左様。外利藍那の船より届けられし、舶来のからくり伽伴罹阿でござる」
 とある西国諸藩にてキャバリアの実戦テストが行われていた。ジャイアントキャバリアが主戦力であるが、生きているが故に平常時でも糧が必要となる。プラントの生産物で維持するのにも負担が掛かるという訳で、遠く昔より海外貿易を行うトリアイナを経由して輸入された新型キャバリアであった。

「今回はこの伽伴罹阿の工作機械、製造図面、製造に関わるものも同時に輸入した。これで財政が浮けば良いのであるが…」
「そうでござろうが…何かおかしくありませんかな?」
「何か、と申しされると?」
「いえ、あの伽伴罹阿がこちらに銃口を向け向かってきているようにと…」
 この計画の責任者であろう者が手にした図面から正面を向くと、確かにキャバリアがこちらに向かって来ている。そして……撃ってきた。

『は、ははは! そうだ。我が弓田家は、元は東軍より西軍へ寝返りし家。戻らねば、帰らねば……我が一族が生まれた、治めていた地へ』
 演習相手であったジャイアントキャバリアの追手を振り切るよう、彼が操るオブリビオンマシンは速度を増すのであった。

●グリモアベースにて
「先日のキャバリア暴走を起こした貨物船が何を積み、何を運び終えて戻ってきていたか気になっていましたが……まさか、積荷もオブリビオンマシンであったとはですね」
 猟兵達の前で予知した内容を語るシグルド・ヴォルフガング(人狼の聖騎士・f06428)が困惑しているのも無理はなかった。彼が以前予知したキャバリア暴走事件に関連する事件であったからだ。

「果たして積荷がオブリビオンマシンだったので、貨物船のキャバリアがオブリビオンマシンとなったか。それともその逆か、どちらもだったのか……。それはまず置いておきましょう。今は今起きているオブリビオンマシンの暴走を止めることが先決ですね」
 トリアイナがある大陸より海を渡った遥か東の島国、かつては日出国と呼ばれていた国は現在東西に別れており、東の武蔵連合国、西の大和連合国に大きく二分している。そして事件が置きたのは、両者が睨み合いをしている分断線、通称セキガラインにほど近い国で起きたという。

「パイロットはその国の家臣でありますが、過去の経歴を辿ってみれば幾度なく小競り合いが続くセキガラインでの戦い初期に東軍から西軍に寝返った武将を先祖に持っていたそうです。名は弓田・十三郎。戦国の習わしで一族の生存を賭けて勝てる方に寝返るのはよくある話ですが、恐らく彼はその事に後ろめたさを感じていたのでしょう。その心の隙間にオブリビオンマシンが付け入り、彼を凶行に走らせたのです」
 そして、彼の行動パターンも絞り込めている。セキガラインを越えてかつての祖先が元治めていた地に戻ろとしている。勿論、今現在その土地は別の者が治めている。暫く膠着状態が続く東西軍の大規模な戦が、これを切っ掛けに再び起こる事だろう。それを阻止するのが今回の目的だと、シグルドは猟兵達に告げた。

「幸いに鬼兵と呼ばれる西軍のジャイアントキャバリア部隊が予想ルートで陣を構えております。しかし、そこを越えれば東軍の領地は目と鼻の先。ここを絶対防衛線として、オブリビオンマシンの突破を防がねばなりません。ですが、貴方達ならばそれは可能な筈です。事態の収束にお力をお貸しください」
 シグルドは再び深々と頭を下げ、猟兵達に助力を申し出る。そして、背筋を伸ばしながら瞼を閉じると意識を集中させ、合戦場へと通じるゲートを展開させるのであった。


ノーマッド
 ドーモ、ノーマッドです。
 クロムキャバリアのシナリオは、大陸から海へ、そして遠く離れた島国へと移っていきました。前回シナリオの続きとなるシナリオですが、前回の要素はフレーバー程度ですので、お気軽にご参加して頂ければと思います。

●小国家解説
 過去に製造されたプラントより生み出されるジャイアントキャバリアを主力としている東国の島国です。大陸より伝来したキャバリア技術により、戦国諸侯らが鬼と呼ぶジャイアントキャバリアを駆り血で血を洗う合戦に明け暮れていましたが、今現在は大きく東西に分けられた二大勢力が睨み合いながら膠着中です。

●シナリオ解説
 第一章は【ボス】フラグメントです。
 『ブレイジング・バジリスク』は、上半身に備えつけられた大型バーニアユニットがもたらす三次元機動を得意とするオブリビオンマシンです。
 西軍のジャイアントキャバリア部隊による援護が期待できますので、それを利用したり活用すればプレイングボーナスが発生します。余裕があれば狙って見てください。

 第二章は【冒険】フラグメントです。
 形勢が不利と判断して撤退し、姿をくらましたオブリビオンマシンが再び襲撃するまでの間、こちらも態勢を備えるインターミッションパートとなります。

 第三章は【ボス】フラグメントです。
 姿をくらましていたオブリビオンマシンが進化した姿で現れ、再び攻勢を仕掛けてきます。どのような姿かは章が進展する毎の情報開示となりますので、ご了承下さい。

 それでは、皆様の熱いプレイングをお待ちしています。
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第1章 ボス戦 『ブレイジング・バジリスク』

POW   :    ブレイジング・シュート
【ライフルの集中射撃】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD   :    バジリスク・ランページ
【右腕のライフル】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
WIZ   :    エンジンキラー
自身の【オブリビオンマシン】から【漆黒のオーラ】を放出し、戦場内全ての【エンジン】を無力化する。ただし1日にレベル秒以上使用すると死ぬ。
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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「一番鬼兵隊、放てぇ!!」
 一列に並んだ和甲冑を身に纏うジャイアントキャバリアらが、号令と共に構えていた大弓を一斉に放つ。大きく引き伸ばされたワイヤー状の弦が解放されれば弓を大きくしならせ、鋼鉄の矢が風を切りながら空を黒く染め上げた。黒色の雨雲により鋼の豪雨が降り落ちる場所に、南蛮伝来の赤備えで一騎のキャバリア……ブレイジング・バジリスクが日の丸を彷彿させる一点の的のように飛翔していた。
 彼らの常識であるならば、この矢の怒涛の前に無事で済むはずがない。しかし、それは彼らが鬼と畏れ敬うジャイアントキャバリアに限った話であった。大陸での最新技術によって建造されたブレイジング・バジリスクは右腕から光の奔流を放ち、暗雲の切れ目となった場所から複数のバーニアユニットがもたらす三次元機動で抜けてみせた。
 そして、二の矢を放とうとするジャイアントキャバリアの隊列に目掛け、ライフルのビームで地上ごと薙ぎ払う。

『はははは! 圧倒的ではないか。正に一騎当千の神兵ぞ!』
 腕を、足を、胴体を生々しく熱線で喪ったジャイアントキャバリアを上空より見下ろしながら、弓田は息巻く。厳密に言えば、キャバリアがオブリビオンマシンと化してUCと呼ばれる力の左様に寄るものであるが、彼らはそれを知る由はない。ただ確実なのは、この島国から遠く離れた大陸製最新キャバリアが新たな種子島となるという可能性だ。オブリビオンマシンの圧倒的な力の前に敗れる西軍、そしてセキガラインを挟んだ山から観測している筈だろう東軍。これが東西冷戦状態で膠着状態の戦局を変える新たな戦の火種となりえるのか?
 いや、そうはさせない。何故ならば、それを防ぐために世界を、時を、種族を越え、調停者たる猟兵が居るからだ。
 隊列を整え直す西軍の前に突如と現れた猟兵達に、西軍のジャイアントキャバリアが弓を射ようとしたが指揮官がそれを制する。

『まて、あやつらは異国の地で聞き及ぶ猟兵なる存在。我らの味方だ!』
 遠く離れた島国にも、大陸で華々しく活躍する猟兵の話は伝来していたのか。何はともあれ、両者の目的は共通で一点の曇りはない。それは……オブリビオンマシンの破壊、だ。
支倉・錫華
戦国の世の中で、家の存続がかかっているなら、
領主としては強いものにつくのは当然の判断ではあるんだよね。
小国の宿命ってやつではあると思うけど、気にしちゃう人もいるんだよね。

ま、そこから逃げて、傭兵やってるわたしが言えることではないか。

とりあえず、弓田さんだっけ? あなたのしたことは間違いとは言い切れない。
特にそのことで、あなたのところの国民が助かったのなら、
それは判断としては正しかったと言えるよ。領主の一番は国民だからね。

あとは、あなたの心の問題。
民を救ったことに、もっと自信を持って良いと思うけどな。

アミシア、助けるよ。
【ディレイ・アタック】で照準固定。足を狙って行動不能にさせてもらいたいかな。


アイオライト・セプテンバー
※アドリブ歓迎

ブレイジング・バジリスクか……このタイプは交戦経験があるわ
エンジンキラーを使われる前に手早くケリをつけたいところ……

私のキャバリア【ブルーテイル】は軽量高機動型
【オーバーブースト・マキシマイザー】を起動し、【推力移動】と【操縦】を駆使して、敵機のバジリスク・ランページを【見切り】ながら搭載火力を【一斉発射】
ありったけブチ込んで、注意をこちらに向けてやるわ

狙いとしては、こちらにバジリスクの照準を引き付けている隙に
西軍ジャイアントキャバリア部隊と連携し、火力を集中させたいところね
幸い移動力には長けるところだし、なんとか西軍と合流及び通信、狙いを伝え協力を要請してから先頭に臨みたいわね



 チューニングされた量産型キャバリアのカメラアイがブレイング・バジリスクの姿を捉える。軽快な機械音と共にレンズが絞られ、そこからもたらされる情報を支倉・錫華(Gambenero・f29951)はコクピットのモニターで観測していた。

「戦国の世の中で、家の存続がかかっているなら、領主としては強いものにつくのは当然の判断ではあるんだよね」
 彼女の言葉は正しかった。忠臣不事二君…忠臣は二君に事(つか)えず。
 一度仕えた主君には一生忠節を尽くすのが武士の務めという道徳観念は戦がなくなった世の近世武士道的な物に過ぎず、戦国武士道にはそうした儒教的な厳格さや形式性などはない。働きに見合う恩賞もなく、また仕える主君にそれだけの器がないと見限れば最後、主君を替えるのは当然で、時には主殺しさえある下剋上の世だ。七度主君を変えねば武士とはいえぬという言葉を後世に残した武将のように、きっとこの世界にもジャイアントキャバリアひとつで渡り歩き、主君を何度も替え渡った武将が居たのかもしれない。

「小国の宿命ってやつではあると思うけど、気にしちゃう人もいるんだよね。ま、そこから逃げて、傭兵やってるわたしが言えることではないか」
 領主の影として闇の仕事を引き受けていたが、街の併合で記憶に残る故郷と呼べるものを喪った錫華は、オブリビオンマシンに後ろめたさという心の隙間を付け入れられた弓田への同情心があった。彼の祖先は好きで裏切った訳でもない。きっとそれで仕えていた家臣やその家族達、ひいては国民を助ける為の判断であったのならば英断だ。
 何よりも、領主の一番は国民なのだから、と。

「ブレイジング・バジリスクか……このタイプは交戦経験があるわ。エンジンキラーを使われる前に手早くケリをつけたいところ……」
 軽量、高機動をコンセプトに開発されたクロムキャバリア『ブルーテイル』。全身に制御スラスターを持つ軽量高機動型キャバリアを駆りながら、アイオライト・セプテンバー(〝ブルーテイル〟・f29954)は大陸の方で頻繁に戦ってきたブレイジング・バジリスクの同型機との記憶を辿っていた。彼女、いや彼の言葉通りに、ブレイジング・バジリスクの厄介さはありとあらゆる動力機関を停止させる点に尽きる。機械式キャバリアではエンジンを組み替えるだけで済むのだが、生体ユニットであるジャイアントキャバリアではコアの停止……即ち文字通りに心臓に相当する機関が停止して屍となろう。
 現に上空からブレイング・バジリスクが通過したと思われる場所を地上を観測すると、西軍のジャイアントキャバリアが無傷のまま倒れているのが遠目で分かる。

「こちら、ブルーテイル。これより西軍の傘下に入るよ。可能だったら援護をお願いするわ」
「…了解した。貴君達の助太刀に感謝する」
 共通回線チャンネルで送った無線は西軍へと届いた。ブレイジング・バジリスクの位置から射線を逆算して高出力ブースターで回避行動を取ると、西軍の残存ジャイアントキャバリア部隊から放たれた矢がウンカの群れの如く、ブルーテイルの脇を通過していく。

『幾ら矢を射ろうとも、同じことよ』
 ブレイング・バジリスクが再びライフルを構え、矢群に穴をあける。

「今だね。オーバーブースト・マキシマイザー起動」
 ジャイアントキャバリアの豪腕より射られた矢に追いつく速度まで、アイオライトはブルーテイルを加速させた。そして黒い壁に空いた穴から日の丸のように出てくるブレイング・バジリスクに照準を合わせ、ウェポンベイに搭載される追尾ミサイルユニット『サンドバイパー』を一斉発射させる。

『くっ、ミサイルだと!?』
 海外貿易で装備を調達する西軍とは言え、ミサイルの類は自国のプラントでは製造されない謂わばここぞと言う所で使用に踏み切る戦略兵器の類だ。それを惜しみもせずに放った事に弓田は驚愕したが、ブレイング・バジリスクに宿るオブリビオンマシンとしての邪悪な意志が彼に変わって自動的に回避行動を取った。撒かれたフレアとチャフがミサイルの追尾機能を惑わし、デコイを追尾し始めたミサイルの爆炎と煙で周囲を覆った。
 果たしてブレイング・バジリスクに損傷を与えられたのか。周囲が固唾を飲みながら構える中、ブレイング・バジリスクが再チャージを終えたライフルを構えながら、煙幕から姿を現した。
 ブルーテイルの背後を取る形でライフルを構えるオブリビオンマシン。アイオライトは咄嗟に照準を合わせるが間に合わない。そして、空にライフルの発射音が響く。だがそれはブレイジング・バジリスクの物でも、ジャイアントキャバリアによる物でもない。錫華が駆るキャバリアが放ったのだ。

「アミシア、助けるよ」
 パートナーユニットに語りかけると、高速機動による疑似分身が生み出す次弾を次々に放っていく。初段は装甲を掠める程度であったが、ホログラフィックポインターによる追尾照準は先程の射撃データで修正済みだ。ブレイジング・バジリスクが三次元機動で対キャバリア弾を避けてはいたが、一発の徹甲榴弾が脚部に命中する。そして爆音と共にブレイジング・バジリスクの足が爆ぜ、その衝撃でバランスを崩すと残骸と共に地上に落下していくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

家綿・衣更着
連携アドリブ歓迎

まるでサムライエンパイアっすね。トリアイナが気になるっすが…。

事前に西軍に連絡し、乗騎で空を飛び登場
「ドーモ、おいらは衣更着。家名は家綿。乗騎はテングリーフ。猟兵としてオブリビオンマシンは倒すっす。いざ、尋常に」

【化術】で囮となる【残像】と自身の乗騎を【迷彩】させる幻影を作り、敵の攻撃をスカし【おどろかす】、
その隙にメガスラスターから【ジャミング】効果のある粒子を放出しながら『流星突撃槍』で【空中戦】【ランスチャージ】。
【衝撃波】で計器をめちゃくちゃにして西軍の所に叩き落とし、ジャイアントキャバリア部隊に袋叩きにして貰うっす

「妖怪忍者として正々堂々、化かさせてもらったっす」


バーン・マーディ
…戦乱か
この世界でも東方は存在したのだな

往くぞマーズ
その力を見せるが良い(UC発動)

【戦闘知識】
西軍の陣形と状況
敵の動きの捕捉

【オーラ防御】展開
軍神の剣で近接戦闘を仕掛け
【武器受け】でダメージ軽減
【二回攻撃・怪力・吸血・生命力吸収・鎧無視攻撃・鎧破壊】による怒涛の猛攻

対エンジンキラー
この世界では常識の外だったか?
(動きを止めたマーズから飛び出し
魔剣と車輪剣により直接切りかかる
動きを止めてる間の容赦なき猛攻
貴様自身も影響がない筈はないよなぁっ!!(オーラを纏ったままぶつかり合うのはある意味悪夢のような光景になるか?

コックピットは避けての攻撃だ

エンジンキラーが停止すれば再び乗り込み



『なんとぉぉ!』
 猟兵の攻撃にバランスを崩し、落下していくブレイジング・バジリスクだったが、弓田の叫び声と共に姿勢制御を行うと態勢を取り直す。そこへ西軍側への詳細な連絡を終えた家綿・衣更着(綿狸忍者・f28451)が、愛機『テングリーフ・ホワイト』がトンビのように大空から飛来してくる。

「ドーモ、おいらは衣更着。家名は家綿。乗騎はテングリーフ。猟兵としてオブリビオンマシンは倒すっす。いざ、尋常に」
『……勝負!』
 ブレイジング・バジリスクが吠えるように牙を剥かせながら、衣更着に向けて右腕のライフルを巨大化させながら極光の渦を放った。一発目は牽制用、二発目は回避行動を移るにあたりの予想地点。そして時間差を置いて放った三発目が本命の一撃。いくら空を飛ぶに適した形状であろうとも、空力により急制動はできない。それを狙っての攻撃の前に、テングリーフ・ホワイトが弓田が思い描いた軌道を取り直撃した……はずであった。
 何故ならば、本命の三発目は確かにテングリーフ・ホワイトに命中した。だがそれは、彼の化け術が作り出した残像に過ぎず、ライフルのビームが貫通しても健在なことにそれはデコイだと気づくが時既に遅し。自身の乗機を傾きつつある陽の光に溶け込ませていたジャミング効果のある幻影を解除すると、本物のテングリーフ・ホワイトはブレイジング・バジリスクの目の前に姿を現した。

「へへーん、驚いたっす? 驚いたっすか?」
 どろんバケラーとしての本懐を遂げさせ、顔も知らない弓田の驚いた顔を想像しながら衣更着は満足げにメガスラスターを噴射させる。テングリーフ・ホワイトによる超音速の衝撃波を伴う強力なランスチャージ、その名を流星突撃槍(テングリーフ・アルティメットランスチャージ)。ジャミングと結界術が生み出す瞬間的な超音速の壁を受けると、ブレイジング・バジリスクのコクピット内では計器類の破損を意味するブザーがけたたましく鳴り響いた。

『くっ、形勢はこちらが不利か』
「このままおめおめと逃さん。往くぞマーズ、その力を見せるが良い」
 バーン・マーディ(ヴィランのリバースクルセイダー・f16517)は、自らの覇気によって虚空より召喚した破城神機『マーズ』を飛翔させながら、禍々しい紅きオーラを纏わせてた大型剣『RX軍神の剣』を振るう。本来のブレイジング・バジリスクであれば、躱すのに造作のない一撃であったはずだが、それを可能とするセンサーと計器類は既に死につつある。目と耳を喪ったの同然であれば、当てるのは容易いこと。漆黒のオーラを纏うマーズが吠え、軍神の剣がブレイジング・バジリスクの装甲を切り裂くと、そこの切れ目からコクピットが覗かせ、弓田本人の顔が曝け出される。

『まだだ。まだ終わっとらん!』
 突如、ブレイジング・バジリスクから漆黒の闇が関節の繋ぎ目という繋ぎ目から煙幕のように吹き出している。猟兵達は知っている。あれこそがオブリビオンマシンと化したブレイング・バジリスクが獲得したUC『エンジンキラー』であることを。現に、その闇に包まれたマーズの動きがぎこちなくなり、目の光が喪われつつある。

「ふん、これなる悪あがきを仕掛けるのは我は想定済みだ。この世界では常識の外だったか?」
『なっ…!? 正気か!』
 弓田が驚くのは無理がない。バーンがコクピットから乗り出すと、その姿を現し……二振りの魔剣を携えながらキャバリアへ白兵戦を挑んで来たのだから。

「悪とされたる者達よ。正義という暴力に蹂躙されし者達よ。我はバーン・マーディ。我は今ここに宣言しよう。悪には悪の…正義があると! おぉおおおおおおッ!!」
 バーンは雄叫びを上げると自らにマーズと同じ禍々しい紅きオーラを纏わせ、飛翔しながら魔剣と車輪剣を振りかざす。
 元は人間であったが神へと至った闇黒騎士の鬼気迫る猛攻に、戦国の武将である弓田でさえも恐怖した。益荒男とはかくあるべきものなのか。けして倒れぬ不屈の精神を体現したかのようなバーンの猛攻に、一枚、また一枚と装甲が斬られ、剥がされていく。このままでは丸裸にされてしまうと判断した弓田はエンジンキラーを停止させる。エンジンキラーが止まったことを察知したバーンは、再びマーズに乗り込もうとした。そして、ブレイジング・バジリスクの銃口が再動しきれていないマーズに向けられた。

「やらせはさせないっす!」
 上空より見守っていたテングリーフ・ホワイトが再び衝撃波を放つ。その攻撃に右腕の射線が狂い、バーンとマーズを大きく外して最大出力のブレイジング・シュートが放たれた。

『……制動空力アンカー解除。この恨み、屈辱……忘れぬぞ!!』
 その言葉を残し、ブレイジング・バジリスクはブレイジング・シュートの反動を利用して一気に戦線を離脱していく。ブレイジング・シュートが命中した場所は東軍側の山地であり、そこを熱線により溶解させて生み出した大穴を穿らせていた。あれをまともに食らっていれば今頃は…。

「…援護を感謝する」
「いいすっよ。当然の事をしたまでっす。ところで、彼を追いかけるっすか?」
「いや、奴は既にこれ以上戦えぬまでの手負いである。それに無闇に追えば、次は何をしでかすか分からん」
「了解っす。じゃあ、西軍の陣地でこちらも態勢を取り直すっす。既に連絡は取ってるっすから、補給は受けられるはずっすよ」
「うむ」
 既に日が沈み、地平線からせり出している山々が紅く染まりつつある。オブリビオン・マシンの破壊こそは出来なかったが撤退にまで追い込んだ猟兵達を、西軍のジャイアント・キャバリア達が整列しながら迎え出た。

「えいえい、おー!」
「「えいえい、おー!!」」
 先頭の指揮官と思わしき甲冑姿のジャイアント・キャバリアが鬨の声を上げると、配下のジャイアント・キャバリア達もそれに続く。冬の到来が近いと思わせる急激に冷え込む闇の中、彼らは味方である猟兵達を歓迎し宿営地に招き入れるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『応急修理』

POW   :    手近な場所から修理材になりそうな資材を拝借してくる

SPD   :    破損箇所を器用に修理し、当面の安全と操作性を確保する

WIZ   :    破損箇所に新たな機構を仕込み、実験的に新機能を搭載する

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 すっかり日が落ちて暮れた頃、合戦場となった場所より少し西へ行った所にある城砦のような丸太の塀で囲まれた砦へ猟兵達は招かれた。
 鉄張りの堅固な門を、銃後の守りに付いていたジャイアントキャバリアらによって開門され、失踪したオブリビオンマシンの夜襲に備えて警備を行う者のみを外に残すと重低音な音と共に門は閉ざされた。
 どうやら砦全体はキャバリアサイズで築城されており、恐らく人の手ではなくジャイアントキャバリアにより築かれたのだろう。この砦を任されてる先程の合戦で采配を振るっていた大将が猟兵達に現れると再び礼を述べた。

「何処の国の者とは存ぜぬが、やはりそなた達は猟兵と申す者達であったとは。その武勇は大陸よりの商人や軍事顧問らから常々聞いている。ご助太刀、誠に痛み入るばかりだ。改めて礼を申す」
 そしてせめての礼にと、この砦内に備蓄している輜重を提供すると申し出た。その内訳は、ジャイアントキャバリア用の槍刀、損傷した甲冑を修復するための装甲材、損傷を受けたジャイアントキャバリアの欠損部位を補う為のものであろう輸入されたキャバリアのジャンクパーツなどなど。幸いにもエネルギーインゴットの補給は見込めるが、ミサイル火器類の弾薬はこの国では製造する術がなく輸入に頼らざるを得ない貴重品ともあって代用品を探すのは厳しいであろう。
 何かあれば兵の者に手伝わせるので遠慮なく申すと良いと告げ、彼は軍議があると残して傍役の兵と共に陣の奥へと消えた。

 もし大きく損傷を与えたオブリビオンマシンが猟兵達への復讐にこの砦を襲撃しようとも、警戒と監視を行っている西軍の兵が知らせてくるだろう。彼らの好意に甘えて、こちらも態勢を整えるもの良し。十分な休息をとって明日に備えるのも良し。猟兵達は各々に別れ、オブリビオンマシン、そして弓田との再戦に向けての準備に取り掛かるのであった。
アイオライト・セプテンバー
ブレイジング・バジリスクは離脱したようね……
とりあえず戦えてはいたけれど、自分の戦闘を振り返ってみれば、チャフとデコイに翻弄された結果になったかしら
……やつともう一度相まみえる時には、対策を考えないと

まずは戦闘を終えた後のキャバリアの整備と行きましょう
概ね、応急処置はできそうだけれど……それだけじゃ足りないわね
ここでは消費したミサイルの補給も難しい、となれば……

ミサイル装備を全て外すわ
代わりに、ここで手に入る限りのキャバリア用ブースターがあれば、それを機体各所に搭載
装甲の低下は飲み込みましょう

不格好だけれど……敵機が三次元起動を武器にしてくるなら
こちらにもスピードだけじゃない、機動力が必要よね



 篝火台に積まれた焚き木がパチパチと爆ぜ、飛び散る火の粉が夜風に乗って空へと舞う。炎の揺らめきでほんのりと紅く照らされるクロムキャバリア『ブルーテイル』を前にしながら、アイオライトは先刻の戦いを振り返っていた。

「ミサイルの一斉射撃までは良かったよね。ただ、そこで……」
 一瞬ではあったが、ブレイジング・バジリスクのパイロットが動揺したような素振りを見せていた。後になって分かったことだが、彼の国では精密機器の塊でもあるミサイルを製造できるプラント並びに技術はないとの事。海を隔てた先の国からの輸入という手立てこそはあるもののそれしか無いからこそ、これがあるなしで戦いが左右される戦略物資並の希少性である。ならば、それを惜しむ事なく個人が放てば上級武士であろうとも面を食らうのは必定的であった。
 だが、問題はそこからだ。ブレイング・バジリスクに搭載されていた対ミサイル防御用のチャフやフレアと言ったデコイを撒かれ、結果的に翻弄される結末となった。そしてミサイルこそは無いものの、ネックとなっている誘導機能や複雑な発射機構が搭載されていないロケット弾は幸いにも先人たちのリバースエンジニアリングを経て生まれた焙烙弾と呼ばれているものが生産可能であり、こちらについては揃っているようだ。

「……決めた。ミサイル装備を全て外すわ」
 例え代用した所で、オブリビオンマシンのパイロット……弓田にはもう通用しないだろうとアイオライトは決断を下した。

「ねぇ、ここの物資にキャバリア用ブースターはないかしら?」
「ぶぅすたぁと申しまされると、噴進筒の事ですかな? ええ、ありますともありますとも。ささ、これですぞ」
 ここの輜重管理を任されているまげ姿で丸メガネを掛けた担当者に案内されると、随分と使い古されたキャバリア用ブースターは確かにあった。彼が言うには、遠い異国の地より貿易を通じて運び入られた物。ただ、こちらではキャバリアを加速させるためではなく、武器に取り付けて得られる推進力によって破壊力を増させるのが主流でもある。払下げとは言え整備は完了しており、何よりも推進剤はエネルギーインゴット由来なのでそちらの心配は考えずに済むのがありがたい。

「じゃあ、これを頂くわ。それを機体各所に搭載するのを手伝って貰えます?」
「心得ましてござりまする。おーい、コイツを運んでくれ!」
 アイオライトの注文を受けた担当者が配下の作業員が搭乗しているジャイアントキャバリアに指示を送ると、衣を纏った巨人がブースターを運び出す。そしてそれらを分解しながら、ブルーテイルのミサイル装備発射装置を外していった。

「不格好だけれど……敵機が三次元起動を武器にしてくるなら、こちらにもスピードだけじゃない、機動力が必要よね」
 彼女も作業員にどの大きさのブースターをどこに取り付けるか指示を下しながら、まるでトゲのようにブースターをせり出させていく愛機の現地改修を行っていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

家綿・衣更着
キャバリアに限らず、武器のメンテナンスは大事っす

『キャバリア憑依の術』で妖力を流して自分の体のように各部をチェック。
調子の悪い所を修理し傷んだ装甲材を張り直し。投擲物を確保。
「キャバリア用手裏剣はないっす?」

【コミュ力】で西軍の人たちと交流。
「ジャイアントキャバリアかっこいいっすね!砦も立派っす」

東西についてとかトリアイナとの交易とか。この場も話題先も、オブリビオンマシンに憑りつかれてる人がいないかそれとなくチェック。
こちらも猟兵とオブリビオンとか大陸の情報とかキャバリア情報とか、知ってる事を大丈夫な範囲で【化術】も利用して伝え【おどろかす】(東方妖怪の食糧)

交流後は休んで襲撃に備えるっす



「キャバリアに限らず、武器のメンテナンスは大事っす」
 衣更着は自らの妖気を『キャバリア憑依の術』でテングリーフ・ホワイトに流し込み、まるで身体を循環する気の流れに異常がないかどうか各部の損傷度合いを確認していた。トンビのように尖った鼻先にあやかしメダルを貼り付けられ、誰かが乗っているかのように彼の動きに合わせて動くがなんとも言えないシュールな光景だったのもそうだが、何よりも天狗によく似た舶来のクロムキャバリアだったのが手が空いて半ば見物人となっている兵士達の心を捕らえてもいた。

「調子の悪そうな所や破損している箇所はこんな所っすね。ところで、キャバリア用手裏剣はないっす?」
「手裏剣か。あるぞあるぞ。棒か? それとも十字の車剣か?」
 わいわいと大の大人達が開けられた木箱から黒塗りの手裏剣を数人がかりで持ち上げてみせる。昼間の戦いでは圧倒的な力を誇るオブリビオンマシンに対し、死をも恐れぬ戦いぶりを見せたもののふとは思えない姿だ。やはり自国の妖怪に似たキャバリアが忍者のように戦うのには、屈強な男達でさえ思わず童心に帰らせてしまうものはあるのだろう。

「ありがとうっす。これもジャイアントキャバリア用みたいっすけど、手裏剣は使わないっすか?」
「心得があって使う奴が居れば使うところじゃのぅ。若しくは忍びの者のが操る鬼兵用じゃな。儂らには弓矢の方がよう飛ぶし、こっちが性に合っている」
「この国に忍者のジャイアントキャバリアも居るんっすか!? 想像するだけでもかっこいいっす! それに皆さんの鎧甲冑姿なジャイアントキャバリアかっこいいっすね! 砦も立派っす」
 それは苦労してここを死守し続けてきた甲斐があったと、兵達が笑い合う。

「そう言えば、何でこの国は東と西に分かれているんす?」
「それはの。こちら側は公家様や御所を中心とした国作り、向こうは侍が中心となった国作りをしようという相違によるものじゃ」
 異国より伝来したキャバリア技術はこれまでの戦に革新を与えた。それはそれぞれの諸国もそうであったが、長らく武士社会の影に隠れていたかつて栄華を極めていた旧勢力であり、傀儡同然であった公家社会も同様であった。彼らは持ち前の政治力で所領にプラント設備を建立し、そこから生まれるジャイアントキャバリアを武器に武士社会へ反旗を翻したのだ。そして今や西は朝廷の意に従い恭順する勢力『大和連合国』。東は西から落ち延びた旧武士政権勢力とそれに呼応する侍達による『武蔵連合国』という構図となっている。

「……中々根の深い問題のようっすね。じゃあ、弓田さんのご先祖様も元は旧武士政権側だったんすか?」
「それはどうじゃったかのぅ…。なんせ、御所を敬う大名は東国にも居たという話じゃ。今は小競り合い程度じゃが、その昔は押し合いへし合いの大合戦がここで何度も繰り広げられておる。兵力や武術に関しては東武士が上じゃが、こちらは西の港を拠点にしておる南蛮貿易で伝わる舶来の武器で何とかやってる感じじゃ。新しき戦の方法が次々と生まれれば、鞍替えするのも無理はなかったと思うぞ」
「西の港での南蛮貿易…つまり、トリアイナとかっす?」
「そうじゃ。昔から何かと武器を売りつけてくるが、こう使い古したものばかり寄越されては儂らも戦働きがままならん。そこに目をつけて、最近は他所の国からの船がよう来ておるな」
 開かれた国際港を持つ西国が有利に思えるが、戦いに秀でた武門の出に事困る現状が何時終わるのかも知れぬ戦の世を続かせている遠因になっているのだろうか。ただ今回は海外から武器を輸入できる利点が仇となり、現在のオブリビオンマシン騒動が起きているのは何という皮肉か。そして、侍達の話を聞いていた衣更着はあることに気づく。

「と言う事は、この国にもジャイアントキャバリア以外のキャバリアが他にも居るって事っすよね」
「ああ、御所より授けられた借りの土地。それに港の警護に当たったりとな。確か、どんなのじゃったかのぉ…」
「もしかして、こんな感じっす?」
 いたずらっぽくニヒヒと笑いながら衣更着が印を切り、どろんと煙を上げると……そこには水陸両用量産型キャバリアのウォッグがそびえ立っていた。それには流石の鬼をも恐れぬ侍達が慌てふためき、やれ一目入道だのやれデカい河童だの騒ぎながら腰を抜かしてしまう。そして再びドロンと煙が巻き上がれば、衣更着が元の姿でちょこんとしている。

「なんじゃ…主は化生の類いじゃったのか。ほんに驚いたわ」
「全くじゃ。すると、他の南蛮伽伴罹阿にも化けれるのか?」
「勿論出来るっすよ。お安いご用っす」
 そうして衣更着は今まで出会ったキャバリアの姿に化けてみせると、今度は歓声が湧き立つ。彼らも慣れたのかジャイアントキャバリアを持ち出すと、衣更着も思わず悪ノリしてしまい、数々の戦いで彼らがどう戦ったのか。遠く異国の地で海の先にある国を知らぬ者に伝え見せる。
 何時しか周りでは酒や肴を持ち寄って宴会めいた感じになりつつあったが、それは彼も同じこと。人を驚かすことでその感情を自らの糧とする東方妖怪冥利に尽きるばかりであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

支倉・錫華
さて、一時の休息ってやつかな。
アミシアも実体化しておいでよ。ひと息つくにはムードはないところだけど、
雑多な感じはそれなりに楽しいよ。

一段落したら、次への準備だね。

アミシア、この子直して、再チューンするから手伝ってもらえるかな?
あの感じだと、いつもの近接系より、狙撃系で援護していったほうがいいかもしれないからね。

遠距離仕様にしちゃおうと思うけど、
ここでは弾薬がけっこう貴重品らしいし【ホバーキャリア】にあるのを使っておこう。
弾頭は装弾筒付翼安定徹甲弾で行くよ。
請求できるならあとですればいいし、できなければ帰ってから補給すればいいしね。

初戦では普通の弾だったけど、次は当たったらただじゃすまさないよ。



「さて、一時の休息ってやつかな。アミシアも実体化しておいでよ。ひと息つくにはムードはないところだけど、雑多な感じはそれなりに楽しいよ」
 キャバリアの変化をする猟兵の周りに人集りが出来ている場所から離れた所で、錫華は自らのキャバリアに語りかけると、彼女の言葉に応じてパートナーユニット『アミシア・プロフェット』が実体化プログラムでその姿を現した。ユニット周辺のみに限定されるが、それはホログラム体ではなくれっきとした生身の身体であった。
 アミシアはおずおずと不安そうに周囲を見渡すが、錫華は大丈夫怖い人は居ないからと、彼女の不安を拭い去る。そして陣地から提供された粗食をアミシアと共に食べ終えて暫く歓談した後に、錫華はキャバリアと一緒に持ち込んだホバートラックに積んでいる資材を下ろす為のテロップを開かせた。

「一段落したし、次への準備だね。アミシア、この子直して、再チューンするから手伝ってもらえるかな? あの感じだと、いつもの近接系より、狙撃系で援護していったほうがいいかもしれないからね」
 錫華からの頼みに、アミシアはこくりと頷いて応えた。錫華がホバーキャリアに積んでいる装弾筒付翼安定徹甲弾が収められた弾薬コンテナの四隅にフックを掛けると、彼女の合図と共にアミシアが備え付けの小型クレーンを操作して荷卸をしする。そしてここからが地味な肉体作業となる装填だ。流石に明日の決戦で疲労を残してはと言うことで、ここでは男手に頼ることにした。幸いな事にというか、予想通りというか、おなごの頼みであれば無下に断れんと兵達は乗り気であった。なので、弾薬コンテナからの搬出と装填は西軍の兵達、端末を操作してのプログラム書き換えによる再チューニングはアミシア、錫華はその両方を行き交いながら指示を行う形となり、作業は順調に進んでいく。

「そう言えば、弾薬はけっこう貴重品って聞いたけど、この弾もそうなの?」
「そうじゃのぅ。儂らが人間が使う銃の弾薬程度なら賄えるが、大陸で作られる武器に関してはどうやって作っているのか皆目見当がつかなんだ。売りつける側としては舎密を伝えては商売上がったりになるのは分かるが、ほんにケチなもんじゃ」
「ふぅん。じゃあ、手に入らないんだ」
「いや、手に入らんことはない。魚心あれば水心、人の心は懐でどうにかなりおる。つまりは、駐留する大陸の商人か警護する者達から横流しをして貰う所である」
 国は違えど人心掌握術は一緒なのかと、彼女はかつて存在していた故郷に起きた出来事と重ね合わせる。売りつける側としては敢えて売らないことでわざと希少性を高め、結果的に裏取引という形で大枚を巻き上げる。商人とは真にしたたかな物である。

「すると、お金さえ積めば手に入る物なら、あとから請求できる訳なんだね」
 冗談めいてそう喋ると、じゃあ大将の懐からだの儂らの報酬から差っ引かれるだのと兵たちが笑い合いながら彼らも冗談交じりに喋り合う。まぁ、同じ物であるならば、無理にこちらで請求しなくても良い。同じ物が交易を通して値段が倍以上にも差が出るのであれば、大陸では適正価格で買える分の代金を請求するまでである。
 そうして、弾薬の入れ替えと再チューニングの作業は夜更け前に終わった。

「お疲れ様、アミシア。さ、明日に備えて早く寝よ」
 兵隊も役目を終えると各々の寝床へと帰り、それを見送ったアミシアも実体化を解除してキャバリアの中に戻っていく。ホバーキャリアにある寝床へ入る前に錫華は改めて仕上げた自らのキャバリアを見上げながら、今日の戦闘を振り返りつち明日への戦いのイメージトレーニングを入念に行う。

「初戦では普通の弾だったけど、次は当たったらただじゃすまさないよ」
 それを終えて今日のリベンジを胸に秘めながらホバーキャリアへ戻ると、錫華はすっかり冷え込んだ身体を毛布を包んで空調で暖を取る。そうして暖かい心地から来るまどろみに身を任せ、ゆっくりと眠りに付くのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『輝光神機『ロクシアス』』

POW   :    BSプラズマライフル『黄金の矢』
【プラズマライフルのレーザーサイト 】が命中した対象に対し、高威力高命中の【プラズマ化した超高熱熱線】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    高速戦闘演算機構『予言の神』
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【BSプラズマライフル 】から【相手の回避行動を読み切った超連続射撃攻撃】を放つ。
WIZ   :    対人虐殺機構『疫病の矢』
自身の【機体全身 】から【疫病ウィルス型ナノマシン】を放出し、戦場内全ての【キャバリアに乗らない生身での戦闘行動】を無力化する。ただし1日にレベル秒以上使用すると死ぬ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はテラ・ウィンディアです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 砦での一夜が明け、東から日が昇る。朝日の熱で生じた朝霧が野を霞ませ、雲海が周囲の山々を覆い隠しているそんな幻想的とも思える山野の夜明け中、叩き起こすかのような金属の音がけたましく鳴り響いた。それは襲撃を知らせる早鐘で、猟兵やジャイアントキャバリアの鬼兵隊が一同に迎え撃つ準備に取り掛かった。

 それは、昇る日輪を背にしていた。太陽に生じた黒点のようなシルエットは、ブレイジング・バジリスクだった面影のみを残し、異質な姿へと変貌させてる。
 『輝光神機『ロクシアス』』……それがかつてブレインジング・バジリスクであったオブリビオンマシンが進化、いや神化した姿である。機体修復を行うナノマシン装甲がオブリビオンマシン化して暴走した結末か、それとも…。いや、考えるのは後にしよう。今は輝光神機ロクシアスの機能を停止させ、そのパイロットである弓田を救い出すのが先決だ。
 輝光神機ロクシアスは背にしていた太陽から落ちるように離れ、機体の全身から朝日に反射して輝くナノマシンを放出しながら迫り来るのだった。
アイオライト・セプテンバー
※アドリブ歓迎

姿を変えたか、オブリビオン
先ほどとは物が違う……こちらの攻撃を完全に読んでいるというの?

良いでしょう
未来を読む力を封じる術は私にはない。ならば――読んでも意味のない速さへと、到達するしかない

自機【ブルーテイル】の全リミッターを解除、【バースト・モード】発動
2章で追加装備した全ブースターを点火し【推力移動】
強烈なGがこの体を蝕むけれど、構わない

面や線の軌道では捉えられる――「点」の軌道でいく
両腕のビームシールドを全力展開
一度距離を取って助走をつけ、敵機へ向けて突貫

ビームシールドを纏わせたキャバリアの、両の拳
もう一つのユーベルコード【ライトニング・パイル】で、撃ち抜く

神風を見せてやる



「姿を変えたか、オブリビオン」
 昇る旭光の如く現れた、かつてはブレイジング・バジリスクだったモノ……輝光神機『ロクシアス』の姿。このクロムキャバリアの世界地図上では極東に位置しており、太陽が一番最初に昇る国である事から国号として名付けられた日出ずる国、日出国をまさに体現したモノだ。ブレイジング・バジリスクであったかつての面影はあるものの、旭日昇天の勢いのままなその機動性は別物であった。

「先ほどとは物が違う……こちらの攻撃を完全に読んでいるというの?」
 アイオライトが放ったライフルの弾幕を、ロクシアスは日輪を象った飛翔装置を輝かせながら掻い潜る。単純に回避した、といえばそれまでだが、彼は確かな違和感を覚えた。それはまるで……こちらの動きに反応しての回避行動ではなく動きを予め知っていたかのような機動であったのだから。
 まるで先日の立場が逆転したかのように、ロクシアスはBSプラズマライフルを放つ。即座にアイオライトは回避行動に移るが、突如背筋に冷たいものが走る感覚に襲われる。

 ――そのまま回避しては危ない。
 外部センサーによる計器の警報とは別の、本能による警報が頭に鳴り響き、無意識的に操縦桿を反対方向に動くよう操作する。急制動が掛かりその反動で身体が激しく揺さぶられる。そして、その嫌な予感は的中した。
 ロクシアスが放ったBSプラズマライフルは結果的に言えば外れた。だが、それは紙一重であった。プラズマ弾はあのまま回避行動を取らなければアイオライトが居た場所を通過し、愛機の装甲に塗られた白い塗料が掠めたプラズマ弾が放つ熱で蒸発した。損傷を伝えるアラートが遅れて鳴り響く中、アイオライトは確信する。奴は動きを読んでいると。

「良いでしょう。未来を読む力を封じる術は私にはない。ならば――読んでも意味のない速さへと、到達するしかない。少しばかり、付き合って貰うわよ……ブルーテイル」
 操縦桿を握ったまま親指の腹でボタンを押すと、自機のブルーテイル……いや、ブースターを増設して現地改修を施したブルーテイル・ダッシュのツインカメラアイが強く光った。4枚のバインダーが展開されると同時に機体の全リミッターが解除され、それに伴い全ブースターが一斉に点火される。

「っ……流石に、しんどいわね」
 急加速すれば、先程の一瞬のみであった急制動と同等の強烈なGが全身に掛かり、アイオライトの身体を、ブルーテイル・ダッシュのフレームを軋ませる。その重圧に眼球が押しつぶされそうな錯覚を覚えるが、彼は目を見開きながらロクシアスを追う。その追撃を振り切るように、再びBSプラズマライフルを構える姿がカタカタと揺れるモニター上に映し出されるが、より操縦桿を引いて更に加速を強めた。

「アレが機械じかけの神なら…こっちも神風をみせてやる」
 面や線の軌道では捉えられる――「点」の軌道でいく。どうせ読まれているのであれば敢えて躱さず、そのまま受け止める。ブルーテイル・ダッシュの両腕に内蔵されたビームシールドユニットが展開され、光の盾がプラズマ弾を対消滅反応で減衰させるとその衝撃が機体に走ったが、それでも加速を緩めない。だが、ロクシアスを操縦する弓田は一つの弱点に気づくと、そこを狙い撃つ。それは盾と盾の僅かな隙間にある肩の接続部。三射目のプラズマ弾は再びビームシールドでかき消されるが、その隙間を抜けたプラズマ粒子の残滓がブルーテイル・ダッシュの関節部を貫通させ、エネルギーバイパスを損傷させた。
 片腕のビームシールドの出力が落ち、光の盾の輝きも虚ろとなって消え消えとなる。そこを再び撃てば、BSプラズマライフルはシールドを貫くだろう。突発的な事態にアイオライトは心の中で舌打ちをしたが、全てはまだ終わっていない。まだ片腕が残っているのだから。
 全身に掛かるGに震える手で損傷を受けた腕へのエネルギー供給を止めると、残った片腕にその分のエネルギーを供給させた。最大出力となったビームシールドは腕全体を覆うように拳にと集約されると同時に、ついにロクシアスに追いついた。間髪入れずに放たれたプラズマ弾を、機体を翻しながら残された拳で迎え撃つように破壊する。

「とっておきよ! 有難く食らいなさいッ!」
 ビームを纏わせたブルーテイル・ダッシュの突撃を、ロクシアスは既の所で回避して直撃を避けた。だが、アイオライトの捨て身の一撃は、一陣の風となって吹き抜け、ロクシアス後部に備わっている日輪を象る飛翔装置の一部を破壊させたのだった。

『くっ、バランサーがイカれたか?』
 飛行ユニットが損傷を受けたことでロクシアスが機動性を落として持ち直そうとするのを、アイオライトは大きく弧を描くようにブルーテイル・ダッシュを旋回させながら遠くから確認する。

「これで、おあいこね」
 限界を超えたバーニア噴射でレッドゾーンに入りかけている警報がコクピット内に鳴り響く中、徐々に加速を落としながらアイオライトは機体の損傷をチェックするのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

家綿・衣更着
連携アドリブ歓迎

おいらの騙しの術と偽神の予測どちらが上か勝負っす!

スラスターで【ジャミング】粒子を撒き、【化術】でキャバリアの見た目を誤魔化す【迷彩】。さらに手裏剣に自らの毛をつけ【化術】で質量を持った【残像】に変化。出来る限り演算妨害っす。
残像の囮と【見切り】で攻撃回避し、被弾は【結界術】で被害軽減っす。

『流星突撃槍(フレーバー)』で【空中戦】し、『必殺武装召喚』で強力なビームアンカーを出し抱き着くように2機を接続っす。
「そのライフルは接触状態では使えないっす!」

その状態で落下、敵の動きの阻害に専念し、とどめは鬼兵隊や仲間に頼む。
「人心惑わす悪機の首を落とすっす!」

戦後弓田さんを【救助活動】



「おいらの騙しの術と偽神の予測どちらが上か勝負っす!」
 輝光神機『ロクシアス』が先程のキャバリアによる突撃へ注意を奪われていた隙に、衣更着はテングリーフ・ホワイトで側面を取る。機体のスラスター噴射による光の残滓ひとつひとつがジャミング粒子となって上空を漂い、それがロクシアスの感知を遅らせる事となったのであるが、ユーベルコード覚醒者にしか扱えず人類を新たな進化に導くと言われるキャバリア最精鋭機たるクロムキャバリア『テングリーフ・ホワイト』が衣更着の化術に呼応して、機体全体が周囲の空と同化するようなステルス迷彩を纏ったことでパイロットである弓田の目を誤魔化していた。
 故にオブリビオンマシンが猟兵である衣更着の存在を探知する頃には、接近を許していた。BSプラズマライフルを向けるが距離が近すぎる。距離があれば先程のように接近される前に演算された未来を撃てば良いが、取り回しの効かないライフルの銃身が仇となり思うように演算結果が定まらない。

『ならば』
 それなら接近戦に持ち込むだけだと、ロクシアスはBSプラズマライフルの銃口から形成されたプラズマ粒子の刃を展開させる。飛翔ユニットの一部が損傷を受けたが、まだ空間戦闘を行える。銃剣が空間を薙ぎ払うと手応えはあった。しかし、それはテングリーフ・ホワイトの形をしたデコイであった。

「だまされたっすね。それはおいらの毛を手裏剣に付けて作った残像の僚機っす」
 機体の周囲をも包み込むジャミング粒子で解析がままらない中、二つの演算結果が算出された。ひとつはロクシアスの周囲には数機のキャバリア熱源が機体を囲むように飛び交っていること。もうひとつは…ここにとどまらず『矢を迎撃せよ』との結果だ。

「放てぇッ!!」
 風を切りながら、地上のジャイアントキャバリア部隊が矢を一斉に射る。そう、ロクシアスが相手にするのは猟兵のみであらず、西軍の鬼兵隊もである。目先の相手に注意を奪われた弓田は、BSプラズマライフルを銃剣モードからライフルモードに切り替え照準を合わせる。狙うは機体を直撃させる矢群のポイント。連続速射させたプラズマ弾はそのポイントに向け放たれ、その機を衣更着は待ち望んでいた。

「ついに背中を向けたっす! 武装召喚! この装備でお前を倒すっす!」
 ステルス迷彩を解いて姿を現したテングリーフ・ホワイトのボディから猛禽類の爪を思わせるビームアンカーを展開させ、ロクシアスを背後から組み付いた。

「そのライフルは接触状態では使えないっす!」
 ロクシアスを盾としながら、テングリーフ・ホワイトを迫りくる矢に向けて急降下させた。ロクシアスが開けた穴で矢の直撃こそは避けながら装甲や飛翔ユニットを削っていくが、結界術で簡易的なバリアを貼ったテングリーフ・ホワイトはそれらを弾き返す。そして、地面が近づいた時にロクシアスを離して地面へと落下させた。

「これで弓田さんが気絶すれば良いんすが…」
 テングリーフ・ホワイトから衣更着は心配そうに土煙が舞い上がる地上を見下ろす。オブリビオンマシンとしても、パイロットが死傷、または気絶すれば稼働しない。長い間搭乗した事により機体に取り込まれて生体ユニット化してれば話は別だろうが、冬の朝の寒空に一縷の望みのような細長い飛行機雲を引かせながら、衣更着は機体をトンビのように再び上空へと飛翔させた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

支倉・錫華
なんだか目立つ機体になっちゃってるけど、
あれはナノマシン装甲のせいなのか。

ま、今回は射撃仕様だし、
目標が見やすいのはいいことだよね。

APFSDS……。
今回の弾は特別仕様だからね、しっかり当てていくよ。

近接のほうが性にはあってるけど、射撃ができないわけじゃない。

それに弾数にも限りがあるし、
あんまり撃ち過ぎても請求できそうにないしね。

アミシア、まずは観測射撃。
第一射で状況把握と弾道補正をよろしくね。

一撃当たったら【ディレイ・アタック】で追尾狙撃していくよ。

この距離から駆動部狙いっていうのは、
なかなかだと思うけど、こういのこそ腕の見せ所だよね。

弓田さんには、
これからも民のために生きてもらいたいし、ね


バーン・マーディ
あの黄金のキャバリア
この東洋の国には随分と場違いな様子だが

我らも同じような物か

そしてマーズよ…やはりあれは貴様と同じ物か…?(微妙に抗議の気配。一緒にされるのは心外らしい。同時に向こうからも同じ気配を感じ

よい
粉砕することに変わりはないのだからな

【戦闘知識】
過去のロクシアスとの交戦の記憶と目の前の敵の癖の相違を把握

【オーラ防御】展開

やはり避けられる気はせぬな

UC発動
だが問題はない

我らに降りかかる大難は須らく粉砕する

【武器受け】と破壊のオーラで敵の攻撃を軽減しながら【切り込み】で接近

【二回攻撃・怪力・鎧無視攻撃・鎧破壊・吸血・生命力吸収】で切り裂き破壊しそのナノマシンさえ乗っ取り機体回復に利用



 猟兵の手によりオブリビオンマシンが空中から地面へと叩きつけられた地点でもうもうと土煙が舞う中、この地に居る者全てが固唾を飲んだ。

 ――やったか?
 人の背丈をゆうに超える枯れススキに身を隠した足軽達がキャバリアから弓田を引きずり出すべく、ジャイアントキャバリアが背後でいざという時の援護態勢を取っているのを背に、萱原を静かに掻き分けながら進んだ。そして一つ距離が離れた場所で土煙が止むをのを待つ。誰もがロクシアスが活動を停止していることを願う中、それは起きた。

「ぐっ…」
「お、おい! どうした!?」
 足軽の一人が胸を押さえながら槍を支えとしながら倒れ込むのを介抱しようとした者も同じように倒れる。幾人も同じ様相を呈する中、土煙の中から強くモノアイが発光した。…オブリビオンマシン・ロクシアス、そして弓田は健在であった。その姿を現すと、機体の装甲から剥がれたナノマシンの残光が風の乗って舞い飛んでいる。彼らはオブリビオンマシンが発する疫病ウィルス型ナノマシンに蝕まれていた。控えていたジャイアントキャバリアが救出しようと弓を射ようとするが、BSプラズマライフルにより弓ごと腕を蒸発される。万事休すかと思われる中、錫華はターゲットスコープ越しにロクシアスの姿を捕らえていた。

「なんだか目立つ機体になっちゃってるけど、あれはナノマシン装甲のせいなのか。ま、今回は射撃仕様だし、目標が見やすいのはいいことだよね」
 錫華は機体に葦原を纏わせ、あたかもギリースーツさながらな偽装を施していた。機体から発する熱も最低限とし、遠目から見ればこんもりとした小高い丘にススキが生えていると思うだろう。

「APFSDS……。今回の弾は特別仕様だからね、しっかり当てていくよ。アミシア、まずは観測射撃。第一射で状況把握と弾道補正をよろしくね」
 了解しましたとコクピット内にパートナーユニット、アミシア・プロフェットの事務的な声が響く。全てが終わった後で請求しようにも弾数にも限りある中、撃ちすぎてしまっては双方にとって痛い出費となってしまう。そこで彼女は狙撃戦を選んだのだった。
 偽装された砲口がアミシアの補助を受けて修正されつつ、ロクシアスへと向けられる。モニターの照準が重なったその瞬間、錫華は撃鉄を落とした。

『ちぃ、伏兵か!?』
 弓田は遠くで何か光るものが見えたと思った次の瞬間、ロクシアスの左肩を撃ち抜かれて狙撃されたと確信した。だが、それにより撃った場所は特定できた。
 BSプラズマライフルの銃口を流しながら錫華が身を隠す地点へと向けようとしたその時、何者のかによって西軍が使っているジャイアントキャバリア用の槍が投擲される。それを銃身で払った先に居たのは、バーンが座するマーズの姿だった。

「あの黄金のキャバリア…この東洋の国には随分と場違いな様子だが、我らも同じような物か」
 ――そしてマーズよ…やはりあれは貴様と同じ物か…?
 彼は対峙してい姿を変えたオブリビオンマシンを今だ正体が掴めない謎めいた破城神機『マーズ』と重ね合わせ、心の中で問いかける。
 軍神からは明確な声は帰ってこない。しかしその意志は確かに彼の問いに応え、バーンへマーズの意識が流れ込んでくる。それは抗議しているかようで、オブリビオンマシンと一緒にするなと言っているようでもあった。

「……なるほど、一緒にされるのは心外であると。よい、粉砕することに変わりはないのだからな」
 接近戦に持ち込まれると判断した弓田がBSプラズマライフルを銃剣モードに切り替えるのを前にし、バーンも大型剣にエネルギーを纏わせながら悠然と構える。先に動いたのはロクシアスの方だった。先程狙撃を受けたが、仲間を誤射する危険を犯す状態に持ち込めば第二射を防げると踏んだからだ。
 大地に叩きつけられた上で隻碗となったロクシアスであったが、その動きは損傷を受けていないと思うばかりに健在であった。半ば暴走状態のナノマシン関節部の潤滑剤代わりとして機能して補わさせていた。

「やはり避けられる気はせぬな」
 その猛攻は苛烈で、バーンを防戦を強いられていた。しかし、彼は以前に交戦したロクシアスの同型機との交戦の記憶と今戦っているロクシアスの相違点を、剣戟を捌きながら見極める。それは死中に活路を見出す剣、彼が知る東国のサムライと似ている全てが必殺の一撃であると。

「だが問題はない。我らに降りかかる大難は須らく粉砕する」
 全てを理解できた。
 再びプラズマの刃を受け止め、剣に纏わせたオーラと反発させる中、マーズの瞳が朱く鋭い眼光を発した。

「マーズよ、破壊の神としての力を見せるが良い。今ここに叛逆の刃を突き立てん!!」
 バーンの叫びに呼応して、マーズの外装が赤熱化して紅き炎が噴き出る。軍神として、破壊神としてのその力を解放したマーズは、その力を持ってプラズマの刃ごとロクシアスを弾き返す。

「この距離から駆動部狙いっていうのは、なかなかだと思うけど、こういう時こそ腕の見せ所だよね」
 今まで激しく切り合い白兵戦を繰り広げていた2機の姿をスコープ越しに見守っていた錫華は、ホログラフィックポインターでマーズから離れて無防備となったロクシアスを多重ロックし、立て続けに砲撃を執り行った。
 一射目はBSプラズマライフルに命中し、APDSFSで貫かれたそれは貫徹孔から炎を吹き出して爆散した。それに気を取られる事を予測してのニ射目は、脚部の関節部を貫いた。ナノマシンによる補助が効かないまでの大穴を開けられ、隻腕隻脚となったロクシアスは態勢を崩してしゃがみ込み、その前に燃え盛る炎を纏ったマーズが静かに歩み寄る。

『…もはやこれまで。斬れ』
「斬らせて貰う…だが」
 マーズは軍神の剣を振りかざし、ロクシアスのボディを袈裟懸けした。だが、それは皮一枚を残させる剣筋で、切り裂かれたオーバーフレームからコクピットブロックを覗かせると、バーンはそれを鷲掴みにして心臓に繋がれた血管さながらのコード類を引き千切らせながら取り出す。それをオブリビオンマシンから離すようにジャイアントキャバリアへ投げ渡すと、再び大型剣を両手で握り、朝日に剣先を向けながら高く掲げた。

「斬るのは貴様ではない。このオブリビオンマシンだ」
 振り落とされた大剣がロクシアスの頭部からアンダーフレームごと叩き潰すかのように切り裂く。剣に纏う万物を分解するオーラが漆黒の炎となり、ロクシアスの残骸を包み込む。そうして機械仕掛けの偽神は徐々に塵と化していくのであった。



「では、後は我らが」
 コクピットブロックから引き釣り出されて捕らえられた弓田は、罪人を護送する上を竹の網で覆った丸駕籠に入れられ国元へと戻された。猟兵に課せられた使命は、あくまでもオブリビオンマシンの破壊、これから先は越権行為である。猟兵達は見送りながら彼の無事を案ずるしかないが、かれらを一晩もてなした陣の指揮官が案ずるなと呟いた。

「鬼兵も作り出された時に人心を狂わせる邪鬼が生じる事もある。我らの殿も同じ案件と重々承知で、弓田を生け捕りにせよと仰せつけられておる。それはお裁きを与える為ではなく、この件で恨みを持った奴らから身を護るための措置でもある。その点はご安心くだされ」
 それに、と彼は続ける。詳しくは知らないが、弓田の祖先は今仕えている主君とは盟友で親交が深かったそうだ。だが、それは東西間の勢力抗争で裂かれることとなり、なし崩れで幾度か刃を交わし、彼の祖先も大層心を痛めたそうだ。裏切りの切っ掛けとなったのもそれで、東軍からかつて盟友の窮地を救うべく挙兵したと。皮肉にも、当代の弓田も先祖のように心を苦にし、この一件そのものが不幸な偶然が重なり合っただけであったと。

「それなら良かった。弓田さんには、これからも民のために生きてもらいたいし、ね」
「左様。邪鬼に憑かれ乱心したとは言え、東軍と違い西軍には手練れの者は少ない。奴を失うのはそれこそ一騎当千の兵を喪うに等しい。私からも、この通り礼を申し上げる」
 彼の無事を喜ぶ錫華と猟兵達に指揮官が深々と礼を述べた。
 朝日は何時しか高く昇り、今日も変わらず日出国を照らす。この国に蔓延ろうとする闇を祓うかのように、澄んだ寒空の空気に温もりを与えていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年12月01日


挿絵イラスト