5
【Q】おいでよ、マッドなピーターさんの森!

#アリスラビリンス #【Q】 #お祭り2020 #ハロウィン #挿絵

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アリスラビリンス
🔒
#【Q】
🔒
#お祭り2020
🔒
#ハロウィン
#挿絵


0




●帽子屋のハロウィン・ティー・パーティ
 ――Why is a raven like a writing desk?

 ざわめく梢の奥からは、でたらめな鼻歌。
 ふわふわ、馨かぐわしい紅茶の湯気にのせたその歌声は、
 ふらふら、けっして最後まで歌い終わることなく堂々巡りでつづくばかりです。
 卓上照らすぴかぴかな蝙蝠飾りをつっつきながら、
 さあさあ、極上のダージリンをもう一杯。
 気狂い帽子のお茶会は、ずっとずっと、空席だらけのまま。

●とびだせ、コスプレと紅茶の森
 今は亡き、はじまりのオウガにしてはじまりのアリス『オウガ・オリジン』。
 オブリビオン・フォーミュラであった彼女はその凄まじき『現実改変ユーベルコード』によってアリスラビリンスの内に幾つもの国を思うがまま創造し、あるいは好き勝手に、改変し尽くして来たのである。
 そして――儀式魔術【Q】の成功によって、また一筋、世界へと投げかけられた光は、とある秘された不思議の国たちの存在を指し示す……。

「それが『ハロウィンの国』や。楽しいハロウィンパーティをする為だけに造り出された不思議の国! ……っていう触れ込みだけやったらステキやんロマンやん。みんなもそう思うやろ?」
 もちろん、この残酷童話世界でそうは問屋が卸さないのである。
 今回あちこちで発見されたハロウィンの国々は、全て、オウガ・オリジンから直に力を分け与えられた凶悪なオウガ達によって治められており、ハロウィンの国のふしぎな力はすべて新たな悲劇を生み出す為だけに費やされ続けているのである。
 楽しいのはオウガだけ――そんな事実を知らされてからずっと、儀式に立ち会ったグリモア猟兵のひとりとして、アリス適合者として、有州院・こりす(まいごのまいごの・f24077)はすっかりとおかんむりなのであった。
「だから今すぐオウガをぶっとばして残酷ハロウィンの国を幸せいっぱいなハロウィン・パーティの国に変えてきてほしいんよ。
 これからみんなに向かってもらう国は……ズバリ森や!」
 行く先では各ハロウィンの国に常備された『コスプレ衣装が飛び出す森』そのものがオウガ化し迷宮化しているのだという。
 そこではまずコスプレ姿の木々が猟兵達を迎え撃つ事となるだろう。

『我が枝にカボチャが実るとはなんたる屈辱!
 同じ樹である果物ならばともかく野菜なぞそこいらの草も同然ではないかっ!!』
『ランタンこええ~~っ! いや俺もうオウガだし燃えるこたないけども!
 なんかあのオレンジの灯……生理的に受け付けねーんだよ無理無理!!』
『……ねぇ、もしかしてこれってコスプレというよりほぼほぼディスプレイなんじゃないのかしら。考えたら負け?』

 ――などなど口々に文句言い放題ながら、森の木々達はいずれも自らを飾り立てることによってハロウィンの力による支配とパワーアップを受け容れており、森の迷宮の堅固さはもはや要塞にも等しい。
 これに対抗しボス敵の待つハロウィンの国の中枢部へと辿り着く為には――郷に入れば郷に従え。
 猟兵もまた森から次々と飛び出すコスプレ衣装のいずれかを着用してハロウィンの国の力を利用する他ないのである!
「ハロウィンの国ではコスプレするだけでパワーアップできるんやけど……何故だかそれが渋々であればあるほどより強くなれるというヘンテコなルールが存在するんや」
 住民にも来客にも不自由や恥じらいを強いる、なんとも性悪な法則ではあるがこの国ではそれが『絶対』なのだ。
 むろん普通にハロウィン衣装に身を包むだけでもそれなりの加護は得られるだろうし、それでも森オウガ達に苦戦するようであれば……逆に、彼らが自らのコスプレを好むよう仕向ける事で弱体化させるという対抗手段も無いではない。

「まーどうなるかはみんなの衣装ガチャ運次第や。で、森の迷宮を抜けた先ではいよいよこの国のボスであるオウガ『ピーター・ハッタ』のお茶会が待ち受けてるで」
 ハロウィンの国そのものに守られ『ほぼ、無敵』であるこのオウガにはあらゆる攻撃はほぼ、通用しない。
「唯一、通用する攻撃手段は厨房の国のオウガ・オリジンとほぼ、同じ。
 『美味しい料理を食べさせること』や」
 心のこもったおいしい手料理をどんどん食べさせる事で、段々と眠くなり、ついには完全に無力化できてしまうのだ。それもまたこの国の『絶対』の法則なのである。
 ただし出来合いの料理や外部からの材料持ちこみはいっさい不可。
 食材や設備はその場にひと通り揃っているが、凶悪なオウガを前にして調理に勤しまねばならないのだから難題である。
 もしも料理の腕にまったく自信がなければ、調理作業中の仲間にかわってひたすら攻撃を引き受け、耐え忍び続けるという戦い方もある。
「ただ、このオウガはとにかくお茶会狂いさんやからかお茶会にピッタリなものをお料理をしている間はあんまり妨害してこない――というか出来ないっぽい、かも?」
 ハロウィンの国の法則とは特に関係しない、このオウガ特有の不可思議な性質にこりすはちょこんと小首をかしげたが、弱点は弱点。
 衝けるかぎり衝いてゆけば、それだけ猟兵有利に働いてくれることだろうとそれ以上は特に気に留めなかった。

「なんとな~くなんやけど。たくさんのハロウィンの国に幸せを取り戻せたら、きっと、イイコトもたくさん待ってるってこりすちゃんの姫としての勘が告げてるんやで♪
 それじゃ……準備はええかな?」
 パチンとはじけたウインクとともに輝き始めたグリモア。

 笑顔いっぱいのハロウィン・パーティめざして――おいでよ、trick or treat!


銀條彦
 あつまれ、『アリスラビリンス』のハロウィンの国の森【Q】に。
 全2章構成のおはなしです。

 第1章の集団戦では口では嫌がりつつ割とまんざらでもないコスプレ姿(?)な木々たちとの戦いです。
 プレイング冒頭、以下2つのどちらかを【タグ】指定していただければ幸いです。

 【守】コスプレ(お洒落なハロウィン系)に身を包んでオウガの木々からの攻撃を防ぎつつ地道に迷宮攻略。
 【攻】コスプレ(猟兵自身は全く望んでないけどしかたなく系フリージャンル)に身を包んで華麗に迷宮破壊。

 もしも「フリージャンル衣装でかつ地道に迷宮踏破したい」だった場合は両方記載でお願いします。
 衣装指定は具体的であればある程プレイングボーナス上昇時の効果がハネ上がってゆくことでしょう。

 第2章はボス戦となります。ハロウィンの国の法則に守られて『ほぼ、無敵』状態の気狂い帽子ピーター・ハッタさんとのお茶会&バトルです。
 ハロウィンの国のもう一つの法則に支配されたピーターさんは、完成し差し出された料理を決して拒否できずすべて完食してくれます。
 そして料理についての解説や称讃を事細かに口にしながらどんどん眠りへ引き摺りこまれてゆき、完全な睡眠状態に陥った時点で無敵状態は消失します。
 そうなればこっちのものでもはやワンパン決着です。
 あんまり美味しくない料理だったとしても『おいしくなぁれ♪』の気持ちがいっぱいこもっていればセーフです。

 お料理中はピーターさんからの容赦ない攻撃が飛んできます。
 が、『お茶会に相応しいお菓子や軽食類』を作った場合にかぎり、その威力や頻度は大幅に低下する事でしょう。

 ちなみに10/31までに成功した【Q】ハロウィンシナリオ本数に応じてハロウィンパーティ当日&『アリスラビリンスでの猟書家戦』に何らかの影響が生じる可能性があるそうです。
 みなさまのご参加、心よりお待ちしておりますね。
74




第1章 集団戦 『迷わせの森』

POW   :    絡まった枝の迷路
戦場全体に、【互いの枝を絡ませて作った壁】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
SPD   :    絡まった枝の迷路
戦場全体に、【互いの枝を絡ませて作った壁】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
WIZ   :    絡まった枝の迷路
戦場全体に、【互いの枝を絡ませて作った壁】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

清川・シャル
【攻】f08018カイムと第六感で連携
今年のを早く着たいんですけど今回は去年の着ましょうか
別にそちらが用意したものでも構わないですけど…何着ても私は私ですし…
武力行使です!行きますよカイム!
怪力でそーちゃんを握りしめて、チェーンソーモードにして呪詛を帯びたなぎ払い攻撃で片っ端からなぎ倒していきます
コミュ力で、あらオウガさんたちとても良くお似合いですよ。私じゃそれは似合わないもの。と言いくるめて弱体化を狙いましょうか
行先は…とにかく前へ進みましょう!
大丈夫ですよ、木が倒れてきたらなぎ倒せばいいだけですもの!


カイム・クローバー
シャル(f01440)と【第六感】連携
【攻】【守】

去年の吸血鬼の仮装、それに近いモノを頼む。服装の指定が必要ならするぜ?直接、着込んで来ようかと思ったんだが、森が用意してくれるモノを着込むのが此処の礼儀だって聞いてね。

どうだい、似合ってるだろ?イケメンでスタイリッシュな吸血鬼様さ。
アンタらの仮装も悪くねぇ。俺が寄り掛かってる姿なんざ幻想的で写真映えすると思うぜ。折角だし記念にどうだ、一枚?
そんな吸血鬼様の得意技は――魔剣を顕現。刀身に黒銀の炎の【属性攻撃】を纏わせ、【二回攻撃】で炎を周囲に奔らせた後、UCで炎を大きく広げる。
シャル、武力行使は構わねぇが、伐採すんなら倒れて来た木に潰されるなよ?



 猟兵達を包んだ輝きが消えた次の瞬間、
 目の前に広がっていたのは揺れる木々達が織りなす暗くて陽気な大迷宮。
 ――trick or treat?
 ――trick or treat!
 梢ざわめき灯ゆらめくその森はまるで影絵の世界のよう。

「仮装は前もって着込んで来ようかとも思ったんだが、森が用意してくれるモノを着込むのが此処の礼儀だって聞いてね」

 入った郷などにでは無く今こうして森歩きをエスコートしてくれているカイム・クローバー(UDCの便利屋・f08018)の言葉に自分も従ってみる事にした清川・シャル(夢探し鬼・f01440)だったが――しかし。
 何処からともなく飛び出して来た衣装へするりと袖を通した羅刹の少女が一瞬で着替え終えるやその表情はみるみるとフキゲンなものに変わってしまう。
 とはいっても猟兵2人が森から科せられたコスプレ衣装はどちらも決して珍奇でも無ければ破廉恥でも無い。むしろその真逆……カップル揃ってその盛装姿はハロウィンナイトを彩るに相応しいものである。
 携えた大鎌のてっぺんに戴いたのは真っ赤な林檎ランタンのぴかぴかスマイル。
 今宵のシャルのいでたちは林檎の魔女かはたまた魂の緒刈る死神か。
 可憐な黒ゴスドレスに純白ドロワーズを合わせたロリィタコーデは、けれど甘いばかりではない。各所に配したショッキングピンクが繊細な黒レースをよりいっそう引き立たせてパンキッシュなテイストだって山盛りいっぱい。
 対するカイムが着せられたのは、夜闇の如き黒の燕尾服。
 褐色肌を覆う白手袋の指先に至るまで完璧にコーディネートされた正統派ヴィクトリア朝のいでたちは完璧なる夜族の王、吸血鬼に他ならない。
 ただ一点。
 それぞれの耳朶に煌く群青だけは、常の通り、装わぬ誓いの証を留めている。
「ほほぅ、吸血鬼か。なかなかにスタイリッシュだが――この服どこかで見覚えが?」
「……私のもカイムのも、去年の南瓜行列で着た仮装そっくりそのまま瓜二つですね」
 蝙蝠を想わせる黒紫の立襟マントをくるりと華麗に翻しながら僅かな引っ掛りを感じていたカイムは、シャルからの指摘でようやく合点がいった様子であった。
 もしわざとだとしたら地味に芸が細かいがなんとも微妙な森からの嫌がらせである。
「……別にそれでも構わないですけど……何着ても私は私ですし……」
 本人はそう言い張ってはいるが、可愛らしく尖がらせたその唇からはちっとも構わなくない乙女心が透けて見え見えである。
(どうせだったら今年のを早く着たいんですけど)
 戦闘込みの迷宮探索が待っているのだし去年で着慣れた衣装ならばむしろ有利、
 ――な~んて退屈な正論で少女のオシャレ心が納得できるはずもない。
「武力行使です! 行きますよカイム!」
 大鎌からいつもの『そーちゃん』……ギュルルと激しく棘回転を始めた桜色の鬼金棒に持ち替えるや振り回し、シャルは迷宮のより深くへと駆け出した。
 カタカタカタ……振り撒かれた強き呪詛に反応するかの様に、
 絡まる枝から鈴なりに垂れ下がるハロウィン飾りと橙光が音を立てて、震えて揺れる。
「あらオウガさんたちとても良くお似合いですよ。樹木ならではの枝振りコーデ、四肢っぽっちの私じゃそれは似合わないもの!」
 持ち前のコミュ力トークで森の堅守を緩ませるや、ドスン、超へヴィ級な鬼神の一撃が繰り出され、
「……まぁ別に似合いたくもないのですが」
『ぬあぁっっっ!??』
『バ、バカなーーっ!』
 眼に映る森オウガもハロウィン飾りも、片っ端から木っ端微塵に吹き飛ばす!
 着回しコスプレへの大いなる不満乗せた薙ぎ払い攻撃の威力たるや、打撃や斬撃の域にもはや留まらず広域爆撃と化してゆくのであった。

 一方で。
 何度着ようが似合っているものは似合ったままだし、何度見ようと美しいものは美しく見飽きない――と、あっさり割り切れてしまっている今のカイムでは、おそらくこのハロウィンの森においてシャルほどの破壊力は発揮できまい。
 けれど彼もまた後から後から押し寄せるオウガの木々を掻き分けて、追いかけねばならない。愛おしいあの背中を見失わない為に。
 飄々たる色男ぶりはそのままに、カイムはひときわ大きくマントを翻してみせた後、
 芝居がかった優雅な一礼をまずは披露する。
「どうだい、似合ってるだろ? イケメンでスタイリッシュな吸血鬼様さ」
『黙れ、オウガでもアリスでも無いなら只の侵入者だ! しかもコイツは猟兵か!?』
『殺せ殺せ、トリート抜きの即トリック決定だっ!!!』
 頭上から覆いかぶさるようにして敵に襲いかからんとする無数の森オウガの群れを前にしても銀髪の吸血鬼は澄ました笑顔を崩さない。
「……だが、アンタらの仮装も悪くねぇ。俺が寄り掛かってる姿なんざ幻想的で写真映えすると思うぜ。折角だし記念にどうだ、一枚?」
『えっ、ああっっ!? ……何いってやが……そ、そんなに言うなら一枚だけだぞ?』
『待ちなさい、これは見え透いた罠よ! だ、だから……先ずは私と撮影しなさい!』
 迷わせの森は広く喧しく――そしてオウガたる木々の誰も彼もが案外とチョロかった。
 イケメン吸血鬼の甘い口説き文句を真に受けて自らのコスプレを誇り出した彼らからはみるみると『加護』が失われてゆく。
 そして、カイムがにこやかに取り出したものとはスマホでもデジカメでも無く。
 一振りの魔剣。
 呑気に彼を取り囲み、すっかりと撮影に乗り気であったオウガ樹達を襲った二閃の軌道は黒銀の炎。続けてざま追い討たれた【無慈悲なる衝撃(インパルス・スラッシュ)】が道を切り拓く。

「シャル、武力行使は構わねぇが、伐採すんなら倒れて来た木に潰されるなよ?」
「大丈夫ですよ、木が倒れてきたら――さらにまたなぎ倒せばいいだけですもの!」
 すぐさま追いつくや心配の声かけた『白金』に対し振り返る『桜金』は溌剌と応じる。
 はじけるような笑顔できっぱり言い切られれば、それもそーかとあっさり同意を得られ……後はもうノンストップ。
 迷わせの森を蹂躙するたったふたりの百鬼夜行が今ここに幕を開けるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

蓮条・凪紗
【攻】
翼(f15830)と

元が自然崇拝っちゅうなら解る気ぃするな
魔に飲まれんように魔のフリをするってとこやろ?
…いや、魔物が魔物に化けてどないすんねん
こっちも仮装したらエエんやろ?
どんなんでも受けて立つわ

> 巫女服 <

…待って、いや、待って
緋袴に何故かツインテール
笑うな翼、どつかれたいんか
身長180cm前後の野郎二人で妙な威圧感しかないやん!?

こーなったら、みっこみこにしてやるわクソッタレ!(やけくそ気味)
記憶にある神楽舞でくるくる回りながら石を放ち
トルマリンを中心に形成した光の楔で木々のUC封じ込め
迷路化を解除すればただの枯れ木の群れやろ
うちの相棒のぶっ殺シスターに、さっさとやられるとエエわ


早乙女・翼
【攻】
凪紗(f12887)と

ハロウィンって元々ケルト系民族宗教の祭りなんだよな
最近は気が付いたらコスプレするイベントみたいになってるけど
っつーか木の分際でコスしてんじゃねぇさよ…!
ああ、イヤな予感しかしねぇけどやるしか無いさね

> シスター服 <

…主よ、試練がキツすぎます(手を組んで祈り)
相棒のを見て噴く。俺もヒドいけどお前のがもっとヒドいな
まだ俺は髪が隠れるだけマシか…?

よし、燃やす
激しく燃やす
根刮ぎ燃やす
相棒が敵の迷路解除した所で炎の鎖打ち込み
多分目が据わっていると思うけど、見てるの凪紗だけだし
目撃樹木は全部燃やす、慈悲は無い
おお、良い感じにぶら下がってるジャックランタンに火が点ったさねぇ



 絡まる枝と枝の隙間から、ぶらりぶらり、三日月おめめの黒猫人形が笑う。
 不思議で性悪なハロウィンの国はいよいよその本領を発揮しつつあるようだ……。

「ハロウィンって元々ケルト系民族宗教の祭りなんだよな。最近は気が付いたらコスプレするイベントみたいになってるけど――」
 大雑把に端折れば教会出身である早乙女・翼(彼岸の柘榴・f15830)は最早すっかりお馴染みとなった季節の民間行事のもともとの起源を説いていた。
「ふーん、元が自然崇拝っちゅうなら解る気ぃするな。要は魔に飲まれんように魔のフリをするってとこやろ?」
 赤髪のオラトリオの説明に耳を傾けて頷く相棒は金色挿す翠髪を後ろで一つに結わえた羅刹、蓮条・凪紗(魂喰の翡翠・f12887)だ。
 サムライエンパイアの陰陽師であると同時にとある神社の跡継ぎでもある彼にとってもそういった風習であると知ったなら比較的しっくりと馴染み易い。
「……いや、だとしても魔物が魔物に化けてどないすんねん。もうすっかり手段を目的化させとるやん」
 心底うんざり顔で吐かれた凪紗のため息も――trick or treat♪
「っつーか木の分際でコスしてんじゃねぇさよ……!」
 苛立つ翼からの抗議の声も――trick or treat♪
 森の木々達は我が身を飾る南瓜やガイコツ達をご陽気に踊らせて、
 わっさわっさとどこ吹く風。
 コスプレ・イズ・パワーが絶対の法則として作用するこのコスプレの森においては猟兵もまたコスプレ姿へとその身をやつさねばならない。
「こっちも仮装したらエエんやろ? どんなんでも受けて立つわ」
「ああ、正直イヤな予感しかしねぇけどやるしか無いさね」
 そう腹を括った2人へ向けてまた何処からともなく射出された衣装一式。
 まずは翼の早着替えがわずか1ミリ秒で行われ……。

 ☆✟☆ シ ス ター 服 ☆✟☆

 頭部は純潔の証たるヴェールで髪一筋に至るまですっぽり秘され、黒き聖服の裾もまた踝までを慎ましく覆う。
 清貧・貞潔・従順――自らを神に捧げて楚々とした修道女のスカートと鮮血を思わせる程の濃紅にと染まる御使いの双翼との対比は何処か背徳的ですらあり……。
「……主よ、試練がキツすぎます」
 我知らず天を仰ぎ両手を組んで祈りを捧げた青年オラトリオは『試みに遭う時だれも「神に試みられている」と言ってはならない』との一節を必死に諳んじる事で心の平静を保とうしたが……その努力虚しくすぐさままた盛大に吹き出すこととなる。
 何故なら、凪紗のコスプレ変身もまた翼と同様のプロセスで完了し……。

 ☆🌸☆ 巫 女 服 ☆🌸☆

 しらぎぬの小袖の上からは薄い千早がしゃらりと重ねられて。
 森のうす暗がりにも浮かび上がる緋袴とその腰の結び目から覗く真白い上指糸とのコントラストはその清冽さをより強める。
 だが何より目を惹くのはそれらの厳かさすべてをブチ壊しながらも不思議な調和を醸し出す、緑の萌え萌え★ツインテールヘア!
「――笑うな翼、どつかれたいんか」
「俺もヒドいけどお前のがもっとヒドいなっ! 髪が隠れるだけまだ俺はマシか……?」
「そんなん五十歩百歩、身長180cm前後の野郎二人で妙な威圧感しかないやん!?」
 怒涛の女装コスプレ2連発。
 基本ランダム設定な筈の森のコスプレガチャは、ある意味、絶好調であった。
 いわゆるイメクラ仕様なミニスカだったりボン・キュッ・ボンだったりエグいスリット入りだったりなどはせずゆったりとしたラインの古式ゆかしい本職衣装がチョイスされただけ、まだ有情なのかもしれない……。
 何より腹が立ったのはすっかりと迎撃も忘れてゲラゲラと幹抱えて笑い転げるオウガの木々達からの大爆笑が木霊のように森に響いたことだった。
 ――うれしはずかし★神職女装メンズの堪忍袋の緒はついにブッチ切れて爆散する。
「こーなったら、みっこみこにしてやるわクソッタレ!」
 ヤケッパチに叫んだ凪紗に帯びる霊威は、不本意どころではない彼の羞恥を反映して膨れ上がる一方である。
 此れまでの神事の記憶を手繰り、順に回り逆へ回り返す神楽の旋舞を以って神降ろす。
 鉾鈴鳴らす代わり、放られたトルマリン石から轟く雷鳴。
 ぴょこんと可愛く一跳ねした緑ツインテ。

 ――建御雷命よ、其の神鳴の御業を此処に。

『ギャハハハァアァ……あ?』
 光の楔を打ち込む事で敵のユーベルコードを封じ込める凪紗の【建御雷乃剣(タケミカヅチノツルギ)】は(みっこみこパワーで)見渡す限りの森オウガを無力化せしめた。
 そして矢継ぎ早、飛んだのは妙に据わった声と眼光。
「よし、燃やす。
 激しく燃やす。
 ――根刮ぎ燃やす」
 狂奔の熾りは、聖句のごとく白銀のロザリオへと傾けられた呪詛。

 ――主よ、罪深き者に裁きと戒めの業火を。

 宿る灼熱に煽られて翻るヴェール。迸る【戒めの鎖炎(フレイム・バインド)】を叩きつけながら森を疾走する赤き翼の修道女。
「目撃樹木は全部燃やす、慈悲は無い」
 追走する鬼巫女もまた同意しかなく――怒りが繋いだ阿吽の呼吸。
 ハロウィンを焼き討ちする血祭りな火祭りは拡大の一途を辿る事となる。
「うちの相棒のぶっ殺シスターに、さっさとやられるとエエわ」
「シスターいうなや」

 という訳で。
 コスプレなんて……ハロウィンの森の悲喜劇や惨劇なんて、そんなもの『無かった』。
 ――いいね?(迫真×2)

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィクトル・サリヴァン
【守】
うーん魔法少女だろうと着ちゃえるからなー。
心底望まない服がないというか…流石にサイズが小さすぎて合わないのは嫌だけどそれは違うだろうし。
まあコスプレするけど(ノリノリ)

衣装は…何か服屋のマネキンっぽいねー。
剥ぎ取るかなー、ってその前にフライングしてきた!?
あ、これいいね。探偵ファッション。
鹿撃ち帽にインバネス、その下は和装でキマイラにも着易くてナイス。
色合い的にちょっと地味かなー、でもこれで行こうとささっと着替え。
さて、森そのものがオウガなら焼いちゃおうか。
UCで炎の竜巻合成して攻撃焼き払ったりしつつ迷路突破を目指す。
探偵はクールね…力技じゃ、とかそこツッコまない。

※アドリブ絡み等お任せ



 おそるべき『現実改変ユーベルコード』の力によってハロウィンの国と化したその国は深い森の迷宮にと閉ざされている。
 ほうきの魔女オーナメントが笑いゴーストのバルーン踊る迷わせの森では木々の1本1本に至るまでオウガであり、どれもがハロウィン満開、華やかに飾りたてられていた。
 そして同時にここは――年中無休でコスプレ衣装とびだす森である。

 ヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)はちょっぴり思案の面持ち。
 コスプレかディスプレイか悩み込みかけたオウガも居たとの話だが……コスプレとは、すなわちコスチュームプレイの略である。
 そして我慢の嫌コスプレイを重ねれば重ねただけ強くなれるのがこの国特有のルールであるという。
「うーんでも俺、魔法少女だろうと着ちゃえるからなー」
 ちなみにヴィクトルは巨漢の32歳男性である。 ――勇者だ、勇者がここにいる。
 とはいえ、何せ彼の外見は、基本、愛嬌あふるる白黒肌の雄シャチだ。
 当人の大らかな気性と相まって、ジャンル問わず大概のコスチュームならば、さながらコラボ展開の充実したマスコット的に着こなしてしまえそうなのである。
「心底望まない服がないというか……流石に、サイズが小さすぎて合わないのは嫌だけどそれは違うだろうし。 ……ってフライングしてきた!?」
 などとあれこれ考えている間にも、彼の前にコスプレ衣装が飛び出して来た。
 それらは全てシャチ紳士の体型にぴったりジャストサイズで見繕われているらしい。
 服屋としてなら実はかなり優秀なのではなどと感心しつつ。着用し終えたヴィクトルがぐるりと首をめぐらせ、改めて己を包む扮装を眺め回してみれば……。
「あ、これいいね。探偵ファッション」
 シックなリボンで左右から頭頂部に耳当て部分を留めた鹿撃ち帽に、ケープ広がるインバネスコート。おそらくは大正浪漫寄りなコンセプトの探偵なのだろう。
 その下にコーティネートされた和装はキマイラにとっても快適でなかなかにナイスなのである。
 ……ただナイスだとご満悦なのは本来たいへんに結構なのだが、この国でノリノリ状態のまま積極攻勢に討って出て突破をとなるとやや苦しい。
『ふふ、招かれざる名探偵さん。今からあなたの命を迷宮入りさせてあげるわよ?』
『オラァ! 南瓜ランタンのトリック殴打かトリート炎上か選べやオラオラァ!!』
 精霊術士であるヴィクトルは森そのものがオウガであるのなら焼き払って進んじゃえばいいと考えていたが……何せ精霊にはコスプレが出来ない。
 ヴィクトルからの渋々ブーストがもう少し多ければ補えたかもしれないが、術攻撃は森オウガ達のコスプレ加護の前にすべて耐え凌がれてしまっている。
「さすがオウガ・オリジンの置き土産。『絶対』の現実改変恐るべしというべきかねぇ」
 それでもヴィクトルは泰然と、慌てず騒がず。
 ――ユーベルコード【エレメンタル・ファンタジア】発動。
 合成された炎の竜巻が襲ったのは木々そのものではなく、木々が纏うハロウィン装飾の中でも特にランタンやキャンドルなどいかにも引火しやすそうな物品が主であった。
「だったら探偵としてクールかつ地道に……キミ達のコスプレを剥ぎ取ってゆこうか」
 力技じゃねーかとのツッコミ乗せた森からの殴打攻撃は華麗にスルー。

「それにしても惜しいのはカラーリングだねぇ。ハロウィンコスだからなんだろうけど、黒インバネス以外は全部ビタミンオレンジがメインだし鹿撃ち帽も猫耳つき。
 探偵ファッションといえばやっぱりもうちょっと地味なぐらいな方がイメージ的に……あ、火力パワーアップした?」
 洒脱に羽織ったケープを風にと翻しながら、颯爽と。
 鯱探偵のクールな英知は熱き炎渦巻かせ、深き迷宮にと挑み続けるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

灰神楽・綾
【不死蝶/2人】【守】
衣装:ドラキュラ
黒と赤基調の中世ヨーロッパ貴族風の服&マント

格好いい衣装だけど、故郷でふんぞり返っている
ヴァンパイア達もこういう格好している奴が多いから
あれを思い出してちょっと複雑な気分だなぁ

うーん、森オウガ達の気持ちを推測するなら
「なに普通の仮装してんだよ!」
「そこは女装とかだろ!空気読めやボケ!」
ってところかなぁ?

あはは、これも試練ってやつだよ
道は険しい方が俺は燃えるタイプさ
飛んでくる攻撃をナイフで弾いたり
絡みつく枝を刈り取ったり

じゃあ俺はこれを
UCの紅い蝶を、迷路の分かれ道が来る度に
1羽待機させて目印にしておく
何も無いよりは迷子になる確率がぐっと減るはず


乱獅子・梓
【不死蝶】【守】
衣装:狼男
灰色の狼の着け耳・着け尻尾・肉球グローブ

なーんか綾のコスプレの方が格好いいな…
俺は言ってしまえば犬だし
何故か感情に合わせて耳や尻尾が動くし
肉球がぷにぷにしていて妙に可愛いし
まぁー魔女っ子服とかメイド服とかバニー服とか
着せられるよりは百億倍マシだが……

って、いてぇ!?木の実飛んできた!
森オウガ達の仕業か!?
やたら具体的な推測だなオイ!

綾や仔竜達に森オウガの攻撃の対処を任せ
俺は少しでも早く効率的に
森を抜けられる方法を考えよう
森に転がっている適当な石に対しUC発動
竜に変化させて出口のある方向を聞き出す
…オウガ化した森にある石ころだから
真実を言ってくれるのか若干不安だが…



 儀式魔術【Q】に暴かれしハロウィンの国は不思議で素敵なコスプレラビリンス。
 今度の入国者ふたりが秒で着せ替えさせられた衣装はどちらも比較的穏当なハロウィンモチーフだったけれど、当人達にはそれぞれ不満がある様子。

「うん、まー確かに格好いい衣装だけど……」
 灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)がふわり華麗な仕草で纏うマントを躍らせればその漆黒の裏からは艶やかな深紅を覗かせて。
 いわゆる世間一般でイメージされる所の『中世ヨーロッパ貴族』風の礼装もマントも、格式高き黒と紅を基調として艶美に揃えられており紛うことなきドラキュラっぷり。
 コテコテの古典としてともすれば陳腐化し逆に安っぽくなってしまいがちな吸血鬼装束もスラリとした綾の長身にかかれば完璧かつ艶美な着こなしに調う。けれど。
「故郷でふんぞり返っているヴァンパイア達もこういう格好している奴が多いから。
 どうしてもあれを思い出してちょっと複雑な気分だなぁ……」
 ダンピールである彼もまた連なる出自であるはずだが、『過去』失われた彼にとっては関係無い。それよりも『今』現在の自らのいけ好かないという感情の方がよっぽど重要なのである。
「なーんか綾のコスプレの方が格好いいな……。俺は言ってしまえば犬だし」
 乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)もまたベタな狼男コスである。
 全身を覆い隠す着ぐるみではなく、素敵なモフみ満載な灰色おおかみさんの耳と尻尾と肉球グローブを自前の服の上から有無をいわさず装着させられているのである。
「何故か感情に合わせて耳も……」
 ツンととがったふわふわおみみが――ぴこぴこぴこ。
「……尻尾も動くし」
 キュートに揺れるふさふさしっぽが――ぱたぱたぱた。
「肉球がぷにぷにしていて……妙に可愛いし……」
 両てのひらに備わる黒肉球はぷっくりつやつや。
 ふにふにだがプニュッとハリもあるその感触は、ビロードの毛並みとあいまって思わずクセになってしまいそう。
 細部へのこだわりがやたらスゴい点だけは認めるが……それら長所のことごとくが成人男性である梓にとっては違和感であり不満点でしか無いのである。
 とにもかくにもとりあえず、両者とも渋々コスプレポイントは着実に加算されつつある様だ。
「まー魔女っ子服とかメイド服とかバニー服とか着せられるよりは百億倍マシだが……」
「うーん、森オウガ達の気持ちを推測するなら――、
『なに普通の仮装してんだよ!』とか『そこは女装とかだろ! 空気読めやボケ!』
 ――ってところかなぁ?」
 はっはっはーといつも以上に楽しげに綾が笑う。
 推測にしてはやたら具体的すぎないかとツッコミを入れようとした梓の後頭部めがけて投げつけられた木の実は森オウガ達からの抗議。

『キィーッ!!! なにコッチの台詞先回りしてんのヨッ!』
『こちとら普通にハロウィンされてっちゃ商売あがったりなんだっつーの』
『分かってんならアニマル魔女っ子、けもメイド、けもバニースーツあたりからさっさとチョイスをやり直せー』
 ――バニーは、そもそも、けものでは?
 などという正論を返す暇も与えず始まった森オウガからの一斉攻撃。
 対する猟兵側の迎撃も、渋々コスプレの加護でいっそう切れ味増した綾のナイフ捌きや梓にくっついてきた仔竜【焔(ホムラ)】&【零(レイ)】の連携防御が完璧に敵を封殺し、ぬかりは無い。ちなみに。

『キューッ!?』
『……ガウ……』

 仔ドラゴン2匹も、それぞれ森から飛び出した着ぐるみでコスプレ&パワーアップ完了済みである。
 揃いの赤狼&青狼タイプ2着を寄越して着せたこの森の律儀さには梓も内心でちょっと感心させられてしまった。
 余談だがドラキュラという語は『竜の息子』という意味も備える。
 つまり。
 やや強引に解釈すれば現状はワンコと3匹のゆかいな仔竜たちと言えなくもない(?)
 そして梓のユーベルコードによって仔竜がさらにヘイおかわり状態となる。
「――誇り高き竜と成れ」
 森にころがる小石の一つを拾い上げた彼は、あらゆる無機物を会話能力備えるドラゴンへと変える【万物竜転(サムシングドラゴン)】を施すことで情報収集を試みたのだ。
 小石はみるみる灰色の岩肌みたいな硬い鱗を纏った仔竜となり梓の頭上でバッサバッサと元気よく飛び回っている。

『オメデトーオメデトー! フラブジャスノ日、オメデトウッ!!』
「はぁ?? ……やっぱりオウガ化した森の石ころか」

 けれど4匹目の仔竜は甲高い声で意味不明な台詞を繰り返すばかり。
 会話は可能かもしれないが意思疎通はなんだかちょっと無理かもといったんは落胆しかけた梓だったが……。
『ヨーコソヨーコソ! 祝イノオ茶会ハコッチダヨッ!!』
 なんと、小石のドラゴンは突然迷宮の奥へと誘う案内役を始めたのである。
 もちろん行く先々でも相変わらず木々たちからの攻撃はいっこうに止まない。
 けれどそんなもの森の薄くらがりに白刃光らせて踊る綾のJackの敵ではない。
 絡みついてくる枝を刈り、骸骨キャンドルから噴射された猛火すら切り裂いて――紅き吸血鬼が繰り広げる死の舞踏のさまはまるで、闇統べるノスフェラトゥそのもの。

 その後も。
 オウガの森生まれの仔竜は特に猟兵らを罠にかけるような事も無く、迷宮の出口だけをめざしてひたむきに翔けてくれた。
 とはいえハロウィンの怪物コンビ達も最初から無条件にそれを信じた訳では無く。
「じゃあ俺はこれを……」
 深き森の奥へ奥へと進んで分かれ道に行き当たる度、点々と残される紅い蝶。
 それは位置や五感情報を綾と共有しうる、パンくず代わりのユーベルコードである。
 使い魔たる眷属の『眼』からの支援を存分に受けたその上で。
 ――紅きドラキュラ公と銀灰毛の人狼は、
 岩翼追うハロウィンの森の迷宮行をしばし堪能するのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

コノハ・ライゼ
なびちゃん(f02050)と
【攻】
ゆめかわ甘ロリドレス

ヒトが嫌がるコトさせるナンて性悪ねぇ
ま、気持ちは分かるケド
となびちゃん見て一人納得し密かに笑い

とはいえこの格好……
贅沢なフリルに胸元や腰の大きなリボン
ボンネットと同じモチーフの柄タイツに
白基調のパステルトーンは苺たっぷりのショートケーキを思わせる配色

え?似合う?
そーかなぁ、幾ら華奢でもこーゆーのはちょっと……
髪や爪の色とも微妙にあってナイし
オレゴシック風な方が良かったなあ
お揃い嬉しい?じゃ、写真撮っておこうか
(the嫌がらせ)(自分へのダメージは見ないフリ)

第六感頼りに出口探り【月焔】で壁焼き払いましょ
ふふ、この写真あの子にも見せなくちゃネ


揺歌語・なびき
コノハさん(f03130)と
【攻】ゆめかわ甘ロリドレス

おれはハロウィン気分を楽しみたかったのであって
ちょっと予想外だね(宇宙猫

水色に白と茶色…あ、これあれか、チョコミント
いやすきだけどね、美味しいし
フリルとレースが盛り沢山
いつの間にか結われたポニテには大きなリボンが目立つ

わぁいお揃いだぁ!(やけくそ
でも店長…似合うね…華奢だもんね…
おれは流石に隠しきれないごつさがある
これを写真として残すのはおれの一生の心の傷になるよ!

気配を自分の勘で確かめうろうろ
【第六感、野生の勘

この格好で長時間居るのはしんどいよぅ
とっとと迷宮突っ切ろ!ていうか壁は壊せば速い!【鎧無視攻撃

あーあ!うちの子に着せたかったなぁ!



「ヒトが嫌がるコトさせるナンて性悪ねぇ……ま、気持ちは分かるケド」
 コノハ・ライゼ(空々・f03130)が流し目でちらりと見つめた、視線の先では。

 ゆめかわいい。
 喩えるならばそれは――――――無限に広がる乙女たちの幻想大宇宙にゃん?

「????????????????? ――って、はっ!? ごめんちょっとナニかと交信しかかってた……」
 受けた衝撃のあまり、揺歌語・なびき(春怨・f02050)がクソコラ的宇宙猫の表情で壮大に虚無りかけていた。
 いきつけのバルの店長であるところの同行者コノハに意識を引き戻された後も、すでになんだかぐったり消耗激しい。
「おれはハロウィン気分を楽しみたかったのであってちょっと予想外だね」
「うんうん、なびちゃん。とりあえず深呼吸……ネ?」
 彼らは妖狐と人狼のふたり連れですでにハロウィンの森からの『洗礼』直後である。

 コノハのコスプレは白基調にパステルトーンな苺柄♪
 夕紫の髪につけたフリルのハーフボンネットもふんわりな裾から覗くタイツ柄も、ガーリーな同モチーフで揃えて愛らしく。
 一方、なびきは明るいパステルミントをメインに、差し色に生成りとシックなブラウンを合わせたリボンコーデ♪
 長い灰緑の髪はいつの間にか大っきなリボンで高く結わえあげられゴージャスな縦巻きロールな仕上がり。
 衣装ガチャがまたまた大いに荒ぶった結果――180センチ超の20代成人男性コンビに対してともにアリスモチーフっぽい甘ロリゆめかわエプロンドレス。
 2連SSR排出なのである。
(以降、この章内ではコノハさん&なびきさんの台詞や動作の後ろすべてに、
 ――(ろりろりっ★)――を付けてお読みください)

「でも店長、似合うね……華奢だもんね……。おれは流石に隠しきれないごつさがある」
 羞恥に耐えつつ衣装チェンジの機会を待ち侘びるなびきだったが、自分と同じ成人男性の女装ではあってもコノハのコスプレが見苦しいとは全く思わなかったのだ。
 だが――。
 かわいい同行者からの掛け値ない賛辞に対しコノハの表情は一転、浮かないものに。
 喜ばせようと意図して言ったことばではなく心からの素直な感想だったのだが、平気な様子に見えてもやはりコノハだって男として忸怩たるものがと、なびきは大いに焦った。
 しかしコノハ曇らせポイントは、ソコでは無かった。
「え? 似合う? そーかなぁ、幾ら華奢でもこーゆーのはちょっと……髪や爪の色とも微妙にあってナイし。オレゴシック風な方が良かったなあ」
 さしものハロウィンの森も成人男性の指先を彩るオシャレにまでは気が廻らなかったらしくコノハのネイルカラーはグリモアベース出発前と同じブルーなまま。
 画竜点睛を欠くというヤツである。というか。
 それは嫌がってるというよりむしろ拘ってるの方の部類だと思うのですがとりあえず渋々コスプレポイントは加算されている手応え。

「それにしても――水色に白と茶色……あ、これあれか。チョコミント」
 好きだけどね食べるのなら美味しいし、と。
 いかにも甘党らしいなびきの閃きにコノハも手を打ってはしゃぎ出す。
「あらステキ! たしかになびちゃん、チョコミントアイスだわあ!
 だったらさしずめオレは、苺たっぷり、ショートケーキってトコ?」
「ははは……わぁいお揃いだぁ!」
 やけくそ気味なミントちゃんの返事を聞き逃さなかったストロベリーちゃんはニコニコ笑顔でスマホを取り出そうとする。
「お揃い嬉しい? じゃ、写真撮っておこうか」
「……いやいやいや待て待て待って?」
 不完全なコーデ姿を残すという行為で生じるダメージはコノハの側もそれなりなのだがそれは見ないフリでthe嫌がらせ。愛ゆえに。
 だって、こんなに可愛らしいミントちゃんの反応が堪能できるのだから。
「これを写真として残すのはおれの一生の心の傷になるよ……っ!!!」

『なんだなんだ~?』
『おう、オウガだらけのこの森でアリス気取りたぁエラく挑発的にきやがったもんだ!』
『ひゅーひゅー♪ 仮装といえばやっぱそうこなくっちゃネ♪』

 ――もはやハロウィン色はすっかりどこへといったのやら。
 今度の森オウガは、何故だかやたらとチンピラムーブである。
 せっかくメルヘンな存在なんだしもうちょっとゆめかわ世界観に協力的でもいいのではとコノハは森の木々たちのプロ意識の欠如におかんむりである。
「付き合ってられないし、立ち塞がる壁は焼き払ってとっとと出口めざしましょ」
「そうだね! とっとと迷宮突っ切ろ! ていうか壁は壊せば速いっ!!
 ……この格好で長時間うろうろするのはしんどいよぅ」

 ラブリーなストロベリーちゃんの姫袖から放たれた真白い【月焔】の炎が、瞬く間に、周囲の森を焼き尽くしたらそれが合図。
 続いてキュートなミントちゃんからもハローグッバイ、
 リボン揺らして防御無視な銃乱射からの【終の道化(ティア・ジェスター)】発動でUDCにゆめかわ甘ロリドレスを押し付け……もとい自らの肉体を一時明け渡して。
 もはや戦闘とすら呼べぬ一方的な超殲滅がここに開始されたのである。

(あーあ! どうせならうちの子に着せたかったなぁ!)
(……ふふ、この写真あの子にも見せなくちゃネ♪)

 なびきもコノハもふと想い馳せたのはとあるひとりの少女のこと。
 彼女ならば、ゆめかわ苺ショートもチョコミントもさぞや相応しかった事だろう。
 けれど……ハロウィンに彩られたこの国は、本来、多くの異世界からの『アリス』達を残酷童話で味付けしてから食べてしまう為の餌箱となったかもしれない場所なのだ。
 だから。
 ゆめかわ女装アリス(……宇宙猫顔ふたたび)のW爆撃でいったん焦土とせしめるぐらいで丁度いいのだ。今度こそオウガではない平和なコスプレの森再生の為にもきっと。
 たぶん。

 こうして、いずれの猟兵達も無事(?)ハロウィンの森の迷宮踏破に成功した。
 残すは――さあ、おいでよ楽しくイカれたハロウィンの森のお茶会へ!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ピーター・ハッタ』

POW   :    「おめでたい日 万歳!」
【飲んでいる紅茶】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【帽子を殺戮捕食態】に変化させ、殺傷力を増す。
SPD   :    「砂糖は2杯だ ありがとう!」
【紅茶】を給仕している間、戦場にいる紅茶を楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1にする。
WIZ   :    「なぜカラスは机に似ているのか?」
自身が【疑問】を感じると、レベル×1体の【ティーセット】が召喚される。ティーセットは疑問を与えた対象を追跡し、攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はスミンテウス・マウスドールです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 森を抜けた、その向こうに広がっていたのはハロウィンのお茶会。
 巨大な長テーブルの周囲には幾つも椅子が並べられているのに、
 座る人影はたった一つ。

「ようこそ、猟兵諸君。私の名はピーター・ハッタ。
 この国の……あぁ、やっぱり帽子屋かな?」

 明るいエメラルドグリーンの燕尾服を着こなす『帽子屋』ピーターさんは、その名のとおり、大きなギザギザ口のシルクハットがご自慢のようでたとえ10シリング6ペンスを支払ったとしても売ってはくれないでしょう。
 目出し帽ならぬ舌出し帽はゲラゲラゲラと何がオカシイのか始終笑いっぱなしです。
 そしてオカシイといえばピーターさんの、このお茶会。
 すぐそばに、どんな材料も食器も取り揃えられる不思議な魔法のキッチンがあるというのに見向きもされていません。
 傾けたポットからカップへとひたすらひたすら、黄金の一滴となるまで紅茶が注がれるばかりなのです。

「ルールについては私も心得てるよ。どちらかといえば私は眠るより起こす方なのだけど――ほらほら、キラキラ光れちび蝙蝠♪」
 話の途中で突然歌い始めた『帽子屋』は卓上の蝙蝠型のランプの頭をこつこつステッキで小突いてからまた再び、淹れたてダージリンを一杯。
「あぁ、だからね。このお茶会は終わらないんだよ。それにしてもどうしてカラスは机に似ているのかな?」
 またも脈絡の無いタイミングで唐突に紡がれた疑問のことば。
 とたんに、不思議なティーセット達はこぞって宙を踊り出してしまいました。
 本当にまったくわけがわかりません。
 けれど敵である猟兵達を前にして、単身、平然としていられるのはこのハロウィンの国の支配者である『帽子屋』はあらゆる攻撃に対して無敵であるからなのでしょうか。
 そしてキッチンで美味しい料理を作って食べさせるというたった1つ残された対抗手段についても熟知していると前もって宣言した以上、このオウガはきっとユーベルコードを駆使して全力で妨害してくるに違いありません。
 ……必ずしもそうでない事もあるかもしれないと自称おひめさまなグリモア猟兵さんは語っていたけれど。

「お茶会を邪魔してはいけないんだよ。だってこれはお祝いだからね。
 ――おめでたい日、万歳!」
 唇寄せた、青磁にも似た風合いのカップから立ち昇る香気に眼を細めながら。
 にんまりと。
 おいでよ――そして、帰さない。この気狂いの森のティーパーティからは。
乱獅子・梓
【不死蝶】
流石にこの肉球グローブは料理には邪魔だよな
あと耳と尻尾の毛が料理に入ってもいけないし…
まぁ綾が相手してくれるからいいか、とコスプレ解除

そういえばここには魔法のかまど無いんだろうか
国が違うから無いか
頼もしかったなあいつ…
懐かしさと恋しさを感じつつ

さぁて、お茶会とくればお菓子だ
今回作るのはマフィン!
クリーム状になるまで混ぜたバターと砂糖に
卵液を少しずつ入れて混ぜ
更に粉類と牛乳を交互に入れてさっくり混ぜる
これが基本のマフィン生地だが
ココアパウダーとすり潰した南瓜を入れて
ココア味と南瓜味のマフィンを作る
焼けたら仕上げに生クリームやチョコソースで
オバケやジャックオーランタンの顔を描いて完成っと


灰神楽・綾
【不死蝶】
料理か、戦争の時のことを思い出すなぁ
とはいえ今回のオウガは
大人しく待っててくれないようだけど…
だから今回は料理は梓に任せて俺は足止め担当

ああ、でもそういえば
お茶会にピッタリなものを料理している間は
あんまり妨害してこない…だっけ?
なら戦うよりもお話してみようか

ドラキュラ衣装のまま優雅に椅子に座り
給仕される紅茶をありがたくいただく
ねぇ帽子屋さん帽子屋さん
今、俺の連れが甘くて美味しい
マフィンを焼いてくれてるんだって
彼はオウガ・オリジンお墨付きの料理上手なんだよ
マフィンと相性がいい紅茶って何だろうね?
俺、あんまり紅茶に詳しくないから
オススメあれば教えてほしいなぁ
など紅茶トークで時間稼ぎ


揺歌語・なびき
コノハさん(f03130)

わーい、店長のお料理タイムだ!
あっ勿論おれもがんばります
えいえいおー

邪魔防止に桜の渦を

焼いて潰して泡立てる
一通り家事は慣れてるし、丁寧な指示さえあればばっちり
おいしくなあれ、おいしくなあれ!!(念

おれ人狼だから満月のハロウィンは楽しめない訳(マッシュマッシュ
だから今年はちょっと早い仮装姿で
あの子に「かっこいいですね」とか言われたかったの(かしゃかしゃ泡立て
このロリロリチョコミントがあの子の目に映れば
いつもと変わらない評価なの、わかる?ねえ!(オーブンにブン!

お、美味しそう…絶対美味しいよこれ…
帽子屋さん、これで満足しなかったら味覚障害を疑うな
満腹になるまで食べてね!


コノハ・ライゼ
なびちゃん(f02050)と

いいわ、存分に楽しませてあげようじゃナイ

甘いのと塩気、両方欲しいわネ
オレがシュー生地を焼くから、なびちゃんは具の方をお願い
南瓜にさつま芋、鴨肉に生クリーム
焼いたり潰したり泡立てたり……仮装へのやるせなさを全部ぶち込むとイイわ
笑って揶揄うも自分とて捏ねるのに必要以上に力が入ってるような?
焼き上げた生地へ具を挟めば出来上がり

柔らかな黄金と白が覗くさつま芋とホイップのシュークリームに
合鴨のローストに南瓜のグリルとレタス、胡椒とクリームチーズを合わせたシューサレ
味も見映えもばっちり、気分転換にももってこいよ、とドヤ顔(ただしドレス姿)で

邪魔されたら【黒影】でガードするわネ


早乙女・翼
凪紗(f12887)と

引き続きぶっ殺シスター
俺プロテスタントなんだけどな…
いや、迂闊に今弱体化されても困る
俺も色々我慢してるし

英国式お茶会は夕方の食事でもあるみたいさねぇ
って事で、ミートパイなんてどうかな
安心しとけよ、ウサギ肉は使わないから
パイはパイでもシェパーズパイ…英国伝統料理さね

イモは加熱してたっぷりバター加えてマッシュポテトに
ラム挽肉でミートソース作って器に入れ、上にポテト敷き詰めて
オーブンで焼けば出来上がりっと
旬のジャガイモも使ったんで絶対美味しいと思うけど

最期の晩餐、たっぷり心を込めて持て成してやるさ
終わらないお茶会も主催が寝てしまえば終わり
はじまりのアリスが骸の海で待ってるさよ?


蓮条・凪紗
翼(f15830)と

引き続きみっこみこ
氏子に見られたら死ぬわオレ
せめてツイテ解いちゃ――
えー、アカンの?

お茶って聞くと抹茶や緑茶なオレやけど
んー、焙じ茶にも合う様なお菓子やったら紅茶にも合うやろか
東洋のお茶会なんて帽子屋さんは興味あらへん?

栗を蒸して実を裏ごしして、茶巾で形整えて
そこに生クリームもホイップして甘露煮にした栗ものせて
和洋折衷な京風栗きんとん
お茶で持て成す心は洋を問わんとオレは思う
旬のものを茶席に添える楽しみは有ってエエんとちゃうかな

まぁ、冥土の土産にはエエとちゃう?
…巫女やけど
多分、向こうじゃオリジンのお嬢がハロウィンパーティしたくて来客待っとるやろ
はよ仲間に加わってやるとエエわ


ヴィクトル・サリヴァン
自信満々だねー。無敵な奴に邪魔されちゃ難儀だけど性格的に邪魔しないのがあるならそこを突くべきだよね?
最期のお茶会楽しんで貰おうか。

妨害されそうになったら…探偵服だけどちゃんと料理してるからね?
自分でお茶会邪魔するって事だよね?と帽子屋に文句を。
さてまずはマサラチャイ。
生姜とスパイス潰して煮つつ沸騰してきたら弱火に落としつつ茶葉、牛乳を順に加え煮込む。
それと同時にクッキーを。普通のとココアパウダー入りのを上手く合わせチェック模様に。
砂糖等の量は甘味多めにきっちり計り味見もOK、焼きあがったら程よく淹れたチャイを添えてさあ召し上がれ。
お祝いって事で沢山食べてねー。あと感想も!

※アドリブ絡み等お任せ



●~贅沢2種にロリロリを添えて……🎀
 森の奥深く、誰にも使われなかったキッチンに今エプロン姿の2人が足を踏み入れる。
 どちらも猟兵、しかもとびっきりかわいい甘ロリゆめかわスタイルだ。
「いいわ、存分に楽しませてあげようじゃナイ」
 苺なショートケーキちゃん、コノハ・ライゼ(空々・f03130)はお料理が大の得意。だってプロだもの。
 頼もしいコノハの言葉に店の常連客であるチョコレートなミントちゃんこと、揺歌語・なびき(春怨・f02050)もすっかり大はしゃぎ。
「わーい、店長のお料理タイムだ! あっ勿論おれもがんばります……えいえいおー」
 がぜんピピンと張り切る狼耳。
 ふんわり巻き髪ポニーテールの上では大きなリボンがゆらゆらフリルを踊らせる。
「甘いのと塩気、両方欲しいわネ。
 オレがシュー生地を焼くから、なびちゃんは具の方をお願い」
「了解だよー、ばっちりまかせて!」
 そんな指示出しの合間にも、コノハの氷眸はキリリと材料の吟味に入っている。
 今日のコノハはパティシエさんでなびきはそのアシスタント役。
 一児の保護者として日々家事をこなして来たなびきの手際だって中々に手慣れたもの。
 大枠がコノハが取り決め、作業の補助が必要な都度わかり易く指示を出せば調理はトントン拍子で進んでゆく。
「焼いたり潰したり泡立てたり……仮装へのやるせなさを全部ぶち込むとイイわ」
 ころころと愉しげに揶揄うコノハだったが、その実、彼とて生地を捏ねる手に必要以上の圧が掛かる程度には忍耐を強いられていたりする。

 一方その頃帽子屋ピーター・ハッタはと言えば、独り、陽気にお茶会を続けるばかり。
「砂糖は2杯だ、ありがとう」
 座してティーカップを手にしたままの帽子屋から放たれたユーベルコードは戦場すべての行動速度を5分の1にしてしまう厄介なもので、逃れるにはともに紅茶を楽しむ以外に無い……筈なのだが、キッチン場での調理風景は相変わらずテキパキと小気味よい。
「おれ人狼だから満月のハロウィンは楽しめない訳(Mash! Mash!)」
「そっかぁ。 ――あ、さつま芋はもうそれぐらいでイイわネ。お次は生クリーム」
「はぁーい……だから今年はちょっと早い仮装姿でうちのあの子に『かっこいいですね』とか、言われたかったの(Whip! Whip!)」
「裏漉しして、と……オーブンの余熱の方もOKみたいネ?」
「でもさっ! このロリロリチョコミントがあの子の目に映れば! きっと! いつもと変わらない評価なの、わかる? ねえっ!?(Shoooooot!!)」
 パステルなスカートの裾ふわりふわりと翻して楽しいおしゃべり交えつつ。
 2人のお菓子作りは、加速こそすれ、遅滞の気配などは微塵も無い。
 それはこの国そのものに守られしゆめかわ乙女のパワー。
 そして何より――なびきが予め行っておいたもう一つのアシストのお蔭である。

「…………桜?」
 いっこうに滞らない料理音を怪訝に思った帽子屋がここで初めてキッチンの方角に視線を遣れば、そこには、猟兵達を包み込むようにして無数の桜の花びらが渦巻いていた。
「おいしくなあれ、おいしくなあれ!!」
 現在、熱心にラブ注入を繰り返しているミントちゃんのユーベルコードだ。
 このキッチンは今や完全にミントちゃんとストロベリーちゃんに対する全ての外部攻撃を遮断する【花狼の巣穴(ハイルング・フォルト)】と化しているのである。
 夢のようなその光景に、帽子屋は思わず首をかしげて『疑問』を口にする。
「あれだけ匂いたつ綺麗な桜があるのに、彼らはどうしてジャムにして紅茶に溶かそうとしないんだろう?」
 自分の攻撃が効かなかった事などは別にどうでもいいらしい。
 ピーターさんの頭上ではズリ落ちそうになった舌出しシルクハットが慌ててしがみつくのに必死でその疑問に答える者など誰もいない。
 たちまち別のユーベルコードが発動し、新たなティーセット軍団がキッチンに召喚され一斉に襲い掛かって来た。
 もちろん桜の渦に守られた2人にダメージが加えられるような事はなかったが先までと異なり、群れなす物理攻撃でしかもその暴れ方はきわめて雑である。
 桜に護られているのはキッチン全体では無くあくまでも猟兵のみなのだから、作りかけの料理や材料、オーブン設備までもが巻き込まれてはたまらない。
 体を張って庇えば守り切れるだろうがそれでは作業の手まで止めてしまう事になる。
「くーちゃん、やっちゃって!」
 苺柄のヘッドドレスも燦然と。
 絞り袋の手は休めないままコノハが命じれば、足元の影から翔けた漆黒の爪牙。
 管狐たる【黒影】は荒ぶる茶器軍団を一つ残らず叩き落した後に噛み砕き、あっさりと迎撃の命を果たしてくれた。
 かくして焼き菓子を完成にこぎつけると同時、この国のルールに縛られた帽子屋からのユーベルコードはぴたりと止まる。

「柔らかな黄金と白が覗くさつま芋とホイップのシュークリームに……もう一つ、
 合鴨のローストに南瓜のグリルとレタス、胡椒とクリームチーズを合わせたシューサレも召し上がれ★」
「お、美味しそう……絶対美味しいよこれ……」
 ドヤ顔で饗するコノハと饗された帽子屋の両方を交互に見守りながら、
 食べなくとも理解るよとなびきはふるふるとうち震えていた。
 もしもこれを美味しいと満足できれなければ舌までオカシイのだと彼には断言できる。

「ふむ、シュクレはホイップとクリームのダブルシュースタイルか。さつま芋のクリームは見た目に華やかなだけでなくなめらかな舌ざわりが心地よくホイップとも調和する優しい季節の甘み。一方、サレに挟んだ具はワインビネガーベース。胡椒を利かせてローストしたロゼ色の鴨肉をはじめ、食材ことごとくを爽やかな酸味が引き立たせるのみならず……食べ終えた後にはまたシュクレをと舌に求めさせる組み合わせも絶妙……ふふ。私なら、ディンブラの後味さらりとした渋みを……間に戴きたい……かな……」

 満面の笑みで舌鼓を打ちながらも、コクリコクリと舟を漕ぎ始めるピーターさんと、
 またもあたふたと振り落とされまいとするエメラルドグリーンのシルクハットさん。
 180cm超甘ロリーズが提供した料理は最高のスタートを切ってくれたようだった。

●~ぶっ殺迷い仔羊のトラディショナル&みっこみこシノワズリの冒険🐑
「俺プロテスタントなんだけどな……」
「氏子に見られたら死ぬわオレ。せめてツイテ解いちゃ――えー、アカンの?」

 迷わせの森を抜けた先でもコスプレは続く――人生のように(?)
 引き続きぶっ殺シスターな十字架を背負う早乙女・翼(彼岸の柘榴・f15830)は、
 みっこみこを部分解除しようとした蓮条・凪紗(魂喰の翡翠・f12887)を制止する。
「いや、ここは仮にも敵地の中枢部なんやし、迂闊に今弱体化されても困る。俺も、色々我慢してるし」
 などと揉めている間にも。
 紅茶ポットになみなみ湛えられた中身すべてを代償に、殺戮捕食態へと変化したシルクハットがピーターさんの頭から猛然と飛び立ち、2人の居るキッチンにまで襲来する。
『ハッタハッタハッタァァッ!』
「え。もしかして……アッチがピーターはんで、コイツはハッタはんなん?」
「まさか、んな安直な……」
 渋々コスプレパワーの加護は超強力だが、この帽子にも帽子屋の『無敵』が備わっておりこのまま居座られ続ければいつまでたっても調理に取り掛かれそうに無い。
 ならばどうするかといえば、餅は餅屋。
 帽子の事ならば帽子屋へ直談判するしか無いのである。

「英国式お茶会は夕方の食事でもあるみたいさねぇ。
 って事で、ミートパイなんてどうかな。安心しとけよ、ウサギ肉は使わないから。
 パイはパイでもシェパーズパイ……英国伝統料理さね」
「お茶って聞くと抹茶や緑茶なオレやけど。
 んー、焙じ茶にも合う様なお菓子やったら紅茶にも合うやろか。
 ……東洋のお茶会なんて帽子屋さんは興味あらへん?」

 翼も凪紗もそれぞれにこれから作ろうとするメニューが何かを明かして、それがいかにお茶会にふさわしいものかをアピールする事で攻撃を中止させようとしたのである。
 もちろん、ピーターさんは自らのお茶会にふさわしいそれらを、諸手をあげて歓迎してあっさりと帽子を引き上げさせてしまった。
「そうだね、メニュー的にはアフタヌーンティーというよりもハイ・ティーだ。うん。
 どちらもとても楽しみさ。ところでなぜカラスは――」
「――Because it can produce a few notes, though they are very flat……さね」
 またまた不意に『疑問』を述べようとした帽子屋は、先回りした翼のそのことばに満足してうんうんと大きく頷いた。それは有名な、帽子屋の謎掛けの答えだ。
 帽子屋の『疑問』が解消された事で、帽子屋のユーベルコードもまた効力を発揮しようとした寸前で不発に終わるのだった。

 翼が完成させた料理は予告通りのシェパーズパイ。
 そして凪紗からは、茶巾で美しく整えられた京風栗きんとんが運ばれて来た。
 それは京生まれの彼らしい和菓子だが、ただ伝統菓子には留まらず洋菓子の要素であるホイップクリームも取り入れた和洋折衷の逸品であった。
「お茶で持て成す心は洋を問わんとオレは思う。旬のものを茶席に添える楽しみは有ってエエんとちゃうかな」
「ふふ。このつやつやな栗の甘露煮もキミからのそれという訳だね、巫女殿!」
 素敵だと、オウガのボス敵とは思えぬ無邪気さで口元を綻ばせた帽子屋。
 銀のフォークは滑らかに皿の上を走り出す。
(まぁ、冥土の土産にはエエとちゃう? ……巫女やけどって巫女ちゃうわ)
 殺気とノリツッコミとを内に秘めた鬼巫女はなつっこい笑顔のまま、無言。
「シスター殿のシェパーズパイも、余分な脂抜きがなされたラム挽肉をふんだんに使ったミートソースとバターたっぷりなマッシュポテトの取り合わせが嬉しいね」
「いや、だから俺は――まあ、ええわ。なにせジャガイモはもちろん旬の野菜を厳選して使ってるからこれは絶対に美味しいやつさね」

 二皿をあっという間に平らげてしまった帽子屋はすっかりと満足げ。
 そして、ふわふわと夢見心地だ。
「……あふ……、どちらにも合う紅茶を選ぶなら……マイルドでありながらオリエンタルな個性、備える……キーマン紅茶かな……ふわぁ……」

●~正統派アフタヌーンティーの誘い🎃
「流石にこの肉球グローブは料理には邪魔だよな。あと、耳と尻尾の毛が料理に入ってもいけないし……まぁ綾が相手してくれるからいいか」
 乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)は、なんちゃって人狼からパティシエへと華麗な変身、というか変身解除をあっさりと遂げる。
 ドラキュラ公のままの灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)に護衛を託して、彼自身は料理に専念する手筈となっていた。
「さぁて、お茶会とくればお菓子だ。今回作るのはマフィン!」
 そうと決まればまずは火の準備をとオーブンの前に立った梓がふと思い出したのは……以前、別の不思議の国で出会った魔法のかまどの事。
(そういえばここには魔法のかまどは居ないんだな――国が違うから仕方ないか。
 頼もしかったなあいつ……)
 去来する懐かしさや恋しさを胸に、梓がバターと砂糖をボウルへ放り込んだ頃。

(料理か、迷宮災厄戦の時のことを思い出すなぁ)
 漆黒の立襟マントを翻し、悠然たる足取りで『ほぼ、無敵』たるオウガへと歩み寄る綾が思い返していたのも、まったく同じ、オウガ・オリジンと奇妙な戦いを繰り広げることとなった厨房の国。
(とはいえ今回のオウガは大人しく料理を待っててくれないようだけど……)
 だからこその、決して殺せない『ほぼ、無敵』のボス敵相手の足止め任務。
 強敵との死闘ならば望む処だが。今回の敵は、戦闘力とはほぼ無関係の領域で横たわるチートが綾にはどうにも目障りで到底そのような心境にはなれないし、ならばこちらも、もう一つのバグじみたチート設定の方を大いに利用させて貰う腹積もりであった。
 ――という訳で今、
 吸血鬼は帽子屋の真向かいの席で、ディンブラのミルクティをご相伴に預かっている。
 お茶会の客人として挨拶をした彼は実にあっさりと迎え入れられた、のは良いのだが。
 彼はここまでに一度勧められた紅茶を一口飲んで危うく吹き出しそうになっていた。
(!? ク~・ソ~~・マ~~~・ズ~~~~~~~!!!)
 馥郁たる湯気の香りに期待高まった直後に襲った、泥というかドブというか筆舌に尽くし難いそれの不味さはコスプレの加護下にあって尚うっかり速度低下に陥ってしまう程であった。
 かてて加えて拙いことに、効果範囲が戦場内である敵ユーベルコードは離れているとはいえ視界内に収まるキッチン区画も射程内。
 梓までしっかり巻き込まれ随分と難儀している様子であった。
 ただでさえコスプレに護られていない梓が、もしも、今この状態で攻撃対象となったらひとたまりも無いだろう。

「ねぇ帽子屋さん帽子屋さん。
 今、俺の連れが甘くて美味しいマフィンを焼いてくれてるんだって」
「ほぅマフィン! それはたしかにアフタヌーンティーには欠かせないものだ!」

 幸い、帽子屋の淹れる紅茶は水色と立ち昇る香りだけなら素晴らしいものばかり。
 どうにか嗅覚だのみで『紅茶を楽しむ』心と通常の行動速度を取り戻した綾はようやく会話を切り出すことが出来た。
 内心の思惑を微笑みの下へ完璧に隠しながら……このお茶会をより良いものとする為だと親切心めいた口調で訴えて何とかユーベルコードを解除させる事に成功する。
 正直『ほぼ、無敵』である自分の弱点であると判っており、つい先まで妨害しようとしていたくせにそれがマフィンだと聞かされた途端、交渉に応じてくれるだなんて、完全にどうかしているとしか言い様が無いのだけれど……。
 梓が無事に調理作業を再開できたのだからと、綾はそれ以上は考えない事にした。
 そして、ひたすらにカップに顔を寄せて香りを楽しむばかりのお茶会は続くのである。
「彼はオウガ・オリジンお墨付きの料理上手なんだよ」
「……へぇ……」
 ダメ押しとばかり吸血鬼が語って聞かせた話に帽子屋からの反応は芳しくなかった。
 オウガ・オリジン好みの危険な『悪食』料理人だと誤解させれば命の心配は無いと油断させられるかもしれないと考えての事だったが……お茶会に相応しいマフィンではないかもとの危惧をあるいは与えてしまったのだろうかとあわてて話題転換が図られる。
「マフィンと相性がいい紅茶って何だろうね? 俺、あんまり紅茶に詳しくないからオススメあれば教えてほしいなぁ」
「そりゃあマフィンなら大抵の紅茶と相性は良いだろうから、自分好みの紅茶を合わせるのがなにより1番さ! とはいえ……たとえばマフィン生地がプレーンなものかそうでないかで多少話は違ってくるだろうけどね」
 途端に上機嫌を取り戻した帽子屋は滔々と薀蓄話を語り始めだす。
 紅茶についてを喋らせている限りに於いてはピーターさんのマッドさは鳴りを潜める様だが、猟兵相手に戦いもせず平然とそれを行っている状況自体が狂っているとも言える。

「やれやれ、一時はどうなる事かと思ったが。ハロウィンのティーパーティに華添える、
 パンプキンマフィンとココア味のマフィン、完成っと」

 紅茶トークを弾ませるだけ弾ませ、見事に時間稼ぎに成功した吸血鬼と帽子屋の前に、
 梓の特製マフィンが、ドンと、置かれる。
 粗熱取りまで済ませてしっとりと仕上がった2色の生地の一つ一つには、生クリームや色とりどりのチョコペンを駆使して愛嬌たっぷりに笑うオバケやジャック・オー・ランタンの顔がポップにデコられているという凝りよう。
 これを食べてしまうなんて可哀想……なんてアレな女子力は、ハロウィンの国の支配者にとって全く無縁の話。
 定められた法則に従い、ピーターさんはさっそくティーカップをソーサーの上に戻し、手作りマフィンへと手を伸ばしてあんぐりと頬ばる。

「パンプキンマフィンは粉よりも南瓜多めで素材の色鮮やかさと季節感を前面に。それでいて焼き上がりはふわふわと優しい。さぞや丁寧な下ごしらえだったのだろうね」
 いや別に。わりとどの工程もざっくりだったぞとの梓からの即答。
 マフィンならばそれも大正解だと、帽子屋と舌出し帽子がそろって破顔する。
「ココアマフィンの方はしっとりと濃厚だがこの不思議な素朴さが堪えられないな。
 叶うならどちらも取り置いてもう少し寝かせた味も試してみたくなる。
 ……濃く淹れたアッサムがいいな。セカンドフラッシュならなお望ましい。まず1杯目はストレートでココア味を楽しみ、次のおかわりはミルクティにして南瓜味としゃれ込みたいところ……ふわぁあ~~~~……」

 内心で、「下手の横好き過ぎるんじゃないかな」と先の紅茶の悪夢味を思い返しながら耳を傾けていた綾だったが。
(あぁそうか、アレはわざとああだったのかもしれないね。
 だって君はもう完全に独りの時以外『美味しい』紅茶や『心がこもった』紅茶なんて、口に出来ないんだから……)

●~ほっこりティーブレイクをさくさくクッキーとともに🍪
 ――そして真打は遅れて現れる。

(もうすっかりとおねむな様子だね……それでも無敵な奴に邪魔されちゃ難儀だけど。
 性格的に邪魔してこれない弱点があるならそこを突くべきだよね?)
 ハロウィン探偵、ヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)がこのお茶会で目指すのは事件解決……の為の殺人トリック。
 そんな探偵小説最大の禁じ手も、猟兵だったら無問題。
「最期のお茶会、楽しんで貰おうか」
 探偵ヴィクトルは、コスプレ姿を維持してはいるが女装勢ほどの強き加護には守られておらず、しかも単身。
 徒手空拳のまま、ただキッチンに立って料理に励んでいるばかり。
 帽子屋からの攻撃に晒された場合には調理妨害=お茶会妨害の弁舌で華麗に押し切ろうと心に決めていた彼だったがその必要もなかった。
 ――だって調理の初手から大量の紅茶葉を鷲掴んだ彼は、
 帽子屋ピーター・ハッタにとって既にとっくにお茶会を楽しみに訪れた客人以外の何者でもなかったのだから。

「……キミは、猟兵なのに、私に食べさせる菓子や軽食……作らないのかい?」
 すっかりと重い瞼をこすりこすり。
 キッチンに話しかけた帽子屋の声は疑問形だがユーベルコードが発動する気配は皆無。
 だってそれは、彼女にとって、疑問でも質問でもない確認作業に過ぎないのだから。
「俺は『お茶会にピッタリなもの』を料理してみたいなと思ってるだけ。
 これ以上ピッタリなものは無い、でしょう?」
 ヴィクトルの、質問に質問で返す陽気な声もまた同様に。
 火にかけられてふつふつと煮立つミルクパンは、彼の巨体の前ではひどく小さく、
 現実感の薄いそれはまるで何処かままごと道具じみて映る。

「と、いう訳で真心込めて茶葉と生姜とあと何やかんや煮出した絶品マサラチャイ!
 正直コレってちゃんと料理とカウントされるのかなぁという不安から手作りクッキーも添えてみたよ!」
「………安心、したまえ、カウントは……どうやら、されているらし……」
 あまりにあけすけなアレコレに思わず苦笑いを浮かべながらも。
 絶対法則に支配されたピーターさんの手が真っ先に伸びたのは、熱々チャイが注がれた陶器のカップに向けてだったのだ。
「お祝いって事でクッキーも沢山食べてねー、あと感想も!」
「…………そう、急かさないでくれ。眠く、……茶葉はニルギリか……良いチョイス……ふぁあ~……。香辛料は溶け易さ重視なのだろうがパウダーだけでなくスティックの物もあればより私好みだった。ああ、でも……たっぷりの砂糖の甘さが……沁……美味……」

 要望部分だけ妙に明瞭で流暢に発音したピーターさんでしたが、
 とても美味しそうなココアのギンガムクッキーは結局手付かずのままでした。
 こうして、紅茶狂いの帽子屋は2度と目覚めることのない眠りへとついたのです。

「終わらないお茶会も主催が寝てしまえば終わり、か」
 ようやくコスプレから解放された凪紗の呟きに、翼もまた。
「多分、向こうじゃオリジンのお嬢がハロウィンパーティしたくて来客待っとるやろ。
 はよ仲間に加わってやるとエエわ」

 ――勢揃いした猟兵みなの武器やユーベルコードが一斉に注がれればようやく訪れた、
 めでたしめでたし。
 こうして残酷ハロウィンの国の支配者が斃された今、ようやくこの地にはもう嫌な法則に縛られる者などひとりたりと居なくなったのです。
 これからは、きっと、楽しいワクワクばかりが飛び出すハロウィンパーティの国へと、徐々に生まれ変わってゆけることでしょう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年10月31日
宿敵 『ピーター・ハッタ』 を撃破!


挿絵イラスト