神を屠る獣-その名はアズマ
●ヒーローズアース・センターオブジアース
「所詮はこの程度か・・・空手の足しにもならんな・・・」
「流石は『アズマ』の名を持つ者。神獣の番人の中でも、最強格の巨神達を一撃で葬るとは……」
神々が住まう「地球の中心」であるセンターオブジアース。
絶え間なき炎と生命力に溢れた場所に目元を漆黒の仮面で隠した、一人の空手家が立っていた。
彼の側に居るバイオモンスターのアサシン達が、惜しげもなく賞賛の言葉をかけている。
その猟書家『アズマ』の周辺には、神獣の番人である巨人の神達が絶命していた。
アサシン達が言っていた通り、巨神達はヒーローズアースの中でも最強といっても過言ではない存在である。
その誰もが例外なく一撃の元に葬られている。
猟書家『アズマ』、神をも超える恐るべき実力の持ち主である。
「あれならば・・・少しは相手になるだろうか・・・」
『アズマ』の視線の先には、溶岩層の如く揺らめき続ける神代より封印され続けた『不死の怪物』の集合体が、力強く燃え続けていた。
その強烈な熱気は、並みの者であるなら近づくだけでも、触れられる事さえも出来ずに燃え尽きてしまうだろう。
「……お待ちください!それを殺すとヒーローズアースが消滅します」
アサシン達が慌てて『アズマ』を止める。
邪魔な存在である神々を殺してくれる事は願ってもないが、支配する予定の世界まで壊しては元も子もないのだ。
「アズマ様の素晴らしいお力で、その怪物から神話のエネルギーを吸収し、我らにお授けください。我らはスナーク化し、アズマ様のお力になりましょう……」
「スナーク化か・・・いいだろう」
抑揚のない声で頷くと『アズマ』は、熱気をものともせず不死の怪物に近づき、その強大な力を吸収するのであった。
そして吸収した不死の怪物の力を、受け取ったアサシン達の身体が青い炎に包まれる。
その炎はアサシン達を燃やし尽くすのではなく、逆に強大な力をアサシン達に与えるのであった。
「お、おお! ありがとうございますアズマ様!何という力だ、誰にも負ける気がしない……!」
「そうか・・・では戦ってみるか?お前たちが相手でも別に構わんぞ・・・」
『アズマ』はアサシン達に対して静かに殺気を向ける。
「滅相もない!さすがにアズマ様には敵いませんよ・・・ですが、丁度いい相手が近づいてくるようです。アズマ様の代わりに彼等と戦い、殺す事をお許しください」
「構わん・・・お前達に殺されるような存在なら、相手にする価値もない・・・」
「はは・・・」
アサシン達は逃げるように『アズマ』の元から散開して、近づいてくる者達への迎撃にへと向かうのであった。
●小さな巨神
「畜生・・・このままじゃ、あいつ等に世界は滅茶苦茶にされちまう・・・」
『アズマ』とアサシン達の様子を、隠れながら様子を伺っていた一人の巨神が悔しさのあまり目に涙を浮かべていた。
巨神とはいっても、既に倒された巨神達よりもずっと小柄で、全長だけなら人間とほとんど変わりのない、年の若い巨神の少年である。
同年代の中でも特に小さい存在で、その事で馬鹿にされてきたりもした。
だがそんな仕打ちを受けてきたにも関わらず、無残に仲間が殺された事を悲しんでいる。
『アズマ』の襲撃に際には、偶然にも持ち場を離れていた為、難を逃れていたのだ。
事態に気付いて戻ってきた時には、仲間が一撃で倒される瞬間だった。
小さな巨神は『アズマ』の圧倒的な力に恐怖して、隠れる事しか出来なかったのである。
仲間を倒されても尚、何も出来ない自分に心底嫌気がさしたが、それでも『アズマ』達にの正面から挑む勇気も無謀も、小さな巨神は持ち合わせていなかった。
「あんなのに誰もかなうはずない!例えこの世界を救ってくれた猟兵達でもだ・・・しかも、怪物の力まで奪われちまったんだ・・・このままじゃ、あの手下達にも歯が立たない!?」
怪物の力を得たアサシン達も『アズマ』程ではないにしろ、無敵の存在となっている。
「でも・・・時間が経っていない今なら・・・」
アサシン達が怪物の力を完全に使いこなせていない間なら、彼等を倒す術がある事を、小さな巨神は仲間達から聞いて知っていた。
そしてそれを実行する力も、小さな巨神は持っている。
だがそれを実行するだけの勇気が、小さな巨神にはなかった。
「そういえばあいつ等どこに行ったんだ?誰かが来るみたいな事を言っていたが、でも近くに他の番人は居ない筈だし・・・もしかして猟兵達が?」
猟兵達の中にはグリモア猟兵と呼ばれる、事件を察知して現場にへと転送する能力の持ち主が居るのだと聞いた事がある。
小さな巨神の心に希望が宿るが、それもすぐに焦燥へと変わる。
「行かなければ・・・」
小さな巨神は『アズマ』に気付かれないよう、慎重にその場を離れる。
『アズマ』は虚ろめいた表情で一人立っていた。
あるいは小さな巨神の存在に気付いているのかもしれないが、それでも取るに足らない存在だと思われているのだろうかと、小さな巨神の脳裏にそんな事が浮かぶのであった。
●暗黒面『空蝉のオンブレ』
小さな巨神が辿り着いた頃には、既に戦いは始まっているようであった。
激しい戦闘音がセンターオブジアースに響き渡る。
「ふはは!素晴らしいぞ、この力は」
「積年の恨み今ここで晴らしてくれようぞ!」
青い炎に包まれたバイオモンスターのアサシン達は、その暗殺術を巧みに発揮させていた。
アサシン達と戦っている者達も懸命に反撃し、時にはアサシン達を絶命までに追い込むのだが、怪物の力によって、すぐに復活してしまう。
このままでは小さな巨神の危惧していた通りに、手も足も出ずに彼等は敗北してしまうであろう。
戦っているのは、間違いなく猟兵達であると小さな巨神は確信する。
「あの人たちに、あいつらの弱点を伝えなければ・・・でも、僕に出来るのか?たとえ伝えられても、実行出来るのか?」
アサシン達も自分の弱点を理解しているのだろう。
猟兵達からそれとは気づかずに弱点となりうる攻撃がアサシン達に向けられるも、アサシン達はそれが弱点であるとは気づかせないよう、さりげなく避けて、反撃にへと移る。
本来ならすぐにでも駆け付けなければならない、だが小さな巨神の臆病な心が二の足を踏ませせていた。
吾妻 銀
吾妻 銀です。
どこか名前に親近感を覚える幹部猟書家の討伐依頼となります。
今回は実験的にグリモア猟兵による依頼説明は省略しております。
このシナリオは二章構成のシナリオとなっております。
受付はOP公開からとなります。
追加OPは第二章のみです。
●第一章
バイオモンスターのアサシン、暗黒面『空蝉のオンブレ』との集団戦です。
怪物の力によってその身体は青く燃えており、無尽蔵の力を得ております。
倒す為には隠れて様子を伺っている生き残りである、小さな巨神から弱点を聞き出さなければなりません。
彼を勇気づけるような戦いぶりを見せるか、鋭い勘等で見つけ出して説得するなりして、協力を得てください。
ネタバレではありますが、プレイングの参考として伝えます。
オンブレの弱点は全身を炎で燃やす事です。
そうする事で制御しきれていない青い炎が暴走して、オンブレ達は自滅する事でしょう。
オンブレ達も本能的にその弱点を理解している為、意図して燃やさない限りは実現は難しいでしょう。
炎であればUCでなくても構いません。
小さな巨神はごく短時間ではありますが、炎を操る力がありますので、炎を生み出す手段がない時の代替案としてご検討して頂ければと思います。
●第二章
幹部猟書家の『アズマ』とのボス戦となります。
怪物の力は得ておらず弱点を突かなければ倒せないという事はないですが、強大な力を持つ相手ですので、十分に注意して挑み、そして勝利して下さい。
●プレイングボーナス(全章共通)
神々と共に戦う、もしくは猟兵組織『秘密結社スナーク』の一員であると名乗る(敵がスナークの名のもとに恐怖を集める企みを妨害します。
以上となります。
皆さんの参加をお待ちしております。
第1章 集団戦
『暗黒面『空蝉のオンブレ』』
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POW : 影を冠する一面
【相手の視界から外れる】事で【影から影を移動可能な暗殺状態】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
SPD : 暗黒へ誘う微睡
戦闘中に食べた【相手の「感情」や「やる気」】の量と質に応じて【相手を無気力状態に陥れ】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
WIZ : 霊と刃を断つ者
【【幽霊】と【剣や刀】に対し有利な分身】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
イラスト:夜月蓮華
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ミスツ・シューパリツェ
また俺の地元世界で暴れやがって、懲りねえ奴らだ!
自前のキャバリア『零桜花』の全身に触手を巡らせて同化して参戦
◆火炎耐性の耐熱装甲は持ってきたが、それでもジリ貧だしな
ん?なんだ図体デカイガキ。俺も身長でかいが
わかりやすく迷った顔しやがって……いいかガキ
どんな銃だろうが引き金を引かなきゃ弾は出ない、って知ってるか?
何かしようとしなけりゃ何も起こらないんだぜ?
ほれ、駄目元で言ってみろ
は?むしろ炎が有効?マジかよ持ってきてねえぞそんなの
え、お前が出せる?早く言えそれ!なら俺を機体ごと燃やせ!
燃えた機体をUCで取り込み炎属性の巨竜に変身
炎のブレスで攻撃だ
俺の視界は触手全てからの全方位、逃がさねえよ
「また俺の地元世界で暴れやがって、懲りねえ奴らだ!」
バイオモンスターの体を乗っ取り、猟兵として覚醒したミスツ・シューパリツェは、キャバリア『零桜花』の全身に触手を巡らせて同化した状態で、同じバイオモンスターである、空蝉のオンブレの集団と戦闘を繰り広げていた。
猟書家『アズマ』を倒すべく、センターオブジアースの中心に向かっていた所を、オンブレに襲撃されたのである。
「無駄だ!例えどのような兵器で挑んで来ようとも無敵となった我らに敗北の二文字など無い!」
ヒーローズアースとは異なる世界の兵器であるキャバリアは、オンブレ達にとっては未知の存在である。
だが不死の怪物の力を得ていたオンブレ達は、恐れる事なく暗殺術を駆使して、ミスツの操る、キャバリア『零桜花』をかく乱していた。
ミスツも反撃するも、オンブレ達が纏っている青い炎に遮られ、攻撃が無力化されてしまう。
「ち…面倒な力を身に付けやがって!」
キャバリア『零桜花』の耐熱装甲により、ミスツも大したダメージは受けてはいないが、このままではジリ貧になる事は明白である。
「…ん?なんだ?」
ミスツはキャバリア『零桜花』のセンサーから、オンブレとは異なる生体反応を見つける。
「なんだ図体デカイガキがいるのか?俺も身長でかいがな」
「うわあああ!」
隠れていた所をミスツに発見され、大柄の少年は情けない悲鳴をあげた。
グリモア猟兵から話に聞いていた、神獣の番人の生き残りであると、ミスツは一目で理解した。
「わかりやすく迷った顔しやがって……いいかガキ。どんな銃だろうが引き金を引かなきゃ弾は出ない、って知ってるか?何かしようとしなけりゃ何も起こらないんだぜ?」
しつこく影の中から襲い掛かるオンブレ達を投げ飛ばしながら、ミスツは自分なりに、奮い立たせるような言葉を、小さな巨神にかけ続ける。
ミスツの言葉と戦いぶりに、小さな巨神の目に勇気が宿りつつあった。
「ほれ、駄目元で言ってみろ?あいつ等を何とか出来るかもしれない方法を知っているんだろ!」
「わ、わかった…信じてくれるかはわからないが、今のあいつ等は炎に弱いんだ…全身を燃やせば、力を暴走させる事が出来る筈だ…」
炎から力を得ている相手に更に炎をぶつけるというのは、確かに聞いただけでは疑わしくはある。
だがミスツにとってはそれ以前の問題であった。
「は?むしろ炎が有効?マジかよ持ってきてねえぞそんなの」
今のミスツは自ら炎を生み出せる手段を持っていないのである。
「そ、それなら僕が少しだけ炎を使う事が出来る!」
「え、お前が出せる?早く言えそれ!なら俺を機体ごと燃やせ!」
ミスツの思いもよらぬ発言に、小さな巨神に戸惑いの表情が浮かぶ。
「いいのか?そんな事したら、あなたまで…」
「構わん!むしろ好都合だ!」
ミスツの自信に満ちた態度に促され、小さな巨神は覚悟を決めて、掌から炎を生み出して、機体を燃え上がらせた。
小さな炎であったが、見た目よりずっと強力な炎はあっという間に、機体の全身に燃え広がっていく。
「やるじゃねえか!いい炎だぜ!これなら十分だ!」
ミスツは竜胆石を呑み、燃え広がった炎を吸収して、触手で身体や翼や尾を構成した長首竜へと変身した。
炎を取り込んだ事で、鱗は赤く輝いている。
「竜に変身した所で結果は変わらん!無力さを思い知るがいい!」
怪物から得た力を過信しているオンブレ達は、巨竜化したミスツに恐れる事なく挑みかかる。
「そりゃこっちの台詞だ!灰にしてやるぜ!」
巨竜の口から炎のブレスが放射される。
「この程度の炎など・・・し、しまったこれでは力の制御が!ぐわああああ!」
炎のブレスの直撃を受けたオンブレは、最初は余裕の表情を見せていたが、炎が全身に回ると焦りの表情が浮かび、悲鳴をあげた。
二つの炎が混ざりあった事で暴走し、今までオンブレを守っていた青い炎が、今度はオンブレを燃やしていく。
そうなってしまってはオンブレに抵抗する術もなく、断末魔の悲鳴を最後に、ミスツの宣言通りに灰と化したのであった。
「ち…馬鹿が、調子に乗りおって!一旦、退くぞ。竜の姿も長くはもつまい」
残っていたオンブレ達の判断は早く、撤退を始めるのであった。
「俺の視界は触手全てからの全方位、逃がさねえよ」
だがミスツの行動もまた早かった。
撤退するオンブレ達を見失う前に、赤く燃える触手で逃さずに捕えていく。
「くそっ!?余計な炎さえなければ!」
「アズマ様、どうか仇を!」
触手に捕らわれたオンブレ達は、逃れる事敵わず、ミスツの炎と青い炎の暴走によって、例外なく灰となって消滅していった。
「この調子で残りの奴らも片付けてやるぜって…ん?あいつ、どこ行った?」
気が付けば小さな巨神も姿を消していた。
どうやらミスツがオンブレ達を追跡している間に、他のオンブレ達に見つかって逃げ出したようである。
「ま、意外と逃げ足も速いようだし、多分大丈夫だろ…少々、飛ばし過ぎちまったようだし、一旦立て直さねえとな」
キャバリアの操作に竜変身による消耗が激しく、ミスツは他の猟兵に任せて一度戦場から退くのであった。
大成功
🔵🔵🔵
ラプラス・デーモン
敵はずいぶんと張りきっているようだな。
だがこの感じは…虎の威を借りたフォックス状態か。
ならば勝てない相手ではない、必ず手はあるはずだ。
まずは選手入場といこう。
「秘密結社スナークの者だ! 貴様らの悪事、たとえ神が見逃してもオレが見逃さん!」
UCを使い筋肉を増加、筋骨隆々となって戦闘能力を高めるぞ。
俺の戦闘スタイルは打撃格闘に特化した拳闘術だ。
基本的にはオーソドックスなボクシングだが、敵をつかんで激しく地面に叩きつけるなどの暴力行為は息を吸って吐くように自然にやるぞ。
巨神の助言を得られたならばヒートエンジンで膨大な熱量を生み出し、つかんだ敵を地獄のような高熱で火だるまにしてやろう。
アドリブなど歓迎
「追え!逃がすな!」
「猟兵どもに弱点を伝え回られては面倒だ!」
オンブレ達は逃走した小さな巨神を追跡するも、途中で見失い周辺を注意深く探し回っていた。
そこへバイオモンスターに改造された過去を持つ巨漢の男、ラプラス・デーモンが姿を現す。
「猟兵か…」
「ふん、だが弱点を知られなければ我らの敵ではない」
裏闘技で悪魔的な強さを誇った無冠の帝王を前にしながらも、オンブレ達には恐怖の感情を抱くことなく、ラプラスを包囲する。
「敵はずいぶんと張りきっているようだな…だがこの感じは…」
ラプラスは取り囲んでいるオンブレ達の様子を慎重に伺う。
周囲を纏わせている青い炎が、オンブレ達に力を与え調子づかせているのは明白であった。
「…虎の威を借りたフォックス状態か。ならば勝てない相手ではない、必ず手はあるはずだ」
ラプラスは選手入場するかの如く、一歩前にへと足を踏み出し、オンブレ達に声高らかに告げる。
「秘密結社スナークの者だ! 貴様らの悪事、たとえ神が見逃してもオレが見逃さん!」
「何だと?」
スナークの名を聞いたオンブレ達の殺気が高まっていくのがわかった。
「その名を口にしたからには、生きて帰れると思わない事だ!」
元より猟兵を生かすつもりなどオンブレ達には微塵もないが、スナークの名に刺激されたオンブレの一体が、我慢できず先に仕掛けた。
「む!来たか!」
ラプラスの死角に入り込んだオンブレは驚くべき速さで懐に飛び込み、鋼鉄のカギ爪を突き立てた。
ラプラスが防御する間もなく、鋼鉄の爪にその身を貫かれるかに思えた。
「な…馬鹿な!?」
だが驚愕したのはオンブレの方だった。
ファイティング・スピリットにより、増加されたラプラスの強靭な筋肉は鋼鉄の爪をも弾き返したのである。
「最早言葉は不要、拳で語り合うのみ!」
ラプラスの戦闘スタイルは打撃格闘に特化した拳闘術である。
基本的にはオーソドックスなボクシングで戦うが、今は挑んできたオンブレを掴み上げ、激しく地面に叩きつけるのであった。
「何という力だ…だが、それでも今の我らには通用せぬ!」
センターオブジアースの地面が陥没する程の破壊力で叩きつけられたにも関わらず、オンブレはむくりと起き上がり、ラプラスに反撃を繰り出した。
「借り物とはいえ、その力は本物のようだな…」
ラプラスはオンブレの反撃を容易く防御するも、有効打を与えられない事実にどうじたものかと、思考を巡らせる。
「駄目だ!今のこいつらには通常の攻撃は通用しないんだ!」
そんな時、ラプラスよりも一回り小さいガタイをした、巨神の少年が慌てて飛ぼ込んできた。
オンブレ達に追われて再び身を隠していた小さな巨神であったが、ラプラスが戦っているのを目撃、勇気を出して姿を現したのである。
小さな巨神の出現に、慌てふためいた。
「ち…面倒な事を吹き込まれる前に早く始末しろ!」
小さな巨神の口を封じるべく、オンブレ達は一斉に飛び掛かる。
「うわあ!」
「そうはさせん!」
悲鳴をあげて小さな巨神を守るべく、ラプラスが立ちはだかる。
闘志を爆発させたラプラスの鉄拳が、オンブレ達を一体も残さずに吹き飛ばした。
だがすぐに起き上がって、再び飛び掛かろうとする、
「こいつらは炎が弱点だ!全身を燃やして青い炎を暴走させるんだ!」
「そういう事か…ならば、これで火だるまにしてやろう!」
小さな巨神からオンブレ達の弱点を聞いたラプラスの判断は早く、体内埋め込んでいるヒートエンジンから、魂の衝動を莫大な熱量にへと変換した。
「おのれ!余計な事を!!」
あからさまに動揺をみせたオンブレ達を、ラプラスは手当たり次第に掴んで、宣言通りに火だるまにへと変えていく。
「か、怪物の力が制御できぬ!」
「くそおおお!恐怖を集める絶好の機会を!」
火だるまにされたオンブレ達は、青い炎を暴走させ、地獄のような苦しみを味わいながら灰にへと化していった。
「ここは俺一人で十分だな。お前は他の猟兵達に、奴等の弱点を伝えて欲しい」
「わ、わかった!あんたを信じるよ」
ラプラスの言葉に、小さな巨神は頷き、他の猟兵達が戦っている戦場にへと向かっていった。
「さて…俺は例え戦意を失った相手でも、一方的な暴力行為でも、息を吸って吐くように自然にやるぞ」
小さな巨神が走り去っていくのを見届けると、残っているオンブレ達を睨み付ける。
弱点を暴露されたオンブレ達に先程のような勢いはなく、迫り来るラプラスに恐れをなして後ずさりするのであった。
大成功
🔵🔵🔵
ティファーナ・テイル
SPDで判定を
*アドリブ歓迎
「神様を相手にするって事はボクに挑戦だね?受けて立つよ!」と腕を組む。
『ガディスプリンセス・レディース』で従僕神群を召喚して『ガディス・ブースト・マキシマム』でSPDを強化して『スカイステッパー』で縦横無尽にジグザグと動き回り『ジェットストリーム・ラヴハート』でSPDを追加強化しながら『セクシィアップ・ガディスプリンセス』で♥ビーム攻撃を仕掛けます!
敵の避け切れ無い攻撃は『神代世界の天空神』で空間飛翔して敵のUCは『天空神ノ威光・黄昏』で封印/弱体化をします。
『ヴァイストン・ヴァビロン』で豪華絢爛な金銀財宝と宝石で暗さと影を消して隠れさせません!
「神様を舐めないで」
「うわわ…」
怪物の力を得たオンブレの弱点を猟兵達に伝えるべく、彼等の元へと向かおうとした小さな巨神であったが、その行く手をオンブレ達に遮られ、窮地にへと陥ってしまう。
「どこへ行くつもりだ?」
「例え小さくとも神は神、容赦はせぬ」
青い炎を燃え上がらせたオンブレの魔の手が、小さな巨神に迫ろうとしていた。
そこへオンブレ達が集まっているのを発見した、一人の猟兵の少女が駆け付ける。
「神様を相手にするって事はボクに挑戦だね?受けて立つよ!」
翼羽根を有し、大蛇脚をし、髪は腰先まで長く届く、肢体と容貌を持つ少女、ティファーナ・テイルである。
「ボクが来たからにはもう大丈夫だよ!」
オンブレ達を前に、ティファーナは自信満々の様子で腕を組んで立っている。
「その自信…すぐに絶望に染めてやろう」
相手が幼い少女だとわかると、オンブレ達はにやりと笑い、彼女に注目が集まった。
「レディース(従属神群)の能力(チカラ)を今こそ見せる刻だよ!」
ティファーナの呼び声に応え、異空間から派手な装飾が施された従属神群が姿を現した。
「ふん…数を揃えただけで、我等に勝てるつもりか?」
オンブレ達は一糸乱れぬ動きで、一斉に強襲を掛ける。
「速さならボクも負けないよ!」
従属神群に応戦の指示を出してから、ティファーナは翼を羽ばたかせ空中を蹴るようにして飛び回り、オンブレ達の強襲を回避する。
「勇気! 正義! 神愛! 神様パワーを爆発だ!」
そして空中から手に集めた魔力のビームをオンブレ達に向けて発射した。
「ぐああああ!…と、やられるとでも思ったか?」
「残念だったな。その程度の攻撃では我等には通用せぬ!」
ティファーナのビームはオンブレに直撃したが、青い炎が強く輝いたかと思うと、ビームで貫かれた傷口がみるみると塞がっていく。
従属神群も同様に攻撃を繰り出すも、オンブレ達は平然とした様子でその攻撃を受け止められるのであった。
相手に応じて有効な形態に変えられる従属神群であるが、怪物の力を得たオンブレ達を相手に、弱点もわからず有効な戦いが出来ないでいるのだ。
「どうした?次は何を見せてくれる?」
「ほう…幼くとも神は神…中々、美味ではないか」
オンブレ達が下卑た笑い声をあげながら、ビームから発散したティファーナの魔力を吸収する。
「く…ボクの力が…」
次の攻撃を繰り出そうとしたティファーナの力が急激に抜けていく。
魔力だけでなく、ティファーナの戦意も吸収されているのである。
それでも歯を食いしばって、オンブレ達に捕まらぬよう、ティファーナは飛行状態をどうにか維持した。
「すぐには殺さぬ…じっくりと痛めつけ、神の力を吸い尽くしてくれようぞ」
オンブレ達はティファーナと従属神群を、じわじわと追い詰めていく。
だがそこに転機が訪れた。
「くそぉ…これでも食らえ!」
今までオンブレ達から逃げ回っていた小さな巨神が、決死の覚悟で炎を放ったのである。
「ぐ…しまった!」
ティファーナに注意が向いていた事で不意を突かれ、放たれた炎を避けられず、オンブレの一体が青い炎を暴走させてしまう。
「これ以上邪魔はさせぬ!」
「うわあ!」
再度炎を放とうとした所で、別のオンブレに襲われ、小さな巨神は再び逃げ回る羽目になった。
「成程、炎が弱点なんだね…青い炎で燃えているから気付かなかったよ」
希望が見えた事で、ティファーナの心に火が灯り、従属神群の形状も紅の化身にへと変化する。
「それなら、どんどん燃やしちゃうよ!」
従属神群からオンブレ達に有効な炎が立て続けに発射される。
「く…調子に乗りおって!」
弱点を看破され次々と燃やされていく、オンブレ達であったが、従属神群から逃れたオンブレの数体が、影に入り込んで、奇襲を仕掛けようとしていた。
「おっと、そうはさせないんだよ!」
オンブレ達の企みに気付いたオンブレ達は、豪華絢爛な金銀財宝と宝石を生み出して、戦場を黄金色に輝かせる。
「何っ!?影が消えるだと!」
黄金の輝きに影が消え、潜んでいたオンブレ達の姿が露わになった。
「神様を舐めないで」
「おのれ!おのれええええぇ!!」
従属神群の紅の炎に燃やされ、青い炎が暴走し、のたうち回るオンブレ達に、もはや反撃の術は残されていなかった。
「さて、早くあっちの神様も助けないとだね!」
周りのオンブレ達が全て灰と化したのを確認してから、ティファーナは追われている小さな巨神の救助にへと向かうのであった。
成功
🔵🔵🔴
久瀬・了介
オブリビオンは殺す。全て殺す。
怨念を具現化し「怨念武器」に代えた大鉈で攻撃を仕掛ける。
肉体は持つが、俺の本質は悪霊。幽霊の様なものだ。敵の生み出す分身とは相性が悪い。
だが退く気はない。この身が砕け散ろうと必ずこいつらを殺す。破損した肉体を「怨念義体」で再生させ、「呪詛包帯」を巻き付けて補強し、満身創痍となりながら戦い続ける。
「怨霊の目」の超感覚で隠れている巨神と、その心の奥底の勇気を感知する。
お前もこいつらの敵だな。ならば知恵を貸せ。どうすればこいつらは死ぬ。手立てをくれ。俺が必ず実現する。
弱点を知ったら【天変地異】発動。【呪詛】を込めた「炎」の「嵐」。復讐の炎の【属性攻撃】で奴等を焼き払う。
「オブリビオンは殺す。全て殺す」
デッドマンの悪霊にして戦場傭兵でもある久瀬・了介は、アサシンのバイオモンスターである暗黒面『空蝉のオンブレ』の群れと一進一退の戦いを繰り広げていた。
怨念を具現化し「怨念武器」に代えた大鉈を幾度ともなく振るうが、オンブレ達を纏っている青い炎は消えず、与えたはずのダメージも再生していく。
霊と刃を断つ者とも言われているオンブレ達は、元々幽霊との戦いを得意としている。
悪霊を本質とする、久瀬と相性は最悪とも言ってもいい。
それでも久瀬は不死身を誇るオンブレ達を相手に、一歩も退く事は無かった。
その代償に肉体のあちこちが、オンブレ達の奇襲によって破壊されていくが、その度に『怨念義体』で再生させ、『呪詛包帯』を巻き付けて、無理矢理補強する。
「くくく…いつまで耐えられるかな?」
「もはや満身創痍…そう長くはないだろうよ」
不屈の闘志で戦い続ける久瀬に対して、怪物の力を得て圧倒的優位にあるオンブレ達は、上機嫌で嘲笑するのであった。
「…誰かが近づいてくるか?いや…逃げて来るという方が正しいか?」
久瀬は『怨霊の目』による超感覚で、この戦場に近づいてくる存在をいち早く察知した。
「ここにも敵が!もう駄目だ!」
久瀬の存在に気付いていない小さな巨神は、逃げた先にもオンブレ達が居るのを目にして絶望の声を上げた。
そして小さな巨神の背後から、久瀬と戦っているのとは別のオンブレ達がしつこく迫いかけてくるのが見える。
「彼が…神獣の番人か?」
一見しただけでは逃げ回るだけの大柄の少年だが、久瀬の『怨霊の目』による超感覚は、小さな巨神の心の奥底に眠る勇気を感知していた。
それならばとるべき行動は一つである。
「お前もこいつらの敵だな。ならば知恵を貸せ。どうすればこいつらは死ぬ。手立てをくれ。俺が必ず実現する」
その言葉を聞いて、久瀬の存在にようやく気付いた小さな巨神は驚いて、久瀬の目を見た。
決して敵わず存在であったはずの敵を、次々と蹴散らしていく猟兵達と同じ目の輝きがそこにあった。
探していた猟兵に合流する事が出来て、小さな巨神の表情が明るくなる。
「わかった!とにかく、そいつらを燃やしてくれ!そうすれば怪物の力を暴走させる事が出来る!」
小さな巨神の言葉の意味を、久瀬は瞬時に理解した。
「そうか…感謝するぞ。約束は果たさせてもらう!」
久瀬はそう答えると小さな巨神を後方に下がらせてから、更に数を増やしたオンブレ達と対峙する。
「弱点を知られたとはいえ…これだけの数を相手に勝てると思っているのか!」
オンブレ達は数を頼りに、新たな分身を生み出して、一斉に久瀬と小さな巨神に飛び掛かった。
弱点を突かれる前に、先に始末しようと判断したのだ。
だが既に手遅れである事を、オンブレ達は気付いていなかった。
「もはやどれだけ数がいようと関係ない…纏めて焼き払うまでだ…何もかもな!」
久瀬は切り札である天変地異を発動させていたのだ。
呪詛を込めた炎の嵐が、センターオブジアースに吹き荒れ、オンブレ達を巻き込む。
「馬鹿な!あれだけ痛めつけたというのにまだ、これほどの力が!!」
「身体が焼かれていく!!」
「力が制御できぬ!」
これまで久瀬が受けた仕打ちへの復讐を晴らすが如く、全てを焼き尽くしていく。
広範囲に吹き荒れる炎の嵐に、オンブレ達は逃れられる筈もなく、頼みの綱も青い炎も制御できずに暴走し、そのまま嵐の中にへと消えていった。
「あれだけいた奴らがあっという間に…」
炎の嵐が収まった頃には、オンブレ達の姿は完全に消えており、小さな巨神も唖然とするのであった。
「あと残っているのは…」
久瀬は新たな敵を探そうと、その場を離れようとしたが、オンブレ達に受けたダメージは軽いものではなく、思わず膝を付いてしまう。
「その傷では無茶だ!後は仲間と僕に任せてくれ!」
猟兵達に触発され、小さな巨神も多少は勇気を持てるようになったようである。
「そうか…では、少し休ませてもらおう、時期に傷も再生出来る。それに…まだ大物も残っているのだろう?」
「ああ!あなた達なら、あいつも倒せるかもしれない!でも、今は任せてくれ!」
小さな巨神は久瀬にそう告げると、まだ戦っている猟兵の元にへと駆け出していった。
その背中は頼もしく久瀬には見えたのであった。
大成功
🔵🔵🔵
稷沈・リプス
自称:人間な男だが、今回はそんなの関係なし。
へぇ、神様殺害っすかー。許さない。
(自分以外の神様・民を殺された経験持ち)
秘密結社スナークの一員と名乗るっす。
「これは太陽神より借り受けた権能の一」
【ライオンライド】でライオン召喚、騎乗。
いくっすよ、ライオン。
しばらくは周りをかけつつ、有効打手探り状態。
弱点を教えられたら、ライオンの攻撃に炎属性つけるっす。
このライオン、太陽神からの借り物(で返せなくなった)っすから、元々炎は得意なんすよね。
なるほど、制御できてないところに追加されるとこうなるんっすね。
※ライオンはのんびり屋。
『リプスさま怖いー』
バイオモンスターのアサシンである、空蝉のオンブレと猟兵との戦いは尚も続いていた。
怪物の力による弱点を突かれたオンブレ達は、各地で敗走を続けているが、今この場で戦っている猟兵とオンブレ達は、その事にまだ気づいていない。
お互い様子見の状況が続いていたが、次の会話で状況が一変する。
「神獣の番人をも葬った我等に勝てると思ったか?」
「へぇ、神様殺害っすかー。許さないっすよ!」
オンブレ達と戦っているのは、のんべんだらりとした人間を自称する男、稷沈・リプスである。
だがその正体は『日食』『月食』…すなわち『蝕』司る神なのだ。
同じ神として、神殺害の話を聞いて、穏やかでいられるものではない。
「少しはやる気になったようだが、この実力差が埋まるわけではあるまい」
「これでも秘密結社スナークの一員っす。甘く見ないで欲しいっす」
「ほう…そうか…それならば我等も全力を出させてもらおうか!」
オンブレ達もまたスナークの名を聞いて、目の色を変えた。
いよいよ攻勢に出たオンブレ達に対し、リプスはここぞとばかりに切り札を使う事にする。
「これは太陽神より借り受けた権能の一。というわけで、いくっすよ、ライオン!」
リプスは自身の身長の倍の程の大きさのある、黄金のライオンを召喚して、その背中に騎乗する。
「しばらくは周りをかけつつ、有効打を見つけるすっよ!」
「リプスさま怖いー」
呼び出したライオンは、リプスと同じくのんびり屋で、やや臆病であった。
挑発したのはいいものの、このまま戦った所で、青い炎を纏ったオンブレ達に勝利出来ないという事実には変わりはない。
どうにかして打開策を見出さなければならないのだ。
「隙だらけだぞ!」
「怖いー!」
ライオンは慌てて、オンブレ達の奇襲を寸の所で回避した。
そして次の襲撃を避けるべく、リプスはライオンに指示して距離を取ろうとする。
「どうした?威勢がいいのは口だけか?」
だが影から影にへと移動するオンブレ達の執拗な追跡に、ライオンは足元をすくわれてしまった。
「まずは足を潰させてもらう!」
オンブレの鋼鉄の爪がライオンに振り下ろされようとした寸前で、オンブレの後ろから火球が飛来する。
「…ちっ!」
オンブレは慌てて、飛び退いて火球を避けた。
「ん?これはもしかして…」
それほど強力ではない火球であるにも関わらず、オンブレ達が必要以上に動揺している様子に、リプスにある仮説が浮かぶ。
「お~い!大丈夫か?」
小さな巨神がリプスの元にへと駆け付ける。
先程の火球も、彼が放ったのである。
これまで猟兵達の活躍を目の当たりにした事で、小さな巨神は勇気づけられ、積極的に猟兵達に支援するようになっていた。
「助かったすっよ。それより、あいつ等の弱点って…」
「ああ、あいつ等は燃やせばいいんだ!」
その言葉を聞いて、リプスの仮説が確信にへと変わった。
「それなら都合のいい相手っすね。やるっすよ!ライオン!」
「がお~!!」
リプスは魔力を注ぎ込み、ライオンを炎属性にへと変えた。
太陽神からの借り受けたライオンなので、元々炎が得意なのである。
「リプスさま、お任せください!」
炎の属性を宿した事でライオンの闘志にも火が付き、百獣の王に相応しい咆哮をあげ、広範囲に炎のブレスを吐いた。
そして自らも炎を纏って、オンブレ達に突撃する。
「僕も戦うぞ!」
小さな巨神を火球放って、リプス達を援護する。
形勢は逆転し、弱点を突かれたオンブレ達は青い炎を暴走させ、次々と倒れていく。
「なるほど、制御できてないところに追加されるとこうなるんっすね」
「ぐあああっ!?よくも…よくも!」
「我等だけでは!他の者等はどうしたのだ?」
オンブレ達は慌てて増援を呼ぼうとするが、一向に現れる気配が無かった。
「もう残っているのはお前等だけだ!」
小さな巨神の言葉で、自分達が置かれている状況に、オンブレ達はようやく気付いた。
「まさか力を得た我等が敗北するとは…」
「アズマ様、どうかお助けを!」
オンブレ達の恐怖と絶望がリプスにも伝わってくる。
「その前にスナークの一員としてもう一頑張りするっす!」
リプスはライオンに止めの一撃を指示した。
結局、オンブレ達の声はアズマには届く事無く、リプス達によって全滅させられるのであった。
「これで全部のようっすね…それじゃ、アズマの所に案内して欲しいっす!」
「わかった…とんでもない化け物だが、あなた達ならあるいは…」
それからリプスは、他の猟兵達と合流し、小さな巨神の案内で、『アズマ』がいるセンターオブジアースの中心にへと進む。
猟書家『アズマ』との戦いは、更に熾烈を極めるであろうと、誰もが予感するのであった。
成功
🔵🔵🔴
第2章 ボス戦
『『アズマ』』
|
POW : 決別拳
【拳】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD : 瞬断脚
【神速の蹴り】が命中した対象を切断する。
WIZ : 捨身投
【自身に近接攻撃】を向けた対象に、【投げ技によるカウンター】でダメージを与える。命中率が高い。
イラスト:箱ノ山かすむ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠ナイアルテ・ブーゾヴァ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「オンブレ達は敗北したか…」
センターオブジアースの中心で猟書家『アズマ』は何をするわけでもなく、ただそこに立っていた。
神獣の番人達が倒れた今、『不死の怪物』を守るものは存在しないにもかかわらずだ。
「来たか…殺していい相手のようだな」
どこか虚ろな表情をしていた『アズマ』だったが、猟兵達の接近に気付くと、静かに殺意をむき出しにする。
「あ、ああ…」
猟兵達を案内していた小さな巨神が、『アズマ』の冷たい殺気に当てられ、自身が凍り付くような錯覚を覚えた。
猟兵達の戦いぶりに、一度は勇気づけられた小さな巨神だが、『アズマ』を前に恐怖が再び蘇ったのである。
「さあ、始めるぞ!お前も!お前も!そこのお前も!全て俺が殺す!」
『アズマ』は猟兵達の一人一人を見据えて、空手の構えを取るのであった。
神を屠る獣との死闘の幕が開いたのである。
久瀬・了介
殺すだと?間違えるな。殺すのは俺だ。殺されるのは貴様だ。
「怨念武器」を刀と化し構える。
【雷電】発動。雷光の神速と、周囲の電磁場の感知による超感覚を得る。
電磁気の僅かな変化で攻撃の予兆を見抜き回避。
敵の隙を探り攻撃。
敵も達人。そう簡単に隙は見せないだろう。だが俺も復讐鬼ではあれど狂戦士ではない。
事前に巨神と話しておく。
俺の体が奴の視線からお前を隠した瞬間に、俺に炎を放て。奴は強敵。お前の力が必要だ。
お前は勇敢な神だ。恐れるな。
背後からの炎を電磁場感応で感知、身をそらしてアズマを襲わせる。
敵が炎を浴びた一瞬の隙に懸ける。肉体の【リミッターを解除】し【限界突破】させた【怪力】での斬撃を叩き込む。
センターオブジアースの中心地、『不死の怪物』を源泉に燃え盛る大地で新たな戦いの火蓋が切って落とされた。
「殺すだと?間違えるな。殺すのは俺だ。殺されるのは貴様だ!」
久瀬・了介は闘志を剥き出しにして、湧き上がる怨念を刀にへと変化させ、隙の無い構えを取る。
「………」
猟書家『アズマ』もまた、無言で殺気を纏わせて、空手の構えを取った。
久瀬の倍以上はある巨神を倒した『アズマ』であったが、久瀬を相手に油断する様子はまるで感じられない。
単純に見れば武器を手にしている久瀬が有利ではあるが、空手の達人である『アズマ』相手では、そのようなハンデなど無いに等しい。
それを証明するかのように、先に動いたのは『アズマ』の方であった。
刀を恐れる事なく一歩踏み出したかと思えば、瞬時に久瀬の懐に入り込み必殺の拳を叩きこもうとする。
決別拳ー命中すればその名の通り、受けた相手はこの世から決別する事になるであろう必殺の一撃である。
「…遅い!」
久瀬は心身に雷光を走らせ、超感覚で『アズマ』の動きを予想し、神速で決別拳を回避した。
反撃に移ろうとした久瀬であったが、『アズマ』もまた久瀬の動きを予測していたかのように、すぐさま構え直した。
「敵も達人。そう簡単に隙は見せないか…」
カウンターを警戒した久瀬は、後退して『アズマ』から距離を取る。
復讐鬼ではあれど狂戦士ではない、久瀬の冷静な判断である。
だが『アズマ』の方は時間を与えるつもりなどなく、再び久瀬の間合いに入り込み、神速の蹴りを繰り出した。
まともに受ければ瞬時に両断されかれない程の鋭い蹴りを、久瀬は寸の所で回避する。
必殺の一撃を二度も回避された『アズマ』であったが、表情一つ変えずに一撃また一撃と、怒涛の攻めを繰り返す。
防御など無意味に等しく、久瀬は『アズマ』の攻撃に対して、回避に専念する事を余儀なくされた。
「…皆の仇だ!勇気を出すんだ!!」
両者の攻防を後ろで見ていた小さな巨神が、恐怖に心を支配されそうになりながらも、自身を奮い立たせていた。
「俺の体が奴の視線からお前を隠した瞬間に、俺に炎を放て。奴は強敵。お前の力が必要だ。お前は勇敢な神だ。恐れるな」
久瀬から事前にそう言われていた小さな巨神であったが、両者の動きを目で追うのが精一杯で、炎を放つタイミングを測りかねていた。
小さな巨神が迷っている間にも、戦いは続いている。
今の所は『アズマ』の連撃を回避し続けている久瀬だが、戦いが長引けばどうなるかは火を見るより明らかである。
「目で追っていたら駄目だ…自分の感覚を信じて、やるしかない!」
小さな巨神は覚悟を決めて一か八かの賭けに出た。
「……今だ!」
自分の視線が久瀬の背中で覆われたタイミングで、小さな巨神は全力で炎を放った。
放たれた炎は真っ直ぐに、久瀬の背中にへと向かう。
「絶好のタイミングだな」
背後から強力な炎が迫るのを、電磁場感応で感知した久瀬は、振り返る事なく身をそらすだけで避けてみせた。
「…む!」
久瀬との戦いに神経を集中させていた『アズマ』の反応が僅かに遅れ、飛んできた炎を避ける事が出来なかった。
小さな炎は激しく燃え上がり、『アズマ』の全身を燃やす。
「…斬る!」
ようやく訪れた反撃の好機に、久瀬は全神経を集中させて、燃え盛る『アズマ』を刀で斬りつけた。
「ぐ…っ!?」
久瀬の斬撃を、炎に苦しめられている『アズマ』は避ける事は出来なかった。
常識の限界を超えた久瀬の鋭い斬撃は『アズマ』の鋼の肉体を斬り裂き、血しぶきがあがった。
確かな手ごたえはあった…だが『アズマ』の致命傷には至らなかった。
「やるな…見事な一撃だった!」
深手を負った『アズマ』は飛び退いて後退する。
攻め一辺倒であった『アズマ』のこれまでにない行動である。
「だが…殺すのは俺の方だ!」
『アズマ』が一喝すると、全身を蝕んでいた炎が消え、刀で斬られた傷口も塞がっていく。
だが受けた肉体へのダメージまでは消えず、『アズマ』がすぐに動く様子はない。
その隙に久瀬は呼吸を整える。
「戦いはまだこれからという事か…気を抜くなよ!」
久瀬は刀を構え直して、背後の小さな巨神にも呼びかける。
「わ、わかった!」
小さな巨神も恐怖を振り払って、掌に炎を集めるのであった。
死闘が再び始まるのは、それから僅かその数秒後の事であった。
大成功
🔵🔵🔵
ティファーナ・テイル
SPDで判定を
*アドリブ歓迎
「勇気と正義で“悪”に勝つぞ!」とlp節を向ける!
『ガディスプリンセス・レディース』で従属神群を召喚して『ゴッド・クリエイション』で“拳を極めし者”を創造して闘争して貰い『ガディス・ブースト・マキシマム』でSPDを強化して『スカイステッパー』で縦横無尽に動き回り『セクシィアップ・ガディスプリンセス』で♥ビーム攻撃をして、敵の攻撃を『神代世界の天空神』で空間飛翔して避けて敵のUCを『天空神ノ威光・黄昏』で封印/弱体化を仕掛けます。
『ジェットストリーム・ラヴハート』で更にSPDを強化して『ガディスプリンセス・グラップルストライカー』で髪の毛/蛇脚尾/拳で攻撃を仕掛けます
稷沈・リプス
…ある意味、真の姿でなければ失礼にあたるっすね。
【夜の舟】呼び出してっと。
(真の姿解放)
秩序大好きな元の持ち主でも、汝にこれを使うのは許すであろうよ。汝は神の敵ゆえに。
舟には焼却+太陽属性攻撃の援護一斉射撃を。
我は不幸+麻痺の呪詛の吐息をかけようぞ。
その身、焼けよ。焼けたところに締め付けられるのなら締め付けたいが、無理にはせぬ。
小さな巨神よ。まだ火球は飛ばせるか?
むろん、無理は言わない。疲れていたりするのなら、素直に休んでもいい。
ただ、飛ばせるのならば、舟からの攻撃に合わせ、援護するように飛ばしてほしい。
…仇を討つのは、今しかない。
「殺す、お前も殺す……!」
猟書家『アズマ』の強烈な殺気は、容赦なく猟兵達に向け続けられる。
例え相手が幼い少女神であってもだ。
「怖くなんかないよ。勇気と正義で“悪”に勝つぞ!」
刺すような殺気を向けられても、ティファーナ・テイル(ケトゥアルコワトゥル神のスカイダンサー・f24123)は、臆する事無く明るく振る舞い、勝利を誓うのであった。
「出てきて従属神群!今こそ力を見せる刻だよ!」
ティファーナは先の戦いと同様、UC『ガディスプリンセス・レディース』で従属神群を召喚する。
「今回はこれだけじゃないぞ!」
そして更に対『アズマ』用にUC『ゴッド・クリエイション』で、従属神群を闘神“拳を極めし者”にへと創造する。
「闘神の本気と勇姿を見せるよ!」
ティファーナは号令をかけると同時に、UC『ガディス・ブースト・マキシマム』で、極限までにスピードを強化して、『アズマ』に突撃させた。
『アズマ』と格闘戦に特化した従属神群との殴り合いが開始される。
「…ある意味、真の姿でなければ失礼にあたるっすね」
稷沈・リプス(明を食らう者・f27495)は、真の姿を解放する。
『蝕』司る神と化したリプスの姿は、禍々しくも神としての威厳を漂わせており、
のんべんだらりとしていた人の姿の時とは、まるで別の存在であった。
本来の力を得たリプスは、神界の門を開き、陸海空で動ける大型木造船を召喚する。
『夜の舟』と名付けられた大型の木造船には、弓と剣と魔法杖で武装した頭部が動物になっている人間の幽霊が乗船しており、リプスの命令を待っていた。
「汝にこれを使うのは許すであろうよ。汝は神の敵ゆえに」
本来は秩序を重んじる神の所有物であるが、リプスが決戦の為に拝借してきたのである。
「…邪魔する者は全て壊す!」
神の力で多彩な強化が施された従属神群と、軍団を乗せた『夜の舟』が迫る中、『アズマ』は動揺を見せる事なく、ただ拳を構えて迎え撃つ。
従属神群との格闘戦は『アズマ』が優勢であった。
「神々の絢爛豪華な全てを見せてあげる!」
接近戦では不利と判断したティファーナは、豪華絢爛な扇情的で魅惑的な容貌に変身して、『アズマ』に向けてビームを発射する。
「一斉射撃用意!」
リプスも号令をかけて、『夜の舟』に太陽属性が込められた砲撃を発射させる。
一人の空手家相手には、あまりにも過剰過ぎる火力に思えた。
だがビームを受け、砲弾の雨に晒されながらも、『アズマ』は何事も無かったかのように、姿勢を崩す事なく立っていた。
そして『アズマ』は突撃してきた従属神群の一体を掴み上げて、『夜の舟』に向かって、力任せにぶん投げた。
投げつけられた従属神群は、『夜の舟』からの砲撃に巻き込まれ爆散する。
同じ要領で『アズマ』は、向かって来る従属神群と『夜の舟』の軍団を、投げ技によるカウンターで、次々と迎撃していった。
「たしかお前の物だったな…返すぞ」
『アズマ』は従属神群の一体を今度は、ティファーナに向けてぶん投げる。
「わわっ! さすが猟書家だけあって手強いね…」
ティファーナは飛んできた従属神群を、空中を蹴るようにして軽やかに飛翔して避ける。
投げ飛ばされた従属神群は、そのままセンターオブジアースの火口にへと落下していった。
「天空神の庇護と加護と祝福の威光に黄昏る」
ティファーナは空中から『アズマ』に向けて、『天空神ノ威光・黄昏』を放った。
神の光が激しく戦場を照らし出す。
「……む」
光りに照らされた『アズマ』の動きが急に鈍り出した。
ティファーナの光が『アズマ』の、力の根源を一時的に弱めたのである。
「勇気! 正義! 神愛! 神様パワーを爆発だ!」
ここぞとばかりにティファーナは、自身をスピードに特化した形態にへと強化して、全力で『アズマ』に突撃した。
無敵を誇っていた『アズマ』が、ティファーナの拳を受け、初めて態勢を崩した。
「小さな巨神よ。まだ火球は飛ばせるか? むろん、無理は言わない。疲れていたりするのなら、素直に休んでもいい。ただ、飛ばせるのならば、舟からの攻撃に合わせ、援護するように飛ばしてほしい。…仇を討つのは、今しかない」
リプスも好機とばかりにティファーナに続こうとするが、その前に小さな巨神に声をかける。
「……僕だって、やれるさ!」
リプスの言葉に力強く頷いた小さな巨神は、これまでの中でも最大の火力を込めた火球を『アズマ』に向けて発射する。
「我等を本気にさせた事が、汝の最大の不幸である」
小さな巨神の火球に合わせて、リプスは様々な呪詛が込められた灼熱の吐息を放射した。
「ぐ……殺す…必ず殺す!」
ティファーナの蛇脚の一撃に吹き飛ばされたところを、火球と吐息にその身を焼かれ、『アズマ』は苦痛と怒りの雄たけびをあげ、ついに膝をつくのであった。
「…これなら行ける!」
圧倒的な強さを誇っていた『アズマ』を追い込んでいる事に、小さな巨神の目に希望が宿る。
「油断するな。猟書家がこの程度で終わる筈もない」
リプスが警告の言葉を発する。
その言葉は現実のものとなり、ティファーナの封印を解除した、『アズマ』は立ち上がり、空手の構えを取った。
「さあ、畳みかけるよ。 神様の力、見せてあげる!」
それでも流れは自分達に向いていると確信するティファーナは、生き残っている従属神群と共に『アズマ』に再び挑む。
「無論だ、神を敵にした事、後悔させてやろうぞ」
リプスもまた『夜の舟』の乗組員に指示を出して、砲撃を再開させる。
それからも人知を超えた神々の大戦が、延々と繰り広げられるのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ミスツ・シューパリツェ
本当に獣みたいな野郎だな
全部殺しつくして何がしたいんだか
気持ちがわかると言わねぇ
この世界の住人としては迷惑なだけだ、消えな
体勢を崩すとヤバい技なら、キャバリアよりかそのままが良いか
触手《撃式》での重火器◆一斉発射
移動しつつ触手で大地に体を固定し体勢を崩さないよう
接近戦を避けて射撃し続ける
ジリ貧で体勢を崩され、致命的な箇所、バイオモンスターの俺なら場所は頭部か心臓
ならそこに拳が来る直前、『跳ね兎』を取り込んだ触手で反射膜を張り、減衰させた拳の力を触手で補食
『今だ!炎で体勢を崩せ!』
防御の隙に神のガキの援護で敵の体勢を崩したら
UCで取り込んだ技を拳に変化した触手《殴式》で致命的箇所に叩き込む
猟兵達と猟書家の戦いは、どれほど時間が経ったのか認識できない程、長く続いていた。
熾烈な戦いに誰もが傷つき、疲弊していた。
猟書家『アズマ』とて、その例外ではない。
「殺す…全て殺す…」
それでも『アズマ』の殺意は弱まる事なく、猟兵達と小さな巨神から受けたダメージをものともしていない。
「本当に獣みたいな野郎だな…全部殺しつくして何がしたいんだか…」
既に何度も『アズマ』と交戦している、ミスツ・シューパリツェは肩で息をしながら、『アズマ』の隙を伺っていた。
暴力組織の幹部として活動していた頃も、これほどの殺意を剥き出しにした男が果たしていたかどうか…
「気持ちがわかると言わねぇ。この世界の住人としては迷惑なだけだ、消えな」
このままではジリ貧だと判断したミスツは、闘志を剥き出しにして、一か八か単身で『アズマ』に挑みかかった。
今この場で最も動けるのは、自分である事を自覚しての行動である。
触手を《撃式》の方にへと変形させて、生み出した大量の弾丸を重火器の如く、一斉発射する。
「……ふん!」
『アズマ』は砲弾の雨をその身に浴びながらも、神速の踏み込みで、ミスツとの距離を一気に詰める。
そしてミスツの腕を掴み、投げ技によるカウンターを仕掛けた。
「ぐあああああ!」
『アズマ』の投げ技によって。ミスツは地面に激しく叩きつけられ、全身が引き裂かれるような激痛に襲われる。
無慈悲にも『アズマ』は、ミスツの頭部を目がけて拳を振り下ろそうとする。
「…おっとその手は食わないぜ」
激痛を堪えながらミスツは、懸命にバイオモンスターとしての特性を活かして、新たな触手を生み出した。
そして脳天に拳が直撃する寸前で、『跳ね兎』を取り込んだ触手で反射膜を張って減衰させた、『アズマ』の拳の力を触手で補食するのであった。
ようやく待っていた瞬間が訪れたのである。
「今だ!炎で体勢を崩せ!」
ミスツは小さな巨神に向かって、力の限り叫んだ。
その声に応え、すぐさま火球が飛来し、『アズマ』にぶつかり爆発した。
「く……!」
隙を突かれた事とこれまでのダメージの蓄積によって、『アズマ』体制はぐらりと揺らいだ。
圧倒的だった『アズマ』の力が確実に弱まってきているのを、ミスツは確信する。
「防御膜展開!勢い弱まった力、そのまま喰らってまるごと頂くぜ!」
ミスツは『アズマ』の神を屠る力を触手から吸収し、自らの力にへと変える。
「こいつはお前にやられた巨神達の分だ…受け取りな!」
ミスツはこれまでに散々苦しめられてきた『アズマ』の拳、そのままの破壊力で何度も『アズマ』に叩きつけた。
触手に動きを封じられた『アズマ』に、回避も反撃もする術は無い。
凄まじい衝撃がセンターオブジアースを何度も揺らす。
「そしてここからは俺の分だぜ!」
『アズマ』は抵抗も出来ず、ミスツの連打を無言で受け続ける。
ミスツの一発一発が、『アズマ』の命を確実に削りとっている手ごたえは確実にあった。
ミスツはそれからも体力の限界を迎えるまで、『アズマ』を殴打し続けた。
…………
「ぜぇ…ぜぇ…ようやく勝負がついたぜ」
ミスツが力尽きてその場にへたれ込んだ頃には、周囲は殴打の際に生じた衝撃によって大きく陥没していた。
その常軌を逸した破壊力を全身に受けた『アズマ』も、また致命的箇所全てが大きく陥没している。
もはや生きていられる筈もなかった。
「………殺す!」
「マジかよ!」
だがそれでも『アズマ』はミスツを押しのけて立ち上がった。
これにはミスツも驚愕する。
「…こうなったら肉片一つ残さないつもりでやってやるぜ」
体力の限界を迎えているミスツだが、それでも気力を振り絞って何とか立ち上がる。
そして『アズマ』の反撃をミスツは覚悟したが、いつまで経ってもその時は来なかった。
「……立ったまま死んでるのか?」
ミスツの言葉通り、『アズマ』は空手の構えを取ったまま絶命していた。
猟書家あるいは空手家としての、執念が最期に『アズマ』を立ち上がらせたのである。
今にも襲ってきそうな『アズマ』の姿に、ミスツに悪寒が走る。
ミスツは気が抜けて、再びその場にへたれ込んだ。
「ったく、恐ろしい相手だったぜ」
近づいて改めて確認する気にもなれず、もう動くなよと、ミスツは心の底から願うのであった。
「…お、終わったのか?」
小さな巨神が恐る恐る『アズマ』の様子を伺いながら、ミスツの元へと歩み寄る。
「ああ…何とかな。これでお前の仲間の仇はとったぜ」
小さな巨神に支えられながら、ミスツは共に戦っていた猟兵達の元へとゆっくり向かう。
「はい…これで皆もきっと浮かばれるはずだ…感謝する…」
そう答える小さな巨神の肩は震えていた。
今になって仲間を失った悲しみに襲われているのだろう。
「これからはお前の力でここを守るんだぜ…いざとなったら、また助けてやるよ」
ミスツの言葉に小さな巨神はただ頷くのであった。
それからしばらくして、溢れ出した不死の怪物の力が、『アズマ』の死骸を飲み込み、戦闘で傷ついた大地を修復して、番人である巨神と猟書家の墓標を築き上げるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
最終結果:成功
完成日:2020年11月18日
宿敵
『『アズマ』』
を撃破!
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