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仮装とかぼちゃ協奏曲

#アリスラビリンス #【Q】 #お祭り2020 #ハロウィン

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●ようこそハロウィンの国
 不思議な不思議なアリスラビリンス、この世界にはいくつもの国がある。
 その中でも、最近生み出されたばかりのおかしな国――『ハロウィンの国』では、今日もオウガ達がお祭り騒ぎを繰り広げていた。
『見て見て! わたし、お姫様みたいでしょ!』
 くるりくるくる中空で回転すれば、豪奢なドレスがふわあり花のように広がって。
『わたしなんて魔法使いよ! 悪いやつをやっつけるんだから!』
 黒いローブにとんがり帽子の彼女は、言いながら箒をぶんぶん振り回す。
 個性豊かな仮装姿に身を包む、幼い少女達。背に蝶の羽持つ彼女――マユラ達は普段は泣き虫な性格だと言うが、この国で仮装すれば少しだけ強気になっていて。
 きゃあきゃあはしゃぐオウガ達、飛び交うかぼちゃの森の中にはそれより大きなかぼちゃ――否、オウガが一体。
『ふふ、賑やかですこと。ハロウィンはこうでなくては!』
 かぼちゃの体をぽうっと光らせて、ジャックランタンの女は微笑む。蝶の少女と、たくさんのかぼちゃに囲まれて。それ以外に迷い込む魂がいれば――パーティーのごちそうとしていただいてしまおう。
 お祭り騒ぎの、『ハロウィンの国』。その賑やかな様子の裏では、残酷な殺戮が行われているに違いないのだった。

●仮装とかぼちゃ協奏曲
「ハロウィン! ハロウィンの国なのです!」
 集う猟兵達へ、挨拶すら忘れた様子で。アリア・アクア(白花の鳥使い・f05129)は開口一番そう告げると、はっとして頭を下げた。
「ええとですね、先の『迷宮災厄戦』の後、アリスラビリンスではオウガ・オリジンの影響により改変された不思議の国がいくつも見つかっているのですが……この度、『ハロウィンの国』へと改変されてしまった国がいくつも見つかったのです!」
 例えば、あちらこちらにお化けかぼちゃがころがっていたり。喋るかぼちゃランタンが住んでいたり。「なんかめちゃくちゃ長い行列をするためだけに作られた道」があったり――つまり、ハロウィンパーティーを行うにうってつけの国になっているのだ。
 それだけならば、楽しいお話。けれどこれは皆様へのお願いなのですと、白花のグリモア猟兵は真剣な表情を浮かべて言葉を続ける。
「オウガ・オリジンが作り出したこの『ハロウィンの国』には、凶悪なオウガが潜んでいます。ハロウィンの雰囲気につられて迷い込めば、アリスラビリンスの住人もアリスも、ぱっくり食べられてしまうでしょう」
 それを止めるため、戦ってほしいのだと。語るアリアはそこで猟兵達へ視線を移し、返る頷きを見てにっこり微笑んだ。
「ええ、それでですね。まずは皆様、コスプレをしてください!」
 ――え? と、思わず聞き返す声もあっただろう。しかしアリアはにこにこしたまま、大事なことなのですと言う。
「蝶のオウガ、マユラ達がいるのは、『コスプレ衣装の飛び出す森』。ここでは森がセレクトしたコスプレ衣装が訪れた者の前に飛び出してきて、これを着るとパワーアップするそうなのです」
 マユラ達も、それを身に着けることでパワーアップしている。対抗するには、こちら側も森が用意した衣装を着て戦うことになるのだ。
「パワーアップしたマユラは集団でくると厄介ですが、こちらも衣装を着て対抗すればそこまで苦戦する相手ではないでしょう。問題は、彼女らのいる森を抜けた先で待ち構える……マリア・デスランタンです」
 ジャックランタンのような姿の、女性のオウガ。悪戯とハロウィン、そして魂が大好きな彼女は、「ハロウィンの国」の法則によって「ほぼ無敵」となっているのだと言う。
「倒す方法は、ただひとつ! 皆様、おいしい料理を食べさせてください!」
 ――料理? と聞き返すか、はたまたもう慣れた顔で聞き流すか。猟兵達の反応を気にせず、アリアは変わらず笑顔で続けて。
「オウガは、料理を出されたら絶対に食べます。それがこの国の法則だそうです。そして、いくつも食べるとどんどん眠くなっていって……最終的に完全に眠りにつけば、無敵の効果がなくなります」
 そうすれば、一撃でだって倒せる。だから猟兵達は戦いに工夫するより、『いかに攻撃に耐え、いかにおいしい料理を作るか』に注力してほしいのだと白花の少女は語った。
「またですね、このマリア・デスランタンは一部の攻撃で、戦場にあるかぼちゃから力を得るようなんです。周囲にはたくさんかぼちゃがあるので……ええ、これをお料理に使うことで、攻撃力をそぐこともできるのではないかと!」
 かぼちゃグラタン、かぼちゃのスープ。かぼちゃプリンにかぼちゃタルト。様々なかぼちゃ料理を皆で作れば、ハロウィンの準備にだってなるかもしれない。
「かぼちゃの裏ごしは、ちょっと大変かもしれませんけど。ええ、皆様なら大丈夫ですよね!」
 虹色の瞳を輝かせ、期待に満ちた声で。楽しそうなアリアはグリモアを起動すると、不思議の国へと道を開く。
「ちょっと変わった国ですが、どうか楽しんで。楽しんでこその『ハロウィンの国』ですから!」
 その心が、きっと力になる。そう告げた白花の猟兵は、最後にぺこりと一礼した。


真魚
 こんにちは、真魚(まな)です。

●お願い
 プレイングの受付につきましては、マスターページの「お知らせ」ならびにTwitterにて都度ご案内します。
 期間外に届いたプレイングは不採用とさせていただきますので、お知らせをご確認の上ご参加ください。

●シナリオの流れ
 第1章:集団戦(マユラ)
 第2章:ボス戦(マリア・デスランタン)
 当シナリオは2章構成です。

●第1章について
 戦場は「コスプレ衣装の飛び出す森」。森からは「コスプレ衣装」が飛び出してきて、オウガ達はこれを着ることでパワーアップしています。猟兵達も森から飛び出してきたコスプレ衣装を身に着ければパワーアップが可能です。
 衣装はプレイングで指定可能ですが、「一人に一着、ランダムで飛び出してくるもの」です。好みのものを着ても、全然着たくないけど勝つために仕方なく着るでも大丈夫です。
 衣装の内容はお好きにどうぞ。版権やセクシーすぎるものは、描写を控えたり不採用とする場合があります。

●第2章について
 戦場は「食材が完備されたキッチン」です。ボスの攻撃に耐えながら、料理を作ることになります。
 ボスの攻撃への対処は特にプレイングに記載がなくても「頑張って耐え抜いて料理を作った」ものとしますが、記載がある場合はそちらの描写量を増やす形になります。
 料理は「かぼちゃを使った料理・お菓子」がおすすめです。周囲に美味しそうなかぼちゃがたくさん転がっています。設備も食材も整っていますので、お好きなものを作ってください。完成までに時間がかかるものでも、不思議の国の不思議な効果でシナリオ中に完成できます。
 製作手順等の詳細は不要です。作る料理・お菓子の名前と重点を置きたいところのみ書いていただければ、こちらで調べたりして何とかします。
 完成すると、ボスはこの国の法則により、抵抗できずに食べてしまい、段々眠くなってきます。料理を食べさせ続けて完全に眠らせれば無敵状態は解除され、一撃で倒せるようになります。

●その他
 ・ペアやグループでのご参加の場合は、プレイングの冒頭に【お相手のお名前とID】か【グループ名】をお書き下さい。記載なき場合は迷子になる恐れがあります。プレイング送信日を同日で揃えていただけると助かります。
 ・許容量を超えた場合は早めに締め切る、または不採用とさせていただく場合があります。

 それでは、皆様のご参加、お待ちしております。
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第1章 集団戦 『マユラ』

POW   :    飛んで火に入る夏の…
【攻撃的な紋白蝶の群れ】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【嫌がる音域】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
SPD   :    花蝶風月
【泣く事】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【追加でマヒ効果の有る鱗粉】で攻撃する。
WIZ   :    羽化
戦闘中に食べた【花の蜜】の量と質に応じて【いつもより強気になり】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●かぼちゃ森の仮装パーティー!
 猟兵達が降り立ったのは、かぼちゃが転がる森の中。
 耳をすませば、聞こえてくるのはマユラ達のはしゃぎ声。衣装に身を包んでちょっぴり強気な彼女達と戦うのは、猟兵達でもなかなか大変だろう――衣装を着なければ、の話だが。
 ふと猟兵達が見る先には、転がっているだけと思ったかぼちゃがゆらゆら揺れていて。その影から飛び出してきたのは、誰かのための一着だ。
 魔女にお化け、アイドルやメイド、王子様に兵隊さん。性別も年齢もお構いなしにランダムで提供されるその衣装は、実に多様。そして、不思議なことにサイズはぴったりなのだ。
 好みの衣装を与えられ嬉々として着る者がいれば、抵抗覚える衣装を前に葛藤する者もいるだろう。どちらだとしても、オウガに勝つためには着るしかない。
 猟兵達の運が試される時――貴方の引き当てる服は、果たして。
桜宮・縒
オウガもコスプレにはしゃいでしまうものなのね
『普段とは違う自分』は楽しいから、気持ちはわからなくもない
わたしも心から仮装とこの時間を楽しむわ
わたしの衣装はなにかしらね

レトロモダンな着物に袴?これは大正浪漫な女学生ね
編み上げブーツもはいて、髪はゆる三つ編み
桜飾りを『縒』の目印にして、と
これは素敵、素敵ね!
コスプレ楽しいわ!

嗚呼、コスプレ中のオウガたちも、みんな可愛いわ
けれど、しっかりお仕事はこなしましょう
この国に相応しい星物語を綴ってあげましょう
キラキラ煌めく星の雨が、ハッピーエンドを導くわ




 無邪気な笑い声を耳に、桜宮・縒(桜謐・f30280)はふわりふわりと森の中を進む。
「オウガもコスプレにはしゃいでしまうものなのね」
 小さく呟いて、口元に浮かべるは微笑み。『普段とは違う自分』は楽しいものだから、彼女達の気持ちはわからなくもない――そう思う縒は、仮装も、この時間も心から楽しもうと考えて。
 夜色の髪をなびかせながら足を進め、彼女はふとひとつのかぼちゃに目を留める。くるりんくるくる、その場で回転しているそれは縒に見て見てと言っているようで、そっと近付くと――突然、影から飛び出すもの。桜の少女が思わず受け止めれば、それは彼女のための衣装だった。
 朱色の矢絣着物に、紫紺の袴。足元に履くのは、編み上げブーツ。
「これは大正浪漫な女学生ね」
 衣装のテーマを理解して、縒は素早く袖を通していく。トントン、とブーツのかかと鳴らして袴を確かめれば、あしらわれた刺繍は桜の花弁。紫紺の上に咲くそれはまさに夜桜のようで、ヤドリガミの少女はふわり微笑んだ。
 衣装を着たら、次は合わせてヘアアレンジ。夜色の髪を手に取りゆるい三つ編みにすれば、勤勉な女学生のイメージにより近付く。最後に『縒』の目印である桜飾りをつければ、コスプレの完成だ。
 袴を摘み、袖を広げて、縒は自身の変身した姿を確かめる。
「これは素敵、素敵ね! コスプレ楽しいわ!」
 桜色の瞳を輝かせて声上げれば、それはマユラ達の耳にも届いたようだ。パタパタ蝶の羽で飛んできた二体が――着ぐるみフード姿のそれは、うさぎさんとくまさんのコスプレだろう――怯えた様子で見つめてくるが。
『あ! あなたもコスプレしてる! むむむ、でも敵なのよね?』
『敵ならやっつけなくちゃ! とっても残念だけど!』
 口々に言う頃には、弱気も吹き飛んだ様子で。仲間の元へ戻っていく二体を追えば、そこには妖精、魔女、アイドルのコスプレをしたマユラ達が佇んでいた。
「嗚呼、コスプレ中のオウガたちも、みんな可愛いわ」
『本当? 嬉しいわ! あなただってとっても素敵よ、女学生さん!』
 思わず零した感想に、返るは無邪気な喜びの声。
 ――けれど、縒は知っているのだ。彼女達はオウガであり、この世界を脅かす存在なのだと。
(「しっかりお仕事はこなしましょう」)
 胸中で呟きながら、手に取るは袖に隠した一枚の栞。篭められた術式を編み上げて、桜の少女はユーベルコードを発動する。
「この国に相応しい星物語を綴ってあげましょう」
 栞持つ手をひらひら揮えば、生み出されるのは聖なる星の光。綴る光は手元で収束し、広がって、上空よりマユラ達へと降る星の雨になる。
『お星様! お星様が降ってくる!』
『痛い! 痛いわ!』
 きゃあきゃあ混乱して飛び回るオウガ達だが、星の雨は彼女達を完全に包囲していた。きらりきらきら、煌めく星は仮装したマユラ達へと降り注ぎ――。
 かくして、無邪気に悪意持った蝶の少女達は星の光受けて消滅する。導いたハッピーエンドを前に、女学生姿の縒はほっと安堵のため息を零すのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

梟別・玲頼
サーラ(f27059)と

オリジンの嬢ちゃんもハロウィン楽しみにしてたのかよ…
しかしコスプレ…
いや、はしゃぐのは別に嫌いじゃねぇけど
サーラもコス出来るのか?

飛んできた衣装を手元で見、サーラを見
…え、本物目の前にしてこれ?
と身に着けるのは黒猫耳尻尾にマントで魔女の使い魔風味
一方のサーラを見て、言葉に詰まる
猫様は魔女――いや、何でも無い
今は自分が鳥だって事は忘れよう、忘れるんだレラ(言い聞かせ)
はいはい、今は偉大なる猫魔女様に使われてやるぜ(肩にもっふり乗せ)

で、蝶々はそもそも季節が違うじゃねぇか
オレは逃げも隠れもしねぇから来やがれよ
UCで蝶の群れは迎撃
あっさり吹き飛ばせたら向こうの本体を弓で射る


サーラ・ビアンコ
玲頼(f28577)とじゃ。

ハロウィン、面白そうじゃの……ただ、オリジンまで盛り上がるとは思わなかったのじゃ。
ん?こすぷれでパワーアップ?ハロウィンだから?意味が分からんのう。
ハロウィン、といえば魔女。昔からの定番と聞いておる。黒のとんがり帽子とマントで魔女になるのじゃ。
猫ではあるが魔女じゃぞ。大丈夫。間違いないのじゃ。
玲頼は使い魔か、我に従えー……とまでは言わんが肩に乗るのが定位置じゃな。

折角なのでそれっぽく杖の代わりに尻尾を振って炎を出して攻撃するのじゃぞ。
【Fiamma luminosa bianca】
妾の炎、止められるなら止めてみよ、なのじゃ。




 大きなオレンジ色かぼちゃに、てしっと前足を乗せて。サーラ・ビアンコ(La fanciulla del gatto・f27059)は周囲を見回し、金色の尻尾をぱたり揺らした。
「ハロウィン、面白そうじゃの……」
 祭りの雰囲気に興味津々。コスプレでパワーアップする点については意味がわからないけれど、そう作られた世界なのだから仕方ないかとサーラは思う。
 そう、この『ハロウィンの国』は望まれて生まれた世界――元凶の存在へ思い馳せれば、梟別・玲頼(風詠の琥珀・f28577)の口から零れるのはため息だ。
「オリジンの嬢ちゃんもハロウィン楽しみにしてたのかよ……」
「うむ、オリジンまで盛り上がるとは思わなかったのじゃ」
 先の戦争で打ち倒した、オウガ・オリジン。あの時の戦場も多様だったが、全て終わった後もこんな世界ができるとは。
「しかしコスプレ……。いや、はしゃぐのは別に嫌いじゃねぇけど」
 玲頼の呟く声に警戒が篭められるのは、身に着ける側への考慮一切なしの衣装セレクトに抵抗があるからか。そうしている間に青年の足元のかぼちゃがぴょんぴょん飛び跳ねだして、その陰からは黒い衣装が飛び出してきた。
 受け取ったその衣装のパーツを、確かめる。黒いマントは魔女風か。一緒に用意されている、この黒いもふもふは――?
「……え、本物目の前にしてこれ?」
 衣装を見て、白の毛並みが立派なサーラを見て、もう一度衣装を見て。戸惑う男は声上げるが、着なければ戦いが困難となってしまうから。
 自身のストールの上からマントを羽織り、頭に耳を、マントの裾から覗く背後に尻尾を。完成したのは、魔女の使い魔みたいな黒猫だ。
 ――本物の猫であるサーラの前に、このコスプレは何とも落ち着かないけれど。衣装を着るのはサーラも同じだろうと、気を取り直して玲頼は口を開いた。
「サーラもコス出来るのか?」
「無論じゃ」
 疑問に返るは得意げな声。青年が見れば、サーラは黒のとんがり帽子を被った姿でマントを翻していて。
「ハロウィン、といえば魔女。昔からの定番と聞いておる」
「猫様は魔女――いや、何でも無い」
「猫ではあるが魔女じゃぞ。大丈夫。間違いないのじゃ」
 言葉を交わせば、魔女姿に張り切るサーラとの温度差に玲頼の戸惑いは増していく。自身の中身は梟であるのに、人の身で、猫の仮装をしているこの現状。違和感は消えないけれど、サーラのように楽しめばいいのだということはわかっているから。
(「今は自分が鳥だって事は忘れよう、忘れるんだレラ」)
 自身に言い聞かせるよう心で呟く黒猫の青年に、白猫の魔女はぴょんと飛びついて。
「玲頼は使い魔か、我に従えー」
 低くした声音でできる限りの尊大さ、その言葉に玲頼の表情は綻んだ。彼女が魔女で、自分が使い魔。そう、関係があれば立ち回りもわかりやすい。
「はいはい、今は偉大なる猫魔女様に使われてやるぜ」
 もふっと魔女サーラを肩に乗せ、使い魔玲頼は森を進む。開けた場所に、複数のマユラ。様々なコスプレを楽しむオウガ達見れば、二人は瞳に真剣な光を宿した。
『あっ! 敵だわ! 魔女さんと使い魔さんよ!』
 声上げたちまち戦闘態勢取る少女達に警戒し、けれど配役で呼ばれたことに苦笑いして。
「蝶々はそもそも季節が違うじゃねぇか。オレは逃げも隠れもしねぇから来やがれよ」
 両手を広げて誘えば、マユラ達はむうっと口をとがらせながら紋白蝶の群れを呼び寄せる。
『生意気な使い魔さん! 蝶々が怖くて泣いたってしらないんだから!』
 言葉を合図に、紋白蝶は一斉に青年へと襲い掛かる。けれどその攻撃が届くより先に、玲頼がユーベルコードを発動する。
「我が名と共に、守護の風よ――吹き荒れろ」
 言の葉を紡いだ瞬間、風の流れが変わる。彼の周囲だけごうごうと吹き荒れる、それは竜巻。止まれず飛び掛かる紋白蝶を、飲み込み真空刃で斬りつけて。
 使い魔の男が敵の攻撃を相殺しているうちに、その肩で魔女は身を乗り出した。
 せっかくだから、それっぽく。金の尻尾をぴんと張れば、それは魔法の杖のように。ゆるうり、揮う尻尾より生まれるは炎。サーラの体毛のように白い炎は、尻尾の上でみるみる大きくなっていって。
「妾の炎、止められるなら止めてみよ、なのじゃ」
 言葉と共に放たれた白炎は、周囲のマユラへ降りかかる。キラキラ輝く光を撒いて、対象を燃やすユーベルコードの炎。それは少女のコスプレ衣装にあっという間に燃え広がって、その身を焼き尽くしていく。
『せっかくの衣装が台無しだわ!』
『熱い! 熱いわ!』
 騒ぎ立てるマユラ達は混乱を強めていくが――それも、次の瞬間には収まった。少女の体に突き刺さるは『風斬りの矢羽根』、玲頼の弓より放たれたものだ。
 魔女の炎、使い魔の弓矢。二人の攻撃は息もぴったり、正確に敵を狙っていって。やがて周囲のマユラ達全てが消滅したのを確認して、二人は顔を見合わせ頷いたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

浮世・綾華
セト(f16751)と

今年はハロウィンの国か
ん、そーだな
…にしても。やっぱオブリビオンもお祭りが好きなんかねえ

ほんとたくさん
なんて小さな南瓜を手に取ったりしていると
おわ、こっちにも…よし、着るか

愛らしく回る姿に笑って
似合う似合う
俺も似合うかしら?
つかなんかお揃いっぽいネ
ほら、ここの帽子の飾りとか

去年は猫又と狼男で動物コンビ?だったケド
このお揃い感もいいな
セトの帽子をつつき
師匠?――んなら、ご期待に応えないと
(可愛い弟子にいいとこみせたいし?)

ふは、大雑把か
まあいい
かわいそーだケド
君らは還ってもらわないといけないから
距離を保ち咎力封じで攻撃を弱め
大丈夫
セトが痛くないよーに一発でキメてくれるからさ


セト・ボールドウィン
綾華(f01194)と

わーっ、カボチャがいっぱい
去年はアルダワでハロウィンしたよね
へへ、楽しかったな

あそこにもカボチャ…って
何か出てきた!これが衣装?
綾華、着てみようよ

深い色のローブにマント、帽子
これ、魔法使いかな?

その場でくるりと回って
綾華、みてみて。どう?

うん、綾華も似合ってる!
しゅっと背の高い綾華に
丈長のマントがすげーかっこいいと思ったから

ほんとだ
綾華と俺と、交互に眺めて
揃いの衣装は何だか嬉しい

それじゃ、今年はね…
魔法使いの師匠と弟子って感じで!
綾華が師匠かな。だってカッコいいもん

よーしっ。敵、さくっと倒しちゃおう
マユラの数は、えーと…たくさん、かな!
ごめんね。千里眼射ちで一気にいくよっ




 オレンジ、黄、緑に白。色もとりどり大小さまざまなかぼちゃが転がる森へとやってきて、セト・ボールドウィン(木洩れ陽の下で・f16751)は翠色の瞳を輝かせる。
「わーっ、カボチャがいっぱい」
 駆け寄り撫でるは、オレンジ色の巨大なかぼちゃ。
 そんなセトの後ろを歩きながら、浮世・綾華(千日紅・f01194)はこの奇妙な森を見回した。
「今年はハロウィンの国か」
「去年はアルダワでハロウィンしたよね。へへ、楽しかったな」
「ん、そーだな」
 言葉交わして思い出すのは、一年前のハロウィン。綾華は猫又、セトは狼男の仮装して、向かったのはアルダワ魔法学園でのハロウィンビュッフェにプラネタリウム。災魔との戦いもセットであったけれど、それでも楽しい思い出として二人の心に残っていて。
(「……にしても。やっぱオブリビオンもお祭りが好きなんかねえ」)
 今年もまた、オブリビオンと戦いながらの仮装だ。紅い瞳の上の眉を寄せながら手近なミニかぼちゃに手を伸ばすと、突然その向こうから飛び出してくるものがあった。
 一方のセトも、四色かぼちゃが積み上がる一角へ近付いたところで衣装の襲撃を受けている。
「何か出てきた! これが衣装?」
 広げて、ひっくり返して。衣装を確かめたセトは、綾華に共に着てみようと声掛けて。
 袖を通すは、深い色のローブ。マントを羽織り、帽子を被れば身軽な狩人姿から一変する。
「これ、魔法使いかな? 綾華、みてみて。どう?」
 くるうりくるっとその場で回転しながら、セトは綾華へ瞳を向ける。ちょうど着替えが終わった彼は綻ぶように微笑んで、セトに倣って一回転。
「似合う似合う。俺も似合うかしら?」
「うん、綾華も似合ってる! 丈長のマントがすげーかっこいい!」
 互いのコスプレ姿を褒め合って、笑顔浮かべて。そこで、綾華は気が付いた。セトの帽子につけられた、ポップな表情のかぼちゃの飾り。それは確か、自分の帽子にもついていたはずだ。
「つかなんかお揃いっぽいネ。ほら、ここの帽子の飾りとか」
「え? ほんとだ」
 つつかれ慌てて帽子をとって、綾華の帽子と見比べて。ますます瞳を輝かせるセトは、お揃いの衣装は何だか嬉しいのだと言葉を紡いだ。綾華もまた、去年の『動物コンビ』とはまた違う合わせに、お揃いはいいなと思っていて。
「それじゃ、今年はね……魔法使いの師匠と弟子って感じで! 綾華が師匠かな。だってカッコいいもん」
「師匠? ――んなら、ご期待に応えないと」
 にやり、口の端を上げながら綾華が言葉紡ぐ。二人が進めばすぐそこに、マユラの群れと思しきはしゃぎ声。
 可愛い弟子にいいとこみせたいと、ユーベルコードの準備をする魔法使いの師匠。対して弟子は師匠より先に行こうと、ずんずん森の中を進んでいって。
「よーしっ。敵、さくっと倒しちゃおう。マユラの数は、えーと……たくさん、かな!」
「ふは、大雑把か。まあいい」
 戦況報告も愛らしく、笑ってしまう綾華。数など、わからなくても構わないのだ。――全て、倒す以外の道などないのだから。
 黒いローブから覗く手をひらり返せば、綾華の手に拘束具が生まれる。木の陰に隠れ、近付いて。マユラ達に気付かれぬギリギリまで距離詰めて、男はそれらを敵へと放った。
『きゃ!? なにこれ!』
『敵だわ! 敵の攻撃だわ! 動けない!』
 不意打ちの拘束に狼狽えるオウガ達、その姿を見つめて綾華は僅かに瞳を伏せる。
「かわいそーだケド、君らは還ってもらわないといけないから」
 ――大丈夫。セトが痛くないよーに一発でキメてくれるからさ。続ける言葉は温かく、オブリビオンと言えど苦しめたくないと伝えるように。
 想いは、セトも同じ。拘束されたマユラ達を若葉色の瞳でじっと見据えて、番える矢。
「ごめんね。一気にいくよっ」
 短い言葉、次々と放たれる千里眼の矢。それらは着飾ったマユラ達を次々に打ち倒し――やがて、この国を侵すオウガの群れは一体残らず消え去るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『マリア・デスランタン』

POW   :    パンプキン・オン・パレード!
自身の【戦場に存在する全てのカボチャ】を代償に、【代償と同数の子供ジャックランタン】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【強制カボチャ化光線】と【自己増殖】で戦う。
SPD   :    小粋なジョークですこと!
対象のユーベルコードに対し【それを悪戯グッズに変える魔法】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
WIZ   :    SOUL CONFUSION
【戦場にいる全員の魂をシャッフルする魔法】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ポーラリア・ベルです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 コスプレ衣装にはしゃぐマユラ達を撃破して更に森の奥を目指せば、猟兵達は立派なキッチンへとたどり着いた。
 ピカピカのシンク、どんな食材も出てきそうな大型冷蔵庫、火力の調整が自在のコンロに、電子レンジやオーブン。
 作りたいものを作るに十分な設備には、いたるところにかぼちゃがごろりごろごろ。色も大きさも様々なかぼちゃは調理に使えばとっても美味しそうだけれど――このかぼちゃから力を得ている、オウガが一体。
『来ましたわね、猟兵達。わたくしのハロウィンの国へようこそ!』
 くすくすと笑いながら、マリア・デスランタンは魂の光を弄んでいる。
 敵は、ほぼ無敵。この国の法則に守られているからか、その振る舞いは自信に溢れている。
 けれど猟兵達は知っているのだ――無敵を解除するには、美味しい料理やお菓子を作ればいい!
 何を作るかは、貴方次第。肌寒い日にほっこり温まる料理でも、優しい甘さのお菓子でも。マリア・デスランタンに食べさせ、眠らせたところを攻撃できれば、この『ハロウィンの国』は守られるのだ。
グァンデ・アォ(サポート)
《アドリブ、連携、苦戦描写、ユーベルコード詠唱変更、その他何でも歓迎です》

「おや? あれは何だろう……ねーねー、そこのオネーさん、これは何なの?」

通常はだいたいイラストの通りのキャラクターです。
好奇心の向くまま、あちこちウロチョロ飛び回っては、なんやかんやで状況を動かします。
念動力でその場にあるものをなんやかんやしたり、ウロチョロ飛び回ってなんやかんやしたり、危険な行為に勇気を出してなんやかんやします。

「サポートAI、『大人の』グァンデです。よろしくお願いします」

マシンヘルムに変形して誰かに装着してもらう(攻性ユニット化)場合に限り、口調と人格が大人のそれになり、装着者の行動をアシストします。


星川・杏梨(サポート)
『この剣に、私の誓いを込めて』
 人間のスーパーヒーロー×剣豪、15歳の女です。
 普段の口調は「聖なる剣士(私、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、時々「落ち着いた感じ(私、~さん、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

性格はクールで凛とした雰囲気です。
常に冷静さを念頭に置く様に努めており、
取り乱さない様に気を付けています。
戦闘は、剣・銃・魔法と一通りこなせます。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


筒石・トオル(サポート)
「邪魔をしないでくれるかな」
「油断大敵ってね」
「ここは任せて」
正面切って戦うよりも、敵の動きを封じたり、属性防御を固めて盾や囮となったり、味方が倒し切れなかった敵にトドメを刺して確実に倒すなど、味方の安全性を高めるように動く。
ユーベルコード使用はお任せ。
使用しない場合は、熱線銃での援護射撃を主に行う。
人見知りではあるが人嫌いではないし、味方が傷付くのは凄く嫌。
戦うのも本当は好きではないが、誰かを守る為には戦う。
もふもふに弱い。敵がもふもふだと気が緩みがちになるが、仕事はきちんと行う……ホントだよ?


火奈本・火花(サポート)
人探しや潜入を得意とする、UDC組織所属のエージェントです

■平時
『大切な人達の光の為に、私達が闇に立ち向かいましょう』
普段は礼節を弁え、理知的で物腰穏やかな対応を心掛けます
世間一般に「紳士的」とされる態度と相違ありません

■戦闘時
『我々は人類を邪悪や狂気から守る。その為には冷酷を貫く事も厭わない』
UDCや関連団体に相対した時は、非情に徹します
一人称は誇りをもって「我々」と呼称します

■行動傾向
日常・冒険:変装や演技、Dクラス職員や組織の支援を駆使した情報収集が得意です。自らの身を削る事にも躊躇しません
戦闘:機動部隊との連携を基本に、火器や状況を利用した奇襲・速攻を得意とします。ヤドリギは奥の手です


リダン・ムグルエギ(サポート)
「餅は餅屋。後の戦いはお任せするわね
「お、今の映えるわね!ヒュー

キマフュ特有のノリの服飾師

見た人の五感を狂わす「催眠模様」の入り衣装を作って配る事で
仲間や一般人の防御底上げと敵の妨害を実施したり
依頼に即したなんらかのブームを生むことで敵に特定の行動を躊躇させたり
等を得意とする
「戦闘開始前に自分のやるべき仕事の準備を終えている」事が多い純支援キャラ

依頼本編では戦いの様子等を撮影・配信したり
キャーキャー逃げたり
合いの手を入れてたりしています
単独戦闘には不向き

ミシンや針、布等も所持
その場で他依頼参加者に合わせ衣装アレンジも

MSのセンスで自由に動かしてOK
エロだけは厳禁


ハルピュイア・フォスター(サポート)
絶望を与えるのがわたしの仕事…。
無表情で口調は事実を淡々と告げます

【暗殺】が得意です
また【迷彩】【目立たない】【闇に紛れる】【地形の利用】など使用して隠密にまた撹乱しながらサポート行動

回避は【残像】で、怪我は厭わず積極的に行動

武器;首にマフラーの様に巻いてある武器『零刀(未完)』は基本は両手ナイフだが鞭や大鎌など状況に合わせて形を変貌させ使用

他猟兵に迷惑をかける行為はしないが、デザート系は別問題…奪います

後はおまかせでよろしくおねがいします




 かぼちゃが転がるキッチンで、余裕の笑みを浮かべるオウガ――マリア・デスランタン。
 体を光らせながら猟兵達を見つめる彼女を黒縁の伊達メガネ越しに真っ直ぐ見つめ返しながら、火奈本・火花(エージェント・f00795)は口を開いた。
「我々は人類を邪悪や狂気から守る」
 彼女の本命はUDCだ、けれどオウガを放置するつもりも毛頭ない。
 火花が手にするのは、組織より支給されたスマートフォン。その画面に表示されているのは、かぼちゃを使った料理やお菓子のレシピ達だ。
「必要かと思い、レシピを集めてきました。皆さん、ご協力いただけますか」
 声を掛ければ、ぱちぱちと紫の瞳を瞬かせる少女が一人。実は人見知りである星川・杏梨(聖炎の剣士・f17737)は自分に声がかかるなど夢にも思っていなかったから、動揺したけれど――すぐに落ち着きを取り戻し、凛とした佇まいで『わかったわ』と言葉を返した。
 すると、今度は火花と杏梨の元に宇宙山羊族の女性が近付いてくる。その手には、独特の模様が描かれた布があって。
「それならエプロンがいるわよね。さあ、これをどうぞ」
 リダン・ムグルエギ(宇宙山羊のデザイナー・f03694)は自身を服飾師であると名乗り、二人にエプロンを手渡した。促されるまま二人がそれを身に着ければ、リダンが手早くサイズの直しを行ってくれて。
「ねーねー、そこのオネーさん、ボクの分はある?」
 仲間達の頭上をウロチョロと飛び回り、主張するのはグァンデ・アォ(敖 広徳・f10200)。ドローン姿の彼には人間サイズのエプロンをつけることは難しいが――リダンはにっこり笑うと、持ち込んだ布をグァンデサイズに裁断し、針を刺し、たちまちぴったりのエプロンを作り上げてしまった。飛行の邪魔にならないよう、長さもしっかり考えられている。
「やったー、ありがとう!」
 喜びにパタパタ、グァンデは火花のレシピを確認して、冷蔵庫へと飛んでいく。
「ええっと、卵と、牛乳と……あ、冷凍のパイシートもあるね!」
 調理に必要なものを見つければ、それが冷蔵庫からどんどん飛び出してくる。彼は念動力を使って様々なものを操ることができるのだ。
「かぼちゃも必要よね。立派なものがいいかしら」
 呟く杏梨は、キッチン中に転がるかぼちゃから最適なものを探そうと歩き出す。すると、それ見たオウガの笑い声が周囲へ響く。
『ふふふ、貴女もかぼちゃがお好き? ならば素敵なパレードをお見せしましょう!』
 両手を広げるマリア・デスランタン。呼応するかのように光るかぼちゃ達。次の瞬間、戦場全てのかぼちゃが姿を消し、かわりにマリアの周囲に小さなジャックランタンが出現した。
 ケタケタケタ、不気味に笑う口は光を放ち、杏梨を狙う――けれど、それが彼女へ届く前、かぼちゃの頭は熱線に撃ち抜かれ衝撃で転がった。
「邪魔をしないでくれるかな」
 正確な狙撃は、筒石・トオル(多重人格者のマジックナイト・f04677)のもの。それから彼は、杏梨をはじめ料理を行う仲間達へ「ぬらりひょん」のあやかしメダルを手渡していく。
「それをつけて、ここは任せて」
 言葉と共に駆け出して、熱線銃をオウガに向ける。するとマリア・デスランタンは周囲の猟兵には目もくれず、トオルだけを狙うようにジャックランタン達をけしかけた。
 それは、彼のユーベルコードの効果。「ぬらりひょん」のあやかしメダルを貼り付けた対象は、敵から存在を気付かれ難くなるのだ。
 それでも、広範囲の光線は気を付けなければ流れ弾に当たってしまう。猟兵達がジャックランタンの動きに警戒する中、ひらひら手を振るのはリダンだ。
「大丈夫よ、流れ弾くらいそのエプロンが守ってくれるから。……それで、このかぼちゃはレンジで加熱したら裏ごしするのよね」
 トオルが敵を惹きつけて、余波はリダンの防御力高める催眠模様つきエプロンが防いで。その間に、猟兵達は協力して料理を進めていく。
 敵は強い、トオル一人に任せていてはいつか消耗し負けてしまうだろう。その前に料理を完成させ、マリア・デスランタンに食べさせる――それしか勝利への道がないことを、猟兵達は理解しているのだから。
「裏ごしは手間がかかるわね」
「ですが手をかけると仕上がりにはっきり出るそうなので……頑張りましょう」
 火花と杏梨は言葉を交わし、リダンと三人手分けしてせっせと裏ごし作業を進める。その間グァンデは、念動力でパイシートを取り出し、麺棒を操って、パイ皿に合う大きさへとそれをのばしていく。
 出来上がったかぼちゃの裏ごしは、砂糖、スパイス、卵と牛乳を入れて混ぜ、パイシートを敷いたパイ皿へ流し入れる。
 これを、オーブンで焼けば――。
「できたー!」
 グァンデの歓声、取り出したのはこんがり焼けたパンプキンパイ。
 猟兵達はさっそくそれを持って、トオルを攻めるマリア・デスランタンへと近付いていく。
「どうぞ、こちらパンプキンパイです」
 あやかりメダルを取り外しながら、声掛けパイを差し出すのは火花。不快そうな表情で振り向いたオウガは――しかしそこで、動きを止める。
『何でしょう、いいところでしたのに無粋な真似を……あら? あらあら!』
 ぽう、ぽうっと彼女のかぼちゃスカートが光る。どうやら興味を示したようだ。
「いっぱい作ったからどんどん食べてね」
 丁寧に切り分けた一切れを皿に盛って、杏梨がキッチンに併設されたテーブルへとかぼちゃのオウガを誘う。彼女はお菓子の誘惑に勝つことはできない――それは、この国の法則だ。
 大人しくテーブルに座り、デザートフォークを手に取って、パイに刺す。サクッと小気味いい音立てて切れた一口を、あーんと食べて。マリア・デスランタンは体を震わせ、感極まったように言葉を紡ぎ出した。
『ああ、何て美味しいのでしょう、このパンプキンパイ! ほっくりしたかぼちゃの甘みに、絶妙なスパイス。スパイスは体を温めますから、季節的にもぴったりですわね』
 饒舌なオウガ、食べる動きは止まらない。次から次へと口に運ぶ様子を見て、グァンデは二つ目のパンプキンパイも彼女の前へと置いていく。
「おかわりもいっぱいあるよ!」
『ありがたいですわ。ああ、このパイのサックリした食感、たまらないですわ!』
 嬉々とした表情で、頬張って、頬張って……そうして堪能するオウガは、次第に瞼が重くなっていく。
「本当に眠くなるんだね」
 敵の攻撃が止んで様子を見ていたトオルも、この国の不思議な法則を目の当たりにしてこっそり呟く。
 こっくりこっくり、それでも何とか次の一口。マリア・デスランタンは眠気と戦いながらパンプキンパイを食べ進めていたが――やがて、その手が止まった。
 瞬間、かぼちゃのオウガの背後に現れる影。今まで隠密に徹していたハルピュイア・フォスター(天獄の凶鳥・f01741)は、絶好の機会と見て飛び出してきたのだ。
 首元のマフラーを取り去れば、それはたちまち大振りのナイフへと姿を変えて。滑るように素早く握り、オウガの首を狙って刃を揮う――けれど、その不意打ちの斬撃はガギンと鈍い音立て弾かれた。
『……あらあら、わたくしとしたことが、一瞬眠気に負けてしまいましたわ。ええ、大丈夫です、まだまだ食べられますわよ』
 にこり、歪むオウガの口元。
(「まだ……無敵を解除するには足りませんか」)
 無表情ながらも考えるように、ハルピュイアは眉を寄せる。――だが、その手にはしっかりと、拝借したパンプキンパイが握られていて。
「……おいしいですね」
 ぱくり、食べるそれはお菓子好きでグルメな彼女も認める美味しさ。後は量の問題かと思いながら、猟兵達は一度後退し機を伺うことにするのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

セト・ボールドウィン
綾華(f01194)と

手近なカボチャを手に考える
これで一品作るんだよね…ん-と

あっ。俺プリンがいいな
ハロウィンだもん。お菓子がいい

でっかいの!うん、そうしよ
ここならバケツくらいの型もあるよね
俺めちゃめちゃ裏ごし頑張るし!任せて!

せーので型から飛び出したプリンに目を丸くして
おおーっ、いい感じ

綾華の鍵を見れば、俺もUCを
出すのは魔法使いの杖!
チョコで顔を描いて、ゴーストのクッキーを飾って

悪戯グッズは少しびっくりするかもだけど
すぐに大したコトねーしって顔で

うんうん。味見は大事
へへ。だって二人で作ったんだもん
美味いに決まってるじゃん

キレイに盛り付けたプリンを恭しく敵の前へ
はい!これ俺らの自信作だからっ


浮世・綾華
セト(f16751)と

南瓜プリンか
よし、じゃあそれ作ろ

折角だから特大の南瓜プリンにする?
バケツプリンっていうんだっけ
こーんなでっかいの!どう?と尋ね

こんがり焼いてー、せーのでひっくり返すか
すげー!

鍵を振って魔法をかけるみたいにUCを使えば
トッピングされる南瓜くりーむに蝙蝠チョコ
おお、杖だ。ほんとの魔法使いみたいだな?

敵の悪戯グッズは楽しんじゃえばいい
セトの悪戯グッズへの反応にはくすりと笑うも
自分にも何か起これば驚いて

少しならつまみ食いしてもヘーキだよな?
うま!前にセトが作ってくれたケーキと同じくらいうまい
返る言葉に、だなと優しく目を細め

さぁさ、ドーゾ召し上がれ?
うまいからさ、残さず食べて頂戴な




 マリア・デスランタンが他の猟兵と戦っている間に、キッチンの一角へとやってきて。一つ、二つ、転がるかぼちゃへ手を伸ばし、セトは思案する。
「これで一品作るんだよね……んーと」
 かぼちゃを使った料理に、お菓子。セトの中で様々な候補が浮かんでは消えるが、それを思いついた瞬間、もうこれしかないと言うように声が零れた。
「あっ。俺プリンがいいな」
 ハロウィンだから、お菓子がいい。そう語るセトに綾華は頷いて、かぼちゃをころころ調理台へと置いた。
「折角だから特大の南瓜プリンにする? こーんなでっかいの! どう?」
 手を広げて、その大きさをわかりやすく伝える。いわゆる『バケツプリン』――一度は憧れるそのお菓子を想像すれば、少年の瞳は翠玉のようにきらきら輝いて。
「でっかいの! うん、そうしよ」
 そうとなれば、まずは準備だ。キッチンを探せばすぐにバケツのように大きなプリン型が見つかったから、次はそれに合う分量のプリン液を作る。かぼちゃプリンにするならば、当然たくさんの裏ごしかぼちゃが必要になるが――。
「俺めちゃめちゃ裏ごし頑張るし! 任せて!」
 張り切るセトが握り拳でそう言ったので、裏ごし担当は任せることに。柔らかく加熱したかぼちゃをせっせと裏ごしする横で、綾華の方はたくさんの卵を大きな大きなボウルに割り入れていく。
 卵を溶いて、牛乳、砂糖を入れて。それだけでも量が多いとなかなか重労働だが、やはりセトの方が大変か。たくさんあるかぼちゃを綾華も協力して裏ごししきったら、いよいよ混ぜて、型に流してオーブンで蒸し焼きに。
 大きな大きなプリンは、中央まで火を通すのに時間がかかる。期待の面持ちでじっと待ち続け、やがてキッチンに響く出来上がりを知らせる音。
 大きなオーブンからそっと取り出したそれは、型の中でもぷるぷる震える。崩さないよう、優しく優しく。綾華は用意したお皿を型の上に被せるように置き、ひと息でひっくり返すとセトに目配せした。
「せーの」
 二人同時に声上げて、真剣な顔で型を取り外す。
 ぷるるんっ。中から零れるように現れたのは、見事なかぼちゃバケツプリンだ。
「すげー!」
「おおーっ、いい感じ」
 上がる歓声、交わす笑顔。二人はそうして甘い香りまで堪能してから、このプリンの飾り付けに取り掛かることにした。
 大きな大きなかぼちゃプリンは、飾り付けられる場所もたくさんある。綾華はユーベルコードを発動し、生み出した『あらゆる困難を打開する鍵』を鈴鳴らすような動きで軽やかに振った。
 此度のかぼちゃバケツプリン作りは、遊びではなく。マリア・デスランタンを倒すため必要なことだから――彼の鍵もまた、お菓子作りに協力してくれるのだ。
 ぽこぽこぽこと、並ぶように配置されるのはかぼちゃクリーム。それはまるで、何もないオレンジ色の大地に道を作るように。蝙蝠チョコを惑わし役みたいに置いたらば、今度はセトがユーベルコードを操って。
「よーし……いっくよー!!」
 明るい声でぽんっと召喚したのは――魔法使いの杖。ぎゅっと掴んで振れば、衣装とぴったりの姿に綾華も感嘆する。
「おお、杖だ。ほんとの魔法使いみたいだな?」
「へへ、いいでしょ」
 得意げな弟子は、杖を振り振り。こうすれば飾り付けもできる――はずだったのだが、次の瞬間杖より飛び出したのは、小さな小さな花火だった。
「うわっ!?」
 驚き慌てて杖を手放すセトの後ろで、クスクス笑う声がある。
『フフフ……小粋なジョークですこと!』
 見れば、それはマリア・デスランタンの攻撃だった。敵が杖をすり替えた悪戯グッズ、うっかり驚かされてしまったセトは『大したコトねーしっ』と言う顔で再び杖を召喚する。――その一連の反応を、綾華は微笑ましく見守っているのは秘密の話。
 気を取り直して杖をふりふり、セトがプリンにチョコで描くは明るい顔。天辺には軽く付けたチョコにゴーストのクッキーを貼り付けて、無事に二人のプリンは完成した。
「少しならつまみ食いしてもヘーキだよな?」
「うんうん。味見は大事」
 二人はこそこそ言葉交わして、出来立てプリンにそっとスプーンを入れる。ぷるんっと震える姿も愛らしいそれに開く穴は、かぼちゃクリームでそっと埋めて。
 二人同時に、あーんと一口。すると、ふわり広がる優しい甘さに、綾華の赤い瞳が輝いた。
「うま! 前にセトが作ってくれたケーキと同じくらいうまい」
 もう一口、と思わずスプーンですくいながら語れば、セトもにっこり頷いて。
「へへ。だって二人で作ったんだもん。美味いに決まってるじゃん」
 それは、当たり前のように。得意げなセトに優しく目を細めた綾華は、バケツプリンの飾り付けを完成させた。
 味は間違いない、これなら食べる人も喜ぶはずだ――それがオウガだとしても。
 二人はかぼちゃバケツプリンをテーブルに置くと、口々にマリア・デスランタンを誘う。
「はい! これ俺らの自信作だからっ」
「さぁさ、ドーゾ召し上がれ? うまいからさ、残さず食べて頂戴な」
 胸の張るのは、自信の表れ。二人の声に振り向いたオウガは、その大きなプリンの姿を見て嬉しそうに近付いてくる。
『まあ! 素敵ですわ! わたしく、一度大きなプリンを食べてみたかったのですわ!』
 そのまま引き寄せられるように、一口、二口――いくらでも。
『ああ、美味しい! なめらかな舌触り、控えめな甘さ! かぼちゃの風味もしっかりしていて、素晴らしいですわ!』
 ぱくぱくとかぼちゃプリンを口に運ぶマリア・デスランタンだが、このプリンの大きさを甘く見てはいけない。口を動かしながらも目は閉じたり開いたり、微睡むオウガを二人は止めない。そうしてしばらく見守っていれば――カクン、とオウガの頭が横へ倒れた瞬間があって。
「おやすみだね! いっくよー!!」
 その隙を見逃さず、素早く動いたのはセトだ。杖をふりふりすれば、飛び出すのはチョコレートの弾。それは眠りに落ちたマリア・デスランタンの体を狙い、無敵のなくなった彼女は抵抗もなく――ただただゆっくり消え去っていくのを見つめてから、二人は笑顔を交わし合うのだった。


 かくして、不思議な不思議な『ハロウィンの国』には平和が訪れた。オウガによって壊された場所も、住み着いた愉快な仲間達がきっと見事に修復してくれるだろう。
 ハロウィンの日は、もうすぐ。その時にはとっても素敵な国を見ることができるのだろう。想像すれば心が弾んで、猟兵達は笑顔のままに帰還するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年10月30日


挿絵イラスト