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キャバリアロードは乙女の嗜みでしてよ！

作者：篁佐登花

●コロシアム控室兼整備室にて
「わたくしたちキャバリアお嬢様が握っていいのは、キャバリアのレバーだけですわ。拳を握って近接格闘に持ち込むキャバリアは控えめに言って反吐が出ますわ」
「あら、遠距離射撃に頼るなんてキャバリアお嬢様の風上にも置けなくてよ？」
「オーホッホ、どちらも笑止ですわね。様々な変形機構を使いこなし、臨機応変に立ち回るのが真のキャバリアお嬢様に決まってますわ」
　何気なく聞いただけではお嬢様たちが上品に会話を交わしているようだが、実のところはお互いがお互いを罵り、煽りあっているに過ぎない。
　そう、ここはクロムキャバリアの中でもキャバリア乗りの乙女たちが通う学校が覇権を争う地域『聖機矢馬莉亞（セイントキャバリア）学生国』！
　この国ではキャバリアの操作に長けているのは女性、しかも思春期の乙女が特に適性が高いらしい。ゆえにそれぞれの戦闘スタイルに特化された一流女学校が設立されるのも必然！
　世はまさにキャバリアお嬢様戦国時代！　彼女たちは日夜研鑽に励み、キャバリアお嬢様力を高めている。
　そしてキャバリアお嬢様たちの戦いは練習という名目でコロシアムにて賭けの対象にもされていた。今回のカードは予選・決勝戦ともにバトルロイヤル方式。一部のトップランカーはシード扱いで決勝戦出場予定である。
　ただし、予選の中にはオブリビオンマシンと化した機体が一体紛れ込んでいる。紛れ込んだオブリビオンマシンは他の機体をオブリビオンマシン化していくようで、放っておけば大惨劇が待っている。速やかに破壊しなければ……。

「誠におなごというのは恐ろしゅうございますなあ。見た目は美しくとも腹のうちでは……と、これ以上は申し上げますまい」
　調子に乗って口を滑らせた羽柴新右衛門。過去に何かあったのだろう。
　それはさておき、新右衛門が言うには予選に紛れ込んだオブリビオンマシンの操縦者はトップランカー入りを目指すため寝る間も惜しみ、整備やシミュレーターでの練習を欠かさず、またフィジカルの鍛錬にも余念がない優等生らしい。
「ただですなあ、上手く紛れ込んだようで、予選ではそれとは分からないように工夫しているようでございます。しかし勝ち上がってくることは間違いございませぬ」
　つまり決勝戦にならなければ、どの機体がオブリビオンマシンか分からないということだ。だが予選と決勝戦の間に休憩と整備の時間が与えられるので、その間に目星を付けられるだろう。
　さらにもう一つ注意点があると新右衛門は言う。
「決勝戦ではとっぷらんかーの皆様も参戦されるのでご注意あそばされませ」
　扇子を頭上で扇いで、応援するような動きで新右衛門は猟兵たちを見送る。

第1章 集団戦 『機動闘士『大熊猫壱号』』

POW   :    Vの字斬り 【フォースセイバー】が命中した対象を切断する。 SPD   :    アシッド・ハリケーン 【頭部排気口より強い酸性の嵐】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。 WIZ   :    (例のBGMに似たような曲) 【勝手に流れ出す何処かで聞いた曲に似た曲】を披露した指定の全対象に【色んな意味でデンジャラスな】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。 イラスト：コンドル中村 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

　本日はお日柄もよく、キャバリアお嬢様力を見せる絶好の機会となりました！
　さて、対戦方式は最近珍しいバトルロイヤルです。そして今回はなんと、猟兵の皆様にもご参加いただけるという、超が３０００億ほどついてもおかしくはないレアな方式となっております。
　なお予選は制限時間内に残っている二十体前後のキャバリアお嬢様方と猟兵の皆様が決勝戦へと臨むことになります。
　さあ、各校のキャバリアお嬢様たちがコロシアムへと機動闘士（ムーヴメントバトラー）『大熊猫壱号（ジャイアントパンダ・ザ・ファースト練習機仕様）』で入場して参ります。
「お聞きになりまして？　猟兵の皆様とお手合わせできるなんて光栄ですわ」
「ええ、ですが果たして一流校に通うわたくしたちモブキャバリアお嬢様に敵いますかしら？」
「そうですわね、いくら猟兵の皆様でもモブキャバリアお嬢様力（ぢから）を舐めないでいただきたいですわ。舐めるのはわたくしたちの靴、いえコロシアムの地面ではありませんこと？」
　おーっと、入場早々自分たちをモブキャバリアお嬢様と認めた上での煽り！　本音がダダ洩れです！　さすが一流校のキャバリアお嬢様方は一味違う！　すでに負け確オーラが出ております！
　そして、そろそろ勝ちキャバリアお嬢様券の発売締め切りが近づいております、お求めの方はぜひお急ぎくださいませ。また、お求めになった勝ちキャバリアお嬢様券は最後まで大切に大切にお持ちくださいませ。


　えー、こちらの猟兵さんは元々は名前がないということでブランク・コード（ｶｯｺｶﾘ）の名で登録されているようですね。
　では、その戦いぶりを見て参りましょう……あっー！　すでにブランク選手、モブキャバリアお嬢様方に取り囲まれております！　最新鋭機を駆っているとはいえ果たして大丈夫なのでしょうか！？
「フフフ……猟兵様、お覚悟あそばされませ！　ほどほどの性能とはいえ、これだけの数で臨めば最新鋭機といえど、スクラップの掃き溜め送りは間違いございませんわ！　卑怯という言葉は誉め言葉でしてよ！」
　これは素晴らしい、キャバリアお嬢様としての心得が行き届いている証拠であります！　そして、何処かで聴いたことがあるようなないような、そんなデンジャラスなＢＧＭがブランク選手を囲む全機体から聴こえて参ります！　デンジャラスです、色々な意味でデンジャラスです！　実況席の私ですらデンジャラスに感じるＢＧＭです！
　さあ、これに対してブランク選手に打つ手はあるのか！？
「ええ、はい、本国から許可が下りている？　分かりました、仕方ないですね……強制同調と並列化開始――」
　どうやら観客席にいる上官と連絡を取っていた模様です。ですが、それで一体何が起こせるというのでしょうか！？
「「「真のモブとは私達のことでしてよ？？　一般モブキャバリアお嬢様は全ての私達が地面をベッドに、そこらへんの雑草をオフトゥンとしておねんねへ導いて差し上げますわ！」」」
　こ……これは……なんということでしょう！　次から次へとブランク選手と同じキャバリアが現れてくるではありませんか！　そして機動闘士『大熊猫壱号』たちの脚部を統率された動きで切断して戦闘不能にしています！　しかも無駄のない動きです！
「全く、なんですの！　お嬢様にあるまじきデンジャラスなＢＧＭをお流しになって！　流すのは自分たちのお排泄物だけにしてくださいませんこと？」
　出ました、ブランク選手の勝ち確宣言！　モブキャバリアお嬢様を上回る、キャバリアお嬢様力です！　男性ですけれども！
「ＢＧＭ選曲のお勉強は初等教育以前からやり直しては如何かしら？……あの、こんな感じでいいんでしょうか？　正直疲れてきました、この口調」
　いいんです！　何の問題もございません！

大成功 🔵​🔵​🔵​

　なぜかわかりませんが、コロシアム内にて素晴らしくＭＩＹＡＢＩなデコトラが、次々とモブキャバリアお嬢様方のキャバリアを撥ね飛ばしているではありませんかっ！
　このＭＩＹＡＢＩなデコトラ、私のキャバリアお嬢様力レーダーがビンビンに反応しております！
「キャバリアお嬢様戦国時代ということはお呼びでございますわね！　大名・御堂家の娘たるわたくしを！　それにしても、キャバリアロードの響きにわたくし、異様な親近感を抱いておりますわ……！」
　えー、私の手元の資料によりますと、御堂・茜選手は大名家のご令嬢！　これは観客の皆様も納得のいくキャバリアお嬢様と言っても差し支えないでしょう！
　しかし、それだけで生き残れるほど『聖機矢馬莉亞学生国』は甘くございません！！　デコトラで戦うことは禁止されておりませんが、果たして御堂選手は戦い抜くことができるのでしょうか！？　注目致しましょう！
　んん！？　デコトラから何やら出てきましたが、当コロシアムにて貸し出しされている機動闘士『大熊猫壱号』（和風甲冑モデル）ではありませんか！　そして、これは馬型のキャバリア？……それにしてはやや小ぶりです。
　猟兵の皆様には予選からそれぞれのキャバリアの持ち込みは許可されているはずですが……何かの手違いでしょうか？
「キャバリアとは操縦するものにあらず、御堂がキャバリアになるのですッ！！！」
　自らがキャバリアになるとは一体どういうことなのでしょうか、私にはもう訳が分かりません！
「キャバリアに乗っているようでは、いえ乗せられているだけではこの乱世は生き残れませぬ！　刮目なさい、チェンジ・キャバリアフォーム【超合体大将軍ジャスティスミドウカイザー】！！」
　なんとなんと、御堂選手がポーズを決めると機動闘士『大熊猫壱号』と先ほどの馬型キャバリアが合体したーっ！！
　いえ、言いすぎました、正確には『大熊猫壱号』が馬型キャバリアに跨っているだけです！　とはいえ、なんというキャバリアお嬢様力……これにはモブキャバリアお嬢様方も後退りするしかありません！
「くっ、な……なんてキャバリアお嬢様力なんですの！　しかし、ここで立ち向かわなければモブキャバリアお嬢様としての立場がありませんわ！」
　モブキャバリアお嬢様方も必死です！　果敢にフォースセイバーで立ち向かう！
だが、やはり敵わないのかーっ！　次々とジャスティスミドウカイザーの気合が入ったフォースセイバーに斬り捨てられ、あるいは蹄にかかっていきます！
「フッ……またつまらぬものを切り捨ててしまいましたわね。これが御堂家お嬢様の生き様にございます！」

大成功 🔵​🔵​🔵​

　こちらのロスタ・ジーリード選手の戦いぶりはいかがでしょう？
「まあ。みなさまとっても貧相なお姿をしていらっしゃいますからあ、おじょうさまとはおもいませんでしたわ。ごめんあそばせ？」
　キャバリアお嬢様界隈ではよくある煽りですが、しかし、この年齢でここまでハッキリ仰るキャバリアお嬢様もなかなかいらっしゃらないでしょう！
　モブキャバリアお嬢様方はこのような幼女にまで煽られて今どんな気持ち？　ねえねえ、どんな気持ち？
「このメスガキィィィィ、おふざけが過ぎましてよ！　それに実況、あなたまで煽りにきてなんなんですの！？」
　あーっっと、完全にブチギレです！　どこかの血管がキレる音が聞こえるくらいのブチギレようです！　お言葉ですが、私にキレているようでは勝てる試合も勝てないかと思われます！　逆にロスタ選手は余裕綽々といった模様！
「では、そんな貴女たちへ、わたくしの最高にエレガントなキャバリアをおめにかけますわね。さ、いきましょう。シャーデンフロイデ」
《承認》
《我は遍く生命をほろぼし、遍く終焉をもたらすもの》
《個体認識名称-Schadenfreude》
《awakening》
「余裕ブッこいてられるのも今だけでしてよ！　さすがに落ち着いてきましたわ」
　いやー、落ち着いてるようにはとてもではないですが見えません！　荒い息遣いがキャバリア越しに伝わってくるようです！
　さあ、こちらでもあのデンジャラスなＢＧＭが、デンジャラスさを増して聞こえてきます！　果たしてロスタ選手は無事なのでしょうか！
　なんと、無事です！　そして驚くことに、御髪を洗うかのごとき仕草を、シャーデンフロイデと呼ばれる機体にさせてさえいます！　キャバリアお嬢様方もやはり動揺を隠しきれずに立ち尽くしています！
「【呪縛黒輪】よ、シャーデンフロイデ。術式を多重起動なさい。さあさあ、どんどんしばっちゃいましょうねえ」
　こ……これは一体何なのでしょうか！？　黒い輪のようなものがモブキャバリアお嬢様方のキャバリアの動きを封じていくではありませんか！
　そして動けなくなった機体の首をロスタ選手のシャーデンフロイデが捩じ切っていく！　いく！　いくゥ！
「これが格の違いというものですわ、ＡＰＥのような頭では理解できないでしょうけど。それから一つ、いいことを教えて差し上げますわ。あたし、女児向けアニメしか見ませんの」

大成功 🔵​🔵​🔵​

　こちらのカナメ・エッドール選手は初陣とのことですが、そのキャバリアお嬢様力はいかほどでしょうか！？　少々ぎこちない動きにも見えますが、何か困惑することでもあったのでしょうか？
　情報によりますと、とある施設で育ったとのこと。なるほど、これは箱入りのキャバリアお嬢様ということでしょう。雰囲気に飲まれないようにするのが精一杯ということなのでしょう。
「あらあらあ、こちらの猟兵様はキャバリアお嬢様力がまだまだと見えますわね。では、少しくらい手加減して差し上げましょうねえ」
　カナメ選手、モブキャバリアお嬢様方から完全に舐めプされております！　距離を詰められたかと思うとシールドアタックのみで攻撃されております！　まるで「フォースセイバーを使うまでもない」といった感じでしょうか。
　幸いキャバリアは新型とのことですので、躱してはいますが、それもいつまで保てるか！　燃料切れで動けなくなってしまった場合はその場で失格となってしまいます！
「さて、お遊戯もここまででしてよ。例の『アレ』を使わせて頂きますわ！」
　あーっ！　やはりデンジャラスなＢＧＭでデンジャラスな感じです！　このまま放置されては本当にデンジャラスです！　権利団体的な意味で！　それは私としても非常に困ります！
「ええい、なんだこの不愉快な音は！　私を惑わすのはやめろ！」
　カナメ選手、思わず背を向けて距離を取ろうとします！　しかしＢＧＭは鳴りやみそうもありません！　お願いですから何とかしてください、何でもしますから！
「こうなったら……行って、ビットたち！」
　カナメ選手のキャバリアから、小型のホーミングレーザー兵器が射出されてきました！　どうやらプログラムで遠隔操作しているようで、次々とデンジャラスな音源が破壊されていきます！　モブキャバリアお嬢様方は勝ち確から一転、負け確だー！
　音源を破壊されてはデンジャラスなＢＧＭは流せません！　私も正直ホッとしています。
　秘密ではない秘密兵器が破壊されては、やはりモブキャバリアお嬢様方も動揺を隠せない様子！　カナメ選手を追うモブキャバリアお嬢様はビームライフルの背面撃ちによって、目前のモブキャバリアお嬢様はビームサーベルで切り裂かれて倒れていきます！
　初陣でこれだけの動きができるようでしたら、カナメ選手のキャバリアお嬢様力の伸び代は十分と思われます！

成功 🔵​🔵​🔴​

　私たちには男性がキャバリアを扱うなど及びもつかないわけですが、猟兵の皆様はやはり違うということでしょう。上野・イオナ選手もその内に入る方のようです。
　えー、参加コメントによりますと「巨大ロボは扱えるけど、たまには別のロボも試してみようかな！」ということです。どうやらキャバリアに似た何かを操縦することに長けているようですが、果たしてモブキャバリアお嬢様方相手にどのような戦いを見せてくれるのか楽しみでなりませんね！
　イオナ選手はどうやらモブキャバリアお嬢様方と同じく、機動闘士『大熊猫壱号』を駆るようです！
「あら、わたくしたちモブキャバリアお嬢様に殿方が挑もうだなんて可笑しくて可笑しくて……笑い死にしそうですわ！　愚かにも程がありましてよ？」
「さて、それはどうだろう。でも、同じ機体を操るモブキャバリアお嬢様なら僕を簡単に倒せるんだよね？」
「あら……なんてイケボなんでしょう、お顔もきっと麗しいのでしょうね。いえ、今は敵同士。ああ、もし神がいらっしゃるなら、なんて残酷なことをなさるのでしょう……」
　どうしたことでしょうか、こちらのモブキャバリアお嬢様方はややキャバリアお嬢様力が低下しているようです！　それはコロシアム側としては困ります！　観客の皆様、特に男性からはブーイングの嵐です！
「ハッ、いけませんわ！　では正々堂々、モブキャバリアお嬢様としての力をお見せ致します！」
　出ました、デンジャラスなあの曲！……のはずなんですが、あちらこちらから聴こえてくるものより優しさを感じます。デンジャラスには違いないのですが！
　しかもなんと、イオナ選手は対抗してこれまたデンジャラスな曲を奏でます！　これはマズい！　色々マズいです！
「これに耐えられたモブキャバリアお嬢様こそ、一流のモブキャバリアお嬢様のはず。さあ、正々堂々勝負だ！」
「いえ、参りました。そのように素晴らしい音色を奏でられては、わたくしたちの完敗ですわ。また一からキャバリアロードに励むことに致しますわ。他の皆様もよろしくて？」
……イオナ選手に挑んだモブキャバリアお嬢様が次々と降参してしまいます。
　これには私も怒髪天を衝く勢いですわー！　イケメン、滅ぶべし！

大成功 🔵​🔵​🔵​

「あら、どちらの生徒なのかしらかしら？　あなたにはまだキャバリアお嬢様デビューはお早くてよ？　しかもキャバリアもなしでなんて、これは年長者として教育的指導が必要ですわね！」
「キャバリアお嬢様……？　意味は分かんなくもないんだけど……お嬢様なら優雅に華麗に優しく美しくだね」
　あ、そちらの天星・暁音選手は猟兵さんなので問題ございません!
　それと見た目だけでは分かりづらいと思いますが、「彼」は男性なのでキャバリアお嬢様力については未知数です！
　ですが、モブキャバリアお嬢様方はとっととやられてください、そういう感じの流れですので！
「この実況、なんなんですの！？　ハッキリ言ってクソわよッ！」
私にブチキレェェェェるのも結構ですが、その間にも天星選手が取り付いちゃっておりますよ！
　そして、手にしたパラソルでひたすら殴打！　そこそこの装甲しか持たない機動闘士『大熊猫壱号』は大破！　だとしても、なんという破壊力でしょう、キャバリアお嬢様力も裸足で逃げ出す勢いです！
　さあ、地上へと戻った天星選手へ、フォースセイバーによる【Ｖの字斬り】が炸裂！……していない！　指を弾丸によって破壊することで攻撃をさせない！
　一体どこから弾丸が飛んできたのでしょうか！？（カメラさん、寄ってください）手にしたパラソルはどうやら仕込み銃だったようです！
　さすが天星流・戦闘術の使い手、キャバリアがなくとも己の肉体と武器で勝負できるようフィジカルも鍛えろということなのでしょう！
　さらに嵐のような【Ｖの字斬り】が襲い掛かる中を、軽やかにダンスのステップを踏むかの如く天星選手は通り過ぎていきます！
「天星流・戦闘術の真髄はそこら辺にある日用品だって武器に出来ることなんだよ。どんな相手でも甘くみるな、油断するな……は、ちゃんと教えて上げられたのかな？」
　天星選手はそのつもりがないでしょうが、なかなかの煽りです！　もはやキャバリアお嬢様力に性別は関係ないということでしょう！

成功 🔵​🔵​🔴​

「僭越ながら皆様の罵り合……こほん、議論を拝聴させて頂きました感想を申し上げます」
「ハァ～！？　今なんと仰いまして？　しかも今は試合中ですのよ。いくら殿方でも、いえ、殿方だからこそ分からせる必要がございますわね！」
　終夜・日明選手、それ以上はいけません！　モブキャバリアお嬢様の感情を逆撫でしてしまいます！
「ぶっちゃけますと、何かをageて何かをdisるというのはキャバリアロードの魅力を伝えるどころか、著しく損なわせてしまう結果にしかなりませんのでお控えになるのがよろしいかと愚考致します。互いをリスペクトした上での全力を尽くすことこそ至上」
「猟兵の皆様はいざ知らず、こと『聖機矢馬莉亞学生国』においてはageるdisるはキャバリアロードの基本どころか基礎なのですわ！　これ以上は問答無用！」
　そうなのです。悲しい哉、私たち男性はこの国においてカーストはブッチギリで最底辺。
　私はまだ実況の名目で煽ることが許されますが、一般男性は日常生活において非常に肩身の狭い思いなのです……。
　ゆえに終夜選手、モブキャバリアお嬢様方をいてまえー！　後のことなど私は知りません！
「そうですか、では【星幽の雷驟雨（シュトゥルム・アストラルブリッツ）】起動」
　さあ、終夜選手の遠隔操作兵器展開に対してモブキャバリアお嬢様の取る戦術はデンジャラスなＢＧＭを流し始めるー！
　ですが、終夜選手には効果はイマイチなようです！
「ターゲット補足、ビットパージ。オールレンジ攻撃開始」
　終夜選手の遠隔操作兵器はビーム射撃をしたかと思うと、次にはモブキャバリアお嬢様の駆るキャバリアの手足をビームサイズで切断して戦闘不能に陥れる!
「分かり合えないって悲しいことですね――戦場において、こだわりを持って戦えるのは真の強者のみですよ」

成功 🔵​🔵​🔴​

　ヴィヴ・クロックロック選手、どうやらキャバリアの用意を忘れてしまっていたようだー！　時間内にお手続き頂ければ当コロシアムにて貸し出し致したのですが、それも手遅れとなっております！　猟兵の皆様はうっかり屋ばかりなのか！？　それともヴィヴ選手がマイペースなだけなのか！？
「猟兵の皆様とキャバリア同士のお手合わせができると楽しみだったのですが、ガッカリですわ。これでは勝負になりませんもの」
　いけません、お嬢様！　その流れは間違いなく負け確フラグ！　強い言葉はお使いにならないほうがよろしいかと、弱く見えてしまいます！　実際にモブキャバリアお嬢様なので、強いわけではないのですが！
　さあデンジャラスなＢＧＭを流すモブキャバリアお嬢様！　そこへヴィヴ選手が強引に歌詞を被せる！
「聞いてしまえば確かに危機的な感情が溢れて止まりまらない～！　倒せと私のハートが訴え光る～！　訴えられる前に倒せと！！　残敵をＺＥＲＯにしてしまえと！」
　音程が素晴らしく外れていますが、なんとパワフルなオーラ溢れる歌声なのでしょう！　まるで意思が力を帯びているような……
「星空よりも輝け光の巨人よ！　サクッとぶん殴ってさしあげてよー！！！」
　マジだったー！　光の中から現れたキャバリア的なものが次々とモブキャバリアお嬢様方のキャアリアをぶん殴っていくゥー！
　見た目はなんともありませんが、力を逃がさないように攻撃しているようです！　殴られたキャバリアは微動だにしなくなっています！
　えー、なお、今入った情報によりますと、ヴィヴ選手はご自分の勝ちキャバリアお嬢様券を５０枚購入されているようです！
　手元の登録写真を見ますとティーンエイジャーにも見えますが、実際は三十……失礼、成年でありますのでこのまま予選突破に成功すれば、的中勝ちキャバリアお嬢様券となります！
……あの、もしやヴィヴ選手がキャバリア登録できていなかったのはこれが原因ではありませんよね……？

大成功 🔵​🔵​🔵​

「キャバリア乗り達が集まる学園って意味では、少し親近感を覚えるね。僕らの学園も大枠で言えば、そんな感じだし」
「気安くおっしゃらないで、わたくしたちはこの国でも選ばれたエリート。そこらへんの雑草食ってる国のキャバリア乗りと同じにされては困りましてよ！」
　イオリ・カクトゥス選手、モブキャバリアお嬢様に親近感を感じたようですが、おやめになったほうがよろしいかと。我が国のおかしな思想を植え付けられても困りますので！
　なお、我が国で言論統制や思想の弾圧「は」行われておりません！　誤解だけは無きようお願い申し上げます！
　さて、イオリ選手にとっては未知数のキャバリアお嬢様力にどう対処するのか！　今回の予選では比較的まともな戦闘が見られるかと思います！
　先手を取ったのはモブキャバリアお嬢様方、フォースセイバーで通り一遍の【Ｖの字斬り】を仕掛けようとします！
　イオリ選手は落ち着いて『D-Ogre』の手にした四本のトンファー型ガトリング砲に火を噴かせます！　あっという間に弾幕が張られ、モブキャバリアお嬢様方はなかなか近寄れません！　しかし、それでもシールドを手に突破を試みる果敢なモブキャバリアお嬢様もいらっしゃいます！
「その首、頂戴いたしますわよ！」
「へー、それがキャバリアお嬢様力なんだね。だけど、たとえキャバリアお嬢様力では敵わなくとも、僕らは僕らの力を信じるだけだよ。そうだよね？」
　ですがそれも虚しく、振り上げたときには掃射をやめた腕のトンファーでフォースセイバーを弾き飛ばされている！
　イオリ選手には一切のムダがありません、動きにロスがないとはまさにこのことを言うのでしょう！　対して【Ｖの字斬り】には決定的な弱点がございます！　そう、振りかぶりが非常に大きいのです！
　機動力では機動闘士『大熊猫壱号』が上回るものの、イオリ選手が駆る『D-Ogre』の攻防一体の兵装には敵いません！
　イオリ選手は順調に勝ち上がっていけること間違いないでしょう！

成功 🔵​🔵​🔴​

第2章 日常 『魅惑の銭湯プラント』

POW   :    じっくりと、腰を落ち着けて温まろう SPD   :    様々な湯を反復して楽しもう。 WIZ   :    効率的に、色々入って疲れをとろう。。 👑5 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

　かくして一事が万事、以上のような有様だったのだが予選終了の合図がなされる。
　その時点での勝ち残りは猟兵たちを含め二十数名ほど。決勝戦ではこのメンバーに加え、三大名門校代表のキャバリアお嬢様が各一名ずつ加わることになる。
　問題は「オブリビオンマシン」が勝ち残っていることが確実なのである。どの機体が「オブリビオンマシン」であるか、また、どの出場選手が操縦者であるのか判明していない。
　もちろん、三大名門校代表のお嬢様にも分かりはしない。ただ純粋に己のキャバリアロードを邁進するのみ。
　猟兵たちは休息する者、機体の整備に余念が無い者、コロシアム内を楽しむ者、あるいは「オブリビオンマシン」とその操縦者の目星を付けようとするなど様々である。
　決勝戦で「オブリビオンマシン」が判明次第、自分たちへの攻撃をやめるよう三大名門校代表への説得も有効かもしれない。
　それぞれが己の行動理念に基づき動き出す。


　天星・暁音は悩んでいた。特に煽ったつもりはないが、実況に「煽り」と取られてしまったことを。
「うーん、戦いに対する心構えの問題をちょこっと示しただけなんだけど……」
　呟きながら、ぶくぶくと頭のてっぺんまで湯の中に沈んでいく天星。
　そう、彼がいるのはコロシアム内の入浴施設『湯ートピア・Ｓｅｎｔｏ』。予選で埃っぽくなった身体を洗い、ついでに疲労回復というわけだ。
　湯から浮かび上がった天星は次に「おハーブの湯」と書かれた薬湯へと身を浸ける。どんな効能があるかは分からない、しかも本当に薬湯かどうかも怪しいが。
「（お嬢様というからちょっと見本をと思ったんだけど……んー、仕込み銃をぶっ放すのはお嬢様じゃないのかも？　でも、キャバリアお嬢様を目の当たりにすると、そんなこともなさそうだし……）」
　一応疲れは癒されているようだが、その分天星の悩みは尽きない。
「（まあ、いいや。気にしても仕方ないもんね）」
　湯から上がると普段着に着替え、一人ずつ与えられた整備室を兼ねた控室で小さな人形たちを喚び出す。
「お願いお人形さんたち、オブリビオンマシンとその操縦者さんを探してきて。見つけた子にはあとでご褒美をあげるからね」
　そう天星は人形たちへ伝えると、人形たちはコロシアム内へ散っていく。そして決勝戦へ備えて身支度を整える。
　蛇足ではあるが、『湯ートピア・Ｓｅｎｔｏ』へ天星は女装姿で訪れたため、受付で女湯へ案内されそうになる。しかし他のスタッフが天星のことを女装した猟兵であることを思い出し、無事に男湯へ案内されたとかなんとか。

成功 🔵​🔵​🔴​

　予選を勝ち残ったカナメ・エッドールにはどうしても気になることがあった。
　それすなわち、「キャバリアお嬢様」とは一体どのような存在かについてであった。情報収集も重要であるが、キャバリアお嬢様、ひいてはキャバリアお嬢様力について知ることができれば、この国を理解することにつながるであろうとカナメは考えていた。
　早速カナメは三大名門校の一人へ接触を図るため、控室兼整備室へと足を運ぶ。
　扉をノックすると、
「どなたか分かりませんが、どうぞ」
　と意外にもすんなりと入室を促され、失礼致しますとカナメは一声かけ入室する。
「あら、猟兵様ではございませんか。わたくしに何か御用ですの？」
「すみません、少々お話を伺いたいのですがよろしいでしょうか？　この国ではキャバリアお嬢様力が強いほど能力も高いということですが、どういう理屈なのでしょうか？　参考までにお話を……」
　カナメがそう切り出すと、けん制するような仕草でキャバリアお嬢様は話を遮る。
「あなたの戦いぶりは特等席で拝見致しましたわ。初陣だそうでしたが、まず及第点というところかしら。しかし、キャバリアお嬢様力の点ではまだまだですわね。キャバリアお嬢様力とは理解するものではなく、感じるもの。そして、キャバリアロードを極めんとするならばまず言葉遣いからでしてよ」
　カナメは失礼のないよう振舞っていたつもりだが、咳払いを一つすると口を開く。
「あなた、シードでの決勝戦出場ということですが、わたくしも決勝戦に進出しましたの。お手柔らかにお願い致しますわ。ところで、あなた以上にやべえキャバリアお嬢様はいらっしゃるのかしら？」
　カナメのたどたどしさ残る言葉遣いを微笑ましいものに感じたようで、笑みを浮かべながら腕を組み、自信満々に話し出す。
「まず他の二校の代表はわたくしに負けず劣らずといったところですわね。彼女ら二人とは強敵（とも）と呼べるような存在ですの。しかし、最近成長著しい方が他に一人いらっしゃいますわね。ですが、早いうちに叩きのめして、誰がキャバリアお嬢様オブキャバリアお嬢様なのか分からせて差し上げるつもりでしてよ」
　トップランカーともなると、キャバリアお嬢様力を見る目は肥えているようで、注目している選手がいるらしい。
　思わぬ情報を得たところで、カナメは部屋を後にした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

　終夜・日明はさっとシャワーで汗を流した後は、予選突破者に与えられた個別の控室兼整備室でキャバリアの整備に勤しんでいた。
　コロシアムには専門の整備士も常駐していたが、終夜もしくは組織の者でなければ手を出せないような専用チューンアップがされている部分があるので控えてもらうことにした。
　また、コロシアム内に張り巡らされたネットワークのハッキングによってオブリビオンマシン及び、その操縦者の情報も集めていた。
　そして決勝戦でオブリビオンマシンが判明後、観客たちの避難誘導が迅速に行われるよう、根回しをしに三大名門校代表のキャバリアお嬢様の下を訪れる。
「オブリビオンマシン……？　よく分かりませんが、できない相談ですわね。観客の皆様はわたくしたちの戦いを楽しみにしており、また賭けの対象としてお金が動いてますからなりませんわ。……ではモブキャバリアお嬢様には近づかせないよう取り計らいましょう。それでいかがかしら？」
　また、モブキャバリアお嬢様方を対象にした勝ちキャバリアお嬢様券については特払いが後に行われるようコロシアム側に申し入れることを付け加えた。
　これ以上の譲歩を引き出せそうにないと判断した終夜は静かに頷く。
「それに、わたくしは猟兵の皆様ともお手合わせしたいの。オブリビオンマシンとやらが片付いたら遠慮なく殺りましょう？」
　終夜の思った通り、やはり三大名門校代表であるキャバリアお嬢様はプライドが高く、猟兵相手に死合えることを楽しみにしているようだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

　大太刀の素振りをしながら御堂・茜は色々と考えていた。
「（三大名門校代表の皆様とはどのような方なのでしょう！？　いえ、オブリビオンマシンとその操縦者の正体を調査するのが先決でしょうか？　どちらにせよ、ライバルの偵察をしておくのがお嬢様バトル漫画のセオリーでしょう！）」
　素振りの手を止めると茜は軽く両手でパンパンと音を鳴らす。
「出でよ、御堂の忍よ！」
「お呼びでしょうか、姫様」
「あちらからノットジャスティスなエナジーが感じられます、おそらくオブリビオンマシンとその操縦者でしょう。正体を探ってらっしゃい！　ついでに三大名門校代表のキャバリアお嬢様を一名だけでも調査するのです！」
「ハッ！　しかと」
　御堂の呼び出した忍は素早く気配を消すと、二手に分かれて動き出す。
　オブリビオンマシン側は一旦置くとして、こちらは名門校代表のキャバリアお嬢様側。
「へえ、スパイを放ってくるとは見上げた方もいらっしゃるようね。セバスティアン、おもてなして差し上げなさい！」
　キャバリアお嬢様が指をパチンと鳴らすと、セバスティアンと呼ばれた執事はテキパキとお茶を用意し、御堂の放った忍のほうへ目配せする。逃げ切れないことを悟った忍はキャバリアお嬢様の目の前で平伏するしかない。
「おハーヴティーでも飲みながらわたくしの話に付き合って……熱ッッ！」
　しばらくして、休憩に入っていた茜はジャスティスまんじゅうを口にしながら、げっそりとした様子をした忍の報告を聞く。
「さすがトップランカーですわ、器が違いますわね。自らの手の内を自慢げに話すだなんて、よほど自身がおありなんでしょう。一筋縄ではいきそうもありませんわ」
　そう考えると、繊維の高揚からか、再び大太刀を握りなおした茜の手に力がさらに入る。
　あとはオブリビオンマシン側に放った忍びの報告を待つ茜であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

　自らに賭けた勝ちキャバリアお嬢様券が見事的中したヴィヴ・クロックロック。
　多少懐が潤ったが特にやることもなく、リラックスがてらコロシアム内をふらついていた。
「（そうだ、ユーベルコードでいつまでも代用するわけにもいかないからキャバリアでも見繕ってみようか。詳しいわけでも顔が利くわけでもないが、一機くらい適当に何とかなるだろう）」
　機械なんて壊れる前提だし、スクラップでも掘り出し物の一つくらいあるだろうと、思い付きでスクラップ処理場へと足を向けるヴィヴ。
　ちょうど若い男性作業員が目についたのでヴィヴは声をかける。
「ああ、パワフルな歌声を披露してた猟兵のキャバリアお嬢ｔｙ……お嬢様ね。スピーカー越しでも分かるくらい、音の外れ方もすごかったけど」
　褒められてるんだか貶されてるんだかよく分からないが、ヴィヴの名前は憶えてくれていたらしい。
　ヴィヴがなんやかんや希望を伝えると、作業員は振り返って叫ぶ。
「おやっさーん、猟兵さんが一機欲しいんだと。こういうのはおやっさんの得意なとこだろー？」
「『アイツ』でよけりゃタダで持って行ってもらえやー！　元は工作用とはいえ、性能は問題ねえんだ。……ったく、お嬢様方は見たくればっか気にしやがって。だったら猟兵さんに使ってもらったほうがいいってもんだ」
　というわけで、ヴィヴが手に入れたキャバリアは素体が工作用ではあったが装甲は十分、各所にスラスターを追加して運動性も確保。武装は工作用ドリルと掘削用パイルバンカーを片腕ずつ。残念ながら燃費が悪く、射撃武器が手に入らなかったのが弱点とはいえる。
　オブリビオンマシンについては、噂程度の情報が手に入ったぐらいのヴィヴだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

第3章 ボス戦 『モデル・ブラッククイーン』

POW   :    ブラッククイーンビーム 【腕部のオーブから放たれる破壊光線 】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。 SPD   :    モード・スピードクイーン 【高笑いをするようなポーズを取る 】事で【軽量フレームを活かした高速戦闘モード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。 WIZ   :    全てを従わせるクイーンの威光 自身の【オブリビオンマシン】から【自信の圧倒的カリスマ】を放出し、戦場内全ての【発動者に対する反抗心】を無力化する。ただし1日にレベル秒以上使用すると死ぬ。 イラスト：8mix 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

　異例尽くしの今カードですが、栄冠を手にするにはいったい誰なのか！？　やはり人気を三分する三大名門校のキャバリアお嬢様か？　それとも、モブキャバリアお嬢様の下剋上なるか！？　はたまた、猟兵の皆様から現れるのでしょうか！？
　まずは予選突破組のモブキャバリアお嬢様が愛機を駆って、次に猟兵の皆様がコロシアムへと入場して参ります！
　そして最後は三大名門校代表のキャバリアお嬢様が、それぞれ離れた場所からスモークとともにせりあがって参ります！　くっ、これがトップランカーキャバリアお嬢様力の圧！　観客の皆様も圧倒されて固唾を飲んで見守ることしかできません！
　さあ、『キャバリアロード・オブ・キャバリアロード』への足掛かりとして、間もなく決勝戦スタートの合図が……。
　んん！？　一機キャバリアの挙動が……次々と外装パージされていきます！　合図前の構えは許されていますが、外装パージはルール違反となり即失格に……これはいけません！　すでに臨戦態勢を取って、暴走しております！
ご観戦のお客様、落ち着いてください！　観客席用シールドはしっかりと作動しております！　その間にスタッフの誘導に従い、慌てずに避難くださいますようお願い申し上げます！
　私は結末を見届けるまで、できる限り実況して参ります！


　私は拝見したことないタイプのキャバリアに対し、終夜・日明選手は真っ先に相対します！　どうやら、このキャバリアが現れる位置情報を大まかですが事前に得ていたようです！
「このキャバリアがあれば、全一の夢……いえ、野望も成し遂げられますわ！　乗りこなせるよう、努力は惜しみませんでしたもの！」
「お可哀想なお嬢様……借り物の力で全一とやらになったところで、本望なのですか？　それにそのキャバリアは操縦者の寿命を削るもの、すぐに降りることをオススメ致します」
　高笑いポーズをキャバリアにさせるとは、腐ってもキャバリアお嬢様！　しかし、終夜選手の仰る通り借り物の力で全一を成し遂げたところで、果たしてそれはキャバリアロードの理念にかなうのでしょうか！？
　キャバリアを暴走させているようでは、とてもそう思えませんが……。
　終夜選手の説得も聞かず、お嬢様はモデル・ブラッククイーンから降りる様子はございません！　高速戦闘モードにシフトして、まずは終夜選手から葬ろうとしているようです！
「説得も無駄なようですね、では力づくでも降りて頂きます。加速開始、身体制限のアンロックを申請、パスコード入力……Sturm und Drang・over drive！」
　終夜選手も負けじと疾風怒濤の動きを見せます！　ブラッククイーンからの打撃はスピアで払い、さらに射撃で牽制！　ブラッククイーンは怯まずに終夜選手駆る《オルトロス》へ迫る！
　距離を取ろうと背を見せる終夜選手！　追うブラッククイーン！　　さあ、オルトロスに手がかかろうかというときに、先ほどの射撃で破壊された地形から出力を絞ったビットが現れ、雨霰と攻撃を加えていく！
　どうやら終夜選手が仕掛けておいた罠へおびき寄せられた模様！　これによって制圧を試みようということでしょうか！？
　その間に終夜選手駆る黒い機体はブラッククイーンの射程外へと一旦距離を置き、通常モードへと移行したようです！

成功 🔵​🔵​🔴​

「（あれがオブリビオンマシン！　先程聞いた、成長著しいと言われるお嬢様が乗っているの……？　とにかく、オブリビオンマシンを破壊してパイロットの救出を最優先！）」
　予選では少々ぎこちない動きのカナメ・エッドール選手でしたが、初陣を経験したことで動きがよくなっています！
　キャバリアお嬢様力も予選よりパワーアップしております！　モデル・ブラッククイーンを止めるため、カナメ選手のキャバリアお嬢様力を最大限発揮して頂きたい！
　なおも高笑いポーズを構えるブラッククイーンに対して、カナメ選手は予選でも見せたビットを射出して臨みます！
　先に動いたのはカナメ選手！　ビームライフルとビットによるレーザー射撃でフェイント交えて駆動系を破壊しようとの目論見でしょうか！？
　しかしブラッククイーンも軽量なフレームを活かし、そうはさせません！　薄くなった装甲へ強力な一撃が入ればというところでしょうが、やはりブラッククイーンのプレッシャーが効いているのか！？
　あーっとカナメ選手、距離を詰めたブラッククイーンから一撃を喰らっｔ……いえ、致命的ではありませんがこのままでは……！
「何をしていらっしゃるの！？　少しは見所があると思っていたらこの体たらく！　キャバリアお嬢様力は感じるものだと言いましてよ！」
　おーっと、三大名門校キャバリアお嬢様の一人から檄が飛ぶ！　どういう繋がりかは分かり兼ねますが、その一言でカナメ選手はハッとしたのか動きが格段に良くなってます！
「そうだ……Downloaded（完全に“理解”した）……！　翔んで、ロストナンバー！」
　この間、秒にも満たないわずか数フレーム！　当コロシアムで見慣れた私以外ではまず見逃していたでしょう！
　コックピットを潰したと思ったブラッククイーンの頭上へカナメ選手駆るキャバリアが飛び上がり、ビームライフルとビットの射撃＆ビームサーベルでの斬撃が同時に展開される！
「くたばりやがれですわっ！……！？　つい、口調が！？」
　カナメ選手、この土壇場でキャバリアお嬢様に完全覚醒でしょうか！

成功 🔵​🔵​🔴​

「トップランカーと予選を勝ち残ったお嬢様方、あの暴走キャバリアには僕らが当たるから君たちの手出しだけはやめてほしい。どうせ君たちには止めることなんてムリだよ」
「なっ……言わせておけば！　まずはあなたからスクラップにしｔ……」
　イオリ・カクトゥス選手、混乱の場を前にしてキャバリアお嬢様方を煽る！　しかし、イオリ選手へ刃を向けるモブキャバリアお嬢様をトップランカーお嬢様が遮るように制します！
「およしなさい！　あなたには難しくてよ。どちらもわたくしですら相討ちできるかどうか……しかし、イオリ様の仰る通りにはできませんわ。同じキャバリアロードを志すものとして……この場で一騎打ちを申し込みますわ！」
　なんという急展開！　ここで一騎打ちとは、トップランカーキャバリアお嬢様の矜持がそうさせるのか、それとも頭がおかしいかのどちらかでしょう！　イオリ選手の返答や如何に！？
「まずは協力して暴走キャバリアを何とかしないかな？　一対一でも乱戦でも負けるつもりは無いけど、効率よくいこう。あまり暴れられても被害が出るばかりで困るよね？」
「……いいでしょう、わたくしとしても不本意な状況ですもの。モブの指揮はわたくしが執ります。よろしくて？」
「じゃあ俺が出来る限りサポートに回るよー！　余裕があれば停止させちゃうけどねー」
　イオリ選手とイオリ選手に言いくるめられたトップランカーキャバリアお嬢様が共闘関係に入ったところへ、さらに天星・暁音選手が協力を申し出ます！　キャバリアが結ぶ熱い友情、これが王道展開というやつだー！　あ、天星選手は生身ですけどね。
　と、私がツッコんでいる間にも天星選手はコロシアムを見渡しやすいよう、星型結界に乗ってキャバリアの頭部と同じくらいの高さまで浮かび上がっています！
　おお、天星選手のおかげでしょうか。出力の落ちていた部分の観客用シールドが補修・補強されていきます！　これには私も含めて、スタッフ一同お礼申し上げたい！
　正直、実況席部分も危なかったものですからヒヤヒヤしていました！
　それを目にした暴走キャバリア、黙っているはずもありません！　イオリ選手と天星選手へ向かって一直線！　そして、こ……これはなんという圧倒的なカリスマ！　もうあのキャバリアへは手出ししないほうが……い、いえ、違う、そうじゃない！
　天星選手の星型結界がなければ、危うく役目を忘れてしまいそうでした！
　それはキャバリアお嬢様方も同じようだ！　隙を突かれたところへ強力なビームが放たれる！　だが、そこはイオリ選手の駆る『D-Ogre』が強力な装甲で受け止めています！　多重構造の装甲が一枚破れ、二枚破れ……自己修復しているようですが間に合いません！　破られるのも時間の問題か！？
ですが、そこへモブキャバリアお嬢様方が援護に入る！　包囲陣形からの射撃と格闘、斬撃などが暴走キャバリアへ襲い掛かります！
　モブとはいえ、これだけの攻めにはたまらず暴走キャバリアも攻撃の手を止め、振り払うかのような動きを見せます！
「今ですわよ！」
　見計らったかのようにモブキャバリアお嬢様方が波のように引くと、イオリ選手操る『D-Ogre』の手にしたガトリングトンファーがこれでもかと火を噴く！　さらには内臓の荷電粒子砲も！
「そっちばかり見てちゃダメだよ、気を付けないとざっくりだよ」
　ダメ押しとばかりに天星選手、星型結界を高速回転させ暴走キャバリアへ放ちます！
　煙と埃舞う中で状況はどうなっているのでしょうか！？　こちらから確認できるのはイオリ選手とトップランカーキャバリアお嬢様が言葉を交わしているということです。
「ね、自分たちの居場所は自分たちで守ってこそでしょ？」
「返す言葉もございませんわ。わたくしたちはわたくしたちの手で道を切り開いていくのが使命ですから」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

　煙と埃が晴れつつありますが、暴走キャバリアはどうなっているのでしょうか！？　見守りましょう！
　そういえば御堂・茜選手からスタッフへ差し入れを頂いたんですが、美味い！　美味すぎる！『ジャスティスまんじゅう』！　猟兵の皆様はこんなにも美味しいものを普段から口にされているんでしょうか！？
　なお、失礼ながら検査致しましたところ、ドーピング成分は検出されておりませんでした、モグモグ……。
！！！　暴走キャバリアは未だ稼働は可能な模様！　しかし、動きは鈍っております！
……ちょっと待ってください。こんなときにアレですが、どなたでしょう機動闘士『大熊猫壱号』のまま決勝に臨もうとしているのは。
　あ～、あのイケボクソ野郎の上野・イオナ選手でしたか～。失礼、本音が漏れてしまいました。
　イオナ選手はデンジャラスなＢＧＭによく似た曲を仕掛けるも、暴走キャバリアには全く効いておりません！　暴走キャバリアが嘲笑うかのように高笑いポーズを取るとあっさり撃破されてしまいます！　よくやった！
　いえ、緊急脱出には成功しております！　チッ！
「やっぱり僕にはコイツか！　戦闘ロボ《MC-16XO》型、出撃！」
　そして、これがイオナ選手本来のキャバリアでしょうか！？　緊急脱出先の空中から現れた機体に乗り込み、油断していた暴走キャバリア目掛けてチェーンガンで絡み付きます！
「考案『ＵＤＣアース』、作成『キマイラフューチャー』の異世界のロボの強さを見よ！」
　どうやらクロムキャバリア製ではないキャバリアのようですが、さあ、ここからどうするのか！？
「私は速いぞ黒い女王！　これは可能性の光だ！」
　溢れんばかりの光を輝かせる機体が暴走キャバリアへ一発……二発……超必殺技のごとく、九連パイルバンカーで風通しを良くしてイくぅ！
「フッ、まさか本当にいい感じの奴が手に入るとはな……」
　この声はヴィヴ・クロックロック選手だぁーッ！
　登録担当整備士の話によりますが、改造された元工作用キャバリアへさらになんやかんや魔改造を施された機体のようです！　互換性があるとはいえ、あのような高機動型工作用キャバリアは拝見したことがございません！
　猟兵の皆様は全員化け物か！
　そのような化け物じみた猟兵さん相手に暴走キャバリアは絡みついたチェーンを引き千切り、ファイティングポーズを取り続けます！　機体はすでに限界のはずですが、操縦者の精神が並外れたものではないことを物語っております！
「元モブといえど、同じキャバリアお嬢様ロードを進みし者……！　ならば邪道と落ちたその御身、わたくしが救ってみせます！」
　『ジャスティスミドウ・ウキヨエ』を掲げ、皆さんを守るように進み出るのは『超合体大将軍ジャスティスミドウカイザー』！　いよっ！　待ってました！
「みなのキャバリアお嬢様力……いえ、キャバリアお嬢様魂を集め今ここに……【大一大万大吉】！」
　ジャスティスミドウカイザーの大太刀と、ブラッククイーンが最後の力を振り絞ったビームが激しくぶつかり合う！
「俺の力も使え！」
「私の光子充填もできているぞ！」
　イオナ選手とヴィヴ選手はじめ、正義に燃える熱き魂が続々と集っているように感じます！
　そして……ビームごとブラッククイーンが両断されています！　ブラッククイーンは稼働停止しましたが、コックピットは！？
　なんと無事です！　操縦者も猟兵の皆様に救出されて、心身は衰弱しているようですが息はあるようです！
　なお、決勝戦につきましては改めて行い、今日発売分の勝ちキャバリアお嬢様券に関しましては払い戻しとさせて頂きます！

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2020年11月13日