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異世界転生しようが俺のターンは終わらない!

#スペースシップワールド #猟書家の侵攻 #猟書家 #ドクトル・アメジスト #電脳魔術士

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●Welcome to Chaos Requiem
「おい……何だこれは!?」
 ハッと気づいた時には、俺は見知らぬ世界の地に立っていた。広大な草原、心地良い風にさらさらと揺れる草花、そして澄み切った青空に……ドラゴン。
「ドラゴンだと!?」
 どういう事だ!? 俺は先まで自分の宇宙船の電脳空間にいたはず! ……まさか、俺自身が『ゲームの中』に入り込んだという事か!?

 俺の名前はエテム・ゴッドハンド。電脳空間を支配する『電脳魔術士』の力を持つ者だ。
 見知らぬうちにインストールされていた謎のオンラインゲーム『カオスレクイエム』を起動した途端、意識が吹き飛んでしまい、気付いた時にはこの場所にいた。
 誰が送り込んだのか分からない怪しいゲームを何故起動したのか? 俺の紅蓮の赤壁<ファイアウォール>を潜り抜けてまで用意するとは興味深い、これは俺への挑戦状だと受け取ったからだ。
 しかし……俺自身がゲーム世界へと飛ばされるとは流石に予想外だった。今の俺は現実の体なのか、偽りの体なのか……それは分かりもしない事だが。何にせよ良く出来たプログラムじゃないか。
「良いだろう、俺の事の知らずに招待したとは言わせないぜ。このオンラインゲーム……受けて立つ!!」

 巨大なドラゴンは俺を視界に入れる事などなく遠くへ飛び去って行く。まぁ当たり前だろう。今の俺はこの世界に来て間もないプレイヤー。武器も防具も金もない、布の服姿の雑魚など相手にする暇なんてないだろうからな。概ね、あのドラゴンはストーリー中盤か後半に戦う事となる強敵と言った所だろう。
 さて、これから俺は遠くに見える村へ向かい、最初の装備を整えゲームの目的を聞き回る……という行動に出なければならないのだろう。
 だが――俺はエテム・ゴッドハンド。『電脳魔術士』のゲーマーだ。俺をこの世界へ呼んだのは……とんだ間違いだったな。

「行くぜ! 即行魔術発動!! 『侵食する闇<チートコード>』!!」

 受けたゲームには必ず勝つ! 俺のカードデッキが火を噴くぜ!
 こうして俺は所持金と回復アイテムを無限増殖させ、最強装備を揃えつつ最短ルートでラスダンへ辿り着いてやった!
 待ってろラスボス。見てろ製作者。俺が世界最短でゲームを完走してやるぜ!!

●ゴッさんの情報
「娯楽を生み出した神は罪な奴だよ。永遠に引き剥がせない概念の一つだからね。勿論神も大好きだよ!」
 ゴッさんことゴ・ディーヴァ(甘色の案内人・f16476)は笑う。猟兵が一定数揃うとゴッさんは雑談を中断させ、仕事モードへと気持ちを切り替えた。
「さてさて、本題に入ろうか。君達も猟書家の話は聞いているね? 今回はそれに関する仕事さ」
 各地に猟書家やその幹部を名乗る人物が現れたという話は、耳にしてから間もないものといった所だろうか。
「俺が早速予知したものを伝えよう。場所はスペースシップワールド。……今、この世界にいる電脳魔術士が危ないんだってね」
 宇宙船の電脳空間を制御する者、電脳魔術士。それは猟兵でなくとも存在はする。今、電脳魔術士の間で不思議な出来事が多く起こっているという。
「誰かが電脳空間をハッキングして『呪いのオンラインゲーム』を勝手にインストールするのさ。それが出回っている訳だけど……ゲームにログインすると、意識を失ってしまうんだ」
 それもそのはず。ログインすればプレイヤーの『魂』がゲーム世界へ送り込まれてしまうのだから。
「中身はファンタジー世界……アックス&ウィザーズみたいな世界観らしい。ゲーム内容はめちゃくちゃ面白い! らしいんだけど……動かしているその身は『魂』なんでね。死んだら魂は消滅、現実に戻れず本当に死んでしまうんだ」
 まさに死のゲーム。こうして各地の電脳魔術士が次々と身体だけを残し、ゲームに魂を奪われていくという。
「ま、お察しの通り、犯人は幹部猟書家さ。嫌な手口を使うモンだねぇ」

 彼らの救出方法は一つ。猟兵もオンラインゲームの世界に入り込み、ゲームをクリアする事だ。しかし、それには問題がいくつかあるようだ。
「ゲームに入るのは簡単なんだけど……その世界だと『ユーベルコードが使えない』んだよね。そりゃそうだ、現実じゃないからね!」
 となれば、猟兵でもそれでは全く戦えない。ではコツコツとゲームを進めるべきなのか?
「流石にそんな時間はないね。だから……君達がするべき事は一つ」
 ゴッさんはパチンと指を鳴らし、
「チートでも使ってズルしちゃおう!」
 にっこりと輝かしく笑った。
「悪い奴の作った死のゲームだよ? ズルでもバグでも使って進めれば、製作者である猟書家だって現れるはずさ!」
 そう簡単には言うが、ゲームのシステムを書き換えるチートなど猟兵全員が使える訳ではない。勿論、そんな事はゴッさんだって分かっている。
「運が良い事に、君達がこれからログインする『カオスレクイエム』にはチートが使える天才くんが一人いたんだ。そいつに出会って訳を話せば、協力してくれるはずだよ」
 チート利用者の名前はエテム。ゲームを愛する青年で、電脳魔術をそれぞれ一枚のカードに封印し、それを解き放つ事で魔術を使用するようだ。
「装備からアイテムまで揃えられるんだから、ユーベルコードだって使えるようになるだろうね! ……まぁ、力のある猟書家の作ったゲームだから限度はあるのかもしれないけど」
 何もやれないよりはマシでしょ? とゴッさんは言う。
「君達はログインした直後、ラストダンジョンである魔王城を目の前にする事かと思う。……それもチートの影響じゃないかな? そこでめっちゃキラキラしてる奴がいると思うんだけど、そいつが恐らくエテムだ。頑張って彼を守ってあげるんだよ!」
 とりあえず説明は以上、とゴッさんは話を終えた。

 オンラインゲームにログイン後、電脳魔術士エテムと合流し、魔王城を攻略する。猟兵達は一つ頷くと、ゴッさんもグリモアを輝かせた。
「それじゃあ、転送先はエテムの宇宙船にさせて貰うよ。そこでゲームにログインするんだ。分かったね?」
 準備が完了した猟兵に手を振ると、ゴッさんは猟兵を次々と転送させていったのだった。

「あ、一個伝え忘れちゃった」
 ログインすると、初期装備の布の服になっちゃうんだよね。まぁいっか、チート使えるし!


ののん
 お世話になります、ののんです。

 ●状況
 スペースシップワールドが舞台となります。
 猟書家シナリオにつき、2章で完結します。

 ●戦闘について
 NPC電脳魔術士エテムがチートコードを使用すると、回数制限付き(1~2回程)でユーベルコードを使用できるようになります。
 彼の協力が必須ですので、彼を守りつつ魔王城の最上階を目指して下さい。
 ちなみに彼の場合はチートコードを打ち続ける=手札からカードを一枚掲げて叫ぶという行動となります。
 魔術カードによる猟兵の強化(ユーベルコードを使用可能にする)、罠魔術カードによる援護などを行う為、猟兵を使役モンスター扱いする可能性がありますが悪意は全くないのでそこはノリで何とか。
 (エテムにこういうカードを使って欲しい!(ドン☆)的な指定がありましたらお書き下さい)

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 プレイングボーナス(全章共通)……チートコードを打ち込み続ける電脳魔術士を守る。
 ====================

 ●オンラインゲームについて
 オンラインゲーム『カオスレクイエム』はファンタジー世界を舞台にしたゲームです。
 エテムは既にラストダンジョンである魔王城へ到着しています。
 猟兵達はログインすると、初期装備である「布の服」を着た状態で魔王城の前へ立っている事でしょう。
 エテムに頼めばチートコードによってお好きな服装に変えてくれますが、特に指定がなければ現実世界(普段)の服装に変えてくれたという事にします。
 装備品は現実(ステシ)のものを用意してくれますのでご安心を。

 魔王城にはコウモリ系からゴブリン系、OPにあった巨大なドラゴンなどのモンスターがいます。
 立ち塞がる敵と戦って数を減らすも良し、抜け道や裏技っぽい行動を試してバグ検証をしても良し。頑張ってエテムとRTAをしてみましょう。
 死んだらマジで死ぬのでお気を付けて。

 ●プレイングについて
 受付期間は特に設けておりません。

 キャラ口調ですとリプレイに反映しやすいです。
 お友達とご一緒する方はIDを含めた名前の記載、または【(グループ名)】をお願い致します。
 同時に投稿して頂けると大変助かります。

 申し訳ありませんがユーベルコードは基本的に【選択したもののみ】描写致します。

 以上、皆様のご参加お待ちしております。
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第1章 冒険 『呪いのオンラインゲームをクリアせよ』

POW   :    困難な状況に対して正面から挑戦し、その困難を打ち砕きゲームをクリアに導く

SPD   :    裏技や抜け道を駆使する事で、ゲームの最速クリアを目指す

WIZ   :    多くのデータを検証して、ゲーム攻略の必勝法を編み出す

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 オンラインゲーム『カオスレクイエム』へログインをした猟兵達。
 暗黒に包まれた空の下、目の前には大きな魔王城が静かに佇んでいた。
 明らかに最後のダンジョン、と言った外見だ。いきなりここからスタートとは……って、あれ? いつの間にか布の服を着ている!?

「おい、お前ら!」
 突然叫ぶ声が聞こえた。振り向いてみると、そこにはめちゃくちゃキラキラしたエフェクトに包まれた青年が一人。
「初期装備でここまで来たのか……? 随分と手慣れたゲーマーだと見たぜ!」
 立派な鎧を着込んでいるが兜だけは被っていない(非表示にしているのだろう)青年は、驚きと喜びを合わせた笑みを浮かべていた。
「お前らも今から攻略を? だが流石に布の服はヤバいぜ! ラスダンのフィールド効果なのか、俺のチート能力も制限されていて効果発動が難しいんだ。厄介な相手だぜ」
 流石の青年もラスダン攻略には困っているらしい。
「もしお前らが俺に協力すると言うのなら、考えてやってもいいぜ。俺の名はエテム。エテム・ゴッドハンドだ!」
 オンラインゲームで本名は言ってはならない。

 さて、エテムの話では、魔王城は強化された雑魚モンスターからとても強い隠しモンスターまでうじゃうじゃ待ち構えているという。
 ダンジョン内は通路と巨大な部屋、螺旋階段と至ってシンプルらしい。敵との戦闘がメインという事なのだろう。
 さぁ、これから最短でラスダン攻略に挑み、ラスボスのいる頂上を目指すぞ!
終夜・日明
【アドリブ連携歓迎】
布の服の状態から入った……即ち低レベルクリアですね?
それができるということは即ち"どんなボスエネミーであろうがこの方法を使えば即死、あるいは瀕死にできるチート"があるハズ、と定義します。
【情報収集】でゲーム内のデータを全部調べた後に【ハッキング】で裏技という名の対ボス用【破壊工作】したいですね。
エテムさんに手伝って頂いたらできませんかね?

ダンジョンは入手した情報を元に【地形の利用】でノーエンカウントで突っ走り、ボスはエテムさんの協力で上記のチートを付加させた【指定UC】で【砲撃】しましょうか。
倒せなくても半分は削れるハズですし、エテムさんにも被害が及ばないかと。



「行くぜ、魔術カード発動! 『女神の施し<マザー・クローク>』!!」
 エテムは手に持って広げていた手札からカードを一枚引き抜くと、天高くそれを掲げた。封された電脳魔術の効果が解放され、終夜・日明(終わりの夜明けの先導者・f28722)の服装は布の服から現実世界のものへと瞬時に変えられた。
「ありがとうございます、エテムさん」
「気にするな。魔王城の外だから簡単だが、一歩でも中へ入るとチートの発動に時間が掛かるんだ。システムの穴が少ないのだろうな。その間の護衛、頼んだぜ!」
「はい、僕達と一緒に戦いましょう」
 と、魔王城へ向かうその前に……と日明はエテムを呼び止める。
「僕も電脳魔術士なのですが、エテムさんの収集したデータ、僕にもいただけませんか?」
「あぁ、構わないぜ」
 エテムは一枚の輝くカードを日明に差し出す。カードに触れると、オンラインゲームで集めた全ての情報、そしてエテムが使用したチートプログラムが一瞬にして日明に流れ込んできた。情報の整理を終えると、日明はエテムにある提案を持ちかける。
「いただいた情報に基づき、僕達が布の服でスタートしたという事は……『どんなボスエネミーであろうがこの方法を使えば即死、あるいは瀕死にできるチート』があるハズ、と定義します。これが可能であれば危険度は減らせるかと」
「なるほどな、能力値を変えるという事か。少々手間が掛かりそうだが、やってみる価値はありそうだぜ!」
「僕も手伝います。勿論、ダンジョンに入った後も何かあれば申し付けください」
 二人は自身の電脳魔術を発動させる。魔王城の外とはいえ、入り組んだシステムが邪魔をする。それでも日明達は微かに空いた穴を潜り抜け、プログラムを書き換え、『世界の外』から世界を改変していくのだった。

 日明を含めた猟兵達は、エテムと共に魔王城へと足を踏み入れる。外とは違い、禍々しいオーラをひしひしと感じる。多くの強敵が待ち構えているのだろう。ごくりと唾を飲み込む……というシーンを製作者は狙っていたのかもしれないが。
「灯りのない壁沿いをしゃがんで進んでください」
「進むぜ」
「そして斜め移動しながら左の廊下へ向かって下さい。雑魚には気付かれません」
「やったぜ!」
 淡々とシステムの穴を狙って攻略していく猟兵達とエテム。ゲームの製作者がガバガバなのか、エテムによるエンバグなのか……何にせよ戦闘回数は減らせそうだ。
 ただ、中ボスイベントの回避は難しそうだ。広い部屋では巨大な熊モンスター『暗黒を貪りし大熊猫』が鋭い牙と爪を見せつけプレイヤーを待っているのだ。一度でも扉を開き入れば襲い掛かって来るだろう。
「お願いします、エテムさん」
「行くぜ日明! 攻撃カード発動! 『破壊の弾丸<ヘッドショット>』!!」
 日明のライフルスピアの銃口が光り輝く。本来は使用できないユーベルコードがゲームの世界へシステム情報として構成されていく。
「開けるぞ!!」
 エテムが扉を開くと同時に日明は引き金を引く。響く発砲音。額を貫通した弾丸。暗黒を貪りし大熊猫は咆哮をあげながら暴れると、どしんと豪快に倒れ、さらさらと輝く砂粒と化しその姿を消していくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

神代・凶津
これが漫画とかで良く見るフルダイブ型のVRゲームッ!
実は結構楽しみだぜッ!
「・・・遊びじゃないんだよ?」
分かってるって、相棒ッ!

あんたが天才電脳魔術士のエテムか。
俺は凶津、こっちは相棒の桜だ。
目的はお互い一緒。ここは協力プレイといこうぜ。
流石に布の服だけじゃアレだしエテムに現実の装備品を頼むとするか。
さあ、ゲームスタートだ。
ノーコンティニューでクリアしてやるぜッ!!
「・・・そもそもコンティニューは無いから。」

式神【捜し鼠】で敵の少ない抜け道や隠し通路を探して戦力温存で進むとするぜ。
敵が現れたらエテムを守りつつ敵の攻撃を見切って妖刀で叩き斬ってやるぜッ!


【技能・情報収集、見切り】
【アドリブ歓迎】



「あんたが天才電脳魔術士のエテムか」
 その声にエテムが振り向くと、そこへ立っていたのは布の服を着た少女だった。
「お、お前! プレイヤーとキャラクターの性別が逆だぜ! ネカマだぜ!」
「いやいや!! 今喋ってるの俺!! それ禁句だから!!」
 少女は抱えていた仮面をエテムに見せ付ける。そう、声の主はヒーローマスクである神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)のものなのだ。
「俺は凶津、こっちは相棒の桜。目的はお互いに一緒なんだ、ここは協力プレイといこうぜ」
「こいつは驚いた……ああ、こちらこそよろしく頼むぜ!」
 エテムが一枚のカードを掲げると、桜の纏っていた布の服が光り輝き、現実世界と同じ巫女服へと変化する。ありがとう、と桜はエテムへ小さく頭を下げる。
「にしても……」
 凶津は桜に魔王城を見せるよう仕向ける。天高くそびえる禍々しい城は、ゲームの世界とは思えないほどリアルだ。
「これが漫画とかで良く見るフルダイブ型のVRゲームッ! 実は結構楽しみだぜッ!」
 なんとこの仮面、漫画を読むらしい。それはともかく、凶津は目を輝かせた。危険とはいえ、今から目の前のラスダンを自分の身で攻略するというわくわくは抑えきれないものなのだ。
「……遊びじゃないんだよ?」
「分かってるって、相棒ッ!」
 冷静な桜に対して返す声も、それはそれは楽しそうなものであったという。

 いざ魔王城へ入ってみると、重々しい空気をより感じられた。これが長旅の終着点なのだと感じられる、寂しくも冷たい空気を吸い込む。……まぁ全部ふっ飛ばしたから思い出も何もないけど。
「戦闘は最小限に抑えたい所だ。エテム、式神を召喚させてくれ。抜け道を探してみるぜ」
「分かった。行くぜ、魔術カード発動! 『増殖する呪術鼠<シキガミ・サガシネズミ>』!!」
 エテムがカードを輝かせたと同時に、桜の手のひらも輝き始める。手のひらを床へ近付ければ、多くの式神の鼠が飛び出した。鼠達は四方八方へと散り、魔王城の探索へ向かう。
「おっ、早速鼠から連絡が来たぜ。とりあえず端を歩けば、ある程度は回避できるみたいだな」
「あの鼠に通信機能でも付いているのか?」
「なんかビビっと来るんだよ」
(「あの角はアンテナか?」)
 見慣れない凶津を不思議そうに見ながらも、凶津を被った桜とエテムは廊下の端をゆっくりと歩き、雑魚敵のエンカウントを避けていたのだが。
「キシャーッ!」
 流石に全避けは難しかったのか、コウモリ型モンスター『デス・バンディット』の群れが突如二人に襲い掛かる。
「おっと任せろ! エテムはしゃがんでな!」
 ゲームとはいえ戦闘なら慣れたもの。無銘の妖刀を咄嗟に構え、横へ一振り。一度にして複数のデス・バンディットがその姿を消していく。
「ふん、動きが読めすぎて見切るまでもねぇ。この勢いのままノーコンティニューでクリアしてやるぜッ!!」
「……そもそもコンティニューは無いから」

成功 🔵​🔵​🔴​

ヘスティア・イクテュス
ふむ…(布の服を見渡し、裾をもってバサバサし)
布ね…流石に初期装備で魔王城は王様ケチすぎないかしら?


装備はそうね…ガンナー系で(テンガロハットにウエスタン風味)
見た目だけで中身はリアル準拠だけどね?
まぁ雰囲気雰囲気

ザコ敵はミスティルテインで普通に撃破
強敵が現れたらブラスターモード(見た目スナイパーライフル)ね

エテム!カードを!
掲げられたカードを受け取り弾倉へ
『滅びのブラスタービーム』!



「ふむ……」
 いつの間にか着ていた布の服を見渡すヘスティア・イクテュス(SkyFish団船長・f04572)。
「布ね……流石に初期装備で魔王城は王様ケチすぎないかしら? せめて兵士の鎧くらいくれたっていいじゃない、ねぇ?」
 裾を握りバサバサと揺らす。RPGの主人公の気持ちが理解できた気がした。ともかくこれでは魔王城に挑む雰囲気になれない。うーん、と考えた末、ヘスティアはエテムにこう頼んだ。
「エテム、こう……クールなガンナー系装備ってないかしら?」
「あるぜ。女ガンナー装備『荒野の華』シリーズがな!」
 エテムが一枚のカードを掲げると、ヘスティアの布の服が輝き始める。次第に変わるその形は、やがてウエスタン風のクール可愛い服装へと変わったのだった。
「うん、なかなか良いじゃない」
 花の飾りがついたテンガロンハットに皮ジャケット、そして動きやすそうな短パンとブーツ。……もしかすると課金ガチャで引き当てる系の装備なのかもしれない。
「あくまでそれは『見た目装備』扱いであって、ステータスは本来のものになってるぜ。安心して戦ってくれ!」
「了解したわ、ありがとう! あとはノリと雰囲気で行くわ!」
 準備は整った。それではいざ、魔王城へ!

 他の猟兵達の活躍もあり、通路の端を歩けば戦闘回数を少数に抑えられる事が分かった。と同時に、魔王城は意外とシステムがガバガバであるという事も分かった。
 とはいえ敵に発見(認知)され戦闘となれば、それなりの強さはある。
「うーん、流石最後のダンジョンって感じね」
 ラスダン用に強化された色違いの雑魚敵『マグマスライム』を一体ずつ素早く銃撃し片付けていくヘスティア。チートを付与された猟兵複数人で挑んでいるからこそ戦闘は容易であるが、エテム一人では攻略は難しかっただろう。
「気を付けろ、この先の部屋は中ボスがいるはずだぜ」
「オッケー、一撃で仕留めてやるわよ」
 がちゃり、スナイパーライフルをブラスターモードへと切り替えると、ヘスティアは勢いよく扉を開く。広いフロアの真ん中には屈強なゴーレムモンスター『不動の番人ストロングマン』がこちらに気付き、地響きを立てながら立ち上がろうとしている姿が目に入った。
「エテム! 攻撃カードを!」
「おう!」
 エテムが一枚のカードをヘスティアへ投げ付ける。受け取ったカードをすぐさま弾倉へセットすると、スナイパーライフルの銃口にエネルギーが溜まり、光り輝く。
「ミスティルテイン・ブラストモード! ……今!」
「行けヘスティア!! 攻撃カード発動!! 『殲滅弾<滅びのブラスタービーム>』!!」
 エテムが指をさしたと同時に放たれる巨大なビーム。床を削りながら向かう先は中ボス、ストロングマン。全てを滅ぼすブラスタービームは一瞬にしてストロングマンを飲み込み、魔王城に大きな風穴を開けるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

乱獅子・梓
【不死蝶】
この世界に来るのは初めてだが
ゲームの中だから全然宇宙感無いな…

おう、宜しくなエテム!えーと、俺は…
アズサ・ドラゴニックエンペラーだ!!
エテムがやたら格好良い名前だから
俺も出来心で真似したくなった

エテムの協力でUC発動、ドラゴン多数召喚
フッ、俺はドラゴンと共に戦う男(ドヤ
こいつらが居れば魔王城など恐るるに足らず!

道中敵をブレス攻撃で次々蹴散らす
射程が無限大になったり、永久追尾したり
喰らった瞬間一瞬で灰になって即死したり
攻撃と同時に無敵バリアも張れたりする
カードは無いのか?(言いたい放題

ドラゴン数体はエテムを囲むように配置し敵から守る
奴の召喚竜みたいに扱われているの若干癪だが!


灰神楽・綾
【不死蝶】
俺もこの世界は去年の夏休みに遊びに来て以来だねぇ
まさかこんな形でまた訪れることになるとはね

エテムと挨拶を交わし
装備を普段の衣装へと変えてもらう
やっぱりコレだよコレ
愛用のハルバードをぶんぶん振り回し
梓、それ数年後に顔を覆いたくなるような名前だね…

エテムの協力でUC発動
強化したスピードを存分に活かし
立ち塞がる敵をギリギリまで引きつけてから
Emperorによる範囲攻撃で薙ぎ払い
飛んでる敵はナイフ投げつけ
正攻法で数を減らしながら先へ進む

強い隠しモンスターとやらにも会ってみたいな
例えば崩れかけた壁、一部だけ色が違う壁
はたまた落とし穴の先に待ち構えてるとか…
そういうの察知できるカードとか無いの?



「俺は……アズサ・ドラゴニックエンペラーだ!!」
 ドン! と叫ぶように自身の名を名乗る乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)。ゲーム世界故にスペースシップワールドらしさを感じる事はできないが、これはこれで良いかもしれない。
「アズサ・ドラゴニックエンペラー……! 良い名前だな! 綾もよろしくな!」
「う、うん」
 エテムとアズサのノリにちょっとついて行けなかった灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)。この流れに乗ったら間違いなく未来の自分にダメージが来る。それを思うと足が踏み止まってしまったのだ。
(「本人らが楽しんでるなら良いけどね」)
 自分はしないが相手は止めない。いずれダメージが降り注ぐ時を楽しみに待ってあげよう。そう思ったのかもしれない。彼なりの優しさである、多分。

「なぁエテム、魔王城ではどこまでの力が発揮できるんだ?」
 アズサの問いに、エテムは困ったように考え込む。
「そうだな……有利なチートであればある程、発動に時間がかかる。それだけセキュリティが強固なんだ」
「射程が無限大とか、無敵バリアとかも時間かかるか?」
「発動を待つよりは進んだ方が早いかもしれない、という印象だったな」
 ただ、とエテムはカードを一枚手に取る。
「ステータスを書き換えて弱体化させる……であれば、他と比べて早いかもな。瞬時の発動は難しいが」
「何、エテムにはその効果発動に集中してもらって、その間俺達が耐えていればいい話だよね?」
 一度でもユーベルコードを使えるようにしてくれれば十分、と綾が提案すれば、エテムも頷いた。
「あぁ、悪いが任せたぜ。行くぜ二人とも! 魔術カード発動!!」
 エテムが手札から二枚のカードを掲げると、アズサの周囲と綾のハルバードが輝き始める。
「『天空の翼竜群<レイジングドラゴニアン>』、そして『鮮血乱舞の刃<ヴァーミリオン・トリガー>』!!」
 鋼の鱗を持つ小さなドラゴンが空中に集う。そして綾は輝くハルバードを握り締めると、嬉しそうに振り回した。
「ああ、手に馴染む。やっぱりコレだよコレ」
「よしよし、守りに強そうなドラゴンが出たな。じゃあ攻略と行くか!」
 ノリも思考も違えど、向かう場所は同じ。準備が整った二人は魔王城の扉を開いた。

 必要最小限に戦闘を抑えつつ、アズサと綾は道中の敵を薙ぎ払っていった。
 アズサのドラゴン達は役割を分担し、攻撃役はブレス攻撃で雑魚敵を燃やし、防御役はエテムを取り囲んだ。綾は穏やかな表情を崩さないまま、片手でハルバードを軽く振っては雑魚敵の群れを一掃する。
「フッ、俺はドラゴンと共に戦う男。こいつらが居れば魔王城など恐るるに足らず!」
「守ってくれてサンキューな! さあ行け! 滅びのバーストブレス!!」
(「まだやってるんだ……」)
 そう頭の片隅で思いつつ綾は武器を振るい続けるが、いまいち物足りない気分にも陥っていた。
「強い隠しモンスターとやらはいないのかな? そこがうまい具合にショートカットになってるとか、さ」
「マップ構造なら事前に調べてあるぜ。一応ある事はあるが」
「弱体化が狙えれば行けるよ。近くにある?」
 エテムが指さした先にあったものは、普通の壁だ。しかしよく見てみれば、その場所の灯火だけが消えているのだ。
「よっし、エテムも準備しとけよ!」
 アズサがドラゴン達に体当たりを命ずれば、壁は簡単に吹き飛び破壊された。直後、響く咆哮。強く振動する空気。隠された部屋の奥には凶暴なドラゴン『破滅竜オーバーチュア』が瞳を爛々と輝かせ巨大な刃を見せつけていた。
「行けるかエテム!?」
「道中守ってくれたお陰で行けるぜ! 罠魔術カード発動! 『沈黙の書<デクレッシェンド>』!!」
 エテムのカードが輝くが、破滅竜に変わった様子は見受けられない。
「ま、試せば分かるかな。ドラゴン達、ちゃんとついてきてね」
 音速で駆ける綾。ドラゴン達も負けじと瞬間移動を行う。ドラゴン達のブレスが綾のハルバードを包み込めば、ハルバードの動く軌道が空中に残る。赤に染まった刃は破滅竜の片翼を、首を、腕を斬り離す。
 世界最強であるはずの破滅竜はあっけなく身体を切断されると、ずしんと倒れ、動かなくなるのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『ドクトル・アメジスト』

POW   :    アメジストバインド
【アメジストの結晶】から【電脳魔術】を放ち、【精神干渉】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD   :    サイキックアームズ
召喚したレベル×1体の【機械兵器】に【サイキックエナジーを籠めたアメジスト結晶】を生やす事で、あらゆる環境での飛翔能力と戦闘能力を与える。
WIZ   :    ラボラトリービルダー
【電脳魔術】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を自身の「工房」と定義し】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。

イラスト:片吟ペン太

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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠メイスン・ドットハックです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 エテムと共に魔王城の頂上へと辿り着いた猟兵達。
 その場所では、ラスボスである魔王が佇んでいるはずだった。しかし、魔王の姿はどこにも見当たらない。
 その代わりに登場したのは白衣の女。そう、このオンラインゲームの製作者だ。
「ちょっとちょっと、あたしの作った『呪いのオンラインゲーム』を台無しにするのは見過ごせないね」
 紫の宝石の身体を持つ猟書家、ドクトル・アメジスト。それが彼女の名前である。
「『カオスレクイエム』はどうだった? ……って、チート使ってたりラスダンからスタートしたりしたら、そりゃあ思い入れなんてないか」
「お前が俺に挑戦状を叩き付けたんだろ? とんだ人選ミスだな」
 笑うエテム。しかしドクトル・アメジストも不敵に微笑む。
「何、最後のトドメがラスボスである魔王か、あたしか。それだけの違いさ。チートなんてあろうがなかろうが、ここで死ぬ運命さね」
 見てみなよ、と彼女は腕を広げ足元に目を向けさせる。床にうっすらと見えるのは――人だ。
「ここで何人死んだかな。つまり、何を使おうがゲームのクリアは完全不可能。あたしに即死だの弱体化だの、チートは効かないからね」
 彼女の周囲にアメジストの結晶が浮かぶ。彼女はこの世界でユーベルコードが使用できるらしい。確かにエテム一人がここまで辿り着いていたとしたら、ここで死んでいたのだろう。ゲームでも、現実でも。
 しかし、今は違う。ユーベルコードを使用できる猟兵達がここにいるのだ。

「製作者、お前はゲームのNPCではない。つまり俺達と同じ『何処かからログインしている』という事だ。ここでお前を倒せば、お前も死ぬはずだぜ!」
「そうだね、条件は同じだよ。……でも解せないな、どうして『あんた達が勝つ』と思っているんだい?」
 ぎらり。ドクトル・アメジストのゴーグルが光る。
「『あたしが死ぬ』? そんなの100%あり得ないから、ここに来ているんだよ」
 呪いのオンラインゲーム最後の敵。それは、世界を創造した者。

「お前にチートが効かなくても……俺の仲間達には戦う力を与えられる! 頼むぜ、みんな!!」
 エテムはカードを輝かせ、猟兵達は最後の戦場へと挑む。
終夜・日明
【アドリブ連携歓迎】
いきなり低レベルクリアを強要されたならバグ技裏技の一つや二つは使って当然だ。
エンカウント周りを始め、存外雑な作りだったのはラスボスに相まみえた時に一気にどん底に突き落とす為になのだろう?趣味の悪い作者だな。

チートは効かないが倒せば死ぬんだ。
ならばここにいる貴様は「生命」そのもの……ならば、僕の力は適応できる。
裏技でも何でもない、ただの"弱点属性"としてな。
――《蠱毒》は決して逃さない。貴様の生命が尽きるまで!

攻撃は【誘導弾】を噛ませた【指定UC】のみ。
エテムさんに被害が及ばぬよう【見切り/切断/なぎ払い】で敵の攻撃を相殺。
【激痛耐性/継戦能力】で戦線は維持しましょう。



「そういう事か」
 終夜・日明(終わりの夜明けの先導者・f28722)は最後の敵、ドクトル・アメジストを睨む。
「エンカウント周りを始め、存外雑な作りだったのは……ラスボスに相まみえた時に一気にどん底に突き落とす為だったのか」
「電脳魔術士だったらシステム面に目を向ける奴がいてもおかしくはない。だから、どんな手を使おうが良い具合の難易度に設定して達成感を味わわせる。だけど最後は結局……ね、天才的発想だろう?」
 つまりは仕様だったと彼女は豪語する。どちらにせよ趣味の悪い作者だ、と嫌悪する日明の考えは変わらない。
「でも、その定義も今日で変わる。これはチートでも裏技でもない……貴様のミスによって、だ」
「あたしの計画にミスなんてあり得ないんだよ!」
 ドクトル・アメジストが腕を振るうと、鋭い雷撃が地面を抉る。雷撃はエテムを引き裂こうと一直線に襲い掛かったが、瞬時に日明がライフルスピアで払い除けた。
「日明ッ!」
 エテムが死んでしまえば猟兵達の対抗手段はなくなってしまう。だからこそ相手もエテムを狙うのだろう。アテムを背に、日明は武器を構え立ち塞がる。
「エテムさん、こちらの事は気にせずチートをお願いします。この戦い、あなたが要です!」
「ああ、礼はゲームをクリアしてからだ。今は守ってもらう分、俺は全力でそれに応えてやる! 頼むぞ!」
 エテムのカードが青白く輝く。日明は自身の体の中から、ふつふつと力が湧き出るような感覚を感じた。その力は膨張し、すぐにでも爆発して体から溢れ出そうだ。しかしそれを気持ち悪いとは感じない。寧ろ力強く解放したいくらいだ。
「チートは効かないが倒せば死ぬ。つまりそれは『生命である』事を意味する。そうだろう、日明!?」
「はい、それならば僕の力は適応できます。――生命という『弱点属性』として」
 日明は力を解放する。全身から蒼い輝きが溢れ出ると、それは雷を帯びた無数もの槍の形となった。
「弱点属性だって? 馬鹿言うんじゃないよ!」
「なら見せてやる。《蠱毒》は決して逃さない。貴様の生命が尽きるまで!」
「行け!! 『刳り穿つ蒼き雷霆<ツー・シュトーセン・ケラウノス>』!!」
 蒼光の槍が一斉に空を飛ぶ。ドクトル・アメジストも雷撃で槍を弾き宙に浮かせたディスプレイで防ごうとしたのだが、日明の槍はあまりにも多すぎた。
 追尾システムを組み込まれた槍は不規則な動きを見せながら雷撃やディスプレイの間を潜り抜け、標的を貫いたのだ。
「貴様のミスは……僕達猟兵に見つかった事だ」
「うっっ、ぐぅ……ッ!!!」
 日明の持つ猛毒が猟書家の体を容赦なく蝕む。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神代・凶津
いよいよラスボスのお出ましってわけか。
エテム、景気良くいっちょド派手にユーベルコードを頼むぜッ!

いくぜ、相棒ッ!
「・・・転身ッ!」
鬼神霊装、実質4つのユーベルコードを纏ったこの姿こそ俺達の最強装備だッ!

引き上げたスピードと反応速度で一気に距離を詰めて右手の妖刀で先制攻撃だ。
敵の攻撃は見切って避けながら隙あらばカウンターをぶちこんでやる。
敵が雑魚を召喚したらこっちも飛翔して左手の薙刀でなぎ払ってやるよ。

観念しな、猟書家。
てめえを倒してゲームクリアと洒落混むぜッ!


【技能・先制攻撃、見切り、カウンター、空中戦、なぎ払い】
【アドリブ歓迎】



「いよいよラスボスのお出ましってわけか。誰だろうが俺達のやる事は変わらねぇぜ!」
 仮面、神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)のテンションは最高潮だ。ゲーム最後の戦いとなれば、誰だってそうなる事だろう。
「呪いのオンラインゲームとは言え、面白い体験をさせて貰った。あとは全力でてめえを倒して、さっさとゲームクリアと洒落込ませて貰うぜッ!」
「ぞんざいな扱いだね、あたしはそんな簡単な奴じゃないよ!」
 ドクトル・アメジストは足元から機械兵器の軍団を呼び出す。召喚された機械兵器の体には所々にアメジストが埋め込まれていた。きらきらと輝くその結晶が力の源なのだろう。
「おう、俺達も行くか! エテム、景気良くいっちょド派手にユーベルコードを頼むぜッ!」
「ああ任せたぞ、凶津、桜! 最終決戦に相応しい装備を用意してやるぜ!!」
 エテムが二枚のカードを輝かせる。金色と緑色に輝く二枚のカードが融合すると同時に桜の服装が光に包まれ変異する。
「……転身ッ!」
 体の中が爆発しそうだ。桜が小さく叫ぶと、巫女服と妖刀は更に光を放ち、桜と凶津に戦う力を与えた。
「『鬼神霊装<オーバードフォーム>』!! そいつで大暴れしてくれ!!」
「いいねぇ、これだよこれ! さぁいくぜ、相棒ッ!!」
 背を低くし、とん、と地を蹴ると凶津は姿を消した。音速の斬撃が次々と機械兵器を破壊していく。姿見えれば、それはまるで、鬼が舞っているかのようで。
「何をやってるんだ、目標が違うんだよ、ほら!」
 ドクトル・アメジストが生存している機械兵器軍団のプログラムを書き換えれば、彼らが一斉に向く先は凶津ではなくエテム。彼が消えれば猟兵は戦う力を失うのだ。
「ちっ、プログラムの妨害も試していたが、やはり駄目だったか」
「自分の存在を消していたつもりかい? 無駄な足掻きだね」
 アメジストを怪しく輝かせた機械兵器達はエテムに襲い掛かる。しかし忘れてはならない。
「おいおい、今の俺達は早い上に強化もされているんだぜ!?」
 その声は空中から響いた。薙刀を振りかざした凶津だ。薙刀を大きく振れば刃となった暴風の衝撃波が機械兵器達に降り注ぎ、その体を粉砕していく。
 エテムの前へ素早く着地すると、敵の方へと勢いよく振り向くと同時に再び薙刀を振るう。第一波で生き残った機械兵器達を残らず吹き飛ばし、更にはドクトル・アメジストの元まで衝撃波は襲い掛かった。
「ううッ!! クッソがぁ!!!」
「観念しな、猟書家。てめえの体もすぐに粉々にしてやるぜッ!」
 美しく輝く宝石の体に、みしみしと線が入っていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヘスティア・イクテュス
ゲームの製作者が黒幕で魔王…見事に負けフラグと言うかなんというか…
いいわ、ぞれじゃあどっちが死ぬか、闇の決闘『デュエル』の時間ね


姿をガンナー系から普段へ戻して、ティターニアで『空中戦』
視界を上に、そしてタロスで電脳魔術を防いで地形への強化効果を防ぐ【盾受け】

貴方二つ勘違いをしているわ
一つは貴方自身を対象にしなければチートも効果はある!エテル!
『増殖』を!

自身を増やして【残像】目くらまし
そして増殖した自分たちとマイクロミサイルの『一斉発射』!


そしてもう一つの間違いは貴方が死ぬのが100%ありえないってこと
エテル、ガッチャ!楽しいゲームだったわ



 やれやれ、とヘスティア・イクテュス(SkyFish団船長・f04572)は首を振る。
「ゲームの製作者が黒幕で魔王だなんて……それは見事に負けフラグと言うかなんというか」
 盛るに盛った設定ほど、弱点がない訳がない。
「あんたもまた随分と馬鹿にするものだね……電脳魔術士がいなければ何もできないくせにさ」
「そうね。でも世界を救う為ならどんな手段だって使うわ。ちなみにその台詞もフラグよ」
「言ってくれるね!」
 ドクトル・アメジストはヘスティアを見下ろし睨む。しかしヘスティアは涼しい顔付きを崩さない。
「いいわ、これで分かるわよ。どっちが死ぬか……闇の決闘を始めましょう」
 エテムによってウエスタン風の衣装が輝き、本来の服装へと姿形を変えていく。
「ここはあたしの世界だ、あたしが有利に決まってるんだよ!」
 ドクトル・アメジストが雷の閃光を叩き付ける。閃光の向かう先はヘスティアではなくエテム。しかしエテムの視界を塞いだのは光ではなく、盾型ドローンだった。すぐさまバリアを展開させ閃光を跳ね返したのだ。
 舌打ちをしたドクトル・アメジストは盾型ドローンがヘスティアのものであるとすぐに理解した。振るう腕をヘスティアに向ければ、音速の雷が彼女を目掛けて襲い掛かる。ヘスティアはその場から空中へと飛び立ったのだが、それは一足遅く。彼女の腹部を雷が貫いた。
 焦げ付いた風穴が開いたヘスティアの腹部。その体はふらりと地面へ落ちるのかと――ドクトル・アメジストだけが思っていた。

「何ッ!!?」
 なんとヘスティアの姿が消え去ったのだ。驚いたドクトル・アメジストはエテムの方へ目を向ける。そう、彼はにやりと笑っていた。
「罠魔術カード、『残像人形<シャドウフェイク>』! 俺のチートに気付かないとは、貴様もまだまだだな!」
 一枚のカードを見せつけるエテム。しかしそのカードは先程使用した罠魔術カードではない。
「俺達のターンはまだ終わってないぜ! 行くぞヘスティア!!」
「えぇ!!」
 その声は空高くから聞こえた。本物のヘスティアは既に天高く飛び立っていたのだ。
 妖精の如き翅を広げた彼女は片腕を伸ばし、標的に指を向ければ。
「ガッチャ! 楽しいゲームだったわ」
 パチンと指を鳴らした。エテムのカードが輝くと同時に放たれる無数のマイクロミサイル。嵐の如く降り注ぐそれはドクトル・アメジストを狙い、次々と爆破していくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

乱獅子・梓
【不死蝶】
ゲームクリアすれば帰れると思わせといて
文字通りの初見殺しを喰らわせるわけか
とんだ理不尽ゲーだな
だが理不尽でも決して負け確戦ではない

ザコは俺が片付けてやるから
本体の相手は任せたぞ、綾!
UC発動し、水属性と雷属性のドラゴンを多数召喚
道中と同じく数体はエテムの守りに回らせる

敵の数は多いが、広範囲のブレス攻撃で対抗
まずは水属性のドラゴンのブレスで水浸しに
これだけで機械はショート待ったなしだろうが
更に雷属性のドラゴンのブレスを浴びせ
スクラップに追い込む

機械兵器との戦いの最中
攻撃が外れたフリをして天井へブレスを発射させる
その真下に居るドクトル・アメジストに
崩れた天井が直撃するようにな!


灰神楽・綾
【不死蝶】
ラスボスは魔王じゃなくて創造主か
いわば神様との戦い
いいね、その方が燃えてくるよ
でも神様も倒されたら死ぬだなんてお粗末だね
製作者権限で自分だけ無敵とかにすれば良かったのに
傲慢ゆえなのか、それともある意味フェアなのか

UC発動し、生成した大量のナイフを
念動力で四方八方から投げつける
避けるにしても迎撃するにしても
しばらくはナイフへの対処に
意識が持って行かれることだろう
そう、梓のドラゴンのブレスによって
崩れた天井が迫ってきても気付くのが遅れるくらいに

無数のナイフに刺し貫かれるか
瓦礫の下敷きになるか
間一髪躱しきっても、待ち構えていた俺に
Emperorで叩き斬られるか
君はもう「詰み」状態なんだよ



 ラスボスは魔王ではなく、この世界の創造主だった。いわばこれは、神との戦いと言っても過言ではない。
「いいね、その方が燃えてくるよ」
 灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)は笑う。ここで神殺しを体験できるとするならば、それほど面白い事はない、と。
「これだけやらせておいて、終わり一歩手前で文字通りの初見殺しを喰らわせる訳か。とんだ理不尽ゲーだな」
 と、乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)も呟くが。
「理不尽ゲーだが……決して負け確戦ではない、と」
「そうだね、製作者権限で自分だけ無敵とかにすれば良かったのに」
 二人からの皮肉の言葉に、ドクトル・アメジストは自身の表情から笑みを消す。
「レベル1がレベルカンストに立ち向かった所で何になる。……今までそう考えてたからさ」
 しかし、今回はプレイヤーが特殊な事例であった。
「あたしへ攻撃を当てられる奴らが現れる事を予想していなかった。確かにこれは私のミスだね、素直に認めるさ」
 などと口にするが、それは負けを認めた発言ではない。
「だが、ミスが発生してもすぐにリカバリーが効けば良いのさ! 電脳魔術士さえいなくなれば解決するんだからね!」
 ドクトル・アメジストは自身の前に機械兵器の軍団を召喚する。所々にアメジストを生やした軍団はすぐに突撃を試みる。彼らの目標はエテムだ。
「させねぇって! 綾、ザコは俺が片付けてやるから、本体の相手は任せたぞ!」
「任された。それじゃあエテム、最後もよろしくね」
「ああ頼むぞ、受け取れ!! アズサ!! 綾!!」
 エテムが二枚のカードを掲げる。カードから放たれた光はそれぞれドラゴンとナイフの形へと変形していく。
「さぁ、派手に蹴散らしてやれ!」
 水色と黄金色のドラゴンの群れが翼を広げ機械兵器達へと立ち向かう。津波の如き水のブレスで相手をショートさせると、それに追い打ちを掛けるように雷撃のブレスが降り注いだ。
 被弾しないようエテムの前には数匹が残り彼を囲む。小さな炎竜と氷竜も頑張って手伝っているようだ。まるで威嚇をするかのように、上を向いてブレスを吐いている。

 機械兵器が雪崩れるように倒れていくその間を、ナイフの群れを引き連れる綾が素早く駆け抜ける。ドクトル・アメジストに接近できなくとも、自分の代わりに無数のナイフが襲い掛かる。
「くそッ、目障りな事を!」
 雷光の如く飛び回るナイフは確実にドクトル・アメジストを苛立たせた。自分の周囲に電脳魔術の衝撃波を放ちナイフを振り払うのだが、ナイフの数はなかなか減らない。
「そろそろ終わりだね」
「体力の消耗なら狙った所で無駄さね!」
「いや、十分だったよ」
 がらり、みしり。そんな音が何処からか響く。梓のドラゴン達がブレスを吐いて威嚇――いや、天井や壁を破壊する音だ。
「じゃあな、っと!」
 梓の合図によってトドメの一斉ブレスが当たると、ひびの入った天井と壁が大きく崩れ始めた。いくつもの巨大な瓦礫がドクトル・アメジストの頭上へと降り注ぐ。雪崩れる音が大きく響き、砂埃が辺りを包み込む。
 相手の姿が見えなくなったと同時に、残っていた機械兵器のアメジストがぼろりと砕け、動きを停止させるのだった。

「――……終わらせないよ!! こんな所であたしが失敗してたまるか!!」
 瓦礫の中からドクトル・アメジストが叫び、上半身を這い出す。複数の線が入りボロボロとなった宝石の体は、既に美しいとは言い難く。しかし彼女の目の前に嗤うのは、綾のハルバードだ。
「知ってた? 君はもう『詰み』状態なんだよ」
 ハルバードは、アメジストの宝石を粉々に叩き割った。

 ゲームの製作者はいなくなった。世界がさらさらとその姿を消していく様子が地平線から見える。
「お前達のお陰だ。助けてくれてありがとうな! 完走の感想は現実に戻ってからにするか」
 エテムは満足そうに、猟兵達へ礼を言う。
「今頃このゲームに誘われたプレイヤーも、魂が戻っている頃だろうな。俺達ももうすぐログアウトできるだろう。……今度は正式なルールの下で遊ぼうぜ!」
 すると、エテムの姿が足元から光に包まれ消えていった。猟兵達も次第に消え、現実へと戻っていく事だろう。

 ――Congratulation!!
 クリア不可能のオンラインゲーム『カオスレクイエム』に完走者が現れました。
 よって、本日をもってサービスを終了いたします。今までありがとうございました。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年11月15日
宿敵 『ドクトル・アメジスト』 を撃破!


挿絵イラスト