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偉大なるアム二帝国!:暴走超火力を撃滅せよ

#クロムキャバリア

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#クロムキャバリア


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●クロムキャバリア:アム二工業帝国、第四実験区
「アム二!」
「ユエニ!」
「アム二!」
「イチバン!」
 異質なシャウトとドロドロの工業排煙が、錆びついたような空を染める。
 ここは『アム二重工業帝国』、あるいは『アム二・エンパイア』とも呼ばれる国だ。
『国民は同時にすべてみな企業戦士である』というかなり異質な国……いや、企業帝国とでもいうべきか。
 主なプロダクトはキャバリアをはじめとする軍需品であり、しかもそれらは非合理的なまでに大火力・重装甲を突き詰めている。そして、暴走や爆発事故が異常なまでに多い。
 端的に言って、キワモノ好みの兵器ばかりを作り出す……しかしそれゆえに、一部のキャバリア乗りから熱狂的な支持を受ける国家でもあった。
 その熱狂は、帝国民にして企業戦士たる国民であっても例外ではない。
「アムニ!」
「ユエニ!」
「アムニ!」
「イチバン!」
 アムニ、ゆえに、アムニ、一番。
 このシャウトは宗教的な熱唱であり、帝国臣民にとってもっとも大事な絆であった。
 アムニの作る兵器は強い。
 なぜならば大火力であり、そして重装甲だからだ。
 だから、アムニの兵器は一番強い。
 ゆえに、アムニ帝国は一番強い。
 心から、そう信じて疑っていない。
 ……たとえどれだけ暴走事故を起こしたとしても。

 そして今日、この実験区で、新型キャバリアの起動テストが行われようとしていた。
 例にもよって、そいつが暴走することになるのだが。

●グリモアベース:予知者、ムルヘルベル・アーキロギア
「……行きすぎた愛国心というものは恐ろしいものであるな」
 予知で見た風景がいまだにまぶたに残っているのか、ムルヘルベルはうんざりした様子で頭を振る。
「まあ、この際件の帝国とやらの国風だとか、主義主張はどうでもよい。
 問題はこの新型キャバリアがオブリビオンマシンとなって暴走するということだ。
 放っておけば帝国はもとより、周辺国家に甚大な被害を与えることであろう」
 新型兵器の爆発だの、暴走だの、その手の大惨事は周辺国家にとっても日常茶飯事である――ただ、オブリビオンマシンの発生となると話は別だ。
 何故オブリビオンマシンが発生するのかすら、まったく掴めていない状況である。
 他国のキャバリアや機動兵器までオブリビオンマシン化されたりしたら、たまったものではない。トラブルは自国内に留めていただきたいものである。
「オヌシらは『実験成果を簒奪しに来た傭兵』という体で出撃してもらいたい。
 もともとトチ狂ったような連中である、キャバリアから降りろだの生半可な説得は効かないであろう。さっさと叩き壊してしまうのがよい」
 と言いつつも、ムルヘルベルは眉をハの字にした。
「……まあ、そこで倒しきれるとはどうにも思えぬのだが……。
 もしも敵が逃走するようならば、なんとしてでも追いかけて破壊するのだ。
 変身能力を持つオブリビオンマシンなど、見過ごしていいものではないのでな」
 グリモアを通した予知にも限界はある。何が起こるかわからない、と賢者は言った。
「ちなみにだが、問題のオブリビオンマシンに乗ったパイロットは昏睡状態のようだ。
 つまり敵は完全に自立動作していることになる……謎めいた機構だな、まったく。
 相手は火力と装甲を積み上げることだけに腐心する連中の最新鋭の機体である、
 生半可な攻撃では返り討ちに遭うぞ。けして油断することなく、挑んでくれ」
 そう言って、賢者は本を閉じた。
「"やむを得ない時の戦いは常に正しく、武器の他に手段がなければそれもまた神聖なものとなる"などという戯言も世の中には残されておるが……本気でそういうことを考えていると、斯様な連中になるのであろうな」
 ため息とともに、転移が始まった。


唐揚げ
 列車砲です。そんなわけでクリムキャバリアシナリオ第三弾。
 今回は、バ火力国家のはた迷惑な最新鋭機を破壊してください。

●一章のまとめ
 舞台は「アムニ重工業帝国・第四実験区」となります。
 皆さんは「他国に雇われた傭兵」として出撃することになります。
(もちろん、希望があればその他の背景も可能です。フレーバーなので)
 敵はヤバい動力源を積んだ超強力なオブリビオンマシンです。
 こいつを倒すと追撃戦(二章・冒険)から再度のボス戦(三章)に繋がります。
 なにやら変身するようです。ヤバいですねオブリビオンマシン。
 パイロットは意識不明状態です。生かしておくかどうかはお任せします。

●アムニ重工業帝国
 超火力・重装甲をモットーに色んな重兵器を作っている企業国家です。
 ロボットものでよくありますよね、どう考えても非合理的な兵器を偏執的に作りまくる方々。ああいう人たちが国を作ったって感じです。怖いですね。
 色んなキャバリアや機動兵器を作って他国に輸出してますが、めちゃめちゃ暴走とか爆発事故を起こすので一般的な評判はあまりよくありません。
 イメージ的には、国全体が70年代の重工業地帯みたいなところです。煙もくもく。

●プレイング受付期間
 特に設けません。すぐ採用するかもしれませんし、ギリギリまで待つかも。
 基本的に再送はお願いせずにやっていこうと思います。よろしくお願いします。
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第1章 ボス戦 『蒼き光を秘めし古の巨神を駆る狩人・アルミ』

POW   :    ハンマー・パワーだ!
【ブーストナックル】で攻撃する。[ブーストナックル]に施された【炉心制御装置】の封印を解除する毎に威力が増加するが、解除度に応じた寿命を削る。
SPD   :    嵐にも立ち向かえるし、勝つことだってできる
敵より【浅瀬や港、プール等水のある地形に近い】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。
WIZ   :    二度と私に触れるな
自身の【オブリビオンマシン搭載の原子力エンジン】から【おびただしい量の放射線】を放出し、戦場内全ての【生命活動を著しく阻害し、電子制御機器】を無力化する。ただし1日にレベル秒以上使用すると死ぬ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は神羅・アマミです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●クロムキャバリア:アムニ重工業帝国、第四実験区。

 力を合わせ超火力!
 ひたすら装甲、厚くせよ。
 我らみなアムニのもとに、
 この世に一番君臨す。
 アムニ アムニ さあ働こう!
 アムニ アムニ さあ鍛えよう!
 幸福なる奉仕を始めよう!
 ああ、キャバリア一体感……。
 いざはばたけプロダクト!
 強いぞアムニ!
 凄いぞアムニ!
 我らはアムニ!
 王者はアムニ!

 荘厳なBGMに合わせ、偉大なる帝国国歌を唱和するアムニ臣民たち。
 そしてついに、新たに世に羽ばたくべき新規プロダクト「AMC-14-49:コードネーム"クラマトルスク"」が動き出した。

 ……が、しかし!
「パイロット意識喪失!」
「機体表面温度上昇中! ジェネレーター出力80%を突破!?」
「暴走状態です! 拘束具外れます!」
 ガギ、ギギギギギ……バギンッ!!
 オブリビオンマシン化した"クラマトルスク"が拘束具を破壊。動き始めた!
 青いチェレンコフ光めいた明らかに危険な輝きに包まれるキャバリア……!
「キャバリア暴走を確認! 鎮圧部隊出撃ーッ!」
「アムニ!」
「ユエニ!」
「アムニ!」
「イチバン!」
 KRAAAAAAASH!! KA-BOOOM!!
「「「「アバーッ!?」」」」
 なんたることか、待機していた鎮圧部隊はたったの一撃で破壊された……!
 そしてクラマトルスクは、市街地を破壊せんと大きな一歩を踏みしめた。
 このままでは、帝国はおろか周辺諸国まで甚大な被害を受けかねない。
 急ぎ出撃し、大型原子力キャバリアを撃滅せよ!
メディア・エペ(サポート)
【クロムキャバリアでの活躍を希望しています。】

冷静知的な女性です。

言葉遣いは丁寧ですが、ところどころにトゲがある女性です。
(プライドは相応にありますが、それ以上に相手を激高させて戦闘を有利にするため)

自身の乗機であるモイラ・キャバリアを駆って戦います。
基本は不殺を心がけており、電子兵装に強い装備を使用して相手を行動不能にする戦い方を好みます。

オプティカルカモフラージュ。アンチミサイルレーザー。プラズマフィールドを装備して敵陣においても類稀なる生存能力を誇ります。

また、万全を期して戦う為に自身のUCで顕現させた漆黒の花嫁と共に戦うか、能力を増強させて戦うことも多いです。



●ファースト・エンゲージ
 ズシン、ズシン……。
 鋼鉄の重工業地帯を踏みしめ、巨大キャバリア"クラマトルスク"が行進する。
 オブリビオンマシン化したそのボディは、青い不穏な光を放っていた。
 このキャバリアは、禁忌の機関……すなわち、原子力を利用したもの。
 となればこの青い光は、まさか致死的可視光のチェレンコフ光なのか?
「まったく、古びた爆弾を持ち出してきたものですね……」
 愛機モイラ・キャバリアに乗るメディア・エペは、嘆息した。
 システムの解析によれば、あの青い光はチェレンコフ光ではないようだ。
 もし仮にそうだったとしても、猟兵はその毒すらも無害化できるだろう。
 しかし、この国……"アムニ・エンパイア"に住む国民ばかりはそうもいかない。
「アムニ!」
「ユエニ!」
「アムニ!」
「イチバン!」
 鎮圧しようと無駄な徒労を繰り返す帝国臣民たちは、珍妙なシャウトをしていた。
 あれがこの国の符丁であり、大火力・重装甲を非合理的なまでに突き詰める企業国歌・アムニ重工業帝国の企業戦士たちの誇りでもあるのだ。
 帝政でありながら企業としての形態も持つ。まったくふざけた国である。
「とにかく、まずはあれを行動不能にするとしましょうか」
 メディアは狂気めいた国の風景を見なかったことにすると、システムを起動。
 本来であれば、狂気に取り憑かれたマシンのパイロット相手に舌戦を繰り広げるところだが、あいにく実験機なためかパイロットは意識不明の状態にある。
 となれば、さっさと電子兵装でマシン自体を無力化するべきだろう。
 メディアは機体の解析を進め……眉根を寄せた。
(機関だけでなく、システム周りまで化石モノの旧式とは……)
 驚くべきことに、あのキャバリアは第一世代のシステムで動いている。
 しかもこの国独特の魔改造が施されていて、まるでスパゲッティコードじみた迷宮の様相を呈しているのだ。
 ハッキングによる掌握は難しい。となれば……接近しての電子攻撃しかない!
(あの豪腕で殴られたら、ひとたまりもないな)
 メディアは注意深くオプティカルカモフラージュを起動、さらにビルに隠れる。
 敵はあきらかな白兵戦特化タイプだが、どんな馬鹿げた武装があるか解らない。
 ステルス化した上でさらに死角を飛び石めいて渡り、敵に近づく。
 相対距離、500メートル、450、400、300……。
『――!!』
 その時、突如として敵機が振り向き、拳を振り上げた!
 まさか、メディアのジャミングが見破られたというのか……KRAAAAASH!!
『……!!』
 ビルを紙くずめいて破壊する拳が、地面にクレーターを生んだ。
 哀れメディアは、愛機ごとスクラップと化したか……否、その時である!
 KBAM!! 拳の着弾地点を中心にまばゆい閃光が走り、敵機を怯ませた!
「所詮は旧型か。パイロットなしで動くのは脅威的ですが……」
 メディアは見破られるのを前提で、ブービートラップを仕掛けていたのだ。
 敵のセンサーが麻痺したその瞬間、死角に回り込みテーザーカノンを展開。
 マイクロミサイルポッドで目眩ましをしながら、BS-Aサンダークラックを撃ち込む!
 ZZZZZTTTTT……!! 内部回路を焼き切る容赦ない電子攻撃だ!
「敵を堕とすのに、火力も装甲も不要なんですよ。ただ、息の根を止めればいい」
 電光にレンズをぎらりと輝かせながら、メディアは不敵に言ってのけた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ユーザリア・シン
まるでかつての妾の国みたいな宗教的一体感、気に入った
しかし国歌はウチの方が…何?もう作戦時間か?まだ妾は歌っておらぬが
いらぬ?ユーハブせんぞ
せぬというておrグワーッ

――アイハブコントロール。現在乗機フレーム強度確認。・敵機確認。彼我戦力算出…戦術策定…行動開始
『ヴァンパイア』に変身してバッドビット招喚
ビットの音波ソナーで搭乗者の位置を特定、サイキックウェイブで固定保護
コクピット付近を破壊して搭乗者を救出できればいいのですが
装甲が厚すぎて埒が明きませんね
『弱音か?』
ナックル攻撃を拳で迎撃します
ただの事実確認です
『私』は執鍵守護騎、オブリビアン相手に後退する機能は搭載していません
滅却します



●滅却の拳
「ふむ……まるで、かつての妾の国のようであるな」
 ユーザリア・シンは、帝国を一望するかのように手でひさしを作った。
 彼女が立つのは、無惨にも破壊された鎮圧部隊のキャバリア残骸(パイロットは脱出済み)の肩の上である。
 もくもくと立ち込める煙、そして唱和され続ける異質なチャント。
 まさしく宗教的高揚がある。どうも、ユーザリアはお気に召したらしい。
「熱狂的一体感、実によし。気に入った。しかしあれだな、国歌が少々アレだな。
 そこはウチのほうがマシだ。うむ、ここはひとつ妾が生歌を披露グワーッ!?」
 と、そのとき。スクラップ化したはずのキャバリアが起き上がった。
 ユーザリアは派手にひっくり返って落ちかけ……ふわりと、鋼の掌に降りた。
「突然動くでない、ユーハブせんぞ」
『オブリビオンマシンの反応を検知しました。"私"は任務を果たします』
「やれやれ。わがままな吸血鬼もいたものだ」
 ユーザリアは招き入れるように開かれたコクピットに飛び込んだ。
 キャバリア乗りとは思えない優雅さでシートに腰掛け、ひとつ呟く。
「"ユーハブコントロール"。開眼するがよい、インカーナダインよ」
 その瞬間、スクラップだったはずのキャバリアは一瞬で赫に染まった。
 まるで燃えるように輝くそれは……さっきまでのシルエットと似ても似つかぬ。
 見開かれた真紅の瞳。それが、"執鍵守護騎"の一、インカーナダインの姿だ。
『アイ・ハブ・コントロール。現在乗騎フレーム強度確認、敵機確認……』
「存分にやるがよい。妾が許す」
『戦術策定完了。行動開始します」
 "インカーナダイン"は赫のブースター炎を迸らせ、敵機に肉薄する。
 コウモリ型のビットを生成・召喚し、ソナー能力で機体内部を調べた。
 昏睡状態の搭乗者の位置はたやすく特定できた。しかし。
『敵コクピット周辺の装甲強度、想定の200%オーバー。埒が明きませんね』
「弱音か?」
『敵攻撃確認。迎撃します』
 KRAAAAAAAASH!!
 ふたつの拳が真正面から炸裂し、衝撃波が周囲のビルのガラスを砕いた。
 パワー差は敵が上か。インカーナダインはガリガリと地面を削りながら後退。
 敵は地面を踏み砕きながらブースト接近、二度目の拳を繰り出す!
『迎撃します』
 KRAAAAAAAASH!!
 ……インカーナダインは吹き飛ばない。戦場に不似合いな沈黙が一瞬訪れた。
『私は執鍵守護騎。オブリビオン相手に後退する機能は搭載していません』
 インカーなダインが……パワー差があるはずの拳を、押しのける!
『滅却します』
 そして懐に潜り込み……あかあかと燃える拳を、叩き込んだ!
 ユーザリアはくつくつと笑った。傲然と支配する王のようにくつろぎながら。
「それでよい。子供は元気なほうがよいからな」
『発言の訂正を求めます』
「せぬ。それよりほれ、次が来るぞ」
 三度目の衝撃波――砕けたガラスが雪花のように舞い、きらきらと輝いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

支倉・錫華
尖った性能の機体は嫌いではないけど、
それがオブリビオンマシンになっちゃうんじゃちょっと困るね。
そういう機体をしっかり操るのが楽しいんだし。

ということで、こっちは普通(?)に尖ったチューンにしていこう。
【脈動臨界チューニング】で移動力5倍、装甲を半分。

攻撃は【歌仙】で【モーター・ブーム】を使っていくね。
アミシアに動力補正とかお願いしながらヒットアンドアウェイ。

高機動仕様で『当たらない』ことをメインに戦っていくけど、
一撃の威力はむこうのほうがありそうだし、少しくらいは許してもらいたいな。
借り物だしあまり壊したくはないけどね。

それにしても自立起動してるのか……コクピットは狙わないほうが良さそうだね。



●亜音速の世界で
 キャバリア乗りには、大なり小なりけして変えられない"スタイル"がある。
 半身と見込んだ愛機以外には決して乗り換えないパイロットもいれば、
 どんな機体でも特定のパーソナルカラーで染め上げるような乗り手も居る。
 その多くは格好つけたがりの新兵であり、大体は初陣でくたばるものだ。
 わずかな一握り……数多の戦場を生き抜いたパイロットだけが"本物"と言える。
 その点において、支倉・錫華はまさしく熟練のパイロットだった。
 そしてもちろん、錫華にもキャバリア乗りとしての"スタイル"がある。
 ひとつは、フリーランスであること。しかし厳密には、これはこだわりとは違う。
 彼女は諜報員として、様々な国家の情報を集めている。傭兵との二足草鞋なのだ。
 より"こだわり"らしいスタイル――それは、彼女の機体にある。
 錫華は特定の機体を愛用せず、その場その場で量産型を乗りこなす。
 状況に応じたカスタマイズこそがキャバリアの利点の一つとはいえ、
 機体が違えば動かし方も違う。それに幅広く習熟するのは至難の業だ。
 それを難なくこなすからこそ、彼女は熟練のパイロットなのだが。
 もう一つ秘密を隠しているのも、諜報員としてのマナーのようなものだ……。

「アミシア、動力補正お願い」
 錫華はAIに細々といた制御を任せ、敵機との格闘戦に意識を集中させた。
 コードネーム"クラマトルスク"に、これといった特定の武装はない。
 なにせ実験稼働予定の試作機だったのだから、当然と言えば当然だ。
 しかし実際に撃ち合ってみて、錫華は非武装の真の理由を理解した。
 クラマトルスクは武器を持たないのではない――"必要ない"のだ。
「これは――当たったら、さすがにお陀仏かな」
 片刃実体剣"歌仙"と敵のブーストナックルが撃ち合い、火花を散らす。
 まともに衝撃を受ければ、即座に姿勢を崩し墜落しかねないパワーだった。
 大火力、重装甲。この国が非合理的なまでに突き詰めるプランの証左である。
「尖った性能の機体は、嫌いではない、けど……っ」
 錫華はキャバリア各部のスラスターを起動し、落下しながら体勢を取り直す。
 この機体の高機動性ならば、ナックル攻撃を回避するのはたやすいことだ。
 しかし、斬撃を繰り出すということは"こちらから触れにいく"ということ。
 その瞬間を狙い、クラマトルスクはカウンターの拳を繰り出してくるのだ!
「悪いけど、当たるわけにはいかないからさ」
 錫華は息を整え、リミッターを解除。機体の性能を限界まで引き出す。
「少しくらいは許してもらうよ――借り物は、あまり壊したくないんだ」
 ゴウッ!! と炎を噴き出し、キャバリアは亜音速で敵機の背後を取った。
 強烈な加速Gが錫華の全身をコクピットに押し付ける。骨の軋む音。
「……烈破!」
 鍛え上げた身体で加速Gを耐えきった錫華は、超高速の斬撃を叩き込んだ。
 剣閃は音速を超える。重装甲を叩き切られ、クラマトルスクは蹈鞴を踏んだ……!

大成功 🔵​🔵​🔵​

千束・桜花
幻朧鋼甲冑サクラメヰルでの初陣……どきどきわくわくです!

未来の将校である私が賊に扮するのは些かの不満ではありますが、作戦ならば致し方ありません!
全体の命令に従うのもまた軍属の務めですからねっ!

さて、「げんしりょく」とはずいぶんハイカラな動力のキャバリアですね
特に腕部の出力はとても高そうですが……
こういう手合には、正面からぶつかるのが醍醐味!
我が居合いを以って、その拳ごと叩き切って差し上げましょう!
マントをはためかせて前へ、前へ、前へ!
うう~~~かっこいい……!

キャバリアサイズにスケールアップした愛刀サクラブレェドのキレ味もためさせていただきます!



●見参、サクラメヰル!
 暴走した"クラマトルスク"、そして突如として現れた謎のキャバリアたち。
 鎮圧部隊の第二陣を準備していた帝国側は、目まぐるしく変化する事態に理解が追いついていないようだった。
「何が起きている!? あの戦闘しているキャバリアは何処のものだ!?」
「我が国では、他国への出撃要請を一切出しておりません!」
「となると……まさか、我が国の研究成果を奪いに来たハイエナどもか!?」
 ……という泡を食った士官たちの会話が、千束・桜花のもとに届いた。
 短距離通信の混線だ。通信網が退化したこの世界では、よくあることである。
「……ううん、この私が賊に扮しなければならないとは……」
 桜花は居心地悪そうに学帽を被り直した。が、これは立派な作戦だ。
 グリモア猟兵の予知によれば、あのオブリビオンマシンは変身する可能性がある。
 となれば十中八九、戦場は都市を横断して追撃する形になるだろう。
 都市部での戦闘は避けられない……となると問題は、市民の安全と感情にある。
 "研究成果を狙った賊が暴走実験機と交戦。防衛部隊はその両方を迎撃した"とでも箔を与えてやれば、戦後の国内の混乱は最小限に留められるだろう。
 逆を言えば、追撃中にこの帝国側が妨害を仕掛けてくる可能性もあるのだが……。
「……いえ、致し方ありません。戦場に在りて悩むなど未来の将校に非ず!」
 桜花は懊悩を振り払うと、操縦桿を握りしめ大きく押し込んだ。
「千束・桜花! 幻朧鋼甲冑サクラメヰル――出ますっ!!」
 マントをはためかすクロムキャバリアの背部ユニットから、蒸気が噴き出す。
 そして蒸気煙を流星の如くあとに引き、サクラメヰルは颯爽と敵機を追った!
「新手のクロムキャバリアを確認! 未識別の新型と思われます!」
「それにしてはずいぶんとアナクロな動力を使っているようだぞ」
 目ざとい技術者たちは、ナビゲートの手を止めてその躯体を見上げた。
 原子力などという禁忌の動力を持ち出すような連中だ、探究心が強いのである。

 桜花はそうした視線を振り仰ぐこともなく、まっすぐに敵機を見据えた。
 敵もまたサクラメヰルの接近を感知し、青く発光しながらナックルを構える。
「ずいぶんハイカラな動力のキャバリアですね。その拳の威力も相当と見ました!
 ――ですが、いいえ"だからこそ"! 正面からぶつからせていただきますっ!!」
 桜花は子どものように目を輝かせ、操縦桿をさらに強く押し込む。
 最終加速を経たサクラメヰルは刀を抜き放ち、ブーストナックルと激突!
 ギャ、ギィン……!! と、強烈な衝撃音が大気を銅鑼めいて揺らした!
「くう……っっ」
 すさまじい反発力が機体のバランスを崩す。桜花は衝撃に耐えた。
 そして無理矢理に体勢を立て直し……円月めいた縦斬撃を繰り出す!
 これぞ"解放抜刀・リインカァネヱション"! なんたる剣の冴えか!
 桜の花吹雪舞い散る居合は、ミサイルにすらも揺るがぬ重装甲を叩き斬った!
「……ぅう~~~~、かっこいい! さすがはサクラメヰルです!!」
 桜花は操縦桿を握りしめたまま、感無量と言った様子で肩を震わせる。
 まるで自らの身体が拡張されたような不思議な感覚も、ようやく慣れてきた。
 蒸気騎士は着地と同時に見得を切り、霞の構えで敵機と相対する!
「大火力、重装甲、なんのその! 我が愛刀サクラブレェドの試し切りにはもってこいです! さあ、いざ――いざ、いざ、いざ! 二の太刀、仕りますっ!!」
 両者は一瞬の沈黙ののち加速――そして拳と刃が再び、ぶつかり合う……!!

大成功 🔵​🔵​🔵​

才堂・紅葉
ちょっとあの光って…
不味い…アースのとは関係ないかもしれないけど絶対に不味い奴だ…

「迦楼羅王!」
指を鳴らして虚空から相棒を召喚する

・方針
「何あれ硬過ぎない?」
定石通り装甲の薄い関節部等を自動小銃で射撃し呻く
頭悪い位に分厚くて硬い

「あれしかないか……」

銃を捨て六尺棒で白兵。【衝撃波】を徹す技法で多少なりともダメージを稼いで、粘り強く敵の攻撃をいなしながら相手を焦らす
狙いは【見切り、グラップル、カウンター】の合気斥力投げでの上空への【吹き飛ばし】

「コード・ハイペリア!!」

からの頭部【捕縛】で紋章の【封印を解く】、超重力投げ落しのコンボだ
奴の重装甲をそのまま【重量攻撃】に転化してくれよう

「絶ッ!!」



●原子力の恐怖
「……ちょっと」
 グリモアベースから転移を終えた途端、才堂・紅葉は顔を青ざめさせた。
 奇しくもその色は、敵機クラマトルスクが放つ不穏な光と同じ色である。
 UDCアースに住む者ならば、それが意味するところを知らないわけがない。
 ……無論それは、他の世界でも同じ。
 だからこそあの機関――すなわち原子炉は、禁忌の技術なのだ。
「まずい……あれは絶対にまずいやつだ」
 猟兵としての責務を通り越し、一個の生命体として紅葉は危機感を覚えた。
 表情を引き締めると、風に髪をなびかせながらフィンガースナップをする。
「迦楼羅王!!」
 その声に呼応して背後の空間が歪曲し、くろがねの巨躯が降臨した。
 ずしん!! と大地を踏みしめたるその姿、特徴的なのは燃えるようなマフラー。
 勇ましくも腕組する相棒へと、紅葉は後方宙返りを打って騎乗する!

 ……BRATATATATA! BRATATATATATATA!!
「何あれ、硬すぎない!?」
 キャバリア用アサルトライフルによる弾丸が、ことごとくが弾かれてしまう。
 この手の重装甲機体を叩くには、装甲が薄い関節部を狙うのが定石だ。
 そこをあえて装甲強化しようなどというのは、ナンセンスな話である。
 いくら防御力がほしいからといって、可動性を損なうのは非合理的だからだ。
 しかし、その非合理を突き詰めるのが、このアムニ・エンパイアである。
 関節部の装甲は並の重装甲キャバリア並に硬い。弾丸が通らない!
「あったま悪い……こうなったら、あれしかないか!」
 紅葉は思案し、銃を捨てた。そして、潜り込むように機体をかがませる。
 その瞬間、ブースト加速されたクラマトルスクの拳が頭上を通過!
 もしも射撃にこだわっていれば、頭部を上半身ごと破壊されていただろう。
 紅葉はスラスターを起動し機体を加速、同時にキャバリアサイズの六尺棒を取り出すと、サイキックキャバリアにより増幅された衝撃波を浸透させる。
 ……手応えは薄い。だが、先ほどの弾丸よりは効いた気配がわずかにある。
 迦楼羅王の高機動力を生かし、処刑打撃じみたブーストナックルを避け続ける!
「……これでっ!!」
 はたして幾合打ち込んだか、紅葉は斥力を合気めいて利用し、敵機を打ち上げた。
「コード・ハイペリア!!」
 そして迦楼羅王は空中殺法じみてクラマトルスクの頭部を捕縛。
 コクピットに座る紅葉の紋章が輝き、重力制御能力で落下を加速する!
「――絶ッ!!」
 図らずして敵の重装甲は、そのまま落下スピードにより衝撃を増幅した!
 KRAAAAAASH……!! クラマトルスクを中心に地面が罅割れ、崩落する……!

大成功 🔵​🔵​🔵​

エミリア・ジェフティー
ここの機体、研究都市でも何機か購入してましたね
研究部が大興奮してましたし、多分ロクでもない代物なんでしょう

それにしても簒奪かぁ…後でうちに飛び火しないよう所属偽装しておきますか
機体出力、巡航から戦闘へ
出撃します!

機動性で撹乱しつつ徹甲弾を込めたスローターで牽制
関節部を狙う事で無視をさせず、けれど此方も決定打を打てず
焦れた風を装ってリッパーを構えユーベルコード起動、攻撃を見切る防御力重点
一気に接近しブーストナックルを誘います
超感覚と【瞬間思考力】でタイミングを見切り、射出されたナックルを掴んで超信地旋回
勢いを上乗せして叩き返します!
細身だからってナメないで下さいよ
【グラップル】も得意なんですから



●兵士としては三流、されど
 エミリア・ジェフティーというキャバリア乗りは、兵士としては未熟だ。
 義侠心や正義感といったものは薄く、行動は興味本位でアトランダム。
 技術こそ秀でているものの、その発露に難があるという本末転倒ぶりである。
 16歳という年齢だけを鑑みれば、それ自体はなんら不思議ではない。
 しかし彼女は大望を背負わされた"兵士"なのだ。そうでなければ、ならない。
 多くの者の思惑を理解していながら、それでもエミリアは自由で在る。
 ゆえにエミリアは、兵士としては三流だった。

 だが。
「識別偽装は働いてそうですね……よし」
 周囲から届くいくつもの混乱した通信を傍受し、エミリアは頷いた。
 此度の作戦は、あくまで"研究成果を目的とした傭兵による襲撃"というプランだ。
 猟兵の中には別のカバーを選んだ者もいるようだが、あくまで本分はそこにある。
 この戦乱のクロムキャバリアにおいて、そうした襲撃は珍しくない。
 オブリビオンマシンの実在を証明するのが極めて困難である以上、
 この戦いは"よくある小国家同士の小競り合い"で収めるのが無難なのである。
「うちに飛び火したら困りますしねぇ……それにしても」
 エミリアは重工業地帯を見下ろし、ふうん、と鼻を鳴らした。
「研究部が大興奮してたあの機体群の出元が此処ですか。なんとまあ」
 エミリアにキャバリアの技術的な部分は詳しくはわからない。
 それでも「あの」研究部が子供めいてはしゃいでいたのであれば……。
 きっとそれは、ろくでもないものなのだろう。まあ、任務には関係ないことだ。
「敵機確認――エミリア・ジェフティ―、セシャートで戦闘行動に入ります!」
 エミリアはクラマトルスクを目視したと同時に、RSスローターを展開。
 おそらく装甲が薄いであろう関節部を狙い、徹甲弾による牽制を試みる。
「うわ、関節部まで装甲で補強してるんですか? 機動性最悪じゃないですか~」
 ガギン!! と弾かれた徹甲弾とびくともしない敵機を見て、エミリアは呻いた。
 なるほど非合理的な重火力重装甲主義は、どうやらペテンではないらしい。
 そしてクラマトルスクがエミリアを見上げる。注意深く距離を取った。
「そうそう、こっちに釘付けになってくださいよ。無視出来ないでしょう?」
 敵がこちらを狙うさまは、飛び回る羽虫を鬱陶しがるヒトのようである。
 サイズ差は存在しないはず――だが強烈なプレッシャーがそうさせていた。
 オブリビオンマシンの悪意。そして、当たれば必殺の超火力が。
「そろそろ頃合いですかね……っ!」
 エミリアはスローターを捨て、RXSプロミネンスリッパーを保持。
 サイキックブレードを展開し、一転して超加速で間合いを詰める。
 敵からすれば、射撃が通らず焦れて接近戦を挑んだ――ように、視えるだろう。
 そして狙い通り、クラマトルスクはブーストナックルを構えた!
 カウンターによる撃墜狙いか。エミリアはコクピットでにやりと笑う。
 彼女は兵士としては三流だ――しかし、キャバリア乗りとしては!
「まるっとお見通しですよ、その攻撃っ!!」
 衝撃のコンマ1秒前に飛行軌道を"歪曲"させるという、芸術的軌道。
 振り抜かれた腕部を掴んだセシャートは、そのまま柔めいて一回転した!
 クラマトルスクの超重機体がたたらを踏み……放り投げられる!
 浮遊した機体が放物線を描き……KRAAAAASH!! 高層ビル群を巻き込み激突!
 すでにこのあたりの臣民は避難を済ませている。もうもうと爆煙が噴き上がった。
「細身だからってナメないでくださいよ?」
 ほくそ笑む少女の顔つきは、まさしく"戦士"のそれであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アイオライト・セプテンバー
どうしてこう盲目的なクソ企業が多いのかしら!
ハイエナめいた傭兵扱いだろうとなんだろうと、コイツはここで止めなきゃまずいでしょうよ!

つっても、敵は重装甲パワータイプ
私の軽量高軌道型キャバリア「ブルーテイル」じゃ相性最悪よ! ふぁっきん!
ここは真っ向から競わずに持ち味を生かしましょう……

水辺に近づかせると厄介みたいね
【推力移動】をフル活用して、港やプール方面へ向かう道へ回り込み、【オーバーブースト・マキシマイザー】で弾幕形成
ここは足止めに徹するわ

敵の装甲を抜くのは無理があるから、あくまで牽制
トドメは誰かに任すと思うけど……手練れの猟兵たちなら信頼していいでしょう

連携、アドリブ大歓迎
お任せするわね!


九嶺・ユノハ
超火力なんて、わたしには無意味です。
わたしの身体(機体)は、通常弾でも喰らえば墜ちます。

「Jes. こちらU-8、お手伝いします」
ファルステロには殆ど武装がないから、敵機を撃破することは無理です。
機動力と電子戦を生かした攪乱・妨害を主にします。
敵の足元に、パージした移動用ロケットを打ち込んで、穴をあけて姿勢を崩して移動を妨害します。
「Mi Petas. お願いします。 殴るなら自分を殴ってください」
「Damne! 電子機器に対する攻撃は、わたしには致命的です。 やめてください」


ユーディット・ウォーカー
新世界学園より、我が搭乗機体“Encore"にて参戦。
仲間による足止めに感謝しつつ、敵の機能を削ごう。
仲間の電子制御機器への妨害はやっかいじゃが、我の機体はいい感じに魔術で動いておるのでそれほど問題はない。
放射線もまた光。解釈はともあれ、我がそう認識したならば、それがここでの真実じゃ。
故に、我がEncoreによって浸蝕・改竄・再演してみせよう。
攻撃力を5倍に、装甲を半分に。
動力源ごと闇で包んで、放射線から味方を守りつつ、力へと変えて機械剣でたたっ斬ろう。
そのまま両断できたら良いのじゃが……
エンジンの破壊や機動力の阻害がうまく行けば、パイロットも生きて捕らえやすいというものじゃ。


南・七七三
学園の友達、マリア(f30051)と行動するよ
他にも何機か来てる、よね。ちょっと、心強い

ブラダー・チェリー、出るよ
アタシは皆より経験不足だし、『コイツ』も真正面からこんなゴッツいのに立ち向かえるほど強くない
けど、友達の足引っ張るのは、やだな
「アタシは、大丈夫。マリアは好きにやって!」
付かず離れず、横から回り込みながらキャバリアライフルで援護射撃

よく見て考えろ、敵の狙い。武器は……どーみても、拳!
マリアに向けて振りかぶられた瞬間、BGI/023“パイソン"から強化繊維のワイヤーを射出
拳をかすめて奥の瓦礫に撃ち込んで。そのまま前進、腕を引っ掛ける
パワー勝負は無理だけど、一瞬、体勢を崩すくらいなら!


嗣條・マリア
>七七三(f30098)さんと
学園の識別コードが出ていますね。私たちだけではないようです


いずれ学園にとって害になるかもしれません
ここで叩いて計画から頓挫させましょう


暴君が前に出ます――が。七七三さん、ついてこられますか?
大変なら合わせますのでくれぐれも無理せず
味方の鎮圧、あまりしたくありませんから

ヴォイドバンカーをアクティベート
命中する最低限の攻撃に絞って回避行動を取り、最短距離を前進
着弾点を中心に敵腕部を並行世界へ送り込み、これを破壊

パワーで負けはしませんが、それだけではありません


 ヴォイドバンカー
こ ん な も の使っている私が言うのも、なんですが
使えることが一番大事ですよ、兵器は



●新世界学園の生徒たち
「……いくつか、学園の識別コードが出ていますね」
『うん。ちょっと、心強いかな』
 嗣條・マリアは、通信越しの南・七七三の声に少しだけ溜息をついた。
 根っからの戦闘者、敗北を許容しない苛烈な性格を持つマリアに対し、
 七七三はどこまでも素人――技術的な意味でも精神的にも――だ。
 その声はどこか楽観的で、リラックスというよりも緊張を欠いている。
 それはいまさらの話。そういう彼女を好ましいと考えるから此処に居るのだ。
 嘆息の理由は少しの呆れと、彼女がいつも通りであることへの安堵か。
「……友達の足、引っ張りたくないし? ま、いつもよりマジメにやるっしょ~」
 そう、七七三にとって戦いはバイトのようなもの――の、はずだ。
 はたして通信機越しに、マリアはわずかな沈黙の意図を察せただろうか?
 仮にそうだったとして、もうふたりに呑気に会話する時間は残っていなかった。
『ええ、ですが無理はしないでください。戦闘は"暴君"が前に出ます』
「はいは~い、サンキューねマリア」
 いつも通りのお嬢様の声に、七七三はけらけらと笑い操縦桿を握りしめた。
「南・七七三、ブラダー・チェリー。出るよ!」
「嗣條・マリア、タイラント。出撃します」
 ふたりは同時にカタパルトから射出、ブースターを起動し戦闘区域に急行した。

 肝心のクラマトルスクは、都市沿岸部にある海沿いへと移動していた。
 事前の予知により、敵が水場での戦いを得意とすることは判明している。
 ゆえにふたりよりも先に出撃していたアイオライト・セプテンバーは、
 愛機「ブルーテイル」の高機動力を生かし……というよりも被弾が即死に繋がる以上、生かさざるを得ず……先んじて港湾部に回り込み、弾幕を形成してクラマトルスクを足止めしていた。
「どうしてこう盲目的なクソ企業が多いのかしら! ああもう!!
 弾丸が通りやしないじゃない! おまけにヤバそうなゲンコツまであるし!」
 アイオライトは持てる弾薬をバラまいていたが、当然効果は薄い。
 クラマトルスクは特に重装甲を求め続けた超重量型のキャバリアである。
 すでに何機かの猟兵たちによる攻撃を受け、しかしてなお防御力は健在。
 火力よりも弾量そして弾速に特化したブルーテイルの装備では、装甲を貫けない。
 チュン、チュンチュンッ! と弾丸の雨が装甲に弾かれ火花を散らすさまは、
 まるで幼子が圧倒的体格を持つ父親にじゃれるような、そういうレベル差だった。

 クラマトルスクはブルーテイルに構うことなく、着実に一歩を進める。
 ならば近づいて関節部を狙うか――それこそ愚策というものだ。
 アイオライトは自身の愛機の運動性に絶対の自信を持っていたし、それを活かすだけの技量があると自負していたが、それでも危ない橋を渡るのには相応の覚悟というものがいる。
 敵もまた、アイオライトが焦れて接近してくるのを明らかに待っている。
 間合いに飛び込めば最後――狙いすましたブーストナックルが襲いかかるだろう。
(私とブルーテイルなら、避けられない攻撃じゃない。けど……)
 "もしも万が一"にでも、攻撃を受けたならば?
 その不確定リスクが、アイオライトをためらわせる。
 己がためらったことに苛立ちを覚える。そして集中が乱れる。
 アイオライトは深呼吸した。すでに友軍機体の識別信号は察知している。
「味方が来るまでできるだけ押し留めたいところ、だけど……っ!」
『――Jes.こちら"U-8"、お手伝いします』
「! この声は!」
 アイオライトはその声に我に返り、モニターに識別信号を表示させた。
 脅威的速度で超低空飛行するあの機体――間違いない!
「ユノハ! アンタも来てたの?」
『Jes.』
 ゴウッ!! とソニックブームを起こしつつ新たに参戦した機体。
 軍用戦闘機らしい低視認性塗装を施されたそのキャバリアのフォルムは、
 キャバリアにブースターがついている、というよりも、その逆に近い。
 ブルーテイルのスタイリッシュなデザインに対して、あまりに無骨だった。
 FD-028 ファルステロ。搭乗者の九嶺・ユノハ――一個人として識別するための名であり、厳密には情報生命体ネットワークたる"それ"自体を定義する名称とは言いがたい――は、戦域到達と同時に移動用ロケットをパージ。
 クラマトルスクの足元にロケットを打ち込み、地面を陥没させた!
 ズズズン……! と、クラマトルスクは巨体を傾いでたたらを踏む。
『電子戦準備。敵システムにハッキングを行い迎撃能力を低下させます』
「さすがユノハね! この調子で足止めするわよ!」
『Jes."U-8"はアイオライトとの共同戦線に加わります』
 BRATATATATATA! BRATATATATATATATA!!
 ハッキングと弾幕の相乗効果により、クラマトルスクの進軍は目に見えて遅まる。
 敵機は羽虫を払うようにブーストナックルを振り回すが、所詮は大ぶりだ。
 センサー類を電子攻撃で狂わされている以上、二機に当てることはほぼ不可能!

「すでに始まっているようですね。七七三さん、ついてこれますか?」
『アタシは、大丈夫。マリアは好きにやって!』
 そしてちょうどそこへ、ブラダー・チェリーとタイラントの二機が到着。
 ブルーテイルおよびファルステロへ援護のサインを送りつつ、前後に分かれた。
 ブラダー・チェリーがヒットアンドアウェイによる援護射撃を行い、
 パワーに優れたタイラントが接近戦を行使、敵を惹きつける構えだ。
 拘束具とでも呼ぶべき異様な外観のブラダー・チェリー――正確には拘束具に当たる部分は"鬼灯"と呼ばれるもうひとつのキャバリアであり、オブリビオンマシンを制御可能域に留めている――は、本来隠密や奇襲戦に特化した機体である。
 ブルーテイルやファルステロほどの、馬鹿げた機動力は有していない。
 仮に保持していたとしても、七七三の技量では使いこなせないだろう。
 畢竟、彼女は素人に毛が生えた程度のパイロットだ。それは、七七三自身が誰よりも実感し、そして噛み締めていることだった。
(よく見て考えろ、アタシだけ足手まといになるのはイヤだ……!)
 射撃訓練の内容を頭の中で繰り返す。狙うべきは敵関節部。
 いくら装甲で強化されているとはいえ、アイオライトの弾幕に合わせれば!
 BRATATATATA……KBAM!! 関節部が火を吹いた。敵機の体勢が再び崩れる。
 クラマトルスクの不穏な青い光を放つカメラアイが、七七三に向けられる。
「そーそー、ウザいっしょ? こうやって付かず離れずされたら!」
 敵機は狙いを変えようと――そこへタイラントが到達。コフィンチョッパー展開!
「この暴君を前にして、余所見をするとはいい度胸ですね!」
 KRAAASH!! 実体剣の直撃を受けたクラマトルスクは、片腕で刃を振り払った。
 そしてカウンターのブーストナックル、狙いはタイラント……マリアは急速後退。
 入れ替わるようにしてファルステロとブルーテイルが割り込み、敵を妨害する。
「っとーに硬いわね、あの一撃を受けてピンピンしてるの!?」
『Konsent.通常のキャバリアであればすでに二度破壊に成功しています』
 タイラントのパワーを知らぬふたりではない。あれはまさに"暴君"だ。
 攻撃を弾かれたマリア自身、コフィンチョッパーはあくまで牽制でしかなかった――とはいえ、負けず嫌いの性分が疼くというもの。
「ヴォイドバンカー、アクティベート……ここで叩き潰します!」
 必殺の一撃に備え、タイラントが身構えた――その時!

 クラマトルスクは全身から強烈な青い光を放った。先の比ではない。
 チェレンコフ光……そうでもある、が、これは……!
「……っ!!」
 七七三は、ぎしり、と鬼灯が軋んだ音と自身を包む強烈な違和感に震えた。
 反応しているのだ。ブラダー・チェリーは、腐ってもオブリビオンマシンである。
 この光は、ユーベルコードだ。それも生命すべてを死滅させる極めて危険な!
 オブリビオンマシンはその邪悪に反応し、暴走しかかっている!
「ウソでしょ、こんなときにやめてよ……!!」
 七七三は頭の片隅に残っていた暴走予兆時のマニュアルを必死に思い出しながら、エラーとアラートを交互に吐き出すコンソールを死物狂いで操作した。
 そこではっと我に返り、同じように光に晒された仲間たちのことに思い至る。
「マリア、それにふたりも! ダイジョブ!?」
『こっちは、なんとかね……七七三、アンタも無事!?』
 最初に通信に応じたのは、ブルーテイル――アイオライトだった。
 どうやら彼女の機体は、偽神兵器を応用することで一種の斥力バリアを発生、青い光……すなわち生命体を死滅させる致命的ユーベルコード攻撃をある程度相殺しているらしい。
 では、マリアは? 七七三はモニターにタイラントの様子を映し出した。
 ……タイラントは耐えている。なんらかのフィールド装置のおかげだろうか?
 マリア以外は知る由もないが、それはパラドクス・ドライブの次元歪曲能力によるもの。
 汲み上げたエネルギーを防御能力に回すことで、致死的発光を"相殺しているのだ。
『こちらも問題はありません。しかし――』
 だが、ファルステロ――そして精神を投射したユノハは、そうもいかなかった。
『Damne……!!』
 通信越しに三人が聞いたのは、幼い少女型AIの悲痛な叫び。
 ファルステロに痛覚と呼べるそれはない。"通常の兵器"ならば。
 しかし、これはユーベルコード、しかも生命そのものを摩滅させる放射線だ。
 知覚したことのない刺激――すなわち激痛が、ユノハの全知能を襲っていた。
 このままではまずい。だが、放射線攻撃を止める手立てが三人にはない。
 タイラントとて、これ以上間合いを詰めれば相殺しきれず自壊するだろう。
 はたして、どうする。どう考えても根比べは敵に分がある!!

『『――ご苦労!!』』
 と、常らしからぬ尊大かつ傲慢さを含んだ少女の声が、一体に響いた。
 致死的攻撃の中で、なんら構うことなく現れた一樹のキャバリア。
 その見た目は、強いて言えば一般的なクロムキャバリアのそれに近い。
 とはいえ一部はあきらかに変異し、尋常ならざる気配を放っていた。
『『……とまでは言わぬが、まさしく格好のタイミングに来れたようじゃ。
  この光、我と我がEncoreによってことごとく飲み込んでくれようぞ!』』
 邪悪なるオブリビオンマシン"Encore"と半ば一体化したユーディット・ウォーカーは、自信をたっぷりと込めた声音で一同に言った。
 そして見よ。三人が訝しむ間もなく、Encoreはその指先を伸ばす。
 はたして戦場を包む青いチェレンコフ光は、墨めいて滲む黒……否、"闇"によって染め上げられ、徐々に「呑まれて」いくではないか!
「これは一体、何が起きて……?」
 訝しむマリアに対し、ユーディットは言った。
『『放射線だの原子炉だの、所詮は光じゃ! つまり我がEncoreの浸蝕能力をもってすれば、光を呑み込むなど造作もない!』』
「いやいや、その解釈無理がない!?」
『『無理があろうとなかろうと、我がそう認識したならば、それが真実じゃ』』
「めちゃくちゃなこと言ってるわね……」
 呆れるアイオライトだが、実際その闇は彼らの窮地を救った。
 闇――浸蝕形態化したEncoreによる動力炉への浸蝕は、ついに破滅的攻撃からファルステロすらも助け出す。
『――Dank.わたしは、電子戦に対して脆弱です。助かりました』
『『よいよい。同胞を救ってこその学園生徒というものじゃろう!』』
 ユーディットはからからと笑い、さらなる浸蝕能力を注ぎ込む。
 クラマトルスクはその力に抗う。触れずしての手四つじみた拮抗!
『『ぬう、我がEncoreによる改竄と再演にこうも抗うとは面白い……!
  本来であれば我がこのまま両断してやるところじゃが……!!』』
「お嬢、行けるでしょ! 七七三、一緒に支援するわ!」
「……了解! パワー勝負は無理でも……っ!!」
『Jes.同じく攻撃の援護に周ります』
 まずファルステロがさらなるロケットをパージ、撃ち込むことで敵を攻撃。
 大きく体勢を崩したところへ、ブルーテイルの弾幕が襲いかかる。
 防御行動を取れないクラマトルスクは、ブーストナックルを外してしまった。
 噴射炎を吐き出す腕部をかすめ、制御を取り戻したブラダー・チェリーの強化繊維ワイヤーがビル群に打ち込まれる。そして七七三は一気に加速!
「――一瞬、体勢を崩すぐらいならっ!」
 腕を引っ掛けることで、クラマトルスクのガードをこじ開けたのだ!
 そしてブラダー・チェリーとすれ違うようにして、タイラントが必殺距離へ到達1
「"こんなもの"を使っている私が言うのもなんですが」
 平行世界と接続された虚無の一撃が……クラマトルスクを、捉える!
「使えることが一番大事ですよ。兵器も。仲間がいれば、なおいいでしょうね!!」
 KRAAAAAAAASH!! 破滅の一撃、浸蝕の闇を超えて到達せり……!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クラリス・クレスト
別にこの兵器を使って世界征服しようってんじゃないもんね
ちょっと行き過ぎただけっていうか……うちの保護者にもそういうのいるし
なんにせよ、穏便に止めてあげるのが一番だよね

視界外から地形を利用して一気に接近
狙いは右腕部の付け根だ
右腕を常に狙える側に回り込んで同部位への攻撃を継続して行っていくよ
瞬間推力と機動性を極限まで上げてあるんだ
横に張り付き続けるくらいはお手の物

十分なダメージを蓄積させたら、“クラウ・ソラス”を起動
同部へ全火力を集中、右腕部を機能不全にするのが狙いだ
ボクの機体ひとつじゃ破壊はできないけど
一人での作戦行動じゃないからね
……でも、腕の一本くらいは貰わなきゃ
一陣の風の名が泣くってものだ


神羅・アマミ
変身するオブリビオンマシン!?
前代未聞の緊急事態じゃが、それ以上に妾は何やら因縁めいたものを感じる!

傭兵という立場、ただし脳内設定は出過ぎた杭を焼き尽くすスイーパーで参戦!
キャバリアはスーパーロボットを用立てしてもらおう。
そして妾の装備と回路や動力を強引に接続し放つUCは『結髪』よ!

彼奴の高機動性と馬鹿力は旧式エンジンから来るもの…水冷にて最大のポテンシャルが発揮できるんじゃろう。
故に!鉄骨さえ飴のように溶かす熱線を胸からビャーッと浴びせてやれば、直撃でなくともただでさえ熱暴走にある機体に大きな負荷を与えられよう!

パイロットは…逆に生かしておく方が危険な気がする(でも、皆が救いたいならそれで!


レパル・リオン
クロムキャバリア、遅ればせながら初上陸ー!
相手にとって不足なし!あたしにキャバリアの用意あり!
怪人、倒すべし!

あたしがレンタルするのは忍者型キャバリア!
行くわよ!ブラッディチョップちゃん!(勝手に命名)

デカいコンテナの中で、キャバリアと一緒に待機。登場!
はじめまして!イェーガー・レパルよ!
スピードなら大艦巨砲メカに負けないわ!水場を見つけたら、回り込んで進路を塞ぐ!相手メカ、スピードは上がらないでしょ?
そして秒間80発オーバーの半神的スピードチョップラッシュをくらえー!

うりゃー!うりゃー!うりゃー!うりゃー!うりゃー!うりゃー!うりゃー!うりゃー!うりゃー!うりゃー!うりゃー!うりゃー!


アルカ・スィエラ
どんな兵器も要は使い方なんだけれど……
この国、他の面との相乗効果で悪化してる気がする

どのみち、これ以上惨禍を広げないためにも、オブリビオンマシンは止める……!
アルカ・スィエラ、HMC-X00プロトミレス……出る!

最初は回避を重視しつつ実体弾の威嚇射撃で敵がどう反応するか見る。
庇って防御態勢をとるか、無視するか……

その後は牽制しつつ一気に接近、腰部の実体剣「ルーナグラディウス」でさっき庇ったか関節のような脆い箇所へと《切り込み》、《切断》を狙い、そのまま離脱して反転、UCを斬った箇所へ火力重視で。
同時に再マウントした剣を刀身展開・モード変更しビーム砲撃も叩きこんでダメ押しよ

※アドリブ連携歓迎です


花京院・桃李
「やあやあ、そこの鉄塊君。人語を解せるかどうかわかないけどよかったら私の話を聞いていかないかい?なあに、君にとっても有用な話さ。なんせ…君の弱点の話だからね」

私は直接叩くよりも敵の注意を集め、味方が動きやすいように行動しようかな。ユーベルコードを使って注意を可能な限り引くよ。適当な推測の推理でも注意散漫くらいにはさせられるかな?

さて、私が思うにこの機械の欠陥は制御装置とその足だね。制御装置は言わずもがな、暴走しているんだからその役目を果たしていないのは明らかだ。観察したところ君の技も使うたびに寿命を削るようだし、暴走の代償は少なくないね。そして足、重厚な鎧と火器。小回りを効かすのは難しそうだ。



●決着、そして――
 ZZZZMMMM……。
 土砂崩れじみた災害的轟音を立てて、クラマトルスクの左腕が脱落した。
 残すは右腕のみ……しかしそれでもなお、敵機の放つプレッシャーは根強い。
「ああっ! クラマトルスクの腕が!」
「暴走したとは言え、貴重な実験機がこうも破壊されては!!」
「やはり装甲強化が足りなかったのだ! アムニ! ユエニ! アムニ! イチバン!」
 状況をナビゲートしていた技術士官たちは、口々に勝手なことを叫ぶ。
 オブリビオンマシンの脅威から自分たちが救われたなどとは、技術的高揚と落胆、そして喪失の怒りに突き動かされた彼らはこれっぽっちも考えないのである。
 そんな勝手な技術者たちを見下ろし、アルカ・スィエラは溜息をついた。
「この国、あらゆる面で負の相乗効果起こして悪化してるわね……」
 アルカ個人の観点から言うと、この国は少々関わり合いになりたくなかった。
 とはいえここでクラマトルスクを放置すれば、惨禍は広がるばかりだろう。
 アルカは愛機HMC-X00プロトミレスのブースターを噴射し、片腕の敵機へ接近。
 拳を失った左側面に回り込むことで即時の反撃を防ぎながら、実体弾を叩き込む。
「ここがチャンスよ、このまま押し切って破壊してやるわ!」
『――なら、あの右腕もどうにかしなきゃね、っと!』
 そこで割り込んできた通信の声は、幼い少女のものだった。
 はたしてアルカの視界に入ったのは、逆関節型のクロムキャバリアである。
『クラリス・クレスト、"ブルーバード"! 援護するよ!』
「なかなか身軽そうね、頼むわ!」
 アルカは頷き、クラリスと協力して左右からの同時攻撃を行う。
 クラリスの狙いは、残された右腕部の破壊である。
 ゆえに攻撃は右腕部の関節部……特に肩部の付け根に集中させていた。
 クラマトルスクは起き上がりながらブルーバードを振り払おうと闇雲に右腕を振り回すが、この機体の瞬間推力と機動性は、それこそ敵機の重装甲と同じほどにチューンナップされている。
 逆関節のクロムキャバリアが三次元的機動で飛び回る様は、まさしく青い鳥を思わせる光景だった。
「さあ、もたもたしてるとこっちから抉りこませてもらうわよ!」
 アルカもまた敵に攻撃の機会を与えず、牽制射撃を継続。
 クラマトルスクがブルーバードに一点の狙いを集中すれば、そこを強襲し左肩部の損傷部を突き刺す構えでいる。
 しかして敵も並のオブリビオンではない。片腕でありながら、振るわれる拳の破壊力は明らかに命中即必殺を思わせた。
 それゆえにアルカもクラリスも、有効的一打を撃てずに左右を旋回することとなる。

「あれか……やはりかつての機体と同じようじゃが……」
 一方その頃、他国から供与されたスーパーロボットに搭乗した神羅・アマミは、戦域に参着するとともにクラマトルスクの外観を見、そして訝しむように眉根を寄せた。
 この機体……正確に言えば、この機体を依代として顕現したオブリビオンマシン……について、アマミは"よく知っている"。
 もっと言えば――昏睡状態にあるはずのパイロットについても同様だ。
 アマミはすでにこの世界で、宿敵と呼ぶべきかの巨神を討ち滅ぼしている。
 だが、この機体は"何かがおかしい"。アマミの知る機体とは"何かが違う"。
 グリモア猟兵が言及していた、変身能力によるものなのだろうか?
「……ええい、小難しいことは考えていても仕方があるまい!
 妾の写し身ともあろうものが、こうも機体に振り回されるとは情けないわっ!!」
 アマミは昏睡状態にあるパイロットに届かぬ言葉をぶつけ、機体を加速。
 アルカとクラリスが応戦を続ける戦況に、強引に割り込んだ。
「いかな異常があろうとも、こうして相まみえた以上お主は逃さぬぞ!
 禁忌の技術とて所詮は旧式のエンジン……対処法は心得ておるゆえな」
 アマミは不敵に笑い、ユーベルコードにより自らの装備と機体の回路、および動力を有機的・無機的に接続……というよりも、半ば融合させた。
 たとえるならばそれは、キャバリアにもう一体のキャバリアの装甲を外付けするような無茶である。
 スーパーロボットの全身から火花が散り、コクピットはレッドアラートで赤く染め上がった!
『ちょっと、何無茶してるの!? 斃す前に自壊するつもり!?』
『戦う前にぶっ壊れちゃうよ、そんなことしてたら!』
「なあに、心配は要らん! 彼奴との我慢比べならすでに一度勝っておるでな!」
 アマミはふたりの短距離通信に対して呵々大笑し、不敵に敵機を睨んだ。
 スーパーロボットの全身が余剰熱を逃がすために変形し、蒸気を噴き出す。
 そして胸部の反重力装置が赤熱……いや、白熱。熱攻撃による原子炉の破壊が狙いか!
「スーパーロボットの胸から出る熱線といえば、あらゆるキャバリアの中でも最強の攻撃であることは明白よ! 今度こそ骸の海に還して――」
『『……いや、待った! 何かまずい!』』
 はたしてその警告の声をあげたのは、アルカが先かクラリスが先か。
 その瞬間、クラマトルスクの全身が、チェレンコフ光により青く明滅したのだ!
「ぬおーっ!? なんじゃ、自爆でもするつもりかこやつ!?」
 アルミが驚いたのも無理はない。その致命的発光は敵機にとっても諸刃の剣。
 炉心が融解すれば、パイロットはもとより機体も耐えきれず爆散するだろう。
 もしもここに熱攻撃を加えれば、自爆を加速させるも同然だ……!

『イヤーッ!』
「「「!?」」」
 その時である。コンテナから飛び出したのはニンジャ……否、キャバリアだ!
 空中でヒーローめいて身を捻った忍者型キャバリアは、港湾部の灯台に着地。
 そして腕組し、自壊せんとするクラマトルスクを威圧的に睨みつけた。
『はじめましてクロムキャバリア! そして猟兵の皆さん、何よりも怪人ことオブリビオンマシン!! 
 あたしはレパル・リオン……いえ、イェーガー・レパル! そしてこの機体はブラッディチョップちゃんよ!』
「ドーモ……ってなんじゃそのエントリーは!?」
『ヒーローは高いところから登場するって相場が決まってるのよ!』
 なにやらハイテンションのレパルは、アルミのツッコミに対し吠えた。
 そして気を取り直すと、炉心融解せんとするクラマトルスクへ跳躍!
「このブラッディチョップちゃんが破壊されるよりも先に、秒間80発オーバーの半神的スピードチョップラッシュで機体を破壊してやるわーっ!!」
『そんな無茶苦茶な話ある……!?』
『っていうか、近づくと危険だよ!』
 と、いうアルカとクラリスのツッコミもとい制止の直後!
 SMAAASH!! 青く発光するクラマトルスクの右ナックルがブラッディチョップを迎撃!
「グワーッ!?」
 ナムアミダブツ……レパルは攻撃前に吹き飛ばされ、潜んでいたコンテナに激突した。港湾部の倉庫を巻き込み転がる忍者型キャバリア!
『言わんこっちゃない……やっぱりあの右腕を落とさないとだ』
 クラリスは呆れつつも嘆息し、しかし表情を引き締めた。
 このユーベルコード攻撃の前では、ブルーバードの軽装甲が枷となる。
 おそらく今以上に近づけば、放射線による致命的被害がブルーバードを、そして搭乗者であるクラリスをも襲うだろう。
 無論それは、実体剣攻撃を懸案していたアルカにとっても同じだった。
「ええい、これだから原子炉は時代遅れなんじゃ。面倒臭いのう!」
 アルミもまた手をこまねき、悔しげに歯噛みした。
 クラマトルスクは立ち上がり、猟兵たちに自ら接近しナックル攻撃を叩きつけようとする……!

「――やあやあ、そこの鉄塊君」
 そこで、女の声がした。
「人語を解するかどうかわからないけど、よかったら私の話を聞いてくれないかい?
 ああ、もちろん君たちも同席してくれると嬉しいな。ちょっとした推理の話さ」
 生命体であれば即死を免れ得ぬレベルの放射線のなかで、その女……猟奇探偵、花京院・桃李は煙管を手に悠々と語る。
 生身の少女――桜の精である――が、無惨にも崩落した瓦礫の上で優雅に足を組む……なんとも戦場に不釣り合いな、アンバランスな光景だ。
 にもかかわらず、クラマトルスクは動かない……否、動けないのだ。
『とんでもない状況でとんでもないことを言い出したもんじゃのうお主!?』
「そうでもないよ? なにせ――これは、あの鉄塊君の弱点の話、だからね」
 探偵がそこに居て、解くべき謎があり、それを聞く聴衆がいる。
 であれば世界がどこであろうと、それこそ戦場であろうと、生命体が死に絶えるような場所ですら……推理劇は始まるのだ。
 これこそ"花京院・桃李の推理劇場"。一度聞けば敵味方を問わず、推理劇に耳を傾け参加したいと思わされる、強力なユーベルコードなのだ!
『じゃ、弱点……? それって一体!?』
「なあに、簡単なことだよ」
 ほうぼうの体で戻ってきたレパルに対し、探偵は言った。
「この機械は根本的に血管を抱えている。なにせ、能力をより強く行使しようとすればするほど、暴走し自壊する……制御装置なんてとっくにオフにしてるんだろう?」
 桃李はふう、と煙管を吸い、紫煙を吐き出した。
「鉄塊君に寿命と呼べるものがあるのかどうかは知らないが、随分な無茶をするね。
 逆に言えば、それだけ追い詰められているということであり、そして……」
 探偵は目を細め、蠱惑的に微笑んだ。
「自壊しつつある君にとって、その身を鎧う装甲はただの足枷でしかない。
 つまりその生命を死滅させる輝きこそが、君にとっての最大の弱点なのさ」
 クラマトルスクは右腕を振り上げ……降ろさない。
 それどころか暴走しつつあった炉心が急速に冷え、そして停止したのだ。
 物理法則すらも超越する探偵の"推理"が、炉心融解という終焉――いわば犯人の自殺とでもいうべき陳腐な終わりを、書き換えてしまったのである!

「そこ! 今度こそーっ!!」
 そして一瞬の沈黙を最初に破ったのは、レパルであった。
 敵が動くよりも早く懐に回り込み、凄まじい速度のチョップを叩き込む!
 もはやレパルがチョップで、チョップがレパルだ! 巨体が揺らぐ!
「一陣の風の名を、泣かせるわけにはいかないからね……!!」
「ダメ押しの一撃、叩き込ませてもらうわよ! シュートっ!!」
 さらに右からブルーバードが、左からプロトミレスが接敵。
 強襲型キャバリアの必殺武装"クラウ・ソナス"が、右腕部を完全粉砕!
 同時にプロトミレスのステララディウスが左損傷部に突き刺さり、ゼロ距離ビーム砲撃を炸裂させる!
「どうやら勝負あったようじゃのう。此度も妾の勝ちじゃ!」
 そして! アマミもまた反重力装置をオーバークロック、敵が自壊を試みるよりも先に胸部から致命的熱光線を放射!
「さらばじゃ巨神よ! 骸の海へ帰るがいい!!」
 とどめの一撃が、このはじめの戦いに決着をもたらす――!!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



 ……戦いは終わった。
 クラマトルスクは両腕を脱落され、脅威的な攻撃の連打により破壊された。
 もはや動けない。オブリビオンマシンであれどキャバリアなのだ。
 動けない――はず、なのだ。

 にもかかわらず。
 停止したはずの原子炉が、再起動を始めた。
アレクシア・アークライト
同じように人を取り込むオブリビオンでも、カクリヨの奴はそのまま殴れるけど、こっちの世界じゃ中のパイロットを保護しなくちゃいけないのがちょっと面倒ね。
さっさと助けて、皆が気兼ねなく戦えるようにするわ。

UCで“電磁操作(ハッキング)”を使用して、敵の電子機器に干渉。
コクピットの安全装置と電子ロックを解除したら、力場を使ってハッチを開き、一気にパイロットを引きずり出すわよ。

無事に助けることができたなら、UCを“心霊治療(医術)”に変更。
パイロットの容態を安定させるわ。

って、え?
この頭と左肩の角、そしてこの顔……彼女に似ているわね。
自分に似ている人が世界に3人はいると言うけど、まさか……。



●再動
「……どうして、斃れたはずのオブリビオンマシンが動き出しているの!?」
 アレクシア・アークライトは、再起動した原子炉を見て驚愕した。
 そして倒れていた腕のないクラマトルスクが、青い光を放ちながら立ち上がる。
 不可解な現象だが、所詮は壊れたキャバリアだ。すぐさま破壊すればいい。
 アレクシアはそう考えたのだが……そこで、さらなる異変が起きた。
 クラマトルスクから放たれる光が触れた瓦礫がふわりと浮かび上がると、
 空中で結合しながら両肩に接続され……いびつな両腕を構築したのである!
「瓦礫を利用して自己再生した……!? 変身するってのは本当みたいね」
 アレクシアは顔を顰め、一刻も早くパイロットを助けねばならないと考えた。
 ユーベルコードを使って電脳魔術により、クラマトルスクのシステムをハック。
 コクピットの安全装置と電子ロックを解除し、同時に力場を展開する。
 クラマトルスクはもはや構うことがない。瓦礫の収拾……再生を続けている。
(どういうこと? パイロットはもう必要ないというの……?)
 訝しむアレクシアだが、ここで敵の出方を待っている暇はない。
 展開した力場によってハッチをこじ開け、一気にパイロットを引きずり出した。
 昏睡状態にあるパイロットは、どうやらレプリカントのようだった。
 アムニ帝国の重装甲主義は、パイロット用のスーツにすらも徹底されており、
 偏執的なまでにあらゆる衝撃と障害に備えた宇宙服じみたデザインである。
 どうやらこれが、炉心の間近にありながら被爆から護ってくれていたらしい。
 とはいえ常に高熱に晒されていたせいか、スーツの表面は卵が焼けるほど熱い。
「まるで蒸し焼きみたいね……って、これは?」
 そこでアレクシアは、新たな驚愕の事実に眉根を寄せた。
 スーツの中から引きずり出されたのは、どこか見覚えのある顔立ちの少女。
 ……間違えるわけもない。ついさきほど、クラマトルスクを破壊したアルミに似ているのだ。
「自分に似ている人が世界に3人はいるというけど、まさか……」
 こんな馬鹿げた実験機に載せられるようなレプリカントだ、もともとテロメアを短縮するか何かで、生物としての先は長くあるまい。
 しかしそれでも、今ここで戦いによって命が失われることを、アレクシアはよしとしない。
「容態を安定させなきゃ……!」
 アレクシアは必死の治療を続ける。たとえそれが、幾許もない時間をほんの少しだけ引き伸ばすような行為であろうとも。
 失われゆく命を救おうとする行為に、合理も非合理もないのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月凪・ハルマ
ヒェッ、紛れもないキワモノだコレ
こういうの真面目に作り続けちゃうとかこの国家普通にヤバい

◆SPD

まぁいくら重装甲だとしても、守りの薄い個所は存在する筈だ
人型だったら関節部分とかね。なのでその辺を重点的に狙おう
逆に動力源がヤバい感じなんで、その辺に影響が出ない様にしたい

まずはできるだけ遠距離からUCで脚部関節を狙撃して機動力を削ぐ
その後に【迷彩】で身を隠し、【忍び足】で接近
どうにかして機体に張り付いてから、【ハッキング】で
コクピットを開放してパイロットを引きずり出す
俺含め、人が乗ったままだと全力出しづらいって人も
いると思うから

後は一旦距離を取っていつもの爆破手裏剣【投擲】で

※アドリブ・連携歓迎


ルクレツィア・アストリュード
大きく強い。だから――『答え』示すには、ちょうどいい。

【ダッシュ】し敵へと接近。その間、敵の動向からは目を離さず。
何らかの攻撃行動あれば、ジグザグ機動に切り替え攻撃軌道を絞らせず。
放射線を放ってくるなら、此方も命転呪炎を発動。放射線の放出を抑制。
――此処から50秒で、決着をつける。

此方の剣の間合いまで接近次第、関節部等の比較的装甲の脆い部位へ斬撃を放ち【切断】にかかる。
敵はオブリビオンマシン、エネルギー伝達を阻害しても何らかの手段で動く可能性は高い。物理的に【部位破壊】し、以て性能を削ぎたい処。

――質量と出力が、戦闘力定義の決定的要素とは限らない。それがボクの『答え』。


イオリ・カクトゥス
何というか、企業っていうのはこんなのばかりなのかな。
知っている企業似たような雰囲気ばかりなんだけど。

まぁ文句を言っても仕方ないか。
成果を奪いに来たって体だし、遠慮なくアレは壊してしまおう。

自分のキャバリア『D-Ogre』に搭乗して戦闘へ。
超火力・重装甲がコンセプトみたいだけど、こっちの機体も同じ。
四本の腕に装備した『ガトリングトンファー』の一斉射撃で叩きのめすよ。

とはいえ、相手も重装甲がうたい文句。耐えられるようならもう一勝負行こう。
相手の出力がどれだけのものか知らないけど、こっちの腕は四本。
手数の多さで格闘戦を制しよう。

コンセプトは同じでも性能とパイロットの腕は違ったかな。



●港湾部の死闘
「パイロットはなんとか救出されたか、けどあんな機体に乗ってたんじゃ……いや」
 他の猟兵がパイロットを引きずり出した現場を遠距離から目視した月凪・ハルマは、自身の脳裏に去来した様々な言葉と思いをかき消すように頭を振った。
 考えるべきは「意味があるかどうか」ではない、何を為すべきか、そして成せたか……そうでなくば、戦場では命取りになることをハルマは知っている。
「しっかし、あれだけ派手に壊されてまた再起動するとはほんとキワモノだな。
 この国家が作ったからなのか、オブリビオンだからなのかはわかんねーけど」
 再起動したクラマトルスクは、パイロットを失ってもなお活動を継続。
 瓦礫を吸収することでいびつに再構成した両腕を振り回し、周囲のビル群や倉庫を破壊していた。
 そして敵は猟兵たちを狙う――かと思いきや、ぐるりと180度転換。
 湾内に入り込み、その向こう岸へと向かうつもりらしい。先にあるのは……平民たちの居住区。つまり、非戦闘員ばかりの住宅地だ!
「おい、まさか逃げるつもりかよ? そうは――させるか!」
 ハルマはユーベルコードによって自らのガジェットを狙撃銃に変形、敵の脚部を狙いありったけの弾丸を叩き込んだ。
 関節部まで補強するという偏執的な重装甲主義が、ここで立ち塞がる。
 装甲によって弾かれる弾丸、しかしハルマは諦めずに弾丸をリロードした。
「いくら分厚い装甲ったって、まったく気にせず動けるわけじゃないだろ。それに」
 いいかけたハルマの頭上を、一騎のキャバリアと一つの人影が跳躍し超えていった。
「――戦ってるのは俺ひとりだけじゃない、ってね」
 即席の連携による集団戦術。それこそが、猟兵の強みなのだ!

「大きく、強い。だから――"答え"を示すには、丁度いい」
 人影のほう……黒髪をなびかせる乙女、ルクレツィア・アストリュードは誰に言うともなく呟いた。
 アンサーヒューマンでありながら、「キャバリアをも打倒しうる生身の戦力」として設計・調整された心身を持つ、生粋の戦士である。
 生身でのキャバリアの打倒。それは、猟兵という世界を超える生命の祝福者だからこそ出来る、おとぎ話じみた超人的偉業である。
 だが猟兵がこの世界にやってくる前から、本気でそのおとぎ話を叶えようとした狂人たちがいた。
 ルクレツィアはその遺児でもあり、ある意味では犠牲者とも言えようか。
「――斬り伏せてみせる」
 ルクレツィアは自らの身の程もある巨大な刃、"The Answerer"をこともなげに構え、すさまじい速度でビルからビルを渡り、湾内に侵入しようとするクラマトルスクに猛追した。
 そして切りかかった彼女と同時に飛び出したのは、二面四臂という極めて異彩を放つフォルムを持った、異形のジャイアントキャバリア。
 "D-Ogre"。武力介入国家、新世界学園に属するキャバリアのひとつだ。
 そのコクピットで、イオリ・カクトゥスは色付きの線めいて流れていく街の景色をちらりと一瞥し、心のなかで嘆息した。
(企業ってのはどこもかしこもこんなのばかりか。しかも、企業なのに帝国って、節操がないっていうかなんていうか)
 この国の重鎮たちにとって、国民を企業戦士という価値観で縛ることは支配に都合がいいのだろう。
 イオリが知る様々な企業と同じだ。権力によって人をコマのように扱い、利益を上げるためには非人道的行為すらも眉一つ動かさずやってのける。
 とはいえ、ここで文句をぐちぐちと言ったところで仕方ない……と、イオリは肩をすくめた。
 目的はひとつ。あの不気味なオブリビオンマシンを破壊することだ!
「こっちも火力と装甲には自信があるってのを、教えてあげるよ」
 D-Ogreは多種多彩な兵器を内蔵し、極めて特異な装甲で全身を覆ったワンオフのキャバリアである。
 それゆえに機体重量は並のキャバリアの比にならず、当然運動性能も犠牲になっていた。
 ゆえに、生身でありながらルクレツィアが先行する形となる。
 イオリが四本の腕に構えたのは、TOD-TGs『ガトリングトンファー』。
 鈍器としても利用可能な重火器……というよりは、弾が出る鈍器といったほうが近いかもしれない。
 それが四つである。D-Ogreの腕力で叩きつければ、もはや破城槌の如しだ。
 クラマトルスクは身構え――そして、一気に炉心を暴走させた!
 強烈な致死的放射光が水面を、そしてビル街を照らす。生命にも電子機器にとっても、触れてはならない禁断の輝き!
 しかしルクレツィアもイオリも、一切躊躇するなく光の中に飛び込んだではないか。
 まさか、やられる前にやるというのか? あたら若い命を散らすとでも?
 ――無論、否だ。見よ、ルクレツィアが放った斬撃と、その軌道を焦がすように燃え上がる炎めいた色合いのオーラを!
「運命を、切り開く――ッ!」
 光さえも切り裂く斬撃は、以て致死的放射光そのものをヴェールのように切り裂き、突破口を開いた。
 とはいえ、このユーベルコード……"命転呪炎(ティルフィング)"は、無制限に使えるようなものではない。
 ルクレツィアの命を代償とした、まさしく呪いの炎。効果時間はわずか53秒である。
 一瞬でも足を止めてはいられない。それはイオリもルクレツィアも同じだ。
 彼らはクラマトルスクに肉薄する――そこへ、狙いすましたブーストナックル!

「で、そこに俺が邪魔するってわけだよな!」
 KBAM!! と、突然の爆炎がブーストナックルを包み込んだ。
 密かにふたりに続いていたハルマによる、爆破手裏剣の援護だ。
 瓦礫をなんらかの超常的な力で縫合することで生み出されていたかりそめの腕は、その爆発に耐えきれずがらがらと脱落していく。
 もはや守るすべはなし。ルクレツィアの刃と、イオリの四つ腕が到達した!
「――質量と出力が、戦闘力定義の決定的要素とは限らない。それがボクの『答え』」
「コンセプトは同じでも性能とパイロットの腕が違えば……こうなるのさ」
 ZANK!! ルクレツィアの刃が重装甲をバターめいて切り裂く!
 そして……KKKKRAAASH!! ガトリングトンファーによる四連打撃、そしてゼロ距離射撃!
 破滅的攻撃を回避することなど、クラマトルスクには許されない。
 放射光は消え、その巨体は大きく吹き飛ばされた……!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

オニキス・リーゼンガング
心情)なんとも野蛮なことでいらっしゃる。言い回しが愉快でクセになりそうですね。彼らはわたくしどもが庇護していた人類とは異なりましょうが、ヒトが生き生きと生きている景色は心温まるものですね。
行動)キャバリアをお借りしまして。わたくしは目が見えませんので、オーラを走らせて状況を把握いたします。接敵いたしまして、オブリビオンマシンの方が殴りかかってらっしゃいましたら、霊体に戻りキャバリアをすり抜けて脱出。実体化してキャバリアを殴り抜いた状態の彼を、思い切り拳で殴り破壊いたします。ええ、キャバリアは囮です。地形を破壊して地図を書き換えるよりは、たやすきことでございましょう。



●悪霊は鋼を駆りて
「……なるほど、これが戦乱の世界ですか」
 貸与されたキャバリアのコクピットのなか、盲た目の男が呟いた。
 その声音には懐かしむような、羨むような、あるいは愛でるような……とにかく人ならざるもの特有の、人には慮ることも想像することすらも出来ない視座が含まれているように思える。
 オニキス・リーゼンガングは、人ではない。だが純然たる神とも違う。
 死してなお戻りしもの――すなわち、悪霊とされるもの。
 彼にとって、人類とは庇護すべきものたちであり、また己とは違ってずっと短く、それゆえに苛烈で鮮烈な生き様を魅せるものたちだ。
 善悪など、所詮は人の物差しである。戦争は人にとっては、なるほど忌避すべきもので決して喜んで受け入れるようなものではあるまい。
 だが、そこには生のぬくもりがある。死がすぐそばに横たわる鉄火場だからこそ、反証的に生の実感を得て、そして生きていることを肯定される――いや、自ら肯定することが出来る場所なのだ。
 オニキスは、嬉しく思った。この酸鼻たる戦場を……たとえ見えずとも。
「なんとも野蛮で、愉快で、そして生き生きとしている。心温まります」
 それは間違いなく、人には理解しきれない神の視座であった。

 しかして神であったものは、人が作りし鋼――キャバリアに乗りて地を駆ける。
 目は見えていない……だがその程度のこと、オニキスにとってはどうというものでもない。
 己の神力の残滓、あるいはオーラとでも呼ぶべきものを走らせ、張り巡らせ、すべてを把握する。視・聴・触はおろか、味・嗅すらも、これでまかなえる。
 ……敵がいた。そこでオニキスは、浮かべていた笑みを消して眉根を寄せた。
「そこですね」
 オブリビオンマシン。クラマトルスク。乗り手なくして暴走する鋼の巨躯。
 喪失した片腕を瓦礫の集合体でかりそめに再生したクラマトルスクは、まっすぐ向かってくるキャバリアめがけて躊躇なくブーストナックルを振るった。
 火力差は圧倒的。装甲は速度によって破壊力に乗算され、以て紙くずのような機体を一撃で爆散せしめる。だが、そこにオニキスは居ない。
「拳で一撃とはなんとも豪気な。ならばそれに倣うとしましょう」
 キャバリアは、囮だ。オニキスは霊体化し、一瞬早く機体を脱していたのだ。
 衝撃の一瞬前に実体化したオニキスの拳――キャバリアからすればあまりにも小さいその拳は、されど神の腕(かいな)。
 拳が命中した地点はめしゃりと凹み、ひしゃげ、砕け、血しぶきじみて火花と鉄の残骸を撒き散らす!
「ほう……これがヒトの作った、重装甲機体とやらですか。なかなかに堅い」
 巨体をボウリング球めいて転がしておきながらオニキスはそう嘯いた。
 質量差など何の比較にもならない。神とは、そういうものなのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎

いや、うん、そりゃ火力はあったほうが便利だし装甲が頑丈に越したことはないけれど。…世の中には、限度ってものがあるんじゃないかしらぁ…?

見るからに近接戦特化仕様だけど…この国の情報聞く限り、「浪漫」の一言でどんなトンチキ武装積んでてもおかしくないのよねぇ…
あの装甲じゃ半端な攻撃は通じそうにないし、地味に面倒ねぇ、ホント。
…となると、無理に装甲貫くより足引きのほうが現実的かしらぁ?
ミッドナイトレースに○騎乗してラド(車輪)で機動性を向上、機動戦仕掛けるわぁ。
電撃の帝釈天印、遅延のルーン三種にEMPグレネード、魔道も化学もより取り見取り。手筋はいろいろあるのよぉ?



●デカブツの殺し方
 半壊した状態でありながら、オブリビオンマシンはなおも駆動する。
 パイロットは救出された……にもかかわらず完全に自律しているのだ。
 しかも猟兵の攻撃で脱落した身体のパーツを、瓦礫を縫合することで擬似的に再生しながら!
「なあんか嫌な予感するわねえ……あれ、でっかくなったりしないかしらぁ」
 ミッドナイトレースに乗り地を走るティオレンシア・シーディアは、なんとなく脳裏によぎった嫌な予感を口にして、はあ、と嘆息した。
 この手の悪い予感は当たる。ジンクスというか、経験則的な直感だ。
 事実瓦礫を無秩序に取り込むクラマトルスクは、すでに通常のキャバリアの規格をオーバーしつつあった。
 ビルを薙ぎ払い、鋼を取り込み闊歩するさまは、まさしく巨大なる神のそれ。
「ああいう手合は嫌なのよねぇ、半端な攻撃は通じそうにないし」
 いいつつもティオレンシアは、ルーンの刻み込まれた弾丸を愛銃のシリンダーに装填した。
 たしかに、拳銃で分厚い装甲を突き破ることは出来ない。それが常識だ。
 だが猟兵とは、常識を覆し無理を貫く存在であり、それ以前にティオレンシアは一流のスイーパーでもあった。
 敵がデカブツだろうが人間だろうが、仕事ならば殺(こわ)す。
 そこに躊躇はない。悩むことも――惑うことも、失敗することもない。
 ミッドナイトレースが加速する。巨大化しつつある敵機との距離が縮まった!
 クラマトルスクは異形化した片腕を振り上げ、ティオレンシアを叩き潰そうとする――が!
 突如としてミッドナイトレースは加速し、拳の先へと走り抜けたのだ!
「魔道も科学もよりどりみどりよぉ。人間の手筋の多さ、見せてあげるわぁ」
 そして懐めがけ、弾丸の大盤振る舞い。さらにEMPグレネード!
 弾丸の着弾と同時に炸裂した手榴弾の妨害機能が、クラマトルスクの暴走したシステムを阻害し足止めする!
 拳銃で装甲を貫くことは出来ない。ならば、それ以外の方法で壊(ころ)せばいい。
 ティオレンシアにはそれが可能なのだ。だからこそ、彼女は生き延びてこれたのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​

祇条・結月
単騎の性能が高くても戦略に組み込めないのは欠陥品では……

ロボは浪漫だし、それに生身で立ち向かうのもある意味男子の浪漫だよね
軽口はここまで
火力と装甲は本物
でも、できることをするよ

【覚悟】を決めて【切り込】む
搭載火器は対キャバリア用の筈
生身の人間はロックオンし難いだろうから、後は速さと小回りで射線を振り切るように動く

……掠ったらそれで終わりだよね
無茶だってわかってる。ほんとは隠れてるべきだ
でも……速く、速く……
もっと速く
……それに狙う場所は見えてる

【ロープワーク】で機体に組みついて急所……コックピットハッチを壊す
後は中の制御機器を壊して、パイロットは……咎人の鍵で一旦眠ってもらうよ



●一秒前よりも、一瞬前よりも疾く
 自分よりも巨大な敵に挑んだことは、もう数え切れないほどあった。
 キャバリアなんかよりもずっと巨大な戦艦だのロボットだの、ドラゴンだの……オブリビオンというのは多種多様なもので、思い出すだけでげんなりするぐらいに前例がある。
 だから、巨大なるものに挑むことは、もう慣れた。――怖くないとは言わない。
 祇条・結月はどこまでいっても、見知った多くの仲間たちのように「戦士」や「英雄」として超人的な精神力を身につけるには、まだ若くそして普通すぎた。
 けれども、覚悟は出来る。恐怖を認め、それを受け入れ、呑み込むことは。
(――疾く)
 巨躯……半壊状態から強引な融合で巨大化しつつあるクラマトルスクの拳が、結月のすぐ後ろを砕いた。衝撃が地面を伝わってクレーターを刻み込み、舞い飛んだ瓦礫が結月の頬を裂く。
(疾く、もっと疾く)
 止まらない。止まれば死ぬ。経験則としてそれを知っている。
 クラマトルスクはもう片方の拳――と呼ぶにはそれは、あまりにも不細工でそして異形化していた――を振り上げ、結月を迎え撃とうとする。
 しかし、こちらは生身だ。そのサイズ差は、敵が巨大化しつつあることも含めてぐんぐんと広がり続けている。
 敵の攻撃は、その火力は圧倒的だ。喰らえば結月など一瞬で消し飛ぶ。
 となれば結月に出来るのは、速さと小回り、そして機転で立ち回ることだけ。
 虫のように地面を這い、飛ぶのだ。敵からすればまさにそう見えるだろう。
 ならば、意地を見せてやる。小さきもの、比肩しえぬ者だけが持つ意地を。
(狙う場所は、見えてる。だから走れ。跳べ。さっきよりも疾く)
 掠れば終わりだ。
 捉えられれば終わりだ。
 だから結月は駆ける。ビル群を利用してワイヤーアクションを繰り広げる。
 すでにパイロットは救助されている。であれば狙うのは――炉心!

 恐怖がある。
 いいや、それはいつもそうだ。いつだって恐怖はある。
 どんな敵でも、怖くないわけがない。けれども。
「――出来ることがあるなら、僕は」
 到達。刃を突き立て、装甲をスライスし、そして突き出した。
「そうすることを、躊躇したくないんだ」
 小さき者の意地は、神をおごる巨大なるものにその刃を突き立てた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィクティム・ウィンターミュート
ハッ…イロモノの技術者どもは嫌いじゃあないぜ
是非とも理論を知りたいものだが…どーやら厄介事の放置は出来ないみてえだ
未だキャバリアには乗れないが、まぁ少し遊んで行けよ
刺激的な祭りになることを約束しよう

──さて、水辺に行かせるのはまずい
『停滞』させて『鎮静』で強化させない…これだな
さぁチューマ…ちょいと仕事のお時間さ
この一発にお前の起源を籠めて、この騒がしい世界に静寂を齎そうぜ
照準は完璧、このデカさじゃ外す方が難しい
ちっぽけな弾だと思うかい?当たれば分かるよ、嫌でもな
【先制攻撃】でぶっ放す

そして、全ては『停滞』する
さらには『鎮静』により…仮に強化できても抑制される
全部凍って、誰もが静かになるのさ


美聖・らふる
――――火力で? ミーゼと? この“ミゼラブル”と?
…………やりあおう、というのであれば。
相手に…………なります。

新世界学園、美化委員……副委員長。
美聖・らふる――“ミゼラブル”、でます。

…………ユーベルコード、“ユースアネイジア”
“メガデス”、出力50%。
あなたご自慢の重装備と、ただ全てを焼き払う為だけの砲塔。
どちらが上か…………試してみましょう。

※アドリブ連携歓迎。



●停滞と焦熱
 大火力、重装甲。
 すべてを薙ぎ払う何者にも負けぬ火力を――それが、この帝国のモットー。
 だがそんな熱に浮かされた技術士官たちにとって、羨望の的であり忌むべきライバルがあった。
「あれは」
 機体の暴走を呆然と眺めていた技術士官のひとりが、"それ"を見て呻いた。
 武力介入国家、新世界学園が"美化委員・副委員長"。
 パイロット名、美聖・らふる。キャバリア名も音に同じく、"ミゼラブル"。
 たったひとつの武装……すなわち"殲滅砲塔メガリス"を撃つためだけに設計された機体、そのためだけに用意された『死んでも死なないパイロット』。
 撃ち手すらも滅殺するその火力は、まさしく『何者にも負けぬ火力』そのものだった。
 だから、技術士官たちはその姿を忌まわしく思った。同時に憧れた。
 妬み嫉みと羨望、「あれを我らも実現できるはず」という希望と絶望。
 様々な感情が綯い交ぜになったいくつもの眼差しが、ミゼラブルに突き刺さる。
 コクピットの中で、少女はただ目を見開いていた。
「"メガデス"、出力50%。"ユースアネイジア"、術式起動」
 馬鹿げた大きさの"塔"を構え、ゆったりと……戦場とは思えないほどに緩慢たる動作で、破滅的エネルギーを汲み上げ、命を糧に燃やす。
 メガリスドライブ、加速。砲身が赤熱し、白熱し、大気をも焼滅させながらいや増しに熱量を高めていく。
 その不遜なる砲塔を、暴走するクラマトルスクが見逃すはずもなかった。
 巨大なる神は瓦礫を集合させることでさらに、さらに巨大化しながら、ずしん、ずしんとミゼラブルへと立ち向かう。さながら、嵐に真っ向挑みかかるように。
 瓦礫が凝り固まって再生された片腕に青い光が集中し、噴射炎が噴き出した。
 炉心制御装置を代償にしてのブーストナックル。真っ向から、立ち会うつもりだ。
 らふるは逃げない。逃げることなど出来ない――ミゼラブルはそのための、撃ち滅ぼすための機体だからだ。
 間合いが縮まる。拳が到達するのが早いか、炎が先にすべてを焼き払うか?
 クラマトルスクは加速する。海水を預言者めいて割りながら、駆ける。

 ――だがその時、神をも悪魔をも恐れぬマシンの足取りは、ぴたりと止まった。
 まるで彫像に一瞬で変じてしまったかのごとく、その巨体はぴしりと止まる。
 何が起きたのか。見守っていた技術士官たちもさっぱりわからなかった。
 わかろうはずもなし――なにせ誰も、そんな小さな弾丸ひとつ、目視も注意も警戒もしていなかったからである。
 それは、クラマトルスクとて同じこと。奴には――マシンに自我と呼ぶべきものがあるか甚だ疑問ではあるが――ミゼラブルを、そしてメガリスだけを目の敵にしていた。
 だから。ビルの屋上で肩をすくめる悪童に気付いたのは、すべてが停滞してからだった。
「イロモノの技術者ってのは嫌いじゃあないんだ」
 ヴィクティム・ウィンターミュートは、銃を手に嘯いた。
「ぜひとも理論を語り合いたい……そう思っていたがね、ちょっと気が変わった」
 言って、ヴィクティムは彼方を見やる――破滅的砲塔を構えたキャバリアを。
「もっと派手で面白そうなものが味方(こっち)にいたんじゃあ、なあ?
 となれば厄介事は、さっさと停滞(とめ)て鎮静(しず)めて終わらせる。
 それが、猟兵としての――いや、ランナーとしての流儀だと思わないか?」
 機械は答えない。仮に自我があったとして、答えることは出来ない。
 すでに魔弾は穿たれた。あらゆるものを停滞・沈静化する魔弾が。
 足元の海もまた、荒巻く波のまま、凍りついたかのように停滞していた。
 巨躯すらも鎮める。それが、友から受け継いだこの魔弾の力。起源の力。
「装甲にも自信があるんだろう? なら、食らっておけよ」
 ヴィクティムはゴーグルを装着した。目視していたらサイバネアイが焼ききれていただろう。
 そして万が一の被弾を避けるため、ふわりとビルの上から飛び降りる。
 直後、太陽のごとき輝き――メガデスの殲滅火砲が、空を、空間を、敵を劈いた。
「……美しい」
 技術士官のひとりが、涙を流した。
 圧倒的火力を目の当たりにしたがゆえの、感激の涙であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フェルト・フィルファーデン
安定性の無い機械を作ってる時点でどうかと思うけれど……その上オブリビオンマシンで暴走するとか厄介にも程があるわね。
……何はともあれ、久々の戦い。油断せずにいきましょうか。

攻撃は他の猟兵の方に任せ、わたしは人命を最優先に、更に周辺の被害を出来るだけ抑える方向で動きましょうか。下手に誘爆でもしたら大変だものね。

ただしこの力は乱発出来るものじゃない。敵の行動を観察し、致命的な一撃に合わせて使うわ。……死ぬわけにはいかないもの。

――護身剣よ。わたしに力を貸して。
この剣はかつて騎士だった、今は姫と騎士以上の絆で結ばれた、親友から貰った新たな力。もう何一つ諦めないために、全て護ってみせる……!!



●忠義よりもなお篤く、必死よりも熱きもの
 かつてフェルト・フィルファーデンは、己の命を捨てることを厭わなかった。
 戦場で散ることを、無意識に望んでいた……それも自覚したことだ。

 けれども多くの出会いと、出来事……そして、想いと、言葉が。
 彼女に捨て鉢な必死の戦いではなく、生きて戻る覚悟を決めさせた。
 友情と、愛……言葉にすればとても陳腐で、ありきたりに思えてしまうもの。
 それこそがフェルトを立たせるものであり、そして彼女が守りたいと思うもの。
 ありきたりなものほど、人はたやすく見失い、そして鼻で笑いすらする。
 この戦乱に包まれた世界は最たるもの。だれが愛と希望を謳おうか?
 ゆえにフェルトは戦う。この、クロムキャバリアでも――今までと変わらずに。

 フェアリーの小さな身体は、キャバリアを相手にすると余計に矮小に見えた。
 いっときは宇宙戦艦すら相手にしたとはいえ、やはりサイズ差は大きい。
 しかも敵は周囲の瓦礫を取り込み、膨れ上がるようになりつつあるのだ。
 そして明らかに、猟兵たちから逃亡しようと市街地を目指している!
「来たわね……けれど残念ね。アナタが奪う命は、もう此処にはないわ」
 フェルトは先んじて、人形たちと電脳魔術を使い避難誘導を済ませていた。
 中には防衛のために決死の覚悟で居残ろうとする兵士も少なくなかった。
 それでも、死なせるわけにはいかない――特に、自分の目の前では。
 だからフェルトは人形たちと、そして剣とともに、ビルの屋上で敵を迎え撃つ。
(この力は、乱発できるものじゃない。だからこそ敵の動きをよく見なきゃ)
 浅葱色に輝く護法の剣――誰であろう親友にして騎士たる者から託された、新たな力。守られるものではなく、民を守る姫として行使するための護りの刃。
「護身剣よ、力を貸して。希望の光を紡いで広げ、抗い救うために!」
 クラマトルスクが到達。そして致死の青い光が戦場を染め上げ――ようと、した。

 その光は浅葱色の輝き……刃から生まれた希望の輝きに妨げられる。
 さながら強力なエネルギーフィールドが拮抗するかのような、光の炸裂。
 ぶつかりあった力場は周囲の瓦礫を吹き飛ばし、斥力を生じさせる。
「く、うう……それでも、わたしは……退かないわっ!!」
 死ぬためではなく、生きるために。
 そして見よ――大きくたたらを踏み、そして光を失ったのは、敵だ。
 神のごとく巨大なる暴走騎兵が、護りの輝きに恐れをなしたのだ。
 いのちを奪わせはせぬ。刃に映る決然たる姫の面持ちが、敵対者に決意を告げた!

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルナスル・アミューレンス
えぇ……(困惑)
なんかもう、見た目的にいやーな感じズンドコくるんだけど。
何、ここも滅ぶの?

えー、アレに近付きたくないなぁ……。
出来るだけ離れた、出来るだけ高い所に飛ばしてよぉ。
見えたらちゃんと『排除(ネラウ)』からさぁ。


あの見た目でも、コックピットは真ん中かなぁ。
じゃあ、股間当たり吹っ飛ばせば一先ずは止まるかなー。

さて――

――拘束制御術式、限定解除。
周辺を侵食・融合して躰を固定。
G.R.V5侵食、超々長距離狙撃状態へ。

第六感や戦闘知識から動きの先を見切り、目標を捕捉。
これくらいの距離なら、障害物も問題なく撃ち穿てるでしょ。
その下半身、部位破壊させて貰うよ
さぁ、スナイパーの腕お見せしましょうか。



●破滅を起こさぬために
「えぇ……」
 青い光を断続的に放ち、ボディを半壊させながらも無理矢理に――それこそアルナスル・アミューレンスがよく知る、アポカリプスヘルのオブリビオンどもめいて――再生させながら、原子力キャバリア・クラマトルスクは市街地を進もうとする。
 すでに猟兵たちと帝国の治安部隊により、進行ルート上の非戦闘員の避難は進んでいた。だが、そもそもあのキャバリア自体が自走する爆弾のようなものだ。
 しかも吹き飛ばす規模は、建物一つだとかそういうレベルではない。
 この小国家を、ともすれば周囲の国ごと永遠に死の大地にしかねない。
 それが原子力……失われたはずの、だが強力な禁忌の技術であった。
「まさかこの世界も滅ぶの? それはちょっと……ヤだなあ」
 アルナスルはうんざりした様子で呟き、頭をかく。だが表情は見えない。
 彼はいつでも飄々としていて、いかにも優男らしい台詞を吐きはする。
 しかしその無骨でどこか不気味なマスクを外すことは、絶対にないのだ。
 ともすれば、非人間的な表情を浮かべる機械よりも、感情を伺い知れない。
 それでも、己の故郷と同じような破滅を見たいはずがなかった。

 ところでアルナスルの現在位置と敵の現在位置の相対距離は、かなりの長距離だ。
 スナイプしようにも、そもそもアルナスルはキャバリアに騎乗していない。
 だがそれでいい――なにせ彼は生体兵器。人間のカタチをした化け物である。
「さて――拘束制御術式、限定解除」
 ガスマスクの下からくぐもった声がすれば、化け物の証左がカタチとなった。
 身体の一部が触手めいて変形し、アンカーのようにビル屋上に突き刺さる。
 さながら、繭を作ろうと芋虫が糸を吐いて自らを固定するように。
 黒い粘体めいた「何か」が根を張る。そして、結合部分が融合した。
 無人のビル全体がアルナスルの一部となり、地表面に、そして岩盤に自らを固定。
 片腕が変形する――馬鹿げたサイズの砲身を持つ超々・長距離狙撃形態へ。
「重装甲がご自慢とのことだけど――さて、僕の弾を防げるかな?」
 論理照準を定める。目標セット……トリガーオン。
「その脚、排除(ネラ)わせてもらうよ」
 ドウン――と、砲撃音が大気を銅鑼のように鳴らし、たわませた。

 ……音が遅れて炸裂、衝撃波となってビル群のガラスをひび割れさせる。
 遥か彼方。脚部を貫かれたクラマトルスクは、雪崩を起こすように自沈。
 アルナスルの表情は伺い知れない。達成感めいたものも見えない。
 彼にとっては、この程度は造作も無いことだからだ……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カイム・クローバー
重装甲、超火力…良いねぇ、ロマンを感じるな。
暴走だ爆発だってのは頂けねぇが。だが、まぁ…敵役、要するに『引き立たせ役』だってんなら、お似合いなんじゃねぇか?

機体は適当なの一騎貸してくれ。機動力重視で通信機器は最良なのが付いてるの頼むぜ。悪ぃか?何せ、お喋りなモンでね、俺は。
戦闘時は左手のライフルで射撃しながら、右手装備の剣の間合いを図るぜ。【操縦】で機体をコントロールし、特に地形に対しては注意を払うぜ。重装甲は確かに脅威だが機動力で背面を取るってのはどうだ?
関節に銃撃を叩き込んでUCで片脚でも叩き斬ってやればデカイ鉄屑と大差ねぇだろ。
それに…あの重装甲だ。内部のパイロットも幸い、無事だろうさ。



●軽薄、軽妙、そして
 脚部を破壊されたクラマトルスクは、轟音と土煙をあげながら自沈した。
 だが見よ。明らかにキャバリアとしての機能を喪失しているはずの機体は、炉心を暴走させながら周囲の瓦礫を取り込み、仮初の脚部を構築しつつある。
 それだけではない……結合した瓦礫はなんらかの科学的反応によって物質組成を変形させ、まったく別のキャバリアとしてのカタチを作りつつあった。
 アムニ・エンパイアの通信網からは、混乱と絶望、あるいはそれ以上の歓喜の声が聞こえる。だがどれも、想定外としか思えない慌てぶりだった。
 つまりあの力は帝国側が意図したものではなく、オブリビオンマシンが持つ能力……と、言うことなのだろう。
 にもかかわらず、なぜ喜んでいるような輩が居るのか?
 その答えは、カイム・クローバーにとって深く考えるまでもなかった。
「自分の国をぶっ壊してる狂ったマシンでも、性能が凄けりゃ嬉しいってか。
 まったくロマンに生きてやがるな――だがそういうのは、俺の好みじゃない」
 重装甲、超火力。それはいい、男として実にロマンを感じる。
 だがこの破滅的光景を前にして、ただ「すさまじい力」だけにしか目が眩まないような輩は、ロマンの熱で頭をやられてしまった木偶の坊と言えよう。
 まったくこの国はろくでもない――いや、この世界が、だろうか?
「さあ、退きな! ここからはBlack Jackのステージだぜ!」
 治安部隊に通信を飛ばしながら、軽妙洒脱なる男のキャバリアが空を跳ぶ。
 呆然と見上げる量産型キャバリアを飛び越えて、カイムの機体がビルを蹴った!

 一方で、かりそめの脚部により復帰しつつあるクラマトルスク――パイロットはすでに別の猟兵により救出されている――は、明らかな意思を感じさせる挙動でカイム機を見返し、拳というにはかなり異形に過ぎるそれを握りしめた。
 近づけばブーストナックル……を、模倣したような力任せの一撃が振るわれる。
 喰らえば即死だ。いくらキャバリアだろうと一撃で砕け散るだろう。
 カイムはそれを読んだ上で、左手に保持したライフルを射撃。BLAMN!!
「カウンターを食らわせようってか? そうはいかないぜ!」
 射撃衝撃を利用してスラスターを噴射しドリフトめいたカーブを決める。
 ちょうど敵の左側面を取るように半円を描く形だ。拳は虚空を通過。
「たいした装甲だね――けど、さすがに背面(こっち)は予想外だろ?」
 カイムは右腕の実体剣を構え、速度を載せて横薙ぎの斬撃を振るった。
 まるでチーズの上っ面をすくい取るナイフめいて、先端部は音速にすら達する軌道斬撃が命中……異形の拳を真っ二つにスライスしながら、刃は関節部に到達!
 カイムはそこで目を見開いた。ぱりっ、と紫電が髪を、指先を伝う。
 はたして操縦桿を通じた紫電は機体によって増幅され、剣の刀身を覆う。
「痺れさせてやるぜ? 受け取りな!」
 ユーベルコードによる二段加速! 紫電が爆ぜた瞬間実体剣はさらに加速され、重装甲をバターのように切り裂く。機体はバレエを踊るように高速スピン!
 反発力で距離をとったカイムは、とどめとばかりにライフルを撃つ。銃撃は切断面に吸い込まれるように命中し、爆炎が戦場を照らした。
「どうだい? 様になってるだろ?」
 その声音は軽薄、されど調子は軽妙、そして。
 華麗なる戦いぶりたるや、軽快の一語に尽きる。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イーリス・ヴァイデンフェラー
あかりちゃん(f30108)と

超火力、重装甲、ときめくワードを並べてきますねぇ
あはは、大丈夫、惹かれてませんよぉ
爆発は勘弁してほしいですし、オブリビオンマシンなら話は別
い~ですねぇ、その為にも勝って帰りましょっか

シュヴェーアトヴァルを使用
まずは焼夷のミサイルから、周囲の水気を悉く蒸発させちゃいましょう!
続くは荷電粒子砲の牽制
けれど本命は――あかりちゃん、出番ですよぉ!
重装甲と言えど関節部は薄くせざるを得ない
“Ausdünnen”で狙撃して破壊を試みますね
ふふ、あかりちゃんナイスです、このままたたみかけますよぉ

そんなぁ、あたしそんな信用ないですか?
大丈夫ですよぉ、無茶(当社比)はしませんのでっ!


犬伏・あかり
無茶したらだめだからね、イーリス(f30021)

えぇ…?ときめくの…?わかんないなあ…
もっといいもの知ってるよ。購買の新しいパン。甘いの。
戻ったら一緒に買いに行こう。

"カンオケ"が余計な事しないように気をつけながら、合図を待つけど…
原子力って。そこまで必要?何の為に?
ああ、戦うためだっけ…くそだね。
乗ってる人だって危ないだろうし、学校の友達も居るし、そういうの困るの。
だから――そんなもの動かさないで。何もしないで。
期待されたぶんは止めてみせるから…なるべく安全な場所から撃ってね、イーリス。

うん…前に出すぎないでね。無茶しちゃだめだよ。絶対。
信用してないよ。させてくれると嬉しいんだけどね…はあ。



●女子高生たちの戦場
 学び舎に通う若者が、生きるために戦場に立つ。
 平和な世界であれば狂気としか思えぬことが、この世界では常識となる。
 その学び舎自体が国家として機能していることすらあるのだ。
 新世界学園はそうした組織であり、しかも自ら武力で介入する。
 すべては真なる平和のために――はたしてその理念の裏はいかばかりか。
 美辞麗句をで飾られた上っ面のしたほど、おぞましいはらわたが見えるものだ。

 けれどもそんなことは、ふたりの少女にとっては関係ない。
 少なくとも、学園が掲げるようなお題目を、ふたりが口にすることはない。
 イーリス・ヴァイデンフェラーは問われれば多くの言葉で煙に巻くし、
 犬伏・あかりに至っては一度死んでいる。イデオロギーなど、くそくらえだ。
 この世界も、戦乱も、争い合う人間も、何もかもくそったれである。
 ただ、戦うことは出来る。そして、得られるものがあり、守れるものがある。
 だからふたりは戦場に立つ。死を恐れず、死を奪うように戦火を振りまく。
 今日もまた彼女たちは、おろしたての服で街を練り歩くように戦場に飛び出した。

 ただ、あかりが駆る――というよりも躾けている――マシンは、わけが違う。
 "カンオケ"と無愛想に呼ばれるそれは、敵と同じオブリビオンマシン。
 いつ暴走してもおかしくない、何をしてもおかしくない爆弾そのもの。
 今日の戦場においても、あかりは"カンオケ"の制御に腐心していた。
「ねえ、イーリス」
 市街地を、さらにその先を目指して闊歩するクラマトルスクを見つめたまま、あかりは言った。
『はぁい? なんですかぁ?』
「無茶したらだめだからね。作戦には従うけど」
『あははっ、そんなの言われるまでもないですよぉ~。
 あたし、そんなことするように見えますかぁ~?』
「…………」
 見える、と言ったらどう答えるだろうか。ややこしくなりそうだからやめた。
 それにこれから戦おうというのに、あまり心配しすぎても鈍らせるだけだ。
 どうして自分たちがこんなことをしなければいけないんだろう。
 死んでまで戦って、学友と一緒にこんな危険なところへきて。
 やっぱりこの世界は、くそったれだ。
 そうするしかない自分の弱さも、同じぐらいに嫌いだった。
「あかりちゃん?」
『……ごめん、考え事してた。ええと、ほら、あれだよ』
 イーリスは敵を照準に捉えながら、少女の声を聴く。
『こんな国のわけわかんないキャバリアなんかより、いいもの知ってるから』
「へぇ~? あたし、この国のモットー嫌いじゃないんですけどねぇ」
『購買の新しいパンよりも? 甘いやつ』
「……あははっ。い~ですねぇ。奢ってくれますか?」
『一緒には買いに行ってあげる』
「ちぇー、そこはYESって答えるところですよぉ?」
『死人だってお金は必要なのよ』
「ま、それもそうですねぇ」
 他愛ない会話をしながら、ふたりは戦闘可能距離へ到達。
 オブリビオンマシン同士が共鳴し、"カンオケ"が勝手に動き始めた。
 暴れ馬をたしなめるように操縦感を握りしめ、あかりは舌打ちする。
「余計なこと、すんな。……イーリス、お願い」
『了解ですよぉ~』
 イーリスの狙いは敵機……ではなく、その周囲の地形だ。
 戦闘の余波により貯水施設が崩壊、足元を水で満たしていた。
 敵は水場にいるほど強まる。おそらく炉心を冷却できるからだろう。
 イーリスの狙いはその水場……ハーヴェスターから焼夷ミサイルが放たれた!
「出血大サービスですからねぇ、おまけもつけてあげますよぉ~!」
 着弾を確認するよりも先に、イーリスは荷電粒子砲を展開、放出。
 クラマトルスクの接近を妨害し、さらに奇妙に維持された疑似腕を破壊する!
 KA-BOOOM……テルミットが酸素と化学反応を起こし、水蒸気爆発が炸裂した!
「あかりちゃん、出番ですよぉ!」
『了解。――おとなしく、私に従って。どっちも!』
 キィン――と、冷えた鉄を金槌で突いたような心地よい音が響いた。
 それは呪われたマシンを御し、指向性を与えたあかりの意志力である。
 生命を害する霊障は敵機に向けられ、見えない触手が巨体を絡め取った。
 溢れ出しつつあった青い光は、黒ずみ侵蝕され、そして機体を強制的に停止!
「ふふ、あかりちゃんナイスです!」
 ReRS-021"Ausdünnen"、展開。照準は敵下部ユニットへ。
 狙撃用大口径弾頭が放たれ、音速を突破――射撃音は衝撃と崩落に遅れて届く。
 KRAAAAASH!! クラマトルスクは脚部の縫合を失い、地面に転倒した!
「さあ、このまま畳み掛けますよぉ!」
『前に出過ぎないでね。絶対だよ』
「……あたし、そんなに信用ないですかぁ?」
『出来ないって言ってるの。むしろ、させてくれると嬉しいんだけど』
「大丈夫ですよぉ、安心安全の当社保証です! 見ててくださいねぇ!」
 皮肉も気にしてない様子に、あかりは溜息をついた。
「……ほんと、勝手で困っちゃう」
 零した言葉は自機へのものか、はたまた学友に向けたものか。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ティー・アラベリア
つーよいぞ、アムニ♪すーごいっぞ、アムニ~♪
なんだか生きているのが楽しそうな人たちですね。
そういうの、嫌いではございません。
何より設計思想が素晴らしいですね。
装甲!火力!スゴイツヨイ!
多分、ボクを作った人たちも似たような人達だったんじゃないかなぁ。
メイド!魔砲!スゴイカワイイ!

・戦闘
戦闘機動機構で空中機動をとりながら
用途と有効射程の異なる90式、92式、95式、97式魔杖を周囲に浮遊させて戦闘を実施します。
火力投射用の92式で敵の移動と攻撃を妨害しつつ、対装甲用の90式で敵の関節部を集中的に攻撃します。
動きが鈍ったところで、指定UCを使用し敵へのダメージを極大化します。
火力戦なら負けませんよ!



●魔杖の支配者
「つーよいぞ、アムニ♪ すーごいっぞ、アムニ~♪」
 即興でやや調子外れのリズムを刻みつつ、ティー・アラベリアは空を舞う。
 その身に宿した戦闘機動機構による、"殲禍炎剣"を惹きつけないギリギリの高速機動。飛翔するというよりも、跳んで跳ねると呼ぶべき動きであった。
 目指す先はただひとつ――猟兵から逃走しようとしているクラマトルスクだ。
「この国の人たちは生きているのが楽しそうで、ボク嫌いではございません!
 キャバリアの設計思想も素晴らしい。装甲! 火力! スゴイツヨイヤッター!」
 まるで遊園地ではしゃぐ子どものような、無邪気な笑顔だった。
 だがここは死地であり――そして周囲に浮遊し並走するのは、無数の魔杖。
 並の兵器では太刀打ちできないほどの汎用性と火力を併せ持った、"武器"だ。
 その身は人形。破壊をばらまき、そして愉しむ。ティーはそういうモノだった。
「きっと、ボクを作った人たちもそんな人たちだったんだろうなぁー!
 ボク、カワイイヤッター! これはもはやほとんど違法行為ですよぉー!」
 などと素っ頓狂なことを言いながら、ティーは致命的放射光のギリギリまで近づき……魔杖による一斉砲撃を開始した!
「さて、ボクの火力とあなたの重装甲、どっちが上でしょうかねー!」
 キュイイイ――と機械の駆動音を思わせる高音、そして魔力の収束。
 高密度レーザー砲じみて魔力を焦点させた魔杖が、一気に閃光を煌めかせる。
 機動要塞を思わせるほどの砲火。向かう先はオブリビオンマシンだ!
 ドウドウドウ――KA-BOOOM!! KRA-TOOOOM!!
 魔力収束砲、高速誘導魔法弾、広範囲殲滅拡散魔弾、そして魔導爆縮!
 青いチェレンコフ光を飲み込まんばかりに、破滅の炎が花火めいて咲き誇った!
「砲撃妖精、躍進射撃! 目標"前方"――灰燼に! しちゃいなさーいっ!!」
 さらにティーはユーベルコードによって魔導砲撃妖精を325体召喚。
 砲撃を行わせながら突撃させることで、多段的な飽和攻撃を継続する。
 だが恐るべきは敵の装甲か、破壊と再生を繰り返しながら、敵機は起立!
「逃しませんよ!」
 ドウ――!! 90式爆縮破砕型魔杖が煌めき、かりそめの脚部を爆砕せしめた。
 雨のように……いや、これは嵐だ。魔力がもたらす、死と滅びの災厄!
「火力戦なら負けませんよ? ボク、強いので☆」
 あどけなく微笑むさまは神か悪魔か。
 楽しそうに――心から楽しそうに舞い踊る姿は、不気味に美しかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

薄氷・ジゼル
【新世界学園】の生徒として参加。他参加者様との絡み、描写、台詞の追加など、なんでも歓迎です。

……へぇ。水の近くで戦うのが得意なの? それなら、どっちが上かわからせてあげる。
来たれ我が偶像、水面を揺らす亡霊の妃よ——ルサールカ!!

【水の精霊】を使用。近くに水辺があるようだから、その中に引き摺り込んで、水中戦を挑むわ。
鈍重な動きの機体なら、【水の精霊】のスピードと反応速度の上昇で対応出来る。

敵の分厚い装甲も、関節部を狙って[貫通攻撃]を行うことで効率的に攻撃が可能なはず。
ルサールカは[水中戦]に特化した機体。貴方も随分とやるようだけれど……少し濡れた程度で調子に乗られるのは、少々癇に触るわね。


アイリス・レーヴァテイン
「私立新世界学園図書委員会所属。コードネーム“ディザスター”。対象を厄災と認定。戦場支援を開始します」

乗機であるLægjarnに搭乗。
「見るが良い閉ざす者。来たれや我が秘匣。汝の求めを今叶えん。其は狡猾なる厄災の匣。Lægjarn!」
Lægjarnは登場時虚空から黒い靄の様なものを曳いて現れ、機体正面が開きアイリスを飲み込むように乗せます

アルジャーノンエフェクトを51秒間発動し6倍化された【戦闘知識】を用いて、敵機の動力部や原子力エンジンに必須の排熱機構等の脆弱部を探り出し友軍機に諸元転送します
敵機の放射線に対しては【環境耐性】で対処、【盾受け】で友軍機を庇います



●亡霊妃は水面に舞う
 KRAAAAASH……。
 砕かれた四肢を瓦礫によって"縫合"し、いびつな手足とするクラマトルスク。
 それは明らかに帝国側が内蔵したシステムではなく、さりとてオブリビオンマシンとしても極めて異常な能力であった。
 すなわち、これは次の形態に「変身」しつつあるということ――おそらくこの擬似的な再生能力は、そうした特異能力の副作用とでも言うべきものだろう。
「……敵機、確認」
 強風吹き付けるビルの屋上、人形めいた無機質な面持ちと、声。
 アイリス・レーヴァテインはその赤い瞳をわずかに細め、呟いた。
「私立新世界学園図書委員会所属。コードネーム“ディザスター”。
 対象を厄災と認定。アイリスは、ジゼルの戦場支援を開始します」
『……了解。期待しているわ、アイリス』
 応える声があった。より敵機に近い港湾部に立つ、緑色の髪の少女。
 薄氷・ジゼルは通信機を懐にしまうと、クラマトルスクを睨む。
「わざわざ水場に来てくれるだなんて助かるわ。それとも私への挑戦かしら?
 ――それならば、徹底的にわからせてあげましょう。"ルサールカ"の力を」
 風が強まる。クラマトルスクが踏みしめた水が砕け飛沫をあげた。
「応えよ我が偶像、水面を揺らす亡霊の妃よ」
 そしてジゼルと同じように、アイリスもまた召喚の聖句を喚ばう。
「見るがいい閉ざす者。来たれや我が秘匣、汝の求めをいま叶えん」
 アイリスとジゼルはまぶたを閉じ……そして、同時に見開いた。
「其は狡猾なる厄災の匣――"Lægjarn"!!」
「来なさい――"ルサールカ"!!」
 するとふたりの背後に黒い渦が生まれ、そして花開くように咲き誇った。
 空間を飛び越えて現れたるは、まったく対照的な二体のキャバリア。
 ジゼルの背後に現れた"それ"は、まるで舞台上をバレリーナめいた純白。
 一方でアイリスの頭上に生まれたものは、羊水めいて黒い靄を曳いていた。
 白と、黒。それらは同じサイキックキャバリアでありながら、まったく異なる。
 OP-114-D"ルサールカ"――水中戦に特化した謎めいた白き亡霊妃。
 U-XXX"Lægjarn"――時空を超え現れたる、厄災を秘めた破滅の先触れ。
 両機はそれぞれに搭乗者を迎え入れると、生物めいて敵機を見据えた。
 猟兵に一切頓着しなかったクラマトルスクが、はじめて頭を巡らす。
 意思なきはずの鋼たちの視線が交わる――それが、決戦の合図となった。

 脅威の出現に対し、クラマトルスクは極めて単純かつ最効率の戦術を取った。
 すなわち、炉心の暴走による致命的放射光の発露。電子機器と細胞の破壊だ。
 ユーベルコードの域にまで昇華されたそれは、鉛の板であろうと貫通する。
 アイリスは無表情のまま思考により推進を命じる。つまり、前に出たのだ。
 いかにLagjarnが謎多きサイキックキャバリアといえど、相手はユーベルコード。
 光に触れた瞬間、外部装甲のあちこちから火花が散り、アラートを鳴らす!
「アルジャーノンエフェクト、起動」
 アイリスの表情に変化はない。笑みも、苦痛も、浮かべはしない。
 ただ最短最速の直線で間合いを詰め、そしてクラマトルスクに組み付いた!
 パワー差は圧倒的……否、見よ! 青い光が退行していく……!?
「ジゼル。敵機は動力部に複数の脆弱部を有しているようです。
 敵機構造、および再生能力解析――データを転送します。ご参考に」
 アイリスの片目から血の涙が一筋垂れた。だが機体の拘束は離さない。
 そして気がつけば、いつのまにかルサールカは姿を消している。一体どこへ?
『データを受け取ったわ。あとは私に任せて』
 通信が入る。そして水面に揺らめく――白い亡霊妃のシルエット!
『さあ踊りましょう。この静かなる舞台(ステージ)で』
 ばしゃあ! と水面が膨れ砕け、ルサールカの腕部が現れた。
 まるで旅人を海中に引きずり込む魔物めいて、純白のキャバリアは圧倒的パワーを発揮、拘束されたクラマトルスクを水中に叩き込む!
 同時にLaejarnは飛行離脱。アイリスはようやく血の涙を拭った。
「水場なら利があると思ったのでしょうね。ですがそこは、ジゼルの舞台です」
 あぶく舞い散る水中――二体のキャバリアは喰らい合うように戦っていた。
 クラマトルスクは鈍重になるどころか、むしろ水中で速度を増している。
 だがそれ以上にルサールカのほうが速い。ナックル攻撃を遊泳回避!
 ルサールカのフォルムは地上にあるそれと打って変わり、流線的かつ水中戦に特化した合理的なシルエットに変じていた。
 回避行動は海中に見えない潮流を生む。さながら竜巻だ。
 それはクラマトルスクを取り囲むコロシアムの金網めいて、身じろぎを封じていた!
「狙うべき場所はわかっているわ。そしてあなたは、私よりも遅い」
 言葉は驕慢などではない、純然たる事実。そして圧倒的自信のあらわれだ。
 ジゼルは勝利に固執する。敗北を忌み嫌い、何よりも強くあろうとする。
 水中(ここ)は彼女の独壇場だ。爆発的加速で亡霊妃が間合いを詰めた!
「少し濡れた程度で調子に乗られるのは――少々、癪に障るのよ」
 突撃槍じみたトーキックが、クラマトルスクの動力部に命中、装甲を貫通した!
 人魚に弄ばれる哀れな旅人のように、敵機は蹂躙されるばかりである……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

風祭・ヒュウガ
○アドリブ歓迎

ゴツいな。
……だが、それだけだ。

パワーで来るならパワーで受ける。……生憎と、そういうのが得意でな
うろちょろ飛び回られるよか遥かにやりやすいぜ。…………来な!!


敵のブーストナックルに正面から立ち向かう
乗機・フーガの全身に点在する水晶体――フォトン・エクストラクターから発されたフォトンを全身に纏い、全力で受け止める

フォトンとは発光する力場、防御に徹すれば無傷とはいかねぇまでもゲンコツ一発くれぇなら受け止められる
そうら、お返しだ――! とばかりに、フーガの馬力でナックルを投げ返してやる!

必要があるなら殺すことをためらいはしない――が、今は命までは取らねぇよ。
必要じゃぁ、ないからな。


蘇芳・光太
レイズセイヴァー、アクティブ!蘇芳・光太、出るよ!

分厚い装甲にガンガン火力かぁ、俺もそういうの好きだけどね
さてどうしようかな……一人ってわけじゃないし、こっちも攻めるか!
硬いんなら、火力も大事だろうし!

ブースター全開に吹かせて正面から取っ組み合う
あちこち動かれる方が厄介そうだし、足止めも兼ねてね
頑張れレイズ、踏ん張れよ!

こっちの出力が勝つならそのまま、向こうが強いっていうなら利用してやる
腕を取り、引いて投げるように体勢を崩す
レイズは柔軟なんだぜ?
押し込むだけがキャバリアじゃないよ、人型なんだしな!

体勢が崩れたら腕部ブースター点火
【ブラスターナックル】で攻撃だ!
こっちの鉄拳も痛ぇぞ!覚悟しな!



●砕く双拳
 ――SPLAAAAAASH!!
 海面が膨れ上がり裂けるとともに、巨大なキャバリアが"飛び出した"。
 自ら浮上したというよりも、それは明らかに「吹き飛ばされた」挙動である。
 事実、その機体――クラマトルスクは巨体をくの字に折り曲げて、放物線を描きながら港湾部に着地……いや、落下。周辺の倉庫やコンテナを巻き込みながら衝撃でバウンドし、地面にクレーターじみた陥没を起こす。
「おっと、もしかしてジゼル姉ちゃんがやったのかな? すごいなあ!」
 出撃準備を整えていた蘇芳・光太は、モニター越しの光景を見て笑った。
 あれほど圧倒的な水中戦を繰り広げられるのは、彼の知る限りジゼルだけだ。
 それは事実であり、同時に光太の分析力の高さを示してもいた。
「俺も続かなきゃ。レイズセイヴァー、アクティブ! 蘇芳・光太、出るよ!」
 カタパルトに誘導灯が点灯、そしてかがみ込むキャバリアの双眼も輝いた。
 スーパーロボット、希光機レイズセイヴァーが――加速し、戦場へ飛び出す!

 クラマトルスクは、こちらに高速で近づく光の軌跡を視認した。
 だが奴は注意を怠っていた……なぜなら、参着したのは光太だけではない。
「どうした? 横ンなって余所見とは、悠長じゃねえかッ!!」
 ごうっ!! と大気を吹き飛ばしながら現れたのは、KMZ-1001"フーガ"。
 乗り手の名は風祭・ヒュウガ。彼もまた私立新世界学園の一員であり、そして!
「うろちょろ飛び回られる前に、叩きのめしてやるよッ!!」
 真っ向正面からの戦いを好む、パワフルなキャバリア乗りなのだ!
 クラマトルスクが防御姿勢を取るより先に、フーガの打ち下ろしが炸裂。
 重量と衝撃に耐えきれず、割れかけたアスファルトがバゴンッ!!と砕けた。
 クラマトルスクは青い光を放ちながら、そのパワーでフーガを押し返す!
「そうだよ、戦いってのは正面からガチンコでやってこそだよなぁ!!」
 両機体は同時に拳を繰り出す。クラマトルスクのそれはいびつな瓦礫構造体だ。
 KRAAAAASH……!! 激突による反発力が、二機を真後ろへと吹き飛ばした。
 地面を削りながら後退するフーガの機体が、フォトンの軌跡を描く。
 一方のクラマトルスクは、この相殺によりかりそめの腕部を失っていた。
 割れ砕けた残骸の代わりに、先の落下により舞い散った瓦礫を腕部に収拾する。
 明らかに異様な再生能力。これが予知されていた変身能力の発露か?
「壊したってノーダメージってか? そんなわきゃねぇだろ」
 ヒュウガは注意深く間合いを保ちながら、敵の機体構造を睨む。
 そこへレイズセイヴァーが到達。身構えるフーガの横にスライド着地した。

「大丈夫!? いますっごい音したよ!」
『このくらいでフーガが揺らぐかよ。まあパワーは認めてやるけどな』
 短距離通信で聞こえてきた問題児の声に、光太はあははっ、と笑った。
「いいね、正面対決。俺もレイズも、そっちのほうが好きだしやりやすいや」
『ならタッグマッチと行くか。……来るぜ!!』
 ヒュウガの警告と、レイズセイヴァーの回避はほぼ同時だった。
 フーガはレイズセイヴァーと逆方向に飛び退き、敵のチャージ攻撃を回避。
 意趣返しじみたハンマーパンチが、無惨にも港の地面を崩壊させた。
「意外と速いな……こっちで動きを止めるよ! 行け、レイズッ!!」
 光太は回避軌道で敵側面を取ると同時に、ブースター全開で一気に接近。
 敵は瓦礫で構成した椀部をラリアットめいて横薙ぎに振るう。……激突!!
「ったぁ……! けど、捕まえたッ!!」
 レイズセイヴァーはラリアット攻撃を両腕でガード、衝撃に耐えきった。
 そしてベアバッグめいて組み付き、それ以上の追撃と離脱を阻害する!
『いいねえ、なら全力で叩き込ませてもらうぜ!』
 フーガの全身に点在する水晶体――フォトン・エクストラクターが一斉に励起し、力に満ち溢れた輝きを放った。
 出力の向上は暴走の危険を伴う。フーガはオブリビオンマシンなのだ。
 だが、今は躊躇している場合ではなく、ヒュウガは恐れを抱く男でもなかった。
 限界ギリギリまでエクストラクターの出力を高め、フォトンフィールドを纏う!
 光は物理的に作用する力場となり、崩落しかけた地面をメキメキと凹ませる。
「おォらッ!!」
 SMAAASH!! フォトンを纏った拳がクラマトルスクの頭部を命中、装甲破砕!
 拘束を解除されたクラマトルスクは地面をごろごろと転がり吹き飛んだ。
「これで終わりか? なあんてな」
『来るよ!』
 今度は光太が警告を飛ばし、そしてフーガの動きはほぼ同時だった。
 転がりながら体勢を整えたクラマトルスクが手に持っていたものは――船だ!
 港湾部に停泊していたタンカーを武器の代わりにし、振り回したのである!
「武器があれば俺とレイズに勝てるって? 甘いぜ!」
 光太は鞭めいて振るわれるタンカーをキャッチ、そして引いた!
 合気の動きである。パワフル一辺倒に見えて機体の柔軟性たるや!
 タンカーはくの字に折れながらクラマトルスクの手を離れる。体勢を崩す敵機!
「今度は俺の番だ――ブラスタァァ!! ナッコォッ!!」
 腕部ブースターを点火させ、レイズセイヴァーが片腕を発射した!
 それと同時に、フォトンの炸裂により加速したフーガがボディブローを叩き込む!
 すでにパイロットは救助されている。もはや容赦なし!
「散々暴れたんだ、報いを受けやがれ!!」
 鋼をも砕くふたつの鉄拳が、暴走オブリビオンマシンを圧潰せしめた!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『戦車部隊を壊滅させよ!』

POW   :    性能差で物量に対抗する

SPD   :    技量で物量に対抗する

WIZ   :    作戦で物量に対抗する

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●アムニ・エンパイア、工業地帯
「報告します! 戦車大隊配備完了、および迎撃砲塔システムもスタンバイOKです!」
「ご苦労!」
 報告を受けた防衛部隊の指揮官は、モニターに映る惨状を睨みつけた。
 突然の暴走を起こした実験機、そして傭兵と思しき謎めいたキャバリア勢力――これは無論猟兵のことである――の介入と、港湾部を舞台とした大規模戦闘。
 立て続けの攻撃により、もはやクラマトルスクにその面影はまったくなかった。
 だが事態は収束していない。異形のキャバリアらしきシルエットが立ち上がる。
「技術部より分析結果が出ました!」
「報告しろ」
「観測されていた放射線は突如喪失、おそらく動力部が未知の反応により構造を変化させ、より強力な不明のエンジンに「自己改造」したものと」
「…………」
 指揮官は腕を組みながら押し黙り――かと思えば、大きく顔を上げた。
「素晴らしい!!!」
 仮設指揮本部が静寂に包まれる。
「自ら進化し、さらに強固な装甲とより強大な火力を得ようとするとは!
 これこそまさに、我らアムニ・エンパイアの新たな主力商品となるべき逸材!
 なんとしてもあれを鹵獲し、そして分析研究して改善せねばならない!」
「同感です!」
「指揮官殿のイノベーティブな判断に感動いたしました!」
「スゴイ! サスガのアムニ! ワレラのアムニ!」
「その通り!!」
 感涙する者すら居た。そして指揮官はオペレーターたちを振り返る。
「あの正体不明のキャバリアどもに、我らの新規プロダクトを奪われてはならん。
 全戦力を迎撃に回せ! これは株価V字回復に向けた圧倒的企業努力である!」
「「「ヤッター!!」」」
 ……何もかもが狂っていた。しかしこれが、アムニなのだ。
 戦車部隊はオブリビオンマシンではなく、猟兵たちに狙いを定めようと――その時!
「し、司令官殿! 報告であります!」
「どうした」
「戦車大隊に異常発生! 全機動兵器、および砲塔のシステムが制御不能とのこと!」
「なんだと!?」
 無数の戦車、爆撃飛空船、そしてビル群から飛び出た砲塔。
 それらは帝国の手を離れ……変身しながら逃走するオブリビオンマシンの支配下に入ってしまったのだ。
 幾何学的に整列した戦車の中から、兵士たちが脱出し安全地帯へと逃げていく。
 そして出来上がるのは、火力と重装甲に偏重したはた迷惑な無人防衛兵器群……!
「これも新規プロダクトの特異性なのか? 分析急げ、システム奪還を最優先しろ!
 実際まずい危機……だがそれを克服してこそ圧倒的イノベーションがあるのだ!」
「「「ハイ! ガンバリマス!!」」」
「アムニ!」
「「「ダカラ!!」」」
「アムニ!」
「「「イチバン!!」」」
 指揮本部の熱狂はむしろ高まっていく。どこまでもブッ飛んでいた。

 ……そして。
 半壊状態で逃走するオブリビオンマシンを追う猟兵たち――だがそれを阻むのが、この無人兵器群である。
 兵士はすでに脱出済ゆえに、破壊と周辺被害を考慮する必要はないだろう。
 降りかかる火の粉は払わねばならない。それが、戦場の鉄則である。
 無人兵器群を吹き飛ばし、変身を続けるオブリビオンマシンを追え!

●注意
 三章にて変身を遂げたオブリビオンマシンとのリベンジマッチとなるため、ここで逃走を防ぐことは出来ません。ご了承ください。
 敵の戦力は戦車大隊および低速飛行する爆撃飛行船(これ自体が火薬を満載した浮遊機雷でもあります)および各部に設置された砲台です。
 状況によっては、オブリビオンマシンに制御を奪われた無人量産型キャバリアも飛び出してくるでしょう。とにかく雑魚のオンパレードです!
 つまりは無双するターンですので、好きにふっ飛ばしてください。

 また、本章よりプレイング受付期間を設けます。
 この章の受付期間は、【2020/10/28 08:30前後まで】です。
嗣條・マリア
>引き続き、七七三(f30098)さんと

修復しきる前に追撃したいところですが、そう易々とやらせてはくれないようですね
七七三さん、推し通りますよ


敵の攻撃、回避機動、連携……全てを伝える“声”からの情報を受けながら、
一番近い敵性存在へ最短距離で近接
強引、だけど緻密な計算で追撃ルート上に存在する障害をすべて排除しながら突破



七七三さんは――大丈夫
いつもの単独突破よりも、動きやすい。ついて来れているということ
だからこそ、私は前に出る。前に出て敵の注目を集めて、殲滅する

信頼しているから――ではない
委員長ですから。まず前に出ないと、後ろが付いてきません

……信頼していないわけではありませんケド


南・七七三
マリア(f30051)と行動
援護は任せて、って伝えたけど、うひゃあ……

間近で見ると滅茶苦茶だ、“暴君”
援護なんてなくたって平気
本当は、道を開けて隠れる方が正しい

でも、それじゃダメだ
仲間で……隣にいたい友達なんだから

アタシだって図書委員だ。僚機の情報を受け取って随時解析
食い下がれ、死ぬ気で考えろ
敵よりも、未来予知じみたタイラントの動き
今戦ってる敵じゃなく、次に狙いたい敵のことを

牽制射撃で自分に引き付けて無人機を誘導
煙幕で接敵予測地点までの射線を切って
ワイヤー張って足場を……うぇ、さっきので牽引イカれた!?
あーもぉ、使い潰してパージ!

残弾なんて考えない
マリアが好きに暴れやすい戦況を、一秒でも長く!



●戦場における"正しさ"
 ――合理的に考えるならば。
 自分は隠れていて、すべてを嗣條・マリアと"暴君"に任せるべきなのだろう。
 南・七七三は、そう思った。それが間違いないはず、という強い確信とともに。
(でも、それじゃダメだ)
 モニターにレティクルが浮かび上がり、キュラキュラ走行する戦車を捉えた。
 トリガーを引く。やることは、イヤというほど繰り返した訓練と同じ。
 あのクラマトルスクに比べれば、戦車を破壊するぐらいわけなかった。

 同時に七七三は、ちらりと視界の隅を……つまり、戦場のど真ん中を見やる。
 爆炎の中を突き進む……いや、"闊歩"するタイラントの背中があった。
 タイラントは、強い。
 無数の戦車の砲弾と、そこかしこに隠れた砲塔からの奇襲攻撃。
 さらに低速浮遊する飛行船の機銃すら、見えているかのように避けてしまう。
 まったく滅茶苦茶だ。あちらの攻撃は通らず、暴君の攻撃だけが通る。
 一見無秩序で強引な突破に見えるが、それは緻密な計算の上に成り立っていた。
 そのぐらいは七七三にもわかる。彼女とていっぱしのキャバリア乗りなのだ。
 たとえるならば、将棋やチェスといった盤上遊戯の達人を見ているかのよう。
 リアルタイムで見ていると、なぜ「そうした」のかはさっぱりわからない。
 けれどもそれを譜として並べてみると、意図と理由が浮かび上がる。
 マリアの……"暴君"の戦い方は、そういうレベルの緻密さに成り立っていた。
「――援護は任せてね、マリア! 少しでも進みやすくするから!」
 七七三はできるだけいつも通りの声で、タイラントに通信を飛ばした。
 こんなもの気休め、誤魔化しだ。弱気になっているのを紛らわす無駄な行為だ。
 もしかしたらマリアの集中を妨げているだけかもしれない……なんて考えが湧き上がってきて、七七三は己の思考を振り払った。それこそ、戦場に不必要なノイズそのものだ。
『お願いします、七七三さん。敵の注目はこちらが集めます』
 帰ってきた"委員長"の声は、いつも通り頼りになる凛としたものだった。
(ああ、そうだ。アタシだって食い下がってやる。死ぬ気で考えて、それで)
 煙幕を射出し、射線を切りながらワイヤーを……牽引機が故障している。舌打ち。
 強引に機体を引き上げながらパージし、離れたそれを蹴り飛ばして囮にした。
 がしゃん、という着地衝撃を滑りながら緩和し、牽制射撃をばらまく。
 残弾など気にしない。ただマリアと"暴君"の思考をトレース――いや。
 その先を行こうと歯を食いしばる。たとえ、これが非合理的だとしても。

『2時方向、敵機3』
『左舷距離1400、砲塔あり。着弾は7秒後』
『対地機銃に気を取られないで。飛行船が突っ込んでくる』
 タイラントを通じ、平行世界の自分たちの声が征くべき道を指し示す。
 時にそれらは、ふたつ、みっつのルートを同時に提示することもある。
 この力はたしかに強力だが、与えられるのは所詮情報の奔流でしかないのだ。
 何を選び、何を捨てるか。どう動き、次に繋げるか――そして、活かせるか。
 それらはすべて、マリアの技量と判断力に依る。けして無敵の能力ではない。
 加えて"声"がもたらす未来予知は、極めて短時間かつすぐ先のことだ。
 反射神経や動体視力もおろそかには出来ない。知っていても反応が遅れれば、たちまちタイラントは砲火に呑まれ、そしてどこかの世界の自分と同じように死ぬ。
 ゆえに、考えねばならない。
 ゆえに、動かねばならない。
 ある意味でこの"声"は、ただ己の判断のみで動くよりも煩わしさがある。
 こうして戦場を独立闊歩出来ているのは、まずマリアの技量ありきなのだ。

(――いいえ)
 マリアは思った。
 たしかに、タイラントは強い。
 それを乗りこなす自分も、一流だという自負がある。
 傲慢? いいや、これは誇りだ。あるいは、そうでなければならないという呪い。
 そうでなければ死ぬ。
 そうでなければ、取り残されてしまう。
 だから強くなければいけない。己のためにも、仲間のためにも。
(だからこれは、けして私だけの力ではない)
 "声"の力でもあり、"暴君"のそれでもあり、そして。
「七七三さん、進軍速度を上げます。ついてこれますね?」
『うぇっ!?』
 戦場とは思えない素っ頓狂な驚き声。思わず吹き出しそうになる。
『……い、いける、もちろんいけるっ! 心配ないっしょ!』
「では、そのように。――期待しています」
 マリアは"委員長"らしく言って、宣言どおりに進軍スピードを早めた。
 けして"声"のみに頼らず、自身の目と耳で見聞きし、そして頭で判断する。
 ときには"声"が告げるよりも早く、敵を見つけ叩き潰しもする。
 そうでなくばこの力は扱えない。このキャバリアは、乗り込なせない。
 美しく泳ぐように見える白鳥も、水面の下では必死に足掻いているようなもの。
 七七三の緊張、そして死物狂いの戦いぶりは、見ていなくともわかる。
 残念ながら、彼女と自分は違う。主にキャバリア乗りとしての技量の話だ。
 どれだけ彼女が努力したとしても、マリアのほうが圧倒的に上である。
 秘めた才能が違う。
 掛けてきた年月が違う。
 努力の量も質も違う。
 覚悟も――いや、それはどうだろうか。
(負けるつもりはないけれど)
 と思うあたり、自分は本当に負けず嫌いなものだと思う。変えるつもりはないが。
 彼女は、よくやっている。この動きやすさがそれを証明している。
 マリアと七七三は違う。誰がどう見ても、マリアのほうが秀でている。
 積み上げた何もかもも違う――少なくとも、今は。
 これから先はどうだろう。もしかすると、あるいは。
 などと考えるたびに、自分の内なる声が「いいや、まさか」と否定する。
 パラドクス・ドライブがもたらすものではない、自分自身の内なる声だ。
 ついてこれている。今は、それでいい。
 委員長として、戦士として、己が前に出る理由は其処にある。
 だから、そうやって食らいついてくれる七七三の存在は、その意気は。

 戦車を踏み潰し、砲弾をバックナックルで弾いて砲塔を叩き潰す。
 同時に死角から爆発音。七七三がやってくれたか。そうでなければ。

(……信頼していないわけでは、ないですからね)
 言葉にするのはやめておいた。きっと彼女の集中を削いでしまうから。
 爆炎をかき分け進む暴君の口元には、薄い笑みが浮かんでいた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

神羅・アマミ
森羅万象の理を逸脱した異形の存在…オブリビオンをこの上なく体現したアレを一国家のオモチャにさせるなど言語道断!
追跡し速やかに殲滅すべし!!

交戦は最小限に控え一直線に進みたいところ。
無人機がウジャウジャ湧いてきたようじゃが、火薬満載の飛行船ならばカモにネギ!
妾のUC『箱馬』による華麗な空中戦でもって尽く叩き落としてくれるわ~!
中空を蹴りつけるように【ダッシュ】し、縦横無尽に飛び回る三次元戦闘に対し、通常兵器如きが果たして想定のプログラムなど組んでおろうか!
キャバリア搭載のビームでもミサイルでも飛行船の動力部を可能な限り狙い撃ち、地上へと落としてやれば戦車も巻き添えにできる一石二鳥というわけよ!



●戦乱の空に舞え
 神羅・アマミの感じた通り、あのオブリビオンマシンは尋常のモノでなかった。
 あそこまでの再生能力、そして変身機能を"あれ"は持っていないはず。
 ましてやこれほどの人数の猟兵たちの一斉攻撃を浴びてなお、カタチを保ったまま逃走するなど、これまでアマミが交戦してきた"あれ"――あるいは他のオブリビオンマシンと類しても、前例のない話だ。
 しかもいましがた盗聴した通信では、帝国側はむしろ喜々としているほど。
 鹵獲する? あれを? 出来るわけがない、だが!
「一国家のオモチャにさせるなど、言語道断! 見過ごせぬ蛮行よ!
 さあ、さあさあさあ! ことごとく道を開けぃ、さもなくば殲滅するのみじゃ!」
 アマミは朗々と謳いながら、無人の戦車を足場に高く跳躍した。
 スーパーロボットの背部ブースターがシュゴウ、と火を吹き、巨体を推進する。
 目指す先は飛行船だ。普通ならば、あれには近づくべきではない。
 なにせ飛行船には爆薬が満載されており、さらに機銃などの対空装備もある。
 速度は遅い――だがそれが厄介なのだ。空中に逃げることが出来ない。
 アマミは逆に、それを利用した。飛行船よりも上に跳び、そして踏みつける!
「憤ッ!」
 ぐしゃんっ、と足蹴にされた飛行船はくの字に折れ曲がり、煙をあげて落下。
 アマミはそれを振り返ることもなく、空中を滑るようにさらに加速する。
「破ッ!」
 さらに一隻をストンプ。今度は横ベクトルではなく、さらに上方に加速した。
 前に進むと早合点していた砲台の予測射撃が、あえなく空中で相殺爆散。
 号砲めいて湧いた黒煙を切り裂き、スピンするスーパーロボットが着地する。
 同時に背後で、最初に踏みつけられた飛行船が地面に激突し、派手に爆発した。
 落下地点の戦車や砲台を巻き込んだ、一石二鳥の攻撃である!
「所詮はオブリビオンマシンに乗っ取られただけの機動兵器よのう!
 この妾の見事な跳躍! そして作戦! 無人機ごときに見切れようかッ!」
 アマミはアイビームと腕部ミサイルをばらまきながら、再び宙に舞う。
 その三次元的な移動は飛行とは言い難く、空の脅威の目を惹くこともない。
 そして有人機として設計された機動兵器では、アマミの動きを捉えきれない。
 さながら伝説に名高き八艘飛びめいて、アマミの機体は戦乱の空を舞う!

大成功 🔵​🔵​🔵​

オニキス・リーゼンガング
心情)邪魔ですね。無益な殺生(*)は好みませんが、致し方ありません。
これもわたくしが消えぬため。申し訳ありませんが死んでいただきます。
(*ウォーマシン種も"いのち"扱いなため、無人兵器も同列に並べる思想)
行動)零落したとはいえ、かつては邪神どもを討伐していた身。
地を埋める軍勢など見飽きていますよ。
天を冷やし雪を降らせて、敵勢の視界を奪います。
地を冷やし凍らせることで地形を破壊。悪路とします。
実体化させた《態・衣・枝》をオーラで堅固と守り、武装と変えまして。
これ(*自分)をもうひとり増やし、整いました。
では参ります。はがねも凍ると教示いたしましょう。



●火を押し退ける鋼鉄(はがね)とて
 オニキス・リーゼンガングにとって、"いのち"の適用範囲は非常に広い。
 有機、無機、肉を持つか否か、そんなものは神にとって些細な話だ。
 たましいの有無も重要ではない。その基準は神にしかわからぬであろう。
 ゆえにオニキスは、立ちはだかる駆り手なき兵器をすら"いのち"と見ていた。
「……邪魔ですね」
 言いつつ盲た双眸が浮かべた渋面は、"殺生"の無益さに対する嫌悪ゆえ。
 ヒトを殺めることも、たましい無き兵器を壊すことも、オニキスには同義だ。
 どちらも造られたものであり――そして、己に比肩し得ぬモノなのだから。
「これもわたくしが消えぬため。申し訳ありませんが、"死んで"いただきます」
 許しを請うためではなく、純粋な宣言として殺意を呟いた。
 すると見よ。鈍色に染まりし空は、なお暗澹と――いや、寒々しく凍りつく。
 そして降るは、雪である。それも吹雪と見紛うほどの、大量の雪だ。
 たしかに気候は冬になりつつある……だが、これほどの雪は明らかに異様。
 しかもそれだけではない。凍りついているのは、天と対面する地も同様なのだ。
 ぱきぱきと張った霜が、鋼の地面をひび割れさせそして砕いた!
「このような状況で昔日の郷愁に浸るなど、らしくもないことですが――」
 オニキスの見えぬ瞳に浮かぶのは、かつて己が強壮なりし頃の記憶。
 地を埋め尽くすほどの邪神どもを、奴らを崇める人々の姿。
 向けられた鉾と悪意。そして、そのすべてを凍らせ吹き飛ばす有り余る力。
 もはや己にはないもの。
 消えていったもの。
 過ぎて去りしもの。
「『……見飽きているのですよ。このような軍勢(など)』」
 発された声はふたつ。すなわち、天と地の間に浮かぶ姿もふたつ。
 まったく寸分も違わぬもうひとりの自分。忠実なる分身にしてチカラある化身。
 杖――としかヒトの言葉では形容できない何か――を手に、それらは言った。
「『では参ります。鋼鉄(はがね)も凍ると教示いたしましょう』」
 冷気が強まる。いや、世界から熱が奪われているという方が正しいか。
 視界を覆われ悪路で阻まれた兵器群は、悪霊に凋落せし神の魔手から逃れられぬ。
 鋼は霜降り青ざめて罅割れ、そしてぱきぱきと氷のように砕けて散る。
 歯向かうものはない。絶対零度の静寂のなか、すべては静止し、そして壊れる。
 ただ在り続けるのはヒトならざるもの――すなわち、神だけなのだ。
 たとえ死したとしても。"神である"ことは、決して変わらぬのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

才堂・紅葉
「気に入らなかったのよね。火力だの装甲だの」
迦楼羅王を虚空に戻し、街の街灯の上に着地し片腕を上げ指を鳴らす

「蒸気王!!」

この世界の規格を逸脱する18m級(現在値)の武骨な巨人を喚ぶ
連携の問題でこの世界では余り出番は無いが、ここなら良いだろう

「でかい! 重い! 強い!」
ズシンと路面を軋ませ、戦車砲の直撃も分厚い装甲で弾こう

「それはうちの専売特許よ、掛かって来なさい!!」
蒸気を噴き上げて正面突破をはかりたい
パワーにはパワー、物量にもパワーだ
ガンガン行こう

それはそれとして、搦め手で突破を図る味方の為に敢えて目立つ【パフォーマンス】の意味もあります
一応…メイビー…

「蹴散らしなさい、蒸気王!!」



●蹴散らせ我らの蒸気王
「……気に入らなかったのよね。火力だの、装甲だの!」
 あちこちから爆音響く戦場を貫くように、迦楼羅の王が飛翔した。
 しかしてそれは虚空に消え、搭乗者の才堂・紅葉だけが街灯に着地する。
 無数の機械の瞳と砲口が、いたいけな女ひとりをぐりんと狙う。
 紅葉はなんら恐れることなく、不遜に胸を張りながら片手をあげる。
 そしてフィンガースナップ――同時に現れたるは、見上げるほどの大巨人!
 その巨躯たるやキャバリアの共通規格を超えた、全長8メートルの武骨なり。
「でかい!」
 ズシン!! と路面を軋ませて、アスファルトを巻き上げながら着地する。
「重い!!」
 ドウドウドウドウ! 戦車砲が放たれる――しかし!
「……強い!!!」
 蒸気王がぐんと手を差し伸べて紅葉を護り、そしてコクピットに招いた。
 おお、これこそまさしく蒸気の王。砲弾など豆鉄砲にも等しい。
 紅葉はコクピットに乗り込むと不敵に笑い、そしてモニター越しに敵を睨む。
「それは、うちの専売特許よ。さあ、かかってきなさい!!」
 ゴシュウ――! と駆動部から蒸気を噴き出し、蒸気王が身構えた。
 無数の機動兵器が、そびえ立つ巨躯を焼き尽くそうと迫りくる。
 ドウ、ドウドウ――KBAM!! 装甲で爆ぜる火炎、しかし巨体揺らがず!
「たとえ雑魚がどれだけ並ぼうと! この蒸気王に勝てるもんですか!」
 蒸気王ははかない反撃を続ける戦車を掴み上げ、飛行船へと投げつけた。
 KRAAAAASH……破砕した飛行船はバラバラになりながら落下し、地面に激突。
 破片に紛れていた火薬が誘爆し、落下地点の砲塔を巻き込んで燃え上がる。
 まるで王者の行進だ。異世界のチカラとはこれほどまでに圧倒的か!

「な、なんという頑強さ」
「そして素晴らしいまでの火力……!」
 戦いをモニタリングしていた技術陣は、蒸気王の威容を畏れた。
 そして、憧れ、妬んだ。あれほどのものを見せつけられて燃えぬはずなし。
「データを回収しろ! 一秒たりとも見逃すな!」
「あれを、いいや、あれ以上の火力を! 我らが生み出してみせるのだ!」
「アムニ!」
「「「ユエニ!」」」
「アムニ!」
「「「イチバン!!」」」
 臣民にして企業戦士たる者どもは間違った方向に意欲を燃やしていた。
 どうやら、この程度のトラブルで連中の頭は変わらないらしい……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レパル・リオン
見渡す限りの戦車!飛行船!砲台!
だったらあたしも、ブラッディチョップちゃんとの一体感でパワーアップよ!
マジカル(気合)パワーを、キャバリアの全身に行き渡らせる!ハァーっ!トリニティ・エンハンス!

パワーを手足に集め、飛んでくる砲弾を回し受け!砲弾を指でつまみ、走りながら戦車を踏みつけて破壊!手裏剣がわりの砲弾を飛行船爆弾に投擲!寄せつけないわ!

むむっ!相手にもキャバリアが!
だったら、まずは拾った戦車を投げるわ!
戦車を投げて、投げて、投げながら接近!スピードの乗ったチョップでキャバリア胴体をぶった斬る!

ボス戦にこいつらが乱入したら大変だわ!平和のために、全滅させるくらいのつもりで暴れまわるわよ!



●カット・ザ・クロムキャバリア
「すさまじい数ね……!」
 地を、空を、埋め尽くさんばかりの機動兵器群を前にして、レパル・リオンは驚愕した。これが小国家の持ち得る軍事力だというのか?
 そもそもこのクロムキャバリアにおいて、主戦力となるのはキャバリアである。
 戦車や飛行船といった機動兵器もないわけではないが、それらはどうしてもキャバリアの汎用性や突破性、そして取り回しのよさと多彩さに敵わない。
 ゆえにどの国家であれ、必ずキャバリアを主戦力として行使する。
 こだわりや信義の問題ではなく、それがもっとも合理的なのだから。
 これほどまでの機動兵器を有している時点で、この国は明らかに異常なのだ。
「だとしても……あたしも、ブラッディチョップちゃんも、退かないわ!
 アンタたちをくぐりぬけて、あのオブリビオンマシンを破壊してみせる!」
 レパルは勇ましく宣言すると、丹田に気を込めて呼吸した。
「スゥーッ、ハァーッ……スゥーッ、ハァーッ!」
 見よ。レパルの心身とブラッディチョップが一体化していく。
 経絡を巡ったマジカルパワー(気合、もしくはカラテとも)が操縦桿を通じてキャバリアに伝わり、そして駆動部を駆け巡って出力を向上させるのだ。
 これぞ、キャバリア・エンハンス・ジツ! ……ジツがつくかは微妙だ。
「イヤーッ!」
 そしてレパルは跳んだ! ブースターも使わずなんたる脅威的なジャンプ力!
 対空砲が飛来する。ブラッディチョップは砲弾を指でつまみ、投げ返した!
 KA-BOOOM!!  爆炎のなかからブラッディチョップが飛び出し、低速飛行する飛行船にスリケ……もとい手裏剣代わりの砲塔(砲台からもぎ取った)を投げつけ、破壊する。なんたるハヤイさか!

 だが敵はそれだけではない。乗っ取られた量産型キャバリアの編隊だ!
「来たわね、無人キャバリア! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ!」
 レパルは踏みつけられて破壊した戦車を投げつける。投げつける、投げつける!
 そして敵が怯んだ瞬間にスプリントし、チョップ突きで胴体貫通!
「イイイイイイヤァアアアアーッ!!」
 さらに回転! まるでネギトロめいてキャバリアを粉砕!
「平和のために叩き潰してあげるわ……オブリビオンマシン、壊すべし!」
 音速を超えたチョップ手を赤熱させながら、レパル機は決断的殺意を迸らせる!

大成功 🔵​🔵​🔵​

支倉・錫華
戦車部隊に爆薬満載の飛行船、ね。
あまり近づいたら危なそうな感じかな?

アミシア【CMPR-X3】と【スネイル・レーザー】をもらえるかな。
射程を5倍、装甲を半分にして超遠距離戦仕様に再チューンしていくことにしよう。

相手の数も多いっぽいし、飛行船を墜としたいから、ライフルの弾頭は焼夷弾でいこう。
人は逃げたみたいだから、遠慮なく飛行船に撃ち込んで爆発させていきたいな。

アミシア、照準補正よろしく。

戦車部隊はこちらに近づいてきたら、
スネイル・レーザーを斉射して【制圧射撃】していくね。

キャバリア相手だと、ちょっと物足りないかもだけど、戦車相手なら十分な威力のはず。
こっちも無人みたいだし、思いきりいこう。



●空を焼く災火
 ゴウン、ゴウン……と駆動音をあげ、低速飛行するいくつもの機影。
 このクロムキャバリアでは、空路はもはや檻のない牢獄も同然だ。
 はるか天空にしろしめす恐ろしき独裁者――"災禍炎剣"ある限り。
 しかし、"災禍炎剣"は標的にするのはあくまで「高速飛翔体」である。
 ゆえに、国内の運輸のため飛行船を使う国家は珍しくない。
 それをわざわざ捨て身の爆撃兵器にするのは、この国ぐらいなものだが。
「近づいたら危なそう……かな。アミシア、CMPR-3とスネイル・レーザーを」
 支倉・錫華の音声命令に従い、AIが最適な武装をセットアップする。
 超・遠距離戦仕様。近づかずに活路を開く、後方支援特化のスタイルだ。
「人が乗っているなら話は別だけど……」
 FdP CMPR-X3――キャバリア用多目的ライフル・ロングバレル形態を構え、錫華の機体が膝を突く。狙うのは空、すなわち飛行船である。
「アミシア、照準補正。よろしくね」
『了解』
 ターゲットを覗き込む。低速飛行ゆえに、照準を定めるのは簡単だった。
 そしてトリガーを引く――焼夷弾が斜めに空をつんざき、直後、爆発炎上。
 爆薬をたっぷり詰め込んだ飛行船が、射的ゲームめいて次々に落下していく。
 所詮は無人の機動兵器だ。地を進む戦車部隊も、恐れることはない。
「キャバリア相手ならともかく、これなら動く必要もないよ」
 錫華はもう片方の手でスネイル・レーザーを構え、シュート。
 歪曲したレーザーが雨のように降り注ぎ、戦車隊を次々に撃滅する。
 爆発。爆発。爆発……どこまでも騒がしい、だが錫華にその音は届かない。
 淡々と、確実に。立ち塞がる物があれば、これを最適な戦力と戦術で叩き潰す。
 それが傭兵の戦い方であり、錫華の生き方であり、生き様でもある。
 仮に相手が有人だったとしても、錫華のトリガーを引く指は軽いままだ。
 動力部を避け、駆動部だけを撃ち貫くことなど、彼女には造作もない。
 落下した飛行船が、地上の戦車部隊を巻き込んで爆発。よく燃え上がった。
 地平線に陽炎が揺らぐ。戦場ではありふれた、荒廃の風景。
 何度こんな風景を見てきただろうか。そしてこれから先、何度見るのだろう。
「……見える限りは全部叩く。アミシア、サポートよろしく」
 錫華は躊躇しない。物思いを浮かべることも、戸惑うこともない。
 戦火など飽きるほどにくぐり抜けてきた。これからも、同じようにするだけだ。
 トリガーを淡々と引き続ける。それは、屠殺場のようでもあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ティー・アラベリア
アハハッ!あれだけ攻撃を受けて、あの子はまだ動けるんですね。
それにまだ隠し玉を持っているようで、この国の狂気を体現したような機体ですね!
ますます好きになってしまいそうです☆

さて、お次は追撃戦でございますね!
無人機という事で、闘争の相手としては些か面白みに欠けますが、加減を気にせず攻撃できるのは素晴らしいです☆
UCで召喚した妖精を使用し目標を追尾しつつ、障害となる無人兵器を徹底的に破壊いたします。
飛行船は95式の誘導弾で撃墜し、戦車は92式の火力と90式の対装甲射撃で無力化致します。
砲台は戦闘機動機構の出力を上げて急接近し、97式の魔散弾と零式鋭剣型短魔杖を使用した白兵戦で排除いたします。



●カラフル・カラミティ
「アハッ! アハハハハッ、アッハハハハハ!!」
 まるでおどけるクラウンのような、不気味で恐ろしい笑い声。
 空を舞うティー・アラベリアは、ただただ笑い続けていた。
 無人機。どれだけ数を揃えても、それらはいささか面白みに欠ける機械だ。
 木偶人形を相手にしても、ティーの闘争意欲が満足することはない。
 ……ティーもまたミレナリィドールではあるのだが、それは別の話だ。
 ともすれば人間よりも、この人形は純然たる欲望に突き動かされているのだから。
「加減を気にせず攻撃できるのは、ええ、素晴らしいことですねぇ!」
 サーカス団の軽業師めいて三次元的に飛び跳ねながら、魔杖と妖精を使役。
 離れ続ける攻撃目標の追尾は忘れずに、障害となる兵器を大地ごと焼き払う。
 誘導弾が複雑な軌道を描いて飛行船を襲い、爆炎よりもなお激しい炎で焼く。
 90式、および92式攻撃魔杖の殲滅火力が、分厚い戦車の装甲を貫いた。
 アムニ・エンパイアの誇る"商品"は、まるで飴くずめいて融けていくのだ。
「なんだ、あの火力は!? 一体どこの国の兵器だ!?」
「で、データにありません! おそらくは新型の――」
「キャバリアですらないというのに、何が新型だッ!!」
 状況をナビゲートしていた技術士官が、口惜しげにコンソールを殴りつけた。
 生身の人間……あるいはそうとしか見えぬ何か……でありながら、これほどの数の機動兵器を前に、止まることなく蹂躙殲滅する圧倒的火力。
 なによりも、その躊躇のなさ! まるで遊ぶように災禍を振りまく奔放さ!
 なぜ、あれほどのものが、我が帝国の手中にないのか。
 なぜ、あれほどのものを、我々は作り出せないのか。
「くそっ、くそっ、くそっ!!」
 技術士官は悔しがった。どうにかしてあれを再現――いや、超越出来ないかと。
 ティーはけたたましく笑いながら、銃剣型魔杖でチャージを仕掛ける。
 ビルに偽装した砲塔がぐさりと串刺しにされて、そして派手に爆発した。
「さあ、けして逃しはしませんよ! まだまだボクと遊びましょう☆」
 悩み苦しむ技術士官など一瞥すらせずに、ティーは機影を追って消えていく。
「なんて……なんて容赦なく、無慈悲な火力……クソぉ……!!」
 技術士官は哭いていた。胸を焦がすほどの嫉妬と羨望であった。
 暴走事故など知ったことか。次こそは、"あれ"を超える火力を作り上げてみせる。
 狂気じみた執念に火を灯すほどに、ティーの姿は恐ろしく――そして、どうしようもないぐらいに美しかったのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクレツィア・アストリュード
大きく、重く、故に強い――それが、キミ達の『答え』というなら。
それに、否は言わない。
只、ボクはボクの『答え』を徹す。それだけ。

戦車と砲台は【ダッシュ】で懐に飛び込み、砲塔を【切断】。
飛行船は爆風に巻き込まれないよう、剣圧での【衝撃波】で破壊。
どれに対処している時も周囲の状況を随時把握、攻撃対象以外からの砲撃を警戒。【瞬間思考力】で最適な動きを見極めて動く。

包囲された場合は払暁巨刃を発動、周辺敵機の一掃を試みる。
この場合も、飛行船からは爆風を逃れられる程度の距離を維持。

――ボクに『答え』を託した、あの人(産みの親)達。
この国の人達を見ていると、何処か似ているような。そんな気が、しないでもない。



●フォー・ジ・アンサー
 猟兵たちの殲滅火力を前にした帝国臣民の反応は、ひとつきりだ。
「なんて火力だ」
「素晴らしい」
「あれをきっと、いや必ず我らも」
 羨望。
 嫉妬。
 ――そして、決意。
 我らも次こそは、という、まったくへこたれない児戯じみた欲望。
 今回の暴走事故など、もはや大半の士官の頭からは消えているのかもしれない。
 彼らの興味は、謎めいた簒奪者――つまり猟兵に移っていた。
 無論、それはルクレツィア・アストリュードも同じことだ。
 子供じみた……それゆえに危険で、だが純粋な、純粋すぎる探究心と好奇心。
 その眼差しをモニター越しに感じて、ルクレツィアは呟いた。
「――似ているような、気がする」
 脳裏によぎるのは、もはやこの世には亡き人々の面影。
 自らの導き出した『答え』を、その証明を託した人々の姿。
 "普通"とやらに照らし合わせて考えるならば、彼らは狂っていたのだろう。
 事実、彼らの求めた『答え』は、この場にいるルクレツィアに託された。
 だが、まだルクレツィアがいる。いのちがあり、武器があり、そして。
「ボクは、ボクの『答え』を徹す」
 重装甲の戦車を真っ二つに切断し、爆風を追い風に跳躍。
 飛行船よりも高く飛び上がり、剣圧の衝撃波で巨大な機体を破壊した。
 狙い定めた砲塔が火を吹く――だがルクレツィアは捉えきれない。
 跳躍軌道、そして落下ルート。そのどちらも、計算され尽くした動きである。
 墜ちながら、ルクレツィアは空中で身をひねり、斬撃を繰り出した。
 すると剣閃は非現実的な速度で膨れ上がり、遠間の砲塔をも叩き切る。
 まるで、夜闇を切り裂き輝く暁のように。爆炎はさながら朝日のようだ。
 どれだけ強固な装甲であろうと、叩き斬る。
 どれだけ強大な火力であろうと、屠り去る。
 やることは"それだけ"だ。そしてこの刃を、あの敵へ、必ず。
「ボクの『答え』は、変わらない。違うことも、ない」
 ただ斬るべき敵だけを見据えて、ルクレツィアは戦場を駆ける。
 あとに残るのは、ちろちろと鋼を焦がす爆炎の残り火だけだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アイリス・レーヴァテイン
「…………損傷、許容範囲内。外殻装甲自己チェック開始……問題ない、です。"Adeline"XP・Radar起動。Huginn、Muninn、情報処理補助開始。確度50%以上の情報をこちらへーー解析開始……アイリスは知っています。探す時はこう言う事を知っています。もー良ーかい。」

 現れた無人兵器軍に対して【索敵】を行い、可能な限りの敵機体をロックし、友軍機に情報を同期して殲滅の補助とします。

「あのオブリビオンマシン、自分を変えようとしています。凄いです。でも、駄目です。早く追いかけないと」


アイオライト・セプテンバー
……事態は悪化の一途を辿っていると思うのだけど、なんかテンションの高い号令が聞こえてくるのは気のせいかしら!?

オブリビオンマシンなら露知らず……高々、無人の戦車部隊ならば、このブルーテイルの敵でなし
常にフルアクセルの【推力移動】で敵に照準は取らせない
ユーベルコード【ファイアーバード・パーティ】で、搭載したホーミングミサイルを片っ端から発射して掃除してやるわ

どうせ件のオブリビオンマシンには通用しない火力だもの
だったら、ここで景気よく雑魚掃除にバラ撒いておいたほうが効率的ね
その分、機体も軽くなるのだし

近づいて来た戦車は挙動を【見切り】、プラズマブレード【BX-A〝スラッシュ〟】で切り捨ててあげる!


九嶺・ユノハ
まだ頭?が少々痛みますが、支障はありません。
多分頭です。頭の気がします。頭ということにしました。

aerŝipo. 飛空船はいいです。空を飛びます、とてもいいです。
とてもいいので、電子戦でシステムに攻撃を仕掛けて、制御権を頂きます。
でも、飛空船は足が遅いのが難点です。対空砲火で墜とされないよう、わたしが囮になって、味方のいない戦域の戦車を爆撃します。
飛空船の爆弾がなくなったら高速飛翔で、ホーリーグレイルを挑発して、地上を攻撃してもらいます。
危なかったら、飛空船の近くでわざと姿勢を崩して、一緒に爆散したように見せかけて離脱します。
わたしは命を大切にするAIです

飛空船、鹵獲したかったです、勿体ない。



●空を目指すもの、地を進むもの
 この世界――クロムキャバリアの空は、自由に見えるが牢獄も同じだ。
 軌道上に鎮座する暴虐の剣に睨まれ、ヒトは空を飛ぶことを恐れるようになった。
 長い歴史のなかで、空を飛ぶことはひとつの夢であるはずだった。
 人類は一度はそれを叶えた。だがもはや、青空は遠く果てしなく――。
『……ノハ? ユノハ! 聞こえてる!?』
 九嶺・ユノハは、そこで"我に返った"。
 正しく言えば、"九嶺・ユノハ"という個が人間的思考を演算するだけの処理能力を取り戻した、というべきかもしれない。
『ユノハ、聞こえていたら応答して!』
「……Jes.問題ありません、アイオライト」
 通信越し、アイオライト・セプテンバーが安堵の溜息をついたのが聞こえる。
 ユノハは状況を把握する。逃亡中の敵機、そして防衛網。
 マシンが見つめていたのは、低速で空を飛ぶ無人の飛行船であった。
 ヒトは空を恐れるようになった。空の上、遥か彼方に浮かぶ暴虐の剣を。
 だが、空を飛ぶことをすべてのヒトが諦めたわけではない。
 己もまた、空に心惹かれ、飛翔を願うように。
「まだ頭……が、少々痛みますが、支障はありません」
『頭?』
「多分、頭です。頭の気がします。頭ということにしました」
 ユノハの生態を、そのまま人間に当てはめることは難しい。
 ここでは些末な話だ。まだ動けるし、戦えるということが重要なのだ。
 アイオライトの乗騎、ブルーテイルが遠くに見えた。青い翼が。
 同時にユノハは、絶え間なく流れ込んでくるデータの奔流にも気付いている。
 友軍が分析した、敵機の詳細や具体的な配置などである。
『どうせあのオブリビオンマシンには通用しないわ、ここで火力を出し切る』
「……アイオライト」
『何? まだ何か――』
「"あれ"をわたしがハッキングします。支援してください」
 "あれ"を指し示すように、ブルーテイルのモニター上に光点が浮かんだ。
 それは、低速飛行する無人の飛行船群だった。

 ――同じ頃。
「…………損傷、許容範囲内。外殻装甲自己チェック開始……問題ない、です」
 ガガ……と少々ぎこちない動きで、アイリス・レーヴァテインの機体"Lægjarn"が立ち上がる。
 放射能をまともに浴びるというのは、さすがのこの機体でも少々骨が折れた。
 しかし、問題ない。"Lægjarn"は人知を超えたサイキックキャバリアである。
 禁忌の青い光に呑まれようと、立ち上がる。その全容はアイリスにも知れない。
「"Adeline"XP・Radar、起動」
 機体に爆砕ボルトで打ち付けられた外部装甲に、幾何学的な光の線が走った。
 "これ"は、Lægjarnという制御困難な機体を縛る枷であり、鎧だ。
「Huginn、Muninn、情報処理補助開始。確度50%以上の情報を此方へ――解析開始」
 大神が使役する大鴉と同じ名を持つ情報収集特化型疑似電子精霊が光となり、
 戦場を駆ける。集めるべきは情報、伝えるべき味方はごまんといる。
 尋常のキャバリアに搭載されたAIでは、到底処理しきれぬサイズの情報量。
 奔流(ストリーム)とでもいうべきそれを、最適な機体へと明け渡した。
 FD-028"ファルステロ"……すなわちユノハを"搭載"したキャバリアへ。
「アイリスは知っています。探す時はこう言う事を知っています」
 情報網同期、ターゲット、ロック、ロック、ロック――戦場全域を俯瞰。
 情報精霊の疑似視界とアイリスの肉眼とが重なり合い、地を見渡す。
 まるで神の如く。いかなるものも潜むことを許さず、逃すもしない。
 ……そう、逃しもしない。離れ続けるあのオブリビオンマシンも。
「"もー良ーかい"」
 天より地を見下ろすがごときその瞳は、ふたつの翼の飛ぶ先を報せた。

「――データ受信! ああ、よく見えるわ。これなら一網打尽ね!!」
 アイリスから送信されたデータを、ユノハと同時に受信したブルーテイル。
 アイオライトは快哉めいて叫び、ホーミングミサイルを解き放つ。
 その数350以上――狙いはすべて、空中ではなく地上の戦車および砲塔群。
 歪曲した軌道を描いた白煙が届くと同時、無数の爆炎が地を焦がした。
「無人の戦車部隊ぐらい、このブルーテイルの敵じゃないのよ!
 ユノハ、そっちのほうはどう!? そろそろ頃合いよね!」
『Jes――制御権の奪取を完了しました。空は自由です』
「さすがね! さあ、行くわよブルーテイル!」
 飛行船の機銃は、もはや青き翼を狙うことはなかった。
 むしろ内蔵された爆弾をばらまき、ブルーテイルとともに地上部隊を殲滅する。
 ユノハ=ファルステロは電子戦状態を継続しながら、アイオライトを追った。
 飛行船群がそれに続く。守るように、あるいは導くように。
「aerŝipo. 飛空船はいいです。空を飛びます、とてもいいです」
『え? ああ……まあ、そうね。飛ぶっていうには遅すぎるケド』
「けれど、飛びます。……本当は、鹵獲して持って帰りたいです」
『それは無茶でしょ。だって私たちには、もう翼がある。そうでしょ?』
「……はい。そうですね、アイオライト」
 役目を終えた飛行船は速度をあげ、"殲禍炎剣"の攻撃をわざと呼び込む。
 無人の飛行船ごと、直下を走っていた戦車部隊が光に呑まれ、消し飛んだ。
 まるで光のメス、あるいはまさしく大剣そのもの。忌まわしき暴虐の王。
『あのオブリビオンマシン、自分を変えようとしています。凄いです。でも、駄目です。早く追いかけないと』
「了解、わかってるわよ。とにかく無人機は蹴散らしていくッ!」
「Jes.支援を継続します」
 ブルーテイルとファルステロは、アイリスから送られてくるデータをリアルタイムに受信・参照しながら、ギリギリの低速飛行で戦場を駆け抜ける。
 立ちはだかるものをすべて焼き払い、吹き飛ばし、切り払いながら前へと。
 この世界の空はヒトの手を離れた。だがヒトは空を飛ぶことを諦めていない。
 見えない檻を壊すように、もがきながら、あがきながら、二つの翼は飛んでいく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

エミリア・ジェフティー
ははぁん、変形ではなく進化ときましたか
これは確かに興味深いですね
戦車部隊をぶっ飛ばして追いかけましょう

セオリー通りなら徹底的にトップアタックで攻めるべきなんでしょうけど
キャバリアがあの様子でしたから、多分あの戦車も全面ガチガチの装甲でしょうね
うわぁ面倒臭い…

オウルアイを稼働させリアルタイムに索敵と情報収集
敵の旋回性能や機動性、配置に砲塔の向き…得た情報を瞬間思考力で処理し、爆撃や十字砲火を避けるように立ち回ります
最大稼働したオウルアイにかかれば、この辺一帯の解析なんてあっという間、もはやこの場所は私の庭です
簡単には捉えられませんよ
敵の砲口内に徹甲榴弾を撃ち込んで、片っ端から叩き潰してやります



●重装甲を叩き伏せ
 エミリア・ジェフティーの予測通り、戦車隊の装甲はすさまじい強固さだった。
 戦車砲はおろか、戦艦級の主砲を受けても形を保っていそうなレベルだ。
「うわぁ、本当に面倒くさい……おまけに主砲も大火力ですか、っと!」
 セシャートがスラスターを噴射して回避した真横を、戦車砲が通り過ぎる。
 そして背後のビルに着弾……KRA-TOOM!! 爆音とともにビル倒壊!
 たかが戦車砲の一撃で、小規模とは言えビルが吹き飛ぶ。ありえない威力だ。
 そのために機動性や整備性など、様々なものを犠牲にしているのだろう。
 しかし無人化してしまったいま、そうしたコストすらも度外視されている。
 つまり……実に厄介な、手を焼かされる壁が出来上がりというわけだ。

 しかしセシャートのEPオウルアイが、エミリアの超感覚を予知レベルまで増幅。
 エミリアは離人症めいた「神の視点」に至り、戦場を俯瞰する。
 砲塔の位置も、戦車隊の配置も、飛行船の軌道も、何もかも予測通りだ。
 あとは"視"えたその未来をなぞるように、セシャートを動かせばよい!
「もはやこの場所は私の庭です――簡単には捉えられませんよ?」
 エミリアのひとりごちた言葉は、けして強がりでも驕慢でもなかった。
 死角から放たれた砲撃を見ないまま回避し、旋回しながら徹甲榴弾を射出。
 爆炎に紛れて戦車隊の目を晦ませ、真上からの射撃で小隊を粉砕する!
 そして爆散した戦車隊の残骸を踏みしめ、セシャートは空を睨んだ。
「それにしても、これだけの数の機動兵器を一瞬で掌握してしまうとは……。
 オブリビオンマシンは謎のユーベルコードで増える、と聞いたこともありますが」
 これは間違いなく、あの実験機が変身によって得た力だろう。
 だとすれば、このまま放置していると何が起きるかまったくわからない。
 それは恐ろしく……しかし、エミリアにとっては興味深くもあった。
「なんとしても逃すわけにはいきませんね。さあ、退いてもらいますよ!」
 十字砲火を避け、爆撃を囮に煙に隠れ、セシャートは風のように戦場を駆ける。
 思考は加速し続ける。燃え上がる爆炎を追い風に、時の彼方まで――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

千束・桜花
ええい、絡繰兵器がわらわらと!
個々の戦力はそれほどではないようですが、数がとにかく面倒ですねっ!
兎にも角にも前へ出なければ!

私の鋒にて前線を押し上げて見せましょう!
突撃、突撃、突撃です!
敵中に飛び込めば、それだけ多く一度に斬ることができる……ふふふ、我ながら考えましたねっ!
桜前線、此処にあり!

戦いとは衝撃力!
敵防衛線を粉砕し、兵を散らすのです!



●いざや切り裂け最前線
 栄光の學徒兵たるもの、いかなる戦場であれ勇猛果敢たるべし。
 前に出るは猪突猛進に非ず、己の背中を戦友に示し嚆矢とならん。
 これこそ大道突貫の心得。千束・桜花は異界の戦場に在りて、愚直に前に出た。
 無数の砲口が愛機を狙う――桜花の口元に浮かぶは、不敵なる笑み!
「絡繰兵器がどれほど数を揃えようと、私の鋒を止められましょうか!
 さあ、行きますよサクラメヰル! いざや突撃、突撃、突撃です!!」
 ぶん、と愛刀を振るえば、煤けた戦場の風に桜吹雪が舞う。
 絢爛豪華たる桃色桜に背中を押され、突き進むさまは颶風の如し。
 見よ、あれこそが學徒の星。万の軍勢にすら桜花は怯むまい!
「チェストーッ!!」
 分厚い装甲を備えた重戦車とて、風切るサクラブレェドには他愛もなし。
 バターのようにばっさり真っ二つ、血漿代わりにオイルを払う。
 そこへ砲塔から放たれた、無数の火砲が放物線を描いて降り来たった!
「なんの! この程度っ!!」
 桜花=サクラメヰルは進軍速度を落とさぬまま、ぐるりとその場で一回転。
 華麗に氷上を舞うスケーターめいて、回転速度を載せた横薙ぎ一閃で迎撃!
 DOOOM……爆炎が桜吹雪を燃え上がらせる。まるで絵の具をぶちまけたキャンヴァスのように、橙と桜色が混ざりあい燃え上がりそして消えた。
 炎は渦を巻いて散り去っていく……然り! 桜花の剣閃が起こした風によって!
「せぇいっ!!」
 裂帛の気合も高らかに、桜の剣は斬鉄をたやすくこなす。
 斜めにスライスされた砲塔は"ずるり"とこぼれ、落ちるなり爆発した。
 桜花は止まらない。両断した砲塔を足場にぐんと跳躍し、空の船へと肉薄する。
 遠隔起爆がなされるより先に、風すらも切り裂く剣が飛行船をばっさり両断。
 爆炎がほとばしる――しかして幻朧甲冑、無傷! 炎纏い戦場に着地!
「ふふふ、我ながら考えましたね! 死中ならぬ敵中に活とはまさにこのこと!」
 重戦車を切り裂き、突き刺し、踏み台めいて飛び渡り、桜花は突き進む。
「桜前線、此処にあり――さあ、私の首級が欲しくばかかってきなさい!」
 物言わぬ鋼が相手とて、桜花はひとりの剣士として朗々と名乗りを上げる。
 目指すべきは此処ではない。この有象無象を切り開いた先にこそあるのだ。
 これは畢竟、血戦に華を添える前座と言ったところか。鎧袖一触にて通るが妥当。
「道は私が切り開きます。これぞ兵の誉れなれば!」
 風になびく桜吹雪は、まるで仲間たちに進むべき道を知らせるかのようだ。
 桜花の前に敵はなく、あとに残るは残骸と散った桜の残り香ばかりなり。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月凪・ハルマ
変身に自己修復、おまけに無人兵器の制御系まで
持ってくとかどんだけ無茶苦茶だよ……

◆SPD
個々で大したことがなくてもこの数は面倒くさいなぁ
けど、あの機体を追う為には無視もできないか

ひとまずいつもの爆破手裏剣で無人兵器群を迎撃
無人量産型キャバリアが出現したら上手く機体に張り付いて
コクピットに侵入して超多目的スマートフォンで【ハッキング】
制御系を奪還した後、そのまま機体を【操縦】して
オブリビオンマシンを追跡

途中で妨害してくる兵器群は攻撃を【見切り】回避しつつ
元々の機体の装備と【ガジェットショータイム】で召喚した
キャバリア用アサルトライフルで迎撃していく

……てかこの機体、動き重っ!

※アドリブ・連携歓迎


クラリス・クレスト
えっいや自己増殖的なやつ? あんなのあり?
ジャイアントキャバリアとかならまだしも……
いやそれはともかく、見失わないうちに追いかけなきゃだ

兵器群との交戦はできるだけ入り組んだ土地がいいな
市街地跡とか、渓谷とか、岩場とか……そういうところ
何故って、ボクの機体の本領が如何なく発揮できる
壁や障害物を蹴っての三次元機動で相手を撹乱しつつ
キャバリア用アサルトライフルでの射撃でしとめていくよ
平地よりこういう場所でこそ活きる機体だからね
他の味方機が安全に通過できるようにきれいに掃除しておこう

一撃だってかすらせるつもりはないよ
もっとも、その砲塔の旋回速度じゃついてこれないだろうけど!


ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎

いや、あのさあ…自己進化って言えば聞こえはいいけど、要は「何が起こるかわかりません」ってことじゃないのよぉ…
信頼性0の兵器とか、誰が乗りたがるのよそんなもの…

重装甲戦車と飛行船の防衛陣地とか、これ現代版のワーゲンブルクよねぇ…
あたし戦車ブッ飛ばせるような火力なんて連発できないし、飛行船の相手しようかしらぁ?
ミッドナイトレースに○騎乗、エオロー(結界)のルーンで○オーラ防御の傾斜装甲を展開してテイクオフ。●黙殺で弾幕バラ撒いて〇掃除しちゃいましょ。
そのまま墜とせば○爆撃にもなって一石二鳥かしらぁ?
こーゆーのは特化させればいいってもんじゃないもの。結局は使いようよねぇ?



●市街地跡の血闘
 倒しても倒しても、次から次へと湧いて出てくる戦車に砲塔、飛行船。
 どうやらこのアムニ帝国とやらは、本当に兵器作りがお好きらしい。
 戦乱のため兵力を備えるのは小国家の常とはいえ、あまりにも異常な数である。
「おまけにあんなどう考えてもヤバいブツにはしゃいでるんだもんなあ。
 っていうか、ジャイアントキャバリアでもないのに自己増殖とかさ……」
 クラリス・クレストは愛機ブルーバードを駆りながら、ぶつぶつひとりごちた。
 オブリビオンマシンとして、あれほどの変化能力は他に類を見ない。
 自己変容はもとより、これだけの数の機動兵器を無人化・支配するその力。
 何が起きるのか予測不能……そんなものは兵器として欠陥品である。
「まあ、無人機ごときに当たってやるつもりはないけど、ねっ!!」
 クラリスはブルーバードの機動力を生かし、住民避難済みのビル群を障害物として利用しながら、敵の砲撃をうまいこと回避していく。
 このクロムキャバリアにおいて最強最優の兵力がキャバリアであることは、どの国家であれどんな技術者であれ認めるところだろう。
 しかし重装甲・超火力を追い求めて作られた戦車隊の砲撃は非常に厄介……かつ、破壊が難しい。ブルーバードの搭載火器の火力では、"真正面からの"撃破は困難と言える。
「さあ、当てられるもんなら当ててみなよ!」
 ゆえにクラリスは、敵の死角や装甲では補いきれない駆動部を狙い、三次元的機動を繰り出しながら的確にライフル射撃を叩き込むことで、次々と戦車隊を破壊していく。
 アンサーヒューマンとしての高速思考、そしてカスタマイズされた高機動性。
 その二つとたぐいまれなセンスが合わさり、初めて可能となる曲芸的戦闘力だ。

 しかし、猟兵たちの行く手を阻むのは、戦車や砲塔だけではない。
「っと、次は量産型キャバリアまで出てきたか……パイロットは居なさそうだな」
 ぞろぞろとビルの合間から姿を見せた無人キャバリアの群れを見て、潜行中の月凪・ハルマは帽子のつばを抑えながら呟いた。
 これだけの数の相手となると、まったく気付かれずに進むのは至難の業だ。
 いまは敵オブリビオンマシンの追跡を最優先すべき時であり、隠密行動にかまけているような暇はない……となれば、やるべきことはひとつか。
「……空のほうは任せてよさそうだな」
 ハルマは前方で戦車隊と砲塔群を殲滅するブルーバードを見、次いで頭上……低速飛行する飛行船の群れを一瞥した。
 そちらへ近づくのは、ミッドナイトレースに騎乗したティオレンシア・シーディアである。ビル群の屋上を飛び石めいてジャンプしながら渡ることで、"殲禍炎剣"の目をかいくぐりながら接近していたのだ!
「あんな重戦車、いまの装備じゃ吹っ飛ばせないものぉ。だからぁ――」
 ゴウンゴウンゴウン、とエンジン音を響かせ飛行戦隊が近づいてくる。
 動きは遅い――高速飛翔体は"殲禍炎剣"で撃墜されてしまうからだ――が、厄介なのはその船体のなかにみっちりと詰まった大量の爆薬であろう。
 近づけば爆撃を受け、かといって放っておけば飛行船そのものを特攻させてくる。となれば、遠隔攻撃で撃ち落とす他にない。
「全部まとめて叩き落としてあげるわぁ。たっぷりと受け取りなさぁい」
 BLAMBLAMBLAMBLAMBLAM!! 愛銃オブシディアンでファニング射撃を行うと、弾丸に刻み込まれたルーン文字が燃え上がるように輝き、光は無数の幾何学的軌道を描く魔力の矢となった!
 魔術の才能を持たないティオレンシアに出来る、擬似的な魔法弾幕といったところか。
 自身の身体から魔力を放つのではなく、"弾丸に込められた魔力"を媒介に二重三重の弾幕を展開する――それが、彼女のユーベルコード"黙殺(デザイア)"なのだ。
 さながら散弾(バラージ)めいた魔法の矢と銃弾は網のように飛行船隊を包み込み……KA-BOOOM!!
 駆動部を撃ち抜き、自爆せしめる! 爆発を繰り返しながらゆっくり落下していく、爆薬を詰め込んだ無数の飛行船……!
「おっと! うーん、まるでカーニバルみたいなことになってきたなあ」
 クラリスは墜ちてきた飛行船……というよりも、飛行船の残骸が起こした大爆発をひょいっと避ける。当然、戦車隊は逃れきれずに爆発四散だ。
 そして散発的な爆発事故は、統率力に欠けた無人キャバリアの注意をそらす。
「パイロットが居たら、また違うんだろうけどな」
 その一瞬に懐に飛び込んでいたハルマは、爆破手裏剣を投擲。
 銃器を構えようとしていた無人キャバリアを迎撃・破壊すると、無傷の別機体に取り付き、コクピットをハッキングして制御を奪い取った。
「これで足はよし……って、なんだこれ! 動き重っ!!」
『大丈夫? それ、この国の機体だから機動性最悪じゃない?』
「御名答だよ……まあ苦労して手に入れたんだ、使わせてもらうけどさ!」
 ブルーバードからの通信に溜息混じりに応えつつ、ハルマは操縦桿を掴み量産型キャバリアを操縦、ブースターを噴射して一気に前に出た。
 そしてガジェットショータイムを使い、キャバリア用アサルトライフル型ガジェットを召喚。ブルーバードを支援する形で敵機を撃墜していく!
「こーゆーのって、特化させればいいってもんじゃないわよねぇ。
 使い手がいて、連携してこそ。兵器ってそういうものじゃないかしらぁ?」
 あとに続くティオレンシアは、無残な機動兵器の残骸をみやりつつ他人事めいて言った。
 もっともこの教訓が、帝国臣民に届くかは怪しいところである……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

風祭・ヒュウガ
チ、自己改造、自己進化たぁ面倒だ!
さっさと叩きてぇが……邪魔が多いな!!

つっても、キャバリアに比べりゃチャチな相手だからな……。
その分数がウリのようだが……生憎と、そういう手合いにゃおれ達はめっぽう強くてな。
無人だってんなら加減する理由もねぇ、ぶっ潰れろ!!

「フォトニック・フィールド」……全身を覆うフォトンの力場を展開し兵器軍に直進
キャバリア同士の戦闘や大砲なんかに対する防御としちゃ物足りねぇが…………。

んなモンが……………効くかぁぁぁぁぁぁぁ!!!


戦車や無人兵器の豆鉄砲程度なら余裕で弾ける程度の防御力はあるぜ!
オラ……とっとと道を開けろ!
掃除してやるよ……何せ、こちとら美化委員なんでな!!



●フォトンの輝きのもとに
「邪魔だ邪魔だ、どきやがれェ!!」
 フォトンの力場を展開し、矢のように駆ける一条の閃光。
 風祭・ヒュウガは遠のいていくオブリビオンマシンだけに狙いを定め、
 それ以外のすべてを有象無象とみなし、一瞥すらせずに走り続けていた。

 このクロムキャバリアにおいて、キャバリアに勝る兵器は存在しない。
 コスト、量産性、汎用性、カスタマイズ性……そして、単純な性能。
 キャバリアが「人類を新たな進化へと導く」とまで謳われるのは、
 けして誇張などではない。まさしく、新世代の選ばれた"兵器"なのだ。
 たとえどれほど戦車の装甲と火力を高めようと、
 たとえどれだけの砲台を市街地に設置しようと、
 たとえどれほどの火薬を飛行船に詰め込んでも、
 キャバリアには勝てない。
 だからこそ、この世界の小国家はみな、キャバリアを主力とするのである。

 その単純かつ揺るぎなき答えを、"フーガ"はこれ以上ない形で見せつけていた。
 唯一無二のオブリビオンマシン。暴走の可能性さえ秘めた危険な火薬庫。
 換えの効かないワンオフ機体は、それゆえに量産型のポテンシャルを凌駕する。
 ビルさえも粉砕する戦車砲が直撃しても、フォトンの力場は揺るがない。
 むしろフーガはその力場で重戦車を紙くずめいて圧潰させ、なおも駆ける。
「大砲だの、火薬だの、特攻兵器だの――そんなモンが」
 ぶわっ、とフォトンの力場が膨れ上がり、周囲のアスファルトを凹ませた。
「んなモンが……おれと、こいつに! 効くかぁぁぁぁッ!!」
 可視化されたフォトンの光が、突っ込んでくる無人飛行船を爆砕せしめる!
 爆炎を振り払い、フーガは加速! 大気すらも力場によって歪曲していた!
「それでもかかってくるなら、何十機だろうが何百機だろうが掃除してやる!
 なにせこちとら――美化委員なんでな!! オラオラオラオラァアアアッ!!」
 爆発。轟音。爆炎……フーガには傷ひとつ残すことは出来ない。
 まさしく、蹂躙。
 まさしく、殲滅。
 これがキャバリアの力――いや、オブリビオンマシン・フーガの力。
 暴走寸前のエネルギーは、破裂する瞬間を心待ちにするように膨れ上がり続ける。

大成功 🔵​🔵​🔵​

御門・白
ずいぶんとはた迷惑な置き土産
作ったものを全部、敵に奪われてというのも……同情はしないけれど。私はヒトデナシ

万が一半端にコントロールを取り戻されたりするとますます戦況が混乱しそう
なら、全部壊して進むが合理的。行こう、ツクヨミ

無人機の有効性は否定しないけれど。人が【操縦】することの優位性も見せましょうか?
【遊撃】戦で必要なところへ随時【切り込み】周辺の戦況を支援
ツクヨミの得手は格闘戦、せっかく四肢があるのだから。建造物や周辺地形を活かした移動を心がけよう

多少の被弾は想定内、この程度では私たちは殺せない(継戦能力)

……むしろ、気をつけて?
機体から溢れる光の衣
触れた外敵悉く、風化して塵へ還さん



●三千世界を遍く覆え
 オブリビオンマシンを、あえて乗機として選ぶ。
 それは例外なく暴走のリスクを抱えた、自殺行為にも等しい愚行だ。
 しかし、だからこそ得られるメリットもある……そう、単純な戦闘力である。
 常に暴走の危険を秘めているからこそ、オブリビオンマシンは強大なのだ。
 猟兵たちが追撃するあのマシンが、恐るべき可能性を秘めているように。
「行こう、ツクヨミ」
 はたして追撃戦に新たに加わった、一見すれば優美なるキャバリア。
 だがよくよく見れば、"それ"が放つ禍々しい妖気は隠しようもなかった。
 "ツクヨミ"とだけ故障されるこの謎めいたオブリビオンマシンを駆るのは、
 これまた一見すると、近寄りがたい雰囲気を持つ少女――御門・白である。

 彼女について多くを知るものは、かの学園にもそう多くはない。
 少女は逃げも隠れもしない、呼べば応えるし生徒として振る舞いもする。
 だが、何か――もっと根本的な、そして埋めがたい隔たりを人に感じさせる。
 まるでこの世のものではないような……そういう類の、妖しのものだった。
 ……もっともその表現は、けして比喩ではないのだが。

 その見た目に反し、ツクヨミの戦い方は獣じみて獰猛な格闘戦にこそある。
 無数の砲弾荒ぶる弾幕を身一つでくぐり抜け、重戦車を貫手で貫く。
 爆発に乗じて跳躍、火薬を満載した飛行船をくの字にへし折りながら三角飛び。 こちらに砲口を向ける無数の砲台を踏み潰しながら、次へ、次へ。
 まるで満月に跳ねる兎のように。優雅に――しかして、どこか恐ろしく。
 なによりも奇怪なのは、あとに残る瓦礫の"ざま"だ。
 爆炎に焦がされた鋼の残骸は、たちまち腐食し、風化していく。
 どれほどの分厚い装甲とて、千年、万年を閲すれば散りゆくがこの世のさだめ。
 ただ、ツクヨミと白だけが健在である。塵に足跡を刻むような足取りだった。
「この程度では私たちは殺せない。この程度じゃ、堕ちてあげられない」
 またひとつ、またひとつ。
 人の作り上げた鋼が砕かれ、腐り果て、塵へと還っていく。
「――久遠の夜、無窮の天、万物流転。ああ、儚いものね」
 白の瞳は、戦場にありながらどこか遠くを見ているようだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーディット・ウォーカー
むむ。逃げの一手か。
有効であると認めはするが……
さて、どんな隠し玉が用意されているのか、楽しみよな。

おお、有象無象がたくさんじゃ
さて、我が道を阻むならば、容赦のしようも無くなってしまうな?

ようし、蹂躙ならば得意分野じゃ。
暗黒に浸蝕された機械剣を呼び出して串刺しで森を形成しよう。
吹き出すのは無人機のオイルで血みどろではないので子供にも安心じゃな!
人相手でも黒く染めておくのでもともと安心設計なのだがの。
飛ぶ機械剣を二本掴み取って斬りつけるのも良いじゃろう。

楽しく元気に戦場を征こう。
仲間と協力できたらより良いが……さて、どうかのう。

うむうむ、皆の喝采の声が聞こえるようじゃ。



●これなるは魔王の道
 歴史に名高きヴラド三世――吸血鬼の原型とされる"串刺し公"。
 異教徒どもから畏怖されたその名の由来が、敵対者や腐敗貴族を容赦なく串刺しにし、そしてさらし者にしたことからついた……というのは、有名な話だ。
 小説家はその逸話をカリカチュアライズし、呪われた吸血鬼に貶めた。
 それほどまでに、敵対した兵士にとって恐るべき光景だったのだろう。
 ――そしていま、同じような"森"の景色が、この戦場に再演されていた。

「ふむ。この程度かや?」
 鋼の屍が……串刺しにされた機動兵器の残骸が荒涼と立ち並ぶ戦場。
 まるでステージのようにぽっかりと空いた円形空間に、それはそびえていた。
 ユーディット・ウォーカー。そして、彼女が駆りし"アンコール"。
 この惨状にありて、マシンには傷ひとつ……いや、塵一つ見受けられない。
 所詮は人の乗らぬ、一山いくらの機動兵器である。
 蹂躙と殲滅を得意とする魔王の半身を、どうして傷つけられようか。
「これだけではつまらんのう。もう少し我らを楽しませてほしいものじゃ」
 ユーディットの口ぶりは、まるで退屈そうに振る舞う少女めいている。
 だが敏い者ならば、その声音にたしかに秘められた年月の重みに気付くだろう。
 人ならぬもの。
 血をすするもの。
 陽光に嫌われしもの。

    ナイトストーカー
 ……夜を這うもの。

 かの串刺し公と同じ……いや、おそらくはそれよりもなお無残なる光景を再演するもの。
 それは人の骸にあらねど、流れ落ちる黒き油は鮮血と見紛うほどに艷やかだ。
 そして、見よ。魂なきゆえに恐れもなく、そして愚かなる木偶が新たに、無数。
「おお」
 ユーディットは目をきらきらと輝かせ、手近な杭――機械剣を抜き放った。
「おかわりとはありがたい! そうら来るがいい、我らはまだ満足しておらぬ!
 戦うならば楽しく、元気にじゃ! 祭りは盛大であればあるほどいいからのう!」
 童女のように喜びながら、刃を降らせ、生やし、そして鋼の骸の森を生む。
 あれは人ではない。鬼である。
 闇を、惨劇を、惨状を――破滅という美を再演するもの。
「うむ、うむ! 聞こえるぞ、喝采の声が! 我らを褒めそやす万雷の拍手が!
 さあさあさあ、次は何が来る! 我を、我らを、せいぜい楽しませておくれ!」
 かくて魔王は森を征く。
 生命無き、鋼の骸で彩られし死の森を。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カイム・クローバー
重装甲に超火力、オマケに自己修復と来たモンだ。
株価V字回復?ハハッ――あんなモン、置いとくと痛い目見るぜ?ガラクタはガラクタ置場が相応さ。

なぁ、このキャバリア通信機が詰んであるんだろ?司令部へと通信は出来るかい?
一つ問わせて貰うぜ。内容はシンプルだ。…兵士達は全員、脱出出来たか?いや、何、ちょっとばかし…派手に暴れようと思っててね。
巻き込まれたら大変だろ?

【操縦】を用いてキャバリアを操作しつつ、あからさまに司令部を【挑発】する意味を込めて、【残像】を使って『機動力重視』の戦いを魅せるぜ。
剣を投擲して、予備のライフルで二丁ライフルのUC。
ハッ、俺がダンスするには少しばかり、此処は狭すぎるぜ。



●銃撃の狂詩曲
「司令官!」
「どうした」
「例の襲撃者たちのひとりから通信要請が入っているとのことです……!」
 オペレーターの言葉に、アムニ帝国防衛部隊司令官は眉根を寄せた。
 なぜ、このタイミングであちらからコンタクトを取ってきたのか?
 目的が不明だ。状況がこちらの手に余っていることは向こうも承知のはず。
 何か要求があってのものとは思えない……だが、それゆえに気にかかる。
「繋げろ」
「はっ!」
 司令官は、司令部に設えられた巨大モニターを睨んだ。
 しかしそこに映像が出力されることはなく、音声通信だけが流れてくる。
 当然といえば当然だろう。向こうはどこかの国に雇われた簒奪者――のはずなのだから。
『よう、苦労人の指揮官殿。ラブコールに応えてくれて嬉しいぜ』
 軽薄そうな男の声が、司令部に響き渡る。
「前置きはいい。一体何の用件だね」
『おっと。ずいぶん手厳しいね。しかし話が早いってのはいいことだ』
 男の声はおどけたような笑い声を交えつつ、こう言った。
『質問があるのさ。何、シンプルなものさ』
「……聞くだけは聞こう」
『あんたのとこの兵士……例の機動兵器から脱出した兵士たちのことだ。
 そっちも確認で大変だろうが、聞かせてもらうぜ。"全員脱出出来たかい?"』
「……何?」
 司令官は訝しむ。そして、オペレーターのほうをちらりと見やった。
 オペレーターがややためらいがちに頷いたのを見て、目線を画面へ戻す。
「脱出は確認済みだ。それがどうかしたかね」
『そりゃ結構。いや何――』
 男の声は、相変わらず軽い調子だった。
『ちょっとばかし、派手に暴れようと思ってね』
 その直後、爆音が司令官の耳をつんざいた。

「ハッハァー!」
 砲音、銃声、そして爆発音。
 まさしく狂詩曲(ラプソディ)のようにがなりたてる戦争のシンフォニーのなかを、カイム・クローバーは楽しげに、そして軽快に舞い踊っていた。
 キャバリアが手にするはライフル二丁、用法としては非合理的である。
 だがカイムは類稀な操縦テクニックにより、西部劇のガンマンめいた非現実的なバレット・ダンスを繰り出すのだ。
 BLAMBLAM!! BLAMBLAMBLAMBLAMBLAM!!
「弾代はツケとくぜ! 特注品だ、味は保証してやるよ!」
 重装甲を誇る戦車部隊が、駆動部を撃ち抜かれて次々に爆発する。
 大量の火薬を詰め込んだ飛行船部隊は、爆撃するよりも先に四散した。
 ビル群の合間から顔を覗かせた砲塔も、弾丸を撃つ前にスイスチーズめいて穴だらけ。
 カイムはでたらめな量の弾丸をばらまきながら、しかして一時たりとも同じ場所に立ち止まることなく、まるで氷上のスケーターのように縦横無尽に市街地を跳び回る。
 重装甲、超火力を謳うアムニ帝国にとっては、挑発的な"機動力重視"の戦い。
 無論、分かった上でやっている。これはカイムなりのラブコールなのだ。
「ガラクタはガラクタ置き場が相応さ。俺たちは、そのための掃除に来たんだぜ?
 乗っ取られたからってそいつを邪魔するなら――まとめて片付けるしかねえな!」
 BLAMBLAM!! BLAMBLAMBLAMBLAMBLAM!!
 乱れ飛ぶ砲火が、カイムのキャバリアを掠めることはない。
 1センチそばギリギリを飛んでいくのは、偶然ではなく計算の上だ。
 まるでどう動けばいいのか、カイムにはすべて見えているかのようだった。
 ……それは比喩ではない。カイムには、どう戦えばいいかがわかっている。
 経験とセンス、そしてテンション……それでこの男は生き延びてしまう。
 そういうでたらめな男だからこそ、カイムはいくつもの死地を潜り抜けてきた。
 いわんや、無人兵器の群れなどどれほどのものになろうか?
「俺がダンスするには、此処は少しばかり狭すぎるぜ?」
 転がる薬莢がキリンキリンと鳴らすのは、まるで万雷の拍手めいていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーザリア・シン
さきの戦闘で張り切りすぎたな
変身前のフレーム強度が保たずに爆発してしまったわ
…いやこれ、そこそこピンチなのではないか?
ま、有象無象は他の猟兵…オット!所属不明の傭兵だな
彼らが薙ぎ払ってくれるであろうし、…そうであるよな? 頼むぞ若き希望の猟兵たちよ…
妾は使えそうな機体を現地調達……フムン?
クラマトルスクの脱落した両腕か
強く毅く剛いフレームだ
これで代用できぬか、インカーナダイン
『試したことが無いので分かりません。しかし、これは貴女の装備品としての助言ですが、四の五の言っている場合ですか?』
ヤバレカバレであるな
…これも、そうあれかしと願われた祈りのかたちか
ならば覚醒せよ、インカーナダイン
疾走れ!



●祈りのかたち
 パキン――と、ガラスが割れるような甲高い音が響いた。
 すると真紅のインカーナダインの全身にヒビが走り、砕け散る。
 ユーザリア・シンはバラの花弁めいた破片のなかを、ふわりと落下し着地した。
「ふむ。張り切りすぎてフレームが爆発してしまったか。困ったな」
 戦場のど真ん中でキャバリアを喪失する……普通であれば致命的だ。
 しかし幸い、先遣の猟兵たちの力により、周囲の機動兵器は駆逐されていた。
「やはり持つべきものは若き希望の猟兵たちということであるな……」
『ただ後塵を拝しただけではないかと考えますが』
「おぬしはいちいち口が減らぬな」
 脳裏に響く"声"と会話しながら、ユーザリアは周りを見渡した。
 ……ビル群を巻き込み脱落したそれは、あのクラマトルスクの両腕だ。
「フムン。なるほど、これはなかなか……」
 ユーザリアはカツコツとヒールを鳴らして歩み寄り、フレームに触れた。
 この国の熱意はたいへんにネジ曲がってはいる。しかし。
「強く、毅く、そして剛いフレームだ。そうあれかしと願われた鋼のかたちだ。
 ……これもまた、ねがいと祈りを浴びたもの。いわば、祈りのかたち……か」
『まさか、これを媒介に現界しろと?』
「代用は出来ぬか。おぬしは優秀なマシンなのであろう?」
『試したことがないことは優劣の問題ではありません。しかし――』
「うむ」
『これはあなたの装備品としての助言ですが、四の五の言ってる場合ですか?』
「……うむ」
 ユーザリアは周りを見渡した。
 彼女の生命反応を探知した戦車隊が、周囲を包囲しつつある。
「ヤバレカバレ、というやつであるな」
『名称はどのようなものでも構いませんが』
「やるしかあるまい。我らの祈りを以て、刃金のかたちを創り変えるのだ」
『了解。――幻想境界接続、現実性歪曲開始。サイキックウェイブ、投射』
 ユーザリアの赤い衣からしゅるしゅると繭糸めいて赫い線が生まれ、それがフレームと同化する。
 砕け落ちた鋼のかけらが、赤く、赫く染まっていく。祈りのかたちが。
「妾は摂理に抗う祈りの賦」
『私は忘却を以て過去を滅却する刃――』
「『妾/汝らは真紅の瞳を啓くもの。すなわち』」
 フレームであったものは朱い螺旋に変じ、そしてユーザリアを包み込む。
 編み上げられるは叛逆の刃金、正しく未来を護るため過ぎ去りし残骸を滅する者!
 覚醒せよ、インカーナダイン。いまこそ疾走の時なり!
 朱い繭が弾けた瞬間、再臨した滅却の刃が砲火の中を駆け抜けた。
 一瞬遅れて赫灼たる刃閃が空間を切り裂き、重戦車隊を微塵にせしめる!
『ユー・ハブ・コントロール。さて、それでは第二ラウンドといこうか』
「アイ・ハブ・コントロール。インカーナダイン、第二戦闘に突入します」
 見据えるべきは過去。目指すべきは希望と未来の道である。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルナスル・アミューレンス
はぁ~……
いや、あっちの指揮系統もやる事違うけどさ、
ぶち抜いても自己変性するわ、周りも統率下に飲み込むわ……
流石オブリビオン、やる事が違うねぇ。
というかあれ、中のヒト原型保ってる?

まぁいいや。
――砲打撃戦用意
妨害するなら、標的は全て『暴風(オトス)』まで。
やってやるさ。

スナイパーの腕を生かしつつ、制圧射撃による対空戦闘と洒落込もうか。
毎秒760発、特製徹甲榴弾の正確な砲撃の嵐だ。

飛行船は好き勝手させない、特攻すらさせてあげないよ。
戦車の装甲も関係ないさ、消し飛ばすよ。
キャバリアも、物陰に隠れた程度で逃げられると思わない事だね。
蹂躙するはずの物量が、蹂躙される様をお見せしよう。



●すべてを薙ぎ払う暴風
 アルナスル・アミューレンスの異形化した片腕が、さらなる"変形"を遂げる。
 偽神細胞の応用による自らの兵器化。まるで化け物じみた能力だ。
 しかしそれでもなお、あのオブリビオンマシンの好き勝手には及ばない。
「ぶち抜いても自己変性するわ、周りも統率下に呑み込むわ……。
 さすがオブリビオン、やることが違うねぇ。ま、だからって逃さないけどね」
 幸い、クラマトルスクに囚われていたパイロットは救助されている。
 逆に言えば、あのオブリビオンマシンは無人で暴走を続けているのだ。
「――砲打撃戦、用意」
 アルナスルは足元にいくつものアンカーを打ち込み、身構えた。
「妨害するなら、標的はすべて暴風(オトス)までだよ」
 ゴーグルの下から、鋭い眼光が無人機動兵器の群れを睨みつける。

「――なんだ、これは」
 そして、アムニ帝国防衛部隊司令部。
 脱出した兵士の救助や救護にてんやわんやのそこで、司令官は目を疑った。
 あの謎めいた簒奪者……つまり猟兵たちによる、すさまじい攻防。
 すでにその恐ろしさは、その場にいた誰もが目にしたあとだった。
 だが。新たに現出した光景は、クラマトルスク戦のそれをはるかに超えている。
「ありえん……この弾幕を、たったひとりの戦力で実行しているというのか?」
 空を埋め尽くすようないくつもの砲火、そして立て続けの爆炎。
 小国家の全兵力を駆り出さねば到底実現不可能の、まさしく鏖殺の空。
 オペレーターの報告が正しければ、これはたったひとりの怪人によるものだという。
 超火力――アムニ帝国が追い求めてやまぬものを、たったひとりの人間が。
「化け物め……!」
 もはや司令官に狂熱はなく、ただ畏怖と苛立ちがあった。
 戦車も、飛行船も、砲塔も、何もかもを消し飛ばすような機関砲の雨。
 いや、天に挑むように逆巻くそれは、さながら災厄のそれ。
 吹き荒れる暴風は、有象無象の区別なくすべてを薙ぎ払っていく。
 蹂躙すべきはどちらなのか。
 進撃するのはどちらなのか。
 それは、口にせずとも一目瞭然だった。
 砲火が飛行船を貫き爆散せしめる。またひとつ、またひとつ。
 帝国が夢見る災禍じみた光景が、たしかにそこに現出していた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルカ・スィエラ
くっ……さすがに単機ならどうにでもなるけど、
複数機揃えてくると面倒ね…時間をかけてる場合じゃないのに!
(隙さえ見つければ一掃は不可能じゃないはず、でもその隙が……)

(戦場に轟く咆哮と《衝撃波》、虚空より現れる機竜)
……新手!?
いや、この感じ……あなた、“あの時”の……
……どうしてまた私の前に現れたのか知らないし、あなたがどういう存在なのかも知らない。
けれど、
「アレと戦う者」である事、そして、あなたの名ははっきりわかる。

だから、手を貸して、“ドラグレクス”……!!

咆哮で作った隙にドラグレクスに騎乗、UCを使用し、
一面にホーミングレーザーの雨を降らせ敵防衛線を壊滅させる……!

※アドリブ他歓迎です



●機竜、降臨
「――あれは」
 すわ新手の敵機かと身構えたアルカ・スィエラは、目を大きく見開いた。
 モニターに映るのは、虚空より現れたる巨大な機竜の姿。
 オブリビオン? 否……違う。だが、"何であるか"はわからない。
 たしかなのは、自分は"あれ"に命を救われたことがあるということ。
 先のケンドリックス共和国での戦い然り、はたまた……。
「……あなたが、どうしてまた私の前に現れたのかは、私にはわからない。
 あなたがどういう存在なのか、何を目的としているのかもわからない」
 機竜は高く腹に響く咆哮を轟かせ、そしてじっとアルカを見据えた。
 機体ではなく、アルカ本人を。鋼を通じて、まっすぐな意思ある瞳で。
 言葉はない。けれども唯一わかることがある……それは、"ねがい"だ。
 "なぜ(Who)"はわからないが、"あれ"は『奴ら』と戦う意思を持っている。
 奴ら――すなわち、オブリビオンマシン。過去の残骸、未来を破壊するもの。
 人に狂気をもたらし戦禍をばらまくもの。この世にあってはならぬもの。
「あなたに、「アレと戦う意思」があるのなら。私にとってはそれで十分だわ」
 そうだ、自分はまだ戦わねばならない。
 こんな無人機動兵器の軍勢を前に、足を止めているわけにはいかない。
 利害だの信念を超えた、もっと根源的な、本能に似た意識が己を突き動かす。
 あるいはこれが、猟兵という存在になった証左なのだろうか?
 ……わからない。今為すべきことは、立ち止まって考えることではない。
 咆哮が、言葉でも音でもなく、超自然的な洞察を持って"それ"の名を報せた。
「あなたの力を……手を貸して、"ドラグレクス"……!!」
 機竜は……やはり言葉を返さない。ただ、応えるように咆哮をあげた。
 先の名乗りめいたものとはまったく違う、邪悪なる者どもを震わせる雄叫び。
 神話に描かれし竜のように、あらゆる敵対者を竦ませる君臨者の咆哮!
 魂無き無人の兵器たちは、ひとたび動きを止めた――恐怖する弱者めいて!
「応えてくれるのね。なら、いきましょう! どもに!」
 アルカはほとんど招かれるようにドラグレクスに騎乗、そして機体を同期。
 謎めいた動力源から強烈なエネルギーが溢れる。プロトミレスの性能が増大する!
「全敵ロック――天より降り注げ、星の雨(ステラ・プルウィア)!!」
 続けて溢れるのは音ではなく、光そのもの――形ある破滅の雨。
 数えることも出来ぬほどの光条が、歪曲し流星めいた軌跡を描く。
 それらは戦車、砲塔、飛行船、はては量産型キャバリアすらも狙い撃つのだ!
 光が走り抜けた直後、おびただしい数の爆炎が天と地を染め上げる――!
「駆けて、ドラグレクス! アレを、この世界から滅ぼすために!」
 鋼の騎兵を背なに乗せ、機竜は咆哮とともに空を駆け抜ける!

大成功 🔵​🔵​🔵​

本城・アサヒ
【All-In-One(二体一心)】
【Establish!(確立)】

自身のオブリビオンマシンに搭乗して参戦
操作は思考同調による憑依式
気合とノリが上回っている方が身体の操作権を握る
万一暴走したとしても周りの9割が敵なので問題なしだ

「行くぞ『ナザイベル』素晴らしいことに満席だ。持って帰れぬのが惜しいほどの宝(ゴミ)の山だ。開幕に一曲奏でて差し上げろ」

戦闘はユーベルコードで一方的な蹂躙を行う
もし旋律を楽しんでくれたなら敵味方の区別ない楽しいパーティーになるだろう

「まあ、向こうにとっては大半が味方のはずだがなハハハハハッ!」


詠唱省略可
邪魔にならなければ私立新世界学園のメンバーと共闘
○アドリブ歓迎



●水底より来たりしモノ
 オブリビオンマシンをあえて自機に選ぶような輩は、多かれ少なかれ狂っている。
 ましてや「暴走後の運用」すらも想定しているような連中は狂人そのものだ。
 ……だが人間とは度し難いもので、そういう狂気のラインをたやすく踏み越える。
 ならばその狂気に、自ら喜んで相乗りするような者はなんと呼べばいいのか。
 狂人か、はたまた……もっとおぞましい、悪魔のような化け物か。

 本城・アサヒという少女を定義するのは、つまりそうした問いにぶち当たる。
 彼女は科学者の狂気を恐れず、それどころかむしろ肯定する。
 でなければ、"こんな化け物"に喜々として『同化』しているはずがない。

 "All-In-One――Establish!"

 思考を外付けの同調ユニットによる論理メッセージが通り過ぎていく。
 そしてアサヒ=ナイザベルの視界は完全にリンクし、戦場を映し出した。
「行くぞ"ナザイベル"、素晴らしいことに満席だ! ああ、本当に勿体ない。
 持って帰れないのがこれほど惜しいとは、素晴らしい宝(ゴミ)の山だよ」
 少女の声はどこにも届かない。はたして"これ"の意識にも届いているかどうか。
 ただアサヒは、同じような破壊欲求に突き動かされたモノの意思を感じる。
 つまり、混沌を。よどみなく変わり続ける、けして退屈させてくれないモノを。
 ああ、素晴らしい。世界は素晴らしい、わけてもこいつは本当に素晴らしい。
 身体が、心が、破壊と蹂躙と暴虐とを求めて湧き踊る。血が沸騰しそうだ。
「開幕に――一曲奏でてさしあげようじゃあないか。ハハハハハッ!!」
 四つの腕がわななき、そして破壊の思念波を音に変えて大気に伝搬させた。
 音波……それはつまり物質に作用する現象。目に見えないが触れはする"運動"だ。
 破壊と蹂躙に染め上げられた思念波を音にするということは、すなわち……伝搬を意味する。狂気の伝搬、破壊欲求の伝搬、闘争心の伝搬。そして、暴走!
「ラッパの音色に踊れよ白鯨、生まれし波よ天地を砕け!
 今より始まるは怒りの日! さあ、さあ! 踊れ踊れ踊れ踊れ!!」
 無人機動兵器は、互いに砲口を向けあい、そしてお互いを撃ち合う。
 砲火はありえないはずの同士討ちを起こし、そこらじゅうで爆炎が噴き上がった。
「ンン~、心地いい交響曲だ! 本当に惜しいなあ、この塵芥(たからもの)は!」
 ナザイベルもまた、その異形の下半身を蠕動させて戦場を横断する。
 レーザービームをばらまき、重力球で残骸をひしゃげ、四つ腕で鋼を砕く。
 破壊と狂乱のシンフォニー。地獄が、ここに現出した。
「ハハハハハ! アッハハハハハ!!」
 少女の声が誰かに届くことはない。
 けれども、そのけたたましい笑い声は――砲声と爆音の叫喚と化して、永遠を思わせるほどに響き続けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

蘇芳・光太
レイズセイヴァー、追撃するよ
ってなんで邪魔するのさ!?
もう、やっちまうぞ!

とりあえず砲台は無視して兵器群の方へ
戦車には接近戦!飛行船は遠距離武装のシュート・レイやブラスターナックルだ!
レイズはどんな状況だって戦えるってところ、見せてやるぜ!
突撃しながら敵の真ん中で暴れまわりとにかく数を減らす
ついでに戦いながら防衛兵器や砲台の位置関係、展開を確認しておく

位置取りを把握したらブースターで急加速しながら後退
これ、ちまちまやるより一気にやったほうが絶対良いよね?
レイズ、出力上げるぞ!味方は前から退いて!
なるべく多くの敵が範囲に入るよう移動し【シャイン・バースト】を使用
どんなに数を揃えても、一網打尽だ!



●穿け、レイズセイヴァー!
 そこかしこで爆音と砲声が鳴り響く戦場……かつて市街地であった場所。
 あちこちの瓦礫が余波を、あるいは砲弾の直撃を受けて吹き飛ぶ。
 見る影もない惨状を、蘇芳・光太が駆るレイズセイヴァーはひたすらに進んだ。
「こいつら、オブリビオンマシンに操られてるのか……!?」
 無人機動兵器群の抵抗たるや、並の軍隊では相手にならぬほどのものである。
 謎めいたユーベルコードによってシンクロしたそれらは、有人機ではほとんど不可能なレベルのコンビネーションを可能とし、重装甲と馬鹿げた火力を武器に特攻同然の戦いを挑んでくる。
 いかにキャバリアがこの世界最優の兵器と言えど、無敵の存在ではない。
 戦車隊の砲撃を受け、飛行船の直撃まで食らったならば、ひとたまりもないのだ。
 光太はそのことを重々承知した上で、用心深く、かつ大胆に立ち回った。
「けど、俺もレイズも、こんなところで足踏みしてるわけにはいかないんだっ!」
 レイズセイヴァーは、すぐ真横をかすめた砲弾を恐れることなく吶喊。
 戦車隊が次の砲弾を装填するよりも早く、ストンプ攻撃を叩きつけた!
 だが、重戦車の装甲は耐えてみせる! これがアムニ帝国自慢の重装甲か!
「踏みつけるだけじゃ足りないってんなら……こうだっ!!」
 光太は向けられた砲塔をむんずと掴むと、戦車を容赦なく持ち上げた。
 そして弧を描きながら、ハンマーめいた勢いで別の戦車に叩きつける!
 KRAAAASH――KA-BOOOM!! 重装甲が仇となり、戦車はともに破砕して爆発!
 そこに降り注ぐのは、頭上を低速飛行する飛行船からの対地爆撃だ!
「空を飛べばレイズから逃げられると思ってるなら、大間違いだぜ!」
 レイズセイヴァーの額部分がピカッ! と光り輝き、レーザーを発する。
 シュート・レイが降り注ぐ爆弾をメスのように真っ二つに両断し、爆発させた。
 そして爆煙を貫き空を飛ぶのは――レイズシルヴァーの右腕だ!
「いっけぇ! ブラスタァアアアア、ナックルッ!!」
 KRAAAASH!! 鋼の鉄拳を食らった飛行船が、くの字に折れ曲がり爆散する!
 砲弾を分厚い装甲でそらし、戦車隊を薙ぎ払いながら突き進む雄々しき姿。
「砲台はあそこか……こうなったらもう、ちまちまやるより一気に行くしかない。
 レイ・マテリア、出力解放……これで、一気に薙ぎ払ってやる!!」
 ドウッ!! と背部ブースターを噴き出し、レイズセイヴァーが加速する。
「シャイン・バァァァストォオオッ!!」
 そして近距離で胸部から繰り出される、まばゆい破滅の輝き!
 光に飲まれた砲台は飴のように溶け崩れ、戦車隊を巻き込んで爆発した。
 連鎖的な爆炎に照らされながら、鋼の騎神は戦場を行進する……!

大成功 🔵​🔵​🔵​

イーリス・ヴァイデンフェラー
アドリブ歓迎
引き続きお願いしますねぇ、あかりちゃん(f30108)

あれだけの大部隊がジャックされたんじゃぁ大変ですねぇ
本部の方は割と余裕みたいですけれどぉ

ジャック返しとは素敵じゃぁないですか
あかりちゃん頼もしいですねぇ
さぁて、あたしも大火力機の本領を見せちゃいましょうか
じゃ~、“ハーヴェスター”の一斉射撃をお見せしちゃいましょう!
荷電粒子砲、狙撃銃からのミサイルの雨で長距離を狙える子たちを落として
残った子たちをガトリング砲で掃討
物陰の子たちは浮遊砲台を向かわせましょうかねぇ

お褒めいただき光栄です
ふふ、生徒会がかっこ悪いとこ見せられませんから
それはズルです、あかりちゃんに怪我はさせられませんから


犬伏・あかり
アドリブ歓迎
油断しないでよね。イーリス(f30021)

…うわ、なにあれ
あんなに沢山…気持ち悪い。意味わかんない。

イーリスもなんだかやる気満々だし…じゃあ、私たちは…安全確保、第一ね。
さっきから子分作って好き放題やってるけどさ…それができるの、あなただけの特権だなんて思わないでよね
…そうでしょ、"カンオケ"。

空飛ぶ爆弾とか、あっちで勝手に爆発してて。
無人機は向こう撃ってて。あと盾になって。
どれにも人は居ないみたいだからね
…あんな危ないもの、全部壊れちゃえばいい。

…それにしても…呆れる。ものすごいね、ハーヴェスター
かっこ悪くていいから無事でいてよね
じゃないと…私が無茶しちゃうんだから。



●破滅を振り撒く
 オブリビオンマシンに乗っ取られた無人機動兵器群が、急に動きを止めた。
 より正確に言うと、それらはまるで痙攣するようにギシギシ揺れているのだ。
 まるで、同位相の強烈な音波の交差点に置かれたピンボールのように。
「……さっきから子分を作って好き放題やって。それが専売特許のつもり?
 そんなことぐらい、この"カンオケ"だって出来るんだから……!」
 犬伏・あかりは、オブリビオンマシン"カンオケ"の手綱を必死で握る。
 いびつなるマシンはその壊れかけた掌を、無人機動兵器群に向けて動かない。
 無人兵器たちがガタガタと揺れているのは、ふたつのオブリビオンマシンから同時に放たれる支配力の拮抗に晒されているからなのだ。
 見えない呪的な力が、"カンオケ"を通じてあかりにまで伝わった。
 パイロットを呑み込むほどの狂気。あかりは、嫌悪の意思でそれに抗う。
「私は、あなたの傀儡になんてなるつもりはない……ッ!!」
 オブリビオンマシン同士の支配力は同等――あるいは一進一退だ。
 そこにあかりという搭乗者の意思が加わることで、拮抗はついに破られた。
 "カンオケ"の悪意が、無人機動兵器群を掌握、そして自爆させる!
『へぇ~、ジャック返しとは素敵じゃあないですか!
 さっすがあかりちゃん、頼もしいですねぇ。仲間でよかったですよう』
「……冗談言ってないで、イーリスも働いて。私は安全確保してるだけだから」
 通信越しの声に、イーリス・ヴァイデンフェラーはくすくすと笑った。
「もちろんですとも! こういうときこそ大火力機の本領発揮ですからねぇ。
 浮かれちゃってるこの国の方々に、"ハーヴェスター"の性能をお見せします!」
 ガシャン、ガシャン! と、ハーヴェスターの脚部が地面に食い込んだ。
 それは、一切の機動力を捨てて火力をばらまくことに専念する殲滅特化形態だ。
 さらに各部からせり出す荷電粒子砲、狙撃銃、ミサイルポッド、ガトリング砲。
 機体からは浮遊砲台まで飛び出し、さながら大砲の集合体めいた有様。
「……"カンオケ"、何体か盾を喚んで。巻き込まれたらたまったものじゃない」
 オブリビオンマシンは、あかりの意思に従う――いまのところは。
 半壊状態の無人キャバリアが三体、カンオケの周囲に近づき、そして守った。
 イーリスに限って、味方を誤射するようなヘマはこかないだろう。
 しかし本能的にそうしたくなるほどに、ハーヴェスターの火力は恐ろしい。
「さぁ――"収穫(ハーヴェスト)"のお時間ですよ~?」
 イーリスのモニター上、無数の敵にターゲットマークが重なり合った。
 それらがロック表示に切り替わった瞬間、イーリスは操縦桿のトリガを引く。
 直後――荷電粒子砲、狙撃銃、ミサイルポッド、ガトリング砲が火を吹いた!
 BRRRRTTTT!! DOOOM……KRA-TOOOOOOM!!
 浮遊砲台がビル間に隠れた無人機を探し出し、一瞬で殲滅する。
 機関砲は空に浮かぶ飛行船を容赦なく撃墜して、荷電粒子砲が戦車隊を焼滅。
 追尾ミサイルは複雑な軌道を描きながら、量産型無人キャバリア部隊を追い……KA-BOOOM。それらは一斉に、同時に、砲火に飲まれて微塵と消えた。

「……呆れる。ものすごいね、ハーヴェスター」
 あかりの声音には、半分の呆れと半分の称賛が込められていた。
 用をなさなくなった無人キャバリアは、そのまま無力化されて倒れ伏す。
 あたりに敵対反応はなし。もはや、二機のほかに動く陰もない。
 残されたのは、爆炎に焦がされた鋼の残骸と、焦土じみた焼け野原だけだ。
「敵に回したほうは最悪の気分だろうね。こんなの敵いっこないもの」
『ふふ、お褒めいただき光栄です』
 返ってきたイーリスの声は、わざとらしくかしこまっていた。
『生徒会のメンバーが、かっこ悪いとこは見せられませんからねぇ』
「別にいいよ、かっこ悪くても」
 あかりの答えはぶっきらぼうなものだった……けれど。
「かっこ悪くてもいいから、無事でいてよ。じゃないと……」
『"私が無茶をしちゃうんだから"、ですかぁ?』
「……そうだよ。イヤでしょ? それは」
『それはズルですよぅ。だって、あかりちゃんに怪我させらませんもの』
「なら、そういうことでよろしくね。イーリス?」
 ふたりの声音には、同じ学び舎の仲間らしい気安さがあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィクティム・ウィンターミュート
さぁーて、追撃戦といくか
キャバリア乗りが羨ましいぜ
素晴らしい機動力に装甲…無い物ねだりしてもしょうがねーけどさ
俺は俺のやれる限りでやるだけ、か

飛行船に無人キャバリア…"脚"はいくらでもある
【ハッキング】で制御系統を乗っ取っちまえば、後は自由自在
火力を味方に向けて同士討ちさせることも出来るし、通信傍受もできる
左腕のワイヤーアンカー引っかけて足場にして、ひょいひょい跳んで移動してもいいわけだ
ハハッ、まるでシノビの軽業みてーじゃねーか

さて…防御もしっかりしないとな
セット、『Reflect』
あらゆる発射物は俺の物になる…弾道の計算はお手の物
しっかりお返ししてやるよ
俺って義理堅くて、優しい悪人だからさ


フェルト・フィルファーデン
敵の戦力増やしてどうするのよ、まったく……
まあ、愚痴を言っても仕方ないわよね。逃げられる前に、手早く倒しましょうか。

既に乗組員は脱出しているから、そこを心配する必要が無いのは不幸中の幸いね。だったら、同士討ちさせちゃいましょう。
UC発動。針を広範囲に満遍なく飛ばし機械の内部に進入。味方を敵だと誤認させる電波で混乱をもたらすわ。多少荒っぽい方法ではあるけれど……時間も無いし仕方ないわよね?


こんな世界だし、戦うための兵器が必要なのはわかるけれど……このおかしなテンションにはついていけないわね……



●巧みなる電脳魔術
 この世界――クロムキャバリアは、発達した科学技術が特徴的だ。
 "殲禍炎剣"の暴走により広域通信網は失われて久しいと言えど、プラントに依存した技術は健在……つまり、電子システムはUDCアースのそれよりもはるかに発達していると言える。
 それは兵器を軍隊として統率する上では、実に合理的と言えるだろう。
 しかし発達したシステムとネットワークは、それゆえに脆弱性……つまり、バックドアを抱えてしまう。
 外敵の脅威に対抗するため、巨大になりすぎた獣が鈍重になってしまうように。
 テクノロジーが持つ克服不可能な弱点、それが唯一の短所である。
 その脆弱性を突くことこそが、電脳魔術の本懐にして秘奥、肝心要のところ。
 つまるところ、彼と彼女にとって、この戦場は独壇場も同然だった。

 システムを狂わされた戦車隊が、頭上を飛ぶ飛行船に砲口を定める。
 超火力を目指して馬鹿げた口径に作られた砲弾が、対地機銃を潜り着弾した。
 KRA-TOOOM……空にまたひとつ派手な火花が咲いて、飛行船が傾く。
 ゆっくりと傾いた飛行船が落下していく先には、無数の自動砲台があった。
 それらは落ちてくる飛行船を撃墜しようとするが……当然、間に合わない。
 飛行船の残骸は砲塔群を巻き込んで爆発、上がる火柱がビルを呑み込んだ。
 ありえないはずの同士討ち……これらはすべて、人為的な工作である。
「ハハッ、スペースシップワールド以来かねぇ? こんな楽しい遊び場はよ」
 ビルとビルの間、あるいは動作を停止した量産型キャバリアの股下をくぐり、
 ヴィクティム・ウィンターミュートが空に踊る。ワイヤーアンカーでの立体軌道。
「いや、ヒーローズアースで市街地戦をやったときもなかなかのもんだった。
 ま、相手がウィズワームだろうがヴァンパイアだろうが、変わりゃしないが」
 ヴィクティムはニンジャの軽業めいてビルの壁面を駆け下りながら、こちらに照準を合わせてきた無人キャバリアに片手をかざす。
 すると電脳魔術の見えざる網(ウェブ)が、一瞬にしてシステムの支配権を掌握、そして砲口をずらす――向ける先はヴィクティムではなく、あの生意気にもこちらを不意打ちにしようとしている砲台だとばかりに。
 BRATATATATATA! キャバリア用ライフルが、味方であるはずの砲台に放たれた。
 同時に砲台からも大口径砲弾が射出され、無人キャバリアは回避出来ずに被弾。
 KA-BOOOM……両者は同時に爆砕。爆炎がヴィクティムのマントをなびかせた。
「この感じ……ハッキングしてるのは俺だけじゃねえな? 上々だ」
 ――ヴィクティムの予測通り、この戦場にはもうひとり"魔法使い"がいた。
 砲台のシステムを改竄していたのは、フェルト・フィルファーデンの"針"である。
「これで何基目かしら……それにしても」
 フェルトは目に見えぬほどの極小な針を新たに生み出しながら、嘆息した。
 市街地に響き渡るのは、このアムニ帝国とやらの臣民たちのバンザイ合唱である。
『アムニ!』
『ユエニ!』
『アムニ!』
『イチバン!』
「……はぁ、なんなのかしらね、このおかしなテンション」
 一言で言えば、"ついていけない"というのがフェルトの本音だった。
 長く続く戦乱で、国民全員の頭がおかしくなってしまったのだろうか。
 こんな国の在り方は、かつて王女であった妖精にとっては受け入れがたい。
「って、余計なことを考えていたらだめね。早く片付けてあれを追いかけなきゃ。
 ……せめて追加戦力の投入をやめてくれれば、こっちも楽なのだけれど……」
 などとフェルトが愚痴を言っても、あちらは聞いてくれないだろう。
 そして投入した兵器は、まんまとオブリビオンマシンに掌握されてしまう。
 おかげで猟兵たちは、これだけの火力を有しながら追跡を完遂出来ていない。

「あーあ、追っても追っても届きゃしねえ。キャバリア乗りが羨ましいぜ」
 燃えながら墜ちていく飛行船を彼方にみやりつつ、ヴィクティムが呟いた。
 機動力の面において、キャバリアと生身では圧倒的な差がある。
 しかしヴィクティムは、いまだ自身が駆るべきマシンを見出だせていなかった。
 そこらの量産型はどうにもしっくりこないし、貸与されるものは信用がおけない。
 一種の職業病のようなものだ。だから、少しばかり羨望があった。
「……まあ、俺は俺のやれる限りをやるだけだ。なあ、そうだろ?」
 また一騎、新たな無人キャバリアがヴィクティムに狙いを定めていた。
 フェルトの針が飛ぶ。だがジャックよりも弾丸の発射がわずかに早い。
 ヴィクティムは逃げない――そもそも、弾丸は当たりはしないからだ。
 ヴィクティムを狙ったはずの弾丸は、そっくりそのまま反射していた。
 無人キャバリアの片腕が脱落する。そして針が到達し、システムは掌握された。
「俺って義理堅くて優しい悪人だからさ。全部まとめて片付けてやるよ、ポンコツども」
「邪魔をするなら、一つ残らず片付けてあげるわ?」
 彼と彼女にとって、これらは敵ですらないのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

イオリ・カクトゥス
虫みたいにワラワラと出て来たなぁ……
どこにこれだけ居たんだろ?
まぁ学園では園芸委員長しているわけだし、害虫駆除が得意だけどね。

使い兵装は『T3-三八“ヒアブリ”』
敵は多いみたいだし、回数と範囲重視でいこう。

この兵装は広範囲を焼き払うナパーム弾。
対キャバリアに使うには火力不足が否めないけど、無人兵器群相手なら十分。
それに飛行船に上手く誘爆させることができれば、もっと戦果が見込めそうだ。

無差別に被害を出す兵装だから、余程のことが無い限りあまり使わないんだけどね。
まぁ今回は兵士は避難してくれたようで助かったよ。



●火刑
 燃えている。
 空が、大地が、見渡す限りのすべてが燃えている。
 イオリ・カクトゥスの駆るD-Orgeのばらまくナパーム弾が、鋼も大地も区別なく炎で飲み込み、そして地獄じみた有様意変えていた。
「次から次へと虫みたいにワラワラと……気持ち悪いなあ」
 無人機動兵器群の動きは、人間性の欠片も感じさせない統率力でまとまっていた。
 パイロットすら有さなくなったオブリビオンマシンの悪意に支配され突き動かされているゆえに、ある意味では当然である。
 そう、あれらは害虫だ。イオリにとっては見知った、庭を荒らす害虫。
 であれば対処は容易い。やることは、園芸委員長としての日々の仕事とそう変わらないのだ。
 ……私立新世界学園、平和を目指して武力介入する極めて特殊な学園国家の"生徒"らしい、合理的でイレギュラーな思考だった。

 そうしてイオリが選んだのは、"T3-三八"ヒアブリ"による、焼滅。
 飛行船を誘爆させ、落下したところに追い打ちのナパーム弾を叩き込む。
 鋼鉄と言えど火薬を満載した兵器だ、引火すれば爆発が新たな爆発を起こす。
 ここは市街地だった……しかしもう、ここには民間人も兵士もいない。
 無人兵器の群れを相手にして、いまさら火力を容赦する必要もない。
 ……なにより"あれら"は、所詮ただの害虫である。
「害虫駆除は、徹底的にやらないとあとで泣きを見るからなあ」
 イオリは他人事めいて、あるいは戦場に相応しからぬ当たり前といったふうに言うと、次の焼夷弾を装填し、そしてそこら中にばらまく。
 炎が燃えている。まるで、罪人を洗い浄める煉獄の業火のように。
 いのちなき野を鬼が征く。それは、この世ならぬ恐ろしい風景にも視えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

美聖・らふる
…………火力を求める。
それは、わかります、ミーゼと、ミゼラブルの設計コンセプトも、そう、ですから。
だけど、それは…………。
戦いを、終わらせるための、力であって。
ただただ、意味なく、追求することに……。
多分、何の意味も、ありません。
だって…………殺して、壊すためだけの、力なのだから。

引き続き、出力50%。
対象を広域範囲に設定。無人機を一掃します。
最終決戦に備えて、威力を絞って、身体への負担を最小限に。
……コード:ユースアネイジア。
“メガデス”、発射。

新世界学園所属機各機。
直ちに射程圏内から退避してください。


薄氷・ジゼル
【新世界学園】の生徒として参加。他の参加者様との絡み、描写、台詞の追加やユーベルコードの使用等、なんでも歓迎です。


……ぞろぞろと雁首を揃えて、結構なことね。
ご丁寧に無人機を用意してくれたのなら、躊躇する必要もないわ。
さぁーー雨女らしく、濡らしてあげる。


【聖霊降臨祭】を使用。鉄板を穿つほどの豪雨で戦場を満たし、その場を深い深い水の底へと変貌させるわ。
地を這う戦車に宙を舞う飛行船。水底への適応力なんて、最早言うまでもないわね。
当然、水の中はルサールカのホーム。息つく間もなく、消し去ってあげる。



●炎と水の賦(うた)
 猟兵たちとオブリビオンマシンの距離は、いよいよ縮まりつつあった。
 しかしその行く手を阻むように、最後の無人機動兵器群が立ちはだかる。
 飛空船、戦車大隊、自動砲台群と無人量産型キャバリアの群れ。
 それらを襲ったのは砲火――ではなく、絹糸めいた細い雨だった。
 戦場に雨が降る。ただしそれは、決してただの雨水などではない。
「……ぞろぞろと雁首を揃えて、結構なことね」
 ざあざあと降り注ぐ雨は、この世ならぬエーテルで編まれし水の糸。
 いつの間にそこに居たのか――雨のなか、蜃気楼めいて揺らめく陰ひとつ。
 薄氷・ジゼルの駆る魔性の妃、ルサールカがそこに佇んでいた。
「ご丁寧に無人機を用意してくれたのなら、躊躇する必要も手加減も要らないわ。
 さぁ――雨女らしく、濡らしてあげる。ルサールカの舞を、とくと見なさい」
 BRATATATATATA――無人機動兵器群の放った砲火がルサールカを襲う。
 だがエーテルの雨に守られたルサールカにとって、ここは水底と同等。
 つまりは魔妃の独壇場である。弾丸が、白磁のボディを貫くことはなかった。
 まるで瞬間移動でもしたかのように、その姿は一瞬で消えている。

 ……右舷。最初からそこにいたかのように、ルサールカは間合いを詰めていた。
 量産型キャバリア部隊がブレードを構えようとする――遅い。
 ほとんど地を這うように姿勢を低くしたルサールカが踏み込み、そして蹴り上げ。
 無人キャバリアの肩口が切断され爆散し、そしてくの字にひしゃげた。
 ルサールカの格闘によって、腰部ユニットを破壊されたのである。
 ならば空を低速で飛ぶ飛行船はどうだろうか……残念ながら、これも同じこと。
 水底と化したこのフィールドで、ルサールカより高い適応力を持つ個体は居ない。
 空を飛ぶなど、この場においては少し上を泳いでいるようなものだ。
 ルサールカは地を……海水を蹴り、雨水の中を昇るようにして舞い踊った。
 飛空船はあっさりと叩き落され、戦車隊を巻き込み盛大に爆発する。

 雨は降り続ける。
 だが戦場に訪れたのは、水だけではない――そう、炎がやってきた。
「あら」
 そのフォルムを認めたルサールカ=ジゼルは、少し意外そうに声をあげた。
 それは、水底に似つかわしからぬ機体。だがたった一騎で戦局を変えうるもの。
 炎をもたらすもの。すなわち、聖・らふるが駆る破滅の先触れ、"ミゼラブル"。
「メガリスドライブ、出力50%。対象を広域範囲に設定」
 ガコン――と音を立て、冷却を終えた殲滅砲塔が無人機動兵器群に向けられた。
 威力は最小限に。狙うべき、滅ぼすべき敵はこの群れの先にこそいる。
 この距離ならば、出力を開放すればオブリビオンマシンに届かせもしよう。
 しかしそうすれば、友軍はもとよりこの市街地一体が焦土になりかねない。
 ミゼラブルは……"メガデス"は、それほどの熱量を秘めている。
 それでは、意味がない。らふるは、新世界学園の生徒たちは、けして絶滅を求めてここへ来たわけではないのだ。
 それは、ジゼルも同じ。彼らの目的はひとつ――恒久的な平和のみ。
 無用な戦乱をもたらすオブリビオンマシンを滅ぼし、小国家同士が争うこの世界の戦乱そのものを永遠に否定し、そして断ち切る。
 そのために若者たちは戦う……個々にいかなるものを抱え、思っていたとしても、その点が揺らぐことはない。彼らはそのために集められ、育ち、鍛え、そして戦う若者たちなのだから。
『新世界学園所属各機に告げます。直ちに、射程圏内から退避してください』
「……見えるすべてを薙ぎ払おうだなんて、乱暴なものね」
 女王めいて破壊を振りまいていた当人とは思えぬ冗談を口にして、ジゼルはふわりとバレリーナのように舞い、"メガデス"の射線上から離れた。
 回避と攻撃は一体だ。射線上から脱そうとした敵機への追撃も込めている。
 ルサールカは獲物を逃さない。水底に絡め取られた獲物を絶対に逃すことはない。
 逃れようとするものは白き刃に貫かれ、
 立ち向かおうとする者は炎に飲まれる。
 ふたりがここに来た時点で、敵に選択肢などない。
「コード:ユースアネイジア」
 そして、
「――"メガデス"、発射」
 炎が、すべてを洗い流した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『Fortress』

POW   :    要塞からの火力支援
【背部に背負った多連装ミサイル】が命中した対象に対し、高威力高命中の【同じく背部に背負った主砲】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    要塞への接近阻止
【足の間】から【重機関銃の乱射】を放ち、【弾幕】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    要塞による掃討
【両腕のグレネードランチャー】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠フォルティナ・シエロです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●アムニ工業帝国深奥:仮設機動要塞
 重装甲、超火力を突き詰めた先にぶつかる命題――それは、大きさだ。
 装甲を重ねれば重ねるほど、兵器のサイズは巨大にならざるを得ない。
 火力も同様。実弾であれエネルギー兵器であれ、威力とサイズは比例する。
 つまりそのふたつを追い求めることは、兵器の巨大化を招く。
 核でも傷つかない装甲を実現するためには、どれだけの巨大さが必要だろうか。
 大地の彼方まで焼き払う兵器を行使するには、どれほどの大きさが要る?
 そのためには物資が足りない。エネルギーが足りず、時間もない。
 アムニ帝国開発部は、長い間そのアンビバレントな問題に苦悩してきた。
 キャバリアを巨大化させることは出来ない……それこそ非合理の極みだ。
 しかし、キャバリアでなくば兵器としては劣る。一体どうすれば。

 ……やがて帝国開発部は、ひとつの結論を出した。
「ならば、キャバリアを重装甲で包み込み、キャバリアによって行使される超火力の塊を生み出せばいいのだ」と。
 それは机上の空論、物資的にも金額的にも、時間的にも技術的にも達成不可能な狂気のアイデアだった。
 しかし彼らは挑戦した。挑戦なくしてイノベーティブはありえないゆえに。
 市街地に偽装して隠されていたのは、そんな夢の残骸――つまり。
 未完成の巨大機動要塞。その雛形が、隠蔽されていたのだ。

 仮に完成させたとしても、機動要塞は動くはずがなかった。
 しかしここに、オブリビオンマシンという"x"が加わってしまった。
 見よ。ビル群を薙ぎ払いながら立ち上がる、馬鹿げたサイズの要塞を。
 大地にそびえ立つ柱のごとき四つの脚部から生えた、無数の砲塔。
 機動要塞の周囲には、浮遊砲台や自動迎撃ドローンが防衛戦力を担っている。
 これらはすべて、同化・接続・増幅したオブリビオンマシンによって行使される。
 いわば外付けの鎧であり、砲台であり、そして手足だった。
「ア、ア……」
 技術士官のひとりが、泣いていた。
 夢が。実現不可能だと諦めて放棄された夢が、そこにあった。
「ア……アムニ、ヤッタ……アムニ、ヤッター!!」
「アムニ」
「スゴイ」
「アムニ」
「ツヨイ」
「「「アムニ! アームニアムニ! アムニヤッター!!」」」
 やがて彼らはバンザイ合唱していた。
 それが国土を焼く破滅の塊だと気付くには、喜びが勝りすぎていた。

 クロムキャバリアにおいて、キャバリアに勝る兵器はない。
 だがいまこの瞬間、オブリビオンマシンの狂気が機動要塞を実現した!
 中枢に潜むマシン『Fortress』を破壊するため、機動要塞『エクサベース』に挑め!

●プレイング受付期間
 2020/11/02 17:59前後まで。
支倉・錫華
机上の空論も、未知のファクターが加われば、ってことなのかな。
でも、巨大化すれば火力は上がるだろうけど、隙も大きくなるんだよね。

要塞は外から攻撃しても倒せないっていうのがお約束だからね。

アミシア、潜入して中枢を爆破してくる。
逃げ回っていいから、外の砲台やドローンを引きつけておいて。

キャバリアで要塞の側まで近づいたら、
機体はアミシアに任せて、わたしは爆薬を持って要塞の中へ潜入しよう。

中にも防衛システムはあるだろうけど【九芒真空輪】でスライスしていくよ。
【迷彩】で【闇に紛れ】て中枢までたどり着いたら、
【封印を解】いて爆薬をセット。内側から破壊させてもらっちゃおう。

あ、アミシア。脱出時は助けにきてね。



●突入
 立ち上がった巨大要塞『エクサベース』が、全砲門を開いた。
 そして始まったのは、先の無人機動兵器群など比較にならない殲滅弾幕である。
 当然、流れ弾が市街地を、あるいは工業地帯をも焼いていく。だが、
「アームニ! アームニアムニ! アームーニ!」
「アムニ! スゴイ! アムニ! ツヨイ!」
「毅くて大きい! やっぱりこれが一番なんだ!」
 ……と、頭のネジの外れた技術士官たちは大はしゃぎだった。
「まるで欲しかったおもちゃを与えられた子どものようだね……いや、そのままか」
 いっそ笑いがこぼれそうな馬鹿騒ぎを遠くに見やり、支倉・錫華は言った。
 事態の恐ろしさに気付いて消火活動や救助活動に勤しむ臣民も少なくはないが、
 あの機動要塞の存在そのものが、この国のイカれた思考を形にしている。
「アミシア、このまま全速力で懐に入り込む。そしたら機体制御は任せるよ。
 わたしが内部に潜入して、キャバリアを直接叩けないか試してみるから」
『了解しました』
 錫華はひとつ頷き、隙間も存在しないような弾幕の中へと飛び込んだ。
 機動要塞の周囲を浮遊していたドローンが反応し、キャバリアを包囲する。
「巨大化すれば、それだけ隙も大きくなるっていうのがセオリーだけど……!」
 オブリビオンマシンが中核となっているせいか、索敵システムはかなり厄介だ。
 錫華はドローンを撃墜し、キャバリアを爆散せしめる対地ミサイルを回避。
 足を止めたらその場で塵も残さず吹っ飛ぶだろう。もはや一個の国じみている。
「この戦いが終わったあと、この国は存続していけるのやら……ま、いいか」
 それはキャバリア乗りが気にするところではない。錫華はシビアに考える。
 砲台をひとつふたつ破壊してみるが、すぐに焼け石の水だとわかった。
 とにかく接近を第一に考える。ついにガトリング弾が装甲を掠めた。
「こんなところで、落ちるつもりはないんだよね……!」
 錫華はアンサーヒューマンとしての潜在能力を引き出し、弾幕を掻い潜る。

 ……接敵から数分後、錫華は無事に内部への突入を果たした。
 今日ほど、諜報員として訓練を受けていて思ったことはない。
 ただのキャバリア乗りであれば、生身で要塞に乗り込むようなことは出来まい。
 錫華の予想通り、エクサベース内部にも防衛システムが鎮座していたのだ。
「……アミシア、うまくやってくれてるといいんだけど」
 パートナーの技量をいまさら疑いはすまいが、不安は鎌首をもたげる。
 あまり時間をかけていられないだろう。錫華は音もなく滑るように駆けた。
「机上の空論は、理想論のまま消えてもらわないとね」
 立ちはだかる防衛ドロイドを一瞬で輪切りにしながら、錫華は呟いた。
 形になってはならない夢というものもある。特に兵器に関してはそうだ。
 爆炎が照らした少女の姿はすぐ闇に消え、気配は奥へと去っていった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レパル・リオン
ホントにデカい!強くて悪そうね!
だけど、スーパーヒーローは諦めない!

悪の大ボスらしい超スーパー火力だけど、よく見たらどれもこれも遠距離武器!ビームとか出ないみたいだし、やりようはあるわ!
この手の相手は恐れず突っ込み、懐に入るのが吉!
ここが踏ん張りどころよ、ブラッディチョップちゃん!

とにかく全力で走り抜ける!最小限のカーブ機動とオーラをまとった手足での裏拳防御でスピードを落とさずに砲撃に対応!猛スピードで突進加速!まるで落下するかのような真横への飛び蹴りー!弾ごと全部吹っ飛ばす必殺技!
いっけぇー!キャバリア・カミカゼキックだぁー!

巨大要塞がなんぼのもんよ!
あたしたちは、世界を救うイェーガーよ!



●スルー・ザ・バレットストーム
「イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ!」
 砲声弾火の中に響き渡るは、ゼンめいた鋭いカラテシャウト。
 見よ。嵐の如き弾幕を、文字通りチョップで切り開く燃える影を。
 レパル・リオンの駆るブラッディチョップは、いまや一陣のカラテ烈風の如し!
「ホントにデカくて強くて悪い! いかにも悪の大ボスらしいはね!
 だけど、スーパーヒーローは諦めない! どんな相手でも絶対に!!」
 たかが一機のキャバリアが、なぜエクサベースの弾幕を切り抜けられているのか?
 ……カラテだ。カラテである。すべてはカラテなのだ。
 魔法少女のマジカルパワー、すなわちエテルを纏った手足で、弾丸を撃ち落とす。
 あまりにもシンプルな理屈……いや、理屈とすら呼べまい。
 実現不可能な絵空事をすら現実にする、それが猟兵であり……!
「イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ!」
 それが、魔法猟兵。悪のオブリビオンを打ち倒す、正義のヒーロー!
 レパルの目が燃える。もはや彼女とブラッディチョップは一心同体だった。
 レパルがブラッディチョップであり、ブラッディチョップがレパルなのだ。
 キャバリアの目はレパルの目であり、キャバリアの拳はレパルの拳。
 思考と駆動のタイムラグなしの同時稼働、トモエめいた共鳴状態である!
「イイイイイヤァアアアアーッ!!」
 跳んだ! レパルは砲弾をチョップで真っ二つにし、残骸を足場にジャンプ!
 垂直ジャンプしたレパル機を、無数の対空機銃が襲う。しかし!
「イイィーヤヤヤヤヤヤヤヤッ!」
 レパルは高速でスピンし、手足に纏ったオーラを礫めいて飛散させた。
 飛散したオーラ弾が機銃弾を相殺し爆散、その煙の中から赤黒の影が降り立つ!
「いっけぇー!! キャバリア・カミカゼキックだぁー!!!」
 そして落下速度を跳躍加速を累乗した横殴りに蹴りが、エクサベースを直撃!
 巨体が……傾ぐ。揺らぐ! たかがキャバリア一機のカラテだ!
「ナンデ!? エクサベースは無敵だ! 無敵なんだ!」
 状況を見守っていた技術士官が、悲鳴じみて叫んだ。
 オブリビオンマシンがどうとか、国土がどうとかは頭から抜けている。
 夢に見た機動要塞が立ち上がったのだ。それを、ただのキャバリアが!?
 否、それはただのキャバリアではない。ただの猟兵でもない。
 魔法猟兵、レパル・イェーガー! 燃えるチョップは血潮の赤!
 五体に満ちるカラテが巨大なるシステムを破壊する、一筋の流星となったのだ!
「巨大要塞がなんぼのもんよ! あたしたちは――世界を救うイェーガーよ!」
 レパルはカラテを構え、降り注ぐ無数の弾丸とドローンを迎え撃った。
 一撃で届かぬなら十のキックを、それでも駄目ならば千のチョップをすべし。
 悪を倒すまで諦めずに立ち向かう、それがヒーローの戦いなのだ!

大成功 🔵​🔵​🔵​

月凪・ハルマ
オブリビオンマシンのお陰で問題の大部分が
解消されたか――また面倒な

◆SPD

……正直こういう手は使いたくないけど

前章で乗り込んだキャバリアに再度【ハッキング】
無人でも行動するように設定して囮として使う

自身は戦闘前にキャバリアから降りて、【目立たない】様に
【錬成カミヤドリ】で宝珠を複製。それら一つ一つに
よく手裏剣で使ってる爆薬をくっ付けて、さらに【迷彩】で
周囲の景色に溶け込ませ、そのまま待機させておく

後は囮のキャバリアと共に敵に戦闘を仕掛ける
とはいえ俺は【情報収集】しつつ、回避重視で動くけどね

敵の攻撃を回避しつつ、隙を見て爆薬付き複製宝珠を
各砲塔やミサイルポッド等の誘爆を狙えそうな箇所を狙って発射



●影から影へ
 月凪・ハルマが奪取したキャバリアは、形式番号ATL-047『カタクラフト』。
 重騎兵(カタクラフト)の名が示す通り、このマシンはひたすら動きが遅い。
 アムニのキャバリアは『重装甲の弊害として機動力が下がる』パターンと『重装甲と高機動を実現するため燃費が最悪になる』パターンのふたつに分けられるが、これは前者に当たるだろう。
 囮にするには最適なタイプのキャバリアであり、ハッキングも簡単だった。
 すでにオブリビオンマシンによって、システムが汚染されていたためだ。
「これでよし……っと」
 前準備を終えたハルマは、キャバリアが動き出すと同時に機体から脱出。
 カタクラフトは自前の大型シールドと対弾幕エネルギーフィールドを展開した。
 このマシン、厄介なことに搭載火器の射程が恐ろしく短いのである。
 そのため、絶対に敵に近づけるようひたすらに継戦性能を高められていた。
 弾幕がキャバリアを出迎える。驚くべきことに、正面から受けて耐えている。
「今回ばかりは、この国のイカレっぷりに感謝……いや、それはないな」
 ハルマは考え直した。なにせ敵の武器になった"あれ"もこの帝国謹製である。
 どちらもさっさと壊れてしまえばいい、と考えたハルマを責められはすまい。
 ともあれカタクラフトは勇猛果敢に前進する。囮となるために。

 ハルマはキャバリア乗りではない……ゆえに兵器を過信していなかった。
 この状況で彼が頼みとしたのは、使い慣れた道具、そしてユーベルコード。
 複製した宝珠に爆薬を取り付け、ステルス化して待機させていたのである。
「数の勝負なら、こっちだって負けるつもりはないよ」
 ハルマはカタクラフトの影に隠れ、各砲塔の配置と構造をチェック。
 弾幕が途切れた一瞬を狙い――爆薬つき宝珠を猛スピードで"発射"した。
 KBAM!! 着弾と同時に砲塔が爆散する。ひとつ、またひとつ、またひとつ。
 焼け石に水ではある。しかし、雨垂れ石を穿つという言葉もある。
 あちらは有限。対してこちらは術式を維持できる限りはほぼ無限である。
「……でもやっぱ、造られたモノを盾にするのは、心が痛むな」
 どれだけ狂った連中が製造したとは言え、兵器そのものに罪はあるまい。
 ヤドリガミとして、ガジェッティアとして、カタクラフトを囮にすることに心が痛んだ。
 物言わぬ重騎兵はただ愚直に前に進む。壊れながらも止まることなく。
 そこには一種の美があった。いわば、破壊の美が。
「……どうせ頑丈なもんを作るなら、次からもう少し人の役に立つようにしてほしいな」
 ハルマのつぶやきは、絶え間なく響く爆音にかき消され誰にも聞こえない。
 戦いは続く。これもまた、一つの戦乱の形とでもいうべきか……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カイム・クローバー
要塞攻略かよ。面白い事してくれるじゃねぇか!ハッ、『歓迎の用意は出来てます』ってか?良いね!それじゃあ――デカイガラクタからのアンコールに応えるとするか。

【操縦】でブースターを全力で吹かし、ミサイルの雨を両手のライフルで撃ち落とし掻い潜りながら充分な距離まで接近。
UCを発動させ、全力で地を蹴る。――狙いは一点。背部に背負った主砲の発射口。
回収しといて良かったぜ。限りある装備は無駄にしちゃいけねぇな。
先程ぶん投げた剣を再び【投擲】。発射口にぶち込む!後は主砲を誘導してやれば良い。内部でドカンだ。

超火力、重装甲。攻略に一本の剣ってな。
これからデかい鉄屑が出て来るぜ。ゴミ箱も相応なの、用意しとけよ?



●ウェルカム・トゥ・クレイジー・パーティー
 もはや、この国全土が戦場とでも言うべき有様だった。
 国土を護るべき防衛隊の戦力は削がれ、機動要塞が王の如く君臨する。
 そしてあらゆる兵器を寄せ集めたエクサベースの射程は、国家をカヴァーする。
 いわんや、立ち向かう猟兵たちなど、巨象の前のアリも同然である。
「……ハハッ、面白いことしてくれるじゃねぇか。ノってきたぜ!」
 だがカイム・クローバーは、命の危険がもたらすスリルを心から楽しんだ。
 この男は、平穏無事な日常を過ごせるタイプの人間ではない。
 生きるか死ぬかの瀬戸際――そんな空気にこそ生を見出すタイプなのだ。
 本当にどうしようもないろくでなしだ、と彼は心のなかで自嘲した。
 けれどもはや、性分は変えられそうにない。となれば……。
「さあ、盛大に歓迎してくれよ! Black Jackと踊ろうぜ!!」
 心の底から、この戦場のスリルを愉しむことだけだ!

 背部ブースターが悲鳴をあげる。リミッターを超えた限界レベルの噴射。
 カイムは急激な加速Gでコクピットシートに体を押し付けられた。
 並のパイロットでは、このGに耐えきれず意識がブラックアウトしているだろう。
「…………ッ!」
 カイムはその強靭な生命力と鍛え上げた肉体の頑健さで、重力に耐える。
 出迎えるのは無数のミサイル。噴煙がサーカスめいて美しい軌道を描いた。
「こんなところで堕とされちゃ楽しくねえよなぁ!」
 カイムはスラスターを噴射し、ほぼ直角に軌道を変えてミサイルを回避。
 少なからぬ数の弾頭が急カーブしてカイムの機体を追尾する。だが遅い。
 BRATATATATA……KRA-TOOOM!! ライフル弾で撃墜されたミサイルが派手に燃える。
 爆炎の逆光を浴びながら、カイムはL時の軌道を描いて再びまっすぐ加速!
「回収しといて、よかったぜ……!」
 急激な軌道変更による重力負荷がかかり、カイムは口から一筋血を吐いた。
 途切れかかる意識を意志力のみで繋ぎ止め、敵主砲を睨みつける。
 ライフルを投げ捨て、代わりに構えたのは……回収したキャバリア用実体剣!
「限りある装備は、無駄にしちゃいけねえよ――なッ!!」
 投げた! 加速によって得た速度を乗せ、実体剣を主砲めがけ投げた!
 スペースシャトルの多段加速めいた累乗倍のスピードで、刃が空を切り裂く。
 音を超えた剣はまっすぐに主砲に吸い込まれ――KRA-TOOOOM!!
 紫雷を纏った爆炎が四方に花弁を広げる。主砲内部に剣が直撃したのだ!
「どうだい? 超火力、重装甲。攻略に一本の剣ってな」
 浮かれていた技術士官たちは、さぞかし臍を噛んていることだろう。
 カイムは息を整えながら、司令部に挑発的通信を入れた。
「これからデカい鉄屑が出てくるぜ。ゴミ箱も相応なの、用意しとけよ?」
 カイムの口元には不敵な笑み。これが、伊達男の生き様だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

才堂・紅葉
「呆れた連中ね。ここまで来ると逆に感心しちゃうわ」
迦楼羅王に騎乗し排熱マフラーをたなびかせる
行き着く果てを見てみたくもあるが、ここで止めないと不味い
一国だけで終る話ではなくなるからだ

「その情熱に対し、せめてもの礼儀ね。加減はなしよ」
赤髪を揺らめかせ、迦楼羅王も赤金の焔を纏う
紋章を通じ奈落門の【封印を解く】
鳴り響く警告は【気合】で黙らせる
「やかましい!」

最奥から染み出る天文学的質量由来の超重力を纏い、空間の歪曲で弾幕を弾いて接近をはかる【オーラ防御】

「辞世の句は何かある?」

ギロチンめいて踵を振り上げ、一瞬の静止
踵を基点に超重力場を展開し、渾身の踵落しを狙う【属性攻撃、重量攻撃、捕縛、結界術】



●狂熱の果て
 オブリビオンマシンを破壊せねばならない理由。
 それは、オブリビオンマシンが『無益な狂気』を撒き散らすからだ。
 選民思想、破滅的な革命思想、はたまたただ殺戮を求める衝動……。
 オブリビオンマシンに魅入られたパイロットは、必ず狂気に侵される。
 誰にとっても、当人にとってすら益のない狂気が、戦乱を加速させるのだ。

 だとすれば、この国の臣民たちの過激思想はどうなのだろうか?
 言ってしまえば彼らは、「より強い兵器を作りたい」だけ……ではある。
 どこか子供じみた無邪気な好奇心……それは一見微笑ましくもあった。
(呆れた連中ね。ここまで来ると逆に感心しちゃうわ)
 と、才堂・紅葉が考えたのも当然のことだろう。
(……どこまでやれるのか、行き着く果てを見てみたくもあるけれど)
 どんな方向性であれ、心から何かを愉しむ人間は美しい。
 どんな成果物であれ、何かを生み出そうとするのは素晴らしい。
 紅葉はふと興味を覚え――しかし、その他愛もない興味をシャットアウトした。
「――それでも、ここで止めさせてもらうわ」
 彼らの狂気はオブリビオンマシンがもたらすのとは別のものだ。
 どうなったとしても、彼らは利益を得るし楽しんでしまうのだろう。
 だからここで止めなければ、もはや一国の問題では終わらなくなってしまう。

 紅葉が覚悟を決めるのと同時に、迦楼羅王が各部から蒸気を噴き出した。
 排熱マフラーが戦場の風にはためく。迎え撃つのは機械じかけの神。
「その情熱に対し、せめてもの礼儀ね――加減は、なしよ!」
 ドウッ!! と各部のバーニアが噴射され、迦楼羅王が加速する。
 そのボディを赤金の焔が覆い、紅葉の紋章が光り輝いた。
 レッドアラート、レッドアラート、レッドアラート……コンソールを殴りつける!
「やかましい!! こんなモン相手にリミッターなんて自殺も同然でしょ!!」
 加速。
 加速。
 加速――比して、迦楼羅王は脅威的なレベルの超重力を纏う。
 局所的特異点すら生じさせかねない超重力は矛にして盾、弾幕を弾くバリアだ。
 ミサイルやガトリング砲は不可解な軌道を描いて、四方八方に散る。
「辞世の句は何かある? ――なんて、オブリビオンマシンに聞いても無駄か」
 主なきマシンはただ弾幕をばらまく。紅葉は嘆息し、ボディを蹴って跳躍。
 ギロチンめいてかかとを振り上げ、空中で静止――そして不可解な加速!
「ハイペリア重殺術――奈落門(アビスゲート)ッ!!!」
 落陽の一撃が、破滅的重力を伴って巨体に叩き込まれる――!!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ティー・アラベリア
重装甲・重火力のお次は機動要塞と来ましたか!
この国は本当に、まったくもって、どうしようもなく素敵ですね☆

敵の多様かつ多層的な攻撃は恐るべき脅威ですが、武装の豊富さなら負けませんよ☆
敵の攻撃を、二種類の魔導波探信儀及び火気管制機構と連動させた全魔杖と防御精霊をもって迎撃しちゃいます!
なにごとも、火力で解決するのが一番と、ボクに導入されている戦闘教義も申しております♪

要塞への攻撃は90式の爆縮破砕射撃をもって行います。
1発の射撃では小揺るぎもしないでしょう。
1発でダメなら10発。それでもダメなら100発を同一箇所に撃ち込むまでです♪
装甲に綻びが見えたら、UCを使用した全力の一撃をお見舞いしますね☆



●ワンハンドレッド・ブレイク・ブレイク・ブレイク
 BRATATATATATA……BRATATATATATA!
 エクサベースに搭載された無数の砲門が、たったひとりを付け狙う。
 しかもそれはキャバリアですらない、生身の――厳密には違うが――人間だ。
 ティー・アラベリア。けらけらとクラウンめいて笑うあどけない少年。
 見た目にそぐわぬ破壊力と魔力をその身に秘めた享楽的ミレナリィドールは、
 心の底からおかしそうに、ころころと鈴めいて笑いながら舞い踊っていた。
 舞いとしか表現出来ない幻惑的かつ合理的な、空中機動である。
「重装甲、超火力のお次は機動要塞ですか! いやー派手派手ですねえ!
 しかも自分の国が焼かれてるっていうのに、あーんなに嬉しそうにして~」

 アムニ! ユエニ! アムニ! イチバン!
 アームーニ! アームーニ! アームニアムニ!
 アムニ! ツヨイ! サスガのアムニ! ワレラのアムニ!

 ……狂喜した技術士官たちのバンザイ合唱が、木霊していた。
 自国が焼かれているとか、制御不可能だとか、そんなことはどうでもいい。
 夢が。諦めたはずの夢が目の前で実現しているのだから!

 ……そんなアムニ帝国の民を見て、ティーは笑っていた。
「この国は本当に、まったくもって、どうしようもなく素敵ですね☆」
 ハイテンションのまま周囲の魔杖を集合させ、魔力の障壁を展開、弾幕を防御。
 鏃のような鋭角型に障壁を変形させると、空気を切り裂いて前へ滑った。
「何事も火力で解決するのが一番、ですよねぇ? ボクの戦闘教義も同感です♪」
 BRATATATATA!! 対空機銃、さらに榴弾砲とミサイルの同時攻撃。
 ティーは魔杖からレーザーを放って、ミサイル群を空中で爆発させる。
 目には目を、歯には歯を。圧倒的火力には、圧倒的火力で対抗すべし。
 巨大要塞を相手にたったひとりで抗う、なんたる殲滅力か……!

 しかし恐るべきは巨大要塞エクスベース、アムニ帝国の結晶たる重装甲か。
 これまでとは比較にならない超質量を誇る要塞は、魔杖の収束攻撃でもびくともしない。
 絶体絶命か? 否、ティーの笑みはむしろ深まるばかり。
「1発の射撃でダメなら、10発。それでもダメなら!」
 魔導炉全力稼働。溢れ出した魔力がオーラめいて空気を濁らせた。
 魔杖の先端が一斉に輝き、まるでティーを照らすスポットライトのようだ!
「100発、1000発! 壊れるまで何度でも何度でもぶちこんでさしあげます☆」
 光は柱のように極太の奔流となり、不壊の装甲に濁流めいて叩きつけられた。
 どちらが先に破壊するか。これは、男の意地めいた張り合いだ!!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーザリア・シン
妾がこの国に共感するのはな、インカーナダイン
どこまでも自分勝手で、どこまでも自己陶酔的で、どこまでも稚気じみておるからだ
そうだ これがヒトだ
妾とそなたが愛する命の、これもまた本質なのだ
それでよいのだ たとえ決定的に愚かであろうとも…
…だからこそ、オブリビオンは許せぬ
アレは祈りを歪める
許されざる罪だ
故に唱えよ
滅びの聖句を

――右腕スティグマ・ドライバ共振
私は神ではありません 故に善悪を断じません
私は人ではありません 故に好悪を判じません
私は騎であるがゆえに 掌に滅悪を宿しました
あなたは魔の夜に栄え 赤がねの朝に消える夢
我らとともに
滅びて果てよ
(装甲の間に自爆覚悟で突っ込み、破壊します)



●ヒューマンズ・エゴイスティック
『……インカーナダインよ』
 弾幕をきりきり舞いで回避する"インカーナダイン"に、声が響く。
『妾はな、この国に共感しているのだ。そう、どうしようもないほどに』
「共感ですか」
『そうだ』
 銃声と砲音、爆炎と硝煙。隙間すら存在しない破滅の弾幕。
 ユーザリア・シンは遠い目をして言う。まるで深窓の令嬢めいて。
 インカーナダインが被弾して堕ちれば彼女も死ぬ。当然のことだ。
 だが恐怖はない。するはずもなし。心に去来するのはむしろ……。
『どこまでも自分勝手で、どこまでも自己陶酔的で、どこまでも稚気じみた国。
 理解など出来ぬ、だが納得は出来る。何故ならば――これが、ヒトだからだ』
 機銃が装甲を掠める。
 榴弾が視界を灼く。
 ミサイルが逃げ場を奪い、ガトリング砲が真紅の装甲を削り取った。
「…………」
『妾とそなたが愛する命の、これもまた本質なのだ』
「この、愚かで救いようもない狂った熱がですか」
『そうだ。否――"それでよい"のだ。決定的に愚か"だからこそ"意味がある』
 ヒトは、愚かだ。
 同じような間違いを繰り返し、同じ種で諍い、奪い合い、殺し合う。
 一時の感情で悔い改めたようなふりをしておいて、一時の感情でまた誤る。
 取り返しのつかない行為を重ねに重ねた山、それを歴史と人の言う。
 ヒトは愚かなのだ。タロットに暗示された愚者のように、行く先すらも知らぬ者。
 ユーザリアはそれを知る。
 インカーナダインもまた、識っている。

 だが――否、"だからこそ"。
『ヒトはそのエゴゆえに、時には神をも殺してみせる』
「ヒトはその意思ゆえに、時には魔をも超えてみせます」
『そうだ。それが祈りなのだ。……"あれ"は、その祈りを歪める』
 オブリビオンマシン。過去より蘇り、無益なる狂気をばらまくもの。
 狂喜ではなく狂気。それは何も生まず、何も築かず、何も遺さない。
『許されざる罪は滅ぼさねばならぬ』
「……それが私の存在意義。存在理由」
『ならば唱えよ。ゆえに唱えよ――滅びの、聖句を!』

 砲煙弾雨のなかで、インカーナダインは足を止めた。
 弾丸が、砲火が、爆炎が、その装甲を焦がし、削り、滅ぼそうとする。
「――右腕、聖痕滅殺機関(スティグマ・ドライバ)共振」
 右腕が不穏に嘶いた。

「私は神ではありません」
『ゆえに、善悪を断じず』
 インカーナダインが腰を落とした。右掌周辺の空気が凝る。

「私は人ではありません」
『ゆえに、好悪を判じず』
 ユーザリアの聖痕が滅殺機関と共鳴し、赤く燃え上がった。

「私は騎であるがゆえに」
『その掌に滅悪を宿せし』
 燃えている。
 インカーナダインは、真紅の瞳となって燃えるように輝いていた。

「あなたは魔の夜に栄え、赤がねの朝に消える夢」
『そなたは昼の光に佇み、黒ぐろの夜に挑みし鋼】

 眼光が煌めく。

「祈りを歪めし邪悪よ」
『ねがいを砕く過去よ』

「『――我らとともに、滅びて果てよ!!』」
 真紅の瞳が加速した。
 弾丸を弾き、砲火を払い除け、爆炎を切り裂いてまっすぐに!
 赤がねに輝く右腕が示すは聖痕の業。過去を滅却せし血殲秘蹟!
「『聖痕滅掌(ブラム・ストライク)――!!』」
 自爆をも厭わぬ破滅の一撃。
 滅殺の誓言は力ある光となりて、愚かなる巨躯を呑み込むほどに輝いた――!!

大成功 🔵​🔵​🔵​

アイリス・レーヴァテイン
「敵機、巨大機動要塞化ーー破滅的存在への昇華を確認。厄災と認定。敵機機能停止まで、現有戦力の制限解除申請ーー否決……仕方、ないです」

【盾受け】を用いて外殻装甲でグレネードランチャーを防御。
外殻装甲大破と同時に爆砕ボルトを点火し、向上した回避力を【推力移動】で更に強化し、敵機の懐へ潜り込み、【神罰】、【焼却】を纏い、鎖の封印を一つ解除したU-001 Lævateinnで攻撃します。

「火力、火力、火力。焔を望むか。愚かなり。原子の焔に耐えたとて、原始の焔に耐えられる道理無し。此は九界を焼き払う終末の焔。その一欠片なれば。火を点してやろう。望むがままに。受けよ。時■■■砕■■(レーヴァテイン)!」



●その炎、九界を滅ぼしてなお
「敵機、巨大機動要塞化――」
 猟兵の攻撃によって、その強固な装甲を害し始めたエクサベース。
 やつはなおも自己増幅・兵器同化能力を発動し、自己を"拡大"しつつあった。
 その圧倒的火力でアムニ重工業帝国の国土を焼きながら、残骸を吸収し、
 いわば鋼の海めいた速度で、何もかもを取り込もうというのだ。
 なんたる強欲、なんたる無益さ。まさしく、オブリビオンにふさわしい。
「破滅的存在への昇華を確認、厄災と認定。
 敵機……敵性存在機能停止まで、現保有戦力の解除を申請――」
 アイリス・レーヴァテインは、ダメ元で、上層部への解除申請を試みた。
 彼女の駆るLægjarnは、その忌まわしき過去から高度な封印が施されている。
 あの暴走を繰り返してはならない。一度起こした災いほど人は強く恐れるもの。
「……――否決」
 予想通り、その結果はネガティブなものだった。
 アイリスの無表情がわずかに揺らぐ。呆れ、あるいは諦め。
 こんな状況になってすら、人は恐れを捨てられない。いや、それも当然か。
 もしもLægjarnが再度暴走すれば、事態はさらに深刻なものとなる。
「…………仕方、ないです。ならば、今できる力でやるしか、ありません」
 それでもアイリスは、戦うことを諦めなかった。
 Lægjarnの……アイリスの手は、それだけではないのだから。

 荒巻く火力の中に飛び込むその姿は、まるで自殺行為を思わせた。
 Lægjarnの装甲と機動力では、これを防ぎ切ることは出来ない。
 当然のようにマッシヴなフォルムはあちこちが削れ、小爆発を起こす。
 そう、"外装が壊れて"いく。制限解除によってではなく、"敵の破壊"によって。
 Lægjarnの制限解除は極めて高度に封印されている。
 この装甲は拘束具のようなもの……だが、それが戦闘で破壊されたなら?
「啓きました、ね。――"災厄の匣"を」
 被弾はアイリスにとって想定の内……否、狙い通りですらあった。
「『外殻装甲損傷許容限界超過――爆砕ボルト点火シーケンス発動。
 符牒入力、Víðófnir……承認。Lægjarn、解放。これを、待っていました」
 アイリスは撤退を指示するレッドアラートを無視し、爆砕ボルトを点火。
 邪魔な外部装甲を脱ぎ捨て、脅威的な加速を得て一気に弾幕を突破!
 なんたる無茶をする。この戦場には"彼女"とて居ように!
「……あなたが啓いたものが、なんなのか。見せて、あげましょう」
 そして見よ。聖火トーチめいて掲げられたいびつなる杖、あるいは剣を。
 巻きつけられた鎖のうち一本が触ってもいないのにバチンと弾け飛ぶ。
『火力、火力、火力。焔を望むか、愚かなり』
 やがて響いた声は、アイリスのそれとは思えなかった。
『原子の焔に耐えたとて、原始の焔に耐えられる道理はなし。
 此は九界を焼き払う終末の焔。その一欠片なれば――火を点してやろう』
 熱が。
 何もかもを無に帰する破滅的熱量が、マシンを中心に吹き上がる!
『望むがままに、受けよ――時██████砕████(レーヴァテイン)ッ!!』
 おお、これこそ封じられた災厄。匣より現れし九界の焔のほんの一握り。
 破滅的熱量はそれこそ剣の如く収束し、巨大要塞に叩きつけられた――!!

大成功 🔵​🔵​🔵​

アイオライト・セプテンバー
……まるで、そびえ立つ鉄の山ね

あれだけの火砲、〝線〟の機動で避けられるとは思えない
敵機から見て、的を絞らせない高速の〝点〟になるしかない

ブルーテイルの全火器が、アムニ製重装甲に通用しないことは既に分かった
通常のキャバリア火器は豆鉄砲でしょう

でも、まだあるのよ
どんな銃より砲より、大きく、速い、質量弾が

リミッター全解除。【バースト・モード】を機動!

一度距離を離し、助走距離を稼いでから限界加速でFortressへ突貫
敵弾は最低限の機動のみで【見切り】つつ最大出力の【推力移動】

両腕のビームバリア発生器【ハウリングホーク】でブルーテイルを包み、この機体そのものを弾丸として【貫通攻撃】!
これが私の切り札!


九嶺・ユノハ
Nu.どうしましょうか。
対象は超重装甲。わたしでは、真っ当な手段では傷も付けれません。
ドローンはオブリビオンと同化し、直接接続しているので、制御を奪えるかは怪しいところです。

Bone.高速飛翔で挑発して、多連装ミサイルを撃ってもらいましょう。
電子誘導されたミサイルなら、わたしの武装と言っても過言ではないです。
頂いたミサイルは、主砲の中にお帰り願います。
主砲は無理でも、砲身の一つくらい壊したいです。

厄介なのは、重機関銃です。
弾が小さく、いっぱい飛んでくるので、地味に避け辛く、当たると壊れます。
手足に被弾したら、兵装解除して、一緒に砲身に詰めてしまいます。
物を持ってない時の手足は、本当に飾りです。



●暴君見下ろす空の下
 この世界で、超高速飛翔をするのは自殺志願者とほぼ同一である。
 しかし結論から言えば、アイオライト・セプテンバーと九嶺・ユノハはそうした。
 状況が余談を許さなかった――なんてのは結局のところ、ただの方便だ。
 彼女らはいつでも望んでいる。この空を、奪い返すことを。
 空に君臨する暴君に、頭を下げて屈従してやるつもりなどさらさらないのだ。
 ましてや、オブリビオンマシン一機にやられるつもりも、毛頭ない。
 だから抗う。
 だから翔ぶ。
 ……だから、戦う。
 いつだってそうしてきた。
 これからも、そうしていく。
 ただ、それだけの話だった。

『ユノハ、あのドローンをハッキングして奪えそう?』
「――Nei.アイオライト。あれはオブリビオンマシンと同化しています。
 直接接続したマシンにアクセスすることは、むしろ逆に危険でしょう」
『そう……なら、現状私たちが持つ火力でやるしかないのね』
「そうです。ミサイル程度ならば、その場でハッキング、出来ますが」
 砲塔のひとつやふたつは壊せるだろう。だが、それが何になる?
 ユノハが分析した結果、敵の有する砲台は100どころの話ではなかった。
 焼け石に水、という言葉が脳裏をよぎる。あるいは骨折り損のくたびれ儲けか。
 ふたりが作戦会議する間も、次々に弾幕が放たれ二機を狙っていた。
 出来る限りの機動力で回避し、引きつけ、ハッキングし、敵に押し返す。
 だが、足らない。
 圧倒的に火力が、足らない。
 このままでは状況を打開できない――否、それどころの話ではない。

 堕ちるのだ。
 半壊などというレベルではない。
 弾幕に飲まれ、撃たれ、破壊される。
 キャバリアも、命も、何もかも塵に消える。
 巨大機動要塞エクサベースは、もはや省みることすらないだろう。
 死をあざ笑うようなありきたりな自我とて、"あれ"には存在するかどうか。
 敵性存在の成れの果てとして一顧だにされることすらなく、踏み潰される。
 誰にも看取られることなく、死ぬ。何も遺すことも、成し得ることもなく。
 ――空を、奪うことも出来ずに。

「……それは、イヤ」
 アイオライトは誰に言うともなく、呟いた。
 視界の隅で、ミサイルを惹きつけたユノハ……ファルステロの姿が見えた。
 ハッキングしたミサイルを押し返し、そこで重機関砲が直撃する。
 手足を被弾。普通の機体ならば終わりだ。だがファルステロならば。
「こんなところで堕ちるなんて、あなたもイヤでしょ。ユノハ」
 答えは求めていなかった。だって、彼女がどう云うか分かりきっている。
 ファルステロは被弾し意味をなさなくなった手足をパージした。
 パージされた手足が射出され、重機関砲を叩き潰す――射線が、開く。
「もうブルーテイルには、あの装甲を撃ち抜ける火器はない」
 然り。アムニ帝国の重装甲は、超軽装高機動型のブルーテイルと最悪の相性だ。
 搭載火器で通用しないことは重々承知。とっくに全弾ばらまいたあと。
 だからこそ弾幕を避けられている。
 ファルステロも同じだ。手足はあれにとってデッドウェイトでしかない。
 二機はどこまでも軽くなっていく。あと一発でも受ければおしまいだろう。
 空を舞う速度には限界がある。蛙めいて地を跳ね回るしかない。
 跳ね回る? 飛翔するのではなく?
 ――暴君のご機嫌を伺うように?
「それは、イヤ」
『ええ。それは、いやです』
 ふたりの声が重なった。
 機体(つばさ)が応えた。

 もはや、ブルーテイルにもファルステロにも、あれを貫く"火器"はない。
 だが、まだひとつだけある。
 どんな銃よりも疾く、
 どんな砲よりも大きく、
 どんな鎧をも貫く、最強の質量弾が。

「リミッター全解除――バースト・モード、"機"動!!」
「最終飛翔形態(ラスタ・アクツェラータ・モヴァード)――起動します」
 マシンのフォルムがさらに鋭角的に変形し、放熱フィンが解放された。
 ブルーテイルは金色の粒子を身にまとい、ファルステロは、純然たる翼を開く。
 それは暴君に抗う奴隷の刃。
 人が諦めなかった意地の形。
 さあ翼よ、空を舞え。
 奪われた空を、今一時その掌に取り戻すのだ。
 ビームバリア発生器、ハウリングホーク起動。
 ダムゼルクレイン戦術システム、飛行演算能力最大出力。
「これが、私の――切り札!!」
「わたしは、ただ……もっと高く、もっと――疾く!!」
 そしてふたつの風が、空を突き抜けた。

 巨大機動要塞なんて鈍重で遅くて邪魔なものは、最初から省みていない。
 遅れて烈風が吹き抜け、貫通された装甲の大穴をびゅうびゅうと吹き抜ける。
 誰も見えなかった。
 アムニ帝国に技術者たちですら、呆然としていた。
「……翔んだ」
 火力も、
 装甲も、
 彼らの心から一時失われた。
「キャバリアが、空を」
 人が、奪われた空を、駆け抜けた。
 たった一瞬、
 たった一度、
 けれども飛翔したのだ。
 暴君にすら追いつけぬ速度で、ただ一時だけ。

 それは、空を完全に奪い返すにはあまりにも足りない。
 時間が足らず、
 機体強度が足らず、
 精度も技量も安定性も持続力も何もかも足らない。
 けれども、ふたりは奪ってみせたのだ。
 見よ。暴君が、いまさらのように光の剣を突き立てる。
 そこに翼はない。あるのは、風穴を穿たれた巨大要塞だけ。
「――……ふふっ、あはは!」
「……楽しいのですか。アイオライト」
「当然よ、あなたも笑いなさいよ、ユノハ!」
「…………Jes.」
 子供たちの声は、どこまでも無邪気だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

蘇芳・光太
火力が凄くて硬くて、おまけにでかい
だから強い
とってもわかりやすいよ

でも、人の手を離れたそれはアンタたちが求めているキャバリアじゃない
ただの破壊兵器だ!
ぶっ壊すぜ、レイズ!俺とお前、人と機械
パイロットとキャバリアが合わされる意味を見せてやろう!

わかりやすい相手には、こっちもわかりやすく行くぞ!
機体を金色の光粒子で覆い、ブースターを全開にして飛翔
多少の攻撃は無視!砲撃を高速飛行でかいくぐりながら接近
【フォトン・ストライク】!あとは、ぶち当たるだけ!
ライフルでもバズーカでもない、もっと大口径の弾丸をお見舞いしてやるぜ!
分厚い装甲、設置された砲台、中枢へ至る場所、狙える場所は多いぜ
なにせでかいからな!



●人と機械、合わさるチカラ
「……違うだろ」
 国土を灼く兵器を称賛する技術士官たち。
 止まらないオブリビオンマシンの暴走。
 もはや人と兵器の関係は崩れた。狂気が伝搬しているのだ。
「あれはもう、キャバリアじゃない……アンタたちの求める兵器でもない!」
 蘇芳・光太は叫んだ。その声には、たしかな怒りがあった。
「火力がすごくて、硬くて、おまけにでかい。だから強い……それはいいよ。
 とってもわかりやすいし、どんな形であれ人の手にあるなら、それでいい。
 ……けど、あれはもうただの破壊兵器だ。いいや、それすらもやめている!」
 オブリビオンマシンの進化に、果てはない。
 守るために国を焼くのは、立派な戦いだろう。
 名誉や金のために命を賭けるのも、本気なら十分な信念だ。
 オブリビオンマシンにはなにもない。
 愛国心も、
 信念も、
 理由も、何も。
「ぶっ壊すぜ、レイズ! 俺とお前、人と機械! パイロットとキャバリア!
 異なるものがひとつに合わさることで引き出せる力を、意味を、見せてやれ!」
 レイズセイヴァーのツインアイが、意思に応えるように光り輝いた。
 打倒の意思を表明するかのように戦士めいて身構え、キャバリアが疾走する!

 加速するレイズセイヴァーのボディを、まばゆい金色の光粒子が覆っていく。
 噴射されるブースターも、煌めくような黄金の炎となって迸った。
 そこへ飛来するミサイル! だが、弾頭はボディに触れる前に自爆する!
 一体何が起きた? 技術士官たちは慌てふためいた。理解不可能!
 しかしこれこそがレイズセイヴァーの力、そして光太という少年の力なのだ!
「うおおおおおおおッ!!」
 無数の重機関砲が砲口を向け、粒子を削り取るかのように弾丸をバラ撒いた。
 レイズセイヴァーの装甲が削がれていく。しかし、人機一体止まることなし!
「レイ・マテリア、出力完全解放! ブースター、マキシマムッ!!」
 光が速度を生み、速度が光を強める。もはやレイズセイヴァーの機体は見えない。
 それは流星だ。地上から空を貫かんと煌めく流星そのもの!
「金色の弾丸、受けてみろ! これが、俺と! レイズの! 力だァアア!!」
 もはや重機関砲では止められぬ。弾幕を抜け、レイズセイヴァー肉薄!
「フォトン――ストラァアアアアーーーイクッ!!」
 遅れてマッハの壁を貫いた証たる衝撃波が吹きすさび、残骸を吹き飛ばした。
 重機関砲が、分厚い装甲が、まるで紙屑のように舞い散っていく!
 これが人と機械が合わさることで得られる力、すなわち奇跡の如き光。
 破滅をもたらすオブリビオンマシンでは到達できない無限の可能性。
「俺とレイズに――敵なんて、居ないんだ!!」
 突き出された拳が、機動要塞を叩きのめし、その巨体を吹き飛ばす――!!

大成功 🔵​🔵​🔵​

犬伏・あかり
アドリブ歓迎
イーリス(f30021)。もうやだ。
なんであれ見て喜んでるの?本っ当、くそだわ…
一応聞くけど、退かない…よね…やる気出しちゃってるし…
あんなの長引かせただけ不利。悪いけど、任せるね
私達ごとあなたに使ってもらった方が早く済むだろうから

カンオケ、今日も勝手に動こうとしたでしょ
悪い子は処分っていつも言ってるよね。バカンオケ。
処分が嫌だったら…役に立って。
いい?乗っ取っちゃダメだからね、イーリスの言うこと聞くの
砲台増やして…あと火力足せそうなこと、とにかくやって。

……ちょっと。過保護すぎ。
守ってもらう為にこうしてるんじゃないんだけど
余計なことしてないで、そっちこそ集中してよ…バカイーリス。


イーリス・ヴァイデンフェラー
アドリブ歓迎
人にはそれぞれ浪漫があるんですよ、あかりちゃん(f30108)
ですが、あれはキャバリアがついてるだけの何か
理念をなくしちゃってます

あっは、撤退なんてないですよぅ
あたしがキャバリアの火力と重装甲を見せてあげます!
バイオセルリアクターを起動
ダメージ軽減と生命吸収、自動修復を駆使して正面から殴りあいます
リアクター出力を回した荷電粒子砲を主に他の武器も全部いきますよ

言い聞かせるようなあかりちゃんにくすっと笑って
融合を受ければさらに強烈な砲撃を加えますねぇ
あ、でも敵の攻撃からカンオケを庇いますよ
あたしのが頑丈ですし
(もう一度死を連想させたくないんです)

あれぇ、偶然ですよ偶然
はぁい、働きまぁす



●命を賭ける理由
 ズズン……!! と、轟音と噴煙を巻き上げて傾いたエクサベース。
 その巨体は自己再生めいた鋼材吸収を行いながら、体勢を徐々に取り戻す。
 猟兵たちの攻撃はたしかにダメージを与えているものの、
 いまだ中枢に存在するオブリビオンマシン、『Fortress』には届かない。
 オブリビオンマシンとて、無限に永遠に再生が出来るわけではないだろう。
 いずれ終わりが来る。だが、その終わりとは『いつ』なのだ?
 この国が焼け野原になる前に、戦いを終わらせることが出来るのか?
「……本っ当、クソだわ」
 犬伏・あかりは吐き捨てた。
 オブリビオンマシンのおぞましさ、そして無邪気に喜ぶ技術者たちを嫌悪して。
『あれぇ? あかりちゃんはお気に召しません~?』
「……あなたはアリなの? "あれ"が」
 あかりの言葉に、イーリス・ヴァイデンフェラーは通信越しにくすくす笑った。
『ドでかいボディに分厚い装甲、それに国をも焼き払うぐらいの大火力!
 いいじゃないですかぁ、そういうの全然アリ、むしろ好みですよぉ~?』
 あかりは顔を顰めた。彼女には、イーリスの趣味嗜好が理解できない。
『……けど』
 そこでイーリスは言葉を続けた。
『"あれ"はもう、キャバリアがついてるだけの何か……だからアリだけどナシです。
 一番大事な『理念』をなくしちゃったモノには、興味ないですねぇ~』
「……そう。私は、理念とかこだわりとか、全部どうでもいいんだけど」
『あっは、そう言うと思いましたぁ』
「……それで」
 あかりは無駄な質問とわかっていて問いかける。
「一応聞くけど、退かない?」
『撤退しましょう! なぁんて、言うと思いますかぁ~?』
「思ってない。でも期待するのは自由でしょ」
『そうですねぇ。けど残念ながらぁ、期待には応えられませんよぉ』
「……でしょうね。やる気出しちゃってるの、わかるもの」
 あかりは嘆息した。そして、手元のコンソールをなぞる。
「カンオケ。あなたさっき、勝手に動こうとしたでしょ。悪い子ね。
 悪い子は処分だって、いつも言ってるよね。本当にわかってる?」
 オブリビオンマシンは応えない。応えないことがある種の返答だ。
「バカンオケ。処分はイヤでしょ? イヤなら、勝手なことはしないで。
 どうせ動くなら、私たちの役に立ちなさい。……いい? 私"たち"よ」
 オブリビオンマシンはやはり応えない……いまのところは。
 あかりはそれを不承不承の了解を取り、ひとつ頷いた。
「イーリス、こっちは準備いいよ」
『了解ですよぉ、じゃああたしも全力でいきましょうかぁ』
 めきめきと装甲の下から萌え出てきたのは……蔦である。
「バイオセルリアクター、レディ。この子の火力と重装甲を見せてあげます!」
 ハーヴェスターは一瞬にしてさらなる異形に変じ、のっそりと立ち上がった。
 なんとイーリスは、エクサベース相手に真正面から殴り合うつもりなのだ!
 あまりにも無謀。しかしそこには彼女なりの賞賛があった……。

 体勢を立て直したエクサベースが、無数のミサイルをポッドから射出する。
 煙を曳いて飛来するミサイルを前に、ハーヴェスターに回避手段はない。
 そんな機動力はもとから持ち合わせていない、この形態ならばなおさらだ。
「ミサイルでこの子を落とそうっていうなら、あと100発は足りませんよぉ!」
 ズシッ、ズシッ、ズシッ……KRA-TOOOOOM!!!
 ミサイル着弾、煙がもうもうと立ち込め……無傷のハーヴェスターが出現!
 無傷である。爆炎によるわずかな火炎ダメージも自己再生しているのだ。
 半有機的キャバリアだからこそ可能な、自動修復とダメージ軽減の両立。
 見上げるほどの巨体に緑の巨人が挑むさまは、神話的闘争を思わせた。
「あかりちゃん、カンオケを!」
『ええ。……乗っ取っちゃダメだからね。イーリスの言うことを聞きなさい』
 あかりが言うと、カンオケはメキメキと形態を変えていく。
 そして増加装甲、あるいは木々の根に寄生するラフレシアめいて"融合"。
 ハーヴェスターの根とカンオケのそれが絡まりあい、緑の燐光が輝きを増す。
「てぇええやぁああああっ!!」
 KRAAAAASH!! ハーヴェスターは体当たりじみた格闘戦で砲塔を破壊!
 さらにめり込ませた部分からカンオケが砲塔を生やし、ゼロ距離内部炸裂!
 KBAM!! 爆発によりエクサベースが怯むと、ハーヴェスターは武装を全展開した!
「全部載せでいきます、大盤振る舞いですよぉ!」
 荷電粒子砲、放出! その他ミサイル、レーザー、ガトリング、ライフル!
 搭載火器にカンオケが生やした武装も合わせて、火の車じみた猛烈な弾幕!
 エクサべ―スも負けていない。焼夷弾がグレネードランチャーから放たれ――。

 ……KA-BOOOM!!
「……ちょっと」
『なんですかぁ?』
「過保護すぎ。守ってもらうためにこうしてるんじゃないんだけど」
 焼夷弾が焼いたのは、ハーヴェスターのボディ部分だけだった。
 あかりおよびカンオケは無傷。イーリスが、そのように受けたからだ。
 だがあかりの不満げな言葉を、イーリスはいつも通りに笑い飛ばした。
『あっは、偶然ですよぉ偶然! 集中しないとダメですよあかりちゃん?』
「……余計なことしてないで、そっちこそ集中してよ」
『はいはぁい、働きまぁす』
 嘘だ。イーリスはわざと、ハーヴェスターのボディで自分をかばった。
 わからないわけがない。けれど、これ以上言っても正直には吐かないだろう。
 どうしてそうしたのかも、わかる。彼女は、優しい子だから。
「……バカイーリス」
 あかりはできるだけイーリスに聞こえないように、呟いた。
 もしその声が聞こえたとしても、きっと聞こえないふりをするだろうと思いながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

御門・白
製作者の妄念とオブリビオンマシンの必要なものとが一致してしまった
多頭の異形、鵺
ならこれはあやかし退治。行こう、ツクヨミ

充分な距離に近づくまでまともな撃ち合いはしない
複雑な軌道を描いて走る操縦に専念
避けきれない弾は「二十八星官」を射出、光-レーザー-での迎撃と……
ロックオンという行為。私を殺すという呪詛。その呪詛を私は返す。弾へ呪詛を掛けて、本来の機能を損なわせ。まっすぐ飛来するを防ぎます

懐まで入り「力場」を放射。
ここはツクヨミの時間
時間を貫くことは、オブリビオンだって難しい。でしょう?

現在(私たち)は骸の海に呑まれるにはまだ早い
お前は疾く過去へ還れ
時間を束ねた矢を射かける
万魔降伏、急急如律令



●鋼のあやかしを調伏せよ
 あやかしとは、無から生じるようなものではない。
 天地万物に巡る陰陽のバランスが崩れた時、自然発生するもの。
 陰気の凝(こご)ったものこそが妖であり、虚無の化身などではないのだ。

 そして、そびえ立つ化身を――あれなる鋼の化け物を見よ。
 製作者のもう年と、オブリビオンマシンの求める狂気が合わさった結果、
 あれは巨大機動要塞という……国を焼くものという形と役割を得た。
 多頭の異形、求めるものによってその在りようを変えるもの――すなわち、鵺。
 御門・白は敵をそのように定義した。定義とは呪術の基本である。
『そうあれかし』と願われたものは"そう"在り、妖もまた名によって定義される。
 いにしえの人々が様々な自然現象や病気を魔のしわざと畏れたように。
 今この時、かの巨大なる鋼の化け物は鵺というあやかしとして定義された。
「なら、これはあやかし退治――行こう、ツクヨミ」
 御門・白の声に応え、オブリビオンマシンがゆったりと動き出す。
 これもまた呪。オブリビオンマシンにツクヨミという"名"を与え縛ったのだ。
 魔は白に従う――いまのところは、おとなしく。
 いつ寝首をかかれてもおかしくない、薄氷を踏むような危うい均衡。
 それでもまだ、成り立ってはいる。……いまのところは。

 隙間なき弾幕を"すり抜ける"さまは、神楽の舞を思わせた。
 けして高機動ではない、もちろん重装甲など持ち合わせてもいない。
 そもそも回避しているのか、なんらかの不可思議な機構で非物質化しているのか、
 余人にはわからない。計測機器も、すべてでたらめな数字を示していた。
「なんなのだ、あのキャバリアは……!」
 戦いを見守っていたアムニ帝国の司令官は、思わず言葉に出していた。
 当たっているはずの弾丸が、ツクヨミをなんら傷つけることなく地を穿つ。
 不思議そのもの。人間には理解できず、そして制御も出来ないもの。
 魔とは、あやかしとは、"そういうもの"である。
「――私を、捉えましたね」
 瞑想するように霊的トランス状態にある白が、ひとりごちた。
 いやその言葉は独り言などではない。敵に、"鵺"に向けたものだ。
 敵の砲塔がツクヨミをロックオンした。それを、霊的に感知したのである。
「その呪詛を、私は払う。返し、祓い、そして――」
 榴弾は不自然な歪曲軌道を描き、ツクヨミを避けて地面に炸裂した。
 ガチ、ガチンと砲塔が不穏な音を立てる。不発弾が詰まり、爆発する。
 万に一つ、億に一つもありえない不良動作が今ここで起きたと?
 偶然か、必然か。それは術者である白にしかわかるまい。
「暦の神に挑むには、"過去"では役者不足――ここは、ツクヨミの時間です」
 力場が構築された瞬間、飛来した弾丸が空中で静止した。
 まるでビデオを一時停止したかのような、あまりに反自然的な光景。
「現在(わたしたち)は、骸の海に呑まれるにはまだ早い。お前たちは疾く還れ」
 停止した弾丸が、逆再生映像じみてしゅるしゅると戻っていく!
 砲塔にすっぽりと吸い込まれた弾丸、そして立て続けの連鎖的自爆!
 爆炎は連鎖し共鳴し、のたうつ蛇めいて巨体を包み込んでいく!
 力場が収束する。ツクヨミの構えた矢の一点に――!
「万魔降伏、急々如律令――!」
 時間そのものを束ねた神罰の矢は、月にも届きそうな速度で迸った。
 そして分厚い幾層もの装甲を貫き、巨大要塞に癒せぬ一撃をもたらす!

大成功 🔵​🔵​🔵​

イオリ・カクトゥス
○アドリブ等歓迎

ここまで馬鹿げたものを作るとなると、ちょっと畏敬の念が沸くね。
真似するつもりはまったくないけど。

防御には自信があるけど、流石にあの馬鹿みたいに大きな砲撃を受ければただでは済まないかな。
かといって、僕の機体では攻撃を回避しきるのは難しい。
中々厳しい難敵だよ。

でも、それは僕一人の場合だ。
『鬼神再臨』は本来であれば、僕の元に機体を召喚する機能だ。
でも、こと戦場においてはそれだけじゃない。
敵の要塞に接近した味方がいれば、その味方を対象に機能を発動。
一気に接近させてもらうよ。

近づいてしまえばこちらのもの。
『紅葉』と名付けられた高熱を帯びたクローで敵の装甲を焼き斬るよ。


風祭・ヒュウガ
アドリブ・連携歓迎

……不可能を可能にしちまったオブリビオンマシン
お前と似たようなもんか。ちったぁなんか思ったりするか?

なんて乗機に声をかければ。

破壊セヨ
蹂躙セヨ
喰ライ尽クセ

返って来るのはいつも通り、そんな声にもならない、狂気の如き破壊衝動へと誘う声


……ま、そうだろうな。お前はいっつもそうだ。
いいぜ、存分に暴れてやる……ただし、おれの意思でだ!!!

乗機、フーガが得意とする戦闘は、多数の敵を蹴散らすよりも一体の強敵を相手どるような戦い
なら、中枢の――コアになっているオブリビオンマシンを叩く
ミサイルだろうと機銃だろうと、弾いて突っ切って……拳をブチ込む!!



●鬼神と暴神
 風祭・ヒュウガの駆るオブリビオンマシン、"フーガ"。
 ヒュウガの戦いぶりから、一見すると英雄的スーパーロボットにも思えるが、
 その本質は紛れもない狂気の機体……すなわち暴走の可能性を秘めたもの。
 いつ制御を失ってもおかしくないこの機体を乗りこなせるのは、
 ひとえにヒュウガが相応の技量と猛々しい気性を併せ持つからである。
「……不可能を可能にしちまったオブリビオンマシン、ね」
 巨大機動要塞エクサベースと相対するヒュウガは、珍しく物思いに耽った。
 あれは、どうしてこのような形を得たのか。ただ効率のためにか?
 どうもそうは思えない。なにせあれはもともと、この国の実験機だったのだ。
 より強固に、より強大に――そんな祈りを浴びたマシンだった。
 オブリビオンマシンは、ある意味それを叶えたのかもしれない。
「お前も似たようなもんか。なあ、ちったぁなんか思ったりするか?」
 ヒュウガが語りかければ、"フーガ"は声なき思念によって応えた。

 狂気。そして凶気。
 破壊、蹂躙、暴食、簒奪――悪鬼の如き所業を誘う、悪魔の声。
 それはいつもヒュウガが感じる、ある意味"らしい"誘惑だった。
 破壊衝動への誘いは強烈で、まともなパイロットならば魅入られるだろう。
 ヒュウガとて無事ではない。しかし彼は、それを強靭な精神力で抑え込む。
「……お前はいっつもそうだ。いいぜ、なら存分に暴れてやるよ。
 ――ただし、お前の意思でじゃない、このおれの意思でだッ!!!」
 フーガの全身に設えられたフォトンリアクターが光り輝き、猛スピードで直進!
 主観時間が現実と同期する……抱きしめるように飛来する無数の弾丸と弾頭!
「うおおおおおおおおおッ!!」
 フォトンの力場がガトリング砲を跳ね返す。
 歪曲レーザーをさらに歪曲させて、明後日の方向に反射した。
 攻撃ドローンを叩き潰し、疾駆、疾駆、疾駆疾駆疾駆疾駆疾駆!
「ミサイルだろうが機銃だろうが! 弾いて潰して跳ね返してやらぁあああ!!」
 フーガ=ヒュウガが得意とする戦い。それは対多数の殲滅戦ではない。
 たった一体の強敵を、最短・最速・最強の速度で駆け抜け叩き潰すのみ!
 相手が巨大要塞であろうと、まっすぐ行ってぶち抜く。それが、彼らの戦い!

『――尊敬するよ。僕にそんな戦いは、できそうにないから』
「!?」
 その時、ヒュウガは、短距離通信で青年の声を聞いた。
 直後、ズドン――!! と雷が落ち、疾走するフーガの隣に降り立つ影。
 異形のジャイアントキャバリア。二つの頭部がじろりと機体を睨んだ。
「てめぇ……!? おれたちをガイド代わりにしたのかッ!?」
『あの弾幕をひとりで突っ切るなんて、僕には無理だからね』
 異形の機体"D-Ogre"を駆るイオリ・カクトゥスは、平然と応えた。
 彼が使用したユーベルコード"鬼神再臨"は、機体を転移させる移動術式。
 しかし術式の座標を『自身』ではなく『友軍の誰か』に指定すれば、
 このようにして"相乗り"することも出来る。ユーベルコードの有効活用だ。
 同じ新世界学園の生徒とは言え、タダ乗りされたようなヒュウガは気に入らない。
 文句をぶつけようとするが、そこで彼は状況を思い出した――敵陣ど真ん中!
「チッ! まあいい、やるこた変わらねえんだ! そっちもせいぜい働けよ!」
『もちろん。こうして懐に入り込んだなら、こちらのものだよ』
 イオリの言葉は強がりではない。見よ、四つの腕に生えたクローを。
 "紅葉"と名付けられたそれは、名を示すかのようにしゅうと音を立て赤熱した。
 そして目が眩むほどの速度で四臂を振るい、飛来する弾雨を切り裂くD-Orge!
「へ! そうこなくっちゃあなあ!! おおおおおらぁあああああっ!!」
 二機は並走する形で、弾幕を切り裂き、叩き潰し、まっすぐに直進する。
 エクサベースの装備ではもはや止められない。そして二機は同時に装甲に到達!
「ここまで馬鹿げたものを作り上げた、この国の技術者には畏敬の念を抱くよ。
 けど、オブリビオンマシンを見逃すつもりはない。ここで、破壊させてもらう」
「行くぞ、必ィイイイイッ殺――フォトン!! ブレェエエエイクッッ!!!」
 四つのクローがバツ字と十字を交互に描き、分厚い装甲を引き裂き破壊!
 さらに全身をフォトン力場で覆ったフーガが、全速度を乗せた拳を叩き込む!
 拳に収束した高純度フォトンは接触とともに爆裂、衝撃は内部まで伝搬!
 巨体を揺らし、貫き、爆裂させ――中枢たるオブリビオンマシンにすら届いた!
 これが彼らの戦い方。狂気のマシンを破壊する、戦士たちの戦い方だ!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ティオレンシア・シーディア
…うーわぁー…
まさかとは思ったけどホントにやりやがってたのねぇ、「先人が思い付きはしたけどあえてやらなかった」コト…
やらなかったのにはそれ相応の理由があるって普通わかんないかなぁ…

遠距離からどうこうできそうな手合いでもなさそうだし…しょうがない、〇覚悟決めて突撃しましょ。
引き続き傾斜装甲の◯オーラ防御を維持、ラグ(水)で◯火炎耐性を追加。●轢殺・適応を起動して攻撃力を半減、移動力を強化してフルスロットル。回避優先で避けきれないのを撃ち落としつつミサイルの雨を最大戦速で突っ切るわぁ。
御自慢の武装も懐なら大半使えないでしょぉ?
近づきさえできれば手はいくらでもあるわぁ。ペイバックタイムといきましょ。



●巨大兵器の壊(バラ)し方
「……うーわぁー……」
 強烈な質量攻撃を受け、エクサベースのあちこちが爆炎を吐き出す。
 それでもまだ巨大要塞は傾ぐばかりで、崩壊する様子は見せなかった。
 それだけ、オブリビオンマシンの素体となった要塞が強固ということだ。
 ある意味、この状況はこの国の技術者どもが招いたとも言えなくもない。
「まさかとは思ってたけど、ホントにやりやがってたのねぇ、こういうの……。
 "戦神が思いつきはしたけどあえてやらなかった"ってコトがどういうことか、
 技術者のくせにわかんないのかしらねぇ……いや、わかんなさそうだわあれは」
 いまだにばんざい合唱してる通信をオフにして、ティオレンシア・シーディアは嘆息する。バカには付ける薬もない。
 そもそも彼女の仕事に、帝国臣民の主義主張など欠片も関係ない。
 どうせ今回の件を解決しても、この調子ではいずれ致命的な火遊びの代償を支払うだろう。
「……まさか、似たようなオブリビオンマシンまた生み出したりしないわよねぇ」
 最悪の可能性が脳裏をよぎり、ティオレンシアはまた溜息をついた。

 そしてなによりも彼女をブルーにさせたのは、敵の持つ超火力である。
 キャバリアですら突破困難のあの弾幕を、生身の彼女が通れるわけもなし。
 マシンの性能には限界がある。頼れるのは、もはや時の運、そして勘と技量だ。
「仕方ないわぁ、どうせ懐潜り込まないと壊せないしぃ」
 ティオレンシアは嘆息しつつも、あっけらかんと死地に飛び込んだ。
 たしかに無理難題、一瞬でもミスれば即死は免れぬ文字通りの鉄火場である。
 しかし、それが彼女の仕事場であり、同じような状況は何度も潜り抜けてきた。
 いまさらこんなところで怖気づくような、やわな生き方はしてないつもりだ。
 ……そして恐ろしいことに、彼女はほぼ無傷で弾幕をかいくぐった。
 マシンの機動性を限界まで引き出し、オーラ防御と耐性能力で火力を耐え、
 弾丸を弾くのでも避けるのでもなく"いなす"ことでダメージを最小限に留める。
 そしてフルスロットル――薄皮を重ねるような状況判断と決断の連続。
 ミサイルが目の前に飛んでくる。ティオレンシアはくすりと笑った。
「デカいだけの兵器なら、いくらでも壊し方は識ってるのよぉ」
 ティオレンシアはマシンをウィリーさせ、ジャンプ……ミサイルを回避!
 そして加速しながら、愛銃オブシディアンを構えた。狙いはブレない!
「ペイバックタイムと、いきましょうかぁ」
 BLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAM!!!!
 破砕した装甲へ叩き込まれる、キャバリアすらぶっ壊す強烈ファニング!
 巨大? 超火力? 重装甲?
 そんなもの、この女シューターには蚊ほども関係ない。
 仕事として破壊を請け負ったならば、達成するまで命を賭ける。
 ――それが、スイーパーとしての生き様なのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​

南・七七三
マリア(f30051)と
毒どころじゃないな……この大きさに、出来ること
「マリア、アタシが前に出る。大丈夫だから、信じて」

ダークネスカードシステム起動
リミッター解除

チェリーは弱い
枷があるんだから、トーゼンだ
「鎧」に制御出来ないくらい出力を上げた時に、オブリビオンマシンの本領を発揮する

アタシに鎧を引き千切らせようとする機体を制御して、前へ
ダメ。壊すのはアイツ
分かってるよ、暴れようとした理由。お前も死にたくないんだって
「ちゃんと、連れて帰ってあげる。皆で帰る。だから――黙って、言うこと聞けぇっ!」

通じる武器が格闘用のクローくらいなのは、変わらないけど
今なら、大丈夫……すっごく心強い友達が、ついてる!


嗣條・マリア
>引き続き、七七三(f30098)さんと

流石に、要塞戦までは想定していませんでしたね
分かっていれば相応の装備を持ってきたのですが

仕方ありません。近接して装甲をこじ開け――
七七三さんが前に、ですか?
……わかりました。では、私はここから援護します

タイラントは別段、近接戦しかできない機体ではありませんから

“未来射撃”
声の予測を受け、超長距離から敵機を狙撃
目標は重機関銃やミサイルポッド、敵の攻撃の無力化
特に七七三さんを攻撃対象に取っている物を最優先
YJRS-20“ライトブリンガー”なら弾速も破壊力も十分でしょう


信用していない人に自分の前は預けないですから、私は
ちゃんと信じていますよ。口にはしませんケド



●限界の一歩先へ
「……さすがに、要塞戦までは想定していませんでしたね」
 なおもそびえる巨大な機動要塞エクサベースを前にして、嗣條・マリアは言った。
 "暴君"は基本的に対キャバリアを想定したチューンナップがなされている。
 要塞、ないし防壁の類を相手にするには、相応の装備換装が必要なのだ。
「わかっていればよかったのですが……まあ言っても始まらないことですね。
 七七三さん、ここは私が近接して装甲をこじ開けます。あなたは後ろから――」
『ううん。マリア、アタシにプランがあるんだ』
「……プラン、ですか?」
 南・七七三の声音は真剣そのもの――そう、彼女らしくもない。
 いつもおどけて飄々と振る舞う七七三のこんな声は、滅多に聞けなかった。
 しかも自分から作戦を立案するなど、輪をかけて珍しい。
 それだけに、マリアは怪訝な声を隠すことを忘れてしまっていた。
『アタシが前に出ようと思うんだ』
「…………」
 次いで聞こえてきた声に、マリアはいよいよ眉間をシワ寄せた。
「七七三さんが? ですが、ブラダー・チェリー……その機体は」
 "暴君"よりも向いていないのでは、と言いかけて、マリアは言葉を切る。
 残念なことに、タイラントとブラダー・チェリーには大きな性能差があった。
 カタログスペックの時点で一目瞭然。特に機動性と装甲はなおさらである。
 だから七七三は、今までやってこなかった射撃訓練を毎日のようにしているのだ。
 つまり完全に非合理的な、ふざけているとしか思えない提案だった。

 しかし、七七三はふざけてなどいない。声を聞けばマリアには確信できる。
 意図が読めなかった。……そこでマリアは、思考し、何かに気付いた。
「七七三さん、まさか」
『大丈夫だから」
 言いかけた言葉を、七七三の確信的な物言いが遮った。
『信じて。アタシを――アタシと、この子を』
 マリアは小さく、七七三に聞こえない程度の大きさで溜息をついた。
 こう言い出した七七三は何を言っても聞かないのだ。つまり、
「……わかりました。では、私はここから援護します」
 マリアにはそう答えるしか、選択肢がなかった。

 ブラダー・チェリーは、一見するとクロムキャバリアを思わせる。
 しかし実のところ、"それ"は敵と同じもの――すなわち、オブリビオンマシンだ。
 外部装甲のように見えるものは、ブラダー・チェリーを封じる枷なのである。
 タイラントとのカタログスペック差は、枷によってパワーダウンしているから。
 本気で出力を向上させれば、もしかすると比肩、あるいは超越しかねない。
 ただしそれは、確実な暴走と七七三の死を約束している。

「わかってるよ」
 弾幕を前にしたブラダー・チェリーは、果敢に敵陣へと突っ込む。
 "鎧"の表面を銃弾が掠める。この程度でブラダー・チェリーは堕ちない。
 その機動力たるや、普通の出力を知るものならば目を見張るもんだった。
「自由になりたいんでしょ? でもね、それはダメ」
 七七三はモニターを睨む。視界の端にはエネルギーインジケーター。
 レッドゾーンギリギリのラインで上下するのが、たまらなく恐ろしい。
 "鎧"が制御出来るぎりぎりの限界点。まるで竜の尾をいじくるようなものだ。
 ブラダー・チェリーは時折、七七三の制御を外れて行動しようとする。
 それは毎回必ず、邪魔な枷を外そうとする動きであった。
「ダメ」
 七七三は、冷や汗をこめかみから垂らしながら言った。
「壊すのはアイツ。死にたくないなら、アタシに従って」
 オブリビオンマシンの声無き思念――生存への希求。危機感。
 絶え間なく弾幕が降り注ぐこの場は、死と隣り合わせの戦場そのものだ。
 きりきり舞で砲撃を避ける。タイラントの援護が砲塔を破壊してくれた。
 命を預けてくれている。マリアが、作戦を呑んでくれた。
 喜びがある。プレッシャーがある。裏切ったらどうしようという不安が。
「大丈夫」
 七七三は、己に、そしてマシンに言い聞かせた。
「アタシたちには、すっごく心強い友達がいる。だから!」
 ブラダー・チェリーはすさまじい速度でブーストを噴射、敵装甲に肉薄!
「ちゃんと、連れて帰ってあげる。みんなで帰る。アタシとマリアと、お前で!
 だから――黙って! アタシの言うことを、聞けぇええええええッ!!」
 鎧を引き剥がそうとこわばったクローを敵装甲に叩きつけ、引き裂く!
 亀裂めいた脆弱点に、後方から降り注ぎ吸い込まれていくタイラントの射撃!
 七七三は亀裂を割り開く。前へ。前へ! 生きるために、帰るために!
「――本当に、無茶をする人」
 通信を切った状態で、マリアは呟いた。
「信用していない人には前を預けませんよ、私は。七七三さん」
 その声は届かない。いや、届かせないように通信を切っている。
 マリアはふと笑い――敵の中枢めがけ、レールガンの引き金を……引いた!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

千束・桜花
アムニ!アムニ!……はっ、つい勢いに乗ってしまっていました……!
浪漫を追求するのは結構ですが、足元、護るべきものが疎かになってしまっては台無しですねっ!
浪漫とはなんのためにあるのか、気付かせて差し上げましょう!

機体も銃砲も大型となれば足元はどうしても影になってしまうもの!
高速移動で接近戦を挑みましょう!
……ちゃんと機関銃で対策してありましたか!
しかしこの運動性と桜吹雪の守りがあれば、機関銃の掃射程度なんのその!
脚を止めたら一瞬で蜂の巣にされそうですが、その砲身に遠隔斬撃を浴びせ続ければ!
どちらが先に力尽きるか、勝負です!



●浪漫桜を背負いて進め
「アムニ!」
「ユエニ!」
「アムニ!」
「イチバン!」
「アムニ! アムニ! ……はっ!」
 混線した技術者たちの唱和に、思わず気を取られてしまった千束・桜花。
 彼女は通信のチャンネルを切り替え、しまったと後悔しながら帽子を被り直す。
「この私としたことが、つい勢いに飲まれかけてしまいました……いけませんね。
 あれは打ち倒すべき敵。夢を粉々に砕くのは、心が少々痛みますが……っ!!」
 BRATATATATATA!! 重機関砲が、桜花をマシンごと撃ち落とそうとする!
 桜花は優れた動体視力で弾丸の軌道を読み、剣で切り払いながら回避した。
 弾幕は厚い。しかしそれも、猟兵たちの攻撃によって減りつつある。
 ここが勝機だ。桜花は一気呵成、危険を顧みずにブーストを噴射した!
「浪漫とはなんのためにあるのか、この国の方々に気付かせてさしあげますっ!」
 ゴオウッ、と噴射炎を流星の尾のように引きながら、甲冑が地を走る。
 猛然たる速度には、無数に存在する砲塔も追撃するので精一杯だ。
 しかし速度だけで切り抜けられるなら、機動要塞は伊達ではあるまい……!

 エクサベースは破壊されたはしから新たな重機関砲を"生成"する。
 オブリビオンマシンと接続したことで、クラマトルスク戦のときも垣間見せたあの一種の自己増幅能力が、機動要塞全体に展開されているのだ。
 砲塔を破壊しながらの突破は後手だ。焼け石に水を注ぐようなものである。
「なんの! このサクラメヰルの運動性能ならばっ!!」
 桜吹雪をバリアのように纏いながら、桜花は弾丸を火花ごと切り払う。
 桜花自身の命を代償に燃える、浪漫桜のはかない炎であった。
 無論、ここで死ぬつもりなどなし。挑むのは果てるためではなく勝つため。
「せぇええええやぁあああああっ!!」
 弾丸を切り払う斬撃は、そのまま砲塔をぶった斬る遠間の斬撃でもあった。
 爆炎が装甲を包み込む。桜花はその隙に機動要塞に肉薄、そして!
「見せてさしあげましょう我が秘剣! 切り裂き穿け千桜、花吹雪ぃっ!!」
 裂帛の気合とともに、雲耀の太刀が最上段から叩き落された。
 巨大要塞を呑み込むほどの剣閃が、上から下に流れ――装甲を叩き斬る!
「さあ、まだまだ行きますよ。どちらが先に力尽きるかの勝負です!」
 桜ははかない花だ。こんな戦いを続けていては、桜花も先は長くあるまい。
 しかし桜花は死を恐れぬ。彼女が真に恐れるものはただひとつ。
 討つべき敵を前にして、志半ばで果てること――ただ、それだけなのだ!

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルカ・スィエラ
用途不明瞭、コスト・生産性無視……技術馬鹿だけを集めて煮詰めるとこうなるのね………

でも、分かる。アレは倒せると。
行きましょう、ドラグレクス……!!

プロトミレスを核に、アルカレクス・ドラグソリスへと融合合体!
(アルカ自身も半ば機体とシンクロ・同化した状態になります)

敵の弾幕には周辺へと防性フィールド(結界術+オーラ防御)を展開、
ドローンは攻性フィールド(衝撃波)で迎撃

そして機体の竜尾を分離、剣へと変形しUC。
剣自体を大きな柄へと変形、エネルギーを収束し生み出した全長5625mのエネルギーの剣で要塞ごと《薙ぎ払い+切断》し切り飛ばす……!!

皇竜の剣を、その目に焼き付けなさい!

※アドリブ他歓迎です



●融合せよ、アルカレクス・ドラグソリス!
 機竜は咆哮する。敵対意思を表明する雄叫びには憤怒が満ちていた。
 オブリビオンマシンに対する厳然たる敵意を、アルカ・スィエラは肌で感じる。
「ええ、そうね……あれは倒せる。いいえ、倒さなければならない。
 あんなものを放っておいたら、もっととんでもないことが起きてしまう!」
 そのためには何が出来る。今の自分の力ではあまりにも足りない。
 ――そんな彼女の悔しさを感じたのか、機竜はじっとこちらを見ていた。
「……!」
 その眼差しを見返したアルカは、本能的に"手段"を悟った。
 なぜ、この機竜は力を貸してくれるのか。
 この機竜は、どこから来て、どこへ行くのか。
 己は何故――疑問は泉のように湧いて尽きない。しかし今は。
「わかったわ。行きましょう、ドラグレクス――共に!!」
 見よ。機竜とプロトミレスのシルエットが重なり、そして一つとなる。
 これこそ尋常のキャバリアには不可能な、一心同体の融合合体である!
『飛べ、アルカレクス・ドラグソリス! あの敵を滅ぼすために!!』
 機体そのものと半ば同化したアルカの声が、機竜の咆哮と重なり合った。
 クロムキャバリアから一転、スーパーロボットのフォルムへと転身した機体。
 それを叩き落とそうと飛来する弾幕――しかし装甲には届かない!
『防性フィールド、最大出力。ドラグキャリバー、起動!!』
 不可視のフィールドが弾丸を押しのけ、膨れ上がったエネルギーによって大地がメキメキと凹み、砕けていく。
 瓦礫巻き上がる中分離した竜の尾を掴み取れば、それは剣へと変形した。
 だが変化はそれに留まらない。刀身は伸びていく。伸びていく……!
 膨れ上がったエネルギーフィールドが、刀身そのものに収束し代替しているのだ!
 これぞ虹剣ドラグキャリバー。その長さたるや、もはやキロメートル単位である!
「これこそ皇竜の剣。戦場ごと私たちの敵を薙ぎ払う、虹の剣!」
 莫大なるエネルギーは、大気との干渉によりもはや嵐のごとく。
 虹剣ドラグキャリバーを掲げ……アルカは、それを一揆に振り下ろした!
「その目に焼き付け――そして! この世界から消え去りなさいッ!!」
 全長5625メートルの恐るべき破滅の剣が、巨大要塞を真っ二つに叩き斬る!
 荒れ狂う力は、瓦礫を弾丸を何もかもを吹き飛ばし、大地に亀裂を刻んだ――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィクティム・ウィンターミュート
…ったく、頭が悪すぎて潔さすら感じるぜ
強すぎる力は自分をも危険に晒す…特に兵器の類はな
身の丈を知らない奴はそれだけで愚か者ってな
さて…キャバリアも無いし、要塞を破壊できるような大火力も殆ど無いからな…小さいギフトで許してくれ

【ハッキング】で火器管制システムに介入
重機関銃の乱射に意図的に隙間を作り、そこを走りながら回避する
回避しながら銃を構える──最初の一発とは違うぜ
より速く調整したのさ…オリジン・セット──『ジャックポット・ワン』

レールガンすら超越した弾速を捉えられるか?
ご自慢の装甲もぶち抜いちまうぜ
そして…3秒経過
込められた起源が花開く
この馬鹿げた戦いを凍てつかせる、俺"達"からのギフトだ


エミリア・ジェフティー
でっか!
あれもオブリビオンの力…え、殆どこの国の技術?
ウソでしょ、あんなのデータに…
『凍結中計画をサーチ。類似コンセプトの兵装の存在を確認』
あったわ
いやなんであるんですか

それにしても…オブリビオンもこの国の人達も、結局壊す事しか考えてないんですね
これは外れかなぁ…
…けどまぁ貴重なデータに変わりありません
『"鍵開け"を実行。敵中枢システムへ侵入』
火砲の操作も機体の動作も出来なくなるまで、システムを根こそぎ"略奪"してやりましょう

『敵スペック"学習"。撃破に要するエネルギーを算出、念動球へ付与』
ついでにフィードバック("武器改造")を受けた念動球を散弾に纏わせ威力強化
要塞ごと吹っ飛ばしてあげますよ


オニキス・リーゼンガング
心情)愚かしさも過ぎれば清々しさすら感じさせますね。
国が焼失したとして、逆に喜びそうな気配です。
そう遠くない未来に自滅しそうですし、万歳三唱はその時にどうぞ。
いまはオブリビオンにご退場願いましょうね。
行動)重装甲で守られた移動要塞ですか。ロマンですね。
そのロマンを今から破壊します。本物の超火力をお見せしましょう。
《錘》を外し、輝呪からパワーを引き出し、
周囲環境・飛び交うミサイル・ドローン、なんなら要塞からも熱を奪って自身を最大強化。
刮目しなさい、火力至上主義共。これが地図を書き換える一撃です。
腕が弾けようと構いません。このこぶしで地を砕き。天を晴らし!
要塞ごとオブリビオンマシンを打ち・砕く!


神羅・アマミ
核をもって核となすとは!
オブリビオンの狂気ここに極まれり!

しかぁーし!
重装甲と巨大化をコンセプトにすればするほど機動性は犠牲になり、死角は増す!
デカブツと戦ってきた経験は一度や二度でなし、長年研ぎ澄ませてきた【野生の勘】を用い【ダッシュ】で弾幕回避!

所詮取ってつけたハリボテ装甲なら一度内側に入ってしまえば脆いもの。
UC『特機』のソードビットで関節の【部位破壊】を狙いつつ内部へ侵入させる。
目指すは当然動力炉!
指に刺さった棘がゆっくりと心臓へ向かうように静かに、しかし確実に致命的な一撃を与えてやる!

こんなものがこの世界に存在してはならぬのだ!
観念して躯の海へと還るがいい!

ところでアルミは何処に…?


フェルト・フィルファーデン
……全く状況が見えていないのかしら、この方たちは。
そもそも、大きければ最強ってわけじゃないでしょうに……
ええ、それなら見せてあげましょう。小さき者が大きな物を打ち倒す、その姿を!

まずは敵の懐に潜り込みましょうか。
【空中戦を仕掛け【フェイントをかけつつ高速で飛び回り一気に近づくわ。
ある程度低空で飛ぶつもりだけれど、万が一殲禍炎剣に目を付けられたら躱すか【オーラ防御で対処しましょう。
この手の大型兵器は至近距離が死角の事が多いわ。キャバリアを仮想敵として設定しているのだから当然だけれど。更にフェアリーなんて相手した事無いでしょうし。

隙を見てUC発動。質量差は充分ね。さあ、潰れて消えなさい!!


クラリス・クレスト
単独運用が基本の機体とはいえ、
単騎でこんなデカブツとの戦闘は想定してなかったなあ

なんて弱音は吐いてらんないな
ここで折れるようじゃ、一陣の風の名が泣くってね

とはいったって、そうだな
ボクの火力じゃ全力でぶつけたところで、武装の一つ破壊するのが精々か
……上等、やってやろうじゃないか

薙ぎ払われたビルの瓦礫を盾や足場にしながら徐々に距離を詰めていく
狙うのは背部の多連装ミサイルだ
眼前まで近づいたらオーバーブースト
一気に推力を上げて跳躍、相手の視界から「消える」
そのまま相手の外装甲を踏み台に後方に回り込み、一斉掃射を仕掛ける
味方がいるなら息を合わせていくよ
一人の火力でもし足りなくても、それならいけるはず!


アルナスル・アミューレンス
あーあ、またとんでもないもんを……
何とかにつける薬はないとはよく言ったもんだねぇ。

まぁ、的がでかくなったと思えばいいか。
最初のヤバい状態からは、変性して大丈夫そうだし。
――拘束制御術式、解放
進撃はそこまで、ここで『暴威(コワス)』よ。

さぁ、蹂躙を始めよう。
七十七の砲門による、『暴風』以上の砲火をお見せしようか。
第六感と戦闘知識から奴さんの動きを見切り、片っ端から撃ち込んでいくよ。
対空戦闘で浮遊砲台もドローンも、制圧射撃で片っ端から墜として、他の人の道も切り開こうか。
ミサイルも撃たせないさ、ポッドから出る前に撃ち抜いてそれごと吹っ飛ばすよ。

主砲が撃たれそうなのが見えたら、『排除(ネラウ)』かな。



●要塞、堕つ
「――素晴らしい」
 オニキス・リーゼンガングは、戦場の風を頬に感じていた。
 その目は盲てもはや何も見通せない。凋落した神の、癒やせぬ傷跡である。
 しかしオニキスは、たしかに視ていた。そして感服していた。
 敵の巨大さに? 否。
 それを称えるこの国の愚民どもに? 否。
 ……巨大なる敵を倒そうと立ち向かう、当世の猟兵たちの力強さに、である。
「これが、猟兵。これが、今の世に生きるヒトの熱なのですね」
 オニキスはかつて、竜神として数多の邪神を滅ぼし堕としてきた。
 もはや往時の力は失われ、その身は悪霊として現世にすがりつくばかり。
 猟兵としての役目を果たさねば、たちまち消えて失せる汚れのようなもの。
 そんな彼でも、実体化した身体ではっきりと、熱を感じていた。
 きっとオニキスの"旧友"は、それを愛でつつも厭うたことだろう。
 なにせ"彼"は腐敗と病魔の神。ヒトの活力を肯定はするが対極にあるもの。
 死したるオニキスもまた同じではある――けれども、だからこそ、感じるのだ。
 あの巨大なる鋼を滅ぼすために、命を、知恵を、全力を振り絞る人間たち。
「ならばわたくしも、持てる力を振り絞るといたしましょう」
 この国の民は愚かだ。浪漫などと謳い、あれなる滅ぼすべきモノを礼賛する。
 そう遠くない未来に自滅するだろう。その時万歳三唱でもすればよい。
 この胸を駆け抜ける清々しさは、愚かしさから来ていた。
 人は愚かだ。この国の民も、"あれ"に挑む猟兵たちも、どちらも愚かだ。
 だが好ましい。その熱は己には触れられず、放つことも出来ないが、しかし。
「――地を砕くこぶしを以て天を晴らしましょう」
 神であった男に全力を出させるには、十分すぎる愚かさだった。

 そしていま、エクサベースの弾幕はこれまでになく分厚く猛烈なまでに激しい。
 追い詰められたエクサベースが、いよいよ死物狂いの抵抗を始めたのだ。
 破壊されるはしから新たな砲塔を生成し、ミサイル・重機関砲・榴弾をばらまく。
 近づくな。退け。近づこうとするならばすべて死ね。
 オブリビオンマシンの声無き思念が、猟兵にも感じられるようだった。
「いよいよ発狂弾幕ですねえ……どこまでも壊すことしか出来ない兵器、ですか。
 これは外れかなぁ……けどまあ、貴重なデータには変わりないでしょう」
 クロムキャバリア"セシャート"を駆るエミリア・ジェフティーがひとりごちた。
 傑作機たるワンオフマシンは、隙間無き弾幕をきりきり舞いで凌ぎ続ける。
 このままでは埒が明かない。だがその埒を"開ける"手立てがエミリアにはある。
 ありとあらゆるデータを収集すべく解き放たれた少女には、万能鍵がある。
「……とはいえ、これほどの激しさだと"鍵開け"も簡単ではないですね。
 うーん、さすがに似たようなケースの兵器のデータがあるはずが――」
『凍結中計画をサーチ。類似コンセプトの兵装の存在を確認』
「え、あるの? ならそれを参考にプログラムを――っと!」
 KRA-TOOOM!! セシャートが避けた瞬間、榴弾が大地を抉りふっ飛ばした。
 余所見は禁物、ということか。システムを"略奪"するにはコンマ秒が足りない。
「でも、こんな状況を他の猟兵さんたちが見ているわけないですからね」
 必要なのは一瞬の間隙。エミリアはそれを待ち続けていた。
 猟兵たちがそれをこじ開けるに足る存在であることを彼女は識っている。
 そしてその手際もまた、あわよくばデータとして収集するつもりなのだ。

「――さて」
 そしてまず最初に亀裂を穿たんとするのは、全身黒尽くめの"奪還者"であった。
 アルナスル・アミューレンス。その表情は武骨なガスマスクで覆われている。
 何より特異なのは、偽神細胞によって兵器と同化・変異した両腕であろう。
 はたから見れば化け物そのもの。それでも、アルナスルは飄々と人間を標榜する。
「とんでもないもんを作ってくれた罰は……まあ、もう下されてるかなー」
 アルナスルはあちこち吹っ飛んだ国土を振り返り、呑気に言った。
 技術士官どもははしゃいでいるが、じきに顔が真っ青になることだろう。
 国土が吹き飛んでしまえば、火力も装甲もくそったれもないのである。
 この頭のイカれた国に、いまさら何かをしてやる必要は感じられなかった。
 むしろ問題は"あれ"だ。そびえるあの巨大要塞、オブリビオンマシン"Fortress"。
 その火力は、猟兵たちが居なければとっくにこの国を消滅させている。
 ゆえに、逃してはならない。もともとそんなつもりは欠片もなかったが。
「的がデカくなったんなら、こっちも目には目をで対抗するだけだよ。
 弾幕を張れば近づけずに済む、そう考えてるなら思い違いを正さないとね」
 メキメキと音を立てて、ビル屋上に立つアルナスルの腕が変異を続ける。
 20、30、40――肥大化した砲門はさらに無数に分かれていく。まるでもうひとつの機動要塞じみた、人間の身体にはアンバランスすぎる砲台の山。
 物理法則を無視した分裂と増殖により、アルナスルの足元がメキメキ砕けた。
 異形化した身体から複数のアンカーを打ち出し、ビルの土台部分に撃ち込む。
「進撃はそこまで、ここで"暴威(コワ)"してあげよう」
 合計砲門数、七十七。合計質量、計測不能。
 一切の移動能力を代償としたこの固定砲台形態が、アルナスルの奥の手。
「さあ――蹂躙を始めよう」
 言葉を呑み込むように、鼓膜を引き裂くほどの砲火が大気を吹き飛ばした。

「なんだ……!?」
 弾幕の起こす銃声砲音をも飲み込まんばかりの、戦争交響曲の大合唱。
 "ブルーバード"で回避行動を続けていたクラリス・クレストは、空を見上げた。
 そして見た――大火力を相殺し、貪り、弾幕を吹き飛ばす大火砲を!
 ビル上に異形の砲台――否、猟兵が見えた。あれを、たったひとりで?
「とんでもないな……けど、そこまでやるなら弱音は吐いてらんないや。
 "一陣の風"の名を泣かすわけにもいかない、やってやろうじゃないか!」
 クラリスは回避機動から反転、スラスターを噴射して一気に加速する。
 ミサイル、重機関砲、榴弾……クラリスを、ブルーバードを撃ち落とそうとする弾幕は、はるか後方のアルナスルがぶちまけた大火力が撃ち落としていく。
 そればかりか大火力は砲塔をぶち抜き、爆砕させ、傷だらけの装甲を穴だらけにしていく。
 つまり、これが好機だ。吹き飛ぶビル群の瓦礫がライスシャワーめいて吹き荒れる!
「こいつの火力は伊達じゃないってことを、見せてあげるよ!」
 前後からの弾幕がぶつかり合うミキサーじみた有様の戦場を、ブルーバードは器用に、いっそ芸術的なまでの高速機動で駆け抜けていった。
 よく見れば、弾幕嵐の中を命がけで進むのはブルーバードだけではない。
「敵も味方もド派手なもんじゃ! しかぁーし、決戦には実に似合いよ!!
 さあさあ、妾らを撃ち落としてみい! 図体がでかすぎて出来んじゃろうが!」
 スーパーロボットを駆る神羅・アマミは、オブリビオンマシンを挑発してみせた。
 もしもあちらに自我というものがあるならば、さぞかし苛立っただろう。
 新たな砲塔が生成されアマミを狙う――そして、アルナスルの砲火が爆砕する。
 乱舞する瓦礫、弾幕、爆炎、剥がれ飛んだ装甲の残骸。
 目視していては間に合わぬ竜巻じみた混乱の中で頼れるのは、ひとえに彼女が身につけた野生の勘のみである。
「こんなものがこの世界に存在してはならぬのだ! さあ観念せい!
 その動力を、妾自ら砕いてくれるわ! 骸の海に叩き返すためになあ!!」
 KRAAAAASH!! スーパーロボットの身体の一部がソードビットに変形して剥離し、アマミの意思に従って鋭角的なジグザグ軌道を描いた。
 ソードビットは強固な敵要塞関節および周辺装甲を、まるで裁ちバサミめいてずたずたに切り裂き、溶断せしめる。
 敵内部への活路が開いた。しかして要塞内部もまた飽和的弾幕で詰まっている!
「識ったことか! いまさら行く道退くほどやわではないわッ!!」
 アマミは決断的に内部へ突入した。同時に無数の砲塔が機体を狙う。
 アルナスルの弾幕も内部までは届かない――しかし、砲塔が突如爆発!?
「ぬ!? ……ははあ、なるほど。やはり持つべきものは仲間ということか!」
 アマミはにやりと笑い、もはや自爆した砲塔にかかずらうことなく直進した。
 彼女は理解したのだ――それが、ともに戦場に立つ猟兵の仕業であることを。

「いいね。クライマックスらしい展開になってきた。働きがいがあるぜ」
 要塞外部。嵐じみた災害の中を生身で飛び跳ねるハッカーがひとり。
 ヴィクティム・ウィンターミュートは回避と移動とハッキングを同時に行う。
 先の要塞内部防衛兵器の自爆は、彼のハッキングによるものだった。
 より正確に言えば、ヴィクティムと同時にエミリアによって行われた電子攻撃の賜物である。
「こっちは俺以外にも腕利きがいるみたいだ。手間かけさせられたがもう終いだな。
 けど、こんなもんじゃ壊れないんだろう? なにせ重装甲大火力、だもんな?」
 ヴィクティムのニューロンが加速し、丸裸にされたシステムを攻略していく。
 別のルートから、エミリアの"鍵開け"が侵略を進めるのが感じられた。
 そこに言葉は必要ない。ハッカー同士のニューロン速度の理解と連携があった。
 いまやエクサベースのシステムは丸裸だ。火器は次々に自壊し沈黙する!
「強すぎる力は自分をも危険に晒す――特に兵器の類はな。
 身の程を知らないやつはそれだけで愚か者って言うんだぜ? スクィッシー」
 はたして、狂喜乱舞していた技術者たちはこの光景をどう見るだろう。
 国土を焼く恐るべき要塞が、ようやく瓦解せんとする奇跡の瞬間と捉えるか。
 夢の結晶が再び無に帰する悲劇と取るか――確かめるまでもなかった。
 ヴィクティムは口元に皮肉げな笑みを浮かべる。この映像は全方位送信済だ。
 きっと帝国のあちこちで、この派手なフィナーレがリアルタイム中継されている。
「小さいギフトで心苦しいが、俺からもひとつ贈り物を受け取ってくれよ。
 ――お前のために丹精込めて汲み上げたんだ。"オリジン・セット"――」
 魔銃を構える。それは亡き戦友の"起源"が込められた形見であり、銀の弾丸。
 ただし放たれる一撃は、クラマトルスクに叩き込まれたものとはまったく違う。
 1秒。弾丸と残骸が頬を掠め、血のしずくをこぼした。
「レールガンすら超越した弾速、捉えられるものなら捉えてみろよ」
 2秒。爆炎がヴィクティムの姿を逆光で覆い隠す。
 3秒――時は満ちた。停滞と凍結の魔弾が、ライフリングに沿って放たれる。
「クライマックスは派手に、終わりは静寂のなかで――それが、舞台のセオリーだぜ」
 弾丸は装甲を貫き、火器を貫き、奥へ奥へ奥へ――Fortressに到達した。
 その瞬間、悪あがきを続けていたすべての火器が沈黙した。冬の静寂のように。
 "壱の魔弾『凍戦』(ジャックポット・ワン)"。要塞をも停止させる死の魔弾!

「――抵抗が、完全に途切れた」
 そしてヴィクティム同様に、生身で攻撃を躱し続けていたフェルト・フィルファーデン。
 彼女はこの一瞬のチャンスを逃すことなく、敵の死角に飛び込んだ。
 停滞の魔弾はもたらされた。だが、邪悪なるオブリビオンは未だ滅びず。
 巨大機動要塞は、その滅びの巨容を誇示するように君臨させている。
 ヴァルギリオスを思い出す。あれもまた、巨大であり強大であった。
 それに比べればこの夢の残骸の、なんと空虚で、脆く、そして無為なことか。
「アナタたちは、そうやって無益な争いをばらまき世界を滅ぼそうとする。
 魅入られる人々が居るのでしょう。戦乱を求める人もいるかもしれない」
 この帝国の、あの愚かな技術者たちのように。
「けれどね――それでもわたしたちは、何度でも証明してみせるのよ。
 世界を滅ぼさせはしない。どんな戦乱も、必ず叩き潰してみせるのだと」
 フェルトの小さな体は、巨大要塞に比べれば象の前のアリにも劣った。
 "だがそれでいい"。だからこそ、この術式は破壊力を増す。
「さあ、潰れて消えなさい――この世界に、アナタの居場所は存在しないわ!!」
 放たれた魔力はブラックホールじみた超重力球となり、猛烈に膨れ上がる。
 装甲を、火器を、巨大機動要塞そのものを飲み込み圧潰せしめる恐るべき特異点!
 重力波はさらに巨大化していく……そして攻撃はこれには終わらない!
『敵スペック"学習"。撃破に要するエネルギーを算出、念動球へ付与』
「こちらも行きますよ。要塞ごとふっ飛ばして差し上げます!」
 セシャートから放たれるのは、エミリアが念動力をまとわせた無数の散弾。
 それは解析と理解によって、この鋼の悪魔を砕く銀の弾丸と化す。
 散弾が装甲を砕き爆発せしめ、巨体を貫き、砕く。滅びへと叩き落とす!
「――刮目しなさい、火力至上主義者ども」
 そして、はるか頭上。君臨するように浮かぶオニキスの姿。
 いまや絶対零度のごとく冷たきその幽体には、"熱"が満ちていた。
 戦場の、火器の、猟兵たちの力から汲み上げられた、この世界の生(き)の力。
 オニキスはそれを片腕に収束させ、みしりと握りしめる。
 腕が弾けようと構いはすまい。国土を割ろうともはや仔細なし!
「――これが、地図を書き換える一撃ですッ!!」
 おお、あれこそは神の裁き。ソドムの街を焼き払ったメギドの火の如く。
 世界そのものが生み出した熱を集めた神の拳が、いま――!

「ぬうううおおおおおおおっ!!」
 そして同時刻、要塞内部! アマミ!
 ソードビットで文字通り道を"切り開いた"彼女は、Fortressの前に立つ!
「アルミはどこじゃ…・…? ええい、まあよい! これで終いじゃ!」
 彼女がパイロットが顔なじみによって救助されていたことを知るのは、戦いのあとの話だ。
 外からは膨大なエネルギーの炸裂を感じる。ならば己は内側から。
 ソードビットを合体させ、巨大な一振りの剣として身構えた!
「核をもって核をなすならば、その核を貫き滅ぼすのみ! 消えよ、災いよ!!」
 特機の刃が動力部を貫く――同時に、猟兵たちの全攻撃が集中、炸裂!
 巨大機動要塞の全体におびただしいヒビが走り、動力部が暴走し、自壊。
 離脱するアルミは罅割れた装甲から飛び出し、そして見下ろした。
 己が生み出した炎に呑まれ、地の底へと沈みゆくオブリビオンマシンの最期を……!!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

本城・アサヒ
【All-In-One(二体一心)】
【Establish!(確立)】

「機嫌が良いな、ナザイベル。だがどう進むかは私が決める」

乗機に語りかける
一体となった私とオブリビオンを言葉で隔て同調率を調節する

「実に素晴らしい。圧倒的な巨大さだ、が―――頭脳の方はそれに見合っているかな?」

海中の軟体生物のような機動で
防衛戦力を無視して機動要塞に取り付きユーベルコードにより
中枢へのハッキングを敢行

吸い出した防衛ルーチンを元に自身への迎撃を予測し
友軍が機動要塞を沈黙させるまでハッキングを続行しつつ
表面を滑るように逃げ回る


私立新世界学園のメンバーと共闘可
アドリブ歓迎


薄氷・ジゼル
【新世界学園】の生徒として参加。他の参加者様との絡み、描写、台詞の追加やユーベルコードの使用等、なんでも歓迎です。


……馬鹿げた大きさね。こんな禍々しいものをみて喜ぶ性根は理解出来ないし、したくもないわ。
とはいえ、流石にこの大きさと硬さじゃ、ルサールカの脆さで突入するのは自殺行為ね。だから……大きさには、大きさ。奥の手を使うわ。

【水星墜とし】を使用。先程まで戦場を水底化させていたエーテルの海を頭上に全て収束。巨大な水球と化して叩き込むわ。その質量は150トンを超える。

大きさと重装甲を自慢にしていたようだけれど、どこまで耐えられるのかしらね?


ユーディット・ウォーカー
うむ、おおきいのう。これはかなりの大きさじゃなっ
なんてわくわくどきどきしてしまいながら交戦するのじゃよ
ミサイルを切り落し弾幕を吹き飛ばしてランチャーに攻撃を叩きこもう
皆とも連携できれば良いが

それはそれとして我も皆の力を借りてぱわーあっぷしてしまおうか
国土を焼いてしまうならばより好都合…とまでは口にはせぬが

戦場で生まれた負の感情を糧に、
それでも、と抗う祈りを糧に。
終幕を望む意思だと規定/統合/改竄して
どこかで串刺しにされた機械達の無念とかも力に出来るとも。
呪縛か流血か毒かなんだかも受け入れて
(戦闘の後のことは、ひとまず置いておいて)
不敵にわらって
アンコールと共に、終わりをもたらす為に張り切ろうぞ


美聖・らふる
目標確認、敵要塞。
…………友軍の被害を鑑みて、“メガデス”の直接放射は危険です。
…………であれば。

(要塞から放たれるミサイル)
(攻防の要であり、最大の障害)

…………“ミゼラブル”が取り除きます。
出力、680%
使用時間、70秒に設定。


(これから焼ける。身体が焼ける)
(心臓が焦げる。肉体が焦げる)
(脳も命も全てが焼かれて)
(――――それでも、悲鳴1つあげないのが、今のせめてもの矜持)

“メガデス”、ラスト・アンド・ピース。
――――敵の放つミサイル群と防衛機構、全てを焼き払います。



●かくて舞台は終幕す
 大地をも砕き爆散せしめる、立て続けの超火力の炸裂、そして動力部の破壊。
 巨大機動要塞とて、三度は崩壊してもおかしくないダメージだった。
 そして事実、Fortressは爆散し、エクサベースもまた質量ゆえに自壊する。
 神の拳によって穿たれた裂け目、奈落の底へと墜ちていく鋼の巨躯。
 そうして終わる――はずだった。誰もがそう思っていた。

 だがしかし、オブリビオンマシンはその終わりを拒絶した。

「……!」
 美聖・らふるは、メガデスを降ろしかけたところで"それ"に気づいた。
 地熱ではない、大地の亀裂から「這い上がる」強烈な熱反応!
「敵性オブリビオンマシン、健在…………」
『……驚きを通り越して呆れるばかりね。まだ悪足掻きをするつもりかしら』
 "ミゼラブル"から聞こえていた通信に、薄氷・ジゼルが応えた。そして嘆息。
 彼女の駆る"ルサールカ"もまた、たしかに敵性反応を感知している。
「はははっ、まあだやりあおうてか! いっそ愉快であるのう、うむ!」
『ナザイベルも上機嫌だ。だが、どう進むかは私が決める』
 ユーディット・ウォーカーは呵々大笑し、本城・アサヒは皮肉を吐いた。
 ともにオブリビオンマシンを駆る者同士、機体の反応はまた強烈である。
 暴走しかかる愛機を意志力でねじ伏せながら、地の底へ続く亀裂を睨むふたり。
 そして、現れたるは……もはや要塞としての形をも失った、鋼の塊。
 溶鉱炉に投げ込んだ無数の鋼材が、中途半端に混ざりあい冷えて固まったような、
 兵器としての美しさも武骨さすらも失った、おぞましい"質量"であった。
 もはや砲塔どころか、その鉄塊そのものがメキメキと砲台の形に"変形"する。
「実に素晴らしい! 圧倒的な巨大さ、そして存在維持に対する執念。
 しかし頭脳のほうは無惨なものだ。いまさらてめぇに何が出来るものか」
 アサヒは二体一心確立の高揚状態に身を任せ、うごめく鉄塊をあざ笑った。
 応えたのは咆哮……否、"砲"哮である。ばらまかれる純然たる火力の嵐!
「これ以上火力をばらまかれたら、周辺の国まで消し炭になるわよ!」
『…………"ミゼラブル"が取り除きます。友軍各機、射線上からの離脱を』
「……了解したわ」
『応とも!』
『露払いはおまかせするとしようか』
 三機はらふるの言葉におとなしく従い、そのための花道を切り開いた。
 ミゼラブルは殲滅砲塔メガリスを構える。飛来する弾幕――否、火の嵐。
 それはキャバリア一機など、周辺地形もろとも消し飛ばすだろう。
 だが。メガデスの火力は、こういうときにこそその力を発揮する。

 代償は、命。らふるという少女にもたらされる激痛と、死という結果。
 らふるはデッドマンである。全力放射のたびに、当然の代償として死ぬ。
 そんなことは何度も味わってきた。そしていま、全力が必要なのだ。
 手が震える。"メガリスドライブ"が加速し、神経網や焼ききれた。
「――…………!!」
 それでも、悲鳴は上げない。淡々とシステムを起動し、トリガーに指をかける。
「出力、680%」
 部品とされた少女のただひとつの矜持。
 帝国の愚か者どもよ、見るがいい――これが。
「使用時間、70秒に設定」
 殲滅砲塔が殲滅砲塔たる所以。天と地を焼き尽くす人の生み出した愚かさの極地。
「――"メガデス"、ラスト・アンド・ピース」
 光の柱、いや河……そう、大河だ。大地を横断する大河のような、光。
 熱を持つ白き流れが地から空へと伸びた。飛来する弾幕をすべて焼き払う。
 命を糧に迸る光。それは、いっそ涙が零れそうなほど美しかった。
 らふるは悲鳴を漏らさない。たとえ、脳を焼かれ命を焼かれたとしても。
 心臓が焦げて沸騰し、煮えた血が全身を駆け巡りそれすらも揮発しても。
 膨れ上がった眼球が爆裂し、脳下垂体を巻き込んで溶け落ちたとしても。
 少女はトリガーを引き続ける。死にながら、空を灼き続ける。

 死。
 この地には死があった。
 焼かれるらふるの死、
 朽ちた鋼たちの死、
 そして滅びゆくオブリビオンマシンの死。
「心地良いのう」
 迸る光の大河を見上げ、ユーディットはうっとりと呟いた。
 負の感情。昏い悦び。それでも抗おうとする祈り、意思、決意、覚悟。
 朽ちた者たちの無念。熱。冷たさ。すべてを感じ、味方とする。
「希望を過去に。絶望を未来に。さあ、終演の時じゃあ!!」
 "アンコール"とユーディットが完全にシンクロし、意思をひとつとした。
 オブリビオンマシンの狂気が、ユーディットの血流に雪崩を打つ。
 血が迸る。呪縛は臓腑を焼く。毒素が想像を絶する苦痛をもたらす。
 死がある。少女の死、機械たちの死、ばらまかれる死、過去の死。
「ああ、痛い。苦しや、悲しや! ――されど世界は在りて命は続く!
 アンコールよ、張り切ろうぞ! ここで張り切らずして何が我らか!!」
 メガデスの光によって焼かれた空白を、"アンコール"が駆け抜けた!
 鉄の塊は装甲らしきものを形成し、己の身体を鎧おうとする。無駄だ。
「もはや貴様の命運尽きたり! 滅びるのは世界に非ず、これこそが終演よ!
 さあ、さあさあ! 刮目せよ、堪能せよ! 我の、我らの一撃をなぁ!!」
 絶望を喰らいし剣が伸び上がり、巨大な世界蛇めいてのたうった。
 惨劇という未来を奪い尽くす剣が、鉄塊をぞぶりと切り裂き、心臓部を切り開く!
 鉄塊は傷跡を修復しようとする――だが何故だ? 何故出来ぬ!
 答えは、あれだ。そのボディにへばりつく、異形のオブリビオンマシン!
「まだだ、まだだ! 全ッ然足りん! もっと知りたい、もっと味わわせろ!
 てめぇのその絶望を、てめぇのその悲しみを、てめぇのその苦しみを!」
 一体化したマシンとアサヒの声が重なり、もはやどちらともわからぬ。
 そしてマシンから流し込まれる浸蝕型ナノマシンが、鉄塊を内部から腐らせていく。
 オブリビオンマシンに意思と呼べるものがあったならば、
 あるいは痛みや苦しみを感じる自我があったならば、
 きっと切り裂かれ、脳髄をねぶられる屈辱と絶望に叫んだことだろう。
 接触浸蝕による超速のハッキング。自己再生も、増幅も、もはやアサヒは許さぬ!
「いいぞ、空っぽのわたしを満たしてくれ! ああ、ああ、ああ!
 ナザイベル、我が意に従え! 滅びはここにある、歓喜すべき終わりが!」
 アサヒは声無きオブリビオンマシンの恐怖と絶望を喰らい、高揚した。
 そして空を仰ぐ――そう、鉄塊と成り果てた"それ"も、見上げていた。
 すべてのあがきを呑み込む光の大河。鎧うその身を切り裂く終演の剣。
 そして、そう――堕ちて来る滅び。エーテルの海。ルサールカの"水星"。
「哀れなものね」
 合計質量150トン、戦場を水底化させていたエーテルの凝縮体である。
 "それ"に手を伸ばしながら、ジゼルは、ルサールカは、敵を哀れんだ。
「あなたは夢の残骸としても、オブリビオンマシンとしても、何一つ為せない。
 何も奪うことも出来ず、滅ぼすことも出来ず、当然のように滅びて消えるのよ」
 たとえどれだけ、堅固な鎧で己を守ろうとも。
 終演の剣はそれを切り裂き、鎧など知ったことない狂気が脳髄をねぶる。
 たとえどれだけ、恐るべき火力を誇ろうとも。
 何もかもを真っ平らにして焼き尽くす破滅が、すべてを無為にする。
 だからジゼルは哀れんだ。いまさら、慈悲をくれてやるつもりもないが。
「あなたは数多の有象無象と同じように、当然のように、ありふれて消えていく。
 もう覚えていることもないでしょう。絶望を抱いて、骸の海に沈みなさい」
 そして水底より来たりし白亜の姫妃が、水の星を叩き落とした。
 エーテルの海が球体凝縮化され、150トンの質量が鉄塊を押しつぶす。
 再生しようとする。侵食したアサヒのナノマシンが一切の行動を阻害する。
 防御しようとする。終演の剣が、その"アンコール"を否定する。
 水を消し去ろうとする――命を糧に燃える滅びの火は、火花とて許さない。
 かくて舞台幕は降りる。夢は夢のまま、徒花として咲きすらせずに消えていく。
 若者たちの命と力と意地と意思によって、潰えて砕けて滅んでいく。
 あとには何も残らない。何一つとて遺すことは許されない。
 地の底へと残骸は墜ちていく――かくて、過去は骸の海の露と消えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年11月06日
宿敵 『蒼き光を秘めし古の巨神を駆る狩人・アルミ』 を撃破!


挿絵イラスト