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雲の海に眠りの森

#アックス&ウィザーズ #猟書家の侵攻 #猟書家 #眠りの森の魔女ターリア #クレリック #言葉の神シャルムーン

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●雲海の森にクレリック
 その日メランジェが夢から目を覚ましてみると、視界に飛び込んできたのは自室の天井ではなくやけに濃い色合いの緑の葉と隙間から射し込む日差しであった。
 身に触れるものはふかふかの寝具ではなく白い綿菓子のような白雲で、まだ夢の中にいるのかと一瞬錯覚したが顔に触れた冷ややかな空気の感覚がそうではない事を示している。
 眠りに落ちる前の状況――クレリックとしての日課である言葉の神への祈りの時間、突如足元に出現した黒い渦のようなものに引きずり込まれた場面が記憶にある最後の場面。
 それよりもこの場所だ。周囲に広がる森は暗く、まるで眠りに落ちているかのように静か。足元を覆うように広がる白雲の下には黒い雲、軽く叩いてみれば意外と固い。
 雲。吟遊詩人の語った物語でこのような雲のある地の話があった気がする。確かそれは群竜大陸の――、
 そう思考する彼女を、木々の隙間より仔竜達がじっと見つめていた。
 その視線に宿るは敵意。メランジェがそれに気づき悲鳴を上げたその時が、彼女の命運の尽きる時となってしまうのだろう。

「皆ちょっと力を貸してほしい。猟書家達が動き出した」
 グリモアベース、小柄なクーナ・セラフィン(雪華の騎士猫・f10280)は猟兵達にそう切り出した。
「私が予知できたのは群竜大陸で起こる事件となる。数多の神々の一柱、『言葉の神シャルムーン』を信仰するメランジェという名のクレリックが創世雷雲領域に放り出されたんだ。猟兵でもまだまだ危険な群竜大陸、このままでは無惨に殺されてしまうだろうから彼女を守ってほしい」
 上手く守っていれば痺れを切らした黒幕が直接始末にくるだろうから返り討ちにしてしまおうとクーナは言う。
「今回向かって貰う場所は黒雲で地面が構成された地になる。突如出現した眠りの森に覆われていて――多分黒幕の仕業だろうね。そのど真ん中にメランジェは放り出されている。それで森の中には大量の凶暴化した仔竜達がうろついていて、漂う白雲や森の木々に身を隠しつつ襲い掛かってくるみたいだね。対策しておかないと翻弄されてしまうかも」
 個々の力は猟兵にとってはそれほどではないから気を付ければ大丈夫だろうとクーナは続け。
「それで黒幕についてなんだけど……『眠りの森の魔女ターリア』という幹部猟書家の魔法使いで、棺の中から眠ったままに強力な魔法を操って攻撃してくる。森を作ったのもその能力によるもので、迷い続けていると耐え難い眠気に襲われるから注意が必要かもしれない。あとは記憶を奪う眠りに落とし込む呪いとユーベルコードを封じる眠りの茨を得意とするようだね」
 そして説明を終えたクーナがグリモアを取り出し転送の準備を始め、そして思い出したように付け加える。
「……ちなみに万一メランジェが殺された場合、シャルムーンを信仰するクレリックは命が尽きる瞬間に強力な『破邪の言葉』を発するといわれている。実際使えるのかはわからないけども、破邪の言葉が放たれた場合何かが起こる可能性は非常に高いだろう。例えば隠されていたものが出てきたりとかね」
 そうならないように救助と護衛頼んだよ、そう締めくくり、猟兵達は創世雷雲領域へと転移したのであった。


寅杜柳
 オープニングをお読み頂き有難うございます。
 その名に続くのはブレイカー!な人もいるかもしれません。

※このシナリオは猟書家幹部シナリオで二章構成です。
 群竜大陸の『創世雷雲領域』に突如出現した眠りの森、そこに突如放り出されたクレリックであるメランジェを護衛しつつ、襲い掛かるオブリビオンを退治するシナリオとなります。
 言葉の神『シャルムーン』を信仰するクレリックは命尽きるときに強力な『破邪の言葉』を放つ事ができるとされており、オブリビオンはそれを発させる事で大陸に隠された何かを見つけ出そうとしているようです。

 第一章は『戯れる仔竜』達との戦いになります。
 戦場となる森の足元を構成する雲は色の濃さによって密度が違います。
 色が濃ければその上を岩のように走れる位に固く、逆に薄ければモグラのように潜り込んだり水中のように泳いだりもできる性質となっています。
 仔竜たちはそれらの地形を利用して奇襲を仕掛けてくるので対策などがあるといいかもしれません。
 第二章は幹部猟書家『眠りの森の魔女ターリア』との戦いになります。
 こちらは冒頭に状況説明を追加致しますのでそちらをご確認下さい。
 また、下記の特別なプレイングボーナスがある為、それに基づく行動があると判定が有利になりますので狙ってみるのもいいかもしれません。

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 プレイングボーナス(全章共通)……襲われるクレリックを守る。
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 それでは、皆様のご参加をお待ちしております。
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第1章 集団戦 『戯れる仔竜』

POW   :    じゃれつく
【爪 】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    未熟なブレス
自身に【環境に適応した「属性」 】をまとい、高速移動と【その属性を纏わせた速いブレス】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    可能性の竜
「属性」と「自然現象」を合成した現象を発動する。氷の津波、炎の竜巻など。制御が難しく暴走しやすい。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

七那原・望
まだ生きてるみたいですね。よかったです。

【果実変性・ウィッシーズアリス】を発動。
ねこさん達と協力してメランジェさんを中心に【多重詠唱】【全力魔法】で【オーラ防御】【結界術】を展開。
自身とねこさんもその中に入り敵の奇襲を防ぎましょう。

この中なら安全です。わたし達を信じて、この中にいてください。

【第六感】と【野生の勘】で敵の動きを【見切り】、【カウンター】でオラトリオやセプテットによる【制圧射撃】【乱れ撃ち】を用いて飛び出してくる敵の迎撃をメインに、雲の中にいる敵も【蹂躙】していきましょう。

また、ねこさん達の【全力魔法】による幻覚の【範囲攻撃】で敵を惑わし、同士討ちをするように仕向けましょう。



 猟兵達が転移した場所は鬱蒼と茂る眠りの森のどこかであった。
 すぐ近くに救助対象であるメランジェはいないようで、それが眠りの森の魔術的な阻害によるものなのかは分からない。ただ、突然目の前に見知らぬ者が出現したら彼女も驚いてしまうだろうからそれがマイナスだけという事もないだろう。
 とりあえず近くにいる事は分かっている。猟兵達は暗い眠りの森のどこかにいるクレリックを探す為、バラバラに散開し捜索を開始する。

 真っ先にメランジェを発見したのはアネモネのオラトリオ、七那原・望(封印されし果実・f04836)だった。木々の向こうに感じるメランジェの様子は落ち着いた物、どうやら襲撃はまだ始まっていないようで、無事生きているようだ。
 その事に胸を撫で下ろしつつも、彼女の感覚は周囲に満ちる仔竜の気配を感じ取っている。すぐにでも守らねば危険だろう。
 そう判断するや否や、望はメランジェの元へとダッシュで駆け寄りながらユーベルコード起動の為の言葉を紡ぐ。
「わたしは望む……ウィッシーズアリス!」
 その言葉と共に望みの纏う衣装がライトブルーの衣装にホワイトエプロンへと変化、更に周囲に黒白茶、そしてとびきり意地悪そうな顔をした紫の猫の合計四匹が現れる。
 足元に立ち込める白雲は猫の体高よりも上、視界が悪いからか猫達は望の肩や体に飛びついて、共にメランジェの傍へと向かう。
『えっ……子供がこんな所に!? 猫かわ……じゃなくてここは危険です! 逃げて!』
 逃げて、と望に叫ぶメランジェ。自身の危機より前に他人を気にする善性にちょっとだけ驚きつつ、望は猫達と力を合わせ周囲に結界を展開する。
 召喚された猫達は只の猫ではない。強力な魔法と幻覚を操る魔法の猫なのだ。
 結界完成と同時、ガン! と何がぶつかる音が森に響く。それは雲の属性を纏い同化した仔竜で、侵入者二人を紛れもなく狙い殺意の籠った瞳で二人を睨んでいた。
『これ程の結界……もしかして、名うての冒険者なのですか?』
「……この中なら安全です。わたし達を信じて、この中にいてください」
 そして望は周囲から訪れる危機を勘で予測、結界に取りついた仔竜とは反対側に振り向けば、今にもブレスを放たんとする仔竜の姿。
 それが吐き出される前に望は合体銃を七つに分離させ周囲に浮遊、その引金を一斉に引く。
 ブレス発射の直前、仔竜を弾丸が撃ち抜き弾き飛ばし、ブレスは明後日の方向に向け吐き出される。それを一瞥すらせず七つの銃の銃口は結界に取りついた仔竜へと向く。
 その直前に仔竜は逃れようとするが飛び立った先には頑丈な木、四匹の猫による幻覚が竜の距離感と方向感覚を奪っていたのだ。
 頭から思い切りぶつかり目を回し蜃気楼の如き白雲へとぽてりと落ちた仔竜、だがまだまだ仔竜の群が森の奥から迫りくる気配をオラトリオの少女は感じ取っている。
 だがそれらに蹂躙されるのではない。此方が蹂躙、制圧するのだ。
 オラトリオの少女は七つの銃と足元のエクルベージュ色の影を周囲に展開し、メランジェ目掛け襲い来る仔竜達に備えるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エリカ・グランドール(サポート)
 サイボーグのシャーマン×電脳魔術士のエリカ・グランドールです。
 戦闘はあまり得意ではありませんが、周囲の状況を観察して違和感のある箇所を発見したり、敵の弱点を推測して隙を作り出すといった行動で皆さんをサポートしたいです。

※セリフ例
「今、何か光りました。ここに何かあるのでは……」
「あの敵の動きには規則性があるわ。うまく狙う事が出来れば……」

 冷静沈着と言う程ではありませんが、ビックリする事はあまりありません。
 あと、笑いのツボが良くわかっておらず「今の、どこがおもしろかったのでしょうか?」と、真面目に聞き返す事もあるようです。

 ユーベルコードは、エレクトロレギオンを好んで使います。


フェリス・シー(サポート)
『フェリスちゃんにお任せなの』
 ちっちゃい妖精さんです。
 普段の口調は語尾に「なの」ってつけて話す(自分の名前+ちゃん、相手の名前+ちゃん、)」

年齢相当で無邪気で難しいことは分かんない。
楽しそうな事は積極的に参加する
時には無邪気にハチャメチャ
いたづらしてみたり
バッタの群れで蝗害起こしてみたり、
溶解液入り水鉄砲撃ってみたり
軍人さん呼んで戦争してみたり

ユーベルコードはマジックザギャザリング由来のものですが、原型とどめていない物もあり元ネタを特に気にする必要はないです。



 そして結界に守られるメランジェの元に、森を抜けて何者かが飛び出してくる。
「まったくもー、この森おかしいの!」
「方向感覚が狂う……というよりも森自体が動いているようね」
 明るいピンクの髪がよく目立つフェアリーのフェリス・シー(ちっちゃなプレインズウォーカー・f00058)がぷんすか文句を言い、視覚情報を演算デバイスで処理しながらエリカ・グランドール(サイボーグのシャーマン・f02103)がそれに応える。
 元より突然出現したというこの森は複雑な上に魔力を帯びて木々も微妙に操られているようで、適当に進んでもぐるぐる同じ場所を堂々巡りさせられてしまうようだ。
 実際好奇心のままに飛び回っていたフェリスがそうであったけれども、慎重に周囲を観察しながら進んでいたエリカと合流することでようやく目的のメランジェへと辿り着いたのだ。
『ええっと、貴女達も冒険者なのでしょうか』
「そうそう! フェリスちゃんにお任せなの!」
 先の猟兵の戦う姿を見ていたメランジェが恐る恐る問えば、フェリスが元気に返す。
「……あちらから何かが来ます」
 その時、森の奥からやってくる何かをエリカは感知し二人に警告、そして身構える。
 直後森の闇の向こうから飛来したのは仔竜。小柄な体に見合った大きさの翼を目いっぱいに広げ加速、前足の鋭い爪を三人に突きたてんと咆哮をあげ突っ込んでくる。
 サイボーグであるエリカの内蔵兵器――その腕より展開された銃より弾丸がばら撒かれる。相対速度では相当なもの、それを嫌って仔竜は軌道を変え木々の合間をぐるりと旋回、そして三人の隙を伺うように木々を盾にするようにしてその隙間を飛び回っている。
「向こうからも来ましたね」
 それに対応しながらも、エリカのデバイスは更に別方向の仔竜の姿を捉えていた。
 仔竜の真下、地面を形作る雲を風が巻き上げそれらが溶け合っていく。制御が難しいからかまだ準備に時間はかかりそうだが、接近戦を仕掛けてくる仔竜を相手取っている現状では少々厳しい。
 元よりエリカはそこまで戦闘を得手としていない――だが、時間稼ぎは十分。
 ここにはもう一人猟兵がいるのだから。
「砂漠を呼ぶ蝗の群れなの」
 フェリスが周囲に展開したのは無数の蝗の群れ。植物どころか全てを食い荒らす蝗害の具現、小柄な仔竜よりもさらに小さな蝗達は飛び込んできた仔竜を迎え撃つ。
 竜のの鋭き爪で裂かれても数の暴力はそれを上回り、あっという間に霞のような蝗の群れはその仔竜を飲み込むと、さらに遠距離から風と雲の合成を試みていた仔竜へと標的を切り替える。
 その瞬間、仔竜の準備が整ったのか竜の周囲に渦巻いていた雲を取り込んだ気流が突風のように猟兵達へと襲い掛かる。
 合成された事で雷雲と化したのか、雷と乱気流を内包する突風――飲み込まれてしまえばメランジェ含む猟兵達でもずたずたにされてしまうだろう。だが蝗達はそれらを突っ切り仔竜へと群がっていく。
 多くの仲間を乱気流を凌ぐ為の壁とし、その内の一匹が雲混じりの風を突っ切って仔竜に蝗の牙を突き立てる。
 深くに突き立てられた竜が苦しげな咆哮をあげ、そして苦痛に一瞬制御を失った雲混じりの風はそのまま纏まりを失い雲だけを残し消失。
 障害が消えたならば蝗達の侵攻を止める者などありはしない。そのまま雲へ次々に飛び込み、その向こうの獲物へと一直線に向かっていく。
 そしてしばらくして。
 雲がその重みに地面近くへと落ち混じり合い視界が晴れた後には、森の樹々へと取り付く蝗の姿だけがあった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

リーヴァルディ・カーライル(サポート)
※【限定解放・血の化身】による分身体
怪力任せな振る舞いは品が無いと感じる
吸血鬼流の礼儀作法に則り冷笑を浮かべた高慢な人格

…ふふふ。次はどんな世界かしら?
あの娘の分まで楽しまないとね

はぁ…思いの外、煩わしいものね
太陽の光というのは…

陽光は闇属性攻撃のオーラで防御して、
状況に応じた吸血鬼能力を使用する

・第六感に訴えて暗示を行う魅了の呪詛
・蝙蝠や狼を操り情報収集をする眷属召喚
・残像のように存在感を消し闇に紛れる霧化

…等々。戦闘では蝙蝠化や霧化で敵の攻撃を避け、
魔力を溜めた蝙蝠を弾丸の如く乱れ撃ち、
敵の傷口を抉る遠距離攻撃主体で闘う

あら、もう終わり?意外と脆いのね?

それじゃあ終わりにしましょうか?


グレナディン・サンライズ(サポート)
『ここはこの年寄りに任せてもらおうかね?』
『こう見えても、まだまだ衰えちゃいないよ』
年齢3桁の婆。
スペースシップワールド出身の元宇宙海賊。
主な武装はフォースセイバーとブラスター。
戦闘スタイルは基本的には前衛遊撃。敵を翻弄するような戦いを好む。
グルメではない酒好き。
年齢なりの経験を積んでいるので、冷静さと余裕をなくすことはない。
口調(あたし、あんた、だね、だよ、~かい?)



 そして森の中を行く女が二人。
「厄介な森ね。太陽の光がそれほど煩わしくないのはいいのだけれど」
 その身に闇のオーラを纏うリーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)が呟く。
 故郷のダークセイヴァーにはない太陽の光は少々彼女にとっては煩わしいモノだけれども、この森の中ではそれほど厳しくは感じないのはちょっとした幸運だろうか。
「……まあ、雲の上というのは中々変わった場所、かしらね」
 柔らかいような固いような、微妙な感覚は別人格の少女にはどう感じるのだろうか。
「まったく面倒な場所じゃあないか。どうにも妙な気配もするのが気に食わないが」
 そう呟いた老婆はグレナディン・サンライズ(永遠の挑戦者・f00626)。元宇宙海賊として経験を積んできた彼女にとって、静かながらもピリピリするこの森の気配はどうにも居心地が悪いようで。
 今、彼女達は戦闘音を聞きつけその方角に向けて森を進んでいた。今も続いているからまだ無事ではあるのだろうが――
 だが、そんな彼女達の前に仔竜の群が突如出現する。もしかするとこの群れも音を聞きつけ向かっていた援軍なのかもしれない。
 仔竜の群は森への侵入者だと察するや否や、一斉に翼を広げ二人に襲い掛かる。
 けれどもその振る舞いはあくまで未熟な獣、品性以前の暴力任せの動きに冷笑を浮かべたリーヴァルディは黒い大鎌を構えユーベルコードを起動、
「……吸血鬼狩りの業を馳走してあげる」
 直後、雲を纏い突撃してきた仔竜達の動きががくんと鈍る。リーヴァルティにとっては丁度斬り易い速度となった敵共の隙間を霧のようにするりとすり抜けながら大鎌で流れるように両断。
 彼女のユーベルコードの一つ、それは彼女の奥義の刃を楽しめなければ行動速度が落とされるというもの。戦闘狂ならともかく、向かい来る刃を楽しむような少々特殊な感性は純粋な仔竜には無い。だからこそその術中に嵌ってしまい、リーヴァルティの洗練された吸血鬼狩りの斬撃は容赦なく仔竜共を屠っていく。
 そしてグレナディンの方が与しやすいと判断した竜が爪を突き立てんと飛び掛かるが、彼女は驚くほどに俊敏な動きで回避するとフォースセイバーを輝かせてすれ違いざまに斬り裂いていく。
「こう見えても、まだまだ衰えちゃいないよ」
 見かけによらず武闘派な彼女は竜の群に飛び込み、高速で飛行する竜の動きを見極め斬り裂き、或いは熱線銃を放ち撃ち落としていく。
 そんなグレナディンを援護するように、周囲の竜を斬り落としつつ、リーヴァルティが吸血鬼狩りの弾丸をばら撒いていく。
 暴走に近い程に活性化された彼女の感覚より放たれた弾丸は竜の体に食い込み、そして無数の棘を周囲に伸ばして傷口をズタズタに痛めつけていく。
「竜の割には意外と脆いのね?」
 苦痛に呻く仔竜に向けるはあざ笑うかのような吸血鬼の冷笑。それでも向かい来る竜達へ振るう大鎌は全く淀みなく、次々に両断された竜が雲へと沈んでいく。
 けれどそんな彼女の足元より、突如一匹の小竜が飛び出してくる。ユーベルコードの影響で減速する中、雲を纏い足元の雲を潜航する事で迫ってきていたのだ。
 その牙がリーヴァルティに喰らいつこうと大きく開かれた瞬間、彼女の姿が突如霧のように消失する。
 空を切る竜の牙、状況が分からずきょろきょろと周囲を見回す仔竜の真後ろには姿を霧から戻したダンピールの姿があり。
「それじゃあ終わりにしましょうか?」
 すぱん、と何も分からぬままにその身体を両断されたのであった。
 さらにグレナディンの方も竜の間を飛び回るようにして剣戟を重ね、その注意を彼女に惹きつけていた。
 一斉にかかるタイミングを計り殺意が高まってくるのを感じるグレナディンだが、それでも冷静さを失わない。
 その殺意が頂点に達し、飛び掛かってきたそのタイミング――
「下がらなきゃ怪我するよ!」
 彼女はオーラの塊を投げつけるようにして放ち、炸裂。至近距離での爆発を回避する事は出来ず、仔竜の群はその衝撃に吹き飛ばされ、木々にその全身をしたたかに打ち付け、雲の海へとその身を沈めていく。
 そして、そのように二人は森の中戦いを続け、援軍の仔竜達を減らしていくのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

祝聖嬢・ティファーナ
WIZで判定を
*アドリブ歓迎

『フェアリーランド』の壺の中から風精霊/聖霊/月霊/戦乙女を呼んで“七色こんぺいとう”を配って『エレメンタル・ピクシィーズ』で属性攻撃を『神罰の聖矢』で聖攻撃を仕掛けます!
敵の攻撃は『月世界の英霊』で空間飛翔して避けて敵のUCを『月霊覚醒』で封印/弱体化をします♪
『聖精月天飛翔』でWIZを強化して『叡智富める精霊』+『神聖天罰刺突』で苛烈な猛攻を仕掛けます!
『エレメント・セイント・ティファーナ』で更にWIZを強化して『祝聖嬢なる光輝精』で怪我を治して『シンフォニック・メディカルヒール』で状態異常を癒します☆

「“悪”は倒して平和と清浄を齎します!」と敵を指差し宣言する



 一方、クレリックのメランジェはというと。
『なんなんですか! めっちゃ群がられてませんか!?』
 四匹の猫さん達が維持している結界の内側で焦っていた。
 それもそのはずで、森のあちこちからこの場所に向かって多くの仔竜達が迫ってきていたのだ。
 猟兵達が何とか拮抗し守ってくれているものの、もしメランジェが結界から出てしまえば一瞬で八つ裂きにされてしまい、この遠い群竜大陸の地で最期を迎えてしまう事だろう。
 そんな時、森を抜けて小さな祝聖嬢・ティファーナ(フェアリーの聖者×精霊術士【聖霊術士】・f02580)が光を纏い戦場と化したメランジェ周囲の領域へと飛び込んできて、
「“悪”は倒して平和と清浄を齎します!」
 びしり、と仔竜達を指差して言い放つ。小さな体だけれどもきらきら輝くその様は仔竜達の注意を惹きつけるには十分だったようで、結界を攻撃せんとする竜達が新たなる敵を打ち倒さんと一斉に周囲の現象を操作し始める。
 するとどうだろう。風が渦巻き一つの巨大な竜巻を形成し始める。それに足場を構成する雲、雷、更には夜の闇――多くの仔竜達が一つの現象に属性を合成していき、竜巻の破壊力が恐ろしい程に高まっていく。
 これも未熟故の可能性によるものなのか。
『あんなのまともに受けたら何も残らなくないですか……?』
 青ざめるメランジェ、けれどもそんな恐るべき暴威を前にティファーナは歌い始める。
「歌唱う、我らが精霊・聖霊・月霊よ♪ 歌い、踊り……」
 そして宙を踊るようにして取り出した壺――その中のフェアリーランドから霊なる者や戦乙女を呼び出して、七色のこんぺいとうを配る。それは力を借りる為の準備、そして配り終えた彼女はそれらの力を借り飛翔する。
 同時、仔竜達の竜巻が放たれる。ティファーナへと周囲の木々を破壊しながら向かう竜巻を彼女は全速力で飛行しながら回避、そして竜の群に属性纏う魔力の矢を連射。ばらばらの属性を纏った矢は仔竜達を貫いていき、数体の仔竜を落とすことに成功する。
 けれど少々欠けた程度では制御は崩れない。残りの仔竜達が更に竜巻を強大化させ加速する。
 だがそれでもティファーナを捉えることはできない。まるで空間を跳躍しているかのような変幻自在の動きは小回りが利き辛い仔竜達の技では捉えるには厳しく、更にフェアリーの神罰の如き魔力矢が仔竜達に降り注ぐ。
 聖なる光の属性を纏いし魔力の矢は仔竜を貫くと同時、その神聖なる力をまるで神罰の如き輝きに変え竜の体に留まり痛め続ける。
 さらに此度の矢は精霊の叡智、膂力による助けによるものなのか、先程よりも精度が上がっている。既に被弾していた仔竜には悉く致命傷となり、その矢の掃射が終わった時点で空を飛んでいる仔竜は一匹も残っていなお。
 そして術者が倒れた事で、竜巻はまとまりを失い弾け、霧散する。
 後に残るは多少の冷たさ残る静かな風、そしてどこまでも深く広がる眠りの森の闇だけであった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『眠りの森の魔女ターリア』

POW   :    ようこそ眠りの森へ
戦場全体に、【「眠りの森」 】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
SPD   :    醒めざる夢の茨
【棺の中から伸びる「眠りの茨」 】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    忘却の眠り
【記憶を一時的に奪う呪詛 】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【過去の記憶】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠リミティア・スカイクラッドです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●太陽と月と眠れる魔女
『有難うございます! 助かりました!』
 一先ずの危機が去った事を確認した猟兵とメランジェは、互いに事情を説明する。
 本当にこの場所が群竜大陸である事にメランジェは驚きつつも、すぐにどう帰りましょうかと頭を抱えている辺り案外切り替えは早いのかもしれない。
『それにしても破邪の言葉……? 目的からするにどうしても私を狙われ続けるのでは……?』
『そうですよ。そう言ったのに聞いてなかったのですか?』
 猟兵達でもメランジェでもない、何者かの声が響く。
 即座に声の方向に身構える猟兵達の視線の先には、森の闇からゆっくり浮遊しこちらに向かってくる一つの棺。
 茨を棺の寝台に敷き詰め魔導書を胸に抱える女、彼女こそが眠りの森を作り出しメランジェをこの地に送り込んだ黒幕である猟書家、『眠りの森の魔女ターリア』である。
『――仔竜に任せておけば大丈夫かと思いましたが、少々甘かったようですね。今ここで私が始末を付けましょう』
 ぶわり、とターリア周囲の茨が生長して周囲に広がる。さらに足元、たなびく白き雲の下の黒雲から破壊された木々を埋め合わせるかのように新たな木々が生え、成長していく。
 ――この場所は眠りの森、この魔所の領域。
 油断すればあっという間にメランジェは始末されてしまい、魔女の本懐を達成させる事になってしまうだろう。
 そうさせないために、猟兵達はこの場で眼前の猟書家を討たんと戦いに臨む決意を固めた。
祝聖嬢・ティファーナ
WIZで判定を
*アドリブ歓迎

『フェアリーランド』の壺の中から風精霊/聖霊/月霊/戦乙女/天使をを呼んで“七色金平糖”を配って『クリスタライズ』で姿を隠し『聖精月天飛翔』でWIZを強化して『エレメンタル・ピクシィーズ』で属性攻撃を『神罰の聖矢』でし攻撃を仕掛けます!
敵の攻撃を『月世界の英霊』で空間飛翔して避けて敵のUCを『月霊覚醒』で封印/弱体化します♪
『エレメント・セイント・ティファーナ』でWIZを更に強化して『叡智富める精霊』+『神聖天罰刺突』で苛烈な猛攻を仕掛けます!
『祝聖嬢なる光輝精』で怪我人を治し『シンフォニック・メディカルヒール』で状態異常を癒します☆

「平和と安寧を守護し継続します」


氷咲・雪菜(サポート)
 人間のサイキッカー×文豪、13歳の女です。
 普段の口調は「何となく丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、
 独り言は「何となく元気ない(私、あなた、~さん、ね、よ、なの、かしら?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

氷や雪が好きな女の子で、好きな季節は冬。
性格は明るく、フレンドリーで良く人に話しかける。
困っている人は放ってはおけない。
戦闘は主にサイコキャノンを使って戦う。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



「……平和と安寧を守護し継続します」
 真っ先に動いたのはティファーナ。彼女に力を貸す精霊や戦乙女、そして天使達をフェアリーランドの壺よりこの場に呼び出そうとし――、
『それは知っています、忘れなさい』
 だがその前にターリアの言葉が響けば、ティファーナの手が止まる。
 何故この場にいるのか、何をなすべきなのか。眠りの魔女の記憶を奪う呪詛は更にフェアリーの少女を眠りへと誘う。
 ――この眠りの森はターリアの領域、先の仔竜達よりも段違いに攻撃が早い。
 眠ってはならない、けれどもなぜそう強く思うのかすらも忘却の眠りに落とされようとしたその時、氷の弾丸がターリアに向けて放たれる。
 氷咲・雪菜(晴天の吹雪・f23461)の片腕に装着した増幅器より放たれたその一撃は、急に成長してきた眠りの森の絡み合う茨の壁により防がれてしまう。
 この森はターリアの領域、魔女の生み出した眠りの森の迷路。
 彼女自身の高い魔力との親和性もあってこのような芸当も可能だという事なのだろうか――そう考える雪菜、そして猟兵達の間にに森の木々がより分厚く、迷路の壁を形成するようにして広がっていく。
「分断狙いですか……!?」
 ターリアの視点なら猟兵達を纏めて相手にする必要はない。メランジェを始末してその最期の言葉を言わせればいいのだから。
 けれど、眠りの森の迷路の形成により呪詛の効果が一瞬途切れる、その隙にティファーナが頭を振り、彼女の力を貸してくれる存在達を呼び出し七色の金平糖を配ると即座に足元の雲の海に飛び込み身を隠しながら歌声を響かせる。
 治癒の力を込めた歌声により呪詛の忘却は振り払われてティファーナの意識も明瞭になる。
 それに対抗するようにターリアは歌声の響く方に向けて忘却の呪詛を周囲にまき散らすも、白雲に身を隠しながら飛行する小柄な彼女を捉えることはできない。
 ただ、この状態からの反撃は中々難しいだろう。此方がユーベルコードを切り替えれば向こうもそれに対応して同じ数のユーベルコードで攻撃を返してくる。
 ここぞというタイミングでの一撃、それを狙う為にフェアリーの少女は白雲に紛れ、迷路のような森の中を飛び回っていく。
 そして分断を成功したターリアの眼前には結界に護られしメランジェの姿。
『邪魔者が入りましたがこれで問題ありませんね。さあ、永遠の眠りへ』
「……魔法を五秒の間止めて下さい!」
 ターリアがその魔法で森の茨を操りメランジェを守る結界を砕こうとしたその時、雪菜の声と共に雪の結晶模様の毛糸の手袋がターリアに投げつけられ、命中。
『これは……ルール、ですか』
 雪菜のユーベルコード、手袋を投げつけルールを宣告する事でそのルールを破ったものにダメージを与えるそれに、ターリアは一瞬思案する。
 簡単に守れるルール、だからこそ破った場合のダメージは相当なものになる。
 迷宮で分断して稼げる時間と宣告された時間を勘定するターリアに、雪菜はブリザード・キャノンより連続で氷の弾丸を放ち牽制する。
 その弾丸は伸長する眠りの森の木々に防がれ、そして彼女が稼いだ時間はごくわずか。
 だがそれで十分だった。 
 妖精の歌声が一気に近づいて、森の闇の向こうから三属性の魔法の矢がターリアに向けて飛来。ターリアの周囲に伸びた眠りの森の木々を突き破り、魔女の棺に衝撃を与える。
 神聖なる精霊や聖霊、月霊の力を宿せしその矢はターリアに痛打を与えるも、それでは決定打にならなかったようで。目元を隠した無表情のままに、宣告された時間の経過を確認したターリアは再び忘却の呪詛を攻撃された方角に向け即座に返してきた。
 フェアリーの少女はそれを躱し、白雲に紛れ次の機を窺う。その間に雪菜もメランジェの傍に駆け寄りターリアへと砲を構え次の動きをけん制する。
 ――眠りの森の戦いはまだ始まったばかり。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ルディア・ディアマンテ(サポート)
助けが必要なようね。助太刀いたしますわ!

サポートでの参加なので人々の避難や救出、敵の陽動のような支援になるような事を中心にこなしますわ。
事情がわからないまま行動すると事態を悪化させる恐れがあるので、その辺りは気をつけないとね。
指示をしてくれる仲間がいれば素直に従いますわ。

支援中心とはいえ戦闘は避けられないもの
その時は武器は白銀のバルバードを使いその遠心力と、UC金色の風で強化された速度を利用し一撃離脱戦法で戦いますわ!その姿はまさに金色の風の如し!

騎士の誇りを胸に、堂々と恥じない行動を!


政木・朱鞠(サポート)
ふーん、やっと、ボスのお出ましか…。
もし、貴方が恨みを晴らすためでなく悦に入るために人達を手にかけているのなら、不安撒き散らした貴方の咎はキッチリと清算してから骸の海に帰って貰うよ。

SPDで戦闘
代償のリスクは有るけど『降魔化身法』を使用してちょっと強化状態で攻撃を受けて、自分の一手の足掛かりにしようかな。
ボス側の弐の太刀までの隙が生まれればラッキーだけど…それに頼らずにこちらも全力で削り切るつもりで相対する覚悟で行かないとね。
得物は拷問具『荊野鎖』をチョイスして【鎧砕き】や【鎧無視攻撃】の技能を使いつつ【傷口をえぐる】【生命力吸収】の合わせで間を置かないダメージを与えたいね。

アドリブ連帯歓迎



 眠りの森の木々、音もなく静かに揺れる葉の合間から覗き見るのは政木・朱鞠(狐龍の姫忍・f00521)。
(「ふーん……ボスのお出ましか」)
 忍者としての技能で気配を消し眠りの森を抜けてここまで来た彼女は棺の魔女の状況を窺っていた。
 恨みを晴らす為でなく、ただ自身の目的の為に他者を害する魔女の所業。それを果たさせる訳にはいかない。
 フェアリーの少女と冬めいた姿の少女、二人が一度離れた。ここで仕掛けるか、と瞬時に思考した朱鞠。
「助けが必要なようね。助太刀いたしますわ!」
 二人と入れ替わるように女騎士が飛び出してきた。ルディア・ディアマンテ(金色の風・f18851)という名のオラトリオの姿は既に鎧姿の正に戦乙女。
 魔女と相対するのは猟兵、そして彼女らと結界に護られた一般のクレリックの姿。いつも慎重に状況を見極めるルディアだけれども、これだけ揃えば為すべき事は分かる。
 つまり、騎士として堂々と、クレリックを守る。
「参ります!」
 白き翼を広げ一気に加速。白銀のハルバードを薙ぎ払うようにして魔女に叩きつけるが、茨の群に遮られ魔女へと届く寸前でその勢いを殺されてしまう。
「――眠りなさい」
 呟くと同時に忘却の呪詛がルディアに向けて放たれる。しかしその身に纏うオラトリオの魔力により編まれた防具はその呪詛に抵抗、その隙にルディアは白き翼を羽ばたかせ後方へと一気に加速し距離を取る。
 羽ばたきにより地に留まっていた雲が巻き上げられ、魔女の周囲を白く染め上げた。
 ――少々予定外だがここで仕掛ける、そう決めた朱鞠は降魔化身法を起動する。
 その身に鬼や悪霊を宿す事により強化される代償の出血の味が口の中に広がるが無視。鎖を構え魔女の真上に飛び降りる。
 攻撃の起こりの気配に感づいたか、眠りの魔女の棺が傾き朱鞠を見上げるように向きを変えると棺から茨が伸びる。眠りの森の魔女の魔力を宿したそれは彼女の獲物である荊野鎖と形は似ているけれど、もたらすものは苦痛と鮮血ではなく猟兵を縛り力を封じる深き眠り。
 飛び降りてきた彼女を捕えんとする茨の群を、朱鞠はその身に宿した鬼共により強化された膂力で振るった拷問鎖で弾き飛ばしつつターリアへと迫る。
 次から次に棺から伸びる茨はますます密度を増してターリアの前面を覆う盾のように成長する。
 けれどその一瞬、棺に強烈な衝撃が走る。
 注意が上方向に逸れた隙を見逃さず、ルディアが一息に距離を詰めて再びそのハルバードを薙ぎ払ったのだ。
 魔力で棺ごと浮遊している魔女は吹き飛ばされぬよう堪え、棺を魔力で補強するもほんの僅か、眠りの茨の壁に綻びが生じる。
 ――ここだ。
 茨の間隙を見切った朱鞠が荊野鎖をその一点に向け振るう。
 全霊を込めた鋭い突きの如き鎖の一撃は茨の守りをすり抜けて眠りの魔女の肌に絡みつき、その蔓薔薇のようなスパイクで引き裂いて生命力を奪い取り出血による消耗を回復する。
 魔女の表情が僅かに歪むがすぐに茨に覆われ朱鞠からは見えなくなる。
 着地した朱鞠、そしてルディアは即座に互いに反対方向へと跳躍。二人に反撃を加えんと眠りの茨が伸びるも、木々を利用し翻弄する朱鞠を捕えるには難しく、金色の疾風の如きルディアを捕えるには速度も足りない。
 翻弄されるも棺の魔女の落ち着いた様子に変わりはない。体力尽きるまでの持久戦、そうなるならこの眠りの森という場を支配する魔女に有利。
 持久戦に勝つか隙をついてクレリックを始末すればそれで終わりなのだから焦る必要もないのだ。
 ――しかし、ターリアの邪悪な目論見は叶うことはない。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

七那原・望
メランジェさん、結界の中へ。決してここから出ないでください。

【マジックオーケストラ】を発動し、大量のねこさんと影の猟兵を呼びます。
ねこさん達にはわたし、メランジェさん、そしてねこさん達自身を護る【多重詠唱】【全力魔法】【呪詛耐性】【浄化】【オーラ防御】【結界術】を全員で展開してもらいます。

よっぽど天上界にご執心みたいですね。
ブラキエルでしたっけ?天使と天上界、確かに深い関係はありそうですけどね。

攻撃は多種多様な武器や防具を有する影の猟兵達に任せましょう。
【集団戦術】による数の暴力で【蹂躙】すれば対処は容易ではないはず。
余裕があればねこさん達に【属性魔法】で支援や【援護射撃】もお願いしましょう。


琥珀川・れに(サポート)
※人が多いなら流すも自由さ

「貴族たるもの余裕を忘れてはいけないな」
「やあ、なんて美しい人だ」

ダンピール貴族
いかにも王子様っぽければねつ造歓迎さ
紳士的ジョークやいたずらも好きかな

敵も味方も性別か見た目が女性ならとりあえず一言は口説きたいね
ナンパではなくあくまで紳士的にだよ?

実は男装女子で
隠しはしないが男風源氏名レニーで通している
その方がかっこいいからね

戦闘スタイルは
・剣で紳士らしくスマートに
・自らの血を操作した術技
が多い
クレバーで余裕を持った戦いができれば嬉しいよ
早めに引くのも厭わない

説得系は
キラキライケメンオーラやコミュ力で
相手を照れさせてみせよう


キャロル・キャロライン
なるほど、あなた達猟書家は、冥界から現界へと染み出してくるだけでは飽き足らず、天上界にまで至ることを目指しているのですね。

――まったくオブリビオンとは、つくづく世の理を壊すことが好きな輩のようだ。
汝らのような痴れ者共には、相応の罰を与えねばなるまいな。
神鳴る力、その身に受けるが良い。

メランジェを庇うように立ち、UCにより[焼却]の力を持った幾本ものアリスランスを召喚。
敵が作り出す眠りの森やこちらに伸ばしてくる茨の群れ、そして棺に対して放ち、それらを焼き尽くそう。
続いて敵に接近し、アリスソードをもってその身を貫こうぞ。

一度冥界を抜けた汝らに還るところは最早存在せぬ。
ここで塩の柱となるが良い。



 眠りの森に鈴の音が響く。
 展開される眠りの森の迷路に分断される事無くメランジェの傍にいる望が振るう白いタクトは、彼女に力を貸す存在に呼びかけるようにその鈴の音を響かせる。
「さぁ、開演なのですよ!」
 澄み渡る音色、そして望の声に招かれ馳せ参じたのは無数の白猫と黒き人型の影の軍勢。
 強大な魔力有する白猫たちは望のタクトに合わせ一斉に白猫たち、そしてメランジェと望を覆うように結界を構築する。
 それと同時、森の闇から巨大な棺が向かってくることを望の感覚は捉えて。
「メランジェさん、決してここから出ないでください」
「は、はい!」
 望の言葉にメランジェは白猫へと伸ばしかけていた手を引っ込め、向かってきたターリアへと視線を向ける。
『まったく、余計な手間を取らせてほしくないのですが』
「よっぽど天上界にご執心みたいですね」
『ええ、それが目的ですから』
「――なるほど、あなた達猟書家は、冥界から現界へと染み出してくるだけでは飽き足らず、天上界にまで至ることを目指しているのですね」
 共に視界を覆った望とターリアの会話に、クレリックのものでもない新たな声が加わる。
 森を抜け、メランジェと望を包む結界と魔女の間に颯爽と現れたのは二人。
 その片方、美しき白銀を纏う女はキャロル・キャロライン(流浪の騎士・f27877)。
「ブラキエルでしたっけ? 天使と天上界、確かに深い関係はありそうですけどね」
「――まったくオブリビオンとは、つくづく世の理を壊すことが好きな輩のようだ」
 冥界――骸の海より世界へと染み出し、更には神々のおわすとされる天上界へと至る事を目指す猟書家。それを前にしたキャロルの口調は清楚なる女性のものから厳格なる裁定者のものへと変化する。
「汝らのような痴れ者共には、相応の罰を与えねばなるまいな」
 そして一気に空気が殺気立ち――だが、もう一人。キラキラ輝かんばかりの美貌の王子様がすいと前へと出てターリアに言葉をかける。
「やあやあ、なんて美しい人――その覆いを取って麗しき瞳を見せてくれると嬉しいのですが」
「そうですか。見せることはありませんので私ごと忘れるか死んでください」
 出会い頭、いきなり口説き始めた彼――ではなく彼女、琥珀川・れに(男装の麗少女 レニー・f00693)に、猟書家は何の感情も込められていない拒絶の言葉で返す。
「なんとつれない……っと」
 眠りの森が勢力を増す。それは魔女の拒絶の意志を具現化したように勢いよく育つ。
 脈なし、いやもしもあったとしても打倒さねばならない敵なのだけれど、それでも口説くのは王子様としてのルールのようなもの。
 生長する森の中、白銀のアリスランスの群が整然とキャロルの前に召喚される。焼却の力を宿せし突撃槍はその力を解き放つ時を今か今かと待ちわびるかのように存在感を主張していて。
「神鳴る力、その身に受けるが良い」
 眠りの森が成長し、迷宮の壁を形成するがキャロルの焼却の槍は成長する端から焼き尽くしていく。
 同じようにルーン宿す細身剣で木々を掃っていたれに、だが彼女の視界がぐらりと揺れる。
 急に襲い掛かってきた耐え難い眠気――この眠りの森の影響なのだろうか。
 忘却と眠り、それはこの猟書家の操る能力。長時間居ればその影響がより強く現れてしまうだろう。
 それでもれには貴族らしくその余裕を崩さない。
 瞳が真紅に染まる。ダンピールたるその身に流れる混血を操りヴァンパイアへと変身するユーベルコードを起動すれば、眠気も随分とマシになる。
 無数の茨や木々により構成された迷路の壁、破壊しながら進むのは厳しいと判断したれには、迷路突破へと方針を切り替え白雲の下の黒雲の地を蹴り駆け出した。

 メランジェの周囲の結界に茨が巻き付き縛らんとする。けれどもそれは望の召喚した黒き人型――影の猟兵の黒き刃は茨を切り払う。
 さらに他の影の猟兵はターリアへと攻撃を仕掛け、無数に放たれる弓や弾丸はターリアの呪詛の術式展開を妨害、更に横薙ぎに茨の壁に叩き付けられた大戦斧が壁を両断し、その向こうのターリアの姿を露にする。
 苦し紛れにターリアが不完全なままにメランジェに呪詛を放つも、呪詛への強力な抵抗力を持ち浄化する白猫の結界を貫く事は叶わない。
 さらにキャロルが突撃、それを支援するように影の猟兵が迷路を構築せんとする木々を破壊、切断し血路を斬り開けば、白猫の放つ魔力の蔓が足元の白雲より伸びターリアの棺を絡め取り動きを封ずる。
 即座に猟書家は忘却の呪詛を周囲にばら撒かんと術式を切り替えるが、そこに一瞬の隙が生じる。
 まるで計ったかのようなタイミングで迷路を突破してきたれにが棺の至近へと飛び込んで、破魔の属性宿す細身剣の一撃を加えれば構築されかけていた呪詛は敢え無く霧散。
 そして影の猟兵の群れに紛れ飛び込んできたキャロルの白銀の剣が真っすぐターリアの胸を貫く。
「……一度冥界を抜けた汝らに還るところは最早存在せぬ」
 一瞬、キャロルの姿に守護精霊たる白銀の鯱が重なり消えて。
「ここで塩の柱となるが良い」
 神罰の如き一閃は猟書家を断ち切った。

 ターリアの消滅とほぼ同時、眠りの森がその活動を止め見る見るうちに枯れ果てていく。
 この領域を生み出していた術者が消失したからなのだろうか、後には黒雲の地と薄ら広がる白雲の海。
 一気に拓けた視界に驚くメランジェに、変身を解除したれにが恭しく礼をし、
「さて、そこの清楚なお嬢さん。帰る前に少しばかりお茶でも――」
「あ、ごめんなさい。私あまりそういうのは得意ではなくて」
 短時間に二連敗、けれどれにはあくまで王子様らしく紳士的な振る舞いは崩さない。
 ここから帰るには少々手間はかかるだろうけれども、彼女を狙う猟書家は退けた。
 邪悪なる眠りの森は姿を消し、後には雲海広がる領域が広がるのみ。
 そして猟兵達とメランジェは帰路へと着いたのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2020年12月09日
宿敵 『眠りの森の魔女ターリア』 を撃破!


挿絵イラスト