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騎士を継ぐもの

#スペースシップワールド #猟書家の侵攻 #猟書家 #ミニスター・ブラック #フォースナイト


●スペースシップワールド:騎士教練艦『シャピアロン号』
『弱い』
 生命無き極寒の奈落に響く、冷たい風鳴りのような声だった。
 猟書家プリンセス・ブライドの忠臣にして、強大なる"闇の騎士"。
 オブシディアンめいた黒い宝体は、闇の中にあってなお昏い。
 その名はミニスター・ブラック。『帝国継承軍』の大臣(ミニスター)となる男。
『……あまりにも、弱すぎる』
 そして今、ミニスター・ブラックの足元を、しとどに流れる血が濡らす。
 血――然り。騎士教練艦『シャピアロン号』に、もはや生存者はいなかった。
 屍の数はゆうに200を超える。若き騎士、教師、そしてその他の船員。
 独り残らず殺したのだ。ミニスターが手を下したのは、そのうち1/4ほどか。
 ほとんどは、周囲に跪く影の如きウォーマシンどもが殺した。音もなく一瞬で。
『かつての好敵手どもはもはや去りぬ。遺るは我が痛惜の念と落胆、そして――』
 ……そして、屍どもが立ち上がった。
 年端も行かぬ子供も、
 彼らを躾けたベテランも、
 皆、皆、もはや生前の面影は留めていなかった。
『そして、我が従える"闇の騎士"のみ』
 骸の月が宙を満たす。此処には生命も希望も、欠片一つ遺っていない。

●グリモアベース:予知者、ムルヘルベル・アーキロギア
「……と、そんなありきたりな終焉を認めるわけには行かぬ」
 グリモアが投影する黒き巨躯を一瞥し、少年めいた賢者は言った。
「ゆえに、オヌシらの力が必要だ。本来であればワガハイも同道したいところ。
 ……しかし知っての通り、グリモアの転移のためにワガハイは残らねばならぬ」
 予知によって見出した座標へのテレポートは、予知者にしか行えない。
 敵……ミニスター・ブラックは、『帝国継承軍』の大艦隊を率いている。
 ワープドライブでは遅すぎる。そもそも大艦隊に一瞬で撃墜されてしまうだろう。
 つまり最速かつ最短で敵に対処するには、テレポートしかないのだ。
 そのことはムルヘルベル自身が一番分かっていた。ゆえに彼は嘆息する。

「……事件の舞台となるのは『シャピアロン号』。
 若き宇宙の騎士(フォースナイト)たちを育成する、騎士教練艦のひとつだ」
 騎士教練艦は、才能ある子どもたちのための、専用の学び舎だという。
 修練の邪魔が入らぬよう、多くの教練艦は高度に隠蔽されている。
 敵はそれを如何にしてか見出した――そして、大艦隊を駆り出したのだ。
「たとえ子どもであろうが、未来の禍根と成り得る芽は全力で取り除く。
 敵ながら合理的な思考をする相手だ。一切の慢心も読み違えも感じられん。
 相手は、我々猟兵が参着することも重々承知の上で戦力を揃えたのであろう」
 幸い先の光景は予知が垣間見せた「未来の悲劇」であり、事態はまだ間に合う。
 それでもここで手をこまねいていれば、遠からず若者たちは皆殺しになる。
「大艦隊も脅威ではあるが、一番厄介なのは教練艦に入り込んだ手勢だという。
 暗殺や電子工作に特化した特殊な帝国製ウォーマシンの特殊部隊のようだ」
 周囲に展開した大艦隊そのものが、特殊部隊潜入用の囮なのだろう。
『暗殺・電子戦用銀河帝国製ウォーマシン』の部隊はまず非戦闘員を抹殺。
 船内のフォースナイトたちを追い詰め、じわじわとなぶり殺しにする構えだ。
「ワガハイはオヌシらを、教練艦の内部に直接テレポートさせる。敵は潜入済だ。
 内部の特殊部隊を発見し撃退、もしくは外縁部の艦隊を叩き道を拓いてほしい」
 事態を解決するには、敵旗艦に座するミニスター・ブラックを叩く他にない。
 活路を拓くため、なんとしてもウォーマシン特殊部隊を撃破する必要がある。

「転移さえ間に合えば、件のフォースナイトたちも協力してくれるだろう。
 なにせあの銀河帝国攻略戦を生き抜いたのだ、彼らとて護られるばかりではない」
 若き麒麟児たちも、彼らを教え導く教師たちも、みな立派な戦士である。
 ともに連携して戦えば、より効果的な戦果を挙げられるはずだ。
「"骸の月"などというふざけたものを、いつまでものさばらせるわけもなし。
 猟兵たちよ。彼奴ら猟書家の侵略を押し返すため、その力を貸してくれ」
 そこまで言って、ムルヘルベルは本を閉じた。
「古典に曰く、こんな言葉がある。
 "常に幸運に恵まれたくば、時代とともに己を変えなければならない"。
 ……古強者に、今を生きる者の強さを教えてやれ。オヌシらの健闘を祈る」
 その言葉が、転移の合図となった。


唐揚げ
 黒胡麻団子です。猟書家シナリオSSW編一本目となります。
 若きフォースナイトとともに、宇宙の大艦隊を迎撃しましょう!
 猟書家ってなあに? とか詳しい話は、下記のURLをご参照ください。

●参考URL:猟書家の侵略
『 https://tw6.jp/html/world/441_worldxx_ogre.htm 』

●プレイングボーナス条件(全章共通)
『教練艦のフォースナイト達と共闘する』

●プレイング受付期間
 2020/11/04 12:59前後まで。
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第1章 集団戦 『暗殺・電子戦用銀河帝国製ウォーマシン』

POW   :    視えぬ黒影/索敵妨害用特殊隠蔽迷彩外套
【電子の刺客】使用後【間合いを詰める高機動】による素早い一撃を放つ。また、【視認・索敵を困難とさせる隠蔽外套を脱ぐ】等で身軽になれば、更に加速する。
SPD   :    暗がりから襲う機影/照準妨害用特殊粒子散布
【電子の刺客】使用後【近接戦敢行】【手榴弾】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【全体を煙幕(遠距離攻撃命中率減少)で覆い】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
WIZ   :    複合ユーベルコード 電子の刺客/鋼の暗殺者
【軍用艦すら掌握可能なハッキングで電子攻撃】【対象】のハッキングに【対抗】/【暗殺】【白兵戦】【破壊工作】から選ぶ【動作モード】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。

イラスト:エンシロウ

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●スペースシップワールド:帝国継承軍第七艦隊旗艦『ジェヴレン』
「閣下、制圧用特殊部隊、全小隊展開完了いたしました」
『ご苦労』
 ミニスター・ブラックは、大型ARモニターに映る教練艦を見上げた。
『……サファイアやアメジストが羨ましいものだ。
 我は斯様にも口ほどにない敵を相手にすることになろうとは』
 もはや教練艦を護衛していた随伴機は、すべて撃墜されている。
 残るは艦本体のみ。この大艦隊の戦力ならば、艦の撃墜は容易い。
 しかしミニスターは知っている。フォースナイトのしぶとさを。
 脳裏によぎるのは在りし日の過去――かつての好敵手たちとの戦いの記憶。
 連中は艦をわざと撃墜させ、その爆発に乗じてミニスターに接敵。
 まんまと懐に入られたミニスターの軍勢は、大きな痛手を受けた。
 無論その時のフォースナイトは、すべて彼が手ずから抹殺したが……。
『じきに猟兵が現れるはずだ、包囲を維持したまま第一種戦闘態勢で待機。
 AからEまでの小隊は教練艦後方より侵入、FおよびG小隊は推進機を破壊せよ。
 H・I・J小隊はコアマシン破壊を最優先だ。ブリッジの制圧はK小隊に任せる』
「はっ!」
 伝令の兵士が去っていったのを見送り、ミニスターは映像に目を戻す。
『……来るがいい猟兵。我を滅ぼし、我ら帝国継承軍の進軍を止めてみせよ。
 プリンセスをも苦しめたというお前たちの手腕、是非とも確かめてみたい』
 ミニスター・ブラックに油断や慢心は存在しない。
 この包囲網にも、空白は存在しないように。

●同時刻:教練艦『シャピアロン号』連絡通路
 フォースセイバーを帯刀した子どもたちが、初老と思しき男性に先導されている。
 慌ただしい足音がいくつも響く。子どもたちの表情は切迫していた。
「せ……先生! どういうことですか!? 脱出しろ、とは!」
「ハント、今は説明している時間はありません」
「ですが! 僕らだって宇宙の騎士です、戦えます!」
 ハントと呼ばれた少年の言葉に、"先生"は足を止めると振り返った。
 他の子どもたちも足を止め……"先生"の見たこともない渋面に押し黙る。
「いいですかハント。相手の狙いは我々であり、君たちであり、あなたです。
 あの銀河帝国ですら、年端も行かない君たちを直接殺しには来ませんでした」
「……!」
「だからこそ、いまはあなたたち次の世代の騎士を少しでも多く逃さねばならない。
 過去の騎士たちの戦術に倣い、あなたたちが脱出し次第この船を爆破します」
「そんな……!」
「……おそらくそれすらもままならないでしょうが、あなたたちが死ぬよりはいい」
 "先生"はハントの肩に手を置き、言った。
「生きなさい、ハント。あなたの父親は銀河帝国攻略戦で命を落としました。
 あなたまで後を追う必要はない。生きて……この先の戦いに備えるのです」
「せ、先生……」
 子どもたちは大人の覚悟を察し、何も言えなかった。

 だが、恐るべきはミニスター・ブラックの策略か。
 すでに影なき暗殺者たちは、シャピアロン号に入り込んでいたのだ!
 再び走り出そうとした彼らを、大きな振動と爆発音が襲った。
 そして連絡通路は、レッドアラートで赤く染まる!
『警告。艦後方にて爆発が発生。推進部に致命的なダメージが入りました。
 本艦は航行不可能の状態にあります。各員は緊急事態手引に従い……』
「……!」
 "先生"は身構えた。連絡通路の前後に揺らめくステルス迷彩の翳り。
「手が早すぎる……! 皆、構えなさい。敵襲です!」
「「「……!」」」
 子どもたちはフォースセイバーを展開する。だが敵の数は多い。
 このままでは袋の鼠だ。そして同じ事態は艦内各所で発生していた。
 急げ猟兵、影の伏兵を払い、あるいは包囲網を打破せよ。
 そして宇宙の騎士たちとともに、帝国継承軍を撃退するのだ!

●プレイング上のあれこれ
 1章では、以下のような選択肢があります。
『船内でウォーマシン部隊と戦う(大規模破壊UCは避けたほうがいいでしょう)』
『船外に取り付いたウォーマシン部隊と戦闘』
『包囲艦隊を撃破する(主にウォーマシン部隊以外の敵が出現します)』
 この他にも、希望があればプレイングに応じて頑張って描写します。
 船の外であれ中であれフォースナイトたちは手を貸してくれますので、
 是非ともかっこよく戦うのに役立ててください。
フィナンシェ・リィノリース
◇ウォーマシン部隊と戦う(若いフォースナイト達の退路を確保する)

大丈夫? 助けに来たよ!
世界は違えど――僕も、君達と同じ騎士だから、気持ちはわかるさ!
一緒に戦おう、大丈夫、負けやしないさ。
誰かを守ろうと思って戦う、勇気がある限り――騎士は無敵なんだから!

(……って口では言うけど)
(初めての実戦なのは僕も同じだ)
(怖い気持ちがないって言えば嘘になる)
(助けて父さん、母さん、お姉ちゃんって泣き出したい)
(だけど)

……僕は、騎士なんだ!

ユーベルコード“Knight of Courage”!
盾を大きく広げて、敵の進軍を食い止める!

「絶対に、ここから先には行かせないぞ!」



●戦闘開始0秒後:シャピアロン号連絡通路
 決死の覚悟でフォースセイバーを構えた子どもたち。
 ついに特殊部隊が襲いかかると見えた――その時である。
 両者の間にまばゆい閃光が走り、つかの間一同の視界を奪った。
 次の瞬間、そこに少年がひとり。年頃は若きフォースナイトたちとそう変わらぬ。
「大丈夫? 助けに来たよ!」
 けれどもその少年は、まるでヒーローのようにはにかんだ。
 顔立ちはあどけなく、女性のようにも見える。
 事実、子どもたちの何人かは、彼をうら若き乙女と見間違えて驚いた。
「――う、後ろ!」
 その中で唯一警告の声を飛ばせたのは、"ハント"少年だけだった。
 現れた少年はその声に振り返る。視界を覆う外套……!
 外套そのものが特殊なステルス迷彩機能を持つ、隠密用の装備だ。
 敵は接近と同時に外套で少年の視界を奪い、そして側面を取ったのである。
 首筋めがけた逆手のナイフが、ブウン、と超振動の音を放った。
 一切の無駄なき暗殺剣……だが!
「――見えているぞ!」
 逆手ナイフを弾いたのは、身の丈を超える巨大なタワーシールドだった。
 少年は横向きに構えていたそれを器用に操り、敵をシールドバッシュしたのだ。
 そして敵側に身体を向けながら、両刃剣を突き出す――狙いは、胸部。
 偶然が味方したか、あるいは少年の普段の訓練が芽を出したか。
 剣先は狙い過たず敵の胸部中央を貫き、壁に縫い止めた。

 ……わずかな沈黙。少年は息を吐き、ぞぶりと両刃剣を引き抜く。
 ウォーマシンはもはやうなだれ、ずるずると床に尻餅をついた。
「…………大丈夫。僕らは負けない」
 その声は、けして自信に満ち溢れたヒーローのものではない。
 ビギナーズラックを掴み取った喜びと、突然に命を狙われた恐怖、緊張。
 それらを綯い交ぜにしながら、己の動悸を抑え込む"子ども"の声だった。
「世界は違えど、僕も君たちと同じ騎士だ」
 少年は顔を上げた。目線は、にじり寄る敵を睨む。
 そして肩越しに振り返り、背後の敵も同様に。冷や汗がこめかみを伝った。
「だから気持ちはわかるんだ。そして、何をしなければならないのかも」
「……!」
 ハント少年は目を見開いた。
「一緒に戦おう。そのために僕はここに来た」
 敵は一定距離を保ったまま動かない。否、動けないというべきか。
 奴らは知っている。
 たとえそれが年若く経験に足らない未熟者だとしても、油断できぬことを。
 時には未熟だからこそ、一瞬で獅子をも屠るほどに成長するのだと。
 戦士とはそういうものだ。ゆえにミニスターは若き芽を摘み取りに来た。
 そうはさせじと現れた猟兵もまた、同じように若き騎士。

 言葉は己に言い聞かせているも同然で、相変わらず心臓は跳ねていた。
 はじめての実戦。敵は白兵戦を得意とし、搦め手も厭わない。
 数の利は圧倒的。次に守りをかいくぐられたら、二度目はないだろう。
 怖くないわけがない。父に、母に、姉に、今すぐでも縋りたかった。
 けれどもここに居るのは自分だけだ。己が、己の意思で、ここへ来たのだ。
「僕は騎士なんだ」
 盾を構える。
「騎士っていうのは、誰かを護るために戦う勇気ある存在なんだ」
 剣を構える。
「そして――決意と勇気がある限り、騎士は無敵なんだ!」
 少年の意思が、その盾を大きく、そして堅固なものへと変える。
「僕はフィナンシェ・リィノリース。いつか誰かの盾となる者」
 壁だ。
 壁がそびえていた。
 どんな城の防壁よりも不壊なる、輝くような壁が。
「勇気の騎士(ナイト・オブ・カレッジ)。それが、僕の銘だ」
 敵は退いた。その意気に、その覚悟に!
「絶対に、ここから先は行かせないぞ!!」
 その声に背中を押されるかのように。
 若きフォースナイトたちもまた、裂帛の気合を上げて敵に立ち向かう――!

成功 🔵​🔵​🔴​

シル・ウィンディア
★船外に取り付いたウォーマシン部隊と戦闘

一応、わたしもフォースナイトだし
何より、子供達をやらせるわけにはいかないしね

ステルス型の敵なら
視認索敵をしつつ【第六感】を信じて…
怪しい気配を見つけたら
腰部の精霊電磁砲でその位置に向かって撃つよ

避けられても隙はできるはず
隙間に突っ込んで
光刃剣と精霊剣の二刀流で敵を切りつけるよ

フォースナイトさん達には
孤立しない様に、最低でもツーマンセルで動いてっ!

と声かけるよ
死角カバーとか補えるからね

敵の攻撃は
【第六感】で感じて
動きを【見切り】
【残像】を生み出して撹乱しつつ回避

囲まれても慌てず
【高速詠唱】でのエレメンタル・シューター!

…ごめんね、わたし本職魔法使いなの



●戦闘開始15秒後:シャピアロン号船外周辺
「孤立しないように、最低でもツーマンセルで動いて!」
 特殊宇宙服の通信機能越しに、シル・ウィンディアの声が届いた。
 若きフォースナイトたちは了解の意を示し、船体を中心として散会する。
 シルは味方が連携できているのを確認したうえで、動かず意識を集中させた。
 敵はステルス機能を有する工作部隊。おそらく近距離に複数潜伏しているはず。
 となれば闇雲に動き回るよりも、敵の位置を把握することが重要だ。
(どれだけ高性能なステルスだとしても、必ずどこかに隙はあるはず……)
 耳が痛くなるような宇宙の静寂が、シルの孤独感を強める。
 けれどもシルは知っている。この戦場に居るのは、自分だけではないのだと。
 フォースナイトの鉄則、それは内なるフォースを受け入れ、導きを信じること。
 研ぎ澄ませた意識が無意識と接続し、そして――気配を知らせる!
「!! そこっ!!」
 シルは弾かれたように右方を睨み、腰部の精霊電磁砲をマウント、射出。
 バシュウッ!! と魔力砲弾がダークマターを切り裂き、空間が揺らいだ。
 焼け焦げたマントを脱ぎ捨て、ウォーマシンが猛進する。速い!
「こんなところで、やられはしないよっ!」
 シルは両手に光刃剣と精霊剣の二刀を構え、突進を迎え撃った。
 同時に内なるフォースが、背後からの奇襲を伝えてくる。二段構えか。
「この……っ!」
 シルはその場でステップを踏むように身体をひねり、前後の同時攻撃をいなす。
 そしてすれ違いざまに横薙ぎ斬撃――を検討するが即座に放棄。
 勘に従った判断だったが、これが功を奏した。三体目の不意打ちを回避する!
「みんな! 死角に気をつけて、目に見える敵だけが相手じゃないよ!」
 シルはフォーメーションを組んだ三体のウォーマシンを電磁砲で牽制し後退する。
 もしも彼女の警告が遅れていれば、四、五人の若者が死んでいただろう。
 ツーマンセルで背中合わせに戦っていたことが、彼らの命を救った。
(こいつら、潜伏能力だけじゃない。白兵戦もなかなか出来るっ!)
 三体のウォーマシンはタイムラグの存在しない機械ゆえの連携を見せる。
 一体の刺突をいなせば、同時に二体目が腹部狙いのナイフを刳り込んでいる。
 しかしそちらに意識をやると、三体目の敵に背後を取られてしまうのだ。
 ならばと全方位を警戒し待ちの構えを取った瞬間、高速の連続攻撃を仕掛ける。
 コンマ秒ごとの判断を要求される戦い。敵はかなりの手練だ。
(こっちが精霊術士なのも、多分見抜かれてるよね)
 シルは不意打ちを棄却した。敵と同じ戦術は通用すまい。
 好機に賭け、シルは攻撃をいなし続ける。――そして!

 時としてフォースは、触れることなく心を通じ合わせることもあるという。
 シルは感じた。周辺で戦うフォースナイトたちと"繋がる"感覚を。
 誰がどこに居るのか。
 何を見ていて、どう動こうとしているのか。
 何を考えているのか――それが、束の間頭に流れ込む。
 そして全員が理解を得た。何をすべきなのかを。
 この一瞬だけ、彼らは多数であり一心同体の戦士となったのだ。
「――本職魔法使いの強み、見せてあげる!!」
 シルは呪文詠唱動作の隙を省みず、魔力を集中させ精霊の加護を解き放った。
 三体のウォーマシンは――攻められない。フォースナイトのインタラプト!
 シルの狙いをフォースの導きで読み取った騎士たちが、横から敵を強襲したのだ。
 わずかな空白――それを劈くように、無数の魔力弾が宇宙を駆ける。
 一瞬あと、四方に展開していたウォーマシン小隊が爆散し、塵と消えた!
「……ごめんね、わたしの武器は魔法だけでも剣術だけでもないんだよ」
 戦いの中の刹那の勝利。若き騎士たちは、少女とともに一時の勝利を喜んだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】
【船内迎撃】

へっ、御大層な決意だねぇ。
けれど、その心意気は悪かねぇ。
だから、アタシも助太刀させてもらうよ!
アタシが誰かって?……通りすがりの猟兵さ!

周囲の騎士たちを『鼓舞』して勇気付けつつ、
そのまま『コミュ力』で話しかける。
アンタ達フォースナイトの使い方以外にも、
サイキックエナジーなら色々応用ができるだろ?
例えばこんな……テレパスでの敵意感知とかなっ!

【超感覚網】を騎士たちの間に巡らせれば、
奴らの煙幕も隠蔽も無駄になる筈。
ついでに伏兵なんかもね。
そうすりゃ騎士さん達よ、この艦で磨いた技の出番だよ。
アタシも『衝撃波』や電撃の『属性攻撃』で援護する。
包囲網を突破するよ!


カタリナ・エスペランサ
※船内で敵部隊と戦闘

嫌になるくらい合理的な手だね。悪役にはお似合いだ
それを正面から打ち破るのが王道ってものだろう?

《範囲攻撃》の要領で広域展開した《念動力》の力場をセンサー代わりに《情報収集》、《第六感+野生の勘》も合わせ騎士たちの元に向かい《救助活動》。敵を逐次撃破しつつ船内の騎士たちの合流を優先して支援しよう

使うUCは【閃風の庇護者】
敵の存在と動きを《見切り》騎士や艦への攻撃には《庇う》形で割り込み《早業+属性攻撃+先制攻撃+カウンター》、黒雷を纏わせた一撃で後の先を取って確実に仕留める
煙幕は翼の起こす風で《吹き飛ばし》対処しよう

騎士様の助けになるのは昔からの夢でね
全力でやらせてもらうよ!



●戦闘開始29秒後:船内・第2レクリエーションルーム付近
「ぐ……っ」
「き、教官!」
「来るな!!」
 駆け寄ろうとした少女騎士を、30がらみの男性フォースナイトが制した。
 男は上腕付近に深い切り傷を受けており、もはや剣を振るうのは難しいようだ。
 周囲に敵の姿はない――見たところは。だが子どもたちは近づけずにいる。
 感じているのだ。姿を消した敵がどこかに潜んでいることを。
「俺が惹きつけているうちに脱出しろ。急げ!」
「し、しかし、教官……」
「急げクリス! お前がリーダーだろう。仲間をまとめて逃げろ!」
 男性教官は少女騎士――クリスに叫んだ。その時である。
 姿を現したウォーマシンが、断首ナイフを勢いよく振り下ろした……!

 ――がぎんっ!!
「……え?」
 咄嗟に目を閉じてしまった少女クリスも、そして最期を覚悟した男性教官も。
 恐る恐る顔を上げ……そして見た。ナイフを受け止める金髪の女の背中を。
「どうやら間に合ったようだね。ああ、これで一つ願いが叶ったよ」
 ダガーを逆手に構えた女……カタリナ・エスペランサは、不敵に笑う。
「騎士様の助けになるのは、昔からの夢だったんだ。感謝するよ、ありがとう!」
 そしてウォーマシンを撥ね退け、破魔の力を宿した翼弾を放つ!
 ウォーマシンはこれをなんなく切り払う。牽制ごときでは通用しないか。
「子どもが手強い騎士に成長する前に殺す……嫌になるぐらい合理的な手だ。
 だが、それを正面から打ち破るってのが、"王道"ってものじゃないかな?」
 半ば呆然とする騎士たちを肩越しに振り返り、カタリナは言った。
 そして次々に現れる新たなウォーマシン……数も個々の練度もあちらが上か。
「キミたちの力が必要だ。次は、一緒に戦うという夢を叶えさせてくれないか?」
 カタリナの言葉に、クリスをリーダーとした子どもたちが頷く。
 しかしこのままでは、犠牲なしに戦い抜くのは難しそうだ。

 同じ頃、第2レクリエーションルームに続く連絡通路で。
「な、なあ、聞こえたよな? いまの……」
「ああ。多分あそこで、誰かが戦ってるん……だと、思う」
 数人の少年少女が、表情を強張らせて会話していた。
 彼らは教官の命令で、脱出するために移動していたフォースナイトたちだ。
 しかしその途中、クリスたちの戦闘を聞きつけてしまった。
「助けに、行かなきゃ!」
「何言ってるんだ、僕らが行ったぐらいで助けになるわけ」
「――なるさ。アンタたちだって、フォースナイトなんだろ?」
「「「!」」」
 聞き慣れぬ女の声に、少年少女たちはフォースセイバーを構え振り返った。
 だが通路に背中を預けて腕を組む女は、どうやら帝国継承軍でないらしい。
「それになにより、このアタシが助太刀するんだ。心配はいらないよ」
「あ、あなたは一体」
「アタシかい? アタシは――通りすがりの猟兵さ!」
 数宮・多喜は親指で自らを示し、ニヤリと笑ってみせた。
「一瞬でも助けたいって考えただけでも、アンタたちは大したもんだ。
 先生の命令を守りたいって気持ちもわかる。その胸の不安だってな」
 サイキックエナジーが、彼らの心の動きを伝えてくれる。
 多喜は安心させるように頷くと、彼らに目線を合わせてこう言った。
「アンタたちフォースナイトの力……サイキックエナジーの使い方なら、
 アタシも色んな"応用法"を知ってる。それを実践しようじゃないか」
「……だから、逃げずに戦えと言うんですね」
「アタシが言葉にする前に理解できるんなら、それで十分だねぇ!」
 もはや子どもたちの目に迷いはない。多喜は一つ頷き、駆け出した。
 第2レクリエーションルームからは、断続的な戦闘音が響き続けている!

「その程度の攻撃で、アタシを倒すことは出来ないね!」
 斬りかかってきたウォーマシンを翼で吹き飛ばし、カタリナは急速接近。
 黒雷を纏った一撃を繰り出そうとする……が、そこでブレーキをかけた。
 彼女の危機感を肯定するかのように、何もない場所から刃が飛び出す!
「猟兵さん!」
「心配ない……けどっ!」
 喉笛狙いの一撃を紙一重でかわし、カタリナはさらに後退した。
 負傷した教官を中心に、カタリナとフォースナイトたちは円陣を組む。
 敵は十重二十重に包囲網を組み、しかも不定期に消失と出現を繰り返す。
 間合いが読めない。攻め込めば不意を突かれ、守れば押し切られる。
(誰かを守りながらの戦いは、いつだって辛いものだね)
 カタリナは考えつつも、しかし不安にかられてはいなかった。
 その時である。敵は一斉にステルス機構を起動、さらに煙幕弾で視界を覆う!
「これじゃ、どこに敵がいるか……!」
「いや、敵の居場所はわかるさ。――教えてくれる、というべきかな」
 カタリナが言った瞬間、クリスたちの脳裏に同じヴィジョンが駆け抜けた。
「そう、この程度目眩ましにもなりゃしない! ――そこだよっ!」
 そして煙幕の中を駆け抜ける電光! 次いで、ウォーマシンと思しき爆発音!
 多喜と増援のフォースナイトたちである。カタリナは視線を交わし頷いた!
「そんな搦め手で、未来の騎士の行く手を阻むものではないよ!」
 光翼がばさりとはためき、烈風を起こして煙幕を吹き飛ばした。
 敵は相変わらず姿を見せない――否、見えている。多喜の超感覚のおかげだ!
「やあああああっ!」
 クリスはサイキックエナジーの導きに従い、フォースセイバーを突き出した。
 手応えあり。虚空にじわりとノイズが走り、胸部を貫かれた敵が出現。
 痙攣しながら動きを止める。同じ現象は、彼女の周囲でも起きていた。
「さすがは宇宙の騎士! 見事な技の冴えだ!」
「――そしたら次は、アタシらの腕前披露といこうかい!」
 カタリナと多喜は、同時にバツ字を描くようにして跳躍した。
 ふたりがそれぞれ着地した瞬間、背後にウォーマシンが出現し、事切れる。
 電光と黒き雷。音よりも疾き二つの輝きが、見えざる影を貫いたのだ!
「「アタシたちに力を貸してくれ。この宇宙を護るために!」」
 もはや騎士たちに恐れはなし。今こそ打って出るときだ!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

トリテレイア・ゼロナイン
【船内防衛】

(UC起動。ハッキング無効化、センサーでの●情報収集で敵位置●見切り騎士達を●かばい応戦。格納銃器の●スナイパー射撃で四肢撃ち抜き●怪力で振るう剣や大盾殴打で胴体の電子頭脳破壊)

記憶はありませんが記録は存在します
私達は帝国に強要された同じ設計者の手による系列機
往時には帝国の盾と矛として運用された…言わば仮想敵

技術体系が同じ以上『過去』が更新続ける『今』に勝てる道理無し
一機残らず破壊させて頂きます

(騎士達に)
ご無事ですか?
見えずとも動作の風切り音や地面の振動
サイキックを研ぎ澄ませば捉える要素は多々あります

防衛側ですが電子戦には覚えもあります
私と共に艦を奪還しましょう
先ずはブリッジです



●戦闘開始から44秒後:シャピアロン号艦橋
「くそっ、まだ艦の制御は取り戻せないのか……!」
 籠城戦状態にあるブリッジで、老いた艦長が歯噛みした。
 彼はフォースナイトを引退して久しく、平時は艦の運行を担っている。
 なぜシャピアロン号が動けないのか――それは包囲網だけが理由ではない。
 ハッキングだ。同時多発的に繰り返される電子攻撃により艦が掌握されている!
「もはや見ているしか出来ないとは、なんと歯痒い……!」
 老兵は死なず、ただ消え去るのみ。
 だが影どもはそれすら許さず、徐々に近づきつつある。

 ――同時刻、第三居住区。
「みんな、諦めるな! 俺たちだけでも戦い抜くんだ!」
 若者としては恵まれた体格の少年が、傷ついた仲間たちに呼びかける。
「けどさダンチェッカー、このままじゃ共倒れだよ!」
「それでもやるしかないんだよ。こんなとこで無駄死になんて御免だろ!」
 敵は多い。周囲は破壊工作によって生じた障害物で囲まれている。
 ステルス機構を発揮したウォーマシンの姿は、肉眼では捉えきれない。
「……そうだ、無駄死になんかしてやるもんか。絶対に一矢報いてやる」
 ダンチェッカー少年は決死の覚悟だった。それが騎士としての矜持。
 敵はそんな悲壮なる覚悟すらも弄び、若き騎士たちの命を刈り取ろうとする。
「見えない相手でも、攻撃は仕掛けてくる。そこを待ってれば……っ!?」
 その時である。突如として、第三居住区の照明が消えた。
 予期せぬ暗闇。子どもたちの意識に空白が生じる――それこそ敵の狙い!
 彼らの目が慣れるよりも一瞬早く、致命の刃が空を切り裂き……しかして。
 若者の身体を逆袈裟に叩き斬るはずの刃は、剛剣により弾かれたのだ。

 鋭い金属音、そして火花が散り、暗闇にシルエットが浮かび上がる。
 垣間見えた影はふたつ……白と黒、フォルムが似た、しかし正反対の色だった。
「姿をくらました程度で――私の『目』を破れるとお思いですか」
 拮抗は一瞬、そして白き影は解き放たれた撥条めいた速度で剣を振るった。
 然り、剣である。少年はたしかに、白き影が剣と盾を携えるのを見ていた。
 斬撃は一度に二回。唸るような速度の十字斬撃が、敵を四つに分かつ。
「……記憶はありませんが、記録は存在します」
 照明が回復した。子どもたちを護るのは、騎士――いや違う。
 騎士鎧を思わせるフォルムの、白亜のウォーマシンである。
「"私たち"は帝国に強要された、同じ設計者の手による系列機。
 往時には帝国の盾と矛として運用された……いわば、仮想敵」
 トリテレイア・ゼロナインの"眼光"が、ぎらりと姿なき"兄弟"を睨みつけた。
「技術体系が同じ以上、"過去"が更新続ける"現在(いま)"に勝てる道理なし。
 同じ設計者から生まれた"09(もの)"として、一機残らず破壊させて頂きます」
 ……ウォーマシン小隊は、一機たりとも踏み込むことが出来なかった。
 ハッキングが通用しない? それもある。トリテレイアの防御は堅固だ。
 だが、それだけではない。合理性や理屈ではない、より感覚的な、本能のレベル。
 ウォーマシン小隊の戦闘本能が告げていたのだ。
 この系列機(きょうだい)は、けして油断ならぬ強敵なのだと。
「あ……あんたは」
「ご無事ですね」
 トリテレイアは振り返らずに言った。
「見えずとも、敵の動作の風切りおとや地面の振動といった予兆はあります。
 私には存在しない機能ですが、あなたがたにはサイキックエナジーもあるはず。
 それを研ぎ澄ませば、五感に頼らずとも捉えられる要素は多々あるでしょう」
 その身は鋼鉄、その声は電子、その信念は模倣。
 されど誇り高く、そして勇ましく身構えるさまは、紛れもなく。
「私には電子戦の覚えがあります。ともに包囲網を突破し、艦を奪還しましょう」
 ――紛れもなく、騎士のそれだった。
「……あ、ああ! 当然だ!」
「いい返事です。そうでなくては」
 トリテレイアは横に並んだ"騎士"を見やり、頷いた。
 そして稲妻じみた速度で飛び出し、姿なききょうだいを剣と盾で打ち砕く。
 猟兵となりし己の責務。騎士としての責務。遺された者の責務。
 そのすべてを必ずや果たし、この戦場に勝利をもたらすために!

成功 🔵​🔵​🔴​


●戦闘開始から1分:帝国継承軍第七艦隊旗艦『ジェヴレン』艦橋
「報告いたします。A、C、D、H小隊、猟兵と思しき個体との戦闘に入りました」
『やはり来たか。そうでなくば我が策を敷いた意味がない』
 報告を受けたミニスター・ブラックの声に、これといった驚きはなかった。
『各機体のデータ解析を急げ。多少ノイズがあろうとも構わん』
「了解いたしました。閣下への解析結果共有を最優先いたします」
『K小隊以下を全機出撃させろ。艦隊の守りはクローン兵士に任せればよい』
「はっ!」
 ミニスター・ブラックには、全ウォーマシンの交戦データ……つまり、猟兵たちの戦力や戦闘方法、そういったものがリアルタイムで共有されている。
(これも所詮は気休めに過ぎまい。我に出来ることは彼奴らも出来よう)
 得られるデータは集めた上で、ミニスターはなお警戒を怠らなかった。
(猟兵の戦力が我の想定以下ならばよし、フォースナイトを全滅させ即時帰還するまで。仮に上回ったとしても……)
 特殊部隊は猟兵のデータをもたらし、そしてフォースナイトの戦力を削ぐ。
 敵は必ずこの旗艦を叩きに来る。ミニスターはただ待つだけでいいのだ。
『……実に心地良い。これほどの高揚は何時ぶりか……』
 黒き巨躯は、ただ冷たい方程式のもとに戦場を俯瞰する。
 戦いはまだ、始まったばかりなのだ。
カイム・クローバー
『船外での戦闘』

闘争に卑怯もへったくれもねぇさ。殺せるヤツから殺すし、相手の弱点や隙を狙うなんざ当たり前。弱けりゃ死ぬしかねぇのさ。――だがな。
そんな『基本的な当たり前の事』をひっくり返すのが俺達、猟兵なのさ。
ああ、一応フォースナイトのアンタらに聞くぜ。死ぬつもりは?
――ハッ。上等だ。その依頼、便利屋Black Jackが引き受けたぜ。

魔剣を顕現。周囲一帯にUC。外套に火を付けてやるぜ。迷彩封じだ。
ご自慢の迷彩が全てじゃないだろ?来いよ、ガラクタ。【挑発】入れ。
【見切り】で躱しつつ、魔剣を【怪力】で薙ぎ払い、再度、UC。黒銀の炎を【属性攻撃】で強化するぜ。
棺桶ぐらいは用意しとけ。…お前らの、な



●闘争の本質
 闘争に卑怯もへったくれもない――それがカイム・クローバーの持論だ。
『試合』や『決闘』ならばいざ知らず、命を奪い合う『闘争』にルールなどない。
 殺せる相手を殺し、
 弱点や隙を突くなど当然。
 強ければ生き残り、
 弱ければ死ぬ。
 ……あるいは、生き残った側が強者とも云う。卵が先か鶏が先かの話だ。
 そんなことは基本中の基本、いまさら言うまでもない当たり前のこと。
 嘆くほうがバカを見る。カイムは、戦闘者としてそう心得ていた。

「なあオイ、坊主ども」
 だが彼は、この戦場にやってきた。
 船外に出たフォースナイトを背後から襲おうとしたウォーマシンを一蹴して。
「未熟者から殺される。それが効率的で、合理的で、なにより当然だ。
 だからこのままだとアンタらは死ぬし、この船も塵に消える。当たり前にな」
 愛銃をガンスピンさせ、ニヤリと笑ってみせた。
「"そんな基本的で当たり前なこと"で、命を落としても後悔しないか?」
「……そんなの……そんなの、イヤに決まっています!」
「ならどうする?」
「ぼ、僕らが戦って……」
「戦って? 名誉ある死を迎えるか? 騎士らしく?」
「いいえ! 勝ちます!!」
「"なら"」
 カイムは銃口で自らを指し示した。
「"使えるものはなんでも使うのも、基本的で当たり前なこと"じゃないか?」
「……!」
「もう一度聞くぜ」
 カイムは少年の目を見据えた。
「――ここで死ぬつもりは?」
 わずかな逡巡……フォースナイトたちは顔を見合わせる。
 答えは、最初から決まっていた。誰もがカイムの目を真っ直ぐに見返した。
「ありません」
「なら――」
「力を」
 カイムの片眉が釣り上がる。
「力を、貸してください! 猟兵!」
 ……沈黙。口元に皮肉げな笑み。
「ハッ、上等だ。その依頼、便利屋Black Jackが引き受けたぜ!」
 その答えを待っていたとばかりに、カイムは魔剣を召喚し、掴み取った。

 まさにその瞬間、姿を現したウォーマシンが前後左右から同時に襲いかかる。
 だが、カイムのほうが疾い。魔剣をぐるりと一回転……すると、見よ!
『『『!』』』
 隠密用の外套が燃え上がり、黒銀の焔に飲まれて消えていく!
 わずかな動揺があった。カイムは――攻めない? 何故!
「ご自慢の迷彩だけがすべてじゃないだろ? 来いよ、ガラクタ!」
 挑発だ。彼はあえて好機を捨てた。"基本的で当たり前な戦術"を捨てたのだ!
 ウォーマシンどもに怒りという感情があったのかはわからない。
 しかし、敵は恐るべきナイフを構え、残像すら生じる速度で同時に襲いかかる!

 ――西部劇めいた、空白があった。
 騎士たちが見たのは、魔剣を振り終えたカイムと、微動だにしない機械たち。
 一拍遅れて、ウォーマシンどもは真っ二つに両断され……爆散!
 爆炎は黒銀に輝く。さながら、獲物の屍を誇示する原始的英雄の勲めいて。
「棺桶ぐらいは用意しておきな、ミニスター・ブラック。お前らのな!」
 はるか遠く、旗艦のブリッジに座す黒曜石の戦士とカイムの視線が、たしかに噛み合った。
 カイムの勇姿に檄され、フォースナイトたちもまた勇ましく立ち向かう。
 基本的で当たり前な、ありふれた事実。ありふれた結果。
 それをひっくり返すからこそ、猟兵は英雄足るのだ!

成功 🔵​🔵​🔴​

ハロ・シエラ
刃物で戦う私が彼らを手助けするなら、船内で戦うのが妥当でしょう。
転移したらまずは敵に私の存在をアピールましょう。
具体的には【大声】を上げて斬りかかる、と言った所でしょうか。
敵をこちらに【おびき寄せ】る事が出来れば、後は敵の攻撃に【カウンター】でユーベルコード合わせて【切断】していけば良いでしょう。
知覚し辛い敵の動きが【第六感】で捉えられれば可能なはずです。
フォースナイトの方々にはとりあえず自衛を優先して頂きますが、より加速する為に姿を現した敵を攻撃して貰っても良いですね。
その攻撃が効くにせよそうでないにせよ敵に隙が出来るはず。
こちらもダガーを【投擲】するなどして、協力して仕留めましょう。



●剣士の義務、戦士の矜持
 グリモアの光が衰滅し、ハロ・シエラは連絡通路にふわりと着地した。
 頭を振って目を開く。そして見た――騎士たちを追い詰める敵の姿を。
 敵はこちらに気付いていない。いま襲いかかれば、確実に倒せるだろう。
 ただしその前に、追い詰められた騎士たちは何人か死ぬかもしれない。

「私が相手です!!」
 ハロは奇襲などせず、逆に大声を上げて自ら名乗りを上げた。そして斬りかかる。
 戦術的に考えれば、それははなはだ非合理的で無駄かもしれない。
 しかしこうしたことで、敵は騎士たちから猟兵に狙いを変えたのである。
 ハロは、ただ勝利するためにここに来たのではない。
 彼女の目指す最上の勝利とは、敵を倒すことだけにあらず。
 救うべき命を守り抜き、敵の狙いを完膚なきまでに叩き潰すことなのだ!
『猟兵を確認。攻撃目標を変更、包囲戦術S-12022提案』
『『『システム同期開始』』』
 がぎん!! とハロの斬撃を受け止めたウォーマシンは、姿を消した。
 光学迷彩によるステルスだ。さらに、ハロはめまいに似た違和感を覚える。
(ハッキング……の、応用ですか。こちらの神経をかき乱しに来ている)
 電脳魔術は、現実にすら作用するもの。ウォーマシンの機能もまた同様だ。
 しかしハロは生身の人間であり、こうした妨害系の術に備え鍛錬をしている。
 酩酊感に似た電磁攻撃を意識を集中させることで振り払い、身構えた。
 敵の姿は見えない――だが、こちらに襲いかかってくることはわかっている。
 ならば攻撃してきたところをカウンターすればいい。単純な理屈だ。
「フォースナイトの皆さん、自衛を優先してください。敵は私におまかせを!」
「……いいえ! 俺たちも戦います!」
 年頃はハロとそう変わらぬであろう、少年少女たちは気丈に言った。
 ハロはこくりと頷く。かれらの騎士としての矜持と覚悟を汲んだのだ。
 同時にハロの左斜め後ろにかすかなゆらぎ――敵が外套を翻しナイフを振るう!
「――そこ!」
 ハロは第六感を頼りに攻撃を察知し、回避と同時に横斬撃を放った。
 脇腹部分を裂かれたウォーマシンは、再びステルス化しようとする。
 このチャンスを逃すハロではない。攻め込む。しかしそこは敵の術中!
 飛び込んだハロを取り囲むウォーマシンが出現……いや待て、彼女は叫んだ!
「今です!」
『『『!?』』』
 然り。敵の術中にあえてかかることまでが、ハロの策だったのだ。
 ハロに振り下ろされると見えたナイフは、フォースセイバーで腕ごと斬られた。
 フォースナイトたちによるインタラプトである! ハロはさらに一歩踏み込む!
「連携戦術が出来るのは、あなたたちだけではないということです」
 ハロは冷たく言う。そのときにはもう、細剣がウォーマシンの胸部を貫いていた。
「敵を未熟と侮った。それが、あなたたちの敗因ですよ」
 致命打を受けたウォーマシン部隊はよろめき、爆発。
 フォースナイトたちは緊張の糸が途切れ、重い溜息をついた。
「……お見事です。なんとか駆けつけることが出来て僥倖でした」
「いえ、あなたこそ。よもや自ら敵の注意を惹きつけるとは……」
「多少の怪我は問題ありません。それに、あなたたちは宇宙の騎士なのでしょう?」
 信頼に似た言葉に、フォースナイトたちは背筋を正して敬礼をした。
 ハロはわずかに笑みを浮かべ、頷く。剣士と騎士の間に敬意が生まれた。
 互いの力量を信じ、命を預ける。それが、命ある人間の持つ最大の強みなのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

ギージスレーヴ・メーベルナッハ
コアマシン破壊を目論む敵を迎え撃つとしよう、

ハハハハ!この殺気満ちたる空気、これぞ戦場よな!
新兵には些か酷であろうが、覚えておくが良いぞ。これから貴様らが渡り歩くこととなろう世界をな!

などと言いつつ戦闘においてはフォースナイト達に主体となって貰い、黄昏大隊・歩兵部隊で呼び出した兵にはそのフォローを命令。フォースナイト達の側面や意識外の敵を優先的に狙わせる。
余自身は義眼の探知機能にて熱源・電子的反応を探り(【情報収集】【索敵】)、敵の不意打ちに備えつつハッキングへ同じく【ハッキング】で対抗。
戦況を見てフォースナイト達への指示や兵への命令を発し(【集団戦術】)。コアマシンを守り切る。



●ウォーモンガーズ・クライ
 悲鳴。
 衝撃音。
 破砕。
 衝撃。
 怒号。
 ギージスレーヴ・メーベルナッハは、満ち満ちる修羅場の緊張感に腕を組んだ。
「――ハハハハッ!」
 そして、呵々大笑した。腹の底から、とことん面白そうに、愉しげに。
「殺気! 憎悪! 憤怒! 命を奪おうとする時ほど生命はよく輝く! 燃える!
 やるかやられるか、この空気! このひりつく緊張感こそ、まさに戦場よな!」
 ここはコアマシン室の最終防衛ライン。船の心臓にもっとも近い場所。
 退去して押し寄せるウォーマシン特殊部隊を前に、味方は圧される寸前だ。
 フォースナイトたちは傷ついている。しかも悪いことに子供ばかりだった。
 彼らを教え導くべき教師は、すでに死んだか。あるいは別の場所で戦っているか。
「新兵ども! 膝を折りたいだろう、痛く、苦しく、もう諦めたいことだろう!
 しかしどうだ? 貴様らはどうだ! ここで諦めるか、屈して死を選ぶか!」
「そんなの――」
「……お断りだっ!!」
「そうだ、いやだ! 絶対に負けないぞ!!」
「よろしい!!」
 フォースナイトたちの必死の叫びに、ギージスレーヴは高揚気味に言った。
 年頃は変わらぬはず。だがこの少女の放つ覇気のような威圧感はなんだ。
 隻眼はヴェテランの老兵めいてぎらつき、口元には刃じみた笑み。
「ならば覚えておけ。これこそが貴様らの渡り歩く世界、命を賭ける場所!
 そして――余と余の兵士たちが永遠に立ち、いずれ死ぬ鉄火場である!!」
 ばさりと軍服をはためかせる風。それは軍靴とともに暁風めいて吹き荒れた。
 見よ。地平線に上がる朝焼けのように、無から来たりし死なずの大隊を!
「黄昏大隊・歩兵部隊(アーベントロート・ゾルダート)、前へ!!」
 ザッ! ……面伺えぬ兵士たちは、完璧なまでにシンクロした行進を刻む。
 そして銃剣を構えた。ギージスレーヴは、呆然とする若き騎士たちを一瞥する。
「どうした。……立ち上がれ新兵ども! 貴様らのあの活は嘘っぱちか!?
 腹に力を入れ、敵を睨め! 血反吐を吐くほどに叫びながら突撃しろ!!」
「……う、うおおおおおっ!!」
「うわあああああっ!!」
「そこまで言われて、負けてられるか……っ!」
 若者たちは追い詰められた獣のごとき形相を浮かべ、傷ついた体に鞭打つ。
 物言わぬウォーマシン部隊ですら、その気迫には気圧された!
「いいぞ、いいぞ! さあ進め、そして殺せ! 敵は前にあり、剣は手にあり!
 貴様らが練り上げた技巧を見せてやれ! 貴様らがなんたるかを示すのだ!!」
 怒号は宗教的熱狂のるつぼと化し、サイキックエナジーの剣が荒れ狂った。
 ギージスレーヴは冷酷に笑う。そうだ、これこそが戦場、これこそが殺し合い!
「歩兵部隊、新兵どもを殺させるな! 奴らは骨がある、見どころのある連中だ!
 姿を消したとて、我が眼は誤魔化せぬ! 総員構え、目標左前方! 撃てぇ!!」
 BRATATATATATATA!!
 歩兵部隊の総攻撃! ステルス化したウォーマシンが引きずり出される!
「新兵ども、貴様らは見事だ! 余の檄に対してよくぞ立ち上がった!
 さあともに戦おう、ここが鉄火場だ。我らの戦場だ! コアマシンを守り抜け!」
「「「応!!」」」
 かくして趨勢は一瞬にして逆転し、騎士たちは熱血的快進撃を開始した。
 ギージスレーヴは目を閉じ、うっとりと耳を済ませる。戦争交響曲に。
「――やはり戦争はいい。これこそが人生だ」
 年若き少女の狂気は、時として鋼を砕く槌とならん。

成功 🔵​🔵​🔴​

スイカ・パッフェルベル
包囲艦隊を撃破する
なんだその顔は。兵器?杖しか無いが

まあいい。全力魔法の時間だ
S2を騎士たちに、S3は一人に向け発動
身体強化と闇の騎士どもの情報だ。この戦闘中は保つ
幸運は大胆な人たちに笑いかける
…今は行動あるのみ、ということだ
敵の装備、立ち回り、ユーベルコード…共有し、生き抜いてみせろ
さて。船外用の服、借りるぞ
S1魔杖を振り、手持ちの魔杖を周囲に従え船外へ転移

帽子を被…れないんだったな…
S2・S4をバフり、S3で敵の情報を抜き
L1連打で接近・回避をしつつ
攻撃はM1・I1・E1(対艦)を織り交ぜ
魔力の切れた杖はD1を付与し突っ込ませる
複雑化した魔杖操作はS1で、魔杖補充は敵残骸からユベコで行う



●包囲網を包囲せよ
「な……」
 フォースナイト教官、リロイは目を疑った。
 女がひとり……おそらく魔術師と思しき女が、戦線に加わった。
 それ自体は喜ばしい。彼女は間違いなく猟兵だ、つまり腕利きなのだ。
「お、お待ち下さい!」
「なんだ」
 その女は、リロイのほうを怪訝そうに見返した。
「何をなさるおつもりです。まさか、ひとりであの艦隊に挑まれると?」
「ひとりではあるまい。もうすでに会敵している猟兵が居るはずだ」
「それはそうですが、しかし……鎧装騎兵でもないのに、事実上単独で?」
「何か問題があるか」
 女……スイカ・パッフェルベルは、リロイの様子に首を傾げる。
「私はあの包囲艦隊を撃破しにいく」
「ぶ、武装は? アームドフォートだとか、何か機動兵器だとか……」
「これがあるぞ」
 そう言って女が見せたのは……杖? らしきものであった。
 呆れた話だ。この女は、たかが杖ひとつであの艦隊を落とそうというのだ!
「む、無茶です! 我々も同行します! いま生徒たちを」
「好きにしろ。ああ、もちろん最低限の情報共有と支援は行うぞ」
 スイカはそう言うと、さっさと船の外に飛び出してしまう。リロイは慌てた。
 なお、彼女は猟兵が先の銀河帝国攻略戦で獲得した"特殊宇宙服"を支給された。
 まるで透明なボディスーツめいて体にフィットし、宇宙戦闘を可能とする装備だ。
「なんだ、これなら帽子が被れるではないか」
 スイカは意外そうに言ったという。

 ……何はともあれ。
 リロイに緊急招集された騎士たちは、急いでスイカを追った。
 そして、見たのだ。
「――な、なんだ、あれは」
 無数の魔杖を従え、宇宙艦をたったひとりで撃墜する魔女の姿を。

 まるでそれは、おとぎ話に出てくる魔女そのものだった。
 箒やティーカップに仮初の命を与え、下僕として使役する魔女である。
 ただしスイカが操るのは、箒でもティーカップでもなく、恐るべき魔杖。
 無数の魔杖をさながら従順な兵隊めいて侍らせ、その全てから魔力を解き放つ。
 破城槌……いや、"肉挽き機"めいた魔力の奔流――塊が、艦隊を襲った。
 質量で圧倒的に上回る宇宙艦が、なすすべもなくひしゃげ、砕け、爆発する。
 線でもなく、面でもなく、空間そのものを圧倒し制圧し蹂躙する魔力光。
「音に聞こえし帝国継承軍、まさかこの程度とは言うまいな?」
 スイカは帽子の下でにたりと笑い、魔力切れを起こした杖をタクトめいて振るう。
 するとそれらはバズソーめいた速度で回転し、次の艦へ飛翔――装甲を斬裂。
 追って魔杖群からの魔力放射。隙を許さぬ二段構えの攻撃、艦隊砲撃が相殺される!
「ああ、来たか。これを受け取っておくがいい」
 スイカは別の魔杖を浮かび上がらせ、騎士たちに近づけた。
「骸の海から読み取った、"闇の騎士"どもの情報、そして身体強化呪文だ。
 この戦闘中は保つだろう。主砲はともかく副砲程度ならば直撃も防げるはず」
「あ、あなたは」
「ん?」
「あなたは、一体……何者なのですか?」
「奪還……いやそうだな」
 リロイの問いかけに対し、スイカはやや考えるような仕草をした。
「探求中の魔法使いといったところか。……質問は以上か? ならば戦え。
 "幸運は大胆な人たちに笑いかける"――いまは行動あるのみ、ということだ」
 スイカは謎めいた笑みを残し、次の艦との正面戦闘に挑む。
 騎士たちはまさしく、魔女の魔法に化かされた凡人めいて唖然としていた。
「……そうだ。我らも戦わねば。こんな姿を見せられて、じっとしていられません!」
 我に返ったリロイの言葉に、若き騎士たちは剣を振り上げ応えた。
「なかなかどうして、宇宙の騎士というのも勇敢なものではないか」
 宇宙服の通信機能越しに聞こえてきた鬨の声に、スイカはふっと笑みを浮かべた。

成功 🔵​🔵​🔴​

兎乃・零時
ヒカル(f01648)と参加!
アドリブ歓迎!

銀河帝国攻略戦があった時、俺様はその場にはいなかった
だからこそ!同じことは起こさせない!【恩返し】
俺様の夢は!いづれ全世界最強最高の魔術師になる事!
フォースナイト達も夢が、望みがあるだろう!
ならばやることは一つ!
俺様たち全員で!
生きて!奴らを!ぶっ倒すぞ!(例えどれ程怖くとも!【鼓舞】


宇宙船の外に取り付いた敵には光【属性攻撃】魔力砲で攻撃!

UC起動後
タイミング見てバイク降り特攻!

種族的に宇宙空間は水中と同じ!

「藍玉の杖」をⅢ型の大剣に【武器改造】
その大剣に【魔力溜め】手榴弾もダッシュで避け
攻撃食らおうと気合で耐え敵に切り込み!

全部纏めて吹き飛びなぁ!


星群・ヒカル
ウノ(f00283)と参加だ!

宇宙にまた危機が迫っているとあれば……この超宇宙番長が現れぬ道理なし!おれとウノの最強コンビでシケたやつらをシメていこうぜ!

宇宙バイク『銀翼号』に後ろにウノを乗せて『騎乗』して、宇宙船の外に取り付いた敵を攻撃するぞ
フォースナイトには『コミュ力・鼓舞』で援護射撃をお願いしつつ、敵陣を包囲してもらおう
「おめーらはこの宇宙の希望の星だ!一緒に戦ってくれ!」

敵の攻撃は「星の目」の『視力・第六感」を用い察知し、『逃げ足・早業』で回避
そして敵の煙幕に対抗するために【超宇宙望遠鏡・析光形態】を使用
敵の居所を捉えたらタイミングを見て、ウノに突撃する方向を指示するぞ!

※アドリブ歓迎



●危機あるところ彼らあり
 猟兵たちの奮戦により、フォースナイトたちの窮地は退けられつつあった。
 しかし見よ。新たに出撃したウォーマシン特殊部隊が、船体に着陸。
 被弾した装甲を破壊し、無理やりシャピアロン号に乗り込もうとしている!
「くそっ、そんなことさせるか!」
 若きフォースナイトはフォースセイバーを振るい敵を追い払おうとした。
 だが剣は無情にも空を切る。ウォーマシンが、一瞬にして消えたのだ!
(瞬間移動? いや違う、ステルス化して高速移動したのか――!)
 罠にかかった、と理解した時には、彼の背後に敵が姿を現していた。
 若き騎士が振り返ろうとしたその瞬間、逆手ナイフが鎖骨めがけ振り下ろされる!

「――おっと、そこまでだ!!」
「そうだ! これ以上はやらせやしないぞ!!」
 勇ましい声ふたつ。ウォーマシンは処刑ナイフを寸前で止め、跳躍した。
 ついさきほどまでウォーマシンがいた場所を、ビームめいた魔力光がつんざく。
、そしてステルス化して騎士を取り囲んでいた別のウォーマシンたちもまた、
 薙ぎ払うようにほとばしる魔力の奔流を恐れ、素早く散会する。
「あ、危なかった……! ありがとうございます!」
「なあに、気にすることはない! よく頑張ったな!」
 恐縮するフォースナイトにニヤリと笑いかける、改造学ラン姿の男。
 彼はタンデムした魔術師風の装いの少年と視線を交わし、敵を睨みつけた。
「悪しき銀河帝国の継承者を名乗る悪党どもめ、好き勝手出来ると思ったか?
 宇宙に危機が迫る時、この超宇宙番長様が現れぬ道理はなし、だぜ!!」
「……俺様は、銀河帝国との戦いに参戦することは出来なかった、けど。
 だからこそ、同じようなことは起こさせない。俺様が止めるんだ!!」
 兎乃・零時、そして星群・ヒカルは、銀翼号の上で立ち上がり、胸を張る。
「このおれとウノの最強コンビが、シケたヤツらをシメてやるぜ!」
「フォースナイトの皆! こんなところで諦めるな、抗い続けるんだ!
 俺様たち全員で! 生きて!! 奴らを、ぶっ倒すぞ!!!」
 すべての世界の魔術師の中で、最高かつ最強の魔術師になること。
 大それた夢を本気で追い求める零時の言葉は、若き騎士たちの胸を打った。
 敵は動かない……いや、動けないのだ。
 超宇宙番長の大きな器と、荒唐無稽な夢見る小さな魔術師の大きな勇気が、
 邪悪で無慈悲な殺戮者たちを慄かせ、身じろぎひとつ取らせなかったのだ!

「おめーらはこの宇宙の希望の星だ! 一緒に戦ってくれ!!」
「「「……はい!」」」
 船外に飛び出した若き騎士たちは、フォースセイバーを勇ましく振るう。
 取り囲まれていた少年騎士も、もはやウォーマシンに遅れは取らなかった。
 数と練度はあちらが上。しかしこちらには、最強コンビのふたりがいる!
「ウノ、行くぜ! おめーの魔法をもう一度ぶっ放してやれ!」
「ああ、わかったぜヒカル! 光に呑まれて、宇宙の塵になっちまえ!!」
 収束した魔力は、さながら宇宙艦の主砲めいた極太のレーザーとなった。
 宇宙の闇をつんざく光の魔力砲。敵は、直撃を避けようと外套で姿を消す。
 フォースナイトたちはけして焦らず、サイキックエナジーの力を研ぎ澄ませ、
 ステルス化した敵の居場所を探り……反撃の刃で、ボディを切り裂いた!
「っと、そしたら当然こっちに来るよな……見え透いてるぜ!」
 ヒカルは銀翼号を巧みに操り、前後からの同時不意打ち攻撃を回避。
 宇宙空間ならではの三次元的軌道を描き、ウォーマシン部隊の頭上を取る。
「たとえ煙幕をばらまこうと、この超宇宙番長の目を欺けると思うなよッ!!」
 ヒカルには見えているのだ。煙に紛れる、姿なき闇の騎士の居所が!
「あそこだ、みんな! ウノ、おめーが切り込み隊長になってやれ!」
「よし――理屈も道理も関係ねぇ! 俺様の力を、見せてやるっ!!」
 零時はバイクを蹴った。すると、小さなその姿が大人のそれへと成長していく。
 現在も過去も、望んだ未来へ辿り着くための力として引っ張り込む。
 あまりにも強欲で、しかし若者らしい無鉄砲なユーベルコード、"偽・無現未来"。
 命を代償にした束の間の成長により、ただでさえ莫大な魔力が累乗倍で増加!
「うおおおおおおおっ!!」
 藍玉の杖を大剣に変形させ、魔力で自らを推進させ猛スピードで突撃!
 敵が散開する前に、分厚い刃を横薙ぎに振るい、一気呵成に薙ぎ払う!
「全員まとめて! 吹き飛びなぁ!!」
 斬撃を逃れた敵も、包囲したフォースナイトたちの援護攻撃で一網打尽だ。
 若き戦士たちの連携が、無慈悲なる殺戮者の刃に打ち克った瞬間である!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ユーイ・コスモナッツ
【包囲艦隊撃破】に向かいます!

若きフォースナイトといっても、
私とそう年齢は違わない

だからこそ、
惨めな姿は見せられない

コスモナッツは騎士の家系
その名に泥を塗るわけにはいかないし、
なによりも、
同じくらいの歳の私でも、
銀河帝国相手に戦えるんだ!
というところを見せてあげたい

使うのは【流星の運動方程式】
反重力シールドに乗って、
包囲を切り崩します

攻めも守りもスピード勝負
一気に距離を詰めて攻撃、
すかさず離して反撃をしのぐ
これを繰り返して敵陣を撹乱します

統制に乱れが見えたところで
急旋回で艦の死角に滑り込み
そこからさらに加速をつけて、
司令塔や機関部といった艦の急所を貫きます
『宇宙の騎士』を甘くみないで!


天星・暁音
『包囲艦隊を撃破する』

じゃ艦隊戦と行こうか、後顧の愁いを断つのも重要だからね
各部チェック、システムオールグリーン、戦闘モードへ移行、フィールド出力を最大、先ずは出鼻を挫く!

数が多いのなら同士討ちを警戒させる為に深く切り込む!
全砲門開放!出力最大!


指定UC突撃後、ホーミングレーザー、超電磁砲、ビームバルカン、ミサイル、時空爆弾(目標で爆発広範囲の時空を歪めて攻撃)等で注意を引き付つけ頃合いを見ては指定UCで吹き飛ばしていきます
無視して艦へ攻撃しようとするならUCで強引に割り込んで盾になります

他艦隊戦希望の方の同乗もお好きにどうぞ

アドリブ共闘歓迎
スキルアイテムUCご自由に活性10以下のUCは船用



●少年と少女の戦い
 若きフォースナイトたちと、そう年頃の変わらない……あるいは彼らよりも幼い少年少女も、猟兵の中には数多い。
 ユーイ・コスモナッツは、まさにそうした若き猟兵のひとりであった。
 そして彼女もまた、フォースナイトとは異なる"宇宙の騎士"の家系にある。
(だから、惨めな姿は見せられない。私が戦えるっていうところを見せないと)
 劣勢にあるフォースナイトたちを鼓舞し、そして道を切り開くため。
 反重力シールドに乗り、包囲艦隊を叩くため飛翔するユーイ。
 そんな彼女の横にスイと滑るように飛翔したのは、一隻の帆船型宇宙船であった。
「あれは……」
『ユーイさん、俺も艦隊を叩くつもりなんだ。協力するよ』
 帆船型宇宙船……"星の船"から聞こえてきたのは、顔なじみの少年の声。
 天星・暁音はユーイよりもなお若い、しかし油断ならぬ歴戦の猟兵である。
 彼の駆るこの"星の船"ならば、包囲艦隊を向こうに回しても仔細なし!
「……わかりました! じゃあ、ふたりで一緒に戦いましょう!」
『うん、それじゃあ先に行くよ。戦闘モードへ行こう、フィールド出力最大!』
 星の船が加速し、ユーイの反重力シールドを追い抜いて艦隊に突撃する。
 包囲艦隊は無数の砲塔を"星の船"に向け、情け容赦なく全火力を放射した!
 レーザー砲、実体弾、ミサイル、EMPパルス、そして荷電粒子砲……!
 ド級の軍用戦艦ですら一瞬で沈めるであろう、極めて苛烈な飽和弾幕だ。
『全砲門開放、出力最大!!』
 星の船は前方にエネルギーフィールドを集中させ、真正面攻撃を弾いてみせた。
 そればかりかお返しとばかりに、こちらもすべての砲門をオープン。
 ホーミングレーザー、超電磁砲、ビームバルカン、ミサイル、果ては時空爆弾!
 空間そのものを歪める恐るべき質量兵器すらも解き放つ大盤振る舞いだ!
「すごい……! 私も負けていられないっ!」
 圧倒的火力が真正面からぶつかりあい、宇宙の闇を盛大な爆炎が染め上げた。
 ユーイはその混乱に乗じ、反重力シールドを戦闘機めいて華麗に制御。
 突撃する星の船と並走する形で、一揆に敵艦隊の懐に飛び込んでみせる!
『このまま突っ込むよ、ユーイさんは白兵戦を!』
「ええ、任せておいてください! 動力部を破壊します!」
 KRAAAAAASH!! エネルギーフィールドを鏃型に展開した星の船が敵艦隊に激突!
 衝角突撃じみたチャージで、敵包囲陣の最前衛戦艦を真正面からぶち抜く!
 めきめきと船体を炸裂された宇宙艦は派手に爆発し、敵の目を眩ませた。
 わずかに弾幕が和らぐ。そこに、ユーイが攻め込むべき隙が存在した。
「ブースト・オン……私でも戦えることを、みんなに見せるために!
 コスモナッツの家名に恥じない戦いをするために……行きます!!」
 反重力シールドは流星めいた軌跡を描き、猛スピードで後続艦隊に突撃。
 両手で聖なるクレストソードを握りしめ……敵艦の装甲を真っ二つに切り裂く!
「てやぁああああああっ!!」
 速度を乗せた聖剣の一撃は、分厚い艦体装甲をバターめいて斬裂した。
 ユーイは速度を落とさず"斬り抜ける"と、反転し別の宇宙艦の砲塔をぶった斬る!
「ば、バカな! 全員退艦せよ、退艦……うおおおおっ!?」
 出撃準備をしていたクローン兵大隊もろとも、敵艦は次々に爆散!
 そして星の船とユーイの乗る反重力シールドは、爆炎を背に包囲を突破!
『まだまだ敵艦隊は健在だよ、次に行こう!』
「ええ……宇宙の騎士を甘く見たこと、後悔させてあげなきゃ」
 少年と少女は、宇宙を走る――その姿は、若きフォースナイトも見届けていた。
 そしてその勇ましき姿が、若者たちに戦う勇気を奮い立たせたのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ベリザリオ・ルナセルウス
【白と黒】
●目的
(船内での戦闘)
修練生も騎士としての覚悟はしているはず
その覚悟は未来の人々を守るために使うべきです


教練艦の人達を鼓舞するためにも協力を呼び掛けよう

織久が突破口を開き私が戦線を維持します
皆さんは周囲の状況を見てまず己の身を守る事を優先してください
人々を守る盾は倒れてはいけません。それでは誰も守れないのです

UCで全員に加護を
織久の援護と教練生の守りを念頭に置いて戦います

武器落としとシールドバッシュで体勢を崩します
皆さんは数人一組で一人が私の援護を、他の二人以上で警戒と味方を守って下さい

それでも危険な時はUCや盾でのカバーに入ります
織久が戦線を押し上げたら拠点防御ラインも上げます


西院鬼・織久
【白と黒】
救助等はベリザリオに任せます
俺には向いていません

我等は狩るべき敵を狩るのみ
悉くを喰らい尽くすのみよ

【行動】POW
(船内での戦闘)
五感と第六感+野生の勘を働かせ周囲を把握し敵行動を予測
武器は呪詛+生命力吸収+継続ダメージの怨念の炎を纏う

先行攻撃+UCに夜砥を忍ばせ捕縛、麻痺毒で抵抗を封じる
広場所なら怪力で振り回し周囲をなぎ払い纏めて爆破
狭ければ怪力で引き寄せと同時にダッシュ+串刺し

敵攻撃を残像を残して空中戦+ジャンプで回避
敵の死角に回り込みなぎ払い+範囲攻撃
回避できないものは武器受けで受け流しカウンター+串刺し、爆破で傷口をえぐる

ダメージは各種耐性と精神技能で無視して攻撃の手を止めない



●天使と悪鬼の戦い
「くっ、くそ……! 次から次へと出てきやがる……!」
 傷ついた腕を抑え、30がらみのワイルドな外見の男が吐き捨てた。
 彼はフォースナイトたちを育てる教官のひとりである。
 そして彼と背中合わせに立つ女性もまた、教官陣のひとりであった。
 ふたりの周囲には数名の若者たち。いずれも傷つき、疲労困憊の状態である。
「生徒の前で愚痴るな。士気が下がるだろうが!」
「そうは言ったってよ、こっちはやられてあっちは増えるばかりだぜ」
 男の言葉は正しい。事実、彼らはウォーマシン部隊をほとんど倒せていない。
 敵は消失と出現を挑発的に繰り返しながら、徐々に包囲を閉じつつある。
 万が一の反撃、いわゆる火事場の馬鹿力を最大限に警戒しているのだろう。
 人間が持つ爆発力すらも計算に含めた動きは、いっそ武器もですらあった。

 もはや手立てはないのか。
 若者も、教官らも諦めかけたその時――煮え立つような怨念の炎が駆け抜けた。
『敵性体の反応を確認。速度から見て猟兵と判――』
 ある一体のウォーマシンの電子思考は、その瞬間に途切れた。
 燃える怨念の炎を纏った漆黒の悪鬼の大鎌が、ボディを両断したのである。
 切断面もやはり燃え上がり、そして全身を包み込んで爆炎すら呑み込んだ。
 あまりにも妄執的な炎。それを纏う鬼は目にも留まらぬ速度で次を狙う!
『警告。敵性体の戦闘力は予測を大幅にオーバー。連携戦術の再構築が必要と判断』
『全機後退せよ。包囲網を解き、敵性体に対 対 タタタタタタ』
 KBAM!! ……真っ二つになったウォーマシン二体が、同時に爆散した。
「何人たりとも、死の影より逃れることは能わず。機械だろうと同じこと」
 炎纏いし悪鬼……西院鬼・織久の双眸が、炎の奥で炯々と燃えた。
「我等はお前たちを狩りに来た。退けると思うな。すべて食らい尽くす」
 ヒトにはとても維持できぬ、くろぐろとした殺意と怨嗟が煮えていた。
 それは心なきウォーマシン部隊をして、気圧されるほどの強烈な威圧感である。

 突然の闖入者にあっけに取られるフォースナイトたち。
 だがそこを、新たに出現したウォーマシン部隊が刈り取ろうとする!
「我が旋律に祝福あれ――そこです!」
 彼らの窮地を救ったのは、清廉なる声とともに走った一条の矢であった。
 否、矢の如き鋭い旋律と言うべきか。それは音であり、鏃でもある。
 旋律は不意打ちを試みた不埒なるウォーマシンを真っ二つに両断せしめる。
 そればかりか残響が妙なる賛美歌めいて響き渡り、騎士たちに活力を与えた。
「こ、こりゃあ……」
「ご無事ですか。間に合ってなによりです」
 はたして現れたのは、弓めいた竪琴を携えた金髪紫眼の美丈夫であった。
 そして背中と頭には、彼がオラトリオであることを示す特徴がある。
 ベリザリオ・ルナセルウスは薄く柔らかな笑みを浮かべ、しかし表情を締める。
「ここは彼が……織久が突破口を開きます。私の力は加護をもたらす旋律。
 皆さんにも、加護の力が満ちたはずです。どうかその力で踏みとどまり、
 周囲の状況を見た上で、己と教え子さんたちの身を守ることを優先してください」
 騎士たちが礼を述べるより先に、ベリザリオは手短にまくし立てた。
 ともすれば不穏な織久の戦い方は、敵と見紛うほどに凄絶なものだからだ。
「……皆さんの覚悟は汲んでおります。だからこそ、無事に生き延びてほしい。
 その覚悟は死地で果てる為ではなく、未来の人々を守るために使うべきですから」
 命を救われたフォースナイトたちに、否定を述べるつもりはなかった。
「ああ、助かったぜイケメンさん! そっちの兄ちゃんもよ!」
「おい、命の恩人にその物言いはよせ。失礼だぞ!」
「うるせーなあ!」
 ……などとどこか愉快なやりとりをする教官たちを、織久は一瞥するに留めた。
 あの感謝の言葉が、自分にも向けられたものであることはわかっている。
 若きフォースナイトたちが、恐れながらも自分に感謝の眼差しを向けることも。
「……我等の知ったことではない」
 だが織久は、あえて無礼を承知で一蹴し、再び影と炎を纏い鬼となった。
 これでよい。己は悪を、過去を、敵を屠り、その怨嗟を貪る黒き騎士なのだ。
 感謝も、友情も、暖かな感情は己にはそぐわない。必要ない。
「……織久」
 無鉄砲にも見える織久の戦いぶりに、ベリザリオは何かを言いかけた。
 けれどもそれが、彼のためではないこと、彼が求めるところでないことはわかる。 ベリザリオは表情を引き締めると、竪琴を構え新たな敵を迎え撃つ。
(言葉は無用。けれども、この私の力でせめて、彼の傷を癒せれば――)
 男たちの間に言葉はなかった。ただ、それぞれの思いは伝わっていた。
 ふたりはそれを戦いによって示す。敵を倒し、この窮地を切り開くため。
 白と黒の奔流は、たちまち無慈悲なる殺戮者たちの攻勢を押し返していく!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

白斑・物九郎
●船内でウォーマシン部隊と戦う
●SPD


そこかしこでバチバチおっぱじまってるみたいっスね
ンじゃ俺めはココいらでシェルター的なモンでも準備してやりましょっかや

ヘイ、ナイト共
ココは【王の寝室】ですわ
ケガしたヤツはこの陣地の中に下げて手当てに使いなさいや

王命を下す
動けるヤツは全周迎撃
全てのオブリビオンを狩り尽くせ


・戦線内の味方がちょっと引くのに良さげな箇所でゴロ寝開始
・【王の寝室】発動、敵攻勢の無効化エリアを築く

・【野生の勘】コミで戦況を半分寝ながら俯瞰
・応戦中のナイト各位に苦戦の気配を見て取れることあらば、敵個体へ適宜【精神攻撃】の域に達した睨みを利かせ(威厳+殺気+威圧)、思考回路を【蹂躙】せん



●気まぐれ王(ネコ)の傲岸不遜(オールサイトシーイング)
 ネコが、寝ていた。
 ネコめいた男が、寝っ転がっているというべきか。
 しかしそいつはキマイラなので、正真正銘のネコであった。

 ……そもそも猫耳と尻尾を生やしたキマイラが、こう涅槃像めいて片腕を枕にしながらごろーんと寝っ転がってるとなれば、いよいよネコであろう。
 実にふてぶてしい。さしものフォースナイトたちも、あっけに取られた。
「ネコだ」
「いや猟兵だよ」
「ネコの猟兵なんじゃない……?」
 若者たちは戦闘中だというのに、ひそひそと口さもなく囁きあった。

「ヘイ、ナイトども」
「「「喋った!」」」
「……ココは"王の寝室"ですわ。ネコの寝床じゃねえスよ」
「あんなにネコなのに」
「そもそも王様って何?」
「猫缶欲しいってことかな」
「…………」
 不服なのがご満悦なのか、白斑・物九郎のブスくれた無表情からはわからない。
 そこらへんもいちいちネコっぽい。あ、耳がひくひく動いてる。
「俺めは野良猫じゃなくて猟団長、もしくは王と呼べ。そんで、ここは――」
「「「!」」」
 ぶわりと、物九郎を中心としてドーム状の空間が展開された。
 それは外と中を隔絶する霊的なシェルターであり、モザイク状にうごめく。
 明らかなユーベルコードだ。若者たちはどよめいた。
「お前さんらを安全に守る王の塒ってわけですわ。自由に使いなさいや」
「……あ、ありがとう」
「ン」
 物九郎は寝っ転がって半眼を開いたまま、ゆらりと尻尾を振った。
「ケドまだまだ戦えるってンなら――王命を下す」
 ネコの気まぐれな鳴き声めいた言葉。
 しかしそこには、万軍を率いる王の如き威風が備わっていた。
 厳格な教官の檄を受けたときのように、若者たちは反射的に背筋を伸ばす。
「動けるヤツは全周迎撃。すべての闇の騎士(オブリビオン)を狩り尽くせ」
「「「…………」」」
「返事」
「「「あっ、は、はい!?」」」
 わけもわからぬうちに、背中を押されるように飛び出していく騎士たち。
 その中でも傷ついた若者は、手当てのために付き添うモノと内部に残った。

 ――そして、モザイク状シェルター空間の外!
「ねえあれ結局なんなの? ネコ? 王様? 猟兵?」
「わかんないよ、多分全部なんじゃない!?」
 混乱状態のまま、殺到するウォーマシン部隊と戦う若者たち。
 だがなぜだろうか、姿が見えずとも感じられ、いつも以上に体が動く。
 あのネコの不遜な言葉が、体の底の活力を引き出しているのだろうか。
 致命の刃が首に届きかける――だがその時、びくりと機械が動きを止めた。
 騎士たちは感じた。背中からコチラを見守る……というか敵を睨みつけるネコの魔眼を。
「……とにかく!」
「徹底的に! やってやる!!」
 若き騎士たちは闘志を燃やし、動きを止めたウォーマシンを叩き斬る!

「ン~……」
 涅槃像めいて寝っ転がっていた物九郎は、あくびをしながら伸びをした。
 気まぐれに尻尾を揺らめかせながら、見開いた目を再び半眼にする。
「なかなかスジがいいっスわ」
 若き騎士たちの剣技は、どうやら気まぐれな王の目に適っ――
「俺めの采配、やはりさすが」
 ……たかは、まだどうもわからないようだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

アルトリウス・セレスタイト
さてどれだけ釣れるか
多いと後が楽なのだがな

【艦隊戦】
挑発のため単身で敢えて正面から姿を晒し行動

破界で掃討
対象はオブリビオン勢力及びその全行動
それ以外は「障害」故に無視され影響皆無

高速詠唱を幾重にも重ね『刻真』『再帰』で無限に加速・循環
瞬刻で全天を覆う数の魔弾を生成、敵勢力へ向け斉射
戦域を魔弾の軌跡で埋め尽くす

更に斉射の瞬間を『再帰』にて間断なく無限循環
討滅まで攻撃を継続
回避の余地なく反撃も呑み込む飽和攻撃
遅滞も容赦も絶無とし物量で全て圧殺する

守りは『絶理』『刻真』に常時魔力供給し強化
自身への攻撃を触れた瞬間終わらせ影響を回避
必要魔力は『超克』で常に“世界の外”から汲み上げる

※アドリブ歓迎



●超克・刻真・再帰・殲滅
 アルトリウス・セレスタイトは、たったひとりで包囲艦隊と相対していた。
 猟兵の持つ底知れぬ力……敵はそれを熟知し、そして警戒している。
 無数の宇宙艦に対し、生身の人間ひとり。戦力差は見かけ上象とアリ以上。
 しかし敵はさらに艦を増やした。アルトリウスは無表情で数を数える。
「……もう少々欲しいところだが。まあ、これでよしとするか」
 アルトリウスは恐れの欠片も見せず、ユーベルコードを起動した。
 その瞬間、まるでビデオ映像に突然別の映像を割り込ませたかのように、
 アルトリウスの周囲に現れる無数の青い星――否、魔力を凝り固めた魔弾。
 数は無数。それらはアルトリウスが艦隊を指し示すと、音もなく飛翔。
 敵艦隊は迎撃弾幕を展開しようとする――だが、あまりにも遅い。
『て、敵猟兵のユーベルコード起動を確認! 迎撃……ふ、不可能!?』
『なんだと!? これだけの数を揃えた我々が圧倒されているというのか!?』
 レーザー砲、実体弾、ミサイル、あるいは超テクノロジーの宇宙兵器。
 そのすべてを一方的に滅ぼし、飲み込み、無に帰する魔弾の雨。
 斉射された滅びの輝き――次いで、艦隊は次々に爆発を起こした。
 暗黒の宇宙に散りばめられた星々に、爆炎の絨毯が新たに加わった。
 なんと美しい、そして不気味で恐ろしい光景であろうか。
 まるで大戦争の惨劇じみたこの光景を、たったひとりが引き起こしたのだ。
「お前たちは道程だ。ここで残らず、滅ぼさせてもらう」
 アルトリウスは新たな魔弾を生み出し、淡々と言った。
 これが敵の恐れるもの――生命の祝福者、猟兵の底知れぬ力である。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神酒坂・恭二郎
【船内防衛】

これも戦だ、卑怯とは言うまい
だが、対価は高くつくって事は覚えてもらおうかね

(子供達を護る騎士達へ)

見るな、考えるな、感じるな……しかして…
フォースの導きに従うべし

フォースナイトなら誰もが知る有名な導句を告げよう
見えなくても、電子機器がいかれても、フォースは何時だって使い手を導いてくれる
窮地の時、何時だって大事なのはフォースを信じぬく覚悟だ

「まぁ見てな。この先の道標位にはなるだろう」
子供達に笑んで前に出る

・戦闘
無刀の構えでゆるりと前進し、我慢できずに動いた奴等に刃を添える
フォースを信じる心が揺らがば負けだ
【覚悟、早業、残像、切断、覇気】

「お前さん方。死にたくなければ、そこを動くな」



●風桜子の導き
 騎士教練艦の空気は、神酒坂・恭二郎にとって懐かしいものだった。
 恭二郎はフォースナイトである。ゆえに、教練艦で鍛錬していた頃もあった。
 もう師もライバルだった姉弟子も此処には亡く――後者はこの手で討った相手だ。
 船は違えど目的は同じ。懐かしい空気が、束の間過去の記憶を想起させる。

 ――だが過去の記憶は、戦場の空気が上書きして、そよ風めいて去っていく。
 恭二郎は目を開いた。飛び込んできたのは、驚く若き騎士たち、そして敵の姿。
 こちらを警戒して身構える黒き暗殺者どもは、外套に身を包み姿を消す。
 子供たちは傷ついていた。戦力差は圧倒的、退かねばやられていただろう。
 しかし敵は退いた。そう――転移してきた恭二郎ひとりを警戒して。
「これも戦だ。子供が未熟なうちに叩くのも立派な戦略、卑怯とは言うまい」
 恭二郎はあるかなしかの笑みを浮かべ、姿なき敵を睨むように虚空を見つめた。
「だが、タダとは行くまい。対価は高くつくってことを覚えてもらうぜ」
 ポケットに手を突っ込んだまま、恭二郎はゆらりと一歩を踏み出した。
 その視線は、身動きが取れない子供たちと、教師らに注がれる。
「見るな、考えるな、感じるな」
 その声は不思議とよく届いた。
「――しかして、フォースの導きに従うべし。耳にしたことはあるだろう?
 フォースナイトの有名な導句さ。いまさら、俺が伝えるようなことじゃあないが」
 恭二郎は無刀である。構えていないが、それが彼の構えであった。
 その時、かすかに風がそよいだ。真後ろに現れる、刃を携えた暗殺者。
「あ、危――」
 子供が警告しようとした。だがその言葉が終わったときには用済みだった。
 ……一瞬のうちに、暗殺者は吹き飛ばされ、真っ二つになっていたからだ!
「「「……!?」」」
「まあ見てな。この先の道標ぐらいにはなるだろう」
 疾い。同じフォースナイトですら目視できぬほどの斬撃一閃。
 いつのまにか、その手には彼の得物があった。
 不意打ちは不可能と察した敵が、恭二郎を包囲した状態で姿を表す。
「お前さんがた。死にたくなければ、そこを動くなよ」
 恭二郎が言わずとも、誰も動けるわけがなかった。
 銀河帝国攻略戦を生き延び、数多の強敵を刀一本で屠り抜いた豪傑である。
 空気がピンと張り詰める。恭二郎は、にやりと不敵に笑った。
「風桜子の導きを、しかと見せてやる」
 かくして自由にして無形なる刃が、悪党どもに牙を剥く。

成功 🔵​🔵​🔴​

リア・ファル
★包囲艦隊を撃破する

覚悟と想いを抱く同胞よ
次代を担う、明日を託されし騎士よ

どうか彼らに戦う力と勇気を
ボクも戦い、ソレを示さなきゃね

「例え、帝国継承軍が大艦隊でキミたちを包囲しようが、諦めるないで。
苦しくても明日を目指し立ち上がる者へ、活路は拓かれるから!」
(鼓舞)

シャピアロン号の船首に立ち、『ヌァザ』を構える

「ヌァザ、虚数空間へアクセス! 次元門解放! 主砲を現実空間へマテリアライズ!」

リミット解除! 目標、帝国継承軍包囲艦隊!
いくよ、広域放射でぶっ飛ばす!
『ヌァザ』を空間に差し固定、『セブンカラーズ』で艦隊を狙う
(砲撃、リミッター解除、範囲攻撃、貫通攻撃)

UC【未来を拓く光芒一閃】!


ミレア・ソリティス
任務、了解しました。
ミレア・ソリティス、出撃します。

>包囲艦隊撃破

UC使用後、戦闘宙域外から『ノヴァ・バスター』により《砲撃》を行い、
『ジャミングミサイル』へ換装して戦闘宙域へ

ミサイル発射と同時に攻撃端末群と認識阻害の《ジャミング》を追加で展開、
『インパクトランス』『グライフフリューゲル』へと再換装し、
バリアフィールド展開して最大速度で敵艦へと《ランスチャージ》を仕掛けます

艦体を貫通するならそのまま突き抜け、
出来ないなら貫いた内部構造へと《零距離砲撃》、
下部の副腕(戦闘機下部にあるのでこの場合「爪脚」でしょうか?)で「蹴って」対象艦より離れ別の艦へと攻撃、を繰り返します

※アドリブ他歓迎です



●光芒ふたつ
 敵第7艦隊は、新たな増援によって包囲網を再形成しつつあった。
 シャピアロン号で包囲を突っ切るには、まだ船内の混乱も収まっていない。
 つまり、戦況はいまだ敵のほうに分がある。そういう状態だ。
「やっぱり、ダメなのか? 猟兵の力を借りても……」
 強力なハッキングにより掌握された船のシステムを奪取しようと、
 ブリッジで悪戦苦闘する非戦闘員のオペレーターが、口惜しげに言った。
 周辺宙域を示すレーダーは、おびただしい色の赤で染まっている。
 その中に、ふたつ。友軍であることを示す青い光が点滅した。
 片方は戦闘宙域の外、そしてもう一つは――包囲艦隊の目の前!?

「――たとえ、帝国継承軍が大艦隊でキミたちを包囲したとしても」
 そしてブリッジに、艦内に、戦うものたち全てのもとへ届いた通信。
 それは大艦隊の前に立ちはだかる、リア・ファルが送る声だった。
「諦めないで。苦しくても、辛くても、明日を目指して何度でも立ち上がるんだ。
 もしも世界がそれを否定したとしても、活路は必ず拓かれるんだから!」
 包囲艦隊の砲塔が、虚空に浮かぶリアひとりを狙って照準を定める。
「そうだ。ボクらが切り開いてみせる。あの、銀河帝国をも打ち砕いたように!」
 その時である――戦闘宙域の外から、すさまじく巨大な光芒が飛来した。
 光は包囲艦隊のど真ん中を薙ぎ払い、遅れて無数の爆炎が宇宙の闇を染める!
「て、敵攻撃は超遠距離からの主砲と思われます! 敵機高速接近中!」
「ええい、艦隊の陣形を再編成しろ! この程度は想定内だ!!」
 ある敵艦のブリッジは、怒号が飛び交う阿鼻叫喚の地獄絵図だった。
 そして戦闘宙域に飛来したのは、合体変形したミレア・ソリティスの機影!
『ノヴァ・バスター、冷却開始。ジャミングミサイル散布、戦闘に入ります』
 ミレア機は敵の通信を妨害する強力なジャミング兵器をばらまきながら、
 機体先端部にインパクトランスを展開。怒涛の勢いで艦隊へと挑む。
 状況をナビゲートしていた人々、そして敵艦隊のオペレーターは面食らった。
 たったひとりである。たったひとり――否、違う。リアもまた戦士なれば!
「ボクらには力がある。どんな恐ろしい敵をも打倒し、未来を掴み取る力が。
 キミたちが諦めないならば、ボクもまたその力で道筋を照らしてみせよう!」
 リアの背後、空間に魔法陣が浮かび上がり、次元が接続された。
「ヌァザ、虚数空間へアクセス! 次元門開放! ボクらもやるよ!!」
 多次元干渉魔剣ヌァザの導きにより、門から現れるは超巨大な戦艦主砲。
「主砲、現実空間へマテリアライズ完了――リミッター解除、目標、前方!!
 広域放射モード設定、エネルギー120% G.B.C、発射ぁーっ!!」
 先のノヴァ・バスターよりも巨大な重力波動砲が、混迷の戦場を劈いた。
 超弩級戦艦ティル・ナ・ノーグが誇る、グラビティ・バスター・カノン!
 その一撃は、ミレアによって混乱させられた敵艦隊に大きな痛手を与える!
『敵艦隊、損耗率50%を突破。追撃に移ります』
 ミレアは重力波動砲を躱しながら敵艦へ接近、エネルギーフィールドを展開。
 ランスの先端を鋒として、艦隊そのものを物理的に突破――そして、貫通!
 KA-BOOOM……巨大な帝国継承軍の軍艦が、たったふたりの猟兵に蹂躙される。
「う、撃て! 撃てーっ!! 敵を落とせーっ!!」
 思い出したような砲火が宇宙を切り裂く。だがもう誰にも恐れはなかった。
 ミレアは無数のビーム砲を躱し、次なる敵艦に狙いを定め吶喊していく。
 リアもまた、現実空間にマテリアライズされた主砲とともに進軍を開始!
「行くぞ、オブリビオン。この世界は、キミたちの好きにさせない!!」
 敵がもっとも恐れる猟兵の圧倒的な力が、いまここに出現したのである!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

祇条・結月
◆艦内で迎撃
騎士、か
たとえば僕がこの世界生まれだったら戦う生き方なんて選べたかな
騎士って柄じゃないね
ほんの少しだけ。がんばってみるって決めた普通の子供

僕はまともな斬り合いはできない。暗殺者の戦いかたはよくわかる
敵の奇襲を体ごとぶつかるくらいのつもりで止めて苦無を指して
……痛い、やっぱちゃんとした体術とか勉強しないと、って苦笑して

一緒に戦わせて
僕は見ての通りちゃんとした技術はないけど、っていつも通り

ハッキングに煙幕。電子・物理両面で視界がないとパニックにもなるよね
皆に鍵を掛けて保護
大丈夫、落ち着いて目を開けて
お互いを守りながら切り抜けること、考えて
僚友を守る、それだって立派な騎士の仕事、でしょ?



●子どもたちの戦い。
 ――祇条・結月は思う。
 もしも自分が、仮にこのスペースシップワールドで生まれたとして。
 強大なる悪を倒すため、フォースナイトになろうと思えただろうか?
 フォースナイトでなくともいい、戦う手段と、力はいくつもある。
 そのどれかを、自分から選び取っただろうか。戦うために道を決められたか。

 考えるまでもなく、答えはひとつきりだった。
(僕にはきっと、無理だろうな)
 やむを得ず戦うしかなかったのだとすれば、話は変わってくる。
 だがもし自分が、何の危険もない平和な宇宙船で生まれ育ったとして、
 安穏たる日常を捨て、戦場に出るために騎士を目指せたかどうか。
 ……出来るわけがない。騎士なんて柄ではないし、なによりも。
(戦わなくて済むなら、きっと僕はそっちの道を選んでる)
 猟兵になったいまだって、いつも恐怖を感じるし、孤独感を覚えるのだ。
 この力がない自分だったら、そんな勇敢な人生は歩めなかっただろう。
(でも、僕は決めたんだ。"ほんの少しだけでも、頑張ってみよう"って)
 結月はまだ子どもだ。
 世界は大きすぎて、酸いも甘いも噛み分けたと言うには若すぎた。
 それでも結月は戦う。その力が身体に宿っていて、見過ごせないものがある。
 だから、"頑張る"。勇敢な騎士でなくとも、ほんの少しだけ。
 恐怖を押し殺すにはちょっと頼りなくて……けれども、十分な理由だった。

 結月が救出した騎士たちは、年頃で言えば結月よりも若かった。
 姿なき暗殺者の攻撃を苦無で凌ぎながら、結月は彼らの身体を見る。
 負傷者が多い。戦闘続行が難しそうな者も少なくない。
(やっぱり、みんな勇気があるんだな。僕とは違う)
 余所見をしたせいか、背後に回った敵の刃が背中を浅く裂いた。
 逆に前に飛び込むことで深手は避けられた――けれども、傷がズキズキ疼く。
(痛い)
 やっぱりちゃんとした体術とか勉強しないとな、と彼は他人事めいて苦笑した。
 息を吸って吐く。警戒しながら、視線を向けずに若者たちに言った。
「一緒に戦わせて。僕にちゃんとした技術はないけど、でも」
 敵が仕掛ける。煙幕に紛れた同時攻撃――結月は直感に従い、跳んだ。
 その一瞬を攻撃ではなく、味方を保護するためのユーベルコードに費やす。
 がちゃり、と錠が落ちる音がして、半透明の結界が騎士たちを包み込んだ。
「これで、大丈夫。落ち着いて戦えば、もう怪我はしないよ」
 敵の追撃。結月は防ぐ――いや、防げない。刺突が入る。見てわかった。
 鈍化した世界の中、敵の攻撃を防いだのは……横から突き出された念の刃。
 フォースセイバーで串刺しにされたウォーマシンを、苦無で仕留める。
 二体目。抜き取った苦無を投げ、味方の斬撃と同時に電子頭脳を破壊。
「……よかった。一緒に戦ってもらえて」
 安堵する結月に、誰かが言った。
「どうして、そこまでしてくれるんですか」
 結月は笑って応えた。
「僚友を守る。それだって立派な、騎士の仕事でしょ?」
 結月はまだ若い。恐怖だって感じる普通の子どもだ。
 ただそれでも、彼は戦うことを諦めないし、逃げることもない。騎士のように。

成功 🔵​🔵​🔴​

ミハエラ・ジェシンスカ
船外に取り付いた暗殺者どもを掃討する
ヒヨッコどものお守りは他の猟兵に任せるとしよう
我が身の余計な疑念を晴らすのも手間というものだ

フォースレーダーによる【情報収集】
艦の構造及び敵影の捕捉を試みる
隠蔽外套とやら、通常のレーダーであればまだしも
サイキックエナジーによる索敵にどこまで対応している?

敵に先んじた捕捉が叶ったなら
【念動変異】を使用して我が身をエナジーと化し
霧散と実体化を繰り返して電子攻撃を回避しつつ
着実に【暗殺】して回る
悪いが、暗殺はそちらの専売特許ではないという事だ

若き騎士か
戦いそのものを悪と断じ
悟りめいた境地へと至ったどこぞの腑抜けどもに比べれば
戦う気概があるだけマシというものだろうよ



●外道騎士、戦場に立つ
 ミハエラ・ジェシンスカは、シャピアロン号の外を戦場に選んだ。
 彼女は外道の騎士である。ひよっこの世話など柄ではないしする気もない。
 猟兵は他の世界の人間に外見特徴で違和感を与えることはないとはいえ、
 相手はフォースナイト……その剣技を見れば悪辣ぶりは一目で知れよう。
 余計な疑念を払い説得するなどという手間が、億劫で仕方なかった。
 だから船外に飛び出した騎士たちが居ても、ミハエラは顧みなかった。
 彼女は外道の騎士である。そこに、守りという文字はない。

 ミハエラはフォースレーダーを起動しようとして、違和感を覚えた。
(……ハッキングか。なるほど、電子的な目は封じてくるというわけだな)
 姿見えぬ暗殺者たちの電子妨害により、ミハエラの昨日は大きく阻害された。
 ウォーマシンにとって、非常にやりづらい敵だ。だが身体の制御までは奪えない。
 だが、ミハエラは並のウォーマシンではない。フォースレーダーも特注品だ。
 敵の電脳魔術そのものを手がかりとして、位置を掴むなど造作もなかった。
 敵にとっては哀れなことに、そのハッキングが命取りとなったのである。
「――視えたぞ。そこだな」
 ミハエラが敵の位置を察知したのと、敵が不意打ちを仕掛けたのは同時だった。
 狙い通りの角度からの奇襲。逆手ナイフがミハエラの脊髄を貫いた。
 ウォーマシンであれ行動不能は免れ得ぬ一撃――の、はずである。だが。
「その程度の奇襲を、私が想定していなかったとでも思っているのか?」
『『『!!』』』
 ミハエラはまったく別の場所、すなわちウォーマシン部隊の背後にいた!
 傷はない。なぜなら彼女は被弾の瞬間にその身体をサイキックエナジー化、
 さながら霧に変じる吸血鬼めいて霧散し、背後に収束、実体化したのである。
 敵が振り向こうとする。だが遅い――ソードドローンが迸った。
「……す、すごい」
 戦いを、船外に飛び出した若き騎士のひとりが目の当たりにしていた。
 邪道の剣は、その目には鮮烈に映る。ミハエラは串刺しにした敵の首を刎ねる。
 そして、驚いた様子のフォースナイトを一瞥し、呟いた。
「戦いそのものを悪と断じ悟ったように気取る腑抜けどもに比べれば、
 戦う気概があるだけマシというものだ。しかし、ひとつ忠告しておく」
 ミハエラの身体が霧散する。言葉と声だけがその場に残った。
「――邪道の剣など忘れてしまえ。これは、正道の騎士が使うものではない」
 それは教訓か、はたまた警告か。
 外道騎士の心の内側は、誰にもわからない。

成功 🔵​🔵​🔴​

矢来・夕立
◆船内
暗殺部隊とは大きく出ましたね。
幾ら広いったって、セミプロ百人とプロ一人なら後者が良いのに。

【神業・否無】。
曲がり角は勿論、開けた一本道でもやりようはあります。
防火シャッターの隔壁。個室内からの不意打ち。古典ですが、ダクトとか。
どうせ機体間でデータの同期でもしてるんでしょう。
本職のやり方を勉強するいい機会ですよ。
学習したてでどれだけできるか、採点してあげます。

煙幕の対処については根回し済みです。

◆協力:煙幕内での立ち回り
隠密の授業をしましょう。各自これと感じた場所に隠れること。
目視、暗視装置、サーモセンサーなりで敵の位置を知らせてください。
左右上下のどれかひとつくらいで結構です。



●暗殺のイロハ
 プロフェッショナルが、なぜプロフェッショナル足り得るか。
 それはその人が身につけた技術が、他の何かでは補えないからである。
 芸術であれ学問であれ、人の技術や知識は長い時間をかけて積み重ねるもの。
 スキルが突出していればしているほど、それを代替することは困難になる。
 たとえ量を水増ししたところで、ずば抜けた一の質を補うことは出来ない。
 芸術でも学問でも――暗殺稼業でも、それは変わらない法則(ルール)である。

 ウォーマシン暗殺部隊は、なるほどたしかに優れた集団だった。
 電子妨害によって敵の目を奪い、足を奪い、そして姿を消して包囲する。
 効率的なやり方だ。戦闘において数の利を覆すことは難しい。"普通であれば"。
 プロフェッショナルは"普通"ではない。"普通"であってはならないのだ。
 それがプロフェッショナル……矢来・夕立の、流儀(スタイル)のひとつ。
「55点ですね」
 脊髄部分を串刺しにされたウォーマシンが、火花を散らしながら倒れた。
 突然のことだった。ウォーマシンにとっても、襲われた騎士たちにとっても。
 警戒していた騎士たちの背後に姿を現し、不意打ちの一撃で殺す。
 ――訂正しよう、"殺そうとした"。その時、もうウォーマシンは死んでいた。
 そのさらに背後に、いつのまにか黒衣の少年がひとり佇んでいた。
 姿が視えたときにはすでに、彼の手の中にある苦無が刺さっていたのである。
 レンズがぎらりと逆光で覆われた。無表情の下の心は誰にも悟れない。
「あなたたちの手際は観察させてもらいましたが、数に頼りすぎています。
 もともと、捨て石前提といったところですか。そこだけは気に食わないですね」
 敵は、猟兵が作戦を妨害することを織り込み済みで動いている。
 その戦術に乗ってやるのは、夕立としてはあまりいい気分がしない。
「――まあ、それならそれで、乗ってやった上で叩き潰すまでですが」
 夕立を横合いから襲う不可視の刃。首を狙った斬撃、だがその姿がブレる。
 空蝉である。まるで少年漫画のように、夕立は敵の背後を取っていた。
 すでに暗殺は済んでいる。倒れ込む二体目、子どもたちには目視出来なかった。
「煙幕があるんでしょう? どうぞお使いください」
 夕立の言葉に従ったわけではないが、ウォーマシン部隊は煙幕弾を射出。
 もくもくと煙が立ち込め、敵の姿を覆い隠す。夕立は子どもたちを一瞥した。
「隠密の授業をしましょう。目視でも心眼でも機械でもなんでもいいので、
 各自で敵の姿を探し、知らせてください。オレはそれを頼りに殺します」
「え……」
「出来なければ死にますね。ではどうぞ」
 夕立の姿が消えた。授業と言うにはずいぶん手荒く、そして無愛想だ。
 しかし若者たちとて、このまま助けられたままでいるつもりはない。
 感覚を研ぎ澄ませ、サイキックエナジーの力で敵を探ろうとする。
(――セミプロを揃えた程度でこちらに対抗できるつもりではないでしょうし)
 そんな彼らの不意を打とうとした敵を殺しながら、夕立は思った。
(せいぜいプロの手際を見せてやりましょう。どうせデータ収集してるんですから)
 プロフェッショナルにはプロフェッショナルなりの矜持というものがある。
 挑戦状を叩きつけられて黙っているほど、夕立は甘くはなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アレックス・エイト
◎包囲艦隊を撃破する
よもやこの世界に帰ってくる事になろうとは
…いえ、感慨に耽っている場合ではありませんね
首尾良く船内の防衛に成功しても、艦隊をどうにかせねば袋の鼠に変わりありません
ここは打って出ましょう

ブランクはありますが、宙間戦闘もこなしてみせます
船外に出てすぐに詠唱を開始し、自分を中心に敵艦隊まで魔法の雷雨で【範囲攻撃】
範囲内の敵艦載機やウォーマシンの隠匿性能や速度を濯ぎ落とし、迎撃に出ている騎士達を援護します
貴方達は、貴方達の護るべきものを護って下さい

敵艦隊への雷雨の到達を確認
私も、私の護るべきもの…若き騎士達の未来への道を護りましょう
装甲性能を濯ぎ落とした敵艦隊へ雷の巨鎚を叩きつけます



●帰り来たりし故郷
 思っていたよりも、感慨はなかった。
 そんなセンチメントを感じるには、状況が切迫しすぎていたというのもある。
 だがアレックス・エイトは、あまりに長くこの世界を……故郷を離れていた。
 赤子の頃の記憶を多くの人々が忘れ去ってしまうように、
 在りし日の思い出は、突然に旅立ってからの日々で上書きされていたのだ。
 その事実は嬉しくもあり、やはり寂しくもあった。
 状況的に浸るわけにはいかないのが、何よりも悲しかったが。

 宇宙の無重力がアレックスを出迎える。
 重力のくびきを魔力で解き放つのとは、似ているようでまるで違う感覚。
 ボディは自分が意識する以上に自然に動いた。やはり、ここは故郷なのだ。
『ブランクはありますが――』
 敵はそんなものを考慮してくれない。いやむしろ格好の獲物も同然だろう。
 アレックスを狙ったビーム砲が飛来する。ややぎこちない身体制御で回避した。
 二手、三手、四手――淀みない飽和攻撃。敵はかなりの手練と見えた。
 戦いに飛び込んだ途端、アレックスの動きは往時のそれと遜色なく動いた。
 まるでスポンジが水を吸収するように、動きを"思い出して"いく。
 ウォーマシンとしての本能とでも言うべきなのか、物悲しさがある。
『"鳴神の咆哮は、猛き勇士に恵みと勝利を齎す――"』
 呪文詠唱、魔法の雷雨は宇宙の闇の中を蜘蛛の巣めいて急速に広がる。
 シャピアロン号に取り付く黒き暗殺者どもを、近づきすぎた艦隊を飲み込み、
 さらに広がる。ビーム砲、宇宙魚雷、ミサイル攻撃。雷雨で迎撃していく。
『私は永くこの世界を離れていました。しかし、遅れを取るつもりはありません』
 ドォン――と、艦隊の中心でひときわ巨大な稲妻の花弁が花開いた。
 遅れて、撃墜された戦艦が爆炎に変わり、暗黒の宇宙に華々しく咲き誇る。
 護るべきもの。故郷を離れ、数奇な運命をたどった自分が護るべきものはなんだ。
 故郷の平和? それもあろう。
 同じ猟兵? それも正しい。
 だが、騎士たる己が護るべきものは、それは。

 アレックスは、呆然と雷雨の破壊を眺める騎士たちを見やり、言った。
『あなたたちは、あなたたちの護るべきものを護ってください』
 ――私は、若き騎士たちの……あなたたちの未来への道を護りましょう。
 言葉の代わりに新たな術式を編み上げる。
 迸る稲妻は、雷神の槌のごとく、邪悪を退け未来への活路を切り開くのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

ティー・アラベリア
ご家庭用人形ティー・アラベリア、参上いたしました。
今回はどのような―――。
零式短魔杖から高密度魔力の刃を生成する。
…なるほど、状況は概ね理解致しました。

戦闘時リソース配分を修正。戦闘用人格オフライン。
プライマリを指揮通信機構及び魔導波探信儀に設定。

相手は隠密戦闘に特化しているのですね。
今回は索敵と情報処理要員に徹しましょう。
魔導波探信儀と斥候妖精で取得した敵味方の位置情報を艦内地図にマッピングし、指揮通信機構を用いて味方に連携致します。
敵味方の位置情報がリアルタイムに伝達できれば、フォースナイトの皆様のお力を十分に発揮できるでしょう。
奉仕人形たるボクを、どうか存分にご活用いただければ幸いです。



●献身
 ガ、ガッ、ガッ――バチバチバチッ!!
「くっ!!」
 フォースセイバーと実体剣が交錯し、相殺されたエネルギーが仕手を焼く。
 死角から放たれた斬撃を防いだ少女は、歯噛みして苦痛をこらえた。
「この、くらいでぇっ!!」
 フォースの刃に反発力を生じさせ、刃を弾く。敵ウォーマシンは飛び退る。
 踏み込み、横斬撃を放つ――届かない。外套のせいで間合いを見損なった。
(やられる!?)
 少女はこの教練艦では、トップクラスに位置する秀才だった。
 ゆえにわかった。今の自分は隙だらけで、そして敵の狙いに嵌ったと。
 負傷した仲間たちが何かを叫んでいる。声が聞こえないのはアドレナリンのせい。
 異常緊張による主観時間の鈍化……つまり、自分は臨死状態にある。
 弾かれたはずの刃が、首筋を狙いゆっくり落ちてくる。ギロチンめいて。
 死ぬのか。こんな形で、ここで、こんなところで――!

 降ってくるはずだった死の刃は、ぱきん、と音を立てて砕けた。
「え?」
 何が起きたのか。理解したのはすべてが終わったあとである。
 少年がひとり。少女騎士をアクロバティックに飛び越えていた。
 少年の手には剣……いや、杖?……が一振り。フォースに似た非物質的刃。
 それが敵の実体剣を叩き斬り、しかも胴体まで両断しているとわかったのは、
 くの字に折れ曲がったウォーマシンが、壁に激突し爆砕したあとのこと。

 少女は倒れ込んだ。そして、ようやく周囲の状況を理解する。
 他に数体居たはずのウォーマシンが、すべてバラバラになっていた。
 仲間たちがやったわけはない。では、この少年が……?
「ご家庭用人形ティー・アラベリア、参上いたしました」
 少年は服の裾をつまんでカーテシーをしながら、にこりと微笑む。
「今回はどのような――と、なるほど」
 敵を一瞬で屠っておきながら、少年はいまさらのように周りを見た。
 "朝飯前"だったということだろう。状況を理解するまでもなかったということだ。
「状況はおおむね理解いたしました。しばしお待ちくださいませ」
 少年は目を瞑り、1・2秒ほど停止……キュイン、というかすかな駆動音。
 その一瞬で、彼の中で多彩な変化が起きていたことは一見ではわからない。
「リソース配分の修正、およびシステム最適化完了。これで問題ありません」
「ど、どういう意味……」
「相手は隠密戦闘に特化しているのございましょう? センサー類を調整しました。
 さきほどは瞬時に片付け終わりましたが、この状況は戦闘用人格では"手間"です」
 つらつらと述べる少年の言葉は、少女には一割も理解できない。
「索敵と情報処理要員として皆様をサポートいたします。どうか存分にご活用を」
「……えっと、つまり。敵の場所は探るから、わたしたちに任せる、ってこと?」
「それが最適と判断いたしました。ご命令があればプランを変更いたしますが」
 少女は呆気にとられつつ……立ち上がった。その目は生気を取り戻している。
「いいえ、それでいいわ。この船は、わたしたちの船だもの」
「ご納得いただけたようで嬉しく思います」
 ティーの実力ならば、敵ウォーマシンの相当は難しくない。
 しかし騎士たちと連携し、かつ船の損傷を可能な限り抑えて戦う。
 それはたしかに"手間"だ。ゆえにこれが、もっとも効率的であった。
「奉仕人形たるボクを、どうか存分にご活用いただければ幸いです」
 頼もしいはずの人形の一礼は、少女にはどうしてか不気味に映った。
 献身的なその笑顔は、何か恐ろしいもののように思えてならなかったからだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

フリージア・プロトタイプ
・静かな怒り
この世界は…戦いを経て平和を取り戻したのだろう
…お前達は、そんな世界を再び侵すのか

…その上
お前達の狙ったここは、子供達の…未来ある人々の学び舎なのだろう
過去からの異物であるお前達が、生命の未来を奪う…
そんなことが、許されるわけがないだろう…ッ!


交戦においては周囲の味方が狙われていればそちらの対処を優先
周囲への気を配りつつ、敵を各個撃破していく

…ッ、こいつら…姿を消しているモノもいる…?
それに動きが速い…
味方に背を預ける、壁を背にする等の立ち回り

壁を背にされれば、仕掛けてくる方向も限られるだろう
壁を背にして居合の構え
UCを発動して敵を一閃する



●拳震わせて
 人は弱い生き物だ。
 何かを奪われてしまえば、たとえ取り戻したとてすべてはもとに戻らない。
 奪われたものが大事なものであればあるほど、不可逆の変化は重たくのしかかる。
 この世界は平和を取り戻した――取り戻した? たしかにそれはそうだ。
 だが、そのためにどれだけの血が流れた。
 どれだけの人々が死んだ。
 どれだけの争いが起きた。
 平和は綺麗事の理想論などではない。その礎は、血でどす黒く濁っている。

 そればかりか、奴らは子どもを殺すのだという。
 過去が、未来を奪う。オブリビオンの原理欲求にもっとも忠実で効率的な作戦。
 フリージア・プロトタイプは拳を握りしめ、わなわなと震わせた。
 見過ごせない。
 見過ごせるわけがない。
「……お前たちは」
 空気を張り詰めさせるほどの怒りは、無慈悲なウォーマシンすらも縫い止めた。
 致命の刃を振り下ろそうとしていた敵集団は、フリージアひとりに向き直る。
 そして、動かない。否、動けない――猟兵に対する警戒ゆえに。
「犠牲の果てに平和を取り戻した世界を再び侵し、人々の未来を奪おうとする。
 過去からの遺物であるお前たちが、子どもを殺し世界を滅ぼそうとする」
 みしみしと拳が鳴る。
「そんなことが、許されるわけがないだろうッ!!」
 フリージアは床を砕きながら、一瞬にして音速に到達し、踏み込んだ。
 それが戦いの再開を知らせるゴングとなった。

 フリージアが何よりも最優先したのは、フォースナイトたちを護ること。
 騎士を殺そうとする敵がいればそれを叩き、時には身を以てかばいすらする。
 高速の戦闘は、未だその領域に届かぬ若者たちにとって未知の世界だった。
 刃と刃が撃ち合い火花を散らす。フリージアは傷の痛みを怒りの炉に叩き込む。
「認めない。お前たちの狼藉など何一つ認めない。侵略も、殺戮も、何もだ!」
「――危ない!!」
「ッ!」
 ある騎士の警告の声、同時にフリージアは背後からの殺気に気付いた。
(ステルスか! こいつら、私と戦いながら姿を消して包囲網を……!)
 振り向き剣を受けるには、間合いが近すぎる。だが!
「うおおおおおっ!」
 声をあげたのと別の若き騎士が、命がけのタックルを仕掛けた。
 逆手ナイフをフリージアめがけ振り下ろそうとしていた敵が吹き飛ばされる。
「……ああ、そうか。そうだ」
 フリージアは理解した。この怒りは、敵意は、私だけのものではないのだと。
 彼らもまた戦士。そして、虐げられたこの世界の住人であり、当事者なのだ。
「――感謝する、騎士よ!」
 フリージアは快哉めいて叫び、吹き飛ばされた敵に追いつき、仕留めた。
 ぐったりとした機体を蹴り飛ばし、あえて壁に近づいて退路を断ったのだ。
 もはや背後に回ることは出来ない。襲いかかる敵は、見えなくとも"わかる"。
「紫電の閃きにて潰えろ、外道ども」
 底冷えするような声と、半円を描く紫電の一閃は同時だった。
 なにもないはずの空間に、バチバチと両断された機体が浮かび上がる。
 そして爆炎――爆風がフリージアの黒髪を、ばさばさとなびかせた。
「私は、お前たちの所業を決して許さない」
 この怒りは己だけのものではない。彼女は、それを心から嬉しく思った。

成功 🔵​🔵​🔴​

ユーノ・ディエール
■包囲艦隊を撃破する

ワープアウト直後から三連念動衝撃砲を乱射して戦闘宙域へ突撃
シャピアロン聞こえますか? こちら航宙巡洋艦アルナージュ
これより貴艦を援護します! 撃ち方始め!

砲撃戦をしつつ回避機動で敵艦隊を牽制する
流石に継承軍は伊達ではないと……ならば!

シャピアロンの艦内放送をハッキングしフォースナイト達へ呼びかける
これより敵艦隊中枢へ特攻を掛けます!
この艦は念動力を増幅し力に変える――だから
あなた達の力が必要なのです! どうか、この声が届いているならば!
数多の念動力を受けてアルナージュを特攻形態へ変形し
艦首回転衝角の出力を最大に! そして! 突撃ッ!
全ての悪意はこの螺旋が骸へと還しましょう!


アシェラ・ヘリオース
【包囲艦隊を撃破する】

「私が連中の子守とはな…‥」
因果の巡りに苦笑する

方針
「これより敵包囲艦隊を叩く。余力のある者は続け!!」
【威厳】のある声で宣言する
増援と同時に敵艦隊の動きが鈍っている。クローン兵任せだろうと【戦闘知識】で当りをつけた
食い破るなら今が好機だと判断する

方針は自身を先頭に騎士達と【空中戦、集団戦術】
先制で【メカニック】で見出した敵艦隊の艦橋、出力系を次々とロックオンし、「黒捷猟犬」を解き放つ【念動力、砲撃、誘導弾、乱れ撃ち、貫通攻撃、部位破壊】

「足を止めるな! 加速度で思うさま殴りつけろ! そして離脱だ!!」
若手が多いので深追いはなし
味方陣営を【鼓舞】する戦果を得て離脱したい


トルメンタ・アンゲルス
◆包囲艦隊の撃破

未踏の領域を拓いたと思ったら、また侵略者ですか!
いいでしょう、誰であろうと何度来ようと、全て叩き潰すまで!
行くぞ相棒!
変身!アクセルユニゾン!

さぁ、退き口を拓くとしましょう!
感知されるよりも速く、全力の光速ダッシュから、一番デカそうな戦艦を蹴り穿ちましょうか!
そのまま物理法則を無視した軌道で残像を残しながら突っ走り、片っ端から吹っ飛ばして行きますよ!

そして第六感で奴らの動きを見切りながら。惹き付けて集めましょう。
速い奴の相手は群で潰そうとするでしょうからねぇ。
そこがねらい目――
『Multiple Capture――』

――吹っ飛べ!
『――SuddenStorm』

さぁ、次だ!



●そのはらわたを食い破れ
 敵部隊の増援到着と同時に、艦隊による包囲網は着実に狭まりつつあった。
 猟兵側の攻撃によって艦数が大きく減ったために、あえて前に出たのだ。
 包囲網を維持するためには数が足りない。ならば輪そのものを縮めればよい。
 包囲網を解けない以上は必然の消極的前進である。戦況は有利になりつつあった。
 しかしそれは、シャピアロン号がより戦火に見舞われるということでもある。
 艦隊の砲撃がいよいよ船を掠め、戦闘宙域は混迷の度合いを深めていた。
「こうなったら、こっち側から攻め込むしかない!」
「無茶だぜ、船内のイニシアチブだって取り戻せてないのに!」
 船外に飛び出した若きフォースナイトたちは、どうすべきかを話し合う。
 統率すべき教師陣は船内で必死の対応に追われており、ままならない。
 どれだけ優れたフォースナイトも、指揮官がいなければ烏合の衆なのである。

 その時だ。
『聞け、若き騎士たちよ!!』
 各員の宇宙服に入ってきたのは、凛々しい女の声であった。
 そして騎士たちは見た。宙域に浮かぶ、不吉な黒衣の外套を。
「て、帝国騎士!? いや、違う……猟兵……?」
 思わず口にした少年騎士の言葉は、正しくもあり間違ってもいた。
 たしかにその女――アシェラ・ヘリオースは、かつて帝国に与していた者。
 しかしいまは猟兵として、銀河帝国と袂を分かちあの戦争を終えた身である。
(……私が連中の子守りとはな。因果の巡りとは実に数奇なものだ)
 アシェラは内心で皮肉な運命に自嘲の笑みを浮かべつつ、声を張り上げた。
『これより敵包囲艦隊を叩く。余力のある者は私に続け!!』
 騎士たちは顔を見合わせた。猟兵ならば、手を貸すには吝かではない。
 しかしフォースナイトとしての本能が、拭い去れぬ闇の気配を感じ取っていた。
 アシェラはそれも想定していた。ゆえに、彼女はこう続けた。
『私を疑う気持ちはわかる。しかし、今は正邪をどうこう言うときではない。
 この船を、自らの命を、信念を守りたいと願うならばともに戦うときだ』
 そしてわざとらしく、バイザーの下で不敵に笑った。
『それとも、恐ろしいか? 敵が』
「そ、そんなことは……!」
『案ずるな。味方は私だけではない』
 食ってかかった少年騎士に対して、アシェラは言った。
 同時に戦闘宙域を貫いたのは、ふたつの光だった。
 光よりもなお疾く駆け抜ける緑色の流星。
 そして、敵艦隊の砲撃を相殺し牽制する、念動衝撃砲の弾幕。
『言っただろう、味方は私ではないと』
 アシェラの言葉を裏付けるように、新たな猟兵たちが参着したのだ。

 ――戦場を駆け抜ける緑の流星の名を、トルメンタ・アンゲルスと言った。
『うおおおおおおおおおッ!!』
 相棒と変身(アクセルユニゾン)を果たしたその身は、鋼の騎兵となる。
 かの銀河帝国攻略戦ですら、誰にも追いつけぬスピードを見せつけた戦乙女は、
 いまや念動衝撃砲の光芒をすら追い抜き、次々に戦闘艦を叩き落としていく。
 物理法則を無視したジグザグ軌道が、天を焦がす稲妻じみて緑のサインを描いた。
『トルメンタさん、こちらも援護します! 前に――』
『出過ぎないでください、とでも言うんですか? ユーノさん!』
『――いいえ』
 念動衝撃砲を乱射する『万能航空巡洋艦アルナージュ』を駆るのは、ユーノ・ディエール。
 彼女は口元にニヤリと不敵な笑みを浮かべて、こう返した。
「"存分に前に出てください"と言おうとしたんですよ」
 ユーノは戦友として、トルメンタの力量をよく知っている。
 トルメンタもまた、ユーノの力量を知っている。ゆえに遠慮はなかった。
 ユーノでは、トルメンタの速度に追いつくことは出来ない。
 だがトルメンタも、ユーノの火力と汎用性には一歩劣る。
 であれば互いにそれを補う。即席の連携と戦術こそが猟兵の華。ならば。
「シャピアロン、聞こえますか? こちら、航空巡洋艦アルナージュ。
 これより我々は貴艦を援護します! ――撃ち方、始めっ!!」
 シャピアロン号へ通信を送り、そして三連念動衝撃砲の照射を再開する。
 しかして敵も伊達ではない、猛烈な反撃弾幕がふたりを襲った。
『この俺を前にして! 後ろを気にしている余裕があるとでもォッ!!』
 そこをトルメンタが貫く。光速レベルの異次元的スピードによる激烈チャージ!
 前に出すぎた艦隊を強烈な連続キックでふっ飛ばし、次へ次へ次へ次へ!
『まだまだ! まだまだですよ侵略者ども! 何度でも叩き潰すまでッ!』
『トルメンタさん!』
『どうしました!? まさか増援ですか? なら俺が――』
『増援は増援でも、シャピアロンからの増援がそちらに向かっているとのことです!』
『……へえ、それは心強いですねえッ!』
 トルメンタは迎撃対空砲火を回避、鋭角的軌道を描きながら残像で翻弄した。
 そしてユーノの通信通り、シャピアロン号から何人もの騎士たちが到着する。
 彼らの指揮を取るのは、信頼を勝ち得たアシェラその人であった。
「いいか。敵は船を堕とすために特殊部隊を放った。だがそのぶん艦隊の動きが鈍い。おそらく、クローン兵に任せているのだろう」
 アシェラは勇気あるフォースナイトたちに対して語りかけた。
「ゆえにそこが狙い目だ。このまま連携し、奴らのはらわたを食い破るぞ!」
「「「……応っ!!」」」
 猟兵たちの戦いぶりに激励されたフォースナイトの戦いぶりは、勇猛であった。
 トルメンタが遊撃役として敵の連携をかき乱し、そこを騎士たちが突く。
 アシェラもまた、フォース誘導弾によって艦隊を次々と撃破していった。
「これだけのサイキックエナジーが集まっているいまなら……!」
 ユーノはアルナージュを特攻形態へと変形させ、フォースナイトたちに呼びかける。
「これより本艦は敵艦隊中枢へ特攻をかけます!
 そのために、あなたたちの念動力を私に貸してください!」
 勇気を振るうフォースナイトたちが、これを断るはずもなかった。
 目に見えぬサイキックエナジーが、思念の力が、アルナージュに満ちる。
「主機回転数上げ! 艦首回転衝角、出力最大! 全艦全速……!
 アルナージュ、特攻形態で目標を撃ち砕きます! 合わせてください!」
『こちらアシェラ、了解した』
『同じくトルメンタ、了解ッ!』
 回転衝角突撃! 艦隊は両翼に散って逃れようとするが、こちらが早い。
 吶喊に巻き込まれた艦は次々に螺旋に呑まれ、バラバラに引き裂かれて爆散した。
「足を止めるな! 加速度で思う様殴りつけろ! そして離脱だ!!」
『退きましたね? そこが狙い目――さあ、吹っ飛べッ!!』
 左翼になだれ込むフォースナイトたちの乱撃が、敵艦隊を追撃、撃破!
 一方右方では、トルメンタの全身から迸る無数のレーザーが敵艦隊を撃沈!
 猟兵、そしてフォースナイトたちの連携攻撃が、包囲網のはらわたを食いちぎり突破口を切り開く!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

神元・眞白
【SPD/割と自由に】シンさん(f13886)と一緒に
久しぶりの宇宙の世界。お爺ちゃん達の船では……なさそうですね。
初めての船ですし探検もしたいのですけれど、そうは言ってられませんか。

シンさんが先行するので私はその後追いに。飛威、ついていって。
連携をするといっても即興の連携は穴があるもの。補佐を、お願いね。
でも自信をつけることも必要でしょうし、目立たないぐらいに。

直接的な攻撃はシンさんや他の方で対処できるでしょう。私は後詰。
こんなことがあると思って前にオペレートの体験をして正解でした。
本職の方には負けますが少し端末を借りて電子の世界にプラグイン。
ハッキングをできていると思ってもらいましょう。


シン・コーエン
眞白さん(f00949)と

訓練生と教官を護るのは現役として当然。
船内戦闘で先鋒となり、フォースナイトと連携。

すぐにUC発動。
【第六感・失せ物探し】で敵捕捉。
【結界術・高速詠唱】で防御結界展開し、【第六感と見切り】で敵攻撃を読み、結界と【灼星剣の武器受け】と【オーラ防御】で味方の盾に。

通路では【ダッシュ・自身への念動力】で加速、【衝撃波・炎の属性攻撃・鎧無視攻撃・貫通攻撃】による通路全体を貫く【範囲攻撃】と化して敵群にダメージを与えた後に、仲間と掃討。

広い場所では【自身への念動力・空中戦】で自在に動き、灼星剣と村正を振るっての【2回攻撃・衝撃波・風の属性攻撃・鎧無視攻撃・範囲攻撃】で纏めて斬る!



●今を生きる者として
「――そこかッ!」
 シン・コーエンは五感ではなく第六感を頼りに敵の姿を探る。
 高度なステルス状態にある敵は、視覚や聴覚ではまず探知出来ない。
 フォースナイトとして鍛え上げられたサイキックエナジーだけが物を言う。
 だが厳密に言うと、いまのシンを護るのは自前の第六感だけではなかった。
 狙いは当たる。左斜め後ろに潜んでいたウォーマシンの刃と光剣が激突。
 バチンッ!! とスパークを散らしながら、二度、三度と刃がぶつかりあった。
『シンさん、別働隊が接近中です。注意してください』
「心得た!」
 シンを補佐するもうひとつの力……それは神元・眞白のナビゲートだ。
 強力なハッキング下にあるこの船内では、通信は途切れやすく不安定である。
 それを中継する戦術器がいてくれなければ、ホットラインは維持出来まい。
 シンは防御結界を展開し、別働隊による横合いからのナイフ投擲を防いだ。
 結界と刃が干渉し、バチバチと電光が通路を照らす。シンは動きを止めない。
「現役のフォースナイトとして、この状況を黙ってみていられるものかッ!」
 シンは防御結界を破りかけた刃を灼星剣で切り払い、猛然と敵へ吶喊する。
 敵は飛び退りステルスモードに入ろうとする――だが遅い。踏み込みの差だ!
「もらった……!!」
 斬撃到達。前のめりの刺突で胸部を貫き、銛めいて引き込んでからの横薙ぎ。
 胴体を両断されたウォーマシンは悶え苦しみ、派手に爆発した。
『敵二体、付近に潜んでいます。目眩ましに惑わされないで』
「……!」
 眞白の警告がなければ、シンは最悪致命傷を受けていたかもしれない。
 敵は友軍機が爆発したのを囮に、爆煙に紛れて死角に回り込んでいたのだ!
 突き出されかけたy刃は、眞白の電子的妨害によりわずかコンマ秒遅れる。
「味方すらも捨て石代わりか、度し難い!」
 シンは冷静にこれを袈裟懸けに両断し、さらなる追撃を警戒して飛び離れた。
 その時、サイキックエナジ-――フォースが危機を知らせる。ただし他者のだ。
(眞白さんが危ない? いや、この感じは……)
 一瞬の懸念。シンは叫んだ。
「眞白さん、近くに戦闘中のフォースナイトは?」
『……見つけました。その通路を抜けた先にある運動場です』
「やはりか! そちらへ向かいます、ナビゲートを!」
『はい』
 シンは敵の追撃を押しのけ、危険を顧みず通路をまっすぐに突っ切った。
 そして破壊された扉を蹴破る。運動場には包囲されたフォースナイトたちが!
「俺の目の前で、そんなことをさせはしないッ!」
 シンは念動力へ自らの身体を"押し"、驚異的速度で空中を滑空した。
 そして包囲網を背後から強襲、目が覚めるほどの鮮やかな剣技で敵を三体撃破!
「みんな、大丈夫か? 俺は君たちを助けに来た。一緒に戦わせてくれ!」
 窮地を救われたフォースナイトたちは、一も二もなく頷いた。
 敵が再び包囲網を構築する……しかし、シンの表情に恐れはない。
「こちらには勝利の女神がついている。悪いが、負けるつもりはないぞ」
 シンの頼りとする目はひとつきりではない。電子世界からの援護があるのだ。。
 白亜の乙女の加護があると思えば、どこまでも戦える。シンは心からそう思った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ロク・ザイオン
★レグルス
・艦内戦

(艦への電子戦はジャックに任せる
目の前の敵は己が請負おう
艦内を【地形利用】し皆を【庇い】ながら
暗殺、工作をさせる隙は【野生の勘】で潰し
白兵戦一本に持ち込ませる)

キミたちは、生きろと祈られたのだから
……約束を果たせ。

おれたちには、
キミたちには、
――――やるべきことがあるだろう!!!

(「啀呵」の【大声】で皆を【鼓舞】
戦えるものは己に並べ
背後を守るなら道を探れ)

宇宙が海なら、渡るには力が必要だ。
思いっきり暴れて生き延びろ
ついでに首のひとつも持ち帰るといい。
おれが守るから。

(初陣が大事なのは、森も海も、宇宙も一緒だ)


ジャガーノート・ジャック
★レグルス
・艦内戦

(電子戦は本機が担う。この程度、端役の業を知っていれば余程御し易い。【ハッキング×学習力×戦闘知識】
白兵戦に持ち込めば此方の領分だ。)

(ザザッ)
"騎士"か。

(記憶を失って以降、大事な何かを欠いてしまったらしい在り方。未だ失われた記憶に歯痒さも感じる。が)

(全てを失った訳でもない。"剣狼"を握り)

その在り方が"守る"為のものである事は理解できる。
ならば騎士の名に掛けて
守れ。
弟子を 師を 隣の誰かを
他ならない自分の命を
お前達の握った剣で!

(言葉も乗せて剣を振り
破邪閃が轟かす空気に乗せ鼓舞を送る。【コミュ力】)

行け、宇宙の騎士達。
その称号が飾りではない処を知らしめてやれ。(ザザッ)



●この宇宙(そら)で得たもの
 スペースシップワールドに来るたび、ロク・ザイオンは思い出す。
 銀河帝国攻略戦のなかで、己が得たもの、失ったもの。
 かけがえのない盟友と、思い出と、傷跡と、激闘と、痛みと。
 苦しいものもたくさんある。けれど、すべてが輝く宝石のような記憶だ。
 そして思うのだ――あの頃に比べて、自分はなんと多くを得て失ったものかと。
 ……いや、"失った"というのは、実のところ正しくないのかもしれない。
 ただ、"気付いていなかった"、"知らなかった"だけなのだから。
 叶えられないねがい。背負わなければならない呪い。痛みと、悼み。
 あの時悪夢で垣間見た風景のほうが、いっそずっとマシだった。
 ――それでもやはり、この世界は多くのものをくれたのだ。
 相棒との思い出も、
 もうひとつの故郷も、
 人として戦うことの、重さも、大切さも。

 スペースシップワールドに来るたび、ジャガーノート・ジャックは思う。
 それは喪失の痛み――いや、痛みすらない、空虚な無力感。
 己は、"きっと"大事なものを欠いてしまった。"おそらく"とても大事なものを。
 それがどれだけ大事だったのか、聞いたとしても思い出せない。感じられない。
 "理解できない"という事実が、かえって取り返しのつかない悲しみを増幅する。
 奪われたものはいまだ取り戻せていない。過ちはなおものしかかる。
 歯痒かった。
 辛かった。
 ――だがすべてを、失ったわけではない。
 銀河帝国攻略戦での戦い。喪失は逆に"それ以外"の記憶をより強める。
 相棒の言葉が正しいなら――疑うはずもないが――"あの男"は大事な存在なのだという。
 それだけではない。戦いの中で、忘れてしまった軌跡があるのだという。
 交わした言葉。
 噛み締めた痛み。
 過ちは教訓という傷跡をくれる。それはまだ己の中にかろうじて残っている。
 "騎士"という言葉は、特にその陥穽を、記憶の虚(うろ)を強く吹き抜けた。
 奪われたものはいまだ取り戻せていない。過ちはなおものしかかる。
 それでも、歩むことをやめるほど、もう彼は弱くはないのだ。

 影が跋扈する。
 刃を振り上げ、死神を嘯き、その生命に価値なしと運命を押し付けようとする。
 ロクは燃える剣を振るい、たてがみを燃やし、吠えた。
 ジャックは狼の牙を手に、電子の軛を断ち、誇りを掴んだ。
 けだものと堕して欲望のままに貪食した記憶がある。
 悪夢に挑み、苛まれ、痛みと引き換えに勝利した記憶がある。
 影よ、影よ、知るがいい。貴様ら如きは死神ですらない。
 所詮は我らが踏破してきた、踏破していく、数多の残骸のひとつに過ぎぬ。
 奴らは声なくして、言葉なくして、若き者たちにこう突きつけるのだ。
 その生、その努力、その生命、すべて無為なり。すべて無価値なり。
 今ここで汝は死ぬさだめ。何も出来ぬまま、何者でもないまま死ぬがいいと。
 貴様らに、出来ることなどないのだと。傲慢に死神を気取って。
 少年たちは、少女たちは、抗おうとしていた。
 傷だらけで、怒りを言葉にして、剣をがむしゃらに振るって。
 ふたりの目には、かつての己たちの姿が、そこに重なって見えた。
 だからどちらともなく、声を――ことばではなく声を、吐き出していた。

「……キミたちは、生きろと祈られたんだ」
 己とは違う。
「約束を果たせ」
 己とは違う。
「おれたちには、キミたちには――」
 己も同じだ。
「やるべきことが、あるだろう」
 己はそう決めた。
「おれたちは、まだ! 何も終わっちゃいないんだから!!!」
 終わらせられない? ――違う、終わらせたくないのだ。
 終わらせなどしない。己も、彼らも、誰一人とて。

《――騎士の名に賭けて、守れ》
 己は忘れた。
《――弟子を、師を、隣の誰かを》
 己は忘れた。
《――他ならない自分の命を》
 己も同じだ。
《――お前たちの握った、その剣で。守り抜け》
 己はそう決めた。
《――行け、宇宙の騎士たち。その称号が飾りでないと教えてやれ》
 今の己は、"騎士"を名乗るにはあまりにも多くを失った。
 取り戻さなければならない。止まるわけにはいかない。
 叶えるべき約束は、もうひとつきりではないのだ。

 星の海は過酷で、冷たく、空気すらもままならない。
 欲望の海と同じだと思う。だから人は笑って、手をつないで、身を寄せ合うのだ。
 手を繋ぐべき掌に、剣を握らなければいけないのは辛いことだ。
 それでも、やらなければならない。やると決めた。それを選んだ。
 騎士たちも、ロクも、ジャックも、戦う者はみなそうだった。
「思いっきり、暴れて、生き延びろ! ――おれが、おれたちが、護るから!」
《――その背中を"護る"ことは、いまの本機でも十分に出来ることだ》
 取り囲む鋼を切って、斬って、刃って伐って剪って断って。
 炎で燃やし、電撃で貫き、心を練り上げ細め穿ち鍛え前に進む。
 死神をおごる影どもが死角に回る。ロクは吠えそれを抉り、燃やす。
 ジャックは姿なき敵を雷光によって引きずり出し、騎士の刃がそれを滅ぼす。
 生きろ。戦え。守れ。――その声は、いつしか。
「生きるんだ」
 呼びかけるものではなく、
「戦わなきゃ」
 鼓舞するものでもなく、
「守り抜くんだ」
 決意となり、誓いとなり、原動力となった。

 嵐のような戦いがあった。
 その中で彼らは、彼女らは、ことばなくしてひとつとなった。
 同じねがいを抱き、同じほうを向いて、遮二無二戦い続ける。
 ふたりはけだものとなった夜を思い出した。
 けれども心はどこまでも穏やかで、晴れ渡っていた。
 切り抜けたその先に、たしかな光が見えていたから。
 生きるというのはそういうことだと、ふたりも、彼らも、知っていたから。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

へー銀河帝国ってそういうことはしなかったんだ
キミたちはどう思う?甘いかな?それともプライドの問題?


●玩具を潰すように包囲艦隊を撃破する!
よーしじゃああのお船さんたちを潰しちゃおう!手伝って!
どうやってって?ホラ、キミたちならフォースで船を掴まえてー…こう、グチャーッって!
(おもちゃ同士をぶつけるような動作で説明)
できない?ぇー?昔はできてたじゃん!んもー
じゃあ押すだけ!押すだけでいいから!

クソデカ球体くんたちをわっとけしかけて叩き潰していこう
大きさは…まあ向こうの船の10倍はあればいけるんじゃないかな!
撃ち漏らしはフォーナナイトくんたちとUCでわーっと殴りに行こう!



●神のたわむれ
 ――KRAAAAASH!!
「ほら、こうやって! 今みたいにやるんだよ」
 ぐちゃぐちゃになって爆発炎上する二隻の軍艦を背景に、ロニ・グィーは言った。
 何が起きたのか? ……言葉で表現するなら、それはとてもシンプルな話だ。
『ロニの拳で吹き飛ばされ、軍艦同士が激突した』。
 言葉で表現するのはたやすい。だが起きた事象は、とてつもなかった。
「いや、こうやって、って言われても……」
「えー? だってキミたち"フォース"ナイトなんでしょ? 使えるんでしょ念動力!
 だったらそのサイキックエナジーで船を捕まえて、こう、グチャーって!」
「いやいや、出来るわけないから!?」
「ええー!」
 さすがのフォースナイトたちも、思わず素でツッコミを入れた。
 ロニは、欲しいおもちゃを買ってもらえない子どものように唇を尖らせる。
「"昔は出来てた"じゃん! んもー」
 ……という彼の呟きを、本気に捉える騎士が居ようはずもなかった。
 ロニは徹頭徹尾マジで言っていたのだが、神と人の違いはこういうところに出る。
「じゃあ仕方ないや、押すだけ! こう、ぐいって押すだけでいいから!」
「いやだから、船一隻を押すなんて無茶な……」
「もー! 最近のコはああ言えばこう言うー!!」
 まるで戦場らしくない、神と人というより子供とオカンみたいなやりとりである。
 そんな話をしているうちに、爆煙の中からさらなる艦隊が出現した。
「あーあ、次が来ちゃった。あっちは本気でキミたちを潰すつもりなんだねえ」
「「「……!」」」
「銀河手国はそういうことをしなかったんでしょ? それってどう思う?」
「どう、思うって……」
「甘い? それともプライドの問題かな? いやまあキミたちに聞いても仕方ないか! どっちかっていうとあっちに聞くべき質問だったね!」
 唖然とするフォースナイトたちの答えなど最初から求めていないかのように、ロニはぺちゃくちゃとまくしたてた。
 彼の周囲に無数の球体が出現し、ぐんぐんと膨らんでいく。
「――ま、やられるばっかりじゃないってことを思い知らせないとね☆」
 騎士たちは総毛立ち、身構えた。
 神が味方で居てくれていることを、何よりも天に感謝しながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フェルト・フィルファーデン
◆包囲艦隊の撃破

……全く、好き放題してくれるわね。
いいわ。何度も侵略してくるのなら、何度でも打ち倒し、救うまでよ。

艦内の騎士達も気になるけれど……ここは敵艦隊を落として包囲網を崩しましょう。消耗戦は避けたいもの。

やってくる小型の敵は騎士人形の弓矢で射抜き(援護射撃xスナイパー】剣で切り裂き(力溜めx薙ぎ払い】攻撃は盾で防ぐ。(盾受けx庇う】

敵艦に接近したらUC発動。護身剣よ、力を貸して。【オーラ防御で身を守りながら光の刃で叩き斬る!!

後はそれを繰り返すのみ。包囲に穴が空けばそれで良し。その穴を埋めようとするなら必然包囲も薄くなるわ。


戦うか退くかはあなた達騎士に任せる。でも、お願い。死なないで。



●死ぬためではなく
 かつて、フェルト・フィルファーデンは死ぬために戦っていた。
 戦場での死は誉れ高く、そして『やるだけやった』果ての立派な終わりだ。
 胸を張って、誰にも恥じることなく、誇り高く死んでいける。
 たった独り遺された、哀れでみじめなお姫様ではなく。
 世界の平和と未来を護るために、戦って戦って戦い抜いて、死ねる。
 終わりを渇望していたあの頃に比べて、自分はなんと変わったものだろう。
 恋をして、
 友と笑い、
 命を護る。
 やることは変わらない――いや、小さいけれど大きな変化はひとつだけ。
 フェルトはもう、命を燃やして戦うようなことはしない。
 帰るべき場所と、帰りを喜んでくれる人たちが居ると知っているから。

「ひとつだけ約束してほしいの」
 シャピアロン号を離れるとき、フェルトは騎士たちに言った。
「戦うか退くか、それはあなたたちの判断に任せるわ。でも、どうかお願い。
 ――死なないで。あなたたちには帰る場所と、一緒に生きる人たちがいるのよ」
「猟兵さん……」
「……大丈夫、わたしも一緒よ? 死ぬつもりなんてないんだから!」
 若き騎士ににこやかに言うと、フェルトはもはやためらうことなく艦隊に挑んだ。
 ビーム砲やミサイル、あるいは対空機銃といった弾幕がフェルトを襲う。
 一瞬にして騎士の人形たちが、円陣を組んでフェルトを護った。
「わたしの騎士人形たちよ! あなたたちは仮初、わたしが作り出した傀儡の騎士。
 けれどもわたしの騎士ならば、わたしとあの若き騎士たちを護ってみなさい!」
 人形に魂があるかはわからない。けれどもフェルトは人形たちを信じていた。
 在りし日の騎士たちの代替物ではなく、自身を以て作り出した愛子たちとして。
 騎士人形たちはそれによく応えた。矢を放ち、盾で防ぎ、剣で切り裂く。
 剣――フェルトが抱くは、浅葱色の刃輝く護身の剣。
「護身剣よ、力を貸して。もう、誰も死なせないために……っ!」
 あの頃の、死を虚妄していた己を過去もろとも切り裂くように。
 万物を切り裂く光の斬撃が、宇宙に輝くオーロラめいて、艦隊を呑み込んだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

ノノ・スメラギ
◇包囲艦隊撃破

ボクの能力を最大限発揮できる場所を考えれば……戦うべきは外だ。中の状況は気になるけど、そこは猟兵の仲間を信じるまでだ。

活路を開くためには、敵を撹乱して、こっちに意識を向けさせなくちゃ。そのために、何を狙うかだけど……敵ウォーマシンの主力は暗殺・『電子戦』用……奴ら、ボクらの力を測ってる。
だったら、狙うべきは敵各艦の通信設備だ。そんな重要設備、普通は隠されてるし、わかる限りは解析するけど、時間が足りない……だから、フォースナイトのみんな、君達の『力の導き』をボクにくれ! ボクにはそれは分からないけど、ボクはそれを信じて、宙を駆ける!
行くぞ、VMAX!フルパワーで駆け抜ける!



●力の導きのままに
 敵は、こちらの力を測っている。
 ノノ・スメラギの推測は正しかった。ウォーマシンは『小手調べ』なのだ。
 猟兵の力が想定以下ならば、そのままフォースナイトを皆殺しにする。
 そうでなくとも、猟兵と戦うことで奴らの力を見定めることが出来る。
「やってくれるじゃないか、ミニスター・ブラック……!」
 ノノは歯噛みした。どちらに転んでも無駄のない、狡猾な作戦に。
 帝国継承軍の戦力は膨大だ。この程度、あちらにとっては大した損耗ではない。
 銀河帝国に弱みがあるとすれば、それは敵を侮りすぎていることだった。
 だから戦力を一箇所に集中させてしまい、結果的に大将首を獲られたのだ。
 敵は、そこから学んでいる。オウガ・フォーミュラはそうそう顔を出すまい……。

「フォースナイトのみんな、聞いてくれ!!」
 ノノは通信機を通じて、戦闘宙域に散らばるフォースナイトたちに呼びかけた。
「これからボクは、あの包囲艦隊の通信設備を破壊するために突撃する。
 敵はこちらの戦力を測って、ぶつかるときのためにデータを集めているんだ!」
 通信の向こうから困惑のどよめきが返ってきた。ノノは続ける。
「ただ、今は時間が足りない。敵艦の設備を分析している暇もなさそうだ。
 だからみんな、君たちの"力の導き"を、その心の力をボクに分けてくれ!
 ……ボクには"それ"がなんなのかはわからない。ボクは宇宙の騎士じゃないから」
 でも、とノノは言った。
「ボクはフォースナイトでなくとも、同じ"宇宙の騎士"だと自負してる。
 君たちには出来ないことが、ボクには出来る。だから、その力を貸してほしい。
 互いの力を合わせれば、ボクらに出来ないことなんてきっとなくなるんだ!」
 あの日、反逆することも出来ずに宙(そら)に消えた同胞たち。
 泣きじゃくるしかなかった弱く幼い自分。それはすべて、過去だ。

 ……ノノは、じんわりと暖かな、けれども心強い"力"を感じた。
 目に見えない力。それが、向かうべき先を、叩くべきものを教えてくれる。
「……ありがとう、みんな。ボクを信じてくれて」
 キィイイイイ……と、VMAXがスタンバイモードに入った。
「ボクも君たちの力を信じるよ――さあVMAX! フルパワーで駆け抜けるぞッ!!」
 ドウッ!! とブースターが点火し、ノノは宇宙を駆ける流星となった。
 ともに戦う仲間への信頼と勇気を胸に。導きのままに、光の銃斧が天を劈く!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヒルデガルト・アオスライセン
船内乱戦へ突っ込んでグラップル
UCで殴って、周辺敵を誘き寄せ

無理強いはしません、戦場で子に死んで欲しくないもの
生きてこそです
例え此度の襲撃で戦わずとも、命があれば必ず役に立てるわ

それでも死地に赴くと言うのなら
君達が甘い目で見守られる、幼い立場を抜け出さんとするなら
身分階級など関係ない、自分の力で立ちなさい
私が全霊で守り通します

イーコアで外套の性質を学習
不死存在に反応する聖水を結界術で広げ
接触時、イドを付着させて目印に
腕を狙って殺傷力を落とし
奇襲には剣盾投擲

敵愾心を集めて、彼等に攻撃して貰います
この文明の技術は彼等の方が詳しい
各々得意分野で力と知恵を借りましょう

無事鎮圧後出来たら、健闘を称えます



●生きてこそ
 KRAAAASH!!
 ヒルデガルト・アオスライセンに頭を掴まれたウォーマシンは、
 そのまま床に叩きつけられるとビクビクと痙攣し、そして動かなくなった。
 敵はおそらく20体以上。船内で一番手薄な場所はここが最後か。
「どうしました、かかってきなさい」
 ヒルデガルトは掌を上向け、指をちょいちょいと曲げて挑発してみせた。
 ウォーマシンは冷徹ゆえにそれには乗らない……かに、思われた。
 しかしヒルデガルトは感じている。両翼に不可視化した敵が潜んでいることを!
「甘いですね」
 ウォーマシンたちは気付いていないが、その外套には"目印"が付着している。
 見えざる霊魂のしるべ。それは、ヒルデガルトにとって灯台の火のようなもの。
 姿が見えずとも、敵に絡みついた魂の光を見ずして視ればよい……。
 首と下腹部、致命的部位を狙った左右からの同時斬撃を跳躍回避する。
 空中で上下を反転、両翼のウォーマシンの首を掴み、身体を捻って回転した。
 竜巻が生まれた。ぶつかりあった独楽めいて弾き飛ばされるウォーマシン二体。
 猛スピードで"飛来"したウォーマシンのボディが、味方を巻き込み爆発する。
 ヒルデガルトは無傷。着地と同時、正面に散開した敵に肉薄し、連続打撃!
 バラバラに砕けたウォーマシンの残骸を隠れ蓑に、さらなる敵を叩く!

 ……嵐のような攻防が終わり、あたりにはわずかな静寂が訪れた。
 窮地を救われたフォースナイトたちは、傷を抑えながら立ち上がる。
「あ、ありがとうございます猟兵様」
「様、はよしてください。私はただの小娘です――あなたよりは年上ですが」
 年頃13、4と思しき若き騎士を一瞥し、ヒルデガルトは髪をかきあげた。
「いまの戦いで、目に見えない空間振動を全域に放ちました。
 おそらくあと数分で、船内に残っている敵がすべてここへやってきます」
「……!」
「これ以上戦う気力がないなら逃げなさい。無理強いはしません」
 ヒルデガルトは騎士たちを見やった。
「命があれば、此度の襲撃で戦わずとも……どこかで必ず役に立てるわ。
 それでもなお死地に赴くというのなら、もう私はあなたたちを子供とは見ない。
 肩を並べて背中を預け、そして命を賭けて敵を叩き潰す"戦士"とみなします」
 その言葉は重いプレッシャーだった。だが、子供たちは表情を引き締めた。
 各々がフォースセイバーを握りしめる。それが、言葉よりも雄弁な答え。
「……いいでしょう。あなたたちが自分の力で立ち、戦うなら」
 ヒルデガルトは全方位からの強烈な殺意を感じる。騎士たちも感知したようだ。
 戦士たちは互いに背中を預け合うように円陣を組み、各々の武器を構えた。

 ヒルデガルトは、円陣から一歩前に歩みだす。
「私が全身全霊であなたたちを守り通します。――私に、続きなさい」
 それはまるで、悪を糺すために人々を教え導く聖女のように。
 けれども俯くことなく、神を仰ぎ祈ることもなく、己の足で堂々と。
 姿なき敵に、ヒルデガルトは挑む。誰の命令でもなく、己の意思で。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヴィクティム・ウィンターミュート
・追憶戦
包囲艦隊を撃破

ハッハー!!…いつかの銀河帝国との戦争を思い出すじゃねえか
目の前には艦隊がズラリ、対する俺達は哀しいくらいちっぽけだ
普通は逃げ出すのがベターってなもんだが
"まさかその気は無いよな?”

艦隊に【ハッキング】を仕掛け、システムを掌握
ただ堕とすんじゃない…俺の手足にしちまうんだ
一つ一つ無力化する度に、俺の処理能力が増えていく
さて、手助けもしてやらないとな

ハァイ、こちらArsene!若い騎士ども聞こえるか!
そっちのカメラから様子は見てる…俺がオペレートしてやる
艦隊から奪った処理能力の一部を、ステルスジャミングに回す
陣形を組め!俺が勝たせる

ところでチューマ
あの頃と今、どっちがお好み?


鳴宮・匡
◆追憶戦
包囲艦隊を撃破

あの時もかなり派手にやったんだったな
今回も期待してるぜ、ヴィク――Arseneって呼ぶべきか

聞こえるか、船外のフォースナイト達
反撃の機は必ず来る、それまで凌ぐことだけを考えていい
今から俺が、お前たちの目になる
――死なせやしないさ

視機能全てを限界まで強化
宙域全体の敵味方の状態・環境要因等全てを把握
個々の味方が“最も効率的に”敵と渡り合える方法を指示
対処できない分は勿論こっちで受け持つ

教えてやれるのはその場を生き残るための術だけだ
でも、今はそれで十分

――さて、準備は整ったな?
じゃ、戦術指揮は任せた
こっちも打って出るよ

……そうだな
“お互い”前よりマシに周りを頼れてると思わない?



●追憶と現在
『聞こえるか、船外のフォースナイトたち』
 その声は、激戦の只中、出し抜けに響いた。
 一方的な通信。声の主は名乗ることもなく、淡々と言う。
『反撃の機は必ず来る。それまで、凌ぐことだけを考えてればいい。
 今から俺が、お前たちの目になる。――誰も、決して、死なせやしないさ』
 声は途切れて、数秒の沈黙があった。
 そしてフォースナイトたちの通信機に流れ込んできたのは、大量のデータだ。
 どこに敵がいて、どこに味方がいて、どこをどう守ればいいのか。
 敵の攻撃方法、最適な攻略法、そして負傷者の救護、進軍ルート……。
 どんな扉も開けてしまう、魔法の鍵のような、迷宮を抜けるアリアドネの糸のような、"もっとも効率的"で、"もっとも無駄のない"戦術、その緒。
 声の主が誰なのか、そんなことは関係ない。
 誰なのかわからずとも、何故どうしてくれるのかの理由はわかっているからだ。
「反撃の時間だ! 俺たちには目がついてくれている! 生き延びるための目が!」
「活路を拓け! 騎士の本懐を果たせ! 奴らにフォースナイトの底力を見せつけろぉ!」
 鬨の声が伝搬し、教師も生徒も、大人も若者も関係なく奮い立たせた。
 かくしてシャピアロン号をとりまく戦いは、趨勢が一転した。

「ハッハー!! ナイスな演説だったじゃねえか、匡」
「……茶化すなよ、慣れてないのはわかりきってるさ」
「いや、褒めてんだぜ? あの時じゃ考えられねえことだもんな」
 声の主――鳴宮・匡は、ニューロン速度の通信で溜息をついた。
 ヴィクティム・ウィンターミュートの声は、からかうようでもあり称えてもいる。
「"あの時"か。……そうだな、あの戦争なら、俺はこんなことはしなかった」
 銀河帝国攻略戦。
 猟兵たちにとって初めての、そして規模で言えばいまだ最大の戦争。
 匡もヴィクティムも、戦闘の面においてはエキスパートだったとしても、
 "猟兵"という極めて特殊な存在としては、まだニュービー同然だった頃の話。
 無数の機動艦隊を相手に大立ち回りを繰り広げ、
 船をも呑み込むほど巨大な超怪獣の体内に飛び込み、
 真の姿を引きずり出す邪悪な脳髄兵器を破壊し、
 過去を操る騎士と、未来を操る騎士とを打ち砕いた。
 様々な経験があった。それらすべてをひっくるめて、"いい思い出"だ。
「そう、お前は変わったよ。ただまあ、敵側があの時と比べるとチャチだねぇ。
 銀河帝国の物量はこんなもんじゃなかった。Arseneをナメすぎじゃねーのか?」
「無茶言うなよ、そんな物量で来られたらこんな話してる場合じゃないだろ」
「違いないな、チューマ。それに、"こういう"のも悪くはない」
 ヴィクティムは匡の視覚と戦術眼がもたらす情報を電脳上でデータ化し、
 ウォーマシン特殊部隊のハッキングをリアルタイムで対処、攻撃、防御し、
 さらに集積したデータを全フォースナイトへ伝達、さらに観測結果を匡に返す。
 ……という、八面六臂どころでは足りないレベルの難行をこなしていた。
 さしものArseneとて、このレベルの電脳戦を行いながら物理世界で行動することは難しい。そのため、完全に足を止め、電脳世界に"没入"している。
 彼の身を守るのも匡の仕事であり、その手足として働くのがフォースナイト達だ。
(……いや)
 手足というのは違う。こういうのは、そう、"仲間"と云うのだ。
 匡は、そう思った。

 フォースナイトたちとて、猟兵に及ばずとも訓練を積んだ戦闘者である。
 一流の端役と一流の傭兵、その眼と知恵を借りれば百人力どころではなかった。
 不可視の敵の居所を匡が報せ、最適な戦術をヴィクティムが模索し伝達する。
 即席の連携という、猟兵のみが可能とする高度な戦術を彼らが実現するのだ。
 電脳上のハッキング攻撃濃度が目に見えて減少していく――敵ウォーマシンが物理世界で次々に破壊されていることの証左。
「いいぜ、さすがだ若き騎士ども。あとはArseneが請け負ってやるよ」
 ヴィクティムは余剰ニューロンリソースを、敵艦隊へのハッキングに投入。
 包囲網を攻撃する猟兵たちを、影から支援する。戦力比は覆されつつあった。
 そして最大の目的――敵旗艦の位置特定を、眼と手によって完遂する。
「見えた。あそこが、幹部の居る旗艦だな」
「いいね、実に順調だ! 船内の駆除も時間の問題だろうよ」
「なら、俺も打って出よう。……"Arsene"、そっちは?」
「あと10秒もらえば動けるようになる。思った以上に頑張ってるぜ、ガキどもは」
「わかった。じゃあ、いつもどおりにだな」
「ああ。いつもどおりに、スロット・アンド・ランだ」
 匡は立ち上がり銃器を換装、拠点防衛モードから強襲装備へと切り替える。
「なあチューマ、ところでなんだが」
「ん?」
 そんなとき、ふとヴィクティムが言った。
「"あの頃"といま、どっちがお好み?」
「――……」
 皮肉げな悪童の笑みを見る。匡の目元は、わずかにほころんだ。
「それ、答える意味あるか?」
「ないな」
「なら、それで十分だろ」
「オーケー。それじゃ――強襲(アサルト)の時間だ」
 男たちは立ち上がる。敵の喉元に喰らいつくために。
 そこに言葉は必要ない。それが、匡にとっては嬉しかった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『ミニスター・ブラック』

POW   :    マジックブロウ
【魔力を籠めた拳】で攻撃する。[魔力を籠めた拳]に施された【魔力制御】の封印を解除する毎に威力が増加するが、解除度に応じた寿命を削る。
SPD   :    追加装甲
自身に【漆黒の機械装甲】をまとい、高速移動と【自律行動するビット】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    ボミングレイド
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【着弾地点で爆発する魔法弾】で包囲攻撃する。

イラスト:純志

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

●スペースシップワールド:帝国継承軍第七艦隊旗艦『ジェヴレン』
『…………来たか』
 猟兵とフォースナイトたちの共同戦線は、ついに敵を全滅させ包囲網を突破した。
 いまだ残存する艦隊がシャピアロン号を撃墜せんと猛攻を重ねているが、
 反撃のチャンスを得たフォースナイトたちの剣が、それを防ぎ、押し返している。

 そしてフォースナイトたちの尽力で拓かれた活路を、猟兵たちは突破した。
 第7艦隊旗艦『ジュヴレン』。乗り込んだ猟兵と精鋭フォースナイトたちを待っていたもの。すなわち、黒曜石(オブシディアン)のクリスタリアン。
『見事なものだ。もとよりお前たちを全滅させられるとは思っていなかったが、
 ただのひとりも犠牲を出すことなく、ウォーマシン小隊を全滅させるとは』
 ミニスター・ブラックの眼光が細まる。
『奴らを利用してお前たちのデータを出来る限り収集するつもりであったが、
 それも十分とは行かなかった。我が策は見事に、お前たちに砕かれたらしい』
 紛れもない賞賛の声。ミニスター・ブラックは世辞など言っていない。
 心から猟兵たちの力量を称え、認め、それゆえに――警戒している。
 慢心はなし。
 油断もなし。
 もっともやりにくい敵と言えた。
『お前たちはすでに識っていよう。我が闘法、敵の僅かな間隙を突く戦いを。
 お前たちの最大の武器が、"情報"であることは我らも周知しているところ』
 然り。
 ミニスターの最大の戦法は、その巨躯と実際の戦闘法のズレによる虚を突くこと。
 一言で言ってしまえば『だまし討ち』だ。奴はそこにすべてを注いだ。
 ゆえに、その戦闘方法を予知し理解する猟兵には、アドバンテージがある。

 ……はず、だった。
 だのに相対した猟兵たちは、きっと感じたことであろう。
 "その程度は、敵を討つ必殺の一手にはなり得ない"ということを。
『我とて戦闘者のはしくれ。強敵との戦いを求め、そして歓びもする。
 ……この時を待っていたぞ。猟兵。そして辿り着きたる宇宙の騎士ども』
 陽炎めいて可視化されるほどの魔力が、空気を張り詰め濃密に変えた。
 敵は純粋に己の力量を鍛え、研鑽し、そして常に策を巡らす戦上手である。
 敵は一。横槍はない――必要ないのである。
『かつての好敵手たち……滅びたる宇宙の騎士の名を継ぐに足るか。
 帝国を継承せし我らと、伝説を継ぎたるお前たちで比べるときだ』
 フォースナイトたちは身構えた。これが戦の天王山。
 油断するなかれ。ミニスター・ブラックは強敵である!
『――征くぞ』
 純粋なる魔力が迸り、死闘の時を告げた!

●プレイング受付期間
 2020/11/10(火)12:59前後まで。
シル・ウィンディア
強いけど、油断もしないとなると…
ものすごく厄介な相手だね

フォースナイトさん達には
強大な的にも立ち向かわないといけない時はある
でも、自分の命を捨てるなんてことは絶対にダメ
生きるために、全力を尽くしてねっ!

真の姿を開放してから一気に接敵
本命はばれているけど、それも織り込み済み
二刀流の剣技で連撃を仕掛けるよ

敵UCは
【全力魔法】の【オーラ防御】で
フォースナイト達を優先してカバー
自身は【残像】で動く【空中戦】で何とか回避
被弾時は【武器受け】と【オーラ防御】で致命個所を防御

【多重詠唱】で選択UCを重複詠唱
一発目を撃ってから2テンポ遅らせての【二回攻撃】での2発目っ!
2発目は【限界突破】の【全力魔法】だいっ



●雨垂れ石を穿つ
 フォースナイトたちの目では、高速の剣戟はもはや目視出来なかった。
 しかしそれでいい。フォースナイトとはサイキックエナジーを操るもの。
 目に頼ることが間違いなのだ。シル・ウィンディアはそれを実証している。
「……ッ!」
 二刀流の剣技で挑みかかったシルは、敵のあまりの堅牢さに歯噛みしていた。
 油断も隙もない。その一語が、敵と己の実力差をさらに際立たせる。
 シルの繰り出す高速の斬撃はすべて見切られ、そして両掌でいなし躱される。
 敵の反撃もまた同様。一進一退の攻防である。
『やはり、若き騎士の目は摘まねばならぬ』
 一方のミニスター・ブラックは、ドッグファイトめいた攻防の中で呟いた。
『お前のような麒麟児が生まれては、我らの女王にとって大きな脅威なり!』
「――だからって、フォースナイトさんたちは殺させないっ!!」
 両者の拳と剣が真正面から打ち合い、そして反発力で互いに後退した。
「だ、大丈夫ですか、猟兵さん!」
「わたしは大丈夫! それよりも――」
 身体の負傷は軽くない。けれどもシルは気遣う騎士たちに言った。
「どんな強大な敵にも、立ち向かわなきゃいけないときがあるってことを知って。
 けれども、自分の命を捨てるなんてことは絶対にダメ。生きるために戦うの」
「りょ、猟兵さん……」
「わたしだって、こんなところで死ぬつもりで戦ってるわけじゃないんだよ?」
 なんと健気で気丈なことか。年頃は同じ、ともすれば下かもしれないのに。
 フォースナイトたちはきっ、と眦を決した。シルは傷ついた己の身体に鞭打つ。
「ここからが本番だよ、ミニスター・ブラック。フォースナイトの力、見せてあげる!」
『――面白い』
 シルの魔力が高まり、その背中から天使めいた翼を生やした。
「さあ、行くよみんなっ!!」
 今度はひとりではなく、全員で――若き騎士たちが、一気呵成に戦いを挑んだ!

 フォースナイトたちは大きく両翼に展開し、ミニスターを包囲しようとする。
 数の利で勝るとき、劣勢の敵を潰すには包囲することがもっとも重要だ。
 だがミニスター・ブラックは、ユーベルコードによって数の利を圧倒できる。
『超えられるか、貴様らに。我が弾幕!』
 ミニスター・ブラックの全身に迸る魔力が、無数の魔法弾となって放たれた。
「みんな、わたしの言葉を思い出して冷静に対処してっ!!」
「「「はいっ!!」」」
 フォースナイトたちはまっすぐに突撃――をせずに、剣で魔法弾を切り払う。
 シルも同様に、残像を生み出すほどのスピードで追尾魔法弾を躱していた。
『ほう』
 ミニスター・ブラックが目を細めた。敵は、この弾幕の狙いを見抜いたのだ。
 一見するとこの魔法弾は、誘爆する前に最速で突破するのが最良に思える。
 しかし幾何学模様を描くそれらは、単純に敵を追尾するものだけではない。
 敵を追尾するのもあれば、ミニスターの周囲を狂ったように乱舞するものもある。
 いわば攻性結界。しかもひとつが炸裂すれば、周辺の魔法弾も連鎖爆発するのだ。
 ミニスターはフォースナイトたちの勇猛果敢さすらも計算に入れた上で、
 相手がまっすぐこちらを狙いに来るだろうと考えていた――しかし、結果は。
『見事なり。ならばこそここで殺す!』
「――来る!」
 シルがサイキックエナジーによって一瞬先の未来を予知したのと、
 展開されていた魔法弾が一気に向きを変え、シルに颯爽したのはほぼ同時。
 避けきれない。シルは魔力障壁を張り、弾幕を耐える……!
「く、うううう……闇夜を照らす炎よ、命育む水よ、悠久を舞う風よ――!」
『さあ、見せてみろ。お前の本領は剣だけではあるまい』
「……母なる大地よ、暁と宵を告げる光と闇よ……!
 六芒に集いて、全てを撃ち抜きし力となれっ!!」
 シルの詠唱とともに、複合六属性魔力砲撃が魔法弾幕をつんざいた!
 ミニスター・ブラックは両掌に魔力を集中させ、砲撃を――斜めに、そらす。
『見えているぞ。二の手!』
「――!!」
 テンポを遅らせての重複詠唱。だがこれはミニスターの看破するところだった。
 二度目の魔力砲撃が炸裂したのと、"二度目の魔法弾幕"が襲いかかったのも同時。
 つまり相打ちの形である。フォースナイトたちは叫んだ。
「猟兵さん!!」
「……大丈夫っ!」
 連鎖爆発で吹き飛ばされたシルは、流れ落ちる血を拭いつつ不敵に笑った。
 手応えあり。魔力砲撃の光が消えれば、ミニスターは健在、だが全身から煙が。
『……"生き延びるために命を賭ける"。そうだ、それこそ我が恐れるもの。
 認めよう、小娘。お前は年若くありながら、かつての好敵手をも超えることを』
 ミニスター・ブラックは負傷箇所を魔力で補いながら重々しく言った。
 鋭い殺気が若き騎士たちを襲う。戦いはまだ始まったばかりだ!

成功 🔵​🔵​🔴​

天星・暁音
なるほど、中々に厄介そうだ…
でも、立ち向かう意志は揺るいでないのなら俺はただ全力で、その力になるだけだよ
決して思い通りに何かさせない
抗う君たちの勇気に祝福を…立ち向かう意志に力を…
受け取ってその子達が力になるから!



呼び出した虹の短剣を共に戦う者達に貸し与えて強化します
必要ならそのまま好きな武器に、必要ないなら腕輪等に変化します
自分も1本、剣を取りつつ腕輪にし、剣が余るなら其方は操って空中を飛び回る剣として使い、装備武器の2丁銃や銀糸等を自在に操りフォースナイト達を護るように援護支援します
剣からの回復でちょっとやそっとの怪我なら治ります


アドリブ共闘歓迎
スキルUCアイテムご自由に



●意志ある者への祝福
「みんな、怯むな!」
「そうだ、俺たちだってやれるんだ!」
「こんなところで、ビビってられるか……!」
 天星・暁音から貸し与えられた虹の短剣を手に、フォースナイトたちが跳ぶ。
 先のウォーマシン特殊部隊との戦いは、彼らにとって大きな糧にもなった。
 あの伝説の猟兵たちと肩を並べ、そして強敵に命を賭けて挑む。
 困難な戦いである。だからこそ、雛鳥を屈強な戦士へと成長たらしめもする。
『――……やはり』
 対してミニスター・ブラックは、あくまで冷静に対処した。
 四方から矢継ぎ早に襲いかかるフォースナイトの攻撃を、いなし、弾く。
 視線は常に一点を見続けている――つまり、暁音を。
『やはり宇宙の騎士はみな殺さねばならぬ。この成長、この練度、この連携。
 どれを取っても危険極まりなし。しかし何よりもここで葬るべきは……!!』
「……っ!」
 暁音は、周囲に展開していた剣を前方に集め、盾のように回転させた。
 直後、幾何学模様を描く無数の自爆魔法弾が殺到、暁音を爆煙で包み込む!
「「「猟兵さん、大丈夫ですか!?」」」
「……だい、じょうぶ。俺はいいから、攻めて!」
「「「は、はいっ!」」」
 フォースナイトたちは暁音を慮るあまり、攻めの手を損ないかけた。
 しかしそこに油断がある。ミニスター・ブラックにはその一瞬でよいのだ。
(まずい、包囲を破られる! そうはさせるか……!)
 暁音は2丁拳銃を取り出し、ミニスター・ブラックの惨殺手刀を弾いた。
 フォースナイトの首を刎ね飛ばすと見えた手刀は、軌道を逸れて空を薙ぐ。
『やはり、貴様だ』
 ミニスター・ブラックの姿が霞んだ。それが高速移動であることは暁音にも解る。
 剣結界を展開――それらは自爆魔法弾と相殺されて粉々に砕け散った。
『猟兵、お前こそが! 何よりも葬るべき強敵!』
「ぐっ!!」
 飛び込みながらの膝蹴りが、暁音のみぞおちに突き刺さった。
 わずか110cm程度の身体がボールのように吹き飛ぶ。ミニスターは逃さない。
「この、程度で……俺たちの立ち向かう意志は、揺るがせられないっ!!」
「ああ、そうだ! 思い通りになんかさせるか!」
「俺たちの宇宙は、俺たちの手で守るんだ!」
「「「うおおおおっ!!」」」
『――チッ』
 ミニスター・ブラックは暁音への追撃を諦め、フォースナイトを迎え撃った。
 騎士たちの攻撃はわずかに届かない。わずかに。そこに活路がある。
「抗う者たちの、勇気……立ち向かう意志……それが、お前たちを、倒す。
 どんなに厄介な敵でも、強大な相手だって、俺は諦めないよ!!」
 暁音は二丁拳銃を連射。ミニスター・ブラックの攻撃をなおも弾く。
 拮抗している。ミニスターの攻撃はたしかに防がれている!
『これほどの幼さでありながら、フォースナイトの意地を引き出し強化する。
 猟兵……生命の祝福者! お前たちこそが、我々帝国継承軍の最大の敵!』
「なら、どうするのさ。倒せるものなら倒してみろ。絶対に負けてやらないから!」
『オオオオッ!!』
 魔法弾の弾幕が吹き荒れ、フォースナイトたちを吹き飛ばす。
 暁音は回復しきれぬ傷の痛みに呻きながら、必死で彼らを守り続けた。
 一進一退の攻防、若き騎士と聖者は決してミニスター相手にも退かない……!

成功 🔵​🔵​🔴​

ハロ・シエラ
なるほど、策を破ろうとただただ強いという雰囲気を感じます。
こちらを見くびっていないのも厄介ですが、ここまで来て退けもしません。

今回は接近戦を挑みます。
体格差はありますが【ダッシュ】で詰め寄り、相手の懐に入りたいですね。
恐らく魔力が篭められた拳には触れただけでもかなりの被害を受けるでしょう。
動きを【見切り】前腕などを狙って【武器受け】を試みます。
そこで一瞬でも敵の両腕を受けられればそこが【カウンター】を入れる好機です。
【怪力】で敵の力に耐えると思わせておいてから、一瞬脱力して敵の【体制を崩し】ユーベルコードを乗せた【頭突き】で一撃入れます。
黒曜石なら、斬るより打撃が効くでしょう。



●クラッシャー・ヴァーサス・スラッシャー
 達人同士の立ち合いは、しばしば西部劇の決闘めいた睨み合いに陥る。
 お互いの繰り出す攻撃が必殺であるため、生半な攻撃を撃てなくなるからだ。
(……なるほど)
 接近戦にはそぐわぬ距離を保った状態で、ハロ・シエラは目を細めた。
 相対してわかる。ミニスター・ブラックという、ひとりの戦闘者の強さ。
 実力のみで言えば、これまでハロが倒したオブリビオンの中にもっと強いものも居た。
 しかし、戦いはゲームのように単純な二元論で数値化出来るものではない。
 "強さ"とは、何も腕っぷしの強さや身のこなしの素早さに限った話でもない。
 こちらに対する油断のなさ――否、むしろこちらを警戒する用心深さ。
 その上でいくつもの手を用意し、吟味し、いまも策を練り続けているのだろう。
 ただただ単純に、強い。
 オブリビオンとしての方向性で言えば、あのベルセルクドラゴンに近いか。
(あれもかなりの強敵でしたが……今回も易くはなさそうですね)
 ハロは沈着冷静な少女であり、未だ自らが高みに達したと思ってはいない。
 謙虚な戦士であり、そして同時に貪欲な求道者でもあるのだ。
 常に努力を怠ることなく、味方はもちろん敵にすらある種の敬意を払う。
 だからこそわかる。この敵は、全力でかからねばなるまいと。

 同時にミニスター・ブラックもまた、ハロ・シエラという少女を畏れていた。
 小さな身体に満ちる妖気、そしてこちらに放たれる鋭く細めた剣気。
 相反するそれらが大河のごとく調和し、あの小さな体に満ち満ちている。
(……危険だ。ここで殺さねば、いずれより手強い戦闘者となろう)
 子ども相手の慈悲はなし。もはやフォースナイトたちさえも意識の埒外だ。
 事実、彼らもハロとミニスターのあまりの集中ぶりに、立ち入ることが出来ない。
 もしも不用意に飛び込んだ者がいれば、即座に衝突で吹き飛ばされただろう。
 それがこの拮抗を崩しかねない……手を出せるわけもなかった。

 はたして睨み合いは、どれほど続いただろうか。
「――参ります」
 その声がミニスターに届くよりも疾く、ハロは間合いを詰めていた。
 一瞬である。黒髪が思い出したようになびき、人工大気がごうと渦巻いた。
 渦巻く――それは風だけではない。ミニスターの両掌もまた渦を巻いている。
 凝縮された魔力と、先端部が空気を灼くほどの速度で放たれた拳打である。
 狙いは首と、脊髄。ハロはまず、細剣で首狙いの手刀の付け根を制した。
 ぎゃりん、と鋼が撃ち合うような音が響き、火花がばちばちと瞬く。
 続く二撃目――ハロは脊髄を砕かれるより先に、肩を犠牲にして受ける。
 激痛。筋肉もろとも骨が砕かれたか……歯を食いしばり、耐える。
 肩が衝突したのは、拳そのものではなく、やはり手首部分。衝撃をそらしたのだ。
 にもかかわらずこの重傷。真正面から受けていたならば……!
『ぬうっ』
 ミニスターは、ハロの見た目にそぐわぬ怪力に眉根を寄せた。
 押し切れる力量差ではある。だが、これは明らかなブラフだと看破する。
 ミニスターが退く。ハロは歯噛みしつつも、脱力してさらに一歩前へ。
(誘いには乗りませんか。しかし――!)
 敵の後退と、ハロの踏み込みはほぼ同距離であった。
「……その黒き身体を、砕きますっ!!」
『!!』
 ハロは奥歯をがっきと噛み締め、顎元めがけて頭突きを見舞った!
 KRAAAASH!! ミニスターは床を焦がしながらがりがりと後退する!
「……入った」
「な、何が起きたか見えなかったけれど」
「ああ、猟兵の一撃がミニスターに入ったのは見えた!」
 フォースナイトたちは顔を見合わせて叫んだ。
 ぱらぱらと、黒曜石の破片が舞い散る。ミニスターは負傷している。
『……油断ならぬ小娘。お前もまたここで殺すべきか』
 ハロは明滅する意識を頭を振ることで引き戻しながら、身構えた。
 肩の痛みはむしろありがたい。意識を保っていられるからだ。
「……まだまだ、ここからです。覚悟してもらいます」
 両者の殺意がぶつかりあい、中心空間はもはやひび割れそうなばかりである。

成功 🔵​🔵​🔴​

カタリナ・エスペランサ
ごきげんよう闇の騎士。相手にとって不足は無いね!

《高速詠唱+先制攻撃》で【暁と共に歌う者】発動、不死鳥たちの響かせる《歌唱》は《祈り+拠点防御》の領域を形成する《結界術+多重詠唱》でもある
味方には《鼓舞+ドーピング》の加護を、敵には《ハッキング+ジャミング+マヒ攻撃》の呪縛を与え敵UCの加速を阻害しよう

共に戦う騎士の援護と敵ビットへの対処は不死鳥に任せ、自分はダガーを《武器改造》した騎士剣に《属性攻撃》の炎雷を纏わせて三次元的な《空中戦》を展開
《第六感+戦闘知識》で動きを《見切り》、《早業+怪力》の剣技に体術、羽弾に装備[第六神権]やペンダントから放つ光線での《騙し討ち》も重ねて前線を支えるよ



●暁とともに謳うもの
「ごきげんよう、闇の騎士」
 カタリナ・エスペランサはふわりと床に降り立ち、慇懃に礼をした。
 戦場にそぐわぬ優雅な振る舞い……しかしそこに打ち込む隙は皆無である。
「相手にとって不足はないね。だが、キミの企みは成就させない」
『ならばどうする。論を尽くして戦いでもするか?』
「まさか――こうするのさッ!!」
 カタリナはばさりと翼を広げた。同時に、見えない空間魔術が周囲に作用する。
 ミニスター・ブラックは全身の魔力を放出させ、この結界術に拮抗する。
 闇と光、相反するふたつの属性がぶつかりあい、衝撃波めいて吹き荒れた!
「なんだこれは、力が湧いてくる……!」
「我在る限り、汝らに滅びは非ず。すなわち、我らが宿願に果てはなし――」
 カタリナはカタリナならぬ声で朗々と謳い、そして騎士たちを見返す。
「キミたちに戦う力を与えよう。さあ、ともに力を貸してくれ!」
「「「わかりました!!」」」
 結界術と歌の魔術によって加護を受けたフォースナイトたちは一斉に頷いた。
 そしてフォースセイバーを展開し、空間魔術に拮抗するミニスターを襲う!
『これほどの速度かつ規模で強化魔術を行使するか。やはり侮りがたい』
 ミニスターは動かない。動けない? 違う、"動かない"のだ。
 見よ。増幅された魔力は急速に凝縮され、その身をさらなる強固な外殻で鎧う!
「……!!(呪縛が弾かれる? さすがは一流の魔術士、ということか)」
 カタリナは呪縛による敵ユーベルコード阻害を諦め、翼をはためかせた。
 直後、ついさきほどまで彼女の居た場所を無数のビットがランダムに切り裂く。
「あれが例の……! 気をつけるんだみんな、死角に注意して!」
 カタリナの警告通り、魔力で操られるビットは鋭角的軌道で死角に潜り込む。
 ウォーマシン特殊部隊の交戦データをもとに、こちらの動きを読んでいるのだ。
「炎の祝福受けし子らよ、みんなを頼む!」
 ばさりとはためいた翼から羽根がこぼれ落ちると、空中で燃え上がる。
 そして炎は刻印が施された不死鳥と化し、ビットと壮絶な空中戦を繰り広げた。
「は、疾――」
『ぬうん!!』
 まずひとり。踏み込みすぎたフォースナイトが魔力の拳で吹き飛ばされる。
 ビットが追撃のために襲いかかるが、それらは不死鳥の炎で焼滅した。
 ミニスター自身も追い打ちをかけられない。カタリナが襲いかかったからだ!
「さあ、踊ろうじゃないか闇の騎士! アタシを壁の花にはしないだろう!?」
『小賢しい。だが、術式詠唱を維持しながらの空中戦とは。見事なり』
 言いつつもミニスターは魔力で浮かび上がり、カタリナの斬撃を弾く。
 ガ、ガガガガッ!! と、闇の魔力と炎雷がマーブル模様に混ざりあった。
 フォースナイトたちの援護により、ミニスターはビットを展開せざるを得ない。
 全力でカタリナひとりを襲えば、まだしも趨勢は違ったかもしれないが……!
「アタシの剣はどうだい、キミの眼鏡に叶うかな!?」
『敬意を表そう。しかしそれゆえに、我に騙し討ちは通じぬ』
「!」
 ペンダントから放たれた光線は、魔力でコーティングされた拳で弾かれる。
『征くぞ』
 そして攻め手が逆転した。ミニスターのすさまじい高速打撃がカタリナを襲う!
「――はあああっ!!」
『ぬうっ!!』
 カタリナはそこに賭けた。腹部狙いの蹴りを受けながらの刺突!
 加速によってダメージは増幅され、増加装甲を貫くと同時に膝が脇腹をえぐる。
「かは……っ!」
 カタリナは血を吐いて吹き飛び、床を転がった。臓器が傷ついたのだ。
 しかしミニスターとて無傷ではない。増加装甲に亀裂が走り、黒い血を吐く!
『……油断ならぬ戦士ばかりだ。嬉しいぞ、猟兵……!』
「出し物はこれで終わりじゃあないよ。たっぷり味わってくれ」
 剣とビットと不死鳥が乱舞する戦場の中心で、ふたりは睨み合う。
 いずれも譲らぬ攻防。互いの姿が霞み、そして高速の切り結びが始まった……!

成功 🔵​🔵​🔴​

神酒坂・恭二郎
「―—応さね」
大業物を抜いて前に出る

向うさんの能力は割れている
使う程に寿命が減り、後になる程不利になる
定石なら持久戦で削り殺す事だが

(そんなぬるい相手じゃぁなかろうな……)

・方針
初手だからこそ最高の技をぶつける
受け身に回れば死と思うべしだ

「俺が行く」
若き宇宙の騎士達の前に出て【覚悟】を示そう
真の強敵を前にして、下手な小知恵は己が身を亡ぼす

銀河剣聖の壱之型
振り上げ振り下ろすだけ
型とも言えない型だ
知恵を捨て、ただフォースを信じるのが要諦だ
師に言わせればフォースと言う言葉すらも無意味らしいが……

『フォースを信じろ』

若き芽に告げた言葉を、まずはここで実践出来ねばスペース剣豪は名乗れまい
ただ、振り下ろす



●ただ一刀にすべてを賭ける
『……さあ、次は誰だ。我を滅ぼさんと挑むものはあるか』
 戦いは激化し、猟兵たちの波状攻撃がミニスター・ブラックを襲う。
 しかして敵は強大。負傷を帯びつつも魔力によってそれを補い健在であった。
「む、無敵なのか……?」
「いや」
 弱気に襲われたフォースナイトの言葉に、神酒坂・恭二郎が声を重ねる。
「たとえ見かけは補ったとしても、魔力や精神力ってのァ無限の底なしじゃあない。
 つまり、消耗はしてるってワケだ。……見かけに騙されちゃあいかんぜ、若いの」
「は、はい!」
『…………』
 恭二郎と若きフォースナイトのやりとりを、ミニスターは睨みつけた。
 フォースナイトからそちらへ視線を移した恭二郎は、ふっと穏やかに笑う。
『次はお前か』
「――応さね。俺が征く」
 恭二郎は大業物・銀河一文字をすらりと鞘走らせ、一歩前に出た。
 そこはすでにミニスターの間合いだ。ずしりと、重力が強まったような違和感。
(心地いいねえ)
 恭二郎は涼やかに笑うばかり。ミニスターは目を細めた。
『……その構え、なかなかに旧いな。よもや伝承者が居たとは』
「数奇な運命ってやつさ。何の因果か、俺だけが生き延びちまった」
 敵は師の剣を識る。そこに驚きはなく、恭二郎は淡々と事実を受け入れた。
(定石で攻めて崩せる相手ではなし。さりとて生半可な小細工は命取りだ)
 難い敵である。ならばこそ、時としてもっとも基本の一に立ち返るも一興か。
 敵の増加装甲はひび割れているものの健在であり、些かも能力を損なわない。
 つまり相手は最速かつ最強の一撃を繰り出してくる。ならば、己もまた。

「「「……!」」」
 恭二郎がす、と身構えたとき、フォースナイトたちはふたつの衝撃を覚えた。
 ひとつは、一瞬で大気が張り詰めたこと。息苦しさは海の中のようだ。
 これが達人同士の気のぶつかりあい。彼らでは、まだ踏み込めぬ領域。
 そしてもうひとつの驚愕は……。
「あ、あんな前のめりな、型とも言えない構えで……!?」
 ひとりが呻いた。然り、恭二郎の取った構えは至極シンプルなもの。
 ただ大上段に剣を振り上げる。流派の云々ですらない、基本中の基本だ。
『…………ほう』
 しかしてただひとり、ミニスター・ブラックだけは油断してしなかった。
『銀河剣聖の壱之型。よもやこの目で再び見ようとは』
 これこそは型にして型に非ず、されどただの大上段にも非ず。
 振り上げて、下ろす。その単純極まりないたったひとつの套路には、
 逆にその使い手の練り上げたもの、築いてきた技量すべてがのしかかる。

 "知恵を捨て、ただ風桜子を信じるべし。されど――"

 恭二郎の脳裏に、在りし日の師の言葉が蘇った。

 "――風桜子などという言葉に、意味はない。"

 風桜子を、信じろ。
 若き芽に告げた言葉は、師本人によって告げられ、否定された言葉。
 矛盾だ。まるで禅問答である。だが剣とはそういうものなのだ。
 究めようとすればするほどに果てはなく、ただ大海に漕ぎ出すが如し。
 高みなど片腹痛し。終わりなきものを究められるなど二流の考え……。
「一刀は万刀に化し」
 ミニスター・ブラックは小さく、小さくその巨躯を縮めた。
 襲いかかる寸前の肉食獣じみた異形。みしみしと全身が軋む。
「――万刀は、一刀に帰す」
 誰かの頬を伝った汗が顎からこぼれ落ち、ぴちょん、と床に跳ねた。
 その瞬間、ミニスター・ブラックは黒い旋風と化した。

 ただ振り上げ、下ろす。
 そこに命を賭けるのは、まさしく正気の業ではない。
 しかして、その正気ならざる大業を乗り越えてこそ活はある。
 これぞ銀河一文字。無敵不敗など絵空事、だが剣士はみなそれを目指す。
 恭二郎は信じた。己が無敵であり、不敗であり、彼奴を断てるのだと。

 剣が降りた。

 ――ドォオオオオンッ!!
「「「うわっ!!」」」
 剣風が寸分の狂いなく大気を切り裂き、真空と化した空間になだれ込む。
 暴風じみた勢いに、フォースナイトたちは思わず顔をかばう。
「……あ! み、見ろ!」
 誰かが言った。そして全員が見た。
 剣を振り下ろした恭二郎。全身を朱に染めつつも健在である。
 その立ち位置は構えた場所から十メートルは後退し、足元には焦げたレール。
 一方のミニスター・ブラックは、恭二郎が立っていた場所に佇んでいる。
 拳を突き出した姿勢のまま無傷――否、あれは!
『…………銀河一文字、見事なり』
 みし、みしみし……ばきばきばき、ばきんっ!!
 全身の増加装甲がひび割れ砕け、そしてミニスター・ブラックは膝を突いた。
 膝を、突いた。然り、ダメージが入っている!
「名乗り遅れたな、旦那」
 恭二郎は額からこぼれ落ちた血を拭い、ふたりと笑った。
「俺は神酒坂・恭二郎――人呼んで、スペース剣豪さ」
 春に吹く風のような、どこまでも爽やかで莞爾とした笑みだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルトリウス・セレスタイト
力比べをしたい輩は多いのだな

戦況は『天光』で常時把握
無数の薄膜状に分割し纏うオーラへ『刻真』で干渉
触れる攻撃を部分的な加減速で偏向させ自身から逸らし、『絶理』『無現』も利用し影響を回避
必要魔力は『超克』で“世界の外”から供給

絢爛を起動
起点は艦の構成材
時と秩序の原理を以て戦域の空間を支配
高速詠唱を『刻真』で無限加速し即時起動
一つの法則を「遥か昔から敷いておく」

全ての攻撃はオブリビオンのみ狙い、オブリビオンにのみ作用する

実行後に干渉する暇は無いかもしれぬ故、最初から向かう先を変更
且つ『励起』『刻真』で己を無限加速
『討滅』を乗せ打撃戦
此方へ狙いが向いても爆撃なら巻き込む
気を付けることだ

※アドリブ歓迎



●絢爛
『!!』
 ミニスター・ブラックは強烈な違和感を覚え、魔法弾を明後日のほうへ放った。
 するとどうだ、宇宙船の外壁を突き抜けると見えたそれは捻れてかき消える。
 爆発すらしないのだ。ミニスター・ブラックは魔法弾の軌道を変えた。
 四方から襲いかかるフォースナイトを迎撃するのではなく、自身を守るために。
 ボミング・レイドは幾何学模様を描き、周辺の敵を一掃するユーベルコードだ。
 その軌道にある程度の指向性を与えれば、自動反応するバリアとしても使える。
 見よ。ミニスター・ブラックを囲うように、狂った虫めいて渦巻く魔法弾。
 都合2000発以上……触れれば自爆する魔法弾は隙間無き結界と化す。
『空間を支配し、掌握するユーベルコードか。それも一箇所ではあるまい。
 ……物理法則そのものを掌握し、"過去を改竄"する術式。我すらも識らぬ』
「理解したところで、避けられるものではないぞ」
 アルトリウス・セレスタイトは涼やかに言い、そして猛スピードで迫った。
 ミニスター・ブラックは、アルトリウス自身もまた術式で護られていることを看破している。
 天体として有名なブラックホールは、超重力により万物を引きずり込む。
 しかし相対性理論によって、引きずり込まれた物体の時間は無限に減速する。
 つまり見ている側は一瞬でも、重力の井戸に呑まれた側は無限に感じられるのだという。
 アルトリウスはまさにその特異点だ。
 彼は周囲に見えない原理を敷くことで周辺の時間を自由に加減できる。
 魔法弾を四方から飛ばしたところで、それは着弾することなく無限に減速する。
(これほどのユーベルコードの維持は我にも難しい。魔力的な意味でだ。しかし――)
 ミニスター・ブラックは、アルトリウスの平然とした顔を睨む。
 どうにかして、敵は魔力を"外"から汲み上げているらしい。
『――面白い!』
 さりとてそれはユーベルコード。同じユーベルコードならば打破可能である。
 ミニスター・ブラックは魔法弾を一点に集中させ、原始的な魔力の塊に変える。
 巨大な天体が周囲の物体を引力によって衛星に変えてしまうように、
 一点に凝縮された魔力はその周囲の物理法則を捻じ曲げてしまうのである。
 やっていることはアルトリウスと同じだ。ならば結果は、イーブン……!
「力比べをしたい輩は、どこの世界でも多いものだな」
 アルトリウスはこれに付き合う。自らの体内時間を加速させ打撃を放った。
 ミニスター・ブラックもまた同様に、魔力で自らを強化し殴打を放つ。
 ぶつかり合うたびに拮抗した魔力が空間を爆ぜさせ、魔法弾が乱舞する。
 誰も立ち入れない超高速――いや、速度すらも置き去りにした概念的闘争。
『これほどの力を持つ者を、野放しにはしておけぬ。女王のために死ね』
「断る。俺はお前にも、いかなるものにも殺させるつもりはない」
 フォースナイトたちは、超常のぶつかり合いにただ唖然としていた。
 時間すらも置き去りにした打撃戦は、余人では目視すら出来ぬのだ……!

成功 🔵​🔵​🔴​

数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

おーおー、こわいこわい。
慢心せず油断しない敵さんってのはきついんだヨな。
同じような相手……黒騎士にはしてやられっ放しだったよ。
アンタも同類みたいなもんだろ、ミニスター・ブラック。
だからアタシ達も油断せず行かせてもらう!
ここが正念場だ、気張りやがれヒヨッコ共!

フォースナイトたちを『鼓舞』しながら、
放たれた魔法陣を電撃『属性攻撃』付き『衝撃波』の
『範囲攻撃』で誘爆させる。
フォースの使い手なら、これくらいの衝撃波は飛ばしやがれよ!
そうして爆煙で『目潰し』しながら、テレパスを鋭敏に。

【超感覚領域】を、皆と力を合わせて戦場に構築する!
これもフォースの応用だ、しっかり覚えなっ!


ミレア・ソリティス
敵猟書家は高い判断力、洞察力、なにより力量を備えた戦士と判断
故に奇策は通じても一度きりでしょう
ならば、その“一度”を勝利に繋げるまでです

背部に副腕へ変形する可変翼「グライフフリューゲル」並びにブラスターと3型兵装を装備、
ブラスターによる制圧射撃、味方への援護射撃、ジャミングミサイルによる妨害で立ち回りつつ、敵を挑発しこちらに攻撃するよう仕向けます

後は、バリアで軽減しつつも敢えてこの身をその魔拳に貫かせ、
耐性で耐えつつ変形させた副腕の怪力、セイバーのナノマシン侵食で敵を抑え込み、味方の攻撃チャンスを

後は拘束限界時点でUCを使用
……無傷で解放するつもりなど、ありません。

※アドリブ連携他、歓迎です


フリージア・プロトタイプ
斃しに来たぞ、外道

刀を抜き放ち、刀と同素材の鞘も逆手に持ち構え
だまし討ちだけでなく、正面から戦っても強敵か
とはいえ、引くことなどできない
それに…
お前への怒り、お前の部下共を蹴散らした程度で晴れたと思うな

怒りは内に秘めろ、冷静に徹しろ
自分に言い聞かせ、敵の攻撃を注視し捌くことに集中
僅かな隙を見つけ、そこを突く

私が致命の一撃とならなくてもいい
周囲には騎士たちもいる
直接一撃を浴びせる以外にも、彼らの一太刀の為の道を拓くだけでもいい

…とはいえ、彼らにも、出来る限り危険は与えたくない
だから…
長期戦は避ける、敵の策も全て砕く程の
正面からの、全力で…ッ!
UCを発動、渾身の一撃を以って…消えろ、外道!


ギージスレーヴ・メーベルナッハ
成程、紛れもない強敵であるな。
良かろう!我が軍の総力を以て、貴様へ、帝国へ再度の黄昏を齎してくれようぞ!

引き続き、フォースナイト達と共に戦う。
黄昏大隊・突撃部隊にて招集した重装亡霊兵を、彼らに帯同させミニスター・ブラックへと当たらせる。
余自身も魔導小銃を以て攻撃を行おう。

兵達にはフォースナイト達の脇を固めさせ、彼らが攻撃に専念できるようその隙を補う形での行動を命令。いざとなれば庇わせる。
「拾った命を燃やせ!前を向け!目を逸らしたら今度こそ死ぬと思え!貴様らの進む道は、この敵を斃した先にしか無いと知れ!」
などと檄を飛ばしつつ、魔導小銃の【乱れ撃ち】で援護射撃、彼らの攻撃の気を作らんとする。



●活路を拓け
 ドウッ!! と爆音が響き、人工大気が銅鑼めいて鳴り響いた。
 脚部に魔力を凝縮したミニスター・ブラックが、床を砕いて吶喊したのだ。
 向かう先にはフォースナイトが3人。当然、彼らの速度では避けきれない!
「させるかッ!!」
 射線上に割り込んだのはフリージア・プロトタイプだ。両手に刀と鞘。
 それらをクロスさせて歯を食いしばり、激烈なる魔力打撃を受け止めた。
 爆音再び――今度は大気ではなくフリージアの全身が銅鑼めいて叩かれる。
「ぐ……!!」
『よくぞ我の攻撃に対応した。実に見過ごせぬ。死ね』
 ミニスター・ブラックの打撃は一度に見えた――少なくとも騎士らには。
 だが実際のところ、フリージアの剣を叩いたのは五度の拳打である。
 重く、疾い。フリージアが踏みしめた両足と床が摩擦熱でバチバチと燃えた。
「散れ!! 固まっているとやられるぞ!!」
「然り! 突撃は我らに任せよ――黄昏大隊、前へ!」
 フリージアの怒号が、呆けていたフォースナイトたちを突き動かした。
 そして散開した騎士たちと入れ替わりに、重装甲突撃部隊がミニスターを襲う。
 ギージスレーヴ・メーベルナッハが召喚した、この世ならぬ"黄昏大隊"の兵士だ。
 山をも揺るがすであろう強烈なチャージ……だが、ミニスターは退かない!
『亡者が亡者を退かせられると思うてか。消えよ』
 ブンッ、と片腕が霞み、その直後に爆裂的な強風が部隊を薙いだ。
 77体の兵士のうち、半数が消滅。残る半数も吹き飛ばされ壁にぶつかる。
「ハハハ! 一騎当千とはこのことか、だがァ!!」
 BRATATATATATA! ギージスレーヴは呵々大笑しながら魔導小銃で援護射撃。
 ミニスターは部隊を薙ぎ払いながら、フリージアを殺そうとしていたのだ。
 重さではなく速度に特化したチョップ突きを、横槍めいた弾丸がわずかに逸らす。
 フリージアは剣の峰で鋼じみた手刀を反らしながら、首を傾けていた。
 ピュウ! と笛のような高音。先端部が超音速に達した証である。
 遅れてフリージアの頬が裂けて血を噴き出す。援護がなければ首が飛んでいたか。
 ミニスターとフリージアの視線が交錯する。殺気が空気を凝らせた。

 だが、両者が超至近距離で切り結ぶことはなかった。
『新手か』
 然り。ミニスターの死角に回り込んでいたのはミレア・ソリティスである。
 可変翼による超・超低空飛行で艦内をぐるりと半円周したミレアは、
 背後からブラスターとジャミングミサイルを同時射出していた。
 ミニスターは突き出していた手刀を引き戻し、魔力でコーティングする。
 超速度によってまとわり付いた魔力が散弾めいて飛沫となり、熱線を相殺。
「さすがは猟書家幹部。ですが、それ以上の自由は許しません」
 ミレアは全身のスラスターを起動し、ミニスターの踏み込みを後退回避した。
 ――はず、だった。ミニスターの踏み込みは予想に反し、二度!
 緩急をつけた二度目の踏み込みが、ミレアの懐に飛び込む。鞭めいた蹴撃!
『殺戮機構を捨てたウォーマシン。性能は落ちたとて爆発力は侮れぬな』
 ミニスターはやや不服げに目を細めた。手応えが期待したほどではない。
 ミレアは命を繋いでいた。蹴撃は先端がボディを掠めるに留まっていたのだ。
 だが、重い。ばくりと裂けた腹部ユニットから、オイルが噴き出す。
 仕留めるには絶好のタイミングである。ゆえに猟兵はそれを許さない。
「相手は私だ、外道!!」
「余所見をしている場合ではあるまいなァ!」
 フリージアの斬撃、そしてギージスレーヴの援護射撃。
 ミニスターはこれを無視できない。その間隙を突撃部隊が埋める。
 吹き飛ばされ床を転がるミレアとミニスターの間に割込み、横列をなすのだ。
『小賢しい』
 ミニスターは吐き捨て、フリージアの怒りの連続斬撃に付き合った。
 一進一退。戦況がコンマ秒で激しく切り替わる、まさしく死闘。

 若きフォースナイトたちが、立ち入ることのできる領域ではなかった。
 ただ呆然と見ているしかなかった彼らを、誰が謗れようか?
「いつまでボケっとしてんだ、アンタらも攻めるんだよ!!」
 そんな彼らの背中を叩いたのは、数宮・多喜の罵声じみた叫びである。
「戦いに来たんだろう? 自分たちの手で、自分たちの敵を倒すために!
 あいつが強敵だってのは百も承知さ。アタシだって怖くて仕方ない。
 ……けどね、ここが正念場だ。気張って命賭けやがれ、ヒヨッコども!!」
「ああそうとも! 拾った命を燃やせ、前を向け!」
 ギージスレーヴが同調した。
「目を逸らしたら今度こそ死ぬと思え。あの敵を倒した先が貴様らの進む未知だ!
 ならば斃すほかになし。活路は前にしか非ず、選択肢はないと知れ!!」
「さあどうする、ここでビビって背を向けるか、それとも戦うか!」
「……もう、選んだんだ。僕たちは!」
 若き騎士、ハント少年が叫んだ。
「やります、やらせてください! 一緒に!!」
「上等ォだ。だったら行くよ、アタシらが支えてやる!」
 ギョロリと、ミニスター・ブラックの眼光が騎士たちを睨んだ。
『……手強いな。死ぬためではなく生きるために死中に活を見出す戦士は』
「させんぞ、この私を斃さずして彼らを殺せると思うな!!」
『ならばその通りにさせてもらうぞ。剣士よ』
 フリージアは、己の胴体を拳で貫かれる幻視を垣間見た。殺気がもたらした錯視。
 全細胞が恐怖している。それを、怒りと覚悟と義憤によってねじ伏せた。
(私が致命の一撃とならなくてもいい。戦うのは私だけではない……!)
 腹部狙いの拳打――これはフェイントだ。本命は頭部を砕く回し蹴り!
 フリージアは二重三重に張り巡らされた打撃の罠を見切り、くるくると回転。
 打撃を弾くのではなくその流れに乗ることで、竜巻じみた連打を受け流した!
『手を焼かせてくれる……!』
 致命的一撃のチャンスを逃したミニスターに、ジャミングミサイルが飛来。
 それを見もせずに拳圧で破壊し、追い打ちを諦めて大きく後退する。
 あちらから仕切り直しに持ち込んだ形だ。つまり、反撃が来る!
「サイキックエナジーを漲らせろ! ここからが本番だよ!」
「突撃部隊、陣形を組め! 先鋒として死地に挑むのだ!!」
「3型兵装全開起動――敵猛攻、来ます」
 ミレアの言葉を証明するかのように、無数の魔法弾が空間を覆い尽くした。
 その数、2000発以上。一撃一撃が致命的な魔導弾幕――!

 ギージスレーヴの指示に従い、黄昏大隊突撃部隊が槍の穂先となる。
 鏃型の陣形を組んだ突撃部隊は、躊躇することなく弾幕に突撃。
 重装甲が爆裂し霧散する。生身の人間には絶対に不可能な強引な特攻!
「いいぞ、いいぞ! 黄昏の先触れは嵐とともに来たるが道理!
 静かな終幕など我らには必要なし! 余が生きるは斯様な鉄火場よォ!」
 BRATATATATATATA!! 魔導小銃の乱れ撃ちが魔法弾を撃ち落とす。
「なんて数だ、けど……アタシも黒騎士には一杯食わされたからねぇ!」
 そして多喜もサイキックエナジーを電撃に変性させ、両手から解き放った。
 ガガガガガガ――!! とクモの巣状に広がる電撃が、魔法弾を次々に落とす。
「アンタたちもこのぐらいの衝撃波は飛ばしやがれよ! できるだろう!?」
「「「はいっ!!」」」
 フォースナイトたちはその型に倣い、サイキックエナジーを迸らせる。
 KRA-TOOOOM……魔法弾の1/3が相殺され、爆煙が束の間戦場を覆った。
 視界の効かぬ状況、まともな手合であれば飛び込まない――だが。
「そこか!!」
 フリージアは第六感のもたらした啓示に従い、爆煙に飛び込んだ。
 ミニスター健在! 弾幕の一部をバリアめいて自身の周囲に飛び交わせ、
 むしろその煙幕を逆に利用、フォースナイトに狙いを定めていたのだ。
『剣士よ。なにゆえ我を……否、我らを憎む。お前はこの世界の人間ではあるまい』
「知れたこと! 生命を、未来を脅かす異物に向ける慈悲はない!」
『妄執の如き怒りを支えに生きるか。なんたる自罰的な女か』
「お前如きに憐れまれる筋合いは、ないッ!!」
 ガガ、ガガガガガガッ!! 煙を吹き払う剣と拳のぶつかりあい!
 怒りは原動力であり加速装置だ。もっと怒りを、もっと呼び起こせ。
『――脆いな』
 だがその執着が、義憤が、フリージアの隙を生んだ。
 時が止まったような空白。ミニスターは懐に飛び込んでいる!
「……!!」
 胴体を両断する拳が、ひどくゆっくりと見えた。
 それはフリージアの肉を、臓物を、脊髄を叩き斬る――はず、だった。だが。
「な……!?」
「…………ッ」
 フリージアを突き飛ばしたミレアが、その一撃を受けていた。
 フリージアは鈍化した主観時間のなかで、胴体貫通されたマシンを見上げる。

 何故。
 もしもその言葉が口を突いて出たとして、彼女は言っただろう。
 "それはおそらく、あなたと同じです"と。
「拘束、成功。あとは、任せます――皆さん」
『自爆かッ!!』
 ミニスターは拳を引き抜いた。まとわりつく副腕すらも巻き込んで。
 斯様な相手に騙し討ちは通じぬ。その"一度"を引きずり出すのすら難しい。
 だが、捉えた。逃さぬ! ミレアは両手で巨躯を掴んだ!
「無傷で解放するつもりなど、ありません」

 ――KRA-TOOOOOOOOOOM!!

「なんてこった……」
「否、呆けている暇はない! 全員攻め込めェ!!」
 ギージスレーヴは多喜とフォースナイトたちを檄した。そしてそれは正しい。
 ミレアの自爆で生んだ間隙は一瞬。敵は健在であり襲いかかってくる!
「させんと、言ったはずだ!!!」
 フリージアが割り込んだ! その剣は烈しく、だが冷たい。
(怒りに呑まれるな。己のうちに秘め、冷静に敵を見ろ)
 ミレアの捨て身の攻撃が、フリージアの心に強く響いていた。
 見える。烈火の如き怒りを燃やしながら、その頭はどこまでも冷えていた。
 ミニスターの拳が斜めに走る。剣を添わせ、軌道を頭部から反らした。
「消えろ、化導。我が紫電、受けてみろ!!」
 右腕が霞む。紫電の剛拳、ここに炸裂せり!
『ぬう……!!』
 その威力は激烈である。ミレアの自爆ダメージが余力を削いでいた。
 ミニスターがたたらを踏む。多喜とギージスレーヴは叫んだ!
「ここだ! すべての精神力を注ぎ込むんだよ、アタシと一緒に!!」
「敵を斃すことのみ考えよ! 魂の一縷まで振り絞れェ!!」
 フォースナイトたちは喉を枯らさんばかりに叫び、精神力を投射した。
 バチバチバチバチ……!! と局所的雷雲が生まれ、そして炸裂!
『おのれ……猟兵……オオオオッ!!』
 フォースナイトと多喜の怒りの雷撃が、その巨躯を吹き飛ばし、飲み込む――!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

神元・眞白
【SPD/割と自由に】シンさん(f13886)と一緒に
相手はおひとりさま。とはいえ力量は十分。油断せずに。
……でも今のシンさんには止めるよりは支援の方が良さそうです。
魅医、シンさんの後に付いて行って。目立たない様に、奥の手としてね。

自律行動するビットは人形製作の参考になりそうです。
飛威、相手よりは攻撃手のビットを落とす要領で動いてみて。
余裕があったら1つぐらい研究用に確保してもらえれば。状況次第で。

だまし討ちならだまし討ちも。味方から騙すのも演技のうち。
新人さん達には良くない勉強ですが、やられたふりも一つの手として。
シンさんには………素で反応してもらった方が臨場感が出るのでしょう。


シン・コーエン
眞白さん(f00949)と

卑劣な作戦への怒りと強敵に対する敬意を併せ、『強敵との戦いに歓喜する、真の姿たる修羅の笑み』で臨む

UCで左手をブラックホールに変換。
追加装甲・ビット・ビームや魔法弾等の攻撃手段を吸込対象に。

敵の高速移動と攻撃は第六感・見切りで読み、残像を身代わりにし、ダッシュ・ジャンプで加速した空中戦能力で自在に動いて回避。

眞白さんを狙えば、念動力で敵を捕捉して動きを止め、結界術の高速詠唱で眞白さんに防御結界を。

炎の属性攻撃を宿した灼星剣で斬り上げ斬り下げる2回攻撃時に、衝撃波・精神攻撃を上乗せして鎧無視攻撃。
『斬撃・衝撃・炎・精神』四重攻撃の二閃にて敵を討つ。

大事な人達は護り通す!



●虚実の紙一重に挑め
『…………ぬうッ』
 全身からぶすぶすと煙を吹き上げるミニスター・ブラック。
 猟兵とフォースナイトたちの連携攻撃が、ついに痛打を与えたのだ。
 巨躯がゆらぎ、踏みとどまる……攻め込むチャンスに思えた。
「今なら……!」
「……いや、ここは俺たちに任せて」
 勇み足を踏み出しかけたフォースナイトを、シン・コーエンが制した。
 その表情は緊張に引き結ばれている。双眸は敵を睨んでいた。
「……それだけのダメージを受けながら、なお隙が見出だせないとは。見事だ」
『…………』
「卑劣な手管への怒りはある。けれども同時に、俺の中にはあなたへの敬意もある」
 シンは左腕を掲げた。その肩口から先が、徐々に黒ずみ、星空めく。
 "漆黒の門"。自らの身体の一部をブラックホールに変貌させるユーベルコード。
「ゆえに俺は怒りでも侮蔑でもなく、歓喜を以て挑もう、ミニスター・ブラック!」
『……ほう。修羅の貌(かお)を見せるか』
 然り……いまのシンの表情は、凄絶なる鬼のごとき笑みであった。
 怒りや敬意を超えた純粋なる闘争への歓喜。まさしくこの男の真の姿である。
「……シンさん」
 そんなシンの様子を伺う神元・眞白の表情は、常通り平坦なまま。
 だがその胸の中に渦巻くのは、男への信頼か、あるいは。
「今度はこちらから征くぞ、ミニスター・ブラック。俺を愉しませろ……!!」
『ならば、その代価に命を頂戴する』
 メキメキと音を立てて、ミニスターの全身を漆黒の外装が鎧う。
 ブラックホールの引力が人工大気を吸い込み、異様な音を立てた――そして!
「『オオッ!!』」
 凄烈なる戦闘者は、示し合わせたように同時に飛びかかった!

 "漆黒の門"がもたらす引力は、有象無象の区別なくすべてを吸収する。
 ミニスター・ブラックは、その時点で自律ビットによる奇襲を棄却していた。
 シンがそれで安堵したかと言えば、否。むしろ警戒をさらに強めている。
(これほどの使い手が、奇策の一つ二つで諦めるはずもなし!)
 その判断は正しい。ビットという手を捨てたとて敵の実力は揺るがぬ。
 超音速に達した拳打は、シンの見切りをして捉えるのが精一杯だ。
 受け太刀では押し切られる。シンは思考速度の攻防のなかで悟った。
「だからこそ面白いぞ、ミニスター・ブラック!!」
 剣と拳とが撃ち合うたびに、星のように火花がきらめいた。
 頭上を高速で応酬するシンとミニスターの攻防は、まるでドッグファイトだ。
『よくぞここまで練り上げた。かつての好敵手とて感嘆に値しよう』
「敵を褒め称えている場合か? 俺は手加減しないぞ!!」
『言うまでもなし――ゆえにお前は手に余る』
「……!!」
 ミニスターの殺気が迸り、シンに頭部致命打撃を予感させた。
 細胞レベルまで闘争が染み込んだシンの五体は、反射的に防御してしまう。
 そう、"してしまう"。シンの理性は、これがフェイントであると見抜いていた。
「――眞白さん!!」
「え?」
 警告の声は、残念ながら遅かった。
 ミニスターの姿がブレたと思われた瞬間、拳が眞白を捉えていたのだ。
「――……!!」
 眞白は悲鳴すらあげることが出来ず、くの字に折れ曲がって吹き飛んだ。
 ミニスターは追撃を仕掛ける。シンは怒号をあげた!
「させるかァアアアアッ!!」
『――!』
 念動力の鎖がその身を雁字搦めにし、漆黒の引力が巨躯に絡みつく。
 ミニスターは振り返った。怒涛の勢いで襲いかかるシン!
「それ以上は! させんッ!!」
『修羅であろうと、愛する者の痛みに憤るか。その爆発力こそが危険なのだ』
「ならばその逆鱗に触れたこと、後悔させてやる!!!」
 灼星剣が大気を焦がすほどの速度で振るわれ、外装甲を切り裂く。
 疾く、鋭い。ミニスターは丁寧な掌打でいなすが、しかし!
『――チィ!』
「大事な人々は護り通す! この俺の、力で!!』
 胴体狙いの斬撃ふたつ。ミニスターは防御しようとした。
 しようと、した。だが出来ぬ。シンの斬撃が急加速したからだ。
 これは。視界の端、立ち上がる眞白。その傍らにもう一体の戦術器。
「あの人に、灯をつけて。魅医」
 強化魔術! 手応えはあった、だが仕留め損なったというのか?
 理解よりも先に斬撃が到達する。燃え上がる剣閃が黒曜石を裂いた!
『……これが、女王すらも畏れた力か……!』
 たたらを踏み、ミニスター・ブラックは呻いた。驚愕と、賞賛の声音で。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

トルメンタ・アンゲルス
嗚呼、成程
まだ戦えない相手を暗殺しようとするのは好ましくないですが、
ひたむきに己を研鑽し、高みを目指すその姿勢、俺は好きですよ。

だから残念でもあり、嬉しくもありますよ。
味方だったなら心強かったでしょう。
でも、敵でなければ相見えることも無かった!
『Full Throttle――』

故に、全力には全力で征く!
『――HyperDrive』


リミッター解除!
全力全開のダッシュで征きます!
第六感で動きを見切り、出鱈目な軌道でビットをなぎ払い、突き進みます!
追加装甲、ならば鎧砕きの一撃を以て、一切を蹴り穿つまで!

帝国だろうと、何度立ち塞がろうと!
それを踏み越え先へ征く!
追撃のォ!!
ブリッツランツェエエエ!!!



●敬意あらばこそ
 トルメンタ・アンゲルスはオブリビオンを憎む。絶対悪として。
 奴らは自分からすべてを奪った。
 仲間を。
 未来を。
 平穏を。
 いまさら悔やみはすまい……だが怒りは常にその心で燃えている。
 ゆえに和解などあり得ない。されど、それは相互理解を否定するものではない。
「ああ、なるほど――」
 トルメンタは外装甲を纏った敵と相対し、そして出し抜けに理解した。
「あなたのその戦術は気に食わない。そう、俺としては好ましくありません」
『……』
「ですが。ひたむきに己を研鑽し高みを目指すその姿勢は――」
 みしりと空気が軋んだ。トルメンタが、身構えたのだ。
「俺は、好きですよ」
『……己の身を鋼に変え、命すらも燃やし、なお速度を求めるか。騎兵よ』
「ハッ。一瞥でそれがわかるなら、問いかけの無意味さは理解してるでしょう」
『残念だ。お前ほどの戦士であれば、さぞ強大なるオブリビオンとなろうに。
 我はそれを許容出来ぬ。なぜならば、お前は"殺したとて残骸にはなるまい"』
 ミニスター・ブラックは感じたのだ。トルメンタの魂を焦がす憤怒を。
 根源的存在にすら食い込む敵愾心。それは骸に落としたとて燃え続けよう。
 口惜しさがある。この敵は、懐柔ではなく滅殺でなくば斃せない。口惜しさが。
「俺も残念ですが。味方であればこれほど心強い敵は居なかった」
 トルメンタの言葉はまぎれもない本音であった。
「――でも敵でなければ、相まみえることもなかった。それが嬉しいのも事実です」
 がちゃん、とドライバーが起動した。
《Full Throttle――HyperDrive》
「ゆえに、全力には全力で征かせてもらうッッ!!!」
 フォースナイトたちは、そこに流星を見た。緑色に迸る、光の如き流星を。

 トルメンタの身体は、もともとその出力に耐えられるように出来ていない。
 耐えるという要素そのものを度外視した、常識外の自己改造を行ったためだ。
 リミッターを解除し、光の速度を超える。超越の代償は命を燃やすこと。
 はたして自分はいつ死ぬだろう、とトルメンタは思う。20か。それとも30か。
 構わない。もともとこの命は拾ったものだ。本当ならなかったはずだ。
 一体でも多く敵を倒し、誰かの未来を切り開けるならば――!
「オオオオオオオッ!!』
 トルメンタの全身を包む緑色の輝きは、まさに命を燃やす星の輝きだった。
 自律ビットは軌跡を貫くだけ。ミニスター・ブラックは身構えた。
 高速移動など無駄だ。全力で迎撃する他に手はない!
『定められた命を持つがゆえに、未来を燃焼し現在を勝ち得る――実に』
「追撃のォッ!!」
『実に、手強いぞ! 猟兵ッ!!』
「ブリッツ! ランツェエエエエエエッッ!!!!」
 拳と蹴りが正面衝突した……そして、黒が砕ける。黒が、砕けた!
『ぐ、おおおおお……!!』
 苦悶! ミニスター・ブラックは反発力で吹き飛ばされる!
「……帝国だろうと、何度立ちふさがろうと」
 バック宙を打って着地したトルメンタのツインアイが、燃えるように輝く。
 ひび割れた装甲の中から滴る血。だが、膝は突かない。
「それを踏み越え、未来(さき)へ征く。俺は、何度だってそうするだけです」
 未来を掴むために未来を燃やす。
 それは矛盾――だが人は、それを希望と呼んで尊ぶのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カイム・クローバー
よぉ、真っ黒野郎。棺桶の準備は万全かい?お望みなら宇宙に棺桶ごと放り出してやっても良い。寝心地はそう悪くねぇと思うが?

二丁銃にて【クイックドロウ】と紫雷の【属性攻撃】にて銃撃。距離を離して叩けば、接近するしかねぇだろ?
勿論、俺も銃撃だけで倒せるなんざ思っちゃ居ないさ。…狙いは魔力を込めた拳。俺に対して突き出された拳に【見切り】を用いて、魔剣をUCで叩き付けるぜ。狙いは充填した魔力の消失。これに加えて、UC抜きによる【怪力】と【二回攻撃】での完全なる拳の破壊。
アンタみたいな自信満々の面を驚愕させるのが好みでね。この程度で『ごめんなさい』言うようなタマじゃないだろ?
来いよ、もう一ゲームと行こうぜ。



●神を殺し、魔をも殺し
 カイム・クローバーは、相手が何者であろうと媚びへつらうことはない。
 頭を下げるぐらいならば舌を噛んで死ぬ、とでも言いそうな手合いだ。
 それこそ相手が神であろうが悪魔であろうが、臆することはない。
 むしろ剽げて笑ってみせる。どこまでもタフな――そう、伊達男である。

「よぉ真っ黒野郎、棺桶の準備は万全かい?」
 BLAM、BLAMN!! 軽口と並行して、魔銃が咆哮をあげた。
 弾丸はミニスター・ブラックに届かない。拳によって叩き落される。
「お望みなら、宇宙に棺桶ごと放り出してやってもいい。出血大サービスさ」
 ミニスター・ブラックの巨体が霞む。カイムは大きく飛び退っていた。
 踏み込みに対して同じ距離の後退。両者の間合いは決して縮まない。
 そして着地際にファニングを叩き込む。BLAMBLAMBLAMBLAM!!
『小賢しい』
 紫色の雷を纏った弾丸は、黒曜石の身体を傷つけることなく弾かれる。
 このヒットアンドアウェイは、すでに数分に渡って続いていた。
「い、いまは凌げてるみたいだけど……」
「ああ。あれじゃあお互い決定打が足りないな」
 戦いを見守る少女騎士の言葉に、厳しい面の男性教官が頷いた。
 致命打は避けている。避けてはいるが……カイムも有効打を打てていない。
 つまり、状況は千日手だ。スタミナ勝負になると敵に圧倒的な有利がある。
 カイムとてそれはわかっていよう。ならばどうして追いかけっこを続ける?
「わ、わたしたちが助太刀すれば……!」
「よせ。なぜかわからないが、そうしたほうがいい気がする」
 焦る少女騎士を、男性教官が制した。飛び出したいのは彼も同じだ。
 狙いはわからない――しかし、カイムには何か奥の手がある。
 彼はそう感じていた。そして敵もまた、それを半ば看破していた。

「おや? 追いかけっこはおしまいか? それともやっぱり棺桶をご所望かい?
 知り合いに腕のいい大工がいてね。寝心地はそう悪くねえと思うんだが……」
『戯言は聞き飽きた』
「……そうかい」
 カイムは剽げた笑みを崩さず、肩をすくめるのみ。
 両者の殺気がバチバチとぶつかりあい、空気が凝って見えた。
(なかなか誘いに乗っちゃくれねえな……踏み込みが"浅い")
 余人には見分けがつかなかったが、ミニスターの踏み込みは半歩だけ遠かった。
 カイムの狙いを満たすには、あと数十センチの踏み込みが要る。
 なるほど、敵がこちらを警戒しているというのは伊達ではないようだ。
「アンタみたいな自信満々の面を驚愕させるのが俺の好みなんだが――」
 カイムは深く腰を落とした。そして、体重を前に傾ける。
「いいぜ。俺の命をBETしてやるよ。さあ、かかってきな」
 後退を棄却した構えだ。つまりカイムは、もう退かない。
 敵が踏み込んでくるかはわからない。背水の陣と言ってよかった。
『……なんと大胆な男よ。ゆえにこそここで殺す』
「やってみな。Black jackはしぶといことで有名だぜ」
『ほざけッ!!』
 ミニスターが飛び込む。カイムは二挺拳銃で迎え撃った。
 BLAM、BLAMN。弾丸は弾かれる――拳の軌跡はそのまま攻撃に転じる。
 取りに来たか。カイムはスローめいた異常緊張の中で口元を歪めた。
 踏み込みの速度が疾い。今まではおそらく本気の8割といったところ。
(そっちもブラフを重ねてたんだろ。なら、あとは手札次第だ)
 カイムは二挺拳銃を、投げ捨てた。そして電光が魔剣の形に収束する。
 魔力を宿した拳が恐るべき速度で大気を裂く。剣で弾くには、足りない!
 取った――その確信がある。"だからミニスターは眉間を顰めた"。
「おォッ!!」
 カイムは。前に出た。……半身を傾け、肩で拳を受けたのだ!
 そして脇を大きく締め、天地反転させた魔剣で敵の拳の外側を削ぐ。
 ぎゃりぎゃりと火花が散った――衝撃、到達。肩から鈍い音。しかし。
(魔力を。殺したか)
 ミニスターは見た。カイムの快哉めいた笑みを。賭けは彼の勝ちだ。
 "必滅の刃"。それは神をも殺す魔剣の一撃。敵対者のユーベルコードを殺す剣。
 拳はどうあれ届く。ならば『その距離をこちらから縮めればよい』。
 魔力が伝搬するコンマゼロ秒――そこにカイムは刃を滑り込ませたのだ!
「支払いの時間だぜ、真っ黒野郎!!」
 引き伸ばされた時間が加速する。伸ばされた拳をレール代わりに剣が走った!
 ミニスターが片腕を引き戻すよりも、カイムの逆袈裟が疾い!
『ぐ、ぬう……ッ!!』
 入った。肩を犠牲にしたゆえ威力は必殺とはいかぬ、しかし入った!
「棺桶がお嫌いなら、バラバラにするしかねえな」
 カイムは使い物にならなくなった片腕をだらんと下げたまま、魔剣を担ぐ。
 ダメージは敵も同じだ。切り裂かれた傷跡から魔力の火花が散った。
「来いよ。もうワンゲームと行こうぜ」
 カイムはいつでもスタイルを崩さない。たとえ、死地であろうとも。

成功 🔵​🔵​🔴​

白斑・物九郎
●WIZ



頭垂れなさいや、亡霊
ここにワイルドハントの夜が来る


・【創世濁流】発動

・眩しいホロ、電飾、ファンキーなオブジェ、摩天楼の群れ、天地を行き交う乗用機械、すごい数のフォロワーによる応援と有能な解析班による敵の手の内晒しスレ――
・周囲を地の利100%の狩場『夜のキマイラフューチャー』へと変貌させる(地形の利用)

・生えて来た建造等の影を【ダッシュ】し敵攻撃射線より退避
・乗用ドローンを足掛かりに自由自在に機動(足場習熟+ジャンプ)
・「どこから何が出て来るか」を【野生の勘】で網羅し立ち回る

・ミニスター目掛け、コンコンコンして出したレールガン砲座をブッぱなしてみたり超電導リニアを走らせて突っ込ませたり



●ファンキー・ナイト・カーニバル
 からん、ころん、からん。
 スペースシップワールドにはそぐわぬ、下駄の足音。
「頭垂れなさいや、亡霊」
 からん、ころん、からん――かつん。
「ここに、ワイルドハントの夜が来るんスよ」
 白斑・物九郎はこの世の王とばかりにふんぞり返り、腕を組んでいた。
 まるで喧嘩小僧のような装いに、意味不明な傲岸不遜。
 ミニスター・ブラックのような堅物は一笑に付しそうな、ふざけた手合いだ。
「ど、どこから出てくるんだ、あの自信……」
 などと、ひとりのフォースナイトが呆れたのも無理はない。

 しかし。
『……ワイルドハント。見た者を呪いし亡霊の猟団か』
 ミニスター・ブラックの声音に、侮蔑や嘲笑のたぐいはなかった。
『つまりお前は、我らオブリビオンを猟(か)る者の王だと言いたいらしい』
「"言いたい"じゃニャーくて、俺めは"それそのもの"っスよ」
『……フン』
 ミニスター・ブラックが王と仰ぐのはただひとり、プリンセスのみ。
 ましてや好敵手たる猟兵が僭称したところで、はいそうですかと認めはしない。
 だが、ミニスターは受け入れた。物九郎の放つ強烈な威圧感を。
 巨躯の見せるオーラ? 違う、魔力だとか妖気だとかの話ではない。

 ……自負(エゴ)である。
 己は王であり、過去の残骸を猟る者であり、そして"最強"である。
 子どもの戯言めいた絵空事を、心の底から信じ、否と言われれば是と返す。
 そういう自我の強さ。ともすれば物理的に作用しかねぬほどの。
『……この宇宙に王はふたりも要らぬ。消えよ!!』
 ミニスターは魔力を解き放ち、2000を超える魔法弾で襲いかかった!

 だがそれらが、物九郎に届くことはなかった。
「ワイルドハントの狩場で、獲物がごちゃごちゃ吼えニャさんな」
 一瞬にしてそこは、なんとも猥雑でにぎやかな、ふざけた光景に変わっていた。
 眩しいほどに輝くホログラム、そして電飾とネオンサイン。
 あちこちから突き出すオブジェは、子どものおもちゃ箱めいている。
 聳え立つのは摩天楼、見下ろす空の星は誰もが識るものと異なっていた。
「な……」
「なんだこりゃあああ!?」
 フォースナイトたちは驚いた。ここは、なんだ? 幻術でも受けたのか?
 否、幻に非ず。これはれっきとした空間変化術式。
 創世濁流(ワイルド・マッド・ストリーム)。
 キマイラフューチャーの夜の喧騒を、そのまま"引きずり出した"のだ!

『これは!』
 さしものミニスターですら、これには瞠目せざるを得なかった。
 魔法弾はファンキーなオブジェとぶつかり爆裂し、摩天楼を無駄に傾かせる。
 物九郎はどこだ? 居ない! なんたる機を見るに敏か!
『わこつ!』
『猟兵ファイト❣❣』
『手の内晒しスレの流れはえぇwwww』
 飛び交う文字の弾幕。それ自体に意味はない。威力などない。
 しかし見ていた。
 世界を超えて、面白いことと愉しいこと大好きなキマイラたちが見ていた。
 幾度も幾度も繰り返されてきた、"ワイルドハントの生放送"を!
「ここが俺めの狩場。そしててめぇがくだばる墓場でさァ!」
『!!』
 背後! 物九郎は魔鍵を――否、地面から突き出たレールガン銃座を引きちぎる!
 ZAAAAAAAP!! 電磁加速された弾丸が魔法弾の弾幕を切り裂く! 連鎖爆発!
「死ぬほどド派手にキメてやりまさァ! それが俺めの流儀ですからに!」
『小癪……!』
「でしょうよ。けど――」
 拳が空を切った。物九郎はそこにいた。
「てめぇじゃ届かニャーでしょうに」
『……!!』
 防御を、否、間に合わぬ。物九郎は片足を軸にぐるりと一回転!
 そして加速を得た片足が、さながら衝角じみて腹部に叩き込まれた!!
『が、は……ッ!!!』
「だから、頭垂れとけいったでしょうによ」
 くの字に曲がって吹き飛び膝を突くミニスターを、喧嘩野郎が見下ろす。
 ふんぞり返るのが物九郎で、見上げるのが獲物の仕事だ。
 これが、ワイルドハントの流儀なのだ!

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
新しきを迎えつつあるこの宇宙
それを切り拓く次代の騎士達を刈り取るならば…

帝国の遺物として、そして今代の騎士として
阻ませて頂きます

共に戦う騎士達を●かばいつつ怪力●盾受け武器受けを駆使し接近戦
魔力解放の拳のリーチ伸長だまし討ちも考慮に入れ●瞬間思考力で対応
騎士達狙えば牽制として剣盾を●投擲し妨害

流石の反応…

武装喪失の隙逃さぬ敵に格納銃器の●乱れ撃ちだまし討ち
躱した先に足元狙いでUCの鉄拳発射
躱すか弾いた敵に接近
脚部スラスターでの●推力移動乗せた蹴撃

受け止めるとは…
ですが、貴方の敵は私だけではありませんよ

騎士達の包囲示唆で注意逸らし
弾かれたUCを●操縦
回収した剣で離脱する敵の背後から刺し貫き



●旧き遺物にして新しき騎士
「俺たちも戦うんだ! 猟兵さんと一緒に!」
「あたしだって!」
「僕も!!」
 ついに膝を突いたミニスター・ブラックの劣勢は、騎士たちを奮い立たせた。
 フォースナイトたちは手に手にフォースセイバーを構え、一気呵成に戦いを挑む。
『未熟なる騎士どもが……! やはりこやつらは殺さねばならぬ……!』
 ミニスターは怒りではなく、警戒と恐怖めいた執着で立ち上がった。
 たしかに個々は容易い。だがこれだ、この奮起こそが厄介なのだ。
 生命が持つ爆発力。想定以上の力を引きずり出す、理解不能の底力……!

 ――ガギンッ!!
「あなたは恐れているのですね。若い世代が時代を切り開く可能性を」
『……猟兵……!!』
 フォースナイトたちを吹き飛ばすかに思われた、恐るべき魔力の一撃。
 それを真正面に立ち受け止めたのは、トリテレイア・ゼロナインだった。
 刃と拳とが拮抗する。広域を薙ぎ払うために魔力を拡散させていたためだ。
 拳一点に魔力を収束させれば、こうはいかなかっただろう。
「あなたの恐れている通りです。この宇宙は、新たな時代を迎えつつある。
 彼らは騎士として、そして若き命として、次の時代を切り開く光なのです」
『然り。然り! それを我は認めぬ。許容せぬ!』
「だから帝国の名を継承し、再びこの世界を暗澹で包もうと言うのですか」
『帝国の遺物たるその身で何を言うか!!』
「遺物"だからこそ"です」
 トリテレイアの電子音声はどこまでも冷静である。
「私は猟兵となった。過去の残骸として滅ぶことは私には許されなかった。
 ……それを悲しいとは思いません。私には、あの光を護れるのですから」
 トリテレイアは徐々にミニスターを押し返す。ぎらりと眼光が煌めいた。
「私は"09"……銀河帝国の遺物であり、そして今代の騎士」
『木偶が……わかりきったような口を叩く!』
「なんと言われようと、私はあなたを――あなたたちを、阻ませていただきます」
 ぎゃりんっ!! と剣と拳が打ち合い、両者は大きく飛び離れた。
 着地した瞬間、ミニスターは魔力を脚部から噴射し猛スピードで攻める!
 狙いはトリテレイアではない。フォースナイトたちだ!
「させません」
 ガァン!! と大音声。今度は剣ではなく盾と拳が打ち合った。
 ミニスターは退かない。トリテレイアは強引にシールドバッシュする!
『退け!!』
「断ります」
 吹き飛ばした敵めがけ、トリテレイアはシールドを投擲した。
 ミニスターは拳の一撃で盾を吹き飛ばす。目眩ましにもならぬか!
(反応速度はさすがですね。しかし……!)
 トリテレイアは体内に格納した銃器を展開し、突撃する敵めがけ発射する。
 防御した隙に接敵してのブーストキックという二段構えだ。
 しかしミニスターはそれを読んでいた。被弾を厭わずまっすぐに仕掛ける!
『我を相手に騙し討ちが通ずると思うてか!』
「く……!!」
 不安定な姿勢で放たれたキックは、脚部関節を狙ったショートパンチで殺される。
 関節が火花を噴いた。ミニスターは懐へ飛び込みさらにアッパーカット!
「……ッ!!」
 重い。ダメージが入ったのはトリテレイアのほうか!? いや待て!
『……見事だ、騎士よ。ここまでが布石か』
 ミニスターは言った。そう、すでにふたりをフォースナイトが囲んでいたのだ。
 回避、防御、いずれも間に合わぬ。
 アッパーカットで吹き飛ばされるトリテレイアと入れ替わりに殺到する騎士。
 フォースセイバーが黒曜石の身体を切り裂く! 苦悶!
「私からももうひとつ、土産を置いていくといたしましょう……!」
『――!!』
 隠し腕が床に転がっていた剣を操り、背後からミニスターを削り取った!
『……狡猾さと、清廉さ。これぞ、まさしく我が恐れていた……!!』
 かつての好敵手たちの姿がトリテレイアに重なる。巨躯は、苦痛と屈辱に吼えた……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ティー・アラベリア
堂々たる威風、堂々たる覚悟。
悪辣にして偉大な文明の後継者たらんとする武人とは、かくも美しいものなのですね。
どちらにせよ、偉大なる過去に敬意を込めて――。

叩き潰して差し上げましょう♪
さぁ、おいで魔杖たち!
油断なく、気負いなく、躊躇なく。目の前の闘争を愉しみましょう☆

堂々たる敵手に小細工を弄しては礼を失するというものです!
戦闘機動機構で乱数軌道を取りつつ、95式と92式で全力射撃。
砲撃と誘導弾の飽和射撃で徹底的に敵の動きを制約しつつ、90式で敵の装甲を削り取ります☆
敵の魔法弾に対しては、防空探信儀で機動を予知し、魔杖、砲撃妖精、近接防御妖精といったボクの全能力をもって正面から受けて立ちましょう♪



●魔杖の舞踏会
 炎の華が、咲き誇る。
 爆発、爆発、爆発――絶え間なく続く爆炎の百花繚乱。
 あまりに眩くそして荒れ狂う衝撃。フォースナイトたちは目を開けていられない。
 動くのはただふたりきり……ティー・アラベリアと、ミニスター・ブラックのみ。
「さあ、おいで魔杖たち! まだまだ、もっと、盛大に華を咲かせておくれ!」
 ティーはまるで童話に出てくる陽気な魔法使いめいて、魔杖を操る。
 炸裂する二種類の魔法弾が、ミニスターの展開した弾幕と激突し、爆発する。
「堂々たる威風、堂々たる覚悟! なんと素敵で、偉大で、楽しい武人でしょう!
 だからこそ叩き潰しましょう。敬意を込めて、愛を込めて、殺意を乗せて!」
 爆発、爆発、爆発ーーティーとミニスターは爆炎にかすりもしない。
 見えているのだ。都合2000を超える弾幕と、魔杖の炸裂の、そのすべてが。
『これほどの火力を有する機械人形が、異世界に存在していたとは……』
 ミニスターはティーの広域殲滅火力を前にして、冷静に呟いた。
 これは序の口だ。おそらくあの機械人形には、別の兵器があと3種は存在する。
 ミニスターは、ティーが展開した近接防御妖精の気配を察知していた。
 うかつな接近は危険だと、卓越した戦闘者の勘が告げている。
 火力は同等ーー否、演算能力を加味すればあちらに分があるか。
 紛れもない全力だと確信する。だがそれは、これが限界であることを意味しない。
『……お前たちは常に自らの限界を乗り越え、成長し、運命をも捻じ伏せる。
 我はそれを知っている。それこそが我らを滅ぼすのだと知っている……!!』
「ふふふふ! それを知っていてなお、逃げを打たず戦うことを選ぶとは!
 その恐怖は臆病ではなく戦士のそれ。ああ、だからこそ楽しゅうございます!」
 ティーは高揚していた。これこそまさに全力全開の闘争であった。
 一縷の油断も許されず、一秒たりとて対手から目を逸らせない殺し合い。
 全能力を引き出し、すべての兵装を活用し、計算に計算に計算に重ねてなお!
 叩き潰せるかはわからない。いつ死んでもおかしくないというスリル!
「小細工など弄しませんとも! ボクは戦士の礼を心得ておりますゆえ」
 爆発、爆発、爆発ーー火力は拮抗。いや、ティーがわずかに圧している。
 ティーは口元の笑みを深めた。優勢を勝ち誇って? 否、むしろ逆だ。
(来る。今にも襲いかかってくる! この張り裂けそうなほどの殺気!)
 凝縮した魔力と不可解な魔法弾の軌道が、致命的瞬間のカウントダウンだ。
 近接防御妖精、積層展開。探信機、オーバークロック。まだ足りぬ!
「さあーー油断なく、気負いなく、躊躇なく! 闘争(たた)かいましょう!!」
『参るぞ……!!』
 ミニスターが仕掛けた。魔法弾をバリアめいて自分の周囲に纏っている!
 狂った羽虫めいて荒れ狂う魔法弾の結界。魔杖飽和射撃が相殺無効化される!
「アハッ☆」
 ティーは恋人と再会した生娘のように頬を紅潮させ、吐息を漏らした。
 ここだ。このための布石を使う時。90式爆縮破砕型魔杖、起動!
「どうぞおいでませ! ボクの命を取りに、どうぞここまで、さあ!!」
 ミニスターは咆哮。魔法弾相殺、相殺相殺相殺相殺相殺――巨躯、到達。
「90式爆縮破砕型魔杖、過剰魔力炸裂(オーバーロード)――」
 ティーはうっとりとした声音で言った。
 そして超新星爆発じみた魔力の奔流が、空間を震わせた。

 ……光は絶え、乱痴気騒ぎが嘘のような静寂だけが流れている。
 倒れる影、ふたつ。
 ……立ち上がる影も、ふたつ。
 健在である。ミニスター・ブラック、ティー・アラベリア、いずれも健在!
「……甘露にございます。ふふふ☆」
 両者重傷、だが被弾の度合いは一目瞭然――ミニスターのほうが重い。
『……見事なり』
 ティーは凄烈に笑った。称賛を喜んだのではない。
 あんなになっても未だ魔力を迸らせる、目の前の強敵の殺意を悦んだのだ。
 常人には分からぬ"境界線"を超えたモノ同士の戦いは、終わりなく続く。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ベリザリオ・ルナセルウス
【白と黒】
●目的
私の戦いは守るべきものを守るため
この世界の未来を守るフォースナイトを犠牲にさせない
皆と共に戦いあなたを下して見せましょう

●行動
織久はあっと言う間に特攻して行ったね。分かっている、後方は任されたよ
読心術が通用する敵かは分からないが、使える力は全て使おう
UCで敵を狙う。攻撃を防いだと思ってもこのUCの本命は私達全員に加護を与える事
加護によって強化した弓の一斉掃射とフォースナイトの協力の制圧射撃で敵の魔法弾を空中で爆発させる
弾幕を抜けて来た魔法弾は私が盾とその周囲にオーラによる結界を張って防ぎきってから織久の所へ
敵の拳を剣と盾で武器落とし、シールドバッシュで体勢を崩し織久を援護しよう


西院鬼・織久
【白と黒】
狩るべき敵の血肉こそ我等が怨念滾らす糧となる
強敵なれば尚の事
死合いを以て互いの血肉を喰らい合うとしよう

【行動】POW
フォースナイトは同行者に任せ敵に斬り込む事で後方への攻撃を減らす

五感と第六感+野生の勘を働かせ敵行動を予測し不測の事態に備える
武器は常に怨念の炎(呪詛+焼却+生命吸収)を纏い継続ダメージを付与

先制攻撃+UCで捕縛と同時にダッシュ+串刺し、傷をつけUCの爆破で傷口をえぐると同時に怨念の炎付与
敵が反撃して来るなら見切り回避で死角に回り込み残像+フェイントで隙を作ってなぎ払い
回避ならUCで捕縛、引き寄せと同時にダッシュ+串刺し
傷は各種耐性+精神技能で無視して攻撃の手を止めない



●何のために戦うのか
 ベリザリオ・ルナセルウスは、守るべきものを守るために戦う。
 西院鬼・織久は、ただ怨念の糧を得るために敵を食らう。
 ふたりは何もかもが正反対で、けれども不思議と噛み合う性質だった。
 もちろん、腹の底まで見せあって、完全な相互理解を得たわけではない。
 たとえばベリザリオは、織久の戦い方に、その理由に、思うところがあった。
 ある時、手紙をしたためた――読ませるためではなく秘めるための手紙だ。
 織久は手紙を読まなかった……その内容は察しがついていたから。
 ふたりの関係は近いようで遠く、深いようで頑なに触れ合わぬところがある。
 人間はそういうものなのかもしれない――なんて、理屈で片付けるのは簡単だ。
 この心の悩みを伝えられないもどかしさは、理屈などでは終わらせられない。
 それでも命を預け合うにあたって、ふたりはもっとも信頼できる仲間だった。
 戦う理由は違えども、ふたりはどうして戦ってきたのである。

 ベリザリオは織久、と彼の名前を呼びかけて、ぐっと言葉を呑み込んだ。
 そんなことをしている場合ではない。自分たちも、包囲されている。
 誘蛾灯に群がる羽虫のごとく、幾何学的模様をアトランダムに描く魔法弾幕。
 それはゆうに2000を超え、ベリザリオとフォースナイトたちを囲んでいた。

 一方の織久は、孤立無援の状況でミニスター・ブラックと戦っている。
 分断された――正しいが厳密には異なる。そうなるように、織久が動いたのだ。
 戦場において、織久は他者を考慮しない。守ることも庇うこともない。
 ただ敵を喰らい、糧とする。それだけを求める飢えた獣となるゆえに。
「我等が、この程度で倒せると思っているのか……」
 織久はぼたぼたと血を零しながら言った。凄絶な表情であった。
 織久のユーベルコード"影面"はミニスターに届き、影の腕が両者を繋いだ。
 そこまではよい。問題は、それに対するミニスターの反撃である。
 魔力を込めた拳打――言葉にすればシンプルだが、その威力は予想以上。
 直撃こそ防いだものの、回避とまでは行かなかった。そして、負傷は過大だ。
『あえて我を釘付けにすることで、若き騎士どもを守ろうとしたか』
「フォースナイトのことなどどうでもいい。我等はお前を喰らうまで」
 ぎらりと赤い瞳が瞬く。ミニスターは獰猛に目を細め、拳を握りしめた。
『お前のように孤狼を気取る騎士はかつても居た。だが最期には死んだ。
 彼奴らは腐っても騎士。弱き者を、仲間を、突き放そうとしても叶わなかった』
「亡霊ごときが。我等を過去の死人と並べるか。愚劣!」
 超至近距離で、怨念の炎と闇色の炎がぶつかり、火花を散らす。
 織久は他者を考慮しない……守ることも、庇うこともない。ただ攻める。
 前に出て敵をひきつけ、こうして傷も厭わずにひたすら喰らいつく。
 裏を返せばそれは、ベリザリオや子どもたちを後ろに置くということだ。
 積極的防御とでも言うべきか、織久がそれを認めることはないだろう。
『お前が果てるが先か、それともあやつらが死ぬのが先か。見ものである』
「どちらもありえん。我等は、お前を、喰らい尽くす……!!」
 背後からは断続的な爆発音。ベリザリオたちが決死の抵抗を続けている証左だ。
 それでいい。織久にはそれで十分なのだ。あそこには、べリザりオが居る。
「怨念の炎に呑まれ、塵と化せ……我等が獲物よ」
 残像を生んで回避する織久に、的確かつ重厚な打撃が立て続けに襲いかかる。
 骨が砕け肉が裂ける。それでも織久は、退かない。決して、退かない!

「常に周囲を警戒してください、サイキックエナジーがあれば可能なはず」
 同じ頃ベリザリオは、フォースナイトたちと背中合わせに円を組んでいた。
 すでに数百の弾幕を撃墜している。しかし、包囲網は目減りした様子がない。
 いくつかの魔法弾は不意打ちめいて一同を襲い、ベリザリオを傷つけている。
 自ら盾となって騎士たちをかばったせいだ。だが、それはいい。
 問題はどうこの状況を打開するか、そして――織久の安否だ。
(私はやはり、あなたが血のさだめに殉じることを認められない)
 もしかするとこれは、織久に対する裏切りになるのかもしれない。
 それでもいい。たとえこの身が果てたとしても、守るべきものは守り抜く。
 若き騎士たちも、怨念を喰らうために身を削る彼のことも……!
「これから私が、全力で弾幕を張ります。そこに攻撃を合わせてください」
「で、ですが猟兵さん、あなたも無傷では……!」
「ここで防戦一方になっては同じことです。命を、貸してください」
「……」
 若き少年騎士はその目に射抜かれたように言葉を失った。
 そして彼らは視線を交わし……全員がベリザリオを見上げ、頷いた。
「――いきますよ!」
 ベリザリオは包囲弾幕が重なり合う一点を狙い、一気に魔力を解き放つ。
 フォースナイトたちもサイキックエナジーを限界まで練り上げ、投射した。
 放たれた魔力の矢は無数に分かれ、弾幕を貫く――爆炎が戦場を照らした。
「……くっ!!」
 少なからぬ魔法弾が相殺を逃れベリザリオを撃った。巨体が揺らぐ。
 ……踏みとどまる。見据える先は一つ。彼もまた傷ついていたから耐えられる!
「我が旋律に――祝福、あれ!!」
 残された力を振り絞り、一矢を放つ――それは両者の間を切り裂いた。
 ミニスターは訝しむ。それは、はじめからこちらを狙っていないとわかったからだ。
『強化魔術か……小賢しい真似を!』
「皆さん、彼を援護してください! 私も行きます……!!」
 フォースナイトたちはベリザリオの傷を労りかけ、言葉を捨てた。
 そしてフォースセイバーを手に、ミニスター・ブラックに襲いかかる!
『宇宙の騎士! おのれらが!!』
 猛烈な拳打が刃を弾いた。しかして、そこに間隙あり!
「織久!」
「――目をそらすな、獲物よ。敵は我等ぞ」
『!!』
 影の腕をおもいきり引き寄せ、黒き巨躯を至近距離へと持ってこさせる。
 魔力を込めた裏拳が織久の頭部を打った。のけぞる……しかし倒れない!
『なんと』
 ならばとミニスターは追撃の拳を放つ。そこに割り込むベリザリオの盾!
 ふたりの視線が交錯した。言葉はない。赤い瞳はふたたび敵を睨む。
「その血肉、喰らわせてもらう……!!」
 怨念の炎纏いし矛がついに黒曜石の身を抉った。傷口が爆裂し血が迸る!
『オオオオオ!!』
「……まだだ。我等は死なぬ。獲物を喰らい尽くすまでは……!」
 ふたりの間に言葉はない。だが理解と、信頼と、そして敬意があった。
 ふたりにとってはそれでよかった。少なくとも、今のところは。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ノノ・スメラギ
ミニスター・ブラック!
伝説を継承し、新たな未来を紡ぐ彼らと!
『完璧であること』なんて『停滞』を有難がるキミら!
それを一緒に語るなんて、おこがましいにも程がある!!

【情報収集】と【世界知識】を駆使して、銀河中のデータベースからアイツの戦闘データは収集し、【戦闘知識】でもって、解析済みだ!
それに……今のボクには『彼ら』が託してくれた『導き』がある!

相手の予測軌道をガンナーズからの【誘導弾】の【一斉射撃】による【弾幕】でつぶして、VMAXランチャーからの最大火力の【砲撃】を叩き込んだら、一気に【限界突破】の速度で近接、アックスフォームの一撃を叩き込む!
銀河から消え去れ、過去の亡霊!!


煌燥・燿
通信機を借りて蠍火でみんなを援護しよう。
俺には戦士のような闘志も、騎士のような高潔さも足りないかもしれないが。
誰かを守りたいと思う気持ちは変わらない
騎士でも戦士でもない俺にできる事をしよう

「ちょっとだけ使わせてもらっていいでしょうか! 1、2分で済みます。
俺は相棒とはぐれてしまいました、でもこの船のどこかで戦ってる筈なんです。
すごく強いけど強がりで、一生懸命な可愛いヤツです。
けっこう無茶をするから。どこかで見つけたら助けてやって欲しい。
きっと最前線で星みたいにキラキラしてる兎耳がソイツです。
みんなもきっと見れば守りたくなるくらい可愛いです。
どうかお願いします! ノノは俺の大切な相棒なんです!」



●声が繋ぐ絆の力
「うあああああああッ!!」
 ノノ・スメラギはVMAXランチャーを自壊寸前のギリギリまで無理をさせていた。
 光の帯めいて迸るエネルギーの奔流が、ミニスター・ブラックを襲う。
『この兵装――なるほど、そういうことか』
 ミニスターは脅威的な反射神経と機動力で、VMAX欄シャーの砲撃を回避。
 ノノもこの程度は織り込み済みだ。ガンナーデバイスがハチめいて飛行する!
「軌道は予測済みだ! 避けられると思うなッ!!」
『もとより、お前たちを相手に無傷で勝てるつもりはなし』
 予測軌道を狙い撃つ偏差射撃……ミニスターは被弾を覚悟で突っ込んだ。
 恐るべきはその魔力と戦闘勘、そして経験に裏打ちされた状況判断か。
 致命的部位に飛来した弾丸のみを魔力拳で弾き、ダメージを最小限に留める!
(あいつのデータは集められるだけ集めた。勝てる――いや、勝つ!)
 ノノは一斉射撃を囮に、VMAXアックスフォームで勝負を仕掛けに行った。
 そこで理解する――ミニスターは、この時を待っていたのだと。
『来たな』
 悪魔はたしかにそう言った。そして、拳が吸い込まれるように放たれていた。
 狙いはノノの胸部。心臓ごとぶち抜くつもりか!
「……ッ!!」
 ノノは振り抜きかけたVMAXランチャーを咄嗟に縦に構え、拳を受ける。
 激甚たる衝撃。この兵装でなければ一撃でバラバラに砕けていただろう。
 ノノは吶喊速度をそのまま威力として押し返され、大きく吹き飛ばされる。
(誘われた!? いや、違う。こいつ……!)
『我にできることは、お前たちにもできる』
 ミニスターの声は眼前から聞こえた。――追いつかれている。
『我の過去の戦闘記録を参照する者が現れることも、とうに予測していた』
 二度目の拳。防ぎきれない。ノノはくの字で床に激突した。
「がはッ!!」
『騎兵よ。お前の怒り、憎悪はすさまじく強い。それは恐るべき力だ。
 かつての好敵手にもそうした者は居た。ゆえに、それを利用した』
(ブービートラップにしたのか、自分自身の過去のデータを……!)
 ノノを迂闊とは言えない。ただ、ミニスターの策が上を行ったまでのこと。
 この強敵と相対することは、無数の地雷原に踏み込むことと同じなのだ!
『此処までか。敵としては十分すぎる、我が一撃を誇りとして死ね』
 ミニスターは断頭打撃を繰り出しかけ、弾かれるように飛び退いた。
 一瞬遅れて横合いから走るフォースセイバー。いや、ひとつきりではない!
「フォースナイトの、みんな……?」
 然り。ノノの窮地を救ったのは、フォースナイトの若き騎士たちであった。
 彼らは果敢に戦いを挑む。ミニスターとの戦力差は圧倒的だ。
 だが、なぜだ。若き騎士たちは、意外なほどに善戦している。これは!?
『宇宙の騎士ども……力を感じるぞ。お前たちのものだけではない力を!』
「そうだ! 俺たちは声を聞いたんだ!」
「あの人は殺させないぞ、ミニスター・ブラック!」
「みんな、恐れるな! 僕らだってやれるんだ!!」
 子どもたちは裂帛の気合を振り絞り、ミニスターを全力で押し止める。
「……声……?」
 ノノは立ち上がり、呆然とした。そして、出し抜けに理解した。

 フォースナイトたちを此処へ向かわせた、声。
 それはノノのことをよく知る、そしてノノにとっても大事な男の声だった。
『――俺は、相棒とはぐれてしまいました。どこかで戦っているはずなんです』
 船外で大艦隊相手に戦うフォースナイトたちに届いた、ひとつの声。
 通信機を借り受けたその声は、必死で、そして不思議と力が満ちてくるものだ。
『すごく強いけど、強がりで……でも一生懸命な、かわいいヤツです。
 けっこう無茶をするから、どこかで見つけたら助けてやってほしい』
 フォースナイトたちは顔を見合わせた。なぜだか、それを知っているような……。
『きっと最前線で、星みたいにキラキラしてる兎耳がいたら、ソイツです。
 ……それだけでも分かります! アイツは、そのぐらい輝いていますから。
 みんなもきっと、見れば護りたくなるくらい可愛いです。いや、本当に!』
 まるでノロケのような台詞だが、心からのものだと誰もが悟った。
『どうか、お願いします! ノノは――俺の大切な、相棒なんです!!』
 相棒。この台詞を彼女が聞いたら、一体どんな顔をするだろうか。
 彼女は言っていた。"どうか、今日のことを受け入れる時間が欲しい"と。
 だから直接は会えない。――心の奥のほうがちくりと痛むのは、自分も同じだ。
『……俺は、俺には、戦士のような強い闘志はありません』
 青年は言った。
『騎士のような高潔さも、アイツみたいなひたむきさだって、あるかどうか。
 ……でも、誰かを守りたいっていう気持ちだけは、変わらないつもりです』
 青年は通信機を強く握りしめる。
『アイツは俺の誇りで、頼れる相棒で、そして心から信じられる仲間なんです。
 俺はアイツを失いたくない。もし苦しんでいるなら、助けてやりたい……!』
 手を差し伸べる資格は、自分にあるだろうか。わからない。
 ならば、言葉だけでも。この思いを、信頼を、せめて誰かに。
『前に出て戦いもしない人間がこんなことを言うのは、お門違いかもしれません。
 それでも、俺は……みんなに頼みたいです。ノノのことを、そして――』
 煌燥・燿は顔を上げた。
『――そしてどうか、みんな生きて勝ってください。誰一人欠けることなく。
 みんななら、それができる。だって、ここには……ノノがいるんだから!』
 ひどい男だと、また「バカだな」って笑いながら言われるかもしれない。
 それでもいい。彼女はたしかに、燿の誇りであり、守りたい仲間なのだから。

 彼の声が、直接ノノに届いたわけではない。
 誰かが、ノノに燿のことを詳細に伝えたわけでもない。
 ただなぜか、ノノは理解できた――理解、してしまった。
 だって、まだこの心に想いはたしかにわだかまっていたから。
「……バカだよ、ヨウくん。本当に、大バカだ」
 ひどい男だ。
 ずるい男だ。
 あれだけ心を引っ掻き回して、ボクの心をぐちゃぐちゃにして。
 それなのに、炎は伝わった。言葉という火が、意志という灯火が届いた。
 ああ、なんて力強いことだろう。自分でも笑えるぐらい力が湧いてくる。
 導きはひとつきりじゃない。ノノは、泣きそうな顔で笑った。
「ミニスター・ブラック」
 敵を見据える。
「伝説を継承し、新たな未来を紡ぐ彼らと、キミたちは決定的に違う。
 キミたちに未来はなく、ただ"完璧"という停滞を有難がっているだけだ」
『……道理であろう。だからこそ我はお前たちのその燃える力を忌む』
「なら見せてやる。キミが、キミたちが恐れる、未来を紡ぐ力の強さを!
 キミたちに、あの勇気ある宇宙の騎士たちを同列になんて語らせない!!」
 ガンナーデバイスが殺到する。ミニスターは最速最短で間合いを詰めた!
 弾丸を弾きそらしいなし、デバイスを撃墜。一瞬にして相対距離は必殺へ!
「ボクはひとりじゃない! 彼らが託してくれた導きが――」
 この胸の、灯火が。
「……キミたちにはない多くの力が、全身を駆け巡っているんだッ!!」
『その輝きごと朽ち果てよ。忌まわしき祝福者よ!!』
 拳打炸裂。ノノは致命打だけを凌ぐため、あえてその身を晒した。
 莫大なエネルギーが身体をつんざく。吐血。だが双眸は死んでいない。
「VMAXランチャー、ファイナルシーケンス! 行くよッ!!」
『――やはり、この力が……やはり我を、脅かすか……ッ!!』
 ゼロ距離でのランチャー射撃、放出。エネルギーの奔流が黒曜石を呑む。
 敵は魔力を防御に回す。回さざるを得ない。続く攻撃を、避けきれぬ!
「銀河から消え去れ、過去の亡霊!! ここに、キミたちの場所はないッ!!」
 光斧がまばゆいほどに輝き、大きく円弧を描いて黒き巨躯を薙いだ。
 ミニスターは大きく吹き飛び、床を転がる。傷口から迸る血と火花……!
『……宇宙の、騎士……此処にもまたひとり、現れたか……』
 ミニスターの視界のなかで、ノノとかつての好敵手の姿が重なる。
 黒き戦士は虞れを抱いた。それが己を滅ぼす力であると、知るがゆえに。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

スイカ・パッフェルベル
嘗て魔法使いは職能ではなく、人知を超えた存在であった
人々を導き、只人では叶わぬ敵にただ一人戦う逸話も多い
今も昔も何も変わらぬ

タイを緩めて

…そうだろう?バルログ殿

宇宙の片隅を魔で満たそう
魔力制御と全力魔法、柔の魔力と剛の魔力でな

互いに手の内は知れている
引き撃ちだけでは魔法弾で魔杖ごと攻撃されジリ貧になるだろう
素では魔法の出力以外(断言)ヤツが上のはず
ならば。S4で魔法耐性を獲得しL1で回避や距離を取りつつ
M1・I1・E1で粘る。状況が厳しくなったら肉挽き機だ

比率は…S2を9割9分。後は不足した杖を補充
1回でS2を全て使い切りS3で槍術を獲得
L1で接近しD1を付与した魔杖を手に一撃を喰らわせてやる



●宇宙(そら)の片隅を魔で満たし
 かつて、まだ人が神話を語り、神と悪魔とを平等に恐れ、そして畏れていた頃。
 夜の闇は魔の領域であり、人にとって電気とは天を貫く神の怒りだった頃。
 "魔法使い"とは単なる職能ではなく、文字通り人智を超えた存在だった。
「私はな、大臣(ミニスター)よ」
 相対するミニスター・ブラックを眺め、スイカ・パッフェルベルは笑った。
「"魔法使い"であることが誇りであり、アイデンティティであり、根幹なのだ。
 人々を教え導き、只人では敵わぬ敵にただひとり挑み、そして滅ぼす……。
 寓話ですらない荒唐無稽な炉端の四方山話で語られる、"魔法使い"というモノが」
『……"魔"の"法"を"使う"モノ。その名が意味するところは尋常なものではない。
 あえてそれを名乗り標榜する。なるほど、お前は相応の術者なのであろう』
 ミニスターは否定しない。スイカからはそれほどの魔力を感じていたからだ。
 なによりも、自負。そして威風。世界にすら我を張りわきまえぬ傲慢さ。
 エゴイズムというべきそれ。……ミニスターがもっとも恐れ、警戒するもの。
「そうとも。今も昔も、魔法使いとは何も変わらぬのさ」
 スイカはタイをゆるめ、にこりと穏やかに笑った。
 戦場には似つかわしくない、いっそ優雅ですらある笑み。
 ……人智ではその内面を想像することも出来ぬ、恐ろしい貌(かお)だ。
「そうだろう? 怪物(バルログ)殿」
『我は封じられた魔神とは違う。我もまた魔の法を振るう者なれば』
「いいじゃないか。今の世で魔法使いを名乗るならば、その程度の怪物は御してこそだ」
 両者は動かない。しかし、フォースナイトはだれひとり立ち入れなかった。
 見えない力……サイキックエナジーとも違うもの、すなわち、魔力の拮抗。
 まるで解放を待つ引き絞られた撥条のように、大気が破裂しかけている。
 もうそこが、すでに必殺の距離なのだ。魔法とは、そういうものだ。

 スイカの魔術は、言ってしまえば応用の効かないシンプルな力押しである。
 敵もそれは同じ――ただし応用が効かないというのは尋常の使い手の話だ。
 そこに変化をつけるからこそ、スイカは、ミニスターは、今ここに立っている。
「これは自慢だが」
 スイカが出し抜けに言った。
「魔法の出力だけは、貴様に勝っている。つもりではなく、事実だ」
『ならば確かめてみよ。我が魔道!!』
 一瞬にして、天に散りばめられた星の如き魔法弾のビロードが迸った。
 スイカは地形変化・感覚阻害・魔力の矢の即席魔杖を3つ同時に起動した。
 そして眉根を寄せる。感覚阻害が効いていない。魔術防御だけで弾かれたか。
「やってくれる」
 ミニスターが地を蹴った。幾何学模様を描き、同時に魔法弾が襲いかかる。
 魔力矢は鏡合わせめいた軌道を描いて相殺――足りない。スイカは短距離転移。
 軌道は不可視、だがミニスターは移動先を目で追う。勘である。
 魔法弾は出現位置に"置かれて"いた。スイカ、魔法耐性を増幅強化し耐える。
「熱烈だな。嬉しいよ」
 魔力矢第二波放出。ミニスター、スイカに接近。同時に拳打、五発。
 感覚阻害魔杖を継続起動、ナノ単位で狙いを逸らす。針の穴にラクダを通すような難行の繰り返しだ。
『お前のその魔杖術、その程度か。隠し玉を隠したまま死ぬか!』
「冗談は死んでから言え、亡者め」
 魔法弾到達――再びの短距離転移。ミニスターは追撃……しない。
 両足で地面を踏みしめ構えた。転移先はすなわちスイカの突撃経路である!
「一体いつから、魔法使いは杖とオーブと本だけで戦うようになったのやら」
 灰色の魔法使いめいて呪いの刃を掲げ、スイカは懐に飛び込んでいた。
 布石を重ねに重ねてのとびきりの一振り。即席魔杖D1"カースドブレード"。
「魔法使いとはな、"魔法"を"使う"からそう呼ばれるのではない」
 斬撃? 否――刺突! ミニスターは読み違えた。ミニスターが、読み違えた!
「魔法使いの起こす現象が、すなわち魔法なのだ!!」
『――ガッ!!』
 呪刃到達。魔力が炸裂しミニスターを吹き飛ばした!
 残る魔法弾がスイカに殺到する。相殺相殺相殺相殺――爆裂。血が噴き出した。
「言っただろう。魔法の出力だけは、私の勝ちだと」
 ミニスターは膝を突いた。スイカは血まみれで立っている。
 それが何よりも明白な差であり、その姿はまさしく魔の使い手だった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アレックス・エイト
超能力に造詣が深い精鋭騎士達でも…いえ、だからこそ異なる力には虚を突かれかねません
障壁で魔力から騎士達をかばい、共に波状攻撃を仕掛けます
クリスタリアン由来の超能力もあるでしょうが…そちらは頼みますよ、騎士達

ダメージは覚悟の上で魔力ランスでの突撃を敢行
敵の魔力拳を相殺し抑え込みます
抑え込む事で騎士達が仕掛ける隙を更に生み出し、彼らとの連携で奴の体勢を崩しましょう

…リミッター解除、残存魔力解放
貴方が未来への路を闇で覆うのならば
我が姫君より授かりし騎士号、【ナイト・オブ・ミーティア】の誇りにかけて
そして此処へ集った騎士達の誇りと共に
闇を切り裂く流星となりましょう
最大出力のランスチャージ、受けて頂く!



●闇を切り裂く流星となれ
『……捨て置けぬ』
 ミニスター・ブラックが立ち上がる。全身の傷口から黒い血が溢れた。
『猟兵、そして宇宙の騎士。どちらも捨て置けぬ。看過せざる脅威である。
 我は女王の腹心。何があろうと、ここでお前たちを皆殺しにするまで……!!』
「それほどの戦傷を負ってなお立ち上がりますか……いいでしょう」
 手負いの獣じみた執念を前に、アレックス・エイトが身構えた。
「フォースナイトの皆さん、力を貸してください。私だけでは手が足りない」
「「「もちろんです!」」」
 力強い返事だ。アレックスは、自分がマシンであることを少し寂しく思った。
 生身の人間であれば、きっと柔らかな微笑みを浮かべられただろうに。
 だがリラックスするのはここまでだ。ミニスターが魔力を増幅し凝縮させる!
『この銀河に、宇宙の騎士は必要なし!!』
「いいえ、必要がないのはあなたのような闇だけです。ミニスター・ブラック!」
 黒曜石の巨躯がかき消えた。猛スピードによる錯視だ。なんたる速度!
「来ますか……さあ皆さん、行きますよッ!」
 爆発的魔力を漲らせた怪物に、騎士たちは力を合わせ立ち向かう!

 アレックスが提案した作戦は、入れ代わり立ち代わりの波状攻撃である。
 ミニスター・ブラックの打撃は、フォースナイトでは防ぐことが出来ない。
 いや、アレックスですら、完全に威力を殺すのは不可能だろう。
 ゆえに彼が陣頭指揮を執り、防御に専念することで騎士たちを守る。
 困難な仕事だ。それ以外の手がないというのも、厳しい現実ではあった。
『オオオッ!!』
「その気迫、敵ながら実に惜しいですね……!」
 魔力を纏う拳が、超音速で大気を焦がしながら立て続けに放たれた。
 一撃ごとに衝撃波が人工大気を揺らし、戦闘余波の瓦礫を巻き上げる。
 アレックスは魔力ランスを展開し、時には自ら吶喊して敵の攻撃威力を削いだ。
 一合ごとにボディがひび割れ砕けていく。騎士たちも無傷ではない。
 相殺された余波だけですら、並の戦士は戦闘不能になりかねないのだ!
「タイミング、合わせるぞ!」
「ああ! 三人で同時に行く!」
「うおおおおおっ!!」
 3人の少年が、抑え込まれたミニスターに高速の斬撃と刺突を繰り出した。
 ひび割れた黒曜石の巨躯をフォースセイバーが切り裂く。ダメージは確実に入っている。
『宇宙の騎士ども……!! 猪口才な!』
「あなたの相手は私です!」
 ランスチャージ! 騎士の誇りを乗せた突撃は音の壁をたやすく超えた!
 衝突余波が床をクレーターめいて陥没させる。両者、大きく飛び退る。
「……ッ」
「猟兵さん!」
「問題ありません。戦闘続行に支障はありません」
 崩れ落ちかけたアレックスを心配そうに見つめる少女騎士に、アレックスは言った。
「私には、我が姫君より授かりし誇りが……騎士の証たる号名があります。
 そしてここには、私以外にも騎士たちがいる。負ける理由がありません!」
「……そうだ、そうだよ。わたしたちだって!」
「ああ、まだまだいけるぜ!」
 波状攻撃は的確にミニスターの勢いを削ぐ。巨躯は忌々しげに吼えた。
『我の恐れていたことが、これほどまでの速さで現実になろうとは。猟兵……!!』
「私は猟兵である以前に騎士です。そして!」
 キィイイイイ……と、ジェットエンジンめいた高音が木霊した。
「私のボディに残された残存魔力のすべてを解放し、この一撃に賭けましょう」
『銀河を照らす宇宙の騎士など我は許容せぬ。それは不要な輝きなり!』
「ならば私は、闇を切り裂く流星となりてあなたを討つ――!」
 満身創痍の力を凝縮したふたつの巨躯が、恐るべき速度で激突した。
 ダメージは双方に叩き込まれる。しかし吹き飛び崩折れたのは……黒き怪物!
 ランスチャージの衝撃余波がガガガガガ! と迸り、外壁を貫通した!
『清廉さのみで、我は討てぬ……我はまだ、滅びぬ!』
「……私たちはけして諦めません。それが誇りある騎士の務めなのだから!」
 フォースナイトたちは奮い立つ。アレックスの姿が彼らを支える。
 命あるものの限界を超えて力を引き出すもの――それを、希望と人の言う。

成功 🔵​🔵​🔴​

フェルト・フィルファーデン
油断も隙も無い強者……1番厄介なタイプの相手ね。
ええ、だとしても、負けるわけにはいかないのよ。

UC発動。条件は満たされたわ。さあ、わたしとわたしの騎士人形達、そしてフォースナイトの皆の力、その身に刻んであげる。


初撃は距離を取り爆発の効果範囲を把握。そこから【空中戦を仕掛け【フェイントを掛けつつ高速で攻撃を掻い潜り肉薄するわ。
肉薄したら猛攻を仕掛ける。切り削り(2回行動x力溜め】躱し(第六感x早業】守り(盾受けxオーラ防御】反撃する!(カウンターx鎧無視攻撃】

でも、本命はここから。さあ、若き騎士達よ!今こそ勝利を掴みなさい!!
……安心して。あなた達はわたしが【庇い護るから。【鼓舞x集団戦術】



●ありきたりで陳腐な物語
 勇者の行く道は艱難辛苦にまみれている。
 親しい人の死、挫折、裏切り、陰謀、そして強大な敵。
 けれども勇者は諦めない。山あり谷ありの道を乗り越えて突き進む。
 だからこそ勇者は勇者なのだ。そしていつか、大団円を掴み取る。
 ……ありきたりなハッピーエンド。手垢まみれの王道。使い古しのテンプレート。
 それの何が悪い、とフェルト・フィルファーデンは思う。
 悲しいよりは幸せなほうがいいに決まっている。争いよりも平和が一番だ。
 誰かが言う。現実なんて、物語のように上手くはいかないと。
 そんな声を聞くたびに、フェルトは声を高らかに叫ぶのだ。
 ――いいえ、わたしが希望を護ってみせると。

 かつての彼女であれば、護るためにその生命を燃やしただろう。
 たしかにそれは強大な力だ。寿命という限りあるリミットの前借り。
 あの黒騎士をすら屠り去った力。それは使えない。約束があるから。
「アナタはとても強いわ。ええ、わたしが認めましょう」
 フェルトが相対するはミニスター・ブラック――そして、無数の弾幕。
 天井を覆う魔弾のビロードは幾何学模様をアトランダムに繰り返し刻む。
 まるで蝗の群れだ。喰らいつくのを今か今かと待っているアバドンのようだ。
 ミニスターが言葉すら発さず意識さえすれば、それらは雨となって降り注ぐ。
「油断も隙もなく、張り巡らせた策謀はわたしにすら予想がつかない。
 アナタはわたしたちのデータすらも集めていて、体格差だってこのとおり」
 フェアリーと巨躯。比べるまでもないサイズ差。魔力量もまた同様。
 だがフェルトはふんわりと微笑んだ。貴きものの、美しく穏やかな笑みだ。
「"だからこそわたしたちはアナタに勝てる"わ。それがわたしのユーベルコード。
 ……さあ、宇宙の騎士だちよ! いまこそ、わたしにその誇りを、刃を貸して!」
『恐れすらも勇気に変えるか。なんとも手強い。油断ならぬ小娘だ』
 ミニスターは目を細めた。それだけで震えが来そうなほどに恐ろしい。
 だが、なぜだろう。あんなに小さな少女の姿は、どうしようもなく心を震わせる。
 騎士として護らねばならぬと、理性ではなく魂が叫んでいるのだ。
「やれるんだよな」
 誰かが言った。
「違うだろ。"やる"んだ」
 誰かが応えた。
「それも違う――僕らなら、出来るよ」
 誰かが示した。
「導いてくれる光が、僕らの目の前にたしかにある!」
 その光の名を希望と言い、その希望の名をフェルトと言った。
 理解不能の力が湧き出る――否、理解は不要なのだ。言葉も不要!
『ほとばしれ、我が魔弾の雨よ!』
「そんなものに、わたしたちは負けはしないわ!!」
 誰もが知っている、手垢まみれの大団円。ありふれたハッピーエンド。
 飽きるほどに繰り返されたからこそ、人はその輝きに命を賭けて手を伸ばす。
 そうするだけの価値と、それが出来る力があると、誰もが知っているのだから!
「騎士人形たちよ!」
 魔弾来たる。フェルトは人形騎士たちを展開し致命的魔弾の衝突を防いだ。
 フォースナイトたちもサイキックエナジーを障壁めいて展開し、爆発を防ぐ!
 天蓋のように繋がった魔力のラインが、目を灼くほどの爆炎を支えるのだ!
『何――何故だ。未熟なる騎士どもにそこまでの力が、何故!』
「わからないでしょうね。オブリビオンであるアナタには!」
『忌まわしい……なんと忌まわしい輝き!!』
「みんな、わたしに続いて!!」
「「「はい!!」」」
 魔弾の雨を切り開くは人形騎士たち。もはやそれは満身創痍であった。
 魔弾はすべてを防げるわけではない。爆炎は完全に遮れるわけではない。
 しかしそれでいい。彼らの役目は鋒となること、騎士たちの刃を届かせること。
『木偶ごときが、我を屠るなどと!!』
 怒りの拳が、魔力波が、猛烈な勢いで仕掛ける人形騎士たちを砕き吹き飛ばす。
 残骸がフェルトの頬を裂く。姫君は止まらぬ。ゆえに騎士たちも止まらぬ!
「あなたたちはわたしが護るわ」
「なら、俺たちがあんたを護るよ!」
「だって僕らは宇宙の騎士なんだ!」
「そうだね、騎士らしく進もう!」
 フェルトは傷から騎士たちを守ろうとした。だが子どもたちは前に出た。
 勇ましく、雄々しく、そして清々しく。命を賭けて、命を繋ぐため。
 届くはずのない刃が黒に届き、届くはずのない力が巨躯を斬り削る。
『おお……これでは、まさしく……かつての……!!』
 ミニスター・ブラックは畏れた。恐れていたものがそこにあった。
 人と人とが織りなす力、生命の躍動! それはまさしく――。
「……なら、若き騎士たちよ! いまこそ勝利を、掴みなさい!!」
 巨人をも悪魔をも、時には竜や悪魔をも屠り去る。
 "不撓不屈の逆転劇(ジャイアント・キリング)"なのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

矢来・夕立
なんだあのふたりか。全くよい仕事でしたよ。オレの目にもなってほしかったものです。

向こうは収集したばかりのデータを持っている。
どこかへ転送するにせよ、これから戦う相手の情報を見ていないわけがありません。

…なら、断言できます。
オレの行動は予測されない。
一瞬の先手で良い。届かせる自信はある。
もう罅の入った場所があればそこへ。無ければ身体の中央へ。
【神業・絶刀】。
型のある剣ではありません。
ですが、正々堂々やりましょう。

黒曜は鋭い石ですね。でも衝撃には強くない。
“柔軟ではない”ということです。
過去どんなにすごい人と戦ったのか知りませんが、まだ柔らかな次世代がこれだけいます。将来が楽しみですね。



●振り向かずとも死はそこに
「ご存知だとは思いますが」
 ミニスター・ブラックと相対するのは――矢来・夕立。
 まずその状況からして、彼をよく知る者ならば目を疑うことだろう。
 油断も隙もなく、しかもこちらのデータを集めて学習し警戒している強敵。
 それを相手に、夕立が、姿を隠しもせず偽りもせず、
 仲間を伏兵として配置しているわけでも時間稼ぎの意図があるわけでもなく、
 生身で、そしていっそリラックスしてすらいる様子で正面に立っている。
「オレは忍びというやつです。暗殺、騙し討ち、小細工。そういうので食ってます」
 レンズの下の双眸は常よりもなお冷たく澄んでおり、意図が読めない。
「ある意味あなたと同じですね。で、そうなると一つ問題がある」
『……手詰まり、とでも言いたいのか?』
「その通りですが」
 当然とでも言いたげな声音。そして、眼鏡の位置をかちゃりと直す。
「相性が最悪というレベルではないんですよ、オレとあなたは。正直イラつく」
 表情に怒りらしきものはない。
「仮に俺が手管を尽くしても、あなたは確実にそれを見切り、凌駕する。
 商売上がったりです。あなたオレへの嫌がらせで湧いてきたんですか?」
『違うな』
「では何か商売上の別の理由がおありで?」
『くだらぬ戯言はよせ。"お前は負けるなどと欠片も思っていない"』
「…………」
 夕立は眼鏡の位置を直した。
「その通りですが」
『お前は必殺の手を携えて此処に居る。隠れ潜むのではなく我を滅ぼすために。
 虚言が通じぬとわかっていながら、虚言を弄する。それは事実、我に通じぬ』
「そうでしょうね」
『かかってこい』
 ぶわり、と夕立の前髪が魔力の風圧でめくれた。夕立は無表情で前髪を直す。
『お前の奥の手を、見せてみろ。我が策を凌駕してみせるがいい』
「……いいでしょう」
 ミニスター・ブラックはその身を漆黒の外骨格で鎧い、ビットを展開した。
 死角、なし。
 スピードは夕立の最大戦速を凌駕する。打撃の威力は言わずもがな。
 あらゆる攻撃に先の先が放たれる。文字通りのチェックメイトだ。
「ところで」
 夕立は脇差を一振り鞘走らせた。
 銘は雷花。永海鉄観作・永海鋭春改作、斬魔の刀が一。
「黒曜は鋭い石ですが、衝撃には強くない。柔軟ではないんですよ」
『……?』
「それだけです」
 構えた。……いかなる剣術の型とも異なる。無形……とも違う。
 未熟者が己の至らぬ構えを我流と謳うような、つまり"なっていない"構えだ。
「いざ、尋常に」
 ミニスターはあまりに慮外の光景に、あろうことか虚を突かれた。
 これほどの戦士が、である。それほどに、"ありえない光景"だった。

 夕立は、仕掛けた。
 まっすぐに、正面から、堂々と。小細工抜きに、己なりの構えで、踏み込んだ。
 剣術としてはあまりに拙い。剣豪のそれに対してまるでひよっこだ。
 だが、疾い。
 だが、鋭い。
 そしてまっすぐで――だからこそ、"ありえなかった"。
 強い陽の光が影法師を伸ばすならば、濃い影は翻って光を際立たせる。
 殺手(カゲ)が、剣(カタナ)を、振るう。
 これなる剣は齢にして六十と四つ。いまだ化身もたざる未熟者。
 ――式紙ならぬ、式神である。刃が、ひょう、とトラツグミめいた音を鳴らす。
『バカな』
 ミニスターは瞠目した。およそやつの人生において初めてのことだった。
 暗殺の技をひたすらに練り上げ、影から影を渡るために生きる男が。
 堂々と。真正面から。まっすぐに。どこまでも定まった王道の剣を振るう。
 ありえぬ。ありえないはずだ。だがありえた――そして、因果が定まった。
 ミニスターは、己の胸部に突き立てられた刃を見た。
「正々堂々と。あなたの"生き様"に従いました」
 神業、絶刀(タチガタナ)。
「俺は若者なので、こう言わせてもらいます」
 ぴしり、と罅が走った。
「柔らかな次世代が居て、将来が楽しみですね」
 ミニスターはたたらを踏んだ。
 全身におびただしい罅が走り、遅れて苦悶の絶叫が響いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

兎乃・零時
ヒカル(f01648)と参加!
詠唱含めアドリブ歓迎


俺様の夢は!いづれ!全世界最強最高たる魔術師になる事!
当然貴様も超える!
エメラルドも超える!
全部超える!
伝説なんざ生ぬるい!
俺様は今を轟く最強最高たる魔術師に、なるのだから!

UC使用時
バイクから飛び降り
成るは光
物体変質【輝光《グリッター》】!

俺様を光に変換!
装甲はいらねぇ
速度を限界まで上げろ!
攻撃は【ダッシュ×空中浮遊】で避け

成功率を上げるは一つ
貴様に全力ぶちかます!

てめぇの装甲も攻撃も全部魔力に変える!
攻撃も気合で耐えて止まらねぇ!

使える全【魔力溜め×全力魔法×属性攻撃×限界突破×零距離射撃×覚悟×貫通攻撃】!

貫け!

グリッターレイ
輝光閃!


星群・ヒカル
引き続きウノ(f00283)と参加だ

いいじゃねぇか、喧嘩上等、一番闘いやすいってもんだ
てめーの拳とおれ達の力、どっちが強ぇかタイマンといこうか!

2人で宇宙バイク銀翼号に『騎乗』
『視力・第六感』で敵を観察しつつ【超宇宙・拡我黎明光】で啖呵を切る
成功率を上げる行動は「フルパワーの敵の攻撃を限界まで近づいてから回避する」だ
「てめーが継ぐのは一体なんだ?帝国の栄光か?強さか?
おれ達は伝説なんで継いじゃいねぇ、常におれ達が最前線だ、常に誇りは己の中にある!
てめーはどうだ?てめーだけの力を見せてみろ、輝きを見せてみろッ!」
『地形の利用・逃げ足・早業』も利用するぞ

空振りの隙にウノには攻撃を叩き込んでもらう!



●最強のふたり、最高のふたり
 ドルン、ドルルン……と、銀翼号が威圧的にエンジンを鳴らす。
 フォースナイトたちが円陣を組み、三人の戦いを固唾を呑んで見守っていた。
 敵はミニスター・ブラック。全身に傷を負いながらもいまだ健在。
 対するは兎乃・零時、そして星群・ヒカルのコンビであった。
「ハッ、真正面からの正々堂々とした決闘か。
 あんな暗殺者を使ってた割に、喧嘩の流儀ってのを理解してるじゃねえか」
『我はただひとりで十分なのだ。部下は、ことを潤滑に運ぶための手段に過ぎぬ』
「……エラそーに言いやがって。けど……」
 零時は歯噛みし、帽子のつばの下からミニスターを睨んだ。
 傲岸不遜に聞こえる言葉。しかしそれは紛れもない真実であり、事実だ。
 それだけの魔力を、零時は感じている。足が震えそうだった。
「ウノ、気にするこたあねえさ」
 そんな零時を勇気づけたのは、銀翼号を運転するヒカルの言葉だった。
「喧嘩上等、一番闘いやすいってもんだ。おれも、おめぇも、そうだろう?」
「……あ、ああ! もちろんだ!!」
 ヒカルは肩越しに振り返り、ニヤリと不敵に笑った。
「さあミニスター・ブラック。ここで決めようぜ!
 てめーの拳と、おれたちふたりの力、どっちが強ぇかタイマンといこうか!!」
『その意気、そして"絆"という唾棄すべきもの……それこそが我は恐ろしい。
 お前たちはその曖昧模糊な概念によって、時としてすさまじい力を引き出す』
 ミニスター・ブラックの眼光が燃え上がる。殺気と魔力が圧となって荒れた!
『ゆえに――全力を以て叩き潰す!!』
 ミニスター・ブラックが爆発的速度で飛び出した。まるでロケットのようだ!
 銀翼号のエンジンが金切り声をあげ、ドッグファイトじみた高速戦闘が始まる!

「ミニスター・ブラック! てめーが継ぐのは一体なんだ? 帝国の栄光か!
 それとも強さか? 誰にも負けない狡猾さか! てめーは何を継承する!?」
 ごうごうと風が学ランを吹き流す。ヒカルは命懸けで叫んだ。
『我らは銀河帝国の継承者なり。その威光、その威容、その支配を継承する!
 ゆえにお前たち猟兵を殺す。解放軍の伝説を継承せしお前たちを、この手で!』
「ハ! 伝説だ? おれたちは伝説なんて継いじゃいねぇ! 勘違いするな!!」
 拳が振るわれる。ヒカルはあえて飛び込むことでギリギリに回避!
 迸る魔力のオーラが頬肉をこそいだ。血が零時の顔にぴぴっと沫いた。
「常におれたちが最前線だ。おれたちのいる場所こそが鉄火場なんだよ!
 誇りは常に己の中にある! てめーはどうだ? ミニスター・ブラック!!」
『誇りだけで敵は殺せぬ。誇りを捨てる覚悟と度量を併せてこその戦闘者よ』
「小賢しいこと言いやがるぜ! それは、てめーだけの力じゃあねーだろ!!」
 ミニスター・ブラックが銀翼号の正面を取った。拳打ががヒカルを襲う!
「ヒカル!?」
「……!! ウノ、よそ見してんじゃねぇ! てめーのすることを考えろ!」
「……わかってるよ……!」
「ミニスター・ブラック! てめーが根っからの戦闘者だっつーなら!!」
 血まみれになりながら、ヒカルが銀翼号で吶喊した。真正面からの衝突!
「てめーの力、てめーの輝きを! 見せてみろッ!!」
『戯言を……!』
「おれの言葉を戯言と斬り捨てるなら! てめーに勝ち目はねえぜッ!!」
『何を根拠にそう抜かす!? 大言壮語など片腹痛し!』
「――だってよ」
 ヒカルの声は、スピードの風の中で零時の耳によく届いた。
「おれは"輝き"を乗せてんだ。誰よりも眩く、熱く、かっけー輝きをよ」
 零時の胸が熱くなった。むき出しの信頼が少年の鼓動を跳ね上げる。
「見せてやれよ、ウノ! てめーの夢を! その輝きを!!」
「――ああ!!」
 銀翼号は大きくカーブを描いて、ミニスター・ブラックの正面に回った。
 つまりチキンレースじみたヘッドオン状態だ。両者、同時にロケットスタート!
「俺様の夢は! いずれ、全世界最強最高たる魔術師になること!!
 当然貴様も超える! エメラルドも、他の猟書家も、全部全部超えてやる!!」
『それを大言壮語と人の言う。愚かさを抱いたまま、死ね!!』
「死なない!! 伝説の継承者なんざ生ぬるい! だって、俺様は!」
 零時は息をおもいきり吸った。
「今を届く、最強最高たる魔術師に! なるのだから!!!」
 ミニスター・ブラックは零時の首を狩りに行った。恐るべき速度の手刀。
 だが、手刀は空を切った。――零時が、銀翼号にタンデムしていない?
『なんだと……!?』
 零時はバイクから飛び降りていたのだ! だがそれはスピードの風に身を晒すこと!
 シャーベットマシンじみた速度で床が迫る。落ちればミンチは必至!
「我が身・我が魔・我が力・我が名――我が輝きを、此処に!!」
 視界を灼くほどの光が迸る……光。零時のその身は輝光そのものとなっていた!
「やれぇ、ウノ!!」
 ヒカルは銀翼号を巧みに操り、攻撃を空振らせたミニスターをスピンで吹き飛ばす!
 体勢がわずかに崩れた。一秒後、ヒカルはマシンごと殴殺されるだろう。
 零時はそんな未来を認めない。だって、俺様は最強最高の魔術師になるのだから。
 最強最高の魔術師は、ありきたりな悲劇も、犠牲も、許容しない。
 欲しいものはすべて手に入れて、守りたいものはすべて護る。
 邪魔するやつは神も悪魔もなぎ倒す。強欲大いに結構、夢とはそういうものだ!
「果て無き道も、永劫の歳月も! 俺様は! 俺様とヒカルは!
 最短で、最速で!、最強で最高の輝きとともに駆け抜けてやる!!」
『猟兵……!!』
「見さらせミニスター・ブラック! これが――俺たちの、輝きだァアア!!」
 光の速度で零時が仕掛けた。闇を切り裂く勇気の輝きが、もうひとつの光(ヒカル)に手を差し伸べるのだ!
 届かない? 知ったことか! 届かせる――否、"届く"のだ!
 俺様がそう決めた。ならばそうする! 現実すらも捻じ曲げてやろう!
 もはや物理法則ですら零時を縛れない。閃光が、ミニスターを劈く……!
「――輝光閃(グリッターレイ)」
 口訣は光のあとに。そして、衝撃が音に続いた。
 スピン転倒した銀翼号から這い出したヒカルが、不敵に笑った。
「いい輝きじゃねーか、ウノ」
 吹き飛ばされたミニスター・ブラック! まっすぐにふたつの足で立つ零時。
『……なんと、忌まわしき、輝きか……!!』
 それこそがオブリビオンの恐れるもの。希望、意思、未来という名の輝き。
「そりゃ当然さ――だって俺様は、最強最高の魔術師になるんだから!」
 相棒を振り返り、零時は莞爾と笑い返した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ロク・ザイオン
★レグルス

(悪夢を思い出した先に黒い鎧
いい気分じゃないけれど
あの時とは違う
隣に相棒がいる)

さあ
生きて、戦って、守り抜け
あれがおれたちの終焉じゃない
だろ?

(猟兵へ割いた注意程を
お前はこの若者たちに割けるだろうか)
(弾の軌道を【野生の勘】で読み騎士たちを【かばう】
【地形利用】弾の方向が絞られる壁際、追い詰められたように見せ)

…キミたちに、おれたちの道を託すよ
星座の線、一本分でいい。
あとはレグルスに任せとけ。

(フォースナイトたちの力を結集、弾を一部反らして貰う
反れた爆発が灰を生めば充分
「栄灰」
急速に生い茂る梢、蔦、全てで弾を受け止め
灰から更に緑を生み出し無限の防壁とする
其処から、森をはじめよう!)


ジャガーノート・ジャック
★レグルス

(この世界の"記憶"の多くを己は忘れた。それでも)

――"いつも通り"に行こう、ロク。
(その記憶があってもなくても
やる事は同じだったろう。
その位には積み重ねてきた物を信じている。)

レグルスを開始する。(ザザッ)

(魔弾が回避困難な軌道を描き差し迫ってくる。フォースナイトらを守る様に動く フリをしつつ)

――今だ!!
(隙を突き騎士達総力の「サイコキネシス」で対抗して貰う。

散る灰が森を生むだろう。
そして生茂るそれに紛れ、迫り)

刮目しろ。
此が猟兵で
レグルスで

(狙い澄ました熱線一射。

"THIS IS ME"。
困難を乗越え
時に人を守り
そして誰かと歩みたいと願う、)

そして
本機の在り方だ。
(ザザッ)



●気をつけろ、奴らが征く
《――"いつも通り"だ》
 ジャガーノート・ジャックの言葉に、ロク・ザイオンは振り返った。
「いつもどおり」
《――ああ》
 ジャックは、多くのことを忘れた。
 大切な誓いと、それを誓ったひとのこと。
 この世界での戦いと、その過程で得た多くのこと。
 愛情。
 友情。
 覚悟。
 苦しいことは嬉しい思い出と表裏一体。どちらかを失えばもう一つも消える。
 取り戻すことは、きっと苦しいのだろう。だとしても、喪失は一番の虚無だ。
 その虚無を抱えているジャックが、"いつも通り"と言ったのだ。
「……そうだな」
 ロクは、笑った。
 もう、あの黒い鎧も――それが想起させる忌まわしい過去も、恐ろしくない。
 そうだ。たしかにあの黒き騎士は強大で、恐ろしく、悲惨だった。
 けれども勝ったのだ。
 だからいまの自分が居て、相棒が居て、そしてこの世界がある。
「いつも通りだ」
《――いつも通りの、我々(レグルス)だ》
 ミニスター・ブラックは唸った。
 彼らの心と身体に満ち満ちるものこそが、奴の恐れるものなのだから。
「生きて、戦って、守り抜く。――"おれたち"で。だろ?」
 ロクとジャックが見返せば、少年と少女たちもまた頷いた。
「こんなところは、俺たちの終わりなんかじゃない」
 勝ち気そうな少年が言った。
「わたしたちの世界は、わたしたちの手で守りたい!」
 臆病そうな少女が声を張り上げた。
 十分だ。誰もが同じ方を向いていて、力が漲ってくる。
 負ける理由はない。
『消え去れ、宇宙の希望どもよ――!!』
 天に散りばめられた星のような、魔弾の雨が相手だとしても。

 幾何学模様を描くそれらは、流星と呼ぶにはあまりにいびつだった。
 闇色に輝く、とでも表現すべき黒き魔法弾。その数は2000を軽く超える。
「ああああああッ!!」
 ロクは、駆ける。稲妻じみた速度で、燃え広がる野火めいた速度で、駆ける。
 ジグザグに魔弾の幕を切り裂いて、あとにあかあかとした爆発が続く。
 ジャックが起こすのは雷撃の嵐だ。ざりざりと、砂嵐が戦場に舞い踊った。
 神の怒りはごろごろと肉食獣の喉鳴りのような音をあげて、ランダムに迸る。
 爆炎が広がる。花咲く野畑のように、戦場が死の色で染め上がった。
 フォースナイトたちもまた、フォースセイバーを果敢に振るい魔弾を落とす。
 数が減る。敵への活路が拓ける――いや、みにすたーがそこに居ない。
「消えた!?」
「違う、紛れたんだ! みんな気をつけろ、あいつが狙ってるぞ!」
 フォースナイトたちが警戒した通り、ミニスターは攻撃に入っていた。
 ロクは突然がりがりと刃でブレーキを踏み、振り返りながら斬撃を放った。
 ガキン!! と火花が散る。ミニスターはぐるぐると餓狼めいて唸った。
『我の気配を読むとは。まさしくけだものの如き感知能だ』
「おれは、人間だ」
『灼けた鉄に骨を擦り付けるような声音をしておいてよくほざく!』
「――その台詞も、それを言った相手も、おれは、もう殺した」
『ならば我も滅ぼしてみせよ!』
 刃と黒き爪が撃ち合う。原子のぶつかりあいを巨大化したようだった。
《――ロク!》
 ジャックが援護に入り、雷撃と近接戦闘でミニスターを追う。
 しかし、疾い。高速機動に入ったジャックとロクを同時に相手に出来るほどだ。
 そしてミニスターは両者を相手にする――かと思えば突然に姿を消し、
 散開しつつあったフォースナイトたちをひとりずつ縊り殺そうともする。
 一挙一動がブラフと布石の塊。策士であり闘士であるとはそういうことだ。
 追い、追われ、防ぎ、弾き、襲い、反撃し、戦場を三体の戦士が駆け抜ける。
「集まれ! 広がると、やられるぞ」
《――我々(レグルス)が守り抜く。無理はするな》
 フォースナイトたちはふたりの言葉に従い、一点に集まった。
 しかしそれこそ、ミニスターが待っていた仕上げ、つまり終焉である。
『もはやお前たちに逃げ場はない』
 然り。幾何学軌道は、魔法弾の行き先を誤魔化す目眩ましでもある。
 フォースナイトとレグルスが集まったのは、包囲網の中心であった。
 そこに集まるしかなかった。そうなるように、仕組んでいたからだ。
『――死ね』
 もはや万事休すか?
 すべてはミニスターの策略どおりに事が運び、終わってしまうのか?

 否。
 否だ。
《「――いまだ!!」》
 レグルスが吼えた。フォースナイトたちは、それに応えた。
 フォースとはサイキックエナジーであり、エナジーとは精神の力である。
 騎士たちは限界まで心の力を振り絞り、お仕着せの悲劇を否定した。
 降りかかる破滅を否定した。そして、魔弾の雨は、海を割るように拓けた。
『なんだと』
 それはミニスターの予測をも超えていた。
 魔弾は無害な場所に次々に着弾し、そして爆炎が灰を巻き上げる。
 舞い上がった灰はひらひらと雪のように降り注ぎ、やがて緑を芽吹かせた。
 まるで春夏秋冬を、早回しで再演しているかのような光景だ。
 木々が生い茂り、梢が育ち、蔦が絡まり、蔓を伸ばし、華が芽吹く。

 森が、生まれた。
「ありがとう。おれたちの道を、拓いてくれて」
 ロクが言った。
《――ゆえにこれから、我々が描く星座の線を見せよう》
 ジャックが言った。

 ふたりが肩を並べる。
 ミニスターが魔法弾を放つ――森は灼けない。
 それを滅ぼせるのはヒトだけだ。残骸には、壊せない。
「これが――おれたちの!!」
 ロクが森を駆け抜ける。防壁となった木々を灼きながら、まっすぐに。
 それは滅びではない。新たな芽を萌え出させる厳しくも暖かな冬の灰雪だ。
 一直線に伸びた斬撃は床を、木々を、根を、そして黒を斬り、灼いた。
 射線である。ミニスターと、ジャックの視線が交錯した。
《――そして、本機の在り方だ》
 気をつけろ、奴らが通る。
 暗闇を知り、どんな言葉を受けても折れることなく立ち上がるふたりが。
 愛を知り、誇り高く、その傷も歪みも、何もかもを掲げて生きるふたりが。
 それは獣に非ず。どれだけ不格好でも気高く生きるさまは、まさしく人のそれ。
 死を願われたとしても生きる――生きねばならない。
 そのわがままを己と受け止めたふたりが、滅びの一撃をもたらす。

 雷撃が森をつんざいた。
 ロクの裂いた傷跡に、稲妻の如き熱線が叩き込まれ、そして黒を貫いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィクティム・ウィンターミュート
・追憶戦

踏ん張りどころだぜ野郎ども
大丈夫だ、お前達は「やれた」
なら後は…仲間を信じるだけ
4人で1小隊を組め!!サイキックエナジーを感覚共有に使ってみな!
高速移動に加えてビットもあるんだ、一人なら処理しきれねえ
だが複数人で分担し、予測を立てれば軌道は絞れる!
詰は俺がサポートしてやるから、キリキリ避けてビットを落としな!

さぁ問題は装甲だ!
タイミングと攻撃箇所を一点に集中させろ
一人じゃ硬くて貫けないなら、複数人で合わせてしまえばいい
音頭は取る、遠慮なくやれ

頃合いだな
大将、用意はいいか?お前の一発に全員で合わせる
レッツ、フューミゲイション!

──お前は確かに強かったがな
黒騎士アンヘルは、もっと強かったよ


鳴宮・匡
◆追憶戦


ま、そういうわけだ
心配ない、あいつの指揮は盤石だよ

戦闘の指揮はArseneに任せる
あいつの指揮なら間違いない
こっちは――まあ、相応にやるとするよ

全知覚を開放して、敵の動きとビットの位置・数を把握
電脳伝いに共有すれば、向こうで適切な戦術を提示するだろう
右の銃は敵を狙い、左の銃はビットに対処する味方を援護

右手の銃は最初からずっと、同じ箇所を狙ってる
――機械装甲の構造的脆弱点
ビットが粗方捌ける頃には、いい加減罅くらいは入るだろう

おい、誰が大将だ誰が……いいけどさ
狙いは一点、罅割れた装甲の下、剥き出しの本体
しっかり視て、落ち着いて引き金を引くんだ

――大丈夫、やれるさ
自分の未来は自分で掴むもんだ



●最高の指揮、最悪の眼
『オオオオオ……』
 レグルスの起死回生の一撃を受けたミニスター・ブラックの全身は、
 夕立の仕掛けた刺突ダメージもあって、全身がひび割れ噴血していた。
 漏れ出すのはタールのような黒い血。いよいよその身は漆黒に染まる。
『まだだ!!』
 しかして、ミニスターはいまだ世界にへばりついていた。
 その身を、亀裂を、魔力によって形成した外骨格で"閉じた"のだ。
 流れ出した血すらも利用し、己という存在を補強する。……満身創痍である。
『我は女王の廷臣! 宇宙の騎士どもよ、解放軍の再来よ! 我はいまだ滅びぬ!
 幕僚(Minister)の名は伊達に非ず。我は使命を終えるまで果てることなし!』
「ハッ、威勢がいいじゃねえか。あんなボケ緑の悪女に仕えてるワリにはよ」
 ヴィクティム・ウィンターミュートは、裂帛の咆哮に対し、冷笑を浮かべた。
「あっちは死に体だ。だがそういうときほど、戦士ってのは力をひねり出す。
 つまりここが踏ん張りどころだぜ、野郎ども。最後まで気を抜くなよ」
「で、ですが、すごいプレッシャーです……や、やれるんですか!?」
「質問がそもそもズレてるぜ、坊主」
 年若いフォースナイトの言葉に、ヴィクティムはこう返した。
「やれるかどうか、じゃない。お前たちはもう"やれた"んだ」
「……!」
「ならあとは、"やる"だけだ。仲間を信じるだけ、それを考えればいい」
 そしてヴィクティムは、ちらりと鳴宮・匡を見やった。
 余人には目配せしただけに見えるが、ニューロンでは会話が交わされている。

『俺はこいつらの指揮を執る。あっちの攻撃と迎撃は任せるぜ』
『ああ。タイミングはそっちに委ねるよ。いつも通りだ』

 現実世界の匡はこくりと頷き、フォースナイトたちを一瞥した。
「こいつの指揮は盤石だよ。心配することはない、俺も俺でやれることをやる」
「え、援護は」
「必要ないさ――いや、違うな。「今はいい」、かな」
 匡は心が感じた通りに言葉を訂正して、二挺拳銃を構え、駆け出した。
「さあボケっとしてる時間は終わりだ! 4人で1小隊を組んで散開しろ!」
「「「は、はい!」」」
 フォースナイトたちは駆け出す。同時に、自律ビットが無数に飛び出した。
 銃声――先鋒を務めるビットが撃墜される。匡の援護だ。
「サイキックエナジーを感覚共有に使え! 眼と耳と肌と、役割を分けろ!
 敵は独りだが戦力としては独りじゃねえ、分担して予測を立てて対応しろ!」
 無茶な話ではある。だが彼らの積み重ねた訓練が、無茶に応えた。
 フォースナイトたちは驚いた。精神感応にこのような使い方があるとは!
 もちろんそこに、ヴィクティムが散布したドローンと電脳魔術のサポートもある。
「本体のことは匡に任せろ! お前たちが踏み込むタイミングは俺が決める!
 ひとりじゃ硬くて貫けないのなら、複数人で合わせてしまえばいいってこった」
『――電脳魔術士、Arsene。なるほど、お前がそうか』
 銃声の彼方からよく届く声。思念波による電脳魔術の妨害だ。
 どうやらミニスターは、こういう搦め手すらも可能とするらしい。
『銀河帝国の交戦記録でも探ったかい? それともさっきの実戦で学んだか?』
『両方だ。この連携の要がお前にあることはわかりきっている』
『――なら、俺を狙い撃ちにするなんてことが出来ないのもわかってるだろ』
 然り。ミニスターは匡ひとりの弾丸に、高速移動で対処せざるを得ない。
 正確に言えば、匡と、匡をサポートするヴィクティムの演算能力に。
 ヴィクティムは涼しげに笑っているが、その鼻と目から一筋血がたれた。
 これだけの人数の戦闘を俯瞰し、支援し、敵の妨害魔術を常にシャットアウトし、
 コンマ秒単位で切り替わる戦況に対応し、ビットの位置まで掌握しているのだ。
 ニューロンが灼ききれていないだけでも超人的というべき無茶である。
『命を厭わずただ目的のみに邁進する。やはりお前たちは、恐るべき敵だ』
 ミニスターは言った。称賛でも口惜しみでもなく、純粋に当然の戦力評価だ。

 匡もまた、無茶をしていた。まず、全知覚の完全解放である。
 匡の人外じみた知覚能力は、その状況に応じてリミッターがかかっている。
 そうしなければ、流れ込む情報の膨大さに脳が耐えきれないからだ。
 ある程度匡のニューロンは"適応"しているとはいえ、物事には限界がある。
 つまり、長く出来ることではない。それを、全力でこなしていた。
 さもなくば、たったひとりでビットの迎撃とミニスターの抑えは出来まい。
 銃弾が狙うのはたった一点。外骨格の構造的弱点にあたる、右胸付近だ。
 雨垂れ石を穿つ。黒曜石は徐々にひび割れ、そして亀裂が見えていた。
『なんたる慧眼か。まさしく我らにとって"最悪の眼"。黒騎士を殺した男よ!』
「知り合いだったのか? あいにく、他の連中も殺したぜ」
『怨恨だとでも? 笑止。我が抱くのは滾り、殺意、そして警戒よ!』
 匡は死なない程度に、被弾と同一箇所への弾丸命中をトレードオフした。
 幾度かの打撃が匡を捉えていた。頭から流れた血が青い瞳を赤く染める。
 狙うことはやめない。そしてついに――ビットが、全滅した。
「ここだ」
 ヴィクティムは凄烈に笑った。

『大将、用意はいいか?』
『誰が大将だよ誰が……いいけどさ』
『"号令"は俺が下す。だが"号砲"はお前の役目だぜ、チューマ』
『わかったよ。――いつでも行ける』

 ヴィクティムは叫んだ。
「匡の銃声に合わせろ!!」
「「「――うおおおおおっ!!」」」
 フォースナイトたちがミニスターを狙った。
 ミニスターは当然同時攻撃の布石を読んでいた。防ごうとする。
 ――と、いうことを、匡もヴィクティムも予測していた。ゆえに。
「"動くな"」
 抑止の楔が、最後の一撃となった。
 同一箇所を狙った弾丸は、ただ外骨格を貫くためだけではない。
 外骨格の崩壊により、わずかにコンマ秒、ミニスターの動きを止めるため。
 願望ではなく決意。未来を己の手で掴むための、一撃。
『何……!?』
『黒騎士アンヘルはもっと強かったぜ、二番手(Minister)』
 外骨格が砕け、つぎはぎの生身があらわになる。
 幾重もの斬撃が一点に重なり――そして、黒曜石に大きな傷を刻む!
 ミニスターの恐れた可能性が、ふたりによって引き出された決定的証拠だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡みも歓迎!

んもー
まったくキミたちは繰り返し(リピート)が好きだね!
まだ終わってないつもり?それとも新しく始めたつもり?
後者ならまだしも…前者じゃあ救いが無いね

●避ける・殴る
かつてのフォースナイトたちは予知めいてレーザーだって避けていたけれどボクは勘、第六感で避けるよ!
避けたら、殴る
UCでドーンッ!!

あーあ、キミが本物ならもっと楽しいんだけどなあ
そのあたりがオブビリオンくんたちのつまんないとこだよ
キミは危険であっても脅威じゃない
破壊者であっても支配者じゃない

まだ満足できないっていうんなら次はもっとちゃんとしなよ!
そのときはちゃんと相手してあげるから
100年たったら帰っておいで!



●まがい物のブルース
 支配し、破壊する。
 銀河帝国であれ継承軍であれ、目指すところはすべて同じだ。
 オブリビオンの行為はすべて創造ではなく破滅にのみ向いているゆえに。
 世界を過去によって埋め尽くしたあとは、ただすべてを虚無に、海に還すだけ。
 マイナスの繰り返し。永遠の0に向かうためのデストルドー。
「んもー! まったくキミたちは、繰り返しが好きだねえ!」
 ロニ・グィーは呆れたように笑い、ミニスターの繰り出し打撃を避けた。
 敵は満身創痍だが、それを押してなお猟兵たちに食らいついている。
 まるで猛獣だ。忠義ゆえか、戦士としての矜持ゆえか、あるいはその両方か。
「まだ終わってないつもり? それとも、新しく何か始めたつもり?」
『どちらでもない。我らは過去。すでに終わり、そして創ることも出来ぬモノ』
「ならどうして、支配者の後継なんてものを名乗るのさ」
『"理由など無い"。それはお前とて理解出来よう、神の残骸よ』
「ボクは出がらしになったつもりなんてないけど、ねッ!!」
 KRAAASH!! 魔力を帯びた拳と、神の力を帯びた拳とがぶつかりあった。
 そして両者は反発力で吹き飛ばされる。両者の拳が割れて血が噴き出す。
 傷は魔力と神力によって塞がれる……ロニは手をぷらぷらと振った。
「そりゃまあ、ボクら神は一番強かった頃に比べりゃちっぽけなモンだよ。
 でも死んだわけじゃないし、終わったわけでもない。キミたちとは違う」
 ……とはいえ、ミニスターの言わんとすることはわからんでもない。
 ああだから、こうだから。理由があって結果があるというのは、ヒトの話。
 時には――神や悪魔といったモノは、"そうであるから、そうする"のだ。
 神ゆえに支配する。
 魔ゆえに堕落する。
 オブリビオンもまた同じ。"過去だから、破壊する"のだ。
 "創造できない"のではなく、そもそも"創造する"という選択肢がハナからない。
 ロニが呆れるのは、『出来ない』ことではなく――。
「キミたちはそれを楽しくないコトだって自覚しないし思いもしないとこだよ!
 キミは危険であっても脅威じゃない。破壊者であっても支配者じゃない。
 生きてるモノがやることなら、破壊でも支配でもあとには何かが続くけどね」
 両者は再び接近し、拳の連打を叩きつけあった。衝撃が波となって吹き抜ける。
「キミが"本物"なら、もっと楽しかっただろうになあ!」
『――神の残骸よ。ならばお前は、"そうでない"と言えるのか?』
「…………」
 ロニの笑顔がすっと消えた。一瞬の、しかし永遠に思える空白があった。
『すでに在りし頃の力を失い、只人とすら肩を並べることもあろうお前もまた、
 "終わった"モノであるやもしれぬ。"そうでない"と、お前は言えるのか』
「――いい質問だね。けど、キミが言えることじゃあないよ。だから答えない」
 意地の悪い笑みを浮かべる。
「ボクは終わるつもりも、終わったつもりもないんだからね!」
 ミニスターの右拳。ロニは撃ち合うのではなく片腕を犠牲にそれを受けた。
 ミニスターが瞠目した。ロニは首をかしげてみせる。
「ほらね? だからこういうことも出来る――100年経ったらまたおいで!」
 神の力を込めた拳が、ミニスターの腹部に叩き込まれた。
 そして巨躯は吹き飛び壁に突き刺さる。ロニは折れた腕を振りつつ、相変わらず笑顔だった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ミハエラ・ジェシンスカ
随分と楽しそうじゃないか、大臣閣下?

敵の魔力とやらの制御を
フォースレーダーで【情報収集】しながら
敵の拳を【武器受け】強力なものは【受け流し】
返す刃で【カウンター】狙い
互いに真偽を【見切り】合う
【騙し討ち】の応酬になるか

尤も敵の闘法は術理を同じくする我が邪剣を優に上回ろう
勝機を見出すとすればただ一つ

敵が敢えて見せた隙を狙い
悪心回路(アイテム)起動
隠し腕を展開
【殺気】とともに反撃覚悟の【捨て身の一撃】を叩き込む

それでも届きはすまい
だが、貴様は正確なまでに我が脅威を図った
このままでは「斬られる」と予見しただろう
そうして僅かにでも【恐怖を与える】事ができたなら
我が邪剣にはそれで充分だ

【鏖殺領域】



●アナイアレイション・フィールド
『……ぬ、う』
 ミニスター・ブラックはついに、立ち上がるのも難儀する有様だった。
 フォースナイトたちは攻め込むべきかと思ったが、重圧がそれをさせぬ。
 もしも踏み込んだ者がいれば、死物狂いの反撃で皆殺しになっていただろう。
 彼らの判断は正しかった――代わりに戦う者が、そこにいたのだから。
「ずいぶんと楽しそうじゃあないか、"大臣閣下"」
 ミハエラ・ジェシンスカは、皮肉をこれっぽっちも楽しくなさそうに言った。
 紛れもなく邪道剣士。隠しようもない、騎士道から外れた者の臭い。
 闇の騎士と、外道騎士。ある意味で似合いの組み合わせだった。
「滅びの瀬戸際に立たされて、それでもなお忠義と誇りに依って立つか。
 ほとほと呆れたものだ。なるほど貴様はまさしく"騎士"なのであろうよ」
 清廉さと狡猾さを併せ持つのが騎士の条件であるとするのならば、
 ミニスターの在り方はそれに沿っている。"外道として筋が通っている"のだ。
 まったく褒められたことではないが、それでいいとミハエラは思った。
 彼女も同じなのだから。正道を外れた孤高の野を、ただまっすぐ征く者として。
『……運命とは皮肉なものだ。お前のような者が祝福者として選ばれるか』
「道理だな。しかし正しいとも思わないか、つまり世界に意思などないのだ。
 でなければ、私のような外道剣が貴様らの敵になどなるものか。だろう?」
 ……ミニスターが立ち上がる。魔力の制御は外れつつあった。
 つまりそうしなければならないほど、ミニスターは弱っているのである。
 この戦いを生き延びたとして、"このミニスター"の命は永くあるまい。
「外道同士、せいぜい搦め手を出し合うとしよう。"正々堂々と"な」
 ソードビットが展開される。ふたつの黒が霞み、渦巻く嵐となった。

 フェイント、ブラフ、布石、認識錯誤、後退、回り込み。
 ありとあらゆる搦め手・騙し討ち・隠し玉を"真正面から"出し合う。
 奇妙な光景だった。フォースナイトたちが知らない汚い手ばかりだった。
 なのにふたりはそれを読んでいた。"だからこそ"読んでいたというべきか。
 条件も同じ、使う手も同じとなれば、必然勝負は純粋な力量対決となる。
(やはりな)
 攻防の嵐のなかで、ミハエラは淡々と思った。
(我が邪剣を上回るなど当然のこと。むしろそうでなくば困る)
 然り。ミハエラは、最初から力量で上回るつもりなどなかった。
 それを織り込んで戦うつもりだった。劣勢すらも利用してこその邪剣である。
『――』
 ミニスターがぐらりと体幹を崩した。斬り込むには絶好の好機。
 ミハエラはその挑発に乗る。隠し腕を展開し、猛烈な殺気を噴き出した。
 相打ちになってでも斬る、という覚悟である。フォースナイトたちは震えた。
 並の――いや一流の剣士でも、惨殺される己を幻視したことだろう。
 そして現実になる。……はずだ。だが、此度はそうはならなかった。
 当然のごとく、それはミニスターの罠。倒れかかった姿勢からの掬い上げる拳。
 隠し腕を内側から抉るように粉砕し、蛇めいてくねる拳がボディを捉えた。
 ミハエラは床を転がる。激突するたびにパーツが破損して吹き飛んだ。
「……ッ、ハ、ははHaハ」
 顔面も破損し、内部機構が半ば露出していた。
『見事な邪剣であった。しかし――』
「"いいや"」
 ミニスターの言葉を、ミハエラが遮る。
「"これでいい"のだ」
 バチバチと火花が散り、半ば砕けて機械部分を露出した顔面を照らした。

 鬼の笑みだった。
「貴様は感じたことだろう」
『……』
 ミニスターは答えない
「"もしかしたならば斬られるかもしれない"という、恐怖を」
『…………』
 ミニスターは答えない。
「"私にはそれで十分だ"」
 これなるは邪剣の秘奥。
 それはまるで武を窮めたる達人の如く、
 されど域には遠く、魔道を窮めた者が同じように到達する術理。

 すなわち。
「私は、貴様を斬っていない」
 ミニスターは答えない――いや、答え"られ"ない。
「悪いな、同類よ」
 斬撃が刻まれていた。
 剣に依らずして、殺意と恐怖によって対手を斬る、秘奥の秘奥。
 鏖殺領域、完成す。
『…………卑劣な、邪剣使いめが……!!』
 呻き声のなかから溢れた声は、ミハエラにとって最大の称賛だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヒルデガルト・アオスライセン
船内の残党を掃討した子供達は
暗殺者と渡り合える戦士に成長している筈

戦闘前に治癒
ビットの破壊をお願い
弾を跳ね返したり、手から雷を放つあれですよあれ
彼等が慣れるまで本体の時間稼ぎ

私が敵側なら
硬い奴は無視して全体攻撃
仲間達の光剣全てに結界術を、位置を察知出来るよう小細工

ドレス四隅、偽神兵器の盾を浮遊させ
進行を妨げ遠方を守るのに利用

銀貨を…、気が変わったわ
UCで縮地移動。篭手で吹き飛ばし

生存重視、負傷者は下がって
狙われても止めるわ。反応出来る距離を維持して囲んで

多対一で防護陣形
不規則テレポートから捨て身&騎士達の一斉攻撃

ねえ
貴方が懐かしむ古強者はどんな人達かしら
彼等も悪くないと思うのだけど
さも自慢気に


リア・ファル
(真の姿:AI)

なに、ボクのできる事なんてそう変わらない
キミの一挙手一投足、あらゆる理を識り、挑む
「行くよ。 スリープモード解除!」
(情報収集、偵察、学習力、リミッター解除)

『ヌァザ』でビットのコントロールを奪い乱す
(ハッキング、ジャミング)

「ボクは騎士では無いけれど、彼らフォースナイトの明日の為。
……その流儀に則り、ボク最大の剣でお相手しよう」

「ヌァザ、多元干渉最大出力! 波動を刃と為せ!」
UC【今を生きる誰かの明日のために】! 多元干渉波動剣!

因果にすら迫る演算を以て、後の先で斬る
(鎧無視攻撃、カウンター、瞬間思考力)

古強者よ、潔く過去に沈め


ユーノ・ディエール
恐るべき敵、ですが……
私達は黒騎士も、白騎士も倒したのです
過去も未来も見通した恐るべきあの二人
そして銀河皇帝すらも……だから!
決してやらせはしませんよ、ミニスター・ブラック!

弱気はいけません、しっかり敵を見据えるのです
フォースナイト達に呼び掛け心を強く持つように諭す
隙を見せねば迂闊には攻めてきません。
そこは私が念動力で障壁を展開し切込みます!
誘導レーザーの範囲攻撃で敵の動きを阻害し
ドローンを飛ばして牽制しつつ解析
マジックブロウ発動のタイミングや力の流れを見極め共有します

皆さんの念動力で魔力制御の封印を崩せば
きっと力が制御出来なくなる……その瞬間に
最大出力のデトネイターでブチ抜いてやりましょう!


アシェラ・ヘリオース
※改変連携歓迎

「一つ訂正をしてもらいたい」
真の姿の近衛装束を纏う
「今を生きぬ貴公等を、帝国の後継と認める積りはない」

方針
だが相手の力量は継承軍を名乗るに相応しい
黒騎を三騎召還し陣形を組もう
『ツヨソウデワロタ』『イモウトノケッコンシキアルンデー』『カゼギミナンデハヤビケシマス』

ノイズは無視
赤槍を持って鋭角な起動で突貫する
魔力拳に正面から当たらぬ様に角度をつけて高速機動戦だ【推力移動、ランスチャージ、空中戦】

「総員捕縛ッ!!」
大きく弾かれた時が勝機
若き騎士達と連携し、念動を合せ奴を捕縛【威厳、戦闘知識、集団戦術、念動力、捕縛】

「穿孔陣!!」
フォースチャージを終えた黒騎達に追撃を命じたい



●インタビュー記録:SR-10404
 騎士教練艦『シャピアロン号』卒業者、ヴィクター・ハント少年はこう語る。

 あの戦いは、平和ボケしていた僕らにとっての大きな転機でした。
 銀河帝国が滅んでもう二年近く……正直、気が緩んでいたんでしょう。
 突然のことに、僕らは何も出来なかった。誰が犠牲になってもおかしくなかった。

 ……いえ、今の言葉は傲慢でしたね。
 船ごと全員沈んでいて当然だったと思います。はい、心から。
 それほどの戦力差でしたし、僕らには経験も覚悟も足りなかった。

 生き残れた理由は、言うまでもありません。あの人たちが居てこそです。
 だからこそ僕らはあれから鍛え続けて、今日の日を迎えられました。
 おんぶにだっこで居るつもりはありません。これまでも、これからも。
 ただ、そうですね。もしもまたあの人たちに会って言葉を伝えられるなら。
「ありがとう」の他にもうひとつだけ、言葉を送れるとしたら。
「ごめんなさい」よりももっと、僕は言いたいことがあるんです。
 それは――。
  
●騎士を継ぐもの
「……よし」
 ヒルデガルト・アオスライセンは、少女の腕に巻いた包帯を指で撫でる。
 その指先がほのかに輝き、癒やしを加速した。聖者の力だ。
「これで全員動けるでしょう。ひとつ、お願いしたいことがあるの」
「なんなりと! 猟兵さんのおかげで拾った命です、なんでも――」
「そうじゃなくて。助けた見返りにとかではない、同じ立場からのお願い」
 ヒルデガルトはそう断った上で、続けた。
「あいつの攻撃をうまく防いでほしいのよ。出来るでしょ、そういうの」
「ほ、本領ではないですけど……一応は」
「え? フォースナイトって、弾を跳ね返したり手から電撃出したり、
 そういうことが出来るようになって一人前って言われるものなんじゃ」
「違いますよ!? それ、フィクションです!」
「そう……まあ、やってくれるというならなんでもいいんだけれど」
 ヒルデガルトは頷き、負傷者――の中でも戦いを希望した者たち――を見渡した。
「なら、行きましょう。みんなであいつを斃すために」
 戦いは続いていた。それは、確かめずとも音と気配で誰もが確信していた。
 なによりも、少年少女たちは自分の意思で、戦うことを望んでいたのだ。

 そして、戦場となったジェヴレン艦橋。
「リアさん、私が念動障壁を展開します! ビットの対応を!」
「了解! スリープモード、解除……さあ、行くよ!」
 ユーノ・ディエールと真の姿を解放したリア・ファルが先陣を切った。
 魔力で生み出した外部装甲を纏い、無数のビットを展開させるミニスター。
 その攻撃は単独でありながら大軍に匹敵し、そして猛攻である。
 敵は滅びの瀬戸際にある。あと一手、押し切れば戦いは終わる。
 敵もそれを認めている。だが退かないし、諦めない。まさに死力を尽くした。
 これまでで最大で、最強で、最悪の攻勢が襲ってきていると言ってよかった。
 ユーノの展開した念動障壁は、自律ビットの攻撃によってズタズタにされ、
 リアの魔剣ヌァザによるハッキングは、ミニスター自身の攻撃で妨害される。
『ここで滅びよ、朽ちよ! 宇宙の騎士も、猟兵も、我らの銀河に必要なし!』
「"我らの"、だと?」
 ――ガギンッ!!
「ここは、貴公らの支配圏でも、所有物でも、住処でもない」
 恐るべき魔力打撃を受け止めたのは、割り込んだアシェラ・ヘリオースだった。
 その姿は、まさしく帝国騎士の正装。あえての、そして本気の証である。
「そして訂正を求める――貴公らの名乗る、帝国継承軍とかいうふざけた名を」
『何?』
「私は、貴公らを帝国の後継とは認めない。なぜならば」
 ガィンッ!! と剣と拳とが離れ、ミニスター・ブラックは後退する。
 追撃するにはあまりにスピードが疾い。フォースナイトたちも攻めあぐねた。
 そして後退した間隙をビットの猛襲が阻む。攻防ともに隙はなし。
「貴公らは"いま"を生きていない。不滅のものなどではないからだ」
『……否。我らの女王は不滅のものなり。だがお前たちはそれを捻じ曲げよう。
 ゆえに我がここで、お前たちを、殺すのだ。世界をあるがまま支配するために』
「滅びた帝国の名すらも簒奪し、何が女王ですか。何が支配者ですか!」
 ユーノが吼えた。
「私たちは銀河皇帝を、そして過去と未来をも見通した騎士たちをも滅ぼしました。
 ならばあなたたちも同じように斃します。決して、あなたにはやらせはしない!」
「言葉で和解できるなんて、最初から思っていないさ、ミニスター・ブラック」
 リアが金色の髪をなびかせて、その言葉に続いた。
「これは純粋な生存競争だ。だけれど、ボクらとキミとは求めるものが違う。
 キミたちは過去を求め、ボクらは未来を、明日を求める。だから――」
 魔剣ヌァザがキィン、と唸った。殺到するビット群を斬壊!
「だから、ボクらは負けない! 彼らの、明日を目指す意思がある限り!」
『……希望、未来、夢、覚悟。おぞましき輝きよ。忌むべき煌めきよ。
 我の懸念は正しかった。ただひとつ違うのは、至らぬこの身か――否!』
 そして新たなビット群が出現し、赤い双眸がごうごうと炉めいて燃えた。
『我もまた女王の廷臣! 黒曜のこの身のすべてを以てお前たちを鏖殺せん!』
「なんて気迫……黒騎士や白騎士とは違う、妄執とでもいうべき……!」
 ユーノはミニスターの執念、そして暴威に呻いた。
「恐れることなんてないさ。ボクらには、とっても強い味方がいる」
 リアは見た。ユーノ、アシェラ、ともに戦う猟兵という仲間。
 そして若きフォースナイトたち――この世界を自ら守ろうとする者たちを。
「……そうだな。あなたたちの言う通りだ。だからこそ、帝国も滅びたのだ。
 ……ああ、滅びたのだ。もう帝国は亡い。私はもう、とうにそれを受け入れた」
 帝国騎士装たるバイザーの下、アシェラの双眸は伺えない。
「それでもこの宇宙は在る。継承者を謳う簒奪者に滅ぼさせなど出来ようか」
「弱気は、いけませんね。――さあ、行きましょう!」
「「「猟兵さんたちに、続きます!」」」
 フォースナイトたちも奮い立つ。両者――否、両軍ともに、意気軒昂……!

『オオオオオッ!!』
 外骨格の使用はそのものの寿命――オブリビオンで言えば消滅までの制限時間を消耗する。
 ミニスター・ブラックは、自壊しながら戦っていた。
 すべては女王のために。偉大なるプリンセス、おおいなるエメラルドの君!
「……キミが生者でなかったことが、こんなに口惜しいとはね」
 猛攻から繰り出される打撃を魔剣ヌァザで弾き、リアは表情を歪めた。
 どれほど苛烈にあろうと、オブリビオンが目指す先には滅びしかない。
 何も生み出さず、創ることのない存在。哀愍すらも湧き上がる。
「けど、容赦はしない! ヌァザ、多元干渉出力向上……いくぞッ!」
 拳と剣とが撃ち合う! だが戦闘者としての力量は敵が上か!
『もらったッ!』
「――させん!」
 リアの胴体を両断すると見えた手刀、そこにアシェラの剣がねじ込まれる。
 赤いフォースセイバーが闇色の魔力とバチバチと干渉し火花を散らした。
『邪魔をするな、死にぞこないめ!!』
 左裏拳がアシェラの顔面を襲う。剣を引き戻すことは出来ない。
 アシェラは咄嗟に身体を捻り肩で打撃を受けた。華奢な体が吹き飛ぶ。
「ミニスター・ブラック、覚悟!!」
 ユーノは誘導レーザーを範囲照射、ビットを撃墜し突撃経路を開いた。
 彼女が率いるのはフォースナイトたちである。ともに吶喊し、刺突を繰り出す!
『騎兵よ、我を貫くには足らぬぞ……!!』
 ミニスターは掌に収束させた魔力で、デトネイターを受け止めた。
 魔力制御の封印は完全に解かれ、闇色のスパークが天井と床を舐める。
 自壊すらも厭わないか。ゆえにその出力はデトネイターをも凌駕!
「くう……っ!」
『我が傀儡に切り裂かれて沈め!』
「そうはいくか。ビットの自律機能に介入するよ!」
 リアの魔剣ヌァザによる再度のビット掌握――成功。だが直後、ビット撃墜!
 掌握を逃れたビットが自機を破壊したのだ。徹底的に手を封じる構えである。
「黒騎よ、今日ばかりは泣き言は聞かんぞ。来い、そして攻めろ!」
 アシェラの呼び声に応じ、三騎のユニット――帝国騎士を模した自律兵器が出現、赤い軌跡を空間に残しながらミニスターに挑みかかった。
『帝国の残滓ごときが……!』
「その残骸が、貴公らを否定しているのだ!」
 ガ、ガ、ガガガガガッ!!
 赤槍と黒いま力が打ち合い、赤黒の螺旋模様を描いて戦場を突っ切る。
「僕らも……行こう!」
「ああ、猟兵さんたちをサポートするんだ!」
 フォースナイトは前後の二隊に分かれ、前衛組がミニスターを牽制。
 後衛はサイキックエナジーを収束させ、ミニスターを足止めしようとする。
『ぬるいッ!!』
 見えざる戒めを強引に破るミニスター。そして双眸が騎士たちを睨んだ!
「――来る!」
 ユーノが前に出て障壁を展開……降り注ぐビットと魔法弾の雨!
 念動力と漆黒の魔力とがぶつかりあい、迸り、爆発が連鎖した!
「――守りが必要なら、手伝います」
「え?」
 必死で障壁を維持していたユーノは、ふっと身体が軽くなるのを感じた。
 白金の粒子がそばに集まり、そしてプラチナブロンドの髪の乙女となる。
「遅れました。増援を連れてきましたので」
 ヒルデガルトは一同を一瞥して短く言うと、聖なる盾を障壁に沿って展開。
 崩壊寸前だった障壁を聖光で強化し、騎士たちの守りとする。
 そして一緒に転移したフォースナイトたちが、エナジーを励起させた!
「負傷者は下がって。仲間に任せればいいわ」
「ああ、そうだ。あとは俺らが頑張る!」
「すまない……!」
 戦いで負傷したフォースナイトと、増援の騎士たちとが交代した。
 サイキックエナジーの念圧が増大する……そして!
『我が魔力の圧を、騎士どもが上回るだと……!?』
 降り注ぐ魔法弾とビットを跳ね返した!

(私が敵側なら、全体攻撃で数を減らす。それも通じなければ――)
 ヒルデガルトは考えた。自分がミニスターの立場ならばどうするかを。
 要は猟兵。つまりこの4人の誰かを叩きに来るだろう。
 ユーノは除外される。彼女のデトネイターが持つ威力は先刻証明済み。
 念動障壁は厄介であり、打撃を一手し損ねれば捨て身の反撃が来よう。
 ならばリアか。可能性は高い……しかしヒルデガルトはやはり棄却した。
 視界の中ではリアがビットを三度ハッキング、ついに完全掌握している。
 厄介ではある。だが突っ込めば自律ビットが牙を剥くだろう。
 ではアシェラ――いや、ありえない。その周囲には三の黒騎が展開している。
 あの剣筋はいまのミニスターをして手を焼くはず。であれば……!
「私は、私を襲うでしょうね――!」
『忌まわしき光を放つ者! 死ねィ!!』
 予測は当たった。ミニスターは二重のブラフを蒔いた上で聖女を強襲!
 ヒルデガルトは打撃に応じる。一撃一撃がすさまじく重く、疾く、鋭い。
 銀貨の力で一撃必殺を狙うか? ――いや、読まれているだろう。
 それに自分は、ひとりで戦いに来たのではないのだ。
「ねえ、あなた」
 ヒルデガルトは肉を裂き骨を砕く打撃を捨て身で受けながら、言った。
「あなたが懐かしむ古強者って、どんな人たちなのかしら?」
『何?』
「――彼らも、悪くはないと思うのだけれど」
 不敵な笑み。訝しんだのと、ミニスターの動きが止まったのは同時だった。
 ビットの掌握。リアが成し遂げた功績が騎士たちに自由を与えた。
 そして彼らは、持てるすべてのエナジーをミニスターに注いだのだ!
 魔力制御を失ったいま、ミニスターは念動捕縛を撥ね退けられない……!
「見事だ、宇宙の騎士たちよ!」
「ええ、敬意を払います! あとは私たちが!!」
「ボクも続くよ。騎士ならぬ身でも、敬意ある最大の剣によって!」
 ユーノは大きく距離を取り、デトネイターの出力を限界以上まで解放。
 そしてアシェラはフォースナイトたちに倣い、黒きエナジーを重ねた。
 ミニスターを縛る戒めがさらに重くなる。黒き巨躯はアシェラを睨んだ。
『何故、お前のような死にぞこないが我らの敵に回ったか……!!』
「運命と片付けるのは容易い。だがここにいるのは、私自身の意思だ」
 割れたバイザーの下から赤い瞳が睨み返す。
「私は、貴公らを、認めない。――それだけだ」
 動けぬ。防御も回避も、出来ぬ。ミニスターともあろうものが!
「ね? ――悪くないでしょう? あなたが脅威と見込んだ通りよ」
 ヒルデガルトは微笑んだ。自慢げな、勝ち誇るような、そんな表情だ。
「皮肉だけれど、あなたが恐れた通り、彼らはあなたを凌駕してみせた。
 だから、これはある意味当然なのでしょう。――さようなら、闇の騎士」
『オオオオオオオッ!!』
「行くよ、ユーノさん!」
「ええ、リアさん! 虚無の力と――」
「刃とせし波動を以て!」
「「終わりを、もたらす!!」」
 デトネイター加速――そして衝角激突、虚無の結晶が励起した!
 そして同時に、最大多元干渉により長大化した魔剣の刃がミニスターを斬る!
 因果すらも凌駕する力。それは、未来を、生存を、幸福を求めるヒトの意思。
 それを引き出す輝きこそ希望という。ミニスターがもっとも恐れたもの。
『――やはり、我が読みは、正しかったか』
 ミニスターは光のなかで、呟いた。
 絶望はない。どこか悟ったような、満足した戦士の声にも思えた。
『無念なり』
 そして黒き巨躯は消えていく。何も遺すことなく。

 戦いは、終わったのだ。


 ――立派になれました、と。
 あなたたちのおかげで、未来を掴めました。
 騎士の名を負うことなく、正しく継げたのだと。
 願うことなら、あの戦いでともに戦ってくれたすべての猟兵たちに、そう伝えたいです。

 ……伝えるまでもないかも、しれませんけどね。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2020年11月13日


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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ムルヘルベル・アーキロギアです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト