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バニティオン・テイル号の帰還

#キマイラフューチャー #戦後

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#戦後


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●プレオープンの招待状
「ナイトクルーズにご興味のあるかたー?」
 いつものグリモアベースのいつもの光景。そこにいる猟兵たちにいつものように仕事の依頼をする秋月・充嘉(キマイラメカニカ・f01160)。
「あ、ちなみにナイトクルーズっていうのは、主に都市部や工業地帯などで、夜景を楽しむ目的で渡航する観光客船の事ね」
 キマイラフューチャーのとあるリゾート地で行おうとしているようで。そのプレオープンの招待状を現地の知り合いからもらったので、せっかくだし予定の空いてそうな猟兵に声をかけようとしたのだが。
「当日の天気を視ようと思ってグリモアを使ったら、オブリビオンの襲撃がヒットしちゃったんすよねぇ……」
 はぁー、とため息をつく。視てしまった以上、充嘉はプレオープンに参加できない。
「本オープンしたときに自腹で参加すればいいんすけどぉ……」
 もう一度ため息。よほど行きたかったらしい。かるく首を振ってから両の頬をぺちぺち叩くと、うしっとスイッチを切り替える。
「とにかく、仕事の話しっすよ。やることはシンプルっす」
 1、ナイトクルーズのプレオープンに参加する。事情はすでに説明したので客船のクルーや従業員を除いて一般人が入らないようにしたため、実質猟兵たちの貸し切りクルーズ。
 2、しばらくするとオブリビオンの集団がどこかからやってくるのでこれを撃退。
 3、集団オブリビオンを撃退するとボスがやってくるのでこれも撃退。
 4、残りの時間はクルーズを楽しむ。
 以上。

「出てくる集団オブリビオンは比較的情報の多い相手っすけど、ボスは初めて見る相手っす」
 集団オブリビオンのほうは『白ブーメランパンツ過激派怪人』と呼ばれる一派で、白ブーメランパンツを至高の履物として崇めているヤバい集団である。とにかく白ブーメランパンツを絶対視しているので見た目以上に苦戦するかもしれない。
 続いて、ボスのほう。名前とその能力はある程度視ることができた。
「名前は『バアル・コーウェン』。コーウェン……懐かしい名前っすね。あいつとの関係性は現在調査中っす」
 彼の能力は『弁舌』。雑な言い方をすれば口が良く回る細見のキマイラだ。非常に傲慢であり高慢、常に慇懃無礼な態度で接してくるエリート意識の塊で悪魔の力も宿している。
「なーんか、まともに聞こえるっすよね?俺もそう思う」
 まともそうに見えて、実は両刀の面食いで相手を自分好みの姿に変える光線を使うのでやっぱりまともではないかもしれない。

「ちなみにこれがプレオープンするナイトクルーズの詳細パンフっす」
 渡されたパンフレットには主催と客船名、それからクルーズのプランが書かれている。

●クルーズ船『バニティオン・テイル号』
 当クルーズ船は純粋に夜景を楽しむ以外に船上プールや船内バー、温泉やマッサージなどのリラクゼーション施設をご用意。当社選りすぐりの男性スタッフがお客様方を至極のサービスへとご案内します。
 団体様はもちろん、お一人様でも気軽に参加できるようプライバシーが完全に保たれている個室もご用意。スタッフの誰かと親密になれるのかもしれません。

 スタッフ写真も何人かあり、スタッフの制服も写されている。蝶ネクタイやノースリーブにした燕尾服に丈が少しばかり短いパンツ。明らかに違うだろうという種族の腰にちょこんとのった白いボンボン、なんというか扇情的な格好のそれは見る人が見ればこう答えるだろう。

 バニーだと。

「そんじゃいってらっしゃーい、お土産話期待してるっすよー」
 何人かのツッコミを待たずに送り出す充嘉だった。


川内嘉治
 船で浮かぶのは、メメントモリ時計。それからゆうらん丸。

 \デーレーレーデデンッ/川内嘉治です。
 キマイラフューチャーインナイトクルーズです。ナイトクルーズ、なんだか妖しい響き。
 プレオープンのクルーズ船に妖しいオブリビオンたちが襲ってきますので撃退し、これまた妖しいボスオブリビオンも撃退してくださいな。
 なお、船上は適温が保たれています。不思議。

 リプレイは船が出発してからを想定していますので、それを踏まえた上でプレイングを送っていただければと。
 戦場は船上になります。ダジャレじゃないよ。
 過激すぎるプレイングは修正せざるを得ませんが、頑張ります。

 それでは、嘉きクルーズを。
 ちなみに充嘉は出港地近くの提携ホテルで非番のスタッフ及びオーナーとしけこんでます。
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第1章 日常 『高級サロン体験』

POW   :    全身整体・足つぼマッサージをやってみる

SPD   :    オイルマッサージをやってみる

WIZ   :    温浴・スパ・岩盤浴をやってみる

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ヤコ・ナゴ
はーーー…
なんだかんだあって疲れたんですよね…
ええ、だいたいはオブリビオンマシンが悪いんですよ。ええ。

そんな訳で!羽根を伸ばしに来た訳なんですよ!
ええ、休暇というやつです。ええ。

とりあえずオイルマッサージをお願いできますかね?
どうにもストレスが溜まりがちなのもあるんで…


……
………んん…あ、尾はちょっと気を付けてくださいね…ええ、優しくで…



●これは健全ですよ
 猟兵を乗せたクルーズ船『バニティオン・テイル号』は定刻通りに出港した。
 グリモア猟兵の話によれば、出港してしばらくの間は襲撃は来ないとのことなので、そのあいだは自由に船内施設を利用していいことになっている。
 しかも、プレオープン招待なのでほぼ無料である。
「はーーー……」
 マッサージルームの一室で施術台に全裸でうつぶせになっているコカトリスキマイラのヤゴ・ナゴ(チキンレッグ・f29509)はながーい溜め息をついていた。
(なんだかんだあって疲れたんですよね……ええ、だいたいはオブリビオンマシンが悪いんですよ。ええ)
 別の世界であった悲惨な状況を思い返し、悪寒が走る。
(うぅ……思い出すとお尻の辺りが……)
 とろりとした液体が太ももにまで流れてきてるような……。


 あ、これ、オイルマッサージ用のオイルだ。
 ストレスが溜まりぎみだからオイルマッサージをお願いしていたのを思い出し、まばたきをする。
「では、マッサージ始めますねー」
 バニーの格好をしたキマイラ従業員が声をかけヤゴは「お願いしまーす……」とふたたび目を閉じる。
 見た目がバニーなだけで、しっかりとマッサージの腕はあるようで気持ちがいい。
「尻尾のほうはどうしますー?」
「……んん……あ、尾はちょっと気を付けてくださいね……」
「なら優しくやりますねー」
「……ええ、優しくで……」
「では尻尾失礼しまーす」
「はーい……」
 尻尾の蛇がやや不満そうに動くが、優しく触れられたからかすぐに抵抗をやめて従業員のされるがままに気持ちよさそうに眼をつぶった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

中條・竜矢
【POW判定】(アドリブOK)
バニー……バニー?しかも男性?
正直ツッコミどころは多いが、オブリビオンは逃がせないし、ナイトクルーズ自体は面白そうだ。
ゆっくり体を休めさせて貰おう。

夜景を見ながら食事とかもいいが、全身整体というのを受けてみようか。
ドラゴニアンの体に合う方法があるのか気になるが……

んん……気持ちいいな……(整体師に任せてゆっくり過ごす。整体の知識が無いため変なことされても気付かない)



●健全じゃないかもしれない
(バニー……バニー?しかも男性?)
 中條・竜矢(変化する竜騎士・f03331)はクルーズ船の従業員の格好に疑問符が浮かぶ。
 正直にいうと他にもツッコミどころがある気がしないでもないが、オブリビオンは無視するわけにもいかないし、それになによりナイトクルーズ自体は面白そう。
 ざっくりと船を見て回り、さて何をしようか。
 ナイトクルーズと言っているのだし夜景を見ながら食事を楽しむのも悪くはない。
 だけど、せっかくだし全身整体を受けてもいいかも。
(ドラゴニアンの体に合う方法があるのか気になるが……)
 部分的な竜要素ではなく、完全な竜人の姿である竜矢はキマイラフューチャーでは珍しいかもしれない。
 まぁ、ものは試しだ。


「竜人型ドラゴニアン用の整体ですか?ありますよ」
「あるんだ」
 マッサージルームにやって来た竜矢にバニー従業員がさらりと答える。
 他種族の猟兵が別のリゾート地にくることもあって、ある程度の種族別対応マニュアルができているとのこと。
「さすがに巨人あたりはまだ情報が少ないですが、それ以外なら近いもので代用ができますから」
「なるほど」
 そういうことなら、特に不安はなさそうだ。
 服を脱ぎ施術台に乗ろうとする竜矢にバニーが一言声をかける。
「あ、下着も脱いでくださいね」
「下着も?」
「尻尾の付け根とか触ることもありますので」
「あぁ、そっか」
 言われてたしかにと思う。バニーの言うとおりに下着も脱ぎ施術台に仰向けで横になる。
「あの、シーツとかは……?」
「鍵をかけてあるので誰も来ませんよー」
「そう、ですか?」
 恥ずかしいが誰もこないと言うのなら、まぁ……。
「では始めますねー」
 楽にしてくださいねー、と言われたのでリラックスし目を閉じる。
 見た目の奇抜さでつい構えてしまったが施術はちゃんとしている。これなら、任せても……
「ん……?」
 なんだか、下腹部や太もも辺りが集中的に揉まれているような……。
「あの」
「ここら辺、太い血管がありますからねー」
「あぁ、そういう……」
 そういうことなら、まぁ……。少しばかり『元気』になってしまったが。
 バニーの指示でうつ伏せになり背中側のマッサージ。
 ゆっくりと揉まれ、バニーの手が竜矢の背中から腰、尻尾へと移っていく。
「付け根失礼しまーす」
 言われて、付け根に触られている感触がする。
 気持ちいいが、なんだが感触が下へ下へいっているような……。
「お尻のギリギリまで触りますねー」
 なるほどと思い、されるがままになる。
 ……前以上に『元気』になっているが、これはきっと血行がよくなっているからに違いない。
 それに施術の知識は明るくないし、きっと間違っていないだろう。

 実はあまり健全ではないマッサージになっているのに気づかない竜矢であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『白ブーメランパンツ過激派怪人』

POW   :    至高の履物とは
【白のブーメランパンツ】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
SPD   :    白ブーメランパンツとは強さの象徴なり
完全な脱力状態でユーベルコードを受けると、それを無効化して【白のブーメランパンツ】から排出する。失敗すると被害は2倍。
WIZ   :    白ブーメランパンツの魅力を知れ!
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【同志】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 ナイトクルーズを行っているバニティオン・テイル号に、グリモア猟兵の予知通りにオブリビオンが襲来してきた。
 暗い海から勢いよくでたそれらは滴る海水を払わずに船上へと立った。
「バニーなどとふざけた格好を!白ブーメランパンツこそが至高にして唯一の服であるっ!!」
 などと、あまり理解しないほうがいい主張を発している怪人たちの後ろ。首謀者であるバアル・コーウェンは船上とほぼ同じ高さを飛行で維持している。
「ええ、その通り。逞しい肉体は全てをさらけ出すべきなのです」
 私を際立させるためにね。とやはり常人ではない考えを吐露していた。



 本章は白ブーメランパンツ過激派怪人たちを相手取ります。
 この章中にバアル・コーウェンに攻撃することはできませんが、文句や罵倒や悪口は届きます。
ヤコ・ナゴ
へ………変態だーーーーッ!?
(マッサージが終わって出てきたら遭遇してしまった)
しかもなんか変態のボスがインテリっぽい事言ってますね…
もしかしてあのインテリ、服の下はこの変態と同じ格好してるんですか…?ドン引きなんですけどぉ…

まあいいや。
(アサルトライフルを構える)
せっかくマッサージ終わって気持ちいいところですし、ここでウォームアップといきますよ!
(雑に狙って撃ちつつ動き回る)

は?…なんですそのルール?
従ってやる義理があるとでも思ってますか?
(どうせロクでもないブーメランパンツ関連のルール宣告なのでNO!なおダメージは割と痛い)




「へ…………変態だーーーーッ!?」
 マッサージが終わりディナーでもと思い船上へと出てきたヤゴは、仁王立ちしている白ブーメランパンツ怪人たちにツッコミの声をあげる。
「我々は変態などではない!白ブーメランパンツのみを服として認める集団である!!」
「そういうのを変態っていうんですよ!というか!!」
 ビシィっとバアル・コーウェンを指さすヤゴ。
「あんたらのボスは服着てるじゃないですか!!!」
「ボスはすでに白ブーメランパンツを着用しておられる!その上にまとっておられるのは限られた者のみ以外にはお見せしないという粋な計らいである!!」
「ええ、その通りです。よろしければ、特別にあなただけにお見せしましょうか?」
 私の美しい肉体をと言いながらシャツのボタンに手をかけるバアルに対しヤゴは。
「いえけっこうです」
 ドン引きしていた。

「……まあ、いいや」
 ツッコむのも疲れるのでアサルトライフルを構える。
「せっかくマッサージ終わって気持ちいいところですし、ここでウォームアップといきますよ!」
 駆け出しトリガーを引く。正確な照準はしないで雑に撃って動き回り弾幕を張る。
「ええぃ、ちょこまかと!これをくらえぃ!」
 怪人の一人がヤゴに白ブーメランパンツを叩きつける。
「あだっ!」
 ベチッと白ブーメランパンツがヤゴに当たり、怪人は高笑いをした。
「ふはは!ではルールだ」
 今着ている服を全て脱ぎ捨て、その白ブーメランパンツを履き、我らの同士となれ!
 そのルールに対しヤゴは。
「は?」
 従う気はなかった。
「……なんですそのルール?従ってやる義理があるとでも?」
 へばりついた白ブーメランパンツを地面に叩きつけて弾丸を撃ってボロ布にする。
「ば、バカな!ダメージが恐くないのか!?」
「痛いに決まってるでしょう、この変態ども!!!」
 決して軽くはない痛みに耐えつつ、ツッコミと弾丸を怪人にぶつけるヤゴだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

中條・竜矢
【POW判定】(アドリブOK)
なんだかすっきりしたような……妙な倦怠感があるような……まあ一旦置いておくか。
白ブーメランパンツ……下着は個人に合うものをはくのが一番だ。考えてみろ。私のような体ではそんなパンツでは隠すところが足りていないだろうが。しかも見せるためにはくのか?あまりにも迷惑すぎる。さっさと倒れてくれ。

ユーベルコードを発動し格闘攻撃で戦う。先制攻撃、2回攻撃で相手をボコボコにして終わらせてしまおう。
バニースーツもどうかと思うが!ただの下着のお前らの方がヤバいと思うぞ!

そこの見てるお前、こんな奴らを連れてくるなんてセンス悪いんじゃないか?




(うーん……)
 竜矢は違和感を感じていた。
 オブリビオンたちに対してではない。マッサージを受けてから、何とも言えない感覚が体に残っているのだ。
(なんだかすっきりしたような……妙な倦怠感があるような……)
 その違和感ははっきりしないが、一旦は置いておこう。
 今は目の前の変態怪人たちだ。
「下着は個人に合うものをはくのが一番だ」
 一応、正論を説いてみる。
「考えてみろ。私のような体ではそんなパンツでは隠すところが足りていないだろうが。しかも見せるためにはくのか?」
 それはあまりにも迷惑すぎる。
 正論すぎる竜矢の発言に対し、怪人の一人が鼻で笑う。
「ふん、貴様には白ブーメランパンツの何たるかを知らないようだな。よろしい、では白ブーメランパンツがどれほど至高かじっくりと、ほぶっ……!」
 怪人が言い切る前に『邪竜の呪い』で戦闘能力を引き上げた竜矢が怪人を殴り飛ばした。
「さっさと倒れてくれ」
 交渉(?)は決裂し竜矢と怪人たちは格闘戦を始めた。
「バニースーツもどうかと思うが!ただの下着のお前らの方がヤバいと思うぞ!」

 ユーベルコードで戦闘力を引き上げた竜矢にとって、怪人たちはいうほど脅威ではなかった。
 殴り蹴り、時には尻尾を振り回し怪人たちを蹴散らす。
 はぁと息を荒げつつ、ユーベルコードを解除した竜矢はいまだ眺めているバアルに指をさす。
「そこの見てるお前、こんな奴らを連れてくるなんてセンス悪いんじゃないか?」
 バアルはやれやれと肩をすくめ。
「このセンスがわからないとは、貴方も凡人ですね。……ところで」
 私に注意を向けてよろしかったのですか?
「なに?……なっ!?」
 疑問を浮かべると同時に何かが後ろから竜矢に覆いかぶさる。
 後ろに視線を向けると怪人が息を荒げながらも竜矢を羽交い締めにしていた。
(倒しきれてなかった……!?)
「こ、の……!」
 足でどうにかしようとするも今度は別の怪人が足に絡みついてくる。
 どこにそんな力が残っていたのか、竜矢がどれだけ動こうとビクともしない。
「お前たち、彼にわからせてやりなさい」
 バアルの一声に白ブーメランパンツ怪人たちが竜矢の身体に手を伸ばした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シトリー・コーウェン
バアルにーちゃん……(ガタガタガタ

お、おいらが、やっつけ、て
……ダメなんだぜー、やっぱりバアルにーちゃん嫌いなんだぜー!
(理詰めが苦手の上、悪魔の序列も下位と言う天敵レベル

うわーん。にーちゃん、にーちゃーん!(泣き虫トリー発動中

か、怪人まで襲ってきたんだぜー
た、助けて欲しいんだせ、とーちゃん!(半ば錯乱

や、やっつけて、くれたんだぜ……?(ぐすっぐすっ
も、もう、お、お家帰るんだぜ……
にーちゃん分を補給しに、帰る、んだぜ……
(テュポーンにあやされながら、船室へ退場




「バアルにーちゃん……」
 シトリー・コーウェン(縁を繋ぐ翼・f02448)は船上へと向かう扉の一つからバアル・コーウェンを船窓越して見つめている。
 自分と同じコーウェン姓。まさかとは思っていたけれど。見てしまった時に本物だと気づいて体の震えが止まらなかった。
 シトリーにとってバアルは天敵ともいえるレベルの存在だ。
 兄であり、頭を使って物事を捉え、自分たちの名前の由来となる悪魔の序列もバアルが上。
 どうあがいたって自分とは正反対だ。

「お、おいらが、やっつけ、て……」
 オブリビオンなのだから、倒さないと。
 止まらない震えを無理やり抑えながら船上へと出た。
 シトリーに気づいたバアルが声をあげる。
「シトリー!しばらく見ない間にずいぶんと大きくなって!」
 その口調は、久しぶりに会えた家族に対して。
「……あぁ、しかし。あなたを殺さなければならないとは!」
 だけど、こもったものは悪意と殺意。
 抑えた震えが返ってくる。
「……ダメなんだぜー、やっぱりバアルにーちゃん嫌いなんだぜー!」
「わたしはあなたが好きですけどねぇ?」
 ねっとりとしたその言葉に、シトリーの感情が爆発して。
「……う、うわーん。にーちゃん、にーちゃーん!」
 戦場だということを忘れ、泣き出しはじめた。
 はぁと溜め息とついたバアルは残っている怪人たちに命令を出す。
「そこのチビを黙らせなさい」
 命令を受けた怪人たちはシトリーへと駆け出す。
 パニックになったシトリーは叫びだした。

「た、助けて欲しいんだせ、とーちゃん!」

 シトリーへと群がった怪人たちが一斉にチリになる。
「なっ……父上!?」
「……よう、久しぶりだな?バアル」
 怪人たちを蹴散らしたのは、テュポーン・コーウェン。二人の実父だ。正確にはシトリーが願った理想の父親だが、それは細かいこと。
「……とーちゃん?とーちゃーん!」
 泣きつく息子に優しく頭を撫でる父。
「よしよし、こわかったなー?」
「えぐっ、も、もうおうち、帰りたいんだぜ……」
「んー、こいつらがいるからすぐには帰れないな……」
 終わるまでは船室で休もうなと、シトリーをだっこし船内への扉に手をかける。
「ち、父上、待ってください!」
 そう止めようとするもう一人の息子に、テュポーンは肩越しで振り返り。
「貴方には聞きたいことが……」
「わりぃな、今の俺はこいつだけの父親だ」
 そう言い残し父子は船内へと戻っていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『バアル・コーウェン』

POW   :    異議あり、で御座います
対象のユーベルコードの弱点を指摘し、実際に実証してみせると、【裁判官】が出現してそれを180秒封じる。
SPD   :    その醜き姿から、解放して差し上げましょう
自身に【序列第一位の悪魔の力】をまとい、高速移動と【一時、自分好みの美男美女に変身させる光線】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    さあ、私と共に楽園に参りましょう?
【弁舌】を披露した指定の全対象に【バアルに対して熱烈な愛情】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はシトリー・コーウェンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 部下として連れてきていた白ブーメランパンツ怪人たちは、己の実父の攻撃ですべて消滅した。
 バアル・コーウェンはため息をつきながら船上へと降りた。
「……私自らが手を出さなければならないとは」
 まぁ、いいでしょう。眼鏡をくいっとあげながら猟兵たちに指をさす。
「序列第一位の悪魔の力、お見せしましょう。そして、私に跪きなさい」
ヤコ・ナゴ
ついにやる気出してきましたか…変態のボス…
悪いんですけど、容赦はしませんから!
(遮蔽物に隠れつつ小銃弾をばら撒いて威嚇。
 だが弁舌は遮蔽物では防げない)
ああもう分が悪いですね、こうなれば突貫ですよおおおおお………

…あれ?いや違う、バアルさんになんで銃向けてんだろ私…
それよりも、バアルさんと二人っきりのデートの約束してたんでしたっけ…

[なお、修羅場が発生してしまった場合はこうなる]
バアルさん…どういう事ですか?もしかして、私を裏切ったんですか?
でも安心してください、それでも私はバアルさんの事をずっと独り占めしてあげますから…
(ヤンデレコカトリスの石化つつき攻撃…!)


中條・竜矢
【SPD判定】(アドリブ絡みOK)
うう……ひどい目にあった……
(最終的に白ブーメランパンツ一丁にされていた)
あの怪人たちにされた分まで……全部お前に返してやる!
(ユーベルコードを発動して全身に刃を発生させる。パンツ?ズタズタ)
高速移動と斬撃、衝撃波でバアルを切り刻む。
容赦無しだ、お前が倒れるまで攻撃は止めないぞ!

(戦闘のさなか、相手の光線を喰らって、女性に変えられてしまう。種族はお任せ、難しそうであれば男性のままでもOK)
なっ!?か、体が?だがもう一度変身して……で、できない!?何故……
(混乱している内に好き放題され、最後には口から甘い声が漏れる)
あ、あは……



●修羅場のせんじょう
「ついにやる気出してきましたか……変態のボス……」
 ジャキっと小銃を変態ボスもといバアルに向けるヤゴ。
 向けられたバアルはやれやれと肩をすくめ。
「私のどこが変態というのですか?」
「変態の部下を連れてる時点でもう変態でしょうが!!彼を見なさいよ!!!」
 言って空いた手で指さした先には。息を荒げている竜矢の姿。
 服は全てひん剥かれ、気づいたら白ブーメランパンツ一丁の姿になっていた。
 怪人たちは別の変態が倒したとはいえパンツだけはなぜか残っていた。
 残念なことに収まりきれていない。
「うう……ひどい目にあった……」
 白ブーメランパンツ一丁の姿になった竜矢はぶるりと身震いする。
 船上は適温が保たれていると聞いてはいるが、寒いものは寒い。
 マッサージ後の違和感も結局分からず、怪人たちのいいようにひん剥かれ、大人数に自身を見られて顔から火が出るほどの羞恥心を抱き。
 いいことがまったくない。いや、マッサージ自体はよかったが。
「なかなかに素晴らしい光景だと思いますが?」
「変態!!!」
 罵倒と小銃弾が同時に出た。
「おっと、危ない危ない。当たったらどうするおつもりで?」
「当、て、て、る、ん、で、す、よ!!!!」
 ひらりとよけるバアルにイラつきながら、倒れたテーブルを遮蔽物として利用し牽制する。
「私の武器は『言葉』ですよ、なぜ隠れるのです?」
 耳栓のかわりですか?と問うバアルには答えず銃を放つ。
 しかし実際のところ、その通りだ。
 バアルには剣や魔法のような物理的に干渉するような道具は持っていない。
 指摘されなくとも効果が薄いことくらい、ヤゴにもわかっていた。
 それでも遮蔽物を使うのは、あの変態の姿を視界に入れないためだ。
「『黒剣よ、この身と一つになれ。刃となって、すべてを切り裂け』」
 そこに竜矢の声が割り込む。詠唱し全身に力を込める。
 すると、竜矢の全身から大小の黒い刃が生えていく。
(こうなったら……!)
 怪人たちにされた分まで、全てバアルに返してやる。
 その刃は竜矢の最後の砦も破り捨てたが気にする余裕はない。
「見えてますよ?」
「うるさい、容赦は無しだ!お前が倒れるまで攻撃は止めないぞ!」
 高速で自分に向かってくる竜矢にバアルは。
「仕方ありませんね……」
 序列第一位の悪魔の力を宿し、同じように高速移動を行い光線を放ちながら竜矢とすれ違った。
「なっ……えっ!?」
 竜矢のユーベルコードが競り負けた。相手はオブリビオンだから、そういうこともあるかもしれない。
 だが、驚くべきところはそこではなかった。
 発した声がいつもより高い。下腹部が軽くなっている気がする。
 視線を自分の下腹部に向ける。
 あるべきものがなかった。
 それどころか、身体はどことなく丸みを帯びていて鱗もどこか艶めかしく。
(これ、女性?え、なんで……?)
 胸部はあまり変わってないような気がするが、だからといってそれが混乱を落ち着かせるかといわれたらそうではなく。
「いやはや、やはり私の見立て通りでした」
 バアルのユーベルコードで竜矢は一時的にバアルの望んだ姿にさせられていた。
 ばさりとシャツを脱いだバアルは紳士的に竜矢に羽織らせ、手の甲に口づけする。
「貴女はその姿が一番よく似合う」
 口づけは胸元、首、頬と続きそして……。
「さぁ、全てを私にゆだねて……」
「あ、あは……」
 優しく唇を奪われ、竜矢は甘い声を出した。

「……おや?銃撃がやみましたね?リロード、もしくは弾切れになりましたか?」
「いちいちうるっさいですね!」
 弾込めを完了しながら言葉を返すも、これでは分が悪いと判断したヤゴは勝負にでる。
 突貫だ。さすがのバアルも撃ちながら近づかれたら対処も難しいだろう。
「こけますよ?」
「うるさい!その綺麗な顔に風穴を……」
 一歩進むたびに違和感と疑問を抱く。
(……あれ?バアルさんになんで銃を向けてるんだろう私……)
 このクルーズの招待もたしかバアルさんが用意したもののはず……。
 違うような。いや、合っている。だって二人っきりのデートをするためにわざわざバアルさんが用意してくれていたのだから。
 バアルに近づいたころには足を止めて銃もおろすヤゴ。
 バアルの弁舌はヤゴに恋愛感情を少しずつ植えさせていった。
 ヤゴ自身知らないうちに、バアルの術中にはまってしまっていたのだ。
「……バアルさん、どういう事ですか?その女性は誰ですか?」
 術中にはまったのに気づかないまま、女性竜矢に鋭い視線を向ける。
「ああ、こちらの方ですか?つい先ほど……」
 バアルに被せるようにヤゴの声があがる。
「もしかして、私を裏切ったんですか?」
「おや?」
「あぁ、でも安心してください、それでも私はバアルさんの事をずっと独り占めしてあげますから……」
 ヤゴの嘴が鈍く光る。
「おっと」
「なんで避けるんですかバアルさん。バアルさんは私が独り占めしたいんです」
 だから避けないでくださいとバアルに突進するヤゴ。
 突進するヤゴをバアルは、嘴を丁重にさけ抱きしめる。
「ちょっ、離してくださ……」
「私の一番は貴方ですよ」
 え、と声を上げるヤゴ。
「だって、その女の人……」
「彼女は服を失くしてしまったそうなので、私のシャツを差し上げたんです」
「うそ……」
「本当です」
 私の一番はいつだって貴方ですよと、優しくしかししっかりと背中をさする。
「そんな、私裏切ったなんて言って……」
「大丈夫、そんな貴方だからこそ私は好きになったのです」
 大好きですよとヤゴに見せたバアルの笑顔は。

 相手を堕とせたと確信した暗い笑みだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

中條・竜矢
【POW判定】(アドリブOK)
う、あ、はぁ、まだ……諦めない(バアルが離れた隙に意思を振り絞って立ち上がる)
た、倒さないと、オブリビオンなんだから。(ふらつきながらもユーベルコードで攻撃を狙う。バアルの好みにされた体は意思に反して屈しようとする)
く、うう、倒せば、戻るはずなんだ……
(女の体で抵抗するが敗北してしまう)
こんな、こと……
(ついにバアルに純潔を散らされてしまう)
もう、無理、はあっああ。
(抵抗できないように蹂躙される)




「はあっああ……!」
 船上で竜矢は喘ぐ。
 男であったはずの己の身体は、バアルによって女性に変えられ、あるはずのない純潔を散らされていた。
「ふ、ぐぅ……」
「ふふ、ずいぶん気持ち良さそうですね?私のをずっと咥えて離したがりません。ですが……」
 と言って、バアルは竜矢から自身を抜きだす。
 それだけの動作でも竜矢は声をあげる。
「いつまでも貴女だけに構うわけにもいきませんので」
 まだそそりたつそれを互いの体液で濡れた白ブーメランに収めて、その姿のまま船内への扉へと向かう。
「……おや?」
 ドアノブに触れていない手にじゃらりとした感触を感じ目を向けるとオーラでできた半透明の鎖が巻きつかれていた。
 振り向くと、竜矢がふらつきながらも立ち上がっていくのが見えた。
「う、あ、はぁ、まだ……諦めない」
「貴女もたいがい諦めの悪いお方だ」
 呆れ混じりに言うバアルを鎖で引っ張り船内から遠ざける竜矢。
 そのまま空いた手でドラゴンのオーラをバアルにぶつける。
 爆発がおこり、繋がった鎖を強く引く。
 爆煙から引っ張られたバアルは、嗤っていた。
「いいですね、諦めていないその態度。とてもいい!」
 船上に叩きつけられたバアルはその衝撃を活かして竜矢に再接近。
「くぅ……!」
 屈しそうな肉体を無理やり抑え込む竜矢に、バアルは顔を寄せ。
「……とても素晴らしいですよ、貴方」
 もつれるように床に倒れこみ、耳元でそうささやく。
「今回は貴方に免じて、このままやられてさしあげます」
 その代わり、とバアルは竜矢の唇を奪い絡ませる。
「ん……ふぅ、ぁ……!」
 水音をいやらしく響かせ、竜矢の感触に耳に頭に記憶に、刻ませる。
「はぁっ……せっかくです。そのシャツもそのまま差し上げます」
 竜矢の瞳に映るバアルはいやらしく嗤って。
「私のことをしっかりと覚えていただくように。……もっとも、次の『私』は貴方を忘れているでしょうが」
 せいぜい可愛がってもらいなさい、と悪態をつき。
 バアル・コーウェンは嗤ったまま、消滅した。
 バアルが消滅したことにより竜矢の肉体も元に戻る。
 だが、腹の中にバアルの熱い欲が残っている。
 ふらつく身体をなんとかゆっくりと立ち上がり。
「勝ったはず、なのに……!」
 消滅したバアルを未だに求めている自分がいて、それを否定するにはあまりにも残りすぎて。
 かけられたままのシャツを強く握りしめ、悔しそうに歯噛みする竜矢。

 クルーズ船は、帰港する。
 戻ってきた面々を見たグリモア猟兵は、しばらく休めばいいとめずらしく深入りせずにそう言い。猟兵たちはそれぞれの傷を癒すことに専念することにした。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年12月03日
宿敵 『バアル・コーウェン』 を撃破!


挿絵イラスト