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【Q】アナタは私のお菓子なの

#アリスラビリンス #【Q】 #お祭り2020 #ハロウィン

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●猫に誘われ、行きつく先はミートパイ
「『ハロウィンの国』も色々あるのね。戸惑うアリスたちもいれば、受け入れて楽しく騒いでるアリスたちもいる……と」
 集まった猟兵たちを前に、トレイシー・ノックス(インドア狩人・f06024)がそう前置きした。
 現在、アリスラビリンスではオウガ・オリジンの凄まじい「現実改変ユーベルコード」によって「ハロウィンの国」に改変された国が幾つも見つかっている。今回もその一つに関わる話だということで、猟兵たちは集められているのだ。
「今回行く国では、アリスたちはハロウィンパーティーを素直に楽しんでいるみたいよ。それがオウガによる“悲劇”の演出だとも知らずにね」
 どうせならこのまま何も知らずに、全てが終わるまで楽しんでいてもらいましょう。そう言って、予知で見た内容を語り始める。
「今回のオウガは猫を使うわ。楽しんでいるアリスを数人ずつ、猫で誘い出すの。『一緒にご主人様にお菓子をもらいに行こうにゃ』って感じにね。で、この猫に導かれたのこのことついて行ったアリスたちは全員仲良くミートパイにされて、猫たちの主人であるオウガに美味しくいただかれるってわけ。……何よ? 説明が雑? 人がミートパイに加工される工程を丁寧に説明しろっての? こっちはこの予知を見たせいでしばらく肉を食べたくないくらいだってのに」
 思い出してしまったのか、普段から不機嫌そうな彼女の顔がより一層強い不快感に歪む。
 言われてみれば、そんなものを見せられて気分がいい筈がない。
「とりあえず今回やることは、ハロウィンに紛れてアリスを連れ出して調理してるオウガの討伐。ただ、幾つか注意事項があるわ」

 1つ、道中の森はコスプレ衣装の飛び出す不思議な森で、これを身につけることでパワーアップができる。ただし、出てくる衣装はランダムなため望まない衣装を着ることになるかもしれない。
 1つ、『にゃんこずきんちゃん』と呼ばれているオウガの眷属が道中におり、今回は1匹ごとに様々な頭巾や被り物をしていて統一感が無くなっている。
 1つ、黒幕であるオウガは『嗤い猫と飢婦人』と呼ばれる人肉を好むオウガ。『ハロウィンの国』の法則によって無敵状態となっており、通常の手段では倒せない。

「倒すにはこちらも法則に則って、美味しい料理を振舞ってやる必要があるわね。まぁ、下手でも最低限心を籠めれば伝わるんじゃない? ちゃんとできた料理なら向こうは無条件で食べるしかなく、食べ続けるうちにそのうち眠って楽に倒せるようになる筈よ」
 コスプレ衣装の飛び出す森を眷属と戦いながら突破し、黒幕のオウガを美味しい料理で眠らせてからトドメを刺す。
 キッチンはオウガが自分で使う用のキッチンがあり、食材も完備されているようだ。
 当然、調理中にオウガが大人しく待つ保証はない。オウガの攻撃を受け止める者も必要となるだろう。
「それじゃ、現地までは送るからあとはよろしくね。あー……ホント悪趣味なオウガ。早く消えて欲しいわ」
 気怠げにそう言いながら眼鏡の位置を整え、トレイシーは話を締めくくる。
 説明は終わり。あとは行動あるのみだ。
 敵が動き出し、アリスたちが犠牲になる前に。


すぃんたろー
 初めまして。
 この度初めてのシナリオを出させていただいた、すぃんたろーと申します。

 当シナリオは集団戦とボス戦の2章のみの構成となっておりますので、参加の際はどうかご注意ください。

 1章は集団戦。『にゃんこずきんちゃん』という猫との戦いになります。
 赤ずきん的な頭巾のみでなく、ホッケーマスクだったり麻袋だったりピラミッドのようなものだったりと色々なモノを頭に被った猫たちです。
 コスプレ衣装が飛び出す森での戦いであり、飛び出したコスプレ衣装を身につける旨がプレイングにあればボーナスが付きます。
 出てくるコスプレ衣装はランダムと描写されていますが、プレイングで指定してくださっても構いません。その衣装に対するリアクションと共にいただければ、原則としてその通りに採用いたします。
 また、『望まない衣装を嫌々ながら着る』ことでより多くのボーナスを得られる仕様となっております。

 2章はボス戦であり、オープニングにあるようにボス『嗤い猫と飢婦人』はほぼ無敵状態となっております。
 ボスの攻撃に耐えつつ調理を行い、出来上がった料理を食べさせ続け眠らせることで無敵状態が解除され討伐が可能となります。
 その際に食べた料理について事細かに批評、称賛してくれる筈ですので頑張ってください。マスターも頑張って褒めます。
 その為、ボス戦のプレイングは基本的に『料理を作る』か『ボスの攻撃に耐える』の2択となるでしょう。

 初めてのシナリオで拙い部分も多いと思いますが、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『にゃんこずきんちゃん』

POW   :    12時になると自爆するとは何か間違ってるのにゃ。
自身の身長の2倍の【12時になると自爆する『南瓜の爆車』】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
SPD   :    お魚やめるなんてもったいないのにゃ。
【相手が変形した部位や召喚物を魚】に変形し、自身の【自制心】を代償に、自身の【食欲と魚への反応速度】を強化する。
WIZ   :    どこかのおばあさんからもらった毒リンゴにゃ。
【毒リンゴを対象の口に放り込むこと】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

殺風景・静穂
私、ネコってあまり好きじゃないのよね
気紛れなところが自分と似ていて

それはそれとして……コスプレ?
ええ、構わないわ
衣裳が飛び出してくるなんて面白そうじゃない
ほら、出ておいで

予想していたのとはちょっと違う衣裳だったけれど、
偶にはこういう恰好をするのも面白いわね

直接攻撃するのは得意じゃないから、
にゃんこずきんちゃん達には同士討ちをしてもらおうかしら
「自制心を代償に、食欲と魚への反応速度を強化する」らしいから、
おいしそうな焼き魚を一尾、舞陽炎で作りましょうか
位置を動かしたりして、適度に同士討ちを煽るわね

直接手は下したくない……というより、
その術をもたないから、
最後は相打ちで果ててくれれば理想的ね



●白いオバケと幻の焼き魚
 森の中を様々な被り物を被った『にゃんこずきんちゃん』たちが徘徊する光景を見て、殺風景・静穂(計算ずくの混沌・f27447)は溜息をついた。
(私、ネコってあまり好きじゃないのよね)
 気紛れなところが自分に似ているから……という、ある種の同族嫌悪のようなものだろうか。
 しかしそれ故に、彼女は今回の件の対処に向いている猟兵だとも言える。
 この森にいる猫たちは、倒さなければならない敵なのだから。

(ネコはともかく、衣装が飛び出してくる森なんて面白そうね。そっちは楽しみにさせてもらいましょう)
 嫌いなモノに対する感情を別の楽しみへと切り替えて森に入ると、さっそく何かが茂みから飛び出してきた。
 ……それは全身を覆うような大きさの白いシーツだった。ややチープな顔が描かれており、どうやら頭から被って使うもののようだ。
(コスプレって言うからもっとちゃんと着替えるような衣装かと思ったけど……これはこれでハロウィンらしいのかしらね?)
 実際に頭から被ってみるが、不思議と内部から外は見えるので視界に問題はない。
 これならば、予定通りに動けるだろう。


「オバケだにゃ! オバケが出たにゃ!」
「まだ誰も招いてもいないのにここまでくるなんて、まさか計画がバレたにゃ!?」
 白いシーツを被ったまま森を進む静穂に対し、にゃんこずきんちゃんたちが口々にそんな言葉を発して警戒するように毛を逆立てる。
 そうして身構えるにゃんこずきんちゃんたちを前に、静穂は笑みを浮かべる。
「あら? おねだりは無いのかしら? せっかく素敵なものを用意していたのに」
 言葉と共に生み出されるは、一尾の焼き魚。
 それは幻覚。しかし見た目のみならず、その香りまでもが相手を惑わすものだ。
「にゃー!? お魚にゃー!」
 静穂の思惑通り、にゃんこずきんちゃんたちはそれに飛びついた。
 まず最初に、最も位置が近かった狼頭の被り物をしたモノが。
 それに続くように、他の者も次々と猛スピードで幻覚に向かう。
 相手は複数だが幻覚は一つ。ならば、自然と奪い合いの形となる。
 にゃんこずきんちゃんたちは自らの能力によって自制心を失っていることもあり、幻覚の位置を巧みに動かして互いに衝突し、傷つけあうように誘導するのは容易いことだった。
 そうした同士討ちにより少しずつ数を減らしていくにゃんこずきんちゃんたちを見て、静穂は再度、満足げに微笑んだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

パトリシア・パープル
悪趣味なオウガね
オーケー、そんな悪党、こっちがミンチにしてやろうじゃない

とりあえず、最初はコスプレして戦わないと駄目なのよね
まあ、何が出ても構わず着るわ
ちょっとエッチな衣装とか、芸人が着るようなおバカ衣装でも全然平気よ
スカンクガスで戦うわたしが、今さら衣服の奇抜さ程度で恥ずかしがると思った?(ぇ

にゃんこずきんを見つけたら、遠距離からヨーヨーで攻撃して怒らせつつUC発動
スカンク部隊で先手必勝のガス攻撃!
猫の嗅覚は人間の数十万倍
スカンクガスの匂いはくさやの1万倍以上だから、掛け合わせればくさやの10億倍以上の激臭ね

ついでに時限式スカンクガス爆弾もプレゼント!
倒れたやつからフォークで刺殺よ!



●悪食と悪臭と……
 猫たちの徘徊する森にまた一人、猟兵が足を踏み入れる。
(悪趣味なオウガだね。オーケー、そんな悪党、こっちがミンチにしてやろうじゃない)
 勇ましくそんなことを考える彼女は、パトリシア・パープル(スカンクガール・f03038)だ。
 自らを『悪食』だと称している彼女にとっても、人肉のミートパイというのは不快なものらしい。
 その凶行を止めるためにも、まずはこの森を突破しなければ。

 森に入ってすぐに、茂みからガサガサと音がする。
 パトリシアはそれに気づくと、衣装が飛び出してこようとしているのだと察して身構える。
 彼女はスカンクガスを武器として戦うが故に、奇妙・奇抜な衣装にも抵抗はない。
 そして出てきたのは……包帯だった。
「え? ちょっと……もしかしてコレオンリーってこと!?」
 あれよあれよという間に、彼女はそれを身に纏った姿となる。
 それは包帯女。全身を包帯で覆ってはいるが体のラインは完全に浮き出ており、ある種の扇情的な雰囲気も漂わせている。
「おー、これはこれでエッチかも? ま、戦うのに支障は無いよね」

 まずは衣装の着心地を確かめるように体を動かしている最中、パトリシアは視界の端に動くものを見つける。
 それはにゃんこずきんちゃんの集団だった。森の中をパトロールでもしているのか、頭にピラミッドのようなものを被った個体を中心に十数匹が纏まって徘徊しているようだ。
 相手はまだこちらに気づいていない。そう判断したパトリシアは、遠距離から素早くヨーヨーでピラミッド頭のにゃんこずきんちゃんを攻撃する。
「にゃ!? 敵襲! 敵襲だにゃ!」
 ピラミッド頭が大きく仰け反り、周囲の取り巻きが一気に騒ぎ出す。
 そしてそれぞれが手に持った籠からリンゴを取り出し、パトリシアの方へと走り出すが……それが仇となる。
 初撃が挑発として成功した次の瞬間には、パトリシアはスカンクの群れを召喚していたのだ。
「行くよ! これがわたし達の、ファイナル・スメル・アタック!」
 リンゴを投げつけられる距離に近づく前に、圧倒的な悪臭がにゃんこずきんちゃんたちに浴びせられる。
 猫の嗅覚は人間の数十万倍と言われており、くさやの1万倍以上と言われるスカンクガスを嗅いだりしたらひとたまりもないのだ。
 次々と倒れていくにゃんこずきんちゃんたちを、パトリシアは倒れた順からフォークで貫いていく。
「にゃ……おのれ……」
 圧倒される中でやっと初撃から立ち直ったピラミッド頭だが、足元に何かがあるのに気づく。
 それはパトリシアが予め投げておいた、時限式のスカンクガス爆弾だ。
 気づくと同時にそれは爆発し、臭いで倒れるとともに頭のピラミッドのようなものが外れて猫の素顔が顕わになった。
 そこに、パトリシアのフォークが容赦なく突き刺される。
「はい、おしまい。見かけ倒しだったね」
 身に纏った包帯がはだけるようなことも無く、ただただ敵を圧倒し、パトリシアはそのまま森の奥に進んだ。

 こうして、森をパトロールしていた部隊の1つが、たった一人の猟兵に数分で殲滅されたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

九十九・つくみ
可愛いにゃんこだけれど、やってることえげつなさ過ぎぃ!?
残念だけれど排除しなけりゃ犠牲になるアリスが増えちゃうね

さって、どんな衣装が飛び出してくるのかねっと待ってみれば、
藪から飛び出してきた
それはいいけど、なにかやたらに紐っぽいような?
とにかく、早速と着てみる!
で、着用って、これ紐水着ってやつじゃないか!
しかも狐の耳と尻尾付ってなかなかマニアック……
まあ、あれだ。記念に自撮りしておこうかな

そんなこんなで騒いでたら、来るよね?
こっちも味方?を増やそうっと
黒狼、来てー!で呼び出すキャバリエ…キャバリエ
乗り込んで駆けて蹴散らしつつ、機体でUCつかって辺り一体をドガーって

仮装した意味?
……さぁ?



●ブリキの狼、ときどき魚
 次に森に足を踏み入れたのは、九十九・つくみ(東方妖怪のレトロウィザード・f30396)だった。
「可愛いにゃんこだけれど、やってることえげつなさ過ぎぃ!?」
 最初の説明を受けてそのような反応を返していた彼女だが、今はアリスたちの被害を減らすために排除の必要があると割り切っている。
 見た目こそまだ幼さの残る少女だが、それでも猟兵だ。
 オブリビオンを狩ることに問題はない。

「さって、どんな衣装が飛び出してくるのかね」
 一方で、つくみはこれを楽しみにしていた。
 彼女の趣味は写真をとること。だから、ランダムで衣装が飛び出すというこの森には興味深々なのだ。
 そして期待通りに藪がガサゴソと揺れ、衣装が飛び出してくる。
 ……それは、どう見ても紐だった。
「これ、紐水着ってやつじゃないか!」
 もともと露出が高い奇抜な格好をしているつくみだが、それに輪をかけて露出と高い衣装に思わず声を上げた。
 しかも、狐耳と尻尾まで一緒に出てきたのだ。それがますますマニアックさに拍車をかける。
 それでもとにかく着てみて、記念に自撮りまでしているあたり、あまり嫌がっている様子はない。

「なんにゃ!? あのすっぽんぽんの狐女は!」
 そんなことをしている間に、つくみに気づいたらしいにゃんこずきんちゃんたちがやってきた。
「お、来たね! よーし……黒狼、来てー!」
 つくみがそう呼べば、空から森の中に落ちてくるキャバリエが1機。
 可変強襲型“黒狼”……幽世の霊気に触れて本物のロボットとなった、狼ロボットの玩具である。
「にゃ!? ブリキの狼にゃ!?」
「怯むんじゃないにゃ! こんなの、こうしてやるにゃ!」
 にゃんこずきんちゃんたちの中からカボチャの被り物をした個体が前に出て、自らの力を黒狼へと向ける。
 すると不思議なことに、狼型だったそれは魚型に変形していくではないか!
「ちょ……黒狼!? え? そんなのあり!?」
 つくみが驚く中、変形を終えた黒狼ににゃんこずきんちゃんたちが自制心を失い群がっていく。
 思わぬ強制的な変形と相手の勢いに、黒狼はあっという間に劣勢になってしまう。
「あ……でもこれ、チャンスかも?」
 にゃんこずきんちゃんたちの注意は魚型に変形した黒狼に向いており、つくみから逸れている。
 それに気づいたつくみは、己の妖気を黒狼へと込めた。
(ごめんね、黒狼。あとで埋め合わせはするから!)
 そして黒狼の尾びれにあたる部分を無言で掴み、全力で地面に叩きつける。
「にゃー!?」
 込められた妖気が解放されたことにより、周囲に爆発のような衝撃が起きる。
 それによって黒狼に群がっていたにゃんこずきんちゃんたちは跡形もなく消し飛び、後に残ったのは半径10メートルほどのクレーターと、元の形状に戻った黒狼だ。
「とりあえず蹴散らしたけど、う~ん……思った以上にボロボロになっちゃったなぁ」

 敵を殲滅するのには成功はしたが、こちらのダメージも大きい。
 少なくとも、黒狼はしばらく休ませて修復しなければいけないだろう。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ティエル・ティエリエル
WIZで判定

アリスを騙す悪いにゃんこにはおしおきだー☆
どんな衣装でもばっちこいだ☆ボクのお姫様力(ちから)で着こなして見せるよ♪

飛び出してきた衣装にささっと着替えたらアリスを騙して連れていこうとするにゃんこの前に飛び出すよ!
アリスのお姉さん達、そっちのにゃんこは悪いにゃんこだよ!と「コミュ力」で一生懸命説得するね!

にゃんこ達が焦って襲い掛かって来たら反撃だ!
おしおきだと【妖精姫のタライ罠】でタライを呼び出してにゃんこの頭の上にどかーんと落としちゃうね♪

※アドリブや他の方との連携も大歓迎です



●妖精姫のおしおき
 森の中で既に戦闘が繰り広げられている中、森からパーティ会場に続く道へと目を向けた猟兵もいた。
 ティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)である。
「アリスを騙す悪いにゃんこはおしおきしなきゃね☆」
 アリスを連れて行こうとするにゃんこずきんちゃんたちを止めようと、彼女は森に近づく者を警戒していたのだ。

 そんなティエルのもとにも、森の茂みから衣装は飛び出してくる。
 それは純白の衣装に、同じく純白のキャップ……ナース服だった。
 コスプレ衣装としては定番かもしれないが、ハロウィンの衣装としては些か変わり種だろう。
「よし、ささっと着替えよう」
 不思議とサイズは合っているようで、ティエルは白衣の天使ならぬ白衣の妖精とでも言うべき姿となって見張りを続ける。

 そして、間もなくそれは現れた。
「こっちにゃ。ご主人様は森の奥に住んでいるにゃ」
 気の弱そうなアリスの女性を1人先導して、頭に魔女のような帽子を被ったにゃんこずきんちゃんが森の入口へと近づいてきたのだ。
 すぐさま、ティエルはその前に飛び出す。
「アリスのお姉さん! そのにゃんこは悪いにゃんこだよ!」
 突然のことに、女性は戸惑いの表情で歩みを止める。
「考えてもみてよ。お菓子を配る親切な人が、こんな行きにくい森の奥で待ってるなんてあると思う?」
「な、なにを言っているにゃ!? それはご主人様の家が森の中にあるから仕方のないことにゃ!」
「だったら、パーティ会場まで配りにくればいい話だよね?」
「にゃ……ぐぬぬ……」
 にゃんこずきんちゃんが言葉に詰まるのを見て、女性も疑惑の目を向ける。
「……にゃー! バレてしまったら仕方ないのにゃ! お前を倒して、このアリスともどもご主人様に捧げてやるにゃ!」
 にゃんこずきんちゃんはそう言い捨てて指笛を鳴らすと、森の中から他のにゃんこずきんちゃんたちも出てくる。
「本性を現したね! よーし、おしおきタイムだ!」
 ティエルも戦闘態勢となり、この場にいるにゃんこずきんちゃんたちが全員森から出てきたのを確認するとレイピアを頭上へと掲げる。
「みんなずっこけちゃえー♪」
 ガンッ! ゴンッ! ガゴンッ!!
 突然降ってきたのは、無数の金タライ。それらはにゃんこずきんちゃんたちの脳天を的確に直撃した。
 一部の者は毒リンゴを取り出していたが、目を回して倒れた拍子にそれは誰の口にも入らずに地面に転がった。

「気を付けて帰ってね。もう騙されちゃダメだよ」
 戦闘終了後にアリスの女性をパーティ会場へと帰し、ティエルは森を振り返る。
 既に森を出て活動を始めてしまった敵も少数ながらいるようだが、この様子ならこうして入り口を見張っていればアリスを連れていかれることはないだろう。
 あとは、黒幕のオウガを他の猟兵が倒してくれることを信じるだけだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

シアン・ナアン(サポート)

『まずは自分を壊しちゃお!世界もどーせ壊れてるから!』
『自由こそ真の秩序……』
『シアン難しい話わかんなーい☆』

◆口調
コロコロ変わり、ぐちゃぐちゃである

◆行動
戦闘、遊び、調査等何をするにも分身を使って活動する
分身も意識があり区別がつかない
死に対して一家言ある
行動指針に一貫性がなく都度変わる

爆発物好き、派手好き

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、怪我や死ぬことも厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為は多分しません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動は恐らくしません。
 つまりはだいたいおまかせ。よろしくおねがいします!!


虎熊・月霞(サポート)
「まー焦らずのんびり行こー。とりあえず昼寝しよぉ」

 面倒臭いけど、僕とーじょーってねぇ。いつもどーり野太刀でバッサリと斬り捨てちゃうよぉ?
 伊吹流から派生した雷鳴を組み込んだ伊吹"雷切"流、僕の場合は『紫電』を利用した剣術を使ってー雷の速度で近付いてー敵さんを真っ二つにするよぉ。まぁ面倒臭くなったら首刎ねちゃえばいっかぁ、そうすれば大体の生き物って死んじゃうよねぇ?
 首の無い敵さん?……うん、まぁそこは高度な柔軟かつ臨機応変に対応していこー。
 あ、あとお願いされたら他の猟兵さん達と共闘もするしぃ、お手伝いもするよぉ。ご飯一回奢ってくれるならね!

アレンジ・共闘可



●カオスな中でものんびりと
 幾度かの戦闘の結果、状況は猟兵たちが優勢となっていた。
 にゃんこずきんちゃんたちは確実に数を減らしており、これ以上数を減らしたら後から来る猟兵たちを止めるどころではなくなるだろう。
 そんな森の中を、まだ余力を残した猟兵が8人も歩いていた。
 ……いや、実際には2人なのだが、一方は7人に分身しているのだ。
「人手がこれだけ多いと助かるなぁ。ねぇ、僕昼寝してていい?」
 あくび交じりにそう告げるのは虎熊・月霞(電紫幻霧・f00285)だ。森に入って早々に飛び出してきたメイド服に着替えているが、その緩い立ち振る舞いとはなんともミスマッチな様相を呈していた。
「いいんじゃね? あたしだけでなんとかなるっしょ」
「いやダメだろ。何のために一緒に戦ってるんだ」
「私も寝たーい」
「はいはい、休憩は一戦終えてからね」
「よし、とりあえずオレサマを褒めたたえろ!」
「何の脈絡も無ぇな」
「うぇーい☆」
 分身したシアン・ナアン(自己壊乱・f02464)7人がそれぞれ思い思いの返答やツッコミを行う。彼女たちも衣装は狼の着ぐるみ姿となっており、頑張ればメイドが7匹の狼を連れている何かの物語にも見えるかもしれない。
 実にカオスな光景ではあるが、最後にテンション高くアゲアゲなポーズをしていたシアンが手に持ったものを見て、月霞は首を傾げる。
「あれぇ? それ、今回の敵じゃないのー?」
 そこには首根っこを引っ掴まれてだらりと垂れ下がっているモノがいた。頭部はホッケーマスクとフードで隠れているが、首から下を見るににゃんこずきんちゃんであることは間違いなさそうだ。
「なんか歩いてたから一匹殺っちゃったぜ☆」
 その言葉通り、それはもう動いていなかった。首にフック付きワイヤーが巻き付いており、不意打ちで捕えてそのまま絞殺したのだろうことが察せられる。
「おー。それなら、僕は本当に寝ててもよさそうだねぇ」
 月霞がそう言った丁度そのタイミングで、森の前方から複数の気配が近づいてくる。
 そちらを見ると頭を包帯まみれにして両のこめかみにボルトのようなものをつけたにゃんこずきんちゃんが、数匹の仲間をつれて近づいてきていた。
「いなくなったのはこの辺にゃ! あちこちで仲間がやられているし、急いで探すのにゃ!」
「アレ全部倒さないとダメかー。まぁ、あの包帯のが他に指示出してるっぽいし、そこを狙えばいいかなー」
 本気で休もうと思っていたのか、月霞がげんなりとした顔をする。
「分かった。ならば他はこちらで引き付ける」 
 シアンの分身の中で比較的真面目な反応をしていたものが答え、他のシアンたちもそれぞれ武器を手に散会する。ああ見えて連携はしっかりとしているようだ。
「それじゃあ僕も、一仕事しないとだねー」
 のんびりと言いながら、いつも通りに野太刀を構える。
 こちらを見つけたにゃんこずきんちゃんたちはシアンたちとの戦闘に入るが、指示を出していた包帯頭は南瓜の馬車を召喚して月霞の方へと突っ込んできた。
「仲間の仇にゃー!」
「うん、そういうのいいから」
 気だるげに言い捨て、真正面から一閃。
 紫電を纏ったその一太刀は、中のにゃんこずきんちゃん諸共に馬車を真っ二つにした。
「おーい、そっちは終わったー?」
「ああ、問題ない」
 真っ二つになった馬車が爆発して消える頃には他のにゃんこずきんちゃんたちもシアンによって制圧されており、もう動く敵はいないようだった。
 シアンたちはそれぞれうぇいうぇい言っていたり眠そうにしていたりそれに突っ込んだりして賑やかだが、戦闘はもう終了している。
 それを確認し、月霞はまた一つ欠伸をするのだった。

 この戦闘を最後に、森で活動できるにゃんこずきんちゃんたちは全滅した。
 残るは黒幕である『嗤い猫と飢婦人』だけであり、これを倒せればもうこの国のアリスに犠牲者が出ることはないだろう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『嗤い猫と飢婦人』

POW   :    テーブルマナー「肉を切る前に噛り付かない」
自身の【頭上にいる猫型オウガの瞳】が輝く間、【肉断ち包丁】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
SPD   :    代用品の効かない良い調味料
【宙に浮かぶ巨大ソルトミル&ペッパーミル】から【大量の塩胡椒の嵐】を放ち、【激しい視界不良と止まらないくしゃみ】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    不思議の国で一生を終えて自分の元に届けられた肉
戦闘中に食べた【スパイスたっぷりの肉の丸焼き】の量と質に応じて【多幸感と共に新鮮な肉の刺身が食べたくなり】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はアリュース・アルディネです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●飢婦人のお菓子
 森の奥にあるオウガの家。そこに辿り着いた猟兵たちを出迎えたのは、にこやかな笑みを顔に張り付けた一人の女性だった。
「あらあらまぁまぁ……私の猫ちゃんたちをみんな倒して来るなんてねぇ」
 彼女の言葉に呼応するように、その頭上に体を丸めている猫も不気味に嗤う。
 間違いない。彼女が今回の黒幕であるオウガ『嗤い猫と飢婦人』だ。
「アリスたちを使って作るお菓子を楽しみにしていたのだけど、まぁこれはこれでいいわぁ。噂に聞くアナタたちがどんな味なのかも、丁度気になっていたんですもの」
 肉切り包丁を手に、彼女はあなたたちへと一歩、また一歩と歩み寄ってくる。
「あまり暴れないで頂戴ねぇ? アナタたちは、私のお菓子なのだから♪」
 楽しそうに言う彼女の注意は、目の前の猟兵たちにのみ向けられている。
 事前に聞いた話では、彼女と普通に戦っても勝ち目はない。
 こちらに注意が向いているのを利用して家の中に侵入し、厨房で料理を作って食べさせなければ。
水心子・真峰
……ふむ、なかなかの業物だな
ならば本物の人斬り包丁としては、格の違いを見せつけねばならないか
目線をまず真っ直ぐ肉断ち包丁へ注ぐヤドリガミ
あざけりの呼称を唱えて自嘲するは水心子真峰

錬成カミヤドリを展開し
鏡のような刀身をずらりと並べて壁としよう
塩胡椒の嵐が来たら
刀の腹を並べて大きな団扇のように風を送り押し返そう
同時に紙の式神を放って猫と婦人の視界を塞ぎ
術の操作も妨害だ
嗚呼、口と鼻は塞いでやるなよ
くしゃみくらい思い切りやらせてやれ

その隙に料理か
肉が好きなようだし
べーこんと卵を熱々のふらいぱんに落として
べーこんえっぐと洒落込もうか
味付けは不要だ
投げつけている間にまぶされるだろうからな



●塩胡椒たっぷりのべーこんえっぐ
「……ふむ、なかなかの業物だな」
 そう言って、飢婦人の持つ肉切り包丁を真っすぐに見つめるヤドリガミがいた。
 その視線に飢婦人の側も気づき、注意を向ける。
「ならば本物の人斬り包丁としては、格の違いを見せつけねばならないか」
 あざけりの呼称を唱えて自嘲するは水心子真峰(ヤドリガミの剣豪・f05970)だ。
 彼女はさっそく自らの本体である太刀を複製し、その刀身を壁のように並べた。
「あらあらー、綺麗ねぇ。顔が映りそうじゃない」
 それを見ても笑みを崩さない飢婦人。彼女は宙に巨大なソルトミルとペッパーミルを浮かべ、それを揺らした。
 吐き出されるのは大量の塩胡椒の嵐。視界不良を起こすほどのそれが真峰へと向かう。
 しかし、それは想定されていたことだ。真峰は刀身の腹を並べて巨大な団扇のようにし、その塩胡椒の嵐を仰いで飢婦人へと返してみせた。
 それと同時に紙の式神を放ち、これも用いて飢婦人と頭上の猫の視界を塞いでいく。
「あらあら……はっ……はっくしょん!」
 たまらず、飢婦人は大きなくしゃみをする。彼女の顔はまだ笑みを浮かべているが、頭上の猫はどこか苦しげだ。
 そうしてできた隙を利用し、真峰は調理を開始していた。
 熱したフライパンにベーコンを敷き、十分に加熱されてから生卵を落とす。
 やがてじゅうじゅうといい音を立てて、ベーコンエッグが出来上がっていく。
「さあ召し上がれ。味付けは、そちらの自前のものがあるだろう?」
 綺麗に焼きあがったベーコンエッグを皿に盛りつけ、飛び交う塩胡椒の嵐を利用しての味付けが行われたそれを前に、飢婦人はふらふらと寄っていく。
「ああ、美味しそうなベーコンエッグ。シンプルながらもいい焼き加減で、涎が止まらないわぁ」
 肉切り包丁をナイフとフォークに持ち替え、ますは黄身にナイフを入れれば、切れ目から半熟の黄身がトロリと流れ出す。
「綺麗な黄金色……いただきまーす♪」
 黄身が絡み、たっぷりと塩胡椒されたベーコンエッグをフォークで刺して絡め、口元へ。
「ああ、シンプルだけど美味しい。荒々しい感じもするけど、ベーコンと卵の味わいが十分に引き出されてて食欲をそそる、モーニングには抜群の一品ねぇ」
 完食し、飢婦人は満足気だ。眠気があるのか、心なしか動きも鈍っているように感じられる。
 この調子で料理を食べさせていけば、いずれ眠って倒せるようになるだろう。

成功 🔵​🔵​🔴​

サンディ・ノックス
ルウィア(f03190)と

随分こちらを食べる気満々のオウガだね
これは攻撃いなしながら料理は難しそう
俺がオウガと遊…オウガの相手をしているからルウィアに料理をお願いしていいかな

なるほど、キミはマナーを知っているんだね
そう、肉は切ってからでないと齧っちゃいけない
UC解放・宵を発動し、攻撃回数を重視して敵の攻撃回数に対抗
暗夜の剣で攻撃を受け流し、大振りの動きならば攻撃の軌道を見切って躱せる
普段は隠している魔力を高めてオーラを発生させ、避けきれなかった攻撃の勢いを殺し軽減するよ
戦闘を続ければ敵の行動の癖も見えてくるからより回避できるはず

ああ、料理ができたよ
俺の大好きなルウィアの料理、しっかり味わってね


ルウィア・ノックス
サンディ(f03274)と

お前今遊ぶって言いかけただろ
別人のようになりやがって…そこも気に入らねえ
そもそも誰かが料理しなきゃ倒せねえんだろ?
選択肢無いじゃねえか

肉好きなら肉を振る舞いたいところだが
それでパワーアップでもされたら面倒だな
猫もいるし魚料理にするか

すぐキッチンに向かい調理開始
UC絶望の福音を使って敵の攻撃が飛んでくることに備えておく
来るとわかってりゃ攻撃が飛んでくる位置から動けばいい

白身魚に塩胡椒の下味をつけ
パン粉と香草を混ぜたものをまぶしじっくり焼く
皿に料理と洗った野菜を飾り完成だ

サンディが敵連れて入ってくるまでにはテーブルに料理をセッティングしておく
もし食って寝たら俺にも殴らせろ



●白身魚のパン粉焼き
「随分こちらを食べる気満々のオウガだね。ルウィア、ちょっといいかい?」
 飢婦人の言動を見たサンディ・ノックス(調和する白と黒・f03274)は、相棒であるルウィア・ノックス(止まない雨・f03190)に声をかけた。
「俺がオウガと遊…オウガの相手をしているからルウィアに料理をお願いしていいかな?」
「お前今遊ぶって言いかけただろ」
 愛想悪くそうツッコミを入れながら、ルウィアは厨房へと足を向ける。
「そもそも誰かが料理しなきゃ倒せねえんだろ? 選択肢無いじゃねえか」
「ごめんね。けど、完成までそっちに攻撃は通さないから」
「通ったところで避けるがな」
 簡単な役割分担を終え、二人はそれぞれの作業を開始した。

「あらあらぁ? まずはあなたがおやつになりに来たのかしらー?」
 サンディと相対すると、飢婦人は手に持った肉切り包丁を光らせてニコニコと笑みを浮かべる。
「大丈夫よ。いきなり齧りついたりはしないわぁ。ちゃーんと調理しないと、折角の食材が勿体ないもの」
「なるほど、キミはマナーを知っているんだね。そう、肉は切ってからでないと齧っちゃいけない」
 そう言ってこちらが暗夜の剣を抜けば、飢婦人の頭上の猫も瞳を光らせる。
 そしてどちらからともなく斬りかかり、凄まじい斬撃の嵐が飛び交った。

(別人のようになりやがって…そこも気に入らねえ)
 一方、厨房へと足を踏み入れたルウィア。
 サンディと飢婦人のやり取りを横目にイラついた顔をするが、それはそれ。
 今は役割通りに料理を作らなければ。
(肉好きなら肉を振る舞いたいところだが、それでパワーアップでもされたら面倒だな。猫もいるし魚料理にするか)
 そうと決めればあとは早い。
 白身魚に塩胡椒の下味をつけ、パン粉と香草を混ぜたものをまぶしじっくり焼く。
 この間も厨房の外ではサンディと飢婦人が戦っている音が響いてくるが、こちらにまで攻撃が飛んでくる様子はない。
 いざとなれば避けられるようにと身構えてはいたが、現状はその必要はなさそうだ。

「やるわねぇ。こんなに耐えるなんて思わなかったわぁ」
 猛スピードで肉切り包丁を振るいながら、飢婦人が感心したような声をあげる。
 表情こそ笑ってはいるが、状況は飢婦人にとって不利になりつつあると言えるだろう。
 サンディは見切りを得意としており、戦いが長引くほどに回避が安定するようになってきているのだ。
 だが、それに焦って大振りをしてしまえば尚更に当たらない。そろそろ疲れが見えて来てもおかしくはない頃合いだ。
「ちょっと休憩でもする? 俺はまだまだ平気だけど」
「大丈夫よぉ。仕込みに時間がかかることも多いもの。これくらいどうってことないわぁ」
 頭上の猫の瞳が再び光り、激しい攻撃が降りかかる。
 サンディもまた、全ての攻撃を回避できているわけではない。
 攻撃回数を重視することで手数を対等に近づけ暗夜の剣で攻撃を受け流し、それでも避けきれないものは魔力のオーラを発生させて勢いを殺すことで凌いでいる。
 相手がほぼ無敵である以上、今は防戦に徹するしかないのだ。

「よし、こんなところか」
 焼きあがった白身魚を皿に盛りつけ、彩りとして洗った野菜を添える。
 ルウィアがそれをテーブルの上にセットしたところで、丁度扉が開いてサンディと飢婦人が飛び込んでくる。
「おう、準備できてるぞ」
「ありがとう。流石に防戦一方だと辛かったね」
「あらあらぁ? これが私の為に用意された料理かしらぁ?」
 テーブルの上の料理に気づいた飢婦人はふらふらとそちらに寄っていく。
「この香り、パン粉に香草が混ざっているわねぇ。焼き加減もいいみたいだし、彩りもあって綺麗。楽しみだわぁ」
 肉切り包丁をナイフとフォークに持ち替え、飢婦人はそれを食べ始める。
「う~ん、柔らかいわぁ。白身魚はやっぱり焼きたてが一番よねぇ。香草が食欲をそそって、これなら何皿でもいけちゃいそう」
 満足気に舌鼓をうつ飢婦人。その動きは更に鈍ったように見え、眠ってしまう時も近いように感じる。
(眠ったら俺も一発ぶん殴ってやりたいんだがな)
 効果は出ているが、まだその時ではない。ルウィアは拳を握りしめ、その時を待つ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

シアン・ナアン

『まずは自分を壊しちゃお!世界もどーせ壊れてるから!』
『自由こそ真の秩序……』
『シアン難しい話わかんなーい☆』

◆口調
コロコロ変わり、ぐちゃぐちゃである

◆行動
戦闘、遊び、調査等何をするにも分身を使って活動する
分身も意識があり区別がつかない
死に対して一家言ある
行動指針に一貫性がなく都度変わる

爆発物好き、派手好き

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、怪我や死ぬことも厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為は多分しません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動は恐らくしません。
 つまりはだいたいおまかせ。よろしくおねがいします!!


パトリシア・パープル
わたしも悪食だけど、さすがに人肉料理はノーサンキューよ

と、いうわけで、早々にチート技発動
召喚したスカンク達の持つ「波動としての性質」で、敵の食べようとしている肉の丸焼にスカンク達そのものを「伝播」させ、情報を上書きして同時存在として取り込ませるわ
スカンクの本体は異層次元に置いてあるから、量子的な攻撃以外は通用しないわよ♪
量子スカンクの一部になった肉料理は……当然、スカンクの意思と性質を得て逃げ回るわ
「メインディッシュができるまで、自分の肉料理と鬼ごっこしてなさい

その隙に、こっちも肉を焼く
A5ランクの霜降り探して、豪快にステーキを焼いてあげるわ
「ほら、肉が食べたかったんでしょ? はい、どうぞ


九十九・つくみ
そういえば、料理したことあったっけ……?
まだしたことなかったや、どうしよっか
う~ん、簡単そうな物なら?
とにかく、厨房には入らないと

邪魔されちゃあいけないし、こっちに来るようなら妨害しちゃいましょう♪
UCで写真を一枚……、結界術と捕縛で動きの制限かけられないかな
それと、ろーくんゴー!
ちょっと無理しない程度に時間稼ぎつつ戯れててっ

さって、その間に料理っと
ええと、ウィンナーとキャベツとニンニク!良しこれにしよう

ウィンナーは一口程に切ってキャベツも同じ様に千切る
ニンニクは刻んで、油を引いて一緒くたに炒めるっと
火が十分に通ったらバターを落として馴染ませて…
ガーリックバター炒めの完成っと、どうだろ?



●ニンニクの香りと肉汁ジューシー
「流石に疲れたわねぇ。ちょっと休憩がてら、お肉もいただこうかしら」
 そう言って飢婦人が召喚したのは、スパイスがたっぷりと効いた肉の丸焼きだった。
 それだけなら美味しそうに見えるのだが、彼女のこれまでの言動からそれがかつて人の形をしていたものであることは容易に想像できる。
「わたしも悪食だけど、流石に人肉料理はノーサンキューよ!」
 それを見たパトリシア・パープル(スカンクガール・f03038)が、言い放ちながらスカンクを召喚する。
 召喚されたスカンクたちは『波動としての性質』を持ち、スカンクたちそのものを飢婦人が食べようとしていた肉の丸焼きに『伝播』させていく。
「あらあらぁ? ちょっとぉ、お肉が逃げないでー」
 スカンクとしての意思を持って逃げ回るようになってしまった肉の丸焼きを、飢婦人は追いかけ始める。これで十分な時間は稼げるだろうと、パトリシアは今のうちに厨房へと向かった。

「そういえば、料理したことあったっけ……? まだしたことなかったや、どうしよっか」
「だいじょーぶだって。料理は心だよ」
「簡単なものからチャレンジしてはどうだ。私たちも手伝うぞ?」
「料理にこんなに人手いるー? 私寝てていい?」
「厨房に寝っ転がられると邪魔だから、寝るなら外で寝なさい」
「いいからまずはオレサマを褒め称えろって」
「それはさっきも森の中でやっただろ。天丼か!」
「うぇーい☆」
 厨房に入ると、複数の先客がいた。……まぁ7人に分身している者がいるだけで、実際には2人なのだが。
 先に厨房に来ていた九十九・つくみ(東方妖怪のレトロウィザード・f30396)が7人のシアン・ナアン(自己壊乱・f02464)に囲まれており、どうやら7人のシアンは料理の手伝いをしてくれるらしい。
「飢婦人ならしばらく追いかけっこしてるだろうから、料理するなら今のうちだよ」
 とりあえず、パトリシアが現状を共有する。そして自らも料理をすべく材料を探し始める。

「結構色々あるわね」
「初心者なら炒め物がいいのではないか?」
「なら、使えそうなのはこの辺かなー?」
 シアンたちが持ってきた材料をつくみが吟味する。
「ええと、ウィンナーとキャベツとニンニク! 良しこれにしよう」
 作る料理を決め、早速取り掛かる。
「ウィンナーは一口程に切ってキャベツも同じ様に千切る」
「一口サイズならば、スプーンに乗る程度の大きさを意識するといいぞ」
「ニンニクは刻んで、油を引いて一緒くたに炒めるっと」
「いきなり強火でやると焦げちゃうから、そこは火加減に注意してねー」
「火が十分に通ったらバターを落として馴染ませて……」
「ほい、バター。そろそろ落としていいんじゃね?」
 シアンの中でも比較的常識的な面々がつくみをサポートし、料理は順調に出来上がっていく。
 やがてバターとニンニクの香りを漂わせたガーリックバター炒めが更に盛り付けられ、テーブルに並んだ。

「いい肉あったぜー☆」
「お、ありがとー! これはいい肉ね!」
 パトリシアはシアンの1人が持ってきた肉を受け取り、これは豪快なステーキにしようと決めた。
 それはA5ランクの霜降り肉。肉の味を最大限に活かそうとするのは正しい判断だ。
「オレサマは親切だからな。下味の塩は既に振っておいたぞ!」
「胡椒は焼く直前がいいって、前に何かの漫画で読んだかもー?」
 意外と料理に関する知識があるのか、こちらでもそれぞれアドバイスをしてくれるシアン。
 そのアドバイス通りに鉄板を熱し、肉を焼いていく。
 すると、内部に肉汁の旨味を残したまま香ばしい匂いを漂わせる見事なステーキが完成した。

「記念に1枚撮りますね」
 テーブルに並んだガーリックバター炒めと高級肉の豪快ステーキを、つくみが写真撮影する。
 どちらもとても美味しそうで、オウガである飢婦人に食べさせてしまうのが勿体なく感じるほどだ。
「あらあらまぁまぁ、あなたたちも料理を用意していたの?」
 結局逃げ回る肉を捕まえるのを諦めたらしい飢婦人が厨房に入ってきて、テーブルの上の料理に気づく。
「ほら、肉が食べたかったんでしょ? はい、どうぞ」
 パトリシアが促すまま、飢婦人はテーブルに向かう。
 ガーリックバター炒めはバターとニンニクが効いたウインナーが、ステーキは適切に塩胡椒されて焼かれた高級肉が、それぞれ肉の旨味を主張している。
「ああ、ああ! これは凄い香りね! もう、食らいつかずにはいられないわ!」
 叫んで、まずはガーリックバター炒め。
「凄いわ! 焦げ臭い匂いを残さずに効かせたニンニク! 蕩けて絡んだバター! 切り分ける大きさも食べやすい一口サイズで、とても丁寧に作られた物だとわかるわ」
 味わいながらもハイペースで完食し、続いて豪快ステーキ。
「お肉! お肉ぅ! 肉汁が、肉汁が凄いの! 旨味たっぷりの肉汁がしっかりと詰ってて、胡椒の香りで食欲が刺激されて……止まらない! 止まらないわ!」
 こちらも勢いよく完食。飢婦人の顔は既に張り付けたような笑みではなく、心の底から満足したモノになっている。
「ああ、もうダメ……美味しすぎて、お腹いっぱいで、眠ってしまうわぁ……」
 頭上の猫もあくびをして、そのまま丸まって目を閉じてしまう。
 それを合図としたかのように、飢婦人もテーブルに突っ伏してそのまま安らかな寝息を立て始めた。

「さて、あとはトドメを刺すだけね」
 飢婦人が完全に眠ったのを確認し、パトリシアはフォークを構える。
 つくみも生気を削り取るカメラを構え、7人のシアンもそれぞれ思い思いの武器を手に持った。
 もう、ハロウィンの国のルールによる無敵状態は解除されている。彼女はルールに則り、敗北したのだ。
 最後に待つのは、猟兵たちの一斉攻撃。それにより人肉食を好むオウガは倒され、このハロウィンの国のアリスたちが犠牲となる未来は完全に潰えたのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2020年11月08日


挿絵イラスト