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【Q】ハロウィンな国のマッスルアリス

#アリスラビリンス #【Q】 #お祭り2020 #ハロウィン

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●グリモアベースにて
「ハロウィンが近づいたせいでしょうか、グリモアベースが賑やかになって来ましたね」
 グリモアベースの廊下にハロウィンの催しに関する張り紙が幾つか散見するようになった秋の中頃。倉庫から出されたのであろうハロウィン飾りが収められた段ボール箱が積まれた普段使っている一室に、シグルド・ヴォルフガング(人狼の聖騎士・f06428)は集めた猟兵達を前に世間話を混ぜながら今回の予知について語り始めた。

「皆様も既にお知りかと存じますが、先のアリスラビリンスでの戦争で『オウガ・オリジン』が自らの『世界改変ユーベルコード』により作り出された『ハロウィンの国』というものが幾つか発見されました。それにより、今年のハロウィン行事はそのハロウィンの国で開催される事が決定致しました」
 何でも陽気に喋るカボチャランタン、様々なコスプレ衣装が飛び出してくる森、ハロウィン料理の食材と調理設備が取り揃ったキッチン、ハロウィンパレードをするにもってこいな長い行進行列が出来るほどの街道等がその不思議の国にあるという。ですが、とシグルドは続ける。

「とは言え、そこは元々オウガ・オリジンが作り出した不思議な国、若しくは元々別の不思議な国がオウガ・オリジンの手によって改変された不思議な国です。勿論、オウガが支配する世界。そのオウガの軍勢も、ハロウィンの国が出来てから今に至るまでハロウィンを楽しんでいます」
 オウガ達は終わりのないハロウィンを楽しんでいる。ということは、つまり…。

「ええ。オウガは『仮装』しております。そして、ハロウィンの国ならではだからしょうか。仮装をすることで戦闘力が向上するという、オウガ・オリジンのユーベルコードによるギフトが国全体に与えられています。幸いなことに、その効果は我々猟兵にも与えられるます。オウガとの戦闘を有利に運ぶには、こちらも森から飛び出してくる仮装衣装をどんなのであれ構わずに纏い、楽しむ事がまずひとつ」
 仮装しながらの戦いとは、オウガ・オリジンも愉快な国を作ったものだ。
 オウガ・オリジンが生み出した様々な国での戦いを思い出す猟兵達を前に、シグルドは暫く間を置いてから言葉を進めた。

「ふたつ目は、この国を支配するオウガはハロウィンの国の法則により『無敵の肉体』を獲得しています。いかなる攻撃も弾く強靭ぶりですが、倒す手立てが唯一ございます…『オウガに美味しい料理を食べさせて眠らせる』。つまり、オウガの攻撃を防ぎつつ料理をするという事になりますね。オウガは料理を出されれば攻撃を止めて、事細かに批評と称賛をしながら食べることに集中します。眠ってしまえば無敵状態が解除されてこちらの勝利、というのがオウガ・オリジンが作り出したハロウィンの国のルールです」
 なるほど。じゃあ、そのオウガについての情報を…。
 その質問に大きな耳をぴくりと動かして聞いたシグルドの表情が薄っすらと濁る。まるで、何か見てはいけないものを見てしまったかのような顔だ。

「そうですね…。私が予知して発見した国のオウガは少し特殊と言いますか…。元々の不思議の国の性質を受け継いだハロウィンの国だからでしょうか。元はアリスであったオウガが迷い込んだアリス達を同じオウガに変え、オウガに適していなければ食べてしまうしまうという、非情に恐ろしい国でした。その悲劇は今も続いていて、オウガが無敵の肉体を得た遠因になっています。オウガに変えられたアリス達は彼らと同じようにアリスを増やそうと元凶となったオウガの住まう森を中心に活動を行っています。アリスとなったオウガの周囲に国を支配するオウガの拠点があることでしょう」
 何やら言葉を選ぶようにとも、濁すようにとも説明するシグルド。
 そしてアリスなのに『彼ら』という引っかかる言葉。
 訝しみつつある猟兵に、シグルドは珍しくも慌てながらゲートを作り出した。

「これまでの激戦を潜り抜けてきた皆様ならば、さほど苦戦する相手ではないと保証致します。それでは、少しばかし早いハロウィンを楽しみながらのオウガ殲滅をよろしくお願い致します」
 取り敢えず、現地に行けばシグルドの戸惑いの正体が分かるはずだろう。
 こうして猟兵達は、ハロウィンの国に通じるゲートに身を投じるのであった。


ノーマッド
 ドーモ、ノーマッドです。
 料理漫画のように出された料理を絶賛するという、ある意味お料理バトルシナリオですね。

●このシナリオについて
 当シナリオは、初となる特別な二部構成のシナリオフレームとなります。
 集団戦とボス戦のクリアすればシナリオ達成となりますのでご注意ください。
 また、10/31までに成功したシナリオの本数に応じて、ハロウィンパーティ当日、そしてやがて始まるであろう「アリスラビリンスでの猟書家戦」に、何らかの影響があるかもしれません。

●シナリオ解説
 一章目は、この国を支配するオウガが住む森の中から出てきた『無敵変態紳士『ブルマニアリス』』との戦闘になります。
 この章におけるプレイングボーナスは「森から飛び出してきたコスプレ衣装を身につける」です。
 どんな衣装なのかはランダムであり、こちら側で百面ダイスを振ってコスプレ衣装をチョイスする形となります。
 また「本当はイヤだけど、勝つためにしょうがなく着るんだからねっ!」といったようなプレイングであれば、追加プレイングボーナスが発生してより判定が有利となりますので、余裕があれば狙ってみてください。

 二章目は、このハロウィンの国を支配する『無敵の身体』を獲得したオウガとの戦闘になります。
 どのような敵なのかは、現時点ではお伏せしますのでご了承ください。
 この章におけるプレイングボーナスはなく、基本的にオウガの攻撃を如何に防ぎながら美味しい料理を作り食べさせるか、と言った流れになるかと思います。
 味も見た目も良ければ尚良しですが、気持ちが込められた料理であればオウガは美味しい美味しいと言いながら食べてくれるはずです。ですが、過度に料理を粗末にしたり所謂メシマズを強く強調させたものに関してはマスタリングを掛けますので、ご理解の程をよろしくお願いします。

 それでは一足早いハロウィンとなりますが、皆様の熱いプレイングをお待ちします。
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第1章 集団戦 『無敵変態紳士『ブルマニアリス』』

POW   :    【ブ】ルマニアリス・イマジネイション~騎馬戦~
無敵の【ブルマアリス服と騎馬戦フォーメーション】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
SPD   :    【Lu】LuLu…LaLaLa…(ダンディな声)
【流れるようなハグ】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【服をブルマアリスに変え、染み出る汗の臭い】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
WIZ   :    【魔】技・ミラクル☆ブルマイウェイ
あらゆる行動に成功する。ただし、自身の【布教用ブルマアリス服】を困難さに応じた量だけ代償にできなければ失敗する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 道沿いに並べられたカボチャランタン達が陽気にヒーホーヒーホーと嗤い合う街道を進んでいくと、大きな森が見えてくる。あそこがハロウィンの国を支配するオウガの根城だろう。
 猟兵達が森へ近づくと、突如森の中からクマのようなものが飛び出てきた。
 噂の森の中から飛び出してくるコスプレ衣装か? いや違う、あれは…。

『ブルブルブルブル、ブ~ルマ~!』
『『ブルブルブルブル、ブ~ルマ~!』』
『ブ~ルブルブル、ブ~ルマ~!』
『『ブ~ルブルブル、ブ~ルマ~!』』

 愉快なランニングソングを歌いながらこちらに向かってくるのは、体操服がはちきれんばかりの筋肉でピチピチさせ、ブルマを履いている変た……いや、紳士の一団だ。紳士たちは体操服&ブルマの上に、赤ずきんやアリスエプロンなどのおとぎの国なアリスのコスプレをしている…つまり、あれがオウガ、オブリビオンだな。
 支配するオウガにオブリビオンへ変えられたアリスがおっさんというのは釈然としないが、取り敢えず何時ものようにぶっとばすだけだ。

『『『ブルマ! ブルマ! ブルマ! ブルマ!』』』
 無敵変態紳士『ブルマニアリス』が猟兵達をブルマコスプレを布教せんとばかりに連呼すると、ブルマ以外にもコスプレがあるだろうがと森が叫ぶように様々なコスプレ衣装が森の中から飛来してくる。
 こうなればヤケクソだ。猟兵達はこの紳士オウガらをぶちのめすべく戦いに挑む。
シャムロック・ダンタリオン
オリジンめ、ある意味で面倒な置き土産を残してくれたものだな。

――まぁいい、とにかくあの変態どもを(と、そこへ飛んできた衣装を受け取り「え、これ着なきゃいけないのか?」な表情をしてる)

――そうだな、これもまた試練だ。あの猟書家たちとの決着をつけるためにも…。

――って、やってられるかー!!(魔神様、キレたー!)
【指定UC】で精霊をチェーンソーに変形して惨殺してやるわー!!【切断・なぎ払い・2回攻撃・恐怖を与える・傷口をえぐる】

※アドリブ・連携歓迎



「オリジンめ、ある意味で面倒な置き土産を残してくれたものだな」

 ある日森の中から飛び出てきたブルマを履いた紳士らを前に、シャムロック・ダンタリオン(図書館の悪魔・f28206)は既に滅んだオウガ・オリジンへ憤懣をぶつける。どう見てもおっさんであれ元アリスというオウガ・ブルマニアリスの存在その物こそはふざけているが、見た目で判断すれば色んな意味で痛い目に合うのは必定だ。こちらに向かいながら予備のブルマをブルマの中から出している様を、シャムロックは汚物を見るかのような目で冷ややかに見ていた。

 ――まぁいい、とにかくあの変態どもを…。
 幸いな事に変態達よりも速く衣装はこちら向かってに飛んでくる。まるで意志があるかのように、衣装達は一人の猟兵に殺到せずに一着だけが向かう。そしてシャムロックの手元にも衣装が飛来してきたのだが、その衣装に思わず眉を潜めてしまった。これを着なければ、あの変態共からブルマを履かされる二者択一の選択。

 ――そうだな、これもまた試練だ。あの猟書家たちとの決着をつけるためにも…。
 オウガ・オリジンとの戦いの後、姿をくらました猟書家の足取りは未だ判明していない。取り逃がしてしまった鉤爪の男はアリスラビリンスを闘争に満ちた世界に変えると宣言しており、仮にこのハロウィンの国々に潜伏しているのであれば…。全ては猟書家との決着のため。そう心に言い聞かせながらシャムロックが着た衣装は…肉襦袢であった。
 これさえ着れば貴方もムキムキマッチョ。胸筋と力こぶには綿がたっぷり入っているのに、伸縮性が高い生地のお陰で第二の肌とも言っていいような着心地の良さ。自慢の筋肉を眩しい笑顔と一緒にマッスルポーズをキメて披露しよう!

「――って、やってられるかー!!」
 あまりのやるせなさにブチギレてしまったシャムロックは、呼び出した精霊をチェンソーに変えて爆音をうならせながら高らかに掲げた。肉襦袢から漲るパワーがますます癪に触るが、その鬱憤をブルマニアリスにぶつける。

「惨殺してやるわー!!」
『ぶぅるまぁ!?』
 鬼気迫るシャムロックの姿に恐怖したブルマニアリスらが激しく狼狽する。チェンソーを振り回しながら森の前で咲き乱れていたお花畑をブルマニアリスの血で染め上げ、ハロウィンならではのおどおどろしさを徐々に塵と化していく屍を築き上げながら作り出すのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

吾喜内・来世(サポート)
「情けは人の為ならず! 困ったときはお互い様だ!」
女性的な身体に男性的な言動、陰鬱な外見に陽気な性質を持った桜の精です。
善意と正義感に従い、世の不条理や他人の不幸を掃う為に行動します。
心根が素直な為、敵の言葉に迷ってしまうこともありますが、事件解決という目的は忘れずに遂行しようとします。

「祖なる桜が一柱。請いて願いて奉る」
ユーベルコードは状況に応じて使い分け、攻撃と防御はそれ任せです。
本人は援護や救助の役割を主に担当します。装備の薬からその場面で最適なものを選び、自分や味方、敵にすらも服用させます。

アドリブや他者との絡みは大歓迎です。
やりやすいように、自由に動かしてください。



『お嬢さ~ん、お待ちなさい』
『ブル~マは~、如何です~?』
 ある日森の中でクマと出会った童謡のテンポに乗せ、ブルマニアリスらが吾喜内・来世(サクラキメラ・f22572)の前にスクラムを組むよう行く手を立ちはだかる。彼らの手はブルマを掴みながら左右に広げらており、様子を見る限りだとこの身なりでも紳士として襲いかかって無理やり履かせるという事はしてこないようだ。YESブルマNOタッチ。

「そう言われても、僕にはちょっとそれは……」
 来世がブルマニアリスの圧迫感に押されながらもやんわり断るが、紳士達のブルマ布教も一向に引かず押し問答が続く。そんな膠着状態に救いの手が出されたかのように、ひとつの衣装が来世の元に向けて飛んできたではないか。

「ごめんなさい! 確かにブルマは魅力的かもしれないけど、僕は猟兵としての務めを果たさなければならないんだ」
 ブルマニアリスのブルマ愛溢れる熱心な布教に耳を傾けなかったと言えば嘘になる。彼女の心根が素直な故に気持ちが少し傾いたが、事件解決という目的を見失った来世は衣装に体を委ねた。しゅるしゅると衣装自体が生きているかのように、来世の身体に着せられていく。衣装小道具類が全て身に纏い現れたのは、朱色を基調として金銀の刺繍が施された綺羅びやかな歌舞伎衣装姿の来世だった。

 ――ダンッ!!

 衣装に取りつかれたかのように大きく右足を踏み込んでビシッと見得を切る来世の背後から追い風が吹き抜け、同時に桜の巨木が突如彼女の後ろに現れた。ザワザワと風が枝の桜花を靡かせ、飛び散った花びらが風に乗って桜吹雪を舞い踊らせる。

「祖なる桜が一柱。請いて願いて奉る。断ち給へ」
 睨みを利かせた啖呵と共に舞い散る花びらが、ブルマニアリスらが手に持つブルマをスパスパと斬り裂いた。そして取っておきのブルマを失ったブルアニアリスは、そのショックにへなへなと力が抜け、女の子座りをしたまま放心した。

「キジも鳴かずば切られまいに……。さぁ、どいたどいた。俺は急ぐんだ」
 チョンチョンと幕切れの音を衣装の小道具が鳴らす中、来世はブルマニアリスを横に森の奥へと進んでいった。

成功 🔵​🔵​🔴​

陽環・柳火(サポート)
 東方妖怪のグールドライバー×戦巫女、21歳の女です。
 普段の口調は「チンピラ(俺、てめぇ、ぜ、だぜ、じゃん、じゃねぇの? )」

悪い奴らはぶっ潰す。そんな感じにシンプルに考えています。
戦闘では炎系の属性攻撃を交えた武器や護符による攻撃が多い。
冒険等では割と力業を好みますが、護符衣装を分解して作った護符などを操作したりなどの小技も使えます。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


水心子・真峰(サポート)
水心子真峰、推参
さて、真剣勝負といこうか

太刀のヤドリガミだ
本体は佩いているが抜刀することはない
戦うときは錬成カミヤドリの一振りか
脇差静柄(抜かない/鞘が超硬質)や茶室刀を使うぞ

正面きっての勝負が好みだが、試合ではないからな
乱舞させた複製刀で撹乱、目や足を斬り付け隙ができたところを死角から貫く、束にしたものを周囲で高速回転させ近付いてきた者から殴りつける
相手の頭上や後ろに密かに回り込ませた複製刀で奇襲、残像やフェイントで目暗まし背後から斬る、なんて手を使う
まあ最後は大体直接斬るがな

それと外来語が苦手だ
氏名や猟兵用語以外は大体平仮名表記になってしまうらしい
なうでやんぐな最近の文化も勉強中だ


ラムダ・ツァオ(サポート)
A&Wの遊牧民出の自由人。
見た目からダークエルフと揶揄されることもあるが、当人は特に気にしていない。普段は外套と丸サングラスですっぽりと身体を覆っているが、外套の下はかなり身軽。
なお、見た目は怪しいがわりと気さくな性格。
臨機応変に動くが、完全勝利よりは条件達成を目指す。

行動指針としては以下の3通りが主。
1.味方の死角にいる敵を優先して片付ける。
2.範囲攻撃を行なえる味方がいなければ範囲攻撃優先。
3.数を減らすため、止めをさせそうな相手を狙っていく。

台詞回しや立ち位置などは無理のない範囲でご随意に。
ユーベルコードは状況に応じて使い分けます。



『LuLuLu……』
『LaLaLa……』
 ダンディな声のハミングに合わせ、ブルマニアリス達が両腕を大きく開きステップを踏みながらやってくる。フローラルなお花畑を背景にしても中和しきれないブルマニアリスの汗臭いと言うべきか加齢臭混じりと言うべきか、なんとも言えない酸っぱい臭いが風に乗って漂うのには陽環・柳火(突撃爆砕火の玉キャット・f28629)も流石にブチギレていた。

「ああ、クソ! そのブルマごと燃やし尽くしてやろうじゃねぇか、コンチクショウ!」
 炎を纏った薙刀を振るうが、それをブルマニアリスらがステップを踏みながら回避するのだから、なお苛立ちが募っていく。

「やはり、こすぷれするしかないだろうか?」
「衣装を着ることでバフが掛かるという仕組みであるのなら、そうでしょうねぇ」
 自身である太刀の分身を構えるヤドリガミの水心子・真峰(ヤドリガミの剣豪・f05970)と白鋼を鍛えた脇差を構えるラムダ・ツァオ(影・f00001)が互いに背中を合わせながら、周囲をぐるぐる回りながら彼女らを取り囲むブルマニアリスを牽制し続ける。

「ですが、この状況で着てもその隙にハグされかねませんね」
 まるで椅子取りゲームのようにステップを踏みながら、隙あらばハグをすることで同じブルマ姿に変えようと虎視眈々に狙っているブルマニアリス達。衣装もタイミングを見計らうように彼女達の上をぐるぐる回っており、このままでは時間の問題であるのは明白であろう。
 すると、真峰は深い溜め息と共に錬成ヤドリガミで作り出した『水心子真峰』の分身を高々と掲げ、意識を刀身に集中させた。

「私の分身といえども、つまらぬものを斬りたくはなかった。が、こうなれば背に腹は代えられないだろう。活路は私達で開く。その隙にこすぷれを!」
 ブゥンという音と共に何十振りにもなろう水心子真峰が宙を舞い、四方八方に飛んでブルマニアリスを斬り裂いていく。いやぁ~んと切り裂かれたアリスエプロンの胸元を押さえている絵面はキモいが、今が衣装を身に纏うチャンスだ!

「ありがてぇ! 今までの借りを思う存分ぶっ飛ばして返してやるぜ!」
 反撃の狼煙に息巻く柳火の元に来たのは、スリットが切られた真っ赤なチャイナドレスだ。着替え終えた彼女が神酒を周囲に振りまくと、彼女の背後に骸魂『ヤマタノオロチ』が召喚され更なる力が身体に宿り、骸魂の刺繍がチャイナドレスに浮かび上がる。

「私はスーツね。この感じだと、エージェントってところかしら?」
 ツァオに元に来たのは、男女兼用の黒服とも言えるスーツ。丸ぶちのサングラスが更に雰囲気を醸し出させ、彼女が来ていた外套を羽織れば某国の特務機関所属のエージェントめいた姿である。

「これは……なぁす服か? すかぁとというのは少し、気恥ずかしいものだな」
 普段履いている袴と似ているようで異なるスカートならではの感触に戸惑いの色が浮かぶが、動きやすいのならと真峰は大きく踏み込んでブルマニアリスを袈裟懸けする。

「オラオラ! その胸糞悪ぃ服ごと燃やしてやらァ!!」
 柳火が焔を纏わせた刀身の薙刀を振るい、その身に宿りし骸魂の力を持って汚物を消毒するが如く、ブルマニアリスを次々と滅却してていく。狼狽え逃げ惑うブルマニアリスを逃さまいと、ツァオは魔法で伸ばした自身の影を放ち拘束させる。

「逃さないわよ。さて、あなた達の親玉のオウガの居場所を…これからじっくり聞かせて貰うわよ?」
 サングラスのブリッジに人指し指をあて、ツァオはレンズを妖しく光らせながら戦意を失ったブルマニアリスを影で締め上げて情報を引き出していく。
 ブルマニアリスの供述では、アリス(?)であった彼らをオウガに変えた首魁は森の中心にある広場を拠点としており、そこで会得した不死身の身体を維持し続けているそうだ。ブルマニアリスの供述を頭の中で整理し、今後の事前準備をどうするか思案する中でツァオはブルマニアリスが洗いざらい喋ったから見逃してと訴えるような視線を送っているのに気づいたが、無視して戦いを終えた柳火と真峰と共に森の中へと進んでいく。

「暫くそこで反省してなさい。自分の主張を他人に押し付けるのはマナー違反よ?」
 そんな殺生なと言わんばかりなダンディな慟哭をガン無視し、猟兵達はこの国を支配するオウガの元へと急いだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『純粋食人鬼筋のブレイキア』

POW   :    ふふ、貴方でトレーニングしましょう♪
レベル×1tまでの対象の【姿を1本のバーベルに変換し、そのバーベル】を掴んで持ち上げる。振り回しや周囲の地面への叩きつけも可能。
SPD   :    さあ素敵なプロテインお茶会を始めましょう?
自身の【貯蔵していた大量の元適合者プロテイン】を代償に、【同世界から召喚したアリス適合者Lv×1人】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【プロテインで異常発達した筋肉と洗脳状態】で戦う。
WIZ   :    戦闘などやめてその素晴らしい筋肉で共に鍛錬を♪
無敵の【戦闘を禁じ鍛錬のみ許す対象の超隆起筋肉】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は九十九・静香です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


  様々な衣装が飛び交う森の道を進んでいくと、突如空間が開けた。
 そこには様々なトレーニング機器が置かれており、その中心では……マッシヴなオウガでな元アリス『純粋食人鬼筋のブレイキア』がトレーニングに励んでいる。

『アンドゥ、アンドゥ! 今日もたっぷりトレーニングをして、良質なプロテインでこの無敵で不死身の身体を維持しませんとですわぁ♪』
 どうやらアレがこの国を支配するオウガのようだ。
 幸いにもトレーニングに集中しており、こちらには気づいていない。トレーニング機器から少し離れた場所には、山積みになった食材と調理機器が置かれている。
 このまま忍び込んで彼女が言うプロテインの代わりとなる料理を作るのも良いが、その匂いで流石にオウガが気づくかもしれない。そうなれば、彼女のスパーリング相手となるのは必定だが……もしかすると、プロテインも料理に含まれるのではなかろうか?
 考えるよりもまずは行動だ。猟兵達はそれぞれに散って行った。
シャムロック・ダンタリオン
(黙々とトレーニングを続けるオウガを見て)
まぁ、さっきの変態どもよりはマシに見えるが――やはり暑苦しい。
――いや、トレーニングには加わらないからな?

――さて、料理は不得手ではあるが、これもあのオウガを葬るために必要だというし、やるしかないな…(そして【指定UC】で得た【世界知識】を基に【情報収集】した結果出てきたのは――「某K社の秘密のレシピ(ぉぃ)」!)。

(そしてどうにかこうにか完成したフライドチキンの匂いに気付いたオウガに対し)
あぁ、そんなに食いたいというのなら――食らってみろ!(顔面にチキンを投げつける)
(そして眠ったところで介錯してる)

※アドリブ・連携歓迎



 黙々とベンチプレスのウェイトトレーニングを続けるブレイキアを尻目に、シャムロックはオウガのトレーニングジムを通り抜けて行く。両側にこれでもかと巨大なプレートを差し込ませてシャフトをたわませながらリフティングをしていたが、一体あの重りは何ロ…いや、何トンもあるのだろうか。
 とは言え、トレーニングに集中している分、先程森の前でエンカウントした変態どもよりはマシに見えてくる。しかしながら、見ているだけでも暑苦しいのには変わりない。
 ――いや、トレーニングには加わらないからな?
 誰に向けてのツッコミを溢し、彼は山のように積み上げれた食材の元にたどり着くと、それらを前に顎に指を当てながら考え込む。

「さて、料理は不得手ではあるが、これもあのオウガを葬るために必要だというし、やるしかないな…」
 考えてもしょうがないとダンタリオンの書を取り出し、白紙のページを開いて念じると徐々に文字と絵が浮かんでくる。それはフライドチキンの作り方を記した物で、その片隅には常人ではまず知る事は不可能なUDCアースで世界的展開するフライドチキンFC店秘伝スパイスの調合レシピも載っていた。

「なるほど……ただ手羽元を揚げればいいって訳ではないのか。下拵えで圧力鍋に掛けろだなんて意外だ」
 フライドチキンと言えばただ骨付き鶏肉に衣を付けて揚げる物と思われるが、それでは中まで十分火が通るまで凄く時間が掛かる。鶏肉の臭み抜きに水と一緒にコンソメやら酒やらを合わせた物と一緒に煮て下味をつけさせて圧力鍋に圧力が加われば、弱火で数分加熱し、火を止めて圧力が下がるまで放置。それが終われば鍋から肉を取り出し、キッチンペーパーの上で水気と粗熱を取る。
 ただ鶏肉を揚げた物と言った認識だったフライドチキンだが、こうして作ってみると中々手間暇が掛かる料理なのだと痛感する。シャムロックは認識を改めながらオウガがこちらにまだ気づいていないのを確認すると、書に書かれたレシピに従い次の工程へと入った。
 次は衣の準備で、牛乳と卵を混ぜたボウルと小麦粉や秘伝スパイス等を混ぜた粉を混ぜたボウルに分け、浸してから衣をまぶして揚げる。
 ジュワーと油で揚げられる子気味のいい音と共に、油で熱されたスパイスによるなんとも言えない香ばしい香りがフライヤーから溢れてくる。これなら腹をすかしたオウガも気づくだろう。全ての鶏肉を揚げ切って皿に盛り付け終えたシャムロックが身を隠すのと同時に、のっしのっしと地面を揺らしながらブレイキアがやってきた。

『何かキッチンからいい匂いがしてきたかと思ったら…私の大好物のフライドチキン、それにスープもだなんて!』
 フライドチキンの添え物で作ったスープは、圧力鍋で鶏肉に下味を付けて残ったゆで汁を再利用したものだ。これもダンタリオンの書が浮かび現したレシピに載っていた物で、鶏肉の旨味が溶け込んだ絶品コンソメスープとのことだ。
 オウガがフライドチキンを手づかみし、そのままムシャムシャと食べ始めようとひと噛みすると、大きく目を見開かせた。

『な、なな、なんですの!? このフライドチキン…お上品なスパイスの香ばしさがしたかと思えば、肉汁に染み込んだ味わい深いお味……美味しい、美味しすぎますわぁ♪』
 シャムロックが作ったフライドチキンを絶賛しながら大きな口で骨ごと食べるかと思いきや、器用にも骨だけ残して次のフライドチキンに手を延ばすオウガ。そして、口の中に広がったフライドチキンの脂を洗い流そうとコンソメスープも一口飲む。

『はぁあああんっ♪ お口の中に広がる鶏の旨味とコンソメの豊かな風味が、疲れた筋肉の隅々にまで行き届いて癒やされますわぁ♪♪』
 フライドチキンを食べ、コンソメスープを飲む。そうして行く内に、あれだけ作ったフライドチキンは程なくして完食された。

『あら、もうなくなりましたの? 残念ですわぁ……もっと食べたかったのにですわ』
 料理に満足したが、量はまだ足りない。この無敵とも言える練り上げられた筋肉の塊を眠らせるには至らなかったと、シャムロックは物陰で歯噛みする。
 だが、オウガの瞼はどこか満腹感からの眠気に襲われたかのようにトロンとしている。このまま料理を食べさせ続ければ、オウガは眠りに陥るだろう。他の猟兵が作る料理に手を付けるのを待ち、寝首をかく機会が訪れるのをシャムロックは息を潜めながら伺うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セシリア・サヴェージ(サポート)
「私の力が必要なら喜んで手を貸しましょう」
「人々を傷つけるというのであれば、私が斬る」
「護る為ならば、この命惜しくはありません」

◆性質
『暗黒』と呼ばれる闇の力を操る黒騎士。闇を纏った冷たい風貌から誤解されがちですが、人々を護り抜くという強い信念を持っている隠れ熱血漢。味方には礼儀正しく優しく接しますが、敵には一切手加減せず非情です。無茶な行動や自己犠牲も必要と判断すれば躊躇しません。

◆戦闘
『暗黒剣ダークスレイヤー』と共に力任せに暴れます。ダメージや怪我を恐れず、代償を伴うユーベルコードの使用を躊躇しません。非戦闘員が戦場にいる場合は護衛・救出を優先します。


リズ・ルシーズ(サポート)
生体ベースのサイボーグ、何らかの理由で生命維持モード(Re-A=リア)として活動中、普段の活発さはなくミステリアスな雰囲気。生命維持を最優先、リスクを避けるとともに敵対する存在に対して容赦はしない。白い外部装甲

『私はリア、この身体に敵対するものに容赦はしません』
『『解析・検証・再定義』データの取得に使わせていただきます』
『私はリズ程は甘くはありませんよ?』


21歳 女
口調:おしとやか(私、貴方(貴女)、~さん、ですね、です、ですか、でしょうか?)
武器:電磁ランスと疑似刻印による光属性攻撃のレーザー
補助装備:ナノワイヤー(トラップ・移動用)、重力制御装置
探索時:R-Seriesでの人海戦術など


陽環・柳火(サポート)
 東方妖怪のグールドライバー×戦巫女、21歳の女です。
 普段の口調は「チンピラ(俺、てめぇ、ぜ、だぜ、じゃん、じゃねぇの? )」

悪い奴らはぶっ潰す。そんな感じにシンプルに考えています。
戦闘では炎系の属性攻撃を交えた武器や護符による攻撃が多い。
冒険等では割と力業を好みますが、護符衣装を分解して作った護符などを操作したりなどの小技も使えます。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


サラ・メリータティ(サポート)
「はわわ」「献身的」「友好的」「前向き」「サポート気質」
NG項目なし、回復、補助タイプです
これにより同行者が酷い目に合うのは望んでないので使いにくかったら流して下さい

回復の事や補助、精神的ケアなら任せてくださいな妖狐です
困っている人のお役に立ちたいです
力仕事や走ることは苦手ですが、細かいことは結構得意
頼まれたら断れないタイプ

とりあえず「はわわ~」や「はわわっ」をよく言います
はわわですが「ドジっ子ではない」
真面目な時はちゃんとやり、楽しむ時はしっかり楽しみます
人を助けるという覚悟が決まっていてたとえ捨て身であろうとも救助にあたります

不思議な鞄にはお菓子や冒険に役立つ素敵なものが沢山詰まっています



『はぁ……食べたらまたお腹が空いてきましたわ。さっき食べたもののように、他にもお料理はないですの?』
 この鍛えられきった肉体を維持するには、一体何千キロカロリーを取らなければならいないのであろうか。一旦食欲に火が付けば、後はもう止めようがない。ブレイキアは端なさを覚えながら食材をそのまま食べようと手を伸ばしたが…その食指をピタリと止めた。何故ならば、すぐそこのテーブルに出来たての料理が盛り付けられていたからだ。

「はわわ~。こんなに食材があると、何を作ればいいのか迷ってしまいます」
 時を少し戻して、サラ・メリータティ(はわわヒーラー・f00184)は、これでもかと山になった食材を前にはわわと両手を口に当てながら驚いた。

「上手く忍び込む事ができましたが、騎士として敵を前にしながら手を出せないとは歯がゆいものです」
「仕方ありません。あのオウガを相手にした場合の被害は計りきれません。無策で下手に刺激するより、今はこうするのが最善です」
 ガチャガチャと音を立てさせながらトレーニングに集中しているオウガが居る方向を睨んだセシリア・サヴェージ(狂飆の暗黒騎士・f11836)に、生命維持装置が作動したことにより今はリアとして活動しているリズ・ルシーズ(Re-Z・f11009)がフォローを入れる。

「相手が無敵じゃ、いくら攻撃しても傷一つ付けれねぇならねぇしな。よぉし、まずはエネルギーチャージといこうじゃねえか!」
 柳火が食材の山から、ツヤツヤした生ハムを取り出すと、そのままもぐもぐ食べて腹ごしらえをする。残りの三人も顔を見合わせ、うっすら残る塩味に甘い旨味が広がる生ハムをひとつ、またひとつ食べていく中でのもぐもぐ作戦会議が始まった。

「相手はあの筋肉量の巨体です。きっと食べる量は半端ありません。なので、料理は私達が共同で作るのを提案します」
「ふむ……なるほど。それは合理的だな。では、そうしよう」
「でもよぉ、流石にでっかい鍋をドンと置いちゃアイツも不審がるんじゃねぇか?」
「それなら、ハロウィンらしくクッキーなんてどうでしょうか? それなりの量を作れますし、トッピングも色々変えたりできて相手も飽きないと思います」
 3人がクッキーを提案したサラに顔を向け、かくしてクッキー大作戦が始まった。分担はこうだ。セシリアと柳火が様々なクッキー生地を練り上げ、それを細かい作業が得意なサラが型抜きや装飾を加える。最後はリアが多くのオーブンをそれぞれ正確な時間で計測し、最適な焼き加減になった所で取り出していく分業態勢だ。

「データベースのレシピ通り、この焼き加減で良いと思うのですが、誰か味見をお願いできますか?」
「おっ、んじゃ俺いっちば~ん♪」
 リアが差し出したひょいっと程よい熱さまで冷めたクッキーを柳火がひょいっと掴み、ぱくりと一口齧る。

「おおっ、イケるイケる! リアも食ってみろよ!」
「いえ、私は遠慮させて頂きます。生命維持する為のエネルギーは足りていますので」
「それでは私が変わりに頂こうか。ふむ…なるほど。確かに、これは美味い」
「はわわ~!? 皆さんずるいです~。私にも味見させてください~」
 次々とひょいぱくひょいぱくと味見されていくクッキーに、リアが表情を変えずに一言告げた。

「あの……皆さん。本来の目的、これはオウガに提供する物である事をお忘れずにください」
 そんな女子会めいたやり取りが何度もあったが、こうして出来た様々なクッキーが大きなバスケットに盛り付けられているのをオウガが発見したという訳である。

『まぁまぁ、これはクッキーではないですわ。それもこの芳しい匂いは……そう、プロテイン! わたくしが愛飲しているプロテインのフレーバーによく似ていますわ!?』
 それもその筈で、このクッキー生地にはプロテインが練り込めれており、差し詰めプロテインクッキーである。トレーニングによってエネルギーを消耗したオウガの細胞が良質なプロテインを求め、無意識にクッキーへ指を伸ばして掴むと、そのまま口へと運んでパクリ。

『ふぅおおおっ!! お上品で控えめの甘さ、そして香ばしさが堪りませんわぁ♪♪』
 燻っていた食欲に再び油が注がれ、燃え盛る衝動に駆られたオウガはクッキーを大きな手で鷲掴みすると、一気に口へと運ぶ。そして口いっぱい頬張りながらバリバリと食べていく。物陰でこっそりその様子を眺めていた四人は、自分達の作ったクッキーがオウガのお眼鏡に叶った事への喜びでハイタッチしようとした時、ズドーンとオウガが居る方向から大きな音がしたのに振り向いた。
 そこには、イスごとそのまま後ろへ倒れ落ちて、大の字になって寝ているオウガの姿があった。大きなバスケットに盛り付けていたクッキーは殆ど残っておらず、大きく寝息を立てる口の周りには食べかすが幾つも付いている。

「はわわ! もしかして、あんなに食べたから喉にクッキーを詰まらせたのですか?」
「いえ、相手は料理に満足して眠りに落ちたようです。つまり、これでオウガが無敵ではなったという事です」
「まるでサムライエンパイアで耳に挟んだ、酒で眠らせて討った鬼退治のような結末か。では、止めは私が刺そう」
 セシリアは剣を抜き、寝て無防備となったオウガへと近づく。そして他の三人が、首をその特大剣で首の骨ごと一気に断ち斬る。血飛沫と共に首と胴体が別れを告げたオウガは、断面から徐々に塵となって崩れて行った。

「あれ? ここにあったオウガのトレーニング機器もいつの間にか消えてるぜ?」
 柳火が指摘した通り、オウガの消滅とともに彼女が使っていたトレーニング機器の数々も虚と消えて何も残っていない。広場に残されたのは、食材の山とキッチンだけ。
 森がざわついたかと思うと、そこからハロウィン飾りを模した愉快な仲間達がヒーホーヒーホー言いながら出てきて猟兵達を囲んだ。それはまるで、オウガを倒してくれた彼らを歓迎しているかのようだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2020年10月31日


挿絵イラスト