7
美しくたくましい石像を

#キマイラフューチャー #戦後

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#キマイラフューチャー
🔒
#戦後


0




●お前も美しい石像にしてやろうか
 キマイラフューチャーのあるイベント会場でちゅどーん、どごーんと爆発が巻き起こる。最初こそ悲鳴が起こるも爆発が繰り返される度に悲鳴が小さくなり、爆発と悲鳴が収まったそこに立っている生き物は、爆弾を抱えている鼠獣人達と白い学ランを身にまとっているインテリめいたキマイラ。
「……ボス、こんな感じでいいの?」
「えぇ、えぇ!素晴らしいです、皆さん!想定以上の働きです」
「……えへへ、ボスにほめられた」
「さて、それでは検分いたしましょうか」
 どれから見ましょうかと呟き嗤うキマイラの目の前には雑多に置かれている石像達があった。

●どこかでみた気がする(二度目)
「キマイラフューチャーで彫像コンテストやるんすよ」
 グリモアベースでいつも通り仕事の説明を始める秋月・充嘉(キマイラメカニカ・f01160)。
「彫像つっても、いちから石とか氷を持ってくる必要はないっすよ。必要なのは己の肉体のみ!」
 ぐっと力説する充嘉を見た何人かの猟兵は察した。
 そういう系の依頼だと。
 ということはつまり、襲ってくるオブリビオンもそういう系に特化したやつらだと。
「勘の良い猟兵は嫌いじゃないっすよ」
 むしろ大好きっす。

「んじゃ、ささっと説明するっすかね」
 まずは彫像コンテストに参加する。参加者全員に支給される特別な装置を使って像の質感の設定ができるので自分の思い描いた彫像になれる。彫像化したらスタッフがきちんと会場に運んでくれる。
 なお、スタッフ達には事情を説明しているのでオブリビオンが襲ってくる前後に彫像化の効果がきれるように設定をしてもらっている。なので襲撃されているのに動けないという事態にはならないはず。
「ちなみに全裸はなしね。一応、全年齢向けのコンテストなんで」

 襲ってくるオブリビオンは悪戯鼠『ペトリファイマウス』達と『バアル・コーウェン』。
 ペトリファイマウス達は石化爆弾を使って石化させようとしてくるのでうっかり全身が石化しないように注意すること。
 バアル・コーウェンのほうは弁舌を得意とし、その口論によってはユーベルコードが一時的に封印されたり、バアルに恋愛感情を抱く恐れがある。また、どうやら悪魔の力も持っているらしく高速移動能力と変身光線を扱える。
 この光線を浴びるとバアル好みの美男美女に一時的に変えられるので、精神的なダメージがくるだろう。

「こんなところっすかね。それにしても……いつかのコーウェンと今回のコーウェン、石像フェチなんすかね?」
 まさかそんなわけないだろうと、誰も否定することはできなかった。……うん、だってオブリビオンだし。


川内嘉治
 手っとり早く拘束させるのには石化が早いことに気付いた。

 川内嘉治です。

 まさかまた石像ネタが使えるとは思ってませんでした(棒読み)。
 というわけでキマイラフューチャーにて自分が彫像になる彫像コンテストに石化させるのが趣味のイタズラ鼠と石像フェチかもしれないコーウェンさんが襲撃してくるのでこれらを撃退してください。
 補足として、
 彫像化装置による像の質感設定ですが、王道の石像や氷像。木製にプラスチックっぽいの、変わったところで黄金像やチョコ像もあるのでどんな彫像にもなれると思います。
 そこらへんはプレイングにて指定をお願いします。ない場合は石像か氷像のどちらかになります。
 オープニングにも書いてありますが『全裸NG』です。最低限隠すものをご用意下さい。それ以外はどんなポーズや小物もオッケーです。

 それでは、嘉き彫像体験を。
 ちなみに充嘉は男性参加者全員の彫像を余すとこなく撮ったあと、安全な場所に逃げます。
32




第1章 日常 『セルフ彫像コンテスト』

POW   :    彫像と言えば肉体美!体の美しさを見せつける彫像になる

SPD   :    彫像と言えば技巧!匠の技で美しく彫像になる

WIZ   :    彫像と言えば芸術!誰も考え付かないような彫像になる

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

トール・ヴォーグ
プロレスぽい衣装で石になることになったトール。

石化耐性が低いトールではあるが石化というものになにか魅力的なものを感じ参加を決意する
「我輩が磨き上げた筋肉をみるでありますよー!」
そういうと装置を起動し観客を楽しませるためにはりきって石となった。


ブリッツ・エレクトロダンス
充嘉お前ぇぇぇ…後で覚えてろよ…
…とりあえずあいつの欲望…もとい思惑通りに素敵な像になるつもりはねえ。
どうせ写真撮るなりお触りしたりするつもりなんだろ?分かってるぜ。

(誰かさんのご期待に反して"脱がない"。いつも通りの恰好)
ええと、設定は…そうだな、材質は合成樹脂(プラスチック)。フィギュアみたいな感じで行くか。
で、ポーズはこれで…(両手で自動拳銃を構える。ちなみに実弾入り)

よし、頼むぜ。



●準備中
「充嘉お前ぇぇぇ……後で覚えてろよ……」
 ブリッツ・エレクトロダンス(★3:DJ.Blitz・f01017)は目の前でカメラを構えている、グリモア猟兵に恨みがましい視線を向ける。
「まーまー。ちなみに、これが写真一枚辺りの見積もりっすー」
 すっと見積もり額をスマホで見せるグリモア猟兵。
「んなっ……!?」
 その額はブリッツの想定を越えていた。
「……借金してるんでしょ?」
 ニマニマと笑う顔が悪魔に見える。この額なら、たしかに……。
 ブンブンと首を振り装置の設定をする。
「脱がないんすか?」
「は?脱がねぇし」
 誰かさんの期待通りに沿うつもりはない。たとえ借金返済の近道だとしても。
(設定は合成樹脂っと……)
 カチャリと自動拳銃を両手で構えてポーズをとる。
「よし、頼むぜ」
「……」
「押せ」
「へーい」
 ポチッと彫像化装置を起動。ビームが照射され、ブリッツは石像……ではなく合成樹脂、つまりプラスチックのフィギュアとなった。
 とりあえず写真は撮った。

 1分の1スケールブリッツフィギュアが会場に運ばれ、次はトール・ヴォーグ(防具マニアの黒騎士・f14539)の番。
 プロレスぽいショートタイツ衣装に着替えたトールは自分の筋肉をより良く見せようと柔軟体操をしている。
 石化耐性は低いものの石化というものになんだか抗いがたい魅力を感じ、参加を決めた。
「よーし、柔軟終わりであります!」
「おー、いい筋肉っすねー!」
「ますふ!?」
 急にグリモア猟兵から声をかけられて、変な声が出てしまった。
「び、びっくりしたであります……」
「それはごめんっす。写真いいっすか?」
「写真でありますか?もちろんどうぞであります!」
 先に生身の体をパシャパシャと撮り、本題の石像。
「我輩が磨き上げた筋肉をみるでありますよー!」
 そう言ってトールは喜々として彫像化装置を起動。
 ムキムキの筋肉が硬い石となりトールの彫像も完成した。
「おぉー!これはめっちゃいい感じ!」
 どことなく性的なトール像を写真に収めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルーク・アルカード
ウェルシェ(f06945)と一緒。
※アドリブ歓迎

・心情
コーウェン?コーウェンって裸のあのヒト?
また出たんだ。いっぱいいるんだね?(オブリビオン違い)

また固められちゃうの?

お願い聞いたらお菓子とお肉いっぱいくれる?
おもちゃもほしー。
尻尾握ってほしいの?

……ウェルシェ、変だよ?
いつものウェルシェじゃな……んー、でもいつも通りかも?

・石化
保護者さんと一緒で。


ウェルシェ・セイボリー
ルーク(f06946)と一緒に参加。

【心情】
コーウェン……あのオブリビオンですか。身内のオブリビオンがまだいたとは驚きです、しっかり倒しましょう。

それにしても石化ですか……なかなかできない体験ですしせっかくですのでポーズはしっかりと考えてみましょう。

【石化】
材質は石。

ポーズはルークと一緒の石像に!ルークの一番かわいい姿は私の尻尾を握りながら後ろに隠れて首をかしげて警戒している所あぁ……そんな可愛い石像に私達はなりたい。
ルークに怖くないですよーと欲しいもの買ってあげますからねーと一緒に石化。

あ、スタッフの方に運ぶ前にあらゆる角度でスマホで撮影を頼みます。記念写真は大事ですからね。

※アドリブ歓迎。




「コーウェン?コーウェンって裸のあのヒト?また出たんだ。いっぱいいるんだね?……ウェルシェ?」
 人違いならぬオブリビオン違いをしているルーク・アルカード(小さな狩人・f06946)。
「……え?ああ、そうですね」
 ルークの保護者であるウェルシェ・セイボリー(白銀の処刑人・f06945)がどこかうわの空で返す。
(コーウェン……あのオブリビオンですか。身内のオブリビオンがまだいたとは驚きです、しっかり倒しましょう)
 それにしても。
(それにしても石化ですか……なかなかできない体験ですしせっかくですのでポーズはしっかりと考えてみましょう)
 どうやらルークと彫像になるときの構成を考えていたらしい。

「ポーズや材質は……」
「ポーズはルークと一緒の石像に!ルークの一番かわいい姿は私の尻尾を握りながら後ろに隠れて首をかしげて警戒している所あぁ……そんな可愛い石像に私達はなりたい」
「お、おぅ……」
 食い入るようにポーズや材質の指定をするウェルシェに若干引いてるスタッフとグリモア猟兵。
「また固められちゃうの?」
 ルークがどこか不安そうな声をあげるとウェルシェが大丈夫と頭を優しくなでる。
「怖くないですよー、欲しいもの買ってあげますからねー」
「お願い聞いたらお菓子とお肉いっぱいくれる?」
「ええ、このお仕事が終わったら後でお買い物しましょう」
「おもちゃもほしー」
「もちろんいいですよー。あ、アイスも買いましょうか」
「わーい、アイスー」
 この保護者、少しばかり親馬鹿過ぎない?
 そう思ったが空気は読んだグリモア猟兵。

「えっと……ウェルシェの尻尾を握ればいいんだよね?こう?」
 ウェルシェの指示に従って保護者の尻尾を握り首を傾げながら警戒するポーズをとるルーク。
「はぁーーーールークかわいいーーーーー!!!」
「……ウェルシェ、変だよ?いつものウェルシェじゃな……」
 言いかけて、よく考えたらいつもどおりかもしれないと思い口を閉ざすルーク。

「あのー、石像写真は何枚ほど……?」
「5度刻みで100枚ずつお願いします!!」
「多すぎませんかね!?」
「記念写真ですよ!!むしろ少なすぎます!!!」

 うん、いつもどおりのウェルシェだ。
 石像になる直前に思ったルークだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

テフラ・カルデラ
【人形館】で参加

自ら彫像に…って何だか昔そういう依頼があった気がしますねー…?
それはそうとどんな感じにしましょうか?色々迷ってしまいます♪

不意を突かれたようなポーズで…表情も驚いた感じにして…
何者かに彫像に変えられてしまった犠牲者…といったシチュエーションです♪
材質は…木像ですか…今まで経験したことがないので新しいですね~

カリッサさんと一緒にセット作品としていきましょうか!
確かに、言う通り戦いになるときに近くにいれば探す必要はないですしね!


カリッサ・クルス
【人形館】で参加
別に彫像コンテストで優勝を目指したりする訳じゃないから適当でも良いのよね……でもそうなると逆にどうするか迷っちゃうわね。

そういえばテフラはポーズを決めるよりも被害者って感じで固められるのが好きとかいってたっけ。とりあえずそんな感じでやってみましょ。

尻餅をついて何かから逃げてるような感じで……では前に出して身体を庇う感じにして……怯えたような表情を作って……。うん、こんな感じで彫像になりましょ。材質は木像で薄汚れた感じにすれば被害者感が出て良さそうね。

やっぱりテフラもそんな感じなのね。せっかくだからセットの作品ってことにしてもらおうかしら。戦い始める時も近くにいた方が便利だしね。




 グリモア猟兵の招集を受けてくれた猟兵のうち、彫像コンテストから参加を表明していてた数少ない女子が二人いた。
 訂正。女子は一人だけだ。
 とても可愛らしい容姿だが実は男の子のテフラ・カルデラ(特殊系ドMウサギキマイラ・f03212)と本当に紅一点であるカリッサ・クルス(組織のエージェント(きどり)・f19088)の二人だ。
「自ら彫像に……って何だか昔そういう依頼があった気がしますねー……?」
 とは言うも、心当たりがありすぎてどれがそうだったのかすぐには出せないテフラ。
「別に彫像コンテストで優勝を目指したりする訳じゃないから適当でも良いのよね……」
 言い方は悪いが、あくまでもオブリビオンが来るまでの時間待ちなためがっつりと取り込む必要はない。
 ただ、それならそれとしてどうするか逆に迷ってしまう。
「そういえば、テフラはポーズを決めるよりも被害者って感じで固められるのが好きとかいってたっけ」
「えへへ、そうですよー。シチュエーションはですねぇ……」
 不意を突かれたようなポーズで、表情も驚いた感じに。何者かに彫像に変えられてしまった犠牲者。
「……という感じですぅ♪」
 嬉しそうに話すテフラにうんうんと相づちをうつカリッサ。
「それならテフラに合わせてみようかな。セットの作品ということにすれば近くに置いてもらえるだろうし、戦い始めるときも近くにいた方が便利だしね」
「確かに、言う通り戦いになるときに近くにいれば探す必要はないですしね!あ、ポーズはどんな感じです?」
「んーと、そうね……」
 尻餅をついて何かから逃げてるような感じにして腕は前に出して身体を庇う感じ。表情は怯えたような表情を作って。
「そんな感じかしら?」
「ほうほう、とってもいい感じですぅ!」

 ポーズが決まったので次は彫像の材質。
 シンプルに石像でもいいが、せっかくだしなにか変わり種にしてみたい。
 そう思った二人が設定画面を眺めていると。
「「木像?」」
 あまり見ない材質の設定があった。
「木像ですか……今まで経験したことがないので新しいですね~」
「そうね、それなら薄汚れた感じにしたらより被害者っぽくなるんじゃないかしら?」
「おー、それっぽいですぅ♪」
 わいのわいのとテフラが喜びながら設定を完了。
 ポチッと彫像化装置を押して、二人は木像に。
 カシャカシャと写真に収め、会場へと運び込まれた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

レーヴェ・ナハトシッフ
(生唾を飲み込む)……彫像か
以前はクセになりそうだったが今度は……
なんだアガトその目線は

とりあえずコンテストだからいい評価を目指すとして……
接待用スーツを防具改造で腰布に変えて
お仕事の時間で100レベルの誘惑をしておこう
ポーズは武器を持ってたけど隙を突かれたのか
チョコの像にされた獅子の戦士みたいな感じで
……あっ、ベルトを忘れたな。
まあずり落ちないよう空いてる手で抑えとけば問題は無いか
彫像になるから固まってるだろうし
後は特別な装置でチョコ像になって、運ばれるのを待つだけと
(……アガト?アガトおおおおおおぉォォォォーーー!?)
アドリブ歓迎


アガト・シレスティアル
……にゃー知ってるにゃ
こういうの嫌よ嫌夜も好きのうちとかいうのにゃ
一言で言うとくっころにゃ
……よし、レーヴェにゃんが素直になれるようお手伝いしてあげるにゃ

レーヴェにゃんがチョコ像になった後に
ホワイトチョコペンで『おさわり歓迎』と描いておいてあげるのにゃ!
それとチョコ像ってやっぱり甘いのかにゃ?
舐めてみたいけど像の質感の設定だけだと甘くないかにゃ?
……サイバーゴーグルで甘くできるかにゃ?

にゃーは夢見ていた空への想いで真の姿になれる空色のバットを想像、
装備して元気な野球少年な感じのチョコ像になるのにゃ!
アドリブ歓迎にゃ



●準備完了
 レーヴェ・ナハトシッフ(風を纏う傭兵獅子・f04940)は次々と会場に運ばれていく参加者の彫像を眺めて、ごくりと生唾を飲み込んでいた。
「……彫像か」
 以前はクセになりそうだったが今度は……。
 そこまで考えていると、一緒についてきてくれたケットシーの何とも言えない生温い視線に気づいた。
「……なんだアガトその目線は」
「……なーんでもないにゃ」
(……にゃー知ってるにゃ。こういうの嫌よ嫌よも好きのうちとかいうのにゃ。一言で言うとくっころにゃ)
 アガト・シレスティアル(夕焼けと青空・f03547)はレーヴェの彫像に対する感情をそう判断した。
 彫像になりたいなら素直にそう言えばいいのに。
(……よし、レーヴェにゃんが素直になれるようお手伝いしてあげるにゃ)
 ケットシーらしく(?)お手伝いをすることに決めたアガト。

(とりあえずコンテストだからいい評価を目指すとして……)
 ぽんと体を叩き着ていた接待用のスーツを腰布に変え、誘惑の力を引き上げる。
 武器は獅子の大剣を持って、ポーズは隙を突かれた獅子の戦士に見えるようにして。
「うん、こんな感じかな?」
「レーヴェにゃん、ベルトがないにゃ……」
「え?あ、忘れてた」
(ほんとうにうっかり忘れかにゃ?)
 全裸はNGと言われているから、ずり落ちないように空いた手で抑えれば問題ないか。
 彫像の材質はチョコに設定。
「アガトは準備しないのか?」
 レーヴェはまだ準備らしい準備をしていないアガトに声をかける。
「にゃーは仕上げがあるから最後にするにゃー」
「仕上げ?」
「まーまー、レーヴェにゃんはお先にチョコ像になってどうぞにゃ」
「わかった……?」
 疑問符が浮かぶが、お先にどうぞと言われたしそれならと装置のボタンを押して甘そうなチョコ像になったレーヴェ。

「スタッフさーん、ホワイトチョコペンあるかにゃー?」
「あるっすにゃー!」
(……ん?)
 視界は見えないが音だけが聞こえる不思議な感覚でアガトとグリモア猟兵の声を聴くレーヴェ。
「何かデコるんすか?」
「ふっふっふ、ここに『おさわり歓迎』って描いてあげるのにゃ。そしたらいろんな人がレーヴェにゃんを触って、レーヴェにゃんはモテモテになるにゃ」
(アガト?)
 ほほう、というグリモア猟兵の声のあと、キュポンという軽い音がした。
「大丈夫だと思うけど、もしくすぐったかったらごめんにゃー」
(アガトおおおおおおぉォォォォーーー!?)
 獅子の叫び声は誰にも届かなかった。

「さてと、それじゃにゃーも準備するかにゃー」
 写真撮影も済み、ついでに味見して(ほんのり甘かった、ような気がする)、会場に運ばれていったチョコレーヴェ像を見送ってアガトもチョコ像になる準備をする。
 『夢見ていた空への想い』で己の真の姿になれる空色のバットを想像し装備する。
 少年と呼んで差し支えない姿になったアガトはバットを構え、元気な野球少年といった感じのポーズをとる。
「それじゃ、よろしくお願いするにゃー」
「はーい」
 ぽちっと彫像化装置のボタンが押されアガトもレーヴェと同じチョコ像になった。
 パシャパシャと写真撮影が終わり、会場に運ばれた。ちなみにレーヴェとアガトは空気を読んだスタッフが隣同士にしてくれた。
 ともかく。これで彫像コンテストの参加者全員の彫像化が終わった。あとはコンテストを開始しオブリビオンが来るのを待つだけだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『悪戯鼠『ペトリファイマウス』』

POW   :    石化爆弾『グランナイト』
【ポケット】から【大きな石化爆弾】を放ち、【爆心地から溢れる石化ガスによる石化】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD   :    石化爆弾『ペリドタイト』
【ポケット】から【小さな石化爆弾】を放ち、【爆弾から飛び出した針に刺さると石化】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    石化爆弾『ポーフィリー』
【ポケット】から【着発式の石化爆弾】を放ち、【爆破した爆風を浴びると石化】により対象の動きを一時的に封じる。
👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ショタっ子たちの乱入
「彫像を観覧中の皆さま、大変お待たせしました!」
 コンテスト会場のステージ上でマイクを持ったキマイラが司会進行を務めている。
 ステージの上や下段に参加していた彫像が一体また一体と配置されていく。
「今回も多くの参加者が己の肉体美を惜しげもなく晒し彫像となったセルフ彫像コンテスト!これより入賞者の……」
 発表ですと言いきる前に、司会の足元に爆弾が転がってきた。
 ちゅどーんという爆発と爆風がまい。
 司会の石像が誕生していた。
 その横にほぼ全員が同じ姿をしているネズミ獣人が並んでいる。
 そのうちの一人がマイクを取り出す。
「……えっと、コンテストに来たみなさんこんにちは。さっそくですけど、みなさんボスのために石像になってください」
 ペコリと頭を下げたいたずらネズミは爆弾に点火しーー。


 悪戯鼠『ペトリファイマウス』たちとの戦闘になります。
 前章から参加されてるPCのみなさんはステージの各所もしくはステージ袖にいると想定しています。
 彫像化も襲撃とほぼ同じタイミングで解除されています。
 なお、一般参加者、観覧者はスタッフが避難誘導。司会者の石像は戦闘の合間で別のスタッフが回収します。
 戦闘だけに集中してもらってかまいません。
ルーク・アルカード
ウェルシェ(f06945)と一緒。
※アドリブ歓迎

・心情
ウェルシェ、嬉しそうだね。
ウェルシェが嬉しそうだと僕も嬉しいな。
今日もいっぱいお写真撮るの?
でもお仕事もちゃんとやろーね?

・戦闘
またこの子たちかー。
喫茶店のアルバイトしたときに一度戦ったから、大丈夫。
あのときは動きやすくて良かったな。お洋服が石になって壊れちゃったけど。

今度はおもちゃの銃使おうかな?
ポケットとか爆弾を狙って撃っていこう。

ウェルシェ楽しそうだなー。


ウェルシェ・セイボリー
ルーク(f06946)と一緒に参加。

【心情】
はぁ……ルークとの素晴らしい写真が撮れました。石化……貴重な体験でした。
さて、頭を切り替えて仕事の時間です、行きますよルーク。

【戦闘】
敵が石化させてくるならそれを防御といきましよう。
というわけでルーク撮影タイムですよ~~~~。
あ~マジ天使可愛い~~~~。

【撮影】の技能を駆使しながらルークの写真を撮って石化しないようにサポートです。
自分への爆弾は【ダッシュ】で避けます。
このユベコは非戦闘行為を行うのが条件、仮に私が爆弾を避けられなくて石化してもルークを守り続けられるでしょう。

※アドリブ歓迎。




 いたずらネズミが石化爆弾に点火しようとしたその瞬間、その手に弾丸が撃ち込まれる。
「いたいっ!」
「だいじょうぶ?」「今のってどこから?」「ボスに怒られちゃうよ」
 火がつかなかった爆弾は足元に転がり、何匹かは撃たれた仲間に駆け寄る。

「はぁ……ルークと一緒に石化……貴重な体験でした」
「ウェルシェ、嬉しそうだね。ウェルシェが嬉しそうだと僕も嬉しいな」
 ステージの一角で二人の声がする。ルークとその保護者のウェルシェだ。
 ルークの手元にはおもちゃの銃。これでネズミの手を撃っていた。
 二人に気づいたネズミたちは慌て始める。
「猟兵だ!どうしよう!」「倒さなきゃ!」「ボスに叱られちゃうよ!」
 とにかくどうにかしようとネズミたちは石化爆弾を用意し始める。
「さて、頭を切り替えて仕事の時間です、行きますよルーク」
「うん」
 仕事モードに切り替えて戦闘開始。

「またこの子たちかー」
 ルークは少し前にアルバイトをしていた喫茶店を思い出す。あの時もたしか同じ敵だった。その時着ていた服装はアルバイト制服だったが、かなり動きやすかった。途中で服だけ石化してしまったが。
「ルーク、準備は出来ましたか?」
「うん」
 カメラを構えているウェルシェに頷き、指先に少しだけ傷を入れる。
 戦闘としては違う気がしたのか、ネズミたちはウェルシェに対してひそひそと話し始めた。
「あれ、カメラ……?」「カメラだよね?」「ボスに恥ずかしい写真撮られた……」
「お前たち、聞こえてますよ?」
 向かってくるルークをとりあえずの攻撃目標にしたネズミたちは石化爆弾をルークに向かって投げ始める。
 暗殺者として育ったルークにとって爆発爆風は単なる風だ。石化の風をまっすぐに突き抜ける。
 普通なら、石化しそうなところだが石化の兆候はまったくない。
 なぜなら、ウェルシェが守っているからだ。

 写真撮影によって。

「あ~ルークマジ天使可愛い~~~~!!!」
 爆発をバックに駆け出すルーク。爆風をものともせずに突っ込むルーク。おもちゃの銃を構えてネズミに攻撃するルーク。
 どのルークも可愛く、そしてどれも世界一。
 ネズミたちを無視してひたすらにルークを撮り続ける。
「素晴らしいですよルーク!あ、ちょっとこっちに視線を、そうそうそんな感じ!!あ~可愛らしい!!!」
 自分に向かってくる爆弾を避けながら、撮り続けるある意味プロ根性いや親バカっぷりに。
「あの人怖い……」「ずっと写真撮ってる……」「ボスにあんなに撮られたことないのに……」
 さすがにネズミたちも怖がり始めた。
 そこにネズミの一匹が投げた小型石化爆弾が偶然にもウェルシェの足元に転がった。
「あ」
 さすがに回避は出来なかったようで、爆発で飛び出した石化針をもろにくらい石化したウェルシェ。
「やった!」「これで小さい狼も石化できる!」「ボスになでなでしてもらえる!」
 ルークが石化していない理由がウェルシェの力だと気づいたネズミたちは、これでルークも石化できると喜んでいた。
「……あの」
 そのネズミたちにルークが声をかける。
「ウェルシェのこれ、戦闘行為じゃないよ?」
「「「……え?」」」
 無数に存在するユーベルコードにこういうものがある。
『非戦闘行為に没頭している間、自身の【何か】が【どうなって】、外部からの攻撃を遮断し、生命維持も不要になる』
 つまり。
「非戦闘行為だから……」「小さい狼の守りが消えない……?」「ボスに会いたかったな……」
 約一匹、すでに達観しているがそういうことである。
 ルークのトイガンが火を噴いた。

(今日も天使なルークが撮れました……ああ、でもこの状態だとルークの声も姿も確認できませんね……それだけ残念です)
 石像になっているウェルシェはそんなことを思っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

カリッサ・クルス
【人形館】で参加

彫像化が解除されたら攻撃を開始よ。尻餅ついた状態からだからちょっと大変ね……。
「火器召喚」で出したアサルトライフルでペトリファイマウスを攻撃するわ。
爆弾を投げられないように、間髪いれずに攻撃を打ち込んでいくわよ。

とはいっても相手は多数、完璧に攻撃を防ぎきれるものではないわね。もし、爆弾で石像にされてしまった時は……シエナの「お友達」にして操ってもらおうかしら。戦闘力落ちても石化してる状態ならもうこれ以上石化しないしね。
シエナに操られるままネズミ達とおいかけっこでもして遊んであげましょう。まあ、力加減はできないでしょうけど私も操られてるだけだし許してね。


テフラ・カルデラ
【人形館】で参加

木像化から解除!早速戦闘開始なのですっ!
【固化塗料粘液散布】で悪戯鼠さん達をドロドロカチカチの芸術オブジェに変えてあげます♪

多数相手前提のユーベルコードとはいえ、数で押してくるのでいずれは石化されてしまいます…
ですがここでシエナさんの支援で石像のまま操られる形に、既に石化はされているので石化爆弾なんて怖くはないです!
持っていた【石化ポーション】や投げてきた爆弾を投げ返したりして悪戯鼠の石像を作っていきましょうか♪


シエナ・リーレイ
【人形館】
■アドリブ可
お友達のテフラ君達が参加するコンテストを眺めていたシエナ
『お友達』候補なネズミさんの出現に目を輝かせ、早速仲良くなる為に突撃します

ボール投げなら負けないよ!とシエナは応戦します。

ネズミさんはドッチボールで遊びたいようなのでシエナはボールを避けながら、辺りに落ちている物を怪力混じりに投げつけ応戦します

みんなも一緒に遊びましょ!とシエナは『お友達』を誘います。

更にネズミさんが増えてくればシエナはテフラとカリッサを筆頭とする石化した人達を『お友達』に変えるとみんなで楽しく遊び始めます
そして、シエナは遊び疲れて眠ったり石化したりしたネズミさん達も『お友達』に加えようとするでしょう



●動きまくる石像
 少しだけ時間が遡る。
 テフラとカリッサの木像がステージに並ばれたそのとき、シエナ・リーレイ(取り扱い注意の年代物呪殺人形・f04107)は観覧席で二人の様子を嬉しそうに眺めていた。
 当然、いたずらネズミたちが出てきたところも見ていた。
「うわぁ、かわいいネズミさんたち!お友達にしたいですと、シエナは嬉しそうに目を輝かせて言います」
 自分の行動を口に出しながらお友達になれるかもしれないネズミたちにトコトコと近づいていく。
 そこに木像化から解除されたテフラとカリッサも合流する。
「石像になる喜びを教えてあげるのですっ!」
「それって、喜びなのかしら……?」
 テフラの台詞にまあいいけど、とカリッサはアサルトライフルを召喚し、構える。

「ふふふ、キマフュ製特殊塗料を喰らうのです!」
 数が多いのならこちらも対多数の手段を。
 ぱちんと指をならし、どろっとした白い液体をネズミたちに向かってぶっかけるテフラ。
 その液体をもろに被ってしまったネズミは拭き取ろうと手を動かすが、それもすぐ終わり、固まっていく。
「どうです?石像になるのも悪くないでしょう?」
 うっかり塗料を踏んでしまわないように気を付けながらどんどん塗料をまくテフラ。
 その後ろでアサルトライフルを撃ちまくり、石化爆弾が使われないように県政をするカリッサ。
「ドッジボール?ボール投げなら負けないよ!とシエナはやる気をみせて応戦します」
 投げてくるボール(石化爆弾)を避けながら、シエナもボール(瓦礫、落ちてきた機材、ベンチに石化した樹木)を投げ返す。
 そうやってシエナとネズミたちが遊んでいると一際大きい爆発音が響く。
「ああ、カリッサさんが!」
 テフラの声に視線を向けたシエナの目に石像と化したカリッサが。
 やはり数の差に負けてしまい、かわしきれなかった爆弾の直撃を受けてしまったようだ。
「ボクが先に石化したかったのにぃ!もー、カリッサさんってば。……あ、そうだ!」
 興奮気味でつい本音が出たテフラはあることを閃いた。
「シエナさん、もしボクも石像になったらおまじないをお願いしますぅ!」
 キョトンと首をかしげるシエナにテフラは説明を続ける。
「先に石化されてたら石化爆弾なんて怖くなくなるのです!」
 言われて合点がいったらしいシエナはうんうんと頷いて、腕で大きくまるを作った。
「ではおねがいしま……」
 お願いしますと言い切る前に、高速フラグ回収で石像になってしまったテフラ。
「あれれ、とシエナはびっくりします。でも、テフラ君に頼まれたので、おまじないはしっかりかけます、とシエナはテフラ君達以外のネズミさんの石像にもおまじないをそーれとかけます」
 シエテのこのおまじないはシエテの『お友達』を増やす大切なおまじないだ。
 おまじないにかかった石像たちはそのポーズのまま、ごとりごとりと動き出す。
 危ない気配をしたのか生き残っているネズミたちは爆弾を大急ぎで投げる。
 しかし、爆発しても石像の動きは止まらい。テフラの予想通り、石化の上に石化は出来ないようだ。
 ゴトンゴトンと石像が近づいてくる恐怖に一匹また一匹と逃げ出すネズミたち。
「怖いよー!」「石化以外したことないよー!!」「助けてボスーーー!!!」
 何匹かのネズミが放り投げてしまった石化爆弾が別のネズミたちに爆発してしまい石像が増えていく。
 その石像たちにもシエナはおまじないをかけ、『お友達』を増やしていく。
 逃げ出すネズミにシエナの操る石像がぶつかったり、のしかかったりして一匹ずつ戦意と意識を喪失させていく。
 ある種、ホラーな光景である。
 そうしてある程度静かになったところで、『遊び疲れて眠ったり』『石化』したネズミたちにペコリとシエナは頭をさげる。
「今日からネズミさん達もシエナの『お友達』!一緒に遊びましょう、とシエナは嬉しくって笑顔を見せます」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ブリッツ・エレクトロダンス
(フィギュア化解除と同時に"ネズミ"に狙いを合わせて不意打ち気味に自動拳銃を発砲!)

またお前らか…この忌々しいネズミども…負債の元凶が!
(very very おこ。割と自業自得の負債だが威嚇射撃しつつ爆発物の着弾予想地点から遠ざかる)

…流石に内装も巻き添えになる様な手段は使えねえな。(負債が増える…)
ならやる事は単純、全員射殺だッ!
(攻性プログラムを追従モードで展開させる。ラン&ガンスタイルで攻撃・回避しつつ、回避困難な爆発物は攻性プログラム群を複数層の壁にして防御。本体まで爆風は飛ばさせない…とはいえ攻性プログラム群にも限りがあるのが難点か。)
流石に石像は趣味じゃねえぞ…!




「……もういない?」「たぶんいない……」「こわかったぁ……」
 『お友達』作りからなんとか逃げ出したネズミたちはわずか三匹。
 すでに満身創痍である彼らだが、ここから逃げるという選択はできなかった。
 それがオブリビオンとしてなのか、ネズミとしての本能からかはわからないが。
 ステージの裾からこそこそと移動するネズミたちはステージに未だ残る一体の像を見つける。
「これ、フィギュアかな?」「ボスのために持ち帰る?」「持てるかな……」
 見た感じはプラスチック製で、銃を構えている黒豹のフィギュアだ。
 フィギュアの前で相談しているネズミたちは気づいていない。
 そのフィギュアの彫像化が徐々に解除され、銃口が自分たちに向いていることを。
 銃口から火が噴いた。
「「「うわぁ!?」」」
「またお前らか……この忌々しいネズミども……負債の元凶が!」
 フィギュアもといブリッツが怒りの感情をあらわにして叫ぶ。
 キマイラフューチャーで背負ってしまった負債の数々。あれもこれも全部、こいつらがバイト先で襲撃してきたからだ。
 襲撃がなければ負債を負うこともなかったし、恥ずかしい恰好をする必要もなかった。
 自業自得という言葉を骸の海に放り捨てたブリッツは銃のトリガーを押し続ける。
「ぼくたちじゃないのにーー!?」
「うるせーーー!!しらねぇーーー!!!」
 投げつけられる石化爆弾から走り抜け、爆風は自分に影響がこないように多重に張り付けた攻性プログラムで防ぐ。
 石化した攻性プログラムはパキパキと音を立てて風化していく。
「石像は趣味じゃねぇんだよっ!!」
 ステージの備品の陰に隠れようとするネズミに銃口を向けるも、頭の端に負債の二文字が浮かぶ。
 舌打ちし、備品の後ろに回り込めるように駆け出し跳躍。
「死ねーーーー!!」
 どっちがオブリビオンかわからない台詞を吐き、撃ち倒す。
「次ぃ!」
 ブリッツの並々ならぬオーラに、ひぅと息を吸う二匹のネズミ。
「「こ、このお兄さん怖すぎるよぉーーー!?」」
 完全に戦意を喪失しがたがたと震える二匹のネズミに一歩一歩と近づくブリッツ。
「あばよ、ネズミども」
 完全に悪役な台詞を吐いて、撃鉄を落とした。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『バアル・コーウェン』

POW   :    異議あり、で御座います
対象のユーベルコードの弱点を指摘し、実際に実証してみせると、【裁判官】が出現してそれを180秒封じる。
SPD   :    その醜き姿から、解放して差し上げましょう
自身に【序列第一位の悪魔の力】をまとい、高速移動と【一時、自分好みの美男美女に変身させる光線】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    さあ、私と共に楽園に参りましょう?
【弁舌】を披露した指定の全対象に【バアルに対して熱烈な愛情】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はシトリー・コーウェンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



「な、何が起こったというんです……」
 バアル・コーウェンは部下が誰一人帰ってこないことに不審を抱き彫像コンテスト会場に足を運んだ。
 その惨状と猟兵たちの姿を見て、すぐに原因がわかったようで。
「はははっ!そうですか、あなたたちが!ああ、なるほど!ええ、えぇ!」
 高笑いをし得心がいったかのように何度も頷き。
「いいでしょう。私自らがあなたたちを美しく逞しい石像へ変えて差し上げましょう!」
 殺意と色欲の混じった視線を猟兵たちに向けた。
ブリッツ・エレクトロダンス
お断りだぜ。石像になりたいならお前がなれよ。
(躊躇なく発砲)

しかしなんだってんだ、この素早さは!羽根が多けりゃそれだけ早いってか!?偉いってか!?
まったくもってムカつくぜこいつにはよ!
(ビーム被弾、メスケモ化)
………。
(自分の状況を確認する。)
いやまあうん、別に悪くないスタイルだな俺。
お前のセンスも中々悪くねえ。
(案外褒めてる―――?)

だがよお、いつもの姿を醜き姿認定するのはギルティだぜこの野郎!
(ブリッツ、キレた!)
来い、いつもの方の"俺"!
(バーチャルブリッツ feat.オスケモを召喚!マシンガンを持たせて弾幕で牽制しつつ、本体with拳銃で銃撃を仕掛ける!)




 銃声が響いた。
「お断りだぜ。石像になりたいならお前がなれよ」
 銃口から煙をたたせながらブリッツはバアルに中指を向け、舌も出す。
 銃弾を避けたバアルは肩をすくめ。
「随分と口の悪い子猫ちゃんですね。……まぁ、それぐらいでなければ可愛くありませんか」
「誰が子猫だっ!」
 ブリッツのツッコミと銃撃をバアルは高スピードでかわす。
 撃ちながらその速さに舌打ちをするブリッツ。
(羽根が多けりゃそれだけ早いってか!?偉いってか!?)
 種族としては同じはずのキマイラだがここまで個体差があると妬みや羨望より苛立ちが先行する。
「ちったぁスピード落とせよ!」
「はいそうですかと従うわけないでしょう?せっかくです、こちらを差し上げましょう!」
 リロードする隙をみてバアルはブリッツに向け光線を放つ。
 とっさに防ごうと腕をあげるが間に合わず。直撃を受けるブリッツは、ダメージを受けていないことに気づく。
「…………!」
 たしかにダメージといえるものは受けていない。しかし、ブリッツは自分に違和感を感じていた。
 ブリッツは立派な雄である。男性である。漢である。
 だが、今のブリッツにはそれを象徴するものがなくなっていた。
 艶やかになった毛並み。全体的に細身になった肉体。
 そして、惜しげもなくさらされる柔らかな二つの果実。
 バアルの攻撃により、ブリッツは性別を無理やり女性に変えられていた。
「D……いえ、Eといったところでしょうか。いやはや、素晴らしい姿になりました」
「…………」
「おや、どうしましたか?あの醜い姿から解放させてあげたのですよ?」
「……いやまあうん、別に悪くないスタイルだな俺。お前のセンスも中々悪くねえ」
 いくぶんか高くなった声で変化した自分のスタイルと、そうさせた敵にまさかの良発言。
「お褒めにあずかり光栄です」
 恭しく頭を下げるバアルにブリッツは「だが」と異をとなえる。
「いつもの姿を醜き姿認定するのはギルティだぜこの野郎!」
 元々の姿に特に不満のないブリッツはいろいろと勝手過ぎるバアルにぶちギレた。
「来い、いつもの方の"俺"!」
 バーチャルではあるが本来の雄の自分を呼び出しマシンガンを撃たせる。
「せっかく変えて差し上げたのに、そんなに醜い姿にご執心ですか!?」
「二度も言いやがったなてめぇ!!」
 マシンガンの牽制をかわす変態に豹の撃鉄を落とした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シエナ・リーレイ
【人形館】で参加
■アドリブ可・WIZ希望
じっとするのは嫌!とシエナは拒否します。

好意を露わにして遊びたいと近寄るシエナにバアルは弁舌を振るい愛情を与えようとします
だけど、シエナは初めからバアルへの親愛に満ち溢れていた為に新たな愛情を与える事が出来ずシエナを操る事が出来ません

弁舌が無理ならばと自らの手でシエナを快楽に堕とし石化させようとすれば今度は気分の高揚によりシエナの身体から滲み出した呪詛がバアルの身体を『お友達』に変えようと蝕みます

逃げないで!とシエナはバアルを追いかけます。

シエナはその身から滲み出る呪詛で石化した人達を『お友達』に変えて仲間に加えながらバアルとの鬼ごっこを始めます


カリッサ・クルス
「人形館」で参加

でたわね、石像フェチ!いや、石化フェチなのかしら……。まあ別にどっちでもいいわね……。

高速移動はともかく姿を変えられることに関しては気にしなければどうということはないわ!光線は気にせず「咎力封じ」で動きを封じつつナイフで攻撃していきましょう。

ここまでの相手の行動を考えると姿を変えた上で石化させるつもりなのかしら。どんな手段で石化させるつもりかは知らないけど警戒しつつ戦いましょ。まあ、さっきもそんな事言いつつ石像にされてしまった訳なのだけれど……。
また石化させられてしまったなら、またシエナに操ってもらうしかないわね。


テフラ・カルデラ
【人形館】で参加

さてさて…石化から解除しましたが…
…正直オブリビオンでなければ色々語り合いたいところです
が、敵である以上倒さなければいけません!!

【もふもふ☆ケモショタチェンジ!】でウサギのケモショタに変身!
強化された杖で戦っていきます!
(正直…どんな風に石化させてくるのか気になってしまいますね…わざと…やられてみましょうか…?)

もちろん石化してしまったときはシエナさんにお任せしますっ!




「さて、お次は誰でしょうか?ああ、あなた方ですね?」
 服のホコリをバアルの視線の先には石化が解除されたテフラとカリッサ、石化していた二人を操っていたシエナの三人だ。
「どうです、あなた方。美しい姿のまま石像になってみては?」
 バアルのあやしい提案に三人の答えは。
「じっとするのは嫌!とシエナは拒否します」
「私もずっと石像のままというのは、ちょっとね……」
 拒絶の意を示すシエナとカリッサの二人。
 テフラはというと。
「…………」
 なぜか黙っていた。
「テフラ君、どうしたの?とシエナは沈黙しているテフラ君に首をかしげます」
「……なんとなく想像できるけど」
 首をかしげるシエナと察しがついたカリッサはため息をついてテフラの肩を叩く。
「……ふぇっ!?な、なんですっ!?」
「お仕事よ、テフラ」
「も、もちろんわかってますよぅ!」
 嫌だなぁふふふと笑いながら。
(正直オブリビオンでなければ色々語り合いたいところです!!どう石像を愛でるかとか、扱い方とか!!!)
 などと考えていた。
「二体一ですか……やれやれ、そういうことならこちらも考えというものがありますよ?」
 バアルは持っている指揮棒をピシッと三人に向ける。
 そこに駆け出したのはカリッサだ。
 バアルに手枷と猿轡、それから拘束ロープを放つカリッサ。厄介な能力を使われるより先に封印しようという魂胆だ。
 だがバアルは猿轡以外の拘束具をわざと受けてみせた。
「なるほど、これに猿轡まで噛まされては私はなにも出来なくなるでしょう。ですが……『裁判官』!」
 突如として現れた『裁判官』に驚くカリッサにバアルは嫌みたらしい笑顔を見せて。
「このユーベルコードにはどうしようもない欠点があります!」
『なんでしょう、教えていただけますかな』
「このユーベルコードは対象に、手枷、猿轡、拘束ロープといった三種の拘束具を放ち、命中した際、攻撃力を減少させます。また全て命中した場合はユーベルコードを封印できるのです」
『なるほど。しかしバアル様、あなた様は全てではないにしろそれを受けてしまっていますよ?』
「ええ、力が抜けている実感があります。ですが……」
 言ってバアルは拘束されている両手を上げる。
 そして特に苦労もなく手枷を破壊する。そのままロープも切り裂いていく。
「……このように、このユーベルコードはあまりにも強度がありません。よって、このユーベルコードの封印を提言します!」
『判りました、許可します!』
 『裁判官』が手に持つガベルと呼ばれる木槌をカリッサに向けて振り下ろす!
「くっ!?」
 反応が遅れたカリッサの脳天にガベルが直撃される。
 くらくらとする頭を振るカリッサの横から可愛らしいウサギ獣人の子供が飛び出す。
 姿を変えたテフラだ。
 手に持つ魔法の杖の先端には自分を模した小さな彫像。
 その杖をテフラは、思い切りよくバアルに振り下ろす。
「おっと」
 それをヒラリとかわすバアル。
「危ないですね。男の子がそんなもの振り回して」
「言い方!」
 ささっと距離をおくバアルの足元に見慣れた球体が。
「おっとこんなところに部下が残してくれた石化爆弾が」
 足元に転がる爆弾をテフラとカリッサの足元にけり飛ばす。
「ふふんっ、いくら僕でもわかりますよ!こんなの偽物……」
「違う、テフラこれ……!」
「遅いですよ」
 偽物とたかをくくったテフラに、それが本物だと気づいたカリッサ。しかし気づくのに遅れてしまったことに嗤うバアル。
 一拍おかれて爆発がおこりテフラとカリッサの二人は再び石像になった。
「さて、貴女はどうします?」
 残ったシエナに視線を向けるバアル。
「私を愛していただけるのなら……」
「うん!もちろん愛しているよ。とシエナは嬉しそうにうなずきます!」
「……おや?」
 バアルはシエナの従順さに眉をひそめる。
 まだ、弁舌はふるっていない。
「……あなた、本当に私のこと愛しています?」
「うん!だってシエナは、最初からバアルさんに対して親愛に満ちあふれているから、新しい愛情はいらないよ。とシエナはまっすぐバアルさんを見て目を輝かせながら答えます」
 シエナの嘘偽りのない言葉にさしものバアルも驚愕する。
 本当に自分に対して親愛を抱いている。
 その親愛はねじまがっているのに、まっすぐ自分に向いている。
 そんなシエナにバアルは、嗤う。
「……ふふ、そうですかそうですか!」
 身体の底からわいてでる恐怖を抑え嗤ってみせる。
「だったら、より親愛を見せて頂きましょうか!!」
 バアルの手がシエナの肩に触れる。
 親愛を、欲まみれにするために。
 その手をシエナは、振りほどかない。
「ハグするの?ハグはとっても大好きだよ。とシエナは自分から近づいていきます」
 そう言って自分からバアルへと近づいていくシエナ。
「だって、ハグすればみんな『お友達』だもん!とシエナはバアルさんにぎゅってハグします」
 バアルにハグしたシエナから目に見えるほどの呪詛が溢れる。
 その呪詛は、人形化の強力な呪詛。
 気づいたバアルは蝕みが身体に触れるより先にシエナを突き飛ばす。
「いったぁい!どうして突き飛ばすの?とシエナは責める視線を向けながらもう一度ハグしようとバアルさんに近づきます」
 宣言通りにシエナがバアルへと近づいていく。

 この少女は『異常』だ。
 己や己をつくらせたあのキマイラより『異常』だ。

 バアル・コーウェンは恐怖した。
「……く、来るな……来るんじゃない、化け物っ!」
 口調が乱暴になりシエナを拒絶するバアル。
 シエナに背を向けないあたり、まだ冷静さは残っているようだ。
「逃げないで!とシエナはバアルさんを追いかけます」
「来るなと言っているんだ!親愛を抱いているのなら言う事を聞け!」
「離れていると『お友達』にならないよ。とシエナは歩みを止めずに答えます」
 シエナが一歩進むごとにバアルは一歩下がる。
 先に業を煮やしたのはシエナだった。
「他の『お友達』にもお願いしてバアルさんが逃げないようにします。とシエナはむすっとしながら、石になった『お友達』を動かします」
 ごとりと大きなものが動く音がした。
 視線をそちらに向けたバアルは、先ほど石化させた二人の石像が動いて自分に向かい始めている光景に目を見開いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ウェルシェ・セイボリー
ルーク(f06946)と一緒に参加。

【心情】
ついに現れましたね。見た目は真面でもあのコーウェンの身内、油断せずまいりましょう。

【戦闘】
箒星を揺らしながらユベコを発動。故郷の皆と共に戦います。

恋心を抱かせられるのは厄介ですが例え好きな人でも間違いを犯すなら処刑するのが咎人殺しでしょう。

揺れる思いを抱きながら処刑してみせます。

【親バカモード】
ルークが理想の美男子になった場合戦闘も忘れて叫びながら写真を撮ると思います。「撮影」の技能を「残像」を残しながら駆使してベストアングルを逃さない「覚悟」です。

※アドリブ歓迎。


ルーク・アルカード
ウェルシェ(f06945)と一緒。
※アドリブ歓迎

・心情
わ、羽がいっぱいある。
飛べるのかな?いいな。

・なんでー?
石像ふぇち……ふぇちってなんだろうね?

石像にしてどうするの?たのしいの?
一緒に遊んだり、お菓子食べたりできないよ?
ねーねー、なんでなんでー?

※大体、バアルの服の裾ひっぱりながら首傾げてなんでなんでー?ってやってます。
 子供のなぜなぜ攻撃なんで理詰めは効かない無敵ちゃんモードです。
 とんでくる光線は殺意や威力がないのでよけないです。

・変化後の容姿
イケモノでお願いします。
容姿はお任せします。




 少女と石像から逃げおおせたバアル・コーウェンは息を吐く。
 どこをどう逃げたのか、正直言って思い出せない。
 覚えているのは、石像がごとりごとりと動く音と少女の顔。
 振り払うようにかぶりを振る。
 ここから挽回するのは不可能だ。ならば、この場からどうにか撤退するにはどうすればいいか。
 親指の爪を噛みながら思案するバアルに、小さな影がやってくる。
「……ねぇねぇ」
「ひっ!?」
 奇声を上げるバアルの裾をくいっと引っ張り視線を向けたのはルークだった。
 追いかけてきた少女ではないことに内心ホッとしたバアルはしかし、ルークが猟兵であることに気づいていた。
「ようやく見つけました!お手柄です、ルーク!」
 ルークを追いかけていたウェルシェが遅れてやってくる。
 ウェルシェに向かって手を振るルークを見て、バアルは閃いた。
 片腕でルークを掴んだバアルはもう片方の爪をルークの首元に当てる。
「動くな!」
「……っ!」
 その仕草で焦りをみせたウェルシェにバアルは一喝する。
「動くとこの子供がどうなるか、わからないわけないですよねぇ?」
「卑怯な……!」
「卑怯で結構。心は痛みませんので」
 言いながらバアルはウェルシェから少しずつ距離を離しはじめる。
「私は生き残るためなら、どんなこともしてみせます。猟兵のあなた方には簡単にできないことをね」
「くっ、ルーク……!」
「おっと、動くなと言ったはずですよ?」
「……ねぇねぇ」
「ルークを離しなさい!」
「お断りです、人質にするならこちらのほうが都合が良いので」
「ねぇってば」
 ウェルシェと言葉の攻防をしているバアルに人質扱いのルークが声を上げる。
「なんですか、人質らしくおとなしく……」

「ふぇちってなーにー?」

「……は?」
 純粋過ぎるルークの疑問に間の抜けた声を上げ、眼鏡がズレて思わず手も離してしまうバアル。
 すとんと落とされたルークはなぜかウェルシェのもとに戻らず、バアルの服の裾を引っ張る。
「ふぇちってなーにー?」
 もう一度同じ質問をするルーク。
「……フェチというのは、そうですね、自分にとって興奮するモノ、と言うべきでしょうか」
「ルークに何を聞かせてるんですかぁ!!」
 眼鏡を上げ律儀に説明するバアルに同郷の人狼霊を差し向けるウェルシェ。
 その攻撃をいなしながらバアルはルークに視線を向ける。
「なぜ聞くのです?」
「気になったから。……おじさんは、石像にこうふんするの?」
「おじっ……んんっ、ええ、その通りですよ」
「ふーん……でも、どうして石像にこうふんするの?」
「どうしてって……」
「だって、石像って動けないでしょ?一緒に遊んだり、お菓子食べたりできないよ?」
 ねーねーなんでー?と子供らしいなぜなに攻撃をし続けるルーク。
「その変態に耳を貸しちゃいけません!!」
 ウェルシェのその言葉にカチンときたのかバアルはウェルシェに視線を向けた。
「変態とは随分な言いようですね?……そんな私の事が大好きなくせに」
 その言葉にルークはそうなの?という視線を保護者に向ける。
「うっ、えっと、それは……」
 ウェルシェのしどろもどろな態度にバアルはほくそ笑み。
「この子の前では言いづらいですか?本当はいろんなことをしたいんですよねぇ?」
「そんなことは……」
 ぐぅっと喉を詰まらせるウェルシェ。
 正直に言えば、したい。ルークにはとても言えないことをたくさん。
 バアルの弁舌によって植え付けられた偽りの恋愛感情だと理解しているが、だからといって心が痛まないかと言われると……。
「………………です」
「おや、なんです?聞こえませんね?」
「……し、したいですよ!!これで満足ですかっ!?」
 バアルの聞こえないアピールに顔を赤らめながら叫ぶウェルシェ。
「まぁ、いいでしょう」
「おじさんとウェルシェが何をするの?おしえてー」
「教えません」
「けちー」
 ルークのむくれる顔にバアルは特に何も思わず。逃げ出そうとウェルシェに背を向ける。
 しかし、向いた先には人狼霊達が立ちふさがる。
「逃がしてくれないのですか?」
「……例え好きな人でも間違いを犯すなら処刑するのが咎人殺しです」
「頭のかたいお方だ」
 息をつくバアルは羽を広げる。序列第一位の悪魔の力を引き出し、光線をルークに直撃させる。
「まずい、ルークに光線が!」
「ふっ、気がそれましたね。それでは私はこれで……」
 失礼しますというより前に。何者かがバアルの裾を引っ張った。
 何者か、という言葉は不要か。

 そこにいるはずなのはルークなのだから。
「あぁ、ルークが……!」
 直撃されたルークの姿はウェルシェの危惧通り変えられていた。性別は男性のままだったが。
 鋭くなった目つき、赤く染まった瞳に細身でありながらもどこかがっしりとした印象も持つ体格。
 光の角度によっては透明のように見える白い体毛。
 ルークはカッコいい、イケケモと呼ばれてもおかしくない好青年に姿を変えられていた。
「ルークがイケケモに!?……か、カメラ。カメラどこでしたっけ!?」
 慌てるウェルシェをよそにバアルの裾を引っ張っていたルークは声を出す。
「……ねぇ」
 聞いた者によってはそれだけで魅了されるような、低い声でルークは。
「どうしておじさんは、羽がいっぱいあるの?」
 バアルに質問した。性格はどうやら変わっていないようだ。
「どうして?これは私の個性ですよ」
「飛べるの?」
「飛べますよ」
「ふーん。あれ?おじさんと目線が一緒だ。なんで?」
「……私の理想の姿に変えさせました。悪くないでしょう?」
「うーん、どうなんだろう?ウェルシェ?」
 首を傾げて保護者に声をかけるルークは視線を向けた先にウェルシェがいないことに気づいた。
「ウェルシェ、どこ?」
「こっちですルーク。こっちこっち!」
 声がしたほうに視線を向けると、ウェルシェがなぜかうつ伏せになってカメラを構えていた。
「ウェルシェ、何してるの?」
「イケケモになったルークを撮っているんですよ!あぁー、この角度もいい……!あ、そうだ動画!動画も撮らないと!」
「……貴方の保護者っていつもこんな感じですか?」
 残像を残しながらイケケモルークの写真や動画を撮るウェルシェを見て、蚊帳の外になっているような気がするバアルが呆れ混じりにイケケモルークに問いかける。
「いつもより、変かも……」
 保護者の愛情表現に疑うことはしないルークでも疑問に思うほど。
「あ、バアル・コーウェン、ちょっといいですか?」
「な、なんですか」
 こんな状況で声をかけられるのは想定していなかったのか、若干引き気味でバアルがウェルシェにこたえる。
「写真を一枚撮らせてください。とてもいい笑顔を一つ」
「は?」
「いいから早く!」
「こ、こうですか?」
「……はい、オッケーです!これで後から『私がやりました』表示ができます!」
「は、はぁ……?」
 もしかしなくても生産者表示として使われる?妙な疑問を抱きつつも、そういえばこれはチャンスではと思い至る。
「……では、私はこれで失礼しますね」
「あ、待って、おじさん」
 逃げようとするバアルをルークが止める。そして、音速でバアルの首を血晶刀でかき切った。
「……は……え?な、ぜ……」
 力なく膝から崩れ落ちるバアルにルークは暗殺者としての視線を落とす。
「だっておじさん、オブリビオンだから」
 バアルが消滅するとルークの見た目が元の姿に戻る。おそらく他の被害者も元に戻っているだろう。
「ああ、イケケモになったルーク。ギャップにあふれていてとても良かったです。……あのバアルの理想なのが少々癪に障りますが」
 写真も映像も撮れてほくほくと満足しているウェルシェ。
「……ウェルシェが喜んでるし、いっか」
 ルークは首を傾げながらも、仕事はしっかりとやれたので気にしないことにした。
「……ねぇ、ウェルシェ?」
「なんですか?」
「大きくなったら、さっきみたいな姿になれるかな?」
「ええ、ルークならきっとなれますよ」
「そっか。じゃあ大きくなったら、ウェルシェがさっきのおじさんとしたかったこと、一緒にしてあげるね?」
「そ、それはしなくていいものですよ……」
「えー、なんでー?」
「なんででもです!」

 こうして。石像が発端となった爆弾事件は無事収束した。バアル・コーウェンが何をしたかったのか。結局は謎のままだが、おそらくろくなことではなかっただろう。

 ちなみに石像コンテストはその後無事に再開され、コンテストの優勝者は一般参加者であったものの、猟兵たちには各自特別賞が与えられた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年12月02日
宿敵 『バアル・コーウェン』 を撃破!


挿絵イラスト