11
国に必要な物~滅亡の愛姫~ 外伝『幸せの雪』

#サムライエンパイア

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#サムライエンパイア


0




●雪降る村の雪祭り
 サムライエンパイアも年が明けて一か月もすれば冬の真っ只中となる。
 ここ、犬神藩にある雪柳村でも降り積もる雪を使った祭の準備で忙しい。
 この雪祭りは『子雪祭』といい、子供が元気に育つことを祈る祭で雪柳村に古くから伝わるとても大切な祭だった。
 子雪祭は子供のために大きな山を作ってソリ遊びをしたり、滑り台なるものもあるらしい。
 たくさん雪があるので、村の子供たちのために雪像を作るのも良いだろう。
 また、祭のメイン会場である広場では、巨大なかまくらが作られ甘くて美味しいお汁粉や焼き立てのお餅、冷えた身体を温める甘酒や猪汁なども食べられるという。

「ほう、ここが雪柳村か……あの奥に見える雪の山が童子の遊び場のようだな」
 今、その雪柳村に数人の護衛を伴って1人の姫君が訪れていた。
 名を十石・美濃姫(といし・みのひめ)と言い、齢14となる亡国の姫である。
 詳しい話は省くが、彼女は国が滅亡し犬神藩に身を寄せていたのだが、気晴らしにとこの村の祭を教えられたというのだ。
「ま、まぁ、童子の為のものでは妾は体験できぬが……何、もうちょっと近くで見るぐらいよかろう?」
 サクサクと新雪を踏みしめ、美濃姫は顔に笑みを浮かべると小走りに駆け出した。
「ほれ、何をやっておる! 早ぅ行くぞ?」


「こんにちわーっ! みんな集まってくれてどうもありがとうなのねーっ!」
 ユニ・エクスマキナは金色の髪をふわりと揺らし、グリモアベースに集まった猟兵たちをぐるりと見回すとさっそく話を切り出す。
「実はサムライエンパイアにある雪柳村が妖怪に襲われちゃうみたいなの」
 その村は雪祭りの真っ最中なのだが、そこをまっ黒な煤の妖怪が大量に振って来て、せっかくの雪祭りをまっ黒に染めてしまうと言う。
「そんなことになったらせっかくのお祭りが大事なしになっちゃう! それに、お祭りに参加している人にだって被害が出かねないし……だからね、みんなになんとかしてもらいたいのねー!」
 大量に振って来る黒い妖怪を倒すと、今度は真っ白な白い妖怪が降って来ると言う。
「これは幸せのケセランパサランって言われてるみたい。倒せば倒しただけ、その地に幸福が訪れるってサムライエンパイアで言い伝えられてるみたい……。まぁ、言い伝えの妖怪が、今回の妖怪と同一なのかはわからないのだけどね」
 とにかく、黒と白、両方の妖怪を倒せば村は救われる、ということだった。

 ざっくりと説明を終えたユニはそれでね、と嬉しそうに口を開く。
「それが終わったら雪祭りで遊んできたらどうかな? そう言えば、国を失ったお姫様が村を訪れているみたいだから、本物のサムライエンパイアのお姫様がどんな感じか、一緒に遊んだりしても良いかもなのね!」
 姫君も初めて参加する『子雪祭』をとても楽しみにしているという。
「みんなだったら黒い妖怪も白い妖怪もなんとかできるはずだよ。お祭りを守るためにも、みんなだけが頼りなのねー!」
 よろしくお願いしまーす、と彼女はペコリと頭を下げると猟兵たちを送り出す準備に入るのだった。

 ――さぁ、いざ行かん。サムライエンパイアの世界へ!


春風わかな
 はじめまして、またはこんにちは。春風わかなと申します。
 オープニングをご覧いただきありがとうございます。

 このシナリオは相原あきとマスターの行なっている、
 『国に必要な物~滅亡の愛姫~』の外伝となっております。
 時系列的にはその弐とその参の間に挟まるお話ですが、
 本編とは無関係に平和な遊びシナリオとなります。

 キャンペーンにご参加されておらずとも、遠慮なくお気軽にご参加下さい。
 また、第3章の『子雪祭』のみのご参加も大歓迎です。

●シナリオの流れ
 第1章:ススワタリとの戦い(集団戦)
 第2章:白い妖怪との戦い(ボス戦)
 第3章:『子雪祭』への参加(オブリビオンを全て撃破した場合)

●第3章について
 全ての敵を倒し、子雪祭を守ることができた場合、第3章は雪祭りのシーンを予定しています。
 POW/SPD/WIZの行動・判定例は気にしないで大丈夫です。
 判定が必要になった場合は一番高い能力値を使用しますので、プレイング内での宣言も不要です。
 お誘いいただけましたらNPCのユニ・エクスマキナもご一緒させていただきますのでどうぞお気軽にお声がけください。

●雪柳村
 犬神藩の端っこにある雪が良く降る村。
 毎年1月末~2月頭の間『子雪祭』を行なっている。

●子雪祭
 子供の成長を祝う雪祭り。
 ソリ滑り等で使う雪山と、滑り台なる遊びが可能な雪山があります。
 たくさん雪があるので、雪像を作ることもできます。
 広場では大きなかまくらがあり、中ではお汁粉、お餅、甘酒、猪汁などが配られます。

●十石・美濃(といし・みの)
 14歳の姫君、蝶よ花よと育てられた為、基本的に世間知らず。
 故郷の多野藩が滅亡し、今は犬神藩に身を寄せている。
 猟兵達に何度も助けられており、猟兵達の事を信頼している。

●共同プレイングについて
 お友達や旅団仲間との合わせプレイング(共同プレイング)は大歓迎です。
 その際は、ご一緒される方のID(3人以上で参加される場合はグループ名でも可)とステシと異なる場合はお連れ様の呼び方を記載ください。
 共同プレイングは失効日が同じになるように送信のタイミングを合わせていただけると大変助かりますが、多少異なっても大丈夫です。

●注意
 美濃姫はこのシナリオ中、刺客等に襲われる事はありません。
 護衛のプレイングは無駄になりますのでご了承下さい。

 以上、皆さまのご参加を心よりお待ちしております。
90




第1章 集団戦 『ススワタリ』

POW   :    まっくろくろすけの通り道
【対象が煤だらけになる集団無差別体当たり 】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    かつての住処
【ススワタリがかつて住んでいた巨大な屋敷 】の霊を召喚する。これは【扉から射出した大量のミニススワタリ達】や【窓から射出した巨大ススワタリ】で攻撃する能力を持つ。
WIZ   :    煤だらけ
【対象に煤が付くフンワリあたっく 】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を煤で黒く塗りつぶし】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 雪柳村についた猟兵たちはふわりふわりと煤のような真っ黒な妖怪たちが大量に降り注ぐのを目の当たりにする。
 ――これが、妖怪ススワタリ。
 ススワタリはゆっくりふんわりと静かに村のあちこちに降りながら美しい雪景色を真っ黒な煤で染めていた。
十六夜・月
【ソロ】
露払いはお手の物ってね。
経験が少ない分、小物のせん滅は頑張らないと・・・

【範囲攻撃】にてより多くの敵をせん滅することをメインの目的とす
気づかれていない場合【早業】【先制攻撃】にて奇襲を行い消耗を出来るだけ少なくして長期に貢献できればいいなぁ・・・
攻撃の対象になったら生まれながらの【第六感】【見切り】で回避したい
「煤まみれになるとお風呂入らないとだし、選択結構大変だからごめんねぇ」



(「経験が少ない分、小物のせん滅は頑張らないと……」)
 十六夜・月はver.pul【174MH-G】――通称【アルティメットバーサタイルX】を構えるとススワタリに気づかれぬようにそぅっと忍び足で近づいていく。
 抜き足、差し足、忍び足。
 ススワタリたちはまさか自分たちを狙う輩がいるなどとは夢にも思わず、わきゃわきゃと人語ではない言葉を発しながらポンポンと楽しそうに家々を跳ね回っていた。もちろん、ススワタリたちはとても嬉しそうだが、村は煤で真っ黒になってしまうのでたまったものではない。
 ススワタリの背後へと回った月は、目にも止まらぬ速さで【アルティメットバーサタイルX】を一薙ぎ。九尾扇が触れたススワタリたちがぱっと一瞬で姿を消した。
「露払いはお手の物ってね」
 再び月は【アルティメットバーサタイルX】でススワタリたちを薙ぎ払う。
 またまた黒い煤の妖怪たちは音も立てずに静かにその姿を消していった。
 なかなかいい感じで煤の妖怪を倒すことが出来ると月はほっと胸を撫で下ろす。
 煤まみれになってしまうとお風呂に入ったり洗濯したりと色々大変なので、この調子で妖怪たちの攻撃は受けずに倒していきたいところだ。
 しかし――。
「!!!!!!!!!!」
 この月の不意打ちに驚いたのがススワタリたち。まさかいきなり攻撃されるとは夢にも思わず。ザザーッと黒い波がひいていくかのように月から離れていく。
(「ちょっと! 逃げるなんて聞いてない!?」)
 実はこのススワタリ、とても臆病な性質の妖怪で攻撃をされるとまるで引越しするかの如く一斉に逃げてしまうことがあるのだ。
 とはいえ、ここでススワタリを逃がすわけにはいかない。
 幸いというか長期戦はあらかじめ覚悟している。
 月は【アルティメットバーサタイルX】を握り締め、逃げ惑うススワタリたちを追いかけて行ったのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

涼風・穹
【心情】
……妖怪に襲われるというからどれ程の事態なのかと身構えていたけど…
このススワタリ達は好戦的という訳でもなさそうだし、ここは平和的にお引き取り願えないかな…?

【行動】
『贋作者』で十六夜の持っていた【アルティメットバーサタイルX】の偽物を作成
武具だし精巧には作れるだろうけど、機能はどこまで再現出来ているかな…?
ススワタリ達に向けて範囲攻撃を試みます

まあススワタリ達が逃げるなら、逃げる相手を後ろから攻撃するというのもなんですので、雪柳村から離れるようにうまく逃げる方向を誘導するように攻撃して、可能ならそのままお引き取り願います
いや別に、今後の被害を考えて殲滅しろ、というのならやりますけどね…



 美濃姫の護衛としてここ雪柳村を訪れた猟兵の一人、涼風・穹は妖怪の話を聞き、姫は仲間に任せ、一足先に村の様子を見て回っていた。
「妖怪に襲われるというからどれ程の事態なのかと身構えていたけど……」
 愛用の九尾扇を片手にススワタリを追いかける猟兵を横目に穹は大きな被害が出なくてすみそうなことにほっと胸を撫で下ろす。
 反対側では自分たちが追われる身になるとは露知らず、ススワタリたちは相変わらずわきゃわきゃしながら村中を跳ねまわって辺り一面を煤だらけにして回っていた。
 このススワタリ、自ら攻撃を仕掛けてくる様子は見られないし、見たところ煤だらけになってしまう以外には被害もなさそうだ。
 好戦的という言葉からは程遠いススワタリたちとはいえ、村人をはじめ、祭を楽しみに来た人々に万が一のことがあってはいけない。
(「それなら……」)
 そう考えた穹はユーベルコード【贋作者(フェイカー)】を発動させ、先程擦れ違った猟兵――月が持っていた九尾扇【アルティメットバーサタイルX】の『偽物』を作成した。
「投影完了っと。……さっきすれ違った時に見えたし、巧く作れたかな」
 手で握った感じは特に違和感はない。果たして、その性能はいかがなものか。
 穹は見様見真似でブンッと九尾扇でススワタリたちを薙ぎ払う。
 ふわわわわ~と煤が払われてゆくようにススワタリたちが消えていった。
『!!!!!!!!!!』
 ここにも危険なヤツがいる!! とでも言いたげに逃げ出すススワタリたち。
 穹としてはそんな逃げ回るススワタリたちを背後から攻撃することなどしたくない。
「よしよし、逃げるならそっちだ……そっちにいけ……!」
 攻撃は最小限に抑え、穹はススワタリたちを村から離れるように誘導しながら攻撃をし、平和的にお引き取りを願うのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

レイチェル・ケイトリン
妖怪におそわれる村、たすけてあげないとね。

念動力とふきとばし技能でサイコキネシスをつかって
敵を攻撃してふっとばすね。
敵からの攻撃もふっとばしてふせぐよ

かばう技能もつかえるからほかの猟兵さんへの攻撃も
ふっとばしてふせぐね。

てきがぬりつぶした煤は下の雪といっしょにかきあつめて
とおくにふっとばしちゃうね。

その分の雪はあとではこんでくるから。

雪でみんながたのしめるようにするためにも
いまはさっさとやっつけないとね。


トゥール・ビヨン
折角のお祭りだし、美濃姫様が楽しめるようにはやく敵を倒しちゃおう。

パンデュールに搭乗して戦うよ。

ススワタリの集団を先ずはなぎ払いを行って、ある程度散らす。

無差別に体当たりをしてきたら、武器受けや盾受けで上手く跳ね返しながら攻撃を凌ぎ射程外まで少し距離をとる。

巨大な屋敷が召喚されたら、射出される大量のミニススワタリ達を回避しながら、屋敷に接近し、プログラムド・ジェノサイドで破壊するよ。

ボクとパンデュールは敵の攻撃を引きつけたり、召喚された屋敷などを破壊したりして、仲間が戦いやすいようサポートを中心に行いながら、合間にススワタリ達を片付けていくね。

「これがボクとパンデュールの力だ!」

※アドリブ歓迎



 一方、その頃。
 無事に美濃姫を安全な宿屋まで送り届けたレイチェル・ケイトリンとトゥール・ビヨンは後のことは仲間たちに任せて村の広場へとやってきた。
「妖怪におそわれる村、たすけてあげないとね」
 ぽつりと呟くレイチェルにトゥールは「もちろん!」と元気よく頷く。
「折角のお祭りだし、美濃姫様が楽しめるようにはやく敵を倒しちゃおう」
 そう、この雪柳村の『子雪祭』のことは美濃姫もとても楽しみにしていたのだ。この煤で黒く汚れた雪山や村の様子を見たらとてもがっかりするに違いない。
 そんな会話を交わす二人の頭上にもススワタリたちはふわりふわりと風に乗ってくるくると舞いながらゆっくりと降り注ぐ。
「行こう、パンデュール。ボクたちの力を見せてやろう!」
 トゥールはひらりと相棒のパンデュールに搭乗すると早速眼前のススワタリたちの集団を纏めて一息に薙ぎ払った。
 ふわふわとゆっくりと消えていくススワタリを見てレイチェルも「わたしも」とサイコキネシスを発動。逃げようかどうしようかとこちょこちょと相談していたススワタリたちを念同力で纏めて吹き飛ばす。
(「雪でみんながたのしめるようにするためにも、いまはさっさとやっつけないとね」)
 パンデュールの薙ぎ払いとレイチェルのサイコキネシスで効率よくススワタリたちを追い払っていった……のだが。最初は怯えて逃げ回っていたススワタリたちだったが、そのうち一箇所に固まりはじめた。ひそひそこそこそと何やらススワタリたちが相談をしているように見える。
「何を話しているんだろう?」
 攻撃の手を止め、怪訝そうな顔でススワタリたちを見つめるパンデュールたちの目の前で、突然ススワタリたちがぶわっと大きく膨らんだように見えた。その次の瞬間、パンデュールとレイチェルは見たことのない古い日本家屋風の木造の建物の中に立っていた。二人の目の前には見るからに怪しい扉が一つある。
「あれ? これってもしかして……?」
「ススワタリの攻撃じゃないかな?」
 確か、ススワタリの攻撃の一つに巨大な屋敷を召喚する技があったことはトゥールも覚えていた。
 もしも、その通りであれば、この後の敵の攻撃は……。
 パンデュールが意を決して扉に手をかけようとしたところをレイチェルが制する。
「あぶないから、わたしがふっとばすよ……!」
 だが、どちらが開けるでもなく扉は突然パカっと開き。そして、その開いた扉からは二人が予想していた通り大量のミニススワタリたちがぶわぁぁぁっっと一気に噴出された。
「うわっ……!?」
 あまりにも多いミニススワタリたちの数に咄嗟にパンデュールも後ずさるも、すぐにあらかじめプログラムしておいた連続攻撃を繰り出し、ミニススワタリたちを纏めて追い払う。
 長いように思えたミニススワタリたちの攻撃であったが、時間にしたら僅か数秒の出来事だった。
「もうふっとばしたから、だいじょうぶだよ」
 レイチェルの声にトゥールが辺りを見回した時にはミニススワタリたちはおろか、巨大な屋敷もどこにもなかった。レイチェルのサイコキネシスで屋敷は吹き飛ばされてしまったようだ。
 ただ、そこにススワタリたちがいたことを示すかのように辺り一面が煤で真っ黒に汚れている。
「このよごれた雪もいっしょにとおくにふっとばしちゃうね」
 万が一雪が足りなくなるようであれば、後で改めて運んでくれば問題ないだろう。
 レイチェルはグッと力を込めてサイコキネシスを発動させると黒く汚れた雪はふわっと浮き上がり、そして勢いよく遠くへと弾け飛んだ。
 パァンっと雪の塊がぶつかった場所では隠れていたのかススワタリたちがビックリして何事か!? と慌ててザザザッと一気に逃げ出そうとしている。
「あ、あんなところにも隠れてたんだ。パンデュール、行くよ!」
「まって、わたしも行く」
 新たなススワタリたちを見つけ、パンデュールとレイチェルは彼らが逃げ出す前に倒そうと急いで追いかけていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

セリオン・アーヴニル
ほぅ…随分と器用に逃げ回るものだな。
ならば、手数と技術で攻めるまでだ。

他の猟兵の戦闘内容を参考に、大体の敵の行動パターンを把握する。
後は両手に黒剣と槍剣を構え、敵の動きをある程度予測しつつ【フェイント】【騙し討ち】【残像】を併用した変則的な攻めで一体ずつ、流れるように撃破する攻撃重視の戦闘を行う。
少し距離がある、又は近接攻撃で撃ち漏らして逃げそうな対象には、腰裏、もしくは片腕を竜頭に変化させて放つ伸縮自在の『魔竜の牙』で追撃を行う。

必要とあらば、自陣猟兵のフォローも行う。



 ふわふわと軽やかに飛び跳ねるかのように逃げたかと思えば、まるで黒い波のようにザザザッと一斉に一目散に逃げていくススワタリたち。
 その動きを不機嫌そうな眼差しで見つめる魔術師然とした風貌の青年がいる。彼の名前はセリオン・アーヴニル。
 セリオンは他の猟兵たちの戦闘の様子やススワタリたちの動きから、およその敵の行動パターンの予測は出来た。
「よし、こちらは手数と技術で攻めるまでだ」
 両手に黒剣『ラーゼ』と槍剣『オルファ』を構え、セリオンはゆっくりとススワタリたちへと近づいていく。
『????』
 ススワタリたちが異変に気付くよりも素早く、セリオンは『ラーゼ』と『オルファ』を振るい、煤の妖怪たちを一体ずつ確実に消滅させていった。
『!!!!』
 突然、仲間たちの姿が消えたことに驚くススワタリたちだが、何が起きたかを悟る間もなくまた一匹、また一匹と確実にセリオンの黒剣と槍剣が確実に捉えていく。
 残像が残るほどの素早い動きでススワタリたちを倒していくセリオンだが、その動きを上回るほどの速さでススワタリたちも逃げ回っていた。
「ほぅ……随分と器用に逃げ回るものだな」
 ならば、とセリオンは右腕を竜頭に変化させるとススワタリたちに向かって【魔竜の牙(ドラゴン・トゥース)】を放ち、追撃を行う。
「抑制術式《スレイブコード》解放。さあ……喰い尽くせ」
 大型の竜と化したセリオンの右腕は逃げ回るススワタリたちを追いかけ、大きく口をあげると喰らいついた。
 だが、ススワタリたちも黙って喰われるばかりではない。
 フンワリあたっくでセリオンを煤だらけにして反撃を試みるも、セリオンは意にも解さない。交わされた攻撃の分だけ、周囲の雪の上に黒い煤が広がっていく。
「ふん、この程度の攻撃か」
 攻撃が効かない! と悲鳴をあげているかのようなススワタリたちだったが……巨大な竜の頭にパクっと飲み込まれ、その姿はもう見えなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イリア・ホワイトアイス
折角綺麗な雪に余計なものが交じっていますね

変な倒し方をすればそれだけで、余計に景観を汚してしまいそうなので、煤を落とさせずに殲滅がベスト
つまり、凍らせてしまえば良いのです

ふむ、臆病な性質のようですが…逃げる暇を与えなければ良いだけでしょう?
奴らが逃げるほうで待ち構えて、範囲攻撃を活かしたAbsolute zeroを発動
一応、他に味方が近くに居れば、一声かけておきます
これ、無差別ですから

一回目の嵐が弱まった直後、凍滅の書の二回攻撃が発動
リピート、と呟き、再度、Absolute zeroで残っていた敵を逃がさず殲滅

ちなみに敵の攻撃に対しては創造氷兵でガード
幾らでも作れる便利な壁ですよ



 美しい雪景色にポタリと墨を落としたかのように黒い煤がじわりじわりと広がってゆく。
「折角綺麗な雪に余計なものが交じっていますね」
 雪を汚している張本人――ススワタリたちを、イリア・ホワイトアイスは冷ややかな視線で見つめていた。
 とはいえ、変な倒し方をすればそれだけで、余計に景観を汚してしまいそうである。
 それならば、煤を落とさせずに殲滅がベストといえよう。つまり……。正解は、凍らせてしまえば良い。
 臆病だというススワタリたちが逃げることも計算にいれて、イリアは猟兵たちに追われて逃げてくる方向で妖怪たちを待ち構えていた。
 そして、彼女の読み通り、追われたススワタリたちが全速力でイリアのところへ向かってやってくる。
 イリアは氷の兵士――【創造氷兵】を自身の前に壁のように造りだすとススワタリたちの無差別体当たりを回避、そしてすぐさま【Absolute zero(アブソリュート・ゼロ)】を発動する。
「加減はしません。全て凍りなさい」
 イリアが放ったのは全てを凍らせる絶対零度の嵐。その攻撃対象の範囲にいるものは無差別で凍らせてしまう。それは、もちろん、ススワタリたちも例外ではなかった。
『!?!?!?!?』
 何が起きたのか理解する前に、ススワタリたちの身体はカキーンと氷漬けにされている。と、同時にゆっくりと嵐は収まっていき、晴れた空が顔を覗かせたと思った、が。
 イリアが手にしていた【凍滅の書】が反応したかと思うと彼女は小さく口を動かした。
「リピート」
 イリアのその呟きと同時に再び辺り一面に絶対零度の嵐が吹きすさぶ。
 この【凍滅の書】、氷の魔法を使った時のみ同じ魔法を即座に再発動することが出来るのだ。
 この二度にわたる絶対零度の攻撃に耐えられるススワタリなど、どこにもおらず。
 イリアの目論見通り逃げる暇もなかったススワタリたちの氷像が周囲にはいくつも出来上がっていたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メリー・メメリ
まーっくろ!ススワタリ!
まっくろまっくろかわいいね~
でもでもかわいくても困らせるのはダメー!
ぴぴーっ、せいばいいたすー!

ともだちのふえをぴゅるるーっと吹いたらともだちのライオンを呼ぶよ!
いけー!ススワタリをぱんって倒すぞー!

背中に乗ってライオンと一緒に成敗成敗!
ススワタリってススかな?
たたかうとまっくろになる?
まっくろになったらかかさまに怒られちゃうけど……
でも今日は許してくれるよね……?

ライオン、怒られたら一緒によろしくね…!


ネレム・クロックワーク
子供の成長を祝う雪祭り、とても素敵なお祭り、ね
お祭りが台無しになったら、沢山の人が悲しい思いをしてしまう
そんなことにならないよう、頑張らなくてはいけないわ、ね

まあ、なんてお掃除しがいのある子達なのかしら
わたしお手製の特別な箒(ガジェット)で、綺麗にしてさしあげましょう
いらっしゃい、ガジェットくん
さあ、お掃除タイムの始まり、よ
広い範囲でも狙いを定めて手際良く払っていきましょう、ね
万が一、掃き残しがあっても、回を重ねて払うから、大丈夫
蒸気エンジン搭載の箒だから、綺麗に掃けるのよ
ススワタリくんの動きには見切りを
ひらりふわりと避けながら、お掃除を続ける、わ

あらあら、おいたは駄目よ、ススワタリくん?


オルハ・オランシュ
妖怪さん、空気読もうよー
こんなに綺麗に積もった雪を汚されると困るんだよね
でも白ばかりの世界に黒い敵って、狙いを定めやすくてありがたいかも……
一気に殲滅するよ!

屋敷の霊なんてすごいもの呼んでくれちゃったね
見切りを狙ってもいいけど、避けたら雪が汚れそう
【武器受け】で防御しよう
三叉槍は汚れても後で洗えばなんとでもなるから

もちろん守ってばかりの私じゃないよ
【カウンター】で【範囲攻撃】して多くのススワタリを攻撃
どんどん【なぎ払い】をお見舞いするね
瀕死のススワタリがいたら優先して突こう
他の猟兵と連携して無駄なく動けたらいいな


香神乃・饗
折角の雪が黒く染まってしまうのは勿体ないっす。
綺麗な雪と祭りを護るっす!
……っくし!冷えるっす。早く終わらせてしまうっす!

他の猟兵たちと挟み撃ちになる様に皆と反対側から攻めるっす!
声をあげたり苦無を投げておどし他の猟兵さんたちのほうに逃げるよう仕向けるっす!
苦無は香神写しで複製して手元の在庫がなくならないようにしておくっす!
真っ黒~!大掃除するっす!

もし余裕があったら地形を利用して剛糸を張り巡らせ網を作って逃げ道をなくしていくっす!
他の猟兵が攻め易いよう苦無を投げて援護していくっす!
隙がありそうなら死角にまわりこんで暗殺を狙っていくっす!



 ――なんだか、さっきよりも一気に冷え込んだ気がする。
 思わずぶるりと肩を震わせるオルハ・オランシュだが、それがまさか仲間の猟兵によるものだとは夢にも思わない。
「それにしても、こんなに綺麗に積もった雪を汚されると困るんだよ」
 妖怪さんも空気読もうよー、と苦笑するオルハに香神乃・饗はグッと拳を握って応えた。
「全く、その通りっす。折角の雪が黒く染まってしまうのは勿体ないっす」
「でも白ばかりの世界に黒い敵って、狙いを定めやすくてありがたいかも……」
 オルハの何気ない言葉に饗もはっと気づいたのか「成程!」と顔に表す。
 だが、すぐに「……くしっ!」とくしゃみを一つ。
「ここは冷えるっす。早く終わらせてしまうっす!」
「そうだね、一気に殲滅するよ!」
 オルハが愛用の三叉槍【ウェイカトリアイナ】を掲げて声をかければ。
「そうっす。綺麗な雪と祭りを護るっす!」
 饗は頷くや否やオルハとは反対の方向へと向かって駆けていった。敵を挟み撃ちにするのが目的のようだ。
「一つが二つ、二つが四つ、香神に写して数数の」
 饗は【香神写し】を発動させるとその手元にたくさんの苦無の写しを作成し、準備は完了。
「いくっす!」
 大きく両手を振ってこれから攻めると合図をした饗は、「わぁぁぁぁぁぁぁっ!」と大きな声を出したり、苦無を投げて驚かしたりしてススワタリたちをどんどんとオルハの待つ方向へ責め立ててゆく。
『!!!!!!!!』
 ビックリしたススワタリたちは追われるがままに逃げ惑うが、途中でハタと気が付いてその動きを止めた。
「……あれ? どうしたのかな?」
 何やらひそひそと相談している様子のススワタリを見て、怪訝そうな顔でオルハが近づいて行く。
『――――!!』
 ぶわぁぁっとススワタリたちが膨らんだかと思うと、気づけばオルハと饗は見覚えのない古い日本家屋風の建物の屋根裏部屋のような部屋の中にいた。
「あれっ? ここ、どこっす?」
 キョロキョロする饗の反対側では。
「これが屋敷の霊か。全く、すごいもの呼んでくれちゃったね」
 オルハが苦笑交じりに三叉槍を構える。
 部屋の中は窓があり、光が入ってくるので暗くはない。
 だが、その窓が突然バタン! と開いたかと思うと巨大なススワタリがどぉぉぉんと射出された。
 咄嗟に見切りで巨大ススワタリを避けようとしたオルハだったが。
(「この攻撃、もしかして、避けたら雪が汚れそう」)
 ハッと思い至り三叉槍で巨大ススワタリを受け流す。
 ちらりとオルハが愛槍に視線を向ければ、思った通り黒い煤が付いていたが、それも洗えば何とでもなるものだから気にしない。すぐさまカウンターで反撃に出た。
「見切れるなんて、思わないでくれる?」
 【ウェイカトリアイナ】による素早い一撃――【フィロ・ガスタ】を放ち、巨大ススワタリを一瞬で消滅させる……と、同時に屋敷の姿もなくなり、気づけばオルハたちは元いた場所に立っている。残っているススワタリたちも、後わずか。
「最後の大掃除するっす!」
 地形をうまく活用し、剛糸を張り巡らせて作った網でススワタリたちの逃げ道を塞ぎながら、饗は苦無を投げてススワタリたちを一箇所へと纏めていった。
 そして、大量のススワタリを集めたところで。
「これで終わりっす!」
 饗とオルハはちらりと視線を交わし、こくりと小さく頷き合うと苦無と三叉槍、互いの愛用する武器でススワタリたちを一網打尽にする。
「お掃除完了、だね」
 ふぅっと一息つくオルハが持つ金色の鈴がついた赤い御守が、二人を労うかのようにチリンと小さく鳴ったのだった。

「まーっくろ! ススワタリ! まっくろまっくろかわいいね~」
 ススワタリを追いかけるメリー・メメリだったが、ふと、どこかで聞いたことがある音が聞こえた気がして足をとめる。あれは――お守りの鈴の音。
 メリー・は慌ててキョロキョロと辺りを見回すが、残念ながらお守りの持ち主の姿を見つけることは出来なかった。
 だが、同じ村に来ていればきっと会えるだろう、とポジティブに考えるメリーの視線の先に見たことのある帽子を被った長い髪の少女が目に入った。あの長いミルクティ色の髪にも見覚えがある。
「あっ!」
 嬉しそうなメリーの声に気づいたのか、帽子の少女――ネレム・クロックワークはメリーに気づくとにっこりと優しい笑みを浮かべてひらりと手を振った。
「あなたもこの村へ来ていたの、ね」
「うんうん! 雪祭り、とっても楽しそう!」
 楽しみ! と満面の笑みを浮かべるメリーにネレムも「そうね」とにっこり頷く。
「子供の成長を祝う雪祭り、とても素敵なお祭り、ね」
 でも、とネレムはふわふわと落ちてきたススワタリを両手を広げて受け止めると、哀しそうな表情を浮かべた。
「お祭りが台無しになったら、沢山の人が悲しい思いをしてしまう」
「かわいくても困らせるのはダメー! ぴぴーっ、せいばいいたすー!」
 ネレムの言葉に何度も頷きながら、メリーは両手で大きくバツを作ってススワタリに訴える。ススワタリたちは困ったように互いに視線を交わして小さく鳴っているように見えた。
「ええ、そんなことにならないよう、頑張らなくてはいけないわ、ね」
 ――さぁ、いらっしゃい。ガジェットくん。
 ネレムはキリリと表情を引き締めると蒸気エンジンを搭載した箒型のガジェットをポンと召喚する。
「お掃除タイムの始まり、よ」
 広範囲で狙いを定め、ネレムはザザーッとススワタリたちを纏めて箒で掃いた。
 箒で払われたススワタリたちはそのまま姿を消し、かわりにまっ白な雪が姿を見せる。
「よーし、メリーもおそうじするぞー!」
 おー! と拳を突き上げ、メリーは【なかよしのふえ】を思い切り吹いた。
 ぴゅ~ひょろろ~と笛の音色に合わせてやってきたのはともだちのライオン。
「いけー! ススワタリをぱんって倒すぞー!」
 メリーはライオンの背にひらりと飛び乗るとススワタリたちを蹴散らしてゆく。
 そのメリーたちの威勢の良さにビックリしたのか、散り散りに逃げ出すススワタリたちだったが、今度はネレムの箒が待っていた。
「まあ、なんてお掃除しがいのある子達なのかしら。わたしお手製の特別な箒で、綺麗にしてさしあげましょう」
 メリーがライオンに乗ってススワタリたちを払いながら蹴散らしてゆき、逃げ遅れたススワタリはネレムが箒で丁寧に掃き清める。
 二人と一匹の連携攻撃に翻弄されるススワタリたちだったが、ひそひそと相談を交わし、一致団結して反撃を試みることにした。
「わ、わ、わ!?」
 ススワタリたちの反撃とは無差別体当たりだったのだが、ついつい捕まえようとメリーは反射的に手や足を出してしまう。一方でネレムはひらりふわりと軽やかに交わし、掃除する手を止めることはない。
「あらあら、おいたは駄目よ、ススワタリくん?」
 ウィンクを一つして悪戯っ子のような笑みを浮かべてススワタリたちを箒で一撫ですると妖怪たちはそのまま姿を消してしまいあっけなく反撃は終わった。
 だが……。
「あー! まっくろー!!」
 先程のススワタリによる無差別体当たりでメリーの手や足にも煤がついてしまったようだ。
「この黒いの、やっぱり煤かな? まっくろになったらかかさまに怒られちゃうけど……でも今日は許してくれるよね……?」
「えぇ、きっとお母さまもわかってくださると思う、わ」
 大丈夫、とネレムは頷き、ライオンは尻尾をパタリと振ってメリーを慰める。
 だって、大切な雪祭りと美しい雪景色を守った証なのだから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

御代・燕三
素早い妖ですか。これはしっかりと頭を使わないといけなさそうですね。
「UC算術式:先見の章」の紙人形を最大数召喚。4~5体で小さな[かまくら型]の逃げ場所を沢山作ります。白い紙人形ですし、雪の中に入り込めそうなところがあれば警戒もされないでしょう。

その後、家屋か軒先で待ちます。せっかくのきれいな雪景色、子雪祭だけのためではなく守りたいですね。

そろそろ頃合いかと各所の[かまくら]を紙人形を通して見ます。中に居れば、そのまま紙人形を動かし出口を塞いで押しつぶし攻撃です。別の猟兵が戦っていれば、ススワタリが逃げそうな方向に高速詠唱にて[かまくら]を作って入ったところを同じように攻撃し続けていきますよ。



 さて、話は少し前へと遡る。
 空から降り注ぐススワタリたちを見つめ、御代・燕三は【大福帳】でパタパタと顔を仰ぎながら独り言ちた。
「素早い妖ですか……これはしっかりと頭を使わないといけなさそうですね」
 ……と、言ってみたものの、どうしようかと燕三は無言でパチパチと脳内で算盤をはじく。
「見定めよ、我が呪に従いて」
 燕三は最も無駄がないと判断した技である【算術式:先見の章】を発動させると大量の浮遊する紙人形を召喚した。そして、この紙人形を5体ほど使ってかまくら型のススワタリたちの避難場所を作成する。
 満足のゆく出来栄えに嬉しそうな様子を見せながら燕三は次々と小さなかまくらを作ってゆく。
「雪と同じ白い紙人形ですし。雪の中に入り込めそうなところがあれば警戒もされないでしょう」
 試しに手に持っていたかまくらをススワタリたちに見せてみた。
 ススワタリたちは不思議そうにかまくらを眺めていたが、そのうち好奇心旺盛な一匹がかまくらの中に入っていく。その様子を見て、他のススワタリたちも次々とかまくらへ入ろうと押し合いが始まった。
「これは、思った以上に盛況ですね。しかし、これなら思惑通りに事が進んでくれそうです」
 燕三は満足そうに頷くと、紙人形をすすっと動かしかまくらの出口を塞ぐと、グッと手で押し潰す。かまくらと一緒にススワタリも静かに消滅した。
 そして、燕三は次々とかまくらをススワタリたちが多くいそうな場所に設置する。
 待つこと数分。
「さぁ、どうでしょう……」
 燕三は紙人形を通してかまくらを見てみれば、ほとんどのかまくらにススワタリたちが入っていた。あとは先程と同じように、出口を塞いでググッと手で潰すだけ。
「せっかくのきれいな雪景色、子雪祭だけのためではなく守りたいですからね」
 周囲の雪を汚すこともなく。パッと開いた燕三の掌から、白い紙人形だけがはらはらと落ちていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ダリア・エーデルシュタイン
この白い雪景色を黒く染めようなんて、無粋だね。
消えてくれるのは良いけれど、逃がすわけにもいかないし…。
少し距離を置いたところから『カード・シャッフル』で、取り囲むように攻撃していこうか。
追い込んでいけば、他の人も攻撃しやすいだろうからね。

煤でカードが汚れてしまうのは嫌だけれど、仕方ない。
さぁ、私のカードさばきで煤払いといこうか。

カードや自分が煤で汚れてしまったら顔を顰めるよ。
手で払ったら汚れが広がりそうだからなぁ…。
今は我慢するしかない分、敵に八つ当たりをしようかな。


月舘・夜彦
雪を使った祭り事、ですか
犬神藩には美濃姫様や我々猟兵を置かせて頂いているご恩がございます
この力が役に立つのならば、この地に使いましょう
姫様も度重なる脅威に緊張が高まっているのかもしれません
祭りで少しでも和らいで頂けるのならば良いのですが……

敵へは【先制攻撃】から展開し【2回攻撃】
【抜刀術『風斬』】は攻撃力を重視
逃げるようならば命中を重視
霊を召喚された場合は攻撃回数重視し、数を減らすことを優先する
敵からの攻撃は【残像、見切り】により回避した後【カウンター】
この時期に降るものは黒でなく、白でなくては



 眼前に広がる白い雪景色を見つめ、ダリア・エーデルシュタインはやれやれと大袈裟に肩をすくめる。
「この白い雪景色を黒く染めようなんて、まったく無粋だね」
 呟きを漏らすダリアの目の前に黒い煤のようなものがゆっくりと落ちてきた。
 これが無粋な張本人であるススワタリだ。ダリアは手に持っていた【エース・オブ・ハート】ですっとススワタリを突いてみると、それだけでもススワタリは消えてしまう。
(「消えてくれるのは良いけれど、逃がすわけにもいかないし……」)
 暫し考え込むダリアの視線の先に独りで佇んでいる猟兵の姿が見えた。
 藍色の長い髪の青年は、村の建物――宿屋だろうか――をじっと見つめている。
(「雪を使った祭り事、ですか……」)
 夜彦は美濃姫が待つ宿を見遣り、先程の姫との会話を思い出した。

「ここ犬神藩には美濃姫様や我々猟兵を置かせて頂いているご恩がございます。この力が役に立つのならば、この地に使いましょう」
「うむ、しっかり頼むのじゃ」

 口調こそ猟兵たちと共に過ごす時の堅苦しさの抜けた口調ではあったが、美濃姫も度重なる脅威に緊張が高まっているのかもしれない。
(「この祭りで少しでも気分が和らいで頂けるのならば良いのですが……」)
 そのためにもこの『子雪祭』は絶対に守らなくては――。
 夜彦は【夜禱】に手をかけるとじっとススワタリたちの動きを見つめた。そして、間合いをはかり【抜刀術『風斬』】を発動させ、目にも止まらぬ速さの居合切りでススワタリたちを纏めて斬り捨てる。
「我が刃、風の如く」
 強さだけでなく美しさも兼ね備えた抜刀術に思わずダリアも拍手を送った。
「お見事! とても素晴らしい技を見せていただいたよ」
 その拍手で彼女に気づいた夜彦が軽く会釈を返す中、ダリアはトランプのカードを弄びながらススワタリたちへと視線を向ける。
「さぁ、次は私のカードさばきで煤払いといこうか」
 ダリアは【カード・シャッフル】を発動させると薄い金属製のトランプを念力で操作すると思いのままに操りススワタリたちを一気に斬り裂いた。
 ススワタリたちを斬ったことで大切なカードに煤が付いてしまい、むっとダリアは顔を顰める。
 だが、今は我慢するしかない。
 抜刀術にカード、と立て続けの攻撃に驚いたススワタリたちは、どこへ逃げるべきかとこそこそ相談を始めた。
「逃がしはしません」
 夜彦は再び抜刀術を放ち、逃げようとしていたススワタリたちを斬る。
 逃げられないと悟ったススワタリたちは集団で無差別体当たりを放った。
 ひらりと舞うようにかわすダリアだったが、全てを避けることは出来ず。服や体にも煤が付いてしまう。
「手で払ったら汚れが余計に広がりそうだからなぁ……」
 嫌そうな顔で煤を見つめるダリアだったが、今は汚れを落とすことを諦めて、その代わりにススワタリたちに鬱憤をぶつけることを選んだ。
 再びダリアは【カード・シャッフル】を放ち、念力で思いのままにカードを操りススワタリたちを次々と斬り裂き、追い詰めていく。
 一方、夜彦はというとススワタリたちの体当たりを残像が残るほどの素早い動きでかわすと即座に攻撃へと転じた。居合切りでススワタリたちを斬り捨てていく。
「この時期に降るものは黒でなく、白でなくては」
 静かに刀を鞘に納める夜彦の言葉にダリアも異論はない。
「ああ、そうだね――やれやれ、煤払いもそろそろ終わりかな」
 皆ススワタリ退治を終えたのか、徐々に集まってくる猟兵たちの姿が見える。
 ぐるりと周囲を見渡せば、村に降り注いでいた黒い煤の妖怪たちの姿はなく。
 美しい雪景色が広がっていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ケセランパサラン』

POW   :    分裂
【分裂し、もう1体のケセランパサラン】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
SPD   :    恍惚
【10秒間、ふわふわ浮いている事】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【戦意を喪失させるウェーブ】で攻撃する。
WIZ   :    幸福
【可愛い】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【ケセランパサラン】から、高命中力の【敵を庇いたくなる気持ちにさせる光線】を飛ばす。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠犬憑・転助です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 宿屋で待つようにと猟兵たちに指示された美濃姫は、護衛を務める者たちとともに大人しく宿屋で待っていた。
 だが、騒がしかった村の様子も静かになったので、終わったのかと姫君はいそいそと窓へと近づいてみると天から白いふわふわとしたものがたくさん降っている。
 ――いつの間にか、雪が降りだしていたようだ。
 こんなに雪が降っていてはまだ祭は始まらない。
 美濃姫はもう暫く大人しく宿で過ごそうと思い直すのだった。

 ススワタリたちを倒した猟兵たちの頭上に今度は白くてふわふわしたものが静かに降ってくる。
「――雪?」
 誰もがそう思ったが、掌に落ちてきたこの白い物体は冷たくない。
 ケセランパサランだ――そう言ったのは誰だっただろうか。
 ケセランパサラン? と問う猟兵に別の仲間が答える。
 何でもサムライエンパイアではケセランパサランが出たらできるだけ多く倒すのが良いとされているらしい。なぜなら倒すだけその地に幸せが訪れると言われているからだ。
 ならば、今ここでたくさん倒せばこの雪柳村に多くの幸せが訪れるのではないか。
 視線を交わす猟兵たちの思いは皆一緒だった。

 ――雪柳村にたくさんの幸せを届けよう、と。

 猟兵たちのケセランパサラン退治が今、始まった。
レイチェル・ケイトリン
言い伝えをそのまましんじて力をつかうつもりはないけど、
言い伝えがひろまるまでなにかがあったのかなとはかんがえるよ。

……オブリビオンの増大は未来をおびやかす……

この世界の人々もながい時間のなかでそれをかんじてたんだろうね。

たくさんやっつけることで幸せがくるというより、
たくさんのこってると幸せな未来がこわれちゃう……ってとこかな。

だから単なる作業としてやっつけていくね。
念動力技能でサイコキネシスをつかって。

わたしはいつかお姫さまのまえで……
お姫さまのおとうさんをたおすかもしれない。
オブリビオンとしてでてきたらそうするしかない。
それだってわたしは覚悟してるんだもの。

だから、わたしの心はゆるがないよ。


トゥール・ビヨン
倒しちゃうのは少し可愛そうだけど、オブリビオンだしね。
遠慮はいらないか、全力で相手になるよ!

パンデュールに搭乗して戦うよ。

ケセランパサランはふわふわ浮いて戦いにくいから、パンデュールのワイヤード・マレディクションで捕縛してこちらに引き寄せ、武器のドゥ・エギールで2回攻撃をして倒していくよ。

分裂したり増えたりしたら一気になぎ払いつつ一旦距離をとって仲間と連携して戦うね。

一人で大勢に囲まれたら対処が難しくなりそうだしね。

敵のウェーブ攻撃が来たら盾を発生させて受けつつ、フェイントでかかった振りをして敵に近づいて油断したところを叩いちゃおう。

「かかったね、悪いけどチェックメイトだ!」

※アドリブ歓迎


月舘・夜彦
見た目に反して……いえ、見た目通りの能力といった所でしょうか
下手に接近してしまえば、戦意を奪われてしまうようです
相手に気付かれる前に攻撃を仕掛けて倒すのが良さそうですね

敵との距離を離して【目立たない】ように行動して【先制攻撃】
抜刀術『神風』ならば遠くでも攻撃は届くはず
【2回攻撃】は一撃で仕留められないならば追い討ち
仕留められるのならば、その付近の敵を狙います
攻撃は【残像、見切り】により回避した後【カウンター】
なるべく攻撃は避けたくありますが……可愛くは、ありますからね
思うように動けない時は【覚悟】で振り払うしかありません
人々に幸運を届ける為にも、己を正しく持たなくては



 雪のようなケセランパサランを見つめ、レイチェル・ケイトリンは独り佇み考えていた。
 言い伝えをそのまま信じて戦うつもりはない。だが、この言い伝えが広まるまでに何かがあったのではないか、と気にはなっていた。
「……オブリビオンの増大は未来をおびやかす……」
 ぽつりと呟きを漏らすレイチェルを、ケセランパサランたちが不思議そうな顔で見つめる。
 このサムライエンパイアの人々も、長い時間の中でオブリビオンが増えることによる脅威を感じていただのだろう。
 だから、このケセランパサランも、たくさんやっつけることで幸せが来るというよりも、たくさん残っていると幸せな未来が壊れてしまう――そんな風に考えるとレイチェルの中ではとてもしっくりきた。
 ――今回は単なる作業としてケセランパサランをやっつけていく。
 そう決めたレイチェルはサイコキネシスを発動させてケセランパサランたちをまとめてドーンッと念動力でふっとばした。
 ケセランパサランたちはふわふわっと空に巻き上げられたかと思うとゆっくりと雪が解けるかのようにすぅっと空中に消えていく。
 レイチェルは次々とケセランパサランを念動力でふっとばしては消していった。
(「わたしはいつかお姫さまのまえで……お姫さまのおとうさんをたおすかもしれない」)
 宿屋の窓を見上げ、レイチェルは部屋にいるであろう美濃姫のことを想う。
 もしも、美濃姫の父親がオブリビオンとして現れたら。それでも倒すという覚悟がレイチェルにはあった。
 だから、ケセランパサランの反撃にも彼女の心は揺らぐことはなく。
 黙々と感情を挟むことなく黙々とレイチェルはケセランパサランたちをふっとばし続ける。
(「でも……」)
 美濃姫の父親と戦わなくて済むのなら……。
 そんな想いを掻き消すかのように、レイチェルはケセランパサランたちをふっとばした。

 大きな爆発音とともに吹き飛ばされてゆくケセランパサラン。
 また、一際大きな音がしたかと思うと空に向かって白い煙のようなものが噴射されたのが見えた。
「倒しちゃうのは少し可愛そうだけど、オブリビオンだしね」
 遠慮はいらないか、とトゥール・ビヨンは早速パンデュールを召喚し、搭乗する。
「全力で相手になるよ!」
 宣言するや否や、パンデュールは手首の部分から先端にフックのついた頑丈なワイヤーをケセランパサランに向かって放った。どうやら、【ワイヤード・マレディクション】を発動させ、ふわふわと浮いているケセランパサランたちを捕まえてから戦う作戦のようだ。
「捕まえた、もう逃がさない!」
 作戦通りワイヤーで捕らえたケセランパサランたちを纏めてパンデュールは【ドゥ・エギール】の両刃を煌めかせ一気に薙ぎ払う。
 その後もパンデュールはふわりふわりと宙を漂うケセランパサランたちに向かって【ワイヤード・マレディクション】を発動させて捕縛し、その動きを封じたところを【ドゥ・エギール】で纏めて攻撃をする。
 だが、ケセランパサランもやられてばかりではない。
 パンデュールの攻撃をひらりひらりと交わしたかと思うと、そのつぶらな瞳でじっと猟兵たちを見つめた。
 慌ててパンデュールはケセランパサランへの攻撃の手を止め、パッと距離をとる。
 ケセランパサランの可愛らしいまんまるな瞳で見つめられると攻撃する気が失せるのはもちろんのこと、なんだか庇いたい気持ちになってくるので大変だ。
「見た目に反して……いえ、見た目通りの能力といった所でしょうか」
 ケセランパサランの視線を振り払うように首を横に振り、月舘・夜彦は改めて【夜禱】に手をかけた。
 下手に接近をすれば、ケセランパサランの能力で戦意を奪われてしまいそうで、夜彦はいったん敵と距離をとると、気づかれないようこっそりとその距離を詰めていく。そして、ギリギリ攻撃が届くであろう箇所でそっと足をとめると夜彦は静かに呼吸を整え、技を放つタイミングを計った。
「――是は空さえも斬り裂く刃也」
 夜彦は帯刀していた【夜禱】を素早く抜刀し、目に見えない斬撃がケセランパサランたちを斬り裂く。刀を鞘に戻したかと思うと、間髪入れずにもう一度斬撃が付近にいた敵に襲い掛かった。
 夜彦の放った二度の【抜刀術『神風』】により、一帯にいたケセランパサランたちが纏めてすぅっと空中に消えていく。
 目に見えない斬撃を受け、ケセランパサランもどう反撃をしようかと急遽集まりふわふわと宙に浮きながらひそひそ相談を始めた。
 ケセランパサランは、暫しふわふわと浮いていたかと思うと、戦意を喪失させるビームを夜彦とパンデュールとに向かって放つ。
 残像が見えるほどの素早さで夜彦はすぐさまひらりとビームを交わした。一方、パンデュールは掌からエネルギーの盾を生み出すとビームを受け流し。
「うわっ、なんだか戦う気がなくなってきたんだよ……」
 パンデュールは戦う気がなくなったアピールをしながらケセランパサランへと近づいていく。
 ほっと安堵の表情を見せるケセランパサランだったが。
「かかったね、悪いけどチェックメイトだ!」
 パンデュールが放ったワイヤーがケセランパサランたちを纏めて捕縛すれば、騙された! とばかりにケセランパサランは大騒ぎ。
 そこを夜彦の放った【抜刀術『神風』】で一気に斬り裂き、ケセランパサランたちは天へと還っていった。
 パチンと愛刀を鞘に納めながら、夜彦は静かに口を開く。
「人々に幸運を届ける為にも、己を正しく持たなくては」
 夜彦とパンデュールは視線を交わし頷き合うと、さらに村へ幸せをもたらすためにケセランパサラン退治へと休む間もなく向かって行った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

十六夜・月
倒したら倒しただけ町が幸福になるとは本当だろうか・・・
まあ、倒しても不幸にならないというならやりましょう。

今回は多くの敵を一気にせん滅できる攻撃をメインで行こう
言い伝え通りなら倒せば倒すほどいいのだからね。
[早業][範囲攻撃]にてより早く、より多くの敵に攻撃をしていきます。

攻撃をしてくるかは正直あの姿からはあまり想像はできない・・・
しかし、用心したに越したことはないだろう。
してきたなら[見切り][第六感]にて回避。可能なら[カウンター]を
狙います。

「まあ、町が幸せになるというなら別にいいよね・・・?」


メリー・メメリ
けせら……?うーん、名前が、長い…!
ぱさぱさ!雪みたいにふってくるからぱさぱさ!
たくさんたおしたらこの村がしあわせになる?
なら、ともだちと一緒にたーくさんたおすね!

じゃじゃーん、ともだちのふえ!
ライオンと一緒にぱさぱさを追いかけてぱんってたおす!
雪あそびをしているみたい!

ぱさぱさでかまくらを作れないかなー?
雪だるまもつくりたいな~
ライオンライオン、どう思う?
ぱさぱさといっしょに遊びながら倒すともーっとしあわせになるると思うんだ!

たのしい気持ちと明るい気持ちでげんきいっぱい!
しあわせ!


セリオン・アーヴニル
これだけ猟兵が居るなら、より多くの『幸福』をこの地に招くのも可能…という所か。
即席共闘の希望者が居れば応じよう。

恐らく、そろそろ村の連中もこちらの様子が気掛かりになる頃合いだろう。
あまり見た目がアレな戦い方は無粋か。
ならば、と人格を銃器の扱いに長けた奴に変更。
言葉遣いと態度『だけ』は柔和で丁寧なので問題ない…筈。
私の様な奴がこんな平和なイベントに出て良いんですかねぇ?
等と肩をすくめるだろうが無視だ無視。
その後【無窮流転】を発動。
髪色を金、瞳を青に変質させ自身の攻撃力を強化。
精霊銃を使い、時折曲芸撃ちを交えながら見ている『かも』しれない村人(+美濃姫)に『魅せ』ながら一体ずつ着実に撃破しよう。


ネレム・クロックワーク
ふわふわ音も無く静かに降ってくる様はまさに雪そのもの
愛らしい存在につい頬が緩んでしまう
けれど確固たる意思を以て、目的を見謝りはしない、わ

わたしの全力の魔法を込めた魔導銃に、与うは『光』と『星』の加護
先だって厄を払い浄めた此の地に、聖なる星の祝福を降らせましょう
掌サイズのキラキラひかるお星さまを辺り一面にちりばめ、星が消える前にもう一度同じ数のお星さまを降らせる
耀う星の祝福を、篤と御覧、あれ
星は幸福の使者さん達に触れたら一際眩い光を放って消えるけれど、代わりに幸せが舞い降りてくる、わ

さあ、彼の地に幸せな物語を紡ぎましょう
わたしはその一端を担う影役者
お姫さまの、村の人達の心からの笑顔が、見たい、わ


香神乃・饗
ケセランパサランはおしろいで増えるものだったっすか?(端末で調べながら)
増やし方はよく解らないっすからせめて1体たりとも逃さない様に討つっす!

香神写しで苦無を複製し
援護役が少ないなら投げて援護を
近づく役が少ないなら苦無を投げてフェイントをかけ死角に入り苦無で暗殺を狙うっす
逃げようとするなら剛糸でからめとっていくっす

庇おうとしている猟兵がいるなら避けて苦無で討つっす
見かけはまるっこいっすけど、こいつはオブリミオンっす。猟兵の本業は忘れないっす!

ぷかぷか浮かせないように手前の1体を剛糸で捕まえ他の奴に向けてぶん投げておくっす
玉突き状態にしたら地上に落ちないっすか


ダリア・エーデルシュタイン
倒すと幸せが訪れる言い伝えがある敵なんて面白いけれど。
せっかくだし、たくさん倒してこの地に幸せをもたらそう。
どうやらあちらの姫様は、なにやらとても大変な目にあっているそうだし。

しかし思ったより強敵だな。
倒そうという気が削がれる……!
かわいい敵というのはこの世でもっとも強敵だな。
『カード・シャッフル』を使って周辺から中央に追い込むようにした後で、『Kiss of death』で倒しにかかろう。

敵をかばいたくなってしまったら「体が勝手に……! くっ、可愛いから仕方ない!」みたいな感じになってしまうのかな。
なんておそろしいてきなんだ。



 真っ白い雪がしんしんと降るように、ケセランパサランもゆっくりと天から降ってくる。
「倒したら倒しただけ村が幸福になるとは本当だろうか……」
 空に浮かぶケセランパサランを見上げて十六夜・月はポツリと呟いた。
「さぁ……どうだろうな」
 まさか返事が返ってくるとは思わず、ビックリした様子の月を見つめるのはセリオン・アーヴニル。黒髪の青年はぐるりと辺りを見回し、再び口を開く。
「だが、これだけ猟兵が居るなら、より多くの『幸福』をこの地に招くのも可能……という所か」
 ――あくまで『伝承が本当だったとすれば』という前提がつくわけだが。
 ふむ、と独り言ちるセリオンの言葉に月もこくりと頷いて。
「まあ、倒しても不幸にならないというならやりましょう」
 無害そうに見えてもケセランパサランはオブリビオン。倒せば町を守ることが出来るのは確実で、その上で、もしかしたら『幸せ』が訪れるかもしれない……それならば、倒すことに遠慮は無用だ。
 月はver.pgl【162L-S】、通称【QUICK RESPONSE 62】を構えると、ケセランパサランに照準を合わせた。敵を倒せば倒すほど良いということであれば、複数の敵を纏めて倒すことを優先するのは理にかなっている。
 一方でセリオンは妖怪たちを退治している猟兵たちを見る村人の目が少々に気になり始めていた。村人たちは概ね好意的に見てくれているようではあるが、あまりに見た目が無粋な戦い方というのも如何なものか、と暫し考える。
「ふむ……ならば」
 セリオンはすっと目を閉じたかと思うと数秒もしないうちにパッと目を開いた。
 見た目には何も変化はないが、彼が纏う雰囲気が先程と比べて柔らかくなったような気がする。
「……私の様な奴がこんな平和なイベントに出て良いんですかねぇ?」
 口調も一変したセリオンは肩をすくめながら【ホーンティングフィアー】を構え、ケセランパサランを一瞥する。
(「!? そうか、多重人格者……」)
 なるほど、と月は独り言ちるとケセランパサランたちへと向かってアサルトウェポンの引き金をひいた。
 真っ白な雪のような白い妖怪たちを弾丸が雨のようになって襲いかかり、瞬く間に月の視界に入っていたケセランパサランたちの姿がすぅっと空へときえていく。
「お見事、では私も皆さまにお魅せいたしましょう」
 言葉遣いと態度『だけ』は柔和で丁寧になったセリオンもまた月と背中を合わせる形で白い妖怪たちへと【ホーンティングフィアー】の銃口を向け、【無窮流転(リンカーネイション)】を発動した。
「支配率を変更――『再誕』開始」
 発動に合わせてセリオンの漆黒だった髪の色は金色へ、同じく闇の色だった瞳の色が美しい青い色へと変化する。
 そして、セリオンは精霊銃を構えたまま軽い助走から足音も立てずに家々の壁を素早く走り抜けながら流れるようにケセランパサランたちを撃ち抜いた。最後はくるりと宙返りをしながらパンパンと銃声を響かせる。その美しい攻撃に、家の窓から様子を見ていた村人たちはうっとりと溜息をつき、子供たちは拍手喝采の嵐。
「おにいちゃん、カッコいいー! もう一回! もう一回やってみせて!!」
 思わず窓から身を乗り出してアンコールを所望する村の少年に向かってセリオンは愛想よく笑みを浮かべて手を振ってみせた。
「――出来るかい?」
「出来るかって、さっきの曲芸撃ちみたいなやつですか!?」
 唐突なセリオンの問いに月は暫し考え込む。範囲攻撃を中心に早業からの援護射撃を交えながらそれっぽく出来るかもしれない。
 口元に手を当てて考える月を見て、セリオンは肯定の意と判断したようで。
「よし、ではいくぞ」
 再びセリオンはケセランパサランへ精霊銃を向けるや否や走り出す。
「まあ、村の皆が喜んでくれるというなら別にいいよね……?」
 よし、と月も覚悟を決めて、【QUICK RESPONSE 62】を手にセリオンを追いかけていった。

 軽快に響く銃声と共に響き渡る村人たちの拍手と喝采の声。
 そんな賑やかな一角と少し離れた場所でもケセランパサランはふわりふわりと風にのって空から落ちてくる。
「へぇ~、ケセランパサランはおしろいで増えるものだったっすか?」
「そうなの!? おしろいってお化粧するときにつかうものでしょ? かかさまがもってる!」
 手元の情報収集用端末【報】を操作していた香神乃・饗が意外そうな声をあげれば、これまた意外そうにメリー・メメリが目を丸くして身を乗り出す。どうやら、ケセランパサランはおしろいを食べるという説もあるようだ。
 ケセランパサランを増やすことが出来れば、その分たくさん退治出来て多くの幸せをもたらすことが出来るのに、と饗はスマホ片手に色々と調べてみる。
「ケセランパサランを飼っている人ってのもいるみたいっす」
 ケセランパサランの飼育方法なんて情報を見ていた饗に、メリーが「いいなぁ」と羨ましそうに呟いた。
「メリーもけせら……けせら……? うーん、名前が、長い…! ぱさぱさ! 雪みたいにふってくるからぱさぱさ!」
 ケセランパサランとうまく言えず、メリーは勝手に愛称で呼ぶことにしたようだ。
 そんなメリーの様子にネレム・クロックワークはふふっと柔らかな微笑を口元に称えて天から降ってくる白く愛らしい存在を受け止めるためにそっと両手を差し出した。ふわっとネレムの掌に着地したケセランパサランの見た目はまるで雪そのもの。違う点といえば触っても冷たくないことと、掌の上に乗っても解けないこと。そして、一番大きな違いはまんまるな大きな瞳がついていることだ。
「でも、この子たちはオブリビオンだからね。残念だけど飼うことは出来ない」
 ふわふわと浮いていたケセランパサランを捕まえたダリア・エーデルシュタインがデコピンの要領で軽く白い妖怪をはじいた。ケセランパサランはきゅっと目を瞑ったかと思うとそのままゆっくりと姿を消していく。
「けれども、倒すと幸せが訪れる言い伝えがあるなんて面白いじゃないか」
「ぱさぱさ、たくさんたおしたらこの村がしあわせになる?」
 ダリアを見上げて問いかけるメリーに彼女は「ああ」とにこりと笑顔を浮かべて頷いた。
「せっかくだし、皆でたくさん倒してこの地に幸せをもたらそう」
 ダリアの言葉に饗もスマホをしまい、八重歯を覗かせてグッと拳を握る。
「結局、ケセランパサランの増やし方はよく解らないっすからせめて1体たりとも逃さない様に討つっす!」
 心強い仲間たちにネレムも「そう、ね」と優しく微笑んだ。
「さあ、私たちで此の地に幸せな物語を紡ぎましょう」

 まず最初に動いたのは、饗。早速【香神写し】を発動させると愛用の苦無の写しを創り出す。
「一つが二つ、二つが四つ、香神に写して数数の……っと」
 複製された苦無はケセランパサランたちに狙いを定めると饗の念力でそれぞれがまるで意思を持ったかのようにばらばらに動いて白い妖怪を追いかけていった。
 ケセランパサランは饗が放った苦無に攻撃されてはなるものかとチラチラと後ろを振り返りながらふわふわと逃げ回り、戦意を喪失させるウェーブで反撃を試みる。
 この攻撃をまともに受けてしまったのがダリアだ。
「ダメだ、倒そうという気が削がれる……!」
 思った以上の強敵を前に、ダリアはなんとかケセランパサランの攻撃に負けまいと必死に気持ちを振るい立たせた。
 痛いほどわかったことは、かわいい敵というのはこの世でもっとも強敵であるということ。気持ちを引き締めねばと己を律するダリアを饗が援護する。
「見かけはまるっこいっすけど、こいつはオブリビオンっす」
 猟兵の本業は忘れるべからず。
 饗はこれ以上ケセランパサランをぷかぷかと浮かせないように最も手前にいる1体に向かって【糸】を投げた。そして、剛糸でケセランパサランを捕まえると他の奴に向けてぶん投げて動きを封じる。
「危ない、助かったよ」
 ふぅっと大きく息を吐き、ダリアは赤いエースのハートが描かれたトランプを手に取った。
「それでは、さっきのお礼をさせていただこうか」
 ダリアはスッとエースのカードを口元へと持っていくと軽く触れるようなキスを一つ。それは敵へと送る死への予告状にほかならない。次の瞬間、ダリアが投げたカードがスパッと纏めてケセランパサランたちを真っ二つに斬り裂いた。
 解けるようにゆらめきながらゆっくりと消えていく白い妖怪たちを横目に、ダリアは再び【Kiss of death】を放つ。
 またもやカードが触れたケセランパサランが一気に姿を消していった。
 ――ここは危険すぎる。
 反撃を諦め、逃げることを優先しようとするケセランパサランだったが、もちろん、簡単には逃がしてもらえない。
「ぱさぱさ、逃げるのダメー!」
 ぶぶー! と両手で大きくバツを作ったメリーが「じゃじゃーん!」と嬉しそうに取り出したのは【ともだちのふえ】。
「メリーもともだちと一緒にたーくさんたおすね!」
 ぴゅるるーとメリーが笛を吹けば黄金のライオンが現れた。よいしょとライオンにまたがったメリーは一緒にケセランパサランを追いかけ、ぱん、ぱんと小気味よく白い妖怪を倒していく。
「なんだか雪あそびをしているみたい!」
 ライオンの背でメリーは嬉しそうに手を伸ばした。
 かまくらも作りたいし、雪だるまもいいな。
「ねぇ、ライオンライオン、どう思う?」
 メリーはライオンの首元をそっと撫でながら満面の笑顔を向ける。
 手に触れるケセランパサランは雪のようには冷たくなかったけれども、ふわふわの雪玉みたいに集めて丸くするとメリーはぱん! と白い毛玉をもふっと勢いよく潰した。
 だが、倒されたくないケセランパサランは村中を必死に飛び回り、反撃のチャンスを伺う。
 仲間を召喚し、可愛らしさをアピールすれば、その可愛らしさにぐらりときた猟兵を虜にしようと謎の光線を放った。
「その手には乗らないっす!」
 可愛いアピールが効かなかった饗がケセランパサランに向かって苦無を投げる。
 だが、なぜかダリアは盾となって饗の攻撃からケセランパサランを守ろうとつい動いてしまった。
「はっ!? 今、私は何を……!?」
 思わず勝手に動いてしまった身体に驚きを隠せないダリア。
「なんておそろしいてきなんだ……!」
 自分の両手を見つめ、思わずダリアは呟きを漏らす。
 その隙にケセランパサランはこっそりと逃げ出そうとするが、それを見逃すほど饗は甘くない。
「逃げるつもりならこっちにも考えがあるっす!」
 饗はケセランパサランたちを絡めとらんとすぐさまシュッと剛糸を投げた。極めて細く丈夫なカーボン製の剛糸はちょっとやそっと引っ張ったくらいではびくともしない。剛糸を交わしつつケセランパサランはなんとかして逃げようするが……、逃げ付いた先には【romantica*】を構えたネレムが待っていた。
『光』と『星』の加護を与えられた魔導銃で黒の厄を払い浄めたこの村に聖なる星の祝福を降らせん――。
「耀う星の祝福を、篤と御覧、あれ」
 魔導銃から放たれたのは掌サイズのキラキラひかるお星さま。小さな星たちは辺り一面を照らしたかと思うとゆっくりとその光が消えてゆくその前に、もう一度星が降り注ぐ。
 ネレムが発動させた【煌星の鍵(トゥインクルスター)】に共にいた猟兵たちはもちろん、村人たちも窓から身を乗り出して思わず星を捕まえようと手を伸ばす。
 小さな星はケセランパサランに触れると、一際眩い光を放つもすぐにその輝きが消えてしまった。だが、同時にケセランパサランも消えると代わりに村には幸せが舞い降りてくるはずだ。
「お星さま、すっごくキレイだねー!」
 天から降り注ぐ星を見上げ、メリーはにこにこと笑みを浮かべてネレムを見つめる。
「ぱさぱさといっしょに遊びながら倒せたから、もーっとしあわせになれると思うんだ!」
 楽しい気持ちと明るい気持ちでメリーの表情は輝いていた。
 元気いっぱいのメリーにネレムは「よかった」と柔和な笑みを浮かべて頷く。
「わたしも、お姫さまや、村の人達にこの幸せを届けたい、わ」
 そして、皆の心からの笑顔が見ることが出来たらどんなに幸せだろうか――。
「どうやらあちらの姫様にも届いたみたいだよ」
「あ、こっち見てるっす!」
 ダリアと饗が指し示す先では、宿屋の窓から身を乗り出すようにして笑顔で村を見つめている美濃姫の姿があった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​


 ――白いものが降っているから雪だと思っていたが、どうやら違ったらしい。
 美濃姫は部屋の窓を少しだけ開けるとこっそりと村の様子を伺う。
 見れば、彼女もよく知っている猟兵たちが白いふわふわしたものを打ち払っていた。彼らが武器を振るっているところみると、これは敵なのだろうか。
 小首を傾げる美濃姫だったが、わぁっと歓声が聞こえ、また窓から顔を出す。
 今度は銃を持った二人の猟兵たちが曲芸さながらの技を披露していた。見事な銃技に美濃姫も気が付けば割れんばかりの拍手を送っていた。
 そして、今。
 ふと外を見遣れば、きらきらと輝く美しい小さな星が降っているではないか。
 手に取れないものかと咄嗟に窓を開けて手を伸ばしてみたが、残念ながら触れることは叶わない。しかし、見ているだけで優しい気持ちになれる――そんな星だった。
 星降る空を眺めていた美濃姫だったが、話声が聞こえた方へと視線を向ける。
 見れば、知らぬ顔ではあったが彼らも猟兵なのであろう、何やらこちらを見ていた赤い髪の少女が手を振っているのに気づき、美濃姫も小さく手を振って応えた。
「姫様、祭が始まるようでございます。急ぎお仕度を」
 護衛の者に声をかけられ、美濃姫は「うむ」と頷く。
「すぐに出る! 子雪祭……どんな祭かのぅ」
 楽しみだとほんのり相好を崩し、美濃姫も部屋を後にしたのだった。


第3章 日常 『季節の行事』

POW   :    体力が尽きるまで全力で楽しむ

SPD   :    イカサマを辞することなく楽しむ

WIZ   :    効率よく無駄なく全てを楽しむ

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 村に現れたケセランパサランは猟兵たちが全て退治した。
 ケセランパサランを倒した数だけ、この村にもきっと幸せが届いているはず。
 美しく真っ白な雪に彩られた村で、いよいよ子雪祭が始まる――。

「ほう、大勢の者で賑わっておるのじゃ……!」
 美濃姫は物珍しそうにきょろきょろと村の中を見回した。
 村の一角に造られた巨大な雪山では子供たちが中心となってソリ遊びを満喫している。ハイスピードで斜面を滑り降りるのは見るからにとても楽しそうだ。
「ふむ、ソリは二人で乗ることもできるのじゃな」
 感心する美濃姫の言う通り、ソリは一人で乗るだけでなく、二人で乗ることもできるようだ。窮屈だが三人で乗ることも不可能ではないだろう。
「あっちの雪山はなんじゃ?」
 美濃姫が小首を傾げながら近づいていくと、それは雪で造られた巨大な滑り台だった。どうやらこの滑り台はてっぺんから滑り降りる時間を競争しているようで、優勝者にはこの村の隠れた名物である金柑の甘露煮を使ったお菓子が送呈されるという。お菓子を目当てに子供たちが我先にと雪の滑り台を頬を赤く染めて滑ってゆく。
「優勝するためには一工夫必要そうなのじゃ……」
 速く滑るための方法にはどんなものがあるだろう?
 考え込む美濃姫の視線の先にふと可愛らしい雪像が目に入った。
「あれはなんじゃ?」
 サクサクと新雪を踏みしめながら美濃姫が近づいていくと、そこは村の少女たちが中心となって可愛らしい雪だるまや雪兎等の雪像を作っている。綺麗な雪がたくさんあるので可愛らしい雪像を作るのも記念になりそうだ。
「せっかく作るのであれば大きいものも良いのぅ」
 ふふっと微笑む美濃姫が吐く息は白い。はぁっと冷えた指先に息を吹きかける美濃姫に村人たちが温かい甘酒を勧めてくれる。
 広場に造られた大きなかまくらの中に入ると甘酒の他にお汁粉や焼いた餅、猪汁なども存分に準備されていた。どれもこれも美味しそうで迷ってしまってなかなか手が出せない。

 子雪祭はまだ始まったばかり。
 ――さぁ、あなたは何をしようか?
===================================
 第三章のプレイング受付は、2月10日(日)8:30から開始します。
 開始以前にいただいたプレイングが申し訳ございませんが、
 一度お返しさせていただきます。
 再送は大歓迎ですので、お気持ちにおかわりなければ
 再度プレイングを送っていただけますと幸いです。
 お手数をおかけし申し訳ございませんが、
 ご協力のほどよろしくお願いいたします。
===================================
古峨・小鉄
うにょ。姫さん、こんちゃ(ぺこり
噂はかねがね
今日の息抜き、楽しんどるかの

ふぉー……でっかい滑り台じゃ
てっぺんは見晴らしええじゃろなあ(子どもは高い所が好き
俺アレやりたいじゃっ(虎尻尾ぴっぴこ、しゅたたー
ソリ使えるんならソリ使う。摩擦抵抗限りなく抑えられる
無理なら尻で滑るじゃ(尻尾立てて、ふんすっ
冷たそうじゃけどなっ
俺、何の力技もないけん、素のままでゴー
きゃっは♪楽しけりゃええんじゃ(ちゅるりらー
(楽しかったら何回でも

俺寒いの全然平気じゃけど(子ども体温)甘酒と餅食いたいじゃ
後でかまくら行ったろ
あちっあちっ
俺猫舌ちゃうで。ちゃうって(涙目
ふー。おばあちゃまの甘酒思い出す。めちゃ甘くて美味いんじゃ


メリー・メメリ
雪だー!祭りだー!
さっき聞いたことある鈴の音がしたけど…
あのお姉さんいるかな…?いたらこえかけたいな…!

雪はねー、じゃっじゃーん!なかよしのふえ!
ライオンライドで召喚したともだちと一緒に遊ぶよ!
つよくてやさしいライオンだから大丈夫!たべないよ!

みんなといっしょに沢山あそびたいなー
だって、一人よりもみんなといっしょのほうが楽しいもん!
雪はたまーにみかけるけどぱさぱさを倒したからしあわせのゆきだね!
しあわせの雪ははじめて!

何してあそぼうかな?ライオンライオン、何して遊ぶ?


トゥール・ビヨン
パンデュールには乗らずに行動

ボクは美濃姫様を誘って一緒にソリに乗ってみようかな。

ボクは妖精で体重も軽いし、美濃姫様と二人で乗ってもずっと軽いからソリも速く走れそうだしね。

美濃姫様はソリ初めてでしょ?

それなら、一緒に乗ったボクがサポートするから一緒に滑ろう。

操縦と手をつなぐのスキルで美濃姫様と一緒にソリの綱を握りながら慣れてくるまでサポートするね

飲み込みが早いや、流石だね。

美濃姫様が一人で滑れるようになってきたら、周りの子供達に声をかけて一緒に滑って貰いながらボクはその様子を見てようかな

流石に何度も滑ったら疲れたしね。

ん、良い匂いがする

あっちで甘酒があるんだね

ちょっと取ってこよう

※アドリブ歓迎


オルハ・オランシュ
美濃姫、良かったら一緒に遊ばない?
私はオルハ
君と同じで子雪祭は初めてなんだ
ここは初めて同士で楽しんじゃおうよ!

敢えて故郷のことには触れないでおくけど
思いっきり楽しんで、辛さや寂しさを少しでも紛らわせてもらえたらいいな

ソリ、面白そうだねー
私達も乗ってみよう
より視界の広そうな戦闘は美濃姫に譲るね
怖かったら私の後ろでも大丈夫だよ
準備はいい?それじゃ、行こう!
実際に滑ってみると思った以上にスリリング……!
でもこの疾走感がたまらない!

冷たい風にさらされていたからかな、美濃姫ってば鼻が赤いよー
あ、もしかして私も?
猪汁であたたまっておこうか
そしたら今度は滑り台に挑戦しようよ
まだまだ時間はたくさんあるからね!


レイチェル・ケイトリン
全力で楽しむね。

雪はたりているみたいだし、村長さんと相談して村外れのとこに
氷室をつくるね。

情報収集と地形の利用の技能でよさそうなとこをさがして、念動力とトンネル掘りつかったサイキコネシスで大きめの地下室つくって拠点防御の技術を応用して石を積み上げてしっかりささえるよ。

そしてきれいな雪をしっかり押し潰してつくった氷を丁寧にはこびこむね。

わたしたち猟兵なら氷くらいいつでもこまらないけど、この世界の人たちにとって夏の暑いときの氷って貴重品だよね。

だから、おもしろそうだし、こんなのつくってみたよ。

おまつりのさいごに村長さんからみんなに発表してもらうね。

みんなよろこんでくれるかな。


十六夜・月
騒いだ分はゆっくりくつろがないとねぇ~幸い甘酒やら食べ物やら豊富にあるみたいだし。

ゆっくりくつろぎながら周りの仲間や村人の行動を楽しみながら飲食をします。
[アドリブOK]


月舘・夜彦
雪像やかまくらを作るのは人手が必要でしょうから手伝います
この祭りの主役は子供、楽しめるような物を作らなければなりませんね

かまくらは山を作るだけではなく、中を削っても崩れないよう綺麗に作る事
穴は一つが基本ですが前後に開けてトンネルにしてみましょうか
雪像は子供達が作りたいと思う物を手伝います
枝や木の実も飾りとして用意をしてきました
美濃姫様も何か作ってみますか?

私の居た里もこのように雪が多く積もる土地でした
雪が積もると子供達は今のように遊んでいたものです
子供達が大人になるまでに、少しでも良き世の中にしなくてはなりません
多野の者達もこのように過ごせるよう私も尽くします
今後ともよろしくお願い致します


イリア・ホワイトアイス
掃討、お疲れ様です
ケセランパサランは景観を壊すような色でも無いので、余りやる気が出ず、お任せしましたが……問題無かったですね

ふむ……どうしましょう
雪景色を汚されるのが嫌で、つい来てしまったのですが、祭りのことは考えていませんでした

当てもなく歩き、目についたのは雪像エリア
並ぶ雪像を見て、思い浮かぶのは自分が操る氷の兵士
雪も氷の一種、戦闘に耐える強度が必要ないなら、割と自由に作れます
雪だるまや雪兎を魔法で再現
操作も可能なので、飛び跳ねたり、回ったり、踊ったり(?)
驚かせてしまうでしょうか?
まあ、特にすることも無い身ですし……リクエストでもされれば、望む形の雪像を作ったり、動かしたりしてあげましょう


セリオン・アーヴニル
村の安全を確保すると言う目的は達成した訳だが、どうしたものか。
祭りに参加する事自体はあまり考えてはいなかったので、若干手持無沙汰だな…

ひとまず、祭りの様子でも眺めながら甘酒でも啜っていよう。
こんな不機嫌面で愛想の無い輩に寄って来る奴がいるとは思いにくいが、
物好きな村人でもいれば応対するのもやぶさかではない。
特にガキ共や美濃姫に絡まれたなら…遊びに付き合うのもたまには悪くはないか。
表情や態度はさておき、大人気もなく文字通り『全身全霊』で構ってやろう。

機会があれば、多分満喫しているだろう美濃姫に一言。
「そんな『顔』も出来るなら、ここに来た意味は十分にあっただろう?」
思い出は…そう、大事だからな。


香神乃・饗
そりっすか!面白そうっす!

そりの裏をしっかり磨いて摩擦を少なくしておくっす!
思いっきり助走をつけてつっこむっす!
寝そべる様にのって風の抵抗も少なくするっす!
めっっっちゃんこ気持ちいいっす!!
冷えきった空気の中弾丸となって突き抜ける爽快感を満喫するっす!

優勝できても辞退しておくっす!
雪の中思いっきり滑りたかっただけっすから!受け取れないっす!

エクスマキナさん、ご案内お疲れっす!
後ろ、のってかないっすか?(そりの後ろをしめす)
自称そり名人がエスコートするっす!めっちゃんこ気持ちいいっす!




「雪だー! 祭りだー!」
 サクサクと新雪を踏みしめながら楽しそうに歩くメリー・メメリだったが、チリンと聞き覚えのある鈴の音に思わず足をとめる。
(「あのお姉さんのお守りの鈴だ……!」)
 行き交う人の波に負けじと音を頼りに辺りを見回せば、見知った顔を見つけてメリーは嬉しそうに顔を綻ばせるとぎゅっと腕に抱きついた。
「お姉さん、こんにちは!」
 突然のことで驚きを隠せないオルハ・オランシュだったが、抱きついてきた少女がメリーだとわかると「こんにちは」とにっこりと笑顔を浮かべる。
「君も子雪祭に来ていたんだね。……ねぇ、何して遊ぶか、もう決めた?」
 オルハの問いにメリーはゆっくりと首を横に振った。
 せっかくならば皆と一緒に遊びたいとは思っていたが、何をするかはまだ決めていない。
「お姉さん、何して遊ぶの?」
「どうしようかな。ソリとか面白そうだなって思ってるけど……」
 うーん、と顎に手を添えて迷う素振りを見せるオルハの発言にメリーはぱっと顔を輝かせる。
「ソリ! ねぇねぇ、メリーも一緒に行ってもいいかな?」
「うん、いいよ。一緒に行こう」
 はぐれないように、とオルハが差し出した手をメリーは嬉しそうにぎゅっと握り、二人はソリ遊びで賑わう雪山へと歩いて行った。

「どこも賑わっておるのぅ」
 キョロキョロと辺りを見回し、祭を楽しんでいる人々を見つめる美濃姫の瞳はキラキラと輝いている。
「夜彦、童子たちが楽しそうに遊んでおるのじゃ!」
 美濃姫をエスコートする月舘・夜彦の袖を引っ張り、指差したのはまっしろな大きな雪の山。
 いそいそと雪山へと歩いていく美濃姫を見守る夜彦は、普段の家臣たちの前とは異なる美濃姫の口調に気づき、そっと口元に笑みを浮かべた。
 夜彦たちの目の前では、雪で出来た巨大な山につくられた雪のコースを軽快に子供たちが次々にビュンビュンと風を切って滑り降りていく。
 暫く雪山と滑り降りてくる子供たちを交互に見つめていた美濃姫だったが、不意に背後から声をかけられた。
「姫さん、こんちゃ。今日の息抜き、楽しんどるかの」
 慌てて振り返る美濃姫にぺこりと行儀よく頭を下げたのは、古峨・小鉄と名乗った白虎の少年。ぴこぴこと風に揺れる大きな虎尻尾が目を引く少年だった。
 小鉄は滑り台を見上げると、ふぉーと大黄な溜息をついた。
「てっぺんは見晴らしええじゃろなあ」
 滑り台のてっぺんから見える景色に心弾ませ、小鉄は決めた! と嬉しそうに声をあげる。
「俺コレやりたいじゃっ。姫さんもいっしょにどうじゃ?」
「う、うむ……妾も登ってみるかのぅ」
 ちらりと見上げる美濃姫に夜彦は賛成の意を示して頷いて。
「では、私は村を散策して参ります」
 尻尾をぴっぴこ揺らし張り切って登る小鉄に続き、美濃姫は夜彦と別れ、ゆっくりと慎重に雪の階段を登り始めた。
 雪山のてっぺんは想像していた以上に高さがあったが、小鉄が思っていた通り障害物がないので遠くまでよく見渡すことが出来る。
(「あっちの方角は、多野の……」)
 澄んだ青空の向こうに見える故郷を見つめる美濃姫の眼元にきらりと光る何かが見えた気がしたが、小鉄は気づかない振りをして声をかけた。
「姫さん、コレ、姫さんの分のソリじゃ」
「これに乗って滑るのかぇ?」
 ぐっと眼元を擦り何でもない顔でソリを受け取り、ちょこんと首を傾げる美濃姫に、小鉄はこくりと頷く。
「ソリあった方が摩擦抵抗を限りなく抑えられるじゃ。それにソリがないと冷たそうじゃ」
 確かに、小鉄の言う通りソリがないと冷たいし服も濡れてしまいそうだ。
「俺から先に滑るじゃ。姫さん、下で待っとるじゃ」
 ひらひらと手を振り、小鉄がソリに乗って勢いよく滑り台を滑り降りていった。
 何の力技もなく、素のままではあったが風をびしびしと切って猛スピードで滑っていくソリはとても楽しい。見た目は長そうに見えた滑り台もあっという間に滑り終えてしまうというのが唯一の難点か。
「きゃっは♪ 楽しかったじゃ。姫さんも楽しかったじゃ?」
 続いて滑り降りてきた美濃姫に小鉄は嬉しそうに尻尾を揺らしながら満面の笑みを浮かべて問いかけた。
 美濃姫はこくりと頷いたものの、顔面蒼白。
「あれ? 姫さん顔色悪いじゃ」
 怖かったじゃ? と小鉄に問われ、美濃姫は慌てて首を横に振る。
「こ、怖くなんてないのじゃ。これは童子向けの遊びじゃからな。妾には物足りないくらいなのじゃ」
「なら良かったじゃ。もう一度行くじゃー♪」
 いそいそとソリを抱えて再び雪山を登るご機嫌な小鉄の後を慌てて美濃姫も追いかけた。
「次は、もっとスピードだしちゃろ。優勝狙うじゃ」
 ふんすふんすと鼻息荒く張り切る小鉄を前に、美濃姫もやらないという選択肢はなく。
 小鉄も美濃姫も二人とも吐く息は白く、寒さで頬は赤く染まり。それでも二人は風になった気分を味わいながら、もう一回、もう一回と雪山を何度も滑り降りていく。
「はぁー、楽しかったじゃ。姫さんもええ顔しとるし。楽しかったならよかったじゃ」
「そうかぇ? まぁ確かに想像していたよりも楽しかったじゃ……」
 ほんのりと頬を赤く染め、ぷいっと顔を背ける美濃姫を面白そうにニヤニヤと笑みを浮かべて小鉄は見つめていたのだった。


 ケセランパサラン討伐の済んだ村は、真っ白な美しい雪景色が広がり、人々もまた楽しそうに子雪祭を楽しんでいる。
 そんな村人の晴れやかな顔にイリア・ホワイトアイスは満足そうに何度も頷くが、さて、これからどうしようかと暫し天を仰いだ。
(「雪景色を汚されるのが嫌で、つい来てしまったのですが……」)
 祭のことまでは考えていなかったというのが正直なところだ。
 当てもなく村内を歩くイリアの目の前にある大きな雪山では、子供たちを中心にソリ遊びで賑わっている。
「ここではソリ遊びを楽しんでいるのですね」
 なるほど、と独り言ちてイリアはふらりと歩き出した。
「そりっすか! 面白そうっす!」
 ソリ遊びに興味を持った香神乃・饗は早速雪山を元気いっぱいに登っていく。
 頂上についたらソリの裏をしっかりと磨き、摩擦を少なくして準備は完了。
「それじゃ、行くっすー!」
 饗は勢いよく助走をつけてソリに突っ込むようにして乗り込むと寝そべるような姿勢のまま一気に斜面を滑り降りていった。
「めっっっちゃんこ気持ちいいっす!!」
 冷たく肌に刺さるように冷え切った空気の中をまるで弾丸になって突き抜ける爽快感を満喫して饗は嬉しそうに満面の笑みを浮かべる。
「わぁぁ、楽しそうなのねー!」
「あ、エクスマキナさん、ご案内お疲れっす!」
 子雪祭を物珍しそうに見ていたユニ・エクスマキナに気づいた饗がひらりと手を振れば、ユニも愛想よく手を振って応えた。
「後ろ、のってかないっすか?」
 (自称)ソリ名人の誘いとあれば、ユニももちろん二つ返事でOKする。
「ちゃんとエスコートするっす! めっちゃんこ気持ちいいっす!」
「ユニ、ソリに乗るなんて初めて! 楽しみなのねー!」
 饗と一緒にソリに乗り。再び二人はビュンビュンと風を切って斜面を滑ってゆく。
「身体を低くする方が風の抵抗が少なくなるっす!」
「んーと、こんな感じかな?」
「そうっす! 上手いっす!」
 冷たい風が頬を刺すように吹き付けるが、この疾走感はたまらなく心地良い。
「めちゃんこ気持ちいいっす!」
「饗くん、これすっごく速いのね! これなら優勝も狙えるんじゃない?」
「いやいや、雪の中思いっきり滑りたかっただけっすから! 例え優勝できたとしても受け取れないっす!」
 謙遜する饗を謙虚だなぁとユニは見つめ。
 ――さぁ、もう一度。
 斜面を滑り終えた二人は立ち上がるとどちらともなく再び坂道を登り始めた。
 一方、もう一度滑り台に挑戦するという小鉄と別れた美濃姫だったが、彼女の名を呼ぶ、聞き覚えのある声に辺りをきょろきょろと見回す。この声は……。
「美濃姫様!」
 美濃姫の前に姿を見せたのは、トゥール・ビヨン。見知った顔に美濃姫は安堵の笑みを浮かべて話しかけた。
「トゥール! トゥールもソリ遊びをするのかぇ?」
「うん、せっかくだしね。そうだ、美濃姫様も一緒に滑ろうよ!」
 トゥールの誘いに美濃姫も迷うことなくこくりと頷き、二人は雪山を登っていく。
「妾、さっき滑り台をソリで滑ってみたのじゃ。ソリは怖くないぞぇ」
 ふふん、と胸を張る美濃姫だが、実は先程の滑り台とは同じソリでもちょっと勝手が違うことにまだ彼女は気づいていなかった。
 滑り台は雪で出来たコースを滑るので転倒するということは少ないが、このソリ滑りはコースがないので途中で転んだりひっくり返ってしまう可能性があるのだ。だが、美濃姫はこのことには気づいていないようで……。
「トゥール、妾にしっかり捕まっておるのじゃぞ」
 美濃姫はソリに乗るとポンと地面を蹴って軽快に雪山を滑っていく……予定だったのだが、山の中腹でバランスを崩し、ソリはべしゃぁっと思い切り雪に突っ込んでいった。
「むむむ、さっきは上手く滑れたのに……」
 むくりと雪の上に起き上がり、眉根を寄せる美濃姫の前でトゥールはくるりと回って口を開く。
「大丈夫、今度はボクがちゃんとサポートするから。もう一度滑ってみよう?」
 立ち上がった美濃姫は再びトゥールと一緒にソリ滑りに挑戦。
 今度はトゥールも一緒にソリの綱を握ってくれ、ソリがバランスを崩しそうになると絶妙なタイミングでソリを操り体勢を立て直してくれるので、今度は転倒することなく雪山を滑り降りていった。
「上手に滑れたのじゃ!」
 トゥールのおかげじゃな、と笑顔を浮かべる美濃姫に、トゥールも嬉しそうに目を細める。
「さぁ、もう一度滑ってみようよ! 美濃姫様、飲み込みが早いしもっとスピード出してもいいんじゃない?」
「ま、まぁそれは、その時の成り行きで……」
 視線を逸らして言葉を濁す美濃姫にトゥールはくすりと笑みを浮かべ、雪山を登っていった。

 白い雪煙をあげ、ザァッとソリが雪山を滑り降りてくる。
 ばっちりコツを掴んだ様子の美濃姫は満足そうにソリから降りると傍らのトゥールに話しかけた。
「ソリ遊びとは、なかなか面白いものじゃのぅ」
「美濃姫様もすっかり慣れたみたいだね」
 楽しそうな美濃姫を見てトゥールも嬉しそうにパタパタと羽を動かす。ソリ遊びを気に入ってくれたのは良かったが、さすがに何度も滑っていると少し休憩したい気分にもなってきて……。
 誰か他に美濃姫と一緒にソリで滑ってくれる人はいないかとぐるりと見回すトゥールは二人の少女たち――オルハとメリーと目があった。
 少女たちも猟兵だと気づいたトゥールは手招きして二人を呼ぶ。
「ねぇ、君たちもこっちで一緒に遊ばない?」
 トゥールの誘いにオルハとメリーは嬉しそうに頷いた。そして、初めまして、と美濃姫にペコリと頭を下げる。
「こんにちは、美濃姫。私はオルハ。よろしくね」
「あたしはメリー! 一緒に遊ぼうー!」
「オルハとメリーじゃな。よろしく頼むぞ。皆で遊ぶ方が賑やかで楽しいからのぅ」
 早速ソリで遊ぼうという美濃姫と共に、オルハとメリーはトゥールに見送られて雪山を登っていった。
「美濃姫は景色が良く見えそうな先頭にどうぞ」
 ソリの前に乗るようにと促すオルハだったが、「あ!」と気づいて慌てて美濃姫に声をかける。
「もしも怖かったら私の後ろでも大丈夫だよ」
 どうする? と尋ねるオルハに美濃姫は小さく口を尖らせて。
「妾、子供ではない故、怖くなどないのじゃ」
 いそいそとソリに座るとオルハに後ろに座るように告げた。
「メリーは?」
 3人でも乗れるかな? と考えるオルハにメリーは首を横に振ると「じゃーん!」と嬉しそうに【なかよしのふえ】を取り出して見せる。
「メリーはこれでお友達を呼ぶから!」
 ぴゅ~ひょろろ~と笛を吹いてメリーが呼んだのは黄金の鬣を持つ仲良しのライオン。
「獅子が現れたのじゃ……!?」
 ガタッとソリから立ち上がり、ビックリして目を丸くする美濃姫に慌ててメリーは顔の前でパタパタと手を振った。
「つよくてやさしいライオンだから大丈夫! たべないよ!」
 メリーの言葉に美濃姫はふぅっと安堵の溜息をつくと再びソリに腰を下ろして準備万端。
「よーし、それじゃ、行こう!」
 オルハがぐぐっと力を込めてソリを押すとソリはゆっくりと滑り始める。助走をつけてオルハがソリに飛び乗ると、二人を乗せたソリはびゅんっとスピードを増して斜面を滑り降りていった。
「メリーたちも行こう!」
 メリーはライオンの背にぴょんと乗ると、首を優しく叩いてスタートの合図をする。ライオンはガオゥと一声あげると一気に雪山を駆け下り始めた。
「わぁ、はやいはやい!」
 大はしゃぎの三人の声が雪山に響き渡る。実際に滑ってみると想像以上にスリリングであったが、この疾走感は病みつきになりそうだ。
 冷たい風を正面からあびた真っ赤な顔に笑みを浮かべ、オルハたちは滑り終えるや否や三人顔を合わせて同時に口を開いた。
「「「もう一回!」」」
 滑ったり、転んだりするのもご愛敬。服や髪に雪がつくことも厭わずキャッキャと楽しそうにソリ遊びを楽しむ少女たちを微笑ましそうにトゥールが見守っている。
(「美濃姫も楽しそうでよかった。このお祭りで少しでも辛さや寂しさを少しでも紛らわせてもらえたらいいな」)
「オルハ、メリー、行くのじゃ!」 
 何度も何度も繰り返してソリ遊びを楽しんでいた三人の少女たちだったが。
「あ、美濃姫ってば鼻が赤いよ~。寒くなってきたかな?」
 オルハの言葉に美濃姫は慌ててバッと鼻を両手で押さえた。
「オルハの鼻も真っ赤なのじゃ」
「え? 本当だ、冷たくなってる」
 鼻を押さえるオルハの隣では、メリーがはぁっと両手に息を吹きかけて温めている。
「ん……いい匂いがする。あっちで甘酒を配ってるみたいだよ」
 行ってみようか、とトゥールが誘えば三人ともこくりと頷き、共に歩き出した。
「温かいものを食べて、ちょっと休憩しよう」
 ――大丈夫、まだまだ遊ぶ時間はたくさんあるのだから。


 一方その頃、村外れへとやってきたレイチェル・ケイトリンは周囲の地形を丁寧に確認し始める。
 レイチェルが今からここでやろうとしていること――それは、この村のために氷室を作ることだった。
 夏の暑い時期は氷は貴重品だろうから、今の季節から氷を貯蔵できる場所を作るというレイチェルの申し出に、雪柳村の村長は諸手を挙げて賛成した。そして、氷室を作る場所として村長が提案したのがこの村外れの場所だった。木々が風に揺らめくこの場所は夏場でもひんやりしているので氷室を作るにはもってこいだという村長の言う通り、確かに向いていそうな場所だ。
「それじゃ、さっそく……」
 レイチェルは大きく深呼吸を一つするとサイコキネシスを発動させた。
 念動力とトンネル掘りをフル活用してレイチェルは大きめの地下室を作り上げる。部屋の中は石を積み上げてしっかりとした造りにしたので安全面でも問題はないだろう。
 黙々と作業をして氷室を作り上げたレイチェルは、続いて綺麗な雪を押し潰して作った雪を地下室の中へと運び込んでいく。この氷は今度の夏に雪柳村の人々に使ってもらうための氷だ。
 念動力で氷を運び終えたレイチェルは、積み上がった氷にそっと手を触れて独り言ちる。
「みんな、よろこんでくれるかな」
 氷室が出来たことを村長に報告しようと、レイチェルは足取り軽く村へと戻っていったのだった。


 オブリビオンたちが倒され、平和が訪れた村を散策しながらセリオン・アーヴニルは一人どうしたものかと考えていた。
(「村の安全を確保すると言う目的は達成した訳だが、さて、これからどうするかな」)
 セリオンもまた祭に参加するということ自体あまり考えていなかったゆえ、手持無沙汰であるのは否めない。
 そんなセリオンではあったが、広場の前で甘い香りに誘われふらふらと吸い寄せられるようにかまくらへと近づいて行った。
「ふむ……甘酒か」
 村人に礼を言って受け取り、一口啜ればほんのりと柔らかい甘みが口の中に広がり、ぽっと身体の中が温まる。
 賑わう村の様子をのんびりと眺めるセリオンの姿を見つけ、村の子供の一人が嬉しそうに指をさして叫ぶ。
「あ、さっきのお兄ちゃん見つけたー!」
 子供の声に惹かれるようにわっと一斉に少年たちがセリオンを取り囲んだ。
「ねぇ、お兄ちゃん、さっきのカッコいいやつもう一度やって!」
「僕も見たい!!」
「ねぇ、いいでしょ? お願い、お願いー!」
 先程とはうってかわって不機嫌面で愛想も見せないセリオンだったが、子供たちはお構いなし。甘酒を飲ませる暇もなく「早く早く」とセリオンの腕を引っ張ってかまくらの外へと連れだしていった。
「仕方がない……遊びに付き合うのもたまには悪くはないか」
 残っていた甘酒を勢いよく飲み干すと、セリオンは子供たちと遊ぶためにかまくらを出ていく。
 そんなセリオンと入れ替わりでかまくらに暖をとるためにやってきたのは十六夜・月だ。
「騒いだ分はゆっくりくつろがないとねぇ~」
 餅を乗せた七輪に手をかざし、月は何から食べようかとぐるりと周囲を見回す。
 甘酒、お汁粉等の甘味もいいが、まずは猪汁で腹を膨らませるか。目の前で焼いているお餅も美味しそうだが、餅はお腹にたまるので後回しにする方がいいか……。
 むむ、と悩む素振りを見せる月に村人がくすりと笑って声をかけた。
「おや、何を食べようか迷っているのかい。大丈夫、どれもまだまだたくさんあるからね。好きなものを好きなだけお食べ」
「それじゃぁ、お言葉に甘えて……」
 まずは空腹を満たそうと月は猪汁へと手を伸ばす。
 大根、ゴボウ、里芋、人参といった根菜の他にこんにゃくや油揚げも入っており具沢山で見た目にも豪華だ。汁をゆっくりと啜ると肉の出汁がしっかりと出ておりショウガと味噌の風味としっかり合っていて美味しい。
 そして、月は主役の猪肉をそっと齧る。
 ビックリしたのはその肉の柔らかさだった。正直、猪肉は硬そうなイメージがあったのだが、そんなことは全くなく。あっさりとした肉の味は食べやすく、これならばいくらでも食べれてしまいそうだ。
 猪汁を堪能しながらほっこりと心も身体も温まった月の耳に賑やかな一行の声が聞こえてきた。ソリ遊びで冷えた身体を温めようと、休憩を兼ねて美濃姫たちがかまくらへとやってきたのだ。
「わぁ、猪汁も美味しそう! 美濃姫は何を食べたい?」
「ふむ……妾は甘酒が良いのぅ」
「じゃぁ、ボク取ってくるね」
「メリー、お汁粉食べてみたいな~!」
 皆それぞれ気になるものを選ぶと、いただきます、と手を合わせる。
 温かい食べ物が冷たくなった身体を内側から温めてくれると同時に空腹も満たされていった。
「姫さん、また会ったのじゃ」
「あ、小鉄も来ておったのかぇ」
 両手を温めるように甘酒を抱える美濃姫の隣に小鉄はちょこんと腰かけて焼きたての餅に勢いよく嚙り付く。
 あちちっと涙目になる小鉄を見て美濃姫はくすりと小さく笑うとさて、これからどうしようかと考え込んだ。
 滑り台やソリ遊びも楽しかったのでまたやっても良いが、他にどんなものがあるか、のんびり村を散策するのも悪くないか。何やら向こうの広場が賑わっている気配がしているのが少々気になるやも――。
 よしっと美濃姫は早速立ち上がり、ぐっと大きく伸びをする。
「妾は、ちょっとあっちの広場を見てくるのじゃ」
 先に行っておる! と休憩モードの猟兵たちに手を振って、美濃姫はサクサクと楽しそうに雪道を歩いてゆくのだった。


 イリアが特に当てもないまま村をのんびりと散策していたところ、辿り着いたのは大きな広場だった。辺り一面真っ白な雪野原では子供たちが楽しそうに雪像を作って遊んでいる。
 雪原に並ぶ大小様々な雪像を見て、イリアの頭をふと過ったのは彼女が戦闘時に操る氷の兵士たちのことだった。雪も氷の一種といえるため、イリアにとっては扱い慣れたものである。ましてや戦いで必要とされる強度が不要であれば、自由に作ることも可能である。
「せっかくですし、作ってみましょうか」
 魔法を使って一瞬にして雪だるまを作って見せると広場にいた子供たちの目の色が変わった。
「おねえちゃん、スゴイ……!」
 思わず息を呑む子供たちを前に、イリアは魔法で作った雪だるまを操作してクルクルっと回ったり、器用に踊ったりしてみせる。
「うわぁぁぁ……! スゴイ、スゴイ、スゴイ……!!」
 何で? どうやってるの!? とわぁっと集まってきた子供たちに囲まれてイリアが目を丸くした。
(「驚かせてしまうかと思いましたが……」)
 こんなに喜んでくれるのであれば、と次は雪兎を作ってぴょんぴょんと飛び跳ねさせてみせる。
「みてみて、おにいちゃん。ほら!」
 子供たちにせがまれて一緒にかまくらを作っていた夜彦も作業の手を止めてイリアが魔法で動かしている雪像たちに視線を向けた。
「兎さん、ぴょんぴょん跳ねてかわいいね」
 にこりと笑顔を向ける少女に「そうですね」と夜彦も頷き。
「おぉぉ、おにいちゃん、ほらほら、雪だるまが動いてる!」
 子供たちと全身全霊で遊んでいたセリオンもまた魔法で動く雪だるまを見て「ほぅ」と感嘆の声をあげる。
「ねぇ、お兄ちゃん。あの雪だるま、さっきみたいに倒せる?」
 一人の少年のリクエストにセリオンはちらりとイリアを見遣った。
「さっきみたいに……ということは、銃で撃てばいいのかい?」
 イリアはこくりと頷くと、さっと手を振り雪の兵士を作って見せる。
「まあ、特にすることも無い身ですし……リクエストがあれば喜んで」
 ただし――こちらも反撃しますけど。
 イリアが作った雪の兵士たちはセリオンや少年たちに向かって雪玉を投げてきた。きゃっきゃと喜んで逃げ回る少年たちもまた雪の兵士に向かって雪玉を投げて応戦する。
「ならば――」
 セリオンがさっと人格を入れ替えると同時に彼の纏う雰囲気と表情が先程までとは変わって優しいものに変わった。
 セリオンはすっと精霊銃を取り出すと、目にも止まらぬ速さで雪玉を素早く撃ち抜いていく。
 わぁっと歓声をあげる子供たちに手を振って応え、イリアとセリオンによる即席のショーが始まった。
「おぉ、すごい迫力なのじゃ」
 どのような仕掛けかはわからないが、雪で出来た兵士を自由に操るイリアに、躍るような美しい銃技で見ているものを魅了するセリオン。
 二人を見つめる美濃姫もまた子供たちと同じようにキラキラと瞳を輝かせて見入っている。
「夜彦、二人とも素晴らしいのぅ」
 かまくら――と思っていたら前後に穴が開いているのでこれはトンネルか――を作っていた夜彦に美濃姫は話しかけた。
「夜彦は何をしておるのじゃ?」
「子供たちと一緒にトンネルを作っておりました」
 この子雪祭の主役は子供たちだという。ならば、その主役が楽しめるような物を作らなければならない。
 かまくらの要領でつくられた雪のトンネルは、崩れないように綺麗に削られ固められた内側の壁はすべすべで触るととても滑らかに仕上げられている。
 大喜びで何度もトンネルをくぐる子供たちを嬉しそうに見つめ、夜彦は美濃姫に声をかけた。
「美濃姫様も何か作ってみます?」
 夜彦が差し出したのは雪像の飾りに使えるようにと用意された枝や木の実。
 美濃姫もこくりと頷くとコロコロと雪玉を転がし始める。
「私の居た里もこのように雪が多く積もる土地でした」
 夜彦は美濃姫を手伝って雪玉を転がして大きくしながら姫に語り掛けた。
 雪が積もると子供達は今のように遊んでいたものだと夜彦は昔を懐かしむように目を細める。
「子供達が大人になるまでに、少しでも良き世の中にしなくてはなりません。私は、多野の者達もこのように過ごせるよう全力を尽くします」
 ――どうぞ今後ともよろしくお願い致します。
 丁寧に頭を下げる夜彦に美濃姫は嬉しそうに「うむ」と大きく頷いた。
「ただし、一つ条件があるのじゃ」
 条件という思いがけない言葉に夜彦は作業の手を止めて意外そうな顔で美濃姫を見つめる。
「――お主も無事に戻って来るのじゃぞ」
 民も家臣も大切だが、夜彦たち猟兵も大切な存在の一員なのだから。
 美濃姫の言葉に夜彦は「承知しました」と頷いた。


 暮れ始めた太陽が、楽しかった子雪祭もそろそろ終わりの時間が近づいていることを告げている。
「うむ、出来たのじゃ」
 夜彦と一緒につくった雪だるまを満足そうに見つめる美濃姫の傍を、村長と共に一人の少女が通りかかった。
「レイチェル、お主どこへ行っておったのかぇ」
 祭の間、彼女の姿を見かけなかったことに気づいた美濃姫が声をかけるとレイチェルは村はずれを指差して氷室を作っていましたと答えた。
「氷室……?」
「雪や氷をしまっておくへやです。夏に氷がたくさんあったらべんりじゃないかなと思いました」
 怪訝そうな美濃姫に、レイチェルは氷室をつくろうと思った経緯を説明する。彼女の話を聞いた美濃姫はなるほど、と手を叩いた。
「それならば、夏にかき氷がいっぱい食べられるのじゃ!」
 美濃姫の言葉に今度は広場にいた子供たちが驚いて顔をあげる。かき氷がいっぱい食べられるなんて、夢のようだ。
 嬉しそうな様子の美濃姫や子供たちにレイチェルはくすっと笑みを浮かべて頷く。
「こんどの夏がたのしみですね」
「そうじゃ、また夏になったらここへ来なければならぬな」
 かき氷に思いを馳せ、相好を崩す美濃姫を見て、セリオンが声をかける。
「そんな『顔』も出来るなら、ここに来た意味は十分にあっただろう?」
 その言葉に美濃姫は一瞬考え込んだ後。素直に「うむ」と答えた。
 美濃姫の言葉を聞いて。楽しい一日が過ごせたなら何よりだとイリアも頷く。
「あ、美濃姫様、見―つけた!」
 トゥールと共に、オルハやメリー、小鉄や月も広場へとやってきた。
「ねぇ、美濃姫。日が暮れる前、最後に何しよっか?」
「ソリ、ソリにするじゃ! 俺も行く!」
「いいなぁ、メリーも行くー!」
 美濃姫と一緒に雪山へと向かう一行の背を見送る月もゆったりとした一日を過ごすことが出来て楽しかったなと今日を振り返る。
「ソリ遊び、楽しかったっす! 最高っす!」
 ソリを満喫したと大喜びの饗に、ユニも「またやりたいのねー!」と笑顔で答えた。

 楽しい一日もそろそろお別れの時間。
 この子雪祭の日はとても大切な思い出として皆の中に刻み込まれた筈。
 願わくば、またいつの日か皆に会うことが出来れば。
 ――この、幸せの雪が降った村で。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月14日


挿絵イラスト