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※良い子のフェアリーは真似しないでください

#アックス&ウィザーズ #猟書家の侵攻 #猟書家 #レプ・ス・カム #フェアリー

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#フェアリー


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●フェアリーランド(内)
 そこは荒れ果てていた。
 木々は枯れ、岩は砕け、舞う砂塵はケミカルな色が付き、あちこちにクレーターが出来ていた。
「……よいしょっと、おじゃましま~す!」
 そこに時空を裂いて一つ穴が開き、中から兎の少女が現れた。
「ふふふ、ここは、どこかのフェアリーが作った「フェアリーラン」……ド……?」
 スーパーウサギ穴でこの地にやってきた彼女は狼狽えた。開始十秒、まだ悪夢化もしていないのにこの有様。
 壺の中とは思えないぐらいには広いが、素敵な場所には程遠い。
 けたたましい怨霊の響き声がどこからか聞こえて来るし、何かおどろおどろしいスライムがうじゅるうじゅると徘徊してるし。
「ははっ、なにここ?こんなブラックなフェアリーランドってアリ?まあいいや。これなら『天上界への鍵』なんてすぐに見つけられる!楽な仕事だよ……ほら!」
 少女は暗雲立ち込める薄暗い空の中、宙に浮き光り輝くものを見つけた。
 これこそが『天上界への鍵』だろう。そう思って手を伸ばした。

「ゑ」
 それは今まさに光り輝いて爆発寸前の爆弾だった。
 爆音、閃光。
 猟書家の少女、レプ・ス・カムは爆発した。

●フェアリーランド(外)
「ふう。今のは危なかったー」
 アックス&ウィザーズのとある遺跡。
 壺を片手に爆弾トラップを何とか『対処』したフェアリーは一息つき、その後宝箱の財宝を懐に入るだけ詰め込んだ。
「いやぁ、フェアリーランドって本当便利!こんなのやめられないよー!」

 そうして次の回廊へと飛び込むと、そこは毒沼で満たされていた。
「おっと!ボク飛んでるから意味ないけど、一応中も見て見たいからっと……」
 フェアリーは壺をかざし、なみなみと張られた毒沼が壺の中へと組み上げる。
 無尽蔵に吸収する壺によって、たちまち通路の毒は枯れた。
「あっ!お宝だ!やっぱり隠れてたんだねー♪」
 とても嬉しそうな笑みを浮かべてフェアリーは財宝を懐に入るだけ詰め込んだ。

 そして回廊の先、開いた部屋に入った。その途端横から動く石像のトラップが!
「おおっと!」
 石像の攻撃を難なくかわして頭に乗っかるフェアリー!
「へへーん、こっちさ!……おっと急停止したぞ?」
 どうやら視界に入った対象だけを攻撃するトラップだったようで、見失った石像は沈黙した。
「せっかくだからこれもいただいてこう。遺跡ったら安全が大事♪」
 動かない事を良い事に石像を壺に入れると、急に小腹が空いてきた。
「んー?さっきお昼食べたばっかりなのに。しょうがないなぁ。秘蔵のおやつを出すかー!」
 そうしてフェアリーは壺の中へ入っていった。
 お弁当はカバンの中だが、美味しいお菓子は他の冒険者に取られまいと壺の中に隠してあるのだ。

「あ」
 その時、目が合った。
 壺の中、フェアリーランドにて。
 たんこぶのできた頭にすす焦げた肌、毒であちこち溶けた服、落ちてきた衝撃でひび割れた石像を足蹴にした、猟書家の兎少女と。
「…………」
「…………」
 気まずい沈黙。
「……うっかり入れちゃってた?」
「ふふ、はは、あはは、あははははははははははははははは」
 フェアリーは逃げた!
「ご、ごめんなさーいっ!あれっ出られない壺消せないなんでぇ!?」
「あはははは待てええええお前の罪を数えろこのやろおおおぉぉお!!!!」

●なにこれ
「大変!大変!フェアリーのフェアリーランドが大変なの!」
 グリモア猟兵の妖精ポーラリア・ベル(冬告精・f06947)は慌ただしく猟兵達を呼んだ。
「レプ・ス・カムっていう猟書家さんが、遺跡で冒険しているフェアリーさんのフェアリーランドをのっとって悪夢にしちゃったの!これがその光景なの!」
 そう言ってポーラリアは部屋中央にある映像を出す機械から映像を見せる。

 そこは荒れ果てていた。
 木々は枯れ、岩は砕け、舞う砂塵はケミカルな色が付き、点在する水溜りはドクロの浮いた毒沼。爆発があったのか、あちこちにクレーターも出来ていた。
「このフェアリーランドがレプ・ス・カムさんの力で……」
 ……?
 一部の猟兵は待ったをかけた。
 この悪夢みたいなフェアリーランドが……何て?
 この時点でもう既に悪夢真っ盛りではないだろうか?
「……どしたの?……えっとね、このフェアリーさんはね、フェアリーランドを使っていろんな遺跡を巡る熟練のフェアリー冒険者さんなの」
 つまり、フェアリーランドを使うと。超使うと。冒険の為に。
「謎解きや危険なトラップを何とかする為によくフェアリーランドの壺の中に入れてやり過ごしてるんだって。」
『小さな【壺】に触れた抵抗しない対象を吸い込む。』
 その特性を利用……もとい悪用して様々なものを危機回避の為にぶち込んだ、此処はフェアリーランドの地獄。
 岩、爆弾、毒沼、毒ガス、呪いのアイテム、ミミック、ゴーレム……。
 どれだけの時間、どれほどのものを壺の中に入れればこうなるのだろう。

 ……それで、どうなったのと猟兵は聞いた。
 このとてもじゃないがフェアリーと呼び辛いランドが悪夢化した結果、どうなったというのか。
「こうなったの!」
 映像が切り替わる。
 ……荒れ果てた世界が大嵐に見舞われていた。
 それはこれまでにフェアリーがぶち込んだ全ての危険物が、強風によってフェアリーランド全体に乱暴にかき飛ばされている光景。
 世界を間違えたかなって?
 大丈夫、アポカリプスヘルじゃないよ。フェアリーランドだよ。

「それじゃあこれからフェアリーランドの壺の中に転送するよ!フェアリーランドに入ったら妖精さんと合流して元気づけてほしいのよ!そしたら猟書家さんを倒してね!」
 どこか早口で有無を言わさずポーラリアはグリモアの光を展開し、猟兵達を送り届けた。
 半ば強制的に、送り届けた。


古塔
 世界は広いです。
 そういう妖精さんも中にはいます。
 そういう話です。
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第1章 冒険 『荒野の探索』

POW   :    荒野を虱潰しに強行軍で探索する

SPD   :    標的の痕跡を探して追跡する

WIZ   :    地形や気候、目撃情報から居場所を推理する

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●※元に戻っても大して変わらないそうです
 ここはフェアリーランド。
 目の前に広がるのは、吹き荒れる漆黒とケミカル色の嵐。

 割れた鋭利な丸太が舞う。
 壊れた巨大な岩が舞う。
 ブラックタールらしき何かが舞う。
 寝ている隙に押し込められた邪悪なミミックが口を開けて舞う。
 恐るべき闇のゴーストの塊が吹き荒れる中を行き交い。
 剣も舞う。
 斧も舞う。
 石像も舞う。
 トラバサミも舞う。
 レプ・ス・カムも舞う。
「きゃああぁぁぁ!?」
 たらいも舞う。鉄球も舞う。
 大小無数の針も舞う。
 爆弾も舞うし、ギロチンも舞えば。
 眠っていたドラゴンも回転しながら宙を舞い。
 古代兵器じみた大砲も舞い。
 なぜかタンスやバウムクーヘンも舞う。

 猟兵達はこの恐るべき台風荒野の中、今もどこかで逃げ続けている(割とすぐ見つかる)フェアリーを探しださなければならない。
 行け!進め!恐れるな!猟兵よ!
備傘・剱
フェアリーランドの中でナイトメアトラップがカーニバルってか?
…まぁ、気持ちは解るな、うん。

と言うわけで、鳥獣技、機動
隼に身を変えて、上空から探してみよう
…ちょっと、このランド作った奴にどうしてこうなったのか、聞いてみたいし、なぁ
いや、この手のトラップまみれの世界って、ある意味、楽しい世界じゃね?
だって、遺跡に行かなくても、トラップが解けるんだよ?
楽しくね?

さぁ、空を飛んでるけど、地上に降りてトラップも解除しちゃおうね
毒の水だって、空中浮遊で歩けば、問題ないし、石像トラップも物理で殴って解除しようよ
トラップ解除って、楽しいよねぇ~

あぁ、目的を忘れそうだぁ!

アドリブ、絡み、好きにしてくれ



●名も無き空中トラップチャレンジ~靱~
「ん、何だこりゃ。フェアリーランドの中でナイトメアトラップがカーニバルってか?」
 スペースノイドのフォースナイトにして、かの妖精と同じき遺跡潜り。
 そしてバーテンダーも兼業している備傘・剱(絶路・f01759)がこのフェアリーランドに舞い降りた。

「ははっ…そうさな、気持ちは解るぜ。だがちょっとばかし俺の予想とズレてたみたいだな。何で飛ばすかね?」
 しかし彼はこの失念も吹き飛ばすような事態にすぐ陥る事になる。
 光る、空。
 偶然か、悪夢が狙いを定めたのか。無数の爆弾が靱に降りかかる!
「っとぉ!」
 ステップを踏んで連続で飛ぶ爆弾から身を避ける!
 避けた所から幾度もと爆発し、地面にクレーターが空いていく。
「そうかよ!主に上から来るって…!」
 不意に後ろから飛んでくる丸太!しゃがんで回避する靱。
「ことかよ!」
 更に真上から落ちて来る無数の槍。しかし避けずに靱は覚悟を決めた。

『獣の戯れ、鳥の群。交り変わりて常世我が身に姿を映せ――。』
 靱は両手を広げ何がかと詠唱すると、背骨を中心に肉体がゴリゴリと変異し、その身を隼へと変えていく。
「鳥獣技、機動――楽しいトラップフェスティバルが上空にあるんならぁ!」
 隼に身を変えて尚口走る声の変わらぬ靱は。
「行かなきゃ損ってなぁ!」
 落下する槍を縫う様に避けながら、勢いよく、トラップだらけの大空へと飛び立った。

 フェアリーランド上空、禍々しい暗黒の風の中、舞い踊るトラップ!
 まず最初に飛び上がった靱を狙うのは、回転しながら放たれてくる石像の眼からビームだ!
「いくぜえぇぇ!」
 隼の変身は一部人間に戻せる!
 胸元に人間時のポケットを出現させると前足で器用に魔力の籠った短刀を取り出す。
「Orthrus!」
 宙がえりして放った短刀の斬撃がビームを切り裂き、そのまま強襲!
 石像の頭を鷲掴みにすると、そのまま力任せに……握り砕いた!
「次はこいつか!」
 悪夢の嵐は不規則な軌道を起こし、斜めしたから大砲の様に撃ちだされる、規則的に飛んでくる鉄球!
 靱は臆する事も無く飛び交う鉄球をひらりと翼ごと躱していく!だが!
「っ!?」
 突如自身の身体がしびれる!
「おいっ…毒ガストラップか!?空中で透明の…!ぐっ」
 視認性が分からぬ痺れガス。動きが鈍る靱にまだまだ襲い来る鉄球の砲弾。
「ははっ……そうこなくっちゃあ!」
 靱はここで、翼を広げて回転を起こす。
 くるり、くるりと勢いをつけ、コマの様に回転する靱。
「うぷっ……ガスのせいか気分が……後なんて知るか!このっ!」
 勢いのついた大きな翼の回転はやがて風を起こし、竜巻を起こしていく!
 衰弱しながらもガスを吹き飛ばし、鉄球の軌道を外へと逸らす。
「弱ってきたか!そぉら…伊達にトラップ遺跡にゃぁ」
 変な汁が嘴から出つつも、縫う様に鉄球の間を……すり抜ける!
「住んでねえってな!」

 次々とトラップを回避し、大回りで旋回する靱。
「おっと忘れる所だった。肝心のフェアリーはどこかな…っと。」
 上空に上がったのは何もフェアリー謹製の悪夢トラップに挑むためではない。
 高い所から見下ろせば、逃げているフェアリーを容易に発見できるからという理由だ。
「おっ、あれか。そういえばグリモアの映像じゃ遺跡で…なるほどな」
 きらきらと、金色の輝きを見せる地面があった。
 恐らくふらついて低空を飛んでいるフェアリーだ。服の隙間に壺に入る前の財宝を詰め込んでいるのだ。
 その光が目立つ。上からなら、余計によく目立つ。
「よっし、降り――」
 だが靱の真横から突如新たな飛来物が到来。
「っ!?」
 その異形さに狼狽えた隙が、靱に飛来物の激突を許可してしまう!

「ぎゃっ!と、鳥!?」
「なっ……お前は!」
 飛来物は何らかのトラップに巻き込まれ悪夢の嵐に吹き飛んでいたレプ・ス・カムだった!
「おまっ……何……!?しゃあねえまだ早すぎると思うが!」
 靱は隼の前足の一部を手に変えて鎖付きハンマーの武器を取り出した。
 器用に操作し、今なお空中でくっついているレプ・ス・カムに巻きつけようとする。
「喋る?フェアリーじゃない?そうかキミ猟兵だね!」
「っは、なんでこんな事になったか気になり過ぎるが、お前も災難に巻き込まれてるってか!このまま一緒に落ちてもらうぜ!」
 じゃらりと巻き付かれる鎖。だがレプ・ス・カムはこの状況でにやりと笑う。
「そんなにボクばっかり見て!上のトラップに気が付かないのかい!?」
「っとぉあ!?」
 レプ・ス・カムの言葉に反応して靱は上を見る!
 何かのトラップの影!
 片方の足でレプ・ス・カムを掴んでそれごと横に飛んで――。
 違う!横だ!
「あぁぐぶっ!?」
 レプ・ス・カムの咄嗟の嘘だ!
「なん……っで、箪笥……っ」
「残念だったね横からだよ!ボクは行くよ。キミ達の相手より『鍵』の方が優先だからね!じゃあ!」
 横から飛んできた箪笥の直撃を受け、鎖を、脚を、離し解いてしまう靱。
 箪笥に乗って飛んでいくレプ・ス・カムを悔し目で見ながら、ふらふらと近くの地面に落っこちていく……。

●フェアリーとの邂逅
「うわっ!」
 飛んでくる矢を必死で避ける、きらきら光る何かが低空に居た。
「壺ガード!壺…うぁあなかった!まずい!」
 何とか避けるた先に待っていたかの様にスライドしてくる地雷。
「きゃあぁ!」
 女声になりながらも間一髪で飛び上がり、岩場がえぐり取られて出来たような横穴に避難する。
 そうだ。フェアリーだ。
 逃げる途中でしびれを切らして悪夢化を起こし、今まで見てきた全てのトラップが嵐の様に襲い掛かるこの空間。
 当のレプ・ス・カム本兎すら巻き込まれる恐るべきダンジョンに、気持ちも込めてどっと疲弊、衰弱していた。
「うぅ……壺が使えないと大ピンチ……元気も無くなってきた……ボクここで……死んじゃう……?」
 ただうっかり兎獣人をトラップと間違えて壺に入れた(と思う)だけなのに。
 しょげくれて心まで泣き出しそうになるフェアリー。

 その目前に突如見慣れぬ鳥が落ちてきた。
「ぐえ…っ!」
 靱は落ちた先、当てもなくトラップを避けながら逃げているフェアリーと遭遇した。

「え…鳥…?今まで見た事ないような……」
 フェアリーはとりあえずと横穴にその鳥を引きずろうと手を伸ばすが。
 その鳥…隼はにゅっと体から人間の腕を伸ばし、逆にフェアリーを捕まえた。
「ぎゃっ!?」
「おっと、悪い。まずは逃げないで欲しくてね。」
「う、うわ、うわ、鳥が……人間になった!」
 靱は背骨をごぎごぎと鳴らしながら元の人間へと戻る。

「おう、俺は靱。猟兵さ!困ってるみたいなんで助けに来たぜ!」
「りょ、猟兵!?よくわかんないけど、確か外って遺跡…よくここ見つけたね?」
「まあな」
 とりあえず落ち着いたフェアリーを靱は肩に乗せる。
「あの兎もそうだけど、聞いてみたい事があったんだ。一体どうしてこんなのを?」
「え!?」
「あー……いや小耳に挟んだんだが、此処のトラップはお前が全部遺跡から放り込んだって聞いたもので。」
「い…いいじゃん!ここはボクのフェアリーランド……だったんだ。ボクだけの世界。でも本当の世界は別にある。ならこっちは好きに使ってもいいじゃない?」
 息を荒立てて抗議するフェアリー。
「ボクは遺跡ハンター!お宝と目的の為ならいつも一緒にある壺なんて、ただの廃棄所とか……秘密入れとか……(ごにょごにょ)に使ったって誰も文句言わないよ!」
 一瞬何か言葉を途切れさせたが、続ける。
「壺とボクで、あらゆる遺跡の罠を超えてきたんだ!とっても楽しい!楽しかったのに……」
「いやいやいや、ここも結構いい『遺跡』だと思うぜ」
 そこに靱が、あっけらかんとした声で返した。
「え…?」
「いや、この手のトラップまみれの世界って、ある意味楽しい世界じゃね?だって遺跡に行かなくてもトラップが解けるんだぜ?楽しくね?」
「な、ないよ!トラップばかりでお宝がないなら意味ないもん!」
「あるよ。お宝なら。」
 靱は暗黒の空を見上げた。あの空の彼方に一瞬光る、何かを目に映しながら。

「……乗り越えてきた汗と涙がお宝とか言うんじゃないよね」
「ん~?俺は別にそれでもいいけどね。あの兎はうっかりお前が入れてきたんじゃないよ。『鍵』があるらしい。光り輝く鍵が、このフェアリーランドにさ。」
 鍵?フェアリーは自分の世界に聞いた事も無いキーワードを聞き、首を傾げた。
「その鍵をあの兎より先に手に入れたいと思わないかい?」
「え、えっと、どこの鍵かにもよるんだけどー」
「天上界への鍵、らしいぜ」
「え、何それ!?なんだか面白そう……!」
「そうだろう?そうだとも。はるか空の彼方、天国の遺跡、それを開ける扉がまさかフェアリーの世界の中に!いいお宝があるだろうな~!」
「す、すごい、凄いや!訳が分からないけど!ボクも行ってみたい!」
「よし、にーちゃんとの約束だ。あの兎より先に」
「鍵を、手に!……あ、でもボク壺が無いと…アレを使って今までどんなトラップも超えてきたんだから」
「よし任せとけ。俺が壺の代わりになってやる。…いや変な響きだけども」
「え?」
「楽しい力は何も壺だけじゃないって事を教えてあげるよ。にーちゃんについてきな」

 すると靱はフェアリーを肩に乗せたまま横穴を抜け……フェアリーランドを駆けだした。
 すぐに襲い掛かるトラップ。まずは毒の水が鉄砲水の如く飛んできた!
「掴まれ!」
 なんと靱はフェアリーを乗せて毒の水の上を……走っている!
 いや正確には鉄砲水の上を凄まじい跳躍力で飛び越え、その上をあたかも走るように動いているだけだが……!
「うわ、うわわわわ!」
 次に襲ってきたのは動く石像だ!剣士の様な姿をし、ごつく重い石の剣を振りかざしながら急降下してくる!
「避けないと!」
「避ける必要はないな!」
 靱はその身に薄く纏うファイバースーツを、握った拳を中心に硬度を凝縮させていく。
「おらぁ!」
 カウンター気味に石の剣を、横から殴った!
 破砕する石の剣!
 そのまま落ちて来る石像に2撃目の拳が放たれる!
 石像はすぐさまひび割れ、破壊され残骸になりながら嵐の彼方へ飛んでいった!!

「いやぁ、俺の酒場もトラップだらけの遺跡に作ってあるんだけどな、やっぱり楽しいよねぇ~トラップ解除ー」
「か、解除っていうのかな!?でも…楽しい、凄い!すごいよ!」
 どすり、どすり。
 いくつかのトラップが地に落ちていく。
 フェアリーの抱いた希望に応じて、レプ・ス・カムの放った悪夢の嵐が少し、弱まった気がした。

 …………。

 落ちたトラップが勢いをつけて靱達に迫る!いや悪夢去ってないな!?
「まだまだ行くぜ!どんどんこいやトラップぁ!」
 いつの間にか肩に乗せたフェアリーが、うっかり離れてしまった事さえも忘れて。
「え、ちょ、待って、待ってよー!」
 靱は次々と飛んでくるかつての遺跡のトラップ群に挑み続けるのであった。
「あぁ、目的を忘れそうだぁ!」

成功 🔵​🔵​🔴​


●少し前
「ご、ごめんなさーいっ!あれっ出られない壺消せないなんでぇ!?」
「あはははは待てええええお前の罪を数えろこのやろおおおぉぉお!!!!」
 全力で逃げるフェアリー、全力で追いかけるレプ・ス・カム。
 するとレプ・ス・カムは何かに足を取られた。
「ぎゃーっ!?な、なん」
 トラバサミだ!
 金属の牙のような鋏に足を挟まれたレプ・ス・カムに、スイッチが押されたような音が鳴る。
「あっ」
 追い打ちで降ってきたトゲボールの雨がレプ・ス・カムに襲い掛かる!
「いだだだだ!この うっ!?」
 すぐさまトラバサミを壊して追いかけようとした瞬間、ころりと転がる何かに躓いた。
「っ!」
 転んだレプ・ス・カムが見たのは、爆発寸前の爆弾だ。
「ま、また爆発」
 KABOOON!!
 爆発で吹っ飛ばされたレプ・ス・カム!
 落下地点で、更にカチリと何かが鳴る!
「な、なんだっこの酷いフェアリーランドはーあばばばば!寒い寒い冷た―」
 地面から噴き出る冷凍ガスのトラップを浴びてカチコチに凍り付いたレプ・ス・カム。
「え、えっとえっと……だ、大丈夫……?」
 さすがに心配そうになったのかフェアリーが近づく。微動だにしないレプ・ス・カム。だが……。
 じゅうじゅうと青い炎に包まれてその兎獣人の身体が輝くと、すぐさま氷が溶け落ちた。
「ふ、ふふふ……こんなにトラップ詰め込んじゃって、いけないんだ。いけないよねぇ」
 レプ・ス・カムは何事か呟き、何事かを行使する。
 すると。
「う、うわわ、わわ、何ー!?」
 フェアリーランド中の廃棄されたトラップが突如、浮いた!
 それどころか落下の衝撃で壊れたはずのトラップさえ元のトラップとなって浮いて、ポルターガイストの如く宙を舞い始めた。
「君にはとってもふさわしい悪夢を見せよう!今まで何とかしてきたトラップに、何とかできずに滅茶苦茶にされるといいや!」
 そう言ったレプ・ス・カムは既にもうボロボロだが、その顔は邪悪極まりなかった。
「きゃー!」
 絨毯爆撃の如く降り注ぐトラップに再び逃げるフェアリー。
「さて!ちょっとすっきりした所だし改めて鍵を探しに……」
 1歩足を踏み出した時だ。カチリと音が鳴った。
 それは浮遊するトラップの中、都合よくレプ・ス・カムの足元に地雷がスライドしてきたもので――。
「ちょっ、待っ、一体何回爆発するのさー!」
 閃光、爆発。
 レプ・ス・カムはトラップの大嵐の彼方へと吹き飛ばされたのだった。

●今
 散々な目に逢ったが、レプ・ス・カムはこうして空を飛んでいた箪笥に乗り、耐性を立て直した。
「まったく…もう意地でもいいからあのフェアリーを締め上げたい所だけど……猟兵が来たんなら時間が無いか。早く探さなくちゃ。」
 レプ・ス・カムは箪笥に乗り空を飛んで鍵を探す。
「…本当にあるのか自信がなくなってきたよ~?」
 探すも――。
「ん?メキって今下から音がお゛あ゛あ゛っ!?」
 直後、真下から突き上がる巨大な柱のトラップに吹き飛ばされ、レプ・ス・カムは再び宙を舞った。
ティー・アラベリア
アハハッ!すごいすごい!さながらトラップのテーマパークですね♪
さすがベテランの冒険者様、吸い込んできた敵やトラップの数は100や200では済まないようでございますね☆
こんな蟲毒の中で遊べる機会など早々御座いません。依頼をこなすついでにめいっぱい楽しむ事にいたしましょう!

斥候妖精を先行させて妖精さんを探索させつつ、ボク自身も戦闘機動機構で空中を舞い、地上のトラップを避けながらトラップの嵐を愉しみましょう♪
魔導波探信儀と防空探信儀をフル稼働させ、嵐と共に迫りくるトラップを片端から捕捉し、細かい物は92式の砲撃で焼き払い、大きなものは90式の射撃と97式の散弾で爆散させながら前進致します☆


黒城・魅夜
……レプ・ス・カムとはもう十数回にわたって戦ってきましたが
今回はただ放置しているだけでも勝手に自滅しそうですね……
このまま帰ってもいいのでは?

ふふ、まあそういうわけにもいきませんか
あの愚かな子兎の無様な泣きっ面も眺めたいですしね

では自在に形状を変化させる私の衣服をマント上に変化させ
「見切り」「第六感」「環境耐性」で風の動きを読み
凧のように風を受け止めて舞い上がって
妖精さんを探しましょう

UCで作りだした蝶も、そのままでは風で飛ばされてしまうでしょうから
「オーラ防御」でガードしながら広範囲探査を
見つけたら「ロープワーク」「スナイパー」で鎖を投げて掴まえ……
いえ、保護するとしましょうか



●「……もうこのまま帰ってもいいのでは?」
 黒い長髪、黒い服を纏う美人の女性ダンピール。
 黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)は吹き飛ばされているレプ・ス・カムを目撃して放心した。
 なんでって勝手に自爆してるからだ。猟書家はもうただで済んでないしこのフェアリーランドに翻弄されまくっている。
「まあ、万一鍵を見つけられても困ります。愚かな子兎の無様な泣きっ面、また眺めに参りましょうか。」

 魅夜は纏っている黒きマントを翻すと、気球の様に膨れ上がり、吹きすさぶ風を集める凧の様になった。
 風を蓄えたマントは風に乗り、空を飛び、魅夜は悪夢のトラップ世界の空に舞った。

 魅夜は自身の身体の一部に切れ目を入れ、血を吹き出すと、そこから紅い蝶が生まれる。
「無慈悲なる鮮血よ――くっ」
 漆黒のケミカル嵐の風は強く、魅夜もまた風を乗りこなすので精一杯。
 そんな状態で産んだ五感を共有する紅い蝶。
 意識が吹き荒れる嵐を受ける、圧迫した状態に持ち込まれる。トラップを対処している場合ではない。
「思ったより強い……そうですね猟書家も圧倒されてるわけですから。」
 ふっ と呼吸を整えると、体から更に血を吹き出す。それは深紅のオーラとなって、魅夜と蝶を包み込み、吹き荒れる風に強引に抵抗していく。
「さて―」
 やっと風を掴み、高速ながら蝶を纏って飛べるようになった魅夜にトラップが飛んでくる。
 飛んできたのは四方八方から。捕縛せんと襲い掛かる鋼鉄の鎖だ!
「早速趣味の悪いものを!」
 胸から短剣を取り出すと、空中で回転しながら、鎖に巻かれないように側面を切り、弾く。弾く!
 紅い蝶が紅いラインを描いて飛んだあと、それになぞらえるようにして紅い剣閃が走り、弾く。
 鎖を弾き、更に飛ぶと、今度は上空斜め上から飛んでくる、大岩!
 早い上、通路いっぱいに転がる筈のものだったのか、巨大だ。
「こんなもので潰れるとでも」
 魅夜は自身の身に纏い隠していた鎖を解き、力任せに岩に投げ、ぶつける。
 大岩に深く刺さる鎖。
「ふっ!」
 更に魅夜は鎖を引き込むと、その勢いでスイングバイめいて大回りに飛ぶ!
 岩を支点にくるりと岩の周りを衛星めいて1回転すると。
「この辺りにはいませんか…もっと加速しましょう。」
 更に強く鎖を引いて岩から引き抜く。その反動で生まれる遠心力。
 遠心力と後ろから吹く嵐の大風に乗って、魅夜は凄い勢いでフェアリーランドの彼方へと飛んでいった。、

●トラップ・スイーパー
「アハハッ!すごいすごい!さながらトラップのテーマパークですね♪」
 空の中には更に一人の猟兵。
 青い瞳に金髪。リボンの可愛いアリスのようなメイド服を纏う彼女はティー・アラベリア(ご家庭用奉仕人形・f30348)。ミレナリィドールだ。
 脚部からジェットの如く噴き出す魔力によってロケットの様に空を飛ぶ彼女は、今ホバリングをしてくるりと、このフェアリーランドの世界を眺めまわしていた。
 あっちもこっちも荒れ果てた毒々しい死の荒野。風と共に飛び交うは罠。
「無重力の如き360度の空中からヤケになったかのようなトラップの数々!こんな蟲毒で遊べる機会などアルダワでも中々御座いません。依頼をこなすついでにめいっぱい楽しむ事にいたしましょう!」
 
「さあ先ずは兎も角情報収集にて。【斥候型妖精召喚(スカウトフェアリー・お仕事で御座います)】!」
 どのようなギミックにしてそれが現れたのか、ティーに似た容姿をした斥候妖精が現れる。
「更に魔導波探…防空探を起動…ボクの迎撃準備は常に万全。お掃除の時間で御座います。」
 斥候妖精は金色の軌道を描いてティーの周囲を回っている。360度、どこからどんなトラップが来ても先に探知する。そして。

 突如、斥候妖精達が何かにぶつかった!
 透明な壁か!?ティーの飛行方向に透明な魔力壁が出現した。
「おっと、あまりにも大きすぎてまさか壁とは!探知機能は要調整でございますね。」
 壁に当たって1秒後、空から無数の何かが降り注ぐ。
 髑髏だ!
 あのフェアリー、よもや墓場でも冒険したのか。侵入者を無数の髑髏で埋め尽くし殺すトラップが起動する!
 恐らく壁は4つで囲み逃げられなくするのだろうが、正面一つしかないのはつまりフェアリーが逃げる為に1つだけ壁を吸ったのだろう。
「さてさてお掃除の時間で御座いますよ!」
 がしゃりとティーが体から取り出したのは、大砲のような形状をしていそうな魔力杖。
 斥候妖精にも小さなものが取り付けられると。
「92式火力投射型魔杖。わーっとやって、どかーんといったところにて!」
 そこから火球めいた魔砲弾が連射される!
 BATATATATATA!魔砲の連射による熾烈な火力の蹂躙!
 砲撃を浴びた髑髏は片端から破砕!破砕!破砕!

 その間に斥候妖精が透明な壁の潜り抜け場を見出す。
「あはは、まだまだ序の口でしょうに!」
 下降して魔力壁を潜り抜け、空の先へ進むと更に無数の光が現れる。
 それは武器の反射光だ。
 無数の矢が、砲弾が、鋭い木の杭が大量に飛んでくる!
「ほらほらほら、年末の埃の一挙清掃にございまして!」
 ミレナリィドールの躯体から更に更にと砲撃火砲が取り出され、両脇に抱えて放つ、放つ!
 BATATATATA!92式と97式の散弾が並み居る飛来物を砲撃、爆散、爆散!
 辺りには塵と粉ばかりが吹き荒れるばかりとなる。
「もっといい感じのトラップはございませんでしょうかねえ♪」
 武器を構えてホバリングつつ空中を水平移動し次のトラップに構えるティー!
 その時、突如無数のレーザーがティーを貫いた。
「あら?」
 だが殺傷能力はない。次のトラップの目印か。
「魔導波探知と防空探をフル稼働…なるほどレーザーの射出個所にエネルギー反応なしと。…んん?なんと!」
 探知により分かったのは、これは転移魔法の目印。魔力反応はティーのすぐ周囲!
 直後!ティーは爆弾に囲まれた!
「なるほどなるほど!レーザートラップに引っかかると爆弾が出てきて爆発するみたいな?」
 判断はコンマ1秒にも満たない。ティーは即座に別の魔杖を取り出す。高密度の魔力がこもった短剣型の魔杖。
「爆発まで一瞬!スピード勝負にございま!」
 セリフの時間も惜しい!ティーは一瞬で周囲の爆弾を次々と切り刻むが……。背後の爆弾あと一つが間に合わずに爆発する!
 KABOOOOON!!

「ああ、ああ、さすがベテランの冒険者様。このようなものまでございますとは……吸い込んできた敵やトラップの数、100や200では済まないようでございますね☆」
 すす焦げながらも咄嗟の判断で飛び出し、爆発ダメージを最小限に抑えて飛翔するティー。
「ああ、ちょっと焦げてしまいました。家事人形は清潔が命。次は水のトラップでも――」
 からり、からり。
 変な金属音と共に上空から歯車が落ちている。
 ティーは何か巨大なものを探知し、はっと上を見上げると。
「――ああ、贅沢は言ってられませんか。」
 釣り天井だ。
 巨大な大広間一つ分を優に押しつぶせるような、コンクリートのような材質で出来た超巨大な岩の…天井だったと思わしきブロックが、ティーの頭上に、風の影響を押し殺して、ゆっくりと落下してくる――!
「90式、凝縮(チャージ)を開始。1点突破で大穴を開けにございま……おっと!」
 斥候妖精や探知機能に引っかかる。ティーの周囲、風に従う不規則な軌道で追加のトラップ…ギロチンが飛翔!それも複数!
「回避も集中もさせないつもりでございますね!なんともまあ!」
 90式の火砲をチャージしながら97式を片手にその場で回転。両断せんと飛んでくるギロチンを散弾の塊で打ち落としに行く!
 BRAW!BRAW!
 しかしギロチンは硬い!1発でへしゃげるも刃が零れぬ!軌道が変わらぬ!
 数回撃たねば1つ壊すのも難しい!
 BRAW!BRAW!BRAW!
 ギロチンの破壊、そして巨大ブロックの対処、両方の処理を迫られるティー!
 そうこうしている内にも巨大天井ブロックが迫る……!
「並のユーベルコードでもこんなのは中々…あの妖精さんは本当にこんなものまで吸い取ったので御座いますか…チャージ…限界超え…200…ショック耐性を…!」
 最早逃げ切れぬ。探知機構が巨大ブロックのあまりにも高い質量を指す。
 ギロチンの迎撃に回りながらで態勢が悪いが、一か八かのチャージを限界よりも超えて狙いを定め……。

「体を壊すつもりですか?」
 その時、どこからか声がした。

 高速で飛んでくる赤と黒の影があった。
 手には鎖が。よく見ると先端は釣り天井に突き刺してある。
 彼女は……魅夜は、遠方に突き刺した鎖に掴まり、空中ながらターザンめいて遠心力と勢いを利用する。
 自身の体重を乗せた高速の飛翔が、ミサイルの如くティーに激突!
「おおっと!?」
 そのままティーを捕まえ、超高速で釣り天井ブロックの端まで……飛んで、逃げ切った!

●紅と金の閃光、舞い踊る。
 響く、重い音、轟音。
 崩れるブロックと逃げ切った、金と赤の少女。
「すみません、出過ぎた真似をしましたでしょうか」
「あはは、あはははは!どうなるかと思いましたが、まあこの一撃は次の戦いにとっておきま……っと!」
「ええ、分かります。次のトラップですね。」
 飛んできたのは樽だ。黒い液体が零れるそれは……。
「ああ、オイルで御座いますね。しかも中に自動破裂機能が。途中でぶちまけてオイルまみれにしようという魂胆ですか。」
「グオオオオ!」
 そして更に飛んできたのは、起きている……ドラゴンだ!
 オイルまみれになったが最後、否、ぶちまけられた時点でドラゴンの炎が今かと襲い、戦場を爆炎で焼き尽くす連携トラップか!
「猟兵様、ボクのサポートは必要で御座いますか?どちらもどうやらボク達の周囲を高速で飛びながら狙っているご様子」
「いえ、大丈夫です。私にもこういうのに慣れた力がありますので」
 探知は万全だった。ティーの周囲には金色の輪を描く妖精が。
 魅夜の周囲には紅色の輪を描く蝶が。
「では私はドラゴンの方を。」
 魅夜は鎖を即座にドラゴンに放ち、炎を放たせるまいと括り付ける。
「ではではボクはオイルの方を♪」
 ティーは火砲を構え、ぶちまける前に砲撃、爆破せんと狙いを定めていく。

 フェアリーランド上空で、花火のような爆発が上がった。
「手早く妖精さんを見つけたい所ですが、中々上手くいきませんね…!」
「アハハハ!次はどんなトラップが来るのでしょうか!期待が止まりません!」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ベール・ヌイ
「探索の極意…それは…漢探知…」
『ヌイ、ゴリラの性別は不明なのですが』(と紙に書く)

【護理雷招来】で雷獣ゴリラを召喚
『護理雷専用電動バイク』にタンデムしてフェアリーランドを駆け抜けます
地面の罠は護理雷で受けます
落とし穴があればバイクを変形させて飛びます
ゴーストがくれば電撃です、ミミックは轢きます、ギロチンはバイクのバリアで防ぎます
背後から来るならヌイが『氷火双銃』で撃ち落とします
レプ・ス・カムがいたら護理雷ラリアットです
そのまま縦横無尽に走ってフェアリーと合流を目指します
きっと爆発をバックにバイクが飛んできて合流できるでしょう

アドリブなど歓迎です



●ゴリラ踏破行
 混沌極まる荒野の中、金色のバイクが疾走していた。
 そこに乗るのは、一人はゴリラ、一人は少女。
 メインで操縦する金色のゴリラの名は雷獣・護理雷(ユーベルコードから産まれたゴリラ・f07989)
 タンデムして相乗りする銀髪の妖狐の少女はの名はベール・ヌイ(桃から産まれぬ狐姫・f07989)
 彼らはトラップ満載の荒野の地面を力強く走り、未だ迷うフェアリーの探索に注いでいた。

「探索の極意…それは…漢探知…」
『ヌイ、ゴリラの性別は不明なのですが』
 そう書かれたフリップ(バラエティ番組でよく見るホワイトボード)を掲げながらゴリラは走る。
「細かい事…気にしないで… 漢は力…力はゴリラ…」
 ゴリラに掴まる少女とのタンデムドライブが幕を開けた。
 宙に舞うはトラップの群れ。だが地上も休まる気を知らない。

 護理雷の先には落とし穴が!
「護理雷…ジャンプ」
「ゴ!」
 護理雷はハンドルを強く握ると、手を通してタイヤに雷のエネルギーが充填され、一気に爆発。
 ゴリラバイクが宙を跳び、落とし穴を難なく通過する。

 次いで空から無数のゴーストが隕石の様に飛んでくる。
「シャアアァァ!」
 ゴーストに気を取られていると正面、こちらに気づいたミミックが鋭い牙の口を向けて丸呑みにかかる。
「護理雷…サンダー」
「ゴ!」
 護理雷はハンドルを強く握ると、手を通してタイヤに雷のエネルギーが充填され、一気に放出。
 ゴリラバイクからなんか超凄いプラズマエネルギーが外に放出され、電磁バリアの様に降り注ぐゴーストたちをバチン、バチンと破砕していく。
「シャアァァァアガアアァァァ!?」
 プラズマにしびれたミミックがゴリラバイクに巻き込まれ破砕!

 次は正面から山なりに無数の剣が飛んでくる。
「護理雷…ゴリラ」
「ゴ!?」 
 急に意味不明な命令になったぞ!
 護理雷はしばしの思考の後、ハンドルを強く握ると、手を通してエンジンに雷のエネルギーが充填され、バイクの馬力を、否、ゴ力(ごりき)を上げる。
「ボホオオォォ!」
 ゴリラの如き荒々しくも力強い操縦で降り注ぐ剣を回避!
 すると突き刺さった剣が、地面を通して黒くなり、地面から無数の怨霊が湧き上がる。
 何という事か。飛んできた剣は全部呪われていたのだ!
 地の怨霊達による伸びる無数の黒い手が護理雷達を襲う!
「ウホォォォォホ!!」
 だが護理雷は命令を待たずフルスロットルで雷を纏い、護理押しで怨霊達の手を…振り切る!
 掴もうとした手はゴリラパワーによるバイクのゴ力と迸る雷によって除去されていく。

 次は…斜め上だ。巨大な鉄骨が差し込まれるように落下していく!
「護理雷…トランスフォーム」
『待ってくださいヌイ無茶です』
 思わず護理雷がフリップを掲げた。
 ゴリラの後ろにいるヌイはバイクの車体をぐっと掴む。というかバイクの中に仕込まれているボタンを……押した。
 するとどういう事か。バイクの2輪タイヤが2つに分かれ、4輪に!
 そしてがしゃがしゃと変形を成し、電動ゴリラバイクは翼の生えたゴリラウォークの4輪車と化した!
『ヌイ、なんですかこれ』フリップを掲げるゴリラ。
「護理雷…秘密兵器…運転に集中…お願い…」
「ヌ……ウホーォ!」
 こうなりゃヤケだとばかりに護理雷は車体を持ち上げると、翼のギミックでゴリラ4輪は上昇!
 彼らめがけて突き刺さらんとする鉄骨に無理矢理車体を調整して飛び、回避。
 そのまま鉄骨の上に乗り、電動4輪ゴリラは火花を散らしながら鉄骨の上を滑走する。
 突き刺さる巨大鉄骨の斜面を上がっていくと、しかし罠は待っていられないか。
 走る彼らに、先程別の猟兵が出会ったような鎖付きギロチンが、ゴリラの後ろから鞭のような挙動で斬撃しに飛来する。
「そろそろ、ヌイの出番…」
 ヌイはバイクから手を放し、脚でバイクを支えながら2丁の銃を取り出す。
 氷と火の精霊双銃だ。
「護理雷…そのまま飛ぶと、多分気持ちいい…」
 氷火双銃による氷と火の弾幕を後ろに放つヌイ。
 1発1発がギロチンに命中するも、大して効果がなさそうだ。
「…ぬい」
 呼吸を整え、ヌイはタイミングよく双銃の弾を同時にギロチンに…当てる。
 直後、爆発!氷と火による急激な温度差が水蒸気爆発を生み、火力を増大させたのだ。
 あまりの衝撃にギロチンが1つ、また一つと破砕して落ちていく。
 そしてゴリラは鉄骨を上り切り、空を……飛んだ!
 金色のゴリラ、その上に乗る金色のゴリラ、その後ろでゴリラに掴まるゴリ…妖狐の少女。
 地獄の空に極めて異質な存在が輝いた。

「護理雷…あそこ」
 ヌイは地面に金色に輝き飛ぶ者を見つけ、指さした。
「ホ!」
 護理雷はうなずく。いつの間にかゴリラ4輪から2輪バイクに戻ったゴリラバイクで対象の近くに見事着地を決める。
「ボホ!?」だがその時、バイクは動かなくなった。
 地面をよく見る。やられた!床に粘着トラップだ!
「護理雷…」
「ゴ!」
「護理雷…護理雷…護理雷…」
「…?」
「言ってみただけ…大丈夫…漢探知…やわじゃない…」
「ウホオォオホ!!」
 その言葉に反応して護理雷はドラミング!
 雷のエネルギーが一層辺りに充満すると、バイクのタイヤが赤熱。
「ボホオオォォォオ!!」
 そのまま強くハンドルを握る。ぎゅるぎゅると回転するタイヤが、バイクを粘り絡めとる粘着床を溶かし、無理矢理……前方に進み出した。
 粘着床を振り切りゴリラバイクは飛び出した!

「うぅ、あっちもこっちもトラップだらけ、壺の代わりになるもの、ぷりぃずぅ……」
 弱弱しく鳴くフェアリーを彼らは遂に補足した。
「護理雷…全速力…がんば―」
 ヌイが励ましの言葉を紡ごうとした瞬間、急に何かに足を取られ、バイクは転倒した。
「ウホオオォォ!?」
「っ…!」
 何が起きたのか?秘密はバイクの足元にあった。
 踏んだのは……なんと、バ、バナナの皮だ!?
 今度は地面にバナナの皮が散乱していた!
「護理雷…!」
「ホ!ウホホ!ゴオオォオ!!」
 だがゴリラはスピンしながら、あとこのフェアリーランドにバナナがあるのを確認して、気合で持ちこたえる。
 回転の遠心力を使い、無理矢理怪力で立てるようにバイクを調整していく!

 ……。
「護理雷…全速力…頑張って…」
「ゴ!」
 ゴリラバイクは急な回転にあっけを取られ、フェアリーの探知を逃してしまった。
 だが正面、再び目前に現れた金色の飛翔体を発見!
 フェアリーではなさそうだ……だとするとバナナか!?
 それも聞きしに及ぶ伝説のゴールデンバナナと見た。少なくとも護理雷はそう見た。理解した。
 ゴリラバイクは態勢を立て直し、加速をつけて全速力で走る!

 護理雷はハンドルを強く握ると、手を通してタイヤとエンジンに雷のエネルギーが充填され、ゴリラの如く強力な雷を纏う。
 残ったバナナの皮を雷のタイヤが焼き切る。二の足は踏まない。
「シャアアァァ!グアアァァァ!!」
 ついでにその辺に居たミミックを踏み潰し、破壊!
 その衝撃でゴリラバイクは跳ね飛ぶと、輝く黄金飛翔体に護理雷の手が伸びる……。

「おっと!分かるよ。これが『鍵』だよ、ねえっ!」
 何という事か!!?ここで先程まで吹き飛んでいたレプ・ス・カムが突如横から飛んでくるではないか!!
 彼女はフェアリーランドの嵐を利用し、バイクよりもすごい速さで跳び、割り込む。
 レプ・ス・カムが間一髪、護理雷の前で輝くものを…奪い取った!
「やった!天上界の鍵はこれでボクのもの――」
 手に掴んでいたのはバウムクーヘンだった。
「ちがうじゃあああああぁぁん!?」
「テメエバナナウホオオオオオオオオオオ!!!」
 ゴリラは激昂!
「えっなんてあ゛あ゛ーぅっ!?」
 コンマ1秒の間にバイクから手を放し、渾身のラリアットがレプ・ス・カムに見舞われる!
「ぎゃあああぁ!!おぼえてろおおぉお!!!」
 レプ・ス・カムは明後日の彼方へと吹き飛んでいった……。

●一方、別戦場。
 魅夜は服からロープの如き鎖を放つと、ドラゴンに巻き付けた。
「グオオオォォ!」
「さてさてご来場の皆々様、爆轟と狂乱の戦場花火をとくとご覧あれ!」
 ティーが飛来するオイル樽を次々と火砲の杖で狙撃!
 ……何という事か、炎上しながら樽のオイルが生物の様に飛び出し、そのままティーめがけて襲い掛かる。
「おやぁ!ブラックタールで御座いましたか!」
 だがティーは脚部からのジェット系魔力放出により、空中でひらりと身を躱す。
 飛んできたタール達の先には。
「ご待望の炎をじっくりご賞味くださいな」
 魅夜によって投げ飛ばされた、今にも炎を吹こうとして苦しむ縛りドラゴンだ。

「「「ギャガアアァァァ!」」」
 炎上するオイル系ブラックタール達とドラゴンが激突!
 巨大な火の玉となって落下していく!
「グ…ガアアアア!!」
 落下地点、突如無数のレーザーがドラゴンに照射されると、ドラゴンの周囲に爆弾が出現する。
「きゃあああぁぁ!!」
 そこにレプ・ス・カムが飛来!





 バイクに跨り、金色に輝く妖精に向かうゴリラと少女。
 その背後で劇画の如く、巨大な爆炎が吹き上がった。
 破砕するフェアリーランド。吹き飛んでいく地獄の風。あとレプ・ス・カム。
 ハードボイルドに極まった彼らは、振り返る事なく荒野を爆走した。

成功 🔵​🔵​🔴​

ロッテ・ブラウ
ぶふっっ、、、ひぃひぃ~♪
コ、コレが笑わずに居られる?
こんなぶっ飛んだ(誉め言葉)フェアリーランド…
マジ最高じゃん♪
何が最高ってレプ・ス・カムを圧倒してるし最高♪

珍しく本来の姿(フェアリーの姿)で
ふわふわと空中を漂いながら
腹を抱えて大爆笑しています

あぁ~一通り笑ったし
お仕事しますかぁ
何するのって?
キミが出来る事がボクに出来ない訳ないだろ?
ただボクの能力の方がチョット規模が大きいかな?

手を空にかざしてユベコ『秘された窓』を使用
愛機【禍津血】を空間をかち割ながら召喚して能力強化♪

さぁお掃除の開始だね♪
じゃんじゃん全部吸い込んじゃうぞ♪
実弾回収実弾回収にゃふふふふっ♪(すっごく悪い顔)



●悪戯フェアリーの陰謀
「わ、わわ……わ!?」
 フェアリーはびっくりした。
 偶然近い所に転送された、同種のフェアリーと突如邂逅。
「ぶふっっ…ふひひひ……ひぃひぃ~♪」
 彼は空中を漂いながら、腹を抱えて笑っていた。
 黒髪茶目のボーイッシュな、紫の翅を持つフェアリーが。
「そ、そんなに笑ってどうしたの。笑いガスのトラップでも吸っちゃった?」
「コ、コレが笑わずに居られる~?」
 ふわふわとフェアリーの目前で笑い転げながら浮くのはロッテ・ブラウ(夢幻・f29078)
「こ、こんなぶっ飛んだフェアリーランド…何が最高って、フェアリーランドであのウサギ圧倒してる…うひ、うひひひひ♪」
 フェアリーは困惑した。お仲間の妖精さんで、急に笑ってきて、えっと。

「ふひ、ふ…あぁ~笑った笑った。大丈夫、安心して!ボクはロッテ!助けに…いやいや、この問題の元凶、レプ・ス・カムをもっとボロボロにしに来た…ふひっふ。」
「わわ、助けにこんな所まで?そうだそうだ、一体どうしてここ出られないの」
「ん?そこから?まああのウサギが悪さして出られなくしてるだけだから、倒せば解けるようん!」

 一時フェアリーはこの真っ黒フェアリーと行動を共にした。
「と、兎に角探してやっつければいいんだ!でも頼みの壺が使えないしどうしよう。」
「ん?誰に言ってるんだいそれ?キミだけがフェアリーランドを使えない状態なんだからー」
「あっ、ロッテお兄ちゃんは使えるんだ!」
「にゃはは。でも壺は使わないんだよなぁ~。そしてもっと効率のいい吸収法があるのだ。」

 するとロッテは宙に手をかざす。手にはめた魔法の指輪が輝くと、空間をバリバリと切り裂いて巨大なロボットが現れた。
「よーし出てこーい!【禍津血】!」
「ほ、ほわー!?でっかいのがきたー!」
 そして搭乗前、ロッテは自分の周りに魔法陣を展開した。
「まずは改めて言っておくよ!ボクの力は【秘された窓(シークレットウィンドウ)】。沢山の魔法陣に触れた相手を吸い込むのさ。」
「わ、わ、使い勝手よさそう」
「でしょ~?この力を、キャバリアっていうんだけど、このロボットに乗って展開すると…」
 そう言ってフェアリーとロッテはキャバリア【禍津血】に乗り込んだ。
「さぁお掃除の開始だね♪じゃんじゃん全部吸い込んじゃうぞ♪」

 身長30センチほどの彼らの頭身が、キャバリアに騎乗する事で一気に5メートル近くなる!
 そこに早速トラップが発動した!
 どこに吊り下げられてるのかわからないが振り子動作で飛んでくる丸太だ!
「にゃはは、無駄無駄ーっ!!」
 禍津血の展開する、5メートルの体長に見合った巨大な魔法陣が丸太を吸い込んだ!
 次いで矢が、砲弾が、上空からは巨大なタライまで落ちて来る。
 だがそれらも魔法陣に当たった途端スポスポと吸い込まれていく。
「わ、わ、すっごい!楽しい!」
「でしょでしょー。悪いけど今回操縦は替わってあげられないにゃあ。」
 ずしんずしんと歩くと、地面から無数のトゲが突き出て来るが、それらも地面に展開した魔法陣に触れれば、掃除機の如く吸い込まれてしまう。
「実弾回収実弾回収にゃ♪」

 すると更にトラップが発動した。…何という事か!?今度のトラップは!溶岩だ!
「おぉー!?こんなのまで吸い込んだの?」
 溶岩は、恐ろしい事に4メートル近くまでの高さを誇って洪水の如く流れ、禍津血の進行方向にかち合う様に襲い掛かってくる。
「シークレットウィンド……おおっと駄目だこりゃ!一旦下がらなきゃ!ちょっとざんねーん!」
 無数とはいえ浮かび上がる平面の魔法陣は、どうしても隙間が出来てしまう。
 隙間を全て埋める流砂や水、ましてや高熱で溶かしうる溶岩は、魔法陣を縫ってキャバリアに触れ、機体を損傷させる恐れがあった。
「しっかしわざわざ溶岩吸い込んでったの?」
「あ、ただ吸い込んだんじゃないよ。水で冷やして固めて、正しい形の岩を作る仕掛けがあって」
「ふむふむ、これちょっと水も吸い込んであのウサギを型に…いやいや後回しかにゃ。実弾に金ダライ。もう色々あるからね♪」
 そうは言いながらも飛び上がり安全地帯へ。溶岩をかすめるように走り、魔法陣で少しずつ吸収しながら走る。
「ん?あれは‥…ふひひ。うひひひひ♪」
「あっ、あれは!」
 目に付く先にはレプ・ス・カムが横たわっていた!
 ボロボロで動かないでいる。
「ふっふー、まだほかの猟兵来てないけどちょおーっと先制しちゃうかな?」
 ロッテは禍津血の手に魔法陣を展開すると……音も立てずに急接近。
 レプ・ス・カムを掬う様につかみ取り、トラップ満載の異空間の中に吸い込
 ……吸い込もうとした瞬間である!レプ・ス・カムが発光した!
「へあっ!?」
 これは!レプ・ス・カムを模した爆弾だ!
「あ、あんなの吸い込んで…」
「ないよね!?映像で見た事――」
 ……ああ、しかし、ロッテはなんとなく思い至ってくる。
 あの策略張り巡らす嘘つき兎がこのまま黙ってやられっぱなわけがない。
                   ・・・・・・・・・・・
 まさか。猟兵が妖精に合流するのを見て新たにトラップを作ったな!?

 レプ・ス・カムが異空間に吸収されると同時に大爆発を起こした!
「うわっと!?」
 異空間と現実のギリギリの境目で爆発した為か、衝撃が半分伝わり体制を崩す禍津血。
「だ、大丈夫!?」
「大丈夫大丈夫ちょっとびっくりしただけ――」
「あ、あの……吸収した中の砲弾とか……」
「ん?ああそれは大丈夫。見る?」

 一旦キャバリアから降り、魔法陣を展開すると、中を見る。
「わわ、これは…!」
 何か異次元な空間の小さな部屋みたいなのが、意味不明な異空間の中に沢山浮いていた。
 その中の一つの異空の部屋が、爆発して煙が上がっていたが。
「発火物は危ないからね。別の所に置いてるのだ。OK?」
「す、すごいやすごいや!」フェアリーはすぽりと魔法陣から頭をひっこめ。
「これを…ぶつけるの?それともこの中に?」
「うっひひひ。それはこの後のお楽しみ♪」

 再びキャバリアに乗り込む二人。
 見れば周囲にもレプ・ス・カムの爆弾人形らしきものが横たわっている。
「なるほどなるほど、こんな事してくるならもう遠慮はいらないね。」
 レプ・ス・カムの人形を(今度は爆発しないようにそっと)回収し。
 そして更に斧を、剣を、ゴーストを、ミミックを。
 ロッテのキャバリアは槍に爆弾にと様々なトラップを吸収する。
「にゃふふふふっ♪さーて、あのウサギはどこかなー?どーこにいるのかなー?」
 時間を稼ぎ、フェアリーを保護したロッテの下に、続々と猟兵は集まってきた。

 そんな中ロッテは次の戦略を練りながら、すごく、すっごく悪い顔をしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『レプ・ス・カム』

POW   :    ミラージュ・ラパン
自身と自身の装備、【自身がしたためた招待状を持つ】対象1体が透明になる。ただし解除するまで毎秒疲労する。物音や体温は消せない。
SPD   :    兎の謎掛け
【困惑】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【鬼火の塊】から、高命中力の【蒼白い炎の矢】を飛ばす。
WIZ   :    素敵な嘘へご案内
【巧みな話術】を披露した指定の全対象に【今話された内容は真実に違いないという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。

イラスト:リタ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ハーバニー・キーテセラです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 荒廃したフェアリーランドの罠を片端から退け、時にフェアリーを励まし、時にレプ・ス・カムを吹き飛ばした猟兵達は見事フェアリーと合流した。
 気を取り直したフェアリーの感情が緩やかになる。
 すると、あちこちでトラップを飛ばし回っていた大嵐の勢いがついに弱まっていく。
 優しくなる風。落下していくトラップ。
 そして……それは宙に舞っていた猟書家を地に降ろす事でもあった。

「ぜえ、はあ、よくも、やってくれたな…!」
 ボロボロになったレプ・ス・カムが、観念して猟兵達の目の前に現れた。
 数々のトラップを受けて既に🔵が9つくらいついてもおかしくない所まで来ていたが、それでも尚立ち上がり、ゆっくりと歩み寄る。
 その手にはこんがりと焼けたおいしそうなバウムクーヘンを掴んでいた。

「あっ、ボクのおやつ!」フェアリーはぎょっとした。
「ん?なに?これもしかして大事なもの?」レプ・ス・カムは手に持つバウムクーヘンを見やる。
 そして次にフェアリーの反応を見ると、……これまでの悲惨さ具合な顔がどこへやら。にんまりとした顔をした。
「へぇ!ふぅん!鍵はまだ見つかってないけど、そんなに大事なんだー……こうだ!むしゃむしゃ!」
「あ゛ーーーっ!!」
 レプ・ス・カムはバウムクーヘンを……食べた!
 それと同時にフェアリーがなんだか泣きそうだ!
「ふっふっふ。いい感じに絶望顔だね!もっと曇ってよ!鍵が見つかりやすくなるからさ!」 
「沢山トラップを何とかした後のご褒美が…財宝が見つからなかった時の励ましのお菓子が…!」
 表で無双していたフェアリーがなぜここへ入ったか?全てはこのおやつの為だった。のに。
 それは今レプ・ス・カムのおやつとなり、あろうことか討伐に必要な🔵が4つくらいになってしまった。
「ゆるさないぞー!」
 怒りに任せ、保護していたロッテのキャバリアから飛び出したフェアリーが突進する!
「それは私のセリフだよ!」
 ぱちんとレプ・ス・カムが指を鳴らすと、なんと目の前に突如レプ・ス・カムが、否、レプ・ス・カムそっくりのぬいぐるみ爆弾が現れた!
「ふぇあー!!」
 危機を感じたフェアリーは勢いよくレプ・ス・カム人形を投げ飛ばす。
 間一髪空中で爆発する人形!爆風で軽傷ながらも地面をごろごろするフェアリー!

「素敵でのどかなフェアリーランドをこんなにした罪は重いんだから!」
「そんなの幻想だよ!先入観だよ!ボクが良いと思ったらここは宇宙にもハルマゲドンにもなるんだもん!」
「そんな危険な空間を根城にしてるって事は、そこで火傷する覚悟も出来てるよね!」
 更にレプ・ス・カムがぱちんと指を鳴らす。
「…え?」
 遺跡潜りの経験から、何か強烈に嫌な予感がしたフェアリーは後ろへ飛ぶ。
 SLASH!飛ぶ前にフェアリーがいた地面が、裂けた!
 裂け跡を辿ると振り子の形をした刃がその場を一閃し終わったものが見えた。
 トラップか?いや馬鹿な。其処にあるなんて全然見えなかったぞ!これは一体!?

「私がただ罠に巻き込まれてるだけだと思った?」
 その手には沢山の【招待状】が、カード束の如く。
「この辺り一帯のトラップには全部この【招待状】を仕込ませてもらったよ。これを受け取ったものは『透明』になるんだよね。……言ってる意味、分かるかな?」
「あ、あわわわわ……どうしよう!」

 レプ・ス・カムは強力な武器を手にしてしまった。
 もう嵐が起こる事は無いが、その代わり全てのトラップが、彼女の任意で消えたり現れたりするようになったのだ。
 アポカリプスヘルの様な荒野の中、360度空中から飛んできた罠が、今度はどこから来るか分からない。
 それに加えてレプ・ス・カムは嘘つきの達人だ。
 巧みな話術でどんな罠が来るかも分からないように惑わせる事だろう。

「私はもう起動方法も、どうやって発動するのかも、どんな罠がどこにあるのかも把握済みさ。あの嵐のせいであとは消化試合……なんて思ってた?残念!ここからが本番だよ!」
「ボ、ボクのおやつ、おやつを返せー!」
「あはは、参ってるね!おやつの代わりにたんまりと喰らわせてあげるよ……キミがここに持ってきた罠をね!」

 見えない罠とレプ・ス・カムが、満を持して襲い掛かってきた!
ロッテ・ブラウ
(´Д`)ハァ?やぁ同族♪
手の内をべらべらと頭お花畑ですか?
ほんと余裕が無いのが透けて見えるね
跳び退いたフェアリーの肩を抱いて支えつつ、呆れ顔でやれやれポーズ

この手の戦いはさ
バレないのが基本だっての♪

化術と催眠術でその場に居るかのような囮幻影を設置
しれっと自分たちは[秘された窓]で高級バームクーヘンやアフタヌーンティーが完備されためちゃ快適安全な部屋に退避
フェアリーをもてなしつつ、外を監視する小窓を作って出方を伺いながら回収した罠を小出しにして翻弄していきます
アイツは基本的に話を聞かなければ怖くないからさ
自分の知らない罠に慌てろ~♪
あれとこれを解放♪
次はこの位置かな?おっコンボコンボにゃはは♪



●(´Д`)ハァ?
「やぁ同族♪随分と手の内をべらべらと。頭お花畑ですか?」
 飛び退いたフェアリーは、すぐ傍にいたロッテが支え、抱える。
 そんなロッテは呆れた顔をしてレプ・ス・カムを見ていた。
「やれやれ、ほんと余裕が無いのが透けて見えるね」

 それもそうだ。これはレプ・ス・カムが咄嗟に優位に立とうと、苦肉の策で編んだものなのだから。
 お手元のボス戦情報を見てわかる通り、この技を使っている間はただでさえ危ない体力を疲労でもっと削られる。
 だが四の五の言ってられなかった。少しでも優位に立とうとしなければ、即座に罠でやられる。ユーベルコードでやられる。
 レプ・ス・カムはその辺りまで来ていた。

「そう言ってられるのも今の内さ……先の悪夢じゃ痛手を負ったけどね。」
 レプ・ス・カムが手を翻す。
 だが……何をしようとしているかなどロッテには些細な事だった。
 その間にこちらも策を。自身のジョブ由来の『仕込み』を済ますまでなのだから。
「この空間は広いんだ。キミはどうも罠を回収していたみたいだけれど、本当に全部回って集めたのかな?」
 ロッテとフェアリーはハッとなった。自身の身体が突如、紐のようなものでぎゅうと縛られ、肉を裂かせ始めていたのだ。
「あはは、は。もう詰んでるんだよ。罠にかかってる。すぐやられるよ。こんな風にね!」
 レプ・ス・カムのワイヤートラップだ!恐らくは話術によるユーベルコードで出現も早めたのだろう。
 WIZ系列のせいでPOW時の様な感知もしにくい透明なワイヤートラップが、あっという間に二人の全身を絡め、バラバラに引き裂こうと――。

「なーんでわかってないかなウサギくん。もしかして今までの罠で頭やられたとか?」
 だが。
「この手の戦いはさ、バレないのが基本だっての。こんな風にさ♪」
 二人の身体が突如爆発、戦場を包む巨大な煙となって辺りに渦巻いた!
「くっ、しまった。どこだ、どこ――」

●ショータイムの始まりだ!
 そこはユーベルコード[秘された窓]の異空間の部屋の中。
 有り余るストックが用意された様々な遺跡のトラップ、その中心にロッテとフェアリー。
「ここは……あのウサギさん、何か言ってたけどいいの?」
「ん?いいのいいの。あんな馬鹿正直にやってくるもんだからもう特に耳を傾けなくてもオールオッケー。今から作戦を実行するのだよ」
 彼らのいる場所はどこから調達……否、初めからこういった時の為に用意されていた快適空間。
 エアコンの何かなのか爽やかな風がいい塩梅に吹く中、カーペットが敷かれ、妖精用に調整された椅子にテーブル。その上には高級バームクーヘンやアフタヌーンティーが置かれていた。
「さ、どうぞ遠慮せず食べて食べて」
「えっ、これ……いいの!?」
「いいよいいよ~。むしろここでのんびりしながら見物するのが最っ高にいいのだ☆」
 そしてその周囲に浮遊して設置された小窓から、見えるのは外の世界。
 ……即ち、レプ・ス・カムの惨状光景だった。

「っ、この!」
 レプ・ス・カムはランタンの炎で飛んでくるゴーストを破砕。
「シャアァ!」
「っきゃああ!?」
 だが直後背後から飛んできたミミックに尻を噛まれる。
「このっ、放せ放せ!」
 突如頭上に現れ落下してくる巨大な斧を、尻を振ってミミックで防御、破砕させながらかろうじて逃げると。
「うわっ!ひいいぃ!」
 地面から無数の剣が飛び出してレプ・ス・カムに向かう!
 慌てて反対方向に逃げるレプ・ス・カム。
「くそっ、さっきから気配も反応も分からない……どこ!?どこ行ったあのフェアリー達!」
 しかもレプ・ス・カムの掌握してない罠があらゆる所から(……実は気づかれないレベルで薄くさせた魔法陣から)飛び出し、レプ・ス・カムを襲っているではないか。
 今度は槍付き爆弾が複数発、弓なりに飛んでくる!
「くっそーっ!」
 手持ちのトラップを起動させ、透明にしていた爆弾砲台を解除して放とうとするが。
 直後、レプ・ス・カムは空を飛んだ。
「ぐあ…っ!?」
 地面が、地面が一瞬飛び上がったのだ!
 ばねのついた地形トラップ……そんなの、そんなのあったっけ……?

「アイツは基本的に話を聞かなければ怖くないからさ。罠を掌握?聞いて呆れたね。自分の知らない罠なんて――。」
 レプ・ス・カムの目の前に魔法陣が展開され。
「ボクだって、用意してない筈ないだろ?」
 ぺたりと、レプ・ス・カム爆弾が顔に張り付いた。

「ふぎゃああぁ!!」
 吹き飛ぶレプ・ス・カム!
 その背後には高速回転する、鋭利な刃物で出来た巨大換気扇。
「うわあ!」
 咄嗟に身を翻して避けるも、服がびりびりに破れる!
 その先で謎の魔法光が発生!
「え!?」
 おおっとテレポーターだ!
 光が収まると十字架に磔にされた状態となったレプ・ス・カムが空中に出現。高高度から落下していく!
「ひっひえぇ!なにこれえぇ!?」
 落下の衝撃で十字架が破砕して、レプ・ス・カムはバウンドして跳ね飛ばされる。
「がふっ!」
 飛んだ先、地面から突き出てきた電撃ボルトのトラップにレプ・ス・カムはお腹からダイブしてしまう!
「あばばばばしびれるう゛う゛ぅーーー!?」

「にゃはは、自分の知らない罠に慌てろ~♪」
 ロッテとフェアリーは異空間の中、美味しそうにバウムクーヘンを片手でつまみながら、次々と罠にかかるレプ・ス・カムを見る。
 それはまるでコメディ・カートゥーンで酷い目に逢っているやられキャラを上映いっぱい観ているようなものだ。
「次、次ボクもやりたい!」
 フェアリーが提案した。
「にゃっふふふふ♪そうだよねえ。こんな面白いの病みつきになるもんねえ。じゃんじゃんやっちゃおっか♪」

「もがっ!もがもが…!」
 巨大な泥の大玉に巻き込まれゴロゴロと転がるレプ・ス・カム。
 その先には溶岩の滝が垂れ流されている。
「…!み、身動きが…!あっづう゛う゛ぅぅぅぁ゛!?」
 溶岩で泥ごと溶けていくレプ・ス・カム。
 だが五体は無事だ。しぶとい。
 溶岩の上でじゅうじゅう焼けながら流れ落ちた場所に、今度は冷水の滝がとめどなく落下してくる。
「ちべたあ゛あ゛あ゛ぁぁぁ!?」
 火傷した体に冷水が染み込み更なる大惨事の火傷ダメージを負う!
 と同時に、溶岩が冷え固まって岩壁の様なものに閉じ込められてしまうレプ・ス・カム。
「……!(ま、また身動きが…!)」
 そこに巨大なトゲボールが、振り子の軌道を描いて横から激突!
「ふげええぇぇ!!」
 閉じ込めていた岩を砕いてゴルフボールの如くレプ・ス・カムは吹き飛ばされた!

「遺跡の罠を仕掛けた奴って、こんな気持ちでやってたんだ~♪たのしーいー♪」
 今の一連の流れを魔法陣を伝って放ったのはフェアリー。仕返しも出来てすっかり上機嫌だった。

「よしよし、次はこれを解放っと♪」
「きゃあああぁぁ!!」
 無数のトゲにザクザクと刺されるレプ・ス・カム!

「あれとこれを解放♪」
「ぐえーっ!?」
 巨大なタライがごうんと脳天に直撃するレプ・ス・カム!

「次はこの位置かな?よいしょ!」
「うわっわわわ!」
 無数に飛んでくる鉄球の砲弾をランタンからの炎弾で相殺していくレプ・ス・カムだが、上からいきなりバケツが落ちて来る。
「もがーっ!?グバーッぁ!!?」
 視界が封じられ、隙が出来た所に横っ腹を鉄球が直撃!
「そこに地雷をどーん!」
「ぎゃーーーっ!?」
 突如足元が爆発して吹き飛ぶ!
「よーしここで矢の雨だ!」
「いだっいだいいだいいっ!!」
 またもや、今度は上からの矢の雨にザクザクと数発刺さっていくレプ・ス・カム!
 痛みを上げて悶えながら落下していくと……そこには毒沼が!
「がぼおおおぐぅぅ!!?」
「おっコンボコンボにゃはは♪」
 泡を吹いて毒沼に溺れるレプ・ス・カム!

「お、鬼ーっ!悪魔ーっ!フェアリー!」
 レプ・ス・カムは泣きながら抵抗するも、最早抗う体力も残らず、異空間の中にしまった、悪夢の罠の在庫をありったけ。
 二人の起動する数々のトラップになすすべもなくやられ続けていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒城・魅夜
確かに私は「困惑」せずにはいられません
あなたが愚かなのは知っていましたがここまでとは、という意味での
困惑ですが……
多くの罠の全てに透明化を仕込んだ?
……一つの対象でさえ「毎秒疲労する」能力を、全てに?
ほら、あっという間に膝は震え、息は荒くなり、顔色は蒼褪め
クラクラしているではありませんか
頭が悪いにも程があります

ふふ、妖精さん、この兎が勝手に自滅する姿
これ以上「楽しいこと」はないでしょう?

攻撃を「第六感」で「見切って」時間を稼ぎ疲労させつつ「オーラ防御」
さらに「範囲攻撃」の鎖で迎撃し「衝撃波」を使い
炎や罠を敵自身に叩き返します
同時に「早業」で間合いに入りUC発動

悪夢を見たのはあなたの方でしたね


備傘・剱
つまり、ここら一体、トラップまみれ、ってことでOK?
そして、それは、設置済みってことでOK?

ならば、手段は簡単
古来からいうだろ?
罠はハマって踏みつぶせってな
青龍撃、発動!
そして、手当たり次第に呪殺弾、衝撃波、誘導弾、水弾、ブレスを撃ちまくって罠を破壊しつつ、高速移動で接近して、カムを手当たり次第に攻撃しまくるぞ
あ、空中浮遊もあるから、落とし穴系のトラップも平気だ
オーラ防御もあるし、結界術もある
何より、鎧無視攻撃と、鎧砕きがあるからな
本体に当たるまで、がりがりやり続けてやるよ

知ってるか?
罠ってのは、ないと思ってるからハマるんだぜ?
あるとわかってる罠は、罠じゃないぞ?

アドリブ、絡み、すきにしてくれ


ベール・ヌイ
「逆に考えるんだ…食らってもよいやって…」

「ベルフェゴールの加護」を使い、悪魔少女に変身し、背中から獄炎の翼をはやします
その獄炎の熱エネルギーを【陽炎】で運動エネルギーに変換
一直線にレプ・ス・カムへ突撃、トラップは『野生の感』で動きを阻害するものはよけ、ダメージを与えるものはすべて『激痛耐性』で耐えて
「鬼龍殺」による『限界突破』した『捨て身の一撃』の抜刀術を放ちます
足や腕が折れても不死鳥で治すからへーきへーき

最後に「どこでも調理セット」でおかしを『料理』してみんなにあげましょうかね
アドリブなど歓迎です




「……ま……まだ…‥いきて……る……」
 ぼろ雑巾の様になりながら、トラップから這い出たレプ・ス・カム。
 もう立ち上がる事は出来ず、這いつくばるのみとなっていた。
 息もあがって、虫の様にひぅひぅと喉を鳴らす程度だが、生きている。かろうじて、生きていた。
「スー……パー……ウサギ……穴……を……」
 最後の力を振り絞って、逃走手段を用意しようとする。
「あ゛っ !」
 穴を開けようと動かした手が、女性の足に踏まれたのを感じた。
「「困惑」せずにはいられません。あなたが愚かなのは知っていましたがここまでとは、という意味でですが……。」
 魅夜の足だった。
 次いで後ろには剱と、ヌイがいる。
「ふぅ。……多くの罠の全てに透明化を仕込んだ?……一つの対象でさえ「毎秒疲労する」能力を、全てに?」
「……せ、説明……そこ、から……?」
 どうやらもう勝ったも同然で、説教タイムに入っていると気づいたレプ・ス・カムは、咳き込みながらも死力を絞り、時間稼ぎの言葉を紡ぐ。
「火事場力って、奴……それに、全部常に透明にするんじゃあないよ。招待状を仕込んだ罠を、いつでも透明に出来るってだけで……任意で透明にするのを個別に決めて、騙す、のさ……あったものがなくなって、ないものが急に……げほっげほ!」
「それができる力ももう残っていないと。」
 魅夜は笑みを浮かべて、這いつくばるレプ・ス・カムを見下した。
 無理だ。一つ前での戦闘ならかろうじて出来た悪あがきも、今ではもうできない。完全な体力切れである。
 わざとらしく困惑する目の前の魅夜にさえ、ランタンの炎が飛ばない。ユーベルコードさえ、使える気力がない。
「ふふ、自業自得ですね。自身の身も危険にさらすような罠の数々を、やけになって無理矢理どうにかしようとした結果がこれです。」
 魅夜の足はぐりぐりとレプ・ス・カムの手を捩る。
「妖精さん、この兎がこのまま勝手に滅する姿、如何です?これ以上「楽しいこと」はないでしょう?」
 今、フェアリーは異空間にいるが、ちょっと引いたようになりながらも肯定しているのを魅夜は感じ取った。

「あなたは勿論、楽には散らせません」
 108本の鎖が魅夜の身体から出ると、それはレプ・ス・カムの身体に伸び、巻き付き、侵食する。
 魅夜はこのままレプ・ス・カムの穴という穴に鎖をねじ入れ、全身から血と鎖の華を咲かせて破裂させようとしていた。
「この地を侵略しようとした事を、全力で後悔なさい」

「ふ、ふふふふ……」
「ああ、かねてから危惧はしていましたが、罠にやられ過ぎて本当に頭が弱くなっているみたいですね。」
「思い…出した…のさ…招待状…と…共に……トラップの…中に……起動…スイッチ…が……」
 魅夜は眉を吊り上げた。
「フィナー…レ…悪夢の…仕上げ……全ての…罠を………確か、ポケッ…ト…中……指なら……動かせ……」

「『愚か者の骸を糧に咲き誇れ鋼の血華―』」
 鎖を勢いよくレプ・ス・カムの全身にねじ込もうとした瞬間!レプ・ス・カムは爆発した!
「くっ!?」
 爆風。吹き飛ぶレプ・ス・カム。吹き飛んだ先に、地を裂き盛り上がって現れる巨大な動く石像。
 石像の感知しない肩にうまい具合に乗り、項垂れるレプ・ス・カム。
「ふ…ふふ…」
 それと同時に、隠れ潜んでいたトラップの数々がフェアリーランドのあちこちで起動する。
 絶えず巻き起こる爆発!
 雪崩の如く大地を破壊し続ける落石!
 戦場の地面には毒と溶岩が混ざり合った様な、大変危険な液体が埋め尽くさんと侵食を開始した。
 それはまるで世紀末。滅びへと向かうアポカリプス・ヘルの如きだった。

「や…やれ…!こんなフェアリーランド、もういい……!全部潰れて、なくなって、しまえ……っ!」
 巨大な剣と、目からのビームで地形と猟兵を破壊せんと暴れる巨大石像の上、死にかけのレプ・ス・カムは声をひり出して叫んだ。


「つまりここら一体、トラップまみれ ってことでOK?そしてそれは、設置済みってことでOK?」
 これで決まるかと始終を見ていた剱は立ち上がった。
「ならば、手段は簡単。フェアリーの子が安全にトラップを廃棄できるよう、ここは一旦潰させてもらうぜ」
 そして、その身に空気中の水分を集め、水を作り、身体を水で出来た…人型の青龍の様な姿へと変貌させる。
「【青龍撃】――発動!」

 青龍の力を宿した剱は、フェアリーランドの中を飛び回り、蹂躙していく。
 水の爪を有した手から呪いや衝撃波、高圧の水の弾丸、真空の刃を放ち、飛んでくる刃を、レーザーを、巨大なネットを切り裂き破壊する。
 動きに応じて異空間から火山弾を撃ち降ろすトラップが彼の力に感応して、ものすごい数の炎弾を降り注がせる。
 それをジグザグに高速移動して回避し。
「喝っ!」
 その最中に水のブレスを放ち、トラップがあるであろう発射地点を消し飛ばす。
 回避後の着地地点を踏み抜いた時、トラバサミが剱の足を挟もうと――。
「ふんっ!」
 それを超力任せの踏み込みによって衝撃波を発生、挟む前にトラバサミを破壊し尽くす!
「古来からいうだろ?罠はハマって踏みつぶせってな」


「最後の最後にまた厄介な悪あがきを……」
 魅夜は避けるので手一杯になっていた。
 地面から盛り上がって喰らおうとするアイアンメイデンを地を蹴って回避すると、地形のあちこちに熱気を感じ取る。
 すぐ飛び退けばそこから高熱の間欠泉が噴き出す。更にワイヤーが飛んでくるのを宙がえりで避けると、ワイヤーに沿って巨大な回転刃のトラップが迫りくる。

「ふ、ふふ、あくまでこれは時間稼ぎ……そうしててこずっている間に、私はもう、ここから、帰る……!」
 動かない手を必死に動かし、スーパーウサギ穴の空間を作ろうと石像の上で躍起になるレプ・ス・カム。
「こんな惨状にした上で自分だけ帰れるとでも――」
 トラップを回避する傍ら、巨大石像からのビームも飛んでくる。
 かなり遠方の射程であるそれは、特に、魅夜を、迂闊に近づけさせないでいた。
「この、ままでは……!」


「逆に考えるんだ…食らってもよいやって…」
 そこに進み出たのはベール・ヌイだ。
『ヌイ?』
 心配そうにフリップを掲げる雷獣・護理雷。
 そんなゴリラの肩に彼女は手を置き、ぱり と雷を残して護理雷とバイクを消した(ひっこめた)。
「護理雷、また後で。これよりヌイが身は炎を纏い、ベルフェゴールとフェニックスに捧ぐ……。」
 ヌイに、角が、蒼い炎の翼が、生える。
 真の力に目覚めた彼女の、悪魔の形態であった。

「後ろに、ついてきて……」
 そう言ってヌイは獄炎の蒼炎を羽ばたかせ、一直線にレプ・ス・カムの乗る巨大石像へと飛んだ。
 戦場に無数の爆発が巻き起こる。それすら厭わずに突撃するヌイ。
 その内の一つがヌイの真下で起動する。地雷の強力な爆発がヌイを巻き上げる。が……。
「へーきへーき。」
 全く気にしない。衝撃と熱エネルギーは獄炎の炎の中に消えた。
 更に巨大なブロック……否、迫りくる壁だったトラップが横から飛来する。
 ヌイは普通に押され、潰れる。
「ヌイさん!」
「へーきだよ。ヌイは悪魔……」
 潰れた浮遊壁の中から無理矢理炎が噴き出ると、高熱で溶かし、破砕して飛び出ていく。
 今の衝撃で腕や足が折れるが、翼は健在だ。ボロボロの身体をボロボロと思わずにヌイは飛ぶ。

「う、うわ…あああ…!来る、な……来るな……あああああ!!」
 レプ・ス・カムの感情を汲み取ったかの様に巨大石像は、右手の巨大な石の剣で一心不乱に乱舞を放つ!
「罠でもへったくれもないそんなもんここに寄越すんじゃねえよ!」
 高圧水を後ろに放って飛び出した剱がフォースパワーを解放。不思議なサイキックの強固な壁を作って受け止めた!
 その横を縫って飛んだヌイが刀を構えて力を溜める。
 だが巨大石像は左手を突如外すと、外れた腕の中から灰色の強風を放射する!
「ぬい!」
 ヌイは勘でそれを、大きく飛翔して避けようとする。
 その突風は、万一石像が破壊された時に放つはずの石化ガスの風だった。
 直撃すればいくらフェニックスの力があれど、たちまち石像と化して落ちよう。
 大きく避けるが、放射しながらヌイを追い詰める。髪や角の先がちりりと石の様な材質になっていく……。
「捕まってください!」
 事前に爆風の風に乗り、風をマントで受け止めて大きく飛翔していた魅夜!
 彼女は鎖をヌイに放ち、腕に巻き付けると力いっぱい引き抜いた!
「ぬいぃ」
 くるくると慣性で回転しながらも高速で引っ張られたヌイは石化ガスの突風から逃れる。
 それを見た石像は眼からビームを放とうとするし、上空からは矢の雨が飛んでくる。
 ヌイは。
「…………」
 ただ剣を構える。
 折れた腕、石化した足、バキバキと音を立てて、フェニックスの悪魔の力が正しい形に矯正していく。
「いい感じの攻撃が乗りそうだな!俺も混ざらせてもらうぜ!」
 狙うは首元から降ろして腰まで。
 それを察した靱もヌイの隣まで飛翔し、構える。
 靱による真空と水の爪拳、ヌイの腰に下げた不死鳥の妖刀。
「御身砕けようとただ断ち切りしは、【陽炎】――」
「嵐の如く、踊り奏でよ青龍。祝え。【青龍撃】!」

 斬撃、衝撃。
 水と炎の超高速の一撃が、レプ・ス・カムの巨大石像を通ると、一瞬ズレた後、極大の大爆発……水と炎による水蒸気爆発が、石像を木端微塵に破壊した!

「ぐえ……っ!!」
 粉々に崩れ落ちる石像。爆炎の鳴りやまぬ中、無様に落下するはレプ・ス・カム。
「ま、まだ…まだだ、こんな…!」
「覚悟はできましたか?」
 そこに魅夜が、再び冷ややかな目でレプ・ス・カムを見下した。
「あ……や、やめっ……うぐううぅ!!!」
 そして鎖で再び締め上げる。
「ひゃめ…はなひあ…ひくひょう、うぐ、ぐが、うがああぁぁ!!」
 今度こそ、会話を挟もうともせず、炎を纏う鎖がレプ・ス・カムの穴という穴に入り込み。
「悪夢はフェアリーランドでなく、あなたの方に見せてあげましょう。ええ。ええ。今までのものが全て帳消しになるくらい、きついのを一つ。」
「……!!……ふんぐうぅぶぐあぎゃああ゛ぐば……!!!!」
 レプ・ス・カムの身体に激痛と鎖が這い回り……。
『愚か者の骸を糧に、咲き誇れ鋼の血華!』

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーーーーっ!!!!」
 無数の鎖を吐き出しながら、レプ・ス・カムは悶えて、破裂した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​


●悪いウサギは消し飛んで
 かくして、レプ・ス・カムは爆散した。
 猟書家を倒した事によりフェアリーランドの悪夢は収まり、フェアリーランドは穏やかな平和が戻…………戻ってはいなかった。どんよりした空に怨霊の声が響く風。
 ただちょっと違うのは、あちらこちらに破壊された大量の罠が散乱している所だった。

「これで何体目になりましたかね。お怪我はありませんか?」
 魅夜は鎖を振り払い、もう大丈夫と異空間から出てきたフェアリーに問うた。
「ぎゃっははは!いいもの見れた!あのウサギの顔ったらないよ!」
「うん…大丈夫。すごかった。ここ廃棄場のはずなのに、悪いお姉ちゃんがすごい事になってた…!」
「こんなフェアリーランドならいつでも歓迎さ!あっ、もっとバウム食べる?」

「っま。こんなもんか。……罠ってのは、ないと思ってるからハマるんであって、あると分かってる罠は……なぁ。」
 靱もヌイも、罠の残骸と共に身に纏う水や炎を振り払った。

「ありがとう。本当にありがとう。出られなくなった時はどうしようかと思ったよ。バウムクーヘンも美味しかった!」
「そっか。ヌイも作ったけど……いらない?」
 ヌイはフェアリーを楽しませる為に、実はこっそり料理セットで料理を作っていた。
「えっ、どんなのどんなの!?勝利のお祝いにもう一つくらい」
「うさぎのパイ」
「えっ」
「……を模したお菓子」
「ほわわ、一瞬あのウサギさんのミンチかと思ったよもー!」
「だったら少し、楽し……いえなんでも。」
 魅夜は何かを言おうとしてごもる。


 荒廃した世界の中、突き刺さった箪笥があった。
 3人と2人のフェアリーは、箪笥をテーブル代わりに勝利の晩餐を楽しんだ。

 今回のフェアリーランドは同情するしかない様な戦いだったが、次のレプ・ス・カムがこうであるとは限らない。
 がんばれ、猟兵!負けるな!フェアリー!

 ……後日、どこかの遺跡にて。
「今度はもっとひどいトラップを入れて、また誰か来た人を驚かせちゃおう!」
 と、調子に乗ってフェアリーランドを駆使しているフェアリーがいたとか、何とか。

最終結果:成功

完成日:2021年01月01日
宿敵 『レプ・ス・カム』 を撃破!


挿絵イラスト