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バレット・パレード・オブ・ザ・デスペラード

#クロムキャバリア #科学小国家ジャパニア #純戦闘シナリオ

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#クロムキャバリア
#科学小国家ジャパニア
#純戦闘シナリオ


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 クロムキャバリア世界に存在する科学小国家『ジャパニア』は、技術力こそあれど軍事力は御世辞にも高いとは言えない。
 国家の生命線である遺失技術建造物『プラント』……鋼材や食料まで様々な資源を生産する、高さ15mの固定施設は国内でたったひとつ。それ故、生産される資源には限りがあるからだ。
 それでもなお、この100年前後続く小国家間戦争を最初期から生き抜いてきたのは、技術力に裏打ちされた国家の防衛力があったからだ。キャバリアも防御に優れた機体が量産されている事や、ジャパニアは全方位の殆どを険しい山々で囲われている上に残りは海に面しているという、天然の要害に守られている点も要因として挙げられる。
 つまり、攻めるのは苦手だが身を守る事に長けている。
 それこそがジャパニアの強みなのだ。

 だが、国家というのは一枚岩ではない。
 表沙汰にならなくとも、国家の有り様に不満を抱えているものは必ず存在する。
 そんな不満を日頃から抱えている将校がいた。
 名をテレンス・フドウ。階級は准将である。
 彼はジャパニアという国家を誰よりも愛している。
 愛ゆえに、この国家がもっと栄えるべきだと強く願っていた。
 だからこそ、積極的に他国へ侵略をしない国家戦略に日頃から苛立っていた。
「我が技術力があれば、隣国をジャパニアの手中に収められるというのに……!」
 毎日を燻って過ごしていたフドウ准将だったが、ある日、同盟国のアルメリカから海路で輸入されたキャバリア群をその目で見てから、心の奥底で漆黒の意思が芽吹いてしまった。
「――これさえあれば、ジャパニアは更に繁栄できる! 他国を出し抜ける!」
 フドウ准将は誘われるがごとく、その赤黒いキャバリアに無断で搭乗してしまう。
 ……それが、搭乗者の思想を歪ませるオブリビオンマシンだと知らないままに。

 グリモアベース。
 映像化した予知をグリモアから投影し終えると、明るい声がその場に響いた。
「あたいがこの予知を見た直後、特別軍事科学研究機関『M.A.K.E』………通称『開発チーム』の主任ことジャック・カブラギおじ様から猟兵へS.O.Sが入ったよっ!」
 事件の予知をキャッチしたグリモア猟兵の蛇塚・レモン(蛇神憑きの金色巫女・f05152)は、集まってくれた猟兵へ今回の任務について説明を始めた。
「この予知の後、クロムキャバリアに存在する科学小国家『ジャパニア』唯一のプラントが、准将とその部下達で組織された部隊に占領されちゃったっ! 多種多様な物資を生み出すプラントが封鎖されたジャパニア国内は、既に混乱が起き始めているよっ! このままだとジャパニアは崩壊しちゃうっ! みんなは『傭兵』として現地に赴いて、すぐさま准将の部隊の鎮圧に乗り出してねっ!」
 レモン曰く、准将達の機体はすべてオブリビオンマシンであると断言した。
「鎮圧対象は同盟国のアルメリカから輸入された国境警備用の機体だったみたいだけど、一部隊分が丸ごとオブリビオンマシンだったとか笑えないよね……」
 更に、猟兵達には、搭乗者の不殺傷と救助を心掛けてほしいとレモンが付け足す。
「パイロット達は思想を歪められて狂気の中にいる状態だから、機体を沈黙させても人員の殺傷は控えてほしいなっ!」
 オブリビオンマシンを憎んで人を憎まず、である。
「ただ……ちょっと問題があってね……っ?」
 レモンは、グリモアから現在のプラントのライブ映像を投影する。
 そこには、砲撃戦に特化した上に堅牢な防御力を誇るキャバリア部隊が幾つも配備されているではないか。更に、フドウ准将の乗る機体も、見るからに重装甲・高火力・低機動な砲撃特化型キャバリアだ。
「長距離射撃による妨害が予想されるから、プラントへ接近するまでに相当な労力がかかるはずだよ……。でも、少数精鋭のみんななら、砲撃の嵐を掻い潜れるって信じてるっ! それでも、キャバリアの防御力が桁違いだから、機体を沈黙させるのに苦戦が想定されるけど……」
 レモンのグリモアが、クロムキャバリアへの転送準備を完了させた。
「必ず突破口はあるはずだから、みんな、負けないでねっ!」


七転 十五起
 クロムキャバリア第三弾。
 科学小国家ジャパニア、過去最大の窮地を救って下さい。
 なぎてんはねおきです。

●概要
 転送先は、プラントから直線距離で5km前後離れた地点です。
 プラント周辺は盆地になっており、近くには川が流れています。
 皆様は一箇所に固まってではなく、全方向に分散する形で転送されます。
 同行者がいる場合、『連携タグ』もしくは『互いのID』をプレイングに明記すれば、同じ地点に転送されます。

 第一章:冒険では、猟兵達が転送された直後からプラントからミサイルや榴弾による砲撃が開始されます。どうにかこれを処理しながら、皆様はプラントへ直行して下さい。

 第二章:集団戦は、全身を強固な装甲で覆う防御型機動殲龍の部隊と交戦します。
 搭乗者は首謀者の部下達で、全員がオブリビオンマシンによって狂ってます。
 鉄壁の防御を切り崩し、搭乗者を生きたまま救助して下さい。

 第三章:ボス戦は、いよいよ首謀者のフドウ准将との直接対決です。
 彼は『プラント制圧は他国へ侵略するための補給』だと言い張り、放置すれば国内の物資を根こそぎ徴収した上で近隣諸国と手当り次第に戦争をふっかけるでしょう。
 勿論、これはオブリビオンマシンによって歪められたフドウ准将の思想です。本来は愛国心に満ちた、心優しい将官です。
 彼の『本来の思想や人柄』を思い出させるような言葉や行動をすれば、彼の良心を一時呼び覚まし、オブリビオンマシンの動きを鈍らせることができます(プレイングボーナスが発生します)!
 そして、フドウ准将も必ず、生きたまま捕縛して下さい。

 それでは、砲撃の暴風雨と鉄壁の守りに立ち向かってゆく皆様のプレイングを、心からお待ちしております!
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第1章 冒険 『対キャバリア砲撃陣を突破せよ』

POW   :    正面から力づくで突破する

SPD   :    砲撃を凌駕するスピードで突破する

WIZ   :    着弾すらも読む機知に富んだ頭脳を駆使して突破する

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

支倉・錫華
まずは接敵から、か。キャバリアは貸してもらえるんだよね。
武装は【歌仙】と【天磐】あとは【スネイル・レーザー】かな。
【脈動臨界チューニング】で移動力を5倍、射程を半分にしていこう。

たまには操縦技術勝負もいいかな。
って、結構激しいね。遊んでる余裕はさすがにない、か。

アミシア、電子戦用意。フルパワーで【ジャミング】よろしく。
なるべく標的から外れる感じでいけるとありがたいな。

わたしは【瞬間思考力】と【見切り】で、それでも飛んでくる砲撃をかわしていこう。
高速機動のまま回避運動をしつつ、プラントに接近していくよ。

どうにもかわしきれないのは【スネイル・レーザー】で墜とすか【天磐】で防いでいくことにするね。



 クロムキャバリア、科学小国家ジャパニアのプラント基地から直線距離で5km前後離れた地点。
 グリモアベースから転送されてきた猟兵達が、次々と准将の部隊の索敵範囲圏内ギリギリに到着する。
 そのうちのひとり、支倉・錫華(Gambenero・f29951)は、到着後、すぐに敵の索敵範囲圏内から離脱を試みる。
「生身では厳しいだろうから、キャバリアを入手したいね。まずは“依頼主”と交渉するためにも、敵の射程外へ逃れないと」
 キャバリアに乗り込んでいない生身での後退。
 たった数秒では、簡単に索敵範囲圏内を抜け出すことは難しかった。
 だがしかし、支倉はしかと目の当たりにした。
 先程まで自分が立っていた場所へ、はるか前方から飛来してきた砲弾が爆音と共に土埃を巻き上げながら地面を深々と抉り取った瞬間を。
 後退してなければ、今頃は全身が跡形もなく粉々になって吹き飛んでいただろう。
 更に、数多にのぼる着弾の衝撃で足元が揺らぐ。
 まるで地面が海のように波打っているかのようだ。
「これはまずいね。まずは射程外に逃れなければ」
 その後も必死に支倉は揺れる大地を走り抜け、なんとか敵の索敵範囲圏内から逃れた。
 と、ここでようやく、支倉は今回の任務の“依頼主”と無線で接触を図る。
「どうも、はじめまして。救援要請を受けて駆け付けた猟兵の支倉・錫華だよ。まずは接敵から、か。そのためのキャバリアは貸してもらえるんだよね?」
 支倉の言葉に対して、無線越しの相手が喋り始めた。
『救援要請に応えてくれて、誠に感謝する。私は、特別軍事科学研究機関『M.A.K.E』……通称『開発チーム』の主任、ジャック・カブラギだ。キミのキャバリア借用の請求を受諾しよう。我が国の量産型キャバリアを今すぐ届ける。10分待ってくれたまえ』
「了解だよ。ここで待ってる」
 支倉は上空を警戒しながら、キャバリアの到達を待つことにした。
 その間、前線からは、落雷と聞き間違えるほどの轟音が連続して聞こえてくる。
「既に他の猟兵達が行動を開始しているようだね。わたしも急がないと」
 早る気持ちを抑えつつ、支倉は10分間、その場で待ち続けた。
 そして、巨大トレーラーで搬送されてきた量産型キャバリアに乗り込むと、ようやく進撃を開始するのだった。

 キャバリアに乗り込んだ支倉は、移動しながら自身に合わせたチューニングを図っていた。
「たまには操縦技術勝負もいいかな。よし、この子の全力を解き放ってみよう」
 ユーベルコード『脈動臨界チューニング』は、搭乗するキャバリアのセッティングを状況に応じてチューニングし、戦闘に最適なフレームに変形させる事で能力のひとつを5倍に跳ね上げさせる事ができる。ただし、代償に機能のどれかひとつだけ効果が半減してしまうのだ。
「移動力を5倍、射程を半分にしていこう」
 量産型キャバリアのオーバーフレームが流線型へと変化し、空気抵抗を極限まで減少させることで移動速度アップにつなげた。
 更に、エンジン出力の脈動点すら利用し、極限までピーキーにしたチューニング形態へと変形すれば、常人では目で追うことが困難な速度を実現してみせる機体へ早変わり。
 ただし、その代償として、このキャバリアの射程が半減してしまった。
 それでもいい、と言わんばかりに支倉は、キャバリアで篠突く雨めいた土埃の柱を回避し続け、耳元をつんざく爆発音に耐えながら、揺れる足元をスタビライザーで微調整しつつ転倒せずに猛然と戦場を駆け抜けてゆく。
 既にここは敵の索敵範囲圏内。いくら他の猟兵達が先行しているからとはいえ、支倉の元へ砲撃が全く来ないわけではなかった。
「って、結構激しいね。遊んでる余裕はさすがにない、か」
 キャバリアの顔面のカメラアイに覆いかぶさる土砂を、メカハンドで払いのけて視界を確保すると、支倉は唐突に虚空へ向って誰かを呼び付けた。
「アミシア、電子戦用意」
 すると、ピロッと高音アラームが短くなったかと思えば、キャバリアから人の声が発せられた。
『電子戦の準備、いつでも実行可能です』
 この声は『アミシア・プロフェット』――支倉のパートナーユニットのものだ。
「あとアミシア、フルパワーでジャミングもよろしく。なるべく標的から外れる感じでいけるとありがたいな」
『かしこまりました』
 ピロッと高い単音がなった後、キャバリアの機体からジャミング電波が発射された。これで、支倉機は敵の索敵に感知されづらくなった。
 そのまま5倍速で戦場を突っ切り始める支倉機、弾丸が着弾する前に走り去る。
 彼女はアンサーヒューマンだ。遺伝子操作によって『瞬間思考力(フォーアンサー)』を極限まで拡大された、次世代の人類だ。そんなアンサーヒューマンは、キャバリアの操縦に対して、高い適性を持つとされている。
「砲弾の着弾地点・機動、天候状況、ルート検索、全てわたしの瞬間思考力で見切ってみせるよ」
 連続S時クランクの蛇行運転、左右同時着弾による土砂と衝撃波の被害、そして鼓膜を断続的に叩き付けてくる着弾時の爆音など、この戦場は思考力を阻害するものに溢れかえっている。
 それでも、支倉は正常な思考力を保ち続け、着実にプラント基地へ近付いていた。
 だが、そこへ降り注ぐはミサイルの雨だ!
 敵部隊は、索敵レーダーに映らない支倉機に対して、絨毯爆撃による面制圧を試みてきたようだ。白い煙を尾のように引いてゆくミサイル群が、一斉に周辺へ着弾すればどうなるか?
 この辺りが一気に吹き飛ぶだけではなく、熱や光で支倉自身にも深いダメージを負いかねない。
 故に、支倉はトップスピードで空中を飛ぶミサイルへ向って、自らのキャバリアを突っ込ませた!
「歌仙で斬り込み、天磐で被害を最小限に留める!」
 目の前に突っ込んできたミサイルを、巨大な片刃の実体剣で叩き切り、その爆発をファンクションシールドで受け止めた。
 支倉の体の芯にまで響く凄まじい衝撃と爆発音が、その威力を雄弁に物語る。
 だが、支倉は狼狽はせず、むしろ満足気に口元を緩ませた。
「今ので感覚が掴めたよ。あとは一発も当たってやるものか。さあ、わたしと一緒に踊ろうか」
 支倉はキャバリアへ語りかけた後、宣言通り、高速移動によってミサイルの弾幕を全て掻い潜ってみせたのだ。
 その動きはまるで亡霊のようで、弾頭がキャバリアの機体を素通りしてゆくようにも錯覚出来てしまうほどの卓越した回避行動であった。
「さあ、仕上げたね」
 量産型キャバリアへの追加武装のひとつ、スネイル・レーザーの銃口を空に掲げた。
『ターゲット、ロックオンしました』
 アミシアの声に、口笛を吹いた支倉がスネイル・レーザーのトリガーを引いた、
「そんなミサイルは全て撃ち落としてみせるよ」
 タツムリ型の弾倉からレーザーマシンガンの弾幕が上空へ発射されると、キャバリアの頭上で大小様々な爆発が花火のように立て続けに発生する。
「それじゃ、プラントへ向かおうか」
 支倉機が突っ切った上空に、断続的な閃光と爆発がしばらく収まることはなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ミフェット・マザーグース
え、え、転送したら、すぐ砲撃……?
どどどどうしよう!ミフェット、キャバリアもってないのに!
ターゲットされる前に隠れなきゃ!

思い出すのは前のお仕事
ネコさんが気にしてた、オブリビオンマシンの操縦者
やっつけたら、みんな助かって、めでたしめでたしと思ってた

WIZで判定
ホントはすっごくイヤだけど、川に転送してもらって、すぐにヒトの形を崩して黒い粘液のカタチになって水の底をすべってプラントの近くまで移動するよ
服とか楽器はビニールの入れ物に入れてもっていくね

近づけたら、プラントにそっと潜入!

そんな計画立てたけど、一人だとやっぱり心細いから、ほかの猟兵さんの動きをよく見てアドリブで計画をドンドン変更しちゃうね


ノア・クレムリィ
 雨あられと砲弾が降り注ぐ中を突破とは、中々にスリリングね。
 敵が圧倒的に有利、練度もかなり高い。けれど、そこに隙がありそう。

 【UC:アドバンテージ・アンサー】(WIZ)発動です。私が戦術的優位に立てる地形、川を遡上してプラントに突入します。相手は長射程の砲撃武装、水上を高速で移動する私を捉えるのは難しいでしょう。

 波を〈航海術〉で捉え回避の助けとし、砲弾を〈瞬間思考力〉で計算します。着弾とその水柱を予測し、相手の砲撃精度が高いことを逆手にとって、直撃寸前のところを攻めましょう。

 貴殿らの国は、まだ滅ぶには勿体ない。
 ここは、押し通らせてもらいます。

(アドリブ連携等々全て歓迎です)



「え、え、転送したら、すぐ砲撃……?」
 ミフェット・マザーグース(沼の歌声・f09867)は、任務内容を聞いて愕然としていた。
「どどどどうしよう! ミフェット、キャバリアもってないのに! って、転送が始まっちゃう!」
 そのままグリモアベースからクロムキャバリアの科学小国家ジャパニアへ転送されたミフェット。
 転送されたのは、大きな川の近くだった。
 どうやら運河らしく、この河を遡上すればプラントへ乗り込むことが出来るのだろう。
「たいへんっ! ターゲットにされる前に隠れなきゃ!」
 既に敵の索敵レーダー圏内のミフェット。
 大慌てで橋の下へ身を潜めた。
 その数秒後、先程までミフェットのいた付近よりも少し後方で爆発音が鳴り響き、火柱と黒煙が天高く登っていくのを彼女は目の当たりにしてしまった。
「もしも、あのまま立ってたたら……」
 想像しただけでミフェットの黒色液体の身体が恐怖で強張り、強く震えだす。
「イヤだよ……こわいよ……」
 迫りくる死の実感に、ミフェットは目に涙を浮かべてしまう。
 そんな彼女の脳裏には、以前、このジャパニアで起きた事件を解決した後の音楽祭での一コマが思い浮かんでいた。
(おなじ猟兵のネコさんが気にしてた、オブリビオンマシンの操縦者。やっつけたら、みんな助かって、めでたしめでたしと思ってたのに……)
 しかし、ミフェットは思い出す。
 オブリビオンマシンは、様々な人間を狂気に掻き立てる悪魔の機体だ。
 今回の事件の首謀者たる准将も、オブリビオンの悪影響を受けた被害者だ。
(そうだった。だから、今回もミフェットがたすけないと……!)
 ミフェットは恐怖心を使命感で無理矢理に抑え込むと、この場所から一刻も早く移動しようと決意した。
「ここにずっといたらら、また砲撃されちゃう……本当はイヤだけど、こうするしか……」
 ミフェットは周囲に人の気配がないことを確認すると、ずっと大事に着ているワンピースを脱ぎ去り、愛用している紋章のリュートと一緒にジッパー付きビニール袋へ詰め込んで封をする。
 何も身につけていない身体になったミフェットは、たちまち人の形から粘液状に体型を崩してゆくと、そのままズルズルとアメーバのように地面を這って運河の中へ入っていった。
(うう、冷たいよ……!)
 晩秋の河の水温はかなり低い。
 だが、もはや後戻りはできない。
 我慢を強いられるミフェット、川底をウミウシのように滑るように遡上してゆくと、不思議と砲撃の手が緩んでいった。
(もしかして、ミフェットの姿が捉えられていないの……?)
 敵もよもや、肉体の形状を変化できる相手がいるとは思ってもいなかっただろう。
 運河の中へも多少は撃ち込んでくるが、敵も運河を意図的に壊すのは不本意なのか、はたまた見失ったのか、ミフェットの周辺ばかりを砲撃し続けていた。
 つまり、ミフェットの作戦勝ちである。
 だが、ミフェットは今すぐに運河から陸へ這い上がりたくて仕方がない。
(寒い……!)
 低い水温が、ミフェットの体力を徐々に削ってゆくのだ。
(それに、こんな計画立てたけど、一人だとやっぱり心細いし、いつ撃たれるかわからないから怖いよ……)
 次第に、抑え込んでいた恐怖もむくむくと鎌首をもたげだす。
 このままではミフェットの心か身体、どちらかが限界を迎えかねない。
 そんな困窮した状況に、幸運の女神が手を差し伸べた。
 目の前には見慣れたまばゆい光。
(あれは……グリモアの転送! 猟兵さん!?)
 ミフェットは歓喜した。
 同じく河から遡上してプラントへ向かう仲間がいた幸運に感謝した。
 しばらくすると光の中から、水上機動ユニットを装着した量産型キャバリアが出現した。
「それじゃ、任務開始といきましょう。……って、なんで女の子が河の中に?」
 キャバリアを操縦していたアンサーヒューマンのノア・クレムリィ(海駆ける鋼鉄の竜騎兵・f30572)が、キャバリアの足元に縋るミフェットに気が付いた。
 ミフェットは寒さのあまり、粘液状の身体をヒト型に戻して震えていた。
 ノアは外部スピーカーでミフェットへ声を届ける。
『貴殿はここで何をしているのでしょうか?』
「ミフェットも猟兵だよ! でも、ミフェットはキャバリアをもってないから、河の中に隠れてこっそりプラントへ向ってたの……!」
『なんと! それはさぞかし怖い思いをしたでしょうね。でも、それではプラントへ向かう前に風邪を引いてしまいます。もしよかったら、私のキャバリアに掴まっててください。一緒にプラントへ向かいましょう』
「本当? ありがとう! えっと、おねえさんのおなまえは?」
 完全にヒト型に戻ったミフェットは着替えると、キャバリアの脚部へ触手のように髪の毛を張り付かせて身体を固定させた。
『ノア・クレムリィと言います。ミフェット殿、でしたか。しっかり掴まってて下さい。砲撃が来ます!』
 キャバリアのウォータージェット機構を駆動させると、ノアは河を高速で遡上し始めた。
 弾丸が運河に命中して水柱が立ち上るのを脇に見送ると、迫りくる砲弾もアンサーヒューマン独自の瞬間思考力で着弾予想地点を割り出してゆく。
「雨あられと砲弾が降り注ぐ中を突破とは、中々にスリリングね。この状況、敵が圧倒的に有利、練度もかなり高い。けれど、そこに隙がありそう」
 すぐさまユーベルコード『アドバンテージ・アンサー』を発動。
「元海賊の私にとって、水上は戦術的に有利な地形。陸の砲撃に遅れなど取りません」
 その言葉通り、ノアは運河をまるで自身の庭のように自在に駆け巡り、絶え間なく立ち昇る水柱を掻い潜ってみせた。
(着弾とその水柱を予測し、相手の砲撃精度が高いことを逆手にとって、直撃寸前のところを攻めましょう。そうすれば、水上を高速で移動する私を捉えるのは難しいでしょう)
 ユーベルコードの効果で、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になっているノアのキャバリア。
 そこに瞬間思考力が加われば、苛烈な弾幕などノアにとっては豆鉄砲に等しい。
「ノア、すごいすごい! 水の上できれいにおどってるね!」
 キャバリアの足にしがみついたまま、キャッキャとミフェットがはしゃぐ。
 ついでに廃熱で体が温まり、濡れた身体も乾いていた。
『貴殿らの国は、まだ滅ぶには勿体ない。 ここは、押し通らせてもらいます』
 ノアは水柱を華麗なスラロームで駆け抜けてゆくと、遠くにプラント基地が見えてきた。
 そして、その付近に陣取る守備隊の存在も。
『このまま河から、プラント基地の船着場経由で侵入してゆきましょう』
 ノアとミフェットは、遂に砲撃陣をすり抜けることに成功したのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ティー・アラベリア
ご家庭用人形ティー・アラベリア、ご用命に従い参上いたしました。
今回のお仕事は…砲兵?
カチリ、と音を立てたように疑似人格が切り替わる。
アハハッ!対砲迫戦!素晴らしいですね!
この世界ですと、砲撃の諸元は空中観測ではなく対地レーダーと地上観測かな?
まずは魔導波探信儀と斥候型妖精で観測所を特定し、92式の砲撃で潰しちゃいます!
敵砲兵の目を奪うわけですね☆
同時にジャミングを実施し指揮系統の妨害もしちゃいます!
観測所を排除すれば、怖いのは所定地点に向けての定点射撃だけ☆
探信儀と斥候妖精で邪魔になりそうな砲兵陣地の位置を特定し、92式の砲撃でパパっと排除。
火制地域に穴をあけた後は、一気に突破しちゃいます!



 クロムキャバリアの科学小国家ジャパニアに、メイド服を来たミレナリィドールが転送されてきた。
「ご家庭用人形、ティー・アラベリア(f30348)、ご用命に従い参上いたしました」
 スカートの左右の裾をつまんで、その場で会釈をしたまま身を少し屈んだ。
 その所作は淑女の鑑というべき美しさを放っており、この場に金持ちの男性がもしもいたのなら、ティーを札束で我が物にしようとしたかもしれない。
 だが、ティーの性別は男だ。
 そんなティーが顔を上げると、上空からヒュルルルル……と風切り音が聞こえてくる。そして、黒くて丸い物体が此方に向って飛んできていた。
「今回のお仕事は……砲兵?」
 ティーの頭上に砲弾が迫る!
 次の瞬間、カチリ、と音を立てたように彼と疑似人格が切り替わる。
 そして、その脚部に搭載された99式戦闘機動機構が作動すると、ティーの身体が僅かにホバリングを開始!
 一気にそのまま前方へ抜けてゆき、砲弾の下をくぐり抜け、難なく回避に成功してみせたのだ。
「アハハッ! 対砲迫戦! 素晴らしいですね!」
 先程の非常に温和かつ博愛的な物腰とは打って変わって、戦闘担った途端、ひどく享楽的な言動に取って代わっていた。
「至るところで火薬と土埃の匂いが混じり合い、逃げ場のない絶望的な状況下で生を謳歌する! なんて平等! なんて博愛的で尊いことなんだろうね!」
 絶望的な状況下を笑い飛ばすティーは、そのまま地面スレスレでホバリングを続けて滑るように敵の弾幕をスイスイと回避してゆく。
「んー? この世界ですと、砲撃の諸元は空中観測ではなく対地レーダーと地上観測かな? てことで、まずは魔導波探信儀と斥候型妖精で観測所を特定しちゃおっと☆」
 ティーは早速、ユーベルコード『斥候型妖精召喚(サモン・スカウトフェアリー)』で斥候妖精を召喚する。
「お掃除にも、お料理にも、殺し合いにも、情報は必要ですよね!」
 認識されづらい斥候妖精と五感をリンクさせたティーは、敵の索敵の方法を調査することにした。
 すると、数体の量産型キャバリアが斥候として周囲に配置されていることが分かった。
 更に、92式魔導波探信儀によって周囲の索敵を行うと、観測所らしき地点にたくさんの敵戦力が集中していることが分かった。
「それじゃ、敵の目を潰しちゃいますね☆」
 観測者と観測所を捉えたティーは、92式火力投射型魔杖を一振りする。すると、魔力弾が杖先から発射され、数秒後に着弾。
 途端、膨大な熱量が大地を薙ぎ払い、観測者も観測所もきれいサッパリ全てが消し炭に変わり果ててしまった。
 すると、砲撃とミサイルの精度がたちまち悪くなり、ティーの驟雨に砲弾が降り注がなくなってきたのだ。
 それもそのはず、ティーが仕掛けたのは、敵の目を潰すだけではないからだ。
「ジャミングを実施し指揮系統の妨害もしちゃってますからね☆ 敵の指揮系統、今は完全に麻痺しているはずです」
 同時進行で、この砲撃を行っている複数の部隊長機の司令電波を妨害していたのだ。
「観測所を排除すれば、怖いのは所定地点に向けての定点射撃だけ☆ 今がチャンス!」
 これにより浮足立った砲兵隊へ向けて、ティーは斥候妖精によって位置を補足した敵小隊の群れへ、92式魔導波探信儀の全力砲撃を叩き込む。
「そこにいられると困っちゃうんですよね? なので、消えて下さい☆ ばぁん♪」
 高火力の魔導弾が広正面へ展開されると、長距離射撃を行っていた幾つもの小隊が光と熱の中に飲み込まれていった。
「お掃除完了です! 火制地域に穴をあけた後は、今のうちに一気に突破しちゃいましょう☆」
 焼け野原と化した前方を、ティーは全力で駆け抜けてゆく。
 まさにワンマンアーミーだ。
 そんなティーには、かつて『ご家庭の家事から国家の大事まで、あらゆる用途がこの一台に!』と書かれた取扱説明書があったとか、なかったとか。

成功 🔵​🔵​🔴​

ルパート・ブラックスミス
国への忠誠に目を眩ませた挙句、呪いの機械鎧に狂わされ、ついには国に牙剥く逆徒と化す…か。
黒騎士としては笑えん話だ。

愛機(専用トライク)を【騎乗】し、UC【現を彷徨う幽騎】起動。
姿を消した状態で砲撃を【見切り】回避しつつプラントへ【ダッシュ】。
走行音と熱源はそのままだが、そこは【地形の利用】だ。
砲火に晒された地帯ならば爆音と残留熱が邪魔でこちらを捕捉できまい。

さぁ、ジャパニアの技術力とやらを見せてみるがいい。
黒騎士が今、貴様らの喉元目がけて駆け往くぞ。



 真っ青なトライクの横に砲弾が直撃して横転しかけるも、なんとか車体をハンドルさばきでもとに戻す。
 死した主の魂を宿す黒騎士の鎧のヤドリガミこと、ルパート・ブラックスミス(独り歩きする黒騎士の鎧・f10937)は、愛用のトライクで砲撃を掻い潜りながら、今回の事件の首謀者へ思いを馳せていた。
「国への忠誠に目を眩ませた挙句、呪いの機械鎧に狂わされ、ついには国に牙剥く逆徒と化す……か。黒騎士としては笑えん話だ」
 ルパートはハンドルを切って急旋回。そのままアクセル全開でまた急旋回。
 そんなトライクの軌道上は、数多の砲弾が地面と激突し、轟音と共に土埃が柱となって立ち昇る。
「ふむ。今のところ回避はできてはいるが、徐々にタイミングを合わせてきているな。やはり何処かで観測者が目となっているに違いない」
 長距離射撃に必要なのは、中継地点で距離は誤差を修正する観測所並びに観測者が不可欠である。
 敵側が徐々にルパートへ砲撃を寄せてきているのも、何処かに潜む観測者の働きに違いない。
「ならば、これならばどうだ?」
 ルパートはすかさずユーベルコードを発動させる。
「我向うは眩き騎士道。されど我歩むは幽き黄泉路。ゆくぞ……。現を彷徨う幽騎(ゴーグルーミーゴースト)……!」
 詠唱を口ずさんだルパートの姿が、たちまち透明になってしまった。
「走行音と熱源はそのままだが、そこはこの戦場が味方してくれる。砲火に晒された地帯ならば、爆音と残留熱が邪魔でこちらをレーダーで捕捉できまい」
 着弾点は至るところで焼け焦げ、走行音は砲弾の着弾音に比べたら、まるで蚊の羽音のように小さい。肝心のタイヤの砂埃も、ミサイルの爆発で黒煙が上がって紛れてしまう。
 ルパートの予想は的中し、砲弾は完全に明後日の方向に着弾し始めた。
 確実に現場が混乱しているのが、ルパートの手にとるように分かった。
「さぁ、ジャパニアの技術力とやらを見せてみるがいい。黒騎士が今、貴様らの喉元目がけて駆け往くぞ」
 目が使えなくなると、敵は数撃ちゃ当たると弾幕を張ってきた。
 だが、これもルパートは冷静に見極め、爆発による衝撃波や砲撃による地形の変化に上手く対処してゆく。
「む、あれがプラント基地か。かなり敵の数が多い。首謀者の准将は、よほど人望が厚いと見受けられる」
 砲弾をかわし続けた先に、プラント基地が見えてきた。
 着弾時の大地の揺れにハンドルが取られそうになるが、ルパートは懸命に堪えてなおも突き進む。
 その走る姿は一切の迷いなど感じられず、信念を貫き通す意志の強ささえ感じ取れた。

成功 🔵​🔵​🔴​

蒼・霓虹
彩虹さんを特機形態(スーパーロボット)に変形合体させるのは今回で初めてですけど……彩虹さん、如何ですか?

『僕も人型の感覚は、奇妙な感じがしますが……慣れるのに時間は掛からない気が』

[POW]
開幕【高速詠唱】でUC発動
彩虹さん(特機形態)に幸運の鱗装甲を装着させ【オーラ防御&結界術】で
覆い【操縦】

【推力移動&空中浮遊&悪路走破】で突撃

【高速詠唱】で〈虹三葉「レインボークローバー」〉を【範囲攻撃】の【弾幕】として展開

【念動力】で操り【第六感&瞬間思考力】で【見切り】ミサイルや榴弾等の攻撃を【盾受け】させたり【切り込み】し撃墜

【砲撃&レーザー射撃】も駆使しつつ
プラントへ

[アドリブ絡み掛け合い大歓迎]



 蒼・霓虹(彩虹駆る日陰者の虹龍・f29441)がクロムキャバリアの科学小国家ジャパニアのプラント基地周辺へ転送されると、彼女は相棒であり半身である猟機人・彩虹を召喚する。
「彩虹さん、ここは戦車龍形態では遅れを取ってしまいます。初めての試みですが、特機形態になりましょう!」
『特機形態、ですか……。わかりました、やってみます!』
 彩虹の了承を得た蒼は、術式によってキャバリアのアンダーフレーム(下半身ユニット)を召喚してみせた。
「さあ、彩虹さん、変形合体です!」
 二足歩行の恐竜のような形状の彩虹は、その形状をキャバリアのオーバーフレーム(上半身ユニット)と変形!
 そのまま電磁気を迸らせながら合身ッ!
『猟機人・彩虹、特機形態降臨!』
 今ここに、全高5mの虹色に輝く神のキャバリアが、ジャパニアの大地を踏みしめた。
「……彩虹さん、ヒト型になってみて如何ですか?」
『僕もヒト型の感覚は、奇妙な感じがしますが……慣れるのに時間は掛からない気が』
「それは安心しました。って、砲撃が始まりましたね!」
 蒼は自身と彩虹を守るべく、すかさずユーベルコードを発動させた。
「今のわたしが使いきれる力と運気は、コレだけだけれども……わたしの幸運を貫らぬけるモノならっ! 『フォーチュン・スケイル』っ!」
 無敵の『幸運に護られた虹龍の鱗装甲』を想像から創造し、彩虹の機体にスケイルメイルのように纏わせてゆく。
 そしてすぐに彩虹の操縦席へ乗り込んだ蒼は、虹龍如意鱗珠から虹色のオーラ障壁を展開させた。
「弾幕、来ます!」
 彩虹が両腕をクロスさせて操縦席をガード!
 次の瞬間、隕石群めいた砲弾とミサイルの雨嵐が、大地をえぐり取り、吹き飛ばし、紅蓮の炎で草木を焼き焦がして炭化させてしまう。
 そんな暴虐の爆撃のなか、彩虹は脚部のホバーユニットで地面から浮き上がると、そのままスラスターで前へ前へと高速移動を開始!
「被弾しても、無敵の防御力があれば、こんな爆撃なんて彩虹さんには効きませんよ!」
『全然痛くも痒くもありません! どんどん突き進んでゆきましょう!』
 彩虹自身も快調に悪路を走破してゆく。
 どれだけ被弾しても彩虹の輝きは衰えず、破損ひとつ見つからない。
『……とはいえ、流石にこう集中砲火されると面倒ですね。ここは“盾”を使いましょう』
「わかりました、虹三葉『レインボークローバー』、発射ですっ!」
 虹龍魔導宝玉砲から蒼の幸運を可視化して凝固させた、虹色のクローバー型魔法弾幕を前方に展開させる。敵の砲撃は盾のように展開された弾幕に阻まれ、彩虹の装甲まで届かせられない。
「私も念動力で彩虹さんを操縦するのは初めてですが……わっ!」
 上空から突っ込んできた砲弾を緊急回避する蒼は、早くも操縦のコツを掴んだようだ。
「直感的に操縦すれば、なんとかなりそうですね。だったら、これはどうでしょうか?」
 蒼は虹龍魔導宝玉砲から炎魔法である虹色の焔『レインボーバーナー』を発射!
 虹色の炎がプラズマ光線となって砲弾やミサイルを撃ち落とし、更に彩虹の被弾率を下げてゆく。
「この調子で、確実にプラントまで向かいましょう、彩虹さん!」
『絶対、この国の人達を助けましょう!』
 神機一体で砲火の雨をはねのけ、勇猛果敢に戦場を進み行く姿は、どんな宝石よりも眩かった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アハト・アリスズナンバー
ノインツィヒ(f29890)と共に

――システム、正常モード起動。
管理権限、強制移行。イドラ・ゼノ起動完了。
No90がお世話になっております。
今回は、皆様に私のキャバリアの試運転に付き合っていただけるとか。

飛来する砲弾を確認。
UC起動。【リミッター解除】し圧倒的なスピードで【ダッシュ】、弾を【見切り】つつ突破しましょう。
他の人へ行く弾は【暴力】を応用してつかみ、【槍投げ】の構えで投げて撃ち落としを試みましょうか。

しかし気難しい子です。乗ってる間ずっと呪詛を受けてるんで、集中しにくいですね。
おなか減ってるんでしょうか。もう少しで食べれるから我慢してください。

アドリブ・絡み歓迎


ノインツィヒ・アリスズナンバー
アハトさん(f28285)と一緒

キャバリア手に入れたから、試運転ついでに依頼に行くと連れてこられたら……
いきなりオブリビオンマシンですか。死ぬ気かあの人?

ってこっちもいきなりやばいじゃん☆
砲弾の雨あられってイドラじゃキッツ……!
こうなりゃ【勇気】と【覚悟】を持って全速全身!
その身に弾を浴びつつ、突っ切る!
良い感じに被弾出来たらUCを発動。3倍のスピードですっ飛んでいきつつ、他の弾を【レーザー射撃】で撃ち落とす!

い、いや死ぬかと思った……足回りが強いモデルじゃないから、高速戦は苦手なんだよね☆
後アハトさん、オブリビオンマシンはペットじゃないっす。

アドリブ・絡み歓迎



 アポカリプスヘルの『工場』で製造された『アリスズナンバー』シリーズと銘打たれたフラスコチャイルド集団が存在する。
 彼女達は『マザー・アリス』と呼称される女性から複製された子供達。
 そんな姉妹たちが、このクロムキャバリアの科学小国家ジャパニアへと共に転送されてきた。
「アハトさんがキャバリア手に入れたから、試運転ついでに依頼に行くと連れてこられたワケだけど……あの人、一緒に転送されたはずなのに何処行った?」
 ノインツィヒ・アリスズナンバー(90番目のアイドル・f29890)は、相棒のキャバリアこと『イドラ・キャバリア』のカメラアイで周囲を見渡し始める。
 と、イドラのすぐ後ろに高エネルギー反応を検知するノインツィヒ。
「遅いですよ、アハトさん……って、げェッ!?」
 ノインツィヒが“姉”が搭乗したキャバリアを見て愕然としてしまう。
「いきなりオブリビオンマシンですか。死ぬ気かあの人?」
 その機体は、機体から瘴気らしき黒い靄がうっすら掛かっているし、あからさまに呪われてる雰囲気満々であった。
 と、そこへアハト・アリスズナンバー(8番目のアリス・f28285)から通信が入った。
<――システム、正常モード起動。管理権限、強制移行。イドラ・ゼノ起動完了>
<アハトさん、それ、大丈夫っすか……?>
 ノインツィヒの心配の声に対して、アハトは凛とした声で答えた。
<No.90、安心して下さい。私がこの子の手綱を無理矢理に握っている限り、この子は他人様を傷付けたりしませんよ>
<いやいや! それ、大丈夫って言わないっす。単に力ずくで従わせているだけじゃん……>
 アハトの無謀ぶりに、ノインツィヒは操縦席でガクッと頭を垂れてしまう。
 しかしアハトはマイペースに通信回線を『開発チーム』へと繋げ始めた。
<応答願います。こちら、猟兵。こちら猟兵のへアハト・アリスズナンバーです>
<オブリビオンマシンから入電が来たので何事かと思えば……そうか、猟兵はオブリビオンマシンの呪詛に耐性があるんだったな……>
 声の主は、主任のジャック・カブラギであった。
<こんな危険な任務に向かわせたことを、本当にすまないと思っている>
<いえ、仕事ですので。それと、いつもNo.90がお世話になっております。今回は、皆様に私のキャバリアの試運転に付き合っていただけるとか>
<No.90……? そういえばキミ、アリスズナンバーと言っていたな?>
 困惑するカブラギ主任の反応に、いてもたってもいられなくなったノインツィヒが回線に割り込んだ。
<主任さーん、この間ぶりぶりー☆ No.90って、私ちゃんのことだよ~?>
<おお! 今回も手を貸してくれるのか、ノイン君!>
 ワイプに映る知人の顔に、カブラギ主任は安堵の表情を浮かべた。
<こっちの世界で、キミのファンが急増中だぞ! この任務が終わったら、是非、研究所へ立ち寄ってくれないかね? サインを願いたいんだが……>
<マッジで~っ!? 行く行く☆>
 はしゃぐノインツィヒ。
 だが、横からアハトが口を挟んだ。
<盛り上がってるところ恐縮ですが、私のキャバリアの試運転の件は?>
<って、そうそう、私ちゃんの“姉妹”のアハトさんが、自分専用のキャバリアの試運転がしたいって言うんでデータの採取お願いできますか~? ……オブリビオンマシンだけど>
<お、おう……というか、そろそろ砲撃が始まるぞ!?>
 カブラギ主任が司令室のレーダーで弾幕を捕捉していた。
 現地でもノインツィヒがキャバリアのカメラアイでその弾幕を目視で捉えた。
<ってこっちもいきなりやばいじゃん☆ 砲弾の雨あられってイドラじゃキッツ……!>
<飛来する砲弾を確認。No.90、作戦開始です>
<分かってるって! んじゃ主任さん、また後で☆ 愛してるっ! ちゅっ♪>
 モニタ越しのカブラギ主任へノインツィヒは投げキッスを贈って通信回線を切断すると、イドラを操縦してアハト機の前に立ちはだかった。
<こうなりゃ勇気と覚悟を持って全速全身! とりまアハトさんの盾になる!>
 弾着、今!
 激しい砲弾の土砂降りに、2体のキャバリアが飲み込まれてゆく。
「うおおおぉぉぉーッ! 唸れッ! 私ちゃんの乙女機関ンンンーッ!!」
 アイドルとしての矜持や根性、そしてこの後のサイン会への期待を胸に宿したノインツィヒの操縦技量が途端に跳ね上がる。
<アハトさん! 一気に突っ切りますよ!>
<了解。こちらもユーベルコードを使用します>
 アハトもまた、この爆撃の嵐をど真ん中から突き抜けるためのユーベルコードを発動させた。
「アリスコード送信。リミッター限定解除コード承認。アリスオブレコードブレイク――フルスロットル」
 世界線を超え、故郷の『工場』にいるマザー・アリスから承認を得たアハトは、己のスペックの限界を突破させる。
「リミッター解除。これより、光速戦闘モードに移行します」
 アハトのユーベルコードがイドラ・ゼノに伝播すると、機体自体のリミッターも解除されて凄まじい移動速度を発揮し始める。
<って、アハトさん、速っ!?>
 砲撃からアハトを庇っていたノインツィヒだったが、光速でアハトが前線に飛び出してゆくものだから、守っていた側としては理解の範疇外の行動である。
「だからあの人、マジで死ぬつもりか? いや、たとえ死んでも“空欄”の複製個体が『工場』から転送されて、何食わぬ顔でアハトさんとして戦闘続行するんだろうね……」
 ノインツィヒは『工場』を出奔した、いわばカウンターナンバーだ。
 今いる個体が死んだとしても、別の肉体が自分として生き続けるという状況に、ノインツィヒは思うところがあっただろう。アハトの言動は時々、ノインツィヒの想定を遥かに超え、その殆どが理解の範疇外であった。
「そーゆーのが嫌だから、めっちゃ厳しい監視体制の『工場』から抜け出してきたんだけどね? てか、もうアハトさん、私ちゃんの助け要らないじゃん……」
 眼前のイドラ・ゼノは亜光速で砲撃と爆撃を回避し続け、今やイドラを置いてプラント基地へ直行しそうな勢いだ。
 これに遅れるものかと、慌ててノインツィヒはユーベルコードを使用してみせた。
「イドラ、見せてやれよ。お前の可能性を」
 その相棒の身で受け止めたダメージ総量によって、ちょっとやそっとの猟兵の攻撃では解除されないと悟るノインツィヒ。
 ここでイドラをユーベルコードで意図的に暴走させる事で、敵に対する命中率・回避率・ダメージを3倍に高めることが出来る。
<アハトさん、待ってくださいっす。先行すると危険ですって!>
<大丈夫だ。問題ない。回避し続ければどうということもない>
 アハトは光速に動くことで、本当に残像を作って敵の砲兵隊を惑わせていた。
 更に飛んできた砲弾を空中でキャッチすると、その速度を殺さずに機体を一回転させ、槍投げの要領で敵へと砲弾を投げ返してみせたではないか!
<なんかずるくね? まぁ、私ちゃんも今ならば余裕で避けられますけど?>
 ノインツィヒもイドラ・クリエイトステージビットを攻撃に転用し、レーザー射撃で砲弾やミサイルを次々と撃墜してく。
 その攻防を繰り返すたびに、いつの間にかプラント基地が見えてきた。
<さすがにプラント基地周辺でドンパチやることはないようだね? はぁ~、い、いや死ぬかと思った……足回りが強いモデルじゃないから、高速戦は苦手なんだよね☆>
<No.90……試運転に付き合ってくれてありがとうございます>
 アハトの感謝の言葉に、ノインツィヒは気恥ずかしそうに答えた。
<べ、別に~? オブリビオンマシンも結構動けるもんだね☆>
<しかし気難しい子です。乗ってる間ずっと呪詛を受けてるんで、集中しにくいですね>
<はい……?>
 アハトの妙な発言に、ノインツィヒは耳を疑った。
<この子、おなか減ってるんでしょうか。だから私の体力と気力を奪っているのかもしれません。もう少しでたらふく食べれるから、それまで我慢してください>
<まって、アハトさん。オブリビオンマシンってペットか何かじゃないっす>
 もしかして、自分の“姉”は粗忽者で天然ボケなのではないだろうか?
 ノインツィヒのアハトへの疑念は、より一層濃くなっていくのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

西院鬼・織久
爆撃とは実にうるさいものですね
影面の爆破は殆ど音がないと言うのに
耳がおかしくなる前に突破しましょう

【行動】POW
五感と第六感+野生の勘を働かせ状況把握、戦闘知識も活かし砲撃の弾の動きを見切りどれが一番早く着弾するか判断する

先制攻撃+UC+範囲攻撃で一番早く着弾する弾を早業で爆破すると同時に周囲の弾を纏めて爆破。出来た空間にダッシュし突破
行き先に安全地帯がないようならジャンプ+UCを足場にする事で空中移動し空中戦の要領で範囲攻撃+なぎ払いで切り刻み、破片にする事で砲弾の威力を分散。その場を突破する



 いまだ爆撃は収まらず、辺りは篠突く雨のごとく土煙と爆炎が天へ柱となって伸びてゆき、耳をつんざく大轟音を撒き散らしていた。
 この爆撃地獄をキャバリアに乗らずに、自らの身ひとつで突き進む猛者がいた。
 彼はダンピールの西院鬼・織久(西院鬼一門・f10350)。
 オブリビオン狩りを至上目的とする西院鬼一門の狂戦士の少年だ。
「爆撃とは実にうるさいものですね。影面の爆破は殆ど音がないと言うのに」
 自身の暗器ならぬ闇器である犠牲者の血肉を啜り怨念の糧として取り込む禍々しく蠢く影に飲まれた者は、静寂の中で息絶えるのだ。
「……耳がおかしくなる前に突破しましょう」
 真紅に輝く両眼は、遠くに群れるオブリビオンマシンへ向けられてた。
「一発の衝撃波と音、そして爆発の半径がやはり大きいですね。人間相手を想定していないのならば当然ですが」
 織久は今までやってきた事を繰り返すだけだ。
 まずは身体全体で“殺気”を感じる。
 あらゆる砲弾が織久を殺そうとする殺意の塊だ。
 この殺意を読み取ることで、周囲の砲弾の弾着までのタイミングを、彼は西院鬼一門で培った戦闘技術でおおよそ掴んでいるのだ。
「最接近している砲弾は、あれですか」
 織久は更に加速してゆくと、影面(カゲツラ)をユーベルコードとして用いた。
「何人たりとも死の影より逃れる事能わず」
 うごめく黒い影が地面から剥がれて天へ伸びてゆくと、頭上から降り注ぐ砲弾へ黒い針めいた一撃が突き刺さった。
 途端、砲弾は影面に飲み込まれると、その中で爆発!
 しかし、音はほぼ漏れてこなかった。影の中は静謐で満たされている。
 そうして出来た空間に織久はダッシュし、更に距離を稼いでゆく。
 だが、敵の砲兵隊も単純にドカドカ撃っているだけではない。
 戦場には砲撃を制御する斥候たる観測者の存在がいるのだ。
 観測者は織久の異常な身体能力を封じるべく、一点過密集中での弾幕を要請。
 これにプラント基地周辺に展開する砲兵隊は、分厚い弾幕を織久へと浴びせに掛かった。
「敵の攻撃パターンが変わったのでしょうか……?」
 やたらとピンポイントかつ密集して爆撃をするようになったのを、彼は一瞬で見抜いてみせた。
「でしたら、影面にはこういう使い方もできるのです」
 密集弾幕へ向けて影の針を伸ばして爆発を起こした後、その針が人間の腕のような形状となって、他の弾幕にしがみついてみせたではないか。
 この状態は、まるで伸び切ったスリングショットのゴムの部分のようだ。
 次の瞬間、影の腕は砲弾を支えに織久の身体を打ち出すように空へ持ち上げてゆく!
「ハッ――!」
 更に砲弾を足場にして二段ジャンプ!
 通常の物理法則では不可能なことを、ユーベルコードと織久の類まれなる身体能力で可能にしてみせたのだ。
 しかし、その密集弾幕は囮。
 本命は彼の眼前に迫るミサイル!
「この程度……見くびってもらっては困ります」
 闇焔――常に怨念が具現化した血色の炎を纏う、柄と刃が一体化した黒い大鎌を振り上げる。その刃でミサイルを掻っ切ってしまえば、輪切りになって真っ二つになるミサイルが地上へ落下!
 その途中で大爆発を起こし、その爆風が織久の身体を更に前へと加速させてゆくのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

星川・アイ
【行動:SPD】アドリブ・連携歓迎
いや~、転送即砲撃とかリスキルじゃないんだからさぁ~
仕方ない、ジェナスの初陣だしとっとと先に行こう!

まずはスカイアイでプラントまでの最短ルートを確認(情報収集・偵察)
そしたらそこに向かって、全速力で駆け抜けていくよ(推力移動)

大丈夫。この程度の弾幕、STGの裏ボスなんかに比べればまだ……!

砲撃が見えたらギリギリまで引き付けて、サイドブースターの可動を活かして急速切り替えし!(瞬間思考力・見切り・早業)
後はゲーマーとしての直感(第六感)に任せて気合で避けるよ!

……ふぅ。ここまで揺れるとは思わなかったわ
これでアタシの腕も上がりそう、かな



 次々と砲撃陣が掻い潜られてゆく中、別の方角からまた新たな猟兵がプラント基地を目指していた。
 真っ赤な髪ツインテールに結ってなびかせ、露出部分が大きい漆黒のeスポーツレオタード改を纏った少女……のような少年が、キャバリアの操縦席の中で溜息を吐く。
「いや~、転送即砲撃とかリスキルじゃないんだからさぁ~」
 リスキル……FPSゲームなどで、復活地点で待ち構え、戦線復帰したプレイヤーを撃ち殺してキル数を稼ぐ卑劣な行為めいた敵の砲兵隊のやり口に、星川・アイ(男の娘アイドル風プロゲーマー改めバトルゲーマー・f09817)は辟易してしまっていた。
「仕方ない、ジェナスの初陣だしとっとと先に行こう!」
 アイが好きなロボットゲームの機体を模したキャバリアこと『ジェナス-Vsp』の初実戦としてこの場に転送されてきたアイは、早速、あちらこちらに降り注ぐ砲撃を回避しつつ、冷静に戦場を俯瞰し始めた。
「まずはスカイアイでプラントまでの最短ルートを確認……」
 背部増設コンテナから射出される偵察用小型無人航空機『EPUAV-19Rスカイアイ』は、ジェナスとデータ共有が可能だ。
 上空から戦場を見下ろし、プラント基地までの道のりを算出してみせた。
「オッケー。それじゃ、最短ルートで全速前進だよ!」
 ジェナスをフルスロットルで稼働させる。
 と、ここでアイは、あることに気が付いた。
「うわ、ジェナスが走るたびに結構揺れる……!」
 キャバリアの腰部両側面に装備された展開型ユニット『EP-09BRサイドスラスター』のおかげで、ジェナスは地面をホバリングしながら地面を滑って移動可能だ。
 しかし、それでも移動中のGや振動は直接アイへと伝わってゆくのだ。
 更に、砲弾やミサイルが着弾・炸裂するたびに、衝撃波がキャバリア内部へと突き抜けてくるのだ。
「大丈夫。この程度の弾幕、STGの裏ボスなんかに比べればまだ……!」
 ゲーマー特有の深い集中力を用いて、現実の弾幕を右へ左へと回避してゆくアイ。
 砲弾が見えたらギリギリまで引き付けて、一気にサイドブースターの可動を活かして急速切り替えしを行い緊急回避!
「ジャストタイミング! この感覚はSTGよりも音ゲーのノーツを捉える感覚に近いかな?」
 背中から突き抜ける爆発の衝撃波が、アイの肺を圧迫して咳き込ませるも、ジェナスに損傷は発生していない。
「あとはゲーマーの直感を信じる! ノーミスで全回避してみせるよ!」
 大地はえぐれ、燃え盛り爆ぜる地獄のような光景の最中、まるで天使のワルツの如く砲撃を掻い潜るアイのキャバリア。
 俊敏だけではなく洗練された身体の動かし方は、様々なゲームをクリアしてきたアイの才能であり財産である。

 気が付けば、視界の前方にプラント基地が見えてきた。
 そして砲撃も苛烈さを潜め、一旦休息が取れるほどまで落ち着いた。
「……ふぅ。ここまで揺れるとは思わなかったわ。これでアタシの腕も上がりそう、かな?」
 戦闘経験がそのままeスポーツへの活用が期待されるアイは、満面の笑みをキャバリアの操縦席で湛えていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎

まあ、軍人だからって不平不満の一つくらい抱えてないほうが不自然よねぇ。
何をやっても全会一致万歳三唱、なんて気持ち悪いもの。

あ―あーまた盛大にどかどかバラ撒いてくれちゃって…全部撃ち落とすのも耐えきるのも、ちょっと現実的じゃないわねぇ。
しょうがない、〇覚悟決めて突っ切りましょうか。
ミッドナイトレースに○騎乗してエオロー(結界)で○オーラ防御の傾斜装甲を展開。●轢殺・適応を起動して攻撃力を半減、装甲と移動力を状況に応じて強化するわぁ。直撃弾は流石に無理にしても、爆風と撃ち落とした欠片程度なら凌ぎきれるでしょ。最大戦速でブチ貫いて一気に砲撃範囲突破するわよぉ。



 爆撃があらゆるものを破壊し、吹き飛ばいてゆく戦場の中へ、一機のバイク型UFOが低空飛行で駆け抜けてゆく。
「あ―あーまた盛大にどかどかバラ撒いてくれちゃって……。全部撃ち落とすのも耐えきるのも、ちょっと現実的じゃないわねぇ」
 操縦者のティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)は眉尻を下げながら、正面から飛来する砲弾をバレルロールでくるっと回避してみせた。
 ティオレンシアの脇をすり抜けてゆく砲弾。
 それが背後で地面に弾着すると、鼓膜を破りそうな程の大轟音で周囲の空気を震わせた。
「あんなのが当たったらひとたまりもないもの、しょうがない、覚悟決めて突っ切りましょうか」
 笑みを絶やさぬまま、ティオレンシアはルーンを操る。
「エオロー(結界)でこのミッドナイトレースに傾斜装甲を展開するわよぉ? そして、あとはこの子の性能限界をユーベルコードで突破させるわねぇ」
 ティオレンシアはある日、偶然見つけた機体コマンドを入力。
 すると、騎乗しているミッドナイトレースが、たちまち変形してゆくではないか!
「轢殺・適応(ガンパレード・インプルーブ)……変形機能、ないかなーとは思ってたけど、ホントにあるとは思わなかったわねぇ……」
 愛機が移動力特化型に変形すると、速度が一気に5倍となって地表をかっ飛んでゆく!
 おかげでインメルマンターンにドロップターンをはじめとした曲芸じみた空中回避を軽々とやってのけてみせる。
「凄いわねぇ、この子が疾すぎて、砲弾の機動がゆっくり見えるのねぇ?」
 突っ込んでくるミサイルの弾頭を急上昇で回避した後、ジグザグに砲弾を掻い潜ってプラント基地を目指してゆく。
 この機体には武装が一切搭載されていないため、ユーベルコードのデメリットである『特定の能力値の半減』は、この場合、常に攻撃力に割り振られる。なぜならば、攻撃力ゼロを半減してもゼロのままだからだ。
 故に、ティオレンシアにとっては、単にミッドナイトレースの性能のひとつが5倍に強化されるフォームへ変形されるユーベルコードとして、取り回しの良い効果を得ているのだ。
「それにしても、こんな無謀なことをしでかしちゃうなんて、オブリビオンマシンって厄介よねぇ?」
 彼女は首謀者の准将のことを思う。
 愛国心溢れる男の暴走は、思想を捻じ曲げられただけでは起こりにくいと推察できたからだ。
「まあ、軍人だからって不平不満の一つくらい抱えてないほうが不自然よねぇ。何をやっても全会一致万歳三唱、なんて気持ち悪いもの」
 ティオレンシアは愛機のエンジンをフルスロットルで回転させると、一気に爆速で低空を疾走!
「このまま最大戦速でブチ貫いて一気に砲撃範囲突破するわよぉ」
 光の矢の如きティオレンシアの猛進を、敵の砲兵隊は食い止めることが出来ず、プラント基地への接近を許してしまうのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『機動殲龍『堅牢』』

POW   :    ヘビーバレットストーム
全身を【全武装から砲撃し続ける状態】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD   :    シールドアライアンス
【機動殲龍『堅牢』】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[機動殲龍『堅牢』]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
WIZ   :    ヘビーアーマーキャバリア
全身を【重装甲モード】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


<猟兵、それぞれが独自行動でこのプラント基地に接近中!>
<あの砲撃陣を掻い潜ったというのか!? 信じられん!>
<一部の部隊が猟兵による攻撃を受けた模様!>
<情報を寄越せ! あいつらは化け物か!?>
 プラント基地防衛戦線。
 フドウ准将を慕い、自らオブリビオンマシンに乗り込んだ若き将校達は今、猟兵達の接近に浮足立っていた。
 それもそのはず、周囲の地形が変わってしまうほど、大量の砲弾を浴びせたというのに、猟兵の誰一人として脱落したという報告が上がっていない。その全員が、このプラント基地に向ってきているというのだから、常識からしてありえないことが起きているのだ。
 この混乱に、ひとりの男が一喝した。
<馬鹿者共! 相手が超常の戦士だろうが、こっちの戦力の50分の1にも満たない! 物量で押せば勝機がある! 陣形を立て直せ、迎撃する!>
 フドウ准将の一声で、現場の将校達に勇気が湧いてくる。
<そうだ! このアルメリカ製の絶対防御型キャバリアを突破できるはずがない!>
<隊列を汲んで壁になるんだ! そうすれば、敵は突破できない!>
<ジャパニアに栄光あれ! ジャパニアに栄光あれ! ジャパニアに栄光あれ!>
 プラント基地をぐるっと取り囲むオブリビオンマシン機動殲龍『堅牢』の群れ。
 トリケラトプス型のキャバリアのシールドはまさに堅牢。
 更に弾幕による制圧射撃が、来る者を誰一人として寄せ付けない。
 猟兵達は、この鋼鉄の壁をどう乗り越えるのだろうか……?
支倉・錫華
相手の陣形、ファランクス……?
ずいぶん懐かしい感じの布陣できたね。
重厚ではあるけど、そのぶん柔軟性には欠けていそうかな。

アミシア、相手の陣形がファランクスなら、こっちは機動力で勝負しよう。
チューンはこのまま、移動力5倍、装甲半分。高機動で側面に回り込むよ。
「正面からいくと思わせられれば、こっちの勝ちだね」

削った装甲のぶんは【天磐】でフォローしつつ、
【歌仙】で【モーターブーム】を放ちながら、相手の陣形の側背をついて行こう。
「そう簡単には展開できないでしょう?」

楔を打ち込むように穴を開けて、
味方の攻撃の呼び水になれるといいんだけどな。

わたしは火力があまりないから、そこはみんなに期待しよう。


蒼・霓虹
あれだけの堅牢なオブリビオンマシンから、パイロットを救出するのは骨かもしれませんけど……手立てはある筈ですっ!

[POW]
【オーラ防御】で備え【高速詠唱】でUC発動

低空で【空中浮遊&空中戦&推力移動】で掛けつつ攻撃を【第六感&瞬間思考力】で【見切り】翻弄しつつ【ジャミング】を掛け【属性攻撃(重力)】を込めた【誘導弾】の【砲撃】の【弾幕】を【範囲攻撃】でコックピット直撃を避けつつ足や武器に当て

【高速詠唱】で【虹三葉(レインボークローバー)】の【弾幕】を【念動力】で操作して、間接部や武器に【貫通攻撃&鎧無視攻撃】を込め【切り込み】を狙い続けて無力化を狙ってみましょうか

[アドリブ絡み掛け合い大歓迎]



 プラント基地を目の前にして立ちはだかる機動殲龍『堅牢』の大隊。
 隙間なく真横にズラッと並ぶその隊列は、猫一匹通さないという強い防御力と統率力を体現しており、敵ながら壮観な眺めであった。
 プラント基地へ向かうためには、この鉄壁の布陣を突破しなくてはならない。
 支給されたキャバリアを操縦する支倉・錫華(Gambenero・f29951)は、前方で展開される陣形に見覚えがあった。
『相手の陣形、ファランクス……? ずいぶん懐かしい感じの布陣できたね』
 これに合流を果たした蒼・霓虹(彩虹駆る日陰者の虹龍・f29441)は、トリケラトプス型オブリビオンマシンの隊列を眺めながら眉尻を下げた。
「あれだけの堅牢なオブリビオンマシンから、パイロットを救出するのは骨かもしれませんけど……手立てはある筈ですっ!」
『だとしたら、重厚ではあるけど、そのぶん柔軟性には欠けていそうかな』
「柔軟性……? つまり、撹乱に弱いってことでしょうか?」
 キャバリアの肩に腰掛ける蒼の言葉に、支倉は同意の言葉を発した。
『相手の陣形がファランクスなら、こっちは機動力で勝負しよう』
「わかりましたっ!」
 二機のキャバリアが前進を開始すると、すぐさま機動殲龍の大隊は戦闘態勢に入る。
『ここは通さん! 通さんぞ!』
『全機、照準合わせろ! 目標、猟兵キャバリアニ機!』
『粉々に蹴散らしてやれ!』
『ヘビーバレットストーム! ってェーッ!』
 真一文字に並んだ隊列から、一斉に放たれる砲弾とミサイルの弾幕!
 白い砲煙が前方から一斉に立ち込めたかと思えば、轟音とともに鉄と爆薬の塊が高速で突っ込んできた。
 まともに喰らえば、猟兵達のキャバリアは粉々に吹き飛んでしまいかねない!
 しかし、この弾幕を前に、蒼が動く。
「自分は……わたしは腐っても、二柱に託され幸運を司る竜神になった者、己が幸運全てを枯らしてでも……フォーチュン・ドラグドライブッ!」
 キャバリア形態の虹龍機『彩虹』の全身を、敵の攻撃を反らす虹龍の完全竜体のオーラで包み込む。すると、蒼の意志の力と自身の幸運量に比例した戦闘力増加とともに、最大でマッハ7強の速度で飛翔可能となった。
 しかし、このクロムキャバリアは、高高度の高速飛行を行うと、上空の暴走衛星の衛星砲に撃ち落とされてしまう。
 故に、ユーベルコードを発動させた直後、ホバリングに近い地面スレスレを浮かびながら、戦場の右翼へ高速移動を披露する蒼。
 同時に、支倉も弾幕を回避するべく左翼へ高速移動してゆく。
「アミシア、チューンはこのまま、移動力5倍、装甲半分。高機動で側面に回り込むよ」
 パートナーユニットへオーダーを出した支倉は、土埃を巻き上げながら一気に旋回してゆく。
 次の瞬間、凄まじい爆音と火柱が2人の耳をつんざく!
 先程まで二機がいた場所が、跡形もなく抉れ吹き飛び、あっという間にクレーターへと変形していた。
 凄まじい威力の第一射を防いだ2人だったが、すぐさま敵の後列部隊が第二射を放ってきた。加えて前衛も弾幕をワンテンポ遅れて発射してきた。
 先程よりも厚い弾幕が、上空より猟兵たちを襲う!
「させません! 彩虹さん! お願いしますっ!」
『任せてください!』
 彩虹は虹龍如意鱗珠の運気で結界を発生させて防御しつつ、虹龍魔導宝玉砲から重力弾を空中へ向けて放った。
 一見、無意味なこの射撃だが、打ち出したのは空間の重力を操る魔法そのもの。
 つまり、この空域を通過する砲弾とミサイルは、超重力に抗えずにその場で次々と墜落してしまうのだ。
 これでは猟兵達へ着弾させるのは困難だ。
「今です! 量産型の人!」
『支倉・錫華だよ。覚えておいてね』
 自己紹介を済ませた支倉が、左翼から回り込んでゆき、敵大隊の側面に到達する。
「正面からいくと思わせられれば、こっちの勝ちだね。そんなガチガチに距離を詰めあったら、即座に方向転換なんて出来っこないよね」
 支倉の読み通り、四足歩行のキャバリアの弱点として、方向展開に広いスペースが必要だ。
 だが、密集したファランクス陣形から側面を向こうとすると、隊列が乱れる以前に互いがぶつかり合って身動きが取れないのだ!
「そう簡単には展開できないでしょう? そして、その攻撃は接近されると対処ができないはずよね」
 四足歩行の期待の真横へ、支倉はキャバリア用の片刃の実体剣『歌仙』を振り上げる。一般的な剣より少し細身のフォルムが、振り下ろす負荷を減らし、剣閃に鋭さをもたらす!
「烈破……!」
 必殺、モータームーブが敵陣に炸裂!
<まずいぞ! 敵が側面、いや背後に回り込んでいる!>
<おい、ちょっとどけって! 機体が振り向けないだろうが!>
<そっちこそ少し離れてくれないか、ってうわっ!>
<どうした、A-3!? な……信号が途絶えただとっ?>
 支倉機は容赦なくオブリビオンマシンの部隊を一機ずつ切り捨て、活動停止かつ無力化してゆく。
 パイロット達は機体を捨ててベイルアウトするものや、機体の中から這い出てくるなど、現場はたちまち大混乱だ。
 そんな左翼が浮足立ったのを確認した蒼は、右翼の無力化に取り掛かり始めた。
「攻防一体の幸運の魔弾からは逃げられません! 虹三葉『レインボークローバー』っ!」
 砲口から発射されたクローバーの葉の形の弾幕は、高速回転しながら敵機へ殺到。
 その関節部や武器の継ぎ目に突き刺さると、回転しながら丸鋸のように火花を散らして食い込んでゆく。
「いくら無敵とはいえ、脚部や武装を削ぎ落とされては動きようがないでしょう」
 密集形態が故に弾幕を避けることが出来ず、為す術なく胴体部だけを無様に晒す敵オブリビオンマシン部隊。
 積載されている武装も切り離され、完全に丸腰になってしまったため、パイトット達はベイルアウト、もしくは外へ飛び出して降伏を願い出た。
 左右からじわじわと敵大隊は削られてゆき、とうとう部隊の指揮官機がバラバラになって活動停止に追い込まれたことで、プラント基地の包囲網の一区画をたった二機で切り崩すことに成功した。

『わたしは火力があまりないから、楔を打ち込むように穴を開けて、味方の攻撃の呼び水になれるといいなと思っていたけど、あなたのおかげで大きな戦果を挙げられたよ。ありがとう。えっと……』
「蒼・霓虹です。こう見えて、虹と幸運を司る竜神なんですよ」
『へえ。なら、わたしは神様に助けられたんだね。日頃の行いの良さが出たのかな?』
 支倉と蒼は声を上げて笑い合ったあと、捕縛した部隊長並びに戦闘員を『開発チーム』のエージェントに引き渡すべく、その場でしばし捕虜の監視がてら、その場に待機となった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

星川・アイ
【行動:SPD】 アドリブ・連携歓迎
なるほど、密集陣形ときたか
……それなら崩してあげようかしら!

まず敵陣に向かって【推力移動】、その間降りかかる砲撃を【見切り・第六感】で躱しつつ連中の中に潜り込む
そうしたらサイドスラスターの機動を活かして敵陣の中に突っ込み、【敵を盾に】しながら無理な追撃で敵の関節に負荷がかかるように動き回るよ(体勢を崩す)
ついでにUCでロボットの軍勢を召喚して更に混乱させる(集団戦術)
その隙にパルスブラスターの連射で敵の動きを止めて(弾幕・マヒ攻撃)、スレイプニルの斬撃で敵の脚関節や武装を破壊・無力化するね(部位破壊・切断)

機動力の差が戦力の差だって事を教えてやるわ!


ルパート・ブラックスミス
敵の集結前に【騎乗】する専用トライクで【ダッシュ】、接敵し【先制攻撃】
UC【錬成カミヤドリ】、80騎超の複製鎧を散開させ各敵を【挑発】、隙あらば【グラップル】で機体に取り付く。
とにかく敵を撹乱し迎撃態勢をとらせない。

こうして組み付かれてはキャバリアの巨躯も邪魔物だな。
群がる小形を引き剥がすのはままならず、此方は組み付いた【敵を盾にする】ことで重火器を防げる。
其方が仲間諸共撃とうものならそれは陣形崩壊、対して此方は複製鎧の損耗など痛手にならない。
後は貴様ら自身の心配だが…そこは御自慢の装甲に甘えよう。

本体の大剣で各敵を【部位破壊】で順次解体、搭乗者を【救助活動】。引き摺り出す。
【アドリブ歓迎】


ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎

あたしこういう頑丈な相手って正直苦手なのよねぇ…
多少固めた程度じゃ削り殺されそうだし。
さぁて、どう崩したもんかしらねぇ?

…動けない、か。なら、これかしらぁ?
刻むルーンはシゲルの二乗・ベオーク・ウル・カノ・ハガル。
「飽和したエネルギー」はさらに「成長」し「暴走」した「火力」は「崩壊」を生む。
●重殺を撃ちこむのは――連中の「足元」。連中は無敵でも、地面はそうじゃないでしょぉ?派手に吹っ飛ばして転かせば解除せざるを得ないもの。あとは連携が崩れて空いた穴にミッドナイトレースで突っこんで詰みねぇ。
前提さえ崩せるなら、意外と手はあるのよぉ?



 ひしめき合う鉄の角竜の群れを前に、別の区画に赴いた猟兵達が対峙していた。
『なるほど、密集陣形ときたか』
 星川・アイ(男の娘アイドル風プロゲーマー・f09817)が操縦するキャバリア『ジェナス-Vsp』は、敵の隊列と付かず離れずの距離を保ったまま様子を見ている。
 スピーカー音声にルパート・ブラックスミス(独り歩きする黒騎士の鎧・f10937)が言葉を継ぐ。
「自分が先行しよう。考えがある」
 青白い炎を吹き上げるトライクにまたがるルパートが急発進。
 土埃とエンジン音を撒き散らしながら、敵部隊の薄いところへ突撃していった。
 敵部隊はいまだ集結の最中だ。
 ルパートはその隙間を狙い、トライクを敵軍の中へ滑り込ませていった。
「それじゃあ、あたしはその成果を見てから動くわねぇ?」
 ティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)はニコニコと笑みを浮かべるが、その眉尻は下がったままだ。
「正直に白状すると、あたしこういう頑丈な相手って正直苦手なのよねぇ……。多少固めた程度じゃ削り殺されそうだし。さぁて、どう崩したもんかしらねぇ?」
『……それならアタシが崩してあげようかしら!』
 星川も敵隊列を崩すべく、キャバリアを前進させはじめた。
「EP-09BRサイドスラスター、出力全開! XS-11Bスレイプニルの弾幕をプレゼントだよ♥」
 連射性に優れたビームライフルの弾幕が、敵機の集結を妨害する。
 これが呼び水となり、敵大隊がすぐに応対に取り掛かった。
<僚機の被弾を確認!>
<構うな! 今はシールドアライアンスの完成を急げ!>
<時間を稼げ! 砲撃用意!>
 指揮官機を中心に、徐々に密集してゆく敵機の群れ。
 その合間に、猟兵へ向けて凄まじい量の砲弾とミサイルを浴びせかかる。
「残念でした、それはもう見切ってるわよぉ?」
 ティオレンシアは愛機のUFO『ミッドナイトレース』で弾幕の雨あられを掻い潜ってみせた。
 星川もこの砲撃をスラスター機動で左右へ回避してゆき、あっという間に敵隊列まで肉薄!
 と、その時、隊列の中心で異変が起きた。
<何だ!? 足元を何かが走り回ってるぞ!>
<攻撃されている! 前方脚部が損傷!>
<こっちは後ろの脚をやられた!>
<まずいぞ、隊列に乱れが生じている……!>
 右往左往しはじめる隊列の中心部のせいで、密集陣形が大幅に乱れ始めた。
 その原因は、敵機の足元を縦横無尽に駆け巡るルパートと、ユーベルコード『錬成カミヤドリ』によって複製された彼の複製鎧88騎だ。
 ルパート本体がトライクで駆け巡りながら、青白い炎を滾らせる大剣で敵機をすれ違いざまに切りつけ、複製鎧達は敵機に取り付いて流動鉛から生成した短剣で関節部の破壊に専念しているのだ。
「こうして組み付かれてはキャバリアの巨躯も邪魔物だな。群がる小形を引き剥がすのはままならず、此方は組み付いた敵を盾にすることで重火器を防げる」
 しかも足元を狙うことで、その場に敵機を釘付けにできるため、隊列の完成をも妨害できる。とにかく撹乱をさせることで、敵大隊のユーベルコードを阻害するのがルパートの狙いだ。
「其方が仲間諸共撃とうものならそれは陣形崩壊、対して此方は複製鎧の損耗など痛手にならない」
『やるわねー、鎧くん! アタシも暴れちゃうわ!』
 星川は敵中を高速移動しながら翻弄しつつ、ユーベルコード『バトルキャラクターズ』で、78機のジェナスそっくりの人型ロボットのゲームキャラクターを召喚させた。
 唐突に敵陣の中に現れた猟兵のキャバリアに、オブリビオンマシンのパイロット達は驚天動地の勢いで度肝を抜かれる。
<いつの間に敵が陣地の中に!?>
<う、わぁあああっ!!>
 その時、恐慌状態に陥った敵機のひとつが召喚されたロボへ向かって砲弾を発射!
 だが、ロボは近くのロボと合体し、額の数字が『2』に増える。
 一方、急にロボが消失したことで砲弾は僚機へ直撃!
 爆炎と轟音がオブリビオンマシンの大隊の中央で炸裂した!
<何をやっている!>
 指揮官の怒号!
 だが、これがきっかけとなり、部隊は徐々に狂乱に飲まれていった。
<た、助けてくれ! 味方が撃ってくるぅッ!>
<あ、慌てるな! この機体の防御力を信じろ!>
<てめーらァ! よくも撃ってくれたなぁっ!?>
<もう嫌だ! 俺は緊急離脱するぞッ!!!>
 徐々にパイロット達はベイルアウトし、上空へと射出されて落下傘の花々が咲き乱れてゆく。
「いい感じに混乱してるね? それじゃ、ちょっと解体させてもらうね?」
 星川はBS-16PBパルスブラスターの砲口から電子パルス弾を敵機の群れへぶっ放して行動不能にすると、XS-11Bスレイプニルのビームブレードで敵機の頭や四肢を切断。そのままコクピットを胴体部から抉り出して、ポイッと放り投げた。
『あとは自力で逃げてね?』
「「うわああああああっ!?」」
 這い出すパイロットに、ルパートは独り言ちた。
「ふむ、貴様ら自身の心配は無用か……。御自慢の装甲に感謝するんだな」
 ルパートも複製鎧とともに敵機の武装を削ぎ落としては、オーバーフレームを叩き割って中のパイロットを無理矢理引っ張り上げる。
 2人の働きで敵大隊の動きが麻痺したところを見計らい、ようやくティオレンシアが動き出す。
「……今なら動けない、か。なら、これかしらぁ?」
 ミッドナイトレースをフルスロットルで急発進させると、ティオレンシアはルーンを刻んだ弾丸6発を愛銃オブシディアンに装填する。
「刻むルーンはシゲルの二乗・ベオーク・ウル・カノ・ハガル。私のユーベルコード『重殺(エクステンド)』を撃ちこむのは――」
 敵中で銃口を向けた先は、敵機の前脚……が踏みしめる地面だ。
「連中は無敵でも、地面はそうじゃないでしょぉ? 透かし晦まし掻き乱し、最中に本命を忍ばせる――あたし、そういうのは得意なのよぉ?」
 そう言うやいなや、神速のファニングショットが敵機の足元で爆裂!
 陥没した地面に足を取られ、敵機が横転!
「つまり、『飽和したエネルギー』はさらに『成長』し、『暴走』した『火力』は『「崩壊』を生むのよぉ? 派手に吹っ飛ばして転かせば解除せざるを得ないもの。あとは連携が崩れて、装甲の薄い腹を見せたら、ズドンよぉ?」
 ティオレンシアは軽快に敵機の腹へグレネードを放り投げる。
「た、助けてくれぇっ!」
 爆発を恐れて、操縦席から飛び出したパイロットの背後で、閃光と爆炎が轟音とともに迸った。
 密集陣形ゆえ、1つが爆発すると数機まとめて沈黙させることができるため、ティオレンシアは地面に穴を開けてはグレネードを放り投げ、省エネモードで敵機を問答無用で黙らせてゆく。
 そして、遂に指揮官機の元へ辿り着いた猟兵達。
『投降すれば、手荒な真似はしないわ。どうする?』
「貴様が抵抗するならば、話は別だがな?」
「でも命までは取らないわよぉ? そのオブリビオンマシンはぶっ壊すけど」
 猟兵3人の最後通牒に、指揮官機は武装の砲口を向ける決断を下した。
「准将殿のもとへは行かせないぃぃぃ!」
 これに星川、ルパート、それにティオレンシアは嘆息を吐いた。
『……あっそ。仕方ないね?」
「敗北をもって解らせるとしようか」
「引き際の大切さって、知ってるかしらぁ?」
 召喚されたロボと大量の複製鎧の黒騎士が指揮官機を袋叩きにしたあと、ティオレンシアのルーン弾とグレネードが直撃すれば、機体は完全に無力化され、指揮官はほうぼうの体で機体から這い出てきた。
 猟兵達は指揮官を捕縛したあと、身柄を『開発チーム』へ渡すべく、しばらくその場に留まることとなった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミフェット・マザーグース
キャバリアに相乗りさせてくれたノア(f30572)と行動するね
アドリブで他の猟兵さんとも協力するよ

作戦は一点突破! だけどその前にちょっとだけ待ってもらって
ノアにお願いして〈ハッキング・操縦〉でちょっとだけ《ガンド》のセンサーにも手伝ってもらって、〈視力・見切り〉でよく見て〈情報収集〉するよ
オブリビオンマシンならUCでずるっこしてるはず

UC【一人ぼっちの影あそびの歌】
ずるっこにはずるっこ! 体を《ガンド》に固定して、リュートを構えて「歌唱・楽器演奏」声を張り上げて敵のUCを打ち消すよ!

♪無敵の砲弾、無敵の装甲、ぶつかりあったらどうなるの?
壊れちゃったらそれはウソ、ホントにホントの無敵じゃない!


ノア・クレムリィ
 ミフェット殿(f09867)との共同戦線です。

「このあたりが良いでしょうか」

 一度距離をとって〈情報収集〉です。ミフェット殿にじっくりと敵のUCを偵察していただきましょう。

 ゴーサインが出たら【UC:竜騎換装】(POW)を発動。装甲をパージ、加速度を上昇させ敵陣に〈切り込み〉を敢行します。

「ミフェット殿、振り落とされないように、掴まっていてください!」

 向こうの砲撃の照準を乱すために〈威嚇射撃〉〈地形の利用〉を最大に発揮して、〈推力移動〉で加速し、隊列の僅かな隙を〈零距離射撃〉で一点突破しましょう。

 彼女の歌声が鉄壁を崩し、私が突破口を開く。
 我々二人、越えられぬ壁はありません。



『このあたりが良いでしょうか』
 小高い丘の上にノア・クレムリィ(海駆ける鋼鉄の竜騎兵・f30572)が操縦するキャバリア『親衛海軍工廠製 MCC-041 汎用装甲竜騎士《ガンド》』が立膝の姿勢で遠方のオブリビオンマシンの大隊を見下ろす。
 その機体の肩に腰掛けているのはミフェット・マザーグース(沼の歌声・f09867)。
 ブラックタールの彼女は、触手のような髪の毛の先に大きな目を作り、望遠鏡のように敵大隊を観察していた。
 「何か分かったでしょうか、ミフェット殿?』
「うーん、もうちょっとまって!」
 触手状の髪の毛をキャバリア《ガンド》の機体の隙間に滑り込ませると、センサーの回路に接続させて意識を同調させるミフェット。
 今、ミフェットはキャバリアの目を借りて、膨大な敵の視覚情報を解析しているのだ。
「オブリビオンマシンならユーベルコードでずるっこしてるはず。えーっと……」
 よくよく観察すると、全武装から砲撃し続ける状態のヘビーバレットストームは圧倒的な火力で近寄らせないがゆえに無敵であって、装甲自体が強化されているわけではない。対して、重装甲モードのヘビーアーマーキャバリアは、文字通り額の大きなシールドと四肢のプロテクターを用いてキャバリアの関節部を隠して隙をなくすようだ。そして、これらは同時に行うことが出来ず、前衛が防御形態、後衛が砲撃形態となって盤石の布陣を敷いている事が分かった。
「そっか! ミフェットはお歌でガチガチ防御のユーベルコードをまねっこすれば、《ガンド》もガチガチになってミサイルなんて効かないかも?」
『何かひらめいたようですね、ミフェット殿?』
 ノアの言葉に、ミフェットは自信たっぷりに答えた。
「作戦は一点突破! そして、ずるっこにはずるっこ! ミフェットのお歌と演奏で打ち消すよ!」
『そして、私の《ガンド》であとは切り込んで、ここを突破すればいいのですね?』
 すかさずノアはユーベルコード『竜騎換装(トランスフォーム・ドラグーン)』を発動させ、装甲をパージ!
『強襲防衛突破戦、用意! ミフェット殿、振り落とされないように、掴まっていてください!』
 キャバリアはスラスターで地表を浮かぶように高速移動を開始。どうやら機動力を5倍まで上昇させたようだ。
 そのまま敵部隊の目の前まで肉薄してゆけば、敵部隊は臨戦態勢へ移行する。
『突っ込みます! ミフェット殿、ご注意ください!』
「大丈夫だよ! 髪の毛の吸盤でしっかりつかまってるから!」
 ミフェットの体は、キャバリアの外装に髪の毛に作った吸盤で固定しているため、ちょっとやそっとじゃ振り落とされないだろう。
 安定感抜群の体勢で、彼女は愛用のリュート構えて、声を張り上げて歌い始める!

 ♪あなたのために歌う唄
 ♪あなたに合わせて踊る影
 ♪くるりくるりと入れ替わり
 ♪あなたの声はだれの声?」

 ユーベルコード『一人ぼっちの影あそびの歌』は、敵のユーベルコードを模倣した歌を歌い、それをぶつけることで相殺させる事ができる。
 今回は敵のオブリビオンマシンの『ヘビーアーマーキャバリア』を模倣してみせるミフェット。

 ♪無敵の砲弾 無敵の装甲
 ♪ぶつかりあったらどうなるの?
 ♪壊れちゃったらそれはウソ!
 ♪ホントにホントの無敵じゃない!

 歌と演奏が終わった直後、頭上から砲撃とミサイルの雨が敵部隊の後衛から放たれたではないか!
『まずい! 推進力全開で回避を! って、動かないっ!?』
 途端、キャバリアの動力系統が謎の停止。
 そのまま容赦なくキャバリアは爆撃にさらされてしまう!
 もうダメだ、とノアは目をつぶった。
 しかし、一向に衝撃が伝わってこない。
 恐る恐る目を開けると、ミフェットの演奏と歌が、砲弾とミサイルの雨を除ける光の壁を生み出しているではないか!
 しかも、光の壁はキャバリア全体を覆うように展開されていたため、操縦席のノアに一切のダメージが及ばなかったのだ。
『もしかしてこれは、模倣したユーベルコードの歌の効果でしょうか?』
「多分、そうだとおもう! けど、なんで《ガンド》が動かなくなっちゃったのかな……? って、ミフェットもなんだか、うごきづらいよ?」
 身体が凝り固まってしまったミフェットは慌ててしまう。かろうじて演奏と歌唱は継続できるが、首を動かしたり体を反ったりすることは全くできなくなっている。
 ノアはこの状態をすぐに分析する。
『それはきっと、敵のユーベルコードの副作用で、ミフェット殿がそれを模倣したからでしょう。……あ、なるほど! 《ガンド》の停止もそれですよ!』
 ノアはミフェットの髪の毛が、先程からキャバリアの回路と接続していることを指摘した。
『猟兵のユーベルコードは、キャバリアの武器もしくは機体から発現します。つまり、ミフェット殿が《ガンド》と接続していると……』
「あ、そっか! 《ガンド》も動けなくなっちゃう!」
『そういうことです。ですが、先程の爆撃を凌げたのは模倣したユーベルコードのおかげ。接続を切ってしまえば、ダメージが通ってしまいます』
「え! それじゃ……!」
 不安がるミフェットを、ノアは快活に笑い飛ばして安心させる。
『あははは! 先程の爆撃を回避し続けてみせたのです。今更あんな豆鉄砲に当たりませんよ!』
 ミフェットは運河でのノアの大活躍を特等席で目撃していた。
 あの踊るように水上を滑り、砲弾をかいくぐる《ガンド》の機動を、いま一度見られるのだ。
「わかったよ! ミフェット、もう一度歌うね!」
『お願いします! さあ、今度こそ突っ込みますよ!』
 ミフェットとの接続を解除した《ガンド》は、一気に機動力が向上!
 そのまま防御形態を取り続けるオブリビオンマシンの背中に飛び乗った!
 ミフェットはすかさずユーベルコードの歌と演奏で、再度の相殺を図る。

 ♪かちかちこちこち あなたのココロ
 ♪だれにも傷つけられたくない
 ♪でもね それは本当のココロ?
 ♪あなたはちっともわるくない!
 ♪だからやめて いぢわるしないで
 ♪こころをひらいて なかよくしようよ!

 ミフェットは考えた。
(がんこになってる人にがんこでぶつけたらこばまれちゃう! オブリビオンマシンのパイロットさんはあやつられてるだけだもん、ミフェット達がだいじょうぶだよってココロを開いてあげなきゃ!)
 鉄壁の守りを模倣するのは、鉄壁の守りにあらず。
 真の鉄壁は“相手を殴らせない気高き心のあり方”だ。
 純真なミフェットの歌声は前線部隊のパイロット達の心に染み渡り、次第に彼らは嗚咽をこぼし始めた。
<あんな小さな女の子が戦ってるのに、銃やミサイルを向けるのか、お前ら!>
<俺たちは目が醒めたぞ! こんな馬鹿なことはやめるんだ!>
<准将殿は、プラント占拠で国民が苦しむ事が分かっているはずなのに……!>
 なんと、武装をパージした機動殲龍『堅牢』の群れが、猟兵の盾となるべく集結し始めたのだ。
 ミフェットの歌声が、オブリビオンマシンの呪縛を打ち払い、通常のキャバリアへと戻していったのだ。
『猟兵殿! 仲間を止めてやってください!』
『我々が、プラント基地まで護衛いたします!』
 ノアは歌の力に胸を熱くしながら、操縦席で頭を下げた。
『感謝……感謝します! 参りましょう!』
 正常に戻ったキャバリア部隊に護衛されながら、ノアは威嚇射撃を交えつつ、攻撃を仕掛けてきた『堅牢』を至近距離射撃で無効化してゆく。
 降り注ぐ弾幕も、正気に戻ったキャバリア部隊が受け止めてくれるのは非常の大きい。
『彼女の歌声が鉄壁を崩し、私が突破口を開く。そして、皆様の気高い魂が呪縛を打ち払ったのです。 我々なら、越えられぬ壁はありません!』
 徐々に群れは大きくなり、それはやがてヌーの群れのごとく、どこからともなく合流を果たす。
 その中心には、ミフェットの歌とリュートの音色が絶えず聞こえていたという。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ティー・アラベリア
旺盛な士気、大量の兵力、妥当な戦力配置……。
フドウと言う方は優秀な将校様なのですね♪
猟兵を野戦ではなく陣地戦に引きずり込もうとする思いきりの良さ、好きになってしまいそうです☆

相手の得意なステップで踊って差し上げる義理もございませんし、こちらは機動力を生かすことに致しましょう♪
敵の弾幕を防空魔導波探信儀と連動させた95式の誘導弾と近接防御妖精の弾幕で捌きつつ、
通常の探信儀で地形や部隊編成都合で戦力配置の薄いポイントを特定します。
到底したポイントに対して、制圧と目眩まし目的でUCを使用し、その隙に急速接近します。
接近後は零式短魔杖を用いた白兵戦で敵の武装を破壊し、防御陣地に穴を空けちゃいましょう☆


西院鬼・織久
塊の如く群れて来るか、有難い
血肉を啜れぬ戦は餓えるばかり
せめてその鉄塊で我等が刃を研がねばなるまい

【行動】POW
可能なら敵機と同型か近い機体の性能や欠点の情報を得ておく
常に五感と第六感+野生の勘で状況と敵行動の把握と予測

先制攻撃+UCの範囲攻撃。炎でセンサーを誤魔化し怨念の炎(呪詛+生命力吸収+継続ダメージ)は無敵が解けた端から浸食できるよう延焼を続ける
ダッシュ+串刺しで接近。無敵状態に鎧無視攻撃+鎧貫通でねじ込み武器伝いにUCを流し傷口をえぐる

残像+フェイントなど生身を活かして回避しながら敵機に乗り上げ周囲からの攻撃を誘発。同士討ちを誘いながら怪力で直接武装を捥ぐなど恐怖を煽る事もしておく



 ティー・アラベリア(ご家庭用ミレナリィドール・f30348)と西院鬼・織久(西院鬼一門・f10350)は、同じ区画でオブリビオンマシンの大隊と睨み合いを続けていた。
「旺盛な士気、大量の兵力、妥当な戦力配置……。フドウと言う方は優秀な将校様なのですね♪」
 戦闘人格モードのティーは、ウキウキと声を弾ませながら95式思念誘導型魔杖を肩に担ぐ。
「猟兵を野戦ではなく陣地戦に引きずり込もうとする思いきりの良さ、好きになってしまいそうです☆」
「お前、それは褒めてはいないだろう?」
 西院鬼もまた戦闘の高揚感で口調が荒っぽくなっている。
「しかし、塊の如く群れて来るか、有難い。こうも血肉を啜れぬ戦は餓えるばかり。せめて、その鉄塊で我等が刃を研がねば気が晴れまい」
 西院鬼は『闇焔』――柄と刃が一体化した黒い大鎌を振るうと、武器全体から怨念が具現化した血色の炎は迸る。
 彼は敵機を観察すると、ある弱点を見出した。
「見てみろ。あの鉄塊ども、図体がでかい割に足回りが心許ない。ユーベルコードでこちらの攻撃が通じないそうだが、さりとて足元に大穴が開けば、自重で身動きがとれないのではなかろうか?」
「なるほど! いくら機体が無敵でも、無力化の手段はあるってことですね☆」
 ティーはしばし逡巡の後、95式思念誘導型魔杖に99式防空魔導波探信儀を連動させる。
 そして右翼へ勢いよく駆け出していった。
「挟み撃ちと参りましょう☆ ボクは右翼から攻め立てますので!」
 そう告げると、すぐさまユーベルコード『砲撃妖精突撃射撃(アーティラリィフェアリー・アサルトファイア)』を発動させる。
「砲撃妖精、躍進射撃! すべての火力を前方に! すべての敵を灰燼に! 命令(オーダー)は唯一つ。ここに地獄を作れ!」
 たちまち390体の小型魔導砲撃妖精が召喚され、戦闘機の如く隊列を組んだままオブリビオンマシンの頭上を旋回し始める。
 いつ攻撃をされるか分からないという焦燥感が敵パイロット達を精神的に追い詰めてゆく。
「それでは、その鉄壁ぶりが本物かどうか、実際に確かめましょうか!」
 95式思念誘導型魔杖の先を敵部隊へ突き付けたティー。
 次の瞬間、高出力の魔力が一点に照射され、着弾点が凄まじい爆縮に見舞われたではないか!
 更に79式近接防御妖精による至近距離射撃の弾幕を浴びせてゆき、真正面からの面制圧をこれでもかとぶつけていった。
 しかし、敵の『ヘビーアーマーキャバリア』による重装甲モードは頑丈で、あれほどの爆撃を受けても敵大隊はなお健在である。
「ふむふむ、これはなかなか骨が折れそうですね?」
 幸いにも敵部隊は動けないため、攻撃も仕掛けてこない。
 ティーは敵部隊の右翼で探信儀による敵戦力の分布の解析を急ぐ。
 一方、左翼を任された西院鬼。
 こちらの戦場は爆炎と轟音と振動が絶えず彼の五感を刺激する。
「やはり爆撃というのは喧しい。早く静かにしてしまおう」
 西院鬼はユーベルコードによる自身の体に宿る怨念と殺意の炎を『闇焔』に纏わせる。
 元から迸っていた怨念の炎と、殺意の黒炎が入り混じり、火柱を上げながら戦場を異常な速度で駆け抜けてゆく。
「銃火器の探知センサーは熱源と目視によるもの。ならば膨大な熱で居場所をカモフラージュし、目視で捉えられないような残像が発生するほどの速度で移動すればいいだけのことだ」
 それを可能のするのが、ダンピール種族の身体能力だ。
 砲弾とミサイルの土砂降りの雨を掻い潜り、あっという間に隊列まで肉薄する。
「我等が怨念尽きる事なし」
 黒炎が敵機を包み込むと、武装の火薬に引火して大爆発!
 更に僚機の武装の火薬に誘爆し、次第に爆発が広範囲に広がってゆく。
「機体は無敵でも、武装は引火すれば爆発する。そして、その足元の地面、抉らせてもらうぞ」
 駆け寄った敵機の足元の地面に武器を突き刺し、黒炎を注ぎこむ。
 圧縮された黒炎は、行き場をなくして地面を抉るように爆発!
 陥没した地面に敵機が転がり落ち、そのまま起き上がれなくなってしまった。
「無敵を解けば一瞬で鉄塊は焼かれる。操縦席の中も蒸し焼きになるだろう」
 西院鬼は横転した機体によじ登り、周囲を挑発しはじめる。
「お前達の弱点は我等が握っている! 我等を殺すか? それとも焼かれて鉄屑の中に取り残されるか? さあ、選べ!」
 生身でオブリビオンマシンを圧倒する西院鬼の存在は、超常以外の何物でもない。
 フレンドリーファイアを誘発させてくる相手に、敵部隊は怖気づいてしまい、攻撃を躊躇わせていた。
「……腰抜け共が。ならばこちらから征く」
 西院鬼は手近なオブリビオンマシンに取り付くと、その背中によじ登って砲塔を怪力で引きちぎり始めたではないか!
 人間離れした荒業を目の当たりにし、遂に左翼部隊は戦意を喪失。
 ベイルアウトする者や、投降する者があとを耐えなかった。
 と、ここで右翼で大爆発が起きた。
「相手の得意なステップで踊って差し上げる義理もございませんし、こちらは機動力を生かすことに致しましょう♪」
 敵部隊の側面へ回り込んだティーは、魔導砲撃妖精達のよる絨毯爆撃を開始!
 機体ともども地形が抉れるほどの高火力で焼き払えば、四足歩行のオブリビオンマシンはたちまち歩行困難に陥ってしまう。
「それでは、失礼して解体させてもらいますね☆」
 動けなくなったオブリビオンマシンに接近したティーは、零式鋭剣型短魔杖を用いて敵機の胴体部をこじ開けてゆく。
 露出したコクピットからパイロットを次々と引きずり出し、無理矢理に救助を進めてゆけば、いつの間にか防御陣地に風穴が空いた。
「危ないので、武装も切り離しておきましょうか。あ、指揮官機、発見ー☆」
 魔導砲撃妖精が指揮官機を容赦なく焼き払い、左翼方面から肉薄した西院鬼の刃が敵機の関節部に食い込んで削ぎ落としてゆく。
 あっという間に胴体部だけの鉄の棺桶と化したオブリビオンマシンから、ようやく情けない声を上げながら指揮官が這い出てきた。
「燃やさないでくれぇ……! 蒸し殺されるとこだった……!」
「はいはい、それではお縄に付いてくださいね?」
「こいつを殺しては駄目なのか?」
 不満そうに西院鬼が尋ねるが、ティーは困った様子で答えた。
「まぁ、軍法会議に掛けてから、この国が然るべき処断を下すでしょうから、ここで手討ちにするのはよろしくないでしょうね?」
「そうか……。やはり血肉が啜れぬままか……」
 口惜しそうに唇を歪める西院鬼の様子に怯える指揮官は、二度と馬鹿な真似を心に誓ったと後日、軍法会議で供述したという。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ノインツィヒ・アリスズナンバー
アハトさん(f28285)と一緒

だから!無茶を!言うなっての!!
だークソっ!鬱陶しいんだよこの砲撃!
こっちもあたりゃぶっ壊せるとはいえ、どうやって行ったもんかな!

【パフォーマンス】を応用してステップを踏みつつ、【切り込み】【見切り】で砲撃と砲撃の間を狙って懐に入る!
そしてUCを発動して【鎧砕き】といくしかねえか!
当たっても【激痛耐性】【勇気】で我慢しつつ【覚悟】をもって突っ込んでいくよ。

同じイドラでも、どうしてこうも違うのか。
オブリビオンマシンって怖いなってつくづく思う。それを容赦なく従えて使う姉も怖いと正直思う。

アドリブ・絡み歓迎


アハト・アリスズナンバー
ノインツィヒ(f29890)と共に

敵は高耐久装甲を装備。
そして密集すればさらに強力となる。
なら解は自ずと出てきます。集まらせなければいいのです。

UCを発動。イドラ・ゼノごとこちらも数を増やします。
そして総員、集まる前に敵に組み付いて体勢を崩し、噛みつき装甲を解かす唾液(【毒使い】【呪詛】)を持ち、【部位破壊】【暴力】【鎧無視攻撃】を応用して食い散らかします。
この子は装甲とかキャバリアを食べれば食べるほど【生命力吸収】するので。
一応パイロットだけは生かすように。

さあ食べなさいイドラ。
一応こいつらは前菜。メインはこの後に控えています。
腹5分目くらいにはしておくといいです。

アドリブ・絡み歓迎



 オブリビオンマシン大隊が残る最後の一区画。
 アハト・アリスズナンバー(8番目のアリス・f28285)とノインツィヒ・アリスズナンバー(90番目のアイドル・f29890)の“姉妹”は、それぞれが『イドラ』と呼称するキャバリアに搭乗したまま、敵の大軍へ接近しようと試みている。
<だークソっ! 鬱陶しいんだよこの砲撃! こっちもあたりゃぶっ壊せるとはいえ、どうやって行ったもんかな!?>
 ノインツィヒは砲撃の嵐を掻い潜りながら、愚痴を言い放つ。
 彼女の相棒である『イドラ・キャバリア』には、大型スラスター・ユニットは装備されていない。
 故にキャバリアの脚力だけでどうにか砲撃の合間を縫ってこれたが、最後のひと押しが厚い弾幕に阻まれてしまい、必殺の一撃が叩き込めないでいた。
 そんな妹の苛立ちに、姉のアハトが提言する。
<No.90、私にいい考えがあります>
<うわー、あからさまにフラグ臭しかしねぇけど、なになに?>
 どこか変形メカの司令官みたいな言葉に、ノインツィヒは思わず眉をひそめる。
 だが、アハトはよほど自信があるのか、言葉の端々に意気込みを込めて告げた。
<敵は高耐久装甲を装備。そして密集すればユーベルコードの効果でさらに強力となる。なら如何にして敵戦力を削ぐか? 解は自ずと出てきます>
<そもさん。その解とは?>
 ノインツィヒの問い掛けに、アハトが満を持して答えた。
<説破。一箇所に集まらせなければいいのです>
<だーかーらー! 無茶を! 言うなっての!!>
 ノインツィヒ、堪らず無線越しに激怒!
<その方法が分からないんだって言ってんだろ、いいかげんにしろよ、このポンコツ姉! 酒クズ! ヤニカス!>
<おや、反抗期ですか。しばらく見ないうちに、姉へきちんと意見が言えるほど成長したのですね。私は嬉しいですよ、No.90?>
 アハトが妹の“成長”を喜ぶが、ノインツィヒは先程から調子が狂わされっぱなしだ。
<いや、違ぇーって! ああ、チクショーめぇ! 2時と4時方向から弾幕飛来中! あと10カウントで弾着! うまく避けろよ、アハトさんッ?>
<了解。イドラ・ゼノ(この子)の機動力はまだまだ青天井ですよ>
 両機は一時左右に分かれると、すぐに空から大爆撃が再開された。
 アハトが乗る機体はオブリビオンマシンだ。
 その性能は未知数であり、先程の砲撃陣突破よりも機敏な動きを披露してみせていた。
 対して、ノインツィヒのキャバリア・イドラは必死に戦場を動き回っていた。
「思い出せ、私ちゃんんん! ジャパニアでのステージで踏んだあのダンスのステップをよオォォッ!」
 ノインツィヒはイドラのパフォーマンス性能を全開まで引き上げ、砲弾と砲弾の合間を踊りながら回避してゆく! ステップを踏むたびに至近距離に砲弾が着弾し、またステップで飛び越えればミサイルが真横を掠め通る。
「ひぃ……っ! 生きてる心地がしないんですけど! でも、これなら……!」
 ノインツィヒはステップを踏みながら、徐々に敵部隊との距離を詰めてゆく。
「このまま肉薄して、あのトリケラ野郎の装甲をブチ抜くしかねえか!」
 勇気を振り絞り、イドラを踊らせながら間合いを計るノインツィヒ。
 そして、覚悟を決めて砲弾の雨の中へ飛び込むノインツィヒ機!
「歯ァ食いしばれや、おんどれえぇぇ!」
 イドラの鉄拳が、オブリビオンマシンの頭部装甲に直撃!
 そのまま装甲を貫通し、機体内部のコクピットユニットを鷲掴み!
「おら、人命救助、完了ぅ! そぉい!」
 べきべきっと音を立てながら無理矢理にコクピットを敵機から取り出すと、安全な場所へ向けてイドラが全力投擲!
 途中、センサーが作動し、空中で強制射出されたパイトットが空中を漂っていった。
 その鬼気迫る光景に、敵部隊は威圧感を覚える。
『お次は誰だ、コラ☆ 私ちゃんの握手会(物理)の開催だよ☆』
『『俺の知ってるアイドルじゃない!?』』
 ノインツィヒはこのあとも握手会(物理)を開催してゆき、パイトット達は鷲掴み(物理)されてゆく。
 その真向かいで、ノインツィヒは信じられない光景を目の当たりにした。
<……なんでオブリビオンマシンが増殖してるんっすか、アハトさん……?>
 思わず無線でツッコミを入れたくなるほどの悪夢がそこにあった。
 アハトはユーベルコード『サモン・アリスズナンバー』を行使。
 キャバリアは猟兵のユーベルコードに呼応し、キャバリアサイズで効力が発現する。
 つまり……。
<イドラ・ゼノごと私の複製分身体を増やすことができるわけです。これで数の戦力差は縮まりました>
 91機の『イドラ・ゼノ』を操縦するアハトの副成分身体と、本体のアハトのオブリビオンマシンが、一斉に敵の密集陣形に飛びついてゆく。
<総員、敵が完全に集まる前に組み付いて体勢を崩し、噛みつき攻撃で装甲を解かしながら捕食しなさい>
<了解(ラジャー)>
 92機のオブリビオンマシンの顎が大きく開くと、トリケラトプス型の敵機の装甲に躊躇なく齧り付き始めた!
 その唾液は強酸性らしく、合金鋼の敵装甲をみるみるうちに腐食させていくのだ。
<さあ食べなさいイドラ。一応パイロットだけは生かすように>
 咆哮を上げる92機の『イドラ・ゼノ』達は、喜びながらバリバリと硬い敵の装甲を前歯で剥ぎ取り、奥歯で咀嚼する。
 そして、食べれば食べるほどエネルギーが回復してゆき、アハトへの呪詛のバックファイアも軽減されていった。
 アハトは愛おしそうに操縦桿を撫でながら、愛機を褒め称える。
<いい子ね。コクピット以外なら全部食べていいのですよ。よほどお腹が空いていたのですね。ふふっ、そんなにがっつかなくても、敵(エサ)は逃げませんよ?>
<アハトさん、アハトさん。それ指揮官機っす>
 ノインツィヒの言葉に、アハトは目を丸くして驚いていた。
 あれだけいた大軍が、92機のオブリビオンマシンの餌食となってしまった。
<あら、もうお終いですか。イドラ、こいつらは前菜。メインはこの後に控えていますので、腹5分目くらいにはしておくといいです>
<いや、そういう問題っすか? あー、指揮官さん、しめやかに気絶しちゃってるじゃん……>
 コクピット内を改めたノインツィヒは、口から泡を吹いて気絶している指揮官に同情を禁じえなかった。目の前で僚機が、別のオブリビオンマシンにむしゃむしゃ捕食されるシーンを目撃すれば、キャバリア乗りの誰もがトラウマを植え付けられること必定だからだ。
 このとき、ノインツィヒは心の中で痛感した。
 同じイドラでも、どうしてこうも違うのか、と。
(ユーベルコードに反応して分裂とかするオブリビオンマシンって怖いなってつくづく思う。それを容赦なく従えるだけでなく、愛玩対象(ペット)にしてしまう姉もマジ怖いと正直思う……)
 さっきのポンコツ発言を今すぐ撤回したいノインツィヒは震えが止まらない。
 そんな妹の心など露知らず、アハトは『開発チーム』へ入電し、捕虜の移送を依頼するのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『Fortress』

POW   :    要塞からの火力支援
【背部に背負った多連装ミサイル】が命中した対象に対し、高威力高命中の【同じく背部に背負った主砲】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    要塞への接近阻止
【足の間】から【重機関銃の乱射】を放ち、【弾幕】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    要塞による掃討
【両腕のグレネードランチャー】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠フォルティナ・シエロです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


※プレイング受付開始日時は【7日(土)朝9時以降】です。
 恐れ入りますが、ご了承下さいませ。


 それは唐突に起きた。
 猟兵達はなんの前触れもなく目の前で発生した爆風と紅蓮の炎、そして破砕した大地に顔を覆うことしかできなかった。
 幸運にも直撃を免れた猟兵達だが、周囲は無残な光景が広がっていた。

 ――焼け焦げ、抉れた大地。
 ――見る影もなくなったキャバリアの残骸。
 ――視界を覆い尽くすほど厚い爆煙の壁。

 猟兵達はプラント基地を見遣った。
 そこには、基地に鎮座する赤黒い超重火力兵装を搭載したオブリビオンマシンが、猟兵達へ砲口を向けていたのだ。
 ……と、ここで前方の敵機の外部スピーカーから声が漏れ始めた。

『ジャパニア機甲兵団のテレンス・フドウだ。階級は准将。猟兵よ、我々の邪魔をしないでいただきたい』

 なんと、フドウ准将が語り掛けてきた。

『プラント基地の封鎖は本当に申し訳ないと思っている。だが安心してくれ。今しばらく、ここで物資と武装の補給を行い、まもなく隣国への侵攻を開始する! まずは数年前に奪われた、かつての我らの首都トッキョーの奪還、そこから一気に隣国のプラント基地を奪う! 国民には不便をかけるが、それも今だけの話だ。悪いが、君たちの口からも国民と『開発チーム』のカブラギに伝えてくれないか? ああ、カブラギと私はかつての戦友だ。彼ならきっと、私の考えに理解を示してくれるだろう!』

 フドウ准将は狂っていた。
 オブリビオンマシンの思想の歪みも影響しているだろう。
 しかし、ここまではっきりと狂ってしまえるのは、日頃からの不満がどれだけ大きかったかが伺えるというものだ。

 猟兵達はこの悲劇を収束させるべく、さらなる弾幕の地獄へと足を踏み入れなければならない。
 たとえ、正義と正義がぶつかり合い、犠牲が生じたとしても……!
支倉・錫華
これはまた……すごい火力だね。
些細な戦術とかいらなさそうな感じだけど、
どちらかというと呆れるっていうか、ばかばかしいって類いのものだね。

フドウ准将の国を思う気持ちに偽りはなさそうだけど、
どうやらそこをつけこまれた感じかな。
そうなるとここはなんとか引きずり下ろさないといけないね。
「国を思う気持ちが本物なら、操られたりしないで抗いなさい」

アミシア、あの火力の前じゃ装甲なんてないようなものだろうし、このままいくよ。
相手の射撃の予測と機体のバランス補正、よろしく。

【アーマー・パージ】して、さらに機動力上げて駆動部を狙っていこう。
5×3で15倍速度……操縦と攻撃に集中しないと、わたしでも危なそうだしね。


星川・アイ
【行動:SPD】 アドリブ・連携歓迎
う~ん、ここまで歪んでるとは、ちとヤバイかな~
パルスブラスターは……ここに来て残弾0か
という事でお相手してみようか

まずは敵の側面を取るように【推力移動】して機関砲の攻撃を【見切り】ながら、敵の脚部装甲……の一点に集中させるようにスレイプニルで撃ち続けて装甲に脆い部分を作る(スナイパー・鎧砕き)
その最中にこっちも相手に呼び掛けて時間稼ぎしていくよ
最後は脆くしておいた所を狙ってUCで急襲、【部位破壊】して【体勢を崩す】ようにするよ

そんなやり方、いつまでも続くもんじゃあないでしょうに
その行いの基になった想いがどんなものだったか、思い出しなさいな!



 支倉・錫華(Gambenero・f29951)は変わり果てた眼前の地形を、キャバリアのカメラアイから確認する。
「これはまた……すごい火力だね」
 着弾時の爆発で、地面が2~3mほど抉れているのだ。
 直撃していたら、跡形も残らないだろう。
「些細な戦術とかいらなさそうな感じだけど、どちらかというと呆れるっていうか、ばかばかしいって類いのものだね」
 Fortress――『要塞』の名の如く、凄まじい火力と重装甲で敵を寄せ付けないオブリビオンマシンを前に、支倉はどうしたものかと逡巡する。
 そこへ、星川・アイ(男の娘アイドル風プロゲーマー・f09817)が操縦するキャバリア『ジェナス-Vsp』が合流する。
<ねぇ、聞いた? さっきの?>
 星川の声が無線を通して聞こえてきた。
<う~ん、ここまで歪んでるとは、ちとヤバイかな~?>
<フドウ准将の国を思う気持ちに偽りはなさそうだけど、どうやらそこをつけこまれた感じかな。そうなると、ここはなんとか引きずり下ろさないといけないね>
<やっぱりそうなるよね~? オブリビオンマシンだけの沈黙を目的とするなら、パルスブラスターは……ここに来て残弾0か>
 電子パルス弾による敵機体の無力化は不可能だと分かった今、星川は高速近接戦モードへキャバリアを移行させた。
<ということで、お相手してみようか。ダンスパートナーにしては乱暴かつ鈍重すぎるけどね?>
<わたしも援護するよ。お互い、高機動戦術でフドウ准将をかき乱してゆこう>
<オッケー! それじゃ、よろしくね!>
 支倉の量産型キャバリアと星川のジェナスは、左右二手に分かれて攻撃を開始する。
 そして両機ともユーベルコードを使用し、機体の高速化を図る。
「めいっぱいいくよ。アーマーパージ開始」
 キャバリアの装甲が剥離されてゆくたびに、機体の速度が桁違いに上昇してゆく。
 支倉はパートナーユニットAIのアミシア・プロフェットに口頭でコマンドを伝達する。
「アミシア、あの火力の前じゃ装甲なんてないようなものだろうし、このままいくよ。相手の射撃の予測と機体のバランス補正、よろしく」
 すぐさま、アミシアは先程の爆撃のデータから、次の攻撃と射程を演算しつつ、強力なGが発生する機体のバランスを保つべくフル回転し始めた。
(5×3で15倍速度……操縦と攻撃に集中しないと、わたしでも危なそうだしね)
 移動中の支倉自身に掛かる重力負荷も相当なものであり、肺が押し潰されそうな感覚に苛まれ続けてゆく。
 その頃、星川はジェナスの速度を暴走衛星が反応するかしないかのギリギリの速度まで出力を上昇させていた。
「今、速度はマッハ1~2ってところかな? 思いっきり出せばマッハ8に届きそうだけど、頭上の殲禍炎剣(ホーリー・グレイル)に撃たれるのは勘弁だからね」
 ユーベルコード『クトネリシカ・ドライブ』によって音速を超えた移動速度を実現させたジェナスは、XS-11Bスレイプニルを携えたまま敵機に肉薄する。
『この“要塞”への接近は許さんぞ!』
 フドウ准将の怒号がキャバリアの外部マイクから拡散したかと思えば、機体の足の間から重機関銃の乱射を放ち、制圧射撃による弾幕を展開してきた。
 支倉はこの弾幕を超高機動で回避し、星川もジェナスの出力を上げて弾幕から逃れた。
『いい加減に目を覚ましなさいよ!』
 反撃開始。
 ジェナスはXS-11Bスレイプニルからビーム弾を連射!
 鈍重な敵機はこれを回避することはできないが、装甲が厚く、1回では削りきれないようだ。
「硬すぎでしょ、アレ?」
 先程の集団戦では多少なりとも効果があっただけに、その桁違いの防御力に星川は眉尻を下げてしまう。だが星川はめげずに、相手の側面から背後へ回り込むと、これでもかと一方的にビーム弾を撃ち込んでゆく。
 その間に自分へフドウ准将の気を向けるべく、ひたすら語り掛け始めた。
『こんなことしたって、誰も喜ばないわ! 現に今、ここの国民達の混乱の原因は、フドウ准将のプラント基地の占拠によるものだって、分かってるの?』
『だから、今しばらくの辛抱だと言っている! もっとも、お前たちが襲撃しなければ、その期間はより短くなったはずなものを! 更に補給のために此処へ駐留する必要が出てくるぞ!』
『他人のせいにしないで! そんなの詭弁よ!』
 鈍重なオブリビオンマシンが振り返ろうとしても、ジェナスが敵の歩みに合わせて移動し続けているため、フドウ准将は永遠に重機関銃でジェナスを捉えることができない。
『フドウ准将、あなたの愛国心は誰よりも篤い。だが、その行いは本当にあなたが望んだことなのかな?』
 支倉機はキャバリア用の片刃の実体剣『歌仙』を片手に、カタツムリ型の弾倉を持つ制圧用レーザーマシンガンから弾幕を放つ。
 敵機側面に浴びせられてゆく弾幕の一部が、過重載積された武装の一部を破壊! 誘爆を発生させて火柱が上がる!
『うぐッ! 第4砲塔が! この作戦が私の本意ではないと? 何を言っている! これこそが私のやり方! このジャパニアを反映させるための、最も効率の良い手段だ! 戦争はすべてを解決するのだ!』
『この分からず屋!』
 星川の渾身の砲撃により、装甲の一部がようやく剥がれ落ちた!
 すぐさまXS-11Bスレイプニルをビームブレードモードに切り替え、突撃してゆくジェナス!
『そんなやり方、いつまでも続くもんじゃあないでしょうに! その行いの基になった想いがどんなものだったか、思い出しなさいな!』
 音速を超えたスピードから繰り出されるビーム刃の突進が、要塞の名を冠するオブリビオンマシンに突き刺さる!
『今だよ、量産機ちゃん!』
 装甲をビームブレードで切り裂いてダメージを広げると、支倉機がそこへ向けて片刃の実体剣『歌仙』を振り下ろした!
 金属と金属がぶつかるけたたましく甲高い音が戦場に鳴り響いた次の瞬間、超高機動の斬撃がねじ込まれた敵機が火花を散らし始めた。
 どうやら、駆動部の一部にダメージが及んだようだ。
『なんだと……? この“要塞”が接近を許し、斬り込まれただと!? おのれ猟兵……! 私を愚弄する気か!』
 信じられないと言わんばかりの声色を漏らすフドウ准将へ、後続の猟兵達の更なる猛攻が殺到する。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ティー・アラベリア
あれが件のフドウ准将の機体ですか♪
重装甲、重火力、低機動力。いまのあの方を体現しているような機体ですね☆
戦闘機動機構の高速機動と防空探信儀と連動させた対空射撃と90式の対装甲射撃で攻撃しつつ、頃合いを見てUCを起動。
攻撃が止まったタイミングで零式魔杖を起動し肉薄、機体に取り付き強引に回線を開きます。
この奇麗な翼を見てください、自分達と異なる文明を拒絶し、浄化するためだけのつまらない翼です♪
隣人を悉く滅ぼし、最期に荒廃した国だけが残ってなんになります?
貴方の祖国は、この愚かな翼を是とする様な国なのですか?
そんな陳腐な国が、あなたのような人をここまで奇麗に狂わせることができるとは思いませんね☆


ルパート・ブラックスミス
今だけの話、か。貴様が言う『今』とは何時までだ。
その時が過ぎるまでに誰も何も喪わないとでも思うのか。
国家の栄華は何の為だ。何を天秤にかけている、犠牲にしようとしている。
…民の安寧を食い潰してまですることか、阿呆が!

【挑発】しつつ【先制攻撃】。
両腕の砲口に燃える鉛で大型化【武器改造】した短剣【誘導弾】【投擲】。
発射直前のグレネード弾を暴発させる。
【部位破壊】が叶えば最良だが、剣振るう隙さえあれば十分。

UC【映す心断ち割る呪剣】。
見えているだろう、ならばもう黒騎士の間合いだ。

血塗られた未来は耐えて進むものだ、望み齎すものではない。
眠れ。
理想も野心も、今一度その愛国心の底に堕とすがいい。



 ティー・アラベリア(ご家庭用奉仕人形・f30348)は生身のままでフドウ准将の乗るオブリビオンマシンと対峙していた。
「あれが件のフドウ准将の機体ですか♪ 重装甲、重火力、低機動力。いまのあの方を体現しているような機体ですね☆」
 脚部の99式戦闘機動機構によってホバリングするティーは、ニヤニヤと赤黒い要塞めいた敵機を眺める。
 ティーの足元付近では、ルパート・ブラックスミス(独り歩きする黒騎士の鎧・f10937)が専用大型トライクに跨っている。
 ルパートは先程のフドウ准将の演説に対して、強い反感を覚えていた。
「今だけの話、か。貴様が言う『今』とは何時までだ。その時が過ぎるまでに誰も何も喪わないとでも思うのか」
 そんなわけがない、とルパートは言葉を継ぐ。
 今この瞬間にも、ジャパニア国内は刻一刻と混迷の一途を辿っているからだ。
「国家の栄華は何の為だ。何を天秤にかけている、犠牲にしようとしている」
 その問いかけに、フドウ准将は沈黙を貫く。
「此処まで言って、尚も貴様は理解できないか」
 失望の声がルパートから漏れる。
 青白い炎が彼の本体である黒騎士の鎧甲冑の合間から噴き上がる様は、彼の憤怒の象徴であった。
「……民の安寧を食い潰してまですることか、阿呆が!」
 専用大型トライクのアクセルをフルスロットル!
 鎧甲冑から溢れた流動鉛が巨大な短剣の形状を象ってゆく。
「我が名はルパート・ブラックスミス。貴様を止める黒騎士の名だ、覚えておけ!」
『たわけが! 粉々に吹き飛んでしまえ!』
 敵機の両腕部のグレネードランチャーの砲口がルパートへ向けられると、立て続けに対キャバリアサイズの榴弾が何発も発射されていった。
 これが全部爆発すれば、ヤドリガミのルパートは本体の器物である鎧甲冑が粉々になってしまいかねない。
 しかし、ルパートは事前に生成していた巨大短剣を上空へ何本も放り投げてゆけば、その一本一本が榴弾と激突!
 空中で盛大に爆発すると、トライクを巧みに操ってその爆圧から逃れるルパート。
『何だと!? 榴弾の軌道を予め読んでいたのか!』
 驚愕するフドウ准将は、更に信じがたい光景を目の当たりにした。
 ルパートは一気に敵機へ接近すると、両腕部の砲口へ短剣を放り込んだ。
 こうすることで、砲口を目詰まりさせて暴発させてしまう。
 次の瞬間、オブリビオンマシンの機体の一部の武装が爆発で吹き飛んだ!
「グレネードランチャーの弱点は、着弾させなければ効果が薄いことだ。ましてや、発射口を塞げば、大惨事になることくらいは自明の理だ」
 ルパートは発射直前のグレネード弾を暴発させることで、武装破壊や内部ダメージを広げようと画策していた。
『左腕部グレネードランチャーが破損……! キャバリアに乗ってさえいない相手に、ここまで愚弄されるとは……!』
 フドウ准将が唸り声を上げていると、オブリビオンマシンの上部装甲に被弾が発生する。
『今度は一体何だ……!?』
 コクピットにまで響く振動にフドウ准将は思わず訝しげる。
 敵機の頭上では、ティーが90式爆縮破砕型魔杖をこれでもかと振るい、爆縮空爆を敢行していた。
「フドウ准将、こっちですよ、こっち♪」
 小馬鹿にした態度をとるティーに、フドウ准将はコクピット内で奥歯を噛みしめる。
『ええい! 貴様も私を馬鹿にする気か!』
 右腕部のグレネードランチャーを上空に掲げて榴弾を乱射!
 それをティーは99式防空魔導波探信儀で軌道を捕捉すると、ホバリングによる高速空中機動で軽々と回避してみせた。
 砲弾の雨を掻い潜りながら、ティーは敵機へと急降下!
 零式鋭剣型短魔杖の魔力刃を勢いよく敵機の装甲へ突き刺すと、その通信回線をジャミング開始。
<もしもーし? 聞こえますかー?>
<馬鹿な! 生身で無線を傍受するだと!? ありえない!>
 ティーは厳密に言うと人間ではなく、ミレナリィドールである。故に、こんな離れ業もやってのけたりできてしまうのだ。
 と、ここでティーは満を持してユーベルコード『非魔法文明浄化翼(アンチ・メカニズム)』を軌道させる。途端、背中から魔法以外のあらゆる文明を拒絶する魔法翼を展開させてみせた。
<私の“要塞”に土足で乗り込むな!>
 フドウ准将は機体を左右に大きく振って、ティーを振り払おうとする。
 しかし、急にオブリビオンマシンの全システムがダウンしてしまったではないか。
<何故だ! 何故動かない!?>
 原因は、ティーが広げた翼にあった。
<この奇麗な翼を見てください、自分達と異なる文明を拒絶し、浄化するためだけのつまらない翼です♪>
 広げられた翼は、魔法文明以外の武装を拒絶・無力化させてしまう恐るべき効果を持つ。
 だが、1日に限られた時間しか発動できず、所定の時間を超過した瞬間、ティーは完全に活動を停止してしまう。
 故に、ティーは早口でまくし立て始めた。
<聞いて下さい、フドウ准将? 隣人を悉く滅ぼし、最期に荒廃した国だけが残ってなんになります? 貴方の祖国は、この愚かな翼を是とする様な国なのですか? そんな陳腐な国が、あなたのような人をここまで奇麗に狂わせることができるとは思いませんね☆>
<ジャパニアが、荒廃するだと……? そんなはずは……!>
 フドウ准将に迷いが生じた。
 ティーの目論見は完遂されたところで、彼はルパートを見遣る。
「あとはお願いしまーす☆」
 ユーベルコードを解除し、ティーは戦線を離脱してゆく。
 ルパートは専用大型トライクを全速力で走らせると、フドウ准将に告げた。
「この大剣が見えているだろう? ならばもう黒騎士の間合いだ」
 ルパートの手には、自身の動力源である流動鉛を用いて巨大化させた大剣が掲げられていた。
「血塗られた未来は耐えて進むものだ、望み齎すものではない。眠れ。理想も野心も、今一度その愛国心の底に堕とすがいい」
 専用大型トライクの座席から跳躍し、敵機へ飛び掛かるルパート。
 超巨大剣が赤黒い敵機の装甲を切り裂いた瞬間、ユーベルコードが発動する!
「――『映す心断ち割る呪剣(クリスカットコンシャス)』!」
 この瞬間、フドウ准将はその意識を断ち、気絶させる呪いに掛かってしまう。
 コクピット内で意識を手放しかけるフドウ准将。
 だが、自身の頭をコクピットの壁にぶつけることで意識を強制的に鮮明化してみせたではないか。
『……まだ、だ。まだ、終わりではない……! うぅ……!』
 呪いの影響で意識が混濁しながらも、狂気と使命感に突き動かされるフドウ准将の言動に、ルパートは無言で憐憫の眼差しを向けるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

バジル・サラザール(サポート)
『毒を盛って毒で制す、なんてね』
『大丈夫!?』
『あまり無理はしないでね』

年齢 32歳 女 7月25日生まれ
外見 167.6cm 青い瞳 緑髪 普通の肌
特徴 手足が長い 長髪 面倒見がいい 爬虫類が好き 胸が小さい
口調 女性的 私、相手の名前+ちゃん、ね、よ、なの、かしら?

下半身が蛇とのキマイラな闇医者×UDCエージェント
いわゆるラミア
バジリスク型UDCを宿しているらしい
表の顔は薬剤師、本人曰く薬剤師が本業
その割には大抵変な薬を作っている
毒の扱いに長け、毒を扱う戦闘を得意とする
医術の心得で簡単な治療も可能
マッドサイエンティストだが、怪我した人をほおっておけない一面も

アドリブ、連携歓迎


ノエル・スカーレット(サポート)
アドリブ&他の猟兵さんとの連携大歓迎。
性的描写NG

世界を飛び回るチビッ子ダンピールです。
吸血衝動はほぼなく太陽へっちゃら、お菓子が好きで、虫が嫌い。
色々な事件に首を突っ込みスカーレッド・ノヴァをぶっぱなします。
(ぶっぱなさなくてもOK)


基本的にいい子なので首を突っ込んだ事件やイベントの解決や成功の為に積極的に行動します。

戦闘は残像を伴う素早い動きから大鎌でなぎ払い攻撃したり。
ユーベルコードをご自由にお使いください。

記載がない部分はマスター様におまかせでお願いします。
自由に冒険させてあげてください。


神崎・伽耶(サポート)
『やってみなきゃわかんないしねぇ!』(明るくニヤリ)

アドリブ連携OK。
普段の口調は「庶民的(あたし、キミ、だ、だね、だろう、だよねぇ?)」です。

後先考えず、反射的に行動しますが、他の猟兵に迷惑をかける行為はあまりしません。
姉御肌で、一般人には優しく、時に厳しく接します。

行動原理は好奇心、攻撃よりは防御が得意で、遊撃的なポジションを好みます。
機動力、観察力を生かし、バフやデバフを多用し、トリッキーな攻めを得意とします。

思い付きで動く、常識のある奇人変人ムーヴで描いていただけると大変喜びます。
いっそNPCだと思っていただいてもヨシ!

よろしくお願いします。


春霞・遙(サポート)
UDC組織に所属して、UDC関連の一般病院に勤務している小児科医です。
行動の基本方針は困っている人が居るなら助けたい、人に害をなす存在があるなら退けたい。
戦う力はあまりないですけど、自分が傷を負うとしてもみなさんのお手伝いができれば嬉しいです。

基本的に補助に徹します。
「医術」「援護射撃」「情報収集」から、【仕掛け折り紙】【葬送花】での目くらましや演出、【生まれながらの光】【悪霊祓いのまじない】で照明や目印を付けるなども行えるかと思います。
攻撃は拳銃による射撃か杖術が基本で、その他はUCを使用します。
【悔恨の射手】【未来へ捧ぐ無償の愛】は基本的に使用しません。

シリアス以外ならいたずら好きの面も。


柊・はとり(サポート)
※アドリブ連携歓迎、御自由に

また事件かよ…
俺は柊はとり
歩けば事件に遭遇する呪われた体質のせいで
殺された後も嫌々高校生探偵をやっている探偵ゾンビだ
謎解きは特技だが好きじゃない
この場に居合わせたのも偶然だろうが
関わっちまった以上は解決に尽力する
性格は察しろ

ちなみにこいつ(剣)はコキュートス
人工知能程度の会話ができる
『事件ですね。解決しますか? 柊 はとり』
うるせえ

●戦闘
コキュートスは莫大な負担と引き換えに
戦う力を与える氷の魔剣だ
基本的に代償のある技しか使えないが
高火力を出せる超攻撃型の前衛だと思っとけ
探偵要素はかなぐり捨てていく

弱点は脳
頭さえ無事なら何してもいい
痛覚はあるがいずれ再生する
人命最優先



 猟兵達の猛攻は、着実にフドウ准将のオブリビオンマシンと彼自身にダメージを蓄積してゆく。
「私は……負けるわけには、いかないのだ……!」
 意識を保つためにコクピットの壁に頭をぶつけて、ようやくクリアになった思考で言葉を絞り出す。
 だが、フドウ准将の心の底に違和感が浮上する。
「私は、この国のために……戦っているのだ! だが、このままでは国民が疲弊する……だと……?」
 猟兵達のメッセージは、フドウ准将の呪縛を弱めつつあった。
 そこへ畳み掛けるべく、サポート猟兵達はバックアップを開始する。
『下半身が蛇でも乗れるキャバリアがあるのね?』
 バジル・サラザール(猛毒系女史・f01544)を始めとしたサポート猟兵達は、借り受けた量産型キャバリアに乗り込んで戦場に駆け付けた。
『二回目のクロムキャバリアですね。前回は生身で戦いましたが、今回はキャバリアで戦います』
 ノエル・スカーレット(チビッ子ダンピール・f00954)は量産型キャバリアの感触を確かめるように操縦桿を握りしめる。
 一方、 神崎・伽耶(トラブルシーカー・ギリギリス・f12535)は上機嫌だ。
『これがキャバリア! クロムキャバリアは初めてだし、ロボの操縦も初めてだけど、意外と簡単に出来ちゃうもんだね!』
 好奇心旺盛の神崎は、目の前の火薬倉庫めいたオブリビオンマシンと対峙して更にテンションが爆上がりする。
『うわ、あの砲弾が全部こっちへ飛んでくるのかな? そしたらこれはもはや鉄の棺桶同然? やばい、それってギリギリな状況! 楽しくなってきた!』
『神崎さんはリスクジャンキーなのでしょうか……?』
 同じくキャバリアに乗り込んだ春霞・遙(子供のお医者さん・f09880)は、慣れないことばかりで戸惑うばかりだ。
『困っている人が居るなら助けたい、人に害をなす存在があるなら退けたいですが、あれは流石にどうしましょうか……?』
 キャバリアの戦いに生身で挑むのは危険だと判断したは良いものの、医者として傷の治療は不要ということで春霞は立ち回りを考慮せざるを得なかった。
 そんな悩める春霞に、自虐的に言葉を投げ負ける量産型キャバリアの操縦者がいた。
『どうにかなるだろ……。俺達は猟兵だし、機械は殴れば壊れるだろ、多分な?』
 柊・はとり(死に損ないのニケ・f25213)も初めてのキャバリアの操縦に困惑しながらも、どこかなんとかなってしまうだろうという結末が読めてしまうのが癪でならなかった。
(こんなの、推理もクソもねぇぜ。怪物ロボに乗ってるおっさんは精神が錯乱中でまともな操縦は困難。そこを5機のロボが殴るんだ、負ける要素がねぇし……)
 柊は上がらないテンションを引きずりながらも、ひとまず他の猟兵と足並みを揃えることにした。
『元気が ないですね ホームズ? 乗り物酔い ですか?』
「うるせえ、へし折るぞ。死体が乗り物酔いして堪るか」
 AIを搭載した意思持つ氷の大剣型偽神兵器『コキュートスの水槽』の心配の声を一蹴すると、柊は他の猟兵の出方を伺い始めた。

『私は、私は……戦わなければ行けないんだッッ!』
 とうとう発狂したフドウ准将は、稼働可能な武装を一気にサポート猟兵達へとぶっ放した!
 この弾幕にまずはバジルが反応する。
『薬も過ぎれば毒となる。元々毒だけど、たっぷりと味わいなさい』
 キャバリアの頭上に、突如として出現する毒属性の魔法槍、その数、375本!
『腐食性の毒よ。弾幕に穴を開けて見せるわ』
 迫る弾幕へ腐食の魔法槍を次々と射出してゆけば、空中で槍と砲弾が激突して爆発が立て続けに発生!
「あの弾幕を撃ち落とせば良いんだよね? だったらリーチのある武器で叩き落としちゃおっか!』
 神崎が帽子を脱ぐと、なんとキャバリアの手元に鞭が出現!
『すごいっ! ユーベルコードがキャバリアサイズで再現されるんだ! かっこいいーっ!』
 目をキラキラさせながら、神崎は機体を操り、鞭をしならせて振り回した。
 鞭の円軌道が飛来する機関銃の弾幕を弾き返し、そのままオブリビオンマシンへ一撃を叩き込んでみせた。
 全力の砲撃も裁かれてゆく現実に、フドウ准将は混乱してゆく。
『何故だ? 何故、この重火力兵装が猟兵には通用しない?』
 フドウ准将の疑問が、機体のスピーカーから漏れ出る。
 それに春霞がはっと顔を明るくした。
『今、疑問を感じましたね? ちょっと試してみましょうか』
 春霞は乗り込んでいるキャバリアの目の前に意識を集中させる。
『出てきなさい、謎を喰らう触手の群れよ』
 上手くユーベルコードを発動させると、キャバリアサイズの絡みつく紫の触手のかたまりが目の前に召喚された。
(うわ……これは冒涜的な恐怖を煽ってしまいそうですね)
 紫の触手のかたまりから、謎を食らう触手がオブリビオンマシンへ張りつき、絡みつき、機体内へ侵食をしてゆくことで動作不良を促すのだ。
 先程から敵機のコックピットが何やら騒がしいので、春霞はそっとユーベルコードを解除して素知らぬ顔を貫くことにした。
 だが、一番この状況に対応していたのは、柊のユーベルコードであった。
『ユーベルコードの 発動に 必要な代償を 確認しました』
 柊の右足を代償に、ユーベルコード……第一の殺人『人形山荘』を再現してみせる柊。
「代償はキャバリアじゃなくて俺の肉体かよ……。まあ、いつものとおりだけどな。犯人は死体を凍らせて切断した。凍ってしまえば、全ては停止すると思ったんだろうな……」
 意味深な言葉を残しつつ、降り注ぐ弾幕の殆どを絶対零度の吹雪で凍結させて不発弾へと変えてゆく柊。
 もちろん、着弾の衝撃こそは防げないが、そもそも大地自体が凍土へと変わることで地形が抉れることなく、凍結した不発弾はゴム鞠のように2、3度ほどそのあたりを転がるだけで終わった。
 そして、満を持してノエルのキャバリアが躍動する。
「――死へ誘う魔性の霧(ヴァンパイアミスト)」
 ノエル機の手が、肉薄したオブリビオンマシンの装甲に接触する。
 すると、操縦するフドウ准将の生命力がノエルへと流れ始めてゆくではないか!
『殺さないから安心して下さい。ちょっと、私達のお話を聞いてくれませんか?』
 フドウ准将をほんの少しだけ衰弱させて操縦の気力をノエルが奪うと、サポート猟兵達は彼へと説得を試み始めた。

『おっさん、いい加減に目を覚ませ。その装置、国の生命線なんだろ? それをおっさんが独占しちまったら国民が困るだろうが。国民に辛抱しろとか言う前におっさんがとっとと退けよ。それで済む話だぜ?』
 柊の毒舌に、バジルも同意を示した。
『軍備を整えるって名目で施設を占拠するなんて、やってることはテロリストよね? 愛国心を語るなら早急に立ち退きなさいよ』
『え! その塔みたいなところから色々作れるの!? それを独り占めはずるくない??』
 空気が読み切れていない神崎だが、プラント基地の占拠は悪事に該当することくらいは把握できていた。
『お願いです。プラント基地を解放していただけませんか? 今、この瞬間でも、治療を必要とする子供たちが、その施設から生み出される医療品を求めているはずです。これは命に関わることなのですよ……!』
 小児科医の立場から、春霞も懸命に説得に当たる。
『民なき国に意味などありません。もうあなたは孤軍奮戦の身。引き際を見極めるべきです』
 ノエルの言葉も合わさると、フドウ准将はコクピット内でうめき声を上げ、完全にその場に機体を停止させてしまっていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

西院鬼・織久
如何なる正義も信念も俺には関係ありません
俺が、我等が為すべきは唯一つ

狩るべき敵を狩り、尽くを喰らい尽くすのみよ

【行動】POW
五感と第六感+野生の勘を働かせ周囲の状況を把握し敵行動を予測

先制攻撃+ダッシュで接近し串刺し、槍伝いにUCを流し込み傷口をえぐる
そのまま敵の機体に乗り上げ武装や機体をなぎ払い
怨念の炎(呪詛+焼却)の継続ダメージを与え装甲を損耗させる
損耗した場所に更になぎ払い、装甲や武装をUCで破壊していく

敵攻撃のタイミングと軌道を見切り回避し外れた攻撃が敵機を巻き込むように立ち回る


ティオレンシア・シーディア
ホント、よっぽど不満貯め込んでたのねぇ…
さすがにあたしたち国の方針にまでは絡めないのよねぇ…

遠距離からどうこうできそうな手合いでもなさそうだし…しょうがない、〇覚悟決めて突撃しましょ。
引き続き傾斜装甲の◯オーラ防御を維持、ラグ(水)で◯火炎耐性を追加。●轢殺を起動してフルスロットル、回避優先で避けきれないのを撃ち落としつつミサイルの雨を最大戦速で突っ切るわぁ。
近づきさえできれば手はいくらでもあるもの。御自慢の主砲にエオロー・ソーン・イサのルーンでも放りこんじゃいましょうか。
「結界」にて「門」を閉ざし「固定」する…火砲の砲「門」が詰まったらどうなるか、なんて。言わなくてもわかるでしょぉ?


蒼・霓虹
わたし達は
そのカブラギさんから
頼まれてるんです

その意味を考えて貰えませんか?
無謀な蛮勇で、首都を占拠し国民が混乱した結果どうなるか……想像が付く筈っ!不便処の話じゃないですっ!

[WlZ]
〈彩虹(特機形態)〉さんを【操縦】し【推力移動&悪路走破&空中浮遊】で駆けながら【オーラ防御&結界術】で備え准将の攻撃を【第六感&瞬間思考力】で【見切り】回避し

相手の武装や足や間接やカメラ等を狙い
(コクビット直撃避ける)

【高速詠唱】によるUCで眷属達を召喚し〈虹三葉「レインボークローバー」〉の【念動力&切り込み】と【レーザー射撃&砲撃】を併用の【集団戦術&一斉発射&弾幕】で無力化を

[アドリブ絡み掛け合い大歓迎]



 猟兵達の呼び声に、オブリビオンマシンから受けるフドウ准将の呪縛は薄れつつある。
 だが、完全にオブリビオンマシンを沈黙させなければ、フドウ准将の呪縛は完全に解かれることはない。
 故に、未だ堅牢を誇る要塞めいた敵機へ猟兵達は果敢に攻撃を仕掛けてゆく。
「如何なる正義も信念も俺には関係ありません。俺が、我等が為すべきは唯一つ」
 西院鬼・織久(西院鬼一門・f10350)は最後まで生身のまま敵機へと立ち向かう。
 彼は百の異形の血肉で鍛えた赤黒い槍こと『百貌』を携え、全高5mの鉄の巨躯を見上げた。
「……狩るべき敵を狩り、尽(ことごと)くを喰らい尽くすのみよ」
 その気迫は、キャバリアに乗っていなくとも敵を圧倒する。
 そんな西院鬼の頭上を、二輪バイク型UFO『ミッドナイトレース』が浮遊していた。
「ホント、よっぽど不満貯め込んでたのねぇ……」
 UFOの操縦者のティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)は、苦笑いを浮かべながらクレインクィン(弩)『アンダラ』のハンドルを巻き上げる。ギチギチギチと歯車が噛み合う音を鳴らしながら、弦が引き上げられてゆく。
「さすがにあたしたち、国の方針にまでは絡めないのよねぇ……って思ってたけど、割とみんなずけずけと言うじゃない?」
 猟兵達の言葉がこの戦況を生み出したのは事実であり、フドウ准将の精神を揺さぶることが攻撃が緩まるトリガーにもなっていることに、ティオレンシアは正直驚いていた。
「そうはいえど、遠距離からどうこうできそうな手合いでもなさそうだし……。しょうがない、覚悟決めて突撃しましょ」
 ティオレンシアはミッドナイトレースをフルスロットルで急発進させる。
 その後ろを西院鬼が後を追う。
「先手は我等がいただく」
 西院鬼は瞬間移動の如きスピードでティオレンシアを追い抜き、一気にオブリビオンマシンへ詰め寄ると、手にしていた赤黒い槍を機体に突き刺し、押し込んでゆく。
 装甲は亀裂を生み、ヒビが放射状に走っていった。
 その隙間に、血肉を啜り怨念の糧として取り込む禍々しく蠢く『影面』を放って爆発を起こすと、影の腕をその箇所に生やして他の装甲を引き剥がし始めた。
「あまりにも巨大な機体は、我等が乗り上げれば攻撃などできまい」
 彼の言葉通り、突き刺さった槍を足場にして『要塞』の上に飛び移った西院鬼は、獲物を柄と刃が一体化した黒い大鎌『闇焔』を力の限り振るって見せる。怨念が具現化した血色の炎が敵機の装甲を焼き焦がし、その刃が堅牢な機体を徐々に刻んでこじ開け始めた。
 その2人に合流するのは蒼・霓虹(彩虹駆る日陰者の虹龍・f29441)だ。
 彼女は虹龍の虹の力が顕現した、自我を持つ白銀と七色のメカドラゴンの『彩虹』のキャバリア形態の肩に腰を掛けたまま、フドウ准将へのコンタクトを試みる。
<フドウ准将、聞こえますか? 私は猟兵の蒼・霓虹です!>
<無線に介入も出来るのか……。カブラギには私の言葉は伝わったかね?>
 フドウ准将の噛み合わない会話に、蒼は苦虫を潰したかのように顔をしかめた。
<わたし達はそのカブラギさんから頼まれてるんです>
<なんだと?>
<フドウ准将、その意味を考えて貰えませんか? 無謀な蛮勇で、首都を占拠し国民が混乱した結果どうなるか……想像が付く筈っ! 不便処の話じゃないですっ!>
<貴様も、私が間違ってるというのか……! うぐッ……!>
 フドウ准将が苦悶の声を漏らす。
 オブリビオンマシンが操縦者を服従させるために、呪詛を強めたのだろう。
 その証拠に、稼働可能な武装をありったけ猟兵へ向けて発射し始めたのだ。
 更に発射の衝撃で、機体の上に陣取っていた西院鬼を振り落とした。
 多連装ミサイルと未だ無事な片腕のグレネードランチャーの榴弾が、目の前の地形を粉砕し、焼け野原へと変える!
「今日3度目の爆撃となれば、もうこの目は慣れたものだ」
 西院鬼が頭上を見上げれば、降り注ぐミサイルの軌道を逆算して回避行動をとっていた。ここまで生身で対キャバリア爆撃の嵐をかいくぐってきたのは伊達ではない。今更、多連装ミサイルなどに彼は遅れを取るわけがなかった。それもこれも、西院鬼の優れた直感が為せる技である。しかも、回避先はオブリビオンマシンの機体のすぐ横へ無開くことで、自爆を狙うしたたかさも見せる。
 その中を爆進するティオレンシアのミッドナイトレース。
「ミサイルの雨を最大戦速で突っ切るわぁ」
 傾斜装甲のオーラ障壁を維持させたまま、さらにラグ(水)のルーンを刻んで耐火性能を向上。UFO特有の立体機動が、ミサイルの雨をすり抜けさせてゆき、大回りではあるが着実に迂回しながらジグサグにオブリビオンマシンへと接近中だ。
 そして、グレネードランチャーの榴弾爆発を回避しつつ、蒼と彩虹も着実にホバリング移動で高速推力で戦場を駆け抜けていた。
「次、11時の方向です! 右へ旋回しましょう、彩虹さん!」
『了解です!』
 意思疎通が出来るからこその柔軟な対応が、敵の渾身の弾幕を掻い潜る秘訣なのであろう。
 しかも、今の彩虹には虹三葉『レインボークローバー』の弾幕をシールド代わりとして展開している。これで万が一被弾をしても多少は凌げるのだ。
 ここで仕掛けたのはティオレンシアだ。
 最速でフドウ准将の機体へ接近した彼女は、クレインクィンのボルトを装填して身構える。
「近付きさえできれば手はいくらでもあるもの。御自慢の主砲にエオロー・ソーン・イサのルーンでも放りこんじゃいましょうか」
 そのルーンの配列が意味をするのは、『結界』にて『門』を閉ざして『固定』すること。
「火砲の砲“門”が詰まったらどうなるか、なんて。言わなくてもわかるでしょぉ?」
 もう一芸とは言わせない。特訓したせいかを今、此処で披露するときだ。
「それじゃあねぇ?」
 ユーベルコード『轢殺(ガンパレード)』!
 必殺の一射がロケッランチャーの砲口に突き刺さると、ルーンの結界がたちまち他の砲口も塞いでしまう。
 それに気付かずに西院鬼を狙い撃とうと次弾を発射させたオブリビオンマシン。次の瞬間、砲塔が大轟音とともに爆発炎上!
 いよいよオブリビオンマシンの全体から白い煙が悲鳴のように上がり始め、活動限界が迫っていることを猟兵たちへ知らしめる。
「今です、彩虹さん! 皆、やっちゃって下さいな!」
 マジックカードを彩虹へ使用してユーベルコードを発動!
「これが、蒼の眷属『虹色狛犬の軍勢」ですっ! 蒼き鉛のアームドフォートを備えた光学鎧装を纏いし虹色狛犬の群れの一斉射、受けてみて下さいっ!」
 召喚された79匹の虹色狛犬は、砲塔を背負ったまま透明化を果たす。
 目視ができなくなった状況から、蒼の号令が下った。
「撃てぇっ!」
 クローバー型の円盤めいた魔法弾幕と虹龍魔導宝玉砲からの砲撃、そして眷属の狛犬達の一斉砲撃が、フドウ准将の乗るオブリビオンマシンの武装や4つの脚部へ集中する。標的を絞って火力を集中した結果、敵機の武装はかなり破壊され、脚部はほぼ稼働できない状態まで追い込むことができたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アハト・アリスズナンバー
ノインツィヒ(f29890)と共に

何だか大変な戦争状態に巻き込まれてますね。ただただオブリビオンマシンに飲まれた軍人を助けるだけだと思ってました。
とりあえず私にはよくわかりません。

両腕のグレネードランチャーの機動は直線。ですが爆撃範囲もあるので、銃口を確認しつつ【見切り】で避けます。【グラップル】で縦横無尽に動きつつ【誘導弾】で攻め続けましょう。
同時にUCを起動。キャバリアを操縦する思考も奪います。
その間に敵に組み付いて体勢を崩し、噛みつき装甲を解かす唾液(【毒使い】【呪詛】)を持ち、【暴力】【鎧無視攻撃】を応用してお食事です。
パイロットは生かして、機体は喰わせてもらう。

アドリブ・絡み歓迎


ノインツィヒ・アリスズナンバー
アハトさん(f28285)と一緒

隣国への侵攻?それをすれば、始まるのは復讐の連鎖だよ准将!
エゴだよそれは!
……少なくとも私ちゃんがやる事はアンタを止める事と、
ほっといたら必要以上の蹂躙が起きかねないあのクズ姉を止める事だ…!

相手の攻撃が始まる前に、発射口に対して【レーザー射撃】で【カウンター】を狙うよ!撃たれた弾は【念動力】で動かして範囲外へと逸らしちゃう。
最後にUCを起動!【歌唱】を持ってこの場の争いを全て終わらせる!
その間に【怪力】でオブリビオンマシンの装甲を引っぺがして、准将を救出するよ!
後てめーもだバカ姉。精神破壊するつもりか。

アドリブ・絡み歓迎


ミフェット・マザーグース
ノア(f30572)といっしょに共同戦線
目標はオブリビオンマシン
この世界のことはまだ分からないけど、歪められた言葉は止めないと!

会敵する前に、戦いを止めてくれたキャバリア部隊のヒトたちから〈情報収集〉。〈メカニック〉の知識を活かしてあのキャバリアの弱点をなんでも聞くよ
それと、キケンだから下がって待っててねって

情報は准将には聞こえないように
猟兵のみんなへの通信チャンネルを開いて共有するね

UC【嵐に挑んだ騎士の歌】
〈楽器演奏〉のリュートの音色に〈歌唱〉に乗せてみんなを〈鼓舞〉するよ
通信チャンネルを利用して猟兵のみんなに届けるね
戦いの邪魔にならないように低くて静かな歌声で、でも心に届くように強く


ノア・クレムリィ
 ミフェット殿(f09867)との共同戦線です。
 彼女の歌と信頼に応え、砲火の嵐に立ち向かいます。戦友はこの私が守ります。

 【UC:確殺射撃】(SPD)を発動、彼に外部スピーカーで呼びかけながら、武装のみを的確に狙撃しましょう。一時的にでも〈部位破壊〉すれば、こちらに大きく有利となります。

 弱点、例えばコックピットと武装を繋ぐ機構が判明すれば、〈推力移動〉〈ランスチャージ〉です。一撃のもとに破壊し、戦力を大幅に削ります。

 准将、貴殿はジャパニアの未来の為に、民の盾として尽くしてきました。その献身を捨て去る行いは見逃せない、貴殿を本当の逆賊になんてさせない。強引にでも、止めさせていただきます。



 凄まじい爆撃が目の前で発生し、土埃がようやく収まった。
 キャバリアの頭の上にしがみつくミフェット・マザーグース(沼の歌声・f09867)は悲しんでいた。
 仲間をも巻き添えにしかねない、狂気に侵されたフドウ准将の言動に、幼い彼女は真っ向から否定した。
「だめだよ、こんなことは絶対おかしいよ! ミフェットはね、この世界のことをまだ分からないけど、歪められた言葉は止めないと!」
 目標はオブリビオンマシンの無力化、そしてフドウ准将の救出だ。
<猟兵殿、ご無事ですか……!>
 身を挺して庇ってくれた『堅牢』部隊からの無線だ。
 これに、キャバリアを操縦するノア・クレムリィ(海駆ける鋼鉄の竜騎兵・f30572)が応答した。
<貴殿らこそ、ご無事で安心しました。さすがの防御力ですね……!>
 絶対無敵の盾を持つ着たいと歌われたこともあり、あれだけの爆撃の余波を受けても一機体とて行動不能にならなかった。
 だが、これ以上の無理は中破・大破どころでは済まなくなるだろう。
 ミフェットは大声で、周囲のキャバリアへ感謝の言葉を贈った。
「ここまでミフェットとノアを守ってくれてありがとう! でも、ここから先はキケンだから下がって待っててね」
『あとは私達にお任せ下さい』
 外部スピーカー音声で、ノアはミフェットの言葉に重ねた。
 猟兵の言葉を信頼した兵士達は、徐々に前線から退いてゆく。
『お気をつけて、猟兵殿!』
『あの弱点、お忘れなく!』
「ありがとう、みんな! 大丈夫っ! ミフェット、ちゃんと覚えているよ!」
 ミフェットは此処までの道中のおしゃべりで、フドウ准将の乗るオブリビオンマシンの機体性能について情報収集していたのだ。
 本当は軍の機密情報なのだが、非常時ということで念の為に『M.A.K.E』に承諾を得た後に猟兵への情報公開が実現した。
『さあ、ミフェット殿。ここからが大一番です。貴殿の歌と信頼に応え、私は砲火の嵐に立ち向かいます』
 親衛海軍工廠製 MCC-041 汎用装甲竜騎士《ガンド》の出力を上昇させ、脚部のスラスターを一気に噴出させて急発進! 砂煙を巻き上げながら、視界の先の赤黒い“要塞”へと《ガンド》が突撃してゆく!
『戦友はこの私が守ります!』
 構える武装は連邦国営造兵廠製RS-GMP27汎用短機関銃《メルビレイ》。その取り回しの良さから、ノアからの信用が篤い武装だ。
『フドウ准将! 聞こえますか! あなたにひとつ問いかけたい!』
 外部スピーカーから、ノアが感情を乗せて叫ぶ。
 これにフドウ准将はうめき声混じりで反応を示す。
『グ、ぅう……! 私に、何を……?』
『准将! 今の貴殿に、夢はありますか?』
『夢……だと?』
 藪から棒に何を聞き出すんだと言いたげなフドウ准将に、ノアは最大の敬意と共に語り掛けた。
『そうです、夢です! 准将、貴殿はジャパニアの未来の為に、民の盾として尽くしてきました。私は話を聞く限りですが、貴殿は野心で目が眩む御人ではないと思うのです! それこそ、夢があるからこそ、此処まで粉骨砕身の想いで邁進してこられたはずです! オブリビオンマシンの呪縛なんかに負けないでいただきたい!」
『だ、黙れ……! あ、たまが……割れそうだ……っ!』
 苦しみながらも、身体は老兵を殺すべく無意識に操られてしまうフドウ准将。
 敵機が放つ機関銃の弾幕を回避したノアは、牽制射撃でサブマシンガンを撃ち続ける。
 ユーベルコード『確殺射撃(ダブル・タップ)』の三点バーストが、敵機の武装をじわじわと破壊し、無力化させていった。
『准将、その献身を捨て去る行いは見逃せない、貴殿を本当の逆賊になんてさせない。強引にでも、私達が止めさせていただきます!』
 ノアの言葉が途切れると、ミフェットは髪の毛で作った吸盤で身体を固定したまま、リュートの演奏を始めた。
 音色はノアのキャバリアの外部スピーカーを介して拡散しだす。
 ミフェットの歌声はユーベルコード『嵐に挑んだ騎士の歌』となって、共感した者の戦闘力を底上げするのだ。

 ♪ごうごうと風が鳴り 雷がまたたく 嵐の中
 ♪立ち上がる騎士 その胸には 
 ♪絶えぬ勇気の炎と 闇を照らす希望の輝き!

 最初こそ、フドウ准将まで戦闘力を上げてしまわないか不安で、低く小声で歌っていたミフェット。
 しかし、フドウ准将は先程からずっと呪縛に苦しみ、歌を聞く余裕などなさそうだ。
 更に、ミフェットの歌声に誘われ、他の猟兵達が合流を果たした。

<あ、ミフェットちゃんだ☆ やほやほーっ! 来てたんだーっ?>
 キャバリア・イドラに乗り込んだノインツィヒ・アリスズナンバー(90番目のアイドル・f29890)が無線通信回線で声と映像を届ける。
 ミフェットとノインツィヒは、前回のジャパニアでの任務で一緒になり、音楽ライブにも参加した仲である。
 ノインツィヒの登場に、ミフェットも演奏と歌をこなしながら笑顔で反応した。
<ミフェット殿のお知り合いでしたか>
 ノアは弾幕から逃れるべく岩陰に隠れると、戦友の知人たるノインツィヒへ無線越しに軽く挨拶を交わす。
<今回、ミフェット殿と共同戦線を張らせてもらっているノア・クレムリィです。もし差し支えなければ、ご助力いただければ幸いです>
<勿論だよ☆ 私ちゃん達も准将を止めに来たんだから!>
<それはありがたい。あと、あの機体ですが、真正面の頭部を破壊すると何もできないそうです。レーダーのセンサーなどが頭部に搭載されているらしく……>
 兵士達から聞き出した情報をノインツィヒへ伝達するノア。
 これにノインツィヒは上機嫌で張り切り始めた。
<オッケーオッケー☆ それじゃ、敵の頭を狙って頑張ろっか!>
 ノインツィヒにとって、このクロムキャバリアのジャパニアという国は特別な存在になりつつあるのだ。アイドルとして今まさに大成しつつある状況であるなか、准将の暴動で国のすべてが無に帰すのは絶対に避けたいのだ。
(動機は不純かもしれないけど、でも平和を願うって意味なら同じことだよ!)
 譲れない想いや新規ファンのためにも、ノインツィヒもまた外部スピーカーを介して心の声をフドウ准将へぶつけてゆく。
『隣国への侵攻? それをすれば、始まるのは復讐の連鎖だよ、准将! エゴだよそれは! 誰も得をしないってば!』
『ぅあっ……! やめろぉ……! 話しかけるなぁ……壊したくないこわしたくないこわしたいコワシタイコワセコワセコワセ……!』
 フドウ准将の正気が今にも擦り切れそうなのが、ノインツィヒだけではなく、ミフェットもノアにも理解できた。
 ……ただひとり、アハト・アリスズナンバー(8番目のアリス・f28285)だけは、この状況下をまるで理解出来ていなかった!
<そういえば私は、このクロムキャバリアという世界は初めて来訪したのですが、何だか大変な戦争状態に巻き込まれてますね。私はただただ、オブリビオンマシンに飲まれた軍人を助けるだけの任務だと思ってました。とりあえず、私にはよくわかりません>
<おいぃぃぃッ!? そこのオブリビオンマシンを手懐けてるクズ姉ぇッ! この状況でそれを言う?? 言っちゃうの、ねぇえぇーッ!?>
 スイートアイドルボイスからドスの利いたヤンキーボイスへ秒速で切り替わったノインツィヒの怒号が無線に流れる!
 傍から聞いていたノアが口をあんぐりして驚愕している!
 妹から叱責されたアハトは、降り注ぐ弾幕を掻い潜りながらつぶやく。
(あれほど怒らなくてもいいではありませんか。さて、両腕のグレネードランチャーの機動は直線。ですが爆撃範囲もあるので、銃口を確認しつつ回避すればいいだけ。このイドラ・ゼノなら出来ます)
 レーザーライフル・アハトカスタムを基盤としたレーサービームで敵機を牽制しつつ、アハトはノインツィヒに尋ねる。
<NO.90、どうしてここは戦争状態なのでしょうか?>
<そもそもこの世界の概要くらい、グリモアベースで聞いてなかった? どこも戦争中だっつーの>
<いえ、大体は理解してたつもりですが。まさか、此処まで国の軍事に猟兵側が口出ししているとは思っていなかったので>
<あー……そっちかぁ~>
 アハトの言葉に、ノインツィヒも思わず一理あると納得してしまう。
 いきなり異世界から来訪した超常の戦士達に、自分の国の重要施設の奪還を依頼する時点で、普通ならありえない状況であった。
<というか、既に弾幕が飛び交っている状況下で話すことじゃないし……少なくとも、今の会話で私ちゃんがやる事は准将を止める事と、ほっといたら必要以上の蹂躙が起きかねないクズ姉のアンタを止める事だと、脳味噌ではなく魂で理解した……ッ!>
 ノインツィヒが決意を固めたその時、目の前に榴弾が着弾して炸裂した。
(今、お腹のあたりがヒュンッってなった……!)
 あと数メートルでGo to Heavenであった。
 だが、今ので敵機の残弾が尽きたようだ。
 オブリビオンマシンはプラントから直に砲弾の補給を行っているようだ。
 つまり、今が反撃のチャンスだ!
『ミフェットちゃん、一緒に歌うよ☆ 心の中の歌を信じて!』
「ノイン、わかったよ! 一緒に歌おう!」
 ミフェットのリュートの演奏が戦場に響き渡る。
 それに合わせ、ミフェットとノインツィヒのユニゾンが始まる!

 ♪果てなき戦いを終わらせよう(これからはじめよう)
 ♪たとえこの命が燃え尽きても(絶対に止めてみせる)

 ♪これから始まる“命を賭けた平和の歌(レクイエム)”が
 ♪戦場へ(遠く) 空へ(高く) ずっと(もっと)

 ♪魂を燃やし 煌めくメロディーを あなたに届け!
 ♪この歌を この場の平和の為に 捧げます――!

 高らかに歌い上げる平和の歌は、ノインツィヒの命懸けのユーベルコードだ。
(アリスズナンバーネットワークに接続)
 もともと、ノインツィヒやアハトはフラスコチャイルドの軍隊を製造する“工場”の出身だ。
 アリスズナンバーと呼称されるフラスコチャイルド達は、脳髄だけのマザー・アリスから複製された復讐の道具であり、今も素体が製造され、増殖している。
 そんな彼女たちのネットワークから出奔したのがノインツィヒだ。
(カウンターナンバーによる申請、開始……)
 いわば、“元”アリスズナンバー。部外者となったはずのノインツィヒのユーベルコード申請が、外世界のアポカリプスヘルへと飛んでゆく。
 そして、その返信は驚くべき速度で戻ってきた。
(申請――完了。生命活動限界時間、残り80秒。カウント開始――)
 ノインツィヒのユーベルコード『命を賭けた平和の歌(レクイエム)』は、敵味方関係なく戦場内全ての敵意と攻撃行動を無力化する。
 故に、ノアの攻撃も無力化され、キャバリアが動作不良を起こしてしまった。
 だがそれはフドウ准将のオブリビオンマシンも同様のことが言える。
「何故だ! 武装がすべて凍結(ロック)されただと!」
 ノインツィヒのユーベルコードの効果は絶大で、再充填し終えた砲弾を撃つことができないフドウ准将。
 しかし、これはノインツィヒの生命活動限界に大きく依存する効果であり、今のノインツィヒの実力では、80秒を超えると彼女は死んでしまう!
(だから早く仕事しやがれ、バカ姉!)
 歌いながら、ノインツィヒはアハトが乗り込むイドラ・ゼノを睨み付けたまさにその時だった。
『好きにやりなさい。合わせましょうイドラよ』
 イドラ・ゼノが天へ向かって咆哮!
「■■■■■■■■■■■■■■■――ッ!!!」
 まるで生きているかのように自律活動を開始するイドラ・ゼノ!
 悪意がある行動は今、できないはずなのに!
 何故か唯一、アハトのキャバリアだけが稼働している!
 アハトはこの疑問に自ずと答えてくれた。
『簡単なことです。この子は今、お腹を空かしているのです。故に“悪意”でもなければ“敵意”もありません。存在するのは“食欲”と“飢餓感”だけです』
 オブリビオンマシンであるイドラ・ゼノから、発狂を誘発する思念波を放つことで、戦場全体の思考力を奪ってしまう恐ろしいユーベルコード。
 それがアハトの『真実を見よ。異端の偶像の名の下に(デウス・エクス・マキナ)』だ。
 だがこれもアハト自身に多大なる負荷がかかるため、92秒を経過すると死んでしまう。
『さあ、時間がありません。たんと召し上がれ、イドラ?』
 アハトがイドラ・ゼノへ呼びかけた途端、機体が敵機に飛びつき、その唾液で装甲を融かし、前歯と両手で固く厚い装甲を毟り取っては奥歯で噛み砕いてゆくではないか!
「うわ、待った待った! 頭食えばそれで終わりだっつーの! コクピットは手を付けんなよ!?」
 歌を中断したノインツィヒは、すぐさまイドラを操縦してフドウ准将がいるコクピットをオブリビオンマシンから摘出して助け出した。
 これにアハトは何やら不服そうに抗議を申し出る。
『流石に私もそこまで外道ではないですが?』
『うるせぇ。あと早くユーベルコードを止めろ。精神破壊するつもりか、バカ姉』
 ノインツィヒはキャバリアの頭でアハトの乗るイドラ・ゼノへ強烈な頭突きをぶちかまし、強制的にユーベルコードを中断させたのであった。

「正直、聖者のミフェットちゃんが歌ってなかったら、猟兵側も全員が思考力ゼロで阿呆になってたよ……」
 状況終了後、ノインツィヒは割と発育のいい胸を撫で下ろしながら、ミフェットに礼を述べていた。
 ミフェットの歌声の戦闘増加効果が、アハトのユーベルコードの弊害を軽減していたのだ。偶然とはいえ、上手く互いのコンビが補い合った結果、勝ち取れた勝利と言えよう。
「えっと、おねえさん、死んじゃったの……?」
 ミフェットは地面に突っ伏してぐったりしているアハトにオロオロ。
 活動限界時間ギリギリだったアハトへ、ノインツィヒの頭突きがとどめを刺してしまい、結果、アハトは死んでしまった。
 だが、ノインツィヒは平然としていた。
 さもこれが平常運転だと言わんばかりに。
「へーきへーき。あとでスペアの肉体が転送されてきて、記憶も元通りに引き継がれて『生き返る』んだよね? 要するに、バカ姉は実質、不死身だから」
 アリスズナンバーの特性がそれに尽きるわけだが、とボソッとノインツィヒが声を漏らす。その傍らで、ミフェットは不思議そうな顔で、アハトの死体の顔をつんつん突っ付きまわしていた。
「それよりも……カブラギ殿、でしょうか?」
「おう、猟兵諸君、ご苦労さまだ!」
 かんらかんらと笑いながら、『開発チーム』のカブラギ主任が現場の後処理のために駆け付けてくれた。
 そして、ノアはカブラギにどうしても聞きたいことがあったのだ。
「……准将を始めとした、今回の暴動に関わった者たちは、どうなるのでしょうか?」
 これにカブラギは深くため息を吐いたあと、ゆっくりと答えてくれた。
「オブリビオンマシン絡みの犯行は、本人の意志に反して発生するケースが多いと、最近の事件で判明した。だから、フドウ准将に付いてきた兵士達は、長期の謹慎処分程度で済むはずだろう。けど、アイツ……フドウ准将は毛色が違う。アイツは普段からこの国の軍事の姿勢に疑問を唱え続けてきた急進派の一人だ。だからオブリビオンマシンに乗らなくても、何らかの行動を起こしていたかもしれない。その裏付け捜査がこれから始まるってわけだ。……まぁ、これはうちの国の政治色の強いアクションなのだがね。というわけで、残念だが、捜査が終わるまではフドウは懲罰独房から出られないだろう……」
「そう、ですか……」
 ノアは拳を握りしめ、悔しそうな表情を浮かべる。
 これにカブラギが言葉を継いだ。
「けどな? 諸君からの調書で減刑が起こらないとも言い切れない。そして、その調書の作成は、何故か私に一任されていてね?」
 分厚いB5サイズの茶封筒を差し出すカブラギ主任が、ニヤリと笑みを浮かべる。
「諸君に協力してもらえると嬉しいんだが、どうだね?」
 猟兵達はこれに二つ返事で頷いてみせた。

 国家というのは一枚岩ではない。
 だが、互いに理解しようという姿勢を失わなければ、自然と纏まってゆくはずだ。
 猟兵達はこのジャパニアという小国家の行く末が幸多きものであると願いながら、それぞれの帰路に就くのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年11月12日


挿絵イラスト