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Disguise and Treat

#アリスラビリンス #【Q】 #お祭り2020 #ハロウィン

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 先の戦争『迷宮災厄戦』で倒したアリスラビリンスのオブリビオン・フォーミュラ『オウガ・オリジン』は、現実改変ユーベルコードを操る存在だった。
 その能力で、幾つもの不思議の国を生み出したり、改変したりしていたのだが。
「どうやら、ハロウィンの国が沢山創られていたようでね」
 集まった猟兵達を前に、九瀬・夏梅(白鷺は塵土の穢れを禁ぜず・f06453)は苦笑しながら話を始める。
 仮装行列にうってつけの長い長い真っ直ぐな道が伸び。
 しゃべるカボチャが転がっていると思えば。
 森の木々に実るのは全てジャックオーランタン。
 調理器具から食材から完備されたキッチンまであって。
 ハロウィンパーティーにうってつけの、それだけなら楽しい国なのだが。
「そこにオウガが現れたとなっちゃ、放っては置けない」
 Jack-o'-lanternを掲げた夏梅は、にやりと笑った。
「まずオウガの群れがいるのが、森だ。
 そしてこの森は、ランダムにコスプレ衣装を生み出している。
 着た者を強化する衣装だそうだから、せっかくだし、着てみるといい」
 しかし、森が出してくるコスプレ衣装は全くのランダム。
 相手を見て空気を読んで選んでくれるものではないため、本人が全く望まない衣装が出てくることもあるという。
 さすがにこれは、と着ないでいることもできる、のだが。
「この衣装は、オウガの群れにも同じように供給されててね。
 向こうは当然、これを着て強化されている」
 つまり、コスプレ衣装を着なければ苦戦は必須、ということらしい。
 ただ、夏梅は、気に入らないかもしれない衣装を猟兵達に強要する、ということ以上に複雑な、何か言いにくそうな表情を見せていたが。
「……まあ、一時のことだ。我慢しとくれ」
 それ以上の説明はせず、ちょっと視線を反らして、その話を切り上げた。
 そして、コスプレしてオウガの群れを越え、森の中をどんどん進むと。
 今度は完璧なキッチンが現れる。
「この国のボスとなったオウガがいるのが、そのキッチンの近くでね。
 こっちは強化によって、ほぼ無敵になってる」
 ボスは『ハロウィンの国』の法則により、通常の方法では倒せなくなっているという。
 倒す方法はただひとつ。
 美味しい料理を食べさせること。
「オウガを強化したこの国の法則には、キッチンで作られた料理をオウガは必ず食べなければならない、というものも含まれているそうだ。
 そして美味しい料理を食べれば食べるほど、オウガは眠りに落ちていき、さらに無敵状態が解除されるらしい」
 つまり、料理を作ることが、オウガの弱体化に繋がるのだという。
 それにしても。
 仮装して、料理を作って。
 まさしくハロウィンパーティーな対処方法ですが。
「ま、楽しんできとくれ」
 夏梅は、淡く輝くJack-o'-lanternを手に下げたまま苦笑を見せ。
 どこか力なく、もう片方の手をひらりと振った。


佐和
 こんにちは。サワです。
 素敵な衣装は誰が着ても素敵になるとは限らない。

 当シナリオは通常のものと違い、2章構成となります。
 また、10月31日までに成功したシナリオの本数に応じて、ハロウィンパーティ当日や『アリスラビリンスでの猟書家戦』に、何らかの影響があるかもしれません。

 第1章はコスプレ戦です。
 森からランダムに飛び出してきたコスプレ衣装を着て戦っていただきます。
 衣装は、ランダムにこれになった、として指定していただいて大丈夫です。
 コスプレ衣装を着ることでプレイングボーナスとなります。
 仕方なく嫌々着るもよし、偶然好きな衣装が出て大喜びするもよし。

 ですが、ご注意ください。
 敵は、無敵変態紳士『ブルマニアリス』です。
 猟兵が着ているものと同じコスプレ衣装を着て現れます。
 繰り返します。
 無敵変態紳士『ブルマニアリス』は貴方と同じ衣装を着ています。

 第2章は料理戦です。
 完全完備のキッチンで料理を作っていただきます。
 都合よく何でもそろっていますので、気兼ねなく腕を振るってください。
 美味しい料理、もしくは、気持ちのこもった料理を食べさせることで、敵を眠らせることができます。

 敵は、あらゆるものを食べる災厄『モグモグちゃん』です。
 この国の法則で無敵状態となっていますが、完全に眠りに落ちると解除されます。
 その後はなんか適当に止めをさした、とさせていただくこともできますので、戦闘プレイングなしでも大丈夫です。

 それでは、仮装と御馳走のハロウィンを、どうぞ。
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第1章 集団戦 『無敵変態紳士『ブルマニアリス』』

POW   :    【ブ】ルマニアリス・イマジネイション~騎馬戦~
無敵の【ブルマアリス服と騎馬戦フォーメーション】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
SPD   :    【Lu】LuLu…LaLaLa…(ダンディな声)
【流れるようなハグ】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【服をブルマアリスに変え、染み出る汗の臭い】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
WIZ   :    【魔】技・ミラクル☆ブルマイウェイ
あらゆる行動に成功する。ただし、自身の【布教用ブルマアリス服】を困難さに応じた量だけ代償にできなければ失敗する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 そこは、ジャックオーランタンが木に実り、辺りをぼんやりと照らす森の奥。
 真っ直ぐな道の向こうから、姦しい声が聞こえてくる。
「えー。これに着替えるの?」
「いやだぁ。これ、ブルマじゃないじゃない」
「でも、この国では、これを着ると強くなれるんだってー」
「そんなぁ。ブルマの方が無敵じゃないの?」
「ブルマアリス最高ー! ……って思ってたのに」
「おかしな国ねぇ」
「ねえ? 本当に、変な国」
「でも、仕方ないっか。これがこの国の法則なんだもん」
「着ますー。着ればいいんでしょぉ」
「……あ! それなら私、いいこと思いついたわ!」
「えー? なになに?」
「私達がブルマを着れないなら……私達以外をブルマアリスにしたらどう?」
「やだ、すっごーい。いい案すぎー」
「天才じゃないの?」
「布教用のブルマアリス服はたっくさんあるものね」
「どんどん着せちゃいましょ」
「もう、みーんなブルマアリスにするしかないっ!」
 そうして、きゃいきゃいと騒ぎながら現れた幾つもの人影は。
 やたらムッキムキで体格のいい、ごく普通の変態紳士、だった。
リドリー・ジーン
★衣装描写お任せします
こんな衣装着た事がないわね…普段の格好とは真逆だわ。
我に返れば恥ずかしくなるけれど、この衣装を着てると強化されるのよね?
『影の手』、小刻みに揺れてるのは何?まさか笑っている訳ではないでしょうね

森の中ならUCが使えそうね。見た目にも派手だもの。
防御や大振りな攻撃をしてもらいましょう
UCを使わない『影の手』にも協力してもらうわ。相手の足下から影を伸ばして躓かせる…地味な仕事?言う事は聞いてもらうわよ。
…衣装が似合ってる?
今更媚びても機嫌なんてよくならないわ。今日の晩酌しっかり付き合ってもらいますからね。



 森から飛び出してきたコスプレ衣装を着るとパワーアップできる。
 その説明を思い出しながら、リドリー・ジーン(不変の影・f22332)は着替えた自身の姿を見下ろした。
「こんな衣装着た事がないわね……普段の格好とは真逆だわ」
 一言で言うなら、ふわふわのひらひら。
 ふんわりと膨らんだ肩口から、袖口に向けて広がるスリーブも。
 パニエでボリュームを増した膝丈のスカートも。
 浅めのV字型に切り込まれた首回りも。
 細やかな模様のレースと、幾重にも重なるフリルで華やかに彩られていて。
 しかもその色は明るく鮮やかなピンク色。
 すらりと伸びる脚を覆う白タイツの先に履いた丸みを帯びた靴もピンク色で。
 胸元や腰回り、そして焦茶色の髪には、牡丹を思わせるふんわりした花飾りが咲く。
 普段から女性らしい、スカート姿ではあるリドリーだけれども。
 シンプルなデザインと青系統の色合いを選ぶことが多いから。
 こんなに甘く華美な格好は、確かに真逆。
(「我に返ると恥ずかしいわね……」)
 それでも、露出が多い服が飛び出してこなかっただけマシかしら、と思いつつ。
 強化のためには仕方ないと、諦めて。
 ふぅ、と吐いた息と合わせて、自然と落ちた視界に、リドリー自身の影が目に入った。
「……小刻みに揺れてるのは何? まさか笑っている訳ではないでしょうね?」
 少し怒気を含んで問いかけた先では、リドリーの足元から伸びた影が手の形を象っていて、指摘の通りぷるぷると震えている。
 影の手の1つが、否定するように左右に動くけれども。
 残りはうずくまり、互いに支え合うようにしながら尚も震えているから。
 ちょっとむっとした表情を見せたリドリーは、ぷいっと顔を反らした。
 そこに。
「やだ、見つけちゃった」
「あら本当っ。可愛いオンナノコっ」
 野太い声が弾む。
 特に心の準備もなく振り返ってしまったリドリーは。
「…………」
 無言のまま、固まった。
 リドリーの前に現れたのは、腕も足も身体もムッキムキで、がっしりとした体格の無敵変態紳士『ブルマニアリス』達。
 その誰もが、リドリーと同じピンク色のふわふわひらひらな服を着ていた。
 とはいえ、肩口はふんわりではなく筋肉でパンパンに膨らんで。
 袖口に向けて広がっているはずの袖も、みっちり詰まり。
 首回りのVネックも、分厚い胸板にはちきれんばかりになっていて。
 パニエなんかいらないほど太ももで膨らんだスカートは、膝丈のはずがもっと短く。
 大根どころでなく太い足に、白タイツは今にも千切れそうなほどに伸び切っている。
 同じデザイン、同じ色の服のはずなのに。
 全くそうは見えないぴっちぴちな格好に、リドリーは言葉も動きも失くし。
 その足元で、何本もの手を象った影が、ばんばんと地面を叩き、嗤い転げているかのように跳ね回っていた。
 そんなリドリー達の反応を気にもせず、ブルマニアリス達は身体をくねらせ。
「ブルマアリスになったら、もっと可愛いわよね」
「そうそう。ブルマアリスにしましょっ」
 ドロワーズが丸見えになったスカートを内股で揺らしながら足を進めて。
 繊細なレースにぴっちり覆われた、ムキムキの太い腕をリドリーへ、ぬっと伸ばす。
「『影の手』!」
 そこに凛としたリドリーの声が響いた。
 びくんっ、と跳ね上がった影は、降参するかのように手を空に挙げてから。
 そのままするするとリドリーの影に戻ったかと思うと、再び姿を現して、此方へ近づいてくるブルマニアリス達の足元をすくう。
「きゃん」
「いやん」
 次々と転んでいくブルマニアリスの傍で、手を象った影は、どこかげんなりしたようにひらひらとうなだれた。
「……地味な仕事? 言う事は聞いてもらうわよ」
 そんな影に、リドリーは目が笑ってない笑みを浮かべて見せてから。
「木々よ、私の声に応えたまえ」
 歌を紡ぎ、周囲の木々やツタを成長させて操る。
 森がそのまま襲い掛かっていくかのような、見た目にも派手な攻撃に、ブルマニアリス達は悲鳴を上げながら呑まれていき。
 すぐにそのガタイのいい姿は、木々に囲まれ、リドリーからは見えなくなった。
 それでも歌い続けるリドリーに、木々は、ツタは、攻撃を続けて。
 見えないままに、ブルマニアリスは1体、また1体と消えていく。
 気付けば、仕事を終えた影の手が、ぱちぱちと拍手を送っていたり、リドリーの周りで手のひらをひらひらさせて、煽てるような仕草を見せていたりしたけれども。
「今更媚びても機嫌なんてよくならないわ」
 リドリーはそんな影の手に、人差し指だけを立てた手をびしっと突き付ける。
「今日の晩酌、しっかり付き合ってもらいますからね」
 酔いつぶれることを知らない酒豪からの宣言に、再び影の手はびくんっと跳ね上がり、降参のジェスチャーを見せながらするするとリドリーの影に戻っていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

稲宮・桐葉
アドリブ・連携歓迎じゃ
衣装はお任せするのじゃ!

敵は多勢、戦が優位に進むのならば、どの様な衣であろうと纏うのみじゃ!
妖刀『ムラサマブレード』は何か言いたげじゃな
(幸か不幸か、わらわには【恥ずかしさ耐性】があるのじゃ…)

炎で敵の衣を焼き払えば弱体できぬかの?
森林火災にならぬよう、着せたがっている「ぶるま」をだしに挑発し森から引き離し攻勢に出るぞ
『機巧大狐ちゃん』を駆り『雷上動』に矢を番え『神鹿の弽』の力で《炎属性》を宿し【早業・乱れ撃ち】で次々に放つのじゃ

弓が使えぬ間合いに入られたらUCを発動じゃ
狐火を身を守るよう展開し、大狐ちゃんに騎乗したまま妖刀ムラサマが嫌がっても構わず振り回し撫で斬りじゃ!



「敵は多勢、戦が優位に進むのならば、どの様な衣であろうと纏うのみじゃ!」
 勢いよく宣言したその通りに、何のためらいもなくコスプレ衣装を身に纏って、堂々と胸を張ったのは稲宮・桐葉(戦狐巫女・f02156)だった。
 その衣装は、ふんわり肩口を膨らませた短い袖と、横に大きく広がり膨らみつつも膝上で終わるミニスカートのワンピース。
 短い手袋とショートブーツで、白い腕や脚を存分に魅せる。
 それだけならカジュアルなパーティー用のドレス、とも言えるのだが、その色はやたらとはっきりした濃いピンク色で、随所に真っ赤なハート柄が散りばめられていて。
 そして何より目を惹くのが、ハートカットの胸元を隠すようなやたら大きなリボンと、その中央で輝く、でっかい赤い石を埋め込んだハート形の装飾。
 狐耳それぞれの近くで長い金の髪を結わいたそこには、大仰なリボンがハート型の飾りと共に揺れる。
 UDCアースで見たことがあるものなら迷わずその衣装を言い当てただろう。
 魔法少女だ、と。
 成人間近の女性が着るには抵抗のある、幼い子供向けのデザインなのだが。
 こんな時のための技能『恥ずかしさ耐性』だと桐葉は胸を張り。
「……ん? 何か言いたげじゃな?」
 ハートとリボンでやたらファンシーに、衣装に合わせた魔法の杖のように装飾された、妖刀『ムラサマブレード』を掲げ、見つめた。
『何でもねぇよ……ほっとけ……』
「せっかく見た目は可愛らしくなったのに、可愛くないのぅ」
『うるせぇ! 言うな見るな!』
 何だか刀身が赤くなっているように見えるのは、飾られたハート形の装飾の赤色が映っているからでしょうか。
 わいわいとそんな掛け合いをしていたところに。
「あっ、いたわいたわ」
「魔法少女、発見ー」
 弾んだのは野太い声。
 特に何の心構えもなく振り返ってしまった桐葉の紫の瞳に映ったのは。
 自身と同じ衣装を着た、無敵変態紳士『ブルマニアリス』。
 はち切れんばかりの衣装から、ムッキムキの腕や脚が思いっきり見えて。
 桐葉の豊かな胸をふんわり隠していた胸元の大きなリボンも、分厚過ぎる胸板を隠し切れないどころか、今にも外れそうな程。
 ダンディでまじめなちょび髭面の頭部には、もっさりとリボンとハートが盛られて。
『……感想を聞こうか』
「あの衣を焼き払えば弱体化せぬかのぅ?」
 平坦な口調の妖刀の問いかけに、桐葉は据わった眼差しで答えた。
 そんな桐葉を見ながら、ブルマニアリス達は何やらひそひそ声を潜め。
「あの年齢で魔法少女はキツいわよね?」
「そうね。やっぱりブルマアリスにしないといけないわね」
「ブルマアリスは老若男女誰でも着れるもの」
 漏れ聞こえた会話に、さらに桐葉の目が据わる。
『……感想は』
「焼き払う」
 そして桐葉は、自律式キツネ型4足ロボ『機巧大狐ちゃん』にひらりとまたがった。
 大型バイクを思わせるサイズのそれは、森の外へ向けて走り出す。
「あらっ、大変ー」
「待って待って」
 狙い通り追って来るブルマニアリスが、森から出るのを確認してから。
(「これで森林火災のおそれはないじゃろうて」)
 桐葉は機巧大狐ちゃんの上で滋籐弓『雷上動』を構えた。
 神鹿の弽が、番えた矢に炎の属性を与える。
 そして、心置きなく、矢を乱れ撃ちにするけれども。
「ミラクル☆ブルマイウェイ」
 何枚ものブルマアリス服を燃やしながら、ブルマニアリスは炎の矢の回避に成功。
 桐葉へと追いすがり、その丸太のように太い腕を伸ばした。
 けれども。
「夢か現か幻か……蒼炎煌めく、わらわの艶舞、篤と御照覧あれ……!」
 桐葉は、ユーベルコードで数十もの蒼白く煌めく狐火を生み出し、今度こそブルマニアリスの魔法少女服を燃やした。
「きゃっ、いやん」
「大変。早くブルマアリス服を着ないとっ」
 燃えて消えていくピンク色の衣装の欠片を押さえながら、ブルマニアリスは存在感のありすぎる巨体を頑張って縮こまらせ、内股でくねくねと身をよじり。
 さらに炎の矢を番えた桐葉へと、服の破れた肩越しにちらりと振り返る。
「もう……えっち」
「ムラサマブレード!」
『はいよ』
 即座に弓を妖刀に持ち替えた桐葉は、怒涛の勢いで機巧大狐ちゃんを駆り。
 ブルマニアリスを片っ端から撫で斬りにしていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

化野・花鵺
どんな職業の制服でも制服であれば可

「せぇふく~♪せぇふく~♪」
狐、喜びのあまり小躍りした

「おぉ~、良く分かってるぅ。どんな人でもせぇふく着たら5割り増しだよねぇ。おっちゃん達もすごくイケてるぅ」
狐、満面の笑みで親指立てた

「…は?」
「せぇふく破くとかトルソーのくせにあり得ないぃ!死ね、死んでせぇふくに詫びろぉ!」
狐、一瞬でブチ切れた
敵を「狐の呪詛」の術範囲に収め続け制服が完全になくなって回避もできなくなって消滅するまで不幸の連続プレゼント
回避して味方の攻撃に誤爆する
より致命的な命中になる
捧げた制服片が視界を塞ぐ
踏んで転んで致命傷を受ける等々

「せぇふくがぁ」
狐、戦闘後に泣きながら制服片を拾い集めた



「せぇふく~♪ せぇふく~♪」
 こちらは大喜びでコスプレ衣装を着込んだ化野・花鵺(制服フェチの妖狐・f25740)。
 制服狂いと称される程に制服大好きな花鵺に、森から飛び出したのはUDCアースでよく見かける女性警官の制服だった。
 金色のボタンや階級章、ワッペンなどが飾られたきちっとした濃紺の上着に。
 同じ色のタイトでシンプルなスカート。
 ぴこぴこ嬉しそうに揺れる狐耳の間には、ちょこんと制帽も乗せて。
「せぇふくカッコいーよぉ♪」
 ぴょんぴょんくるくる小躍りが止まらない。
 だがしかし、花鵺が着ている制服は、本職の女性警官のそれとはどこか違い。
 スカートがすごく短く、深いスリットが入っていたり。
 上着が長袖でなく、細く白い腕を存分に魅せる半袖だったり。
 そもそも上着の下にシャツがなかったり。
 どうも、制服は制服でもコスプレ用の、セクシーなもののようなのですが。
「やっぱり、せぇふくが一番だよねぇ~♪」
 子供っぽい花鵺は、制服、というだけで素直に喜んで。
 襟元から見える胸の谷間も、スカートが隠す気のない艶やかな太腿も、スタイルの良さを見せるやたらぴったりとしたサイズも、あまり気にならないようで。
「おぉ~、おっちゃん達もすごくイケてるぅ」
 姿を見せた無敵変態紳士『ブルマニアリス』にも、満面の笑みで親指を立てた。
 もちろんブルマニアリス達が着ているのも、コスプレ用女性警官服。
 ぴっちりした服に、ムッキムキの身体をはちきれんばかりに無理矢理収め。
 ボタンがはじけ飛びそうな襟元からは、胸毛と共にパンパンの胸筋の谷間が。
 スリットが引きちぎられそうなタイトなミニスカートからは、大根どころか丸太を思わせる程に太いごつごつの太腿が。
 制帽の下では、ちょび髭で彫りの深い顔がやたら器用に片目を瞑って、魅せる。
「あら、ありがと」
「貴方もイケてるぅ、よ」
「やっぱり制服っていいわね」
「良く分かってるぅ。どんな人でもせぇふく着たら5割り増しだよねぇ」
 お返しのように花鵺を褒めるブルマニアリス達に、花鵺も機嫌よく頷いたけれど。
「でも、やっぱり制服といったらブルマよね」
「そうそう。ブルマが一番よ」
「だから貴方も、ブルマに着替えましょ」
 ブルマニアリスは、そのぴっちりすぎる半袖から、ごっつい腕を伸ばした。
 花鵺というよりも、着替えさせるために警官服を狙った手は。
 避けた花鵺の動きも合わさり、引っかかった上着の袖をビリっと引き裂く。
 シャツのない服ゆえに、破れ目から、花鵺の脇腹の柔らかそうな乳白色の肌が大きく覗き魅せられて。
「……は?」
 その突然の露出に、花鵺はブチ切れた。
「せぇふく破くとかトルソーのくせにあり得ないぃ!」
 どうやらさらにセクシーな格好にさせられたことよりも、制服を破かれたことそのものに怒っているようですが。
「死ね! 死んで、せぇふくに詫びろぉ!」
 据わった眼差しでブルマニアリス達を睨むと、花鵺は狐の呪詛を紡いだ。
 竹筒から飛び出た管狐が、その小さな口でしっかりと噛み傷を与えると。
 癒えることなきその傷が、不幸を引き寄せる。 
 管狐から逃げた先で、別のブルマニアリスが花鵺に着せようと放ったブルマに巻き込まれて誤爆したり。
 捧げた布教用ブルマが破片となり視界を塞いだそこに、花鵺を追いかけていたブルマニアリスが偶然激突して、トラック同士の交通事故のような惨事を引き起こしたり。
 ブルマの破片を踏んだら、何故かバナナの皮のように見事に転んだり。
「何するのよ、もうっ」
「こっちじゃないわよ。ブルマはあっち」
「ブルマアリス服に戻っちゃった。強化の効果が消えちゃうわ」
「布教用と普段用と保存用のブルマが混ざってどれがどれだか分かんなぁい」
「痛ぁい。また転んじゃった」
 次々と襲い来る不慮の事故に、ブルマニアリス達は混乱して。
 そして段々と、不幸は致命傷にまでなっていき、ブルマニアリスが減っていく。
 そんな混乱に、しかし、不幸を呼んだ当の本人は背を向けて。
「あぁ~、せぇふくがぁ……」
 ぐしぐしと泣きながら、花鵺は破かれた警官服の欠片を拾い集めていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ニコ・ベルクシュタイン
【ニコうさ】
衣装:青系の童話に出て来そうな王子様
髪はそのままでも撫で付けてもお任せ

おお、此れは中々有りそうで無かった衣装だな
うさみとも対になるのが嬉しい限り、持って帰る事は出来るだろうか

地味に難儀しながら着替えると、眼前には…プリンセスうさみっち!
流石うさみだ、何を着ても似合うな…愛くるしい事此の上無い…!
俺の衣装が王子の其れなのも、何かの巡り合わせやも知れぬ
飛び回るうさみの前に傅いて手をスッと差し出して
お姫様をエスコートしようではないか

…は?
何だ…此れは!?
さも当然のようにハグを狙うのは何なのだ? 通報されたいのか!?
やられる前にやるしか無い、唸れクイックドロウからの
【疾走する炎の精霊】!


榎・うさみっち
【ニコうさ】
衣装:ピンク色のお姫様
ゆるふわロングヘアカツラ付き

うおーめっちゃゴージャスなドレスが飛んできた!
着るよりも売って金にしたい(心の声

いそいそお着替えし
じゃーん、プリンセスうさみっち様爆誕だー!
くるくるご機嫌で飛び回り
ふふん、なんてったって俺だからな!
俺の高貴さにひれ伏していいんだぞニコ!
…ん?手?こうか?
差し出されたニコの手にちょこんと手を乗せ
さながら「お手をどうぞ状態」

ぎゃー!なんかヤバい集団が!
こっち来るんじゃねー!
持ち前の逃げ足で必死にハグを躱しつつ
いでよワルみっち!(ちゃっかりドレス姿
脳天目掛けてパンパン撃ちまくる
ハッ、ニコあぶなーい!
ニコのピンチにすかさずばずーかで救出



「おお、此れは中々有りそうで無かった衣装だな」
 ニコ・ベルクシュタイン(時計卿・f00324)は、慣れた様子で白手袋を装着しながら、着替えを終えた自身を見下ろした。
 濃い青のジャケットと、同色のマント。黒色のぴったりとしたスラックス。
 胸には勲章が揺れ、金色の房の揺れる肩章から、ジャガード織の金色のサッシュが左腰へと斜めにかけられている。
 ボタンや袖口のカフス、ベルトの金具には細かな細工が施され。
 くせ毛の短い銀髪の上に輝くのは、小さいけれども豪奢な王冠。
 童話の中から出てきたような、まさしくアリスラビリンスにふさわしい、凛々しい王子様がそこに立っていた。
 ピシッと完璧に着こなしているニコだけれども、ここに至るまでにちょっとした四苦八苦があったのは……見なかったことにしておこう。
 さて、一緒に来た榎・うさみっち(うさみっちゆたんぽは世界を救う・f01902)はどうなったか、とニコが周囲へと視線を向けると。
「じゃーん、プリンセスうさみっち様爆誕だー!」
 目の前に小さなピンク色の塊が飛び出してきた。
 それはピンク色の髪をした小さなフェアリー。
 フリルとレースがふんだんに使われた、ピンク色の可愛いドレスを着ていた。
 ロングスカートは布を幾重にも重ねてふんわり膨らんだボリュームのあるもので。
 腰の後ろで大きく結ばれたリボンが、もう1対の羽のように可憐に広がる。
 ばーんと張った胸元には、細かなビーズ刺繍が施され。
 ゆるふわロングヘアのカツラを被ったその頭には、精緻な意匠の金のティアラが紅い宝石を中央に抱いて輝いていた。
 可愛いを全面に押し出した、小さなお姫様だけれども。
(「うおーめっちゃゴージャスなドレス! 着るよりも売って金にしたい!」)
 その思考は守銭奴のそれでした。
 外見からは内心は見えませんからね。
 ゆえにニコは純粋に、ふわっふわで可愛く着飾ったうさみっちに目を奪われて。
「流石うさみだ、何を着ても似合うな……愛くるしい事此の上無い……!」
「ふふん、なんてったって俺だからな!
 俺の高貴さにひれ伏していいんだぞニコ!」
 くるくるとご機嫌で飛び回るうさみっちに、感極まって口元を抑えた。
(「王子の衣装を出してくれてありがとうありがとう」)
 青い王子とピンクの姫。
 何かの巡り合わせのような衣装の組み合わせにも感謝しつつ。
 この揃いの衣装を持ち帰ることはできないだろうかと、うさみっちとは違う理由で考えながら、しかしまずはと現状を堪能することにして。
 ふわりと飛ぶうさみっちの前に、ニコはそっと傅き、手を差し出した。
「……ん?」
 エスコートの姿勢に気付いたうさみっちは、その手の前でぴたりと止まり。
 んー? と考えてから、ああそうかと思い至って。
 白手袋に覆われた精悍な手に、レースの手袋を纏った自身の小さなそれを、ちょこんと乗せる。
「さあ、お手をどうぞ」
「ありがとう王子様」
「……は?」
「ぎゃー! なんかヤバい集団が!」
 そこに聞こえた声にニコとうさみっちが振り向くと。
 無敵変態紳士『ブルマニアリス』が、がっしりした手を重ね合わせ、エスコートしつつされつつこちらに向かって来ていた。
 その服装は、一応、青い王子とピンクの姫。
 ボタンが千切れ飛びそうな程にパンパンな青ジャケットと、食い込んでいる気がする斜めがけのサッシュ。筋肉が浮き出るかのようにぴっちりしたスラックス。
 太い脚はピンク色のスカートで隠れてはいるものの、破れそうな程の上半身と、もはやちらりどころではなく見える分厚い胸筋。
「何だ……此れは!?」
 一瞬、自分達と同じ衣装と分からない程似合わない服に。
 そして同じ衣装と気付いてしまえば、先ほどまで感じていた感動を片っ端から壊されているかのような衝撃に、思わずニコは声を上げていた。
 ブルマニアリス達は、そんなニコ達に、あら、と気が付いて。
「あちらにも王子様とお姫様が」
「素敵。でも、ブルマプリンスとブルマプリンセスならもっと素敵」
 勝手なことを言いながら襲い掛かってきた。
「LuLuLu……LaLaLa……」
 ダンディな声で歌いながら、ぶっとい両腕を大きく広げ、流れるような自然な動きで、ニコにうさみっちに突撃してくる。
 その動きの意図を察したニコは、ぞわっと背筋を走るものを感じながら。
「さも当然のようにハグを狙うのは何なのだ? 通報されたいのか!?」
 半ば叫ぶように言いながら、素早くエレメンタル・ワンを構えた。
(「やられる前にやるしか無い」)
「契約の下に疾く来たれ、我が炎の愛し子よ」
 目にも留まらぬ早撃ちで放たれるのは、精霊銃に込められた炎の弾丸。
 炎の精霊・サラマンドラの力を以って、ブルマニアリスを焼き尽くさんとする。
「こっち来るんじゃねー!」
 一方、うさみっちは、持ち前の逃げ足で必死にハグを逃げ躱しながら。
「いでよワルみっち!」
 逃げてばかりじゃいられないと、ワルみっち軍団を召喚した。
 いろんな銃を手にしたワルみっち達も、空気を読んでちゃっかりドレス姿です。
 うさみっち程に装飾は多くないシンプルなそのドレスは、真っ黒グラサンと合わせるとマフィアの女幹部を思わせるカッコよさで。
 ブルマニアリス達の脳天を目掛けて、銃をパンパン撃ちまくっていく。
 とりあえず恐ろしいハグからは逃れられたかと、ふう、と息をついたうさみっちは。
 銃撃戦の中、ニコの死角からそっとハグを狙う王子様ブルマニアリスに、ハッとした。
「ニコあぶなーい!」
 すかさず、うさみっちばずーかでワルみっちの1体を撃ち放ち。
 抱きつかんとしていたブルマニアリスを、体当たりするようにして吹っ飛ばす。
 一緒に転がるように倒れ込んだワルみっちが、そのまま埋もれそうなくらい豊かな胸筋から、がばっと顔を上げると。
「あら、積極的なお姫様……」
 王子様ブルマニアリスが、ぽっと頬を赤く染めて、ドレス姿のワルみっちを見下ろしながらうるんだ瞳を見せていた。
 ぴゃあぁぁ、と慌てて飛び退いたワルみっちと入れ替わるように。
 据わった眼差しのニコの炎の弾丸が放たれる。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ニコリネ・ユーリカ
不思議の国の数だけ悲劇が生まれるなんて
オリジンを倒した私達には始末をつける責任がある
これからは楽しい物語を綴りましょ

衣装は可愛いのがいいな
とんがり耳のフード付き蝙蝠ケープを羽織り
目元は黒い仮面で妖しさを盛る
エナメルのホットパンツでパンク風に
クモの巣みたいなタイツを履いて
こわカワなプリティバットの出来上がり!
ポイントはほっぺの蝙蝠タトゥシールDEATH!

さぁどの子の血を吸ってやろうかしらギャッ!
ヒゲメンが同じ格好してるヤダー!
厚い胸筋でインナー見えてるし!
太腿ぱつんぱつんでハムみたい!
ちょっ近付かないで?
人を呼びますよ!

私のとっておき【ALLMakersTide!】で制裁を
変態は鈍器で撲滅します



「不思議の国の数だけ悲劇が生まれるなんて……」
 目元に妖しさを盛る黒い仮面の下で、ニコリネ・ユーリカ(花売り娘・f02123)の紫色の瞳に憂いが灯る。
 少し俯くような仕草に、とんがり耳のついた黒いフードの間からさらりと金色の髪が零れ、フードと繋がる蝙蝠ケープと共に揺れるけれども。
 そっと伏せた紫瞳をすぐに開いて、元気よく顔を上げれば、その頬に陽気に踊るのは蝙蝠のタトゥシール。
「オリジンを倒した私達が、責任をもって始末をつけて。
 そして、これからは楽しい物語を綴りましょ」
 こわカワなプリティバットは、しっかりと今を見つめて。
 いつもの晴れ空のような笑顔を見せた。
 というわけで、早速、森から飛び出してきたコスプレ衣装に着替えたニコリネは。
 パンク風のエナメルなホットパンツから伸びる、クモの巣を思わせるタイツを纏った脚を元気に動かし、森の中の道を行く。
 歩く仕草に合わせて揺れる蝙蝠ケープは、まるでぱたぱた羽ばたいているようで。
 気分を良くしたニコリネは、右へ左へ少し蛇行するようにうろうろと、弾む足跡を刻んでいった。
「さぁ、どの子の血を吸ってやろうかしら……」
「やーん。血を吸われちゃうわ」
「怖いわ怖いわ」
「ギャッ!」
 しかしその目前に現れる無敵変態紳士『ブルマニアリス』。
 握りしめた両手をちょび髭の生えた口元に揃え、背中を丸めて頑張って縮こまりながらふるふると揺らすその巨体に纏うのは。
「ヒゲメンが同じ格好してるヤダー!」
 泣き叫ぶニコリネと同じ、こわカワなプリティバットの衣装。
 蝙蝠ケープはがっしりとした肩にぴったりとひっついて。
 厚すぎる胸板で、ケープの下のインナーが見えるどころかはち切れそう。
 タイツのクモの巣は、太腿をまるでボンレスハムのように見せ。
 ホットパンツがすっごくギリギリまで短くなっているのもヤバい。
 そんなブルマニアリス達は、小鹿のようになどと間違っても表現できない様子で震えながらニコリネを見ていたけれども。
「そうだわ。蝙蝠さんをブルマにしちゃえば吸われないわ」
「そうねそうね。ブルマなら怖くないわ」
 気を取り直して、ブルマアリス服を手に、ニコリネへと襲い掛かってきた。
「ちょっ、近付かないで? 人を呼びますよ!」
 真っ青になったニコリネは、両手をぶんぶん振りながら拒絶の叫びを上げ。
 そして周囲にDIY工具を放った。
 無数の、山のように現れた工具はユーベルコードにより空を舞い。
 空中に幾何学模様を描き出すかのように、複雑な軌跡を刻んでブルマニアリス達へ襲い掛かる。
「変態は鈍器で撲滅します」
 黒い仮面の下で、ニコリネがキリッと怖い宣言をした。
 工具はあらゆる方向からブルマニアリス達へと襲い掛かり。
「ああっ。ブルマアリス服がっ」
 当然、ニコリネに差し出されようとしていた布教用ブルマアリス服も。
 そして、筋肉に引っ付いた蝙蝠ケープも、はち切れそうなインナーも、太腿を縛るかのようなクモの巣タイツも、ギリギリなホットパンツも、切り裂いていったから。
「あら、いやん」
「こんな露出サービス要らないヤダー!」
 目の前の大惨事に、またニコリネは泣き叫んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

薬師神・悟郎
【男子会】

★クロウの仮装→十二単
凄いぞ、ヘアメイクまで完璧だ!

体操服ブルマは動きやすいぞ
素早く終わらせるなら、機動性に優れた衣装の方が良いに決まっている(現実逃避半ば自棄)

バニーボーイカイムのアダルトな色気は場所が場所なら年齢制限にひっかかりそうだ
クロウは全く違和感がない。ただただ美人なだけだ
此処にいる誰よりも綺麗だぞ

後衛から弓で二人を援護、範囲攻撃でUC発動
このUCを選んだのは故意でもなく、悪気もない
絵面が酷く悪化するだろうが、あれを近くで見ることになるのは俺ではない
二人とも宜しく頼むぞ

慣れない衣装に戸惑う彼等を見て、俺の衣装はまともなんじゃないかと思うぐらいには混乱しているが、狙いは外さん


カイム・クローバー
【男子会】
悟郎には『体操服とブルマ。胸元に【ごろう】と書いたヤツ』

猟兵界隈ではそこそこイケメンで通ってるんでね。どんなコスプレだろうと着こなしてやるぜ。

(出て来た服を見て)………いや、これ、無理だろ!?
イケメンがどうとかそういうレベルじゃねぇだろ!何だよ、ハイヒールって!?
クソ…何だってこんなモン着るハメに…っ!

クロウの動き辛そうだなぁ、おい。
悟郎のは……悲惨じゃねぇか?元が良いだけにスゲー個性になっちまうな。

中距離から銃撃でのクロウの援護と場合によっては接近戦。
ハイヒールでクロウの裾、踏み付けるトコまでお約束の気がする。
クッ…超歩きにくいし、動きにくい…。どーなってんだよ!?この森はよぉ!?


杜鬼・クロウ
【男子会】アドリブ◎
・カイムの仮装
バニーボーイ
シャツの有無お任せ
ハイヒール

仮装すンのは好きだぜ(服好き
だがなァ…女物は一度も着たコトねェンだが!?
和服は故郷で散々着てたケドよ…重くて動き辛ェ
ホント勘弁しろや
髪も?

よーく似合ってるわ二人とも
バニーカイムちゃん可愛いぜ(笑い堪え
悟郎のブルマの破壊力がヤベェ
お前らに比べたら俺が一番マシに見えてきた(混乱
褒められてこんな嬉しくねェコトある?

普段露出高めな服が多い分ギャップ
大剣振り回せるか怪しい為【金蝶華】使用
カイムに裾踏まれ受け身取れず転ぶ

うっ…吐きそう
視界の暴力だわ
テメェらはブルマより軍服の方が似合ってる

違う服着せられたら脳天へ踵落とし
剣で怒りの斬撃



「猟兵界隈ではそこそこイケメンで通ってるんでね。
 どんなコスプレだろうと着こなしてやるぜ」
 カイム・クローバー(UDCの便利屋・f08018)は黒いベストを着た胸を張る。
 首の後ろで無造作に1つに纏めた長い銀髪を肩にかけるように流し。
 精悍な脚のラインを魅せるのは、ぴったりとした黒レザーのスキニーパンツ。
 と、この辺りまではまだ大丈夫だったのだが。
「……いや、これ、無理だろ!?」
 思わず叫んだカイムの頭で、黒色のウサギ耳のカチューシャがぴこんと揺れた。
 ベストの下にシャツはないのに、白いつけ襟とカフスだけはあって。
 襟元には黒色のリボンが蝶のように踊っている。
 ベストのデザインも、腹部を隠し切れないほど丈が短く、また、やたら胸や背中が露出するものになっているうえに。
 パンツにしっかりウサギ尻尾もついて、足元を飾るのは黒いハイヒールブーツ。
「イケメンがどうとかそういうレベルじゃねぇだろ!
 クソ……何だってこんなモン着るハメに……っ!」
 セクシーなバニーボーイとなったカイムは、頭を抱えていた。
「そうだな。仮装すンのは好きだぜ。服は好きだからな」
 そこに、杜鬼・クロウ(風雲児・f04599)の声が淡々と響く。
 遠くを見るように、夕赤と青浅葱の瞳をすっと細めて。
「だがなァ……女物は一度も着たコトねェンだが!?」
 叫びとなった声にカイムが振り向くと、そこには重厚な十二単があった。
 文様の描かれた紫色の唐衣の下に、赤や紅や桃色、濃淡の違う緑色も順に重ね。
 長い袖から少しだけ見える手に、何とか檜扇を握りしめる。
 裾も長く、そして幾重にも重なり。
 その上に、長い長い射干玉の黒髪を、後ろで等間隔に結んで流している。
「和服は故郷で散々着てたケドよ……」
 出身地であるサムライエンパイアでは和服は日常的なものだけれども。
 さすがに十二単にお目にかかる機会は早々ない。
 ましてや、着てみる機会なんてものがあったはずもなく。
 クロウは長い裾を引きずって呻いた。
「重くて動き辛ェ。ホント勘弁しろや……」
 長さもさることながら、何枚も重なる布がずっしりときて。
 さらには、大垂髪を結うための長いウィッグがまた重い。
 大変そうだなぁ、と完全に他人事にカイムが思っていると。
「クロウは全く違和感がないな。ただただ美人なだけだ。此処にいる誰よりも綺麗だぞ」
「褒められてこんな嬉しくねェコトある?」
 聞こえた薬師神・悟郎(夜に囁く蝙蝠・f19225)の感想の声に、反射的に答えながら振り向いたクロウは、そこで言葉を失った。
 まず真っ先に見えたのは、胸元に書かれた『ごろう』というマジックの手書き文字。
 それが書かれたゼッケンのような白布が縫い付けられているのは、伸縮性のある生地でゆったりと作られた白い体操服。
 半袖の袖口は紺色のゴムできゅっと締められているけれども、同じ紺色で縁取られた丸襟も、胸囲も腹囲も適度な余裕をもっていて、運動に最適なデザインを見せていた。
 しかし、その下に履いているのは、紺色のブルマ。
 ぴっちりとヒップラインを見せ、股関節から太腿から下肢全体をしっかりと露出させてしまうものだったから。
「破壊力がヤベェ」
 思わずクロウは呟いていた。
 同じ女装でもまだ自分の十二単の方がマシかもしれない、と混乱しつつ。
 眺めるその先で、だが悟郎は堂々と胸を張る。
「体操服ブルマは動きやすいぞ。
 素早く終わらせるなら、機動性に優れた衣装の方が良いに決まっている」
 何に臆することなく仁王立ちしているように見えるけれども。
 悟郎の表情は少し引きつっていて、半ば自棄になっているのが伺えた。
 いつもはフードで隠されているぼさぼさの灰髪の下の金瞳も、真っ直ぐ前を見ていると見せかけてあらぬ方向へと反れ、泳いでいます。
「……悲惨じゃねぇか?
 元が良いだけにスゲー個性になっちまうな」
 カイムも思わず苦虫を噛み潰したような表情で悟郎を見やると。
 悟郎も、据わった眼差しでカイムを見つめ返し。
「バニーボーイカイムのアダルトな色気は場所が場所なら年齢制限にひっかかりそうだ」
「そうそう。バニーカイムちゃん可愛いぜ」
 クロウも笑いを堪えながら、揺れるウサギ耳を指差した。
「よーく似合ってるわ2人とも」
「そういうクロウだって、なぁ?」
「動き辛そうだがな」
「あっ、こら裾踏むな」
 そんなこんなでわいわいと、互いの仮装を褒め合って(?)いると。
「きゃあ。見て見て」
「あの仮装素敵っ」
 野太い声が飛んできた。
 現れたのは、無敵変態紳士『ブルマニアリス』。
 だが、この森の強化の効果を得るべく、その服装はブルマアリス服ではなく、飛び出してきたと思われるコスプレ衣装に変わっていて。
 胸筋が零れ落ちそうな程ぴっちぴちの黒いレオタードに、つけ襟とカフス。
 全てが網タイツに覆われた丸太のような脚の先には、今にも踵が折れそうなヒール。
 黒いウサ耳カチューシャと、小さすぎるウサ尻尾もついたその衣装は。
 バニーガール。
「うん。バニーカイムちゃん可愛い。心底可愛い」
「バニーボーイカイムはよかった」
「いや、比較されるの自体が何か複雑だぜ」
 思わずこくこくと頷くクロウと悟郎に、カイムが疲れた表情を見せて。
「……って、何でバニーだけなんだよ。
 クロウと悟郎のもいるはずだろ!?」
「そんなこと言われてもなぁ」
「重くて動けなくなってるんじゃないか?」
「元々ブルマだとブルマが仮装にならないから、とか?」
 尚もわちゃわちゃやっているうちに。
「やっぱり、ブルマは最高ね」
「他の子達もブルマの方が似合うわよ」
「そうねそうね」
「ブルマアリス服をプレゼントしましょ」
 網タイツの脚を内股でくねらせ、今にも千切れそうなカフスの付いた手を、ちょび髭の生えた口元でふるふる揺らしていたブルマニアリス達は。
「ブルマニアリス・イマジネイション」
 腕を組んで組み合わせた騎馬に騎乗する。
「うわぁ……」
「やっぱりバニーカイムちゃん可愛い」
「もうそれはいいから」
 心底ウンザリした表情になった3人へと、だがその様子に構わず、騎馬戦のごとくブルマニアリス達が迫ってきた。
 とっさにカイムと悟郎は後ろへ下がり、相手との距離を取るけれども。
「俺動けないんだが!?」
 取り残された十二単が、悲痛な声を上げる。
 迫り来る騎馬に、普段振り回している漆黒の大魔剣を取り出しかけたクロウだが、幾重にも重なった袖の重量に眉を寄せ。
 思い直して金蝶華を呼び出した。
 金蓮火により具現化された燃え盛る蝶の群は、平安貴族の姫の周囲を艶やかに彩りながら、バニーガール騎馬を迎え撃つ。
「It's Show Time! ド派手に行こうぜ!」
 そこに、援護するように、カイムの双魔銃『オルトロス』が銃撃の協奏曲を奏でた。
 金色のラインを持つ、魔犬の双頭を象った黒い二丁銃は、マシンガンを思わせる、いやそれ以上の速度で連射され、舞い踊る蝶の合間を縫うように騎馬を撃ち抜いていく。
 その正確さを支えるために、相手や蝶の動きに合わせて、カイムもその立ち位置を細かく変える必要があるのだが。
「クッ……超歩きにくいし、動きにくい……」
 バニーボーイは慣れないハイヒールに四苦八苦。
 そのうちに、ずりずりと何とか移動し始めていたクロウの長い裾の端を踏みつけて。
「ぶっ!?」
「うをわぁっ!?」
 クロウは顔面から、受け身すら取れずに地面に突っ伏し。
 布に足元を掬われたカイムは、見事なまでに背中から地面に転がった。
「あー……動くの大変そうだー。
 やっぱ俺の衣装はまともだったんじゃないかー」
 そんな2人の様子に、悟郎が半ば混乱しながら棒読みで感想を述べれば。
「そうよそうよ」
「ブルマは最高なのよ」
「だからみーんなブルマにしましょ」
 ブルマニアリスは悟郎にも迫ってきた。
 だが悟郎は慌てず騒がず、折り畳んでいた黒弓【影縫】を素早く組み上げると。
 その弓でユーベルコード・咎力封じを撃ち放つ。
 相手の攻撃力を減らすそれは、援護としては最適な術だが。
 放たれたものは、手枷と猿轡、拘束ロープだったから。
「いやん」
 バニーガールさん達が犯罪チックに縛り上げられました。
「……絵面が酷く悪化したな」
「何やってくれちゃってんの悟郎!」
「余計な真似を……」
「大丈夫だ。近くで見ることになるのは俺ではない。2人とも宜しく頼むぞ」
 非難の声を聞き流して悟郎は後衛に居座り、再び闇夜に紛れるほど黒い弓を構える。
「うっ……吐きそう。視界の暴力だわ」
 さらに蝶の群れを呼び出しながらも、クロウは袖で口元を覆い。
 カイムがウサギ耳のついた頭を抱えた。
「どーなってんだよ!? この森はよぉ!?」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『モグモグちゃん』

POW   :    お腹が減って仕方がないんだよぉ~……
戦闘中に食べた【無機物または有機物】の量と質に応じて【筋力が向上し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD   :    お腹が背中にくっつきそうなんだよぉ~……
戦闘中に食べた【無機物または有機物】の量と質に応じて【瞬発力が向上し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
WIZ   :    お腹が満たされないんだよぉ~……
戦闘中に食べた【無機物または有機物】の量と質に応じて【思考力が向上し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠竹城・落葉です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 というわけで。
 コスプレ衣装のおかげで戦力に不安なく、違う面で不安いっぱいとなりながらも、勝利した猟兵達は森の中の道を進んでいくと。
 やたら整備されたキッチンと、その前にどすんと座っているオウガがいた。
「お腹が減って仕方がないんだよぉ~……」
 無造作に近くの木を引っこ抜いた『モグモグちゃん』は、そこに実ったジャックオーランタンごと、大きな口に運んで。
 ぼりぼりむしゃむしゃと食べ始める。
 このままでは森が、そしてもしかしたら、このハロウィンの国すらも食べられてしまうかもしれない、と思わせる様子に。
 猟兵達はキッチンへと視線を向けた。
 ボスであるモグモグちゃんは、この国の法則で強化され、ほぼ無敵となっている。
 そんなグリモア猟兵の説明を思い返して。
 対処法も一緒に、思い出す。
 ボスは、このキッチンで作られた美味しい料理を食べれば食べるほど眠りに落ち。
 同時に強化が解除されていく、と。
「あ~……猟兵だぁ~……猟兵も美味しいかなぁ~……」
 のんびりと不穏なことを言い出したモグモグちゃんを見ながら。
 猟兵達は動き出した。
リドリー・ジーン
えぇ…怖いわ、あの笑っているような、感情の読めない顔…何でしょう、あれに背を向けるのは危険な気がするわ。さっきの敵とは別の意味で怖いわ…
『影の手』しっかり見張っていなさい

お祖母様の残した日記にレシピが挟んであったわね
では、シチューを作りましょう
影の手に食材を渡して適度にモグモグちゃんに渡す。つまみ食いをさせて【時間稼ぎ】して私は【目立たない】ように調理続行
料理と一緒に私も食べられたら敵わないわ

さあ鍋いっぱい作ったのよ、これを食べてゆっくりお休みなさい
何、影の手…美味しいけど味が少し違う?レシピ通りよ?…貴方達はお祖母様の事に関してはとても手厳しいわよね
では、帰ったらもう一回作ってみましょう



「お腹が満たされないんだよぉ~……」
 どすんと座ったオウガ『モグモグちゃん』は、ぼやきながらまた手近な木を引っこ抜いてはぼりぼりむしゃむしゃと食べ続ける。
 その姿は、掘り起こした土を積み上げた山のようでもあり。
 不思議な文様と、頭部に輝く光、大きく割れたような裂け目で、どこを見ているかも分かり辛い、ぼんやりした表情を形作っていた。
「えぇ……怖いわ、あの笑っているような、感情の読めない顔……」
 そんなモグモグちゃんを恐る恐る眺めて、リドリー・ジーン(f22332)は不安気な表情を見せる。
「何でしょう、あれに背を向けるのは危険な気がするわ……」
 特に殺意を見せているわけでもなく。
 恐ろしい声を発しているでもなく。
 ただのんびりと座って食べているだけのようにも見えるのだけれども。
 先ほど森の途中で遭遇したモノと違い、見ただけで精神が壊されそうになることも、とんでもない衣装を押し付けられることもないのだけれども。
(「さっきの敵とは別の意味で怖いわ……」)
 底知れぬ恐怖を感じ、リドリーはぶるっと身体を震わせた。
 とはいえ、いつまでも恐れていては始まらない。
「でも、料理は作らないと……ね」
 何とか気合を入れたリドリーは、ふわふわひらひらの甘い衣装の上からシンプルな白いエプロンをつけて、キッチンへ向き直る。
 その足元から影がにょろりと立ち上がり、手の形を象ると。
「しっかり見張っていなさい」
 リドリーの声に影は、親指と人差し指らしき指を繋げてマルのサインを作った。
 そして、料理が始まる。
 リズミカルに刻まれる包丁の音や。
 くつくつと沸き立ってくる鍋の音。
 心地よくも、それだけで食欲を刺激しそうな響きに、モグモグちゃんもゆるりとリドリーへと振り返り。
「ん~……お腹が空く音がするんだよぉ~……」
 無造作に近づいてくる巨体に、影の手がにゅっと伸びると、余っていた食材をそのままモグモグちゃんの前に差し出した。
 次々とキッチンから影の手が食材を運び、モグモグちゃんが食べる。
 その様子はまるで二人羽織のつまみ食いのようで。
 影がそうして時間を稼ぐ間に、リドリーは、目立たないように目立たないようにと調理を進める。
(「料理と一緒に私も食べられたら敵わないもの」)
 そうしてできあがったのは、鍋いっぱいのシチュー。
「さあ、これを食べてゆっくりお休みなさい」
「わあ~……食べる~……」
 リドリーが、どんっと差し出した大鍋に、早速モグモグちゃんの手が伸びた。
 スプーンとかお玉とか、そういったものは投げ捨てて、鍋に直接顔を突っ込むかのような勢いで食べ始めたモグモグちゃんは。
「うわ~……何だか懐かしくて優しい味だよぉ~……
 身体だけじゃなくて心もあったまる~みたいなぁ~……」
 どこか表情をほっこりさせて、大きな口をにんまりと歪める。
 それもそのはず。
 このシチューのレシピは、リドリーの祖母が残した日記に挟んであったもので。
 祖母が家族のために長年作ってきたものだろうから。
 リドリーも少し取り分けておいたシチューを口に運び、優しい笑みを浮かべる。
 その肩を、つんつん、とつっついたのは、影の手の1つ。
「何?
 ……美味しいけど味が少し違う? レシピ通りよ?」
 手をぶんぶんと横に振ったり、2本の手をクロスさせてバツ印を作ったりする影に、リドリーは、はぁ、と息を吐いて苦笑した。
「貴方達はお祖母様の事に関してはとても手厳しいわよね……」
 影の手は、元々は祖母が使役していたもので。
 歌と指輪とともに、リドリーが祖母から受け継いだものだから。
 その手厳しい評価は、祖母を想ってくれているからと思うと嬉しくもあるけれど。
 やっぱり、今は自分といるのだからとちょっと複雑な部分もあって。
 リドリーは嬉しそうに微笑みながらも、むんっ、と気合いを入れるようにして、両手を腰に当てた。
「では、帰ったらもう1回作ってみましょう」
 ぱちぱちと拍手をするような仕草を見せる影の手に、また苦笑を零すと。
「ごちそうさまぁ~……」
 その向こうでモグモグちゃんが、空っぽになった鍋を横に転がしながら、にっこりと満足そうな笑みを見せていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

稲宮・桐葉
アドリブ・連携歓迎

ふむ、あれが話に聞いた台所かのう
そしてあの、ダイダラボッチじみたのがモグモグちゃんじゃな
…襲い掛かってくる様子は…ないかのう?
UCで呼び出した子ぎつねと『機巧大狐ちゃん』に一応警戒させておくのじゃ

わらわは豪勢な料理は得意ではないゆえ、式神召喚で料理の得意な鬼神を呼び出し、会席料理を作らせるのじゃ
目玉は海の幸てんこ盛りの豪勢な舟盛りじゃ!

ううむ…見ているだけも暇じゃし、わらわも一品作ろうかのう
豚肉、人参、ネギ、玉葱、蒟蒻、大根、牛蒡、具だくさんの豚汁じゃ!
小気味良い音を響かせ、材料を切ってゆくぞ
よく煮込んだ具材を合せ出汁と赤味噌で仕上げた、わらわ自慢の体も心も温まる豚汁じゃぞ♪



「ふむ、これが話に聞いた台所かのう」
 森を駆け抜けた機巧大狐ちゃんから、ひらりと降り立ったのは稲宮・桐葉(f02156)。
 あらゆる調理器具を取りそろえたキッチンは、材料や調味料もずらっと完備して。
 基調とした白色で、ぼんやりと森の中に浮かび上がるかのように存在していた。
 自然たっぷりの森の中に、突如として現れた人工の空間。
 その不自然さを面白そうに眺めた桐葉は、視線をキッチンの向こうにも向け。
「そしてあの、ダイダラボッチじみたのがモグモグちゃんじゃな」
 土を盛ったような巨体に、紫色の瞳を細める。
 大鍋を抱えたモグモグちゃんは、そこから直接何かを食べているようで。
(「……襲い掛かってくる様子は……」)
 食べるのに夢中なその姿に、危険性は感じなかったけれども。
 一応、と桐葉はユーベルコードを発動させた。
「我が幾多の分身達よ、わが精を受け此処に生じよ!」
 呼び出されたのは、とても可愛らしい、もっふもふな子ぎつね達。
 わっちゃわっちゃと遊ぶように、互いに絡み合っていた子ぎつねは。
 大型バイクを思わせる機巧大狐ちゃんの周りに集い、遊びながらもモグモグちゃんの動きを警戒し、桐葉の盾となるように立ちはだかる。
 その様子に満足そうに頷いた桐葉は、はっと何かに気が付いて。
「念のため言っておくが、わらわの子ではないからの! 式神じゃ! 式神!」
 あらぬ方向へ、妖狐は何だか必死に主張していた。
 さて、そうしてモグモグちゃんへの対策を打っておいてから。
 桐葉は改めてキッチンへと向き直るけれども。
「わらわは豪勢な料理は得意ではないゆえ」
 言って取り出したのは手作り霊符。
 略式の詠唱で、今度は鬼神を召喚する。
 桐葉の式神の中で、特に料理を得意とするその鬼神は、早速キッチンの前に立ち、手際よく調理を始めていった。
 作り上げるのは、豪勢な会席料理。
 森の中なのにしっかりと用意されていた新鮮な海の幸をふんだんに使った舟盛りを目玉として、先付に椀物にと次々と料理が出来上がっていく。
 その様は、流石と言う程に見事だったけれども。
「ううむ……見ているだけも暇じゃ」
 手持ち無沙汰となった桐葉は、ではわらわも一品、と動き出す。
 人参、玉葱、長葱、大根、牛蒡と、小気味良い音を立てて野菜を切っていき。
 蒟蒻と豚肉と一緒に、出汁を入れた鍋に入れる。
 ぐつぐつとよく煮込んだならば、赤味噌を溶いて。
「うむ。わらわ自慢の、体も心も温まる豚汁じゃぞ♪」
 完成した味噌汁に桐葉がどやっと胸を張ると、それを見た鬼神が、会席料理の止め椀にと盛り付けていった。
「次々出てくるよぉ~……この豚汁も具沢山で食べ応えあるぅ~……」
 気付けばもうモグモグちゃんは会席料理に舌鼓を打っていて。
 どんどんなくなっていく料理に、子ぎつね達が目を丸くしている。
「おかわりもあるぞ」
「わぁ~……豚汁もっと欲しい~……」
 もはや鍋ごと抱えそうな勢いで豚汁はあっさり減っていき。
 なくなっていく数々の料理に、桐葉は満足そうに頷いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

化野・花鵺
「やっぱり今はカボチャかなぁ。レンジとマヨネーズがあれば大体何とかなる感じぃ」
狐、UCでフレンチシェフの格好して料理に取りかかった

「腹減りだもんなんちゃってカボチャコースでいいよねぇ?」
狐、いい加減だった

「どんどん行くよぅ」
まず南瓜をレンチンして切りやすい状態に
薄切りにしてマヨディップ添えお通し代わり
大きめ角切り南瓜再レンチンしマッシュ
角切りゆで卵とチーズ、マヨネーズであえクラッカー添え南瓜サラダ
レンチン南瓜マッシュを顆粒コンソメと温めた牛乳で伸ばしてカボチャスープ
メインは南瓜マッシュでコロッケ
最後はパイシートでマッシュ南瓜包んで焼いてパンプキンパイ

「美味しいって言・え♪」
狐、お玉もって迫った



「せぇふく~♪ せぇふく~♪」
 ユーベルコードでフレンチシェフの格好となった化野・花鵺(f25740)は、またもやご機嫌で歌うようにキッチンへと向かう。
「やっぱり今はカボチャかなぁ。
 レンジとマヨネーズがあれば大体何とかなる感じぃ」
 ハロウィンの国だからか、森の木々に生っていたジャックオーランタンの印象からか。
 花鵺は、いろいろ取り揃えられた材料の山の中からカボチャを手にして。
 白いコック帽を調整し、長袖のコックコートに覆われた胸を張ると。
「腹減りだもんなんちゃってカボチャコースでいいよねぇ?」
 格好の割にいい加減なことを言って、調理を開始する。
「あ~……こっちにも猟兵だぁ~……」
 そんな花鵺に気づいたモグモグちゃんが。
「猟兵も美味しいかなぁ~……」
 のんびりと不穏なことを言って、地割れのようにぱかっと大きく開いた口でにっこり笑いながら、その巨体でよいしょっと近づいてくるけれど。
「はい、お通しだよぅ」
 その目の前に、花鵺が早速、お皿を置いた。
 電子レンジでチンして切りやすい状態にしたカボチャを適当な大きさの薄切りにして、マヨネーズをディップソースに添えた、スピード一品。
「ん~……簡単で単純な料理だけどだからこそカボチャを味わえる~……
 ちょっと固めのカボチャの食感もいい感じ~……」
 早速もぐもぐし始めたモグモグちゃんを横目に、花鵺はさらなる調理を進める。
 大き目に角切りしたカボチャは、もう一度電子レンジにかけて。
 柔らかくなったところを、マッシャーで少し粗目に潰して、基本のカボチャマッシュを大量生産。
 そのカボチャマッシュを取り分けて。
 ゆで卵とチーズを角切りにして加えたら、マヨネーズをどばっと。
 よく混ぜて和えたらお皿に盛ってクラッカーを添えれば。
 カボチャサラダの出来上がり。
 マッシャーでさらに潰して滑らかにしたカボチャマッシュに、コンソメ顆粒と温めた牛乳を加えて伸ばして、深皿によそえばカボチャスープ。
 また、カボチャマッシュを適当な大きさに丸めたら、衣をつけて高温の油に投入。
 シンプルなカボチャコロッケに姿を変えて、メインディッシュ。
 最後は、パイシートでカボチャマッシュを包んで、カボチャ型に整えてから焼きあげれば、デザートのパンプキンパイ。
「わ~……カボチャのフルコースだぁ……」
 次々出てくるカボチャに、モグモグちゃんは次々手を伸ばし。
 大きな口に吸いこまれるように、片っ端からカボチャが消えていく。
 その様子を眺めていた花鵺だけれども、ふと気づいて問いかけた。
「美味しい?」
「ん~……?」
 もぐもぐするその口に、止まることなくカボチャは入っていくけれども。
 その言葉が出てくることはなかったから。
 折角作ったのだから、と花鵺はお玉を持って、ずいっとモグモグちゃんに迫る。
「美味しいって言・え♪」
「ん~……美味しいよぉ~……」
「よぅし」
 望む言葉を引き出した花鵺は、満足そうに笑って。
 カボチャがなくなるのを見送っていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ニコ・ベルクシュタイン
【ニコうさ】
食欲というのはシンプルだが凄まじい力を発揮するものにて
…此れは俺の主観だが、うさみはサイズの問題でカロリーが低すぎるだけで
味は美味なのだと思うぞ。ぷにぷにしていて、きっと…(妄想の世界に入る)

(引っぱたかれて帰ってくる)あ、ああ、任せておけ
腕まくりをしてエプロン装着、アシスタントの準備は万端
ニコと!うさみの!何分かクッキング~!
先生、俺は何を…って卵を!?巻く!?大仕事ではないか!!
フライパンの上で華麗に巻くだなんてやった事は無いぞ…
…そうだ!とおもむろにラップを掴むと適当に広げて
焼いた卵を上に乗せ、更にチキンライスを乗せて形を整える
ど、どうだ!とうさみに判断を委ねて顔を見遣ろう


榎・うさみっち
【ニコうさ】
うわーさっきとは違う意味でヤバそうな奴が…
お、俺は食べても美味しくないぜ!
カロリー超低そうだし!

あんまり時間かけてるとムシャッといかれそうだから
手早くいくぞニコ!(ビンタ喰らわしつつ

ニコと!うさみの!何分かクッキング~!
本日のメニューはオムライス!
チキンライスは炊飯器に材料を入れて炊いちゃう!
フライパンで炒めるよりも
時短で美味しくて失敗知らずなのだ!

出来たライスを卵で包むわけだが…
この作業は俺のサイズじゃ大変だから
こんな時こそニコの出番だ!

よーし、綺麗に出来たな!褒めてやろう!
最後にケチャップで(廿x廿)と
うさみっち印を書いて…
仕上げに「おいしくなーれ☆」と
魔法でもかけておこうか!



「おっ? ニコ、キッチンがあったぜ」
(「プリンセスうさみ……何をしていても愛くるしい事此の上無い……!」)
 姫をエスコートする王子のように森の道を進んだ榎・うさみっち(f01902)とニコ・ベルクシュタイン(f00324)も、完璧なキッチンへと辿り着いていた。
 緑色の森から白色のキッチンという景色の変化を面白がって、ふよふよ漂いながら調理器具やら材料やらを眺めていくうさみっちと、その様子に感極まっているニコ。
 ちょっと視点が違うけれども、仲良くやってきた2人は。
 そのキッチンの向こうからこちらを振り返ったモグモグちゃんと目が合った。
「あれ~……また猟兵が来たよ~……」
「うわー、さっきとは違う意味でヤバそうな奴が……」
 虚ろな光の瞳に、笑顔のようにも見えるけれども感情がよく分からない顔に、小さな羽根を器用に動かして思わず少し後退するうさみっち。
 土を盛ったかのようなずんぐりむっくりした巨体の近くには、空っぽの大鍋が1つ、転がっていたけれども。
 ぶっとい手に持ち上げられた、同じく空っぽの別の大鍋は、ばりぼりと食べられて半分程しか残っていない。
 その半分もすぐになくなりそうな様子に、ふむ、とニコは考える仕草を見せ。
「食欲というのはシンプルだが凄まじい力を発揮するものにて」
「だからって、皿ごとどころか鍋ごとかー」
 どこか疲れた様子でうさみっちが呻く。
 そんな2人を見ている……かどうか定かではないモグモグちゃんは、よいしょっと重そうな身体を持ち上げて、近づいて来ようとしていた。
「あ~……こっちにも猟兵だぁ~……猟兵も美味しいかなぁ~……」
「お、俺は食べても美味しくないぜ! カロリー超低そうだし!」
 呟かれた言葉に、うさみっちは慌てて否定しながら、ぴゃっとニコの後ろへ回る。
 自身を盾にしてモグモグちゃんの様子を覗き込む姿を目で追ったニコは。
「……此れは俺の主観だが」
 うさみっちの言葉に、少し不満気に意見を述べた。
「うさみはサイズの問題でカロリーが低すぎるだけで、味は美味なのだと思うぞ。
 ぷにぷにしていて、きっと……」
 確かに、うさみっちは両掌に乗せられてしまう程小さいフェアリーだが。
 元気に赤みの差した白い頬っぺたは、見た目だけでつるつるもちもち。
 淡いピンク色の髪とうさぎの垂れ耳も、優しく甘い印象を与えていて。
 見上げてくる大きな青い瞳は、まるで澄んだゼリーのよう。
 こうなってくると、フェアリーの羽根は繊細な砂糖菓子のようにも見える。
 柔らかくて弾力もありそうな小さな身体から、愛らしい腕が伸ばされれば。
 うさみっちが、とろけるように甘く、微笑んだ。
『ニコ。俺をた・べ・て?』
 ばちーん!
 と、幸せな妄想に浸っていたニコの横っ面に、衝撃が来た。
「あんまり時間かけてるとムシャッといかれそうだから手早くいくぞニコ!」
 無常なビンタを喰らわしたうさみっちは、言い放つとくるりとニコに背を向け。
 ばさぁっとドレスを脱ぎ捨てた。
 その下から現れたのは、赤いエプロン姿。
 作業しやすい半袖シャツと動きやすい長ズボンの上から、胸にウサギのアップリケを、腹部にウサギ型の大きなポケットをつけたエプロンを巻いて。
 頭上で輝いていたティアラに代わり、ウサギのヘアピンをアクセントにした赤い三角巾が帽子のように頭を覆う。
 ふよふよ浮いているから要らない気がするスリッパも、可愛いウサギデザインで。
 プリンセスからクッキングスタイルへ、見事な早着替えを見せる。
 妄想から現実へ、そして甘いお姫様服から活動的な格好へ。
 訪れた急激な変化に、ニコは愕然としながらも。
(「しかし、エプロンうさみも愛くるしい……!」)
 新たなスタイルが見れたことに喜んで、片手で口元を覆いつつ、もう片方の手でガッツポーズを見せた。
 そこに投げつけられる、青いエプロン。
「ほら、急げニコ!」
「あ、ああ。任せておけ」
 ぷんすか怒っているうさみっちに、怒り顔も愛くるしい、とこっそり思いながら。
 ニコは腕まくりをすると、うさみっちと色違いで同じデザインのエプロンを身に着け、アシスタントとしての準備を整える。
 よし、と顔を上げれば、目が合ったうさみっちが頷いたから。
「ニコと!」
「うさみの!」
「「何分かクッキング~!」」
 2人は声を合わせてタイトルコールを響かせた。
「さあ、本日のメニューはオムライス!
 ポイントは、チキンライスを炊飯器で作っちゃうところだ!」
 早速、てきぱきと動き出すうさみっち。
 炊飯器にお米と水を入れて、ケチャップをぼとぼと。
 一口大に切った鶏肉に下味をつけて、人参、玉葱、ピーマン、しめじと野菜類をみじん切りにしたら、コンソメ顆粒とも一緒に全部炊飯器へ。
 あとは、ポチッとスイッチを押して待つだけ。
「フライパンで炒めるよりも炊飯器に材料を入れて炊く方が、時短で、美味しくて、失敗知らずなのだ!」
「油を使わない分ヘルシーにもなるな」
 作業と共に解説するうさみっちに、ふむふむとニコは頷いて。
「そして待ったものがこちらになります」
 おもむろに、同じ形の炊飯器を調理台の向こうから引き寄せ、蓋を開けた。
 何故かしっかりと出来上がっているチキンライス。
 細かいことは考えちゃいけません。
 カボチャコースで時間を稼いでもらってはいるものの、モグモグちゃんはすぐそこで、大きな口を開けているのですから。
 というわけで、不思議現象を気にも留めず、うさみっちは炊飯器の中身を確認すると。
「今日のメニューはオムライスだからな。
 出来たチキンライスを卵で包むわけだが……
 この作業は俺のサイズじゃ大変だから、こんな時こそニコの出番だ!」
「卵を!? 巻く!? 大仕事ではないか!」
 あっさりと割り振られた作業に、ニコが慌てて振り返った。
 だが、不安いっぱいの表情に気付いているのかいないのか、うさみっちはフライパンをずりずり引きずってきて、ほれ早く、だなんて言ってくる。
「フライパンの上で華麗に巻くだなんてやった事は無いぞ……」
 とりあえずフライパンを受け取っては見たものの、ニコは難しい顔を見せ。
「……そうだ!」
 何かを思いついたように表情を明るく一変させると、一気に作業を始めた。
 ボウルに卵を割ってよく溶いて、軽く下味をつけたなら。
 火にかけたフライパンに流し入れて、薄焼きというには分厚い卵を焼き上げる。
 本来ならその卵の上にチキンライスを乗せるのだが。
 おもむろにニコが掴んだのは、食品用ラップフィルム。
 適当に広げたラップの上に、焼いた卵を乗せてから。
 さらにチキンライスを乗せ、ラップで大きく巻くようにして形を整える。
 よいしょっ、とお皿の上にひっくり返すように乗せてラップを取り外せば。
「ど、どうだ!」
「よーし、綺麗に出来たな! 褒めてやろう!」
 伺うように顔を覗き込んだニコに、うさみっちは満足気に笑って見せた。
 最後の仕上げ、とケチャップを抱き着くように持ち上げたうさみっちは。
 器用に飛び回り、(廿x廿) とうさみっち印を描いて。
「あとは魔法だな」
「魔法?」
 首を傾げるニコの前で、ケチャップを置くと、愛らしく両手をオムライスに向ける。
「おいしくなーれ☆」
「……くっ!」
 不意打ちで直視してしまったニコが、真っ赤な顔を手で隠しながら反らしました。
「ん~……美味しいの~……?」
 その騒ぎに気付いてか、カボチャコースを食べ切ったからか、モグモグちゃんがやってきて、無造作に手を伸ばすと皿ごとオムライスを口に入れる。
「具がいっぱいで食べ応えあるぅ~……ケチャップの量もちょうどいいし~……
 卵もいい感じの焼き具合と包み具合だぁ~……」
 簡単クッキングにも関わらず、絶賛されるオムライスに、うさみっちはよっしゃっとガッツポーズを見せて。
 だがしかし、ニコは冷静な表情を見せつつも、どこか憮然としていた。
(「この見た目の愛くるしさに言及がないとはどういうことだ!?」)

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ニコリネ・ユーリカ
何を食べても物足りないのは愛を感じないから
貴方の為に心を籠めて作られた料理を食べたなら
きっと倖せに満たされて眠れるわ

🍔料理
バンズに2/3程ナイフを入れて
レタスにトマト、ハンバーグを挟みましょう
ベーコンはベロンと出して舌に
三角に切ったスライスチーズで牙を
丸く切り抜いたものは海苔と合わせて目玉を模り
がぶがぶ噛み付きそうなモンスターバーガーを沢山作りましょ
ハロウィン映えするコワかわ料理の出来上がり!
おいしくなぁれ♪の魔法を掛けたら、お腹いっぱい眠くなる

⚔攻撃
料理を食べてくれたら、いい子の手に【Kryptonite】を
シュシュみたいに可愛い花輪を付けて弱体化を図るの
微睡みの裡に骸の海に還してあげたい



 手に取った丸いバンズをぽんぽんっと弾ませて。
 その柔らかさを確認したら、横に半分に切るようにさっとナイフを躍らせる。
 全部を切り離さず、端を少し残せば。
 ぱかっと開けた切り目は、まるで大きく口を開けたかのよう。
「ふふっ。がぶがぶ噛みついちゃうわよ」
 ニコリネ・ユーリカ(f02123)は、つんっとバンズの口元をつついて笑った。
 そこに挟むのは、分厚く大きなハンバーグ。
 布のようにひらひらしたレタスと、血のように真っ赤なトマトも乗せて閉じれば、本当に何かを齧り取ったかのようになり。
 さらに鋭い牙を、三角に切ったスライスチーズでつけていく。
 丸いバンズの上部には、丸く切り抜いたスライスチーズを、さらにその上に丸い海苔を乗せて、ぎょろっとした目玉を作り上げれば。
「モンスターバーガーのできあがり!」
 コウモリのワンポイントがついたオレンジ色のエプロンをつけた、コワかわなプリティバットは、ハロウィン映えするハンバーガーを乗せたお皿を両手で掲げて微笑んだ。
 そんなニコリネに、オムライスを食べ終わったモグモグちゃんが振り向いて。
「まだまだ食べれるんだよぉ~……」
 早速、モンスターバーガーに太く大きな手を伸ばした。
 がばっと開かれた口は、ハンバーガーよりも格段に大きかったから。
 あっさり1口でなくなってしまったけれども。
 ニコリネはすぐに次のバンズを手にして、手早くお代わりを作っていく。
「何を食べても物足りないのは、愛を感じないからよ」
 作った傍からなくなっていくモンスターバーガーを見つめる紫色の瞳に、少しだけ憂いの色を混ぜながら、ぽつりと語りかけるニコリネ。
「ん~……?」
「貴方の為に心を籠めて作られた料理を食べたなら、きっと倖せに満たされて眠れるわ」
 バンズの間に、ハンバーグやトマトだけでなく、愛情も挟んでいくつもりで。
 手早く、でも丁寧に、1つ1つ作り上げていった。
「私も魔法をかけてあげるわね」
 そして最後の1つは、伸ばされたモグモグちゃんの手を一旦制止して。
 首を傾げるようにこちらを見つめる虚ろな光の目に、ニコリネは悪戯っぽく笑って見せながら、その繊手を伸ばした。
「おいしくなぁれ♪」
 それは魔力も何も伴わない、ただの言葉。
 けれども、食べる人に喜んで欲しいと願う、愛の言葉だから。
 モグモグちゃんは、他の料理と同じように無造作にバーガーを口にして。
 またもぐもぐとあっさり食べ終わってから。
「……美味しいぃ~……」
 思わず零れたかのように呟いた。
 それまでの批評的な料理の感想ではなく。
 無理矢理言わされた言葉でもなく。
 心のどこかから湧き上がってきたかのような響き。
「いい子ね」
 ニコリネは優しく微笑むと、モグモグちゃんの武骨な手を取った。
「いい子の手にプレゼント」
 どこからともなく現れた可愛い花輪は、シュシュのようにその太い手首を飾り。
 穏やかに淡い燐光を放つ。
 それはニコリネのユーベルコード。
 相手を弱体化させる枷ではあるけれども。
(「微睡みの裡に骸の海に還してあげたいもの」)
 そこに込められた願いは、愛の言葉と同様に、優しいものだったから。
 モグモグちゃんは花輪を外すことなく、どこか眠そうに目を擦りながら、ふらふらとした足取りで次の料理へと向かっていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

杜鬼・クロウ
【男子会】アドリブ◎
悟郎→応援団長の様な長い学ラン

やっとあの仮装から解放されたぜ!
この服は悪かねェな
去年は魔王やったし今年は騎士で決めてヤんよ
悟郎はやっぱ黒が似合ってンなァ、格好イイぜ!
カイムは…(吹き出す
何でお前だけまた…イヤある意味当たりだな(ガン見

着替え後に餃子作り
初めて作る為スマホでレシピ見ながら真面目に作る
普通の具と野菜多め、じゃがいもチーズなど
包み方も手先器用な方なので綺麗に
水入れて羽根餃子に

お、変わり種イイな!俺も入れるか
焼くのは俺がやるわ!
良い感じに焼けたかもしれねェ

味見という名の食事会

こういう味なンだなァ
海老餃子も美味ェ!酒飲みたくなるぜ
じゃァ、敵サンも温かい内にどうぞってな


カイム・クローバー
【男子会】

・クロウの仮装を白マントを羽織った騎士風へと変更

仮装チェンジだ。ハイヒールってのは動きにくくてダメだわ。料理も多分、めちゃくちゃやりにくいんじゃねぇかな。
悟郎、クロウの二人の仮装を見て、期待は最高潮だ。学ラン、騎士風…なるほどね。今度はマトモな服ってわけだ。(ニヤリ)
さぁ、俺はどんなのが……(凍り付く)……クソッタレェェェェェ!!!

……餃子には全力で取り掛かる。俺達も食う以上、下手なモン、混ぜれねぇし。
あのバケモンが食うだけなら、妙なモン、混ぜまくって『愛情だ』と言い張るトコだが。
焼けた後はツマミ食いでもしてみるか。試食係は必要だと思うしよ。
ん…美味いな!才能あるぜ、二人共!


薬師神・悟郎
【男子会】

★カイムの仮装→妖精
ドレスと羽根がキラッキラ光って眩しい綺麗
魔法のステッキ装備で完璧だな!

学ランとは初めだ
この歳で制服を着ることになるとは思わなかったが
クロウやカイムと並んでもおかしくないだろうか?
二人は綺麗に着こなしているようだ
これが真のイケメンの姿かと感心する

さて、餃子作りに挑戦だ
どうせなら変わり種を作ろうぜ
とろろ昆布も面白いし、海老とアボカドは普通に食いたい
折角だから色々作ってみよ

食べてくれる奴がいるから、食材の無駄になることはないはずだ
俺は少食なので、味見は二人に任せることになるが

例え出来上がったものが不恰好でも、俺達が作ったものなら美味いはずだ
覚悟しろよ、モグモグちゃん!



 料理に取り掛かる前に着替えないか、と言い出したのは誰だったか。
 確かに、剣を振れなかったりすっ転んだり、戦闘にも四苦八苦していた格好では、料理もめちゃくちゃやりづらいのは想像に難くなく。
 ゆえに、提案に全員一致で、森から新たな仮装を手に入れて。
「やっとあの仮装から解放されたぜ!」
 重く動き辛い十二単を脱ぎ去った杜鬼・クロウ(f04599)は、開放感に浸っていた。
「この服は悪かねェな」
 大きく腕を広げて、ばさり、と翻すのは白いマント。
 その下の中性ヨーロッパを思わせるデザインの上着も、タイトなパンツもロングブーツも全てが白色を基調として、ベルトや襟元、袖口などに黒と青とでアクセントを添える。
 随所に施された装飾は銀糸と銀細工で、白と青とを生かし、清廉ながらも凛々しい騎士となっていた。
 甲冑やらチェインメイルやらといった実際の戦う騎士に必要な装備はなく、儀礼用と思われる意匠は仮装ゆえか。
 おかげで、先ほどより格段に軽く、動きやすくなった身体に、クロムは満足気に笑う。
 対照的に真っ黒になったのが、薬師神・悟郎(f19225)。
「この歳で制服を着ることになるとは思わなかったが」
 気にするように指で触れたのは、首元を締める高い詰襟。
 黒一色で模様もない生地の中で、大き目な金色のボタンが目を惹く、いわゆるボタン式男子学生服ではあるのだが。
 その上着の丈は、膝にまで届くほど長い。
「学ランとは初めだ」
 少し感動を見せる悟郎ですが、最初から変形学生服なのはどうかとも思うところ。
 まあ、ブルマな体操服に比べれば、そんなことは些事でしょうが。
「やっぱ黒が似合ってンなァ、悟郎。格好イイぜ!」
「クロウは珍しく白いな。
 だが、白も綺麗に着こなしている。これが真のイケメンの姿なのだな」
 ひょいと長ランの裾をつまみ上げ、にやりと笑いかけてきたクロウに、悟郎も感心するかのような表情で褒め返した。
「騎士風、学ラン……なるほどね。今度はマトモな服ってわけだ」
 そこに笑みを含んだカイム・クローバー(f08018)の声が響く。
 クロウと悟郎は出迎えるように振り向いて。
 その姿を目にするなり、固まった。
「それで何で俺だけこうなんだクソッタレェェェェェ!」
 カイムの叫びが響き渡る。
 そこにいたのは、妖精だった。
 背中から生えた半透明の2対の羽根は、光が当たる角度で七色に色を変え。
 ふんわりと風を纏ったような柔らかな布を重ねたドレスと共に、魔法をかけられているかのようにキラキラと綺麗に輝く。
 ノースリーブの肩口と、膝上どころじゃないミニスカートの裾には、花弁を思わせる装飾が施され、腰にも大輪の花が咲いて。
 森の中にふさわしい、木と花の妖精の仮装、なのだが。
 体格のいい成人男性が着る衣装ではないですね。確かに。
「カイム……何でお前だけまた……
 イヤある意味当たりだな」
「綺麗に着こなしている。これが真のイケメンの姿なのだな」
「うるせえぇぇ!」
 吹き出すのを我慢するクロウと真顔の悟郎に反射的に叫び返すカイムだけれども。
 怒りに任せて振るったのは、ひらひらリボンを重ねて八重咲きの花を模した、きらびやかな魔法のステッキだったから。
 我慢しきれずクロウが噴き出しました。
「だから何で俺だけぇぇ!」
「ほ、ほら、カイム。ハイヒールより動きやすくなってよかったな?」
「足がスースーするけどな!」
「ウサギ耳がない分、頭も軽そうだ」
「何かでっかい花飾りつけられてるけどな!」
「さっきの筋肉マッチョなおっさん達より格段に綺麗だぞー」
「顔立ちは綺麗だし髪も長いから違和感が少ないな」
「比べる相手が間違ってるし褒められても嬉しくねえし!」
「何だ。さっきの仮装の方が良かったのか? バニーカイムちゃん」
「バニーボーイカイムもよかった」
「思い出すなそっちも忘れろ!」
 やたらテンポよく言葉を交わしながら森の中を進めば、目の前に現れたのはキッチン。
「さて、餃子作りに挑戦だ」
 そして何事もなかったかのように、悟郎は学ランの上からエプロンをつけて。
「はいこれ魔法少女カイムちゃんの分」
「にやにや笑いやめろ!」
 クロウが差し出したエプロンをカイムが奪うように受け取った。
 苦虫を噛み潰したような表情で、しかしカイムは素直にエプロンをつける。
 何しろ、調理器具から食材から完璧に揃ったキッチンの向こうには、この国のボスとなったオウガ『モグモグちゃん』の姿があって。
 それを倒すには、料理を作る必要があると説明を受けていたのだから。
 強化のコスプレ衣装と同様に、カイムに断る選択肢は浮かばない。
 それに、身に着けたエプロンは、模様も装飾もないシンプルなもので。
 ひらひらふわふわの魔法少女衣装を、特にカイム自身が見える部分の大部分を、隠してくれていたから。
 気持ち余裕を取り戻して、カイムは食材に手を伸ばした。
 クロウも、思い至った『メイドカイムちゃん』という呼称を飲み込んで、スマートフォンを取り出すとレシピ検索。
 初めて作る餃子に真面目に取り組み始める。
「普通の具と、野菜多めのと作ろう」
 見つけたバリエーションレシピに目を留めて、2種類の具を作り上げれば。
 手先が器用なクロウは、初めてとは思えない手つきで綺麗に餃子を包んでいく。
 そんな手元を隣から覗き込んだ悟郎は。
「どうせなら変わり種を作ろうぜ」
 言って、とろろ昆布や海老、アボカドといった食材を手に取って見せた。
 普通の具に、巻き付けてみたり、大き目に切って入れてみたり。
 一工夫加えてから餃子の皮で包んでいく。
「お、変わり種イイな! 俺も入れるか」
 それを見たクロウも倣うように、じゃがいもにチーズにと食材を加えていった。
「俺達も食う以上、下手なモンは混ぜれねぇけどな」
 カイムも普通の餃子をある程度作ったところで、食材を探り始め。
 チョコレートとかオレンジとかにちらりと視線を向けて苦笑する。
「あのバケモンが食うだけなら、妙なモン混ぜまくって『愛情だ』と言い張るトコだが」
 酷い事を言いながら、けれども実際に手を伸ばしたのは、無難に餃子に合いそうなとうもろこしや枝豆で。
「折角だから色々作ってみよう」
「焼くのは俺がやるわ!」
 更にバリエーションを増やす悟郎に、そろそろ次の工程もとクロウが動き出した。
 レシピでポイントをしっかり押さえながら、フライパンに餃子を並べ、途中で小麦粉入りの水を差して、皮をもちもちにすると同時に見事な羽根も焼き上げていく。
「良い感じに焼けたかもしれねェ」
 お皿に盛りつけて、その出来栄えに胸を張れば。
「ん……美味いな! 才能あるぜ、2人共!」
 早速カイムがつまみ食い。
 あー、とクロウが非難するような視線を向けるけれども。
「試食係は必要だろ?」
「じゃァ、俺も」
 悪びれずに笑うカイムに、一転してクロウも笑いかけ、倣うように一口ぱくり。
「こういう味なンだなァ。
 ……おっ、海老餃子も美味ェ! 酒飲みたくなるぜ」
 さらに一口、また一口と進む。
「酒、酒……これか?」
「料理酒だな」
「もっといい酒よこせェ!」
「悟郎もつまむか?」
「いや、俺は少食だ。味見は任せる」
「俺はどんどん焼いてやるわ!」
「少食のわりにすごい量作ってるなァ」
「食べるだろう? 食材の無駄になることはないはずだ」
「ん~……?」
 そしてわいわいと味見という名の食事会をしつつ、作業を進めるその中に。
 ふらふらとモグモグちゃんが混じってきた。
 ぼんやり光る頭部の明かりを、さらにぼんやりさせて。
 どこか千鳥足で餃子に向かってくる巨体。
「温かい内にどうぞってな」
 その目の前に、クロウはフライパンから移したばかりの羽根餃子をずいっと置いた。
 反射的にモグモグちゃんは、花飾りのついた太い手で皿を持ち上げ、がばっと開いた大きな口に餃子を流し込んでもぐもぐ。
「あ~……ぷりぷりの海老が……ぁ~……」
 明らかにゆったりした動きで、間延びしたような声を零す。
 感想もぼんやりと途切れ途切れになっていて。
 それでも、モグモグちゃんは餃子に手を伸ばし続けた。
「おっ、とろろ昆布いいねェ」
「枝豆入りはつまみのようだな」
「伸びると思ったらチーズか。美味いな」
「やっぱ酒が欲しいぜ」
「だからここに」
「その料理酒マズいんだよ」
「飲んだのか」
 その巨体の隣で会話を弾ませながら、3人も調理から食事へと移ってきて。
「おい、バケモノ。食ってるか?」
「足りなかったらまた焼くぜェ」
「不恰好でも、俺達が作ったものは美味いはずだ」
「才能あるしな!」
 モグモグちゃんにも気さくに声をかけながら、餃子を勧め、また共に餃子を食べる。
「みんなで食えばより美味いからな」
「ん~……」
 モグモグちゃんは首を傾げるかのように、身体を傾けた。
 優しい味のシチューに、豪華な会席料理、温かい豚汁。
『美味しいって言・え♪』
 カボチャのフルコースに。
『おいしくなーれ☆』
 可愛いオムライス、そして。
『いい子の手にプレゼント』
 モンスターバーガーと淡く光る花輪。
 モグモグちゃんは、これまでに食べた料理を思い出し。
 自分の為に作られた料理を感じて。
 皆と一緒に料理を囲む。
「美味しいんだよぉ~……」
 餃子を食べながら満たされたように呟いたモグモグちゃんは、その場にごろんと寝転んで、すやすやと穏やかな寝息を立て始めた。
 この国の法則で与えられていた無敵の強化が解けたのを感じ取り、クロウはそっと立ち上がる。
 カイムと悟郎が見守る前で、炎を模した唐菖蒲のお守り『炎連勝奉』を取り出し。
 その形状を炎の刀へと変えると。
「……温かい内にどうぞってな」
 優しく振り下ろされた刃から、唐菖蒲の花弁と見紛う炎が美しく、舞った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年11月06日


挿絵イラスト