ドルトムンド戦記Ⅲ~和平会議破壊工作を阻止せよ~
●クロムキャバリア・ドルトムンド同盟国 ???
「いやー、ここまで邪魔されるとはねぇ」
そこはドルトムンド同盟国のある都市の隠れ家。複数の男達が密会を開き、抱えている難題について話し合っている。今、声を上げた男はこの男達を統率する上司のようで、部下らしき男達を睥睨している。
そしてその難題とは、ドルトムンド同盟国とリンドランド公国の和平についてだ。
「テムス河、ロンディウム……いずれも速やかに鎮圧されて情勢に変化はなし。これじゃこの展開も無理はないね」
上司らしき男はここ最近のドルトムンド同盟国で起こった出来事の裏で暗躍していた。テムス河侵攻作戦、プラント「ロンディウム」の叛乱……すべてはドルトムンド同盟国とリンドランド公国の和平締結を妨害することだった。
だがそれは不発に終わり、今や首都ドルディアにおいて和平会議が開かれる段階まで事態は進んでいる。条約が締結され、戦争が終結するまであと少しまで迫っていた。
「どうやらこの和平会議にはリンドランド大公が直々にドルディアに向かうそうだよ?」
「国家元首が敵国の首都に……和平が現実味を帯びてきましたね」
「そう、だからこそこれが最後のチャンスだ」
現在飛行船にて首都ドルディアに向かっているリンドランド大公。それがドルトムンド同盟国の国内で襲撃され、亡き者になった場合どうなるだろうか? ドルトムンド国内での襲撃の上の死去となれば、確実に陰謀・暗殺論が浮上する。リンドランド公国の世論は敬愛する大公の復讐という業火で炎上することだろう。
幸い、現リンドランド大公の後継者は幼く、その弟はドルトムンド同盟国に対して主戦論者だ。リンドランド大公がここで死ねば、勝手に和平の道は断たれ、泥沼の戦争になっていくだろう。
「リンドランド大公護衛のキャバリア部隊となれば最精鋭でしょう。うまくいきますか?」
だが懸念もある。リンドランド公国大公が乗る飛行船となれば、相応のキャバリア部隊が警護についているだろう。おそらく最精鋭となれば、簡単に暗殺などできるはずもない。
だが上司らしき男は不敵に笑う。
「何、心配いらない。こちらのキャバリアはいわくつきだが性能は上だ。ただし、精神に異常をきたす代物だが」
そう言って上司らしき男が視線を移すのは複数体のキャバリア。だがどれも普通のキャバリアよりも異様なオーラを纏っていてまともではない印象を受ける。
これこそ「オブリビオンマシン」という、呪われた機体であった。彼等はその効能をよく知っている。なぜならばリンドランド公国の過激派に横流ししたのも、ロンディウムに運び込まれるように手配したのも彼等なのだから。
「軍上層部はどうやってこんなものを……」
「それを知る必要はないよ。だが国家に忠を尽くす為に、やるかやらないかだ」
その上司の言葉に覚悟を覚悟を決める男達。和平が成れば、自分達の国が次は脅威にさらされる。ならば、国家と自分達の国民の幸福の為、両国には不幸になって貰おう。その悲愴な決意を籠めた顔になった部下を見て、上司らしき男は手を叩く。
「OK。それじゃ始めよう、セプテム連合王国第七秘匿部隊『宵鴉』出撃だ」
●グリモアベース・ブリーフィングルーム
「どうやら一連のオブリビオンマシン騒動の線が繋がったようじゃのー」
そう言ってグリモア猟兵メイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)は予知した情報を話しつつ、リンドランド大公が乗った飛行船を映し出して電脳ウィンドウを開いている。この飛行船を守るのが今回の任務となる。
「今回の襲撃者の言っていたセプテム連合王国はドルトムンドとリンドランドの国境とは反対に位置する国じゃのー。要は和平が成立したら、戦力がそちらに向きかねんという懸念じゃろーのー」
セプテム連合王国はドルトムンド同盟国と肩を並べる国だが、四方に敵を構え、ドルトムンドに集中できる情勢ではない。そんな中でドルトムンド側の防衛戦力が増強されれば国防の危機を呼ぶことになる。それを避けるための和平妨害工作というわけだ。
「テムス河、プラント『ロンディウム』で失敗した奴等は最後の作戦に出るわけじゃのー。オブリビオンマシンに乗っておるから、このままいけばリンドランド大公の飛行船は防衛戦力ごと殲滅されるじゃろーのー」
それほどまでに戦力差はある。だからこそ猟兵の出番というわけだ。なぜセプテム連合王国がオブリビオンマシンを調達できたのかは不明だが、今は破壊工作の阻止が最優先となる。
「あと今回は早く終わったらドルトムンド同盟国を観光するのもいいじゃろーのー。それじゃ頑張ってきてのー」
そう言いながら、メイスンは転移術式を展開する。国家に忠誠を尽くす表には出ない暗躍部隊を前に猟兵達が力をもって、陰謀を粉砕すべく立ち塞がる。
ライラ.hack
要人警護も一苦労の世界ですね。
どうも皆様こんにちわ、ライラ.hackです。
このたびはクロムキャバリアの国の一つ、ドルトムンド同盟国で行われる和平会議の破壊工作の阻止となります。
敵国・リンドランド公国大公の飛行船を襲撃しようとするオブリビオンマシン部隊を撃退し、和平のチャンスを守ってください。
飛行船を落とすことということで敵は空中機動が得意なオブリビオンマシン部隊となっています。空中戦上等、対空攻撃得意のキャバリアはもちろん、飛行船に乗り込んで撃墜でも構いません。
なお戦後はリンドランド大公からお礼があるかもしれません。お楽しみに。
この世界における注意事項は以下の通りです。
●クロムキャバリア世界について
キャバリアをジョブやアイテムで持っていないキャラクターでも、キャバリアを借りて乗ることができます。ユーベルコードはキャバリアの武器から放つこともできます。
どの小国家も主戦力はキャバリアである。また高速飛翔体を無差別砲撃する暴走衛星「殲禍炎剣(ホーリー・グレイル)」空を自由に行き来でない状態である。
以上となります。一連のドルトムンド同盟国の争乱を起こした一味を一掃しましょう。
それでは皆様の素晴らしいプレイングをお待ちしております。
第1章 集団戦
『機動殲龍『空翔』』
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POW : ブリッツウィング
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【キャバリア】から【ミサイルと機銃による追尾攻撃】を放つ。
SPD : オーバーブーストマキシマイズ
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【キャバリアを更に加速。敵に近づき翼】から【敵機を吹き飛ばす衝撃波】を放つ。
WIZ : ダブルバレルカノン
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【キャバリア】から【鋼鉄をも貫くビームカノンによる連続攻撃】を放つ。
イラスト:イプシロン
👑11
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●クロムキャバリア・ドルトムンド同盟国 リンクス樹海上空
リンドランド公国の国主、ルドルフ大公。ドルトムンド同盟国が周辺国を統合する前から戦争を続け、現在に渡るまで互角に渡り合ってきたリンドランド公国の若き大公である。
だが近年のリンドランド公国の国力低下、ドルトムンド同盟国の強大化に伴い、和平の道を切り開いた革新的な人物でもある。彼なくしてはこのたびの和平はなかったであろう。
そのルドルフ大公は今、ドルトムンド同盟国首都ドルディアへと向かっている。そこで両国の和平について話し合う会議が行われる手はずになっている。もちろん、ドルトムンド同盟国の首脳達も一堂に介する、まさしく歴史に残る会議になるであろう。
「……我が子に少しでも戦争の苦しみを減らしておかねばな」
そう呟くルドルフ大公の脳裏に浮かぶのは、幼き我が子の顔。今なおドルトムンド同盟国と徹底抗戦を主張する弟と対立してでも強硬派を説き伏せ、この日を迎えたのは次の世代に平和の種を残す為である。
この和平も長く続かないかもしれない。だが誰かが何とかしなくていけないのだ。だからこそルドルフ大公は動いた。リンドランド公国の国主として、責任を果たそうとしているのだ。
「た、大変です、ルドルフ大公! 所属不明のキャバリア部隊がこちらに向かってきています!」
だがその平和の祈りを踏みにじろうと、戦争の悪意は近づいていた。恐るべき、過去の戦争の亡霊と呼べる機体を伴って、平和を蹂躙せんと迫り来る。
「腹を括れ。ここでルドルフ大公の飛行船、キャバリア部隊もすべて全滅させる。一切生存者は残すな」
そう言って金色のオブリビオンマシンに搭乗したセプテム連合王国第七秘匿部隊『宵鴉』の隊長は指令を下す。それに部下達は一切無駄な思考もなく、自身のオブリビオンマシンを操る。
機動殲龍『空翔』。嘗ての戦闘機乗り達に愛用される機動殲龍シリーズの一機であり、空中戦特化型キャバリアだ。
殲禍炎剣(ホーリー・グレイル)から逃れるため低空での飛行、停止、3次元機動を可能とし空に想いを馳せる者には垂涎の機体である。さらにオブリビオンマシン化している為に、恐るべき空の狩人と化している。
「よし、編隊を組んでリンドランドのキャバリアを潰す。強襲開始!」
そして空翔は低空での飛行を行いながら、リンドランド公国の飛行船に襲い掛かる。今、ルドルフ大公に人生最大の危機が襲い掛かろうとしていた。
ティー・アラベリア
和平によって幸福になる方もいれば、不幸になる方もいる。
人間の皆様の世界とは儘ならぬものでございますね…。
それを悲嘆しながらも、どこかで好意的に捉える私の疑似人格もまた…いえ、詮無き事ですね。
今はただ、奉仕人形として任務を果たすのみでございます。
空中戦は私の十八番です。
戦闘機動機構で戦闘機動を行い、用途と有効射程の異なる90式、92式、95式、97式魔杖を周囲に浮遊させる形で展開。
魔導波探信儀で取得した敵の情報を用い、92式で敵の高速機動を妨害致します。
敵が回避機動に移ったタイミングで95式の誘導弾を用いて撃墜を試みます。
敵が護衛対象に迫った際は、97式の散弾とUCを用いて攻撃を破砕いたします。
貴司・忍
空中
360度全てを警戒しなきゃいけないこの状況は明らかに此方が不利だ
だから片っ端からぶん殴る!
…迎撃はともかく警護は苦手なんだよ…
六号開天を飛行船から出撃させ、即コード発動
空中での停止はできないがかっ飛べるし噴進装置で直角的に移動すりゃ誤魔化せる
大推力で無理やり軌道を変えミサイルの追尾を振り切る
機銃はチェーンソーを突き出し着弾する者を破砕
んで、肉弾特攻…【重量攻撃】体当たりとも言う
G?…そこは、気合だ!
しかしまぁ特化だけあって細っちろい
組付ければこっちのもんだ
胸部機関砲零距離射撃、ぶっこむ!
戦乱の火種はぜーんぶあたしの敵だ
てめぇらただじゃ返さねぇ…
真っ向勝負だ
掟破りの【空中戦】と行こうか!
リジューム・レコーズ
来ましたか
オブリビオンに唆されたようにも思えますが…今は実力で排除する以外ありませんね
相当な練度を誇る部隊のようですね
挙動に全く無駄が無い…まるでウォーマシンのよう…
殲禍炎剣の迎撃判定高度も熟知していると見ました
敵に高度を合わせておけば、アークレイズの機動性を最大限発揮出来るはず
同条件の機動戦闘なら遅れは取らない
そして音速を超えてくるというならば此方も超えるまで!
HDD起動
機銃はバリアで弾きミサイルはベルリオーズで撃ち落とし
フルブーストで突進を繰り返し体当たりを以って空翔の主翼を粉砕します
わたし達の敵はあくまでオブリビオン
パイロットを殺害する理由はありません
これで言い訳が付くでしょう!?帰れ!
ドルトムンド同盟国リンクス樹海。リンドランド公国から国境となるテムス河を越えて、首都ドルディアに至るルートの中で最も都市部に通らない飛行ルートにある一面に広がる大樹海である。
このルートを取ったのには勿論理由がある。まずは敵国であるリンドランド公国の飛行船を見て、自国民に不安を与えるというのが理由の一つである。特に国境付近の都市はリンドランド公国との戦争で家族を奪われた者も多い。そういった感情からの襲撃を避ける意味合いもあるのだろう。
事実、このリンクス樹海は辺り一面が樹々に覆われた地形で、人が生活している様子は全くない。だからこそ、リンドランド大公ルドルフが搭乗する飛行船と護衛のキャバリア部隊は航行をしていたのだ。
「来ましたか。オブリビオンに唆されたようにも思えますが…今は実力で排除する以外ありませんね」
その樹海の木の上ギリギリを高速低空飛行する空翔を確認したリジューム・レコーズ(RS02・f23631)は冷静に分析する。その練度は観察すればすれするほど相当な練度を誇る部隊と推察される。
機体性能だけではないパイロットによる精度の高さを伺える操作技術。その挙動の全く無駄のなさにまるで自身のようなウォーマシンを想起させるリジューム。
「殲禍炎剣の迎撃判定高度も熟知していると見ました」
故に自身が搭乗しているオブリビオンマシン「アークレイズ」も空翔の高度を合わせておけば、その機動力をいかんなく発揮できるはず。その性能を最大発揮できる戦場体制を整えるリジュームに対し、貴司・忍(人間の量産型キャバリア・f30325)も追従する行動をとっていた。
量産型キャバリア「六号開天」。新立花重工製、特攻部隊【開天組】用キャバリアの隊長機である機体を駆り、忍は空翔の飛んでくる方向を見つめる。
「……迎撃はともかく警護は苦手なんだよ」
忍の性格上、護衛という方向性はあまり向いていない。飛行船をいかに守るかという考えでは、恐らく性能を最大限に発揮することはできないであろう。
ならば発想の転換とばかりに忍は考える。360度全てを警戒しなきゃいけないこの状況は明らかに此方が不利、ならば攻めに転ずる。
「だから片っ端からぶん殴る!」
そして飛行船から出撃し、空翔の機動戦に真っ向勝負を挑む。能力「開天肉弾戦法(カイテングミノヒッススキル)」を発動させ、高速飛行しながら空翔に迫る六号開天。
対する空翔もさらに加速しながら翼から衝撃波を飛ばして吹き飛ばそうと試みる。それを六号開天を大推力で無理やり軌道を変え、翼の軌道上から逸れさせる。
「空中での停止はできねえが、かっ飛べるし噴進装置で直角的に移動すりゃ誤魔化せるんだよ!」
まさしく空中での出鱈目な機動をした忍。そしてそのままさらに逆噴射で再び対抗するように飛翔し、空翔に対して真正面からの体当たりを試みる。
肉弾特攻、重量と飛行速度に乗せた体当たりとも呼べる攻撃。身体に恐るべき重力負荷を感じるが、それは忍の忍耐と気合で耐えきり、激突する。その瞬間、チェーンソーは空翔の機関銃に突き刺さり、空翔へと取り付く。
「しかし、まぁ特化だけあって細っちろい。組付ければこっちのもんだ!」
予想以上に衝撃が少ないことに驚きつつも、六号開天の胸部重機関砲の零距離射撃が炸裂する。体当たりとチェーンソーによって反撃すらままならない損傷をおっていた空翔ではあるが、その重機関砲によって跡形もなく吹き飛ばされる。
空翔の機体がバラバラに吹き飛ばされ、中心部の動力が爆発を引き起こす。樹海へとバラまかれる空翔の残骸の中、六号開天は次なる獲物を見据える。
「戦乱の火種はぜーんぶあたしの敵だ。てめぇらただじゃ返さねぇ……」
そんな友軍を撃破した忍の六号開天に挑もうとする空翔だが、そこを阻んだのはリジュームのアークレイズだ。高速機動と同じ高度という同条件下における戦闘ならば遅れを取るつもりはない。
「音速を超えてくるというならば此方も超えるまで!」
そんなリジュームの決意と共に能力「HDD(ハードデストラクションドライバー)」が発動する。アークライズを包み込む強固なバリア、それはまさしく超高速突撃と破砕に特化させた姿であった。
空翔が構わずに高速飛翔をしながらアークライズにミサイルと機銃による追尾攻撃を放つ。だが機銃を弾き返す強度のバリアに、RSベルリオーズによる射撃でミサイルを華麗に撃ち落としていく。
そして肉薄するように高速機動をした後に繰り出されるのは、アークライズのフルバースト突撃だ。機体による突進という破壊力のある攻撃で、空翔の主翼を粉砕して樹海へと墜落させていく。
「わたし達の敵はあくまでオブリビオン、パイロットを殺害する理由はありません。これで言い訳が付くでしょう!? 帰れ!」
「いいねぇ! アタシも真っ向勝負だ。掟破りの空中戦といこうか!」
リジュームの最後通牒にも空を飛んで戦闘を仕掛けてくる空翔。それを見た忍の六号開天も高速機動の接近戦を挑んでいく。
そんな二機を俯瞰するように見つめるのはティー・アラベリア(ご家庭用ミレナリィドール・f30348)だ。ミレナリィドールとして戦場であっても落ち着いた雰囲気を醸し出しているその少年は憂いていた。
「和平によって幸福になる方もいれば、不幸になる方もいる。人間の皆様の世界とは儘ならぬものでございますね……」
空翔に乗って襲い掛かっている者達は和平を壊すことによって、己の幸福を得ようとしている。その為に生命を賭けているが、全員が幸せになることはない。
だがそんなティーの中で悲嘆しながらも、どこかで好意的に捉える疑似人格があった。だがそのことを考えて首を振る。
「……いえ、詮無き事ですね。今はただ、奉仕人形として任務を果たすのみでございます」
その本懐を果たすべきは戦闘行動のみ。元々ティーは空中戦に至っては十八番。成すべきはアークライズと六号開天の接近戦のサポートだ。
戦闘機動機構で空中機動を行いながらも、用途と有効射程の異なる魔杖90式、92式、95式、97式を自身の周囲の浮遊させるように展開させるティー。
「さて、それでは戦闘を開始致します。皆様、よろしくお願いします」
そうして優雅に一礼し、魔導波探信儀で取得した敵の情報を用い、92式火力投射型魔杖で広範囲に魔力弾を放つ。目的は敵の高速機動を妨害だ。
それによって二機が体当たりや機体取り付きをしやすくすると共に、ティーもまた回避行動に移ったタイミングで絶妙に95式思念誘導型魔杖の誘導魔力弾を用いて、機体主翼を狙い撃って撃墜を試みる。
そういったサポートにより空翔の連携は断たれ、各個撃破の的になっていた。だが飛行船を撃墜させようという意志は忘れてはおらず、やぶれかぶれでビームカノンを叩き込もうする機体もいる。
「させませんよ。爆轟と狂乱の戦場音楽をとくとお楽しみあれ!」
だがそれをさせないのがティーの97式圧縮拡散型魔杖と能力「突撃破砕魔導射撃(プロテクティブ・マジカルファイア)」だ。ビームカノンは高密度魔力を散弾として高速発射することで、ビームカノンを相殺。
さらに爆裂と音響の特性を持つ誘導魔導弾によって突撃しようとする空翔を撃ち落としていくティー。二機が突撃している間のアフタフォローは完璧と言えるものだった。
こうして第一陣はアークライズ・六号開天が先陣を蹴散らし、ティーがサポートすることによって一切飛行船に寄せ付けることなく撃退できた。
だが思った以上に数が多い空翔。それだけ敵も全力で挑んでいる証拠でもある。だからこそ、まだまだルドルフ大公の飛行船の安全は確保されたわけではない。厳しい防衛戦はまだまだ続く。
大成功
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シーザー・ゴールドマン
『ルベル』に搭乗。『ウルクの黎明』を発動して天を舞って参戦。
(殲禍炎剣に引っかからない高度を見切って維持)
巨大なオーラセイバーを具現化して超音速で飛び回って敵機の翼や武装、コックピット以外を破壊して撃墜していきます。
(撃墜した敵機に関しては脱出装置が働いているようなら放置。そうでないいなら地上に激突寸前に『念動力』でふわりと着陸させます)
ハハハ、たまにはこういう戦いも面白いものだね。
ルベル、私の戦い方を学習したまえ。私が不在でも同程度の動きができるようにね。
敵POWUCはオーラセイバーを振るって衝撃波を飛ばしてミサイルや銃弾を消滅させます。
アドリブ歓迎です。
桐原・剛将
連携・アドリブ可
何があってもキャバリアには乗せないでください
銃は撃つと外れます
「ええかげん、空飛ぶ相手にも慣れてきたわ……」
もはや諦めの表情で愚痴る。
「ちょい肩借りるで」
出撃する機体の肩に乗って空中へ。
途中で【ロープワーク】を使い、強化服による【肉体改造】で【限界突破】しグラップリングワイヤーで敵機へ飛び移る。
飛び移ったら剣刃一閃で両断。もしくはワイヤーで敵機と敵機を繋げて激突させる。
敵の追尾弾を敵機を盾に回避などして撃墜させる。
墜落もしくは爆発前に【瞬間思考力】で次の敵機を検索。同様にグラップリングワイヤーの連続で敵機や味方機を足場に飛び移って攻撃する。
才堂・紅葉
「やっと元締めのお出ましね。あの手この手で良くやってくれたじゃない」
方針
迦楼羅王に騎乗し、飛行船の上で戦況を俯瞰
味方の空白エリアを敵部隊が侵攻するのを見張る【情報収集、戦闘知識、野生の勘】
その兆しが見えれば、味方が集結する前に飛行船を助走距離に使って飛び出し【先制攻撃】
「そこに来たのが運の尽きね」
真の姿の【封印を解く】と、迷宮の主権限で「重力水晶」を召喚し重力制御と出力支援
周辺味方機に警報及び不在を最終確認し、一撃ごとに範囲を調整しながらの重力鉄槌の三連打で敵機を纏めて地面に叩き落としたい【属性攻撃、重量攻撃、衝撃波、結界術】
「ここの空は狭くてやりやすいわね」
殲禍炎剣の空を見上げ、告げる
リンクス樹海にて、ルドルフ大公の飛行船を護衛するキャバリア部隊はリンドランド公国屈指の空挺部隊だ。高度な訓練を積み、実戦経験豊富なものを集めたパイロット。空中戦に特化したキャバリアに搭乗していて備えは万全のはずだった。
「くそっ、なんだあのキャバリアは!」
「ありえん速度だ! またやられたぞ!」
だが襲撃者の機動殲龍「空翔」の前に全く動きが対応できずに撃墜され続けるリンドランド公国軍。決して弱いわけではなく優秀なパイロットと空挺キャバリアを用意しながらも、それを上回る黒き両翼で駆け抜ける空翔。
それは戦闘機乗りに愛される空翔だけではなく、オブリビオンマシン化していることも起因している。もはや搭乗しているパイロットの精神は汚染されているが、対象を殺戮することを目的としているならば問題はない。
「ええかげん、空飛ぶ相手にも慣れてきたわ……」
だがそんな激戦の中でも若干呆れ気味になって呟く桐原・剛将(焔の剣士・f29916)。その表情は16歳の少年とは思えないほどに諦めと哀愁が漂っていた。
それでも仕事はこなすと言わんばかりに、華麗なロープワークでリンドランド公国のキャバリア部隊の方に飛び乗る。元キャバリア乗りでもあるが、今はキャバリアに乗らずに生身で戦うのが剛将である。
「ちょい肩借りるで」
出撃している機体に軽業師の如く飛び乗っていって、機動していく剛将。そして狙いすましたように高速飛翔する空翔へと飛び乗ることに成功する。
勿論、ただの芸当でここまでのことはできるはずもない。ロープワークの技術、強化服による肉体の限界突破による身体能力を合わせ、グラップリングワイヤーを用いて敵の機動を読んで実現したものだ。
「ほな、さいなら!」
そして手にあるサムライブレイドによる剣刃一閃でその機体を両断する剛将。咄嗟に隣にいる空翔が見えて機銃とミサイルを放ってくるのが見えたので、両断した機体にワイヤーを括りつけて片方を盾にして防ぐ。
そしてもう片方をミサイルを放ってきた空翔に括りつけて、そのまま激突させるように仕向ける。飛行機のように危ういバランスで高速性を保っている空翔はそれに耐えきれずに態勢を崩し、両断した空翔の機体と衝突して樹海へと墜落していく。
「次はっ……って敵おらんやん!」
持前の瞬間思考力で敵を探すが、グラップリングワイヤーが届くところにリンドランド・キャバリアや空翔が見つけられなかった。万事休すか、と思われた時に身体の浮遊感がなくなる。
「大丈夫かね? 中々にやるものだ」
剛将を助け出したのはシーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)の真紅の超越機「ルベル」だった。まるで天空から出現したように動き回れるの、すでに能力「ウルクの黎明(デウス・ポテスタース)」の輝く真紅のオーラを発動させ、強大な魔力で上乗せしているからだ。
無論、殲禍炎剣(ホーリー・グレイル)に引っかからない高度を見切って維持するのも忘れていない。そして見事な戦いっぷりをしていた剛将を見かけ、助け出したということだ。
「ハハハ、たまにはこういう戦いも面白いものだね」
シーザーが搭乗するルベルの元に空翔が高速飛翔し、機銃やミサイルを持って追尾攻撃を仕掛けてくる。高速機動に付き合うこともできるが、シーザーはそんな細かい戦い方をする気はない。
巨大なオーラセイバーを具現化し、範囲内に届く空翔の主翼や武装を斬り刻んでいく。そしてその斬撃に巻き込まれなかったミサイルを超音速で回避する。
「ルベル、私の戦い方を学習したまえ。私が不在でも同程度の動きができるようにね」
まるで教え子に戦い方を教授する師匠のように愛機ルベルに語り掛けるシーザー。その表情はとても威厳に溢れるものであった。魔力を流し込み、己の戦い方を十二分に再現させる為に労力は惜しまない。
そして敵の空翔がコックピットのみとなって樹海に墜落していくのを見ると、追尾してくるミサイルを強烈な衝撃波で吹き飛ばすルベル。その豪快な戦い方を目の当たりにしながらも剛将は再びグラップリングワイヤーで移動を開始する。
「やるなぁ。けど、負けへんで?」
「望むところだよ。彼女も含め、励むとしよう」
シーザーの瞳は飛行船の上へと向いていた。恐らくは戦場を俯瞰していると思われるキャバリアを見ているに違いなかった。
「やっと元締めのお出ましね。あの手この手で良くやってくれたじゃない」
そして飛行船の上には空翔が来ている方向の先を見つめる才堂・紅葉(お嬢・f08859)のサイキックキャバリア「迦楼羅王」がいた。戦況を俯瞰しながらも今までの争乱の元凶がいることに視線も鋭くなっていく。
そしてシーザーのルベルや剛将が暴れまわっている所とリンドランド公国のキャバリア部隊が交戦している箇所の間の空白を見つける。そこに空翔が張り込んで突破することは目に見えていた。
「そこに来たのが運の尽きね」
だからこそ戦場を見つめてきた紅葉の出番となる。兆しを発見し傷口が広がる前に止めるべく、乗っている飛行船を助走距離に使って飛び出す。
空翔が集結する前に片を付ける。その想いで先制攻撃の一撃となる、能力「ハイペリアの鉄槌(グラビトンハンマー)」の超重力場を発生させる。
「コード・ハイペリア承認。迷宮の主の権限確認、外部制御及び出力補助ユニット「重力水晶」接続承認……疑似超重力場展開ランク100」
すでに真の姿の封印を解き、真紅の髪となった紅葉。その力を用いて迷宮の主権限で「重力水晶」を召喚し重力制御と出力支援する。すでに一撃で先行してエリアに入って来た空翔は撃墜している。
そして高速飛翔と共にミサイルと機銃を発射して入り込んでくる空翔。それに対しても紅葉は周辺味方機に警報及び不在の最終確認を怠らない。そしていないとわかると、超重力場の力を籠めた一撃ごとに範囲を調整しながらの重力鉄槌の三連打を放つ。
「纏めて墜ちなさい!」
ミサイルも機銃の弾も纏めて叩き落とすような強烈な重力の嵐。それによって空翔の軽い機体では負荷に耐えきれることができずに、そのまま主翼を崩壊させて墜落していく。
強烈な重力による攻撃を振るい、敵のいなくなった空に鎮座する迦楼羅王。そんな綺麗な空を見上げて紅葉は告げる。
「ここの空は狭くてやりやすいわね」
殲禍炎剣によって高高度からの爆撃の心配はない。こちらもその攻撃は使えないが、低空で戦う限りは恩恵はあるというべきであろう。
事実、剛将、シーザーのルベル、紅葉の迦楼羅王の加勢によってリンドランド公国軍は態勢を立て直し、戦線を押し戻していく。この方面の戦いは結局、そのまま猟兵側が制することなる。戦局は徐々に有利になりつつあった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
シン・コーエン
セプテム連合王国の思惑には同意できん。
無駄な戦乱を起こそうとする輩は疾く消えて貰おう。
生身で出撃。
空中浮遊しつつ自身への念動力で素早く移動し、残像による分身を多数展開して幻惑。
敵の攻撃は第六感と見切りで読み、空中戦能力で自在に宙を舞って回避。
躱しきれない時は灼星剣の武器受けとオーラ防御で弾く。
敵翼からの衝撃波は、こちらも村正を振るって作った衝撃波で相殺する。
尚、『殲禍炎剣』対策で、移動は低空のみでスピードも程々に抑える。
UC使用して十倍サイズの灼星剣88本を操作し、敵機を斬り刻んで撃墜。
また【風の属性攻撃】を宿した灼星剣と村正による【2回攻撃・鎧無視攻撃】でも敵機を斬る。
パイロットは殺さない。
黒影・兵庫
国同士のいざこざで頑張って守った平穏を壊されるのは業腹ですね!
(「黒幕の国には悪いけど今後も四面楚歌で頑張ってもらいましょうか」と頭の中の教導虫が話しかける)
はい、せんせー!
(「さて敵は空中、どうする?」)
まずは『迷彩』効果を付与した『オーラ防御』で飛行船を覆い、敵の攻撃を届きにくくして
『衝撃波』で敵の銃弾やミサイルを迎撃します!
その後UC【光殺鉄道】で光学兵の皆さんを召喚しレーザーブレードで反撃します!
撃破した敵機や銃弾、ミサイルの破片などは『念動力』で操作して飛行船の防護壁として再利用しましょう!
(「よーし、作戦開始よ!」)
おーっ!
アルトリウス・セレスタイト
特に縁はないが
オブリビオンであれば邪魔をしておこうか
天楼で捕獲
対象は戦域のオブリビオン及びその全行動
原理を編み「迷宮に囚われた」概念で縛る論理の牢獄に閉じ込める
高速詠唱を幾重にも重ね『刻真』『再帰』で無限に加速・循環
目標確認次第即展開し部隊全ての機動力を殺す
迷宮は複雑怪奇で迷うもの
見えぬ迷宮は更に抜けるに難かろう
精々憤れ
破壊も結構だが破壊の手段も自壊対象だ
何にせよ急がねば消え失せるぞ
出口は自身に設定
辿り着くなら『討滅』を乗せ打撃で始末
万象一切を砕く破壊の原理にサイズなど無意味
自身への攻撃は『絶理』『無現』で否定し影響を回避
必要魔力は『超克』で“世界の外”から汲み上げる
※アドリブ歓迎
リンドランド公国のキャバリア部隊と猟兵、オブリビオンマシン部隊の機動殲龍「空翔」の激戦は続く。下は樹海、守るべき対象のリンドランド大公の飛行船は上空にあるために苛烈な空中攻防戦が行われている。
猟兵がいない戦場では軒並みリンドランド公国側が不利な状況に立たされていた。リンドランド空挺部隊はRX-Bブレイドウイングを付けた、所謂空中戦も対応可能は空陸戦両用キャバリアである。
故に空中戦に特化した空翔に対しては空での戦いでは分が悪い。さらにオブリビオンマシン化しているということで、その機動力には大きな差が出ているのも問題なのだ。
「セプテム連合王国の思惑には同意できん」
「国同士のいざこざで頑張って守った平穏を壊されるのは業腹ですね!」
そんな中で猟兵が戦局の打開に動き出す。この襲撃に異議を申してるように厳しい視線を送るシン・コーエン(灼閃・f13886)と黒影・兵庫(不惑の尖兵・f17150)。
特に兵庫は先のプラント占拠事件を解決してようやく守った平和が壊されることは我慢ならなかった。そしてそれは頭にいる教導虫のせんせーと呼ばれる存在も同じようだった。兵庫に対して優しく話しかける。
(黒幕の国には悪いけど今後も四面楚歌で頑張ってもらいましょうか)
「はい、せんせー!」
(さて敵は空中、どうする?)
そして兵庫がすることはまずこのリンドランド大公の飛行船を空翔からの攻撃から守ることだ。この船が大破されて撃墜されてはいくら敵を全滅させても意味はない。
そこでまずやるべきことは飛行船を兵庫の迷彩効果を付与したオーラで包み込み、防壁とすることだった。空に溶け込むような色のオーラはぱっと見では発見できなくほど精巧で敵の攻撃が届きにくくなる。
「そしてこうです!」
次に空翔が放ったミサイルや機銃の弾を大きく振るって発生させた衝撃波で吹き飛ばす兵庫。強烈なソニックウェーブと化した一撃は、ミサイルを爆破し弾丸を弾き飛ばして迎撃する。
それを見て次に動いたのシンだ。空翔がミサイルなどの遠距離攻撃が無駄と判断して突撃してくる前に自身が浮遊して念動力で素早く移動する。
「無駄な戦乱を起こそうとする輩は疾く消えて貰おう」
その言葉と共に、サイキックによる分身を多数展開してセンサーを幻惑しつつ、間合いへと入っていくシン。自在に宙を舞う姿はとても空中浮遊している人間とは思えないほど軽やかで、まるで大空を自由に飛ぶ鳥のようだ。
そして空翔の低空高速飛行にも負けない速度で迫るシンに、その速度で生み出した衝撃波で迎撃しようとする空翔。さすがに見えない衝撃波を回避するのは難しいので、持っている美しい刃紋の日本刀「村正」を振るって生み出した衝撃波で相殺する。
「我が剣よ、全てを滅ぼす凄雨と化し、天空を駆け、大地に降り注げ」
そして深紅に輝くサイキックエナジーで出来た光の剣「灼星剣」が空翔の主翼に斬りかかった瞬間、能力「灼星凄雨(シャクセイセイウ)」を発動させる。その手に持っている灼星剣の十倍サイズの灼星剣88本を生み出し、主翼から一気に斬り刻んでいく。
主翼に取り付いている上に至近距離からの斬撃を空翔も避けることはできずに主翼が瞬断される。そしてその勢いのまま、風の力を宿した灼星剣と村正による連撃で疾走しながら機体を次々と斬っていくシン。
「パイロットは殺さない。感謝することだな」
その言葉通り、オーバーフレームの部分だけ丁寧に切り刻んでいき、最後に灼星凄雨の剣達がもう片方の主翼をバラバラに切断され、空翔が樹海へと墜落していく。そしてシンは油断なく他の空翔にも睨みを聞かせる。
空中で静止して威圧するシン。それに視線を集中させたことで、兵庫の反撃の動作に気づく者はいなかった。そう、彼は防御だけを担当する気はなかった。攻撃こそ、最大の防御なのだから。
「光学兵の皆さん! サイコロステーキのようにしちゃってください!」
そして高速飛翔しながらシンへと迫る空翔の側方に、兵庫の能力「光殺鉄道(コウサツテツドウ)」発動で召喚した光学兵から放たれたレーザーが襲い掛かる。それはまるでレーザーブレードのように鋭利であり、瞬間的に空翔の機体を切断する。
レーザーブレードで刻まれた空翔の機体ではあるが、それも兵庫は利用する。念動力で機体の残骸や、弾いた弾丸、ミサイルの破片などを集めて飛行船の防護壁として再利用しているのだ。これによって防御網も構築される。
(よーし、作戦開始よ!)
「おーっ!」
頭の中の教導虫の呼びかけに兵庫も応える。機動力を発揮するシンと共に近づこうとする空翔を叩き潰し、防御態勢を築こうとする兵庫達の戦いは続く。
だがそれでもキャバリア乗りではないシンや兵庫だけでは数と大きさで圧倒する空翔の攻勢の方が優勢のはずだ。それを防いでいるのが、アルトリウス・セレスタイト(忘却者・f01410)だった。
「特に縁はないが、オブリビオンであれば邪魔をしておこうか」
兵庫の防御壁や動き回って斬撃を振るうシンを撃ち落とそうと集まってくる空翔を、能力「天楼(テンロウ)」にて捕獲するアルトリウス。その迷宮こそは、対象すなわちアルトリウスが認知する戦域のオブリビオンマシンを捉えるものだ。
原理を編み「迷宮に囚われた」概念で縛る論理の牢獄に閉じ込めるアルトリウス。その迷宮は顕理輝光『刻真』『再帰』によって強化された自身の基礎能力に加え、幾重にも重ねた詠唱によって補強されている。
「迷宮は複雑怪奇で迷うもの、見えぬ迷宮は更に抜けるに難かろう。精々憤れ」
アルトリウスはまずは空翔の機動力を殺す為に、その能力自体を自壊させるように設定する。突然現れた迷宮を突破しようとする進む度に、その俊敏な性能が死んでいく。
さらに迷宮を破壊しようとビームカノンを連射するも、アルトリウスが迷宮を保全・補強する為に常に詠唱を続けている為にそう易々と壊されはしない。そしてその攻撃性能もまた自壊の対象であった。
「破壊も結構だが破壊の手段も自壊対象だ。何にせよ急がねば消え失せるぞ」
そう言いながら出入口を自身に設定して待ち構えるアルトリウス。迷宮にて自滅すればそれもよし。だがそれが達成されるほど甘い相手でもない。ボロボロになってもなお、空翔はアルトリウスの迷宮を突破してこちらに向かってくる。
だがすでに機動力と攻撃能力はほぼ失われている。ならば顕理輝光『討滅』を乗せた自身の拳によって、空翔の機体を粉砕するアルトリウス。
「万象一切を砕く破壊の原理にサイズなど無意味。散れ」
そう言ってボロボロの空翔を砕きながら、次々と迷宮を突破してくる別の空翔の相手をするアルトリウス。その膨大な魔力を『超克』で“世界の外”から汲み上げ、援軍の相手を勤め上げる。
アルトリウスの外での活躍、そして飛行船付近でのシンと兵庫の防衛戦もあって、この方面の空翔の襲撃を完全に撃退することに成功する猟兵達。リンドランド公国のキャバリアもいくつか撃沈させられたものの、防衛戦力は残ったと言える。
だが空翔はまだまだ飛行船付近を高速飛翔し、別の戦場から突破を図ろうとしている。一つでも突破され撃退されれば、局地的勝利は意味をなさない。なればこそ、三人は気を引き締めて防衛へと当たるのだった。
大成功
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アイ・リスパー
【電脳術師】
「敵が飛行型なら、私も飛行型で迎撃です!
オベイロン、ティターニア、合体プログラム起動です!」
【夏の夜の夢】で機動戦車と小型宇宙戦艦を変形合体させたパワードスーツを纏い、飛翔しながら敵との空戦です!
「飛行速度なら、こちらも負けていません!
シャルロットさん、援護しますっ!」
ミサイルランチャー、ロケットランチャー、レーザーガトリングの斉射で敵の飛行を妨害。
シャルロットさんの攻撃をあたりやすくしましょう。
「回避のために高度を上げたり軌道を変えたなら……!」
『殲禍炎剣』の餌食になるよう敵の動きを誘います。
こちらも『殲禍炎剣』が命中しないよう、降り注ぐ攻撃を予測・回避を試みます!
シャルロット・シフファート
【電脳術師】
さぁ、覚悟するのはそちらよ戦争屋!電脳精霊術で構成されたサイキックキャバリア【アティルト】を乗りこなしビームを遠距離拡散光子砲――遠距離から光線が分裂しながら精密に多数の対象を狙撃する兵器――で遠距離から大規模狙撃を行って戦闘エンゲージ。
さぁ、アイ。戦闘行為ならこちらに任せなさい。アンタはアンタのやるべきことをするのよ。
そう言って迫り来る『機動殲龍『空翔』』の群れの攻撃を『光速を突破する速度』で回避。特殊相対性理論を超えて動く以上因果律――それこそ被弾する因果が――が動くごとに崩壊していく。その時間を停止して動いているかのような機動で光線兵器を使って撃墜していくわ。
リンドランド大公の飛行船の防衛。リンドランド公国の空挺キャバリア部隊が必死に防衛に努め、強烈な襲撃をしてくる機動殲龍「空翔」の猛攻を凌ぎ続ける。
だが迎撃だけが防衛の手段というわけではない。あくまでも空翔を撃墜するのであれば、迎え撃つだけが方法ではなく、こちらから打撃を与えることで戦況を有利に働きかけることもできる。
だがリンドランド公国のキャバリアにその余裕はない。飛行船に空翔を近づけさせないのに手一杯である為に、その役割を担うのは猟兵の仕事ともいえる。
「敵が飛行型なら、私も飛行型で迎撃です! オベイロン、ティターニア、合体プログラム起動です!」
そう言って気勢を吐くのは先のドルトムンド同盟国での戦いでも大きな戦果を挙げたアイ・リスパー(電脳の天使・f07909)だった。電脳魔術師としての粋を生かして今、能力「夏の夜の夢(ナイト・ドリーム)」を発動させる。
電脳召喚した機動戦車オベイロン、宇宙戦艦ティターニアを変形合体させたパワードスーツを纏っていくアイ。その姿はもはやキャバリアのようである。そして宇宙戦艦の飛行機能を駆使して、空翔に対して空中戦に挑む。
「さぁ、覚悟するのはそちらよ戦争屋!」
だが本当の先手はアイのパワードスーツではない。派手な合体で隠れていたが、シャルロット・シフファート(ツンデレの国のアリス・f23708)はすでに電脳精霊術の詠唱を完成させていた。
その術式で構築されたサイキックキャバリア「アティルト」がその場に顕現し、それに搭乗するシャルロット。そして放つは遠距離拡散光子砲のビーム光線である。
「一気に狙うわよ!」
その兵器のビームは遠距離から光線が分裂しながら精密に多数の対象を狙撃する。精密でありながら細長くなった光線が、空翔の機体に突き刺さりその装甲を焦がしていく。まずは戦闘エンゲージ、挨拶替わりの一撃は成功したといってもいいだろう。
その遠距離拡散光子砲によって大幅なダメージを喰らった空翔。だが友軍と連携して、突如出現したアティルトを狙ってさらに加速して突撃を敢行する。厄介な狙撃手の間合いに入り込んで衝撃波で切り刻もうという構えだ。
「飛行速度なら、こちらも負けていません! シャルロットさん、援護しますっ!」
だがそれを刺せないとばかりにアイのパワードスーツが高速飛行をしつつ、空翔の攻撃を迎撃する。ミサイルランチャー、ロケットランチャー、レーザーガトリングの斉射という持てる兵器を駆使して、敵の飛行を妨害する。
そしてそれらの攻撃を避けている間は、シャルロットのアティルトにとっては絶好の狙撃ポイントであった。破壊力を増す為に能力「無尽光全て司どりし戴冠聖光(アンリミテッド・シャイン・コンプリート)」を発動させ、光にまつわる魔術と科学を網羅した聖光操作を行う。
「さぁ、アイ。戦闘行為ならこちらに任せなさい。アンタはアンタのやるべきことをするのよ」
そう言って遠距離拡散光子砲を当てながらも、光速を突破する速度で回避を続けるアティルト。光という特殊相対性理論を超えて動くことで、被弾する因果律を越えていく。シャルロットは回避を続ける度に、空翔の攻撃は当たらないと確信を深めていく。
攻撃すればするほど因果は深まっていく。そうしながら攻撃を続け、次々と空翔を相手取っていくアティルト。それを見たアイは自身の仕事に着手する。
「回避のために高度を上げたり軌道を変えたなら……!」
そう、シャルロットのアティルトは今は時間を停止して動いているかのような機動で攻撃は当たらないだろう。そして空翔は遠距離狙撃のシャルロットを潰そうと狙って集中している。
それならばと、アイのパワードスーツは敢えて高高度の飛行を敢行する。それは勿論、『殲禍炎剣(ホーリー・グレイル)』に察知され、無慈悲なる砲撃対象となる。
「初めから来るとわかっているなら、躱してみせます!」
そして空高い暴走衛星からの高熱砲撃を瞬間的に回避するアイ。そしてその下はアティルトと空翔が絶賛空中戦を展開する空域だ。
シャルロットは事前にアイの作戦を知らされていたので、回避することは容易であったが、空翔は違う。殲禍炎剣から感知されないように低空高速飛行を実現してきた機能故に、その砲撃が来た時は対応ができなかった。
アティルトが次々と回避する中で、殲禍炎剣の砲撃に沈んでいく空翔。そして撃ち漏らした機体もまたアティルトの遠距離拡散光子砲の集中砲火で撃墜されていく。
アイも全身全霊で砲撃の軌道予測と回避行動に努めた為に無傷ではあったが、冷や冷やしたものだった。だがその成果は抜群であり、その下はシャルロットのアティルト以外は存在しなくなっていた。
戦況を変える為の攻勢は見事成功に収めたと言えるだろう。思わぬ反撃を受けた空翔は行動作戦の続行が困難になり、余計に飛行船へと手出しがしずらくなったと言える。これはアイとシャルロット、二人の電脳魔術師の奮戦による結果だった。
大成功
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キョウジ・コケーシ
(いつの間にか飛行船の先端にいる)
自国の発展を望むのは国を治めるものとしては当然の考え、
しかし、その為に他者の平和を踏みにじることは見過ごせません。
(オブリビオンマシンを呼び出し、頭部に変形)
この飛行船は私が守りましょう。
基本的には飛行船の護衛として行動、ビームキャノンで迎撃します。
相手の射撃攻撃が着弾しそうになる度にタイミングを見切って躯の海を広げ、相手の攻撃から飛行船を守ります。
「この平和の架け橋は落とせないと知りなさい」
射撃武器を無力している時はスラスターを吹かし、敵機に肉薄し、コケシックペネトレイターの一撃で粉砕します。
「我が機体は平和を守る為の刃となりましょう」
西院鬼・織久
国の情勢、政治ですか?
まあ俺が理解する必要はありませんね
我等はただ敵を狩るのみ
血肉を持たぬ敵ならば数を狩らねばなるまい
【行動】POW
可能なら敵機と同型か近い機体の性能や欠点の情報を得ておく
常に五感と第六感+野生の勘で状況と敵行動の把握と予測
先制攻撃+UCで敵とすれ違いざまに早業+なぎ払いの連撃で機体とセンサー部分を狙い、武器が纏う怨念の炎(呪詛+生命力吸収)の継続ダメージで損耗させる
敵攻撃を空中戦+ダッシュ+ジャンプで緩急自在に動いてフェイント、見切り回避し武器受け+なぎ払い+範囲攻撃でミサイルを斬り落としながら装甲が充分弱った所を狙い定めてなぎ払い、翼や武装を斬り落とす
バーン・マーディ
戦争か
何…よくある事だ(それでも表情は苦い
この戦いの裏に我は興味はない
だが
我が鎧の一角であるマーズがこの戦場に求める者がいるようでな
さてマーズよ
空中を舞う鳥を討つのは苦手か?
…だが良い
我も貴様も…「力押し」は不得手ではあるまい
UC起動
【戦闘知識】
敵の陣形と動きを把握
【オーラ防御】展開
中々の速度だ
ならば速度で対抗するとしよう
近づく敵は容赦なく【カウンター・二回攻撃・怪力】により切り捨て
離れた敵は加速し【切り込み】襲い掛かる
攻撃は【武器受け】も利用してダメージを抑え切り捨て
【吹き飛ばし】で敵機の機動も乱す
コックピットは避けるが後は運次第だろう
【運転】でより制御を行いながら常に縦横無尽に飛び回る
守勢から一転、攻撃へと舵を切った猟兵達。それによって機動殲龍「空翔」の波状攻撃を止めるきっかけを作り、リンドランド公国キャバリア部隊の防衛の余裕を作ることにもなった。
このことによって空翔側も奇襲のアドバンテージを失ったことを悟ったのか、部隊編成を急ぐように集結を始める。少なくなった機体でいかにリンドランド大公が搭乗する飛行船を沈めるかにかかっていると判断したからだろう。
ここから突破を許し、撃墜をされてはすべてが無駄になる。奇襲から集結というタイミングを作った今、攻勢を仕掛けて戦況を決定的なものにするにはこの時を置いて他になかった。
「戦争か。何…よくある事だ」
「国の情勢、政治ですか? まあ俺が理解する必要はありませんね」
決死の覚悟で編成を組む空翔に対して苦い表情を浮かべるバーン・マーディ(ヴィランのリバースクルセイダー・f16517)。戦争にはそれぞれの善悪があり、それぞれの正義がある。それ故に争い、血が流れる。
一方の西院鬼・織久(西院鬼一門・f10350)はドルトムンドやリンドランド、果ては襲撃者の国の事情など知ったことではなかった。ただ、闘争があるからこそはせ参じ、その力を振るう。すべてはオブリビオンという怨念を喰らい尽くすという想念だ。
「それは同意だ。この戦いの裏に我も興味はない。だが、我が鎧の一角であるマーズがこの戦場に求める者がいるようでな」
そう言って呼応するように現れた破城神機「マーズ」へと搭乗するバーン。狙いは空翔達ではないが、その奥にて反応を示す獲物を狩る為に容赦はするつもりはない。
それに対して織久は生身なれど、黒い大鎌「闇焔」を構え、能力「怨竜顕現(エンリュウケゲン)」を発動する。西院鬼家の吸血鬼が血に宿していたと伝わる竜の力が全身に溢れ、力が漲るのがわかる。
「ならば我等はただ敵を狩るのみ」
「それもよし。我もマーズもまた、『力押し』は不得手ではない」
織久が空翔がミサイルや機銃を撃って高速起動してくるのと同時に、空を駆ける。すでに戦場で軌道情報を得ていた織久にとって、攻撃を避けることは容易だった。
そしてバーンもまた能力「ヴィランズ・ジャスティス」を発動。マーズが禍々しい紅きオーラを纏い、バーンのけして倒れぬ不屈の精神に呼応するように戦闘能力を見せつけんと起動する。
「血肉を持たぬ敵ならば数を狩らねばなるまい」
殺意と怨念の強さに比例した力を怨竜は織久に与える。それはキャバリアという空翔であっても容赦などなかった。高速飛翔の応酬の末にすれ違いざまに闇焔のなぎ払いの連撃を叩き込み、センサー部分を削ぎ落して損耗をさせる。
そしてそこからミサイルや機銃を掻い潜り、主翼や武装を削ぎ落していくのだ。生身の人間がキャバリアに対抗できるというのも悪夢であるが、絶妙なフェイントと生身故の身軽さ故に織久を捉えることもできずに、空翔は墜落していく。
「我等が血に潜む竜よ、さらなる力を貸せ」
そう言って次の空翔へと向かう織久。弱った装甲ごと墜落していく獲物を見限り、さらなる空翔へと向かって空を飛翔する。それは怨念の竜が飛ぶが如くであった。
一方のバーンのマーズは高速戦は得意ではないのか、飛び回る空翔を中々捉えることはできなかった。破壊の力を宿す神機ではあるが、こういった小回りが利く相手は苦手なのかもしれない。
「さてマーズよ、空中を舞う鳥を討つのは苦手か?……だが良い」
だがバーンは諦めてはいない。それならば戦法を変えるまでと防御のオーラの度合いを深め、敵の陣形を見極める。
捉えることができないのであれば、捉えられるような攻撃を繰り出すのみ。多少の被弾は覚悟で、近づいてきた敵を手に持つRX軍神の剣のカウンター斬撃が襲い掛かる。
「中々の速度だ。ならば速度で対抗するとしよう」
ミサイルを迎撃し、機銃の弾丸を受けても平然とするマーズは、攻撃範囲内に入り込んだ空翔を容赦なく両断していく。防御と反撃に特化した悪の正義のオーラを崩すことすらできずに、破砕していく黒き翼のキャバリア。
それならば遠距離から狙おうとするも、状況を察知したバーンの動きは早い。ミサイルが発射した瞬間を狙って急加速して、一気に間合いを詰めて軍神の剣がオーバーフレームを吹き飛ばす。
「……コックピットは避けてある。後は運次第だろう」
そう言って落下していく空翔の破片を見つめながらも、切り取った空翔のオーバーフレームを吹き飛ばして、他の空翔をけん制するマーズ。機体の制御をしっかり行いつつ、バーンはマーズと共に戦場を縦横無尽に駆け回る。
織久とバーンのマーズが空翔の陣形をズタズタに切り刻んでいる中でも、リンドランド大公の飛行船を狙おうと潜り抜ける空翔もいた。だがその敵を見つめる、いつの間にか飛行船の先端にいる一体のこけし。
「自国の発展を望むのは国を治めるものとしては当然の考え、しかし、その為に他者の平和を踏みにじることは見過ごせません」
そのこけしの名前は、キョウジ・コケーシ(コケーシの後継者・f30177)。亡国の王族であり、猟兵、そしてロボットヘッドであった。決してただのこけしではない。
そして彼は自身の力の源である黒きオブリビオンマシン「ルーンデモニスタ・マルドゥ」を呼び出す。その頭部となり頭部に変形することで、一体となるキョウジ。
「この飛行船は私が守りましょう」
攻めは織久とバーンが担当してくれる。ならばキョウジがやることはこのリンドランド大公の飛行船を守ること。ルーンデモニスタ・マルドゥに装備された技術レベルを超越した強力なビームキャノンが高速飛翔する空翔を迎撃する。
だが空翔は翼を撃ち落とされようとも、フレームを破壊されようとも、装甲を砕かれようとも諦めようとはしない。少しでも飛行船にダメージを与えようとビームカノンを放ち続ける。
「この平和の架け橋は落とせないと知りなさい」
だがキョウジはそれすらも許さない。ビームカノンの鋼鉄をも貫く連続攻撃が被弾しようとするたびに、能力「オブリビオン・ヴォイド」を発動させて飛行船に通すことはない。
射撃武器を一切無効化する骸の海がその前に立ちふさがる。ただ一日の使用時間が一定を過ぎるとキョウジ自身の生命が危ないので、使うタイミングは見極めている。被弾するタイミングに絶妙に発動させているのだ。
「我が機体は平和を守る為の刃となりましょう」
そして射撃武器を無効化している時間にスラスターを一気に吹かせて、空翔に接近するルーンデモニスタ・マルドゥ。肉薄した機体に、コケシックペネトレイターの一撃が突き刺さる。
先端が聖なるこけしを象った構造のパイルバンカーは装甲が厚いとは言えない空翔の装甲を容易く貫通させ、撃ち落とす。そして解除すると同時に再び飛行船を防衛する行動をとるのだ。
空翔の一気攻勢を仕掛ける作戦は瓦解したと言わざるを得ないだろう。織久とバーンのマーズが陣形を破壊しつくし、キョウジのルーンデモニスタ・マルドゥが敵を寄せ付ける間も与えない。
その守りにさらにリンドランド公国のキャバリア部隊も加わって空翔部隊を迎撃していく。オブリビオンマシンとはいえ、すでに数を大きく減らしている襲撃者サイド。あと一息で、その敵影は完全に樹海に沈む局面まで来ていた。
大成功
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カシム・ディーン
さて
ああいう乗り物は中々に面白そうですね
一つ貰っておきましょうか
【属性攻撃・迷彩】
光属性を全身に付与して
光学迷彩により存在を隠す
また熱源や他のセンサーからも隠れ飛行船に乗り込み
【視力・情報収集】で敵機の構造と動きとコックピットを観察
近づく機体を捕捉
(近づく機体に飛び掛かり
わたぬき発動!
奪い去るのは機体の臓器…即ちパイロット!
そのまま自らが空翔に乗り込み!
やっぱり煩いですね(精神汚染をねじ伏せながら
では…空の旅へれっつごーですね
光学迷彩を機体全体に付与
ブリッツウィングで他の機体に襲い掛かり撃墜しつつ乗ってるのが壊れそうになったら他の機体を強奪!
これも盗賊流ですよ
最も…狙いはあのぴかぴか機体ですね
エイス・シノノメ
纏まろうとしている和平の破壊ですか
しかも国主への襲撃とは
裏工作は戦争する者にとって否定はしませんが…理も利もない行いは無益です
オブリビオンマシンによる精神汚染は如何ともし難いですね
以前1度影響を受けてしまうと降りても異常な思考が続いている事案もありましたし油断できません
プラントを人々のために振り分けるためにも何としても守り切らねば!
アタシのクロムキャバリアで出撃し、取り付いた敵機を潰しつつ長い飛空船の背を滑走路代わりに加速し弾幕を張りつつ周囲へ
仕掛けてくるのを逆手にとりしっかり撃ち込みます
対高速戦闘は一瞬の勝負、バランスを崩させれば勝負ありです!
もはや機動殲龍「空翔」の総数はリンドランド公国側のキャバリア部隊すら排除する力がないほどまでに、数を減らし切っていた。これも猟兵の奮戦あってのことだが、飛行船には一切近づけなかったリンドランド公国キャバリア部隊の健闘も褒め称えるべきだろう。
だがまだ油断できない。一機であっても内部に食い破れば飛行船を破壊できるのが、オブリビオンマシン化した空翔なのだから。
突破は許されない。最後の一機まで油断なく撃墜しなければならない。ここまで敵パイロットの通信が一切聞こえないのが疑問点ではあるが、今は気にしている場合ではない。
「さて、ああいう乗り物は中々に面白そうですね。一つ貰っておきましょうか」
案の定、敵勢力の全滅を諦めて一点突破を狙って固まって突撃してくる空翔部隊。それを興味深そうに見つめるカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)がやることは一つであった。
自称とはいえ天才魔術盗賊、その機体に興味深々であればやるべきことは一つ。光に紛れ込むようなルーンを発動させ、溶け込むような光学迷彩で風景や他キャバリアに自身の姿を同化させて、接近してくる一体に狙いを定める。
「高速飛翔する機体とはいえ、僕に乗り込めないモノはないですよ」
そう言って軽やかに空翔へと乗り移るカシム。高度な光学迷彩は熱源や他のセンサーをも感知されず、また盗賊らしく物音立てずに乗り込んだのだ。そして遠目で観察していて目星をつけていたコックピットの位置まで忍び足で素早く近寄る。
高速飛翔する機体でもあってもそれが可能なのは天性の盗賊がなせる業だろう。そして能力「わたぬき(ゾウフゴウダツ)」を素早く発動、奪い去るのは機体の臓器……即ちパイロットだ。
「万物の根源よ。我が手に全てを奪う力を示せ」
まさしく臓腑のみを抜き取る絶技。パイロットだけを取り出し、オブリビオンマシンから切り離す。そしてそのままコックピットに張り込んで制御を試みるカシム。
「やっぱり煩いですね。では…空の旅へれっつごー……!」
後はオブリビオンマシンを制御するだけとなったが、思った以上に精神汚染がひどい。隣に連れ込んだパイロットを見るとすでに視線は虚ろで、意識はないように見える。
間違いないと確信して、カシムはひどいことをすると怒りがこみ上げる。だがそれでも冷静にオブリビオンマシンの制御を奪取し、空翔を操縦して光学迷彩を機体全体に付与して他の空翔を狙う。
「これも盗賊流ですよ!」
そして透明と化した空翔を操縦しながら、高速飛翔で他の空翔に接近し、ミサイルと機銃を叩き込んでいくカシム。もし機体が破壊されたら他の機体を強奪しようとしたが、数も減らされている状態なのでこの迷彩ならやり過ごせるだろう。
何より早く空翔を全機破壊しなければ大変なことになると理解したからだ。カシムはこの先にいる最終防衛線の猟兵に連絡を取る。そして自身の視線が自然と空翔とは別の方を向く。
「最も…狙いはあのぴかぴか機体ですね」
「……わかりました、カシムさん。しかし纏まろうとしている和平の破壊ですか。しかも国主への襲撃とは」
カシムから連絡を受けたエイス・シノノメ(機獅道一直線ガール!・f30133)が空翔の突破ルートで、自身のクロムキャバリアと共に待ち構える。機械の騎士を彷彿させるその姿はまさしくエースキャバリアの風格すら伴っている。
そしてその機体を操りながらも、空翔の無謀な攻撃に思いをはせる。そしてパイロットの状態はまさしくオブリビオンマシンの汚染度がこれまでとは比べ物にならないことを意味していた。
「裏工作は戦争する者にとって否定はしませんが…理も利もない行いは無益です。それに今回のオブリビオンマシンによる精神汚染は如何ともし難いですね」
エイスが以前1度影響を受けてしまうと降りても異常な思考が続いている事案があったことを思い出す。だが今回は異常思考よりもひどい、廃人と化している状態だった。
そんな危険な空翔に身を委ねているパイロット達を心配しつつも、油断はしない。気を引き締めて飛翔してくる空翔を見据えるエイスのクロムキャバリア。
「プラントを人々のために振り分けるためにも何としても守り切らねば!」
この平和がプラントに寄る人々の生活を守ることになると信じて、リンドランド大公を守る戦いに身を投じるエイス。それこそが彼女の機獅道、キャバリアを駆って戦さ場を疾く奔る者である。
カシムのステルス攻撃を潜り抜けて飛行船に取り付こうとする空翔。残り数が少ないが、一機であっても危険となればフロムキャバリアの性能を十二分に発揮する他ない。エイスは即座に能力「オーバーブースト・マキシマイザー」
「機獅見習いエイス・シノノメ、行きます!」
長い飛空船の背を滑走路代わりに一気に加速し、高速飛翔する空翔に対抗するように並走する。そして取り付こうとする機体からその全兵装を使った同時攻撃弾幕をもって空翔を迎え撃つ。
BS-1-K-XAKによるレーザー攻撃、肩のミサイルポットによる爆撃による弾幕を隙間なく放つことで、空翔といえども逃げれないように攻撃していく。さらに弾幕を避けたとしてもバランスを失ったとなれば、圧倒的性能を誇るクロムキャバリアが逃がしはしない。
「対高速戦闘は一瞬の勝負、バランスを崩させれば勝負ありです!」
その通りで、飛行船を滑走路替わりにしているエイスのクロムキャバリアは足場は安定している。そして空を飛翔する空翔は急な回避旋回でバランスを崩しやすい。
その隙を狙って高速機動で一気に間合いを詰めて、キャバリアソードで空翔の装甲を両断する。コックピットは外し、オーバーフレームと両翼を狙った斬撃だ。その攻撃で空翔は飛行能力を失い、樹海へと墜落していく。
「こちらカシム、こっちは終わりましたよ」
「お疲れ様です。こちらも撃退しました。だけど、まだもう一機います」
ついに飛行船を撃ち落とそうとした空翔をすべて撃墜したカシムとエイス。カシムは用済みとばかりに乗っ取った空翔を放棄して、エイスのクロムキャバリアにしっかりと破壊させる。
だが襲撃者であるセプテム連合王国の部隊長は残っている。その機体は空翔のような量産型ではなく、まるで金色の光を放つような神の如き機体であった。その姿をしっかりと視線に捉え、次なる敵を見据える二人であった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『輝光神機『ロクシアス』』
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POW : BSプラズマライフル『黄金の矢』
【プラズマライフルのレーザーサイト 】が命中した対象に対し、高威力高命中の【プラズマ化した超高熱熱線】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : 高速戦闘演算機構『予言の神』
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【BSプラズマライフル 】から【相手の回避行動を読み切った超連続射撃攻撃】を放つ。
WIZ : 対人虐殺機構『疫病の矢』
自身の【機体全身 】から【疫病ウィルス型ナノマシン】を放出し、戦場内全ての【キャバリアに乗らない生身での戦闘行動】を無力化する。ただし1日にレベル秒以上使用すると死ぬ。
イラスト:柿坂八鹿
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「テラ・ウィンディア」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
リンドランド公国の大公ルドルフに襲い掛かって来たキャバリア部隊は猟兵達の奮戦のおかげもあり、すべて撃墜されて樹海へと沈んでいった。幸い空翔のコックピットを完全破壊された機体はなく、パイロットは負傷している者もいるが、全員生存している。
だがその表情はどれも虚ろで、瞳は光を失っている。まるで廃人になったかのように生体反応はない状態だ。これではどんなに尋問しようとも情報を得ることはできないだろう。
「そう、それこそがこのオブリビオンマシンを使うことの、僕等の覚悟さ」
そう言って猟兵の前に現れたのは金色の機体。輝光神機「ロクシアス」、外宇宙より飛来した説のある謎のキャバリア「神機シリーズ」の一機だ。それを操縦するのはこの襲撃者の部隊を纏めるセプテム連合王国第七秘匿部隊「宵鴉」の隊長だ。
だがその情報を知っているのはグリモア猟兵による予知を知っている猟兵のみだ。だからこそ男は一切の情報を喋らずに、オブリビオンマシンのことを喋る。
「僕等が操る機体は強力な性能を誇る分、精神汚染が激しくてね。特に機体と脳がリンクするから、破壊したとしても精神崩壊は逃れれない」
つまりこの空翔やロクシアスは特に精神汚染度が高い分、戦闘能力が高いオブリビオンマシンということだ。敵パイロットの通信がなかったのも、オブリビオンマシンと精神が同調しすぎて抜け殻になっていたのだろう。
男が言うにはパイロットは精神崩壊か、よくても記憶喪失の状態になるということ。つまりは尋問は無駄だと説明し、自身の状態も語り出す。
「こいつはどうやら意志があるようでね。僕の愛国心をいたく気に入って精神を保ったまま操れている。それだけ強力ということだ」
つまりオブリビオンマシンを理性がある冷静な状態で操れているということ。それは即ち猟兵クラスの操縦能力を発揮できるということに他ならない。
さらにロクシアスは空翔は比べ物にならない性能。おそらくは単騎でもこの防衛線を突破して、リンドランド大公の飛行船を沈める気だろう。そうはさせるわけにはいかない。
「僕もやるべきことがあるんでね。部下の犠牲も無駄にはしない。ここでルドルフ大公には絶対に死んでもらうよ!」
そう言ってロクシアスが飛行船目掛けて突撃を開始する。未知なる性能を誇る輝光神機との戦いの火蓋が切って落とされる。
クローディア・カルディナーレ
やぁっと翔べるじゃんねぇ!
ほんじゃ行こまい、スターゲイザー!!
こちとら空が主戦場だに、引けは取らんでよ!
ブースターで加速しつつ、補助翼ですれ違い様に斬り付けてやるじゃんね!
加速を活かした直線番長…って訳でもないに?
敵の機動を見、攻撃の予兆を見ながら、ブースターの可動域を活かして直角にだって曲がってやるら!
Gキッツイけど!!
ロックされた…ほいじゃ、やるべき事は一つッ!!
【崩翼墜翔】ッ、エンジンが爆ぜるまでフルブーストッ!
熱量には流星の如き熱量で干渉して曲げて、曲げ切れない分は腕を吹き飛ばされようとガードしながら突っ込んで!最ッ高の飛び蹴りをかまして、諸共地面に叩き落としてやるじゃんねぇ!!
桐原・剛将
「さすがにあれ相手に空中戦は無理やな」
敵機の数も少ないし、エース相手に小手先の技術は通用しない。
「なんで、ひっこんでおくか」
味方が空中戦のうちに倒してしまうならそれでいい。だが無理だった時は。
「俺の出番ちゅうことや」
ステルスマントで姿を隠し、【ロープワーク】でワイヤーで気嚢にぶら下がってに潜む。
敵機が取り付いたのを見計らって敵機の上に落下。
「オブリビオンマシンに乗ったのが運の尽きや。きっちり往生せいや!」
ヤクザショットにてパイルバンカーを相手コクピットにぶちこむ。
動きが止まらない時は取り付いてる腕などを木刀で【重量攻撃】して引き剥がす
リンクス樹海に浮遊する輝く黄金のオブリビオンマシンである輝光神機「ロクシアス」。その見た目はまるで美しさを体現しているようなフレームで、太陽に当てられれば光を放つような機体である。
だが今やオブリビオンマシン、パイロットの精神を蝕みながら破壊をまき散らす兵器となっている。搭乗しているリンドランド大公暗殺を目論む襲撃者の隊長もそれは承知の上である。
彼の目的はリンドランド公国の飛行船を落とすこと。猟兵に勝利することではない。故に気を抜けばロクシアスは防御網を潜り抜け、飛行船に突撃していくだろう。
「やぁっと翔べるじゃんねぇ! ほんじゃ行こまい、スターゲイザー!!」
だがそんなロクシアスの軌道上に立ち塞がるは、真っすぐな意志で敵に挑むクローディア・カルディナーレ(星空を舞う翼・f30523)。彼女が操るは、空戦型キャバリア「スターゲイザー」だ。
殲禍炎剣無き後の世界を見越した試作空戦機は、空中戦において抜群の機動力を誇る。この空においては、クローディアは一歩も譲る気はない。
「こちとら空が主戦場だに、引けは取らんでよ!」
スターゲイザーのブースターが火を噴き、加速する。音を越えてロクシアスのすれ違いざまに補助翼で斬り付けるという芸当を実現するクローディア。
実際のその突撃風景を見ていれば加速を活かした直線番長、といった感じだがそういう訳でもない。補助翼の斬撃を受けようとも飛行船への距離を詰めようとするロクシアスに食い下がるスターゲイザー。
「Gキッツイけど、曲がってやるら!」
敵の機動を読み、飛行船に迫ろうとするロクシアスに攻撃の意志がないことを確認したクローディア。喰らい尽くす為にブースターの可動域を活かして直角に機体を旋回し、更なる突撃を敢行する。
「ちょこまかと邪魔ですね。そこまで墜ちたいなら望むままにしてあげましょう」
さすがのロクシアスもスターゲイザーの曲芸じみた突撃で業を煮やしたのか、攻撃態勢に入る。BSプラズマライフル「黄金の矢」のレーザーサイトが冷静にスターゲイザーに当てられる。
そして無慈悲に放たれるはプラズマ化した超高熱熱線だ。機動力重視のスターゲイザーの機体では何発も耐えられる代物ではない。
「ほいじゃ、やるべき事は一つッ! エンジンが爆ぜるまでフルブーストッ!」
レーザーサイトに標準をロックされたらクローディアはやることを決めていた。プラズマレーザーがスターゲイザーの機体を焼く中、能力「崩翼墜翔(イカロス・フォール)」を起動する。
エンジンがブースターにさらなる加速を点火させる。燃え盛るスターゲイザーの両翼。己の夢の体現たる翼を犠牲にすることで、その加速は流星の如き熱量を持ち、ロクシアスのプラズマレーザーすらも歪曲させる。
「諸共地面に叩き落としてやるじゃんねぇ!」
レーザーを歪曲させ、腕でガードを固めながら突撃をするスターゲイザー。そして勢いのまま強烈な飛び蹴りがその機体に突き刺さる。さすがのロクシアスもこの攻撃には装甲が砕け散り、バランスを崩すことになる。
だがその代償としてクローディアのスターゲイザーは翼を失い、リンクス樹海へと落ちていく。本来であるならば、これで攻勢は終わりのはずだった。
「あとは任せた!」
「これだけお膳立てされて、引っ込んでおくわけにもいかんな」
そう言ってワイヤーロープをロクシアスの機体に取り付け、飛び乗るのは桐原・剛将だ。今までスターゲイザーの機体にステルスマントで潜んでいた彼は、この接近の機会を逃す手はなかった。
今までの戦いとは違い、敵機や味方も少ない中でエース相手に小手先の技術は通用するはずもない。空中戦の不利を悟ってなるべくならば飛行船で守備を固めるのもありだとは思った。
「ま、ここからは俺の出番ちゅうことや」
スターゲイザーの高速機動の重力に耐えながらも、ここまで到達した剛将。派手に落下していくスターゲイザーを警戒しているのか、ロクシアスはこちらに気づいている気配もない。
それを好機と見計らって剛将はステルス状態を維持しながら、ロープワークで華麗にロクシアスの機体を移動していく。狙いはもちろん、コックピット部分だ。
「オブリビオンマシンに乗ったのが運の尽きや。きっちり往生せいや!」
そういって能力「ヤクザショット」を発動させたパイルバンカーの超重威力の一撃が突き刺さる。さすがのロクシアスもこのコックピットを狙った一撃には大きな衝撃を与えることになる。
パイロットの隊長も目の前に突如現れた敵に対しては動揺を隠せない。すぐさまレーザーサイトを当てて迎撃しようとするも、そのBSプラズマライフル「黄金の矢」の腕を弾き飛ばすように木刀によるフルスイングで叩き飛ばす。
「別にキャバリアに乗らんでもやれることはあるんやで!」
そう言ってさらにボディにヤクザショットの一撃を突き刺すと、再びワイヤーを落下していくスターゲイザーに絡ませてロクシアスから脱出していく剛将。やれるべきことだけやって離脱する様は、まさしく一流の仕事というべきものだろう。
「くっ……一旦立て直しだ」
そういってロクシアスのパイロットは自身の機体損傷を顧みて、自己修復能力を全開にする。このままの突撃は到達する前に撃墜される可能性があると判断した為だ。
オブリビオンマシンたるロクシアスの決死の突撃を止めたクローディアのスターゲイザーと剛将。リンクス樹海へと墜ちていく表情はとても満足気な顔だったという。樹海の樹々が衝突の破壊を守ってくれるだろうという確信もあって、ロクシアスの足が止まった光景を眺めていた二人であった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
黒影・兵庫
オブリビオンマシンが気に入る愛国心ってどんな精神なんでしょう?
(「さぁ?ろくでもないのは確かよ」と頭の中の教導虫が返答する)
ともかく飛行船を守り切らないと!
(「どうやって?」)
まずは{要塞蠍}に搭乗して『オーラ防御』で機体ごと護りながら
UC【蟷螂の鋸】で召喚した伐採兵さんが一斉射した回転鋸を『念動力』で操作して敵を攻撃し続けます!
敵がこちらを攻撃したら、ひたすら耐え
その隙に『念動力』で操作した{錨虫}で敵を『捕縛』し
『衝撃波』を使った突進を仕掛けます!
(「肉を切らせて骨を断つ戦法ね。大丈夫?」)
大丈夫!要塞蠍と俺のオーラ防御は無敵です!
(「じゃあ信じるとしましょうか!作戦開始よ!」)
おーっ!
アルトリウス・セレスタイト
暴れておいて後始末もせんのか
それは覚悟ではなく無責任と言う
破界で掃討
対象はオブリビオン及びその全行動
それ以外は地形含め「障害」故に無視され影響皆無
高速詠唱を幾重にも重ね『刻真』『再帰』で無限に加速・循環
瞬刻で天を覆う数の魔弾を生成、周囲全方向への斉射を実行
戦域を魔弾の軌跡で埋め尽くす
更に斉射の瞬間を『再帰』にて間断なく無限循環
回避の余地も反撃の機も与えず討滅まで攻撃を継続
反撃も巻き込み呑み込んで物量で全て圧殺する
そのナノマシンが届けば俺も止まるのだろうな
それも対象ゆえ消し飛ばすが
自身への攻撃は『絶理』『無現』で否定し影響を回避
必要魔力は『超克』で“世界の外”から汲み上げる
※アドリブ歓迎
バーン・マーディ
(目の前の黄金の機神に激しく反応する破城「神機」マーズ
やはりあの機体をしっているようだなマーズよ
良いだろう
貴様の破壊の意志は受け取った
対峙し
愛国…覚悟…自己犠牲…美しい言葉だ
貴様は己の正義を信じて迷わぬのだろう
だが断言しよう
貴様の行為は殺戮であり全て己の暴力と蹂躙を正統化する為の建前にすぎぬ
此処で大公を殺した所で貴様らの国に平穏が訪れる事は無い
ああ、それ以前に
貴様は何も成す事は無い
何もな
【戦闘知識】
動きの癖と行動を予測
【オーラ防御】展開
UC起動
【武器受け】を交え回避は考えず致命だけを避
【怪力・二回攻撃・鎧無視・鎧破壊】にて装甲ごと軍神の剣で粉砕せん
また可能な限り破壊のオーラでナノマシンも消す
輝光神機「ロクシアス」の機体修復モード。さきほどまで受けた損傷はすでに回復しており、オブリビオンマシンの性能は十二分まで回復を行えている。
まさしく生態を持つにまで至ったキャバリアらしい能力であると言えるだろう。無論、ただで回復できるというものではなく回復行動に集中した上に、力も消費することにはなるが。
だがこの程度は足止め程度にしかならない。パイロットである部隊長の男にとっては飛行船さえ最終的に撃墜できれば問題ない状態、猟兵の邪魔立てがあったとしても想定内のことである。
「暴れておいて後始末もせんのか。それは覚悟ではなく無責任と言う」
そう言って魔力で空中を浮くはアルトリウス・セレスタイトだ。だがすでに対人戦となるならば部隊長は対人虐殺機構「疫病の矢」を使う準備を整えていた。それほどまでに余裕がないともいえるが、猟兵を侮る気もない。
機体全体から疫病ウィルス型ナノマシンが放出され、キャバリアに乗らない生身での戦闘行動を無力化する。まさしくキャバリア乗り以外には悪夢のような能力である。
「そのナノマシンが届けば俺も止まるのだろうな。それも対象ゆえ消し飛ばすが」
そう言ってアルトリウスは能力「破界(ハカイ)」を発動させる。人に影響を及ぼす悪徳の病に対抗するは障害を無視し万象を根源から消去する蒼光の魔弾。
それをアルトリウス自身の周囲に展開させ、さらに高速詠唱を幾重にも重ね顕理輝光『刻真』『再帰』で無限に加速・循環させる。そうすることで周囲から無数に迫るナノマシンを周囲全方向への斉射を実行し、消滅させる。
「これは……、予想外ですね」
そう部隊長の男が唸るのも無理はない。アルトリウスは瞬刻で天を覆う数の魔弾を生成、そして消滅の後には魔弾の軌跡で埋め尽くされた戦域があったからだ。
そして今も迫り来る疫病ウィルス型ナノマシンに対して間断なく攻撃を継続している。その攻撃の魔力は『超克』で“世界の外”から汲み上げているので、エネルギー不足による攻撃が切れることはないだろう。
一方のロクシアスは使い過ぎれば、死ぬという副作用もある。それほどまでにこの疫病ウィルスは使いどころを弁えなければならない。ここで持久戦は愚の骨頂である。
「ならば、ここは今展開している物に任せましょう」
そう言ってアルトリウスが疫病ウィルス型ナノマシンを消滅させるのに時間がかかるほど散布した後に飛行船ルートに戻ろうとするロクシアス。だが足止めは何もアルトリウスだけではない。
進路を塞ぐのは、重装甲特化の多脚戦車型キャバリア「要塞蠍」に搭乗した黒影・兵庫、そして破城神機「マーズ」に搭乗したバーン・マーディだ。陸と空からロクシアスを迎え撃つが、特にマーズが激しく反応するのにバーンは敏感に感じ取る。
「やはりあの機体をしっているようだなマーズよ。良いだろう
その反応が同族であることなのか、その嫌悪なのかはわからない。だが激しい反応をロクシアスへの破壊の意志は受け取ったバーンは決意と共に、敵機に向かい合う。
一方の兵庫はロクシアスの行動の原動力にある愛国心に対して思考していた。自分のないものであり、それが美しいとオブリビオンマシンが断じたことが気になった。
「オブリビオンマシンが気に入る愛国心ってどんな精神なんでしょう?」
(さぁ? ろくでもないのは確かよ)
だが頭の中の教導虫「せんせー」は即座に否定をする。どの道、オブリビオンが気に入って手を貸すくらいだから綺麗なものではないのは確かなことである。
「ともかく飛行船を守り切らないと!」
(どうやって?)
そう問答を続ける兵庫と教導虫。地上にいる要塞蠍では飛行するロクシアスに干渉できる術は限られている。まずは要塞蠍が攻撃を受けても耐えられるように念動力による防御を固める。
そして攻撃は能力「蟷螂の鋸(トウロウノノコ)」によって召喚した両腕に回転ノコギリを持った伐採兵部隊が行う。それらを兵庫の念動力によって浮遊させて、一気呵成に突撃させる兵庫。
「チッ、また邪魔かい!」
そう言って部隊長の男はBSプラズマライフル「光の矢」を構える。レーザーサイトで伐採兵に標準を合わせてプラズマ化した超高熱熱線で順次消滅させていくロクシアス。
さらにその攻撃は召喚した伐採兵を送り込む要塞蠍の方にも飛んでくるが、元々重装甲な上に念動力オーラに守られているのでその強烈な攻撃にも十分に耐えうる。
「肉を切らせて骨を断つ戦法ですよ、せんせー!」
そう言っている間に兵庫はある作戦を仕掛けていた。伐採兵や要塞蠍に視線が向いている間に、すでにロクシアスの脇には錨虫を飛ばしていたのだ。そしてそれが敵に絡みつき、空中で動きを止める。
「大丈夫! 要塞蠍と俺のオーラ防御は無敵です!」
(じゃあ信じるとしましょうか! 作戦開始よ!)
そして錨を巻き上げるように要塞蠍は大砲のように錨虫へと飛んでいく。まさしくアンカーとなって、キャバリア砲弾がロクシアスの機体と激突する。
さすがにこれにはロクシアスも衝撃で体勢を崩す。装甲も砕け落ちていきダメージも見られるが、肝心の兵庫の要塞蠍は無傷である。その装甲の硬さが伺える。
「愛国…覚悟…自己犠牲…美しい言葉だ。貴様は己の正義を信じて迷わぬのだろう」
その要塞蠍が崩した隙に能力「城壁の破壊者(ソード・オブ・アレース)」発動により、高速飛翔能力を得たバーンのマーズが急速接近をする。
バーンは弱った敵を逃がすほど甘くはない。敵が体勢を崩したのであればそれを突くのは常道である。
「だが断言しよう。貴様の行為は殺戮であり全て己の暴力と蹂躙を正統化する為の建前にすぎぬ。此処で大公を殺した所で貴様らの国に平穏が訪れる事は無い」
「言ってくれるね。そんなことは成してみなくてはわからないことだよ!」
そう言ってロクシアスはBSプラズマライフルを構えてマーズを撃墜しようと試みる。崩れた体勢であっても射撃が可能なのはさすがと言えるだろう。
だがレーザーサイトが当たる前にその予測軌道を読み切り、機動するマーズ。万物を分解する破壊のオーラを纏った軍神の剣を盾にすることで、超高熱熱線を防ぎきる。
「ああ、それ以前に貴様は何も成す事は無い。何もな」
そう言って渾身の軍神の剣による斬撃がロクシアスを斬り裂く。黄金の機体を丁寧に破壊するように、オーラが装甲を粉々に砕いていく。
マーズの破壊の意志が乗るように装甲を木っ端微塵にしていくが、ロクシアスはそれでも止まらない。バラバラになる装甲を前にしても飛翔を続け、マーズにこれ以上追撃を受けないように超高熱熱線を乱射する。
「君の戯言に付き合っている暇はない。だから、ここは逃げの一手だ」
排除を諦めたロクシアスは足止めをしようとする要塞蠍やマーズを振り切って、飛行船へと向かう。さすがに直線ルートは二人やアルトリウスが抑える為に迂回ルートになるが、厄介な相手をするよりましだと判断したからだ。
だが要塞蠍とマーズから受けた傷は決して軽くはなく、自動修復機能と高速飛翔の同時発動ではあまり治癒も期待できない。そしてアルトリウスに消費させられた疫病ウィルスの残量が今後の戦況にどう影響するか、今はまだわからない。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
カシム・ディーン
愛国だ覚悟だくだらない
唯言葉に酔ってるだけじゃないですか
此処からはちょいと難しそうですが
やって見せましょう
【属性攻撃・迷彩】
全身に光属性を付与して光学迷彩で完全に存在を隠す
疫病の矢発動中は完全に隠れ
それらがつぶれた時点で行動開始
【視力・情報収集】
で冷徹に構造と機体の状態を観察
特に他の猟兵等の猛攻で弱るのを待ち続け
何
スリも良くやってましたよ
お前の覚悟も愛国もくだらない
興味もありません
僕はお宝が欲しいだけですからね
ただお前は失うだけです
張り付いてわたぬき発動
【盗み攻撃・盗み・溜め攻撃】で精度を強化
盗むのはロクシアスの臓器である「隊長」
そのまま乗り込み
隊長を下ろせば
後は好きになさい
全力で離脱!!!
西院鬼・織久
死兵なれば斃れた時の無念は如何ばかりか
血肉を啜れぬならば我等が血肉を糧とする
相応しい死合いを望むとしよう
【行動】POW
可能なら敵機と同型か近い機体の性能や欠点の情報を得ておく
常に五感と第六感+野生の勘で状況と敵行動の把握と予測
先制攻撃+UCで空中戦に入る
ダッシュ+ジャンプで緩急自在に残像+フェイントを行い敵攻撃を回避、早業+なぎ払いの連撃でセンサー部や関節部を狙う
斬撃と武器が纏う怨念の炎(呪詛+生命力吸収)で継続ダメージを与え装甲を損耗
敵機の速度を利用しすれ違い様に影面+捕縛で回り込み、怪力の引き寄せとダッシュで接近、損耗部位になぎ払い破壊する
ダメージは各種耐性と精神系技能で耐え攻撃を続ける
シン・コーエン
(勝手な言い分に少し怒り)
「絶対に死んでもらう」か、戦場において絶対など有り得んぞ、ヒヨッコ。
引き続き生身で。
空中浮遊して自身を念動力で素早く動かし、残像で多数の分身をばら撒きつつ、空中戦能力で変幻に動く。
その上で胴体をUCでブラックホール化。
『プラズマライフル本体と銃口から放たれる攻撃、レーザーサイト、ナノマシン』を吸込対象に指定し、攻撃と武器を奪い取る。
念の為、頭と手足にオーラ防御展開の上、第六感と見切りで弾道を読み、灼星剣で武器受け(超連続射撃という事は1発毎の威力は弱い筈)。
光の属性攻撃を纏った灼星剣と村正による【2回攻撃・衝撃波・鎧無視攻撃・精神攻撃】で、敵機体と精神共に斬り捨てる!
リンドランド公国の大公ルドルフが搭乗する飛行船まではあと少しの距離である。輝光神機「ロクシアス」のコックピットから見える戦場からはそう思えた。
だが部隊長が思っている以上に猟兵達の守りが硬い。ここまで来るのにも相応のエネルギーと力を行使した。おそらくはリンドランド公国のキャバリア部隊も残存しており、突破にはある程度の力が必要になってくる。
つまりはロクシアスは余力を持って猟兵達の防御網を突破しなければならなくなる。ならばできることならば、同型のキャバリアが展開している地域は避けたいところだ。
「愛国だ覚悟だくだらない。唯言葉に酔ってるだけじゃないですか」
そう言って憤慨するカシム・ディーンが展開する戦場にロクシアスは突撃していた。そう判断したのは、生身であるカシムに加え、西院鬼・織久とシン・コーエンも陣取っていたからだ。
猟兵とはいえ、相手は非キャバリア戦力。同じキャバリア乗りよりかはマシと、部隊長の男は判断したのだろう。ここに一点突破に一縷の望みをかける。
「死兵なれば斃れた時の無念は如何ばかりか。血肉を啜れぬならば我等が血肉を糧とする相応しい死合いを望むとしよう」
「『絶対に死んでもらう』か、戦場において絶対など有り得んぞ、ヒヨッコ」
魔術盗賊で戦闘能力ということでは一歩引けを取るカシムは様子見なのに対して、織久はその妄執を喰らわんと戦意は旺盛だ。それが己を上回る体格であり、強大な敵なればこそ血の滾る限り戦うであろう。
そしてシンもまたカシム同様に、その身勝手な信念に怒りを感じていた。その思い上がり、傲慢はここで支払って貰うと言わんばかりに、覇気と滾らせる。
「やれやれ、生身であっても侮れませんか。全く、キャバリアもなしに非常識な!」
BSプラズマライフル「光の矢」を起動させるロクシアス。それに対し、カシムは景色に溶け込むような光学迷彩で完全に存在を隠し、シンは念動力による自身の残像をバラまきながら浮遊機動を始める。
その厄介さを感じ取ったロクシアスはまずは微動だにしない織久にレーザーサイトを当てることに集中する。だが織久は能力「怨竜顕現(エンリュウケゲン)」による能力発動で西院鬼の吸血鬼が血に宿していた竜の力を発現させる。
「我等が血に潜む竜よ、天地を遍く狩る竜翼と化せ」
レーザーサイトに捕捉されてからのプラズマ化した超高熱熱線を放つロクシアスに対して、多少身体に被弾することになっても距離を詰めるように回避を試みる織久。まさしく危険な行動だが、それでも織久の宿した竜の力はそれを可能とした。
殺意と怨念の強さが織久の血を滾らせ、力を成していく。緩急を織り交ぜながらレーザーサイトの捕捉を躱し、初撃以外はプラズマレーザーを回避し続ける。
「中々熱かったですよ。ですが、我等を滅ぼすには能わず」
そう言って怨念の炎を宿した刃がロクシアスの装甲に突き刺さる。狙いは装甲の隙間にある関節部である。そこから呪詛を纏った怨念の炎が入り込み、黄金の装甲を焼き尽くしていく。
装甲が損耗しているのがわかると、コックピットの部隊長は攻撃されるとまずいと織久をプラズマレーザーの連射で牽制して引き剥がし、距離を取る。だがそこに分身と共にシンが突撃してくる。
「全てを引滅する究極の門よ、我が元に来れ」
自身の残像がプラズマレーザーに焼かれていく中で、本体であるシンは能力「漆黒の門(シッコクノモン)」を発動させる。自身の胴体をブラックホール化させ、対象を「プラズマライフル本体と銃口から放たれる攻撃」に指定する。
そしてすべての残像が消され、いよいよシンがBSプラズマライフルの射撃が襲う。すでに高速戦闘演算機構「予言の神」を起動しており、回避は不可能な状態だ。
「何だと……!」
だがシンはそれを全くよけなかった。そのうえでプラズマレーザーをすべて吸収し、ロクシアスの至近距離まで接近してみせたのだ。念のために胴体以外の部分は念動力による補強や灼星剣でガードしていたので損傷は少ない。
そしてそのまま灼星剣と美しい刃紋の日本刀「村正」の二刀流による斬撃が刻まれる。狙いは織久が怨念の炎で損耗した箇所だ。そこを集中的に狙って左腕を斬り飛ばすシン。
「ぐううううう!」
さらにシンの攻撃には精神干渉も含まれていたらしく、ダイレクトに脳波に影響が出る部隊長の男。織久の怨念の炎の呪詛も相まって、ロクシアス操作の影響があるほどの精神的ダメージを負う。
そして二人の攻撃によってBSプラズマライフル「光の矢」の攻撃が不可能になった時点で、カシムが素早く動く。織久とシンの猛攻で敵が弱るのをずっと待っていた甲斐があって、難なく機体へと接近することができた。
「何、スリも良くやってましたよ」
魔術盗賊であるカシムにとって音も姿もなく接近することなど容易い。そして己の欲望のままに力を欲し続けたカシムにとって、部隊長の男の信念など理解できないものだ。
そしてカシムも理解する気はない。彼はただ、盗むのみだ。
「お前の覚悟も愛国もくだらない。興味もありません。僕はお宝が欲しいだけですからね、ただお前は失うだけです」
そう言ってコックピットまで近づいて発動するのは能力「わたぬき(ゾウフゴウダツ)」だ。彼の盗みの精度を強化するその能力は、ロクシアスの臓器である「部隊長」を盗む。
まるですり抜けるようにコックピットに入り込み、部隊長の男をコックピットから引きずり降ろそうと試みるカシム。
「お前が例の盗賊かい? 厄介な能力だけど、やらせないよ!」
だが部下の戦闘を見ていた時、カシムの能力を見ていた部隊長の男は対策を練っていた。カシムに腕を掴まれた瞬間、自身の腕をレーザーブレードを斬り落とす。
自身の四肢すらも失うことに躊躇のない部隊長の男。血飛沫が舞う中、カシムは腕のみを持って脱出する他なく、BSプラズマライフルの反撃の危険を察知して、素早く離脱する。
「これが愛国心って奴かい? 本当に、くだらない」
男の腕を空に捨てつつ、カシムは再び光学迷彩で姿を隠す。織久も身体の一部が焼け焦げ、シンも手足に軽いダメージを負っているものの、ロクシアス側も機体の腕を一本失い、部隊長の男も片腕を喪失した。
そしてロクシアスの足は完全に止まる。それはつまり、飛行船を守る上でそこを集中攻撃することで防衛も可能になったということだ。三人は追撃に来る猟兵達に後を任せつつ、見事に足止めに成功したことに安堵するのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
キョウジ・コケーシ
平和を運ぶ船を沈めさせるわけにはいきません。
空飛ぶ紳士モードに変形し、高速飛行での戦闘を行いましょう。
次々に降らせ続けるこけし守護神を敵機のレーザーサイトの狙いに割り込ませ続けて、相手の本命の射撃を妨害しつつ攻撃をさせましょう。
私も時速6000km超での高速飛行しながらビームキャノンで攻撃、私より遅いですが誘導弾ですので簡単には避けれませんし、この速度でのコケシックペネトレイターの一撃は軽くは有りませんよ?
カウンターを狙おうとするかもしれませんが守護神の妨害に加え、私の機体は可動式スラスターにより高速での三次元機動も可能です、あなたの動きを見切って、そのカウンターを更に狙わせて頂きましょう。
エイス・シノノメ
精神汚染全て承知とは見上げた愛国心です
ですが!幾ら性能が良いと言えども部下達は判断力が失われたら刻一刻と状況の変化する戦場において十全に戦える訳が無い!
会話できる理性を保つとは余程強い意志がお有りかも知れませんが現場の指揮を取らず後から現れるなぞ悪戯に戦力を損耗させる悪手だと気付けていない!
戦さ場を駆ける者として真っ当な思考力は最早無いのでしょう
何が起こるかわからない戦さ場ではそれが生死を分けると言いますのに
機獅道の教えにも思考を止めるは息の根を止めるのと同じとあります
部下を失った貴殿ではもう及ばない事が判らないのですか
大公を汚染させないため前に出られぬ空間に弾を置く様に射撃し続け追い詰めます
シーザー・ゴールドマン
ハハハ、オブリビオンマシンと認識して使うのか。それは愚かな選択だったね。それが為に公国とは無関係の我々を敵に回したのだから。
まあ、その選択自体が既に影響下にあったせいかも知れないがね。
いずれにせよ君はここまでだ。墜ちたまえ。
『ルベル』を『ウルクの黎明』の魔力で強化して空中で超音速戦闘へ。(先制攻撃×空中戦)
敵powuc『黄金の矢』の起こりを見切って残像を撃たせて懐に潜り込んでオーラセイバーによる一撃を与えます。(見切り×残像×カウンター)
アドリブ歓迎です。
輝光神機「ロクシアス」は左腕を失い、パイロットである部隊長の男も片腕を失う異常事態。だがコックピットの血を吸い取るが如くオブリビオンマシンは機体に染み込む血を吸収していく。
それはまるで栄養を与えられた怪物のように、ロクシアスの機体は輝きを取り戻し、自己修復機能によって急速に失われた腕を構築していく。まるでパイロットを生贄にしているかのような再生っぷりだ。
それほどまでにロクシアスの機体は危険なものであり、もはや部隊長の男は取り込まれ過ぎている。助けられないかもしれないという思いはあるものの、あの危険な機体からリンドランド大公の船を守ることが優先される。
「ハハハ、オブリビオンマシンと認識して使うのか。それは愚かな選択だったね」
「なんだって……?」
そう言ってロクシアスのコックピットで止血処理を終えた部隊長の男を嘲笑するシーザー・ゴールドマン。対峙するように彼も真紅の超越機「ルベル」に搭乗して空中に浮遊している。
彼が笑うのも無理はない。その選択こそが猟兵を手繰り寄せ、この戦局を招いたのだから。もしも普通のキャバリア部隊で行っていれば成功したかもしれない。
「それが為に公国とは無関係の我々を敵に回したのだから。まあ、その選択自体が既に影響下にあったせいかも知れないがね」
すでにロクシアスの影響下に置かれた環境であったのかもしれない。搭乗する前からその精神に影響を及ぼすとなれば、かなり強力なオブリビオンマシンであるのだろう。
シーザーはそれを提供したセプテム連合王国の誰かに興味を抱く。だがそれはこの戦いを無事に終えられたらの話である。
「黙れっ!」
怪我の痛みによる思考低下、さらにオブリビオンマシンの精神汚染によりすでに飄々とした元の性格は鳴りを潜め、暴力的な側面が前に出る。否定するようにレーザーサイトを当ててからのBSプラズマライフル「光の矢」による超高熱熱線が開始される。
その破滅的な光線を前にしてもシーザーの冷静さは崩れることはない。能力「ウルクの黎明(デウス・ポテスタース)」の輝く真紅のオーラをルベルの全身に行きわたらせ、魔力強化による活性で一気に超高速戦闘へと移行する。
「いずれにせよ君はここまでだ。墜ちたまえ」
レーザーサイトの照射すらも間に合わない高速移動。そして敢えて攻撃を喰らうことで敵の油断を誘う。撃ち抜いたのは真紅のオーラで作り出した分身だ。
その一瞬の隙にロクシアスの脇を通り過ぎるルベル。一陣の風が通った瞬間、ロクシアスの肩から胸にかけて、オーラセイバーによって着けられた斬撃の痕が刻まれる。
「平和を運ぶ船を沈めさせるわけにはいきません」
辛うじて真っ二つになりかけなロクシアスが自己修復を行う中、キョウジ・コケーシは見逃さない。自身がロボットヘッドとなって乗り込んだオブリシオンマシン「ルーンデモニスタ・マルドゥ」を空飛ぶ紳士モードに変形し、高速飛行でロクシアスに迫る。
それこそ能力「貴方の勇気を支える紳士的守護神(コケシック・ジェントリー・ガーディアン)」。それと同時に戦場に弱い者を守る為に無双の力で戦うこけし守護神が降り注ぐ。
「なんだこれは!」
そう部隊長の男が叫ぶのも無理はなかった。レーザーサイトをルーンデモニスタ・マルドゥに合わせようとしてもこけし守護神が射線に入り込む。キョウジはその中を時速6000km超での高速飛行しながらビームキャノンで的確にロクシアスのボディを狙い続けるのだ。
敵のBSプラズマライフルの攻撃は直線なので、レーザーサイトさえ妨害してしまえば高速に動くキョウジに当たることはない。対してビームキャノンは誘導ビームなので的確にさきほどのシーザーの刻んだルベルの斬撃痕を狙い撃つ。
「おのれ!」
「この速度でのコケシックペネトレイターの一撃は軽くは有りませんよ?」
ならばとカウンターを狙ってルーンデモニスタ・マルドゥの軌道にプラズマレーザーを撃ち込むロクシアス。それを可動式スラスターによる高速加速した上での三次元機動で緊急回避するキョウジ。
そうしてまんまと至近距離に入って振るわれるのは、コケシックペネトレイターの一撃だ。ビームキャノンで損壊した箇所に容赦ないパイルバンカーの一撃が撃ち込まれ、機体に大きく亀裂が入る。
「ぐうっ!」
精神汚染が進んでいる部隊長の男はロクシアスの損壊に影響をもろに受ける。このままではまずいと対人虐殺機構「疫病の矢」をバラまこうとする。
ルベルやルーンデモニスタ・マルドゥには影響はないが、狙いは飛行船による乗組員だ。ここまで近ければ疫病ウィルス型ナノマシンも届くと判断したのだろう。
「精神汚染全て承知とは見上げた愛国心です。ですが! 幾ら性能が良いと言えども部下達は判断力が失われたら刻一刻と状況の変化する戦場において十全に戦える訳が無い!」
そう言って、ナノマシン散布を防ごうとクロムキャバリアに乗る機獅エイス・シノノメが突っ込んでくる。飛行船の乗組員が感染すれば、その制御を失い墜落する危険性もあるからだ。
エイスは部隊長の男はこの期に及んで会話する理性を持つこと、侵食されてもまだ精神を保っていることに強い意志の存在を感じていた。だがすでに現場に指揮をする兵士達はおらず、全滅してから突っ込んでくる悪手を侵しているロクシアスはすでに負けていると確信している。
「部下を失った貴殿ではもう及ばない事が判らないのですか!」
そして手に持ったBS-1-K-XAKプラズマライフルが撃ち込まれる。すでにいくさ場を駆ける者として真っ当な思考力もない部隊長の男にエイスがかける情けはない。
さらに攻撃の手を一手を確立させる為に能力「機獅道とは!撃つ事と見付けたり!(ファイア・ファイア・ファイア)」を発動、高速高威力高連射性のプラズマグレネード弾が発射されロクシアスの身体で爆裂する。
「うおおおおおおおおお!」
「攻撃こそ戦場の真理! 弾幕が敵機の機動を制限し我が方に優位を作り出す!」
疫病ウィルス型ナノマシンを決してルドルフ大公のいる飛行船には近づけない。前に出られないほど、ナノマシンをすべて焼き尽くすほどの熱量が空に炸裂する。
エイスは思考力を放棄しない。それがいくさ場において生死を分けると知っている為、それこそが彼女が信奉する機獅道の教えに沿うものだからだ。思考を放棄した者から息の根を止めていく。
そして対人虐殺機構「疫病の矢」はプラズマグレネード弾の爆裂によってすべて焼き尽くされ、部隊長自身も限界を迎える。すでに許容時間を迎え、もはや疫病ウィルス型ナノマシンは散布できない。
そうなった状態でもエイス達は油断をすることはない。機体損傷はあるといえ、あのダメージを受けてもなおロクシアスは上空に健在している。だが黄金の装甲は大きく樹海に落ちている。そう、決着の時は近づいているのだ。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
才堂・紅葉
「こっから先は通行止めよ」
迦楼羅王を飛行船に待機させ、機関部等の重要区画に撃ち込まれる射撃を「紋章板」で展開した多層バリアで斜めにいなす。全てには手が回らないが、自身の守備範囲内で飛行船への致命打を避ける構えだ【拠点防御、戦闘知識、オーラ防御、結界術】
相手がこちら狙いに切り替えたら受けて立つ
回避行動を読み切った射撃は厄介だが、ここで紋章の【封印を解く】事で「斥力跳躍機構」を初披露したい
斥力を用いて虚空を蹴りつけ跳躍。相手がそれに適応する前に、鎖を伸ばした「紋章板」で捕えたい【早業、捕縛、怪力、体勢を崩す】
後はチェーンデスマッチで重殺術を叩き込むべしだ【グラップル、気合、重量攻撃、属性攻撃】
リジューム・レコーズ
敵の新型か…!
先の機体の動きはそういう事でしたか
深刻な精神汚染を受け入れてでも遂行しなければならない任務だったと?
やるべき事があるのはこちらも同じ
あなたなんですよ!ここで斃れるのは!
ストームルーラーを装備したアークレイズに追い付いてくるとは…
しかもプラズマライフルに至ってはEMフィールドでも殆ど減衰しない
一体どれだけの出力が…
スピードもパワーも一級品ですか
ですが攻撃の狙いもタイミングも正確過ぎますね
相対距離を詰めながらハイパーエッジを起動しルナライトを極大化
プラズマライフルをブレードで受けて切り払い
続けざまに目標を連続攻撃
敵味方の識別をしてる余裕は無い
すいません、皆さん避けて!
アイ・リスパー
【電脳術師】
「意思のあるオブリビオンマシンなど……!
そんなものの目的を果たさせるわけにはいきません!」
【夏の夜の夢】によるパワードスーツを操縦して飛翔しながら【ラプラスの悪魔】を起動。
シミュレーションによって敵の行動を予測します。
「『こちらの回避行動を読み切った射撃』をシミュレートして回避してみせます!」
相手の行動を読むことについては、こちらも負けません!
「シャルロットさんの攻撃準備が整うまで時間を稼がせてもらいますっ!」
敵が『こちらの攻撃を演算して回避する』結果をシミュレート。
その動きを止めるように、大型荷電粒子砲やミサイル、ロケットランチャーを撃ち込みましょう。
「先読みなら負けませんっ!」
シャルロット・シフファート
【電脳術師】
いよいよ元凶がやって来たようね。良いわ。こちらも本気を出してあげる。
そう言うとUCによって周囲に散らばっている破損しオブリビオンマシンの残骸が揮発するように消えていく。
それが何の現象か悟られないようふるまい、サイキックキャバリアの魔術行使動力源から電脳精霊術の極意として【属性攻撃】を用いた魔術砲を放射していく。
「(本当は『防御』が狙い目なのだけどね……!)」
そう言って撒き散らされるナノマシン――マシンである以上世界観的には無機物であるだろう――をエーテル化し無害化、仮にエーテル化出来なくとも先程集めた純エーテルの属性魔術を以て無害化していき、さらに魔術攻撃を放つわ。
すでに太陽の如き輝きを放った装甲は大きくひび割れ、その損傷を治す自動修復機能も追いついていない。パイロットである部隊長の男も失った腕の出血と痛みで限界を迎えつつある。
それでも彼を動かしているのは愛国心、国に貢献する鉄の意志。そして任務を遂行するという、不退転の決意であった。
猟兵を突破したとしても飛行船を墜とせるほどの力はもはや残っていない。ならば狙いは一転集中、飛行船のエンジン部に狙いを定め、最後のエネルギーを使って高速飛翔を始めるロクシアス。
「意思のあるオブリビオンマシンなど……! そんなものの目的を果たさせるわけにはいきません!」
「いよいよ元凶がやって来たようね。良いわ。こちらも本気を出してあげる」
そう言って最後の反撃を凌ぐべく迎撃態勢を敷くアイ・リスパーとシャルロット・シフファートの二人の電脳魔術士コンビ。すでに構築していたパワードスーツを維持しつつもアイは能力「ラプラスの悪魔(ラプラス・デモン)」を発動する。
パワードスーツを操縦して飛翔しながらも、高速シュミレートでロクシアスの高速機動を予測して動き続けるアイ。高速戦闘演算機構「予言の神」を起動しながらも、回避を続けるアイのパワードスーツにプラズマレーザーが当たらない。
「『こちらの回避行動を読み切った射撃』をシミュレートして回避してみせます!」
「ちょこまかと!」
相手の行動を読むことに特化して回避するアイ。相手の回避行動を読み切った超連続射撃攻撃を放つロクシアス。回避行動の先読み合戦による空中戦が繰り広げられる。
そしてその行動をしている理由がシャルロットが発動する「無垢であると謳う世界全ての無機(ハウリング・エーテルブリング・アルケミスト)」の発動の時間を稼ぐことだ。その能力により樹海にバラまかれた空翔やロクシアスの破片をエーテルへと転換し、残骸は揮発するように消えていく。
「シャルロットさんの攻撃準備が整うまで時間を稼がせてもらいますっ!」
ロクシアスが『こちらの攻撃を演算して回避する』結果をシミュレートして、先読みをするアイ。その動きを止めるように大型荷電粒子砲やミサイル、ロケットランチャーを絶妙なタイミングで撃ち込んでいく。
本来のロクシアスの性能であれば、アイの先読みに対しても対応し、それを上回ったかもしれない。だがここに至るまでの機体損傷、パイロットである部隊長の負傷による操縦技術の悪化がアイの攻撃に後手に回る結果となった。
「先読みなら負けませんっ!」
そうやってアイが時間を稼いでいる間に、シャルロットの準備が完了する。ロクシアスは残骸が消える現象が何なのか悟ることもなく、エレクトロスピリットキャバリア「アティルト」の魔術行使動力源から電脳精霊術の極意を用いた魔術砲を放射していく。
本来ならば防御としてナノマシンを殲滅させる役割も担っていたが、すでにロクシアスは対人虐殺機構「疫病の矢」を使えない状態。だがナノマシンをエーテル化できない代わりに、アイの爆発するミサイルやロケットランチャー弾の破片をエーテル化していく。
(本当は『防御』が狙い目なのだけどね……!)
内心はそう思いながらも、純エーテルの属性魔術を集結させた魔術砲撃で足止めするロクシアスを撃ち抜くアティルト。地上からの対空射撃、さらに予知はアイのパワードスーツに対応するまでが限界でシャルロットの方面まで回す余裕がない。
魔術砲撃とアイの大型荷電粒子砲がクロスするように機体に突き刺さる。背後の浮遊装置・加速装置にも多大なるダメージを負い、このままでは移動すらままならなくなる。
「敵の新型……先の機体の動きはそういう事でしたか」
そんなロクシアスにトドメを刺すべく、リジューム・レコーズのオブリビオンマシン「アークレイズ」が眼前に現れる。同じオブリビオンマシンで、さきほどの空翔とは比べ物にならない性能。
すでに多くの猟兵の攻撃を受けても沈まない耐久力には感嘆する他ない。だがあと少しであることは明白だ。
「深刻な精神汚染を受け入れてでも遂行しなければならない任務だったと? やるべき事があるのはこちらも同じ。あなたなんですよ! ここで斃れるのは!」
「……ふざけるな。ここまで来て失敗など認められるか!」
リジュームの咆哮と部隊長の男の怒号が響き合う。ロクシアスは最後の自動修復機能を加速装置に回し、再び機動戦に持ち込む。一方のアークレイズも先制強襲用複合ブースターユニット「ストームルーラー」で加速する。
だがあれほど損傷しているにも関わらず、アークレイズの動きに互角以上についてくるロクシアス。そして敵のBSプラズマライフルは時折アークレイズの装甲に到達し、貫通していく。
(プラズマライフルに至ってはEMフィールドでも殆ど減衰しない。一体どれだけの出力が…)
損傷を感じさせないほどにロクシアスのスピードもパワーも一級品。しかも攻撃の狙いもタイミングも正確過ぎることに、逆に活路を見出すリジューム。
プラズマレーザーの超連続射撃攻撃を受けることも覚悟で距離を詰める。突き刺さるレーザーの中で能力「ハイパーエッジ」を起動し、プラズマブレード「BX-Aルナライト」の青月の光刃が極大化する。
それに意を返さずにプラズマレーザーを撃つロクシアスだが、軌道もタイミングも正確過ぎる故に距離も近い。ならばとルナライトの刃を到達する前に振るって、レーザー光線をかき消す。
「すいません、皆さん避けて!」
そう言って、アイとシャルロットに離れるように指示を出すリジューム。嫌な予感を感じ取ったのか、二人は咄嗟に距離を取った瞬間、アークライズのハイパーエッジの有無を言わさない連続斬撃が振るわれる。
プラズマレーザーをかき消した後に振るわれた連続斬撃。極大化したルナライトの刃はロクシアスの機体に到達し、肩から股間部にかけた傷、そしてアンダーフレームを両断する傷が刻まれる。
「本気で斬ればこんなものです!」
そう言ってリジュームはアークライズの精神汚染に耐えながらも、落下していくロクシアスに対して宣言する。確かに浮遊機能のある両足、背後の加速装置もすでに破壊されて、あとは樹海に落下するのみであった。
だが部隊長の目には映っていた。大公の搭乗する飛行船のエンジン部がはっきりと捉えられた。ならばと、BSプラズマライフルを構え、レーザーサイトを照射する。後は引き金を引いて幕引きとなるはずだ。
「終わりだ……!」
「残念、こっから先は通行止めよ」
しかし最後の最後まで油断していなかったのは、才堂・紅葉。そして彼女の乗るサイキックキャバリア「迦楼羅王」であった。予め飛行船に待機させており、万が一に備えていたのが幸いした。
エンジン部に撃ち込まれようとするレーザーサイトの射線に入り込んで、多層バリアを展開した紋章板で遮って、発射されたプラズマレーザーを斜めに反らすように防御する。幸い狙いすました一発であったので、防御に全集中した迦楼羅王は見事、樹海にプラズマレーザーを着弾させる。
「最後まで邪魔を……ならば、貴様だけでも道連れだ!」
落下していく中で紅葉の迦楼羅王に狙いを変えたロクシアス。紅葉は勿論受けて立つつもりだが、今だ高速戦闘演算機構「予言の神」による回避行動を読み切った射撃を繰り出してくる。
これにはさすがの紅葉も手を焼く。紋章板によって防御も可能だが、樹海に墜落して下手に回復させる前に空中で決着をつけたい。ならばと紋章の封印を解き、能力「斥力跳躍機構(リパルシブジャンプガジェット)」を初披露する。
紋章の力で引き出した斥力に指向性を持たせるガジェットであり、その虚空を蹴りつけた跳躍はありえない事象としてロクシアスの計算を狂わせる。相手が適応できていない所を見て、紅葉は満足感を示す。
「私専用とは言え、錬金科にしちゃまともな発明じゃない」
そして対応される前に鎖のついた紋章板をロクシアスに投擲し、そのまま絡めとる。そしてそのまま力強く引っ張って上半身だけになった機体を引き寄せ、拳を構える。
炸裂させるは重殺術。チェーンデスマッチの要領で、ありったけの拳をその機体に叩き込むだけだ。
「終わりよ!」
迦楼羅王の重量の乗った打撃がBSプラズマライフルを粉砕し、コックピット付近の心臓部を貫く。もはや自動回復機能のあるロクシアスを止めるには、コックピットを切り離す他ない。
そしてロクシアスのコックピットが露になる。開かれた先にいた部隊長の男は片腕からの出血からか、もはや虫の息だ。オブリビオンマシンの影響により生命力を強化されていたが、支配が終わろうとしている中で男の命も尽きようとしている。
「ははっ、結局何もなせずに終わりです、か。そうなることも、予想していましたが……」
だが部隊長の男に悔いの表情はない。そして潔さもあるはずもなかった。最後の抵抗なのか、ロクシアスのコックピットの赤いボタンの蓋を壊して押す。耳うるさいアラームが鳴り、嫌な予感を感じた紅葉はチェーンでロクシアスの機体を空中へと放り投げる。
そして次の瞬間、巻き起こる大爆発。部隊長の男も、ロクシアスの黄金の機体も木っ端微塵に吹き飛ばすほどの自爆だった。最後まで証拠は残さないという執念を感じさせる行動であった。
そしてロクシアスの爆発はこのリンクス樹海における襲撃者の完全撃退の完了を意味していた。リンドランド公国のキャバリア部隊に犠牲者は出たものの、リンドランド大公が乗る飛行船は無事。
これで和平会議参加を邪魔する者はいなくなった。紅葉やリジューム、アイやシャルロットは勿論、戦った猟兵達は飛行船に歓迎され、そのまま休息を取ると共に、ドルトムンド同盟国首都ドルディアへと向かう。
リンクス樹海にはオブリビオンマシンの残骸だけが残った。そう、猟兵達は見事平和の使者を守りきったのだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 日常
『クロムキャバリア小国家の首都観光』
|
POW : 食事! 首都ならではのグルメを楽しむ。
SPD : 名所! 首都の観光名所やスポットを巡る。
WIZ : 名産! おみやげや掘り出し物を探すショッピングに回る。
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
リンドランド大公ルドルフの飛行船に同乗し、首都ドルディアまで到着した猟兵達。これから数日後に、首都中央にある議事堂にて和平会議が行われる手筈のなっている。
そしてルドルフ大公は別れる際に、猟兵達に十分な報酬を支払ってくれた。金額にして普段の傭兵稼業よりも10倍以上のクレジットが振り込まれ、猟兵達本人は勿論家臣達も目を見張っていた。
「私の生命だけではなく、リンドンランド公国も救ってくれた恩人だ。せめて感謝の気持ちを込めてこれくらいはしないと、国主としての器が知れるもの」
そう言ってルドルフ大公は家臣達の言い分を遮って、猟兵達に報酬を受け取らせた。改めて見た感じ、このルドルフ大公がいる限りリンドランド公国は大丈夫ではないかという安心感も出てきたのは事実だ。
そうしてルドルフ大公の一行と別れた後は、ドルトムンド同盟国軍の駐屯地へと赴く。捕らえた襲撃者の引き渡しなのだが、おそらく効果はないと思われる。
死んだ部隊長の男が言っていた通り、空翔に搭乗していたパイロットは精神崩壊、軽くても記憶喪失している者や、幼児退行している者までいた。こうなっては尋問は不可能であろう。
一応、セプテム連合王国の者かもしれないという情報も渡したが、確信がないのに判断はできないと報告書に記す程度になるという。この結果だけはさすがに猟兵達も後味が悪い。
「ところで、せっかくドルディアまで来たんだ。観光くらいはしていくだろう?」
そう言って駐屯地の責任者は猟兵達にドルディア観光を勧める。3つの国難を救った猟兵達はドルトムンド軍上層部から好意的な目で見られていた為に、善意からお誘いだろう。
「食事なら、牛肉料理と酒だな。一番はビールだ!」
ドルディア黒牛というブランド牛肉が絶品らしく、さらにビールも美味いと来ている。男らしい国の豪快な料理が楽しめそうではある。グルメに関してはそんな風に説明する。
「名所というか、今はキャバリア・キャノンの大会が開かれているな」
キャバリア・キャノンというのは、都市に設置されたコースをキャバリアでレースするという競技だ。都市を走行するということで臨場感と圧倒的スケールのレースが楽しめるキャバリアスポーツの一つだ。
ただキャバリアのレースには危険が伴う為に専用競技場で行うか、首都ドルディアのように道路に専用隔壁を設置している場所でないと開催はできない。ちなみに飛び入りの参加も認めていると言う。
「名産はこれといってないが、キャバリア市やキャバリア部品を扱う市場は周辺国一だろうよ」
おみやげといったものはありきたりなものしかないが、キャバリアの武器やパーツを豊富に扱う店は多く出店しているという。弾丸や消耗品も多く揃えており、ドルトムンド同盟国各地から買い付けがくるほどだ。
戦闘で消耗した装備品や装甲修理などもついでにやってもらうのもありかもしれない。
ドルディアの説明を一通りしてもらい、猟兵達は街へ観光へと向かう。和平会議成立を見届けるまでリフレッシュ期間となる。
激戦を制した猟兵達のひと時の休息タイム、貴重な時間を全力で楽しめるのが嬉しいのか、猟兵達の足取りは軽かった。
シーザー・ゴールドマン
折角の好意だ。少し観光をして帰ろうか。
キャバリア・キャノンの大会やキャバリア市を見物して、ドルディア黒牛の料理とビールを楽しみます。
情報屋などを見つけ出し、気前よく報酬を弾んで公国や同盟国、連合王国など周辺国家の情報を得ます。
(特に目的がある訳ではなく単なる知的好奇心です。もっと言えばフレーバー的なもの)
程々に楽しんだら転移してこの世界から姿を消します。
バーン・マーディ
まず食を楽しむ
牛肉料理にビール
何方も絶品なれば味わうとしよう(実はグルメなボス
今回はデュランダル騎士達にも共に食を囲むとしよう
……何、昔からやっていたことだ
(尚、料理担当はしっかりと味と技術も分析してたりする
マーズのメンテナンスと特性について調べるとしよう
後は修復といきたいが
…自己修復しているか
…あのロクシアスと同様に…か
キャバリアキャノンに参加するぞ
我はマーズを纏ったといっても日が浅い故
よりその扱い方を熟知せねばならん
【運転】でより動きを整えながら
【戦闘知識】で周囲の状況を把握
更にコースを丹念に確認し
他の猟兵のキャバリアも警戒
狙うなら頂点よ
マーズも滾っているようだな
往くぞ…!
ドルトムンド同盟国の首都ドルディア。周辺諸国一の規模を誇る大都市は今、大賑わいの祭りと化していた。
なぜならば長年の敵国であるリンドランド公国の大公が首都に訪れ、和平に向けた会議を行っているからだ。長年、変わらなかった状況が変わろうとしている期待感もあるのだろう。
あまりに戦争をし過ぎているせいでに日常と化している現実。それを打破できることならばどんなことであろうとも大歓迎というのが国民というものである。
「折角の好意だ。少し観光をして帰ろうか」
そのリンドランド大公ルドルフから大金を受け取り、首都観光へと繰り出したシーザー・ゴールドマン。絶品と言われる黒牛の料理とビールを楽しみながら、戦場での疲れを癒す。
そしてその知的好奇心を埋める為にも動いていた。食事を楽しみながらも、この周辺諸国に詳しい情報屋を見つけ出し、金に糸目をつけずに情報を漁っていた。
「ふむ、ドルトムンド同盟国やリンドランド公国のことはわかったよ。それでセプテム連合王国のことは?」
「あそこは敵国だしな。それにここ最近、政変があったのか知らんが情報封鎖している節があるんだよ。かなりきな臭くなっているな」
ドルトムンド同盟国は今回の和平成立でリンドランド公国国境配備のキャバリア部隊を他の敵国警戒に運用すること、リンドランド公国もまた国情が安定して国家運営が持ち直すのではないかという情報を得るシーザー。そしてセプテム連合王国はどうも火種の臭いを感じ取る。
情報封鎖には大手商会も絡んでいるとあって、これからも動向は目を離せないとばかり薄く笑うシーザー。情報屋に気前よく報酬を渡し、ドルディア牛を堪能していると見知った顔を見かける。
「おや、君もここで食事を?」
「うむ。何方も絶品なれば味わぬ手はない」
そういってバーン・マーディは豪快にドルディア牛のステーキとビールを食らっているテーブルへと移動するシーザー。グルメなボスという側面を持つバーンは、食とビールを思う存分楽しんでいた。
さらに日頃の労をねぎらう為か、能力「叛逆の組織『デュランダル』(タイシンソシキデュランダル)」で呼び出したデュランダル騎士達と共にテーブルを囲んでいる。それはまるで騎士団の打ち上げのようであった。
「……何、昔からやっていたことだ」
「その中の一人は、料理自体に熱心のようだがね」
バーンのデュランダルの騎士の料理担当はしっかりと味と技術も分析していたりするなど、職業病なところを見抜いて苦笑するシーザー。その姿勢を見ながら彼は今後の予定について聞く。
シーザーは情報も得たことだし、後はキャバリア市を見回り、キャバリア・キャノンの大会などを見学して首都を去るつもりだった。そしてバーンは予定について口をする。
「我はキャバリアキャノンに参加する」
「ほう、興味がわいたかね」
そのことにシーザーも興味深そうに顔を覗き込む。実はバーンは料理屋に来る前にキャバリア市の整備店でマーズのメンテナンスと特性について調べていた。
勿論この戦いの修復も兼ねようとは思ったが、件のオブリビオンマシン「ロクシアス」と同様の自己修復機能を持っていたマーズにバーンも驚嘆する。それならばともう一つの関心ごとに参加しない手はない。
「我はマーズを纏ったといっても日が浅い故、よりその扱い方を熟知せねばならん」
これからもマーズを使いこなし、より戦いを優位に進めなくていけない。その為にキャバリア・キャノンで操作技術を磨くのも悪くないことであるとバーンは思っていた。
運転操作は勿論、周囲のキャバリアの状況確認、さらにコースの把握など様々なことが要求されるだろう。そして他の猟兵達も侮れないことから、バーンは何気に自身が滾っているを感じている。
「そうか。ならば君の勇姿を私も拝見させてもらうとしよう」
「狙うなら頂点よ。マーズも滾っているようだしな。では、往くぞ」
そう言ってドルディア牛の料理店を後にする二人。その後、飛び入りのキャバリアの参加があり、並みいる歴戦のキャバリア・キャノンの選手達とも互角に渡り合うバーンの姿があったという。
結果に関しては多くは語らないが、バーンが試合後に満足していたこと。シーザーが観客席で拍手喝采をしていたことからも、得られたものは多かったのだろう。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
リジューム・レコーズ
想定以上に報酬額が膨れ上がりましたね…
アークレイズの維持には莫大な資金が必要なのでありがたい事には違い無いのですが…
私達猟兵に対する政治的な配慮も含まれているのでしょうか
キャバリア・キャノンですか
飛び入り参加も認められていると
では私もアークレイズで参加しましょう
大会というからには各地から大勢の参加者と多種多様なキャバリアが集っているはず
市街地に於ける速力が他の機体と比較してどの程度の段階に到達しているのか確かめる良い機会です
ましてや主要都市内での高速機動を行った際のデータを取得出来るチャンスなどなかなか巡ってきませんからね
よって競技とはいえ全力で臨みます
土地勘の不利はあれど後塵は拝しませんよ
桐原・剛将
「ひのふのみいの……。あれでこれを差っ引いて……。あかーん!! 全然残らへんやんけ!! 何が報酬10倍や、為替レート考えてくれ!!」
今回の任務で使った装備の補修や消耗品の補充、修理。さらにいえばこの金銭をグリモアベースで日本円に両替して生活費やら学費やらを差っ引けば手元に残るのは微々たるものだ。
「ええわ。料理やいうても国が違う程度やと味もあんまかわらんし」
それこそ世界が変わるくらいでなければ。
「おーい、グリーガー(グリモア猟兵の略)ちゃんや、ちょっとグリベまで転送してくれんかー」
使いみちがあるならとっとと支払うに限る。世界を越えての両替はグリベでしかできないのだ。
今回の任務ではリンドランド大公の恩情ということで多額の報酬が手渡された。そしてリンドランド大公を救った功績でドルトムンド同盟国側からも支払われている。
優秀な働きをする傭兵というものは得難いものである。こういった戦場での働きで報酬を支払うことは決して珍しいことではない。
だがリンドランド大公が支払った額はその市場からも大きく上回るものであったようで、側近が目を丸くしていたのを見て察していた。その様子を眺めていたリジューム・レコーズは冷静に分析をしていた。
「想定以上に報酬額が膨れ上がりましたね……アークレイズの維持には莫大な資金が必要なのでありがたい事には違い無いのですが……」
想像以上の大金。なれどもキャバリアというのは大いに金食い虫である。修理や保全費用だけではなく、常に新規強化やアップグレードも施していかなくてはいけない。
リジュームは委託先の博士の顔が資金を見て綻ぶ顔を想像して、少しうれしくもなる。だがそれ以上に猟兵に対する政治的な配慮についても考えなくてはいけない。これから猟兵の活動においてリンドランド公国としても利益があればという思惑もあるのかもしれない。
「お偉い人が考えることは大変ですね。それはそうと、キャバリア・キャノンですか」
リンドランド大公の思惑や多額の報酬に関しての思考は一旦置いておいて、リジュームの関心はこの首都にて開かれているキャバリア・キャノンに向けられていた。キャバリアでのレースなど、この世界ならではの行事であろう。
さらに飛び入りの参加も認められている辺り、かなり自由度の高いスポーツであるに違いない。その空気に触れることは決して悪いことではないとリジュームは判断する。
「では私もアークレイズで参加しましょう」
そう言って自身のマシン「アークレイズ」にてエントリー参加の手続きを行うリジューム。ドルトムンド同盟国は多様な国家の集合体ということから、大会には各地から大勢の参加者と多種多様なキャバリアが集っている。
何よりアークレイズにとってもいいテストランになるという側面もある。市街地に於ける速力が他の機体と比較してどの程度の段階に到達しているのか、それを確認するには絶好の機会だとリジュームは思う。
「ましてや主要都市内での高速機動を行った際のデータを取得出来るチャンスなどなかなか巡ってきませんからね」
これからは都市戦闘も行う可能性も否定できない。そういった意味で、この暴れ馬であるアークレイズをうまく制御できるかが鍵となる上で、この大会参加は得られるものは多そうだ。
だからといってリジュームもただでは負ける気はない。競技とはいえ全力で臨み、勝利を狙っていく姿勢は変わりはない。
「土地勘の不利はあれど後塵は拝しませんよ」
事前情報に頼らない、己の能力をフルに生かした走行でリジュームは大会に挑む。後に、白銀のキャバリアがキャバリア・キャノン界隈で話題になるのだが、それはまた別の話である。
一方で多額の報酬にも拘わらず満足できない者もいる。ドルトムンド同盟国のクレジットも受け取って、額面と難しい顔でにらめっこしているのは桐原・剛将だ。
「ひのふのみいの……。あれでこれを差っ引いて……あかーん!! 全然残らへんやんけ!! 何が報酬10倍や、為替レート考えてくれ!!」
そう言ってドルディアの街中に剛将の叫びが木霊する。街中の人達は何事かと視線を向けるが、修羅のようになった剛将の顔をみて関わるまいと視線を逸らす。
だが事実、剛将にとっても切実な現実があるのだ。それを打破してくれる猟兵稼業には感謝しているし、世界で得られる報酬は彼の糧になっていることは事実だ。
「全然ッ、足りへん! そもそも支出が多すぎなんやなァ」
今回の任務で使った装備の補修や消耗品の補充、修理。実際にキャバリア相手に生身で戦う剛将にとっては装備のメンテナンスは死活問題になるので欠かすことはできない。
さらに言えばこの金銭をグリモアベースで日本円に両替して生活費やら学費やらを差っ引けば手元に残るのは微々たるものなのだ。学生でありながら、中々に世知辛い現実である。
「ええわ。料理やいうても国が違う程度やと味もあんまかわらんし」
ドルディア牛のステーキの臭いには思春期の食欲を刺激するものではあるが、剛将は我慢する。それよりも切実な現実を何とかする方が先である。
確かにうまそうではあるが、今の懐事情では使うにはもったいない状況。それに味も世界が変わるくらいでなければ、それほど変わりないと判断したからだ。
「おーい、グリーガーちゃんや、ちょっとグリベまで転送してくれんかー」
『なんじゃ、もういいんかのー?』
グリモア猟兵の略称であるグリーガーの言葉に反応して、担当グリモア猟兵のメイスンが電脳ウインドウで通信を繋げる。今だ観光を楽しんでいる猟兵がいる中で、剛将の判断は早すぎたからその表情は驚いている。
だが彼にとってはそれが当たり前のように言葉を返す。
「使いみちがあるならとっとと支払うに限るしなー」
このクレジットを世界を越えての両替するにはグリモアベースにしかできない。何より誘惑に負けて使っては元も子もないとばかりに剛将は首都ドルディアを早々に後にする。
彼のように生活や現実を重視する者もいれば、リジュームのように世界を楽しむ者もいる。それは人それぞれであり、それでこそ猟兵の個性が各々に現れた結果であろう。楽しみや生き方は千差万別なのだと、両替に応じるメイスンは思っていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
カシム・ディーン
はぁ…僕のぴかぴかキャバリアを強奪して売っぱらって大儲けしよう大作戦失敗ですか
せめて報酬が出まくったのが不幸中の幸いですね
(とはいえ諦めの悪い盗賊。ロクシアスの爆散した場所で何か良いパーツが無いかを漁る
変な箱みたいなのがありますね
ボロボロですが…回路?
高く売れるかもしれませんし持っていきますか
という訳で市場で鑑定してもらうも
魔術的要素…?
(あのぴかぴかキャバリア一体なんなんですか…
ナノマシンの制御機能がある…?
だけど通常のキャバリアに使えないから価値なし…?
ガッデム!
しょうがない…此処の美味しい牛肉料理を堪能しますか
(とりあえず保管。彼は気づかない。拾ったパーツこそ彼の神機の演算装置であると
才堂・紅葉
【WIS】
「まぁ上手く機能して助かったのも本当だし、お土産位は買って帰りますか」
各種ガジェットのテスター業の依頼元である、アルダワ学園錬金科の面々への土産を調達する
迦楼羅王を見て鬱陶しい位にテンションを上げていたので、キャバリア関係が良いだろう
同じ店に興味がある猟兵さんがいるなら一緒に見て回るのも良い
「商品の運び込みは、指定した駐車場にあるトレーラーにお願いいたしますね」
今回の報酬で仕入れたのは、この地域で一番一般的な量産機一機と
同じく最もメジャーに使われている武器やパーツ類だ
学ぶなら、まずはその世界の戦場で最適化された規格からだとは、錬金科の連中の言であった
「まぁ、こう言うのも悪くないわね」
これはドルトムンド同盟国首都ドルディアにリンドランド大公の飛行船が到着する前の話。セプテム連合王国の秘匿部隊の襲撃を凌ぎ切った後のことだ。
戦場になったリンクス樹海はリンドランド・キャバリアの墜落機体や、襲撃者の空翔やロクシアスの残骸がバラまかれている。あの空中戦の激戦だったので、多くがスクラップとなっていることだろう。
だがもしかすると無事なパーツや部品があるかもしれない。その望みに賭けてカシム・ディーンは飛行船に帰還せずにリンクス樹海を渡り歩いていた。
「はぁ…僕のぴかぴかキャバリアを強奪して売っぱらって大儲けしよう大作戦失敗ですか」
本当ならばロクシアスを無事な状態でゲットして、大きく資金を得ようとしたカシムであるが証拠を残すまいと爆散した部隊長の男の行動で計画はご破算となっていた。だが諦めが悪いのが盗賊である。
後にリンドランド大公から多額の報酬が支払われることになるのだが、この時は知ることはない。故にキャバリアの墜落地点やロクシアスが爆散した場所で何か良いパーツが無いかを漁っていたのだ。
「ん? 変な箱みたいなのがありますね」
そしてロクシアスの爆散した場所にてある箱を発見するカシム。中を開いて確認してみるとそこにはボロボロになっている回路が入っていた。
本来であれば破壊寸前の回路に価値など見出さないカシムであるが、盗賊としての直感が囁いている。お宝の気配がする、と。
「高く売れるかもしれませんし持っていきますか」
「魔術的要素…?」
そしてそこから首都ドルディアに到達し、多額の報酬を貰ってほくほく顔のカシム。そのままキャバリア市に赴いて件の回路の鑑定を受けるも、受けた結果は意外なものだった。
クロムキャバリアでは魔術はないので鑑定した本人は理解しがたいもので説明がしにくかったが、カシムからすればそれは魔術的要素が含まれている回路ということがわかった。ナノマシンの制御機能があることからも、その性能は稀少だということもある。
「あのぴかぴかキャバリア一体なんなんですか……えっ、通常のキャバリアに使えないから価値なし…? ガッデム!」
だが鑑定士からつけられた値段はまさかのゼロであった。通常のキャバリアでは組み込むことも難しく、市場で売れるものではないと判断されたからだ。
サイキックキャバリアやジャイアントキャバリアなどの特殊機体もあるが、それでもこの回路はかなり特殊な部類らしい。なので扱えないとカシムは回路を突き返されていた。
「しょうがない…此処の美味しい牛肉料理を堪能しますか」
そう言ってリンドランド大公が薦めてくれたドルディア牛のステーキ店へと足を運ぶカシム。がっかりした気分は美味しい料理で吹き飛ばすに限るからだ。
とりあえず売れないと分かった回路は保管することになった。だが彼は気づかない。拾ったパーツこそ彼の神機の演算装置であることに。それが判明するのはまだ先のことであった。
そんなカシムと入れ替わるようにキャバリア市に足を踏み入れた才堂・紅葉。今の彼女は歴戦工作員ではなく、普通の観光客そのもので、街に出歩く気軽い服装に身を包んでいる。
「まぁ上手く機能して助かったのも本当だし、お土産位は買って帰りますか」
今回、迦楼羅王のガジェットを仕込んだ錬金科の連中に対しては多少なりとも借りが出来た形だ。勿論、やりすぎなところは後でしっかりと文句を言ってやるつもりでいる紅葉ではあるが。
とはいえ、今回の成果は上々。故に各種ガジェットのテスター業の依頼元である、アルダワ学園錬金科の面々への土産を調達する為に周辺諸国一のキャバリア市へと赴いたのだ。
「迦楼羅王を見て鬱陶しい位にテンションを上げてたし、キャバリア関係で大丈夫でしょ」
安直ではあるが確実。今回予想より多めの報酬を頂いたので、自身の報酬を上乗せした上でも多くの余剰資金が生まれることになるので、豪快に買い物をするのも悪くはない。
さらにカシムの姿を見かけたので、その鑑定士がいる店に入ることを決めた紅葉。盗賊の目利きがいいというべきか、そこは奇しくも良質のキャバリアモデルを扱う店でもあったのだ。
「商品の運び込みは、指定した駐車場にあるトレーラーにお願いいたしますね」
「毎度あり! いやー、和平成立かというときに大口も来るとはいい兆候だねぇ」
紅葉の豊富な資金と即金即決は店主の心象もよく、商談も思いの他順調に進んだ。それは能力「世渡り上手(カネトコネ)」の影響もあるのか、紅葉にとっていい方向に転ぶことになる。
紅葉がオーダーしたのはこのドルトムンド同盟国内で一般的な量産型キャバリア一機と、最もメジャーに使われている器やパーツ類だ。学ぶなら、まずはその世界の戦場で最適化された規格からだとは、錬金科の連中の言であった。
「まぁ、こう言うのも悪くないわね」
そう口にした紅葉はさらにサイキックキャバリアに使われる珍しい強化パーツもおまけにつけて貰えた。主に機体のエネルギー増幅に使われる稀少なパーツということだが、使い手が少ないので売れる見込みが少ないのもあって譲って貰ったのだ。
錬金科のお土産に奮発したものが、己の利となって帰ってくる好循環。こういう幸運も悪くないと、紅葉は満足気にそのパーツを見つめるのだった。
キャバリア市によって発見はそれぞれある。人によって見つける者は様々であるだろう。だからこそそれを見回るのは面白いと感じる。
カシムが意図せずに自身の運命と出会ったのも、紅葉が買い物をして掘り出し物を見つけたのもその循環の一つであろう。ショッピングというのは己の目で見て買うからこそ、こういう出会いがあるのだと実感するのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ベリザリオ・ルナセルウス
【白と黒】
やっと追い付いた…キャバリア相手に生身で戦っている黒い戦士がいると聞いて探し回った甲斐があったよ
一足遅かったけど、織久が無事でよかった…君の力は知っているけどやっぱり生身でキャバリアと戦うのはどうかと思う
…これ以上は嫌味になるね。お腹が空いているんだろう?
おいしいものを食べれば多少は気分が落ち着くと思うんだ
織久はまだ「おいしい」をよく理解していないけど食べ応えのあるなしは分かる
そうだね…おいしいステーキなんてどうだろう。満足感も得られる
お酒は駄目だよ。ダークセイヴァーでは水が貴重で仕方なかったけどここでは未成年はだめ
と言ってもビールは私も初めてだ。エールとは違うのかな?
西院鬼・織久
【白と黒】
ベリザリオも此方に来たのですか
案の定一言もらいましたが、この通り何の問題もありません
狩るべき敵の血肉を啜れないと言うのに
せめて生身で戦わなければ餓えた俺が困ります
【行動】POW
ベリザリオと肉料理を出す店に食事に行く
ワインと日本酒以外は見た事がないためビールと言う謎の発砲水に多少の興味あり
我等の餓えは血肉で満たすのが通例ですが、まさか食事と言う意味での血肉とは予想外です
体を維持するために栄養が必要な事は理解していますが
丁度あの店から血の匂いがしてきます。レアと言う物が血の匂いのもとのようですね
アルコール臭もするのですが、ワインとは違いますね。あの泡だらけの液体は何でしょうか
首都ドルディアは現在、和平会議が行われていることに対する歓迎ムードのお祭りが開催されている。さらにキャバリア・キャノンの大会も同時開催されて、首都全体が盛り上がっている感じだ。
人々の平和への期待は、やはり戦争による疲弊もあるのだろう。ただ受け入れるには憎しみも多く生み出された両国だからこそ、手を取り合う価値は計り知れない。
このたびのリンドランド大公の首都訪問は重要な意味を成したともいえるだろう。それを成し得た猟兵達の功績は素晴らしいと賞賛されるべきことなのだろう。
「やっと追い付いた…キャバリア相手に生身で戦っている黒い戦士がいると聞いて探し回った甲斐があったよ」
「ベリザリオも此方に来たのですか」
だが心配をしている人にそんな功績など何の関係もない。ベリザリオ・ルナセルウス(この行いは贖罪のために・f11970)はようやくクロムキャバリア世界で大暴れしている西院鬼・織久の尻尾を掴むことができたのだ。
織久自身は戦の火種があればどこにでも行く性分なので捕捉は難しい。だがこのドルトムンド同盟国では腰を据えて戦っていた為に、べリザリオもようやく捕捉できたということだ。
「一足遅かったけど、織久が無事でよかった…君の力は知っているけどやっぱり生身でキャバリアと戦うのはどうかと思う」
それで開口一番べリザリオの口から出たのは心配の一言であった。織久の戦い方は相手だけではなく自分自身をも傷つける。
その戦い方が導くは己の破滅だ。だが織久も案の定一言を貰うことは予想していたのか、傷のない身体をアピールしつつもべリザリオに何気なく話しかける。
「この通り何の問題もありません。狩るべき敵の血肉を啜れないと言うのに、せめて生身で戦わなければ餓えた俺が困ります」
織久の戦いはオブリビオンの血肉と、怨念を狩り啜る手段だ。だからこそべリザリオはその戦いを止めることはできない。
ならばせめて自身が目が届く範囲では守ってやらねばと思いつつ、首都ドルディアの情報を反芻する。そしてべリザリオはこの先にあるドルディア牛のステーキ店を指差す。
「……これ以上は嫌味になるね。お腹が空いているんだろう?」
おいしいものを食べれば多少は気分が落ち着くと思い、べリザリオが誘ったのは肉と酒が売りというドルディア名物の料理店だ。ドルディア牛のステーキと、ビールという酒が売りの店らしい。
織久自身はまだ「おいしい」をよく理解していないけど食べ応えのあるなしは分かる。そう判断したべリザリオはこの店をチョイスしたわけだが。
「おいしいドルディア牛のステーキ。焼き方もレアだし、満足感は得られるだろう?」
「我等の餓えは血肉で満たすのが通例ですが、まさか食事と言う意味での血肉とは予想外です」
こんな形で血と肉の飢えを満たすとは、という顔だが織久は悪くないばかりに次々とステーキを平らげていく。その様子に満足気に見ながらも、べリザリオも上品に切り分けてステーキを味わっていく。
織久も身体を維持するために栄養が必要な事は理解しているものの、食事を楽しむというのはほとんどしなかったものだ。だからこそ血の臭いが滴るレアステーキというのは、いい焼き方で飢えを満たしてくれる。
「ビールと言う謎の発砲水、ですか。ワインと日本酒以外のお酒は初めて見ますね」
「お酒は駄目だよ。ダークセイヴァーでは水が貴重で仕方なかったけどここでは未成年はだめ」
そう言って織久はべリザリオが注文したビールに多少の興味を持つが、べリザリオはしっかりと未成年は駄目だとお断りする。アルコール臭もするが、血の色のようなワインとも違う。あの泡だらけの液体は一体という感じで見ている織久。
そしてべリザリオもビールを飲むのは初めてであった。エールとは違うのかと飲んでみると、程よい苦みと共にエールとは違う冷えた液体が喉を刺激する。爽やかな喉越しはエールとは違う爽快感を感じさせ、さらにその後に食べるステーキがさらに美味しく感じられる。
「うん、これはいい。キンキンに冷えて、エールが生ぬるく感じてしまうほどだね」
「……べリザリオ、やはり俺も一杯」
べリザリオの美味しそうの飲む姿に刺激されて、自分も頼もうとする織久。それを駄目とばかりにしっかりとソフトドリンクのコーラを注文して誤魔化すべリザリオであった。
思う存分ドルディア牛のステーキとビールという未知のお酒を堪能したべリザリオと織久。これもまた渡り歩く世界の体験と思えば悪くないとばかりに、織久も満足感を示したようだ。
べリザリオも織久が戦い以外に興味を持つことができれば、と食事を楽しませることを選択肢に加える。こうして二人は戦いが今だ続くクロムキャバリア世界で、平和なひと時を楽しみ、舌を腹を満たしたことに感謝するのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
シャルロット・シフファート
ドルディアにはキャバリア関連の技術...サイキックキャバリアの技術も発展しているでしょうね。
電脳精霊術士としてはエレクトロスピリッツキャバリアの機能拡張や交換技術を行ってみたいわ。
電脳精霊術を教授し、電脳魔術を介して属性魔術や精霊術を行使する技術の神髄を教え、こちらもこの世界の古代魔法帝国時代の資料などを参照させてもらうわ。
「『古代魔法帝国時代』...興味深いわね」
そう言いながらドルディア黒牛のコースを頼んで優雅にフルコースを堪能させてもらうわね。
勿論飲み物は高級なオレンジジュース等の果実ジュースよ。
アイ・リスパー
「ここがキャバリア市!
パワードスーツにも流用できそうな兵器や消耗品がたくさんありますね!」
とりあえず、いつもパワードスーツをメンテナンスしてもらっているSSWの某技術研究所だと、弾薬や装甲の材料費をぼったくられるので、ここで安いものを買って帰るとして……
(買ったものは【クラインの壺】で電脳空間に放り込んでいく)
「店主さんっ、パワードスーツに装着できそうな、カッコいい兵器はありませんかっ!?」
キャバリア相手の戦闘だと、どうしても決め手に欠ける現状です。
何か切り札になりそうな兵器とか、浪漫あふれる武器とかがないか、キャバリア市を見て回りますね。
いいものがあったら買って帰ります。(内容お任せ)
この世界で多額のクレジットを使う場面というのは、やはりキャバリアに関連したことだろう。キャバリア本体の機体は勿論、武器やカスタムパーツ、修理や改修、アップグレードや中古の取り扱いなど大きな金が動く市場である。
そしてこの首都ドルディアのキャバリア市は周辺国屈指の規模を誇り、流通も盛んに行われている。故に様々なキャバリアをお目にすることもあり、中には稀少なサイキックキャバリアやジャイアントキャバリアも取り扱っている店もあるくらいだ。
その中でも大手と呼ばれる商会には、さらに多種多様なキャバリアが揃いに揃っている。金に糸目をかけないのならば、ドルディア最大のキャバリア商会「ランディーン商会」に赴くのは一番の選択である。
「ここがキャバリア市! パワードスーツにも流用できそうな兵器や消耗品がたくさんありますね!」
そう言ってキャバリアは勿論、様々なキャバリア兵器や消耗品が立ち並ぶ商館の市場に目を輝かせるアイ・リスパー。これには相棒として戦場を共にしたシャルロット・シフファートも苦笑いだ。
アイが興奮するのも無理はない。いつもいつもパワードスーツをメンテナンスしてもらっているSSWの某技術研究所だと、弾薬や装甲の材料費をぼったくられるのでこの市場での値段はとてもリーズナブルに感じられるからだ。
「とりあえず、ここで安いものを買って帰るとして……」
「毎度ありがとうございます。ですが運搬は……」
店員が次々とパワードスーツの兵器に代用できる弾薬や、補修装甲などを購入していくアイにトラックを配備しようか持ち掛ける。だがアイはそんなことは全く気にかけずに能力「クラインの壺(クライン・ボトル)」を発動させる。
その小さなブラックホールによって作られた特異点は、アイの電脳空間に繋がっておりいくらでも物を保管できる。その買った先から次々と大型商品を放り込んでいくアイの姿に、さすがのライディーン商会の店員も口を開けて驚く。
「店主さんっ、パワードスーツに装着できそうな、カッコいい兵器はありませんかっ!?」
アイはパワードスーツでの戦闘を各世界で繰り広げてきたが、同規格の機体が跋扈するクロムキャバリア世界ではどうしても決め手に欠ける現状である。それを解消する手立てをこのキャバリア向けに販売しているライディーン商会に求めていた。
何か切り札になりそうな兵器とか、浪漫あふれる武器とかがないか、キャバリア市を見回ってみたものの、やはり困った時の大手である。そういった相談を受けると、店員が奥にある兵器を紹介する。
「それではこのBS-Sグラビトン・レールガンはどうでしょう? 最新型ですよ」
BS-Sグラビトン・レールガン。肩に装備するタイプの新型レールガンで、ビーム重力場を砲身で形成し、超電磁力で高速に敵に射出するという超兵器だ。高速弾ということで回避が難しく、さらに着弾と同時に重力場を拡大させて破壊する為に威力も抜群という代物だ。
ただ最新型兵器だけあって大量生産でない為に値段は高価。そして一度発射すると砲身の放熱の為にクールタイムが存在するなど、チャージタイムも含めて連射が効かないのが難点ではあるロマン兵器である。
「いいですね! こういうのは嫌いではないですよ!」
だがアイはこういった兵器は大いに興味があるものである。店員に言って即決クレジットで決算して貰う。これだけで大公の報酬の半分が飛んだが、アイはとてもいい買い物ができたと満足気であった。
「アイは相変わらずね。さて、私もお目当てのものを探そうかしら」
大興奮で新型兵器の購入や弾薬補充を行っていくアイとは対照的に、シャルロットの狙いはキャバリア関連の技術……特にサイキックキャバリアに関連した商品を扱っている部門を回っていた。
サイキックキャバリアは中々稀少であるが、ライディーン商会であれば扱っている商品である。電脳精霊術士としてはエレクトロスピリッツキャバリアの機能拡張や交換技術を行ってみたいというのが彼女の希望だ。
「ふむ、中々に興味深い技術ですね。こちらにはない体系のようだ」
「でしょうね。だけどやはり古代魔法帝国時代のキャバリアはすごいわ」
そういってサイキックキャバリア専門の技師と話をするシャルロット。電脳精霊術の体系を教授し、電脳魔術を介して属性魔術や精霊術を行使する技術の神髄を丁寧に教えていく。
その技術に感嘆してライディーン商会の技師も貴重な古代魔法帝国時代の技術に関しても教授して貰うシャルロット。さらにはライディーン商会が各地から取り寄せた貴重な資料も拝見することができた。
「『古代魔法帝国時代』……本当に興味深いわね」
現代の量産型キャバリアにはない技術体系。さらにクロムキャバリアとも違う、超能力を媒介にして動くサイキックキャバリア。
召喚に応じて虚空より現れるという、その技術もまた精霊魔術として類似している点もあり、シャルロットの興味は尽きない。だが資料ばかり読んでも仕方ないのでアイも連れてドルディア料理が堪能できる店を商会店員に紹介して貰う。
「うん、やはり仕事の後の料理は格別ね」
「いい物も手に入りましたし、よかったですね!」
そう言ってシャルロットは対面に座るアイとの会話を楽しみつつ、ドルディア黒牛のコースを頼んでいた。優雅にフルコースを堪能し、戦友を語り合う時間は何事にも代えがたいものである。
なおさすがにビールやワインというわけにはいかないので、勿論飲み物は高級なオレンジジュース等の果実ジュースを二人で頼み乾杯をする。二人は得られた情報や商品などを語り合い、ドルディアでのディナータイムを過ごしていく。
こうして弾薬や装甲の補充拡充、他では得難い武器を得ることのできたアイ。さらにシャルロットも古代魔法帝国時代の情報も手に入れることが出来て、これからのキャバリア補強にも役立てることができるだろう。
首都ドルディアでのアフタータイムを充実して過ごすことのできた彼女達は満足して高級ホテルにて夜を明かす。そして和平会議もまた佳境へと入りつつあった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
黒影・兵庫
無事に和平会議が開かれそうで良かったです!
これでクロムキャバリアに平和な場所が増えたというわけでしからね!
(「そうね。まぁ火種もくすぶっているみたいだけど...ま、それはさておき、黒影はどこに行きたい?」と頭の中の教導虫が尋ねる)
ドルディア黒牛!食べたいです!どんな味なんでしょう!?
(「オッケー!じゃあ食べにいこう!あ、もちろんビールはNGよ?」)
もちろんですとも!今の俺の気分は胃袋をステーキでぎゅうぎゅう詰めにする予定しか考えられませんから大丈夫です!
(「食べ過ぎもちょっと困るんだけどなー...まぁいいか!後で消化器官へフォローしてあげよう」)
ありがとうございます!せんせー!
クローディア・カルディナーレ
翼は修理に時間かかるけど、走る分には問題ないじゃんね!だで、キャバリアキャノン、いってみよーッ!
ただ勝つだけじゃつまらんだらぁ!
速く、スタイリッシュに!それこそショーマンシップってやつだに?
『推力移動』でブーストかけながら、【指定UC】で障害物を踊るようにかわして、最短距離で突き進んでやるじゃんね!
翼はなくても、心は翔べるッ!あっはは、たーのしーッ!!
レースが終わったら、お腹空いてきたじゃんね!
大公さんも軍の人も美味しいものをたくさん知っとったし、美味しい店紹介して貰おうかや?ご飯食べがてら、軍のマニューバとか色々聞けるだけ聞いてみたい!
アドリブ歓迎じゃんね!
エイス・シノノメ
命あっても救えない場合もあるのですね
狂気のままに突き進んでしまい足を止める事すらできなくなると言うのはやるせません
此度の事はセプテム連合王国の関与を裏付けられませんが
キャバリアを秘密裏に持ち込まれたとするならば
国境での監視体制を見直すように進言だけでもしておきます
さて!折角気前よく頂いたのですからオーバーホールを手配したら街に繰り出しますか!
流石にお酒はダメですがお肉は楽しみです!
何の気兼ねなく敵国ではない他国を観光できるなんて猟兵になったからこそ
キャバリアでレースもしているのですね
アタシは戦う専門なので見るだけですが
戦争だけじゃない…土木や様々な所で使われるキャバリアを見るのは感慨深いです
数日に渡るドルトムンド同盟国首脳陣とリンドランド大公ルドルフの和平会議は佳境を迎えつつあった。リンドランド側の譲歩と大公自身が敵国首都まで来国したことによる国民感情の軟化によって、世論も歓迎ムードで会議もスムーズに進む。
そうした会議の進捗がメディアを通して伝えられるたびに首都ドルディアの人々は大いに沸く。これまで戦争によって多くの被害を出してきたことによって人々も疲れていたのだ。
この和平によって一方面だけでも平和が確立されることに喜びも増すというものだ。キャバリア・キャノンの大会も過去最高の観客数を記録し、首都の人々の過熱は最高潮へと達していく。
「翼は修理に時間かかるけど、走る分には問題ないじゃんね! だで、キャバリア・キャノン、いってみよーッ!」
そんな中でキャバリア・キャノンにまた一人飛び入りで参加する猟兵の一人、クローディア・カルディナーレ。だが彼女のキャバリアは先のロクシアス戦で翼を失った状態であった。
しかし今回のキャバリア・キャノンの舞台は市街地でのレース、飛行機能は関係ない。ならばと修理は後回しにして大会への参加を決めたのは、クローディアらしい判断であった。
「ただ勝つだけじゃつまらんだらぁ!」
そして参加するからには勝つだけではない。彼女の求めるものは速く、スタイリッシュに。所謂ショーマンシップというものを追求した走りになる。
キャバリア・キャノンの参加レーサーたちのキャバリアはまさしくレース勝利を追求した仕様になっている。それに対してクローディアのキャバリア「スターゲイザー」は推力エンジンでブーストをかけて、さらに能力「スカイステッパー」で挑戦的に障害物を踊るようにかわして最短距離でレースを進んでいくスタイル。
「翼はなくても、心は翔べるッ! あっはは、たーのしーッ!!」
総じてそういうど派手な走行スタイルは人目を集める。クローディアの楽しそうな顔がモニターに映されるたびに彼女は観客達をも魅了していく。
「キャバリアでレースもしているのですね」
「すごい走りですねー。さすが空戦型って感じですね!」
そう言いながら観客席で軍関係者と共にクローディアの活躍を見ているのはエイス・シノノメと黒影・兵庫だ。彼女は今はクロムキャバリアは整備工場に出して、オーバーホールを手配し街へと繰り出していたのだ。
そこで途中に兵庫と合流してクローディアが飛び入り参加しているキャバリア・キャノンを観戦したというわけだ。その走りに興奮し、ようやく得た平和への一歩に心が躍る二人。
「無事に和平会議が進んで良かったです! これでクロムキャバリアに平和な場所が増えたというわけですからね!」
(そうね。まぁ火種もくすぶっているみたいだけど……)
兵庫が屈託な笑みを浮かべて、キャバリア・キャノンの様子を楽しく観戦しているが、脳内の教導虫は懸念もある。今だ世界には多くの火種が燻っており、それにオブリビオンマシンが深く関わっている可能性が高いからだ。
「……命あっても救えない場合もあるのですね。狂気のままに突き進んでしまい足を止める事すらできなくなると言うのはやるせません」
それに教導虫の声は聞こえないが同調するように、エイスは最後にロクシアスと共に自爆した部隊長の男のことを思い浮かべる。今回のことはその命を賭した自爆によってセプテム連合王国の関与を裏付けることはできなかった。
だがそれでも軍関係者と接触したのはプラント「ロンディウム」やリンクス樹海など、ドルトムンド同盟国内に未確認のキャバリアが持ち込まれたことに問題があるからだ。そしてこの平和を守るためにも国境での監視体制を見直すように進言するエイス。
「そこは痛い所を突かれるな。確かに一理ある。セプテム国境付近に関しては検討するように上に掛け合ってみるよ」
「よろしくお願いします」
そう言ってドルトムンド軍関係者との交渉を終えるエイス。黒影は白熱したキャバリア・キャノンのレースを観戦し、教導虫のせんせーと共に熱狂する。
そしてレースを終えたクローディアが二人を見つけて合流を果たす。惜しくも優勝はならなかったが、彼女はすべてを出し尽くしたようで、とても満足そうな表情を浮かべていた。
「レースが終わったら、お腹空いてきたじゃんね!」
そういってクローディアのお腹が鳴る。すでにルドルフ大公や軍関係者から美味しい店を聞き出していたクローディアの頭の中は、食べることに夢中になっていた。
ご飯食べがてら、軍のマニューバとか聞いてみたかったが、仲間との食事もきっと楽しいに違いない。その言葉にエイスも黒影も頷く。
「流石にお酒はダメですがお肉は楽しみです!」
「ドルディア黒牛! 食べたいです! どんな味なんでしょう!?」
(オッケー! じゃあ食べにいこう! あ、もちろんビールはNGよ?)
さすがに三人ともビールは駄目だが、ドルディア黒牛のステーキはたくさん食べられるのは若者の特権であろう。黒影の今の気分からして、胃袋をステーキでぎゅうぎゅう詰めにする予定しか考えることはできない。
クローディアもレースが終わって猛烈に食べたい気分であるので賛成だ。そしてエイスはこうして仲間達と何の気兼ねなく敵国ではない他国を観光できることに、猟兵になったことへの感謝の気持ちが溢れ、笑顔になる。
(食べ過ぎもちょっと困るんだけどなー……まぁいいか! 後で消化器官へフォローしてあげよう)
「ありがとうございます! せんせー!」
そんな黒影の教導虫への感謝の言葉と共に、三人は紹介されたドルディア黒牛のステーキが食べられる店へと向かう。腹を満たし、満腹感に幸福を感じ、また新しい戦場へと向かう糧とする為に。
そして猟兵達が首都ドルディアを観光している間に、和平会議は終了する。ドルトムンド同盟国とリンドランド公国の間で停戦が合意され、近々和平条約の締結と共に終戦を迎える運びとなった。
このことにドルトムンド・リンドランドの両国国民の歓迎の声が相次いだ。長き戦いに終止符が打たれたことはやはり喜ばしいことなのだろう。
だが両国共に他の国境で戦線を抱える情勢なので、完全平和とはいいがたい。それでも猟兵が守り抜いた飛行船が、一つの平和を造り出したのだ。それは誇るべきことであり、その積み重ねこそこのクロムキャバリアに真の平和をもたらすに違いないのだから。
大成功
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