1
【Q】ハロウィン・フィーバー!

#アリスラビリンス #【Q】 #お祭り2020 #ハロウィン

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アリスラビリンス
🔒
#【Q】
🔒
#お祭り2020
🔒
#ハロウィン


0




●ハロウィンの国のにゃんこたち
 ここはハロウィンの国。愉快な南瓜のランタンに、どんなものでも作れそうな整ったキッチン、そしてこの国に見合うコスプレ衣装もそこかしこを飛び交い着てくれる人を待っている不思議の国。
 そんな国の中で赤い頭巾の白猫たちがにゃーにゃー衣装を奪い合っていた。
『こっちの服はあたしが先に選んだにゃ』
『いいやこれはわたしの方によく似合う』
 そんなこんなでにゃんこサイズの仮装衣装を着てあるにゃんこはお姫様、あるにゃんこは海賊衣装、あるいは魔法少女と服装様々だ。
 けれど彼女達はオウガ、人間を喰らう怪物でありそして、
『おーなーかーへったんだなぁ~』
 ずずん、と大きな音とお腹を鳴らしてやってきた巨大なモグモグちゃんがやってくる。かつてオウガ・オリジンに力を与えられたそのオウガはこの国の力をも使って好き勝手に過ごしていた。
 キッチンの食材をそのままつまみ食いして、物足りなさげな雰囲気で再び森の奥へと戻っていく。
 ――ここはハロウィンの国、オウガ・オリジンが改変せし絶望を生み出す為の不思議の国の一つである。

「みんなちょっといい? 儀式魔術【Q】の成功でアリスラビリンスに『ハロウィンの国』に改変された国がいくつも見つかったみたいなの」
 グリモアベース、よく通る大きな声で祓戸・多喜(白象の射手・f21878)が猟兵達に呼びかける。
「ハロウィンの国はその名の通りハロウィンの雰囲気一杯の国で、食材完璧なキッチンに仮装用の衣装が飛び出してくる森、そこかしこにぶらさがった南瓜ランタンとかまさにハロウィンパーティにうってつけの国になっているわ!」
 インスタとかにも映える画になりそうねーとどこか夢見るような白象は、一度咳払いして本題に移る。
「けれどそれを改変したのはオウガ・オリジン、当然悲劇を作る為の仕掛けがある訳で、オウガ・オリジンから直接力を与えられた凶悪なオウガが潜んでいてハロウィンの国の力も利用して襲い掛かってくるわ! 当然見過ごすわけにもいかないからそれを返り討ちにしてハロウィンの国ゲット! って考えてるんだけど……皆の力を貸して貰えない?」
 そして白象の女子高生は説明を続ける。
「最初は森の中でコスプレしたにゃんこずきんちゃん達との戦いになるわ。コスプレしてても頭巾は外してないのは好みなのかしら? ともかく、衣装の力で強化されてる上に数も多いから注意が必要ね! こちらも出鱈目に森から飛んでくる仮装衣装に着替えればパワーアップできるけど……好みに合わないものが来るかも。でもあんまり着たくないものの方がより強化されるから悩ましい所……!」
 あ、際どいのは基本的にないみたいだからそこは安心してもいいかも、と多喜は続ける。
「それでにゃんこずきんちゃん達を倒したらモグモグちゃんね! この国の力で強化されてて滅茶苦茶固い、というかまともに攻撃が通らないわ。でもその分この世界の法則にも従わなければならないみたいで、美味しい料理を出されると絶対に食べてその感想を言ってくれて、食べた分だけ眠くなる。それで完全に眠りに落ちれば無敵が解除されるからサクッと倒せるはずよ! ちなみに実際の味より心が籠ってるかどうかがポイントみたい」
 そこまで説明した多喜はグリモアを取り出すとその力を解放、猟兵達を光が包み込む。その先には奇妙で賑やかな不思議の森。
「ハロウィンまで時間も短いけど楽しいハロウィンパーティの為頑張っていきましょー!」
 そう明るく多喜が締め括る声と共に、猟兵達はハロウィンの国へと転移したのであった。


寅杜柳
 オープニングをお読み頂き有難うございます。
 ハロウィン! ハロウィン!

※この依頼は【二章構成】で、ハロウィンの国でのオウガ達との戦いになります。
 10/31までに成功したシナリオの本数に応じて、ハロウィンパーティ当日、そしてやがて始まるであろう「アリスラビリンスでの猟書家戦」に、何らかの影響があるかもしれません。

 第一章は森から飛び出してきた「コスプレ衣装」でパワーアップした『にゃんこずきんちゃん』達との戦いです。
 こちらも森から飛び出してきたコスプレ衣装を身につければパワーアップできますが衣裳はランダムです。
 その中には望まない衣装もあるかもしれませんが、そちらの方がよりパワーアップします、何故か。
(衣装は基本的に今年の行列のダイス表を元にダイス振って決めますが、服の傾向や着用時のリアクションがあればそれに準じて判定します)

 第二章は超強化された『モグモグちゃん』との戦いになります。
 『ハロウィンの国』の法則によってほぼ無敵となっていますが、美味しい料理を食べさせることで眠気を誘い完全に眠らせる事で一撃で倒せるようになります。
 森のそこら中にあるキッチンで、モグモグちゃんの苛烈な攻撃(つまみ食い含む)に耐えながら美味しい気持ちのこもった料理を完成させる事で、モグモグちゃんは抵抗できずに食べてくれます。
 できる限りつまみ食いを阻止しつつ、眠りに落ちるまで料理を完成させれば勝利できます。
 第二章は冒頭に状況説明を追加致しますのでそちらをご確認下さい。

 それでは、皆様のご参加をお待ちしております。
84




第1章 集団戦 『にゃんこずきんちゃん』

POW   :    12時になると自爆するとは何か間違ってるのにゃ。
自身の身長の2倍の【12時になると自爆する『南瓜の爆車』】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
SPD   :    お魚やめるなんてもったいないのにゃ。
【相手が変形した部位や召喚物を魚】に変形し、自身の【自制心】を代償に、自身の【食欲と魚への反応速度】を強化する。
WIZ   :    どこかのおばあさんからもらった毒リンゴにゃ。
【毒リンゴを対象の口に放り込むこと】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ヴィリヤ・カヤラ(サポート)
「やるなら頑張らないとね。」
ユーベルコードは指定内の物を適宜使用。
武器は黒剣の宵闇、鋼糸の刻旋、媒介道具の月輪を良く使うかな。
戦場の状況は出来る限り確認しながら動いて、
誰かが攻撃されそうなのに気付けたらフォローに入るかな。

吸血行為は無理矢理にはしないけど、敵に対しても同様で
相手の許可が無ければしないよ。
父様から同族(ダンピール)と
自分の血を吸うのはダメって言われてるからNG。

一般人は依頼内で救助の必要性があると
明言されているならなら助けるけど、
そうでない場合は状況によっては見捨てる判断もするかな。

楽しめそうな事は思いっきり楽しむけど、
夏の強い日光は苦手かな。
味覚は苦い物と酸っぱい物は苦手。



 深い深いハロウィンの国。空に輝く奇妙な満月は森の中を宵の程よい明るさに照らしている。
 にゃんにゃんにゃーん、猫の鳴き声と共に爆走する南瓜の馬車――ではなく南瓜の爆車はユーベルコード製。御者に爆車の中の王子様、そして屋根の上の魔女はいずれもこの森の仮装衣装を纏っているにゃんこずきんちゃんだ。
『にゃんにゃんにゃーん、アリスちゃんはどこなのにゃ?』
『夢の馬車で魔法のお城に来ないかにゃー』
『お着替えも魔女のあたしが何とかするから気軽ににゃー』
 当然それはアリス達を誘い出してオウガの元へと連れていくための虚言。普段の赤ずきんの格好とは少々毛色の違う格好のにゃんこ達もまた、アリスに対して害為す存在なのだ。
 そんなにゃんこ達を木々の陰からヴィリヤ・カヤラ(甘味日和・f02681)がこっそりのぞき込んでいる。
 光の具合はダンピールの彼女には程よい感じ、森の中から飛来した貴族風のマントで身を包みながら爆車の経路を確認し、仕掛けるタイミングを探っていたのだ。
 猫の血はセーフなラインかちょっと微妙、そもそもこの速度では吸血の余裕もなさそうとかそんな事も思案しつつ、
(「やるなら頑張らないとね」)
 ハロウィンの国を解放する事を決めていた彼女は、音もなく立ちあがると木々の合間に身を隠す。
 数分後。
『にゃー! 車輪に何か引っかかったにゃー!』
『構わないにゃ引きずっていくにゃ!』
 爆車の車輪の高さ、木々の間にぴんと張られた糸が南瓜爆車の動きを妨げる。
 けれどもそのメルヒェンなコスプレ衣装によりハロウィンの森の力を得ているにゃんこ達と爆車は矢鱈と頑丈、カーボン製の頑丈な糸を結んだ樹ごと爆車は引っ張っていく。
 しかしその妨害に爆車は減速、そこに真紅の瞳に覚醒したヴィリヤが横から跳躍して南瓜屋根の上に飛び乗り、魔女にゃんこに蛇腹剣へと変形させた黒剣の剣閃を奔らせる。
 彼女の姿はまさしく恐れるべきヴァンパイアのよう、仮装衣装で強化されたにゃんこはその一撃を受け止めるけれども体格差から馬車から弾き飛ばされてしまう。
 その騒ぎに馬車の中から飛び出してきた王子にゃんこが猫の剣をヴィリヤに向け斬りかかるがそれが届く前にヴィリヤは離脱、ハロウィンの奇妙な森の中へと姿をくらませたのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

月夜・玲
…うん!
コスプレだね、まあコスプレだね…
嫌なコスプレの方がパワー出るとか罰ゲームかな?
罰ゲームの国かな??
まあ動きやすい服装ならちょっと我慢するだけで良いし…
ヒラヒラしてたり、モゴモゴしてたりしなけりゃそれで良いし…
可愛い系とかじゃなけりゃあそれで…
うん?いやそうなるとそういう系着た方が強くなるの?
マジ??


とりあえずチャチャッと着替えて《RE》IncarnationとKey of Chaosを抜刀
【光剣解放】を起動
10本1組で運用して光剣で相手を『串刺し』にするよ
なるべく30cm以内には近寄らないようにしつつ、近付いて来た子は両手の剣で『なぎ払い』して『吹き飛ばし』て距離を取る

アドリブ等歓迎



「……うん! コスプレだね、まあコスプレだね……」
 はあ、溜息を吐くのは月夜・玲(頂の探究者・f01605)。何とかテンションを上げようとしたけれども流石に現実から目を逸らす訳にもいかない。
 そう、コスプレなのだ。メカニックな彼女的には機能美の方がどちらかと言えば重要、普段の姿もスタイリッシュだけれどもコスプレというのは実用性よりも見栄え重視。どう役に立つのか分からないフリルだとかふぁんしぃなあれこれを、パワーアップの為とは言え自分が着用している姿を想像するだけでちょっと頭が痛くなる。
 さらに悪い事に自分が着たくないコスプレの方がパワーが出るとの事。このような世界に改変したオウガ・オリジンの性格の悪さが滲み出ていると思わずにはいられない。
 というかこれ、罰ゲームだ。罰ゲームの国だ。
 そもそもアリスラビリンス自体がアリスには死亡前提の罰ゲームの世界ではないのかなどと考えながら、玲は薄暗い森の中飛び交うやたら可愛らしかったり動き易さという概念を投げ捨てたようなひらっひらのコスプレ衣装、あと数々のアニマルぐるみとかサメぐるみを慎重に見定め回避しつつ、不意に飛び掛かってきた一着を掴む。
「これは……」
 手にした衣装はサクラミラージュの桜學府制服のような派手過ぎず地味過ぎず――他に比べればまだ妥協できるデザイン。
 早速着替えて確認すれば、袖が神主服のように長くてヒラヒラしているけれど動くのに支障はない。そして下半身はスカートや袴ではなくズボンで、全体的にこの国の魔法の力なのか寸法がぴったり合っていてとても動き易い。
 流石にダルマ自転車付きではないけれども森の中では普通に走った方が動き易いから問題ないだろう、と考えたその時。
『そこなキレイなおねえさん、どこかのおばあさんから貰ったリンゴはいかがかにゃー?』
 いきなり森の木々の陰から飛び出してきたのは魔女服姿のにゃんこずきん達。手にしたリンゴは当然毒林檎。
 即座に模造神器という名の特製ガジェットより二振りの刃を引き抜き、直接口にねじ込もうとしてくる二匹の猫を剣で薙ぎ払い弾き飛ばす。
 しかし周囲を見れば沢山の猫の目がきらりと闇に浮かび上がっている。どうやらにゃんこずきんの団体さんだったらしい。
 オウガ達が飛び掛かってくる前に玲はユーベルコードを起動。その周囲に千に迫る数の光の剣が周囲に展開されて、
「機能解放、光剣よ舞い踊れ!」
 そう言葉を紡げば光の剣がねじくれたような森の木々の隙間を直線と鋭角の鋭い軌跡で幾何学模様を描くように飛翔してにゃんこずきん達を分断、そしてそれぞれを十本単位の光剣で個別に包囲し、そして囲んだ魔女服にゃんこ達を一斉に刺し貫く。
 にゃんこずきん達も強化はされているけれども光剣の猛威はそれ以上、全てを絶命させた玲は走り出す。
 枝とかにひっかかりそうなヒラヒラの服でなくてよかった、等と考えながら學徒兵姿の彼女は次なる敵を探すために森を駆けるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

弥久・銀花(サポート)
敵が集団の場合は罠に掛けて一網打尽、或いは私が囮になって頃島までエスコートしますね

ユーベルコードのワイルドエールで敵に突っ込んだり、縦穴を掘って敵を落としたり
無視できない煽り攻撃で楽しく罵倒しながら他の人の近くまで誘引したりします


(ですが例によって奇襲には弱いので、場合によってはあっさりと敗北します、触手とかエッチなトラップとかには特によく引っ掛かります)


大崎・玉恵(サポート)
『あまり、老狐に無理をさせるでないぞ』
 妖狐の戦巫女×陰陽師女です。
 普段の口調は「女性的(わし、おぬし、じゃ、のう、じゃろう、じゃろうか?)」、気にいったら「尊大(わらわ、おぬし、じゃ、のう、じゃろう、じゃろうか?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、公序良俗に反する行動はしません。
ユーベルコードを絡めた【誘惑】による認識操作や籠絡、【呪符】に【破魔】【焼却】等の【呪詛】を込め【呪殺弾】とする、薙刀による【薙ぎ払い】【2回攻撃】が得意です。
卑劣な手段をとる敵には【威厳】【存在感】を放ち神として振る舞います。



 森の中、弥久・銀花(隻眼の人狼少女剣士・f00983)は衣装を躱しつつ静かに敵を探していた。
 がさり、と物音と小さな気配。それらを感じ気配を殺し草むらに身を隠しながら音のした方を銀花はそっと覗き込む。
『さあ今日も元気に木を伐ってアリス達をご案内するのにゃー』
(「斧を持ってる木こり……ですか?」)
 フードのようにも見える帽子を被り猫の手に小振りの斧を持った小柄なにゃんこずきんちゃんは小人のよう、うきうき気分なのか草むらに隠れた銀花に気付いていないようだ。
 先手必勝、銀花がユーベルコードを使用すれば眼前のにゃんこそっくりの召喚存在が彼女の傍に出現、息を合わせて同時に切り込む。
 帽子にゃんこは二者の気配に気づき応戦、召喚されたにゃんこずきんの斧の一撃は防がれてしまうも生じた隙に白嵐玉椿を一閃、にゃんこの白い毛並が朱色に染まる。
『暴力はんたーい!』
 けれどそこでにゃんこずきんちゃんのユーベルコードが発動すると、なんと召喚されたにゃんこずきんちゃんが魚の姿に変化させられてしまう。
 するとにゃんこの目がきらりと輝き、びっくりするような速度で飛び掛かりその喉元に食らいつく。その一撃では魚になったにゃんこはまだ倒れなかったものの、喰らいついた猫が飛びのくと同時に草むらから同じ小人の格好をした六匹のにゃんこずきんちゃんが飛び出してくる。
 彼女らの目は魚屋のいいのを狙う野良猫の目、そこに自制心なんてある訳もない。
『『『『『『『お魚よこせにゃー! ついでにフルボッコにゃー!』』』』』』』
「矛盾してません!?」
 召喚存在は眼前の相手より少し強い、けれど二対七では勝ち目はない。
 ならばと銀花は召喚魚を抱え上げると森の奥へと一目散に駆けだした。
『逃すかにゃー!』
 当然にゃんこ達は獲物を逃がすはずもなく、背を向け走る彼女――というよりその手に持った魚を只管追いかける。
 コスプレ衣装の力で猟兵以上の速度で南瓜灯篭に飾られた森をすり抜け走っていくにゃんこ達、ぐんぐん距離を詰めていくけれど走る先に一人の妖狐がゆらりと姿を現す。
 蠱惑的な印象の彼女は大崎・玉恵(白面金毛・艶美空狐・f18343)。手にした呪符に呪詛を籠め、走り来る銀花の横を通すように弾丸の如く放つも強化されたにゃんこずきんちゃん達はいとも容易くそれを弾く。
『そんなの効かないにゃ! 弱いにゃ!』
『数もこっちが多いから袋叩きにしてやるにゃー!』
 斧を構えたにゃんこ達、有利を確信している彼女らの前に玉恵がもう一人現れ、銀花が召喚魚を放り投げ渡す。
 にゃんこ達の視線は魚と突如出現したもう一人に釘付けで、手斧や毒リンゴを一斉に振り上げ叩きつけんと飛び掛かる。
 けれどその瞬間現れた玉恵――正確には彼女そっくりに変身させた殺生石から瘴気が噴き出しオウガ達をその猛毒に晒す。
 逃れようとするけれども完全に前のめり過ぎたせいで方向転換も不可能、そして瘴気の範囲もすぐ逃れる事が出来ない位には広い。
 魚と獲物を目の前にして、にゃんこずきんちゃん達は意識を永遠に失ったのであった。

「……上手くいきましたね」
「当然じゃろう。化かし合いは此方の領分じゃ」
 瘴気の広がった領域の外、魚を投げ渡した瞬間走り瘴気より逃れていた銀花と玉恵はばったり倒れた七匹のオウガを見やる。
 元より銀花が森を歩いていたのは囮になる為、小人にゃんこずきんちゃん達の魚への執着を利用して玉恵の元へと導いたのだ。
 少々予定よりは余裕がなかったが倒せたのだから良しとしよう。
 まだオウガはこのハロウィンの森の中にうようよといるようで、それらを倒し切る為に彼女達は次の敵を探り始めた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

南青台・紙代
アドリブ・連携歓迎
【WIZ】
アリスラビリンスにまだ悪意の気配が残っている、と。
放ってはおけないのであるな。
しかし、已む無しとはいえ、スカートの丈が……!
(学生服・メイド服以外のミニスカートの仮装)
ええい心頭滅却、戦いに集中せねば。
夜の森という視界の悪い《地形の利用》をして、
接近される前にUCで召喚した兵器でオウガを狙う。
《闇に紛れる》ことで《目立たない》位置から
ゴーグルについた《暗視》機能も用いて敵の位所を
《情報収集》し、攻撃を仕掛けるのである。
相手に懐に入られないよう、《聞き耳》を立てて警戒。
アリスに被害を出さぬためにも、力を尽くすとしよう。
丈など…気にしては…!(普段和装なので照れている)



 ハロウィンの森の中、光の剣や瘴気がコスプレにゃんこなオウガ達を倒していく中、南青台・紙代(言の葉綴りし青蛇女・f23355)はその蛇のような赤い瞳を眇め周囲の気配を窺っていた。
 先の戦争でオウガ・オリジンが討たれたにも拘わらずアリスラビリンスに残り続けている悪意。
(「放ってはおけないのであるな」)
 きりっと彼女は表情を引き締めつつ、酒池肉林の肉の如く枝にかけられたコスプレ衣装を見遣る。
 黒が基調のフレアスカートのドレス――女吸血鬼をイメージしたものなのだろうか。何となく少女趣味のようにも感じる。
 この世界ではコスプレ衣装を纏う事によりパワーアップできる、ならばその助けを借りる覚悟はとうにできていた。
 幸い今は周囲に気配もない。ささっと着替えた彼女に合わせるかのように服のサイズは彼女ぴったりだ。
(「しかし、已む無しとはいえ、スカートの丈が……!」)
 膝が見えるか見えないかのスカート丈。普段和装の彼女にとっては腿や膝辺りが何となく涼しく感じてしまう。
(「丈など……気にしては……!」)
 けれど心頭滅却、足元の涼しさなど関係ないと自分に言い聞かせながら夜の森に紛れ索敵を開始する。
 すると程なくおおかみの被り物をしたにゃんこずきんが歩いているのを蛇の感覚、そしてゴーグルによる暗視で捕捉する。他にも鈍く重いものが動くような振動も感じるがかなり距離があるため今は関係ないだろう。
 夜の森での戦いならヘビ人間である彼女の得手とするところ。進路を予測すると気配を殺し音もなく木の枝をするすると登りおおかみずきんの進路、その真上の枝へと先回りする。
 そして真下にやってきたその瞬間、紙代は戦闘用の機械兵器を召喚。一斉に襲撃を仕掛ける。
 真上からの奇襲を受けたおおかみ頭巾はおおかみ手袋の手で引っ掻き機械兵器を一撃で蹴散らすも、六十五の機械兵器を全て落とす事は出来ず数十体の突撃をまともに喰らってしまう。
 血を吐くけれども衣装による強化の影響かまだ倒れない。きっとおおかみ頭巾の下のにゃんこの瞳で紙代を見上げると、その枝の繋がった木の幹に狼の手を叩きつけ激しく揺らす。
 その衝撃で紙代は枝から落下、彼女の耳と目、そして感覚器官のすべてが落下する彼女に向かい走り込んでくるおおかみずきんを感じ取っていた。
 だけれどもヘビ人間の女は冷静、懐から取り出した真っ赤な瑪瑙の勾玉に込めた怪気を解放すれば強烈な光が周囲を一瞬だけパッと照らす。
 夜の闇に慣れた目にその光はとても強烈、動きを止めたにゃんこを蛇特有のしなやかさですり抜けた紙代は再び機械兵器の群をおおかみにゃんこにけしかける。
 無数の兵器の襲撃、目潰しを受けたにゃんこずきんに対応できるはずもなく、おおかみコスプレのにゃんこずきんは機械兵器に蹂躙されたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『モグモグちゃん』

POW   :    お腹が減って仕方がないんだよぉ~……
戦闘中に食べた【無機物または有機物】の量と質に応じて【筋力が向上し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD   :    お腹が背中にくっつきそうなんだよぉ~……
戦闘中に食べた【無機物または有機物】の量と質に応じて【瞬発力が向上し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
WIZ   :    お腹が満たされないんだよぉ~……
戦闘中に食べた【無機物または有機物】の量と質に応じて【思考力が向上し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠竹城・落葉です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●にゃんこずきんのつぎはモグモグちゃん
『に゛ゃ゛ーー!?』
 まだ十二時でもないけれどにゃんこずきんちゃんの夢爆車が爆発し、轟音をハロウィンの森に轟かせる。
 蹴散らした猟兵は一息つき、何となく感じた大きな気配の元へと森を抜けていく。
 ここまでの活躍で多くのにゃんこずきんちゃんは撃破された。転送される前の説明ではモグモグちゃんがこの森の主であるとの事。
 にゃんこずきん達を駆逐しつつモグモグちゃんを探し求め森を駆ける猟兵達は、出鱈目にキッチンがいくつも並んだ拓けた場所へと辿り着く。
 森の中、ハロウィン風味に飾られてはいるけれどもどれもキッチンとしては十分以上に使えそうだ。
 それぞれのキッチンの横にあるメルヘンな冷蔵庫には海の幸山の幸問わぬ新鮮な食材も並んでいる。というよりも明らかに冷蔵庫の容量より多くのものが入っているが、それも現実改変ユーベルコードの効果なのだろうか。
 そこにずしん、と大きなものが動く音。森の中から姿を現したのは巨大な一体の愉快な仲間――ではなくなれ果てたオウガだ。
『お腹空いたんだよぉ~……』
 そんな事を言いながら、一つのキッチンに備え付けられた冷蔵庫をその大きな手で掴み地面から引っこ抜くと、その中身を口の中に流し込み空になった冷蔵庫をぽいっと投げ捨てる。
『まだまだ足りないんだよぉ~……手軽に沢山食べたいんだなぁ~……』
 そして次の冷蔵庫へと視線を向け、ずしん、ずしんと歩き出す。
 説明によればこのオウガは実質無敵、けれど作られた料理はすべて食べなければならないという制約も抱えている。
 満腹になり眠りに落ちればその無敵の時間も終わるとのことだが――このままでは料理の為の食材がつまみぐいで喰い尽くされてしまうだろう。
 無敵とはいえユーベルコードや持てる技術を駆使すれば妨害はできるかもしれない、もしくは食われる前に調理を完了するか――どうするかは猟兵次第。
 残り時間もあとわずか、その前にこの国を解放せんと猟兵達のある者は普段着のまま、ある者はエプロン姿、またある者は森でのコスプレ衣装を纏ったままに、各々の作業へと取り掛かった。
春霞・遙(サポート)
UDC組織に所属して、UDC関連の一般病院に勤務している小児科医です。
行動の基本方針は困っている人が居るなら助けたい、人に害をなす存在があるなら退けたい。
戦う力はあまりないですけど、自分が傷を負うとしてもみなさんのお手伝いができれば嬉しいです。

基本的に補助に徹します。
「医術」「援護射撃」「情報収集」から、【仕掛け折り紙】【葬送花】での目くらましや演出、【生まれながらの光】【悪霊祓いのまじない】で照明や目印を付けるなども行えるかと思います。
攻撃は拳銃による射撃か杖術が基本で、その他はUCを使用します。
【悔恨の射手】【未来へ捧ぐ無償の愛】は基本的に使用しません。

シリアス以外ならいたずら好きの面も。



『食べても食べても足りないんだなぁ~……』
 そんな事をのたまいながら冷蔵庫を毟り中身を大きな口に流し込む巨大なオウガを春霞・遙(子供のお医者さん・f09880)は見上げていた。
 この国の法則ではこのモグモグちゃんに料理を食べさせて眠気を誘えないと勝機はない。けれど材料のままでは当然料理と認識されないようで、数台の冷蔵庫を空にしてなおその旺盛な食欲には些かの衰えも見られない。
 とにかくこのまま好き勝手にさせていては料理の為の食材も根こそぎにされてしまう。そうなってしまえばこのアリスに害為すオウガを倒すことは不可能となる。
 そう判断した遙はつまみ食い阻止の為に動き出す。

 ひらり、ひらりと小さな蝶がオウガの視界を過る。
 死病の流行を察知し群なすという勿忘草色のその蝶は、冷蔵庫まっしぐらなモグモグちゃんの視界を遮るようにひらひらと舞う。
 直接的な危害を受ける訳ではないけれども、しつこく目の周辺を舞う蝶は妙に気にかかる。
『んー……どこから来たんだなぁ~……』
 モグモグちゃんが呟いたその疑問の感情こそが遙の狙い、彼女がユーベルコードを起動すれば海産物染みた謎喰らう紫の触手の絡み合った塊がモグモグちゃんの背後に出現、その巨体に向けて触手を飛ばし、手足そして一巻するにも難儀な胴回りに絡みつき縛り上げる。
『邪魔なんだなぁ~……』
 この世界の法則で傷を負わない特性を得ているモグモグちゃん、いくら締め付けてもその体を潰す事はできない。
 けれどその動き自体は制限できているようで、のんびりとした口調でうっとおしそうに触手を振り払おうとしている。
 これで他の猟兵が料理する時間はある程度稼げるか、そう遙は思う。
 思ったのだが。
『……よく見るとイカ足みたいで美味しそうなんだなぁ~……』
 そんな事を口走り、なんとモグモグちゃんは触手を両手で握り引き千切ると口の中に放り込んでいく。
 味もそこまで不満ではないようで、巨大なオウガの体を拘束する触手がどんどん千切られ齧られ減っていく。
(「……この調子じゃ長くはもたないですね」)
 だがそれでも足止めにはなる。ならばできる限り続けるまでだ。
 手足を振り回し悪意なく周囲を破壊し、更には触手の塊に手を伸ばさんとするオウガにの次の動きに警戒しつつ、遙は次の手を打つために移動を開始したのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

南青台・紙代
アドリブ・連携歓迎
【POW】
我輩は料理はあまり得意ではないからな……
ここは《時間稼ぎ》をさせてもらうとしよう。
とはいえ、兵器を出して食われてはたまらん。別の手段を考えるのである。
UCで毒蛇に変身し隙間に入り込んだり物陰に潜んだり《闇に紛れる》ことで
奴に見つからないようにしよう。
『蛇怪之気』で冷蔵庫から取り出した食材を動かして
奴の気を引けないか試すのである。
食材に近付いたら蛇怪のオーラを盾のように変えて守り(《オーラ防御》)、
掴み難くすることで時間を稼ぐ。
その上で、『蛇怪之瑪玉』の《マヒ攻撃》でも動きを止められるといいのであるが。


山咲楽・優枝
アドリブ・連携歓迎デス
【POW】
お腹が空くのはとても辛いデスヨネ。
しかしでも、アリスさんたちを食べようだなんてダメデス!
どうせなら、ボクの作る〔料理〕でお腹いっぱいになってください。
それじゃあ簡単で美味しいサンドヰッチを作りマショウ。
食パンにお好きな具材を挟むだけ、デスガ
レタスを水切りしたり、パンにバターを塗ったり、
丁寧に下ごしらえをすればより美味しくできマス。
あ、ちょっと焼いてみるのもいいかもしれないデスネ。
オウガの気はユーベルコヲドで召喚したクマゴローさんにそらしてもらいマショウカ。
無敵が解けたなら、クマゴローさんに攻撃をお願いしマスネ。
……骸の海に戻って、二度と飢えないことを祈りマス。



 モグモグちゃんが触手に足止めを喰らっているその頃、山咲楽・優枝(身魂鎮める桜の一枝・f22534)は並んだキッチンの一つの前に立ち下準備を行っていた。
 お腹が空くのはとても辛い事、いくら食べても満たされないのなら猶更だ。
 けれど、だからといってアリス達を食べるのはダメだと優枝は強く思う。
 彼の目の前に並ぶのはハム、さっと甘めに焼いた卵焼き、そしてしっかり水切りしたレタスやトマト等の瑞々しい野菜の数々。
 それに加えて甘辛いたれに浸し味を染み込ませたチキンをコンロでじっくり焼き上げている。
 そして中央に鎮座せしは食パン一斤丸ごと。
 並んだ食材はそのまま朝食でも大丈夫かもしれないけれど、それでは彼の想いを込めるには不十分。
 桜の精の青年は彼の作る【料理】であのモグモグちゃんを満腹にさせたいのだ。
 あまり時間もない、だから彼が選んだのは手早く作れるサンドヰッチ。
 食パンをモグモグちゃんサイズを想定して厚めに切ってバターを塗り、調味料や具材たちを挟み込む。
 下拵え自体は十分、味付けについては比率を変えて飽きさせないように工夫している。
「……あ、ちょっと焼いてみるのもいいかもしれないデスネ」
 そんな事を呟けば、突然竈の戸が音を立てて開く。まるでできるよーとでも言わんばかりの竈の圧に思わず苦笑しつつ、火を通し味付けしていたチキンにカットしたトマト、チーズに軽く香辛料を振って重ねて竈の火にかけた。

『こればっかりじゃ飽きるんだなぁ~……もっと色々食べたいんだなぁ~……』
 触手の塊から飛来する触手をぶちぶち千切りつつ、モグモグちゃんは次にお腹に放り込む為のものをきょろきょろしながら探していた。
 そんな様子を既に冷蔵庫を引っこ抜かれたキッチンの下の隙間から毒蛇姿の紙代は見上げていた。
 ユーベルコードにより全身を変異させた彼女は隙間に潜り込む力を得ている。
 元々が巨大なオウガ、更に既に食材を食い尽くした後の場所のそのまた隙間には興味を向ける事もないだろう。
(「我輩は料理はあまり得意ではないからな……」)
 もしかすると料理の腕などはそれほど関係ないのかもしれないけれども念には念を、紙代は時間稼ぎに徹する事に決めていた。
 狙いはモグモグちゃん近く、そしてまだ冷蔵庫が被害を受けていないキッチン。
 其方に意識を向けて蛇怪之気の念動力で冷蔵庫の扉を開きその中身であった林檎とバナナをゆっくりと浮かび上がらせ、キッチン台の上へと転がす。
『果物なんだなぁ~……甘いモノもいいんだなぁ~』
 そう地響きのように響く呟きと共に巨大なオウガは果物を掴もうとする。
 まずはバナナ、触手に絡まれて動かし辛そうなその指で器用に摘まみ上げて口に放り込む。
 皮ごといくのはワイルドすぎやしないかとも毒蛇の女は思うけれどもツッコまない。
 そして次に林檎を掴もうとしたその時、怪の気で林檎を包み込みその指から滑り落ちさせる。
『ん~……? 掴みにくいんだなぁ~……』
 疑問を口にしながらモグモグちゃんは林檎を掴もうとするけれども、林檎はころころキッチン台の上を転がりモグモグちゃんの指から滑り落ちていく。
 力を込めすぎれば潰れてしまう、それを理解しているからかオウガは悪戦苦闘している。
 最初に普通にバナナを掴めたからか、掴めない林檎が猟兵の妨害だとは思ってもいないようだ。
 あと少しで届かない、そんな絶妙な加減で林檎を操る紙代は他の猟兵の料理完成の為の時間稼ぎの役目を十分に果たしていた。
 そして少しして。
『んー……料理の匂いがするんだなぁ~……』
 ようやく林檎を掴み口に放り込んだモグモグちゃんがきょろきょろ周囲を見まわす。
 触手に絡まれながらもモグモグちゃんの感覚は料理にとても敏感で、振り向いた先には大きなお皿にいくつも並んだ三角形のサンドヰッチで、それを背に乗せているのは大きな熊。
「お願いしマス、クマゴローさん」
 優枝にお願いされるまま、そのサンドイッチの皿を背に乗せた熊の精霊であるクマゴローは、モグモグちゃんの元へ一直線に突撃する。
 どしんと大きな音が響く。無敵のモグモグちゃんはそれで倒れたりはしないけれども、突撃してきたクマゴローの背に乗せられたお皿の料理には興味津々。
 腕に絡んだ触手をべりべりっと剥がしつつ、皿を掴んでサンドイッチをひょいひょいと大きな口に放り込んでいく。
『う~ま~い~んだなぁ~! 素材の味がどれもよくってそれがぼくにもよくわかるように味付け一つ一つ変えてるねぇ~。変な苦みとかもないし、下拵えもすごいんだなぁ~』
 そんな風に絶賛するモグモグちゃん、それと同時、その身を封じていた触手をばつんと切れて周囲にその残骸がまき散らされる。
 ユーベルコードの効果で食べた分の量と質に応じて筋力が向上するからか、もしかするとサンドイッチの影響なのかもしれない。
 丁度その時、竈から焼き上がりを示す音が響く。
『ん~……ちょっと眠くなってきたけどその竈からいい匂いがするよぉ~……』
 ぐるりと音のした方へと顔を向けいい匂いの元を嗅いで辿れば、桜の精が今まさに竈からホットサンドを取り出している場面。
 ハサミで皿に乗せられたホットサンドは竈の中で縁をぎゅっとされていたようで、縁がパンの耳のようにカリッといい具合になっている。
「どうぞ召し上がってくださいマセ」
 丁寧な所作で優枝が皿を差し出す。そんな風にされては食べる以外の選択肢もなし。焼きサンドイッチをその大きな指でつまみ口の中へ次々にと放り込む巨大オウガ。
 そして全てをお口に収めて飲み込んで。
『……んまぁ~いんだなぁ~。ホットサンドのさくさくの食感、齧ったら中から押し込められてたとろとろのチーズが流れ出て、しっかりたれの染みたチキンの味と香辛料が弾けるように広がって最高。それでいて熱くなったトマトの酸味が最後に口もすっきりさせてくれてて……でもまだまだ食べ足りないんだなぁ~……』
 なんだか微妙に思考力というか語彙力が向上している気がするモグモグちゃんはそう絶賛、その眼の光はとろんとどことなく眠そうでいて、動きも少し鈍くなっている。
 ――あと一押し、そうすれば完全に落とせる。
 キッチンの陰から様子を窺いながら、紙代は他の猟兵達の料理の完成までの時間を稼ぐ為、真っ赤な瑪瑙の勾玉に力を込めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

居神・ヲリヒメ
料理を喰って満腹になりゃ寝ちまうんだな?
子どもみたいな奴だな……まっ、それで無敵が破れるんなら、安いもんだ。
めったに見せない女子力を見せつける機会だな!

てわけで、オレがご馳走するのは、おしるこだ!
白玉粉もあるはずだから、それを使って白玉づくりだ。
白玉茹でつつ、あずきもぐつぐつ煮て……る時間はねぇよな。食材の中からこしあんを何とか見つけるぜ。
あ、モグモグ野郎に、甘いのが好きか甘さ控えめが好きか聞いて、砂糖の量を調整しとくか。
料理中の邪魔は【剣と死】で食い止める。

よし出来た! 熱々を召しあがれ!
お代わりならたんまりあるからな、どんどん喰え!

良い感じに寝てくれたらUCで全力攻撃だ!


月夜・玲
はいこんにちは
猟兵3分クッキングの時間です
3分で料理が出来るか!!!
終わりです

ジョーダンだってジョーダン
《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀
【神器複製】で複製剣作成!
複製の半分でモグモグちゃんの相手をしながら、残りで食材を斬る!
野菜を何か良い感じにカッティング
お肉は剣で叩いて、味付けをしてまた良いサイズにカッティング
口大きそうだし、大き目で良いよね
それで切った食材を複製剣に『串刺し』!
そう、串焼き、BBQ…何でもいいやそんな感じの大雑把料理
でも量だけは大量にあるからたーんとお食べ!!
複製剣をそのまま口にドーン!
中から『串刺し』にしてあげる!

…いやー、手抜き料理だった…



 モグモグちゃんがサンドイッチに手を付ける少し前。
「はいこんにちは、猟兵3分クッキングの時間です」
 キッチンの前に立ち、カメラがあるかのように玲がぺこりと頭を下げる。
 今回の仕事には料理は必須。優れたメカニックらしい完璧な料理をこれから彼女は作るのだろう――、
「……3分で料理が出来るか!!!」
 終わりです。終わった。エア料理だった。
「ジョーダンだってジョーダン」
 ちょっとばかり毒蛇っぽい視線を感じつつ、玲は彼女の料理に取り掛かる。
「さあ、私の研究成果のお披露目だよ!」
 ユーベルコードに展開されたるは模造神器たる複製刃の群。百にも迫るその半数を使い、玲はまず冷蔵庫を開け食材を取り出す。
 様々な野菜と肉の塊――肉は解凍などの必要もなさそうでよい。
 まな板と巨大なトレイを複数準備し、野菜を水洗いした後念力で操る複製刃で野菜をカットしてトレイへと次々に乗せていく。
 切れ味鋭い刃もあってか、モグモグちゃんの大きなお口に合うように大きめサイズにカットされたその断面は崩れる事もなく野菜本来の味を逃さぬように仕上げている。
 さらに肉の方はまな板に乗せ複製剣の腹で加減しつつ叩き柔らかくしていく。軽く香辛料を振って味付けするのもポイントだ。
 大量の剣を操り恐ろしい速度で調理を進めていく玲、その隣のキッチンでは一人の妖狐がモグモグちゃんの方を見ていた。
「子どもみたいな奴だな……」
 巨大なモグモグちゃんの振る舞いを見た彼女、居神・ヲリヒメ(折紙使い・f28587)は呟く。
 言動と行動に加えて料理を食って満腹になれば寝てしまうその特性、まさに子供のようだけれども眠らない限りは無敵なのだからとても厄介ではある。
「まっ、それで無敵が破れるんなら、安いもんだ。めったに見せない女子力を見せつける機会だな!」
 男勝りで少々ワイルドな彼女だけれども女子力というものも持ち合わせている。
 キッチンを探り目的の白玉粉、そして冷蔵庫のこしあんを見つけ出す。
 彼女が作ろうとしているのはおしるこ。少々寒くなってきたこの季節には丁度良く、甘みも程よく子供な味覚にもぴったりくる可能性は高い。
 果物相手に苦戦しながらも諦めようとしないオウガの様子からして甘いものが苦手という訳でもないだろう。
 おかわりの事も考えて巨大な鍋に大体等量の水とこしあんを混ぜて溶かし弱火で煮込む。
 流石に小豆から作るには時間がかかりすぎる、その前につまみ食いされてしまえば努力も水の泡だ。
 そして煮込む間にヲリヒメは大量の白玉粉とそれと同じ重さの水、団子を作れる固さになるように調整しながら水を加えつつ捏ねていく。
 そして程よい固さになった所で団子の形に整え、沸騰した湯に満たされた小ぶりの鍋に放り込み、茹でる。

『ん~……甘い匂いがするんだなぁ~……』
 ホットサンドを食べ終えたモグモグちゃんは眠そうな声で周囲を見渡し、調理中の二人に視線を向ける。
 玲の方はともかくヲリヒメの方はもう少し時間が欲しい。向かってくるモグモグちゃんを足止めする時間が。
「オレの織った剣が、テメエの命を折る!」
 だから邪魔などさせるものかとばかり、ユーベルコードを起動したヲリヒメの周囲に折紙剣の群が出現し幾何学模様を描きながらモグモグちゃんの頭部付近を飛び回る。更に玲の調理に使っていない半数の複製剣がそれを支援するように飛び回り巨大オウガへと斬りつけていく。
『邪魔なんだなぁ~……』
 うっとおし気にオウガはその巨大な腕で剣の群を掃う。自在に動く剣はやや大雑把なモグモグちゃんには捉えづらいようで、
 その間に玲は調理の最終段階へと移っていた。
 そして一通りカットを終えた肉と野菜、それを前にして心を静め――そして具材の幾つかを複製剣で跳ね上げてその中心を刺し貫く。
 少々串が太いけれどもつまりは串焼きだ。モグモグちゃんサイズならまあ、問題ないだろう。
 次々に跳ね上げ複製剣もとい串に刺していき、最大の火力のコンロの上で焙っていく。
 なんともまあ豪快というか大雑把、けれども量だけは十分過ぎる程にある。
『美味しそうなんだなぁ~……』
 無数の剣を振り払い、串に直接手を伸ばそうとしたモグモグちゃん。けれど赤い勾玉が真下の方からその眼前に放り上げられると強烈な光でその視界と動きを一瞬だけ封じる。
『眩しいんだなぁ~……』
「たーんとお食べ!!」
 そしてその隙を見逃さず、有無を言わさぬテンションで玲が言い、程よく焼きあがった串焼きをモグモグちゃんの大きな口に次々に叩き込む。
 複製剣の串ごとゴリゴリ齧りながらごっくんと飲んだモグモグちゃん。
『う~ま~い~! シンプルに作ってるけど一つ一つの調理の精度が高いからか素材の美味しさが完璧に封じ込められてるね~……生そのままでも食べられそうだからそっちも貰っていいかなぁ~……?』
「へいお待ち!」
 希望とあっては仕方がない。玲は火にかける前の串をモグモグちゃんの口へと放り込んでいく。
(「……いやー、手抜き料理だわー……」)
 心の中で玲はそう呟く。食べている本人は串ごとむしゃむしゃできる位に満足しているのだから大丈夫なのだろう、きっと。
「あーそうだ。甘いのが好きか、それとも控えめが好きか?」
 二尾の妖狐が横から玲の料理を味わうモグモグちゃんに声をかける。
『甘ーいのが好きなんだなぁ~!』
「分かった! 甘めだな!」
 その言葉を聞きこしあんの鍋に砂糖を追加で加える。

 そして玲が大量に準備した串も尽きる頃。
「よし出来た! 熱々を召しあがれ!」
 キッチンにあった中で一番大きなお椀に満たしたお汁粉を、ヲリヒメがモグモグちゃんに差し出す。
 そんな大きな器もモグモグちゃんにはおちょこのようなものらしく、グイっと一息に熱々のお汁粉を口の中へと流し込んだ。
『……あま~い! その中にちょっぴり利いた塩加減がいいアクセントになってる感じなんだなぁ~。くにゅくにゅした白玉も固すぎず柔らかすぎず、飽きないようになってて凄く美味しいんだなぁ~……』
 絶賛するオウガにおかわりならたんまりあるからな、と巨大な鍋とお湯の中で踊っている白玉を指し示せばオウガもその大きな口の端を吊り上げて。
 ――流石に鍋ごといくとは思わなかったけれども。
『もう……お腹いっぱいなんだなぁ~……』
 うつらうつら、用意された料理のほぼすべてを食べ尽くしたモグモグちゃんの様子は眠気に耐える幼子のよう。
 最後に残ったお汁粉を飲み干して、
『ごちそうさまでした、なんだなぁ~……』
 ちゃんとその言葉を言い残しばたりと仰向けに倒れ寝息を立てる。 
 そしてそれは無敵のモグモグちゃんの終わりの時。
 折紙剣の群に精霊熊の突撃、さらには腹の中の複製剣が大暴れして内側から串刺しにして、ハロウィンの森のモグモグちゃんは討伐されたのだった。
 後に残るはオウガから解放されたハロウィンの森、猟兵達の2020年のハロウィンはこうして始まるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年10月31日


挿絵イラスト