●やっちまったなぁ、真田くん!
その日、猟書家の真田神十郎は最悪だった。
起きがけにちゃぶ台の足に小指をぶつけるわ、足の爪を切ってたら深爪するわ、軍議の最中に静電気で飛び上がってしまうわ、自慢の槍を振り回してたら槍先がすっぽ抜けるわ、すっぽ抜けた槍先が大事な壺を割ってしまうわと、何をするにもロクな事が起きなかった。
だから家臣達も進言したのだ。
「今日は超・魔軍転生はやめときましょう」と。
しかし神十郎はそれを無視してしまった。
さて、日本にはには「泣きっ面に蜂」という諺がある。
大体調子が悪いときは立て続けに悪い事が起きるという意味で「弱り目に祟り目」「踏んだり蹴ったり」など様々なバリエーションがある。
で、だ。真田くんは「超・魔軍転生」でも表題の通りやらかしてしまったのだ。
●越後の熊・クマ杉
「それでですね……オブリビオンを生み出すためにも剣豪の死体が必要でして」
「それクマ達にやってこいっていうクマか?クマ使いが荒いクマー」
真田くんはクマ(困)った奴クマねー。
そう言うのは超・魔軍転生で魔将軍「上杉謙信」を憑装した、クマ。
クマのぬいぐるみである。
そう、やらかしたのである。
しかも家臣団の目の前で。
儀式を執り行うため立ち上がった際、座布団に足を取られ、超・魔軍転生パワー(仮)は家臣団ではなくあらぬ方向へと放たれた。
それは逼迫する財政をやり繰りしようと家臣が内職をする際に籠る部屋で、そこには山のように積まれたクマのぬいぐるみがあった。
神十郎が恐る恐る中を覗いてみれば、上杉謙信のトレードマークともいえる白頭巾を纏うクマのぬいぐるみ、つまり「クマ杉」の群れができていた。
しかもこのクマのぬいぐるみ、見た目に反してかなり強い。
憑装の影響もあるかもしれないが、アホみたいな強さである。
その証拠として「こんなアホな事があっていいものか!」と激昂した神十郎が切り捨てようとしたが、白刃取りをされた挙句、クマ杉に群がられリンチを受けていた。
それ故にクマ杉に説教される神十郎という奇怪な構図が出来上がっているのだ。
「そもそもさ、調子悪かったクマよね?何で強行しようとしたクマよ?」
「はい……」
「いやハイじゃわからんクマよ。理由聞いてるクマよ」
「はい……」
「クマ、間違ったこと言ってるクマ?」
「はい……あ、いいえ!」
「ほらそうやってふてくされて空返事するのやめたほうがいいクマよ?」
「は……努力します」
この後、延々と同じようなやり取りが続き、クマ杉の群れはぶつぶつ文句を言いながらも大剣豪「鍬元氷熊」の抹殺に赴くのであった。
その後ろ姿を見送った神十郎はというと、夜な夜な夢の中にまで現れるクマ杉にうなされ、クマの存在そのものにトラウマを抱えてしまった。
そして庶民の間では「妖怪・酒と塩鮭おいてけ熊」の目撃談が各地で広まる事になるのであった。
●800万の賞金首とか蝦夷の黄金とか全く関係ありません。
「みんな揃った?オーケイ、じゃあ仕事《ビズ》の説明よ。」
イザベラ・ラブレス(デカい銃を持つ女・f30419)はいつもの調子で今回の依頼内容の説明を始めた。
「サムライエンパイアで猟書家、真田神十郎が超・魔軍転生を行使したことを確認したわ。こいつの狙いは剣豪の抹殺。ブッ殺した剣豪をオブリビオンにして戦力拡充しようって腹積もりね。で、ターゲットになったのがこの男」
イザベラがパネルを操作すると、モニターに粗暴な印象の男の姿が映された。
「名前は鍬元氷熊(すきもと・ひぐま)、先の戦乱期には56人の剣士を次々と切り捨てた偉業の持ち主で『56剣殺しの氷熊』『不死身の鍬元』『人食い熊』なんて物騒な二つ名を持った大剣豪よ」
56剣殺し、人食い熊……。なるほど、こんな男がオブリビオンになってしまったらと考えると恐ろしい。
「で、ここからが刺客の情報よ。……気をしっかりと持ってモニターを見ててね。」
え、何その前置き?申し訳ないがグロはNG、などなど様々な反応を見せる猟兵達。
そして次にモニターに映し出されたのは……。
「これが刺客よ。決してご当地ゆるキャラとかではないわ。歴とした戦闘要員よ」
それは刺客と呼ぶにはあまりにもゆるすぎた。
大きく、丸く、そして可愛すぎた。
それはまさにクマだった。
「そう、クマよ。訳わからないでしょうが私もわからない。とにかく猟書家は魔将軍『上杉謙信』をこのクマに憑装したの。つまり刺客の正体はクマ杉よ。」
クマ。クマ杉。
いやいや、そうはならんやろ。
「現になっとるやろがい!……ごめん、ちょっと言葉が荒くなったわね。話を戻すけど中身が魔将軍ってだけあって力は本物よ。腕っぷしだけなら真田神十郎を上回るほどにね。ただどういった訳か、トンチンカンな事を言ったり町の子供のウソに騙されたりと頭は良くないみたいね。そこをうまく突けば勝機が見えてくるかもしれないわ。」
「じゃあ依頼内容をまとめるわよ。まずは剣豪、鍬元氷熊をに襲い掛かるクマ杉を殲滅する事。クマ杉が蹴散らされたと分かれば今度は猟書家本人が出てきて、自分の手で鍬元を殺しに来るだろうから、それもぶっ飛ばす。簡単でしょ?」
文句なしにシンプルだ。降りかかる火の粉から全力で護衛対象を守る。たとえそれが猟書家とクマだろうと。
「転送先は鍬元が住み込みで働く宿場町よ。現地に着いたらまず彼を探しなさい。言わなくてもわかるだろうけど、資格のユルい姿に油断しちゃだめよ?…他に質問は?ないわね、ではGood hunting,Jaeger.(猟兵諸君、良い狩りを)」
無駄に良い発音の言葉を掛けられた猟兵達は、グリモア猟兵の手によりサムライエンパイアに送り込まれるのであった…。
マーシャル後藤
タイトルで藤沢周平オマージュだとおもった全国の猟兵のみなさん。
本当に申し訳ない(メ○ルマン)。
はじめましての方ははじめまして。
新米マスターのマーシャル後藤です。
今回は冒頭を読んで分かるようにギャグシナリオです。
フラグメントを読んだ時点でこうなるのは明らかでした。
第一章は鍬元とクマ杉の戦闘が開始されるところに猟兵達が駆けつけたという状況から始まります。
魔将軍「上杉謙信」を憑装した刺客「クマ杉」の襲撃から剣豪「鍬元氷熊」を守り抜きましょう。
鍬元は自分の身を守れる程度には戦えますので、クマ杉をドンドン殲滅することをオススメします。
第二章は猟書家「真田神十郎」こと真田くんとの戦いです。
どういう訳か今日の真田くんは調子が悪いようです。なんででしょうね?
ガチ攻略も良し、ギャグ方面からの攻略も良し!
ぜひ皆様のプレイングをお寄せください!
●鍬元氷熊
56人を相手に戦い抜いた典型的な剛の者です。本人にとっては自慢するようなものではなく、ただ平穏に日々を過ごしたいと思っています。
●クマ杉
息をするようにボケをかます謎の刺客の群れ。クマのぬいぐるみ(上杉謙信入り)。
腕っぷしは鬼のように強いが、頭はそこまで良くない。
好物は酒、塩、鮭。
●真田神十郎
フラグメントのせいだ。犬にかまれたと思ってあきらめてくれ。
第1章 集団戦
『もりのくまさん』
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POW : もぐもぐたいむ
戦闘中に食べた【鮭 】の量と質に応じて【全身の細胞が活性化し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD : たべちゃうぞ!
【ある日、森から 】【現れた熊が】【かわいい顔に似合わぬ鋭い爪の斬擊】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ : みんなあつまれー!
【くま 】の霊を召喚する。これは【くまぱんち】や【くまかみつき】で攻撃する能力を持つ。
イラスト:笹にゃ うらら
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●相対するクマと熊
とある宿場町。
特に目立つ特産品もなければ、わざわざ足を運びたいような施設もない、どこにでもある普通のこの町に珍客が団体で訪れていた。
「クマックマ~♪クマックマ~♪」
「クマに酒と鮭寄越せ~♪」
「ついでに塩もあるといい~♪」
「今日は朝までどんちゃん騒ぎクマ~♪」
百鬼夜行じみた行列を構成するのはクマのぬいぐるみ。
それは猟書家、真田神十郎が剣豪「鍬元氷熊」抹殺の為に送り出した刺客、通称「クマ杉」であった。
「おっかぁ、あれなにー?」
「しっ、見ちゃいけません!」
……まぁ、この通り民衆にとっては恐怖の対象どころかおかしな連中と捉えられるくらいには無害な存在であった。
せいぜい迷惑をかけても酒屋や問屋の店先で騒ぐ程度の営業妨害くらいのもので、要求通り酒と塩と鮭を与えてやればどっかに行くので誰も気に留めることはなかった。
「ん?」
「クマ?」
しかしその日、彼ら《刺客と剣豪》は出会ってしまった。
「もし、クマはお主をどこかで……」
「そういわれると俺も……」
「「・・・・・・」」
((誰だこいつ……?))
「「お主の名は?」」
いや知らんのかい!
グリモア猟兵に転送されて、物陰からそのやり取りの一部始終を見守っていた一人の猟兵が叫んだ。
ワーブ・シートン
【クマ&トド】
いやぁー、いい加減なことでぇ、クマを呼ぶのはやめてほしいですよぅ。
ちなみにぃ、今回はぁ、トドをぉ、お呼びしたんですよぅ。
クマはクマでもぉ、ここらへんのはぁ、(グリズリーに比べりゃあ)小さいですからねぇ…ぬいぐるみかよぅ。
おっとぉ、渡さないですよぅ…ていうかぁ、そっちも寄越すですよぅ!!(強引に奪いに行く)
そんでもって、クマが突っ込んできたら、本物の熊の右前足の一撃をお見舞いするですよぅ。
…てなわけでぇ、食らうですよぅ。ヴォオオオオオォゥッッ!!
てか、何十頭いますんですかぃ?
潰れてるのいるけどぉ、トドの全体重プレスはぁ、痛いですからねぇ。
北・北斗
【クマ&トド】
『ワーブも、一緒なんですね。ま、こんなぬいぐるみで、どうにかするのは間違いだと思うよ』
『それも、集団で。ここ、クマ牧場じゃないですよね』
とまぁ、見ているんだけど、剣豪も守らないと。
剣豪に突撃してくるクマがいたら、反重力の【属性攻撃】で吹き飛ばす。
『甘いんですよ。普通のクマだったら、おいらでも、どうにかなるもんですよ。この力でね』
そこで、鮭を食べようとするクマがいたら突撃【体当たり】して、鮭を横取りっていうか、丸呑み。
『よし、飯喰ったし、食後の運動だ』(右後ろ足を後ろから加えてびったんびったんを仕掛ける)
そして、びったんびたん、した後は全体重1.7tをクマにプレスする。
アドリブ歓迎
●最強アニマル王者決定戦inサムライエンパイア
宿場町は大いに盛り上がっていた。
「クマクマクマ~ッ!!」
「ヴォオオオオオォゥッッ!!」
クマ杉が短い足でチョコチョコと突進し、猟兵ワーブ・シートン(森の主・f18597)がそれをハンマーパンチで迎え撃つ!
ドォォォォン!
『うおおおおおおお!』
大太鼓を強く鳴らしたような衝撃音に町民は歓喜の声を上げる。
「さぁさぁ張った張ったクマよー!オッズ表は向こうクマー!」
「熱燗~熱燗いらんクマか~!いらんならクマが飲むクマ~!」
「おつまみの塩鮭も売ってるクマ~」
そして他のクマ杉たちは賭けの胴元を取り仕切り、商魂逞しいものは酒とつまみを観客(宿場町の町人+一部のクマ杉)に売り歩いていた。
「……どうしてこうなった」
そして即席猟兵チーム「鍬元軍団」の総大将兼セコンドの剣豪、鍬元氷熊はひとり呟いた。
-数時間前-
「あー、いたいたぁー」
「ヴォッヴォゥッ!」
宿場町に転送され、ワーブとトドの北・北斗(遠い海から来たトド・f20984)は直ぐにクマ杉と睨みあう鍬元氷熊を発見した。
「ぬぅ、何奴」
「何奴クマー?」
ドスドスと音を立てて近づいてくる2頭の猟兵に対してほとんど同じリアクションをするクマ杉と鍬元。
もしかしなくても、似た者同士なのだろうか?
「アンタが鍬元さんだねぇー。おいらはワーブ」
『そしておいらは北斗だ。鍬元さん、そいつらはアンタを殺しにやってきた連中なんだ』
ワーブと北斗がそう説明すると、それに不満を持ったかリーダー格のクマ杉が反論した。
「ちょっと待つクマー!お前クマとキャラ被ってるクマ!パクりクマー!」
……?何言ってんだコイツ。
「パクりも何も、おいらは生まれた時から熊(グリズリー)だしなぁ。パクりっていうならぬいぐるみのおめぇさん方じゃないかなぁ」
「反論の余地もない正論クマー!これだからインテリは嫌いクマー!」
うわーんと泣き出すクマ杉リーダー(仮名)。
彼は仲間の肩を借りて群れの中に姿を消すと、代わりのクマ杉がワーブに向き合った。
「さっきはリーダーが失礼したクマ。最早クマたちには言葉はいらず、最後は男らしくコレ(拳)で白黒つけるクマよー!」
クマ杉はワーブ達に向かって拳をかざし、ニョッキリと生えてきた爪を見せて叫んだ。
「只今よりっ、【最強アニマル王者決定戦inサムライエンパイア】の開催を宣言するクマー!」
こうして、全世界が待望したドリームマッチが行われる運びとなったのである。
……え、待ってない?またまた~(笑)
-回想終わり-
『互いの攻撃がぶつかり合い、でっかい音が鳴り響くがどっちも倒れず!解説のクマ杉さん、いまのぶつかりどう見ますか?』
『若干クマ杉に不利な形クマねー。身長、体重共にワーブ選手に利があるクマ。打ち合いに応じてくれたから良かったものの下手すれば首が飛んでたクマよー。ク
マ杉には軽快なフットワークでヒット&アウェイ狙う戦法をとってほしいクマねー』
クマ杉が準備したリングの下、リングサイドでは実況(宿場町出身)と解説(クマ杉)が試合の様子を伝えていた。
意外にも身内びいきをしない、スポーツマンシップ順守精神のあるフェアな性格らしい。
『おおっとここでクマ杉選手、なにやらセコンドに指示を出しているぞぉ!あれは……、鮭です!クマ杉選手、脂ののった新鮮な鮭を受け取りました!』
『想像以上に動いていたクマからねぇ。クマも食べたくなってきたクマよ』
「おお!何とも立派な鮭クマ!これは鮭界のラ○ボルギーニと言っても差し支えないクマよー!いただきまー――」
「おいらに寄越せええええええええ!」
「マ”あああああぁぁぁぁ!奪われたクマー!」
クマ杉が鮭を頬張ろうとしたその時、ワーブの右前足が隙だらけのクマ杉に炸裂!
『クマ杉選手ふっとばされたぁーっ!』
「確かにこいつはうまそうだぁ。いただきまーす」
そしてその手に握られていたのはクマ杉が食べようとしていた鮭だった。
ワーブはその鮭をぱくりと一口で食べた。
「うーむ、なんとも舌触りなめらか」
「うわーん!これが人間のやる事クマかああああ!?」
「人間じゃないんだよなぁ……はいフォール」
「クマー!?カウント待ってクマー!」
ワーブは泣きじゃくるクマ杉にのしかかると、レフェリーのカウントを待つのであった。
なんとも「赤子の手をひねる」ような試合運びであろうか……。
「ええい、もはやなりふり構ってられないクマー!」
「場外乱闘クマよー!」
一方そのころ、クマ杉軍団のリングサイドではリング下から凶器(パイプいす、一升瓶、岩塩、巨大鮭とば)を取り出したクマ杉軍団が鍬元軍団に襲い掛かろうとし
ていた。
その行動自体は伝説的カルトホラー映画「チャ○○ドプレイ」なのだが、絵面が絵面なだけにコメディー映画「TE○」のパロディにしか見えない。
『ああっとカウントをとっていたレフェリーですが、ここでどうやらクマ杉サイドに場外乱闘の中止するよう呼びかけを始めてしまいました!』
『場外乱闘は危険クマからねー。しっかり叱ってほしいクマよ』
『しかし、……おおっとレフェリー、リングから引きずり降ろされたぁ!これではもうクマ杉軍団を止められる者がいないー!』
突然の場外乱闘に焦ることなく仕事をこなす実況アナウンサー。
しかし、焦りを見せなかったものはもう一人いた。
「クマっ!?クマたちの前に立ちはだかるお前は……トッド!」
『北斗!トドの北斗だ!数に任せて鍬元さんを殺る腹だったんだろうけど、おいらの目の黒いうちはそうはいかない』
北斗はそう言うと鍬元を背中に隠すようにクマ杉軍団の前に立ちはだかった。
『場外乱闘に新しい展開が見られました!ワーブ選手のパートナー、北斗選手がクマ杉軍団を相手取るようです!』
『トドといえばなんといってもその巨体が武器クマよねー。なんでもオスの体重は平均1トン超えが当たり前らしいクマ』
冷静に解説するクマ杉は公平な立場を最後まで貫くつもりらしい。
「お命覚悟クマー!」
「ザッケンジャネェゾクマー!」
「スッゾクマー!」「ダッコラクマー!」
殺害宣言に加え、奥ゆかしいヤクザクマ・スラングを浴びせて目の前の北斗に襲い掛かるクマ杉軍団。
しかし、その攻撃の悉くが北斗のサイキック攻撃「アンチ・グラヴィティ」の前に防がれてしまう。
「グワークマー!」
「アイエエエエエ!サイキック、サイキックナンデクマー!?」
『そりゃあ改造されましたから。あ、鮭……なんだ鮭とばかぁ』
クマ杉たちが凶器として持ってきた巨大鮭とばに飛びつきそうになった北斗であったが、塩っ気を感じてか口にせずに端に避けた。
『じゃあもう場外戦は終わらそうか。ぱくっ』
「ぎゃあああああああ!食われるクマあああ!?モンスターパニッククマああああ!」
『どっちかといえばお前らがモンスターなんだよなぁ……』
『ここで北斗選手、クマ杉軍団の一体を口にくわえてびっだんびっだんとハンマーのように叩き付ける!これはハンマー役も叩かれる方もただじゃあ済まない!』
『トド式連続パワーボムってところクマかねー。あれ、何でクマの所に……アババクマー!』
『ここで実況のクマ杉さんも攻撃されたあああ!』
「カウント!1,2,3!勝者、鍬元軍団~!」
『わああああ!』
リング上に復帰したレフェリーが3カウントを取ると、試合終了を告げるゴングが鳴り響いた。
そして、ワーブはこの日「最強アニマル王者」の称号を手に入れ、クマ杉軍団を壊滅させたのである。
「なにこれぇ……」
結局ただ見ているだけだった剣豪、鍬元氷熊はそうつぶやいた。
<試合結果>
▽最強アニマル王者決定戦
○ワーブ・シートン[8分32秒 クマの一撃(ウルスス・アタック)]×クマ杉
○北・北斗[びっだんびっだん(ただし場外乱闘)]×クマ杉軍団
【このリプレイは「あなたのご依頼、一晩で成し遂げるクマよ!」でおなじみの『クマ杉・ジェバンニ製作所』の提供でお送りしましたクマー。】
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
月舘・夜彦
【華禱】
クマ……?
クマ杉……、……何故
しかしながら上杉が憑装しているのは事実
倫太郎、倫太郎……何か言いたげな気持ちは分かります
楽しそうにする気持ちも分かります
見た目に騙されず、油断せずに対応致しましょう
月夜ノ御使イにてバディペットの春暁、東雲を召喚
春暁は敵が食べている食料を空から奪って妨害
東雲は敵の数を確認、威嚇が通用するのであれば私達の方へ誘導
氷熊殿が襲われているのであれば駆け出して接近している敵を攻撃
2回攻撃となぎ払い併せ、一度に複数を攻撃します
氷熊殿には私達が猟兵であることを伝え、弱っている敵の追撃を
敵からの攻撃は残像にて回避
カウンターが可能であれば武器受けにて防御後、斬り返す
篝・倫太郎
【華禱】
何故って……愚問だと思うぜ、夜彦
えっ?あっ!
いやいや、いやいやいや……
くまだなー、ゆるいなー
ウチの子らのお土産になってくんねーかなー
なぁんて、思ってませんヨ?
思ってないってば……ハイ
夜彦サンってば真面目だからー……
いや、強い敵には俺も真剣にやんねーとな
氷熊が既に戦闘に入ってる場合は
まぁ、死なれない程度にフォローして立ち回り
拘束術使用
射程内の敵全てを鎖で先制攻撃と同時に拘束
俺もダッシュで接近して
生命力吸収と鎧砕きを乗せた華焔刀でなぎ払いからの範囲攻撃
刃先返して2回攻撃の後はフェイント混ぜつつ対応
やらせねぇっての!
夜彦や氷熊への攻撃は鎖を引き絞って妨害する
俺自身への攻撃は見切りと残像で回避
●敵を目の前にして考え事とは感心しないな。だがわかるよ。アレには私だって頭を悩ます、絶対だ。
「クマ、クマ杉……何故?」
月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)はここに転送された猟兵なら当然疑問に思っているだろう事を改めて考えていた。
答えは簡単だ。調子の悪い真田くんがやらかしたのである。
しかし、猟兵達がその真実に気づくための術はここにはなかった。
「何故って……愚問だと思うぜ、夜彦」
そう応えたのは篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)である。
彼の言うことは間違っていない。
なにせ彼ら猟兵が普段相手取るオブリビオンはそれこそ千差万別森羅万象の姿を持つ。
それこそ明らかに脅威としか言えない見た目の者もいれば、ただの不審者や客観的に見てショボい事しかできないものまでピンキリである。
故にこれらのクマ杉も、ここで出会わずともいつかは死合う宿命であったであろう敵なのだ。
「愚問、確かにそうですね倫太郎……倫太郎?」
相方の言葉に感心した夜彦がふとを横を向くと、どうにも倫太郎の様子がおかしい。
なんだか、こう。ソワソワしている。
その視線の先を追ってみると、剣豪、鍬元氷熊を囲んでマイム・マイムに興じるクマ杉達があった。
マイム・マイムのリズムにあわせて小刻みに肩を揺らす倫太郎に夜彦はため息交じりに声をかけた。
「倫太郎、倫太郎」
「マイムマ……ハッ!えっ?あっ!いや、いやいやいや!夜彦さん、これは違う!断じて、断じて『くまだなーゆるいなー』とか『ウチの子らのお土産に
なってくんねーかなー』などとは!」
「本音ダダ漏れじゃないですか……いいですか、仮にも相手は刺客。見た目に騙されず、油断せずに対応致しましょう」
「は、ハーイ……」
夜彦サン真面目だなー、などとは口が裂けても言えぬ倫太郎は目の前に結集し始めたクマ杉たち相手と戦う準備を始めるのであった。
そしてマイム・マイムの中心で困り果てていた鍬元も一時的に解放され、猟兵側に引き渡された。
「まぁ、なんだ。解放されたわ」
「「嘘ぉ!!?」」
ポリポリと後頭部を掻いてやってきた鍬元に、二人の猟兵はただただ驚くほかなかった。
●貴公達は土産物屋に陳列されるのがお似合いだ。 (戦闘)
「これでもクマたちは軍神・上杉謙信を憑装した戦士クマ!真田くんの頼みと言えど、敵の背中を斬る様な真似は出来ないクマよ!」
「誉は捨てないクマー!」
それが鍬元を解放したクマ杉側の言い分だった。
徒党を組むクマ杉軍団。ぬいぐるみと言えど、その地面を埋め尽くす様は圧巻の一言に尽きた。
これに対するは二人の猟兵。
月舘・夜彦と篝・倫太郎である。
「それじゃあ氷熊さん、あんたは自分の身を守ることに専念してくれ」
「おう、その程度なら目を瞑っててもできらぁ」
「流石は56剣殺しの大剣豪。これなら安心して戦えますね」
素直に頼みを聞いてくれた氷熊に安堵し、クマ杉達を見据える夜彦と倫太郎。
そして遂に戦いの火蓋は切られた!
「貴公達は土産物屋に陳列されるのがお似合いだクマー!」
パパパパウパー(謎の効果音)
(((それはひょっとしてギャグで言っているのか!?)))
……開幕早々、奇しくも三人は心の中で同じツッコミをクマ杉に入れていた。
「突撃―!ヤマトグマ魂をミセテヤルー!」
「丸太は持ったクマ!?行くクマー!」
「Ypaaaaaaaaaaa!!」
何かとんでもない掛け声が混じっている気がするがクマ杉達は一心不乱の突撃を仕掛けてきた。
戦争の歴史は常に数の勝利である。例外を除いて。
幕府軍が新政府軍を退けた二股口然り、少数のゲリラ部隊がソビエト軍を何度も退けてみせたパンジシール然り。
そして、この戦いにおいても猟兵という「例外」が存在した。
「――行け」
まず動いたのは夜彦。
ユーベルコード『月夜ノ御使イ』によりイヌワシと赤毛馬を呼び出す。
それぞれ名を「春暁」「東雲」。
一羽と一頭は主人の意図を瞬時に理解し、それぞれの役目を果たすべく先陣へと飛び出した。
「うわわ!黒○号クマ!拳王が来たクマ!」
「違うクマ!赤兎馬だから呂布クマ!」ジャーンジャーン!
クマ杉達の目の前に躍り出た東雲は、彼らが脇から抜けないように威嚇を開始する。
それはまるで「通りたくば、我が屍を越えよ」と言う門番の風格であった。
「うろたえるなクマー!ドイツ軍人はうろたえないクマー!」
「中央突破クマよー!」
しかしそれでも少なくないクマ杉達が中央突破を試み、幾らかは東雲の防衛ラインを突破。
その後に負傷しながらも突破を成功したクマ杉達が続いた。
一方、春暁はと言うと上空から戦場の動きを伺っていた。
この戦いにおいて空中戦力は彼のみ、即ち制空権は猟兵側にあった。
「ク、クマ~。クマはもうだめクマ……。この鮭を託すから敵を討ってほしいクマ~」
「わかったクマ!クマはクマの仇討ってくるクマよ!この鮭に掛けて!」
一匹のクマ杉が負傷したクマ杉から譲り受けた鮭を掲げた時だった。
春暁は時速320kmという超高速で急降下を仕掛け、その鮭を奪い去った!
「クマ~!?」
「スツーカ大佐クマ!人民最大の敵クマ!奴をやっつけたら300万ルーブル分の鮭進呈クマー!」
クマはクマでも赤いクマ杉がいるようだが、春暁の度重なる空中からの強襲は一気にクマ杉たちをパニックに追いやり、東雲防衛ライン前後で軍団は完全に分離されてしまうのである。
「これで後詰めの心配はいらなくなりましたね。では倫太郎、お願いします」
「よし来た!」
夜彦の言葉を受けた倫太郎がユーベルコードを発動させる。
「――縛(いまし)めをくれてやる」
ユーベルコード『拘束術』。
倫太郎の出自たる、災禍狩りに纏わる術式をベースとした、不可視の鎖による広範囲攻撃。
それはあらゆる災いを標的とみなす、即ち猟書家の尖兵たるクマ杉達に向けて放たれた!
「クマー!動けないクマー!」
「動け動けクマー!今動かなきゃ、今やらなきゃ、みんな死んじゃうクマー!」
「物理エンジンのせいクマー!Hav○ck神の怒りに触れたクマー!」
突然の、しかも不可視の攻撃により阿鼻叫喚と化したクマ杉達。
彼らの命運も最早ここまで。
倫太郎は華焔刀を八相に構え、慌てふためくクマ杉達に高らかに宣言した。
「さっきの言葉、そっくりそのまま返すぜ!――貴公達は土産物屋に陳列されているのがお似合いだ!」
「こ、こんなところに居られるかってクマ!クマは故郷に帰るクマー」
「クマー!敵前逃亡は射殺クマー!」
数の上での有利性がこうも容易く破られるとは露にも思わなかった一部のクマ杉は何とか逃げようとするが、そうは問屋が卸さなかった。
「おや、逃げられると思いましたか?」
「ゲェ!猟兵クマ!」
まさに「前門の虎、後門の狼」。いつの間にか夜彦に退路を断たれたクマ杉達の命運は明らかであった。
「武士の情けです。最後に言い残すことは?」
「ク……クマ杉公国に、栄光あれクマあああ!」
なにか後日談に大きく影響しそうな迷言を残して、クマ杉軍団は二人の猟兵の手によって滅んだのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
外邨・蛍嘉
「」内クルワ台詞
剣豪の人に、広目の道路ないか聞いておこう。
UC準備のためにクルワ呼び出して。
ねえ、クルワ。私たちって、元世界(戦国末期)だとどこ出身だっけ?
「…雪深い信州デスネ」
目の前のコレと、猟書家どうしようか。
「精神衛生のためデス。片付けマス」
そうだね…。
視界に入ったら即UCで切り刻むよ。
剣豪の人には、指一本触れさせないからね!
「鬼のように強いそうデスガ、本物の鬼に勝てマスカ!?」
…こうもしないと、やってられないんだよねぇ…精神的に。
※たぶん、元世界には似た名前の人がいたと思われる
●久しぶりに地元帰ったらなんか変な町おこし企画とかやってると困惑する事ってあるよね。わかるわかる。
「ええと、ここを曲がってその先の……あぁ、ここだね」
外邨・蛍嘉(雪待天泉・f29452)は氷熊から教わった宿場町で最も広い通りに来ていた。
道の両端には空の荷車や積み込みを待つ荷物が置かれており、ここが宿場町の流通の中心である事をあらわしていた。
そして、その広さを活かしてか道の向こうではクマ杉の一団が呑気に花いちもんめに興じていた。
「それじゃあクルワ、出ておいで」
蛍嘉が虚空に向けて呼びかけるとその背後の地面から湧き出るようにもう一人の蛍嘉、否。「蛍嘉とそっくりな何者」が現れた。
それは蛍嘉が「クルワ」と呼ぶ鬼であり、多重人格者「外邨・蛍嘉」の別側面であった。
「クマー?あれはなにクマー?」
「着物に長ドスクマかー?きっと極道クマー」
「○妻クマー、岩下○麻クマー」
「ふたごクマかー?ザ・○っちみたいクマー」
蛍嘉とクルワをみてやいのやいのと騒ぐクマ杉達。
それを蛍嘉と呼び出されたクルワはなんとも言えない面持ちで見つめていた。
「ねえ、クルワ。私たちって、元世界だとどこ出身だっけ?」
「…雪深い信州デスネ」
「目の前のコレと、猟書家どうしようか」
「精神衛生のためデス。片付けマス」
猟書家「真田神十郎」、そして魔将軍「上杉謙信」を憑装せしクマ杉。
彼女たちの世界にも確かに名前の響きがそれっぽい似たような者達は実在して。
実在したが、こんなトンチンカンな魑魅魍魎ではなかったし、こんな魑魅魍魎を生み出す素っ頓狂ではなかった。
このままでは自分達の精神健康上の危機と、そして元世界の某氏らへの風評被害に繋がると判断した二人は意を決して得物を取るのであった。
「さあおいで、クルワ。雨剣鬼の力を見せようじゃないか!」
「エエ、いきましょう。ケイカ!」
――当時の様子をクマ杉氏(仮名)は次のように語った。
「はい、今でも覚えているクマ。クマ達が花いちもんめしてる時にあの二人組の猟兵、聞くところだとユーベルコードで二人に別れてた多重人格者だったクマね。その猟兵達が武器を構えてやって来たクマー」
「クマ達もS君(プライバシー保護のため、実名を伏せています)の頼みだったから数に物を言わせて迎え撃ったクマね」
「ーーそれが全ての過ちだったクマ。あの時はケツ捲くって逃げるのが正解だったクマよ」
「鬼のように強いそうデスガ、本物の鬼に勝てマスカ!?」
「ク、クマー!鬼のような強さクマー!勝てっこないクマよー!」
「ダカラ本当の鬼デスヨ!」
「……それにしても、数が、多い、ねっ!」
次々と迫りくるクマ杉の群れを作業めいて切り捨てる。
クマ杉達も最初こそ勢いづいていたが、次第に猟兵の攻勢に腰を抜かし始め、半刻も立たず、クマ杉側は攻めあぐねだす始末となった。
「みんなー!例のアレやるクマよー!」
「アレをやるクマ!?無茶クマ!死ぬかもしれないクマよ!」
「今やらなきゃ!どっちにしろ死ぬクマ!」
またしてもやいのやいのと騒ぐクマ杉であったが、少々事情が異なった。
「例のアレ、トハ……?」
「さぁ…?でも何が来てもいいように気は抜いては駄目ね」
蛍嘉とクルワはその様子を油断せずに観察していた。
「じゃあいくクマよー!」
「「クマー!」」
号令とともに杉クマ達は、まるで組体操をするが如く積み重なっていく。
塵も積もれば……、ではないが、既にそれは山の如き圧巻!
というか、でかい……っ!
圧倒的でかさのクマ杉……っ!
「これぞクマ杉塾名物が一つ!万熊巨人(ワンクージューレン)クマー!」
「万熊巨人だと!」
「え?え?ひ、氷熊さん?その万熊巨人とは……?」
先程まで影も姿もなかった氷熊がクマ杉達の言葉に反応してグァばっと出てきた。
「古事記によれば古代サムライエンパイアの征夷大将軍、田村麻呂による蝦夷征伐が行われたことが記されている。そのため魍魎達は存亡の危機に追いやられたが、その中に魍魎一の奇才と謳われた熊「万熊(ワン・クー)」が田村麻呂を脅かすためある戦術を考案した。征伐軍が寝静まると同時に互いの身体を積み上げ大妖の如き外見とし、田村麻呂以下征伐軍を毎晩驚かせ、そして征伐軍が出現場所に向かえば何もいないという不安感を抱かせる心理作戦だ。近年ではかの秀吉公が美濃攻めにて築きし一夜城はこの故事に倣っていたという。まさかあの伝説の戦術をこの目で見ること叶うとは、兵法者として幸運だ…!」
剣豪、鋤元氷熊による怒涛の解説を聞く蛍嘉とクルワ。
色々とツッコミどころ満載ではあるが……。
「ソレって、ツマリ虚仮脅しデハ?」
「そうだ!」
「じゃあ戦闘力とかは……」
「そのままだ!むしろあの体勢から攻撃なんて無理だ!」
ポカーン
「――まぁ、ここまで言えば後はもうわかるクマよね。クマ達は敗北を喫したクマ。しかしそれは終わりではなく新たな闘争への序章に過ぎないクマ。クマ達は、クマ杉達は何度も何度も立ち上がるクマ」
このように語ったクマ杉は、インタビュワーにファミレスの請求書を押し付けて何処かへと消えていった。
彼の足取りを知るものはいないが、我々はまた近いうちに彼らの存在を、その目にするのだろう。
-おしまい-
大成功
🔵🔵🔵
大豪傑・麗刃
ひさびさに全力を振るえそうな相手ではないか。最初からかっ飛ばしていくのだ。
ギャグを!!
えっときみは食い過ぎくん。まさに名前通りなのだ。
違った?ごめんごめん飲み過ぎくん。まさに名前通りなのだ。
そう怒るなクルマエビ茹で過ぎくん。
上杉謙信とかけ、ヒグマが多い北海道ととく。
その心は?
どちらも『かんれい』(管領、寒冷)
酒と塩と鮭とは。すると健康に悪そうだから野菜も食え!あと歩こう!運動!
ソルト健康に悪そうだからやサーモン食え!あとアルコール!
……バンザーイ!!
これだけ相手の目をわたしに引き付ければ剣豪も守れるであろうたぶん。
で敵が喜怒哀楽恐の感情で精神が乱れ平常通りに戦えなくなったところで二刀流で斬る。
●【Bonus-Track】さすらいの琵琶(ビワー)・サムライ
猟兵とクマ杉達が本格的戦闘を開始する数刻前、宿場町の通りを行く一人のお侍さ……サムラ……?サム・ラ○ミ?
いやいや、それじゃあスプラッタホラーが得意な監督じゃないか。
ゴホン。まぁ、侍かどうかは置いておいてだ。
一人の猟兵がいた。
その者はこう、……そう、「個性的」なんだ。
着物は理解(わか)る。
帯の代わりの革ベルトも、まぁハイカラ趣味ってことで理解(わか)る。
草履や下駄の代わりのブーツもハイカラだ。
羽織の代わりにジャージ……ジャージ?あら、一気にモダンじゃないかい。
和装+ハイカラ+ハイカラ+モダン。
これを個性的と言わずして何と言うよぉ。
後、何処から拾ってきたか琵琶にストラップをかけて、さながらギターのように背負っていたとくる。
……なんだい?あぁいや、皆まで言うな。
そいつ波田○区って名前じゃねぇか?って言いたいんだろう?
馬鹿言うな!波田○区が猟兵になれるかってんだい!
……まぁここまで焦らす必要もねェな。
その猟兵の名は、
――大豪傑・麗刃(変態武人・f01156)って言うんだ。
「いやー、これ程までにぬいぐるみまみれだとまるでテーマパークに来たみたいなのだ。テンション上がるなー。ん?どうした琵琶丸。ジェットコースターに乗りたい?残念ながらここには平○進のパレードしかないのだ」
何が楽しいのかラグビーのスクラムを組む事に熱中するクマ杉達を見物し、麗刃は琵琶丸(そこらで拾った琵琶。弦は切れている)を抱きかかえて呟いた。
「ねぇー、おっかぁ。あの人琵琶に喋りかけてるよぉー」
「しっ!指差しちゃいけませんっ!」
子供を抱きかかえて逃げるご婦人。
そりゃあそうでしょうよ。かたやスクラムを組む珍妙な生き物、かたや琵琶に喋りかけるよくわかんない男。
右も左も個性的に過ぎる。こんなじゃ孫子だって最初っから逃げの一手に違いない。
「……っとと、いかんいかん。麗刃ちゃんは子連れ狼ではなく、猟兵なのだ。猟兵のやる事と言えばただひとつ……!」
おっと、ここで本来の仕事を思い出したみたいだ。
流石、腰に佩く刀は伊達じゃないってことなんだろう。
「見てみれば、ひさびさに全力を振るえそうな相手ではないか。ならば最初からかっ飛ばしていくのだ……」
視線の先にクマ杉を見やれば、両手をワキワキさせて気を高める麗刃。
そして遂に刀に手をかけると思いきや……。
「そう、ギャグを!」と叫んだ!
まぁ、そうなるな。
それでは皆様、大変長らくお待たせしました。
『猟兵お笑い界の希望の星』『笑いの殿堂』でお馴染み、大豪傑 麗刃の『ギャグ100連発ショー』の開幕でございますぅ~。
【ここから先はハイライトでお楽しみください】
《クマ杉との即席コント》
「いやーどうもどうも、クマ杉軍団のクマ杉ですクマー」
「猟兵の麗刃でおま。いやそれにしても食べ過ぎ君、最近太ったんとちゃうか?」
「そうクマよ、お医者さんからも動物性脂肪控えるようって、誰が食べ過ぎクマ!クマはクマ杉クマー!」
「あぁスマンスマン!お詫びと言っちゃあ何やけどな飲み過ぎ君、この大吟醸、君にあげたるさかい」
「クマー!これは見事な吟醸クマねー!クマこう見えてお酒にはウルサ、ってちょおっと待つクマ!誰が飲み過ぎクマ!確かに飲み過ぎることもあるクマけど、クマはクマ杉クーマー!」
「まぁまぁそう怒るなクルマエビ茹で過ぎ君。顔がタコみたいに真っ赤になってるさかい、ガッハッハッハッハ!」
「だからクルマ……ってどこをどう突っ込めばいいクマ!?」
《なぞかけ》
「えーではここで一つ。軍神上杉謙信とかけまして、ヒグマが多い北海道と解く」
『そのこころはー?』
「どちらも『かんれい』(管領、寒冷)でしょう」
パチパチパチパチ……
《ダジャレ》
「酒と塩と鮭とは。……ひらめいた!」
「すると(ソルト=塩)健康に悪そうだから野菜も(サーモ=サーモン=鮭)食え!あと歩こう!運動(歩こう!運=アルコール)!」
ドッ
【ハイライトおしまい】
……まぁ、こんな感じで麗刃はクマ杉達の目の前で自慢のギャグをドンドン披露していったんですね。
実はこれ、彼のユーベルコードで真面目な相手にはドンとド嵌まりするタイプの必殺技なんです。
しかし相手は謎生物のクマ杉。
嵌まりは嵌まりでも、笑いのツボに嵌まってしまったんですなコレが。
あれよあれよとおだて上げあられる猟兵、大豪傑麗刃。
しまいにゃクマ杉達と酒盛りに興じてしまいました。
まぁですが、彼にも彼なりの作戦がありました。
自分のギャグでクマ杉をおびき寄せ、なるべく保護対象の剣豪、鍬元氷熊のほうに行かせない。
なるほど、確かに作戦はうまくいったみたいだ。
じゃあ、そのおびき寄せたクマ杉達をその後どうするか?
「こうするのだー!」
ザンザンバラバラ、プスップスッ!
酒盛りでベロンベロンに酔いつぶれたクマ杉達を、腰に佩いてた二本の刀で滅多斬りに滅多刺し!
まるで八岐大蛇が八塩折の酒に酔いつぶれた隙を突いたスサノヲのようじゃあありませんか。
……まぁ、あいてはクマのぬいぐるみなんですが。
こうして、大豪傑麗刃は人知れず多くのクマ杉を引きつけ討伐し、作戦成功の功労を得るに至りましたとさ。
……え、琵琶丸の下り?あんなのサブタイの為だけに使った小道具ですよー。特に意味などありません。
それではそろそろお開きの時間となりましたので、最後に私から皆様へ一つのなぞかけをさせていただきお別れの挨拶とさせていただきます。
それではここで一つ。
牛の鳴きマネをする猟兵とかけまして、
上方漫才の締め方と解く。
その心は?
モー(もう)イェーガー(ええわ)。
どうもお粗末さまでした。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『真田神十郎』
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POW : 不落城塞
戦場全体に、【真田家の城郭】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
SPD : 神速十字斬
【両手の十字槍と妖刀による連続攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : 侵略蔵書「真田十傑記」
自身が戦闘で瀕死になると【侵略蔵書「真田十傑記」から10人の忠臣】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
イラスト:瓶底
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠蛇塚・レモン」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●クマ杉連続殺熊事件~現地を訪れたすべての元凶、猟書家は見た!~
「フフフ……、まさかこうもクマ杉軍団がやられるとは。中々やるようだな猟兵ども」ゴロゴロ……
猟兵達がクマ杉達を殲滅すると、何処からともなく現れた男。
そう、彼こそが猟書家、真田神十郎その人である。
「なるほど、謙信公を憑装させたクマですらこうであれば、私自らが手を下さねばならぬは自明の理。ならば剣豪もろとも貴様らを殺し、まとめてオブリビオンにしてくれようぞ……!」ゴロゴロ……
さすが猟書家!並々ならぬ殺気が背後に幻視できてしまうとは……!
……ところで、さっきから「ゴロゴロ」と聞こえるのはなんだろうか。
耳を澄ますに猟書家の腹部辺りから聞こえてくるようだが……?
「……な、何をいってるんだ?わた、私にそのような策は通じぬぞ?」
……おやおやぁ?
どうやら猟書家は本調子じゃない事に気がついた猟兵達。
[心理学]ロールに成功したとある猟兵曰く、猟書家はここまでに何かしらのトラウマを抱えてしまった様子があるとの事だ。
粗相には至らないにしてもストレス性の腹痛を起こしており、彼のトラウマを突くことで戦闘を有利に進める事ができるかもしれない。
問題は【そのトラウマが何か】という事だが……。
うーん、思いつかない。こりゃクマ(困)ったなぁ……。
ビクッ。
【ここからボス戦】【戦闘開始な】
外邨・蛍嘉
UC発動させて。(情報収集活用)うん、あの猟書家、半ば自爆してないかい?
ここからはだまし討ちと暗殺の要領で。
あのクマさ、本当に何だったんだろうね。
「深く考えない方がイイデス、ケイカ」
そうだね、クマはクマ。
「そう、クマはクマデス。クマ以外の何者でもナイデス」
クマ…そういえば、家に木彫りのクマでも置く?
「ああ、合いそうデスネ。鮭咥えたクマデショウ?」
そう、それ。つい最近までポルターガイスト発生してて、床の間寂しいからね。クマ置こう。
敵からの攻撃は、第六感頼りに避けることだね。
※歩き巫女といえど、実家は忍なので利用できるものは利用する蛍嘉。
それにノリノリするクルワです。
●おや、真田くんの様子が…?(必死でBキャンセルを連打する猟書家真田くん)
「ぬぅっ、その身のこなし……、貴様乱波の者か!?」
「うーん、素直に答えると思う?」
「ふん、言わずともその答えこそが何よりの証よなっ!」
猛烈な剣と槍の連撃を繰り出す猟書家、真田神十郎の問いかけに対して、
猟兵、外邨・蛍嘉(雪待天泉・f29452)はわずかな挙動のみでそれを回避し答える。
そして、これが京五条大橋であれば、弁慶と牛若丸の再来と語られていたであろう光景が、今まさに繰り広げられていた!
「戻りマシタヨ、ケイカ」
「待ってたよクルワ。結果は?」
「真田神十郎は【熊】に恐怖してイルヨウデス」
神十郎からいったん距離を取った蛍嘉の影から「クルワ」と呼ばれる人格が姿を現した。
彼女は蛍嘉が神十郎と戦っている間、猟兵達の間で共有された神十郎のトラウマについて探っていたようだ。
「熊って……もしかして」
「モシカシナクテモ【クマ杉】デス。それでカクカクシカジカ……」
「だろうと思ったよ……。え、本当?えぇー……」
流石歩き巫女の諜報能力、恐るべしである。
このわずかな時間でクルワは顛末の仔細を知らべあげたのである。
であれば、その内容を聞いた蛍嘉がドン引きするのも頷けるというものだ。
「……まぁ、内容はどうであれ、その情報を使わない手は、無いね」
「デスネ」
蛍嘉とクルワは顔を合わせて悪そうな笑みを浮かべた。
「戦いの最中に話し合いとは悠長な事だな!」
神十郎は一気に間合いを詰め、蛍嘉とクルワに斬りかかる。
相手は乱波が二人。忍術を使われる前に速攻で仕留めるべきと判断した彼は攻撃の手を止めることはなかった。
「……そういえばさ」
ふと蛍嘉が口を開いた。
「あのクマさ、本当に何だったんだろうね」
ピクッ
「……深く考えない方がイイデス、ケイカ」
「そうだね、クマはクマ」
「そう、クマはクマデス。クマ以外の何者でもナイデス」
ピクッ、ピクピクッ。
「クマ」というワードにつられて神十郎の眉間がオノマトペ(擬音)とともに反応する。
そして次第に腹痛が戻りつつあった。
猟兵達との戦闘で「例のアレ」の事を考えずに良くなったと思っていた矢先のこれだ。
(いかんいかん!今は戦いに集中しろ神十郎!)「……うおぉ!?」
「あら、惜しい事をしちゃったね」
目の前の猟兵に心を乱される神十郎。
その乱れの中で精彩を欠こうとも、致命傷を免れぬ攻撃を防ぐのは猟書家の意地であろうか。
だがしかし、痛くなった腹は誤魔化しが効かない!
むしろ、加速する!
加速度的増加を続けるストレスによる響く痛み!胃壁の溶ける音!
「ふぅんっ!?ググゥッッ…・・!(痛い!!圧倒的激痛……!!)」
若干内股気味で堪える神十郎!
本来なら決して戦場(いくさば)で負う筈のない、未知の痛み!
(それだけはやめろ!耐えろ……!我慢しろ……!)
(お前長男(?)だろ!長男だったら我慢できる!我慢しろ!頼むから!)
己の臓腑に言い聞かせるように内心で活気づける神十郎!
しかし、最早色々と――そもそも最初からであるが、台無しである。
そして顔に無数の脂汗を浮かべ、神十郎は叫んだ。
「き、貴様ら正々堂々戦え!貴様らの戦いに『誉れ』はないのか!?」
「まさか猟書家に『誉れ』を説かれるとはねぇ……」
「正に、【お前が言うな】デスネ」
「それに私達「歩き巫女」だしねー」
「武士の誉れハ、ソコマデ関係無いデスシネー」
そう言い返し、蛍嘉とクルワは真田神十郎に攻撃を再開した。
勿論「クマクマ」と言う「口撃」も忘れずに。
がんばれ神十郎!猟兵に負けてもストレスに負けるな神十郎!
自分の不始末なんだからケジメつけてからくたばってこい!
大成功
🔵🔵🔵
大豪傑・麗刃
ほうほうクマとな。
たしかわたしもクマっぽいユーベルコードがあったはずなのだ。それを使ってみよう。射程距離がレベルの二乗m。わたしは94なので
8836m
8.836km
約二里九町(一里=三十六町=約3.9km換算)
すげえ。これなら一方的に殴れるのだ。
まずは神十郎どの出現前、あるいは味方と戦ってる最中にバイクでギリギリ見える範囲まで離れる。視力は鍛えたしスナイピングの練習もした。あとは敵をびびらせるべく大声で技名を叫びつつ攻撃……く、く、なんだっけ……そうだ
クマの爪!
あとは当たるまで連射。えっと、く、く……
クマ嵐!
えっと、もっと月っぽい名前だったような……
ツキノワグマ!
ん~、違ったかも。まあいっか。
●なんてこった!神十郎が殺されちゃった(ネタバレ)!この人でなしー!
「ふーむ、……むむっ!閃いたのだ!」
大豪傑・麗刃(変態武人・f01156)は自前の武装バイクを宿場町から郊外向けて走らせていた。
その距離、約8.8km。
ちなみに「8.8」という数字でお馴染みの名作兵器「FlaK 18」、通称「アハト・アハト」の対地最長射程は約14kmである。
つまりあれだろうか?猟書家を大砲で始末するつもりなのだろうか?
そいつは素敵だ!大好きだ!
「え、麗刃ちゃん剣豪だよ?大砲とか撃つ訳ないじゃん」
ないない、と手を振って否定する麗刃。
「実はこういう事もあろうかと、長距離で斬撃ブッパの出来るユーベルコードを持つ麗刃ちゃんであったのだ!」
ヒューッ!
流石麗刃!俺たちに思いつかないことを平然とやってのけるぜ!
「おぉ!ここなんか真田くんが丸見えでちょうど良さそうなのだ!」
ベストな狙撃地点を見つけて、某SFアニメのようなスライドブレーキで土煙を上げる麗刃。
確かに彼の言う通り、宿場町を見通せるほど障害物もない絶好のスポットである。
「待ってたぜェ、この瞬間をよぉなのだ!くぅ~まさかあの名ゼリフを使う時が来るとは、この麗刃ちゃんの目をもってしても読めなかったのだ!」
麗刃さん、麗刃さん。それってバイクに乗って特攻(ブッこ)む時に言うセリフだからね。
「それじゃあいくのだ!秘技!く、く、なんだっけ……そうだクマの爪!」
ブゥンッ!斬撃が形を成して飛んでいく!
「クマの爪!クマの爪!クマの爪!」
ブゥンッ!ブゥンッ!ブゥンッ!斬撃が形を成して飛んでいく!
「ん?そういえば本当にクマの爪って技だったかな……?もっと、こう……クマ嵐!」
ブゥンッ!斬撃が形を成して飛んでいく!
「そもそもクマなんて技名に入っていたっけ?なんか、こう……もっと月っぽい名前だったような……あ、思い出した!ツキノワグマ!」
ブウウウウゥンッ!一際大きい斬撃が形を成して飛んでいく!
ちなみに麗刃が「三日月(クレッセント)」という正しいユーベルコードの名称を思い出したのは、真田神十郎討伐が終わり、帰りに立ち寄ったラーメン
チェーン店でメニューを見ているときであった。
―― 一方そのころ。
「オレのそばに近寄るなああーッ」
どこぞのイタリアンマフィアのボスのような悲鳴を上げているのは猟書家、真田神十郎。
その目の前には、ここにいるはずのない「クマ杉」達がいた!
一体何が起こっているのか説明しよう!
まずこれらのクマ杉の正体は、麗刃がユーベルコードを放つ際に叫んでいた間違った技名、即ち「クマの爪!」「クマ嵐!」「ツキノワグマ!」である!
そしてサムライエンパイアには古代より「言霊」と呼ばれる信仰概念が存在する!
これは言葉には霊的な力が宿り、物事の吉兆を左右するという考えから生まれたものであり、今日の祭事の祝言や礼儀作法、諺にもその名残が存在してい
る!
今回、ユーベルコードというある種の超常現象がサムライエンパイアという世界が有する霊的な概念と接触し、「言霊の実体化」という現象に昇華、さら
に猟兵と猟書家が共通して有する「クマ杉」という存在として顕現したのだ!
「あ、真田くんクマー」
「真田くーん、焼きそばパンとジャ○プ買ってくるクマー」
飛ぶ斬撃の運動エネルギーにより真田神十郎に向かって直進するクマ杉の群れ。
「う、うおおおお!」
そしてクマ杉に慄く真田神十郎!
必死に十文字槍と刀でクマ杉達を迎撃するが、手数に対して群がる数が圧倒し、気が付けばクマ杉の山の中に埋もれていった。
「じゃあみんな、最後はお約束でしめるクマー」
「クマー!爆発オチクマねー!」
「ば、爆発!?や、やめ――」
そして次の瞬間、カッと光ったと思えば真田神十郎とクマ杉がいた場所で爆発が生じた。
幸い近くにいた猟兵や宿場町の住人に被害は出ず、爆心地にはプスプスと煙を上げてノビる真田神十郎が残されていた。
「真田くん……Good byeなのだ」
そして麗刃は誰に聞かせるわけでもなく、立ち上る煙を見上げてひとり呟くのであった。
大成功
🔵🔵🔵
月舘・夜彦
【華禱】
悪い時は、悪いものが続くものです
それでも決行してしまったのは然るべきことなのかもしれません
勝負は時に運にも左右されるもの、体調管理も戦の務め
猟兵同士ならば日を改めますが……猟書家は逃がしません
氷熊殿も、それでよろしいですね?
城郭の迷路も、体調不良で精製したものではいまひとつ
鎧砕きと鎧無視の一撃にて壁を破壊してみせましょう
視力にて狙いを定め、壁の脆さを指摘して覇空縛鎖を発動
鎖で縛り付けてしまいましょう
……弱点がそうでなくとも、最早碌に戦えぬ身では時間の問題
それより「とらうま」は何なのでしょうね
足の小指をぶつけた例えようのない痛み?それとも深爪で食い込む痛み?
静電気がいつ来るかの不安?
篝・倫太郎
【華禱】
なぁんで、アレに憑装しようと思ったんだかなぁ……
しかも、なぁんでそんな状態でやってきちゃうかなぁ……
クマったね、こりゃ
みたいな顔して隣の夜彦を見遣れば
あ、そういうの一切ナシで行く?
そういう顔してるな、コレ
んじゃ、ま
俺の刃がトラウマ一切関係なし!で往くみてーだから
俺もそれに合わせるんで
真田の大将も一つヨロシク!
氷熊のダンナも死なない程度に攻撃してなー?
でも、ヤバくなったら下がっといてネ
トラウマはいらねぇ!
そんな『業(カルマ)』は熨斗付けてお返ししますぅ
つー訳で業返し使用
ダッシュで接近して鎧砕きと破魔を乗せた華焔刀で攻撃
攻撃は華焔刀で受け止めてきっちりお返ししとくぜ?
夜彦、決めちまえ!
●さぁ猟兵よ、最高の死合を愉しもうぞ!(必死な懇願)
猟書家、真田神十郎は二人の猟兵と睨みあっていた。
月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)と篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)。
彼らの後ろには、本当ならすでに死んでいるはずの剣豪、鍬元氷熊がいる。
なぜ死んでいないのかは今更考えたくない。というのが神十郎の本音である。
しばらくの沈黙の後、まず口を開いたのは倫太郎であった。
「まぁ、大将も色々あったみたいだけどさ。そこら辺は俺達も触れないでおくよ」
「……まことか?」
「武士に二言はありません。……氷熊殿も、それでよろしいですね?」
「おう、元々アンタらに守られてる立場だしな。注文しっぱなしってのも格好が悪くていけねぇよ」
「まぁそういう訳でトラウマとか抜きで、真田の大将も一つヨロシク!」
――かたじけない。
真田神十郎は情をかけられたことに憤慨することもなく、ただ静かに猟兵達に謝意を伝えた。
「では改めて名乗ろう!我は猟書家、真田神十郎!主君たるクルセイダーの天下布武がため、我が力と命の全てを賭して、お主達を討ち取ってくれよう!」
流石は武人、先ほどまでの雰囲気とは打って変わり、不安さを一抹も感じさせない堂々たる名乗り上げを行ってみせた真田神十郎。
そして夜彦と倫太郎、そして氷熊は改めて目の前の敵が猟書家である事を再認識し、得物を構える。
そして、戦いの火蓋は切って落とされた。
「まずは我が城郭をご覧に入れよう!」
真田神十郎が石突で力強く地面を叩くと周囲の様子が変わり始め、四方全てに堅牢なる城壁が現れた。
「これなるは真田が誇る難攻不落の城塞迷宮!容易く抜けられると思われるな!」
声だけを残し姿を消す神十郎。どうやらこの迷宮を探索し、己を探し出せということだろうか。
「と、いう事みたいだぜ夜彦さん。どうする?」
「……ふむ、確かに難攻不落と豪語するだけあって確かに確りとした造りのようですね」
ですが――、と言って城壁に向かって一刀を放つ夜彦。
すると何という事か、まるで試し斬りの畳を切ったかのような亀裂が壁には敷いているではないか。
「猟書家は未だ全力を出せていない様子。ならば迷路と言えど力技で押し通るまでです」
「え、それでいいの夜彦さん!?」
「勝負は時の運です、彼も卑怯とは言わないでしょう」
そう言ってユーベルコード「覇空縛鎖」を発動する夜彦。
周囲の城郭を絡めとり、抑え込むように無数の黒い鎖が出現する。
そして次第に城郭は締め上げに耐えきれず、その姿を消してしまった。
「ぬぅ!もう破ったというのか!?……まぁ良い、であれば直接これにて雌雄を決するのみ!」
自慢の迷宮を落された事に驚きつつも、目の前の猟兵への闘志に揺らぎ無し。
十文字槍と刀を手に取り構え、真田神十郎は駆け出した!
「おぉっと!そうはさせねぇぜ!『業返し』!」
ユーベルコードの発動を察してか、倫太郎は神十郎の攻撃に華焔刀を差し込み、それを妨害する。
「小癪な!」
「そんじゃあ、この業(カルマ)、熨斗つけて返させてもらうぜ!」
倫太郎の読みは当たり、神十郎が繰り出していた攻撃が丸ごと彼自身に返っていく!
「ぬおおおお!?か、かくなる上はぁっ!」
最早これまでと察した神十郎、しかしただでは逝かぬと意を決し、なんと己が身に返ってくる斬撃を意に介さず駆け始めた!
「何と!?」
「マジかよ!?」
これにはさすがの猟兵も意表を突かれ、動きを止めてしまう!そして――、
「鍬元氷熊、覚悟ぉ!」
猟書家の凶刃が剣豪を襲おうとしていた!
「氷熊殿!」
「氷熊さん!」
二人の猟兵が必死に剣豪に叫ぶ!
まさか、ここまでしても猟書家の思い通りになってしまうのか!?
誰もがそう思っていた時だった。
●決死剣 熊爪
「――決死剣 熊爪」
その光景は、まさに驚天動地というべきか。
その瞬間、鍬元氷熊は小太刀に手をかけ、そして今正に斬りかからんとする真田神十郎を目の前にした。
その気迫は確かに戦乱の最中、幾度と見てきた豪傑のそれに準ずるものであったが、剣豪はその瞳の奥に彼が斬り殺してきた56人の剣客と同じものを見出していた。
――ならば容易い。
まず小太刀を居合にて抜き放ち、刀の峰に裏拳を添えるようにして凶刃を弾き、首めがけて斬り上げる。
そして返す刀で力強く袈裟に斬り裂く。
すると赤い花を咲かせるが如く、真田神十郎は噴血した。
これこそが剣豪、鍬元氷熊が絶技、「熊爪」であった。
「が、ハァッ……おのれ、只人の分際で……」
「アンタみてぇな目をした奴は56人みんな殺してきたんだが、やっぱり俺の剣じゃアンタにゃとどめを刺せないみたいだな……猟兵さん方、後は任せたぜ」
思わず見とれてしまった二人の猟兵であったが、剣豪の言葉に我に返ると猟書家にとどめを刺すのであった。
そしてその時の真田神十郎の表情は、どことなく「やりきった感」に溢れていたという。
●
こうして猟書家、真田神十郎の凶行は猟兵達の活躍により食い止められた。
しかし、これは真田神十郎が本調子ではなったという要素も含まれている。
もし仮に、クマのぬいぐるみではなく、予定通り家臣団に憑装出来ていたのならば、より一層の苦戦を強いられただろうか?
もしクマ杉が真田神十郎に多大な精神的苦痛を与えていなければ、鍬元氷熊の一太刀は通っていただろうか?
今回の戦いはあまりにもイレギュラーな要素が含まれていたため、他の猟書家に立ち向かう猟兵達に警句としてこの言葉を贈りたい。
【勝って兜の緒を締めよクマ】
Written by KUMASUGI
大成功
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最終結果:成功
完成日:2020年11月24日
宿敵
『真田神十郎』
を撃破!
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