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【節分】まめはこび

#サムライエンパイア

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#サムライエンパイア


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「さて、どうしたものか……」

 近くの村に住む商人たちは、一本の大橋を目の前にして頭を抱えていた。

 此処は山に囲まれた小さな藩、緒豆藩(おまめはん)の一角。
 この藩は二代目藩主『緒豆・旨男(おまめ・うまお)』の政策によって、特産品である『豆』を育て、流通を行い生計を立てていた。
 目の前の大きな川の恩恵によって、水が豊富な彼らの村も、工芸品や野菜と共に、豆を育て町へと運ぶ役割を担っている。
 普段はこの川にかけられた橋を通り、街道まで出て荷物を運んでいるのだが……。

「ええい、こんなの……!勢い良く渡っちまえばいいんだ!」
「お、おい待て、危な……!」

 痺れを切らした一人の青年が、橋へ向かって勢いよく走りだす。
 別の男が慌てて止めるが、時既に遅し。

「あ、あぁああー……!!」

 どぼん。
 橋の床がすぽんと抜けて、悲鳴と共に男が川へと落ちる音が虚しく響いた。

 ●

 グリモアベースで猟兵達を待っていたユメコ・セキエイ(Sugar・f10521)は、豆菓子を袋から摘まんで口に放り込むが、甘みがないのがお気に召さなかったのか、眉をしかめると今度は甘納豆に手を伸ばす。
 猟兵達の姿に気付くと、はっと向き直ってちょこんと一礼してから切り出した。

「集まってくれてありがとう。今回はサムライエンパイアで、困った事があるみたいなのよ」

 問題が起きているのは、緒豆藩という藩の隅にある小さな村。
 大きな川を挟んで屋根付の大橋が掛けられており、橋は江戸近くの町まで続く街道へと繋がっている。
 その橋が問題なのだ。
 というのも、橋のあちこちに罠が仕掛けられており、人々の行く手を阻んでいるそうだ。
 なんとか橋を通り抜けてもその先には鬼がいるらしい、という噂も届いているので、罠もこのオブビリオンの仕業である可能性が高い。
 資料を片手に甘納豆を頬張りながら、ユメコが続ける。

「橋の下に流れている川はとても広くてね、深いのですって。でも流れも緩やかなので、もし落ちたりしてしまっても大丈夫よ」

 橋を通らずにもっとも近い町まで行く道は存在するが、森と山道を通り抜けなければならず、野生の動物も多く危険な上に、3日は余計に掛かってしまうそうだ。
 橋の幅は4mほど。橋の罠を解除するなり、別の迂回方法を探すなり、まずは橋の向こうへと村人たちが安全に通行できるようにして欲しい。

「それと、折角なので豆運びもお願いしたいみたいよ」

 本格的に豆を運搬するのはまだ先になるだろうが、幾分か先に町へと届けられれば商人たちの助けにもなるだろう。
 1人につき一定量の豆が村の商人から手渡される手はずになっている。

「もしかしたら、罠に掛かったり戦ったりしていると、豆の数が減ってしまうかもしれないけれど……。
 みんなから、素敵な物語を聞けるのを楽しみにしているわ。」

 どうか気を付けていってらっしゃい、とユメコは微笑んで猟兵達を送り出す。


かなで彩羽
 お世話になります、かなで彩羽です。
 本シナリオは、かもねぎMS・君島旭MS・ねこですMS・椰野MSによる【節分】連動依頼となります。

 街道を通れるようにして、ついでにお豆さんを町へと運んでください。
 既に豆は受け取っており、橋の対策をするところからのスタートとなります。

 初期のお豆力は1人につき2000(粒)です。
 2章以降からの参加の場合は章が進むごとに-300ずつで開始されますので、問題ありません。

 罠に掛かったり戦闘したり、豆の入った袋を狙われたりするとその分お豆さんが減ります。
 町に到着した頃にどれ位お豆さんが残っているか、皆さまの行動にかかっています。
 尚、お豆力が0になっても豆が手元にないだけで行動は可能ですので、あまり深く考えすぎず、気楽にご参加いただけますと幸いです。

 それでは皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『このはしわたるべからず』

POW   :    例え罠だと分かっていても、のっぴきならない戦いは人生二、三度はある。構わず前進ッ

SPD   :    罠に警戒して慎重かつ迅速に進む。自分で新たに橋を建てたり、器用に飛び越えるのもアリかな……

WIZ   :    どう見ても罠でしょ、素直に迂回して安全なルートを探す。

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 村の前、大橋を見据えて猟兵達は佇んでいた。
 豆の準備は万全、此処にいったいどんな罠が待ち受けているのか……。
 この先に居るのは鬼なのか、はたまた違うオブビリオンなのか。
 覚悟を決めて彼らは一歩、踏み出すのだ――。
叶・雪月
とりあえず罠にかかる前提で如何に豆を減らさないかを考えたい
小分けにして落としても被害を最小限にすること
後落ちてもダメにならないように防水加工して、と

その上でさてどうやって橋を渡るべきか……
まあシンプルに俺は気合で走り切る
うっかり落とされても、【クライミング】で橋に登ればいいし
ちょっとした罠なら【早業】で回避してやるよ

後、ちょっと縄を用意しておきたいんだ
この後わたるやつがいたら、縄一本向こう側へわたってるだけで難易度下がると思うんだよな

あ、気合とはいっても無策すぎてもいかんな
じゃあ、とりあえず前の床が抜けないかくらいは棒で確認しながらいくぞ!



 叶・雪月(六花舞う夜に煌めく月の刃・f03400)は手近な木の表皮や枝に触れながら、その強度を確かめていた。手には丈夫そうな縄が握られている。
 
「後に橋を通るがいたら、縄一本向こう側へ渡ってるだけで難易度下がると思うんだよな…」

 縄が通っていれば、床に穴が開いて落下をする事故も減るかもしれない。少しでも無事に通れるように、他の猟兵達への助けとなれば良い。
 そんな思いを籠めながら、ぎゅっと木の幹に縄を通すときつく縛り付けた。しっかりと括り付けた分、簡単に抜ける事もないだろう。

「さて…」

 どうやって橋を渡るべきか……左手に縄の先端を、右手には今しがた縄を括り付けた木の傍に落ちていた長めの枝を手に、雪月は思案する。
 万が一に備え、豆は防水可能な袋に小分けしてある。抜かりはない。
 そして彼が選択したのは、『気合で走り切る』事。実にシンプルかつ行動的である。
 しかし、ただ走り抜けるだけでは何が起きるかわからない。ベタに床が抜けて川に落ちる、なんて可能性は大の大。
 故に、これで確認しながらいく!
 手にした枝を棒代わりに滑らせ、足元を確認しながら雪月は地を蹴って走り出す。

 案の定、床がすぽんと穴が開くが、素早く飛び越え間一髪、足を取られることなく回避する。
 雪月が足は止めずに振り返ると、先程の穴は既に閉じて床が元通りになっている。

「っと…危なかったな。まぁ、随分と都合の良い作りからくりだ。」

 溜め息を吐きつつ、雪月は豆を落とすことなく、いの一番に橋を渡り終えると、豆が減っていないのを確認した後、
 来る前と同様にしっかりと縄を頑丈そうな枝へと括り付けたのだった。
 【叶・雪月:2000/2000】

大成功 🔵​🔵​🔵​

蒐集院・閉
頂きましたお豆、一粒も無駄にはしたくありません。
食は大事。基本の基本。尤も、食べるための豆でないことは百も承知ですが、行事というものも疎かにしてはいけません。

罠があるとわかっていれば橋を通らねばいいだけ。しかし橋を渡らねば遠回り。
ここは少し器用さが必要ですね。
【錬成カミヤドリ】にてとじである錠前の複製を念力にて空中に浮かせ、それを新たな橋として足場にし、川を渡ります。
その前に出来るだけ身を軽く。重い装備は置いていきましょう。鉄塊など、流石に持っては浮かせておけませぬので…。
豆は大事に抱え運びます。注意しつつ、ゆっくりと落とさぬよう集中して行きましょう。


七鞘・雷華
橋を渡っちゃダメなのか。
残念。(以外と素直)


でも遠回りするのもなぁ。
よし、川を渡ろう。

という訳でユーベルコード、
黒服召喚で黒服を召喚。
川に突撃させて一定間隔で配置。
そいつらを足場にして沈む前に次の足場(黒服)に向かってジャンプして、それを繰り返して
川を渡る。

踏まれた時の黒服の反応。
「お嬢の肉球っ!!(顔で受ける)」
「ありがとございますっ!!」



 ――頂きましたお豆、一粒も無駄にはしたくありません。

 食は大事。基本の基本。主に行事に使われる為のものであるとは承知の上、しかし豆は主食にもなりえる食材、食の要でもある。
 伝統も食も疎かにされるべきではなく、守っていかなければならないものだ。
 蒐集院・閉(最後の蒐集院・f02941)は、豆の入った袋を優しくひと撫ですると橋を見、次いで川へと視線を移す。

「罠があるとわかっていれば、橋を通らねばいいだけ」

 しかしながら、橋を渡らねば遠回りになってしまう……思考を一巡させてから、閉は静かに頷いた。

「……橋を渡っちゃダメなのか。残念。」

『このはしわたるべからず』――橋の前に立てかけられた立て札を前に、七鞘・雷華(弾丸ライガー・f04946)は腕組みして唸っていた。意外に素直である。
 でも遠回りするのもな……うーん……しばし悩んだ末に、ひらめいた。
 橋を通っちゃだめなら、川を渡ればいいじゃない。

「よし、川を渡ろう」

 ひとつ頷き、決めたとなれば早速行動へと移していく。

 橋の下、川縁へと降り立った閉と雷華は各々の力を以て広い川を渡ろうと試みていた。

 「これは置いていきましょう」

 閉は重みのある備品を手放すと、出来る限り身を軽くしてから【錬成カミヤドリ】を使用する。
 彼女自身の本体を複製し思い描く形に移動させてゆくと、錠前の足場が作られる。
 緩やかに流れる水の上、ふわりと浮いたその道に足を乗せると、鎖と錠が重なってしゃらりと音を立てる。

 数歩進むと、ぱしゃりと水を叩く音が閉の耳に届く。
 見渡せば、陽に反射して時折光るものが水の中に見える気がする。

「……魚?……っ!」

 次の瞬間、傍らでぱしゃんと魚がひと跳ねし、川の水が弾かれる。ほんの一瞬の間だが、目に入ったそれは想像していたよりも大きい。
 川に住む生物達も居るのだろう。もしかしたら、魚だけではないかもしれない。
 幸いに、水を頭から被る事は避けられた。
 閉は豆の入った箱を大切そうに抱えなおすと、先程よりも更にゆっくりと、集中しながら慎重に足場を移動し進んでいく。

 一方、雷華。
 【黒服召喚】を使用すると、彼女をこっそりと見守っていた黒服護衛達が瞬時に雷華の元へと集まってくる。
 一体何処に潜んでいたのだろうか、恐らく聞いてはいけないのだろうと思われる。

 『漆黒の闇を纏いし僕どもよ、オレの足場になれっ!!』

 雷華の命令と共に自ら次々に川に突撃していく黒服達。お嬢の命令に細かい指示など不要とばかりに一定間隔で配置され、ものの数秒足らずで見事に足場が完成した。
 川から顔を出す黒服達で作られた道は、中々にシュールな絵面であった……と後に誰かが語ったらしい。
 早速、足場(黒服)へと踏み出す雷華。
 脚力を駆使しながら1人目が沈む前に、次の足場(黒服)に向かってジャンプ、また次へと繰り返していく。

 「お嬢の肉球っ!!」
 「ありがとございますっ!!」

 1人顔をたびに、感謝や喜びの声が川から上がる。
 彼女の地元では、路上にも関わらず『踏んでください!!』とお金を差し出しながら全裸で土下座するおじさん達が出るほど人気の肉球である。
 黒服達にとっては顔で肉球を受け止めるのは何よりのご褒美であるのだ。

 時折飛び出す川の生物たちも物ともせず、ひらりと躱して進む雷華。
 しゃらりと音を鳴らしながら、慎重に錠の足場をゆっくりと渡る閉。
 各々、川を無事に渡り切り、ほっと安堵の溜め息を吐いたのだった。
 【蒐集院・閉:2000/2000】 【七鞘・雷華:2000/2000】

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

十握・イスルギ
【加賀宮神社】
受け取った豆の重みをしっかり感じ
村人たちが丹精込めて育てたものだ
なるべく多く運んでやりたい

拙者はユノと先導する役目を担う
はは、心配するな巫女長(きらら)殿
この図体は難を越えるため
これもまた修行の内よ

ユノの力で現れた分身をしげしげ検分
ふむ…よく出来ている
頼んだぞと豆を渡すが
何だか妙な心地だな

よし行くか!
気合いを入れ堂々と橋を進む
ある程度の罠なら見切れよう
差異を見比べなるべく回避
出来そうなものは解除を試みる
娘からの助言も有難い

アイツも守ってくれてることだしな
妻の形見…破魔の加護がついた組紐を見て
何より娘たちを守らねば

万一罠にかかっても
オレだけの被害で済むように
その一点を念頭に行動する


加賀宮・きらら
【加賀宮神社】
邪気を払う豆はとても神聖なものです
人々が思いを込めて作ったのなら尚更美しく見えますね
私も……が、頑張らなくてはいけません

お二人に危険な役目を負わせてしまう代わりに
私は預かった豆を死守いたします!
決意を込めぴんと耳を立て

守護者様がお二人に…とても頼もしい光景ですね
ユノの力はいつ見ても素晴らしいわ
この作戦を考えたのもユノだもの
美しく賢い幼馴染みが居てくれるなんて光栄ね
自分まで得意気にふふんと胸張り

橋も半ばを過ぎ
あと少しだけれど段々と不安も募り感覚も鋭敏に
皆が居ればきっと大丈夫だと思うけれど
何かあったら私の[第六感]が働くはず
その時はすぐ、知らせなくては
私だって、皆の役に立ちたいのです


ユノ・フィリーゼ
【加賀宮神社】
節分…もうそんな季節なんだね

この豆達は村の人達にとって欠かせないもの
思いが詰まった豆達を、
一つでも多く橋の先で待つ彼等へ届けられる様に
私もお手伝い、頑張るよ

この橋が一番の近道なら迷う事ないよね
夢幻の指先でイスルギに触れて彼の分身を呼ぶ
…罠は私達が先にどうにかするから、
きららと分身の貴方は豆運びよろしくね?
私達のあとを辿ってくれれば、少しでも多く運べる筈
豆を彼女達へと託し橋へと先行する

注意深く足下や周りを確認し、一歩ずつ着実に歩む
色や質感が違ったり目で分かる罠ならいいんだけど
第六感が働いてくれる事を祈りつつ、
罠を踏んでしまった時は、
ジャンプや見切りで咄嗟に躱せないか考えておこう…


海月・びいどろ
SPD

お豆…この世界の風習、というやつだね
伝統に触れるのは良いことだけれど
…はしっこ、渡らない方が良いのかな

たくさんの海月の機械兵士を喚び出して、罠のあるところの情報収集してみよう
ボクがお豆を持って、海月たちに先行してもらうよ
少し離れて見守っていれば、危なくない?

罠が発動したら、攻撃して力技の解除になるけれど
安全を確保しながら進むのが、良いよね
後からここ、渡るかもしれないもの
もし、この橋が通れないほど危ないなら
次に繋げられるように、色々と確認しておこう

他の猟兵たちにも、罠のありそうな場所の特徴や
罠そのものの情報共有するね



 【加賀宮神社】の面々は豆を守りながら橋を渡り切るべく、作戦を練っていた。仲間同士だからこそできる連携である。

「この橋が一番の近道なら、迷う事ないよね」

 早速ユノ・フィリーゼ(碧霄・f01409)が【夢幻の指先】を発動させて十握・イスルギ(欠けた剣・f10042)に触れると、彼の分身を生み出した。
 一方は生身ではないといえ、橋の上に大柄な男が2名並ぶと圧巻である。

「守護者様がお二人に…とても頼もしい光景ですね。やっぱり、ユノの力はいつ見ても素晴らしいわ」

 その様子を眺めてると、ふふんと加賀宮・きらら(雲上の蹄音は美しく・f09813)は胸を張る。
 ユノは美しく賢い、自慢の幼馴染。今回の作戦を提案したのも彼女なのだ、思わず自分まで得意げになってしまうというもの。
 己の分身を目にしたイスルギ本人はといえば、分身体を興味深げにしげしげと眺める。

「ふむ……よく出来ている。……では、頼んだぞ」

 イスルギ(本人)が豆の入った袋を取り出した。――この中には、村人たちが丹精込めて育てた想いが詰まっている。
 その重みをしっかりと感じながら袋を手渡すと、任されよと言うようにイスルギ(分身)はそれを受け取るが……。
 ……なんだか妙な心地である。精巧であるが故か、己にモノを直接託すという不思議な現象故か。表現し難いこの感覚。
 さておき、イスルギ(分身)とユノもしっかり豆を手にしているのを確認すると、イスルギ(本人)は頷いて再度作戦の確認を行う。

「拙者はユノと先導する役目を担う」
「…罠は私達が先にどうにかするから、」

 ユノとイスルギ(本人)が橋を先導し、きららとイスルギ(分身)が豆を運ぶという作戦だ。

「はい、私は預かった豆を死守いたします!」

 ぴん、と立った耳がきららの決意を露わにするが、同時に彼らを心配する空気も纏わせていた。
 二人を危険な目に合わせてしまう、そんな想いが伝わったのだろう。イスルギはきららを安心させるように声を掛ける。

「心配するな巫女長殿、この図体は難を越えるため。これもまた修行の内よ」
「私達のあとを辿ってくれれば、少しでも多く運べる筈だから」

 私もお手伝い頑張るよ、とユノも親友へ笑いかけ。
 暖かな心遣いに、きららも笑って返してみせた。
 ひとつでも多く。きっと橋の向こうの先で、豆の到着を待っているひとたちに、届けられる様に。

「よし行くか!」

 イスルギの掛け声と共に、3人は橋を渡りだす。
 一緒なら、きっと大丈夫。

 伝統に触れる事はきっと、とても良い事だ。
 この世界に続く風習に想いを馳せて、海月・びいどろ(ほしづくよ・f11200)は呟いた。

「はしっこ……渡らない方が良いのかな」

 しかしながら、罠の対応をしながら進めば端っこを通らぬわけにもいかないかもしれない……。
 びいどろは【エレクトロレギオン】を起動させると、海月の姿をした機械兵士たちを呼び出した。
 罠のあるところの情報収集してみよう、と。
 罠の位置を発見することが出来れば、危険度の把握や猟兵達への情報共有も可能になる。
 びいどろが豆の入った袋を抱きなおし橋の中央へ踏み出せば、それに合わせて海月たちが道を先導するように動き出す。
 ふわふわきらきら揺れながら海月たちが動き回ると、橋の中は何処か幻想的な空間へと変化する。

 海月の1体が何かを察知したのか、屋根を軽く突いている。

「そこに、なにかあるの……?、……っ!!」

 少し離れて見守っていたびいどろが、警戒しながら少しだけ近づくと、突如として上から盥が振ってくる!
 咄嗟に海月兵士が飛び出すと、弾き飛ばされた盥はそのまま吹き飛ばされて川の中へと落ちていく……。

「……たらい、こんなものもあるんだね。」

 遠目に流れていく盥を見送ると、今度は少し先で床の様子を探っている海月達の姿も見える。
 床に穴が開いたり、上から振ってきたり、欄干が動いたり……と、罠自体はあまり危険度は高くないものの、それなりに数は多くありそうだ。
 ひとつ見つける度に、びいどろは罠の場所と特徴をインプットしていく。
 途中、すれ違うイルスギ達へと把握している罠の場所や怪しい箇所を伝え情報を共有すると、少しほっとしたように口元を緩めて。
 びいどろは一歩一歩ゆっくりと、海月達に導かれながら、橋の出口へ向かうのだった。

 橋も半ばを過ぎて、きららは僅かに身を固くしていた。
 不安が募り、感覚も鋭敏になっているのだ。
 前を行くイスルギとユノは、勢いは落とさずに、しかし一歩ずつ着実に進んでいる。

「――!!っと…!」

 踏み込んだ床が僅かに沈み、床板が弾かれて跳んでくるのを躱しながら、
 破魔の加護――妻の形見である――組紐を見て、娘たちを守らねばとイスルギはユノときららの姿を視界に入れると、
 その時、耳をぴんと立てて、きららが何かを感じ取った。

「……あ、その辺り。何かあるかもしれません!」

 ユノが声と同時に横から突き出してきた板を見切って飛び退る。
 無事避けきった事に、安堵の息と吐きながら3人揃って苦笑が漏れる。

「いったい何処にこんな仕掛けが隠れてるんだろうね」
「……全くだ」

 ユノの言葉にイスルギが同意しつつ、気付けば橋も終わりへと到達していた。
 きららは胸に抱いた豆の袋を確認し、減っていない事にほっと胸を撫で下ろす。
 途中、罠の情報を得る事も出来たおかげで、警戒するべき範囲が減ったのも幸いとなったのだろう。

 びいどろにイスルギ、ユノ、きらら。
 4人は共に無事に橋を渡り終えて、対岸へと到着したのだった。

 【海月・びいどろ:2000/2000】 【ユノ・フィリーゼ:2000/2000】
 【加賀宮・きらら:2000/2000】 【十握・イスルギ:2000/2000】



 ひとつの関門である橋を渡り終えた猟兵達は、先へと進む。
 誰ひとりとして豆を1粒も落とさなかったのは、ある種の奇跡と言えるかもしれない。
 しかし未だ安心はできない、豆を町まで無事に送り届けるまでは。

 林の陰から、猟兵達の姿を複数の陰がじっと睨みつけていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『棍棒鬼』

POW   :    鬼の金棒
単純で重い【金棒】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    怨念疾駆
自身の肉体を【怨念の塊】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIZ   :    死武者の助太刀
【落ち武者】の霊を召喚する。これは【刀】や【弓矢】で攻撃する能力を持つ。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 川を渡り、後続へのフォローをし、協力しながら橋の向こう側へと渡り終えた猟兵達。
 奇跡的に誰一人として1粒も豆を失うことなく進むことが出来たのは、彼らの各々の努力の結果だろう。
 しかし未だ油断はできない。
 木々に挟まれた街道を注意しながら進んでいくと、唐突に林から複数の陰が飛び出してくる。

 「橋を通り抜けてもその先には鬼がいる」

 グリモア猟兵の話に聞いた通り――棍棒を持った2m程の鬼である。
 橋に罠を
 その数は7体。いつかどこかで話に聞いたことがあるような、丈夫そうな虎のパンツも履いている。大分イメージに忠実な鬼だ。
 
『ハシワタッテキター?!ア、アイツラ、マメモッテル……ニオイスル!』
『シカモ、スゴク、タクサン!!ギャー』
『マメ、キライ。フットバソウ!ソレ、ステテケー!』
『ゼッタイ、マメ、ブツケテクルナヨ!!?』

 袋にたっぷりと入った豆の気配を感じ取ると、鬼たちは一斉に騒ぎ出し棍棒を振り回す。
 橋に罠を仕掛けたのも、このオブビリオン達かもしれない。
 鬼たちを放置する訳にもいかないが、攻撃を受ければ豆を失い兼ねない。
 どう動くべきか、猟兵達は鬼を前に行動の選択をするのだ。 
十握・イスルギ
【加賀宮神社】
む。鬼のお出座しときたか
体躯は拙者より少しばかり大きいな
数も上なら連携が肝だ
娘たちの手前、気合いも入るというものよ
 
はは。巫女長殿も頼もしくなられた
さぁてユノ。思う存分、暴れてやろうぞ
 
まずは手並み拝見
すうっと息を吸い力を溜めて「説破」を放つ
恫喝・衝撃波・吹き飛ばしが技の威力を増してくれよう
これで幾らか戦力を削げれば良いが
 
不肖、十握・イスルギ!命惜しまぬ者から来い!
来ぬなら此方から参るぞ!
ユノの攻撃を妨げぬよう意識して行動
もちろん巫女長殿や豆のことも忘れんぞ
隙を見て懐へ入ること叶うなら怪力で相手を捕らえ「灰燼拳」
 
他者に危害が及びそうなら身を呈して庇おう


加賀宮・きらら
【加賀宮神社】
ひっ…
棍棒振り回す醜悪な鬼たちに思わず身を縮め
あ、あの鬼たち、随分とお喋りなのですね
美しくない…なんて美しくないのかしら…
 
橋を見事渡り切ったのですもの
ここで豆を失うわけにはいきません!
ぎゅっと袋を抱き締めて
 
口惜しいけれど…戦闘においては私は非力
ユノ、守護者様、どうかお気をつけて
他の猟兵様のお力もお借りしましょう
 
私は引き続き豆を守ります
鬼共に不意打ちされてもある程度凌げるように
オーラ防御を強く意識しながら一定の距離を保つ
お二人に危険が迫ったら綾花乱舞で援護を致します
 
醜悪な鬼共よ、せめて美しく散りなさい!


ユノ・フィリーゼ
【加賀宮神社】

揃いも揃って賑やかで仲良しな鬼達
見ていて何だか微笑ましくなるよ
…けれど、行く手を阻むというのなら
鬼は外へと退散して貰わないと、ね

暴れるのは程々にしてよね、イスルギ?
目的は豆を無事に運び届けることなんだから

さっきの罠は君達が仕掛けたのかな
中々楽しかったよ?
…お礼に私の友達の舞を魅せてあげる

盟約の歌を奏で、鋼鳥の戯れを鬼達へと嗾ける
時折手にした袋から豆を投げつける"フリ"もみせて
相手の不意や注意をひけないかも試そう
ぶつけて欲しかった…?残念、貴方達にあげられる豆は一つもないの

敵の攻撃は残像や見切りでいなし
きららへと攻撃が向かわない様に、
挑発や誘惑も利用し此方へ視線を逸らすよう努めるね



「む。鬼のお出座しときたか」
「ひっ……美しくない……なんて美しくないのかしら…」

 【加賀宮神社】の3名は足を止めると身構えた。
 棍棒を振り回す鬼たちに、加賀宮・きらら(雲上の蹄音は美しく・f09813)は身を竦めて息を詰まらせると、ふるふると首を振る。
 虎のパンツ一丁で騒々しく跳ねまわる鬼たちの姿は、当然ながら彼女のお眼鏡には到底叶うはずもなかった。
 きららを護るように十握・イスルギ(欠けた剣・f10042)とユノ・フィリーゼ(碧霄・f01409)が前に出ると、イスルギはすうっと息を深く吸い込む。
 一拍、後。

「邪法何するものぞ!わが説法にて迪を説き、道を開く!」

 ビリビリと肌に響く空気。
 『説破』――力を籠めて腹の底から放たれたその声は、衝撃波となって鬼たちを恫喝する。
 その勢いに、鬼たちが数体が吹き飛ばされてたたらを踏んだ。

『ギャーコワイ、アイツコワイ……!!』
『ヤンノカ、ヤンノカー!!』
『ボ、ボッコボコニー……シテヤンヨー?』

 イスルギの叱声を受けて、鬼たちが悲鳴を上げる。
 騒がしい事この上ない。

「あ、あの鬼たち、随分とお喋りなのですね…」
「揃いも揃って、賑やかで仲良しだよね」

 いっその事、見ていて何だか微笑ましくさえ感じるとユノは苦笑するが、イスルギの威圧にやや逃げ腰になりつつも、鬼が棍棒を叩きつける度に地面が抉れるのが見て取れる。
 攻撃の威力は充分だ。
 その様子に、きららは橋からずっと大切に抱えてきた豆の袋をぎゅっと胸に抱きなおして、耳とピンと立てるとキッと鬼たちを睨みつける。
 ここで豆を失うわけにはいかない。
 ふたりと、みんなと協力して、一切の犠牲を出さず橋を無事に渡り終えたのだ。

「私は引き続き豆を守ります」
「はは。巫女長殿も頼もしくなられた」
「うん、前は私達に任せてね」

 戦闘におけばイスルギとユノの方が攻撃は得手であるときららは自覚するが、ふたりもまた彼女を信頼している。
 3人だから解る事。3人だから、出来る事がある。
 
「さぁてユノ。思う存分、暴れてやろうぞ」
「程々にしてよね、イスルギ?目的は豆を無事に運び届けることなんだから」
「はは。もちろん、巫女長殿や豆のことも忘れんぞ」

 ――ユノ、守護者様、どうかお気をつけて。

 後方から伝わってくるきららの想いを背に受けて。
 ユノは竪琴の束を構えると、鬼たちを見据えて。
 イスルギは一瞬組紐に触れてから、数珠を握りなおすと声を張り上げる。

「不肖、十握イスルギ!命惜しまぬ者から来い!来ぬなら此方から参るぞ!」

 イスルギが先陣を切って走り出した瞬間に、戦いの幕が開けた。
 鬼によって召喚された死武者から弓が放たれると、すかさずユノの繰り出す鋼鳥の群れが鬼たちへと飛び掛かっていく。
 鋭刃の翼は飛んでくる弓を斬り伏せ、きららへ攻撃が及ぶことを許さない。

「そちらに一体行きました…!」 

 きららは一定の距離を保ちながら、鬼たちの動きをふたりへと伝え援護する。
 イスルギが牽制しているのを確認し、近づいてきたもう一体をひらりと避けると、ユノは豆の入った袋に手を入れて拳を握りしめた。
 そのまま鬼へと思い切り振りかぶる。

『……!!ギャー、マメ……!』

 豆をぶつけられることを恐れて標的の鬼が身を縮めて目を閉じるが、

『……マ、メ?』

 豆は飛んでこない。
 あっけに取られたその様子に、ユノは手をぱっと広げると不敵な笑みを浮かべた。
 そう、彼女は豆をぶつける"フリ"をしたのだ。

「ぶつけて欲しかった…?残念、貴方達にあげられる豆は一つもないの」
『コノヤ……ギャ……!』
「……油断したな!」

 その隙をつき、一気に距離を詰めたイスルギが灰燼拳を鬼へと放つ。
 一体が倒れると、その後方から更に二体が飛び出してくるのをきららは見逃さなかった。

「壱の舞―――花よ綾なせ、舞い踊れ。」

 鬼へとまっすぐに視線を向けながらきららが手を振り下ろすと、白と桃の花弁が合い混じり鬼へと舞い飛び、
 同時にユノが剣を振り下ろし、一気に敵を両断する。

「醜悪な鬼共よ、せめて美しく散りなさい!」

 きららの声が響くと当時に、三体の鬼たちは消滅を迎える。
 イスルギとユノはきららと視線を交えると、頷きあって前を見据える。
 共にいるから、出来る事があるのだ。

 【ユノ・フィリーゼ:2000/2000】【加賀宮・きらら:2000/2000】 【十握・イスルギ:2000/2000】

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

蒐集院・閉
この豆は大切な物、失う訳にはなりません。
ええ、豆を捨てろと言うのであれば、ここに置いておきましょう。
あなた達をなぎ払ってから、また拾いましょう。

重い武器は置いてきましたので…最初は黒剣一つで戦います。
痛みには慣れておりますので、【氷結牢獄】も用いまして鬼の金棒は真正面から受け止め、攻撃を受けてからカウンターで戦います。(「見切り」「激痛耐性」「怪力」「カウンター」)
金棒を上手く掴む事が出来ましたら、黒剣で腕を切り、奪い取りまして鉄塊代わりに振り回しましましょう。形は違いますが、鉄の塊には違いありません。そういった物は使い慣れてます。

失せなさい、鬼。この世にあなた達の居場所はありません。



『マメ、ステテケー!』
「……ええ、豆を捨てろと言うのであれば、ここに置いておきましょう」
『マメ、ェッ…!?』

 袋をそっと取り出すと、蒐集院・閉(最後の蒐集院・f02941)はそれを地面に静かに置いた。
 反応が想定外だったのか困惑の様子を見せる鬼たちを、閉はすっと見据えていた。
 ――川を渡る際に重量のある装備は置いてきている。
 故に今、手にある獲物は黒剣ひとつ。
 剣を携えながらも動かぬままの閉に、隙があると見たか、それとも痺れを切らしたのだろうか。二体の鬼が同時に飛び掛かる。
 刹那、

「炎熱自在。苦痛こそが地獄の本質と知りなさい。」
『……!!ギ……!』

 閉の口から言が零れると、鋭い冷気が身体を包み込む。
 襲い掛かろうと腕を伸ばした鬼の身体が動きを止めた――否、凍り付いている。
 彼女の【氷結牢獄】は触れるものを凍結させる。

『オォオ、クラエェ!!』
「遅い……!」

 続いて襲い掛かった鬼より振り下ろされた金棒を、閉は正面から受け止める。
 痛みを、感じない訳ではない。しかしこれが最善の策であると、確信していた。
 鬼の腕を離さぬように掴みかかって一太刀を浴びせれば、その手から滑り落ちた金棒を閉はすかさず奪い取る。

「失せなさい、鬼。この世にあなた達の居場所はありません。」
『ギ、アァアアー!!!』

 その華奢な身体と細腕からは想像できなかっただろう。
 閉が奪い取った金棒を悠々と振り回せば、油断した鬼達が吹き飛ばされ凍った身体は砕け散った。

「……あぁ、無事ですね。ひとつも失わずに済んで良かった。」

 けたたましく喚く鬼の声が霧散し辺りに静寂が戻ると、閉は置いていた豆袋をすっと拾い上げる。
 袋に傷が無い事を確認すると、優しく胸に抱いた。

 【蒐集院・閉:2000/2000】



 橋へと罠をしかけていた鬼達は猟兵達によって姿を消した。
 あとは残った罠を解除すれば、橋は安全に通れるようになるだろう。

 しかしまだ、町までの道は続いているのだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『悪徳商人』

POW   :    先生、お願いします!
【オブリビオンの浪人の先生】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
SPD   :    短筒での発砲
【短筒】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    か、金ならいくらでもやる!
【懐】から【黄金の最中】を放ち、【魅了】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠犬憑・転助です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 鬼達を滅して先を進む猟兵達。
 各々その手には、ずっしりと重みのある豆袋が大切そうに抱えられている。
 道中も橋でのような罠は見当たらず、警戒を怠らずとも町へと続く道は和やかな空気に包まれているように思えた。

「あ、あれ…」

 誰ともなく、口を開く。
 視線の先には町への門が見えていた。ゴールは近い。
 が、ひとりのぱっと表情が明るくなるのも束の間。
 何処に隠れていたのやら、彼らの目の前にひとりの男が立ち塞がった。

「おうおう、此処まで来た奴らはここ数か月見なかったんだがなぁ…」

 男はいかにも商人らしい身なりであるが、その手には短筒が握られている。
 
「おぉ、お前らその手に持ってんのはあれだな、豆だな…!?ちっ、たっぷりずっしり持ってんじゃねえか。」

 鬼どもは何してやがったんだ、と悪態を吐くと短筒を構える様子に猟兵達は一斉に身構える。
 どうやらこの男を退けなければ町まで辿り着くことは叶わない。
 真っ向から受けて立つか、連携して工夫をするか。
 
 町までは目と鼻の先だ。
加賀宮・きらら
【加賀宮神社】
ついにここまで来ましたね
あともう少し…ここで失敗するわけにはいきません
緊張する手をぎゅっと握り
 
引き続き私は豆を守る役目
現れた浪人に萎縮しつつ
守護者様ならきっとお一人でも大丈夫と小さく祈り
 
ユノの発言は戦略だと分かってはいるけれど…
無茶はしないでほしいのが本音
 
基本は後衛
隙を見て綾花乱舞を使用
ユノに危険が迫ったらエレメンタルファンタジアで
水属性を帯びた突風を起こす
できればこの技はあまり使いたくなかったのですが…
己の力不足が露わになって恥ずかしいから
でも、私だって、ユノの力になりたいの
全力魔法で敵をなぎ払いましょう
 
ええ、全て終わったら
美しい神社に戻っておいしいお菓子を食べましょう


十握・イスルギ
【加賀宮神社】
いよいよ佳境か
気合いを入れ直そう
 
我こそは十握・イスルギ!
貴殿を修羅の庭に招致せん!
力を溜め「羅刹旋風」と共に恫喝じみた名乗りを
 
相手が気圧され先生を呼び出せばしめたもの
ここは拙者に任されよ
用心棒殿
拙者もまた、娘らの用心棒を引き受ける身ゆえ
どちらが強いか手合わせ願いたい!
娘らが此方を気にせず動けるよう引き離す
攻撃は見切り・武器受け・カウンターでいなし
妻の真似ごとだが拙者も幾許か剣の心得がある
先程高めた戦闘力をもって散らしてやろう
 
守る意志も力も、オレの方が強かっただけのこと
 
その後は援護へ
黄金の最中、か
生憎とそのような物に興味は無くてな
どうせなら娘らと美味い最中が食べたいものだ


ユノ・フィリーゼ
【加賀宮神社】
大丈夫、みんな一緒
きららの手に触れ優しく笑い
無茶はしないでとイスルギに小さく声もかけながら
…さぁ、商人さん。反省の時間だよ

きららへ攻撃がいかないよう、
挑発的な言葉を投げ掛け敵の注意を惹き付けるよ

鬼達に頼りきりだった貴方に、私の翼が撃ち抜ける?
…ほら、よく狙って?
何処にも逃げたりしないよ
―大人しく、的になってあげるつもりもないけどね

ライオンライドを使用し、一気に間合いを詰め
速さで翻弄しながら剣戟や衝撃波で攻撃を重ねる

放たれる輝く最中には少々首を傾げつつ
喚んだ獅子の鬣をふわりと撫でながら、
同じ黄金なら、この子の方が何十倍も綺麗だよ

…うん。無事に終わったら
甘いお菓子、みんなで食べようね



 商人の前にまず立ちはだかったのは、【加賀宮神社】の3人だ。

 橋からずっと協力し合い、戦い、ついに辿り着いた。
 豆も、一粒も失うことなくこられたのも皆で頑張ってきたから――あと、もう少し。此処で失敗する訳にはいかないのだ。
 想いの強さが無意識に身体を萎縮させ、耳をピンと立てながら手をぎゅっと握りしめる加賀宮・きらら(雲上の蹄音は美しく・f09813)にユノ・フィリーゼ(碧霄・f01409)がそっと寄り添う。

「大丈夫、みんな一緒」

 親友からの優しい声色、穏やかに向けられた微笑、触れた手から温もりが伝われば、きららの強張った表情が安心したように僅かに緩む。
 娘たちの様子を見れば、十握・イスルギ(欠けた剣・f10042)も頷いてみせる。
 暖かい空気に緊張が解れて、3人は共に前を見据えた。

「……さて、いよいよ佳境か。」

 気合を入れなおすようにイスルギは剣の束を握ると、大きく頭上で振り回し始める。
 【羅刹旋風】によって、力が漲っていくのを感じて、商人に向かって声を張り上げる。

「我こそは十握・イスルギ!貴殿を修羅の庭に招致せん!」
「……っく!そ、それで脅しているつもりかっ!」

 イスルギの勢いに圧を感じてか、逃げ腰になりつつも短筒を向ける商人を見て、ユノがきららを護るように一歩前へと進み出る。
 無茶はしないで、と小さくイスルギへと呟きながら、自らも商人へ向けて目を細めると不敵な笑みを浮かべて。

「鬼達に頼りきりだった貴方に、私の翼が撃ち抜ける?」
「な、んだとぉ……!?」

 ふわりと纏った羽衣は、翼のように風に揺らめく。
 イスルギとは逆に淡々とした空気を纏い、商人へ向かってゆっくりとした動作を見せつける。

「…ほら、よく狙って?何処にも逃げたりしないよ」

 威圧するイルスギに挑発するユノ。
 どちらも戦略と解っている故に、無茶をしないかときららは豆袋を抱きながら祈っていた。
 イスルギは1人で充分に立ち回る事ができる。己の為すべきは豆を守り、ユノのフォローをすることだ。
 じり、とにらみ合う彼らを見ながら、きららも空いた手に杖を握りしめた。

「……っ!」

 痺れを切らした商人が短筒の引き金を引き発砲した音が合図となり、ユノが金の獅子を召喚する。
 放たれた弾丸が僅かに柔らかな肌を掠めるが、傷を物ともせずに獅子に跨るとユノは一気に間合いを詰める。
 続けて短筒を構える商人へきららが【綾花乱舞】を放てば花弁が視界を遮れば、素早い獅子の動きも合わせて弾が当たらず逸れていく。

「く、小癪な……!」
「大人しく的になってあげるつもりなんて、ないよ」
「ならば……!」
「……させない!!」

 数は当たらぬと察したか、ユノに向けて短筒を固定したことに気付いたきららが咄嗟に水を帯びた突風を発生させる。
 ぐっと身体に力を籠めて、集中すると杖を握った手がじわりと汗ばむ。

「できればこの技はあまり使いたくなかったのですが……」

 制御の難しいこの技は、己の未熟さが露わになってしまう。
 でも、私だって、ユノの力になりたい――。
 その想いは、紛れもなく強く、何よりも真実だ。

「どあぁー!」

 突風に浮かされた隙をついて近づいたユノが衝撃波を放てば、商人は数m程吹き飛ばされる。
 もんどりうって転がった商人は、呻きながらも起き上がるとギリ、と奥歯を噛み締める。

「くう、こうなったら……!先生、お願いします!」

 声と共に現れたのは、浪人の男のようだった。
 傘を被り表情は伺えないが、黒い着物を纏ったそれは剣を2本携えている。
 その姿に、興味深そうにイスルギが一歩前へと出た。

「ほう……ここは拙者に任されよ」
「やっちゃってください、先生……!!」
「……」

 声は出せぬのか、返事はないながらも商人に命じられるままイスルギの前へと立ちはだかる浪人の男。
 チキリと刀を構えると、イスルギも笑みを浮かべて剣を構えた。

「用心棒殿。拙者もまた、娘らの用心棒を引き受ける身ゆえ。どちらが強いか手合わせ願いたい!」
「…………」

 どちらからともなく踏み出せば、抜いた刃がぶつかり合う。
 じりじりとユノときららから距離を置くように足を運びながら、イスルギは浪人からの剣劇をいなしていく。
 愛するひとから引き継いだ、剣の心得。

「――…!!」

 負けるはずが、ない。
 振り下ろされた刀を受け流し、浪人が体勢を僅かに崩したのをイスルギは見逃さなかった。
 渾身の力で、斬り伏せらた身体は真っ二つとなり黒い粒子と共に空へと消え去る。

「なっ……!」
「なに、守る意志も力も、オレの方が強かっただけのこと」

 剣を一振りすると、浪人も消されて焦った商人は腰を抜かして地にへたり込んでいる。
 ごそごそと懐を探る様子に3人は思わず身構える。
 が、

「く、か、金ならいくらでもやる!」

 怒涛の攻撃を受け続けて真向からでは敵わないと見たか、商人は金に輝く最中を放った――。
 ひらりとイスルギはそれを回避し、落ちた最中を眺めてユノはきょとんと首を傾げる。

「ふむ、生憎とそのような物に興味は無くてな。」
「ふふ、同じ黄金なら、この子の方が何十倍も綺麗だよ」

 どうせなら娘らと美味い最中が食べたいものだ、とイスルギが娘たちを見やれば、
 きららは笑顔で、ユノはふわりと獅子の鬣を撫でながら、2人の少女は言うまでもなく頷いた。

「ええ、全て終わったら。美しい神社に戻っておいしいお菓子を食べましょう」
「うん……甘いお菓子、みんなで食べようね」

 だからきっと、無事に終わらせるのだ。何一つ、欠けることなく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

温水・千歳
【POW】
「大事なお豆だもの、お前には渡さないから」

このお豆はお百姓さん達が丹精込めて育てた物
駄目にしようと言うなら容赦はしない
お米は良い物、だけどお豆も良い物
どちらも私達エンパイアの民の魂だもの

豆袋を小脇に抱えて守りつつわるもの退治する
愛用のだんびらを引き抜き振り回し【羅刹旋風】を仕掛ける
『怪力』を誇示して威嚇、悪徳商人を『恫喝』していく
「寄らば斬る、去らないなら同じく斬る…死ぬのが嫌なら、去れ」

相手の対応関係無く
どうせ不意打ちでも仕掛けてくるだろうから警戒しておく
妙な動きをする様なら即座に叩き斬る
仲間を呼ぶなら【血桜】で商人共々斬り伏せる
「さらばだ、わるもの」

連携アドリブ歓迎
無口系鬼娘



 傍ら、駆け付けた温水・千歳(桜花・f13514)は荒波走るだんびらを振り回し、力を溜めていた。
 いよいよ追い詰められた商人は、立ち上がってじりじり詰め寄ると、千歳を上から下まで眺めながら己の懐を探る。

「ほう……お、お前も鬼か」
「だとしたら?」
「ならば此方に……つかないか!」

 言葉と同時に黄金の最中を投げつける商人。
 しかし顔色を伺う商人の魅了は威圧に弾かれ、投げつけられた最中は弾かれ霧散した。

「御免被る」

 冷ややかな視線を向けて言い捨てた娘は豆袋を小脇にしっかりと抱えて守りながら、華奢な身体に力を籠めて一歩、前へと踏み出ると地面が僅かにひび割れる。
 じりじりと距離を詰めていた商人へ、刃先をすっと突きつける。

「寄らば斬る、去らないなら同じく斬る…死ぬのが嫌なら、去れ」
「くっ……!」

 悔し気に顔を歪める商人が後ずさるのを、刀を構えて警戒する。
 例え去ろうが、逃がしはしないのだ。
 一拍、緊張の後。

「先生ぇー!!」
「……!」

 浪人を召喚すると見せかけて、商人が短筒を構える瞬間を千歳は見逃さない。
 地を蹴って間合いを詰めると間一髪、避けた銃弾が頬を掠めるが勢いを落とさずだんびらを構え直す。

「その豆を、寄越せ……!!」

 一か八かと手を伸ばしてきた商人へ、千歳は奥歯を噛み締め刀を振り払う。
 【血桜】で一閃、その胴を斬り伏せる。

「大事なお豆だもの、お前には渡さないから」
「っ……が……!おの、れ……」
「……さらばだ、わるもの」

 崩れ落ちて砂のように消え去っていく悪徳商人に、振り向くことはしなかった。
 小脇に抱えていた豆を大切そうに手に持ち直すと、穏やかに微笑む。
 百姓達が丹精込めて育てた物。
 この世界の、エンパイアの民として――米を愛する千歳にとっても、この豆は大切なものなのだ。

**

  猟兵達が互いを見渡せば、皆大切に抱えた袋をもってほっとしたように笑っていた。
 誰一人、深い傷を負う事もなく、豆も一粒も失わなかったのだ。これは奇跡ともいえるのではないか。
 そんな冗談を言い合いながら、町へのあと僅かな道のりを周囲に気を付けながら彼らは進んでいった。

 その後、町に辿り着いた猟兵達は手厚い持て成しを受け、この英雄譚は末永く語り継がれたという。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年03月04日


挿絵イラスト