【Q】ハロウィンは温かい物と共に
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「ハロウィンは好きか? 好きだよな!? そんな君たちにろーほーがあるぞ!」
少年、エスクルール・ラカーユ(奇跡の迷子・f12324)は器用にハロウィン南瓜に飛び乗ると嬉しそうな声色であげた。
「アリスラビリンスでハロウィンの国っていうのが見つかったんだ。その名の通りハロウィンを楽しめる国なんだぞ!」
そこは南瓜のランタンが喋りながら並んでいたり、長い行列を作るのに適した道が敷かれていたり、衣装が飛び出してくる森があったりとまさにハロウィンのための国。先の大戦で姿を現したオウガ・オリジンの「現実改変ユーベルコード」によって作られた、もしくは作り替えられた国の一つなのだという。
彼女は迷宮災厄戦が終わったらハロウィンを楽しみたかったのかもしれない。
「楽しそうな国なんだけどオウガ・オリジンもただ楽しみたかったわけじゃなくて、訪れたアリス達に悪夢を見せるために用意したみたいだ。その証拠に、ここには強いオウガが配置されているぞ」
このハロウィンの国は森が広がり、そこを抜けると氷漬けになった空間がある。
森には勿論、氷漬けの空間には強大な力を持つオウガがいずれ訪れるハロウィンに浮かれたアリス達を喰らわんと牙を研いで待ち構える。
アリスがこの国を訪れる前に森を潜り抜け氷漬けの空間に待つオウガを倒す。これが今回の依頼だ。
ならば早速と腰を上げた猟兵達をエスクルールは待ってと静止する。
「あのな、さっきもちょこっと言ったけど、この国はちょっと特殊なんだ! まずは森。この森には『うさうさトランプ兵』っていうオウガ達が潜んでいるから注意して進んでくれよな。で、この森何故かコスプレ衣装が飛び出してくるんだけど、これを着るとパワーアップできちゃうんだ。どの位だって? うーん、すっごい魔法使えたり怪力になったりしちゃったりするかもな!」
森に潜伏するオウガ達は既にコスプレ衣装を着ているので平時よりもパワーアップしている。ならばこちらもコスプレ衣装を着こんだ方が有利に事を進められるだろう。
「次は森を抜けた先、凍り付いた空間だな。此処にはハロウィンの国の法則を受けたオウガ『スノウ・ブライニクル』が待ち構えているぞ。氷を操る奴で、気を抜くと氷漬けにされるから気を付けてくれ。
で、このオウガ、このハロウィンの国の法則を受けているとほぼ無敵、つまり普通に戦ったら倒せないんだぞ……」
でもそんな法則にも弱点がある! と、エスクルールはびしっと目の前に指を突き立てた。
「弱点はそう、美味しい料理をあげることなんだ! この国のオウガは美味しい料理を振る舞われると食べちゃわないといけないんだ。で、いっぱい美味しい料理を食べてお腹がいっぱいになると寝ちゃうのと同時に無敵が解除されるから、その時を狙って攻撃を仕掛けてくれ」
ちなみに料理を作っている時も敵は攻撃を仕掛けてくるので避けながら作るか、攻撃を耐え忍ぶ人と料理を作る人に分かれて行動するのが良いという。
「とっても大変だと思うけどハロウィンの国でオウガをやっつけられればハロウィンをいっぱい楽しめると思うぞ。だから皆、気を付けて行ってきてね!」
最後に少年が猟兵達にびしっと敬礼すると頭の上のひよこもぴよっと鳴いて主の真似をするのだった。
遭去
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お世話になっております、遭去です。
今回はハロウィンの国で起こる(であろうわくわくうきうき阿鼻叫喚な)攻防戦をお届けいたします。
●この依頼について
この依頼は集団戦×1、ボス戦×1の2章構造の依頼となっておりますのでお気をつけください。
また、この依頼は10月31日までに成功・終了するとハロウィン当日といつか繰り広げられる「アリスラビリンスでの猟書家戦」でなにかしらの影響を与える……かもしれません。
●集団戦
森から飛び出してきたコスプレ衣装を着て戦います。飛び出してくる衣装はランダムですが『本人が全く望まないコスプレ衣装』が飛んでくる可能性があります。そういった服を着ると一騎当千の活躍ができます。
仮装の内容はご自身が決めてもおっけーです。もし服が決められない、お任せの場合は南瓜行列の仮装アイデア表を基にさいころを振ってこちらで決めさていただきます。『https://tw6.jp/html/world/event/016/016_setumei.htm』
●ボス戦
国の法則によりほぼ無敵な敵ですが眠っちゃうと無敵は解除されます。また、このオウガは美味しいご飯を振る舞うと絶対食べる法則に縛られています。お腹いっぱいにさせ眠ってしまった所を狙って倒しましょう。
なお、キッチンはもちろん料理に使う道具、食器や食材も大体揃っていますので持ち込まなくても大丈夫です。
ちなみに美味しくなくても心がこもっていれば大丈夫の様です。愛があればらぶいずおっけー。
ボスも黙ってご飯を作らせてくれません。凍らせようと襲い掛かってきますので回避をしながら作りましょう。料理を作る柄じゃない人は時間稼ぎをする役を引き受ける戦いをしても大丈夫です。
それでは皆様のプレイング、お待ちしております。
第1章 集団戦
『うさうさトランプ兵』
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POW : 落雷II
無敵の【空飛ぶイボイノシシ型の対地攻撃機】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
SPD : そう、我々はやればできる!
自身の【ゴーグル】が輝く間、【軽量自動小銃】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ : バーガータイム
【ハンバーガーとフライドチキン】を給仕している間、戦場にいるハンバーガーとフライドチキンを楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1にする。
イラスト:しちがつ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
バジル・サラザール(サポート)
『毒を盛って毒で制す、なんてね』
『大丈夫!?』
『あまり無理はしないでね』
年齢 32歳 女 7月25日生まれ
外見 167.6cm 青い瞳 緑髪 普通の肌
特徴 手足が長い 長髪 面倒見がいい 爬虫類が好き 胸が小さい
口調 女性的 私、相手の名前+ちゃん、ね、よ、なの、かしら?
下半身が蛇とのキマイラな闇医者×UDCエージェント
いわゆるラミア
バジリスク型UDCを宿しているらしい
表の顔は薬剤師、本人曰く薬剤師が本業
その割には大抵変な薬を作っている
毒の扱いに長け、毒を扱う戦闘を得意とする
医術の心得で簡単な治療も可能
マッドサイエンティストだが、怪我した人をほおっておけない一面も
アドリブ、連携歓迎
叢雲・雨幻(サポート)
堂々と正面から、と言うよりは掠め手で相手を惑わせて
攪乱しながら一網打尽にしていくような戦い方を好むよ。
使う武器は【黒雲】【黒霧【対】】の二刀流での高速戦闘が主。
使うUC次第では連結してダブルセイバーにしたり、
そもそも剣を主武器として使わず【武器受け】用として使いつつ、影を操る攻撃で戦ったりするよ。
主に戦い方の例を挙げるならば
【目立たない】様に物影を介して【忍び足】で動き回り敵の視線から外れたり、
【闇に紛れて】居場所を攪乱したり
攻撃すると見せかけた【フェイント】を使って騙したり、
【武器(で)受け】てから【カウンター】で仕留める等だね。
洗脳等で助けられる相手を攻撃する際は、ある程度手心を加えるかな
カラフルな服がぶら下がる森の中。大きな道が一つ整備されている横には木々が並んでいる。
猟兵達が歩を進めると最初は紅葉する木々が並んでいたのに段々と色は褪せていき、やがて針葉樹が立ち並ぶ。霧が深くなる歩を進める毎にだんだんと気温が下がっていくのが肌で分かった。
『猟兵を発見! 作戦開始! オーバー!』
『オーバー!』
勇ましい声と共に茂みから現れたのはうさ耳男、うさうさトランプ兵。様々なコスプレ服--騎士の甲冑、スチームパンク、海賊服etc--を身に纏い飛び出してきた。
「あら、早速のお出迎えね」
所々擦り切れた深緑のローブを身に纏い呪術師の格好をしたバジル・サラザール(猛毒系女史・f01544)はクールな笑みを浮かべ、現れた男達へと目線を送る。
『ハッピーハロウィーン!』
男たちはどこからともなく取り出したのは……ハンバーガーとフライドチキン。
「南瓜料理じゃないの?」
クールな表情に少し?を浮かべるも目の前のアツアツハンバーガーとフライドチキンはとても魅力的で。
バジルは恐る恐る一つ手に取りまじまじと観察すると一気にフライドチキンにかぶりついた。
「……! 美味しい!」
口に入れた瞬間にカリッとした皮が砕ける音と共にと肉汁が溢れ出し、口内をスパイスの香りが通り抜けていく。
『へへっ、そうでしょそうでしょ!』
『いっぱい食べてくださいね!』
うさうさトランプ兵が大皿に盛って来たハンバーガーとフライドチキンの山にバジルは再び目を見張るも嬉しそうにハンバーガーを手にとった。
「このハンバーガーも美味しいわ! 一見パンの間にハンバーグが挟まっている普通のハンバーガーだけどハンバーグは肉厚でを挟むふかふかのパン。中にはピクルスが入ってるから味が単調にならなくていいわね!」
ぱくぱくと口に運んでいくバジルに気づかれない様にトランプ兵は目線を送る。
(『おい、毒がそろそろ効いてくるんじゃねぇのか』)
(『さっぱり効いている感じがしないんだが』)
大変おいしく見えるハンバーガーとフライドチキン。それにはうさうさトランプ兵たちが夜なべして調理した際に体が麻痺する毒を入れていたのだ。
(「ふふっ、効いてない事に疑問を持っているようね」)
だがそんな彼らはサーブしている女性が調合師である事、体内で毒も薬も作れる事を知らない。
そして彼女が毒対策だけして食べているわけではない事も、気づいていないのであった。
●
『くそっ、合図はまだか!』
バジルたちが会食を続ける場所から少し離れた木々の間で海賊服で舌打ちをするうさうさトランプ兵。彼らの手にはハンバーガーではなく銃が握られていた。
『敵が来たらハンバーガーとフライドチキンで釘づけにして動きが鈍った所を仕留める作戦だというのに!』
「やれやれそんなとこだと思ったよ」
『……誰だ!?』
彼らが振り向けば一人の男の姿。身に纏うは中華服。どくどくな帽子にお札を貼ったキョンシー……叢雲・雨幻(色褪せた根無し草・f29537)がそこにはいた。
「飛び出してきたのがこんなのとはねぇ……」
動きやすそうな敵の姿と自身の格好を交互に見やり雨幻に少々ため息をつく。
戦闘には向かないゆったりとした服、これはまだいい。問題はお札だ。目の前をちらついて邪魔なのだ。
「視界はせまめぇし煙草も吸いづらえしよ良い事ないぜ」
『サングラス外せばいいんじゃないか』
「これは視界を遮らないからノーカンだ。……まぁいいかお前らにはこんぐらいのハンデあった方がやりやすいだろ?」
『抜かせ!』
うさうさトランプ兵のゴーグルが輝く。瞬間彼らが構えた小型自動小銃から数多の銃弾が雨幻の体を穿つために飛び出してくる。
黒雲と黒雲【対】と名付けられた黒い剣で銃弾をあっさりいなしていく。
「ん~攻撃する隙はねぇしオジサンちょっとピンチかも?……と言う事でばいばーい」
数十秒の間銃弾をいなすと嘘か真か分からないが飄々と呟き、そのまま木の影へと隠れ何処かへと走り去っていく。
『二手に分かれるぞ! 追えっ、逃がすな!』
騎士の甲冑に身を包むうさぎ耳の男が声を張り上げる。するとコスプレ集団は二手に分かれ行動を開始する。一班はその場に留まりもう一班は雨幻の追撃へと動き始めた。
『いたか』
『いえ、見失いました』
幾ばく経ったか。先ほどの喧騒は消え失せ、元の静けさを取り戻すもオブリビオン達は警戒を緩めない。
一人のうさ耳トランプ兵が木の上をふと見るあげる。そして見た。
樹の幹がから細い枝が伸びる箇所。黒い服に身を包んだ男の姿を。
『てっ、てきへ』
「よぉし…オジサン張り切っちゃおうかな!」
跳躍、枝から飛び降り幹を駆け降りる。
抜刀、敵陣の中心に着地し黒い影が煌めく。
納刀、収まると同時に男の周りの兵は倒れ伏した。
「あら、遅かったわね」
うさうさトランプ兵が倒れる中心でバジルは雨幻に手を振って出迎えた。
「おや、どうしちゃったのこのトランプ兵たち」
「さぁ、一緒に食べてたら突然倒れちゃったのよね。怖いわ……」
そういうくちで小さく切ったフライドチキンを一つ齧る。
多くのフライドチキンが、ハンバーガーが振る舞われている時にバジルが折角だから一緒に提案したのだ。
自分らが作った毒は自身には効かないから、警戒を解くためにもとトランプ兵はその提案に乗りバジルからハンバーガーを受け取ってしまったのだ。
「やっぱり知らない人から貰った物は簡単に食べちゃいけないわよねぇ」
「それでうさうさトランプ兵たちと一緒に全部食べちゃったのかい?」
「言っておくけど私そんなに食べてないわよ。それと何個か余ってるけど食べる?……勿論毒は無いわよ?」
バジルが差し出した手の中に納まる紙ナプキンに包まれたハンバーガーとフライドチキンを見て雨幻は苦笑するのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
エリカ・タイラー
猟書家の動きも気になりますが、『オウガ・オリジン』の目論見も潰えてはいないということなのですね。
このコスプレは……「太っちょ警官」?
警官は解ります。ですが何故「太っちょ」である必要が……。
この肉襦袢、詰め物多すぎて動きにくい……。
「バーガータイム」に対し、「サイキック・ドール・マスター」。
無償で振舞われる食べ物は命か金を奪うためのものでしょう。
頂くわけにはいかない……のに太っちょ警官のコスプレのせいで手が伸びてしまう……!?
「に、似合ってなんてないっ……!」
食べ続ける・麻痺毒等で戦闘不能になりながら、からくり人形にトランプ兵を操らせ、同士討ちさせて、
最後の一体は私を介抱させてから倒します。
「猟書家の動きも気になりますが、『オウガ・オリジン』の目論見も潰えてはいないということなのですね」
森の前でエリカ・タイラー(絵画遣い・f25110)は呟く。
猟書家と呼ばれる者達の活動が活発化するが、オウガ・オリジンの影響力はまだまだ健在で。
この国もその一つ。放置しておけば何も知らないアリスが迷い込めばたちまちオウガの腹に収まる事となる。それは避けたいところだ。
ならば、放っておくことはできないと意気込むと、ぽんっ! と軽快な音共に森から何やら飛び出してくる。
エリカの元へ飛んできた服は――。
「……なんでしょうかこれ」
エリカは手にした服の前でぽつりとつぶやいた。
彼女の元へ飛んできたのは2種類だ。一つは警官の着る青い服。ただし、彼女のサイズより一回りも二回りも大きい。
もう一つは大量のタオル。そう、彼女に課せられたコスプレは「太っちょ警官」であった。
「いえ……警官は分かりますが太っちょである必要が……」
しかしこれを着なければ森の茂みで待ち構えるコスプレ集団(うさうさトランプ兵)に勝つのは難しい。彼女は用意された衣装に渋々身を包む。
慣れない衣装……というよりも肉襦袢として服の間へ大量に詰め込んだタオルのせいで動きが制限されながら彼女は森の中へと進んでいくのだった。
(「ううっ、動きにくい……」)
森の中。エリカがぎこちない動作で整備された道を歩いていると茂みの中らハイカラさんな服を着たうさうさトランプ兵が飛び出してきた。
『そこのキミ、フライドチキンはいかがですか!』
そして差し出してきたのはフライドチキン。白い湯気がまだ見える事から揚げたてなのだろう。
(「無償で振舞われる食べ物は命か金を奪うためのものでしょう」)
だがエリカは醒めた目でそれを見つめる。幼いながら数多の世界で旅と修行を続けてきた彼女にはそれが罠だと感じ取っていたのだ。
(「いただくわけにはいかない」)
そのままエリカはフライドチキンの申し出を断りそのまま森の奥へと歩を進めた……
『いやー、良い食べっぷりだね!』
「なっ!?」
はずだった。
気が付くと彼女は差し出されたフライドチキンに齧りついていた!
(「太っちょ警官、これのせいですか!?」)
頭は食べれば危ないと分かっているというのにコスプレ衣装の影響か、口はフライドチキンを食べ進めていく。
「いやーそんなに頬張ってくれて嬉しいねぇ、いっぱい食べる女の子は可愛いよ! あっ、衣装もとっても似合ってると思うよ!」
「に、似合ってなんてないっ……!」
失礼な褒め言葉に抗議の声を上げるもパリパリ、アツアツなフライドチキンの誘惑が通常の3000倍に感じてしまえば手が伸びる。
その食欲衝動は無限に続くかと思ったが……やがてその手が動かなくなった。
(『ふふふ、毒が効いてきたな』)
うさうさトランプ兵はほくそ笑む。
彼らが振る舞うフライドチキンの一部には食べれば体がしびれる毒が入っていたのだ。
体が動かなくなったエリカを認めると、周りにいたトランプ兵たちは得物の銃を取り出し、銃口を彼女へと向ける。
一人の声なき合図とともに銃弾がエリカに叩きこまれた――。
『――ぎゃあっ!?』
だが、その一瞬前に一人のトランプ兵が悲鳴を上げた。悲鳴を上げたトランプ兵の真横にいた別兵に撃たれたからだ。
『お前何を!?』
『わ、分からねぇ! 体が勝手に……!』
『おい!こっちに銃口向けんじゃねぇ!』
そうこうしているうちにまた別の兵が仲間を銃を発砲。
パニックになったトランプ兵たちは次々と味方に銃を向け――。やがて同志射ちが始まった。
(「上手く行きましたか」)
最初の惨事、トランプ兵が味方を撃ったのは彼の失念などではない。
体がしびれながら頭の上で起こっている惨事にエリカはほくそ笑む。
体が痺れた彼女の指の先には細くも鮮やかな糸がビルドと呼ばれるからくり人形と繋がり、人形の指先から糸をトランプ兵の肢体へと伸びている。
ユーベルコード、【サイキック・ドール・マスター】。
自身の体が動けなくても「絵画」の人形であるビルドが対象を追尾する糸を放ち、ビルドが対象を操れるユーベルコードだ。
エリカは体が痺れる前に相棒のビルドにうさうさトランプ兵を操る様に指示していたのだ。
そうこうしている内に銃声が鳴り止んだ。エリカが痺れながらも顔をそちらへ向けるとそこには複数のトランプ兵の死体、一体のトランプ兵が息を荒げながら立っていた。
「ちょっと」
逃げようとするトランプ兵の背中にエリカは痺れながらも声をかける。ドスの効いていたのは痺れれているからだろう。
「何かお忘れじゃないですか」
『……』
震えるトランプ兵がそっと手渡したのは透明な液体が入った小瓶。
「ありがとうございます。」
エリカはビルトの手を借りて薬を一気飲み。彼女の腕が動くようになると目の前のトランプ兵の脳天に空手チョップが決まった。
大成功
🔵🔵🔵
エグゼ・シナバーローズ
ハロウィン好きだし年中ハロウィン楽しめる国って魅力的だなー
あ?コスプレしろ?
パワーアップできるなら乗るぜ
…アリスの服ぅ!?女物じゃねーか!いくらここがアリスラビリンスだからって
……着ればいいんだろ着りゃ!(ヤケ)
はーん、相手は兵隊か
じゃ、こっちはガジェットで相手してやるよ
UCガジェットショータイムだ!
出てくるガジェットはてんでバラバラ、敵のコスプレ衣装を燃やせそうなバーナーっぽいモンとかゴーグル狙い撃ちできそうな銃とか、
なんだこれ、トリモチ発射機?
使い道を上手く見つけて伊達にガジェッティア名乗ってねーとこ見せてやる、仮装パワーと共に押し切るぜ
地味にトリモチ便利だな
足止めにも銃つぶしにも使えるぞ
『うごくな、そこのおじょうさ……』
『おじょ……』
『あれ男じゃね……?』
道の脇の茂みから飛び出してきていきなりひそひそと作戦会議を始めたうさうさトランプ兵(メイド服)。
彼らの目の前にいた人物は頭にバラの花と兎の耳を思わせる飾りがついた黒いカチューシャ、膝よりちょっと上の丈の緑のエプロンドレス、白と黒のストライプニーハイソックスを身に纏い、茶のローファーを履く。不思議の国のアリスを想起させ着こなす姿は、まさに女の子。
それなのに男疑惑が出ているかといえばその服を着た人物の身長が170cmを超えているからと、
(「ハロウィンが楽しめるって言うから来たのに……飛び出してきた服がこれだからとはいえ、なーんで女物着なきゃいけねぇんだ……!」)
当の本人エグゼ・シナバーローズ(4色使いの転校生・f10628)が苦虫を噛み潰したような、非常に不服そうな顔をしているからだが……。
『まぁ可愛いから、ヨシッ!』
『ヨシッ!』
「よしっ、じゃねぇー!」
可愛ければ性別関係ないよね!でトランプ兵たちの議論に決着がついたところでトランプ兵は自動小銃を、エグゼはツッコミと同時に10㎝程の筒をお互いに突きつける。
『そんな筒で何ができる! てぇーっ!』
号令と共にゴーグルが輝き、彼らが持つ銃より銃弾が吹き荒れた。
「はっ、そーんなおもちゃで俺を止めれると思うなよっ!」
エグゼは手にした筒に力を籠める。すると筒――アクターと呼ばれるガジェットは主人の力に反応し質量を無視して大きく広がる。
変形したアクターは盾となり、銃弾を悉く弾き返す。
『馬鹿なっ!? あれを防いだだと!?』
「はんっ、もー終わりかよ? ならおかえしだっ!」
盾の上部が変形して現れたのは3本の銃身。現れたそれらにエグゼはなーるほどと一人で合点がいた様に頷く。
「そんじゃ、やーきーはらえっ!」
エグゼの合図とともにその内の一本から火が吹き荒れ、トランプ兵たちを包み込む。
『か、火炎放射器!?』
『ああっ、服がー!』
『消せっ、消せーっ!』
服に火が点き、慌てふためくうさうさトランプ兵。普段彼らが身を包んでいる服ならば燃えなかったかもしれない。しかし今回身を包んでいるのは自身の能力を高めるコスプレ服。防火対策もされていないそれは簡単に燃えていく。
消火しようと駆け寄ったトランプ兵。それを見計らい今度は細身の銃から銃弾が撃たれると彼らのゴーグルを次々と破壊していく。
彼らのユーベルコードはゴーグルが輝くことで発動する。それらが発動しなくなった時点で不利。
『いったん撤退だ!……いっ!?』
それを悟ったうさうさトランプ兵が逃げようとする。しかし、それは足元に広がったトリモチによって叶う事は無かった。
エグゼに銃を向ける者もいたが、それもトリモチ発射機から撃たれたトリモチに包まれればたちまち無力化されていく。
「いやー思ったより効果あるな」
うんうん、と盾の後ろから顔を覗かせながら頷く。
ガジェッティアは自身のガジェットの使い方を理解できると大変強い。
そして、
『くそっこの少女、強すぎる……!』
「だから女じゃねー!」
嫌がれば嫌がる程身につける者の力が強くなるコスプレ服の力によってさらにパワーアップしたのだ。
「くそっこの姿を見て、生きて帰れるなと思うなよー!」
ヤケクソ気味に叫ぶエグゼ。エプロンドレスの裾を翻し、ガジェットと仮装パワーによってうさうさトランプ兵を圧倒していくのだった。
成功
🔵🔵🔴
カグラ・ルーラー
「ハロウィンに浮かれてんのはテメェじゃねェのかよ、『オウガ・オリジン』よォ」
で、これが俺のコスプレか。
犬耳、犬尻尾、犬手袋……めっちゃめちゃアホみてェに舌出した犬鼻。
全部着けてやるけどよ、ああそのアホ犬鼻も着けてやるけどよ!
いっそ着ぐるみの方が楽で良かったぜ。
必殺の一撃を浴びせるべく突撃。
「落雷II」に対し、「トリーズナーズ・スーパー・ジャスティス」だ。
アホ面だけど、せっかく犬だしな。
犬だけにドッグファイトと洒落込むか!
無敵の対地攻撃機だか何だか知らねェが、
俺の超高速飛翔でケツ取られてちゃ何も出来ねェよなァ!
無敵の攻撃機を引っ掴んで別の無敵の攻撃機にぶつけたらどうなるんだろうなオラァ!
『くそっ、あれを使うぞ!』
猟兵達に追い詰められたうさうさトランプ兵たちが口笛を吹く。
口笛と共に彼方の空から飛来するはイボイノシシを模った無数の飛行機。
飛行機の横に『落雷Ⅱ』と書かれ、腹には爆弾が備え付けられたいわゆる爆撃機。 これらが地上に落とされれば森はハロウィンの国は焦土と化するだろう。
「ハロウィンに浮かれてんのはテメェじゃねェのかよ、『オウガ・オリジン』よォ」
その光景を地上から見上げる一人の少女がいる。赤い犬耳のカチューシャ、犬の手袋に犬尻尾のアクセサリー。そして舌がぺろんと見えるマスク状の犬鼻。犬のコスプレ衣装を身につけたカグラ・ルーラー(バスバリス・f21754)だ。
「まったくもうちょっと良い衣装はねぇのかよ……!」
これだったら犬の着ぐるみが楽で良かった。と悪態をつきながらも空を見上げる事は止めない。
空を覆う爆撃機。いかな猟兵でも火に塗ればたたでは済まない。そんな中彼女の中の何かがこう囁いた気がした。
『逃げろ』と。
「はっ……」
小さく笑う少女。それは恐怖ゆえ――
「ふっっっっざっけんじゃねえぞクソがぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
ではなかった。
『な、なんだアイツ!? 総員、あの女から倒せ!』
カグラに気づいたうさうさトランプ兵が号令を発する。同時に数十の機関銃の銃口がカグラへと向けられた。
「命令すんじゃねぇ、俺に憑いた以上てめェは俺の力だ! その力寄越せコラァ!」
咆哮と共に彼女の体が黄金に輝くオーラに包まれた。そのまま足を曲げ溜めのポーズに入るとそのまま跳躍、いや飛翔する!
『と、飛んだ!?』
驚くトランプ兵たち。
ユーベルコード『トリーズナーズ・スーパー・ジャスティス』。自信に巣くうオウガに反抗の意志の強さにより彼女には戦闘力増強と飛行能力が得られる技だ。
これにより彼女は超スピードで空を駆ける事ができる。
「ドックファイトと行こうじゃねぇか!」
猛スピードで飛翔するカグラは数ある爆撃機の一つへ急接近する。計算した行動か分からないが、周囲の爆撃機が銃撃すれば急接近した個体を巻き込む可能性があるため、急接近した爆撃機以外からの銃撃は撃たれなかった。
バス停の殴打により鋼鉄の体が凹み、銃撃によって赤いアリスクロスが少し裂けながらも互いの後ろとるべくぐるぐると回る様はまさにドックファイト。
いつまでも続くかと思ったそれはカグラの一言で変わる。
「んじゃあそろそろおわらせよーか!」
ニヤリと笑うカグラ。次の瞬間、あっさりと爆撃機の尾橇を取った。
「無敵の攻撃機を引っ掴んで別の無敵の攻撃機にぶつけたらどうなるんだろうなオラァ!」
ぶん! 掴んでいた爆撃機を空中で投げ飛ばせば、その先にあった爆撃機とぶつかり、空中で大爆発を起こした。
『な、なんだと!? 無敵の『落雷Ⅱ』が……!?』
無敵の爆撃機同士がぶつかることなど想定になかったのか、うさうさトランプ兵の想像力の穴を突いたそれは爆撃機を撃破するに至った。
『てった……』
「あとおまけだぁ!」
『ぎゃああ!?』
カグラは生き残っていたミサイルを掴み、地上にいるトランプ兵へと投げる。
悲鳴と共に局所的な火柱が上がった。
成功
🔵🔵🔴
第2章 ボス戦
『スノウ・ブライニクル』
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POW : 絶対零度の大狐
【氷柱の魔法陣】から、【全てを氷河に包み込む絶対零度】の術を操る悪魔「【絶対零度の大狐】」を召喚する。ただし命令に従わせるには、強さに応じた交渉が必要。
SPD : ブライニクル・キャノン
詠唱時間に応じて無限に威力が上昇する【凍結】属性の【巨大な氷柱】を、レベル×5mの直線上に放つ。
WIZ : ブライニクル・ストーム
【無数の氷柱による連続攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
イラスト:カラス
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠凍雪・つらら」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
うさうさトランプ兵達の猛攻(?)を潜り抜け、ついに猟兵達は森の中央へとたどり着いた。
最初に感じたのは冷気。いくら寒い時期とは言えど吐いた息は白く、服を潜り抜けて感じられるその寒さに数名の猟兵が身を震わせた。
森の中心部は見通しの良い円状の広場の様になっており、その真ん中にはなぜか調理台と大量の食材が鎮座している。
まな板、包丁は勿論、どこから引いているのか全く不明だが水も電気も使えるようだ。
「ここまで来たか、猟兵共」
氷の様に冷たい声と共に森の奥から女が姿をあらわした。
それは、全てが凍り付いた女だった。身を丸々と包み込む毛皮でできたローブからは数多の氷柱が伸び、その役割を果たしているとは言えない。尻尾を揺らしながら猟兵の元へと歩むブーツからは冷気が溢れ、踏んだその場所を凍らせていく。
「残念だけどこの国は渡さない。このままハロウィンの国に飾るオブジェとなりなさい……!」
一足早い冬、『スノウ・ブライニクル』が訪れた者へと牙を向けた。
エグゼ・シナバーローズ
寒っ…
料理するって選択肢がねー(料理が非常に下手)から、とにかく他の猟兵が料理に集中できるように俺が気を引いて耐えるか
手段は選んでられない、嫌な思い出が甦るから気がすすまねーけど真の姿を開放(少し大人びた雰囲気になる、翼が翼だけで飛行可能なほど大きくなる、魔力所持量が増える変化)
俺の持つ魔力の全てを使って相手するぜ
指定UCで炎の羽根を作り、敵に発射して注意をこちらに向けたり、冷気を耐え忍ぶ壁にして料理しているヤツに攻撃が行かないように立ち回る
隙ができないように魔力を溜めたり全力で魔法を撃つタイミングは気を付ける
精霊ヴァルカンも役に立ちたがってるので突撃させてやる
敵の攻撃は空に逃げて回避を狙うぞ
『凍りなさい』
スノウ・ブライニクルの足元に魔法陣が輝き始めた――その時、彼女を光焔が包み込む!
「やらせるかよー!」
そこには火炎放射器を構えるエグゼの姿。彼はガジェットを火炎放射器に変形、スノウへと向けて火を放ったのだ。
轟々と燃え盛る炎。それを切り裂き、中より現れるは無数の氷柱を従えるオウガの姿。
『ふふっ、私を溶かすには少し温いわね?』
「くっそーやっぱり無敵って言うのは本当なんだな……!」
傷一つ、焦げ一つ付かない女の姿を見てエグゼは苦虫を噛みしめた様な顔を作る。
ハロウィンの国の法則により無敵の力を手に入れたオウガ。無敵を解除して倒すには料理を振る舞い満腹になって眠った所を叩くのみ。
だが、あまり料理が得意ではないエグゼには料理を作る選択肢は考えていなかった。
『ふふっ、最初はお前からか?』
スノウ・ブライニクルが凍り付く指をエグゼへと向けると地面を割りながら氷柱が襲い掛かる。
氷柱がエグゼを捉えたるまさにその瞬間今度はエグゼが炎に包まれる!
次の瞬間、炎を切り裂き、空へと上がる何かの姿。
そこには先ほどの少年の面影はなりを潜め、大人びた顔立ちと4色の大きな翼をはためかせる猟兵の姿――エグゼが真の姿を現したのだ。
(嫌な思い出が蘇るからアレだが……仕方ねぇ! )
エグゼにとって真の姿で過去大変な事があったのでできれば変身したくない。しかし、料理ができないなら自分ができる事――オウガの気を反らす事を決意して真の姿になる事を選択したのだ。
翼をはためかせ戦場を見下ろすエグゼ。
オウガが今度は上空へと指を向けると長く巨大な氷柱がエグゼに襲い掛かる!
大きな翼を羽ばたかせて迫り来る氷柱を避け、あるいは炎の属性を宿した羽を操り氷柱を溶かしていく。
「よっしゃ、出てこいヴァルカン、あいつの気を引いてくれー!」
ガジェッドをしまい、手に取った銀色の細杖を放り投げる。
それは放物線を描きながら落下する途中でポンッ!と小さな破裂音と煙をたてた。煙が晴れるとそこには小さな火の玉に黒いつぶらな目を付けた精霊ヴァルカンの姿。
主人の意に応えるべく、ヴァルカンは一度エグゼの方をちらと見て頷くと、赤い軌跡を描きながらオウガへと突撃する!
『炎を凍らせたことは無かったわね』
向かい来る火の玉に女は氷柱を差し向ける。
襲い掛かる氷柱。ヴァルカンは構わず氷柱の群れの真ん中へと飛び込めばその炎とスピードで難なく壊していく。
それでも雪女の攻撃は止まらない。新たに生える氷柱と同時に壊された氷柱からまた新たな氷柱が形成されていく。
『ふふっ、逃げられないわよ?』
オウガは嗜虐的な笑みを浮かべながらヴァルカンを追い詰めていく。
「ヴァルカンサンキュー! おかげで魔力が練れたぜ!」
女が声のする方を振り向けばそこには魔力を練り切ったエグゼの姿。
「俺の持つ魔力全てで相手するぜ……自然の代行者たちよ、舞い踊れ!」
詠唱と共にヴァルカンの体が震え、小さな火の姿が燃え盛ると羽根へと姿を変える。
ひらひらと舞うその羽が氷へと付着するとたちまちその個所が溶けてただの水へと姿を変え、地面へと付着すれば小さな炎となって極寒の戦場の冷気を和らげた。
『ああっ、あつい……! 貴様っ、よくも私の素敵な世界を……!』
「はっ、そりゃあもーしわけございませんねー!?」
申し訳ないとはこれっぽちも思ってなさそうな態度で彼はキッチンとは正反対の方向へと駆けていく。
『逃がさない……!』
激高したオウガはそちらへと意識を集中させ氷柱を形成していく。
自分に注意が行った事にエグゼは内心ほくそ笑みながら迫り来る氷柱を回避していくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ティコ・ラクール
心を込めて料理を作ればいいのですね、頑張ります
攻撃に耐えながら作るのは難しいですが…引きつけてくださっている猟兵さんもいるし、黒ぱたさん(エレメンタルロッド、戦闘中でも精霊姿)のバリア(オーラ防御)も頼ります
氷をまとった方なのできっと冷たい料理のほうが喜ばれるでしょう
お菓子作りの習慣があって良かったです
アイスクリームを作ったお菓子…アイスを乗せたパフェと、完成品のビスケットがあればアイスのビスケットサンドも作りましょう
卵黄と砂糖を混ぜ、牛乳と生クリームは煮立て、それらを合わせて混ぜます
それを冷凍します
冷凍中にアイスを加えれば完成する状態までお菓子を仕上げ、完成したアイスと合わせたらお出しします
ボウルに卵黄と砂糖を合わせ、少し温めた牛乳を混ぜる。
それを漉してたら泡立てた生クリームを合わせて冷凍されれば……
「できました……!」
熱気と冷気が入り混じるキッチンの中、黙々と作業をしていたティコ・ラクール(つくりものの竜・f22279)は顔を上げた。
(こちらも……良かった粗熱は取れたみたい)
鉄板の上に乗っていた焼き菓子にそれを挟める。
「いきますよ、黒ぱたさん援護お願いします!」
ティコは熱気が凄まじい場所へと足を向ける。頭の上に乗る黒ぱたと呼ばれた精霊が無言で頷いた。
『暑い……早く冷まさないと』
炎に包まれた空間、汗を浮かべながらスノウ・ブライニクルは冷気を発しつづけていた。
猟兵の手によって熱を帯びた環境は彼女にとって不快その物。死ぬことは無いとはいえ急ぎ消火しようと氷を生み出す。
その時炎を裂き、オウガの元へと現れるティコ!
『なっ、奇襲か!』
現れた影にオウガは驚き距離を取ろうとするも、ティコはすかさず両手に持つそれを雪女の目の前に差し出す。
「アイスクリーム、です」
『は?』
お口に合えばいいのですが、とティコはアイスクリームが乗ったパフェとスプーンを手渡した。
オウガはポカーンとしていたがはっと我に返える。
『ふんっ、こんなもの! 食べる訳……!?』
怒りと共に容器とスプーンを床に叩きつけた。
……たつもりだったが、実際は口の中に甘さが広がり雪女は再び驚く。
ハロウィンの国の法則により出された物は自分の意志関係なく食べてしまうのだ。
だが、嫌々食べたのにどうだろう。口の中に入れればほろりと儚く溶けるアイス。それと同時に優しい冷たさと甘さ、そしてバニラビーンズの優しい香りが口いっぱいに広がっていく。
冷たくなって舌が鈍感になったらアイスに刺さっている焼き菓子を口に入れると焼き菓子のサクサク感と塩味が舌をリフレッシュさせまだまだアイスを味わえと誘う。
『悪くないわね……』
顔は渋々だがスプーンを持つ手は忙しなく口へと移動していく。
主役はアイス、その味を常に最高の状態で食べて貰えるように用意された焼き菓子やフルーツ。アイスを食べ進めていくと巡り合えるそれらはまるで物語を読み進めていく様だと彼女は柄になく思ってしまう。
「良かったら、これもどうぞ」
容器の下に敷かれたコーンフレークが食べきられたタイミングでティコは作っていたもう一品を差し出した。ビスケットに挟まれたアイスクリーム。ビスケットサンドアイスだ。
スノウ・ブライニクルは今度は抵抗なくティコの手から受け取りかぶりつく。
口に入れるとビスケットと接着した部分のアイスが溶けているが、それがビスケットに吸収されしっとりとした食感となっていてとても美味しい。
『しかし、なぜアイスを』
「冷たい技を操られる方ですし、温かい物よりこういった冷たい物がお好きかなって」
相手を気遣って料理を振る舞ったティコの心遣いは見事彼女の心を掴んだ。
『ま、まぁ食べれなくはないわ。うん、とてもいいわ』
ハロウィンの魔力に従ってるだけと言いながらスノウ・ブライニクルは満更でもない表情でせわしなくビスケットサンドアイスを口に運んでいく。
「……」
アイスを食べ進めていくスノウ・ブライニクル。それをじっと眺める黒ぱた。
「あなたにも後であげるからね」
ティコは彼女に聞こえる位小さな声で囁いた。
「……」
黒ぱたは声を上げる事は無かったが、黒い翼をぱたぱたとはためかせた。
大成功
🔵🔵🔵
カグラ・ルーラー
エリカっつう太っちょ警官(f25110)と組むぜ。
「いやー完成度高ェな。マジモンかと思ったぜ」
それはさて置き、俺が料理を作るぜ。
とっておきを振る舞ってやるさ。
料理は「たこ焼き」だ。これしか作れねェからな。
「痛って、指切った。あ、タネん中に血ィ落ちちまった」
仕方ねェからこのまま焼くか。
一皿分焼けたら鉄板から直に「絶対零度の大狐」の口にシュートだ。
「熱々の焼きたてお待ちィ!」
餌付け出来りゃ上等、足止めでも充分だ。
そしてスノウ・ブライニクルに食ってもらうさ。
そこで「ブラッド・アリス・アクセント・オウガ・ゴースト」!
「タネに混じっちまった血」が燃え上がる!
超熱々のたこ焼きを味わってもらうぜ!
エリカ・タイラー
カグラとかいう駄犬(f21754)と組みます。
「カグラこそ、よくお似合いよ」
私は防衛役です。彼女に策があるらしいですから。
「時間は稼ぐから、ちゃんとした料理を作ること」
私はスノウ・ブライニクルに突撃します。
このコスプレは動きにくいですが、それでもやるしかない……!
カグラと置いてきたからくり人形に背を向けたところで、
「ブライニクル・ストーム」に対し「サイキック・ドール・マスター」。
スノウ・ブライニクルを操って、氷柱による連続攻撃は明後日の方向へ撃って頂きましょう。
「いやー完成度高ェな。マジモンかと思ったぜ」
「カグラこそ、よくお似合いよ」
犬の耳、尻尾、そして付け鼻をという犬のコスプレ姿で軽口を言うカグラ。その軽口も腹に詰め物をした警官姿のエリカも軽口で返す。
『また猟兵が来たか……!』
先ほどの料理に満足して少しうとうとしていたスノウ・ブライニクルは新たに現れた二人に認めると、無詠唱で巨大な氷柱を展開、二人へと差し向ける。
「私が時間は稼ぐから、あなたはちゃんとした料理を作ること」
迫り来る氷柱をエリカはパイレーツダガーで両断する。
今回はカグラが調理を行い、エリカがカグラを守る作戦を取っている。
が。
「今更なのだけど、あなた、何か料理できるの?」
「おう、一品だけな。まぁゆーっくり待っててくれよ……いって。指きった……あっ……まぁいいか」
「……いきなり不安にさせないでちょうだい」
具材の処理中に自分の指を斬ってしまったカグラをエリカは呆れ半分でカグラを見やる。
『私の目の前でよそ見など……舐められたものね!』
眠い目を擦りながらオウガは地面を踏みつけると、その足元から大小さまざまな氷柱を生みだしながらエリカたちへと襲い掛かる!
「ビルト、カグラをお願いね」
調理するカグラを守るべく展開されたビルトと呼ばれたからくり人形を背に、エリカは氷柱の群れへと向けて走り出す。
勢いそのままにダガーを振るえば、氷はまるでチーズの様に綺麗な断面を成した。そのままその断面を足場にして高みへと飛び上がり氷の追撃を避けていく。腹に巻いた詰め物の重さと息苦しさを彼女は感じるも、その動きには重さを一切感じさせないものだった。
(「この国におけるコスプレの魔力って凄い物ですね。格好は非常に不本意ですが動きを全く阻害しません、いえむしろ上がってます。非常に不本意ですが」)
氷柱の攻撃を避けきるとスノウ・ブライニクルは既に次の攻撃の準備にかかっている。
狙いは……キッチンで生地を流しこんで何かを作っているエリカ。
『何を作ってるかは分からないけど、これ以上料理を作らせないわ』
「させないわ」
エリカは足を踏み込み一瞬で距離を詰めるとそのままオウガの腹にダガーを突き立てた。
『ふんっ、効かんなぁ?』
しかし、ハロウィンの国の法則に守られた彼女には、今までの料理の恩恵があるもその攻撃により攻撃を中断させるダメージが通らない。
『さぁ、凍りなさい!』
スノウ・ブライニクルが指先をカグラへと向けた。
攻撃が発動する――その瞬間、指先が突如おかしな方向へと向くと、指先から放たれた攻撃は明後日の方向へと抜けていく。
『な、なぜ!? こんなにずれる事が……!』
「……その攻撃はもう、当たりません」
スノウ・ブライニクルは自身とエリカ、否その横を通り過ぎ――キッチンのからくり人形と繋がるとても細い七色の糸に気づく。
『これのせいか……!』
糸をちぎろうにも体はその糸に操られているのでなかなか思う様にいかない。
それでも一本、また一本とちぎり、または抜け出して……やがてすべての糸から抜け出した、その時。
「待たせたな! これが俺のとっておきの一品!」
キッチンからエリカが飛び出してきた。右手の中にあるのは経木の容器に収まるボール状の食べ物。
「熱々の焼きたてお待ちィ!」
たこ焼きだ。
『うっ、そんな熱そうな物、おことわり……』
スノウ・ブライニクルは熱い物はあまり得意ではない。が、そう言い切るまえには既に口の中に入ってた。
どんな物でも食べなきゃいけない強制力があるハロウィンの魔力凄い。
『あつっ……! 口に入れた瞬間火の玉が口の中に入り込んだみたい!……しかし噛むと……あっつ……! カリカリの表面を崩すと溢れ出る鰹節の出汁の香りとトロトロの生地!そしてタコの弾力……!』
「おい! 長い!」
『とっても美味しい!』
「よしっ!」
熱いあつい言いながらも食べ進めるオウガの姿をみてエリカは満足げに腕を組み、頷いた。
『くっ、熱い、美味しい……これいつまで熱いのよ……あっ、これタコじゃない』
「おう、イカとかウィンナーとか色々入れた」
『タコじゃなくても美味しいわね』
「それってたこ焼きって言わないんじゃ……」
エリカの指摘をよそに様々な具材を揃えてあるたこ焼きを食べるオウガ。
「さぁ、どんどん食べろ!まだまだあるからな!」
ドンドン焼き上がるたこ焼きを言われるがままに食べ進めるスノウ・ブライニクル。ハロウィンの魔力も相まって彼女はどんどんとたこ焼きを口に入れ、ついに……。
『ね、眠い……も、もう駄目……』
満腹になったスノウ・ブライニクルはハロウィンの国の法則に従いそのまま寝こけてしまった。
「おう、もう腹一杯か? じゃあ最後にもう一個味わってけ!」
カグラの一声と共に突如、スノウ・ブライニクルの体が燃え上がった!
「あなた、一体何をどうしたらこうなるのよ」
「なんたって、俺の血を入れたからな!」
『ブラッド・アリス・アクセント・オウガ・ゴースト』。己の血を代償に、炎を纏うオウガを召喚するというカグラが持つユーベルコードだ。
先ほど指を切って血が出た際に生地の中に混ぜ、たこ焼きとして出した。
そしてスノウ・ブライニクルが寝た瞬間にユーベルコードを発動。体の中に高温のオウガが召喚されたのだ。
いかに絶対零度の氷魔法を操るオウガとは言え、自身の体内に超高温の物が現れてはどうしようもならない。
『あ、あつい……!』
その言葉を最期に、無敵のハロウィンの国の主、スノウ・ブライニクルは燃え盛る炎に焼かれ、その身を水へと変えていったのだった。
炎が消えた時、周りを覆っていた氷も溶けていき――やがてハロウィンの飾りに彩られた国へと戻っていく。
やがて夜になり凍り付いていたジャック・オーランタンに灯りが点き、温かな光に包まれていく――
こうしてハロウィンの国を巡る攻防は幕を閉じたのだった。
「ところでまだたこ焼き残ってんだけどよ、食べねぇ?」
「絶対いや」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
最終結果:成功
完成日:2020年12月23日
宿敵
『スノウ・ブライニクル』
を撃破!
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