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【Q】ハロウィンの国はおとぎ色

#アリスラビリンス #【Q】 #お祭り2020 #ハロウィン

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「お疲れ様、もうすぐハロウィンだね。だから今日は楽しいパーティーの案内を……という訳でもないんだ。アリスラビリンスで事件が起きるから、それを解決してきて欲しいんだよ」
 グリモアベースに集った猟兵へ向け、レン・デイドリーム(白昼夢の影法師・f13030)は言葉を紡ぎ出す。
「オウガ・オリジンが現実改変能力で生み出した『ハロウィンの国』っていうのが見つかったんだよ。皆にはそこに潜むオウガを倒してきて欲しい」
 ハロウィンの国。
 そこには喋るかぼちゃのランタン、様々な衣装が飛び出す不思議な森、何故か食材の完備されたキッチンなどが揃っており、その名の通りハロウィンを楽しむための場所らしい。
 しかし、わざわざオウガ・オリジンが用意しているのだ。この国の本当の役割は――悲劇を生み出すことに他ならない。
「この国にはオリジンが用意したオウガが潜んでいて、ハロウィンを楽しみにやってきた人を食べちゃおうって算段みたいだ。それなら逆にこちらからオウガを倒して、国を手に入れちゃおうって訳だね」
 オウガさえいなくなれば、この国で思い切りハロウィンを楽しむことも可能だろう。
 オリジンの野望を打ち砕き、そして自分達の楽しみに備える。その一石二鳥が今回の目的だ。

「ただ、ここに潜むオウガ達も強力だ。彼女達はこの国の魔力でパワーアップしているみたいなんだよ」
 たくさん潜んでいる『にゃんこずきんちゃん』は森から飛び出す衣装に身を包み、普段よりも強化されている。
 そして国を治めているボス『薔薇園の番兎・ローゼス』に至っては、「ハロウィンの国の法則」に守られてほぼ無敵と化しているらしい。
「だからこそ対策が必要なんだ。今回の作戦は二段階に分けられるよ。まずは『にゃんこずきんちゃん』対策なんだけど……皆も仮装すればいいんだよね」
 森から飛び出す衣装がパワーをくれるのなら、こちらもそれを利用すればいい。
 この衣装は力を与える対象を選ばない。着ればどうとでもなるのだ。
「ただ、一度飛び出した衣装から変更は出来ないみたい。だから、どんな衣装が来ても頑張って着込んでね」
 どこか申し訳無さそうに告げるレン。
 彼の言うように「全く望んでいない衣装」が飛び出してくる可能性も否めない。
 しかしそれを我慢して着込んだのなら――相応のパワーが得られるに違いないのだ。
「ああ、それからこの森から飛び出す衣装はおとぎ話がモチーフになっているみたいだよ。お姫様のドレスに王子様の衣装、それから登場人物を模した服とか……色々ありそう」
 衣装のチョイスはアリスラビリンスらしいものになるだろうか。何が出てくるかは猟兵次第だ。

「集団で出てくる敵を倒したら、次はボスのローゼス対策だね。彼女を倒すには……この国で料理を作って食べさせる必要があるんだ」
 ハロウィンの国で作られた料理には不思議な力が宿る。
 気持ちが籠もった料理を作れば、ローゼスはそれを食べざるを得ないようだ。そして美味しく食べ続ければ、そのうち彼女は眠ってしまうらしい。
 そうなればあとは簡単。ボコボコにするだけである。
「ただ、ローゼスも大人しく調理を待ってはくれないよ。彼女の攻撃に耐え忍びつつ、頑張って料理をするんだ」
 ちなみにローゼスは他者の生き血を糧に薔薇と林檎を生み出す力を持っている。
 その関係か林檎や秋の味覚を好んでいるようだ。参考にするといいかもしれない。

「という訳で。ハロウィンの前哨戦って感じだけど……多分今回の戦いは、それだけじゃないもっと大きな意味を持つと思うんだ」
 オウガ・オリジンは倒されたが、猟書家との戦いはまだ終わっていない。
 アリスラビリンスが再び戦場となる日もそう遠くはないだろう。その時のためにも、この世界の平和を守ることは大切だ。
「ハロウィンのため、これからのために……今回の戦いも、よろしく頼むよ」
 そう言いつつ、レンは猟兵達へと頭を下げた。


ささかまかまだ
 ハロウィン!
 ささかまかまだです。

●注意点
 このシナリオは「2章構成」です。
 また、10月31日までに完結した同タイプのシナリオ数によって、ハロウィン当日や将来待ち構えている「アリスラビリンスでの猟書家戦」に何か影響があるかもしれません。

●一章「にゃんこずきんちゃんとの集団戦」
 森から飛び出してきた衣装を身に纏い、パワーアップしつつ戦いましょう。
 仮装すればプレイングボーナスです。

 また、衣装の中身は基本的にランダムです。
 「おとぎ話」という共通モチーフはあるようです。
 「本当はこんなの着たくないんだけど、勝つために仕方なく着るんだからね!」って態度だともっと良い感じにボーナスがつきます。

 衣装の内容は「ランダムという体でプレイングで指定する」か「MSに丸投げ(NGがあれば記載して下さい)」の二択になるかと思います。
 版権的に危ういやつと際どいやつはNGです。
 MSに丸投げの場合は有名なおとぎ話をベースにして、それなりに無難なものになるかなと思います。方向性を指定していただければそれに合わせます。

●ニ章「薔薇園の番兎・ローゼスとのボス戦」
 ローゼスは国に守られ無敵の状態です。
 彼女の無敵を解除すべく、国の中にあるキッチンで料理をしましょう。
 美味しいものを作るのが一番ですが、気持ちさえ籠もっていれば大丈夫です。
 ただ、食べ物を粗末にするプレイングはマスタリングや却下させていただきます(過度なメシマズ描写など)。

 また、料理の最中もオウガは攻撃してきます。
 そのためプレイングは「料理を作る」「敵の攻撃の対策をする」という風になるかと思われます。


 どの章からでも参加していただいて大丈夫ですし、特定の章だけ参加していただくのも歓迎です。
 進行状況や募集状況はマスターページに適宜記載していく予定です。

 それでは今回もよろしくお願いします。
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第1章 集団戦 『にゃんこずきんちゃん』

POW   :    12時になると自爆するとは何か間違ってるのにゃ。
自身の身長の2倍の【12時になると自爆する『南瓜の爆車』】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
SPD   :    お魚やめるなんてもったいないのにゃ。
【相手が変形した部位や召喚物を魚】に変形し、自身の【自制心】を代償に、自身の【食欲と魚への反応速度】を強化する。
WIZ   :    どこかのおばあさんからもらった毒リンゴにゃ。
【毒リンゴを対象の口に放り込むこと】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 転移した猟兵達を出迎えたのは、賑やかなハロウィンの国。
 かぼちゃのランタンは淡い光を灯し、周囲を暖かく照らし出している。
 広がる森の木は橙に色付いてパーティーの時を待っていた。
 そんな木々の合間から飛び出すのは――様々な衣装を身に纏った『にゃんこずきんちゃん』達だ。
「にゃにゃっ、猟兵にゃ」
「やっつけるにゃ~」
 白雪姫のドレスを纏ったにゃんこは毒リンゴをびしっと構え、ガラスの靴を履いたにゃんこは今にも南瓜の爆車を呼び出しそうだ。

 彼女達に対抗するには、森から飛び出す衣装を着るのが手っ取り早いだろう。
 果たしてどんな衣装が来るか。
 それを着るか否か。
 選択は猟兵次第だ。
ベアト・ダッチェス
おめかしにスイーツ、お化けの物語…ハロウィンって大好きよ
皆が笑顔で、この国を楽しめるにしなくてはね
…ですけど
この衣装を着たら、大人のレディとして何か敗北してしまう気が…!
…いいえ、今のあたしはレディであると同時に一人の猟兵、一人のアリスナイト!着込んでやりますわ!ええ!!

衣装を着てUCを使用
天馬の1頭に【騎乗】
【動物使い】として天馬達を指揮し
先遣の20頭ほどで空中から敵を撹乱
混乱を誘えたら残りの天馬達で急降下、自分の【ランスチャージ】や天馬の角で攻撃する
上手くいったら先遣隊の馬達にも攻撃に加わってもらう

そう、レディとは、猟兵とは
着ている服で判断されるものではないのです
…ですよね?(遠い目)




 揺れるランタン、漂うお菓子の香り、可愛らしく仮装したにゃんこ達。
 いかにもハロウィンらしい賑やかな景色を前に、ベアト・ダッチェス(お菓子な槍のこうしゃくふじん・f23598)は瞳をキラキラと輝かせていた。
「あたしもハロウィンって大好きよ。だからこそ皆が笑顔で、楽しめるようにしなくてはいけないのだけれど……」
 ふと、視線を下へと落とす。
 ベアトの手の中には既に森からの衣装が投げ込まれていた。
 渡されているのはフリルたっぷりの愛らしいドレスだ。ガラスの靴やティアラもしっかりセットだったので、モチーフはシンデレラだろうか。
 確かにこの衣装は可愛い。しかし――大人のレディが着るには些か可愛すぎるデザインだろうか。
 普段ベアトが身に纏っている瀟洒でシックなドレスとは全く違うこの衣装。本当に着てもいいのだろうか。
「……いいえ、今のあたしはレディであると同時に一人の猟兵、一人のアリスナイト!」
 ぐっと拳に力を籠め、ベアトは確りと前を向く。
 この衣装に袖を通して戦い抜くことこそ、今の自分がやるべきことだ。
 だから――着込んでやりますとも、ええ!

 恥ずかしさを堪え気合を入れ、衣装を着込んだベアトは力強い一歩を踏み出す。
 そんな彼女の気配に気づいたのか、白雪姫のドレスを着込んだにゃんこも声をあげた。
「にゃ? わんこの猟兵にゃ!」
「あの衣装可愛いにゃあ」
 ぱぁっとにゃんこ達の瞳が輝く。その視線に悪意はないものの、だからこそ今の自分が『大人のレディ』とは少し離れた状態なのを実感し、ベアトはちょっとだけ目を伏せた。
「や、やはりそのように見えてしまうのね。でも……挫けてはいられません。誇り高いお馬さんたち、あたしに力を!」
 ぶんぶんと首を横に振り、気持ちを切り替えたのなら気合も充分。
 ベアトは堂々とベイクド・アリスランスを構え、飴玉模様の天馬の群れを呼び出した。
 幸いなことにこのドレスは騎乗も問題なく行えるようだ。ベアト自身もリーダー天馬の背に乗り込み、再びランスをびしっと構える。
「先遣隊、突撃!」
 まずは20頭ほどの天馬が空から強襲をかければにゃんこ達も大慌てだ。
 彼女達も毒リンゴで応戦はしているが、流石に空からの制圧攻撃には敵わないだろう。
 戦況が混乱し始めたのを確認し、ベアトは更に天馬達を指揮していく。

「残りのお馬さんたちはあたしと共に! さあ、強き翼と折れぬ一角(ツルギ)を掲げましょう!」
 的確な指揮で動く天馬の群れは更ににゃんこ達を弾き飛ばし、彼女達を骸の海へと還していく。
 ベアトも馬上からのランス捌きで敵の対処に当たっているが、その最中もにゃんこ達のコメントは容赦がなかった。
「可愛いわんこにやられるにゃ!」
「姫騎士ってやつみたいだにゃあ~」
 純粋な褒めコメントこそ今は辛い。
 ドレスのフリルがふわりと揺れて、ベアトの赤い体毛が更に赤く染まっていくが、それでも彼女は一生懸命だ。
「いいえ、大丈夫よ。だってそう、レディとは、猟兵とは……着ている服で判断されるものではないのです……よね?」
 そう自分に言い聞かせるように呟いて、騎乗する天馬にも視線を向けるが――お馬さんもちょっと申し訳無さそうだ。
 次はもっとシックなドレスを着てみたいものです。そんなことを考えるベアトであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フェルム・ドゥベー
衣装でパワーアップするなら拒む理由はないな
女性物でも森の意思なら従おう
…サイズは合っていて欲しいがな
顔に似合わないデザインの服を無理やり着る男など流石に周りに迷惑だろう(目の毒という意味で)

さてやる気満々なオブリビオンくん達
聞くところによるとこの国を治めている者は林檎を好んでいるというじゃないか
毒に侵された林檎の存在は彼女に失礼だと思わないかい?
指差して『ジャッジメント・クルセイド』、粉砕しよう

まだ向かってくるというのなら海【属性攻撃】
海水を召喚して水浸しにしてやろう
猫は水が嫌いというからね
ああ、魚も混ざっているかもしれないな
食べたいならどうぞお好きに
俺も好きにさせてもらうからね(UCで追撃)




 ハロウィンの森へ足を踏み入れたのなら、不思議な衣装を手渡される。
 事前に受けた説明を頭の中で反芻しつつ、フェルム・ドゥベー(ベリルの魔法使い・f15664)は己の手の中へ投げ込まれた服を見つめていた。
「なるほど、これがこの森の性質か……」
 確かに渡された衣装からは魔力を感じる。魔法に精通したフェルムだからこそ、そのことはよく理解できた。
 森の中にいるにゃんこ達からも同様の魔力は感じられているし、それなら衣装に袖を通すべきだというのも分かる。
 それが――たとえ女物だとしても。
「これがこの森の意思なら従おう。でも……サイズは大丈夫かな」
 フェルムに渡されたのはいわゆる十二単だった。大きく月の模様が描かれており、モチーフは恐らく『かぐや姫』という物語だろう。
 本来なら着るのも一苦労な衣装だが、流石はおとぎの国だ。袖を通せばするすると着込むことが出来た。
 サイズもぴったり、着こなしに違和感もない。フェルムの長い髪も相まって、雰囲気は上品で美しい。これなら周囲の目の毒にもならないだろう。
 あとは敵を倒すだけだ。

「にゃ、キモノさんだにゃあ」
「敵襲にゃあ~!」
 にゃんこ達もフェルムの登場に気がつくと、毒リンゴを構えてふんふんしている。
 彼女達の気合は充分だ。だからこそ――フェルムはあることに突っ込まざるを得なかった。
「さて、やる気満々なオブリビオンくん達。聞くところによると、この国を治めている者は林檎を好んでいるというじゃないか」
「そうだにゃあ、ローゼス様は林檎大好きにゃ」
「それなら……毒に侵された林檎の存在は彼女に失礼だと思わないかい?」
「……やっちゃったにゃ!?」
 びしっと、フェルムがにゃんこを指差す。同時に降り注いだのは天からの眩い光だ。
 フェルムによる裁きの光はうっかりしているにゃんこを穿ち、彼女を骸の海へと還していく。

「かぐや姫だけに月からの光にゃ!?」
「いや、そういう訳じゃないけれど……それなら、これはどうだろう」
 次にフェルムが浴びせたのは海水の魔法だ。
 全てを飲み込む大海原が森の中へと呼び出されれば、激しい波がにゃんこ達を次々に浚っていく。
「猫にお水は駄目だにゃあ! でもお魚あるかもしれないにゃあ」
「呑気だね……。もし魚があったらお好きにどうぞ」
 どこかマイペースなにゃんこ達の様子に、フェルムの顔も少しだけ緩む。
 だからといって容赦をする必要は全くないのだけれど。
「……俺も好きにさせてもらうからね」
 ぴしゃり、再び天から光を降らせれば、またにゃんこ達は退治された。
 これにて周囲の敵は一掃完了。着込んだ衣装を揺らし、フェルムは先程とは違った安堵の笑みを浮かべた。
「確かに、これだと月と波が君達を連れて行ったみたいだね。ロマンチックで悪くないかもしれない」
 慣れ親しんだ魔術だって、衣装が変われば使う時の印象は変わるだろう。
 普段とは違った感覚を楽しみつつ、フェルムは次の戦いに備えるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メリー・アールイー
戦闘用のドレスに着替えることはあるが
仮装するのは初めてだねぇ

どうせならおとぎの国のお姫様になってみたいなーなんて…
…おやおや、あたしが悪役かい?
(Reもコスプレしたいです、お揃いか別の衣装かはお任せ)
悪役ムーブは柄じゃないんだけどねぇ
食ってやろうか、いじめてやろうか、眠らせてやろうか
(イメージは狼・シンデレラの母・白雪姫の魔女)
覚悟はいいかい、にゃんこずきん

【指定UC】
さあさあ、踊るよRe!
恋鯉が頭からガブリ、しつけ針でちくちく折檻、白眠で強制睡眠
ミュージカルみたいに踊って、役に合った攻め方をしよう
何かが魚に変えられても気にしない
おびき寄せてカウンターの属性攻撃をおみまいしてやろう

アドリブ歓迎




「戦闘用のドレスには着替えたりするけれど……仮装するのは初めてだねぇ」
 そんな呟きを零しつつ、メリー・アールイー(リメイクドール・f00481)もハロウィンの森を訪れる。
 せっかくの仮装、どうせなら可愛い衣装が着てみたい。それこそお姫様のドレスとか。
 そんなワクワクを胸に秘め、相棒のからくり人形『Re』と共に森を歩む。
 すると木々の合間から衣装が飛び出して、すっぽりとメリーの手元へ収まった。
「さてさて、どんな衣装かな……って」
 自分の手元をまじまじと見つめ、メリーの表情は少しずつ訝しげなものへと変わっていく。
 渡された衣装は確かにドレスではあるのだが、その装飾はシンプルだ。色合いも黒っぽく、印象はどことなくシックだろうか。
 更に気になるのは、スカートの後ろについた黒い尻尾。よく見れば狼の耳を模したティアラもついている。
 どうやらこの衣装は色々なおとぎ話の悪役をイメージしたものらしい。袖を通して確認すれば、それは魔女のローブにも似ているし、悪い女王様のドレスのようでもあった。
「悪役ムーブは柄じゃないんだけどねぇ。ああ、でもReの分もあるみたいだよ」
 よく見ると、同じデザインだけれどサイズの小さい衣装がもう一着。こうなったら二人で悪者になってみよう。
「さーて、にゃんこ達は喰ってやろうか、それともいじめてやろうか。眠らせてやるのもいいかもしれないね」
 ひひっと悪い笑みを浮かべ、黒いReと一緒にくすくす作戦会議。
 準備が調えば、楽しい時間の始まりだ。

「さーて、にゃんこ達! わるーい魔女さんがやってきたよ! 一緒に踊ろうか!」
 魔法のしつけ針を片手に、メリーは森をずいずい進む。
 同じく堂々と佇むReと、黒いリボンで装飾された布製の魚『恋鯉』も一緒に進めば百人力だ。
「にゃあ、食べられちゃうにゃあ」
「そうはさせないにゃあ!」
 ドレスで着飾ったにゃんこ達も尻尾を立てて、迎撃の構えを取っていた。
「あんた達を食べるのはあたしじゃないよ。さあ恋鯉、やっておしまい!」
 女王様のようにはきはき命令を下したのなら、まずは恋鯉が空中を泳ぐ。
 布製とはいえ恋鯉も魚。大きくお口を開いたのなら、にゃんこを頭から飲み込んだ!
「ほんとに食べられるにゃあ! だったら……!」
 骸の海へと還る直前、にゃんこが恋鯉に呪いをかけてしまったようだ。恋鯉は本物の魚へと変わり、そこに自制のきかないにゃんこ達が次々殺到していく。
 このままでは危険だ。欲張りなお姫様には相応の罰が必要だろう。
「おっと、お姫様ならこうしてやろうか!」
 咄嗟にReが恋鯉の前へと立ち、絆の糸でにゃんこ達を絡め取る。
 身動きのできなくなった彼女達に贈られるのは、魔女からの針のまじないだ。
「骸の海でずっとずーっと眠るといいさ」
 メリーが踊るように針を操れば、その先端はにゃんこ達の身体を確りと突き刺した。
 せめて痛みは少ないように。不思議な魔術が籠められた針は、にゃんこ達を永遠の眠りへと誘っていく。
「お菓子をもらえるようないい子になって帰ってくるんだよ!」
 そうなれたら一緒に遊ぼう。
 そんな思いと共に、魔女はにゃんこ達を還るべき場所へ還していくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

宙夢・拓未
コスプレか。何が出るかな

……サスペンダーパンツにピンクの耳……これは、豚か?
確かにあったな、子豚が主役の童話
俺が豚の衣装着るのか……嫌だな……すごく嫌だ
……けど! 勝つためだ、着るぜ!

敵は、自爆する乗り物に乗ってくるんだな
なら、近づかせないようにしつつ射撃しちまえばいい
【断罪光輝砲】を使う。攻撃回数を5倍に、装甲を半分にする

『アンバーアイズ』による【視力】の増強で、敵との距離を【情報収集】
全部の敵が遠くにいる間に、右腕に【エネルギー充填】
近づいてきた奴から順に、【レーザー射撃】で乗り物ごと撃ち抜く
敵は多いから【乱れ撃ち】になるだろうが、増えた攻撃回数でカバーするぜ

さて、元の服に着替え直すか……




 ハロウィンの国でオウガと戦うためには、コスプレをしないといけないらしい。
 必要な衣装を貰うべく、宙夢・拓未(未知の運び手・f03032)も森の中を歩き回っていた。
「さて、何の衣装が出てくるかな」
 木々の奥を覗いてみれば、ちょうど衣装が投げ込まれるタイミングだったようだ。飛来する衣装は見事に拓未の腕に収まり、着用される時を待っている。
 果たして何の衣装だろうか。手にとって広げてみれば――それはなんとも言い難いデザインをしていた。
 投げ込まれたのは薄桃色のシャツにサスペンダー付きのパンツ。パンツの後ろにはくるんとした小さな尻尾もついている。
 更にはちょっとへにゃっとした耳のついたカチューシャもついてきている。耳の形は猫や犬のものではなさそうだ。
「つまりこれは……豚か?」
 思い当たるのは子豚の兄弟が主人公の物語。
 衣装のデザインも成人男性が着ても違和感がないようにはなっているが、それでもやはり抵抗感はあった。
「豚の衣装か……嫌だな……すごく嫌だ……」
 拓未は顔を顰め、衣装をまじまじと眺め続けている。
 しかしこのままではいられない。楽しいハロウィンとこの世界の未来のために立ち止まってもいられない。
「……よし! 勝つためだ、着るぜ!」
 決心と共にライダーズジャケットを脱ぎ捨て、拓未は勢いよく衣装に袖を通した――!

「あ、子豚ちゃんにゃ」
「迎えにいってあげるにゃあ」
 森の奥には複数のにゃんこが待ち構えていた。彼女達は南瓜の爆車に乗り込みながら、呑気に拓未の方を見つめている。
 爆発する乗り物は危険だし、接近されて姿をまじまじと観察されるのも避けたい。相手との距離はまだ離れているからここは先手必勝だ。
「迎えは要らないぜ。今ここで撃ち抜く!」
 拓未は右腕を突き出し、琥珀色の瞳で敵を睨む。右腕は瞬く間に大口径レーザー砲へと変形すると、凄まじい勢いで電気を充填し始めた。
 身体の機械部分を動かすための電気は右腕に集中させる。その影響で他の部分の防御は疎かになるが、相手に近づかなければ問題ないだろう。
 衣装の影響だろうか、今日は電気の巡りも好調だ。これでもう少し格好いい衣装だったら……とは思うけれど、とにかく今はやるしかない。
「子豚ちゃん、なにかやろうとしてるにゃ」
「危ないにゃ、さくっと轢いちゃうにゃ!」
 にゃんこ達も拓未の右腕に集まるエネルギーを視認し、戦う準備を始めたようだ。
 南瓜の爆車が轟音と共に発進し、拓未の方を目指し始める。
 けれど――にゃんこ達が距離を詰めるより早く、エネルギーの充填は完了した!
「――いっけえぇーっ!!」
 次の瞬間、森の中を凄まじい閃光が走り抜けた。
 流星群のような勢いで放たれるレーザーは次々に爆車を穿ち、その場で爆発させていく。

 光が消え去ればにゃんこ達もすっかり退散、森の中は一気に静かになった。
 その様子を確認し、拓未は胸を撫で下ろす。
 敵を倒せたのはもちろん嬉しい。でもそれ以上に嬉しいのは――。
「……よし、元の服に着替え直すか……」
 何よりも、いつもの格好に戻れることだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ハロ・シエラ
【ファランビー】!と出撃するのも久々ですね。
ここは私にとっては戦うのが難しい世界ですが……やはりこう来ましたか。
え、ドレス?こんなお姫様みたいな?
確かに王子様なチェリカさんはとても魅力的です。
私もそちらの方が……分かりました、ドレスを着ます。
ですがそう言うロランさんも一緒です!
何でしたら、私とチェリカさんでドレスを選んで髪型だって整えて差し上げますので。

戦闘では炎で敵の射程外から攻撃を仕掛けます。
ですが慣れない上に動き難いドレス姿、近寄られた時はあえてりんごを食べ【毒耐性】で耐えつつ毒でやられたふりをして【だまし討ち】を狙います。
本当に毒が回ったら……王子様とお姫様が助けてくれるでしょうしね。


ロラン・ヒュッテンブレナー
【ファランビー】なの

仮装して戦うなんて、ハロウィンらしいの
わわ、チェリカちゃんが王子さまになったの
マントひらひらカッコいいね
ハロちゃんのお姫さま、いいね
いつもと違う雰囲気なの
二人並ぶと、ほんとにおとぎ話の王子さまとお姫さまだね

え?ぼ、ぼくも、ドレスなの??
そこの、村人ので、大丈夫だよ…(でも説得されて着る)
あぅ…、は、はずかし…

りんご…、大きいの
ごめんね、口、開かなくて?(物凄く申し訳ない顔)
(お姫様同士で寄り添って王子様に助けを求める視線を投げる)

ん、王子さまが助けてくれたから、がんばるの
あの、冷たいけど、ごめんね?
UCでりんごとねこさんを凍らせていくの
お姫さま、足は止めたから、お願いなの


チェリカ・ロンド
【ファランビー】!でいくわよ!
仮想してパワーアップなんて、私向きだわ!
私の衣装は……王子様の服ね!いつもドレスとかガーリーな格好してるし、たまにはいいわね。
ハロのお姫様、すごく似合ってるわ!ブルネットのロングヘアが映えるわね!
……ロラン……!お姫様がこんなに似合う男の子なんて……!これはあれね、たまんないわね!村人なんて地味なのより、仮想を楽しみましょ!

毒リンゴは……食べたくないけど、回避できなさそうなら【生まれながらの光】で毒を中和していくしかないかな。
ハロとロランに毒が回っちゃったら、王子様のキス……ってわけにはいかないから、王子様の聖なる光で治療してみせるわ!回復は任せて!




 戦いが続き、賑やかさを増すハロウィンの国。
 そんな場所へと更に賑やかな三人組が足を運んだ。
「ファランビー! ……と出撃するのも久々ですね」
 国の観察をしつつ先導するのはハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)。彼女の後ろには小柄な少年少女の姿もあった。
「三人で仮装出来るなんてとっても楽しそうじゃない!」
「どんな衣装が来るのかなぁ……。ワクワクするの」
 楽しげに話しつつ進むのはチェリカ・ロンド(聖なる光のバーゲンセール・f05395)とロラン・ヒュッテンブレナー(人狼の電脳魔術士・f04258)だ。
 二人の関心は不思議な国の特性――パワーアップ出来る仮装へと向けられている。
 もちろんハロも気持ちは同じ。果たしてどんな衣装が渡されるのだろうか。

 三人は森の周囲を探索しつつ、戦いの準備を進めることにした。
 遠くにオウガのにゃんこ達もいるようだ。戦うためにも早く衣装が必要なのだが――。
 ちょっとやきもきしている内に、三着の衣装が三人の手元へと投げ込まれた。
「さてさて、私の仮装は……王子様の服かしら? 新鮮だし、たまにはこういうのも良いわね」
 最初に確認したのはチェリカだ。
 普段は少女らしい服装を好む彼女には、クールな王子様の衣装が渡されたようだ。
 黒を基調にした上着にズボンは白色、更にはひらりとしたマントもセット。特定の童話というより『王子様』そのものをイメージした衣装だろう。
 長い髪を下ろして着てみれば、チェリカの様子は本物の王子様さながらだ。
「どうかしら。似合う?」
「わわ、チェリカちゃんが王子さまになったの。マントひらひらカッコいいね」
「王子様なチェリカさんはとても魅力的です。私もそういうのが……ええっと、私のはドレスでしょうか」
 友人が仮装をし始めたのを確認し、ハロも自身の衣装を確認する。
 彼女に手渡されたのは赤色が印象的なドレスだった。
 よく見るとフードもついており、スカート部分はフリルたっぷりで少女らしい。モチーフは赤ずきんだろうか。
「いいじゃない、きっととっても似合うと思うの! ブルネットのロングヘアが映えるわよ!」
「……分かりました、ドレスを着てみましょう」
 最初は恥ずかしがっていたハロだが、チェリカの説得も相まって静かに衣装に袖を通す。
 二人で並べば雰囲気もばっちりだ。
「ハロちゃんのお姫さま、いいね。いつもと違う雰囲気なの。本当にお姫様と王子様みたいで……」
 これで着替えていないのはロランだけ。そんな彼の手元にあったのは――可愛らしいドレスであった。
「……あれ、え、ぼくもドレスなの? にゃんこみたいな村人の衣装でも……」
 頬を赤く染めつつ、ロランは遠くのにゃんこを指差す。
 彼女達は中世風の村人の衣装を着込んでいるようだ。自分もあんなのがいい、と主張するロランだが、友人達はそう思わないようだ。
「いいえ、ロランさんも一緒です! 不安なら髪型だって調えますよ!」
「せっかくの仮装じゃない。村人なんて地味なのより、普段出来ない服装を楽しみましょ!」
「わ、分かった……着てみるね……」
 説得の甲斐もあり、ロランもおずおずとドレスに着替えていく。
 色合いは雪のように白く、所々に青や赤で装飾が飾られたこのドレス。モチーフは白雪姫だろう。
 ハロが丁寧に髪を纏めて整えれば、ロランもすっかり愛らしいお姫様へと変身した。
「……ロラン……! これはあれね、たまんないわね!!」
「大丈夫です、よく似合っていますよ」
「あぅ……、は、はずかし……」
 紆余曲折あったけれど、これにて仮装は完了だ。
「準備も整ったところで、オウガをやっつけましょう! 可愛いお姫様達がついているんですもの、頑張るわ!」
「慣れない衣装で少々動きづらいですが……楽しんでいきましょうね」
「う、うん。ファランビーなの」
 ハイテンションなチェリカ、慣れない衣装に少し戸惑うハロ、そして恥ずかしさで耳をへにょんとさせたロラン。
 三者三様ではあるけれど――戦いに向けて真剣なのはいつもと同じ。いよいよ戦いの時だ

「王子様といえばキラキラしているものよね。それなら今日は全力よ!」
 まずはチェリカが己の聖なる光を滾らせて、友の背を支える準備を整える。
 凛とした輝きを纏えば、彼女の様子は更に勇ましい王子のようだ。
「あまり接近されたくないですね。ロランさん、合わせましょうか」
「魔術なら任せて欲しいの。エントロピー移動術式、展開――」
 ハロとロランも術式を組み上げ、にゃんこ達を迎撃しようとするが……。
「そうはさせないにゃ!」
「お姫様には毒リンゴをプレゼントにゃー!」
 村人にゃんこ達の動きは俊敏だ。あっという間に距離を詰められ、毒リンゴを構えられてしまう。
「しまった、ドレスが……!」
 猟兵達も急いで距離を取ろうとするが、慣れない衣装のせいかどうしても遅れが生じてしまったようだ。
 三人の口には次々とリンゴが放り投げられ、毒が身体を侵してしまう。
「むぐっ……だ、大丈夫。こんな毒、すぐに中和出来るわ」
 すぐにチェリカが聖なる光を発すれば、なんとか体内の毒は対処できた。
 しかしハロとロランはそうもいかない。それぞれの体質や魔力で対抗はしているものの、このまま戦い続けるのは難しいだろう。
「うぅ、りんご大きいの……ごめんね、口、開かなくて?」
「チェリカさん、お願いします……」
 苦しむ二人の元へチェリカは駆け込み、どうすべきか思案する。
「そうね、毒リンゴを食べたお姫様には王子様のキス……という訳にもいかないから……」
 代わりにキスよりもチェリカらしい、全力の輝きをプレゼント。それがきっと最善だ。
「ここは王子様の聖なる光よ! 回復は任せて!」
 暖かな光が三人を包み込めば治療は完了。
 ここから先はお姫様が頑張る番だ。
「ありがと、チェリカちゃん。それじゃあ改めて――オペレーション、スタート」
 ロランもなんとか立ち上がり、先程中断された術式を改めて発動していく。
 生み出すのは相手の熱を奪う不思議な炎。それを周囲へ展開していけば、にゃんこもリンゴもあっという間に氷漬けだ。
「ああ、リンゴがカチコチにゃあ」
「私達もカチコチだにゃ!」
 慌てるにゃんこ達の元へ、今度はハロが一気に駆け寄る。
 先程のお返しとばかりに発動するのは炎の術式だ。
「……先程のお返しです。焼きリンゴと焼きにゃんこにしてあげます!」
 ハロが生み出した聖なる炎は、悪を一気に焼き尽くし、骸の海へと還していく。
「――私の炎が、魔を払います!」
 三人が生み出す光と炎が消え去れば、にゃんこ達は無事に討伐。
 その様子を確認し、ファランビーの三人は笑顔を向けあっていた。

「これにて悪い村人は退治完了、一安心ですね」
 スカートの裾を直しつつ、ハロは二人へ向き直る。衣装に慣れてきたのもあって、その表情からは余裕も感じられた。
 一方ロランの方は――まだ恥ずかしさが抜けきらないようだ。再び顔を赤くしつつ、少しだけうつむいている様子。
「早く着替えたいの……」
「まだオウガは倒しきれてないわ。それにせっかく可愛いんだから、ずっとその衣装でいいじゃない!」
 チェリカはロランの背を軽く支え、ぱっと明るく笑みを浮かべた。
 その様子はやはり頼もしい王子様のようだ。
「あぅ、もうちょっと頑張るの……」
 友達に勇気づけられ、ロランも気を持ち直したようだ。
 ハロも二人の側へと立ち、優しく笑みを浮かべている。
「衣装にも慣れてきましたしね。この調子でいきましょう」
「次もファランビー! よね。頑張りましょう!」
 ハロウィンの国の戦いはまだまだ続く。けれど三人ならきっと大丈夫。
 こうして少年少女達は、再びハロウィンの国を進むのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『『薔薇園の番兎』ローゼス』

POW   :    アリスの生き血で実る禁断の果実
戦闘中に食べた【アリス(猟兵含む)の血を吸い実ったリンゴ】の量と質に応じて【アリスのユーベルコードを習得し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD   :    迷い込んだ者の生き血を啜る迷宮
戦場全体に、【触れた者の出血を促す棘を生やした茨の壁】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
WIZ   :    薔薇園を拒む者に施される拷問
【ハートのワンド】が命中した対象の【体に絡みつく蔦】から棘を生やし、対象がこれまで話した【薔薇園を否定する言葉】に応じた追加ダメージを与える。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠幻武・極です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 森での戦いが終わり、次なる戦場はキッチンへと。
 ハロウィンの国にはありとあらゆる食材が揃い、調理器具や食器も完備されていた。
 そこに待ち構えるのは一匹のオウガ――『薔薇園の番兎・ローゼス』だ。
「猟兵が何を企んでいるのか分からないけれど……なんでもいいわ、全員リンゴにしてあげましょう」
 不気味な血色のリンゴを齧りつつ、ローゼスは猟兵の到来をを待つ。

 ローゼスはハロウィンの国の法則によりほぼ無敵の存在と化している。
 倒すためには「キッチンで美味しい料理を作ること」が必要不可欠だ。
 ローゼスは気持ちの籠もった料理を粗末に扱うことが出来ず、料理を食べれば食べるほど眠くなってしまうのだ。
 特にリンゴや秋の味覚を使った美味しい料理には目がない。好物を好きなだけ味あわせてやるのもいいだろう。

 ローゼスが完全に眠ってしまえば無敵も解除される。そうすればあとはボコボコにするだけ。
 ハロウィンの国を救うべく――楽しいお料理タイムの始まりだ!
宙夢・拓未
【時計仕掛けの心臓】を発動
これで、【料理】に没頭さえしてれば、バリアで攻撃は防げるはずだ
ま、俺の体に血は流れてないが、それは置いておこう

キッチンから赤い林檎を選び取って、ナイフで丁寧に皮を剥く
剥いた皮は砂糖と一緒に煮る
林檎はカットして芯を取り、皮の赤い色が移った煮汁に入れ、落とし蓋をして煮込む

色が抜けて黄色くなった皮は鍋から取り出して、くるくる巻いて、楊枝で固定すれば、黄色の薔薇の飾りになる

煮た林檎を皿に並べて、レモン汁と赤い煮汁をかけて
黄色の薔薇をミントの葉と一緒にちょんと乗っけて完成!

『恋色シロップの林檎コンポート~黄色の薔薇を添えて~』
……言うには【勇気】がいるな、これ

さあ、召し上がれ!




 ハロウィンの国を救うため、猟兵たちは新たな仕事に取り掛かる。
 宙夢・拓未もキッチンへと足を運びつつ、周囲の状況を確認していた。
 目的地のすぐ側にはローゼスが待ち構えているのも見えた。
「本当になんでも揃ってるな。オウガも……やっぱりいるか」
「この国の主ですもの。部外者を追い出すために準備くらいしているわ」
 ローゼスがワンドで地面を叩けば、そこから生い茂るのは無数の茨。
 茨は次々に壁を形成し、キッチンの周りを囲い始めた。
「さあ、あなたの血を啜らせなさい」
「そうはいかないぜ。俺にはやるべきことがあるからな」
 自らの使命を再認識し、拓未は機械仕掛けの心臓を滾らせる。
 規則正しい時計の音が鳴り響けば、拓未の周囲には電磁バリアが形成されていく。
 このバリアは戦闘には使えない。けれど今やるべきなのは戦う事ではなのだから大丈夫。
 今やるべきは――楽しいお料理タイムだ!

「あいつはリンゴが好きなんだよな。それなら俺もリンゴで何か作ろうか」
 拓未が手にとったのは真っ赤なリンゴだ。
 愛用のナイフで丁寧に皮を剥き、剥いた皮は捨てずに鍋へ。砂糖と一緒に煮詰めれば、鍋の中はうっすらと赤に染まっていく。
 リンゴもしっかりとカットしたなら一緒にお鍋へ。蓋をしたのならぐつぐつ煮込もう。
「……あら、良い匂いじゃない」
 漂う甘い香りに惹かれ、ローゼスも興味深そうにキッチンを覗いているようだ。
 相変わらず茨は育て続けているが、鍋に攻撃を仕掛けたりはしないだろう。
「リンゴは生で齧るのもいいけど、こういう風に一手間加えるのだって悪くないだろ?」
 ローゼスへと笑顔を向けつつ、拓未は鍋からリンゴの皮を取り出していく。
 すっかり色が抜けて黄色くなった皮だけれど、くるりと巻いて固定すれば可愛らしい飾りへと変身だ。
「それは……薔薇かしら?」
「ああ。黄色い薔薇も可愛いよな」
 出来上がったリンゴの薔薇を飾れば、皿の上も華やかになる。
 そして煮詰めた実も一緒に並べ、上からレモン汁と赤いシロップをさっとかけて。
 最後にミントを実と薔薇に添えたのならば料理は完成!

「……という訳で。恋色シロップの林檎コンポート~黄色の薔薇を添えて~……なんて、どうかな」
 少し恥ずかしそうに頬をかきながら、拓未は皿をずずいと差し出す。
「さあ、召し上がれ!」
「ありがとう。それならいただこうかしら」
 ローゼスもフォークを取り出し、早速コンポートを一口食べて。
 すると彼女の顔は見る見る喜びの色に染まり、瞳はきらきらと輝き始めた。
「リンゴもシロップも甘くて美味しいのだけれど、レモン汁やミントのおかげで重すぎないし……」
 一口、また一口と噛み締めつつオウガの女は更にコンポートを食べ進める。
「リンゴの薔薇もいいわ。まだしゃきっとした感触が残ってるのが口直しに良くて……」
 コンポートはあっという間に完食された。ローゼスの表情は非常に満足げだ。
「……本当に美味しかったわ、ありがとう」
「満足してくれたなら良かったぜ。さあ、他の料理もどんどん食べてくれよな」
 相手の好みも踏まえたチョイスは最適だったようだ。これでローゼスは更に猟兵の料理に興味を示すだろう。
 拓未の料理は、楽しい時間のスタートを勢いよく切ったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メリー・アールイー
花は好きだよ、勿論薔薇もね
でも悪戯な薔薇がいるようだから
先に下準備をしておこうかね

【百光潤色】の糸を自分、Re、恋鯉に結んで棘対策
そしたらみんなでお料理タイムだ!

シュークリームの皮、林檎の甘露煮、サツマイモクリーム
を手分けして作るよ

こら、この子達が料理出来ないだろ
邪魔してくる茨には、しつけ針でおしおき
もしくは、味見するかい?と誘ってみようか

シュー皮の間にクリームと林檎を挟めば
林檎とサツマイモのモンブランシューの出来上がりだよ!
天辺に小さなチョコ棒を立てたら、見た目も林檎っぽいだろ?

可愛い兎さんにはオシャレなお菓子が似合うねぇ
たくさんお食べ
その分おねむの時間が近付くはずさ

アドリブ歓迎




 キッチンの周囲に生い茂る真っ赤な薔薇を見遣り、メリー・アールイーは眉を顰めた。
 花は好きだし、薔薇だって勿論好き。けれど誰かを傷つけるような悪戯っこは厄介だから、しっかり対策をしていこう。
「Re、恋鯉、一緒に行くよ。Reモード『Recovery』!」
 しつけ針から煌めく光の糸を生み出し、まずは自分と相棒達へくるくると結びつけて。
 ドレスの袖や髪を纏めていけば調理の準備もばっちりだ。
「こっちにも猟兵が……何をするつもりなのかしら?」
 ローゼスがこちらへ駆け寄り茨を生み出しているのが見えたけれど、そんなことは些細なこと。
 悪い棘がちくちく身体を刺してきても光の糸がすぐに身体を癒やしてくれる。
「おっと、可愛い兎さん。ぴったりな料理を作ってやるから、しばらく大人しくしてるんだよ」
 ローゼスの様子を一瞥しつつ、メリーはリンゴやさつまいもを手に取る。
 今から作るのはとっておきの秋のお菓子。悪い子もはっとするような素敵な料理を作っていこう。

「Reは鍋を見ておいてくれ。恋鯉はさつまいもを潰してくれるかい」
 相棒達に指示を出し、メリーも材料へと向かい合う。
 三人で手分けして作るのはほんのり香ばしいシュークリームの皮に、甘酸っぱいリンゴの甘露煮。そしてさつまいものクリームだ。
 分担してやれば作業にも時間はかからない。強いて気になるものといえば――キッチンへと侵入してくる茨達。
「まだまだ悪戯っこはいるんだねぇ。これをあげるから、皆の邪魔をしないでおくれ」
 メリーは焼き上がったシューの皮を差し出して、ずずいと茨の方へと近づける。
 すると一本の茨が手のように蠢き、シューの皮を取って地中へと埋まってしまった。けれどその茨はもう地上へ出てこない。どうやら満足したようだ。
 これで暫くは一安心。ちょうどReと恋鯉も作業を終わらせたようだ。あとはお菓子を完成させるだけ!

 出来上がった材料を軽く味見してみれば、メリーの顔はぱっと華やぐ。
「二人ともお疲れ様! リンゴもクリームもいい感じだね。それじゃあ……」
 シューの皮にリンゴとクリームを詰め込めば、リンゴとさつまいものモンブランシューの出来上がり。
 チョコレートで作った芯も突き立てれば見た目も可愛らしいリンゴのようだ。
「さあ、ローゼス。あたし達のお菓子を食べておくれ」
「あら、可愛いじゃない。せっかくだからいただきましょうか」
 モンブランシューを手渡されればローゼスも素直に口へと運ぶ。
 愛らしいお菓子と見た目は可愛いオウガの組み合わせというのはなかなか絵になるものだ。
「リンゴとさつまいも、どちらも甘いけれど食感や味わいは全然違うし……それをシューがひとまとめにしている感じがいいわね……」
 ローゼスはモンブランシューを堪能しつつ、ぽつぽつと言葉を紡いでいく。
「チョコの芯もアクセントになっていて美味しいわ。こう……絶妙なハーモニーよね……」
「うんうん。どんどんお食べ」
 ローゼスの食べっぷりは微笑ましいけれど、これも彼女を眠らせるため。赤い瞳が少しとろんとしているのを確認し、メリーはこっそりニヤリと笑う。
 悪い魔女からのリンゴを素直に受け取るから悪いのさ。
 仮装に合わせ、そんなことを思うメリーだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ハロ・シエラ
引き続き【ファランビー】と行きましょう。
敵の足止めはロランさんがしてくれるとして……料理そのものが強敵ですね。
私はパイ生地担当。
レシピはロランさんが教えてくれた物を【学習力】で覚えてはいますが、実践すると勝手が違いますね。
折角の赤いドレス、あまり汚したくはありませんが早くしないと敵が迷路を抜けてしまいます。
【早業】で手早く生地をまとめ、冷気の【属性攻撃】を応用して冷やし、伸ばして折り返して……
まぁこんなものでしょう、後はお二人の作ったフィリングを入れて焼くだけです。
時間と温度に気を配って……付け焼刃ですが、美味しくなる様に心は込めました。
敵が眠ってしまったら、ユーベルコードで撃ち抜くのみです。


ロラン・ヒュッテンブレナー
お料理も【ファランビー】なの

お料理する時間が必要だよね
UCで迷宮を作って時間稼ぎなの
中はアスレチックになってるから、たくさんお腹空かせておいてね?

今のうちに、ポテトアップルパイを作ろ?
レシピは、執事のじぃやからもらってきたの
ぼくもお料理は初めてだけど、みんなでやれば、大丈夫なの

着替えてる時間はないからドレスのままで
腕の毛が入らないように、アームカバーを付けて、エプロンも付けておくの
みんなで助け合いながらがんばるの

ぼくはりんごフィリングを作るね
りんごを切って炒めて…
火加減、難しいね?

みんなで作って出来上がっていくのが、うれしいね
ふふ、おいしくできたかな?
喜んでもらえると、いいな

おやすみ、良い夢を


チェリカ・ロンド
【ファランビー】!
お菓子作り……私、バレンタインでもチョコ爆発させてるから、自信ないなぁ……。
でも、二人が一緒だものね!だ、大丈夫よ!がんばる!

妨害はロランに任せて、作るのはポテトアップルパイね。お芋蒸かすくらいなら、何回もやってるしきっとできるわ!か、火力が問題ね!適温んんんんんッ!
ほかほかにできたら、棒で潰すわよ!丁寧に、慎重に、砂糖も入れて……!
で、できたわ!なんかちょっとお芋がゴロゴロしてるけど、誰がなんと言おうとスイートポテトよ!これをハロとロランのと合わせれば、パイになるのよね?あとはよろしく!

おまたせローゼス!たっぷり食べて眠くなったら、私の【チェリカ砲】でおやすみなさいッ!




 口元を拭いつつ、ローゼスは次の猟兵を待ち構える。
 そんな彼女の目に留まったのは【ファランビー】の三人組だ。
「あら、今度は三人組ね。それなら纏めて……」
 ワンドを構え、攻撃を仕掛けようとするローゼス。
 そんな彼女を止めたのはロラン・ヒュッテンブレナーの魔術だった。
「そうはさせないの。ぼく達には時間が必要だから――ラビリンス、錬成開始」
 機械音声のような詠唱が終わると同時に展開されるのは魔域の監獄。
 捕らえた相手を弱らせながら進ませる不思議な迷路だ。
「何かしら、これ……!?」
「中はアスレチックになってるから、たくさんお腹空かせておいてね?」
 迷路の中から響くオウガの声を耳に入れつつ、ロランは友達の方へと向き直る。

 ロランが魔術を展開している間に、ハロ・シエラはキッチンの中を物色していた。
 彼女の表情は真剣そのもの。だけどどこか浮かない様子も見え隠れしている。
「ロランさん、ありがとうございます。それでは早速料理を……と言いたいのですが、料理そのものが強敵ですね」
 オウガを倒すためには料理が必要。しかし本格的に何かを作るのは初めてだ。
 そんな友達の様子を見遣り、ロランは柔らかく笑みを浮かべた。
「皆でポテトアップルパイを作ろ。レシピは、執事のじぃやからもらってきたの」
「助かるわ、ありがとう。でも、うぅ、お菓子作り……。私、バレンタインの時もチョコを爆発させてるのよね。自信ないなぁ……」
 レシピの内容を一瞥し、頭を抱えるのはチェリカ・ロンド。
 過去の失敗というのは重くのしかかってしまうもの。チェリカの表情も不安で大きく曇ってしまっている。
 だからロランはチェリカにも笑みを向け、優しく声をかけた。
「ぼくもお料理は初めてだけど、みんなでやれば、大丈夫なの。三人ならファランビー、なの」
 がんばろう、と決めた三人の合言葉。この言葉を呟けば、乗り越えてきた過去も思い出せる。
 ハロとチェリカも前を向き、共に決意を固めていく。
「……そうですよね。三人でどんな危機だって乗り越えてきました。今日だってきっと大丈夫です。時間も限られていますし、精一杯頑張りましょう」
「ええ。二人と一緒だもの。きっと……だ、大丈夫よ! がんばる!」
 楽しいハロウィンのためにもここは頑張りどころだろう。
 少年少女は拳を突き合わせ、早速料理へと取り掛かった。

 チェリカの担当はスイートポテトだ。お湯を沸かしてお芋を入れて、そこからがちょっと大変だろう。
「お芋を蒸すくらいなら何回もやってるわ。でも、火力の調整が難しいのよね」
 じーっと火を見つめるチェリカ。若干目がぐるぐるしているように見える。
「適温、適温……てきおんんんんッ!!」
「チェリカさん落ち着いて! 火は弱めなくらいで大丈夫だと思います!」
「そ、そうよね。ありがと、助かったわ!」
 半ばパニックになっているチェリカへ向けて、ハロが冷静にアドバイス。
 チェリカもすぐに落ち着きを取り戻し、無事にお芋は蒸せたようだ。
「はぁ、はぁ……。次はお芋を潰せばいいのよね」
 お芋は砂糖と一緒に潰していく。力加減は慎重に、丁寧に気持ちを籠めて芋と向かい合うチェリカ。
 しっかり作業を進めていけば――。
「……で、できたわ! ちょっと不格好かもしれないけれど……誰がなんと言おうとスイートポテトの完成よ!」
 出来がったのは甘い香りのスイートポテト。
 ちょっとゴロゴロしているのはご愛嬌、パイと合わせればきっと美味しくなるはずだ。

「ええっと、アームカバーにエプロンに……」
 狼の手やドレスが支障にならないように準備しつつ、ロランは材料を確認していく。
「リンゴもいっぱいあるの。たっぷり作れそうだね」
 丁寧にリンゴをカットし、バターや砂糖と一緒に炒めて。すぐに甘酸っぱい香りが周囲へと漂った。
「……あ、いい香りがしてきました」
 別の場所で作業を進めていたハロも、甘い香りを感じて表情を柔らかくさせている。
 一方ロランの方は――ちょっとだけ険しい顔をしていた。
 リンゴを焦がさないように注意しなければいけないからだ。
「火加減、難しいね?」
「分かるわ。すっごく難しい……!」
 ロランの一言にチェリカが大きく頷く。先程まで同じ気持ちだったからこそよく分かるのだろう。
 わいわい話をしながら作業を進めれば――リンゴのフィリングも無事に完成だ。
「フィリング、出来たよ。チェリカちゃんとハロちゃんも大丈夫かな?」
 チェリカの作業は一段落し、ハロの方も順調そう。
 そんな様子を確認し、ロランは少しだけ尻尾をぱたぱたさせていた。
「みんなで作って出来上がっていくのが、うれしいね」

 ハロの担当はパイの生地。
 この作業をするならば、薄力粉などがどうしても飛び散ってしまうだろう。
「ドレスが汚れてしまうのが残念ですが……出来る限り急ぎましょう」
 汚れは洗えばまた落ちる。それよりも友達が稼いでくれた時間を無駄にしたくはなかった。
 しっかり者のハロだからこそ、気持ちもしっかり切り替えてパイへと向かい合う。
「ええっと、生地はこうやって纏めて……」
「ハロちゃん流石なの。すごくてきぱきしてて格好いい」
 手際よく生地を作り上げるハロの早業に、ロランは感嘆の息を零す。
 ハロも柔らかく笑みを返したのなら、次は生地を冷やす作業が待っていた。
「冷やすのは……魔術の応用で大丈夫でしょうか」
 冷気の魔術で生地を冷やし、出来上がった生地は丁寧に型へと並べる。
 これで作業はほとんど終了。あとは全部の材料をあわせて焼くだけだ。
「……まぁこんなものでしょう。それではチェリカさん、ロランさん、お願いします」
 二人もそれぞれの材料を持ち寄って、生地の上へと並べていく。
 そしてオーブンで美味しく焼き上げれば――特製のポテトアップルパイの完成だ!

 出来上がったパイを見つめ、三人は楽しげに笑みを向け合う。
「これで完成ですね。付け焼刃ですが、美味しくなる様に心は込めました」
「ふふ、おいしくできたかな?」
「バッチリよ! さあ、ローゼスに食べさせてあげましょうか!」
 準備が整ったタイミングで、ローゼスも迷路から脱出したようだ。
 彼女は大きく肩で息をしているが……焼き立てパイの香りにはすぐに気がついたようだ。
「ぜぇ、はぁ……あら、これは?」
「おまたせ、ローゼス!」
「ぼく達で作ったポテトアップルパイなの。さあ、召し上がれ?」
 差し出されたパイを受け取り、早速一口食べるローゼス。
 すると先程までへろへろだったのが嘘のように、姿勢を正してパイを堪能し始めたようだ。

「ああ……香ばしいパイ生地に丁寧に作られたフィリングが相まってすごく美味しい」
 ローゼスは次々にパイを口へと運び、恍惚とした表情を浮かべていく。
「スイートポテトのごろっとした食感も癖になりそう。このパイ、あなた達三人の友情のようなハーモニーを感じるわ」
 あっという間にパイは完食されたようだ。
 ローゼスの表情は未だにとろんとしているが――それは食事に満足しているだけでなく、眠気もばっちり感じているから。
 そんな様子を確認し、ファランビーの三人も安堵の息を零す。
「よかったわ。満足してくれたみたい!」
「うんうん、いっぱい食べて、良い夢を見て欲しいの」
「……その時は、覚悟していて下さいね」
 三人は武器やユーベルコードの準備をしつつ、来るべき時を待っていた。
 同時に胸に宿るのは、料理を頑張った楽しい思い出。
 ハロウィンを前にして、楽しい記憶が三人の胸に刻まれていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フェルム・ドゥベー
アップルパイを作ろう
完成まで少々時間がかかるし、まず焼きリンゴを作って振る舞ってからパイ作りをしようか
攻撃を察知したら「座ってお待ちくださいお嬢様」と言いながら杖に指定UCを撃つ

焼きリンゴはよく洗ったリンゴの芯をくり貫き、中にバターとハチミツを入れ、オーブンで焼く
焼きあがったらシナモンパウダーをまぶして完成

アップルパイは…完成品のパイ生地を使わせてもらおう
リンゴの皮をむきカットしたものを砂糖で炒めてから煮込む
形を整えたパイ生地にリンゴを並べ生地で蓋をし、ツヤ出しの卵黄を塗ってオーブンで焼く

いずれも美味しく食べてもらうために丁寧に作業する
これが俺の心の込め方だ
眠ってしまったらUCを敵本人に撃とう




「はっ、夢中になってしまっていたわ。他の猟兵は……」
 出されていた料理を食べ終えたローゼスは、目元を擦りつつ猟兵を探す。
 ちょうどそのタイミングで、フェルム・ドゥベーはキッチンへとやって来ていた。
「そんなに眠いのなら寝てしまってもいいんじゃないかな?」
「いいえ、私はこの国の主。猟兵ならば見逃さないわ」
 投げかけられた言葉に対し、ユーベルコードで答えを返そうとするローゼス。それならこちらも同じように答えるだけだ。
「座ってお待ちください、お嬢様」
 フェルムがワンドを指差せば、天からの光がそれを穿つ。その衝撃でふらふらとよろけるローゼスを受け止めたのは、座り心地の良い椅子だった。

 これで相手はすぐに動けない。けれど時間はもう少し必要だ。
 そこでフェルムが取り出したのは――香ばしい香りを放つ焼きリンゴだった。
「先に作っておいたんだ。さあ、どうぞ」
「あら……いい香り。ありがとう、いただくわ」
 心を込めて作ってもらえた好物にローゼスの表情も和らいだようだ。
 芯の代わりにバターと蜂蜜が詰め込まれ、シナモンパウダーも振りかけられた特製の焼きリンゴ。
 これだけでもローゼスは満足げだが、フェルムの仕込みはまだ終わらない。
「これ、材料はシンプルなのに美味しいのよね……」
「喜んでもらえてよかった。もう一品作っているから、待っていてね」
 そう、フェルムは更に別のお菓子も準備しているのだ。

「ええっと、パイ生地はこれで大丈夫。リンゴは頑張って用意しないといけないな」
 完成品のパイシートがあるのを確認し、フェルムは更にリンゴを手に取っていく。
 リンゴの皮は丁寧に剥いて、食べやすい大きさにカット。バターや砂糖と一緒に炒め、少しずつ煮詰めていって。
 そちらの用意が終わればパイ生地の準備だ。
 型にシートを敷き終えればリンゴのフィリングを更に置き、上にもシートを可愛らしく載せていく。
 最後にツヤ出しのための卵黄を塗れば、あとはオーブンにお願い。
「これで……よし、と」
 フェルムが作っていたのはアップルパイだった。
 オーブンからパイを取り出し、食べやすい大きさに切ったのならば――お嬢様に届けよう。

「さあ、お嬢様。次はアップルパイだ」
「わぁ、美味しそう。こちらもいただくわ」
 焼きリンゴを完食した直後にも関わらず、ローゼスはパイを次々と食べていく。
「まず生地の乗せ方が良いわ。リンゴもしゃきっとした食感が残っていて美味しいし……丁寧に作ってくれたのが伝わってくるの」
「そう言ってもらえると嬉しいよ。俺なりに心を籠めて作ったんだ」
 一口ごとにローゼスの表情はより満足げに、そして緩やかなものへと変わってるようだ。
「……満足したら、ゆっくり眠ってね」
 悪い鬼が眠るまではあと少し。己の役割を果たせたことを実感し、フェルムは安堵の息を溢した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ベアト・ダッチェス
お料理を粗末にしないっていうのは、オウガと言えど立派な姿勢だわ
料理の経験は豊富ではないけれど、真心なら沢山込めさせていただきます!

UCで鎧を想像&創造
イメージするのは調理器具で固めた白銀の鎧
料理に集中するという強い意思を込めて
鎧と【激痛耐性】で攻撃を耐えながら調理する

作るのはフルーツケーキ
上等なリンゴ、レーズン、イチジクなどのドライフルーツを、ケーキ種にゴロゴロっと混ぜ込んで
芳醇なラム酒で香り付け
レモン風味のグレーズをたっぷりかけて、綺麗に飾りましょう

眠ってくれたら、ランスでリンゴごとオウガを【なぎ払い】ます

あたし、シンデレラのままだったわね
愛着湧いてきちゃったし…
仮装はこれにしようかしら?




 かなりの眠気に苛まれつつもローゼスはしっかりと食事を堪能している。
 その様子を見遣り、ベアト・ダッチェスは思わず感心していた。
 愉快な仲間であるベアトにとってオウガは許せないものだけれど、ローゼス自身の『料理を粗末に扱わない』という姿勢には好感が持てる。
 それなら自分も相応の態度で応えよう。
「料理の経験は豊富ではないけれど、真心なら沢山込めさせていただきます!」
 気合を入れて着込むのは想像力の不思議な鎧。
 装備の所々に調理器具も用意して、上から可愛いエプロンもしっかり装備。
 ドレスの上から着込んだ様子はどこか姫騎士のようだった。
「あら、まだ猟兵が……退治してあげるわ……」
 ローゼスもベアトの存在に気がつくと、ふらふらと立ち上がりつつワンドを振るう。
 するとキッチンの周りに再び茨が生い茂り、料理の邪魔をしてくるけれど――無敵の鎧は砕けない。
「このくらい平気です。さあ、あなたに向けて素敵な料理を作らせてもらいますね」
 材料を一通り揃え、包丁を握れば準備も万端。ベアトはにっこりと笑みを浮かべ、キッチンの中を歩み始めた。

 ローゼスはリンゴが好きなのだという。秋の味覚にも様々な果物があるはずだ。
 そこでベアトが選んだのはフルーツケーキだった。
「リンゴは必ず使うとして、他には……レーズンやイチジクもあるわね」
 出来る限り上等な果物をチョイスして、食べやすい大きさに切ったのならばケーキ種に混ぜ込んで。
 少しゴロゴロした食感が残りそうなのもアクセントとして美味しいだろう。
 生地を焼いたのならばラム酒で香り付けも忘れずに。芳醇な香りが甘いだけではない大人っぽさを演出してくれるはずだ。
 飾り付けには爽やかなレモン風味のグレーズをたっぷりと。ボリュームたっぷり、けれど口当たりが重くなりすぎないような工夫も大切なのだ。

 出来上がったケーキが食べやすい大きさにカットして、フルーツと一緒にお皿に盛り付け。
 ベアトがケーキを差し出せば、ローゼスは興味深そうに覗き込んでいるようだ。
「これでよし、と。さあオウガさん。特製のフルーツケーキを召し上がれ」
「あら素敵。いただきましょう」
 ローゼスはワンドの代わりにフォークを持つと、早速ケーキを口に運んでいく。
「フルーツのチョイスもお洒落だし、ラム酒の香りがいいのよね。それでいてケーキはしっかり甘くて……」
 ここまでたっぷりとお菓子を食べてきたはずなのに、ローゼスの食欲は止まらない。
 彼女はあっという間にケーキを完食すると、我慢できずに地面へと座り込んだ。
「レモンの香りがするのもよくて……いくらでも食べられそうで……ごちそうさま……」
 最後の言葉と同時に、グレーズはごろりと寝転がる。そしてすぐに穏やかな寝息が聞こえてきた。
 ならば後は鬼退治だ。ベアトもベイクド・アリスランスを構えるが――その時目に入ったのは自分の服装だ。
「あら。あたし、シンデレラのままだったわね」
 鎧の下からひらりとドレスの裾が覗いている。
 一日着ていたら愛着も湧いてきたし、ハロウィン当日はこのドレスを着ていようかしら。
 ならばハロウィンを迎えるために、やるべきことを終えなければ!


 ローゼスがすっかり寝入ったのを確認すると、猟兵達は各々の武器を手に取った。
 全員のユーベルコードが炸裂すれば、悪い鬼は骸の海へ。
 ここに残ったのはそれぞれの仮装とハロウィンの国。この国もオウガ・オリジンの影響下から外れ、次第に活気を取り戻すだろう。
 そのための第一歩として――まずは今年のハロウィンを楽しもう。

 気がつけば日は傾き、南瓜のランタンがゆらゆらと光を放っている。
 その暖かな光が、ハロウィンを楽しむ猟兵達を改めて出迎えるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年10月30日


挿絵イラスト