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Treat!

#アリスラビリンス #【Q】 #お祭り2020 #ハロウィン

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#【Q】
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#ハロウィン


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 Halloween!
 くるりと廻るパンプキンヘッドのかかしが叫び、迷い込んだアリスたちに道を示す。
 ここもまた、オウガ・オリジンのユーベルコード能力によって生み出された『ハロウィンの国』のひとつだ。髑髏の花が咲き乱れ、歌う南瓜やモンスターの群れが跳ね回る。そこかしこに点在するパティスリーめいたキッチンでは、オウガたちに支配される愉快な仲間たちがパティシエ奴隷としてハロウィンパーティに供されるハロウィンスイーツなどのために食材の下ごしらえや生地の焼き上げ、強制労働棒の回転といった労働を強要されていた。
「おおかみさんだぞー❤️」
「あたしカーミラ❤️」
「たべちゃうぞーっ❤️」
 そしてその最中、突然飛び出すオウガの群れ!様々な衣装でコスプレしたラビットたちだ!
 すべてがハロウィン行事のために構成されているこの国においては、突然ハロウィンパーティ用の衣装が飛び出す森などという奇怪な領域がそこらじゅうに存在しているのである。
「うるせー!こっち来んじゃねー!くそ、エル!どうすんだこれ!」
「とにかく逃げましょうセラさん!あっち!あっちです!」
 一方、追われるアリスたちは逃げ惑った!彼女たちは不幸にもここに迷い込んでしまった哀れな犠牲者である!
「なんでこいつらこんな強えーんだよ!!」
「あいのちからー❤️」
 チェイス!逃げるアリスたちと追い縋るオウガの群れ。様々なコスチュームを纏うオウガたちは衣装の力で強化されているのだ!このままでは迷い込んだアリスたちの貞操と命が危ない!

「というわけで、今からみんなにはハロウィンしにいってもらうわ」
 グリモアベースにおいて、ロスタ・ジーリード(f24844)は告げる。
「しばらく前に開催されたアリスラビリンスの戦争はおぼえてるかしら。その時のフォーミュラ、オウガ・オリジンの影響下にあるふしぎのくにがたくさん見つかったのよ」
 ロスタは手元の端末を操作し、モニターに映像を表示する。
 そこはまさにハロウィンであった。
 ――そう。『ハロウィンの国』である。享楽的に笑うオウガたちがコスプレでハッピーにキマっていて、とってもたのしくパーティーを開催しているのだ。もちろんここはオウガたちの支配圏であるため、ここにうっかり迷い込んだアリスたちがいたものならば徹底的に絶望させられてオウガたちのパーティーのメインディッシュとして召し上げられる。そのような悲劇を引き起こされる前に、猟兵たちの手でこのハロウィン領域を叩き壊してほしい、ということだ。
「とはいえ、今回もめんどくさーい条件付きよ。まず、このふしぎのくにに飛び込んだみんなにはコスプレしたてきがおそいかかってくるわ」
 曰く。
 ハロウィンパーティには、仮装して参加するのがマナーなのだという。すなわち、このハロウィンの国という特殊な領域においては、何らかのコスチュームを着こむことが礼儀とされている。そして、その作法に則った者たちはこのハロウィンの国の力によって大幅にパワーが増幅されるのだ。
「コスプレしたてきはとっても強いけど、みんなも同じように衣装を着れば対抗できるのよ」
 しかし、ここでグリモア猟兵が対抗策を示す。
 この国に存在するコスプレ衣装の飛び出す森から飛び出してくる衣装は訪れる者すべてに対して平等に衣装を提供する。つまり、猟兵たちも衣装を着こんで仮装することで敵と同様に強力なパワーを得ることができるのだ。
「あ、そうそう。飛んでくる衣装はランダムでー、えり好みは出来ないからそこのとこはよろしくね。ひょっとしたらぜんぜん着たくない衣装がくるかもしれないけど、でもがまんしてがんばって着て」
 いやいやながらであったとしても、とりあえず着れればオッケーなのだ。着ぐるみかもしれないし、女装や男装、あるいは閲覧に年齢制限が必要になるきわどい衣装かもしれない。でもがんばってがまんして。
「それでもってー、みんなが敵を蹴散らすことができたら、この国を仕切るボスが出てくるのよ。……だけど、これもまたすっごい理不尽なの」
 ロスタは更に説明を追加する。
「この世界を支配するオウガには、特別な権能が与えられているわ。――『無敵』よ」
 ――そう。
 このハロウィンの国を支配する首魁オブリビオンは、強力な特権を与えられているのだ。『この国においては無敵』なのである。
「だけど、これを打ち破る方法もちゃんと用意されているわ」
 ロスタは手元の端末を操作し、モニタの画面を切り替えた――そこに映し出されるのは、ハロウィンの国の中に無数に点在するキッチンである。
「料理をするの」
 ロスタは厳かに言って頷いた。
「――この世界の法則において、この世界を支配するオウガは与えられたお料理……『Treat』を拒むことができないのよ。そして、トリートを与えられ続けたオウガはやがて行動不能になりながら無敵状態を維持できなくなり、一発ぶんなぐったら死んじゃうようになるわ」
 荒唐無稽な話だが、そのような法則であるとこの世界は決められている。ロスタは一度深々と頷いた。
「とゆーわけで、みんなは敵の攻撃をじょうずに掻い潜りながら心を込めてお料理するの。そうすればきっと勝てるわ」
 そうして――この国を支配するオウガを倒すことができれば、任務は完了である。
「……というわけでおさらいね」
 ぴっ。ロスタが指を立てた。
「ひとつ。コスプレで強化されたオウガがおそってくるので、こっちもコスプレしてやっつける。ふたつ。敵のボスはむてきだけどおりょうりをたべさせると弱くなるので、おりょうりする。ぜんぶやっつけたらかち。……以上よ!」
 ――というわけで、グリモア猟兵は説明を終える。
「それじゃ、あとはよろしくおねがいするわね。……それじゃ、よい旅を!はっぴーはろうぃーん!とりっくおあとりーっ!」
 かくして、猟兵たちは戦場へと送り出されるのであった。


無限宇宙人 カノー星人
 ハッピー・ハロウィーン!
 闇の眷属を自称する皆様におかれましては、ハロウィンの時期は一年を通した催事の中でも最もテンションのアガることかと思われます。カノー星人です。ごきげんよう、イェーガー。

 この度は【Q】に便乗させていただくことといたしました。時節ネタということで、お楽しみいただければ幸いです。
 また、今回のシナリオについてはいくつかの注意点がございます。ご確認ください。

・今回のシナリオは、「2章構成のシナリオフレーム」です。通常の3章構成でも、戦争などの1章構成でもありません。
・10/31までに成功したシナリオの本数に応じて、ハロウィンパーティ当日、そしてやがて始まるであろう「アリスラビリンスでの猟書家戦」に、何らかの影響があるかもしれません。

・OPにて描写されているアリスについては、特に救出などのプレイングをご記入いただく必要はございません。(してもしなくてもだいじょうぶです)
 シナリオが成功すれば無事に脱出できるとおもいますので、ごあんしんください。

 以上になります。
 よろしくお願いいたします。
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第1章 集団戦 『人をダメにするラビット』

POW   :    天国に逝かせてあげる♡
自身が操縦する【天国へと導くうさぎの穴】の【人をダメにする天国のような快楽】と【エナジードレイン】を増強する。
SPD   :    極楽にご案内♡
自身が操縦する【極楽に導くうさぎの穴】の【人をダメにする極楽のような快楽】と【エナジードレイン】を増強する。
WIZ   :    至福の時間をあなたに♡
自身が操縦する【至福の時間を与えるうさぎの穴】の【人をダメにする至福の時間を過ごす快楽】と【エナジードレイン】を増強する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「いえーい❤️」
「あーそびーまっしょー❤️」
「うるせーっ!」
「お、おうちにかえりたーい!!」
 迷い込んだアリスたちが悲鳴をあげながら逃げ惑う!
「だいたい、幻装《イマジネート》してもぜんぜん歯がたたねーってどーいうことだよ!!バランス調整間違ってんじゃねえのか!?」
「ひええ……クソゲーですー!」
 なお、彼女たちはアリスナイトとしてのユーベルコードを行使できるタイプのアリス適合者である。いくつかの小世界を渡りここまで生き抜いてきたアリスであったが、その経験さえまるで通用しないほどにコスプレラビットたちはパワーアップしているのだ。
「いまつかまえてあげるからねぇ❤️」
「たくさんTreatしてあげる❤️」
「でもTrickもさせてね❤️」
 次々に現れるオウガたちがスラップスティックにアリスたちを追い詰める!だが、ポップなノリとは裏腹にこのあと彼女たちに待ち受けているのは閲覧に年齢制限が必要な(全年齢向けコンテンツでは不適切な表現)や(全年齢向けコンテンツでは不適切な表現)といった(全年齢向けコンテンツでは不適切な表現)だ!

『……』
 その一方、ハロウィンの国のそこかしこに点在する『森』は衣摺れと葉擦れの音をさらさらと鳴らしながら、来訪者を待ち侘びていた。
『……もっと着せたい』
『わかる』
『次はやはり男装がいい。麗人は素晴らしい』
『わかる』
『いい』
『セクシーなのはどうか』
『いい』
『鼠蹊部』
『わかる』
『素晴らしい』
『肉食男子のダンディズム』
『メンズのセクシーさも出したい』
『わかる』
 ささやく木々たちは、無難なものから全年齢向けコンテンツでは描写するのも憚られるヤバめのものまで様々な衣装を生成しながらいつでも来訪者たちを着替えさせられるように準備を整えていた。

 かくして、パーティーは始まる。
チル・スケイル
■衣装:全年齢向けで描写できるやつ■

これを。着て。戦えと。
…はい。わかりました。着ます。
(着る)
…速やかに終わらせます。

脚に【マルヴァールマ・スロワー】を装備。冷気で地面を凍らせながら、スケートのように機動しうさぎの穴とやらを回避。冷気噴射の向きを変えて、スマートに滑ります
攻撃面では、両手に構えた【ストゥーマ・フシロ】による魔法弾連射を軸に、適宜杖を持ち替えてオブリビオンを掃討します

うさぎの穴だかなんだか知りませんが、さっさと凍らせればどうという事はありません。多分。そうだと言っていただきたい。

(ここの木…私の服の感想を言い合っている…)
(話の内容次第では、迷いなく撃つ)



 歌うパンプキン。踊るスケルトン。ハロウィンの国が猟兵たちを迎え入れる。
「……アリスラビリンスが不条理なのはいつものことですが」
 チル・スケイル(f27327)はその地へと降り立ち、そして周囲の光景を見回した。
『……おきゃくさんだ』
 不意に、チルの耳に木々のさざめきが届いた。
 それはハロウィンのための衣装を吐き出すハロウィンの国特有の奇怪な森である。
『おきゃくさんだ』
『着てもらおう』
『なににしよう』
『では、これで』
「……」
 この世界に於いては、衣装を着ることがマナーであり、それに従うことでパワーアップを図れる――という情報は彼女も既に得ているところだ。
 問題は、どのような衣装を押し付けられるか――である。
『これでいこう』
 ぶわっ。
 森から飛び出したギラギラの衣装は、豪奢な刺繍が施された礼装であった。――それはかつて王侯の座す宮殿に集い薔薇の宿命を背負ったという貴族の麗人の装いである。現代においては歌劇舞台で見ることのできるそれだ。
「……はい。わかりました。着ます」
 金銀に煌めく糸を織り込んだ意匠に彩られたそのコスチュームに袖を通しながら、クソ目立つなこれ、とチルは思った。舞台映えはするのだろうが。あり得ないくらいギラギラであった。
 チルは衣装の上から更に戦闘準備を整える。マルヴァールマ・スロワー。冷気を放射する術式を内部に組み込んだ魔法杖を左右の足にそれぞれ括りつける。その手には術式杖を掲げ、そして視線を上げた。
『……なるほど』
『すばらしい』
『よく似合っている』
 木々のざわめきがチルの頭上で交わされる。――感想を言い合っているのだ。当たり障りのない内容だったため、チルは無視して放置した。
「……速やかに終わらせます」
 とん、と靴底で敷かれた石畳を叩く。同時に、マルヴァールマ・スロワーから放射される冷気が地面を瞬く間に凍結させた。【氷術・滑/アイススムース】の発露である。
「……あっ!だれかきてる!」
「はっけーん♡」
「あそびましょ♡」
 ――コスプレ衣装に身を包むラビットの群れがチルの姿を見つけて群がってきたのは、ちょうどその折であった。
「……」
 チルはすぐさま術式杖を掲げる。ストゥーマ・フシロ。銃に似た発射機構を持つ魔杖である。チルは凍結させた地面を滑走するように機動しながら、集まり始めたラビットの群れめがけて術式を投射した。颯爽!煌めく麗しの舞台衣装を翻しながら、氷上のミュージカルめいてチルは術式をばら撒いてゆく!
「きゃーっ♡」
「クールですてき♡」
「でもつめたいのはいやー!」
 たちまち凍り付くラビットたちは琥珀標本めいて氷漬け!しかしチルは油断なく更に滑走し、続けざまに氷弾を連射。輝くダイアモンドダストが舞台演出のようにその雄姿を彩る。そして、放射された氷弾の術的出力は通常時の倍以上の威力を発揮していた。ハロウィンの国の法則にしたがい、その衣装がチルの戦闘力を大幅に向上させているのだ。
「さむーい!」
「塩対応いやー!こんなのやめてあったまりましょ♡」
「うさぎの穴にご招待するからー!」
「お断りします」
 尚も群がろうとするラビットたちであったが、チルはクールに突き放し凍結術式での追撃を続けてゆく!
「うさぎの穴だかなんだか知りませんが、さっさと凍らせればどうという事はありません」
「いやーん♡」
 チルは凍った地面を蹴って跳び、そして凍気を放つ――この戦場における主導権は、既に彼女が掌握していた。

成功 🔵​🔵​🔴​

アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。

コスプレ衣装は……知恵の実食べたイブ?(イチジクの葉一枚)
『アリス』達を颯爽と助けて真面目にやろうとしてる時に限ってなんでこいうのひくかなぁ。あ、葉っぱを手にぷるぷるしてたら『アリス』達に心配されてしまったわ。……うん、ハロウィンの国の特性を説明した上で覚悟をキメた表情で「着替えるわ」と。だって勝つためには仕方のないことだもの。
もうどうにでもなーれ♡と魔術的パラダイムシフト(結界術)で薄い本みたいな世界観を構築するわ。
お菓子をあげるから悪戯させて♡とラビット達に分霊(式神使い/集団戦術)達共々情熱の炎で料理し、しあげて次章のボスに提供してさしあげるわ♪



「ええ……」
 アリス・セカンドカラー(f05202)は困惑した。
『その衣装でよろしく……』
『これは盛り上がりますね』
『高視聴率が期待できます』
 木々のざわめきはひどく興奮した響きをもってざわざわと鳴る。アリスは眉根にしわを寄せながら森を見上げた。
「これ、衣装なの……?」
 この度アリスに課せられた衣装は――『葉が一枚』である。
『神話に源流をもつ由緒正しき衣装……』
「知恵の実食べたイブ?」
『然り』
「……」
 ――今回ばかりは、たまには真面目にやろうと思っていたのに。これじゃいつもと変わらないじゃない。アリスは抗議の意味を込めて木々をにらんだ。
「……あっ、誰かいますよセラさん!」
「ええ……!?また敵じゃねーだろうな!?」
 オウガたちに追われる2人のアリス適合者がアリスのところを通りがかったのは、ちょうどそのタイミングである。(※区別のため、猟兵のアリスは単に「アリス」。NPCのアリスは「アリス適合者」と表記します)
「……」
 しかしアリスはそれどころではなかった。この憤懣やるかたない思いをどうすればいいのか――握った拳がぷるぷると震える。
 この衣装では完全に痴女ではないか。いや、実際アリス自身にもそういうところはあるのだけど。しかし彼女はTPOをしっかりわきまえるタイプの痴女だ。決してどこでも脱ぎ出すようなはしたないタイプの痴女ではない。
「あの……大丈夫ですか?」
 ただならぬ様子に見ていられなくなり、アリス適合者の片割れが恐る恐るアリスへと声をかける。そこでようやく振り向いたアリスは、か細くため息をついてから頷いた。
「……ごきげんよう。……あなたたちはここに迷い込んだアリスね」
「アッハイ」
「話すと長くなるのだけど……」
 ここでアリスはアリス適合者の2人に自己紹介と事情の説明を済ませた。すなわち、この『ハロウィンの国』に於いては衣装を着ることでパワーアップできること。そして、アリス自身もそうするつもりで来たところで――この衣装と呼ぶのもおこがましい葉一枚を渡されたということ。
「セクハラじゃないですか……!?」」
「この森伐採した方がいいんじゃねえのか?」
 2人のアリス適合者は神妙な顔で眉根を寄せた。
「……いえ、でも。勝つためには……あなたたちを護るためには仕方のないことよ」
 しかし、アリスは覚悟をキメた表情で頷く。
「着替えるわ」
「お、おう……」
「あの……か、風邪をひかないように気を付けてくださいね」
 そして、決意のもとに脱ぎ始めるアリスの雄姿を、2人のアリス適合者はただ見守ることしかできなかったのである。

 そして。
「ぎゃーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」
「んっ♡あっ♡アッアッアッアーッ♡ひゃ、ひゃめぇ♡」
「アーッダメになっちゃう♡らめになっひゃうぅ♡」
 ハロウィンの国は地獄に変わる。
 【混沌魔術WIZ/ケイオスマジック】――凄まじく強力なユーベルコード出力が、アリスの自己領域を展開したのだ。それは空間干渉であり、世界観を彼女の思うように定義/設定する術式だ。
 アリスのユーベルコード出力の及ぶ範囲の空間は、有体にいって彼女がやりたい放題できる支配領域と化していたのである。
「お菓子をあげるわ♡悪戯させて♡」
「いやーーーーっゆるしてーーーー!」
「だーめ♡」
 そして、その空間においてほぼ全裸のアリスが支配者として君臨していた。もうどうにでもなれと吹っ切れてしまえば、ストッパーなんか存在しないのだ。徹底的にやりたい放題であった。
 アリスの声に従う分霊たちが駆けまわり、ダメにするラビットたちを次々に捕らえては情熱的に火刑に処す。
「さ、お料理の時間よ♡おいしく仕上げてここのボスに提供してさしあげるわ♪」
「ああーーーーッ情熱的ーーーっ♡♡♡」
 かくして、火の中に放り込まれるオウガたちが嬌声とも悲鳴ともつかぬ声をあげながら燃えてゆく。もはや誰もアリスを止めることなどできないのだ。
「ええ……」
「なぁにこれぇ」
 地獄めいたその光景を目の当たりにしながら、アリス適合者たちは震えあがることしかできなかったのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

エドゥアルト・ルーデル
パーティ会場はここでござるね

到着早々拙者も早速コスプレでござる!チョイスは任せた!女装だろうがなんだろうが何でもやろうじゃないの
可愛い格好は女の子だけの専売特許じゃねぇでござるよ!!

拙者の名は女の子の間に挟まる男絶対殺すマン!健全かつ速やかに人として駄目な兎に教育してやるか
追っかけ回している背後から肩を掴み捕縛、お前はこっちや
捕まえたらすかさず【流体金属】を纏った拳で顔面をボコボコに!
なめてんじゃねぇぞこらァ!Trick and Treatしたいだとォ?させる訳ねぇだろうが!

終わってから拙者の爽やか※な笑顔でアリス達に挨拶
これからは――拙者が天(女の子の間)に立つ

※感じ方には個人差があります



「パーティ会場はここでござるね」
『またおきゃくさんだ』
『にぎやかでいいね』
 木々のさざめきがエドゥアルト・ルーデル(f10354)を迎え入れる。森を見上げるエドゥアルトは口の端をにやと歪めて親指を立てた。
「これが衣装を出す森でござるな〜!よかろう!拙者も早速コスプレでござる!チョイスは任せた!」
『やる気がある』
『すばらしい』
『とっておきをいこう』
 ノリよくやる気に溢れるエドゥアルトへと、森は木々の間からコスチュームを射出した。ボスンと音をたててエドゥアルトが布地を受け止める。
「これは……」
 薄桃色の煌めく生地。豪奢な刺繍、編まれたレース。翻るフリルとリボン。惜しげなくあしらわれたスパンコールはきらきらと光を放つ。
「プリンセスでござるな……」
『アクセもあるよ』
 ぽいっ。木々の中からおまけみたいに長手袋とティアラがすっ飛んできた。エドゥアルトはこれも受け止める。
「なるほどなるほど……女装だろうがなんだろうが何でもやろうじゃないの!可愛い格好は女の子だけの専売特許じゃねぇでござるよ!!」
 そして即断即決!エドゥアルトは素早く更衣室に飛び込むと、お色直しを開始したのである!

 一方!
「うさぎのあなにごしょうたーい!」
「されるかッ!!」
 2人のアリスはいまだ逃走劇を続けていた。猟兵たちに叩きのめされながらも、様々な着ぐるみや衣装を着こんだコスプレラビットたちはアリスたちへと追いすがる!
「セラさん!でもこのままじゃ追いつかれ……」
 逃げ惑うアリスが窮状を叫び、そして息を吐き出す――ついに、オウガの魔の手が彼女たちに届いてしまったのはその時だ!
「つっ、か、まー……えた!」
 ――狼の毛皮をもちいたビキニ・スタイルを纏うコスプレラビットが、とうとうその手を逃げるアリスのかけたのだ!万事休す!絶体絶命!――しかし、その瞬間である!
「オッス!オラ女の子の間に挟まる男絶対殺すマン!」
「えっ」
 がしッ!――アリスの肩を掴んだコスプレラビットの肩を、更にエドゥアルトが掴んだのである!
「…………」
「…………」
「…………」
 その瞬間、空気が凍り付いた。
 アリスたちは敵に掴まった瞬間の恐怖と緊張も忘れ――ラビットは獲物を捕らえた高揚も忘れ――彼女たちは、一斉に叫んだのである。
「「「変態だーーーー!!!!!」」」」
「失礼でござるわね!!!!」
 憤慨!ぷんすかするエドゥアルトはきらびやかなプリンセスドレスを着こなすモードエレガント!長手袋に包まれた掌で、まずコスプレラビットの頬を張った!!
「ヘブッ」
「オラッ!!健全かつ速やかに人として駄目な兎に教育してやりますぞわよ!!」
 追撃!プリンセスエドゥアルトの容赦ないエレガント平手が続けざまにコスプレラビットを打擲する!
「ひえっ なんですか……!?」
「やべーぞこれ……絶対悪い奴だろ……」
 その光景を目の当たりにしながら、困惑するアリスたちがひそひそと内緒話をする!
「えっなにこれ」
「こわ」
「ヤベえ」
 そこにつづけて追いついたコスプレラビットたちもひげ面のプリンセスに気圧されて足を止めたところだ。ラビットたちは脂汗を流しながらじりじりと間合いを図る。
「――フン!!女の子たちの間に挟まろうなどとは不届き千番でござるですわぞ!!お前はこっちでござるわ!!!!」
 ここでエドゥアルトは素早く跳んだ!その腕に流体金属を纏いながらラビットたちへと奇襲めいて飛び掛かる!炸裂する【戦術超鋼拳】!
「ギエーッ変態!!」
「なめてんじゃねぇぞこらァ!」
 ゴッ!いいパンチが入る!顔面を殴り飛ばされたコスプレラビットは地面の上を3回バウンドしてから爆発四散!
「ひええ……これじゃアリスちゃんたちに(全年齢向けコンテンツでは不可能な表現)できないよお……」
「なにィ!?Trick and Treatしたいだとォ?させる訳ねぇだろうがわよ!!」
 続けて追撃!鉄拳の連打が次々にラビットたちを粉砕する!瞬く間に周囲を制圧したエドゥアルトは、ニチャと擬音をたてながら爽やかな笑顔を怯え竦むアリスたちへと向けた。
「クックック……もう安心でござるわよ」
「アッハイ……ありがとうございます……」
「ええと……助かりました……?」
 2人のアリスは恐る恐るエドゥアルトに頷いた。――完全に不審者をみる目をしていたが、助けられたことには間違いないのだ。ぎこちなく2人はエドゥアルトに礼を言う。
「よし。ではここからはわたく拙者が同行して差し上げてもよろしくてござるわよ」
 スッ。エドゥアルトは有無を言わさず素早く2人の間に滑り込むと、返答を聞かぬままに2人の腕をホールドして3人4脚めいた態勢で歩きだした。
「さあ、行きましょうでござるわよ。これからは――拙者が天に立つ」
「……あの…………」
「……言うな、エル。激流に身をまかせろ」
 そして2人のアリスはあきらめたようにため息を吐くのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

鈴桜・雪風
アドリブ可
飛んでくるコスプレ衣装はお任せ
普通の衣装なら渋々着ます
マトモじゃない衣装なら嫌々着ます

……(頭痛を堪えるかのように頭に手を当てている)
見知ったアリスさん達が窮地とのことで、手助けに来たのですが……
ここまで頭の悪そうな事態になっていたとは、予想以上に酷いです
「指摘すべき問題が山のようにありますが、解決法だけは単純なのが救いです。――この理性蒸発兎達を全滅させれば問題の大半が消滅しますので」

【ソノ花咲カスベカラズ】で人食い桜の根を召喚
兎達を手当り次第に食い殺していきます

「剣技に頼むと動きづらい衣装が足かせになりますので!身を隠す為に傘が手放せなくなるとは、なんというざまですか」



「……」
 頭痛のする思いであった。
 鈴桜・雪風(f25900)は、その痛みを堪えるかのように額を抑えて深く長い溜息を吐き出す。
「見知ったアリスさん達が窮地とのことで来たのですが……」
『それはご苦労様だね』
『じゃ、なに着る?』
 ざわめく木々が雪風の話をまるで無視して都合を押し付ける。雪風の眉間に深めのしわが刻まれた。
「まってー♡」
「たくさん(全年齢向けコンテンツでは不適切な表現)してあげるからねぇ♡」
「いい加減あきらめろよ!!」
「も、もう疲れましたー!」
 その一方でコスプレラビットたちはいまだ諦めることなくアリスたちを追っかけまわしているのだ。聞こえてくる騒ぎに、雪風の眉間でしわが深まる。
「……ここまで頭の悪そうな事態になっていたとは、予想以上に酷いです」
『たいへんだね』
『衣装着る?』
 森のざわめきは一貫してコスプレさせることしか考えていなかった。一片の慈悲なくコスプレさせる森は衣装の選定作業を行っている。
「……ええ、はい。お任せしますけど」
 とにかく、着替えなければ話が始まらない。――まともな衣装だといいんですが、とぼんやり思いながら、雪風は木々を見上げた。
『そんな君にはこれをどうぞ』
『かっこいい!』
 しゅぽーん。そして森から衣装が飛び出した。――それは長裾の白い衣であった。
 その背にはサクラミラージュ文化圏の言葉で『喧嘩上等』『天下無敵』『夜露死苦』『史上最強』『雄屁゛流鋼怒』『櫻美羅亜寿』『須獄禍死恋』『雄死離嘆帝』などの言葉がギラギラした光る刺繍で意匠されており、更に劇画調で描かれた竜の刺繍が施されていた。サラシと木刀、それから『日本一』の文字を描かれた日の丸入りの鉢巻までがセットである。
 すなわち特攻服であった。
「……」
 想定していた方向性とはまた別のベクトルでひどい衣装が飛んできたことで、雪風は普段決して見せることのないムチャクチャ渋い顔をした。とんでもない渋面であった。
「……着ます」
『きっと似合うよ』
「似合いたくないのですが……」
 理性的でかつたおやかであることを信条とする雪風としては、これが似合うと言われるのもおもしろくないのだ。しかし、着ないことにはこのリプレイは始まらない。雪風は内心きわめて心理的なストレスと抵抗を感じつつも、嫌々袖を通した。

「まてまてー♡」
「こいつら……ッ!いい加減に――」
「――そこまでです!」
 ばさ――ッ!
 『仏恥義理』の文字を刻んだ裾を翻し、雪風が戦場へと降り立つ!
「お待たせしました、セラさん。エルさん。手助けに参りましたよ」
「お前は……!」
「雪風さん!」
 ――2人のアリスは安堵したように表情をほころばせる。
 彼女たちは以前、別の案件の際に雪風に助けられたことがあるアリスなのだ。2人は急いで雪風のもとへと駆け寄る。
「……でも、その恰好は」
 しかし、今回の雪風の装いはあんまりにもあんまりであった。エルが困惑しながらおそるおそる尋ねる。
「……致し方ないことです。あんまり見ないでください」
 雪風は微妙な表情をしながら目隠しするように和傘を開いた。
「身を隠す為に傘が手放せなくなるとは……なんというざまですか」
「こんどはなぁに!?」
「みてあれ!レディースよレディース!」
「ふるーい!」
「あんなの着て恥ずかしくないのかな……」
 だがその一方でラビットたちが雪風に容赦ない罵倒を浴びせる!
「……」
 雪風はほんのり眉間にしわをつくると、心を落ち着けるために一度深呼吸してから口を開いた。
「指摘すべき問題が山のようにありますが、解決法だけは単純なのが救いです」
 そして、ユーベルコードを励起する。ハロウィン行列に向いたストリートの石畳がゴリゴリと音を立てて割れ砕け始めた。
「――この理性蒸発兎達を全滅させれば問題の大半が消滅しますので」
 【ソノ花咲カスベカラズ/リインカーネーション・マーダー】。
 ハロウィンの国の大地を裂いて、人喰い桜の根が飛び出す。
「きゃーっ縛りプレイ♡」
「つかまっちゃったー♡」
「アーッ死ぬ♡♡♡」
 暴れ回る血吸いの根は怪獣映画めいてラビットたちに襲い掛かり、飲み込み地面の下へと引き摺り込んでゆく!コスプレ衣装を受け入れたことで強大なバフのかかったユーベルコード出力がオウガたちを圧倒した!
「アーッ♡♡♡」
「……」
 鎧袖一触!これでまたアリスたちを追っかけ回していたコスプレラビットの一団は全滅したのである。雪風と2人のアリスは一息ついてその場に座り込んだ。
「……マジでなんなんだよ、ここ」
 アリスの一人――セラは、とんでもない渋面で吐き捨てた。
「まったくもって同意見です……」
 ため息混じりに雪風も頷いた。背中に刺繍されたギラギラの刺繍がむなしく輝く。
「あっ、で、でも、その衣装、かっこいいと思いますよ!似合ってます!」
 その一方、エルと呼ばれる方のアリスが慌ててフォローする。
「……ありがとうございます」
 その言葉に、雪風はげんなりしながら作り笑いを返すのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
いたずらウサギさんたちに襲われてるアリスを助けに宇宙海賊シャークトルネード、颯爽と登場!

ただし、すっごく不本意なコスプレ姿で
(※内容はお任せします)
ううっ、これじゃ豪快に戦えないよぉ…
でも、【気合い】と【勇気】で羞恥心を克服してウィーリィくんと一緒にウサギさんを追い払う!
ラッパ銃の【範囲攻撃】+【制圧射撃】で動きを鈍らせたら熱線銃の【クイックドロウ】+【乱れ撃ち】でまとめてやっつける!

アリスを助け出したら【慰め】て安心させる
大丈夫。ボクたちが後で必ずここから助け出すからね

(※NG無し・アドリブ大歓迎です)


ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
鋭く素早く状況把握!
これ絶対放っておいたら色々とヤバいやつだ!

でもオウガに対抗するにはこっちも着替えなくちゃいけないんだよな。
衣装を選べない以上は【覚悟】を決めて【勇気】を燃やす!
ヒアウィーゴー!
(衣装はお任せします)

襲われているアリス達を【かばう】形で戦闘に介入し、シャーリーの攻撃で敵の足が止まったところで【料理の鉄刃】の【早業】で敵のコスプレ衣装を【部位破壊】で切り裂き、パワーダウンさせて後はシャーリーに任せる。

戦闘が終わったら救出したアリスからここの支配者の好物について聞き出す。
「こう見えて俺、料理人見習いだからさ」
このカッコのせいでそうは見えないかも知れないけど。



「これ絶対放っておいたら色々とヤバいやつだ!!」
「そうだよ、ウィーリィくん!はやく助けてあげなくちゃ!」
 ウィーリィ・チゥシャン(f04298)とシャーリー・ネィド(f02673)はハロウィンの国に到着するや否や、すぐさま状況を把握した!
『そうだね』
『でもその前に着替えていこう』
 だが、ここで空気を読まないのは立ち並ぶ木々のざわめきである。何が何でもこの国を訪れた来訪者たちにコスプレをさせたがる森が、ざわざわと音をたてながら2人に語り掛けた。
「あっうん、そうだな……。オウガに対抗するにはこっちも着替えなくちゃいけないんだよな」
 ウィーリィは沈痛な面持ちをした。――だが、ここは迷っている時間はない。2人は静かに頷きあい、木々を見上げて決断的に叫ぶ!
「決めるぜ、覚悟!さあ、なんでもこい!」
「ボクだってもうハラは決まってるよ!さあ、なんでも……」
『よおし、張り切っちゃうぞ』
『なにが似合うかな』
『コンビであることを活かしたいね』
『では――』
『こういうのは、どうだろう』
 ぽーん。
 ――かくしてコスプレさせる森から二つの衣装が射出される。
 それを受け取って――2人は、ほとんど同じタイミングで『うえぇ!』と素っ頓狂な声を漏らした。

 時計の針を少し進める。
「「「まてまてー♡」」」
「しぶてえッ!!!!」
「何度目なんですかこれー!!」
 もはや何回目の天丼なのか数えるのも億劫なレベルで幾度目かの逃走劇を繰り広げる2人のアリスたちは、追いかけるコスプレラビットたちから逃れながら悲鳴をあげる。
「はやくベッドにいきましょ♡」
「おんなのこの良さをおしえてあげるっ♡」
「うさぎのあなにごしょうたーい♡」
 まだこんなに残ってんのか、というほどに群れるラビットたちがアリスたちを追っかけまわしながら、全年齢向けコンテンツでは到底描写不可能な香りを醸し出すピンクの空気を纏う!いけない!このままではこのリプレイが閲覧制限コンテンツと化すのも時間の問題だ!
「そうは問屋が卸さないよっ!!」
 だが、その瞬間である!素早い【クイックドロウ】!!迸る熱線がコスプレラビットたちを灼く!
「きゃーっ♡」
「情熱的♡ いったいなにもの!?」
 場外からの攻撃に困惑するラビットたちが振り返り、ハロウィンの国の中に不自然に存在する崖の上を仰ぎ見る!そこに立つのは2人の猟兵――即ちウィーリィとシャーリーだ!
「いくよ、ウィーリィくん!ふッ!」
「ああ!やるぞ、シャーリー!はッ!」
 シュバーッ!2人は崖を蹴立て、激しいアクションとともに跳んだ!――そして、ラビットたちの眼前へと着地する!
「いたずらウサギさんたちに襲われてるアリスを助けに……宇宙海賊シャークトルネード、颯爽と登場!」
 シャーリーはポーズを決める!
 ――おお、見よ!その姿はボディラインが顕著に出る緑のボディスーツと背負い甲羅!かつてヒーローズアースの下水道に潜んでいた記録を残すバイオモンスター・ヒーロー、カメニンジャー・ブラザーズのそれである!
「そして俺はウィーリィ!料理人のウィーリィだ!」
 その一方、ウィーリィに課せられたコスチュームはエナメル質感の黒い煽情的なショートパンツと素肌ベスト!更にウサミミ・カチューシャを装着する――バニーボーイのそれであった!
 賢明な読者諸氏であればもはや説明するまでもなくお気づきであろう。2人に与えられた衣装のモチーフはUDCアースを中心に多くの世界で愛される童話、ウワギとカメである!
「ううっ、これじゃ豪快に戦えないよぉ……」
 だがこの衣装はちょっとノれない!若干のモチベーション低下に、シャーリーはついぽろっと泣き言を漏らしてしまった。
「頑張るんだ、シャーリー!ここで俺たちがくじけたらアリスたちがたいへんな目に合わされる!」
 しかし拭いきれぬ羞恥に震えるシャーリーを、ウィーリィが慰める!
「うん……そうだね、ウィーリィくん!」
 そして2人はぎゅっと手を握り合い、再び視線をラビットたちへと向けたのである。その双眸には戦う意志を宿して!
「きゃあ!えっち!!!!」
「あーわかりますこれわかりますね。だいこうぶつですね」
「やっぱりバニーは男の子が着るべき衣装だって証明されてちゃったね♡」
 だがその一方でコスプレラビットたちはいきり立っていた!荒い呼吸!野獣めいた眼光がバニーボーイ・コスチュームのウィーリィへと集中する!
「なんてすさまじい敵意とプレッシャーだ……これは一筋縄じゃいかなさそうだな!」
 ウィーリィは自前の包丁を抜き放ち、そして応戦の構えを見せた。
「なんだかすごい悪寒がするんだけど……。ううん、でも負けないよ!ウィーリィくんはボクが守る!」
 一方シャーリーはコスプレラビット軍団がウィーリィに向ける熱い視線にうすら寒いものを感じ取る。これは負けるわけにはいかない。2人は早速行動に移り、敵群を迎え撃つ!
「これで、どうだぁっ!」
 シャーリーはすぐさまトリガーを引いた!スターボウ・スプラッシュ!牽制射するように、シャーリーは散弾を浴びせる!カメ・コスチュームの重量が邪魔をするも、その程度は許容範囲。これで鈍るような腕はしていない!
「きゃーっ♡」
「こわーい♡」
「なんか気が抜ける連中だな……」
 散弾の襲撃に足を止めるオウガの群れ!悲鳴とも嬌声ともつかぬラビットたちの合唱を受け流しながら、ウィーリィが奔った。踊るような機動。跳ね上げる切っ先!【料理の鉄刃/ブレイドワーク・オブ・アイアンシェフ】がラビットたちに襲い掛かる!
「きゃーっ♡服がやぶけちゃーう♡」
「えっちぃ♡」
「わたしたちをこんなあられもなくしてどうするつもりなの♡♡♡」
「むっ!ウィーリィくん!」
「シャーリー!!誤解!!」
 そして再びシャーリーが銃把に手をかけた。抜き放つ一挺はシューティングスター!素早く引かれるトリガーが熱線を放った。
「あーっ♡」
「らめぇしんじゃうぅ♡」
 命中と共に爆発!コスプレラビットが次々に爆散してゆく――これは2人の作戦の成果だ。衣装が力を与えているのならダメにしてやればいい。ウィーリィがその包丁で敵のコスチュームを切り裂くことで衣装を損壊し、コスプレ状態を解除することで弱体化したところを撃ち抜く作戦だったのである。
「これで……おしまい!」
 最後の一体を光線が貫いた。爆散するラビットたちを背に、バニーウィーリィとタートルシャーリーがポーズを決める。

「すごい連携……おふたりとも、仲がいいんですね……」
「ふーっ……えへへ、まあね!」
 カメ・コスチュームの重たい甲羅を一旦地面に置きながら、シャーリーが一息つく。
 落ち着いた頃合いで、猟兵たちは2人のアリスへと声をかけた。
「……とにかく、助かった。さっきからあの連中に追っかけまわされてうんざりしてたんだ」
 アリスの片割れ――セラと呼ばれている方が、肩を竦めて大きくため息を吐く。
「大丈夫。ボクたちが後で必ずここから助け出すからね」
「ああ。そのためにも、ここの支配者をどうにかしないとな……。ええと、料理を食べさせるといいらしいんだけど……2人とも、敵の好物とか、わからないか?」
 ウィーリィは包丁の刃を拭いて手入れしながら、アリス達へと問うた。
「料理、ですか……?」
「こう見えて俺、料理人見習いだからさ」
「……バニーだけど?」
「カッコのことは言うなよ!まあ、こんな服着てちゃそうは見えないかもしれないけど……」
 ウィーリィはほんのちょっと不機嫌そうに唇を尖らせた。
「あ、ごめんね。そんなつもりじゃなくて……でも、ごめんなさい。私たちも知らないんです」
「ああ、ここのボスっつーのの顔もまた拝んでねーからな」
 セラが肩を竦めた。
「そっか……わかった。ありがとう。ぶっつけ本番になるか……でもなんとかするしかないな」
 ここでは情報は得られないか――。ウィーリィが眉間に僅かなしわを寄せる。
「うん。ボクもしっかり手伝うよ。がんばろうね、ウィーリィくん!」
 そんな様子を見て取り、シャーリーがウィーリィの背を叩いて励ました。
「ああ。絶対にすごい料理をつくって、ここの支配者をやっつけてやろう!」
 そしてウィーリィはグッと拳を握る。
 2人の様子を見守りながら、アリスたちもまたウィーリィたちとともに拳を突き上げ、えいえいおー、と叫んだのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ティオレンシア・シーディア
※衣装お任せ・NGナシ・トンチキ歓迎

なんというか、またトンチキな…
何でもあり加減なら今までで随一なんじゃないかしらねぇ、この世界…
よっぽどヒドイのじゃなきゃ別に忌避感とかはないけれど。動きやすい衣装だったら楽かしらねぇ?

穴に落ちたら一発アウトに近いっぽいし。ゴールドシーンにお願いして●要殺をアンサズ(情報)とラド(探索)で底上げして警戒、姿を見せた奴から○クイックドロウで迎撃。片っ端から撃ち抜いてくわよぉ。不意討ちなんて通じると思わないでねぇ?

評価についてはまあ、気にならないではないけれど。
…事と次第によっては、丸ごと焼却しちゃったほうが世の為なんじゃないかしらねぇ、ココ…?



「なんというか、またトンチキな……」
 ティオレンシア・シーディア(f04145)は、あんまりにもあんまりなこのハロウィンの国の風景を見渡してため息交じりに呟いた。
「ラビットたちはー♡ くじけないっ♡」
「まてまてー♡」
「すぐにきもちよくしてあげるからねぇ♡」
「いい加減あきらめろよ!!!!!」
「なんでこのひとたちこんなしぶといんですか!?」
 スラップスティックめいて砂煙を立ち上げながら走るオウガの群れ。悲鳴をあげながら逃げ惑うアリスたち。
 ティオレンシアはその様子を見遣ってから短くため息をつき、そしてコスプレ衣装を押し付ける森を見上げた。
「何でもあり加減なら今までで随一なんじゃないかしらねぇ、この世界……」
『でも、たのしいだろう』
『トリックオアトリートの精神をわすれないでくれ』
『さあ、それでなに着る?』
「…………」
 そして、ティオレンシアに語り掛けるのは彼女の都合だとか情動だとかを一切考慮せずにコスプレ衣装を着せたがる木々のざわめきである。
「……」
 極めて珍しいことに――ティオレンシアは人前でため息を吐いた。
 いくらなんでもひどいシチュエーションにマッハになったストレスが彼女の精神を苛んだのである。このため息もまた仕方のない事象といえよう。
「よっぽどヒドイのじゃなきゃ別に忌避感とかはないけれど……動きやすい衣装だったら楽かしらねぇ?」
 ティオレンシアは眉根に僅かなしわを寄せながら木々を見上げて注文をつけた。
『善処しよう』
『動きやすい衣装……』
『体操着やブルマは』
『年齢を考えると無理がある』
「いまなんて言ったかしらぁ?」
 さざめく木々の寸評ににらみを利かせながら、ティオレンシアが唸った。
『……』
『……』
『……では、これでどうか』
 数秒の間を置いてから、ざわめく木々が葉擦れの音をたてる。そして――ぽすん、と音をたてながらティオレンシアのもとへと射出された衣装は。
「…………随分時代錯誤じゃなぁい?」
『しかし、注文通り』
「まあ……たしかにねぇ」
 腕の中に収めた衣装をためつすがめつし――まあ、許容範囲かしらねぇ、と。ティオレンシアは衣装を抱えて更衣室へと向かった。

「いけーっうさぎあなー♡」
「ごくらくへごしょうたーい♡」
 ガオオオォンッ!ゴゴゴゴゴッ!ラビットたちが操縦するのは、土管めいた巨大な構造物である!それこそが今回のシナリオで描写される『うさぎの穴』だ!(※オブリビオン設定からは若干離れた描写となりますが全年齢向けコンテンツにアジャストさせた結果となります。ご了承ください)
「……なるほどねぇ」
 そして――ティオレンシアは、眼前に迫るその『うさぎの穴』の襲撃を目の当たりにしながら、しかしてひどく冷静にその双眸を細めてみせた。
「じゃ、対処しようかしらねぇ――」
 呟きひとつ。口にするや否や、ティオレンシアはホルスターから銃を抜いた。抜き放つ一挺、45口径コルトSSAカスタム・オブシディアン!ティオレンシアは素早く引き金を引く!重い銃声と共に吐き出された鉛玉が、ラビットを粉砕した!
「きゃーっ♡」
「まけるなー♡」
「おそえーっ♡」
 だが、残るラビットたちがティオレンシアへと一斉に攻勢をかける――
「残念だけど、遠慮しとくわぁ」
 だが、銃声!素早く反応するティオレンシアが続けて引き金を引き、鮮やかにラビットたちを撃ち抜いてゆく!
「うしろからーっ♡」
「――」
 続けて襲い来るコスプレラビット!ティオレンシアの死角から迫っていたのだ。不意打ちを狙ったかたちとなる。
「不意討ちなんて通じると思わないでねぇ?」
 しかし、ティオレンシアはそれもまた迎撃する――【要殺/サスペクト】。ルーン魔術を繰る術師でもあるティオレンシアは、戦場に立つにあたって術式による知覚力の拡張を行っていたのだ。《アンサズ/知識・神託・情報》と《ラド/車輪・旅・探索》の2つのルーンが、周囲の空間を掌握する力を引き出していた。
『ぴきゅ』
 更に彼女のポケットの中で鉱物生体ゴールドシーンが短く鳴く。彼もまた神秘の力持つ生命であり、ティオレンシアの術式の効力を底上げしていた。
 結果として――
「アーッざんねーん♡」
 彼女を襲ったラビットたちは、瞬く間に全滅の憂き目にあったのである。
『実にお見事』
『いやあ、すばらしい』
『まさにきらめくpassion fruit』
『秘密めいた扉が開くのを感じましたね』
「……」
 そして、コスプレさせる木々は好き勝手に感想を述べた。
 そう、ここまで描写を省略していたが、今回ティオレンシアに与えられた衣装は――いわゆる全身タイツに近いボディスーツであった。エアロビクス用のウェアとも言えるそれの腰には、帯のように布が巻かれている。
 これはかつてヒーローズアースで活躍したという高名な女怪盗、“猫目の姉妹”の『仕事着』であった。
『たいへんにごちそうさまでした』
「そう……」
『ちょっとポーズしてもらっていいですか』
「えっ。嫌だけどぉ……」
 木々のざわめきが語り掛けるよくわからない賛辞と不可解なリクエストを受け流し、ティオレンシアは微妙な顔で眉間にしわを寄せる。
「なんていうか……丸ごと焼却しちゃったほうが世の為なんじゃないかしらねぇ、ココ……?」
 思わず零れた本音は、次なる来訪者のための衣装を用意する森の葉擦れと衣擦れの音に紛れて消えてゆく。
 敵の数は順調に減りつつある。このハロウィンの国全体にはびこったコスプレラビットが完全に駆逐されるまで、もはや時間の問題となっていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

エダ・サルファー
うん?あれ?エルとセラ?
マジか、まだ帰れてなかったのか……
しかもまたひどい目に遭ってたのか……
オウガオリジンも討たれたってのに不憫な……
そうとわかれば、気合いを入れ直して挑まないとね!

それはともかく、コスプレはしたこと無いなぁ。
どんな衣装が提示されるかちょっとワクワクするねぇ。

そんなわけで、衣装はどんなものであれ着るよ!
どうせ私には大したおしゃれセンスも無いんだし、森の木々のセンスを信じるだけだよ!

んで、衣装着たら手近なオブリビオンから順番に殴り倒していくよ!
少女たちにセクハラするような悪いウサギは捨て置けないからね!
私の聖拳突きで骸の海へ帰りやがれ!

やることは衣装が違うだけでいつも通りだね!



「うん……?あれ?エルとセラ?」
「あっ、お久しぶりです!」
「あんたも来てたのか……いや、地獄に仏ってところだな」
 ハロウィンの国にて、エダ・サルファー(f05398)はアリスたちと邂逅を果たす。
 エダもまだ、以前の案件で彼女たちと面識がある猟兵の一人だ。
「てっきり帰ったもんだとばかり思ってたけど……」
「あたしらもそう思って扉を探そうと思ってたんだけどさァ」
 訝しむエダに、セラが肩を竦める。
「あのあとすぐにいろんなところが騒がしかったでしょう?」
 力なく笑むエルの顔に疲労の色が見える。――曰く。前回の事件のあと、帰るための扉を探し始めたはいいが当時のアリスラビリンスは迷宮災厄戦の真っ最中。どこもかしこも猟兵とオウガの戦いの真っ只中で、それどころではなかった――というのだ。
「マジか、まだ帰れてなかったのか……まあ、でもたしかに戦争やってたもんなあ」
 そりゃあ帰れないわけだ。エダは納得しながら頷く。
 そして。
「まてまてーっ♡」
「あっきらっめなーい♡」
 未だに2人を追っかけ続けるコスプレラビットの群れ――ここまでの猟兵たちの活躍で大きく数を減らしたと言えど、まだ全滅には至っていない。その残党が、未だにアリスたちを追い回しているのだ。
「しかもまたひどい目に遭ってたのか……。オウガオリジンも討たれたってのに不憫な……」
「……しみじみ言ってる場合じゃねーよ!」
「そ、そうです!たたかいましょう!」
「ああ!ここでまた会ったのもなんかの縁!気合いを入れ直して挑まないとね!」
 ぱし、と拳を掌に打ち付けながら、エダは道の脇でさらさらと葉擦れの音をたてるコスプレ衣装の森を仰いだ。
「で、なんか着ればいいんだろ!好きなの出しな。どんなものだって着るよ!」
 どうせ私には大したおしゃれセンスも無いんだし、と笑うエダはなんでもこいと胸を叩く。
『おお』
『これはモチベーションが高い』
『では、これで頼もう』
 その気合の入った様子に感服し、ざわめく木々の合間から衣装が飛び出した。すぽーん。エダがそれを受け止める。
「いえーい♡」
「あそびまーっしょ♡」
 だが、そこにコスプレラビットたちが迫った!衣装を着なくては、世界法則のバフによる戦力差に押しつぶされてしまう!群がるコスプレラビット!危うし!
 ――だが、エダはここで鋭く叫んだのだ!
「タイム!」
 ばっ!開いた掌を突き出して宣言!
「私、まだ着替えてないだろ!」
「むっ」
 その声に動きを止めるコスプレラビットたち!
「ここじゃ衣装を着るのがマナーらしいじゃないか。今からちゃんと合わせるから、着替えるまでちょっと待ってくれない?」
「…………」
 わずかな沈黙。
 少し遠くから、その様子を恐る恐る見守るエルとセラ。そして――十数秒の間を置いて。
「みとめる♡」
「はやくきがえてきてね♡」
「更衣室はあっちよ♡」
 通った!コスプレラビットたちが木々の合間に設置された更衣室を指してエダを案内する!
「ありがとう!じゃあ着替えたらやりあおうじゃないか!」
「まってるわね♡」
 だッ!エダは素早くダッシュする!コスプレラビットたちに見送られながら、エダは更衣室に駆けこんだ!
 しばらくお待ちください!

「よし!お待たせ!」
 10分ほどの時間を置いて、エダが更衣室から飛び出す!――その勢いのまま直進!ふわりと風にフリルが揺れる!布地の上できらめくスパンコール!輝く宝玉を嵌めこんだキラキラのステッキ!駆ける姿はふわふわのパステルカラーだ。その衣装は即ち――魔法少女である!
「かわいーっ♡」
「にあうー♡」
「どうも!」
 打撃音。骨の砕ける音と共にコスプレラビットが石畳の地面に沈み爆散する。エダが魔法ステッキで殴打したのだ。
「さあ、それじゃあ始めようじゃないか!片っ端から殴り倒していくよ!」
「きゃーっ♡」
「こわーい♡」
 きゃあきゃあ叫ぶコスプレラビットたちに追い縋り、続けてエダはステッキを放り捨てながら拳を握りしめた。呼ッ。短い呼吸。素早い調息がその身を巡るドワーフちからを活性化させる。放つ拳は――
「マジカル聖拳突きぃっ!」
 轟音!炸裂するマジカル【必殺聖拳突き】!
「アーッ死ぬ♡」
「次っ!女の子にセクハラするような悪いウサギは捨て置けないよ――骸の海へ帰りやがれ!」
 素早い身のこなしから放つ蹴り足!魔法少女らしく繰り出す“閃光の魔術”!膝でオブリビオンの顔面を粉砕し、また一体を骸の海へと還す!
「やることは衣装が違うだけでいつも通りだね!」
 ここから先は一方的な戦いであった。
 残るラビットたちもエダの技が最後の一体まできっちりとどめを刺して爆散。
「きゃーっ全滅♡」
 かくして、このハロウィンの国にはびこっていたコスプレラビットたちは全滅へと至る――
「……なんだ、思ったより呆気なかったね」
「いえ、まだこの国を支配しているボスがいるはずです……」
「ああ。そいつをとっちめて、さっさとこんなバカみてーなトコからおさらばしようぜ」
 そして、エダは2人のアリスたちとあらためて合流する。
 この国を支配するオウガには、強力な権能が与えられている――ここから先は、これまでよりもつらい戦いになるはずだ。
 猟兵たちはあらためて気を引き締め、そして現れるであろう敵の首魁との決戦へと備える!

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『マリスナイト』

POW   :    アリスの仲間達よ、彼女を守るんだ!
演説や説得を行い、同意した全ての対象(非戦闘員も含む)に、対象の戦闘力を増加する【強い使命感】を与える。
SPD   :    アリスを惑わす敵は、私が排除する!
全身を【アリスを騙す為の白銀の鎧】で覆い、自身の【悪意】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
WIZ   :    悪意は主の元へ還る
【自分の細剣】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、自分の細剣から何度でも発動できる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はテンタクルス・ダークネスです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「――そうか、ラビットたちはだめだったか。まあ、そうなるだろうとは思っていたよ」
 カッ、カッ、カッ――。ブーツの靴底が、ハロウィンパレードにあつらえ向きの石畳のストリートを叩く。響く靴音が、猟兵たちへと近づいた。
「では、ここから先は私の出番だ。……ふふ、とても気分がいい。なにしろ今回の私にはこの“無敵”の権能がある……。時には、一も二もなくちからでねじ伏せて蹂躙するというのもきっと愉しいにちがいない。……ね、君達もそう思うだろう?」
 ――そこに姿を見せたのは、少女である。
 マリスナイト。――本来であれば、自らを協力者や友人のように偽り、アリスたちを裏切りという絶望に落とした上で喰らうことを好む悪辣なオウガだ。しかし、今回この国に出現した彼女は“無敵の権能”の優位性を利用してシンプルに暴力的な手段に訴えることをよしとしている。たまにはそういうのもいいよね。
「あなたは……!」
「……フフ」
 2人のアリスの姿を見遣って、マリスナイトが口の端を歪める。
「さあ、それじゃあパーティーの時間にしよう。丁度私は空腹でね……ああ、君たちはとっても美味しそうじゃないか」
 しゃ――ッ。マリスナイトは剣を抜き、そして獣のように嗤った。

「……いえーがー!いえーがー!」
 その一方。
 ハロウィンの国の各地に点在するキッチンから、猟兵たちを呼ぶ声がする。
 その声の主は、オウガ達によってパティシエ奴隷として菓子作りや強制労働棒の回転といった奴隷労働を強要されていたパンプキンヘッドやシーツおばけといったハロウィンゆかいな仲間たちだ!
「このくにの、ほうそく!」
「ハロウィンのしはいしゃ、『トリート』こばめない!」
「いえーがー、『とりーと』つくる!たべさせる!」
「しはいしゃよわくなる!」
「かつ!」
 ゆかいな仲間たちが騒ぎ立て、猟兵たちをキッチンへと呼び込む!
 そう――ここから先は、この世界を支配するオウガからの攻撃を防ぎ、あるいは躱しながらキッチンで菓子や料理をつくり、そして振舞うことが推奨されてるのだ!
アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい♡

魔術的パラダイムシフト(結界術/化術/肉体改造/多重詠唱)で萌え擬人化料理なモン娘に変身♪パラサイトテンタクルも食材系触手にして、さぁ、召し上がれ♡

Q.お前の頭は大丈夫か?
A.私の頭は通常運転です♡

変態で悪いかね?
変態したモン娘に合わせた衣装が飛んできたのでサクッとコスプレして、マリスナイトに同意した連中共々合体するわ☆
トリック・オア・トリート♡さぁ、たっぷりと召し上がれ♪
ふふ、結界術で な世界観に転換してる以上はマリスたんは私をそういう意味で捕食するしかないわ♡触手も料理だから拒否せず食べて(合体して)ね♪触手の先端からは極上の特濃クリームも出るわ♪



「――ふふふ」
「……」
 アリス・セカンドカラー(f05202)はその身を異形へと変じていた。
 先ほどと同じ限定的な空間支配能力に術式を重ねた結果だ。その姿は――遠目からうっすら薄眼で見れば、おっきなケーキに見えなくもない。その身体から出た触手がうにうにとのたうった。
「さぁ、召し上がれ♡」
「……」
 対峙するマリスナイトは、しばらく渋い顔をしていた。
 数秒の沈黙を置いて。
「君、頭大丈夫?」
「私の頭は通常運転でーす♡」
 しゅばーっ。コスプレさせる森から飛んできたドレス的な衣装を纏い、ケーキモンスター娘としてアリスはそこに立った。
「とんでもない変態がきたものだね……あーやだ。アタマ痛くなってきた」
「変態で悪いかね?」
「悪くなかったら文句言わない!!」
「ごめんあそばせー♡」
 マリスナイトのあげる抗議の声をスルーして、アリスはやりたい放題やらかす。【不可思議な寄生触手の合体♡/パラサイトテンタクル・ユナイト・イントゥ・ワン】。ケーキモンスターアリスから伸びゆく触手たちはハロウィンの国を右往左往するゆかいな仲間たちを片っ端から捕らえて取り込んでゆく。
「あーっ」
「たべられるー」
 ハロウィンゆかいな仲間たちを合体素材にしてゆくアリスはハロウィンケーキモンスター娘へと変貌してゆくのだ。
「完成よ♡トリック・オア・トリート♡ さぁ、たっぷりと召し上がれ♡」
 ――そして、誘う。
 アリスの結界術によって掌握されたこの空間は、(全年齢向けコンテンツでは不適切な表現)である。そのような世界法則で上書きしたこの空間においては、マリスナイトは(全年齢向けコンテンツでは不適切な表現)をするほかない。
「……」
 マリスナイトは短くため息をついてからベルトを外した。
「――まったく呆れたスイーツだね。この世界の法則を理解していないのかい?」
 マリスナイトはそのまま歩を進める。風車に挑んだ騎士めいて、触手うごめくアリスへと向かった。
「いいとも。そんなに言うなら食い尽くしてあげよう。――“召し上がれ”と言ったのは君だからね?」
「ええ。それからこの触手も料理だから、拒否せず食べてね♪」
「ああ、頂こう」
 がじッ。
 マリスナイトは触手を掴んで噛みちぎった。舌なめずりして更に手を伸ばす。
「“こうさせた”のは君だ。精々頑張ることだね。――私は、とってもお腹が空いているんだ」
「ふふ。存分に召し上がれ♡」
 マリスナイトの双眸が獰猛に光った。
「いいとも」
 ――たとえ領域を上書いたとしても、この座標がハロウィンの国の内側である以上“無敵の権能”は有効だ。そして、この“無敵”の概念は(全年齢向けコンテンツでは不適切な表現)においても作用する。
 そして――マリスナイトの指先がアリスの頬を撫でた。
「んっ……♡」
 バリタチ!マリスナイトは(全年齢向けコンテンツでは不適切な描写)した。それは(全年齢向けコンテンツでは不適切な描写)である。マリスナイトは更に(全年齢向けコンテンツでは不適切な描写)し、一気に(全年齢向けコンテンツでは不適切な描写)した。
「はぁ……はぁ……」
 アリスはどちらかといえば捕食者側に立つ傾向の強い猟兵である。そうした志向の持ち主が、同じ捕食者と相対した場合――そこで発生するのはイニシアチブの奪い合いだ。
 しかし、この国においてマリスナイトは“無敵の権能”をもち、絶対的な強者として君臨している。故に、(全年齢向けコンテンツでは不適切な表現)においても捕食する側としての立場を譲るつもりはなかった。
「――なるほど、たしかに味わい深い。だけど、もう少し工夫がほしかったな――」
 マリスナイトは(全年齢向けコンテンツでは不適切な描写)した。その舌先が(全年齢向けコンテンツでは不適切な描写)する。アリスの身体が跳ねた。
「例えばキッチンで料理をしながら誘うとか――いわゆる新妻プレイだよね。エプロン姿もいいと思わない?」
「あっ♡ すごい……♡」
 (全年齢向けコンテンツでは不適切な描写)。マリスナイトは更に掴んだ触手を(全年齢向けコンテンツでは不適切な描写)し、(全年齢向けコンテンツでは不適切な描写)する。
「……どれにせよ、ちゃんと料理をしてもらわないからには話にならないのさ。――気持ちは受け取っておくけどね」
 マリスナイトは獣のように嗤いながら、(全年齢向けコンテンツでは不適切な描写)する。
「ああーーーっ♡♡」
 そして、アリスは(全年齢向けコンテンツでは不適切な描写)した。 
「ごちそうさま。たのしかったよ。おなかはすいたままだけど」
 乱れた着衣を整えながらマリスナイトは振り返る。
 ――かくして、ハロウィンの国における“無敵の権能”をもつ首魁との戦いが幕を開けたのである。

成功 🔵​🔵​🔴​

チル・スケイル
(調理と防御を同時にするのか…何度やっても難しい…)

(ともあれ大量の氷弾で広範囲の地面を凍らせ滑るようにし、オウガがこちらにたどり着けないようにする)

(相手と目的が何であれ、不味い物を食べさせたくは…ない!)
(魚が凍らないように調節した凍気で鮮度を保つ)
(ミソスープには生命の書片でとったダシを使用)

(スシを握るのは2度目。だからこそ油断なく、妥協しない)
(ゲンタウ大将、異世界津々浦々、私が訪れたいくつものスシ屋の大将…私に力を)

お待たせしました、お客様。私からの『トリート』は、不思議の国産の鮮魚とコメ、食材をふんだんに使った新鮮なスシ、そしてミソスープでございます。



「ははははッ!遊びはもうおしまいだ!」
 マリスナイトは剣を抜く。跳ぶように華麗な所作。巧みな体捌きで宙を舞い、そして猟兵たちへと襲い掛かる!
「……あの動き、ただ者ではない」
 チル・スケイル(f27327)は接近する敵の姿をにらみ、そしてすぐさま行動に移った。
「まずは……近づかせない」
 マルヴァールマ・スロワー。先の戦闘の際にも用いた氷の魔杖だ。チルは杖の先から冷気を放射し、地面を凍結させてゆく。
「む――なるほど、そうくるか!」
 凍結した地面は当然ながら氷が張った状態だ。【氷術・滑/アイススムース】が地面の摩擦抵抗力を大きく減退させ、機動に適さない状態へと変える。
「だけど……この程度、時間稼ぎにしかならないよ!」
 しゃ、ッ!アイススケーティングめいてマリスナイトは踊るように氷上で回転した。態勢を立て直しつつ、前進する!
「時間稼ぎで十分……!」
 チルはキッチンへと向き直った。
 先んじて敵との交戦に向かっていた猟兵がつくった時間で、チルは既に下準備を整えていた。土鍋の蓋を外せばそこに艶やかな白米。更にまな板の上にはアリスラビリンス内の海の特性をもった不思議の国で収獲された迷宮鰹や魔鯛、スペードマグロといったふしぎ食用海鮮のサクが並んでいる。
 そう。彼女はこの戦場において、スシを握ろうとしているのだ。
 スシとは主にスペースシップワールドを中心として発展した食文化である。多くのスペースイタマエたちの間で伝承されたスペース食文化の中枢を担うとも言われる伝統的な料理だ。その歴史の長さに相応しい技術と精神性が作り手には求められる。
 チルはその手に包丁を握り、決意を込めた表情で食材へと向き合った。
 相手と目的が何であれ、不味いものを食べさせたくはない――。板場に向き合うこの一瞬、彼女の魂はまさにイタマエそのものであった。
「ハッ!」
 チルは素早く土鍋の白米を桶へと移すと、米酢を加えて手早く混ぜ始めた。
「なにをするつもりか知らないけど――!」
 だが、襲撃!氷の地面を踏み越えて、マリスナイトがキッチンへと距離を詰めたのだ!
「まだ準備は整っていません――もう少々待っていてください」
 チルは咄嗟に振り返りながら術式を放つ。魔杖カシュパフィロが白く吐息を吐き出しながらマリスナイトを迎え撃った。
「ちっ!」
 反撃を警戒し、マリスナイトが後退する。チルは狙いを定めず更に追撃の氷弾を威嚇めいて撃ち放ち、そして調理へと意識の先を戻す。
「スーッ……」
 チルは静かに息を吸って、吐いた。その傍らで、火にかけられた鍋の中の蟹殻が香しく出汁の香りを浮かべた。
 スシを握るのは2度目。だからこそ油断なく、妥協しない。――チルの双眸が静かに光る。
「ゲンタウ大将、異世界津々浦々、私が訪れたいくつものスシ屋の大将……私に力を」
 そして、包丁が唸った。

「……よくもまあ、小癪な真似をしてくれたね。だけど、これで終わり――」
 キッチンへとたどり着いたマリスナイトが、抜き身の刃をチルへと突き付ける。
「いいえ。――ここからが本番です」
 しかし、チルは僅かなばかりも表情を崩すことなく言葉を返した。
「……なんだって?」
「お待たせしました、お客様。――そちらの席におかけください。私からの『トリート』は、不思議の国産の鮮魚とコメ、食材をふんだんに使った新鮮なスシ、そしてミソスープでございます」
「なに……!そうか、時間稼ぎはこのためか!」
 『トリート』!――そういわれてしまっては、マリスナイトはその言葉に従わざるをえない。その法則こそが、無敵の権能と引き換えに彼女を縛ったものなのだ。
 マリスナイトは剣を収め、苦虫を噛み潰す思いで席へとついた。
「まずは魔鯛――」
 チルはその目の前で厳かにスメシを手にし、手際よくシャリの形を整える。適量のラビリンスワサビを加え、シャリを包み込むように魔鯛の切り身を握った。
「お待ち」
「……いいだろう」
 マリスナイトは小皿にマジカルムラサキを適量加え、魔鯛の握りをわずかに浸してから口に運んだ。
「……」
 そして、咀嚼する。食材の味を舌の上で確かめ、ゆっくりと味わってから呑み込んだ。
「なるほど――たしかに旨い」
 マリスナイトはため息を吐く。
「シャリの固さ――固すぎず、やわらかすぎず。なるほど口の中に入れたら解ける、理想的なバランスでできている。それにこのネタの鮮度。随分と細やかに管理していたようだね。驚くべき新鮮さだ。まるで獲れたてをそのまま頂いたのかと思ったよ。そう、シンプルにシャリとスシネタで構成されるニギリは何より食材の質が第一だ。そしてその質を損なわない技術もまた重要なファクターであると言える……。これはたしかに合格点といえるだろう」
「こちらもどうぞ」
 饒舌に感想を述べるマリスナイトへと、チルは更に椀を勧めた。
「これは――この出汁の香り。カニ出汁の海鮮味噌汁だね」
 マリスナイトは勧められるがままに椀を取り、味噌汁を啜る。
「芳醇な香り――。味噌の加減も絶妙だ。蟹出汁と味噌が互いにぶつかり合うことなく、二つの旨味が互いを引き立てるように協奏している。悔しいが、これもまた美味だと称賛せざるを得ないね」
「次は何を握りましょう」
「……そう。そして私の注文に応えて目の前で握ろうというその対応。なるほど。たしかにこれは『トリート』というに相応しい。……いいだろう、スペードマグロを」
「かしこまりました」
 チルはマリスナイトへと向けて一礼し、そして次のシャリを握る――。
 ――トリートとは、『もてなす』という意味もある言葉なのだ。そして、チルの選んだ目の前で握るスシという形態の食事は、まさにもてなしに相応しいものであったと言えよう。完璧なトリートである。
 マリスナイトはこの後およそ10貫のニギリとミソスープのおかわりを1杯分追加し、存分に第一のトリートを味わったのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

鈴桜・雪風
くっ、嗜みとして料理の心得はありますが……
「戦いながら、というのは初めてですわね!やり難い事この上ありませんわ!」

逃げ惑いながらの調理は現実的に不可能
となれば台所を死守しての防衛戦になりますか
しかし心を込めたトリートでないといけない以上、手は抜けません

剣士としての勘で殺気を察知し、背後から飛来するマリスナイトの攻撃を迎撃しつつ
『野菜たっぷりスープ』の調理に励みます
「素材を切って火にかければ、残りの調理時間の大半は『待ち』の時間!戦いながら作るには最適でしょう」
いい仕上がりの為には味見をは忘れず、時間管理だけは正確に、ですね

「さあ、トリートの時間ですよ!」
(エル、セラを含む皆に振るまいながら)


エダ・サルファー
うわ、マリだ。
いや、同じ顔なだけかもだけど、ここで出てくるのか……
まあ良いや!相手が誰であれ私のトリートをくらえ!

無敵の権能は厄介だけど、こう見えて私は料理がそこそこ得意なのだ。
ハロウィンってことで、かぼちゃを使ったメニューでもてなしてくれるわ!
あ、少し時間がかかるから、その間は持ってきたエール飲んでてね。

さてさて、まずは煮切ったみりんに醤油とかつおだしを加えてつゆを作って。
食べやすい大きさに切ったかぼちゃやナス、さつまいもとかの秋野菜を素揚げにしてつゆに投入!
後はしばらく漬ければ、秋野菜の揚げ浸しの完成よ!
お菓子じゃないのかって?
エール出したんだからおつまみが出てくるに決まってるでしょうが!



「……あの剣。あの顔。そしてあの気配……間違いありませんね」
「……」
「ああ、あれは……」
 鈴桜・雪風(f25900)と2人のアリスは、剣を抜き放ち迫り来るマリスナイトへと対峙する。
「うわ、マリだ」
 エダ・サルファー(f05398)もまた、ちょっとうんざりした顔をした。
「ですよね」
「だよなあ」
「何度も出てきて恥ずかしくないんでしょうか……?」
 雪風と2人のアリスが頷く。
 マリ――マリスナイトは、以前2人のアリスが巻き込まれたデスゲームの首謀者であり、そしてその際に雪風とエダが戦ったオブリビオンなのである。
「なんのことを言っているか知らないけど……ひょっとして、別の“私”に会ったことがあるのかな?」
「……」
 特に雪風にとっては今回で3度目の邂逅となる。――とはいえ、オブリビオンは骸の海から蘇る度に別個体となるため、以前に邂逅した『マリ』本人ではないのだけど。
「あー……同じ顔なだけなのか。でも、ここで出てくるのか……」
 エダがちらと横目で2人のアリスの様子を伺う。2人のアリス――エルとセラは、マリスナイトに相当酷い目に遭わされていたはずだ。
「……大丈夫です、エダさん。わたしたち、もう負けません」
「ああ。むしろ鬱憤晴らしのいい機会さ。――行くぜ、あん時の借りを返してやる!」
「おやおや。以前の“私”は随分ひどいことをしたみたいだね――ぜひ教えてほしいな!」
 そして、マリスナイトは剣を抜いた。
「性格の悪さもそのままってことか!……まあ良いや!相手が誰であれ私のトリートをくらわせてやるぜ!」
「来ますよ……!防衛線になりますが、素早く仕上げてトリートの時間にしましょう!」
「はい!」
 かくして、ここに戦いが幕を開ける。

「はッ!」
「ちッ!なかなかやる!」
 一閃!閃く白刃がマリスナイトの剣と打ち合った!ぶつかり合う刃がしのぎを削り合い、甲高く悲鳴めいた金属音をたてる!
「くっ、嗜みとして料理の心得はありますが……」
「ははは!この状況でもできるかな!」
 雪風は仕込み傘から抜き放った仕込み刀でマリスナイトの剣技に応戦していた。“無敵の権能”によってもたらされた強力な膂力と剣技は、雪風ほどの修羅場を潜り数多の戦場を経てきた猟兵にとっても大きな脅威である。互角に渡り合うので精一杯だ。このままでは下ごしらえもままならない!
「戦いながら、というのは初めてですわね!やり難い事この上ありませんわ!」
「なら、料理なんて諦めたらどうかな!」
「そうはいかないよッ!」
 側面!横合いから砲弾めいて疾駆するエダが間合いを詰めて拳を放つ!【必殺聖拳突き】!鋭く重たい一撃がマリスナイトに突き刺さり、その躯体を衝撃で大きく跳ね飛ばした。
「くッ……だが、この程度で!」
 ハロウィンの国の大地へと叩きつけられたマリスナイトはすぐさま態勢を立て直す!しゅ、と剣を振り抜きながら呼吸を整え、そして猟兵たちへと向き合った。
「まあまあ、待ちなよ。せっかくエール持って来たんだ。すこし時間がかかるから、飲んで待っててね」
 だが、そのマリスナイトへと向けてエダは一抱えほどの大きさの小振りな樽を差し向ける。――エール。即ちアックスアンドウィザーズ文化圏において多く飲まれるアルコール飲料だ。
「……そう。それじゃあもらおう」
 マリスナイトは素直に頷いた。
「もらうんです!?」
 その様子にエルが素っ頓狂な声をあげた。
 ――供されるもの、という意味であれば、このエールもまた捧げられたトリートであると解釈することも可能なのだ。ともすれば、世界法則にしたがい、マリスナイトはそれを拒むことなどできはしない。マリスナイトは手近なところに転がっていた愉快な仲間たちをそれぞれ椅子奴隷とテーブル奴隷にすると、そこでエールをジョッキに注いで一杯やりはじめた。(※マリスナイトは少女のような姿をしていますが、年齢については不詳のためこのシナリオ中においては成人を迎えた年齢であると解釈します)
「いえ、ですが飲むというなら今が好機です。調理を進めましょう」
 だが、これは千載一遇の好機だ。雪風は適当なひもで着物の袖をたすき掛けすると、手早く調理の工程に移った。
「まずは野菜の皮むきからだね」
 同時にエダも動き出す。キッチンに貯蔵された食材を手に取りながら、その思考の内側では献立を組み上げていた。 
「そちらも野菜中心ですか?」
「うん。今は秋茄子がいい時期だしね」
「あの、わたしたちも手伝います!」
「ああ、アタシらだって何もしねーわけにはいかねえからな!」
 そこへ2人のアリスが声をあげる。――彼女たちにも彼女たちなりのプライドとポリシーがあるのだ。守られているだけではいられない。2人は包丁やピーラーを手にしながら、食材の前で身構えた。
「わかりました。……では、力を合わせてまいりましょう!」
「ああ!」
「はい!」
「おお!」
 4人は頷きあいながら、本格的な調理作業を開始する――
「――ふうん。なるほど。少々雑味があるけど、この苦みは癖になる。香りの強さも私の好みからは外れてはいないか……つまみが欲しくなるところだけど」
 その一方、マリスナイトはエダから叩きつけられたエールをトリートとして受け止め味わいながら感想を述べている最中であった。調理作業に取り掛かるのであれば今が最大のチャンスだ。4人は一斉に調理場を駆け回った。

「よし……これで、あとは煮込むだけです」
「あとは煮えるまで守り切るだけですね!」
「火加減はアタシに任せときな!」
「こっちもあとは浸しておくだけさ!」
 暫しの時間を置き、雪風とエダの調理作業はその工程の大部分を終える。――雪風のメニューは、『野菜たっぷりのスープ』。キャベツやにんじん、じゃがいもなどを中心に鍋に入れ、コンソメの味付けで煮込む優しい味わいのスープ料理だ。
 一方、エダの料理は季節の野菜であるかぼちゃや秋茄子、さつまいもといった秋野菜を素揚げにして和風のつゆに漬けた揚げ浸しである。
 どちらの料理も最後の工程に入っていた。『煮込み』と『漬け』である。
「……悪くはなかったよ」
 からり。――ジョッキを空にしたマリスナイトが席を立ち、椅子奴隷愉快な仲間を蹴り倒しながら猟兵たちへと剣を向ける。
「だけど、これで終わりだ。……君たちはこれから一人残らず165分割されてもらう」
 た、ッ――地面を蹴立てて飛び込んだマリスナイトが剣を掲げてキッチンへと向け疾駆する。
「その忌々しいトリートごとね!」
「そうはいきません……!」
 交錯!跳ね上がる刃がマリスナイトの剣とぶつかり合う。接近するマリスナイトの道を遮るべく、雪風は再び応戦した。
「雪風さん!」
「セラさん、エルさん!鍋の火加減をお願いします!」
「……ああ、わかった!」
「味見と時間管理も!」
「はい!」
「私を前に鍋の心配とは!」
 閃く刃の応酬!振り下ろすマリスナイトの剣を受け流し、雪風はカウンター気味に剣を薙ぐ。マリスナイトは巧みな体捌きで後退して剣閃を躱し、続けざまに更なる追撃の構えに移る。
「臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前――!」
「ちいッ!」
 だが、そこへ更に雪風が先手を打って剣を突き込んだ。【桜純流剣術『鈴鳴』】!桜色の燐光が尾を引きながら、マリスナイトへと襲い掛かる。
「だが、この程度――今の私の力をもってすれば児戯に等しいッ!」
 膂力――ッ!強烈な剛剣!無敵の権能をもってして、マリスナイトは力任せに雪風の剣を弾く!
「こんなもの、私の前では時間稼ぎにしか……」
「いや、その時間稼ぎで結構さ!」
 だが、そこへ再び突き込む鋭い突きの一撃!エダの拳がマリスナイトの躯体を捉える。衝撃にまたも後退するマリスナイトが、ぎり、と歯を噛み鳴らした。
「まさか……!」
「ああ――出来上がりだよ!」
 そしてエダが胸を張る。――そう、剣を交えているその間に、2人の調理は完成の時を迎えたのだ!
「ばっちりですよ、雪風さん!エダさん!」
「ああ!こいつでたっぷりもてなしてやろうぜ!」
 鍋のそばに立つエルとセラが、親指を立てながら2人へと笑いかける。
「……わたくしたちの勝ちです。さあ、マリさん。トリートの時間ですよ!」
 そして――雪風は勝ち鬨めいて叫んだ。
 
「……菓子ではないんだね」
「そりゃーまあ、エール出したんだからおつまみが出てくるに決まってるでしょうが!」
 秋野菜の揚げ浸しをつまみながら妙な顔をしたマリスナイトへと、エダが笑いかける。からりと音をたてるジョッキの中で揺れる酒精。おかわりのトリートであった。
「……」
 ぐい。マリスナイトはジョッキを傾けエールを口にしてから、揚げ浸しに箸を伸ばした。
「……和洋折衷、というのかな。このエールの洋の味わいと、しょうゆベースの和の風味。一見ちぐはぐに見えるこの組み合わせだけど……」
 素揚げされた野菜の歯ごたえを感じながら、マリスナイトはその中にしみ込んだつゆの風味を舌の上に広げる。そして、その味をエールで飲み下した。
「うん――悪くない。美味いじゃないか……。素材の味も損なわれず、かといって薄くもない。上質な家庭料理だね……うっかり生前を思い出しそうになったよ」
「では、次はこちらを味わっていただきます」
 そして、続けざまに雪風は鍋からよそったスープをマリスナイトの元へと提供する。
「……」
「……邪魔するぜ」
 更に――その横には、エルとセラが着席した。雪風が2人にも同じくスープを振舞ったのだ。
「…………」
 微妙な緊張感。――わずかに張り詰めた空気の中、マリスナイトが、セラが、エルがスープに手をつける。
 並んだ3人は、無言のままに同じタイミングでスプーンを口にした。
「……こうしてると、なんだかわたしたち、友達同士みたいですね」
「友達……?」
 不意に口を開いたエルの言葉に、マリスナイトが怪訝な顔をする。
「なんだよ、知らねーのか。……『同じ釜の飯を食う』っつー言葉があるだろ」
 ぶっきらぼうにセラが言葉を加えた。
「食べることは生きることとおなじですから……。食卓を一緒にするってことは、一緒に生きる、ってことなんですよ」
「……そうか」
 マリスナイトは静かに微笑んだ。
「なるほど。……素朴な味のスープだ。特筆すべきことはない、と思ったけど――いや、それこそが特別なのかもしれないね。『どこにでもある家庭料理』としか言えないけど、これはむしろそうであることこそ重要……ということなんだ。このなんてことない味を、『誰かと一緒に食べる』――それが、この『トリート』の真意だね?」
「……ふふ。さあ、どうでしょう」
 寸評するマリスナイトへと、雪風は緩やかに笑んでみせた。
「いいだろう。……及第点以上だ。仮初の情動だったが、すこし満たされた気がしたよ。素晴らしいトリートだったと言わざるを得ない」
 マリスナイトが札を掲げる。その札には『9』の文字。10点満点評価中9点の意である。その腹と魂は大きく満たされたといえるだろう。
「ところで、もう一杯エールをもらえるかな?」
「いいとも。どんどん飲んじゃって!」
 かくしてマリスナイトはこのトリートをたっぷりと味わい、そしてそのもてなしに大きな満足を得たのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。
一方的にヤられる展開も我々の業界ではご褒美です☆負けロールもそれはそれで愉しいわよ♡
そも、料理を食べさせればいいので、相手の責めを料理に組み込めばいいのです。先程の合体中に感応能力(第六感/読心術/情報収集)でマリス様の好みのリサーチ完了。森からは裸エプロンが飛んできたので着替え。
結界術でマリス様の好みのシチュを再現し、私を料理してもらいおいしくいただいてもらいましょ♡エネルギー充填によるエナジーの循環でお腹も満たしてあげられるわ♪
無敵に指定UCコピーしても誤差よ誤差。料理(私)を堪能して満足してくれれば良し♡
欲望が肉体を凌駕する継戦能力で何時間でも♪



「フーッ――なるほど、私をもてなし、満たすことでこの“無敵の権能”を外そうという策略か」
 マリスナイトは先刻よりもだいぶ満たされたおなかを撫でおろし、短く息を吐き出した。
「ええ、そういうことよ♡」
 そして――その背後に、密やかに迫る影。
 口の端を蠱惑的に歪めながらマリスナイトへと迫るその猟兵は、再挑戦に挑むアリス・セカンドカラー(f05202)である!
「なに――? ……君はさっき、私の(全年齢向けコンテンツでは不適切な表現)でしこたま啼かされて帰ったはずでは」
「一方的にヤられる展開も我々の業界ではご褒美です☆」
 きらっ☆ アリスはウインクとともに☆を散らしながら笑ってさえみせた。
「負けプレイもそれはそれで愉しいわよ♡」
「あれを愉しんでいたというわけか……なるほど、ただ者ではないということだね。いいだろう、その再挑戦……受けて立とうじゃないか?」
 そして――マリスナイトは対峙する。
「……それじゃ、『トリート』させてもらうわ♡」
「ふっ――。そう簡単に私を満たせると思うんじゃない。はっきり言って、“食べ飽きてる”くらいなんだ。何人ものアリスたちをこの手で毒牙にかけてきた私からすれば――」
 マリスナイトは嘲笑うように目を細めながら、アリスを見下ろした。――だが、その周囲の空間が歪む。
「それなら、あなたが“飽きない”くらいだいすきな“お料理”を用意するわ♡」
「なに……?」
 微笑むアリスが片腕を掲げた。――そこに飛来する一枚の衣装!それはハートのアップリケをつけたエプロンである!
「それは――!」
「お好きなんでしょう? 恥ずかしがり屋さんだけど従順で、しかもちょっとえっちな眼鏡っこの新妻――」
 アリスは笑みを浮かべたまま、即座に衣類を脱ぎ捨てそしてエプロンを纏う。いわゆる裸エプロンの構えだ!更にコスプレをさせる森の木々から提供させた眼鏡を装着しながら、誘うようにマリスナイトを手招いてみせた。――そう。奇しくも、ここはキッチン。
 新妻をイメージした(全年齢向けコンテンツでは不適切な表現)を行うにはうってつけのロケーションなのだ!
「貴様……どうしてそれを!」
「ふふ……どうしてでしょう?」
 アリスは先の(全年齢向けコンテンツでは不適切な表現)の最中においてマリスナイトと激しく接触する中で、ぬかりなくマリスナイトの深層――即ち、好みの性癖に触れていたのだ。アリスの装いはその性癖を鋭くピンポイントて貫くシチュエーションなのである!
「……だけど、それは命取りになるぞ。そんな――そんな誘い方をされてしまっては、私ももはや冷静ではいられない」
 ぎらぎらと双眸を光らせるマリスナイトが、アリスへと迫った。
「ふふ――これがわたしの『トリート』よ。さ、eat me♡」
 アリスは挑発的に瞳を潤ませ、迎え入れるように両腕を開く――タチ専!目の前にお膳立てされた『トリート』めがけて、マリスナイトは飛び掛かった!

「ん――っ♡」
「――なんてはしたないお嬢さんだ。こんなに(全年齢向けコンテンツでは不適切な表現)じゃないか」
「いいわよ……♡ すきにお料理して……♡ 私をおいしくいただいてちょうだい♡」
 アリスは(全年齢向けコンテンツでは不適切な表現)する。――調理場での(全年齢向けコンテンツでは不適切な表現)というのは、一部の層の性癖に強力に刺さるシチュエーションだ。アリスはこの世界の特徴としてそこらじゅうに存在するキッチンを、菓子や料理とは別の意味の『トリート』のために用いたのである!
「はア――っ」
「いいわよ……♡ あっ、は……♡ もっと私を味わって……♡ たくさん堪能して……♡」
 マリスナイトの更なる(全年齢向けコンテンツでは不適切な表現)を受け入れながらアリスは蕩かすように嗤った。更にアリスは自身に流れる生の氣を繰る。アリスは接触する指先から陽の氣をマリスナイトへと流し込み、その身に蓄えたエナジーを循環させることでマリスナイトの魂にエネルギーを注いだのだ。それは即ち、霊的な力を補充することでマリスナイトの精神を充足させる――食事をとったときと同様に、満足させるための『もてなし/トリート』の手段であった!
「……なるほど……房中術というわけか!」
 その身体に満たされる陽の氣に、マリスナイトが叫んだ。
「自らの精力をこうして私に注ぐことで、私を満たそう――と。そういうつもりなんだね」
「ふふ……♡」
 房中術とは、(全年齢向けコンテンツでは不適切な表現)などを通じて身体を重ね合わせることで氣を巡らせて多くの結果を導き出すとされる技術である。当然ながら、アリスにもその技術については覚えがあった。というかこと(全年齢向けコンテンツでは不適切な表現)に関しては超人的であった。
「……たしかに、これは心地いい。先の(全年齢向けコンテンツでは不適切な表現)も悪くはなかったけど、こっちの(全年齢向けコンテンツでは不適切な表現)の方が私好みだ。この暖かさ。流れ込む氣の強さ……そして何よりもキッチンで(全年齢向けコンテンツでは不適切な表現)というシチュエーション。いずれも素晴らしい」
「あっ、は……♡ まだ、いけるわ……♡」
 しかし、ここで更にアリスが手を伸ばした。
 その身体はマリスナイトによる激しい攻め手と(全年齢向けコンテンツでは不適切な表現)によって既に大きな疲労とダメージを蓄積されていたが、アリスの精神は――否。その欲望は、肉体を凌駕する。
 アリスは更に欲しがった。――ほっとけば何時間でも(全年齢向けコンテンツでは不適切な表現)しようという気迫だ。――対するマリスナイトは、面白がるように笑って指先をアリスの柔肌へと這わす。
「……いいとも。それなら、君がギブアップするまでいくらでも味わってあげよう」
「っ、ふ……♡ はあぁああ……♡」
 マリスナイトは更に溺れるように(全年齢向けコンテンツでは不適切な表現)する――。
 だが、それはアリスの術中に嵌っているも同然であった。
 こうして(全年齢向けコンテンツでは不適切な表現)に没頭させることこそが、彼女なりの『トリート』なのである。実際、マリスナイトの身体の内側にもだんだんと熱と光が灯りつつあった。マリスナイトは、これをアリスなりの『トリート』であると認識したのだ。
 そう。『トリート』に満たされること。それこそが、猟兵たちに与えられた無敵の力を破る唯一の手段なのである。
 こうなってしまっては――無敵の権能を手放してしまうその時が近づいていた。
「ふふ……♡」
 ――すべては彼女の目論見の通り。
 求められるのであれば何時間でも味わわせてやるつもりでアリスはここで立っている。
 キッチンの中でマリスナイトに(全年齢向けコンテンツでは不適切な表現)されながらも、状況が計画通りに動きつつあることにアリスは口の端をつり上げるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎

(ボディスーツ継続中)
…連中の好みと感想はともかく。実際戦闘能力は上がってるから着ない理由もないのよねぇ…

悠長にしてたら邪魔されて御破算、は目に見えてるし。できるだけさっさと作れるほうがいいわよねぇ。…それじゃ、蒸し羊羹でも作ろうかしらぁ?
一見時間かかりそうだけど、缶詰と圧力鍋使えば蒸し時間五分で作れるのよぉ?

…ま、黙って見ててくれるわけないし。当然妨害してくるわよねぇ。●圧殺で迎撃するわよぉ。
○足止めに目潰し、体勢を崩してマヒ攻撃…結界術も合わせれば、時間稼ぎには十分でしょ。
あたし、どっちかといえば機動戦のほうが得意だけど。〇拠点防御もできないわけじゃないのよぉ?


エドゥアルト・ルーデル
デュフフ…普段であれば騙されちまう所でござるが今なら…
…これはこれで有りでござるわね!

たまたまその辺にいた【知らない人】を…そぉい!
受け止めたな?これで剣を振るたびに何度でも知らない人が出るでござるわね
ポコポコ出てくる知らない人だらけで酷い有様だが今のうちに調理ですぞの事よ!

モリモリクッキング~!
沸騰したお湯にレトルトやらパウチやら一式を放り込み!5分ほど暖めたらお皿に盛り付け、最後に魔法の呪文ですぞわよ!イクゾッ!
美味しくなーれ!モリモリムキッ!!!
…どうぞ、暖めたレーション(クソ不味)でござる

拙者に料理技能を期待するなよな!ゲテモノ出さないだけマシですぞわよ!
いいから!!お食べ!!



「まさかここまで私をもてなすとはね……だけど、もう遊びは終わりだ」
 気を取り直して剣を執り、マリスナイトが再び嗤う。
「幻装(イマジネート)……」
 その身に纏う銀の鎧。気高い騎士のように見せるそれは本来であればアリスたちを騙し討ちにするためのものだ。だが、今回はシンプルな戦闘力強化にそれをあてている。
「デュフフ……姫騎士でござるわね……。普段であればホイホイされちまう所でござるが……」
「……」
「……これはこれで有りでござるわね!」
「そう……」
 煌めく鎧を纏うマリスナイトの姿にテンション上がるエドゥアルト・ルーデル(f10354)。一方、ティオレンシア・シーディア(f04145)は対照的に落ち着き払っていた。若干うんざりしていた感まである。
 2人はどちらも先の戦いの際にコスプレさせる森の木々から押し付けられた仮装衣装を着込んだままであった。片やプリンセスドレスのエドゥアルト。片やエアロビ的なボディスーツのティオレンシア。仮装大会でしか見られない珍妙な組み合わせであった。
「……ドゥフフ。そちらのおねえさんもよくお似合いでござるですわよ」
「あっ、そう。ありがとう……。そちらも、ええと……」
 ティオレンシアは若干言葉を濁した。あからさまに似合わないプリンセスドレス姿のひげ面に何をどう言うべきかちょっと迷ったのである。
「……まあ、連中の好みと感想はともかく。実際戦闘能力は上がってるから着ない理由もないのよねぇ……」
「デュフフ!そういうことでござるわね!」
「……」
 ティオレンシアは頭を抱えた。彼女は多くの案件において現地で同行した猟兵たちとアドリブを利かせて手を組みながら事に当たることを得意としているフレキシブルな猟兵であるが、いかんせん今回の相方はエキセントリックに尽きる。
「――漫才はそこまでだよ!」
 閃ッ!――2人のエチュードを裂くように襲い来る斬撃!マリスナイトはここで仕掛けたのである!
「っと――!きたわねぇ!」
「よぉし!それなら迎え撃つでござるわよ!!」
 2人は散開するように別々の方向に飛び退き、マリスナイトの剣を躱す――
「これを躱すか!」
「そぉい!」
 だがその瞬間である!
「グアーッ死ぬ!!!」
「なに――誰だこいつ?!」
 飛び退いた先からエドゥアルトが知らない人をマリスナイトへと投げつけたのである!【誰だお前!!】
「本当に誰なのぉ?」
「いやぁ、知らないおじさんでござるわね……」
 それはエドゥアルトのユーベルコードによって呼び込まれたマジで知らない人である!
「……とはいえ、あれもまた拙者のユーベルコードでござるわよ。あれを受け止めたということは――」
「なんだ、このユーベルコードは……!?」
 しゅッ。――マリスナイトが剣を軽く振ると、ユーベルコードを構成するチカラが燐光となって散った。収束するその光が人の形を作り――そして、知らないおじさんが生まれる!
「むう!?ここはどこだ!?」
「ええ……」
 ティオレンシアは困惑した。
「デュフフ……カノジョがコピー能力をもっていることはわかっていたでござるわよ。そう、そして拙者の能力をコピーしたということは――これで剣を振るたびに何度でも知らない人が出るでござるわね!」
 【悪意は主の元へ還る】。――本来であれば、猟兵が攻撃などに用いるユーベルコードを複製し放つ強力な技だ。しかし、今回に限ってはエドゥアルトの【知らない人が出てくる】というわけのわからない能力を複製させられたが故に、あり得ない混沌を生み出す権化と化してしまったのである。
「……」
「むう!?ここはどこだ!?」
「……」
「むう!?ここはどこだ!?」
「なんなんだこれは……」
「えぇ……」
 マリスナイトとティオレンシアは困惑した。困惑する2人をよそに、更に困惑した知らないおじさんたちがパニックに陥りながらハロウィンの国を走り回っている!
「よし!今のうちに調理ですぞの事よ!」
 しかし、これこそがエドゥアルトの作戦だったのである!このユーベルコードを複写させることによって生じる混乱によってマリスナイトの動きを制限する計画だったのだ。
「えぇ……」
「さあさあ今のうちにですぞわよ!!」
 困惑するティオレンシアを引っ張って、エドゥアルトはキッチンへ走った!
「……まあ、時間があるのはいいことだけどぉ」
 そして、痛む頭を抑えながら2人は調理を開始する!
「悠長にしてたら邪魔されて御破算、は目に見えてるし。できるだけさっさと作れるほうがいいわよねぇ」
「その通りでござるわよ!!!!」
 エドゥアルトは適当な寸胴鍋をコンロにかけると、そこに湯を沸かしながら適当なレトルトパウチを次々と放り込んだ!
「モリモリクッキング~!」
「……なぁに、それ」
「レーションでござるわよ!」
「美味しいのぉ?」
「クソ不味でござる!!!!」
「そう……」
 エドゥアルトの様子を横目に見つつ、ティオレンシアは調理作業に取り掛かる。彼女が準備したのはこしあんと薄力粉・片栗粉である。
「こっちは……蒸し羊羹でもつくろうかしらぁ?」
 蒸し羊羹とは、餡子に片栗粉などを混ぜ込み蒸して仕上げたタイプの羊羹である。世に出回る羊羹は寒天を用いて固めたものであるが、蒸し羊羹は片栗粉などを混ぜ込むことで加熱処理によって固めたものだ。
「羊羹でござるか?」
「ええ。時間かかりそうだけど、缶詰と圧力鍋使えば蒸し時間五分で作れるのよぉ?」
「ほほお……」
 ティオレンシアは更にここで目についた栗の甘露煮を手に取った。――これを手早く餡を練った生地に混ぜ込み、そして型に流しこむ。これを圧力鍋にかけて加熱処理を開始。――これで、数分後にはおいしい栗羊羹が完成するはずだ。
「あとは待つだけ……と言いたいけどぉ」
「――こ、のッ!!」
「「「「グアーッ死ぬ!!!」」」」
 斬撃!スプラッタ映画もかくや。立ち上る血飛沫と血煙!知らないおじさんたちをまとめて惨殺しながら、マリスナイトがキッチンへと向かい来る!
「……ま、黙って見ててくれるわけないし。当然妨害してくるわよねぇ」
 その様子に目を細めながら、ティオレンシアは銃把に手をかけた。
「貴様ッ!」
「ごめんなさいねぇ?」
 銃声。45口径オブシディアンの吐き出した弾丸がマリスナイトを掠めて牽制する。続けざまにティオレンシアはグレネードを放った。閃光!視界を塞ぐ爆発がマリスナイトを怯ませる。【圧殺(アレスト)】!敵の足を止め攻撃の手を封じることに特化した戦い方だ。
「あたし、どっちかといえば機動戦のほうが得意だけど――」
「ちい、ッ!」
 デバフをかけられた状態であれば、剣の鋭さも鈍る。そして、それを躱すのは難しいことではない。
「『守る戦い』も、できないわけじゃないのよぉ?」
「おのれ……!よくも、この私を……」
「ハイッ!!!!!完成でござるわよ!!!!!!」
 ――そして、対峙して睨みあうティオレンシアとマリスナイトの間に割り込んだエドゥアルトが叫んだ。
「なに――!?」
「オラッ!!『トリート』だッ!!最後に魔法の呪文ですぞわよ!イクゾッ!」
 バァンッ!マリスナイトの眼前には一枚の皿が叩きつけられた!そしてエドゥアルトはレトルトパウチを裂き、その中身を皿上へと零れさせる!
「美味しくなーれ!モリモリムキッ!!!」
「うわっ」
「うわぁ」
 マリスナイトとティオレンシアが同時にヒいた。
「……どうぞ、暖めたレーションでござる」
「……」
 加熱しただけのあからさまな手抜き料理に、マリスナイトはこめかみへと青筋をたてる。――しかし、それも『トリート』と主張される以上は拒むことができないのがこの世界の法則だ。
「……いただきます」
 マリスナイトは震える指先で匙を握り、そして得体のしれないレーションを口に運んだ。
「うっわ」
 まず真っ先に漏れたのは率直な『うっわ』であった。
「食べ物……?これ、食べ物……なんだよね?え……でもちょっと待って……革靴みたいな味がするんだけど。それから……なにこれ。ゴム?噛み切れないし、匂いはくすんでるし……例えるならそう、雨の日のドブ川っていうか……えっ。なに、拷問食?」
 感想に困るマリスナイトは戸惑いながらも徹底的に酷評した。――これを『心のこもったトリート』と判定するのは、食という文化への冒涜ではないか?マリスナイトは眉根に深いしわを刻む。
「拙者に料理技能を期待するなよな!ゲテモノ出さないだけマシですぞわよ!」
「開き直るんじゃない!!!」
「いいから!!お食べ!!」
「ふざけるなよ!!!1点!!」
 口論!ここで耐え切れなくなったマリスナイトが文字通り匙を投げた!更に『1』の文字を刻んだ札をテーブルに叩きつける!10点満点評価中の1点だ!
「……それじゃあ、こちらはどうかしらぁ?」
 そこで新たな皿を運んできたのはティオレンシアである。
 その皿の上に鎮座するのは――おお、見よ。オパールめいて艶やかに光る黒い餡。その中で星々のように輝くの欠片。それこそが完成した蒸し栗羊羹である!
「ほう――」
 マリスナイトはため息を吐いた。――なるほど。これは見た目からしてよくできている。新たな匙を手にしたマリスナイトは、提供された蒸し栗羊羹へと手を伸ばした。
「これは……」
 ぱくり。匙ですくった一口を口にする。
「……美味しい!」
 そして、うってかわって笑顔を浮かべたのである。地獄の拷問めいたレーションから急転しての蒸し羊羹。口直し、という領域を超えて彼女の舌先に訪れるのは逆バンジーもかくやという幸福度の急上昇!
「見た目は普通の羊羹だけど、これはとてもやわらかな食感だね……。甘さも私の好みだ。甘味は人間にとって必要なエネルギーをもつからこそ美味と感じるようになっているというが、まさに今の私が必要としている味だったということかもしれない……。地獄に仏とはこのことだよ。9点」
「おほめにあずかり光栄ねぇ……それで、このまま倒されてくれればいいんだけどぉ」
「いや――それはもう一押しかな。しかし、だいぶ満足はさせてもらったよ」
 マリスナイトは、そうしてひどく満たされた顔をして微笑んだのである。
 彼女の満足度は既に腹八分目にまで達している。――決着の時に至るまで、あとわずかだ!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
ウィーリィくんにばっか出番はあげないからね!
今回はボクも料理に挑戦!
大丈夫、ケーキなら作り方教えてもらったから!

でもそのためには敵の妨害をなんとかしなくちゃ
【ロープワーク】+【罠使い】でボクたちのキッチンのあちこちにスネアトラップを仕掛け、料理をしながら【バトル・インテリジェンス】で身体を操作して空いてる手で【制圧射撃】+【乱れ撃ち】で彼女の足を止めてその間に料理を完成させる

ボクの料理はラム酒たっぷりの『海賊風パウンドケーキ』
ほろ苦いクルミの味がアクセントだよ
さぁ、召し上がれ!


ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
あーもう! 腹減ってんなら大人しく待ってろっての。
料理の邪魔だ!
襲いかかるマリスナイトを【不可侵厨域】の後ろ蹴りで迎撃しながら彼女のための【料理】に専念する。
ネタバレを防ぐために【物を隠す】で何を作ってるか知られないように。

好物はわかんないけど、甘いものは嫌いじゃないだろ?
そんな訳で彼女にはケーキを振る舞う。
ふわっふわのスポンジでホイップクリームとマシュマロをサンド、その上からビターチョコレートをコーティングしてパリパリに固めれば出来上がり。
テーマは「外側と内側のギャップ」。色や味、食感とかのな。
あんたっぽくていいだろ?
一人で食べるには多いだろうからシャーリーや他の猟兵とも分ける。



「よもやこの私がここまで追い詰められるとは……!」
 ぎり――。膨らみつつあるおなかを撫でおろしながら、マリスナイトが悔しげに歯を噛み鳴らす。
「だが……今度という今度こそ許しはしない!この“無敵の権能”で今こそ君たちを全滅させる!」
 再び抜いた剣を掲げながら、マリスナイトは宣誓する。
 それは、このハロウィンの国における最後の戦いを幕開けを示す宣言であった。

「こうなったら向こうも破れかぶれ、って感じだね!」
「けど、向こうだってもう限界のはずだ!仕留めるぜ、シャーリー!」
「うん!」
 そこに対峙するのは、ウィーリィ・チゥシャン(f04298)とシャーリー・ネィド(f02673)である!
 2人は既にキッチンへと陣取り、マリスナイトにとどめを刺すべく最後の調理にとりかかっていた!
「けど、ウィーリィくんにばっか出番はあげないからね!」
 しかし、ここでシャーリーが泡だて器を掲げながらウィーリィへと笑顔を向ける!
「今回はボクも料理に挑戦するよ!」
「なんだって」
 ここでウィーリィは驚きを隠せなかった。――料理、という分野においては、この2人の間では圧倒的にウィーリィの方に分がある。それは積み重ねた経験に料理にかける熱い想い、そしてその道を目指す生き様――と、様々な要因がある。
「大丈夫、ケーキなら作り方教えてもらったから!」
 だが、腕の差などまるで気にせずシャーリーは笑顔を見せた。
「……よし、わかった!シャーリーのケーキ、楽しみにしてるぜ!」
 ここでウィーリィは自らを省み、そして内心で猛省した。――彼は自分自身の心の底にあった驕りに気づいたのだ。料理なら、自分の方が上手い。自分と同じタイミングで料理を出したら、彼女の品が見劣りするかもしれない――。そうした考えは彼を支えるプライドでもあり、同時に傲慢でもあったかもしれない。
 だが、料理とは決して上手下手の技術だけではないということもウィーリィは知っている。――笑顔で楽しく取り組めること。それだって料理の道の一つなのだ。胸の底にくすぶりかけていた傲慢の炎を鎮め、ウィーリィはシャーリーへ笑顔を返す。
「うん!ボクもウィーリィくんのお料理たのしみにしてる!」
「ああ!」
「随分と見せつけてくれるじゃないですか!」
 だが、そこへ颯爽と剣を突き入れにきたのはマリスナイトだ!閃く刃が2人を引き裂かんと迫る!
「来たね!」
「懲りない奴だよなあ、まったく!」
 2人は巧みな体捌きで初撃を躱した――だが、そこから更にウィーリィは反撃に移る!
「あーもう……腹減ってんなら大人しく待ってろっての!料理の邪魔だ!」
「なに……ッ!」
 鋭く跳ね上がる蹴り足!【不可侵厨域/トリート・テリトリー】の足技が唸る!
 ――それは、料理人としてのウィーリィのプライドが見せる意地である。いかなる環境においても、どのような邪魔が入ろうとも。一度手を付け始めた料理であれば必ず完成させてみせる――覚悟と矜持を体現したユーベルコードだ。その技の切れ味はオブリビオンすらも寄せ付けないのである!
「くッ――なら、こちらの方を!」
 ならば!身を翻すマリスナイトはキッチンの床を蹴立て、跳んだ。続けざまに狙いをつけたその先にはシャーリーの姿がある!
「そうはいかないよっ!こっちだってテはあるんだからね!」
「な――」
 しゅ、ッ――!マリスナイトがキッチンの床を駆けようとしたその瞬間である。シャーリーはこの戦いが始まる前にトラップを仕掛けていたのだ。スネアトラップ――括り縄によって足を引っかけるタイプの罠である!
「キッチンに罠だと!?」
 マリスナイトは足首を捉えたロープに態勢を崩される!だが、素早く身体を起こしながら振るう切っ先でロープを切断!体の自由を取り戻しながら態勢を立て直し、剣を握りなおす。
「罠だけじゃないからねっ!」
「ちいッ!」
 シャーリーは更にホルスターから引き抜いた熱線銃の引き金を引いた――シューティングスター!光条がマリスナイトを攻め立てる!
「で、生地はこれで完成だからあとはオーブンに入れて……」
 その一方でシャーリーは同時進行で調理を続けていた。――だが、その最中でも片手は油断なくマリスナイトを追い、引き金を引き続けている。【バトル・インテリジェンス】!シャーリーは頭上に浮かぶ戦闘ドローンに半身を預け、それによってマリスナイトを迎撃していたのだ!
「片手間で、私をどうこうしようなんて……!」
「それなら、ちゃんと相手をしてあげるよ!」
 だが、ここでシャーリーはマリスナイトへと向き直った。――できあがった生地をオーブンに入れたのは。あとは焼き上がりを待つ時間。その最中であれば、シャーリーも全力をもってマリスナイトを迎撃できる。シャーリーはキッチンの床を蹴って飛び出すと、マリスナイトめがけて走った。

 ――そして。
「――できた!」
 ちいん、と音をたててオーブンから光が消える――タイマー設定時間が終了したのだ。それはすなわち料理の完成を意味し、トリートの時間であることを告げる!
「こっちもだ――さあ、俺たちの『トリート』、しっかり味わってもらうぜ!」
「……く、ッ!」
 時を同じくして、ウィーリィの作品も完成の時を迎える。
 ハロウィンの国を支配するオブリビオンは、トリートを拒むことができない――その法則に縛られたマリスナイトは剣を収め、そして静かに席に着いた。
「……わかった。君たちのトリート……味あわせてもらう」
「よーっし!それじゃあまず、ボクからいくよ!」
 元気いっぱいに声をあげるシャーリーは、その勢いのままオーブンを開いた。ふわりと広がる甘く香ばしい香り――焼き上がったそれは、パウンドケーキだ!
「ボクの料理はラム酒たっぷりの『海賊風パウンドケーキ』だよ!さぁ、召し上がれ!」
「パウンドケーキか……なるほど」
 皿に乗せられ提供されたケーキを、マリスナイトは正面から見据えた。
 更にナイフで切り分け、そのひと切れを口元へと運ぶ。
「この芳醇な香り……そうか、海賊風というのは酒を酌み交わすイメージからだね?」
「このケーキのポイントはそれだけじゃないよ!ほろ苦いクルミの味がアクセント。そっちもしっかり味わってね」
 マリスナイトは戦いの中とは打って変わって穏やかに微笑んだ。そして、切り分けたケーキを舌の上へと迎え入れ、その風味と味わいを確かめる。
「……たしかに、美味しい。口の中いっぱいに広がるラムの香り。生地自体にもしっかり残る甘さ……上等だね。そしてその中で存在を主張するくるみの味わいが味に変化を与えていて、飽きがこない。とてもハイレベルにまとまった味だよ。ここまでのものを作るには相当練習を重ねたね?」
「うん。美味しいものをたべてほしいな、って思って。たくさん練習したんだ!」
 マリスナイトの寸評に、シャーリーは笑顔を見せた。
「その努力を称えて。8点。とてもおいしかった」
 そしてマリスナイトが掲げた札には『8』の数字が刻まれる――。
「さすがだな、シャーリー。俺も負けてらんないぜ」
 続けて、ウィーリィがマリスナイトの前へと皿を運んだ。
「さ、次は俺の料理だ。……あんたの好物はわかんないけど、甘いものは嫌いじゃないだろ?」
「もちろん。今のパウンドケーキも実によかったよ」
「なら、こいつも気に入ってくれるといいな。さあ。食べてみてくれ」
 ウィーリィの示す皿に乗せられていたのは、黒いケーキであった。――コーティングの施されたチョコレートケーキである。
「チョコレートケーキか……」
 短い溜息を吐いてから、マリスナイトはケーキにナイフを入れた。一口サイズに切り分けたケーキを、同じように口元へと運ぶ。
「では」
 再びマリスナイトの舌先はトリートを迎え入れる。まず味蕾に触れるのは、ビターチョコレートのほろ苦さと、ぱりっとした食感。だが――
「……これは」
 だが、次の瞬間ケーキの内側から溢れ出すのはホイップクリームとマシュマロのふわっとしたやわらかな甘みだ。硬めに仕上げられたチョコレートの外装との二重奏。そのギャップがマリスナイトを驚かせた。
「テーマは「外側と内側のギャップ」。色や味、食感とかのな」
「ああ……なるほど。敢えて外側をビターなブラックチョコレートでコートすることで苦みの強さを強調し、食べた時に内側からにじみ出るマシュマロとホイップのスイーツ感をより際立たせようとしているんだ……。シンプルなアイデアだけど、その分ひとつひとつの工程に手をかけているのを感じるよ。どこをとっても美味しいじゃないか」
 マリスナイトは饒舌に語った。丁寧に仕上げられたトリートは、彼女に確かな満足感を与えていたのである。
「このケーキはさ、あんたを見てて思いついたんだ」
「私の……?」
 更に畳みかけるようにウィーリィが笑いかける。
「そう。表と裏、二面性……意外な正体、なんてね。あんたっぽくていいだろ?」
「……はは。なるほど、たしかに私らしい、かも、しれないな…………」
 ――そして。
 2切れめを口に運んだところで、マリスナイトはゆっくりと席をたった。
「…………ふ、は。あっはは、は……はは。……まったく。参ったよ。随分参ってしまった。……まさか、この私がここまで満たされるとはね」
 そして、膝をつく。
「どうやら私の負けのようだね……ああ、“無敵の権能”も、もう機能してはいないよ。……こんなに満足させられてしまっては、ね」
 マリスナイトはそのまま猟兵たちの姿を見上げ、薄らと笑いながら肩を竦めた。
「……さ、とどめを刺すといい。この『ハロウィンの国』の主役は、君たちに明け渡そう」
 言い終えたマリスナイトは、処刑を待つ罪人のように首を垂れる。
 ――これが、この国における戦いの結末であった。
「いい食べっぷりだったぜ、あんた」
「うん。それから、ボクのケーキ、美味しいって言ってくれてありがとう」
 猟兵たちは得物を掲げる。
「こちらこそ礼を言うよ。どれも素晴らしいトリートだった。結果はこのざまだけど、楽しかったよ。――それじゃあ、ハッピー・ハロウィン」

 ――決着!
 猟兵たちのユーベルコードが炸裂し、“無敵の権能”を失ったマリスナイトはその躯体を消滅させながら骸の海へと還った。
 かくして――ここに、ハロウィンの国における戦いのうちひとつが幕を下ろしたのである。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2020年10月29日


挿絵イラスト