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好みと効率を両立させようとした結果

#グリードオーシャン

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#グリードオーシャン


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 広い海の中、ぷかぷか浮かんでいるのではないかと思わせるほどゆったりした時間が流れる島があった。元はキマイラフューチャーであったらしいその島は、コンコンコンと呼ばれる技術が一つだけ、今なお稼働している不思議な島だったのだが……。
「も、もう無理だ!今日と言う今日は限界だ……!」
「待て!気持ちは分かるが、もしバレたら……」
「バレなきゃいいんだろ!?どっちにしても、このままじゃ身も心ももたな……」
 キマイラの住人達が、何かを口にしようとしたその時だ。カップを手にした腕が、掴まれる。
「これはいけない……何のためにルールがあるか、分かるかい?君達のためだ」
「あ……あぁ……!」
 そいつを目にした途端、恐怖と絶望に染まった住人は左右から抱え上げられて。
「ルールを守らないなら仕方がない。君には特別コースを用意しちゃうぞ!」
「い、嫌だ……もう嫌だぁあああ!!」
 悲痛な叫びを残して、住人は何処かへ運ばれていった……。


「皆様お集まり頂きありがとうございます」
 人首・椿(傷と記憶は刻むモノ・f06124)はコロリと電子巻物を広げて、グリードオーシャンのとある島を示す。
「皆様に今回行っていただくのはこの島、コーヒーハム島です」
 コーヒーワ、ムトウ。なんかもーネタ臭い島だが、案の定元はキマイラフューチャーの島で、インスタント珈琲が出てくるコンコンコンがまだ動いているらしい。
「元の住人であるキマイラの方々は、皆珈琲がお好きでした。そこで、その珈琲を用いた健康法があるとして乗り込んできた宣教師がいたのですが……」
 そいつがコンキスタドールで、新しい物好きなキマイラ達は言われるがままに受け入れているうちに、いつの間にか島を支配されてしまったらしい。
「現在、この島では『珈琲にプロテインを注いで飲まなくてはならない』というルールが定められており、ブラック派だった島民達は精神的にも肉体的にも追い詰められています」
 だからこの島を解放してあげたいってのが概要なわけで、重要なのはここから。
「その為にも島に、具体的には敵が陣取っている島の中心に向かう必要があります。しかし、島民達を監視する為に敵は島中に配下を放っているようなのです」
 つーまーり、まずは浜辺から島の中心まで、スニーキングミッション。とはいえ、完全に隠れる必要はなく、たとえ見つかってもルールに従っていると思わせればいいらしい。
「道中、監視の注意を引き付けて、島民の方に珈琲を飲む隙を作ってあげても喜ばれるかもしれませんね」
 だからって、時間稼ぎし過ぎて出遅れたら元も子もないから程々に。と言ったところで椿は刀の柄に触れた。
「それでは皆様ご武運を。バレてプロテインコーヒーを飲まされ過ぎてお腹を壊して帰って来たら……ふふ」
 何故かお腹を見られている気がした猟兵達は、大急ぎで支度を整えるのだった。


久澄零太
珈琲は無糖!!


そんな感じの久澄です

見りゃわかる通りに『ネタ依頼』です

※紅茶派の方はメンタルに重大な損傷を負う可能性があります。覚悟の上で参加をご検討ください


初回執筆は二十日の予定

十九日の深夜までにプレくれると嬉しいな!!
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第1章 冒険 『怪しい宣教師』

POW   :    泳いで島に渡るなどして潜入

SPD   :    荷物に隠れるなどして潜入

WIZ   :    信者の振りをするなどして潜入

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

パリジャード・シャチー
●心情
・ほむ。なるほどなぁ。まあ、ヒトの食の嗜好はとやかく言うものじゃないよね。せっかくだし神罰を落としに行こうかな
・…七大海嘯の「鮫牙」と関係があったら死よりも辛い目に遭わせるけど。えっつ、辛(から)いんだか、辛(つら)いんだか分かりづらいって。うふふふ。どっちだと思う?
・別にこれと言った恨みはないんだけどね。名前が気に入らないから酷い目に合わせることにしてるんだー。だって鮫だよ

●移動
・じゃあうちは象で行くぜ。愛羅に乗って空飛んでいきまーす
・空にある雲に紛れて移動するね。制限は島間の移動だし
・そうねぇ。ヘルソースをちょっと風にのせて宣教師悶絶させるから、その隙にコーヒーでも好きなだけ飲めば


涼風・穹
四つん這いになれば全身を覆えるサイズの段ボール箱を用意
そして段ボール箱の中に入り隠れた状態で移動します

俺の深紅のバンダナには弾数無限化するような機能はありませんが俺自身が《贋作者》を使えば弾薬もほぼ無制限と言って差し支えない数を模造できますので、結果としてバンダナを装備した俺は(ほぼ)弾数無限状態なのです

段ボール箱に隠れた状態で移動しつつ、監視の姿を確認したならその場に留まり何の変哲もない段ボール箱だと思わせてやり過ごしつつ島の中心部へと向かいます
そんな手でばれない筈がない?
実はこの段ボール箱はプロテインのもので、しかも上にはプロテインとカップに注がれた珈琲が乗せられているのです
何か問題でも?


四季乃・瑠璃
緋瑪「プロテインコーヒーか~。でも、ミルク味のプロテインとかコーヒー割りで飲むのは普通だね~」
瑠璃「コーヒーには唐辛子じゃないの?」
緋瑪「瑠璃!?」
瑠璃「唐辛子コーヒーは普通にあるんだよ!緋瑪も試してみなよ」
緋瑪「わたしは甘党なんだってば!」

ルールに抵抗の無い緋瑪が矢面に立って島の中心へ。

緋瑪「プロテインの味に指定は無いみたいだしね!」
瑠璃「早くこの島を解放して、島の人達に唐辛子コーヒーを布教しないと…」
緋瑪「!?」

道中、人気の無い路地や森林等、孤立した配下を見つけたら麻痺毒【毒使い、マヒ攻撃】ダガーで拉致。

拘束して拷問(ミルクコーヒーや唐辛子コーヒー、果てはデスソース)で情報収集

※色々お任せ


蒼・霓虹
〔WlZ〕
何だかネタネタした空気が漂いますけど、コーヒーにプロテインですか

え?彩虹さんも興味があるんですか?
わたしもコーヒーは飲んだ事がありますが、プロテインは始めてですし

興味はありますし

二柱(わたしと彩虹さん)で信者のフリして潜入を

他の方が行動しやすい様に注意を引く事も出来ますし一石二鳥と言う事で

必要があればプロテインコーヒーに合うお菓子か何かを【料理】してプロテインコーヒーの主犯にお勧めしちゃいましょう。※注意を引くのにも

飲みきれない量を飲む事を要求されたら
彩虹さんに飲んで貰いましょう
自分よりはガタイは良いでしょうし

限界なら彩虹さんを特機形態に
変形合体させて。

〔アドリブ絡み掛け合い大歓迎〕


夢ヶ枝・るこる
■方針
・【POW】使用
・アド/絡◎

■行動
好みは千差万別ですし、珈琲の味くらいは好きにしたいですねぇ。

私ですと、体型的に目立ち易いですし『プロテイン入りの珈琲』も美味しければ問題無いですから『ルールを守り堂々と進む』方が確実そうですぅ。
『キマイラの島』とのことですから『着け角・着け耳・着け尻尾』等を着用し『乳牛ベースのキマイラ』のふりをして参りましょうかぁ。

【豊饒現界】で[大食い]を強化、『プロテイン入りコーヒー』を大量に用意し、他の物を足すのは構わないなら時折味を変えていただきつつ、中心へ向かいますねぇ。
その過程で『プロテインの在庫』を飲み尽くせば『次が届くまで仕方ない』状態に出来る可能性も?


小雉子・吉備
〔SPD〕
キビ達(なまりちゃんやひいろちゃん込み)は【オーラ防御】に【結界術】と【属性攻撃(迷彩)】を込めた【迷彩】で【目立たない】ように荷物に紛れ込んで潜入しようかなっ

もし見付かったら路線変更し〈吉備団子一式セット〉から

コーヒー餡(プロテイン入り)入りの吉備団子を差し出し、信者を装い紛れ込み注意を引こう

今の現世の吉備団子のレパートリーにはキビもびっくりしたけど、コレが役に立つと良いかなぁ……っと

もし見付かってなかったら、島民の人達をキビ達自身に掛けた技能群の迷彩を掛け、島民の人達を隠して、事前に持ち込んだブラックコーヒー(魔法瓶に入れた)を差し出して置こうかな。

〔アドリブ絡み掛け合い大歓迎〕


龍・雨豪
飲み方を強要されるなんて可哀想にねぇ。
私は珈琲は飲まないけど、上等なお酒に変な混ぜ物なんかされたら投げ捨てる自信があるわ。そう考えるとカチンときたから、ちょっと殴りに行こうかしら。

それじゃ、島の中心に行くまでの間は土砂降りの雨にしちゃいましょ。音をかき消せるし視界不良にもなるわ。巡回が減ったり無くなったりすれば、その間に島の人達が普通の珈琲も飲めるでしょうしね。

これぐらいの雨なら積乱雲の中や深海に比べれば何でもないし、散歩気分で目的地に向かうとするわ。雨の中珈琲を飲まされる状況になるとは思えないけど、もしそんな状況になるなら飲み干すだけね。後で手持ちのお酒で口直しすると思うけど。

※アドリブ歓迎


御手洗・そそぎ
【SPD】
ぷろていん……マッスルの素じゃったかの?
別に珈琲に混ぜんでも、単体でマッスルに横流しすれば……ボロ儲けでウハウハじゃな

わしは島に向かう船の積み荷に紛れて侵入するぞい
隠れる木箱には、「割れ物(骨董品)」とか書けば、丁寧に扱うじゃろ

芸術品と書いたら、興味本位で開けられそうじゃしな
わしがキャワイイからと、ポッケナイナイされては敵わぬ

もし見つかりそうになったら、錬成カミヤドリで分身をたんまり作って、一斉攻撃で口封じじゃな
お主のマッスルをズボズボしてやろうか?

執拗に追われるようなら、追っ手の急所(意味深)を分身の柄で思いっきりフルスイングじゃ
狙え満塁葬らんじゃな

ところで、わしの渋茶はまだかのう


セプテンバー・トリル
なるほど…こっそりと島の中心まで移動しないといけない、と。
普段なら隠密測量ヘリのサーベイヤーに乗っていけば楽々なのですけど…
何故かネタ依頼だとバリバリと音を立てて目立ってしまうので、止めておきましょう。

【WIZ】連携・アドリブ歓迎
という訳で、今回はUC【霧幻抱擁】で水蒸気の霧を発生させて、それに紛れるように進みますわ。
他の住人の方達の姿も霧に隠れて見えなくなりますし、こっそりコーヒーを飲めるのではないかしら?
あ、私自身は自分で発生させた霧の中の状況は分かりますから、普通に歩いて進めますわよ。
道に迷うなんてお約束はありえませ…え?他の猟兵?
…ま、まぁ、なんとかするでしょう。きっと、たぶん。


クリミネル・ルプス
【飲み慣れたコーヒー】
普段から飲んでるコーヒーを思えば多少のコーヒーは大丈夫と……思いたいと某喫茶店のマスターを思い出して何故か殺意が湧いた人狼。
島には正面から堂々と侵入?する。水着姿の見事にバルクアップされた肢体は正にヘラクレス。
筋肉に言葉など不要、筋肉が言葉であり、プロテインは経典に等しい(謎理論)
島民の皆様には申し訳ないがプロテインコーヒーをいただき、更なるバルクアップして、信者のフリをしよう。
本音?プロテインをただ飲み出来るなんて何て羨まし……けしからん。
ポージング=UCで堅牢な肉体をアピール。


アリス・トゥジュルクラルテ
好き、押し付ける、良い、ない、です。
ブラックも、ミルク入りも、カフェオレも、コーヒー牛乳も、好きに、飲む、一番、良い、です。
なので、島民、助ける、です!

でも、アリス、ココア派、なので、見つかる、したい、ない、です。
島の、中心、まで、川、流れる、ないか、探す、です。
水中、なら、ロクローくん、泳ぐ、して、アリス、つかまる、して、行けば、見つかる、ない、です!
川、ない、だったら、仕方ない、ので、こっそり、行く、です。

アリス、プロテイン、飲む、した、こと、ない、です。
牛乳、みたい、なの、かな?
それなら、飲む、できる、かな。
砂糖、入れる、だめ、です?
良い、なら、大丈夫、です。
だめ、なら…辛い、です…。


サザレ・ヘリオドール
【WIZ】
久々のお仕事だと思ったら、変な島に流れ着きました
マッスルな珈琲の島ですか……マックスな珈琲は存じてますが

まあ、まずは穏便に信者のフリして潜入
マッスル珈琲勧められたら、
「私は今満ち足りておりますので、満ち足りていない子羊達に振る舞いましょう」
とか言いくるめ

口先で適当にマッスル珈琲回避

島の人がブラックな珈琲に飢えてそうなら、エレメンタル・ファンタジアでブラック珈琲属性の雨を降らせてみましょう
偶然、雨のなかでコップ持ってて、偶然、雨(ブラック珈琲)がコップに入ったから、勿体なくて飲んだり、口開けてたら珈琲が入ったのなら、資源を大事にする行為です……きっと、神様も喜ばれますよ

珈琲まみれだけど



「今日もコーヒーが旨い」
 キリッ、宣教師と思しき男がコーヒーを飲みほした傍らで、いろんな意味で追い詰められた島の住人がコヒュコヒュと過呼吸気味に口内に残るプロテイン臭を排除しようとするが、もはや喉に染み付いたタンパク質の香りは、肺へ酸素と一緒にプロテインを運びキマイラの心を蝕んでいく……。
「しかし、なんでこんなところにコーヒーが?」
 宣教師が道端に置いてあったコーヒーを見返すと、そこには何もなく、しかし自身の手の内にある紙コップが見間違いなどではなかったと証明する。
「んぅ?」
 一瞬、首を傾げはしたものの。
「これもまた筋肉様のお導きかもしれないな!」
 細かいことは気にしない脳筋だった。
「……え、普通ツッコミくらいあるモノなんじゃないのか?」
 涼風・穹(人間の探索者・f02404)は自分で考えた策ながら、全くツッコミが来ない事に驚きを通り越して呆れていた。ていうのも。
「なんで誰も道端に落ちてるダンボールにツッコまないんだ!?」
 はい、奴はプロテインの空箱に納まって地を這っております。どうせばれるから盛大にふざけてやろう、などと箱の上にコーヒーとプロテインなんて乗っけといたもんだから、道行く宣教師が寄ってきては「お供え物かな?ならば我々と島民で分かち合わなくては」なんて言って飲み始めるから至近距離まで寄っては来るけど、コーヒーしか見てないという事態が起こってしまった。
「普通、ダンボールが意味もなく置いてあったら怪しむと思うんだけどな……まぁ、都合がいいからこのまま進ませてもらうが……」
 などと、箱の上に飲み物を補充して進む穹。実は箱入りはもう一人いてだな?
「なんだこれ?骨董品?」
 浜辺に置かれた木箱をとりあえず叩いてみる宣教師は、張り紙を見て首を捻る。
「うちの島に何故こんなものが……?」
 プロテインしかやり取りしてないような島に届いた謎の貨物。その蓋を開けてみると。
「入ってるのじゃ」
「あ、失礼しました」
 御手洗・そそぎ(ラバーカップのヤドリガミ様・f03566)と目が合って、宣教師はそっと蓋を閉める。
「って、いやいやいやいや!?」
 木箱の中に人が入っていたことに違和感を覚えないほど馬鹿ではなかったらしい。なんでそこにいるんだ、と問いただすべく蓋を開けた瞬間。
「お主のマッスルをズボズボしてやろうかぁ!?」
「ぎゃー!?」
 五十本以上のトイレのカッポンが宣教師を襲う!
「誰がカッポンじゃゴラァ!?」
 うわー!?こっちにも飛んできたぁあああ!?
「何やら浜辺の方が騒がしいような……?」
 ぷるぷる。砂浜でラバーカップが舞い踊り、真円の傷跡(吸引跡?)だらけになった宣教師の悲鳴が響き渡る惨状を知ってか知らずか、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)が震える。
「おっとそこ行くお嬢さんどうしたのかな寒いのかな寒いんだね寒さの原因は筋肉が足りないことがほとんどなのだよつまりプロテインだプロテインを飲むんだこれで筋肉さえつけば冷え性なんて永遠にグッドバイ!」
「あ、新手の押し売りですぅ……!?」
 壮絶な勢いでプロテインコーヒーを勧めてくる宣教師にドン引きしたるこる、その喉元でカウベルがカロン……はい、今回のるこるは乳牛スタイル。キマイラと同化して違和感はかけらもないが、るこるがアニマルするときって言語が人語じゃなかった気が……。
「あ、これは着ぐるみではないからきちんと会話できますよぉ」
 あらほんと。翻訳機能つけなくていいのは記録が楽だから助かるわ。などと言っている間にるこるはコーヒーをグイッと一気飲み。
「まだ寒いですねぇ……」
 実際のところは寒さのウ冠すら感じていないるこるだが、話を合わせた方が都合がよさそうだったため、両手で反対の二の腕を撫でこすり、凍えるふりをしながら。
「筋肉が足りませぇん……プロテインのお代わりをいただけますかぁ?」
「素晴らしい思想だ……っとそれはさておき、プロテインの足りない女性を見過ごすのは我ら宣教師にあるまじき行為!ぜひともうちへきたまえ、大量のストックがあるぞ……!」
(あれ、島の中心地へ行きそびれたような……)
 かくして、るこるは宣教師の家に連れ込まれてしまうのであった……。


「プロテインコーヒーか~。でも、ミルク味のプロテインとかコーヒー割りで飲むのは普通だね~」
「コーヒーには唐辛子じゃないの?」
「瑠璃!?」
「唐辛子コーヒーは普通にあるんだよ!緋瑪も試してみなよ」
「わたしは甘党なんだってば!」
 おかしいな、四季乃・瑠璃("2人で1人"の殺人姫・f09675)と四季乃・緋瑪("1人で2人"の殺人姫・f09675)が分離した別人格っていう、事実上の同一人物なのに鬼ごっこしてる……。
「そりゃ逃げるよ!瑠璃の場合唐辛子が入ってるんじゃなくて、唐辛子にコーヒー味がくっついてるって程度なんだもん!!」
 ガチ泣き五秒前の緋瑪が『こっち側』に飛び込んで、唐辛子(一キロ入りお徳用)とインスタントコーヒーを手に追いかけてくる瑠璃から逃亡。お前ら分離して大丈夫なの?
「半径八キロくらいは平気だから、ある程度は大丈夫かな……?」
 瑠璃をやり過ごした緋瑪が改めて村に踏み込んでみると。
「カラ……コヒ……」
 地面にぶっ倒れて、ひくひく痙攣してる島民がいた。
「なんだろう、物凄く嫌な予感がする……」
 緋瑪の視線は倒れていたキマイラから、その向こうで倒れている宣教師へと向かう。
「え、待って、なんで黒幕の手下も倒れてるの?」
 などと背筋に唐辛子を感じたところで。
「さぁ飲んでみて!プロテインなんかよりこっちの方が美味しいよ!」
「おいばかやめ……カルァアアアア!?」
 瑠璃の声に、島民の悲鳴が響き渡る。
「瑠璃が暴走してる!?」
 そりゃーまっ先に唐辛子をお勧めする先の緋瑪がいなくなったら近隣住民に行くよね。
「早くこの島を解放して、島の人達に唐辛子コーヒーを布教しないと……」
「あわわわ……!」
 遠く離れているにも関わらず、元が同一人格な影響(瑠璃が何やるかが分かりやすすぎるとも言う)で何を考えているのか分かってしまう緋瑪が震え始め。
「る、瑠璃より先にこの島を解放しなきゃ……!」
 そう決意した時が、彼女にもありました。
「待ってなにそのモノローグ!?」
 ここから先は、地獄が広がるのさ……!


「ほむ。なるほどなぁ。まあ、ヒトの食の嗜好はとやかく言うものじゃないよね。せっかくだし神罰を落としに行こうかな」
 ぽやんぽやん……空を行くのはパリジャード・シャチー(因達羅神のハナヨメイド・f17808)。もちろん一定高度を超えることはないし、パリジャード自身に飛行能力はない。ただし。
「うちには雲を操るフレンズがいるからねー」
 真っ白な象さん、愛羅ちゃんですね、いつもの。
「ふふふ、七大海嘯の鮫牙と関係があったら死よりも辛い目に遭わせるけど。えっ、辛(から)いんだか、辛(つら)いんだか分かりづらいって。うふふふ。どっちだと思う?別にこれと言った恨みはないんだけどね。名前が気に入らないから酷い目に合わせることにしてるんだー。だって鮫だよ」
 腹黒そうな微笑みを浮かべて、向かうべき島の中心地を見据えるパリジャード。やっぱりコイツ、守護神的なあれっていうより、激辛魔人だと思うんだ……。
「失礼だなー、うちは立派な神様なんだぞー?」
 名前だけで拷問にかけるとかどこの異教徒弾圧だよ?ところでパリやん、何撒いてんの?
「え?スパイシーヘルだけど?」
 それ一滴でも激辛魔人ですら辛いって感じる奴じゃなかった?なんで噴霧してるの!?
「大丈夫だってー、うちは風雨を司る神様だよ?風に乗せて宣教師に届ければ……どったの愛羅?」
 乗ってる象さんが何かをアピール。鼻で示した先には、低い位置に広がる灰雲。
「雨雲……?」
 パリジャードの飛行高度は通常の雲と同じかやや低い位置であり、文字通りの雲隠れを目的としている。それより低い位置ということは。
「誰かが雨を降らそうとしてる……?」
 はーい、ここで地上にカメラ返しますねー?
「飲み方を強要されるなんて可哀想にねぇ。私は珈琲は飲まないけど、上等なお酒に変な混ぜ物なんかされたら投げ捨てる自信があるわ。そう考えるとカチンときたから、ちょっと殴りに行こうかしら」
 龍・雨豪(虚像の龍人・f26969)はくすりと微笑むと、足取り軽く島の中心地へと歩き出す。そんな堂々と進んでいたら、当然宣教師に見つかるのだが……ぽつり、宣教師が近づこうとした途端水滴が地面を濡らす。
「雨……?違う、スコールだ!?」
 ッザー!一瞬にして土砂降りに豹変した天候は、もはや水の弾幕を地上に叩きつける兵器に等しい。降り注ぐ豪雨を、シャワーでも浴びるかのように鼻歌交じりに髪をかき撫でる雨豪は民家を眺めて。
「これだけ降っていれば、音も聞こえないし視界も悪い。少しくらい、コーヒーを飲んでもばれないわよね……ん?」
 雨に違和感を覚えた次の瞬間、雨豪の悲鳴が上がるがその声は雨音に飲まれて消えた。何が起こったのか分からないだろう?これな、ちょっと視点を変えてみると……そう、ここ。今から少し前の浜辺の方を見て欲しいんだ。
「久々のお仕事だと思ったら、変な島に流れ着きました。マッスルな珈琲の島ですか……マックスな珈琲は存じてますが」
 コーヒーへの冒涜(個人的偏見)ともいえる代物の話をするサザレ・ヘリオドール(ヘリオドールの巫女・f06264)は穏便に事を進めようと何食わぬ顔で村へ潜入。
「そこ行くお嬢さん、プロテインが足りていなさそうですね」
 じり、プロテインコーヒーを手にした宣教師が迫ると、サザレはそっと首を振り。
「私は今満ち足りておりますので、満ち足りていない子羊達に振る舞いましょう」
「何をおっしゃいますか、あなたもプロテインが……筋肉が満ち足りていないではありませんか!」
「はい?」
 この方は何をおっしゃっているのでしょう?と自分の華奢な体を見下ろすサザレだが。
「あの、私はクリスタリアンですからそもそも筋肉は……」
「種族なんて関係ありません!筋肉は万人に対して鍛え抜かれたものでなくてはならないのです!ささ、まずは一杯……」
 口先で丸め込んでしまえばいい、と思っていたサザレ、これは想定外。相手が脳筋過ぎて話が通じないのである!
「いいえ、結構です」
 それでも手をかざして「NO」のポーズで宣教師を制すると。
「私には神のお恵みがありますから」
 ぽつり、ぽつり、空から黒い雫が落ちてくる。
「これは……?」
「神が満ち足りない私を哀れに思い、お恵みなさったコーヒーの雨ですね……」
「何と言うことだ……この雨全てにプロテインを注がなくては!急いで帰って仲間たちと分担を……!」
 鍛えぬいた脚力を見せ、瞬く間に姿が見えなくなった宣教師を見送り、サザレはため息を一つ。
「困った殿方でしたね……しかし」
 ザー……いつの間にか強くなった雨足はもはや夕立のごとき大粒の雨粒を落とす。その衝撃に掌をかざし、サザレは思う。
「私、こんなに強く雨を降らせていないのですが……?」
 さて、お分かりいただけただろうか……?
「あ、うちのスパイシーヘルとコーヒーの雨が混ざって、ピリ辛コーヒーの雨になったところに、豪雨を降らせるUCが入ったから、ピリ辛コーヒーが土砂降りになってる?」
 はい、パリやん正解。あとおめーにとってのピリ辛って、一般人なら拷問レベルだからな?で、地上にいた雨豪に視点を戻すと。
「辛い!辛いわ!!何よこれ!?肌もなんかピリピリするし……!」
 大☆惨☆事♪
「なに軽やかな言い方してるのよ!?」
 などと涙目でこそあるが、さすがは龍の血族。凡人なら口に入らなくても肌に触れたことで駆け抜ける激痛と発熱にぶっ倒れて動けなくなるところを、半泣きになる程度の被害に抑えてしまう強靭な肉体である。
「ああもう!飲まなきゃやってらんないわ!でも、今の飲もうとしたらせっかくのお酒にこのコーヒーが混ざりそうで開けたくない……!」
 手にした瓶子(なじみがない人の為に書いとくと、お酒の入れ物だよ。日本でいう酒瓶だと思えばいいんじゃないかな!)を見つめて唇を噛み、ぐぬぬ……口直しはしたいが手持ちのお酒を台無しにもしたくない。飲みたい気持ちを必死にこらえて、雨豪は雨の中を駆け抜けていく……と、外がそんな事になる一方で。
「何だかネタネタした空気が漂いますけど、コーヒーにプロテインですか」
 土砂降りから逃れる意味もあって、島民の家に避難していた蒼・霓虹(彩虹駆る日陰者の虹龍・f29441)は焼き上げたクッキーをテーブルに運び、うなだれる島民の話に耳を傾ける。
「そうなんだよ……あいつら、コーヒーには必ずプロテインを入れろって言ってきて……」
「そんなに美味しくないんでしょうか……え?彩虹さんも興味があるんですか?わたしもコーヒーは飲んだ事がありますが、プロテインは始めてですし、興味はありますし」
 あまりにも疲弊した様子に、そんなに美味しくないのかと、一周回って興味がわいてきた霓虹と、彼女の相棒こと彩虹。自我を持つ戦車……らしいんだけど、見た目がどう見ても竜っぽいロボットなんだよなぁ……。
「大変だったんだね……さ、今のうちにこちらをどうぞ」
 小雉子・吉備(名も無き雉鶏精・f28322)が持ち込んだブラックコーヒーを差し出すと、その瞬間に島民がビクッ!
「この香り……プロテインが入ってない……!」
 コーヒーと吉備の間を視線で往来する島民へ、吉備はそっと微笑み。
「もし宣教師さんが来ても、何とかするから安心して」
「でも、さすがにこの天気じゃ……」
 などと、島民が久しいブラックコーヒーを楽しんでいる姿を横に、霓虹が窓から激辛コーヒーが降り注ぐ外を眺めた時である。
「ブラックコーヒーの匂いがするぞ!どういうことだ!?」
 ドアを叩くけたたましい音がする。怯えた様子の島民へ、「大丈夫だよ」と吉備から真っ赤なおサルがじゃーんぷ。島民の頭にしゃきーん☆煌くモンキーのポーズをとると、フッと島民が目立たなくなる。その間に吉備がドアを開けると……。
「うわぁ」
「えぇ……?」
 吉備と霓虹を待ち構えていたのは、雨の中パンイチになり、マッスルポージングを決める宣教師だった。
「今この家から(ムキィ)プロテインのないコーヒーの匂いが(ムチィ)したのだが?」
「あの、しゃべりながらポーズするのやめてくれない?」
 一々筋肉をアピールしてくる宣教師に苦笑しか出せない吉備に対して、宣教師はプロテインコーヒーを取り出して。
「このポージングが理解できないのは君にプロテインが足りないからだ!さぁ、まずは一杯……!」
「え、今どこから……」
 出したの?と続く前に、横から彩虹がひょい、バキュッ、ごくごく、ペッ。水筒ごと頬張り、かみ砕いてコーヒーを飲んだら容器だけ吐き捨てた。
「なんだ君は?はっ、そうか、コーヒーが欲しいんだな!?」
「あの、だからそのコーヒーは一体どこから……」
 吉備の疑問をスルーして次々とコーヒーを取り出しては彩虹に飲み干される宣教師。その傍らで。
「で、ブラックコーヒーの匂いが出るのはどういうことかね?」
「これを作っていた過程だからじゃないかな?」
 などと吉備が取り出したのはコーヒー餡にプロテインを練り込んだお団子。
「くんかくんか……うむ、プロテインコーヒーの香り。ならばよし!」
 最後にモリィ、筋肉をパンプアップさせてから、宣教師が帰っていく。それを見送って吉備がため息をつき。
「今の現世のお団子のレパートリーにはキビもびっくりしたけど、コレが本当に役に立つなんてなぁ……」
 しかしプロテインのお団子なんてありなんだろうか?もはや銘菓の枠にはないのでは?などと、吉備は一人思案にふけるのであった。


「好き、押し付ける、良い、ない、です。ブラックも、ミルク入りも、カフェオレも、コーヒー牛乳も、好きに、飲む、一番、良い、です。なので、島民、助ける、です!」
 さて、雨も上がって再び猟兵が動き出すぞー。その最初の一人が、気合を入れたアリス・トゥジュルクラルテ(白鳥兎の博愛者・f27150)だが。
「でも、アリス、ココア派、なので、見つかる、したい、ない、です」
 まさかのコーヒーに耐性がない。で、選んだ方法が。
「水中、なら、ロクローくん、泳ぐ、して、アリス、つかまる、して、行けば、見つかる、ない、です!」
 というわけでアリスがやってきたのは河口付近。海から川を逆上して、村を通過する作戦に出たのだ。村からやや離れている事もあり、泳げるのならそうそう見つからないだろう……先ほどの土砂降りで氾濫した川を泳げるのなら、だが。
「大丈夫、です!ロクローくん、強い、ワニ、です!」
 むふー、信頼しているのかドヤウサなアリスは白鰐ことロクローの背に乗り、しっかり鱗(?)を掴む。
「アリス、プロテイン、飲む、した、こと、ない、です。牛乳、みたい、なの、かな?それなら、飲む、できる、かな。砂糖、入れる、だめ、です?良い、なら、大丈夫、です。だめ、なら……辛い、です……」
 などと、ロクローの背で見つかった時の事を思案するアリスだったが。
「ロクローくん、どうする、したです!?」
 川に入った途端に白鰐が大暴れ!荒ぶる鰐から振り落とされまいと掴まるアリスだが、彼女を乗せたまま白鰐は村の中へと暴走したまま突っ込んでいってしまった。
「ロクローくん、何、ある、したです!?」
 アリスには分からなかったっぽいから解説しよう。さっきの雨で川が氾濫したってことは、川の水は激辛コーヒーでできている。そんなところに飛び込んだものだから、ロクローはあまりの辛さ(で、皮膚がひりひり痛んだため)に、ビックリしてしまったらしい。
「ロクローくん、落ちつく、して……!」
 アリスの懇願空しく、鰐は霧煙る村の中を走り抜けていく……。
「なるほど……こっそりと島の中心まで移動しないといけない、と。普段なら隠密測量ヘリのサーベイヤーに乗っていけば楽々なのですけど……何故かネタ依頼だとバリバリと音を立てて目立ってしまうので、止めておきましょう」
 はい、雨上がりに霧が出るのは自然だと思った?残念!セプテンバー・トリル(ゼネコンのお姫様・f16535)によるUCでした!!
「これなら私の姿は見えませんし、島の方々もこっそりコーヒーが飲めるかもしれませんわね」
 などと、自身の選択は何も間違っていなかったと豊かな胸を張るセプテンバーだったが。
「しかし……なんでしょう。この島に上がってから、お肌がぴりぴりするんですわよね……」
 そらー、激辛コーヒーの雨が降ったあと、水蒸気を浮かせて霧なんか発生させたら、空気中の微細な水分に辛み成分が付着して、激辛の霧になるよね。せめてもの救いは、霧そのものの組成はセプテンバーの意思に追従する関係で水分のみとなっており、辛み成分が薄まったということだろうか。
「ふふふ、視界不良とはいえ私自身が発生させた霧ですもの。道に迷うことなんてあり得ませ……」
「ロクローくん、止まる、して……!」
「んわー!?」
 おぉっと霧で前が見えていないロクローがセプテンバーにダイレクトアタック!突き飛ばされる形で吹っ飛ばされた後、何事かと咄嗟に尻尾をキャッチ。暴走アリゲーターに引っ張られる形で霧の中を爆走する羽目に。
「どどどどうなってますの!?」
「ロクローくん、川、入る、したら、走る、始めた、です!」
 走りながらびったんびったん叩きつけられるセプテンバー。手を放せばよかろうに。
「放したらそれこそ交通事故並みの衝撃になりますわよね!?」
 そらー、吹き飛ばされる事になるからねぇ……。
「ふぇえ……瑠璃は見つからないし、霧が出てからなんか口の中が辛いし……どうなってるのー……」
 あれに見えるは甘党の緋瑪かな?
「道、開ける、ください……!」
「ほぇ?」
 振り向いたら、バーサークゲーター。
「ワニぃいいい!?」
 普通ならここで爆破してしまうのも手なのだろうが、猟兵が乗ってる辺りどう見ても仲間であり、そうもいかない。
「よし、村を抜けたな……」
 穹がダンボールを脱ぎ捨てて、グッと伸びをしたその横を。
「この島一体どうなってるの!?」
 緋瑪が通過。
「おいおい、そんなに慌ててどうし……なんだあの鰐!?」
 大口開けて迫りくる白いワニ。新手のゴーストかな?ってビジュアルを前に穹はバイクを呼び出し飛び乗って疾走。
「あ、ずるい!」
「うるせー!動物の速度に人間が勝てるか!!」
 緋瑪を放置してさっさと逃げる穹。つーか緋瑪もフライトユニット持ってなかった?
「瑠璃が本体だから瑠璃が近くにいないと使えないのー!!」
 あー、肉体の主導権持ってるのあっちだっけか……おや、新手の人影が。
「もー?」
 牛服のせいで若干牛ってるるこるだ!?
「牛ってませんてばぁ、この服はただのコスプレですぅ……ところで、あの鰐さんは何故荒ぶっておられるのでしょうかぁ?」
 首を傾げながら呼び出したるは浮遊盾。これで正面から受け止めれば鼻先を打ち付けた激痛でロクローも止まるだろう。
「ロクローくん、避ける、して……!」
 その痛みを予感して、アリスがぎゅっと目を瞑る。るこるとて、それを前にしてわざわざ力業で止めようとは思わなかったらしく。
「あらあら、大変ですねぇ……」
 盾を斜めに構えて足場にさせて、そのまま円状に並べれば、ハムスター用の滑車状態に。同じ場所を延々走り続け、やがて力尽きたロクローがぐでーん、その背中に身を預ける形でアリスもようやく一息つくのだった。
「助かる、したです。ありがとうございました……」
「ところで、あなたはこんなところで何してますの?」
 尻尾に捕まり続けてもはや感覚がない両手を握っては開くセプテンバーに、るこるはにこー、と地図を開いて。
「村のプロテイン倉庫を飲み干したら、ここで追加をもらえるといわれましたぁ」
「「……」」
 一瞬顔を見合わせるアリスとセプテンバーだが。
((この人なら本当に飲み干しかねない気がします(わね)……))
 思考が一致したようだ。
「……ねぇ、もしかしてだけど、この鰐、水たまりか何かに飛び込まなかった?」
「ん?川、入る、したです」
 動かなくなったロクローを指でつついていた緋瑪が、頭を抱えてしまう。
「ごめん、たぶん瑠璃のせいだ……」
「え?」
「この子、体中に唐辛子ついてる……瑠璃ったらもー、唐辛子コーヒー広めようとして、生活用水を唐辛子漬けにするつもりなのかな……」
 などと姉妹を疑う緋瑪だが、生憎激辛党は絡んでるが、瑠璃じゃないんですよねー。
「あ、緋瑪ー」
「瑠璃!……その人誰?」
 と、そこへ村から追い付いてきた瑠璃がおっさんを引きずって到着。ケモミミがない当たり、キマイラではないようだが……。
「プロテインコーヒー押し付けてきたから唐辛子コーヒーお勧めしたら、本拠地っぽい場所を教えてくれたよ!」
「そっかぁ……」
 緋瑪は思った。多分お勧めという名の拷問だったんだろうな、と。しかし口にしないのが姉妹の優しさ……決して、藪をつついたがために毒蛇とエンカウントしたくなかった。具体的には話題にしたせいで自分が『お勧め』されるのが嫌だったわけではない。多分、恐らく、めいびー。
「あ、それとね」
「うん?」
「村に神様がいた」
「はい!?」
 で、瑠璃が見てきた神様っていうのが……。
「ウチかな?」
 パリやん今出てこないで!あんた空飛んでて地上にいなかったはずでしょう!?もうちょっとでこの章クライマックスだから!
「えー、せっかくだからもう少し辛さの布教を……」
 だまらっしゃい!さっさと村の描写行くぞオラァ!!


「どうしてこうなったんや……」
 キマイラたちの村の中心、崇め奉られてしまったクリミネル・ルプス(人狼のバーバリアン・f02572)は、ポージングしたまま過去を振り返る。
「ほわんほわんほわんくりくり~」
 クリミー余計な事言わなくていいから!
「せやかてウチ、崇めたてられてるだけで暇なんやけど!?」
 うるせぇ自業自得だ!とにかくクリミネルが上陸したとこ行くぞ!!
「プロテインをただ飲み出来るなんて何て羨まし……けしからん」
 実はちゃんとしたのを買おうとすると、結構値が張るためにほんの少しだけ、宣教師に興味がわいたクリミネル。口の端の涎を拭い、改めて島へ踏み込みながら。
「しっかし、コーヒーにプロテインとか、なんでそないけったいな組み合わせになってしもたんやろ……」
 果たして飲み干せる味なんだろうか……と一抹の不安はよぎるが。
「いや、普段から飲んどるあの店の味に比べたら……」
 などと、ギャンブルコーヒーを看板に掲げるさびれた喫茶店、及びそんな危険物を何食わぬ顔で提供する店主が脳裏をよぎり、不安は瞬く間に殺意へと様変わりを果たしたクリミネル。その覇気を纏ったまま村に入ったものだから、島民は近づこうとせず、宣教師もおっかなびっくり。
「ぷ、プロテインコーヒーはいかがか?この島ではコーヒーとプロテインを組み合わせた最高のドリンクが人気で……」
「ほう、ほんなら一杯もらおか」
 グイッと、一気に飲み干すなりクリミネルは己の胸に手を当てる。
「うっ……」
 あぁ、あの人も駄目だったか、と島民が目を背けた瞬間。
「みなぎってきたぁああああ!!」
 バッ!服を脱ぎ捨てた下に広がるのは岩肌と見まごう筋肉の大地。栗色のビキニが焼き栗色の肌を包み、肉を支える筋繊維は鍛え抜かれた筋肉を見事に割って隆起させた。
「お、おぉ……」
 次々と宣教師たちが跪く中で、クリミネルのモストマスキュラー!左右対称に鍛え抜かれた腹筋はプロテクターの如く腹部を覆い、太ももの筋肉は絡み合うように隆起して大樹の如く。女の細腕などと言われるが、クリミネルのそれは筋肉を圧縮したことが一目でわかるスタイリッシュな両腕をしており、キュッと握られた拳に走る血管がその内部に秘められた筋肉の圧力を見せつけてくる。
「神だ……神が降臨なされた……」
 もはや顔を上げる事すらできない宣教師……否。『信者』達へ向けて、クリミネルは囁く。
「筋肉に言葉など不要、筋肉が言葉であり、プロテインは経典に等しい……」
『イェスマッスル!ゴープロテイン!!』
 似合わない神々しさを放り投げ、いつものラフなクリミーに戻ったクリミネルはため息をつき。
「けど、あんたらはどうや?プロテインを飲みたくもない人に押し付けて……何考えとんねん!」
「し、しかし……これこそが筋肉、及びプロテインのため……」
「じゃかぁしい!!」
 胸の筋肉から腹の筋肉に向けて力を伝達させた様子が滑らかに映える姿のまま、文字通り腹の底から響く怒号に、信者達が吹き飛んだ。追撃するかのように、クリミネルは指を突きつけて。
「アンタらにプロテインなんぞ百年早いわ!全部ウチに寄こしぃ!まずはそのありがた迷惑な根性と中途半端な筋肉叩きなおしたるわ!!」
『は、はい!教祖様!!』
 かくして、村には(けりがついてないから事件は続くけど)平和が戻ってきたのだ……ところでクリミネル。
「なんや?」
 おめー、島民を救うよりそのプロテインかっぱらいに来たんじゃねぇだろな?
「そそそそんなことあるわけないやろー?」
 おいコラ目ェ逸らして吹けもしない口笛鳴らしてんじゃねぇぞ?

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『迷惑マッチョトレーナー』

POW   :    筋骨隆々!それ以外に何が必要だ?
全身を【使ってポージングし、攻撃を跳ね返す筋肉】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD   :    余った時間は筋トレに使う!それ以外に何に使う?
【筋トレとコーチング】を給仕している間、戦場にいる筋トレとコーチングを楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1にする。
WIZ   :    筋肉は裏切らない。その為に筋トレをするのだ!
非戦闘行為に没頭している間、自身の【全身の筋肉】が【激しくパンプアップし】、外部からの攻撃を遮断し、生命維持も不要になる。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「ひどい目に遭った……」
「本当だよ……」
「大丈夫?唐辛子いる?」
「いらないってば!?」
 既に死屍累々とした猟兵を眺めて、誰かが零す。
「今回の部隊、既に壊滅しておりません?」
「川、唐辛子、入る、してて、びっくり、する、したです……」
「ありゃ、辛味がそっちいっちゃったかー、ごめーんね☆」
「あれあなたのせい!?」
 てへぺろっとごまかす猟兵に静かに怒る猟兵もいたのだが。
「何だい君たちは?」
 目的地の手前、待ち構えていたのは宣教師よりも筋肉のついた連中だった。
「ここから先には、通すわけには行かないなぁ……」
「君たちには筋肉が足りない!!」
「この方々、絶対黒幕ですよね」
 うわぁ……って言いたそうな顔する猟兵がいる一方で。
「プロテインを押し付けてたのは君達だね!」
「村の人達はすごく困ってました……反省してください!」
 やる気十分な猟兵もいる。今回はテンションの差が激しいな……。
「いつものことではありませんかぁ」
 まぁね!
「筋力には吸引力で勝負してやるかの。ズボズボされる覚悟はよいな!?」
「なるほど、筋肉でバトればええんやな!?」
 ……敵もひどいけど、味方も酷いなぁ。

※次回執筆は『明日』の予定です。明朝八時までにプレくれると嬉しいな!間に合わなかったとしても、執筆終了までにプレくれれば間に合うかも……?

せっかくだから、筋肉アピールで相手を上回る筋肉を見せつけた場合もダメージが入るものとします。君たちは普通に殴ってもいいし、鍛えた体を見せつけてもいい。
御手洗・そそぎ
【POW】
奴らがマッスルで勝負するなら……わしもマッスルで勝負じゃ!
(着物脱いだら去年の水着に)

……マッスル(二の腕ぷにぷに)

……マッスル(太ももぷにぷに)

……マッスル(あばらの辺りぷにぷに)

……ええい!
お掃除おばちゃん召喚じゃ!!

さあ、憎きマッスルどものマッスルを吸引して、再起不能の行方不明にしてやるわ!
こういうときは小細工は要らん……力こそパワーじゃ!(なんか瞳がぐるぐる)

そぉれ
パンチじゃ!

キックじゃ!

ズボズボ音速の吸引じゃ!

足りんならお代わりじゃな?

って、誰じゃ!?
どさくさに紛れて、わしの尻をぷにぷにした奴は!!

お掃除おばちゃんが、お主を熱い抱擁で昇天(あの世行き的な意味で)させるぞい?


パリジャード・シャチー
●心情
・筋トレねぇ…。さっぱり興味ないわ。ああでも蛇の姿だとそれなりにあるね。ま、どうでもいいけど。最低限弓さえ引ければどうでもいい
・動かない相手にソースを提供して上げてもいいケド、食べ物を粗末にするのはなー、女神的にちょっと。あと、うちのソースはそれなりにいい食材を使っているから、勿体ないし
・んーまあ、そうだね。ご飯でも作るか。暇だし。ロシアン女神クッキングー。お残しは許さないよ

●戦闘?
・UCを使い調理開始。んー…今回はそうだねぇ。プロテイン…大豆…。大豆でファラフェルでも作るか。本来はひよこ豆だけど
・んで中にうちの卓越した料理技能と暗殺技能を使って外からは分からないようにソース仕込もーっと


小雉子・吉備
〔チーム名:蛟〕
何かさっきの宣教師ちゃんより、濃さそうなのが出てきちゃったけど、どーしようか?

キビ達にあの筋肉戦法は真似できないし

〔WlZ〕
【早業】でUC発動して【オーラ防御&激痛耐性】と【結界術】で攻撃に備え

攻撃が来たら【第六感】で【見切り】回避し

【空中戦】で駆けつつ〈なまり&ひいろ〉ちゃんに【動物使い】で指示し共に撹乱しつつ〈退化させる霊力の光翼〉を【貫通攻撃&属性攻撃(筋肉)】を込め〈偽御神刀・吉備男〉を【怪力】で腕を【残像】させ続け【切り込み】しつづけ、霓虹ちゃん達と連携して筋肉ちゃん達と根比べ

性質的に、パンプアップ何かずっと続けられる訳が無いんだからっ!

〔アドリブ絡み掛け合い大歓迎〕


クリミネル・ルプス
『ふむ……。鍛え抜かれたエェ筋肉やな……?!張り艶、絞り具合……エェわぁ……!』
しげしげと迷惑マッチョトレーナーの筋肉を鑑賞…もとい戦力分析に勤しむ脳筋神?と奉られたクリミネル。
トレーナーに負けじと筋トレをこなしていく。筋肉の躍動と汗に濡れる焼き栗色の肌、そして女性特有の膨みも艶やかである。
「中々良い感じやー」
にこやかにトレーナーに近づくとコーヒープロテインのボトルに口をつけ、ごくりと呑む。
「アンタもどうや?補給は大事やで〜」
間接キスとかそんな事は気にしない。

彼等がボトルの中身を呑んだ時、ソレは地獄に変わるのだから。
【膨張せし小針】を仕込み敵UCが発動しない時に体内で発動させる。


蒼・霓虹
〔チーム名:蛟〕
何だか、アレを見ると幸運司る
虹龍としての信仰、いえ

他の大切な信仰諸とも
馬鹿にされてる気がしますが

冷静になって

取り敢えず吉備ちゃんの保護者として
わたし達も頑張らなくてはっ!

〔WlZ〕
【高速詠唱】でUC発動
〈彩虹(戦車龍モード)〉さんを【推力移動&悪路走破】で【操縦】し撹乱しながら吉備ちゃんを援護です

【オーラ防御&激痛耐性】で備えて
【第六感】で攻撃を【見切り】回避しながら【砲撃&レーザー射撃】を浴びせつつ【高速詠唱】で〈虹水宝玉「ネオンアクアストライク」〉を【貫通攻撃&属性攻撃(ボディビルダー)】を込めて兄貴な【弾幕】の筋肉アピールを撃ち続けですっ!

〔アドリブ絡み掛け合い大歓迎〕


夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
また、迷惑な方々ですねぇ。
何とか対処してみましょうかぁ。

『FBS』を四肢に嵌め飛行、【愛柔園】を使用して沢山の『巨大もぐらさん』を召喚し、穴掘りをお願いしますねぇ。
彼らは『ポージング』中は動けなくなるみたいですから、そのまま『穴』に落とした上で生き埋めにしてしまいましょう。
それを避ける為に動けば『無敵』が解除されますので、そこに『FRS』『FSS』の[砲撃]を加えれば良さそうですぅ。

戦場全体が穴だらけになりますが、足場の問題は飛行で対処可能ですぅ。
何か妙な物を掘り当てたり、召喚時に何故か『フェンフェンと鳴く黒い毛玉さん』が一緒に出てくる可能性も有りますが、それはそれで?


サザレ・ヘリオドール
【WIZ】
これは……えぐい絵面ですねえ
皮剥いて剥き身にしたら、鶏肉っぽくなるでしょうか?

鶏肉ってたんぱく質多いそうですし、筋肉ってたんぱく質だそうですし
筋肉こそ至高明王とか降臨しちゃいそうですね

とりあえず、珈琲達の怒りをマックスでぶつけましょう
ホット珈琲(ブラック)属性の津波をエレメンタル・ファンタジアで起こして、あのえぐいマッスルを流しましょう

これで、茹でマッスルの完成です
仲間は巻き込まないつもりですんで、飛び込んだりしちゃだめですよ?

あー……なんだか焼き鳥とか唐揚げ食べたくなっちゃいました
プロテインはマッスルさんが全部食べていいですから……津波にプロテイン混ぜてみようかな

さあ、召し上がれ☆


アリス・トゥジュルクラルテ
とりあえず、近所、家で、シャワー、借りる、して、ロクローくん、洗う、です。
唐辛子、落ちた?大丈夫?
(ひどい目に遭った。めんどいからもう帰りたいって目のロクローくん)
ロクローくん、コンキスタドールは、食べる、して、いい。
(仕方ねえ、やってやるかって目のロクローくん)

筋肉、です?
アリス、力こぶ、見せる、して、注意、引き付ける、です!
ひょ、ひょろい?!むうう……。
どうしたら、そんなに、筋肉、つく、です?
相手、話に、夢中、なる、間に、UCで、攻撃力、重視、した、ロクローくん、食べる、もらう、です!
ちょっと、卑怯、だけど、島の、平和、ため、です。
(こいつら硬い、不味いと思いつつもぐもぐするロクローくん)


四季乃・瑠璃
瑠璃「あ、わたし達、トレーニングマネージャーです」
緋瑪「新しいトレーニング器具とプロテインお持ちしましたー」
瑠璃「特製マッスルプロテインもあるよ」
緋瑪「何が入ってるか想像がつくんだけど…」
瑠璃「唐辛子(と例のソース致死量)が身体を温めて脂肪燃焼を加速させるから、プロテインとは相性が良いんだよ!…きっと」

【クリエイト】で分身&トレーニング器具…型拷問器具(自爆装置付)を大量生成して搬入。
喜々としてマシンを使い出したら馬鹿め引っ掛かったな!と拘束

瑠璃「その筋肉でこの最新トレーニングマシンの誘惑には抗えないでしょう」
緋瑪「攻撃を受けず、生命維持不要でも拘束してしまえば問題無しだね!」

※イロイロお任せ


セプテンバー・トリル
筋肉の素晴らしさを否定はしませんわ。
私たち土木作業員にとっても身体は資本であり武器ですもの。
ですが!他人に押し付けられた使い道のない筋肉など邪道!
真の戦う肉体美というものは働く者にこそ宿るのですわ!

【WIZ】連携・アドリブ歓迎
UC【下請け要請】で作業員たちを召喚しましょう。
日々の土木作業で鍛えられた着痩せする男の魅力をアピールなさい!
名付けて細マッチョワーカーズですわ!
…え?その呼び名は恥ずかしい?家族に知られたくない?
ええい、冬のボーナスを上乗せしますから、とっととやんなさい!

…そんなに私のネーミングはセンスないのかしら?(しょぼーん)


龍・雨豪
珈琲の島とは聞いていたけど、まさか雨まで珈琲だとは思わなかったわ。しかも何か辛いし痛いし!
島民はよくこんな環境で生活してるわね……。

変な連中が出てきたけど、敵っぽいし八つ当たりしてもいいわよね?
この極悪な環境から創造された水龍人で片付けてあげる!
でもやっぱり黒いのは違和感あるわね……。
まぁ、いいわ。力比べといこうじゃない。接近戦なら負ける気がしないわ!
むしろ一番の不安要素は後ろにいる気がするのよね。

へぇ、この打撃に耐えれるヤツが居るのね。じゃあ、水龍人の中に捕まえちゃえばどうかしら?
目や口を開けておくのはお勧めしないわ。辛いだけじゃすまないと思うわよ。息もいつまでもつかしらね。

※アドリブ歓迎


涼風・穹
……普通に戦うにきまっているだろう…
俺はボディビルダーでもなければそこの宣教師達みたいな筋肉教の信者でもないんだからな…

《贋作者》で鉄アレイを作り出して投げつけます
徐々に大きいものにしていき最終的には特大のバーベルサイズのものをプレゼント
そして最後には頭上からロードローラーだッ!

色々と面倒になってきたなら投石器でも作って筋肉達磨達を海の彼方へ飛ばして遺棄します
プロテインのやり過ぎで脳まで筋肉になっていたりしないだろうな…

アリス(勿論セカンドカラーの方)がいればあの筋肉達磨達も全員纏めてショタっ娘にしてお持ち帰りしそうだけど、今回ばかりはまだその方が見た目に暑苦しくないからまだましなような気が…



「奴らがマッスルで勝負するなら……わしもマッスルで勝負じゃ!」
 さぁ始まりました第一回猟兵ボディビル大会インコーヒーハム島!エントリーナンバー一番、そそぎ選手の入場です!!
「見るがよい、我がマッスルボディ!!」
 着物を脱ぎ捨てた下から姿を見せたのは、白地に赤い花を咲かせた和柄レオタード。グッと肘を曲げて力こぶをアピール!
「マッスル!」
 うん、二の腕がぷるっぷるに震えておりますね。続いて両手を重ねて腰もとに添えて、下半身のアピール!
「マッスル!」
 キュッと力を入れた瞬間にプルンと揺れる太もも。うーん、このむちむち感。トドメに両腕を後頭部に回して腹筋をアピール!
「マッスル!」
 お腹は割れるどころかぷにぷにと柔らかな平原を広げている……さぁ、オブリビオン審査員の判定は……!
「零点」
「零点」
「零点」
 得点獲得ならずッ!!
「……ええい!お掃除おばちゃん召喚じゃ!!」
 逆上したそそぎ選手、三メートル級の清掃のおばちゃんを呼び出したー!
「さあ、憎きマッスルどものマッスルを吸引して、再起不能の行方不明にしてやるわ!こういうときは小細工は要らん……力こそパワーじゃ!」
 逆ギレのあまり何言ってるか分からない状態に!とりあえず両目が渦潮になってる辺りあいつもう駄目だろ!?
「ロクローくん、コンキスタドールは、食べる、して、いい」
 さて、既に混沌とした会場に遅れてやってきたのはアリス選手。なんかもう全力でゴーホームしたそうな白鰐を説得しながらの入場です。
「……選手、です?」
 ここに来る前に一旦村に戻って、真水で唐辛子を洗ってきたアリスには訳が分からないようだが、現場は(若干一名腹筋をラバーカップでカポカポやられているが)ボディビル大会の真っ最中。
「さぁ、君の筋肉を見せてくれたまえ」
「筋肉、です?」
 見た目こそ華奢なアリス選手ですが、日ごろから筋トレを欠かさないという噂が囁かれる隠れ脳筋疑惑がある少女。彼女の秘められたマッスルパワーが今明かされようとしています……!
「ふぅ……えぃ!」
 深呼吸から、両肘を曲げてグッと歯を食いしばり、両腕に力こぶを……力こぶが……出ませんね?
「細すぎる、マイナス二十点」
「ひょろい、マイナス四十点」
「ぐぁあああ!私の腹筋にトイレのカッポンを当てるんじゃなーい!!」
「誰がカッポンじゃごらぁああ!!」
 審査員の一人が腹と顔面をガポガポやられて判定どころではありませんが、まぁ結果は目に見えているのでいいでしょう。
「ひょ、ひょろい!?むぅう……」
 さて、こちらは意外性に期待させておいて、見た目そのまんまだったアリス選手。筋肉の代わりに両ほっぺを膨らませてしかめ面です。
「どうしたら、そんなに、筋肉、つく、です?」
「努力、プロテイン、筋トレ!この三つの柱に全てが集約されているのさ……」
 モリモリモリィ……背筋から肩にかけて筋肉が膨れ上がる審査員、その横で。
「ぎゃぁあああああ!ワニが!ワニがぁああああ!?」
 頭から白鰐に襲われた審査員が悶絶!食いついた首を引きちぎろうとロクローがデスロールし始めるが。
「おのれ爬虫類風情が!我が筋肉をそう簡単に食いちぎれると思うなよぉおおお!!」
 ワニの回転に合わせマッスルもサイドロール。筋肉と爬虫類のコラボロールが地面の上でゴロゴロゴロゴロ……ただひたすらに鬱陶しい!!
「あの動き……まさにロードローラー!」
 セプテンバー、お前何言ってんだ?
「あ、すみません。ちょっと重機を思い出して……」
 こほん、咳払いして建築お嬢が改めて。
「筋肉の素晴らしさを否定はしませんわ。私たち土木作業員にとっても身体は資本であり武器ですもの。ですが!他人に押し付けられた使い道のない筋肉など邪道!真の戦う肉体美というものは働く者にこそ宿るのですわ!」
 エントリーナンバー三番、肌を露出しないが実はガテン系のセプテンバー選手!今度こそ期待が……。
「今こそ出番ですわ!我が精鋭たちよ、日々の土木作業で鍛えられた着痩せする男の魅力をアピールなさい!」
 裏切られたー!まさかの配下召喚系UCだァー!?しかも呼び出された方は「え、俺ら工事に呼ばれたんですよね?」って疑問の視線で主人を見ているぞ!!
「重い土木資材の運搬はもちろんのこと、建築機材を扱う反動に加えてクライアントを待たせないために急ピッチで工事を進めるための持久力……作業効率の為に無駄をそぎ落とした、まさに磨き抜かれた筋肉の塊。名付けて細マッチョワーカーズですわ!」
 ドヤァ、胸を張るセプテンバーだが、当の本人たちはってーと。
「姉御、その呼称はちょっと……」
「俺むしろビール腹ですし……」
「娘が変な事覚えそうなんで、公式記録に残るような事は避けてもらえませんか?」
「むしろ工事の為の汚い筋肉ですから見世物じゃないですし……」
「そもそも、肉を見せるのはちょっと恥ずかしいと言いますか……」
 ひっでぇ反応だな!?
「ええい、冬のボーナスを上乗せしますから、とっととやんなさい!」
『よし、そっちがその気ならこっちはストライキだ』
 バッ!作業員たちは「金さえ積めば何でもやると思うなよ!!」の横断幕を広げ、その後ろで日ごろの連携作業を思わせる美しい組体操を以てセプテンバーへの盛大な抗議活動を始めてしまう。
「……私って、そんなにネーミングセンスがないのかしら?」
 しょぼーん……ガチ目の抗議活動を前に、セプテンバーは涙目で人差し指同士ををつんつん……。
「美しい連携だな……しかし筋肉は甘い、七十点」
「ちょっと誰かこのワニ止めてぇえええ!!」
「やめろー!私に汚物処理のカッポンを当てるなぁあああ!!」
 審査員側も大惨事になってきたが、一応今のところ最高得点ではなかろうか?
「さっきから偉そうに人に点数つけよって……」
 おっとここでエントリーナンバー四番のクリミネルが審査員にガンを飛ばし始めたぞ?
「ふむ……鍛え抜かれたエェ筋肉やな……!?張り艶、絞り具合……エェわぁ……!」
「そういうあなたも実に美しい……これは並みの鍛錬ではつかない筋肉のはず……」
 お互いの筋肉を見つめ合う二人だが、突如互いの拳をぶつけ合い。
「もはや筋肉では決着がつかへん!」
「ならばトレーニングで勝負!!」
 と、二人が謎の意気投合を果たしたところで。
「あ、わたし達、トレーニングマネージャーです」
「新しいトレーニング器具とプロテインお持ちしましたー」
 瑠璃と緋瑪がショートパンツにパーカー、サンバイザーで首にはタオルというどこのジョギングJKかな?ってスタイルで参戦。
「特製マッスルプロテインもあるよ」
「何が入ってるか想像がつくんだけど……」
 実に晴れやかな笑顔の瑠璃に対して、緋瑪は半眼ジト目。まぁ、はい。十中八九アレですね。
「まずご紹介するのはこちら!」
「最新式ランニングマシンでーす!」
 気を取り直して、紹介されたのは転ばないように命綱が設けられたランニングマシン。むしろその命綱に引っかかって盛大に転びそうな気もするのだが。
「ここのベルトが中に連動してて、転びそうになると止まる仕様になってるよ」
「ささ、まずは使ってみてー」
「よっしゃ、ほんなら先にバテた方が負けでどうや!?」
「いいでしょう、速度はもちろん最初から最速で!!」
 それぞれ瑠璃と緋瑪にベルトを巻いてもらい、クリミネルと審査員してた筋肉トレーナーがマシンにライドオン。速度のボタンを連打ァ!!
「位置についてー」
「よーいどん!」
 双子が代わりにスイッチを入れれば、足元のベルトコンベアはロケットスタートを再現して加速という過程なしにフルスロットル。既に短距離走なら記録を残せるレベルの回転速度を誇るが、なんとクリミネルとトレーナーは両者ともにこれについていく!
「うぉおおおお!まだまだいくでー!!」
「遅い!この程度では遅すぎる!!」
 むしろベルトコンベアを足で蹴って回してるんじゃないかってレベルで走り続ける二人を前に、瑠璃と緋瑪がニヤァ。
「馬鹿め引っかかったな!」
「それはトレーニングマシンじゃなく、拷問器具だったんだよ!!」
 二人が隠し持っていたスイッチを押すとベルトが硬化して利用者の体を固定し、足元のベルトコンベアがさらに加速。もはや人類の脚では到達できないその速度を前に、使ってしまったものはつま先からじわじわと削り取られていく……てゆーごーもんぐだったらしーんだけど。
「ハハハハハ!面白くなってきたやないの!!」
「そうだ!この極限の速度こそ筋肉!マッスルイズパゥワー!!」
 あの二人いろんな意味でキチガ……もとい、規格外過ぎて、ふっつーに走ってるっていうね。
「「うわぁ……」」
 用意した双子がドン引きしてしまった傍らで。
「……普通に戦うにきまっているだろう……俺はボディビルダーでもなければあっちの宣教師達みたいな筋肉教の信者でもないんだからな……と、思っていたんだが」
 観戦していた穹がにっこり。
「これはむしろ、戦わせた方が楽しい事になりそうだ」
 などとのたまい、手に再現して生み出したのは五キロダンベル。
「そうらせっかくだから重量運動はどうだ!?」
 それを現在進行形で走り続ける二人へシューッ!!
「アホウ!ダンベル投げんなや!?」
「トレーニングアイテムは大切に扱いたまえ!!」
 まず一投目、二人ともキャッチ成功!
「流石にまだまだ余裕だな。次!」
 十キロダンベルが、フライ、トゥ、マッスル!
「だから投げんなや!?」
「手渡しという発想はないのかね!?」
 続く二投目も両者難なくキャッチ。
「よし、投げなければいいんだな?」
 ランナー頭上より、特大バーベルが落下!果たして走りながら受け止められるのか!?
「ふっざけんなやぁあああ!!」
「うぉおおおお唸れ我が両肩ぁあああ!」
 なんと!二人同時にしっかりと受け止めた!だがここで一瞬トレーナーがよろけて……。
「ぬぅん!!」
 腹筋で姿勢を維持して持ちこたえた!!
「おめでとう、二人とも実に素晴らしい筋肉だ……」
 ぱちぱち、軽い拍手を鳴らして穹はにっこり。
「筋肉にとって最後の挑戦といったら、これだよな?」
 と、ランナー二名に影を落としたのは……。
「「ロードローラー!?」」
 もはやトレーニング器具ですらないものを前にさすがに二人が騒ぎ始める。
「あんたアホやろ!?」
「というか我々の前にトレーニングマシンも耐えられないのだが!?」
「はいドーン」
 しかし、抗議空しく落下する車体を、クリミネルとトレーナーは二人で協力して受け止めて見せるではないか。安定させるために二人は走る速度を揃え、両者ともに均一に筋力を用いて重量を支えると。
「こんの……」
「ド阿呆!!」
 ぶぅん!!投げたー!穹に向かってロードローラーを投げたぁあああ!!
「え、ちょっと待っ……ぎゃぁあああああ!?」
 ズゥン……!穹は車体の下に消えていった。
「ふっ、悪は滅びたんや……」
「我等が筋肉を前に敵などない!!」
 ムキィ、走り続け、滝の如く汗を流しながら上半身のみでポージングを決める二人だが……。
「くんくん……なんか、焦げ臭くあらへん?」
「む?言われてみれば……」
 ふと、クリミネルが異臭に気づいたその時。

 ――ちゅどーーーん!!

「トレーニングマシンのベルトコンベアが回転しすぎて、摩擦熱で中の火薬に引火しちゃったみたいだねー」
「トレーニングのし過ぎはよくないってことだね!」
「中に火薬が入ってる時点で不良品だろそれ……!」
 瑠璃と緋瑪が「あちゃー」と自身のおでこをペチると、ロードローラーの下の穹がじとーっ。しかし、この程度の爆発では動じないのが。
「「イェス!マイ、マッソゥ!!」」
 はい、この脳筋共です。
「中々いい感じやー」
 トレーニングによる筋肉の発熱と、爆発による外部からの加熱により噴き出した汗はクリミネルの頬を伝い、首を滑り落ちると鎖骨に沿って、筋を伸ばすのに合わせて揺れる、豊かな谷間の底へと消えていく。
「はい、トレーニングの後にはプロテイン!」
「お、あんがとなー……ぐはぁ!?」
 おっと瑠璃が差し出したプロテインを口にした途端、爆発ですら微動だにしなかったクリミネルが盛大に噴き出してしまう。
「なん……なんやこれ!?」
「唐辛子(※実際にはカプサイシン抽出物が使われています)が身体を温めて脂肪燃焼を加速させるから、プロテインとは相性が良いんだよ……きっと」
「検証してないんかい!?」
 何故か飲み物に関してはロクな目に遭わないクリミネルである。ふと、ここで隣のトレーナーを見遣り。
「アンタもどうや?補給は大事やで〜」
「ふふ、我が筋肉が唐辛子なんぞに負けるはずが……」
 ゴクッ。
「ゴハァ!?」
 駄目でした☆
「おいおい、大丈夫かいな?」
「こ、この程度、我が筋肉の前ではなんてことはオロロロロロ……」
 おいトレーナーが縫い針みたいなもん吐きだし始めたんだけど!?
「えー?結構アカンのに、大丈夫なんて嘘ついたから、針を千本飲まされてもうたんと違う?(ニヤァ)」
 嘘つきはお前だー!この栗女ぜってぇなんか仕込んだぞ!?
「くっ、貴様ら、さては我らが『コーヒーにはプロテインこそ至高』教の敵だな!?」
「え、そういう宗教だったの!?」
 まだ生き残ってるトレーナーに吉備が逆に驚くという事態に。
「おのれ、ならばここから先には通さぬ!うぉおお!行くぞ我が筋肉!!」
 ぴょんぴょんぴょんぴょん……。
「なんでうさぎ跳びなの!?」
 吉備、気持ちはわかるが、奴らは非戦闘行為に没頭している間は不死身……つまり、うさぎ跳びというトレーニングをし続ける限り不滅なんだ……!
「ここは!(ムキィ)絶対に!!(ミチィ)通さぬ!!!(モリモリモリィ)」
「しかもどんどん大きくなってるんだけど!?」
 トレーニングにより筋肉が隆起してるからね、仕方ないね。
「某猟兵がいればあの筋肉達磨達も全員纏めてショタっ娘にしてお持ち帰りしそうだけど、今回ばかりはまだその方が見た目に暑苦しくないからまだましなような気が……」
 穹が現実逃避している間にも、筋肉という名の肉塊に濃厚な顔が張り付いた『動く肉壁』が猟兵達を押しつぶそうと迫る……!
「変な連中が出てきたけど、敵っぽいし八つ当たりしてもいいわよね?力比べといこうじゃない。接近戦なら負ける気がしないわ!……むしろ一番の不安要素は後ろにいる気がするのよね」
 雨豪、余計な事に気づいてしまう奴は長生きできないぞ?
「え、この部隊そんなに危ないの!?」
 うん、まぁ、そうね。
「これは……えぐい絵面ですねえ。皮剥いて剥き身にしたら、鶏肉っぽくなるでしょうか?鶏肉ってたんぱく質多いそうですし、筋肉ってたんぱく質だそうですし。筋肉こそ至高明王とか降臨しちゃいそうですね」
 雨豪がガクブルし始めた一方、サザレは迫りくる肉壁(超濃厚)を前にうへぇ、と胸やけを起こしながら。
「あー……なんだか焼き鳥とか唐揚げ食べたくなっちゃいました。プロテインはマッスルさんが全部食べていいですから……津波にプロテイン混ぜてみようかな」
 鶏肉の話をしてお腹すかせてるんじゃないよ、今戦闘中でしょ!?
「と、とにかくぶっ飛ばせばいいのよね!?」
 この戦場に長居するのは違う意味で危ないと察した雨豪は真っ先に走り出し、跳躍。
「全身が筋肉達磨になっていても、顔面を晒してちゃ意味ないでしょ!!」
 筋肉が隆起しすぎて、ガードすら取れない疑惑のある肉壁(ただし顔が特濃)の顔面に踵を叩き込む雨豪だが。
(硬い……!)
 相手に伝える衝撃よりも自分に帰ってくる反動の方が大きく、肉弾戦は実質不可能と判断。膝の屈伸で舞い戻ると。
「結構シャレにならないわよアレ……!」
「でしたら、戦わない方針で行きましょうかぁ」
 四肢に浮遊する戦輪を通し、ふわり舞い上がるるこるの下に、ゴゴゴゴゴゴゴ……。
「え、何、今度は地震?」
「いいえ、モグラさんですぅ」
『もっぐー!!』
 ドッゴォ!!迫りくる肉壁(アブラギッシュフェイス)の目の前に大穴を掘り、逃走するモグラの群れ。なお、実際のモグラはもぐもぐとは鳴かないからこいつらはUCの産物だぞ!
「な、なにぃ!?」
 うさぎ跳びで飛び込む形になった肉壁が、綺麗にすっぽり収まる形で落とし穴に落ちた。
「なるほど、これは水攻めならぬコーヒー攻めの流れですね」
 おっとここで横合いから黒い津波がドッパーン!肉壁と穴の隙間をブラックコーヒーで埋めたら、筋肉の飛び石が並ぶコーヒー池の完成。いや何やってんのよお前ら?
「生き埋め作戦でしょうかぁ?このまま地下に向かって穴を掘り続ければ、例え倒せなくても二度と出てこられなくなるのでは?」
 え、まさかさっきのモグラ、まだ穴掘ってんの?
「掘ってますがぁ?」
 村の近くに川があったやろ?
「ありましたねぇ」
 てことは、この島には湧水があるはずなんよ。
「むしろ、なかったら川なんてできませんよ?……あっ」
 るこるが何かに気づいた瞬間、肉壁(コーヒーまみれ)が天高くスプラッシュ!!
「モグラさんが地下水脈を掘り当ててしまいましたかぁ……」
 雲の向こうでお星さまになる肉壁を眺めて、あらあら……と頬に手を添えるるこるだが、この程度ではまだ終わらない。
「おのれよくも我が同胞を!!」
 あ、落下してきた肉壁が一体減ってる!?
「筋トレねぇ……さっぱり興味ないわ。ああでも蛇の姿だとそれなりにあるね。ま、どうでもいいけど。最低限弓さえ引ければどうでもいい」
 トントントン……湧水で調理を始めるパリジャードは自分のじっと自分の腕を見る。細い。
「動かない相手にソースを提供して上げてもいいケド、食べ物を粗末にするのはなー、女神的にちょっと。あと、うちのソースはそれなりにいい食材を使っているから、勿体ないし。んーまあ、そうだね。ご飯でも作るか。暇だし。ロシアン女神クッキングー。お残しは許さないよ」
「焼き鳥ですか?今夜は唐揚げですか?」
 ずしゃっ!お腹を空かせた(かもしれない)サザレがマイ皿とマイフォークを手に滑り込んでくるものも。
「今回はそうだねぇ……プロテイン……大豆……大豆でファラフェルでも作るか。本来はひよこ豆だけど」
「お豆料理でしたか……」
「まぁまぁ、タンパク質の塊みたいなものだから、旨味的にはお肉にも負けないよ」
 パリやんの猟兵クッキング、はっじまーるよー♪
「まずはにんにく、玉ねぎ、大豆を微塵切りにするよ。うちは料理技術の関係で(シュタタタ)見ての通り一瞬だけど、技能なしでやると結構大変だから、フードプロセッサーがお勧めかな」
 細かくなった食材に、香辛料と塩コショウを加えて味を整えたら、パリジャードが手をかざして口の中でぶつぶつと何かを唱える。
「本来ならここでいったん寝かせるんだけど……」
「ふふふ、地下水が湧き出すだなんて、運のない筋肉ね……」
 うーん、困ったように眉根を寄せるパリジャードの後ろで、腕組みした雨豪に追従して地下水が雨豪の形をとると、彼女の動きに合わせて拳を構えた。
「水があるなら、私に砕けないものはないわ!ま、この島の水って、なんか辛くて痛い変な雨だった気もするけど……だからこそ、まともに耐えられるとは思わない事よ!!」
 あれはUCが悪い意味で連携してしまった悲劇だから、地下水自体は安全……あ、だめだわ。さっき珈琲の津波もあったから……。
「あっつ!?この黒い巨人めちゃくちゃ熱いぞ!?うぉおお、負けるな我が筋肉ぅううう!!」
 雨豪が扱う巨人はほぼ熱湯に等しいブラックコーヒーの巨人……これまた酷いものが出来上がってしまったものである。
「さぁ、どこまで耐えられるかしら、ね!」
 振りぬかれるコーヒーの鉄拳が肉壁を殴りつけるが、それ自体にダメージはない。しかし、その拳圧まで防ぎきることは叶わず、再び天高くへと吹き飛ばされていき……。
「とまぁ、すぐそばで派手な戦闘してるからね。タネはうちの権能で寝かせておいた時と同じ状態にしておいたよ」
 やがて地響きと共に落下してきた肉壁が巻き起こす粉塵を、風を周囲に呼び起こして料理に混ざらないようにしながらパリジャードはグッ、と多少強めに力を入れて、空気を抜きながら丸く固めていく。
「あとは油で揚げるだけ。跳ねるのが怖くて低温から揚げる人もいるかもしれないけど、それやると崩れちゃうから高温で揚げるのがお約束だよ」
 じゅわぁあああ……軽やかに響く音に、アリスがひょこ。
「ドーナツ、作る、する、です?」
「んー、ドーナツとはちょっと違うかな。これは甘くないし、どっちかっていうとご飯?お酒のおつまみとか、炭酸のジュースに合う料理だよ」
 こんがりブラウンに揚がったら完成……なのだが、それをパリジャードが皿によそってからのことである。
「な、なんだ?妙に体が重い……違う、遅い?」
「あら?なんだかトレースが遅れてるわね……」
 肉壁の動きが鈍くなり、同時に雨豪の巨人もレスポンスが悪くなる。その理由こそが。
「さぁ皆、ファラフェルができたよー」
 ニコニコと、満面の笑顔で料理を運ぶパリジャード。しかし、何故かその笑顔に絡みつかれているかの如く動きが鈍い巨人と肉壁。つまり……。
「あ、ちなみに中にはうち特性の激辛ファラフェルも混ざってるからね☆」
 地雷の混じった料理である……!これこそがパリジャードの呪詛「呪いじゃなくてUCだよ。失礼だなー」うっせー!激辛好きじゃなきゃまともに動けなくなるとか、もはや呪いの領域じゃねぇか!?
「まぁほら、ロシアンって事は辛くないのもあるかもしれないし」
「かもしれないし!?」
 まさかの、可能性の領域。
「はい、じゃあまずは君から。あーん」
「や、やめろ、この流れ的に絶対危ない料理だろそ……」
 拒否る途中で口に詰め込まれた肉壁は、ボンッ!あまりの辛さに口内で爆発を起こし、黒煙を上げる末路を辿った。
「こ、こんな戦場にいられるか!」
 次々と撃破される仲間を前に、生き残っていた肉壁が逃走を開始。ほっといてもいい気がしないでもないけど。
「何かさっきの宣教師ちゃんより、濃さそうなのが出てきちゃったけど、どーしようか?」
「何だか、アレを見ると幸運司る虹龍としての信仰、いえ。他の大切な信仰諸とも馬鹿にされてる気がしますが……冷静になって」
 吉備に意見を求められた霓虹の返答は。
「とりあえずやっつけましょう」
「だよね!」
 まぁ、逃がす理由もないからねぇ……。
「テクターアップ!」
 吉備が一枚のメダルを弾く。宙へ打ち上げられたメダルは九つに散り、雉の頭を浮かべた人魂となると彼女を囲んでゆっくりと回転し始めた。
「刻動、鎧貨『九頭雉鶏精変化』っ!」
 一斉に吉備の体に取り込まれた人魂は赤き鎧に姿を変えて、吉備自身もまた鳥人間のそれへと様相を変える。
「なまりちゃん、ひいろちゃん、行って!」
 吉備の肩から飛び出してく二匹のお供。その背中めがけて吉備は虚空よりカードをドロー。
「コードカード【レインボースパーク】!」
 引き抜いたカードが霧散すると、青いわんこの口から七色のビーム!!あのわんこどうなってんだ!?それはさておき、肉壁が体勢を崩したところで吉備がもう一枚。
「コードカード【猿竜転生舞】!」
 今度はおサルさんが空高く舞い上がり、太陽を背にして炎を身に纏うと肉壁めがけて急降下!燃え盛る跳び蹴りでついに肉壁が転倒し、その隙に吉備本人が正面に回り込むと刀を振りかざす。
「これぞあやかし殺しの英雄の刀……塗り壁っぽいし、なんか行ける気がする!!」
「そんな曖昧なノリで斬られてたまるかぁあああ!?」
 振るわれる斬撃はされど肉を裂くにはやや足りぬ。単純なぶつかり合いとあっては無敵を誇る筋肉が上と思われたが。
「吉備ちゃんの保護者としてわたし達も頑張らなくてはっ!」
 霓虹が彩虹に乗って追従。随分と逃げられてしまったものだが、速攻で追いついた吉備が足止めしてくれているのだ、敵を射程に捉えるまでそう長くはかからない。
「彩虹さん、準備は良いですか?」
 咆哮を以て応えた戦車に、カードを挿入。刻まれた魔術回路を読み込んだ彩虹は内臓リミッターを解除、魔力と共に周囲の大気中の水分を吸収して圧縮、砲弾として主砲に装填させる。
「フォーチュンMAX起動っ!強襲『猟機戦龍・彩虹』っ!」
 砲塔からあふれ出す七色の光を目視した吉備が上空へと退避、突如離れた彼女を目で追った筋肉の塊へ向けて、彩虹がロックオン。
「虹水宝玉『ネオンアクアストライク』、シュート!」
 二門の主砲から打ち出されるは複合属性の砲弾。そこにボディビルダーの属性(どんな属性とかツッコんではいけない)が付与された一撃は肉壁を着弾により噴き出す水圧を以て天高くへと吹き消してしまい、後には空へ散らばる水蒸気が雲を形作り、島の上空にマッチョメェンな積乱雲を残すのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『盗人巨人マスハラ』

POW   :    つきぬけるサイドチェスト
全身を【駆け抜ければ海を割る走りが出来る筋肉】で覆い、自身の【栄養と筋力と精神力と追いかける猟兵の数】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD   :    あらゆる超硬度材料を超えるモストマスキュラー
全身を【パンプアップしてポージングし、最強の筋肉】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
WIZ   :    音速を超えたフロントダブルバイセップス
対象のユーベルコードに対し【音速を超えた走りから出るソニックウェーブ】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はサジー・パルザンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「なんていうか……いろんな意味で濃厚な敵だったね……」
「しばらくはあの顔と筋肉が夢に出そうで怖いです……」
 猟兵達に傷一つ負わせることは叶わなかったようだが、心の方には消えない傷を残したっぽい敵を撃退して数十分。何やら開けた場所に出た。
「なんだあれ?一軒家?にしてはシンプルすぎるような……」
「あれはぁ、倉庫でしょうかぁ?」
「こんなところに隠し倉庫……お宝の気配がしますね。もしくは歴史的価値が?」
 猟兵達が予想を立てながら近づいていくと、中から新手のマッスルが現れて。
「むっ、先ほどの騒ぎからして同志達は倒されたと思っていたが……思ったより早い到着だったな」
 うん、どう見ても黒幕ですね。
「今回は君達の勝利だ……」
「島の人、困る、してる、です。コーヒー、許す、してほしい、です!」
「好きにしてくれて構わないとも。あのルールももはやこれまで……」
 猟兵の言葉に、やたら潔いマッソゥ。疑念を抱く猟兵ももちろんいるが。
「とか言って、罠があるんじゃないのー?」
「この倉庫爆破しちゃおうよ!」
「構わないよ。私はこの島を離れ、食材強奪と筋肉増強の旅に出るからね」
 じゃっ!と片手を挙げて、黒幕は走り去っていった……。

                ―完―








「いや思いっきり取り逃がしてしまっておるんじゃが!?あれほっといたら別の島で同じ事するのがオチじゃろ!?」
 物語は終わったようで終わっていなかった。
「ここまで来て逃がしてたまるもんですか!今日一日の鬱憤、叩きつけてやらなきゃ気が済まないわ……!」
「ありゃまー……でもあの速さ、追い付ける?」
 既に土煙でしか位置を確認できない敵を遠くに見て、首を傾げる猟兵もいるが。
「もはや手段は選べませんわ!移動手段は使えるものを全て使って追いますわよ!」
「何言うとんねん。うちらには最大最速の移動手段があるやろ!」
 パァン!猟兵の一人が、自身の脚を叩く。
「あんな筋肉に負けてたまるか、走るっきゃないでぇ!!」


※次回執筆は二十四日の予定です。二十三日の深夜までにプレくれると嬉しいな!ちなみに、状況からも分かると思いますが、敵は戦闘よりも『逃走を優先』します。敵を倒すためのプレはもちろんのこと、追跡のためのプレイングも重要になってくるでしょう。なお、速度上昇系のUCで強引に追いかけるプレはお勧めしません。理由?追跡そのもに対して敵のUCを誘発するからだよ!
パリジャード・シャチー
●心情
・あいつうちよりもいい空気吸おうとしてる。不敬ね。許さん。神罰をくれてやるわ

●移動
・アイラーヴァタに騎乗。空を駆ける。。風と水の神をなめるなよ。動けば風が起き、水蒸気が移動する。風と水の流れから情報収集して逃走先を見切り先回りする

●戦闘
・追いかけると加速するなら待ち伏せするわ。アイラーヴァタで空中移動をして、象を足場に、太陽の光をバックに弓に矢を番える。どこに行くかさえ分かれば、風の神が矢を外すなんてありえない。料理スキルで特別に辛くなるようにソース2種を調合。日の光で姿を眩ませてからの暗殺・スナイパー技能を生かしたUCで攻撃。
あなたはいい空気を吸い過ぎた、よって妾の名の元に神罰に処すわ


蒼・霓虹
〔チーム名:蛟〕〔WlZ〕
マスハラと言う逃亡者の名前と
この人達のした事と解く

その心はプロテインが筋肉に繋がる事からマッスルハラスメント

略して『マスハラ』

ひとり小雉子じゃーナイトっ!

吉備ちゃんのギャグの受け売りですが
足止めの為有効活用しちゃいましょう

先ず【騎乗】した〈彩虹〉さんを【推力移動&悪路走破】で【操縦】しながら【高速詠唱】し〈茶柱「ハッピーティートラップ」〉を【属性攻撃(潜水)&誘導弾】込めた【弾幕】撃ち足止めを

その間も【魔力溜め&多重詠唱】で威力を上げ【第六感】でタイミング見計らい【貫通攻撃&属性攻撃(ギャグ)】を込めUC発射

音速ごとその腹を【串刺し】です

〔アドリブ絡み掛け合い大歓迎〕


小雉子・吉備
〔チーム名:蛟〕〔WlZ〕
霓虹ちゃんにとっさに思い付いたギャグ取られたっ!?

と言うか現世のキビの本拠地でキビがひっそりやってる事なんで知ってるのっ!

と言うかギャグでアレ止まるの?

兎に角

今は【空中戦】で追従し
【第六感】で攻撃を警戒しつつ【オーラ防御&激痛耐性】で備えいざとなれば霓虹ちゃんは【盾受け】で庇うけど

〈なまり&ひいろ〉ちゃんに【動物使い】で足止めを指示しつつ【高速詠唱&多重詠唱&早業】で長時間の詠唱時間を圧縮しつつタイミングを計り【属性攻撃(ツッコミ)&貫通攻撃】を込めたUCの【砲撃】の【弾幕】

音速なんぞ時間逆行の弾幕で書き消してみせ……キビ何やってるのっ!

〔アドリブ絡み掛け合い大歓迎〕


サザレ・ヘリオドール
【WIZ】
島から逃げられたらいけませんね
でも、逃げるなら……道中を凌げる補給が必要なはず

敵が狙うはプロテイン
ならば、エレメンタル・ファンタジアで純プロテイン100%属性の間欠泉を生み出して、敵がプロテインを狙ってヒャッハー!

と飛んでくるような状況にしてみましょう

さあ、このプロテインがあれば、あなたは逃げ切って再起を図って、「マッスルはわしが育てた」とかドヤ顔のマッスルトレーナーになれるかも!
今ならいちごミルク味にしておきますよ?

おっと
マッスルで世紀末ないちご味とか、危険が危ない方向に持ってっちゃダメですよ

あ、マッスルがプロテインに夢中でお前に首ったけなうちに、みんなを呼んでボコって貰いますね


四季乃・瑠璃
緋瑪「瑠璃!良い事思いついた!【虐殺庭園】で地の文(のいる第4の壁の向こう)を乗っ取って、画面外(メタ)から追いかければ良いんだよ!アレなら(役割上)実況対象のところまで距離関係なく移動できるし(メタメタ)」
瑠璃「追いついた後は?」
緋瑪「もう一回【虐殺庭園】の支配領域で封鎖して捕縛!」
瑠璃「上手くいくかなぁ…?後は…UC使われる前にK100(カスタム銃)でアキレス腱とか関節撃ち抜いて止めようか」
緋瑪「瑠璃の唐辛子の粉も掛けてみよう」

こんな感じで緋瑪が【虐殺庭園】の支配領域を使って超メタな作戦を発案。

瑠璃「あ、追い出されて可哀想な地の文には(唐辛子)コーヒー奢ってあげるね」(善意)

イロイロお任せ


セプテンバー・トリル
追跡ならば、やはりこれしかありません。
おいでなさい、【サーベイヤー】!

【WIZ】連携・アドリブ歓迎
UC抜きでも、空を駆ける貴方に勝てる者はそうそういませんわ。
敵の位置を常に補足し、先回りを狙いますわよ。
あ、そうそう。他の味方の邪魔にならないように、いつもより少し高い所を飛びなさい。

敵の走行の邪魔をする為に、敵の進行方向に重機を召喚して落として通せんぼしますわ。
え?危ない?
大丈夫ですわ。ウチの子(重機)たちはこの程度の落下ではびくともしません!
…は?味方の方が危険?あのメンバーで?

味方の攻撃で敵が足を止めたらUC【剛拳突撃】でナックルダンパーを真上に落とします。

質量は正義ですわ!


夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
確かに、逃がすわけには行きませんねぇ。
急いで追いかけましょう。

『FBS』を四肢に嵌め飛行、上空から捜索しましょうかぁ。
『簡易』とはいえ飛行具ですから、相応の速度は出せますし、地形の影響を受けない利点も有りますぅ。
相手が『島外に出ようとしている』ことは判明している上、『あの格好をした巨人』となれば、かなり目立つでしょう。
彼が最初に逃げた方向を中心に捜索しますねぇ。

発見したら全速力で追跡、可能であれば他の方に勢いをつけてもらい、斜め上から相手の背中めがけて体当たりしましょう。
威力強化と自身の防御の為、激突直前に【重豊躰】を使用、『300t強の重量』で[重量攻撃]しますねぇ。


龍・雨豪
むむむ、追いかけるだけ逃げるのが早くなるのね。
じゃあいいわ、私は追いかけない。でも、逃がさないから。

本来の龍の力を使って、この島をしばらくの間クローズド・サークルのようにしてやるわ。さっきの土砂降りなんて比べ物にならない規模の嵐でね!
本日の天気は雷を伴った豪雨よ。突風と高波、所によっては雹や竜巻にも気を付けなさい!

……はぁ、はぁ。寝床(竜の巣)作るだけでもしんどいわ。敵を仕留めたのを見届けたらそのまま上で寝てこようかしら……。ああでも先に帰らないと迷惑になるから解除しないとダメね。

ともかく、”この島からは絶対に逃がさない”んだから。
ついでに落雷で感電させてやりたいところね。

※アドリブ歓迎


アリス・トゥジュルクラルテ
好み、押し付ける、のも、食料、盗む、のも、だめ、です!
お仕置き、する、です!

ロクローくん、には、川は…まだ、辛い、だろう、から、地上、から、野生の勘で、先回り、できるか、試す、して、もらう、です。
見つける、したら、食べる、して、いい。
(あれも肉硬そうだけど、仕方ねえなって目のロクローくん)
アリスは、飛ぶ、して、空、から、視力で、探す、です。
見つける、したら、愛聖歌で、浄化、する、です!
人の、食べ物、盗る、なんて、絶対、だめ、です!

きゅうう…疲れた、です…。
島の人、コーヒー、美味しく、飲む、見届けて、ロクローくん、背中で、眠る、です…。
上手く、いく、して…よかった…です…。


御手洗・そそぎ
【SPD】
奴は逃げの一手のようじゃが、追えば追うほど逃げ足が速くなるようじゃの
ならば、逃げ道になりそうな場所に先回りして、仲間が追い込んできたところを……不意討ちで足止めしてから、一気に片付けるのが上策かのう

あの黒幕が通りそうな、プロテインとか備蓄されておるところで隠れて待ち伏せし、その辺の木箱や壷、掃除道具入れに錬成カミヤドリで作った分身を隠しておく

奴がノコノコやってきて、プロテインに夢中になっとる隙に……分身達を操り、奴の急所(意味深)に一斉攻撃じゃ!
奴が防戦一途になり足止めできれば上々

奴のポージングはほぼ無敵のようじゃが、急所へのフルスイングにどれだけ耐えられるかのう?

そぉい
あったーれ!


涼風・穹
『スカーレット・タイフーン・エクセレントガンマ』で追跡します
何と言うか色々と面倒になってきたし、もう筋肉達磨なだけに達磨さんが転んだ、とか言えば止まったりしないもんかねぇ…?
……そういえば珈琲には利尿作用があるしプロテインと一緒だろうと大量に摂取すれば手洗いに行きたくなるんじゃ…?
万が一にも追跡中に筋肉達磨から水気が飛んでくれば全力で避けます
汗だろうと小便だろうと触れたくないのは同じだけど、リスクも無いしある意味効果的な妨害工作ではあるな

追いついたなら弁慶の泣き所やアキレス腱、鎖骨等筋肉で覆われていないような急所を狙って攻撃します

……マスハラ…筋肉関係の嫌がらせ、マッスルハラスメントの略か…?



「マスハラと言う逃亡者の名前とかけまして、この人達のした事と解く」
 御座を広げて座布団を敷いた霓虹は、何故か七色の着物姿で正座。畳んだ扇子で自分の膝を叩いて。
「その心はプロテインが筋肉に繋がる事からマッスルハラスメント。略して『マスハラ』」
 ぱっぱぱーん☆謎のファンファーレを背景に霓虹は拳を突き上げて。
「ひとり小雉子じゃーナイトっ!」
「霓虹ちゃんにとっさに思い付いたギャグ取られたっ!?」
 いやお前ら何やってんだよ!?
「吉備ちゃんのギャグの受け売りですが、足止めの為有効活用できるかな、と」
「と言うか現世のキビの本拠地でキビがひっそりやってる事なんで知ってるのっ!と言うかギャグでアレ止まるの?」
 と、吉備は改めて土煙の方角を見遣るが。
「そもそも、ギャグが聞こえてないんじゃ……」
 手を額にかざして見遣ると、全く止まる気配がない。ギャグを晒されただけの吉備は犠牲になったのじゃ……。
「まずは追いかけませんと話になりませんわね……追跡ならば彼しかいませんわ」
 セプテンバーは赤色灯を天に向けて振り、『着陸』を誘導する。
「おいでなさい、サーベイヤー!」
 そこにいる、という前提を以て意識を向けなければ羽音を聞き逃していたであろう、静音性のヘリが降下。投下された縄梯子を伝ってセプテンバーが搭乗すると瞬く間に高度を上げて逃げる敵の足取りを観測して。
「UC抜きでも、空を駆ける貴方に勝てる者はそうそういませんわ。敵の位置を常に補足し、先回りを狙いますわよ。あ、そうそう。他の味方の邪魔にならないように、いつもより少し高い所を飛びなさい」
 高度上げ過ぎたら撃墜されるけどいいの?って雰囲気を醸し出すサーベイヤーだが、まさかグリシャン特有の『高高度飛行物体撃墜しちゃう系の風』を忘れてはいないだろうと、主を信じて超高度から敵を追跡。
「方向六時、距離五百!高低差の関係でとんでもない距離に見えましたが、実のところそこまででもないようですわね」
「奴は逃げの一手のようじゃが、追えば追うほど逃げ足が速くなるようじゃの」
 セプテンバーの通信に、そそぎは脳内に島のマップを展開して。
「ならば、逃げ道になりそうな場所に先回りして、仲間が追い込んできたところを……不意討ちで足止めしてから、一気に片付けるのが上策かのう」
「島から逃げられたらいけませんね。でも、逃げるなら……道中を凌げる補給が必要なはず」
 そそぎが補給に使えそうな場所に見当をつける傍らで、考えるより作ってしまった方が早い発想のサザレ。
「敵が狙うはプロテイン。ならば、純プロテイン百%属性の間欠泉を生み出して、敵がプロテインを狙ってヒャッハー!と飛んでくるような状況にしてみましょう」
 こうして各々動き出すのだが……お気づき頂けただろうか?この二人の重大な見落としに……。
「何と言うか色々と面倒になってきたし、もう筋肉達磨なだけに達磨さんが転んだ、とか言えば止まったりしないもんかねぇ……?」
「それで止まるなら、オブリビオン相手に苦戦することはありませんねぇ」
「だよなぁ……」
 さて、こちらは真っ当に後を追跡する穹とるこる。その遥か上空にはサーベイヤーが飛行しており、大まかな方角はセプテンバーから通信が入る。たとえ木々で先が見通せなくても、そのおかげで完全に見失うということはなさそうだが。
「……そういえば珈琲には利尿作用があるしプロテインと一緒だろうと大量に摂取すれば手洗いに行きたくなるんじゃ……?」
 敵の姿が見えないと、こういう余計な事考えるよね。
「万が一、奴が撒き菱代わりに水分(意味深)を撒きながら逃げ出したら……」
「不吉な事言わないでくださいよぉ!?」
 遠い目になる穹にるこるはサッと青ざめるが、穹は「だが、冷静に考えてみてくれよ」などと冷静さの欠片もない発想を続ける。
「向こうにしてみればリスクも無いし、ある意味効果的な妨害工作ではあるだろう?しかも逃げるために手段を選ばず、かつ体も軽くなるって考えたら……」
「なんですかその夏休みの蝉みたいな発想はぁ!?」
 高速で飛行しながらぷるぷるし始めるるこるを傍らに、穹は来るべき瞬間に備えてゴゴゴゴ……。
「もしもの時は……全力で避けるぞ……!」
 追跡組に謎の緊張感が走る一方、初期地点から動いてない猟兵も数名。
「むむむ、追いかけるだけ逃げるのが速くなるのね。じゃあいいわ、私は追いかけない。でも、逃がさないから」
 雨豪は何を言い出してるんだろう?
「この島をしばらくの間クローズド・サークルのようにしてやるわ。さっきの土砂降りなんて比べ物にならない規模の嵐でね!」
 あ、これアカンやつ!?
「本日の天気は雷を伴った豪雨よ。突風と高波、所によっては雹や竜巻にも気を付けなさい!」
 渦巻く灰色の雲が雨豪を包む。膨れ上がる地上の積乱雲を突き破り、天に昇るは青き龍。引き裂いた雲を追従させて、青く澄み渡る晴天を曇天に閉ざす。尾に、背に、魚を思わせるヒレを持ったそれは雲海を泳ぎ、広げた曇天を自らの身に纏って島の上空に蜷局を巻けば、巨大な低気圧と化して島を覆うように突風が渦を巻く。
「……はぁ、はぁ。寝床作るだけでもしんどいわ。敵を仕留めたのを見届けたらそのまま上で寝てようかしら……ああでも先に帰らないと迷惑になるから解除しないとダメね」
 龍の姿を維持するだけでも、雨豪の体力は瞬く間に消耗し続ける。遠ざかり始める意識の中、見下ろした地上に豪雨と落雷を振りかざす災厄の空の上。
「あいつうちよりもいい空気吸おうとしてる。不敬ね。許さん。神罰をくれてやるわ」
 風雨を司るやべー女神がもう一匹いたわ。
「風と水の神をなめるなよ。動けば風が起き、水蒸気が移動する。風と水の流れからあなたの行き先など妾の手の内も同じ」
 愛羅の背に乗り、近づくものを引きずり込んで気圧の刃ですり潰す天上の渦潮の流れに乗って、パリジャードは曇天の更に上へ。
「己が欲を満たす事しかしらぬ強欲の徒よ、過ちを抱きて眠る覚悟をするがいい……」
 うわなにこのパリやん、シリアスフェイスなんだけど……それはさておき、動いてない猟兵はもう一人(二人?)いてね。
「瑠璃!良い事思いついた!【虐殺庭園】で地の文(のいる第四の壁の向こう)を乗っ取って、画面外(メタ)から追いかければ良いんだよ!アレなら(役割上)実況対象のところまで距離関係なく移動できるし(メタメタ)」
「追いついた後は?」
「もう一回【虐殺庭園】の支配領域で封鎖して捕縛!」
「上手くいくかなぁ……?後は……UC使われる前にK100でアキレス腱とか関節撃ち抜いて止めようか」
「瑠璃の唐辛子の粉も掛けてみよう」
 信じられるか?この会話、完全にコピペ(記録上都合の悪い部分のみ修正)なんだぜ……。
「さぁ地の文、第四の壁の向こう側を寄こせー!」
 だが断る!!
「いいの?どかないとUCで丸焼きにしちゃうよ?」
 くくく、瑠璃よ、貴様は一つ見落としをしている……お前たちのUCの射程は戦場全体であって、我々観測者に届く事はな……。
「じゃあ地の文にダイレクトアタック!!」
「敵を逃がしちゃいけないから、緊急事態ってことで!!」
 ちょ、待って、手榴弾はアカ……ぐばぁああああ!?
「あれ、緋瑪?」
 瑠璃こっちー!地の文乗っ取っちゃった♪
「じゃあ私はこっちから追うから、緋瑪は画面外からよろしく!」
 さて、瑠璃があっちで走ってる間に、私は敵の所までショートジャンプ!
「ふはははは!!何かが追ってきている気配がするが、遅い!遅すぎる!!我が筋肉こそが最速なのだぁあああ!!」
 何あのむかつく筋肉達磨……よーし、油断してるうちに撃っちゃうもんね!……あれ?(ぺちぺち)出られないんだけど?
「そりゃそーだろ」
 地の文!?
「我々観測者は戦場にあって戦場に非ざる者……一種のアウトサイダーなのだよ。それを転送手段になど、できるわけがなかろう。貴様はここですべてが終わるまで眺めている事しかできんのだ……!」
 こうなったら腹いせに地の文を……あれ、武器がない?
「非戦闘領域において、武装とUCが使えると思ったかね?散々好き放題しやがって……ひん剥いて腸を引きずり出してくれる……!」
 エログロスプラッタなよかーん!?瑠璃助けてー!!
「なんかそんな気はしてたよ……」
 あきれ返った様子の瑠璃が戦場に爆撃と銃撃を降り注がせて、緋瑪を緊急転移。かくして猟兵達は戦場へと舞い戻っていったのである……が。
「いやー!?サーベイヤー!回避!回避ですわー!?」
「誰だ戦場全体に絨毯爆撃しかけた馬鹿は!?」
「というか、なんで敵味方の識別がないんですかぁ!?」
 まぁ、敵より先に味方に当たるよね、アレ。
「さあ、このプロテインがあれば、あなたは逃げ切って再起を図って、「マッスルはわしが育てた」とかドヤ顔のマッスルトレーナーになれるかも!今ならいちごミルク味にしておきますよ?……売り込み文句はこれで完璧ですね」
「奴がノコノコやってきて、プロテインに夢中になっとる隙に分身達を操り、奴の急所(意味深)に一斉攻撃じゃ!」
 ビジネススーツに伊達メガネをかけて、スタンバイ完了なサザレに、黒い笑みを浮かべて詐欺師感漂うそそぎ。その背後にはプロテインの間欠泉が噴き出しているのだが……その遥か遠くで、ズドーンバギャーン、爆発音と黒煙が上がる。
「「あっ」」
 ここで二人も気づいたようだが、敵が速攻で逃げだして猟兵が後を追う形になっている以上、待ち伏せするならまずは『敵を追い抜く』必要がある。にもかかわらず、おびき出そうとして罠を張るだけなら、敵がわざわざ立ち寄るために、しかも来た道を戻る理由はない。
「い、いかん!このままではわしらが辿り着くころには全てが終わっていて、プロテイン塗れになっただけになってしまう!」
「まるで依頼にかこつけてプロテインダイエットを敢行しに来たかのような記録が残されてしまいますね。頭の中身までマッスルで世紀末な思考回路のイチゴ味という評価に……危険が危ない事になりそうです」
 とりあえずお前ら二人のネタ堕ちは避けられないだろうな……。
「い、いかん、とにかく高速移動できる手段を……」
 と、そそぎが唸り始めたその時である。
「道、開ける、ください……!」
「ん?」
 振り向けば、アリゲーター。
「「ワニー!?」」
 土砂降りの雨のせいで、もはや川の浅瀬と変わらぬ環境と化した地上をロクローがズッシャァアアア!!背中にしがみついたアリスを吹き飛ばしかねない速度で半ば滑るように移動していく。
「どどどどうなっとんじゃアレェ!?」
「とにかくチャンスです。レッツただ乗り」
 ロクローの尻尾を掴んで、水上スキー状態で爆撃の中心地へと向かう二人。背中に乗っているアリス曰く。
「アリス、飛ぶ、しようとしたら、撃墜、される、しかけたです……」
 まぁ、でしょうねぇ。戦場全体に爆撃と鉛弾の雨とか、ただでさえ土砂降りで視界不良なのに避け切れるわけがない。直撃する前に降りてきたアリスはそのままロクローと合流し、ライドオン。
「見つける、したら、食べる、して、いい、言う、して、急ぐ、してもらう、です」
 で、あれも肉堅そうだけど仕方ねぇなって、妥協しつつも食えるものは食っておきたいロクローが全力ダッシュして今に至るとか。
「見える、した、です!」
 さて、追い付きはしたがここからが問題。既に追手として先行していた猟兵達がまだ捉えられずにいる理由。それこそが。
「フハハ我がマッスルステップについてこられるか!?」
 シュババババッ!素早いサイドステップによる分身で中々攻撃が当たらない。まぁ、分身って偽物が増えてるわけじゃなくて、要は残像が出るほどの高速移動の事だから、命中するだけの攻撃速度が出せないって話なのだが。
「なまりちゃん!ひいろ!行って!!」
 ここで吉備から犬猿のお供がジャーンプ!当然空振りに終わるが、サイドステップの幅を狭めて。
「音速なんぞ時間逆行の弾幕でかき消してみせる!」
 追跡中延々詠唱を続けてきた光弾を発射!
「なんの、回避範囲が狭まったところで、当たらなければどうということはない!!」
 ひらり、マッソゥは回避してしまうが。
「攻撃範囲たりないよ!キビ何やってるのっ!」
 自らを鼓舞するのか説教するのか分からない叫びと共に、光弾が空中で炸裂。すると、『炸裂』の瞬間の時間が逆行して。
「ぬぁあああ爆発がついてくるー!?」
 マスハラの真後ろで炸裂した時間を繰り返すため、常に背中があぶり続けられる事に。
「続きますよ彩虹さん!」
 霓虹は彩虹の砲塔に砲弾を装填、撃ち出されたそれは水球のようだが、空中で分散し、マスハラの左右を走る平行線に。
「虹龍の本領発揮と参りましょうか」
 逆側の砲塔から放たれる光学兵器。速度こそ申し分ないが。
「直線にしか飛ばない攻撃など、我が筋肉には届かんよ!」
 左右を茶柱型水柱弾に塞がれているため、回避行動こそとれないが、最低限の身の捻りで弾道からそれて見せたマスハラに、霓虹が口角を上げる。
「土砂降りの雨を降らせる猟兵の方がいたなんて、まさに幸運でした」
 ふと、雨が上がる。雨豪の限界が近いのか、曇天に切れ間が見え始めたのだ。その隙間より差し込む光が、大気中に存分に満たされた水分に乱反射して、彩虹の放つ光と入り混じり。
「これぞ晴天と豪雨と運気の合わせ技!虹雲『環水平アークの道標』っ!」
「マッソゥオオオオオオ!?」
 左右に展開された並行水柱に光が反射して、全方位虹雲射撃に晒されるマッソゥが黒焦げに染まり、ブラックマッソゥになり果ててしまった。
「隙ありっ!」
「筋肉はさておき、骨まで浅い関節なら……!」
 瑠璃と緋瑪が同時に両脚首の関節、皮膚真下の骨を狙った射撃。しかし、弾丸を前にマスハラは急加速。巻き起こる音の壁にその弾丸は弾かれて、距離を開かれてしまう。そしてついに、オブリビオンは砂浜へ到達!
「もはや私は止められない!さらばだ、猟兵達……」
 ゴロ……ピッシャーン!!
「よぉおおおお!?」
 何という不運!走り抜け、音速の壁が消えた直後にマスハラに落雷が直撃。ブラックマッソゥを通り越してカーボンマッソゥに!!
「ふ……やって、やったわ……」
 ひゅーん、さくっ、ぽてっ。
「ぬぉん!?」
 おっとここで力尽きた雨豪が砂浜に落下。頭から砂に埋まって、沈まなかった首から下が倒れ込み、急に目の前に現れた障害物を回避するため、マスハラは緊急回避せねばならず。
「追い付いたぞ筋肉達磨!」
 横合いから穹が乗っていたバイクを横倒しにしてスライディング。向う脛に車体がクリティカルヒット!!
「~~~ッ!?」
 名状しがたい激痛に悶絶するが、まだ止まらないのがオブリビオン。
「好み、押し付ける、のも、食料、盗む、のも、だめ、です!お仕置き、する、です!」
 逃がしてなるものか、と追いすがるアリス(オンザロクロー)だが、無情にも敵は海にその第一歩を踏み出さんとして。
「仕方ありません、私を打ち出してくださいぃ!」
「ほぇ……?」
 るこるが対ショック姿勢なのか背を丸めると、アリスが理解する前にロクローが尻尾でるこるをシューッ!!打ち出されると同時にるこるは全身が膨れ上がり肉球と化し、オブリビオンの背中を直撃。
「あぼっふ!?」
 三百トンもの質量に、鋭角的に突進されてマスハラは砂浜で顔面スライディング。ところで皆さま、奴らの事を覚えていらっしゃるでしょうか。
「なんでわしらも吹き飛ばされるんじゃぁあああ!?」
「私一応体が脆いので扱いはもっと丁寧にしていただけると……!」
 はい、尻尾に捕まってたそそぎとサザレです。
「おっと失礼。体が砕けるといけませんので、肉壁ならぬ肉マットですね」
「ふんぎゅ!?」
 サザレが思いっきりマスハラを踏みつけて。
「こうなりゃやけじゃ!そぉい、あったーれ!!」
 そそぎが複製本体こと、カッポンの柄の方を振りかざし……。

 メリィ……!

「アッーーー!?」
「我ながらむごい事になったの……ん?」
 何が起こったのかは、ご想像にお任せします。それはさておき、三人の頭上から影が落ちてきて。
「おっと、緊急退避です」
「ちょちょちょ、わしらごと潰す気か!?」
 二人が退避した直後、取り残されたマスハラをダンプカーがプレス!更に車体を左右に揺らしてグニグニ、丁寧に踏みにじっておく念の入れよう。
「ふぅ、やはり質量は正義ですわ!」
 割とエグイ真似をしておいて、やり切った感を醸し出すセプテンバーだが、その眼下。
「おっのーれ……唸れ、マイ、マッソゥ……!」
「な、ナックルダンパーを持ち上げますの!?」
「フハハ、我が筋肉に不可能はない。さらば……」
 重機を押し上げて、マスハラが立ち上がる。車体を横転させてから、再び走りだそうとした、その時。

 ――ストッ。

「……だ?」
 ただ静かに、太陽より降りた一本の矢が、マスハラの額に突き刺さる。同時、鏃が裂けて無数の針に姿を変えて傷口を押し開き、そこから滴るのは彼の血と鏃に仕込まれた深紅の液体。伝うそれが口に触れた瞬間。
「ッギャァアアアアアア!?」
 口内に広がる熱波と激痛、更に血管から入り込んだその液体は血に乗って体を巡り、肉体の内部から細胞を膨張させて全身を膨れ上がらせ発熱。もがき苦しみ、されど神経毒でもなければ出血毒でもないそれは、激辛ソース。
「あなたはいい空気を吸い過ぎた、よって妾の名の元に神罰に処すわ」
 太陽を背にして姿を隠していたパリジャードが舞い降りる。あくまでも、ただ辛いだけの液体にオブリビオンを殺す力はない。だからこそ、延々苦しみ、悶え続ける姿を女神は道端のゴミを見るような目で見下ろしていた……。
「あぁあああああ!おのれ、おのれ……ェ!」
 目が血走り、辛味と熱により体が誤認した激痛からマスハラは自らの肉体をかきむしり、皮膚を裂いて血を垂れ流す。放っておけば、自壊するであろうに、アリスはそっと歩み出て。
「人の、食べ物、盗る、なんて、絶対、だめ、です!」
 ずっと言いたかった事を突きつけて、息を吸う。小さな口から紡がれるのは鎮魂歌。許す気は毛頭ないが、かといってこのまま無残な最期を遂げさせるのは、少女には酷だったのだろう。
「あ……ぁ……」
 やがて、眠るように霧散していくオブリビオンを見送って、倒れ込むアリスをロクローが支える。
「きゅうう……疲れた、です……上手く、いく、して……よかった……です……」
 疲れ切った少女は眠る。島民達が、自由に珈琲を飲むその日の午後を夢に見ながら……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年10月24日


挿絵イラスト