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BREAK THE FAKE!

#ヒーローズアース #猟書家の侵攻 #猟書家 #ラグネ・ザ・ダーカー #ヴィジランテ #ギャグシナリオ #ひんにゅーを称えよ

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「出せ―! 出しなさいよこの(放送禁止用語)! (検閲削除)! (青少年の教育に配慮)!!」
 一行目からいきなり何を言いだすのか、このキャラクターは。
 しかしその言を発したのは野卑なチンピラや荒くれの暴漢などではない。むしろ逆だった。
 波打つ黄金のような艶やかな髪。水底に輝く真珠のような白い肌。そして眩いサファイアのような澄んだ瞳の、目の覚めるような美少女だったのだ。
 そんな少女が、自分をしっかりと閉じ込めている分厚い鉄の扉を嵐のような勢いでぶん殴り蹴飛ばしながら、怒涛の悪態をついているのだった。
「聞こえてるの、この脂肪の塊女! 栄養を全部無駄にデカい胸に吸い取られて脳みそが空っぽなのかしら!?」
「君、それが仮にもヒーローの言葉なのかい!?」
 然り、衝撃的な事実だが、前者の方がヒーローである。彼女の名はアリス。その名を「キューティー・アリス」と名乗る、紛れもない街を護るヒーローなのだ。
 アリスと鉄扉を挟んだ向かい側に立つのは、すらりとした長身をタイツスーツに包んだ美貌の女性。ボディラインを強調するようなそのコスチュームからは、豊かな実りをもたらす聖山のような胸が零れそうにさえ見える。しかしその眼差しには隠しようもない邪悪な光が宿っていた。
 彼女こそ、アリスを監禁した張本人であった。恐るべき計画を実行するために。
 しかし……。
 話は少々前にさかのぼる。

「おい聞いたか!? アリスちゃんがまたヴィランを捉まえたんだってよ!」
「そりゃすげえ! さすがは俺たちのアリスちゃんだな!」
「ああ、そこはいいんだ。だが、ちょっとおかしいんだ……ヴィランを捉まえる時に、巻き添えを喰らって車が十数台吹き飛び、道路に大穴を開け、水道管を破裂させて町の一角が水浸しになったっていうんだ」
「な、なんだって! そいつは確かにおかしいぜ!」
 街角で噂話に花を咲かせている男たちの声に、ビルの物陰からこっそりと聞き耳を立てていたのは、あの長身の女性であった。
「ふふ……計画通りだね。その通り、君たちが噂をしているヒーローは本物ではないのさ。この私が成り代わったもの。ヒーローの姿を借りて、事件解決の際に『やむを得ない』破壊活動を行い、人々の間に不安と疑心暗鬼の念を撒いて行く……完璧な作戦なのさ」
 そう、彼女の正体こそは恐るべき猟書家『ラグネ・ザ・ダーカー』に他ならなかったのだ。
 ……だが、物事はラグネの思ったようには運ばなかった。男たちは互いに頷きあって、口々に言ったのだから。

「「「いつものアリスちゃんなら、その程度の小さな被害で済ませるはずがない!」」」

「な、なんだってー!」
 ちなみに今の台詞はラグネのものである。物陰で目を丸くしているラグネに気付かず、男たちは続ける。
「いつものアリスちゃんならそれに加えて爆発とビルの倒壊くらいは最低限起こしてるはずだよな!」
「どうしたんだろう、体調が悪いのかな」
「それとも、大人になっちまったのかな……大人になるって寂しいことなんだな……」
 慨嘆する男たちの姿に、がっくりと大きく顎を落とすラグネなのだった。

 再び場面転換。
「……とか、そんなことを言っていたのだぞ。せっかくの私の作戦が台無しだ! 君とか君のファンはどうなっているのだ!」
「どうって、いつも通りだけど」
 そう、アリスのもう一つの通り名、そして本来の名より浸透している呼び名は──「ダーティ・アリス」。
 間違いなくヴィランを捉まえ事件を解決するが、その際に必ず大被害を引き起こすヒーローだったのだ。しかし、そんな現状も含めて街の人々が破天荒で天真爛漫なアリスを愛しているのも事実であった。……言い換えれば自己中で身勝手、ともいえるのだが。
「ちっ、こんなでたらめなヒーローがいたとはね。……ならば仕方がない。これまでは、より多くの生き証人にヒーローへの不信を抱かせるためにあえて人の命は奪わなかったが、次からはその限りではないよ」
「ちょ、ちょっと、やめなさいよ! 町の皆はあたしのオーディエンス、あたしに喝采と称賛を贈るために存在するのよ! 一人でも傷つけたらただじゃ置かないわよ!」
 酷薄な笑みを浮かべるラグネにアリスは喰ってかかるが、彼女を閉じ込めている頑強な扉は微動だにしない。アリスのそんな姿を眺めながら、ラグネは哄笑を響かせた。
「ふふ、その特等席で崩れゆく街の姿を眺めているといい。君自身の絶望もまた私のいい糧さ、ははは……」

「うわ、グリモアでも見破れない変装!?」
 ユメカ・ドリーミィ(夢幻と無限のシャボン玉・f18509)はぷかぷかと浮かぶシャボン玉の向こうから驚きの声を上げた。怪訝な顔を向ける猟兵たちに、ユメカは慌てて状況を説明する。
「あっと、ごめんね。ええと、今、猟書家たちの侵略が行われているのは知ってるかしら。こないだの戦争で逃がしちゃった猟書家たちがいろんな世界で動いてるのね。そのうちの一人、『ラグネ・ザ・ダーカー』がヒーローズアースで暗躍してるようなの」
 ユメカは眉根をひそめ、腹立たしげにシャボン玉を舞わせた。
「それは、ヒーローになり替わって『やむを得ず』って体で破壊行為を行って人々に不安と疑念を起こさせようってことなの。酷いわよね! でもその変装がすごいのは確かで、グリモアでも最近まで見破れなかったの。ごめんね。でも」
 言葉を切り、ユメカは大きく頷く。
「グリモアでさえ見抜けなかったその変装を見破った人がいるみたい。それは──『アリスちゃん親衛隊』の皆さんよ!」
 なんだかいきなりアレなネーミングが出てきたことに猟兵たちは脱力する。しかし、ユメカだけは真面目だ。
「今回、ヒーローの、ダーティ……こほん、キューティー・アリスちゃんが捕まって、猟書家に成り代わられているようなの。でも、『アリスちゃん親衛隊』の皆さんはその事実をどうやってか掴んで、彼女を救いに行こうとしてるみたい。もちろんそれはすごいことなんだけど、さすがに猟書家相手に普通の人間ではひとたまりもないわ。みんなはどうか、親衛隊の皆さんと接触、その信用を得て、力を借りながらアリスちゃんを助けて、猟書家を打ち破ってほしいの!」
 ユメカのシャボン玉がふわりと浮かんで揺らめき、パチンと割れる。
「……アリスちゃんは昔悪い子だったんだけど、今は街のために戦うヒーローだし、ヒーローズアースの戦争のときにもみんなに力を貸してくれたこともあるわ。どうか彼女を助けてあげてね」


天樹
 こんにちは、天樹です。
 次はシリアスにしようと思っていたのに、あまりにも美味しいネタが来たので、ついつい今回もコメディ系になりました。

 今回は「幹部戦」となり、「二章構成」のシナリオになります。
 一章は日常です。行動指針にはあまりとらわれず、自由に『アリスちゃん親衛隊』に接触し、その信用を得てください。彼らの力を借りることができれば、囚われた『ダーティ(キューティー)・アリス』の居場所を探し出し、猟書家『ラグネ・ザ・ダーカー』を追い詰めることができます。

 なお、「ダーティ(キューティー)・アリス」は以前他の作品にも登場しているNPCですが、特に該当シナリオをお読みいただく必要はありません。
 ではご参加をお待ちしています。
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第1章 日常 『ヒーローの活躍』

POW   :    ヴィラン退治に参加します。戦闘自体は楽勝ですが、丁々発止のやり取り等、参考になることもあるでしょう。

SPD   :    ヴィラン退治でない、交通事故や遭難者の救助など、ヒーローの日常の事件解決に協力します。

WIZ   :    市民が主催するイベントに参加したり、ジャーナリストのインタビューを受けるヒーローに同行します。

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「みんなはアリスちゃんが大人になったとか言っていたが、俺は違うと思う」
「ああ、俺もだぜ」
「確かにな」
 頷き合う三人の青年たちの着るTシャツの胸には、「ALICE LOVE」と大書されている。
 さらによく見れば、彼らのスマホにはアリスの人形ストラップが、バッグにはアリスの缶バッジがゴテゴテと飾り付けられていた。
 言うまでもないだろうが、彼らこそが『アリスちゃん親衛隊』である。
 だが、見た目のアレさに惑わされてはならない。
「おそらく、あのアリスちゃんは──偽物だ!」
 一人の力強い言葉に、残りのメンバーも賛意を示す。
 そう。彼らこそは、グリモアでさえ見抜けなかった、ラグネの変装を見破った者たちなのだ。

 猟兵たちは彼らに接触し、情報を共有し、ラグネを追い詰めてほしい。
 なお、親衛隊の信頼を得るためには、以下の話題が有効だと思われる。
「あのアリスって偽者じゃないかな」「あのアリスが偽者だと見破った理由とは」「悪役キャラの善堕ちっていいよね」「貧乳は浪漫」「破壊行為の美学」「ツンデレは基本にして至高」「アースクライシス2019の思い出」など。
 またアースクライシスにて49ersに選ばれていた猟兵がいれば、そう名乗れば、親衛隊も喜んで協力してくれるだろう。
シャーロット・キャロル
あの厄介な変装を見破るとはまさに親衛隊の鑑ですね!なんとか協力して欲しい所です!

「とぅ!マイティガール参上です!是非とも協力してほしいことがありまして……」

まずは親衛隊の皆さんと接触です!その時に49ersに選ばれていたこともアピールしておきましょう。そうすれば情報を得るにもスムーズに運ぶと思うので。

その後は更に信頼を得るために「アリスちゃんの魅力」を尋ねてみてアリスちゃんの魅力を聞いてあげますか。得てしてファンというのは語りたがるものですからね。私も好きなヒーローのことになると止まらなくなっちゃいますし。

信頼を得られたら協力して偽物を追いかけますよ!

(POWで判定。アドリブ等大歓迎です)


トリテレイア・ゼロナイン
(評判に声にならぬ呻き漏らし)
アリス時代にお願いした「力を無力な人々に振るわない」とはそういう意味ではなかったのですが…

(彼女の写真や映像を記憶データから抽出すれば親衛隊の方々への切り札となり得ますがそれはマナー違反、絶対に使いません。会話で信頼を得ましょう)

皆様はキューティー・アリスにお詳しいのですか?
私はあの戦争を転戦した当時、助けられたことがありまして…
彼女の奮戦の様子と近況を教えてください

成程、それで偽物と
彼女は恩人
救出にご協力頂けますか?

(戦いに身を置く以上、避け得ぬ死はあります。ですが…)
…無事でいてください

ところでそのグッズ(売り上げが被害救済に充てられるなら)私も欲しいのですが



「……だから、やっぱりあのアリスちゃんは偽物だと思う」
「間違いないだろうな」
「そうだな、ということは……」

 互いに額を寄せあい、真剣な声音で話し合っている青年たちの姿があった。彼らこそは『アリスちゃん親衛隊』。その面差しは厳しいながらも真っ直ぐで、目の光は鋭くも純粋。その胸の中に熱く眩しく燃え盛る正義の炎を外部に映し出すかのように。
 ……そう、たとえ彼らの服装がイタさ丸出しであったとしても。たとえ胸にでかでかと「ALICE LOVE」の文字が書かれたシャツを着、缶バッジやキャラクターストラップがじゃらじゃら音を立てていようともだ。
 そんな彼らの前に──

「とうっ!」

 可憐ながらも気合の籠った声と共に、鮮やかに空中から降り立った影がある。
 見る者の視線も意識も釘付けにするような魅惑的なプロポーションを、華やかな青と赤のコスチュームに包んだ美貌の少女。黄金のツインテールをなびかせ、背には風をはらんで真紅のマントが華麗に翻る。その名は。

「マイティガール、参上です!」

 シャーロット・キャロル……いや、正義のスーパーヒーロー・マイティガール(f16392)その人に他ならなかった。
「こんにちは! 実は、是非とも協力してほしいことがありまして……」
 シャーロットは驚愕に目を見開いている三人の青年に丁寧に尋ねた。情報収集ならば、「シャーロット」として行ってもいいだろう。だが今回の場合、ヒーロー「マイティガール」としての姿を現した方が妥当であろうと、彼女は判断したのだ。
 そして、そのシャーロットの判断が正しかったことは即座に立証された。
「あ、ああ……ま、まさか、マイティガールさん!? ほ、本物のマイティガールさんですか!?」
 青年たちはその瞳に感動の色を浮かべ、喜びに震えた声で彼女を迎えたのだから。
「お、俺たち、あの戦いでの……アースクライシスでのあなたの活躍、見てました! すげえカッコよくて、憧れました!」
「記録映像とかも全部見てます!」
「やっべ本物MGマジ可愛い……」
 口々に讃える彼らの声に、シャーロットは白い頬を微かに染めて照れたように微笑む。
「あ、あはは。いや、そんなに言ってもらえると、頑張った甲斐もありました」
 そう、シャーロット、すなわちマイティガールは、かつて起きたヒーローズアースでの大きな戦い「アースクライシス」において鮮烈にして大きな戦果を上げ、『ヒーローズ・フォーティーナイナーズ』と呼ばれる英雄たちの中の一人として数えられる栄誉に浴した少女だったのだ。

「不躾ながら、あなた方はキューティー・アリスにお詳しい方々だと聞いて参りました。お尋ねしてもよろしいでしょうか」

 そこへもう一つの大きな影が差す。純白に輝く鋼のボディが陽光を受けて雄々しく誇らしく煌めく。彼こそは冷たい機械の身体に熱い騎士の魂を持つ戦機、その名は、トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)。
「う、うっそだろ!? ま、また……また49ersのヒーローが!?」
 そのトリテレイアの巨躯を目に映し、青年たちはまたも息を飲んで感嘆した。然り、トリテレイアもまたシャーロットと同じく、アースクライシスの戦いにおいて輝かしい戦歴を残した英雄、世界を救った偉大な戦士の一人であるフォーティーナイナーズであった。その純白の機体が赴くところ、正義の砲弾が火を噴き、断罪の刃が閃いて、邪悪なるものを打ち倒して行ったのだ。
「まさか二人も49ersに会えるなんて……! あの時は世界を救ってもらって、なんとお礼を言っていいか。よ、よかったら握手いいですか?」
「さ、サインとか写真とか……」
「馬鹿、それはさすがに御迷惑だろ」
 口々に囁き合いながら、おずおずと手を差し伸べた青年たちに、やや戸惑いながらトリテレイアはその巨大なマニュピレーターを差し出す。
(憧れられている……私が、御伽噺の騎士のように? 不思議な感覚です……いえ、それは私個人ではなく、「49ers」という「与えられた役割」についての憧れなのでしょうか……)
 微かにCPUの中で思いながら、トリテレイアは合成音声を響かせた。
「ああ、いえ。私こそ、実はあの戦争の時に、彼女に──キューティー・アリスにお力を借りたことがあったのです。いわば、恩人です」
 トリテレイアが語るのは、かつてスカムキングが企んだ汚染水槽の爆破計画事件。その際に、トリテレイアを含む猟兵たちをアリスは案内し、爆弾の解体に助力したのだ。
「そ、そうだったんですか。さすがアリスちゃんだぜ!」
 口々に言う親衛隊の青年たちに、トリテレイアは尋ねる、
「そのアリスなのですが、最近の動向についてお尋ねしたいのです」
「あ、そうなんですよ。実は私も、それについてお聞きしようと思って」
 トリテレイアの言葉にシャーロットも和した。
 二人の英雄が揃っての声に、青年たちは今までの興奮した態度を瞬時に改め、真剣な目つきになる。
「……やっぱ、49ersのみなさんも気づいたんですね。あのアリスちゃんが……偽者だってこと」
 いささかも疑念の混じらぬ断言。そこには揺るがぬ真実の重みがあった。
 シャーロットとトリテレイアは目を見合わせ、その重要な証言を受け止める。
「もしそれが本当なら、すごく大事な問題です。その、何か、証拠とか、そう確信した理由とかはあるんですか?」
 シャーロットの問いに、親衛隊たちは大きく頷いた。
「最近の戦い方です。ヴィランを捉まえるのはいいんですが、その時のアリスちゃんの最近の戦い方が、明らかに変わったんです。つまり」
 青年たちは重々しく言葉を継いだ。

「……正々堂々としてるんです!!」

「……はい?」
「は?」
 シャーロットとトリテレイアは同時にぽかんとした声を出す。だが青年たちは意に介さず、次々に告げていく。

「アリスちゃんは元々卑怯で卑劣で外道なんです!」
「ヴィランを倒すためには手段なんか選ばないんです!」
「待ち伏せも奇襲もだまし討ちも上等なんです!」
「一度なんか、ヴィランが学生時代に書いたポエムみたいなラブレターを探り出して、それを無数にコピーして街中に張り出したことがありました!」
「ああ、あの時はヴィランが泣きながら、もう勘弁してくださいって自首してきたんだよな……」

 積み重なっていく証言の羅列にシャーロットの明るい笑顔は石のように固まり、トリテレイアは頭を抱える。
(うっわー……いやまあ正義を実行するためにはきれいごとだけじゃすみませんけど……)
(アリス……前の事件の時にお願いしたのはそう言う意味では……)
「それなのに! 最近のアリスちゃんは真正面から卑怯な手を使わずにヴィランを追い詰めて、だまし討ちも何もせずに正直に戦ってるんです! これはおかしい、どう考えてもおかしすぎます!」

 力なく口元を痙攣させながら、シャーロットは一応頷いて見せる。
「ま、まあ、確かに。言ってみれば、急に信念が変わったような行動を取り始めた、ということですものね」
(……そっちの方がヒーローらしい気もするんですけど)と内心で思いつつも、それでもシャーロットは納得はする。どちらがよりヒーローらしいかはともかく、一人の人間の、それも戦いを生業とするものの行動指針が急にそこまで変わるというのは、明らかに不自然ではあるのだから。
 そして。……親衛隊たちが、そこまで深くアリスのことを注意深く見つめ、思いを馳せ、考えている、ということに、シャーロットはある種の感服と共感も抱いていた。
(……ファンって、そうなりますよね。私だってそうですもの。憧れの相手にはね)
 彼女にも強く想いを抱く憧れのヒーローがいる。その相手に対して語ろうとし始めたら饒舌は止まらなくなるだろう。憧れという感情はそれほどに人を大きく動かす原動力となるのだ。
 
 一方トリテレイアも、メモリの奥底に宿る、かつてのアリスの事件記録をもう一度再生しながら思考していた。
(あの事件の時の記録は、もちろんマナー違反となりますから他の方には開示しませんが……アリスの本質を知りつつ、それでも、いえそれだからこそ応援してくれるファンがこんなにもいるのですね)
 アリスはおそらく、とても正直なのだ。飾らず偽らず、自分のやりたいことをやりたいように、シンプルにぶつけ、やり通す。その姿勢が、もしかしたら親衛隊たちのような支持者を生み出しているのかもしれない、とトリテレイアは推論した。
 そうであるのなら。
(……どうか、無事でいてください)
 トリテレイアは願う。機械としての身には不似合いな、それは祈りかもしれぬ。戦いの中に身を置く以上、避けられぬ死はあると、知りすぎるほどに知っていながらも。それでも騎士は、戦友の身を案じずにはいられない。
 
「わかりました。じゃあ、本物のアリスさんを探さないとですね! 私たちも協力します!」
「そうですね、……それと」
 シャーロットの言葉に頷き、トリテレイアは親衛隊たちにふと、尋ねた。
 視線を、彼らの身をジャラジャラと飾る無数のグッズに向けて。
「……私もそのグッズ、欲しいのですが」
 トリテレイアの内蔵する検索機能の履歴は、ダーティ……いや、キューティー・アリスのグッズ売り上げが全て被害者救済基金に充てられていることを示していたのだった。
 騎士の雄々しい兜や剣に可愛らしいマスコットが揺れている姿を想像して、シャーロットは思わずにっこりと破顔した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎

漸く平和を取り戻した世界を、またぞろ引っ掻き回そうとはな…フン、まぁいい
逃したのであれば、奴らの尻尾をまた掴めばいいだけの話だ

まずは変装で記者を装い、「注目のヒーロー特集!」の街頭取材と言う体で親衛隊の皆から情報を引き出そう
確実に成功させるため取材前にUCを発動
ミントタブレットを舐めて集中
記者として演技し、情報を確保しよう

ズバリ親衛隊の皆様にお聞きします!
色んな意味で話題沸騰中のヒーロー「キューティー・アリス」氏にまさかの偽物疑惑が出ていますが、有識者の皆さんはどうお考えでしょうか?

この会話を切り口に情報収集を開始
偽物の居場所や本物のアリスの場所に関するヒントを手に入れよう


上野・修介
※アドリブ、連携歓迎

〇聞き込み【情報収集+視力+コミュ力】

「将来的には一冊の本にしたいんです」

身分を『旅しながら各地で活躍するヒーローとその土地の人々について取材しているバックパッカー』として『アリスちゃん親衛隊』に接触。
服装などもそれに準じた感じで。
態度は常に丁寧に。
相手が年下でも基本的には敬語で。
手作りの名刺を用意し、伊達メガネ着用と顔の傷を隠す絆創膏で印象を和らげる。

『ダーティ(キューティー)・アリス』について聞きつつ、恐らくあるだろう彼女の活動記録を見せて貰い、「最近は被害を小さくしてるんですね」という切り口で以前と以後について教えて貰う。

得られた情報は他の猟兵に共有する。



「えっ、アリスちゃんの記事を、ですか?」

 青年たちは驚いた顔で二人を見上げた。その視線の先には、紫紺の華麗なロングヘアを風に流した美貌の女性と、顔に大きな絆創膏を貼った逞しい長身の青年が立つ。
「ええ、私は記者でして、今は『注目のヒーロー特集!』という街頭取材を行っております。……あ、よろしければミントタブレットいかがです?」
「俺は、旅をしながら各地のいろいろなヒーローと、その土地の人々の話を聞き集めてまして、将来的には一冊の本にしたいと思っているんです」
 にっこりと優美な笑みを浮かべて答えた女性は、キリカ・リクサール(人間の戦場傭兵・f03333)。そして黒髪の穏やかな口調の青年は、上野・修介(吾が拳に名は要らず・f13887)であった。
 二人は本来凄腕の猟兵であり、そして、共に本来は戦場を駆け、硝煙の香りを漂わせ、銃声を子守唄とするもの──戦場傭兵でもあった。
 その傭兵の二人が共に「取材活動」として事情を探ろうと考えたのも、面白い偶然ではあったかもしれない。
 だが、凄絶な生涯を送ってきた二人だが、それゆえにこそ、今青年たちに見せるその物腰は共に丁重であり、彼らに対し真摯な姿勢を見せている。たとえ力を持たない一般人であっても、彼らの正義を守ろうとする勇気、正しいことを貫こうとする決意、そして偽りを許さぬ志に対し、二人の猟兵は惜しみない敬意を抱いていた。
「この街のスーパーヒーローと言えば、ダーティ……こほん、失礼、キューティー・アリス。そして、皆さんはそのアリスさんの親衛隊だと伺いました」
「よろしければ、彼女の活動記録などを見せてもらえると嬉しいんですが」
 キリカと修介の言葉に、しかし、青年たち──親衛隊はふと考え込むような表情を浮かべ、困惑を示すように顎を撫で、額を指で叩いていた。
「ええ、まあ活動記録は確かにありますのでご覧いただいて構いません。……うーん……しかし……ほんとなら、喜んで5時間くらい語るんですが……」
「そんなに。……こほん、失礼。その反応は、『あの噂』はもしかしたら真実ということでしょうか」
 キリカの瞳がきらりと光る。グリモアでも見抜けなかったという今回の事件の真相、それを見抜いた親衛隊たちの証言に肉薄できたと知って、彼女は注意深く、次の一言を絞り出す。
「──今のアリスさんは、偽者だ、という噂は」
 はっとした顔で青年たちは顔を上げた。その表情には、確かな信念が──キリカの言葉が正鵠を射ていると裏付ける確信が、あった。
「……これを見ると、最近のアリスさんはなるべく被害を少なくするように活動しているみたいですね。……一般的にはそれは喜ばしいことだとは思うんですが、皆さんとしては何かがひっかかると?」
 活動記録を閲覧しながら、修介も青年たちの様子を伺いつつ言葉を選ぶ。確かに、記録を追っていく限りでは、ある時期を境にして、明確にアリスのヒーロー活動による損害は低下の傾向があったのだ。……いやそもそも被害前提のヒーロー活動自体どうなんだろうという気もしなくはないが。
「はい……そこまでもう調べていらっしゃるなら、もう話してもいいんでしょうね。確かに俺たちは、今のアリスちゃんは偽物だと考えています」
 親衛隊の青年たちは悲痛な表情を浮かべ、それでも断固とした口調で言い切る。
「それはかなりの重大問題ですね……。では、その根拠もあると?」
 修介の問いに、親衛隊ははっきりと言い放った。

「今のアリスちゃんは、街に被害を出した時に、申し訳なさそうな顔をするんです!」

「……はい?」
「……え?」
 キリカは小首を傾げたままのポーズで固まり、修介の変装用メガネがずり落ちる。
 それにも構わず、親衛隊たちは油紙に火のついたように早口になって続けた。

「ほら見てください、この映像のここんとこ! それに、こっちのここも、ここも! 壊れた建物や廃墟をみて哀しそうな顔をしてるんですよ、絶対おかしい!」
「アリスちゃんなんですよ、街に被害を出すのは当たり前っていうかむしろそれ込みで考えないと!」
「なんならアリスちゃん本人も、活躍を盛り上げるステージ効果くらいの感覚でどんどん街ぶっ壊しますし!」
「お店とかはアリスちゃんに壊された店! ってので有名にもなりますし、もちろん『アリスちゃん活動補償金』が下りるんで、それで経済がガン回しになってたりもしますからね!」
「見てほしいなあ、アリスちゃんのぶっ壊しに多くの観客が声援と喝采を贈ってるとこ! あれは癖になりますよ、気分がスカッとします!」
「最近はアリスちゃん用に建物の一部を壊れやすく作る人も増えているくらいです! 早くアリスちゃんに壊されたいなーって言ってますよ!」
 そこまで熱く語りながら、しかし彼らは不意にうつむき、悲しげに首を振る。
「……それなのに。最近のアリスちゃんは、街を壊すと申し訳なさそうな顔をするんです。そんな馬鹿な話はありません。アリスちゃんがそんな謙虚に自己の非を認めるわけないじゃないですか!」

「……あー、それはまあ、確かに……変? ですね?」
 艶めく唇の端をピクピクとさせながら、キリカは美しい貌にこわばった作り笑いを浮かべる。変なのは今なのか、それともこれまでなのかはともかく、まあ変は変である。それとも世界の方が変なのだろうか、常識を疑うべきなのだろうか。深い問題である。
「……確かに、別人と言った方が良さそうではあります……ね……」
 修介もまた頭痛がしそうなこめかみを抑えていた。被害を出して申し訳なさそうだから偽物。謙虚だから偽物。なんだそのヒーロー。
(若干猟書家に同情する……そりゃ模倣できないわけだ。猟書家の行動の方がまともって何)
 しかしそのおかげで猟書家の陰謀が暴かれたのだから、結果としてはそれが良かったのだ。
 多分。

「それで、多分なんですが、アリスちゃんは偽者に捕まってるんじゃないかと思って」
 少しトリップしていた猟兵たちに、青年たちは語り掛ける。
「まあ、確かに。本物が自由なら、偽者を見逃すはずはありませんからね」
「しかし、その……考えたくはありませんが、本物のアリスさんがもう……という可能性は?」
 修介の問いに、親衛隊たちは自信ありげに首を振った。
「それはきっと大丈夫だと思います。なぜなら!」
「なぜなら!!」
「なぜなら!!!」
「「「俺たちはアリスちゃんを信じている!!!!」」」
 
 ナニソレ。
 と言いたくなる気持ちを必死で抑える猟兵たち。
「……いやまあ、多分なんですけどね。でも、もしかしたらそうかもっては思えるんです、だって、……事件記録から気付きませんか? あの偽者の活動時間のことを」
 青年の言葉に、修介はもう一度受け取った活動記録を見返し、そして、あることに気付いてしっかりと頷いた。
「そうか。……ヴィランを掴まえても、いつまでも無駄に現場に残っていますね、彼女」
 そう。
 猟書家の狙いはヒーローへの疑念をばらまくことであり、そのためには事件を解決した後もすぐに姿を消すわけにはいかない。むしろいつまでも事件現場に残って、目撃者を増やさなければならないのだ。
「そうなんです! ってことは、あの偽者はきっとすごく自信家です。だって、ヴィランを捉まえた後も長々と事件現場にとどまり、自分の姿を見せつけるようにしているんですよ。確かに姿だけなら本物のアリスちゃんと凄く似てますし、声も話し方も瓜二つ、ちょっとした癖まで似てるんです。それだけの能力があればまあ自信過剰になるでしょう。でも」
「なるほど」
 と、キリカは微かに笑みを浮かべ、頷く。親衛隊たちの言わんとすることを察したのだ。
「本物を始末するのは、正体がバレるという可能性を消す場合ですね。でも、今回の偽者は自分の能力に自信を持っているだろうから、そんな危惧を抱いているとは思えない」
「自分が偽物だと見抜ける人がいるとは思っていない……だから、本物を始末する必要もない、というわけですね。なるほど、一応の筋は通っている気がします」
 キリカの言葉を修介も引き取り、頷く。
 無論、それはあくまで希望的観測にすぎない、と言ってしまえばそれまでだ。だが、『希望』こそはヒーローにとって、そして正義にとって、何よりも必要なものではないか。
「わかりました。私も信じましょう、アリスさんが生きていることを。そして」
 キリカはふわりと装いを脱ぎ捨てるように、その外貌を、いや雰囲気を切り替える。その身に纏う柔らかな空気を、瞬時に、鋭利にして美しい抜身の刃のような本来のものへと。
「……そして、偽者の尻尾を掴んで見せよう。フン、漸く平和を取り戻した世界を、またぞろ引っ掻き回そうとはな……」
「ええ、俺もです。救いましょう、今もヒーローとして抗っているのならば、それは尊い意思の力です」
 修介もまた、鋭い視線を覆い隠していた眼鏡を外し、深いまなざしを虚空へ向けた。穏やかであるからこそ底知れぬ威を秘める牙持つ獣のように。
 二人の変貌に親衛隊たちは瞠目し、そして知るのだった。人を越えた存在である二人の力の一端を。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

パトリシア・パープル
なんか色々しょーもないコトになってるみたいだけど、嫌いじゃないわよ、そういうノリ

と、いうわけで、親衛隊の3人に接触するわね
呼び出したスカンク達は、彼らの活動の補助をさせるってことで
「あなた達、あのアリスが偽物だって見破るなんて、筋金入りのファンなのね
「でも、おっかけやってるだけじゃ、本物のアリスを助けられないってことも解ってるわよね?

ヒーローには、サイドキックっていう相棒がいるのがお約束
つまり、彼らがアリスのサイドキックになればいいのだと、煽てて乗せてアゲアゲにするわ
「どうせなら、あなた達もヒーローっぽい格好すれば?

なんか戦闘員の全身タイツにアリスの痛ペイントした感じになったけど気にしない


幻武・極
へぇ、アリスちゃんね。
可愛い女の子がヒーローをやっているなんて珍しいね。
ヒーローズアースなら、『レディ』とか『ビューティー』とかをイメージするだけどね。
魔法少女に近いヒーローなのかな?
あ、ヤバ、親衛隊を名乗る連中にちょっとでも間違った認識を示すと・・・。
やっぱり、解説タイムが始まったよ。

・・・それにしても、なんでボクは火に油を注いでしまったんだろう。
偽物回なんて言ったら、偽物と本物の対峙⇒駆け付けた親衛隊が偽物を看破⇒本物からのツンデレなんて構図がどんなユーベルコードよりも先に構築されるなんて分かりきっているはずなのに。

そして、ボクはアリスちゃん=アリスと結びつける情報を持ち合わせていなかった



「なんか色々しょーもないコトになってるみたいだけど」
 呟きながら、パトリシア・パープル(スカンクガール・f03038)は視線の先に展開されている光景を見る。それは工事現場──ダーティ・アリスのヒーロー活動の巻き添えを喰らって被害を受けた街並みの修復工事だった。
 しかし、その現場で働いている者たちも、またその周囲で見つめる野次馬も、みな明るく楽しげな表情であることも、パトリシアの目には映る。口々に何事か冗談口を聞きながら活発に働き、それを見守る、そこは賑やかで活気に満ちた現場だった。
「なるほど、これはこれでしょうがないか、ってわけね。嫌いじゃないわよ、そういうノリ」
 パトリシアはくすっと笑みを漏らす。野次馬たちや作業員のうちの何人かが、可愛らしいマスコットをぶら下げ、あるいはステッカーなどを貼っていることに気付いて。
 それは、ダーティ・アリスのキャラクターグッズだった。
 街を壊したのはアリスだが、この街の人々はそれを含めてアリスを愛している。破天荒で裏表のないアリスのやんちゃぶりを、苦笑し、多少は眉をしかめ。しょうがない娘だなあと軽く怒りつつも──それでもやはり愛しているのだとパトリシアは知った。
「……でも、それは『本物のアリス』の場合よね」
 パトリシアの表情が微かに険しく変わる。そう、今のアリスは、猟書家によって成り代わられている偽者だ。今は人命にかかわる被害は出ていないようだが、猟書家のことだ、今後のことなど保証の限りではない。そうなった場合、この街の人々の笑顔はどうなるのか。
「そんなことにさせないためにも、情報を集めないとね。確か、『アリスちゃん親衛隊』っていう人たちは、だいたいこのお店あたりにいつもいるって……」
 彼女が教えられたカフェのドアを開けたとき、その眼に飛び込んできたのは、三人の青年に向かい合わせになり、膝に手を押してきちんと座りながらどんよりした表情を浮かべている一人の少女の姿だった。
「あ……」
「あ……」
 パトリシアと少女は目を合わせ、そしてすぐに知る。互いに猟兵であることを。
 猟兵であるなら友達、それが本来はパトリシアの信条だが。
「じゃ、わたしはこれでっ!」
「待って、置いて行かないでよ!」
 踵を返して逃げ出そうとしたパトリシアを、幻武・極(最高の武術?を追い求める羅刹・f00331)の声がしっかりと引き留めたのだった。

 かくして、パトリシアも極の隣に座り、三人の青年に対峙することになる。
 青年たちは目を輝かせ、新たな獲物……失礼、犠牲者……失礼、聴衆が増えたことの喜びを全身で表していた。ダーティ・アリスの魅力とエピソードと数々のトリビア、そして彼女が登場するまでのヒーローの歴史に至るまでを、滔々と延々と永続的に語り続ける講演会の聴衆が増えたことの。
 すなわち、彼らが『アリスちゃん親衛隊』に他ならない。
「何でこんなことに……」
「いやその……」
 隣に座る極にパトリシアが小声で尋ね、極はこそこそと答えた。
 
 ……それは2時間ほど前のこと。
 やはり親衛隊に接触し、今回の事件の情報を得ようと考えていた極は、首尾よくこの店で邂逅に成功した。
 だが、そこで、色々と話を聞きこんでいくうちに、極はつい口を滑らせてしまったのだ。
「でも、可愛い女の子がヒーローをやっているなんて珍しいね。この世界なら、『レディ』とか『ビューティー』とかをイメージするけどね。魔法少女に近いヒーローなのかな?」
 問題:この発言のどこがヤバかったのでしょう?
 解答:だいたい全部です。
 そう、ファン、それも『親衛隊』を名乗るほどのイタい……失礼、アレな……失礼、熱心なファンに対して、迂闊に定義問題に踏み込むものではない。オタクというのはだいたい定義論が大好きなものであり、そしてそれについて譲れない一線をしっかりと自己の内で持っているものであるのだから。
 案の定、親衛隊の青年たちは一斉に、怒涛の勢いで解説という名の襲撃を開始した。
「『ガール』系のヒーローの存在の歴史は古く、また今も増え続けていてですね……」
「もちろん成人女性ヒーローも多いわけですが、そこに流れる歴史的経緯としてのウーマンリブ運動と反マッチョイズムという概念を考えると……」
「魔法少女文化も貴重ですが、そもそも魔法少女が戦闘系であるという認識はですね……」
「ついでに、魔女っ子と魔法少女の違いという話にもなりますが……」
(……ボクはまだ……未熟だったね……この展開は十分予想できたはずなのに……)
 がっくりと小さな肩を落とす極は、ただ親衛隊たちの高説を聞いているしかなかった。
 
 そして今に至る。終わりそうにないテンションのままで。
 このままでは危険がピンチでデンジャーだ。猟書家と戦う前に、二人の気力と体力とSAN値が全部削られてしまう!
「しかし一方で、サイドキックとしての女性ヒーローは……」
 おお、だが!
 親衛隊のその一言を、パトリシアは聞き逃さなかった。
「そ、そう! サイドキックよ!」
「え?」
 咄嗟に叫んだパトリシアの声に、親衛隊たちは怪訝な顔になり、一瞬言葉を止める。
 すかさず、パトリシアはペースを掴み取ろうと逆襲する。
「ヒーローには、サイドキックっていう相棒がいるのがお約束。あなたたちこそ、アリスのサイドキックになるべきじゃないかしら。アリスにはまだサイドキックはいないのでしょう?」
「ええ……確かに。でも、アリスちゃんは自分が一番目立ちたい人なので、サイドキックは望まないと思うんですよ」
「でも、ただの追っかけをやってるだけじゃ、アリスは助けられないわ」
 その言葉に、親衛隊たちははっと表情を改めて二人の猟兵の姿を凝視する。
 ──『アリスを助ける』。
 そう、その言葉は同時に、『今のアリスは偽物だ』という前提をも意味していた。
 ……逆にいえば、2時間語っていて、まだそこまで話が来ていなかったわけだが。
「あなたたちも、今のアリスちゃんが偽物だと……?」
「ある筋の情報からね。実はわたし、以前に一度、アリスと一緒に戦ったの。でも、記録映像を見ても、前のアリスと今のアリスが別人だとは見分けられなかったわ。けど、あなたたちはそれを見破った。これはすごいことよ。ある意味ヒーロー以上と言ってもいいと思うの!」
 パトリシアはアースクライシスの際、アリスと共に汚水槽に仕掛けられた爆弾を解除した時のことを思い出しながら話を続ける。その記憶の中のアリスと、今のアリスの姿は、確かに瓜二つ。グリモアの力でも見破れなかったというのも無理はない。親衛隊たちがすごいというのは、多分におだてでもあり、彼らをノセるための言葉でもあったが、同時に少なからずパトリシアの本音でもあったのだ。
「ちなみに、聞いてもいいかな。キミたちは、どこでアリスが偽物だと見破ったんだい?」
 極の問いかけに、親衛隊たちは顔を見合わせ、そして口を開いた。

「あのアリスちゃんが、人質を助けようとしたんです」

「え?」
「はい?」
 パトリシアは微笑を凍らせ、極は目を丸くして固まる。
 しかしそれに頓着せず、親衛隊たちは口々に話を続けていく。

「最近、あるヴィランと戦った時、そいつが人質を取ったんですよ」
「そしたら、アリスちゃんは攻撃をやめて、交渉しようとし始めたんです!」
「明らかにおかしいです! いつものアリスちゃんなら、人質とか関係なくぶっ飛ばそうとします!」
「っていうか、アリスちゃんはむしろ人質に対して、『あんた、何であたしの足引っ張るのよ!』とか言ってむしろヴィランに対してよりもキレる系です!」
「そのキレ方が演技とかじゃなくてマジなんで、ヴィランも『あ、ダメだこの子話通じない……』とか思って、もうアリスちゃんに対して人質取ったりするような奴はほとんどいないんですが」
「その時のヴィランは最近デビューしたばっかりの新人だったんですね」
「まあ結局、その人質の方が『ヤバい自分もブッ飛ばされる』って思って、必死にヴィランを説得したんで解放されたんですが」
「「「おかしいですよね!!!」」」

 おかしいのは本物の方じゃないかな。
 と言いたくなる気持ちを猟兵たちは必死で我慢する。
「そ、そうなんだ……へえ……」
 目を泳がせる極は、しかし、何処か妙に引っかかるものを覚えていた。記憶のどこかで、似たような行為をしそうな、似たような名前の誰かがいたような気がする。
(んー……あれ? もしかしたら……)
 一方、パトリシアは別の意味でサイドキック計画の必要性を感じていた。
(いや確かにこのノリも嫌いじゃないんだけど! でも、この本物、サイドキック付けてちゃんとコントロールする人いないと駄目なんじゃない!?)
「うん、確かにそれを見破ったあなたたちはすごいわ。だからやっぱりサイドキックに立候補すべきじゃないかしら! そう、ヒーローっぽい格好もして!」
 たとえばこんな、とパトリシアが店のナプキンにさらさらと描いてみせたのは、ピッチリスーツにでかでかとアリスの痛ペイントが為されたデザインだった。
「こ、これはたしかにすごいですね!」
(あ、いいんだ……)とか思っているパトリシアの胸中を余所に、親衛隊たちは盛り上がる。
「アリスちゃんのペイント、この写真を使ったらどうだ?」
「いや、俺はこっちがいいと思うな! 俺の待ち受けだ」
「待て、これも捨てがたいぞ……俺はこいつをB全パネルにして部屋に飾ってる」
 かくしてテーブル上は無数のアリスの生写真やブロマイドで瞬く間に埋め尽くされる。
 その写真を見て、極はようやく悟ったのだった。
(あー。……『あのアリス』だったのか、この子。……へえ。ちゃんと、ヒーローになってたんだね。……やり方はともかくとしても、さ)
 かつておとぎの国に踊った悪意。それは無駄ではなかったのだと極は知って、微かに優しい笑みを浮かべるのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アテナ・カナメ
【心情】うーん…偽物ヒーローを退治するために来たんだけど…どうやら本物の方も色々厄介みたいね…でも、まあ…助けないとね

【作戦】アリス親衛隊に接触。格好はイェカの格好ではなく私服。【コミュ力】を駆使して「あなた達、アリス親衛隊…ですよね?」と声を掛け「私もあのアリスちゃんおかしいと思っていたんです…探すのに協力していただけませんか?」と礼儀正しく聞いてみるわね。
そして彼らから彼女が好む店や場所を聞きつつ向かって彼女の足取りを追って突き止めてみるわ!(絡み・アドリブOK)


黒影・兵庫
俺はこのヒーローを知っている気がします!
(「アタシこのヒーロー嫌い!...まぁ助けるけど」と頭の中の教導虫が若干機嫌悪そうにつぶやく)
あれは俺の作戦だったわけですし...
(「それはさておきどうする?」)
親衛隊の人たちの助力を得るために
キューティーアリスのファンとして
接触しつつ、実は俺は虫使いのヒーローで
本物のアリスの捜索に協力するので
仲間に加えてほしいと話しかけましょう!
(「ファンになる必要ある?」)
趣味を共有するものは心を開きやすいです!
大丈夫ですって絶対上手くいきますって!
(「作戦を疑ってはいないのよ。納得ができないだけ」)
せんせーも執念深いですねぇ
とにかく作戦開始です!
(「おー...」)



「俺はこのヒーローを知っている気がします! っていいますか、多分あの子ですよね、せんせ―!」
 グリモアベースで渡された資料を眺めつつ、黒影・兵庫(不惑の尖兵・f17150)が発した言葉に、ぶすっと不機嫌そうな声が返る。
『アタシこのヒーロー嫌い! ……まぁ助けるけど』
 その声は、兵庫の脳内に寄生する蟲のもの、兵庫を導く恩師にして慈母代わりの存在でもあるスクイリアのものであった。
 感情をむき出しにしているスクイリアの声に、兵庫は苦笑する。
 かつて兵庫とアリスは出会っていた。それはアリスがまだヒーローではなかった時のこと──己の中の破壊衝動を世界にぶつけようとする悪意の塊、そう、ヴィランに他ならなかったころのことだった。
 兵庫はそのアリスに、己のすべてをぶつけ、受け止めた。想いを、信念を、優しさを、そして本当の強さを。
 結果として、今のアリスがいる。その意味で、兵庫は満足しており、含むものは何もない。けれど、スクイリアにとっては、愛し児であり大事な教え子である兵庫を最初は騙し、次には傷つけた相手でもある。
『まあ、あれは俺の作戦だったわけですし……』
 なだめる兵庫の声に、まだ多少ぷくーっとむくれているスクイリア。なかなか世話の焼ける「おかーさん」であった。

「うーん……偽物ヒーローを退治するために来たんだけど……」
 同様にグリモアベースで入手した資料を眺めながら、アテナ・カナメ(アテナマスク・f14759)も困惑したように首を捻る。真紅の美しい髪が、その内心を表すようにふわふわと風に揺れていた。
「どうやら本物の方も色々厄介みたいね……」
 正義に燃えるアテナの目から見れば、アリスの行為はナニコレと言いたくなるようなものに他ならない。それでも、結果としてアリスは必ずヴィランを掴まえてはいるし、また……何より、一人も犠牲者を出していないのも確かではあった。
 アテナにとっては、それこそがヒーローとしてのあるべき道を指し示し照らし出す灯火に他ならぬ。──自分のパートナー、宛那の家族のような犠牲者を出さない、そう誓った彼女にとっては。
 悪を制するにはより大きな悪である必要もある、ということだろうか。それとも、これもまた大きな正義の一つと言えるのだろうか。
 むむー、とアテナは腕を組んで悩む。正義を行う道は果てしなく遠く、そして深い。ゆえに尊くもあるのだが。
「でも、まあ……助けないとね」
 いずれにせよ、猟書家の陰謀は砕かねばならず、そして街の希望でもあるアリスの存在は守らねばならぬ。アテナは己の中の悩みに一区切りをつけ、情報を求めて歩き出すのだった。

「いやあ感激だなあ、二人も新しいアリスちゃんのファンが増えるなんて」
 青年たちは嬉しそうな笑みを満面にたたえ、口々に言いあっては楽し気に頷いている。
 兵庫とアテナは、共にアリスのファンとして『親衛隊』に接触し、話を聞くことに成功していた。
『えー、わざわざファンになる必要あるー?』
 そしてまだ不貞腐れているおかーさんスクイリアであった。彼女の声は兵庫にしか聞こえないとはいえ、彼女の相手をしつつ親衛隊の話も聞かなければならない兵庫は実際大変である。
(趣味を共有するものは心を開きやすいです! 大丈夫ですって絶対上手くいきますって!)
『作戦を疑ってはいないのよ。納得ができないだけ―』
(……せんせーも執念深いですねぇ……)
 なんか兵庫の方が保父さんのようである。頑張れ兵庫マジ頑張れ。
 一方、なんか大変そうだな、と兵庫の事情を察し、アテナが口火を切った。
「それはそうと、最近のアリスちゃん、なんか変じゃありません?」
 その言葉に、親衛隊たちは顔色を改めて二人を見つめ直す。
「やっぱり……そう思いますか?」
 青年たちは深刻な表情を見せて、アテナの言葉に賛意を示した。その深い憂いの籠った口調には、間違いのない事実を知ってしまったことへの悲しみ、そしてそれをしっかりと受け止めようとする勇気が共に存在していた。
「ええ、俺たちも、今のアリスちゃんは偽物だと思っているんです。何故なら」
 親衛隊たちは、静かに口を開く。

「最近のアリスちゃんは真面目に警察に協力してるんです!」

「……えー」
「……そこ問題なんです?」
 アテナと兵庫は共に頭痛を覚えずにはいられない。しかし、親衛隊たちはきっぱりと言い切る。

「もちろん問題です! アリスちゃんは自分が目立つためにヒーローやってる子なので、手柄は常に自分のもの、警察と協力しようという発想自体がないんです!」
「まあ、『特別に手伝わせてあげるわ! 特別なんだから! 勘違いしないでよね!』みたいな感じで警察を動かすことはありますけどね、さすがに一人だと手が足りないこともあるので」
「警察もそれをわかってますから、『はいはいアリスちゃんすごいですねー』って感じで上手くおだてて機嫌を取って転がして、それで結果的に協力できている、って関係でした」
「でも最近のアリスちゃんは、積極的に警察に情報を共有して、警官隊と一緒に挟み討ちなんかして一緒にヴィランを掴まえようとしてるんです」
「「「絶対変ですよ!」」」

「変……変かしら……変って一体何だろう……哲学みたいになってきたわね……」
 アテナは疲れたように遠い空を見上げる。生きるって何だろう。正しいって何だろう。なぜ世界はこんなに難しいのだろう。
『ほらー黒影……やっぱこのヒーロー駄目よ……』
「ま、まあ、俺も若干そんな気はします……でも、本物のアリスも態度の問題だけで、やってることはまあ……ちゃんとヴィランを掴まえてるわけですから……」
 スクイリアの声に、さすがに兵庫の言葉も力を喪いかけている。頑張れ兵庫マジ頑張れ。
「……ええと。それはさておき」
 アテナは気力を振り絞ってもう一度声を発した。そう、こうやって苦難に立ち向かうことこそヒーローの証である。
「アリスちゃんが偽物だとしたら、本物を探さなければいけませんよね。探すのに協力していただけませんか? なにか、手掛かりとかご存知なら……」
「そ、そうですね、俺も、蟲が使えるので! 力を合わせて本物を探しに行けると思うんです!」
 アテナと兵庫の言葉に、親衛隊たちは手にしていたタブレットに一つの画像を映し出した、それはこの街の地図、と、猟兵たちは理解する。
「俺たちもそれを検討していて。で、最近の……アリスちゃんの様子がおかしくなってからの事件を纏めてみてたんです」
「うーん……バラバラですね。たとえば、何処かを中心に同心円上になっている、とかいうこともなさそうですし……」
 数か所のマーカーの付いた事件地図を眺め、アテナは首を捻った。事件発生地点に、特に共通項はなさそうに思える。
「いえ、それがですね。二次元地図で見るとわかりづらいんですが、これを3Dにしてみると……」
 親衛隊の青年が指を走らせ、立体的に表現されるように表示方式を変更する。
「この事件現場は、オフィスビル街の真ん中。この事件現場は、工場地帯。この事件現場は住宅街。……一見、何のつながりもないように見えます。でも、……それぞれの、この方向と角度なら」
 3D地図の中から描線が伸びていく。──視線。それは視線を模したものだ。全て多くの建物が立ち並ぶ環境であり、基本的にはすぐにどこかに視線はぶつかってしまい、見通せない。
 けれど、……それぞれの現場で、ある特定の方向と角度を通った場合のみ、僅かな隙間を通って、視線が伸びることができたのだ。その全ての視線が集約する、たった一点がある……!
「つまり、ここなら、すべての事件現場を見通すことができる……ってわけですね」
 アテナはしっかりと頷く。その澄んだ瞳には、燃える精気が戻ってきていた。
「偽物が事件を検討したり成果を確認することもできますし、また、もしかしたら……いやらしいやり方ですが、本物のアリスさんに事件を見せつけるためとしてもぴったりです」
「そうか! それじゃあ、ここに猟書家とアリスさんがいるかもしれないわけですね! 作戦開始です!」
『……おー……』
 兵庫も、スクイリアの気のない返事に構わず、パンと力強く拳と掌を打ち付ける。探るべきは、向かうべきは、その場所。街の外れに立つ廃ビル──。
「アリスちゃんがヒーロー活動を始めた時、一番最初に掴まえたヴィランのアジトだったビルです。頑丈な牢屋などが今でも残っているとか」 
「そんなビル、とっとと壊してしまえば良かったんじゃないでしょうか?」
 アテナの当然の疑問に、親衛隊たちは困ったように肩をすくめた。
「……アリスちゃんの最初のお手柄の記念なので、ここは取っておきなさいよね! って本人が言うものでして」
 どこまでもアリスには振り回されているなあ、と苦笑せざるを得ない兵庫とアテナなのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アイ・リスパー
フィーナさんと

「なんだか話を聞くと、まるでフィーナさんみたいですね、ダーティー……いえ、キューティー・アリスさん」

しかし、敵の策は周到にして狡猾。
並の対処方法では通用しないでしょう。

ここは【チューリングの神託機械】で万能コンピュータに接続。
最善の解決策を演算します。

「演算結果が出ました!
ここは親衛隊の皆さんの協力を得るために、フィーナさんがヒーローデビューして、親衛隊の皆さんの信頼を勝ち取ればいいのです!」

アリスさんそっくりなフィーナさんの言葉なら、きっと親衛隊の皆さんの心を打つはずです!
貧乳とか破壊行為とか口が悪いところとか!

「私もフィーナさんとコンビでヒーロー……魔法少女やりますね!」


フィーナ・ステラガーデン
アイと参加

ええ?そんな私と似てないわよ!私はもっと知的でお淑やかだと思うわ!
仕方ないわね!アイの作戦なら乗ってあげるわ!

親衛隊が集まってる所ででっかい声を張り上げるわ!
聞きなさい有象無象どもー!私はダーティー・フィーナ!アリスの意志を継ぐ者よ!
皆が気付いているようにあのアリスは偽物よ!どうしてそう思うか?感じるでしょ!
あの胸よ!あの胸から感じる波動は慎ましやかさじゃないわ!巨乳の皮を被った嘘乳の波動を感じるのよ!鬨の声を挙げるのよ!貧乳は最強だー!!巨乳は●●せー!!クソッタレで●●●で××な巨乳は△っ△せー!繰り返しなさい!!

デモ隊を扇動するわ!!
(アレンジアドリブ大歓迎!)


アリシア・マクリントック
すみません、よろしいでしょうか?どうしてみなさんは彼女が偽物だと感じたのでしょうか?私、彼女に心惹かれてはいるのですが……なにぶんファン歴?が浅くて。
コラテラルダメージを嫌う方も多いですが、そこを顧みない……それを厭わない大胆さこそ他とは違う彼女の魅力であるはず。何より破壊はより良い創造のための……なんだかよくわからなくなってきましたね。
とにかく!若輩の私では気づけないような違いについて歴戦の貴方方にレクチャーしていただきたいのです!私の若い意見も交えてなぜこうなったか話していくうちに彼女に起きた「問題」にたどり着けるかもしれません。そして、それはその「問題」の解決にきっと役立つはずです!



「……アイさん?」
「私ではありません」
「……アイさん?」
「フィーナさんがやりました」
「……アイさん?」
「知りません」
「……アイさん?」
「済んだことです。……あわわ、怖い、怖いですよアリシアさん!」
 
 アイ・リスパー(電脳の天使・f07909)はゆっくりと眼前に迫ってくるアリシア・マクリントック(旅するお嬢様・f01607)の美貌に恐怖した。高貴にして典雅な笑みを浮かべたまま、だからこそ何よりも怖ろしい……キレた時のアリシアに逆らってはならないとアイはよく知っている。
 そんな二人の傍らでは。
「「「「「Heat in You! Heat in You! Heat in You!」」」」」
 熱狂する多くの人々が、シュプレヒコールを繰り返していた。『熱気は君たちの中にある』……とでも訳せばまあ格好はいいのだが。問題は、その発音が明らかに……。
「ひ・ん・にゅう! ひ・ん・にゅう! ひ・ん・にゅう!」
 ──であることだった。
 ……そして、その群衆の先頭に立って人々を煽る……失礼、扇動……失礼、音頭を取っているのは、大きく拳を振り回し、自らも声高らかにひんにゅーコールを繰り返す、フィーナ・ステラガーデン(月をも焦がす・f03500)なのだった。

 時はやや戻る。
「なんだか話を聞くと、まるでフィーナさんみたいですね、ダーティー……いえ、キューティー・アリスさんって」
 情報を収集すべく街を歩きながら言ったアイの言葉に、隣のフィーナが不満そうな声を漏らす。
「ええ? そんな私と似てないわよ! 私はもっと知的でお淑やかだと思うわ!」
(……そういう反応が、なのですが……まあともかく)
 こほん、とアイは咳払いし、視線の先に見えてきたカフェに意識を向けた。その店に、いつもアリスの親衛隊たちがいるのだと言う。今後どうのように行動すべきかをアイは考え込む。
「どうやって親衛隊さんたちの信用を取り付けるかですが……ここは【チューリングの神託機械】で万能コンピュータに接続し、最善の解決策を演算しましょう」
「まあ任せるわ! 考えるのはめんどくさいから全部アイがやってね!」
「出ました!」
「早っ!?」
「万能ですから! 万能コンピュータは万能ネギくらい万能なのです!」
「……そこは感心するところなの?」
「もちろんです。さて、その解答によるとですね……」
 作戦を伝えながらカフェの扉を開けたアイと、それをふんふんと聞いていたフィーナは、おや、という表情を浮かべる。そこにはすでに、親衛隊たちと接触している猟兵の姿があったのだ。しかもそれは、二人の知己であるアリシアであった。
「そうですね、確かに、コラテラルダメージを嫌う方も多いですが、そこを顧みない……それを厭わない大胆さこそ他とは違う彼女の魅力ですよね。何より破壊はより良い創造のための礎ですもの」
「そう、そうなんですよ!よく分かってらっしゃる!」
 アリシアは既にその柔らかな雰囲気で親衛隊たちの心を掴み、既にかなり深いところまで話を進めていたらしかった。
 しかし、不意に親衛隊の青年たちは表情を曇らせ、ぽつりと哀しげに言葉を零す。
「こんな理解者が現れてくれたのに、肝心のアリスちゃんが……偽者だなんて」
 アリシアは内心大きく頷く。それこそがこの話題の核心。親衛隊たちはどのようにしてその問題にたどり着いたのか……すなわち、偽者である証拠と、その打開策を検討すること、であった。
「偽者……ですか。それは重大な疑念ですね。でも、どうしてみなさんは彼女が偽物だと感じたのでしょうか? 私、彼女に心惹かれてはいるのですが……なにぶんファン歴?が 浅くて」
 アリシアの問いに、親衛隊の青年は一瞬口を開きかけ、しかし少し戸惑ったように再び口をつぐむ。
「いや、その、まあ……間違いなく偽者だっていう理由は色々とあるんですが、一番の疑念は、その、……ええと」
(あら……どうしたんでしょう、さっきまではアリスさんの魅力について延々と語ってくださっていたのに、何か急に口が重くなりましたね。けれど、偽者だということ自体には自信があるご様子。では一体……?)
 不思議に思ったアリシアがなおも尋ねようとした時。

「皆まで言わなくてもいいわ! 私にはちゃんとわかってるのよ! そう、それは!── 胸ね!」

 凛と響く声を店中にとどろかせて、フィーナが颯爽と勇躍し乱入してきたのだった。
「フィーナさんとアイさん……。あなたがたもここへ、って言いますか、え、胸?」
 きょとんとするアリシアを余所に、フィーナはさらに舌鋒から火を吐く。
「皆が気付いているようにあのアリスは偽物よ! どうしてそう思うか? 感じるでしょ! あの胸よ! あの胸から感じる波動は慎ましやかさじゃないわ! 巨乳の皮を被った嘘乳の波動を感じるのよ!」
「フィーナさん、何言ってるかちょっとわかんないんですけど。落ち着いてください、ほら、親衛隊さんたちも困って……」
「素、素晴らしい! そこに気付いてくれる人がいましたか!」
「合ってるの!?」
 あんぐりと口を開けるアリシアの前で、親衛隊たちとフィーナががっちりと握手を交わす。今ここに、心から信じあえる友を見つけた、というように固い握手を。
「そうなんです、最近のアリスちゃんの映像を見ると、明らかに……胸に微かなふくらみが見られます! そんな馬鹿なことはあり得ません!」
「いえ……確か外見はそっくりなはずでは……」
 勢いに押されながらそれでもアリシアは理性の砦を保とうとする。しかし一度テンションがアガったフィーナの猛攻を抑えるのは至難の業。
「違うのよ! サイズは同じだとしても、そこに潜むポテンシャル、可能性としてのラインは全く異なるのよ! 私の見たところ、アリスはおそらく異能貧乳体ね! それは年齢や成長、生活環境に関わらず、エターナルな水平線、いえ事象の地平線を保証するものなのよ!」
 何を言っているのかわからないが、何を言いたいかはわかる。
 なんかとにかく、アリスの胸が本物と偽者では違うらしい。
 そしてそれは、アリスというパーソナルのアイデンティティに置いて絶対の価値を持ち、そこが異なるのであれば間違いなく偽者だということなのだ。多分。
「さあ、鬨の声を挙げるのよ! 貧乳は最強だー!! 巨乳は●●せー!! クソッタレで●●●で××な巨乳は△っ△せー! 繰り返しなさい!!」
「おお! 貧乳最強! 貧乳最強!」
 盛り上がった親衛隊たちとフィーナはそのまま街頭に繰り出し、一大デモを繰り広げ始めたのだ。
「Heat in You! Heat in You! Heat in You!」
「ひ・ん・にゅう! ひ・ん・にゅう! ひ・ん・にゅう!」
 おお見よ、一人また一人とデモの参加者が増えていく。心の叫びを共にするかのように! そう、貧乳派は決してマイノリティに甘んじてはいない、今ここに一つとなった巨大なうねりが新たな文化圏を創造していく! 巨乳爆乳の多いヒーローズアースに置いて孤独だと感じていた貧乳派の人々の魂が燃え上がって!
 考えてみればこの街の人々はアリスを愛しているのである、それならば当然貧乳派が多いはずなのだった!

 そして時は再び現在へ。
「……アイさん? どうするんですか、この騒ぎ?」
「え、ええと。フィーナさんとアリスが似ているという点を活かして親衛隊さんたちと打ち解けようという提案はしましたが、私もここまでのことになるとは……」
 アリシアに優しい笑顔のまま詰め寄られているアイのピンチが続いていた。しかし、アイはふっと瞳に陰りを落とし、寂しげにつぶやく。
「……でも。私にも皆さんの気持ちはわかるんです。……だって。小さくたっていいじゃないですか」
「え? いえ、別に今はそういう話をしているわけではなく、この騒ぎをどうするのかという……」
「大きいひとには、小さい人の気持ちはわからないんです!」
「だから話をですね……ちょっと、アイさん!? アイさぁーん!?」
 脱兎のごとく駆けだし、自らもデモ隊に加わっていくアイの後姿に、アリシアの叫びが虚しく響いていた。

 だが。
 おお、なんと意外なことか。このひんにゅーデモこそが、事態を動かす最後の一手となったのだから。
「ほう、街にデモが起きている? ふふ、反アリスデモかもしれないね。とうとうアリスに不信を抱かせるという私の計画がうまくいったと見える……」
 廃ビルに潜んで次の一手を目論んでいた猟書家、ラグネ・ザ・ダーカーは、騒ぎを聞きつけ、ほくそ笑みながらデモの様子を探っていた。だが、そこで、ラグネは再びあんぐりと開いた口がふさがらないことになる。
 デモ隊がアピールしていたのは、アンチアリス、反アリスなどではなく。

「ひんにゅーばんざい! ひんにゅーの象徴、アリスちゃんばんざい!」

 むしろ貧乳たるアリスを称賛し褒め称える人々の声だったのだから。
 ラグネの計画とは完全に逆、正反対の結果が、ここに生み出されてしまっていたのだ。
「そ、そんな、馬鹿な。私の計画がここまで狂うなんて……!」
 思いもよらぬ大失敗に激しい衝撃を受けたラグネは、よろよろとよろけながら逃げるようにその場を立ち去る。しかし、身を隠す余裕さえ失ったラグネの姿を、猟兵たちが見逃すはずもなかった。
 ついに猟兵たちはラグネの姿を捉えた。さあ今こそラグネを追い詰め、その報いを受けさせる時だ。

「思った通りですね。すべてはこうなることを万能コンピュータは計算していたのです。万能なので」
 小さな胸を得意げに反らし、アイが誇らしげに語ったことが事実なのかどうかは……読者諸兄のご想像にお任せしよう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『ラグネ・ザ・ダーカー』

POW   :    ダーカー・インジャスティス
全身を【鮮血の如きオーラ】で覆い、自身の【悪意】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD   :    侵略蔵書「キル・ジ・アース」
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【侵略蔵書「キル・ジ・アース」】から【具現化された「死のイメージ」】を放つ。
WIZ   :    マッド・デッド・ブラザーズ
【死せるヴィラン】の霊を召喚する。これは【強化された身体能力】や【悪辣な罠】で攻撃する能力を持つ。

イラスト:津奈サチ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠鏡繰・くるるです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「みなさん! うまくいきました!」
 『アリスちゃん親衛隊』の青年たちが、廃ビルの出口から走り出しながら、満面の笑みで手を振る。
 そう、彼らは騒ぎに乗じてビルに忍び込み、監禁されていたアリスの開放に成功したのだ。
 自信を持っていた作戦を完全に破綻させられたことで、猟書家・ラグネ・ザ・ダーカーは強い衝撃を受けており、気落ちして、親衛隊たちの行動に気付くこともなかった。
「ふ、ふん。まったく、いつもお節介なのよね、あなたたち猟兵って」
 親衛隊たちの後ろから、顔を赤らめ、視線を逸らせ、唇を尖らせながら、可憐な姿を見せたものこそ──まぎれもない本物の、ダーティ……いや、キューティー・アリスであった。
「で、でも。まあ、その、あれよ。……一応、感謝してるわ。……ありがと」
 早口でぼそぼそと礼を述べたアリスの姿に、猟兵たちは微笑みを浮かべる。だが、すぐにその表情は鋭く引き締められた。

「……許さないよ、猟兵ども。良くも私の完璧で崇高な計画を邪魔してくれたね」

 廃ビルの出口から、蹌踉とした足取りで幽鬼のように姿を現したもの。それこそは、ラグネ・ザ・ダーカーに他ならなかった。
「こうなったら、君たちだけでも血祭りだ。覚悟してもらおうか」
 覚悟するのはどちらの方か──ラグネに思い知らせてやらねばならない。
 さあ、決戦だ!

 なお、アリスは解放されたため、支援攻撃を行ってくれるだろう。彼女の使うユーベルコードは火炎能力・ブレイズフレイムと透明化能力・クリスタライズの2種類である。威力は猟兵の使うユーベルコードよりは落ちるが、援護としてなら有効だろう。猟兵たちはこれを戦術として組み込んでも構わない。
幻武・極
ふーん、一応はキミの心に戻したもう一人のキミの欠片とはうまくやれているんだね。
それと、外のデモ隊を見て気が付いたから一応謝っておくよ。
あのオウガがもう一人のキミなら、キミの(大きな胸の)未来の可能性をぶち壊したのはボク達ってことになるからね。

さて、あの偽物はさっさと倒してしまわないとね。
ところで、あの偽物が事前調査を全然やっていなかったのはよかったと思うよ。
キミの悪評?もそうだけど、キミは元ヴィランだからあのユーベルコード対象になっていた可能性があるからね。
逆にそこが好機でもあるんだけどね。
キミならこの場面でどんな罠をしかけるかい?
そこに気を付けてボクは幻武百裂拳を打ち込むよ。


パトリシア・パープル
出たわね、パチもん女!
さて、それじゃあなたに、今から地獄を見せてあげるわ

アリスと一緒に戦うわ
下手にスピードアップされると面倒なので、ここはWIZで勝負
そっちがヴィランの霊なら、こっちは神霊を召喚して対抗よ!

ヴィランの霊は呪いでお尻を振る以外の行動をできなくして封じ込め
ラグネ・ザ・ダーカーは私がヨーヨーとフォークで牽制しつつ、御尻守様に腹痛光線で攻撃してもらうわね
「さあ、神をも泣かせる腹痛に耐えられるかしら?

相手の動きを完封したところで、駄目押しにスカンクガス爆弾を投げるわね
悶絶しているところへ、アリスに炎を撃ってもらい、引火爆発でフィニッシュよ!
「今よ! あいつに炎をブチ込んで!



「出たわね、パチもん女!」

 怒りを宿してこちらを睨みつけている猟書家・ラグネ・ザ・ダーカーをまっすぐに見返しながら、パトリシア・パープル(スカンクガール・f03038)は毅然と言い放つ。
「ふん、騙される方が愚かなのさ。いや、生き残った方が正しいということになるかな。つまり、ここで君たちを葬ってしまえば私が真となるのさ!」
 憎々しげに吐き捨てるラグネに、パトリシアは真面目な顔で返す。
「……いや、誰も騙されなかったじゃない? あなたの演技全部バレバレだったじゃない? ぶっちゃけ愚かだったのはあなたの方じゃない?」
「ぬうっ! 減らず口を!」
「いや事実だし。っていうか自分が馬鹿なのに逆ギレしたって事実は変わんないから」
「ええいうるさいうるさい! 少なくとも私がここで君たちを滅ぼすということだけは真実にさせてもらおう!」
 憤ったラグネは、手にした分厚い本をさらりと開く。それこそは恐るべき「侵略蔵書」。彼女の持つその本には、あらゆるヒーローとヴィランの死が記載され、ゆえに、死せるヴィランの霊を召喚することさえも可能なのだ。
「さあ、顕れよ、この場に最もふさわしきヴィランの霊よ!」
 高らかに呼ばわったラグネの声が響き、虚空から揺らめく影のように朧な姿が、世界へ染み出してくるように実体化してゆく。おお、なんたることか、その姿こそは。
 その霊の姿こそは──黄金に波打つ髪、真珠のような肌、そしてサファイアのように澄んだ瞳の少女。
「……アリス……!」
 さすがにパトリシアも僅かに身じろぎ、その姿を凝視した。
 だが、どういうことか、アリスは猟兵たちの背後にかくまわれているのでは? これこそが恐るべきラグネ・ザ・ダーカーの策略なのか?

「む? 何故アリスが?……私はヴィランの霊を召喚したはずなのだが……」
 ……と思ったらラグネも困惑していた。

「……ほんと、演技が全部ダメだったのも含めて、事前調査を全然やっていなかったんだね、キミ」
 呆れたように、幻武・極(最高の武術?を追い求める羅刹・f00331)が小さな肩をすくめながら吐息をつく。
「なら教えてあげるけど、アリスは元々ヴィランだったのさ。けど、色々あって、今はヒーローってわけ。いわば「ヴィランとしては死んだ」から、その姿を呼びだすことができたんだろうけどね」
 言葉を紡ぎながら、極は傍らのアリスへ声を掛ける。かつて、おとぎの世界において、己の良心を自ら葬ったアリスと対峙した時のことを思い出しながら。
「……一応はキミの心に戻したもう一人のキミの欠片とはうまくやれているんだね」
「ふ、ふん。知らないわ。あたしはあたしの思うままに生きてるだけよ、それが傍から見てうまくやれてると思えるなら……ま、まあ、……うまくいってるんじゃないの」
 アリスは視線を逸らしながらつっけんどんに、しかしやや頬を染めて呟く。その言葉に、極は微かに笑みを浮かべたが、遠くから未だに聞こえ続ける喧騒を耳にすると、その小さな肩をすくめた。
「あ。……さっき気が付いたから一応謝っておくよ。あのときのあのオウガが、もう一人のキミなら……」
 極はやや悲し気に、小さく首を振りながら、言葉を零した。

「……キミが大きな胸になるという未来の可能性をぶち壊したのはボク達ってことになるからね」

「なっ!」
 アリスは途端に真っ赤になって極を睨みつけた。
「あ、あなただって! 似たような体形じゃない! ヒトのこと言えないわよっ!」
「ふふ、そうだね。いわば、ボクたちは似た者同士ってわけだ……つまり、あいつは敵だ」
 ぎろり、と羅刹の凄絶な視線が眼前のラグネを射抜く。っていうかその胸を射抜く。巨大で豊満でばるんばるんなその胸を。
「……いやちょっと待ちたまえ。無論私と君たちは敵同士だが、なんだか身に覚えのないことで恨まれている気がするのだが」
 思わずたじろいだラグネの抗弁など、誰が聞く耳などを持とうものか。極とアリスはその眼に激しい闘志を燃やしてラグネにじりじりと迫っていく。
「ええい、そのヒーローだけではなく猟兵も無茶苦茶な奴ばかりか! もはや問答は無用、やれ、アリス(ヴィラン)!」
「やだ」
 気勢鋭く指示を飛ばしたラグネの言葉を、しかしアリス(ヴィラン)はあっさりと蹴飛ばした。
「なっ!?」
「あたしは自分の思うように自由にやりたいからヴィランになったのよ。なんであなたなんかの言うこと聞かなきゃいけないのよ」
 目の前の自分の言葉に、アリス(ヒーロー)もうんうんと頷く。
「いいこと言うわね、さすがあたし。まあこっちサイドに来てもあたしは思うように自由にやってるけど」
 ヒーローもヴィランもその本質は同一のもの、ひとつの姿の裏と表に過ぎないのかもしれない、というなにげに深いテーマが語られている。ような気もする。
 だがもちろん、ラグネにそんな深い洞察をしている余裕はない。彼女はジタバタと足を踏み鳴らし、頭から湯気を出し髪を掻きむしりながら、一層強い制約をアリス(ヴィラン)へ加えようとする。
「ええい、使役されている分際で勝手なことを言うのではないよ! 攻撃しろといったらしろ!」
「やだったらやだ!」
 ラグネとアリス(ヴィラン)との間で激しい駄々のコネ合いが始まる! その隙を見逃すパトリシアではなかった!
「チャンス! 今こそ見せてあげるわ! 御尻守(おしりす)様の真の力をね!」
 然り、邪霊に対するは神霊の力をおいて他になし。パトリシアの詠唱が流れるところ、神々しい光の迸りと大いなる神威の発露と共に、スカンクの容貌を備えた偉大なる姿が現れる。それこそは、人々の尻の健康を守るもの、大いなる御尻守神に他ならぬ!
「さあ、御尻守様、やっちゃってください!」
 パトリシアの声に、ふんす、と大いなる神霊は意気込みを見せると、その力を解放した。
 おお、それはまさに聖なる奇跡。見よ、今しもラグネと言いあっていたアリス(ヴィラン)の動きがぴたりと停止したではないか。いや、そうではない。ていしたかに見えたアリス(ヴィラン)の小さな腰が、静かに、しかし確実に……左右へと揺れ動き始めたのだ。
「え、ちょ、何これ?」
 アリス(ヴィラン)は戸惑うが、しかしその意に反して彼女は最早ただ尻を振ることしかできぬ! 栄えあるかな、後世にまで語り継ぐべし、これこそ御尻守の御業である!
「くっ、面妖な技を! ええい、こうなればやむを得ない、一時撤退を……」
 邪霊の使役が不可能となったことを悟ったラグネは最早これまでと身を翻し、逃走に移ろうとした。だが、その姿を見て、アリス(ヒーロー)はにやりと邪悪な笑みを浮かべる。ヒーローだけど。
「ふん、甘いわね。この場所は、あたしがかつて討伐したヴィランのアジト。あの時、あたしはここでヴィランを掴まえるために……幾つものトラップを仕掛けていたのよ! それはまだ生きてるのよね!」
 ぽちっとアリス(ヒーロー)は隠し持ったリモコンのボタンを押す。次の瞬間、ラグネの足元にぽっかりと巨大な落とし穴が口を開けた! 慌ててこれを避けようとラグネが後ずさった先に、今度は埋伏されていたトラバサミが牙を剥く! 必死に飛びのいたところへどこからともなくモーニングスターが飛来する!
 数々のトラップを回避するのに精いっぱいとなったラグネに、今度は極が肉薄した。
「思ったとおりだね。キミは機動性が損なわれているんだ! その無駄にデカい胸のおかげでね!」
 極のいうことは真実だった。あっちへ避けるたびにぶるん。こっちへかわすたびにぶるるん。ラグネの爆乳はそのたびに大きく震え、たわみ、その大質量による慣性の法則によってラグネ本体を振り回して、その行動を制約していたのだ!
「し、しまった!」
 気づいた時には遅い、極の体は既にラグネの懐へ潜り込んでいる。そしてここでも再び、ラグネの胸は本人を裏切った。極の小さな体躯が低い軌道で間合いを詰めた時──ラグネの巨大な胸は、見下したラグネ自身の視界を覆って、極の姿を一瞬見失わせたのだ!
 しかも。
 この最高なタイミングで、パトリシアの呼びだした神霊御尻守の二つ目の御力が発動する。
 ……ぎゅるるるるる。
 偉大なる御尻守の力は、ラグネの腹を、急速にぎゅるぎゅるさせ始めたのだ。
「はうっ!?」
 思わず身をかがめ、顔色を蒼褪めさせたラグネ。しかし戦は非情なもの……。なんと恐ろしいことか、極の遠慮もなく容赦もない凄絶にして強烈な拳が、よりによってそのぎゅるぎゅるした腹に対して無数に叩きつけられた! これぞ幻武流百裂拳! いかに猟書家と言えども、ちょっとだけ可哀想になるくらいのコンボである!
「ちょ! 今は、おなかはらめえっ!!」
 悲鳴を上げたラグネは身を丸め、涙目になりながらも必死でこらえようとする。いくらなんでもこれは乙女の危機だ! 
 しかし悪は赦してはならない。そこへ、パトリシアのさらなる追撃が襲った──スカンクガス爆弾という名の。
「ぐはあっ!」
 茫然自失とするほどの凄まじい臭気と刺激が五感を苛み、たまらずラグネは悶絶する。
「今よ、アリス! ……あのガスは、可燃性よ!」
「りょーかい!」
 ニヤリと笑んだアリス(ヒーロー)は、ラグネを包み込むガスに対して、ブレイズフレイムを発動させた。
 撃ちだされた紅蓮の火球がラグネに向かって降り注ぎ──天地を揺るがすような大爆発が引き起こされる。
「ぐわあああああああ!!!!」
 遠い空まで木霊が響くような悲鳴を上げ、ラグネはゴミ屑のように吹き飛ばされ、大地に叩きつけられたのだった。

「……っていうか、あなたたち、やってること、あたしより酷くない?」
 アリス(ヒーロー)の言葉に、空々しく口笛を吹いて視線を外す極とパトリシアなのだった。
 でも実際酷いよね。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アテナ・カナメ
【心情】典型的なツンデレねぇ…でもよかった。さて後は偽ヒーローを倒す時ね!偽物は本物に倒される運命よ!覚悟しなさい!

【作戦】私服を脱ぎ捨てマントをつけてイェカの姿となるわ!
「このアテナマスクが相手よ!かかってきなさい!」
そしてまず最初にスーパー・アテナで私自身を強化してから立ち向かうわ!
ラグネや霊の攻撃は基本【見切り】や【残像】で回避するわ!そして隙を見計らい霊がいれば【範囲攻撃】のファイヤー・バーストで複数攻撃よ!そしてラグネには【2回攻撃】のバーニング・パンチをお見舞いするわ!
【アリス】アリスにはラグネや霊に背後から炎を撃って攻撃して気をそらせて、その隙を狙うわ!
(絡み・アドリブOK)


シャーロット・キャロル
出ましたね諸悪の根源!貴方の思い通りにはさせませんよ!

アリスさんとの共闘です!クリスタライズでの透明化で背後を取ってもらいブレイズフレイムの一撃をお見舞いしてもらいましょうか。

そこでまずは相手の気を引きましょうか。
「ほほぅ完璧で崇高な計画ですか。相手がアリスさんでなければきっとうまく行ったんじゃないですか?所でその完璧な計画はどうなる予定だったんです?」
こういう言い方するような相手は自分の計画にプライドがあるものです。
語らせてる間にアリスさんがバックアタック!
そしてアリスさんへ注意が向かったら今度はこちらが攻撃!
【マイティヒートヴィジョン】で狙い撃ちです!

(アドリブ大歓迎)



 無法の荒野に人々の嘆きが木霊する。犯罪と暴力が己の天下を謳歌する末法の世に、哭くのは弱いものばかり。おお、誰かいないのか、救いの手を差し伸べるものは。重い暗雲を吹き払い、輝く光を導くものは。
 いや、いる! いるのだ! 人々の希望を背に受け立ち上がる、その名こそは!

「燃える正義の炎! アテナマスク見参!!」
「正義の心胸に秘め、マイティガール只今参上!!」

 アテナ・カナメことアテナマスク(f14759)、そしてシャーロット・キャロルことマイティガール・(16392)に他ならない!
 アテナは宛那としての装いを脱ぎ捨て、紅蓮のマントを身に着けて。
 そしてシャーロットもまた、紅いマントを翻らせて、凛然と立つ。
 二人の紅いマントは共に燃え上がる正義の心の象徴にして、邪悪を滅する断罪の炎。いまここに、二大スーパーヒロインが正義のため、共に巨悪に立ち向かう。何たるファン歓喜のシーズン区切りの特番あるいは巨額の製作費をかけて制作され世界的記録的大ヒットを飛ばす劇場版大作めいた豪華なる顔ぶれか!
 その二人が立ち向かう奸佞邪知を極めた悪の化身、それは無論、猟書家を名乗るタグネ・ザ・ダーカーである。
「ふん、ヒーローが二人そろってとは、この世界らしい相手というところかな」
 ラグネはしかし動じた様子を見せず、むしろニヤリと笑みを浮かべて、余裕を誇示するかのように、自らの眼鏡のブリッジを中指でくいと押し上げた。

「しかし、まさか眼鏡を掛けた女を殴るとは言うまいね?」
「バーニングパーンチ!」
「マイティパーンチ!」
「ぐわああああ!!!!!」

 ラグネの言葉が終るよりも早く、アテナとシャーロットは共に必殺の拳を叩きこんだ! ラグネは己のカエルの潰れたような声すら置き去りにし、音速を越えて吹っ飛び、ワンテンポ遅れて周囲の土砂が日輪さえ覆い尽くさんほどに舞い上がる!
「ちょ……ちょっと待ちたまえ! 君たち、ちょっとのためらいもなしか!」
 濛々たる土煙の中から、泥だらけになったラグネが、長い髪をボサボサに振り乱して、ようやく立ち上がる。
「えー、だって今の台詞って、どう考えても」
「殴れっていう前フリですよねえ」
「「ねー」」
 二人のヒロインは人形のように美しい顔を見合わせて白鳥のように小首を傾げ、可憐な声をそろえた。はっきり言ってとても可愛いシーンである。それはもう、二人のファンがこの光景を見たら、胸がズキズキするほど萌えあがるに相違ないほどに。
 ……まあ、ラグネの胸も違う意味でズキズキしていたのだが。ぶん殴られたので。
「ええい、脳筋の猟兵ども! せっかくの私の素晴らしい作戦を台無しにしてくれただけでは飽き足らず、戦いまでもが洗練されていない力任せか!」
 ギリギリと歯を軋らせてラグネが零した怨嗟に、アテナは眉をしかめた。
「素晴らしい作戦ですって?」
「そうとも! 愚かな君たちには到底思いつきもしない遠大にして壮大な作戦さ。聞かせてやろう、つまり……」
「バーニングキーック!」
「マイティキーック!」
「ぐわあああああ!!!!!」
 言い終わらせる間も与えず、アテナとシャーロットは今度はそろって虚空を引き裂く必殺キックを浴びせかけた! 小規模なビッグバンにも匹敵する激烈にして壮絶な衝撃が巻き起こり、ラグネを一棟のビルの壁に叩きつけ、諸共に破壊して倒壊させる!
「……は……話を……話を聞きたまえ! 人の話はちゃんと聞くものだと小さいころに教わらなかったのか君たちは!」
 ボロボロになったラグネが、瓦礫の中からやっとの思いと言った様子で立ち上がり、必死の形相で二人のヒロインを睨みつけた。しかし。
「えー、だって、あなたって、『人』じゃないし」
「オブリビオンの猟書家ですし」
「「ねー」」
 再び声を揃えて可憐に微笑む二人。あたかも周囲に花が舞い蝶が踊るように艶やかで華やか、ファンが見たら感涙にむせぶような尊いシーンである。まあ、ラグネもある意味涙にむせびそうなのだが。悔し涙に。
「き、君たち! それはヘイトスピーチだぞ!」
 地団太を踏み、頭から湯気を出しそうなラグネの様子をうかがって、しかし、シャーロットは考えていた。
(うーん、なかなか丈夫ですね、この猟書家。これは、そう簡単にはいかないでしょうか……)
 然り。ダブルヒロインの連続パンチ&キック攻撃を叩きこまれても、ボロボロになったとはいえ、いまだにラグネは爆発四散しておらず、喚き散らす元気も残っている。
 それはおそらく、彼女の身を取り巻いている鮮血のようなオーラのためなのだろう。それがシールドとなって二大ヒロインたちの攻撃を緩和しているのだ、とシャーロットは観察した。やはり、幹部級に相応しい手強い敵であるのは確かなのだ。
(では、ちょっとやり方を変えてみましょう……)
 シャーロットは隣のアテナに目配せをすると、さりげなく言葉を継いだ。
「なるほど、正義のヒロインたるもの、敵の言葉もきちんと聞くべきですね。ええと、確か、完璧で崇高な計画……でしたっけ。相手がアリスさんでなければきっとうまく行ったんじゃないですか? 所でその完璧な計画はどうなる予定だったんです?」
「ほほう、聞きたいか? 聞きたいかね? ならば仕方ない、教えてあげるとしようか。いいかい、もし正義の味方に人生を踏みにじられれば、泣き寝入りする者もいれば、復讐の為にヴィジランテとなる者も現れるだろう。彼らは、そのうち、こう考える人が現れるかもしれないね。……『ヒーロー達の中に、ヒーローの皮を被ったエイリアン……詩集に出てくる『スナーク』のような見えない敵がいて、密かに世界征服を狙っているんじゃないか……』とね。そう、スナークという架空概念を実体を備えた恐怖として認識させ、その認識が即ち真なる絶対恐怖スナークそのものとして顕現させんとするこの計画は……」
 嬉しそうにべらべらと油紙に火をつけたようにしゃべりまくるラグネ。なお、もちろんシャーロットもアテナもろくに聞いちゃいないのだった。
(この猟書家、いわゆる「頭のキレる馬鹿」ってやつね……)
 アテナは気の毒そうに首を振りながら、そっと満足そうに演説を続けるラグネ……の、その背後をちらりと見る。
 そこには何もない。何もいない……ように、見えた。
 いや、しかし。
 ヒロインたち以外にも、もし良く目を凝らして光景を眺めるものがいれば、あるいは気づいたかもしれない。かすかに、風景の一部が歪み、光が曲がっているかのような状態であったことに。そしてその歪んだ空気の塊が、そっと、しかし確実に動いていることに。
 シャーロットとアテナは共にちらりと視線をかわし、小さく頷く。
 距離にして、あと3歩……2歩……1歩……入った!
「今よ!」
 アテナの叫びと同時、ラグネの背後から燃え上がる火球が放たれた!
 そう、それはクリスタライズの能力によって姿を消し、こっそりと忍び寄っていたアリスの力、ブレイズフレイムに他ならぬ!
 もちろんアリスはユーベルコードを使えるとはいえ、その威力は猟兵には及ばない。たとえ不意打ちを仕掛けたとしても、猟書家の強靭な身体を、さほどには傷つけることはできないだろう。……しかし、ピンポイントであれば?

「何っ!? こ、これは! 私の……私の眼鏡が!」

 そう、そのとおり!
 アリスはラグネの眼鏡付近にピンポイントで火球を飛ばし、周囲の空気を熱することで蒸気を発生させ──一瞬のうちに眼鏡を曇らせたのだ! 眼鏡を掛けるものにとってレンズの曇りは何よりも大敵であること、言うを待たない! ラーメン食べるときとか! 冬に急に屋外に出た時とか!
「クッ、何ということを! クリーナーは、確かこっちのポケットに……!」
 慌てふためいたラグネは眼鏡ふきを探して白衣をあちこちひっくり返し始める。その狼狽に、鮮血のオーラの防御がほんの一瞬、しかし確かに、弱まった。

「チャンス! 偽物は本物に倒される運命よ! 覚悟しなさい!──燃えろ! 我が体!叫べ! 悪を倒せと! その名は、スーパーアテナ!!」
 大気を斬り裂きアテナが呼ぶ、己の内なる真なる力よ燃えあがれと!
 見よ、アテナの美しい身体が、今こそ夜明けの太陽を思わせる黄金に光り輝く!

「こちらも行きますよ! 食らえッ、マイティヒートヴィジョン!!」
 シャーロットの叫びと共に、その深く澄んだ瞳が鮮烈な光を放つ! それこそは、万物を貫き、焼き尽くし、邪悪を滅ぼす正義の眼光!

 あたかも闇夜に道を照らす希望の光の如く、まっすぐに迸ったシャーロットのヒートヴィジョンが狂い様もなくラグネに撃ちこまれる! 悲鳴を上げてのけぞったラグネに、続けざま、暗黒を焼き払う黄金の炎に身を包んだアテナの全力の拳が叩きこまれた!
「ぐわあああああ!!!!!!!」
 ラグネは絶叫を後へ残し、三度流星のように大地の彼方へ吹き飛ばされて行ったのだった。
「やったぁ!」
「やりましたね!」
 いぇーい、と二人のヒロインは……いや、アリスを含めた三人のヒロインは、可憐なハイタッチを交わす。
「……でも、あなたたちも結構……問答無用よね。なんだか正義って言葉がよくわかんなくなってきたわ」
 ぽつんと漏らしたアリスの言葉をあえてスルーするアテナとシャーロットなのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

黒影・兵庫
すごいです親衛隊の皆さん!
(「これも愛のなせるわざってことね」と頭の中の教導虫が感心したように呟く)
よーし!それじゃあキューティー・アリスさんには溜まった鬱憤をブレイズフレイムで存分に吐き出してもらいましょう!
俺はその炎を『念動力』で操作し『衝撃波』との同時攻撃で敵の逃げ道を狭め『オーラ防御』で作った結界に敵を追い込み封じ込めるよう立ち回ります!
その後は...せんせー!すんごいの一発お見舞いしてください!
(「オッケー!任せなさい!愛の力のすごさってやつを見せつけてやるわ!」)


上野・修介
※アドリブ連携歓迎

アリスさんには自身と親衛隊の守りに専念してもらう。

「背中は任せましたよ、ヒーロー」

そして彼女らに背を向けて、目の前の敵に専心する。

――恐れず、迷わず、侮らず
――為すべきを定め、心を水鏡に

「推して参る」

調息、脱力、敵を『観』る。
相手の体格・得物・構え・視線・殺気等から拍子と間合いを量る。

UCは攻撃重視

飛翔能力はあるが相手の攻撃手段は近接主体。
狙うは攻撃してくる瞬間の『後の先』

その場から動かず、構えず。
相打ち覚悟で当たるギリギリ――否、紙一重まで引き付けカウンターにて渾身の拳を叩き込む。

相手が仕掛けてこなければ挑発
「どうした年増。それとも厚化粧が剥がれて人前には立てないか?」



「すごいです親衛隊の皆さん!」
 黒影・兵庫(不惑の尖兵・f17150)の絶賛も理由のないことではない。猟兵にとって、グリモアは特別な存在。かつてはそのグリモアを奪取せんと狙ってきた敵もいたほどだ。
 だがそのグリモアでも見破れない敵が存在し、そしてその敵を見抜いたのは、猟兵でもオブリビオンでもない、ただの人間だったのだから。
 ……まあ確かに彼らが欺瞞を見抜いた理由は、ちょっと……少々……かなり……トンチキではあったが、それでも『アリスちゃん親衛隊』たちが偉業を成し遂げた事実は変わらない。
『……これも愛のなせるわざってことね……』
 兵庫の脳内に寄生する恩師にして慈母代わりの蟲、スクイリアが感心したように声を漏らす。スクイリアは、過去のいきさつから、アリス自身に対してはあまり好感を抱いていなかった。が、それでもそのアリスを支持し応援する『親衛隊』たちの裏表のない真心とその純粋無垢な思いには対しては、無条件で称賛を送る。
『愛の力、改めて教えてもらったわ。……ふふ、やっぱり人間って素敵ね』
 若かりし折、特別な蟲であるスクイリアは人間を下に見ていた時期がある。けれど、その考えを改めさせてくれた人がいた。彼女はその際のことを想起しながら、改めて人の思いの強さに感嘆するのだった。

「アリスを応援する日々の積み重ね、彼女を注視しその一挙手一投足を見逃さない刻々の積み重ねが、今回の結果を産んだわけか。これも──ある意味では鍛錬、というところかな」
 上野・修介(吾が拳に名は要らず・f13887)もまた同様に、『アリスちゃん親衛隊』たちの快挙に好意の籠った微笑を向ける。自分にだけは決して負けるわけにはいかないと、己を鍛え続ける果てしのない道を歩み続けるのが修介の生き方であり、在り方。
 ゆえに、道は違えども、常に精進して怠らず、邁進して倦まず、己を磨き上げ続けるものに、修介は同志として輩として賛辞を贈るのだ。
 ……それが、たとえ傍目にはちょっとネジがトンで見えるとしても。けれど結局は物事の価値を決めるのは己自身に他ならないのだから。
 ──だから。
「それがまさに、アンタの計画が頓挫した理由だ、猟書家」
「何だと? 利いた風な口を。全てのヒーローとヴィランの死を知る侵略蔵書を持つこの私の計画、まだ終わったわけではないさ! ここで君たちを始末して、やり直させてもらうのだからね!」
 冷ややかな修介の言葉を、ラグネ・ザ・ダーカーは聞き捨てる。いや、理解できていないのだ。修介の言葉の真の意味を。
「哀れだな、書にしか意味を見出せんか。……ならば、この拳で知らしめよう」
 肩幅に足を開き、腰を落とし、上体は天から吊られた如くに。脚は泰山を踏みしめるがごとくに。大きく右拳を引いて、修介は身構えた。隠しも衒いもしない、一撃必殺、それだけを己の相棒たる拳に込めて。
 ――恐れず、迷わず、侮らず
 ――為すべきを定め、心を水鏡に
「──推して参る」
 
 世界に静寂が満ちる。
 修介とラグネの間に、死が滲むような静かな緊迫が牙を剥いていた。一歩、いや半歩、間合いを誤ったものが、その死の牙に囚われるのだ。
 それを知るがゆえに、修介は動かない。ラグネもまた動けない。不敵な猟書家の白い額に一筋の汗が伝い落ちた。

「せんせー、このままでは膠着状態です!」
『なら、アタシたちのすることは、分かってるわね、黒影?』
「はい、猟書家を追い立てます!」
『ん、ハナマルよ!』
 兵庫がその絶死の均衡を崩すべく、動いた! 一声の叫びによって!
「アリスさん! たまった鬱憤、晴らしちゃってください!」
「じゃあ思いっきり、行くわよっ!」
 飛び出してきたアリスは細い腕を大きく振りかぶると、己の能力を発動した。これまでラグネに囚われていたその恨みつらみ、怒りを全て込めたブレイズフレイムが、彼女の猛り狂う内心を映し出すように轟然と燃え上がる。焔を発するアリスの力は確かに常人を越えているが、けれどアリスは猟兵ではなく、そのままでは猟書家に通用はしない。
 しかし。
「俺の力を合わせれば!」
 瞬時、兵庫の瞳が鋭い光を発した。念動力の発動を示すその光は、アリスの炎にさらなる力を与える。意思を持つかのような自在な軌道を──いや、それだけではない。
 おお、兵庫の思念は磁場を操り電離を促し、プラズマ化させることによって、アリスの炎の威力を数倍以上に高めたのだ! これならば強大なオブリビオンたるラグネと言えども無傷ではすまぬ!
 しかも、まさに恐るべし。兵庫はその念動操作と同時に、虚空を圧縮させ、爆発的に開放させて、自らの衝撃波をさえも撃ち放った!
 嵐のような爆撃が巻き起こり、ラグネに向かって降り注いだ。衝撃波とプラズマ火炎の同時攻撃が、泣き叫ぶ大気を無残に焼き焦がし、吠え狂う大地を無情に穿ち震わせる。
「ちっ!」
 さすがに猟書家と言えども無防備ではいられない、ラグネはたまらずその身をよじらせ空へと逃れようとした。が、……飛べぬ! 跳べぬ!
「そこも俺の領域ですから!」
 兵庫は既に己のオーラによる結界さえも張りめぐらせていたのだ。もはやラグネの進むべき道は、ただ一つ──前方にしか残されてはいない。破滅へと向かう道、そうと知りながらも進むしか。

 だが、ラグネ・ザ・ダーカーこそは恐るべき猟書家であることを失念してはならぬ。
 彼女は追い立てられた死のロードを自らの栄光への道へと塗り替えるべく、最後の力を振り絞る。全身に鮮血のようなオーラを纏い、弾丸となって、いや光となってまっすぐに、前方で待ち構える修介を撃ち抜かんと。
空間が引き裂かれるほどの超高速・超高威力の紅い閃光が、ただ一筋に修介に襲い掛かる──。

 ……無論それは、ミリ秒、いやナノ秒にも満たない刹那にすぎなかっただろう。言葉など追いつくはずのない一瞬の。だがそれでも、ラグネははっきりと聞いたように思えたのだ。修介の、冷ややかで哀れむような侮蔑の声を、何処かから。
「やっと来たな年増。厚化粧が剥がれて人前には立てないのかと思ったが」
「何……」
 激昂しようとした瞬間さえ、もう遅い。
 光はただ、通り過ぎた。
 その赤い光は、血の色だった。
 ……まっすぐにのばされた修介の拳がラグネを撃ち抜いた、その証の色だった。
「……拳は手を以て放つに非ず」
「ぐ……は……っ」
 深く調息した修介の背後で、血反吐を吐きながらラグネはもんどり打つ。静かに降りかえり、修介は言い捨てた。
「アンタはヒーローとヴィランの生死を掌中にしたと思い上がっていたな。だが、アンタをここまで追い詰めたのは誰だ。……それはただの人間である親衛隊、ヒーローでもヴィランでもない、そしてそれゆえに無限の可能性を持つ人間だった。アンタはそれを知らなかった。その可能性を見なかった。書の中にしか真実を見ず、生きた人の心を軽んじた。……だから負けたんだ」
「バ……カな……」
 震えながらそれでも立ち上がろうとするラグネの前に、見上げるような長身がゆらりと影を落とす。
 それはスクイリアの「抜け殻」。かつてのスクイリアの身体を、今は兵庫の脳内にいる彼女の本体が操作する姿。
『そして、その人間の一番すごい力ってのも、アンタは知らなかったのよ。ええ、アタシも昔は知らなかったんだけどね。……誰かを思う力、愛する力をね』
 大きく振りかぶったスクイリアの拳が、ただ無造作に。ただ無情に、無慈悲に。
 大地ごと、そこにうずくまる敵に、叩きつけられていた。

「お見事でした」
「いえ、あなたこそです!」
 スクイリアの元に静かに歩み寄ってきた修介が賛辞を贈る。それに応え、スクイリアと兵庫も修介の会心の一撃を讃えた。傍らのアリスも、「ま、まあ、少しはすごかったわね」的なツンデレの態度を見せている。
 ……が。
『……ところで、ちょっとだけ、ほんのちょーっとだけ、気になったんだけど、黒影』
「はい?」
 きょとんとした表情を浮かべた兵庫の脳内で、スクイリアの、どこか拗ねたような声が響く。
『……アタシ、厚化粧じゃないわよね? 年増……かもしれないけど……見た目は全然若いわよね?』
「あー、ええと……そう、ですねえ……」
 ……修介の言葉が意外な方向にフレンドリーファイアしていたことを知って苦笑する兵庫なのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ドゥルール・ブラッドティアーズ
共闘×
グロ×
SPD

ヴィランを倒すヒーローがヴィラン以上の外道。
まるで蟲毒ね、ダーティー・アリス。
目障りよ、失せなさい

【催眠術】で正々堂々な偽アリスに人気を奪われる夢を見せ
親衛隊に安全な場所で寝かせてやれと指示

ラグネ様、人間は貴女の想像以上に卑劣で醜い生物。
こんな汚らわしい世界より
私達の楽園で永遠に愛し合いましょう♥

守護霊の【ドーピング】で戦闘力増強。
『無情なる刻』で18.4秒の時を止め
包帯の【早業】で侵略蔵書を【捕縛】
光の【属性攻撃】を注いで死の力を封じ、遠くへ【投擲】

ラグネ様を抱きしめ
胸を舌で、お尻や局部を手で【慰め・生命力吸収】
時が動き出して抵抗されても【怪力・激痛耐性・気合い】で離さない



「ヴィランを倒すヒーローがヴィラン以上の外道? ……まるで蟲毒ね、ダーティー・アリス」

 冷ややかな声が風に乗って届き、アリスは思わず背筋を総毛だたせた。
 決して聞き忘れようもない、その声の持ち主がゆっくりと歩みよって来る。美しく艶やかな玲瓏の玉声、しかし同時に、氷結地獄の彼方もかくやと思わせるような果てしない冷たさを感じさせる声に、アリスはこれまで二度遭遇していた。
 それは、──ドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)の声だった。
 ひくっ、と咽喉が詰まり、アリスは声を喪う。以前の戦いでは一応助けてくれた、のだろうか。それでも、アリスはかつて自分へ向けられたドゥルールの目の色を忘れることはできなかった。……宝石のように美しくありながらも、同時にどこまでも空虚で、乾き、餓えた、その瞳の色を。
「……目障りよ、失せなさい」
 ドゥルールが短く吐き捨てた一声と共に、アリスはがくりと膝を折る。その瞳からは焦点が消えていた。いや、現実を見る焦点が消えていたのだ。ドゥルールのたった一言で、アリスは夢の中へ堕ちて行ったのだから。
 それは、アリスにとっては恐るべき悪夢だった。
 自分とは正反対の、偽者。……正々堂々と戦い、信義を重んじ、人々を支え励まし、優しい微笑みで街の人々を勇気づける真のヒーロー。そんな「偽者」が、街の人々から万雷の拍手をもって迎えられている、夢だった。
「あ、あああ……」
 苦しみ悶えるアリスを尻目に、ドゥルールは無造作に片手を振る。アリスの親衛隊たちに、さっさと介抱してやれと。……安全な場所に連れていくことで。

 慌ててアリスを連れ去る彼らの後姿を見もせず、ドゥルールは猟書家、ラグネ・ザ・ダーカーに向き合った。
「君は……他の猟兵たちとは、少し違うようだね」
 ラグネは人の心を見通すような視線を向け、値踏みするようにドゥルールを眺める。
「いいえ、ラグネ様。……『少し』ではなく、だいぶ違うつもりでいますわ」
 くすっと無邪気に微笑み、ドゥルールは可憐に小首を傾げる。それは、先程までのアリスに対する対応とはあまりにも異なった魅力的な仕草だった。その挙措と言葉遣いに、ほう、とラグネは微かに驚きの表情を浮かべる。
「私はあなた方を……あなたを、お救いするために戦っているつもりです。悲しいことですが、そして許せないことですが、あなた方は世界から排斥される定め。ならば、私がお救いしようと」
「それはありがたいお申し出だね。だが」
 ドゥルールの言葉に、ラグネはふっと笑みを漏らし、眼鏡の奥の瞳を光らせた。
「世界は私を排斥などはしない、させない。私たちがこの世界を作り変えるのだからね」
「その御志は尊くも崇高です。ですが──そもそも、こんな汚らわしい世界にそれほど執着なさる必要があるでしょうか? それより私の楽園へおいでいただき……」
 妖艶に視線を流しながら、ドゥルールはさらりとマントを脱ぎ捨てる、いや、その衣さえも。そこに現れた輝く肌としなやかな肉体が、同性たるラグネの眼差しさえ吸い込み奪う。盛り上がった豊かな肉は、ラグネを誘うように脈打ち震えていた。
「──私と永遠に愛し合いましょう?」
「君の好意は認めよう。だが、他の猟兵とは違い、敵意ではなく好意からだとしても、……結局は、君も私の計画を阻止しようとしていることに変わりはないというわけだ。ならば残念だが、──道が違うと答えるほかはないようだね!」
 言いも終わらぬうちに、ラグネは天空へと飛翔せんとする。その速度は刹那の刻さえも超越した、まさに神速!
 ……けれど。
「愛は時として強引なもの。私の愛を御身に刻ませていただきます」
 神速でさえ追いつけぬものがある、いや、未来さえも。
 ドゥルールは優雅なつぶやきと共に、その芸術品のような裸身を時のヴェールで覆い隠す。それは、時間を操る魔性の麗衣に他ならなかった。
 ──氷のように、彫像のように、死した時の中でラグネは止まっていた。
 その横顔は決意に満ちて美しく、その体躯は躍動して艶やかに。そのままの姿で、彼女は固まっていた。
 僅か18.4秒の凍結、その時間のほとんどを、ドゥルールはラグネの美を賛えることに費やした。そっとしなやかな指を伸ばし、ラグネの身体のラインをなぞっていく。弾けるほどに豊満な肉にうっとりと指を鎮め、引き締まった部分の感触を掌で撫でながら味わって。
 ……やがて時は動き出す。
「こ、れは!?」
 時の中に戻ってきたラグネの声には、驚愕と共に蕩けるような潤いがあった。
 18.4秒の間にドゥルールが尽くした愛の技巧、……それが、時が解放された瞬間、一気に、同時にラグネの肢体の隅々までもを襲ったのだから。
 武器とするべき侵略蔵書は当然のようにすでに絡め取られ、遺棄されている。いや、ラグネ自身の身体さえも、強く激しく抱きしめたドゥルールの抱擁の前に為すすべもない。
「これが、君の愛だというのか。だがそれは、己が意思を押し付けるだけの偽り……くっ」
 薄いコスチュームの下から、ラグネの確かな敏感な反応を感じ取りつつ、ドゥルールは静かに首を振った。
「いいえラグネ様、愛に真も偽もないと私は思います。ただ一途にひた向きに燃え上がるもの、自分も相手も共に焼き尽くすものであれば、それはきっと愛なのではないでしょうか」
 陶然としたひとときの中で、とけだすような甘い感情が滴となって二人の間を浸していく。溺れていく自分を自覚しながら、ラグネは小さく苦笑していた。
「……私の生命が吸われていくのか。では、……吸われた命で君が作り上げる私は誰なのだろうね。私は、私の意思はここにあるというのに……」
 他者に成り替わる力を持つラグネが、本来持つべきではない疑問……あるいは、もっと早く持つべきであった疑問。
 それに答えを返し得るものは誰もおらず、あとはただ、静寂の中に二人の姿が消えていくのみだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリシア・マクリントック
【貧乳同盟+】
暴走列車が3人に増えましたね……私だけでも冷静に戦わないと。
さておき。猟書家が相手とあれば迅狼爪牙に私の魂を刻み込むのに不足なし!行きますよ!
私は生身のまま、マリアはマリアクロス・ナイトモードへ。フィーナさんたちが攻撃しやすいようにマリアと連携して敵の動きを抑え込むように立ち回ります。本当のヒーローの戦いというものを見せてあげましょう!

フィーナさんたちの合体技に合わせて六の太刀・藤花を放ち、風で炎のさらなる強化を試みます。
「空を切る、という言葉の本当の意味を教えてあげます!ブシドー奥義、六の太刀・藤花(ウィステリア)!」
これが正義と勇気と友情の力です!


フィーナ・ステラガーデン
【貧乳同盟+】
出たわね恥知らずな巨乳!とりあえずあんた下何か履きなさいよ!何でパンツ丸出しで強敵感出してるのよ!

さあ!盛り上げて行くわよ!
(鳴り止まない貧乳コールを聞いて)
うっさいわね!?改めて言われると誰が貧乳よ!ぶっ殺すわよ!?(Uc発動しっ放し)

合体!?なんか強そうな響きね!!
ほらアリス!合体よ!
不届き者を焼き尽くしてやるわ!

戦闘は合体の炎出したり勢いに任せて杖から火球出したりぶん殴ったりと攻めていくわよ!早い話お任せよ!

色々酷い力ね!?
っていうかアイは何、人の胸見てほんのひと握りの勇気を貰ったって顔してんの!?
【限界突破、全力魔法】+嫉妬で押し返すわ!!

(アレンジアドリブ大歓迎!)


アイ・リスパー
【貧乳同盟+】

「その巨乳は私たちへの挑戦状と受け取りました!
行きましょう、フィーナさん、アリスさん!
私たち貧乳同盟(ルビ:秘密結社スナーク)の力を見せる時です!」

私とフィーナさんが生み出した、ラグネ・ザ・ダーカーの胸に対する【嫉妬の炎】で相手を爆破しましょう!

「今こそ嫉妬の力を合体です!」

私の嫉妬の炎、フィーナさんの炎の魔法、そしてアリスさんのブレイズフレイムの三つの炎を融合させ、巨乳な敵を焼き払います!
これぞ三本の矢!
さらにアリシアさんの援護もあれば百人力です!

巨乳の悪意……巨乳に押しつぶされるプレッシャーに襲われながらも、フィーナさんやアリスさんの胸に勇気をもらい立ち上がります!



「その巨乳は私たちへの挑戦状と受け取りました!」

 毅然と言い放ったアイ・リスパー(電脳の天使・f07909)の凛とした声が戦場に朗々と響き渡った。口調も声も姿もかっこいいのだが言っている意味はまるで分らない。

「アイの言う通りよ! 今すぐに無駄にぶら下げてるそいつをぶち破ってあげるわ! BUST BURSTってわけよ! 今私いいこと言ったわ!」

 いつもテンションの高いフィーナ・ステラガーデン(月をも焦がす・f03500)だが、今回に至ってはさらに輪をかけて燃え上がっている。っていうか爆発あるいは暴発寸前だ。

「猟兵たちだけにいいカッコはさせないわよ! 大体そんなものが大きくたって偉くないのよ!」

 誰も偉いとか偉くないとかそういう話はしていないのだが、それでも二人の猟兵の隣に立ち、アリスも腕を振り回しながら闘志に満ち溢れた眼差しを輝かせていた。

「……暴走列車が3人に増えましたね……私だけでも冷静に戦わないと」

 そんな三人の姿をやや離れた位置で眺めながら、アリシア・マクリントック(旅するお嬢様・f01607)は深々とため息をついていた。しかもそのうちの二人は親しい友なのだから、なおさら疲れが出てくる。まだ戦う前なのに。頑張れ苦労人お嬢様マジ頑張れ。

 もっとも、疲れていたのはアリシアだけではなかった。
「……またわけのわからない猟兵が出てきたか……だいたいさっきから何なのだ、やたら私の体の一部を睨みつけている猟兵がいるようだが……」
 猟書家・ラグネ・ザ・ダーカーは頭痛の酷いこめかみを抑える。気のせいか熱まで出て来た気がする。他の猟書家仲間たちはきっとみんなカッコよく戦っているんだろうなあ……私と違って……とかそういう孤独な寂寥めいた思いがふと彼女の脳裏をかすめ、ラグネは哀し気に微笑んだ。
 だが、ラグネとても猟書家の名を頂く恐るべき敵。おお、なんたることか、ついに、ラグネは、自分に向けられている敵意の意味に気付いてしまった! 自分に対峙している猟兵たちの姿をよく観察することで!
「……んー? ……もしかして、そういうことなのか?」
 ぎくっ。と三人(アリシアを除く)が身を戦慄かせる。ちなみに戦慄いても彼女たちの胸は震えないぞ!
「くく、くくく……ああ、そういうことか」
 一方ラグネは先ほどとは逆に見る間に余裕を取り戻していく。哄笑することで、大きく逸らした胸がばるんと揺れた。その胸の巻き起こした衝撃波がまるで三人(アリシアを除く)に襲い掛かってくるかのような錯覚さえ覚えて、思わず彼女たち(アリシアを除く)はたじろぐ!

「ははは、すまなかったな。持てる者、富めるものは、つい、持たざる者、貧しきものの苦悩を見過ごしがちなものでね。……無・乳・の・諸・君」

「「「ぐあああっ!」」」
「ああっ、皆さん!」
 アリシアが思わず悲鳴を上げる。ラグネの恐るべき言葉の暴力により、アイとフィーナ、アリスはまとめて吹き飛ばされた! ……に近いダメージを受けたのだ! 思わずよろけ、がっくりと膝をつきかける三人は自らを必死で鼓舞する。
「だっ……だれが無乳よ! 『貧』くらいはあるわよ!」
「いけませんフィーナさん、敵の罠です!」
 アイの制止も間に合わない、フィーナははっと自らの口を抑えたが、もう遅かった。
「ははは! 自分たち自身で認めてしまったようだね、自分たちが貧乳であるということを!」
「「「ぐあああっ!!!」」」
 なんと恐ろしく狡猾にして用意周到なラグネの罠か! 三人(アリシアを除く)は既に半死半生!
「くっ、なんという巨乳の悪意……巨乳のプレッシャーに押しつぶされそうです……! ですが!」
 アイは口元にこびりついた血を拭いながら頭を振り、震える膝を抑えて立ち上がろうとする、その姿は窮地にあっても決して諦めることを知らぬ勇壮なる戦士。なお別に外傷とかあるわけでは一切ない。
「ですが、私の勇気を折ることはできません!」
 アイは両隣の仲間たちの姿を目に映し、微笑んだ。そう、仲間たちがいる限り、アイの勇気が折れることはないのだ。主に胸のサイズを見比べる的な意味で。
「フィーナさん、アリスさん、お二人に勇気を頂きましたよ!」
「ちょっとアイ!? 何、人の胸見て、ほんのひと握りの勇気を貰ったって顔してんの!?」
「まあ、ひと握りするほどもないんだけど……」
 いけない!フィーナがアイに矛先を向けかけ、一方アリスは自虐を始めてしまった! このままでは仲間たちとの絆さえも危うい!
 しかし、そんなとき。
「皆さん、あの声を聴いてください! 皆さんの背を押す、あの声を!」
 アリシアの透き通った声が響く。その言葉に、三人ははっと顔を上げ、アリシアが指し示す方向に耳を澄ませた。
 おお、聞こえる……確かに聞こえるではないか。
「Heat in You……! Heat in You……!!」
 遠くからさざなみのように木霊する人々の声が。遠き大海原に打ち寄せる波のように、それは雄大にして清冽、悠久にして無限を思わせる深く力強い声援。それはひんにゅーを応援する人々の魂の叫びだった。
 アリシアは静かに頷き、友たちを見回す。
「たとえ皆さんの胸は小さくとも、その小さな胸にはあの大きな声援が宿っているのです! あの多くの人々の熱い想いが、強い願いが、その小さな胸に託されているのです! その小さな胸に! 負けてはならない、小さくとも、と!  立ち上がってくれ、小さくとも、と!」
「なんか励まされてるようでそうでもない気がするわ! っていうか小さい小さい言いすぎじゃないかしらアリシア!」
「些細なことです! あ、いえ、小さなことです!」
「なんでわざわざ小さいって言い直した!」
 むがーっとなるフィーナ。しかし、そのおかげというべきか、一瞬消えかかっていた彼女の闘志に再び火が付いた。そこまでをアリシアは計算していたのだ。きっと。フィーナは改めて本来の敵に向き直ると、ビシッと指をさして決めつける。
「っていうか! それもこれも全部あの猟書家が悪いのよ! あの恥知らずな巨乳が! とりあえずあんた下何か履きなさいよ!何でパンツ丸出しで強敵感出してるのよ!」
「パンツではないコスチュームだ! いきなりとんでもない方向に話の舵を切るのではないよ!?」
 敵をせせら笑っていたら、急にものすごい勢いで弾道を変えて流れが自分の方に向かってきたことにラグネは狼狽の色を隠せない。今こそ逆襲の時だ。
「行きましょう、フィーナさん、アリスさん! 私たち貧乳同盟(ルビ:秘密結社スナーク)の力を見せる時です!」
「ちょっと待ちたまえ!? 大いなるスナークの名をそんなことに使うのではないよ!?」
 ラグネの抗議の言葉も聞かばこそ、アイは天まで届かんというほどの聖なる炎を燃え上がらせた。これぞ万象一切を焼き尽くす嫉妬の炎に他ならない! さらにそこへ、フィーナの猛り狂った火炎魔法、そしてアリスの憤懣すべてを込めたブレイズフレイムの炎が重なっていく。三つの力を一つに合わせ、今こそ貧乳の力見せる時!
「くっ。そうはさせるものか……君たちに算数の基礎を教えてあげよう」
 だが、ラグネもただ指をくわえて攻撃の完成を座視しているわけではない。彼女は最終にして最大の切り札をここで使った!

「貧乳同士の合体だと? だがね、……ゼロに何を掛けてもゼロなのだよ!」
「「「ぐわああああっ!!!!」」

 合体攻撃の完成直前に凄まじいカウンターを合わされ、三人の足並みが崩れかかる、しかし。
「マリアクロス・ナイトモード!」
 アリシアの声と共に、その友たる狼マリアが鋼の装いとなってラグネに襲い掛かった。口にくわえたナイフが光を迸らせ、風を裂いて猟書家の胸元を狙う。危うくかわしたと見えたラグネの視界に、マリアと呼応して斬りかかってきたアリシアの剣・迅狼爪牙が迫る!
「ぬうっ!」
 跳び退ろうとしたが間に合わない、ラグネは大きくアリシアの太刀先に胸元を斬り裂かれ、鮮血を噴出させた。
「皆さん、見ましたか! 所詮巨乳など戦闘には不向きなのです! 皆さんの小さな胸こそが、正義を為し悪を滅ぼし光をもたらす、本当のヒーローの戦いには理想的! 勇気を振り絞ってください!! その小さな胸に!」
「「アリシア(さん)小さい小さい言いすぎ(です)!!」
 しかしアリシアの声に、再び貧乳同盟は力を取り戻す。
「やるわよ、アイ! アリス!」
「フィーナさん、アリスさん、今こそ私たちの絆を見せる時! 嫉妬の力を合体です!」
「フッ、七つの大罪を力にするって言えばなかなかカッコいいじゃない!」
 今度こそまぎれもなく三つの炎が嫉妬を糧とし一つとなって燃え上がる。そこへさらに、アリシアの巻き起こした薫風が追い風となって炎の勢いをさらに増す。これぞブシドー奥義、六の太刀・藤花(ウィステリア)!
 天よ叫べ、貧乳を馬鹿にするものを裁くために! 大地よ謳え、貧乳を蔑むものを飲み込むために! 巨乳死すべし、巨乳消え去るべし──。 

「「「巨乳! 滅ぶべし!!!」」」

 貧乳同盟の聖なる叫びが天誅を告げる。眩く輝く炎の渦が、巨乳に対する怒りをもって渦巻き虚空を焼き尽くして、ラグネとその巨乳を飲み込んでいった……。
「勝手に嫉妬されて勝手に倒されるのか私は―!?」
 そんな叫びが聞こえたような気がしたとかしなかったとかは、まあ「小さな」問題である。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎

空転続く手段の果てに崩壊か…
フッ、心底同情するよ

UCを発動
高速で飛翔する敵に空中戦で対抗する
敵の放つ「死のイメージ」は回避やレーザーブレードの切り払いで対処しつつカウンターでグレネードやビームライフルを放つ
音速を超えた中での戦いなので瞬間思考力をフルに使い
常に相手よりも優位な位置を保って攻撃

チッ…流石にフォーミュラを名乗るだけはあるか…

ある程度戦ったら苦戦をする演技を行い敵を路地に誘い込む
敵が攻撃を放つ寸前に背後からアリスのブレイズフレイムを要請
炎に反応した敵の隙を付き全武装による一斉射撃を叩き込む

彼女がお前に借りを返したいそうだ
私からのプレゼントも併せて遠慮せずに全て受け取れ


トリテレイア・ゼロナイン
ご無事で何よりでした
ええ、本当に…

最初はお小言を言おうかと思っていたのです
人質の扱いですとか
人質の扱いですとか
※大事な~

ですが先ずは猟書家への対処ですね

格納銃器発砲音で透明化アリス位置隠し
彼女の炎で目が眩んだ敵の土手っ腹にUC
怪力アッパーとUCジェット推力移動で上空へ打ち上げ

目立ちたい貴女のスタイルを否定は致しません
ですので被害の軽減と両立する方法をご提案させて頂きます
決して貴女の名誉を汚そうとしたあの悪党への怒りでアレを持ち出したのではありません、ええ

肝要なのは破片消し飛ばし地上に累及ばぬ威力
効果範囲を1mに設定して…

ええ、花火です

(匿名のグッズ発注書の控え隠しつつ)
どうか、お元気で



「ご無事で何よりでした。ええ、本当に……」

 トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)のしみじみと漏らした合成音声に、アリスは照れたようにそっぽを向く、その頬はほんのり赤く染まっていた。
「また来たのね、おせっかい騎士さん。……べ、別に、あなたが来てくれるかも、なんて思ってなかったんだからっ!」
 トリテレイアとアリスは、かつてアリスラビリンスで出会い、そしてアースクライシスで共闘した、思えば不思議な付き合いの両者であった。
 だがそれは、何もトリテレイアがアリスに甘く対応することを意味しない。むしろ逆である。
「最初はお小言を言おうかと思っていたのです。人質の扱いですとか、あと人質の扱いですとか。それからまあ、人質の扱いですとか」
 大事なことなのでリピートしました。
「いえ、分かってはいます。それがテロリストに対しては最も適切な対応だということは。最初に取引が通用しない相手だということをはっきりと明示し、それによって以後の無用な被害を出さないようにする。確かに非常に有効であり妥当です。しかし、人質の方に無用な心理的負担を与え、あまつさえ自分の邪魔をするなどと恫喝するというのは、方便としてもかなり問題のある手法だと言わざるを得ません。さらにいえば、それはヴィランに対しても動揺を与え、まともな判断を喪わせて、人質を傷つける可能性もなかったとは言えず、それは……」
「いやちょっと待って!? 始まってる、お小言始まってるわよ!?」
「何を言うのです、この程度のことはお小言のうちに含まれません。これはただの事実確認と経緯の認識であり、お小言というものは……」
 トリテレイアは何故か、お嬢様や女王様的な雰囲気を持つ破天荒な女性に対して、口うるさいお目付け役的な立場になりやすいらしい。止まることなくそのまま、滔々と大河の流れるように言葉を継ごうとしたトリテレイアを、くっくっと美しい唇から笑みを漏らしつつ、傍らのキリカ・リクサール(人間の戦場傭兵・f03333)がなだめた。

「フッ、まあそのあたりにしてあげようじゃないか。……フフ、私にも、自由奔放すぎて厄介で手のかかる、面倒な、……しかし大事な相棒がいるのでね。アリスを見ていると、そいつのことを思い出して、どうにも憎めないのさ」

 なんか言った? というような仕草でキリカのバックパックから一体の人形が貌を出す。それはキリカの使役する──というよりは腐れ縁の悪友とでもいうべき、自我を持つ妖人形、デゼス・ボアである。
 同じく自我を持った被造物、という点で、トリテレイアとデゼス・ボアはある意味で同類と言えるかもしれない。しかし、生真面目で四角四面なトリテレイアと、自由気ままなデゼス・ボアの表れは正反対であった。
「こいつにも、騎士殿の真面目さを多少分けてほしいんだけどね、フフ。……しかし、とりあえずそれは後回しのようだな」
 文句を言いたげに手を振り回しているデゼス・ボアをバックパックに押し込んで、キリカはきっと前方を見据える。
 そこには、これまでの猟兵たちとの激戦で既に満身創痍となり、しかしそれでも衰えることなく瞳に激しい憎悪の炎を燃やす邪悪の影があった。──猟書家、ラグネ・ザ・ダーカー。
 その凄惨な姿へ、キリカは冷ややかに言葉を投げつける。
「空転続く手段の果てに、計画もお前自身もすべてが崩壊か……フッ、心底同情するよ」
「黙るがいい、猟兵ごときに同情などされるいわれは……」
「勘違いしているようだね」
 ギリリと歯噛みしながら言い返そうとしたラグネに対し、キリカは酷薄な笑みを美貌に浮かべ、言い放つ。
「私が『同情』しているのは、よりによってお前のような薄っぺらい蒙昧な愚者を同志としてしまった他の猟書家どもに、さ。まあ所詮はオブリビオン、全員の目が節穴だったのだろうね」
「なっ! ……おのれ、口先ばかりで優位に立った気になるな!」
「口先で人々を騙そうとする計画を立てていたものがよくも言うものだ、自分自身の全否定だね、フフ」

 舌戦では明らかに、というよりも完全にキリカに分があるようだった。その二人を見つめながら、トリテレイアは少し悩む。
「ふむ……言葉を使って相手のメンタルにダメージを与え、戦況を優位にするというのも有効な戦術ですね……私も多少はそうしたメソッドを身に着けたほうがいいのでしょうか。しかしそれは騎士としての振る舞いからは外れてしまうような……」
「安心して、騎士さん」
 つんつん、とトリテレイアの装甲をつつきながら、アリスはぼそっと呟く。
「あなたみたいに、正論で真正面からぶん殴るのも立派に言葉の攻撃だから。しかもめっちゃ効く」
「そ、そうだったのですか!?」
 己の秘められた力(秘めてない)を知らされ、愕然とするトリテレイアなのだった。

 一方、もはや退路無しと悟ったラグネは、最後に残った己の力を全開にして中空高く飛翔していた。その身に鮮血のごとき紅いオーラを纏い、真紅の流星の如くに、ラグネはキリカへと襲い掛かる!
 だがキリカはその艶やかな唇から余裕の笑みを消すことはない、
「私の手が届く場所は地上だけとは思わない事だ……Vol Conquérant!」
 瞬時に身にまとった漆黒のパワードスーツで同じく天空へと躍り出るキリカ。真紅の流星と漆黒の弾丸、二つの光が虚空で激しくぶつかり合い、火花を散らして対峙する。音速を越えた超高速の激戦に、風が哭き、大気が歪み、凄まじい衝撃波が大地を覆う!
「ふはははは! どうしたのかね猟兵! 先ほどの大言壮語は!」
 だが、哄笑したのはラグネだった。猟書家の恐るべき一撃をまともに受け、キリカのスーツは錐揉みしながら大地へと落ちかかる!
「くっ、まさかここまでのものとは……!」
「ははは! この私を愚弄したことを今更後悔しても遅いのさ!」
 墜ちて行くキリカにとどめの追撃を為さんものと、ラグネもまたキリカのあとを追って急降下していく。そのラグネに、キリカは吐息交じりに、告げた。
「ああ、まさかここまでの……愚か者だったとはね」
「何っ!?」
 そう、気付くべきだった。ラグネは、今キリカが落ちていく先の大地に、──誰もいないことに、誰の姿も見えないことに、気づくべきだったのだ。
 ……アリスの姿も。トリテレイアの姿も。
「しまっ……!」
「遅いわよ、ヒステリー眼鏡!」
 空で急停止しようとしたラグネの耳に、声だけが響く。アリスの声が。──クリスタライズで姿を消し、ラグネを射線上に待ち構えていたアリスの声が! 
「お返しよ、受け取りなさい! ブレイズフレイムッ!」
 轟焔がまともにラグネの真正面へ叩きつけられる! 威力だけなら猟兵には及ばないアリスの能力だが、まともに顔面を襲えば視界を奪い聴覚を奪い呼吸を止める!
「ぐわあああっ!!」
 此度もんどり打ちながら大地に落ちるのはラグネの方だった。……そして、もう一つ、ラグネが忘れていたことがある、
 ……クリスタライズが透明化できるのは、能力者本人だけではない。
 アリスの小さな体にしっかりと抱きしめられてその姿を消していたトリテレイアが、この瞬間。猛然と姿を現し──落ちてきたラグネに、カウンターの凄まじいアッパーを突き上げたのだ!
「がっ……!」
 肺からすべての空気を絞り出されたかのようにかすれた声でうめき、ラグネは再び空中へと吹き飛ばされた。キリカの待ち受ける空中へと!
「私からのプレゼントだ。遠慮せずに全て受け取れ……お前がもらえる贈り物など、せいぜいこの程度なのだからな」
 冷ややかに告げたキリカの声と共に、パワードスーツの全兵装による一斉射がラグネの身を包み、焔へと変えた。叫び声さえもはや届かない。
 そして。
「──アステロイド・バスター」
 淡々と告げたトリテレイアの一撃が、凄絶な爆発とともに、この戦いに終止符を打ったのだった。
 あたかも、花火のように。……上空から、アリスの守り愛する街を寿ぐ、花火のように。
「目立ちたい貴女のスタイルを否定は致しません。……ですので、被害の軽減と両立する方法をご提案させて頂きました。多少大袈裟な戦法を使いましたが、あくまで、それが理由です」
 眩しそうに目を細めて爆発を見つめるアリスに、トリテレイアは几帳面に言う。そこへ、ふわりとキリカが降り立った。
「デゼス・ボアが言っているよ、御同類の言葉を訳してあげたいと。……つまり」
 くすり、とキリカは微笑んで、得意げな相棒の妖人形を片手にし。
「『アリスの名誉を汚そうとしたあの悪党への怒りでアレを使ったのです』だそうだ」
「……そのような言葉は決して、断じて、使っておりません、デゼス・ポア様」
 憮然とするトリテレイアの姿に、アリスはころころと笑いだす。
「騎士さん。あなたって、あれね。……ツンデレってやつね!」

 かくして猟兵たちの活躍により、恐るべき猟書家、ラグネ・ザ・ダーカーの陰謀はひとまず阻止された。
 ダーティ・アリスは今日もまた、大騒ぎを起こしながらも街の平和を守り続ける。
 ……そして、猟兵たちの一部の間には。
 その武器や装甲を飾って揺れる、可愛らしいマスコットが、少しだけブームを起こしたという。
 ──キューティー・アリスのマスコットが。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年11月15日


挿絵イラスト