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They shall not pass!

#アポカリプスヘル #ゾンビ #『墓守』

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#アポカリプスヘル
#ゾンビ
#『墓守』


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 無数の銃火器が閃光を放ち、戦車ガトリングが咆哮を上げる。
 それは入口に殺到するゾンビの群れに向けて、ではない。
 突如『背後から』現れてバリケードに突進した、たった1体の巨人に向けてだ。
「あいつを引き剥がせ! 正面ゲートがもたないぞ!」
 飛び交う通信音。斉射される弾丸の雨。だがそんなものは意に介さず、巨人は我武者羅な特攻を続ける。
 右手のチェーンソーが唸りを上げ、左手のキャノンから深紅の光が迸る度にバリケードは軋みを上げる。
 やがて、みしぃ、という不気味な音と共に――決壊。
 伸ばされた無数の腕が、瞬く間に守備隊を呑み込んだ。


「アポカリプスヘルのとある拠点(ベース)に、どなたか向かって頂けないでしょうか」
 そうグリモアベースで猟兵達に声をかけたのは、クララ・リンドヴァル(白魔女・f17817)だ。
「その拠点は、かつては大型ショッピングモールでした」
 元々ゾンビが発生し易い地域である事に加え、それらを入口で防ぎ止めるのに向いた、縦長で堅牢な構造を持っている。そのため、近くの小拠点が移り住んでいったという創設の経緯を持つ。
 周辺の奪還者達の間でも、格好の取引場所や宿泊の拠点として認知される事となった。
「その結果、近くで大規模なオブリビオン・ストームが観測されれば、すぐさま40名前後の奪還者が籠城に当たれる、一大拠点に成長を遂げました」
 十分に備蓄された食糧と弾薬、そして唯一の出入り口である北エントランスを塞ぐ素早いバリケードの敷設は、幾度となくゾンビ達の襲撃を追い返して来た。
 今回の籠城も、今の所は守備隊のペースで進んでいる。だが。
「昔は……南口にもエントランスがありまして。防衛に邪魔という事で、資材で塞いだらしいのですが」
 その劣化した資材を『ゾンビジャイアント』が力ずくで破壊。単独でモール内に侵入したらしい。
「侵入後はモール内を移動して、まっすぐ北へ。築かれたバリケードを内側から破壊しにかかるでしょう」
 破壊されたバリケードからゾンビの群れが雪崩れこめば、守備隊は全滅も同然だ。
 すなわち、このゾンビジャイアントの排除こそが、第一の急務となる。

「その後は拠点外のゾンビ達を掃討します」
 いつもならば奪還者だけで追い返せるのだが、今回は規模が違う。
 加えて、通常はモールをくまなく取り巻く彼等は、今回は北口周辺に密集している。
 時間をかけ過ぎると重圧でバリケードを崩されてしまうのだ。
 即座に突破されるという訳ではないが、ゾンビ達を半壊以上に追い込まない限り、危うい状況は続くだろう。
「バリケードに頭の高さを狙い撃ちできる隙間があるのと……敵の動きを俯瞰出来る屋上。後は、外へと繋がる地下通路がありますね」
 また、拠点内には奪還者達も居る。上手く指揮すれば支援を得られるだろう。

「情報によると……ゾンビジャイアントは、無尽蔵の食欲に突き動かされて活動するオブリビオンです」
 だが予知によると、奪還者達を無視して、バリケードの破壊に集中していたという。
 つまり、そうした命令を下した司令塔が存在する可能性が高いという事だ。

「準備が出来次第、拠点内に直接テレポートします。一つの大型拠点の防衛と、数十名の奪還者達の生存……それはアポカリプスヘルの人類の文明再建に寄与する、確かな力となるでしょう」
 どうかお気をつけて。最後にそう言ってクララは頭を下げるのだった。


白妙
 白妙と申します。
 今回の舞台はアポカリプスヘル。オブリビオンに包囲された拠点(ベース)を守り切るのが目的です。

●第1章【ボス戦】
 旧南口から拠点内に侵入した『ゾンビジャイアント』と交戦します。
 戦場はショッピングモールの直線通路。
 等間隔に柱が立ち並ぶ、幅の広い平坦な場所です。

●第2章【集団戦】
 北口でせき止められているゾンビ達を拠点内外から掃討します。
 地下通路他、ショッピングモールにありそうな構造は大体存在します。
 また、猟兵程ではないものの、拠点にも奪還者がいます。
 上手く指示を出せば援護を受けられるかも知れません。
 拠点内戦力は様々な火器を備えたサバイバルガンナーと戦車乗りが3:1。
 ソーシャルディーヴァの超小型端末により、通信に不自由はありません。

●第3章【ボス戦】
 拠点外にいた司令塔を仕留めます。
 奪還者達は強敵である事を悟り、拠点内に退避するでしょう。

 全章、プレイング受付開始は断章投下後となります。宜しくお願いします。
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第1章 ボス戦 『ゾンビジャイアント』

POW   :    ライトアーム・チェーンソー
【右腕から生えたチェーンソー】が命中した対象を切断する。
SPD   :    ジャイアントファング
【無数の牙が生えた口による捕食攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ   :    レフトアーム・キャノン
【左腕の砲口】を向けた対象に、【生体レーザー】でダメージを与える。命中率が高い。

イラスト:タヌギモ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 がすっ、がすっ、がすっ。
 のろい歩調と長い歩幅で塗装の剥がれた床を踏み締め、白い巨体が歩む。
 オブリビオン『ゾンビジャイアント』。
 異常進化により醜く膨れ上がった皮膚。
 にちゃりと唾を滴らせる横に割けた口。
 侵入の際に外壁を容易く破壊した武器は、両腕の肉から直接生えている。
 体のどのパーツを取って見ても、その姿は、おぞましいとしか言いようがない。

 がすっ、がすっ、がすっ。
 暗い無人のモール内を一直線に。
 遥か前方からは銃声が響いて来るが、近づいて来る音は一つもない。
 それは、今この新たな侵入者に当たるだけの余裕を、誰一人持ち合わせないことを示していた。

 がすっ、がすっ、がすっ。
 結果生まれた真空地帯。
 この醜い巨人はその中を、抵抗らしい抵抗も受けずに歩み続けているのだった。

 がすっ。
 ふと立ち止まる。
 緩慢な動作で振り返った先には――猟兵。
オニキス・リーゼンガング
(口調『やんわり丁寧』)
心情)大きく不格好。脳も能もなく、しかして強力。
ザ・ヘビークラスといったところでしょうか。
よろしい。来なさいウスノロ。
わたくしが相手して差し上げます。伏して感謝なさい。
行動)
わたくしはこのとおり盲目ですが、
敵のオーラを読み、自分のオーラを走らせれば、地形も敵の位置もわかります。
しかし、わたくしを前にずいぶんと頭の高い。
《枝(*手の杖)》を地に叩きつけて足場を(地形)破壊。
よろめいたところを近づき、ゾウみたいな足を殴って破壊。
腹を見せて転がりなさい。
転がったならチェーンソーを《氷晶》で固めて隙をつくり、
腕や牙を《凍気》で凍らせ、《枝》やこぶしで殴り潰して破壊します。



 拠点内を進むゾンビジャイアント。
 だが不意に肌を撫でた冷気に、歩みを止めて振り返る。
 その先には――神韻とした雰囲気を纏う、オニキス・リーゼンガング(月虹に焦がれ・f28022)の姿があった。
「……」
 高いオーラへの感応力を持つオニキスに立ち回りの不自由はない。
 盲目ではあるが、否、だからこそ、彼は目の前の存在の異質さを、肌で感じ取る。
「(大きく不格好。脳も能もなく、しかして強力)」
 眼前に膨れ上がる気配は紛れも無い巨躯の証。そこから発散されるのは知性の煌きなどではなく、荒々しく衝動的な殺意のオーラだ。
 高い膂力とタフネスに物を言わせる難敵である事は明らか。しかし。
「よろしい。来なさいウスノロ」
 あくまでも物腰柔らかにオニキスは呼びかける。
「わたくしが相手して差し上げます」
 言い終えた直後、ゾンビジャイアントが行動を開始した。
 その巨大な口に相応しい吠え声も奇声も発さず、けたたましいチェーンソーの刃が回転する音だけを響かせ、オニキスに向けて歩む。
(「しかし、わたくしを前にずいぶんと頭の高い」)
 片や神、片や死体である。元より相手に存在の格を弁えるだけの繊細さを期待してはいなかったが、こうもずかずかと踏み込んで来られては、オニキスにも思うところはある。
 それでも構わず距離を詰め続けるゾンビジャイアントは、近距離の一歩手前で立ち止まり……次の瞬間、その太い足で地面を蹴った。
 突進する巨大な肉体。右手のチェーンソーが降り上げられる。
 対するオニキスは、手に持つ武器で――地面を突いた。
 ドォン! という派手な音と共に床板が跳ねる。
 地面を穿つ一撃。巧みな地形破壊。
 バランスを崩した巨体が、ぐらり、とよろめくのと、オニキスが間合いに踏み込んだのが、ほぼ同時。
「伏して感謝なさい」
 次には、異形の足に拳が叩き込まれていた。
 体の支えを失い、象の如き巨躯が今度は横転。
 さらに畳みかけられるように襲うのは、身を切るような氷点下の凍気だ。
 評するに、ザ・ヘビークラス。
 その圧倒的な重量が弱点ともなる事を、オニキスは即座に見抜いていた。
 ゾンビジャイアントが腹を見せて不格好に地面を転がる。それを見下ろすオニキスに向けて悪あがきとばかりに右手のチェーンソーを大きく薙ごうとして――硬直した。
 刃が、回らない。
 気付けば、硬質の氷が刀身を覆っていた。
 隙を見せたゾンビジャイアントの顔面に、銀色の武器が振り下ろされる。
 直撃と共にその巨体は大きく弾み、同時に、塗れた唾ごと凍らされた牙の破片が、澄んだ音を立てて大量に地面に散らばるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ノア・クレムリィ
 異形の化け物、映画では見たことがありますが、直接対決するのは初めてですね。高脅威目標は速やかに撃破です。

 【UC:竜騎換装】(POW)を発動です。装甲を5倍、射程を半分にします。増加装甲を纏った重厚なシルエットのキャバリアで、怪物の破った箇所から侵入して対峙します。

 彼の振るうチェーンソーが当たれば、キャバリアとはいえ重大な損傷を受けるでしょう。そこで、装甲を強化し厚みを増した片腕でチェーンソーを受け止めつつ、もう片腕で〈零距離射撃〉で短機関銃の〈弾幕〉を叩き込んで速攻で無力化しましょう。

 肉を切らせて骨を断つ。海賊時代に教わったことも、中々役立つものです。

(アドリブ連携負傷等々歓迎です)



 ゾンビジャイアントの背後で、ズン、と音が響く。
 振り返った先。破壊された南口では、空いた大穴をさらに押し広げ、巨大な何者かが入って来ようとしていた。
 立ち昇る粉煙の奥で、打ち付けられていた資材がメキメキと音を立てて崩れ、頭上からはパラパラとコンクリートの粉が降り注ぐ。
 やがて煙が晴れると同時に、身を屈めるようにしてモール内に侵入した何かが、ゆっくりと立ち上がった。
 それは、ノア・クレムリィ(海駆ける鋼鉄の竜騎兵・f30572)の搭乗するキャバリア、『親衛海軍工廠製 汎用装甲竜騎士 MCC-041《ガンド》』であった。
 追加装甲を纏ったその重厚なシルエットが、モール内に差し込む光を受けて、きらりと輝いた。
「異形の化け物、映画では見たことがありますが、直接対決するのは初めてですね」
 対峙するゾンビジャイアントの様子を、搭乗席から窺いながらノアは呟く。
 醜く膨れ上がったそのおぞましい姿は、まさに映画に出て来る怪物そのものだ。
 よく見れば相手は既に右手のチェーンソーを駆動させていた。
 接近戦の構え。圧倒的な対格差を前にしても、左手のキャノンを放ち距離を取るような動きを見せない。
 後退を選択する知恵を持ち合わせないのか、それとも背後を取られて怒り狂っているのか。いずれにせよ、ゾンビジャイアントの反応はノアの読み通りであった。
「速やかな撃破が必要ですね――出撃します」
 迎撃の体勢を整えたノアに向けて、ゾンビジャイアントは疾駆。
 無骨なチェーンソーがけたたましい唸りを上げ、キャバリアの脚部を狙ってかち上げ気味に振るわれる。
 その間に素早く割り込んだのは、敵の体躯程もあろうかという片腕だ。
「……!」
 鉄が鉄を削る音が響き、同時に激しい火花が咲き誇る。
 操縦桿を通して伝わる振動もまた敵の回転刃の凄まじい馬力を物語る。まともに食らえば、重大な損傷は避けれられなかっただろう。
 だが射程を犠牲にして大きく厚みを増した腕の装甲は、敵の攻撃をしっかりと受け止め、その身を護る盾となっていた。
「……舐めるなっ!」
 火花を散らしながら片腕に斬り込むゾンビジャイアントの懐に、もう片腕を素早く潜り込ませる。
 その手にはキャバリア用のサブマシンガン《メルビレイ》があった。引き金を引いた瞬間、ゾンビジャイアントの体が大きく揺らいだ。
 零距離で放たれた大口径の弾幕は敵の巨体を宙に舞い上げ、空中で幾度も穿つ。
 着弾地点に生じた煙の中に墜落するゾンビジャイアント。そこに向けて、ノアはなおも短機関銃を連射。
 一通り撃ち終え、ようやく銃を下ろす。
「肉を切らせて骨を断つ。海賊時代に教わったことも、中々役立つものですね」
 軽く息を吐いた後、ノアはそう呟くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

緋翠・華乃音
体格の大きさや獰猛さで個体の戦闘力が決まるわけではない。
能無しの狼より狡猾な羊の方が強いのは道理だろう。

敵が高度な知性を有しているとは思えない。
しかし正面から当たれば単純な力の差に苦戦する。
ならば用いる戦術は自然と搦め手が主になる。

振るわれるチェーンソーの間合いの一歩外を確保しつつ拳銃で銃撃。
同時に行動の癖やパターン、隙や予備動作、一挙手一投足のデータを蓄積して行動を見切っていく。

用いるべきは鋭く研ぎ澄まされた合理性。
それと最善を瞬時に選択する判断力。

超高速の捕食攻撃すらも宛ら蝶が羽搏くように回避。
攻撃を中止できない姿はいっそ滑稽ですらある。

見切った脆弱箇所、構造的欠陥に致命の弾痕を刻む。



 けたたましい音と共に薙がれたチェーンソーが空を切り、そのまま柱に一文字を描く。
 驀進を続けるゾンビジャイアントの猛攻を前に、紙一重の回避を続ける緋翠・華乃音(終奏の蝶・f03169)は、少なくとも交戦を開始した時点では、不利のようにも見えた。
 しかし事実は逆であった。後退しつつも拳銃を放つ華乃音の立ち位置は、常に敵の間合いの一歩外。
 華乃音はその優れた判断力を瞬時に駆使し、回避と共に敵の情報を蓄積し続けていた。
 雄大な体躯と獰猛さは見せかけに過ぎない。出鱈目に振り回される巨腕は目さえ離さなければ有り余る情報を華乃音に伝えてくれる。
 相手が無造作な一手を繰り出すごとに、癖も、予備動作も、行動パターンも、その全てを華乃音は読んでいく。
 行動の細分化、分析、そして最適化の繰り返しは、やがて敵の攻撃を予測する域にまで研ぎ澄まされていく。
 肉体面では優れたスペックを誇るゾンビジャイアントだが、その絡繰りに気付くだけの知性が無い。
 今やゾンビジャイアントは華乃音の一歩手前で鉄塊を振り回しているようにすら見える。
 コンパクトな動作から放たれる銃弾もまた、より脆弱な位置に集中していく。
 焦りからか、あるいは怒りからか。おぞましい吠え声と共にゾンビジャイアントが奥の手を切った。
 捕食攻撃。戦闘経験を蓄積する事で、前兆を正確に予測し得た華乃音からしても、その勢いは凄まじいものであった。
 だが、それだけだった。
 機先を制し、蝶が羽搏くような回避を実現し続ける華乃音の前に、ただただ凄まじいスピードで咬合音を響かせるゾンビジャイアントの姿は、有り体に言えば――滑稽ですらあった。
 生じる隙に向けて重ねられた予測不能の銃撃が、黄色く染まった歯を幾本もへし折る。
 全ては道理。能無しの狼を、華乃音は子犬のようにあしらい続けた。

成功 🔵​🔵​🔴​

グラース・アムレット
アドリブ・援護・連携歓迎

故郷の世界の危機
猟兵としての初仕事、頑張りましょう

助っ人に来ました。しばらく指揮下に入りますね
と、奪還者の方たちに一声かけておきます
その際通信端末が借りられたら、借りておきたいですね

まずは敵に見つからないよう、遮蔽物に隠れながら一人で直線通路の側面へ
5mが私の射程ですが、モールの直線通路なのでそれなりに狙える位置取りはできるでしょう
身を潜め、口を狙ってクレインクイン・クロスボウでUC発動です
大きなお口なのでまず外すこともないかと思います

クロスボウ後はライフルで応戦
基本的に距離を取っての攻撃
敵の捕食攻撃もまずは回避専念してからの射撃
一手、一手を確実に踏まえ、行動します



「南は排除出来た? ……そう。でも誰か様子を見に行くだけでも」
 屋外のゾンビに向けて奪還者達が銃撃を続ける、北エントランス。
 そこから少しだけ離れた場所で、スキンヘッドの女性がしゃがみ込んでいた。
「あの」
 掛けられた穏やかな声。顔を上げれば、グラース・アムレット(ルーイヒ・ファルベ・f30082)の姿。
「奪還者です。助っ人に来ました。しばらく指揮下に入りますね」
「本当!? ありがとう」
 状況は切迫しているのだろう。女性は二つ返事でグラースの申し出を受ける。
「あの……良ければ私が行きましょうか?」
「良いの?」
 少し迷うように泳いだ女性の視線。だが次には、グラースの瞳にぶつかった。
 揺るぎのない強い意志を秘めた、茶色い瞳だ。
「……。そうだ」
 女性は懐を探り、グラースに手渡す。
 グラースの掌に乗せられたのは、黄緑色の波紋を広げる、小さな機器。
 超小型の通信端末だ。女性は拠点のソーシャルディーヴァであった。
「何かあったらこれを。戦闘音がしたみたいだから、気をつけて」
「はい」
 頷いて再びしゃがみ込み、通信を続ける女性。
 彼女を背に、グラースは通路へと踏み込む。

 無人と化した、ョッピングモールの直線通路。
 割れた床のタイルからは雑草が繁茂し、天井の照明は全て落とされていた。
 代わりに高い場所に空いた窓から降り注ぐ温かな日差しが、今は朽ちた店の看板を照らしている。
 半ば廃墟と言って良い風景に規則性を与えているのは、両脇に等間隔に配置された、太い柱。
「……」
 グラースはそのうち一本に近寄り……背中を預けた。
 点在する障害物は小柄なグラースの姿を隠すにはうってつけだ。
 柱、ベンチ、花壇、そして柱。物陰を慣れた様子で伝う。
 グラースの故郷は他でもない、此処アポカリプスヘルである。故郷の危機は彼女にとって、看過出来るものではない。
「(猟兵としての初仕事、頑張りましょう)」
 静かに、しかし確かな決意を胸に秘め、一人歩を進める。

「……!」
 周囲を警戒するグラースの前方から、無造作に地面を踏む音が響く。
 柱から顔を半分だけ出して窺えば……遠く灰色の通路の真ん中に、白い点が現れていた。
 ゾンビジャイアントだ。
 すぐさま迎撃の態勢を整えるグラース。花壇の陰に隠れたまま二つの武器を立てかけ、弾の装填を確かめる。
 彼女がまず選択したのは、静音性と高威力を併せ持つ武器。クロスボウ。
 狙うのは、狙撃だ。
 現時点では決して長いとは言えないグラースの射程。だが直線構造である事に加え、相手はまだ此方に気付いていない事も考えれば、狙撃の条件としては決して悪くないと言える。
 その茶色の瞳で狙いを絞り込み――発射。
『―――――!!』
 音も無く放たれた金属の矢は風を切って飛び、巨大な口の中へと着弾した。
 痛みと興奮に大きく藻掻くゾンビジャイアント。
 背中で響く唸り声を無視してグラースは武器をもう一つの武器――アサルトライフルに持ち変え、その巨体に向けて引き金を引く。
 フルオートで発射される銃弾にゾンビジャイアントの顔と腕が晒される。だがその凄まじいタフネスを誇示するかのように、白い巨体が大きく地団駄を踏んだ。
 次の瞬間、グラースに向かって突進する。同時に繰り出されるのは、超高速の噛み付き攻撃だ。
 グラースは一旦銃撃を打ち切り、回避に全霊を傾ける。タイミングを計り、思い切り地面を蹴って横転。
 敵の口から漏れたと思しき温い空気が乾燥した空気と入り混じる。それを肌で感じつつも、駆け過ぎる巨体の脚を狙い、さらに連射。
 敵が振り向けばまたも銃撃を切り上げ、今度は遮蔽物に身を隠して反撃の機会を窺う。
 中距離から的確なヒットアンドアウェイを繰り返すグラースは、着実にゾンビジャイアントを疲弊させていった。
 

成功 🔵​🔵​🔴​

レイ・オブライト
内外の行き来が活発になった分、妙な輩も潜り込みやすい……か。歩み始めてはいるもんを、悪い傾向とは呼ばせたかねえな
そういうわけだ。手ぶらで帰ってもらおう

距離を取って乱射されてもなんだ。極力、前のめりでいく
柱を背にする位置取りは避け、チェーンソーや銃口を向けられることがあれば蹴りつけ影響の少ない方へ
そうでなくとも『覇気』の『オーラ防御』をぶつけ斬撃/レーザー速度を落とし、決定打に欠けると思わせ本命の捕食攻撃を誘う
捕食に対して『枷』の鎖巻いた腕を噛ませ、閉じ切る前に
【Lava】+『属性攻撃(電気)』
それこそ内外、上下左右からの串刺しを狙おう

……死者が邪魔するもんじゃあねえぞ


※アドリブや連携歓迎



「内外の行き来が活発になった分、妙な輩も潜り込みやすい……か」
 人の出入りと時の流れは様々な形で綻びを生じさせる。それは管理の行き届いた大型拠点ですら例外ではない。
「歩み始めてはいるもんを、悪い傾向とは呼ばせたかねえな」
 此処に集まっているのは無辜の住人、そして人類の希望を担う奪還者達だ。
 復興に歩み始めた彼等に付け入ろうとする者こそが、世界の敵たるオブリビオン。猟兵達は決して見逃しはしない。レイ・オブライト(steel・f25854)もまた然り。
「……そういうわけだ。手ぶらで帰って貰おう」
 言い放つレイの眼前には、白い巨人、ゾンビジャイアント。傷を負ってはいるものの、その戦意、いや食欲は一向に衰えていない。
 両者、対峙する。
 最初に動いたのはゾンビジャイアント。不格好な、しかし静かな歩みで距離を詰め、その右腕を無造作に薙いだ。
 重低音とともに振るわれるチェーンソーをレイは紙一重で避け、そのまま相手の攻撃の勢いを増すような方向に回し蹴りを放つ。
 横転寸前まで傾いた体はがら空き。チェーンソーは本来の軌道の先にあった柱ではなく、コンクリートの地面に大きく斬り込む。
 がら空きになったその白い脇腹へ向けて、レイは振り向きざまに追撃の拳を叩き込んだ。
 どす、とサンドバッグが殴られるような重い音が響き、後方に後ずさるゾンビジャイアント。その先は、通路のど真ん中だった。
 後々の事も考え、建物への被害を最小限に抑えたいレイだが、距離を取れば逆効果。たちまち敵の左手にある生体レーザーが猛威を振るう事は確実だ。
 チェーンソーの方もあの威力。油断すればモールの柱など軽く両断してしまうだろう。
 故にレイは懐に飛び込み、至近距離から徒手での乱打を繰り返す事で、敵の動きを大きく制限していた。
 そんなレイを引き放そうとするかのように、ゾンビジャイアントは狂おしく左手の砲門を向ける。
 そこへ向けて、深紅の光が収束し始めた。
「……!」
 膨れ上がった光は一本のレーザー光線となって容赦なくレイに解き放たれ――直撃した。
 だが、焼いたのは咄嗟に防いだ腕の皮と肉のみ。貫通には程遠い。
 直前で練り上げられたレイの覇気をぶつけられ、その速度と威力を大きく減じていたのだ。だが、ゾンビジャイアントにそのような事を知る術はない。
 自身の備える二つの武器が決定打にはなり得ないと思わされ、焦りが浮かんだか、遂にゾンビジャイアントが必殺技を用意する。
 不格好な口を限界まで裂き、黄色い歯を剥き出す前傾姿勢を取った。
 追い詰められたゾンビジャイアントが度々見せる姿勢。
 捕食を伴う一か八かの超速連撃。その予兆だ。
 対するレイは目を凝らし、その逞しい腕に白銀の鎖を絡ませ、強く握り込む。
 同時に、白い肉塊が驀進した。
 捕食の為あらんばかりに開かれた巨大な口のど真ん中に、レイは自身の拳を打ち込む。
 口が閉じ、腕が噛み千切られる寸前で、紫電が瞬いた。
 次の瞬間、ジャラン!! と本物の鎖にも似た音。
 壁から、天井から、床から、ありとあらゆる方向から一直線に伸びた電流の鎖が、ゾンビジャイアントの巨体を貫通したのだ。
 流し込まれる電流にゾンビジャイアントの力が弱まる。捕食寸前で鎖を噛み、動きを止めた口に突き込まれたままの片腕を通して、レイは止めとばかりに莫大な電流を送り込んだ。
「……死者が邪魔するもんじゃあねえぞ」
 レイの言葉と共にさらなる衝撃が、今度はゾンビジャイアントの内側から襲う。
 内外から電流で焼かれたゾンビジャイアントの巨体は、両腕を高く上げた姿勢のまま痙攣を繰り返すのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジェイムス・ドール
おっきいなぁ…抉られたら痛そうだねぇ…楽しそうだなぁ!
あははは!よっとぉッ!!
ジャンプしてチェーンソーを回避。当ててみなよ!

早業で殺戮丸鋸刃を投擲。突き刺す。
着地即ダッシュ、足元を駆け抜けながら手袋で足を爆破。
片足を吹き飛ばして体勢を崩したら背中に丸鋸刃を2、3個投げて刺す。怪力、最後にソーアックスで削ぐ!

うん、中々死なない!アハハ!
相手のなぎ払いチェーンソーに当たって『鏖殺鬼紙』
紙片にバラけて回避。何枚か巻き込まれたけど気にしなーい!ひたひたー
無数の紙片が、ゾンビの周囲を舞い、身体に貼りつく

紙片と一体化してた丸鋸刃を出現
念動力回転!全身を引き裂いて傷口を抉りぬく。
何度でも、引き裂いてあげる!



 凄まじいパワーを猟兵達に見せつけたゾンビジャイアントだが、手痛い反撃を受け、今や満身創痍。
 最早与えられた任務を果たせるのかもわからない。だが今となっては……いや、今だからこそどうでも良いのかも知れない。
 いずれにせよ彼の頭に残ったのは、抑え難い破壊衝動と食欲。それらが向かうのもまた、他ならぬ猟兵達だ。
「おっきいなぁ……」
 ジェイムス・ドール(愉快な仲間の殺人鬼・f20949)は思わずそう呟く。こうして実際に対峙してみれば、両手から生やした武器までも、体つきに見合った規格外の大きさである事がわかる。
「抉られたら痛そうだねぇ……楽しそうだなぁ!」
 そんな感想と共にジェイムスが右手のチェーンソーに目を向けた瞬間――ゾンビジャイアントは、血塗れの腕と共に、横薙ぎ一閃。
「あははは! よっとぉッ!!」
 全身の柔軟性を使ってジェイムスは跳躍。彼女のすぐ下を、重い音と共に回転刃が駆け過ぎる。
「当ててみなよ!」
 その体をアクロバティックに空中で翻らせ、ジェイムスは巨大な丸鋸刃を投擲。それは風を切り裂き、敵の胴体へと直撃した。
 着地したジェイムスはすぐさま地面を蹴り、疾風の如く足元を駆け過ぎる。
 同時にゾンビジャイアントの片足に触れれば、そこから小爆発が巻き起こった。
 片足を負傷し、舞い散る火の粉と共に揺らぐゾンビジャイアントの背中に向けて、ジェイムスは振り向きざまに丸鋸刃を投擲。
 全身にブレーキをかけ再度跳躍――いつの間にか肩に乗せられたギザギザ刃の大斧を――全力で振り落とした。
 どす、と額に着弾。重い刃が両目の辺りまで斬り込む。
 一瞬で畳みかけられた、恐るべき早業。だが、それでもゾンビジャイアントは倒れない。
「うん、中々死なない! アハ……」
 ジェイムスの哄笑が途切れる。
 お返しとばかりに放たれた鉄塊の薙ぎ払いが、彼女の体を直撃した。
 轟音と共に駆け過ぎる鉄塊。だがその場に残されたのは、両断されたジェイムスでは無く――紙片だった。
 自身の身体を無数の紙片に変えてしまうジェイムスのユーベルコードを前に、ゾンビジャイアントの渾身の斬撃は虚しく宙を切ったのだ。
 幾枚かの紙片が切断されてしまったが、些細な問題とばかりにジェイムスは反撃に入る。
 ゾンビジャイアントの周囲を取り巻くように飛び、包囲を狭めていく無数の紙片。
「ひたひたー」
 振り払おうとするゾンビジャイアントの巨体を覆うように次々貼り付いたと思えば、そこから、何かが生えた。
 それは、丸鋸刃だ。無数の回転刃がゾンビジャイアントの体に当てられていた。
「――何度でも、引き裂いてあげる!」
 ジェイムスの宣言と共に、それらが音を立てて一斉に回転した。
 ゴリゴリと骨肉を削る無慈悲な音が、今度は猟兵ではなくゾンビジャイアントの身体から響く。
 舞う血煙。飛び散る肉塊。スプラッタ映画そのままの光景がモールの通路に広がる。
 最初こそ抵抗を見せていたゾンビジャイアントだが、回転が終わったと同時に、大の字の姿勢で、後方へゆっくりと倒れ込む。
 拠点内に恐怖を撒き散らしたゾンビジャイアントは、ジェイムスの手により、遂にその巨体を伏せたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『ゾンビの群れ』

POW   :    ゾンビの行進
【掴みかかる無数の手】が命中した対象に対し、高威力高命中の【噛みつき】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    突然のゾンビ襲来
【敵の背後から新たなゾンビ】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ   :    這い寄るゾンビ
【小柄な地を這うゾンビ】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。

イラスト:カス

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



「お、ヒーローの到着だ!」
「ひゅーひゅー!」
 ゾンビジャイアントを倒した猟兵達。
 北エントランスに足を踏み入れた彼等を、喝采が出迎えた。
『ようこそ奪還者達、歓迎するわ』
 続いて、頭上の拡声器から女性の声が響く。
『私はこの拠点の連絡係よ。現在の状況を説明するわね。
 それと……脅威の排除、ありがとう』

 北エントランス。コンクリートで覆われた四角い空間。
 その一辺を占める正面ゲートには、肩ほどの高さのバリケードが築かれている。
『ゾンビの集団はバリケード前に円を作るように密集中。
 見ての通り、こちらの守備隊が交戦中よ』
 バリケードの向こうには、無数のゾンビ達が顔を出していた。
 動きは緩慢だが、特筆すべきはその数。
 この世界では、ただオブリビオンストームに巻き込まれたというだけで、遺体が高確率でゾンビと化すと言う。
 結果しばしば群れを成し、集団で生者の血肉を狙うのだ。
 アポカリプスヘルに火葬を定着させたその厄介さは、推して知るべしだろう。
『バリケードに近付き過ぎて、噛まれないように気を付けてね。
 少なくとも拠点内は守りを固めているつもりだけど、何処からか潜り込んで来た個体に、不意打ちされないとも限らないわ』

 バリケード越しにゾンビ達に向けて銃撃を叩き込んでいるのは、籠城する奪還者達だ。
 様々な銃火器を手にしたサバイバルガンナーが30名前後。
 火炎放射器や機銃、ミサイルランチャーを備えた戦車乗りも10人程。
 彼等が火力を集中するも、ゾンビ達は次々と押し寄せて来る。
『狙い易いけど……後ろにどれだけのゾンビが控えてるのか、ここからじゃわかりにくいわね』

『ショッピングモールによくある施設は、ここにも大体揃ってると思ってくれて良いわ。
 二階や屋上へ続く階段もあるしね』
 騎乗したまま器用に階段を駆け上がる戦車乗り。
 割れた二階の窓からはロケットランチャーを担いだガンナーが狙いを付けている。
『もし望むなら、さっき破られた南口を使って、敵に見つからずに外に出る事も出来るわね。
 そこのマンホールからも地下道が走ってるから、モールの東西、そして北に出られるわ。
 でも、北……エントランス前のマンホールから出るのは、今は危険ね。ゾンビ達の真下に出ちゃうから』

『欲しい人は私が端末を配布するから、内部との連携は心配しなくて良いわ』
 遠くで手を振るスキンヘッドの女性。彼女がソーシャルディーヴァだろう。

『最後に、指揮権を一部あなたたちに渡すわね。
 さっき言った奪還者40名の中から、必要に応じて人員を振り向けて頂戴。
 正面バリケードの戦闘と補修は続けたいから、一度に全員は無理だけど……』

 取れる手段は多い。籠城するか、打って出るか、それとも。

 
カミンスキー・テレサ(サポート)
 多重人格者の學徒兵×力持ち、14歳の女です
口調は設定を参照して下さい

 普段(テレサ)は軍人口調で、生真面目な性格の優等生
規律を重んじ従順に従い行動しますが、世間知らずで割と天然です
馬鹿なので力と勢いで解決します
自己犠牲心が強く、他人を優先して行動します

別人格のゾフィアは余裕のあるクールな成人男性の人格
テレサよりは融通が利き、大人っぽいです。
ドジな所はあまり変わりません

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


フクス・クルーガー(サポート)
彼女はヤドリガミなのでトラックが入り込めないような狭い場所を除いて基本的には本体であるトラックに乗り込んで戦います。

戦い方は敵味方入り混じる乱戦ならトラックに使われてる武装や盾替わりの外装をUCで複製しUCで出した腕に持たせて援護することを主軸に戦います。もしくはUCの腕だけで格闘戦や掴んで相手を拘束することも出来ます。

トラックに乗れない場合は上記と同じように動きます

敵味方が分かれている集団戦なら一番槍もしくは切込み役としてトラックで相手に突撃します。その時に猟兵を後ろの荷台に乗せて足替わりにすることも出来ます。

修復機能も備えているため盾や足場として扱ってもOKです。



 大型ショッピングモール。
 その入口前で蠢く、大量のゾンビ達。
 彼等を撥ね飛ばしながら、猛然と何かが突っ込んで来た。
 それは……大型のトラックであった。一台の運送トラックが、一直線に拠点へと向かって来たのだ。
 運転席には、フクス・クルーガー(何処でもお届け! 安心のクルーガー運送!・f22299)。
「クルーガー運送は定刻通り! 拠点内の皆さんに物資をお届けに参りました!」
 彼女の器物たる大型トラック『特殊運送用大型トラック、クーちゃん』が集団の外を駆け抜ければ、その軌道上からはごっそりとゾンビ達が居なくなっていた。
 方向転換し、フクスは今度は敵の密集地帯に突撃をかける。直撃と共に大量のゾンビ達を将棋倒しにして……止まった。
 身動きの取れなくなったトラックに無数のゾンビ達が殺到し、唸り声を上げながら鉄の車体を叩き始める。
 足止めとも呼べない物量作戦だが、兎にも角にもフクスは敵集団の真っ只中で立ち往生となる。
「進めないかぁ。でも打開策は……うわ!!」
 突然、運転席側の窓から、どん! と音がした。
 フクスが振り返ると、一匹のゾンビがその土気色の顔と掌を、ガラスにべったりと貼り付けていたのだった。
 唸り声を上げるゾンビ。その後頭部を――ぼ、と駆け抜けた黒い風が、削ぎ落した。
 ずるり、と血の跡を残して崩れ落ちるゾンビに代わって、ひょっこりと逆さまの顔がガラスの向こうに現れる。
「大丈夫でありますか? ここは自分にお任せを!」
 運転席の真上から中を覗き込み、フクスの無事を確認する、カミンスキー・テレサ(貫き通す意思・f23215)だ。
「ありがとう! 助かったわ!」
 フクスが帽子を被り直すのと同時に、ぐんっとカミンスキーは自身の上体をトラックの上に持ち上げる。
 少し間を置いて、先程の黒い風が、今度はフロントガラスの目の前を、あたかもワイパーの如く駆け過ぎた。
 派手に横方向へ飛び散る血と肉。次々崩れ落ちるゾンビ達。
 トラックの上に陣取るカミンスキーが、鉄塊の如き霊刀を渾身の力で振るい、ゾンビ達を薙ぎ払っているのだった。
 だが敵の数は一向に減らない。彼等の注目は次第に、高所で奮闘するカミンスキーの方へと向かい始めた。
「むっ」
 カミンスキーもまた伸ばされた無数の腕が、荷台の上に居る自身を取り囲んでいる事に気付く。
 その光景は、あたかもカミンスキーを地獄へ手招きしているかのようだ。
 カミンスキーの剛力ならば腕の一、二本ならば容易く断ち切れるが、一度に大量ともなれば威力を減じかねない。
 最悪武器を掴まれようものなら、一気に危機に陥るだろう。
「ならばっ!」
 カミンスキーは精神を集中し、伸ばされた腕に向けて、構わず横薙ぎ一閃。
 すると斬りつけられたゾンビ達は……呆けたような表情を浮かべながら、その場にだらりと崩れ落ちた。
 肉体ではなく、生者を糧とする邪悪な意志――即ち彼等の行動理念を斬られ、トラックに取りつくのを止めたのだ。
 なおもカミンスキーが霊刀を振るえば、トラックを押さえ付ける力が目に見えて緩み始める。
「フクス様、脱出であります!」
「了解! ゾンビがトラックに敵うわけないじゃない!」
 クーちゃんはただのトラックではない。頑丈な上に修復機能まで備えた、すごいトラックなのだ。
 ガシャン! とクーちゃんの車体から音が響く。
 そこに姿を見せたのは、凶悪な大きさのガトリングだ。
 回転を始める砲身。少し遅れて、凄まじい轟音が辺りに響き渡る。
 赤熱した銃弾の雨がゾンビ達を容赦無く打ち据え、たちまち血の霧へと変え始めたのだ。
「出発するわ! しっかり捕まってね!」
 包囲の崩れた前方に向けて、思い切りアクセルを踏み込むフクス。発進と共にゾンビ達が跳ね飛ばされ、飛び散る血飛沫がワイパーに洗い流される。
「両断! であります!」
 追い縋ろうとするゾンビを、カミンスキーの霊刀は風音と共に薙ぎ払い続けた。
 アポカリプスヘルの荒地を、二人は縦横無尽に駆ける。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ジェイムス・ドール
指揮はガラじゃないからねー。他の人達にお任せしちゃおう。
南口から出てゾンビ達を襲おう!

ついでにゾンビジャイアントの遺体からチェーンソーを切って、
怪力で持ち運ぶ。せーの、よいしょー!!ゾンビ達へ投げ飛ばし、なぎ払い。ゾンビに鋸は付き物だよね!アハハー。

『素敵な爆弾』爆発ダーツを創造。投擲
念動力で操ってゾンビ達の頭部へ刺す。
空中に滞空させた丸鋸刃を足場にジャンプ。宙を駆け、投げ刺す。鬼さんこーちらー!宙返りなんてしみたりして、刺して、跳んでを繰り返し、さっき投げたチェーンソーの上に立つ。

はい、どーん!(手を叩く)ダーツを一斉爆破。
……うーん、これ悪趣味かな?まぁいっかー!アハハハー



 モール外はおぞましいゾンビ達に占拠されてはいるものの、その頭上には青空が広がっている。
 抜けるような青い空、浮かぶ白い雲。そして。
「やっほー!!」
 本来ならば、この空模様には相応しいであろう、快活な声が響く。
 緩慢な動きでゾンビ達が向き直った先には、ぶんぶんと手を振りながら駆けて来る、声の主の姿があった。
 守備隊の指揮を仲間に任せ、南口を単騎で抜けて来た、ジェイムス・ドールだ。
 彼女の手には何やら凄まじい音を立てて振動する、巨大な鉄塊が握られている。
 それはなんと、ゾンビジャイアントの遺体から切り取られた、大型チェーンソーであった。
 駆動済みの危険な器具を片手で御しつつ、ジェイムスは全速力で突進してくる。既にして危ない雰囲気が駄々洩れである。
「せーの!」
 掛け声と共に大きく後方に体を引くジェイムス。
 ゾンビ達が生者であれば、まさか、と続く展開を予想し得たかもしれない。
 そして、そのまさかであった。
「よいしょー!」
 次には手に持つチェーンソーを――渾身の力で、放り投げた。
 無骨な鉄塊が空中で独楽のように回りながら水平方向に飛び、軌道上に居たゾンビの群れを次々薙ぎ倒す。
「ゾンビに鋸は付き物だよね! アハハー!」
 亡者たちの群れを一直線に切り裂き、そのまま反対側の地面に墓標の如く突き立つチェーンソー。
 その光景はまさに、ゾンビ映画のワンシーンのようであった。
「まだ何か足りないなぁ」
 そう呟きながら、浮き足立つゾンビ達の様子を眺めるジェイムスだったが、はたと手を打つ。
「……そうだ! 良いこと思い付いちゃった。じゃじゃーん!!」
 次の瞬間、ゾンビ達の頭上に何かが飛んだ。
 ――丸鋸刃だ。無数の刃が、プロペラのように滞空している。
 そして、いつの間にやらジェイムスの指には、何かが手挟まれていた。
 羽の付いた大きめの針のようなもの――ダーツだ。
「いくよー!」
 ジェイムスは踊り上がるように跳躍し、そのまま丸鋸刃の上に着地。
 無数の手がジェイムスの脚を掴もうとするも、間一髪で再び跳躍。別の足場へと飛び移った。
「鬼さんこーちらー!」
 アクロバティックに空中を跳ね回りながら、時に宙返りも織り交ぜ、ジェイムスは地上のゾンビ達にダーツを投げつけていく。
 ふらふらと揺れる敵の頭部。そこへ向けて、次々とダーツが突き刺さる。
 一見不安定なジェイムスの動きは、驚く程の精確さに満ちており、何よりも、楽しげだった。
 一通り足場を飛び終え、先程のチェーンソーの上に、爪先から着地したジェイムス。
 彼女に向けて、両腕を前方に伸ばす姿勢でゾンビ達が迫る。
 対するジェイムスは、自身の両手を叩いた。
「はい、どーん!」
 ボンッ、と小さな音を立て、ジェイムスの掌が爆ぜた。
 同時に、ゾンビ達の頭も血煙と共に爆ぜた。
 そしてなぜか、群れのあちらこちらでも同じような爆音が巻き起こる。
 ジェイムスが投げていたダーツの正体は、強力な爆弾であった。
 次々連鎖した爆発が、遠く離れたゾンビ達までも巻き込んだのだ。
 そして、爆風の中心にいたジェイムスは、なぜか無傷だ。
「うーん、これ悪趣味かな? まぁいっかー! アハハ!」
 それでも彼女の楽しそうな様子を見れば、一片の悪意も無い事は誰もが請け合ってくれるだろう。
 一気に混乱に陥った戦場に向けて、ジェイムスは再び舞い戻っていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オニキス・リーゼンガング
心情)『生者の血肉を狙う』…ですか。それは好都合。
わたくし、生者ではありません。実体化しなければ血肉もありません。
打って出るには最適でしょう。
こちらの環境には不慣れですから、指揮は他の方におまかせしますよ。
端末、お借りします。
行動)2階の窓からバリケード向こうへ飛び降りて、そのままバリケードに集まっているゾンビを潰して数を減らします。
髪を一部ちぎり小龍に変え、水晶化の呪いを振りまきまして。
硬化した輩を砕くか、砕けた肉片を硬化するか。
いずれにせよ、繰り返せば再生させずに減らしていけるでしょう。
《枝(*手の杖)》だけ実体化して《氷晶》で覆っておけば、噛まれようともなんともありませんからね。



 闇を通してオニキス・リーゼンガングが睥睨したものは、おぞましいものであった。
 無数のゾンビ達が蠢く光景は、まさしくこの世の地獄と言って差し支えない。
「……」
「お待たせ、端末の準備が出来たわ」
 二階の窓際に立つオニキスの後ろから、通信係の女性が歩み寄る。
「見えてるかはわからないけど……ほら。こっちを向いたわ。奴らは生きている人の肉を狙うの」
 彼女に対するオニキスからの返答は、予想もしないものであった。
「それは好都合。わたくし、生者ではありません」
「えっ」
 目を丸くする女性の手に乗せられた小さな機器を、オニキスは自身の懐に滑り込ませる。
「端末、お借りします」
「! あ、ちょっと……!」
 次には、オニキスは躊躇いも見せず、窓から飛び降りた。
 その先は――激戦区である、バリケード前。
 着地の勢いを殺すオニキスに向けて、周囲のゾンビ達が手を伸ばしたままの姿勢で、一斉に殺到しようとして……次には、お互いにぶつかった。
 オニキスは本来実体を持たない。触れる事も出来なければ、当然血肉も無い。
 明らかに勝手の違う相手に対しても、ゾンビ達は動物的な本能に従うように、虚しく手を伸ばすような行動を繰り返す。
 そんな彼等を尻目に、ゆっくりと身を起こすオニキス。着地から少し遅れて、戦場に細く輝くものが、ふわりふわりと降り注ぎ始めた。
 それは、オニキスが引き千切った、自身の艶やかな髪の毛であった。
 たちまちそれらは姿を変え、白銀の小龍と化した――その数七十四。
 数多の小龍達は飛翔しつつ、『何か』を地上に振り撒き始める。
 酷く曖昧で漠然とした、得体の知れない『何か』。
 密集するゾンビ達に躱す術はない。最初のうちこそ平気で動き回っていた彼等だが――次第にその動きはぎこちなく、鈍い物へと変わっていった。
 よく見れば、腐り果てていた筈の体のあちこちが、輝く水晶と化している。
 それは、数ある呪いの中でも神呪というべきものに分類される、恐ろしい水晶化の呪いであった。
 刹那、オニキスが動きを見せる。
 バリケードに寄りかかった姿勢で動きを止めたゾンビ達に向けて、手に持つ白銀の得物を一閃させたのだ。
 バキン! と鉱物を叩き割る音と共に、ゾンビ達の身体が破砕される。一匹のゾンビが得物に噛みつくも、硬く覆われた氷を前にたちまち牙を折った。
 地面に飛び散った肉片に呪いが降り注げば、それらも徐々に水晶塊と化していき、亡者の復活を封じ込める。
 オニキスの獅子奮迅の働きを前に、たちまち正面のゾンビ達は一掃され、バリケードの周囲には大穴が空いた。
 一連の光景を息を詰めて見ていた奪還者達も勇気を取り戻す。
「やった! 敵が離れたぞ!」
『前衛を援護して! バリケードの補修も! 早く!』
「おっしゃあ!」
 再び飛び交い始めた発砲音と通信音を背に、オニキスと小龍達は戦線を押し上げるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

緋翠・華乃音
広域殲滅の攻撃方法もあるが、不得手であることに変わりはない。
前衛は頼れる猟兵たちに任せる。その代わり援護射撃は請け負った。

階段を駆け上がって屋上に。
戦場の見晴らしが良い場所に陣取って“狙撃”を開始する。

トリガーに指を掛けて引くだけの簡単な仕事。
こういうゾンビ相手には、手足への狙撃ではなくヘッドショットをするものだと相場が決まっている――と聞いたから。
狙うは頭部。
必中は約束されている。瑠璃の瞳は捉えた獲物を決して逃さない。

最優先はバリケードに最接近している個体。
次優先に猟兵への援護。

戦場ではいつ何が起きるか分からない。
油断せずに見極め続けよう。
後衛から俯瞰しているからこそ感じられる変化を。



 喧噪を背に、階段を駆け昇る。
 緋翠・華乃音を待っていたのは、蒼く澄み切った空だった。
 白く彩色された壁に囲まれた屋上。
 見晴らしが良く、日当たりの良いその場所は、かつては多くの人々が憩いの場として利用していた事だろう。
 手すりに寄りかかり、眼下のゾンビ達を見下ろす華乃音。
 この状況下で自身がどう動くべきかを、彼は短い時間の中で考え終えていた。
 まず候補に挙げたのは範囲攻撃。華乃音も広域殲滅の手段を持ってはいるが、得手と言える程ではない。
 次に前衛だが、華乃音の見る限り、充分に手は足りている。
 最終的に華乃音が選択したのは、単身の“狙撃”だった。
 絶好の好条件の下、華乃音は味方の援護射撃を開始する。
 手すりの間からライフル『to be alone.』の銃口を突き出し、バリケード付近にスコープを絞り込む。
 ――ゾンビ相手にはヘッドショット。
 手足でも胴でもなく、頭を狙えば一撃で倒せる。
 そう相場が決まっていると、華乃音は聞いていたから。
 きっと此処でもそうなのだと、華乃音もそう確信しているから。
 呼気はゆっくり長く、吸気は短く。
 リラックスして、素早く照準を合わせ――その瞬間に、引き金を引く。
 瑠璃の瞳の映す視界の中で、真正面の女子学生の髪の毛がぶわりと広がり――頭が弾けた。
 命中だ。
 後方にばったりと倒れる胴体を置き去りに、華乃音は次弾を装填する。
 可能な限り早く、無駄な動作無く。
 必中を約束された狙撃は、確かに簡単な仕事かも知れない。
 だが、何処かでしくじれば最初からやり直さなくてはならない一連の動作を、華乃音は精確に素早く繰り返しているのも事実。
 狙う敵を的確に選択しつつも、後衛から俯瞰するが故に保つ事の出来る判断力と平常心を、華乃音は戦場で起きる事象を見極める事に割いていた。
 不慮の出来事に瞬時に対処し、前線の負担を軽減する為に。
 魔力を込めた宝石の弾丸は幾度も虹色の直線を描き、凄まじい勢いで敵の数を減らしていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

グラース・アムレット
私は正面ゲートの防衛を
波のように押し寄せてくるゾンビたちを倒すには、いくら手があっても良いでしょうし

補修も同時に行うのにも助力できるでしょうし、UCを発動します

後は的確に敵を捉え、アサルトライフルで撃破していきますね
無数の手が掴みかかってくれば、周囲の奪還者さんたちも危ないのでUC発動前には抑えたいところです……

そうだ!
「飛び出す魔術絵本」で駆けるうさぎのページを開きます
魔法現象として描かれたうさぎさん達を発動しましょう
白や茶色の美味しそうなうさぎ――肉、ですよ、っと!
投げるにしてうさぎさん達を放り込み、彼らの頭上をぴょんぴょん
敵が気を取られたなら
皆さん、今です! と合図をして一斉射撃


ノア・クレムリィ
 機体修理が終わるまで待つのが理想ですが、そんな悠長な事はいえないようです。一度キャバリアから降りましょう。軍人たる者、機体が無くとも戦えなければ。

 【UC:アドバンテージ・アンサー】(WIZ)を発動、端末と銃を借りて見通せる上階から狙います。〈索敵〉〈瞬間思考力〉で敵の詳細な位置を把握し共有、這いずり個体等脅威度の高い対象から〈制圧射撃〉で無力化、前線への圧を軽減します。砲やロケットを持つ者を呼んで、効率的に殲滅できる箇所に撃ち込んで貰いましょう。集団は纏めて吹き飛ばすに限ります。

 敵が数で勝ろうとも、我々の意志の砦を崩すことはできません。このまま守り通します。

(アドリブ連携等全て歓迎です)



「数が多過ぎる。少しヤバいぞ」
 北のバリケード前では奪還者達が応戦を続けているが、状況は良くない。
 幾ら頭を吹き飛ばそうとも押し寄せ続けるゾンビ達は絶望そのものだ。
 敵の接近と共に徐々に削られる精神は疲弊を生み、守備隊の射撃がその精度を目に見えて落とし始めた――その時。
 するり、と人影が割り込み、たちまち数体の頭を吹き飛ばした。
「応援に来ました」
 銃口から硝煙を上げるアサルトライフルを手に、グラース・アムレットが左右の奪還者に微笑みかける。
「ゾンビたちを倒すには、いくら手があっても良いでしょうし」
『上階からも何人か引き抜いたわ。此処を突破されたら終わりだし』
「ありがとうございます」
 グラースの後に続くように、ショットガンやサブマシンガンで武装したサバイバルガンナーが階段を駆け下り、ぱらぱらとバリケードの守備に加わる。
 横目でそれを確かめたグラースは、目前に迫るゾンビ達に向けて、再び火器を咆哮させた。
「はい、端末と銃よ」
「ありがとう。助かります」
 一方、2階ではノア・クレムリィが連絡役と打ち合わせをしていた。
 先程はキャバリア乗りとして出撃したノアも、今はその脚で戦場に立っている。
 ゾンビジャイアントに深手を負わせたのと引き換えに、ノアの愛機にも傷が刻まれた為だ。
(「確かに機体の修理が終わるまで待つのが理想ですが、そんな悠長な事は言えないようです」)
 キャバリア操縦に圧倒的な適性を持つ事は、生身の戦闘力に劣る事を意味しはしない。
(「軍人たる者、機体が無くとも戦えなければ」)
 受け取った銃を確かめ、窓際に乗せるようにして構える。
 そんなノアの元にも人員が集まって来る。ロケットランチャーを携えた大柄な男性に、重火器を備えた戦車乗り。
 グラースの部隊が人数と近接攻撃力を重視した盾ならば、ノアの部隊は総じて火力と範囲殲滅力に特化した矛と言える。
「バリケードへの圧を軽減します」
 ノアが二階の窓際に横並びに展開した彼等に呼びかけ、階下へと目配せすれば、グラースもまたそれに応えるように頷く。
「全員、砲撃開始。纏めて吹き飛ばしてやりなさい。その後の目標は、追って指示します」
「……正面ゲートの皆さん、此処を死守します、バリケードの補修も随時行いましょう」


 二人の猟兵の参戦を前に、守備隊も方針を定め、その結果バリケード前の敵群が一掃される。
 だが、あたかも敵意と食欲を刺激されたかのように、ゾンビ達の攻勢もまた一層激しさを増していく。
 仲間の犠牲を顧みずに、次から次へと押し寄せる様は津波のようだ。そんな敵の猛攻を、グラースは奪還者達と共に真正面から凌ぎ続ける。
「補修に立ちます。敵の腕に気を付けて」
「了解!」
 一度頭を引っ込め、バリケードの補強を行うグラース。彼女と交替した奪還者の銃撃は、その精度をすっかり取り戻していた。
 絶対防衛戦線――正面ゲートを死守しようとするグラースは、既に守備隊の精神的支柱とも呼べる存在となっている。
 彼女の下で一丸となった奪還者達は、その能力を著しく底上げされていたのだ。
「お待たせしました」 
 そしてそれは、グラース自身も同じ。
 素早く補修を終わらせたグラースは再び奪還者達と肩を並べ、アサルトライフルを咆哮させる。
 横方向に薙ぐように放たれた銃弾は的確にゾンビ達の頭部を撃ち抜き、敵の最前列を一掃した。
 グラースと共に、バリケードの守備隊は秩序を保ちつつ、少しずつ、敵を押し返し始めた。
「あの位置に弾幕展開。正面が態勢を立て直せるように、敵後続を切り離しなさい」
 高所と言う戦術的に有利な位置を占める事で、ノアの思考はその鋭さを大きく増していた。
 常人では到底追い付かない瞬間的な思考力で以て的確に弱点を見出し、その情報を絶えず味方と共有し続ける。
 そして時折ノアが指示を飛ばせば、集中される火力が敵の数を大きく減らす。
 その結果、後方では凄まじい数と密集度を誇っていたであろう敵が、バリケード近くに辿り着いた時にはまばらとなっている。
「密集している集団は、纏めて吹き飛ばすに限ります」
 そう言いつつ、ノア自身も上階から銃撃を繰り返せば、残る敵もばたばたと斃れていく。
 如何に相手が大量と言えど、攻撃と防御の揃った布陣を前に、戦況は少しずつ守備側に傾きつつあるように思えた。


「……いえ、まだ油断は出来ませんね」
 攻撃も続けながらも、敵陣を俯瞰するノアの瞳が、何かを捉えた。
 緩慢に動くゾンビ達。その足元で滑らかに動いた、異質な存在。
 それは、乱戦に紛れて内部に忍び込もうとする、這いずりゾンビであった。
『グラースさん、前方から這いずり個体が一体。此方で引き受けます』
『わかりました。お願いしますね』
 通信を終えると、ノアは近くのスナイパーライフルを手に取り、構える。
 バリケード前に合わせた照準。その中で、するり、と、影が蠢いた。
「――見つけた」
 照準を合わせ……引き金を引く。
 小柄なゾンビはその体を地に伏せたまま、小さな頭を爆ぜさせたかと思えば、そのまま土へと溶けるように消えていった。
 高所の利を最大限に活かした、見事なヘッドショットだ。
 ノアの狙撃により難を逃れた守備隊は反撃を続行。その火力を前に、ゾンビ達はことごとくバリケード一歩手前で斃れていく。
 だが、危うい均衡は続く。
 奪還者達と共に戦うグラースが特に警戒していたのは、掴み攻撃。
 土気色の無数の手は、周囲の奪還者を掴んだが最後、そのまま地獄へと引き摺り込むだろう。
 今一つ、決め手が欲しい。
「……そうだ!」
 グラースが取り出したのは、一冊の本。
 頁を開けば、そこに描かれていたのは、白や茶色のうさぎ達だ。
 すると、そのうさぎが燐光と共に本から飛び出し、ぽふ、とグラースの胸元に収まる。
「――肉、ですよ、っと!」
 その丸々としたうさぎさん達をグラースは両腕で持ち上げると――拠点の外に向けて、思いっ切りトスした。
 頭上を飛ぶ新鮮な肉――実際は魔法現象なのだが――に向けてゾンビ達が手を伸ばすが、うさぎ達は彼等の頭上に着地。そのまま頭をぴょんぴょん飛び移り、一向に捕まらない。
「この隙に……皆さん、今です!」
 グラースの合図と共に、気を取られた敵に向けて守備隊の一斉射が入る。
 不意を打たれ、ばたばたとゾンビ達が斃れた。それでもなおも貪欲にうさぎを追いかけようとする余り、大量のゾンビが折り重なる光景があちこちで展開される。
 そんな彼等を、階上から観察していたノア達が、火力を集中させて纏めて薙ぎ払った。
「敵が数で勝ろうとも、我々の意志の砦を崩すことは出来ません」
 ノアの言葉を裏付けるかのように、正面ゲートへの圧迫が大きく緩む。
 相次ぐ猟兵達の攻撃を前に、ゾンビはその数を著しく減らし続け、最早数に頼れなくなったのだ。
「もうひと押しで守り切れます! 正面守備隊、その場で一斉射撃!」
「勝敗は決しました。ゲートよりも密集している位置に火力を集中しなさい」
 目に見えて勢いを失ったゾンビ達を目の当たりにし、奪還者達も士気を取り戻す。
 応戦する彼等を拠点内に残し、二人は追撃へと入るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ドクター・デストルドー』

POW   :    死霊のおもてなし
【自身が改造手術を施したゾンビ】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    ホスト・オブ・ザ・デッド
【任意の数のゾンビホスト達】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ   :    悪夢の毒々パーティー
【散布装置】から【ゾンビ化ウィルス】を放ち、【ゾンビ化とゾンビ操作能力】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:タヌギモ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はルキ・マーシトロンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 青空の下、散り散りとなったゾンビ達。
 追撃に入ろうとする猟兵達の前に姿を現したのは。
「はいは~い、僕のゾンビ軍団の熱い抱擁、その身で受け止めてくれたかな?」
 白衣を纏った一人の少年だった。
「僕はドクター・デストルドーって呼ばれてるんだ。好きな事はゾンビ研究。
 ここはゾンビが勝手に湧き出す良い場所だったけどー……拠点が出来てからは大損害さ」
 肩を落としつつも冗談めいた口調で話し続ける。
 だがその黄色い瞳には、確かな狂気が宿っていた。
「よくも僕の愛しいゾンビ達を滅茶苦茶にしてくれたね。でも君たちをゾンビにすれば元は取れるかな? ――行け」

 デストルドーの声に率いられるように、残り少ないゾンビ達が俄かに統率を取り戻す。
 猟兵達を取り囲もうとする一方で、外に出ようとした奪還者達を、再びモール内へと押し返す。
「奪還者は後で良い。まずは分解してでも猟兵を連れ帰れ。
 ……ふふ、楽しみだなぁ。猟兵を使ったゾンビ」
 溜息交じりのうっとりした口調で、さらりと恐ろしい事を呟く少年。
 彼を倒さなくては、この拠点に平和は訪れないだろう。
ジェイムス・ドール
あちゃー。これあなたの玩具だったんだ。
ゾンビジャイアントのチェーンソーを引き摺って少年に近付いてく。
勝手に使ってごめんね?壊しちゃった。
貴方が死んだら新しいの持って来る。だと遅いよねぇ…おっと。

帽子を後ろへ投げてゾンビの噛みつき抱擁を受け止めて、抱きしめて『現回炎刃』で自分の身体ごと焼き斬る。ほら、噛まれたらあぶないっていうから、消毒。

ゾンビもねぇ、あげる訳にはいかないし…仕方ないから私が負けたら私の身体使っていいよ~。ただし!

継戦能力、身体を丸鋸で壊し、そして再生させ、片手にチェーンソー、もう片手に燃えるゾンビを引き摺って少年へ向けてダッシュ。
殺せたらね!

両手のそれを怪力で少年へ叩きつける!



「あちゃー。あなたの玩具だったんだ」
 ゾンビ達相手に大暴れしていたジェイムス・ドールだが、デストルドーの出現に、ようやく振り返る。
『そうだよ! 大損害だよ!』
 ジェイムスの周囲には動かなくなったゾンビ達が転がっている。その全てを一人で倒したなど、俄かには誰も信じないだろう。
「勝手に使ってごめんね? 壊しちゃった」
 心底済まなそうな様子で謝りながら、ジェイムスはデストルドーに向けて歩み寄ろうとするが。
『ちょ、それ……』
 片手で軽く頭を掻くジェイムスが、もう片方の腕に持つ何かを見た時、デストルドーは思わず微かに声を震わせた。
 ギザギザの刃が付いた、巨大な鉄塊のようなもの。
 見間違えよう筈も無い。それは彼がバリケード突破のために送り込んだ尖兵、ゾンビジャイアントの腕に生えていた、大型チェーンソーであったからだ。
『……くっそー! あれは滅多に手に入らない貴重な個体なんだぞ!』
「そっか。貴方が死んだら新しいの持って来る。だと遅いよねぇ」
『遅いに決まってるじゃないかー!』
「おっと」
 ぱ、とジェイムスが頭に添えられていた掌を手品のように返せば、彼女が被っていた帽子は後方へと飛び、いつの間にか後方から迫っていたゾンビの額を直撃。
 逆に不意を突かれる事で、噛み付き攻撃は大きくその威力を減じる。だが、それでも不格好な口を開けて迫る敵に向けて、ジェイムスは素早く体を捻り、自分から抱きついた。
 これ幸いとばかりにゾンビが肩口に牙を突き立てたのと、ジェイムスの身体から無数の丸鋸が生えたのが、ほぼ同時。
 次の瞬間、耳をつんざくような回転音と共に、ゾンビの体が燃え上がった。
 回転刃に斬られているのか、炎の中でガクガクと震えるゾンビ。
 ジェイムスの方はそんなゾンビを抱き止めつつも哄笑を上げている。
『うわぁ』
 凄惨極まりない光景を前にデストルドーも若干引き気味だ。
 やがて刃が止まった時、そこには無傷のジェイムスと、ぷすぷすと音を立てる改造ゾンビの姿があった。
『何だよ、今の……』
「ほら、噛まれたらあぶないっていうから、焼き斬って、消毒」
『色々とおかしいでしょ!?』
 見れば先程噛まれた傷もさっぱり消えている。攻防一体である上に、ジェイムス本人には痛みという恩恵まで与えてくれる、色々な意味で凄まじい技だ。
「ゾンビもねぇ、あげる訳にはいかないし……仕方ないから私が負けたら私の身体使っていいよ~」
『本当!?』
「ただし!」
 再びジェイムスの両腕から丸鋸が飛び出した。
 血と炎が噴き出し、熱された刃が高速回転を始める。
 その手に掴んだゾンビの体が爆発するように燃え上がり、チェーンソーは赤熱を始めた。
「――殺せたらね!」
 悲鳴を上げる体に構わず、ジェイムスは地面を蹴った。
 チェーンソーとゾンビを乱暴に引き摺り、巻き起こる砂煙と共にデストルドーに突進。
 ジェイムスはデストルドーに向けて、両手に持つそれらを、渾身の力で振り下ろした。
『ぎゃーっ!?』
 燃える鉄塊と肉塊は、デストルドーを火の粉と共に地に叩き付けたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オニキス・リーゼンガング
心情)そう可愛こぶられましても、知った事かとしか申し上げられませんね。
少年愛好の気はないのですよ、わたくし。
元をとらせるわけがないでしょう、全損させにきたのですよこちらは。
行動)イェーガー・ファースト、実に結構。
まずは天候操作。気温を下げて動きづらくしましょう。
何体であろうと腐った肉と骨は脆いもの。
氷晶槍で薙ぎ払っておきましょう。頭は念入りに潰します。
ゾンビは氷晶に任せ、わたくしは本体を。
腐肉の壁ですか? 邪魔ですね。《枝》で薙ぎ払います。
近づけたならば地形を砕く腕力で殴ります。
遠くへ逃げられたなら、大地に突き立つ勢いで《枝》を投げて串刺しにしましょう。


ノア・クレムリィ
 あれを人はマッドサイエンティストと呼ぶのでしょうね。これ以上の勝手を許しておくわけにはいきません。

 ドローンによる応急修理が完了した《ガンド》に飛び乗り、デストルドーと相対します。彼がゾンビを集め始めたら【UC:確殺射撃】(SPD)を発動、キャバリア短機関銃《メルビレイ》の残弾を効果的に撃ち込みましょう。這いずり等の面倒な個体から優先的に排除します。

 露払いが終わったら、彼とその周囲のゾンビめがけて〈ランスチャージ〉です。〈推力移動〉で突っ込み、対艦槍《メルビレイ》の炸薬を起爆してなぎ払います。

 私のキャバリアと彼の人海戦術、どちらが強いか勝負と行きましょう。

(アドリブ連携等全て歓迎です)


グラース・アムレット
猟兵を狙っているというのなら
前に出ましょう
皆さん(奪還者)にはモールへゾンビが入らない様にして貰いつつ、援護をお願いしましょう

猟兵がゾンビになったら?
それはそれで強いのでしょうが、猟兵の強さは自由意志あってのこと
意の無い傀儡は唯のゾンビと変わらないと思います

……まあだからこそ、あれこれ実験をしてみたいのでしょうけど

アサルトライフルで応戦しながら、敵UCには【叛逆の狼煙】を
ドクターになるべく近付いたところで、ゾンビホストたちを――ほ、ほすと??
そのナリに戸惑いますが、ええと、ドクターへのおもてなしはお任せしましょう
熱い抱擁でガブッとお願いしますね
後は、ドクターの隙が確認できたならクロスボウで一撃




 首魁、ゾンビドクター・デストルドーの出現により、荒野に追い散らされたゾンビ軍団は、徐々に統率を取り戻しつつあった。
『あははは! もうすぐ君達を仲間入りさせてあげる! 感謝してよね!』
 猟兵達から少し離れた位置からは、デストルドーの朗らかな哄笑が響き渡る。
 整った容貌に可愛くツインテールを纏めた姿は、ともすれば愛らしいと取れなくもない。
 だが彼もまたオブリビオン。無邪気に笑うその理由は、程無く自身の実験材料が増える喜悦に他ならない。
「そう可愛こぶられましても、知った事かとしか申し上げられませんね」
 そんなデストルドーの本質を既に見抜いているかのように、オニキス・リーゼンガングは呟く。
『君からはキレイなゾンビが出来そうだなぁ。惚れ惚れするよ』
「そう言われましても、そちらの気はないのですよ、わたくし」
 話す前から解ってはいたが、実際に言葉を交わしてみると、いよいよ噛み合わない。瞑目したまま、軽く首を振るオニキスだった。
「あれを人はマッドサイエンティストと呼ぶのでしょうね」
 研究以外の事は全く頭に無さそうな様子のデストルドーを横目で見ながら、ノア・クレムリィもまたオニキスに近い意見を漏らす。ゾンビを避けつつ荒地を駆け、勢いのまま応急修理の完了した量産型キャバリア《ガンド》の搭乗席に飛び込めば、5メートルの機体が軋みと共に立ち上がる。
「これ以上の勝手を許しておくわけにはいきません」
 僅かに後退するゾンビ達を搭乗席から見下ろしながら、ノアは堂々と宣言する。
 グラース・アムレットもまたアサルトライフルを手に前進を開始していた。
 気付けば、耳元で鳴り響いていた味方の銃撃音が、遥か後方に遠ざかっている事に気付く。
 大きく後ろを振り返れば、そこには再びゾンビ達の包囲を受ける拠点があった。
 グラースは内部の通信員と通信を試みる。
「……私達が前に出ます。皆さんはモール内への侵入阻止に専念して下さい。その後、出来れば支援を要請します」
『わかったわ。でも気を付けて。立て直しに少し時間がかかるから』
 通信が途切れるのを待たず、仲間の元へとグラースは地面を蹴る。
 程無く味方の死角をカバーする位置に付くと同時に。
『行け、僕の愛しいゾンビ軍団! 突撃だ!』
 デストルドーの宣言に従い、亡者の壁が一斉に動いた。
 

 低い唸り声。理性の欠片も無く吐き出される殺気と共に、ゾンビ達が猟兵に向けて殺到する。
 その数を大きく減らしてはいるものの、四方八方から迫り続ける彼等は未だ脅威だ。
 だが、ゾンビ達を警戒する猟兵もまた多い。
「イェーガー・ファースト、実に結構」
 オニキスが天を仰ぐと同時に、雷鳴が響き渡る。
 それと同時に、晴れ渡っていた空が、にわかに灰色の雲に覆われ始めた。
 空との境目も曖昧な、淡く薄く伸びた雲――雪雲だ。
 たちまち戦場一帯が影に覆われ、地上には途端に冷え冷えとした空気が流れ込み始めた。
 亡者も所詮は生身。気温の影響を大きく受けたゾンビ達の体は、その動きを目に見えて鈍らせる。
 続いて、ひゅんひゅん、と、彼等の頭上で、空気を切るような音がした。
 ――槍だ。不可思議な力で飛び回る氷の槍が、ゾンビ達に穂先を向けていたのだ。
 たちまち飛び散る氷の珠と共に氷刃が薙がれ、倒れたゾンビの頭部が貫かれる。
 その並外れた神力で七十六もの武器を意のままに操りながら、戦いの中で生まれた一本道を、オニキスは真っ直ぐに歩む。
「残弾全てを数減らしに使います。露払いはお任せを」
 動きを鈍らせたゾンビ達の間を自在に距離を取るように動きつつ、ノアは短機関銃《メルビレイ》の引き金を引く。
 瞬く閃光。轟く銃声に続いて、キャバリア用の巨大な銃弾が大地を穿つ。
 小刻みに区切るような特殊な射撃音は、使用者に高い命中率を担保するバースト射撃によるものだ。
 無暗に銃弾を撒き散らすのではなく、点射を繰り返す事で、ノアは脅威になりそうな個体を先んじて排除していく。
 生き残りと思しき這い摺り個体。少し大柄の個体。その悉くが、二連、あるいは三連の銃弾を叩き込まれ、他の個体も巻き込み地に伏せていった。
『ぐぬぬ……』
 ゾンビ軍団に真っ向から反撃する猟兵達と、それを歯噛みしながら眺めるデストルドーだが。
『……うおっと!?』
 側面から響いた銃声に、咄嗟に近くのゾンビの後ろへと身を隠す。
 大量の銃弾をその身で受け止め、仰向けに倒れるゾンビ。
 銃口を向けていたのは、グラースだった。
「猟兵のゾンビ、それはそれで強いのでしょうが……」
『絶対強いさ。コレクションとして手元に置いておきたいね』
 動かないゾンビを軽く蹴り、デストルドーはあっけらかんと言う。
「猟兵の強さは自由意志あってのこと。意の無い傀儡は唯のゾンビと変わらないと思います」
 どのような力も本人の自由意志が無ければ無用の長物だ。猟兵達は意志の力で世界を救い続けて来たと言える。
『実に面白いね。本当に変わらないものが出来るか、ますます君達の体で試したくなったよ!』
(「……やっぱり」)
 グラースも薄々気付いてはいたが、このオブリビオンの思考は何処までも利己的かつ即物的だ。これでは話は平行線を辿る一方だろう。
「!!」
 刹那、グラースは横合いから振り下ろされた腕を、ライフルで受け止める。
「――ほ、ほすと??」
 その姿に思わず目を丸くするグラース。襲って来たゾンビが纏っていたのは、薄汚れた普段着ではなく、清潔で色鮮やかなホストファッションであった。
 同時に、ゆらり、と同じような服装のゾンビ達が幾体も現れ、グラースを取り囲み始める。
 その時、包囲の後ろから、銀の得物が一閃された。
 頸椎が折れるような音と共に、あらぬ方向に首を曲げてゾンビホスト達が横に吹き飛ぶ。
「元を取らせる訳がないでしょう、全損させにきたのですよこちらは」
 そこには、オニキスの姿があった。
『うわ! お前ら、僕のゾンビ軍団を相手してた筈じゃあ……』
「普通のゾンビですか? 掃討完了しました」
 狼狽を隠せないデストルドーの頭上からは、残弾を撃ち切ったサブマシンガンを悠々と仕舞うノアの声が響くのだった。


『ぐぬぬ、こうなったら……行け! ゾンビホスト軍団!』
 続いてデストルドーが猟兵達に向けてけしかけたのは、虎の子と思しきゾンビホスト軍団だ。その全員が、生前は容姿の整っていたであろう男性で構成されている。
 この場の猟兵の数に応じて呼び出されたらしく、その数は意外に多い。有象無象をほんの僅かに上回る質も考え合わせれば、少数精鋭と言うよりは敵の本隊と言った方が妥当だろう。
 静かに佇むオニキスの体を引き裂かんと、四方八方から手が伸ばされる。だが。
「――腐肉の壁ですか?」
 邪魔ですね、という呟きが虚空に掻き消えたのと、オニキスの動きがぶれたのが、同時。
 得物が振り切られ、彼の周囲のゾンビホスト達が纏めて爆ぜる。
 少々動きが良くなろうが対処法は全く変わらない。狙うのは頭だ。
 氣を奔らせ、人員と間合いを絶えず把握し、オニキスは目前のゾンビ達を薙ぎ払い続ける。
 その時、端末から反応が上がった。
『守備隊、全員収容確認。狙撃開始するわね』
 拠点からスナイパーライフルによるものと思しき狙撃音が響き始め、同時に、戦場のあちらこちらでゾンビホストの頭が派手に爆ぜた。おそらくグラースの要請した支援が始まったのだろう。
 ノアもまた拠点の包囲に余裕が出来た事を察すると、『親衛海軍工廠製 XRX-007 試作対艦突撃槍《ノーチラス》』へと武装を切り替え、得物を両腕で抱えるような構えを取る。
 その穂先は、今や人員を減らし、疎らとなったゾンビ軍団の後ろに見え隠れする、デストルドーへと向けられていた。
「私のキャバリアと彼の人海戦術、どちらが強いか勝負といきましょう」
 ノアが推進機を作動させた瞬間、風と共に鋼鉄の機体が駆けた。
 それは、戦いの趨勢を決める、必殺のランスチャージであった。
『……うわっ!?』
 軌道上のゾンビ達を派手に薙ぎ倒しながら高速で迫る機体。デストルドーが回避を図った瞬間には、その長大かつ重厚な突撃槍は、既に目前に在った。
 鋼鉄の塊を突き動かす巨大な推力が穂先の一点へと集中し――そこで、炸薬が爆ぜた。
『どへーっ!?』
 巻き起こる爆風を貫通してなお止まらぬノアの機体。その破壊力に弾き出されるように、デストルドーは薙ぎ払われたゾンビ達と共に前方へと吹き飛ぶ。
「今です!」
 瞬間、グラースもまた地を蹴っていた。
 デストルドーの着弾点に向けて駆け、そこへゾンビホスト達を呼び出していた。
 地面スレスレを飛翔する少年と、地上で待ち構える大量のゾンビホスト達が衝突し、塊になって転倒する。
「ガブッとお願いしますね」
『ぎゃーっ!?』
 群がるゾンビホスト達が熱い抱擁をかますと同時に、デストルドーの悲鳴が響き渡る。周囲ではゾンビホスト同士の殴り合いが始まっており、混沌を極めている。
 やっとの事で乱闘から這い出したデストルドーだが、既に噛まれてしまったのか、最初の余裕は既に無い。
『うわっ!?』
 そんなデストルドーの背中に、鈍い音を立てて、一本の矢が深々と突き立つ。
 乱戦の隙を縫い、グラースが手廻し式のクロスボウを放ったのだ。
「これが猟兵の強さです」
『うぐぐ、よくも……』
 急ぎゾンビホストの群れの向こうに姿を消すデストルドーだが、逃走を図るその姿は遠目からわかるほどに弱り切っている。特に先程の一矢は明らかな致命傷だ。
 満身創痍のデストルドーが発する特殊な気配は、とりわけ見えざるものを見るオニキスにとって、読み取り易いものであった。
 戦いに終止符を打つべく、オニキスは大きく後方へと腕を引く。
 その手には《枝》があった。
 刹那、渾身の力で投擲。
 一直線に宙を翔ける白銀の一刺は、重く、鋭く、確実に、デストルドーの心臓を貫き、その身を墓標の如く大地に突き立てた。
 デストルドーが息絶えると同時、その亡骸は白い輝きと化して、アポカリプスヘルの大地にサラサラと吹き散らされる。続いてゾンビホスト達も残らず崩れ落ち、全く同じ末路を辿った。
 静寂の後、喜びを爆発させるような快哉が拠点から響き始める。
 長きに渡る籠城戦。その軍配が、人類側に上がった瞬間だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年11月16日


挿絵イラスト