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【Q】デカダンス・ハロウィン

#アリスラビリンス #【Q】 #お祭り2020 #ハロウィン

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●事件はUDCアースで起きてるんじゃない
 アリスラビリンスのある不思議の国は、例に漏れずハロウィンの準備に大忙し。2020年8月の迷宮災厄戦(ラビリンス・オウガ・ウォー)により、「はじまりのオウガ」オウガ・オリジンをはじめ多数のオウガが倒されたアリスラビリンスは、未だ「アリス」の召喚が止まらないながらも大分平和になっており、この国でもオウガの襲撃を受けることなく、「アリス」と愉快な仲間や時計ウサギ達がハロウィンパーティの準備を進めていた。
 しかし、オウガ・オリジンが遺した現実改変ユーベルコードの力が、この国を改変する。「アリス」達の視界は急に霧で満ち、その霧が晴れると、しゃべる南瓜ランタンにはコンセントプラグの付いた電線が生え、森はブティックの入ったコンクリートジャングルに変わり、食材が完備されたキッチンはライブクッキングスタジオに、そしてそれらは片側3車線以上あり、行列を作るには充分過ぎる広さのアスファルトの道路沿いに並んでいた。ついでに「アリス」達の服も学生服だったりスーツだったり。
 戸惑いを見せる「アリス」達を、ズキューンという甲高い銃声が襲う。肩を竦めた「アリス」達が振り向くと、ピンクのうさ耳と自動小銃を携えたフルフェイスマスクの人型の「何か」の集団が、派手な色や柄のスーツを着て銃口を向けていた。
「11代目のオジキぃ、カタギですけど撃っちまウサか?」
 派手なスーツの一人が、背後で高級そうな自動車のボンネットに腰掛ける、サラシを巻いて着物を着たシルクハットの少年に尋ねる。
「当然じゃァ! 或触怒(あるふれど)組は舐められたら終わりじゃけェのォ! それにワシゃァ腹減って気分が悪いけェのォ!」
 バンとボンネットを叩くと、再び銃撃が開始され、火花が散る中を「アリス」達は逃げ惑いながら、自分達の世界を救ってくれた「彼ら」を呼ぶ。
「助けてー! お巡りさーん!」
 ……お巡りさん?

●アリラビで起きてるんだ
 グリモアベースでは、グリモア猟兵のミント・キャラメル(眠兎キャラメル・f25338)が、猟兵達に予知の説明を始めていた。
「先々月に迷宮災厄戦(ラビリンス・オウガ・ウォー)でオウガ・オリジンを倒したアリスラビリンスで、現実改変ユーベルコードで改変された不思議の国がオウガ達に襲撃される予知を視ましたぁ。このオウガ達の撃破をお願いしますぅ」
 ミントはグリモアに不思議の国の映像を浮かべる。猟兵達はその映像を見て口々に言う。UDCアースの間違いじゃないのかと。
「えっと、これが、現実改変ユーベルコードでUDCアースみたいに改変された不思議の国ですぅ。『アリス』をパワハラで弱らせる事件も過去にありましたし、それの発展形なのかもしれませんねぇ。それはそれとして、この国は『ハロウィンの国の法則』に支配されていて、その法則でオウガ達は強化されていますぅ。なのでぇ、こちらもその法則に従って闘う必要がありますぅ」
 ミントはグリモアに、ピンクのうさ耳と自動小銃を携えたフルフェイスマスクが派手な色や柄のスーツを着ている集団を映す。
「まずは、このチンピラのコスプレをしたオウガの集団を倒すことになりますぅ」
 それコスプレ扱いなんだ、と猟兵の一人。
「オウガ達は、このチンピラのコスプレでパワーアップしているので、こちらもコスプレをして闘うことになりますぅ。コスプレ衣装は『コンクリートジャングル』とも呼ばれる灰色のビルの森から飛んでくるので、それを着るのですぅ。衣装はランダムで選べませんけど、選びにお店に行こうとするとオウガ達にタマ奪られちゃうので選り好みしないで着て下さいねぇ。あ、でもある程度衣装の傾向はありますぅ」
 衣装の傾向? と猟兵以下略。
「どの衣装も、ポケットに警察手帳とサングラスと銃器の入ったスーツですぅ。ランダムなのは、サングラスと銃器のデザインですねぇ。つまりデカですぅ☆」
 デカですぅ☆ じゃないよ。以下略。
「まとめると、皆さんはダンディー、セクシー、ワンダフル等々と形容される、自分の歌がBGMに流れるような刑事(デカ)になって、市民を襲うチンピラを、踊るようにユーベルコードの弾丸で撃ち倒すのが最初の事件ですぅ」
 猟兵達の微妙な表情を意に介さず、ミントはグリモアに事件の元凶――サラシを巻いて着物を着たシルクハットの少年を映す。
「チンピラを片付けたら、この事件(ヤマ)の犯人(ホシ)、『11番街の帽子屋・アルフレッド』こと或触怒(あるふれど)組の11代目組長との決戦ですぅ」
 ついに猟兵からツッコミが途絶える。
「ホシも『ハロウィンの国』の法則で強化されていて、刑事の皆さんの力をもってしても『ほぼ無敵』ですぅ。ですけど、お腹の空いた成長期の彼は『美味しそうな料理』や『気持ちのこもった料理』を見ると抵抗できずに食べてしまうのもまた法則で、食べるとおいしさについて事細かに批評、称賛した上で、段々眠くなっていきますぅ。料理を食べさせ続けて完全に眠らせれば無敵状態は解除されて、一撃で倒せるようになりますぅ。ですのでぇ、近くのキッチンスタジオで『料理を作る』か、作れない人は彼が寝落ちするまで『攻撃を耐え忍ぶ』ことになりますぅ☆」
 説明を終えたミントは、現場を映したグリモアを大きくしていく。
「それじゃあ行きますよぉ。ポリス・イリュージョン☆ ワぁン・ツぅー・スリぃー!」
 は? 何て? と猟兵達が聞き返す間もなく、グリモアはパトカーの形状に広がり、頂点ではパトライトのようにグリモアの結晶が煌めいていた。
「イェーガー署、出動ですぅ☆」
 猟兵達は、大体微妙な表情でグリモアの中に身を投じていった。

 猟兵(デカ)達の捜査線が、今踊り出す。


鷹橋高希
 dekadance 【名】 刑事の踊り◆20世紀末の刑事ドラマにおける表現の一つ。主に日本におけるもの。

『本シナリオは「2章構成のシナリオフレーム」となります。また、10/31までに成功したシナリオの本数に応じて、ハロウィンパーティ当日、そしてやがて始まるであろう「アリスラビリンスでの猟書家戦」に、何らかの影響があるかもしれません。』(シナリオフレームより抜粋)
 とのことなので、このネタシナリオは10/30完結を目指して、オープニングが公開され次第プレイングを受け付けます。

 第1章はコスプレ衣装を身につければプレイングボーナス、「本人は全く望まないけど、勝つためにしょうがなく着るんだからねっ!」度合いが高いほどプレイングボーナスは大きくなります。

 第2章はアルフレッド君に食材の加熱調理を手伝ってもらってもいいんじゃないかな。彼のユーベルコード、二つは炎だから。

 それでは、よろしくお願い致します。
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第1章 集団戦 『うさうさトランプ兵』

POW   :    落雷II
無敵の【空飛ぶイボイノシシ型の対地攻撃機】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
SPD   :    そう、我々はやればできる!
自身の【ゴーグル】が輝く間、【軽量自動小銃】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ   :    バーガータイム
【ハンバーガーとフライドチキン】を給仕している間、戦場にいるハンバーガーとフライドチキンを楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1にする。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

樽石・ねみぃ
いろいろおまかせ

デカ……、刑事……。
かっこいいですよねー刑事さん。

それではさっそく眠りの名探偵的なことが出来る(寝てるだけ)と評判の私が刑事さんのお仕事に挑戦ですよー。

(刑事服に自前のロングコヲトを着て路地裏でわくわく)
……で、何をするんでしたっけー?

(路地裏からメガホンでチンピラに呼びかけ)
きみたちはーかんぜんにほういされているー。
3つ数えるうちに投降しないと里のおふくろさんが悲しんだりうちのはむちゃんの餌にしたりするぞー。
(ユーベルコードでハムスターを展開して包囲しつつ)

路地裏からいろいろ言ってる間になんかこーおふくろさんのことを思い出してもらって弱体化してもらう感じにー。



●Dance1 強襲(郷愁)
「デカ……、刑事……。かっこいいですよねー刑事さん」
 樽石・ねみぃ(怪奇人間のパーラーメイド・f23006)は、これから変装することになる刑事の姿に思いを馳せていた。刑事(デカ)というイメージから連想される、スーツに包んだ熱いハート、そして事件を解決に導くクールな頭脳。後者にかけてはねみぃにも自信があった。彼女は「眠りの名探偵」という芸当が可能なのである。寝てるだけと言ってはいけない。
「そこの女ァ! お前は何処見て歩いてやがるウサァ!」
 そんな刑事い(デカい)想像の世界のねみぃを現実と化した不思議の国に呼び戻すのは、ガラの悪そうな荒い声。あらー? と発したねみぃの目の前には、派手な色や柄のスーツを着たうさ耳フルフェイス集団。強襲を受けた(?)彼らの軽量自動小銃がねみぃに向いている。しかし、ねみぃの視線は彼らを飛び越えてくるスーツに向いている。あれこそ刑事の正装。
「アクショーン!」
 意識がフライングで刑事と化したねみぃは、横っ飛びでスーツを掴み、路地裏に転がり込んだ。銃声はその軌跡を追って、灰色のコンクリートに火花を散らす。いそいそとスーツを着込み、その上に自前のロングコヲトを羽織ると、脳内はカッコいい刑事のBGMに満たされ力が湧いてくる。
「おおー。……で、何をするんでしたっけー?」
 その声にツッコミを入れるように弾丸が足元に弾け、のんびりした悲鳴と共に刑事的横っ飛びでその「雨」を避ける。雨は、上空を飛ぶイボイノシシ型の対地攻撃機から降り注いでいた。ねみぃが見上げた数匹のイボイノシシは、まるで空中でずっこけたかのように体制を立て直していた。
「空中からも来ますかー。ならばー」
 ねみぃは、メガホンとひまわりの種を取り出した。そしてメガホンを構え、路地裏から上半身を乗り出す。
「きみたちはーかんぜんにほういされているー。3つ数えるうちに投降しないと里のおふくろさんが悲しんだりうちのはむちゃんの餌にしたりするぞー」
 むしろ包囲されているかもしれない状況からの包囲宣言である。この勝負師過ぎる仕掛けには当然チンピラの銃弾が飛んできて身を隠すことになるのだが、ねみぃはその際にひまわりの種を投げてばら撒いた。その「何か」が地上から飛んでくれば、イボイノシシ達は反応するはずだ。しかし、上空からの弾丸は一切降らなかった。空飛ぶイボイノシシ達は――泣いていた。
「俺はっ……! どうしてこんなことにっ……!」
「おふくろォ……!」
 組の中でも十人力のエース部隊である彼らにも、当然「母」がいる。今こうやって罪無き者達に銃口を向ける姿は、信じて送り出してくれた、あるいは一時の感情のすれ違いで家出同然に別れた故郷の母に見せられたものではないのだ。それでもこれしか生きる術を見出せなかった彼らの感情は決壊し、それは地上のチンピラ達にも伝播する。
「母さん……!」
「おっ母ぁ……!」
 銃声は嗚咽に取って代わっていた。あまりに効果がありすぎて、ねみぃ自身、あらー……と戸惑いを見せるほどだった。それでも、彼らが反省するのなら正しき道へ戻るのに寄り添うのが警察という正義の役目だ。ひまわりの種を目印に飛び掛かった警官姿のハムスター達――ユーベルコード「はむはむすとらいく」は、郷愁に弱り果てた無抵抗のチンピラやイボイノシシを捕縛していく。次々と連行されていくうさ耳チンピラ達を背に、ねみぃは路地裏の奥に消えていく。
「その背中はー、ままならない現実への哀愁を漂わせていたー……」
 エンディング感のある熱く切ないフレーズが脳内に流れているところ恐縮ですが、ハロウィンの国の闘いはこれからです。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月守・咲凛(サポート)
対空戦闘機の咲凛です。
空戦用の武装ユニットを装備してます。
私はお姉ちゃんなので、自分が怪我をしてでも戦えない人を守らなければならないのです。
後方への注意はちょっと疎かになりがちで、攻撃を受ける事もあるのです。
オブリビオンにトドメを刺す事を躊躇いませんけど、戦えない相手に対して攻撃するのはかなり躊躇します。
状況次第で武装ユニットを外して囮行動を取る事もあるのです。囮捜査は得意なのです。

戦闘傾向
アジサイユニットを盾として飛ばして身を守りながら、空中での射撃戦を好みますけど、護衛対象がある時とかはアジサイには味方を守らせて自分は敵の攻撃を躱しながらムラサメユニットで接近戦するのです。



●Dance2 舞い降りるごりら
 電気コードを生やした南瓜ランタンが通りに並ぶ。その前をセーラー服やスーツが走り抜けると、けたたましい銃声が鳴り響き、南瓜ランタンが砕け散る。オウガ・オリジンが遺した現実改変ユーベルコードによってUDCアースの日本風に作り変えられた不思議の国は、ピンクのうさ耳に自動小銃を携えたフルフェイスマスクの、派手なスーツのチンピラが闊歩する地獄だった。彼らの銃口は一方的に「アリス」達を逃げ惑わせ追い込んでいき、やがて逃げる力も失った「アリス」に銃口が向く。
「誰か……助けっ……!」
 顔を背けた「アリス」に銃声が降り注ぐ。しかし「アリス」は痛みを感じない。恐る恐る目を開けた「アリス」と銃口の間には、「円盤」が浮かんでいた。
「その命は奪わせません。私が相手になるのです」
 チンピラにも、「アリス」にも、その声は上から聞こえていた。互いに狩る・狩られる立場であるにも関わらず顔を見合わせ、見上げた彼らの視界に映るのは、複雑な機構に身を包む、年端もいかぬ少女――月守・咲凛(空戦型カラーひよこ・f06652)。それも建物の上とかではなく、浮遊しているのだ。咲凛の纏うユニットと浮遊する円盤――アジサイユニットには意匠の共通点が見られ、咲凛が「アリス」を守ったことをその場にいる全員が理解する。
「私が守ります。早く逃げるのです」
「あっ、うん……!」
 逃げろと言われた「アリス」は自らが晒されている危機を思い出して駆け出した。その動きに気付いたチンピラは輝くゴーグルを掛けて自動小銃の引き金を引くが、弾丸は全てアジサイユニットが弾く。しかしユニットの損傷は激しく、「アリス」を逃がすまでで全てのユニットが起動不能に陥った。
「遮蔽ユニットを撃破! そうさ、俺達だってやりゃあできるウサァ!」
(これがコスプレの強化……まずいのです)
「っ……!」
 盾を失えば全ての攻撃は自らに向けられるのは当然で、だからこそ空戦用武装ユニットのスラスターを吹かせて縦横無尽に弾丸を避けていた。そのはずだったが、スラスターを、そして咲凛の白い肌を弾丸が掠めている。
(やむを得ないのです……やはりこちらもコスプレを……)
 腕時計型レーダーユニット【フルサギリ】は既に「それ」を示している。その方向に急降下し、建物の間に紛れた咲凛は、着地直前に衣装を抱きしめていた。それを着込めば、コスプレ状態となり、オウガと渡り合えるという話だ。
「あのガキ、何処に逃げやがったウサ?」
 チンピラコスプレのオウガの声に、衣装を着込んだ咲凛は再び浮遊する。コスプレを着込み、遥かに機動力を上げた咲凛は、空中からチンピラ達と相対する。
 その姿は、ぶっかぶかのスーツに着られる年端もいかぬ少女であった。
 刑事(デカ)、つまり成人男性用のスーツで咲凛の身長――110cm弱はどう考えてもサイズが合わないのである。
「それで闘えるならやってみるウサァ!」
 ゴーグルを輝かせるチンピラは咲凛に銃撃を浴びせるが、咲凛の機動力に弾丸が追いつくことはない。余った袖や裾を含めて無傷で飛び回り、袖をまくって変調式火線砲【シュンリン】と収束火線砲【ハナシグレ】を接続し両手で構え、レーダーホログラムを前面に展開。見下ろすチンピラの全てにロックオンマーカーが二重に表示されるのを待ち、トリガーを引いた。
「マルチロック開放!」
 連結された火線砲は高出力のビームを放ち、チンピラを次々に焼き払う。さらに腕部兵装ユニット【トマラナイアシオト】がキャノン砲を偏差射撃で放ち、逃げ惑うチンピラをも吹き飛ばした。
「一帯の敵性反応消失。では……脱ぐのです」
 ぶっかぶかのスーツが、コンクリートジャングルに舞い降りていく。

成功 🔵​🔵​🔴​

リリ・リーボウィッツ
どうせなら、可愛い仮装がいいですねー。たとえ警察がらみ限定でも、可愛い仮装はある思うんですよー。ミニスカ仕様の婦警さんスタイルとか。(わくわく)


●飛んできた衣装
青いスーツ
ショットガン
角刈りのカツラ
ティアドロップのサングラス
「ダイモン」と記された警察手帳


…………。(目が死んでる)
可愛いのが……よかったのに……。(渋々着用)
可愛いのがよかったのにぃーっ!(やつあたり気味に敵を攻撃)

おりゃー!(ウサ兵に尻尾を生やして掴み、ハンマーのように振り回す)
どりゃー!(空飛ぶイボイノもハンマーで叩き落とす)
銃器は鈍器と見つけたりです!(ショットガンでどつきまくる)

私、失敗しないので!(別のダイモンと勘違い)



●Dance3 Jaeger-L~猟兵・リリ・リーボウィッツ~
 UDCアース的な「現実」に書き換わった不思議の国では、UDCアース的な服装に替えられた「アリス」達が逃げ惑っている。その人波に逆らって進む、不思議の国から来たようなショートドレスの女性が一人。リリ・リーボウィッツ(CROWBAR CAT・f24245)、猟兵である。
「たとえ警察がらみ限定でも、可愛い仮装はあると思うんですよー。ミニスカ仕様の婦警さんスタイルとか」
 警察組織の堅苦しさは世界共通だが、コスプレとなればそれは大分軟化する。婦警の制服をコスプレ化すれば、スカートは短くなり、美脚で魅せるような可愛いともセクシーとも言えるアレンジが施されるだろう。強くてかわいい婦警さんになって悪党を逮捕――リリはそういうのを着てみたくて、わくわくしている。そんなリリの前にどこからともなく漂ってきたのは、青色の衣装。これだ! と衣装を手に取って、着替えるために横道の暗がりに消えていく。
 一方、通りの路肩に停められた車の傍らでは、派手なチンピラスーツに身を包んだうさうさトランプ兵達が一息ついていたが、強烈な「念」を感じ、一斉に横道に銃口を向ける。その先に現れたのは、青いスーツにティアドロップのサングラスをかけた角刈りの男。その手にはグローブをはめ、ショットガンを携えている。互いに得物は銃器。だが銃口を向けているのはチンピラ達だけだ。
「銃を捨てるウサ! 変な真似したら撃つウサァ!」
「……のが……ったのに……」
「聞こえてるウサ!? 銃を捨て――」
「可愛いのがよかったのにぃーっ!」
「お、女!?」
 目の前の男が叫んだ。その声色は風貌からは想像もつかぬほど高く、最早――いや、紛れもなく女性のものだった。男――渋々コスプレを着たリリはチンピラの一体に一瞬で飛び掛かり、アスファルトに叩き伏せる。その瞬間、隣のチンピラは浮いた角刈りのカツラとサングラスの隙間からリリと目が合う。その目は死んでいながらも「お前らのせいだ」と語っていた。不満という爆薬が、八つ当たりという信管によって大爆発するのが不可避な状況である。
 そのチンピラは、不意に尻尾を掴まれた。しかし、チンピラには尻尾を生やしている覚えはない。振り返ると、足元にはモフモフの尻尾。そしてそれを掴んでいる青いスーツから伸びるグローブ。これがリリの力――ユーベルコード「ちからもち☆まじかるしっぽ」だと気付いた時には、既に身体に浮遊感があった。
「おりゃー!」
「だあああああ!」
 チンピラはリリに振り回され、周囲のチンピラを自身の身体で殴り飛ばさせられる。
「落雷部隊! あの女を止めるウサー!」
 手当たり次第に殴っては「ハンマー」を使い潰していくリリから逃げながら、チンピラが「落雷」の名を持つ空飛ぶイボイノシシを呼ぶと、無敵の飛行部隊はリリの頭上に現れ、
「どりゃー!」
 早速一匹が刑事脚力で飛び掛かったリリの「ハンマー」で叩き落とされる。だが、無敵である彼らは何事もなく立て直す――前に爆発した。この爆発はリリのコスプレが与えた力である。青いスーツにティアドロップサングラスに角刈りのワンダフルなガイと来れば、爆発しないわけがないのだ。
「ええええええ!?」
 爆発することがおかしい。その疑念はイボイノシシ達を弱らせ、さらにリリのユーベルコードによる尻尾が生える。こうなればリリの一人舞台だ。イボイノシシの尻尾を掴んでは投げ、あるいはショットガンで銃器は鈍器と見つけたりと殴り飛ばし、爆発映えしそうなチンピラの車やビルにぶつけて、チンピラを巻き込んで爆破していく。やがて、チンピラは一人残らず爆風に消え、炎上した車や倒壊したビルは不思議の国の力で元に戻る。何故か一部はより爆発映えしそうな古めかしいデザインだったりするが。
 チンピラを排除――逮捕なんてなかった――したリリは警察手帳を取り出す。「ダイモン」と記されたそれを構え、尻尾を巻いて逃げるイボイノシシを睨み上げて「ダイモン」らしく言い放つ。
「私、失敗しないので!」
 そっち!? と空中でずっこけたイボイノシシの爆発に背を向け歩き出すリリの絵面は、彼女が夢見た強くてかわいい婦警さんとは程遠くハードボイルド過ぎていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

御堂・威風(サポート)
攻撃を最大の防御とし、特に作戦を立てたりもせずただ真っ直ぐに突っ込むのみ!
常に前に進み正義を示す事に貫徹しており周りを鑑みる能力はなく融通はきかない方。
痛みや恐怖が自身を強くさせると信じているので弾幕の中でもたじろく事はない。
(あとは全部お任せ!)



●Dance4 グリモアにほえろ!
「刑事! それは悪に立ち向かい正義を示す殿方! 漢らしい! 実に私向きだ!」
 スーツとサングラスを手にし瞳を煌めかせている女子高生が一人。御堂・威風(不撓不屈・f29392)である。UDCアースと化したアリスラビリンスで刑事(デカ)になれるという話を聞いた威風――女子高生に拾われたマスク――はノリノリで捜査(コスプレ探し)に出ていたのである。
「では着替えようか! それに、刑事になるならば『ニックネーム』も必要であるな!」
 何にしようか! と考えを巡らせながら、新しい服(刑事スーツ一式)を抱きしめた女子高生(益荒男マスク)は着替える場所を探して人気のない方へ消えていく。
 一方、チンピラスーツのうさ耳フルフェイス達は、逃げ惑う一般市民『アリス』の足元に銃弾をばら撒き、下卑た笑い声を上げていた。『アリス』の一人が足を縺れさせ転倒し、銃口が頭部に向く――その時。
「待ぁぁてぇぇぇぇ!!」
 男性用のスーツに身を包み、刀を携え、叫びながら駆け寄る少女――威風の姿が『アリス』の向こうに現れた。
「私は刑事だ! ニックネームは『サムライ』! お主らを逮捕するぅぅ!」
 ニックネームは仲間内で呼び合うものであって俺ら関係なくね? と戸惑いを見せるチンピラ達。しかし、その一瞬でコスプレで強化された威風の脚力は彼らに追い付き、一人を殴り飛ばす。
「うわぁぁ逃げるウサー!」
「待ぁてぇぇぇ!」
 逃げるチンピラ達と追う『サムライ』は路地裏に消え――威風だけが息を切らして出てくる。
「くっ……撒かれたかっ……!」
 その足元に弾丸が跳ね威風は飛び退いた。顔を上げると、追いかけていたチンピラ達が空飛ぶイボイノシシに跨がって銃口を向けている。
「空からとは……!」
 呟いた威風は、言葉とは裏腹にチンピラ達の方へ踏み込む。相手は複数、それも空中から銃撃してくる。撤退とは行かずとも、身を隠して機会を窺うくらいの選択肢はあるはずだ。しかし、威風は攻撃に勝る防御の術を知らない。己が正義であるためには前進するしかないのだ。
 駆ける足がアスファルトを蹴る度、銃弾の雨は激しさを増し、見切って直撃は避けるものの時に肌を掠める。痛みも恐怖もある。しかし、己を最も強めるのはこの痛み、この恐怖なのだ。これを恐れて何が刑事か、何が漢か! 
 一方、どれだけの銃撃を浴びせても退かない『サムライ』にチンピラ達は気圧されていた。「落雷」の二つ名を持つイボイノシシは無敵のはずで、何をどうしても敵う者はいない。なのに何故追い詰められている? そもそも追い詰められているのか? 威風の捨て身とも言える気迫が生み出したその疑念は、みるみるうちにイボイノシシを減速させ、
「推して参る――斬り捨て御免!」
 飛び跳ねた威風が抜刀一閃――ユーベルコード「秘剣一刀・崩山」――の下にイボイノシシを斬り、同時に蹴飛ばして次のイボイノシシへと跳ね回る。全てのイボイノシシは墜落し、チンピラ達もほぼ全員が動けなくなっていた。
「夕刻、犯人逮捕!」
 威風はまだ動けるチンピラ達に手錠を掛けた。UDCアース化した不思議の国は、市井も犯罪者も分け隔てなく沈み行く夕陽が照らしており、特別な夜の訪れを待ち侘びていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ミーヤ・ロロルド(サポート)
『ご飯をくれる人には、悪い人はいないのにゃ!』
楽しいお祭りやイベント、面白そうな所に野生の勘発動させてくるのにゃ!
UCは、ショータイムの方が使うのが多いのにゃ。でもおやつのUCも使ってみたいのにゃ。
戦いの時は得意のSPDで、ジャンプや早業で、相手を翻弄させる戦い方が好きなのにゃよ。

口調だけど、基本は文末に「にゃ」が多いのにゃ。たまににゃよとか、にゃんねとかを使うのにゃ。

食べるの大好きにゃ! 食べるシナリオなら、大食い使って、沢山食べたいのにゃ♪ でも、極端に辛すぎたり、見るからに虫とかゲテモノは……泣いちゃうのにゃ。
皆と楽しく参加できると嬉しいのにゃ☆

※アドリブ、絡み大歓迎♪ エッチはNGで。



●Dance5 遅れてきたハロウィン要素
「ハロウィンにゃ! ……なんでハロウィンなのに『刑事』にゃ?」
 ついにその疑問を口にしたのは、ミーヤ・ロロルド(にゃんにゃん元気っ娘・f13185)。彼女は既にスーツ――勿論男性用だが尻尾を通す穴がきちんと空いている――に着替えを済ませ、どう見てもUDCアースのビル街にしか見えない、電飾の南瓜ランタンなどが並ぶ夜の不思議の国を歩いていた。何故アリスラビリンスに、ハロウィンに合わせてUDCアース的な刑事と悪党の闘いの国を創ったのか、その真意を知る者は既に亡い。
 歩けば悪党――チンピラと出遭うのは刑事の宿命だろうか。ミーヤの前方から、自動小銃を肩に担いだ派手な色のスーツを着たうさ耳フルフェイスのうさうさトランプ兵達が歩いてくる。肩を揺らし、我が物顔で街を闊歩する様は、アリスラビリンスの捕食者――オウガに違いない。
「おやおや、こんなところに子猫が迷い込んだみたいウサ。ハッピーハロウィン!」
「刑事(デカ)のお嬢ちゃん、道にでも迷ったウサ?」
 ミーヤの姿に気付いたチンピラスーツ達は自動小銃の銃口を向けて立ちはだかる。
「ハロウィンはそんなもの使わないにゃ。使うのは――」
「カツ丼ウサ?」
「食べたいにゃ!」
「えっ」
 刑事からの連想で言ったチンピラに食い付くミーヤ。どうしてそうなるのか。
「カツ丼はどこにゃ? あ、この匂いは……ハンバーガー、フライドチキン!」
 畳み掛けるようにミーヤは擦り寄って匂いを嗅いでいる。
「離れるウサァ!」
「にゃ!?」
 いくらなんでも鬱陶しくなったチンピラは引き金を引くが、ミーヤの野生の勘とコスプレの強化が相俟ってスタイリッシュな刑事ジャンプアクションに避けられる。
「改めて、ハロウィンで飛んでくるのは、これにゃー!」
 ミーヤはどこからともなく――ユーベルコード「おいしいおやつの時間にゃー♪」で――お菓子を取り出し、ばら撒いた。それらはまるで雪のようにふわふわと舞い降りてくる。
「お菓子が何だウサ! 殺っちまウサー!」
 降りしきるお菓子の中、チンピラ達はゴーグルを輝かせミーヤを撃つ。しかし、その弾丸の速度は5分の1になり、弾丸に当たったお菓子はさらに分裂する。ハロウィンらしいお菓子だらけの光景の中、チンピラと弾丸だけがスローモーションである。ミーヤは悠々と弾丸を避け、お菓子の降る中で手錠を取り出し、
「トリック」
 かしゃっ、
「オア」
 かしゃかしゃっ、
「トリートにゃー!」
 かしゃかしゃかしゃっ、とチンピラ達を繋げた。逃げるのもままならない派手なスーツの集団が、負けじと色とりどりのお菓子に埋もれていく中、ミーヤのヘッドセットに通信が入る。
『各員へ連絡、大通りのライブキッチンスタジオにて立て籠もり事件が発生! 至急現場へ急行せよ!』
「ライブキッチンスタジオ! 美味しい料理あるかにゃ?」
 残念ですがあなたが食べるお話ではない可能性が高いです。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『11番街の帽子屋・アルフレッド』

POW   :    ハット・トリック:イレヴン・フィールド・ノヴァ
【シルクハットから撃ち出した蒼色の火球】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を11時を指した食人花の花時計に変え】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
SPD   :    ハット・トリック:セヴン・シルヴァー・ウルヴズ
【シルクハット】から【7体の銀色に光る狼のエネルギー体】を放ち、【噛み付いて組み伏せること】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    ハット・トリック:グリーン・インフェルノ・ネード
【シルクハットから翠色の業火の竜巻】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠カグラ・ルーラーです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●食いしん坊食い意地封鎖できません!
 チンピラコスプレのオウガ達を逮捕したり撃破したりした猟兵――と書いて「デカ」と読む――達は、大通りのライブクッキングスタジオへと駆け付けていた。その時、コンクリートジャングルのビルに設けられた街頭ビジョンがスタジオ内の様子を映し出す。猟兵達の頭上には、街を牛耳る支配者が群衆を見下ろすような、
「うう……寒いなぁ。10月のお祭りの代名詞みたいなハロウィンだけど、31日の夜なんて実質11月じゃないか。こんな格好するには寒すぎるよ……お腹も空いたしなぁ……」
 訂正。サラシを巻いて着物を着たシルクハットの少年がコスプレのロールプレイを投げ出してコンロの火で暖を取ってました。あのーカメラ回ってますよ、或触怒(あるふれど)組の11代目。
「あ。ウチの若ェのが世話になったのォ猟兵共ォ! 今日はせっかくの祭りの日じゃァ、ワシの――」
 ぐぅぅぅ、と凄まじい腹の虫が鳴き声を上げ、以降口パク状態のアルフレッド君(外見年齢:育ち盛り食べ盛りの10代前半)。これは「ハロウィンの国」の法則に関わらずよく食べそうだ。
「……さぁ、ワシに楯突く命知らずと美味いメシを作れる奴は、入ってくるがいい!」
 マイクが腹の虫をバッチリ拾っていたのを悟ったように赤面したアル君の映像が途切れ、猟兵達は彼を討つため――その手段として料理を振舞うため、ライブクッキングスタジオに突入する。
樽石・ねみぃ
いろいろおまかせ
引き続き1章の刑事スタイルで。

来ましたねー、若頭。
おいしいもの食べれば無敵はなくなるんですね。
任せてください。普段からおいしいものはたくさん持ってますからー。

或触怒くんにはおいしいものいっぱい食べて里のおふくろさんに親孝行してもらいたいですねぇ。
ユーベルコードでお布団広げてその上に手持ちのパワーフード各種並べる。ピクニック気分。

ささ、くるみおいしいですよ。
昔よくおかーさんにこうして食べさせてもらってたりしたんじゃないですかー?
(くるみの皮素手でバキッ)
ほうれんそうも残さず食べないと強くなれませんよー。
(ぐいぐい)
食べてよく寝て大きくなるんですよー。



●Recipe1 くるみとほうれん草のララバイ
「聞きましたよー、或触怒の若頭。お腹空いてますねー」
 ライブクッキングスタジオに現れた、スーツにロングコヲトの刑事――樽石・ねみぃ(怪奇人間のパーラーメイド・f23006)は、若頭――アルフレッドに対し、手を上げて気さくに挨拶してみせる。
「なっ……何を言っとるかァ!」
 椅子に腰掛けていたアルフレッドはテーブルを叩きながら立ち上がる。大きな腹の虫を放送したことを思い出し、顔を赤らめシルクハットを取り回して、ねみぃの足元に向けて蒼色の火球を撃ち出す。見え見えの火球をねみぃは軽く躱すが、火球が床を焼けば、その炎の中から食人花が鎌首をもたげる――その上から3メートルある大きなふかふかのお布団――ねみぃのユーベルコード「どこでもお布団」が――どーん! で消火。食人花の花時計なんてなかった。
「布団なんか敷いて何のつもりだ?」
「或触怒くんにはおいしいものいっぱい食べて里のおふくろさんに親孝行してもらいたいと思いましてー」
「は?」
「ピクニック気分でご飯にしましょー。あ、それとこちらのお布団、『ナントニマイセットデキュセンハッピャクエン』ですよー」
「え?」
 マイペースが過ぎるねみぃ時空へようこそ状態のアルフレッドは、組長ロールプレイも靴も脱いで布団に上がらざるを得なかった。ねみぃは布団の上に手持ちの食べ物を並べ、言葉通りピクニックの様相である。
「ささ、くるみおいしいですよ。昔よくおかーさんにこうして食べさせてもらってたりしたんじゃないですかー?」
 ねみぃはくるみの皮を素手でバキッと割ってみせる。
「おかっ……か、母さんはそんな馬鹿力じゃ」
 言葉を遮るように差し出されるくるみを受け取り、夢中で頬張るアルフレッド。というか、母親、いるんだ。
「うん、美味しい。やっぱり秋はくるみに限るね」
「お野菜食べられますかー? ほうれんそうも残さず食べないと強くなれませんよー」
 ねみぃは当然のようにほうれん草の缶詰を握り潰すと、お約束通り上蓋を跳ね上げて緑色の塊が飛び出し、綺麗な放物線を描いてアルフレッドの口へ。
「むぐぐぐ……力が、湧いてきた……! 母さん、僕はこの力で、猟兵を倒おおおお……!」
 真横に伸ばした両腕から両肘を曲げ力瘤ポーズを取り、パワーアップをアピールし……アルフレッドは仰向けで布団に倒れ込んだ。
「こうして寝てればただの男の子ですねー。食べてよく寝て大きくなるんですよー」
 ねみぃは寝息を立てるアルフレッドを片腕で抱え、掛け布団をもう片手で上げてから敷布団に彼を横たえ、掛け布団をかけた。普通に食べさせて寝かし付けているが、ここは現実改変された不思議の国。やがてアルフレッドが目を覚ましても、夜はまだ続く。

成功 🔵​🔵​🔴​

月守・咲凛
お料理は得意なのです!(自称)
そうですね、フルーツの盛り合わせをつくるのです。
バナナや大根やキュウリ、適当な棒状の食べ物を華麗な(危なっかしい)包丁さばきで斬っていって召し上がれ、なのです。
(包丁で切っただけの筈の食べ物が何故かドス黒く変わり、謎のうめき声をあげ始めます)
さあ召し上がれ、ですよ?
ガトリングを突きつけてイートオアデスなのです。食べるのならばニコニコしながら腕部ユニットを外してあーんさせてあげたり食べるのを眺めます(料理は人に食べさせるもの、なので自分で作った物は食べません)
食べないのならばせっかく作った料理を無駄にされた怒りで戦います。



●Recipe2 おねえちゃん(妹系)はりょうりの天さい
「お料理は得意なのです!」
 意気込んでキッチンで腕捲りするのは月守・咲凛(空戦型カラーひよこ・f06652)。身長110cm弱の、みんなのお姉ちゃんである。
「ほほう、やってみィ!」
 テーブルに着いて腕を組んだ、サラシを巻いて着物を着たシルクハットの少年――或触怒(あるふれど)組の組長・アルフレッドの視線を背に、咲凛は料理に取り掛かる。
(そうですね、フルーツの盛り合わせをつくるのです)
 咲凛は冷蔵庫を開け、フルーツ――バナナ、そして大根やキュウリ等棒状の野菜を取り出す。この時点では数種類の食材が並んだだけで、アルフレッドは眺めているだけだ。しかし次の瞬間、キッチンから何かが高速で飛び出し、ベチャッと顔に当たる。重力に従いテーブルに落ちたそれはバナナの皮だった。
「っおんどれ、何しとんのじゃァ!」
 バナナの皮を手にキッチンに向かうアルフレッド。彼の目に映ったのは、例えるならば「地獄」だった。咲凛の「華麗な」包丁さばきは大根の身を切ったにも関わらず葉が木っ端微塵に砕け散り、スタジオの壁に散弾銃のような弾痕を穿つ。切られた大根は切り口からドス黒く変色し、謎のうめき声を上げている。恐らく最初にバナナを切ったはずだが、それは消去法により、器に盛り付けられた、黒い瘴気のような煙を上げる大根同様の黒々とした塊としか考えられなかった。
「……いや、本当に何してるの」
 夢中で「料理」をする咲凛に組長ロールプレイどころではないアルフレッドの声は届かず、鼻歌交じりでキュウリを手に掛ける。その怨嗟の如きキュウリのうめき声は、ついにアルフレッドに殺気を感じさせた。
「そ、そうだ。フランベで香り付けも必要だよね。手伝うよ」
 アルフレッドはシルクハットを翻し、中から翠色の業火を放つ。当然本気でフランベする気などなく、「料理」に夢中のままの咲凛共々暗黒色の塊を灰燼に帰そうと燃え広がり、
「そうですね。あ、ちょっと火力強いのです」
 こういうタイミングに限って反応する咲凛はブレードガーディアンユニット【アジサイ】を巧みに操作し、「フルーツの盛り合わせ」にしっかり火を通した。
「これで手作りフルーツの盛り合わせ、完成なのです! さあ召し上がれ、ですよ?」
 ここまでが咲凛のユーベルコード「クック・オブ・デス」。咲凛はテーブルに器を置き、イートオアデスとばかりに腕部兵装ユニット【トマラナイアシオト】のガトリング砲をアルフレッドに向ける――というかこんなの着けて料理してたのである。
(これは……口に入れたら命に関わる。だというのに、身体がっ……!)
 例え咲凛のガトリング砲に蜂の巣にされても、アルフレッドはいずれ別の過去を元に蘇られることを知っている。だが、「あれ」を口にすることに取り返しの付かない危険を感じている。だというのに己を無敵たらしめる「ハロウィンの国の法則」は身体を椅子に座らせ、腹の虫の趣くままに「気持ちのこもった料理」を口に運ぶ。
「……お、美味しいじゃないか!」
 ――本気ですか。空腹は最高の何とやらとは言っても限度がありませんかアルフレッド君。もしかして舌が「あれ」ですか。
「この表面こんがり中ふんわりのバナナ! 大根もキュウリも素材を活かした歯応え! 堪らない!」
 どう解釈してもフルーツの盛り合わせの感想ではないが、アルフレッドの絶賛に咲凛の顔はぱあっと明るくなり、ガトリング砲を腕部ユニットごと取り外してアルフレッドの隣に座り、彼にあーんさせて食べさせてあげては、ニコニコと眺め始める。
 料理とキッチンの惨状とアルフレッドの顔色にさえ目を瞑れば、それは幼い兄妹(咲凛としては姉弟)の仲睦まじい光景に見えるかもしれない。アルフレッドは残さず食べ、そして微睡みに落ちていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リリ・リーボウィッツ
十一歳……じゃなくて、十一代目のオジキさんの攻撃をにゃんこに防いでもらっている間に料理を作りまーす。

刑事ドラマといえば、カツ丼!
……ですが、カツを揚げるのがめんどくさいので、レトルトのカレーにしますね。(ツッコミや非難は無視)
レンジでチンはしないで、あえてお湯で温めましょう。だって、めんどくさがらずに一手間かけたほうが美味しくなりますからー。(ツッコミや非難略)
ハロウィンっぽさ出すために、カボチャランタンが描かれたお皿を使いすね。カレーを盛った時点で見えなくなっちゃいますけど。(ツッ略)

はい、できあがり!
きっと、オジキさんも満足してくれるはず。カレーが嫌いな人なんていませんからね!(謎の自信)



●Recipe3 カツ丼、ご期待ください。
 青いスーツ、ティアドロップのサングラス、角刈りのカツラでワンダフルな刑事と化したリリ・リーボウィッツ(CROWBAR CAT・f24245)がライブクッキングスタジオに現れると、アルフレッドはガタッと立ち上がる。
「サツかァ!」
「今回は料理人です。刑事ドラマと言えば、カツ丼!」
 がっつり系の料理名にアルフレッドの腹の虫が返事した。さすが十一歳くらいの食べ盛りね、と思いながらリリはサングラスとカツラを外し、テーブルに置き、キッチンに向かった。相手があれだけお腹を空かせているのなら、腕の振るい甲斐がある。よし、まずは――、
「カツを揚げるのがめんどくさいので、レトルトのカレーにしますね」
「は!?」
 ぐるん、とアルフレッドが見やったリリは、いくつかのレトルトカレーのパウチから何にしようかと吟味している。本気だ。キッチンには業務用の電子レンジもある。流通商品である以上美味しさは約束されているが、そんな簡単に料理を変えられるのは何となく拙い気がしたアルフレッドはシルクハットを取り、
「もうちょっと悪戦苦闘してみてもいいんじゃないかな!?」
 の言葉と同時に七匹の銀色の狼を放った。
「もちろん、めんどくさがらずに一手間かけますよ。その方が美味しくなりますから。だから、ガード、お願いしまーす」
 キッチンに上がり込もうとする狼達の前には、二本足で立つ猫――ケットシーが立ちはだかっていた。リリのユーベルコード「召喚! にゃんこ・ザ・バリアー!」による生霊の剣士姿のケットシーである。「彼」はドヤ顔でふんぞり返って狼を睨んでいる。無言の猫と狼の睨み合いをよそに、リリは「一手間」をかけるため、鍋にパウチを入れてから水を満たし、ガスコンロを点火させた。
「この一手間が美味しさの秘訣です」
「湯煎じゃないか! 大体カツ丼は!」
「ご期待に添えません」
 和太鼓が鳴りそうなほど潔く言い切ったリリは、今度は皿を吟味している。やがてリリが手に取ったのは、南瓜ランタンが描かれた大きめの皿。ここはライブクッキングスタジオである。イベント絡みのパーティー料理が映えるような食器も多数取り揃えており、この皿もその一つだ。だがリリは、その上に炊飯器から、「ザ・主食」である白飯をドカッと盛る。南瓜ランタンは白飯に埋まり、食器はただの大きめの皿と化した。さらに、湯煎を終えて温まったレトルトパウチからカレーが流れ出て白飯を染め、立派なカレーライスの完成である。
「はい、できあがり!」
 漂うカレーの香りは、「ハロウィンの国の法則」に支配されたアルフレッドのユーベルコードを封じるには充分すぎた。ケットシーと睨み合った狼達は湯気のように消え、ケットシーの生霊もまた、皿を運ぶリリの足元でクールに消えた。皿がテーブルに置かれると、アルフレッドの身体は姿勢正しく椅子に座る。
「ぐっ……! い、いただきます……!」
 アルフレッドは両手を合わせて食事に感謝し、UDCアースの「工事現場」と揶揄されるほどではないものの、それなりの速さでカレーを食べていく。「十一歳くらいの食べ盛り」が、カレーを拒むことなど不可能なのだ。言葉ではなく食べっぷりでの称賛にリリが感心している間に、アルフレッドはカレーを完食する。
「ご馳走様でし、っ……!」
 両手を合わせ、言い終わる前に寝息の立つアルフレッド。お粗末様でした、とリリは食器をキッチンへ下げていく。その皿で笑う南瓜ランタンは、アルフレッドの顔にも、リリの顔にも見えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

安房・眼之丞(サポート)
 東方妖怪の冒険商人×剣豪、99歳の女です。
 普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、年上には「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


アイナ・ラティエル(サポート)
『くよくよしててもしょうがないし元気に前向いてこ!』

☆アリス適合者
☆プリンセス×アリスナイト
☆16歳の女の子
☆特徴は星空が好き・空想好き・天真爛漫・元気・実はチャレンジャー

☆普段「キラキラ星(ボク、~くん、~ちゃん、だね、だよ、~かい?)」
☆機嫌が良い(テンションが高い)「煌めく一等星(自分の愛称、キミ、だね♪、だよ!、だよね☆、なのかな?)」

☆UCは指定した物をどれでも使用。
☆怪我には気を付けて積極的に行動します。
☆他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また公序良俗に反する行動はしません。
 
★アドリブと連携は大歓迎



●Recipe4 鉄火場の旅籠に綺羅星を添えて
 UDCアースの街中と化した不思議の国のハロウィンに繰り広げられるライブクッキングは、最後の一品が作られていた。キッチンに立つ猟兵は二人。安房・眼之丞( ・f28441)と、アイナ・ラティエル(星の国のアリス・f19388)である。
 彼女達の料理をライブクッキングスタジオのテーブルで待ち構えるのは、サラシを巻いて着物を着たシルクハットの少年――或触怒(あるふれど)組の11代目組長(のコスプレ)こと、11番街の帽子屋・アルフレッド。彼は満腹感に伴う眠気に襲われており、これ以上食べては起きていられないだろう。
「その料理を……やめろっ……!」
 椅子から立てぬままシルクハットを取って二人に銀色の狼を仕向けるが、狼が噛み付こうとも組み伏せようとも、彼女達の身体をすり抜けて当たらない。その度に、眼之丞の傍で風呂敷から金色の湯気が空気に溶けていく。眼之丞のユーベルコード「ゴーイング・マイウェイ」により、彼女達の料理を成功させるため、風呂敷に包んだ金貨が代償として消えているのだ。そしてその金貨の量は、宵越しの金は持たないし持てないと豪語する眼之丞だけに「オールイン」である。この量の金貨が溶ける前に料理が完成するのは、眠気で頭の回らないアルフレッドも理解せざるを得なかった。
 尚も二人の料理は続くが、その最中に眼之丞はアイナに何かを依頼したようだ。アイナは笑顔で快諾し、キッチンを離れ、スタジオからも出て行った。狼達はアイナに飛び掛かっていたが、捕らえたはずのアイナの身体は金色に煌めく湯気に阻まれていた。
「お待ち遠様、坊や」
 眼之丞の蛸の足は、キッチンに立ったまま皿をアルフレッドのテーブルに運んだ。その皿に盛られていたのは、鉄火巻きである。料理を見て、「ハロウィンの国」の法則により食事モードに移行したアルフレッドの狼達は金貨の山を崩しきれず消え去った。
「まあ待ちな。せっかくの鉄火巻きだ。『鉄火場』で持て成させて貰うよ」
「鉄火場?」
 アルフレッドの疑問に答えるように、一等星のような煌めきでスタジオ内を満たし、空飛ぶきらきら星――ユーベルコード「ワンダー☆スター」に乗ったアイナがテレポートで現れる。
「結構遠かったけど見つけたよ。だけど帰りはひとっ飛び! ボクのお星様はとっても速いんだよ!」
 アイナは抱えた玩具店のショッパーから、トランプとポーカーチップを取り出した。これだよね? と眼之丞に見せると頷きが返る。
「なるほど、『サンドイッチ』代わりか」
「どの道、坊やは食わざるを得ないんだろう。旅籠の女将として、退屈なままは帰らせられないからね」
「みんなでゲームしながら食べるご飯は美味しいよね☆ 組長さんも女将さんも強そうだけど、ボクも負けないよ!」
「――良かろう。博奕に死ぬも、博奕打ちの本懐じゃァ!」
 テーブルの上をトランプが滑り、組長と女将と「アリス」の三つ巴で、鉄火巻きをつまみながらのラストゲームが始まった。

●迷宮DAYBREAK
 ラストゲームは、盤面のチップをほぼ全て手に入れたところでアルフレッドが睡魔に突っ伏し、二人の勝利となった。アルフレッドのサラシと着物のコスプレは解け、過去の闘いで確認された英国紳士の服になる。それは「ハロウィンの国」の法則による無敵とも言える強化の消失と、一撃での打倒が可能なほどの弱体化を意味していた。
「アタシが片付けとくよ。アイナは外で終わりを知らせてあげな」
「うん!」
 眼之丞に「片付け」を任せ、アイナは「ワンダー☆スター」に乗ってスタジオの外に飛び出し、ビル街の間を、「アリス」達を見下ろして飛んでいき、煌めく光を雪のように降らせる。
「みんなー! この国は元に戻るよー!」
 オウガ・オリジンの現実改変ユーベルコードに中てられた「アリス」達には、アイナはハロウィンにかこつけた目立ちたがり屋に見えたかもしれなかったが、この国が改変された時のように「アリス」達の視界が降り注ぐ光に満ち、その光が収まると、準備の途中だったハロウィンパーティの飾り付けに彩られた不思議の国と、アリスラビリンスらしい服を着た「アリス」達が現れた。猟兵達は、オウガ・オリジンの置き土産を打ち破ったのだ。
 不思議の国には朝日が射し込んでいた。この国のハロウィンは「アリス」達の気付かぬ間に過ぎてしまったが、せっかくここまで準備したのだからと、もう一度の夜を待つことに決まり、
「くよくよしててもしょうがないし元気に前向いてこ!」
 と持ち前の天真爛漫さを見せる「アリス」のアイナを始めとした猟兵達も準備を手伝うことにした。

 この国での思い出が、いつか「アリス」達が故郷に帰るための星灯りになるように。

「ハッピー・ハロウィン!」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2020年11月25日


挿絵イラスト