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“移動要塞型ショッピングモール”防衛任務

#クロムキャバリア

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#クロムキャバリア


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●移動要塞、或いは
「やぁやぁ、よく来てくれたね、猟兵諸君。それでは早速だけれど、説明を始めていくよ」
 ひらり、ひらりと、人間の目線の高さに浮かび、お辞儀をすると。銀髪の女フェアリー、ランガナと名乗ったグリモア猟兵は、予知の内容を語り始めた。

「クロムキャバリアのことは聞いているね? そこで今回君たちにお願いしたいのは、ある『移動要塞』の防衛だよ」
 防衛対象は、ショッピングモールであり、移動要塞だ。
 どっちだ、と首を傾げた一人の猟兵に、妖精は微笑んで、
「だから、どちらも、だよ。拠点そのものが移動する『超巨大移動要塞型ショッピングモール』――驚いたことに、ショッピングモール自体が地上を移動し、幾つかの都市国家間を移動するキャラバンとして生計を立てている、ということらしい」

 大きな特徴としては、「キャバリアのまま乗り入れができるサイズ感」だろう。入り口、中の導線、いずれも5mの鉄の巨人に搭乗したまま動き回り、そのまま装備やパーツを購入できる作りなのだとか。
 当然、ある程度の防衛力も備えているのだろうが――それを超えるほどの、オブリビオンマシンの軍勢に襲われ、このままでは大きな被害が出てしまう、というわけだ。

「今回の敵部隊の傾向は――そうだな、まとめていえば、空戦に強い。
 先に展開してくるのは『ガガンボ』なんて呼ばれる量産型たち。正式名称はCT043-cloud――サブマシンガンやバズーカで武装しているけれど、一体一体は大した機体じゃない。飛行能力が特徴だけれど、自由自在の高速飛行で飛び続ける、とはいかないかな。一旦、要塞到着前に着陸してくるはずだ」
 降りてきたところを叩くのも手だし、銃火器で撃ち落とすなり、空中戦に付き合うのも良いだろう。
「隊長機については、すまない、詳しい予知ができていなくてね。ただ……『ガガンボ』とは段違いの速さで飛ぶ、黒い機体が見えた。注意して欲しい」

「それと……例によって、パイロットたちは操られているだけだ。どうも、モールから商談に出た一団が、何があったのやらそのまま乗り込んでしまっているようだね。
 目的は……モールの破壊というよりは、物資かな? まあ、そこはあまり考えても仕方ない。やることは正面切っての戦闘だ、可能な限り、救出をしてあげてほしい」

 戦いが終わったら、ショッピングモールを回ってみるのも良いだろう。
 特にキャバリア乗りなら、掘り出しパーツの一つも見つけられるかもしれないからね。

 そんな風に、話を締めくくると。妖精は、君たちを送り出すのだった。


黒原
 ご無沙汰しております。黒原です。
 クロムキャバリア、大変面白い世界ですね。というわけで、久々に依頼を案内させて頂きます。
 必要な情報はオープニングに入っておりますが、以下補足にも目を通して頂けると幸いです。

●補足①(進行方針。だいじ)
 今回は、
 ・少人数採用。
 ・原則再送のお願いはなし。
 ・1度採用した方でも、章をまたがって連続採用するとは限りません。
 ※あえて採用率を下げるわけではないですし、逆に最初からどこか1章のみの参加も大いに歓迎です。

 という方針で、あまり時間をかけずに進めていきたいと思います。
 あらかじめご了承下さい。

 また、【プレイング受付開始時刻は、各章共に間章の投稿時に告知します】。

●補足②(キャバリアについて)
 クロムキャバリアの依頼ですので、ジョブが○○キャバリアだったりアイテムとして装備していなくとも、現地にてキャバリアを借りて搭乗することが出来ます。
 今回の場合、モールに出店しているキャバリアショップから借り受けるという形になるでしょうか。機体の方向性などに希望があれば、自由に指定してみてくださいね。
 もちろん、あえて生身で戦うことも可能です。

 それでは、よろしくお願いいたします。
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第1章 集団戦 『ガガンボ』

POW   :    バルディッシュ並列化偽演粒子コーティングソード
【ユーベルコードで強化した装甲斬撃剣】が命中した対象を切断する。
SPD   :    D2エンジン起動
【補助動力炉D2エンジンを起動する】事で【通常時とは比較にならない高機動戦闘モード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    マイナーチェンジ
自身の【各部、兵装】を【対空迎撃用又は対地砲撃用キャノンパック】に変形する。攻撃力・攻撃回数・射程・装甲・移動力のうち、ひとつを5倍、ひとつを半分にする。

イラスト:FMI

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ビッグ・ベンの足音
 それは、まさしく巨獣の足音だった。娯楽商業都市「ビッグ・ベン」――住人は、ただ「BB」と呼ぶ。一説には内部にプラントを擁しているとまで噂される、動力不明の超巨大移動要塞。
 都市が、足を上げ、一歩を踏み出す。二歩、――三歩。
 その歩みが鈍重に映るのは、小さき人間故の悲しき錯覚だろう。『彼』の1歩が、果たして人にとって、あるいはキャバリアにとってさえ、どれだけの歩数であることか。

 けれど、その歩みが――不意に、止まる。

 都市外にまでけたたましく鳴り響く警報、鈍い音と共に展開される無数の対空機銃。
 そして――要塞各所に開く、『傭兵』たちのキャバリアのための、出撃用ハッチ。

 要塞そのものと対峙するように近付いて来るのは、空戦型キャバリアの編隊だ。
 「殲禍炎剣」を警戒してのことか、或いはそれが限界なのか、大した高度でも速度でもないが――それでも、この世界において、その機動力は大きな脅威に成り得るだろう。

 扇形の隊列で飛行してきた『ガガンボ』共は、静かに荒野に降り立って――


●【プレイング受付:今から】
ジャガーノート・ジャック
(ザザッ)
大型モール、兼移動要塞。
成る程、心が躍る。
この手の浪漫施設は好ましい所だ。キャバリア用兵装も本機が使用する兵器として転用、もしくは自兵装チューンナップの参考にできよう。

――だが、先ずは無粋な来客の対応が先か。
ジャガーノート・ジャック、任務を開始する。オーヴァ。(ザザッ)

キャバリアは不要、本機単体で十分。
熱線銃複製、レーザーポインタ照射。(スナイパー×範囲攻撃×制圧射撃)

招かれざる客へ課すオーダーはこうだ。

 Freeze, & Be silent.
「動くな、静かにしてろ」

マナーのなってない客から御退店願うとしよう。
お帰りの際は地上階からだ。そのまま落ちて行くといい。(ザザッ)



●お帰りの際は地上階から
 ザザッ。

 微かな、電子音。

「大型モール、兼移動要塞。成る程、心が躍る」
 ジャガーノート・ジャック(JOKER・f02381)がいるのは、歩みを止めた超巨大移動要塞「ビッグ・ベン」――その外壁上。
 周囲を見渡せば、錆の浮く外殻はところどころ蒸気を吹き出し、一見では意図の分からない怪しい表示灯も散見される。
 この手の浪漫施設は好ましい、そう思う。キャバリア用兵装も本機が使用する兵器として転用し得るし、自兵装チューンナップの参考にできよう。だが。

「――まずは、先ずは無粋な来客の対応が先か。ジャガーノート・ジャック、任務を開始する。オーヴァ」
 どこか獣じみた形状の下肢でがしゃりと外壁を踏み締め、振り仰いだ先、未だ小さく見えるのは――CT043-cloud『ガガンボ』の一隊、十数機。
 要塞があまりに巨大なため、この場から視野に捕捉できるのはあくまでも敵の一部。だが、一先ずはそれで十分だろう。

 熱線銃を生成、更に複製。ジャックの周囲に浮かぶ砲門は、捕捉した敵の数と同じだけ。
 レーザーポインタ照射。ちか、と、未だゆうに百メートルは離れた『ガガンボ』達の頭部に向けて赤いラインが伸びる。同時に、ジャックは一方的な通信で、命令――否。警告を行った。
 内容は、単純。

 Freeze
「動くな」

 Be silent.
「静かにしてろ」

 ほんの一瞬だけ、敵キャバリア隊の動きが鈍る。
 けれど、当然といえば、当然だろう。警告を無視した彼らは、モールを目指して進軍を再開し――。

 無数の火線が降り注ぎ、続け様の爆発。
 それが「マナーの悪い来客」に退店を促し、瞬きの間に一隊を壊滅させた、この戦場で最初の一撃だった。

 ――ザザッ。

成功 🔵​🔵​🔴​

如月・ときめ
お世話になっている方の予知で心を狂わされて駆り立てられる人がいる
黙ってみていること、できませんね

私は探偵ですよ。時には荒事だってこなしちゃいます
行きましょう、大太郎―だいだら―

戦場が荒野なのは助かっちゃいます
おかげで、この子の能力を十全に使えます(地形の利用)

斬られると嬉しくなさそうなので(第六感)、機体の権能で大地を隆起させて壁を造る
冷静に捌きながら観察して(情報収集)敵機の癖を見抜いたら一気に接近

なまじ飛べる分足さばきは拙く、寄ってしまえばこの通り(怪力)
武装を破壊して機体の退魔刀で、生じた悪心のみを絶つ
お目覚めですか?
さぁ、こちらへ。一緒に帰りましょう

(機体:和風の甲冑と刀を帯びた巨人)


千束・桜花
よもや空中戦ですか!
跳躍はできても飛行はできず、剣術主体の私には厄介な敵ですが……これしきに対応できなくては将校など夢のまた夢!
もちろん対応して見せましょう!
千束・桜花、サクラメヰルの出陣です!

相手が空対地の射撃戦を諦めるまで、下から乱れ打ちで牽制をします!
私の光線銃、いえ、サクラメヰルの粒子砲が伊達では無いことを見せてさしあげますよ!
あとは接近戦になればこちらのもの!
得意の抜刀術で斬り捨ててます!
戦艦すらも両断する、このサクラブレェドで!



●大正機兵浪漫譚
「よもや、空中戦とは!」
 『BB』のキャバリア出撃ハッチ内にて、千束・桜花(浪漫櫻の咲く頃に・f22716)は芝居めいて唸ってみせる。
 跳躍はできても飛行はできず、その戦術は剣術主体。
 けれど、その空には確かに、声に出せずとも、心ですら思えずとも、助けを求める誰かがいるのだ。その声なき声に手を伸ばせずして、将校など夢のまた夢!
「もちろん対応してみせましょう! ――さあ、行きますよ!」
 その身に収めた未来の将校の呼び声に応えるように、黒き鋼の甲冑が、キヤメラアヰを光らせる。
 そう、ここはキャバリアの出撃ハッチ。ここですることなど、一つしかない。

 千束・桜花専用クロムキャバリア、幻朧鋼甲冑サクラメヰル――堂々の出陣である。

 カタパルトによって射出されたサクラメヰルは、赤き裏地のマントをたなびかせ、『ガガンボ』の一団を突っ切って、地響きと共に荒野に降り立った。
「いざ、参ります! 私の光線銃、いえ、サクラメヰルの粒子砲が伊達ではないことを見せてさしあげますよ!」
 その言葉の通り、機体右手に握るのは、BS幻朧粒子砲ミラージュレェザァだ。
 本人が愛用する幻朧光線銃ミラージュレェザァを模した粒子砲。体感的な操縦方式を導入したサクラメヰルと桜花にとって、これ以上ない射撃兵装。
 軽やかなステップで上空からの銃撃を交わしながら、続けざまのレェザァを撃ち返す。
 そんな攻防を、2度、3度と繰り返し。

(「困りました。埒があきませんね!」)

 空を切り裂く無数の光条。
 威力も射程も、はっきりと勝っている。ヱネルギヰ残量もまだまだ余裕。
 とはいえ厄介なことに、

「さすがに、数が、多いっ!」
 一機に注意を向ければ、別の一機が背後から狙い撃ってくる。
 咄嗟に左腕で引き抜いたRX幻朧斬艦刀サクラブレェドで飛来したバズーカの砲弾を切り払い、返す刀で敵機を――狙った時には、ひらりと宙に逃げられる。
 蚊ヶ母(ガガンボ)とはよく言ったものだ。宙を舞う蚊を素手で叩き落とそうとするような、煩わしさ。

 そんな攻防が続く最中、刀が空振ったその隙を狙うように、『ガガンボ』の一機がサブマシンガンを向けているのに気付く。
 ……恐らく、撃てば先に斃すことはできる。けれど。
 全弾はかわしきれないか、と、桜花が被弾を覚悟した瞬間――。

 ――突如。荒れ果てた大地が隆起し、聳え立った土の壁が、降り注ぐ無数の銃弾を受けとめた。

「ややっ? これは……それに、あの機体は……!?」



 甲冑と刀を帯びたジャイアントキャバリア。どこかサクラメヰルに通じる機体コンセプトを感じさせながら、より『和』に寄った兵装。
 『大太郎(だいだら)』。
 それが、悠然と現れたキャバリアの名だった。

 仄かな桜の香りが漂うコクピット内で、操縦者たる如月・ときめ(祇ノ裔・f22597)の赤い瞳は、静かに敵機の動きを観察する。 
 狂わされた心に駆り立てられる、哀れな犠牲者。黙って見ていることなど、できようはずもない。
 ……世話になっている方がそれを予知したとなれば、なおのこと。
 脳裏に浮かぶのは、『大太郎』の姿に珍しく浮かべていた驚きの表情。くすりと、笑んで。

 回想する一方で、その観察眼は、友軍である軍服めいた黒の甲冑に対しても、また向けられていた。
 キャバリアを操縦しているとは思えない、滑らかな挙動。まるで人、それも學徒兵――であるのみならず、帝都桜學府の直轄部隊で正統な訓練を積み重ねたヱリヰトのものに相違ない。
 ときめもまた帝都に生きる者であり――探偵だ。その瞳は武芸者ならずとも、その動きの癖を、正確に見定めた。

 と、なれば。探偵が導き出す真実は――。

『助太刀、感謝致します!』
 律儀に届いた通信に、ときめは丁度良い、と、薄く笑い。
「いえ、いえ、とんでもない。それよりも――本命は斬艦刀とお見受けします。急所を避けた撃ち合いは不自由でしょう、誘導はお任せを」
『! ――では、遠慮なく!』

 次々に聳え立つ無数の土壁は、国造りの巨人を模した大太郎が持つ、土操りの権能だ。射線を遮り、飛行ルートさえも制限。合間を縫って放たれるミラージュレェザァの光条と息を合わせ、ガガンボ共の侵攻ルートを制限、誘導する。

 サクラメヰルが誘導に苦心していた一方、大太郎単体でも、動きの癖を見切る前に近付かれていれば苦戦していただろう。機体出力には自信があるものの、敵機の近接兵装をまともに受ければ大きな損傷は免れなかった。
 けれど今は、2機の甲冑が背中を合わせ、互いの隙を補って。
 土の迷路に阻まれ、ガガンボが次々に誘導されていく先は、彼女たちの――そう、彼女たちの、世界の間合い。

『未来を喰らう負の繋がり、絶ち切らせていただきます――』
「こちらも行きますよ、大太郎。退魔刀に全霊力を集中」

 サクラメヰルはブレェドを鞘に収めて居合いの構え。一方の大太郎は、携えた退魔刀を大上段へ。
 構えこそは正反対なれども、背中合わせの2機の刀が輝けば、何処からともなく幻朧桜の吹雪が吹き荒れる。
 其はサクラミラージュを代表する、悪心のみを祓う優しきユーベルコヲド。

 閃く刃は二条、返す刀で四条。止まらぬ無数の剣閃が、舞い散る桜を縫うように閃いて。
 パイロットを洗脳するオブリビオンマシンの悪性だけを切り伏せて、その動きを停止せしめた。

 残心と共に、2機の甲冑越しに視線が交差して。
 突如戦場に花咲いた、この場限りの大正機兵浪漫譚、これにて幕引き――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヨルゲン・エリクソン
「はー。空を飛ぶか細いキャバリアだからガガンボね。そのままどっか行ってくれれば良いのに」
と、敵を眺めつつ、相棒の量産型キャバリア【グロービョルン】に乗って、戦闘を開始したい。
もし、ガガンボの荒野への着陸がまだの段階なら、グロービョルンが装備するショルダーキャノンで牽制しておきたい。敵さんの動きがバラバラになればなるほど、要塞で防衛している俺達の有利になるはずだ。

いやしかし、準備万端でこっち襲ってくるっていうのなら……うん、とりあえずユーベルコードでも発動して、味方の壁にでもなろうか。
一応、継戦能力の高いキャバリアだ。ダメージを負っても動き続けばできるさ。

※アレンジ及び他キャラとの絡み歓迎です


開条・セサミ
・心情
カプセライズ・ヘッドオン!
ショッピングモールの防衛か
こういったところを狙ってくるたぁ、厄介なもんだね
まぁ、ようやく調整が終わったこの新ボディを試させてもらおうか!
CGP-CC-002『ブロウ・ウルフ』、出るぜ!

・戦闘
ミサイルの【制圧射撃】、腕武装の【砲撃】に【一斉発射】でとにかく撃ちまくりつつ、ユーベルコード『コアブラスター・オーバーバースト』で吹き飛ばす!
接近されたらそれまでだが……可能な限り、撃ち落としてやるよ!
コックピットは可能な限り避けるが……うまくいってくれよ!

・その他
アドリブや共闘等は大歓迎だぜ!


アイオライト・セプテンバー
空戦キャバリアの部隊……つまり
高速、空戦型であるブルーテイルの土俵に来てくれるってわけね
いいじゃない、踊りましょう

こちらもスラスターを吹かし、ユーベルコード【ハイスピード・アサルト】による接近――高速格闘戦を誘うわ
せっかくの大きなショッピングモールだもの、なるべく火器の余波で傷つけずに戦いたいし……これならパイロットを避けて攻撃しやすいしね
敵機の機動と攻撃を【見切り】、【操縦】技能で回避
【推力移動】で量産型に負けるつもりはないわ……低空機動でもキリキリ舞いにしてあげる

それにしても、ガガンボねぇ
私のブルーテイルは、瑠璃鶲からとられた名前なのだけど……

――羽虫が鳥に勝てると、思っているのかしら



●新世界学園校外活動記録 File No.29489-01
「はー、空を飛ぶか細いキャバリアだからガガンボね。……そのままどっか行ってくれればいいのに」

 照準固定――発射。
 愛機、TOD-IMaBe“グロービョルン”のショルダーキャノンが火を噴いた轟音に、コクピット内のヨルゲン・エリクソン(f30094)の溜め息はかき消された。
 ターゲットサイトを向けた先に映るのは、十数機が纏まって編隊を組む『ガガンボ』の一部隊。オブリビオンマシンの統制がどれだけまともに取れているのかも怪しいところだが、数機の分隊が連携を取った一小隊、といったところか。
 ……名前の由来を考えてしまったからだろうか。ぶわ、と散開して砲撃を回避する姿すら、羽虫っぽくて正直キショい。食いかけのレーションを残してある方の身にもなって欲しい。
 内心ぼやきながらも、二射、三射――

「お、一発当たったか」
 煙を吹いて墜ちていく敵機と、脱出装置を作動させたパイロットの姿を確認。有効射程ギリギリからの砲撃、命中精度としてはこんなものだろう。グロービョルンは、往年の名機とは呼ばれつつも型落ちの量産型キャバリア。高度な火器管制を備えているわけでも、超々射程のトンデモ砲を備えているわけでもない。
 だが、緩やかに降りてくる『ガガンボ』たちの侵攻ルートに、良く言えば的確、悪く言えばいやらしい狙いで打ち込んだ牽制砲撃は、彼らの隊列を大きく乱すことに成功していた。

「こんなもんか。グロービョルン、そろそろ前に出る。……孤立させるのもな」

 横目に確認したレーダーに映るのは、友軍信号。


●新世界学園校外活動記録 File No.29489-02
「CGP-CC-002“ブロウ・ウルフ”、出るぜ!」
 カタパルトから射出された新機体、ブロウ・ウルフが受ける風を“感じ”ながら――開条・セサミ(f30126)は、“考える”。
 無論、「猟兵化」を済ませたとはいえ、アミューズメントの受付で自動応対してくれるマスコット、なんて称される機体を走る電気信号を。感覚と、思考と、呼んで良いのであれば、の話だが。

(「ショッピングモールの防衛か……こういったところを狙ってくるたぁ、厄介なもんだね」)
 彼を「所持」する開条エンタープライズにとっても、私立新世界学園と友好的な関係を保つ外部勢力である『BB』は有力な取引先の一つ。
 先ずは補給を絶つ――なんて高度な作戦行動であるかはさておき、結果的にそうした危惧を生んでいることには変わりない。

 ――とはいえ。やることは何も変わらない。
 そう、いつだって、

「全力全開で、いくぜぇぇぇ!!!」
 背部ミサイルポッド『ストームミサイル』が続けざまに地上に着弾。爆炎に追いつくように、ブロウ・ウルフは轟音と共に『ガガンボ』共の只中に着地する。
 即座に両腕の砲塔を旋回。左腕部の2連マシンガンがけたたましい轟音を奏で、右腕部の4連ビーム砲が流星群が如き光の雨を放つ!

 その行動に遅滞はなく、照準と射撃は全くの同時。調整が済んだばかりの新機体の初陣だからといって、戸惑いはない。
 セサミは機体を「操縦」しているわけではない。ロボットヘッドである彼自身が戦場に応じた機体を乗り換え、身体の一部として自在に操る――その適応性こそが、カプセライザー計画の真骨頂。
 撃墜数、3、これで4。コクピットも――なんとか避けられている、ハズ。残存敵勢力は――

「未だ二桁――キリがねぇな!」
 舌打ちしたくなる敵の数。舌はないが。
 奇襲によって乱れた敵の隊列も、取り戻されつつある。
 着地の勢いを殺し切ることなく、キャタピラで強引に荒野を噛んで出力任せのスラローム。被弾を最小限に、両腕砲塔による牽制射撃を続けながら、胸部ハッチを展開し――

「光子エネルギー充填、40%、60%……」

 ――敵機接近の警報が鳴り響く。見れば、左腕部に粒子コーティングソードを構えた敵機がビーム砲をすり抜け、こちらに向けて突っ込んでくる。
 接近されたらそれまでだ。回避しようとする自動操縦機動を――セサミは抑え込む。

 歩兵が如き姿の「カプセライザーGP1」と、この「GP2」ブロウ・ウルフの最大の違い。
 それは、『他学生の機体』との連携作戦を重視してチューニングされていること。

 接近する敵機と自機の間に、熊のように無骨な機体が割り込んだのを確認――否、“信じて”。

「充填120%! ぶっちぎるぜぇ!」

 コアブラスター・オーバーバースト。
 光の柱が、戦場を薙ぎ払う……!



「…………大丈夫なんっすか?」
『ん? 別に問題ないぞ』
 もうもうと砂煙が撒い、土がガラス化するほどの熱量に計器も一時的なエラーを吐き出す中、セサミはとりあえず僚機に通信を試みた。口調を交流モードに切り替える。

 ……問題ない、のは良いが。思い切り肩を貫通して火花を放つ実体剣を抜きもしないヨルゲン機、グロービョルンの姿は一体どうなのか。
 というか『ガガンボ』の腕も丸ごと残っている。手にした斧で叩き切ったのだろうか?

 もはや丈夫さだけが取り柄、と言われる機体――とはいえ、まるで無傷かのように動けているのはヨルゲン自身のユーベルコードの力もあってのことだった。
 『絶対防衛戦線』。人間同士で争いながらも天上の脅威に抗い続けたクロムキャバリアの人間は、雑草のように逞しく、羆のように生き汚い。彼らは、仲間と力を合わせた防衛戦でこそ、その真価を発揮する。

 ……いや、にしても丈夫っすねえ。
 と、セサミは半ば呆れ交じりに思いながら。
「とはいえ、たぶん撃墜したのは半分ってトコっすね! 出力全開で一帯消し飛ばすわけにもいかないんで、大分上に逃げられたのが見えたっす。このまま連携して――」
『いや、ここはもう終わったな。一応援護しつつ次行こう』
「は? ……あっ」

 ヨルゲンからの通信に、セサミが再度、復旧しつつある計器で索敵を行うのと同時――いや、それよりもなお早く。

 青い閃光が、クロムキャバリアの空を引き裂いた。


●新世界学園校外活動記録 File No.29489-03
 ガガンボ ルリビタキ
「 羽虫 が 鳥 に勝てると、思っていたのかしら」
 低空を描く超高速機動――ERT-D021“ブルーテイル”。数々のハイエンド機を保有する新世界学園において「最速」の機体を問えば、多くの者がその名を挙げるだろう。

 ――その後方。半秒遅れて、すれ違いざまにフロートユニットを切り落とされたガガンボ共が、次々に墜ちていく。

 腰部に展開したプラズマブレードで、高速で飛翔しながら、複数の機体の狙った部位だけを破壊する。
 瞬きすら許さぬ間にそれだけの神業を成し、なおもスピードを落とすことなく敵機の背後に食らいつきながら、

(「つまらないわねぇ」)
 アイオライト・セプテンバー(f29954)の脳裏に、雑念が過ぎる。
 コクピットと、念のために動力部を外して斬るのが……ほんの少しだけ、難しい。ただそれだけ。
 『ガガンボ』が備える飛行能力は、本当に最低限のものだった。彼に言わせれば、飛翔というより浮遊と呼ぶべきだ。対地、対空でキャノンパックを切り替え、何やら出力を上げようとした機体もいたが――ブルーテイルを照準に捉えるには腕も速さも何もかも、まるで足りない。

 この、鳥籠に覆われた不自由な大空へ。同じ土俵に踏み込んでくるか、ダンスの相手が務まるかと、そう気負ったからこその――期待外れ。
 もちろん、戦闘が安全に、誰も犠牲にならずに済むに越したことはないのだけれど。それにしたって。

「こんなお遊戯、空中戦とはとても――」

 鳴り響くアラート。

「っと?」
 急制動。から、思い切り操縦桿を引く。
 ブルーテイルの機体は滑らかに、宙返りしながら真上に滑る。曲芸じみた回避機動、直前まで突っ込もうとしていた座標を埋め尽くしたのは――

 ――地上からの、援護射撃。
 薙ぎ払うように放たれたブロウ・ウルフのレーザー砲が『ガガンボ』の隊列を乱し、1機が小破。そこを更に、グロービョルンのショルダーキャノンが正確に撃ち抜いた。
 ……それはいいが、しかし。

 ドッグ・ファイト
「高速格闘戦の真っ最中に援護射撃がくるのも、どうなのかしら。もしかして私には撃っていいって話になってない?」

 まあ、真後ろから運動エネルギーミサイルが降り注ぐよりは良いけれど。この程度、ブルーテイルにかすりもしないと踏んだ学友たちの割り切りに、く、と、口端を持ち上げて。
 不意の射撃に浮き足立った敵機を二つ、頭上からすれ違い様に両断。

 それが褒められたことかは、別の話として。
 女性めいた端正な顔立ちをかすめていた退屈の色は、吹き飛んでいた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

風祭・ヒュウガ
※アレンジ歓迎


うるせぇハエが飛び回ってやがんな……
フーガに乗ってる時に襲いかかってくるとは都合のいいこった
叩き落としてやるよ、来な!!


光を放つ力場、フォトンを手足に纏わせて臨戦態勢
……なるほどな、こっちが殴る蹴るしかできねぇと踏んで飛び回って削る算段らしい
最も……そんな使いまわしの豆鉄砲で抜けるほどヤワじゃねぇけどな!
バズーカはさすがに直撃ならダメージを貰うが。エンジンの出力が上がろうと弾まで速くなるワケじゃねぇ
んなひょろひょろ弾くらい、避けてやるさ

……当然、マシンガンは効かねェ、バズーカは当たらねェとなりゃ……そうだよな! 斬りかかってくるよな!!
狙い通りだ――カウンターでブチ抜く!!


ベリーム・ジャストロ
ハンッ、ガガンボとは名前の通りブンブン飛び回ってうっとおしいったらないわ!
オーケイ虫けらどもの駆除といこうじゃない!

つっても、エイプリルは空中戦には向いてないのよねー今のところ
だったらやることは決まってるわけ――降りてきたやつからブッ壊す!!
接近すりゃあたしの格闘術でソッコーオシャカってね

あん、パイロット?
……ちぇっ、助けりゃいーんでしょ助けりゃ
適当に手足もぎ取って武装全部ぶっ潰して無力化しておきゃ文句ないでしょ、後の事は他のやつらに任せる
もいだ手足は飛んでるやつにでもぶん投げるわ


そんじゃあいっちょブチかますぜぇ"エイプリル"!!

※連携、アドリブ歓迎



●新世界学園校外活動記録 File No.29489-04
「うるせぇハエが飛び回ってやがんな……フーガに乗ってる時にくるとは都合のいいこった」
 風祭・ヒュウガ(f30077)は、獣のように好戦的な息を吐く。
 搭乗機体はKMZ-1001“フーガ”。各所から光を放つ、白兵戦に特化したオブリビオンマシン。
「叩き落としてやるよ、来な!!」

 叫びに対し、彼の相対する『ガガンボ』の一隊、5機が取った行動は――応じることなく、発砲。
 フロートユニットで宙を舞い、距離を取ってサブマシンガンを掃射する。

「――ハ! なるほどな、こっちが殴る蹴るしかできねぇと踏んだか」
 荒野を蹴り、サイドステップ。銃弾の雨を交わしながら、青年は口角を釣り上げる。
 まぁ――間違ってはいない。事実である。少なくともこの場では、そのつもりしかない。
 だが、生憎。

「そんな使いまわしの豆鉄砲で抜けるほどヤワじゃねぇけどな!」
 あえて、フーガの足を止め。
 フォトン・リアクターの出力を上昇させる。手甲、脚甲、あるいは胸甲。部分鎧のように機体各所に光の力場を展開、或いは手足を振るい。
 けたたましい音と共に、弾く、弾く、弾く――!

 ――――10数秒は続いた斉射を、ほぼ無傷で受け流し。
 ぽかん、とした気配すら漂わせる敵機に向けて。
 フーガはこれ見よがしにマニピュレータを掲げ、掌を上向けると、くい、と手招き。

「来な」

 再度の、挑発。
 それに腹を立てた――というわけでもないだろうが、射撃ではキリがないと見たのだろう。
 2機の『ガガンボ』が左腕部の粒子コーティングソードを構え、高度を下げてこちらに突撃――

 ――両機の外側に逃れるようにサイドステップ。
 片割れの剣を、フォトンを帯びた右掌で掴んで受け流しながら機体を反転。
 左裏拳で頭部センサーを叩き割り、蹴り上げ、右手刀でオーバーフレームとコクピットの間を斬断。

 まるで対応出来ていない2機目に向けて1機目のオーバーフレームを蹴り飛ばして動きを封じるのと同時、回し蹴りで両膝関節部を破壊。
 一際輝きを増した右腕を伸ばし――コクピットを、丸ごと抉り出す。

 近接戦闘に要した時間、わずか数秒。両パイロットの脱出を確認しながら、フーガは上空の敵機を見据え。
「次だ」
 告げる。

 ……とはいえ。
(「ちっと、面倒か」)
 これでようやく、2機。――そして、2機を瞬殺してみせたのだから当然か、残った3機はフーガの飛び抜けた格闘能力を警戒した様子で、再び距離を取って旋回を始める。
 このチキン共が、と、舌打ち。虫なら虫らしく、灯りに寄ってくればいいものを。さすがに埒があかない。引きずり下ろすか、それとも――。

『ここにあんじゃない』
「……あん?」
 覚えのある識別コードからの、唐突な通信。油断なく構えながらも、モニターに視線を向ければ。
『便利なモノがさぁ!!』

 ――野球ボールか何かのような勢いで飛来した『ガガンボ』のフロートユニット部が、宙を舞う一機に激突した。


●新世界学園校外活動記録 File No.29489-05
「ハンッ、ブンブン飛び回ってうっとおしいったらないわ!」
 BC-04F“エイプリル”のコクピット内で、女は吐き捨てる。
 だが、不満そうな言葉の割に、その口端は愉しげに釣り上がり、期待の色を隠しもしない。
 ベリーム・ジャストロ(f30086)。戦闘用に調整されたアンサーヒューマンである彼女の心は、迫る闘争に否応なく昂りをましていく。
             ・・・・・・・・・
 先程投げたのは、接敵前にたまたま降ってきた丁度良い鉄塊。ぐらりとよろめくも落ちてはこない『ガガンボ』の姿に――
     ・・・・・・・・・
 これまた丁度良く落ちていたキャバリアのオーバーフレームを蹴り上げ、キャッチし、これまた力任せにぶん投げる。
 激突音。今度こそ堪らずふらふらとおりてきた羽虫の姿に、ベリームはあは、と笑いを漏らし。

「そんじゃあいっちょ――ブチかますぜぇ“エイプリル”!!」
 エイプリルが、跳んだ。
 下降――というより墜落するガガンボを掴み、
「あは、」
 地面に叩きつけ、
「あははっ、」
 マウントを取ってぶん殴り、
「あっはははぁー!」
 両肩を掴み、ぎしぎしぎりぎりと互いの機体から鳴る異音を無視して――引き千切る!

「滅殺滅殺ぅ!」
『……滅殺すんなよ、オイ』
「ああん!? ……ちぇっ、助けりゃいーんでしょ助けりゃ!」

 せっかく楽しくなってきたところに通信で入った釘刺し。舌打ちしながら見上げれば、傍らに立つのは――フーガ。
 殴りつけるのをやめて立ち上がり、アンダーフレームを踏み潰す。
 これで十分でしょ。残りは――2機か。で、確かコイツも格闘機。

「アンタもやる? ピッチング」
『……やって出来なかねェけどよ』
「ふぅん?」
 ヒュウガの声が苦虫を噛み潰したようである理由に、ベリームは気付かない。
 一機を破壊するのにかかった間、残りの2機の射線を遮るようにフーガが位置取っていたこと。先程弾を捌き切ったフーガに立ち塞がられたことで敵機が発砲を躊躇ったこと。
 戦いの高揚にピントを合わせすぎた調整。戦闘センスこそ図抜けているものの、ベリームには戦場全体を見る大局観がない。故に、彼女はかつて失敗作と称されたのだ。
 ――もっとも、この場合に限れば、「フーガがカバーに入らざるを得ないこと」まで無意識に計算に入れていた可能性もあるが。

「んじゃま――あと2機、もらっちまうかぁ!」
 がしょん、がしょん、と、ボール――すなわち引き千切ったガガンボの両腕を握り直す“エイプリル”。
「調子に乗んなよ。奴さん、豆鉄砲じゃ届かねェとようやく気付いたらしい」
 遅ればせながら装備をバズーカに換装した敵機に、あれは避けた方がラクか――と敵機を観察する“フーガ”。

 2機の白兵戦型に正面から見据えられ。
 洗脳され切っているはずの『ガガンボ』残機のパイロットの背に、寒気が走るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

桐生・零那
機械仕掛けの巨大人形が今回の殲滅対象ね……了解。

郷にいては郷に従え、だったかな?せっかくだし、試しに私もキャバリアとやらを使ってみるとしましょう。

さて、どんな機体にするか……動きがとろいのは嫌いなのよね。
軽量、小型、武器はライフルとソードだけ……うん、いいじゃない。この子しましょう。
機体名は『Banbi(小鹿)』。見た目通りかわいらしい名前ね。

さぁ、空をうるさく飛び回る神敵を墜としに行きましょうか、小鹿ちゃん。

どうせ借り物だもの、多少無茶しても問題ないでしょ?
ライフルは牽制にばらまいて、本命は≪妖剣解放≫による高速の剣による一撃離脱。
腕の一本ぐらいは、差し違えるつもりで突っ込んでみましょうか。



●Banbi
 獣脚型のアンダーフレームが地を踏み締め、赤茶けた機体が荒野を駆ける。
 一見細っこく見えるその両脚は大いにサスペンションを効かせ、運動エネルギーを殺すことなく駆け続ける。
 その軽やかな走り、ただどこまでも駆け騎乗者を運ぶことこそがこの機体のコンセプトなのだと、恰幅の良いキャバリアショップの店主が告げていたことを思い出す。

『動きがとろいのは嫌い』
 そんな端的な桐生・零那(魔を以て魔を祓う者・f30545)の要望に応えて紹介されたこの機体を、彼女はひと目で気に入った。
 量産型キャバリア、機体名はBanbi。
 細身の軽装甲、装備はライフルと実体剣だけ。追加装備も提供出来るという提案を、零那はすげなく断った。

「さぁ――空をうるさく飛び回る神敵を堕としに行きましょうか、子鹿ちゃん」
 目標、『ガガンボ』のスリーマンセル。
 疾走の勢いを殺さぬまま、跳ねた。敵機のサブマシンガンの銃弾を飛び越え、10mほどの宙を舞うガガンボのさらに上。
 ろくに狙いも付けずにばらまくキャバリアライフルの弾はただの牽制。すれ違い様に振り抜いたRXキャバリアソードが、オブリビオンマシンの翼――フロートユニットを断ち切った。

 着地と同時、大量のエラーメッセージ。がくん、と、Banbiの膝が落ちる。
 性能限界をまるで考慮しない高度のジャンプに衝撃を殺し切れなかったのか、モニターをみると機体情報の両脚が真っ赤に染まっていた。

「あら。子鹿ちゃん、もう限界?」
 囁く。……そう期待していたわけではない。郷にいては郷に従え、だったか、そんな言葉を聞いて気まぐれを起こしただけ。無理なら無理で、自ら刀を振るうだけだ。少々の体格差があろうとも、神の使徒たる零那なら、やり遂げてみせよう。

 でも。少しだけ、残念だな、と思う。
 自由に、軽やかに、ただ大地を駆ける。そんな子鹿は、戦場では生きていけないのだろうか。

 ――そんな思いに答えるかのように。Banbiは、ゆっくりと姿勢を起こす。

「……いい子ね」
 微笑み。――再び、否、先程に倍する速度で、跳ねる。眼前にまで迫っていたバズーカの砲弾を飛び越え、再び実体剣を振り上げる。
 いつのまにやら、キャバリアソードはどす黒いオーラを帯びている。妖剣解放――この高速機動もまた、ユーベルコードの力。

 一切の被弾がなくとも。
 損傷を押した上、寿命を前借りするほどの力を上乗せされて跳ねた子鹿は、再び無事に大地を踏むこと叶うまい。けれど。

「綺麗よ、Banbi」

 ――剣先から放たれる衝撃波が、オブリビオンマシンのフロートユニットを切り飛ばす。

 オブリビオンの殲滅こそ神の救済――絡繰仕掛けの子鹿が与えるそれは、神の御手といえるのか。
 その問いに答える者は、ないけれど。
 この世から神敵が三つ減り、そして、小さな子鹿は役割を成し遂げた。

成功 🔵​🔵​🔴​

守田・緋姫子
オブリビオン・マシンの【ガーゴイル】(アイテム)に乗って登場

相手は量産型キャバリアか。死霊術で骸の海から引っ張り出したこいつの出番だな。

「死にたい奴から前に出ろ。オブリビオンは全て排除する!」

ビーム翼を展開したガーゴイルで空中戦を展開。ビームランスのリーチの長さを生かし、近接戦で敵を墜としていくぞ。シューティングゲーム感覚でノリノリ。

なんか、周りにいる者を皆殺しにしろとマシンが語りかけてくるが、無視だ!

※アドリブ歓迎



●Gargoyle
「量産型キャバリアか……死霊術で骸の海から引っ張り出したこいつの出番だな」
 守田・緋姫子(電子の海より彷徨い出でし怨霊・f15154)は、得意げに笑う。
 ビームウィングを黄色く輝かせ、降り立った機体。その名を『ガーゴイル』。とある軍事国家製の安価な量産型キャバリアであり――オブリビオンマシン化すると、見た目の通り「悪魔」が取り憑くと噂される曰く付きの機体。

 そんな機体をわざわざ骸の海から取り出すとは、如何なる邪悪な目論見か――と思われても仕方ないところであるが。
「さぁ……ゲーム・スタートだ。死にたい奴から前に出ろ、オブリビオンは全て排除する!」
 緋姫子本人(本霊)は、至ってゲーム感覚であった。
 もっとも、オブリビオンを憎む心自体に嘘はないのだが。

 ガーゴイルの翼をはためかせ、接近する先にいるのは3機のガガンボ。
 こちらに向けて降り注ぐサブマシンガンの弾をかわし、接近していく。

 正直言って、本来のガーゴイルは大した性能の機体ではない。オブリビオン化によって出力が増しているとはいえ、それは敵機も同じ。だが、
「動きが単調だな――ほら、簡単にマクれた」
 軽やかに裏を取り、ビームランスで一機のフロートユニットを貫く。
 それを見た別の1機が武装を実体剣に切り替えて振り抜いてくるが、
「リーチの差も分からないのか? そら!」
 くるりと回した槍の柄で敵機を突き飛ばし、さらに回転させた穂先で腕を切り飛ばす。離れたところにRS-Sミサイルポッド、誘導ミサイルによる追撃を放ち――よし、もう1機撃破!

 キャバリアの操縦が上手いのではなく、単なるゲーマーとしての経験値。それで勝てているのだけは、操作性がウリのガーゴイルの面目躍如か。
 シューティング――というよりは格ゲーの風情になってきたが、緋姫子は愉しげに笑いながら、この新たなゲームに没頭する。

 ところで、そうしている間中。

『――セ』『――ロセ』『――コロセ! 皆殺シダ!』

 そう、ガーゴイル――否、悪魔が、緋姫子の脳内に語りかけ続けているのだが。

「あぁもう、うるさいな! 今ラス1なんだってば!」

 ――夢中でゲームを楽しむ子供の耳に、指図は届かないのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

嗣條・マリア
アイ ・ ハブ ・ コントロール
  操 作 権 限 を 承 認

タイラントが出撃します。道を開けてください



多少速いようですが、それに特化したワンオフキャバリアほどではありませんね
であれば、タイラントの既存装備でも対処可能です


“声”によって攻撃を把握。これを回避しながら敵の迎撃を行います
攻撃のために接近してきた敵機を優先。速いということは、軌道上に置いておけば勝手に当たってくれるわけですから

必要ならば、敵機を足場に連続跳躍を行い、一時的な空中戦で対応
数がいるのなら足場に困ることはなさそうですしね

上に出ますので、このエリアの対空攻撃を一旦緩めてもらえると助かります


ナイナイナ・スヴェルノスキー
有事でなければゆっくりとショッピングをしたいところですのに。
おほほ!クレーマーにはお帰りいただくといたしましょう。
いざ、華麗に出陣!“注目”!ちゅうも~~く!


連携を取られるのも、空戦に付き合うのも面倒ですわね。先ずは彼らの脚を止めるとしましょうか。
此度の戦は防衛戦。開幕の露払いくらいは、楽に捌いておきませんとね。


地に沿う様に低空を飛行しつつ、防衛目標により近い敵性編隊へと接近。
「王冠」を起動して全員に【頭を垂れて】もらいましょう。
手を止め足を止め、都合のよろしい的になっていただいた後は……他の皆さんにお任せしますわ。さすがに外しようもないでしょう?


連携、アドリブは適宜よしなに。



●新世界学園校外活動記録 File No.29489-06
 アイ・ハブ・コントロール
「操作権限を承認――タイラントが出撃します。道を開けてください」
 いつも通りの、その文句。嗣條・マリア(f30051)のルーティーンじみた宣言は、『BB』の管制のみならず、全ての僚機に対し。
(「……ああ、そうだ」)
 思い出したように、
「上に出ますので、このエリアの対空攻撃を一旦緩めてもらえると助かります」
 ――普段ならば、わざわざ断る必要もなかっただろうと思いながらも、そう付け足して。

 J-000 EMD Tyrant Phase4“タイラント”――暴君は、悠然と闊歩する。
 その姿を新たな脅威と見たか、低空機動接敵する『ガガンボ』の姿が――8。

 背部ハードポイントから引き抜いたJRS-15B“エリミネーターⅡ”を、発砲。
 様子見がてらの銃撃を散開してかわす動きを、静かに見据える。
「多少は速いようですが……それに特化したワンオフキャバリアほどではありませんね」
 別段、悪くもないが。脳裏に描くそれとは、比べるべくもない。

『4機は左右上空から射撃、4機が接近』
            『うち2機は陽動』
   『回避行動――』
          『右前方40度、1歩』
       『『『『今』』』』

 脳裏に囁く声が語るのは、平行世界の情報を基に導かれる、少しだけ先の未来の可能性。
 口々に語られるそれを聞き分け、マリアは――機体を右前方へスライドしつつ、上空に発砲。
 突っ込んできた機体の影に入ることで、左手側上空からの射線を最低限に。
 一瞬前までいた場所に「置く」ように左腕で掲げたJRX-09“コフィンチョッパー”の刃に巻き込まれた一機が、続けて上空の一機が、墜ちる。

「まずは、2」

 『――敵部隊、2秒後に高度を上昇』
   『警戒される前に――』

「追撃を。分かっています」
 ジャンプユニットを併用し、垂直に跳躍。両断した敵機の残骸を足場にもう一度。撃ち落とした一機を足場に、更に一度。
 空を飛べない機体が編み出した、強引極まりない空中機動。
 それはあまりにも力任せ、機体性能任せで――しかし、速い。
 突如上を取ったタイラントにまるで対応出来ていない敵機のうち、手近な2機のフロートユニットを、切り飛ばす。

「4。残り――」
(「――む」)

 耳に届いた“声”に、微かに、マリアは眉を潜める。
 BBからの対空射撃が再開される? 敵機が舞い上がる――今舞い上がった、ことに反応するのか。
 学園と違う指示系統、多少の齟齬は致し方ないが、暴君が上に出ると言ったのが信用されていないのは問題だ。BB支店へのヒアリングの検討も必要――だが。

(「まあ、いいでしょう」)

 大きな問題はない。
 このまま、落下する前に、どちらもかわして全ての敵機を無力化すればいいだけのこと。
 自分とタイラントなら、決して不可能なことではない。
 そう思うマリアが。静かに響く、内なる――或いは誰よりも外なる声に、少しだけ深く耳を傾けた、
 ――その、時。

 『対空機銃は停止』
         『敵機、本機へのマークを解除』
   『全脅威が消滅します』
                『原因は』
    『『『『左後ほ―――――
                       
 並行世界から、あらゆる未来の可能性を囁く声が。

 ・・・・・・ ・・・・・・・
 何かに注目し、直後に沈黙した。

「――――は?」

 そして、数秒後。


●新世界学園校外活動記録 File No.29489-07
「“注目”! ちゅうも~~く!」
 四眼に四腕。超低空を滑るように飛行する豪奢なる異形のオブリビオンマシン“スラーヴァ”の外部スピーカー越しに、ナイナイナ・スヴェルノスキー(f29957)自慢の大声がこだまする。
 ただ大きいだけではない。よく通る性質、タイミングの選び方、間の取り方、全てが「ただ目立つ」ことに特化した、天性のトリック・スター。

            ・・・・・・・・・
 今日も今日とて、戦場のありとあらゆる存在の注目が、自身に集まるのを感じる。
 敵に味方にエトセトラ。
 注目の的、押しも押されぬ戦場の華! ああ、ああ、なんてキモチ良い!
 それでは一つ、気合を入れまして。

『その場から、ただわたくしを見上げていなさい』

           ・・・・・・・・・・・
 ――王冠の威光の下、認識する友軍以外の全てに向けて、女王はそう命じた。
 君命:頭を垂れよ。
 スラーヴァの象徴とも呼べる内蔵機能“唯ひとつの王冠”が起動する。浮かぶ光輪から放たれるのは、制御系・神経系を支配する歌声にも似たサイキックエナジー。
 『ガガンボ』の動きと、ついでにBBの対空機銃が、一斉に沈黙する。

「後はお任せしますわ、皆さん! これならさすがに外しようもないでしょう? おーっほっほ――」
『もう終わっていますが』
「っほ?」
 どこか憮然とした声での通信に、ナイナイナが辺りを見渡せば。
 敵の動きが停止したとはいえ、わずか数秒の早業。
 『ガガンボ』共は一機残らず破壊されて煙を上げて地に墜ち、パイロットたちがほうほうのていで脱出しているのが見えた。

「あら本当。仕事が早いですわね、さすがは風紀委員長」
『どのみち、もう終わるところでしたから。放送委員長』
「それは重畳! では、早々にクレーマーを追い返すべく、再び目立ちにいくとしましょう!」

 ええ、と、ナイナイナは満足げに笑いながら……ふと、首を傾げ。

「何か怒ってらして?」
『いえ。特には』
「そう?」

 ならいいか、と頷いて。
   スラーヴァ    タイラント
 “女王の威光”は“暴君”と共に、次の戦場へと向かうのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

イーリス・ヴァイデンフェラー
どっちかっていうとオフで来たかったんですけどねぇ
まぁ、大事なお仕事、しかもここが狙われてるっていうんでしたら、しっかり働きませんとねぇ

さてさて、相手は量産機
そして空戦機体ばっかりとあればこのハーヴェスターの得意分野!
多様な火器で撃ち落として――
なんてしても後味悪いですからねぇ、頑張っちゃいますよぅ
狙うのは着地か離陸寸前
高度が低い子達も狙っちゃいましょう
地上の子たちは狙撃銃で膝を射抜いてその場で仕留めていきますねぇ
空中の子達は厄介ですけど、荷電粒子砲と浮遊砲台を使いましょう
狙うのはブースターか頭部
本当は雨あられの方が得意ですけど、同級がいっぱいいる中でかっこ悪いとこは見せられませんからねぇ



●新世界学園校外活動記録 File No.29489-08
「どっちかっていうとオフで来たかったんですけどねぇ……」
 イーリス・ヴァイデンフェラー(f30021)の、のんびりとした呟き。

 ゆっくりとした、足音が響く。
 基本的に人型兵器であるキャバリアとしては異質な、剛健な二対の脚。「BB」が歩みを再開した、というわけでは無論ない。
 LF-33D“ハーヴェスター”。今は亡き隠れ里リヒテンファッケルで開発された、対多数拠点防衛用キャバリア。
 防衛用というだけあって、その歩みは早くない。――いや、はっきりと遅い。けれど、ハーヴェスターのポテンシャルは、そんなものでは測れない。

「まぁ、大事なお仕事、しかもここが狙われてるっていうんでしたら、しっかり働きませんとねぇ」
 そう呟いた、瞬間。

 光が、瞬く。
 ReBS-016“Sichel”、出力を絞った大型の荷電粒子ビーム砲が貫いたのは、こちらに向けて飛来しようとしてきたガガンボの一機、その頭部。続けざまに、2発、3発――。
 かろうじて砲撃をかわした機体には、ReRS-068“Pflügen”――ふわりと揺れた浮遊砲台群の搭載するガトリング砲が火を吹き、武器を持つ両腕だけをピンポイントに破壊。
 ――それと、全くの同時。ReRS-021“Ausdünnen”、両腕で保持した狙撃用ライフルが、全く別の位置、離陸しようとしていたガガンボの脚部を狙い撃ち、炸裂弾頭がそのアンダーフレームを粉砕した。

 瞬く間に戦闘不能にした機体の数、4。
 長射程、広範囲、高火力。ハーヴェスターの本領は、対多数だ。それも狙いやすい空戦機体ばっかりとあれば、イーリスの独壇場。
 多様な火器で撃ち落として――、

「なんてしても後味悪いですからねぇ、頑張っちゃいますよぅ」

 ふんわりと、笑う。
 目的は救出、もちろん分かっている。
                 ・・・・・・・
 だから、搭載する多種多様な火器の大半は使わない。
                 ・・・・
 こんな風に、ブースターや末端部をちまちま狙っていくしかない。

 本当は、各種ミサイルを雨あられと降らせる方が、よほど得意で、楽しいのだけれど。

「同級も、いっぱいいるみたいですし。かっこ悪いとこは見せられませんからねぇ」
 柔らかく、花のように笑い続けながら。

 ――――もはや「残党」といえるほどに数を減らした『羽虫』を、『アルラウネ』は無慈悲に駆逐していった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ブラック・クロウ』

POW   :    駆け抜ける黒い嵐
自身に【バリアにもなるオーラ・フィールド 】をまとい、高速移動と【それによって生じる衝撃波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD   :    鴉の鉤爪
【腕部及び脚部の鉤爪 】による素早い一撃を放つ。また、【装甲をパージする】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    黒羽乱舞
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【ウイングユニット 】から【黒い羽状の無数の遠隔誘導ユニット】を放つ。

イラスト:key-chang

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠エルシー・ナインです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●Black Crow
 ガガンボ部隊の殲滅が、終わる頃。
 「空に何かいる」と、誰かが口にした。

 黒いオーラを纏ったウィングで空を切り、戦場を飛び回る『烏』。
 視認が困難なほどの速さでクロムキャバリアの低空域を飛び回る、真の空戦型キャバリア。

 ――黒が、閃く。



●【プレイング受付:11/2 8:30~】
※2章は1章より採用数が少なくなる予定です
 マスターコメントをご確認の上でご参加下さい
アイオライト・セプテンバー
アドリブ歓迎

先の連中は所詮、羽虫だったけど――あの黒いのは、〝烏〟ね
それも、とびきり速くて獰猛な……
アレは空を飛べる機体が、少しでも動きを押さえないと……仲間の射撃機が辛そうね

【オーバーブースト・マキシマイザー】でドッグファイトを挑むわ
【推力移動】を惜しみなく使いつつ、射撃も格闘も、搭載武装を片っ端から【一斉発射】して抑え込みにいく
弾薬を吐き捨てれば、こちらも多少は軽くなるでしょうし
接近しての追いかけっこは【操縦】技能の見せどころかしら

鍵爪の攻撃は腕部に搭載したビームバリア【ハウリングホーク】と
プラズマソード【スラッシュ】で応戦

さあ、この空で誰よりも速く飛ぶのは誰か
お相手願うわよ、〝烏〟!


美聖・らふる
(――――とある島に腰を据えたキャバリアがある。アイ・カメラの向こう側、おおよそ3km向こう。)

“メガデス”、目標地点に移動完了。
照準、確認。
ターゲット、「ブラック・クロウ」、目視、レーダー、共に補足。
エネルギー、チャージ完了。

(だってショッピングモールの上でこれをぶっぱなしたら、反動でどうなるかわかったものではないのだ)

メガリス・ドライブ、出力720%
――――“メガデス”、コード:ラスト・アンド・ピース。
照射時間、60秒。

そのフィールドは、邪魔です――――発射。



●新世界学園校外活動記録 File No.29489-09
 青と黒が、空を裂く。
 BBの周囲を巡るようにジグザグに飛翔するブラック・クロウを、ブルーテイルが猛追する。

(「速い、わね。羽虫とは段違い。少しでも動きを押さえないと……仲間の射撃機も、捉えるには苦労するでしょう」)

 ――或いは。「ここ」は、話に聞く別世界の飛行士からすれば、随分と低い空なのかもしれない。

 アイオライトは、知っている。
 この空域、このサイズ、この速度の機体が、どれだけ高度を上げればあの忌々しい天の裁きに見舞われるのか、完全ではないにせよ、学園の誰よりも――1、2を争ってはいるかもしれないが――経験則から、知っている。

 そしてそれは、どうやら『烏』も同じ。故にこれは、鳥籠の中でのドッグ・ファイト。
 ERT-D206/RS-S“サンドパイパ-”。重量を嫌ったようにばらまくミサイルは下から上へ。見えない壁際に追い詰めるように、逃げ道を塞ぎ、軌道を制し。ERT-D320/BS“カサウェアリィ”、大型荷電粒子砲の光条が迸る。
 続け様の爆発を――ブラック・クロウは漆黒のオーラ・フィールドで強引に防御。
 お返しとばかりに振るわれた烏の爪を、腕部に展開したビームバリアで、辛うじて受け流す。

 この攻防が、もう3度目だ。容易く、ではない。
 非実体の刃で切り裂くだけならまだしも、こんな速度で飛び回りながら相手の攻撃を受けとめれば、当然のように機体は流され、回転し、空気抵抗で機体各所が悲鳴を上げる。
 それを。その度に、推力と技量任せに引き戻しているだけのこと。

「まだ、行ける――そうでしょう、ブルーテイル。もっと速く――もっと!」

 オーバーブースト・マキシマイザー。ブルーテイルはその最大速度を、とうに発揮している。
 撃ち切った射撃兵装を片端からパージし、重量を削り、ようやっと追いすがる。

 気付けば残ったまともな武器は、ERT-D302/BX-A“スラッシュ”ただ一つ。剣を振るい、盾で流し、翼を広げ。
 速く。速く。もっと、速く。

 ――そんな。無限に続くかと思えた天上の剣舞は、唐突に終わりを告げた。

 不意に急減速したブルーテイルが、反転し、ブラック・クロウの傍らをすり抜けながら、ふわりと浮き上がる。
 『ガガンボ』戦でも見せた曲芸飛行。

      ・・
 その結果。上へ。飛ぶことを許されない、高さへと。

 物言わぬ『烏』に、戸惑いが走る。

 何故。これまでの攻防で分かっていたはず。「そこ」はもう、互いに踏み込まずにいた死域だ。
 追うべきか、追わざるべきか、あるいは迂闊な敵機、ブルーテイルを狙うであろう『殲禍炎剣』に巻き込まれぬよう備えるべきか。
 わずか半秒、判断が滞り、甘い反転に速度が落ちる。

(「分からないでしょうね」)
 アイオライトは、思う。
 この追いかけっこの最中、自分たちは互いに、一度も上に出ようとしなかった。
 にもかかわらず、その事実にもどかしさを覚える様子もなく機械的に飛び続けていたお前の思考は、そこ止まり。

(「――そんなだから。本気で空を感じていないから」)

 私たちがずっと、『殲禍炎剣』なんかよりよっぽど恐ろしいモノに照準されていたことに、気付きもしない。

 アイオライト・セプテンバーは、嫣然と、微笑んで。
 胸裏に過ぎる、気遣いという名の迷いを断ち切るように。

「今よ、らふる」

 囁いた。


●私立新世界学園 活動記録 File No.29489ex-01
 ――戦場から現在およそ数キロ離れた、ある「島」に。
 赤、白、緑、そして黒。分厚い装甲に包まれた重装型のキャバリアが腰を据え、巨大なビーム砲を構えていた。

 MG-002“ミゼラブル”。

「照準、確認。ターゲット、『ブラック・クロウ』、目視、レーダー、共に捕捉」

 美聖・らふる(f29983)がこれだけの距離を取って配置についた理由は、一つ。
 ――BB上から放てば、反動だけで外壁を吹き飛ばしてしまうからだ。

「エネルギー、チャージ完了」

 問題は、あった。
 どうやって、正確に撃ち抜くか。誤射は許されない。
 距離が遠いだけなら外しはすまいが、相手が高速で動き続ける中、当然ながら照準は難しい。

 そして、既に解決した。
 空戦中のブルーテイルが、示してくれた。
 通信ではない。広域通信網の断ち切られたこの世界において、この距離間での通信を敵に傍受されずに行うのは既に困難だ。

 だから、アイオライトは、飛翔の軌道で、一点の座標を示してみせた。
 美化委員内で取り決められた、委員長以外の誰にも実行できないフライト・サイン。

「……あい様」

 あの速度でドッグ・ファイトを続けながら、こちらに向けてサインを送ることがどれだけ困難なのか。
 そもそも、どうやって敵を誘導し、止めるつもりなのか。
 いずれも、らふるにはとても想像がつかない。けれど。

 委員長が、できるというのだ。
 副委員長が応えずして、何とする。

 ――そして、その時は不意に訪れた。

「メガリス・ドライブ、出力720%。“メガデス”、コード:ラスト・アンド・ピース」

 アイ・カメラの向こう側、ブルーテイルが浮き上がり、射線から退避。
 ブラック・クロウが、まさにブルーテイルの示した通りの場所で減速し、その進行方向の「軸」までがこちらを向いている。

「照射時間、60秒。そのフィールドは、邪魔です。――――発射」

 だから。
 囁きと共に、一切の迷いなくトリガーを引く。

 光が膨れ上がり、ミゼラブルのコクピット内の温度が急上昇。

 あつい。あつい。あつい――らふるの命が、今日も燃えていく。
 生理的反応として涙が溢れるけれど、声は、漏らさない。視線も、逸らさない。少なくとも、喉が、瞳が、残っている間は。

 らふるが『この最期』に向き合いながら見つめていたものは。
 焼け落ちていく自分の身体でも、
 漆黒のオーラを全力で展開して“メガデス”の砲撃に拮抗しようとし、あえなく飲み込まれていく烏でもなく。

 天から降り注ぐもう一つの柱を本当に辛うじてかわしながら、墜落同然に地面に墜ちていく、それでもなお美しい瑠璃鶲の姿だった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ルイス・テニエル
これが元凶ってやつかしら。
早い機体というのも助けにくいから厄介なものね。
――Bandersnatch、出るわ。

基本的には他の機体の支援を重視に動く予定よ。
両肩からミサイルを射出して弾幕を引いた後、右腕に装着したビーム砲で牽制を行いつつ『高速修復プログラム』で他の機体の修復を行うわ。
遠距離からでも治療できる優れものよ。
生身の治療はすぐにはできないから……怪我しない程度に気をつけなさい。

もしも弾幕を突っ切って鉤爪で狙われたときは、物理シールドとオーバーフレームで受け止めてやるしかないわね。
これでも継戦能力には自信があるの……一撃で落とされない限り、Bandersnatchは沈まないわよ?


イオリ・カクトゥス
なるほど、高速機動を得意とする空戦機体か。
似たような機体は身内にいるけど、苦手なタイプだ。

ガトリング砲とナパーム弾で敵に向かって波状攻撃。
ああ、勿論避けるんでしょ。これくらい避けられるのは良く知っているさ。
でも、今回の戦いは逃げる相手を追う戦いじゃなくて、防衛戦。
どれだけ避けようと最後にはこちらに向かって攻撃を仕掛けて来る。

ならやることは簡単だ。
無作為にばら撒くように見せかけガトリング砲とナパーム弾で敵の進路をコントロール。
こちらが決めた攻撃ルートから攻めるタイミングに合わせて、一斉掃射で迎撃するよ。

ただ速いだけの相手なら、どうとでもなるさ。

○アドリブや他者との連携等歓迎



●新世界学園校外活動記録 File No.29489-10
『――神経接続』

『――知覚共有』

 無機質なシステムメッセージと共に、接続を完了。
 イオリ・カクトゥス(f30101)は、金色に染まった瞳を開き。
 二面四臂の異形の鬼神、ジャイアントキャバリア“D-Ogre”が始動する。

「高速機動を得意とする空戦機体か……苦手なタイプだ」

 脳裏に浮かぶのは、身内にいる「似たような機体」、その筆頭。
 ――けれど、イオリは知っている。
 まさにその機体がいかに奮戦し、敵機の翼を奪ったか。

 直結した視界の一つを、拡大。
 BBを守るように陣取ったこちらに向けて飛来するブラック・クロウは、ぶすぶすと機体随所から煙を上げ、バリアと武器を兼ねていたらしいオーラ・フィールドは既にほぼ失われている。速度も、当初の法外さからすれば随分と減速したようだ。

「ならやることは簡単だ」
 三統会から調達したナパーム弾、そしてタクティックスオブドリーム製の奇妙な形状をしたガトリング。
 四本の腕を活かして自在に兵装を持ち替えた、一機による波状攻撃。

 オブリビオンマシンに向けて降り注ぐ火線は無作為なように見えて、確かな計算に基づいている。
 いかに速くとも、敵の目的は分かっている。ならば誘導することも容易。速いだけなら、なんとでもなる――

「――と」
 眉を潜める。ブラック・クロウがその翼から、羽のような形状の無数の遠隔誘導ユニットを射出したのだ。羽の刃がナパーム弾を次々に撃墜し、さらにこちらに迫る。

(「かわす……いや」)
 背後のBBに着弾しかねない。撃ち落としきれない幾らかは食らうか? イオリがそう、逡巡した瞬間。

 右方から飛来したビーム砲が、撃ち漏らした羽の大半を貫き、爆砕。
 それでもなおすり抜けた数枚の羽が、D-Ogreの装甲を傷つけるが――

「……これは」

 見る間に、治っていく。


●新世界学園校外活動記録 File No.29489-11
「あれが元凶というやつかしら? 速い機体というのも助けにくいから厄介なものね――そう思わない、園芸委員長」
 ルイス・テニエル(f30116)。「ドクター」なるコードネームに恥じず、彼女の関心は常に人身の無事にある。味方はもちろん、敵パイロットも例外ではない。
 そして、彼女が駆るキャバリア――HΠT-013.7-00“Bandersnatch”からは、既に修復用散布ナノマシンが散布されている。D-Ogreの損傷を直したのも、ルイスによって本来よりも強化されたナノマシンの力。

『……相変わらず便利なものだね、保健委員長』
「だからって、これ以上壊れるんじゃないわよ? 生身のケガにも気をつけること」

 ブラック・クロウに向けて牽制のビーム射撃を続けながら。感嘆を帯びたイオリからの通信に、ルイスは一応の釘を刺す。
 忘れてはいけない。治せるからといって、傷つかないわけではないのだ。体も、心も、ついでにいえばルイスの胃壁も。

『分かっているつもりだよ。そのためにも……』
「ええ。止めてあげましょう」

 バンダースナッチの両肩部に取り付けたミサイルのハッチが開く。Justitia Ind.の“ワスプ”、(有)メルヘン“マッド・ティー・パーティー”――異なるメーカーの武装をスムーズに併用できるのは、悪名高きハルモニア製キャバリアの真骨頂。

 雨あられと放たれたミサイルが、中空でD-Ogreの銃弾に撃ち抜かれ、爆発。
 突如空中に咲いた炎の花を避けようと急旋回したブラック・クロウを、待ち構えていたかのように。――否。確かに、待ち構えて。

 二面四臂の鬼神と、姿描かれぬ不定の怪物。
 こと「手数」において容易く遅れを取ることはない、二機の「委員長級」による一斉射撃が突き刺さる――!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

桐生・零那
キャバリアなんてただの道具にすぎないと思ってたけど……存外愛着が湧くものね。
『Bambi』、もうちょっとだけ付き合ってくれる?
真の姿、断片的な神降ろしを実行。
神の奇跡にて、この機械の躯に今一度仮初の息吹を。
敵への道筋は私が作る。
《世界は色を失った》
死角から襲いかかる透明の鎖、けど確かに存在する足場。
さぁ、ゆっくりで平気よ。あの黒烏に神罰を与えにいきましょう。
もうこれ以上この子は動くことも叶わなくなるでしょう。
でも、その足掻きの一歩が二刀を届かせる。
ありがとう、小鹿ちゃん。後は任せてゆっくり休みなさい。
コックピットから飛び出して機体を放棄。その勢いのまま斬りかかってやりましょう。



●Bambi Ⅱ
「キャバリアなんて、ただの道具にすぎないと思ってたけど」

 ――存外、愛着が湧くものね。

 コクピットの中、零那は苦笑する。
 彼女が借り受けた――最早返すことも出来ないだろうが――量産型キャバリア、Bambiは、ガガンボとの激戦で限界を迎えていた。
 特にダメージが深刻なのは、強引な機動のツケをもろに受けたアンダーフレーム。
 或いは、零那が歴戦のキャバリア乗りであれば、Bambiにそこまで無理をさせることもなかったのかもしれないが。
 子鹿はもう、独力で跳ね回ること叶うまい。

 けれど。

「『Bambi』、もうちょっとだけ付き合ってくれる?」

 囁く。
 不可能なことではない。
 零那は確かに、キャバリアの操縦に長けてはいないけれど。
 代わりにその胸には、信仰の灯があるのだから。
 真の姿を示し、断片的な神降ろしを実行。神の奇跡にて、この機械の躯に今一度仮初の息吹を。そして、

「――『アグレアプト』。今その契約を果たせ」
 知の悪魔へと、囁きかけた瞬間。
 代償として右目が映す世界が色を失い、不可視の鎖が現れる。

 本来ならばこの鎖は、敵へと絡みつき、その動きを封じるためのもの。
 だが、今はそれよりも重要な役割がある。

「――ええ、そうよ。いい子ね」

 不可視の鎖を掴み、仮初の命を得た『Bambi』がぎしりと立ち上がる。
 鎖を伝い、一歩、また一歩。その歩みは徐々に加速し、ついに、駆け出した。

 鎖の導く先に確かに在る、黒き神敵へ向けて。

 一時の奇跡が終われば、子鹿は再び動かなくなるだろう。
 けれどその足掻きが、零那の刃を届かせる。

「ありがとう、小鹿ちゃん。後は任せてゆっくり休みなさい」

 まるで『Bambi』が後ろにくずおれるように、オーバーフレームが展開。開いたコクピットから、飛び出す。
 鎖を蹴り、宙へ。ついに鎖が絡みついた傷だらけの黒い烏、神罰から逃れんとするかのように空に逃げようとする機体を、追い越して。

「――散りなさい」
 神威、影無。

 二刀が閃き、ブラック・クロウの左腕部を斬り飛ばした。

成功 🔵​🔵​🔴​

ノヴァンタ・マルゲリータ
自動操縦にしたスクラッパーを囮としてハッチから出撃
砲撃をばら撒いて敵機の気を惹こう、如何にも狩りやすい、動きが不慣れな獲物を装って
【砲撃】【演技】

弱い獲物から狙うのは狩りの基本
ですが、獲物を狩る瞬間とは最も無防備となるもの
そこを狙い撃つとしましょう
私はビッグ・ベン外周の見晴らしの良い地点からその時をじっと待ちます

スクラッパーに鉤爪が届いた瞬間に合わせて狙撃を敢行
狙いはご自慢のその翼、高機動の空戦型キャバリア相手なら姿勢制御を崩すのが定石ですから
この弾はキャバリアの装甲だろうとぶち抜きますよ
【スナイパー】【部位破壊】

――さぁ、鴉狩りの時間です

※アドリブ、共闘歓迎



●Scrapper
 一歩、また一歩と。新たな機兵の足音が響く。
 CIC-010/『ヘヴィーギア改』。
 シビリアン・インダストリア社から販売されている量産型キャバリア、その戦闘用カスタム。

 その動きはいかにも鈍重、単調で、まるでマニュアル操作の新兵のよう。
 強いて違和感を挙げるとすれば、その装甲か。
 修復と改修を繰り返したその機体の姿は、本来のヘヴィーギア改とは既に大きくかけ離れていた。
 新兵というには、あまりに歴戦の佇まい。“スクラッパー”。そんな名を、自然と想起させる。

 ブラック・クロウ、正面より接近。
 それを検知したか、スクラッパーは腰を落とし、肩部の砲戦ユニットを照準――発射。

 或いはその砲撃は、敵機が万全な状態であれば、意にも介されなかったかもしれない。
 だが、ブラック・クロウは猟兵たちの機体の攻撃により多くの損傷を受け、各部から煙を吹き、左アームに至っては失いまでして、――何より、苛立っていた。
 身の程知らずな攻撃を加えてくる雑魚キャバリアを、蹴散らしておきたくなる程度には。

 砲撃を、かわし。
 すれ違いざま、爪を振り上げて――

 ――――銃声。ついで、炸裂音。

 翼の根本で爆炎が上がり、ブラック・クロウの機体が大きく揺れる。

(『――――ッ!?』)

 弾道計算。アイカメラをぐるりと仰ぐが、BBの外周、そこにはもう狙撃手はいない。
 アンチマテリアルライフルから対キャバリア用徹甲炸裂弾を放った男――ノヴァンタ・マルゲリータ(f29982)は、即座にその場を移動していた。

 鳥獣が最も無防備となる時、それは獲物を狩る瞬間――故に、自動操縦モードにしたキャバリアを囮にした狙撃。
 そして、狙撃主は一撃ごとに移動し、場所を特定されないのが鉄則だ。

 当然、この一撃だけで終わらせるつもりはない。

(「――さぁ、鴉狩りの時間です」)

成功 🔵​🔵​🔴​

嗣條・マリア
敵機体性能を推定
敵運動能力から急激な方向転換、旋回軌道に要する時間、制動距離を予測

……ほぼ見えないとしても、来るとわかっていれば対処のしようはあります

“声”により敵の攻撃方向を予知
敵機性能の予測から、旋回位置や方向転換のため制止する瞬間を狙ってジャンプユニットにて間合いを詰め、近接兵装にて攻撃を仕掛けます

コフィンチョッパーで捉えてしまえばまともな機動は出来なくなりますから
何度も、何度も、何度も繰り返して地面に引きずり下ろして差し上げます
捉えたら――そこを追撃して、終わりにしましょう


返してください。そこは、私たちの空ですから
今日は天気がいいんです



●新世界学園校外活動記録 File No.29489-12
 ブラック・クロウは、一体化したパイロットの意識と共に、怒りに燃えていた。
 わらわらと、次から次へと現れる敵機。
 ある機体は「彼」よりも上を飛び、ある機体は地上を這いずりながら、あまつさえある者は生身にて、天を独占していたはずの「彼」の領分を犯す。

 その不遜を、これ以上許してなるものか。
 焼け付いて停止していたオーラ・フィールド発生装置を強引にリブート。出力は当初の2割。十分だ。
 黒のオーラを身に纏い、再び加速。もう小煩い敵を一々構っていられない。狙いは、衝撃波による「BB」の破壊――――

 ――それを。「許さない」とばかり、機先を制して巨大な鉄の刃が打ち据えた。

 JRX-09“コフィンチョッパー”。鉄の棺を断ち切るもの。多様な武装を駆使するJ-000 EMD Tyrant Phase4においても代名詞的に知られ、恐れられる「代表のお気に入り」。

(『――――ッ!?』)

 地に叩きつけられたオブリビオンマシンを支配するのは、怒り以上に困惑の気配だった。
 そんな重量の塊で、どのようにすれば空を舞う烏を捉えきれるというのか。
 おかしい。今の攻撃は、明らかにおかしい。まるでこの機体がどこを通るか分かりきっていたかのような差し込み。

 損傷を確認――戦闘続行、可能。ブラック・クロウは再び浮き上がり、飛び立――

 ――つことを、許さず。暴君の剣先の鉤爪が烏の装甲を捉え、引きずり下ろし、再び荒野に叩きつける。

「一度捉えてしまえば、簡単なことです」

 マリアは、囁く。
 烏のトップスピードが、視認出来ないほどに速いとしても。
 飛び立つ瞬間から、その速度が出せるという道理もない。

 ならば――どういった軌道で飛び立とうとしているのかを全て読み切ってしまえば。
 一度捉えた剣の間合いから、鳥を逃さないことなど造作もない。

『右上方に飛び立つ――』
     『のは、偽装。回転しながら脇をすり抜けてきます』 
 『遠隔誘導ユニット射出。射出前にウィングユニットを破壊しましょう』

 ――そして、彼女にはそれを可能とする力がある。
 口々に囁く声を聞き分け、並行して検討。

 逃走を読み、鉤爪で捉え、地面に叩きつける。
 反撃を潰し、鉤爪で捉え、地面に叩きつける。

 二度。三度。四度。五度。

 ついに動きが止まり、再びオーラ・フィールドを失ったブラック・クロウを――“暴君”は、蹴り転がし、踏み抜き、最後にコクピット部の装甲に、剣先をかけて。
 
「返してください。そこは、私たちの空ですから」

 ――――今日は、天気がいいんです。

 ばきりと。出力任せに、こじ開けた。




 『ガガンボ』並びに『ブラック・クロウ』――全敵機、沈黙。

 ざあ、と、吹き抜ける風が雲を払い、青空が覗き。
 「BB」から、戦闘終了と感謝を示す祝砲が鳴り響いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『超巨大移動要塞型ショッピングモール』

POW   :     

SPD   :     

WIZ   :     

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●“移動要塞型ショッピングモール”
 巨獣が、歩みを再開する。
 展開されたスロープを上がり、或いは空路で天蓋上に登り、強固なゲートを通って中へと入れば、そこはまるで巨人の世界。
 「キャバリアに乗ったままウィンドウショッピングが出来る」という触れ込みの通りだ。

 もちろん、生身で歩き回ることだって出来るし、多くの店には人間用の高さのレジもあるけれど。
 身の丈5mの機兵に蹴り飛ばされないよう、ようく気をつける必要があるだろう。
 キャバリアの側も、足下にはくれぐれも注意するよう、あちこちに看板が掲げられていた。

 掘り出し物のパーツを探すか、戦いを終えた自機を労うか。
 もちろん、鉄と油の匂いを離れて、遠目に道行くキャバリアを眺めながら飲食店で一服するのも良い。

 娯楽商業都市「ビッグ・ベン」は、キャバリア・生身を問わず、あらゆるお客様を歓迎しています――。



●【プレイング受付:11/8 8:30~11/11 23:59】
・3章についてはなるべく全員採用を目指したいと思いますので、お気軽にどうぞ
・3章だけの参加も歓迎です
・合わせプレイングもご遠慮なく。プレ冒頭にお連れ様の名前とID、ないしグループ名をお願いします

・今日もういっぱいいってそうだな、って気がしたらそっと翌8時半待ってくれると黒原に優しいです。あまり気にしないでも大丈夫です
・一応、3章日常なのでOPに登場したグリモア猟兵もお声がかかれば登場可能です。キャバリアは持っていません
ノヴァンタ・マルゲリータ
ふぅーっ……頼れる味方が多かったおかげでこちらも被害は少なかったですね
折角ですし、スクラッパーに乗ってお店を見て回りましょうか

今回は上手くいきましたが、もう少し自動操縦でも砲撃の精度は上げたいですね、あるいは速さと数で面を制圧するか……
囮だからこそ敵の気を惹けなければ……
先の戦闘での反省点を元に役に立ちそうなパーツを探していきましょう

……んっ、んっ!
こんにちわっ! わたし、こういうパーツを探しているんですけどぉ……
店員の方には、見た目に相応しい演技をしながらご助力を願いましょう
値引き交渉などができるようならその辺りも
あとは近くの国などについても情報収集を

使えるものはなんでも使うのが傭兵ですから



●スクラップ&グッディグッディ
「ふぅーっ……頼れる味方が多かったおかげで、こちらも被害は少なかったですね」

 囮にした割には損傷も少なく済んだ愛機・スクラッパーに乗り、ノヴァンタ・マルゲリータはゆっくりとBBを練り歩く。
 コクピット内の姿は、先刻見せた老練な兵士のような戦法に――そして実年齢と性別に――似合わず、小柄な身体にふわふわした金髪をポニーテールにまとめた、まるで年端もない少女のようだった。

 ――さて、折角だから何かの武装を新調していこう。辺りを見渡せば、非武装の作業用民生品を含めた複数のキャバリアが当たり前のように闊歩するショッピングモール。これだけキャバリアが当たり前の都市なら、なるほど、良い製品も見つかることだろう。
 そう考えたノヴァンタは、今回の戦いを振り返る。

(「まずは砲撃の精度。今回は上手くいきましたが……」)
 いかに自動操縦、そして敵が特別に高速機だったとはいえ、攻撃が当たるに越したことはない。振り返るに、今回の攻撃成功は敵機が冷静さを失っていたから、という要素も大きい。脅威のない攻撃では無視されて終わり、注意を引き付けられない場面もあるだろう。
 となるとまず考えられるのはFFS――射撃管制システムの改善。無論、シビリアン・インダストリアル社製のOSと競合しないことが必須条件だ。
 あるいは、武器自体の追加、持ち替え。速さと数で面制圧する……例えば誘導ミサイルの類なら、自動操縦で発射するにも向いていることだろう。
 目星をつけるのは、その辺り。

「……んっ、んっ!」
 キャバリア用ウェポンショップ店の前で咳払いし、声を高めに調整。
 音声だけでも良かったところ、わざわざコクピットを開き、店主に向けてくりくりとした赤い目を輝かせ、

「こんにちわっ! わたし、防衛戦にも出撃してたんですけど、上手く敵に攻撃が当てられなくてぇ~……良い武器とか補助パーツ、ないですかぁ?」
 全力の、かわいこぶりっこ。
 元は愛玩用に調整された身、この程度の演技はお手の物だ。
 年季の感じさせるキャバリアの中から現れた新兵めいた「少女」というギャップにたじろぐ店主に、ぐいぐい距離を詰め。
 
 ――この分なら出費は抑えられそうですね、と、手応えを感じる。
 うまくいけば、近隣国の情報収集を行うのもアリだろう。
 そんなことを考えながら、ノヴァンタは交渉を進めていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

千束・桜花
おや、ランガナ殿!
一緒にお食事へいきませんか?
キャバリアでの戦闘はかなり疲れてしまいますから、お腹が空いてしまって!
パイロットスーツのままなのはご容赦くださいっ!

外界へ出られるようになってからというもの、こうして他の世界の甘味を食べて回るのが私の趣味でして……
この世界では甘味もプラントで生成されるのですね。
ランガナ殿は何をいただかれます?



●サクラ×スイーツ×フェアリー
 ――おや、ランガナ殿! 一緒にお食事へいきませんか?

 道端を見回るようにふわふわと飛ぶ小さな友人――依頼を案内したグリモア猟兵を見かけ、コクピット内からそう声をかけたのはしばし前。
 千束・桜花はサクラメヰルを降り、ランガナと向かい合うように席に座っていた。
 フードコート内のカフェー、もとい小さな喫茶店だ。

「紅茶と『本日のプラントお任せスイーツ』に……ケヱキを、これと……これも。ランガナ殿は何をいただかれます?」
「では、コーヒーと……妖精用のサイズは……ないか。またケーキを少し、分けてもらおうかな。……にしても、相変わらずよく食べるね?」
 注文を済ませ、くすりとおかしげに笑う妖精に、桜花は少しだけはにかんで。
「キャバリアの戦闘はかなり疲れてしまいますから、お腹が空いてしまって!」
「ああ……やっぱり直接戦闘とはまた違う神経を使うものなのかな。……転送の時も驚いたけど、まさかキミまでキャバリアに乗って出撃するとはね」
「おや、そうでしたっ! パイロットスーツのままなのはご容赦ください!」
「いや、それはむしろ役得だけれど。可愛らしいね」
 やくとく。「借りた参考資料」にはこういう衣装は出てこなかったのでよく分からないけれど、と桜花は内心首を傾げつつ、気分を害さなかったならいいか――と、スーツに包まれた控えめな胸を張り、
「幻朧鋼甲冑サクラメヰルです! 帝都櫻學府の技術力もなかなかのものでしょう?」
「あちら製なの!? いや、確かに斬艦刀の拵えといい、サクラミラージュの帝都風意匠だったね……それは、驚いた」
 珍しく目を丸くするランガナに、そうでしょうそうでしょう、と桜花は得意げに笑う。

「櫻學府は他世界との技術交流にも積極的ですから! ……とはいえ私は、『こちら』に意識を向けてしまうことも多いのですが」
「こちら?」
「外界に出られるようになってからというもの、他の世界の甘味を食べて回るのが私の趣味でして……!」
「ああ」
 成る程、と腑に落ちたように笑う妖精。
 特に呆れもせず、私も新しい世界の本ばかり気になってしまうから。一緒だね、なんて言葉が返ってくるのに、少しだけほっとして。

「さっきのメニュー、この世界では甘味もプラントで生成されるのですね」
「プラントにもよるだろうけどね。さっきうろつきながら読んだガイドだと、ここが確保してるプラントからはチョコレートやパン、缶詰なんかの保存食を入手しやすい……だそうだから、そういう素材を使って何か作ってくれるんじゃないかな――」
 注文を待ちながら、そうして和やかに言葉を交わす2人だった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヨルゲン・エリクソン
そうだな。せっかくなので、キャバリアに乗りながらキャバリア用の買い物かごを持ちつつ、キャバリアウインドウショッピングと洒落込むとするか。
「あ、キャバリアサイズなおっきい食材がある~、すご~い」
みたいなノリで目を輝かせつつ、キャバリアサイズ冷凍ピザとかキャバリアサイズ豚肉とか買う感じで行こうかな。気分的にコストコな感じで。
「ええ~、こんなのまで売ってるのぉ? 迷っちゃうねぇ~」
みたいにきゃいきゃい買い物をしたいと考える。
やっぱり心のわくわくを大事にしたいしな。
まあ、ちょっと調子に乗って買いすぎて予算が厳しくなるかもしれんが、それもまた一興ってやつだ。

※アレンジ、他のキャラとの絡み歓迎しちょります


エアリアル・ネバーランド
私立新世界学園からの買い出しにつきそいで来ました。あまり島の外に外出することは少ないので、なんでしょうか、とてもワクワクしてます。見るもの全て新鮮です。

自分の機体は持ってきていないので、同じ所属の誰かの機体の肩とかにちょこんと載せてもらえたらな、とか、もしくはキャバリア用ショッピングカートに乗って店内を見て回りたいです。

島にはない植物の種とか苗、知らない食べ物、遠い場所のファッション、ご当地キーホルダー、ゲームセンター目が移っちゃいますね、……あ、プラント産の食材って同じモノでも生み出したプラントによって味が違うって噂は本当なのか、気になります。これも「おふくろの味」的なものなんでしょうか。



●心のワクワク
 ずん、ずん、と、一機のがっしりとした量産型キャバリア――ヨルゲン・エリクソンが操るTOD-IMaBe『グロービョルン』がビッグ・ベンを練り歩く。

 首からは、ワイヤーで固定してもらったキャバリア用の大きな買い物かごがぶら下がる。
 もちろん手に持つこともできるが、マニピュレータが細かな保持に向いていない機体もこれで安心、というわけだ。
 なにせグロービョルンはイカれた右腕をちぎって『ガガンボ』の腕をつないだまんまなので、これは大変ありがたい。

 無事な方の腕で持てばいい、といえばその通りなのだが、そうもいかない事情があった。
 今現在、グロービョルンの左肩には――

「ありがとう、ございます……乗せてくれて」
『大丈夫だぞ。丈夫が取り柄の機体だけど、図体もデカいしな……ああ、右腕には近づいちゃダメだぞ、たまに火花出て危ないから』
「……はい。この子の肩、大きくて、座りやすいです」

 ――いたいけな少女。エアリアル・ネバーランド(ロストボーイズ・f30092)がちょこんと乗っているからだ。

「あまり、島の外に外出することは少ないので……なんでしょうか」
『ん? 落ち着かないか?』
「いえ。とてもワクワクしてます。見るもの全てが新鮮です」
『はは、そうか』

 外部スピーカーとマイク越しに会話しながら、コクピット内、ヨルゲンは穏やかに笑うと。
 さりげなく機体を極力揺らさないよう務めながら、ゆっくりとモールを回る。
 エアリアルの視線が止まったように思える店には、なるべく機体を近づけて、立ち止まる。学園都市にない植物の種や苗、遠い場所から流れてきたのだろう衣料品、ご当地キーホルダー。
 ……確か、向こうにはゲームコーナーなんかもあったな。遊んでいくのもいいか……なんて考える中。

 ヨルゲンはふと、カメラ映像の端に映ったものに目を留め。

『……ああ~! キャバリアサイズなおっきい食材がある~、すご~~いっ!』
「ぴぃっ!?」
 キラッキラと目を輝かせ、グロービョルンを停めて店先を覗き込んだ。
 カメラアイの先にあるのは、やたらと大きい――骨付きの加工肉。一言で言えば「マンガ肉」というべきそれのラベルは、「ジャイアント謎肉」とある。まさかジャイアントキャバリアの肉ではないだろうが、一体何の肉なのか。

 ヨルゲンの心の少年の部分を掴んで離さないそれに、大人なお兄さんな部分はどこかに吹っ飛んでしまったのだった。
 そしてノリの急変についていけずにびくっとする小動物のような少女であった。

「……あ、でも」
 エアリアルは、ふと首を傾げてジャイアント謎肉を見つめ、
「プラント産の食材って、同じモノでも生み出したプラントによって味が違うって噂……本当なのか、気になります」
『ええ~、ほんと!? 学園のお肉と違うの~!?』
「ぴぅ……こ、これもおふくろの味、的なものなんでしょうか」
『わあ~、おふくろの……、……おふくろの味、か……?』

 一瞬正気に返りつつも。ヨルゲンはグロービョルンの……或いは『ガガンボ』の右腕を動かし、ジャイアント謎肉をかごに放り込む。
「……買うん、ですか?」
『だって気になるんだろ、おふくろの味比べ。後で他の奴も集めて焼き肉パーティだな』
 
 昨日も、明日も。殺伐とした日々が続くからこそ、心の「ワクワク」は大事にしたいとヨルゲンは思うのだ。自分のも――仲間のも。
 まあ、ちょっと調子に乗って買いすぎて予算が厳しくなるかもしれないが、それもまた一興、ってやつだ。

『あ! 見て見て、ええ~、こんなのまで売ってるのぉ? 迷っちゃうねえ~~』

 再びはしゃいだ様子の声をスピーカーから流しながら、隣の店――並んでいるのは一体何なのかよく分からない、顔のようにも見える実がついた背の高い植物だった――を覗き込むグロービョルンを、エアリアルは不思議そうに見上げてから。
 ぎゅ、と、まるで口許を隠すように「プラントちゃん」のぬいぐるみを抱き直しながら、そうですね、と頷いたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ナツキ・サクラバ
デュ・エルオビーオ(f30612)とともにやってきたナツキ・サクラバ
いつも寝てばかりいる少女を軽い運動もかねて誘い買い物にきたのだった
だがナツキは異性との買い物は何をすればいいのかわからない。動揺しております

とりあえず無難に新しい調理器具とか見つつ、何か食べ物でも…噛むのが面倒らしいのでアイスを…口に入れるのが面倒らしいので食べさせることにした。動揺しております

二人が乗ってきたスーパーロボット、ヒュペリオンは重量が大変重く遅いのだが歩くだけならそこまで問題無い。が、コックピットは二人で入るとなるとさすがにかなり狭い。そう、狭いのだ。動揺しております

アドリブ歓迎です


デュ・エルオビーオ
ナツキ・サクラバ(f30066)に買い物へと誘われたデュ・エルオビーオ
彼女は年単位の睡眠時間を終え、色々大きくなって、運動不足
その解消が目的だが
…………正直ー、動きたくなーい
彼女は怠惰だった

…………あー、狭かったにゃー
それでも善意からの誘いを完全に無碍に出来ないのかやってきた
ギリギリ入れる狭いコックピットに二人乗りで

さて、来たものの正直買い物には全く興味がない
どちらかというと
…………あー、焦ってるー、焦ってるー
ナツキを見る方が楽しい

戦いも無事終わったようで
…………んー、誰もー、欠けてないならー、それが一番ー
噛まずに済むアイスを貰って
…………あーん。……まーまー楽しかった、かなー?

アドリブ歓迎



●一番乳がでかい女と一番ハードルが高い男
 ゆっくりとした、歩み。
 多くのキャバリアの行き交う「BB」内でも、一際重い足音。鈍重といえば、鈍重に違いない。だが、その諸事情により一言では言い表せないその姿が醸し出すのは王者の貫禄。そんな機体に、買い物客たちの視線が集中していた。

「あの機体……まさか、私立新世界学園のヒュペリオン?」
「俺、初めて見た」
「ってことは、搭乗者は……」
「まさか、あの“キング・オブ・デストロイ”――!?」

 ――ざわ、と。生身、キャバリアを問わず、波紋のように、そのコードネームが広がっていく。

 そんな話題の渦中にあるキャバリア、WRT-666 code:K.O.D“ヒュペリオン”のコクピット内では、

(「思念、うるさいな~……」)
 デュ・エルオビーオ(f30612)が、顔をしかめていた。
 そして当然、
「ナツキ……ヒュペリオンの首、動かしてー……。左後ろ50度まで……ゆっくりー……」
「はははいっ!」
 そのすぐ左隣には、破壊の王と称された本人、ナツキ・サクラバ(f30066)の姿もあった。
 一応平然を装いながらも、ガチガチに緊張している様子である。

 そして少女の指示通り、ぐるりと周囲を睥睨したヒュペリオンの威容に、口々に無責任な噂をしていた野次馬が一斉に視線を逸らし、意識が逸れる。

「……なんか驚かれてませんでした?」
「ううん、だいじょうぶー……だいぶ静かになった」
 不思議そうなナツキを横目に、満足げに頷くデュ。
 にしても、

(「狭いにゃー……」)
 身じろぎする。
 密着した太ももがこすれたナツキも身じろぎする。……あ、いや、違った。気にしたのは肘に当たって形を変えた胸の方だったみたい。そう、漏れ聞こえたナツキの思考を読み、焦ってるー、焦ってるー、と、内心ほくそ笑みながらも。

 4年前の感覚でいたのは失敗したかなー、と、思わないではない生徒会書記、デュ・エルオビーオだ。
 年単位の過剰な睡眠。それによる運動不足を心配して、買い物に誘ってくれた……というナツキの誘いは概ね裏表ない善意に彩られていて、好ましかった。それに、どうやら誰も欠けずに戦いが終わった、というのも気分がいい。だから誘いを無碍には出来なかったけれど、……でもやっぱ運動とかしたくないのであった。
 だから無理を言って、ヒュペリオンのコクピットに乗せてもらった。フェアリーあたりならまだしも、全高5m前後の共通規格であるキャバリアのコクピットは、1人で乗ったって決して広いものではない。当然、2人乗りなど想定した設計ではないのである。
 その上に、寝ている間に育ちすぎてしまったカラダだ。
 ずっと、狭いし暑い。それでも、降りて歩くのは嫌だ。キャバリアに蹴っ飛ばされないよう気を付けながら歩くのは実際しんどいし、

「……ナツキを見てる方が楽しいー」
「ひゃい! 今何か言いました!? あと息、息が!」
「ううん、なにもー……あ。レーン、右側が空いてるよー……」
「はい!!!」

 ピンと背筋を伸ばして返事して、指示通りにヒュペリオンの歩みを進めるナツキ。
 ナツキは大変動揺していた。心配して誘ったは良いものの、女の子との買い物とか何をすればいいのか分からない。
 新発売の調理器具を軽くチェックして、給食委員長としての買い出しもさっくり終了してしまった。
 とりあえず、何か食べようか、と。噛むのも面倒だというので、アイス屋に並んで注文の入力を済ませた次第である。
 行列の順番が来たのでヒュペリオンのコクピットを開き、左側のキャバリアスルー窓口に手を――

「私、受け取るねー……」
 ナツキの右側に座ったデュが、彼に覆い被さるように体を伸ばす。

「なんでこんな時だけ自分から動くんですか!!?」
「えー、ナツキがさっき動けってー……」
「分かった分かりました! 分かりましたからその体勢のまま止まらないでください!」
(「やばいやばいやばい良い匂いする膝になんか重くて柔らかいのが乗って……乗って!? この体勢で!? 乗って!?」)

 地獄のような、あるいは天国のような時間は数秒。
 なんとかナツキのサクラバがヒュペリオンしてしまう前に、ナツキは少女を通してアイスを受け取った。
 なお、店主は「へっ、アンタほどの人が女連れで来てくれたってのに金は受け取れねぇよ……」と代金を受け取ってくれなかった。なんでだ。俺なんかやっちゃいました? 分からないけど美味しかったら食堂の期間限定デザートの推薦リストに入れとこう、甘味の要望もあったし……。

 とにかく荒い息をつき、ヒュペリオンの歩みを自動操縦に切り替えながら、自分のアイスを一口。
 ひやりとした感触が、茹だった頭を少し――、

「……ん?」
 右隣から、袖を引かれる感触。
 見れば、デュが、

「あーん」
「え」
「……あーん」
「……あの、もしかして口に入れるのも面倒とかそういう……」
「…………あー、ん」
「…………はい、あーん」

 小さな口に、アイスを運んでやる。
 ……動揺は収まりそうにない、と目を泳がせるナツキと。
 その内心を見透かしながら、たまにはこういうお出かけもまーまー楽しいかな、なんて思う、デュだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アイオライト・セプテンバー
アドリブ超大歓迎
無類のラーメン好きとしての真の姿を現します

折角のキャバリア用ショッピングモールなので
キャバリアにお洒落させるタイプの装備を色々見繕いたいわねえ……
ここならキャバリアごと乗り入れられるから、外套型装備の試着とか、ステッカー合わせたりとかいろいろできるだろうし
戦闘で傷ついた機体をお洒落かつ大胆リメイク(主婦のDIY感覚)しちゃいましょ

あとキャバリアに装備できる製麺機と鍋が欲しいわね
こんだけ大きければあるんじゃないかしら
ない? そう……

じゃあせめてキャバリアドライブスルーのラーメン屋とか……
こう、戦いの後だからね
ラーメンが食べたいのよラーメン
キャバリア乗りを唸らせるようなラーメン!


風祭・ヒュウガ
・連携・絡み・アドリブ歓迎

乗ったまま買いモンできる、つってもなァ……
わざわざキャバリアに乗ったままで買うようなモン…………パーツとか殆ど外付け効かねぇしなぁ、コイツ

……もしかしてアイツ、あのクッソ派手なライフルとかこういうトコで買ってんのか……!?

……MiVi??あぁ、なるほど。マントやクロークみてぇなヤツを人の服みたく試着できるってワケか。
パーツの装着は出来なくても、羽織るくれぇならフーガでも出来るか……? ちっと見てみるとすっかね

後は……そうだな、大容量の食料品とか、キャバリアじゃなきゃ持ち運べねぇようなモン買って帰るのもいいか。
なんかその手の買い出しに来てる連中居そうだしな。



●高すぎた授業料
「……どうしてこうなった?」
 BB内、MiVi直営販売店『美美人(ビビット)』内にて。
 風祭・ヒュウガは頭を抱えていた。

 その視線の先にあるのは―――――


 ――発端は1時間ほど前、戦闘終了後に帰陣した、「BB」のキャバリア出撃ハッチに遡る。

「乗ったまま買いモンできる、つってもなァ……」
 自機を降り立ち、風祭・ヒュウガは首を傾げる。
「パーツとか殆ど外付け効かねぇしなぁ、コイツ」
 それどころか、修理も弾薬補給も、通常の意味でのエネルギー補給すらも要らないのだ。実のところ、その継戦能力こそ、ユーベルコード・フォトン・リアクターを搭載し、バイオニウム・カーボンによる自動修復機能を備えたオブリビオンマシンであるKMZ-1001“フーガ”の真骨頂と言えるだろう。

「わざわざキャバリアに乗ったままで買うようなモン……」
「――甘いわね、ヒュウ」
 にゅっ。
 背後がら突如現れた姿は――
「うおっ、イオ……!? 甘いって何がだよ……」
 美化委員長、アイオライト・セプテンバー。美化委員であるヒュウガにとってはある意味もっとも見慣れた相手であり、その言葉には看過し難い重みがある。
 ……そう、今日のアイオライトからはなんとなく胡乱げな気配がしていることを、薄々感じていたとしてもである。

「いいこと? 折角のキャバリア用ショッピングモール、キャバリアにお洒落させてあげなくてどうするの」
「どうもしねェ」
「綺麗になさい。生き方も、在り方も、キャバリアもよ」
「久々に聞いたしここで聞きたくなかったなそれよォ!」
 ぎゃあぎゃあと喚くヒュウガの腕を、がしりと握り。
「いいから。私がCTC(キャバリア・トータル・コーディネート)ってやつを見せてあげるわ」


 ――そして、1時間後である。

「ンーッ、いい感じね! 私のブルーテイルもお洒落かつ大胆リメイク!」
「ほんと、どうしてこうなった……?」

 戦闘での損傷の多かったブルーテイルは外套を新調。更には細かな傷を道中の量販店で購入したステッカーで隠し、あるいは意匠の一部のように盛り込んで、意識高い系主婦のDIYのようなクオリティで美しく変貌を遂げていた。
 では、そのブルーテイルの隣に立つ、フーガのコーディネートを確認していこう。

「まずは定番ね。MI-Marvel of Peruシリーズ、メタルファイバークローク。今回は冬用のV004から今年の新色」
「あァ、まあ……羽織るくらいならフーガにも出来るしな。それは、並んでるの見ながら考えてた」
「良い製品よ。私はV009……式典用のものに耐弾、耐エネルギー加工を施してもらっているけれど……フーガの場合、動きの邪魔になったら元も子もないし、最初からオーダーメイドを頼むのもアリね」
 と、ここは真っ当なアドバイス。

「次よ! MI-Streptocarpus-V001、排熱ヘアーエクステンション!」
「要るか? 排熱……」
「あら、ヒュウの髪は綺麗だもの。キャバリアもお揃いにしておきたいでしょう?」
「なぁ要るか???」
 フーガ は 髪 を装備した。

「そしてMI-Ranunculus-V006――材質強化ネイルラッカー。キャバリアのマニキュアね。色は機体に合わせたワンポイントよ」
「ぜってェ要らねえよな!!?」
「あら、そうでもないわ。単純な部位強化にもなるし、確か霊的存在を掴むようなラインナップもあるわよ。ある程度はフォトンで解決できるにしても、むしろ徒手格闘向けの装備でしょう」
「……微妙にもっともなことを……」
「これはただのオシャレ用だけどね」
「おい!!!」
 フーガ は マニキュア を装備した。

「そしてこれが本命、肩飾り――風ブースター。MI-Fireworks-V013、うちあげ花火! 相手に組み付いてから使う大出力ロケットブースターね。私には少し使い道が思いつかなかったのだけど、ヒュウなら格闘戦で捕まえられるでしょう?」
「……嫌な予感がしてきたんだが、一緒に飛んでどうすんだ?」
「ホーリーグレイル高度まで飛んで道連れにする想定のトンデモ兵器らしいけど、そこは使いようよ、ヒュウ。空戦の見本なら目の前にいるでしょう?」
「そろそろ分かって言ってるよな? 顔笑ってるもんな? なあ?」

「そして次は――」
「イオ。分かった。いい、もう分かった」
 がしがしと頭をかいて、ヒュウガはデカい溜め息一つ。
「……髪やなんかは無理そうだが、確かに使いよう次第ってモンもあった。装備出来ないからって調べもしねェのは良くない、そういうこったろ、言いたいのは」
「あら。遊んでいただけよ、私は。何か学びがあったなら良かったけれどね」
 アイオライトは、くすりと笑い。

「あと試着気分みたいだけど、ネイルラッカーはもう吹いちゃったから買い取りよ、ヒュウ」
「おい」
「ちなみにかなり高いわよ、この店」
「おい……! おれが今月キツいの知ってんだろ!? ちょ、この値段――今日の出撃報酬が飛びそうなんだが……!?」
 喚くヒュウガに、アイオライトは笑みを絶やさず。

「支払いが終わったらキャバリアスルーのラーメンを食べに行くわよ。戦いの後だもの、ラーメンが食べたいの。キャバリア乗りを唸らせるようなラーメンを。思いのほか時間を使ってしまって、探したかったキャバリア用の製麺機もまだだし……この際とことん付き合ってもらうわよ、ヒュウッ!」
「何言ってんだ……? なぁ、何言ってんだよ、イオッ!」

 アイオライトの姿は、いつになく圧が強い。具体的には心なしか胸板が広い気さえする男らしい立ち姿、いわば雄テンバーだ。
 そう、(想定外の被弾と大成功判定の両立は避けているという大人の事情によって)🔴を取得していたアイオライト・セプテンバーはここにきてラーメン好きとしての真の姿に変身し、大幅にステータスが上昇しているのだ。
 🔵しか取得していないヒュウガに抗う術は、ない……!

 ――最後に。
 試着した装備のうち、パーツを接続していたヘアーエクステンションだけはバイオニウムカーボンに侵食され始めてしまっていたためこちらも買い取りとなり、今日のヒュウガの報酬は吹っ飛んだことと。
 さすがに責任を感じたアイオライトにラーメンは奢ってもらえたことを、付け足しておくとしよう――。

苦戦 🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

開条・セサミ
・心情
さて、どうするっすかね?
弾丸やエネルギーの補給は終えたものの、ブロウ・ウルフはぶっちゃけこういった日常生活には適さないんで交流モードになったっすけど……

しっかし、大きなショッピングモールっすねぇ
うっかり他のキャバリアに踏み潰されないようにしないといけないっすね
とりあえず、ブラブラしてみるっすか
マイスターからも、『せっかくの交流モードなんだから学園外にも行け』って言われたりしてるっすし……

・その他
アドリブや他の参加者との交流はご自由にっす


九嶺・ユノハ
飛びたいです。飛んではだめですか?だめですか……。
この身体は、重たいので、足が遅いです。 人の身体で歩くよりは、よほど速いですが。
飛びたいです。 だめですね。

購買で売れそうなものを探したいですが、ここだけで売っている商品は、Malkonfesi. だめです。
ネバーランドも、ビッグ・ベンも動いているので、再入荷ができる可能性が低いのが問題です。
再入荷できない商品を仕入れては、だめです。
ですが、再入荷可能なものとなると、国内か近隣で生産されているものになります。
困りました。 ここで仕入れをする理由がない気がしてきました。
わたしは、どうすればいいのでしょうか?



●0と1の交点
「飛びたいです。飛んではだめですか? だめですか……」
 がしゃり、がしゃりと。FD-028ファルステロ、すなわち九嶺・ユノハ(f30088)がビッグ・ベンの町中を歩く。

 ファルステロはどこぞの青い鳥とは似て非なる、重装にして高速の飛行型キャバリアだ。複数の推進機を搭載して肥大化した質量を、それ以上に向上した出力に任せて全力で飛ばす。そういうアプローチであの不自由な空の彼方を目指す、炎の尾を引く不死鳥の翼。
 ――つまり何が言いたいのかといえば。身体が重たいので、こうして歩く分には足が遅いのである。 

「人の身体で歩くよりは、よほど速いですが。飛びたいです。だめですね」

 愚痴めいた独り言は絶えることなく、歩く。

 そもそも、何をやっているのだろうか……と、思考する。
 ユノハは購買委員……否、今や購買委員長である。だから、何か売れそうなものがあれば仕入れようと思ってはいたが、

「ここだけで売っている商品は、Malkonfesi. だめです。ネバーランドもビッグ・ベンも動いているので、再入荷ができる可能性が低いのが問題です。再入荷できない商品を仕入れては、だめです」

 ……まあ、ネバーランドにせよビッグ・ベンにせよ、生産のある程度の割合をプラントからの不確定な産出に依存している現状を考えれば、仕方ない部分もあるのだが。
 それでも、数多の企業が開発競争を行う私立新世界学園は間違いなく、諸々の自給率に余裕のある部類に入る都市国家だろう。個人の買い物はともかく、組織レベルでの仕入れについては――

「困りました。ここで仕入れをする理由がない気がしてきました」

 もう、帰ってしまおうか。飛べないし。

 ――と。がしゃりと、足が何かに当たったのを検知する。

(「何かを蹴飛ばした? ――これは」)

 腕を伸ばし、ファルステロは転んだ「それ」を両手で持ち上げる。
 ファルステロは決して手で物を持つのが得意な機体ではないが――それが、細い手足を含めた全長が1m程度に過ぎない球状のロボットヘッドとなれば、特に問題はない。
 突然持ち上げられた開条・セサミは、コードのような手足をじたばたさせながら、データベースから機体を検索。

「うわわわわ……あっ、新購買委員長さんの機体っすね!」
「Jes、はい、先日繰り上がりました。それと、間違いではありませんが、これもユノハです。出撃時のあなたと似たようなものでしょう――機体に損傷はありませんか」
「大丈夫っす! すみませんっす、気をつけてたんっすが、ちょっと余所見して」
「Ne gravas. 構いません。こちらも損傷はありませんから」
 ファルステロはゆっくりとセサミの機体を下ろすと、指先で丸を作る。

「購買委員長さんもお買い物っすか?」
「Ne、いいえ。もう帰投しようかと考えていたところです」
「えっ。は、早くないっすか?」
「残る理由がありません。ここでは飛べませんし、購買委員会として仕入れるものもなさそうです。それに、飛べません」
「……は、はぁ……っす」
 モニターに困惑顔を表示しつつ、曖昧に頷くセサミ。
 要領を得ないユノハの言葉だが――ただ、分からなくもない。飛ぶ、ということが、AIである彼女にとっての至上命題なのだろう。自分にとっても覚えがあるように。

「……自分の話をしてもいいっすか?」
「Bonvolu、どうぞ」
「自分も、どうしたものかとぶらぶらしてたっす。別に買いたいものもないけど、マイスターからは『せっかくの交流モードなんだから学園外にも行け』と言われてるっすし」
「交流モード……」
「うっす! 人間との交流データの蓄積は学生間の連携にも役立つそうっすから」

 ――なるほど、と、今度はユノハが、目の前の機体が設定する優先順位に納得を得た。
 ただ、明け透けで、ややもすると実利的な言葉。「ファジーリアクション」によって人間性を模しているユノハのような存在には通じ易くとも、反感を覚える者がいてもおかしくないだろう。それをわざわざ説明したのは……。
 半秒に満たない時間、思考して。

「では、行きましょうか」
「うっす、感謝っす!」
 即決、即応。データの蓄積とやらに協力することで合意する。
 まあ、ユノハといるのが「人間との交流」になるかは諸説あるが、ユノハ自身は非効率的な人間らしさを持ち合わせているつもりである故に。
 ここにいても、飛べないけれど。他に予定があるわけではないのだし、寄り道をしても構わないだろう。

「探せば、購買に良いものもあるかもしれないっすよ!」
「Ne、いいえ。再入荷できるものでなければ意味がありません。そして、再入荷できるものは、自国や近隣で調達できるものです。ここで仕入れる意味がありません」
「お、おう……ほら、えーっと……プラントから出た一点モノの武器とか、欲しい人がいるかもしれないっすし」
「購買に置く必要がありません。ですが、需要が見込めるものであれば、ユノハ個人で購入、転売して利益を得ることは可能かもしれません」
「今自分、もしかして聞いちゃいけない話聞いてないっすか!?」
「Ne、私費の運用です。不正ではありません――」

 そんな言葉を交わしつつ。
 2機の電子生命は、キャバリアの街を歩いていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ナイナイナ・スヴェルノスキー
誰一人欠ける事無く帰還できたことを何よりも嬉しく思いますわ
おほほ!だ~い勝利! と、きたら後は凱旋ですわね!


ゲートを抜けてBBの中へ、スラーヴァの王冠を半開放して輝かせつつ大手を振って入場しますわ
そして宣言いたしましょう。こういうものは高らかに!


お待たせいたしました!厄介なクレーマーはわたくし達が追い返しましたわ!
楽しいショッピングの再開と参りましょう!おほほ!記念撮影がしたい方はご遠慮なく!
……そんな者はいない?あらあら、残念ですけれど、それならばそれで結構。いらっしゃるならば、どうぞお声かけを


またひとつ、誰かの場所を護ることが出来ましたわね
自分への御褒美に、コミックでも買って帰ろうかしら



●女王の凱旋
「――お待たせいたしました! 厄介なクレーマーはわたくし達が追い返しましたわ! 楽しいショッピングの再開と参りましょう、おほほ!」

 ゲートを通ってBB内に入場したキャバリアの名は、“スラーヴァ”。
 内蔵機能『唯ひとつの王冠』を半開放、天使のような輪を煌びやかに輝かせながら、ナイナイナ・スヴェルノスキーはコクピットをオープンし。きんきんと、マイクを使っていないとは思えないほどの声量を響かせた。
 普段ならば、そうしたアピールを煙たがる者もいたかもしれない。
 けれど、住民たちは、店主たちは知っている。猟兵たちの奮闘を、危機に瀕したこの都市を身体を張って守ってくた者たちがいることを。

 故に――ナイナイナの叫びに、どっと、歓声が上がり、割れんばかりの拍手があちこちから響く。
 一部のお調子者からは、店先に立つ作業用の民生品キャバリアから、クラッカーまで打ち上げられる始末。

 そんな様子を見渡しつつ、ナイナイナはうんうん、と満足げに、そして何処か穏やかな笑顔で頷いた。

 彼女が度を越した目立ちたがりなのは、事実。
 そしてそれと同時に、あるいはそれ以上に。この、本人曰く『だ~い勝利』を――すなわち、この街を護り、そして誰一人欠けずに帰還できた結果を心から喜んでいるのも、また事実だった。
 その破天荒な笑い声から誤解されることも、ままあるが。ナイナイナ・スヴェルノスキーは、実際のところ、皆が過ごす平和で穏やかな時間を愛しているのだ。

(「――ま、故にこそ! こうして気分良く目立つのは楽しいのですけれど!」)

「おほほ、記念撮影がしたい方はご遠慮なく! ……そんな者はいない? あらあら、残念ですけれど、それならばそれで結構。いらっしゃるならば、どうぞお声かけを――あら?」
 景気良く手を振ってサービスし、軽妙な語り口で笑いを誘いながら歩く中。足下に現れた生体反応に、少しだけ慌ててスラーヴァを立ち止まらせる。
 下を見れば、そこにいたのは――年端もいかぬ少女の姿。
「あらあら、いけませんわよ、キャバリアの前に急に飛び出しては」
 眉を顰めて、そこはきちんと注意しておいて。
 ――それから。ナイナイナは、泣きそうな顔になってしまった少女に向け、スラーヴァの手をそっと差し伸べて。

「どうぞ、お嬢さん。記念撮影をご所望なのでしょう?」


 ――その日のうちに「BB」内を駆け巡った号外新聞、笑顔の少女を抱き上げた私立新世界学園放送委員長の記事は。
 大変に気分を良くした当人の手によって「自分へのご褒美」として大量に購入され、学園都市内にも掲示されたのだとか。

大成功 🔵​🔵​🔵​

如月・ときめ
🌸→📚 ランガナさん。お越しになりますか?

こういう場所ですもの。キャバリアと一緒に登れる展望スペースもあるでしょう?
変わった岩山、遠くに見える影。荒野だってこの高さからなら変化に満ちてます
空中庭園の片隅、「だいだら」の肩の上に腰掛けて具足を撫でて……お疲れ様。瑕、後で直しましょうね

ふふ。……お疲れ様です、ランガナさん。
吃驚、してくれちゃいました?
少しくらい、私に驚いてもらう場面がないと不公平ですし

なんて手に持った紙袋を揺らして
ワッフルです、一緒にいただきませんか

巨人の肩の上、風を受けながら
ここの、理由?
……誰かさんの見てる景色が、もしかしたら味わえるかな、って

ふふ。なんちゃって……



●🌸→📚
 地響きと共に、ゆっくりとした歩みを再開したビッグ・ベン。
 その屋上部――厳戒体制による封鎖を解かれた空中庭園、キャバリア用の展望スペースに。静かに、身の丈十七尺余りの鬼面の武者が膝を付いていた。
 そして、その肩に。黒基調の落ち着いた桜織衣を纏う、探偵が一人。
 ぎしりと機体を揺らす姿に、如月・ときめはくすりと笑い、その具足を撫でて。
「……お疲れ様、『だいだら』。瑕、後で直しましょうね」
 そう、囁きながらも――

 何かを探すように、ゆっくりと、見渡す。変わった岩山、遠くに見える影。
 時が過ぎるにつれて徐々に陽が落ち、荒野は夕暮れに染まっていく。

 ……小さく、ほう、と、吐息をつく、ときめに。

「何かお探しかな、お嬢さん?」
 ふわりと、肩に体を寄せて。洒脱な装いの小さな妖精が、囁いた。
「ふふ。……お疲れ様です、ランガナさん。探しものなら、今。お越し頂けましたか」
「キミの方こそ。……そりゃあ、来るとも」
 くすりと苦笑するランガナの傍らに浮かぶのは、文庫本。
 
 栞を通じて「図書館」への扉を開き、貸していた本を、知らぬ間に返却。
 その時、和紙に包んだ桜の花びらを、頁にそっと手挟んで。
 ――おまけに、挟まれた頁に描かれていたのは、屋根の上、茜色の空を並んで眺める2人の少女。
 そんな手の込んだ招待状を受け取れば、来ないわけにもいかないというものだ。

「吃驚、してくれちゃいました?」
「とてもね。それに、ワクワクしてしまったよ。彼を見た時と同じくらいね」
 『大太郎』をちらりと見ながら、降参、というように肩を竦め、随分と今日は意地悪だね、なんて付け足す妖精の姿に、ときめはくすくすと、何処か嬉しげに笑い。
「少しくらい、私に驚いてもらう場面がないと不公平ですし」
 そう、片目を閉じる。
 そんなことはないよ、私もキミの可愛らしい仕草に驚かされてばかりさ――なんて嘯く妖精の頬を、「それは、嘘です」と、嗜めるようにつついて。

 それからときめは、がさりと、持っていた紙袋を揺らし。
「ワッフルです。一緒に、いただきませんか」
「おや。では、ご相伴にあずかろうかな」
 頷くランガナに手を伸ばし、そっと、膝の上に抱き寄せる。胸に抱くよう、確りと捕まえてあげた方が「座り心地」が良さげなのも、探偵の目にはお見通し。

「ところで。もしかして、待たせてしまったかな?」
「いいえ。呼んだのよりも早く、来ていただけですよ」
「……それはまた、どうして?」
 これは本当に分からないのか、不思議そうな妖精に、また、くすくすと笑って。

「……誰かさんの見てる景色が、もしかしたら味わえるかな、って」

 その言葉に、再び驚いた気配を見せるランガナに、なんちゃって……と、笑み混じりのからかいを口にして。

 ――一際強く吹き抜けた風に揺れる墨色の髪を抑え、ふわりと漂う桜の香気。
 荒野に沈み行く夕日を見つめながら、探偵と妖精は2人、ことさらゆっくりと時間をかけて、ワッフルを分け合うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イーリス・ヴァイデンフェラー
さて、一仕事終えてせっかくきたところですし、
ゆっくりお買い物を楽しみましょ
来るのは久々、といってもハーヴェスターでお買い物はさすがにですよね

まぁ、自分でほしいものはそれほどないですし、節約しなくちゃですけれど――
人の為、ならばどうでしょうか
まず向かうのは食料品売り場
違う花からとれた蜂蜜を選んでいくつか買っていって
今度味見をしてもらわなくちゃ、なんて思い浮かべながら

ふと、次の売り場を目指していると脱力したゆるい猫のぬいぐるみ
ふわふわした子を思い出して
つい視線を逸らせずそのまましばし見つめ合えば
……自分用じゃないですから、なんて誰にともなく言い聞かせて籠の中へ
こっそり持っていったら驚くでしょうか



●草と蜂蜜と猫と噂話
「来るのは久々――といっても、ハーヴェスターでお買い物はさすがにですよね」

 イーリス・ヴァイデンフェラーはくすりと笑い、町を行く。
 いや、別段、乗っていても問題はないのだけれど。全身武器庫ともいえるハーヴェスターの威容はさすがに威圧感を与えてしまいかねないし――何より、彼女のキャバリアは足が遅いのだ。とても。
 
 それに、キャバリアが平然と闊歩して夕御飯の買い物をしているようなこの町では、2mを超えるバイオモンスターの身体である自分の姿も大して目立たない。
 それどころか、この巨人の町のような並びを生身で歩いていると。少しだけ、ほんの少しだけ。イーリスをして、子供の視点で大人の町を見上げるような――。

(「――まぁ」)
 首を振り、ちらついた思考を切り替える。
(「自分でほしいものはそれほどないですし、節約しなくちゃですけれど――」)
 彼女には、目標額がある。まだまだ遠い。遠すぎて細かな出費に神経質になる意味も薄いのだが、それでも無駄遣いはよろしくない。

 そんな中で、イーリスが出費の例外としがちな使途を挙げるなら。
「人の為、ならばどうでしょうか」
 くすりと微笑み手に取るのは、食料品売り場の蜂蜜の瓶。
 花の種類によって違うそれを、幾つか籠に放り込む。
 思い浮かぶのは、最近よく蜂蜜入りの紅茶を振る舞うようになった後輩。
(「――あの子、意外と味に敏感ですよねぇ」)
 試しに蜂蜜を変えてみたら、すぐに気付いてみせる。そのクセ、美味し~あま~いばっかりで、好みははっきり言ってくれないのだけど。
 今度味見をしてもらわなくちゃ、なんて思い浮かべて。

 含み笑いしながら、次の売り場を目指して歩くイーリスの目が、ふと棚の上、だらんとだらけた猫のぬいぐるみの視線(?)と、合った。
(「……?」)
 なんだろう。見覚えがある、気がする。
 白と黒の愛想のない猫を、じ、っと見つめて。可愛いけれど。なんだか顔色が悪く見える配色は、元気があるのかないのか――

 ――ふわふわ、ゆらゆら。

「あ」
 小さく、声を上げて。
 気付けば、イーリスはぬいぐるみを手にとっていた。
「……自分用じゃ、ないですから」
 誰にともなく言い訳しつつ。そっと、籠の中へ。
 こっそり持っていったら驚くだろうか。そんなことを、考えながら歩いていると。

「…………くしゅんっ」
 突然鼻がむずむずして、小さなくしゃみが出た。なんだろう、珍しい。
 まるで、誰かと誰かが噂でもしているよう。
 籠の中からじぃ、と見つめるぬいぐるみの視線(?)が、責めてきているようで居心地悪い。
「……はぁい。マスクとのど飴くらいは、無駄遣いじゃあないですよねぇ」
 なんて、肩を竦めてつぶやきながら。

 イーリスはのんびりと、歩いていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イオリ・カクトゥス
折角来たし、D-Ogreに乗ったまま、何かいいもの無いか見て回ろうかな。
買い物するとき、腕が四本あると荷物持ちに便利だよね。
(機体から抗議の信号)

って、言ったけど別に今欲しいものって無いんだよなぁ。
特に目的も無く、色んな店を覗いてみたりしながら、ぶらぶらと。
こういうのってウインドウショッピングって言うんだっけ?

ただこうやって回ってみると、新しい武装だけじゃなくて、日用品とか色んな店があるなぁ。
あ、これ委員会の活動でも使えそうだな。実費になっちゃうけど……まぁいいか。

終わってみれば何だかんだで色んなものとか買ってしまったり。
たまにはこういう日もいいか。

○アドリブ等歓迎



●園芸委員長の休日
「買い物するとき、腕が四本あると荷物持ちに便利だよね」
 そんな、イオリ・カクトゥスの呟きに異議を唱えるように、D-Ogreから信号。まぁまぁ、と宥めるようにコンソールを叩いて。

「せっかく来たし、このまま見て回ろうか」
 ――とは、いったものの。別に今欲しいものって無いんだよなぁ……とも、思う。
 とはいえ、のんびり店先を周るのも悪くない。
 D-Ogreの歩を進めながら、ふと首を傾げ。
「こういうのってウインドウショッピングって言うんだっけ?」
 なんとなしに聞いてみると、再び信号。
 残念ながら、ジャイアントキャバリアのデータベースでは判断がつかなかったようで。

 ただ、こうして見渡してみると。
「新しい武装だけじゃなくて、日用品とか色んな店があるなぁ……」
 がしゃりと音を立てて、立ち止まれば。
「おっ、四つ腕のキャバリアさん、お目が高いねぇ!」
「ん?」
 店主から、声をかけられたりもする。

「どうだい、キャバリア用高枝切りバサミ! 見上げるような大木の枝もばっちりだ」
「……まあ、木を無駄に痛めない道具はいいものだけど。作りはしっかりしてそうかな……」
「そうそう、兄ちゃん分かってるねぇ! やっぱり戦闘用の装備にはない繊細さがこの手のアタッチメントにはあるからね! 芝刈りモードも搭載、腕の代わりに装備することも出来るスグレモノさ。それがなんと今なら――」
「今なら?」
「……3本買ってくれたら、もう1本!」
「完全に僕の機体を見て在庫を押し付けにきている気がするんだけど……」

 いつも通りあまり強い感情を帯びない声なりに、思わずツッコんでしまうけれど。
 ……でもまぁ、実際悪くはない。委員会での活動でも使えそうだ。何も全部持たなくても、委員で分担して持てばいいのだし。
 あのキャバリアやあのキャバリアが高枝切りバサミを装備して街路樹の剪定をしている光景は、想像するとちょっとおかしい、なんて想像をしてしまえば。

「実費になっちゃうけど……まぁいいか」
「いいのか!?」
「売る気だったんじゃないの?」
 なんやかんやで、3+1本を購入。おまけに芝刈りモード用の替刃もつけてくれたので、なんだかんだいい買い物になった気がする。

 そんなやりとりを繰り返しながらモールをうろついていると、気付けばいい時間。
 終わってみれば何だかんだで、色んなものとか買ってしまったり。
 そこそこ、使ってしまったけれど。

「……たまにはこういう日もいいか」
 呟きに。
 D-Ogreから届いた信号の内容は、イオリのみぞ知る。

大成功 🔵​🔵​🔵​

守田・緋姫子
よし、バトルフェイズは終わりだ。楽しいお買い物タイムと行こう。機体に乗ったままいけるというのはなかなか斬新だな。

新兵器はビームトライデントとか大出力レーザーライフルなど、光学系の装備がいいだろうか。燃料費とか気にする必要がないなら実弾系の装備に転向するという手も......(ぶつぶつ)

中のジェネレーターとかラジエーターは下手にいじったら壊れるかもしれないしな...... (プラモデル感覚)

いい技師が居ればエンジンを原子力式にして貰いたいのだが。

核弾頭が搭載可能なバズーカ砲が販売されていれば買って帰る。破壊力は乙女のロマンだからな。ふふふ、友達に自慢するんだ! きっとみんな羨ましがるに違いない!



●悪霊と悪魔のエンドフェイズ
「よし、バトルフェイズは終わりだ。楽しいお買い物タイムと行こう――なぁ」
 オブリビオンマシンと化した量産型キャバリア『ガーゴイル』のコクピット内で、守田・緋姫子はほくそ笑み。
 ガーゴイルから流れ込んでくる思念は決して仲良くお買い物、なんて平和なものではないのだが、それはそれとしてねじ伏せて、モール内を歩かせる。

「お、見ろ、ビームトライデント! やっぱり光学系の装備がいいかな、お前には」
 ふわりとコクピットから飛び降りて、興味津々に店先を覗き込む少女に、中年の店主はにっと笑い。
「なかなか目の付け所がいいな。そいつぁ仕入れたばっかの新製品だぜ」
「ああ……燃料費とか気にする必要がないなら、実弾系の装備に転向するのも良いと思うんだが」
「あー、弾もピンキリだが、どうしても弾薬費は嵩むかもな。ただ……お嬢ちゃんの機体、確か『ガーゴイル』だろ? 古い機体だからなぁ、大した出力もないだろ。そういう機体で火力を求めるなら、エネルギー兵器より大口径のキャバリアライフルなんかを優先するのは有効だと思うぜ。炸裂徹甲弾なんかを使ってもいい」
 じろりと物珍しげに機体を見遣りながらもそう話す店主に、緋姫子はなるほど、と頷いて。
「中のジェネレーターとかラジエーターは下手にいじったら壊れるかもしれないしな……」
 プラモ感覚で理解する。

 ――と。主なき『ガーゴイル』が一人でに動き、大出力のレーザーライフルを持ち上げた。
 自分は既に型落ちの量産型ではなく、一機の悪魔だと主張するように。

 その様子を、緋姫子は店主と共にきょとんと見上げ。

「なんだ、気に入ったのか? しょうがない奴だな……」
「……今、こいつ勝手に……」
「気にするな。これを一丁貰おうか」
「お、おう」
 戸惑い気味に振り返りつつもレーザーライフルを梱包し出す店主の背中に、緋姫子は、ふと、
「なあ、もう一つ欲しいものがあるんだが」
「おう?」
「核弾頭が搭載可能なバズーカ」
「ねぇよ! 何に使うんだ、戦争でもする気か!?」
 悲鳴のように突っ込んだ店主に、緋姫子が心外そうな顔をして。

「なんだ、残念だな……いや、破壊力は乙女のロマンだからな、友達に自慢しようと思ったんだ。きっとみんな羨ましがるに違いないと思って……あ、そうだ。いい技師はいないか? せめて動力を原子力に――」
 年相応の少女らしく残念そうに、拗ねた様子の少女に。
 店主は本気なのか冗談なのかを測りかねた様子で、頬を引きつらせるしかないのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

嗣條・マリア
キャバリアに搭乗したままモール内を散策
思っていたよりもいろいろな施設があるのですね
見識を広めるには丁度よさそうです

機体損傷、それに施設への被害ともにほとんど見られないようですし、何事もなく状況を終了できてよかったです




様々な店舗をウィンドウショッピングしつつ
モール内の自社――Justitia Ind.の製品を取り扱っているショップを視察します

タイラントで
タイラント(唯一保有する自社製キャバリア)で


売れ筋や顧客の要望等を聞き取って、開発部に直接お話ししようと思います
……話すときぐらいは搭乗席は開けて姿を見せたほうがいいですよね
キャバリアのうえから失礼します。幾つかお聞きしたいことが――――



● 暴 君
 J-000 EMD Tyrant Phase4“タイラント”が、戦場と何も変わらず、堂々たる歩きでモール内を進む。
「思っていたよりも、いろいろな施設があるのですね」
 キャバリア内から周囲の様子をモニターしつつ。嗣條・マリアは率直に、そんな新鮮な驚きを漏らした。

 人間サイズの店、キャバリアサイズの店。
 暮らしている人間がいるのだから当然だけれど、キャバリアや兵装の店ばかりでなく、通りによっては日用品店も立ち並ぶ。
 日常と非日常が混在するそんな並びは、マリアの目にはとても新鮮で。

 見識を広めるには丁度良い、と思うと同時に。
 この施設に被害らしい被害がなかったことも、素直に喜ばしく思う。

 珍しく、少々ゆったりと寄り道を楽しむ気分でウィンドウショッピングを続けた末に。

 ――「目的地」の前に、暴君が立った。


 ざ、と、立ち止まったタイラントの姿に。
 Justitia Ind.「BB直営店」スタッフの、ぎょっとした顔が集まった。
 おい、あれ……タイラン……いや、まさか……そんな小声がかわされていることは、つゆ知らず。 

 マリアは、コクピットを、開く。
「キャバリアの上から失礼します。幾つかお聞きしたいことが」
「しゃ、社長……っ!!? そ、そうか、防衛戦……こちらにいらっしゃるなら迎えを寄越しましたのに……」

 狼狽えた様子で前に歩み出てくるのは、支店長だ。
 ああ、学園から戦力が出たことは伝わっていなかったか……指揮系統が違うのだから、それはむしろ末端まで正しい運用が成されている証拠ではありますね。
 マリアはそう考え、驚かせてしまったのは申し訳ないなと思いつつも、ゆっくりと店内を見渡して。幸い今は客足も途切れているらしい、と判断。

「お客さんは、いないようですね(連絡なしで来てしまいましたが、業務の邪魔にならない時間帯で良かったですの意)」
 微笑む。そんなに得意なわけではないけれど、意識して浮かべた柔らかい表情だ。

 支店長の顔は凍りついた。

「あ、あの、社長、今はたまたまで……」
「近くに来たので、視察を。この街の売れ筋や顧客の要望。色々と聞かせていただけますか?」
「は、はいッ! 直ちに!」

 なぜだろう。いつも相手にしている本社のスタッフに比べて、少々表情が硬い気がする。
 マリアは内心首を傾げつつ、

「ああ、あまり硬くならないで下さい、ただ話を聞きたいだけですから」
「は、……」
「必要だと判断したら、私から本社で(開発部に)直接話を通します(ので、気軽に要望を言って下さいの意)」
「はいッッッ」

 ピン、と背筋を伸ばして答える支店長の姿に。
 ……どうやら職務熱心で礼儀正しい人物のようですね、と、内心そこそこ好意的な評価を下す、若き女社長だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーディット・ウォーカー
さて、既に皆の活躍で防衛も完了しておるようじゃし、悠々とショッピングを楽しむとするかの。皆、お疲れ様じゃ。無事のようで何よりじゃよ。

我もアンコールに乗ってうぃんうぃんしょっぴんに出向こう。

おにゅーな日傘でも探してのんびりゆくとしよう、
洒落たやつがあれば買ってゆくぞ。
アンコールから降りて、早速差して歩いてみるのも新鮮かもしれぬ。

むん?羨ましいかの?
では、そうじゃな……アンコール用の日傘も探してみるのもよいか。

時間が余れば隠れた名店やら隠し通路やらないか散歩してゆこう。



●ビッグベン・ウォーカー
「うぃんうぃんしょっぴんぐ、というやつじゃの!」
 元気良く宣言するユーディット・ウォーカー(f30097)。その言葉の誤りを突っ込む者は――JD-01“アンコール”の狭いコクピット内には誰もいない。
 それどころか、アンコールからは賛同の意志が伝わってくる始末。もっとも、それを読み取れるのは直接機体と「繋がった」ユーディットくらいのものだけれど。

 ――おや、と。アンコールを止め、開いたコクピットからひらりと飛び降りて。

 ユーディットが手にとったのは、一本の日傘だった。
 黒のバテンレース。上品な作りでありながら、レースの柄のお陰で重さがなく、真夏の太陽の下でも映えそうなのが良い。
 いや、本当にそんな強い日差しの下を日傘一本で歩きたいかといえば、ちょっとアレなのだけれど。このモールには天井があって良かったな、と思う。

 ともあれ、即決で買い求めた日傘をふわりと差して歩く後ろに、目立たぬようにコクピットを閉じたアンコールが付き従う。
 その姿はまるで貴婦人と大柄な護衛騎士、――否、

「むん? 羨ましいかの? では、そうじゃな……アンコール用の日傘も探してみるのもよいか」

 振り向き屈託なく笑う姿は、サイズは違えど友人そのものだった。
 
 さて、キャバリア用の日傘なんてオシャレな装備となると、やはりMiVi辺りを当たってみるのが一番か。確か直営店があると聞いたの……なんて、案内板を見遣りつつ。
 真っ直ぐ向かうでもなく、のんびり遠回りしてモールを歩く。
 隠れた名店じみた気配を感じれば気ままに覗き、細い通路を見つければすわ隠し通路かとやっぱり気ままに覗き込む。
 ……覗き込んだ先、モデルガンの販売店に備え付けられたサバイバルゲームコーナーから出てきた仲睦まじげな男女の姿を遠目に、こんなところでも人の営みは変わらぬのう、と目を細め。
 その様子は、まるで奔放な子供のようでありながら、何処か大人びて達観した様子にも見えて。

 ――全て世は事もなく、防衛に出た仲間たちも皆無事で。
 こうした日々を続けていきたいと願う、ユーディットだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルイス・テニエル
とりあえずキャバリアは預けましょうか。
いつまでも乗っているのも疲れるし。

買い物ねぇ……今なにか必要なものあったかしら。
コーヒーの粉……はまだ残ってるし、何か軽くつまめる物でも――
(ドラッグストアの前を通りかかり)
……胃薬の備蓄はあったかしら。
最近注文してる処方用のクッソ不味い万能薬じゃなくて、自分用の普通のやつ。
ええっと……これと、これと――
(適当に籠に放り込んでいき)
どれの効きがいいかも試しておかないとね。……試すのが自分の胃っていうのがなんだか悲しくなるけれど。

はぁ……考えてたらなんだか色々と疲れちゃったし、甘いものでも食べに行きましょうか。
出撃後の自分へのご褒美ってことでね。



●痛みと結末、それから
「買い物ねぇ……今なにか必要なものあったかしら」
 キャバリアを預け、パイロットスーツに白衣を羽織った姿のまま町に降り立ったルイス・テニエルは。んん、と首を傾げる。
 コーヒーの粉……はまだ残ってる。なら、何か軽くつまめる物でも――

 そう考えながら歩いていると。視線が、ふと、止まる。
 そこにあったのは、ドラッグストアだった。

(「……胃薬の在庫、あったかしら。自分用の普通のやつ。処方用の万能薬はクッソ不味いのよね……」)

 飲む時は飲むのだが、なるべくなら避けたい。
 そんな風にふらふらと吸い寄せられるように、ドアをくぐって。
「ええっと……これと、これと――あ、新製品出てる……」
 流れるように複数の箱を籠に放り込み、レジに向かう。慣れ切った、スムーズな動き。
 なお、繰り返すが、ルイスが購入しているのは、自分が飲む用の胃薬だ。委員会のための備品ではない。

「どれの効きがいいかも試しておかないとね。……試すのが自分の胃っていうのがなんだか悲しくなるけれど……」
 支払いを済ませ、ドラッグストアを出ながら、呟く。
 あ、ダメだ考えてたら痛くなってきた……。きりきり痛みだした胃をそっと抑え、早速薬を飲もうかと迷う、ルイスの前に、

「号外! 号外だよー!」
「?」
 ――そう言って突き出された都市内新聞の号外を、思わず受け取ってしまった。
 目をぱちくりしながら、胃薬の釣り銭で料金を支払い、覗き込めば。

 それは、BBの防衛成功を知らせる記事だった。

 我等が「ビッグ・ベン」に被害なし。
 参戦してくれたキャバリアたちには、友好的な関係にある新世界学園の学生も多く含まれていた。
 防衛戦力の人的犠牲も一切ない、晴れ晴れとした完全勝利。勇敢な隣人たちに感謝を!

 (「…………簡単に言ってくれるわね」)
 思わず舌打ちしたくなるほどに。
 そう、思う。
 ルイスは、保健委員長だ。この出撃において学園に所属する生徒が受けた傷を、誰よりも広く把握している。

 ――死者なら、「今回も」出た。分かっていて引いた引き金で、すぐに蘇るからといって、心が摩耗しない道理はない。いつか限界が来るのではないかと、毎度思わずにはいられない。
 ――『殲禍炎剣』の砲撃が掠めて不時着した者もいる。無茶をせねば止められない状況だったのだろう。判断を咎める気はないが、報せを聞いて心配する方の身にはなって欲しい。

「……そういや所属同じで上からワンツーじゃない。問題児委員会……」

 思わず、半眼で呟く。それ以外にも、細かな負傷者は、当然何人もいた。
 ……けれど。
 もう一度、新聞に目を通せば。

 写真に映るのは、放送委員長の腕に抱かれて晴れやかに笑う、住人なのだろう幼い少女の姿。
 そして本文の字数の多くを占める、町を守ってくれた猟兵たちに感謝する、住人たちの声。
 
 ……成せたことは。素直に喜ぶべきなのだろうな、と思う。
 所属を問わず、共に戦った者たちが、全員無事に居場所へ帰れることも。

「……甘いものでも食べに行きましょうか。自分へのご褒美ってことでね」
 軽く、苦笑気味に呟いて。
 大事そうに畳んだ新聞を白衣のポケットに突っ込むと、ルイスは歩き出す。

 胃の痛みはいつのまにか、随分と薄れていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年11月15日


挿絵イラスト