汚い音を発する物に剣を叩きつける。
甲高い音を発する者に剣を叩きつける。
綺麗な声を発する者に剣を叩きつける。
ぴしゃりと外装に暖かな液体がかかった。
音が聞こえなくなった暗い世界で、外装に飛び散った暖かなそれを指で掬い取り視界の前に持っていけば綺麗な赤い血が視界を彩った。
それから視界を外し周りを見渡せば、動く者の居なくなった、たった今自分が滅ぼした一つの村。その惨状が視界に入る。
それは何度も繰り返した光景。何度も自分で作りだした光景。
主に下命され行ってきた事。それに不満などない…はずだ。
だと言うのに何時からか思考にどうも引っ掛かりを覚え始めていた。
ほんの小さな、ほんの少しの引っ掛かり。
こころをひっかく小さな感覚。
それが今また繰り返す。
音も無く、動く者もいない世界で亡と虚空を見つめ動く事無くその引っ掛かりを考える。
なぜ。なにが。どうして。なにを。
そしてそれは今まで鏖殺し虐殺し殺戮してきた己の道のりを思い返し、振り返る。
黒い外装がギしりと音を立てる。
ああ理解してしまった。わかってしまった。気づいてしまった。
どうしてこんな道を作ってしまったのだろう。
どうしてこんな事ばかりしていたのだろう。
どうしてもっと早く気づかなかった!
黒い外装の口元であろう部分がぎぎと小さく擦る音を発しながら大きく開く。
そして、
『――ッ! ―――――———ッ!』
狂ったように、来流ったような、回転ったままの、
それは笑い声を発した。
そんな狂笑が収まる事を待つ事無く、黒い狂人は膝を撓ませるとただ真っ直ぐに駆けていく。
自身の主だった者がいる館へと…。
あーあ、振り返る必要なんてなかったのに。
●
「おぉっはー。」
なんとも気に抜けた声だ。これが居酒屋だとかで友人と会った時の挨拶であるのならなんとふさわしい事だろう。鼻に突き刺さる酒の臭いも含めて。
「なんかー、りょーしょかーって言うのでいそがしーぃみたいだけれどー。
そーんなの関係ないねー! 事件は現場で起きてるんだからぁー!」
笑い声が煩い。
「えーっとねー。ダークセイヴァーでオブリビオンがオブリビオンを襲撃するのです!
俗にいう同族殺しだねぇ! 今回はそれに乗じるのだぁ!」
要は狂った同族殺しの襲撃に乗じて、通常では討伐が難しい領主へと肉薄して討伐し、さらに同族殺しも倒してしまおうという漁夫の利である。
同族殺しが領主の館の突撃し警備と戦闘し、猟兵は同族殺しに標的にされないように注意しながら同様に警備を減らし同族殺しを領主へ突撃させる。
同族殺しと領主の戦闘が始まれば、猟兵は領主を集中し狙う。
そして最後に戦闘で疲弊した同族殺しを討伐する。
注意しなければいけない事は領主を倒すまで同族殺しの邪魔をしてはいけないと言う事だ。警備との戦闘を邪魔をすれば、邪魔をしただけ相応の時間が掛かり、相応に領主に猟兵がいると感づかれる恐れが高まる。
領主との戦闘であれば言わずもがな、自ら針の筵。必要のない同族殺しからの敵意をもらう必要などないだろう。
「あぁー………後でぇなんで言わなかったとか言われるのも嫌だし―いっておくねー?
警備の子たちは数は多いけれど、待遇とか栄養的に一度気絶させれば作戦が終わるまでは起き上がれないから殺したくない人は…そうすればぁー。」
それは……。
酔っ払いは欠伸をしグリモアを展開する。
「戦いの後の光景なんて振り返る必要はないんだ。違う?」
みしおりおしみ
はぁい。
こんな情勢で同族殺しの依頼を出すMSはここです!
レッツ漁夫の利!
※プレイングに関しては『月曜から木曜朝』辺りまでで投げて頂けるとありがたいです。
シナリオについて。
第一章:タスケテもいいのヨ?
第二章:大型動物の喧嘩とか手出したくないけれど出さないといけない。
第三章:最後に立ってたものが勝者。
第1章 集団戦
『隷属から逃れる術を知らない少女達』
|
POW : 命より重い忠誠を誓おう
【忠誠を誓った者から授かった力】に覚醒して【命を省みず戦う戦士】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD : 主のためなら限界すら越えて戦い続けよう
【主の命令書を読み限界を超えた捨て身の攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : 主人に永遠の忠誠を誓おう
【忠誠を誓う言葉】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
イラスト:すねいる
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
黒い塊が駆ける。金属が欠けるような音を、狂笑を響かせ駆ける。
真っ直ぐに。一直線に。熱望する様に駆ける。
それが領主館、その大部分を占める林檎の香り漂う果樹園を認めた時、そこで動いていた奴隷兼警備の存在である少女達もそれを認めた。
黒い外装を纏ったそれの発する音を、狂った笑いを…そして何より振り上げられる武器を目にしそれを敵だと認識した。
少女達は言われた通り、命じられた通り、決められた通りに『侵入者』の下に集まっていく。
武器とは呼べぬ物を手に取りながら。
春乃・結希
どうして、なんて
後悔しても、意味なんてないのに
『主の命だから』…でもそれは、あなた自身が従うことを選んだから
他にも道は選べたはずなのに
同族殺しが駆け抜け拓いた道
『wanderer」の魔導力で脚力を強化し
一定の距離を保ちつつ、後を辿る【ダッシュ】
こちらへ攻撃を加えようとするものだけを
殴り、蹴り飛ばし、走り続ける
一撃で海に還してしまうから、『with』は使わない
あなたたちを助けたいわけじゃない
『with』を使うまでもないくらい弱いから
私の旅の邪魔だけはしないで
同族殺しのヒト、強そうだね?『with』。
あのヒトの旅の最期、ふたりで見ておこう
今日だって、私たちの旅の、大切な思い出のひとつになるから
剣が振り下ろされる。まるで初めから水であったかの様に赤が切り開かれる。
次の瞬間には、剣はまるで舌で散った赤を舐め取る様に伸びながら、上へと切り上げられていた。
そんな光景を見ながらも、少女達は同族殺しへと殺到する。
そんな光景を見ながらも、同族殺しは意に介さず前へと踏み込む。
剣が振るわれる度に死体が舞う。四体が舞う。肢体が舞って、
真っ赤なビロードの様な道が出来ていた。
「どうして、なんて。」
同族殺しは自分の行いを振り返ったせいで狂ったそうだ。
自分が力の無い弱い民を殺してきたその道を振り返ったせいだと。
「後悔しても、意味なんてないのに。」
春乃・有希(withと歩む旅人・f24164)はそんな説明を聞いて、直に狂ったオブリビオンを見て、そう呟いた。
「『主の命だから』…でもそれは、あなた自身が従うことを選んだから。他にも道は選べたはずなのに…。」
まるで小説を読むような、映画を眺めているような瞳でそれを評する。
自分ならそうすると、自身と最愛の恋人が一緒ならそうすると、確信を込めて呟く。旅人は振り返らないと前を向く。
「そろそろ行きますか。」
さほど待つ必要も無く、追走しても同族殺しに目を付けられる事が無さそうなほどに距離が出来ていた。
それに応える様にブーツが蒸気を噴く。
体を沈め、地面を強く踏みしめる。
そして蒸気魔導によって強化された脚力で地面を蹴りだせば、体は真っ直ぐに、前へと飛んでいた。
同族殺しに置いて行かれ、後を覚束ない足取りで追う少女達の横を通り過ぎれば、少女達がそれを間をおいて認識する頃にはとうに追い縋れないほどの距離が出来ていた。
春乃がその足で辿るは同族殺しが駆け抜け拓いた道。
道が出来るのだから、それを使わない手はない。
それに…。
偶然振り返ったか、偶々視界に入ったか、道の先に居る少女が春乃へと体を向ける。侵入者として敵意を向ける。
『with』を背負ったまま、さらに加速をかけるために地面を蹴る。
跳びかかるタイミングを失した少女に向け、宙にいる春乃は体を横に回転させ側頭部を蹴り飛ばし道から退かした。
それに…弱いから。弱いから敵じゃない。
『with』を使うまでも無いくらいに弱いから、旅の『敵』にすらなれない。
「あなたたちを助けたいわけじゃない。ただ、私の旅の邪魔をしないで。」
蹴りによる失速で、加速前の速度に戻る。旅の障害などなかった。
そして気づけば、同族殺しとの距離が縮まっていた。
理由は一目でわかる。果樹園中から集まってきている少女の波。
剣を振るっても次に次にと邪魔が入り同族殺しの速度が落ちていた。
春乃はすぐに向きを変え木の上へと飛び、観察する。
「同族殺しのヒト、強そうだね? 『with』」
侵攻を続けながら、間合いの内には決して入らせていない同族殺しを見ながら背負う『with』へと語りかける。
「あのヒトの旅の最期、ふたりで見ておこう。今日だって、私たちの旅の、大切な思い出のひとつになるから。」
旅の思い出に、誰かの旅の終わり書き記す。
どんな結末なのか。あの狂った笑い声の終わりは…。
大成功
🔵🔵🔵
九重・灯
表に出てる人格は「オレ」だ。
グリモア猟兵が何か言ってたな。近くの敵の腕をひねり上げて顔を覗き込む。
『怪力7、捕縛5、グラップル3』
オブリビオンなら斬る。だが……
コイツら、人間か? だったら、残りカス程度の力を貸し与えられている奴隷ってところか。
ああ、クソ
「領主はオレ達がブッ殺す。館に残ったものを使えば暫くはもつだろ。後は自分達でどうにかしろ」
UC【眠りの砂霧】。眠りをもたらす砂が霧の如く広がる。
同族殺しに向かおうとする者はなるべく眠らせる。そうすれば死ぬヤツも減るだろ。
『範囲攻撃5、催眠術5』
フン。コイツらがこの後くたばろうが、生きて何かの希望を拾おうが、そんなのオレの知ったコトじゃねえけどな
久遠・翔
アドリブ絡み歓迎
隷属…奴隷…俺の一番嫌いな言葉っす
だから救える者は救う。傲慢だ偽善だと思うなら好きにしろ
それが俺の生き方っす
少女達の前に立ち進路を塞ぐ
何故その姿になりながらも忠誠を誓う?
行けば死ぬ…俺はそれを見過ごせない
見過ごしたくなんかない…元奴隷の身としてはな
粗末な武器で攻撃してきたら回避せず全部受け止める
俺はお前達に死んでほしくない
初対面だろうと関係あるか…隷属されたまま死に行く者を俺は見過ごせない
だからお前達の心の枷…取り外す!
UCで心を癒します
生きる目的がないなら俺が見つけるまで傍にいてやる
依存していかなければ生きていけないなら存分に依存しろ
俺は何が何でもお前達を救ってやる…!
九重・灯(多重人格者の探索者・f17073)と久遠・翔(性別迷子・f00042)は果樹園を走っていた。
それだけであればただの日常の一つであったかもしれない。
真っ直ぐに伸びる赤い道。その周囲の地面にはまるで台風の後の様に散乱する赤い『果実』。そして林檎の甘い匂いと混ざる鉄臭さ。
異常者が描いた絵画のようなその光景に、ただただ眉を顰めた。
「隷属…奴隷…俺の一番嫌いな言葉っす。」
久遠は口にする。
「見過ごしたくなんかないっす。元奴隷の身として。」
その道を進む理由を、決意を口にし前へ進む。
九重はそれに対して特に否も応も言わず並んで歩を進める。
その思考の中ではグリモア猟兵が言っていた言葉が引っ掛かり、渦を巻いていた。
そして、その違和感を明らかにするのは簡単な事であった。
少女達は侵入者を追っている故に、暫く出会う事も無く歩を進める事が出来たが、余波か何らかの要因で足を痛め、置いていかれながらも足を引きずりながら追い縋る少女がいた。
周りを見渡せば、ちらほらと同じような者がいる。
その速度ではすでに脅威ではない、同族殺しに追いつく事も無い。
それを救うにしてもどうするにしても同族殺しの見える範囲へ行くのが……。
九重は真っ直ぐにその少女へと向きを変える。
「ちょっ、九重さん!?」
久遠の声が届く頃にはすでに少女の凶器を持つ腕を掴みひねり上げその顔を覗き込んでいた。
「オブリビオンなら切る。だが……。」
(ああ、クソ。)
心の中で悪態をつく。引っ掛かりは杞憂なんかではなかった。
疑念を持って近づき見たからわかった。
疑惑を持って直接触れ観察したからわかった。
余りにも、オブリビオンの臭いが薄い。その因子が限りなく薄い。
「コイツら、搾りカス程度の力を貸し与えられただけの奴隷……人間か。」
表情を変える事無く両手で振りほどこうとしながらもビクともしないその様子を見、久遠に視線をやれば…
「あ、おいアンタ!」
今度呼び止めようとするのは九重の番であった。
九重をの言葉を聞いた久遠は、全力で同族殺しが居る方へと向かっていた。
・・・・・。
「どうしてそんな姿になりながらも忠誠を誓う?」
背後にはもう同族殺しの姿が見える。その場所に、少女達の前に久遠は立っていた。青みがかったその瞳に猶更の決意を込めて。
「行けば死ぬ。俺はそれを見過ごせない。見過ごしたくなんかない。」
その瞳を向けられても、その言葉を向けられても、侵入者を認識した少女達は止まらない。
久遠を認めたその全ての少女が凶器を持って襲い掛かる。
どうしてなんて。行けば死ぬなんて。主への忠誠よりも軽くなってしまった自身の命の事なんて、心に触れる事も無いのだから。
数人の少女が久遠に殺到し刃を突き立てる。それを久遠は受け入れた。
粗末な武器であれど刃は刃。肉を突き破り、突き立つ場所によっては骨に触れる。
何より粗末であるが為に錆が神経を撫でる。
少女達は機械的に刃を引き抜き再度突き立てようとしたが、押さえられ引き抜けない。
「傲慢だ偽善だと思われようが救えるものは救う。それがオレの生き方だから。」
押さえつける? 久遠はただ抱きしめていた。突き刺さる刃が揺すられ肉を削られる痛みを隠しながら。
「俺はお前達に死んで欲しくない。隷属されたまま死にゆく者を俺は見過ごせない。
見過ごしたくなんかない! だからっ!」
だから、ありったけの想いを込めて、優しく抱きしめる。安心させるように。
暖かさが遠くなったその心に、熱が伝わる様に。
少女からゆっくりと、力が抜けていく。武器から手が離れだらりと重力に引かれる。抱擁を解けば地面に崩れ座り、未だ表情は戻らぬまでも追おうとする…忠誠を遂行する意思は見て取れなかった。
それよりも、もっと多くの少女が襲い来るはずだった。今こうしてる間に他の少女が襲い来るはずなのにそれがない。
周囲に薄く霧が立ち、他の少女が地面に倒れていた。
「足速いってアンタ。つーか向こう見ずも大概にしろよ。助ける前に押しつぶされて圧死するぞ。」
周囲に立ち込める霧。それはサンドマンの眠り砂。ただ眠らせ、無力化するのみのUC。
眠らせれば同族殺しへ向かおうとするものが減る。そうすれば死ぬ奴も減る。そんな理屈だが、
「フンッ。コイツらがこの後くたばろうが、生きてなんかの希望を拾うが、そんなのオレの知ったコトじゃねぇけどな。」
眠った少女達を横目に吐き捨てられたその台詞が、ただ単に止められたのに目の前で死なれるのは寝覚めが悪いと言うだけなのか、それとも別の何かなのかは本人格の胸の内のみだろう。
「……彼女達の生きる目的がないなら俺が見つけるまで傍にいる。
依存していかなければ生きていけないのなら存分にそうさせる。
俺が何が何でも救ってやる。」
「知ったコトじゃねぇっての。知ってるのは、領主はオレ達がぶっ殺す。で、その後どうにかしようってんなら館にあるもの使えば暫くはもつだろ。それ以上は知らん。」
久遠が何か感謝の言葉を言った様な気がするが知らん。
そう、領主は殺す。
オブリビオンなら斬る。
こいつらは人間だから斬らない。
こいつらが人間なのなら……同族殺しが今やってる事は何も変わらなくないか?
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
花盛・乙女
納得がいかぬまま剣を振り続けたか。
外道の主に殉じる身でありながら外道には堕ち切れぬか。
あまつさえ今更その主を手にかけようというのか。
それは優しさでも仁義でもない。我侭なだけだ、愚か者が。
…とはいえ、私も彼奴とそう変わらん。
漁夫の利とグリモア猟兵殿は言っていたが…歯痒いな。
同族殺しの後方から気取られぬよう追跡。
かかる火の粉は払うが峰打ちに留めよう。
すまない。命懸けには命を以って対するのが礼儀だが、傀儡を斬るほど堕ちてもいないのだ。
死を望むなら、その命は私が背負っていこう。…ふん、偽善だがな。
いかれに道理は説けぬ。
時至るまで好きに暴れるがいい。
羅刹女はそれまで、怒気は拳に留めることにする。
花盛・乙女(羅刹女・f00399)は同族殺しについてこう思った。
納得がいかぬまま剣を振り続けたか。愚か者が。
外道の主に殉じる身でありながら外道には堕ち切れぬか。愚か者が。
あまつさえ今更その主を手にかけようというのか。愚か者が。
それは優しさでも仁義でもない。我侭なだけだ。
『愚か者が。』
結局それが花盛・乙女の同族殺しの行動への評価はその一言に尽きた。
(…とは言え。)
花盛は一つ嘆息する。
「私も彼奴とそう変わらんか。
漁夫の利とグリモア猟兵殿は言っていたが…歯痒いな。」
誇りを持ち、漁夫の利を狙うような曲がった事を嫌うが、それが策ならばと今そうしている己もまた…と考えれば気が沈む。
そんな間にも花盛は接近してきていた少女を一人、刀の峰で打ち倒していた。
策を巡らすでもなく、仲間と息を合わせるでもなく、牽制すらなくただ真っ直ぐに向かってくるそれは修行にすらならない単純行動であった。
命懸けには命を持って対する。それが彼女の礼儀である。
が、余りにも稚拙であり何より傀儡を斬るほど堕ちてもいない。
先にいる同族殺しを見れば猶更だ。破邪顕正。それは間違いなく邪道だ。
花盛が堂々と同族殺しの後を追跡しながら降りかかる火の粉を打って気絶させ、他の猟兵の働きもあって同族殺しの侵攻を鈍らせていた少女達の壁は分散するか、無力化され、同族殺しの勢いはその速度を少し取り戻していた。
けれど、花盛はどうにも気にくわなかった。
その暴れるさまが気にくわない。
追跡しながらその暴れる様を見、そして聞いている内に胸の内に降り積もる苛立ち。
その太刀筋を見続ければわかる。
ああそうだ。狂笑にも一切含まれてはいない。
慟哭など、一欠けらも。
時至るまで好きにするがいい。
時に至れば、この怒気を振るう事が出来るのだから。
まったくもって、いかれに道理は説けぬ。
成功
🔵🔵🔴
第2章 ボス戦
『マーシャ』
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POW : 少し味見させて──ね?
【意識】を向けた対象に、【その生命力を投影した林檎を齧る事】でダメージを与える。命中率が高い。
SPD : 七人のこびと
【危機が迫った時に現れる7人の犠牲者】の霊を召喚する。これは【好意を持つ人のキスでしか目覚められない毒】や【毒針】で攻撃する能力を持つ。
WIZ : 林檎滔々仇時雨
【優雅に踊りながら毒林檎】を降らせる事で、戦場全体が【お気に入りの果樹園】と同じ環境に変化する。[お気に入りの果樹園]に適応した者の行動成功率が上昇する。
イラスト:maru
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「奇鳥・カイト」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
同族殺しが領主館の扉を斬り破れば、その先に領主が『待って』いた。
「少しだけ早かったわね。」
その声とその姿を見た瞬間、狂笑しか発さなかったその口が大きく開き喜悦を伴った叫びが発された。
『MaaaaaaaaaAAAshaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!』
そして、一直線に…
「ああ、まったく…。」
しゃり…と小さな音がした。
駆けだそうとした同族殺しの足から力が抜け頭から地面に突っ込む結果となった。
「神の血で暴走して、ダンピールに執着して、狂えば吸血鬼に? 目的は血か、力か、それとも体か。どうにしても見るに堪えない姿ね。」
同族殺しが起き上がるも、その力の差は圧倒的であった。
春乃・結希
マーシャ?それがあなたが殺したい人の名前なんですね
主だった人に復讐する…どんな気持ちなんだろう
林檎を齧られる度に崩れ落ちそうになる身体
それを自己暗示で上書きし、風で支え、距離を詰めていく
…好きなだけ食べるといいです
私を動かすのは、想いの力
『with』と一緒なら、心が折れないなら
絶対に…負けない…
同族殺しのヒト
この後海に還すのに、今は一緒に戦うなんて、変な感じだけど…
あの林檎は意識を向けられた時だけ効果があるみたい?
なら、私が意識を引き付けてる間は、同族殺しが
同族殺しに意識が向いてる間は、私が動けるはず
領主さん、あなたすごく恨まれてるみたいですよ
怖いとか後悔とかあるんですか?
純粋な興味心で尋ねて
「はぁ、使えるからと言ってやっぱり妥協してはダメね。血に執着するのは本当に…。」
そう呟き、再びリングに口を付けようとしたマーシャの体が突然横に吹き飛んだ。
「この後悔を還すのに、今は一緒に戦うなんて、変な感じだけど……。」
さっきまでマーシャが立っていた傍に、側頭部を蹴り抜いた姿勢から態勢を戻す春乃・結希(withと歩む旅人・f24164)がいた。
しかし春乃はその場に留まらず、ちらと同族殺しを視界の端で捉えるだけで風を体に纏い距離を取った。自身と同族殺しよりも、同族殺しとマーシャの距離が近くなる位置へ。
「猟兵? どうして………ああ、そう、乗じてきたのね。」
壁に叩きつけられながらも特に呻く様子も無くマーシャは立ち上がる。
そして猟兵を認め疑問を覚えるのも一瞬。漸く三つ巴の戦いが始まる。
初めに動いたのはやはりと言うべきか同族殺しであった。
その手に持つ剣を蛇のように伸ばし、マーシャへと駆ける。
『オマエのそのチを! カラダをッ!」
マーシャは壁を背にして背後、意識が向きにくい場所を作らない様にし、余裕をもって林檎を口元へ…。
床を叩き割る様な衝撃音がした。
視線が、意識が、同族殺しから『ずれる』。同族殺しの後方へいつの間にか移動し、その足で床を踏み砕いた春乃へと。
そしてそのままずれた意識を向け直す間もなく「しゃり」と林檎を齧ってしまう。
崩れ落ちそうになる体を剣で支える姿が、同族殺しの剣の暴風で見えなくなる。
(私を動かすのは想いの力。『with』と一緒なら、心が折れないなら、絶対に……負けない…。)
文字通り生命力を齧られ倦怠感を覚えた様に力が抜けかけた体に活を入れる様に、その愛剣を握り、瞳を閉じて、自身の内側を塗り替える。
戦いへ視線を向け直せば、手傷を負わせたもののマーシャに蹴り飛ばされ距離を離された同族殺しと、再度その手に林檎を作り出したマーシャの姿が映った。
マーシャはまだ春乃が立ち直れていないと思っている。その意志の強さを知らないのだから。だから、攻めるのなら…。
「シャリ」と音がすると共に、同族殺しが再び膝をつく。
そしてマーシャが春乃へと視線を向けようとしたその目の前に、剣を振りかぶった春乃が迫っていた。
そして、振り下ろされる剣と共に血が舞う。
…。
「ねぇ領主さん、あなたすごく恨まれてるみたいですよ。怖いとか、後悔とかあるんですか?」
衣服を、身体を大きく血に濡らしながらもその手に林檎を携えながら冷めた表情で春乃を見つめるマーシャへ問いかける。
帰ってきたのはただの一言。
「無いわ。」
恨まれる筋合いも、恐怖も、後悔も。
振り返る必要などないと。
大成功
🔵🔵🔵
花盛・乙女
思っていたより、手前勝手な道理にありそうだな、同族殺しは。
まぁいい。そんな事に心を砕いても仕方ない。
同族殺しが領主を攻撃するのであればそれを止める必要はあるまい。
館内の家具や装飾を「怪力」で破壊し、領主の行動範囲を阻害しよう。
逃げ場がなくなれば、同族殺しに攻撃をする他あるまい。
そこで削り合えば重畳という段取りだ。
しかし、その林檎はいかんな。
そんな呪術のようなもので決着しては味気ない。
熱烈な想いを遂げにきた同族殺しも浮かばれんぞ?
【黒椿】の柄に手をやり、呼吸。集中。
神速の居合『雨燕』…林檎持つその手ごと、落としてやろう。
なんとも心の躍らん戦場だが…
最後まで、見届けてやるとしようか。
■アドリブ歓迎
詰まらなくなってきたものだ。
心が透けて見えてくればどうにも冷めてくる。
「思っていたより、手前勝手な道理にありそうだな、同族殺しは。まぁいい。そんな事に心を砕いても仕方ない。。」
花盛・乙女(羅刹女・f00399)はそう呟きながら柱を一つ素手で折り砕く。
そんな様を音と目の端で見たマーシャは同族殺しを生命力を削り跪かせ蹴り飛ばし距離を離すと花盛に声をかけた。
「猟兵? 何をしているの。」
猟兵であるから敵ではあるのだが、花盛のその自分を狙っている訳ではない行動に同族殺しと同時に相手をする羽目になってでも狙うべきか、疑問を持っていた。
けれど、花盛は答えることなく物陰へと消え向こうでは同族殺しが立ち上がっていた。少し不愉快そうに眉を眇めるも何度も立ち上がってくる同族殺しを先に徹底的に地を舐めさせると決めた。
何度目かの戯れ。何度目かの迎撃。そして何度目かの破壊音。
背後に壁を感じる。そして左右は元屋敷の瓦礫で幅が狭まり避けるには少々手狭になっていた。
「あら……。」
少しだけ目を見張る。少しの賛辞を込めた驚き。ここまで壊せるものなのね…と。
正面から迫る同族殺しの攻撃を避ける場所はないけれど…。
(けれど…。)
シャリと林檎を齧ればその剣を持つ腕から力が抜ける。そしてマーシャはその隙だらけになった同族殺しの胴体に蹴りを叩きこんで吹き飛ばす。
何度目かの同じ光景。
「しかし、その林檎はいかんな。そんな呪術のようなもので決着しては味気ない。」
そんな吹き飛ばされる同族殺しの背後から声がする。
宙を舞う同族殺しの下から緋色が伸びる。地を舐める様な接近。
気づいた時には既に目前。いや、気づいた時には既に片手が林檎と共に飛んでいた。
「熱烈な想いを遂げにきた同族殺しも浮かばれんぞ?」
そんな言葉を残して、そのたった一度の交錯を結んだ勢いのままマーシャの前から離脱する。
「もっと素敵なアプローチなら考えてたわ。」
綺麗に斬られた自分の片手を眺めながらマーシャは姿を消した猟兵に言葉を返した。
その光景は見えずとも、音が伝わる場所で花盛は黒椿を鞘に納めれば溜息をつき壁に背を預けた。
(本当に、なんとも心が躍らん戦場だが…。)
戦いを思い返す。
(だが最後まで、見届けてやるとしようか。)
大成功
🔵🔵🔵
久遠・翔
アドリブ絡み歓迎
圧倒的な力っすね
それでも倒さなければ…彼女達への呪縛は解けない
なら倒す事に全力になるだけっす
同族殺しが攻撃している間に選択UCを起動
彼女達から貰った傷を服を破り応急手当しているので肌の一部が晒されている為誘惑152が漏れているがしょうがないと武器を構えます
ただ相手がうっとりしながら林檎を舐めるとぞぞっと背筋が震え齧られると体力が削れふらっとよろめきます
とっても甘くて美味しい?
私の玩具になるなら助ける?
お断りっす
俺は彼女達を助けるって約束しました…それを裏切る事なんて出来ませんとUCの影響で神速で相手を攻撃
顔だけは攻撃できないですけどね…流石に綺麗な顔を傷つけるのは躊躇うっすから
九重・灯
人格は「オレ」のままだ
人間の奴隷を置いていたのも、ああやって喰うためか。
……だが、ハハ。まさか面倒を見るなんて言うヤツがいるとはな。「オレ達」にはやるコトがある。だから依頼が終わればサヨナラだが、おかげで気楽にやれるってモンだ。なあ?
UC【呪装変転】。装甲…防御半減。攻撃回数×5
領主と対する同族殺しの背後に身を隠すように走り寄り、跳躍。両者を飛び越えて、領主を同族殺しと挟み撃ちするよう着地。
『敵を盾にする3、ジャンプ3、空中浮遊3』
剣の斬撃を囮に、足元の影からカゲツムギの黒縄で動きを封じる。
『不意打ち5、捕縛5、体勢を崩す5』
「林檎を齧る」動作無しではアノ攻撃は成立しない。
後は同族殺しに任せる
マーシャは片手しか使えなくなり同族殺しから手傷を負う頻度が増えた。しかしそれは決して同族殺しが圧倒などしている訳ではなく、ただ一方的ではなくなったと言うだけに過ぎない状況であった。
「圧倒的な力っすね。それでも倒さなければ…彼女達への呪縛は解けない…。」
久遠・翔(性別迷子・f00042)がそう思いを込め、呟き、足を一歩前に出した瞬間に同族殺しと戦っているにも拘らずマーシャの視線が久遠の視線とかち合う。
誘惑とは存在感の様なものだ。傷の手当の為に節々の肌を晒してしまっているその姿からそれが漏れ出していた。
マーシャはあら、とまるで珍しい物でも見たかの様に眉があげ、それと一緒に片足がまっすぐ上にあげられ、そして振り下ろされる。大きな音と共に同族殺しが床に叩きつけられた。
マーシャの視線が観察する様に久遠に刺さる。
「あなたは不思議な人ね? とても不思議な人だけど、あなたは林檎にはなれないわ。」
そう残念そうに口にすれば、同族殺しが跳ね起きると共に距離を取る。
「ああけれど、勿体ないから寝ておきなさいな。」
跳び退ったまま久遠に向けそう声をかけながら、作り出した林檎を片手で持ち小さく齧る。
そりと、精神を撫でる様な喪失感と共にたたらを踏みかけ…
「人間の奴隷を置いていたのも、そうやって喰うためか。」
九重・灯(多重人格者の探索者・f17073)が横に立ちそれを支えた。
「あんな沢山の奴隷を置いて……味のコンプリートでもしようってか?」
随分大食でと、そう鼻で笑いながら問う。
「奴隷? ………ああ、あれは雑用をしてるだけの警報よ? 林檎は美味しいものに限るでしょう? ねぇ?」
マーシャは初め何の事かと疑問を覚える様に沈黙し、そして思い至ったと出た答えは、人ではなくただの『道具』だと言う。
そしてあんな萎びた物など食べる価値も無い。食べるのなら、生命力に溢れた綺麗でおいしい林檎/猟兵だと。
同族殺しもそんなに食べたくはないと蹴り飛ばされた。
「そうかい、自分勝手な事だな。」
九重は兆候も無しに久遠を離すと、マーシャに突撃していく同族殺しの背後にぴたりと姿を隠しながら追随する。
「ま、『オレ達』だって自分勝手だ。『オレ達』にはやる事がある。だから依頼が終わればサヨナラだ。だが…。」
その行動にマーシャは警戒する。そして、警戒したからこそ…先に行動する。
接近を避けるために同族殺しに対して林檎を使う。
林檎を齧れば同族殺しは膝から崩れ落ちる様に態勢を崩し、九重はそれを足場にし跳躍した。
マーシャの口元にあるのは同族殺しの林檎。だから、九重には使えない。
マーシャの視線が九重を追いかけ上へ上へと移動する。
九重の体がマーシャを飛び越える様に宙を飛び、その影がマーシャにかかる。
瞬間、影が浮き上がる。
「ハハッ、まさか面倒を見るなんて言うやつがいるとはな。おかげで『オレ達』は気楽にやれるってもんだ。なぁ?」
着地した九重の背後には、立ったままの状態で影でできたワイヤーでもって雁字搦めにされ、動きを封じられて呻くマーシャが居た。
「いつもより50割増しだ。そう簡単には逃げられねぇよ。さ、後は任せる。」
九重が振り返らずに手を振ってそう伝えれば、紫電の音でもって答えが返る。
「ええ、俺が彼女達を助けるって約束しました。だから全力で、この一瞬で決めます。」
そして、身体を紫電で覆う久遠の神速に至る一撃は…
「痛みはないっすから。」
精確に、心臓を貫き穿った。
大成功
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第3章 ボス戦
『彷徨える黒剣』
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POW : 黒剣覚醒・時間加速
自身の【外装】に覆われた【神器】が輝く間、【黒炎を纏う黒剣】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
SPD : 黒剣覚醒・時間遡行
あらゆる行動に成功する。ただし、自身の【宿主のダンピールの寿命】を困難さに応じた量だけ代償にできなければ失敗する。
WIZ : 黒剣覚醒・時間転写
自身の【宿主のダンピールの寿命】を代償に、【複数の過去】から召喚した【自分自身】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【自身のユーベルコード】で戦う。
イラスト:猫背
👑8
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「リーヴァルディ・カーライル」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
領主は静かに崩れ落ちた。
ならば、残るのは同族殺しだけ。
そう思い振り返ればそれが居るであろう場所に見当たらない。
軋む音がした。マーシャが倒れた方向から。
視線を向ければ同族殺しが崩れ消えていく途中のマーシャの体を両手で頭上高くに持ち上げ血を浴びていた。
『ソウダ。ソウダ! コノ血だ! あンナ弱イ血なんかじゃナイ!」
そしてその残骸を自らの外装の内側に押し込めば狂笑が爆発する。
どうしてあんな味気ない道を作っていた?
どうしてこんなつまらない殺戮ばかりしていた?
どうしてもっと早くこの素晴らしい御方の血を求めなかったのだろう。
狂った笑い声が響く。
そうだ、その笑い声は……歓喜の声だ。
※プレイングは月曜から木曜までに頂けるとありがたいです。
九重・灯
もちろん「オレ」の出番だ
ハッ、なるほど。そういうヤツか
「オーケイだ、バケモノ。気を遣わずに済むってモンだ!」
敵の攻撃は剣で弾き、黒刃カゲツムギを影から牽制程度に繰り出してなんとか防ぐ
『見切り5、武器受け5、カウンター5』
敵の本体は鎧とそこから生えた剣……というか剣から鎧が生えてるのか? まあいいさ
UC【朱の王】。血を代償に朱の契約印から魔炎を喚び、武器と四肢に纏う。
「――我ら、狂気を以て狂気を討つ!」
魔炎剣・アザレアを振るう
『属性攻撃15、呪詛6、なぎ払い8』
妄執もろとも打ち砕く
『鎧砕き10、怪力7、部位破壊5』
敵の生命力、黒炎を取り込み贄にして更なる魔炎を喚ぶ
『生命力吸収3、継続ダメージ4』
響く哄笑に皮肉交じりの息が漏れる。
(ハッ、なるほど。そういうヤツか。)
九重・灯(多重人格者の探索者・f17073)は理解した。
それが悲劇の騎士でもなければ同情の余地ある怪物でもない。
いつも通りのバケモノだ。
「オーケイだ、バケモノ。気を遣わずに済むってモンだ!」
そんな敵をぶん殴るのが、オレの担当なのだから。
斬鎧刀を向け発された戦意に同族殺しも反応し、笑いに開かれた口が閉じその視線が九重へ向く。強き血、弱き血ではなく強き血。
外装の隙間から漏れ出る赤い灯火がより強く、輝く。
そして、それはすでに目の前にいた。
予備動作など見えず、前兆も同様。あったはずの間合いも今や零。
時間加速。その時点で伸長された黒い炎を纏う黒剣が振るわれる直前であった。
迷っている暇なんかない。半ば本能で剣を立て、その厚い刀身の後ろに極力体を隠し足を地面にしっかりと付ける。
歪な黒剣が掻き毟る様に剣腹を撫でる。
間髪を入れずに二撃、三撃。
ただ闇雲にひたすら突っ込んでいただけの先程までとは見違える勢いであった。
それが血を得た故か、それとも領主を殺した故か、どうにせよ簡単な敵ではないことは確かだった。
四撃、五撃。自身の影を刃状に変え勢いを削ごうと迎撃する。
六撃、七撃。黒剣の勢いに押され僅かに後退する。
八撃、九撃。……凌ぎ切る。加速を失った同族殺しは反撃を警戒し距離を取った。
しかし、凌ぎ切ったとは言え、九重の体には幾つもの裂傷が刻まれ血を流していた。
頬から、足から、腕から。斬鎧剣の刀身にも、腕から血が伝い一筋の道を作る。
『――—————。』
九重の頭に…違う。契約印から声が響く。
同族殺しがその血を求めて再度赤い灯火を強く輝かせて…。
「……ああ、貸せ。」
九重はその声に答え、そして契約の言葉を。
「――我ら、狂気を以て狂気を討つ!」
瞬間、朱が弾ける。伝う血を導火線にでもした様に斬鎧剣を朱い炎が覆い、流れ出た血を燃やす様にその体を朱い炎が覆う。
「さぁ、来な。」
その光景を見て一瞬躊躇した同族殺しだったが、すぐさま考えを捨て再び距離を詰め黒剣を薙ぎ払う。
例え力を強化しようと、先刻の光景とさほど変わるはずがない。そう、思考した。
けれど、ただ一度黒剣を振るっただけで同族殺しのその体は重くなった。
見れば、相手の剣に叩きつけ削るはずだった自分の黒剣から、黒い炎が逆に削り取られるように消えていた。
自身の体から漏れ出る赤い灯火も、まるで朱に塗りつぶされる様に弱弱しい。
「敵の本体は鎧とそこから生えた剣……というか剣から鎧が生えてるのか? まあいいさ……。」
赫々しき朱の炎を纏い、魔炎剣・アザレアとなったその剣を九重が掲げれば、まるで呆然としたように同族殺しも仰ぎ見る。
「どっちにしろ、妄執もろとも打ち砕く!」
同族殺しの視界を、朱が埋め尽くす。
大成功
🔵🔵🔵
春乃・結希
復讐?それとも、マーシャの血が欲しかっただけ?
マーシャの力を得られて、凄く嬉しそうに見えるよ
きっと今があなたの旅の絶頂で
これから先は、またつまらない旅になる
それなら、この1番いいタイミングで、終わらせてあげる
あなたが時間を戻しても、絶対に避けられなくなるまで、何度でも繰り返す
傷が増えるほど強くなる焔の雨
敵の行動範囲を狭め
withの【カウンター】を確実に当てる為
代償を払えなくなるくらい激しく雨が降り出すまで攻撃を耐え
それでも足りなければ自傷で増やす【武器受け】【激痛耐性】
一撃でいい……それだけで叩き伏せる力が、withにはあるから
あなたの旅の最期、私達の思い出に
絶対に、忘れないから
閃火の雨が降る。
「復讐? それとも、マーシャの血が欲しかっただけ?」
『復讐? 何ゼ? ああ。あア! アア! ツマラナイ今マデの復讐と言うのなラソうだな。この血は、力は、素晴ラしいゾ。ワカルか? 分らなイダロうな!』
春乃・結希(withと歩む旅人・f24164)の声に同族殺しが叫ぶ。
同族殺しは朱の炎を叩きつけられたにも拘らず、焦げ跡を作りながらも春乃が作り降らせる焔の杭を縦横無尽に駆け、避けていた。避けている?
「マーシャの力を得られて、凄く嬉しそうに見えるよ。」
春乃が自ら作った掌の傷口から、焔がゆらゆらと揺らめき…ちろと焔の舌が揺れれば同族殺しの下に焔の杭の雨が降る。
同族殺しは炎の杭を縫う様に接近し黒剣を振るうも、春乃は表情を変える事無く下がり小さな傷だけが出来る。同族殺しは刃を返し追撃へ移る…その気勢を制する様に焔の杭が周囲に降る。
視界がブレる。同族殺しは体を無理やり停止させ神業の様にそれを避けると距離を取り、春乃の周囲を回りだす。
「きっと今があなたの旅の絶頂で…これから先は、またつまらない旅になる。」
同族殺しが選んだのは一撃離脱。走り回り、飛び回り、付けられる傷をつける。
傷が増えるにつれ焔の杭が増えている気がする。危ない?
けれど、それでも、ああ流れる血を見るのが愉しい。
また傷が増え、焰の杭が増える。
「それなら、この1番いいタイミングで、終わらせてあげる。」
同族殺しが宙に跳んだタイミングで幾つもの焔の杭が襲い掛かる。
避ける事が出来ず、焔の杭は同族殺しに当たり爆ぜる…。
春乃の視界がブレる。
同族殺しは宙で器用に体を捩じり焔の杭の隙間を掻い潜ると、異様な態勢のまま地面を蹴り春乃に跳びかかり擦れ違いざまに斬りつけていった。
時間遡行。例え焔の杭が増えようが構わないと同族殺しに自信を与えている能力。
一度経験してから時間を巻き戻してやり直す。後出しじみたズル。
幾度目かの焔の雨が降る。
やり直し。けれども隙間を見つけた。
同族殺しはその焔の雨を避ける成功へと身を捻じ込む。捻じ込まさせられた。
「あなたの旅の最期、私達の思い出に……。」
その先には愛剣の『with』を振り下ろすその刹那の春乃の姿があった。
焔の杭の雨に身を晒す? その後逃げられるか?
焔の杭の雨を避ける。避けた態勢からまた避けられるか?
やり直し。やり直し。やり直し。やり直し。やり直し。やり直し。
やり直し。やり直し。やり直し。やり直し。やり直し。やり直し。
やり直し。やり直し。やり直し。やり直し。やり直し。やり直し。
「絶対に、忘れないから。」
金属が拉げる音が響き……同族殺しの腕が勢いよく地面に落ちる音が響いた。
大成功
🔵🔵🔵
花盛・乙女
…あぁ、その喧しい声を上げるのはやめろ。癇に障る。
貴様に僅かでも『情』をかけた己自身の未熟に腹が立つ。
羅刹女、花盛乙女。蹂躙に参る。
【黒椿】と【嶽掻】を構える。
私の花盛流は太刀と小太刀の二刀流。だが今両手には太刀。
この意味が分かるか? 羅刹の膂力、その身で味わえ。
手数の多さが貴様の自慢らしいな。
『先制攻撃』の一閃で両腕を落とす。
黒椿の剣閃、嶽掻の重撃。
『武器受け』『第六感』を澄ませれば獣の剣など私に届かん。
血が欲しいか。望むなら貴様の主の身も盾にしてやろう。
『グラップル』で組み伏せ、『怪力』の限りで砕こう。
泣くなよ、やって来た事だろう。せめて死ぬ時くらい、誇りを見せろ。
■アドリブ連携歓迎です。
久遠・翔
アドリブ絡み歓迎
…同情はしていたが、お前は生きていればまた新たな犠牲が増える
彼女達が安息できるようにする為にお前を滅ぼす
選択UCを起動して真の姿のドレスが妖艶な黒のドレスに変わる
俺が救える者は救うと影の手を相手に伸ばす
切られても切られても終わらない…何故なら俺の呪い「強欲」は奪うと決めたら必ず奪うからだ!と同族殺しに囚われたマーシャの体を奪い技を使えなくする
返せ?無理だね
もう一つの呪い「色欲」により甘い夢をマーシャに見せて骸の海に戻そう
これでお前の能力は使えまい
ついでに概念も変更して味方を1回から9回に変更しました
己の攻撃でそのまま悔いて滅びろっす
戦闘後余裕があれば奴隷の子達を保護します
砕け切れた腕を押さえて同族殺しが呻き鳴く。
死こそ免れてはいても、残された力はそう多くはない。
「…あぁ、その喧しい声を上げるのはやめろ。癇に障る。」
その言葉だけで、空気が重圧へと変わる。
花盛・乙女(羅刹女・f00399)が抜き身の二刀を手に携え……間髪入れずに踏み込めば同族殺しの残された腕を切り飛ばす。
「貴様に僅かでも『情』をかけた己自身の未熟に腹が立つ。」
同族殺しの宙に飛ばされた右腕と体から黒剣が伸び、それが結べば繋ぎ合わせる。
さらには左腕もべきりばきりと金属音を発しながら生え出でる。
本体の黒剣であれ外装であれ、壊れ果てなければ力を消費すれば作り直せる。
けれど、残り僅かな力を使ってでも作り直す場面か?
片腕でなどそんな余裕を持てる相手ではないと、花盛のその剣圧が、殺気がそう選択させた。
同族殺しの外装に赤い灯火が燈る。
「手数の多さが貴様の自慢らしいな。」
時間を加速させた事による神速。
けれどそれは実体が消えた訳でもなく、軌道が不可思議に変わる訳でもない。
呼吸を読む。今迄培った戦いの勘で見る。そして逸らず冷静に。
そうして己が刀を振るえば、悲鳴の様な音を上げて黒剣が【嶽掻】の重撃に巻き込まれ引き千切られていた。
時間加速の恩恵でもって即座に繋ぎ直すがその時には既に花盛はもう片方の太刀【黒椿】を振り切り同族殺しの腕を落としていた。
繋げば落とし。繋げば落とす。
加速しようとも受けに回らせられる攻勢一辺倒。
太刀と小太刀ではなく、太刀と太刀の二刀を振るい攻めるその姿は
『羅刹女、花盛乙女。蹂躙に参る。』
その心を、その姿勢でもって体現していた。
「とはいえ…。」
相手に攻める隙を与えていないし、腕は落とせる。が、足と体が落とせない。
腕を犠牲にぎりぎりで凌がれている感じだ。
このまま攻め続けていればその内力の枯渇で殺せはするが…。
「お前は生きていればまた新たな犠牲が増える。彼女達が安息できるようにする為にお前を滅ぼす!」
戦場には不釣り合いな純白のドレスを自らのUCで黒く染めながら久遠・翔(性別迷子・f00042)が影の手を同族殺しへと伸ばしながら現れた。
同族殺しに逃げの一手を打たれないタイミングを、このUCを確実に当てられるタイミングをずっと待っていた。
目の前の花盛以外への対応など考慮に入れる事が出来ない同族殺しの背へ、その『強欲』の影の手が伸び、触れ、沈み込む。
その外装の内へと手を差し入れ、掴み、奪い取る。
初めにマーシャの残骸を、そして元々の宿主であるただまだ死んでいないだけのダンピールの体を。
外装から、黒剣から力が抜ける。
花盛が気を逃す事無く、真一文字に同族殺しの腕も胴も諸共に【黒椿】で薙げば、再び繋がる事無くその体が地面に散らばった。
ただ一つ、黒剣だけが死ぬ直前の生き物の様に地面をのた打ち回る。
「泣くなよ、やって来た事だろう。」
花盛は近づくと蛇を踏む様に踏み抜く。
「せめて死ぬ時くらい、誇りを見せろ。」
潔く消えろとその怪力でもって動きを止めるまで、踏み砕く。
そして花盛が一息つき久遠の方へと視線を向ければ、『オブリビオンの一部』ではなくなり最後まで崩壊し消えるマーシャと息を引き取るダンピールを静かに見送っていた。
「良い夢を…。」
そう久遠が呟くと早々にUCと真の姿を解除し通常の姿に戻った。
「いやー助かったっす。俺一人で逃げに回られたらって考えると恐ろしかったっすから。」
呪いの進行が抑えられて安心安心と胸を撫で下ろしながら言う。
「こちらも助かったと言うものだ。感謝する。」
花盛がそう感謝を伝えながら、戦場で聞こえてきていた事をはてと聞く。
「久遠殿はこの後どうするんだ?」
●
そこは林檎の甘い香りが漂う森。
猟兵が帰った後のその場所で、そこに久遠は再び立ち忙しく動き回っていた。
果樹園の中を走り回り戦いの中で動けなくなった者を館へと担いでは運び、背負っては運びを繰り返していく。
完全指示待ち少女であり、今は命令と受け取られてしまうものの少女達にも探すようお願いする。
そんな動ける少女がある程度居た事で一日は掛かる事無く一応の終わりを迎えた。
そんなこんなで久遠は次に食糧探しに移った。
けれど、出てくるのは林檎林檎林檎林檎林檎林檎林檎林檎。
指示待ち少女が後ろをぞろぞろついてくる中で見つかる物はりんごりんごりんご。
「林檎ばっか…。」
ついついそんな呟きが漏れる。
そして、大人数で林檎を齧る音がする中で今後の課題を考える。
やる事は多い。難題も多い。困難を極める。
けれど、幾人かの視線を感じながら無理を排除する。
傍に居てやると約束したのだ。救ってやると誓ったんだ。
「やるしかないっすよね。」
奴隷だった自分が今笑っていられるのだから、だから少女達も笑えるようにと。
そんないつかの為になら…と。
大成功
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