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声の伝う糸

#カクリヨファンタズム

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#カクリヨファンタズム


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 ああ、この糸電話に応えるものがなくなって、もう幾年すぎました……。
 彼女が手に持つ糸電話の片方は力なく地面に転がり、垂れた糸がつながっている。もう何度も、応える者のない糸電話を耳に当て、口に当て、彼女はかつての想いびととの対話を望んでいるのだった。あの日、こうやって糸電話を耳に当てれば、いつまでも、いつまでもいとしいあなたの声が。そうして二人は、日が暮れるまで睦言を糸電話に託して語り合ったのに。
 つ、と。糸をひかれる感覚を覚えて彼女が顔を上げると、夜闇に消える糸電話の片割れ。
『待たせてすまない。やっとこうやって話せるね』
 ああ、ああ。あなた。
『積もる話もあるだろう。また日が暮れるまで、いいや朝まで。ずっと語り合っていよう』
 これは夢? 夢だってかまわない。夢であっても、そうでなくても、どうか。
「時よ止まれ、お前は美しい」
 それは彼女を飲み込み、世界を崩壊に導いて――。

●「カクリヨファンタズムが崩壊しかけているヨ」
 集まった猟兵達を見回したロバート・ウォン(東方妖怪の猟奇探偵・f30564)は語りだした。
「かつて想いびとを失い、ただただそのよすがにすがるだけの生活を送っていた絡新婦が骸魂となった相手に取り込まれて、永遠を願ってしまった……そんなお話ネ」
 その言葉を皮切りに、もともと不安定だったカクリヨファンタズムは足元から崩れ始めているという。
「その一帯では様々な『声』が行く手を阻むというネ。責めたり、哀れに泣いたり、聞くものの心を壊す声ヨ。過去の嫌な記憶や、忘れたい人の声なんかも聞こえてくるかもしれないネ。ケド、先へ進むにはそれぞれが対処しなければならないヨ。そして、それを振り切った先で骸魂を倒す。やっと出会えた二人でも、崩壊を防ぐためには引き裂かなけらばならない。わかるネ?」
 ロバートは少し心が痛むというような顔をしたが、すぐにそれを笑顔に変えた。
「終わったら、少し遊んでくるのもいいヨ。二人がしたかもしれない楽しいことをしてくるのも悪くはないと思うアル!」


星野ユキヒロ
 はじめましてこんにちは。星野ユキヒロと申します。初めてのシナリオ運営ですが、楽しんでいただけるよう頑張りたいと思います。
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第1章 冒険 『脳裏に響く声』

POW   :    声を気合いや耳塞ぎ等で聞き流す

SPD   :    声が耳に入る前に素早く突き進む

WIZ   :    声を聞いた上で対処する

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

満月・双葉
何でアンタが生き残るの
私だって生きたかったのに
ずるい!ずるい!ずるい…

召喚した姉
聞こえる声はおねーちゃんから?それとも敵の企みか
「両方かもしれませんね…」
と独りごち
貴女は如何して僕を庇ったの
問うても姉の亡霊は応えてくれない
あの時からずっと
姉を縛り付けてずっと
如何してと問い続けてきたのに

今だってほら、笑わぬ目で僕を見る

姉の死ぬ間際に見た、これからも生きていく僕に対する羨望の眼差しが忘れられず

ふと狂気すら漂わせる笑みが溢れる
残念ながらのまれる訳にはいきませんねぇ…
今から君に会いに行きますよ
姉の声を届けてくれたアナタ
お腹が空いたね…ご飯を食べに行こうか
己を鼓舞して先に進む
応えが待っている気がするから



 乳白色の髪を靡かせ、昏い道を駆け抜けるのは満月・双葉(時に紡がれた人喰星・f01681)。
『何でアンタが生き残るの、私だって生きたかったのに、ずるいずるいずるい……』
 耳に響く声は召喚した姉か、それとも敵の企みか。
「両方かもしれませんね……」
 ひとりごちると、ビョウビョウと切り裂く風が叫びを掻き消し、続く双葉の声を他の誰にも聞こえないようにしてくれる。
「貴女は如何して僕を庇ったの!!」
 双葉の問いとは違って風の音の中でも姉の声ははっきりと良く聞こえ、ひたすらに責めるだけで答えを返してはくれない。あの時からずっと、今だって笑わぬ目のまま、笑顔で僕を見ている。
 姉が死の間際に見せた、これからも生きていく双葉に対しての羨望の眼差しが今も脳裏に……。
「残念ながらのまれるわけにはいきませんねぇ……」
 ふと、双葉の口元に狂気じみた笑顔が浮かんだ。
 今から会いに行きますよ。姉の声を届けてくれたアナタ。
「お腹が空いたね。ご飯を食べに行こうか」
 己を鼓舞しながら、声を振り切り駆け抜ける。
 応えはきっと未来に待っている。

成功 🔵​🔵​🔴​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。

第二『静かなる者』霊力使いの武士
一人称:私/我ら 冷静沈着

助けて、と声がする。老若男女問わず声がする。
おそらく、それは故郷の人々。あの日、我らと同じように腸食われた…。
私が最後の死者であり、その声を全て聞いていた。
骨となった骸は未だ、あの場所に。

ただ、名前を呼ばれればはっきりする。これは幻。
何故なら、『馬県義透』は『私』ではなく『我ら四人』の名前。故郷の人々は、誰も呼ばぬ名前。

ひたすらに、世界を救うために進みましょう。我らが真に終わる、その日まで。



『助けて』
 また違う道を抜けるのは馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)。再構築された脚でひっきりなしに浴びせられる声の間を駆ける。
 聞こえる声の主はあまりにも多い。老若男女問わず、苦悶の声で走る者の名前を呼ぶ。皆、聞き覚えがある声だ。あの日、『彼ら』と同じく、腸を喰われた故郷の者たちの声。
 現在を駆け、その声を聞いている彼は思案する。あの日、彼は最後に息絶えた者だった。だから、聞こえてくる声は己が息絶えるまで全て聞いていたのと同じ声。骨となった骸は未だあの場所に朽ちているはずだ。
『助けて』
『痛い』
『行かないで』
『馬県』
『義透』
 呼ばれた名に、『彼』は柔和に細めた目蓋をうっすらと開く。そこに見えるのは漆黒の瞳。
 これは幻。なぜなら、『馬県義透』は『我ら』の名前。故郷の人たちは知ることのない、『私』の名前ではない名前……。
「ひたすらに、世界を進むために進みましょう。我らが真に終わる、その日まで」
 呼びかける声を振り切り、ひたすらに駆け抜けた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ツヅル・イストーリャ
うーん、あちこちで聞こえるなぁ。
助けてくれ、苦しい、痛い、辛い……
そりゃ目の前で倒れてたら助けるけどさ、今回はそういうのじゃないし。無視一択、多少うるさいけどテンション高いヴェルタよりマシだし。
『随分な言いようだネ』
そうそう、それにもっとたちの悪いのだって…

「裏切り者」

さっきの声なんて囁きにすら思えるような、怨みに満ちた声。うわーっ再現度すごいなぁ!響く声に足を止めるどころか、どこか楽しそうに進み。これ、記憶を読み取って再現してるのか?
裏切り者だってさ、ヴェルタ。オレ達は生きたいだけだってのに。生きてなきゃ、思い出すこともできないのにな!

さて、声に構わず進もう。よくある悲劇を創りにいこうか



 一冊の本を抱え、声の中を縫って走るのはツヅル・イストーリャ(メアリーアイズ・f24039)だ。
(うーん、あちこちで聞こえるなあ……)
 彼の耳にも、悲痛な声がひっきりなしに聞こえている。助けてくれ、痛い、苦しい、辛い……。
(そりゃ目の前で倒れてたら助けるけどさ、今回はそういうのじゃないし。無視一択、多少うるさいけどテンション高いヴェルタよりマシだし)
『随分な言いようだネ』
 心の中で呟くと、ツヅルの体にねじ込むように同居している同胞、ヴェルタが抗議の声を上げてくるが、しかし気にならない。
(もっとたちの悪いのだって、ほら)
『裏切り者!!』
 さっきまでの悲痛な声なら小鳥の囀り程度に思えるほどの、絞り出すような怨嗟の声。
(うわーっ、再現度すごいなあ! これ、記憶を読み取って再現してるのか?)
 感想を思い浮かべたことすら読み取ったのか、声は先ほどまでのすすり泣きから、裏切り者と謗る言葉の大合唱になる。
(裏切り者だってさ、ヴェルタ。オレ達は生きたいだけだってのに。生きてなきゃ、思い出すこともできないのにな!)
 ツヅルはどこか楽しそうに顔を上げ、走る速度をも上げていく。
(さて、声に構わず進もう。よくある悲劇を創りに行こうか)

成功 🔵​🔵​🔴​

隠神・華蘭
SPD重視で駆け抜けましょう。頭の上の耳を手で押さえながら走ります。

なにやらすすり泣きのようなものが各所から聞こえてきますが、
走り続けているからかそこまで耳に入りませんねぇ。
そもそも人から狸に助けなど請われても困るのですよぉ。
わたくしの仲間達のほうがよほど悲惨かもしれないというのに・・・。

『ならなぜ復讐しないのだ?化け狸として、人間どもに!』

・・・勝手にこの華蘭の声を真似しないでくれませんか。
それならもう一度試して失敗したのですよ。
まさか事を為すまで続けろと?

悪い冗談ですねぇ、と呟き先に進ませて頂きます。
猟兵以外が惑わされる前にさっさと終わらせてしまいましょう!



頭の上の狸耳を手で折り曲げ抑えながら走るのは隠神・華蘭(八百八の末席・f30198)。
 待って、助けてと呼びかけるすすり泣きを無視し、ひたすら前を見て足を速める。
(なにやらすすり泣きのようなものが各所から聞こえてきますが、走り続けているからかそこまで耳に入りませんねぇ。そもそも人から狸に助けなど請われても困るのですよぉ。わたくしの仲間達のほうがよほど悲惨かもしれないというのに……)
 人間がその住処を拡げ、開発するにつれて追いやられていった狸たち。狸たちの住処もそれにつれてなくなって行った。
『ならなぜ復讐しないのだ?化け狸として、人間どもに!』
 無視するつもりでつい思い至った過去の痛みを、不躾に拾ってぶつけてくる声。
(……勝手にこの華蘭の声を真似しないでくれませんか。それならもう一度試して失敗したのですよ。まさか事を為すまで続けろと?)
「悪い冗談ですねぇ」
 呟きで切って捨てて、華蘭はさらに速度を上げた。
(猟兵以外のものが惑わされる前に、さっさと終わらせてしまいましょう!)

苦戦 🔵​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『鬼喰らいの絡新婦』

POW   :    蜘蛛の巣の主
【戦場全体に張り巡らされた糸による拘束】が命中した対象に対し、高威力高命中の【鋭い脚での串刺しや、鬼の膂力での縊り殺し】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    蜘蛛糸の舞
見えない【程細いが、鋼鉄よりも強靱な蜘蛛の糸】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
WIZ   :    可憐なる母蜘蛛
【呼び出した子蜘蛛達の放つ糸】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。

イラスト:某君

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠天御鏡・百々です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「夢にまで見た語らいなの……誰にも邪魔はさせない」
 絡新婦は糸電話を自らの耳と口に両方とも当てながら、うっそりと微笑む。
 一つになった二人は、一つの体で永遠の対話が可能なのだ。邪魔をすれば、戦いは避けられないだろう。
 くすくす。うふふ。
満月・双葉
アナタ…達、ですか
久方振りに姉の声を聞きました
礼を言いますよ?

おや、少しばかり攻撃が見え難いですね…
であれば異音に耳を凝らし【野生の勘】をもって危険を感知していくとしましょう
近付く必要がないので攻撃は回避だけに専念し
「光弓の首飾り」を展開して【弾幕】をはり、爆発の【属性攻撃】を持つ「大根」を投げて【爆撃】し敵の足止めをしたらば眼鏡を外しユーベルコードで切り裂きます
もっとも近寄られたくない訳ではなく、近接されたら「桜姫」で切り裂き、喰らうのみですがね…引き裂くお詫びにアナタ達の思いは僕の中に



「おや、少しばかり攻撃が見え難いですね……」
 乳白色の瞳を覗かす瞼を細め、双葉は張り巡らされた糸の隙間から異音を感知する。目に見えない糸が綾なす空間は、見えないのになぜか見る者の視界を覆っている。真ん中に立っている絡新婦の女の姿は見えるのに、殺気を孕んだ足元はおぼろげにしか見えない。
「アナタ……達、ですか。久方振りに姉の声を聞きました。礼を言いますよ?」
鋭い野生の勘により、その糸の奥でギチギチときしむキチン質の足の気配を読み取る双葉。口から出た言葉は、喜びか。悲しみか。はたまた怒りか。
 近づく必要は感じられない。双葉の首元をキラキラと彩っていた首飾りがおもむろに展開し、光の弓矢にその姿を変えた。無制限に発射される光の矢の弾幕が見えない糸に降り注ぎ、伝う振動が中心の主に伝わる。矢の当たった場所に反応して次々と鋭い足が突き出された。
 それは僕ではないんですよね、と口の動きだけで言うと、双葉は大根をぽいと投げる。ただの野菜の形をしているがそれは爆発物。ぽかんとした顔の絡新婦の目の前で轟音を上げて爆発した。
『何を、こんなもので、馬鹿にして!』
 爆発の煙から一拍おいて、絡新婦の怒りの声が響く。周囲に怒り任せに脚を突き刺しているのを確認すると、双葉は己の眼鏡を片手で外して見せる。
「命……視えた」
 声に振り向いた絡新婦に、生命力を削ぎ落とす矢が真っ直ぐに突き刺さった。

成功 🔵​🔵​🔴​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。
引き続き『静かなる者』
対応武器:白雪林

ある一点を除いて、我らと貴女方は似通っている。
まあ、そのある一点…『彼女は生者』というのが最大にして決定的なのですが。

似ていますから、よくわかるのです。
…その語らいは、糸電話を通したものにはなりえないということを。あくまでも、外部か内部から声がするもの。
そもそも、糸が垂れているのなら機能不全となりましょう。

攻撃は早業による氷雪属性の矢を放つように。
UCの発動は、【それは林のように】で阻止狙い。
恨むなら、恨むがいい。悪霊ですから、慣れてますよ。



 どぉん、どぉんと爆発音がし、煙が立つのが見えた。先にたどり着いた猟兵が戦闘を始めているのだ。脚の太いところに光の矢を受けた絡新婦は義透の姿を認めると、怒りに歪んだかんばせを見せる。その右手には未だ反対側を持つ人を失った糸電話がぶらんぶらんと振られていた。
 ああ。我らと貴女がたは似通っている。似ていますから、よくわかるのです。貴女が今耽っている語らいは、糸電話を通したそれにはなりえないということを。あくまでも、外部か内部か、どちらか一方からしかしない声。そもそも糸が垂れているのなら機能不全となりましょう。
 我らと貴女がたの最大にして決定的に違っている一点。それは貴女が生者だということですが。
『勝手なことを……!!』
 口に出していない義透の想いが伝わったかのように、糸電話を持たない方の手をひゅっと振る絡新婦。見えない何かが空を切って義透に向かって飛んでくる……!
「これは私が元より持つ力」
 微笑んでいるかのような唇から穏やかに発せられた言葉と共に放たれた霊力の矢が、飛んできた何かを撃ち落とし相殺した。
『おのれ……おのれ!!』
「恨むなら、恨むがいい。悪霊ですから慣れてますよ」
 なんとも思わない、といった口ぶりで、義透は時折青く輝く白い長弓を素早く引き絞り、すでに矢のささったものとは別の脚に向かって矢を放つ。白い雪華を散らしながら飛び出した矢が、絡新婦の脚に狙い通り突き刺さった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

隠神・華蘭
相手を惑わすはずの絡新婦が惑わされている・・・
事情が事情とはいえ、哀れなものです。

貴女様はこれで本当によいのですか?
その糸電話の先の彼と過ごした地が塵と化しても!

この問いによってUCを使用、絡新婦様を火に包みます。
どの道、今の彼女からわたくしが満足する答えが
返ってくるとは思えませんので根比べですねぇ。

明かりとして火の玉を2、3個わたくしの周囲に残して
光の反射で糸をなるだけ見えやすくします。
反撃は【化術】【逃げ足】【読心術】を駆使して回避に専念です。

余裕があれば残りの火の玉で周囲の糸を切り子蜘蛛を迎撃しましょうか。
皆様が憂いなく攻撃できますように、早く彼女が夢から覚めるように・・・。



「相手を惑わすはずの絡新婦が惑わされている……事情が事情とはいえ、哀れなものです」
 華蘭は猟兵達との闘いに取り乱す絡新婦を憐みのまなざしで見つめていた。よく見るとあちこち穴の開いた糸の間から小さな子蜘蛛たちがきしきしと這いずり回るのが見える。
「貴女様はこれで本当によいのですか? その糸電話の先の彼と過ごした地が塵と化しても!」
 失われた愛の幻想に縋りつく絡新婦のココロに、華蘭は問いかけた。その問いと同時にその体から無数の青白い火の玉が召喚され、周辺を自由自在に飛び回る。火の玉たちはしばらく周りを飛んでいたが、ふたつみつを残して一斉に絡新婦に飛び掛かった。華蘭の周りを照らす炎が織りなす光に張り巡らされた糸がきらりきらりと反射してその存在を主張している。
『邪魔をするな……ふたりでいられない場所に価値など感じない……ふたりでいられるなら……どこだって生きていける……征け、子蜘蛛たち』
 絡新婦が両手を広げると、子蜘蛛たちが鋭く糸を吐き華蘭を襲う!
「やはり、わたくしが満足する答えはかえってきませんねぇ。ならば根競べといきましょうか! 燃えるがいい、この華蘭の気が済むまで」
 糸の穴のあちらこちらから、子蜘蛛たちの敵意が伝わってくる。どろん、と煙を立てて華蘭は自らを素早い流線型の獣の姿に変え、見事な逃げ足ですべての糸を避ける。
「早く夢から覚めますように」
 元の姿に戻ってそう呟くと、残った火の玉を子蜘蛛たちに浴びせかけた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

一郷・亞衿(サポート)
廃墟探索中に呪われ、その結果として力を得た猟兵です。独自開発した混沌魔術や呪詛を纏わせたカッターナイフ、金属バット、伸縮式の山刀(蛇腹剣)等を用いて戦います。
各種オカルト話を好みますが、オブリビオンに対しては基本的に容赦しません。
外見特徴として、マスクで常時顔を隠しています。

一人称は「あたし」。
年下~同年代にはくだけた感じの口調で話し、年上や偉い人には敬語(さん付け、ですます口調)を使います。

ユーベルコードは指定した物をどれでも使いますが、寿命が減る系の物はタイミングを見計らい極力短時間の使用で済ませるようにしています。
軽口を叩いたりもしますが、戦闘時は真面目に役割を果たそうとするタイプです。



「う〜んすごい僻地だ。心霊投稿動画みたいだな〜」
 グリモアベースから転送され、ガサガサと顔を出したのは一郷・亞衿(奇譚綴り・f00351)だ。マスクの上の瞳が未だ手離されない絡新婦の糸電話をとらえる。
「糸電話かぁ。霊界交信としてのモチーフとしては結構気がきいてるかもね。死んだ想いびとに焦がれるあまり霊界交信を試みた女が、相手になりすました低級霊を呼び出してしまい……みたいな。あれ? 想いびと、生きてるんだっけ? 知らないけどもしそうならそりゃダメだよ。生きてるものを呼び出そうとするの、鉄板の失敗ルートだよね。諦めるか、ちゃんと待ち続けるかしないと。相手との思い出が大事ならさ。おっと、何? このベタベタしたの」
『うるさい……うるさいうるさい!』
 痛い正論を放った亞衿の掌が張り巡らせた糸に触れる振動を感知した絡新婦は、残った脚を亞衿に向かって突き立てる!
『ガッキィン!』
 突き立てられた脚は刺さることなく亞衿をボヨンとユーモラスに弾き飛ばし、代わりに派手なフォントの描き文字が具現化して排出された。
『な、何?』
「残念でした、もうギャグ漫画時空だよ!」
 呆気にとられた顔の絡新婦に有意を教えながらも後ろ手でチキチキと刃を出していたカッターナイフで、亞衿は糸電話の糸を切断した。

成功 🔵​🔵​🔴​

シェーラ・ミレディ(サポート)
※OK:シリアス
※NG:エロ、ネタ、コメディ、心情系
※傭兵的なスポット参戦

称号通り、僕の身体を維持するための金儲けと、弱者をいたぶる醜い行いが許せぬ義侠心が行動指針だ。
美しいものは愛でるべきだが、恋愛には結びつかないなぁ。
性格ブスは醜い。見るに堪えん。

複数の精霊銃をジャグリングのように駆使する、彩色銃技という技(UC)を使って、敵を攻撃しようか。
敵からの攻撃は基本的に回避する。が、護衛対象がいるならかばうのも検討しよう。
……嗚呼、僕を傷付けたなら、代償は高くつくぞ!



「僕がいなければ世界が滅びてしまうタイミングか。身体の維持にも繋がるし、出るのもやぶさかではないな」
 もう一人、グリモアベースから転送されてきた、人形めいた風貌の少年はシェーラ・ミレディ(金と正義と・f00296)だ。否、人形めいているのではなく実際に人形であった。
『おのれ……おのれ……』
 転送されてくるなり目の前に広がる光景は、切断された糸電話の糸を自分の糸で繋げようとするが思うようにいかない、哀れな絡新婦の姿だった。
「見るに耐えないな。君のほうじゃなくて、君を利用している者の醜い行いが」
『うるさい! 誰も彼も、私たちの邪魔をして! 私とあの人が話すのを邪魔するな!』
 絡新婦は悲痛に叫びながらシェーラに向かって糸を放つが、シェーラは半歩横にずれただけでそれを避ける。
「骸魂になった相手は僕が倒してしまうから、君はもう忘れた方がいいね。すぐ次が見つかるだろう。なぜか? 恋に落ちるのはいつだって唐突なものだろう?」
 ヒュイ、と放り投げた銃を後ろ手にキャッチすることを四丁分次々とやってのけると、シェーラはその銃を突きつけるや否や、クイックドロウを四度、目にも留まらぬ速さでやってのけた。
『ああ……ああ〜……!!!!』
 銃弾を受けた絡新婦の叫びが二つに分かれ、どす黒く濁った何かが彼女から剥がれ落ちた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 日常 『失われた飯を求めて』

POW   :    陰りの見え始めた比較的最近の料理を食べる

SPD   :    そんなのあったなぁ、という懐かしい料理を食べる

WIZ   :    本当に誰も覚えていない、もしくはマイナー過ぎる料理を食べる

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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「うっ、うっ、ぐす……もぐもぐ……」
 ここは過去の追憶や思い出を飯にする飯屋。骸魂から転がり出た絡新婦は嘘のように大人しくなって、もう会えない想いびとを諦めるため、泣きながら四人でつつく量のモツ鍋をひたすらつついては減らす作業に没頭している。悲しい恋を忘れるために、生命活動の代表であると言っていい食事に勤しむのも悪くはないだろう。周りに彼女を慰める者でもいれば、さらに新しい恋へと向かう割り切りは早く行えるのではないだろうか。
隠神・華蘭
え、えぇ・・・。
物理的に思い出を消費するお店とは流石かくりよというべきなのでしょうか・・・。
あぁお料理はとりあえず和食をください。ふるーい昭和のお膳のようなものを。
後は・・・調伏されかかった時の記憶で柿でも。

何とも居た堪れないので絡新婦様のお隣に座って【優しさ】全開でお話しますねぇ。
あのぉ同じ妖怪のよしみですし、愚痴なりお話くらいならいくらでも聴いてさしあげますよぉ?
あ~その前に改めまして、わたくし華蘭と申します。貴女様は?

一匹だけお付きに狸呼んでおきますのでもふっていただければ少しは気も紛れましょう。
ま、貴女様ならきっとまたいい人見つかりますよぉ。

ぐえー・・・渋いです、この柿。



「え、えぇ……物理的に思い出を消費する店とはさすがかくりよと言うべきなのでしょうか……。ああ、とりあえず和食をください。ふるーい昭和のお膳のようなものを。あとは……調伏されかかった時の記憶で柿でも」
 華蘭が注文をすると、一つ目で舌の出た店主があいよと返事をする。
「一匹出て、こいこいこいです」
 ついさっきまで戦っていた絡新婦がぐすぐすもぐもぐと大鍋のモツ鍋を食べている姿にとても居た堪れないものを感じて、お付きの狸を呼び出して隣に座る。
「あのぉ同じ妖怪のよしみですし、愚痴なりお話くらいならいくらでも聴いてさしあげますよぉ? あ~その前に改めまして、わたくし華蘭と申します。貴女様は?」
「ぐす、ぐす、玖音(くね)ですぅ……この度は大変ご迷惑をおかけしてしまってぇ……」
「ま、貴女様ならきっとまたいい人見つかりますよぉ」
「そーでしょーかー……」
 手渡された子狸をもふもふともふりながら、玖音は華蘭の優しさに感謝しつつ申し訳ない気持ちや長年の辛い気持ちを語り出す。
「いや〜、新鮮な辛い思い出の感情だね〜。親の代で終わった小料理屋御前と今はもういないおばあちゃんちの柿、おまちどう〜」
「ぐえー、渋いです……この柿」
 心にも舌にも渋い夜だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。
引き続き『静かなる者』。

四人共通の思い出『鬼蓮を見た日(故郷壊滅の前日・8/24)』で、和食を。…苦味が強いでしょうね。
…話を聞くことくらいはできますよ。話をした方がすっきりするかもしれませんし。

聞き手に専念し、私のことはあまり話さないように。
彼女にとって、私はかなり理不尽な存在でしょうしね…。
…初恋かつ付き合っていたことのある相手と一緒にいる状態なんですから。

※第一『疾き者』は、『静かなる者』とは元恋愛関係の現戦友。『疾き者』の方が八歳年上で、『静かなる者(当時九歳)』を護衛したのが出会い。


満月・双葉
恋ですか…僕には永遠に解らなそうな事柄ですね…
貴女にとって恋とは愛とはなんですか
そんな問いかけをして、相槌を打ち話を聞く
そうですね、そうですか?…うんうん、それで?
発した言葉の一番重要な単語を繰り返して先を促したりして会話を発展させつつ
愚痴とは吐き出すもの
聞き役に徹して大根鍋でもつつきましょう
…これは畑でとれた普通の大根ですから爆発しません安心してください?

そして聞き終えたら呟くように
貴女が覚えていれば故人は永遠にそこにあります
だから、思い出は大切に
しかして未来からは目を背けずに
また素敵な人に出会うことが出来たらまたその時は
貴女が後悔しない道を歩んで行けるように
お祈りしておきますね



 同じ場所で戦っていた義透と双葉も、玖音の周りに腰を下ろした。義透、今は『静かなる者』の食する思い出は『鬼蓮を見た日』に食べたあの素朴な和食、双葉がつつくのはダムに沈んだどこかの村の大根鍋だ。
「ひっ大根!」
「……これは畑でとれた普通の大根ですから爆発しません安心してください?」
「……話を聞くことくらいはできますよ。話をした方がすっきりするかもしれませんし」
 鍋に浮いているのが戦闘中爆発した大根かと怯える彼女を安心させる双葉と、愚痴を促す義透。
(今回は私は聞き手に専念し、自らのことはあまり話さないようにしましょう。彼女にとって、私はかなり理不尽な存在でしょうしね……初恋かつ付き合っていたことのある相手と一緒にいる状態なんですから)
(恋ですか……僕には永遠に解らなそうな事柄ですね……)
 慰めようと近づいたものの、明るく励ますのはあまり向いていない二人(五人?)だった。向いていないが、それなりに話を聞こうという姿勢は伝わるもので、玖音は話をする体勢になった。
「あなたにとって恋とは愛とはなんですか」
「ぐすん、恋、愛? 考えたこともなかったけど、恋してる時は楽しかったし、あの人に感じてたのは愛だと思います……」
 彼女の語る言葉は取り止めのないものだが、忘れたくなかったひとと再び会えた喜びと、それがまやかしであった悲しみは十分に解るものだった。
 うんうん、そうですね、それで?
 双葉が先を促したり、おうむ返ししたりして話を聞く傍で、義透は自分たちの恋を思い出したりもしている。今表に出ている『静かなる者』と中に控えている『疾き者』は今は戦友だが、かつては恋仲であったこともあったのだ。
 ひとしきり聴き終わると、双葉は大根を一口食べるとつぶやくように言う。
「貴女が覚えていれば故人は永遠にそこにあります。だから、思い出は大切に。しかして未来からは目を背けずに、また素敵な人に出会うことが出来たらまたその時は貴女が後悔しない道を歩んで行けるようにお祈りしておきますね」
「そうですね。かつてあなたがお相手を愛した事実はとても素敵なことだと思いますし、それは恋が終わっても損なわれることは無いと思います」
 義透も、玖音の恋愛観の話を拾ってフォローをした。
「ん……そうします。これからも頑張って生きていきます……きっとあの人も許してくれると思うから……」
 顔を上げた玖音の瞳には、前向きな光が宿っている。
「苦味が強いですねぇ……」
 夏の山菜を噛み締めて、義透が呟いた。ここは思い出や追憶を飯にする飯屋。提供するのは色々な人生の味だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年11月03日


挿絵イラスト