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クローバーとチョコレートのハロウィンパーティ!

#アリスラビリンス #【Q】 #お祭り2020 #ハロウィン

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「事件発生です。リムは猟兵に出撃を要請します」
 グリモアベースに招かれた猟兵達の前で、グリモア猟兵のリミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は淡々とした口調で語りだした。
「アリスラビリンスにてオウガに支配された『ハロウィンの国』が発見されました」
 8月の迷宮厄祭戦で討伐されたオブリビオン・フォーミュラ『オウガ・オリジン』は、現実改変ユーベルコードによって、幾つもの不思議の国を生み出したり、改変したりしていた。今回発見された「ハロウィンの国」も、彼女に改変された不思議の国のひとつだ。
「この国にはオウガ・オリジンから『悲劇を作る』ために直接力を与えられた凶悪なオウガが潜んでおり、放置しておけば将来の禍根となるかもしれません」
 オブリビオン・フォーミュラが消滅したとはいえ、アリスラビリンスは今だ平和になったとは言い難い。ひとつでも多くの不思議の国をオウガの支配から解放するために力を貸して欲しいと、リミティアは詳しい依頼の説明を始めた。

「転送場所は森の中になります。ここには『四つ葉の使者』という四つ葉のクローバーをこよなく愛するオウガの軍勢がいて、ハロウィンの国の力を利用して強化されています」
 その力の源は、森から飛び出してくる不思議な「コスプレ衣装」にある。どういった原理だかは不明だが、この衣装には身につけているとパワーアップする効果があるようで、オウガ達はみんな多種多様なコスプレをして襲い掛かってくるらしい。
「このパワーアップはオウガに限ったことではないので、皆様も同様に衣装を着て戦うのが得策でしょう。ただ、どんな衣装が森から飛び出してくるかはランダムなので、必ずしも趣味嗜好に沿ったコスプレができるかは分かりませんが」
 もし自分の趣味に合わない衣装が出てきても、オウガを倒すためだと思って我慢して欲しいとリミティアは言う。考えようによっては普段しないような格好をするチャンスかもしれないし――どうしてもイヤなら他の人と衣装交換するか、オウガから衣装を奪うか、まあいろいろと手段はあるだろう。

「四葉の使者達を倒して森を抜ければ、その先には大量の食料が完備された巨大キッチンがあります。そこにいる『悪魔王アマイモン』という名のオウガがこの国のボスです」
 彼女はチョコレートを支配する魔王であり、万物をチョコレート化するという恐るべき権能を誇る。しかもハロウィンの国の法則を味方につけた彼女は、国内ではほぼ無敵となっており、どんな攻撃でも彼女にダメージを与えることはできない。
「アマイモンを倒す方法はただ一つ。それは『美味しい料理を食べさせること』です」
 迷宮厄祭戦で『美食嫌い厨房』の戦いを経験した猟兵なら理解しやすいかもしれない。
 不思議の国の法則によって無敵となったアマイモンは、同時に法則に縛られてもいる。
 猟兵達が料理を作れば、彼女はそれを抵抗できずに食べてしまい、美味しい料理を食べ続けるとだんだん眠くなっていく。そして完全に眠ってしまえば無敵化も解除される。
「ですので、敵の攻撃に耐えながらいかに美味しい料理を作るかが作戦の肝になります」
 アマイモンの好物はもちろんチョコだが、チョコしか食べないわけでもない。むしろ食べ慣れていないものを食わせたほうが、面白いリアクションを引き出せるかもしれない。
 たとえ料理が苦手でも、大事なのは気持ちを込めること。素朴でも真心のこもった料理であればアマイモンは美味いと感じてしまうし、眠気を誘う効果も現れるようだ。

「普段とは勝手の異なる戦いになると思いますが、どうかよろしくお願いします」
 アリスラビリンスには現在「猟書家」とその配下が潜伏していると考えられる。彼らが事件を起こす前にハロウィンの国を解放しておけば、今後の戦いにも何かしらの影響があるだろう。そうでなくともこの国はハロウィンパーティをするにはうってつけの場所だ。
 説明を終えたリミティアは手のひらにグリモアを浮かべると、ハロウィンの国への道を開く。アリスラビリンスの平和のために、そして楽しいハロウィンパーティのために。
「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」



 こんにちは、戌です。
 ちょっと出遅れた感がありますがハロウィン依頼です。不思議なハロウィンの国を占拠するオウガ達を撃退してください。

 第一章は不思議の森を舞台に『四つ葉の使者』との集団戦です。
 敵は森から飛び出してくるコスプレ衣装でパワーアップしているので、こちらも衣装を着て戦いましょう。出てくるものはランダムなので全く望まないような衣装かもしれませんが、イヤイヤでも着ればいっぱいプレイングボーナスがつきます。
(こう書いておけばみんな喜んでいやいや着てくれると思いますって偉い人が言ってました)

 第二章はハロウィンの国のボス『悪魔王アマイモン』との決戦です。
 ハロウィンの国の法則で無敵となったアマイモンを倒すには、美味しい料理を食べさせて眠らせる必要があります。戦場となるキッチンには色んな食材があるので、和洋中華どんな料理でも作れます。
 この戦いは完全に敵が眠ってしまった時点で実質勝利なので、プレイングは「料理を作る」か「敵の攻撃を耐え忍ぶ」かに重点を置いていただければと思います。

 本シナリオは二章構成で、三章はありません。
 この戦いに勝利すればハロウィンパーティ当日、そしてやがて始まるであろう「アリスラビリンスでの猟書家戦」にも、何らかの影響があるかもしれません。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『四つ葉の使者』

POW   :    ぐちゃぐちゃにすれば食べやすいものね?
【クローバーの魔法陣から放つ魔力の矢】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    あなたも素敵な四つ葉になりたいでしょう?
対象への質問と共に、【クローバーの魔法陣】から【白詰草で出来た犬型の怪物】を召喚する。満足な答えを得るまで、白詰草で出来た犬型の怪物は対象を【牙による噛み付きや体当たり】で攻撃する。
WIZ   :    綺麗でしょ、あなたもこの一部になるのよ!
自身からレベルm半径内の無機物を【四つ葉のクローバーと白詰草の嵐】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

フレミア・レイブラッド
コスプレなんて、普段から(ブラッディ・フォールで)色々な格好になってる身としては、今更ね

雪花「おねぇさまは気にしなくても、わたしは恥ずかしいのー…」

可愛い格好で良いじゃない♪貴女達もね♪

【虜の軍勢】で「エビルウィッチ」「狐魅命婦」を召喚

魔女「慣れない格好は恥ずかしいですが…」
狐「ところで、なんで私達が呼ばれたんですか?」

相手の子が植物系で炎が使える貴女達なら優利だと思ってね。
後は普段と違う貴女達の可愛い格好が見たかったのもあるけど♪

敵には【とにかくふぶいてみる】【ファイアー・ボール】【フォックスファイアフィーバー】で対処しつつ、なるべく捕獲を指示。
捕獲した子は【魅了の魔眼】で魅了してみるわ♪



「コスプレなんて、普段から色々な格好になってる身としては、今更ね」
 どんな衣装でも来るなら来いとばかりに、ハロウィンの国にやって来たのはフレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)。彼女がよく使用するユーベルコード【ブラッディ・フォール】は、過去に倒したオブリビオンの力を身に纏うものだが、この時の格好もある種の仮装と言えば確かにそうかもしれない。
「おねぇさまは気にしなくても、わたしは恥ずかしいのー……」
 しかし誰もがそんなユーベルコードを持っているわけでも、コスプレ慣れしているわけでも無く。彼女の眷属である雪女見習いの「雪花」は、顔を赤らめてプルプルしている。
 その格好は雪女らしい白い着物から、頭にウサミミのカチューシャを着けたバニーガールの格好に変わっている。どうやら早速ハロウィンの国の洗礼を受けてしまったようだ。

「可愛い格好で良いじゃない♪ 貴女達もね♪」
 恥じらうバニー雪花に愉快そうに微笑みながら、フレミアは他の仲間にも目を向ける。
 そこには【虜の軍勢】によって召喚された、雪花と同じ眷属達――執事のような黒いスーツを着た「エビルウィッチ」と、赤ずきんの格好をした「狐魅命婦」の一団がいた。
「慣れない格好は恥ずかしいですが……」
「ところで、なんで私達が呼ばれたんですか?」
 キツそうな胸まわりを気にしながら赤面するエビルウィッチ。一方の狐魅命婦は化け狐ゆえコスプレへの抵抗はさほど無い様子で、赤い頭巾を被ったままかくりと首を傾げる。

「相手の子が植物系で炎が使える貴女達なら優利だと思ってね。後は普段と違う貴女達の可愛い格好が見たかったのもあるけど♪」
 フレミアからの返答は、呼ばれた眷属一同が「やっぱり……」と納得するものだった。
 貴種としての誇り高さと義心を持つ一方で、気まぐれで快楽主義。自分達の主人がどういった人物なのか、仕えた期間が長い眷属ほどよく知っているだろう。
「ほら、そう言っていたら来たわよ」
 眷属達のコスプレ姿を堪能したフレミアがすっと指差した先、森の奥から四つ葉のクローバーを周囲に散らせた少女姿のオウガの群れがやってくる。この国を支配する魔王の配下「四つ葉の使者」は、フレミアの眷属と同じように様々なコスプレ衣装を纏っていた。

「あなた達も素敵な四つ葉になりたいでしょう?」
 四つ葉のクローバーをこよなく愛する使者は、白詰草で出来た犬型の怪物をフレミアにけしかける。対する雪花・エビルウィッチ・狐魅命婦の三組は即座に迎撃体勢を取った。
「なるべく殺さずに捕まえなさい」
「わかったの、おねぇさま~」
 捕獲せよとのフレミアからの指示を受けて、バニー雪花は【とにかくふぶいてみる】。
 ふうと軽めに吹いたつもりが、ハロウィンの国のルールによって強化されたユーベルコードは普段以上の大吹雪となって、襲い掛かる白詰草の魔犬を一瞬で凍らせてしまった。

「すごい力……恥ずかしい思いをする意味はありますね」
 森から与えられるコスプレ衣装を着るとパワーアップするのがこの不思議の国の法則。
 雪花に続いて執事服のエビルウィッチが【ファイアー・ボール】を放つと、森の中で巻き起こる大爆発が凍りついた魔犬を焼き尽くし、爆風が四つ葉の使者達に襲い掛かる。
「逆に火加減するのがちょっと大変かも」
 敵の体勢が崩れたところで【フォックスファイアフィーバー】を発動した赤ずきんの狐魅命婦が弾幕を放ち。上空を真っ青に染め上げるほどの無数の青い炎の弾幕が降りしきり、敵のコスプレ衣装を焦がしていく。

「な、なにこれ~?!」
 敵もコスプレ衣装でパワーアップしていたはずだが、虜の軍勢の力はそれ以上だった。
 あっという間に衣装を燃やされた挙げ句に凍らされて捕まえられた四つ葉の使者達は、彼女らの主人であるフレミアの御前まで引っ立てられる。
「わたしの僕になりなさい……あなたはもう、わたしのトリコ♪」
 いつの間にかエンパイアの陰陽師のような狩衣に着替えた吸血姫が【魅了の魔眼・快】で見つめれば、力の差を思い知ったオウガ達はあっという間に快楽の魔力に魅了された。
 口々に「四つ葉も好きだけど、あなたも大好き~!」と言って降伏する使者達を、満足そうな笑顔で受け入れて。また新たな眷属を軍門に加えるフレミアであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雛菊・璃奈
コスプレ…なんだかいつもの服装じゃないのが落ち着かないけど…(呟きつつ、淡々と衣装に着替えて)

「メイド服が!」
「メイドじゃなくなる!」
「アイデンティティーの崩壊!」

ラン達にはそれ程の事なんだね…。凄くガーンって顔で沈んでる…。

相手のクローバーと白詰草を黒桜の呪力解放【呪詛、衝撃波、なぎ払い、早業】で迎撃して吹き飛ばし…。
敵の攻撃を凌いだら、【呪詛】で強化した【unlimited】の一斉斉射とラン達の【暗器】による一斉攻撃で仕留めていくよ…。

大人しそうな見掛けによらず、随分と物騒な名前のUCだね…。
そういえば、元からメイド服のラン達は敵のコスプレのメイド服を奪って着ても効果あるのかな…?



「コスプレ……なんだかいつもの服装じゃないのが落ち着かないけど……」
 そう呟きつつ、雛菊・璃奈(魔剣の巫女・f04218)は森の中から飛んできた衣装に淡々と着替える。いつもの露出度高めの巫女装束に替わって彼女が纏うのは暖帽と補褂、それに額に貼り付ける御札。UDCアース等でキョンシーと呼ばれる魔物の仮装だった。
 どういったチョイスでこの衣装が飛んできたかは分からない。ランダムだと説明されていたしその通りなのだろう。璃奈にとっては少し違和感がある程度のことだが――その程度ではない者達もいた。

「メイド服が!」
「メイドじゃなくなる!」
「アイデンティティーの崩壊!」

 飛んできたトランプ兵のコスプレ衣装を前にして、がっくりと地に膝を突いているのは璃奈に仕えるメイド人形のラン、リン、レン。己の生業であるメイドという立場と、その象徴とも言える格好に並々ならぬこだわりがあるらしく、ショックを隠しきれずにいた。
「ラン達にはそれ程の事なんだね……。凄くガーンって顔で沈んでる……」
 思わず声をかけるのも躊躇われるような落ち込みようだが、敵も待ってはくれない。コスプレ衣装に続いて森の中から「四つ葉の使者」の軍勢がやって来るのを見ると、キョンシーに仮装した璃奈は呪槍・黒桜を手にして戦いの構えを取った。

「ハロウィンと四つ葉~♪ なんて素敵な組み合わせなのかしら~♪」
 様々な仮装に身を包み、歌いながら森の中を練り歩く使者達の足元から、ぽぽんと音を立てて四つ葉のクローバーと白詰草が咲き乱れる。ゆるふわな少女達の動きに合わせて草花が舞い踊る様子はとてもファンシーではあるが、見た目に騙されれば痛い目にあう。
「綺麗でしょ、あなたもこの一部になるのよ!」
「大人しそうな見掛けによらず、随分と物騒な名前のユーベルコードだね……」
 猟兵達をも呑み込まんとする四つ葉と白詰草に対して、璃奈は黒桜をさっとひと振り。
 呪槍に籠められた呪力が解放され、黒い桜の花吹雪がクローバーの嵐を吹き飛ばした。
 コスプレ衣装を着用中は猟兵もオウガも平等にパワーアップする、それがハロウィンの国の法則。条件が同じなら本来の地力で勝るキョンシー璃奈が、数こそ多いとはいえ並大抵のコスプレオウガに負けるはずが無い。

「そういえば、元からメイド服のラン達は敵のコスプレのメイド服を奪って着ても効果あるのかな……?」
「「「……!!!」」」
 四つ葉の攻撃を迎撃しながら、敵の格好を見ていた璃奈がふと思いついたことを呟く。
 落雷に打たれたような勢いでそれに反応したのは、今だ項垂れていたメイド達だった。
「ご主人! 名案!」
「その手があった!」
「メイド服からメイド服に!」
 自らのアイデンティティを保ちながら敵を倒す勝機を見出した彼女達は、こうしてはいられないとばかりに四つ葉の使者達に挑む。結果的に焚きつける格好となった璃奈は「まあ……やる気が出たならいいかな……?」と、首を傾げながら魔剣の群れを召喚する。

「呪われし剣達……わたしに、力を……『unlimited curse blades』……!!」
 魔剣の巫女の魔力にて生み出され、呪詛により強化された、数百本に及ぶ魔剣の現身。
 その一斉斉射が、新しいメイド服の獲得に燃えるラン達の【暗器】と同時に放たれた。
「えっ、ちょっ、ちょっと待って~~~?!」
 主従による渾身の一斉攻撃を受けて、為す術もなくなぎ倒されていく四つ葉の使者達。
 その中にはラン達が望んでいた、メイドのコスプレ衣装を着たオウガも混じっていた。

「「「メイド服ゲット!」」」

 奪ったメイド服に早着替えしたラン達は、先程までの沈みようとは一転して意気揚々と敵を仕留めていく。どうやら敵から奪った衣装でもパワーアップはちゃんとするらしい。
「良かったね……」
 元気になったメイド達に内心で少しほっとしつつ、璃奈も呪槍と魔剣で敵を討ち払う。
 呪詛と刃の嵐によって散らされていくクローバーの中に、オウガ達の悲鳴が木霊した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎
コスプレ衣装は何でもOK

オリジンを倒したと言っても、奴の残滓はまだそこかしこに残っているか
フン、迷惑極まりない話だ

シガールQ1210を敵集団に向けて乱れ撃ち
放たれる魔力の矢と一緒に撃ち抜いていく

なるほどね、これがそのコスプレ衣装か…
本当に、迷惑な話だな、まったく…

早着替えでコスプレ衣装に着替えUCを発動
大地を蹴りつけ高速でダッシュしながら敵集団に強烈な蹴りとそれによって生じた衝撃波で攻撃を行う
敵が放った魔力の矢は高速ダッシュで避けるか蹴りで叩き落し、恥ずかしさを気合いで抑えて戦おう

とは言え、この服に慣れたらそれはそれでまた嫌な話だ
とっととお前達を叩きのめして先に進ませてもらうぞ



「オリジンを倒したと言っても、奴の残滓はまだそこかしこに残っているか」
 オウガ・オリジンのユーベルコードによって改変された『ハロウィンの国』を訪れたキリカ・リクサール(人間の戦場傭兵・f03333)は、一見すると童話の中のようにファンシーだが、邪悪なオウガの気配に満ちた不気味な森で、至極不快そうに眉をひそめた。
「フン、迷惑極まりない話だ」
 いつまでもこんな国が残っていては住民達も不安だろう。この世界に真の安寧をもたらすために、彼女は強化型魔導機関拳銃"シガールQ1210"をオウガの集団に向けて乱れ撃つ。秘術にて強化された銃弾の雨がコスプレした『四つ葉の使者』達に降り注いだ。

「いたたっ、いた~いっ」
「なにするのよ~、もう~」
 魔弾の洗礼を受けたオウガ達は悲鳴を上げるが、コスプレ衣装を着てパワーアップした彼女らは簡単には倒れない。ドラゴンの皮膚すら貫くと言われるシガールの銃弾で撃ち抜けないとは、一体その衣装はどれだけ頑丈なのか――少々理不尽なものを感じてしまう。
「お返しよ!」
「ぐちゃぐちゃにすれば食べやすいものね?」
 使者達が指先ですっとクローバーの魔法陣を描くと、その中から魔力の矢が放たれた。
 キリカは機関拳銃の設定をフルオートに切り替え、銃弾のばら撒きで矢を撃ち落とす。
 魔法と科学の力による激しい銃撃戦が繰り広げられるが、どちらも拮抗を崩すには至らない。そんな最中、キリカの元にひゅーんと一着の衣装セットが飛んできた。

「なるほどね、これがそのコスプレ衣装か……」
 キリカは片手でシガールのトリガーを引いたまま空いた手で衣装をキャッチしてみる。
 それは狼の頭部と毛皮を模したフード付きのマントに、やはり狼の前足を模したぶかぶかの大きな手袋。どうやら狼男のコスプレ衣装セットらしい。
「本当に、迷惑な話だな、まったく……」
 どういったチョイスでこんなモノを寄越したのかと溜め息を吐きながら、彼女は弾幕が自分の姿を隠す一瞬のうちに狼男衣装に着替えると、ダンと思い切り大地を蹴りつけた。
 若干苛立ちも混じっていそうな力強い踏み込みに「アンファントリア・ブーツ」の運動能力強化。そしてコスプレ衣装によるパワーアップが、驚異的なダッシュ力を生みだす。

「ふぇっ?!」
 四つ葉の使者達がまばたきをする一瞬の間に、キリカは魔力の矢をくぐり抜けて敵の目前に迫っていた。その速度のまま叩きつけられるのは【サバット】による強烈な一蹴り。
「吹き飛べ」
 極限まで高められた能力をシンプルかつ最大限に活用したその蹴りはもはや人間技ではなく。直撃地点には艦砲射撃でも受けたような穴が開き、衝撃波が敵集団を吹き飛ばす。
「きゃああぁぁぁぁ~~っ?!!!!」
 さながら落ち葉や雑草を散らすかのように、悲鳴を上げてなぎ倒される四つ葉の使者。
 同じくコスプレ衣装を纏った条件下であれば、下っ端オウガに猟兵が遅れを取る道理はない。着慣れない格好に対する恥ずかしさを気合いで抑えながら、人狼キリカは居並ぶ敵を文字通り"蹴散らして"いく。

「とは言え、この服に慣れたらそれはそれでまた嫌な話だ」
 ハロウィンの国のコスプレ衣装の力は確かに凄まじい。だからと言って恥じらいまで忘れてしまったら、力とは違う何かを見失いそうな気がする。こういう格好はたまに――それこそハロウィンの仮装行列など、特別な日にやるくらいが丁度いいのかもしれない。
「とっととお前達を叩きのめして先に進ませてもらうぞ」
 なおもまばらに飛んでくる魔力の矢を蹴りで叩き落とし、俊足で接近して蹴り飛ばし。
 クールな人狼傭兵の疾走を止められるオウガは、もはやここには1人もいなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

斬断・彩萌
ほほーん、コスプレ衣装ねぇ
ま、あんまりにも過激なのじゃなきゃ良いんじゃない?
こういうのはノリが大事なのよ
(客観的に見て似合いそうだったらノリノリで、似合わなさそうだったら渋々着ます)

さて、着替えたところでいざ戦闘
コスプレの力をとくと見よーっ!ってネ
サイコキネシスで森の枝とかをブチ折って矢にして攻める
他にも動かせそうなものはガンガン使って攻撃

あなたのそのクローバーの仮装もとっても素敵ね
え、それは仮装じゃない?
ふぅん、じゃあ趣味なんだ。趣味でそんなネグリジェみたいな…
いや、人の好みに口出しするのは良くないわね
私だって今こんな格好なんだし
さくっと倒してボスまで行くわよー

NG:水着以上に露出が多いもの



「ほほーん、コスプレ衣装ねぇ。ま、あんまりにも過激なのじゃなきゃ良いんじゃない?」
 不思議なハロウィンの国にやって来た斬断・彩萌(殺界パラディーゾ・f03307)は、さっそく自分の元に飛んできた衣装を確認する。なぜかサイズぴったりのそれは、やや深めのスリットの入ったワンピースタイプの民族衣装――いわゆるチャイナドレスだった。
 染め色は薔薇や炎を思わせる鮮烈な紅色で、普段と印象は変わるが客観的にも似合いそうである。まあ悪くないじゃないのと彼女も割とノリノリの様子で、木陰に紛れて素早く衣装を着替える。

「こういうのはノリが大事なのよ」
 着替えを終えたチャイナ彩萌は、折よくやって来たオウガ達を見て、いざ戦いに挑む。
 全身からサイキックエナジーをオーラのように立ち上らせ、カンフー映画のように見様見真似でポーズをキメてみたりすると、何故だかいつもよりも力が湧いてくる気がする。
「コスプレの力をとくと見よーっ! ってネ」
 漲るパワーのままに、適当な木の枝を【サイコキネシス】でブチ折って矢にして放つ。
 勢いよく飛んでいった矢は、運の悪かった『四つ葉の使者』の心臓にぶっ刺さった。

「うぎゃっ?!」
 断末魔の悲鳴を上げてばったりと倒れる四つ葉の使者。一撃で仲間を瞬殺されたことで、他のオウガにも動揺が走る。その隙に彩萌は目についた枝や石ころなど、動かせそうなものを手あたり次第に使って敵集団目掛けて投げつける。
「この力があれば、ひょっとしてこれもいける?」
 試しにちょっとサイコキネシスに力を込めてみると、メリメリメリッと音を立てて近くに植わっていた大木が根っこから引っこ抜ける。それを見て「ちょっ?!」と青ざめるオウガ達に、にんまり笑いながらブン投げてやれば、敵陣はさらなる阿鼻叫喚に包まれた。

「ちょちょちょ、これヤバいって、ヤバいって~」
「ぐちゃぐちゃにする前に、ぐちゃぐちゃにされちゃう~!」
 慌てふためく四つ葉の使者達は、クローバーの魔法陣から魔力矢を放って迎撃しようとするが。同じようにコスプレ衣装を着ていても地力の差で劣る彼女達は、サイキックパワーをガンガン使った彩萌の怒涛の攻めにまるで対抗できていない。
「あなたのそのクローバーの仮装もとっても素敵ね」
「これはコスプレじゃないわよ~!」
 ポイポイと大木や巨岩を投げつけながら、彩萌はふと気になった格好のオウガに声をかけてみる。が、返ってきたのは意外な答え。四つ葉に対するこだわりが特に深い使者の中には、敢えてコスプレをせずに普段着のままでいる連中もいたようだ。

「ふぅん、じゃあ趣味なんだ。趣味でそんなネグリジェみたいな……いや、人の好みに口出しするのは良くないわね」
 私だって今こんな格好なんだし、と真っ赤なチャイナドレスの襟をつまむ彩萌。どんなコスプレ衣装が飛んでくるかはランダムなので、ひょっとすれば自分もあの四つ葉の使者のような、あるいはもっと恥ずかしい格好だったかもしれないのだ。
「んじゃ、それはそれとして。さくっと倒してボスまで行くわよー」
「ふぎゃうっ!!」
 コスプレしていない下っ端オウガなど、なおのこと彼女の敵ではない。アイデンティティであるクローバーの衣装ごと四つ葉の使者をふっ飛ばし、道を切り開くチャイナ彩萌。
 木々も岩石も根こそぎ武器に使われた後の戦場は、さながら台風一過の如しであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

播州・クロリア
こちらの戦意を喪失させるような
とても嫌な改変ですね
オウガ・オリジンらしさがよく出ています
さて、コスプレの森をまず突破する必要がありますが
手足のない芋虫のようなコスプレ衣装でもない限りは大丈夫ですし
たとえ芋虫のコスプレだとしても体をひねり動かすことで
芋虫のコスプレで見事に『ダンス』をやり切って見せます
後はUC【蠱の宴】で敵の動きを遅くした後『衝撃波』や
『念動力』で木々を持ち上げて敵にぶつけて攻撃することで
森を突破するとしましょう
大丈夫、私ならやれるはずです



「こちらの戦意を喪失させるような、とても嫌な改変ですね」
 奇妙なハロウィンの法則に支配された不思議の国で、播州・クロリア(リアを充足せし者・f23522)はふうと小さく溜め息を吐いた。本人の意思を無視したコスプレを強制してきたり、料理を食べさせないと敵を倒せなかったり――本来の楽しいハロウィンを歪めたような趣向に、やる気の削がれるそこはかとない悪意(ダラキュ)が感じられる。
「オウガ・オリジンらしさがよく出ています」
 さっさとこんな国は攻略してしまおうと、少女はオウガの潜む森に足を踏み入れた。

「さて、コスプレの森をまず突破する必要がありますが」
 たとえどんな衣装を寄越されても問題はないはずだと、クロリアは自信がある様子だ。
 彼女の戦闘スタイルは、ダンスによって生み出す旋律から力を得るというもの。恥ずかしさを抜きにして考えれば、踊ることのできる格好でさえあれば戦いに支障はない。
「手足のない芋虫のようなコスプレ衣装でもない限りは大丈夫ですし――」
 そう呟いた瞬間、ひゅーんと森から何かが飛んできて、彼女の頭にこつんと当たった。
 最初は緑色の寝袋かと思ったそれは、よく見ると虫のような触覚や斑点模様が付いている。青虫を主人公にした童話があるが、どうやらそれをモチーフにした仮装のようだ。

「……とてもダラキュです」
 この国の、ひいてはオウガ・オリジンのそこはかとない悪意を改めて感じながら、クロリアは青虫のコスプレ――と言うよりは着ぐるみを見る。できれば違う衣装を要求したいところだったが、折悪しく森の奥から『四つ葉の使者』の集団がやって来るのが見えた。
「大丈夫、私ならやれるはずです」
 他に選択肢は無いと悟ったクロリアは、意を決してもそもそとコスプレ衣装を着込む。
 コスプレした敵に対抗するために、自ら"手も足も出ない"状態にならなければならないという矛盾。しかし彼女の目はまだ諦めてはいなかった。

「たとえ芋虫のコスプレだとしても、体をひねり動かすことで……」
 芋虫クロリアはくねりくねりと身をよじり、器用にバランスを取りながら全身で旋律を刻む。コスプレ衣装を着た効果そのものは確かに現れており、手足が自由にならないことを除けば、身体はむしろ普段よりも軽いくらいだ。
「なにしてるの~?」
「芋虫なんかより、あなたも素敵な四つ葉になりたいでしょう?」
 そこにやって来た四つ葉の使者達は、彼女の奇妙な動きに首を傾げながら白詰草で出来た犬型の怪物をけしかける。鋭い牙や体当たりで襲ってくる怪物に対して、クロリアは芋虫状態のままひょいっと身を躱し。回避の動作も振り付けの一部にして踊り続ける。

「楽しんでますか? 私は楽しいです。リアです」
 たとえ不本意な状態でも、やってみれば次第に気持ちが上向いてきたようで。芋虫のコスプレで見事にダンスをやり切ってみせたクロリアは、反撃の【蠱の宴】を発動させる。
 このユーベルコードは彼女のダンスが生み出した旋律を「楽しんでいない」者の行動を減速させる。まるで時の流れがゆっくりになったように、オウガと魔犬の動きが鈍った。
「あ~~れ~~? な~に~こ~れ~~?」
 スローモーションで動揺する敵に、唯一等速で動けるクロリアは旋律の衝撃波を放つ。
 芋虫のダンスから生み出される不可視の力が、突風のように敵集団を吹き飛ばした。

「こんな森は早く突破するとしましょう」
 そう言ってクロリアは近くにあった木々を念動力で持ち上げると、目についた敵に勢いよくぶつける。相手視点から見れば5倍のスピードで襲ってくる巨大な質量のカタマリを避けられるはずもなく、オウガ達は「みぎゃっ?!」と悲鳴を上げてなぎ倒されていく。
 そうして切り開いた道を、彼女は芋虫のままぴょんぴょんと進んでいくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
鶏の着ぐるみは兎も角、バニー、そして今度は…
( 装甲の上からホワイトブリム、エプロンドレス、ロングスカート、『メイド騎士ウォーマシン(男)』という悲惨な絵面)
メイドですか…

この森は私の騎士道を試しているのでしょうか
いっそ機能停止したくなります…

しかしこのスカート、何故か重量が…
(ゴトリ、と重火器が裾から落下、●世界知識の余計な閃き)
…『武装メイド』


失礼いたします、お嬢様方
将来訪れるアリスの皆様の為、ここをお引き取り願います

(カーテシーと同時、バズーカ、ミサイル、ガトリング、多種多様な重火器が顔覗かせアンカーの補助用いて手元に引き寄せ乱射)

…この姿を見た方は一人たりとも逃しはしません!(←本音)



「鶏の着ぐるみは兎も角、バニー、そして今度は……」
 これまでにも別のハロウィンの国の攻略に携わってきたトリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)は、今回はどんな衣装が飛んでくるか戦々恐々としていた。
 果たして、森の中からひゅーんと飛んできたのは、ホワイトブリムとエプロンドレス、そしてロングスカート――クラシカルな白と黒のメイド服が装甲の上から装着される。
「メイドですか……」
 誕生、メイド騎士ウォーマシン(男)。いささかコメントに困る悲惨な絵面となった彼の気分は、コスプレ効果により機体出力が向上していくのとは対照的に急降下していく。

「この森は私の騎士道を試しているのでしょうか。いっそ機能停止したくなります……」
 かつて無いほどの試練に(ある意味)直面しながら、しかし騎士を名乗る者としてここで撤退する訳にもいかない。作戦目的を果たすため、この森を抜けるまでの辛抱だと自分を誤魔化しつつ、トリテレイアはスカートを翻しながら森の中をスラスターで疾走する。
「しかしこのスカート、何故か重量が……」
 サイズに関しては気味が悪いほどピッタリだが、走っていると若干の違和感がある。
 トリテレイアが首をひねった直後――ごとり、と音を立てて裾から落下したのは無骨な重火器。それを見た騎士の電子頭脳が、豊富なデータベースの中から余計な閃きを得た。

「……『武装メイド』」

 ところ変わってハロウィンの森の奥では『四つ葉の使者』達が迎撃体勢を整えていた。
 セーラー服にピエロ、バニースーツに吸血鬼――およそ統一感のないコスプレ衣装に身を包んだ彼女達のパワーは、ハロウィンの国の法則によって何倍にもアップしている。
「どんな敵がやって来ても負けないわ~」
「みんなぐちゃぐちゃにして食べてあげる!」
 と、自信たっぷりな彼女らの元に、ズシンズシンと足音を立てて誰かが近付いてくる。
 すぐさま空中にクローバーの魔法陣を描いて、魔力の矢を放つ構えを取るが――木陰の奥から出てきた「それ」に、四つ葉の使者達は一人残らず目を疑った。

「失礼いたします、お嬢様方。将来訪れるアリスの皆様の為、ここをお引き取り願います」
 騎士――いやさ使用人らしい丁寧な物腰と口調でオウガに告げたのは、一分の皺も弛みもなくエプロンドレスを着こなした武装メイド騎士ウォーマシン(身長285.2cm)。
 騎士兜を模した頭部装甲の上に戴くのは、メイドの証たるホワイトブリム。唖然とするお嬢様方の前でカーテシーを行うと、バズーカ、ミサイル、ガトリング、多種多様な重火器がスカートの中から顔を覗かせる。
「「―――――!!!?!????????」」
 四つ葉の使者達の驚愕は言葉にならなかった。当然だろう、本人でさえ形容しがたいこのコスプレを一体どう言い表せというのか。圧倒的インパクトに戦闘中だという事さえ一瞬忘れた、そんな彼女らに武装メイド騎士ウォーマシンは情け容赦なく攻撃を仕掛ける。

「お掃除を開始致します」
 ワイヤーアンカーの補助を用いて手元に引き寄せた重火器を手あたり次第に乱射する、ヤケクソじみた【戦場の騎士】。誇りとか尊厳とか色々なものをかなぐり捨てたコスプレの効果は絶大で、銃声と爆音が森に木霊し、凄まじい弾幕と爆風が敵を吹き飛ばす。
「……この姿を見た方は一人たりとも逃しはしません!」
「みきゃああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!??!!???」
 爆音と悲鳴の中に紛れた本音は、幸いなことに誰にも聞かれることはなく――より正確には、聞いた上で生き延びることができた者はなく。戦場が静けさを取り戻す頃には森の一角が焦土と化していたという報告だけが、そこで何が起こったのかを物語っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カビパン・カピパン
不思議な森から出てきたコスプレ衣装。
「…こ、これは!?」


「見つけた!」
続けて飛び出してくるのは四つ葉の使者達。
最初が肝心だと、一発ガツンとかまそうする。
が、コスプレしたカビパンを見た瞬間硬直した。

何故なら―

「私の名はタイガーマスク。虎の穴から派遣されてきた!」
カビパンは虎だ。虎だった。

「白い~マットの♪ジャングールーに♪」
音痴歌を熱唱する虎。

「悪党共…私の正義のファイトで改心させてやる!」
ビシッと四つ葉の使者を指差し宣言する虎。
ファースト・インパクトからずっと硬直している四つ葉の使者は低空ドロップキックで転ばされた後、垂直落下式ブレーンバスターを叩き込まれ、脳天から地面叩きつけられて気絶した。



「……こ、これは!?」
 ハロウィンの国を訪れたカビパン・カピパン(女教皇 ただし貧乏性・f24111)の元にひゅーんと不思議な森から出てきたコスプレ衣装。それを見た瞬間、いつも自分のノリとペースを崩さない彼女にしては珍しく、目を丸くしながら驚きの声が口をついて出た。
「見つけた!」
 続けて森から飛び出してくるのは、様々なコスプレ衣装に身を包んだ四つ葉の使者達。
 何事も最初が肝心だとクローバーの嵐を吹かせ、まずは一発ガツンとかまそうとする。
 が、コスプレしたカビパンを見た瞬間、彼女らは出鼻をくじかれピシリと硬直した。
 何故なら――。

「私の名はタイガーマスク。虎の穴から派遣されてきた!」

 カビパンは虎だ。虎だった。服装はほぼいつも通りのそれだが、異なるのは虎を模した頭部を覆うマスクと、大きな虎縞模様のマント、そして腰に巻かれたチャンピンベルト。
 ガチな虎のコスプレではなく、言ってしまえばプロレスラー的なやつだった。不思議の国なのにウサギの穴でなく虎の穴なのかよと、冷静なツッコミができる者は誰もいない。
 虎カビパンは唖然としている四つ葉の使者達をよそに、聖杖をマイクのように持って徐ろに歌い始める。このコスプレに相応しいテーマソングは、どう考えても一曲しかない。

「白い~マットの♪ ジャングールーに♪」

 絶妙に音程の外れた不快感MAXの音痴歌をノリノリで熱唱するカビパン。いや、この瞬間彼女の魂は間違いなく虎だった。風もないのにマントも勝手にバサバサと翻っている。
 ラスサビまで歌いきってから、満足した虎はぽいとマイクを放り捨て、マントも脱いで構えを取る。マットもロープも無いのに何故だかリングが見えるような気がする。それは【ハリセンで叩かずにはいられない女】の作り上げたギャグ時空に侵食されている証だ。

「悪党共……私の正義のファイトで改心させてやる!」
 ビシッと四つ葉の使者を指差し宣言する虎カビパン。しかしファースト・インパクトからずっと硬直している敵に、何かを言い返す余裕は無い。ただでさえ音痴歌の熱唱を聞かされてメンタルと三半規管にダメージを負っているのに、これ以上どうしろというのか。
「とうっ!!」
「げふっ?!」
 勇ましい掛け声と共に低空ドロップキックが土手っ腹に突き刺さり、すっ転ばされる四つ葉の使者。すかさず虎カビパンは相手の首と腰を掴んで逆さまに持ち上げると――。

「必殺! 垂直落下式ブレーンバスター!」

 技名の通り、脳天から地面に向かって垂直に叩き落とす。プロレス技の中でもまさに「必殺」の呼び名に相応しい危険と難易度を誇る大技を受けて無事でいられる者はいない。
 強かに脳天強打した四つ葉の使者はノックアウト、そのまま二度と起き上がってくることはなかった――良い子は真似しないように。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『悪魔王アマイモン』

POW   :    チョコラテ・ウォール
【万物をチョコ化するチョコレートの津波】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    チョコレート・ウォー
【チョコレートで出来た悪魔の軍勢】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ   :    チョコラテ・イングレス
非戦闘行為に没頭している間、自身の【主催する鬼ごっこの不参加者と捕まった者】が【チョコレート化する魔王の権能を発動】、外部からの攻撃を遮断し、生命維持も不要になる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠シスカ・ブラックウィドーです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 四つ葉の使者達との戦いに勝利を収めて、不思議なコスプレの森を突破した猟兵達。
 そこで彼らを待っていたのは広大なキッチンと甘ったるいチョコレートの香り、そしてその真ん中でふんぞり返っている童女姿のオウガであった。

「ふっ。わらわの所までやって来るとは、なかなかやるようじゃな」

 容姿に見合わぬ言葉遣いで、チョコレート色のツインテールを揺らしながら語るその童女こそ、このハロウィンの国を支配する『悪魔王アマイモン』である。見た目にこそ子供が背伸びをしているような可愛らしさがあるが、小柄な身には膨大な魔力が漲っている。

「しかし! この国でわらわを倒すことなど不可能! ハロウィンの国の法則を味方につけたわらわは絶対無敵、完全無欠、常勝無敗のパーフェクト魔王なのじゃ!」

 アマイモンの言葉に間違いはない。オウガ・オリジンに改変された不思議の国の恩恵を一身に受けた彼女は、いかなる手段を以てしても一切ダメージを与えることができない。
 その上でアマイモン自身も魔王の名に恥じぬだけの実力を有するオウガであり、その権能は万物をチョコレート化するという恐るべきもの。たとえ猟兵達であっても、このままでは一方的に彼女のおやつになってしまう。

「まあ美味しいものを食べたらわらわ眠くなっちゃって、寝ちゃったら無敵能力も解除されてしまうけど。魔王であるわらわの舌を唸らせる料理なんて作れるわけないし~? 何も問題はないのじゃ!」

 ――この言葉にも間違いはない。美味な料理こそがアマイモンを撃破する唯一の手段。
 ハロウィンの国の法則により、アマイモンは誰かが作った料理を絶対に食べなければならない。そして美味しい料理や気持ちの籠もった料理を食べ続ければ眠ってしまうのだ。
 完全に眠ってしまった魔王は無敵能力も失うため、猟兵達の戦いはいかに彼女を満足させられる料理を作るかに掛かっていると言えるだろう。

「さあ行くぞ猟兵ども! お前たち一人残らずわらわのチョコにしてやるのじゃ!」

 無論、アマイモンも悠長に料理が完成するのを待ってくれはしない。チョコレートの権能を操る彼女の猛攻をどう凌ぐかは、どんな料理を作るのかと同じく重要な課題である。
 猟兵達が倒れるのが先か、アマイモンが眠ってしまうのが先か――ハロウィンの国を巡る決戦の火蓋がここに切って落とされた。
播州・クロリア
何と恐ろしい
チョコレートになったら踊れないではありませんか
ここはオウガ・オリジンも泡を吹いた
最高の料理で切り抜けるとしましょう
(目を閉じ、すっと手を真横にピンと伸ばすと{絢爛の旋律}で『ダンス』を始める)
このリズムは今から生まれる料理への注がれる栄華のリズム
邪魔をしないでいただきたいですね
(ダンスに乗せた『催眠術』による認識阻害で生み出した『残像』を囮にして攻撃を回避しつつ『衝撃波』と『念動力』でチョコレートを遠ざける)
食材と調理と想いのリズムの見事な調和で生まれた
このカボチャの煮っ転がし
冷めないうちにどうぞ召し上がれ
(UC【蠱の一念】発動)



「何と恐ろしい。チョコレートになったら踊れないではありませんか」
 万物をチョコ化させる脅威の悪魔王アマイモンを前にして、リアは小さく身震いする。
 まずチョコレートにされたら踊る前に命が危ういと思うのだが、彼女にとっては戦いの技であるという以上に大切な踊りを奪われるほうが余程の一大事らしい。
「ここはオウガ・オリジンも泡を吹いた、最高の料理で切り抜けるとしましょう」
 目を閉じて、すっと手を真横にピンと伸ばすと、奏で始めるのは「絢爛の旋律」。蒼天に輝く太陽と、陽光に照らされ輝く大地を表現したリズムに合わせて、力強く舞い踊る。

「むむ? 何のつもりじゃ貴様、わらわとの戦いに集中するのじゃ!」
 いきなりダンスを始めたクロリアを訝しんだアマイモンは、全身にみなぎる魔力を放出してチョコレートの津波を引き起こす。この【チョコラテ・ウォール】に呑まれたが最後、ヒトは恐怖と苦悶の中でチョコの彫像と化し、魔王のおやつにされてしまうだろう。
 対するクロリアは怒涛の勢いで押し寄せるチョコを見ると、不快そうに触覚を揺らす。
「このリズムは今から生まれる料理への注がれる栄華のリズム。邪魔をしないでいただきたいですね」
 芋虫コスプレから解放されて自由になった腕と足を動かし、一層激しく旋律を刻めば、念動力の衝撃波がチョコの津波を遠ざける。敵本体への攻撃は無効でも、敵の攻撃を防ぐことはできる――その間にキッチンに並ぶ食材の中から、新鮮で美味しそうな物を選ぶ。

「むむむ?! 踊りながらわらわの攻撃を防いだじゃと?!」
 プライドの高いアマイモンはムキになってチョコの津波を連発するが、キッチンの中を舞い踊る少女には飛沫一つかからない。悪魔王が力負けしている訳ではなく、クロリアがダンスに乗せて放った催眠術が認識阻害を引き起こし、攻撃の狙いを狂わせているのだ。
「このっ! このっ! 当たるのじゃー!」
 クロリアが踊る姿を凝視する内にまんまと催眠に掛かってしまったアマイモンは、自分では気付かないまま相手の残像を追って攻撃を繰り返している。本物のクロリアはとっくにチョコ津波の範囲から逃れ、トントントンと小気味良く食材を刻んでいるというのに。

「ダンスも料理もテンポが大事です」
 踊りを続けながら第六感の導きに沿って、キレイに食材を切り分けてお鍋に放り込む。
 それは料理の経験の浅いクロリアが、オウガ・オリジンとの戦いで身につけた調理法。想いを込めたダンスに合わせて、正しい調理を本能の赴くままに導き出す【蠱の一念】。
 美味しさが逃げないようオーラで壁を作り、野菜の旨味をギュッと閉じ込めたまま煮込むこと暫し。蓋を開ければフワッと真っ白な湯気と一緒に美味しそうな匂いが立ち上る。

「な、なんじゃ?!」
 囮を追わされていたアマイモンの動きが止まる。ハロウィンの国の法則によって彼女は無敵の力を得た代わりに、このキッチンで提供された料理を必ず食べなければならない。
「このカボチャの煮っ転がし。冷めないうちにどうぞ召し上がれ」
 クロリアが作ったのは豪勢なご馳走というよりは家庭の食卓に並ぶような素朴な一皿。
 しかし食材と調理と想いのリズムの見事な調和で生まれたその煮っころがしは、魔王にとっては黄金のように光り輝いて見えた。

「こっ……これはぁぁ……美味いッ! シンプルな料理だからこそ、カボチャの切り方や大きさ、味付けの加減によって完成度は大きく変わる! その点こいつは完璧じゃッ!」
 誘惑に抗えずお箸を手に取ったアマイモンは、クロリアの作ったカボチャの煮っ転がしをもぐもぐと食らいながら褒め称える。食べているうちに魔王の目元はとろんと垂れて、口からは小さなあくびが漏れた。
「むむ……いかん、ちょっと眠くなってきた……」
 想いのこもった美味しい料理には、悪いオウガを眠らせる力がある。魔王自身も口にしていたこの国のルールは本当のようだと、踊る料理人クロリアは静かに笑みを浮かべた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フレミア・レイブラッド
確かに「美食嫌い厨房」を思い出すわね…。
なら、あの時と同様、眷属の力を借りるとするわ。

【虜の軍勢】で「メイド・ライク・ウェーブ」で眷属にした「万能派遣ヴィラン隊」(総勢多数)を召喚。
【あらゆるニーズにお答えします】でハロウィンの国という事で、ハロウィンに因んだ料理(カボチャスープやピザ等、ハロウィンパーティで出る様な料理)を指示するわ。

ヴィラン隊が料理してる間は邪魔されない様に【念動力】の結界を張り、更に敵のUCの軍勢を凍結の魔力弾【高速・多重詠唱、全力魔法、属性攻撃】で動きを封じ、足止めするわ。

自慢の眷属達が作った特製のハロウィン料理よ。さぁ、召し上がりなさいな♪



「確かに『美食嫌い厨房』を思い出すわね……」
 見渡す限りの食材に調理器具、料理を食べさせることで弱っていく敵――迷宮厄災戦でも似たようなシチュエーションがあったことを思い出して、フレミアはぽつりと呟いた。
「なら、あの時と同様、眷属の力を借りるとするわ」
 発動するのは【虜の軍勢】。過去に自身の僕となった者達を召喚するユーベルコード。
 主君の呼びかけに応えて不思議の国に馳せ参じたのは、メイド服に身を包んだ「万能派遣ヴィラン隊」の集団だった。

「ハロウィンの国という事で、ハロウィンに因んだ料理をお願いね」
「承知致しました」
 召喚を受けてすぐさま状況を把握したヴィラン隊は、フレミアの指示にこくりと頷くと食材確保と調理を開始する。ハロウィンにクリスマスにお正月、和洋中華は勿論どんなメニューでも、ご要望とあらば【あらゆるニーズにお答えします】が彼女らのモットーだ。
「仲間を呼んだのか! ならわらわもじゃ! 出でよ、我がしもべたち!」
 吸血姫の眷属に対抗してアマイモンも【チョコレート・ウォー】を発動。魔王に仕えるチョコレートの悪魔の軍勢が姿を現し、料理中のメイド達に襲いかかる。出された料理を食べなければいけないのがこの国の法則だが、完成前に邪魔するのは問題はないらしい。

「料理ができるまでもう少しかかるから、それまで相手してあげるわ」
 無論、黙ってそれを許すはずもない。ヴィラン隊が料理に集中している間、フレミアは念動力の結界を張り、凍結の属性を宿した魔力弾を放ってアマイモン軍団の進撃を阻む。
 見えざる思念の壁に足止めされた悪魔の軍勢に、冷たい魔力の弾幕を浴びせかけられると、チョコでできた悪魔達の身体はたちまち冷えて固まって、身動きが取れなくなった。
「本体ではなく配下になら攻撃も通るようね」
「むむむ?! わらわのしもべたちがー?!」
 ふっと余裕の笑みを浮かべながら、魔力弾を撃ちまくるフレミア。ヴィラン隊の周囲はドーム状の結界ですっぽりと覆われていて安全確保は万全だ。地団駄踏みながら配下に突撃を命令するアマイモンだが、足止めに徹するフレミアの護りをなかなか突破できない。

「う……なんかいい匂いがしてきた……」
 そうこうしている間にキッチンから漂ってくる美味しそうな匂い。「万能」の名に違わずあらゆる技能に精通し、クッキングにおいても達人級であるヴィラン隊が腕によりをかけて作る料理の香りに、悪魔王アマイモンの口からも思わずじゅるりとよだれが垂れる。
「お待たせいたしました。お食事の準備が整いました」
 暫くの後、隊員の一人が戦闘中のフレミアとアマイモンの間に入って瀟洒に一礼する。
 その背後には真っ白なクロスをかけられたテーブルが置かれ、ハロウィンパーティに出されるような料理の数々が並べられていた。

「おおお……これは……!」
 とろみのあるカボチャスープに秋野菜をふんだんに使ったピザ、そしてサラダにデザートのパンプキンパイ。くり抜いたカボチャの皮を器に使うなど、味だけでなく見栄えにもこだわり抜かれたフルコースを目の当たりにして、アマイモンの瞳が子供のように輝く。
「自慢の眷属達が作った特製のハロウィン料理よ。さぁ、召し上がりなさいな♪」
 フレミアがそう告げるや否やのタイミングで、悪魔の王は勢いよく料理に食いついた。
 むしゃむしゃごくんと凄いペースでピザやスープをいただくたびに「うまい!」の言葉が口から飛び出す。料理を終えたヴィラン隊は、今度は給仕としておかわりを運んだりドリンクを注いだりと、快適な食事を提供することに余念がない。

「最高の料理ともてなしの精神……! わらわのしもべにも見習わせたいくらいじゃ!」
 あっという間にハロウィン料理を完食したアマイモンは、ちょっと悔しそうにしつつもフレミアの眷属達の手並みを褒め称える――眠たそうにくしくしと目元をこすりながら。
 このまま順調にいけば、悪魔王が完全に眠ってしまう時もそう遠くはなさそうである。

大成功 🔵​🔵​🔵​

斬断・彩萌
料理の腕前:料理人並み

折角のチャイナ服なんだし、点心でもつくりましょうか。

南瓜をレンチンして柔らかくしたら、塩を少々。これで甘味が引き立つわ。
あとはゴリゴリ潰していくんだけど……
敵もそう楽に料理させてはくれないわよねぇ。

クロちゃんによる防御と、サイキックによる障壁を作って耐える
どーせ攻撃は効かないなら、手を出すだけ無駄よ

つぶした南瓜の餡を、強力粉とか色々混ぜたムチムチの皮drで包んで、蒸し器に投入!
この蒸し器には誰にも触らせないわ!!

敵の攻撃の手が緩まるように、素早く正確な銃撃
ささ、蒸しあがったなら熱いうちに召し上がれ!

ハロウィンらしさと仮装らしさをを備えた、完璧な料理でしょう?



「折角のチャイナ服なんだし、点心でもつくりましょうか」
 森から飛んできたコスプレ衣装のままキッチンまでやって来た彩萌は、そう言って用意された食材を確認する。UDCアース屈指の名家である斬断家の当主として相応しい教養をと育てられた為だろうか、彼女の料理の腕前は若くして本職の料理人並みであった。
「それでハロウィンと言ったらやっぱり南瓜よね」
 手頃な大きさでしっかり身の詰まった南瓜を見繕うと、お皿に乗せてレンジに入れる。
 不思議の国で電力がどうなっているのかなんて聞くだけ野暮だろう。柔らかくなるまでチンしたら、取り出して塩を少々振りかける。これで南瓜の甘味がより引き立つはずだ。

「あとはゴリゴリ潰していくんだけど……敵もそう楽に料理させてはくれないわよねぇ」
 ホカホカの南瓜をすり鉢に移したところで、ドドドドと音を立てて何かがやって来る。
 悪魔王アマイモンと、彼女に率いられた【チョコレート・ウォー】の軍勢だ。チョコレートで出来た悪魔どもが群れを成すことで、甘ったるい香りが辺り一面に漂いだした。
「ふあぁ……くぅ、これ以上料理などさせるものか! 者共かかれー!」
 眠たそうなあくびを噛み殺しながら、もう料理を食わされたくないアマイモンは配下に一斉攻撃を命じる。それに応じてチョコレートの悪魔達は怒涛の勢いで押し寄せるが――その時、彩萌の足元の影からするりと何かが飛び出し、軍勢の目の前に立ちはだかった。

「今ちょっと手が離せないから、クロちゃんよろしく!」
 彩萌が「クロちゃん」と呼ぶそれは、斬断家の当主に代々引き継がれる夢魔だ。5万年以上もの歳月を生きて大悪魔にも負けない魔力を得た彼女は、クスクスと悪戯っぽい笑みを浮かべながら敵軍の攻撃を防ぐ。現当主である彩萌のお料理を邪魔させないために。
「どーせ攻撃は効かないなら、手を出すだけ無駄よ」
 無敵を解除しない限りアマイモンに対するどのような攻撃も無意味。ならば唯一の解除手段に全力を尽くすまでと、彩萌はすりこぎを使ってゴリゴリと南瓜をすり潰していく。
 ムラのないペースト状になるまで潰したら、お次は点心の皮を用意する。強力粉の他にも色々と混ぜたムチムチの特製皮で南瓜の餡をくるりと包んだら、最後は蒸し器に投入。

「あれじゃ! あれを壊すのじゃ!」
 キッチンから狼煙のように蒸気が立ち上っているのを見て、アマイモンが慌てて叫ぶ。
 チョコレートの悪魔達はどうにか夢魔の守りを突破して調理を妨害しようとするが、下拵えを終えて手の空いた彩萌は二丁拳銃を素早く抜き放つと、彼らの足元目掛けて発砲。
「この蒸し器には誰にも触らせないわ!!」
 【BoostRoar】による素早く正確な銃撃が敵の気勢を削ぎ、攻撃の手を緩ませる。さらに蒸し器を庇うように立つ彼女のサイキックエナジーが、強固な障壁となり悪魔を阻む。
 その気迫には思わず悪魔もたじろぎ、攻めあぐねているうちに――セットしてあったタイマーがピピピと鳴って、調理の完了を告げた。

「ささ、蒸しあがったなら熱いうちに召し上がれ!」
 抜いた時と同様の速さで拳銃をホルスターに収め、蒸し器の蓋をぱかりと開ける彩萌。
 真っ白い蒸気と共に現れたのは、ほんのりと甘い香りを漂わせる南瓜の点心だった。包む皮の形にまで趣向を凝らして、ジャック・オ・ランタンのようなデザインにしてある。
「こ、これは……ッ!」
 アマイモンは思わず抵抗しようとするものの、ハロウィンの国の法則には逆らえず目が釘付けになっている。まだアツアツの点心を素手で掴むと、ひょいぱくと口に放り込み。

「う……美味いッ! まさにこれは……」
「ハロウィンらしさと仮装らしさをを備えた、完璧な料理でしょう?」
 戦慄するアマイモンの言葉を途中から取り上げて、彩萌はにっこりと笑みを浮かべる。
 ランダムな仮装の結果すら即興でアイデアに盛り込む、料理人としての彼女の技量には、魔王も舌鼓を打つばかりであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カビパン・カピパン
「わらわを倒すことなど不「カバチたれんな!この空気も読めぬド素人が、それで悪魔王とは片腹いたいんじゃいワレ!」

「ひっ!」
悪魔王は広島弁で怒るカビパンの剣幕に押されまくる。
(ここで空気を読まずにつまらないギャグを言うよ!)

「これとこれと~折角だから羅刹女の秘蔵の一品も♪」
とてもカレーうどんを作るとは思えない食材と嫌な音が聞こえる。

「完成、さぁ食べなさい!」
時間が解凍された頃合いで料理が完成。
「お、おう…」
なんかノリで食べる悪魔王。

「普通ではないか!こんな物でわらわを…」

今回のカレーうどんは時間差であった。
「オエエ、ゴホ、ガハ!アァァァ!?」
美味しい料理を食べたわけではないが悪魔王は確かに眠った。



「な、なかなかやるではないか猟兵ども。だがこの程度でわらわを倒すことなど不――」
「カバチたれんな!」
「ひっ!」
 猟兵の美味しい料理をたらふく食べて、徐々に眠気が押し寄せてきているアマイモン。
 それでも虚勢を張ろうとした彼女の台詞を遮って、一喝でビビらせたのはカビパンだった。なお「カバチたれんな」は広島弁で「生意気言うな」くらいのニュアンスである。

「この空気も読めぬド素人が、それで悪魔王とは片腹いたいんじゃいワレ!」
「ひ、ひぇっ……」
 おそらく広島出身ではないと思うのだが、なぜか広島弁で怒るカビパンの剣幕に押されまくるアマイモン。そもそもなんで怒られているのか分からない、分からないけど怖い。
 魔王としての威厳が崩壊しかねない有様であわあわとたじろぐ彼女の前で、カビパンはぎろりと凄みをきかせた表情で、軍服のポケットにおもむろに片手を突っ込み――。
「ところでこれはカボチャです」
「は……?」
 カバチとカボチャをかけた空気を読まないギャグに、アマイモンの思考が凍りついた。
 いや、凍ったのは彼女だけではない。カビパンの有無を言わせぬ強引でつまらないギャグは時間すらも完全に停止させ、あらゆる意味で冷え切った空間を作り上げた。

「これとこれと~折角だから羅刹女の秘蔵の一品も♪」
 【ギャグセンス皆無な雪女】に変身したカビパンは、時の凍った世界で料理を始める。
 時間停止中はアマイモンからの妨害を受ける心配もない。鼻歌交じりに彼女が作るのは十八番のカレーうどん――だが手に取る食材はとてもカレーうどんを作るとは思えない。
 彼女が運営する「悩み聞くカレー屋」の客や従業員で、彼女のカレーうどんの凄まじさを知らない者はいないだろう。「ドゴゴゴゴゴ」「ギュワァ~ンッ」と嫌な音をキッチンから響かせながら調理を進め、仕上げに以前依頼で助けた妖怪から貰った一品を加える。

「完成、さぁ食べなさい!」
 時間が解凍された頃合いで、丁度料理が完成する。ハッと意識が戻ったアマイモンの前には、ほかほかと湯気の立つカレーうどんのどんぶりを差し出す、雪女カビパンがいた。
 特に見た目におかしなところは無い。スパイシーな香りが食欲をそそる、普通に美味しそうなカレーうどんだ。あの調理風景を見ていれば、逆に普通過ぎるのが不安になるが。
「お、おう……」
 ハロウィンの法則に縛られた魔王は、なんかノリでそのカレーうどんを食べてしまう。
 割り箸を取って、カレー汁を絡めた麺をずぞぞぞと啜り。もぐもぐとゆっくり咀嚼して吟味する――特に辛すぎたり食感がおかしかったりもしない。

「普通ではないか! こんな物でわらわを……」
 アマイモンの言葉は最後まで続かなかった。今回のカレーうどんは時間差であった。
 喉まで飲み込んで吐き出せなくなる頃合いになってから、一気に襲い掛かってくる強烈なインパクト。筆舌に尽くしがたい不快感が、胃の中でメチャクチャに暴れ回る。
「オエエ、ゴホ、ガハ! アァァァ!?」
 悶え苦しむ魔王の意識が遠のいていく。美味しい料理を食べたわけでもないのに何故。
 それはカビパンのカレーうどんが単なる手抜き料理ではなく、丹精込めて作り上げられた「不味いカレーうどん」だから。いつだって妥協なく不味いものをお出しするという、気持ちのこもった料理だからこそ、その不味さはアマイモンにも有効となる。

「う、うぅ……もうイヤじゃ……」
 これ以上食べたくないと思っても、完食するまでは手を止めることすらも許されない。
 半泣きの悪魔王は、途中で何回か寝落ちかけながらカレーうどんを啜るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
易々と食べられる訳には参りません
騎士として魔王に美味なる一皿をお届けいたしましょう

(メイ…仮装衣装は畳んで森に隠してきて何食わぬ顔?で対峙する機械騎士。奇妙で理不尽な戦場から違う戦場への転戦は慣れたもの。…騎士として慣れて良いのかは別問題である)

チョコの津波をUCで凍結させ『チョコの防壁』形成

凍ってもチョコはチョコ
その津波では厨房を護る壁となるだけです

●世界知識から果物シャーベットのレシピ解凍
UCの弾丸から取り出した薬剤で凍らせた様々な果物を削って時短し制作

さあ、お召し上がりください、お嬢…魔王様!

味にアクセントが御入用でしたら此方にチョコの壁から削り出し作ったチョコソースが御座います



「易々と食べられる訳には参りません。騎士として魔王に美味なる一皿をお届けいたしましょう」
 メイド――もとい仮装衣装は畳んで森に隠してきて、何食わぬ態度で悪魔王と対峙する機械騎士。奇妙で理不尽な戦場からまた違う戦場への転戦は慣れたもの、コスプレの次は料理を作れと言われても、彼に動揺した気配はまったく無い。
(……騎士として慣れて良いのかは別問題ですが)
 少なくとも自分で作るメニューを選べるというだけでも、先程よりは大分マシである。
 忌まわしき記憶を捨て去るように、トリテレイアはレシピの検索に思考を没頭させる。

「むにゃ……わ、わらわはもう腹いっぱいじゃ。これ以上はチョコしかいらん!」
 猟兵達の攻撃(料理)を受けて、敵もかなりダメージ(睡魔)が蓄積している様子だ。
 眠らされてはマズいという焦りを顔に滲ませながら放たれた【チョコラテ・ウォール】の津波が、鋼鉄のウォーマシンすらも美味しいチョコに変えてしまおうと襲いかかった。
 対するトリテレイアは腕部と肩部に格納した銃器を展開すると、装填した【超低温化薬剤封入弾頭】を発射する。
「氷の剣や魔法ほど華はありませんが……武骨さはご容赦を」
 ターゲットへの着弾と共に炸裂する特殊弾頭、その仲に封入された薬剤は物体の分子運動を低下させる。急速に冷やされたチョコの津波は、騎士を呑み込む寸前で凍結に至る。

「凍ってもチョコはチョコ。その津波では厨房を護る壁となるだけです」
「ぐ、ぐぬぬ、おのれっ!!」
 魔王の権能を以てしても、己をチョコをそれ以上変化させることは不可能だろう。脅威から一転して強固な守りとなったチョコの防壁の中で、トリテレイアは調理に専念する。
 彼が作るのは果物のシャーベット。別の世界で仕入れたレシピの知識を元に、キッチンにある様々な果物を凍らせて削る――冷凍にはユーベルコードの弾丸から取り出した薬剤を用い、ウォーマシンの怪力を活かして削れば、制作にかかる時間は大幅に短縮できた。

「さあ、お召し上がりください、お嬢……魔王様!」
 ほどなくして魔王の前に現れたトリテレイアは、硝子の器に盛られた氷菓子を差し出す。ほんの一瞬武装メイド騎士ウォーマシン時代に戻りかけたようだが、気のせいだろう。
 シンプルながら爽やかな見栄えで種類も豊富なシャーベットは、メインディッシュをたらふく食べてきたアマイモンには丁度良いタイミングでのデザートだった。
「む、むむむ、悔しいが美味そうなのじゃ……!」
 頭ではダメだと分かっていても魅力には抗えず、震える手でスプーンを握ってひとすくい。口の中でさらりと溶ける軽やかな舌触りと、ひんやりとして瑞々しい果物の味わいが、脳天までキーンと突き抜ける。

「ちべたい! でも美味い!」
 めっきりと冷え込むようになった秋の季節でも、冷たいデザートはたまらなく美味い。
 しゃくしゃくと幸せそうにシャーベットを食べるアマイモンの前に、トリテレイアが甘い香りのするソースが入った容器をことん、と置く。
「味にアクセントが御入用でしたら、此方にチョコの壁から削り出し作ったチョコソースが御座います」
「な……なんてものを作ったのだーっ!!!!!?」
 清涼感のある果実シャーベットにとろりと甘いチョコの組み合わせ――そんなの美味しくないはずがない。キラキラと輝いたアマイモンの目には、もうそれしか映っていない。
 暫しの間、魔王は戦いの事すら忘れ、夢中でチョコシャーベットを堪能したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雛菊・璃奈
メイド達二組(ラン達とミア達)やおまけで付いて来た仔竜達と共に参加…。

今回は6人で協力してハロウィンならではのお菓子作り…。
パンプキンパイとかパンプキンプリン、木の実のタルト、クッキーとか色々…。
おいしそう…(じゅる)

「きゅ~♪」(仔竜達も大はしゃぎ)

津波とか軍勢での邪魔は【狐九屠雛】で食い止めるよ…。
…このチョコ、美味しいのかな…?

「ご主人!」
「お腹壊す!」
「食べるならこっち!」

お菓子が山盛り…。
アマイモンって言うだけあって、やっぱり甘いものが好物なのかな…?
能力もチョコレートに関連した能力が多いし…。

お菓子もいっぱい…ミラ達もいるけど、食べきれるかな…。



「今回は6人で協力してハロウィンならではのお菓子作り……」
 悪魔王アマイモンを打倒するために、ハロウィンの国のキッチンにやって来た璃奈達。
 いつもの巫女装束に戻った璃奈の後からは、コスプレの森で一緒に戦ったラン、リン、レンの組に加えてミア、シア、ニアのもう一組が加わり、合計6人になったメイド人形達。そして美味しいものの気配を察知したのか、おまけで付いてきた3匹の仔竜が続く。
「ハロウィン!」「お菓子!」「フルコース!」
「準備は万端」「食材も揃っていますね」「では始めましょう」
 2組のメイドはてきぱきとそれぞれの役割を分担して食材を確保し、調理を開始する。
 ハロウインと言えば欠かせないカボチャを使ったデザートを中心に、季節の食材もふんだんに使って。ほどなくして彼女らのキッチンからは美味しそうな香りがあふれ出した。

「おいしそう……」
「きゅ~♪」
 じゅる、と思わずよだれが垂れそうになる璃奈。一緒に見ている仔竜達も大はしゃぎ。
 メイド達のスイートクッキングを放っておけないのは(違う意味でだが)彼女達だけではない。甘い香りに引きつけられ、寝ぼけ眼をこすりながらアマイモンもやって来る。
「むにゃむにゃ……いかん、このままでは本当に眠ってしまう……!」
 猟兵達に美味しい料理をたくさん食べさせられ、彼女は今や意識を保つだけでも一苦労な様子。このうえお菓子なんて食べさせられてはたまらないと、全力で妨害する構えだ。

「うとうと……い、いくのじゃ、お前たち!」
 こくりこくりと船を漕ぎながら、配下の軍勢をメイドのキッチンにけしかける悪魔王。
 そうはさせじと璃奈は九尾炎・最終地獄【狐九屠雛】を召喚し、敵軍の迎撃に当たる。
「邪魔はさせない……」
 魂をも凍てつかせる地獄の霊火が戦場を吹き荒れ、チョコレートの悪魔を食い止める。
 相手がチョコなら冷やして固めるのは常套手段と言ってもいい。絶対零度の炎に触れた悪魔達はカチンコチンに凍り付き、ピクリとも動かなくなった。

「……このチョコ、美味しいのかな……?」
 アマイモン軍団の攻勢を防ぎながら、璃奈はふと凍らせたチョコの悪魔に目を向ける。
 チョコレートを司る魔王が作り出したものなら、ひょっとするとこの世のチョコとは一味違う美味かもしれない――が、それを見たメイド達が慌ててキッチンから叫ぶ。
「ご主人!」
「お腹壊す!」
「食べるならこっち!」
 どうやら料理が完成したらしい。甘い香りのする厨房から運ばれてくるのは、パンプキンパイにパンプキンプリン、木の実のタルト、コウモリやお化けの形のクッキー等々――ハロウィンらしく見た目にも凝ったお菓子が次々とテーブルの上に盛り付けられていく。

「お菓子が山盛り……」
「おおお、これは……!」
 一人では食べ切れそうにない位にどっさりと用意されたお菓子の山に、璃奈は感心したようにぽつりと呟き、眠たそうに伏し目がちだったアマイモンの目も大きく見開かれる。
(アマイモンって言うだけあって、やっぱり甘いものが好物なのかな……? 能力もチョコレートに関連した能力が多いし……)
 その反応を見たところでは、璃奈の予想はどうやら正しかったらしい。ハロウィンの国の法則でもあるのだろうが、チョコの魔王は弾かれたような勢いでお菓子に食いついた。

「ほくほくのパイにあまぁいプリン、ほろほろのタルトにさっくさくのクッキー……! どれも甲乙つけがたい美味! 異なる食感と甘さがわらわを誘惑するのじゃー……!!」
 たまらぬといった様子で品評しながら、もぐもぐぱくぱくと菓子を頬張るアマイモン。
 戦闘そっちのけで夢中になっている隙に、璃奈もぱくりとパンプキンパイを口に運ぶ。
「ん……美味しい……」
「きゅ~!」
 甘いものには目がない璃奈の舌もうならせる見事な出来栄え。仔竜のミラ、クリュウ、アイの3匹も、一緒になってお菓子の山に飛びつき、幸せそうな鳴き声を上げていた。

「お菓子もいっぱい……ミラ達もいるけど、食べきれるかな……」
 味については申し分ないが、量が多すぎる気もする――と璃奈は少し気になったものの、心配は無用だった。彼女や仔竜達以上に、悪魔王の胃袋には底が無かったのだから。
「うう……ダメなのに美味すぎて手が止まらん……Zzz……」
 半分眠りかけながらもアマイモンの手は自然とお菓子を取り、口はお菓子を咀嚼する。
 ハロウィンの国がどうという以前に――もしかするとこの魔王、元から食い意地が張っていたのかもしれない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎

やれやれ、お菓子になってハロウィンのテーブルに上るのはごめんだな
手軽だが見栄えのいい料理を作るか

UCを発動
ドローンとデゼス・ポアでチョコの軍勢を砕き、材料にしてやろう
まずはフライパンでクレープを何枚か焼き、バターと砂糖を炒めてカラメルを作る
カラメルにオレンジジュースを加えてソースを作ったら、ダークチョコレートを包んだクレープを入れてソースを回しかけながら温める
最後にグラン・マルニエに火をつけて上から注げば
「クレープの女王」こと「クレープ・シュゼットのショコラ・オランジュ」の完成だ
甘酸っぱいオレンジソースにビターなチョコがよく合うこの料理は
チョコレート好きにはたまらないはずだろう



「やれやれ、お菓子になってハロウィンのテーブルに上るのはごめんだな」
 森を抜けた先で待っていたチョコレートの魔王に、そう言い返したのはキリカだった。
 チョコは嫌いではないが、だからとて自分がチョコにされる趣味はない。逆にこちらから料理をお見舞いしてやろうと、食材確保のために辺りを見回した彼女は何かに気付き。
「いい食材があるじゃないか」
 そう言って召喚するのは戦闘用のカスタムドローン【シアン・ド・シャッス】の群れ。
 指揮官たるキリカの命令を受け、猟犬のように散ったそれらが目標とするのは、仲間の猟兵達の手で凍らされたチョコレートの悪魔だった。

「『猟兵』より『猟犬』に告ぐ、速やかに眼前の獲物を狩れ」
 88機のドローンは搭載された火器やビームで動かないチョコの軍勢を破壊し、砕けた破片をキッチンにいるキリカの元まで運んでくる。その間に他の材料を揃えた彼女はまずフライパンでクレープを何枚か焼き、バターと砂糖を炒めてカラメルを作り始めた。
「このカラメルにオレンジジュースを加えてソースを作ったら、次はこのチョコを、と」
 回収された悪魔の破片はカカオ含有率の高い高品質なダークチョコレートになる。それを包んだクレープをフライパンに入れて、ソースを回しかけながら焦がさぬよう温める。
 すると周囲はたちまち甘いチョコレートと柑橘類の香りで包まれ、それに引きつけられて本日のメインゲストもやって来る。寝ぼけ眼でうつらうつら、今にも満腹で眠ってしまいそうな悪魔王アマイモンである。

「Zzz……はっ! 眠っとらん、わらわはまだ眠っとらんぞ!」
 おいしい料理とお菓子をたっぷり食べて、アマイモンの睡魔はピークに迫りつつある。
 だがここで寝てしまっては魔王の名折れ、最後の意地とプライドを支えにして彼女はぴしゃりと頬を両手ではたき、料理中のキリカに【チョコレート・ウォー】を仕掛ける。
「ゆけ! わらわに献上すべきは料理ではない、勝利じゃ!」
 キッチンのあちこちから召喚され、わらわらと押し寄せるチョコレートの悪魔の軍勢。
 だがそれはキリカからすれば、追加の材料がわざわざ自分で歩いて来てくれたのと同じだった。

「ありがたいな。少しチョコが足りないと思っていたところだ」
 そう嘯きながら調理に専念するキリカの背後で、シアン・ド・シャッスがチョコの軍勢を迎え撃つ。合体融合によってパワーアップしたドローンは敵が悪魔だろうと一歩も退かず、主人の調理の邪魔をさせないよう壁となって立ちはだかりながらチョコを打ち砕く。
 激しい戦いが繰り広げられる中、調理もいよいよ最後の行程に。取り出すのはフランス産のオレンジ・リキュール「グラン・マルニエ」。アルコール度数40に達するこの銘酒に火を付けて、クレープの上からそっと注げば――。

「『クレープの女王』こと『クレープ・シュゼットのショコラ・オランジュ』の完成だ」

 家庭のキッチンでも作れるお菓子のクレープだが、その中でもこの一品は格別。
 気品すら感じさせる美しい一皿に、アマイモンの目はたちまち釘付けとなった。
「甘酸っぱいオレンジソースにビターなチョコがよく合うこの料理は、チョコレート好きにはたまらないはずだろう」
「おおお……!!」
 チョコレートの魔王は言葉もない様子で、キリカが差し出した皿の前にふらふらと近寄り、右手にナイフ、左手にフォークを握ってクレープの女王を切り分ける。震える手でそうっと最初の一切れを口に運んだ瞬間――ビターチョコのほろ苦い甘み、オレンジソースの爽やかな甘酸っぱさ、もちもちとした生地の食感が一体となって押し寄せてきた。

「う、う、う、うまあああああああああーーーーーーいっ!!!」
 確かな料理のセンスに相手の好みまで考えた一品が、魔王に歓喜の叫びを上げさせた。
 ソースの一滴も残さずキレイに食べて、用意されていたおかわりも食べて。食べて、食べて、食べて、食べて食べて食べて――全てのクレープを食べ尽くしたアマイモンは。
「ああ……もう食べられにゃい……まんぷくじゃ……Zzz……」
 そう言ってばたりとテーブルに突っ伏し、ぐうぐうといびきをかいて眠ってしまった。
 メインディッシュからデザートまで、猟兵達の作りあげたご馳走の数々が、ついに無敵の魔王を眠らせたのだ。

「終わりだな」
 キッチンの掃除を済ませたキリカは最後の後片付けとして愛銃のセーフティを外して。
 このハロウィンの国に集った全ての猟兵達と共に、アマイモンに一斉攻撃を仕掛ける。
 眠れる魔王は幸福で甘美な夢の中に落ちたまま――悲鳴を上げることもなく消滅した。


 かくしてこの国を支配するオブリビオンは駆逐され、ハロウィンの国に平和が訪れる。
 ハロウィンパーティはもう目前。今だ潜伏中の猟書家達の動向についても気にかけながら――猟兵達はひとときの憩いの時を得たのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年10月31日
宿敵 『悪魔王アマイモン』 を撃破!


挿絵イラスト