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曇天に 血風吹いて 紅葉山

#サムライエンパイア #猟書家の侵攻 #猟書家 #真田神十郎 #剣豪 #上杉謙信 #魔軍転生 #七転十五起 #純戦闘シナリオ #マイ宿敵

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 サムライエンパイア、伊賀国。
 この季節はすっかり紅葉が見頃となり、山々が赤く色付いている。
 曇天模様の空の下、その山奥の小さな寺に住む、老いた僧侶の男がいた。
 実は、この僧侶の男、少し前までは高名な剣豪として名を馳せていた。
 だが、猟兵達がオブリビオン・フォーミュラ『織田信長』を討ち取ってから、全国的に大きな戦乱は滅多に起こらなくなった。
 男は戦のない平和な世の中で剣を振るう事は無意味だと悟り、それ以来、頭を丸めて仏門に入った。そして巡礼の旅を続けてゆく中で、ここを終の住処とする決意を固めたのだ。
 だが、老いた僧侶は、今もなお、剣を手放すことが出来ずにいた。
「わしは……一体、何がしたいのじゃろうか……?」
 仏の道で修行する身にとって、生物を殺める刃物は似つかわしい。
 本来ならば刀を手放し、観賞用に床の間にでも飾っておけばいいのだ。
 頭で理解しているのにも関わらず、僧侶は今日も真剣での素振りを欠かさない。
「身体が、刀を欲してしまっているのじゃな……。わしは地獄行きやもしれぬ」
 思わず自嘲が零れ出る。
 と、その時だった。
「いっそ、此世に地獄を作っては如何か? さすれば貴殿の鬱屈も晴れましょう」
「……珍しい客人じゃな?」
 不意に掛けられた言葉に、僧侶はゆっくりと振り向いた。
 背後にいたのは、燃えるような赤が目に眩しい西洋鎧を着込んだ武将であった。
 武将は、僧侶を見定めるかのような目付きで、じっと仁王立ちしている。
「南蛮の鎧とはいえ赤備え……。おぬし、井伊の者か?」
「笑止ですな。徳川の赤備えなど贋物の極み。真の赤備えといえば、当然、『日の本一の兵(ひのもといちのつわもの)』と名高い真田でございましょう」
 赤備えの男が十字槍を掲げると、周囲から黒曜と金の板金鎧を着た武者たちが飛び出してきた! 既に僧侶を包囲していたのだ!
 これに僧侶は不敵に、くぐもった声で笑う。
「くくく……っ! 真田の亡霊め、本気でわしに人斬りをさせたいようじゃな?」
 僧侶は抜身の刀を正眼に構え、目の前の男を睨み付けた。
「わしはこの寺の住職、岩玄(がんげん)和尚じゃ。おぬし、何者ぞ?」
 赤備えの男は、溢れんばかりの殺気を放ちながら、十字槍と妖刀村正の刃を両手に持ったまま答えた。
「我は猟書家、真田神十郎なり。その命、我が主君『クルセイダー』の天下布武のため、頂戴仕る!」

 グリモアベース。
 グリモア猟兵の蛇塚・レモン(蛇神憑きの金色巫女・f05152)は『災厄追跡者(オウガチェイサー)』のひとりだ。彼女がマークしていた猟書家に動きが見られたため、すぐさま猟兵たちを招集した次第だ。
「猟書家『真田神十郎』は、配下のオブリビオン軍団とともに“剣豪殺し”を行って、更に強いオブリビオンの配下を生み出そうとしているよっ! これから元・剣豪の岩玄和尚さんが襲われているところへみんなを転送するから、絶対に守ってあげてっ!」
 つまり、今回の任務は『猟書家から護衛対象を守り抜き、敵を返り討ちにする』こと。
 しかし、注意点があるとレモンは言う。
「和尚さんを襲っている配下たちには、超・魔軍転生っていう秘術で『上杉謙信』が憑装されているよっ!」
 あの魔軍将の上杉謙信だと!?
 エンパイアウォーで猟兵たちを関ヶ原で足止めしたあの軍神と、再び戦うのか。
「そもそも超・魔軍転生っていうのが、魔軍将を配下全員に憑装させられる秘術らしくって、つまり、敵の集団全員が上杉謙信だと思って構わないよっ! だから油断すると、地形や策略で戦況をひっくり返されちゃうから、本当に気をつけてほしいなっ!」
 更に、油断できないのが真田神十郎だという。
「なんていうか、シンプルに強いっ! ただ、憑装は出来ないみたいだから、あとは真っ向勝負になりそうな予感っ!」
 ユーベルコードは予知では判別できなかったが、生半可な覚悟で挑むのは厳禁だ。
「最初から最後まで激しい戦闘が続くけど、猟書家の進行を少しでも食い止めるためにも、みんなの力を貸してねっ!」
 レモンの頭上のグリモアが輝き、サムライエンパイアへ猟兵たちを誘う……!


七転 十五起
 猟書家の侵略が始まりました。
 今回はサムライエンパイアからお届けします。
『災厄追跡者(オウガチェイサー)』の、なぎてんはねおきです。

●プレイングボーナス(全章共通)。
 剣豪を守る(本人もそれなりに戦うことはできます)。

●概要
 このシナリオは二章構成(集団戦+ボス戦)です。

 集団戦のオブリビオンには、魔軍将『上杉謙信』がそれぞれに憑装されています。
 イメージは集団戦の敵の背後に『上杉謙信』が背後霊のように出現します。
 単純な武力の強化もさることながら、知略も富み、無策でかかればあっという間に不利な地形に追い込まれて袋叩きにされてしまいます。
 なんらかの対抗手段を考えなければ、雑魚の群れといえど厳しいでしょう。
 ちなみに、本シナリオの舞台は『紅葉鮮やかな里山』です。

 ボス戦は猟書家『真田神十郎』との直接対決です。
 剣豪を守りながら、猟書家を撃退しましょう。

 なお、元剣豪の岩玄和尚も、猟兵には及びませんが、かなりの腕前があります。
 猟兵たちと力を合わせてオブリビオンに対抗することも、一応可能です。

 それでは、皆様の熱い闘争のプレイングをお待ちしております!
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第1章 集団戦 『切支丹武者』

POW   :    騎馬突撃
自身の身長の2倍の【軍馬】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
SPD   :    後方支援
【切支丹女武者】の霊を召喚する。これは【鉄砲による援護射撃】や【一斉掃射】で攻撃する能力を持つ。
WIZ   :    主の裁き
【ハルバード】を向けた対象に、【天からの雷】でダメージを与える。命中率が高い。

イラスト:森乃ゴリラ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

御堂・威風
集団で襲い掛かるとは痴れ者め!
助太刀致そう!

相手の攻撃を【見切り】多少の攻撃を受けようとも懐に飛び込む事を優先しよう
恐れを知らぬ【捨身の一撃】が勝利をもたらす事を疑わぬ!
我が剣の道に後退の二文字はない、UCで正面から突貫あるのみ!



 真っ赤に燃えるような紅葉の林を、軍馬に乗った漆黒の板金鎧の切支丹武者達が蹄(ひづめ)の音を轟かせる。
 その前方には、息を切らしながら全力で駆け出す僧侶――元剣豪の岩玄和尚の姿。
「お、大通りに出て、奉行所へ助けを求めねば……!」
 いくら元剣豪といえど、完全武装の騎馬隊には分が悪すぎる。
 故に助けを求めるべく、山を降りてゆく岩玄和尚。
 だが、大通りに出てしまえば騎馬隊の独擅場だ。
 一気に岩玄和尚との距離を詰め始めてゆくオブリビオン達。
 それらの背中には、あの軍神『上杉謙信』が背後霊のように浮かんでいるではないか。
『逃げるだけか、岩玄和尚。私も仏門に入った身だが、戦のためなら刀を振るうことに迷いはなかった。貴殿も刀を振るえば、見えてくるものがあるだろう』
 先頭を征く切支丹武者の体を介して謙信が語りかけてくる。
『さあ、昔のように血風を吹かせてみせよ』
 これに岩玄和尚は頑なに拒否。
「戯言を申すでないぞ、亡霊が。わしは不用意に人を斬るのはやめたのじゃよ」
 その言葉通り、岩玄和尚はオブリビオン相手にも最小限の攻撃しか行っておらず、命までは奪っていない。
 謙信は言葉に失望の色をにじませる。
『綺麗事を抜かすな。これは戦。刀を振るわねば、一方的に屠られるだけだ』
 岩玄和尚へにじり寄る騎馬隊。
 今にも大群が殺到してきそうな気配に、岩玄和尚は自分の最期を悟る。
 だが、その時、岩玄和尚の目の前に光の球が出現すると、中から御堂・威風(不撓不屈・f29392)……猟兵が転送されてきた。
 御堂は瞬時に状況を把握すると、騎馬隊へ向けてキッと睨み付けた。
「集団で襲い掛かるとは痴れ者め! 和尚殿、助太刀致そう!」
 鵺斬り一文字を鞘から抜き、上段で構えて岩玄和尚の前に立ちはだかる。
「私は御堂・威風! 武心禊流剣術の使い手だ! いざ、尋常に勝負!」
『猟兵か……。1年ぶりの対峙だが、さて、その実力は如何に?』
 馬上の切支丹武者達が身構える。
 御堂は刃を翻すと、果敢に馬群へと飛び込んでいった。
「恐れを知らぬ捨身の一撃こそが、勝利をもたらす事を疑わぬ!」
『なんと、突っ込んでくるか!』
 意表を突かれた切支丹武者達が、幾重にも振られる剣戟……ユーベルコード『千撃一刀』にて次々と落馬してゆく。
 この隙に岩玄和尚は逃走、山を降りるべく駆け出していった。
「我が剣の道に後退の二文字はない、正面から突貫あるのみ! 乾坤一擲!」
 そのまま前へ前へと刀を振り、騎馬隊を切り捨てまくる。
 しかし、この戦いぶりを軍神は冷静に分析していた。
『……皆の者、敵をあちらへ追い込むぞ』
 騎馬隊は断続的に突撃を繰り返しはじめた。
 これを回避する御堂。
 しかし、騎馬隊は突如、御堂を無視して走り去ってゆく。
『貴殿にばかり構ってはいられぬ。さらばだ』
「待て! 和尚殿の元へは向かわせぬぞ!」
 御堂はそれを追い掛けて里山を駆け抜けてゆく。
 軍馬の群れを追い掛け、林を抜け、行き着いた先は……。
「……って、ここは!?」
 いつの間にか、切り立った崖の近くまで追い掛けていた。
 崖の下は渓流で、水の勢いが激しい。
「よもやこれは……?」
『ようやく気が付いたか、猪武者め』
 謙信の嘲笑が、渓流のせせらぎの混じって聞こえてきた。
 それを合図に御堂を取り囲む騎馬隊。
 御堂の三方を敵が押し寄せれば、やむなく彼女は後退を迫られる。
 だが、その後ろは、切り立った崖だ!
『今はこのような姿だが、私は軍神と謳われた存在。何の策もなく、愚直に前しか進まぬ剣などに遅れは取らぬ。それに自分の力を過信しすぎだ。彼我の差を弁えよ』
「ぐ……っ!」
 窮地に立たされた御堂は、なおも正面からの突破を考える。
 だが、騎馬隊の隊列は厚い上に、完全に包囲されてしまっている。
 ここままでは正面突破を試みる最中に、背後から狙われて討ち取られかねない。
 グリモア猟兵も忠言していた。
 油断すると、地形や策略で戦況をひっくり返されてしまう、と……!
 せめて、敵との実力差を加味して和尚の護衛に徹すれば、まだ勝機の目が見えたはずであった。
『さあ、その首、貰い受けよう』
「う、うわああああああっ!」
 一気に駆け込んでくる騎馬隊に、御堂は絶叫!
「前進だ! 私は、前進あるのみだああぁーッ!」
 御堂は意を決し、崖へと走り出し、そのまま跳躍!
 その行動に、謙信は部隊の足を止めて踵を返した。
『……もうよい。岩玄和尚を追うぞ』
 幾多の蹄の地鳴とともに、ざばんっと盛大な水音が里山に響いたのだった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

オーガスト・メルト
船頭多くして船山に上るって言葉を知ってるか?
いかに名将といえど、数が多ければいいってもんじゃないだろ

【POW】連携・アドリブ歓迎
とは言え単純な戦力だけでも厄介なのは事実。となると…
蜘蛛竜【グローム】を、和尚に付けて護衛をさせよう
デイズ、ナイツ、【竜鱗飛甲】を召喚。操作は任せる『うきゅ!』『うにゃ!』
俺は【焔迅刀】を構え、徒歩で戦う
敵集団の動きを【見切り】つつ、竜鱗飛甲の【盾受け】と【戦闘知識】で【地形の利用】をして不利にならないように立ち回る
こちらの守りを抜けて和尚に向かう敵はグロームにUC【糸砦】を発動させて防ぐ

そちらが数なら、こちらも数で補うさ
俺たち四竜の壁を抜けられると思うなよ


日月・獏ノ進
毘沙門天が魔王に下ったら更に斜め上の方向に行きましたか。
信心も何もあったもんじゃないですねー。

まず和尚を助けますかと【日月専用突撃銃】と【改造消火器】をぶっ放して【吹き飛ばし】と【二回攻撃】で突撃の邪魔をしますか。

そこから【呪の活用の計】を使用し会話。
結局、剣術が好きなんでしょうよ。
宗派は違うかもですが剣禅一如と言いますし、
至られば悟れるんじゃないですかね?本当に、本当に
迷いが晴れたのなら悟る為、生きる為に戦いますか?

誘惑出来る全盛期…どんな姿になるか面白そうですね。後は【空中浮遊】と【空中戦】で上から攻め、和尚には下から攻めて貰って立体連携と行きますか。馬の上から上下同時に攻めれませんしね。



 里山の中に、軍馬の蹄の音が鳴り響く。
 軍神『上杉謙信』を背中に憑装させた切支丹武者達が、逃げる岩玄和尚を追い詰めてゆく。
「くぅ……! やはり斬らねばならぬか!」
 頑なに人斬りを敬遠する岩玄和尚。
 だがこれ以上は逃げ切れないと判断し、踵を返して太刀を構えた。
「わしを討てるものならば、やってみせよ……!」
 軍馬の群れの突撃が、岩玄和尚を飲み込もうとしたその時だった。
 乾いた発砲音が立て続けに3連続で響く。
 3点バースト!
 戦闘の騎馬兵が被弾して前へつんのめって転倒すると、後続の騎馬兵が衝突して将棋倒れになってしまった。
「さて、まずは和尚を助けますか」
 木立から飛び出してきたのは、黒服を着込んだドラゴニアンの日月・獏ノ進(陽気な奇策士・f00422)だ!
 その手には、サムライエンパイアには似つかわしい代物が握られていた。
 真っ赤な金属の容器の、魔改造された消化器だ!
「はい、失礼しますね?」
 高圧洗浄機並の噴射力で、中身の消火剤が噴射されてゆくと、辺りは一面真っ白な煙幕に包み込まれてしまう。
 この隙に日月は和尚の手を引っ張って駆け出していった。
「今のうちに距離を稼ぎましょう。なんて言ったって相手は軍神上杉ですからね?」
 和尚は今まで起こったことが現実だと受け入れるのに時間が書かているようで、肩で息をするばかりで言葉を発しなかった。
 そこへ、別方向の草むらから飛び出してきたオーガスト・メルト(竜喰らいの末裔・f03147)と合流を果たす。
「白い煙が上がってたから何かと思えば、そうか、消化器という手があったか」
 オーガストは煙の向こうで悶え苦しむ上杉謙信へ、軽口を叩いてみせる。
「煙に燻されてるところ悪いんだが、謙信、船頭多くして船山に上るって言葉を知ってるか?」
『藪から棒に、何を……? ゲホッゲホッ!』
 煙にむせる謙信に対して、オーガストは言葉でマウントを取ってゆく。
「いかに名将といえど、数が多ければいいってもんじゃないだろ。自分がたくさんいる気持ちってどんな感じだ?」
『愚問なり。私は今や“全にして一”である。そして逆もまた然り』
「此奴め……あの武者達全員が自分の1つの自我だと言いたいようじゃな?」
 岩玄和尚の回答に、謙信の声色が明るくなった。
『さすがは元剣豪。いや、仏道に入ったからこその着眼か?』
 煙幕が徐々に晴れてきた。
 両者が仕掛けるのは、煙が晴れた瞬間だ。
 そこへ至る前に、オーガストは反撃の手立てを必死に逡巡していた。
(単純な戦力だけでも厄介なのは事実。となると……)
 オーガストは竜の異物を加工した武具を使いこなす騎士だ。
 故に、彼の道具は竜気を宿す。
「よし、八色鋼糸の蜘蛛竜【グローム】、和尚の護衛を任せた」
 和尚の肩に手乗りサイズの奇妙な色合いの蜘蛛を乗せるオーガスト。
 更にドラゴンランス【デイズ】に竜核二輪乗騎【ナイツ】、そして竜鱗飛甲【竜王眷属・七華/竜帝眷属・七晶】を呼び出す。
「和尚、このナイツに跨ってくれ。途中まで逃げる手助けをしてやろう」
「なんじゃ、この珍妙な乗り物は……?」
 岩玄和尚が恐る恐る乗り込むと、【デイズ】と【ナイツ】が安心させようと鳴き声を上げた。
「うきゅ!」
「うにゃ!」
「なんじゃ!? 生きておるのか!」
「まぁ、生きてるな。それじゃ、運転の操縦は【ナイツ】に任せたからな?」
「うにゃ!」
「いやいや、ちょっと待って下さいな?」
 と、ここで日月が制止する。
 彼には考えがあった。
「和尚、ちょっと話、いいですか?」
「こんなときに何言ってるんだ?」
 オーガストは訝しむが、日月は悪びれた様子もなく、岩玄和尚へ語りかける。
「結局、和尚は剣術が好きなんでしょうよ。宗派は違うかもですが剣禅一如と言いますし、至られば悟れるんじゃないですかね?」
「そ……そうじゃろうか?」
 不安そうに言葉を返す岩玄和尚に、日月はにっこり微笑んだ。
「いやいや。本当に、本当ですよ。剣を振るう事自体は悪くないのですから。要は剣をどう使うかが問題でしょう?」
 その意見に、岩玄和尚はハッと目を丸くした。
「そうじゃ……! 剣をどう振るかが重要……!」
 目から鱗が落ちた岩玄和尚は、バイクの上で再び愛刀を構えた。
「おや、迷いははれましたか? 迷いが晴れたのなら悟る為、生きる為に戦いますか?」
「無論じゃ! あれは亡霊! これ以上の跳梁跋扈は許さん!」
「その意気ですよ! では、参りましょうか!」
 たちまち意気投合する和尚と日月に、オーガストは困惑の色を隠せない。
「なんだか知らないが、煙幕が晴れるぞ」
 オーガストは愛用の焔迅刀を鞘走ると、突っ込んできた敵が騎乗する軍馬を真一文字に切り裂いた。
「和尚、山を登るぞ。戦場では高い場所に位置取りをした者が大抵勝つ!」
 突っ込んでくる軍馬から振り下ろされる斧槍の一撃を竜鱗飛甲2枚で防がせ、カウンターとして焔迅刀を前に突き出すように振るう。
 すると、馬の首から切支丹武者の胴体まで、一直線に剣閃が走る。このままズルリと断ち切られた騎馬兵は、体の中身をこぼして絶命していった。
 更にドラゴンランスへ持ち替えて、チクチクと敵の脇腹を小突いて落馬を促していった。
 攻撃を繰り出すたびに、猟兵と和尚は次第に山を登ってゆき、地形的に有利な戦場を目指し始める。
 そうこうしているうちに、完全に煙幕が晴れてしまった。
 白い煙の中から現れたのは……バイクに跨った美形の偉丈夫であった。
「なんと! わしが若返っただと!?」
 和尚の姿に、日月のニヤニヤ笑みが止まらない!
「これが、和尚の誘惑出来る全盛期……。屈強な色男じゃないですか」
「一体これは……? しかしながら、力が漲る!」
 和尚は日月のユーベルコード『呪の活用の計』によって、全盛期まで若返っていたのだ! しかも魅了効果も付与されたため、和尚が一番モテモテだった頃も重なっていた。
「僕への若返りの呪いの有効利用って事で。煙が立ち消えたら若返っていただなんて、まるで逆玉手箱ですね?」
「ありがたき幸せ! 猟兵達よ、わしと一緒に戦ってくれ!」
 和尚がバイクの上で上段に身構えると、車体が急発進して騎馬隊へ突っ込んでゆく!
 それに合わせて日月も走る!
「僕は上から攻め、和尚には下から攻めて貰って立体連携と行きますか。馬の上から上下同時に攻めれませんしね」
「心得た! はぁ!!」
 和尚と猟兵の即興連携は、切支丹武者の鎧をたやすく切り裂いてみせた。
「そちらが数なら、こちらも数で補うさ。俺たち四竜の壁と猟兵の連携を抜けられると思うなよ」
 オーガストは山頂へ和尚を逃しながら追ってくる騎馬兵達を斬り付け、日月は銃撃で射殺し、上杉謙信の策を破りながら進んでゆくのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

柊・はとり
地獄が欲しけりゃ俺の地元に来れば良かったのにな
いい感じに滅んでるぜ?

山岳戦は上から攻めるのが定石だったな
常に敵より上へ陣取るよう留意
木陰に隠れ敵に気づかれない内にUC【第一の殺人】発動
代償は右腕一本くれてやる

【天候操作/属性攻撃】で山頂方面からの吹き下ろしとなる吹雪を吹かせ奇襲
【氷結耐性】があるから自分で放った吹雪ぐらいどうって事ない
雪を目眩ましに使い包囲されている剣豪を救出
俺の後方、雪の影響がない風上まで誘導する

加勢するぞじいさん
あんたの腕は信用するが一点だけ注意だ
風邪ひくなよ

締めに【地形破壊】で雪崩を起こし馬ごと一網打尽だ
幾ら軍神でもこれはきついだろ?
俺の命は要るならやるよ
奪えれば、だがな


花塚・メアリ
相手はかの有名な魔軍将が憑依してるんだってね、気をつけなきゃいけないのはこれが集団戦ってところね

私個人は武で語る方が好みだけれど、ここは周りと足並みを合わせる為に全体を見据えた戦い方をさせて貰うわ。

相手が策略に特化した敵の場合はその策を破壊するのが一番手っ取り早いわ。

相手が地形を利用するってんならこっちはその地形を破壊してやるわ、【震撃・黄泉国】で奴等の足元をクレーターにしてあげる。
これで相手は高さの有利を失ってこっちの陣営も戦いやすくなるはず。

さて、野太刀が届く丁度良い位置に首があるわね? 首狩りメアリの独壇場を見せてあげる。
馬や鎧程度で私の緋閃滅在から首を守れるとは思わない方が良いわよ。



「地獄が欲しけりゃ俺の地元に来れば良かったのにな。いい感じに滅んでるぜ?」
 アポカリプスヘル出身の柊・はとり(死に損ないのニケ・f25213)が、自嘲しながら追ってくる軍馬ごと切支丹武者を異形の剣で両断する。
 そして敵を切り捨てるたびに、その剣がたどたどしく声を発した。
『只今 合計で五騎 斬り伏せました 順調 ですね ホームズ?』
「いちいちカウントするな、クソ剣が」
『訂正を 求めます 私は 偽神兵器 コキュートス』
「うるせえ、黙ってろ」
『命令 受諾 沈黙……』
 本当に黙るのかよ、と心のなかでツッコミを入れる柊。
 これに花塚・メアリ(恋煩い中のヴァンパイアヘッドハンターサムライガール・f02587)も負けじと高周波振動野太刀『緋閃滅在』を振るい、敵の首から下を真っ二つに切り捨ててみせる。
「相手はかの有名な魔軍将が憑依してるんだってね、気をつけなきゃいけないのはこれが集団戦ってところね。上杉謙信、今ので4人くらい斬ったかしら?」
 魔を斬るための首狩り一族の出である花塚は、周囲が強敵ばかりの戦場に心が弾んでしまう。
「さて、野太刀が届く丁度良い位置に首があるわね? 首狩りメアリの独壇場を見せてあげる。馬や鎧程度で私の緋閃滅在から首を守れるとは思わない方が良いわよ。こんなふうにね!」
 斧槍を振り上げて軍馬で突撃してきた敵の首が宙を舞う。
 巨大な野太刀はリーチも切れ味も凄まじいのだ。
 しかし、彼女は突出することなく、偶然この場に鉢合わせした柊と歩調を合わせながら、岩玄和尚を守り抜く。
「ねえ、はとり? 気付いてる?」
 思わせぶりな花塚の言葉に、柊は舌打ちをした。
「……チッ。まずいな。山岳戦は上から攻めるのが定石だ。奴ら、俺達よりも高い位置から突撃しようとしてやがる。急がないと俺達は一網打尽だ」
「え、そこまで分かったの……?」
 驚く花塚に柊が眉をひそめる。
「なんだよ、俺はてっきり、花塚が全部分かってて言ったのかと思ったぜ?」
「いや、私はただ、敵の動きが怪しいってだけで、“相手が策略に特化した敵の場合はその策を破壊するのが一番手っ取り早い”って注意を促すつもりで言ったわ」
 柊は花塚に気づかれない素振りで自虐の言葉を呟く。
「……名探偵すぎるのも考えものだな」
「なにか言ったかしら?」
「あ? 今から敵の狙いをぶっ壊すって言ったんだ」
 正直、あまり気乗りがしない柊だったが、これ以上、敵を小高い場所へ集結させるわけには行かなかった。
「おい、花塚。悪いがしばらく俺も護衛対象に加えてくれ」
「それ、どういう意味?」
 首を傾げる花塚の目の前で、柊は木陰に隠れてユーベルコードを発動させた。
「今から俺、片腕がなくなるからな。俺から見て右側からの攻撃、お前が捌いてくれ」
「……は?」
 唐突な柊の物騒な発言とともに巻き起こる猛烈な吹雪。
 花塚は状況を飲み込むのに数秒要した。
 柊の意思に呼応した大剣型偽神兵器『コキュートスの水槽』が語り掛ける。
『ユーベルコードを 行使するための 代償を 確認しました』
 柊の右腕が偽神兵器に飲み込まれてゆく。
「第一の殺人『人形山荘』……ああクソ! 最近見た予知のおかげで“先輩”の顔がチラつきやがるぜ……。そうだ、だから犯人は死体を凍らせて切断した」
 たちまち周囲は吹雪で視界がゼロに。
 山頂から吹き下ろす猛烈な凍える強風が、騎馬隊の脚を否応なく押し止める。
「嘘でしょ? 天候操作……!?」
 愕然とする花塚を尻目に、柊は岩玄和尚の肩を掴む。
「ここから巻き返すぞ、じいさん。あんたの腕は信用するが一点だけ注意だ」
「な、なんじゃろうか……?」
 不安がる岩玄和尚に、柊はぶっきらぼうに答えた。
「風邪ひくなよ」
「あと遭難注意ね。これじゃ、山頂がどっちか分からないわ」
 震えながら左右をキョロキョロする花塚に、岩玄和尚が指を差した。
「こっちじゃよ。こっちが山頂への道じゃ! 付いてくるのじゃ!」
「さすがじいさん。この里山に住んでるだけはあるじゃねえか」
「敵は地の利がないわ。吹雪で足止めを食らってる間に山頂へ向かいましょう?」
 こうして、和尚の土地勘を頼りに、柊と花塚は山頂へと辿り着くことが出来た。
「……で、ここからどうする気?」
 花塚の質問を柊は保留すると、何故か岩玄和尚へ彼は問いかけた。
「じいさんの寺って、どっち方面だ?」
「ええと、あっちじゃな?」
 おおよそ山頂から北方を指差す和尚。
「そうか。じゃあ、それ以外の東西南は別に地形が変わっても問題ないよな?」
 柊の言葉に、花塚は思わず顔がひきつった。
「……まさか、雪崩を起こすつもり?」
「そのまさかだ。このクソ剣……ああ、わかった! 喋ろうとするな、黙ってろ! 悪い……。この、コキュートスで今から地面を思いっきりぶん殴る。新雪は衝撃で巻き上がって雪崩を起こし、馬ごと一網打尽だ。幾ら軍神でもこれはきついだろ?」
「うわぁ……。普通、そんな発想は思いついても実行しないわよ?」
 花塚はちょっと引いていた。
 でも、と彼女は言葉を継ぐ。
「ちょっと興味が湧いたわ。手伝ってあげる」
 花塚は緋閃滅在の刀身である≪コア≫ 緋緋神之太刀にコマンドを送信するべく、自身の指を噛みちぎると剣柄に溢れる血液を垂らす。
 剣柄から血液が刀身に流れ込み、オレンジのコアが陽光が如く輝き、その刃を高周波振動させはじめた。振動することで熱が発生した刀身から、大量の水蒸気が発生。周りの雪を溶かして、空気が温められている証拠だ!
「行くわよ! 其の身を砕き落とす! 『震撃・黄泉国(ヘルストライク)』!」
 大上段に構えられた野太刀が振り下ろされ、花塚の足元を叩き付けた。
 次の瞬間、重力を付与されて膂力が跳ね上がった地獄の一撃が大地を揺るがすと、山の中腹の木々がグラグラと前後左右に揺れ始める。それと同時に衝撃波で新雪が宙を舞ったと思えば、地鳴とともに地滑りと雪崩が発生!
 黒い板金鎧の武者達は、自然の猛威にいとも簡単に飲まれてゆくさまを、山頂から花塚は眺めていた。
「どう? これで相手は高さの有利を失ってこっちの陣営も戦いやすくなるはずよ」
「俺よりもすげえじゃねえか。……残りの西と東、同時にぶちかましてみるか?」
「ええ、急ぎましょう?」
 柊がコキュートスを利き手で振り上げ、更に代償として自身の体の一部をコキュートスへ捧げる。
 すると剣身の氷のような刃が、より一層禍々しい輝きを放ち始めた。
「俺の命は要るならやるよ」
 柊の一撃が地震めいた強烈な衝撃波を発生さた。
「……この“死に損ない<デッドマン>”の俺の命を奪えれば、だがな」
「さようなら、上杉謙信。あんたは雪国出身らしいけど、雪崩で殺されるって皮肉よね?」
 花塚も今一度、ユーベルコードで大地を叩き付ければ、東と西で同時に雪崩が発生し、切支丹武者がその餌食となっていったのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

杼糸・絡新婦
パワーバランスおかしくない?
過去にも強敵のコピーとかはあっあけど、
あの上杉大量生産とか戦力飽和状態やろ。

岩玄和尚の状態に気をつけながら、
戦場全体を【情報収取】
【フェイント】をいれつつ、
鋼糸で攻撃しつつ、敵の位置を利用し【敵を盾にする】
【見切り】による回避を。
和尚に回避が難しい攻撃がいきそうなら、
鋼糸で敵を絡めるようにして阻害を狙う。

荒れ狂う獣で攻撃。
3回目の攻撃は行わない。


月舘・夜彦
上杉の名を聞くのも、一年振りですね
サムライエンパイアでの大きな戦いでは終わらず
名のある者が次々と蘇ると、尚更終わりには遠く思います
それでも幾度脅威にさらされようとも戦うのが猟兵の務め

視力にて周囲を確認、利用できる障害物や木があるか等の情報収集
敵は召喚による騎乗・射撃、雷撃……そのまま向かっては攻撃を受けるのみ
岩玄殿にも声を掛けて、攻撃を防げる所へ移動

召喚された女武者への接近は困難
ならば、早業の抜刀術『神風』にて仕掛けます
見えぬ斬撃ならば先制攻撃にもなるはず

破魔の力を付与した刃にて2回攻撃
1撃目に霊、2撃目武者、鎧無視・砕きを活用
敵の銃撃には残像、見切りと武器落としで弾を弾く


ティエル・ティエリエル
SPDで判定

とりゃー!和尚さんは狙わせないよ!

【ライオンライド】で呼び出したライオンくんに飛び乗って切支丹女武者達のところに飛び込んで乱戦だ!
切支丹女武者達の間を走り回りながら「敵を盾にする」でこっちに狙いをつけさせないよ♪
こっちの動きを読まれそうになったら木の影に隠れたところでライオンくんと分離して、
敵がライオンくんだけに気を取られたところをこっそり不意打ちしちゃうね♪

※アドリブや他の方との連携も大歓迎です



 岩玄和尚は猟兵達の護衛とともに山頂から降り、すっかり雪で覆われた寺の状況を確認していた。
「……すまぬのう。どうしてもわしの住処が無事か、確かめたくてな?」
「いえ、この猛吹雪が同僚のユーベルコードによるものだそうですし、岩玄殿のお気持ちは汲み取るべきですので」
 月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)は、赤く色付いた紅葉と新雪の白の鮮烈なコントラストに目を奪われがちになりつつも、周囲の警戒を怠らない。
「しかし、上杉の名を聞くのも、一年振りですね。サムライエンパイアでの大きな戦いでは終わらず、名のある者が次々と蘇ると、尚更終わりには遠く思います」
「真田の亡霊がわしを狙うか。長生きしていると、信じられん事に遭遇するもんじゃな……」
 岩玄和尚の言葉に、月舘は励ますように言葉を重ねる。
「それでも、幾度脅威にさらされようとも戦うのが猟兵の務め。岩玄殿も必ずやお護りしましょう」
「というか、パワーバランスおかしくない?」
 ヤドリガミの杼糸・絡新婦(繰るモノ・f01494)は真っ白な溜息を吐いた。
「過去にも強敵のコピーとかはあったけど、あの上杉大量生産とか戦力飽和状態やろ。堪忍してほしいわ……」
 愚痴る杼糸であったが、彼もまた寺院の敷地内とその周辺を注意深く観察し、闇に蠢く気配を探っている。
「サイギョウ。出張っときや」
 背負っている行商箪笥から、鋼糸に操られて狩衣を着た狐人の姿をした戦闘用人形のサイギョウが這い出てくる。
 臨戦態勢。
 杼糸は既に、10を超える気配を感知していた。
 そして、その中に、一際大きな殺気を感じ取る。
「……夜彦、真田が自分らを見てるの、分かるか?」
「ええ。相手は殺気を抑えるつもりはないようです。ただ、仕掛けてきそうにないのが幸いでしょうか」
 月舘も曇り無き刃の愛刀『夜禱』を鞘から抜いて正眼に身構える。
 すぐさま月舘は寺の特徴を確認する。
(大きな杉の木、それと寺院の建物が2つ。少し走れば林に逃げ込めるでしょうか……)
 月舘は、限られた遮蔽物をうまく活用するべく、瞬時に戦況を予測していく。
(敵は召喚による騎乗・射撃、雷撃……そのまま向かっては攻撃を受けるのみ)
 事前に猟兵達は、グリモアベースで切支丹武者のユーベルコードの内容は掴んでいる。
 だからこそ、自身のユーベルコードと勘案し、敵の行動をいち早く察知する!
「岩玄殿、建物の中へ! 銃で狙われています!」
「そうはさせへん! サイギョウ! 和尚さんを守るんや!」
 猟兵達が言葉を発するのとほぼ同時に、周囲から一斉に銃声が鳴り響く。
 敵の部隊は切支丹女武者の霊を召喚し、その火縄銃での一斉射撃で岩玄和尚を狙撃した。
 月舘が走り込み、岩玄和尚の前に立ち塞がると素早く刀の峰を立てる。
 すると、銃弾が刀の峰に弾かれ、幾度と岩玄和尚へは届かせないように叩き落とした。
 そして、杼糸が十指で操るサイギョウは、岩玄和尚の盾となって銃弾をその体に浴びていた。
 だが、銃弾程度で破壊されるような軟な相棒の訳はなく、そのまま岩玄和尚を建物の中へと送り込むことに成功した。
「召喚された女武者への接近は困難……ならば、私は早業の抜刀術『神風』にて仕掛けます」
 愛刀『夜禱』を一旦鞘に収めると、意識を集中させる月舘。
 この抜刀術のユーベルコードは、見えない斬撃で遠方の敵を切り捨てることができるのだ。
 そのためのタイミングを全集中で感覚を研磨してゆく。
 対して、杼糸は遊撃に徹することにした。
「ちょいと暴れようか、サイギョウ」
 ユーベルコード『荒れ狂う獣』にて、サイギョウの身体がみるみるうちに巨大化する。
 そのまま林に隠れた切支丹武者を見つけ出すと、素早く2連続攻撃を放つ。
 木立ごと黒い板金鎧が引き裂かれ、そのまま骸の海へと沈む敵。
「ここだと和尚さんの家を巻き込みそうや。3回攻撃は諦めるしかなさそうやな」
 とはいえ、操り人形の暴走を敵は止める手立てが少ない。
 女武者が杼糸を狙おうとすると、月舘の見えない斬撃が飛んできて召喚者を切り捨ててしまう。
「是は空さえも斬り裂く刃也。そうやすやすと逃れられると思うな」
 何度も何度も抜刀術を繰り返し、視認する周囲の敵を遠当てめいた斬撃を見舞ってゆく。
 更にユーベルコードを二連撃することで、一撃目に霊、ニ撃目には武者の鎧ごと切り捨てる強力な斬撃を実現させてみせた。
「おっと、夜彦を狙わせるわけにはいかへんな?」
 杼糸は月舘を狙う銃口ごと切支丹武者を、本体である鋼糸で縛り上げて縊り殺してしまう。
 2人の完璧な連携により、徐々に数の不利を押し返してゆく猟兵達。
 そして、さらにここで強力な助っ人が飛び入り参加してきた。
「とりゃー! 和尚さんは狙わせないよ!」
 子ライオンに跨って切支丹女武者達へ飛びかかったのはフェアリーのティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)だ!
「うりゃうりゃー♪ ボクを狙えるものなら狙ってみろー!」
 小柄なフェアリーの体躯をうまく活用し、敵の股ぐらをライオンが駆け抜けてゆく。
 すばしっこさもさることながら、敵同士の同士討ちを誘発する身のこなしに、切支丹武者達は思うように発砲が出来ない。
「それ、これで自分も狙いにくいやろ?」
 杼糸も鋼糸で絡め取った切支丹武者を人質の盾にして、猟兵達への攻撃を躊躇させていた。
「ふふーん! ボクの動きに付いてこれないのかな? だったらチクチクしちゃうぞー! ていていてーい!!」
 ティエルは腰に挿していた風鳴りのレイピアを振るい、敵の板金鎧の継ぎ目を狙って切っ先をチクチク突き刺していく。
 即死に至るダメージではないが、足元を狙われるので非常に厄介だ。
 時々、子ライオンが敵のアキレス腱を噛みちぎったり、引っ掻き回したりもするので、ティエルの登場によって敵部隊は徐々に大混乱に陥ってゆく。
「さあ、ライオンくん! 仕上げだよ!」
 ティエルと子ライオンは木陰に入ると、子ライオンは背中に葉っぱを乗せて駆け出してゆく。これは、囮作戦!
 背中にティエルがいると誤認した敵は、一斉に子ライオンを注視する。
 その瞬間、猟兵達から完全に敵の注意が逸れた!
「みんな! 今がチャンスだよ!」
「助かるわぁ、妖精さん!」
「一気に畳み掛けましょう!」
 杼糸がサイギョウを暴れさせ、月舘が刀を振るえば、ティエルは自らの翅で飛翔。
「これでおしまいだーっ!」
 ティエルは切支丹武者の首の付根の隙間にレイピアを滑りこませ、一撃必殺の一刺しを見舞った。
 これでどうにか、寺院周辺の敵は一層出来た……かに思えた。
 ティエルの言葉を聞くまでは。
「みんな、早くここから逃げようよ! あっちに物凄い大勢の敵がいたよ! 多分、ここへ向かってくるはず!」
「まずいですね。ここは大軍を撒くために、林の中へ逃げ込むべきでしょう」
 月舘が逃走ルートの模索し始める。
「妖精さん、ありがとうね。和尚さんに言うてくるわ」
 そして杼糸が岩玄和尚を建物から外へ連れ出すと、再び逃避行が再開されたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ティー・アラベリア
戦闘時リソース配分を修正。
戦闘用人格オフライン。
プライマリを指揮通信機構及び魔導波探信儀に。
獅子に率いられた羊の群れは、羊に率いられた獅子の群れに勝ると申します。
ボクの戦闘用人格は…まぁ、色々とアレでございますので、今回は主人格の方でご奉仕させていただきます。
武装は火力支援用の92式魔杖のみを展開し、今回は指揮通信機構と各探信儀を使用した、戦場の交通整理に徹することにいたします。
探信儀で取得した敵の動向を味方の猟兵様方に共有し、猟兵様方が味方と連携しやすいよう戦場の様子をリアルタイムに共有致します。
敵に動きがあった場合、火器管制機構と連動させた92式の砲撃で妨害を図ることにいたしましょう。


燈夜・偽葉
剣豪殺しなど許せませんね!阻止してあげましょう!

お爺ちゃん連れて逃げますね!なにせ相手は上杉謙信、凄く強いですし
追ってくる強敵相手に逃げるのは挑むのと同じ覚悟が必要ですか

「剣よ、嵐に臨みて」を発動、私とお爺ちゃんを嵐の刃で覆い
飛行はせず、ダッシュで逃げます
追い付かれたら黄昏の太刀(サムライブレイド)を振るって斧槍や馬や武者自体を切断してはまた逃げて
そうやって徐々に崖や谷に追い込まれて(誘導して)いきます

わわっ、崖(谷)ですか…仕方ありません
まさに背水の陣、挑んで突破するしかありませんね…!
と上杉武者達に殺気・威圧をぶつけて
即座に身を翻し、お爺ちゃんを怪力で抱え、UC効果で全速力で飛行、逃げます



 岩玄和尚への山追いは、いよいよ激しさを増してゆく。
 それぞれに上杉謙信が憑装された切支丹武者達が林の中を分け入り、徐々に猟兵達と岩玄和尚を追い詰めていった。
「剣豪殺しなど許せませんね! 阻止してあげましょう!」
 燈夜・偽葉(黄昏は偽らない・f01006)は岩玄和尚の手を引きながら、獣道を分け入ってゆく。
「戦闘時リソース配分を修正。戦闘用人格オフライン。プライマリを指揮通信機構及び魔導波探信儀に」
 ティー・アラベリア(ご家庭用奉仕人形・f30348)は今回、索敵と情報収集に特化することで任務に貢献しようと考えていた。
 そんな折に偽葉の動きをキャッチし、同行させせて貰うことにしたのだ。
「ボクの戦闘用人格は……まぁ、色々とアレでございますので、今回は主人格の方でご奉仕させていただきます」
「そんなに、アレなんですか?」
 偽葉の疑問符にティーが眉間にシワを寄せて眉尻を下げてしまう。
「ええ、アレです。ですので、今回は指揮通信機構と各探信儀を使用した、戦場の交通整理に徹することにいたします。もちろん、最低限の武装はしておりますので、ご安心ください」
 手に携えている92式火力投射型魔杖を偽葉に見せたあと、再び索敵と情報収集に勤しみ始めた。
「この里山は既にボクの手中です。お任せください。獅子に率いられた羊の群れは、羊に率いられた獅子の群れに勝ると申しますので」
「お願いしますね、ティーさん! さあ、お爺ちゃん! こっちです!」
「待っておくれ、お嬢ちゃん。やはりここで戦ったほうが良い気がするのじゃが……!」
 岩玄和尚は偽葉の手を解くと、その場に立ち止まってしまった。
「わしもまだ戦える。それに里山を包囲された今、いずれは山頂へ追い立てられて捕まってしまうぞ?」
「駄目です! 先程、ティーさんが言ってたでしょう? 敵は完全にこの里山を包囲しています。なにせ相手は上杉謙信、凄く強いですし、追ってくる強敵相手に逃げるのは挑むのと同じ覚悟が必要です」
「ならば……」
 岩玄和尚が食い下がるが、これをティーが遮った。
「頂上には既に敵が待ってます。……恐らく、真田神十郎でしょう。どうせ戦うのなら、敵大将の首を獲りに行ったほうがいいでしょうね」
「猟書家を撃退すれば、配下達は統率が乱れて逃げる機会が生まれるはずです! ですから、今は山頂を目指して逃げましょう! そこで猟書家を討ちます!」
 偽葉の説得も合わさり、岩玄和尚はようやく首を縦に振った。
「……すまぬ。わしも皆の戦いを間近で見つめておったら、昔を思い出してしまってなぁ?」
「やっぱり、お爺ちゃんは今でも剣豪なんですね! でも命は大事にしてくださいね? 私が守りますから!」
 偽葉が思いを言葉にした瞬間、彼女と岩玄和尚の周りを黄昏色の嵐の刃で覆う。
「どれだけ強大な敵だとしても、負けません! その強敵へ挑む覚悟が、黄昏色の嵐の刃を生み出します!」
「おお? なんだか体が急に軽くなった気がするのう? これなら逃げ切れそうじゃ!」
 実際、最大速度マッハ7強で飛翔できるようになっている。
 しかし、敢えて今回は走ることで、敵から目立たなくなるように徹していた。
「……お二人共、まずいことになりました。敵中隊がこちらへ接近中です。どうやら捕捉されていま……」
 ティーが会話に混ざった刹那、その頭上から雷光が迸る!
 そのままティーの身体を雷光が貫く!
「うわ……っ!?」
「ティーさん!?」
 慌てる偽葉。
 だがティーはミレナリィドール。生身の人間なら即死する雷撃でも、猟兵である彼は倒れることはなかった。
「だ、大丈夫です! 敵の攻撃は命中率が高いようですね! さあ、こっちです!」
 ティーが偽葉と岩玄和尚を導きながら、ユーベルコード『突撃破砕魔導射撃(プロテクティブ・マジカルファイア)』を発動させる。
「ご来場の皆々様、爆轟と狂乱の戦場音楽をとくとお楽しみあれ!」
 92式火力投射型魔杖を、魔導波探信儀が感知する敵の方向へ向けると、爆裂・音響属性の誘導魔導弾395個が一斉に放たれた。
 それらは纏まって弾着すると、凄まじい衝撃波と爆発が空気を震わせる。
 ――腹の奥へめり込むような空気振動と炸裂音。
 おかげで他の猟兵が発生させた積雪の一部が再び雪崩を起こし、敵を飲み込んでいっていた。
 暫く進むと、切り立った崖に辿り着いた。
「わわっ、崖ですか……。下は渓流、結構流れが早いですね」
「偽葉様、敵がこちらへ接近中です!」
 ティーは再び誘導魔法弾を発射!
 迫る敵の部隊の大部分を吹き飛ばしたが、討ち漏らした切支丹武者が軍馬を駆って、斧槍で襲いかかってくる!
「お爺ちゃんには指一本たりとも触れさせません!」
 追い詰められた偽葉は、鮮やかな黄昏色の刀身を持つ『黄昏の太刀』を鞘から抜くと、迫りくる敵の腕や斧槍の柄、はたまたその首を切り捨て、直撃を喰らわないように全力で武を奮ってゆく。
「わしも加勢する!」
 迷いが晴れた岩玄和尚も、襲ってくる騎馬隊の板金鎧の隙間に太刀の切っ先を突き付けて身を守る。
 だが、多勢に無勢。しかも相手は上杉謙信の力を有している。
 分が悪いと最初から踏んでいた偽葉は、ティーに目配せ。
 ティーも何かを感じてコクリと頷いた。
「まさに背水の陣、ここは挑んで突破するしかありませんね……!」
 愛刀を正眼に構えたまま、偽葉は腹から声を上げて叫んだ。
「かの謙信公に告げます! 私は強いですよ! なんて言ったって、剣豪白狐にして黄昏の剣豪とは、この燈夜 偽葉のことです! 私を相手するなら、それ相応の覚悟をしてくださいね!」
 偽葉の口上に、切支丹武者に意識を宿した上杉謙信も眼を見張る。
 そのような剣豪なら、岩玄和尚共々殺せば強いオブリビオンが誕生しそうだ、なんて考えが頭によぎった。
 だが、その一瞬が勝敗を分けた。
「今です! 逃げましょう!」
 ティーは黄昏色の嵐の刃の力で対岸へ飛翔!
 岩玄和尚もティーとともに飛翔する!
 まんまと策にハマった敵は、やけくそ気味に斧槍を地面に叩き付けた!
 崖が崩落する!
「振り切れました! この距離では、馬で飛び越えるのは無理ですからね!」
「偽葉様はなかなかの演技派でしたね。私も雷撃をこれ以上喰らいたくありません。さっさと山頂へ逃げましょう」
 猟兵2人は岩玄和尚を連れ、迷わず山頂を目指す。
 そこに待ち受けているであろう、猟書家……真田神十郎と対峙するために!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『真田神十郎』

POW   :    不落城塞
戦場全体に、【真田家の城郭】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
SPD   :    神速十字斬
【両手の十字槍と妖刀による連続攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ   :    侵略蔵書「真田十傑記」
自身が戦闘で瀕死になると【侵略蔵書「真田十傑記」から10人の忠臣】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。

イラスト:瓶底

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠蛇塚・レモンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵達は、真っ赤な紅葉と残雪が色鮮やかな山頂へ集結していた。
 そこで待つ猟書家『真田神十郎』を討ち果たすために。
 様々な想いをそれぞれが懐きながら、猟兵達は赤鬼めいた男と対峙する。

「待ちくたびれたぞ、猟兵共! 謙信殿を出し抜いて此処まで辿り着けたこと、まずは称賛致そう! 天晴であった!」

 紅葉にも負けないくらいの赤を誇る西洋鎧に身を包んだ真田神十郎は、その煌々と光が満ちる紅の瞳で猟兵達を睨み付ける。
 その手には、オウガ・フォーミュラの座に付いた、あの猟書家が持つ槍『人間無骨』を想起させる十字槍が握られていた。

「この槍が気になるか? これは偉大なる我が祖父、真田 幸村が振るった十字槍! 正真正銘、日の本一の兵(つわもの)の槍だ! 本来、人間無骨は我が赤穂の地から略奪して使っていたが、我が盟友にして主君である四郎……クルセイダーへ忠義を示すために献上したのだ。故に、今はこの祖父の槍にてお相手仕る」

 そう言い放つ男に、一片の隙も見当たらなかった。
 更に真田神十郎の腰元には、禍々しいオーラを放つ業物が差してある。
 アレはまさか……!

「ほう? 気付いたか。この妖刀……“徳川殺し”の村正に?」

 度重なる偶然によって、徳川倒幕の象徴へと昇華した一振りがあった。
 名を村正。目の前の一振りは、その概念そのものが形になった刀と言えよう。
 更に、もう片方の手に持つ真っ赤な表札の侵略蔵書も未知数だ。
 真田といえば、その配下に10人の忠臣がいたと言うのは有名な逸話だが……。

「戯れも此処まで。猟兵達よ、雌雄を決する時は来たれり!」

 真田神十郎は武器を構えて、凄まじい殺気を猟兵達へぶつける。
 その圧から並々ならないほどの、主君クルセイダーへの忠義を感じさせた。

「我が主、我が友の野望のため、此処で貴様らの首を貰い受ける! 猟書家がひとり、真田神十郎! いざ、推して参るッ!」

 今此処に、猟書家幹部との直接対決が始まる!!

プレイング締切は【10日の夜10時まで】です。
オーガスト・メルト
なるほど、こういう奴に余計な能書きは不要だな
カレンデュラ公国剣術指南役、オーガスト・メルト…参る!

【SPD】連携・アドリブ歓迎
デイズとナイツは饅頭形態のまま待機させ、俺は【焔迅刀】で斬りかかる
敵の攻撃を【見切り】、常に和尚を【かばう】位置をキープしよう
デイズ、ナイツ、敵の攻撃を直接受けるな。【竜鱗飛甲】で【盾受け】しつつ逸らすようにしろ
『うきゅ!』『うにゃ!』
グローム、色んな【属性攻撃】を籠めた鋼糸を徐々に張っていって敵の動きを制限しろ
一瞬で良い。敵の動きが止まったら、竜鱗飛甲と鋼糸を足場にしてUC【竜神乱舞】を叩き込む!

大した手数だが…故郷の義兄貴ほどじゃない。アレは…もっと酷いぞ?


月舘・夜彦
その六文銭の家紋と得物は正しく……貴方が真田神十郎殿ですね
しかしながら蘇ってやることが人狩りとは
至極、嘆かわしい

最早、会話は不要
――御相手、仕る

2回攻撃を基本とし、接近戦に持ち込む
攻撃は幾重刃、視力と見切りにて得物の軌道を確認して情報収集
敵の動きを確認して残像にて回避
回避が困難であれば武器受けにて防御
またはなぎ払いにて衝撃波を繰り出して弾き、早業のカウンター

連続攻撃は情報収集で敵の癖を見極め、変化を察知
または第六感による直感にて察知
攻撃を仕掛けると見せ掛け、後方へと跳んで回避

負傷は激痛耐性にて耐え、刃に生命力吸収を付与して攻撃の合間に持ち直す
刃を重ね、見極め、敵を討つ
これが私の戦い方です



 十字槍と妖刀村正を左右の手に握り、猟兵達をキッと鋭く睨み付ける真田神十郎。
 その視線から、ただ殺戮を繰り返すだけのオブリビオンとは一線を画す強い使命感が受け取れる。
 全ては君主であり友であるクルセイダーへの忠義によるもの。
「その六文銭の家紋と得物は正しく……貴方が真田神十郎殿ですね」
 月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)の言葉に、神十郎は大きく頷いてみせた。
「左様。我こそが真田神十郎その人ぞ。貴殿らも剣を振るう者なれば、我に名乗ってみせよ!」
 ならば、とオーガスト・メルト(竜喰らいの末裔・f03147)はドラゴンランス【デイズ】と竜核二輪乗騎【ナイツ】を真ん丸な白黒龍形態のまま待機させると、腰元に差した小太刀『焔迅刀』の鞘を抜いてみせた。
「なるほど、こういう奴に余計な能書きは不要だな」
 鞘から抜き払った紅緋の刀身がギラリと鈍く輝く。
 オーガストは身構えると、自身も神十郎へ名乗りを上げた。
「カレンデュラ公国剣術指南役、オーガスト・メルト……! 素っ首、貰い受ける……!」
「……聞かぬ国の名だ。だが、貴殿はなかなかの手練と見受ける」
 神十郎はオーガストと距離を取りつつ、その実力を見定めていた。
 ふと、猟書家はオーガストの隣で険しい表情を浮かべている月舘を見遣る。
 その視線に月舘は重々しく息を吐いたあと、頭を小さく横に振ってみせる。
「しかしながら蘇ってやることが人狩りとは。至極、嘆かわしい。日の本一の兵の孫も語るに落ちましたね」
 神十郎は押し黙ったまま月舘を見据えていた。
 月舘も頃合いだと判断し、愛刀『夜禱』の曇りなき刃と霞瑞刀 [ 嵐 ]の蒼銀の刃をそれぞれの鞘から抜き払う。
 神十郎の変則二刀流に対抗し、こちらは正統な二刀流で対抗だ。
「最早、会話は不要。月舘 夜彦――御相手、仕る」
「いざ参る……!」
 オーガストも裂帛の気合を込めて叫ぶ。
 ユーベルコードの影響で残雪混じりの燃ゆる紅葉の山を一陣の風が揺らす。
 次の瞬間、両者の身体は磁石で引き合うかのごとく一気に激突していった。

「破ッ――!」
 神十郎の十字槍の穂先が、岩玄和尚の首元へと伸びる!
 それをオーガストの小太刀の峰が軌道を逸らす。
 金属同士の甲高い音と共に火花が散った。
「和尚! 安全な場所へ! くっ……!」
 十字槍と妖刀村正の神速連続撃を紙一重でかわしたオーガストが岩玄和尚を下がらせる。
 だが、すかさず神十郎から刺突と斬撃の連続攻撃を繰り出され、オーガストは後ろへ飛び退く。
 地面が抉れるほどの手数の多さに、オーガストは舌打ちを放つ。
「なんて疾さだ……! デイズ、ナイツ、敵の攻撃を直接受けるな。竜鱗飛甲で斬撃を逸らすようにしろ」
『うきゅ!』
『うにゃ!』
 白黒の真ん丸龍は、竜鱗飛甲【竜王眷属・七華/竜帝眷属・七晶】……竜王と竜帝が召喚し使役する陰陽二枚の夫婦盾を掲げ、主への攻撃を少しでも軽減するべく前へ出る。
 対して、月舘は二刀流による連撃で、神十郎の神速連続攻撃をいなし続けていた。
「……まさか、徐々に速度が上がってるのですか……!?」
 月舘は最初こそ身を翻して回避に徹していたが、今では二振りの刀の峰で受け止めなければ凌げないまでの連続攻撃を目の当たりにしていた。
 オーガストのマークが剥がれた今、月舘が踏ん張ることで岩玄和尚への攻撃を届かないように牽制していた。
 神十郎は受け身ばかりの猟兵達へ軽い失望の声を漏らす。
「その程度か!? 我はまだまだ手数を増やせるぞ!」
 神十郎の真紅の瞳がカッと見開かれたかと思えば、連続攻撃の速度が更に一段階跳ね上がったではないか!
 月舘は防御姿勢を余儀なくされ、足運びを巧みに使いながら超連撃を最小限に留めてゆく。
「見極めるは……幾重の末」
 耳障りな刃と刃の激突音。
 その中で月舘はヤドリガミ特有の仮初の肉体を徐々に削がれてゆくも、決して諦めずに神十郎の剣の軌道を観察していた。
 ユーベルコード『幾重刃』――。
 相手を斬れば斬るほど、月舘は己の剣術センスで真田神十郎の剣の技量を汲み取り、自分の物へと昇華してゆく。そのためにも、月舘は果敢にカウンターを仕掛けて赤い甲冑に細かな傷を幾重にも付けていった。
 そうとは知らない神十郎、月舘にとどめを刺すべく大技を繰り出す準備!
「一気に斃してくれようぞ! 神速十字斬!」
 妖刀村正の縦の振り下ろしの一撃と十字槍の横一文字の薙ぎ払いの連続攻撃が月舘に迫る!
 だが、明らかに今までとは違う神十郎の予備動作に、月舘は死兆を予感する。
「させません――!」
 すぐさまこちらも十字に二刀を振り抜き、衝撃波を発生させる。
 その反動で月舘の身体は後方へ吹っ飛び、神十郎は衝撃波を全身に浴びてたたらを踏んだ。
 そこへ満を持してオーガストが再び切り込んできた。
「ガラ空きだ!」
「むっ!」
 ガチッと十字槍と小太刀がぶつかり、金属音が両者の耳をつんざく。
 しかし、神十郎の連続攻撃は未だ止まる気配はない。
 そのまま不発になった必殺技を、今度はオーガストへ向けて放つ!
「遅いぞ! 神速十字斬!」
 踏み込んだ神十郎が、大上段から妖刀の刃を振り下ろす!
 ……だが、天へ掲げた左腕が、見えない何かに遮られてピクリとも動かない。
 連続攻撃が一瞬だけ遮られて、神十郎の動きが止まった!
「今だ! 竜の戦いに上下左右なんて意味がないと知れ!」
 オーガストは空中を蹴り込むと、見えない何かにその体が跳ね返っていった。
「神速十字斬か。大した手数だが……故郷の義兄貴ほどじゃない。アレは……もっと酷いぞ?」
 空中での二段ジャンプ?
 否、神十郎はその正体を、目を凝らすことでようやく突き止めた。
「これは……蜘蛛の糸か……? うぐッ……!?」
 オーガストが跳弾めいて空中をあちこち跳ね返りつつ、すれ違いざまに神十郎の鎧の隙間に小太刀の切っ先を滑らせてゆく。
「夜彦とお前が切り結んでいた隙に、八色鋼糸の蜘蛛竜【グローム】がこの周辺に糸を張り巡らせてもらった。これと竜鱗飛甲を足場にすれば、俺は上下左右関係なく、お前を斬れる……!」
 超高速の立体反発起動による連続斬撃!
 神十郎の神速十字斬と同じ種類のユーベルコードだが、こちらは三次元殺法がゆえに回避が非常に困難だ。
「抜かせ! こんな糸なぞ、こうしてくれる……!」
 それでも、神十郎の連続攻撃の目標が周囲の糸に移ると、糸の結界が武器によってぶつ切りにされていってしまう。
 オーガストは反発力を失い、そのまま地面をスライディング!
「ぐっ……! 攻撃が途絶えた!」
 三次元反発機動を失ったオーガストの手数が止まる。
 しかし、そこへ月舘が神十郎へ縮地の如き神速の足運びで詰め寄ってきていた。
「刃を重ね、見極め、敵を討つ」
 月舘の頭の中には、既に神十郎の剣技と身体の癖が叩き込まれている。
 故に、数手先まで神十郎の攻撃の動きが月舘には予測でき、超高速の連続攻撃でさえも容易く回避してしまう。
「これが、私の戦い方です――!」
 月舘の二振りの美しい刃が、神十郎の赤い西洋鎧の脇を斬り刻む。
 きれいに入った二連撃によって、その赤い甲冑からポタポタと鮮血の雫を滴り落としていった。
「む……っ! ぬかったか……!」
 脇腹を押さえて止血する神十郎は、一旦、猟兵達と距離を置いて態勢を立て直すのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ティー・アラベリア
あれが、真田神十郎…なんという迫力でしょうか―――。
あぁ、わかりました、わかりましたから…。
神十郎と相対したことをトリガーとして、疑似人格が戦闘用に切り替わる。
アハハッ!猛将が放つ殺気のなんと心地よいことでしょう♪
あんな手練れの方と切り結べるなんて光栄です☆
相応の敬意をもってお相手しましょう!

いつもの様に90式、92式、95式、97式の魔杖と近接防御妖精を展開。
高範囲の92式と回避が難しい95式の誘導弾で動きを牽制し、敵が十傑を召喚するタイミングでこちらもUCを発動。
十傑のコピーを召喚し、相手と刺し違えさせつつ、自身は97式を連射しながら肉薄し、スリットから零式を抜き放ち白兵戦を実施します。



 ティー・アラベリア(ご家庭用奉仕人形・f30348)はミレナリィドールであるが、真田神十郎を前にして、その強者ゆえのヒリつく威圧感を覚えていた。
「あれが、真田神十郎……。なんという迫力でしょうか――」
 眺めているだけで、自身の自我が揺らぎ始める。
 強い闘争相手との邂逅に換気する自分自身にティーは戸惑う。
「あぁ、わかりました、わかりましたから……」
 突き上げるような強い衝動に負けたティーの主人格は、なし崩し的に疑似人格が戦闘用に切り替わる。
 神十郎との邂逅が、戦闘人格を呼び覚ますトリガーとなったのだ。
 途端、ティーの口調がワントーン高くなり、軽いものへと急変する。
「アハハッ! 猛将が放つ殺気のなんと心地よいことでしょう♪ あんな手練れの方と切り結べるなんて光栄です☆」
 目の前で人格が急変したティーに、神十郎が訝しがる。
「あやかしにでも取りつかれたかの如き急変ぶり。貴殿、名を名乗れ」
「奉仕人形、ティー・アラベリア。罷り越しましてございます☆ 真田神十郎様、相応の敬意をもってお相手しましょう!」
 会釈するメイド服を着た人形は、周囲に浮遊する色とりどりの杖のひとつを掴んでみせた。
 92式火力投射型魔杖の先から広範囲をカバーする攻撃が放たれ、神十郎を爆発に巻き込む。
 しかし、神十郎は間一髪のところで後ろへ飛び退くことで難を逃れていた。
 そこへすかさずティーは95式思念誘導型魔杖の誘導弾幕が後を追う。
「ええい、しつこいぞ!」
 十字槍を構え、ティーへの刺突を行おうと踏み込む神十郎。
 しかし、そうはさせないと79式近接防御妖精の大量の魔力誘導弾の乱射が神十郎の接近を拒む。
「ぅぐ……っ!? これでは迂闊に間合いを詰められぬ!」
 弾幕をしこたま浴びてしまった神十郎は、自身の生命の危機を感じる。
 額から流れる血を拭うと、神十郎は侵略蔵書『真田十傑記』に手をかけた。
「かつて、日の本一の兵と謳われた武将の元に集いし、10人の配下が存在した……」
 侵略蔵書を開くと、中から10の影が外へ飛び出してきた!
「猿飛佐助、霧隠才蔵、三好清海入道、三好伊三入道、穴山小助、由利鎌之助、筧十蔵、海野六郎、根津甚八、望月六郎。これら10人が我が腹心、ひと呼んで真田十傑!」
 ゆけ、と神十郎が下知を飛ばすと、十傑は散開、包囲してティーを狙い始める。完全に包囲されたティーだが、焦る様子もなくしばし何かを思案する。
「んー、これってつまり、わーっとやって、ぎゅーってカンジですね! 大体わかりました☆」
 にぱーっと笑ってみせたあと、彼は魔力で模倣した神十郎のユーベルコードを放つ。この場合、なんと十傑がもう一組出現し、ティーを守るように取り囲んでみせた。
「何だと……!?」
 驚愕したのは神十郎だ。完璧なまでに再現された十傑に目を疑う。
 ティーはニコニコと笑いながら、97式圧縮拡散型魔杖と近接防御妖精の弾幕を神十郎へ再び浴びせてゆく。
「真田十傑、十勇士とも言いますっけ? その侵略蔵書の内容は有名すぎます☆ おかげでこんなにはっきりとユーベルコードを再現できちゃいました♪」
 ティーの周りで2組の真田十傑達が次々と相討ちとなって消滅してゆく。
 最後の猿飛佐助が消滅したところで、ティーは一気に神十郎へ肉薄。
「そろそろ終わりにしましょう☆」
 メイド服のスカートのスリットから引き抜いて見せたのは零式鋭剣型短魔杖。魔力を通わせれば、鋭剣型の魔力刃が生成される。
 懐に潜り込んだティーの魔法刃は、紅の西洋鎧を容易く貫通し、神十郎の胸元に深々と突き刺さったのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

日月・獏ノ進
城郭の迷路ですか、昌幸公なら堂々と名乗りを上げて通してくだされと言えば敵も通したと逸話がありますが。試しに名乗りを上げてみます?

さて、城郭からの弓矢とかありそうですし、【呪の活用の計】は「一緒に生き残りましょう」と和尚の戦力維持強化をしますか。僕も【第六感】や【見切り】に【残像】でそういうのは避けて矢玉を減らして和尚の負担を減らしていく感じで。

真田の対峙は一発勝負、【空中戦】で城郭を利用して三角飛びをして【勇気】を持って相手に飛び込む。そこから真の姿解放で元の姿に戻ってのリーチの差を誤認させることで一刀食らわせますか。

生憎と若返った和尚と麓の街で遊ぶつもりなんで帰ってくれません?本当に、本当に



 日月・獏ノ進(陽気な奇策士・f00422)は、真田神十郎が作り出した真田家の城郭の迷宮こと『不落城塞』の中に閉じ込められていた。
 神十郎は傷を癒やすための時間稼ぎも兼ね、このユーベルコードを発動させたあとに姿を消した。
「城郭の迷路ですか、昌幸公なら堂々と名乗りを上げて通してくだされと言えば敵も通したと逸話がありますが」
 それは信濃国の上田城にて、関ヶ原へ急ぐ徳川秀忠が西軍についた真田昌幸の篭る上田城に前進を阻まれていた時、秀忠は冠が岳にいる先陣の石川玄蕃、日根野徳太郎に連絡する必要に迫られ、島田兵四郎という者を伝令として出した
 この兵四郎という者が肝が座った男で、なんと敵の城である上田城を突っ切って軍令を届けたいと門の前で名乗りを上げたのだというから驚きだ。
 驚愕した門番が昌幸公に報告すると、あっさり彼は兵四郎を通過させたのだ。しかもちゃっかり帰りも通してくれと言い残し、実際に戻って再び馬を走らせたという逸話がある。
「……試しに名乗りを上げてみます? って、門番もいませんから無理でしょうけどね?」
「しかし、これではやつが何処にいるか分からぬな?」
 彼の傍らには、若返った剣豪が眉間にシワを寄せていた。
 日月のユーベルコード『呪の活用の計』による、岩玄和尚の若返りを再び施しておいて正解であった。
 全盛期の姿となった美男子の剣豪こと岩玄和尚は、日月には及ばぬとも、かなりの剣の力量を取り戻していた。
「先程は槍衾で、その前が吊り天井でしたっけ? この調子だと、何処から矢が飛んできても不思議じゃありませんね?」
 日月は城郭の迷路を注意深く散策しながら、神十郎の居場所を探り当てていく。
「とにかく和尚、一緒に生き残って、若い姿のまま街へ繰り出して遊びましょうよ」
「おお、それは良い案じゃな! じゃが、そういう話をすると怪我をすると聞いたことが……!」
 いわゆる、死亡フラグ。
 瞬間、日月は急速に接近する殺気を気取った。
「いいえ、和尚。僕は真田を“誘き寄せた”のですよ!」
 隣の部屋で衾が開く音が聞こえた。
 日月と岩玄和尚は、すかさず後ろへ飛び退く。
 その鼻先を十字槍が素通りしていった!
「ちぃっ! あと一寸!」
 悔しそうに槍を構え直す神十郎は、障子を蹴破って飛び込んでくる!
 しかし、日月は残像を駆使して神十郎の狙いを上手く逸らし続ける。
 更に岩玄和尚も身のこなしが早くなったおかげで、真田の槍捌きについて来れるのも大きい。
(勝負は一瞬、ですね……!)
 神十郎が日月へ槍の穂先を突き付けたその時、日月は柱へ向かって駆け寄ると、勇気を胸に三角跳びの要領で柱を蹴って跳躍!
 槍の穂先をすり抜け、そのまま神十郎の懐へダイブ!
 次の瞬間、彼は真の姿を解放し、小さな少年の姿から高身長の青年姿に早変わり!
 つまり、腕のリーチも伸びたことで、神十郎の攻撃タイミングが狂わされる!
「もらいました、そこです!」
「ぬぅっ!?」
 富士の樹海に落ちた隕鉄と富士霊水で鍛えた退魔の霊刀『富士星』の刃が、真田の赤備えの鎧を斬り裂いた!
 斬られた激痛に、思わず神十郎は顔を歪ませた。
「あの一瞬を、よくぞ見切った……!」
「いや、褒め言葉は要りませんから。生憎と若返った和尚と麓の街で遊ぶつもりなんで帰ってくれません? 本当に、本当に」
「こちらも用があるのは和尚だけだ。貴殿ら猟兵こそが帰るべきだ……」
 神十郎は再び城郭の迷路の奥へと消えていったが、しばらくすると迷宮は消え、里山の風景に戻っていったのだった。
 だが、まだ決着は付いていない……!

大成功 🔵​🔵​🔵​

燈夜・偽葉
あなたが猟書家、山田太郎ですね!岩玄お爺ちゃんを襲うなんて万死に値するのでぶった斬ってあげます!
え、(猟書家の)名前が違う?まぁ些細なことはいいじゃないですか
田中の赤備え。はい格好いい格好いい
(言動こそ馬鹿にしている風ですが頭や視線は冷静冷徹に彼我を計り勝利を計算しています)

敵UC発動直前に先制攻撃で天下自在符を、ざっと20くらい?あらぬ方向へと投げ放ちます
妖刀村正は対徳川概念…つまり徳川幕府が発行せし天下自在符を叩き割ろうと勝手に引き寄せられます
十字槍を念動力で操った8振りの刀で押し留め(武器受け)、携えた黄昏の太刀(サムライブレイド)で以て「剣よ、風を凪げ」で斬り払います(鎧砕き・衝撃波)


ティエル・ティエリエル
SPDで判定

せっかく、たいへいのよになったのに争いなんて起こさせないぞ!
真っ赤な鬼なんてボクがやっつけてやる!

相手の十字槍と妖刀による連続攻撃に対応するため、地面ギリギリの超低空飛行で近づくよ!
ふふーん、ボクみたいな小柄な相手の戦いにはきっと慣れてないよね!
振り下ろされる槍や刀を「見切り」で避けながら一気に飛び込んで【ハイパーお姫様斬り】で足元を切り裂いちゃうぞ☆

※アドリブや他の方との連携も大歓迎です


杼糸・絡新婦
日の本一の強者本人でないだけええと思わなあかんかな。
油断する気なんてさらさらないけど。

引き続き、和尚さん守りながら行動。
刀振るうはええけど、死なん程度にしといてや。

鋼糸を張り巡らせるようにし【罠使い】で
向こうの行動阻害と攻撃に利用。
【情報収集】と【見切り】で相手の攻撃の動きを予測しつつ、
【挑発】でこちらに気を引く
タイミングを図り相手の攻撃を脱力して受け止める、
また、他の猟兵や和尚に向かった攻撃を【かばう】ことで
受け止め、いただこうか。
オペラツィオン・マカブルを発動。
排し、返せサイギョウ。



「あなたが猟書家、山田太郎ですね!」
「貴様は何を言っているんだ?」
 燈夜・偽葉(黄昏は偽らない・f01006)がビシッと神十郎へ指差して得意げになっていたが、そもそも名前が間違っていた。
 神十郎も眉間にしわを寄せて、目の前のアホの子に憐憫の眼差しを向けてしまう。
「我が名は真田神十郎だ。間違えるでない、このうつけ!」
「え、名前が違う? まぁ些細なことはいいじゃないですか、鈴木万三郎!」
「真田神十郎だ!」
 ヘラヘラ笑う燈夜を神十郎は一喝してみせる。
「貴様の耳には糠でも詰まってるのか? 我が名は真田! 神十郎だ! この赤備えとともによく覚えておけ!」
「はいはい、田中パンパカパーンの垢まみれはかっこいーかっこいーですねー?」
「貴様ぁ……っ!」
 燈夜の煽りに目を血走らせる神十郎が、十字槍がと妖刀村正を持つ手が怒りで震えている。
 そんな神十郎に、杼糸・絡新婦(繰るモノ・f01494)は複雑な心境で対峙していた。
「日の本一の強者本人でないだけええと思わなあかんかな。油断する気なんてさらさらないけど、あんま怒らせんほうがええで?」
 燈夜をなだめる杼糸だが、当の本人は更にエスカレートしてゆく。
「大丈夫です! さぁさぁ、とっとと始めましょうか、猟書家の……ハゲ田ツルピカ丸!」
「さ・な・だ! し・ん・じゅ・う・ろ・う! もはや原型を留めてないどころか、ただの悪口ではないか! 貴様は馬鹿なのか! 馬鹿なんだな!?」
 遂に激昂する神十郎。
 燈夜はそんな猟書家の様子をニヤニヤと見詰めている……。
 そして、そんなやり取りを上空でティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)が眺めていた。
「せっかく、“たいへいのよ”になったのに争いなんて起こさせないぞ! 真っ赤な鬼なんてボクがやっつけてやる! とりゃーっ!」
 ティエルはフェアリーの小さな体を駆使して、地面スレスレを低空高速飛行!
 神十郎はすぐにユーベルコードによる高速連続攻撃を放ってくるのだが……?
「ええい、ちょこまかと鬱陶しい!」
 小さな標的を地面スレスレに斬ったり刺突したりすることに神十郎は慣れていないし、想定もしていなかった。
「へへーん! ボクみたいなフェアリー相手との戦いはやったことないでしょ?」
 神十郎の足元を8の字を描いて低空飛行するティエルは、神十郎のペースを掻き乱してゆく。
 ティエルが逃げるものだから、神十郎は自分の足元を武器で耕すことしかできない。
 その隙に杼糸は周囲の木々に自分の本体である鋼糸を絡ませてゆく。
 次第に鋼糸は神十郎の行動を制限するリングロープのごとく、複雑に編まれていた。
「和尚さん、その糸の外なら安全や。どうしても刀振るうはええけど、死なん程度にしといてや」
 岩玄和尚は素直に言うことを聞き、即席のリングから場外へはけていった。
 そして、此処でようやく燈夜が動く。
「その妖刀村正が徳川殺しの概念だというのなら、私の策の前には其の刃は通用しません!」
 燈夜は豊満な胸元の谷間から、徳川幕府が発行する天下自在符の束をむんずと掴み取ると、全力で神十郎へと投げつけた!
 その数、ざっと20枚!
「どうですか! 徳川幕府が発行せし天下自在符を叩き割ろうと、妖刀が勝手に引き寄せられるはずです! 猟書家、敗れたり!」
「やっぱり貴様は馬鹿なのか?」
 神十郎は呆れていた。
「いくら概念とはいえ、そう安々と標的が吸われるような現象が起きて堪るか」
「その割には、投げ付けられた天下自在符は叩き割ってますよね?」
 念動力で宙に浮く天下自在符へ、さっきから神十郎は躍起になって妖刀を振るい続けていた。
「黙れ! これを割らねば、貴様に馬鹿にされているようで無性に腹が立つ!」
 刃は引き寄せられなかったが、散々、燈夜にからかわれてきた神十郎本人が引き寄せられていった。
 燈夜が想定していた事態とは異なるが、結果的には神十郎に隙が生まれた!
「隙あり! その首もらった、真田神十郎!」
 初めてちゃんと名前を叫んだ燈夜の目つきは、先程までのアホの子のそれではなく、百戦錬磨の剣豪が放つ殺気に満ちたものへ急変していた。
 神十郎は十字槍と妖刀村正を繰り出しながら舌打ちをした。
「貴様……うつけの真似をしていたのか!」
 神十郎はこの時、ようやく気が付いた。
 敵を罵倒することで精神を乱し、更に自身へ攻撃を引き付け油断を誘うためだと!
 これに燈夜はとぼけてみせた。
「さあ、どうでしょうか? 少なくとも、岩玄お爺ちゃんを襲うなんて万死に値するので、あなたはぶった斬ってあげます!」
 8本の黄昏の太刀を、かつて上杉謙信が関ケ原で見せたように、念動力でバラバラに操作して連撃を遮る燈夜。
 そこへ杼糸が間に飛び込んできたではないか!
 相棒とも言える狩衣を着た狐人型戦闘用人形のサイギョウを盾にして、真田神十郎の超高速連撃から燈夜をかばう!
 だが、杼糸の身体や衣服は何処も斬られていなかった。
「真田神十郎、油断大敵や。オペラツィオン・マカブル発動……排し、返せサイギョウ」
 サイギョウの体から、斬撃の剣圧が一斉に神十郎へと戻ってゆく!
 赤備えの鎧がヒビ割れ、その一部が砕かれ始めていた。
 ここで燈夜がユーベルコードの剣技で一気に相手を撃ち明かそうと、携えた黄昏の太刀を上段に振り上げた。
「剣よ、風を凪げ! 斬ります!」
 突風の如き鋭い剣技が、真田神十郎の赤備えを深々と斬り裂く!
 ダメ押しとばかりに、ティエルがド派手に勝負を決めに掛かった。
「いっくぞー! ハイパーお姫様斬りだー☆」
 全長93cmのオーラの刃が神十郎の至近距離で伸長すると、それは神十郎の腹を背中まで貫通させたのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

柊・はとり
徳川殺しと聞いちゃ黙ってはいられないが
戦国の価値観に探偵の介入は無粋だろ
なら俺も剣士の端くれとしてあんたを止めるだけだ
UC【第四の殺人】切り裂き城

利き手の左は残したが片腕が使えないぶん不利だろう
そこはUCで利点に変える
【第六感】を働かせ敵の太刀筋を【見切り】
岩玄のじいさんを庇いつつ【武器受け】
最初は速さが追いつかないだろうが傷つけば俺の反応速度は上がる
屍人の【継戦能力】を活かした戦いだ
寿命はどうでもいい

【学習力/瞬間思考力】を併用すれば次第に敵の攻撃の癖が読めてくる筈だ
大技が来ると読んだら身をひいてかわす
回避されても中止できないのが弱点だろ?

超高速攻撃の【カウンター】だ
その鎧、血で染めてやるよ



 かなりのダメージを負い、出血も激しい真田神十郎。
 それを好機だと、柊・はとり(死に損ないのニケ・f25213)は捉えて猟書家の前へ躍り出た。
「徳川殺しと聞いちゃ黙ってはいられないが、戦国の価値観に探偵の介入は無粋だろ」
 凍える大剣型『コキュートスの水槽』を構えなおす柊。
「なら俺も剣士の端くれとしてあんたを止めるだけだ。真田、あんたも付き合え」
 これに神十郎も口端を上げて武器を構え直した。
「いいだろう。我が実力を思い知らせてくれようぞ! だがしかし……」
 神十郎は柊の身体の状態をみて値踏みするような視線を送る。
「我も侮られたものだ。隻腕で我を凌駕せんと言うのだからな?」
 柊は先程の集団戦にて右腕を、ユーベルコード発動の代償として失っている。
「それで和尚を守り抜こうというのか? 片腹痛い!」
「何とでも言えよ。言っておくが、片腕相手だからってナメたら痛い目見るぜ?」
 コキュートスを聞き手の左腕で振るう柊。
 岩玄和尚は少し離れた場所で、この戦いを見守っていた。
 自身が狙われていることは明白であり、ならば隠れているのが懸命だと判断したからだ。
「岩玄のじいさんを狙うんだったら、まずは俺を斃してからだ」
「……その眼差し、覚悟を決めた者のそれだ。ならば貴殿を討ち取り、そのあと岩玄和尚を切り伏せるとしよう」
 神十郎の言葉に、柊が言葉を重ねた。
「御託はいいからさっさと始め――」
「真田神十郎、参る」
 ぐんっ、と一瞬で柊と神十郎の距離が詰まる。
 そこから繰り出される十字槍と妖刀村正の高速連続攻撃!
「なっ……!」
 咄嗟にコキュートスの峰で攻撃を受け止めてみせたが、片手の柊が受けきれる手数ではなかった。
 肩口が、太ももが、脇腹が抉られれ切り裂かれる。
「思っていた以上に疾い……!」
 デッドマンである柊にとって、肉体の損傷はさほど不利にならない。ただすごく痛い。柊が次第に弱点の頭だけを必死にガードする様子に、神十郎は違和感を覚え始める。
「貴殿の身体、いささか奇妙だ……。先程から人体の急所を貫いているはずが、何故、未だに健在か?」
「答える義理はねぇ……よ!」
 金属同士が激突する甲高い音が戦場に響く!
 柊が神十郎の超高速連続攻撃をコキュートスではたき落としてみせた!
 しかも左腕一本で!
 神十郎は真紅の瞳孔を見開いて驚愕!
「我が速度に付いてきているのか!」
 剣で受け止めることを止め、連続攻撃をひとつひとつ、柊が大剣で弾き返している!
 柊はさも当然のように言い放った。
「まぁな。あんたの攻撃速度に慣れてきたから、ちょっと本気を出してみたぜ?」
 幾重にも響く剣戟の音色が、柊の言葉が本当だということを実証してゆく。
 これに神十郎の表情が徐々に険しくなっていった。
「慣れてきただと? 戯言を抜かすな!」
 神十郎は更に速度アップ!
 再び柊の体中が刻まれ始めるが、頭を潰されない限り、柊の身体は動き続ける。
 更に、一太刀浴びるごとに柊の剣速が跳ね上がっていくではないか!
「何故……何故だ? 何故、貴殿は倒れない? 何故、貴殿は我が神速に追い縋れる?」
 もはや両者の武器を振る速度に残像が発生するレベルまで到達している!
 武器同士がぶつかるたびに火花が飛び散り、刃と刃が激突するリズミカルな金属音が鳴り止まない。
 柊は神十郎が動揺したのを見計らい、仕掛けるタイミングを見定める。
「教えてやるよ。それは、第四の殺人『切り裂き城』……」
 自身のユーベルコードを口にした途端、神十郎の身体が一瞬、半歩後ろへ下がった。
(大技が来るか? 俺のユーベルコードである第四の殺人は、攻撃をこの身体へ浴びるたびに攻撃回数が9倍に跳ね上がる。ただそのうち1回は味方を攻撃しないと寿命が減るそうだが、寿命なんて知るか。9倍速の攻撃で、奴の手数を上回るまで耐えられればいいだけだ)
 瞬間思考で状況判断を下す柊。
 彼の探偵たる観察眼は、神十郎の剣術の癖を次第に見抜き始め、ほんの少しの差異……大技の予兆をも見逃さなかった。
 そして、その予兆は現実のものとなった。
「このスピードには付いてこられまい! 必殺、神速十字斬!」
 十字槍の横薙ぎと妖刀村正の振り下ろし攻撃がほぼいっぺんに放たれた!
 だが、これを柊はコキュートスの横薙ぎだけで初撃を撃ち落とし、半身ずらして妖刀村正を回避!
 初めて、攻撃を回避してみせた。
 これはつまり……。
「俺があんたの攻撃速度を超えた証拠だ。回避されても中止できないのが弱点だろ?」
「しまっ……!」
 すぐさま神十郎が方向転換をしようとするが、神速を超えた柊の剣のほうが疾い!
 コキュートスの氷の刃が唸りを上げて風切り音を轟かせた!
「その鎧、血で染めてやるよ」
 刹那、超音速のカウンターが神十郎を袈裟斬りに伏し、赤備えの鎧を鮮血で塗り替えてゆく。
「ぐ、ぬぅ……!?」
 唐突の出来事に、神十郎は未だ理解が追い付いていない様子。
 たたらを踏んでよろめく敵へ、柊は遠心力を加えたコキュートスの一撃を今度は逆袈裟に叩き込んだ!
 流し斬りがきれいに入った!
「ぅ、がっ!? ……これ以上は持たぬな。しばし退かせてもらうぞ!」
「あ、待てよ!」
 柊が声を上げるよりも早く、神十郎は一時撤退をしてしまう。
 傷を癒やすつもりなのだろうが、かなりの蓄積ダメージを負った状態ゆえ、今の神十郎に出来ることは止血くらいのはずだ。
「……岩玄のじいさん、山を降りるぞ。馬鹿正直に此処で待つ必要はねぇよ。できれば、何処か開けた場所へ移動して迎え撃つほうが最善だ」
 集団戦と違い、個と個のぶつかり合いは戦場の広さが求められる。
 今の山頂付近ではいささか手狭だと柊は判断し、岩玄和尚とともに下山してゆく。
 次が恐らく、最期の戦いになるだろうと柊が『推理』しながら……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

花塚・メアリ
【首】
あの男はとても強い、全部対策しても苦しい戦いを強いられる事になるでしょうね

だから頼れる相棒を二人呼んだわ、迷路、忠君、そして神速撃……全てに対して全力を以て対処してその首に辿り着いてみせる!

私は和尚と相棒達の前に立って真田の首を真っ直ぐ目指すわ。
忠君と戦う事になったら【緋閃滅在】を除く6本の刀剣を使い別けて捌く、奥の手は真田に残すわ。

決戦では真の姿を解放した上で【血染めのメアリ】を重ね掛けして戦闘力を大幅向上、自分の血に干渉して【氷結耐性】を付与して真田と切り結ぶわ、ここまで来たら後は私の剣を真田の首に届かせるのみ。

真田神十郎、その言葉そのまま返させて貰うわ。 花塚メアリ、首狩りの名よ。


ナーシャ・ヘルヴィム
【首】

私がやるべき事はメアリの援護、そして忠臣の相手ね。
不落城塞に忠臣、そして真田神十郎、とても厄介な相手でしょうけど、私達ならば問題ないわ。

真田神十郎と召喚された忠臣は私の【氷血捕縛陣】で動きを止めて、メアリが戦いやすいようにしましょう。
真田には神速十字斬の時に撃つべきね。大事な場面を邪魔をされたくはないから、モースさんに守ってもらいましょう。
忠臣は瀕死の真田を守るように動く可能性が高いから近づかせないように撃つべきね。
私は宝剣アルマスを持ち、その動けなくなっている忠臣を引き受け和尚さん含めた三人でできる限りの対処をするわ。

私の援護はここまでだから、早くその首を落として来なさいね、メアリ。


モース・レフレクソン
【首】

今回は敵を殲滅するつもりの全力サポートだ。

まずはユーベルコード【小型戦術ドローン】を使用して、425機の武装したドローンを飛ばすぞ。敵が発動する不落城塞もこれで攻略する。

更に、ウォーロードヘッドホンで地形把握をし、ドローンから来る情報も掛け合わせて地の利を得る場所へと移動する。移動したらそこからMinigunとアームグレネードランチャーで忠臣達を撃ち下ろし更にドローンにも攻撃させて、仲間を援護…いっそ敵を殲滅させるつもりで行く。

これでナーシャも和尚も援護する。

後はダメ押しでアンチマテリアルライフルを敵の大将にぶち当てる。

必ずメアリを大将の首のとこまで送り届ける。信じてるぞ…相棒。



 花塚・メアリ(恋煩い中のヴァンパイアヘッドハンターサムライガール・f02587)は、山頂から岩玄和尚の暮らす寺まで降りてきていた。
「和尚、ここで奴を待つことにするわ。最後まで私のそばから離れちゃ駄目よ?」
 ここならば十分に開けた場所であるため、花塚はこの場所を最終決戦の舞台と決めた。
(あの男……真田神十郎はとても強い。こちらが全部対策しても、苦しい戦いを強いられる事になるでしょうね)
 神十郎は猟書家の中に名を連ねるだけの実力は備えていた。
 確実に仕留めるためには、花塚以外の助力が必要だという考えに彼女は至った、
(だから呼んだわ、頼れる相棒を二人ね)
 十分開けた場所に移動したもう一つの理由が、花塚が2人の相棒との合流を円滑に行うためであった。
 そうこうしているうちに、寺の表参道からナーシャ・ヘルヴィム(白き翼の魔法剣士・f09241)とモース・レフレクソン(サイボーグの戦場傭兵・f06734)がやってきた。
「おまたせ、メアリ」
「悪い、待ったか?」
 ナーシャがオラトリオの翼を上下に揺らし、モースが肩を上下させている。
 此処まで二人が急いで駆けってきたのが見て取れる。
 花塚は合流できた二人へ微笑を向けながら首を小さく横に振った。
「いいえ、私もいま来たところよ。それで、作戦なんだけど……」
 花塚は神十郎を倒す作戦を二人に伝授してゆく。
 それを二人がちょうど復唱しようとしたその時だった。

「――役者はすべて、舞台の上に揃ったようだな」

 ボロボロになった赤い板金鎧を纏いし猛将が、十字槍と妖刀村正を携えて姿を表した。
「猟書家、真田神十郎。いざ、この場所で雌雄を決さんと欲す!」
「ナーシャ、モース! 早速だけど頼んだわよ!」
 花塚の言葉に、相棒二人の表情が緊迫する。
 そして、花塚は神十郎へ向け、腰に刺した六振りの刀と鞘に収めた野太刀『緋閃滅在』を見せつけながら通告した。
「迷路、忠君、そして神速撃……全てに対して全力を以て対処してその首に辿り着いてみせる!」
「ならば我も、全力を持って貴殿らの素っ首を落としてみせようぞ!」
 言い放った神十郎は意識を集中させると、周囲の景色がみるみるうちに変化してゆく。
 三人は気が付けば、城郭の中に閉じ込められていた。
『これぞ我がユーベルコードのひとつ、不落城塞! 徳川を2度も退けた真田の城こと上田城の城郭で出来た迷路の中で、果たして無事に我のとこまで駆け付けることが出来るか?』
 何処からか神十郎の声だけが響いてくる。
 これにモースが動き始めた。
「俺が迷路を解析する。さぁ……全てを見通してやる」
 モースはユーベルコードで大量の小型戦術ドローンを召喚して、迷路内へ放った。
「425機の武装したドローンが城内を探索してゆく。このドローンは地形は勿論、生命反応も検知可能だ」
 集めた情報は、頭に装着したウォーロードヘッドホンと自身のサイバーアイで集計・分析を進めてゆく。
 しばらくすると、ドローンに反応が複数現れる。
「迷路の中でドーロンが何者かに破壊されてる。動く影は10……これはまさか?」
「真田神十郎の侵略蔵書『真田十傑記』から呼び出された、10人の忠臣だとみて間違いなさそうね」
 ナーシャの役割は、この10人の忠臣への対応である。
「私がやるべき事はメアリの援護、そして忠臣の相手ね。不落城塞に忠臣、そして真田神十郎、とても厄介な相手でしょうけど、私達ならば問題ないわ」
「そうだ、俺達が必ずメアリを大将の首のとこまで送り届ける。ドローンが完全に破壊され尽くす前に移動するぞ」
 モースに促され、猟兵達と岩玄和尚は城郭迷路の中でも地の利を活かせそうなポイントへ移動を開始した。
 しかし、地の利を活かせるのは、猟兵だけではない。
 メアリは前方から鋭い殺気を気取ると、他の者達へ警告した。
「伏せて!」
 仲間達の身体を半ば強引に床へ這いつくばらせたメアリは、六振りの刀のうちの絶対不壊のAlucard Swordと自在に剣身を操れる蛇腹鬼殺で、飛来してきた何かを弾き返した。
 キキキキンッと甲高い金属音と火花が飛び散り、床には手裏剣が突き刺さっていた。
 モースは歯噛みしてしまう。
「既に敵側に狙撃ポイントを占拠されていたか。やむを得ない、ここで作戦を遂行する」
 いくら調べたからといえ、この迷路は真田神十郎の領域であり、10人の忠臣にとっても庭である。
 猟兵達を御しやすい場所で待ち構えているのは当然と言えよう。
 モースは素早く銃架を立てて蒸気ガトリング砲の『Minigun』を固定、鉄砲狭間から忠臣達へ向けて引き金を絞った。
 途端、リズミカルな銃声と共に瞬く連続マズルフラッシュ! 飛び散る薬莢!
 命中した銃弾が城郭の壁へヒビを入れさせ、破砕した欠片が宙に舞い上がる。
「このまま援護……いや、忠臣達を殲滅するつもりで撃ち続ける」
 弾幕を張ったことで、2体の忠臣が撃ち抜かれて消滅していった。
 どうやら、10人まとめてともに行動しているわけではないようだ。
「迷路内に忠臣が散っているみたいだ。この動き、全員、俺達を死角から討ち取るつもりなのか?」
「そんな、猟書家を守ろとうしていないの……?」
 ナーシャは唖然としていた。
 よくよく考えてみれば、神十郎は迷路に隠れてつつ逃げていれば安全だし、攻撃は忠臣達に任せれば済む話だ。
 たとえ忠臣達が花塚を仕留められなくとも、他の二人と岩玄和尚を殺せれば、神十郎の戦術的勝利が達成されてしまうのだ。
 その事実に気が付いたナーシャは頭を抱えてしまう。
「メアリ、作戦が裏目に出ているわ。どうするの?」
 不安そうにナーシャは花塚に尋ねる。
 花塚はモースに問う。
「大将首は今どこ?」
「今探している。もう少し待ってくれ」
「お願い急いで。こうなった以上、敵大将の首を落とすのが一番手っ取り早いわ。でも此処に留まっていると……」
 花塚の嫌な予感が的中する。
 忠臣達は猟兵達の背後へ鋭い殺気が彼らを突き刺してきた。
「まぁ、打って出てくるわよね? 迎撃するわよ!」
「なら私が……!」
 この殺気にナーシャが動いた。
「裁きを与える氷の息吹よ、我が敵の血流を留め、敵をひれ伏せ!」
 左手のフィンガースナップが鳴り響いた次の瞬間、斬りかかってきた忠臣の一体が真っ白になって凍て付いてしまった!
 血液まで凍りつくユーベルコード『氷血捕縛陣』によって、近付く忠臣をこのあとも3体も氷像へと変えてしまうナーシャ。
 更に宝剣アルマスを振るい、データ解析で動けないモースを庇って忠臣達と斬り結ぶ。
「まだかかりますか!?」
 氷の刃が六体目の忠臣を袈裟斬りに伏せたナーシャ。
 一方、花塚は銀嶺剣とPeaceKeeperと名付けた刀剣で忠臣七人目と八人目の首を刎ねたところだ。
「こっちが動けないことを解ってて襲ってくるなんて、真田の忠臣達って随分といい性格してるわね……?」
 残る猿飛佐助と服部半蔵が迷路内を高速で動き回って猟兵達を撹乱してくる。
 モースはサイバーアイへ送られてきた視覚情報から、確信を得た表情を浮かべた。
 そして、周囲を飛び回る忍者たちへ、左右へと彼の両腕を掲げてみせた。
 すると、モースの両腕がたちまち変形し、グレネードランチャーに早変わり!
「吹き飛べ」
 榴弾を連射すると、数拍おいてから大爆発が周囲に発生!
 忍者たちは至近距離の爆発を回避できずに吹っ飛んでいった!
「これで忠臣達は全員始末した。解析が遅くなってすまない。猟書家は此処にいる」
 サイバーアイから神十郎の居場所をホログラム地図で投影してみせる。
「私の援護はここまでだから、早くその首を落として来なさいね、メアリ?」
 ナーシャは花塚に駆け寄ると、そっと自身の頬を彼女に擦り付けてハグをした。
「また忠臣達を呼ばれる前に、ほら、行きなさい」
「……ありがとう、ナーシャ。私、必ず真田の首を獲ってみせるわ」
「すまない、そういうのは勝利してからにしてくれないか……?」
 ナーシャと花塚がイイ雰囲気になっているところへ、気まずそうにモースが視線をそらしていた。
 ちなみに岩玄和尚は満面の笑みであった。
「若いって素晴らしいのう……」
「和尚まで茶化さないでよ!? それじゃ、行ってくるわ」
 花塚は神十郎が待つポイントへ、全速力で城郭内を駆け抜けていった。

 花塚がふすまを豪快に開け放った先には、真田神十郎が立ったまま瞑想をしていた。
「――独り、か?」
「……ええ、潔く決闘と洒落込みましょう?」
 そう告げた花塚の姿が、徐々に真の姿へと移ろいでゆく。
 右に3つ、左に2つ、形の違う計5つの翼が背中に現れ、全身を血煙のオーラが花塚を包み込む。
「深淵が此方を覗き込むというのならば……私もまた深淵を覗こう」
 更にユーベルコードで真祖の力に覚醒。
 その戦闘力を爆発的に増大させてゆく。
 神十郎は彼女を前に震えていた。
「ふふ……はは、ははは……っ! 素晴らしい!」
 赤鬼の真紅の瞳孔がグワッと見開かれた。
「岩玄和尚など足元にも及ばぬ! 決めたぞ、貴様を殺し、我が配下に加えよう!」
「それは出来ない相談ね? だって、あなたは此処で死ぬもの」
 右手に血濡白梅、左手にBlaze Glitterを握り、二刀流で相対する花塚。
 これに神十郎は十字槍と妖刀村正で出迎える。
「では、真田神十郎、参る」
「花塚メアリ、罷り通るわ!」
 両者の身体が爆ぜたかの如く前方に飛び出すと、互いの得物をぶつけあう。
「ご自慢の神速十字斬はどうしたのよ? 随分と手数が少ないわね?」
「なんの、まだまだここからよ! 破ッ!」
「!?」
 十字槍が花塚の鼻先を掠め、血飛沫が彼女の目の前を舞う。
 明らかに目の前の敵は余力を残していない。
 恐らく、もはや神速十字斬を撃ってこれないほどの蓄積ダメージを負っているのだ。
 それでもなお繰り出される連続攻撃に、花塚は一片の油断できない。
「……もらったわ!」
 側面に回り込んだ花塚の渾身の一撃!
 だが……。
「馬鹿め!」
 神十郎が妖刀村正を振り上げる!
 意外ッ! 峰打ちだ!
「うッ!」
 彼女の肺の空気が絞り出された瞬間、神十郎の蹴りが彼女の武器を払った。
 万事休す!
「まんまと誘われたな? これで最期だ!」
 十字槍が花塚の心臓を目掛けて突き出された!
 花塚は叫んだ!
「……今よ!」
 その刹那、僅かな鉄砲狭間を銃弾がくぐり抜け、神十郎の鎧を粉砕!
 更に、その足元が凍て付き、神十郎は動けなくなってしまった!
 狙撃はモース、足止めはナーシャの援護だ!
「なんだ、と!」
 血反吐を撒き散らす神十郎は、花塚の後ろに控える仲間の存在に顔を強張らせた。
「あら? 確かに独りで来たけど、手出しはさせないと言った覚えはないわよ?」
「なんたる、不覚……ッ!」
 神十郎はがっくりと肩を落としてしまう。
 それは、彼の敗北宣言を意味していた。
「我が祖父、幸村も最期は潔く敵へ首を差し出した。ならば我も真田の者、我を斃した者への敬意を払おう」
 首を差し出した神十郎の態度に、メアリはゆっくりと歩み寄る。
 そして、鞘から抜き払うは、愛刀『緋閃滅在』。
「真田神十郎、あなたは我が友の野望のため、此処で貴様らの首を貰い受けると言ったわ。その言葉、そのまま返させて貰うわ」
 神十郎の首に刃が添われる。
「私は相棒のために、此処であなたの首を貰い受けるわ。私の名は花塚メアリ……」
 刃が振り上げられる。
「――あなたを殺す、首狩りの名よ」
 ダンッと肉と骨を断つ音が響くと、首がひとつ、真っ赤に染まって舞い上がったのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年11月14日
宿敵 『真田神十郎』 を撃破!


挿絵イラスト