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【Q】ハロウィンパーティが始まる前に

#アリスラビリンス #【Q】 #お祭り2020 #ハロウィン

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●仮装するオウガ達
「なかなかいい衣装が出たうさ♪」
「動き易いうさ♪」
「羨ましいうさ!こっちは変な衣装がでたうさ」
 アリスラビリンスに新しく生まれた国『ハロウィンの国』で、時計ウサギの姿をしたオウガが、コスプレ衣装を着ながらはしゃぎ回っていた。
 『ハロウィンの国』はその名の通り、しゃべる南瓜ランタンや、コスプレ衣装の飛び出す森、食材が完備されたキッチン、長い行列をするためだけに作られた道など、ハロウィンパーティにうってつけの国である。
 飛び出すコスプレ衣装はランダムであり、ハロウィンの国を好き勝手にしている、オウガ達でさえも何が出て来るのか予想できなかった。
 時計ウサギの姿をしたオウガ、ボクサーバニー達はメイド服、魔女服、海賊衣装と統一性がまるでない。
「そっちは赤ずきんみたいうさ?」
「この姿は元からよ」
 ボクサーバニー達の前に、赤ずきんの衣装を着た少女が姿を現す。
「遊んでばかりいないで、準備を進めなさい。ハロウィンはもう近いわよ」
 リーダーである赤ずきんの衣装を着た少女に、ボクサーバニー達は素直に従うのであった。
「わかったうさ!」
「どんなアリス達がやってくるのか楽しみうさね♪」
「仮装させて喜んでいる所を捕まえて美味しく食べるうさ!」
「どんな風に食べるのが美味しいうさ?唐揚げ、天ぷら?シンプルに焼いて食べるのがいいうさ?」
「ハロウィンが楽しみうさ!」
 無邪気にハロウィンの準備を進めるボクサーバニー達を見て赤ずきんの少女も、どうアリスを料理しようかと思考を巡らせるのであった。

●ハロウィンの国の戦い
「みんな集まったね。ハロウィンも近づいている中での依頼だよ!」
 グリモア猟兵の少女、リリスフィア・スターライト(プリズムジョーカー・f02074)が海賊衣装で今回の依頼の説明を始めるのであった。
「アリスラビリンスで新しく生まれたハロウィンの国に潜むオウガ達を倒して欲しいんだ。まずはボクサーバニーの群れからだね…」
 ボクサーバニーはこれまでに何度か出現が確認されている、時計ウサギの姿をしたオウガである。
 だがハロウィンの国の法則により、仮装する事で、パワーアップしている為、普通に戦えば苦戦は免れない。
「でも大丈夫、こっちもハロウィンの森から出て来る衣装を着れば、パワーアップで出来るから、対等の条件で戦えるよ」
 出て来る衣装はランダムだが、強く望めば好きな衣装を着る事も出来るかもしれない。
「だから仮装姿で戦うのを推奨するね。それからボクサーバニー達のリーダーだけれど、こっちは少し厄介だよ」
 リーダーである『七罪』色欲の赤ずきんは、かつてはアリスだったが、力を与えた世界を憎み、獣同然の人間達に絶望しており、今では強力なオウガとして、下位のオウガ達を率いているのだ。
「ハロウィンの国の法則により赤ずきんは、ほぼ無敵状態になっているんだ…それを打ち破るには、こっちも法則に従って戦う必要があるよ…その方法だけれど…」
 リーダーである赤ずきんを倒すには、『美味しい料理を食べさせる』のが、ハロウィンの国の法則なのだという。
「キッチンで料理している所も見せないといけないから、あらかじめ用意するのは無理みたいだね…そして料理している時でも、赤ずきんは容赦なく攻撃してくるから、耐えながら完成させないといけないんだ」
 だが料理を完成させれば、赤ずきんはハロウィンの国の法則により抵抗できず食べるしかない。
「そうやって料理を食べさせ続ければ、赤ずきんは眠くなって完全な無防備状態になるよ。そうなれば一撃で倒す事も出来るみたいだね」
 これまた法則により、赤ずきんは差し出された料理を感想を述べながら美味しそうに食べるので、心が痛む猟兵もいるかもしれない。
「それでも悲劇が起きる前に止めはちゃんと刺して欲しいんだ…無事にオウガ達を撃破出来れば、その国は本当のハロウィンパーティの舞台として使えると思うんだ。きっと素晴らしいパーティが開ける筈だよ」
 最後にリリスフィアは表情を明るくして、出発する猟兵達を見送るのであった。


吾妻 銀
 吾妻 銀です。

 今回はアリスラビリンスでの【Q】シナリオとなります。
 初のケースとなる2章構成で完結するシナリオとなります。
 10/31までに成功したシナリオの本数に応じて、ハロウィンパーティ当日、そしてやがて始まるであろう「アリスラビリンスでの猟書家戦」に、何らかの影響がある可能性があります。
 ですので、10/31までの完結を目指します。
 受付はOP公開からとなります。
 追加OPは第二章のみです。

 第一章:ボクサーバニーとの集団戦。
 第二章:『七罪』色欲の赤ずきんとのボス戦。

 第一章は仮装姿のボクサーバニーとの戦いとなります。
 コスプレ衣装を身に着ける事がプレイングボーナスです。
 プレイングに記載して頂ければ、その通りの仮装が出現します。
 冒頭に◎と書いて頂ければ、私の方で似合いそうな仮装を選びます。

 第二章は料理しながらでの戦闘となります。
 ハロウィンらしい料理である程、評価は高くなります。
 料理技能があれば、その分有利になりますが、無くても心を込めて料理している様子をプレイングに描いて頂ければ、不利になる事はありません。

 以上となります。
 参加をお待ちしております。
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第1章 集団戦 『ボクサーバニー』

POW   :    サンドバッグコンボ
攻撃が命中した対象に【ウサギ型の痣】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【次々と現れる仲間達のパンチ】による追加攻撃を与え続ける。
SPD   :    ダーティサプライズブロー
レベルm半径内の、自分に気づいていない敵を【異空間からの奇襲によるパンチ】で攻撃する際、ほぼ必ず狙った部位に命中する。
WIZ   :    ハニートラップカウンター
【挑発】を披露した指定の全対象に【無防備にこちらへ近づきたいという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

大神・零児(サポート)
アドリブ共闘可
多対一又は多対多の場合
多数を一度に相手にできるUCを選択
各個撃破の場合はUCの選択はマスターに任せます

戦闘のみの場合
所持している武器・アイテムを効果的に使い
戦局を有利にするよう行動(フラッシュバン・煙幕等で攪乱や敵の隙をつくる等)

救出・護衛
対象者の命最優先で行動
敵の動きに注意し、牽制しながら戦う
仲間との連携・連絡はアイテムも駆使し密にする



常時使用技能
戦闘知識
第六感
野生の勘
見切り
世界知識
地形の利用
咄嗟の一撃
ダッシュ
ジャンプ
学習力
情報収集
早業
敵を盾にする

護衛・救出対象等有
拠点防御
時間稼ぎ
鼓舞
失せ物探し
オーラ防御
覚悟
救助活動
かばう
聞き耳

C-BA使用時
運転
操縦
動物使い
動物と話す
運搬
騎乗


天星・零(サポート)
零、夕夜二つの人格を持つ少年
零は常に微笑んで話す


基本的なこと口調はステシ
UC口調は秘密の設定

装備

十の死
虚鏡霊術
死神の瞳
アヴィスの懐中時計

夕夜
Punishment Blaster

共通

Enigma
オーバーライト
約束の四葉
違法契約者の刻印
Ø
グレイヴ・ロウ
Determination -決意の魂-

常に【戦闘知識+世界知識+情報収集+追跡+第六感】を働かせ、普段の情報収集や戦闘での戦況や弱点や死角を把握警戒して臨機応変

基本、enigmaを使い両人格で行動または召喚系UCと行動
メインは指定UCを使う方



真の姿禁止
ネタ禁
人格毎に使うucが違う為、どの人格が使用するかは秘密の設定


星川・杏梨(サポート)
『この剣に、私の誓いを込めて』
 人間のスーパーヒーロー×剣豪、15歳の女です。
 普段の口調は「聖なる剣士(私、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、時々「落ち着いた感じ(私、~さん、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

性格はクールで凛とした雰囲気です。
常に冷静さを念頭に置く様に努めており、
取り乱さない様に気を付けています。
戦闘は、剣・銃・魔法と一通りこなせます。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



「お客さん達がやってきたみたうさ!」
「パワーアップした私達の力を試す時が来たうさ!」
 ハロウィンの国の森の中を仮装姿で、はしゃぎ回っていた、ボクサーバニー達は近づいてくる猟兵達の気配に気づき、すぐさま戦闘態勢を取った。
「兎狩りか…人狼の俺にはうってつけだな」
 産まれた時に症に感染し人狼となった、大神・零児(人狼の妖剣士・f01283)は森に足を踏み入れると即座に、ボクサーバニー達の姿を確認し、妖刀『魂喰』を構える。
 零児はいつでも斬り込めるよう隙を伺うも、ふざけているように見えるボクサーバニー達であるが、その動きは機敏で隙はまるでなかった。
 そこへ新たに二人の猟兵が駆け付ける。
「ふふ、楽しそうな兎達ですね」
 その内の一人である半人半霊の少年、天星・零(零と夢幻、真実と虚構・f02413)が、笑みを浮かべながらボクサーバニーと対峙する。
「この剣に、私の誓いを込めて。あなた達を成敗します!」
 もう一人、スーパーヒーローにして剣豪の少女、星川・杏梨(聖炎の剣士・f17737)が、流星の聖剣を構え、正面からボクサーバニー達を見据えた。
 しばしの間、睨み合いが続く。
「まとめてサンドバッグにしてやるうさ!」
 先に仕掛けたのは、焦れてきたボクサーバニー達の方であった。
 パワーアップしようが、我慢できない性格は変わらないままなのだ。
 兎らしく俊敏な動きで三人に飛び掛かる。
 ボクサーバニー達のパワーとスピードは、猟兵達の想像以上で、反応する前にウサギ型の痣を付与させられたかと思えば、次々と仮装したボクサーバニー達の増援が出現し、三人はパンチの嵐に襲われるのであった。
「ほらほら、いつまで耐えられるうさ!」
 ボクサーバニー達の怒涛の攻勢に、防戦一方に追い込まれる三人であったが、零児が一か八か反撃に出た。
「生きては帰さん!」
「うさっ!?」
 パンチを受けダメージを負いながらも零児は、強引にUCを放ったのである。
 広域に降り注ぐ万色の稲妻と詠唱銀の雨が、ボクサーバニー達に降り注いだ。
「うさ~っ!?」
 稲妻の直撃を受けたボクサーバニーは黒焦げになって、その場に倒れる。
「お、お化けが出たうさ!」
「祟られるうさ!」
 難を逃れたボクサーバニー達も、外れた稲妻から無数の武装した抗体ゴースト達に襲われる。
 優勢だったボクサーバニー達はたちまち大混乱に陥った。
「今が攻め時だよ!」
 零の別人格である、銀髪に銀と瑠璃色の瞳を少年、夕夜がトリガーピース『Enigma』を通じて呼びかけた。
「ええ、わかっていますよ」
 夕夜の言葉に頷くと、零は虚刻の瞳をボクサーバニー達に向けた。
「な、何が起きたうさ!」
「動けないうさ!」
 零の視界に入ったボクサーバニー達の動きが、時が止まったかのように、ぴたりと止まった。
「過去も現在も未来も無に還す。悲しむ人もいないまま、倒れたのかも知らぬまま…」
 零のUCで動きを止めている間に、夕夜が骸骨の頭をした操作可能な遠隔砲撃ユニット『Punishment Blaster』を操り、動けなくなったボクサーバニー達に止めを刺していく。
「サンドバッグになるのはあなた達よ!」
 ボクサーバニー達の攻勢が収まったタイミングで、杏梨は全身を黄金のオーラで覆い反撃に出た。
「は、速いうさ!」
「あなた達が遅いのよ!」
 杏梨の聖剣の一撃が、ボクサーバニー達の一体を両断した。
 不屈の意志の力により比例して高まった杏梨の速さは、ハロウィンの国の法則でパワーアップしたボクサーバニー達をも上回っていたのである。
「でも私達も負けていないうさ!」
 単純な戦法では勝てないと踏んだ、ボクサーバニー達は次なる手を打つ。 
「ち…小癪な!」
「危ないですね!」
「な、どこから!?」
 零児、零、杏梨は、異空間から突如現れたボクサーバニー達からの奇襲を受ける。
 目の前のボクサーバニー達に、気を捕らわれていた隙を突かれたのである。
「隙ありうさ!」
 死角に回り込んだボクサーバニー達のパンチが三人を襲う。
「だがその後が単純だな!」
 零児は死角から繰り出されたパンチを妖刀で容易く受け流してみせた。
 これまでの攻防でボクサーバニー達の攻撃パターンを、零児は見抜いていたのである。
「左からくるよ!」
「助かります!」
 夕夜のアドバイスに従い、零もボクサーバニー達の奇襲に対処していく。
「確かに驚いたけれど、でもそれだけね!」
「うさ~っ!?パンチが通用しないうさ!」
 杏梨は黄金のオーラで死角からのパンチを回避せずに受け止め、すかさず反撃を繰り出すのであった。 
 ボクサーバニー達の奇襲を凌いだ三人であったが、尚も出現し続けるボクサーバニー達を見て、戦いが長引く事を予感させられる。
「私達も仮装すれば良かったかな?」
 普段よりも数段手強いオウガ達を前に、杏梨は時間がなかったとはいえ、仮装しなかった事を後悔するのであった。
「まあ、仕方ないですよ。あとはやれるだけやりましょう」
「そういう事だ」
「・・・そうね、これぐらいハンデみたいなものね!」
 零と零児の言葉に、杏梨は力強く頷くのであった。
 それからも三人とボクサーバニー達との戦いは続いたのである。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

紅葉・智華
※アドリブ・連携歓迎
【妹(f12932)】がくっついてきた
口調:素(キャラ作りが妹に不評の為)
衣装:◎

いやほんとどういう場所なのこれ……。それがルールなら従うまでだけど。

(着替え)
「――正直、コスプレと戦闘は分けたいんだけどなあ……いや、仕方ないけどさ!」
(衣装自体に抵抗なし、ただし状況的には着たくないが、着る)

コスプレのせいで動きにくいなら、それなりの戦い方がある。【選択UC】(盾受け)で攻撃を受けて、【カウンター】。状況によっては、華織の【援護射撃】をする。
「申し訳ないけど、先を急がせてもらうよ!!」


紅葉・華織
※アドリブ・連携歓迎
【姉(f07893)】を追いかけて来た
衣装:◎

「お姉ちゃんあるところ、華織あり、ってね!」
コスプレとかあまりわからないけど、着ればいいんダヨネ? うん、お姉ちゃんと一緒のものがいいなあ!

(着替え)
「違うじゃん!? ナンデ!? オネエチャントチガウナンデ!?」
(衣装そのものに抵抗はないが、姉と違う衣装という事に絶望している)

「ええい、この恨みは絶対に忘れない……! そこの兔……覚悟はいいヨネ……!?」(八つ当たりともいう)
【選択UC】(第六感)で攻撃を【見切り】つつ、反撃。刀が使えなかった場合でも、体術で対抗する。



「いやほんとどういう場所なのこれ……」
 改造手術によってサイボーグ傭兵となった紅葉・智華(紅眼の射手/自称・全サ連風紀委員・f07893)は、ハロウィンの国の森から飛び出してきた仮装を手に、戸惑っていた。
 出てきたのは真っ白な白衣―所謂ナース服である。
「それがルールなら従うまでだけど…」
 ボクサーバニー達が他の猟兵達と戦っている間に、智華はそそくさと着替えるのであった。
「――正直、コスプレと戦闘は分けたいんだけどなあ……いや、仕方ないけどさ!」
 仮装自体には抵抗はないが、白衣の天使の姿で戦いに赴くのは、智華には抵抗はあった。
「お姉ちゃんあるところ、華織あり、ってね!」
 そんな智華の背後で様子を伺っているのは、赤枝流剣術の免許皆伝者であり実の妹である紅葉・華織(奇跡の武術少女/シスコン師範代・f12932)である。
「やっぱりお姉ちゃんは何を着ても似合っているね!コスプレとかあまりわからないけど、着ればいいんダヨネ?うん、お姉ちゃんと一緒のものがいいなあ!」
 華織は期待に胸を膨らませて、飛び出してきた仮装を素早く着替える。
 だが自分の仮装姿を確認して、表情が絶望へと変わった。
「違うじゃん!? ナンデ!? オネエチャントチガウナンデ!?」
 古風なメイド姿で絶叫した華織は、姉と同じ仮装が出てこないかと、何度も森の中を覗き込んでみたが、新しい仮装が飛び出てくる様子は無かった。
「こっちにも猟兵がいるうさ!」
 そうしている間に、チャイナ服やゾンビの仮装をしたボクサーバニー達が二人の元へと集まってきた。
 派手な仮装姿であるにも関わらず、ボクサーバニー達の動きは俊敏で、二人は否が応でも戦いにへと意識が向けられる。
「へえ…動きにくいと思ったけれど、不思議と身体が軽いわね」
 着慣れていない仮装であるにも関わらず、智華は普段以上に動きやすく、力が沸き上がるのを感じていた。
「かかってくるうさ!」
「そのコスプレ、無理している感があるうさ!」
 ボクサーバニー達はぴょんぴょんと跳ねながら、姉妹を挑発する。
 何の捻りもない安い挑発であるが、無性に飛び掛かりたくなる衝動に襲われる。
「ええい、この恨みは絶対に忘れない……! そこの兔……覚悟はいいヨネ……!?」
 元より八つ当たりする気でいた華織は、あっさりと挑発に乗ってボクサーバニー達に飛び掛かった。
 感情的になっているせいで、普段以上に力を増している事に、華織はまだ気付いていない。
「む。なんか危ない気がする?」
「避けられたうさっ!?」
 コスプレでパワーアップした事で、更に鋭敏となった天性の閃きにより、華織はボクサーバニー達のカウンターパンチを容易く回避した。
「隙あり!!」
 華織は刀を鋭く一閃、兎型オウガの首を刎ねるのだった。
 首を刎ねられたボクサーバニーは何が起きたのかもわからず、首は転がり切り離された胴体はそのまま崩れ落ちるのであった。
 その光景を目撃したボクサーバニー達に戦慄が走る。
「あ、あの女は危険うさ!」
「ナースお姉さんから、やっつけるうさ!」
 華織の剣技に恐れをなしたボクサーバニー達は、先に智華を倒そうと、彼女の方にへと我先にとばかりに殺到する。
「やるわね華織!次は私の番ね」
 智華はボクサーバニー達を迎撃すべく、電脳魔術で不可視の壁を正面に出現させた。
 それに気付いていない、ボクサーバニー達は正面から挑んでくるが、不可視の壁によって進行は阻まれる。
「うぎゃ!何かにぶつかったうさ!」
「先に進めないうさ!」
「申し訳ないけど、先を急がせてもらうよ!!」
 不可視の壁に困惑しているボクサーバニー達に対して、智華がそう告げると壁から高圧電流が放出された。
 高圧電流は近くにいるボクサーバニー達を追尾し、容赦なく感電させる。
「し、痺れるうさ~!」
「電撃攻めなんて聞いてないうさ!」
 高圧電流に感電したボクサーバニー達は動けずに次々と倒れていく。
「お姉ちゃんを襲っていいのは私だけダヨ!」
 華麗な剣技でボクサーバニー達を一掃しながら華織は、尚もしつこく智華に襲い掛かろうとしていたボクサーバニーに体当たりする。
「…聞き捨てならない事を聞いた気がするけれど、援護するよ!」
 智華は自ら考案し完成させた改造アサルトウェポンで、奮闘している華織に援護射撃を送る。
 これにはボクサーバニー達も、たまらず悲鳴をあげる。
「やられたうさ~!」
「この二人、強すぎるうさ…」
 こうして姉妹の息の合った連携により、ボクサーバニー達はロクな抵抗も出来ずに全滅したのであった。
 他でも戦いは終わったらしく、増援が現れる気配もない。
「意外と呆気なく片付いたね…」
「やっぱりお姉ちゃんと一緒だと無敵って事カナ?」
 コスプレによりパワーアップしていたボクサーバニー達であったが、同じくコスプレでパワーアップした姉妹の絆には到底及ばなかったのである。
「それより…事件が片付くまで、この格好をしていないといけないのかな?」
「…さあ?でも、お姉ちゃんのその姿、良く似合っているシ、このままでもいいと思ウヨ!」
 華織は姉のナース姿を堪能しながら、そう強く断言する。
 当然の事ながら、愛用の紅葉印のスマートフォンでの撮影も忘れてはいない。
「お姉ちゃんと同じコス、どこかに落ちていたりはしないカナ?」
 華織は懲りずに森の中やボクサーバニー達の残骸から、ナースのコスがないかを探し始める。
「…先に行っているよ」
 華織のメイド姿も似合っているとは思いながらも、敢えて口にはせず智華は先を急ぐ事にする。
「あ、待ってヨ!お姉ちゃん!」
 それに気づいた華織は、慌てて姉の後を追いかけるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『『七罪』色欲の赤ずきん』

POW   :    絶望に染まるココロ
自身の【希望や貞操観念、倫理観等の人間の心 】を代償に、【情欲に暴走する人間への不信や膨大な絶望】を籠めた一撃を放つ。自分にとって希望や貞操観念、倫理観等の人間の心 を失う代償が大きい程、威力は上昇する。
SPD   :    狼が狙う赤ずきん(赤ずきんの物語)
自身に【誰もが魅了され、情欲を掻き立てる魔力 】をまとい、高速移動と【大鎌と魔砲の猟銃による自動砲撃、狼の群れ】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    常時発動型UC『色欲・抗えぬ欲望』
【全てを虜にし戦意失う、甘く優しい囁き 】【誰もが魅了される可憐で美しい微笑と美貌】【絶望に壊れて尚、魅惑で蠱惑的な眼差し】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はフレミア・レイブラッドです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「静かになったわね…兎たちはどこに行ったのかしら?」
 部下であるボクサーバニー達の報告がばったりと途絶えた事に、色欲の赤ずきんは訝しげにしていた。
「まあいいわ…いなくなったのなら、また呼び出せばいいのだしね。それよりも腹ごしらえね」
 色欲の赤ずきんは、大して気にも留めず、自らの食欲を満たすべく、ハロウィンの国の巨大キッチンへと向かっていた。
「アリス達もしばらく捕まえていないし、良い食材がまだ残っていたかしら?」
 普通の料理には飽き飽きしていた赤ずきんから、そんな愚痴が漏れる。
 今向かっているキッチンに、ボクサーバニー達を全滅させた猟兵達が待ち受けている事を、色欲の赤ずきんはまだ知らない。
セシル・ローズキャット(サポート)
『神様なんていないわ』
『あなたみたいな人、嫌いよ。だからここで終わらせるの』

 ヴァンパイアの父と修道女の母に大切に育てられた、ダンピールの少女です。
 母が同じ人間に迫害されてきたため神を信じず人間嫌いな性格ですが、猟兵としての仕事には真剣に臨みます。
 普段の口調はやや大人びた感じですが、親しみを覚えた仲間に対しては「ね、よ、なの、なの?」といった子供らしい口調で話します。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、依頼の成功を目指して積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはマスターさんにおまかせします!


ギャレット・ディマージオ(サポート)
●設定等
ダークセイヴァー出身の冷静沈着な黒騎士です。
オブリビオンに滅ぼされた都市で自分だけが生き残った過去を悔い、人々を守ることを重視して行動します。

●戦闘において
「及ばずながら、手助けさせて貰おう」
「貴様の相手は、この私だ!」
「なんと強力なユーベルコードだ……! (解説) 直撃すれば一たまりも無いぞ!」

・牽制攻撃
・敵の攻撃から他の猟兵や一般人を守る
・敵の攻撃を回避してカウンター
・ついでに敵の強さを解説する
など、防御的・補助的な行動を得意とします。

メイン武器は「黒剣」です。

他は全てお任せします。
別の猟兵との交流や連携等も自由に行ってください。
どうぞよろしくお願いします。


フルム・サーブル(サポート)
余裕があるときや敵に憐れみを感じる場合は基本通りの穏やかな口調
余裕がなかったり、敵がえげつなくて怒りを感じるような場合は
「敵には」の口調です

でもあまりキャラぶれは気にしないので
公序良俗に反しない限りは好きに扱ってください

技能は【力溜め】【怪力】【グラップル】【シールドバッシュ】【カウンター】など
セットされているもの(サバイバル等の事情でばらつきがあります)
を活用し、小さい体で戦場を飛び回りながら
優雅(自称)な戦いをします
どうみてもそのスタイルは脳筋です

武器は鍵(バトルアックス)や杖(バールのようなもの)をメインに使いますが
選択されたユーベルコードによっては拳一つでの戦いも可能です



「ふぅん…ボクサーバニー達がいなくなったのは、あなた達の仕業だったのね…さて、おかげで準備が遅れるわ…この埋め合わせはしてくれるのかしら?」
 『七罪』色欲の赤ずきんは、現れた猟兵達を値踏みするような目で観察していた。
「なかなか手強そうだけれど、お生憎様この世界では私は無敵よ。神と言ってもいいかしらね。抵抗は無駄よ」
 ボクサーバニー達を退けた猟兵達を目の当たりにしながらも、色欲の赤ずきんは不敵な笑みを浮かべている。
「…神様なんていないわ」
 ダンピールの少女、セシル・ローズキャット(ダンピールの人形遣い・f09510)は、静かに断言した。
 セシルの母はヴァンパイアとの間に子供を持ったことで、人々に迫害され続けていた。
 ヴァンパイアの父と修道女の母に大切に育てられたセシルは、その事で人々を恨み、神を信じていないのである。
「あなたみたいな人、嫌いよ。だからここで終わらせるの」
「そう…果たして終わるのはどちらかしらね?」
 あくまでも色欲の赤ずきんは余裕の態度は崩さない。
 無敵の力を信じて疑わないのである。
「及ばずながら、手助けさせて貰おう」
セシルの前に立つ、ダークセイヴァー出身の冷静沈着な黒騎士、ギャレット・ディマージオ(人間の黒騎士・f02429)が、黒剣の剣先を色欲の赤ずきんにへと向けた。
 オブリビオンに滅ぼされた都市で、自分だけが生き残った過去を持つギャレットは、何よりも守ることを優先とする騎士なのである。
「僕も微力ながら加勢しますよ」
フェアリーの青年、フルム・サーブル(森林の妖精さん・f03354)も、色欲の赤ずきんを迎え撃つべく、フェアリー用の杖を構える。
 儚い存在であるフェアリーであるフルムだが、その実は戦場を故郷に持つ達人でパワーファイターであった。
 三人の猟兵の中で、色欲の赤ずきんが特に興味を抱いたのはセシルであった。
 外見は同じ年頃の少女である事と、セシルから自分と似たような絶望を感じ取ったのである。
「あなた…ヴァンパイアの血も混じっているのね…どんな味がするのかしら?」
 セシルに狙いを定めた色欲の赤ずきんは、彼女を切り裂くべく漆黒の大鎌を無造作に薙ぎ払った。
 その華奢な身体とは裏腹に、早く鋭い大鎌の一振りであった。
「っ!?」
 セシルは虚を突かれ、防御態勢を取るのが遅れる。
「貴様の相手は、この私だ!」
 神速の一撃がセシルの華奢な身体を引き裂こうする寸前で、ギャレットが割って入り、黒剣で鎌を受け止めた。
 金属音が激しくぶつかり合う音が、その場に響き渡る。
「なんと強力な一撃だ……!まともに受ければ一たまりも無いぞ!」
 ギリギリの所で、色欲の赤ずきんの攻撃を防御したギャレットであったが、同時に相手の実力を思い知る事となり、額から冷や汗が浮かぶ。
「ええ、その通りよ!いつまで耐えられるかしら?」
 色欲の赤ずきんはギャレットの防御力を試すかのように、連続で鎌を振り回して追い込んでいく。
 防御に徹した、大鎌の連撃を受け止めるギャレットは、鉄壁そのものであったが、色欲の赤ずきんの勢いは止まらず、防戦一方に追い込まれる。
 ギャレットは反撃どころかその場を動く事すらもままならなかった。
「本当に嫌な人ね!」
「僕からも反撃させてもらいますよ!」
 ギャレットの窮地を救うべく、セシルがからくり人形を呼び出し、フルムが小さい身体に見合わぬ怪力で、それぞれ色欲の赤ずきんを攻撃し命中させた。
 セシルのからくり人形が牽制した所に、フルムの単純だが強力な一撃が、色欲の赤ずきんを後方へと吹き飛ばした。
「やるわね…いい攻撃じゃないの!」
 だが色欲の赤ずきんは、まるでダメージを受けている様子は無く、すぐに体制を立て直す。
「言ったでしょ!今の私は無敵だと。これで理解してもらえたかしら?」
 色欲の赤ずきんは妖艶な笑みを浮かべると、魅了し情欲を掻き立てる魔力を全身から解き放った。
 絶望に壊れても尚、可憐で美しい微笑と美貌を持つ、色欲の赤ずきんの魅了に引きずり込まれそうになる所を、三人は懸命に耐える。
「く…あなたになんか負けないわ…」
「やはり手ごわい…普通に戦うだけでは勝ち目はないか…」
「ここは信じて耐えるしかないですか…」
 三人の目的は、当然ながら色欲の赤ずきんを倒す事である。
 だがハロウィンの国の法則により、無敵となっている色欲の赤ずきんを倒すには、ある事をしなければならない。
 その為の時間が必要なのだ。
「美味しそうな匂いがしてきましたね…そろそろ完成する頃でしょうか?」
 キッチンから漂ってきた匂いに、いち早く気付いたフルムから期待の声があがる。
 無敵を解除する為には、料理を作って食べさせなければならない。
 三人は他の猟兵が料理している間、色欲の赤ずきんに邪魔されないよう、相手が無敵と知りながらも戦いに挑んでいるのである。
「ふぅん…食欲をそそらせてくれるじゃない…もしかして私の為に作ってくれているのかしら?」
 三人の後ろで料理に勤しんでいる猟兵の存在に気付いた、色欲の赤ずきんから喜びの声があがる。
「ええ、その通りよ!だから邪魔はさせないわ」
「そういう事だ!」
 後方で料理している猟兵を守るべく、セシルとギャレットが色欲の赤ずきんの前に立ちはだかった。
 無敵である色欲の赤ずきんを倒す事が出来ないのなら、料理が完成するまでの間、全力で持ち堪える。
 それが三人が色欲の赤ずきんに対抗できる唯一の手段なのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

紅葉・智華
※アドリブ・連携歓迎
【妹(f12932)】がくっついてきた

えっと、料理しなきゃいけないんだったよね。
華織は料理できないって言うから、私が料理するしかない、かぁ……。

「華織、料理の方は私に任せて!」

(正直、ナース姿で料理とはなんぞや? とか。華織に戦闘を任せるのは心苦しい、とかはどうしても考えちゃうけど)

【選択UC】(第六感)で状況によって敵の攻撃を【見切り】、回避しつつ料理する。折角のハロウィンなのだから、かぼちゃをつかった料理とかがいいのかも。特別料理が得意という訳ではないけど、手先には自信がある。
「できた!」

敵が料理を食べたら、華織が止めを刺す【援護射撃】をする。


紅葉・華織
※アドリブ・連携歓迎
【姉(f07893)】を追いかけて来た

「料理? 勿論できないよ!」(ドヤ顔)
そうなると、お姉ちゃんを守るのが華織の役目! お姉ちゃんの事を守るの華織大好き!(料理ができないのは一応嘘ではない)

お姉ちゃんが料理を完成させるまでの時間稼ぎ、お姉ちゃんに敵の攻撃を届かせないようにする。【選択UC】で敵の様子を確りと観察して、攻撃を【見切り】時には鞘でガード(盾受け)する。

そうしているうちに、お姉ちゃんが料理を完成させて敵に食べさせる筈だから、敵が無防備になった所を『月華』(鎧無視攻撃)で一閃。
「――迷わず、逝けばいいと思うな」



 時は少し前に遡る。

「えっと、料理しなきゃいけないんだったよね?」
「料理? 勿論できないよ!だからお姉ちゃんに任せるね」
 姉である紅葉・智華(紅眼の射手/自称・全サ連風紀委員・f07893)の問いに、妹の紅葉・華織(奇跡の武術少女/シスコン師範代・f12932)が、ドヤ顔で答えた。
 姉妹が居るのはハロウィンの国の広大なキッチンである。
 ここで料理をして、この世界を支配している色欲の赤ずきんに食べさせれば、ハロウィンの国の法則に従って倒す事が出来るのだ。
 キッチンの周囲では色欲の赤ずきんと他の猟兵達との戦いが繰り広げられている。
 迷っている時間など無かった。
「仕方ないなあ…華織、料理の方は私に任せて!」
 決して料理が得意という訳ではないが、手先に自信のある智華が、料理に専念する事となった。
「そうなると、お姉ちゃんを守るのが華織の役目だね!」
 料理ができない(一応嘘ではない)華織は、智華が料理している間に邪魔されないよう、姉を守る事に専念する事にした。
 幸いハロウィンの国のキッチンにある食材は豊富で、不足する事はまず無い。
 だが時間をかけ過ぎず、かつ失敗も許されない状況であることに変わりはない。
「折角のハロウィンなのだから、かぼちゃをつかった料理とかがいいのかも…そうね、あれがいいわ!」
 アイデアが固まった智華は、早速料理を開始する。
「お姉ちゃんの事を守るの華織大好き!」
 姉が懸命に料理している姿を、楽しそうに見守りながらも、色欲の赤ずきんの猟銃から放たれた砲撃を、刀で弾き返した。
 色欲の赤ずきんの注意は、現在も他の猟兵達に向けられていた為、華織は散発的な砲撃を防ぐ事だけに専念すればよかった。
 (正直、ナース姿で料理とはなんぞや? とか。華織達に戦闘を任せるのは心苦しい、とかはどうしても考えちゃうけど…)
 料理に専念しているのは智華だけであり、他の猟兵達は彼女を守る為、無敵の色欲の赤ずきんを相手に、勝ち目のない戦いに挑んでいる。
 その事が心苦しくはあるものの、華織達の戦いを無駄にしない為にも、智華は仮装姿のまま料理を完成させる事に注力した。
 ハロウィンの国の法則ではない筈だが、不思議と仮装姿のままの方が料理が進むように、智華は感じられたのだ。
「これで完成したかな!」
 智華は完成したばかりの温かいかぼちゃのスープを皿に盛って、そっと色欲の赤ずきんの元にへと運ぶ。
「あら…ようやく完成したのね…それじゃあ、試食してみようかしら?」
 前線の猟兵達を突破し、本格的に華織へ攻撃を加えようとしていた、色欲の赤ずきんの手がぴたりと止まり、智華から差し出されたスープに意識が向けられる。
 完成した料理を食べて感想を言わなければならないのも、ハロウィンの国の法則である。
 色欲の赤ずきんは無敵の力を得る代わりに、法則に従わなければならないのだ。
「急ごしらえで見すぼらしい感じだけれど…かぼちゃの香ばしい匂いがするわね…」
 色欲の赤ずきんは不評を交えながらも、魅入られたかのように、オレンジ色のスープを口にへと運ぶ。
「へぇ…なかなか、思っていたよりも美味しいじゃない…それに何だか懐かしい味ね…」
 素朴なスープの味わいに、色欲の赤ずきんはかつての自分を思い出すのであった。
 それはアリスとしてこの世界に呼び出される前、全てに絶望する前の記憶であった。
 スープから暖かい気持ちが、色欲の赤ずきんの全身にへと伝わってくる。
「なんだか…昔の自分に戻ったみたいね・・・もう…絶望とか…どうでもよくなってきたわ…」
 かぼちゃのスープを完食したかと思うと、色欲の赤ずきんはスプーンを落として、そのまま眠りについてしまう。
 その表情は穏やかな少女そのものであった。
 智華の料理を食べた事で、ハロウィンの国の法則によって、無力化されたのだ。
「――迷わず、逝けばいいと思うな!」
 そんな色欲の赤ずきんに対して、華織は秘刀【月華/醒】を一閃し、首を刎ねる。
 痛みを知らずに安らかに永眠させる事が、華織のせめてもの慈悲であった。
 無敵が解除された事で、色欲の赤ずきんは呆気なく最期を迎えたのだった。
「お姉ちゃんの手料理を食べて逝けたのは…羨ましくはあったヨ。あ、そういえば華織の分は残っているのかナ?」
 色欲の赤ずきんが絶命したのを確認すると、華織は明るい表情で姉に問いかける。
「ごめん…急いでいたから一人分しか作っていなかったわ…また作ろうか?」
「勿論♪一仕事してお腹も空いているからネ!ちゃんとナース姿のままでだヨ!」
 姉の言葉に素直に喜ぶ妹の姿がそこにあった。

 今年も楽しいハロウィンパーティが始まろうとしている。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年10月31日


挿絵イラスト