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【Q】「ラスボス」と「鉄人」たちのハロウィン

#アリスラビリンス #【Q】 #お祭り2020 #ハロウィン

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●追い詰められたオウガは路線変更を余儀なくされた
「ついにネタが切れたわ」

 そのオウガ、エシーラはがっくりと頭を垂れていた。

「ただアリスを食べるというのも味気ない、と思って始めたらとっても楽しくなってしまったアリスへの拷問も、もう粗方やり尽くしてしまったわ。もう私の頭では新たな拷問方法を思いつくことができないのよね」

 エシーラはオウガの中でも特に嗜虐性が高いことを自覚していた。これまで彼女が捕食してきたアリスは、皆例外なく、この場で語ることも憚られるような身の毛もよだつ方法で拷問され、苦しみ悶えた末に食われていった。しかし、興が乗って新たな方法を模索しているうちに、彼女の拷問の探求は袋小路へと行き詰まった。そう、ネタ切れである。

「……そろそろ私は芸風を変える時が来たのかしらねぇ」

 血の滴るスプラッター路線から、サイコホラー路線へと移行すべきなのだろうか、それとも理不尽な方向に突き抜けるべきだろうか、と思案しながら歩き回っていると、エシーラはいつの間にか自分が「ハロウィンの国」に迷い込んでいることに気がついた。

「ハロウィン……といえばコスプレよねぇ。そうねぇ……私もエナメル製の服に身を包んでムチのひとつでもシバいた方が良いのかしら」

 そんなことをぼんやりと口走るエシーラの脳裏に、その時、電流のような閃きが駆け巡った。『ハロウィンの国』に残されていたオウガ・オリジンの残留思念が、エシーラに働きかけたのである。それは残虐さに自信のあるエシーラですら思いもよらぬ悪魔的な発想であった。

「──なるほど、そういうことね。 この方法ならば……新たな惨劇を演出できるわ!」

●食通のグリモア猟兵は雄弁に語る
「私の記憶が正しければ──」

 ウォーマシン、ジェイミィ・ブラッディバック(脱サラの傭兵・f29697)はグリモアベースに集まった猟兵たちを前に語りかけながら、手近にあったパプリカを手に取ると生の状態で口にする。ウォーマシンの彼がどうやって食べているのかは、口元にパプリカを持っていった瞬間に謎の光が差し込んできたため、居合わせた猟兵たちは決定的な瞬間を見ることができなかった。

「──ハロウィンとは元々ケルト文化において現世に蘇る死者の霊を迎えつつ、有害な妖魔の類から身を守るために仮面を被る形で仮装をした、という祝祭でした。今日では仮装をして街を練り歩き、お菓子を貰い歩く季節のイベントとして知られていますね」

 ハロウィンについての講釈を垂れるジェイミィ。猟兵たちの反応は様々で、へぇ、という声も上がれば興味なさげにそっぽを向く者もいる。

「さて、アリスラビリンスの各所に、『ハロウィンの国』という領域が発生していたことが確認できました。現地にはしゃべる南瓜ランタンや、コスプレ衣装の飛び出す森、食材が完備されたキッチン、明らかにエレクトリカルでドリームライツなパレードをするためだけに整備された道などが存在しているようです」

 ただ、とジェイミィは人差し指を立てた。

「もちろんアリスラビリンス、ただの楽しい領域では終わりません。こちらを御覧ください」

 ジェイミィが手元の端末を操作すると、背後のスクリーンに一人のオウガの姿が浮かび上がる。その姿を見た猟兵たちの大半は、はっと息を呑んだ。

「えぇ、この姿をご存知の方も多いことでしょう。アリスラビリンスのオブリビオン・フォーミュラ、原初のオウガにして原初のアリス。迷宮災厄戦を引き起こした元凶の一人。オウガ・オリジンが絡んでいました」

 オウガ・オリジンは迷宮災厄戦の末に斃れた。しかし、かのオブリビオン・フォーミュラは己のユーベルコードで現実改変を繰り返し、悪夢のような世界を多数生み出したのだ。その爪痕は今もなおアリスラビリンスの各所に存在する。

「この『ハロウィンの国』もそのひとつで、オウガ・オリジンの力を受けたオウガたちが潜み、訪れる者に悲惨な末路を味わせようと待ち構えているのです。さて、それでは今回のミッションを説明しましょう」

 ジェイミィが右手を広げてスクリーンを示す。そこには「ハロウィンの国」と命名された領域のマップが表示される。

「今回皆さんに向かっていただくのは『ハロウィンの国』のひとつです。現地を支配するオウガを排除してください。まず、グリモアから転移した先は『コスプレの森』です。えぇ、先程説明したコスプレ衣装が大量に飛び交う摩訶不思議な森です。ここに巣食うのはボクシングを得意とする時計ウサギのオウガです。彼女たちはこの森を通りかかる者にボクシングによる勝負を挑みます。これを撃退して森の奥地にあるキッチンコロシアムに向かってください」

 この森なのですが、とジェイミィは画面を切り替える。様々な衣装が表示されているのだが、様子がおかしい。一般的なコスプレ衣装はほとんどなく、その代わりに並ぶのは裾が山脈のように大きく聳えるドレスに孔雀の如き大きな翼や後光を模した巨大な円形の飾りを背面に据え付けた、最早衣装というよりも舞台装置のような威容を誇る巨大な衣装だった。全長5メートルを誇るその大きさはクロムキャバリアで運用される人型機動兵器・キャバリアにも匹敵する。

「えぇ、あの森、こんな衣装しか持ってこないんです。そして問答無用で着させられます。男女問わず。アレですね、オウガ・オリジンを倒した今、我々猟兵がラスボスってことですかね、はっはっは」

 ジェイミィの乾いた笑いを他所に、猟兵たちは悲鳴を上げた。これで戦えというのかという怨嗟の声があちこちで響く。

「ただ一応、『これを嫌々着ることで衣装がいわゆる『ラスボス』相応の力を発揮する』なる効果が存在しているらしく、着て戦う分には問題なさそうです。あぁ、ちなみにこれだけ大きな衣装を着て戦うことになりますから……キャバリアには乗れないものと思ってください。物理的に無理です」

 キャバリア乗りの猟兵たちが絶望に満ちた悲鳴を上げる中、コホン、と咳払いをしてジェイミィは先を続ける。

「森を抜けると、その先にはダイニングとキッチンが用意されています。この一帯を取り仕切るのは『エシーラ』と呼ばれるオウガです。はい、このラスボス衣装を着せることを思いついた張本人です。おそらくオウガ・オリジンの入れ知恵かと思いますが……ともかく、彼女には一切の攻撃が通じません。なんでも『ラスボスに対抗するのは負けイベント』という理屈のようで、正面切っての戦闘は不能です。そこで、皆さんには敵の攻撃を掻い潜りながら料理を作ってもらいます」

 ジェイミィ曰く、ハロウィンの世界の特性上、その世界のキッチンで作った料理には睡眠を誘導する効果があり、オウガにも適用されるのだという。つまり、料理を食べさせることでオウガを眠らせて無力化させてしまう、というのがこの作戦の肝だ。

「当然ラスボス衣装を着たままの調理ですから大変だとは思いますが、頑張って料理の腕をふるってください。あぁ、それと皆さんにこれを」

 唐突に猟兵たち全員にタッパーを配り始めるジェイミィ。意図がわからず首を傾げる猟兵たちに、ジェイミィは親指を立てて告げる。

「作った料理の一部を持ち帰ってください。私も食べたいです」

 全員が盛大にずっこける音が響き渡る。

「それでは、アレ・キュイジーヌ!」

 ジェイミィの高らかな宣告と共に、グリモアが起動した。


バートレット
 どうも、バートレットです。今回はアリスラビリンスでラスボス衣装に身を包んで大暴れしてもらいながら料理を作ってもらいます。何を言っているかわからない? ご安心を。私もわかっていません。
 まぁ、つまり、トンチキシナリオです。頭を空っぽにして楽しんでください。

 今回は2章で構成されたシナリオとなっております。第1章ではコスプレの森で、いわゆる『ラスボス』衣装を着用して戦闘を行ってもらいます。そうです、年末の歌番組で見るタイプのアレをご想像して頂ければOKです。一応身動きが封じられるわけではないのでご安心ください。多分ビームとか出ますし軽く腕を振るえば常人は消し炭になるでしょう。

 第2章はボス戦で、オウガ『エシーラ』と戦っていただきます。オウガ・オリジンの残留思念の入れ知恵により、このトンチキな状況を作り上げました。何故この状況をエシーラが作り上げたかの直接的な動機については、本人に聞くのが手っ取り早いでしょう。猟兵たちのラスボス強化を無敵化で台無しにしてくる厄介な敵です。ラスボス衣装に身を包んだ状態のまま、どうにか料理を食べさせてください。

●プレイング受付
 第1章の受付開始は10/17(土)8:31~です。それ以前に投稿されたプレイングは全て不採用となりますのでご注意ください。いただいたプレイングはなるべく早めにお返しします。
 各章の締め切り、および第2章の受付開始は都度MSページにてお伝えします。
 なお、今回はトンチキシナリオですので、シリアスなプレイングは非推奨です。ツッコミを入れるなり、ボケ倒すなりしてご対応ください。
 その他、プレイングの採用基準等はMSページをご確認ください。

 それでは、皆さんの美味しいご飯……もとい、アツいプレイングをお待ちしております!
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第1章 集団戦 『ボクサーバニー』

POW   :    サンドバッグコンボ
攻撃が命中した対象に【ウサギ型の痣】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【次々と現れる仲間達のパンチ】による追加攻撃を与え続ける。
SPD   :    ダーティサプライズブロー
レベルm半径内の、自分に気づいていない敵を【異空間からの奇襲によるパンチ】で攻撃する際、ほぼ必ず狙った部位に命中する。
WIZ   :    ハニートラップカウンター
【挑発】を披露した指定の全対象に【無防備にこちらへ近づきたいという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●脳筋バニーたちはリベンジに燃える
「諸君」

 5mの威容を誇るド派手なステージ衣装が飛び交う森の中、そのステージ衣装に身を包み、円陣を組むバニーの群れがいた。

「認めよう。我々はこれまで猟兵たちに狩られてきた存在だ。事実、先の戦争では多くの同族が猟兵たちの前に散っていった」

 仕切り役のバニーは厳かに告げると、円陣のそこかしこですすり上げる声が聞こえる。
 このバニーたちは先の迷宮災厄戦の生き残りだった。彼女たちの仲間は己の拳を信じて猟兵たちに挑み、そして散っていった。だが、彼女たちはかろうじて落ち延び、このハロウィンの国で臥薪嘗胆の日々を過ごしていたのだ。
 屈辱であった。それまで迷い込んだアリスたちを狩る立場にいたはずの彼女たちは、あの日、一転して狩られる側へと転じた。上には上がいるということを認めざるを得なかった。この世界における頂点捕食者のオウガとて、一人ひとりが一騎当千の強者である猟兵たちの前では歯が立たなかったのである。

「だがしかし、今我々の手には敵に反撃するための強力無比な力が与えられた! そう、我々は最早無力なバニーではない! 我々は今や、こう呼称されるべきであろう……ラスボスと!!」

 感極まって叫ぶ仕切り役のバニーの声に、そうだ、その通りだ、という同意の声がそこかしこで上がる。
 その通り、今の彼女たちはただのバニーに非ず。頭の兎耳はそのままに、ボディから下は豪勢にして華麗なステージ衣装。フットワークがやや犠牲になったがそれを補って余りある威圧感は、猟兵たちを圧倒するかに思われるラスボスの風格を漂わせていたのだ。

「ならば答えろ! 我々の目的は何だ!!」
「KILL!! KILL!! KILL!!」
「我々オウガの存在意義とは何だ!!」
「KILL!! KILL!! KILL!!」
「我々は不思議の国を愛しているか!! 弱肉強食の世界を愛しているか!!」
「頂点捕食者の誇りに賭けて!! GUNG-HO!! GUNG-HO!! GUNG-HO!!」
「ならば征くぞ!! 総員戦闘準備!! Rock'n Roll!!」
「YEAHHHHHHHHH!!!」

 見た目こそ可憐なバニーガールだが、今の彼女たちは敗残兵として汚辱にまみれた日々を過ごし、リベンジに燃える戦士たちだ。迫力満点のウォークライが森の中に響き渡り、円陣を解いたバニーたちは猟兵の襲来を迎撃せんと森のあちこちに散っていく。

 だがしかし、2つの誤算がそこにはあった。
 1つは猟兵たちもこのラスボス衣装を着て戦闘を行うため条件はイーブンであったこと。
 もう1つは、この衣装の特性だ。バニーたちはこの衣装を着て力を得ることに喜びを感じていたが、それでは衣装のポテンシャルを十全に引き出せていない。この衣装の真価は、「嫌々着ること」で発揮されるのだから。
 とは言え、雪辱を果たそうとするラスボス化したバニーたちの猛攻は凄まじいものとなることは疑いようがない。果たして猟兵たちの運命や如何に。
大豪傑・麗刃
こんな服着たくないのだ!
なんでって?そりゃあ重そうだし動きづらそうだし、何よりもこんなの着たら

版権ネタ

やりたくなるからにきまっておろう!歌詞とk!
んで本当にやったらボツくらうんでしょ?ネタ者としては屈辱きわまるのだ!
つーことで着ないぞ!着せるなよ!絶対に着せるんじゃないぞ!!フリじゃあないのだ!!

……
あーあ着ちゃった。まあ着ちゃったものは仕方ないのだ。
これでいやいや着たノルマはクリアであろう。とりあえず突貫をば

(思いっきり転倒)

……
今のは練習なのだ。次こそ本番

(転倒)

い、今のは悪い見本なのだ!

(転倒)

そ、そ、そな目で見ゆコは麗ちゃんぶつじょ!!

(と変態的衝動発動して身体能力強化させ無双したい)



●大豪傑はこの依頼の欠陥を指摘する
「こんな服着たくないのだ!」

 飛び交うラスボス衣装を前に、大豪傑・麗刃(変態武人・f01156)は全力で抗議していた。もちろん、感情面で着たくないという理由もあるのだが、彼はきちんとこれを着ることによる欠点を指摘する。

「なんでって?そりゃあ重そうだし動きづらそうだし、何よりも……」

 重い、動きづらい。だからこそ戦闘時の障害になりやすい。実に理に適っている。だがそれ以上に、これを着るわけにはいかない理由が彼にはあった。

「こんなの着たら! 
 版 権 ネ タ
 やりたくなるからにきまっておろう! 歌詞とk!
 んで本当にやったらボツくらうんでしょ? ネタ者としては屈辱きわまるのだ!」

 あー、うん、言い訳するとだな、OP公開した後冷静になるタイミングがあってね? 俗に言う賢者タイムってやつだな? 割と後悔してたし流石にこれでド直球の版権ネタ来られたらどうしようかとヒヤヒヤしてたんだよね? あんまりにもやべーのが来たら伏せ字対応もやむ無しかと思ったんだけど、まぁつまりその。正直すまんかった。

 ……と、麗刃からのベテランネタ者として非常にごもっともなご指摘に、天から聞こえてきた誰かの声が平謝りする一幕があったが。ともかく麗刃はこれを着たくないというアピールを全力で行う。

「つーことで着ないぞ! 着せるなよ! 絶対に着せるんじゃないぞ!! フリじゃあないのだ!!」

 麗刃、一気に畳み掛ける。だがしかし、その着たくないという強い意思なぞ、「ハロウィンの国」が誇るコスプレの森にとっては知ったことではなく。猛抗議している後ろにステージ衣装の直撃を喰らう。そして完成する、聳え立つステージ衣装に身を包んだ麗刃。最早その威容は舞台装置、デウスエクスマキナの体現。人は彼の姿を見てこう呼ぶだろう、「ラスボス」と。

「あーあ着ちゃった。まあ着ちゃったものは仕方ないのだ。これでいやいや着たノルマはクリアであろう」

 よし、と頷く麗刃。ふと目をやれば、そこには完全に目が据わったボクサーバニー(ラスボス衣装)の群れが。普段はただボクシングが得意で神出鬼没、アリスを撲殺して捕食するとはいえ肉弾戦に命をかけるオウガであったが、臥薪嘗胆の日々を過ごし、ラスボス衣装を身にまとい、精神的にもブートキャンプを終えた海兵のようにすっかり出来上がった状態の彼女たちは、文字通りラスボスクラスの脅威度を誇る。それは当然身に纏う衣装がラスボスだからであり、パンチを繰り出せばソニックブームが腕から発されるし、なんなら炎をまとったパンチを繰り出せるし、アッパーをまともに喰らえば見開き大ゴマで描かれるレベルで天高くぶっ飛ぶことは火を見るよりも明らかだ。

 しかし、ここに戦力差は埋まった。麗刃は拳を固めて突貫する。

「ようし、大豪傑・麗刃いざ突貫つかまつる! うおぉぉぉあ痛っ!?」

 麗刃、よりによってこの場面でコケた。突貫しようとして裾を踏んづけて顔面からコケた。流石にこの自滅にはボクサーバニーも呆れて見ている。

「……今のは練習なのだ。次こそ本番」

 オーケーオーケー無問題、とどうにか立ち上がって再び拳を構える。そうだ、あっちは本気と書いてマジなのだ。ならばこちらも本気と書いてマジで応えてやらねばなるまい、そう麗刃は考える。だからこそ無様は晒せない。

「改めて、いざ突貫つかまつる! うおぉぉぉぉぉおばぁぁぁ!?」

 またコケた。すごい変な悲鳴上げながら今度は後方に転倒した。背中のド派手な飾りとか馬鹿みたいに広い裾とかのお陰で後頭部を打つことはなかったがこれは痛い。ボクサーバニーたちの視線の温度はいよいよ氷点下に差し掛かろうとしている。

『貴様ふざけているのか、我らのリベンジにかける思いをこうも台無しにするとは』
「文句ならこの衣装に言うのだ……そもそもここまで無駄にロングなドレスとか着たことないし……ついでに今のは悪い見本なので真似しないように、いてて」
『誰が真似するか』

 ボクサーバニーの抗議の声にもめげずに立ち上がる麗刃。三度目の正直とばかりに再び拳を固めて一撃浴びせようと殴りかかる。そして転ぶ。二度あることは三度あるという諺がこの局面で勝鬨をあげる結果となった。

「……」
『……』

 沈黙がこの場を支配する。秋が深まるアリスラビリンス、吹く風は冷たい。ボクサーバニーの視線は最早零下の温度。あまりにもあんまりな事態に、ついに麗刃はキレた。

「……そ、そ、そな目で見ゆコは麗ちゃんぶつじょ!!」

 半泣きの麗刃から繰り出される体術は、ラスボス衣装が引き出すラスボスパワーと麗刃のユーベルコード「変態的衝動」の力の相乗効果で筆舌に尽くし難い威力となる。事ここに至って、ボクサーバニーたちは悟った。

 あぁ、流石にこの場のラスボスはこいつだったか、と。

 宙を舞うボクサーバニー達の目には涙が滲んでいた。それが復讐を果たせない無念の涙だったのか、こんなふざけた状況によって自らのリベンジが台無しになったことへの理不尽を嘆く涙だったのかは、ボクサーバニー達自身にもわからなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フィロメーラ・アステール
「な、なんじゃこの衣装はー!?」
マジで動けない!!!!!
あたしの最大の武器ともいえる機動性が瀕死!

このデカい羽とか後光っぽいパーツとかなんなの!?
だいたい自前で演出できるじゃん! めちゃくちゃ邪魔!

ぐああーやっぱ脱ぐー!
でもどうやって脱ぐのー!?
とか言ってる間に会敵。

今は戦ってる場合じゃないんだー! こっち来るなー!
【日輪の帷帳】を使って炎の【オーラ防御】の壁を放つ!
すると想像以上の火力で【焼却】ドーン!

今のは攻撃ではない、防御だ……!
こんな恐ろしい力は手にしてはならない、やはり脱がなくては!

でも敵は攻めてきちゃう!
せめて防御に専念しようとするけど火力が調節できなくて【カウンター】攻撃と化す!



●防御は最大の攻撃と化した
 攻撃は最大の防御という言葉がある。UDCアースの紀元前500年頃に執筆された兵法書、孫子が説いている戦闘における鉄則の一つだが、これは優勢な状況では攻め続けることで相手の攻撃機会を潰す、という意味である。しかしながら、孫子が説くこの鉄則に真っ向から喧嘩を売った事例が、この「ハロウィンの国」で発生してしまった。それでは、当事者であるフィロメーラ・アステール(SSR妖精:流れ星フィロ・f07828)がどのように戦いを繰り広げたのかを見てみよう。

 グリモアによる転送が行われ、早速コスプレの森の洗礼を受けてラスボス衣装の装着を余儀なくされたフィロメーラは滂沱の涙を流していた。

「な、なんじゃこの衣装はー!? マジで動けない!!!!!」

 ゴテゴテと装飾が付いた要塞の如きドレス。背中にはド派手な翼や後光を模した回転する円盤が装着され、凄まじく重い。元来、フェアリーである彼女は機動性を活かした戦闘を得意とするのだが、その得手分野を完全に潰された格好となる。22cmの小柄な体躯が5mの衣装に埋まり、遠目から見ると衣装だけが佇んでいるようにしか見えない。

「このデカい羽とか後光っぽいパーツとかなんなの!? こんなん着ける意味は何!? 設計したデザイナー出てこい!!! だいたい自前で演出できるじゃん! めちゃくちゃ邪魔!」

 実際、フィロメーラの背中には自前の翼があるし、持ち前の魔力で自身を飾る様々な魔術を行使可能なはずなのだ。故に本来、こんなステージ衣装は無用の長物である。しかし着なければならない、それがこのコスプレの森の鉄則。

「ぐああーやっぱ脱ぐー! でもどうやって脱ぐのー!?」

 加えて脱ぎ方は不明。というか、このハロウィンの森で起きている事態を解決しない限り脱げない。早い話が「詰み」である。

『よし、奴は動けない! 今が好機、ロックンロールタイムだ者共ォ!!』
『Hoorah!!!』

すっかり海兵隊のノリが板についたボクサーバニーが続々と飛びかかってくる。ラスボス衣装によって極限までに強化されたパンチがフィロメーラへと襲いかかる。

「うるさい! 今は戦ってる場合じゃないんだー! こっち来るなー!」

 防御術式「日輪の帷帳」で防御を固めてやり過ごそうとするフィロメーラ。しかし、その結果として発生した事象はフィロメーラ自身も想定外だった。本来は炎の壁を形成して相手の攻撃を防ぐ術式だったはずなのだが、出てきたのは炎の壁どころか火炎放射であった。噴出した炎は飛びかかってきたボクサーバニーに直撃し、悲鳴を上げる間もなく一瞬で灰と化す。

『なっ……!?』

 他のボクサーバニーはその光景に思わず怯む。

「えっ……いや、違う、今のは攻撃ではない、防御だ……!?」

 フィロメーラもあまりの事態に狼狽してそんなことを口走る。防御技が何故かアグレッシブな攻撃技になっている。そんな自分が怖い。ラスボス衣装の力で自らに備わる魔力が暴走状態とも思えるほどに増幅してしまっているのだった。こんな恐ろしい力は自分の身に余る、手にしてはならない力だとフィロメーラは戦慄する。

「駄目だ、早く脱がなくちゃ……!」
『ひ、怯むなっ、我々だって同等の力を手にしたはずだ! 何のためのこの衣装か! 周りを囲んで一気に叩けば奴とて!』

 あわわ、と狼狽えるフィロメーラを他所に、勇気を奮い立たせて襲いかかるボクサーバニーたち。しかし、とにかく攻撃を防がねば、と防御に専念すればするほど、制御できないほどの魔力が襲いかかるボクサーバニーたちを返り討ちにする。ある者は殴りかかろうとして突然発生した鉄砲水に押し流され、ある者は拳が触れる寸前に雷に打たれて感電死。

 気がつけば、フィロメーラの周囲は死屍累々の地獄絵図。防御手段が尽くカウンター攻撃として機能し、その過剰なまでの攻撃力によってボクサーバニーたちは全員がフィロメーラの身体に触れることも叶わずに返り討ちに遭ってしまったのである。

『おのれ……おのれ猟兵……だが忘れるな、我々がやられても第二第三の我々が……ぐふっ』
「……結果オーライなのはわかってる、わかってるけど素直に喜べない!!」

 何かが間違っている、そうフィロメーラは叫びたかったが、結局状況を打開できたことは事実。釈然としない思いを覚えながらも、フィロメーラは重い衣装を引きずりながらコスプレの森の奥へとえっちらおっちら進むのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

マリウス・ストランツィーニ(サポート)
助けが必要と聞いて馳せ参じた!

どんな理由であっても人々に害為す敵は許さん!いや、理由によっては許すかもしれないがとにかく全力で戦う!
我が一族の誇りに懸けて、私の剣で成敗してやる!もしくは銃で成敗してやる!

もちろん敵とは正面から堂々と戦う!
しかし必要とあらば隙を伺って死角から襲ったりもするぞ!これは戦いだからな!
うおおおおお!

はあはあ、どうだ……!まいったか!
……まいったよね?

(アドリブ連携等歓迎)



●やけっぱちは時に予想外の福音をもたらす
「……馳せ参じてきてみれば、何だこれはっ!?」

 マリウス・ストランツィーニ(没落華族・f26734)の家は元々軍閥の華族である。幼少期には令嬢として華美なドレスを着る機会もあった。だが、彼女が今強制的に着せられた服は、華美と言う言葉で形容するには不足なほど装飾過多であった。何しろ5mである。これでもかとつぎ込まれた布地は山脈のようなスカート部を形成し、加えて上半身も羽飾りや花飾り、背中の光輪を模した回転装飾に巨大な翼。規模がここまで大きくなると、もはや主体がマリウス本人なのか衣装なのかが不明なほどだ。

「もっと機能美溢れるデザインにしろとまでは言わん、言わんが……いややっぱり何かがおかしい! 衣装として本末転倒じゃないのか!?」

 マリウスの孤独な叫びは、そのへんの茂みからバカスカ巨大な衣装を吐き出し続ける森に吸い込まれていく。

『いたぞっ! 猟兵だ! チェストォー!!』
『うおおおおお潰せぇぇぇぇ!!』

 そんな叫びが聞こえて振り向いてみれば、同様の衣装を身にまとい、拳を固めて殴りかかるボクサーバニーの群れである。ドドドドド、と地響きがするほどの勢いに、マリウスはパニックに陥ってしまった。

「う、うわっ、何だこいつら!?」

 慌てて戦闘態勢をとるマリウスだが、敵の数は多い。加えて自分はまだこの衣装に慣れていない。というか、戦うなら脱ぎたい。しかし脱げない。

「こ、このままやるしかないのかっ、この服で戦えというのか……っ!?」
『問答無用だー!!』

 しかもどこからともなく湧いてくるのか、ラスボス衣装に身を包んだボクサーバニーの数は増えるばかり。あまりのことについに悲鳴を上げたマリウスは、やけくそ気味に愛銃「リヴォルベル・ペル・ストランツィーニ」を抜いて引き金を引く。しかし、その結果に彼女は驚愕した。

「な、な、なんだこれは──ッ!?」

 すると拳銃から吐き出されたのは銃弾ではなく極太のビーム。その中に飛び込んでいったボクサーバニーたちは続々と光の中に飲み込まれ、塵も残さず消えていく。ユーベルコード「超気合」とラスボス衣装を「いやいやながら着た」という特性が相乗効果を生み、想定外の拳銃からビーム照射という結果を生み出したのだ。

「あ、……あはは……なんだ、一体どうなってるんだ……」

 ビームが当たった木が続々と倒れていく音を聴きながら、マリウスはただただ呆然とした表情で固まっているのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

源・ヨーコ(サポート)
『悪い子はお仕置きっすよー!』
人間のブレイズキャリバー × ビーストマスター
年齢 16歳 女
外見 158.4cm 金の瞳 ピンクの髪 色白の肌
特徴 胸が大きい 八重歯 ギャル ハイテンション! 運動が好き
口調 体育会系(自分、~先輩、~っす、~っすよ、~っすね、~っすか?)

悪いヤツは鉄拳制裁!
あまり難しいことは考えず、敵に向かって猪突猛進するタイプ。全ては拳で解決できると信じていて、とりあえず接近して殴るが基本戦術。
硬そうな相手にはカウンターでの一撃必殺を狙い、素早そうな相手には連撃と使い分けぐらいはする。

単独行動を好み、調査などは苦手。
基本は戦闘オンリーな感じですが、よろしくお願いします。


陽環・柳火(サポート)
 東方妖怪のグールドライバー×戦巫女、21歳の女です。
 普段の口調は「チンピラ(俺、てめぇ、ぜ、だぜ、じゃん、じゃねぇの? )」

悪い奴らはぶっ潰す。そんな感じにシンプルに考えています。
戦闘では炎系の属性攻撃を交えた武器や護符による攻撃が多い。
冒険等では割と力業を好みますが、護符衣装を分解して作った護符などを操作したりなどの小技も使えます。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



●昇龍は神無月の森で荒れ狂う
 源・ヨーコ(鉄拳制裁・f13588)と陽環・柳火(突撃爆砕火の玉キャット・f28629)、この2人の猟兵もまたハロウィンの国に降り立ち、早速ラスボス衣装の犠牲となった。

「うぅ、動きづらいっす……というかほとんど動けないっすよこれぇ……」
「なんでこんな衣装しか寄越しやがらねぇんだ……」

 コスプレの森の強制力によって聳え立つステージ衣装を着せられる羽目になり、早くもげんなりとした気分になる2人だが、その時柳火は名案を思いついた。

「……良いこと思いついた! 衣装が脱げねぇのなら変身すりゃ良いんだよ!」
「変身っすか? いやでも真の姿になったところで変わらないと思うっすよぉ」
「違う違う、骸魂のヤマタノオロチって知ってるか?」

 ヨーコはその名に聞き覚えがあった。カクリヨファンタズムに出没する巨大な骸魂だ。柳火はこのヤマタノオロチを呼び出し、合身することができると言うのだ。

「なるほど、ヤマタノオロチの力なら凄いことになりそうっすね」
「グリモア猟兵の話だと衣装を身にまとっていればラスボス相当の力が手に入るって話だ。つまりだ、ラスボスの力を得たヤマタノオロチでオウガ共をぶっ飛ばしてやろうと思ってな」
「名案っすね柳火先輩! あ、それなら自分は精一杯暴れて敵を集めるっす。そこを柳火先輩の力で一網打尽にしてください」

 作戦は決まった。柳火がどうにか衣装を引きずって近くの森の中に入る。一方で、ヨーコは拳を固めて大音声で呼ばわる。

「やぁやぁ、自分こそは生まれも育ちもアルダワの、姓は源、名はヨーコ! 人呼んで壊しのヨーコっす! 我こそはと思うオウガはかかってくるがいいっす! 返り討ちにしてやるっすよ!」
『壊しのヨーコだと? 次に壊されるのは貴様と知るが良い! 貴様の血をもって我らは死んでいった同胞たちの魂を慰め、我らは再び頂点捕食者としての誇りを取り戻す! 征くぞォ!!』

 これに応えたボクサーバニーたちは、鬨の声を上げて飛びかかる。奇しくもどちらも拳を得手とする者。ボクサーバニーの一人がストレートを見舞うが、これをなんとか上半身の動きだけでスウェーしてカウンターを叩き込む。下半身が動きづらい以上、身を捩るように上半身を動かしながらの戦いが続いていた。

 頃合いと見計らったところでヨーコがちらりと森の中に視線をよこす。すると、森の中から飛び出すのは八首八尾の巨龍ヤマタノオロチ。柳火がユーベルコードで身を変じた姿だ。集まったボクサーバニーたちは仰天して攻撃を加えようとするが、ヤマタノオロチは口から灼熱の炎を吐く。ラスボス衣装の力はまだ有効のようで、灼熱の炎はやがて収束し熱線へと代わり、次々とボクサーバニーたちが熱線に灼かれていく。

 戦闘が終わり、変身を解除した柳火は周囲の木々が炎上するを見て、思わず遠い目でつぶやいた。

「ラスボス衣装の手にかかればヤマタノオロチもここまで化けるか……」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『エシーラ』

POW   :    踊りましょう?
【嫌悪または高揚】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【専属拷問官】から、高命中力の【その時の気分に合わせた苦痛を重視する攻撃】を飛ばす。
SPD   :    逃がさないわ
【全身】から【拷問具と拘束具】を放ち、【痛みと束縛】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    あぁ、愉しいわね
自身が【興奮や昂り、嗜虐心】を感じると、レベル×1体の【幻覚煙を吐き出す異形の四足獣】が召喚される。幻覚煙を吐き出す異形の四足獣は興奮や昂り、嗜虐心を与えた対象を追跡し、攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は十六夜・巴です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ラスボスは無敵ではないと誰かが言った
「良くぞ来たわね猟兵達! 残念ながら貴方がたはここで終わりよ!」

 ラスボス衣装が飛び交うコスプレの森を抜けた先に待ち構えていた、元凶のオウガエシーラ。彼女は不敵に笑って猟兵たちを出迎えた。

「ラスボス衣装の威力はさぞ強力だったでしょうねえ……動きづらい上にド派手な見た目とトレードオフの性能、堪能していただけたかしら」

 本来であれば様々な衣装を提供するはずのコスプレの森は、彼女の手によってラスボス衣装一択という惨事を招いていた。しかし、見方を変えれば敵である猟兵に塩を送るような真似をしているのだ。何の考えもなしに彼女がそんな暴挙に出たはずがない。

「そう、これも私が思いついた新たな拷問の形。最初は貴方がたはこの衣装を着せられる理不尽を味わったことでしょう。それもまた私を満足させたのだけど……でも、すぐに貴方がたはその強力な力を振るった。でもね、そうやって得た力が通用しない絶望……それを貴方がたはこれから味わうのよ。何故ならこのハロウィンの国において、私はオウガ・オリジン様の力により一切の攻撃を受けることがないのだから!」

 一気にまくしたてるエシーラ。そう、ハロウィンの森はオウガ・オリジンが作り出したもの。その残留思念がエシーラに力を与え、今の彼女に対する直接攻撃は効力を失う。

「そう、ラスボス級の力を得ようとも! 唯一勝てない状況というものは存在するのよ! それこそが……『負けイベントバトル』!」

 「最強」の力を得ようとも、「無敵」状態の相手には敵わない。絶対に倒せない敵になぶり殺しにされる絶望。それがエシーラが見出した新たなる嗜虐の形だった。一度与えて奪う、飴と鞭の使い分けである。

 だが、彼女は知らない。すでにグリモアの予知によってこれは想定済みであること。そして、彼女が選んだ戦闘場所はハロウィンの国の奥地に設置されたキッチンスタジアムであるという事実。ここではあらゆる料理に睡眠導入効果があるということ。
 孫子に曰く、「兵は詭道なり」。直接攻撃だけが猟兵の戦いではない。料理を食べさせて眠らせることが、この戦いの勝利の鍵を握るのである……!
朧月・咲楽(サポート)
格好つけたがりな赤髪青年、口調などはちょっと荒めです。

武器は刀を2本。
他にナイフを投げたり、「桜火」という触れると燃える桜の花びらなどを使います。
灼狐という上から目線ののじゃロリ狐の式神もおり、魔術系はそちらに対応させるのが良いかと。
基本方針は戦闘なら仲間と連携、役割分担を重視。

日常系の方針は、積極的に楽しむことを重視。
ただ、何かしらの調査の場合、周りのテンションに合わせてください。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は構いません。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


ニニニナ・ロイガー(サポート)
ど〜も~
要請を受けて参りました、UDC職員のニニニナとドビーちゃんっす。
よろしくっすよ〜

そんなわけで、どんな触手がご入用っすか?
長い触手に太い触手、幅広触手に細触手。
鋸歯つきのゴリゴリ削れる触手にヒトデみたいな手裏剣触手、
ドリル触手に粘着触手に電撃触手その他色々行けるっすよ。
あるいは溶解液を吐く触手とかご所望っすかね?
麻痺触手に毒触手に石化触手になんなら自白用の催眠触手とか…
後は耐熱耐冷耐衝撃触手に再生触手なんかもOKっす。

マニアックな所だと按摩触手に美肌ローション触手、電脳アクセス触手とかも便利っすね。
あ、触手本体は見えないようになってるので、
一般人が狂気にとか気にしないで大丈夫っすよ~。


宇賀神・麻樹(サポート)
 人間のサウンドソルジャー×聖者、23歳の男です。
 普段の口調は「男性的(俺、呼び捨て、だ、だぜ、だな、だよな?)」、年上には「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



●困難は分割せよと国語の教科書にも書いてある
「ラスボス衣装のまま料理をしろと……」
「これは予想以上の難題じゃよ……」

 朧月・咲楽(焔術剣士の桜と九尾・f11790)は式神の灼狐と共に呆然と立ち尽くす。しかしこのまま攻撃を受け続けるわけにもいかない。

「料理はひとまずあまり手の込まない簡単なものを作るとしてだ、どうやってあの攻撃を対処する……?」
「アタシの触手を駆使するにしても限度があるっすしねぇ」

 咲楽と灼狐、そしてニニニナ・ロイガー(一般UDC職員・f17135)はどうしたものかと思案する。その時、挙手したのがちょうど近くにいた宇賀神・麻樹(音速のギタリスト・f29256)だった。

「俺は料理とかあんまり詳しくねぇから、攻撃を対処する方をやるよ。ユーベルコードでひたすら耐えながら料理を作る。これっきゃねーだろ。幸いこの衣装も防御力はあるみたいだしな」
「頼めるか。じゃあ俺たちは料理を作るとして、何が良い?」
「無難にカレーじゃないっすか。ほら、秋野菜なんかも突っ込んで」

 すでにニニニナは触手を素早く伸ばして材料をひっかき集めている。牛肉、人参、南瓜にじゃがいも。手間を惜しんでカレールーは固形のものを用意してある。

「よし、まず炊飯はこっちでやる。野菜と肉のカットは任せた」
「了解っすー」
「そーらおいでなすったぞ!」

 料理を作りにかかる2人に襲いかかるエシーラ。苦痛を与える攻撃が飛ぶが、同時に麻樹が癒やしの効果がある聖なる光を浴びせるため苦痛が差し引きゼロとなる。その間にニニニナが触手を駆使した野菜の同時カットを行い、鍋の中に投入する。灼狐はコンロの火加減を調整した。そして咲楽は米を研いで炊飯器に叩き込み、急速炊飯モードで米を炊き始める。

 やがてルーが煮立ち、炊飯器が炊きあがりを宣言するブザーが鳴り始めた。しゃもじを片手に大急ぎで皿に盛り付ける咲楽、火を止めて鍋の中身を確認しルーをご飯の上からかけるニニニナ。こうして食事はオウガに供された。

「カレー……また随分と普通の作ったわね。もっと捻りなさいよ……まぁ食えって言うなら頂きますけれども……む、これはオーソドックスのようでいて旬の食材を使っているのね。人参、かぼちゃにじゃがいも、しめじも入ってるのねぇ。特にかぼちゃを煮ていることでコクが出ていい味になっているわ……うーん、合格」

 エシーラは最初こそ文句を言うものの、ひとくち食べて秋野菜がふんだんに使われたものと知ると手のひらを返し絶賛。ひとまずは攻撃が止んでいる。その時、ひたすらエシーラからの拷問を相殺し続けた麻樹がふらふらと椅子に倒れ込むように座る。

「俺も食っていいか……疲れた」

 聖なる光による癒やしは、代償として麻樹本人の体力を大きく削るものだった。こうして、秋野菜のカレーはエシーラと麻樹の胃袋に収まる。食べ終える頃には2人共うつらうつらとテーブルで船を漕いでいる有様であった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

フィロメーラ・アステール
「無敵が相手なら手加減無用かな?」
ただ周囲に被害を出しすぎたらよくないか!
むしろ前向きになって弱体化したら丁度よい?

『星装《あくあ》』の力で液体……牛乳を【念動力】で操り、ミキサー状にしてカボチャ粉砕!
念動料理なら動けずとも平気!
調味料とかを突っ込めばカボチャジュース完成!

コイツをごちそうするぜ!
【全力魔法】で大量にドバっとやれば飲んじゃうはず!

さらに【蒼天まわしむ千変の星冠】を発動!
冷気【属性攻撃】の力を上乗せして、アイスやシャーベットにすることもできる!
凍ったり滑ったりしたら無敵でもたぶん困る!
ホラ無敵状態でも滑って穴に落ち(略

あと普通に倒せない敵をギミックで倒すって割とよくあるのでは!?



●正攻法で駄目ならギミックの存在を疑えというのは攻略の鉄則である
「無敵が相手なら手加減無用かな?」

 どうにか重い衣装を引きずってキッチンコロシアムへと姿を現したフィロメーラ。

「もしかしてダメージ表記とかはされる系?」
「いやお待ちなさい貴方。無敵だからってダメージのベンチマークテストでもやる気なのかしら貴方。それは流石に非道が過ぎるのでは? 戦闘結果そっちのけで一喜一憂されるボス側の気持ちも考えたことは」

 エシーラの少しずれたツッコミを他所に、フィロメーラは牛乳を念動力で操り、南瓜を圧砕しつつ調味料とともにかき混ぜてカボチャジュースを作る。

「まぁ飲みなよ」

 全力でコップをスライドさせてカウンターのエシーラの前に。折角出されたのだからとつい飲んでしまうエシーラ。

「んー……まぁそのあっさりとした味わいで美味しいのだけれど。ところでこのカウンターなんで滑るのかしら」
「え? お気づきでない? 今カウンターは凍ってますよ?」
「は?」

 肘をついて飲んでいたら唐突に自分もカウンター上で滑り出した。ご丁寧に椅子にはキャスターが付いており、摩擦係数も減らされてしまっていたのである。そのまま仕掛けられていた落とし穴に椅子ごとスポッとハマってしまう。

「やってくれたわねぇ……!」

 穴の底から怨嗟の声が響く中、フィロメーラはさらに追い打ちの一品を差し出した。

「ちなみにこちらが貴方を滑らせた冷気で作った南瓜シャーベットになりまーす」
「鬼かしら貴方は……美味しい……」

 あまりのことに涙を流すエシーラを見て、フィロメーラはふと、こう思うのだった。

(よくよく考えれば無敵のボスを倒すのにギミックを使うってよくある手だよねぇ……)

大成功 🔵​🔵​🔵​

大豪傑・麗刃
れいちゃんはね!
れいじんっていうんだほんとはね!
(全く深い意味はなし)

料理は先日の戦争までやったことなどなかったが、物語の都合上必要なら多少の無理はきかすのだ。

ところで。
きみの名前は

えっちらおっちらちゃん

だっけ?そりゃあ無駄におっぱいでかいし、動きもえっちらおっちらになるであろう。
違った?ごめんごめん

エッチなねーちゃん

そりゃあそんなに無駄にお(略)

(で冷たい目で見られるか怒りのツッコミが入るかで)

そ、そ、そなコトすゆコは麗ちゃんぶつじょ!!(ネタ思い浮かばず屈辱の天丼)

で変態的衝動で上がった身体能力で無理やり敵の攻撃に耐えつつ料理を作る。
一応エンパイアの出身なので懐石にしたよと。

アドリブ歓迎



●胸部が大きいことが「大は小を兼ねる」に当てはまるという意見は概ね認められない
「れいちゃんはね! れいじんっていうんだほんとはね!」

 だけどちっちゃいから……と大音声で歌いながらステージ衣装に身を包んで現れた麗刃。料理は迷宮災厄戦までとんと縁のなかった身だが、必要なら多少の無理は効かせると気合は十分である。そんな麗刃はエシーラに軽い調子で声をかける。

「ところで。きみの名前は

えっちらおっちらちゃん

だっけ?そりゃあ無駄におっぱいでかいし、動きもえっちらおっちらになるであろう」
『誰がそんなトンチキな名前よ!! エシーラよエシーラ!! あと無駄におっぱいデカいって言うんじゃない!! 好きで膨らんだんじゃないのよこれ!!』

 早速の麗刃のジャブに盛大にキレたエシーラ。よりにもよって胸ネタでいじりやがったなこの野郎、とブツブツ言いながらすごい目で睨んでいる。

「違った? ごめんごめん、

エッチなねーちゃん

そりゃあそんなに無駄におっぱい大きいs」
『よぉしオーケーぶっころぉす!!!』

 問答無用でアイアンメイデンを取り出すのだがそれを鈍器にして殴りかかるあたり怒りの具合がわかろうというものである。アイアンメイデンは本来そういう使い方をしない。

『誰が痴女だ誰が!!!!!!』
「いや誰もそこまで言ってませんのですが!! あとアイアンメイデンで殴るとかどんだけ暴力的なんだよねーちゃん!! そ、そ、そなコトすゆコは麗ちゃんぶつじょ!!」

 半分くらい怒らせた麗刃の自業自得と言えなくもないのだが、アイアンメイデンの殴打の嵐をどうにかやりすごしながら生魚を捌き、汁物を作るなどして懐石料理を完成させていく。

『こ、こいつ……っ、逃げながら懐石料理を……しかもどれも素材の味が活かされてて美味いのがムカつく……く、ぅ……』

 ぱたり、とエシーラは力尽きて倒れ、そのまま深い深い眠りに落ちてしまった。大騒動のハロウィンの国は、こうして制圧に成功したのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年10月31日


挿絵イラスト