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無慈悲なる侵攻

#アルダワ魔法学園

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#アルダワ魔法学園


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●慈悲なき竜の再誕
 怒りに満ちた咆哮が、金属で出来た迷宮の壁を震わせる。
 咆哮をあげたのは、巨大な竜だった。
 青い鱗を持つ巨竜は、災魔(オブリビオン)として再誕した己の身を理解すると共に、心の中に湧き上がる感情を言葉として放つ。

「憎い。憎いぞ!! 全てが、憎い!!」

 かつての己を殺した者達、その子孫である人間達、人間達と共存する他の種族、その種族の食料となる生物、生物を育んだ世界そのもの。
 世界全てへの限りない憎悪が、竜の中で煮え滾り続けている。
 その心を表すように、肉体の各所から顔をのぞかせた宝石が輝きを放ち、魔力を溢れさせる。流れ出した魔力は、冷気となって床を凍り付かせた。
 巨竜は首を迷宮の天井へと向ける。
 己がどこを目指せば良いのかも、巨竜にとっては明白であった。

「地上へ向かう。そして、全てを蹂躙するのだ。
 我、『慈悲なき』ニドアーズの名において!!」

 まずは地上に生きる目障りな人間達を殺し尽くす。
 そして再び、己の王国を築くのだ。
 巨竜が一歩を踏み出すと共に魔力が実体を帯び、踏み砕かれた金属の床から首のない騎士の姿をした従僕達が次々と現れる。
 かくして、進撃は開始された。

●ドラゴンを討て!
「アルダワ魔法学園の地下迷宮に、オブリビオンの大群が出現し、地上を目指している。この大群の中核となっているのは『慈悲なき』ニドアーズという名のドラゴンだ」
 グリモアベースに集った猟兵達に、グリモア猟兵の一人ギャレット・ディマージオ(f02429)は、端的に状況を説明した。

 冷酷なる青竜、『慈悲なき』ニドアーズは、かつてアルダワ魔法学園世界の北方の地に覇を唱えんとしたドラゴンだ。
 英雄たちの決死の戦いによって討たれたニドアーズは、しかし今再び、世界を滅ぼす存在『オブリビオン』と化して蘇った。
 アルダワ魔法学園世界での事件が、学園とその地下の迷宮だけに限られているのは、この世界を生きる者達にとって幸運であっただろう。
 ニドアーズが学園迷宮を突破し、その軍勢が地上に解き放たれれば、生じる被害は計り知れない。

「侵攻を阻止するため、既に現地でアルダワ魔法学園の生徒達が抵抗を開始した。だが、二ドアーズの軍勢を前に、彼らは後退を繰り返させられている状況だ」
 アルダワ魔法学園に集う生徒達は、学園迷宮を探索する冒険者でもある。
 とはいえ強力な災魔(オブリビオン)の軍勢となれば、彼らだけでの対処は困難だ。
「戦況を打開するには敵陣を突破し、ニドアーズを討つしかない。それが出来るのは猟兵である君達だけだ」
 そこまで伝え、ギャレットは猟兵達を見た。
「これから、君達を迷宮内の最前線に転移させる。敵の前衛……首無しのマジックナイト達を破った後、ニドアーズの元まで辿り着き、戦いを挑んでもらいたい」
 そうすることが、最も被害を抑える手段となる、とギャレットは説明した。
「あまり猶予の無い状況だが、君達が頼りだ。よろしく頼む」
 そして彼は、無数の蒸気機械で構築された学園迷宮へと、猟兵達を送り出すのだった。


真壁真人
 こんにちは、真壁真人です。
 第1章では敵陣(『首無しの熟練騎士』集団)の突破、第2章ではドラゴン『慈悲なき』ニドアーズとの決戦、第3章では事件解決後のアルダワ魔法学園での出来事を扱うシナリオとなります。

 皆様のプレイングを楽しみにしております。
 よろしければ、どうぞ御参加下さい。
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第1章 集団戦 『首無しの熟練騎士』

POW   :    雷鳴刀
【迸る魔法刀の剣筋】が命中した対象を切断する。
SPD   :    疾風迅雷
【「炎」と「氷」を無効化する強化魔法】【脚力を上昇させる強化魔法】【物理的防御力を上昇させる強化魔法】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    怒髪天
【掌を天高く掲げて】から【全方位に向けて高威力・広範囲の雷】を放ち、【電気や雷に対策のないものは感電】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

山田・ベレッタ
好奇心旺盛なご主人様がここに来る前に二ドアーズをお片づけしませんと♪

まずは、
鎧の継ぎ目を撃ちますわよ!



 グリモアベースから一瞬のうちに世界を渡り、山田・ベレッタ(多重人格者の探索者・f13657)はアルダワ魔法学園の迷宮内に降り立った。
 パイプと蒸気に彩られた迷宮の空気は、奇妙なまでに冷え切っていた。
「これも、ドラゴンの力……? と、考えている場合ではなさそうですわね」
 現れたベレッタをいかなる手段でか認識し、首のない騎士はベレッタを目掛けて疾走してくる。

「好奇心旺盛なご主人様がここに来る前に、二ドアーズをお片づけしませんと♪」
 ニドアーズが地上に向かっても危険だが、自分のご主人様ならば、ドラゴンの戦いなどという面白そうな場を逃さないだろう……。
 そう半ば確信しながら、ベレッタは素早く銃口を迫る騎士に向けた。
 首無しの騎士は、その発する魔力を電光の剣として形成し、ベレッタを斬り裂かんとしている。
 それが振り下ろされるよりも早く、ベレッタは銃の引き金を引いた。
 鎧の継ぎ目を狙って放たれた銃弾は、吸い込まれるように騎士鎧の関節部へと突き刺さる。
 騎士の手にした魔力の剣が霧散する。
「失礼♪」
 そう挨拶すると騎士が再び剣を形成するよりも早く、ベレッタは騎士の横を走り抜けた。
「頑丈ですわね」
 銃弾を受けても、まるで応えた様子がない。
 思った以上の敵の頑丈さに、ベレッタは目を見張る。
「これは、確かに猟兵でもないと相手になりそうにありませんわね……」
 そう思いながら、ベレッタは騎士との戦いを切り抜け、地上へ向かわんとしているニドアーズを目指して戦場を駆け抜けていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

阿紫花・スミコ
「ドラゴンだって?・・・マジかよ・・・。」
身支度をし、足早に現場へ急ぐスミコ。現れた首のない騎士を見て一言。
「く・・・首のない騎士!?・・・・マジかよ・・・。」

「あの斬撃、あんなのくらったら、ひとたまりもないぞ!」
ワイヤーギヤからワイヤーを射出し、天井や床、壁などにフックをひっかける。ヒートロッド(蒸気ガジェット)も使いながら、戦場を飛び回り、敵の攻撃の回避に専念する。隙があれば、蒸気で熱したヒートロッドで一撃を加える。
他にも猟兵は来ているはずなので、自分ひとりでなんとかするんじゃなく、なるべく敵をかく乱し、確実にダメージを与えていきたい。
「ボクのスピードだってバカにしたものじゃないだろ?」


暁・碧
厳しい状態みたいだね…でも、だからって何もしないわけにも行かないよね!

かなりの数がいるみたいだね、妖剣解放で高速移動で敵を翻弄しながら宝刀・天羽々斬と高周波ブレードのなぎ払い攻撃をヒットアンドアウェイでできるだけ数多くの敵を纏めて攻撃をしていくね!
敵が自身を強化して来た時は自身の第六感を信じて攻撃を躱す、躱せないと判断したら剣で受けて防御するよ!

☆アドリブ、他の猟兵との連携歓迎です!



 オブリビオンと化し、首をなくしてなお、熟練の魔法騎士達は、その剣技も魔術も健在だった。
「く……首のない騎士!? マジかよ……?」
 阿紫花・スミコ(人間の人形遣い・f02237)の驚きは、ある意味もっともであっただろう。
 多くのオブリビオンは『過去』となる以前の、生前の姿で出現する。
 この騎士達も、生前から首が無かったわけでもあるまい。
 彼らがいかなる経緯で首無しの騎士になったのか、スミコは知る由もなかった。
「……っと!!」
 騎士が走る勢いのままに振り下ろした雷の刃は、蒸気機械を深々と切り裂き、激しく蒸気を噴き上げる。だが、既にそのスミコの姿は無った。
「あの斬撃、あんなの喰らったら、ひとたまりもない!」
 騎士の魔力刃の威力に目を見張るスミコの姿は、騎士から随分と離れた位置にあった。
 自前のガジェット『ワイヤーギア』から射出したワイヤーで、自分の体を一気に壁へと引き寄せ、距離を取ったのだ。
 再び天井にワイヤーを射出したスミコは、騎士がこちらに気付くよりも早く、再び戦場を跳んでいく。
「こりゃ、ボク一人じゃどうしようもないなあ……ん?」
 そう嘯いていたスミコは、敵が集まっていく様子に首をかしげた。

 騎士達が目指す先にいるのは白い髪の妖狐……暁・碧(妖狐の女子高生・f00059)だった。
 碧は戦いの場を駆け抜けながら、両手の宝刀・天羽々斬と高周波ブレードを大きく薙ぎ払うように振るっていく。
 群がる首無しの騎士達は、速度を活かして疾走する彼女を捕まえあぐねていた。
 その速度のまま、碧は切り裂きながら前進していく。
「かなりの数だね……」
 その様子は華麗ともいえるものだが、見た目ほどの余裕がないことを、碧本人は直感的に理解していた。魔力で動きを高速化した騎士達は、その脚力を強化し、碧の速度に追随しようとしている。
 包囲されるのも時間の問題かと思われた。だが、
「チャーンス!!」
 という言葉と共に、救いの手は天井から降って来た。
 碧の方に向かおうと背を向けたのを見逃さず、天井から飛び降りて来たスミコだ。
 その手には、蒸気熱を放つヒートロッドが握られていた。ヒートロッドに殴打され、よろけた騎士に、碧の斬撃が襲い掛かる。
 薙ぎ払いの一閃に、腰の部分を切り飛ばされた騎士は、そのまま動きを止めた。
「ボクのスピードだってバカにしたものじゃないだろ? さあ、ボクを捕まえられるかな?」
 騎士を挑発しながら、再びワイヤーで天井へと跳んでいくスミコ。
「やるなぁ。私も、気合い入れないと!!」
 騎士達の敵意が、スミコに向いた瞬間、碧の放った衝撃波が騎士達を吹き飛ばす。強引に包囲を突破し、碧はさらに深く敵陣を切り裂いていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

セルマ・エンフィールド
少々危険な状況ですね……まずは敵の数を減らすことを優先しましょう。

転移したらすぐにアルダワの技術により改造されたマスケットによる【オートマチック・シューター】での射撃を開始します。

この状況では怒髪天はもろ刃の剣……ですが、使ってこないと断じるのは早計です、できる限り近くに寄らないよう、狙う対象は自身に近い者からです。

雷鳴刀も同様、近くに寄らせなければ問題はありません。
疾風迅雷で氷への耐性が付与されることを考えれば、私の氷の技は通用しないと考えてもいいでしょうが……脚力の強化および物理防御力は、火力でねじ伏せてみせます。



 鳴りやまぬ銃声が、迷宮内に木霊する。
 その銃声の源は、セルマ・エンフィールド(終わらぬ冬・f06556)の手にしたマスケット銃だ。
「まずは、1体」
 その銃声が止むと共に、セルマの目の前にいた騎士は鎧の胴に大穴を開けられ、その動きを止めた。魔力で『中身』を形成していたのか、あるいは撃破と共に消えてなくなったのか、後には使い物にならなくなった鎧だけが残される。
「充分にダメージを与えれば、外部からの衝撃でも倒せるようですね」
 そう判断するセルマは、耳に届いた金属音に、別の騎士が自分を目指して疾走して来ているのを認めた。
「あれだけ派手に銃声を響かせれば、気付きますか」
 セルマはそう冷静に判断する。
 もっとも、耳どころか首もない騎士がどのように世界を認識しているのかは分からないが。
「お相手しましょう。まずは数を減らさなくてはなりません」
 静かにマスケット銃を構え、引き金を引くと、その先端から弾丸が放たれた。
 騎士は魔力を防御力に回し、その銃弾を弾こうとする。
「普通なら、それで充分なのでしょうけれどね」
 呟くセレナ。
 単発式であるはずのマスケット銃は、しかし止まることなく銃弾を撃ち出し続ける。
 本来ならば、いかなる銃の名手であれ、マスケット銃でここまでの連射は不可能。
 だが、セルマが手にしたマスケット銃は、アルダワ魔法学園の技術によって自動装填・自動発射の機能を備えている。
 となれば、セルマは狙いをつけることに集中できる。
 銃弾の連射に翻弄され、騎士はセルマへの接近をできぬまま、床に崩れ落ちた。
「狙いを絞れば、先程よりも少ない弾数で済みますか……」
 2体目を撃破したセルマは、すぐに次の標的を狙い、移動を開始した。

成功 🔵​🔵​🔴​

ステラ・アルゲン
竜退治ですか。我が主もかつて……あ、いえ。この話は長くなるのでやめましょう。火急のことでありますから。

逃げ後れた生徒がいるならまずはその救出。後は我々猟兵にお任せください。その後敵を切り伏せに行きましょう。

雷鳴刀ですか。ならば我が流星剣と勝負といきましょうか!
【武器受け】で攻撃を流しつつ、【フェイント】を用いて相手の攻撃を誘い、隙を見せたら【流星一閃】。【鎧砕き】の勢いも乗せて……打ち砕く!
(連携・アドリブOK)



 学園迷宮を疾走するステラ・アルゲンの前方に現れたのは、アルダワ魔法学園の制服を着た女生徒達だった。
「防衛に当たっていた生徒! まだ取り残されている人がいましたか」
 彼らの後ろから、首のない影が高速で接近してくるのを認め、ステラは足を速めた。
「そのまま走って下さい!」
 警告を発しながら、ステラは生徒とすれ違った。
 生徒達の背に襲い掛からんとした騎士の魔力刃を受け流し、そのまま敵の勢いすらも利用して逆に吹き飛ばす。
 騎士が壁へと突っ込んだ凄まじい金属音を耳にして、生徒達はようやく自分達が危機にあったことに気付いたようだった。
「……!? あ、ありがとう! 助かりました、『転校生』の人!!」
「後は、我々猟兵にお任せください」
 礼を残して走り去っていく女生徒達を見送ると、ステラは騎士へと向き直る。
 騎士は既に既に起き上がっていた。
 手にした刃にはさらに魔力が流し込まれ、雷の如き光が放たれる。
「雷鳴刀ですか。ならば、我が流星剣と勝負といきましょうか!」
 ステラが手にするのは、己の本体たる流星剣。
 その刃は、首無しの騎士が振り下ろした魔力刃を受け止め、そして受け流してのける。
「重さを持たない魔力の刃……振り方を限定されないというのは面白いですね」
 魔法剣には、魔法剣なりの技術があるのだろう。
 だが、ステラの修める技と共通する部分も確かにある。相手の意表を突く技術、すなわちフェイントだ。
「……」
 一定の技量を持たねば気付かぬような誘いに、首無しの騎士は確かに乗った。
 魔力刃が振り下ろされた瞬間、ステラの剣もまた、流星の如き軌跡を描いて振り下ろされる。
「願いさえ切り捨てる、我が剣を受けてみよ!」
 ステラの剣は騎士が手にした剣を、そして鎧までをも切り裂いて、その存在に終止符を打った。
「さて、竜退治ですか……我が主もかつて……」
 ヤドリガミとしての思い出の中にあった、懐かしい記憶を思いだしつつも、ステラは迷宮を生徒達が来た方角へと進んでいくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メンカル・プルモーサ
……ん……母校だし……好き勝手されるのは…気に入らない…

…炎と氷が無効で物理防御・脚力の強化か……厄介…
取り合えず…【愚者の黄金】であちこちに金の避来針を立てて……雷が逸れる様に…
その後は【現実を侵せし狩猟団】を召喚、周囲の仲間の援護に向かわせて……戦闘の間に●疾風迅雷を解析。【崩壊せし邪悪なる符号】で首無し騎士達の強化を解除する…これで仲間達の攻撃手段も限定されなくなる…

後は【鳴り止まぬ万雷の拍手】で首無し騎士達の動きを止めてみんなの援護……攻撃は…近寄られたら【煌めき踊る銀の月】かな……
……それにしても、首が無いのにどうやって物を見ているんだろう…魔法的な感覚…?



 自己判断型伝令術式【ヤタ】が、メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)に騎士達が使うユーベルコードの情報を伝えて来る。
「……炎と氷が無効、物理防御に脚力の強化か……厄介……」
 メンカルは、敵の用いるユーベルコードの中でも『疾風迅雷』が特に危険と認識していた。
 実際、その認識は正しいようだった。頑強な鎧騎士達が複数属性を無効化しながら突っ込んで来るだけで、猟兵以外の学園生徒達では苦戦必至だ。

「……ん……母校だし……好き勝手されるのは…気に入らない……」
 ユーベルコードによって避雷針を造り、騎士達が用いる雷の魔術の威力を減じつつ、メンカルはさらに猟兵達と敵との戦闘を観察していく。
 そして蓄積された情報が充分と判断した段階で、彼女は新たな詠唱を開始した。
「邪なる力よ、解れ、壊れよ。汝は雲散、汝は霧消。魔女が望むは乱れ散じて潰えし理」
 詠唱と共に杖を振るうと、周辺で猟兵達と交戦していた騎士達の『疾風迅雷』を構成していた魔力が分解されていく。
 白兵戦中にそれまでの脚力を失い転倒する者、防御力を失いそれまで受け止めていた銃弾に貫かれる者。そうした大きな隙を見逃す猟兵達ではなく、彼らは一気に騎士達の守りを打ち破っていく。
 その状況を作った当人は、続けて騎士達への攻撃を援護しつつも、
「……それにしても、首が無いのにどうやって物を見ているんだろう……魔法的な感覚……?」
 と、敵の性質に今更のように疑問を抱くのであった。

 優位性の一つを奪われた首無しの騎士達は、その数を刻一刻と減じていた。
 騎士達の抵抗が弱まった隙を突いて、猟兵達は敵陣を突破、ニドアーズの元へと向かう。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『『慈悲なき』ニドアーズ』

POW   :    冬の暴風
【氷のブレス】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    石の記憶
対象のユーベルコードを防御すると、それを【頭部の宝石に吸収し】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
WIZ   :    凍てついた魂達凍てついた
【かつて使役した下僕たちかつ】の霊を召喚する。これは【槍】や【炎】で攻撃する能力を持つ。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はドロシー・ドロイストラです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 迷宮を奥へと向かうにつれて、空気は次第に冷え切っていく。
 蒸気を伝えるパイプの中でも細いものが凍結し、破裂している光景が、猟兵達の目に映った。
 蒸気機械が立てる音は、次第に小さくなっていく。
 反するように大きくなっていくのは、重い地響きだ。

 やがて猟兵達の前に現れたのは、全身から冷たき暴風を放つ巨大な青い竜だった。
 王者の如く堂々とした足取り。
 だが、その瞳に宿るのは限りない憎悪だ。
「我を殺しに来たか。その意志諸共、凍り付かせてくれよう!!」
 青き巨竜、『慈悲なき』ニドアーズ。
 その怒りに満ちた咆哮と共に、決戦は開始された。
暁・碧
今回の目標のニドアーズの登場だね
竜だしかなり強敵だと思うけど頑張っていこう!

まずは妖剣解放で移動速度を上げて敵に捉えられないように動き回りながら宝刀・天羽々斬と高周波ブレードで攻撃をしていくよ、攻撃する時は頭部の宝石には攻撃しないようにしつつ攻撃が通りやすい所を第六感を信じで探してみるね!
下僕を召喚してきたら首無し騎士の時と同じく速さで翻弄しながら殲滅!
広範囲の氷のブレスは初動がわかればなんとか残像を使ってよけられそうなら残像で回避、ダメそうならガードできればって思うよっ
☆アドリブ、他の猟兵との連携歓迎です!



「目標の登場だね。かなりの強敵だと思うけど、頑張っていこう!」
 ニドアーズの力を感じ取り、暁・碧(妖狐の女子高生・f00059)はそう声を上げると迷宮の床を蹴った。宝刀・天羽々斬の力に覆われ、碧の体は一気に加速する。
 竜の放つ冷気ごと切り裂くように手にした二刀を振るうと、迸る衝撃の波が巨竜へと向かった。
「硬い……!」
 放った衝撃波を受け止めるニドアーズの姿に、碧は即座に高周波ブレードの柄についたレバーを操作した。衝撃波に続いて突っ込んだ碧の刃が、甲高い音を立てニドアーズの鱗を削る。
「でも、きっと弱点はあるはず!」
 碧はその速度のままに、ニドアーズの巨体の周囲を駆け巡り始める。
 ニドアーズは、その巨体故に死角がある。
 死角から死角へと、飛ぶようにして移動を繰り返しながら、碧は二刀を振るった。
 確実にニドアーズの脚部を傷つけていくが、それだけでは致命打には遠いであろうことを、碧は理解していく。
「なら……上?」
 こちらを叩き潰さんと振るわれた前肢をかわすと、それを踏みつけて碧は跳んだ。
 空中で繰り出した二刀が、ニドアーズの首筋に十字の傷を刻みつける。
「こっちの方が斬りやすそうだね!」
「小賢しい!!」
 ニドアーズの宝石が輝くと、その全身を妖気が覆う。
「あれって……いけない!!」
 それが自分の使ったユーベルコードを再現したものであると、碧が直感するのと同時、ニドアーズの姿は霞むようにして目の前から消えた。
「高速移動……ッ!!」
 衝撃波自体はすんでのところでかわしたが、冷気、そして天羽々斬を纏うことによる消耗が彼女の体を蝕みつつある。そのことを理解しつつも、碧は果敢に二刀を構え直した。

成功 🔵​🔵​🔴​

セゲル・スヴェアボルグ
ふむ……いざ目の当たりにしてみると、思ったよりも青くはないな。

奴が氷のブレスで来るのであれば、こちらは炎のブレスで対抗だ。
しかし、相性としては悪くはないだろうが、周囲の猟兵たちを巻き込みかねん。可能な限り、奴を他の味方から離した上でやり合いたいところだな。
【怪力】で動かせればいいが、無理そうなら【狂飆の王】を叩き込んで、吹き飛ばして見せよう。
後方にブレスが向かわないように盾も構えておくとしようか。
危ないやつがいれば俺が壁代わりになって庇えばいいしな。
マントの【氷結耐性】である程度は耐えられるだろう。
まぁ、仮に凍ったしても、かち割ってやればよいだけのことだがな。
風邪だけはひかんようにせんとな。



「ふむ……いざ目の当たりにしてみると、思ったよりも青くはないな」
 ニドアーズよりもなお青い鱗を持つドラゴニアン、セゲル・スヴェアボルグ(ドラパラ・f00533)は、そう呟くと息を吸い込んだ。
 先程の高速移動は一度きりのものなのだろう。
 だがその移動で猟兵とニドアーズの距離は開いた。
 そしてセゲルはニドアーズの口腔に、冷気が収束されていくのを目にする。
「皆、俺の後ろに下がれ!!」
 猟兵達にそう警告した直後、ニドアーズは猟兵達をまとめて凍り付かせんとその顎を開く。
 放たれるのは、周囲を冷やす冷気をさらに強めた氷のブレス。
 猟兵達を氷像にせしめんとするその攻撃を、セゲルは重盾【スィタデル】を構えて迎え撃つ。
 大盾の表面が一瞬で凍りつき、様々な攻撃への耐性を誇る帆套【ソール】の向こうから、止めきれない冷気がセゲルの体を凍えさせようとする。
 だが、セゲルは眼光鋭く氷嵐の向こう、ニドアーズを見つめると口を開いた。
「こう冷えていては風邪を引いてしまう。暖を取らねばな!」
 示すユーモアは、セゲルの口から『朱竜回禄』の灼熱の息吹が放射される。
 凍てつくブレスを突き破るようにして突き進んだ真朱の炎は、ニドアーズの体にまとわりつく。
「火種はお前さんだ。そう簡単に消えはせんぞ!」
 宣言するセゲルは、さらなるブレスによって、ドラゴンの放つ冷気を抑え込んでいった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

阿紫花・スミコ
「おいおいおい!このデカさは反則だろー!」
思わず叫ぶスミコ。敵の一撃を壁に打ち込んだワイヤーを巻き取り、回避し、スーツケースに手をかける。
からくり人形「ダグザ」、ボクの相棒さ。

「こうなったら、力比べだ!」

ダグザの持つ、超重量の棍棒で一撃離脱の戦法を行う。さすがにドラゴン相手に正面衝突では、いかな人形でも持たないだろう。
周囲の猟兵たちとも協力して、確実にダメージを蓄積していきながら、攻撃のチャンスを待つ。

「これでもくらえ!!」

からくり人形「ダグザ」の腰部の歯車がギシギシと音を立てて回転を始める。ダグザの持つ超重量の棍棒を高速回転により連続して叩き込む!
スピニング・スイーブ・・・これで、どうだ!!



「おいおいおい、このデカさは反則だろー!」
 ニドアーズの巨大さは、学園迷宮の中にいるものとしては破格だ。
 こんな存在までがオブリビオンとして出現するデタラメさを感じながら、スミコはワイヤーを引き寄せる。
 寸前までいた場所が、冷気のブレスの直撃を受けて凍結するのを見ながら、スミコはスーツケースの留め金に手をかけた。パチン、パチンと音を立て、どこか厳かにスーツケースが開かれる。
「さあ、いこうか相棒!!」
 スーツケースの中から現れるのは、からくり人形「ダグザ」。
 神の名を冠した人形は、スミコの呼び声に応えてスーツケースから飛び出した。超重量級の棍棒の一撃が、ニドアーズの巨体を大きく揺るがせる。
「さあ、力比べだ……!」
 そう言いつつも、スミコはダグザをニドアーズを真っ向からぶつからせることはしなかった。
 スミコは冷静に、ドラゴンの攻撃をいなし、ダグザに一撃一撃を加えさせていく。
「さすがにドラゴン相手に正面衝突じゃね」
 華麗とも見えるが、その実、薄氷を踏むような戦い方を続けるうち、猟兵達の攻撃を受けたニドアーズに隙が生まれる。そのチャンスを逃さず、スミコはダグザを操作する。
「これでもくらえ!!」
 ギシギシと音を立てるダグザの腰部歯車は、ダグザの上半身が横向きの回転を開始。
 竜巻のように振るわれる棍棒が、ニドアーズの上半身に次々と叩きつけられる。
「スピニング・スイーブ……これで、どうだ!!」
 スミコの宣言と共に、最後の一撃が大きくニドアーズを吹き飛ばした。

成功 🔵​🔵​🔴​

クラム・ライゼン
学園には知り合いも友達も沢山いるんす!
この先には絶対進ませないっすよ!

(氷の竜…前に遭ったのは赤竜だったし別竜かぁ。
……もう一回、逢えるかと思ったんだけど)


戦闘/ユーベルコード
・WIS
「虚構構築。簡易接続完了…以下省略!ーー契言。『出番だぜ、我が愛しき激情の君!』」
〈高速詠唱20〉+〈全力魔法11〉併用
慟哭する女性型の精霊を呼び出し行動阻害狙い
先輩方(※猟兵)と協力できるならこの間に集中攻撃を叩き込んで貰うっす

攻撃にはディア(ドラゴンランス)を使用
〈属性攻撃〉で武器に炎を付与しつつ戦う(串刺し6、薙ぎ払い6、属性攻撃10
至近距離の場合はルフェ(短剣型ロッド)に持ち替え


※他猟兵は◯◯センパイ呼び


アイリ・フラジャイル
連携アドリブ歓迎

出たわね親玉……これ以上学園の皆をやらせない!
状況を学習して相手の攻撃予測をするわ
大体わかったわ、ここから反撃よ!

自分も含めて仲間たちを励まし、戦意に火をつける
諦めないで! 敵は一体、数ではこちらが絶対有利よ
ここでニドアーズを表に出したら、沢山の生命に危機が迫るもの
それでも、頼もしい仲間達がこれだけいるんだから、必ず勝てるわ!

攻撃に移る仲間を全力で補助する
防御はアタシに任せて、痛いの喰らわせてきちゃって!

前衛に立ちリアクター全開、防御フィールドに火属性を載せて
氷のブレスから仲間を守り切る!
大きな氷塊や格闘をされたら、黄金竜の牙で受け流すわ
兎に角ブレスを防いで戦線を維持するわよ!


須藤・莉亜
「おー、初めて見たけどやっぱでかいねぇ。」
こんだけデカイとバラしがいもありそうだね。

大鎌を22本に複製して攻撃。特に足を集中して狙って行く。
ちっとは動きが鈍くなってくれれば良いんだけど。

他の人が上からの攻撃を狙ってるようなら、大鎌を足場代わりになるように操作してアシスト。

防御用に2、3本は自分の周囲に残しておくのを忘れずに。

隙があれば【吸血】
「どっかで血吸えるチャンスがあれば良いんだけど…。」
レアな竜の血は是非欲しい。

アドリブ、他の人との連携歓迎


黒金・華焔
へぇ、氷の巨竜か
大物喰いは得意って訳じゃないが、たまには骨のあるヤツと戦っとかないとな
私の焔があいつを焼き尽くすか、あいつの氷が私を凍てつかせるか……勝負と行こう

まずは高速詠唱を駆使して式神響歌を召喚
燃える歌をバックに突っ込むぜ
接近したら切っ先に黒焔を灯した黒焔呪月で連続攻撃を仕掛ける

戦いながら敵の動きの観察も忘れないようにしないとな
少しずつでもいい、あいつの動きに関する情報を集めて動きを見切るんだ
周りに猟兵がいるならそいつらにも分かった事を教えてやるか

敵が下僕共を召喚したらこっちも全力だ
黒焔呪月の力を全開に、全力の薙ぎ払いであいつを下僕ごと纏めて斬り捨ててやるよ

【アドリブ連携歓迎】



 猟兵達の攻撃は、ニドアーズを確実に追い込んでいった。
 だが、追い込まれるにつれ、ニドアーズもまた憎悪の念をますます強めていく。
「現れよ、我が下僕達!!」
 竜の命令と共に、冷気が形を帯びていく。
 形作られるのは、槍を手にした竜頭の兵士達の姿だ。おそらくはドラゴニアンだろう。
「こいつらは、切っても血が出そうにないね」
 須藤・莉亜(メランコリッパー・f00277)はその紫の瞳で、現れた敵を見定める。
「大丈夫、ここに来るまでに現れた騎士達みたいに強くはないわ!!」
 だが、警戒する猟兵達に、アイリ・フラジャイル(夢見る戦争人形・f08078)はそう告げた。
「オブリビオンとしての強固な実体を持つことのできない存在達に、ニドアーズがその魔力で一時的なかたちを与えたに過ぎないのよ」
 アイリは確信を持ってそう説明する。
 アイリは既に、ニドアーズの攻撃パターンを解析し、その能力を丸裸にしつつあった。
「試してみれば分かることだよ」
 一瞬にして二十二本に増えた莉亜の大鎌が、念動によって飛んだ。
 嵐のように振り回される大鎌が、彼の周囲に現れていた霊達をたちまちのうちに解体していく。
「そこの彼女の言う通りみたいだね……血が出ないのは同じみたいだけど」
 やはり狙うのは竜の血だ、と莉亜は改めてニドアーズを見る。

「相手があんなのを出して来たのは、追い込まれてる証拠! 頼もしい仲間達がこれだけいるんだから、必ず勝てるわ!」
 仲間達を励ますようにアイリは宣言する。
「これ以上、学園の皆はやらせない!」

 ニドアーズの憎悪の視線に、毅然と顔を向けるアイリの姿に、黒金・華焔は呟く。
「竜も多少は骨のあるやつのようだが、ああ言われては形無しだな」
「センパイの言う通りっす! 学園には知り合いも友達も沢山いるんす! この先には絶対進ませないっすよ!」
 クラム・ライゼンはアイリに同調するように叫びをあげた。
 そして2人は相次いで詠唱を開始する。
「願うは永遠。其は運命を呪い抗う者。聲を響かせ、唯一人の為歌う者。起きろ、式神響歌」
「虚構構築。簡易接続完了……以下省略! ーー契言。『出番だぜ、我が愛しき激情の君!』」
 華焔の投じた呪符から現れるのは、歌う式神『響歌』。
 クラムの魔法陣から現れるのは、慟哭する女性型の契約精霊『激情の君(ハニー)』。
 召喚されたそれぞれの存在があげる声は、対照的な効果を発揮する。
『響歌』の歌声は華焔の強化。
 そして『激情の君(ハニー)』の絶叫は、ニドアーズや霊達の動きを封じたのだ。

「今のうちっす!!」
 クラムはそう声をあげると、ニドアーズへと突き進んだ。
 走りながら、掲げた手に赤竜ディアが降り立ち、炎のようなグレイブへと姿を変える。
「焼き切れ、ディア!!」
 炎を帯びたディアの刃が、ニドアーズへ深々と突き刺さる。
 クラムの『激情の君(ハニー)』の絶叫の効果も、長くは保たない。
 その効果が終わる前に勝敗を決するべく、猟兵達はニドアーズへと一斉に攻撃を開始した。
「おの……れ!!」
 だが動きを封じられたままのニドアーズの口腔に再び冷気が収束していく。
 ブレスの前兆と即座に判断し、アイリは防御フィールドを形成した。
「アストラルサーキット並列から直列、コンバットアナリシス最適行動選択、マギアチックリアクター最大稼働、蒸気魔導の粋を見せてやるわ!」
 ニドアーズのブレスが猟兵達を包むよりも一瞬早く、アイリの防御フィールドが展開された。
 氷の渦は防御フィールドを突き破るが、その威力は大きく弱められていた。

「こんだけデカイとバラしがいもありそうだね」
 莉亜はその紫の瞳で、ニドアーズを解体するまでの手順を冷たく見定める。
 大鎌の群れが、ニドアーズの脚部に次々に傷を刻みつける。
「血まで冷たいのか。冷血……?」
 吹き出した青竜の血の冷たさに感嘆する莉亜。彼へニドアーズが注意を向けた瞬間、彼はニドアーズを攻撃していた鎌の数本を、不意に別の方向へと飛ばした。
 その先にいるのは、華焔だ。小柄な体は、莉亜が飛ばした鎌を足場に跳んでいく。
「その氷、私を凍てつかせるには不足だったな」
 華焔は全身の力を籠めて『黒焔呪月』を横薙ぎに振るった。
『響歌』の歌声を受け、切っ先に黒焔を灯した薙刀が、ニドアーズの首を一直線に切り裂いていく。
 華焔が迷宮の床へと着地する。その背後で、ニドアーズの巨体は轟音と共に倒れ込んだ。
「我が……王国の……夢、は……」
「少しは骨があったな。だが、もう眠れ」
 血と炎に塗れながら呟いたニドアーズ。その発していた冷気が次第に収まり、迷宮は正常な気温を取り戻していく。
 勝利を手にした猟兵達の、歓声が迷宮に響いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『スチームサイクルレース』

POW   :    全力で自転車こいでパワーで突っ走る

SPD   :    華麗なサイクリングテクニックでトップを狙う

WIZ   :    計算や推測から最適なコースを見極め躍り出る

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ニドアーズとの戦いから数日。
 ニドアーズが現れた学園迷宮の入り口前には、こんなチラシが張り出されていた。

『スチームサイクルレース開催のお知らせ!
 アルダワ魔法学園で開発された魔導蒸気機械付飛行自転車スチームサイクルで、学園迷宮を駆け抜けろ!!
 最初にレースの舞台となる迷宮の奥に辿り着いた人には、学園食堂の食券を進呈!
 ※1 スチームサイクルは学園で用意したものを貸与します。
 ※2 この企画は迷宮の被害状況の確認を兼ねています。周辺状況はスチームサイクルが自動的に記録します。
 ※3 事故、負傷、損害などに対する責任は一切負いかねます』

 学園迷宮がどう変化したかの調査に生徒達を動員するための企画なのだろうが、酔狂な話である。
 注意書きの3番がやや不安だが、まあ命の危険まではあるまい。
 チラシを目にした猟兵は、レースに参加するか、しばし考えるのだった。
セゲル・スヴェアボルグ
【POW】
何故に自転車なんだ……?まぁ、深く考えたら負けだな。
勝負事とあっては負けるわけにはいかん。食券は俺のものだな。
せっかくだから、俺はこの青の自転車を選ぶぞ。
何やら後輪からギシギシと音がしている気するが、きっと気のせいだな、うむ。
体重オーバーだろうが関係ない。どちらにしても壊す勢いでこがねば、勝利はないのだからな!ぬおおおおおおおお!

もしだ、もしもだぞ。万が一つにも自転車が壊れるようなことがあったなら……状況記録のために自転車を担いで走るしかなかろう。つまり、俺自身が自転車となればいい。
改造はそれなりにできるが、修理は基本的に不得手だから仕方ない。
このままダッシュでゴールまで駆け抜ける!


暁・碧
サイクリングレース?
面白そうな催しだね!
それに魔導蒸気機械付飛行自転車にも乗ってみたいしね!

危ないことはしないで最適なコースを見極めて安全にサイクリングを楽しもうかな!
もしスチームサイクルが選べるなら黒の奴を選ぼうかな
ただ、注意書きにちょっと怖いことが書いてあるのが気になるから周囲に気をつけつつ何かあれば第六感を頼りにフォックスファイアで切り抜けるよ!

☆アドリブ、他の猟兵との同時採用歓迎です!



「せっかくだから、俺はこの青の自転車を選ぶぞ」
 コンバット的な台詞を口にすると、セゲル・スヴェアボルグ(ドラパラ・f00533)はレースのために借りた青いスチームサイクルにまたがり、ペダルを踏んだ。ギギッ、ガギッ。
「……ん?」
 後輪に取り付けられた機械から何やら不吉な音が聞こえたような気がした。
 セゲルはそちらを見るが、特に外観的には変わった様子もない。
「装置や俺の体格を支えるには、少々きついか? まあ構うまい!」

 その向こうでは、暁・碧(妖狐の女子高生・f00059)も黒いスチームサイクルを試していた。
 少し加速すると、車体後部に取り付けられた魔導蒸気機械が反応、蒸気が車体を宙に浮かばせる。その状態でペダルを踏むと、スチームサイクルは噴出する蒸気によって空中を前進した。
「へぇ、面白いかも?」
 碧はスチームサイクルを、その場で円を描くように走らせる。
 ハンドルにはブレーキとは別に、レバーが備え付けられていた。
 それを操作することで蒸気を前進と高度の確保、どちらに使うかの割合が変化するようだ。
「蒸気は飛行にも加速にも使ってるから、高度を取ると遅くなって低くすると速くなる……と」
「障害物を越える時は高く飛んだ方が良いが、そうでない時は地上スレスレを走った方が良いな。しかし、なぜ自転車なんだ?」
「……作った人の趣味とか?」
「……まぁ、深く考えたら負けだな」
 一通り試しつつも、セゲルと碧は首を傾げた。
 ここまで凝るのであればバイクなども作れそうなものだが、どの世界でも発明家の考えることは余人には分からないものである。

 ややあって、練習を終えた参加者達のスチームサイクルがスタート地点に並んだ。
『皆様準備はよろしいでしょうか? それでは位置について……スタートッッッッ!!』
 拡声器を構えた学生が、スタートを告げる。
 たちまち優れた身体能力を活かし、飛び出したのはセゲルだった。
「勝負事とあっては、負けるわけにはいかん!」
 強烈な立ち漕ぎを受け、セゲルのスチームサイクルは一気に加速、上昇した。後輪の魔導蒸気機械が、猛烈な勢いで蒸気を噴出させる。
「ぬおおおおおお!!」
「気合い入ってるなぁ……」
 碧すら驚くほどの勢いで、セゲルのスチームサイクルは他の生徒達を引き離していった。
「いけない、私もいかないと」
 碧はその後を、戦闘の時とは打って変わって慎重に、安全なコース選びで追っていく。

 首無しの騎士達との戦いが行われた地点を過ぎると、辺りは真っ白な蒸気で煙り始めた。
 ニドアーズの冷気で凍結し、破れたパイプの隙間から蒸気が溢れ出しているのだ。
「これでは確かに調査もやりにくいか」
 セゲルはそう思いつつも、なおもスチームサイクルを加速させ続ける。
 その時だった。
『ガギッ』
「ん?」
 猛烈な加速に耐えかねたかのように、後輪から異音が響く。
 セゲルは一瞬怪訝に思い、次の瞬間、急激に高度が落ち始めたのに目を見開いた。

『ぬおおおおおおお……!?』
「今、何か聞こえたような……? ……っと」
 遠くの方から聞こえた声に首を傾げつつ、碧は不意に噴出して来た蒸気に、フォックスファイアをぶつけて吹き散らす。
 ニドアーズに荒らされた迷宮はあちこちが破損していた。それらをスチームサイクルの装置に記録させつつ蒸気に満ちた通路を抜ければ、ゴールまでは一本道だ。
 ゴールになっているのは、ニドアーズが最初に出現した地点と見られる広間。
 そこに通じる直線通路に出た碧は、先行していたセゲルの姿を前方に認める。
「随分低空飛行を……って、あれ?」
 碧は一瞬、目を疑った。
 セゲルは激走していた──スチームサイクルではなく、自分の足で。

 蒸気機関のトラブルによって墜落したセゲルだが、彼は勝利を諦めてはいなかった。
「修理している時間はない。こうなれば手段はただ一つ、俺自身が自転車になることだ!」
 状況記録のためにと壊れたスチームサイクルを担ぎ、彼はゴールまでの直線を突っ走る。
 装置が備え付けられているため、本来の自転車以上に重量のあるスチームサイクルを担ぐ彼と後続との差は見る間に縮まっていく。だが、他が追い付くよりも早く、
『さあ、最初の到達者が今、ゴーーーーーール……?』
 ゴール地点で待つ係りの者の戸惑いを受けながら、セゲルはゴール地点のラインを越えた。

 ルール的にどうなのかという協議こそ入ったが、セゲルの力走を見ていた他の参加者達の後押しもあり、セゲルは優勝賞品である食券を手にしていた。
「次はもっと頑丈なのを頼む」
 セゲルの意見を受け、スチームサイクルはより耐久性重視になっていく……かもしれない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月01日


挿絵イラスト